中央環境審議会水環境部会 瀬戸内海環境保全小委員会(第8回)議事録

議事次第

開会

議題

(1)瀬戸内海環境保全特別措置法の改正について(報告)

(2)法改正を踏まえた瀬戸内海環境保全基本計画の取扱いについて

(3)瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく取組状況等について

(4)その他

閉会

議事録

午後1時27分 開会

○伊庭審査係員 定刻より少し早いですが、委員の皆様お集まりいただきましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第8回瀬戸内海環境保全小委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の出席状況でございますが、委員23名中、20名のご出席をいただいております。

 それでは、議事に先立ちまして、水・大気環境局長の高橋よりご挨拶を申し上げます。

○高橋水・大気環境局長 皆さん、こんにちは。水・大気環境局長の高橋でございます。昨年7月から局長を務めてございます。よろしくお願い申し上げます。

 今日は第8回の瀬戸内海環境保全小委員会でございます。開会に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 委員の皆様方には、平素から環境行政、特に水環境行政の推進につきまして、様々な場面でご指導、ご理解をいただいております。この場を借りまして改めて御礼申し上げます。

 瀬戸内海環境保全基本計画でございますけれども、平成25年からこの委員会において7回にわたってご審議いただきまして、昨年2月に閣議決定して変更させていただきました。また、この動きとも連動しておりますけれども、昨年10月に、議員立法によりまして瀬戸内海環境保全特別措置法が改正されました。この改正法では、瀬戸内海を豊かな海とする旨の基本理念が新しく設けられまして、この点につきましては昨年2月に変更いただいた基本計画と同じ方向性だと考えております。

 また、この改正法におきましては、法施行後5年を目途に栄養塩類の管理の在り方について検討する、また、おおむね5年ごとに基本計画に検討を加えるといったことも盛り込まれてございます。これにつきまして、この委員会を定期的に開催させていただきまして、この改正法、それから基本計画の施行の関係についてご検討いただきたいと考えてございます。

 また、関係府県におきましては、本年10月までには府県計画を変更しようということで、今、作業を進めていただいているところでございます。私ども環境省といたしましては、この法改正、また新たな基本計画に基づきまして、きれいで豊かな瀬戸内海という観点で、引き続き関係省庁、あるいは関係府県をはじめ、様々な関係者の方々と連携して取組を進めていきたいと考えております。

 本日の委員会では、先般の法改正を踏まえた基本計画の取扱い、また、法律及び基本計画に基づく取組状況などについてご審議をいただきたいと思っております。関係省庁とも調整した上で整理した資料を用意してございますので、よろしくご審議を賜れればと思います。

 今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。

○伊庭審査係員 ありがとうございました。

 本日は第8回の委員会となりますが、今回からご参画いただくことになりました委員のご紹介をさせていただきます。

 お名前だけご紹介させていただきます。

 高村典子委員でございます。

 西嶋渉委員でございます。

 他の委員につきましては既にご紹介させていただいておりますので、委員名簿をもってご紹介にかえさせていただきます。

 なお、足利委員、田中委員、千葉委員におかれましては、ご都合により欠席とのご連絡をいただいております。

 次に、前回の開催以降に環境省側で異動がありましたので、ご紹介させていただきます。

 高橋水・大気環境局長につきましては、先ほどご紹介させていただきました。

 皆様から向かって右、江口総務課長でございます。

 さらに右にまいりまして、二村水環境課長でございます。

 私は、本日、進行を務めさせていただきます閉鎖性海域対策室の伊庭でございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、配席図の次に、資料1が委員名簿、資料2が法改正の概要、資料3が法律と基本計画の対照表、資料4-1が瀬戸内海環境保全関連予算、資料4-2が基本計画の指標の状況、資料5が豊かさを実感できる海の再生事業、参考資料1-1が法律の新旧対照表及び附則、参考資料1-2が法律の条文、参考資料2が基本計画、参考資料3が「第8次水質総量削減の在り方について」の概要となっております。

 不足がございましたら事務局にお申しつけください。

 また、各委員のお手元には「瀬戸内海の環境保全資料集」をご用意しております。こちらにつきましては、委員会終了後は席に置いておいていただければと存じます。

 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただいております。

 なお、プレスの方は、これ以降の写真撮影等はお控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、この後の進行につきましては岡田委員長にお願いいたします。

○岡田委員長 委員の皆様方におかれましては、大変ご多用の折、またお寒い中ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 本委員会の趣旨につきましては、先ほど高橋局長からお話ございましたので、早速議事に入りたいと思います。

 最初の議題は、瀬戸内海環境保全特別措置法の改正について(報告)となっております。

 事務局からご説明をお願いいたします。

○根木閉鎖性海域対策室長 資料2「瀬戸内海環境保全特別措置法の改正の概要」をご覧ください。

 議員立法によって改正されまして、昨年10月2日に公布・施行されております。

 なお、参考資料1-1に改正前の条文と改正後の条文の対照表、そして参考資料1-2に改正した瀬戸内海環境保全特別措置法の全文をつけておりますので、ご参照ください。

 それでは資料2に戻りまして、改正の概要をご説明いたします。

 まず、瀬戸内海の環境の保全に関する基本理念を新設しております。

 この基本理念、3つの内容がございまして、①としまして、瀬戸内海を、人の活動が自然に対し適切に作用することを通じて、美しい景観が形成されていること、生物の多様性・生産性が確保されていること等、豊かな海とするということであります。2番目に、施策は、規制の措置のみならず、藻場、干潟その他の沿岸域の良好な環境の保全・再生・創出等、総合的かつ計画的に推進するということです。3つ目は、施策は、瀬戸内海の湾、灘その他の海域ごとの実情に応じて行う。この3つの柱が基本理念として盛り込まれたということであります。

 次に、政府は基本理念に則って、瀬戸内海環境保全基本計画を策定するということであります。この規定は改正前の法律にもありましたが、改正前の法律では、水質の保全、自然景観の保全の二本柱でありました。この改正により、記載の①沿岸域環境の保全・再生・創出、②水質の保全・管理、③自然景観・文化的景観の保全、④水産資源の持続的な利用の確保という4本柱になったということであります。

 また、政府は、おおむね5年ごとに基本計画に点検を加え、必要があると認めるときは、変更する。このPDCAサイクルの明確化が位置づけられたということであります。

 次に、右側をご覧いただきまして、府県計画を策定するという規定はもともとございましたが、この府県計画を策定するとき、これは変更のときも含みますけれども、湾、灘その他海域の実情に応じたものとなるよう、必要な措置を講ずるという条文が入ったということであります。その例示としまして、関係者により構成される協議会、いわゆる湾灘協議会の意見を聞き、その他広く住民の意見を求めるという記載がされております。

 そしてその下に、これらの計画が着実に実施されるように「国は、地方公共団体に対し、必要な援助を行うように努める」という文言も入っております。

 そして、具体的な施策が幾つか追加されております。

 まず「国及び地方公共団体は、①漂流ごみ・海底ごみの除去等、②生物の多様性・生産性の確保に支障を及ぼす動植物の駆除等、③水産動植物の繁殖地の保護・整備、水産動物の種苗の放流等に努める」という文言が入っております。

 また、これまでは赤潮ということで入っていたんですが、赤潮に並べて「貧酸素水塊の発生機構の解明及びその防除技術の開発に努める」という文言も入っております。

 また、自然海浜保全地区の指定に係る規定がもともとこの法律にございます。この指定された地区については、建物を建てたりするときに届出が必要になるということでありますが、この自然海浜保全地区につきまして、特に「干潟」という文言を追記しました。干潟について、もともと指定はできるところでございますが、豊かな海の代表格ということで「干潟」という文言を加えて、自然海浜保全地区に指定することができることを明らかにしたということであります。

 また、環境大臣による環境状況の定期的な調査についても法律に明記されました。

 次に、検討条項が2つ入っております。

 1つ目が、政府は、瀬戸内海における栄養塩類の適切な管理に関する調査・研究に努める、そしてその成果を踏まえ、法施行後5年を目途として瀬戸内海における栄養塩類の管理の在り方について検討を加え、必要と認めるときは所要の措置を講ずるということ。

 もう一つは、政府は、法施行後5年以内を目途として、新法の施行状況を勘案して特定施設、いわゆる瀬戸内海に流れ込む場所に排水を流すような事業所でありますが、特定施設の設置の規制の在り方を含め、新法の規定について検討を加え、必要と認めるときは所要の措置を講ずる。

