中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会(第7回)議事録
日時
平成17年6月29日開催
場所
環境省環境管理局水環境部企画課
議事次第
- 開会
- 議題
(1)水生生物保全環境基準を取り巻く答申以降の状況及び今後の課題について
(2)その他 - 閉会
配布資料
資料1 | 中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会委員名簿 |
資料2 | 水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(答申) |
資料3 | 水生生物の保全に係る環境基準に関する施策の重要事項について (水環境部会決定) |
資料4 | 水生生物保全環境基準類型指定専門委員会及び水生生物保全排水規制等専門委員会について |
資料5 | 環境基準及び要監視項目の検出状況 |
資料6 | 水生生物と亜鉛濃度等の関係(試行的解析) (第5回水生生物保全小委員会資料3) |
資料7 | 水生生物への影響が懸念される有害物質情報の収集等について |
資料8 | 水水生生物保全環境基準等の検討対象物質について |
資料9 | 平成15年度全国水生生物調査の結果について |
資料10 | 「こどもホタレンジャー」の表彰について |
資料11 | 「快水浴場(かいすいよくじょう)」の選定について |
参考資料1 | 水質汚濁に係る環境基準について(告示) |
参考資料2 | 水生生物の保全に係る水質環境基準を巡る主な論点等 |
議事録
午後1時30分 開会
○谷企画課長 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第7回水生生物保全環境基準専門委員会を開会いたします。
本日は、委員11名中、10名のご出席が予定されており、ただいまのところ9名のご出席をいただいております。
それでは、議事に先立ちまして、甲村水環境部長からごあいさつを申し上げます。
○甲村水環境部長 水環境部長の甲村でございます。今日はお天気の悪い中、お集まりいただきましてありがとうございます。
最近特に6月なのに非常に温度が下がっておりまして、西日本でも非常に渇水になっておりますし、東北、北陸では豪雨となっていて大分変な天候でございます。また、委員の皆様方には水環境保全行政の推進につきまして、日ごろからいろいろご指導をいただいておりまして御礼申し上げます。
さて、この水生生物の保全に係る水質環境基準につきましては、平成15年9月の中環審答申を踏まえまして、11月に告示をしたところでございます。また、その後ご案内のとおり、平成16年8月に水生生物の保全に係る環境基準に関する施策の重要事項につきまして、水環境部会に設けられました水生生物保全小委員会の審議結果が取りまとめられたところでございます。その後、これらの結果を踏まえまして、環境省では水質環境基準の水域類型の指定及び排水規制等の検討に入りまして、中央環境審議会に諮問いたしまして、現在2つの専門委員会についてご審議をいただいているところでございます。
環境基準につきましても、このような状況の中、平成15年11月に告示をしているわけですが、その後の状況も踏まえまして新たな項目の設定の必要性などにつきまして、ご検討いただきたく存じます。
今回は一応一つの区切りが終わって、再度また新たな段階に入るということで、これまでの経緯を踏まえまして今後の取り組みの方針についてご意見をいただければと考えております。委員長を初め、委員の皆様方にはご多忙のところ大変恐縮でございますが、よろしくご審議のほどお願いいたします。
○谷企画課長 それでは前回以降の委員の異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。前回までご参画いただいておりました、高橋委員、中舘委員がご退任されまして、今回から酒井委員、谷田委員がご就任されました。酒井委員は国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部下水道研究部長でいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。
○酒井委員 酒井です。どうぞよろしくお願いいたします。
○谷企画課長 谷田委員は、当初ご出席のご予定でいらっしゃいましたが、急遽ご欠席となりました。大阪府立大学大学院理学系研究科生物科学専攻教授でいらっしゃいまして、淡水域の水生生物についてご専門でいらっしゃいます。
続きまして、事務局をご紹介いたします。先ほどごあいさつを申し上げました甲村部長でございます。
先生方から向かって右側、水環境管理課、太田課長でございます。
その右側、水環境管理課の村山補佐でございます。
私、水環境部企画課長の谷でございます。よろしくお願いいたします。
隣が水環境部企画課の松田補佐でございます。
続きまして、お手元の配付資料についてご確認いただきたいと思います。配付資料、右手の方に議事次第がございまして、資料1が委員名簿でございます。資料2が水生生物の保全に係る水環境基準の設定について(答申)でございます。資料3が水生生物の保全に係る環境基準に関する施策の重要事項についてでございます。資料4が先日行われました類型指定の専門委員会及び排水規制等専門委員会の資料でございまして、横長でございますが資料4-2-5ということで、類型指定のときに用いました資料の抜粋がございます。真ん中の方に移りまして資料5でございますが、環境基準及び要監視項目の検出状況でございます。資料6が水生生物と亜鉛濃度との関係(試行的解析)でございます。資料7が水生生物への影響が懸念される有害物質情報の収集等について。資料8は水生生物保全環境基準等の検討対象物質についてです。資料9、10、11はご参考としまして、資料9が水生生物調査、資料10が「こどもホタレンジャー」の表彰について、資料11が「快水浴場」の選定についてでございます。
参考資料1は平成15年11月に改正されました水質汚濁に係る環境基準についてでございます。参考資料2の方は、平成15年12月に行われました小委員会で配付されました水生生物の保全に係る水質環境基準をめぐる主な論点等でございます。これは水環境部会の資料でもございました。
以上でございます。不足等ございましたら随時事務局までお申しつけください。
それでは以下の進行は、須藤委員長にお願いをいたします。
○須藤委員長 かしこまりました。
それでは水生生物保全環境基準の専門委員会の議事を始めさせていただきます。
委員の先生方には大変ご多用の中を、また足元の悪い中をお集まりいただきましてありがとうございます。また、本日も大勢の方の傍聴をいただきましてお礼を申し上げたいと思います。
それでは、今お話がございましたように、この専門委員会、約2年ぶりでございまして、私も委員長をお預かりしていた中で、もう少し早くこの委員会を開きたいというふうに実は考えていました。事務局ともご相談をさせていただきましたが、先ほどのご説明にございましたように、亜鉛の類型指定あるいは排水基準、その前には小委員会の運営、それから直接ではございませんが湖沼法の改正等、事務局が大変水環境保全のほかの案件に忙殺をされておりまして、やっと今開かれるということになったわけでございます。それにしても2年ぶりでございまして、ずっと継続をするということになっておりましたので審議の継続性をもってお願いしたいと思っております。
前回が平成15年6月でございましたので、それ以降の動きについて説明をいただきまして、本日はこういう状況でございますので、水生生物保全環境基準の今後の検討作業を進めていく上で、改めてどのような点を課題としていくべきか、一言で言えば、従来の経緯を踏まえて宿題になったり、あるいは検討されてきた問題を整理していただいて、委員の皆様にご自由にご意見を伺おうというのが本日の趣旨でございます。
それではまず、水生生物保全環境基準を取り巻く状況を、答申以降について事務局に資料を用意していただきましたので、事務局から説明をいただきたいと思います。
それでは資料2、3についてまずご説明ください。
○谷企画課長 まず資料2をごらんください。資料2は平成15年9月の中央環境審議会の答申でございます。1つめくっていただきますと、右側に中央環境審議会水環境部会の部会長から会長にあてての第1次報告という文書がございます。この第1次報告は後ろについてございますこちらの水生生物保全環境基準専門委員会の第1次報告を受けたものでございますが、水環境部会でのさまざまなご議論の結果、この紙がついているわけでございます。この報告の表書きのところについて若干、ご説明をさせていただきます。
第2段落目でございますけれども、当部会は別添の専門委員会報告に示されたとおり、亜鉛については環境基準項目とし、またクロロホルム等3項目については要監視項目とすることがそれぞれ適当であると判断するとございます。なお、これらは常に適切な科学的判断が加えられ、必要な見直しがなされなければならないとございます。
また、この水生生物の環境基準の設定が我が国では初めてということがございますので、この部会に小委員会を設けるということになりました。小委員会の報告につきましては後ほどご説明を申し上げますけれども、環境基準の運用、環境管理等水生生物の保全に係る施策の重要事項について、審議をいただいたわけでございます。
