中央環境審議会水環境部会ダイオキシン類環境基準専門委員会(第4回)議事録

1.日時

平成14年6月24日(月)10:00~11:55

2.場所

経済産業省別館1014会議室

3.議題

(1) 前回議事録(案)について
(2) 「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁のうち水底の底質の汚染に係る環境基準の設定等について(報告案)」に係るパブリックコメントのとりまとめ結果について
(3) 「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁のうち水底の底質の汚染に係る環境基準の設定等について(報告案)」について
(4) その他
  

4.配布資料

資料1   中央環境審議会水環境部会ダイオキシン類環境基準専門委員会(第3回)議事録(案)
資料2 「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁のうち水底の底質の汚染に係る環境基準の設定等について」中央環境審議会水環境部会ダイオキシン類環境基準専門委員会報告案に対する意見募集結果について
資料3 ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁のうち水底の底質の汚染に係る環境基準の設定等について(報告案)   
  

5.議事

【瀬川補佐】 そろそろ定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第4回のダイオキシン類環境基準専門委員会を開催させていただきます。
 本日は委員14名のうち9名の方々に出席いただいておりますので、既に委員会開催の要件を満たしております。議事に先立ちまして石原水環境部長からごあいさつ申し上げます。

【石原水環境部長】 専門委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。御多用中の中ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、第4回目の委員会の開催ということになります。前回の専門委員会での報告案をパブリックコメントにかけさせていただきまして、パブリックコメントをいただいております。本日は、このパブリックコメントを踏まえまして、専門委員会の報告をおまとめいただきたいと考えておりますのでよろしくお願いしたいと考えております。簡単ではございますけれども、第4回の委員会のごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【瀬川補佐】 それでは、議事に入ります前に、本日お配りしました資料について確認をさせていただきます。本日お配りいたしました資料は3つございます。資料1は、前回専門委員会の議事録(案)、資料2は報告案に対する意見募集結果について、資料3は報告案本体になっております。資料の過不足等がございましたらお申しつけください。
 それでは、議事に入らせていただきます。議事運営規則に従い、本専門委員会の委員長であります村岡先生に議事進行をお願いいたします。それでは、お願いいたします。

【村岡委員長】 皆さんおはようございます。御多用の中お集まりいただきましてどうもありがとうございます。きょうは先ほど石原部長からごあいさつにございましたように、パブリックコメントの結果を事務局でおまとめいただきましたので、それについて御討議いただいて、専門委員会としての最終報告案を取りまとめたいと思っております。委員の先生方にはひとつ活発な御議論をお願いしたいと思います。
 では、議題の1は前回議事録(案)についてでございますけれども、資料1に前回議事録案が用意されております。この資料は委員の先生方に御確認いただいた後、事務局で修正されております。内容を確認いただき、さらに修正がございましたら事務局までお申し出いただきたいと思います。
 次は議題の2です。「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁のうち水底の底質の汚染に係る環境基準の設定等について(報告案)」でございますが、これに関しましてのパブリックコメントの取りまとめ結果をまず事務局から御説明いただきたいと思います。