 このような2つの検討状況も入っております。

 以上、改正法の概要のご報告でございます。

○岡田委員長 ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたら承りたいと思います。

 いかがでしょうか。

○鷲尾委員 最後のところで「特定施設の設置」とありますが、この特定施設というのはどういうものを指しているのか、共有できておりますでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 特定施設といいますのは「瀬戸内海に流れ込む河川等に排水するような事業場」のことであり、水質汚濁防止法で定められた排水規制の対象施設になります。

○岡田委員長 他にございますでしょうか。

 よろしければ、次の議題に移りたいと思います。

 次の議題は、法改正を踏まえた瀬戸内海環境保全基本計画の取扱いについてです。

 事務局よりご説明をお願いいたします。

○根木閉鎖性海域対策室長 資料3をご覧ください。法律と基本計画の対照表でございます。

 少し経緯を説明いたしますと、瀬戸内海環境保全基本計画につきましては、長きにわたり、この小委員会でご検討いただいてきました。平成2410月に「瀬戸内海における今後の目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方について」という答申を中央環境審議会からいただいております。これを踏まえて、この小委員会において7回にわたりまして、基本計画の変更についてご議論いただいたところであります。そして平成2610月、1年数カ月前になりますが、前回、第7回の小委員会において基本計画の変更案をまとめていただきまして、その後、答申に至ったということでございます。

 一方、瀬戸内海環境保全特別措置法でありますが、こちらは議員立法として平成26年に国会に提出されております。その平成26年のときは衆議院の選挙のため、国会が解散したということもありまして、1度この法律案が廃案になった経緯がございます。そのような事情もありましたが、この計画はそのとき既にまとめていただいておりましたので、計画をそのままずっと宙ぶらりんではよくないということもありまして、平成27年2月に基本計画変更の閣議決定がなされました。そしてその後、昨年の国会に法案が提出されまして、平成2710月に公布・施行されております。

 同じような時期に同じような関係者の中でご議論されておりますが、そのような経緯がありますので、本日は、この改正法と基本計画について整合がとれているかどうかご確認いただきたいという趣旨でございます。

 左側が改正法でありまして、改正箇所にアンダーラインを引いております。右側は、環境省としてこれに対応すると考える基本計画の該当箇所であります。

 目的については、法律の改正で基本理念の定めとか環境保全のための事業の促進等に関し措置を講ずるという文言も入っておりますが、計画についてここは整合が図られている、ご覧のとおりでありますが、豊かな海にするといったことで整合が図れていると考えております。

 次にその下、瀬戸内海の範囲を定めるところで、法律が改正されております。これは実際にエリアを変更したわけではなくて、エリアを定める基点となるようなポイントの名称が変わったということでありますので、実質の変更ではございません。

 2ページであります。

 基本理念を法律で制定したということでありますが、先ほど3つあると申し上げました。まず、豊かな海とするということを法律に位置づけたということでありますが、これについては右の欄の計画、全体がこのような内容になっておりますけれども、例えば「計画の目標」の下から3行目あたり、「豊かな瀬戸内海を目指す」ということで書いております。

 2点目は、規制措置のみならず藻場、干潟の保全・再生・創出など総合的、計画的に推進するという部分でありますが、これについて計画では、第3「目標達成のための基本的な施策」の2行目ぐらいからでありますが、「現在残されている自然環境の保全や発生負荷の規制等のこれまで実施してきた保全型施策に加え、沿岸域における良好な環境の再生・創出、生物多様性・生物生産性の確保の観点からの水質の管理、底質環境の改善、美しい自然と人の生活・生業や賑わいが調和した景観の保全等を合わせて基本的な考え方として、各種施策の積極的な実施に努める」という書きぶりがあります。

 そして3点目、湾・灘ごとの実情に応じて行うという点につきましては、計画の一番下でございますが、「施策の検討・実施に当たっては、湾・灘ごとの地域の実情や季節性に応じて行う」という記載があります。

 次に3ページ、第3条でありますが、基本理念であります。先ほど説明しましたように二本柱が四本柱になったということで、この点につきましては右側の基本計画について、同じ書きぶりになっております。この計画は「沿岸域の環境の保全、再生及び創出、水質の保全及び管理、自然景観及び文化的景観の保全、水産資源の持続的な利用の確保等について定める」ということであります。

 また、5年ごとの点検につきましては、「計画の期間」というものが基本計画の中にありまして、「策定時から概ね5年ごとに、本計画に基づく施策の進捗状況について点検を行うものとし、必要に応じて見直しを行う」となっております。

 4ページをごらんください。

 府県計画の策定、変更の際の「地域の実情に応じたものになるように、必要な措置を講ずる」という部分につきまして、基本計画に「基盤的な施策」その小項目として「環境保全思想の普及及び住民参加の推進」とあります。これも全体を通してということでありますが、例えば下から3行目ほどを見ていただきますと「また、環境保全施策の策定に当たって、必要に応じて地域協議会をつくるなど、幅広い主体の意見の反映に努めるものとする」との記述がございます。

 次に、法律4条の2、国は「必要な援助を行うように努めるものとする」これにつきましては、基本計画にも「国の援助措置」という規定がございます。

 5ページ、「自然海浜保全地区の指定」についても、基本計画において(2)自然海浜の保全等に「海水浴場、潮干狩場、海辺の自然観察の場等の自然とのふれあいの場や地域住民のいこいの場として多くの人々に利用されている自然海浜については、その隣接海面を含めて自然公園や自然海浜保全地区等の指定を行う」という記述がございます。

 その下の2つは少し技術的な、文言上の法律の改正ですので説明は割愛いたします。

 6ページであります。

 「漂流ごみ等の除去等」については、基本計画の欄をごらんいただきますと「漂流・漂着・海底ごみ対策の推進」とありまして、中ほどに、漂流・海底ごみについては「実態把握や回収・処理、発生抑制対策等に積極的に取り組む」とあります。そして一番下には「廃プラスチック等の漂流・漂着・海底ごみについては、汚染の実態把握及び防止対策に努める」とあります。

 次に「技術開発等の促進」でありますが、赤潮に加えて貧酸素水塊も法律に入りました。基本計画では「基盤的な施策」の(2)に「調査研究及び技術の開発等」とありまして、その中で、3行目ぐらいからでありますが、赤潮に並べて「貧酸素水塊の形成のメカニズムの解明並びにそれらの防除技術の向上」これに関する調査研究等を推進するという記述がございます。

 7ページをごらんください。

 「生物多様性及び生産性の確保に支障を及ぼすおそれがある動植物の駆除等」が法律第19条の2、そして19条の3が「水産動植物の繁殖地の保護及び整備等」となっています。これに対応する基本計画の部分は、まず、19条の3に強く関わるかと思いますが、「藻場・干潟・砂浜・塩性湿地等の保全等」という記述がございます。そして両方の法律の条文にかかわると思いますが、「水産資源の持続的な利用の確保」とございまして、水産資源の持続的な利用を確保するため「生物多様性・生物生産性の観点から環境との調和に配慮しつつ、水産動植物の増殖の推進を図り、科学的知見に基づく水産資源の適切な保存及び管理が実施されるよう一層の推進に努める」という記述がございます。また、「水産動植物の繁殖地の保護」に関連して、「水産生物の産卵、幼稚魚の成育等の資源生産の場としての機能を有していることを踏まえ、その保全・創造に努める」との記述もございます。

 次に、8ページをごらんください。

 19条の4「瀬戸内海の環境の調査」に対応する基本計画の部分としましては、先ほども出てきた部分ですけれども、(2)環境保全に関するモニタリング、調査研究及び技術の開発等の下のほう2段に関係が深いかと思いますが、「栄養塩類の適切な管理等に関する順応的管理に向けた実証事業等を行う場合は、その効果及び影響について正確かつ継続的なモニタリングを行う」という記述がございます。また「さらに、瀬戸内海に関する環境情報や調査研究、技術開発の成果等のデータベースを整備し、情報の共有化、情報収集の効率化に努めるものとする」という記述もございます。

 最後に9ページでございますが、法律では「検討」の条項が2つあります。両方とも5年という目安でありますが、これに対応するところとしまして、基本計画でもおおむね5年ごとに進捗状況について点検を行う、必要に応じて見直しを行うというものでございます。

 また、(2)調査研究の中ほどにありますが、「生物多様性・生物生産性の確保の観点からの水質管理及び底質改善に関する調査研究、地球規模の気候変動がもたらす生物多様性・生物生産性への影響や適応策の調査研究等を推進する」との記述もございます。

