中央環境審議会水環境部会ダイオキシン類環境基準専門委員会(第2回)議事録

1.日時

平成14年4月1日(水)15:07~16:55

2.場所

環境省第1会議室(22階)

3.議題

(1) 前回議事録(案)について
(2) ダイオキシン底質環境基準の設定手法について
(3) 底質溶出試験の結果について
(4) 「海外におけるダイオキシン類の底質基準の作成にかかる情報調査」報告書について
(5) その他  

4.配布資料

資料1   前回議事録(案)
資料2ダイオキシン底質環境基準の設定手法について
資料3底質溶出試験の結果について
資料4底質濃度と魚類濃度の関係について
資料5ダイオキシン底質環境基準の考え方について(設定手法以外)
資料6「海外におけるダイオキシン類の底質基準の作成にかかる情報調査」報告書  
 

5.議事

【瀬川補佐】 定刻を過ぎておりますので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第2回のダイオキシン類環境基準専門委員会を開催させていただきます。
 本日は委員14名のうち、現時点で8名の委員の方々に御出席いただいておりますので、既に委員会開催の要件を満たしております。
 議事に先立ちまして、石原水環境部長からごあいさつ申し上げます。

【石原水環境部長】 専門委員会の開催に当たりまして一言ごあいさつ申し上げます。本日はお忙しい中、御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。また、水環境行政の推進に当たりまして、数々の御指導をいただいております。この場をかりまして御礼申し上げます。
 ダイオキシン類の底質の環境基準ということで、昨年の12月に諮問をさせていただきまして、2月に第1回ということで開催させていただきました。本日はダイオキシン類の底質環境基準の設定の考え方等について御審議いただきたいというふうに考えております。
 簡単ではございますけれども、本日はよろしくお願いいたします。

【瀬川補佐】 それでは次に、議事に入ります前に、本日お配りいたしました資料について確認させていただきたいと思います。本日の配付資料ですが、資料1から資料6までとなっておりまして、資料1は前回の議事録案、資料2はダイオキシン類底質環境基準の設定手法について、資料3、底質溶出試験の結果について、資料4、底質濃度と魚類濃度の関係について、資料5、ダイオキシン類底質環境基準の考え方について(設定手法以外)です。資料6は諸外国の事例調査結果についてでございます。お手元にない資料はございますでしょうか。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 議事運営規則に従い、本専門委員会の委員長であります村岡先生に議事進行をお願いいたします。
 それでは村岡先生、お願いいたします。

【村岡委員長】 本日は年度初めということで、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 今日は、先ほど石原部長からもお話がありましたように、ダイオキシン類の底質環境基準の設定等についての考え方、これについて御審議いただきます。委員の先生方には活発な御審議をお願いしたいと思います。
 議題の1ですが、前回議事録(案)についてです。資料1にお配りいただいておりますけれども、まだ委員の先生方で確認がとれていない方もございますので、後ほど、委員の御承諾を得て、修正すべき点がありましたら修正して、また皆様にお配りするということにさせていただきたいと思います。
 それでは次に、議題の2です。ダイオキシン類の底質環境基準の設定手法についてであります。まず、事務局から御説明いただきたいと思います。

