中央環境審議会 水環境部会瀬戸内海環境保全小委員会(第2回)議事録

議事次第

  1. 1.開会
  2. 2.議題
    1. (1)瀬戸内海環境保全基本計画に係る施策の進捗状況と今後の関連施策について
      1. ①環境省
      2. ②文部科学省
      3. ③農林水産省
      4. ④経済産業省
      5. ⑤国土交通省
    2. (2)その他
  3. 3.閉会

議事

午後1時30分 開会

○西田閉鎖性海域対策室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第2回瀬戸内海環境保全小委員会を開会いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中ご出席いただき、誠にありがとうございます。
 さて、本日の出席状況でございますが、委員23名の中19名のご出席をいただいております。
 それではまず、議事に先立ちまして、小林水・大気環境局長からご挨拶を申し上げます。

○小林水・大気環境局長 環境省水・大気環境局長の小林でございます。
 委員の先生方におかれましては、大変ご多用の中、また相変わらずの猛暑が続いておりますが、こういう中ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 瀬戸内海環境保全小委員会も、前回発足させていただきまして、大変幅広い観点からいろいろなご指摘を賜ったところでございます。今日は第2回目ということで、引き続きご審議を賜れれば大変幸いでございます。
 改めまして、繰り返しになりますが、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づきまして、基本計画のもとで施策を積み重ねてきたところでございます。この間、前回でもご指摘いただきましたようないろいろな情勢の変化、また引き続き取り組まなければいけない課題、こういうことに向けまして、この計画の見直しに当たっての審議をいただくということでございます。これに関連いたします関係省庁も随分多岐にわたっております。こういった関係省庁の施策、また今後検討していかなければいけない新しい施策ということに向けてのヒアリングをぜひ今回はお願いしたいということでございます。
 本日は、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省のご担当にも出席いただいております。各施策につきまして、環境省のものも含めまして、それぞれ所管省庁からご説明をさせていただきまして、今回も幅広く、またさまざまな見地からのご指摘を賜れば大変幸いと考えているところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○西田閉鎖性海域対策室長補佐 本日は第2回の委員会となりますが、まだ紹介させていただいていない委員のご紹介をさせていただきます。氏名だけお読みしますので、ご起立願いたいと思います。
 沖陽子委員でございます。
 中瀬勲委員でございます。
 ほかの委員につきましては、既にご紹介させていただいておりますので、お手元にお配りしております資料1ということで委員名簿を入れておりますので、それをもって委員のご紹介にかえさせていただきたいと思います。
 なお、本日につきましては、鷲谷委員、常盤委員、西村委員、鷲尾委員は欠席とのご連絡をいただいているところでございます。
 次に事務局側ですけれども、第1回のときは別用務で出席できず、今回からの出席となります環境省水・大気環境局の宮崎水環境課長でございます。
 続きまして、今回の議題(1)でヒアリングをさせていただく関係省庁の方々のご紹介をさせていただきます。
 文部科学省文化庁文化財部参事官付島田主任文化財調査官です。
 文部科学省文化庁文化財部記念物課市原文化財調査官です。
 農林水産省大臣官房環境政策課木内課長です。
 国土交通省総合政策局海洋政策課森高課長補佐です。
 それから、後ほど経済産業省資源エネルギー庁資源燃料部石油精製備蓄課竹谷課長がお着きになると思います。