 以上、改正法と基本計画の整合性について、対照表を用いて説明いたしました。

 環境省としましては、基本計画は改正法に基づく内容になっている、整合性がとれていると考えているところであります。

 参考資料2として計画の全文もつけておりますので、適宜ご参照いただければと思います。

○岡田委員長 ただいまのご説明に関して、ご意見、ご質問等がございましたらいただきたいと思います。

○柳委員 基本的には全部対応していると思うんですけれども、ただ1カ所、第19条の2にある動植物の駆除について。多分アサリに対するナルトビエイとか藻場に対する藻食魚のことを指しているんだと思いますが、これに対応する言葉、つまり「駆除」という言葉が右側には全然出てこないですよね。保全とか、言われていることはわかるんですけれども、やはり駆除までいくというのは結構、いわゆる保全とか創造とはちょっと違うので、これは書いてくれという注文が来るのではないかという気がするんですけれども。

○根木閉鎖性海域対策室長 基本計画の書きぶりとしまして、「駆除」という言葉そのものはございませんが、先ほど申し上げたように、中ほどの「水産動植物の増殖の推進を図り、」「水産資源の適切な保存及び管理が実施されるよう一層の推進に努める」という基本的な考え方は整合がとれていると考えております。

 この後、少し説明もさせていただきますが、関連の予算を今回、初めて調べましたが、その中でも動植物の駆除ですとか、そういった関連の予算を計上しております。今、関係の13府県がまさに府県計画の変更作業の真っ只中ということもありまして、基本的なところは基本計画と法律で整合がとれていると考えますので、ここは変更する必要はないのではないか、むしろ今、変更してしまうと関係の方に少し混乱を与えてしまうかなといったことも考えておりまして、そこは関係者と共通認識を持って、しっかり進めていきたいと考えております。

○大塚委員 環境省のご提案で結構だと思いますが、ただ、計画のほうが先行してしまったということだと思います。趣旨としては、法改正も含んだ計画の改定を行ったということで、新たに閣議決定等は必要ないということでよろしいかと思いますけれども、手続的にそれで十分かどうか、ちょっと確認させていただきたいと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 基本計画の文言を変更する必要がなければ、閣議決定をもう一度する必要はない。今の基本計画が、法律第3条に基づく基本計画として位置づけられているということであります。文言の改定が必要なければ、もう一度その手続をする必要はないということでございます。

○岡田委員長 他にございますか。

 今、事務局から、昨年2月に変更された基本計画、お手元の資料の右側になりますが、左側の改正法に基づいたものになっているというご説明をいただきました。細かい文言のところで多少のことはありましたけれども、基本的には整合性がとれている、本委員会としてそのように確認したということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○岡田委員長 ありがとうございます。

 それでは、基本計画が法に従った内容になっているということをご確認いただいたということにさせていただきます。

 次の議題は、今、議論がございました瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく取組状況等について、事務局からご説明をお願いいたします。

○石川室長補佐 資料4-1と4-2を続けてご説明差し上げます。資料4-1が「瀬戸内海環境保全関連予算」、資料4-2が「基本計画の指標の状況」でございます。

 本日は関係省庁の方々にもご協力をいただいて、この資料を取りまとめました。後ろのほうにたくさん来ていただいておりますが、このような方々と連携してこの資料を取りまとめたということでございます。

 まず、資料4-1の上のほう、法律との関係ということで青い表がございます。これは左に法律の条項、中ほどに関連施策の数ということで整理しています。

 内容としましては、平成27年度当初予算と補正予算、平成28年度の政府の予算案ということで、それぞれに該当する施策事業、予算の数を並べたものであります。右には関係府省と書いておりますが、関係する省庁の名前が書いてございます。

 青い表の一番下に「3条」とありまして、3条は基本計画に関する条項ですが、これについては具体の個別施策には該当しないけれども、瀬戸内海の環境保全に関係する予算ということで、上記以外のものを全て含めて並べているということでございます。

 下の緑の表につきましては、基本計画との関係を整理したものでございます。

 基本計画、先ほどご説明差し上げましたとおり四本柱を立てておりまして、上から4つがその柱になっております。

 一番最後の行には「その他」ということで、基盤的な施策などを含めてまとめて掲載しております。

 具体的には1枚めくっていただきまして、横の表になりますが、そちらで概要をご説明したいと思います。

 条文を適宜参照いただきながらご説明したいと思いますので、参考資料1-2をあわせてご覧いただければと思います。

 まず、12条の3でございます。参考資料1-2ですと6ページになります。これはいわゆる総量削減の規定をしているものでありますが、こちらについては環境省で総量削減状況等をモニタリングしておりまして、内容としましては、陸から発生するような汚濁負荷量を算定したり、実際の海で水質やプランクトンなどを経年的に調査している予算でございます。

 そして右のほうにいっていただきますと、それぞれ平成27年度当初予算、補正予算、平成28年度の当初予算案を計上しているものでございます。

 下のほうにいっていただきまして、14条です。

 参考資料1-2で言いますと8ページの「下水道及び廃棄物の処理施設の整備等」になりますけれども、例えば環境省の浄化槽の整備、国交省の下水道事業、それから農林水産省の農業集落排水事業、また国交省の河川のほうで河床の汚泥の除去、こういったものが関係するということで計上しております。それぞれの施策の概要については右のほうに簡単に記しておりますけれども、基本的には、浄化槽や下水道を整備することによって、または河川も含めて陸からの汚濁負荷を削減するような事業が14条に該当するということでございます。

 下にいっていただきまして、16条の2でございます。これは今回の法改正で新しく追加された条文でして、いわゆる漂流ごみ等の除去等、海ごみ対策です。

 こちらも見ていただきますと、国交省の海洋汚染の防除に関する予算、環境省では国立公園の中の漂着ごみや海底ごみの回収を行う予算、環境省の海岸漂着物等地域対策推進事業。こちらについては都道府県と連携しまして、海洋ごみの回収、処理、発生抑制対策などを実施しているという予算でございます。

 次に17条、海難等による油の排出の防止等でございますが、国交省の油流出事故対策の事業とか、同じく国交省で油回収を行っているような事業が計上されています。

 18条については、いわゆる技術開発の促進ということで、赤潮ですとか貧酸素水塊の発生機構の解明、防除技術の開発、そういった関係の条項でございます。これについては、農林水産省の予算で赤潮・貧酸素水塊対策事業がございます。これについては、まさに赤潮の発生機構の解明ですとかモニタリング体制の強化、あと、最近のテーマとしてはノリの色落ち対策のため栄養塩供給手法の開発支援、あとは栄養塩類に関連して、生物への影響を解明するような事業が行われております。

 さらに4ページの一番上、環境省の環境研究総合推進費S-13とあります。こちらについては、いわゆる環境研究の推進費でございまして、沿岸海域の管理手法の開発ということで、平成26年度から5年間の予定で、瀬戸内海も一つの対象として研究が進められておりますけれども、健全な物質循環、生物生産性の観点からも目標を定めまして、持続性の高い沿岸海域管理手法の開発を行う、そういう研究でございます。

 それから、19条の2でございます。参考資料1-2で言いますと8ページの下から3つ目、「生物多様性及び生産性の確保に支障を及ぼすおそれがある動植物の駆除等」ということで、先ほどご質問をいただいたところですが、こちらについては水産庁の予算で、いわゆる有害生物の防除を行っておりまして、具体的には、瀬戸内海についてはナルトビエイを対象に防除等を行っているというような予算がございます。

 下にいっていただいて、19条の3「水産動植物の繁殖地の保護及び整備等」、こちらも先ほど少し触れましたが、水産庁の事業といたしまして、水産基盤整備事業ですとか水産多面的機能発揮対策事業といったものがございます。基盤整備事業については、藻場の保全・再生に関する整備等を行う公共事業、多面的機能発揮対策につきましては、漁業者などが行う藻場・干潟等の保全活動に対して支援を行うという予算でございます。

 19条の4、これも参考資料1-2で言うと8ページの一番下、「瀬戸内海の環境の調査」ということで、環境大臣が定期的に調査を行うというものでございます。こちらについては4ページの下から2番目、環境省の豊かさを実感できる海の再生事業ということで、瀬戸法の改正を踏まえて今年度からかなり内容を拡充してスタートさせた事業でございまして、後ほど資料を用いてご説明差し上げたいと考えておりますけれども、瀬戸内海の状況を総合的に調査して、方向性を検討していくといった予算でございます。