【瀬川補佐】 それでは、御手元にありますように、資料2、資料3、資料4につきまして、底質環境基準の設定手法について説明をさせていただきます。この専門委員会での御議論に当たりまして、委託先に検討会を設け、それちらでも現時点で考え得る設定手法について幾つか御検討いただいております。
 資料2の方には、現時点で考え得る設定手法につきまして、その基本的な考え方、手法、そして導出される数値をまとめております。大きく分けまして2種類ございます。まず、1つは底質中の間隙水に着目した導出方法、そして対策基準として、どの程度の底質濃度を設定すべきかという2点でございます。
 まず、資料2の1ページ目を説明させていただきます。間隙水に着目した導出方法ですが、基本的な考え方として、高濃度のダイオキシン類を含む底質は、溶出及び巻き上げによって水環境中へのダイオキシン類の供給源となり得ると。このため、底泥の間隙水の濃度は水の環境基準と同じレベルににるような数値を理論式から算定し、そのレベルで環境基準、第1回の専門委員会で対策基準として設定するということで御指示いただいておりますが、この値とするという考え方です。
 この考え方及び次に説明する手法につきましては、分配平衡法として欧州の底質環境基準の導出及びアメリカにおける対策実施、あるいはリスク評価の際に用いられている手法でございます。
 2番目の手法ですが、基本式ですけれども、底質の間隙水中の有害物質濃度は底質の固相における濃度と平衡状態を形成しており、かつ、底質の固相の濃度は底質中の有機物濃度によって変動します。したがって間隙水と固相との間の分配係数を有機炭素濃度で補正すると、有機物濃度の異なる底質に適用することができます。
 模式的には下記の1式で見ていただけるとありがたいのですが、ここで幾つか変数がございます。固相の有害物質の濃度、これがターゲットといたします底質環境基準の数値になるわけですが、Cdが間隙水中の有害物質濃度、つまり、ここに底泥の間隙水の濃度、水質環境基準というものを置きます。そして変数が2つ、有機炭素濃度と有機炭素濃度で補正した分配係数です。なお、有機炭素濃度で補正した分配係数のlogはlog Kowを変数とした一次方程式から導出することが可能です。
 さて、ここで分配係数の決め方なのですが、log Kowの値を与えてやれば、ある関係式によって導くことができます。ここでは2つ数字を出しております。まず最初に、アメリカFederal Registerに掲載されております、栄養連鎖上、濃縮係数が最も大きいとされるlog Kowの値です。これは低次の魚、あるいは貝類を1といたしまして、単純濃縮係数というふうに書いておりますけれども、高次の魚類、あるいは鳥類への濃縮の度合いをlog Kowの数値ごとにあらわしている表がございました。中西準子委員から御提出をいただいております。また、もう一つ、前回の専門委員会の資料でお示しいたしました、平成11年度調査結果なんですが、これは底質濃度から生物、あるいは水質濃度から生物への濃縮が最も高いとグラフ上では読み取れる数値である7.2、この2つの数値を用いております。この項の中、[1]、[2]となっておりますのは、それぞれこのlog Kowの数値を6.9と置いたものと7.2で置いたものの2つでございます。
 次に、関係式ですが、log Kocとlog Kowの関係については、複数の関係式の学説がございますが、ここでは諸外国で実際に底質環境基準導出に用いられており、現時点で最新の学術論文に裏づけている式を利用しております。
 [1]の場合、log Kow6.9の場合はlog Kocが6.497、[2]、log Kow7.2の場合には6.806が導出されます。
 次のページに行きまして、基準値の試算ですが、間隙水中ダイオキシン類濃度を1pg-TEQ/Lと置いた場合、そして、この2ページの真ん中ぐらいにありますけれども、有機炭素濃度を5%、これは同手法を用いて底質環境基準を設定しておりますフランス及びドイツ、ともに5%をフィックスで使っておりますので、この数字を仮置きしております。
 [1]の場合、log Kowが6.9の場合には、計算の結果、おおむね150pg-TEQ/g程度の数値が導出されます。
 [2]の場合、log Kowが7.2の場合にはおおむね300pg-TEQ/g以下の数値が適当であると導出されます。
 その他ですけれども、欧州諸国が同様の手法を用いていること。平成11年度調査結果で、底質濃度が100ピコ以上の底質に含まれる有機炭素濃度、平均値は4.3%でした。ただし、これは理論式ですので、他の数値を代入すれば底質濃度についてかわり得るということ。あるいは、生物への検証については、ここではいたしておりません。
 3ページ目ですが、溶出試験結果からの導出でございます。基本的な考え方ですが、先ほどの間隙水に1pg-TEQ/Lを当てはめる理論式と同様に、ここでは底泥の振とう溶出試験を行いまして、その結果から同定をしております。
 手法ですが、高濃度の底泥の振とう溶出試験結果から底質の水への溶出及び巻き上げによる影響を計算し、基準値を導出しております。振とう溶出試験の概要及び結果は、資料3にまとめております。ここではまず、数値について簡単にエッセンスだけ紹介をさせていただきます。
 まず、海域ですが、海域の底泥を海水で振とう溶出試験を行った結果、SSを1mg/Lの状態まで低減させた場合、これは平成11年度の海域の最頻値でございますけれども、この低減をさせた場合を計算いたしますと、底質A、底質濃度100の海域の底泥では水質濃度が0.36pg-TEQ/Lと。逆算いたしまして、水1pg-TEQ/Lに対応する低質濃度は276pg-TEQ/gと試算できます。底質Bに関しましても、同様の計算をいたしまして、同様に底質濃度を369pg-TEQ/gと試算しております。
 次に、河川ですけれども、河川の底泥につきましては、蒸留水で振とう溶出試験を行いました。この実験設計に当たりましては、私どももどういう水で振とう溶出試験を行うべきかというのを若干検討したのですが、つまり、河川の場合には、河川水中に含まれる諸成分によって凝集沈澱効果があり得るということ。逆に、ダイオキシンの場合は、河川水に溶けておりますフミン質などに吸着することによって溶存態の形で溶けている形もあるかもしれないと、さまざまなことが考えられましたので、この実験系では便宜的に蒸留水を振とう溶出試験に用いております。同様に底質A、底質Bを2カ所からとってまいりまして、SSを2mg/L、これは河川の常時監視の最頻値でありますけれども、ここまで低減させた場合を計算いたしますと、底質Aに関しましては129pg-TEQ/g、底質Bについては10pg-TEQ/gという数字が導出されます。ただし、底質Bに関しましては、後で溶出試験の結果を説明させていただくのですが、SS濃度が非常に高かったため、こういった試算には適用し得ないのではないかという御指摘を専門家の方からいただいております。
 さて、数値の考え方ですが、全試験結果、これは底質Bの棄却せずにという意味ですが、全試験結果を平均いたしますと196と。その下側の数値をとりまして150程度というのが導出できるのではないかと。逆に、海域と河川とでは明らかに結果が違っておりますので、海域については250以上の数値にそれぞれなっており、河川については、先ほどSS濃度について問題があるといたしました底質Bの試験結果を棄却し、底質Aで100ピコと、そういう考え方ができるかと思います。
 その他のところですが、いずれにしろ、生物への影響については、ここでは検証しておりません。
 最後の手法ですけれども、4ページ目ですが、平均底質濃度を+3σで対策基準値と書いております。これは基本的な考え方ですが、底質ダイオキシン類濃度と魚類中ダイオキシン類濃度との間には弱いながらも相関がございます。これは私どもの平成11年度の調査結果で明らかになっております。一方、現時点でのトータルダイエットスタディの結果から、魚介類を含む食品からのダイオキシン類の摂取量はTDIを下回っております。つまりバランスのよい食事をとれば、現時点では問題ないと。
 このため、現状の底質濃度をおおむね許容できる範囲であるけれども、その通常範囲から外れる高濃度地点については対策が必要であると。そういう考えに立ちました場合、その通常範囲から外れる濃度をもって、環境基準(対策基準値)とするという考え方です。
 手法ですが、底質ランダムサンプリング結果から底質濃度を対数で表示し、その平均値+3σの濃度を対策基準値とするという考え方です。
 そこに示しましたグラフが平成11年度調査でございます。対数正規性については、これがあるということで限定をしております。底質濃度の平均値+3σで、対数表示で2.3853と、これを真数に戻しまして243、つまりおおむね250pg-TEQ/g程度で対策基準値とするという考え方です。
 5ページ目に、その他として書いておりますけれども、そもそもこういった手法は一般的かどうかということで調べましたところ、昭和61年、環境庁水質保全局の市街地土壌汚染問題検討会報告書において、土壌基準の参考値として、対数の平均値+3σの数値を導出しております。なお、この設定の手法ですと、暴露経路である魚類、水への影響については、ここでは検証しておりません。
 資料2については以上でございます。
 資料3については底質の溶出試験の結果でございますが、結果の導出の手法ということで9ページをご覧下さい。数字が少し小さいので恐縮なのですが、表9は海域底質を振とう溶出試験を実施した結果、表10が河川の底質を振とう溶出試験した結果になっております。
 まず、海域底質の方なのですが、その箱の中にあります上の方、海域底質Aと書いてありますが、これは底質中のダイオキシン類を測ったところ、100pg-TEQ/gの底質であったということです。これに海水を10対1の割合で添加いたしまして、6時間振とう溶出した結果、24時間静置を行っております。このとき、溶存態として検出されたダイオキシン類濃度が0.27pg-TEQ/L、懸濁態としてろ紙に付着したものが2.6pg-TEQ/Lございました。このとき、24時間静置の結果、SS濃度が28mg/Lございます。もちろん海域で28mg/Lといった高濃度のSSが検出されるということは余りなく、最頻値であります1mg/Lまで低減させた場合にどうなるかというのを計算で求めております。計算のやり方ですが、溶存態として検出されたダイオキシン類につきましては、そのまま検液中にとどまると。ただし、懸濁態として検出されたダイオキシン類につきましては、SS濃度が1mg/Lまで低減させると、比例的に低減できるというふうに計算をしております。つまり懸濁態としてとれましたダイオキシン類2.6pg-TEQ/gを28分の1にし、溶存態についてはそのままで、検液中に残るという計算をしたものでございます。
 この溶存態と懸濁態の区分ですけれども、孔径0.5ミクロンのろ紙を使っております。当然のことながらですけれども、溶存態として検液中に残ったものも実態的にはもっと細かい、0.5ミクロンよりも細かい粒子に付着しているのではないかと。ですので、もっとたくさん落ちるのではという御指摘も先生方からいただいたのですが、それは安全側を見てといいましょうか、検液の中にそのまま残るという、そういう考え方でここを見ております。
 同じように、海域の底質B、2,100pg-TEQ/gのものを6時間振とう、24時間静置で、SS濃度29mg/Lまで落としております。この29mg/LをSS濃度1mg/Lまで低減させた場合というものを試算するため、懸濁態として検出したダイオキシン類濃度だけを110を29分の1にし、これに溶存態を足し、底質とそれから検液の比をとっております。
 河川底質についても同様のことをしておるのですが、ただし、河川底質Bにつきましては、SS濃度84mg/Lとなっておりますけれども、これはこれだけ24時間ではなく72時間の静置を行っております。つまりSSがなかなか低減しなかったので、これだけ長い時間静置をしてみたということです。が、ほかの底質と違いまして84mg/Lという大きい数字がさらに残ったということです。それでこれはSS濃度の河川の最頻値であります2mg/Lまで規格化した場合、少しこれにつきましては、手法として乱暴なのではないかという御指摘をいただきました。つまり、ほかの底質につきましては、28mg/Lが1mg/L、29mg/Lが1mg/L、あるいは38mg/Lが2mg/Lというレベルなのですが、底質Bにつきましては、84mg/Lを2mg/Lまで持っていくというところが若干乱暴と。また、もともとの底質濃度が低いので、そもそも対策基準を考える上で余り適した検体ではなかったのではないかという御指摘もございました。
 振とう溶出試験については以上でございます。
 次に、資料4でございますけれども、先ほど3つの手法を見ていただきましたが、いずれも底質濃度と魚類濃度の関係については、特段検証しておりません。ダイオキシン類の底質環境基準を設定するに当たって、ここでは高濃度地点の濃度を基準値まで低減させた場合、底質濃度と魚類濃度の関係について試算をしてみたものでございます。
 手法ですけれども、基準値以上の濃度地点について、基準値まで濃度を低減した場合、底質濃度としては平均的に低減をしていくと。これは平成12年度の常時監視結果から求めることが可能です。平成12年度の常時監視結果では、底質の平均濃度は9.6pg-TEQ/gでございました。この底質の平均値から魚類濃度の全国平均値を求めていくと。これは平成11年度調査結果から、魚類濃度と底質濃度との関係式を求めまして、そこに入れております。ちなみに全体とありますが、河川、海域及び湖沼、すべてのサンプルの相関をとったものでして、サンプル数は2,618でございます。河川につきましては311検体、海域につきましては2,204検体をここで使っております。
 その結果といたしましては、魚類の濃度なんですが、現在、日本では魚類摂取量の4分の1が内海魚、4分の3が輸入魚であることから、魚類からのダイオキシン類摂取量の全量を推定をしてやる。つまり内海魚の濃度として魚類濃度の平均的な数字を入れてやるという形です。なお、平成12年度、トータルダイエットスタディの結果から、輸入魚の平均は0.37pg-TEQ/gと計算をしております。
 なお、淡水域と海域とを分けて検証する場合には、海面の漁業漁獲量と内水面の漁業漁獲量との比をとりまして数値を設定しております。
 ここでは幾つか試算の結果を示しております。3つありまして、まず、全域150pg-TEQ/gの場合、150pg-TEQ/g以上の地点につきまして、すべて150pg-TEQ/g以下に低減した場合、全体の底質濃度の平均値は、先ほど申し上げました9.6pg-TEQ/gから7.8pg-TEQ/gに低減をいたします。この底質濃度に対応する魚類濃度、これは全国平均的にこの程度かという単なる試算でございますけれども、7.8×0.1504で1.2pg-TEQ/gであると。国内魚介類が1.2pg-TEQ/gの場合、魚からの摂取量全体を計算しておりますが、一人1日100g、一人平均体重50kgで計算をいたしますと、魚からの摂取量全体1.2pg-TEQ/kg/day程度と、この調査結果からは試算ができます。
 次のページに全域150pg-TEQ/gとした場合ですけれども、同様の計算をいたししまて、全体の平均値が8.3pg-TEQ/gに低減し、魚からの摂取量全体は1.2pg-TEQ/kg/dayになるます。
 淡水域100pg-TEQ/g、海域250pg-TEQ/gの場合ですと、一つ工夫がありまして、それぞれ淡水域の平均値が例えば6.6pg-TEQ/gに低減をする。あるいは海域につきましても海域の平均値が10pg-TEQ/gに低減をすると。それぞれ相関式がございますので、魚類濃度を出しております。
 国内魚介類の魚類濃度を出すに当たり、平成12年の漁業・養殖業生産統計年報から、その割合をそれぞれに掛けてやり数字を出しておりますが、この結果は1.8pg-TEQ/g、魚からの摂取量全体は1.5pg-TEQ/kg/dayという、こういう計算が一応できるということでございます。
 設定手法については、簡単ですが、以上でございます。