【瀬川補佐】 では、資料2に基づきまして意見募集結果について説明をさせていただきます。このパブリックコメントにつきましては5月21日に報告案を公表し、6月10日までの間、ファクス、郵便または電子メールによってパブリックコメント手続を行っております。この結果はここに取りまとめておりますが、取りまとまり次第公表する、できましたら本日午後に水環境部会答申をいただく予定になっておりますので、それに合わせて公表したいというふうに考えております。意見の提出者、団体数ですが、ファクスによるものが2通、郵便によるものが2通、電子メールによるものが3通ございました。意見の延べ総数は59件、お寄せいただいた意見の概要とそれに対する考え方は別紙としております。同様の意見につきましては、まとめてそこに足しております。
 それでは、主な意見結果とそれに対する考え方ということで説明をさせていただきます。まず2ページ目からですが、構成は報告案の目次に沿っております。
 まず第一、ダイオキシン類濃度等についてさらに詳しい資料を添付してほしいという御意見がございました。具体的には、例えば河川、海域、湖沼の濃度範囲、その平均値及び標準偏差等、詳細結果を示すべきということで、既に平成12年度常時監視結果につきましては水域別濃度範囲とその平均値、それから11年度調査結果の概要につきましては報告案の参考資料に添付しておりますけれども、11年度調査結果が平均値及び濃度範囲、それから標準偏差などにつきましてはその報告案の中に入っておりませんので、そこに記載をしております。なお、11年度調査結果及び12年度の常時監視結果につきましては、個別地点のデータにつきましてすべてホームページ上でデータを公表しておりますので、それを御参照いただきたいとしております。
 また、相関係数を示せという御意見がございました。11年度調査結果によりますと、河川、海域、湖沼それぞれそちらに示しましたような数字になっております。ちなみに、これは例えば同一市町村平均ですとか同一水系平均といった作業というのは行っていない生のデータになっております。それから、底質環境基準の必要性については特段のコメントがありませんでした。
 3ページ目にまいりまして、底質環境基準の性格について。まず、対策基準として設定するだけでなく、環境基準として設定すべきとありますが、こちらにつきましては大気、水について環境基準の達成を目指して発生源対策を行っているのと同様に、底質も環境基準の達成を目指して対策を行う必要があると。その際、大気や公共用水域の汚染の場合とは異なり、既に汚染された底質については対策を行わなければ達成できないということで、つまり底質そのものに対しての対策が必要との観点から対策を講じる基準として設定することとしています。これは土壌のダイオキシン類環境基準の設定の際の考え方と同じでございます。また、(2)ですが、一律に環境基準を即対策基準とするのではなく、当該地点の汚染の範囲などを調査し、対策をとるかどうかケース・バイ・ケースで判断すべきと。これに対する考え方ですが、対策実施の判断をケース・バイ・ケースとした場合に、環境基準超過が判明した場合の措置が不明確であるということ。また、底質中ダイオキシン類の水及び魚介類への移行を防止及び低減するという観点からは、できる限り速やかに対策を講じていただく必要があり、そのための詳細調査に急ぎ入っていただく必要があるということで、基準値超過をもって汚染範囲同定のための詳細調査実施の判断としているとしております。
 また、生態系保護のための基準としての性格を考慮した設定も行うべきとありますが、法に基づきまして人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として設定しております。
 河川について、土壌と底質との違いというテクニカルな問題もございますが、河川についてはおおむね平水位の水面下にあることを目安としております。
 それから、4ページ目に入りまして、意見の(5)ですが、これは自治体さんからのコメントでございます。ある市なのですが、底質が水からの影響を受けている状況であり、底質対策を講じても再度対策が必要と。どのようにすればよいのかという御質問だったわけですが、当然、対策実施後に底質環境基準を超過した場合には、再度超過した場合にその時点で対策がまた必要となります。また、コメントのケースというのは水質の汚染が著しい区域があるということで、上乗せ基準をかけるということは法律上は用意をされております。
