中央環境審議会水環境部会 水生生物保全環境基準専門委員会(第5回)議事録

日時

平成15年5月8日開催

場所

環境省環境管理局水環境部企画課

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    (1) 前回議事録(案)について
    (2) 水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(第一次報告(案))について
    (3) その他
  3. 閉会
   

配布資料

 
資料1   中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会名簿
資料2   森田委員からの意見
資料3   中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会(第4回)議事録(案)
資料4   水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(第一次報告(案))
    別紙1 各物質の目標値設定根拠
別紙2 各物質の測定法
参考資料

議事録

午前10時00分開会

○瀬川補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第5回の水生生物保全環境基準専門委員会を開催させていただきます。
 本日は、委員11名のうちで現時点で8名の委員の方々に御出席いただいております。
 議事に先立ちまして、吉田水環境部長から御挨拶申し上げます。

○吉田水環境部長 おはようございます。水環境部長の吉田でございます。
 4月の10日に開催をさせていただきました第4回のこの専門委員会で、私ども事務局から報告書案の第一次案を御提出申し上げ、御議論いただいたところでございます。その際さまざまな議論を先生からいただきましたが、大枠そのものについてはこれまでこの専門委員会で御議論を重ねてきたところでございますから、すべての先生から御異論はなかったわけでございますけれども、森田先生から若干いわゆる目標値の導出に関するアルゴリズムのことについて御提案がございました。その後精密なコメントも提出をしていただきました。それに従って私ども事務局で作業させていただきましたところ、若干場合によっては数字の変更につながる問題でもあるということで、恐縮でございますが、本日重ねて第5回の専門委員会を開催させていただいた次第でございます。
 これから森田先生から頂戴いたしましたコメントを御説明いただくとともに、それに伴って事務方として前回御提出申し上げた案を若干修正するとすればどういう形になるかということを御説明を申し上げるわけでございますけれども、私どもとしては何とぞ全委員の先生方の合意形成を本日のこの会議の場でしていただき、その後速やかにパブリックコメントに移っていきたい、かように考えております。
 何とぞよろしく御審議をお願いいたしたいと思います。

○瀬川補佐 それでは、次に、議事に入ります前に、本日お配りいたしました資料について確認させていただきたいと思います。
 本日は資料1から4を御用意しております。資料1が委員会名簿、資料2に、森田委員から御意見をいただいておりますので、それを資料につけております。資料3が前回の議事録(案)、資料4として、4部構成になっておりますけれども、第一次報告(案)、別紙1の目標値設定根拠、別紙2の各物質の測定法、それから参考資料という順になっております。
 議事の進行に伴いまして不足がございましたら、その時点でお手を挙げていただければと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。議事運営規則に従い、本専門委員会の委員長でいらっしゃいます須藤先生に議事進行をお願いします。

○須藤委員長 かしこまりました。それでは皆さんおはようございます。
 本日は御多用の中を、委員の先生方、また事務局の皆様には、早朝からお集まりいただきましてどうもありがとうございます。また、本日はたくさんの傍聴者の皆さんも御出席いただきまして、ありがとうございます。
 議事次第でございますが、本日は水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(第一次報告(案))が主な議題となっております。前回概ねの議論をいただいたわけでございますが、先ほど吉田部長がおっしゃいましたような課題を残しておりましたので、本日は森田先生からいただいたコメントを中心に、先生方の御審議をよろしくお願いしたいということでお集まりをいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入りますが、議題の1、前回議事録(案)についてでございますが、資料3に前回議事録(案)を準備されております。本資料は委員の先生方に御確認いただいた後、事務局で修正し、再度各委員の先生方に送付されている資料でございますので、この場で前回議事録とさせていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。特に御異議がございませんので、そのようにさせていただきます。本議事録を前回議事録といたしますので、事務局において公開の手続をお願いいたします。
 それでは、議題の2に入りますが、水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(第一次報告(案))でございます。
 先ほどお話し申し上げましたように、森田先生からのコメントをいただいておりますので、これは先生から御発言をいただく方がよろしいかと思いますので、森田先生から御説明をお願いいたします。森田先生お願いします。

