中央環境審議会水環境部会 総量規制専門委員会(第3回)議事録

日時

平成16年8月26日開催

場所

環境省水環境部

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    (1) 水質汚濁のメカニズムについて
    (2) 汚濁負荷削減対策について

    (3)

    その他
  3. 閉会

配付資料

総量規制調査専門委員会委員名簿
東京湾の水質濃度(COD)と関係4都県のGDP・人口の推移
水質予測シミュレーションの目的について
第一次から第五次までの総量規制の施策内容
発生源別・汚濁負荷量等の推移について
指定地域における小規模・未規制事業場に対する都道府県の規制・指導状況(概要)
愛知県における小規模排水対策について
農林水産省における汚濁負荷削減対策について
8-1  環境保全型農業の推進について
3-2 家畜排せつ物の管理の現状と対策について
3-3 養殖業における持続的生産への取組について

   

総量規制専門委員会委員名簿

委員長  岡田 光正  広島大学大学院工学研究科長・工学部長
専門委員  河村 清史  埼玉県環境科学国際センター研究所長
   木幡 邦男  (独)国立環境研究所流域圏環境管理研究プロジェクト
     海域環境管理研究チーム総合研究官
   齋藤 雅典   (独)農業環境技術研究所化学環境部長
   高橋 正宏  国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部長
   中村 由行  (独)港湾空港技術研究所海洋・水工部沿岸生態研究室長
   平沢  泉  早稲田大学理工学部応用化学科教授
   細見 正明  東京農工大学工学部化学システム工学科教授
   松田  治  広島大学名誉教授
   宮崎  章  (独)産業技術総合研究所つくば西事業所管理監
     産学官連携コーディネータ

議事録

午後1時31分開会

○坂川閉鎖性海域対策室長 
 本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、大変ありがとうございました。定刻となりましたので、第3回総量規制専門委員会をただいまから開催いたします。
 まず最初に、資料の確認をお願いいたします。
 本日の資料は、議事次第の1枚紙の後ろに、資料1として「委員名簿」、資料2が「東京湾の水質濃度(COD)と関係都県のGDP・人口推移について」、資料3が「水質予測シミュレーションの目的について」、資料4が「第一次から第五次までの総量規制の施策内容」、資料5が「発生源別汚濁負荷等の推移について」、資料6が「指定地域における小規模・未規制事業場に対する都府県の規制・指導状況(概要)」というものでございます。また、資料7が愛知県さんからの資料でございまして、「愛知県における小規模排水対策について」、これに関連いたしまして、資料7-1、7-2、7-3、7-4がございます。また、資料8が農林水産省さんからの資料でございまして、「農林水産省における汚濁負荷削減対策について」、この中身として、資料8-1、8-2、8-3ということになっております。
 本日の資料は以上でございます。
 また、本日は委員の皆様方お1人ずつマイクが設置されておりますので、発言される場合に、そのマイクの下にありますトークというところのボタンを押していただきまして、それでマイクが入るようになっております。発言が終わりましたら再度切っていただくようにお願いいたします。
 それでは、岡田委員長に議事の進行をお願いいたします。

○岡田委員長 それでは、お暑いところ皆様方にはお集まりいただきまして、ありがとうございました。早速、本日の議題に入りたいと思います。
 最初に議題1、「水質汚濁のメカニズムについて」というところです。前回の専門委員会では、委員の皆様方から、水質汚濁のメカニズムや水質予測シミュレーションについて、さまざまなご意見をいただき、また、ご質問もいただきました。事務局の方で指摘事項に対応するための資料整理を行っているかと思いますけれども、本日ご説明できるものにつきましてご説明をお願いしたいと思います。
 では、よろしくお願いします。

○繁本室長補佐 閉鎖性海域対策室の繁本でございます。よろしくお願いいたします。
 前回の専門委員会で皆様からご指摘をいただいたことについて、今回はできたものをご説明したいと思います。それ以外のものにつきましては次回以降の専門委員会でお示しをしていきたいと考えております。
 前回の専門委員会でのご指摘事項といたしまして、資料2を用意しております。内容は、「東京湾の水質濃度(COD)と関係4都県のGDP・人口の推移について」ということでございます。
 前回の委員会で、東京湾の水質については昭和30年代からのデータがございましたので、昭和35年から近年に至るまでの水質濃度の経年変化をお示しいたしましたが、その際に、昭和40年代の水質濃度の上昇については経済成長と関係があるのではないか、あるいは人口の増加と関係があるのではないかといったご指摘がございましたので、今回は東京湾の水質濃度と関係4都県のGDPと人口についてデータをまとめてみました。
 グラフの方をごらんになっていただきたいと思います。赤い線で示しておりますのが、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県のGDPでございます。人口は緑の線で示しております。GDPと人口につきましては総量規制制度の対象地域とそれ以外の部分に分けることができませんでしたので、あくまで4都県のGDPのそれぞれの和ということになっております。人口についても同じでございます。ブルーの線で示しておりますのが前回の委員会でもお示ししました東京湾の水質濃度の推移でございます。
 GDPの方につきましては、昭和30年代から平成3年ごろあたりまで急激な伸びを見せまして、その後、安定しているような変化を示しております。一方、人口につきましては、堅調に昭和30年代から近年に至るまでずっと伸びを示しているような状況でございます。一方、水質濃度について見ますと、昭和40年代から昭和56年をピークに水質がどんどん悪化していく傾向を示した後、総量規制制度が開始されました昭和55年から少し安定を見せて、それ以降は改善の傾向を示しているという傾向でございます。水質総量規制が始まる前の昭和46年には排水濃度規制が開始されておりますが、それ以降は余り改善が見られないといった状況でございます。
 ですから、このグラフを見ますと、水質濃度につきましては、昭和54年に第一次の総量規制制度の基本方針ができまして、昭和55年の7月1日から総量規制基準が実際に新設の特定事業場については適応され始めたわけですが、それ以降、水質濃度が改善される効果を示していると、総量規制制度によって濃度が改善される効果があったということが示されているのではないかと思います。平成5年以降は下がり続けていた水質濃度がまた少し上がって安定化しておりますが、経済成長と人口の変化を見ますとそれぞれ伸びを見せているわけですが、水質濃度については大きな上昇を見せていないわけでありまして、総量規制制度によって水質悪化を防止できているといったことが示されているのではないかと考えております。
 資料2については以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、何かご質問、ご意見がございましたらいただきたいと思います。

○平沢委員 この指数の100というのは具体的にどの程度の数値なのでしょうか、定量的な値ですが。これは100としていますから、生の値は幾つでしょうか。

○繁本室長補佐 GDPと人口ですか。

○平沢委員 CODは。

○繁本室長補佐 CODですか。

○平沢委員 そうすると、大体どのぐらい変わっているのかというのが。後でわかればよろしいですけれども。

○繁本室長補佐 大体2.5前後です。

○平沢委員 この水質のCODというのは平均ですか。

○繁本室長補佐 平均です。水域全体の平均です。

○秋山室長補佐 前回の委員会で出させていただいたのですが、昭和30年代から同じように変わっているところだけをピックアップしたので、大体湾の中央あたりが中心になっております。

○平沢委員 海域としてはどこの海域に相当するのでしょうか、A、B、C、Dだと。

○秋山室長補佐 Cが……。

○平沢委員 この前の資料を見ればいいんですね。要するに、例えばA、Bだったら、昔でももう例えばA海域で2という数値がありますよね、もう初めから、総量規制前から実は超えているということはないのでしょうか、要するに、環境基準をはなから超えてしまっているということは。

○秋山室長補佐 超えていますね。

○平沢委員 その時点で超えてしまっているわけですね、昔から。何か変な感じがしませんか。

○秋山室長補佐 これは平均ですから、各県では。

○平沢委員 わかりました。
 それともう1つ、この改善傾向かどうかというのはGDPや人口で見ると確かにこうなのですけれども、実際には入ってくる負荷との関係があって、やはりそこが一番肝心なのではないかなと。要するに、水域に入ってくるCODの負荷で見るのが大事であって、人口やGDPで見るのがいいかどうかは判断できない。結果から見ればそうですけれども、やはり実際にはGDPが上がっても負荷がどうなっているのか、また、人口の負荷、CODの負荷がどうなっているのかが考えていく上で重要ではないかというふうに思いました。
 以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかに。

○繁本室長補佐 負荷についても同じグラフの中で昭和30年代から指数として比較できればいいのですが、発生負荷量を算定しましたのは総量規制が始まってからでございますので、するとすればここで言う総量規制が開始された54年からの値を入れることはできます。ただ、皆さんもご存じのように負荷の方はずっと下がっている傾向でございますので、それを当てはめたとすれば平成5年あたりまでは負荷の削減と並行して水質もどんどんよくなっているというのは間違いないだろうと。それ以降少し安定化しているのは、今後さらに検討が必要になるのではないかと思っています。
 以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにはよろしいですか。
 よろしければ次の議題に移りたいと思います。次は「水質予測計算について」ということになります。前回の委員会でシミュレーションを行う目的を整理するようにということでお願いいたしました。では、それにつきまして事務局からご説明をお願いいたします。

○繁本室長補佐 それでは、資料3についてご説明をさせていただきます。「水質予測シミュレーションの目的について」という1枚紙でございます。
 まず1.でございますが、今回、水質予測シミュレーションをやる目的といたしましては、まず初めに、今後さらに汚濁負荷を削減していくことによって東京湾の水質改善が見込めるかどうかといったことでございます。資料の2でお示ししましたように、平成5年より後は安定化している傾向を見せておりますので、こういった中でさらに負荷を削減することがさらなる今後の水質濃度の改善にきちんと結びついていくのかといったことをきっちり確認するとともに、それが一体どの程度なのかといったことを試算してみたいと考えております。
 次に、こういった汚濁負荷の削減に加えまして、東京湾では相当の干潟等の浅海域がこれまで失われてきておりますので、こういったものを回復することによって水質濃度の改善効果がどれぐらいあるのかといったことを検討していきたいと思います。
 次に、前回の専門委員会では、東京湾、伊勢湾、大阪湾での貧酸素水塊の発生の状況を近年の様子と昭和40年代、50年代でそれぞれ見ていったわけですが、それぞれの指定海域といいますか、東京湾、伊勢湾、大阪湾につきましては大規模な貧酸素水塊が発生しております。こういったものが、底泥からの栄養塩類の溶出でありますとか底生生物に大きく影響しているといったことを見てきたわけでありまして、今回の水質予測計算では、汚濁負荷の削減ですとか、あるいは浅海域の回復が溶存酸素の改善にどれぐらい寄与するのかといったことについて特に注目して結果の整理をしていきたいと思います。
 次に2.でございますが、2つ目の目的としましては、この計算結果を用いましてより効果的な汚濁負荷削減対策を今後検討していきたいと考えております。削減対策を検討するに当たりましては、現在の汚濁負荷量がどういった構成になっているのかと、これについては後ほどの資料に出てまいりますが、それと、実際、汚濁負荷量が東京湾にどういった形で流れているのかと、そういった流入特性も十分に踏まえながら、効果的な水質改善を実現するための対策を検討したいと思っております。
 そこで幾つかのケーススタディを水質予測シミュレーションでやっていかなければいけないのですが、4点ほど挙げております。1ポツ目は点源負荷を削減すること。主に産業系の指定地域内事業場が中心になってくるかと思うのですが、こういった事業場につきましては恐らく365日を通して余り変動を見せないような負荷なのではないかなと思っておりますが、そういったものを削減することでどれぐらい効果があるのかということです。2ポツ目は、雨天時に集中して海域に流入してくる汚濁負荷をまず把握して、それを削減することによってどれぐらい水質改善効果があるのかというのを見ていきたいと思います。特に窒素とりんにつきましては雨天時にどっと海域に入ることによりまして内部生産でありますとか赤潮とも関係しているかもしれませんので、特に注目して検討をしていきたいと思います。3ポツ目としましては、以上の点減負荷と雨天時の負荷を合わせて削減した場合、効果はどうなるのかといったことです。4ポツ目としましては、点源負荷+雨天時負荷の削減+干潟等の浅海域の回復、総合的な今後の水質濃度改善の対策としての1つのケースとして挙げております。
 3つ目としましては、第1回目の専門委員会から水質汚濁のメカニズムについてはいろいろなご議論がございますが、それに関係するデータをこの水質予測シミュレーションをやることによってかなり出せるのではないかと思っております。例えば海域の中の物質のTOC、窒素・りんのフラックスがどうなっているかとか、前回の専門委員会でも議論になりました沈降と溶出の関係でありますとか、3つ目に示しておりますように、COD、窒素・りんの濃度が、あるいは溶存酸素の濃度が、毎日毎日どういった変化を見せているのかといったことをダイナミックに確認することができると思います。最後に例として挙げておりますが、干潟等の浅海域の回復が水質浄化の機能にどれぐらい役に立つのかといったことがわかってくるのだろうと考えております。
 水質予測シミュレーションの目的についての説明は以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

○河村委員 雨天時の中で、このエリアの場合はかなり合流式の下水道があると思うのですけれども、合流式の下水道からの越流水によるものと、道路その他の面源負荷の出てくるもの、そういうものは区分けしてできるような形になるのでしょうか。

○繁本室長補佐 汚濁負荷の整理は今やっているところでございますが、合流式下水道からのオーバーフローにつきましては国土交通省の下水道部で昔やられました越流負荷を試算するための簡易シミュレーションモデルというのがございまして、そういったものを使いながら、下水道部とも相談しながら今整理をしているところでございます。ですから、雨天時の負荷につきましては、オーバーフローの負荷が定量的にどれぐらいかというのをお示しできるのではないかと考えております。

○河村委員 わかりました。

○岡田委員長 どうぞ。

○松田委員 2番のこの「効果的な負荷削減対策」のところですが、1番目の点減負荷と雨天時負荷というのは海域の外から流入負荷として海域に入ってくる負荷ですよね。

○繁本室長補佐 そうです。

○松田委員 それに対してこの最後に出てくる干潟等の浅海域の回復というのは、いわば、1のところでありましたように、もちろん水質改善効果等はあると思いますが、海域の中での話ですよね。その作業を一応中でもう一回負荷の削減量に置き換えるということでしょうか。

○繁本室長補佐 実際に干潟等の浅海域の水質浄化機能をどういうふうにモデルに入れていくかといいますと、実は木幡先生といろいろと相談しながらやっているのですが、二枚貝の濾水によってどれぐらい海水中の有機物が取れていくかとか。