 それから一番下、環境省の自然環境保全基礎調査というものがございます。こちらについては、いわゆる緑の国税調査と言われているものでございますけれども、日本の自然環境に関する基礎的な整備を図るといった調査でございまして、瀬戸内海の状況も含めて継続的に調査を進めているところでございます。

 5ページの上から2番目、重要生態系監視地域モニタリング推進事業。これはいわゆる「モニタリングサイト1000」と言われているものでございまして、全国に約1,000カ所の定点を設けまして、長期的、定量的なモニタリングを行うという調査でございます。瀬戸内海でもシギ、チドリですとか藻場、あとは底生の動物に着目した定点が設けられておりまして、それについて進めているところでございます。

 個別の条項は以上でございます。

 あとは3条ということで、具体的な条項はないんですけれども、基本計画に該当するということで関連事業を掲載させていただいております。

 中ほど、自然公園等事業というのがございますが、こちらについては自然生態系の、例えば干潟ですとか藻場ですとか、そういったものの再生を図るような公共事業、あとは自然とのふれあいを推進するための施設整備を行うような事業でございます。

 2つ下に行っていただきまして、国交省の海域環境の保全・再生・創出という施策でございます。こちらは港湾の整備に関係するものでございますが、しゅんせつ土砂を活用した干潟、浅場の造成ですとか深掘り跡の埋め戻し、それから生物共生型機能のある護岸等の整備、そういったことを実施しているものでございます。

 さらに2つ下、環境省の水質環境基準検討事業でございます。こちらについては昨年12月に中央環境審議会から底層溶存酸素量、底層DOについて答申をいただいたところでございますけれども、そういった新たな設定も含めて環境基準に関する検討をしていくような予算でございます。

 6ページをごらんください。

 上から2番目、国立・国定公園新規指定等推進事業費でございますが、これについては国立・国定公園の見直し、新規指定も含めた検討を行うような予算でございます。

 その下の農山漁村地域整備交付金は農水省の予算でございまして、多面的な機能を有する森林の整備等を行っているものでございます。

 さらにその下、国交省の都市公園・緑地に関する事業もございます。都市公園の整備ですとか特別緑地保全地区の指定等を進めているものでございます。

 その下には文科省の予算がありますけれども、一番下は史跡等の保存整備・活用等ということで、史跡等の所有者に対する補助を充実したり、地方公共団体が公有化するときの支援をするといったものでございます。

 7ページをごらんください。

 一番上にエコツーリズムというものがございます。こちらについては、新しい基本計画の中に自然景観、文化的景観の保全のメニューとして「エコツーリズム」というものが入っておりますけれども、そのエコツーリズムを推進するために、人材育成ですとかプログラムの開発、そういったものを通じて地域の方々に支援を行うといった予算でございます。

 あとは下のほうにいっていただきまして、国交省の海洋情報一元化に関する予算であったり、下から2番目、環境省の水質関連情報利用基盤整備事業ということで、水環境総合情報サイト、ホームページで調査結果等を公表しておりますけれども、そういった予算を計上しているところでございます。

 資料4-2をごらんください。

 こちらについては基本計画の指標の状況でございます。参考資料2に新しい基本計画の全文がございますが、その12ページを見ていただきますと、第4「計画の点検」として、計画の点検の際にはこのような指標をもとに取組状況を把握するものとするということで、四本柱それぞれに対応した形で指標が設けられております。

 こちらについて、今回新しい基本計画ができましたので、最新の情報でまずは各指標の状況を整理したというものでございます。

 この表の見方については、指標名が並んでおりまして、その右側に指標の出典、指標の定義、そして指標の単位とありますが、その右に「合計」とあるのが指標の値であります。さらに各府県の内訳等が出ている場合については、その内訳も記載しています。なかなか府県ごとに状況が切り分けられない場合については、まとめて記載するなどしてございます。

 こちらについてはいろいろなものを、関係省庁と調整しまして、まず第1回目として整理を行ったということでございます。これからいろいろ更新していきたいと思っておりまして、例えば1-1と1-2に藻場面積、干潟面積とございますけれども、こちらについては後ほどご説明します事業の中で今年度から藻場、干潟の分布調査を始めておりますので、そういった情報を適宜フィードバックして、最新の情報で整理していきたいと考えております。

 それぞれの項目について、細かい数値のご説明は割愛したいと思いますけれども、今回こういった形で整理いたしまして、本日のご意見を踏まえて、今後どのような体裁で点検していくべきか、5年後に点検ということになっておりますけれども、そういったところについてご意見をいただければと考えているところでございます。

○岡田委員長 ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。

○西嶋委員 資料4-2のまとめ方についてご質問があります。新しい基本計画の中では、湾・灘という言葉で、湾・灘ごとの管理というのが大きく打ち出されていると認識していますが、今回の指標の整理が県ごとになっています。もちろん計画がそれぞれの府県でまとめられるというのはよくわかる話ですが、ただ、今回の改正の趣旨を考えると、湾・灘ごとの管理という意味では、湾・灘でまとめることも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○石川室長補佐 今回、整理するに当たって、やはり湾・灘ごとに整理したほうがいいのではないかということもございまして、いろいろ検討はしたんですけれども、全体的に整理する上では、各指標の状況を見ますと、やはり府県ごとで切り分けているような情報が多くて、今回、まずはこのような形で整理させていただきました。例えば1-1とか1-2の藻場、干潟の分布についてはデータがGIS上でありますので、今後、湾・灘ごとに区切っていくことも可能と考えています。今のご意見を踏まえまして、湾・灘ごとに整理できるものとそうではないものと分けながら、今後の整理方法を検討していきたいと思っております。

○高村委員 藻場と干潟の調査、長年やっていなかったものをやっていただけるということで、非常にほっとしたんですけれども、沿岸域とか干潟とか、そういったところの保全が非常に重要視されています。「森は海の恋人」ではありませんが、藻場、干潟の水質も、一部は流域の方に発生源があるわけですね。そこを一体に考えて環境省さんのほうで施策を打てるような形のデータのつくり方というか、指標のつくり方みたいなものを工夫していただきたい。実際問題として、具体的な施策の実施は都道府県にかなり任されていて、現場ごとにやるというのは非常に結構なことなんですが、環境省としては瀬戸内海全面を俯瞰的に見て、どこにはどういうものがあって、何が問題かといったことがわかった上で、施策を都道府県等にアドバイスしていただきたいと思います。

 もう一点、絶滅危惧種に焦点を置いたプロットがないのではないかと思います。生物多様性と生物生産性というのは長期的に見ればそんなに相反するものではないんですが、短期的に見たときには、どちらかというと水産有用種の保全を優先し、絶滅危惧種の保全は優先順位が下がるかもしれませんので、持続可能性という、長期的なスタンスに立って、考えていける資料も必要です。国立公園や海浜保護区も瀬戸内海のほうでは非常によくやっていただいていますので、絶滅危惧種が、そうした保護区で守られているか、そういったこともあわせて見られるような指標とか資料のつくり方をお願いできればと思います。

○石川室長補佐 1点目につきましては、後ほど資料5といたしまして今年度から始めました事業についてご紹介させていただこうと思っているんですけれども、その中では、瀬戸内海といってもやはり広いですので、今、12の湾と灘に分けて進めようとしておりまして、今年は4つの湾・灘を対象に、まず、水質はもちろん水環境の状況について詳細な分析をして、現状の評価と何が課題かを整理していこうと思っております。

 その中で、例えば流域が重要だということもありますので、湾・灘の状況によっても異なりますけれども、流域に目を向けたような調査、整理が必要ではないかという意見も今、出てきておりますので、必要に応じて湾・灘ごとに対処方針等を検討していきたいと思っております。

 2点目の絶滅危惧種については、基本計画を策定する際にも、やはり生物多様性に関する指標が必要であるというご意見をいただいていたんですけれども、全般的に指標として定量的に評価するという意味では、絶滅危惧種の情報が一元的に整理されているものが少ないということもありまして、現在あるような、渡り鳥の飛来数とかそういったものにとどまってしまっているんですけれども、こちらについても、これから3年かけて瀬戸内海の各湾・灘の状況を詳細に調査していく中で、例えば湾・灘ごとに区切ると、この湾については絶滅危惧種も含めてかなり調査があるといったところも出てくるかもしれませんので、そういったところでその状況は適宜インプットして見ていきたいと思います。

 さらに、今後、絶滅危惧種を含めた生物に関する調査が進んだり、あとはよい指標となりそうなデータが得られた場合には、適宜こちらの指標にも盛り込んでいきたいと考えております。