 4番目に基準値についてですが、これは基準値設定手法、それから一日摂取量との関係など御意見をいただいております。基準値そのものにつきましては、緩い、厳しい、どちらの御意見もございましたが、現在利用し得る知見を最大限活用して検証したとしております。
 設定手法については、魚介類への取り込みを考慮する方式で基準を設定すべきというご意見があったのですが、今後とも濃縮、取り込みについては調査や研究を進めるべきとしており、さらに現時点では難しいという結論を得ております。
 分配平衡法ですが、分配平衡法においては環境汚染の性状は勘案されるのかという御質問がありましたが、実際の環境中での水に含まれる物質は多様であり、これらをすべて勘案することは困難であるため、分配平衡法においては通常勘案はいたしません。
 5ページ目に入りまして、3つのコメントに対する考え方をまとめております。振とう分配試験のサンプル数が少ないのではないか。分配平衡法、振とう分配試験の2通りで実態を正確に反映しているのか。水底で巻き上げられるSSの挙動をさらに詳細調査すべきとあるのですが、本報告案では現在利用し得る知見を最大限活用し、また今後の課題としては環境中のダイオキシン類の挙動についても調査研究を進めるべきとしております。
 一日摂取量との関係ですが、(9)耐容一日摂取量を超過しているのではないか。これはダイオキシン類に関しますTDIを満たしているのかどうかというのは厚生労働省が一日摂取量の調査を毎年行っているわけですが、平均的な食品摂取量であればTDIを下回るということはわかっております。本報告案でもたくさんの種類の食品をバランスよく食べるよう心がけることが大切であるとしているところであります。
 (10)、特に感受性の強い集団についてのリスク低減や最大リスクの場合の影響がないレベルにするような対策を前提とすべきとありますが、そもそもTDIに関しましては、最も感受性が高いと考えられる胎児期の暴露による影響を踏まえて設定されておりますので、この点についても踏まえておると考えております。
 (11)、13年度データをもとに再評価を行うべきという御意見がありました。現時点でまだ環境省においては平成13年度の常時監視結果を取りまとめておりませんが、もちろん知見の集積に基づいて見直しを行うものであり、新たなデータが集まればまた必要に応じて見直し、再評価を行ってまいります。
 6ページ目にまいりまして、(12)ですが、摂取割合を内海魚4分の1、外海魚4分の3とした理由を示されたいという御意見がありました。これは水質の環境基準をつくりますときに、やはりこの4分の3、4分の1という数字を使っておりますけれども、再度12年度の統計をもって検証しております。12年度の魚介類の需給動向、そして漁業・養殖業統計から供給における国内食用魚と輸入食用魚の比が1:1であること、また国内食用魚類の中の内訳としてぴったり同じ統計がなかったんですが、我が国漁業の養殖部門別生産量における遠洋・沖合とそれから沿岸・養殖・内水面との比が1:1.54%対46%であったことから1:1の1の中身がまた2つに分かれまして内海魚4分の1、外海魚4分の3としております。また、魚類濃度の平均濃度と個別食品の平均濃度の比を用いるという理由いかんとありますが、この部分は酒井先生から報告案の方の直しをのコメントをいただいておりますので、後で報告案のところで説明差し上げますけれども、基本的な考え方は伺っておりません。平たく申し上げますと、ここで用いました平成10年から12年度のトータルダイエットスタディーにおける個別食品中ダイオキシン類濃度というのは正確な摂取量を勘案しているものではありません。マーケットバスケットでとらえた食品ですので、個々の食品を何グラムとっているのかということがわからないと。このため、単純な個別食品ごとの食品の平均値、ダイオキシン類含有量の平均値はトータルダイエットスタディーの魚類からのダイオキシン類摂取量とは正確には比較ができないようになっております。このため本報告案においては、より正確な評価を行うため、魚類からのダイオキシン類の総摂取量を魚介類の総摂取量で除したもの、つまり実際の平均値です。総摂取量71ピコグラムを魚介類の総摂取量の96グラムで除したものと個別食品濃度の平均値の比を用いております。
 適用についてですが、これは全公共用水域の適用に賛成という御意見をいただいております。
 7ページ目に達成期間ですが、達成期間については直ちに達成することという御意見がありましたが、ダイオキシン類については環境媒体間での蓄積・移行があり、対策の効果発現に時間がかかると考えられることなどから、できる限り速やかに達成するよう求めることとしております。