○森田委員 4月10日の委員会のときにもうちょっと私の方も準備ができていればよかったのですが、ちょっとまだレビューが完成しなかったこともありまして、その後で意見を出させていただいて今日になったわけですが、ちょっとその意見の中身について概略、一部はディテールにわたってお話をさせていただきたいと思います。
 まず、一番上に書いてありますのは、最終的に結論としてこんな意見であるということでありますが、1番目に、基本的にその検討の枠組みそのものについては国際的にも調和のとれたものであるということと、それからまた、既にそれに基づいて本専門委員会でも議論を重ねてきたところでありまして、根幹に関しては特段の意見はございません。しかし、一方で導出手順の詳細な部分について少し意見があるということであります。
 前回にも少し軽く申し上げていたのですが、藻類に関しまして慢性と急性毒性を分けるのは相当難しい。魚みたいに大きな動物ですと、慢性毒性と急性毒性というのを少し分けて考えることがあるのですが、藻類というのは、何かある意味では生命が無限のような生き物みたいなもので、ある種割り切りをしているのですけれども、そういう藻類に関して急性毒性と慢性毒性の比率みたいなものをほかの生き物と同じように考えてよいかどうかということと関係しております。
 それで、幾つかの藻類の急性毒性値、これは成長の増殖阻害といったものと、それからNOECといったものが同じ論文の中で報告されているケースが少なからずあるわけですけれども、それを見ていきますと、10倍というファクターでは何かちょっと大き過ぎるという印象がありまして、平均的には4ぐらいなので、そのぐらいの数字を使った方が現実的な答えではないだろうかというのがまず第一点です。
 それから、後でもう少し出てきますが、この種の計算をやりますと、試験法の濃度設定が3倍ずつにされるとか、そんなことがあって、NOECといったものを推定するときに割合幅があるということが現実にはあります。そんなことを含めて、かつまた、色々な報告されたデータの中に極端なデータが含まれるケースもあるとか、あるいはたった1つのデータによって引きずられるようなケースもあり得るということもありますので、少し全体を俯瞰するような形で物事を考えていく方がいいのじゃないかということがありまして、その導出の手順をもう少し総合的な判断をも含める必要があるだろうというのがポイントです。
 それで、最後に書いてありますが、この種の作業におきまして、幾つかのクライテリアあるいはレビュー、そういったものが既に存在しております。IPCSのエンバイロメンタル・ヘルス・クライテリアは、亜鉛について、2001年に本が出版されておりまして、ここは結構環境に関する部分についても記載がふえておりますが、それが1つありますし、それから水産用水基準といったものが以前に報告されておりますし、それは今回も重要なファクターになるかなという感じがしますし、それからIPCSのエンバイロメンタル・ヘルス・クライテリアも、引用されている文献が1997年のところでとまっておりますので、最近の知見も考慮する必要があるということで、それらのものについて一応私の方でレビューさせていただきまして、基準値についても考えてみたということであります。
 それで、最終的な結論ですが、亜鉛については、淡水域で今まで提案されている30μg/L、海水は若干緩くなりますけれども、海域で20μg/L、あるいは特別域ではさらに強くなって10μg/Lぐらいが適当じゃないかというふうに考えたという、そういうことであります。
 次のぺージを見ていただきまして、今申し上げたことが少し書いてあるのですが、1つは実験室における毒性学的試験、それだけでは多分足りなくて、ある種のエキスパートジャッジメントが要るだろうということがAのところでまず書いてあります。それから同時にAのところで記載しておりますのは、水産用水基準として淡水で1μg/L、海水で5μg/Lという数字が示されているということはまず考えておく必要がある。それからもう1つ、亜鉛の濃度に関する記述が若干あるのですが、海水中の濃度というのはオープンオーシャンで大体0.02ppbぐらい、表層水ですね。それから、もちろん亜鉛は栄養塩型の分布をしますので、海の底の方でもっと高いのですけれども、一般的には1ppb以下で海水中濃度はあるということでありますので、したがっていろんなところで観察されている数ppbあるいは数十ppbの亜鉛濃度のかなりの多くの部分が、少なくとも海水に関しては人為的な起源である。陸水に関しましては地質的な要素が若干あるということがありますが、人為的な影響がかなり大きいものであるということがあります。
 一方で亜鉛はかなり身近に使っているような金属でありますので、現実に我々それを非常に便利に使っているということもありますので、安全側だけに偏り過ぎるとバランスを失う要素も少しあるということが書いてあります。
 BとCで淡水系と海水系について記述をしておりますが、淡水系の基準レベルで水産用水としては1μg/Lの数値がでております。この根拠となっていますのは、ニジマスの子供の魚への毒性、28日間LD50値として10μg/Lという数字が、これは多分カナダのグループだと思いますが、かなり古いレポートかもしれませんが報告されている。それに10分の1を掛けて1μg/Lだということであります。
 WHOのIPCSの作りましたエンバイロメンタル・ヘルス・クライテリアでは、いろんな実験データを整理いたしまして、少しクリティカルレビューになっています。それについて記載が出ていますが、それを見ましても、魚の中ではニジマスを初めとするマス類の幼稚魚の感受性が高いということが示されておりまして、いろんな報告が山のようにというか、山のようにあるようでないというか、微妙なのですが、非常にバリエーションに富んだ、低い濃度から高い濃度まで分布した急性毒性値が報告されています。
 一体どの数値に依拠して数値を決定するのがよいかというのは結構難しいといえば難しいのでありますけれども、ここでは3ぺージの上の方に書いてありますけれども、ニジマスの急性毒性値のいろんな報告の中央値をとると、大体 257μg/Lぐらい。その10分の1の数字をとりますと、26μg/Lぐらいでありますので、ほぼ30ぐらいのところに中央値はありそうだということであります。
 問題は、それよりも低い濃度で死亡が見られるようなレポートが存在するということでありまして、特に軟水での実験でそういうデータが出てくる。それがどのようにして引き起こされているかについてはちょっとよくわからないところがありますので、その30μg/Lのところでニジマスに影響が出る可能性は少し残っていて、その30のところで苦慮しているところではありますが、小山先生と電話でお話をさせていただいたのですが、まあ30で大丈夫ではないかという感触をいただいたので、30でいいのかなというふうに考えているところであります。