 それでは続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第、配席図とございまして、資料1としまして本小委員会の委員名簿、資料2-1としまして環境省の施策、資料2-2が文化庁の施策、資料2-3が農林水産省の施策、資料2-4が経済産業省の施策、資料2-5が国土交通省の施策となってございます。その後、参考資料1としまして前回の小委員会の議事録、その次に参考資料2-1ということで瀬戸内海環境保全基本計画に係る施策の進捗状況となっております。これは、次の参考資料2-2、ダブルクリップでとめているちょっと分厚いものですけれども、これが基本計画に対応する各省庁の施策個表でございまして、これをまとめたものが先ほどの参考資料2-1というものでございます。続きまして参考資料3としまして中央環境審議会の去年の答申、瀬戸内海の環境保全の在り方についての答申に対応する各省庁の施策個表となってございます。
 それから、参考資料3の一番後ろに1枚、資料番号をつけていないペーパーがございます。これは、本日ご欠席ということなんですけれども、西村委員から先般ご意見ということでいただいたものでございます。それを原文のままお配りさせていただいております。この際、原文のままですけれども、ご意見ということで読み上げさせていただきます。
 瀬戸内海の環境保全につきまして、以下のような点が気になっておりますので意見を提出させていただきます。
1.環境保全と減災のための「自然インフラ」の活用について  在り方答申の「第4章第2節4.沿岸防災と環境保全との調和」は重要と考えます。
 南海トラフ沿いに起きるとされている巨大地震・津波により、人口や産業が集積する瀬戸内海沿岸地域では深刻な被害が予想されています。したがって沿岸防災を迅速に強化していく必要がありますが、このときに自然インフラを適切に活用すること、具体的には在り方答申の「第4章第1節3.藻場・干潟・砂浜・塩性湿地等の保全・再生・創出」によって自然インフラを整備し、その背後に堤防を配置するような環境と防災を積極的に調和させたレジリエントな対策が極めて重要と考えます。このような施策によって「世界においても比類のない美しさを誇る景勝地の恵沢を享受し、継承する」ことが可能になるのではと思います。
2.「世界有数の貴重な漁業資源の宝庫の恵沢を享受し、継承する」ための「インパクト―レスポンス」の整理について  かつて年間300回に及ぶ赤潮が発生し、多大な水産被害が発生した瀬戸内海では、総量規制等の水質保全対策が大いに効果を発揮したと考えます。これは「富栄養化―赤潮発生」という比較的理解しやすいインパクト―レスポンスをベースとした合理的な対策であったと思います。
 一方、近年は生物多様性・生物生産性の劣化という新たな課題が発生しているのではと懸念されています。このことから、「第4章第1節1.きめ細やかな水質管理」の「栄養塩と生物多様性・生物生産性との関係に係る知見の集積・目標の設定、栄養塩濃度レベルの管理」は今後の展開として重要な方向性であると思います。しかし、瀬戸内海を対象として考えると、インパクトとして栄養塩のみならず、藻場・干潟の減少、養殖業の変化など、さまざま考慮すべきインパクトを取り上げて議論を進めるべきと思います。また、レスポンスにおいても水産重要魚介類や海藻類のそれぞれの種に加えて、生物多様性や生物生産性を保全する上でキーとなる種等々に対する影響を、個別にかつ生物間相互作用を考慮しながら総合的に考慮する必要があります。したがって、まずは瀬戸内海のきめ細やかなインパクト―レスポンスの整理が必要と思います。
 特定の水産重要種が豊富に漁獲できる場(畑)とその周辺海域の生物多様性・生物生産性がトレードオフの関係にならないよう、すなわち在り方答申の「第4章第2節3.持続可能な水産資源管理の推進」が実現できるように検討を進める必要があると思います。
 2つとも環境省と他省庁との密接な連携が必要なものです。
 お取り扱いはご一任いたしますが、よろしくお願いいたします。
 ということで、あらかじめいただきましたご意見につきましてご紹介させていただきました。
 そして、机の上には、各委員のお手元には、「瀬戸内海の環境保全」という資料集、去年の瀬戸内海の環境保全の在り方についての答申、それから瀬戸内海の府県計画と、COD、N、Pに係る総量削減基本方針の資料をご用意させていただいております。これらの4冊につきましては、毎回使わせていただきたいと思っておりますので、委員会終了後も席のほうに置いていただければと思います。
 以上となります。不足がございましたら、事務局にお申しつけください。よろしいでしょうか。
 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいております。