○白山委員 高村さんと同じで、平成5年以来やられていない沿岸の調査がされるということで非常に喜んでいるのですが、それも含めて、この事業をやります、モニタリングをやりますといっぱい書いてあるのですが、このデータをどう公開するかについては余りコメントがなかったので、ぜひ「データをしっかり公開します」というところまでやっていただきたいと思います。せっかく国民の税金を使って調査をされるのですから、それが最終的に国民共有の財産になるようにしていただきたい。

 環境省の事業だけでなくて、ここにリストアップされている他の事業につきましても、ぜひそのように働きかけをしていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

○石川室長補佐 今回、指標で掲上させていただいたものは、ホームページで公表されているものが多くて、ただ、環境省のほうでもピックアップするのにまずどこに当たったらいいのか、結構苦労したところがございますので、今いただいたご意見を踏まえまして、今後、各指標についてこれまでの経緯はどうだったのか等の詳細な分析も場面によっては必要なところが出てきますので、そういったところで状況に応じて、情報発信されているところの紹介も含めて工夫していきたいと思っております。

 ありがとうございました。

○川田委員 私どもは今、県計画をつくっているんですけれども、その中で意見がたくさん出るのは、やはり指標の関係、それから栄養塩の関係です。

 そこで3つほどお聞きしたいんですけれども、1つは、今回、私どもも指標を何らか設けようと思っているんですけれども、全体の基本計画の中で目標値みたいなものを設定するお考えがあるのか、ないのか。

 2つ目は、計画自体の点検が5年、10年、法律も5年で点検という形で、この指標の数字が非常につかみにくい項目も結構ございます。そういった中で、こういった数字は5年ごとにつかめばいいのか、5年ごとに「こういう数字ですよ」と示すだけと考えているのか。

 3つ目として、冒頭の局長さんのご挨拶の中で、この小委員会で栄養塩のあり方等も議論していきたいという話がございました。栄養塩のあり方は都道府県ごとにかなり利害関係があって、湾・灘ごとという計画になっていますけれども、なかなか調整がつきにくいと考えております。この小委員会の今後のあり方として、そういった調整にまで入っていこうとお考えになっているのか、府県ごとに計画をつくっても、そういった部分はかなり整合性がとれないのではないかと思っております。冒頭では小委員会で栄養塩のあり方を考えていくというお話もあったので、そこまでお考えなのかどうかお聞きしたいと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 1点目につきましては、昨年2月に改定した基本計画で指標を41ですか、まず位置づけました。これは昨年の計画で初めて位置づけたものでありますので、まずはしっかりとその数字を把握していくことが重要だと思っております。目標値という議論もあり得るかと思いますが、まずはしっかりと数字を把握して、定量的に議論していくことが重要かなと考えております。

 指標の把握につきましては、基本的にこの小委員会を定期的に開催させていただいて、指標を把握していくことが重要かと思います。ただ、毎年更新できるデータもあると思いますが、難しいデータもあると思います。例えば藻場の分布把握も毎年毎年は、環境省で事業を始めましたと申し上げましたが、そこまではやはり難しいので、何年かかけて全体を把握するようなものもあると思います。そこはいろいろあると思いますので、ものに応じて可能な範囲で、できる限りということでグリップして、きちっと公表していくことが重要だと思います。

 3点目につきましては、栄養塩のあり方、法律でも記載されております。豊かな海という観点で、このことについてしっかりと議論していく必要があると思います。また、豊かな海という観点では、栄養塩もありますし、例えば生物の生息・繁殖の場、藻場、干潟等も含めたそういう場がどうなのか、もしくは水温がどうであるかとか、豊かな海に関連するファクターはいろいろあり得ると思いますので、そこはしっかりと把握していく、そして関係者でなるべく定量的なデータをもとに議論をして、まず科学的なところでなるべく共通認識を持っていくことが必要だと思っております。

 その関係で、後ほど「調査事業を始めました」というご紹介をさせていただきますが、今後この小委員会の場でもそういったことを、少し具体的な内容でご議論いただければありがたいと思っております。

○中瀬委員 ため池の議論をしたはずですが、ため池はどこかにコメントがありますか。今ずっと見たけどないんですが、資料4-2の1ページの3の里海の取組箇所数あたりで該当するんでしょうか。

○石川室長補佐 ため池に関するものについては、そうですね、結果的に指標には設定されていないんですけれども、おっしゃるような形で、里海の取組も含めて、最終的にはそういった活動の促進という観点で見ていこうということにさせていただきました。

○池委員 先ほど来ありますように、調査ですとか研究のようなことは毎年できることではない部分があるということは予算案等に絡んでくるのでなかなか難しいのは承知の上でのリクエストになるんですけれども、最低限といいますか、これだけのことは調査をきっちりと継続していかないといけないとか、あるいは結論が出るところまでしっかりとやっていかなければいけないということについては、やはり毎年毎年の予算獲りを努力して、長期的に継続して欲しいと思います。どれだけの期間はこれをやるんだという優先度をつけて、環境省として、そういう計画をぜひ明確に立てておいていただくとありがたいと思います。これはリクエストになります。

○岡田委員長 今のは当然のことということで、よろしいですね。

 他にございますか。

○沖委員 ご説明いただきました資料4-2の2ページの13番、汚濁負荷量のところなんですけれども、この調査の実施年度が平成21年度と非常に古い。ほかのところはみんな平成26年度とか27年度なんですが、ここは26年度が間に合わなかったのか、この数字がどうなのかなというのがちょっと気になります。

 もう一点は、確かに数値化しやすいものから評価されていくということは、これでいいと思っています。計画の点検で書いていらしたように、数値化しにくい要素を含むような取組に関しては「具体的な施策の実施事例と取組の状況を把握する」と書いていただいて、安心はしておりますけれども、ただ、情報をうまくつかむことができるか。例えばこれに関しまして、今日も各省から来られていますし、各都道府県でもいろいろな施策、あるいは研究機関等々が調査していますね。その辺のところを、お願いなんですが、できるだけ広く、しっかりと取り上げていただく方策をお考えいただければありがたいということでございます。

○石川室長補佐 最初の汚濁負荷量のほうは、平成26年度の状況については現在確定に向けて作業をしておりますので、今年度末、3月には確定するような形で考えております。

 2点目につきましては、今回、関係省庁の方々にもご協力をいただいて、まず定められた定量的な指標ということで整理したところでございまして、今後この点検をどのように進めていくかも含めて、どのような資料、どのような情報を集めて点検していくかも含めて、関係省庁の方々とも相談しながら整理していきたいと思っておりますので、引き続きご意見をいただければと思います。

○高村委員 これ予算の施策は全部内数で表示されておりまして、施策として挙げていただいているのはわかるんですが、その中でどれぐらいの費用をかけてやっていただけるのかが、はっきりわからない。行政担当者の方は大変お忙しいので、仕事を増やすのは私も好まないんですが、何かもうちょっと、後でもいいですけれども、具体的にどうするのかがわかるような示し方がないものかどうか。

 よくわかっているのは、私のほうは自然局のほうの基礎調査等は割とよくわかっているんですが、例えば資料4-1の4ページの一番下に自然環境保全基礎調査と書き込んでくださっていますけれども、本当にこの中で瀬戸内海の干潟の調査をカバーできるわけではないような気もします。この枠で何を、別の枠で何を、というのがわかるようになればよいなあと、という質問です。

○石川室長補佐 やはり予算によって、完全に切り分けられないものと、切り分けることができるかもしれないものとございますので、ご意見を踏まえて、また関係省庁とも相談しながら、具体的にどのような整理ができるかを検討したいと思います。

 ただ、やはり予算の計上の仕方として、なかなか瀬戸内海だけに切り分けられないということもあるものですから、そのあたりはご意見を踏まえながら整理していきたいと思っております。

 あと、最後にありました自然環境保全基礎調査については、平成22年度から今年度まで瀬戸内海を対象に砂浜に関する調査をやっておりまして、アウトプットとして瀬戸内海の調査結果が出たというものはあるんですけれども、そのあたりを予算でどのように表現できるかということも含めて、今後、検討させていただきたいと思っております。

○本仲委員 今、各県で、この法の改定によりましていろいろ検討されているところだと思いますが、各県が調査とかそういうこと以外に、今、灘の周りの県と一緒に講演会を開いたりしようとしているところだと思うのです。