○松田委員 イメージとしては、浅場より沖側に対してそこに入る負荷が減るというようなイメージですかね。陸からの負荷の削減ではなくて、一種の海に入ってからの作用ということになりますか。

○繁本室長補佐 陸で発生した負荷が海に入って、その中で浄化されていくというイメージです。

○岡田委員長 よろしいですか。
 ほかにございますでしょうか。

○平沢委員 この1、2、3はすべて東京湾ということでよろしいのでしょうか。

○繁本室長補佐 そうです。

○平沢委員 ほかのところは今回は考えないと。

○繁本室長補佐 前回の専門委員会で東京湾と大阪湾について計算をしますということをお示ししたのですけれども、説明が不足しておりましてすみませんが、いろいろとご意見とかご質問をいただいておりまして、データを集めたり、いろいろな作業を考えているのですが、大阪湾と東京湾の両方をやるのはなかなか難しいのかなというのが実際は正直なところでございまして、今回は東京湾を対象にこの4点について対策の効果を見ますということでございます。

○平沢委員 もう1つそれに関連しまして、前回も私は申し上げたのですが、これは今後ということですけれども、やはりある程度わかっているところから現在までの削減をしても水域の改善が見られないというデータをこのシミュレーションである程度出して、それが妥当だということであればそれはまた今後本当に使える――今後やることは悪いことではないのですけれども、ある程度わかっている範囲ではそのシミュレーションを生かしてこれまでの水域の各地点での水質が本当に――本当というか、ぴったりといくとは思いませんけれども、ある程度説明できるかどうかというところを、要するにシミュレーションの妥当性という意味でぜひやっていただきたいなと思うのですけれども。

○繁本室長補佐 事務局の方でもそこの点については今検討しておりますが、まずやらなくてはいけないと思っておりますのは、東京湾につきましては資料2のグラフでもお示ししましたように、総量規制が始まってから平成5年あたりまで濃度の改善傾向がありまして、その後急に濃度の上昇がございまして安定化しているということでございますので、これはあくまで東京湾の真ん中あたりの測定点を全部平均したものでございますし、今、水質濃度が実際に東京湾ではどうなっているのだろうかといったことをもっと詳しく分析する必要があるのではないかなと。今は東京湾全体の濃度としてこれらをお示ししているのですが、例えば湾奥ではどうなっています、湾口ではどうなっていますとか。シミュレーションをやるかやらないかというのは検討中なのでございますが、その前にもっと水質についていろいろと分析・解析がいろいろな角度から要るのではないかということで、今検討しているところでございます。

○平沢委員 それはやはり汚濁のメカニズムの基本構成をするいろいろな要素を分析しなくてはいけないということでしょうか。

○繁本室長補佐 それは、どうなんでしょうか、汚濁負荷……。

○平沢委員 シミュレーションを使って沈降だとか何とかを読み取ると言うのですけれども、やはり実態を実際にとらまえてそのシミュレーションをやるのが本当かなと。シミュレーションを使ってそれがどうかというと、ちょっとそれは本当に妥当かなということが気になってしようがない。

○岡田委員長 どうぞ。

○坂川閉鎖性海域対策室長 今のご質問の関係なのですが、過去この二十数年間の変化をすべてシミュレーションでもう一回検証するというのは、ちょっとそこまでは難しいかなと思っているのですが、ただ、シミュレーションが正しいかどうか、モデルが正しいかどうかを検証するというのは大変大事なことですので、そこがどの程度できるかは今検討しているところでございます。総量規制を始めてから比較的水質が改善されていたころの年度とその後の安定化しているような年度と、例えば2年ぐらいをとってシミュレーションで検討してみるとか、そういうことができるかどうかということで今検討しているところでございますので、そこはできるだけのことはやりたいと思っています。

○平沢委員 ありがとうございました。

○岡田委員長 では、木幡先生、どうぞ。

○木幡委員 今、室長からお話があったところなのですけれども、1回目の専門委員会でも問題になりましたが、精緻なシミュレーション、例えば詳細時の細かいものを短期間やるのか、あるいは多少粗くてもいいので、平沢先生がおっしゃったように、長めのシミュレーションをやっていただくのか、その辺の検討が今の答えと考えればよろしいわけですか。2年ぐらいずつのタームを見てみると、あるいはもうちょっと長期のものを考えていらっしゃるのでしょうか。例えば5年なり10年なりをやってみるとかということは。データが難しいのかなという話だったようなのですが。

○繁本室長補佐 ショートタームで計算するかロングタームで計算するかは、過去を検証する話と将来を予測する話と2つあると思うのですが、今、平沢先生からご指摘いただいているのは過去の安定化しているところを見てほしいということなんですね。そこについては、今、坂川室長からお話がありましたように、どれだけデータが集められるかとか、いろいろと検討はしておりますが、今検討中でございますということしか今は申し上げられないのですが。将来の予測の部分につきましては、例えば1年目に負荷をどんと減らして、その後二、三年の様子、水質濃度の変化を計算して様子を見るとか、そういうことはできるかと思います。そこも今検討中でございます。

○岡田委員長 いいですか。
 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
 東京湾以外のところをシミュレーションできないというのはわかるのですが、若干気になるのですけれども。東京湾のメカニズム、論理が大阪湾とか瀬戸内海と同じかどうかは問題なので、簡易シミュレーションでもできれば。無理ですかね。東京湾のシミュレーションで得られた知見をもってほかの湾も同じようにできるストーリーの範囲だったらいいと思うのですけどね。使い方の問題でしょうから、ないと少し東京湾の結果をアプライする範囲は狭くなるかなという危惧はしているのですが。これは総量規制が最初に始まったころからの課題ですから、我が国のシミュレーションはアメリカに比べれば何分の1かのお金でしかやっていないというのがずっと残っていますので。
 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 よろしければ、引き続きまして、汚濁負荷の削減対策に関する議題に進みたいと思います。この課題に関しましては、本日と次回の委員会、この2回に分けて関係する皆様方から対策に関するヒアリングを行うということにしております。しかしながら、その前に、事務局から、第一次から第五次まで今までやってまいりました水質総量規制の施策内容、発生負荷量の削減状況についてご説明をお願いしたいと思います。
 では、よろしくお願いします。

○秋山室長補佐 閉鎖性海域対策室の秋山と申します。よろしくお願いします。
 私の方からまず資料の4を説明させていただきたいと思います。資料の4は第一次から第五次までの総量規制の施策内容をまとめたものです。
 総量規制におきましては環境大臣が「総量削減基本方針」を定めておりますけれども、第一次から第五次までなのですが、これにつきましては大体似たようなことをうたっております。まず1つは、(1)としまして、下水道の整備の促進等による生活排水の対策。2番目としまして、指定地域内事業場に対する総量規制の適用、この遵守を図ることによって汚濁負荷を削減していく。3番としまして、教育、啓発等を通じて国民の広範な理解と協力を得て汚濁負荷を削減するということ。それと、その他としまして、汚濁負荷の総量削減に関して必要な施策を講じていく、例えば、下にありますけれども、総量規制が適用されない事業場に対して指導を行っていくと、そういったこともあると思います。それと、第五次に入りまして、環境保全型農業の推進、家畜排せつ物の適正な管理、養殖漁業の環境改善、合流式下水道の改善等の施策を織り込んでおります。
 それと、表の中央に行きまして、「削減の方途に係る特記事項」ということなのですが、第三次総量規制のときにし尿浄化槽について規制対象範囲を広げております。注の2)に書いておりますけれども、水質汚濁防止法施行令の中で501人以上の浄化槽を「特定施設」としておりましたけれども、第三次総量規制のときから、指定地域につきましては201人以上500人以下の浄化槽について「指定地域特定施設」という制度を設けまして、新たに規制対象としております。平成14年度ですと総量規制対象の指定地域内事業場数が1万4,307あるわけですが、そのうち指定地域特定施設のみを有しているものが3,680、約4分の1が指定地域特定施設のみの事業場となっております。
 第五次のときの特記事項ですが、そのときに、CODに加えて窒素・りんを新たに総量規制の対象項目にしております。
 資料4については以上です。
 続きまして、資料5について説明させていただきたいと思います。これは発生源別・汚濁負荷量の推移をまとめたものです。今まで汚濁負荷量の推移につきましては、各水域別、生活系、産業系、その他系の系統別の推移についてはお示ししておりますけれども、ここではさらにもうちょっと詳細なものを提供しております。
 資料5の1ページですが、上半分が指定地域内事業場、いわゆる総量規制基準対象事業場です。下3分の1が指定地域内事業場以外、総量規制基準対象外の発生源となっております。
 一番上が下水処理場ですけれども、下水処理場には生活系以外に産業系、その他系を含んでおります。それ以外の産業系の業種、食料品等製造業以下に産業系の業種を並べておりますけれども、これは負荷量の多いものを抜き出しております。比較的業種別に見た負荷量が少ないものについては小計の上の欄の「その他の指定地域内事業場」にまとめております。これですとちょっとわかりにくいですので、2ページ以降にグラフにしております。
 2ページが東京湾の状況です。一番上がCOD、真ん中が窒素、一番下がりんです。各円グラフの真ん中が発生負荷量で、その外側が指定地域内事業場と指定地域内事業場以外のものに分けております。その外側に各発生源別の負荷量とその比率を記しております。
 東京湾につきましては、指定地域内事業場の割合が比較的多いというのが特徴になっております。CODですと約5割強、窒素ですと約7割5分、りんについてもそれに近いだけの割合を占めております。しかも、そのうち、指定地域内事業場のうち下水道がその多くを占めております。また、指定地域内事業場以外につきましても生活排水の割合が非常に多い、それが特徴となっております。
 3ページをごらんください。3ページが伊勢湾の状況でございますけれども、東京湾と違いまして比較的指定地域内事業場の割合が少ない傾向があります。大体35%前後、CODも窒素もりんも比率としては同じぐらいになっております。また、生活系の雑排水、指定地域内事業場以外の中での生活系の割合がこれも比較的多いということ。それと、特に窒素・りんについてなのですが、山林や市街地、農業の割合が比較的多いということが特徴になっております。
 資料の4ページをごらんください。資料の4ページは瀬戸内海の状況ですが、指定地域内事業場での割合が伊勢湾よりは多い、しかも、全体として産業系の割合が比較的多いという特徴がございます。また、産業系の中でも黄色で表したパルプが比較的多くなっております。この業種はCODについては多いのですが、窒素・りんについては非常に少ないという傾向になっております。
 続きまして、5ページをごらんください。これはCODにつきまして、総量規制の目標年度、主要年度ごとに整理をしたものですが、昭和54年~平成11年度までのものです。表の左側が業種になっておりますけれども、そのときに負荷量と排水量と平均水質を整理しております。例えば東京湾の下水処理場で見てみますと、昭和54年の73.9トンから平成11年の106.6トンまでCOD負荷量が増えているわけですが、一番右の方の「水質」で見てみますと13.1mg/Lから10.7mg/Lに若干改善されているということになっております。それにつきましても資料の8ページをごらんいただきたいと思います。
 資料の8ページですが、これは東京湾の負荷量の推移を見たものなのですけれども、一番下の灰色のところが指定地域内事業場、その上の青いところが指定地域内事業場以外の生活系・産業系・その他系となっております。指定地域内事業場については余り減ってはいないのですが、生活系、雑排水については大きく減少しているということになっております。
 一番下の指定地域内事業場の部分を拡大して業種別で見たのが資料の9ページです。これを見ますと、8ページの雑排水の減少と、その下水道への取り込み伴いまして下水道の負荷量が増大しております。また、産業系についても大きくその割合が減少しているということがわかると思います。
 続きまして、資料の10ページに行きたいと思います。資料の10ページは伊勢湾の状況です。伊勢湾につきましては東京湾と異なりまして、生活雑排水、薄青の部分ですが、これの減少割合は東京湾ほど顕著ではありません。指定地域内事業場、総量規制対象事業場の負荷量は的確に削減されております。
 総量規制対象事業場の割合を見たのが11ページです。これを見ますと、下水道については東京湾とは異なりまして、負荷量はそれほど大きく変化はありません。それ以外の産業系につきましては、的確に削減をされているという状況です。
 12ページについては伊勢湾と同じような傾向を示しております。
 13ページは、産業系、下水処理場などについて見たものなのですが、瀬戸内海については、下水道については若干減少している傾向にあります。これは資料の7ページをごらんいただきたいと思うのですが、資料の7ページの上の方ですけれども、下水道については、昭和54年の排水量552万トン余りから、平成11年には935万トン余りに増加しているわけですけれども、水質について昭和54年当時から平成11年になりまして大きく改善されています。これが水量が増えているにもかかわらず負荷量が減少している原因ということになります。
 資料13ページに戻りたいと思います。13ページの産業系の方ですが、伊勢湾と同様なのですけれども、黄色で表したパルプの関係が非常に多い、続いて化学関係、このあたりが非常に多いということです。
 続きまして、資料6に行きます。資料6は、「指定地域における小規模・未規制事業場に対する都府県の規制・指導状況」をまとめたものです。
 (1)としまして「小規模事業場」ですが、小規模事業場といいますのは水質汚濁防止法対象事業場ではあるのですが、国が定めました一律排水基準のうち有害物質以外の項目の排水基準が適用されない日平均排水量50m3未満のものを指しております。ここでは、各都府県が条例に基づいて定めた排水基準の状況を整理したものです。この基準を超過しますと水質汚濁防止法違反ということになりまして、罰則が適用されるということになります。
 (2)としまして、「未規制事業場」。これは水質汚濁防止法の届出対象となっていない事業場のことを言いまして、これらに対する都府県の条例による規制の状況を整理しております。
 (3)としまして、これらの小規模事業場・未規制事業場に対する指導基準、罰則規定のない行政指導となる基準の状況を整理しております。
 「小規模事業場」に行きますけれども、2ページをごらんいただきたいと思います。2ページの一番下側に国の一律排水基準の適用関係を整理しております。一律排水基準につきましては、水質汚濁防止法の届出対象の業種施設が対象となっておりますけれども、適用の水量は日平均排水量50m3以上です。BODにつきましては、海域・湖沼に排出されるものについては適用せずに、海域・湖沼以外に排出されるものに適用しております。CODにつきましては、海域・湖沼に排出するものについて適用して、海域・湖沼以外に排出されるものについては適用しておりません。窒素・りんについては、指定水域についてはすべて適用するということになっております。
 1ページにお戻りください。これは小規模事業場に対する条例の適用関係を示したものですが、例えば千葉県の例でいきますと、東京湾の関係につきまして、畜産関係の施設については日平均排水量が0を超えるものについては適用していくますが、ただし、窒素・りんについては30m3以上から適用するということになっています。その他の全業種については30m3以上から適用します。適用する項目につきましては、BODは海域・湖沼以外のもの、CODについては海域・湖沼に排出するものに適用することになっております。一律排水基準と同じ区分ということになっています。すべて説明はできないのですが、概ね指定水域においては国に対する排水基準より厳しい排水基準を条例で設定している都府県が非常に多いということがわかると思います。
 3ページをごらんいただきたいと思います。これが水質汚濁防止法の届出対象となっていない事業場に対する都府県独自の条例による規制の状況です。業種等については主なものを載せておりますけれども、例えば埼玉県ですと弁当製造業などに法律で規定されていないものを規定しています。例えば弁当製造業の場合は、水質汚濁防止法では面積要件があるわけですけれども、ここでは食数によって対象範囲を広げているということです。それも都府県によって違いますが、水質汚濁防止法より規制対象範囲を広げている都府県が多くあります。
 5ページですが、これは小規模事業場あるいは未規制事業場に対する濃度の指導基準を定めているものを整理したものです。先ほどの(1)と(2)と比べますと小規模事業場・未規制事業場に対する指導基準を定めている都府県はそれほどは多くないということがわかると思います。
 これらが小規模事業場・未規制事業場に対する規制指導の状況です。
 以上です。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。