第4段落目でございますが、当部会としては今後の水生生物保全に係る水質目標の設定等をより適切で合理的なものとするため、下記の点が考慮されるべきであると判断するということで、示してございます。
まず、1.でございます。専門委員会における水質目標値の検討に当たっては、利用可能な科学的文献から得られた毒性情報に基づき、その妥当性を総合的に検証するとともに、目標値導出の手順についても常に国内外の動向及び科学的な知見の向上を踏まえて、必要な見直しを行うものとする。とございます。
2.ですけれども、環境省は他の行政機関、民間事業者を含め、広く関係者の協力を得つつ、今後とも水環境中の汚染物質の水生生物への影響に関する科学的情報(実環境中における汚染物質の化学形態や他物質の共存状況等による毒性変化及び水生生物の生息状況を含む。)の集積を図り、今後の専門委員会の調査・審議に有効に活用されるよう努める必要があるとございます。
こういう表紙がつきまして水環境部会から専門委員会の第1次報告が中央環境審議会の会長に送られ、それが答申となりましたのが平成15年9月12日でございました。この答申を受けまして、参考資料1にございます環境基準が11月に改定されたわけでございます。その後、この答申にございます小委員会が開催されまして、その小委員会の結果が水環境部会の決定となりました。これが資料3でございます。
資料3、水生生物の保全に係る環境基準に関する施策の重要事項についてでございます。また表側にございますけれども、今ご説明申し上げました中央環境審議会の答申で、小委員会を設けることになりました。その小委員会でご議論されまして、別添のことが水環境部会決定となったわけでございます。「はじめに」のところで全亜鉛について環境基準の設定がなされたその答申のご紹介がございまして、小委員会が設置された経緯を説明しています。この小委員会では、水生生物の保全に係る施策の重要事項につきまして、答申の趣旨、諸外国の動向、従来の施策及び実フィールドの状況等を踏まえ、ご審議いただいたということでございます。
2「報告の取りまとめに当たって」とございます。この小委員会が行いましたことは、水生生物の保全に係る水質環境基準の運用に際しまして、その位置づけ及び性格を十分に踏まえて、水生生物保全に係る施策の重要事項について審議するということでございまして、次のような環境基準の位置づけ及び性格を踏まえ、審議を行うこととしたとございます。
1つ目ですが、水生生物の保全に係る水質環境基準は、環境基本法上の環境基準(生活環境項目)として設定されたものでありまして、本環境基準を水生生物保全の目標として、その維持達成に努めるべきものであるとされています。
2つ目です。基準値は、水質による水生生物への影響を未然に防止するという観点で維持することが望ましい水準として設定されたものでありまして、基準値を超える水域であっても、直ちに水生生物にある程度以上の影響を及ぼすといった性格を持つものではないとございます。
また、審議に当たっては、環境基準の運用については、環境基準の類型あてはめの姿をより具体化すること、環境管理については、環境基準の性格を踏まえた上で、どのような環境管理施策をとることが適当かを明らかにすることとし、あわせて水環境中の汚染物質の水生生物への影響に関するフィールド調査研究のデータをどう取り扱うべきかについても議論を行ったとございます。
以下がその議論を踏まえて、類型あてはめ、環境管理施策、そして環境基準に関連する継続的な調査研究の推進につきまして、小委員会が取りまとめたものてございます。
類型あてはめでございますが、(1)既存の生活環境項目との関係についてと、(2)自然的原因の取り扱いについて書いてございます。既存の生活環境項目との関係につきましては、類型あてはめを効果的・効率的に進める上で、既存の生活環境項目の類型あてはめの内容を最大限活用すべきであるとしてございます。そして(2)自然的要因につきましては、水質汚濁の原因に自然的原因(鉱床地帯における岩石等からの溶出、海水の混入等)が含まれる場合には、水域類型のあてはめに当たっては、これまでの環境基準の運用に準じ、個々の水域の事情を十分に考慮することが適当であると記述してございます。
4.水生生物保全のための環境管理施策のあり方についてでございます。先ほどの類型あてはめもこちらも別の専門委員会でご議論いただいておりますので、ざっとごらんいただければと思いますけれども、水質汚濁防止法に基づく排水基準の設定等の環境管理施策を適切に講じることが基本とすべきである等書いてございます。
5.環境基準に関連する継続的な調査研究の推進でございます。こちらの専門委員会に最も関係することですので、ご説明させていただきます。
まず書いてございますのが、フィールド調査研究のデータでございます。このデータについては、直ちに環境基準の設定や見直し等に活用することは困難であるものの、水生生物保全の水質目標の設定等をより適切で合理的なものにするためには、フィールド調査研究のデータについても更なる充実が重要であるとございます。
このため、環境省において関係者の協力を得つつ、フィールド調査研究を含め、水環境中の汚染物質の水生生物への影響に関して必要な調査研究を継続的に実施し、その結果を速やかに公開していく必要があるとございます。
また、これらの調査研究によって集積された情報及びその解析結果や国内外の動向を踏まえ、今後、環境基準の設定・見直しや類型あてはめの指定・見直し等を行うべきであるとございます。
6「おわりに」のところですけれども、このような基本的考え方に基づき、いろいろな基準の運用、環境管理施策の具体化等を進めるための検討作業を開始されたいとあり、その後、類型あてはめ、環境管理施策等の審議が行われているところでございます。
以上でございます。
○須藤委員長 どうも谷課長ありがとうございました。
ただいま、答申の概要と小委員会の議論の概要についてご説明をいただきました。
ただいまの件について、何かご質疑なりご意見なりございますでしょうか。酒井委員、大体のことはもうご説明し理解をしていただいたかと思いますが、よろしいですか。
特になければ、もっと具体的な部分のお話をいただいた方がよろしいかと思いますので、それでは後で一括してまたご質問いただくということで、次は資料4のご説明をいただきたいと思います。これは、新しく設置された専門委員会において何をどうしているかということと思いますので、先ほどの類型指定とか排水規制のような部分のお話をいただけると思います。お願いします。
○松田補佐 では、まず資料4のご説明をさせていただきます。資料4は今ご紹介がありましたように、答申以降の重要事項の検討も踏まえて、1つは類型指定の専門委員会、もう1つは排水規制等専門委員会、その2つが設置されたということであります。
「1.設置について」とございますが、資料4-1に現在の水環境部会の専門委員会を示してございますが、このうちの(5)と(6)について平成16年8月27日に設置が決定されたものでございます。具体的にそれぞれの専門委員会をご紹介させていただきますと、まず資料4-2-1が水生生物保全環境基準類型指定専門委員会の名簿でございます。この名簿、一部修正がございまして恐縮ですが、藤田委員は東京大学の大学院工学系研究科地球システム工学専攻の教授でございます。
資料4-2-2をごらんいただきますと、第1回の専門委員会のときに提出された「検討事項及び今後のスケジュールについて(案)」というものでございます。第1回は平成17年2月18日に開催されておりまして、この中で検討事項といたしましては答申と、それから先ほどの重要事項を踏まえまして、以下の事項について検討を進めるということにされております。
1つ目は、水域類型の指定の考え方ということで、実際の水域の指定を検討しながら一般的な考え方を整理するというものでございます。ここではまず検討する水域としまして淡水域の水温に着目した類型区分ということも考慮しまして、北と南とその中間ということで、北上川、多摩川、吉野川3河川、それから海の場合は東京湾をまずは対象に検討してみてはどうかという内容でございます。また、そのあてはめなりの環境基準の運用に関する事項についても整理するというようなことが検討事項になっております。
水域の類型の指定には、国のあてはめと都道府県のあてはめと両方ございまして、検討事項の2つ目が、「各水域の水域類型の指定」ということで、ここでは国があてはめをする必要がある水域について、審議を行うということでございます。
第2回の検討会が6月22日、先週行われましたが、その内容をご紹介する前に、排水規制等の専門委員会の概要をご紹介させていただきます。
排水規制等の専門委員会につきましては、資料4-3-1に専門委員会の委員の名簿を掲載してございます。このようなメンバーのもとで、既に平成17年2月3日に第1回、3月31日に第2回の委員会が開催されております。資料4-3-2でございますが、第1回のときの専門委員会の資料でございます。どういった検討を行うのかというところが見てとれるのではないかと思います。
具体的に申しますと、排出実態はどうなっているか、処理技術はどうか、諸外国の規制なりの動向はどうなっているか、それから、亜鉛の汚濁の状況はどうか、そういうことを踏まえまして、亜鉛の汚濁負荷削減対策、排水規制等のあり方を検討し、水環境の管理施策としてどういったことが必要か議論するという内容になってございます。