 測定方法につきましては、定量下限未満の数値の取り扱いに一本化すべきとあるのですが、定量下限未満の摂取の取り扱いにつきましては常時監視及び実際排水規制などにおけるそれぞれの取り扱いを踏襲するということで適当と考えております。また、底質の測定時にはその上層部の水質の測定もあわせて行うべきという御意見がありましたが、基本的には公共用水域の水質調査と同地点にしていただくよう環境省では都道府県を指導しております。面的広がりの調査方法、コアサンプルのサンプリング方法などにつきましては告示に合わせまして環境省から通達のような形でお知らせしたいというふうに考えております。
 評価に関しましては、経年的に増加の傾向にある地点についても詳細調査を行うべきとありますが、詳細調査は基準値を超過したところで汚染範囲の同定を行うために実施するように求めておりますが、他方、本報告案の中におきましても常時監視の調査を通じて底質濃度が比較的高かった地点では、その周辺において測定地点を増加させたりあるいは低濃度の地点については移動させるということも考えられるとしております。
 (2)ムラサキイガイ等貝類でモニタリングを行い、底質との関連性を考慮すべきとありますが、本専門委員会におきましては環境基準との比較を行うという測定を位置づけておるだけでして、これにつきましては現在常時監視でとっております底質調査測定マニュアルに掲げる方法とすることが適当と考えております。
 8ページ目にまいりまして、対策でございます。(1)(2)につきましては情報をできるだけ公開すべきということで、これについては報告案の方にも示しております。それから、(3)番、対策実施主体、原因者の特定手法、費用負担の考え方について検討し、結果を盛り込むべきという御意見がございました。本報告案はダイオキシン類の底質環境基準の設定に関するものであり、報告に含めることが予定されている範囲外にありますが、これまでの水銀及びPCBに係る底質の対策事例及び現行法に照らしていえば、汚染が見つかった水面の管理者たる国及び地方公共団体が対策実施主体となり、公害防止事業として対策を実施し、また汚染実態から汚染原因者の特定が可能な場合、費用負担の割合については公害防止事業費事業者負担法に定めるプロセスにのっとって決定されることが多いと承知しております。
 それから、汚染底質除去指針についてですが、これは本報告案に盛り込んだ内容ではございませんけれども、環境省において除去指針についても改定を予定しております。このため、対策技術研究開発中であるもの、また現地の状況を考慮する必要があることから、技術内容として必ずこれをとってくださいという限定列挙は困難と思われますが、積極的な情報提供が必要ということを考えております。
 地方自治体に対する補助についてのお願いもございました。また、しゅんせつ土砂の処分を通常のしゅんせつ土砂と同じでよいのか明確にすべきという自治体さんからのコメントもあったのですが、これにつきましては先ほど申し上げました暫定指針の改定、それと海洋におけるしゅんせつ土砂の処分に関しましては「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」の中で定められておりますので、これら関係法令によって適切に対応されるものと思われます。
 対策を公害防止計画に位置づけるべき、また、地点ごとの考察及び対策の検討が必要との意見もございました。
 今後の課題については特段のコメントはございません。
 その他ですが、TDIを見直すべき、あるいはTDIが見直されたらその時点で国民の平均値すらTDIを超えるのではないか。及び、高濃度のダイオキシン類が底質から検出された港において、魚種別に魚介類中のダイオキシン類濃度を求めろという、そういったご意見もございましたが、本報告案はダイオキシン類に係る底質環境基準の設定について取りまとめたものであり、これらについて何か取りまとめたものではございません。
 ダイオキシン類に係る環境基準をすべて、水も大気もすべて見直すべきということですが、必要な場合には改定がなされるべきと考えております。
 最後のページですが、ダイオキシン規制を強化すべきとありますが、削減対策を強力に推進しております。
 また、一番最後に漁業補償問題についてのコメントがございました。漁業影響についての考え方を明示されたいということですが、まず、所掌範囲ではございませんが、漁業は漁獲対象及び地域が個別ケースでさまざまであることから、漁業に与える影響も個別ケースで異なるものと考えられます。
 意見募集結果については以上でございます。