 そのほかに淡水の無脊椎動物、とくにミジンコのようなものというのはかなり敏感でありまして、30で50%致死ということではないのですが、それに近いところで致死濃度が報告されるというケースがかなりあります。
 それから淡水藻類では、Selenastrumの無影響濃度が大体30から50μg/Lあります。定法によってLC50の10分の1とか、そういうのをとるともっと低い数値になりますけれども、緑藻はいろんなかわりの緑藻も生えている可能性があるということを少し考えますと、あるいは耐性を獲得するということもあり得るということを考えますと、30でもよいかなという、そういうことでありまして、4ぺージの頭の方にB-4で「淡水域毒性データのとりまとめ」としてまとめておりますが、エンバイロメンタル・ヘルス・クライテリアでは、20から50μg/Lの可溶体の亜鉛濃度といったものは、軟水系の淡水域の生物に慢性的な悪影響を与え可能性があるような、記述をしております。
 それで、悪影響の程度ももちろん重要でありますが、全体的には30μg/Lの基準レベルであれば影響は少なくとも最小限であるというように考えられます。それでそのときに、ひとつは、織り込んでおりますのは、今までの流れでは全亜鉛濃度でコントロールしてはどうかという議論なんですけれども、30μg/Lというのが全亜鉛濃度であれば、この中に幾つかの弱い毒性の亜鉛の化学形態も織り込んで耐えられるようになっている可能性は高いという、そういう感触であります。
 ただ、一番最後に書いてありますように、ニジマスを初めとする河川の上流部の比較的硬度が低いようなところに生息するような生物については、亜鉛の毒性が現れる可能性は否定しきれないような感じもちょっとしますので、注意をしていく必要はあるだろうという、そういう感じです。
 引き続きまして海域の方です。海域につきましてはWHOのIPCSのエンバイロメンタル・ヘルス・クライテリアでは、海域の生物に対する毒性影響の記述が余り多くないというのが現状であります。この1つの原因として考えられますのは、海の生物の試験といったものがある種の国際的なハーモナイゼーションを必ずしも受けた報告になっていないということもあり、かつまた、非常に多様な生物に対してどういうふうに扱っているか、あるいはその文献の信頼性の問題とか、そういうことも多分にあるのだろうと思うのですが、比較的少ないということであります。それで記載されている低濃度で影響が出る、エンバイロメンタル・ヘルス・クライテリアに書かれておりますものとしては、カキ、二枚貝のような貝の幼生、それからアワビの幼生、それから甲殻類の一部についての幼生、それらについての悪影響が出る可能性がある。それからウニについても少し記載――ウニについてはもうちょっと後で詳しく解析を行ってみました。
 それで、そのほかにもう1つの側面は、水産用水の基準の海域設定であります。ここではかなり多くの論文が引用されております。その背景になっておりますのは、水産資源としては陸水系の生物よりも海水系の生物の方がはるかに有用性が高いというか、価値があるということと密接な関係があって、多分欧米人の海の生物に対する感触と日本人の海の食糧に対する感触が相当違っていて、そこにある種の温度差が発生していると思われます。
 水産用水基準の中で、5ppbというそういう基準設定になっていますが、その背景になっておりますデータは、海藻、特にミクロなalgaeですね、それの生育、それからアワビ、甲殻類の幼生の急性毒性値でありまして、それらの低いところを引用して、それをもとに5という数字を引き出しております。海藻の中では、やはり小さい緑藻のような類のところが重要で、カジメやノリへの影響は比較的高濃度で起こるというふうに記載されております。
 アワビの幼生につきましては、かなり低いところで、貝の形態あるいは変態のところの阻害があらわれており、その濃度が40μg/Lとか34μg/L、それからマガキの着底阻害が10とか20μg/L、それから甲殻類の一部に比較的感受性の高いのが存在するといったことを含めて、それの5分の1ぐらいのところで線を引いたと思われますが、5という数字が引用されているということであります。
 その次にいきまして、ウニについて調べてみました。WHOのIPCSのエンバイロメンタル・ヘルス・クライテリアでは、ムラサキウニやミドリウニ、アカウニの受精試験、それから変態その他の発達について発生影響についての試験がとりまとめられておりまして、EC50として 260、 380、310 、それからサンドダラーというのはよくわからなかったのですが、28μg/Lという値が示されておりますが、260 、380 、310 といったもののほぼ10分の1をとると30ぐらいのような数字となります。
 その後に発表された亜鉛のウニに対する毒性論文を少し拾ってみますと、フィリップスらの、これは既に以前表の中に入っていると思いますが、ムラサキウニの仲間ですが、EC50として97、ほぼ 100ぐらいの数値の発生毒性があらわれるということであります。
 そのほかにも幾つかの値があるのですが、そこをまとめますと、基本的には 100ぐらいの数字の5分の1ぐらいの20μg/L、(20ppb)付近でほぼ大丈夫そうなケースが多いのですが、ただアラビカ属の繁殖に関しては、急性毒性の試験がありますけれども、その10分の1である10μg/L程度が安全値としては好ましいという状況であります。
 したがいまして、ウニは概ね20μg/L、20ppb付近で大体大丈夫そうですけれども、ある種の重要なものについては10μg/Lぐらいの数値を設定するのがよさそうではないだろうかというのが結論であります。
 それから、1つだけ気になる論文は、亜鉛錯体でジンクピリチオンといわれる物質が、これはトリブチルスズの代替品としてかなり広範囲に使われております。このジンクピリチオンが非常に低い濃度でウニの受精/発生に悪影響を与えるという論文が2002年に小林先生とそのグループによって発表されまして、ちょっとその信頼性のところで若干心配なところがあるのですが、どのぐらい強いかといいますと、トリブチルスズの1,000倍ぐらい強いという話でありまして、ppqのレベルで効くんだということを、報告しています。間違っている可能性もあるのですが、ちょっと気にしておく必要があるというのが1行書いてあります。
 というわけで、海の方のまとめですけれども、先ほど申し上げましたようにいろんな定式によって導出されるのは、10μg/Lぐらいの数値は特別域に適用することにして、20μg/Lぐらいの数値を使って一般海域を設定するのが合理的ではないかというのが結論であります。
 以上であります。