続きまして、類型指定の方の具体的な状況についてご説明させていただきたいと思います。資料4-2-3をごらんいただければと思います。これは先週行われました水生生物保全環境基準類型指定専門委員会(第2回)の資料をそのまま掲載してございます。その中で、類型指定に当たっての検討事項はどういうものがあるかについて素案という形で提示しているものでありまして、これで固まったものというものではなく、これをたたき台として今後検討を進めていただくという趣旨の資料となってございます。これは答申にあるとおりの内容ですが、淡水域につきましては以下の情報を総合的に勘案して検討し、設定に際しては、既存の環境基準の類型指定の区分を最大限に活用するという内容になっております。
まず検討事項の(1)は水域の基礎情報を把握するということで、既存の類型指定の状況、それから水質汚濁の状況、といったものを把握する。
(2)が魚介類の生息状況に関して把握・検討するというもので、魚介類の採取及び目視等の調査結果、あるいは地元の漁業協同組合などのヒアリング結果、こういうものが基本になるだろうということであります。関連情報としまして、漁業権の設定あるいは法律に基づいた保護水面の設定などの情報や、産卵場、幼稚仔の情報といったものを関連情報としております。
(3)として、水域区分が水温に関連するものですので、水温の情報を検討する。
(4)としましては、特別域という設定がございますので、産卵場と幼稚仔の生息の場に関して検討を行うということで、産卵場とか幼稚仔の調査結果、あるいは先ほど申し上げました法律に基づく保護水面といった情報を集め、検討する。
そういったものを集めつつ、(5)として河床材料の情報を把握して全般的に検討するという内容になっております。
2.では、海域について書いてございますが、海域も基本的には同じでございますが、1つ違うのは、水域区分の低温域、高温域の検討という部分が入っていないということです。これを基本としまして先週の専門委員会では検討したところですが、資料4-2-4がございます。魚介類の生息状況をどういうふうに判断するかという中で、これもまずは議論のたたき台として、主な魚介類の水域区分の分類を提示したものでございます。これは専門委員会のいろいろな議論の前身となる水生生物保全水質検討会というものがございまして、その中で提示された資料でございます。生物Aと生物Bという分類に応じて、魚類あるいはその他の生物の主な種類を示したものでございます。
これは、後ほどご紹介いたしますが、いろいろご意見はあることかと思うのですけれども、この決め方としましては、実際にここに挙げられている魚介類が調査で見つけられたときの水温のデータをそれぞれピックアップして、それを比較検討して低温と高温というような分類を行った結果です。その中ではクラスター解析のような形の解析も行ったということであります。
以上のような前提のもとで、横長の資料になりますが、資料4-2-5というもので具体的な検討のための情報を提示してございます。専門委員会では北上川、多摩川、大和川、吉野川、北浦とこの5つの水域の資料を提示しましたが、時間の都合もありますので上から3つについてご紹介させていただきます。
北上川からまいりますと、表は飛ばしまして1-3をごらんいただければと思います。先ほどの基礎的な情報ということで、現在の環境基準の類型指定の状況が載ってございます。北上川の本川だけが国のあてはめの対象水域になっていますので、本川だけを示しておりますが、左から北上川(1)は水域類型AA、それより下流はすべて水域類型のAになっております。1つ四十四田ダムというダムがございまして、これは湖沼のあてはめで水域類型A・IIIという類型があてはまっております。環境基準の達成状況を見てみますと、一番上流の北上川(1)でBODが達成していないという状況がございます。それ以外ですとSSを除いて概ね基準は達成している状況でございます。ダムの場合は、一部に、DO、溶存酸素が達成しない状況がございます。
そういった情報をもとに、1-4ページをごらんいただきますと、これが一番基本的な情報になろうかと思いますが、実際に各河川に応じて主要な魚介類の既存の調査結果を掲載したものでございます。ここでは、先ほどの魚類の生物AとBの分類表に載っている魚だけを抽出しておりまして、実際はこれ以外にも調査で確認されているものもございます。上流からあるところまではアユやヤマメ、サケといった冷水性のものも見られます。下流にいきますと、冷水性の魚というのは確認されていない状況であります。
続きまして、1-5でございますが、こちらはアンケート結果でございます。アンケートの内容につきましては概要ですが、囲みに説明がございますが、そういった内容で調査しております。アンケート結果としては上流の部分だけが結果が出てまいりまして、このような結果になってございます。
続いて1-6では、漁業権の設定状況でございまして、北上川の場合は松川合流点から下流の岩手県は漁業権の設定がないということであります。宮城県側では漁業権が設定されております。ここでお示ししておりますのは本流の部分のみの漁業権でして、支流の部分につきましては漁業権が設定されている場合がございます。これは、歴史的な経緯があり、先ほど環境基準達成状況をしめしましたが、今はpHについて基準を達成している状況ですが、過去には鉱山排水の影響もあり、非常に酸性の強い川だったということが影響しているようでございます。ただ現時点では先ほどもごらんのようにいろいろな魚介類が確認されている状況です。
続きまして、1-7ページが水温のデータでございます。これは5カ年の平均的な水温ということで、最高水温、平均水温、最低水温を示しております。この温度の状況と先ほどの魚介類の生息状況を踏まえてどういう類型区分をするかという検討がなされると考えてございます。
1-8ページにまいりますと、北上川の河床材料の調査結果を図示したものでございます。この結果は、国土交通省で出されております河床材料の調査などの調査結果を載せておりまして、比較的全般的に同じような川の構造が続いているというのが特徴でございます。
1-9ページは各地点での様子を示したものでございます。北上川については以上のような情報を、答申も踏まえたところで基本的な情報としてお示ししております。あとは、これに地元の水域の情報をよくご存じの専門家の方のヒアリング結果なども追加して調査してございます。北上川の特徴としましては、天然のアユの生息は確認されているということと、ヤマメの生息も確認されているものの、本流の部分では生息は限定的ではないか、再生産はされないのではないかというようなご意見がありました。逆に支流の方は、ヤマメの放流が実施されているということと、支流では天然ウグイの産卵床というものの保護もしているというようなことでございます。
続きまして多摩川についてざっとご説明させていただきますと、先ほどと同様の形でありますが、2-3ページに多摩川の現在の環境基準の類型の指定の状況を示してございます。上流部分は類型がAAということでございまして、その中に小河内ダムも含まれております。ただし、小河内ダムは湖沼あてはめでございます。それから下流になりますと、和田橋から拝島橋の間が類型A、それより下流は類型Bということになっております。基準の達成状況は、詳細は2-1ページに表でございますが、小河内ダムの場合はCODの一部、あるいはpHとかSS、大腸菌群数といったところは達成ができていない状況です。河川では、SSが高いときがありますが、BODは概ね達成しています。pHが高い場合があり、田園調布堰上より下流の方では溶存酸素が一時的に達成できないという状況があるようです。
2-4ページでは、先ほどと同様に主要魚介類の確認状況を示してございます。ここでお示ししているのは、先ほども河川水辺の国勢調査という国土交通省のデータと東京都の平成10年のデータでございますが、さらに新しいデータもあるということで、改善したいと考えているところであります。
2-5ページは、漁協へのアンケート結果となっております。概ね似たような特徴が見て取れるのですが、羽村堰から拝島橋の間でウグイの人口産卵床があるという情報がございました。
2-6ページが漁業権の設定状況です。上流から下流まですべて設定されております。
2-7ページが水温でございます。上流から下流へ徐々に高くなっているような状況があるのですが、先週の委員会では、拝島橋より下流で水温が段階的に上がっているのではないかというようなご指摘もございました。
2-8ページは多摩川の河床材料の様子を示しています。礫から砂が主なものになっております。
2-9ページは多摩川の状況を示した写真でございます。
多摩川の地元の有識者ヒアリングでは、近年アユの遡上の数が増加しているということと、ウグイの人口産卵床をつくって管理している場所があるというようなご意見がございました。
最後に、大和川が都市河川で1つの例となろうということで、第1回専門委員会で追加された河川でございます。これもざっと見てまいりますと、3-3ページが水質汚濁に係る環境基準の類型指定状況でございまして、大和川の場合、最上流部が類型Aでございますが、あとは中流は類型C、下流は類型Dということになっております。環境基準の達成状況としましては、最下流を除くとBODが達成できていないという状況で、下流の環境基準点では、DOの値が若干低い場合があるということであります。