○河村委員 資料5につきましてなのですけれども、非常に基礎的な質問で申しわけないのですが、表の1でそれぞれの汚濁負荷を求めておられるのですけれども、その求め方というものについてできましたら一覧でもいただけたらという気がするのですけれども。例えば下水処理場の場合に、雨天時に一次処理をして流すような場合もあると思うのですけれども、そういうことの割り振りはやっておられるのか、また、その他のところで、面的なところについて、原単位を使われているのか、あるいは何か別な方法を使われているのか。というのは、その後のシミュレーションなんかのときの負荷との絡みが出てくると思いますので、できるだけここの計算の仕方というのをはっきりさせておいた方が後の議論もしやすくなるのではないかと思いますので、よろしくお願いします。

○坂川閉鎖性海域対策室長 ただいまのご指摘に関しましては、また資料を用意したいと思います。
 簡単にご説明いたしますと、指定地域内事業場に関しましてはすべて測定義務がありますので、測定結果をもとにそれを積み上げています。測定結果というのは濃度と排水量を掛け算して負荷量を出して、それを積み上げているということでございます。ただ、河村先生からご質問がありました下水道の雨天時についてはここには含まれておりませんので、それを今後どうするかというのは1つの課題だと思っております。それから、それ以外の指定地域内事業場以外の部分に関しましては、これは個別のものの積み上げではなくて、原単位を用いて計算をして出しているものでございます。いずれにしましても、詳しいものはまた別途資料を用意したいと思います。

○河村委員 例えば、浄化槽は多分原単位でしょうね。各家庭の場合は測定というわけにはいかないでしょうね。

○秋山室長補佐 小規模な指定地域内事業場になっていないものについては原単位です。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。

○平沢委員 産業系のCODのことなのですけれども、一応規制がCODでやられているのでこういうことを言うのはよくないのですが、いつもやはり思ってしまうのは、産業の排水の質というか、有機質はかなり特性が違うので、それぞれCOD値としてはこうなのでしょうけれども、本来ならばそれが非常に処理しやすいCODの場合と処理しにくいCODの場合と、前回も私は申し上げたのですが、CODの質ということはこれからの時代は考慮をしていかなければいけないのではないかなという気がしております。
 それから、特にこの黄色で表されるパルプというのがやたら目立ってしまうような気がするのですけれども、これは東京湾で特によく処理して瀬戸内では処理していないということではなくて、やはり事業場が多いと水量が多い、あと、水質値もほかのところよりも高いのはやはりセルロースとかリグニンとか、いわゆる非常に分解性の悪いやつが残っていて高いということはやはりある程度含んでおくべきだろうというふうに思いました。
 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。今のご指摘はよろしいですね。
 この委員会でできない範囲のところはどこかで、水質部会にフィードバックするとか、それはしておいた方がよろしいかと思いますけれども。
 それから、今、平沢先生がご指摘になった事業場の数みたいなデータは、今後整理されますか。間接的にはこの排水量というところでわかるわけですけれども、今後はどういうふうに。

○秋山室長補佐 指定地域内事業場につきましては先ほど室長から説明しましたように積み上げをしておりますので、事業場の数はわかります。確かに水量が減ったのが事業場の撤退によるものなのか、事業場数は変わっていないのに例えば節水対策、循環使用をした結果減ったのか、それはわかりませんので、それも整理したいと思います。

○岡田委員長 そこそこにしないと、数だけでは。いつもの議論ですが、同じ事業場でも大きいやつも小さいのもありますからなかなかいろいろと難しいし。

○秋山室長補佐 特にパルプが多いですね。パルプとか鉄鋼関係は事業場数はそんなには多くないですから、特にこの負荷量については整理ができるのかなと思います。

○岡田委員長 わかりました。
 ついでに、これはCODはあるのですが、窒素・りんのデータはあるのですか。

○坂川閉鎖性海域対策室長 窒素・りんについては、第五次総量規制から対象にしましたので、第五次からはこのようにきちんと整理されているのですが、それ以前は本当にアバウトな形でしかないものですから、これと同程度のものをつくるというのはちょっと難しいと思います。

○岡田委員長 変化はわからないですね。業種ごとの平均濃度みたいなものはわかると。

○坂川閉鎖性海域対策室長 ですから、平成11年度のものはわかるのですが、それより前のものは細かくはわからないということです。

○岡田委員長 ほかにございますか。

○中村委員 多分難しいだろうなと思うのですが、それを承知で少しお願いしたいなと思いますのは、この資料の5はいろいろなトレンドが非常によくわかって、なおかつ内訳がわかって大変結構なのですが、もし総量規制を含めて、また、各都道府県のいろいろな施策を含めて、そういう施策がなかったとしたらCODやその他のものがどれぐらい増えていたのだろうかなというふうな何らかのうまい試算ができないものかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。GDPとか人口の推移を比例し配分したような格好になるのかもしれませんけれども。

○岡田委員長 考えておいてください。ここですぐにイエス・ノーは。何か昔やったような気もしないでもないのですが。

○坂川閉鎖性海域対策室長 仮定をどうするかということだろうと思いますので、そこでうまいこと何か仮定をつくることができるかどうか。

○中村委員 もちろん正確にはとても無理で、実際に濃度ベースで負荷を出されるというようなものに関しては架空の濃度を持ってこないとできない話なので、無理はわかっているつもりなのですが。ある特定のシナリオ、もしくは仮定のもとで考えるとこうなるという。
 なぜこういうことを申し上げるかというと、人口もGDPもかなり増えている中で、非常に厳しい施策をして、見えにくい結果を我々は求めているのではないかと思うんですよね。過去の負荷が少ないものと、何もしなければ相当負荷が増えていた状況とを、そことの対比がなかなか難しいのでという背景がありましてご質問させていただきました。

○岡田委員長 では、これは、中村先生もおっしゃっているように、簡単なことではないことはわかっていると思いますので、考えてみてくださいということでいいですか。先生の方もそういうご要望だと思いますので。
 ほかにございますでしょうか。
 特段ご意見、ご要望がないようでしたら次の議題に移りたいと思いますが、よろしいですか。
 それでは、ここからは少し変わりますが、続きまして、愛知県環境部から、「愛知県における小規模・未規制事業場の汚濁負荷量を削減するための取り組み」というものにつきまして、本日資料を用意していただき、また、わざわざお越しいただきました。愛知県環境部の森技監からお話をいただくということで、よろしくお願いいたします。

○森技監(愛知県環境部) 愛知県の森です。資料7に基づいて、少し愛知県の現在の小規模事業場等排水対策はどうしているかということを説明させてもらいます。
 資料7を見ていただきたいのですが、ご案内のように、第五次総量規制から窒素・りんが加わったということで、私どもはそれまで小規模事業場等排水対策指導要領に基づいてやっておったのですが、それに窒素・りんを加えるという前提のもとに、昨年、要領を改正しました。その考え方を含めて今現在どうなっているかを少し説明させてもらいます。
 まず、要領を改正する前に私どもは小規模の事業場を、50トン未満の事業場でございますが、その前に、恐らく今日愛知県がこの場に呼ばれたのは、愛知県が全国の都道府県の中で政令市を含めて特定事業場が1万4,300ほどありますので、全国一多いということから愛知県が話をするということになったと思いますので、多分そういうことだろうと思っております。
 それで、小規模事業場の要領を56年に作りましてやっておったのですが、今回の第五次になったということで、小規模の事業場にアンケートをとって、実情はどうなっているのだろうということも含めてまず考えてみたわけです。13年度にアンケート調査をしました。その結果ですが、資料7-3の4ページを見ていただけますでしょうか。
 「小規模事業場アンケート調査結果」ということで、50トン未満の事業場でアンケートをやって約50%弱の回収率があったのですが、小規模の50トン未満であったとしても、例えば排水中の窒素・りんが富栄養化の原因であるということを80%の方が認識していたと、それから、排水中のりんや窒素の含有量の把握も40~60%ぐらいの方が把握されており、製造業では実際に実測定を70%ぐらいの方がやっておられるということがわかったわけです。
 それから、排水中の窒素やりんの測定値、簡易分析なり実際に調べて分析をやっているというところでは、製造業では1~5mg/Lの事業場が多かったということで、金属製品製造業では10~50、窯業・土石でも1~5ぐらいだと。りんは、製造業で0~0.2ぐらい、食料品製造業では1~4ぐらいということでございます。
 排水処理でございますが、アンケートの結果では、製造業で約50%が何らかの排水処理をしています。いわゆる浄化槽とここに書いてあるものはし尿浄化槽ですが、それらを除いた場合、サービス業ですと10%未満でして、製造業でも、金属製品製造業なんかは70%が何らかの排水処理をしている。排水処理の処理方式で、凝集処理が70%ぐらいあった。これは金属製品製造業なんかの必然的な帰結と言えるかもわかりませんが、生物処理が意外に少ないというようなことでございます。
 こういう小規模のアンケート調査を、窒素・りんを今後は規制していこうという段階において私どもは事前にアンケートをして、どうしてこうなのかということでやった結果がこういうことでして、何らかの排水処理をしているのが50%近くあるとか、あるいは認識度合いが、窒素・りんが富栄養化の原因だと認識しておる方が80%ぐらいあったということで、意外にこれはやりやすいのかなという感じを当時は受けておったわけです。
 それで、もう一度資料7を見ていただきたいのですが、そういうアンケートの結果をもとにどう要領を改正していったかということですが、1ページにありますように、要領の対象事業場は、一応私どもは従前から入れておりました日平均排水量が50m3未満のものはすべて対象とすると。上乗せ条例が適用になっている50m3未満はすべて対象にする。それから、条例による上乗せ条例が適用されない事業場は、日平均排水量は20m3~50m3の間にする。つまり、この20m3といいますのは、先ほどの環境省さんの説明にもありましたが、愛知県の中では、基本的に上乗せ条例を既設は20m3以上にしておりますので、それと合わせたという意味で20にしている。未規制業種については50m3以上のものにするということで、未規制業種というのは、その下に書いてありますように、集団給食施設とか飲食店営業の調理施設、コルゲートマシン、惣菜・パン・菓子製造業の洗浄施設、金属製品製造業の水溶性油剤。この水溶性油剤も事前に調べましたら窒素なんかでも50mg/Lぐらいあるということで、これは入れなければいけないということで未規制のものも入れたということでございます。
 それで、指導値という形をとっていますが、CODについて、基本的には第五次の総量規制基準の既設の基準値あるいは新設の基準値を原則とするけれども、上乗せ基準より例えば第五次の総量規制基準の方が指導値が厳しいような場合には、緩い排水基準の方で上乗せの条例で進めていくと。それから、窒素・りんについては、これも第五次の総量規制基準に準じた値を指導値として進めていくということにしました。それから、条例による排水基準が適用されない上乗せ条例がないところについては、20~50m3の間は一律基準で進めていこうと。つまり、CODは160mg/L、窒素は120mg/L、りんは16mg/L、これは排水基準ですが、それで進めていくと。それから、未規制業種についても、排水基準の一律基準を適用して指導していこうということでやっています。
 指導値の概要として、書いてありますように、基本的には上乗せ条例による排水基準の適用事業場についてはCODが大体10~120mg/Lの間、窒素が10~70mg/L、りんが1~9mg/Lということになっております。
 そこで、いろいろと検討して進めてきたわけですが、今回新たに小規模の未規制の事業場を追加したのはどういうものかといいますと、やはり過去に有機汚濁によって苦情の原因となったような事業場、あるいは、排水検査をやってみて意外に高いなと、水溶性油のようなものが意外に高いなということがわかったようなところを未規制業種であっても小規模事業場の要領の中で指導していくという形にしたものでございます。
 ですから、3ページの終わりにありますけれども、「主な改正点」とありますように、法の適用となっていない未規制業種としては、コルゲートマシン等に加えて惣菜製造業やパン・菓子製造業の洗浄施設、金属製品製造業の用に供する水溶性油剤を使用する金属工作機械、これを追加したということでございます。
 私どもの愛知県には第五次の総量削減計画の中で産業系の排水、CODは平成11年度を基準年として16年度までに、1日当たり、産業系はCODで1トン、窒素についても産業系は1日1トン、りんについては1日に0.1トン削減するという計画目標を持っております。そのうちの小規模はといいますと、CODについては産業系全体で1日1トンを削減するということになっていますが、77kgを削減する計画にしております。窒素については産業系全体で1日1トン削減するのですが、この小規模事業場等の対策で1日74kgの負荷量を削減するという計画にしております。りんにつきましても1日0.1トン産業系は削減するわけですが、それに対して小規模で23kgの産業系の小規模事業場の削減をするという計画上の目標を持っております。この要領を改正することによって見込まれるのは、CODで約87kg、窒素で169kg、りんで29kgが削減可能であろうというふうに思っておるわけでございます。
 現実には、4ページを見ていただきたいのですが、その要領の対象事業場は愛知県にどれだけあるかということですけれども、合計を見ていただきますと982事業場、この982事業場というのは、政令市、つまり名古屋市とか豊橋市とか岡崎市という政令市も含む全愛知県の事業場の数でございます。982事業場を対象に小規模事業場の削減を3ページにあるような計画以上に削減していこうということで、今進めております。
 基準の適用でございますが、要領を施行したのが平成15年の4月1日でございまして、周知期間は6カ月を置いて、新設についてはちょうど総量規制基準の適用の1年後、つまり平成15年10月1日から運用し、既設については16年の4月1日からいわゆる総量規制の施策とあわせた形での適用をしておるところでございます。
 その次に、資料7-1は要領でございますので、これは後でご一読願えればと思います。
 7-2が、実際に今の考え方に立って、改正前・改正後の要領をどういう考えでやったかという変更点なんかが左に書いてございます。この中で、し尿浄化槽、いわゆるし尿処理施設とか浄化槽については小規模から除いております。その理由は、し尿浄化槽の場合は、今までは、構造基準が決められているものでBODのカット率が決まっているものに対して、窒素やりんだとかCODだけかけること自身、建築基準法の構造基準で決められている以上のことが果たしてできるのだろうかという非現実的な問題は除こうということで、あえて小規模から浄化槽は除いております。構造基準で決められて作られているものに対してそれ以上のことが果たして本当にできるのだろうかというようなこともあって、浄化槽だけは除いているということでございます。
 次に7-3でございますが、「アンケート調査の結果の概要」ということで、一応、平成13年の12月~3月にかけて3カ月間調査した結果が書いてございまして、今言いました4ページが概要でございます。
 最後ですが、資料7-4。では、小規模事業場ではどういうふうに現実には愛知県はやっているかと言いますと、平成11年~15年度まで、愛知県は――これは政令市も含めてですが、小規模事業場に立入をしております。982事業場のうち、検体数は、平成11年度が144、12年度が130、平成13年度が118、平成14年度が150、平成15年度が156ということで、対象に対して実際に立ち入りをして採水をしているのは15~16%ということでした。
 いずれの場合でも、見ていただきますと、大体、いわゆる指導値、これは16年4月1日から窒素・りんを加えて適用しておりますので、16年度は今やっておる最中ですから、窒素・りんの基準の適用状況はわかりません、16年度はまだ実施中ですのでわかりませんが、15年度まではCODだけですので、過去5年間の分をまとめてみました。そうしますと、大まかに言って、小規模事業場の指導値を守れていないのが10%ぐらい、超過率と書いてありますが、およそ10%ぐらいが守れていないと。この窒素・りんも加えて今年度からやり始めましたが、1年経過しますと、恐らく窒素・りんも10%ぐらいが超えるのかなと。つまり、その10%ぐらいの方をしっかり指導すれば小規模事業場の実効が上がる、我々が見込むような削減ができるのではないかというふうに思っておるわけです。
 指導値を超えたものでございますが、11年~15年度で超えた業種と超過の状況というのを見ていただきますと、畜産ですと、指導値として120mg/LというCODを持っておるのですが、130~910mg/Lぐらい、水産食料品で60~85mg/L、野菜・食料品製造業が60mg/Lに対して300~1700mg/L、1700mg/Lというのは処理施設がないところです、飼料・肥料製造業では18000mg/Lでこれも処理施設がないところでございます、めん類は660mg/Lぐらい、豆腐で41~880mg/L、繊維製品が220~410mg/L、弁当・仕出屋が160mg/Lに対して260~440mg/L、飲食店が160mg/Lに対して260mg/Lぐらい、金属製品が26~780mg/Lぐらい、電気めっき業は71~840mg/Lということでございます。もっともこれは超過している10%の内訳でございますので、90%の大半がこの指導値を守っておるということでご理解を願いたいと思うのですが、こんな高いのがというのはその10%の超えたところにこういう高い数字がありますよという意味でこれを出しております。
 現実に、例えば平成15年に起きています12超過しておるようなところはどういうようなことかといいますと、基本的には維持管理の悪さが目立つ。どうも排水基準が適用になっていないということから、排水処理施設をつくってもその後の維持管理を余り熱心にやられていないというのが実情ですので、そういう点を我々は今指導しておるということでございます。
 この16年4月1日から施行になる前にはどういう形でこの要領を皆様方に知らせたかといいますと、私ども愛知県の中は7つの事務所に分かれております。その事務所ごとに事業場で説明会をやって周知いたしました。それからインターネット等でホームページからも発しておりますが、それ以外に業界誌、めっき業とか食品業とか鉄鋼業なんかの業界誌にも協会を通じて周知をしたということで、今年度から窒素・りんも実施しておるというところでございます。
 以上でございますが、よろしいですか。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。お忙しいところ、いろいろご丁寧にご説明いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。