【村岡委員長】 どうもありがとうございます。設定手法につきまして資料2で3つの手法を御紹介いただきました。また、関連する問題について資料3とか4で御説明いただきました。それではただいまの御説明に関しまして委員の先生方からいろいろ御意見をいただきたいと思います。

【酒井委員】 ちょっと質問させてください。Kowの点なのですが、この分配係数に基づく導出の部分ですけれども、Kowの対数6.9と、それから7.2での計算を進められています。ダイオキシン・ジベンゾフランにしても、あるいはPCBにしても塩素数によってかなりこのKowの数字が違うと思うんですが、両者の違いに関して、改めて数字を御紹介いただけませんか。

【瀬川補佐】 御指摘のlog Kowなのですが、異性体ごとに大体8塩化から9までの中におさまっております。ちなみに6.9になりますのは、ペンタのPCBで、126のPCBがちょうど6.9になっております。7.2の付近に固まっておりますのは、どちらかと言いますと、ヘキサのPCBになります。156、157、167がそれぞれ7.14、7.16、7.17、という形で固まってまいります。ちなみに2,3,7,8-TCDDはlog kowは6.4となっております。

【酒井委員】 ということは、PCBで一番毒性等価係数TEFの高い126がぴったり6.9だと、そういうことでございますね。ありがとうございます。

【村岡委員長】 ほかにございますか。

【中杉委員】 溶出試験からの導出のところで、全域平均という形と海域と河川とを分けるという2つの数値が示されていますけれども、この両方で平成11年度の調査結果か12年度の結果、どちらでも結構ですけれども、具体的にかかってくる水域の数というのは、どのぐらいになりますか。

【瀬川補佐】 図上に平成12年度の常時監視結果がございます。全域平均値150pg-TEQ/g以上で、地点数としてひっかかってくるのは14地点ございます。14地点とありますけれども、河川数と海域数でいきますと、河川数では11、海域数は2つになります。ただし、このうちの1つの海域は、先ほど申し上げた1つの河川の河口ですので、実体的には12カ所になりましょうか。それから、平成12年度常時監視結果で淡水域を100pg-TEQ/g、海域を250pg-TEQ/gとした場合なのですけれども、地点数自体は28地点になります。28地点のうち、河川が27、海域が1点になってまいります。
 先ほど、同じ河川で100pg-TEQ/g以上のところがございまして、そのうちの3地点及び2地点は、それぞれ同じ河川になっております。

【村岡委員長】 ほかにございますか。

【細見委員】 資料4なのですが、基準値まで低減したときに、どれだけ効果があるかという試算結果なのですが、(1)と(2)番については、全域の相関の式を使っているわけですね。もしも、この場合に、海域と河川域に分けて計算すると、どうなりますでしょうか。(3)番の場合には淡水域が100pg-TEQ/gと海域250pg-TEQ/gで分けて、それぞれ相関式から計算すると、少し……、平等にすべきは、両方それぞれの水域で計算してみてはどうかという気もするのですが。単純な疑問としては、例えば、(2)番というのは、全域を250pg-TEQ/gに抑えたという場合でも、摂取量が1.2ピコになるわけですね。ところが(3)番目は、海域は250pg-TEQ/gだけど、淡水域はもうちょっと厳しく低減しているにもかかわらず、摂取量が1.5と増えているというのは、これは私の理解ではちょっとバランスがとれないというか、すぐに理解しにくいのではないかと。

【瀬川補佐】 手元にその試算結果がないので、次回、専門委員会までに作成しようと思います。ちなみに、海域250pg-TEQ/g、淡水域100pg-TEQ/gの方なのですけれども、つまり海域の方が全体的に平均値が高くなっており、かつ、魚類濃度に関しましても高濃度のところで高濃度が見られるという関係にあり、かつ、食べる量を、単純に統計年報から海面漁業漁獲量と内水面漁業漁獲量との比をとって見ているのですが、海面漁業漁獲量が98%、内水面が2%になっているので、どうしても高い方の海域に引っ張られて、国内魚介類の濃度が高くなるという形になっております。全域150pg-TEQ/g及び250pg-TEQ/gの結果を分けて計算をしていないので、次回、専門委員会までに用意させていただこうと思います。

【山田委員】 資料3で関連する事項なんですが、漁業生産統計から海面の海産業の生産量98%、内水面漁業も2%で試算されているわけですけれども、特に海面の方の漁業生産量の中には、非食用といいますか、食品として回らない、えさ等に行くものがあると思いますので、若干補正された方がよろしいんじゃないかと思っております。

【村岡委員長】 ほかにございますか。
 資料2、3、4につきまして、設定手法について御意見いただいたわけですけれども、幾つか質問がございまして、それに答えていただいたという。質問の回答としては、皆様方、それで御納得いただいているかなと思うんですけれども、それに関連して、設定手法そのものについて、何かこういうところが問題であるとか、あるいは、こうしたらいいとかというふうなことはございませんか。一応、資料2につきましては、I、II、IIIという3つの手法が挙げられておりますけれども。例えば、酒井委員が先ほど御質問なりましたKowというものの幅があるということに関連して、質問の答えとしては納得されていると思うんですが、そう意味では、この関係式のやり方というのはどうなんだということあたりはどうでしょうか。

【酒井委員】 質問させていただいた趣旨は、先ほどPCBを認識した設定ですということを確認することが主眼だったわけです。2つの数字の紹介をいただいておりますので、全体としては、やはりKow、若干低目の方の評価を大事にした方がいいのではないかという意見を持っております。その中でいくと、ちょうど6.9設定という方が望ましいのではないかということで考えです。といいますのは、4塩化から8塩化のダイオキシン・ジベンゾフランということでいけば、ほぼ、今、セットされた4塩化の2,3,7,8、6.4という御紹介ございましたけれども、今のPCBの3塩化から5塩化あたりのもののKowの数字を見てまいりますと、やはり6前後というようなあたりのセットになってまいりますので、そういう意味で少しKow、小さ目の方の評価も十分評価に入れて考えていくということが必要であろうというふうに思っております。

【村岡委員長】 何か関連した御意見ございますか。

【中杉委員】 今の議論に絡んでですけれども、今のところ、これは底質と水の関係を見ているような、水と生物の関係を見ているような、ちょっと微妙なところなんだと思うんですけれども、今の底質と生物の間で、平成11年度の調査にかかわりますよね。その間の溶出率を異性体ごとに見たときに、どれが一番安全サイドになるのかとか、実際に1回水に溶けてという経路をここで想定しているわけですけれども、そうなると、例外がやっぱりありますので、片一方ばかりではないだろうというふうに思います。片一方だと、出しやすくすれば、今度は生物の方には濃縮しにくいという関係があるので、そこら辺を考えたときに、その他に、それは何を意味しているのかというと、ちょっと難しいのですが、その比で見たときに、今、異性体としていいのを見ているのかという感じがしたものですから。

【村岡委員長】 ありがとうございます。事務局、特段何か。先ほどの酒井委員とあわせて、ございますか。ありませんか。
 ほかに何か関連した御意見、もしくはその他の意見でいかがでしょうか。