同様に3-4ページには魚介類の生息状況を示してございます。概ね温水域の魚が多いような図になってございますが、一番上流の方では、アユ、アマゴといったものが確認されているということであります。
3-5ページは、アンケート結果ですが、漁業権のこともあるのですが、あまり情報は多くはございません。
3-6ページが漁業権を示しておりまして、大阪府の方は本流、支流ともに漁業権が設定されていないという状況で、奈良県の方は漁業権が設定されていない区間も一部あるということになっております。
大和川の水温につきましては、3-7ページに示してございます。
3-8ページが河床材料を示しておりまして、礫から砂の河床材料となっている状況です。3-9ページが様子を示した写真でございます。ここの地域でも地元の大和川にお詳しい方のご意見についてヒアリングしております。大和川は砂が主体の河川ということで、主に生息するのはオイカワとかカワムツといったものであろうということでありました。
最高水温が高いということもあって、冷水性の魚の生息は難しいのでなないか。例えばアマゴの再生産は難しいのではないかというような意見があります。
資料全般としては以上なのですけれども、あと、補足としまして第2回の先週の専門委員会の委員の主なコメントをご紹介させていただきますと、今回ご欠席だった谷田委員からは、例えば魚介類にはいろいろ生活環があり、大きくなって生息する場所と産卵する場所は、移動したりもするので、そういう特性を魚類ごとに把握した上で検討することが必要ではないかというご意見、あるいは放流とか再生産といった部分は区別して検討すべきではないかというような意見がございました。それ以外に、各委員から出された中では、先ほどの多摩川でいきますと、水温が上がっている部分は都市構造、例えば下水道などの影響があり、そういう都市構造から規定される河川環境というものも考える必要がないかというようなご意見。また、汽水域の部分はかなり生息の魚介類が変わってくるので、どう扱うかというようなご意見。あるいは、類型指定を検討する場合に、河川本来の魚介類の生息状況のような情報が把握できないかというような意見がございました。
以上です。
○須藤委員長 どうもご説明ありがとうございました。まだ審議中でございますが、今、松田補佐がおっしゃっていただいたように、いくつかのコメントがあって、今後継続して検討するというような状況だったと思います。
それではどうぞ、ご質問がございましたらお願いします。
どうぞ、清水先生。
○清水委員 私だったら川の断面図が欲しいような気がするんですけれども、そういう意見はなかったんですか。
○須藤委員長 どうぞ。
○松田補佐 ご紹介1つ漏れましたが、河床勾配というような情報が非常に重要だというふうなご意見はございました。
○須藤委員長 はい、そういったご意見もございました。ですからそれもそろえて情報の中に入れていきたいと思います。
ほかはよろしゅうございましょうか。どうぞ、若林委員。
○若林委員 魚の種類は書かれているんですけれども、どこでもいろいろな種類が出ているという感じですよね。量的なことは全然ありません。例えば優占種ですとかね。要するに1種、1つでも見つかればという感じだと思うんですよ、これは。このあたりは多少は入れた検討をしていただきたいと思います。
○須藤委員長 現状調査の中で、必ずしも全部そこに書いてあるわけではありません。全部の種類を挙げているわけではなかったですよね。
○松田補佐 ご指摘のとおりです。どうしてもその調査した時点でどういうものが見つかったかという情報ですので、これで必ずどういう魚が優占するかという情報はなかなか得にくいというか、検討しにくい部分もあると思いますが、一方でその地域のその水域をよくご存じの方々にヒアリングして、補完するというようなことは1つあろうかと思います。また、そういった資料をもっと集める努力が必要かと思います。
○須藤委員長 ありがとうございました。
ではどうぞ、小山委員。
○小山委員 放流種については、どのような取り扱いをするという意見が出たんですか。
○須藤委員長 注意をしなければならないということで、まだ取り扱いのところの結論は出ていません。どうぞ、もしご意見があったどうぞ。
○小山委員 いや、特にないです。放流した魚と、自然にいる魚、なかなか区別つかないと思います。特に淡水の方の場合ですね。それをどのように扱っていくのかという話は出ているのかという話を聞きたいです。
○谷企画課長 そういった意見も出ておりまして、放流した魚と自然の魚とを同等に扱うべきではないというご意見もございました。一方で、放流した魚であるから、あたかも守る必要性において劣後するというような考え方も、必ずしも適当ではないのではないかというご意見もございました。後者の方は、例えば、以前にはいた魚がその後のさまざまな変化によって、その水系で生息が困難になったものを放流しているという場合もあるというお話もありました。さまざまなご意見ありましたが、どのようにして本当に調査を進めることができるか。先ほど若林先生からもご意見ございました量的な調査もなかなか困難なところもございまして、今後の検討課題かと考えております。
○須藤委員長 どうぞ。
○小山委員 これはあくまでも対象は魚ですが、それ以外の生物についての情報というのは集めなかったんですか。
○松田補佐 ここでは、やはり魚介類をもってどういうふうに区分するかというところを決めるということで、基本的には魚介類の情報を集めております。
○須藤委員長 これはもう少し水生昆虫や、あるいはそういうようなものを入れた方がいいというご意見ですね。
○小山委員 情報としてですね。
○須藤委員長 情報として。わかりました。その辺は当然いろいろ調査があれば、水生昆虫は餌生物にもなるわけですから、それができる限りそれは入れたいと思います。魚類を中心に今まとめたというのが現状です。可能な限りそれは入れていきたいと思います。
それでは、少し時間が押していますので、次のご説明をいただきたいと思います。
続きまして、今後の課題の検討材料にもなると思いますが、設定された環境基準または要監視項目について、その後の状況と今後の環境基準の検討に関連する調査事項について事務局からご説明していただきたいと思います。
○松田補佐 では資料5についてご説明させていただきます。資料5につきましては、答申の時点で環境中の存在状況のデータを整理したものでございましたが、それ以降で現時点で入手できたデータ、それをもとにデータを更新したものでございます。
データソースは前回と大体同様なのですが、(1)は公共用水域常時監視のデータ、それから(2)は都道府県の行っている要監視項目の調査のデータでございます。(3)は環境省が実施している調査のデータがございまして、要調査項目あるいは要監視項目の存在状況の調査を行ってございます。(4)は都道府県では独自にいろいろな目的で調査を行っている場合があるので、その情報です。それから(5)はいわゆる黒本調査と言われる、化学物質と環境のデータ、そういったものを集計してございます。
次のページになりますが、2 項目についてということで、すべてのデータについてそれぞれ淡水域であれば生物A、特A、生物B、特Bと、それぞれについて区分して、その基準値について超過状況等について、集計しております。
具体的には表をごらんいただければと思いますが、亜鉛につきましては1ページになります。最初の行は第5回水生生物環境基準専門委員会時点での参考資料に掲載したデータでございます。これをもとに基準にする、あるいはしないというような議論をしていただいたものでありまして、基準値の超過状況を見ますと、淡水域では10%強、そんな状況であります。海域につきましては、生物Aであれば5から10%、生物特Aになるともう少し上がるというような状況になっておりました。
今回は常時監視のデータが平成15年度までは確保できましたので、それを追加しております。それが今回の追加データの行でして、大体同じような傾向だというふうに考えておりますが、平成13年から15年のデータの場合は基準値の超過は10%程度でございます。要調査項目存在状況調査の結果ではもう少し低くなっています。海域については、地点数が少ないこともありますので、一部超過割合が50%となっておりますが、あまり傾向は変わっていないというふうに思われます。
今回は残念ながらご用意できなかったのですが、平成16年度からは、環境基準を設定して以降ですので、もう少し検出下限が低いデータが得られるのではないかと思われます。と申しますのも、検出下限が最大が500μg/Lということで、この場合であれば判定できないということでございます。これはおそらく以前にも議論されたことだと思います。
そういった状況がありましたので、平成14年度のデータを試算してみますと、例えば下限値が20の場合もあれば100の場合もある、500の場合もあるということで、下限値未満のものも全部(基準値を)超えているという想定をした場合と、全部超えていないと想定した場合の間を比べますと、海域の生物Aでは(超過が)3%から25%ということで、少なくともその間であると言えます。生物特Aですと、8%から50%ぐらいの間になってしまいます。今のは海域の場合でして、淡水の場合ですと、すべて基準値は同じですので、大体10%弱から25%の間が想定されます。