○須藤委員長 森田先生、詳細に御説明いただきましてどうもありがとうございました。ただいまの森田先生の御説明にありましたように、前回の中で、亜鉛の部分について導出の手順を、今御説明いただいたようにし、そして目標値というのはそれぞれこのような値になるのではなかろうかというコメントでございます。小山先生の方から何か補足はございますか。

○小山委員 特にございません。

○須藤委員長 よろしいですか。ということで御理解をいただけましたでしょうか。特に今の森田先生のコメントについて先に御質問いただこうかと思いますが、いかがでございましょうか。内容としては十分御理解いただけましたでしょうか。
 それでは、森田先生の前回の御指摘を詳細に御説明いただいたということで、続いて第一次報告(案)というところを、このただいまの森田先生の御意見を踏まえて、それも取り込んで報告(案)を、部分的には修正されているはずでございますので、それを含めてどうぞ御説明をいただきたいと思います。
 それでは、これは瀬川さんでよろしいですか、お願いします。

○瀬川補佐 では、資料4に基づきまして、報告(案)の方について説明をさせていただきます。森田先生からのコメント以外にも各先生から4月10日以降コメントをいただいておりますので、それに沿って記述ぶりを変更した部分がございます。
 資料4を開けていただきまして、時間もございませんので、変更点だけ申し上げていきます。
 大きく変更したところですけれども、まず5ぺージでございますが、「化学物質による生態影響に関する知見の蓄積」でございますけれども、そこの3パラ目、「麻酔作用を持つ物質」から始まる部分でございます。一番最後の行、「筋肉の強縮、痙攣などを起こし、死に至る。」ということで、記述を正確にしております。
 それから、次のパラグラフの一番最後の部分でございますが、「我が国の水域での最大値が急性影響の半数致死濃度または半数影響濃度を超えて検出されている化学物質もある。」ということで、正確を期しております。
 それから、8ぺージに参りまして、「目標値の導出方法」のところでございます。先ほど森田先生からもございましたように、基本的な数値について変える部分はこちらはございませんでしたけれども、少し文言等を直しております。
「毒性評価文献の範囲」ということで一番下のパラグラフがございますが、元来我が国に生息する水生生物で、通常の試験に供されるようなもの、例えばメダカというものも含むということで書いております。
 それから、9ぺージ目に参りまして、目標値導出の手順でございます。手順に関しましては大枠のところは変えておりませんけれども、先ほど御指摘ありましたように急性慢性毒性比に関しては、藻類の方はより小さい数値がよいのではないかということで、参考資料をもとに説明をさせていただこうと思います。お手元の参考資料の34ぺージをあけていただけますでしょうか。
 急性慢性毒性比、いわゆる急性毒性値と慢性毒性値の比でございますけれども、魚類、甲殻類、それから藻類での急性毒性値と慢性毒性値との関係を解析をした結果、魚類及び甲殻類に関しては、諸外国における考え方も参考として、原則としてACRは10、藻類に関しましては、試験方法が異なるため、ACRの分布がその対数正規分布を示すことから、幾何平均値4を用いてはどうかとしております。
 また、その「適用に当たっての留意事項」ですが、これらはいずれもその原則論でございますので、当該物質を用いた毒性試験結果か得られるACRがございますれば、最終的には専門家の方々の判断によって決定するものと思っております。
 35ぺージ目からは「既存データにおける急性慢性毒性比」の関係でございます。化審法で使いました資料と基本的には同じデータを用いております。
 まず最初は甲殻類でございますが、平成7年度から10年度まで環境庁において行いました生態毒性試験の結果を用いて、48時間遊泳阻害試験と暴露期間21日の繁殖試験のNOEC、こちらの方を比較をしております。
 甲殻類の場合は相関図を36ぺージに示しておりますけれども、相関係数は0.843と非常に高いことがわかりました。またACRは物質によるばらつきが当然見られるわけですけれども、甲殻類に関しては10以下のところが58と一番多く、50までのところ、100までのところと、比較的大きい数がございますけれども、こういった分布になっております。
 魚類でございますけれども、魚類は37ぺージ目からになります。本資料におきましては、暴露時間やエンドポイント、影響内容に関しまして、慢性毒性の最小値と短期毒性の最小値との関係を示しております。
 分布につきましては39ぺージにございます。こちらの方も先ほどの甲殻類と同様、10以下のところが多くなっております。もちろん50以上のところ、あるいは1,000を超えるようなケースも多く、こういった点においてもその物質に応じて、原則は10としながらも、専門家の方々の御判断によって違う数値を作るということはあり得べしと思っております。
 それと、最後は藻類でございますけれども、Selenastrumを用いた72時間生長阻害試験を実施しており、この半数生長阻害濃度と無影響濃度の関係を見ております。40ぺージに相関図をつけておりますけれども、相関係数が0.964と非常に高く、有意水準も1%で有意な相関が得られております。他方、41ぺージ目に分布図をつけておりますけれども、藻類におけるACRの頻度分布は10以下のところがほとんどでございます。少し展開をしてみて、対数正規分布の形になるということを確認し、その幾何平均値が大体4、約4になるということを確認しておりますので、森田委員の御指摘のとおりということでございます。
 それで、本文にお戻りいただきまして、それではこの結果数字が変わるところがあるのだろうかという点でございますけれども、15ぺージを御覧いただきたいのですが、水質目標値の導出一覧をそこに書いております。全亜鉛に関しましては、先ほど森田委員から御指摘がありましたように、一般海域が20、特別域が10ということで、ここのみ数値が変わってまいります。あとの物質については数値の変更はございません。
 16ぺージに参りまして「環境基準項目等の検討」でございますけれども、亜鉛のところでございます。公共用水域の目標値を超過する地点でございますけれども、淡水域で2,334 地点、これは前回の資料と変更ございません。海域では、一般海域の目標値を超過する地点が 182地点、特別域の目標値を超過する地点が 420地点とございますので、環境基準項目として設定することが妥当ということでございます。
 次のぺージに参りまして、17ぺージでございますけれども、委員の先生方からの御指摘で、[3]カドミウムのところの記述を少し変更しております。検出されている地点もあるということをきちっと書くべしという御意見をいただきましたので、検出されている地点もあるが、目標値が検出下限を下回っているので、既存測定法においては現時点では困難という書きぶりにさせていただいております。
 19ぺージに参りまして、「環境基準項目及び要監視項目」の表でございますけれども、こちらの方も先ほど申し上げたとおり、全亜鉛の海域について10、20という数値に変わっておりますが、要監視項目3項目については数値の変更はございませんでした。
 21ぺージに参りまして、「今後の課題」でございます。最後のパラグラフ(5)でございますけれども、汚染要因に関しても勘案する必要があるという御指摘がございましたので、2行目でございますけれども、「汚染要因や対象項目の特性に応じた」ということで記述をしてございます。
 本文については以上でございます。
 別紙1に「各物質の目標値導出根拠」を書いております。こちらもちょっと大部でございますので、亜鉛について説明をさせていただきます。
 表1は、我が国に生息する有用動植物など、餌生物も含むものを対象として毒性値を整理をしております。毒性値の信頼性の○×のほかに、備考として今回暴露期間が不適だろうというものなどは×をつけておりますので、それを備考に書いております。例えば上から2行目、ニジマスですが、14日間のLC50ということで長過ぎるのではないかという御指摘があり、基準設定に直接は使っておらぬというものでございます。
 それから、3ぺージ目に参りまして「急性慢性毒性比」でございます。(3)ですが、既存の知見で10以外のACRを用いる根拠が得られないことから、魚類及び甲殻類については10を、藻類については4を用いるものとしております。
 また、少し誤解があるようですので、米国EPAによる数字の考え方、2.2 という数字の考え方ですが、暴露期間が短い、いわゆる亜慢性の毒性値を慢性毒性値として分類しているので、本検討での慢性毒性・急性毒性の区分とは同一ではないため、そのまま用いることは適切ではないということを記述しております。
 「目標値案の導出」でございますけれども、水域区分Aで簡単に説明をさせていただきます。
 水域区分Aでは、最終慢性毒性値(魚介類)ですけれども、イワナの慢性毒性値 310μg/Lの1つだけ得られております。1つだけしか得られませんので、種比を用いまして10分の1にした値が31という値になります。
 最終慢性毒性値(餌生物)の方は、ヒラタカゲロウの慢性毒性値が得られており、これが30ということでございます。なお、急性毒性値に関しましては複数信頼できるものが得られております。例えばSelenastrum、Ceriodaphniaなどがございますけれども、基本的にはここでは慢性毒性値から得られたものを最終慢性毒性値として優先的に取り扱うという取組みですので、30μg/Lという数値がそのまま生きてまいります。
 魚介類の31と餌生物の30とほぼ同じ数字でございますけれども、有効数字1桁で四捨五入し、30μg/Lを目標値案とする、そういった考え方にしております。
 また、各物質の測定法でございますけれども、これは前回お示ししたものと特段の変更はありません。
 事務局案の説明については以上でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。前回、一応、第一次報告の(案)としては詳しく御説明をいただいた後、今森田先生の導出法に対するコメント、それからほかの先生からもいただいたコメントも含めまして、修正箇所を中心に改めてもう一度御説明をいただきました。
 さらに御質問がございましたら、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。よろしゅうございましょうか。