 なお、プレスの方はこれ以降の写真撮影等はお控えいただきますようよろしくお願いいたします。
 それでは、この後の議事の進行につきましては岡田委員長にお願いしたいと思います。岡田委員長、よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 かしこまりました。
 本日、委員の皆様におかれましては、大変お暑いところをご出席いただき、誠にありがとうございます。また、関連する省庁の方々にもお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、お手元の案内にございますように、16時30分の終了を目途に議事を進めさせていただきますので、よろしくご協力のほどお願いいたします。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。最初の議題は、瀬戸内海環境保全基本計画に係る施策の進捗状況と今後の関連施策についてとなっております。
 まず、事務局からヒアリングの進め方についてご説明をいただきたいと思います。

○一木審査係長 ヒアリングの進め方について、簡単にご説明させていただきます。
 発表省庁は、環境省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省でございます。各省庁の発表の後、それぞれの発表に対して質疑応答という形で進めさせていただきます。発表内容については、各省庁の主な施策について発表していただきまして、基本的には答申に対応した新規施策もしくは基本計画に対応した既存施策の内容で発表していただきます。なお、国土交通省様は各分野ごとに施策を発表いただくこととなっております。また、関係省庁の発表、質疑応答が全て終わった後に、全体を通しての質疑応答を予定しております。
 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。という順番ですが、よろしいですね。
 それでは1つ目の議題、瀬戸内海環境保全基本計画に係る施策の進捗状況と今後の関連施策について、最初に環境省よりご説明をいただきたいと思います。

○名倉閉鎖性海域対策室長 環境省でございます。資料2-1に従いまして、環境省の施策についてご説明させていただきます。
 めくっていただきますと、まず上のほうに答申対応箇所と書いております。先ほど進め方でご説明させていただきましたように、答申に対応するような施策を、特に既存の基本計画ではなかったのですけれども、今後考えられるものとして出しております。2ページ目のものにつきましては、答申対応箇所が13ページの「きめ細やかな水質管理」につきまして、施策名としましては「水質環境基準生活環境項目検討調査」でございます。この環境基準関係でございますけれども、現状の課題というところで、水質汚濁の著しい水域で貧酸素水塊が発生して水生生物へ影響しているとか、2つ目の○で、透明度の低下で水生植物の生育への影響があるといったことで、今後望ましい水環境像を反映し、実態を的確に表す指標といたしまして、下層DOと透明度を検討していくことにしております。具体的には、まだあまり決まっておりませんので、現在のところご説明できるのは以上でございます。
 それから次の3ページのところでございますけれども、答申対応箇所としましては「地域における里海づくり」というところで、里海の関係についてでございます。里海の関係では、漁業の衰退によって物質循環が低下しているのではないかとか、生物の生息環境の悪化によって生態系の劣化が起こっているのではないかとか、国民の無関心があるのではないかといったことが言われておりまして、21世紀環境立国戦略とか生物多様性の国家戦略、海洋基本計画等でも里海というものが取り上げられてきているところでございます。
 環境省といたしましては、例えば里海創生活動の支援ということで、モデル事業を選定しまして、支援を実施しております。特に瀬戸内海につきましては、兵庫県・大分県の事業につきまして支援等をしてきておりまして、兵庫県では赤穂海岸とか、大分県では中津干潟について、このモデル事業に選定しております。こういったモデル事業を通じまして、類型ごとの里海創生計画案を作成したり、先進的な活動事例を選定しまして、里海づくりのマニュアルといったものをつくってきております。また、⑤のところでございますけれども、環境省のウエブの中で里海ネットを運営しておりまして、ここに書いておりますような情報を発信しております。また、⑥のところで海外への情報発信ということで、英語版のパンフレット、ワークショップ等もやってきているところでございます。平成24年以降は、一番下のところに書いておりますけれども、里海復興ということで、東日本大震災で影響を受けた海岸につきまして、里海づくりの手法を用いた復興の取組等を検討、実施しているところでございます。