【村岡委員長】 ありがとうございました。それでは、パブリックコメントの取りまとめのただいまの説明に対しまして、委員の先生方から何か御意見がございましたらお願いいたします。中杉委員どうぞ。

【中杉委員】 修正ということではないのですけれども、確認をしておきたいというふうに思います。幾つかございますけれども、まず底質環境基準の性格についてという(1)番の望ましい基準も設定すべきだという、いわゆるダブルスタンダードの考え方についてはこの委員会でも議論をしたというふうに私は記憶しているのですが、ダブルスタンダードをとった場合に、今の状況では恐らくダブルスタンダードをつくることに意味といいますか、ダブルスタンダードそのままうまく機能しないのではないかと。より厳しい基準に必ず行ってしまうおそれがあるということが1つの問題ではないかというふうな認識であったのではないかというふうに私は記憶して、これは私の誤解かもしれませんけれども、そういう性格であるので、このとおりでいいだろうというふうなことが議論にあったのではないかと。これも私がそう思っていたから議論したというふうに思っているのかもしれませんが、そういうことではなかったかというふうに思います。これを直していただくということではございません。
 それから、底質の基準の性格の(5)のところにつきましても、これについても議論をさせていただいて、特にたしか前回だったと思いますけれども、だから未然防止が非常に重要ですということを事例を挙げて私が指摘をしてございますので、そういうものであるということでこのとおりでよろしいのではないかなというふうに思います。
 それから、基準値のところの(9)のところですけれども、これも前回のところで一応議事録の中にこの基準の性格というものを整理をさせていただいて、誤解のないようにということで残していただいていますので、それでよろしいのかなというふうに思います。
 もう一つ、8番の評価のところなのですけれども、評価の(1)のところ、ちょっとこれは表現ぶりが少しわかりにくいところがあって、誤解を招くかなというような感じがするのです。確認しておきたいのですけれども、意見に対する考え方の最後なのですが、また低濃度の地点については、これは「移動させる」というのは測定地点を移動させるという意味合いですよね。多分、文面でこのまま読んでいけばそのとおり読めるとは思うのですけれども。低濃度にしても移動させるというふうに誤解をされるかなというのがちょっと気になりました。
 それからもう一つ、11番のところのTDIについては見直すべきという話は、これは当然見直していくのだろうというふうに、(1)、(2)というところですね、TDIは見直すべきという意味ではなく、TDIが見直されたら底質の基準が当然見直すでいいのかどうかというのが、今回は多分検討した結果を踏まえて、新たに出てくるTDIというのを合わせてみたときに合うかどうかということを検討するということになるのだと思うのですけれども、そういうことは当然必要なのだろうというふうに思います。
 それから、もう一つ(4)のところのダイオキシンについての環境基準をすべて見直すべきというのは、こんなことは必要ない、すべて見直すという必然性はないと思うのですけれども、一つだけここで指摘されていないことで申し上げておきたいことがあります。ここに意見に対する考え方として書いていただく必要は必ずしもないのですが、前にも少し議論になったかと思うのですけれども、土壌の環境基準と底質の環境基準との間のギャップといいますか、やはり対策を考えるときに1,000と150という数字が少しギャップができてしまっている。それはここの委員会で議論する話ではございませんけれども、土壌の方で少し考えていかないと、底質を掘り起こしてそこらに置いておくと環境基準を達成するという事態になりかねないので、そこら辺のところは基準を見直すのかあるいは具体的な措置を考えるときに、対策のマニュアル等をつくるときにそこら辺のところを書き込んでいくのかともかくとして、留意をしておかないといろいろ問題を引き起こすだろうという感じがいたします。
 以上、確認だけでございますので、特に修正をしていただくという必要はございませんけれども、念のための確認ということで申し上げました。