○瀬川補佐 すみませんでした。それから前回4月10日の専門委員会で先生方からこういう参考資料が必要だということで御指摘いただいたものにつきましては、参考資料として添付をしております。参考資料の1ぺージめくっていただきまして、参考資料の目次がございますので、その中でまだこういったものがというのがございましたら御指摘をいただければと思います。
 追加をいたしましたものが幾つかございますが、参考7、急性影響、慢性影響の区分の仕方ですとか、参考9、毒性試験結果の評価項目、留意事項、それから導出手順についても少し変えております。それから先ほど御説明いたしました参考12、ACRについて、また諸外国の水生生物の保全に係る環境基準の設定状況につきましても最後につけておりますので、御参照いただければと思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。今の、例えば最後の諸外国の環境基準の設定方法は今回初めてなんですか。これは前にありますよね。今新たに加えたとのはどれとどれですか。前回なくて今回加わったのはどれですか。先生方に新たに見ていただかなくちゃいけない部分というのはあるのでしょうか。今ここでは19の参考資料がありますよね。

○瀬川補佐 上から順番にいきますと、参考7、急性影響、慢性影響についてという区分がございます。これに関しましては既に専門委員会の資料でお出ししたものと同じものでございます。少し用語を変えましたけれども。
 それから参考9、毒性試験結果の評価項目及び留意事項でございますが、こちらの方も第1回の専門委員会に検討会報告をおつけして、その中に記述がございます。それは変えておりません。
 それから参考12、これは先ほど御説明させていただいたACRの資料でございます。