続きまして、要監視項目のクロロホルム、フェノール、ホルムアルデヒドございますが、2ページがクロロホルムのデータでございます。クロロホルムの超過割合につきましては前回の集計結果と同様の傾向でございまして、やはり生物特Aの6という指針値では超過するものも見られるという状況であります。
フェノールの場合ですと、これは前回も同様な問題点と言いますか、データの問題点としては、フェノール類という形で計測されておりますので、この部分は参考データということになります。ただし、一番右の備考にフェノール類と書いていないものはフェノール自体の調査結果になっております。これにつきましてもそれほど指針値を超過しているものはないのですけれども、基準値が厳しい特Aの部分、特Bの部分は多少超過するものも見られます。それは今回のデータでも変わらないということでありました。
ホルムアルデヒド、5ページですが、これも前回データが少ないということもございまして、環境省の方で調査した結果を追加してございます。追加した結果を見ましても、これでもまだまだ地点数が少ないという見方もあるかもしれませんが、特に指針値を超えたりしているものは見られないという結果でして、10%値を超過しているものがほんの一部であるということでありました。
水質データについては以上でございまして、続きましてフィールド調査の試行的な解析のデータをご紹介させていただきたいと思います。資料6になります。資料6につきましては、まず答申にもありますように、実環境中のデータというのは非常に条件が多様で、また入手データも限られるということで、明確な定量的な判断をすることは困難だということになってございます。そういった中で試行的に解析したという資料でございます。この資料につきましては、水質生物保全小委員会の第5回に提出された資料でございます。
調査の内容としましては、調査項目はここでは全亜鉛に着目して調査しておりますが、全亜鉛以外にもその他の要監視項目、あるいはカドミウム、鉛、銅、ニッケル、LAS、ノニルフェノール、そういったものにも着目しております。生物としましては、動植物プランクトン、付着藻類、底生生物、魚類といった情報を集めているということでございます。
調査方法は(2)に記載のとおりでございまして、調査地点については(3)にございます。調査は15河川の53地点で行っております。各河川は表に記載してございますが、この調査の結果を解析するに当たって、留意することとして2つほど挙げられております。3(1)留意事項にございまして、1つ目としましては、これもこれまで指摘されているところでありますが、亜鉛の水生生物に対する毒性が硬度などによって異なる場合も考えられるということから、野外の水生生物への影響を解析する上で、これを考慮して解析するということ。それから、2番目としては水域の有機汚濁や富栄養化によっても影響を受けていることも考慮するというふうなことを前提に解析しております。
解析の対象としましては、(1)の留意事項を踏まえ、平均的な硬度を示していて有機汚濁が少ないという類似の水質状況がある18の地点を抽出して、解析を行っております。
詳細は表2に調査結果を記載しておりますが、(4)からが水生生物と亜鉛の関係を解析したものでございます。4ページは付着藻類についてのデータでございまして、縦軸がその種類数、横軸が亜鉛濃度というプロットになっておりますが、まず、全地点についての図(図-1)をみますと、濃度の増加に伴って種類数が減少する傾向にあるようなのですが、例えば、これも例えばということではあるのですが、30μg/Lというところで線を引いて、その以下と以上の部分で右の図にあるボックスプロットで比較してみたということでありますが、この場合は特に有意な差は認められなかったということであります。5ページは、先ほど抽出した18地点と申しましたが、その18地点について同じ解析をしたというもので、やはり傾向としては濃度の増加に伴い、種類数の減少傾向があるのではないかというところで、ボックスプロットではこの場合は5%の有意水準で有意差が見られたというような結果になっております。
2)底生生物ですが、次の6ページにグラフを載せております。まず全地点につきましては、上の図がすべての底生生物の種類数、下の図がカゲロウ類、カワゲラ類、トビケラ類という種類に限った種類数になっております。それぞれについて、やはり傾向としては濃度の増加に伴って減少傾向があろうということなのですが、30μg/L以上のところでの比較では、ともに5%の有意水準で有意差が見られたという結果でございました。
7ページでは、先ほどの18地点で同じように比較したもので、その結果は8ページに載ってございます。地点数は少なくなったということもあるかもしれませんが、やはり減少傾向は見られるということではあるのですが、全種類で比較した場合にはあまりボックスプロットでは有意差は見られないが、カゲロウ類、カワゲラ類、トビケラ類に絞った場合は、有意差が見られるという結果になっております。
ただし、これを個別に見ますと、一部の地点では濃度が高いのに種類数も高いというような結果も見られておりまして、要因については不明だというような解析結果になっております。
そのほか、調査としては魚類でも行っておりますが、なかなか解析にまで至る十分なデータは得られなかったということであります。
9ページが生物の種類についてもう少し、その種類の中身を見てみたというものでして、付着藻類の場合は亜鉛濃度を30μg/L未満の場合と以上の場合では観察された種類が異なっているという結果でありました。ただし、すべて二つに分類されるというものではなく、共通の種類もあります。同様に底生生物についても11ページにありますが、30μg/Lの上下で見られる生物も異なっている傾向にあるというような結果でございました。
資料6については以上でございます。
○須藤委員長 どうもありがとうございました。ただいまの資料5、6のご説明いただきました。今後の検討に対して大変重要な情報かと思います。
どうぞ、ご質問があればしてください。お願いします。どうぞ、清水先生。
○清水委員 表1に、できれば調査の時期を入れていただけるとありがたいと思うんですけれども。年と月ですね。
要するに、これを単純に比較していいのかどうかという話になるんですね。
○須藤委員長 ありがとうございます。それはわかっていることでしょうからお願いします。
他はいかがでしょうか。どうぞ、小山委員お願いします。
○小山委員 同じように表2、pHがわかればそれも入れてください。
○須藤委員長 それもお願いします。
他はいかがでしょうか。
それでは一通りやって、もしあれば、また戻りたいと思います。
続いて、資料7、8のご説明をいただきます。松田補佐、どうぞお願いします。
○松田補佐 それでは資料7のご説明をさせていただきます。資料7につきましては、これまでの状況を有害物質の情報の収集という観点で整理させていただいたものでございます。「経緯」と1ページ目にございますが、(1)技術的な調査ということで、当初は、先ほども一部ご紹介しましたが、平成13年5月に水環境部長の私的諮問機関として「水生生物保全水質検討会」と、それから技術的な調査を行うということで「毒性評価分科会」というものが設置されました。その中で目標の考え方とか、知見のレビュー等を検討しました。平成14年8月にその報告がまとめられております。
そういうことを踏まえまして、(2)中央環境審議会ということでそれらのいろいろな検討した材料を踏まえて、中央環境審議会に基準の設定の諮問を行ったのが平成14年11月となっております。これを受けまして、本専門委員会が設置され、それ以降、平成15年6月の報告まで検討いただいたということでございます。それから3カ月後の9月に答申が出されまして、それ以降に重要事項の審議が小委員会でなされ、昨年の8月に水環境部会で小委員会報告が了承されたという流れになっております。
次のページは、そういった流れで始まった2.今後の情報収集・検討であります。現段階では専門委員会が設置されている状況でございます。今後の情報収集・検討をどういうふうに進めるかということにつきましては、先ほどの資料の説明の中でありましたように、重要事項の中で指摘がされていまして、フィールド調査研究を含めて、水環境中の汚染物質の水生生物への影響に関して必要な調査研究を継続的に実施し、結果は速やかに公開する。そういった指摘があります。
当然ながらこれを踏まえ、今後は、まずはそういう調査なり情報収集をやらなければいけないということで、(2)技術的調査としております。[1]フィールド調査、[2]水生生物の毒性試験、[3]水生生物の毒性評価の文献レビューを実施し、[4]その他、環境中の存在状況を把握し、ほかに必要な調査を行うということでございます。
先ほどご紹介した資料6が[1]フィールド調査の検討状況の紹介でありまして、現時点でも調査は進めています。[2]水生生物の毒性試験につきましても、情報が不足している物質については、毎年計画的に毒性試験を実施しているところです。[3]水生生物の毒性評価の文献レビューにつきましては、本専門委員会を設置する前は水生生物保全水質検討会と毒性評価分科会という形で検討されてきたのですが、今後は、改めて水生生物毒性評価に関連する文献を、検討会において、レビューを実施する予定にしてございます。