【中杉委員】 この数値は、資料2の方は基本的に水への絡みのところで見ているという手法で、直接、人の口に入る段階を見ているのではないのですけれども、それを1条件設定しておいて、後で魚の方に戻して、人の口に入るところをどうであるかと。これは水質の基準を決めるときと同様の手法をとっていると思うんですけれども、そういう観点で見れば、一応、資料4の結果で言えば、ここで言っている数字のどれをとっても、全体で合わせて4ピコグラムというTDIはクリアできるということですね、平均的に食べれば。そういう意味では、どれをとってもいいようなというふうな保証ができる、保証の不確かさは若干あるかと思うんですけれども、それについてはクリアできているのかなと思いますけれども。その中で、先ほどの話で、3ページのところの海域と底質を一律に見るか、分けて見るかという話の方なのですが、3ページの一番最後に、摂取の考え方、[1]と[2]、2つありますね。これは全体のあれから考えていくと、[2]よりは[1]の方が安全サイドを見ているのではないかと。と申しますのは、圧倒的に海域の魚を食べる量が多い。そちらの方の濃度を抑えてくるという意味では、安全側に見ていると言えます。部分的に河川については逆なのですけれども、食べる量が圧倒的に少ないですから、先ほど、山田先生が少し変えなければいけないかもしれないと言われましたが、そんなに大きな違いはないと思いますので、そういう意味では全域一律という方が安全サイドを見ているのかなというふうな感じがいたします。

【村岡委員長】 関連した御意見ございますか。
 この後、設定手法以外として環境基準の考え方について、また御議論いただくわけですが、設定手法についてということで議題がなっておりますのでその辺り、まだございますか。

【細見委員】 4ページの平均濃度3σという考え方は、市街地土壌のときにも用いられたことで、東京都の土壌についても、これが使われたと思います。この場合、データのもとになるデータが一番問題だろうと思われるのですが、数がわからないので何とも言いがたいのですが、各県10点程度とりあえずランダムサンプリングされた。ここが非常に重要なことだと思いますが、その場合、例えば、もし河川域と海域と分けた場合に、何かそんな、全国一律海域も河川域も同様に見ていく考え方と溶出試験で河川域と海域とちょっと違ったような傾向が出ているとすると、もし、この±3σというのは、これはデータの数が問題かもしれませんので、こういう解析が海域ごと、海域と河川的と分けて可能なのかどうかということは、いかがでしょうか。

【瀬川補佐】 ちょっと微妙なところでして、その平成11年度の調査の底質のデータ数は545あるのですけれども、そのうちの320が海域でして、その残りが河川、湖沼といった淡水域になるのです。それで、海域の方は同じような計算ができるのかもしれませんけれども、河川だけにした場合に、少しデータ的には少なくなるのだろうと思います。やっていないので、必要であれば事務局の方でもう一度作業しようと思いますけれども。

【村岡委員長】 やってもらう必要ありますか。

【細見委員】 どういったところかというのは、要は、対策だとか、それから溶出試験のことを考えると、海域と河川域ではやはり異なってくるケースも考えられる場合もあるのではないかと。その場合に、海域だったらどのぐらいのばらつきで、あるいは河川域だったら、ある特有のばらつきをしている可能性があるとも考えられるとも思ったので、少しそういうお願いをしてみたわけですが。

【村岡委員長】 その点については、データがあるということですから、一度やってみていただきたいと思いますが、できますか。

【瀬川補佐】 少し、1週間ほどお時間いただくことになると思います。ちなみに、今、対数表示をしていない手持ちの資料をちょっと見ているのですけれども、底質河川のダイオキシン類の頻度分布と底質海域におけるダイオキシンの頻度分布は、傾向としては余り変わらないと思いますが、河川のダイオキシン類の頻度分布の方が低濃度のところが多いと思います。つまり1pg-TEQ/g以下の割合が海域の方が多いようです。ただし、河川の場合は高いところというのはぼんとありまして、平均値自体は海域よりも高くなっております。平成11年度の調査に関しましては。ですので、対数のヒストグラムをちょっととってみないとわからないのですが、余り大きく差はないと思います。ただ、尖度・歪度で対数データが対数正規性を示しているかどうかの検討もあわせてしてみないといけないとは思います。

【中杉委員】 今の平均濃度の+3σの値ですけれども、これの設定方法の少しあやふやといいますか、疑問点というのは、土壌含有量の参考値もそうなのですけれども、しばらくたってもう一回測り直してみると、全然違う数字になってくるという。土壌の含有量の参考値も3σ、同じものをやっているという保証はないのですが、過去にやったものと今やったもので、数分の1に下がってしまうみたいな状況が起こっていて、今、問題ある時点がいつなのかという、それをどこで認定するかといういやらしさがあります。今が問題だからといったときに、3σで切るのがいいのか。しばらくたったときが問題なのかという、また次の違う年にやると同じようなことで、数字が変わってきてしまうといういやらしさがあって、場合によったらどんどん動いていってしまうというようなことになりかねないのではないかと。しばらくたって、当然対策を高いところをやれば全体は下がりますけれども、そうでなくても、何とはなしにバックグラウンド的にしてしまっている分があって、ダイオキシンもそうですけれども、バックグラウンド的なところが全体的に下がってくるというようなことが起こるわけですね。そうなると、3σという数字も随分変わってきてしまう。そこら辺のあやふやさというのがこの設定方法にあるのではないかというふうに思います。

【村岡委員長】 ありがとうございます。一番新しいデータは12年度でしたか。それもたしか河川の底質で何か飛び抜けて大きいところがあったように思うんですけれども、そういうことで、今、中杉委員がおっしゃったように、データのばらつきというか、時間がたてば、あるいは調査日、調査場所がちょっと変わればかわるというふうないやらしさがあるというような事実ですね。その辺をどういうふうに、底質という場でこの基準を設定するかと。そこが問題で、なるべくそういう影響が入らないような設定方法を考え出していくということが必要なのではないかと思います。
 何か関連した御意見ございますか。

【田辺委員】 底質の溶出試験のところですが、以前の委員会で、僕、ちょっと申し上げたと思うんですけれども、この溶出試験の場合、底質を風乾していますよね。そのためにたくさんダイオキシン類が溶出した可能性があるのではないかなと思ったのですが、もし、そうだとすると、ここで見積もったあれというのは、最大溶出量から見積もった底質濃度ということになるから、いいと思うんですけれども、逆のことがちょっとないかなと思ったんですね。つまり、風乾をすることで溶出しにくくなったというようなことも起こらないかなと思ったのですが、もし、これそういう試験、風乾したものと風乾していないもの、生の底質、それでやって、どんなふうに違うのかというように文献情報があれば、それも場合によっては見つかれば、御提示いただければという気持ち、ちょっとしたのですけれども。

【瀬川補佐】 風乾したもの、風乾しないものの区別をとった文献というのは、JICSTの文献ファイルを見る限りございませんでした。

【村岡委員長】 ほかにございませんでしょうか。
 そうしましたら、いろいろ貴重な御意見いただきましたので、資料2が設定手法ということで重いのだろうと思いますけれども、その辺でまた委員の御意見を反映されて、事務局の方でもう一度見直していただくということにしていただきたいと思います。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。次は議題の3でありまして、ダイオキシン類の底質環境基準の考え方についてであります。
 事務局から御説明いただきます。