 それから参考15、類型あてはめについてでございますが、これに関しましては本文の部分とほぼ同一の内容ですが、類型あてはめについては多々御質問がありましたので参考資料としております。
 それから参考18でございますけれども、公共用水域における亜鉛の検出状況について、もう少し細かくデータを出した方がいいのではないかという御指摘がございましたので、既存のデータをヒストグラムに直しております。このヒストグラムでございますけれども、基本的にはその前の資料、参考17の検討対象物質の検出状況のデータから起こしております。
 ヒストグラムでございますが、78ぺージにございます。参考資料17におきましては、地方公共団体さんが独自で実施された試験結果などもつけておりますけれども、これは全国の公共用水域の常時監視結果から、各地点ごとの年平均値でございまして、ヒストグラムにしております。
 淡水域につきましては、先ほど申し上げたように 2,334地点超過がございますけれども、上のグラフになりますか、nが約2万あり、検出値は、100を超えるところもございますけれども、かなりな部分は不検出あるいは30以下というところにございます。
 それから海域でございますけれども、全国延べ4,684地点でございます。こちらの方は2つ区分がございますので、それぞれメルクマールを立てておりますけれども、不検出のところが非常に多く、目標値案S、10μg/Lを超えるところと、それから20を超えるところを点線で示しております。
 それから79ぺージの方の「亜鉛の検出原因」ということで、これはアンケート調査結果でございます。亜鉛に関しましては、先生方御指摘のとおり、いろんなところから出てきておりますので、地方公共団体さんに淡水域30、海域10を超えるところで検出原因についてアンケート調査を行っております。調査への回答があった地点のうち、淡水域、海域についてそれぞれ検出原因を書いています。
 淡水域ではその検出原因としては事業場を挙げられるところが一番多うございました。海域ではその事業場をお挙げになられるところが非常に多く、約3割でしたが、もちろんその原因が不明であるところ、あるいは無回答のところもございます。これらに関しましては地方公共団体さんにアンケートを行った結果でございますので、形態やあるいは付近の事業場の排水の状態ですとか、そういったものを調べたものではございません。ですので、これですべてということではございませんけれども、こういったアンケート結果というものもございました、ということで報告させていただきます。

○須藤委員長 そこまででよろしいですか。そうすると新たなデータというのは参考資料の方にも、ちょっと修正というか、表現方法を変えたとか、そういうのはあるけれども、新たなデータを入れたのはない。今のヒストグラムなんかは今回初めて、前もあったですよね、これね。

○瀬川補佐 ヒストグラムの形にしたのは初めてです。もともと常時監視の結果ですとかもすべて公開資料なので、そこまでちょっと詳しいものをつくってなくて申しわけなかったので、ヒストグラムにしております。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、一通り事務局の方から御説明をいただきましたが、具体的には前回から変わったといえば変わったのが、海域の7が10、20になったという部分だけでございます。
 どうぞ、先生方御意見ありましたらお願いいたします。いかがでございましょうか。特に御意見はございませんか。

○高橋委員 先ほど最後に説明いただいたヒストグラムの件ですけれども、79ぺージの排出原因を読むと、事業場さらには下水といういような原因がアンケートから浮かび上がってくるわけで、これは亜鉛というものがかなり人間の生活の中で一般的に使われている物質だということを示しているのだと思うのですね。
 それで、今回の報告書そのものは、生物学的なデータをもとにして報告されていることで特に異論はないのですけれども、やはり欠けているのは、今実態がどうなっているのかというところではないでしょうか。今後の類型のあてはめとか、さらには排水基準の適用といった対策を考える上で、実態がどうなっているかというところがちょっとまだ欠けていると思われます。
 ですから、今のところこういうアンケート調査ぐらいしかその実態はなかなかわかってないわけですけれども、これから一応全国的な実態が明らかになった段階でその類型のあてはめの方法とか、それから排水基準の方法というようなことについて、もう少し従来の考え方によらないで、亜鉛というものが非常に一般的な物質だという特徴を考慮した考え方というものも打ち出していく必要があると思います。

○須藤委員長 ありがとうございました。一応今後の課題の5の中に入る問題で、ここは前回高橋先生から汚染原因のところを少し表現をしてほしいというお話があって、事務局がその文章は入れていただいたわけでございます。
 本日は目標値の設定の議論なんですが、今高橋先生から今後の課題の(5)のことについての要望があったのですけれども、今事務局として何かお答えすることがございますか。きょうは今後の対策についてという議論ではないのですけれども、とりあえずはせっかくのそういう御質問がありましたし、多少時間の余裕もありますので、関心の高い部分でございますので、では仁井課長どうぞお願いします。

○仁井水環境管理課長 もちろん次のステップでございますので、まだ十分私どもとしても検討を深めているという状況ではございません。こういう形で目標が定まればというか、あらかた定まりつつあるという中で、ある程度高濃度の地域を見出し、それに関してどういう要因になっているか、そんな勉強を今しております。
 いずれにしても、環境管理施策をどうやるか、これは中環審の方でまた御議論いただく話でありますが、ここにありますように要因を踏まえ、それから亜鉛というものが非常に広く使われているという、そういうことを踏まえ、対応を考えていくことだろうと思っております。以上でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。多分今具体的にどうというのは、これからの問題なんで、またそういう時点でいろいろ御要望もいただく方がよろしいかなと思いますが、環境基準でございますので、理想的な目標値を定めるということが主体でございますし、それからこれは生活環境項目であるということですね。それからもう1つは類型あてはめがあるということですね。そういうものでありますので、従来の人の健康項目と同じような取扱いというのはなされないであろうと当然私は予想はしているわけでございますので、その問題については今後多分いろいろな方面で検討していただけるだろうし、それから高橋委員のコメントも十分踏まえてくださるだろうと、こう思いますので、きょうのところはちょっと、次の段階なんで、水質目標として妥当であればそれはそのとおりにしたい、こういうように考えております。
 ほかによろしゅうございますか。はい、どうぞ宮崎委員。