【村岡委員長】 ありがとうございました。修正ということではないということですけれども、いろいろ重要な御指摘をいただいたと思います。ただいまの中杉委員の御発言内容に関連するような御意見とかそういうのがありましたら、委員の先生おっしゃってください。いかがですか。あるいは、事務局の方で中杉委員のコメントに対しまして特段お答えいただくような、関連するようなことがございましたら。事務局の方、何もありませんか。
 では、委員の先生にはほかの点で何かお気づきの点がございましたらお願いしたいと思います。ありませんか。どうぞ。

【宮田委員】 4ページの一番上にある市町村のコメントですけれども、こういう水質が汚染されていて、そして底質への影響があるときに、さらに対策が必要だというときはある程度もう既に調査されていて、ある期間になったらかなり濃度がこのように上がってくるという具体的なことも書かれていたのでしょうか。

【瀬川補佐】 具体的な実態についてはそこは書いておられませんでした。

【宮田委員】そうしたら、基準をさらに超えてしまうかどうかということについては不明になっておるのですね。わかりました。

【村岡委員長】 宮田委員、よろしいですか。ほかに何かございますか。国包委員どうぞ。

【国包委員】 ちょっと前になるかもしれませんが、3ページですけれども、底質環境基準の性格についての(4)です。河川の場合には一応平水位の水面下というふうにここに書いてあるのですが、私もこんなものかなというふうには思うのですけれども、この根拠なりについて御紹介いただければありがたいなと思いました。やはりこういった河川のことですので、当然河川管理者の方との関係も何がしか出てくると思うのですが、そういったことに対する配慮とかもされているのかなというふうに、それも若干気になったのですけれども。その辺をお聞かせいただければありがたいです。

【瀬川補佐】 水位をどこにするのかというのは、国土交通省さん、河川局の方ともちょっとお話をいたしました。いろいろな案があったわけなのですが、例えば水質をはかるときには低水位の状況であっても水質を満たすようにというふうにいたしますし、また、場所が同定できるという意味では護岸の構造からいって、例えば低水敷と高水敷と分けるといった、さまざま考えられたのですが、底質と土壌の区分につきましては先ほど最初に申し上げたような低水位の状況でありますと、それは水質の関係であって、底質という関係から言えば水がかぶっている時期が少なくなりますねと。行政的な割り切りだけだったのですけれども、通常の状態で水面下にある底質をターゲットにいたしましょうと。ということで平水位というものを選んでおります。

【村岡委員長】 よろしいですか。私も今の御意見聞いておりまして、ちょっと別の点かもわかりませんけれども、思いつきのようなことですけれども、平水位のときは水につかっていますけれども、高水位のときにつかる部分が出てくるわけですね。それがまた、水が下がってくる、水位が下がってくるとそこが干上がった部分ができると。それも底質の対象になるのですか。

【瀬川補佐】 事務的な割り切りで申しわけありませんけれども、そこは土壌という割り切りをしようと思っております。

【村岡委員長】 それはいわゆる河川法かなんかで河川敷というのがあって、これは高水位時期も低水位時期も河川なのですよね。何か、どうぞ。

【中杉委員】 そこは行政的な割り切りだというふうに私も思うので、こういうふうに決めますという話なのでしょうけれども、それでいったときに私がさっき言ったこともう一つ気になりまして、土壌と底質というのはそれだけ違うということですよね。そうすると、この水面の上と下とで連続してのものでもあれだけの開きが出てしまうという話になるので、そこら辺のところをどう考えるのかというのは少し課題として検討していただければということでございます。実際にどうするかというのは、これは対策基準ですから実効的にどういうふうにするかという話で、行政的な割り切りでしかないのかなというふうに私は考えますけれども。そうしたときに今みたいなことで上は土壌で下は底質ですというお答えをされると、それではこれだけ違うのですねということを言われてしまうのではないかと。その辺のところを少し、また次の課題として考えていただければというふうに思います。

【村岡委員長】 ありがとうございます。そういうことでコメントに対する意見としては一応理解できますが、またコメントに対する御意見の中で今後考えないといけないというふうな重要な御指摘もあったように思いますので、それはそれとしてここの底質委員会、専門委員会で議論することではないかもわからないけれども、そういう問題がありますという話があったということにさせていただきたいと思います。
 ほかに御意見ございませんか。
                   (な し)

【村岡委員長】 それでは、このコメントのまとめについては一応この委員会で了解したということにさせていただきます。
 それでは、次の議題3に入ります。ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁のうち水底の底質の汚染に係る環境基準の設定について(報告案)でございます。まず、事務局から御説明願います。