そういった検討を継続し、技術的な情報が集まってくれば、中央環境審議会でまた設定・改定の審議をいただくというような流れになろうかと考えております。
続きまして資料8でございますが、これは現状の検討対象物質がどういう状況にあるかということを改めて整理してみたものであります。
1つは1.優先検討対象物質と呼ばれておりますが、先ほどの検討会の場で検討された物質なのですが、平成12年12月に81物質がリストアップされております。これが別紙1にまとめてございます。このリストにつきましては、水生生物の生息または生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質で、加えて物理化学的毒性、製造、生産、使用の状況、そういったことも踏まえつつ水環境中で広く継続して存在するおそれがあるものを選定するという方針でリストアップされたものでございます。
2番目に2.水質目標値の導出可能性を検討した物質とは、目標値、定量的な評価の可能性の検討が必要であるということでリストアップされた物質ですが、別紙2の表1と表2を合わせた物質になっております。平成14年8月にリストアップしておりますが、ビフェニルという物質もこの際に検討対象に加わってございます。リストは、[1]環境中濃度が既存文献の急性毒性値を上回っている物質、[2]生態リスク初期評価で詳細な評価を行う候補とされた物質から選定しているというものであります。
3番目として、3.水質目標値の導出がなされた物質が別紙2の表1の8物質でございます。このうちで環境基準と要監視項目となっているのが4物質です。
参考として生態リスク初期評価についてご紹介しておりますが、環境省で、これは非常に多数の化学物質がある中で、相対的に環境リスクが高そうな物質をスクリーニングする「初期評価」をやっておりまして、その中で生態系への有害性リスクの評価をやっています。この中で、先ほどお話が出ましたが、詳細評価の候補となる物質というのがリストアップされ、それが別紙3になっております。
81物質とそれ以外のものが若干含まれておりまして、この初期リスク評価、現在も継続中で、最新のものは平成16年9月に出ています。今後は、やはり当初の足場と言いますか、81物質を基本としながら、生態リスク初期評価といった新しい情報が加わってきているものを追加しつつ、検討を進めていくことが考えられるのではないかと思います。
以上でございます。
○須藤委員長 どうもありがとうございました。
それではただいまのご説明に対しまして、何かご質問がございますでしょうか。これは今までの経緯をまとめていただいたものでありますね。
ここまでで一通りの水生生物の保全の環境基準関連の資料のご説明をいただきましたので、これについて一括して、それでは、こういう状況であると、こういうふうに検討していきたいと、こういうことをご説明いただいたので、それを通してご質問なりご意見あれば承りたいと思います。
どうぞお願いします。それでは酒井委員、お願いいたします。
○酒井委員 確認ということになるかもしれませんが、資料8では今後の検討対象物質というのがこういう候補物質を選んで対象にするということだったんですが、亜鉛というのはこの中のどれに該当するということで、選ばれた物質だったんですか。
○須藤委員長 どうぞ。
○谷企画課長 この資料8でございますね。資料8の中でも別紙1で81項目を選びました中にも全亜鉛が別紙1の1番で入ってございまして、その後、いろいろ絞り込むわけでございます。
○酒井委員 違います。基準に入る前。亜鉛を基準に挙げるときに、候補として挙がったときにこういう形で基準に挙げましょうという。
○谷企画課長 81物質を選ぶときにということでしょうか。
○酒井委員 違います。亜鉛自身が環境基準項目に挙がったときに、例えば環境中濃度が急性毒性値を上回っていた物質というような位置づけから挙がってきたのか、どういう位置づけからきたのかということです。
○須藤委員長 そうです。今の酒井委員のご指摘のとおりで、毒性値の評価をして、それで目標値を出して、その目標値よりも実際の環境中の濃度が1割程度の調査地点で超えていたので、環境基準項目に設定したという判断の仕方をしました。正確な数値はもう一度復習していただいた方がいいと思います。やり方としてはそういう段取りをやっております。
宮崎委員、どうぞ。
○宮崎委員 質問ですけれども、資料5で先ほどの亜鉛のところなんですが、ご説明があってわからなかったところなんですけれども、表の中で検出範囲というのがあり、検出下限というのがありますが、μg/Lですからいわゆるppbの範囲だと思うんですけれども、最小値が例えば一番上の段ですと1で、最大値が500という検出下限というのは、用いられた方法の検出下限ということですね。1ppbというのはかなり感度のいいものだと思いますけれども、手法は原子吸光分析とかICP発光とかいろいろな手法が決められています。溶媒抽出した後だったと思うんですけれども、この500ではかなり30を超えていて、もう使えないという話になってしまうんでしょうけれども、このあたりは、例えばそれぞれの常時監視とか独自調査結果とかいろいろやられている中でのことでしょうから、必ずしも30ということを目安に調査をやっておられないということもあるかもしれないんですけれども、このあたりは今後改善されるというようなことはあり得るのでしょうか。
○松田補佐 そうですね。先ほども申し上げましたが、ここにあるデータは環境基準が決まる前でして、やはりそういった意味ではそこまで精度を求めない自治体なり調査の目的なり、そういうものがあったということかと思います。16年度は残念ながらまだ整理中でご提示できなかったのですが、少なくともそういう定量下限の値は、基準値を考慮したものに大分変わる方向にあるのではないかというふうに考えております。
○須藤委員長 ありがとうございます。それでは篠原委員どうぞ。
○篠原委員 資料3について環境省のご意向を聞きたいと思うんですが、2年間という長い間にかなり事情が変わったような気がいたします。平成15年6月にこの亜鉛が基準に決まったときに小委員会の設置について大変議論があったんですよね。当時の瀬川課長補佐もそのとき言われたわけなんですが、この基準はあくまでも水生生物に対する基準であるので、環境基準を決めてそのまま排水基準に移行するということはほとんど考えられないというようなニュアンスで言われたんですよね。私はあのときに、ほかの委員もご存じと思うんですが、排出基準の設定に当たっては慎重にすべきだという意見であのとき話が終わっていたと思うんですけれども、2年間という時間的な流れでやはり同じような手順を踏んでこうふうになって、ここに資料3の4ページには、全亜鉛に係る排水規制についても、公共用水域云々で、一律排水基準として設定することが適当であるという、こういうふうに書き込まれてしまっているんですね。もう一度平成15年の最終の専門委員会で我々が議論した中の文章には、これは差し控えようということで多分入れなかったような気がするんですよね。私はちょっとそこのところ、こういういきさつに、排出基準にすぐ持っていくような話が出てきているということでびっくりしたんですけれども、もう少し科学的な検証を積み重ねてやっていくと、一般の今までの環境基準というのとは違うんだという、私はそういうふうにとらえておったんですけれども。ほかの委員の方はいかかでしょうか。私はそのとき、そういう感じでいたんですが。
○須藤委員長 これはいずれの場合も委員長をしていた私の責任でも、その理解としてはあると思いますが、そのときの議事録の発言の内容をもう一度、もちろん検討していただく必要がありましょうが、排水基準をつくらないということは、環境基準でございますので、その環境基準を水生生物であれ、人間であれ、それは守らなくてはならないので、それに向けて排水基準というか、排水後の管理をしていくということは当然必要です。そのときに一律の排水基準をつくる場合は慎重に検討しなくてはならないという発言は確かにあったと思います。しかし、それをつくらないというようなことを多分事務局も、当然ですが言わなかったと思うし、整理もそうされたと思いますが、篠原委員がそうおっしゃられるので、ちょっとそのときの議事録なりは、その当時はもう議事録を書いていますよね。ですからごらんになって、その最後にまとめもやっていますので、それをごらんになってください。私の記憶では、この専門委員会の議論はそのような取りまとめをしたというふうに理解しております。
その後で、小委員会等でそのことについて、その慎重というようなところをいろいろ産業排水について、特に亜鉛という物質などで問題があるということで、もう少し議論をさせてほしいということで、水環境部会から小委員会に議論を預けたと、こういうことで先ほどのような小委員会の報告をもって、その今後の方針にすると、こういうことになったと理解しておりますが、谷課長、それでよろしいでしょうか。
○谷企画課長 議事録、再度確認をさせていただきますけれども、私どもの理解では排水基準とは考えられないということを言ったというふうな記憶がございませんのですけれども。