○宮崎委員 この環境基準設定の亜鉛についてでございますけれども、先ほど森田委員からも詳しい説明をお聞きいたしまして、その手法については十分理解できるのですが、この資料の別紙1に書いてありますように、慢性毒性に関するデータというのが、海域にしても淡水域にしても非常に少ない。それはなかなか実験が難しいということもあるのだろうと思いますけれども、それに基づいて基準値を出している。もちろん急性と慢性の毒性の比ということを考えているわけですけれども、慢性毒性のデータもまだ1つとか、そういう話であって、しかも急性毒性の比というのも10とか4とかいうように決めておられるわけですけれども、いろいろかなり誤差を含んだような値になるのじゃないかと思うのですね。
 そうしたときに、この今回出されているような数値を基準値として設定するということになってくると、いろいろ誤差を含んだ値でいろいろ問題を起こしかねないというふうに感ずるものですから、理想的にはこの慢性毒性の試験というのを、例えば国なり何なりがもう少しお金を出して、そのデータを集めたり試験を行うというふうなことをやって、その上でこの議論を進めていくという方がいいのではないかというふうに感ずるわけです。
 それから、今もお話がありましたし、また森田委員の説明の中にも書いてありますけれども、亜鉛の場合は必須元素だということが言われていますよね。そこのところは非常に悩ましいところで、ある意味では値が低ければ低いほどよいということにも必ずしもならない。いろいろな生態系の生物の多様性ということを考えると、どのところで決めていけばいいかというところは悩ましいところであると思うのですけれども、そのあたりも十分考慮しないといけないのじゃないかと思うのですね。
 そういう点で、結論的には基準ということでここで決めるということよりも、まず目標値といいますか、指針値ということでやっていって、そしてしばらくその様子を見て議論を進めていって、そして改めてその基準については決めるというふうなやり方でもいいのではないか。私、第1回の会議のときにも申し上げたのですけれども、今回水生生物のこういう基準なり指針値を出すというのは日本では初めてなわけですから、これが1つの最初の例になるわけで、そういう点では非常に慎重に決めて、今までももちろん慎重にやられてきたと思いますけれども、より念を入れてやられた方がいいのじゃないかというふうに考えます。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。
 ほかにコメントがございますでしょうか。はいどうぞ、中館先生お願いいたします。

○中館委員 私の感想ですが、初めてこの様な水生生物の保全という観点から基準値を考えよう、目標値を考えようという事ですので、今まで何回も議論を繰り返してまいりましたけれども、私は以前よりどの様な考え方で、どのようなデータを使ってどのように導出したのかなど絶えず情報をオープンにして、それをもとに水質保全を考えていくのが良いのではないかと発言してまいりました。本日、森田委員から考え方など、かなり詳しい資料が出され、オープンになるということがとても重要だと思っております。
 初めてやることですし、特に私は健康影響の方の専門ですけれども、確かに急性慢性毒性値の導出とか、そういった部分でかなり違いはあることはあるのですが、そういった点を、考え方とかをきちっと出して、それで値を決めていくというのは非常に重要なことではないか、特に森田委員の方からきょう、実際のペーパーを使って、こういう考え方で4にするとかいう詳しい説明もありましたので、このようなことがとても大切であると思っております。
 ですから、初めて決める基準値ですから、パブリックコメントでいろいろな意見を聞いて、それに対して説明をきちっとした上で、うまく運用できるような形になればというふうに思います。
 それで、今の宮崎先生のお話で、もっと慢性のデータを得てからやった方がいいのではないかという考え方もありますが、現時点では現在の考え方で値を設定して、さらにデータが積み重なったときに、そのデータを使って考えていくという手順を踏んだ方が私はいいのではないかというふうに思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。
 そのほか何か御意見ございましょうか。どうぞ若林先生。

○若林委員 一応目標値を導出した者として、Acute Chronic Ratioが変わったということに関して1つだけコメントを言わせていただきたいのですが、今回4にした根拠としては、Selenastrumという生物1種類を使って、それでかなり多くの物質の平均ということでやられていますので、安全係数も全然考慮していない仕組みの中で果たしていいのかなということは1つ疑問には残りますが、1つは基準とする、原則とするということで、各物質についてデータがあればそれを用いるという仕組みになっておりますし、それからあと、亜鉛につきましては、BCFなどを見ましてもそれほど極端に高いということではないので、物質ごとにこれから検討していくということでよろしいというふうに判断を私自身はいたしました。
 それで、今後できるだけ、今御意見にもありましたように、環境省さんの方で慢性の方のデータをとっていただければ、何もAcute Chronic Ratioを使う必要もなくなりますので、特に藻類の試験というのはエンドポイントは同じですので、とれますし、それからデータそのものも、産業界の方はちょっと誤解していらっしゃるようですけれども、すべての文献についてオリジナルに戻ってやっている評価方法でございますので、論文の中でなるべくきちっと読んで、慢性のエンドポイントをつかむような努力もさらに重ねていきたいなというふうに思っております。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 ほかはよろしゅうございますか。はい、どうぞ森田先生。