 そういう意味で、瀬戸内海全体の情報を各県が共有するための場をつくっていただいたら、県のほうも指標だとかそういうものを定めやすいと思うのです。各県がそれぞれにやっているのではなくて、そういうことがよくわかる場をつくっていただけたらいいと思っております。今後のことですけれども。

○石川室長補佐 そうですね、情報については、例えば本日、机の上にお配りさせていただいたような冊子の中で、瀬戸内海の状況については干潟とか藻場の状況も含めて、漁獲量の話も含めて、まず基礎的な情報は公表されています。あと実際の集まりの場としては、関係府県さんの主導によって瀬戸内海では知事・市長会議というのが組織されておりまして、それが総会ですとか幹事会とかいろいろな局面で会議を開催されておりまして、そこに環境省も参加しております。

 そこで、今、おっしゃっていただいたような府県計画の進め方とか総量削減の進め方とか、そういったところについては共通の議題として共有が図られております。なので、国のほうで整理した情報についても、そういった場を通じて各府県に対して情報共有を図らせていただきたいと思っております。

 また、例えば里海に関するホームページ等でも情報発信しておりますので、そういった情報発信のツール、先ほどホームページでの公開の情報が見えるようにというご意見もいただいたところですので、そういったところも含めて、どういう情報がアップされていてどこにあるのかといったところも含めて、地元の方々には情報提供したいと思っております。

○根木閉鎖性海域対策室長 あと、参考までにですが、お手元の資料集にも公益社団法人瀬戸内海環境保全協会というところもありまして、このような協会もいろいろシンポジウムを開いたり、そういった関係者が情報を共有するような場を設定しておりますので、いろいろな方がいろいろなことをやっておりますが、いただいたご意見を踏まえて、より一層そのようなことがしっかりできるように、環境省としても取り組んでまいりたいと思います。

○大久保委員 さっき流域の話が出たんですけれども、意外と大きな流域ではなくて二級河川とか、小さな流域とか、あと島しょ、島の周りの藻場等あるので、そういうところも抜かずに、多分自動的に数えられたと思うんですけれども、お願いいたします。

 それと、5年ごとに括っていくということで毎年の調査は難しいという話なんですけれども、多年性ではなくて、1カ月違うと全然量が違うといったことがあり得ると思うんですね。だからそこは、どこかの点だけはかなり頻度高くやるとか、そういうことも考慮していただければありがたいと思います。

○石川室長補佐 藻場、干潟の調査については、後ほどの資料でご説明いたしますけれども、今回は効率的な観点ということを含めての手法を採用しているんですけれども、その手法の採用ですとか調査の進め方も含めて、専門の方にも入っていただいて、まず調査をスタートさせたというところがございます。

 今後の話として、やはり各湾・灘、府県においても独自で藻場、干潟の研究をされているような方もいらっしゃいますので、そういった情報は適宜インプットさせていただいて、情報の充実を図りたいと思っております。

○西嶋委員 指標のところでもう一つ意見があります。現在、指標として書かれていることに、例えば汚水処理人口など、要するに保全するためにやることと、そういういろいろなことをやった結果として、例えば水質であったり、多分ここで言う底生生物の出現数とかそういうものだと思うんですが、結果として豊かな海になったとか環境がよくなったとかの結果を表すものがあり、そこはやはり切り分けて整理すべきだと思いますので、そこはお願いしたいと思います。

○岡田委員長 今の点はよろしいですね。

○石川室長補佐 はい。検討させていただきます。

○岡田委員長 他にございますか。

 それでは、いろいろなご意見をいただきまして、ありがとうございました。

 幾つかご指摘ございましたように、この基本計画の点検は5年後となっております。ただ、取組状況につきましては、本委員会を定期的に開催し、確認していくということになっていると思いますので、よろしくお願いいたします。

 事務局は、本日いただいたご意見を踏まえて適切な対応をお願いいたします。

 次の議題、その他となっておりますが、2つ用意されております。

 まずは豊かさを実感できる海の再生事業について、事務局よりご説明をお願いいたします。

○石川室長補佐 資料5「豊かさを実感できる海の再生事業」についてご説明差し上げます。

 こちらは先ほどから少し触れさせていただいておりますけれども、瀬戸内海の法律が昨年、改正されまして、その改正された内容の中に附則の検討条項として、ご質問もありました栄養塩類の管理の在り方の検討について定められております。それを踏まえて、今年度から内容を拡充して進めている事業でございます。

 1ページの下に3つの四角がありますが、大きくこの3項目について調査等を進めているということでございます。

 一番左の里海づくり活動促進では、先ほどからご説明させていただいているような藻場、干潟の分布の把握の調査、また里海づくりの活動促進のための支援等を行っております。

 真ん中の四角については底質の蓄積の調査ということで、底質ですとか底生生物に関する調査ですね。これは過年度も定期的にやっておりますので、そういったものの引き続きの調査と、あとは先ほどからお話があるような湾・灘ごとの詳細な分析ですね。湾・灘ごとにどう現状を評価して課題を抽出するかといった検討も含めてやっております。

 それから、一番右側については気候変動の影響把握ということで、こちらについては昨年11月に政府の適応計画が閣議決定されました。そういったものを踏まえて、また、瀬戸内海の現状を見ますと、やはり気候変動といいますか、水温の上昇が各湾・灘の今後を考える上ではかなり重要なものになっておりますので、そういったところも含めて調査が必要ではないかということで、これは来年度から開始しようということで盛り込んだものでございます。

 2ページは、事業の工程表を1枚にまとめたものであります。

 一番上の四角について、緑の矢印が3つありますけれども、まず底質・底生生物調査について3年間で、瀬戸内海には12の湾・灘があるんですけれども、3年間で東のほうからやっていくということ。それから湾・灘ごとの総合分析は、先ほどから申し上げているように、現状について、今様々な見解、ご意見がありますので、まず科学的な見地から湾・灘の状況をどう評価するのか、課題は何なのかというところを整理していきたいと考えております。

 それと並行しまして、各湾・灘の現状と課題を踏まえて、きれいで豊かな海の確保に関する検討を進めて、最終的な取りまとめは平成31年度を予定していますけれども、それについて必要な、総合的な検討を進める。この平成31年度については「きれいで豊かな海の確保(栄養塩類の管理の在り方を含む)」と書いておりますけれども、これがまさに、改正法の附則に検討条項として盛り込まれたものにも対応するような形で取りまとめていきたいということでございます。

 この検討に当たっては、様々な分野の専門家の方、または関係13府県の皆様、それから国の出先機関、そういったところとも連携して進めているところでございます。

 この結果については、先ほど申し上げましたとおり、本委員会にも適宜情報を提示させていただいて、必要なご意見をいただきたいと思っております。

 その下に黄色い矢印がございますが、こちらについては藻場・干潟の分布調査ということで、こちらも3年間で瀬戸内海を調査したいと思っております。

 さらにその下については気候変動の影響把握です。

 さらに下の黄色、平成26年度から伸びているものでございますが、こちらについては環境研究総合推進費S-13ということで、先ほど少しご紹介差し上げましたが、こういった大きな研究成果もインプットさせていただいて、最終的に取りまとめていきたい。

 また、上のほうは環境省の事業ですけれども、瀬戸内海の今後について考えていくときに、環境省のみではやはり不足するところが大きいことと、水産庁ですとか関係府県でもこれまでも、現在も様々な調査研究がなされておりますので、そういった方々とも連携して、この取りまとめにインプットしていきたいと考えているところでございます。

 3ページでは、今年開始した調査の概要についてご紹介させていただきます。

 底質・底生生物調査(第4回)です。過去に3回、表1にありますような時期に底質と底生生物の調査を実施してきております。

 調査計画といたしましては、今年度から3年間で瀬戸内海を東から調査していく、今年度については紀伊水道、大阪湾、播磨灘、備讃瀬戸の4つの湾・灘を対象に実施しています。以降、西のほうに移動していくという計画でございます。

 4ページについては調査内容ということで、底質・底生生物の調査項目、分析項目、それぞれこういった形でやっていくということでございます。

 調査の地点数は155ということで、図2に示します各湾・灘の地点において実施しているところでございます。

 この調査については、現在まさに取りまとめ中でございまして、この取りまとめた結果については次回以降、本委員会でもご報告させていただきたいと考えてございます。

 それから5ページでございますが、こちらが藻場・干潟の分布状況調査でございます。

 こちらについても先ほどからご説明差し上げておりますが、自然環境保全基礎調査については調査実施以来10年以上経過してございまして、今回は効率性ということも踏まえて、衛星画像の解析手法を用いて調査、分布の把握を行っています。

