中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会(第1回)議事録

日時

平成14年12月12日開催

場所

環境省環境管理局水環境部企画課

議事次第

1. 開会
2. 議事
  (1)水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(諮問)
  (2)水生生物の保全に係る環境基準等の検討の背景について
  (3)水生生物の保全に係る環境基準等の考え方について
  (4)その他
3. 閉会
  

配布資料

  資料1 中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会名簿
  資料2 中央環境審議会水環境部会及び専門委員会の運営方針について
  資料3 水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(諮問)
  資料4 検討事項及びスケジュールについて
  資料5 検討の背景等
    ・環境基準等の必要性に係る国内外の指摘
・諸外国の状況
・化学物質の水生生物への影響
  資料6 物質選定の考え方
  資料7 基準値設定のための文献検索対象生物
  資料8 基準値設定手順
  資料9 検討会報告に示された水質目標値
  資料10 水生生物の保全に係る水質環境基準の枠組み
  

議事録

午前 10時00分開会

○尾川総括 それでは、まだ大塚先生がお見えになりませんけれども、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第1回水生生物保全環境基準専門委員会を開催させていただきます。
 本日は、委員11名のうち9名の委員の方々に出席いただいておりますので、既に委員会開催の要件を満たしておるものでございます。
 議事に先立ちまして、石原水環境部長から御挨拶申し上げます。

○石原水環境部長 おはようございます。本日は、御多用中のところ御出席を賜りまして大変ありがとうございます。
 本日は、議題にもございますように水生生物の観点からの環境基準の設定についてお願いしたいと考えております。
 水生生物の保全の観点からの環境基準の水質目標につきましては、私から申すまでもなく、環境基本計画あるいは中央環境審議会のこれまでの環境基準の審議の際の今後の課題としても位置づけられております。またOECDのレビューの中でも、水生生物や生態系に着目した水質目標が必要という指摘もあるところでございます。
 こうした、水生生物に着目した水質環境基準の重要性ということに鑑みまして、かれこれ4年程になりますが、検討をさせていただきました。この8月には須藤先生に座長をお願いして報告書もまとめさせていただいたところでございます。それを受けまして、さらに環境基準としての御審議をお願いしたいと思っております。
 皆様方には、大変恐縮ではございますけれども、水生生物の保全という新たな観点からの環境基準の設定につきまして御審議をお願いしたいと考えております。
 よろしくお願いいたします。

○尾川総括 去る11月29日に開催されました中央環境審議会水環境部会におきまして、この水生生物保全環境基準専門委員会が設置されたものでございます。本日が第1回の委員会でございますので、簡単に私の方から御紹介をさせていただきます。
 私の左手の方でございますけれども、小倉委員でございます。
 小山委員でございます。
 篠原委員でございます。
 高橋委員でございます。
 須藤委員でございます。
 中舘委員でございます。
 宮崎委員でございます。
 森田委員でございます。
 若林委員でございます。

○石原部長 石原でございます。よろしくお願いいたします。

○企画課長 企画課長の盛山でございます。よろしくお願いいたします。

○水環境管理課長 水環境管理課長の仁井でございます。

○尾川総括 次に議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきたいと思います。御手元にございますけれども、議事次第、資料番号が1から10まで、それぞれございます。それから別に横長で資料7、参考というものをお配りしております。もし過不足がございましたら、議事の途中でも御案内いただければと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 11月29日に開催されました水環境部会におきまして、本専門委員会の委員長は須藤先生にお願いすることとなっております。
 それでは、以下の進行は須藤委員長にお願いいたします。

○須藤委員長 それでは、ただいまお話がございましたように、本専門委員会の委員長を務めさせていただきます須藤でございます。御指名でございますので、議事進行を務めさせていただきます。
 先生方、また事務局の皆様、及び一般の傍聴者の皆様には、大変御多忙の中を御出席をいただきまして、どうもありがとうございます。
 まず、それでは、当委員会の運営方針について私の方から一言お話をさせていただきたいと思います。
 中央環境審議会に置かれる各部会及び専門委員会の審議の方針については、中央環境審議会総会の決定により、各部会の部会長が定めることになっております。
 昨年9月に開かれました水環境部会におきまして部会の運営方針とあわせ、専門委員会の運営方針について決定されており、11月29日に開かれました水環境部会において水生生物保全環境基準専門委員会の設置が決定されておりますので、これについて、事務局から、まず御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。

○尾川総括 それでは、資料2をご覧いただきたいと思います。
 資料2が、今、須藤委員長からお話のありました昨年9月に水環境部会長決定がされました中央環境審議会の水環境部会の専門委員会の運営方針でございます。運営方針でございますけれども、後ろの方に中央環境審議会全体の議事運営規則、あるいは総会決定がございますけれども、御説明は省かせていただきます。
 まず、1の会議の公開及び出席者についてでございますけれども、中央環境審議会は総会決定によりまして、会議は原則として公開としております。ただ、公開することによって、議事に支障ある場合に限りまして非公開ということになってございまして、非公開の理由を部会長が明らかにするということになってございます。
 それから、2の会議録でございます。会議録も総会決定がございまして、会議録を調製することにしており、その調製に当たりましては、その会議に御出席いただいた委員の先生方から明示の了承を得るということで、了承を得た後に、原則として次回の会議において公開ということでございます。ただし、ちょっと時間があくような場合には適宜、次回の開催前に了承をいただきまして公開、という方針でございます。
 それから、会議録でございますけれども、会議録には発言者の御名前を明記させていただいております。
 それから、公開した会議録以外の会議録というものがございますが、公開することによって特に内容に問題があることがございますけれども、その場合は委員以外の方は閲覧ができません。
 それから、会議録のほか、総会決定に基づきまして簡単な議事要旨を作成することになっております。これは事務局において作成いたしまして、部会長の御確認を得て公開するということでございます。
 資料でございますが、本日も資料をお配りしてございますけれども、これも原則公開という考え方でございまして、公開することによって、特に審議に著しい支障を及ぼすおそれがないもの以外は公開ということでございます。ただ、非公開の資料というものも出てまいることがございますけれども、その場合、委員限りである旨を明記して、非公開の扱いでございます。本日の資料も、この会議の終了後、公開でございます。
 一番下に準ずる規定が書いてございますけれども、中に書いてございますルールはそのまま専門委員会に適用されますので、それをもちまして運営方針でございます。
 めくっていただきますと、これも先ほど須藤先生からお話しいただきましたけれども、2ページ目に、去る11月29日の水環境部会で設置が決定されました本専門委員会につきまして掲載されてございます。下線がついてございますけれども、この下線部、1(5)、それから、6が追加になりまして、本専門委員会につきましては、水質汚濁に係る水生生物の保全に関する環境基準の設定及び改定に関する専門的事項を調査していただくことになるということでございます。
 私の説明は以上でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 ただいま当専門委員会の運営方針について御説明をいただきました。何か御質問ございますでしょうか。
 これは従来の部会の専門委員会と同じでございますので、よろしゅうございますね。
 それでは、この運営方針に従って運営をさせていただきます。どうぞよろしく御配慮いただきたいと思います。
 本日の議事はその他まで含めまして4課題ございます。時間は12時までということになっておりますので、円滑に議事を進めさせていただきたいと思いますので、どうぞ御協力のほど、よろしくお願いをいたします。
 それでは、議題1から入ります。環境大臣より「水生生物保全に係る水質環境基準の設定について」という諮問がありまして、これを受けての本委員会の審議を行うということでございますので、事務局から諮問の趣旨について御説明をお願いいたします。

○企画課長 それでは、資料3をお手元に開いていただけますでしょうか。部長の挨拶もございましたけれど、11月12日付で環境大臣より中央環境審議会に対しまして水生生物の保全に係る水質環境基準の設定についてということで、審議会の意見を求めるという諮問がなされております。諮問理由については、そこに書いてあるとおりでございますので割愛をさせていただきます。
 裏のページに中環審の会長から水部会に対しての付議の写しがございます。11月12日の大臣の諮問と同日付で水部会に付議をしたということになっております。先ほど説明にもありましたが、11月29日の部会で、本日お集まりいただきました専門委員会を設置して、きょう専門委員会の1回目ということになった次第でございます。
 次に、その下の資料4をお開きいただけますでしょうか。検討事項についてということで、大きく6つほど、「はじめに」以下、事項について書いてございます。
 恐縮ですが、裏をめくっていただきますとタイムスケジュールがございますので、こちらの方で御説明したいと思います。11月29日に部会がございまして、本日、第1回の専門委員会ということでございます。本日は基準の考え方その他について、御説明あるいはディスカッションしていただければと思っております。一番左の欄でございますが、「はじめに」から3つぐらいございますけれども、これは、これまでに議論をしてまいったことのおさらいといったようなところでもございますが、水生生物の保全についての環境管理施策の必要性ですとか、これまでの検討状況、化学物質の水生生物への影響といったようなところ、このあと、諸外国の状況等も含めまして御説明をさせていただきます。
 そして、その次に、水生生物保全についての環境基準の考え方ということで、制度的な枠組み、あるいはどういう集団でやるかといったプライオリティづけ、こういったことについて御説明させていただきます。
 そして3点目が、個別項目ごとの研究結果ということで、基準値の案について、9物質についてどのように評価をしていくかといったようなところ、こういうところを今回の専門委員会では主に御説明をし、御審議いただければと考えております。
 第2回、第3回と日程の方は押さえさせていただいておりますので、恐縮でございますが、1月30日、第2回ということで、今回の第1回のものを受けまして、その引き続きの審議、あるいは基準項目の測定法ですとか、モニタリングについて第2回目、そして課題についての整理をし、第3回、2月21日ということで、引き続きそれについてまとめて、報告案を少しまとめていく。そして2月末に部会を押さえておりますので、そこで経過報告、そして第4回、4月ぐらいをめどに開きたいと思っておりますが、報告案の審議をして、5月めどの部会での答申、こういう段取りで御審議をいただければと、このように考えております。