○平沢委員 大変貴重なデータをありがとうございます。こういう小規模事業場の実態を把握するのは大変だと思うのですが、実際に水域に負荷として放流される負荷量のトータルというのは自治体では大体押さえられるのでしょうか。

○森技監(愛知県環境部) 総量規制の場合は、原単位でやる方法もありますが、実際に我々はこうやってその事業場へ行きまして採水をやっておりますし、未規制を除けば50m3未満であっても一応届出がある事業場ばかりです。ですから、そういうところから把握して立入に行って、実際にこういうCODなんかを測定するというところから負荷量を積み上げることができます。

○平沢委員 こういう小規模ですと1日の間でも結構負荷変動があって、また季節的にもかなり変動があると思うのですけれども、スポットで採ったデータで把握できるのでしょうか。

○森技監(愛知県環境部) ただ、先ほども言いましたが、排水処理を50%ぐらいやっていますね。排水処理をしているようなところですとその変動には耐えておるのですが、沈殿槽もあったりして、24時間なりのクッションタンクを持っておりますから、必ずしも変動がストレートに出るというものではないと思います。ただ、排水の処理施設がないようなところですと平沢委員のおっしゃるようなことは確かにあると思いますが、排水処理で24時間で処理をしているようなところですとかなりならしていますので、そんなにそういう極端なことはないと思っています。

○平沢委員 もう1つよろしいでしょうか。
 処理法に関してはいろいろと自治体さんの方でご指導をいただいていると思うのですが、処理方式の約7割が凝集処理ということで、やはりSS性のCODが割と多い処理場が多いのでしょうか、固形分というか。そうとも言えないんですか。

○森技監(愛知県環境部) そうとも言えませんけれども、先生のおっしゃるようなこともありますが、凝集沈殿でやっておるというか、金属製品製造業とかが比較的多いんですね。食料品のところはどちらかというと生物処理ですけれども、この凝集沈殿といって我々が調べた中で多いのはやはり製造業が多いということです。

○平沢委員 それで、特に生物処理が数%と、この生物処理というのは脱りんの生物処理が数%、それとも、普通の活性汚泥が数%なのか。

○森技監(愛知県環境部) 活性汚泥がという意味です。もともと排水基準の適用になっていないようなところですから、半分もやってあること自身大したものだと私は内心は思っておったのですけれども。アンケートをしたらそういう結果が出ていますので。

○平沢委員 どうもありがとうございました。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。

○森技監(愛知県環境部) 未規制だとかそういう基準の適用がないところは排水処理をさせるときに、愛知県では融資制度を持っていまして、なるべくそれを使って有利な形に導こうという施策で進めています。

○平沢委員 あと、処理法なんかもぜひご指導をいただけたらいいのではないかと思います。

○細見委員 単純な質問ですが、そのアンケートの回収率というのはどのぐらいなのでしょうか。

○森技監(愛知県環境部) これは、1,250事業場へ出しました。そのうち回収率が42%ぐらいです。というのは、愛知県には天竜川水系とか太平洋へ出ていく部分があるものですから必ずしも愛知県全域が総量規制地域ではないのですけれども、一応アンケート調査をやるときは幅広に、天竜川水系とか太平洋へ出ていくところも含めて小規模とか未規制を全部一斉に出してみたんですね。そうしたら回収率が約42%、だから600ぐらいはいったかなと思っています。

○岡田委員長 ほかにございませんでしょうか。
 私の方からちょっとよろしいですか。20以上50m3までということで規制されたのですが、特に小さいところは守ること自身も大変だと思うんですね。業界の抵抗というか、反対というか、逆の言い方をすると、県としてどういうふうにして説得したのか、何かご経験があれば教えていただきたいと思います。

○森技監(愛知県環境部) 先ほど言いましたように、業界の、例えばめっき組合だとか食品関係の協会、鉄鋼関係にも行ったのですが、これは、結局、私たちは実際にアンケートをやりながら採水もやっておるんですね。そういうデータを直に業界に見せるんですね、こういう実態ですよと、だからこれはやらなければいけないんですということで、かなりそういう採水した結果なんかを持って行って業界の人と話をしたと。だから、めっきなんかでも窒素やりんが出ますよと、これは何とかしなければいけないのではないですかと、それもこの総量規制の段階でという話をして比較的業界でも納得してもらえたと、食品なんかでも。それで要領を改正するときも載せますよと言って、簡単に載せてくれました。

○岡田委員長 例えば隣の三重県とかは多分規制が違うのではないかと思うんですね。同じですか。

○森技監(愛知県環境部) 要領は、県独自で定めたものです。

○岡田委員長 例えば瀬戸内海あたりですと、隣が30できればうちも30にしておくのだったら割と説得しやすいわけですね。ところが、ほかの県と違う場合はなかなか、なぜうちだけ厳しくするんだとか、いろいろな抵抗というか、こちらの方とすれば逆に説明責任があると思うんですね。

○森技監(愛知県環境部) それは、先ほどから言っていますように、考え方の中で、総量規制基準のCn値とかCc値を使うというまず基本がありますね。上乗せ条例で例えばCODが緩い場合ですと、上乗せの緩い方でいきましたので、きつい方ではなくて緩い方でいこうということで。未規制の場合にはそれに準じたやり方でして、確かに似たような業種のところのC値を使うことはできるのですが、それを避けてあえて排水基準一律という形でなるべく事業者に余りにも強くならないようにという配慮をして、そういうことも説明の中ではしていったということで、割と理解は得られたということでございます。しかも56年からCODはやっていましたので、業種的には窒素・りんが加わったからといって抵抗は余りないですね。もともと56年からCODだけはやっていたわけですよ。今度は窒素・りんが増えたものだから、増えたことによってNPを入れることとCODの見直しをしたと。ですから、ある程度今まで対象になっていた人はCODも何らかの規制が厳しくなることと、それに窒素・りんが今度は加わったよということなものですから、そんなに業界の抵抗というものは余りなかったと。

○岡田委員長 例えば窒素・りんの処理装置を付加しようとすると、場所がないとか、非常に変な状況もいっぱいあると思うんですね。その辺はご協力いただけたわけですね、何とかして。

○森技監(愛知県環境部) 今までのCODを見ていても、超過率といいますか、違反が1割ぐらいというのも実績があるものですから、全業者の中の1割が超えているけれども、9割の方が守れると。その1割の守れない人にも守らせるべきだと。1割しか守れないのならこれは大変ですけれども、9割の人が守れるのに1割はなぜ守れないんだと、こういうのも説得材料として。過去の原因から、たかだか1割ではないですかと、この人のためにあなたが逆に言ったら擁護するんですかと、これはおかしいのではないですかという説明も功を奏したというか、なるほどと、1割のためだけに自分らの業界では頑張れないということはないということです。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 よろしければ、本当にどうもありがとうございました。