 調査の方法については、衛星画像と現地での補足調査も含めて実施しておりまして、これについても現在取りまとめておりますので、底質と底生生物の調査結果とあわせまして、今後の小委員会の中でご報告させていただきたいと考えております。

○岡田委員長 ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。

○柳委員 さっき白山さんからもあったんですけれども、この改正法と基本計画用にデータ公表の新しいホームページをつくるというのは、やるならやるでそれでもいいんですけれども、普通の人がまず見るのはせとうちネットなんですよね。ところが、せとうちネットのデータが最近ほとんど更新されていない。見ると数年前なんですよ。このほうがまだ新しいぐらいで。できたらあの中に改正法とか、基本計画でもいいんですけれども、それ関連の枠をつくってもらって、そこにここに出てくるような底質なり藻場、干潟のデータをどんどんアップデートしてもらうと、我々としては非常に助かるんですけれども。ご検討ください。

 ついでに、国交省が瀬戸内海で別の環境調査をやっていますけれども、場所が環境省と違って東に偏っているんだけれども、あれは実に早いんですね。毎年、次の年には前年度のデータが更新されていますから。私、論文にあっちを使ったことがあるんですけれども、ちょっと恥ずかしい話なので、ぜひホームページの更新をお願いします。

○岡田委員長 これはよろしいですね。

○石川室長補佐 はい。

○岡田委員長 他にございますか。

○白山委員 細かいことを聞くようで大変恐縮ですが、まず、最初の底質調査、底生生物調査について、最新の知見も踏まえて調査をすると最初に書いてあるのですが、どんな最新の知見を踏まえたのか教えてほしいというのが1つ。

 なぜそういうことを伺いたいかというと、その方法が4ページの3.に書いてありますけれども、例えば、これは私の専門に近いのでつい細かいことを聞いてしまうのですけれども、海底の表層土はどうやって取ったのか何も書いていないので気になるとか、どのぐらいの量の泥を使って分析しているのかとか、取った泥をどのように処理しているのかとか、そういうことが全然情報としてお示しいただけていないので、委員会として何かアドバイスをすることができるとすれば、もうちょっと細かい情報を出していただいたほうがいいかなということです。

 もう一つは、藻場、干潟の調査で分布域を衛星画像から出そうということのようですけれども、これは資料5のポンチ絵だと沿岸に張りついたところだけで、かつ大阪湾の奥のほうはやらないような感じに見えてしまうのですけれども、もしそうでなくて本当に瀬戸内海全域をやろうというのであれば、逆にこの衛星画像で水深何メートルまで信頼の置けるデータがとれるのか教えてほしいのです。

 つまり、多分衛星の画像を使うだけでしょうから、少し深い水深のところでそこに藻場があるとかいうのは、余り信頼の置けるデータはとれないのではないかと、逆に少し心配になります。そのあたりをどう評価されているのかお聞かせ願いたいと思います。

○石川室長補佐 まず、底質と底生生物の調査で最新の知見というところでありますけれども、これについては方法についても、第1回と比べると少し関係のマニュアルが出ていたりして、そのあたりを最新のものに合わせて調査するというところと、あとは分析の中で見えてきたこととして、例えば底生生物の話も、今まで水質汚濁に着目して整理していまして、汚濁指標種とかそういったもので切り分けて整理していたんですけれども、やはり最近の状況、調査結果の速報値などを見ますと、そういう観点ではなかなかわからないところも出てきたりしておりますので、そのようなところを今、まさに検討会の中でもいろいろな解析の方法がありますねといったご意見をいただいて、進めているところです。今回は概要の紹介ということで細かい採取方法等はご説明できずに申しわけなかったんですけれども、次回ご報告させていただくときには、調査の方法も含めて、それから結果の整理の方法等も含めて、ご報告させていただきたいと思っております。

 それから藻場、干潟の分布調査については、すみません、1ページの絵が現実には則していないんですけれども、一応全ての湾・灘をカバーするような形で衛星の画像を使っておりまして、今の技術ですと大体20メートルより浅い部分については把握できることが確認できております。

 そちらの成果の報告についても、今、取りまとめを行っていますので、底生生物、底質と同じく、その手法や調査結果のまとめ方等も含めて、ご紹介させていただきたいと思っております。

○岡田委員長 では、次のときということでよろしいですね。

○白山委員 はい。

○細川委員 次回、より詳細な説明をしてくださるということなので、そのときに次のような事項をぜひ教えていただきたい。3年かけた調査で結局どんなアウトプットが出てくるのか。あるいは、2ページの年次計画では、31年度には「栄養塩類の管理のあり方」を含むまとめをするということになっているが、この調査をベースにしたまとめ方の提示の方向はどのようなものになりそうか。例えば、施策提言のメニューみたいなものをもう少し教えてもらえると「そういう施策提言を検討するなら、もっとこんな調査方法がいいのではないか」といった議論ができるのではないかと思う。、アウトプットイメージもあわせてご紹介いただければありがたいと思います。

○岡田委員長 今の点もよろしいですね。

 他にございますか。

 では、まだありますので、とりあえず次に進ませていただきます。

 次に、関連事項として、「第8次水質総量削減の在り方について(答申)」の概要について事務局からご説明をお願いいたします。

○石川室長補佐 参考資料3、A4横の1枚物でございますが、「第8次水質総量削減の在り方について」の概要でございます。

 ご承知のとおりでございますが、1ページについては水質総量削減制度の概要を記載しております。

 閉鎖性海域の水質汚濁を防止するための制度でございまして、瀬戸内海も対象となっております。東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の3つの海については、濃度規制のみならず汚濁負荷の総量を削減する必要があるということで、始まった制度でございまして、5年ごとに見直しをしてきております。現在は第7次が実施されていますが、一昨年から第8次の在り方について検討を進めていただいておりまして、昨年12月に在り方について中央環境審議会から答申をいただいたということで、今回、ご紹介するものでございます。

 2ページをごらんください。

 答申の概要でございますけれども、大きく上の2つになります。

 指定水域における水環境改善の必要性ということで、東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海とありますけれども、こちらについて第7次からの大きな変更点といたしましては、今まで東京湾と伊勢湾のグループに大阪湾が入っていました。第7次では、大阪湾についても「今後も水環境改善を進める必要がある」と評価されていたんですけれども、第8次、今回については窒素、りんがここ4年間、大阪湾では環境基準を達成している状況が続いておりますので、そういったところも踏まえて、今後は特に有機汚濁解消の観点から水環境改善を進める必要があるのではないかということで、東京湾、伊勢湾と区別されたということでございます。

 (3)大阪湾を除く瀬戸内海については、これまでと同様の評価でありまして、現在の水質が悪化しないよう対策を講じることが妥当であると評価されました。

 中ほどの対策の在り方でございますけれども、これについては大きく2つ、汚濁負荷削減対策、それから干潟・藻場の保全・再生等の柱が掲げられておりまして、アについては東京湾、伊勢湾及び大阪湾ということで、先ほどの必要性と同じような方向性で書かれています。イについては、まさに瀬戸法の改正等もございまして、そういった考え方も踏まえて生物多様性・生産性の確保の重要性に鑑み、湾・灘ごと、季節ごとの状況に応じたきめ細やかな水質管理を順応的な取組として推進していくといった方向性がうたわれたということでございます。

 (2)の施策については、第7次に比べてもかなり充実させた内容となっています。例えば干潟・藻場の保全・再生については、調査を進めながら、状況を把握しながらきちんと進めていくということですとか、いわゆる生物共生型護岸の採用に努めましょうとか、あとは多様な主体が連携していろいろ取り組んでいるような事例も各海域で始まっておりますので、そういったところを参考にして、今後、そういった取組を一層促進していきましょうというように、(2)の内容がかなり充実したというのが今回の特徴でございます。

 それから、答申が出されましたので今後の予定でございますが、答申では大きな方向性を示していただきましたので、その方向性に基づいて具体的な規制基準の設定方法の検討ですとか、法律に基づく基本方針を定めていく予定となっております。また、その後には瀬戸計画と同様に、総量削減計画というものが関係都府県のほうで進められることになります。

 この総量削減制度が瀬戸内海に関係するものでございまして、その在り方が昨年末に取りまとめられたわけでございますけれども、その中でも、改正法にうたわれているような多様性、生産性の豊かな海ということがキーワードとして盛り込まれたということをご紹介させていただきます。