【瀬川補佐】 パブリックコメントで変更した部分は1カ所だけでございます。言葉の使い方なのですが、ダイオキシン類一日摂取量の試算に用いた緒元の説明の際に、私、前の案で一日摂取量との関係で、実際の魚介類からのダイオキシン類摂取量を魚介類の摂取重量で割ったものを見かけの平均濃度と書いてしまったのですが、よく考えるとこれは別に見かけの平均濃度ではなく、実際の平均濃度なので、そこの部分の記述だけ削除をしております。
 それから、酒井先生から御指摘がございまして、やはり一日摂取量との関係について変えた部分がございます。具体的には7ページと25ページの変更でございます。
 まず、25ページ目を見ていただいた方がわかりやすいかと思いますが、このダイオキシン類一日摂取量の試算の際には、内海魚及び外海魚の平均濃度を求め、その内海魚の分だけ対策前後の底質の平均値の比だけ平均濃度が下がるだろうという、そういう計算をしております。平均濃度が下がった場合という仮定の計算でございます。酒井先生からの御指摘ですが、個別食品ごとの濃度結果から計算した魚介類の平均濃度をすべて等しい割合で平均をしてしまうと実際の平均濃度との間にかなりずれがあるので、内海魚の平均、外海魚の平均それぞれを出すのだから、内海魚の平均濃度2.0に摂取重量割合を勘案して4分の1、外海魚の平均に摂取重量割合を勘案して4分の3を掛けて平均値を出すべきではないかという、そういう御指摘をいただいております。(2)の計算式のところに行きますと、数式でいいますと3行目ですね、0.74というのが実際の摂取量から出した平均値、その後の2.0×0.25+1.2×0.75というのが個別食品調査結果の内海魚、外海魚それぞれの平均値をもとに摂取重量割合を勘案して算出した平均値でございます。変更点についてはここだけでございます。

【村岡委員長】 ありがとうございました。おおむね前にまとめていただいた原案どおりになっているけれども、委員からの御指摘で2カ所ですか、ちょっと訂正したということでございます。この報告案を見ていただいてほかに何か、あるいは今の御説明に関連するようなことで御意見ございましたらお願いします。きょう、この席で御意見がなければこれを委員会の案とさせていただいて、午後の水質部会に報告することになります。細かい修正でなくても何かコメントでもございましたら、この際お聞きしておいた方がいいのではないかと思いますが、忌憚のない御意見をよろしくお願いします。鈴木委員、どうぞ。

【鈴木委員】 一応、正確を期すという意味ではという程度のものですけれども、6ページではKocとされておられるのですけれども、Kocだけは多分この式の中で単位があって、特に回帰式を出しておられるところは明らかに単位に依存しているので、学術論文ではないからいいのかもしれませんが、このlog Koc=1.03×log kow何とかと書いてあるこの式は多分Kocの単位を規定しないと書けない式のはずですので、一応それだけ指摘させていただきます。

【村岡委員長】 いかがですか。修正されるのですか。

【瀬川補佐】 単位を追加いたします。

【村岡委員長】 では、そういう単位につきましての配慮を払うということにさせていただきたいと思います。御異論ございませんね。
 ほかに何か。

【宮田委員】 6ページの下ですけれども、有機炭素の濃度を5%されて、これ今ドイツとフランスと同じ数値で、それ以外のところも一般には5%というのが多いですか。有機炭素の量なのですけれども。

【瀬川補佐】 アメリカ、USEPAの場合はサイトごとのアセスメントを行っているので、必ずしも統一して5%ということではないと思うのですけれども、私が入手いたしました文献ですと5%というのを使っているのがありました。ちなみに、我が国で余りデータがないのですけれども、100ピコ以上のところの平均をとりますと4.3%ということで、それほどおかしくないのかなという感じはいたします。フランス、ドイツとも環境基準担当の方に5%の根拠をということでお伺いいたしましたら、エキスパートジャッジメントということをお答えになっておられ、大体これぐらいではないかということのようです。

【宮田委員】 もしここの値、今までの4.2%か3%か、実測的な値があって、そこでより安全側に見ていくということで5%であると、そういうような前に台湾とかいろいろと見ていましたらアメリカでも3.何%とかも結構あるのですね。一応ここでされておるときにそういうデータでもってドイツ、フランスと同じ数値以外に、そこも少し文言というか、参考資料みたいなものが入るようでしたらその方がいいのではないかなと思ったのですけれども。