 それから、次のページ、4ページ目でございますけれども、答申の対応箇所としましては「栄養塩レベルと生物多様性・生物生産性との関係に係る科学的知見の集積及び目標の設定」というところがございましたけれども、生物多様性に富み豊かで健全な海域環境を実現するということで、モデル事業として「ヘルシープラン」というものをつくって、同様のプランを作成する際の手順を取りまとめた「海域のヘルシープラン策定の手引き」というものをまとめて、関係自治体に配布したりしております。
 モデル事業のほうでは、モデル地域といたしましては、三河湾、播磨灘北東部、三津湾というものがございまして、瀬戸内海関係では播磨灘北東部が平成24年までの事業で、もうプランを作成しております。三津湾につきましては、本年度までの事業ということで、継続してきているところでございます。
 例えば三河湾につきましては、藻場・干潟をつくることで、もうかなり途中まで進んでおり、アサリの生産量が日本一になっているとかということもございますけれども、播磨灘北東部は、右に書いておりますけれども、問題としましては、ノリの色落ちや海面漁業生産量の減少等があるということで、問題点といたしましては、DIN(溶存無機態窒素)濃度が湾の奥部のほうでは高止まりして、貧酸素化の原因になったりしている、沿岸から沖合では下がり傾向にあるということで、このDINの偏在が問題だということで、この偏在をどうなくすかというのが課題になっております。
 対策としましては、この「ヘルシープラン」の中では3つほど挙げられております。一番下の右のほうから説明しますと、偏在をなくすためには、例えば海水交換防波堤というものを設置しますと、湾の中にある高濃度のものが湾の外に出るということで効果があるのではないかとか、真ん中のところでは、河川を利用した海水交換促進対策ということで、河川水を利用してその水路にたまった高濃度のものを流し出せばいいのではないかとか、一番左のところは、特にこれは偏在の解消というよりは、足りないところに補充するといった考えでございますけれども、下水処理場である加古川下流浄化センターの窒素排出量増加運転ということで、冬の間は若干高い濃度の窒素を流してやればDINがある程度流せるのではないか、それでノリの色落ちに効果があるのではないかといった対策を盛り込んだプランをつくっているところでございまして、これは今、地元の自治体のほうにこのプランを提示して、実行に移していっていただいているところでございます。
 それからその次の5ページ目でございますけれども、答申の対応箇所としましては「エコツーリズムの推進」というところがございますけれども、国立公園等におけるエコツーリズムの活動を支援しているところでございます。
 問題点としまして、例えば質の高いガイドが不足しているということに対応しましては、エコツーリズムガイド養成事業ということで、ガイドの育成を実施しております。また、真ん中のところで、エコツーリズムを進める上での地域ごとの課題ということで、推進体制を強化しないといけないのではないかとか、利用と保全を調整していかないといけないのではないかといったいろいろな課題がございますけれども、そういった課題を解消するために、エコツーリズム推進アドバイザー派遣事業ということで、有識者をアドバイザーとして派遣しまして、こうした課題の解決を支援するといった事業を行っております。また、一番右のほうで、魅力的なエコツアーの不足ということでエコツーリズム地域活性化支援事業というものを行っておりまして、エコツーリズムに取り組んでおります地域の協議会、これはNPOとか住民で構成された協議会でございますけれども、そういう協議会に対しまして事業費の半分を交付するといったことをしておりまして、エコツーリズム推進法にもございますけれども、それぞれこういった事業を通じまして自然環境の保全とか観光振興とか地域振興に寄与してまいりたいと考えております。