○須藤委員長 企画課長、どうもありがとうございました。
 ただいま本委員会の、何をやるかということについて、御説明をいただいたわけでございまして、諮問答申ということで、この専門委員会の討論の成果は、まず部会に報告しして、それから部会から答申をする、こういう手続になるわけで、私どもの、この専門委員会については、きょうを含めて、審議自身は3回やって、それからもう1回、専門委員会のまとめを部会に中間報告した後、もう1回やる、こういうことになっておるわけでございます。
 ただいまの御説明で何か御質問なり御意見がございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。
 ここで、これではいけませんと言われても、進行できなくなるわけでございますので、一応これが前提で、次の議題に進めさせていただきたいと思います。
 それでは、議題の2でございます。水生生物の保全に係るる環境基準等の検討の背景についてということで、次の3との関係がございますけれども、ここでは分けて、まず議題の2をやらせていただきます。先程の11月29日の水環境部会におきまして、この専門委員会を立ち上げるに際しまして、かなり専門委員会の審議のあり方についていろいろ御要望もいただいております。説明の中では、重要な部分だけ、こういう御意見があったということは、少し御説明の中でおっしゃっていただいた方が、この専門委員と部会の委員と重なっていらっしゃる方もおられますけれども、そうでない方もおられるので、かなりの御意見がございました。私は、全体的には、この中に取り込めるという理解をしておりましたけれども、随所で、もし必要であれば、事務局の方からそれをあわせて説明してください。こういう御意見があったということだけ、お願いいたします。

○瀬川補佐 それでは、まず資料5に基づきまして、検討の背景について説明をさせていただきます。
 部会での先生方の御指摘につきましては、資料の順に関連するところで簡単に触れさせていただきたいと思います。
 さて、検討の背景でございますけれども、3つの点についてまとめております。1つは我が国における水生生物の保全に係る調査検討の状況ということで、これまでに我が国の環境政策における水生生物の保全に関する水質目標の必要性に関する指摘ですとか、あるいは検討状況についてまとめたもの、そして、2番目が諸外国における設定状況、3番目が化学物質の水生生物への影響ということでまとめております。
 また、我が国における水生生物の保全に係る水質目標の必要性に関する指摘ですが、資料5の6ページの方をお願いいたします。6ページは環境基本計画の抜粋でございます。平成12年12月17日に総理府告示いたしました環境基本計画でございますが、下から3行目から始まっておりますけれども、流域の視点から見た水環境の保全の中で、水生生物への影響にも留意した環境基準等の目標について、調査検討を推進するということで、この必要性がうたわれております。
 続きまして、資料5の7ページでございますけれども、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の項目追加等について、平成5年1月に御審議いただいた答申の抜粋でございます。このときには、約15項目の追加を御審議いただいたわけですが、その際の今後の課題として、下から3行目からでございますけれども、化学物質による水生生物等への影響の防止といった新たな観点からの環境基準の設定の考え方は、既に米国等においても取り入れられており、我が国においても早急に検討していく必要があるという指摘をされております。
 2ページめくっていただきまして10ページ目になります。これは本年1月に開催されましたOECDの日本の環境保全レビューの抜粋となっております。10ページ目から水に関するものでございまして、下線部については事務局の方で振っております。2点、関連しているところがございまして、最初の下線部は、人の健康及び生態系に有害な物質の管理を強化すること。排水規制、農薬規制及び地下水保全を通じてということでございます。2点目でございますけれども、生態系保全に関する水質目標を導入すること。この2点で、水に関連する勧告になっております。
 次のページにまいりまして、11ページ目が化学物質管理に関する勧告でございます。1つ目の勧告項目でございますけれども、化学物質管理の効果及び効率をさらに向上させるとともに、生態系保全を含むよう規制の範囲をさらに拡大することという指摘をいただいております。
 これらは、主に化学物質の指摘であり、このため私どもの方では、水生生物保全のための水質目標の検討ということを進めてまいりました。また、関連する事項として12ページをご覧いただきたいんですが、中央環境審議会環境保健部会におきましても、化学物質審査規制制度を論じるに当たり、環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査及び規制のあり方について検討が進められております。
 検討スケジュールでございますけれども、ちょうど第3回まで終了し、第4回、来週でございますけれども、答申案の中間まとめがなされ、追って答申として取りまとめる予定ということになっております。本件に関しては、化学物質審査管理に関する制度でございますので、環境省のみならず経済産業省及び厚生労働省の専門委員会及び小委員会との合同会合で進められております。
 また、農薬に関しましても、中央環境審議会に設置されました土壌農薬部会において、水産動植物の毒性に係る農薬登録保留基準として環境大臣が定める基準の設定について、検討が進められております。
 諸外国の制度については割愛させていただきますが、表紙のページに書きました5か国に関しましては、いずれも水生生物の保全にかかる環境基準あるいは水質クライテリアといったものが定まっております。
 13ページにまとめておりますのが、化学物質の水生生物の影響の中で水質汚濁等による突発的な漁業被害の発生状況でございます。この経過次第は事細かく申し上げてありませんけれども、水産庁さんが毎年出しておられます水質汚濁等による突発的漁業被害発生の報告書の内容をまとめたものでございます。合計で99件ございまして、それぞれ工場排水、農薬、あるいはコンクリート関連排水などによって、アマゴ、アユ、イワナといった魚に影響が見られたものということでカウントしております。
 次のページから14ページ、15ページ、16ページが、平成13年度に環境省が宮城県に委託いたしまして実施した水生生物の生息状況と、亜鉛、銅、カドミウムといった金属類その他農薬濃度の関係でございます。
 地図に落としたものが15ページからになります。地図に落としたもので、ちょっと見づらいんですけれども、濃い線でつなげてあるものが河川になります。河川で幾つかのポイントに環境基準点及び測定点を置きまして、亜鉛濃度と調査地点濃度の底生動物の総個体数や出現種の個体数を見ております。
 ここで注目すべきなのは、ちょうど真ん中ぐらいにありますNo.2の鍛治屋橋とNo.3の細倉駅下流でございます。この地図にはスケールが入っていないのですが、距離にして大体3kmぐらいでございます。No.3の細倉駅下流のところでは、総個体数が46、しかも出現する底生動物が、ユスリカという比較的汚染のあるところでも生息する生物しか見られないのに対し、No.2の鍛治屋橋の方では総個体数で 2,003ですが、トビケラ、カゲロウといった比較的清流に住む底生生物が見られます。亜鉛濃度を比較いたしますと、先ほどの細倉駅下流につきましては 1.7mg/L、鍛治屋橋については0.05mg/L以下となっております。
 この2つの河川が合流いたしまして直後、No.5の豊後橋のところのデータもございますが、 1,481の総個体数があり、見られる動物の出現種に対しましてもトビケラやユスリカが見られるような形になっておりますが、亜鉛濃度については、ちょうど中間程度、0.73mg/L以下になっております。
 次のページ、16ページでございますが、先ほどのは総個体数でございましたが、こちらの方は総湿重量で見ております。こちらですと、先ほどのNo.3の細倉駅とNo.2の鍛治屋橋との差がかなり開いてくるのかなと思います。
 こういったように、表紙に戻りますけれども化学物質の水生生物への影響に関しましても、幾つかデータあるいは室内実験でも似たようなものが見られており、私どもとしては水質環境基準の設定に向けた検討をする時期に来ているというふうに考えております。
 検討の背景は以上でございます。

○須藤委員長 御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの検討の背景について水生生物の環境基準を設定することが妥当であるということの根拠を、幾つかの例を挙げて御説明をいただきましたので、ここで何か御質問なり御意見がございますでしょうか。よろしくお願いします。
 どうぞ、森田先生から。

○森田委員 検討をする、あるいはこういうのを設定する時期に来ていることは間違いないと思いますけれども、多分、この種の仕事の中で、基準というものを考えるときに、それは一体、どういうふうに使われる基準なのかというのは、いろいろな方が聞きたいと思っていらっしゃると思うんですね。それは、まず、生活環境項目の中の1つとして位置づけられる基準であって、それから、そこまでは、そういったことで、例えば排水基準みたいなものとつながるものなのか、つながらないものなのか、それから「基準」という言葉、ヨーロッパとアメリカなんかでも「スタンダード」という言葉と「クライテリア」というこ言葉を、微妙にその局面で使い分けていることになりますが、その使い方に、その言葉の意味を持たせているのだと思います。これからやる作業というのはどういうところを念頭に置いてやるのかとういうのを、少しはクリアしておいた方がいいかなと思います。
 それから、あわせてでありますけれども、かつて水生生物の保全に関わるものとして指針値を出したケースがありまして、これは有機スズの海水の指針値を、当時10ppt という数字を出した経緯がありますが、そのときの言葉としては「基準」でもなく、「目標値」でもなく、「指針値」という言葉を使ったんです。そういった今までのものとのつながりを含めまして、今回の基準というのはどういう性格か少し明らかにした方が良いと思います。

○須藤委員長 森田先生、大変貴重なコメントをいただいているんですが、多分、この問題、議題3のところで議論するようになるのかと思いますが、恐らく、このような御質問というのが結構あると思うんですね。それで、いかがでしょうか、事前には一つ一つの資料ごとに御説明いただいて、御質問ということになっているんだけれども、ちょっと全体像を先生方にわかっていただいた方がいいので、資料を先に御説明いただいて、それで森田先生のお話はその中に出てくるはずなんですが、いかがでしょうか、そのように変えていいですか。1つ1つだと、今のように将来どういうふうにこれにつながるんですかという御質問になってときに、それは次に出て来ますでは、余り議論にならないので、順番に資料9までございますので、それをさっと、それは皆さん方の予定どおり御説明いただいて、それで今のような御意見をいただいて、総合的にやっていった方が、矛盾がないと思いますので、事務局、それがよろしければ、私、そういうように議事を変更いたしますが、よろしいですか。ですから、議題3も同時に、順番に御説明いただいて、そしてそれぞれ今のような質問はあらかじめ説明していただく。森田先生のは、ここではお答えするのはちょっと待っていただいて、それが終わってから、今の御質問に応じていただきますか。
 ということで、これを1つ1つやっていると、多分、こういう疑問になると思うので、資料を議事の3の環境基準の考え方についてを、順番に御説明いただいて、それで、先生方、全体像の中で御質問いただいた方がよろしいかと思います。質問は、資料ごとに御質問いただくということをしますので、全体像をお聞かせいただいた方がよろしいと思います。
 それでは、申しわけございませんけれども、順番に、次の資料、物質選定の考え方、御予定になっている順番で、どうぞお願いいたします。