【瀬川補佐】 フランス、ドイツのそれぞれの文献につきましては引用文献ということで載せさせていただいております。

【村岡委員長】 宮田先生、よろしいですか。その点につきましては一応今まで配慮してきて、詳細につきましては文献を読んでいただくという形で報告書の中ではまとめさせていただいていると、そういう事務局の判断でございます。
 ほかにございますか。

【森田委員】 非常にマイナーな話になってきますが、25ページの1行目ですか、「緒源」の漢字が間違っているかなというふうに。ダイオキシン類一日摂取量の試算に用いた緒源という。

【村岡委員長】 一番上の。私も最初気がついてたのですけれども、こういう字もあるのかなと思っていたのですけれども。

【瀬川補佐】 すみませんでした。

【森田委員】 それから、これはどう考えるかなのですが、ここのページでは76%魚介類の摂取割合というふうに記載をされていて、割合強く76%が書かれております。14ページかな、図がありまして、人のダイオキシン類摂取量の約75%、似ていると言えば似ているのですけれども、76だと76ともう統一しておいた方がわかりやすいかなという、そんな感じがいたしました。あと、どうなのでしょうね、図に番号が振られていないのですが、これはこのまま行ってしまってもいいでしょうけれども、わかりやすくするためには番号があった方がいいかもしれないという感じがします。エディトリアルな話ばっかりですけれども。

【村岡委員長】 図に番号がないというのは、普通報告書のたぐいは入れないのですか。

【瀬川補佐】 過去のを見ましたら両方ありました。抜いているのもありますし、それから通しで振っているものもありますので、見やすくするのでしたら通しで番号を振りたいと思います。

【村岡委員長】 ございませんか。
                   (な し)

【村岡委員長】 それでは、この報告書につきましては先ほど事務局から説明された案で全体としてはお認めいただいたというふうに思いますが。鈴木委員と森田委員からの御指摘で、ちょっとマイナーな、マイナーではないかもわかりませんね、Kocの単位に配慮するという、その辺の修正があると思います。これにつきましては後ほど私の方で考えさせていただいて対応するということでよろしゅうございますか。
                 (異 議 な し)

【村岡委員長】 ありがとうございます。それでは、そういう修正があるという条件で、この報告案をこの委員会の報告とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。先ほど申しましたように、その修正したもの……、まだありますか。

【宮田委員】 1つだけ。19ページ、これも細かいところですけれども、19ページにありますTCBの77番のところが「3',」の「,」がちょっと1つ……。

【村岡委員長】 下から2行目ですね。

【宮田委員】 下から2行目のところですね。2行目の「,3',」そのときの「,」が1つ抜けております。

【村岡委員長】 ありがとうございます。
 それでは、この最終版につきましてはこれによりまして、本日の午後に予定されております水環境部会に報告するものといたします。私から報告させていただきます。
 それでは、次の議題4のその他に移ります。事務局から何かございますでしょうか。

【瀬川補佐】 本報告は村岡先生ただいまおっしゃられましたように、水環境部会へ御報告いただいた後、中央環境審議会の答申をいただく予定にしておりますが、その後私ども事務局の方で底質環境基準として告示を行う予定にしております。また、当委員会の運営方針で議事録を作成し公表することとなっておりますので、後日事務局から議事録案を作成し、各先生方にお送りさせていただきます。ご発言内容についてご確認いただきますようお願いいたします。

【村岡委員長】 ありがとうございました。それでは、専門委員会としてダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁のうち水底の底質の汚染に係る環境基準についての報告案を取りまとめていただきましたので、本諮問事項に関しまして本委員会の役割は一たんここで終わったということになります。そういうことで委員会は閉じさせていただきたいと思いますけれども、このダイオキシンの底質の環境基準、一番最後の環境基準でございましたけれども、これまで長い期間にわたりまして非常に熱心なご討議いただきました。厚く御礼申し上げます。
 それでは、これで審議の方は閉じさせていただきます。ありがとうございました。