 それから、めくっていただきまして6ページ目と7ページ目が、答申対応箇所としましては「気候変動への適応」というものでございますけれども、これまで気候変動に対しまして、影響解明とか適応策検討事業というものを行ってきております。
 左のほうで、水質に及ぼす影響ということでは、実際に既に生じている影響例としましては、河川とか湖沼も含めまして海域でも水温の上昇があるとか、渇水によって赤潮被害が拡大しているとかというものがございます。また、将来予測される影響例としましては、例えば貧酸素水塊の割合が増大するのではないかということが言われております。また、水生生態系に及ぼす影響といたしましても、既に生じている影響例としましては、例えば沿岸での南方種の増加があるのではないかとか、オホーツク海の水温上昇・溶存酸素濃度低下によって生物生産性に影響しているのではないかということが言われておりますし、将来予測される影響例としましても、例えば海洋の酸性化とかの影響も指摘されているところでございます。
 左下のほうで第3章と書いているところでは、公共用水域の過去の水温変化とございますけれども、これも有意な水温上昇も確認しているところでございます。
 7ページ目にいきまして、こうした影響が既に生じている、もしくは今後も予想されるということで、それに対しまして「適応」ということをしていかないといけないということになっておりまして、エネルギー・環境会議で決定されました革新的エネルギー・環境戦略とか環境基本計画の中でも「適応」の重要性が指摘されているところでございます。
 左下でございますけれども、「適応」に関する政府全体の動きとしましては、これまでの日本版IPCC評価報告書の作成等によって科学的知見を取りまとめる。平成25年~26年につきましては、予測とか評価方法の策定をする。このあたり、IPCCの第5次評価報告書が出てくると思いますので、そういった最新の知見を活用しまして、政府全体として適応計画をつくっていくということにしております。環境省といたしましても、気候変動による影響予測手法の検討とか適応策の検討をしまして、政府としての適応計画の中に活かしていきたいと考えております。
 それから、めくっていただきまして8ページ目でございますけれども、これ以降が、それぞれ既存の計画の中にも位置づけられていて、現在も継続しているものという施策になります。計画対応箇所と書いております、基本計画の第3になりますが、その中で、1(1)というところで「水質総量規制制度等の実施」というのがございます。水質総量削減につきましては、水濁法、それから瀬戸内法によりまして昭和53年から導入されてきているものでございまして、通常の排水規制では足りないような、人口・産業が集中する広域的な閉鎖性海域の水質汚濁を防止するために、そこから流れてくる汚濁物質量を削減するということで、5年ごとに計画を見直して進めてきております。指定項目としましては、COD、窒素、りんで窒素、りんにつきましては、第5次水質総量削減なので、平成16年の目標値を定めたあたりから指定項目に追加してきておりまして、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、20都府県で実施してきているものでございます。
 9ページのところでそれぞれの削減状況を載せておりますけれども、COD、窒素、りんにつきまして、発生負荷量を順次減らしてきているというものでございます。ちなみに、この平成26年のところは目標値でございます。
 それから、めくっていただきまして10ページ目でございますけれども、計画対応箇所としましては、1(1)の「水質総量規制制度等の実施」というところと、10の「下水道等の整備の促進」の両方に関わってくるものでございますけれども、環境省がやっているものとしましては浄化槽の整備、それからコミュニティ・プラントの整備を行ってきております。浄化槽の整備を推進するために、個人設置型と言われておりますもので「浄化槽設置整備事業」、それから市町村設置型というものでやっております「浄化槽市町村整備推進事業」という両方の事業で浄化槽の推進、国庫助成を行ってきております。
 また、国庫補助率の引き上げに関しましては、例えば「低炭素社会対応型浄化槽整備推進事業」というもので従来3分の1だった国庫補助率を2分の1に上げたりとかしてきております。
 また、3つ目の○のところでございますけれども、生活雑排水を未処理のまま放流するような単独処理浄化槽からの転換を促進するために、撤去費用への助成などを行ってきておりまして、その要件緩和などもしてきているところでございます。右上のほうに瀬戸内地域の処理人口と普及率を挙げております。大分上がってきているのですけれども、近年は横ばいの状態で推移してきているというものでございます。