ここのいろいろな環境管理施策につきましても、当然、最新の科学的知見を踏まえながら、適切な排水管理施策を検討していくということで現在も作業を行っているところでございます。いずれにしましても、これまでの検討の経緯、再度確認をし、こちらの専門委員会での議論が正確に反映された形で、今後の環境管理施策、類型あてはめとも議論が進んでいくようにしたいと考えます。
○須藤委員長 それでは、ここの委員会は水生生物保全の環境基準の専門委員会なので、その後のことについては、それぞれの管理も方法とか測定の方法、そういうことについては別途検討くださいというような書きぶりなんですよね。ですから管理をして、排水基準の在り方についての議論というのは、その後の議論に多分なっているのではないかと私は理解しています。排水管理については慎重にというようなことは多分書いたと思いますが、水環境部会に上げたときにそういう議論がたくさん出て、小委員会をつくったと、こういうふうに理解をしております。
○宮崎委員 私もこの委員会は環境基準の委員会だということは十分理解しておりますけれども、前回のその環境基準の数値が決められたときにも、今お話にありましたように非常に議論があって、いろいろなある意味では厳しい意見もあったと思っております。私はそのときには30という数字が本当にいいのかどうかというふうな趣旨のご意見を申し上げた記憶があるのですけれども、基本的にはこれは排水の専門委員会で検討していただくことだと思うんですけれども、特に亜鉛の場合なんかでも、私は金属の方が専門ですが、金属の関係でも、生物の保全ということになってくれば、亜鉛の場合と同じように、普通は現在のその環境基準、あるいは排水基準なんかよりももっと非常に低い値がだんだん出されてくるということは、十分予測できるところだと思うんですね。
そうしたときに、これは排水という環境基準であればいいというわけではありませんけれども、例えば環境省で日本のいろいろな河川なんかの水質のデータをまとめるときに、従来のその生活環境項目の中の環境基準を満たしているところと、あと水生生物の基準を満たしているところ、将来としては、そこが基準を満たしているか満たしていないかということが判定されてくるんだろうと思うんですが、環境基準であれば、もちろんそれはそれで問題なんですけれども、排水基準になってきたときに、やっぱり水生生物を保護するということになってくると非常に低い値になるということは、今までの排水の体系から言えば、そこの排水の濃度という基準がそれだけ厳しくなるわけですからね。
そういうことをやっていいのかどうかということが非常に私も前から、この前の排水環境基準を決められるときにもそういうお話をしたと思うんですけれども、これはこの排水基準をぜひ委員会で検討していただいて慎重にというのはそういうところがあるんだろうと思いますが、ぜひそのあたりのところは、環境基準の委員会ですから環境基準のことを中心にやっていることはもちろんなんですけれども、やはりそのことで排水基準の方とも全く関係がないわけではなくて、今までの経緯ではかなり連続的につながってきていることもあるものですから、篠原委員もそういうふうなご趣旨でご発言したんだというふうに思います。
○須藤委員長 ありがとうございます。要するにある水生生物の保全のための目標値が、それが基準化され、そしてそれを管理していくというと、本当は一連の流れの中で、例えば委員会なんかの議論もした方がいいというのは、私はかねがね個人的にはそう思っていたんだけれども、やはり事の性質上、専門家の構成も違ったりしますと、いずれも一括してなかなかやりにくいものですから、最終的にはそれは水環境部会という場で議論をいただくということになってしまって、専門委員会の部分は、例えばこんなようなところは水生生物なり、そういう方と毒性の関係の先生方、それから排水基準の方はその発生源だとかあるいは除去技術だとか、そういうところの先生方の構成と、こういうふうにだんだんなってきておるものですから、ちょっとそういう意味での流れとしてあるわけですが、ここの場は一応先ほど申し上げましたように、環境基準を決めて、それ以後の問題は、例えばそれがやりやすい物質なのか、除去しにくいのか、それはともかくとして、それは排水基準でやっていただいているので、今、松尾先生が委員長のところで鋭意いろいろな角度から発生源、あるいは自然汚濁、いろいろなことを含めて議論をしていただいています。先ほど松田補佐があまりそこの辺の部分はご説明しなかったけれども、もしも必要であるならば排水基準の方の何がどういうふうに議論されているかはもうちょっとご紹介いただいた方がよろしいかなという気もしますがいかがですか。さっきは類型指定のところは松田補佐が詳しくご説明いただいたんですが、ちょっと排水基準の方のことについての、特に亜鉛のことについてはご関心のある向きもあるようですから、ちょっとご説明いただけますか。
○太田水環境管理課長 排水規制の専門委員会の事務局を担当しております。お手元の資料4は、先ほど簡単に触れましたですけれども、資料4-3-2のところに一枚紙がついてございます。これは第1回目の資料で、これしか今日はちょっとお出ししていないんですが、実は既に2回会議を開いてございます。まず考え方としまして、環境基準が設定され、それでその後小委員会で、先ほど見ていただきましたように一律の排水基準を含めて設定するというような考え方が示されております。その考え方に基づきまして検討を開始しているわけですが、ただ従来のいわば健康項目に関する排水基準の設定の考え方、これは環境基準の10倍則という発想でやっておりますが、こういうものは今回生活環境部門ですから多分使えないだろうということで、新しい考え方です。
従来の生活環境項目の考え方というのは、CODとかBODの場合については、一般の生活排水、一般の生活で出るものですからそちらの方の簡易処理と言いますか、それに相当するようなレベルを基準として用いるというような考え方でございました。これも亜鉛の方にそのまま適用できるかどうかというとちょっと疑問ではございますが、今回の場合は新しい考え方を設定しなければいけないだろうというふうに考えてきたんです。
そういうことをする前の段階としまして、今までの議論の中では、そこにありますように諮問の考え方、小委員会の考え方等をまずご説明させていただいて、その後現在排出実態がどうなっているかということの整理を行ってございます。また処理技術のレベルとか、海外の排出基準の動向等について、基礎的な資料というものの説明を2回にわたってさせていただきました。多分、来月ぐらいになると思いますが、3回目を開く予定にしてございまして、その中で今後の施策のあり方について説明し、今冒頭申し上げましたような環境基準と排出基準の関係とか、どういう考え方に設定するかというのは、3回目以降の議論ということで考えてございます。そのときは、今言いましたように生活環境項目の一種であるということを踏まえて、従来とちょっと違った考え方、主に技術水準とか、そういうものを主体として、シビルミニマムという考え方があります。そういうものをもとにどういうふうに設定すべきかというふうなことをこれからご検討いただくということで説明をしてございます。
なお、亜鉛につきましては現在でも排出基準は一律に設定されていますので、これは5mg/L、そういう基準がありますので、当然上はもう決まっていますので、それより下の方で、30μg/Lが環境基準ですから、健康項目ですと10倍の300μg/Lですから、そこまで落ちることはないと思うんですが、ここの間のどこかになるということではございますけれども、これにふさわしい考え方というもので設定していきたいというふうに考えています。
○須藤委員長 一応、私の理解では10倍、人の健康と同じように10倍則をとることではないということだけは確認をしてございますので、それは今の処理技術やらさまざまなことを含めて検討するということで、それなりと言ってはいけませんが、除去技術の立場、あるいは管理の立場からした妥当な値を設定してくれると私は理解をしていますので、機械的に10倍則をとらないということだけは確認をしております。
ということで、今の宮崎先生、篠原先生の意見を十分にまたそちらの方の委員会、あるいは水環境部会で最終的にはいたしますので、私が今責任者として預かっておりますので、この専門委員会のご発言は大事にしていきたいと、こういうふうに思います。
それでは、まだ意見がおありかと思いますが、いろいろご注意もいただきました。
どうぞ、清水先生。
○清水委員 今日のおさらいというか、復習でやってきたんですが、資料8もその視点からお話があったように思うんですね。ただ2年間あったわけですから、情報は増えているはずなんですね。この導出可能性を検討した物質とか、そういうものに関してどのくらい増えたとか、そういう情報は今あるんでしょうか。
○須藤委員長 どうぞ。それは松田補佐。
○松田補佐 ここに載せてございますのは81物質から26物質を検討したということで、逆に言いますとそれ81から26引いた物質というのは、まだ情報収集中と言いますか、形としてはあまりないのが現状です。
○清水委員 でも2年間あったんです。変わっていないということですね、基本的には。
いや、大きく変わっていないならそれはそれでいいんですけれども。確認です。
○須藤委員長 それは私も個人的には鋭意進めてほしいというふうに言っているんです。
○清水委員 いろいろなことで忙殺されていたということもありますが。