○瀬川補佐 それでは、引き続き資料6について説明をさせていただきます。
 物質選定の考え方でございます。この専門委員会の検討を始めるに当たりまして、これまでの私どもの方でまとめておりました委託先の検討会の報告、あるいは水環境部長の諮問機関の検討会報告でも、物質選定の考え方についてまとめておりましたので、それを御紹介しつつ、新たにスクリーニングをする場合のクライテリアについて御意見をいただければと思っております。
 平成12年12月に水生生物の保全に係る水質目標について中間報告というもので、水生生物への影響が懸念され、優先的に検討すべき化学物質を81物質選定しております。また、平成14年8月に公表されました検討会報告におきましては、81物質の中から、81物質について1年で検討を終わらせるということは難しかったものですから、81物質の中から環境中濃度が既存文献の急性毒性値を既に上回っているような物質、それから、環境省環境保健部において実施しております生態リスク初期評価で詳細な評価を行う候補とされた物質を中心に26物質を選定し、9物質については水質目標値の導出をしたところでございます。
 この優先検討物質をスクリーニングの際に利用した情報というのは、平成12年段階のものでございますので、その後、私どもで調査をいたしました要調査項目結果、あるいは地方自治体での水質調査に関しましてアンケート調査を行って、データを集めております環境濃度レベルについての知見については、平成12年よりもかなり充実したのではないかと思っております。また、この冬、年末目途というふうにお伺いしておりますけれども、PRTR制度に基づく排出量に関する情報が得られる予定であり、また、先の検討会におきましても、急性・慢性毒性の分類などについて、省内でも整理を行ったというところでございます。また、検討会報告におきましても、優先検討物質について、使用実態等を勘案して、随時見直す必要があるという御指摘をいただいております。
 本稿では、12年12月のスクリーニングの際の考え方をもとに、変更点をお示しさせていただき、このくらいでよろしければ、今後の検討を、優先検討物質について、再度検討しようと思っております。
 2ページ目からが優先検討物質のスクリーニングの考え方でございます。これが平成12年12月に公表された段階のものでございます。水生生物への影響が懸念される物質というのは、まず有害性があること、そして暴露の可能性が高いことと考えられます。このため、2ページの下の四角の中に書いておりますけれども、現段階の知見として、水生生物、あるいは生態毒性という観点で、あるいは使用の毒性という観点で、法令によって規制が行われている物質。次は有害である可能性が考えられる物質。専門家による知見などによる判断も考えていくと思いますが、有害性と考えられる物質と、それから水生生物が継続して暴露する可能性の高い物質、製造、生産、使用、輸入量の多い物質、あるいは水環境中において検出されている物質についてリストが母集団としております。具体的な検討対象が確定してからになりますが、検討対象物質を母集団として、国内外の法律に基づく規制対象物質として、日本国内のものに関しましては、環境基本法の水質環境基準項目、水質汚濁防止法の排水基準項目、要監視項目、要調査項目、PRTR対象物質、水産用水基準、農薬取締法の水質汚濁性農薬などをピックアップいたしました。
 また、諸外国の水生生物の基準でございますけれども、アメリカは水生生物クライテリア、英国水質環境基準、カナダ水生生物ガイドライン、オーストラリア水生生物クライテリアなどからなっております。
 クライテリアというふうにアメリカが使っておりますもの、あるいはガイドラインという形でカナダが使っておりますものですが、米国連邦政府におきましては、環境基準の設定は州ごと、あるいは部族ごとになっております。このため、環境基準の設定につきましては各州に委ねられているところなんですが、連邦政府の側は、環境基準を設定するための数値の考え方について、クライテリアという形で示しております。クライテリアに関しましては、数字だけではございませんで、その設定にかかる考え方、毒性評価の考え方、あるいは統計書類の考え方について示しており、またアメリカに関しましては、州の環境基準設定担当者のためのトレーニングコースを設けて、このクライテリアの考え方を徹底させるということをしておられるそうです。
 英国水質環境基準に関しましては、排水基準なども伴うケースのある環境基準でございますが、これは地域によって項目についての差があるようでございます。
 水生生物が継続して暴露される可能性の高い物質としては、製造、生産、使用、輸入量の多い物質として高生産量物質、あるいは統計資料から判断をしております。
 水環境中において検出されている物質については、モニタリング調査の中で検出されている物質をピックアップしております。
 特殊項目とありますのは、環境基準設定物質ではございませんけれども、自治体さんの方で常時監視でデータをとっておられるものでございます。
 要調査項目、黒本調査、内分泌撹乱化学物質実態調査、その他自治体等で独自に実施している調査でございます。
 3番目からがスクリーニングでございますけれども、母集団をもとに、化学物質について、優先物質とするかというスクリーニングをしています。
 水環境中の環境濃度が水生生物への影響の懸念される程度のレベルにあるもの、人の健康の保護のための水質レベルよりも厳しいもの、また、PRTR法の第一種指定化学物質のうちで、生態毒性クラスが1または2、環境排出量が、当時でございますのでパイロット事業の結果でございますけれども、環境排出量が 100kg/年以上の物質でございました。
 それでは、[1]に関しましてですが、どのように勘案したかでございますけれども、スクリーニングの時点では、個別の毒性評価の結果を、個々に当たったりはいたしませんで、ある程度安全性を考慮した毒性仮設定値というものを設定し、環境濃度と比べております。
 やり方ですけれども、アメリカEPAの持っておりましたAQUIRE、水生生物毒性情報検索システム、あるいは水産用水基準などを用いまして、5ページになりますけれども、log Kow の数値を用いて係数を設定し、機械的に出しております。また、AQUIRE及び水産用水基準などの毒性情報でございますけれども、スクリーニングの対象とした生物に関しては、検索は原則として属名を用い、サケ属などにつきましては、種名を用いて検索をしております。
 6ページ目からは、それでは、新規にスクリーニングする際の考え方でございまして、変更事項のみここに示しております。
 まず、考え方といたしましては、81の物質のうち26物質については、既に毒性評価等、終了いたしておりますので、残りの55物質と、さらにほかに該当すべき対象があるという観点でスクリーニングをしようと思っております。
 まず、モニタリング調査結果でございますが、中間報告においては、昭和45年以降に得られたデータなどについて勘案しているのですが、他方、むしろ最近のデータについて勘案すべき意見もございまして、新規スクリーニングに当たっては、ある程度、年次をそろえるということで考えております。
 他方、公共用水域の水質測定調査結果につきましては、当時平成10年度、単年度だけのデータを使っておりましたので、10年度から12年度のデータ、平成13年度のデータも可能であれば使ってはどうかと思っております。
 それから、(2)でございますけれども、PRTR調査結果の活用でございます。中間報告では、PRTR法第一種指定化学物質のうちで、生態毒性クラスが1あるいは2の物質で、パイロット調査結果により、環境排出量が 100kg/年以上の物質をスクリーニングしております。
 他方、PRTR法に基づく公共用水域への排出量につきましては、この冬に公表される予定ですので、このスクリーニングのための情報として対処してはどうかと考えております。
 7ページに参りまして、(3)と(4)でございます。(3)に関しましては、ちょっと毛色の違う話なんでございますけれども、81の物質の際には、化合物についての考え方が整理しきれていないという御指摘をいただいております。特にシアン化合物や金属類でございます。金属類などは、毒性試験に関しては、何らかの化合物を使い、それを金属の重量に換算して使っているところ、これらの物質を個別に取り扱ってはどうかという動きがございます。
 また、毒性試験の分類に関しましても、私ども環境保健部で実施しております急性毒性、慢性毒性の整理の仕方でやってはどうかと考えております。
 ちょっと飛びまして9ページ目に、今申し上げた見直し案と中間報告の対比を示しております。変更する点が大きくは4つございます。2)水環境中において検出されている物質というところは、モニタリングデータを新しいものに置きかえるということ、それから、(2)1)毒性データ収集に用いたデータベースでございますけれども、AQUIREの最新データ、それから、水産用水基準に関しましても2000年版をお出しになっておられますので、これで用いられている毒性データ、それから、2)毒性値に関しましても、環境保健部で整理をしたものと同じ、また、5)選定条件でございますけれども、PRTRの運用のみ公共用水域への排出量が多い物質、仮置きで 100kg/年としておりますけれども、若干、排出量としては小さ過ぎるかもしれません。PRTRデータが出てきてみないと、ちょっとよくわからないのですが、かなりたくさんスクリーニングに残ることになるかもしれません。
 1ページ戻っていただきまして、8ページ目でございますが、先ほど、森田委員からも御指摘をいただきました指針値などの関係でございます。「水生生物保全環境基準設定までの流れ」とあるんですが、優先検討物質のリストアップを、この資料6に基づいてやりました後、既存の毒性評価結果を評価をいたします。信頼できる毒性評価結果があるかということですけれども、ないとなりましたら、毒性評価試験を実施する、あるいは定期的に新規文献を検索するなりして、情報の更新に努めてまいりますが、信頼できる毒性評価結果がある場合は、水質目標値を、まず導出してみる。これと環境中の検出状況との比較をいたします。
 環境中の検出状況については、もちろんモニタリング結果がない場合にはモニタリングをすることになると思います。
 水環境中濃度が目標値を超過しているか、あるいはその蓋然性が高いかによって、環境基準などを設定し、環境管理につながっていくものと思います。
 それで、現時点で超過あるいは蓋然性がない場合に関しては、現時点では環境基準などへの位置づけはしない。水質目標値は、さまざまなモニタリングをした際の検出値の判定基準として活用していく。有機スズなどの指針値、あるいは法的な環境管理施策も直接的に実施されないようなケースは、これに似ているのではないかと個人的には思います。
 それから、環境管理の考え方ですけれども、モニタリング排出管理といいますが、こういう形で選定いたします物質によって、環境への排出形態というのはさまざまであり、工場の排水に含まれているようなものであり、水質汚濁防止法の排水基準になじむものであれば、そういった管理というのも考えられると思いますが、施策のツールとしては、それだけではないのではないかと思っております。
 資料6については以上でございます。