 それから、右下のほうでございますけれども、コミュニティ・プラント、これは管路で集められたし尿や生活雑排水を処理する施設でございますけれども、これにつきましては循環型社会形成推進交付金制度におきまして、基本的には交付率3分の1ということで施設の整備を支援しているというものでございます。
 それから次の11ページ目でございますけれども、これも「水質総量規制制度等の実施」のところで技術開発の促進というものがございます。これに関連しましては、環境技術実証事業というものを行っておりまして、既に適用可能な段階にあるけれども、普及が進んでいない先進的な環境技術につきまして、環境保全効果等を第三者が客観的に実証する事業を行っておりまして、実証済みの技術には、右上にありますようなロゴマークの交付とか、実証試験結果を環境省のウエブサイトで公開するといったことをしております。
 この実証技術につきましては、幾つかございますけれども、特に海の水質に関係するものとしましては、閉鎖性海域の水環境改善技術分野がございまして、対象となる技術は、水質や底質を現地で改善する技術とか、生物生息環境の改善に資する、海域に直接適用可能な技術というものがございまして、平成19年以降その表に掲げたような実証をしてきております。括弧内につきましては、瀬戸内海の関係府県をサイトとして実証してきたものでございます。
 また、右のほうで、平成15年からやっているもので有機性排水処理分野がございまして、厨房や食堂から排出される有機性排水を適正に処理する排水処理技術につきまして、これも平成15年から24年にかけまして33件、瀬戸内海関係をサイトにしたものとしましては17件あるというものでございます。
 それから、次のページにまいりまして、計画対応箇所としましては「自然公園等の保全」でございます。自然公園法では、国立公園または国定公園を指定して、保護と適正な利用を推進してきているところでございます。こうした国立公園・国定公園の一部では、景観法とも連携・協力しまして、良好な景観の形成を促進しているところでございます。瀬戸内海につきましては、瀬戸内海国立公園が昭和9年に指定されておりまして、面積でいきますと陸域で6万7,000ヘクタールほど、海域で83万8,000ヘクタールほどを指定しているところでございます。それぞれにつきまして、公園を取り巻く社会状況の変化等に対応するために、計画の見直しを進めております。また、国立・国定公園の総点検事業というものも行いまして、拡張候補として選定した海域等についてその検討を進めてきているところでございます。
 それから、その次の13ページとその次の14ページが続いているのですけれども、計画対応箇所としましては「散乱ごみ、油等の除去」に関連しまして、海岸漂着物対策処理推進法というものがございます。これは平成21年にできた法律でございますけれども、目的としましては、海岸における良好な景観及び環境を保全するため、海岸漂着物の円滑な処理及び発生の抑制を図るということで、責務・連携の強化とか、海岸漂着物等の円滑な処理ということでの規定、それから、めくっていただきまして14ページ目になりますけれども、海岸漂着物等の発生の抑制とか、それぞれ関係団体との連携の強化とか、教育の推進、調査研究、それから財政上の措置、それから推進会議の設置とか、基本方針の策定、地域計画の策定等についての記載があるところでございます。これに基づきまして、8自治体で地域計画を策定して、海岸漂着物対策が実施されてきているところでございます。
 15ページ目、海岸漂着物、財政的な支援でございますけれども、平成21年~23年のものとしまして、地域グリーンニューディール基金というものがございます。これは、国から平成21年の補正で約60億円の補助金がございまして、各都道府県に地域グリーンニューディール基金というものを設けていただいて、その基金を活用して地域計画の策定とか協議会の運営、それから海岸漂着物等の回収・処理、発生抑制対策に活用していただいたというもので、一番下のところにございますけれども、この基金を使いまして8,300トンの海岸漂着物等を回収・処理したというものでございます。