○森田委員 1つは亜鉛という元素は必須元素であるということをどういうふうに織り込んだらいいかという議論が残っておるので、私なりに考えたのをちょっと御披露いたしますと、もちろん亜鉛は必須元素でありまして、海水、特にオープンオーシャンの場合というのは濃度が薄過ぎて、多分亜鉛deficiencyで藻類が育ちにくいような、そういう感じなのが、多分今カーボンフラックスを海側に持っていくために鉄を撒くという論文がでているのですけれども、恐らく亜鉛をまくのも同じような意味で効果があるのだろうという、そういう状況です。
 ただこれは非常に低いところで働きまして、大体表層水で0.02ppbぐらいで確かに動く。それから亜鉛のdeficiencyを補う意味で、例えばmicro algaeなんかの培養のときに、培地として亜鉛の添加といったものが進められておりまして、そこで用いられているのは大体1.3ppbとか1.4ppbの亜鉛をNutrientとして入れておいた方がよい。したがって亜鉛の欠乏症状がおこるのは多分1ppbを切ったところぐらいから起こっていて、1.何ppbぐらいを入れておけば十分効くというか、deficiencyの問題はそれでないということだろうと思います。
 そういう意味では、今の設定された基準は必要な濃度の10倍とか20倍とか、その辺のところにありますので、まず第1にdeficiencyの方を強調する必要は多分ないと思います。
 それからもう1つは、この種の有害元素というのは蓄積性が問題で、蓄積性が高い、例えばカドミウムの基準というのはどうしても低い数字の方へやらざるを得なくなってくるのは蓄積性の問題でもあるのですね。この部分は亜鉛は必須元素でありますので蓄積性がほとんどありません。排泄をしたり、そういう能力はかなりある。したがって、今のところ10倍という安全係数というか、急性毒性の10倍ぐらいのところに設定されているところにその分追い込まれている。恐らく蓄積性のもっと高い重金属あるいは残留性の強い有機塩素系の化合物、そういったものは10じゃ足りなくて、100倍とか1,000倍ということが多分起こり得るのだろう。それは多分専門家の判断でつけ加えていただきたい。こんな感じです。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。必須元素の点については私も全く同感でございまして、要するに必須元素であるから、微量は必要なんだけれども、今の環境、ここで出している目標値というのはそれを大幅に超えているわけですから、それはもう阻害に働くということで、それは当然な議論かと思います。
 ほかによろしいですか。――それでは、環境基準というのは科学的知見を踏まえて策定する、それと当然いろいろ汚染の状況等を考慮して決めるわけでございますが、両者を見ても、私自身もいろいろ環境基準の策定にかかわってきましたが、今の亜鉛については十分な科学的知見を踏まえている、こう判断もできると思います。宮崎先生からもう少し慢性毒性のというお話もあったのですが、それはまたそういうデータが出てくればもう一回それを見直すということも環境基準の策定の中ではできるわけでございまして、この段階で亜鉛を環境基準に、ここで決めるわけじゃございませんが、環境基準としての基準値として提案ができるということは、まあ大方の意見であろうかと、こう思いますし、森田先生の先ほどの説明は極めて科学的知見を踏まえたと、こういうふうに判断もできるだろうと、こう思います。
 ということで、よろしゅうございますか。まだ御異議もあろうかと思いますし、それから今後のことについてはさらにそれはまた別の機会で御議論いただくということになろうかと思います。
 それでは、全体的にまだ言い残された点がございますでしょうか。一応私はきょうの議論を取りまとめさせていただいたのですが、さらに全体的に何か言い残された点がございますでしょうか。
 それでは事務局の方で今後の取扱いについてどうされるのか、御説明ください。

○瀬川補佐 本日の御議論をいただきましたので、事務局の方で本報告(案)をもちましてパブリックコメントにかけさせていただきたいと思っております。
 国民の皆様の御意見をお伺いした上で、本専門委員会の最終報告(案)という形にさせていただきたい。最終報告(案)に関しましては次回の専門委員会において御議論いただきたいというふうに考えております。

○須藤委員長 よろしゅうございますか。先ほどの方向性については御確認をいただきましたし、修正箇所というのは今の原案については多分私はないだろうと判断をしております。このままパブリックコメントの(案)としてよろしゅうございましょうか。それでは事務局の方で何かまださらに追加がございますでしょうか。これをパブリックコメントにかけてください。お願いいたします。

○瀬川補佐 あとはスケジュールの件なのでございますが、次回に関しましては、パブリックコメント終了後、6月中~下旬ということを目途に開催させていただきたいと思います。委員の先生方の御日程の方をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、当委員会の運営方針で議事録を作成し、公表することとなっております。後日事務局から議事録案を作成して各先生方にお送りいたしますので、御発言内容について御確認いただくようにお願いいたします。

○須藤委員長 それ以後もう一度この委員会をやる、そうですね。

○瀬川主査 パブリックコメントの内容を取りまとめまして、専門委員会をもう一度開催させていただき、まとまった上で部会の方に御報告という形になります。

○須藤委員長 わかりました。それでは再度お集まりいただくということでございます。その間についても、先生方には事務局にいろいろ御指導、御鞭撻あるいは御質問があろうかとも思いますが、その節はどうぞよろしくお願いいたします。
 では、本日はこれをもって専門委員会を終了させていただきます。どうもお疲れさまでございました。

午前11時07分閉会

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