○須藤委員長 続いて、順番に、資料7を御説明ください。

○瀬川補佐 資料7でございますけれども、基準値設定のための文献検索対象生物の範囲でございます。8月29日の水環境部会で御指摘があったことなのですが、保全対象生物と文献検索の対象生物の範囲というのが、やや混同されているのではないかという御指摘でございます。水生生物の保全の観点からの環境基準の設定に当たって、水生生物の保全の観点からの水質環境基準というものは、人の健康保護に関連するものではないので、生活環境保全に関する環境基準として設定するということが考えられますけれども、この場合の保全対象というのは、生活環境の範囲内にあるものとなりましょう。環境基本法においては、生活環境の範囲は、人の生活に密接に関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む、とされておりますけれども、その範囲はつまびらかではございません。また、水生生物の中には、駆除の対象となっているような動植物もあり、すべての水生生物について保全対象とすべきか否かについては議論があるところと思われます。
 一方、環境基準というものは、維持すべき目標として数値基準を伴うものでありますので、その基準値設定のためには、ある範囲の生物についての毒性評価文献を収集し、その文献の信頼性を評価し、基準値を導出する必要がございます。
 平成14年8月に公表された検討会報告におきましては、主要魚介類と、その餌生物ということで毒性評価文献を収集しております。主要魚介類は、我が国で漁獲量の多い魚介類、餌生物は主要魚介類の餌生物ですが、実際には生活史のある段階で主要魚介類の餌となるような可能性が否めないもので、実際には、魚類を除くすべての生物を餌生物として、文献検索の対象としております。
 次のページに参りまして、毒性評価の信頼性の判断でございますけれども、毒性評価の信頼性の判断を行う際に、当該毒性試験がテストガイドラインに即しているかどうかというのが大きな判断基準になってまいります。他方、現時点ではOECDのテストガイドラインが定められている水生生物は、藻類、甲殻類、魚類などであり、両生類などについては定められておりません。
 また、化学物質の生物間の濃縮などを考慮しました、系としての関連性を数値であらわした知見は非常に少なく、この観点からの数値基準の検討は、現時点では困難と思われます。
 それでは、当該文献検索の結果、どの程度、我が国の漁獲量及び毒性の条件にあっているのかということを、若干、検証のような形でしております。
 皆様方のお手元に、資料7の参考ということで、別途、置かせていただいております。「資料7参考」と書いてあります1枚目でございますけれども、漁獲対象生物全体に対する主要魚介類の占める割合でございます。主要魚介類選定というのは、漁獲量が上位20位以内の生物、養殖・放流されている生物でございますけれども、この淡水域、海域、それぞれにおける漁獲量が、それぞれ95%以上となっております。
 それから、2枚目の方でございますけれども、目標値設定に用いた生物の属と我が国に生息する生物の属との関係でございます。生物分類の考え方でございますが、生物の化学物質に関する感受性は、同属であれば、ほぼ同一と考えられることから、属で整理しております。
 優先検討物質でございました81物質に関し、AQUIRE でエンドポイントを設定し、属レベルで整理をしたところ、我が国に生息している 170属のうち、今回の文献検索対象とならない属が24属ございまして、それは、そこにありますドロメ、イサキ、シマイサキ、メジナ、エゾメバルなどでございますけれども、これらの中で試験法に関するガイドラインが設定されているのはメダカのみでございます。170中146属カバーしているという状況でございます。
 最後のページに目標設定に用いた生物とほかの生物の感受性の高さの関係を記しております。これは環境保健部の方で生態リスク評価の検討調査を別途行っております。生態リスク評価の実施に当たっては、水質目標の設定などとは異なりまして、生物を限定せず、既存の毒性評価試験に関しては、すべて対象としております。そこで比較をしたわけですが、生態リスク評価の中で、物質ごとに最も関連性が高かった生物というのは何だったんだろうか。その生物は、今回の水質目標設定の範囲内に入っている生物なのかということを検証しております。
 つまり、感受性の高いという生物を、今回の文献検索対象でどの程度カバーをしているかということでございます。
 感受性の高い生物の内訳でございますけれども、慢性毒性に関しましては、生態リスク評価で最も感受性が高かった生物は、すべて水生生物の水質目標設定の検討に用いました文献検索対象生物でございました。急性毒性に関しましては、主要魚介類、餌生物で、全体71物質のうち66物質としております。急性毒性につきましては、4物質がメダカ、1物質がブラックバスの仲間ということで、かなり多くのところをカバーしているということでございます。こういった資料などに基づきまして、文献検索の対象範囲としては、かなりカバーをしているのではないかと、事務局の方では思っております。
 資料8に基づきまして、目標値設定の手順でございます。目標値の設定に関して、部会での御指摘として、ポピュレーションレベルを保全するための水質目標値であることという指摘がなされております。発言者の方は、生物環境基準といった形で進むべき、だから、インディビジュアルを保全するような非常に厳しいものではなく、生物としてのポピュレーションを保全していくという、そういう観点で数値を設定していきたいという、そういう御意見もございました。
 目標値の設定手順でございますけれども、まず、主要魚介類と餌生物とで手順を変えております。主要魚介類に関しましては、まず1ページ目のフローチャートでございますけれども、急性毒性と慢性毒性とにデータを分けます。つまり急性毒性だけしかデータがない場合は、急性・慢性毒性比というのを分けて、慢性影響に着目した水質目標値を勘案し直さなければいけないということで、2つに分けております。
 さらに2ページ目に参りまして、餌生物に対しましても、同じように急性毒性、慢性毒性のデータに分けます。さらに急性毒性値、慢性毒性値に関して、それぞれ分類群、ここでは属レベルでございますけれども、属レベルで幾何平均をした急性毒性の値、それから慢性毒性の値というものを算出します。急性慢性毒性比については同様でございます。
 2ページ目の後半、あるいは3ページ目から、その詳細に入っていくわけでございますけれども、3ページ目に入りまして、必要なデータセットとして書いておりますけれども、それぞれ、成体あるいは胚から幼稚仔に関して、LC50、EC50、NOECなどのデータを用いております。
 次のページに参りまして、毒性評価の評価ということで、試験方法とチェックリストになっております。ここで、冒頭にありますのが、信頼あるいは再現性のあるテストガイドラインを用いているか、またはGLP準拠かなどもチェックを行います。
 供試生物の年齢、体重など、また試験濃度に対する設定状況、濃度測定の状況などについてもチェックをいたします。
 5ページ目に参りまして、[3]でございますけれども、信頼性の確認でございます。信頼性は高いとされたもの、ある程度信頼できるとされたもの、信頼性が低いまたは不明とされたもの、この3つに分けました。数字目標の設定に関しましては、信頼性が高いとされたデータを取り扱っております。
 6ページ目の下3分の1ぐらいでございますけれども、水質目標値導出に際しての留意事項でございます。急性慢性毒性比(ACR)を用いた慢性毒性の算出でございます。先ほど申し上げたように、慢性毒性を主に見ていくわけでございますが、信頼できる慢性毒性値がない場合には、欧米諸国で用いられておりますと同様、急性慢性毒性比、アキュートクロニックレイシオを掛けて、信頼できる慢性毒性値の外挿して求めることをしております。
 では、急性慢性毒性比は幾つかということなのですが、明らかにされている場合には、それを用いる。あるいは近縁生物種に関するデータがある場合にはそれを用いる。あるいはこういったものがない場合には10~100の中で適正な値を用いるということをしております。
 7ページ目に入りまして種比でございます。それぞれ生物には感受性の違いがございます。他方、今回集めましたデータの中では、多数の生物種について存在しないような場合が多うございました。例えばニジマスだけしかデータセットがないとか、あるいはコイだけしかデータセットがないというようなケースがあるわけです。こういった場合に、例えばニジマスだけのデータで当該環境基準値を決めるのかということでございますが、検討会におきましては、1から5のようなメルクマールをいたしました。信頼できる毒性値が、当該水域の代表種、ニジマスまたはコイでございますけれども、その場合には、他の生物との感受性の相違として係数10を用いる。代表種を含めた複数種の信頼できる場合には、また代表種と他種の最小毒性値の比が10未満の場合は10を、逆に代表種と他種の最小毒性値の比が10以上の場合には、他種の最小毒性値に係数1を掛ける。海域については、余り既往の知見はございませんので、信頼できるデータが1種のみの場合には係数10、数種であれば、種比については1、つまり種比については、最も感受性の高い生物の毒性値を用いるということにいたしました。
 8ページ目でございますけれども、成長段階での感受性の相違でございます。後ほど、お示しいたしますけれども、この環境基準に関しましては、成体、幼稚仔の感受性の相違を勘案し、幼稚仔が生息する場に関しては、より厳しい値を設定しようと考えております。このため、成体と幼稚仔の感受性の相違に関しては、成長段階における感受性の差を考慮して外挿することができるというふうにいたしました。
 エンドポイント、影響内容間による相違でございますけれども、エンドポイントあるいは影響内容について、毒性値に差が生じることが考えられる。他方、原則としては、遊泳できる魚類を対象とする場合には死亡を、それ以外については遊泳阻害など行動への影響や、それに該当する影響内容について水質目標値を導出いたしております。
 こういった取扱いをしておりまして、それでは、具体的に数値の決め方ということで、資料9を御説明させていただきます。資料9の1ページ目、2ページ目にございます表で、平成14年8月に公表されました「検討会報告に示された水質目標」について、9物質の目標値を、そこに載せております。
 例えば、ホルムアルデヒドでございますけれども、イワナ・サケマス域で目標値案を1,000μg /Lとしておりますが、最終的に導出の根拠となった生物の急性毒性、毒性値そのものは1万2,969μg /Lでの死亡でございます。これに関しては種比、急性慢性毒性比10を用いております。条項だけをここに書いておるわけですけれども、具体の導出手順をチャート図に沿って、 123ページに参考をつけておりますので、それで御説明させていただきます。
  123ページにあります参考チャート図で御説明をさせていただきたいのですが、ここではフェノールと亜鉛について、先ほどのチャートに従って数値が出ております。上のフローチャートでいきますと、急性毒性と慢性毒性のデータ整理をいたしましたところ、急性毒性データの最も小さい値はニジマスの 5,000μg/L、48h-LC50でございます。このフェノールに関しましては、現段階では信頼できるデータがニジマスだけしか得られておりませんので、ニジマスのこのデータに種比の10を用いまして、急性毒性値としては 500μg/Lを導出し、それを慢性毒性の値に引き直すために、急性慢性比10を用いて、主要魚介類に関しては50μg/L というものを数値目標値に挙げております。ただし、ここでは信頼できる慢性毒性のデータがございませんでしたので、慢性毒性の限界については、ここでは勘案しておりません。
 次に、対象生物の餌生物でございますけれども、急性毒性、慢性毒性をそれぞれ分類をいたします。慢性毒性のデータがあります場合には、そのデータを優先に取り扱います。慢性毒性で、この場合はミジンコで 1,240μg/L、21日間、繁殖阻害が得られておりますので、餌生物から導出される数値については、 1,240μg/Lという数値が出てまいります。
 そこで、餌生物と主要魚介類と比較するわけですが、主要魚介類の生存・繁殖から導き出しました50μg/Lと、ミジンコの繁殖阻害から導き出しました1,240μg/Lという数字を比較し、より低い方をニジマスの方で50μg /Lという数値を設定するという、そういう考え方をとっております。
  124ページ目が、同様の考え方をとりまして、イワナ・サケマス域の幼稚仔の方でございます。成体に関しましては、全身がうろこで覆われた時点、あるいは背骨の数が魚として形態がはっきりした時点ということで分けておりますが、幼稚仔の場合には、ニジマスの幼稚仔の慢性毒性のデータがございました。ただし、そこもニジマスしか得られませんでしたので、種比に10をかけましてニジマスのデータから11.8μg/Lという数値を出しております。この結果、餌生物につきましては、成体、幼稚仔も同じでございますので、先程のミジンコの数字と見比べ、ニジマスの幼稚仔11.8μg/Lの方を採用する、そういう手順を考えております。
 一方、コイ・フナ域、あるいは海域についても同様でございます。
 最後に資料10でございますけれども、水生生物の保全に係る水質環境基準の枠組みでございます。今後の検討を見渡しての前提ということで整理しておきたいという形で、健康項目と生活環境項目とに分けられておりますけれども、人健康に関しては、全公共用水域につき一律に適用、基準値については、飲料水として摂取する場合の安全性などを考慮しております。
 また、要監視項目というものを設定しております。環境基準は、環境基本法第16条第1項の基準でございますけれども、公害防止に対する施策に関して設定するということを定めております。他方、環境基準の健康項目の関係でございますけれども、現時点では直ちに環境基準項目とはせずに、引き続き知見の集積に務めるべきと判断されるものについては、「要監視項目」と位置づけまして、継続して公共用水域の水質測定を行い、推移を把握しているものとしております。
 2ページ目に参りまして、水生生物の保全の観点からの環境基準でございますけれども、水生生物の保全というものは、水生生物に蓄積された化学物質を人が摂取した際の安全性の観点から設定するというものではなく、むしろ水生生物の生息及び繁殖に与える影響という観点から設定するということ。また、生育環境ごとに基準値を設定するということが考えられるため、従来の生活環境項目として設定すること。そして、従来の生活環境項目と同様に、水域群別方式を採ることが適当ではないかとかいうところに御意見をいただきたいところでございます。
 また、現在、要監視項目は22物質について定められているんですが、これらはいずれも人の健康保護の観点から選択され、かつ指針値が導出されておりますので、水生生物の保全の観点からも、公共用水域の水質測定を行い、環境中の推移について把握する必要があるというのもございます。
 このため、水生生物の保全の観点からの環境基準の設定に当たって、モニタリングを継続して行う、いわゆる要監視項目の設定についても視野に入れて、今後の検討を進めていくべきではないか思っておりますので、この辺について、御意見をいただければと思っております。
 雑駁でございますけれども、説明は以上でございます。