○森技監(愛知県環境部) どうもありがとうございました。

○岡田委員長 それでは、続きまして、農林水産省生産局の環境保全型農業対策室から、環境保全を実施する農業の推進についてということで、現状と対策をご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) 農林水産省の生産局の郡と申します。何とぞよろしくお願いいたします。
 農林水産省の方からは、第五次の総量削減基本方針に対策の方途として掲げられております3つの事項につきまして、それぞれの担当の方から対策といいましょうかその取り組みの状況について簡単にご説明申し上げるということで進めさせていただきたいと思います。
 まず最初に、私の方からは、環境保全型農業というようなことで申し上げておりますけれども、これは簡単に言いますと、農地の上で作物を栽培する農業でございます。農業といいますと畜産業も入ってまいりますが、ここでは農地の上で作物を栽培するいわゆる耕種農業といったものについての取り組みについてご紹介をしてまいりたいと思っております。
 1枚目からでございますけれども、農業生産につきましては、普通にやっている限りにおきましては、多面的機能と言いまして、例えば水源涵養でありますとか、保健休養機能であるとか、いろいろな機能を持ち合わせておるということでございますけれども、一方で、不適切な農業生産をしますと環境への負荷がいろいろ発生してきます。図にもございますように、こういった水質への例えば肥料成分の流出でありますとか、一方では、化石燃料の燃焼によります炭酸ガスの発生、あるいは、農業といいましても単に有機質資材のみを使っておるわけではございませんで、いろいろなプラスチック資材であるとかそういうものの廃棄物が出てまいりますので、こういったものの処理の問題とか、いろいろな負荷があるということでございます。
 そのうち、生産性・品質向上といったところで、日本の場合、農地面積が狭隘でございますし、なるべく生産性を上げたい、日本の消費者に見合った品質を確保したいということで、施肥の方にもかなりそれを重視したやり方というのが浸透してしまいますと、これは一方で海域ですとか湖沼の富栄養化の一因となるといった側面もあろうかと思います。
 総量規制の観点からも、例えば非特定汚染源につきましては汚濁負荷量の的確な把握とか発生特性を踏まえた対策のきめ細かい検討が必要とされておりますけれども、ほかの非特定汚染源と同様に、農業生産からの各種の負荷といいますのはなかなか作用の仕組みというのが単純ではございませんで、どの程度負荷として重要性があるのかといったところの評価はなかなか難しい面がございますけれども、農業生産の方からは図にありますような各種の負荷発生リスクがあるということを自覚いたしまして、なるべく自ら積極的に無駄をなくすと、そういうことによって農業の持続性を確保していくということもございます、自らの問題もございますが、一方で環境保全に貢献していくといことで施策を進めている次第でございます。
 こういった考え方のもとに、平成4年から環境保全型農業ということで全国的に推進してきております。環境保全型農業といいますのは、下の方に定義がございますけれども、土づくりなど、土をまず健全なものにして、それで植物体をまた健全なものに育て、化学肥料・農薬の使用等による負荷というものを軽減した持続的な農業として進めていこうと、こういう運動を始めたわけでございます。
 右の方に、ちょっと字が大変小さくて恐縮でございますが、各種の取り組みというのを列挙させていただいております。環境政策的に言いますと、規制的な手法でありますとか経済的な手法あるいは情報的な手法というのもこの中に織り込みながら、例えば、一番上の方にございますけれども、都道府県あるいは市町村といったところのそれぞれがどのように取り組んでいくべきかというその考え方をまとめてくださいと、そういった働きかけにも平成8年までに全県がこういったものにお応えいただき、方針をつくられ、それから、市町村も1,400を超えるところまで自らその取り組み方針を策定するというような状況になっております。
 その下に参りますと、例えば肥料など、あるいは化学農薬の使用低減に資する技術でありますとか、そういったものの開発ですとか普及のための実証展示であるとか、そういったことも地道に展開してきたと。
 さらに下の方に参りますと、県の指導、例えば施肥について申し上げますと、都道府県などが標準的な施肥の量であるとか方法というものを自ら試験を重ねまして導き出しますが、それが例えばJAさんであるとか農業者の方に順次伝えられていって、施肥量等の水準が伝わっていく仕組みになっているわけでございます。こういった中でも、当初は品質・収量第一というものが当然だったわけでございますけれども、順次、環境負荷低減の視点を盛り込むということで見直しを進めるというような働きかけをいたしまして、そういうことが進捗してきています。
 それから、経済的な手法の1つになろうかと思いますけれども、後述いたしますように、土づくりと化学肥料・化学農薬の使用低減といったものに一体的に取り組もうとする農業者に対して金融・税制上のメリット措置を付すというような「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」というものを制定いたしまして、やる気のある農業者の認定を推進しているという状況でございます。
 それから、リサイクルの推進という点もございますが、例えば農業内部からも家畜排せつ物でありますとか作物の残渣とかいろいろな有機性資源が出てまいります。こういったものを放置いたしますと廃棄物になってしまうわけなのですが、これを農業内部でなるべく有効利用するという観点から、その推進を図ると。単に農地に還元する場合も、闇雲に入れるということでは環境負荷の原因になる可能性もございます。例えば堆肥の成分表示の義務づけといったものが平成11年に肥料取締法の改正の中で行われまして、成分量をしっかり把握して施用するというような環境整備なども行われてきたわけでございます。
 それから、消費者の皆様方からも、こういった取り組みというものを一定評価し、支援していただけるようにという意味も含めましてですが、表示制度なども発達させてきております。一番下にございますけれども、特別栽培農産物と言いまして、地域慣行の5割以下に化学肥料あるいは化学農薬の使用を低減した農産物について表示する場合のルールを決めたり、有機JAS認証制度と言いまして、この化学肥料と化学合成農薬を原則使用しないというような形でつくられた農産物の認証制度を確立させて、農業者の取り組みの目標という点でも機能するようにと制度が作られてきた次第でございます。
 次のページに参りまして、途中申し上げました「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」を若干ご説明してございます。平成11年に食料・農業・農村基本法が新しくできました。かつての農業基本法とは異なり、農業の持続的な発展ということを非常に大きなテーマに掲げた法律としてできてまいりました。この中で持続的な発展のためには農業の持つ自然循環機能というものの維持・増進をしていく必要があるんだという考え方が明記されまして、この基本法と同時に持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律が導入されたという経緯がございます。
 この法律というのは、都道府県がどういった農業生産方式をとるのかといった点をまとめた指針をつくりますが、その指針を踏まえまして、農業者が持続性の高い農業生産方式についての導入計画を、真ん中の段でございますけれども、それをつくります。具体的には、右の方に青い筋が入っておりますこの表の中にございますように、土づくりと化学肥料低減技術と化学農薬低減技術の3つ、選択肢が幾つかございますけれども、これを1つずつ以上組み合わせて導入するといったものを持続性の高い農業生産方式と呼びまして、この導入計画をお立ていただく。これを都道府県知事がお認めになった場合に、金融・税制上の特例措置、詳しくは下に書いてございますような農業改良資金の特例ですとか、あるいは所得税、法人税の特例といったものを適用するという制度でございます。
 具体的な事例というのはキャベツの例が書いてございますが、たい肥の施用につきましても、今までは有機物をやれば何でも土にいいんだというような考え方が少なからずあったかと思うのですが、必ずここは、土壌診断と言いまして、土壌中の有機物の量でありますとか可給態の窒素の量であるとかそういったものを把握して適切なたい肥の有機物の投入をしてくださいという視点を入れたり、あるいは、化学施肥につきましても、全面に撒くのではなくて、作物が吸いやすいところに点的に撒くというような局所施用というようなものもございまして、そういったものを導入してみる。あるいは防除につきましては、土壌表面をマルチ資材で覆いまして雑草防除を削減したり、あるいは土壌の土の跳ね返りから来ます病気の防除・予防といったものをするとか、フェロモン剤など、こういった非散布型の農薬ですけれども、こういったものを導入しながら農薬を直接散布するような形での農薬の使用回数を具体的に減らしていく、こういう生産方式ということで推進してきておる次第でございます。
 この結果といたしまして、次のページでございますが、環境保全型農業あるいは先ほど言いましたような持続性の高い農業生産方式の取り組みというのがどの程度進んでおるかということでございますけれども、土づくりあるいは化学肥料・化学農薬の使用低減にどの程度取り組んでおりますかというような問いかけについて、「取り組んでいる」とする農家数というのは、総販売農家数は220万ほどございますが、そのうちの21.5%程度でございます。
 それから、先ほどの持続性の高い農業生産方式のこの法律で認定を受けた農業者を愛称としてエコファーマーと呼んでおりますが、この方々も制度の周知が進んで着実に増加しています。右の表にございますように、当初は非常に緩やかなものでございましたけれども、13年度あたりから認定が本格化いたしまして、15年度末には約4万8,000人。今年の6月末では、3カ月単位で調べておるのですが、それではまた約7,000人増えて、5万4,000人強というような数字にまでなってございまして、今、急テンポでその認定が進んでおるというような状況でございます。地域格差がございますが、これは、流通との結びつきでございますとか、集団的な取り組みというのが、着手が早かったかどうかといった点でございまして、それで若干の差がついておるのかなと。東北地方などはそういったところが後から進んできたみたいな形になっておりまして、急速に伸びているという状況でございます。
 このほか、これだけを見ますと取り組みの規模が余り大きくないのかなというふうにも見えるわけなのですが、一方で、例えば水稲作などで高品質化といったような面も相まってではございますが、相当な施肥量の低減が進んできております。資料中にはございませんが、平成4年~14年という10年程度の比較を見ても、窒素施肥量につきましては27%の削減、りんでは16.7%といったような削減がございまして、かなり大幅に減ってきていると。これは単に一部の農家が取り組まれた結果としてだけではここまで低減してくるということではございませんので、やはり多くの農業者にその施肥というものは必要最低限でいいんだというような視点というのが一定に浸透してきておるのではないかというふうに理解しております。
 最後のページでございますが、特に富栄養化等に関係のございます適正な施肥の推進ということに焦点を当ててもう一度見てみますと、先ほども冒頭の方で少し紹介しましたように、都道府県においては施肥基準というものをつくりまして、いろいろな関係団体なりを通じて施肥の水準の適正化というものを指導してきておるわけでございますが、これは平成5年以降の数字の集計でございますけれども、いろいろ具体的にその水準の見直しということを行ってきております。29の都道府県で、引き下げ品目としては439、それから、具体的に下がったケースについてどの程度下げたかという点につきましても、21%の施肥量の削減というのを指導してきておるというような指導ベースでの実態がございます。
 さらには、先ほどエコファーマーの技術の1つにも掲げられておりましたけれども、局所的な施肥をするというような個別技術につきましても1つ紹介しておりますが、水稲作におきまして、側条施肥田植機と言いまして、稲株を植えるすぐ横にピンポイントに施肥を入れていくということで、肥料の減少効果がある技術でございますが、こういったものも10年程度のスパンで見ますと倍増してきていると。決して早いペースとは申し上げられませんが、着実に伸びてきているという状況でございます。
 それで、単位面積当たりの化学肥料施用量というものの推移を化学肥料の内需の量から推計したのが右の図でございますが、先ほど水稲で申しましたのと同様でございますが、全体的に見て低減傾向にあると。この丸の折れ線で表現しておりますのが10a当たりの施肥量でございますが、昭和50年ごろをピークといたしまして、漸減がずっと始まっております。環境保全型農業をうたい始めました平成4年以降も約9%減少してきているということで、こういった取り組みというのが徐々に形になってあらわれてきているものというふうに理解しております。
 ただ、この一番上の箱の中にも書いてございますように、我が国農業の持続的な発展を図る、あるいは農業の持っております多面的機能をさらに引き出していって、農業が国民の信頼を得ていくというためには、我が国農業全体がもっと意識を持って環境を重視したものに転換していくことが重要であろうという認識でございます。今現在、食料・農業・農村基本法に基づきます2期目の基本計画を検討中なのでございますけれども、それを検討いただいております食料・農業・農村政策審議会企画部会というのがございまして、そちらの方では、農業者が自主的に取り組んでいっていただくために環境負荷低減のために最低限取り組むべき規範といいましょうか、どういったことに取り組んでいくべきなのかというような目安になるものを作って施策の推進をより一層図ってはどうかというような指摘もございますので、今後はこういった方向に沿ってその推進に当たっていきたいと考えているところでございます。
説明は以上になります。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

○細見委員 最後の4ページのところで、引き下げ率というか、21.2%というのがございますが、ちょっと私の理解が間違っているかもしれませんが、このグラフで、10a当たり、1反当たりの施肥量はそれと連動するものなのですか、それとも全く違うものなのですか。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) これは都道府県の中でも、すべての都道府県ではございませんし、品目としてもすべての品目で引き下げられたということではございませんで、実際に検討して今の施肥水準と収量の品質を下げずに済む範囲でどれぐらいの施肥低減ができるかということで、試験研究なども重ねられまして、具体的に施肥水準を下げていいだろうということで判断されたのが439品目でございますと、その下がったものについて平均をとると21.2ということでございますので、決してこれは農業全体の下がりではございません。ただ、こういったものの積み重ねが、事実、施肥水準の合理化には役立っているというふうに理解しております。

○細見委員 あともう1点、当然作物の作付けで違うと思うのですけれども、理想とする目標の施肥量というのはどのぐらいに置かれているのでしょうか。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) 施肥についてもやり過ぎましたらさすがに作物の収量も下がってきてしまうという、収量が逓減してしまうというようなこともございます。従来はたくさん採れる範囲で、あるいは品質が十分に商品価値として保てるという範囲で決めておったと。ただ、最近の傾向として、同じような収量水準――ちょっとは下がるかもしれませんが、同じような収量水準あるいは同じような品質が保てる範囲においては、最も少ない量に施肥水準を置いてはどうかという再検討がなされているということでございます。どれぐらいの施肥かというのは、収量、品質でしっかり採れるということを基準に今までは決められてきたというのが実態でございます。

○細見委員 何か目標があって、目標に到達するための行動計画とかそういうのは、各作付けごとに作っていこうということでしょうか。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) それぞれの品目ごとにまさに適正な施肥水準とは何かと、収量、品質だけではなくて環境負荷の点も考えれば、どのあたりが適正かということを1つ1つ探ってそれを施肥の指導の中に落とし込んでいただいているというような取り組みでございます。

○細見委員 どうもありがとうございました。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。

○高橋委員 ご説明いただいたのは、農業生産にかかわるような取り組みだったと思うのですけれども、実際には生産の周辺で、生産とはちょっと関係ないのだけれども、もう少し環境負荷を下げるような技術、例えばたい肥を共同で作るとか、土壌の流出を防ぐというような施策はどのような取り組みになっているかおわかりでしょうか。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) 家畜排せつ物については追ってご説明がございますが、先ほどもちょっと触れたのでございますけれども、農業内部で出てきます有機性資源というものを有効活用しようと。自ずと出てくるのが畜産農家、それから、使う方が、畜産農家もそうですが、耕種農家も使うという関係を築かないとはける量というのがまた小さくなってしまいますので、そういった関係づくりですとか、また、先ほど申しましたように、施用する際の適正な施肥の仕方とはどういうことかといったような指導もなるべく盛り込んでいただくような考え方で推進してきております。再資源化とその適正使用というのをあわせて並行的に進めているというような状況でございます。

○岡田委員長 よろしいですか。
 どうぞ、お願いいたします。

○宮崎委員 私は農業に詳しくないものですからちょっと教えていただきたいのですけれども。
 単位面積当たり化学肥料の窒素成分の施肥量というのがここにありますけれども、例えば水の富栄養化ということだとやはりりんも問題になると思うのですが、りん成分についてもデータはあるわけでしょうか。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) 例えば先ほど水稲作について申し上げましたが、平成4年~平成14年の推移で見ますと、りん酸の施用量は16.7%減ということで、やはり施肥全体でその量の合理化というのが検討されてきておるものということでご理解をいただきたいと思います。

○岡田委員長 よろしいですか。
 ほかにございますでしょうか。
 ここで、インプットである施肥が減ったというデータはあるのですが、アウトプットである流出の方、施肥が例えば12、16%減れば、流出はもっと減っているはずですよね、理屈からすれば。ですから、その辺の具体的な環境保全効果みたいなものを、簡単でないことは百も承知ですが、測定された例というのはあるのでしょうか。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) ここはむしろ齋藤先生の方がお詳しいかと思いますが、その辺がまさに対策を考えていく上での1つの課題になってくるだろうし、そういったものを踏まえた検討というのが今後の課題かなというふうに認識をしております。

○岡田委員長 では、齋藤先生、お願いします。

○齋藤委員 今のご質問ですけれども、比較的小さな実験スケールでは、そういったデータはございます。数字として1割、2割減らすときに実際に流出はどれぐらい減るかというと、ちょっと今は手元にないのでわからないのですけれども、実際には吸収されなかった窒素の全部が地下に流出するわけではございません。土壌中に蓄積して有機化してまた新たな土壌生産力につながるということもあります。ですから、そういう意味では10%、20%減らした分がさらにそれ以上に流出負荷の削減につながるということは当然考えていいと思います。
 ただ、問題は、今まで過剰に施肥をした成分が地下に溜まっていて、それが実際に地下水、特に井戸水の硝酸性窒素の量にすぐに反映するかというと、やはりそれにはかなりのタイムスパンがあるようです。さまざまな調査事例から見ると、確かに肥料を減らせば硝酸性窒素は下がりますけれども、肥料を10%減らしたからすぐにそれに比例して、地下水の硝酸性窒素が10%減りますよというふうにはなかなかならなりません。地下水での硝酸性窒素の滞留時間などについて、まだ十分なデータが足りないということでございます。