○岡田委員長 ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。

○鷲尾委員 答申されたということですけれども、上の改善の必要性の3つ目で「現在の水質が悪化しない」という、これは、これまでの記載ぶりが踏襲されているわけで、これまでの「悪化」という価値判断は、きれいな海を目指すという価値判断だったと思うんですね。このたび豊かな海を目指すときに、何が悪化なのか。窒素、りんが増えることが悪化なのかどうのかはここ一、二年議論してきたことですので、そういう意味では、この「悪化」をそのまま生かすのはいかがなものかと思います。

 それが一番下の各府県計画のところに移ってしまわないか、非常に気になります。そういう意味で、どう理解したらいいのかという点を明確にしていただけたらと思います。

○石川室長補佐 すみません、これも概要でございまして、悪化しないように対策を講じることが妥当ということで、では、その方向性の中で、例えば(1)のイの瀬戸内海のところでは、まず、きめ細やかな水質管理について試行的な取組が進められていること、これも踏まえて推進しましょうということでありまして、この在り方の議論を総量削減専門委員会の中でしていただいたときも、やはり栄養塩についてはなかなか難しいところが多くて、例えば季節別運転管理ということで試行的な取組がなされているんですけれども、その影響ですとか効果というものが現段階では必ずしも十分に評価されていないということを踏まえて、今、ご指摘のあったところについては第7次と同じような書きぶりとして最終的には整理がなされたんですけれども、これについてはまさに(2)に書かれているような考え方に基づいて、現在、例えば播磨灘とかいろいろ進められているようなところは引き続き進めていただいて、例えば環境への影響、それから効果、そういったものが評価される中で、今後の瀬戸内海の取扱いについて検討していくといったことで、答申としては取りまとめられました。

 それが瀬戸内海の改正法の附則とも大きくかかわってきているところでございまして、瀬戸内海の法律でも、やはり栄養塩についてはすぐ法律改正で何か盛り込むことは難しいという判断がなされておりまして、今後5年間でしっかりと各湾・灘の状況を踏まえて、在り方を検討しなさいという検討事項をいただいておりますので、そういったことも含めて、今後、先ほどご紹介したような調査も活用して、適宜その情報についてはこの委員会にもご報告させていただいて、今後の表現も含めて、どういうものがよいのかというところをご議論いただければと思っております。

○鷲尾委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 今日の議論全般を通しまして、新しい改正法ができてということなんですが、湾・灘ごとの府県計画がこれからつくられていくわけで、そういう意味では、今まで環境省が全体を管轄していたのが個々の現場に任されることになるんですが、任せてしまうことのないように、援助するだけではなく、今のように全体を俯瞰した形での指導も必要でしょうし、また、1つの湾・灘でも府県によって利害が対立する場面が想定されます。そのときの行司役も必要になってまいりますので、調査をして客観的に見ているだけではなく、やはりこの豊かな海づくりに環境省として積極的な関与をこれからも求めたいと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 瀬戸内海の法律に基づいて府県の計画がありますが、そこは環境省としてもしっかりと関係府県と連携してやっていきたい。そのためには、今日、法律、計画改正後の小委員会としてはキックオフですが、この小委員会も定期的に開催させていただいて、関係者としっかり連携して、環境省として責務を果たしていきたいと思っております。

○岡田委員長 ただいまの点、それから資料5も含めまして、何かございますでしょうか。

○岩崎委員 ちょっと話が戻りますが、指標のところで1つだけ注文というか、資料4-2の指標の30番台の最初のところに、重要伝統的建造物とか文化的景観選定件数のことがありますが、これはちょっと数字のマジックがありまして、例えば重要伝統的建造物で見ると、山口の5の中には萩等が入っているんですよね。つまり、府県で切った場合に、瀬戸内海沿岸の関係地域以外の部分が当然入ってくる。入ってくるのはしようがないんですけれども、それを比較していく中で、やはり瀬戸内海に関係する市町村の内数というか、そういうものを見ていかないと増減がはっきりつかめないのかなと思いますので、それは今後の課題にしていただければと思います。

 それと、先ほどの鷲尾先生のお話とも共通するんですけれども、やはり言うは易し、行うは難しいで、府県計画をつくるに当たっては、私、広島県と付き合っていますけれども、相当皆さん苦労している。特に個別の栄養塩を含めて、どれをどうしたらいいのか非常に戸惑っている。いいように言えばちょっと試行錯誤の段階である。

 実は広島県の県計画の素案がたしか先月からパブコメに出ているんですけれども、中身を拝見するとやはりちょっとパッとしない。つまり、何をどうしたらいいかなかなか踏み込みにくい、横の調整もこれからだ、環境省との調整もこれからだということで、10月ですか、最後のとりまとめ時期が切られた中で、なかなか現場の議論が深まっていない。

 そこで気になるのは、法改正にある府県計画を定めようとするときには灘湾協議会の意見をあらかじめ聞いて、住民の意見も聞けという順番になっているので、現実的にはまだ灘湾協議会が実質的に立ち上がっていないところが大変なので、そういう府県計画との後先の順番で今後どうなっていくんだろうという、手続的なことがちょっと心配です。

 もう一つ、住民の意見を聞くというのが、パブコメという役所の伝統的なやり方だけではなかなか議論が深まらないので、もう一歩何か住民の啓発、理解を得る手立てはできないか。というのも、やはり役所もしくは関係研究者は関心があるんですけれども、一般の人はなかなか、豊かな海といってもピンと来ない。残念ながら、現時点ではまだ理念が沿岸住民と共有できていない。先ほどご指摘あったかもしれませんけれども。それを一歩進めて啓発、それを環境省が必要な援助ということに入れるかどうかはともかく、関係府県と一緒に地域住民の意識を盛り上げていく、そういうこれまで以上の手立てがないと、このまま府県計画が形骸化しかねないという危機感を私はもう既に持っているので、始まったばかりなのにそこまでは言い過ぎかもしれませんけれども、その辺のちょっと地元の戸惑いというか、試行錯誤の現状をぜひ環境省としても認識していただければありがたいと思います。

 これは意見です。

○根木閉鎖性海域対策室長 まず、法律の概要のところで少し説明いたしましたが、府県計画は、計画を変更しようとするときはその海域の実情に応じたものになるように必要な措置を講ずるということであります。その例示として、湾灘協議会の意見を聞くとか、その他広く住民の意見を求めるといったことが入っているということであります。

 法律も計画もかなり大きく変わりまして、今まさに関係府県で策定作業に取り組んでいるということであります。やり方は府県で統一ということではありませんが、聞いているのは、関係のステークホルダーの方に改定の審議の場に来て意見を言ってもらったり、もしくは関係のNPOの方等の意見を個別に聞いたり、各府県もいろいろ工夫して取り組んでいるとは聞いております。

 そういったことで、一歩踏み出しているのかなという認識はございますが、あとは環境省としても、改正法、そして変更の計画に基づいてしっかりと取り組んでいくことが必要だと思っています。今日のこの小委員会がその1つでもありますが、それ以外にも、例えば地域の方が連携して、地域の方だけではなくていろいろな方が連携して、民間企業のNPOも含めて連携して、豊かな海、よりよい水環境を進めていくということも重要だと思いますので、例えば今、環境省で取り組んでいますので、どんな優良事例があるかを今、調査していまして、できれば優良事例を事例集のような形で公表していくことも考えたいと思います。

 あとは先ほど来の藻場、干潟の話も、定量的なデータが途切れてしまっていたところがありますので、やはり環境政策、環境行政はしっかり定量的なデータに基づいて、定量的な議論をということだと思いますので、そういったデータ分布の把握もしっかりやっていくことが1つ必要だと思っております。

 環境省としてもしっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、委員の皆様からは様々ご助言、アドバイスを随時いただければと思いますし、また、委員の皆様が様々な観点で、瀬戸内海の法律改正、そして計画の変更に基づいた活動が盛り上がるように、ぜひいろいろご尽力いただければこれまたありがたいと思っております。

○岡田委員長 他に、よろしいですか。

 今も全体を通じてのご意見を承りましたが、他にご意見等よろしいですか。

 それでは、事務局から何か連絡事項ございますでしょうか。

○伊庭審査係員 本日の議事録についてですが、委員の皆様には速記がまとまり次第お送りさせていただきますので、ご確認をよろしくお願いいたします。

 ご確認いただいたものを環境省ウェブサイトにて公開いたします。

○岡田委員長 それでは、以上をもちまして第8回小委員会を閉会させていただきます。

 たくさんのご意見、ご助言をいただいたこと、深く感謝いたします。

 どうもありがとうございました。

午後3時21分 閉会