○須藤委員長 最初に申し上げましたように、2時間と限られておりましたので、今、瀬川補佐の方から要領よく御説明いただきまして、あと残った時間45分ございますので、これで、ひとわたり先生からもいろいろ御意見を伺いたいと思います。
 先ほど、森田先生のところで、私、お答えをいただかなかったんですが、今のお話の中で出てきた部分と、それから、多分先ほど森田先生の御質問の方は、これからここで検討しなくてはいけないことと、あるいは水環境部会で検討しなくてはいけないようなことも含まれておりますので、お答えは今の中に一応あったとして、もう一度御意見を伺って、再度、森田先生から御意見があれば、またさらにそっちへということで、それでは、大塚先生から、どうぞ順番にお願いいたします。どこからでも結構でございます。

○大塚委員 おくれて来て申しわけない。
 法律的な観点から、お伺いしておかなければいけない点が1点ございます。
 非常に精密に検討していただいていると思うんですけれども、法律的な観点から1つお伺いしておかなければいけないのは、主に資料7との関係の問題でございます。これは部会の方にも出させていただいて、その雰囲気は、ある程度理解しているつもりですが、簡単にいうと、環境基準というのは、環境基本法2条3項の生活環境概念との関係が問題となります。、環境基準の設定に当たって、この点を法的には避けられないというか、ここが中心的な問題になってしまうところがあるわけですけれども、先ほど幾つか御紹介がありましたように、化学物質について化審法の改正とか、あるいは農薬についての新しい動きというのがあるわけですけれども、そこで全体的に、一般的な考え方として、生活環境というのがどういうふうに、やや新しい考え方を盛り込みながら構成されていくのかというところが、多分、問われているわけですが、先ほど95%は主要魚介類に当たるから主要魚介類という、主に漁獲量が多いかどうかというところを基準にする考え方に置きかえてもいいというようなニュアンスで伺っていたんですけれども、これは考え方の問題でして、例えばメダカとか、そういう別に食べるわけでは全然ないし、餌生物でも多分ないようなものであっても、人間の生活と非常に密接に関係していると思われるものについては、環境基準の設定の対象の生物として入れていただかないと、ほかの化学物質とか農薬等の改正の動向との観点からすると、少しずれるのではないかということを、ちょっと危惧しております。
 だから、95%が入るからいいということではなくて、要は考え方の問題ですから、漁獲量の多いものを基準に考えていけばいいんだということには、ちょっと残念ながらならないんじゃないかということを危惧していて、法律家はどうしても、整合性ということを非常に考えるものですから、ほかの動きとの関係で、水生生物と環境基準のところだけ、何か非常に自己抑制的になっているような雰囲気を私は感じるものですから、ちょっと心配をしているということでございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。基本的に重要な部分であって、先ほどの森田先生の御質問の中にも、それがあったと思うんですが、水環境部会でも、今、先生がおっしゃったとおりのことが指摘されているので、この辺のところ、さっき、魚介類……。余りにもこのデータが出てくると、逆に、これがあるからいいんだよと、そういう印象ではないんですよね。今の大塚先生がおっしゃったとおりでよろしいんですね。もう一回そこのところだけを、考え方の問題なんだけれども。部長の方がよろしいですか、どうぞ。

○石原部長 おっしゃられるとおりです。同じ資料でいうと、多分、(1)のところにあることになるだろうと思うんですけれど、(1)のところの2行目以下に、「有用な動植物及びその餌生物並びにそれらの生育環境の保全という観点から……」ということだと思います。ですから、概念そのものとしては、定義そのものにありますように、生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境という構造でいいんだと思います。
 ただ、この毒性の評価なり何なりを、どの範囲でというときに、主要魚介類で拾ったといえば拾っているという構造だということですよね。

○須藤委員長 内容的には、大塚先生の内容で、先ほどのコメントでよろしいですよね。私もそういうふうに理解しているんですが。

○大塚委員 余り強くいいたくないんだけれども、「有用な」というと、メダカは有用ではないと。有用というと、経済的価値があるようなふうに読めるじゃないですか。実際、中身が漁獲量が多いという点は、かなり鮮明に出てきてしまうので……。

○石原部長 概念そのものの範囲と、ここに書いてあるのは、中心にあるというもの言いをしているから、さらに概念そのものの中から中心に絞って、さらに絞っているという構造になるのかもしれませんね。そして、生活環境という概念そのものは密接な関係にある動植物概念であり、その中心が、さらに有用というので絞って……という構造での、考え方としては絞っているような構造になっているのかもしれませんね。それは今回の基準を定める際の値をどこで拾いつつ、どうするかという観点からみた場合に、そうだというとらまえ方ですけれども。

○大塚委員 せめて生活環境ということから、有用というところに行くまでの間に、何かワンクッション入れていただければ、生活環境とは何かというのは、一応環境基本法にも定義がありますので、もう少し、間に何かワンクッション入れていただけると、せめてありがたいかなと思います。私は、ここの漁獲量が多いというのは、余りぎらつくと、他との整合性で、いろいろな指摘が出てくるんじゃないかということを心配しておるということだけでございますので。

○須藤委員長 若林先生、今の大塚先生のコメントに対しての関連をどうぞ。

○若林委員 議論の今までの進行ですと、やはり補佐が説明されたように、漁獲の多いものということでやってきておりますので、メダカのデータなどを拾ってないですよね。だから、その辺については、ここできちっと議論して、それで、そういうものも生活環境に含まれるのだとしますと、非常にこれからデータが豊富になりますので、今の受け答えだけで、ああそうですか、ということよりも、もうちょっときちっと確認していただいた方がよろしいかなと思います。

○須藤委員長 ありがとうございます。先生データは拾ってないんですよ。例えば、メダカなんかのデータは。そういう意味では、ただ、概念としては、私は農薬の方もお手伝いしているのですが、それから、これもそうなのですが、そういう構造に、食べられればいいよということではない、ということの理解はしているんです。

○大塚委員 それをはっきりしていただければ、私は別に、あとでいろいろ引っくり返すような問題が出てくると困ると思っているだけですので、そこをはっきりしていただければ結構でございます。

○須藤委員長 それから化審法も、今の農薬も同じことを、要するに、整合性はとれていると考えていいですよね。考え方として。それは、若林先生なんかも、みんなやっていただいているわけで、それは整合性はとれていますね。そういう意味ではよろしいですね。ありがとうございました。
 それでは、小倉先生、どうぞ。