【瀬川補佐】 資料5にダイオキシン類底質環境基準の考え方について(設定手法以外)ということで資料をまとめております。これは今後おまとめいただきます報告案の中の設定手法以外の部分のスケルトンのようなイメージでまとめております。
 まず最初に、1ページ目が「はじめに」なのですが、経緯として底質の環境基準については、平成11年当時の審議の際には設定が見送られたわけですが、他方、底質の環境基準の設定は緊要な課題とされております。
 (2)に、底質中のダイオキシン類濃度についてということで、平成11年度調査結果と平成12年度の常時監視結果のそれぞれの枠組み及び平均値、濃度範囲を示しております。平成11年度の調査結果におきましては、ダイオキシン類濃度の平均値は5.4pg-TEQ/g、濃度範囲は0.066から230pg-TEQ/gでございました。
 平成12年度常時監視結果におきましては、これにつきましてはダイオキシン類特措法に基づいて、都道府県知事及び同法の政令市の長の常時監視をまとめております。全国1,836地点ですけれども、その結果、ダイオキシン類濃度の平均値は9.6pg-TEQ/g、濃度範囲は0.0011から1,400pg-TEQ/gでございました。
 平成11年度と比較いたしますと、平均値が高くなっております。これは一部の調査地点で、特に水質、底質に関しましては、これまでの調査結果でダイオキシン類汚染が明らかとなった地点を選んできちんとはかってくださいというお願いをしていますので、こういった地点を考慮して選定していることも影響していると結論づけております。
 2番で、底質環境基準の必要性ですが、平成11年度に環境庁が実施した調査におきましては、底質ダイオキシン類濃度と当該地点で採取された魚介類中のダイオキシン類濃度との間には、相関係数は小さいものの、有意な相関が認められております。このため、環境基準を設定し、対策を実施することによって、底質濃度が低減されれば、魚介類ダイオキシン類濃度の低減が期待できると示しております。
 また、底質は絶えず水に接触しておりますので、ダイオキシン類に汚染された底質は、ダイオキシン類の水への供給源となっております。この観点からも底質環境基準を設定し、対策を実施することが必要であるということです。
 つまり、底質というのは、3ページ目にありますけれども、暴露経路を考えますと、2経路であると。水に影響する、それから、底質から魚介類に取り込まれる、この2経路であって、土壌のように直接摂取で人に影響があり、その観点から環境基準及び対策基準を設定した媒体とは違っております。
 3ページ目に底質環境基準の性格でございますけれども、底質環境基準の性格につきましては、第1回専門委員会で先生方から、汚染底質について対策を講じるための目安として設定する。対策基準として設定することが適当という御意見をいただいております。
 現在、ダイオキシン類につきましては、環境媒体ごとに環境基準が設定され、あるいは排出規制が実施されているところ、発生源からの発生負荷量の低減が見られております。このため、公共用水域の底質に供給されるダイオキシン類は、今後減少していくことが予想されます。
 また、底質表層部分の濃度につきましては、コアサンプルのデータから、近年下がる傾向にあり、規制の実施によって今後さらに表層部分の濃度が低減することが期待できるとあります。
 ですので、まず、勘案すべき事象は、現存する汚染底質の対策であり、対策を講じるための目安として底質環境基準を設定したいと考えております。
 4.数値設定の考え方につきましては、先ほどの議題で先生方に御意見いただいたところでございます。
 4ページ目に、まず、適用でございますが、ダイオキシン類の底質環境基準につきましては、ダイオキシン類が間接的に飲料水や魚介類経由の食物摂取によって人の健康に影響を及ぼすという観点から、他の健康項目同様、河川、湖沼、海域を問わず、全公共用水域に適用することが適当と考えております。
 次に、達成期間の考え方ですが、従来、他の健康項目に係る環境基準につきましては、「直ちに達成され維持されるように努める」とされているところでございますが、ダイオキシン類につきましては、多様な経路を経て人体に摂取されるため、環境媒体の間での移行による時間的遅れなどの要素がございます。このため「可及的速やかにその達成維持に努める」とすることが適当と考えております。
 7番で測定ですが、ダイオキシン類の底質環境基準の測定方法につきましては、既に水質保全局水質管理課でまとめました「ダイオキシン類に係る底質調査測定マニュアル」に掲げる方法というものを考えております。
 この底質マニュアルにつきましては、検出下限未満の取り扱いが2つ並列になっておりますけれども、原則として検出下限未満のものは試料における検出下限の2分の1の値を用いることとしたいと考えております。ただし、底質環境基準を超え、対策を行うこととなる場合には、その原因者に費用負担を求めるということがございますので、土壌同様、土壌がちょうど検出下限以下のものについてはゼロとして扱っておりますけれども、十分な精度が確保できない定量下限値未満の値についてはゼロとして算出をしていただくと。
 また、分析精度に関しましても、十分な精度を確保するよう留意する必要がございます。
 なお、平成12年度からダイオキシン類特措法に基づき常時監視をしていただいておるところなのですが、これらはいずれも定点において継続的に測定を行い、経年変化を把握することとしております。こういった観点を加え、これらを含む調査を通じて底質濃度が比較的高かった地点に関しましては、その周辺において測定地点を増加させること。あるいは低濃度の地点については、むしろその地点を移動し、面的により広い範囲をとらえるよう移動させるということも考えられます。
 8番目に評価ですが、評価は年平均値をもってこれを行うことといたします。なお、評価については、地点ごとにこれを行いたいと思っております。
 次が底質環境基準と対策でございます。ダイオキシン類は人の健康に影響を及ぼすおそれがございますので、底質環境基準を超える場合については、水への溶出や魚介類の底質摂取等を低減するための何らかの対策をとる必要がございます。
 これらの対策手法につきましては、現在、しゅんせつ、現位置コンクリート固化、覆砂など多様な手法が知られております。対策内容につきましては、汚染地点ごとに対策手法について評価検討を行い、環境面から見て最適な手法を決定する必要がございます。なお、言わずもがなでございますけれども、環境面から見て、複数の手法が同様の効果、除去や封じ込めによる効果を有すると判断された場合には、最も経済的な手法を選択することと書いております。
 なお、対策の検討に当たりましては、当該地点の汚染の広がりをまず把握しておく必要があり、汚染範囲同定のための詳細調査を実施する必要があります。
 また、除去対策に当たりましては、しゅんせつなどによる汚濁の拡散等について留意する必要があります。
 また、これらの調査及び対策に当たりましては、地元関係者に対し調査事業、あるいは対策事業に関する情報提供を十分行うことが重要であります。
 なお、現在、ダイオキシン類に係る底質除去についての技術指針を別途検討いたしております。これについては別途、委託先検討会を設けて検討しております。
 10番で、今後さらに検討すべき事項として2つ書いております。現在、欧州、あるいはWHOを中心にTDIの見直しの議論があるということは、私どもも承知をしております。我が国においてもTDIの見直しなどの議論がある場合には、必要に応じ、その時点におけるダイオキシン類摂取の状況を勘案し、今回制定する底質環境基準及び対策が十分なものであるのか、検証する必要があると思っております。
 また、底質そのものや、あるいは底質中のダイオキシン類の魚介類への取り込みや濃縮についても調査研究を進めていただく必要があると、そのように考えております。
 基準の考え方については、以上でございます。

【村岡委員長】 ありがとうございました。これは設定手法以外の報告書のスケルトンだということですが、きょうのところは、これをたたき台にしていただきまして、十分御議論いただきいたと思います。いかがでしょうか。

【中杉委員】 質問なんですが、今の底質環境基準の測定方法のところで、サンプリングについての規定がされているかと思いますけれども、どのようなものになっているか、教えていただけますか。

【瀬川補佐】 底質調査測定マニュアルにつきましては、採泥方法を示しております。エクマンバージ型の採泥器、またはこれに準ずる採泥器で、原則として表面から10センチ程度の底泥を3回以上採取、それらを混合して採泥試料とするとしております。
 エクマンバージ型以外の手法をとった場合には、使用器具や例示を、あるいは採泥の層圧などの情報を記録することとしております。

【中杉委員】 今回の基準の考え方自体も、そういうようなサンプリングの仕方で、超えているか、超えていないかの議論をしていくことになると思うんですけれども、そのときにダイオキシン類濃度は、よく知られているように、過去の方が高いということで、深度が深い方が高い場合がある。それに対して、どういうふうに考えていくかという話が一つあると思うんです。先ほどの設定の仕方の考え方と少し絡み合わせながら考えなければいけないのですけれども、では、最初から深いところまで調査をするのかというような、また、もう一つの問題がそこらにあるかと思います。そういう意味で、これ自体が、どういうふうにそこら辺のところに考え方を持っていくかというのを少しもう一回整理をしておいた方がいいように思います。
 例えば、当然、底質もしゅんせつなどの作業をすると、その次に新しい層が出てくるわけですね。底質というのは、一般に濃度の変化は余り大きくないと考えられるのですけれども、そういうしゅんせつ等の作業をすればあらわれてくる。もう一ついやらしいのは、今度対策をやったときに、底質をとっていて、どこまでが底質なのかという議論がまた難しい議論が出てくるのかなというふうに思います。そこら辺のところは、なかなか判断が難しいと思いますけれども、そこをどう考えるかというのも一つの問題になるのかなというふうに思いますが。

【村岡委員長】 ありがとうございます。何か関連した御意見ございますか。

【鈴木委員】 中杉先生のお話と多少似ているのかも知れませんが、評価の年平均値をもって行うということで提案されているのですけれども、平均といっても、多分年平均、そんな早い数字で多分底質の濃度が変動するようには思わないのですが、一方で地点間のばらつきの方が非常に大きいですし、また難しい評価のポイントだと思います。今、決める必要はないと思うんですが、年平均値という年という単位に必ずしもこだわって評価をする必要は、底質の場合には特にないのではないのかなという気は、私は持っています。もう少し長く数年ぐらいの分解度でも余り大きな問題はないのではないかというような気がいたします。関連かどうかわかりませんが、一応、コメントしておきます。