○岡田委員長 これからですね。
 ありがとうございました。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) 補足をさせていただきますと、事例的なものではございますけれども、まさに施肥の形を変えた場合にどの程度の地下浸透量が変化するか、あるいは表面流出量が変化するかというようなデータを積み重ねて、それをまた事例集として各関係部局に配布させていただくといった取り組みは一方でさせていただいております。

○岡田委員長 極めて直裁的な話をさせていただければ、これをしていただくことによってノンポイントの原単位がこのぐらい減るというところまでわかると本当はありがたいわけですけれども、ぜひよろしくお願いします。
 ほかにございますでしょうか。

○平沢委員 この作付け延べ面積というのは、今後の農水省さんの読みとしては、減っていくのか、増えていくのか。いろいろな微妙な、要するに人口を考えればふやさなければいけないし、何かすごく複雑な気持ちなのですけれども、その辺は負荷にも関係があると思うのですけれども。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) 一担当が答えるには非常に重たいご質問でございますが。
 基本計画上は食料の自給率の目標というのを45%ということで置きまして、それに向けて生産努力目標というのを立て、推進しております。若干ずつ構造変革に伴って作付け面積が下がってくるようなベクトルという実勢はどうしてもあるわけなのでございますが、それを何とか持ち上げていくべく努力をしているという状況でございます。

○平沢委員 ありがとうございました。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 どうぞ。

○松田委員 持続性の高い農業は非常に結構だと思うのですけれども、それから、ここの2ページあたりにどういうふうにやると持続性の高い農業生産ができるかということが書いてあるのですけれども、そういう施策をやってみて、実際に持続性が高まったとか、持続性が維持できたということの判定といいますか、その指標や判定はどういうふうにやるご予定なのでしょうか。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) これは汚濁負荷の把握とほぼイコールかと思うのでございますけれども、その持続性というものを科学的に表現するというのは簡単ではありません。今後の研究サイドも含めた1つの課題だと思います。

○松田委員 ありがとうございました。

○岡田委員長 ほかにございますか。
 どうぞ。

○木幡委員 今、窒素とかりんとかのご紹介があったわけですけれども、水そのものの利用とか循環の中で何か値する施策みたいなものはあるのでしょうか。例えばうまく再利用する方法を考えるとか、排水はそのまま流さないようにどこかで再利用する方法とか、水そのものの循環に対する施策があるのかどうかちょっと教えていただきたいのですけれども。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) 農村振興局というところがありまして、そちらが例えば農業用水の整備などを担当しておるわけなのでございますが、そちらの方でそういった水の循環利用システム等も視野に入れた開発なり施工といったことを検討しております。

○岡田委員長 ほかに。

○河村委員 1つお聞きしたいのですけれども、今はどちらかというと食品リサイクル法なんていうのもそうだと思うのですけれども、有機性廃棄物の1つの大きな行き先としてコンポスト化というのがございますよね。どうしてもその受け入れ先というのは農地になる部分が大きいと思うのですけれども、そういう意味で有機性肥料がどんどんつくられていくだろうと思われますが、コンポストの受け入れ場所としての農地と今言われたような話というのがかなりうまくリンクするようなストーリーが書けるのか、そうでないのか、その辺をちょっとお聞かせ願いたいのですけれども。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) 非常に重要なご指摘だと思います。例えば家畜排せつ物もそうでございますし、先ほど申されました食品廃棄物等の有機性資源がいっぱい出てくるわけなのでございますが、やはり農業を持続的にやっていく、農地、土壌を健全に保っていくという観点からして受け入れればいいというものではございませんので、まず土がどうあるべきなのかといったところを押さえて、それに対して有機物の供給量がどうあるべきなのかということをまた見積もった上で、それでも行き場所がなくなる有機性資源があるとすると、昨今はバイオマス利活用の推進というようなことも言われておりますが、ほかの用途への利活用なども含めた総合的な利用をしていくという発想が必要になってくるのだろうと思います。

○河村委員 土の方から限界量とか容量を出すという感じですね。

○郡課長補佐(環境保全型農業対策室) そういうことが必要になってくるかというふうに思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、どうもお忙しいところありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、同じ生産局畜産部の畜産環境対策室の方から、家畜排せつ物の管理について現状と対策のご説明をお願いいたします。

○小林課長補佐(畜産環境対策室) それでは、お手元の資料8-2についてご説明申し上げます。農林水産省生産局畜産部畜産企画課の畜産環境対策室でございます。
 まず1枚目をおめくりください。私はこれから家畜排せつ物についてどういう対策をとっているか、そういったことについてご説明申し上げます。まず図の左側半分に書いてあるのは、畜産経営に起因した苦情発生状況をまとめたものです。上の方のグラフを見ますと、横軸がパラレルになっていないので急激に苦情が減っているように見えますけれども、これは単純に、昔は非常に苦情が多かったのですけれども、最近はほぼ横ばいですということです。これはどういうことかというと、畜産農家の数が大幅に減ったんですね。一方で、一戸当たりの頭数は増えました。そういった意味で、家畜の頭数として見ると微減というのでしょうか、そんな傾向に最近はあります。
 それで、当然ながら、苦情の内容としましては、その左下に構成比率というのがありますが、悪臭が一番多いのですけれども、水質関連の苦情も非常に多くなっております。それで、こういう苦情がある原因は何かというと、皆さんもご存じのとおりでありますが、家畜自身が臭いのではなくて、汚いのではなくて、排せつ物が汚いということでございます。そういった意味で、その発生量について右側の方に書いてあります。日本全国で年間9,000万トン出ております。それで、「仕向量の内訳」と書いてございますが、これは平成11年の段階で、ちょっと書いていないのでわからないのですが、9,000万トンのうちの約7,500万トンが農地や草地へ還元されて、600万トンがいわゆる汚水浄化処理で、あと、それ以外の約1割に当たる900万トンが、野積みとか素掘りと称しますが、環境へダイレクトに今は露出するような形で処理されていたということでございます。この水質汚濁の発生要因は主に家畜排せつ物なのですけれども、その全体の総量としましては約9,000万トンがやや微減傾向にあるというような状況でございます。
 次のページをごらんいただきますと、2ページでございますが、もう言うまでもないことかもしれませんが、家畜排せつ物による環境問題の発生リスクといったものはさまざまなものが考えられます。左上にございますが、当然ながら家畜排せつ物には、有機物、窒素、りん等、水質汚濁の原因となる物質も含んでおります。そういったことがございまして、平成11年、これは上の四角の2つ目の○に書いてございますが、平成11年に家畜排せつ物法という法律が施行されております。これはちょっと長いのですけれども、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」ということで、11年に施行されております。それで、この法律には5年間の猶予期限がありまして、5年後、すなわち本年11月1日から家畜排せつ物を一定の基準のもとで適正に管理することが義務づけられることになっております。
 では、具体的にその管理基準というのはどういうものかということで、左下に書いてあります。家畜排せつ物は屋外で野ざらしにするのではなくて、管理施設において管理しましょうと。あと、2番にありますが、管理施設の構造というものは基本的に外に漏らさないような構造にしましょうというような管理基準、これがことしの11月から罰則を伴うような規制として実効性のあるものに移すべく今は努力をしているところでございます。
 それで、具体的にその法律で求める管理の適正化というのはどんなものだということで、右側にちょっとイメージとして写真を載せてございます。不適切な管理というもので、代表例として野積み・素掘りというものがございます。これは、野積みなんかは結構風景に溶け込んでしまうようなところもあるのですけれども、雨が降ったりすると有機物の塊そのものが河川やそういったものに流出していくと。あと、当然ながら、これは容易に微生物等で分解されるような有機物と難分解性のものとさまざまなものが入っております。それで、これを、基本的には、簡単に分解するものについてはたい肥化の過程で空気に戻してあげましょうと、さらに、簡単に分解しないもののうちの多くは作物に利用して作物体に変換していきましょうというようなことが基本的にコンセプトになっております。
 具体的な手段としましては、右側の方にございますが「たい肥舎」、コンポストをつくるところ、あと、「汚水浄化処理施設」、それ以外に「簡易対応」とかと書いていますけれども、一番下に「バイオガスプラント」といったエネルギー利用、そういった多様な形態を進めようとしております。具体的にこの法律に伴ってどのぐらいのこういう対策がなされるのかということで、右下に図が書いてございます。ちょっと小さい図ですが、四角い図がありますが、畜産農家は基本的に14万6,000戸ぐらい――現在の最新の状況ではございません、畜産農家の数は減っていますので、これは14年2月の時点の統計を使うと14万6,000の農家があります。そのうちの8万戸はこの法律の適用除外になります。小規模だということです。残りの6万6,000戸がこの法律に基づいて義務を負うということになります。この図をお見せしますと誤解を受けるかもしれませんが、出てくる排せつ物の量で見ますと、ちょっと右下に小さい図で書いてございますが、この適用除外になる8万戸から出てくる排せつ物の量は全体の約5%未満です。ですから、ことしの11月からは日本で発生する家畜排せつ物の95%ぐらいはこの規制の義務を負うということになります。
 それで、次のページの3ページをごらんください。基本的にこの家畜排せつ物法というのは畜産農家の自主的な取り組みを期待して、それを促すということではございますが、それだけで5年間の間に何万軒という農家が対応できるわけではないということもありますので、施設整備を国・県・市町村を挙げて今進めております。それで、例えばですが、左上の方に表がございますが、15年度につきましては5,800戸の農家でたい肥舎などの施設整備をするという予定でしたが、実績として5,744戸、約98%の実績ということで、ようやく、私たちの意気込みだけではなくて、農家の皆さんもやはり環境にやさしい取り組みをしないとこれからは生き残っていけないなというそういう自覚も随分出てきているのではないかというふうに考えている次第です。
 そういった意味で、15年度の末時点の進捗率は72%ということになっております。これを100%すべく、今、右側の方に「各種の支援策」というのがございますが、いわゆる補助事業、あと融資制度、税制の特例措置、そういう政策的なフルメニューを使って、今、施設整備を進めているところです。とはいえ、補助事業をやるといっても補助は基本的に2分の1です。そういった意味で、左下の方にあるような施設を整備する必要があるわけですが、農家によっては数千万から億単位のお金がかかる、その中の2分の1が補助されたとしても相当な持ち出しというか自己資金が必要になるというような状況もございます。そういったこともございますので、これからもいろいろな啓蒙、家畜排せつ物を野積みして、野積み・素掘りをそのまま続けておくと、これはほかの生活環境にも、ほかの住民に迷惑をかけるだけではなくて、自分たち畜産業自身がこれから健全に続けていけなくなりますよというようなこともアピールしているところでございます。
 次のページの4ページでございます、これが最後でございますが。これは左上の方に「水質汚濁防止への対応」ということで、総量規制ということよりも一般的な水質汚濁防止法への対応状況を簡単に書いてございます。ほとんどのものがいわゆる一律排水基準値に既に移行しているものが多いのですが、一部で暫定排水基準値をお認めいただいているところもございますが、このようにトレンドしてはステップ・バイ・ステップで一律排水基準を畜産農家が守れるように取り組みを続けているところです。当然ながらこれ以外に地域による上乗せやすそ下げがありますので、そういったものにも当然ながら対応していく必要があると思っております。
 それで、さらにその下でございますが、特に畜産業では豚が多いのですけれども、汚水浄化処理というのが非常に大事になってきます。それで、一般の汚水浄化処理に比べますと畜産の場合は特徴がございまして、常に一定の汚濁負荷量が出ない。例えば豚なんかでは、オール・イン・オール・アウトと言いますけれども、あるときに一気に豚を出荷して、ある期間は非常に排せつ量が少ないと、また一気に導入してまた多くなると、そういった非常に変化が激しいという特徴もございますので、畜産業で推奨できるような技術について、技術評価というようなものも進めてございます。
 それで、その右側でございます。今のところまでは、畜産業に関してはできることはどんどんやっていますというようなことをずっと言ってきたわけですが、必ずしもそうではないということも最後につけ加えるために右側の図をつけております。家畜排せつ物は地域的に偏在していることもございまして、これは家畜排せつ物の発生量の中に含まれる窒素を農地面積で割ったものでございますが、地域によっては非常に大きな負荷、排せつ物自身がたくさん出ているようなところもございます。そういったこともございますので、今後は、当然ながらたい肥化を基本にはするわけですけれども、それ以外の浄化とか、あるいはエネルギー利用による経済性を生かして環境負荷物質を除去・回収するようなそういったものも進めていきたいと思っております。
 あと、最後に、ここにりんのことは書いてございませんでしたが、同じように、りんにつきましては汚水処理の過程で回収したものの経済的な価値が高いということもございますので、今後は汚水浄化処理過程でりんの回収や除去というものを積極的に進めるような技術開発も進めているところでございます。
 以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

○中村委員 最後の農地面積当たりの家畜排せつ物達成量の絵を見てみますと、かなり都道府県によって値の大きさは違いますね。この原因なのですけれども、例えば家畜の中身が牛・豚であるとか鶏であるとか、そういったものに原因があるのか、それとも全く別の原因があるのでしょうか。

○小林課長補佐(畜産環境対策室) 蓄種によって排せつ物に含まれる窒素・りん成分の含有量というのは当然ながら違います。ですから、地域によってそういった差もございますが、基本的にここにあるような絵の違いは、家畜の頭数と農地面積との単なるアンバランスというふうに考えていただければいいです。ですから、四国が赤くなっていますが、これは、家畜はすごく少ないのですが、農地面積も非常に少ないので、ただ家畜排せつ物のトータルの量としては非常に小さいです。でも、強度として赤くなっているということでございます。一方で、愛知県の場合は家畜の量も多いということになります。ですから、これはただ単にアンバランスを示しているというふうに考えていただければいいと思います。

○岡田委員長 ほかにございますでしょうか。
 今後のためにちょっとお聞きしたいのですが。バイオガスプラントの話は比較的新しい傾向だと思うのですが、例えば2ページの図を見ると4つが同じように見えますけれども、バイオガスプラントはかなり増える予定ですか、感じとして。

○小林課長補佐(畜産環境対策室) バイオガスプラントに関しましては、今の時点としましては、政府の「バイオマス日本」という取り組みもありますので、急速に増えつつあります。ただし、家畜排せつ物だけに限定しますと、家畜排せつ物は、ご存じのように、水分量が多いとか、メタンを発酵させるためには必ずしも適した材料ではないという面もございます。そういった意味で、個人型の家畜排せつ物だけを使ったバイオガスプラントというのはそんなに普及する見込みは今の技術レベルではないのではないかと。それよりも、地域で出た多様な有機性資源を混合してバイオガスを発生させていくというような方向性は非常に有望なのではないかというふうに考えております。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかによろしいですか。