○小倉委員 2つなんですが、事務局の方から環境基準等の考え方について詳細な説明があったので、非常にわかりやすかったんですが、1つは、基準ができてしまうと、その数値だけが一人歩きしてしまって、なぜこういう数字が出できたのかというのが、よく見えない。ですから、先ほど、米国のクライテリアの例で、考え方も、ちゃんと公表している。もちろん公表で、わかりやすいような形になっているということでしたので、ぜひ、この考え方、なぜこういう数字が出てきたのかということも含めて、わかりやすいような形での公表というのが非常に大事なのではないかなというのが1点と、2点目、基準の考え方で、信頼性があるデータが、まだ不足をしているとかいうところもありますので、これに関しては引き続き知見の集積に努めて、随時、見直すということがあるんですけれども、それは非常に大事なので、やはりまだわからないところが随分多いと思いますので、引き続き、ぜひ知見を集めて、必要に応じて、より妥当な値に改定、修正していくことが大事ではないかなと思います。
 以上、2点です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 ただいまも大変貴重な御意見をいただいています。これは我々というか、事務局も当然そうやっていただきたいということで、最後にまとめて、もしあればお答えいただくということにして、小山先生、どうぞお願いします。

○小山委員 2つございます。1つは先ほどの議論に戻ってしまうんですけれども、概念としてメダカも含めた生態系全体をとらまえて基準値をというこいとになりますと、むしろ、主要漁獲魚種あるいは魚介種というのは、この文章から取った方がいいのではないか。つまり基準値があって、その基準値を超えた場合に、漁獲対象種を念頭に置いて基準値を定めたということになりますと、その基準値を超えた場合に、この漁獲対象種に何か起こっているのか、つまり、漁業の方に影響が出ていってしまうのではないかということが1つ考えられるわけです。要するに、いわゆる風評被害のようなものですね。そういうのが1つ心配です。
 それから。もう一つ、海を一括して1つのものとして扱っていますけれども、どの魚種を対象にしているかということが資料にないのでわかりませんけれども、沖合の魚種も入っているとすれば、これはちょっと問題になる。つまり、日本の環境政策が及ばないような沖合の魚種についても対象にするというのは、むしろ本末転倒ではないかと、私は考えています。
 以上です。

○須藤委員長 ここはちょっとお答えいただいておいた方がいいかな。2番目の問題、どうですか。1番目の問題はちょっと議論の対象になる問題で、2番目の、魚種として沖合は入れてないんですよね。小山先生の、データが不足しているという部分で、本来、分けなければいけなかったのだけれども、分けられなかったということは当然ありますよね。だけど、今の、遠洋漁業というんですか、遠い海の方の魚については対象にしていないというふうに考えられていいんですか、というあれですが、見ていないわけですよね。どうぞ、そこだけはお答えください。

○瀬川補佐 資料7の8ページ目に、主要魚介類と漁獲量と、全漁獲量の比較ということで、海面漁業で勘案した魚類というのがございます。それで基本的に遠洋のようなものは、ここには入れておりませんが、ただ、小山先生がご覧になられて、この魚はちょっとというようなものなどございましたら、また御指摘をいただければと思います。

○須藤委員長 そこから削除するなり、加えるなりという意味ですね。

○瀬川補佐 はい。

○須藤委員長 小山先生はそちらの方の御専門家でもいらっしゃるから、今というよりも、ちょっとご覧になっていただいてコメントをまた、特に魚種についてはコメントをいただいた方がよろしいのじゃないでしょうか。
 では、篠原先生どうぞ。

○篠原委員 最初の議論に戻りたいんですが、今回の水生生物に対する水質環境基準に変えるというので、環境省も根本的に、今までの人に対する健康、環境基準も水生生物に変えるという環境力学的な問題になりますけれども、大転換をするかなと思っていたんです。しかし、結局、今日の議論を聞きますと、人の生活に関わらないと検討しないというような、ちょっと残念なところはあります。日本もそろそろ、本当の意味で生態系を守っていくという、そういう方向に、将来的にこの基準も考えていく必要があります。最初のとっかかりは、どうしてもこういう形でしかデータ収集あるいは解析ができないと思いますが、将来的には生態系を全体を守って行くためにどうすべきかというのを、国の方でもしっかり考えていただきたいと思います。
 現在のところ、水質の分類方式を採ったらどうかという提案がされております。そうしますと、今度は類型規定といいますか、Aランク、Bランク、そういう形で水生生物に対する基準も決めていくのかどうか、細かくそういうことをやりますと、大変膨大な作業が必要なんですけれども、ただし、一律で決めてしまうというのは問題があります。例えば1つの川を見ても上流から下流まで、同じような基準を適用するというのは、これは全く受け入れられないのじゃないか。各自治体が、これから、この基準が決まりますと、調査が始まります。人口密集地区になりますと、どうしてもいろいろなものが出てきて、基準をクリアできないとなりますと、自治体の責任になるという、厳しい問題が出てくるのじゃないかと懸念します。
 2つのことを申し上げましたけれども、ぜひ、将来的なことを考えて、先ほど出ましたように、データが一人歩きするということ、あるいは、1回決めると、10年、20年、基準を変えるのは難しいということを考えますと、慎重にしていただきたいというふうに思います。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 2番目の方の問題を事務局にお答えいただいた方がよろしいと思うんですが、1番目の問題は、私がこの検討会のレベルから、ずうっと進行役を務めておりますし、先ほどの農薬の方も同じなんですが、最初からこの問題は当然ございました。私自身も篠原先生の御意見と同じ意見を持っていまして、要するに、例えば魚だけ守るという基準はおかしいではないか。生態系保全という立場でやるべきだというふうに思ってスタートしたんですが、やっぱりこれは法制度に入れなくてはいけないとなると、環境基本法に戻るんですね。環境基本法に戻ってしまうと、これも御承知のように、環境基準というのはちゃんと決めがあるんです。そのために、どうしても生活環境か、人の健康かになる。そうですね。では、環境基本法をすぐに変えればいいじゃないかと、私はそのとき議論をしたんだけれども、基本法というのは1993年ですか、できたばかりで、基本法をすぐに変えられるようなものでもない。とりあえずできるところから始めようということがあって、考え方はそうなんだけれども、できる法制度というのはそういうふうにいく。先ほどの大塚先生の話に、また戻ってしまうのですけれども、そういう感じでスタートしているんです。ですから、とりあえずはそういう形で始めたというので、何となく、哲学はよかったんだけれども、だんだん、だんだん法制度に持っていくところで、もとに戻っていくことでございます。
 2番目の問題は、これからの議論でよろしいよね。類型の問題とか、その辺の問題は……。

○瀬川補佐 類型あてはめに関しましても、環境基準が告示という形になりました以降、すぐに検討を始めなければならない仕事でございます。資料4の裏のページ、スケジュールに関して書いてありますページを見ていただきたいのですが、第2回、1月30日の会議に類型あてはめの考え方について、定性的なものになりますけれども、御議論をいただきたいというふうに思っております。

○須藤委員長 それでは、高橋先生から。

○高橋委員 1つ、類型の問題があるんですけれども、それを議論するときに、水環境の実態というのが、実際の値として出てくるのが、どうも第3回目ということになっているようなんですけれども、これは、第2回目のときに、そういうことのある程度のことがわかるんでしょうか。

○瀬川補佐 私どもは類型あてはめの考え方というのは、類型を当てはめるに当たって、そのどのようなクライテリア、あるいはどのようなメルクマールをもってあてはめを考えるべきか、どのようなデータに基づくべきかということをサジェスチョンいただければというふうに思っております。実際の類型あてはめに関しましては、検出状況というよりは、お魚の生息状況によって決まるのだと思っておりますけれども、これに関しましては一旦その基準が設定後、国あてはめの水域については国が、都道府県あてはめの水域については都道府県が行うことになりますので、その際に生物の生息状況について勘案されるものと思っております。

○高橋委員 基準値を設定するに当たって、いろいろな安全率とか何かかかっていきますよね。ところが、それが本当に実態を反映しているかどうかというのは、現場でどれくらいの濃度があって、そこのところにどういう生き物が住んでいるかということが、ある程度明らかにならないと、そういうことを研究されている先生方もたくさんいるとは思うんですけれども、我々みたいに生態の素人としては、水質と現場の実態というものが、どのぐらい合っているのかというのが、ちょっとわからないと、なかなか議論がしづらいのかなという感じを持っております。
 それから、もう一つ、ちょっと細かい話になるんですけれども、餌生物の話なんですけれども、いろんな類型で、イワナのところとか、コイ・フナのところとか、そういうような類型が、これからできていくのではないかと思うんですけれども、それぞれの水生生物についての毒性値と目標値ということは非常にわかりやすいんですけれども、すべての餌生物について、一番感受性の高いものを何か選んでいるような気がするんですけれども、それは違いますか。

○瀬川補佐 属レベルで幾何平均値をとりまして、その中で一番小さいものです。ですので、これはアメリカEPAの考え方に沿っているわけなんですけれども、属レベルとしては一番小さいものを、もちろんとりますが、その属の中で、まずもって、その数値が余りにもかけ離れていて、信頼性があるのかどうかというものを、まず評価をいただき、信頼性のないものは省いて、その上で、その幾何平均値をとっておりますので、今、高橋先生がおっしゃられた、一番小さい値という、そのものではございません。

○高橋委員 ただ、その水域のあてはめによっては、その属を考慮する必要はないというようなこともあるんじゃないかと思うんですけれども、そういうことはないですか。例えば非常にきれいなところに住んでいるカゲロウのような属です。それがコイやフナのところの基準を設定する根拠になっていないかということですけれども。

○瀬川補佐 例えば、ヒラタカゲロウなどに関しましては、化学物質の濃度に非常に敏感な種でございますが、そもそもお魚が住む住まないというのは、今回の分け方では冷水性と温水性に分けております。温水性であっても、きれいなところというのはございますので、そういったところにヒラタカゲロウのような清流に住む虫がいるということも、それはあり得るものでございますので、高橋先生のおっしゃられる、現実に即して、という部分は、私ども、その国も類型あてはめをする立場にありますので、十分勘案するところなのでございますけれども、まず最初に環境基準の告示の箱をつくる段階では、ある程度概念的にその整備をするのだと思います。ただ、実際にあてはめをしますときには、先程申し上げたように、第2回でメルクマールを検討していただきますけれども、実際にそこに泳いでいるお魚がどうであるか、あるいは漁協さんへのヒアリングをしたり、住める河床構造になっているかどうか、あるいは温度といった、そういったいろいろな条件を勘案する必要があると思います。そういった注意事項については、第2回に事務局として案を示させていただき、御意見をいただければと思っております。