○須藤委員長 それは折に触れ、もう何回か同じことを言っておりますので、そうでないとこちらの検討が進まないというので、それにまた情報は早めにいただかないと先ほどのような議論を生かしていけないので、今委員からそういうご発言いただいて、さらに早く収集をしていただいて、我々の検討ができるようにということだけお願いを事務局にしますということで、いろいろご注意をいただきましたが、これからさらに検討を進めるということで、お願いをしたいと思います。
それでは続いて関連のご報告になるかと思います。先ほど失礼いたしましたが、資料9から順番に10、11ありますので、簡潔にご説明をいただけばありがたい。
ではどうぞ、企画課長。
○谷企画課長 ありがとうございます。資料9、10、11についてご説明をさせていただきます。
水生生物のさまざまな基準等の検討を行います際に、大変重要なことは国民各層のご理解、ご協力を賜るということではないかと思っております。この面で私どもいくつかの活動がございます。
まず、資料9でございます。こちらは毎年やっております全国水生生物調査の結果でございます。8万6,000人の参加を得て行われたということなのですが、残念ながらこれは前年よりもう少し少なくなっております。
次に、別紙というのがございまして1ページと書いてあるところにグラフがございます。図の1に棒グラフで参加人数の推移がございます。平成14年まで増えておりましたんですが、平成15年は夏がちょうどお天気が悪うございまして、雨が降ったりいたしましたので、若干減っております。ただ平成16年度、まだ全体をまとめて発表するには至っておりませんけれども、暫定的な数字といたしましては9万1,000ぐらいということですので、また回復したように思われます。今後一層さまざまな方がこういった活動に参加していただけますように、皆様方ももしお声をかけていただければ、大変ありがたいと考えております。
調査の結果でございますけれども、今の別紙の左側を見ていただきますと、大体60%の地点がきれいな水ということで、前年度に比べますと若干増加しているという状況でございます。
以上でございます。
資料の10と11がちょっと新しいことですので、詳細に説明させていただきます。
資料10は「こどもホタレンジャー」という名前をつけまして、子どもたちがホタルを守るということに着目して水質を守る活動を行う、そういった事業を募集いたしまして、その中から優れた活動に環境大臣賞を授与すると、こういった試みでございます。これは小池大臣のご発案で、今年初めて行いました。審査委員には須藤委員長も加わっていただきまして、全体に121件のご応募がありまして、ここに書いてある団体が受賞したわけでございます。環境大臣賞は「こどもエコクラブ」で活動をしていらっしゃる方、そのほかさまざまな学校の活動などが取り上げられております。平成17年3月にこちらで表彰式と活動報告会を行いました。それぞれの子どもたちの非常に生き生きした活動が報告されたところでございます。
1つめくっていただきますと、受賞団体の活動の内容がございます。実はホタルということに着目した活動は日本全国さまざまございますが、その中で水質の保全に本当につながっているかどうかということで、若干絞り込んだものでございます。ホタルの活動記録にとどまらず、水を本当に守るための活動を、しかも子ども自身のイニシアティブも重視されながら楽しく行っているところがいずれも選ばれたと思います。
ちょっとご紹介させていただきますと、環境大臣賞の「法吉こどもエコクラブ」は、松江市なのでございますが、こどもエコクラブの中から水質や生物の調査を行い、ごみ拾いをしたり、子どもにわかりやすいのは不法投棄のごみが水辺を汚しているということもありまして、これを何年も継続的に活動してこられました。
優秀賞の松崎中学校は、台風の被害現場を生徒の手で復元しまして、地元の大人の方も協力されまして、ホタルの水路をつくるとか、荒地を復元するとか、カワニナというホタルのえさが育つ田んぼを確保していくというような活動をしておられます。
3番目の「幕山子どもホタル団」ですけれども、こちらは子どもたちがキャラクターシールとか自分たちでつくりまして、その中から子どもの方から地域住民に水を守りましょうということをメッセージとして呼びかけて、生活排水の話とか非常に発信力のある活動をしておられました。この幕山ホタル団は発表会でも劇をやってくれまして、子どもたちの方からこういった形で地元でも地域住民に水辺を守る活動を一緒に効果的にやっていらっしゃるようでございます。
広川町立津木中学校ですけれども、ここはもう非常にまじめな定点調査、個体調査、水質調査をしっかり中学生らしくやって、科学的にいろいろな学習を行い発表をされております。水環境の保全とホタル保全をしっかりとした科学的な学習とともに行っていらっしゃいました。
高梁の福地小学校ですけれども、ここはいろいろな学年の子どもたちがホタル基金をつくるとかごみ拾いをやるとかやりながら、地域に発信をしていく。例えば川砂を取るということを中止してほしいというようなことを子どもたちの方から地元に呼びかけて、広くこの子どもたちが核になって水質保全と水生生物の保全を含めたメッセージを発信していらっしゃいました。
古賀市立小野小学校ですけれども、ここは学校全体でいろいろなことを取り組んでいらっしゃいまして、プロジェクトチームがたくさんできました。プロジェクトチームごとにあのようなレポートをつくるところ、劇をやるところ、いろいろなところが非常に精力的な活動をしていらっしゃいます。生活排水問題、ごみ問題等を取り上げて、地域に呼びかけをしていらっしゃいました。
こういった活動を昨年度末に表彰いたしまして、今年度、今ホームページも充実させていきたいと思っております。本年度もまた募集をしたいと思っております。もっとこういった活動が広がっていきますと、水生生物保全に対する理解が一層進むのではないかと思っております。
資料11でございますが、こちらはこれまでやっておりました水浴場88選の選定を新しく今年度やりたいという試みでございます。ただ、これまでは一度に選定をやっておりましたが、今年は、まずカテゴリーでこういった基準で選定をしますということを発表いたしまして、その後ひとまず置いておいて、この夏の活動も含めてこの秋から冬にかけて選定をし、来年の春に発表をしたいというスケジュールを立てたわけでございます。3.選定の対象となる水辺ですが、水辺を海水浴場、島、湖沼・河川、3つのカテゴリーに分けまして、自然景観を初め、本当に幅広い形での私たちが求める水辺はこのようなものではないかというメッセージを広めることも含めて情報発信をし、より多くの方々のご理解を得たいというふうに考えております。
この選定の基準の中に、ここにはごく基本的なことだけ取り上げておりますけれども、生き物が、珍しい生き物だけではなくて、例えば3ページ目ですけれども、かつて身近だった生き物との秩序あるふれあいということも含めて水浴場の選定をしたいというメッセージを出しています。3ページ(5)の[1]ですけれども、ともすればサンゴ礁ですとか特色のある動植物だけに目が行きがちですけれども、最近の子どもたちは昔当たり前だったヤドカリとか蛙とか実物を触ったことのない子どもが大多数でございまして、こういった現実の中で水生生物の保全を実感を持って、共感を持って支持していただける人口がどうしても限られるのが現状ではないかという問題意識を持っております。
多くの方々が夏の遊びという観点から水生生物を考えていただけるようにこの基本的な考え方もつくってございます。この春に発表いたしまして、各都道府県に送付したところでございますけれども、より多くの方々に知っていただければ、今後の水生生物の保全の一助にもなるかと思っております。
以上でございます。
○須藤委員長 どうも谷課長、簡潔にご説明いただきありがとうございました。ただいま資料9、10、11ということで、新たな取り組み等含めて、特に水生生物の保全に関連する最近の水環境部の仕事についてご紹介をいただきました。
何かご質問ございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。
それではまだ議題としてはその他があります。一応これは何かその他として話題がありますでしょうか。
○谷企画課長 次回の日程でございますが、改めて事務局の方から先生方のスケジュールを確認させていただきまして、日程を設定させていただきたいと考えております。後日、ご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○須藤委員長 いくつか宿題というか、確認も含めてございますので、それはどうぞ進めておいていただきたいと思います。
○谷企画課長 わかりました。
○須藤委員長 次回の日程につきましては、今後調整という事務局のご説明でございますので、委員の皆様にはどうぞ、またご出席をいただくようお願いをいたします。
なお、当委員会の運営方針で議事録を作成し、公表することとなっております。後日事務局から議事録を作成し、各先生にお送りいたしますので、ご発言内容についてご確認をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それではこの辺で本日の議事を終了させていただきます。本日はどうもまことにありがとうございました。お疲れさまでございました。ありがとうございます。
午後3時23分 閉会