○細見委員 最後の図の、窒素換算の上のところに農地還元可能量というところがありますが、ここで受入可能量は114万トン/年と書いてありますが、そのうち化学肥料から来るものと排せつ物から来るものとやればまあまあこれでいいのではないかという。ちょっと小さく見ると、吸収量は57万トンだと。そうすると、50%の利用率ということは、50%はどこかに行くというのを前提にされているのか、結果としてこうなっているのかということなのですが。

○小林課長補佐(畜産環境対策室) 先ほどお話があったところだと思いますが、この50%の水準が適切かどうかは別として、当然ながら農地に施用されたものは作物体に吸収されるものもありますし、吸収されずに土壌中にそのまま残るものもあります、あとは地下水へ付加されるものもございます、脱窒過程で当然ながら大気に自然に戻っていくものもあります。そういった意味で、植物に利用してもらう量を50%とここではしているというだけです。

○岡田委員長 いいですか。

○細見委員 要は、114万トンぐらいは受け入れてもいいだろうということで家畜排せつ物の有効利用を考えておられるのかどうかなのですが。

○小林課長補佐(畜産環境対策室) 意味がちょっとわかりにくいかもしれないのですけれども、家畜排せつ物は、もう農地に入らないのではないのかというようなことを、要は、たい肥化して農地に返すと言うけれども、そもそももう農地に全然入らないような状況なのに入れようとしているのではないかというお考えのある方もおられますので、必ずしもそうではありませんよという話をこの図でしています。ただ、だからといって、さっきもありましたけれども、決して農地を捨て場にして考えているわけではないので、さらにその下にありますように地域的な偏在があって、地域によってはそういうやり方だけでうまくいくところ、いかないところもありますので、より多様な処理方法及び技術開発を進めていきたいというふうに考えているということでございます。

○岡田委員長 いいですか。
 ほかに。

○高橋委員 この排せつ物の管理が変わったということで、特に野積みとか素掘りを重点に置いて必要な設備を促進したと書いてございますけれども、1ページの図を見ると全発生量のうち野積み・素掘りというのは1割ぐらいで、農地や草地に還元する量が圧倒的に多いようなのですけれども、この農地や草地へ還元する量に関する負荷というのは余り変わらないと考えてよろしいのですか。

○小林課長補佐(畜産環境対策室) これは重要な点なのですけれども、私は説明しておりませんでしたが、例えば1つの農家で、農地にも還元するけれども野積みもしているよと、両方やっているよという例もたくさんあるわけですね。ですから、今回、施設の整備なんかを進めていますけれども、その中には、この1ページの図で農地・草地還元へというものも一緒にたい肥化されることになります。何を言いたいかというと、以前は生糞尿のままで農地に還元するというものが結構あったわけですね。ですから、この7,500万トンも正確にどのぐらいという試算はできないのですけれども、相当な量が野積み・素掘りの解消と一緒になって、たい肥化されていくということになっています。ちょっと説明が悪かったのですけれども、そういうことで、決して今進めている施策が900万トンだけに対する施策であるという説明をしたかもしれませんが、それはちょっと誤解を招く表現で、失礼いたしました。

○岡田委員長 よろしいですね。
 ありがとうございました。
 ほかにございますか。

○平沢委員 NPの処理対策で、私はちょっと聞き漏らしてしまったのですが、今後の方向でいろいろと技術評価をされているということでしたけれども、何か回収ということでどのような技術をお考えになっているのでしょうか。

○小林課長補佐(畜産環境対策室) 窒素の方に関しては、当然ですけれども、回収というよりは脱窒ですね、硝酸性窒素も厳しくなっていますので。りんの方に関しましては、凝集法が通常はやられていますけれども、それ以外に結晶化して晶出させる方法とか、そういったものを技術開発して、結構いい成果も出ておりますが。

○平沢委員 ありがとうございました。

○岡田委員長 よろしいですか。
 それでは、どうもお忙しいところありがとうございました。
 続きまして、今度は水産庁の増殖推進部栽培養殖課から、「養殖場における汚濁負荷の削減対策」ということでご説明をお願いしたいと思います。

○村上課長補佐(栽培養殖課) 水産庁栽培養殖課の村上と申します。
 資料は8-3でございます。OHPを準備してきておりますので、そちらの方で説明をさせていただきたいと思います。
 「養殖業における持続的生産への取組」でございますけれども、養殖といいますのは自然環境の中で行われる行為でございまして、自然環境の悪化に非常に脆弱という性質を持っております。一方、魚類養殖などは自らの養殖行為におきまして養殖環境を悪化させうるという面もありまして、環境と調和した養殖の推進ということが大変重要になっておるわけでございます。漁業も含めて水産業全体としましては、良好な海域環境や健全な生態系の維持というものが非常に重要になっております。
 まず、「日本における養殖業の地位」でございます。現在、漁業の総生産量は600万トン弱ありますが、うち養殖業は138万トン余り生産量ベースでは全体の24%ぐらい、生産額は3割ということになっております。沿岸漁業の柱であり、養殖業は非常に重要なものということでございます。
 次に、養殖はどういうものを対象にしているのかということでございます。魚種別にみてまいりますと、魚類で多いのはブリ類やマダイ、貝類ではホタテ貝、カキ類、海藻類では海苔類が多いという状況になっております。その他としては、車エビとかホヤとかがありますけれども、非常に少ないということになっております。全体としてみますと、魚類が2割強、貝類と海藻類が4割弱という生産の構成比になっておるわけでございます。
 養殖生産の多いものにつきまして、漁業との生産量の比率をみてまいりますと、一番上は海苔ですけれども、海苔とかカキというのはほとんど養殖で生産されております。ワカメ、マダイ、ブリというものも漁業をはるかにしのぐ養殖生産があります。供給面でも、養殖生産というのは非常に重要であります。沿岸漁村の基幹産業にもなっておりますし、その振興が重要な課題ということになっているわけです。
 では、養殖の方式としてはどういうものがあるかと。これは大変見にくくて申しわけないのですが、養殖方法はいろいろとございます。ここに※をつけたところが4つほどございますが、これが給餌養殖でございます。環境への影響という点からみると、給餌か無給餌かというところが大きなポイントになるのではないかということです。
 この給餌養殖を養殖の種類ごとにみますと、給餌養殖の代表というのは魚類の生簀養殖、海に生簀を浮かべてその中で魚を飼って餌を与える、生簀養殖というのが給餌養殖の代表ということになります。給餌をするときに過剰に投与したり、過密養殖があると、残餌とか養殖魚からの排せつ物が漁場の水質や底質を悪化させるというものでございます。
 一方で、無給餌養殖というものは、貝類とか海藻類といったもので行われている養殖でございます。いろいろと方法はございますけれども、一般的に網とかロープとか貝殻などに種苗を付着させて、それを海面に浮かべて生育させるというものでございます。貝類の場合はプランクトンなどを捕食しますし、海藻類は栄養塩類を吸収しまして酸素を放出するといった、海域の浄化に寄与する側面を持っております。また、海藻類養殖などの場所は天然の魚介類にとりましても良好な生育環境となっております。
 給餌養殖と無給餌養殖の生産量の比率をみますと、先ほどちょっとご説明しましたけれども、給餌養殖は魚類養殖が該当するということで全体の2割強、残りの8割弱が無給餌養殖になると思います。
 続きまして、養殖が環境に負荷を与えうるという点から、魚類養殖についてご説明したいと思います。この図は、魚類養殖におきまして過密養殖や過剰な餌料投与が養殖漁場に与える主な影響を示したものです。過密養殖や過剰な餌料投与がございますと、残餌とか糞などによる過大な有機物の負荷が発生する、それから、生簀等による海水交流の阻害などが起こります。これがひいては低酸素水の発生とか硫化水素の発生といった水質とか底質の悪化に結びつきます。また、赤潮の発生、魚病の慢性化などが起きますと、それらの結果として養殖魚の生育不良とか斃死を招き、養殖に被害が発生いたします。特に水温躍層が形成される夏場には深刻になるという状況でございます。
 一方で、魚類養殖場というのは沿岸に形成されておりまして、生簀周辺には天然の水産動植物が生育しております。養殖場の海水が円滑に交換され、また、周囲の生態系が健全に保持され、生簀からの負荷が周辺の水産動植物に摂取され、好機的に分解されるということであれば経年的に水質や底質が悪化しないということが期待されるわけで、こういう状況であれば養殖は質的・量的に一定以上の生産が維持できるとみられておりまして、負荷は漁場の自然浄化力の範囲内にあるとみなすことができるのではないかというふうに考えておるわけです。したがいまして、魚類養殖を永続させるためには、養殖からの負荷を自然浄化力の範囲内に抑えて、良好な漁場環境を保持するということが必要と考えております。
 続きまして、養殖に関する現在の施策の内容につきまして述べていきたいと思います。平成13年に水産基本法が策定されております。この水産基本法は水産に関する施策につきまして、基本理念、それの実現を図るために基本となる事項などを定めております。基本理念といたしましては、水産物の安定供給の確保、水産業の健全な発展、この2つがありまして、養殖の推進につきましては水産物の安定供給の確保に関する施策として位置づけられております。16条に、「国は、環境との調和に配慮した水産動植物の増殖及び養殖の推進を図るため、水産動物の種苗の生産及び放流の推進、養殖漁場の改善の促進その他必要な施策を講ずるものとする」と規定されております。
 また、この基本法に基づきまして、平成14年3月に水産基本計画が閣議決定されております。これは大体10年先を見通して5年ごとに見直すという計画でございます。この中で養殖につきましても、「水産動植物の養殖については、持続的養殖生産の確保に関する基本方針に沿い自主的な養殖漁場の改善を促進するとともに、水産動植物の疾病の防除、新たな魚種についての養殖技術の開発等を推進する」とされております。
 持続的養殖に関しましては、平成11年に持続的養殖生産確保法が成立しております。これは水産基本法に先立って制定されたものでございます。この法律におきまして持続的な養殖生産といいますのは、「養殖漁場を良好な状態に維持し、又はその改善を図り、あわせて特定疾病のまん延を防止し、長期的に安定した養殖生産の維持又は増大を可能にすること」とされております。実際の進め方ですが、農林水産大臣が基本方針を定める、その基本方針に基づきまして漁協などが漁場改善計画を作成する、その都道府県知事が、この作成した漁場改善計画というものが基本方針に適合しているか、内容が目標を達成するために適切であるか、関係法令に違反するものではないかと、そういったことを審査して、適切と認めるときは認定をすることができるということになっております。
 基本方針ですが、養殖漁場の改善の目標、これは水質・底質、飼育生物の状況等について書いてございます。措置及び必要な施設の整備といたしまして、漁場の状態に応じた養殖生産とか、飼餌料の適切な使用、養殖施設の適正な管理といったものが記載されております。体制の整備といたしましては、漁協を中心とした体制を整備する、国や県と連携をとるということが定められておりますし、その他といたしましては、養殖漁場の適切な調査を実施する、こういったことが定められております。
 「養殖漁場の改善の目標」を具体的にみますと、水質、底質、飼育生物の状況というこの3つから成っております。水質は溶存酸素量で、これは魚の成育に支障のない水準を上回っているということ、底質につきましては、硫化物量、底生生物の状況、こういったものを挙げております。飼育生物につきましては、漁場環境が悪いと病気が増えるという状況がございますので、こういった病気が増加傾向にないということを基準として定めております。
 次に、具体的な漁場改善計画ですが、これは基本方針に基づいて作成することになっています。ポイントは、養殖業者自らが環境保全に関する取り組みとして作成するということでございます。主な内容は先ほど説明しました基本方針を受けまして、実際の対象水域とか対象動植
物、改善の目標、措置などを記述することになっております。また、漁場の環境モニタリングを継続的に行いまして、実際、漁場環境がよくなっているのか悪くなっているのか、悪くなっているのであればどういうところに原因があるのか、そういったところを明らかにして漁場管理に反映させていくということも重要なポイントであると認識しております。
 次に、この漁場改善計画の現在までの策定状況についてご説明いたします。平成16年1月末現在で、20道府県において229の計画があって、311漁協が参画しているということでございます。漁協には大きいものも小さいものもございますので、個々の漁協がどれぐらいの生産量を上げているのかということを考慮して、全体の養殖生産量に占める計画を策定した漁協の生産量の比率をカバー率として計算しております。全体のカバー率は、1月末現在で36%になっております。
 このカバー率が今までどういうふうに推移してきたかについて紹介します。最初の漁場改善計画が認定されたのは鹿児島県の東町漁協というところでございまして、平成12年3月末でございます。その後、カバー率は着実に上昇している状況でございます。全体のカバー率は36%ですが、平成18年度末に60%に上げるという目標を持っております。カバー率を魚類、貝類、海藻類別にみますと、魚類は既に80%になっている状況でございます。一方、貝類とか海藻類は25%程度ということでございます。今後の課題といたしましては、貝類、海藻類のカバー率を上げていくということ、それから、小規模の漁協の策定率が低いという傾向がございますので、小規模漁協における策定を促進していくということがあります。
 次に、現場における養殖とか漁場改善に関する状況についてご紹介したいと思います。これは総量規制がある東京湾、伊勢湾、瀬戸内海におきます魚類、貝類、海藻類それぞれの養殖生産量のグラフでございます。瀬戸内海は自然環境とか養殖適地に恵まれておりまして、東京湾、伊勢湾に比べますと養殖生産量は非常に大きく、突出しておるという状況でございます。一方で、東京湾とか伊勢湾では魚類とか貝類の養殖はほとんどありません。また、海藻類の生産は海苔が主体になっております。
 この生産量の多い瀬戸内海につきまして、どういうところに養殖が分布しておるかというのをみますと、ブリは香川沖、愛媛の宇和海と大分、特に愛媛の宇和海は一大産地になっています。マダイは愛媛の宇和海が生産地の主力になっております。一方、カキは広島、岡山が生産地となっています。海苔につきましては兵庫県、ここがやはり瀬戸内海で一番大きな産地です。あとは、香川、岡山、徳島、愛媛、山口、こういったところで広範に行われています。カキと海苔につきましては瀬戸内海の内側の方で行われている。それに対しまして、魚類養殖というのは漁場環境がよろしい外海に近いところ、周辺部で行われているということでございます。
 瀬戸内海における漁場改善計画の策定状況をみてみますと、瀬戸内海は取り組みが早くて、現在のカバー率は45%になっております。魚類は9割を超えており、海苔が50%程度。あと、貝類が、これは広島県のカキ類が中心ですけれども、約4%という状況になっております。広島県につきましては改善計画そのものは今後策定予定ということでございますが、独自に生産改善計画を定めておりまして、それにより適正養殖の推進に努めているという状況になっています。
 次に、魚類養殖の変化についてご紹介をさせていただきたいと思います。魚類養殖の環境負荷の原因としましては、やはり餌の問題があります。餌は、生餌からモイスト・ペレットに変わりまして、現在は配合飼料ということになっております。環境に与える負荷はやはり生餌が大きく、生餌が配合飼料に変わってきたということで環境への負荷が着実に削減されていると考えております。
 次に、餌料効率をご紹介します。ブリ養殖とマダイ養殖につきまして餌料効率を計算しております。魚の体重が、与えた餌の何%ぐらい増加するかを計算したもので、10%~20%という値になっております。推移をみてみますと、ブリ類もマダイも上昇している状況になっております。配合飼料の質がよくなってきたということと、残餌を減らすといった養殖管理の改善というものがございまして、こういったことにより餌料効率が改善してきていると考えております。
 次に、底質の関係ですが、これは経年的な統計データはございませんで、これは愛媛県の水産試験場がまとめたものをお借りしたものでございます。愛媛県の下波湾というのは宇和海、先ほどご紹介しましたように、ブリとかマダイの瀬戸内海における生産の中心地にございます。そこの底質における硫化物量のグラフでございます。1990年代の半ばから最近にかけて減少傾向にあるということでございまして、愛媛県の水産試験場は現時点ではほぼ適正な規模の養殖生産、これは餌料の改善とか養殖管理の改善ということもあわせてでございますけれども、適正な規模の範囲内で養殖が行われていると判断しているとのことです。また、宇和海全体の底質の硫化物量というものも、ここ数年は減少が伺われるというような状況でございまして、ある程度改善してきているのではないかというふうな評価をしております。ただ、データはまだ限定的なものでございますので、なかなか断定的なことは言えませんけれども、こういうデータがございます。
 次に、持続的養殖生産の関連事業についてご紹介をさせていただきます。主なものとして環境保全型養殖普及推進事業というものがございまして、漁場改善計画作成とか運用のためのさまざまな技術的な支援を行う事業でございます。環境負荷を低減する技術開発としては、汚濁負荷を極力抑える配合飼料の開発。主として、りんの負荷を抑制する配合飼料の開発を進めております。
 それから、残餌ですが、人が魚の状態をみながら餌をやるということが残餌を減らす上では有効なのですけれども、人手がないという状況などから自動給餌機というものが出てきております。これは時間とか量とかそういうものをあらかじめ設定するものですから、魚が水温とかさまざまな条件で餌を余り食べないようなときにも一定の量が与えられてしまうということでロスが生じているのではないかということで、魚の摂餌の状況に応じて給餌することによって残餌を最小化することができるのではないかと、そういったシステム開発を行っております。
 また、給餌型養殖から排出される汚濁負荷を低減するためのものとして、複合養殖というものを考えております。今いろいろなアイデアが出ておりまして、効果の実証試験を行っております。この複合養殖の1つの考え方でございますけれども、魚類養殖をすると糞とか有機物が出るという状況でございまして、そこで一緒に海藻類を養殖します。海藻類は太陽の光を受けて光合成をし、汚濁負荷物、窒素とかりんを吸収して成長していくわけです。また、CO2を吸収して酸素を放出するという形で、環境を浄化するわけでございます。養殖した海藻類は例えば乾燥して、配合飼料の中に一部混ぜれば、またそれが魚になる。生であればアワビとかウニとかの餌になりますので、こういった貝類の養殖をこれは給餌養殖になりますけれども行います。一緒にナマコなどを飼うことによってアワビなどが出した糞も食べさせてしまいます。それから、この底層への負荷につきましては、ヒラメとかナマコ、車エビ、アサリなどの底生生物の餌になるという側面がございますので、適材適所にそういったものを放流するという形で底質も改善する。こういった養殖ができないかということでその実証試験をやっておる状況でございます。先ほどご紹介しました東町漁協などでは、魚類養殖と同じぐらいの面積でこの海藻類養殖をやろうということで現在取り組みを進めておるというふうに聞いております。
 それから、先ほどのところに戻りますが、「消費者参加型養殖推進パイロット事業」を進めております。養殖生産物というのは基本的には食料であるということで、消費者の理解と支持が重要でございます。現在、食品の安全性とか環境保全に対する消費者の関心は非常に高いということでございまして、消費者の視点に十分配慮した養殖というものを進めていかなければいけないというふうに考えておるところでございます。
 具体的には養殖関係、漁業関係の全国団体に実施してもらっているわけですけれども、消費者の方の参加を得て、養殖業のあり方について検討していただいておりますし、消費者の方にも意見交換会とか現場視察というものを実施しております。この写真は今年の『水産白書』に載っておりますが、養殖現場に消費者の方を案内して、どういう養殖を行っているのかをみてもらい、養殖業者の方に普段疑問に思っていることを直接聞いていただきました。やはり安全性に関する質問などが多くて、餌はどんなものをやっているのか、薬をどのように使っているのかとか、そういった質問がでました。また、漁業者の方も消費者の方からそういう質問を受ければ、どういう養殖に心がけなければいけないのかということについて認識が深まるわけでございます。食品の供給産業である以上、消費者に十分評価していただける水産物をつくるということが大事でございまして、こういった取り組みを地道に進めていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 これらの施策によりまして養殖における持続的生産の確保に取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、何かご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