○高橋委員 わかりました。

○須藤委員長 それでは、続いて中舘先生、お願いいたします。

○中舘委員 私も、最初に森田先生が御指摘になったことが一番気になるんですが、今まで目標値の設定でいろいろ検討してきたところなんですが、今度、基準値ということになりますと、いずれにしても、個々で設定される値そのものを、どういうふうに取り扱うかということを、きちっとコンセンサスを得ておかないといけないのかなというのがあります。ですから、アメリカでやっているガイドライン値とか、クライテリアとか、外国でいろいろそういう使い分けをしていますけれども、その辺の考え方を、この委員会できちっとするのが、まず最初に大事なことかなと思います。
 もう一つ、すごく大事なのは、資料6の8ページ、基準設定までの流れという図がありますけれども、恐らくここで、この意味での水質目標値の導出というところ、これが、いわゆる人健康でも言うハザードアセスメントだと思います。それから先がリスクアセスメントだと思うんですが、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。そういうことになると思うんですが、実際問題として、私は、どちらかというと、人健康影響の方の専門なものですから、若干こちらの方にはうといんですが、今、別の委員の方からも御指摘がありましたけれども、ある意味の不確定因子が非常に大きい。人健康でも、いかにしてリスク評価をやるときに大事なことは、不確定係数をどれだけ減らせるかということが、非常に大事なポイントになるわけですが、今こうやって伺っていますと、今までの検討会でもそうですけれども、そういう意味の不確定因子はかなり大きいと思うんです。例えば、種差とか、人健康影響の場合には、最近になって非常に大事なのは、ファルマコカイネティックスという、体に入ってからの代謝のパターンで種差がない場合もあり得るし、それから種差を10と今まで考えてきたけれど、もっとあるかもしれないとか、いろんなケースがわかってきていますけれども、そういった意味では、この水生生物の場合には、その不確定因子がもっと大きいかもしれないということになります。
 ですから、その中で、限られたデータの中から基準値を設定するというときに、かなり不確定因子が多い。でも、それをこまねいていては、いつまでたっても解決しないということです。ですから、これは人健康影響でも同じですけれど、不確定因子がある中で、世の中がこれをどう扱っていこうかと、行政も、企業も、市民も、みんなどういうふうにこの値で考えていこうかというのが最後の大事なポイントになると思うんです。幾ら試験をやっても、それだけですべてをカバーできないという部分がありますから、いかに説得力がある、みんなが考える材料をきちっと説明するかということが、すごく大事になりますので、その説明あるいは考え方、これをきちっと提示して値を決めていく、不完全ながらもこれでいきましょうという、やっぱりそういう理論的な、理論というか考え方をきちっと打ち出すことが最も重要なのかなというふうに思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。ただいまの問題も、小倉先生からも、先ほど御指摘されているから、当然、その根拠というのは大事なんで、今、大事なコメントだと思いますので……。お答えありますか。どうぞ。

○瀬川補佐 2点だけ、ちょっと補足をさせていただきます。
 中舘先生、おっしゃられたとおり、その水質目標値まではハザードで見、その後、検出状況を見るのだねということで、まさしくこの専門委員会の御検討において検出状況を見ていただくことになりますが、リスクアセスメントと一般にいわれておりますものと違い、PEC・PNECで判断をするのではなく、先ほど高橋先生からの御指摘がありましたように、実環境の環境中濃度との比較をするという意味では、私どもは、例えば保健部でやりますリスクアセスメントとは、ちょっと違うのかなという感じがします。
 それから第2点目でございますけれど、不確定因子が多いということでございます。人健康のように、ファルマコカイネティックな、薬理動態学的な研究が進められているような分野でもございませんので、そういう意味で、その不確定因子、例えばアキュートクロニックレイシオ、あるいは種比といった因子が複数あるというのは事実でございますけれども、実際の水質目標値の設定に当たって、人健康で用いるようなセーフティファクターのような大きい係数というものは、ここの中では全く用いておりませんので、因子が多いということと、値を大きく割り戻していくようなセーフティファクターをかけているということは違うということだけ、補足をさせていただきたいと思います。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、宮崎先生、お願いいたします。

○宮崎委員 水生生物も考えた、いろいろな水環境の保全ということの考え方自体に私は反対するつもりはないんですけれども、ただ、具体的にこういうことで環境基準、あるいは指針、要監視項目という考え方もあるようですけれども、今までの経緯ですと、環境基準が決まると、今の法律の体系からいっても、排水基準ということが当然考えられるだろう。そのときに、ここは排水基準の委員会ではありませんから、それ以上のことは申し上げられませんけれども、ただ、今の水質目標値という数値を見ても、須藤先生初め御専門の方が長らく御検討されて、こういうデータを出していらっしゃる。それは非常に尊敬いたしますけれども、ただ、いろいろな数値、例えば亜鉛でも海域だと7ppb だというふうな目標値が出ている。それが仮に今度は排水基準、今までのですと10倍ですよね。70ppb だと。それが全部一律のどこの海域でもだめですよということになってきたときに、産業界、これは工業だけではなくて、いろいろな農業、水産業なども含めて、やっぱり産業界に与えるインパクト、あるいは影響は非常に大きいと思うんです。
 そのときに、今のような非常に日本の経済が厳しい状況の中で、ある意味ではそういう対策をとろうとすると、非常に費用がかかるというのは事実です。そうしたときに、日本の産業の競争力というのは非常に厳しい状況になるかもしれない。現に、いろいろな工場などは人件費が安いということもありますけれども、そういう環境の規制も、どちらかというと甘い、いわゆる発展途上国の方に、出ていって、産業の空洞化が問題になっている。そうすると、環境省のこの政策であっても、当然、日本政府としての政策であるわけで、日本政府として、そのあたり、本当にどう考えるのだと。ここは産業のことを議論するところではないと思いますけれども、そういうふうな観点も考えておかないと、急に極端なことを申しますけれども、これは極言ですけれども、例えば水環境で生物は、コイやフナは生きました、たくさんとれるようになりました。だけど、工場は非常に景気が悪くなって、そこに働く人たちは非常に四苦八苦していますと。そのことが本当に社会としていいのかということなんだろうかと思うんですね。環境基準は、当然をよりよくしていこう、我々がいろいろな意味で快適に生きていけるようにということで設定されているはずです。そのあたりのことを考えますと、きょう具体的にデータが出されて、最終4月ぐらいに報告書を出す。非常に重要な課題であることはわかりますが、先程からもお話がありますように、幾つかの不確定要素もあるし、この導入、基準の出し方についても、例えば種別の差だとかの問題がある。例えば、先ほどニジマスの例であっても、ニジマスが一番敏感かもしれない、だからファクター10を掛けるという根拠がよくわからないというようなところもあるだろうと思うんですね。
 ですから、私はもう少し議論の時間が必要なんじゃないか。具体的にいえば4月という目標でございますけれども、水環境部会の方で4月までに出すようにということが指示されているのなら、この専門委員会としては従わなければいけないと思いますけれども、もし、そういうことでないとすれば、私は、もう少しいろいろな時間をかけて、広く議論を進める方策を考える時間的な余裕をとっていただいた方がいいんじゃないかというふうに考えております。それは環境省の方のいろいろな方針もあるでしょうが、私個人の考えようとしてはそういうことでございます。
 以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 これは今後の問題で、環境基準なり、あるいは要監視項目なら要監視項目でもよろしいんですが、その値を、今後どういうふうに、今までと同じように10倍でやるとか、そういうようなことになると、先生の御心配というのは当然起こるのは、私も理解はしなくはないんですが、要するに、ちょっとこれは離して考えないと、でも、何をするかというのは、どういうふうになるかというのは、環境基準になれば、当然その目標達成のために努力をするということになるので、そうすると、排出規制というのは起こり得るというのは当然なんですが、今までと全く同じにやるかとか、そういうようなことは、ちょっとここで一緒に議論をすると、我々の目標は理想的な、ある意味での基準を設け、考えるということでありますので、何かお答えがあれば、お願いします。 では、尾川さん、どうぞ。

○尾川総括 私の方から2点、申し上げたいと思います。
 1つは基準値でございます。確かに御指摘いただいた亜鉛というのが、かなり飛び離れて低い値になっておりまして、こういった基準値を設定するに当たりましては、きょう資料をお付けしたつもりでございますけれども、どの試験生物の数字を使っているのか、どういう係数なのかというのを、やはり慎重に御検討をいただく必要があると思っております。
 先ほど、メダカでもおっしゃっていただいておりますが、保全対象としてというのではなく、幾何平均を用いるわけでございますけれども、その対象として、非常に特別鋭敏なものを使っていないかどうか。ただ、すべからくそのあたりの生物について、これぐらいの数字でなければまずいんじゃないかというデータであれば、そういう値を定めていただくのではないだろうか。
 それから、2番目に申し上げたいのは、スケジュールです。なぜ4月かということの御説明をさせていただきますと、私どもの考え方といたしまして、この水生生物保全の観点の基準というのは遅れておるという認識がございまして、何とか追いついていきたい。追いついていくといったときに、環境基準を考えますと、常時監視をしていくという流れになるわけでございますけれども、都道府県等に監視をしていただくスタート時期を、15年度は無理でございますので、16年度から始めたい。そういたしますと、自治体さんの予算措置などを考えますと、遅くとも大体来年の6月ぐらいまでには告示をいたしませんと間に合いませんので、1週間、2週間とか1か月、2か月というレベルではございませんが、何とか来年の6月ぐらいまでには最終案をまとめていただけるようにということで、部会にスケジュールを提示しておるものでございます。
 以上でございます。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 宮崎先生、もう少し御意見があれば、提出してください。
 それでは、森田先生、どうぞ。若林先生、いろいろあると思いますが、最後にまとめて……。