【村岡委員長】 その地点の選び方といいますか、その点について何か、マニュアルの方でどういうふうになっていますか。

【瀬川補佐】 地点の選び方に関しましては、測定調査マニュアルは余り詳しいことを示していないのです。「調査目的に合致した試料が採取できるように選定する」とだけありまして、そこは比較的自由に自治体さんの裁量で動かせるような形になっております。
 それから、まず、中杉先生から御指摘いただきました垂直方向にとっていくと、かえって底に近い方が高濃度になるというケース、これがほとんどであろうと思います。水への溶出や、あるいは魚への摂取というのを考えた場合に、やはり評価は表面の濃度でやるのが適切だというふうに思っておるのですが、対策を実施するために汚染範囲を同定する際に、汚染範囲というのが平面的な広がりだけではなくて、垂直方向にどれぐらいの層厚でしゅんせつすべきかという、あるいはコンクリート固化をすべきかという点は把握していただくのだと思います。
 それから、最後に、鈴木先生からの年平均値という考え方なのですが、確かに底質濃度に関しましては、湖沼や海域といった、割と水が停滞するようなところに関しましては、余り変動がないのだと思います。他方、河川などはやはり変動が激しいようでして、また、常時監視を年に1回まとめるということもありまして、それで一応ここでは年平均値というのを出しております。

【村岡委員長】 どうもダイオキシンによる底質の状態がどうであるかという、その状況を把握する測定なり調査なりというのは、非常に難しいなという気がするのですけれども、今、お聞きしたことだけでも、まだどうやらこれから考えないといけないようなところがあるのかなという気がいたしましたけれども……。

【中杉委員】 年平均という考え方ですけれども、これは一見底質の濃度が変わらないと考えられます。同じ底質がそこにあるかどうかということが、むしろ問題です。その底質が先ほど言いましたように、ダイオキシンがあるという意味でだけじゃなくて、河川改修なり何なりでしゅんせつしてはいでしまうとうことが十分起こり得る。そうなると、当然、別な層が出てきますから、そこで基準といいますか、濃度が変わってくるということが一つあります。それから、河川の場合には、浅いところで、流れが早いところは、当然底泥は流されますから、その関係によっても変わってくるというようなことがあるので、そこら辺をどう考えるかというのを、少し調査の方法として整理をして、それで年平均というのはどういうふうに考えるのかという話になると思います。それは逆に言うと、そういう変動したときに、魚の濃度にどうなるのかという、また変な議論になるかもしれませんけれども、少しそこら辺のところも議論の整理だけはしておいて、どうするかはまだ明確には言えませんけれども、一つの論点にはなるのだろうというふうに思います。

【鈴木委員】 別に年平均が、今、とりあえずこうすべきであるというようなことではないと思うんですが、今、私も舌足らずで、河川の話でございますし、ただ変動の時間スケールが非常に違うものが底質の場合含まれてくると思うので、限られた分析なり何なり試験を配分するときに、場合によっては多少戦略を考えてもいいのではないかなと、そういう一般的なに意味で申し上げたつもりでございます。

【村岡委員長】 ありがとうございます。

【宮田委員】 この2ページ目の底質環境基準の必要性という中で、比較的重要だと思いますのは、底質の中にありますダイオキシンというのは、かなり半減期が長くて、非常に安定だと思うのです。それで、ここのところはそういう大きな局面になって魚介類汚染というようなところに繋がってくると思うのです。そういうことで、非常に分解されにくいという性質が浮き上ってくると思うのです。このようなことから、対策を立てていく必要があると、そういうふうに思うのですが。

【村岡委員長】 ありがとうございます。関連して何か御意見ございますか。
 それでは一つ重要な御指摘ということで記録にとどめておいてください。
 ほかに何かありますか。

【中杉委員】 9番の対策のところですけれども、この辺のところは、ここの委員会で検討する話なのかどうか、ちょっとわからないのですが、この技術指針を今つくられていてという話は、これは調査の方法もまたも入ってくるのかなと思いますけれども、何らかの形で対策をやったときの目標値みたいなことも考え方をどうふうにするか。というのは、後ろのどういう方法でやるかによって目標値というのは、当然変わってくるのだろうと思うんですけれども、処置したら底質がなくなるわけではないので、処置したものがどこへ行くかということと絡んで、処置が淡々と決まってくるのか、そこら辺のところの話を少し整理をしておく必要があるのだろうと思うんです。今、ここで決めないと、こういうことをやりなさいといっても、どういう技術が使えるか、コストがどのぐらいか、どこまでやればいいのかというのが全く出てこないので、そこの議論が多分必要だろうと。どこでやるのか、ちょっと私もよくわからないけれども、多分技術指針の中で何かそこの目安を示してあげないといけないのかなというふうに思いますけれども。そのやり方によって当然変わってくると思うんですよね。

【村岡委員長】 ほかに何か御意見ございますか。この委員会で、今、中杉委員が言われたように、どこまで細かいところを詰めるかということもありますけれども、調査とか対策とかというものについて、基本的な考え方をやっぱり示すという意味では、少し今も出かかっておるような問題点の整理をもう一度していただいて、論議をその点に集中してやっていきたいと、解決するような方向に導いていきたいと思うんですけれども、その点、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

【宮田委員】 年2回の平均ということについて、少しもう一度考えてみましたら、例えば、春に高濃度のところが見つかって、そして対策基準をはるかに超えているような値が出てきたとしますよね。それで、秋に底質が流されて低くなったとします。このような場合、年平均というのは、当然低くなりますよね。そうしたら、汚染底質は流されていくので、結局は水質の汚染につながっていくわけですね。そうしましたら、やはり、ある調査のときに汚染が見つかれば、できるだけ可及的速やかに対策を立てるべきではないかなと思うのですが。先ほどのように、大雨が降って流れていけば、当然、それはどこにか行くわけです。従って環境保全という立場に立てば、2回の調査を待って、その平均値でもって、それが基準を超えている場合に対策を立てるというのは、余り好ましくないように思ったりするのです。そこのことについてはどうでしょうか。

【瀬川補佐】 一旦汚染されたサイトが、それ以降はすべて汚染サイトとして取り扱うというお考え方だと思うんですが、ダイオキシンの人影響の観点が長期暴露による影響を見ているものであり、急性毒性に立脚していないので、ある程度の期間の平均濃度で構わないのではないかというふうに、私は思っております。つまり、一たん汚染されたものは、未来永劫汚染サイトとして取り扱うということは、これはサイエンスとして見たときにリーズナブルではないというふうに思われますし、それから高濃度のところが面的に広がっていった場合に、そこで底質環境基準が超えているか、あるいは水であれば、水の常時監視も行っておりますので、そういった形で把握をしていくのだと思います。
 現実的にその対策をとる際に、どのように考えていけばいいのか、御示唆いただけるとありがたいのですが、つまり、ここの調査でも書いてあるのですけれども、高濃度の地点が見つかった場合に、その付近でもっと高濃度、あるいはそれに準ずるような濃度が出ないかということで、測定地点を増加させていただくということはあるのではないかと思いますが、汚染されたサイトを、ピンポイントでのサイトを未来永劫そこは汚染サイトだとして取り扱うのは、余りリーズナブルではないのではないかと思います。

【宮田委員】 こういう場合、一般的な考え方としまして、対策基準を超えた地点が見つかったとしたら、その周りを調査することになると思うのです。それで、その周辺もかなり高く出てくるようでしたら、やはり対策に向かって進むというのが通例だと思います。しかし、年平均がでるまで待つと、汚染発見から対策までかなり間隔が開くわけですね。だから、そういう場合は、一般的に土壌と同じように、高濃度のところが見つかれば、可及的速やかにできるだけその周辺範囲を調査して、汚染の確認ができれば対策を立てる方向をというのが常道だと思います。汚染範囲の規模にもよると思うのですが、ただ、汚染底質が流されていくという、どこかに行って広がっていくという、それは余り前向きな考え方ではないように思うのです。そういうことで、汚染が見つかれば、できるだけそこの周辺を調査して、汚染範囲を確定し、できるだけ速やかに対策をという方が、環境省のとるべき立場ではないのかと、そういうように思いますが。

【瀬川補佐】 私の申し上げていることと先生のおっしゃったことと、多分余りそごがなくて、調査のやり方といたしましては、汚染範囲同定のための詳細調査をすぐにやっていただく、あるいは高濃度のところが見つかったら、周辺で地点数を増加させるということをスケルトンの中に書いているので、それで先生の御指摘の内容は既に盛り込んでいるのではないかというふうに思うのですが。

【村岡委員長】 宮田先生の御意見では、高濃度の汚染が見つかったと。これは地下水とか、土壌だったら逃げませんから、対策までちょっと時間をかけていろいろ考えようと。だけど、底質の場合は、洪水が来たら逃げてしまうと。逃げてしまうと、よかったなというわけにもいきませんから、そこのところをどうするのかと。むしろ汚染物質を拡散させていることにならないかという御指摘だと思うんですがね。