○平沢委員 大変おもしろい話をありがとうございました。2つのことを実はお聞きしたいのですが。
 ここでは持続可能な水産業というお話なのですけれども、何か赤潮とか青潮の話が全然出てこないのも不思議な話なのですけれども。要するに、実態として今この委員会はそういうCOD値を削減してもCODは余り変わらなくて、でも赤潮、青潮は起こっていて、でも実態は養殖業への被害はあるのかないのかというところがすごく気になるところなのですけれども、ここで余り言われていないところをみると最近はないのかなというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

○村上課長補佐(栽培養殖課) 赤潮の被害というのは依然としてあるということでございますけれども、かつて問題となったような大規模な被害というのはかなり回避できるような状況になってきているのではないかと思います。
 実際、水産試験場が各県にございますけれども、やはり赤潮による被害が生じますので、漁場をモニタリングしておりまして、危険なプランクトンがどれぐらいかということについては常にモニタリングしています。増えてくれば警告を発することになり、養殖業者の方は生簀を移動するとか、少し水面から下げるとか、いろいろな方策で被害を防ぐことをやっておるということです。そういうことがあって、かつてほどの大きな被害は生じなくなっておるのですけれども、ただ、依然としてやはり問題があるということは確かだと思います。
 東京湾とか伊勢湾などでは水質が、なかなか魚類養殖ができるような状況ではないということです。東京湾奥部などは、我々が聞いた範囲では、プランクトン量が多いということでございます。

○平沢委員 わかりました。
 その関係で私が常に気になるのは、要するに、入ってくる窒素・りんを下げているのに餌を撒いているという何か矛盾した。要するに、餌でNPを撒いて、それは確かに自浄作用と施肥とバランスしているとおっしゃいましたけれども、一時的には結構高濃度に水の中の濃度が多分上がっていると思うんですね。それによって逆にもし養殖の近傍でそういうことが起きていれば、それが結構藻類の増殖に利いているのではないかという気がいつもしてしまうのですけれども、その辺はいかがでございますでしょうか。

○村上課長補佐(栽培養殖課) 赤潮の発生についてはいろいろなこれまでの研究等がございまして、完全に予測するというのは不可能なのですけれども、どういう状況のときに赤潮が起きやすいのかというのはかなりわかってきているのではないかと思います。普通の植物性プランクトンであれば、ちょっと知識が古いかもしれませんけれども、降雨があって、陸域から栄養塩の供給があって、その後、晴天が続くというようなときに増える傾向があると思います。
 魚類養殖に関して言うと、やはり水質に負荷される餌といっても、基本的には、残餌にしても糞にしても大体は固形物でございまして、海底に沈んでいくというものでございます。それから、養殖場はかなり、水の流れがいいところであり、餌をやることは直接にはそれほど大きく水質には影響しないのではないかと、かえって海底に溜まった有機物が例えば十分な酸素が供給されないというような状況になれば、それが嫌気的な条件下で硫化物を発生するとか、無酸素状態になることのほうがやはり問題だと思います。何かの拍子にそれが水面に上がってくれば青潮になりますし、硫化物が多いと底生生物を殺してしまうということになりまして、自然の浄化力そのものも損なうという状況になるのではないかということでございます。
 有機物の負荷が適度な量であればそこに住む生物の餌になる、ですからそれをうまく使えばその水域の水産資源をふやすことも可能なのではないかと思います。一方、それが集中して底質を悪化させてしまうことになれば、影響が出ます。従って、魚類養殖につきまして重要なのは、魚類養殖場の底質をいかに保全して健全な生態系を維持するかということであり、維持されれば円滑な物質循環も行われますし、周辺の天然の水産資源をふやすというようなことも将来的には期待できるのではないかということでございます。先ほどの複合型養殖というのもそういうようなことを人工的に行おうというものでございます。
 また、いろいろなアイデアがありまして、栄養塩が多いようなところというのは底質に酸素が必要なところでございます。ところが、上の方がプランクトンのようなもので濁っておりますと光がなかなか下に届かなくて光合成が行われないということがありまして、実験的には、光ファイバーを使って底質に直接光を送り込み、そこで光合成を行わせて底層に酸素を供給する、そういった試みも行われつつあるということでございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。

○坂川閉鎖性海域対策室長 事務局ですが。私どもから水産庁さんにヒアリングをお願いしたときに、環境保全対策についてご説明をお願いしたものですから、赤潮被害についてはお願いしなかったということもあってご説明がなかったものと思います。決して赤潮被害がないわけではありませんので、念のため申し添えます。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにご質問、ご意見等はございますでしょうか。

○木幡委員 きょうの本質からはちょっと外れるのかもしれませんけれども、無給餌に分類されている海苔で、施肥はどんなふうに管理されているのでしょうか。

○村上課長補佐(栽培養殖課) 瀬戸内海とか東京湾とか伊勢湾では施肥は行われておりません。施肥がどうして行われるかといいますと、海苔養殖というのは冬場なのですけれども、水中の窒素とかりんを吸収して海苔は生育していますが、窒素が不足してくると、海苔が色落ちを起こすためです。色落ちを起こすと海苔としての商品価値がなくなるという点が漁業者の非常に大きな悩みでございます。
 有明海でやはり窒素が不足するということがみられておりまして、窒素を補給するために佐賀県の一部で施肥が行われています。佐賀県は有明海の最奥部に位置しておりまして、かなり水塊がとどまるということと、海苔自身が窒素を吸収していますが、海苔が吸収する以上の施肥はしないという条件があります。施肥をすると植物プランクトンが増える可能性がございますので、植物プランクトンの状況等詳細にみながら、必要なときに必要最小限の規模で行うという形で対応していると聞いております。

○木幡委員 そうしますと、東京湾とか瀬戸内海には、施肥とか、あるいは薬剤による処理ということはされていないというふうにお考えでしょうか。

○村上課長補佐(栽培養殖課) 薬剤による処理といわれるのは、酸処理のことだと思いますが、海苔は自然界で育てますので青海苔が海苔に混ざるということがありまして、青海苔は青海苔で重要なのですけれども、海苔に混ざると価値が落ちるということで、青海苔を除去するために酸処理を行っております。酸処理は、海苔自身が食品になりますので、食品に含まれる有機酸を用いており、クエン酸とか酢酸などに海苔を一定時間浸けています。また、海苔の表面に細菌の一種がつきますと、海苔の細胞壁が弱くなることがあります。海苔は海水から取り上げて水で洗浄して乾海苔にしていくわけですけれども、その過程で細胞壁が弱っていると細胞が破裂しまして、海苔が味も素っ気もないものになります。そういった状況を防ぐためにも行われております。

○岡田委員長 よろしいですか。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、どうもお忙しいところありがとうございました。
 それでは、以上をもちましてご報告を終わらせていただきます。
 あと、最後にお願いでございますけれども、明日、第11回の中央環境審議会の水質部会が開催されます。その席上におきまして、本総量規制専門委員会におけます検討状況を報告するということが予定されております。本来ですと本委員会の方から私が水環境部会へ報告を行うというルールになっております。ところが、明日は申しわけないのですが私自身に公務がございまして、どうしても出席をすることができません。したがいまして、水環境部会に対する報告というのを事務局から行っていただこうというふうに今のところ考えております。現時点においては専門委員会の中間報告というよりもむしろ途中経過報告ということでございますので、今までの内容をそのまま報告するということで、ご報告内容につきましては私にご一任いただきまして、事務局から水環境部会へ報告するということを考えておりますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、そういう形で、明日、申しわけございませんが、事務局からご報告をお願いしたいと思います。
 次に、次回の第4回の専門委員会でございます。既に事務局からご案内がありましたように、10月4日(月)、1時半から開催するということを予定しております。よろしいでしょうか。次回は引き続き汚濁負荷の削減対策ということで、今度は、産業界、国土交通省、環境省の他部局ということになりますが、ヒアリングを行いたいというふうに考えております。よろしいでしょうか。
 事務局からほかに何か連絡事項はございますでしょうか。

○坂川閉鎖性海域対策室長 今、岡田委員長からご説明がありましたように、次回は10月4日(月)の1時半からということでお願いいたします。場所につきましては後日ご案内をさせていただきます。
 事務局からは以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 あと何か補足することはございますでしょうか。

○中村委員 本日、農水の方から汚濁負荷対策に関するいろいろな施策のご報告があったのですが、しいて言うと、山林からの汚濁負荷の対策がどのように行われているかというご報告がなかったような気がします。東京湾ではほとんど微々たるものかもしれませんが、瀬戸内海等、特に窒素負荷に関してはまだまだ大きな負荷があるような気がします。この後そういうふうなご報告があると考えてよろしいのでしょうか、それとももう余りないのでしょうか。

○坂川閉鎖性海域対策室長 その点に関しては予定しておりませんでしたので、そういうご説明が可能かどうか、事務局としても関係するところと相談をしてまた決めたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。よろしいですね。
 では、そういう形でお願いいたします。
 ほかにございませんか。
 よろしければ、以上をもちまして、予定の時間より若干早いわけですけれども、第3回の専門委員会を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

午後4時37分 閉会

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