○森田委員 いろいろ御説明いただきました。資料6の水生生物保全環境基準の設定までの流れというのが、これが多分ベースになるのだろうと思いますが、まず、この優先検討物質のリストアップのところに、実はもう既に環境の状態とか、あるいはその既存の毒性等、いろいろな形でスクリーニングされて、ここに挙がってきていると思いますので、それが少し、これも右側にスクリーニングするメカニズムというのをちょっと書いておいた方がいいかなということと、それから同時に、優先検討物質81物質がありましたけれども、必ずしもベストともいえないような感じも、私の感じではありますので、それに追加とか、そういうメカニズムを少し考えていただきたい。これがまず第1です。
 それから、それをベースにして、水質目標を既存の毒性評価試験から評価していって、そして水質目標値を導出する。ここの部分が非常に重要で、多分、今回、ここの作業が終わった後、さらに、既に既存のデータがあれば、一部が環境基準等へと流れ込むような構造になっているのだろうと思いますが、まず、1つは、ここの、先程来、議論になっています情報を手に入れる水生生物の範囲の問題がちょっとあって、まだ少しあいまいなものになっているかなという感じがするんですが、人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境という言葉の中で、これをさらに主要魚介類という言葉に置きかえる。その主要魚介類の中身を漁獲量の多い漁獲類に置きかえるという、2段階のステップを踏んでいるんですが、漁獲量の多い魚介類プラス・メダカのように非常に人の生活に密着して、歌にまで歌われているような、そういう生物種がここで読めるかどうか。多分、法制局との関係もあるかもしれませんけれども、それはちょっと御検討いただいて、できれば広げていただくことを考えていただきたい。
 多分、そうすることによって、評価対象となる毒性試験の情報が少し増えるかもしれないという感じです。例えば、メダカとか、ホタルなんていうのもそうかもしれませんね。そういったものが、ここで「密接な関係のある」という言葉の中で読めるかどうか、ちょっと御検討いただきたい。これが第2です。
 それから、もう一つが、信頼できる毒性評価結果があるかという判断のところがあります。この判断は結構難しくて、判断のクライテリアが途中で示されていたんですが、なおかつ、そういうクライテリアをやったとしても、おかしなデータが混じっている可能性がある。それは専門家が総合的判断をしなければいけないような局面があるだろうと思うんです。
 例えば、直感的には、クロロホルムが6ppbで影響が出ている。これは陽性だから、そういうふうに出るのかもしれないですが、ただし、この陽性の試験のかなりの多くが非常に極端な値を出していて、少し危なっかしい可能性がある。それはどこかで判断が必要で、そのことが、ちょっと気にかかりますので、データの読むところの毒性評価の部分は、相当いろいろな専門家を集めて意見を聞いた方がいいかなという、そういう感じです。
 その結果として、水質目標値が導出されるということ、これがある一定の時間スケジュールの中でやるということに、多分なってくると思いますが、そのときには、宮崎先生は産業サイドの方からおっしゃっていますけれども、そこから見ても、十分ジャスティファイされる、あるいはディフェンシブルな、そういう状態に、多分なっていく必要があるだろう。そういう意味では、ここの目標値については、相当、総合的に情報を集めておいた方がいい。
 総合的にと言っておりますのは、もちろんミニマムな毒性情報というのは、ある種の生物種に全部集めるんですが、その周辺に存在しているいろんな毒性試験が、もしあれば、それも引用した形で、輪郭をきちんと描く。そして補強するという作業も、多分必要になりますので、文献検索対象を非常に小さい生物種の数だけに絞らないで、水生生物に関する毒性を全部集めるつもりで、作業をやって、これをやるためには、相当、専門家を動員しなければいけないと思いますので、その動員を少し考えていただいて、それで個々の物質について、こうであるということを明確にしていただくようなことが必要かなと。
 水質目標値さえ出れば、あとの作業は、既にいろんなデータもあることであると思いますので、下までいく。そして最後に基準にするか、要監視項目にするか、あるいはそれにした後についての環境管理のあり方については、瀬川さんの方から、単に排出管理というだけではなくて、いろいろなツールがあるというふうにおっしゃっていますので、そこはいろいろなやり方があるのだろうという感じがいたします。
 以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 では、若林先生、お願いします。

○若林委員 宮崎先生の御意見がありましたけれども、私としては、もう欧米では20年も前にやっていることを、今まで、なぜ入れないのかという方が不思議で、経済が悪いから入れるべきじゃないという考え方は成り立たないだろうと思います。
 それで、導出に関しましては、若干、私の方から、関係しましたので幾つかお答えしたいと思うんですけれども、例えば森田先生のおっしゃった、あらゆるデータを集めているかというお話なんですけれども、現在考えられる限り、例えば厚い資料の73ページあたりを見ていただいても、とくかくすべてを集めて、それでその魚類なら魚類、甲殻類なら甲殻類、藻類なら藻類の専門家の担当者が、まず論文の成否を見て、また全体で議論するというようなこともやって、ある程度、今の、例えばOECDのガイドラインとか、そういうものに沿って、それなりのGLPをやっているとか、そういうようなことで判断しております。それでも抜けはあるとは思います。
 それで、不確定因子が多過ぎるのではないかというお話なんですけれども、多分、慢性でやるということについては、環境基準的なものは御了解をいただけると思うんですね。だから、慢性データが、もしないときには、10という、アキュートクロニックレイシオ、それはそんなに過大に見積もった数値ではないと思いますけれども、今回の場合は10を掛けていることがございます。
 それと、あとは、種比につきましては、資料3の7ページにございますように、代表種と複数のものがあって、それで種比が10以上のときは1を用いるという形で、幾らでも下げることができる。だから、最低、慢性のデータであって、複数のデータをとれば1にするということは可能なシステムになっておりまして、過大に係数を掛けているということには、私はならないと思いますし、環境省さんの方は、新しいデータが出てくれば、幾らでも考え直すというふうにおっしゃっているので、むしろ、今の日本というのは、こういう施策が全く進んでいない関係で、我が国で出しているデータというものは非常に少なくなっております。だから、産業界の方で少し投資をされて、そういうデータを出されれば、納得いく基準値がつくれるのではないかというふうに考えておりますので、そういう作業をどんどんなさって、これならば係数が1にできるから、安心して基準値として受け入れられるということをされたらいいと、私は思っております。
 それから、メダカに関しては、森田先生、おっしゃったように、もし生活環境として入れられるのでしたら、ぜひ入れていただくと、データがたくさんございますので、なるたけ少ない経費で、いい基準値をつくるという視点からも大事なことでございますので、お願いしたいなと思います。
 それで、今、宮崎先生の意見みたいな意見に関しましては、私、この間、8月に目標値の案みたいな、導出の結果について発表しましたよね。その後、そのような、パブリック・コメントをとったわけではございませんけど、そういう意見というのは、環境省さんの方に寄せられているんでしょうか。やってほしいという意見も含めてですけれども。

○須藤委員長 逆の意見も含めて……

○若林委員 そういう反響は……

○瀬川補佐 そういった御意見というのは、正直申し上げて、なかったです。ぜひやるべきだということで陳情されたところがございますけれども、やめてくれということはございませんでした。
 ただ、一般論で、さまざま御懸念というのはあるんだと思いますけれども、具体的に検討を進めていきますと、具体的なレベルや、具体的な物質が出てまいりますので、そういった段階で、本当に我が国のあるべき姿、環境も含めてですけれども、よりよい日本というものにならないものなのかどうか、御検討いただくんだと思いますが、やはり具体論に進みませんと、一般論では片づけられない。環境基準というのは、特に項目と、その数値を伴いますので、具体論で、また個別に御指摘いただけるとありがたいと思います。

○須藤委員長 先生方からの貴重な御意見をいただいて、大体予定した時間になったんですが、どうぞ。

○宮崎委員 今の若林委員の御発言、私、最初に水生生物も含めた水環境の保全ということに対して、全くそれを要らないということではないということを申し上げたつもりです。ただ、ここで水質の環境基準なりを決めて、それがさらに排水基準にもつながるというふうなことが、今までの行政の方向であったわけで、そのあたりのところは、よく慎重に考えていただかなければいけないんじゃないか、そういう意味で、4月という4か月ぐらいの間で、きょう、いただいたのもかなり膨大な資料で、これは私の不勉強かもしれませんけれども、そういうかなり重要なことを決めなければいけない、日本が遅れているというお話もございましたけれども、確かに外国ではクライテリアとか、ガイドライン等がございますけれども、それが、先ほど森田委員のお話もありましたが、クライテリア、ガイドラインというのはどういうものなのか。アメリカであれば、各州別に環境基準を決められるというお話だったですから、決めるとしたら、このクライテリアでやりなさいということで、ある意味では州の方で決める必要がないとすれば、決めないかもしれないわけです。そこら辺の実態がどうなのか。どういうふうに運用されているのか。
 日本の場合だったら、環境基準になれば、これはこれからの議論でしょうけれども、また排水基準ということになって、しかも一律、今、類型という話もありましたけれども、今までではそういうことになってきているところがあるので、確かに日本は水生生物を考えていないといっても、欧米の方がやっているからといって、欧米の方の実態がどうなのだというところも、きちっと勘案してやらないといけないのではないかと思います。
 時間もございませんので、以上でございます。

○須藤委員長 まだ御意見もおありかと思いますが、これは継続審議ということでもございます。
 それと、この委員会の先生方には、検討会のときの御趣旨は全部配っていただいていますね。宮崎先生、検討会の報告書がございますので、きょうはないんですけれども、以前にお配りしていますよね。それをちょっとご覧になっていただくと、類型の考え方等も含まれておりますので、規制のことは、もちろんまだ書いてございませんけれども、もう一度ご覧になっていただければと思います。
 その他を含めて、お答えも含めて、何かここで最後、事務局でおっしゃりたいことがございましたら、どうぞ。

○瀬川補佐 議題4のその他でございますけれども、次回の専門委員会に関しましては来年1月30日を、また第3回につきましては2月21日でお願いをしております。よろしくお願いいたします。
 なお、当委員会の運営方針で、議事録を作成し公表することとなっておりますので、後日、事務局から議事録案を作成し、各先生方にお送りいたしますので、御発言内容について、御確認いただければと思います。

○須藤委員長 それでは、5分少々時間を超過をいたしましたけれども、本日は、大変御熱心な御討論をいただきまして、どうもありがとうございました。
 いろいろ御意見もありますので、必要に応じて、この時間だけでは不十分だという部分があれば、最初に、あらかじめ御意見をいただいておけば、そういう御意見も反映させながら、議事の運営をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしく御協力のほどお願いいたします。
 では、これで、きょうは終了いたします。どうもお疲れさまでございました。

午後 12時06分閉会