【瀬川補佐】 その点は、私も懸念しておるところでございます。事故などが起きまして、高濃度のダイオキシンが流出いたしましても、放っておくと流出してしまう可能性があります。先ほどの中杉委員からの御指摘にもありましたように、ダイオキシン、一たん高濃度が見つかりましたら、まず汚染範囲を即座に同定していただきたいということを、私ども考えておりまして、それと、評価を年平均値をもって行うということが少しずれがあるのかもしれません。高濃度のものが見つかったときに、常時監視としての地点数も増加させるし、あるいは詳細調査を行って、その範囲を同定していただくということをやります。ただ、どれぐらい可及的速やかかという、そのタイムスパンのお話なのかもしれないのですが、ダイオキシン類は御承知のとおり、分析に1ケ月はかかるというふうに聞いておりますし、また、そういった広い汚染範囲をあまねくコアサンプルをとるということも、若干時間がかかります。ですので、可及的速やかにというときに、汚染範囲を同定する程度の時間的余裕はきちんと持って対策をしていただくことが必要なのだと思っております。

【村岡委員長】 そうですね、これはやっぱり委員会の報告としては、基本的なことを考えるわけで、今の問題をそういうふうに片づけていいかどうかも含めまして、基本的にやっぱりきちっと書かないといけない、考えておかないといけないと、今の問題、というふうに思いますので、また、ここで議論ができればいいですが、次回にでも考えていただくということにしたいと思います。

【中杉委員】 基本的考え方は、宮田先生が言われるとおりで、多分、恐らく多くのところでは、年平均値といいながら、年1回の測定に多分最初からそういう計画になると思うんですよね。逆に、最初にその1回の計画ではかって高かったから、もう一回はかろうというので、年平均だというのは、それはないでしょうねという話だろうと思うんですけれども、実際問題としては、いろいろ対策をやるためには対策方法を決めなければいけないし、汚染をはからなければいけない、対策を進めなければいけないと。そうなると、実際、それではかろうといってはかったときに超えていて、もう一回はかってみたら、きれいになってしまっているということは、まま起こり得ると思うんです。ですから、そこら辺のところは、もうここでは年平均と一応書いておきながら、例えば、技術指針の中にそういうことを注意事項として書いていくというようなことで、例えば最初から年2回やるよというふうなことを計画していたら、それはそれでという話ではないかなというふうに、私は思います。

【村岡委員長】 ほかに関連した御意見ございますか。
 そのほかの問題で何か御意見ございますか。

【酒井委員】 最後の対策のところです。対策内容に関しては、この汚染地点ごとに、この対策手法について評価検討を行って最適な手法を決定する云々とあるのですが、ちょっと前回もお聞きした点です。この辺の検討状況を、前回細見先生にお尋ねしたのですが、こういう形で最適な手法を決定するという、その状況に検討は今、レベルは達しておりますでしょうか。いろいろな手法があって、それを最適なものを選べるのだという状況があれば、この文章も結構だと思うんですけれども、その辺の状況をよく見て、ここはぜひ判断をしていくことが必要だなと思っているのですが。

【細見委員】 今、対策手法で挙げられている手法というのは、実は今現時点でもダイオキシン対策ではなくて、別の項目についてはこういう技術がもう既にあると。あるいはしゅんせつにしても、当然あちこちでやられているわけですし、PCBとか、水銀についても暫定除去基準ということで運用されています。問題は、それがダイオキシンで本当に適用できるのかとうかという点だと思います。それについて、少なくとも固化だとか、そういう性能については、実験室レベルではもうできていると。問題は、底質の除去についても今までのしゅんせつ技術について、今までの技術がどういう点を注意すればダイオキシンに適用できるのかという、特に濁度管理で影響なくできるということがある程度、今、いろいろな海域だとか、水域を想定しながら、今までの技術をレビューしてやっている段階で、ある程度、表に今できつつあって、現実には、ちょっと濁度計が、例えばどういう濁度計を使うかと、この間も議論したのですが、結構環境基準レベルで濁度をコントロールするのか、排水基準でやるのかとか、ちょっとそこの点はまだ議論はし尽くせていませんが、一応の方針として、ある程度環境基準でやるのであれば、こういう装置が必要なのではないかと。例えば濁度を測定する装置が必要なのではないかというところまでは来ていると思います。
 あと問題は、この汚染したものを除去して対策するという、後の処分の方法ですが、これについてなかなか、例えば最終処分場だとかに行くケースもあり得るかもしれませんが、分解除去してしまおうという場合には、まだ技術的な検討は、土壌のダイオキシン法とちょっと似ている部分があるのですが、なかなか実証試験レベルまではいっていないと。実験室内では幾つかやられておりますけれども、実証試験レベルという点では、少し分解技術に関しては、僕は至急いろいろ配慮していただきたいというふうに、個人的には思っています。

【酒井委員】 そうすると、分解技術、それから拡散防止という意味での部分の評価ということに関しては、ちょっとまだまだやることがありますよという、そういう認識をやはりとらなければならないということになるのですか。

【細見委員】 土壌についても同様のことは、多分言えると思うんです。暴露経路を遮断するという意味では、かなり現位置固化とか、覆砂とかという対策で適用できるのではないかと思いますが、水域によっては、そういう覆砂とかが許されないような地域も当然考えられて、少し除去、あるいは処分ということが必要な水域も必ずあると思います。そういう場合に、ダイオキシンでも同じように、ダイオキシン汚染土壌についても覆砂、あるいは覆土というのでリスクを遮断すればいいということになっていますが、そういう場合以外の除去して分解するという技術についても、100%、私の口から言うのも変ですけれども、今、実証段階にあるということで、その点については、私はもう少し検討する必要があると思います。

【酒井委員】 ダイオキシンの分解技術に関してはある程度の道筋がついているとみています。底質をしゅんせつしてとってまえば、それに対しての道すじはかなりもういい線に来ているのではないかと、技術としては、そういう認識を持っていいのではないかと思います。その前段で言われた暴露経路の遮断という意味で、どこまで何がわかっているかということに関しては、確かにかなり未知数の部分があると思うんです。ですから、そういう意味で汚染地点ごとに最適な手法と言われたときに、一体何がどこまでできるかということは、最終段階に向けて、少し議論した方がいいのかなという気がいたします。

【細見委員】 そういう意味では、具体的に意見とか、最適な方法を選ぶために地点ごとの検討が必要かもしれないですね。

【中杉委員】 多分これはいろいろな方法が考えられるんですよね。その場所場所もものすごく違って、例えば護岸がどういうふうな形状の護岸であるか。掘削除去できない。掘削除去してしまうと護岸が崩れてしまうというような場合は、掘削除去そのものができないという話もありますし、これはケース・バイ・ケースで、多分現在利用可能な中で、現在わかっている知見のもとで最適な手法をという話だろうと思います。

【村岡委員長】 お聞きしたところ、何かいっぱい問題があるということで、解決しないといけない問題がまだまだ残っておるけれども、ある程度詰めていかないといけないと。実証試験すら、したいけれども、まだ答えが出ていないていというふうなお話だったかと思います。
 そういうことで、いろいろ御議論いただいて、貴重なコメントいただきました。ということで、この議題3につきましては、また、次回までに事務局で精査していただくということにしたいと思います。
 引き続きまして、議題の4に入りますが、諸外国の事例調査の結果についてであります。御説明をお願いします。

【瀬川補佐】 諸外国の事例調査につきましては、国立環境研究所にお願いいたしまして、オランダ及びカナダの事例を調査していただきました。結果につきましては、鈴木委員から御報告いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【鈴木委員】 資料の6として配られているものの2ページ目から書かれてございます。オランダとカナダについて違うという考え方があるのであろうという事務局の予備調査に基づいて桜井研究員を派遣して聞き取りをしてまいりました。
 表の1の方に大体の様子がまとめてございます。一番左側のHとCというのはオランダとカナダ、まず上の3つがオランダのCostal and Marine Mamagement、沿岸海洋省とでもいうのでしょうか、の数字でございます。その次のオランダの3つ、100、1000から始まって、0.001までと書いてある数字のところがオランダの別な省と申しますか、行政機関のものでございます。それからCと書いてあるところの2つがカナダの方の2つの数字でございます。
 余り時間がございませんので、ざっと資料の読み方について説明申し上げますが、まず表の1の一番上に出ております基準値13と書いてある数字、単位はすべてng/kg乾燥質量ということでございます。13と書いてある数字でございますが、その前に資料の3ページのところに、この答えを述べた相手というものがここに書いてございます。3ページの下の方でございますけれども、オランダのRIKZと略称されている機関の担当者からの聞き取りでございます。4ページの頭のところに基準値と書いてございまして、資料値NL-1-aと書いてあるところが、先ほどの表の1の一番上の行に相当する部分でございます。オランダについては、カナダもそうでございますけれども、どの数字も法律的な拘束力を持った環境基準というものではないということでございますが、その中で一応この数字が生きている唯一の数字であるというふうに説明を受けたということでございます。
 数値に関しては、基本的に生態系を保護するための値として、この考え方が4ページの下の方の2の基準値算定のための枠組み及び計算方法と書いてございますが、基本的には人に対してではなくて底質中の生物種に対する毒性データに基づいて、影響があるとみなされる種の割合5%であるような値、かなり安全側の数値に基づいて導いた数字であると。そういうふうにしますと、一応、底質基準が13という数字になって見るということでございます。
 この値を超過した場合、どうするかという点については、基準値の運用についてというところは、次の右のページの5ページのところに、3.基準値の運用というところで書いてございます。まず特に実際には全国的な監視は行われていないとのことで、一番新しいデータは90年ごろのものというような状況だということでございます。
 4番目に、基準値超過の場合の対策ということでございますが、今の13という数字に関しては、この値を超えた場合、どうするかということについては、特に回答はなかったということでございます。そういう使い方をする数字ではないということのようでございます。
 表の1の方の2行目のところはPCBの話で、ちょっと飛ばしまして、この中に一応ダイオキシン類似のPCB、126番等の数字が含まれておりますが、一応、PCBという枠組みでの数値だということでございます。
 次に表の1の3行目に50という数字が書いてございます。これが説明といたしましては、4ページ目の真ん中辺に値NL-1-cと書いてあるところでございまして、しゅんせつされた水路底質について、再び海に投入してよいかどうかの判断基準になる値であると、それについて2003年から施行ということで聞いてきたところでございます。この分析法については、コア分析ではDR-CALUXを使うとのことです。その応答にのっとって50ng/kg-dwをダイオキシン様毒性についての基準値とすると。これについても上の数字13と同じように、生態系に対する影響を抑えることを目的とした値である。人の健康というものをターゲットにしたものではないというふうに、明確に述べておられるものでございます。
 その後、表の1の4、5、6行目の数字でございますが、これに関する説明が5ページから6、7というようなところにかけて書いてございます。表の1のこの4、5、6行目の100(農業)、1000(都市)、あるいは土壌、2、土壌底質、0.001と、こういう数字ございますが、これは土壌の数字がまじっております。オランダについては、土壌と底質は、余り画然とは区別していないということらしいので、土壌の数字と底質というのがごちゃまぜになっているので、土壌の数字を説明してもらったということのようでございます。この数字はすべて法としての施行は実現していない。一応、考えてはみたのだけれども、調整ができなかったというふうに述べられたそうでございまして、一応、こういう数字が提案をされたけれども、実際に今、必ずしも使われているわけではないと。そういうものだということでございます。
 次のカナダでございますが、表の1の下の2行でございますけれども、これに関する説明が資料の9ページから書いてございます。前置きがございますので11ページからですか、11ページ、それから12ページにかけて書いてございます。
 この表の1の下から2つ目のところが、多分カナダに関しては確かに意味のある数字でございますが、11ページの下の方に2番の基準値算定の枠組み及び計算方法というところから説明が一応記録してございます。これについては、やはり底質に関する生態系への毒性に対して決定するということで、これも同様に人に関するものではございません。実験データによって、添加毒性の試験を行った結果か、そうではなくて、もう少し簡易的な手法を使った結果かということで、多少データに重みがつけてございますが、一応添加毒性のデータに基づいて計算をして、真ん中のところに、TEL=√E15×NE50というような式が書いてございますが、このようなある種平均値によって影響域水準のTEL(Threshold Effect Level)と、もう少し確実に影響が見られるであろうというレベルProbable Effect Level、PELという2種類の数字を算出すると。この数字のいずれかをもって底質に関する広域ガイドラインとするというのが一般の手続であると。これに基づいて得られた数字が表の1の下から2行目に載っている数字だということでございます。ダイオキシンの場合にPELに関して安全係数を掛けておりますけれども、行政的な判断に基づいて安全係数を適用するというようなこともやっているということでございまして、いずれにしろ、そのような生態毒性に関するカナダなりの判断基準に基づいて得られた数字が表の1の下から2つ目の底質についての0.85(指針値)、あるいは21.5という数値だということでございます。
 いずれの数字もカナダ、オランダ、この2つの国の幾つかぱらぱら提案された数字につきましては、現時点で適用されているものに関しては、特に超過対策というもの、あるいは指針値や強制力のある数字ではないということが明確でございまして、生態影響に関して、何かこの数字を超えたら、何か考えましょうという出発点にするというような意味の数字であるというふうに理解されております。
 個別には少し丁寧に説明すべきであるかもしれませんが、中身はざっとごらんいただければと思います。文面に関しては、最初の方で多少修正する必要があるかと思っておりますが、大体中身については間違いございませんので、おおよそそんなような状況でございます。

【村岡委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関しまして何か御議論いただけたらと思います。

【細見委員】 表1のHというところですが、この場合、海域の再投入の禁止、あるいは処分場への搬入等の処理を行うと。これを超えていればということですが。50ナノグラムというのをCALUXではかった値だというわけですか。これは何かほかのしゅんせつ土砂のOSPAR条約とかなんか、そういうたぐいのものと何か関連しているのでしょうか。何か再投入というのは、何となく、その辺の情報はわかりますでしょうか。

【鈴木委員】 OSPARとの関係というのは、これは実は調べてございません。8ページのところに基準値超過の場合の対策ということで、真ん中辺に書いてございますけれども、港については一定水準以上が、今、50という数字がございますけれども、のダイオキシン類濃度がある場合には、十分に管理された投棄場所へ投棄する必要があるということになっているとのことです。2003年から一応施行するいうふうに説明されております。50の根拠は、おおよそはわかるんですが、非常にすっ飛ばされた説明でございまして、気になっているところではあります。

【細見委員】 CALUXを使うというのは、それは根拠は何かあるんですか。

【鈴木委員】 それはちょっとわからないです。多分、これはPCBも分析がされていまして、確定ではございませんが、PCBのデータとCALUXの関係を見て決めた数字のようでございますが、ここは再調査する必要があると思います。

【村岡委員長】 ほかにございますか。ありませんか。

【宮田委員】 カナダの底質の影響が確実水準を支える水準というのは21.5ピコですよね。グラムで言えばピコ、こういうような場所というのはカナダでは、そうめったにない数字なんですか。

【鈴木委員】 そうらしいです。

【宮田委員】 一般的にはどんな感じですか。

【鈴木委員】 めったにないというか、手順に従って誘導すると215になるらしいんです。215だと、そんな地点はほとんどないということで、21.5になっているという、ややよくわからない説明を受けております。

【瀬川補佐】 カナダはダイオキシンという意味ではなくて、底質の環境基準の設定の仕方というのも一つプロトコートして確立をされています。それがここの資料で書いていただきましたように、毒性試験の結果を数字の小さいものから順番に並べていって、資料6の12ページになりますけれども、影響水準と影響確実水準というものを、こういう数式で計算するというふうに、決めてしまっておられるんです。それでダイオキシンに関しては、ブロシャーを読みますと、ダイオキシンは非常に猛毒の物質なので、安全係数を10を掛けたという記述があるのです。つまり、本来影響確実水準という名前のその数値が215になるのですけれども、それを10分の1にする、安全係数10を掛けるということで21.5という数値を出しておられるようです。

【村岡委員長】 ほかにございませんか。

                 (な し)

【村岡委員長】 それでは、貴重な御意見いただきましたので、事務局におきましては、この意見を参考に作業を進めていただきたいと思います。
 最後に、議題の5でありますが、その他ということになっております。事務局の方で何かございますか。

【瀬川補佐】 事務局としては、次回の専門委員会の日程の件だけ申し上げます。5月中旬ごろに開催したいということで、先生方に既に日程調整のeメールを送らせていただいておると思います。別途、調整させていただきたいので、よろしくお願いいたします。
 なお、当委員会の運営方針で議事録を作成し、公表することとなっております。後日、事務局から議事録(案)を作成し、各先生方にお送りいたしますので、御発言内容について御確認いただきますようにお願いいたします。

【村岡委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、次回は5月中旬ごろということでございます。先生方には、きょうの議論もここで完結したわけではございませんので、事務局で作業を進めるに当たって、いろいろと細かいことを先生方に御指導いただくということがあろうかと思います。その折りには、ひとつ先生方、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日の委員会、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。