 それから、めくっていただきまして、その後継のような形になるのですけれども、平成25年~26年の対策としまして、これも、グリーンニューディール基金とはちょっと違うのですけれども、基金を設けていただくといった取組に対して支援を行っておりまして、補助金として約100億円をその都道府県の基金に積んでいただきまして、計画の策定とか改定に係る事業については補助率2分の1で、回収・処理に係る事業、それから発生抑制に係る事業については補助率10分の10で実施していただいているところでございます。
 それから次のページ、17ページでございますけれども、こうした取組以外にも、地方環境事務所などでの取組ですけれども、例えばこれは、平成18年3月に瀬戸内海海ごみ対策検討会というものを立ち上げまして、そこで海底ごみの実態調査とか、回収・処理を推進するための手引の作成、海ごみの教材作成、イベント等への参加・支援を行ってきているものです。
 それから、次のページにまいりまして18ページ目でございますけれども、計画対応箇所としましては「藻場及び干潟等の保全」ということで、左側は第6回と第7回の自然環境保全基礎調査でございますけれども、この調査の中で干潟や藻場につきまして、どういう箇所でどういうものがいたかといった記録をつける等の調査をしているものでございます。
 それから右側につきましては、鳥獣保護法に基づきます鳥獣保護区制度でございます。瀬戸内海におきましては、浜甲子園鳥獣保護区・特別保護地区というものがございまして、指定しているものでございます。こうしたところで保護してきておりますけれども、土砂の供給の減少とか、震災の影響で地盤が沈下しまして干潟が減少してきているということもございまして、保全事業を実施しているものでございます。
 それからその次の19ページ目でございますけれども、「自然海浜の保全」ということにつきましては、瀬戸内海環境保全特別措置法の第12条の7というところで、条例で自然海浜保全地区を指定できるということが規定されております。これに基づきまして現在11府県におきまして条例が制定されまして、平成24年末までに91地区の自然海浜保全地区が指定されているところでございます。
 それから次の20ページでございますけれども、計画対応箇所としましては「埋立てに当たっての環境保全」というものがございまして、これは環境アセスメントのことでございますけれども、一定規模以上の埋立て・干拓とか廃棄物最終処分場については、環境アセスメントを行うということになっております。アセス必須のものにつきましては、埋立て・干拓は50ヘクタール超、スクリーニングの規模は40~50ヘクタール、廃棄物最終処分場につきましてはアセス必須が30ヘクタール以上で、スクリーニングが25~30ヘクタールでございますけれども、こうしたものについてはアセスメントを行います。その下のほうに実施事例がございますけれども、例えば水島の埋立事業におきましては9ヘクタールの干潟を造成したり、新門司南地区の埋立事業におきましては約2ヘクタールの藻場の生育基盤を造成したりしてきているものでございます。
 それから21ページ目でございますけれども、これは前回もご意見がございました風力発電施設でございます。風力発電につきましても、環境配慮ということで、アセス法に基づきまして、1万キロワット以上のものについては第1種として、それから7,500~1万キロワットにつきましては第2種としまして、アセス法の対象になっているところでございます。特に具体的な数値によって規制とか指針を出しているものではございませんけれども、それぞれ、その大臣意見のポイントと書いておりますけれども、こういう観点からの意見等を述べてきているものでございます。
 それから下半分につきましては、国立・国定公園内における風力発電施設の審査につきましては、自然公園法の施行規則の中でも基準を規定しているものでございますけれども、これにつきましても、解釈や運営方法を通知で示したり、具体的な考え方をガイドラインとして策定しているといった対応をしているところでございます。
 それから次の22ページのところでは、健全な水循環のことが計画でも書かれていますけれども、これも左と右で少し違ったものになっております。左側は、環境省独自というより関係省庁としての取組ですけれども、健全な水循環系の構築に関する取組を関係省庁が集まって行っているものでございまして、平成15年に「健全な水循環系構築のための計画づくりに向けて」という報告を出しているものでございます。
 それから、右側でございますけれども、地下水に関しましても、適正な地下水の保全と利用のあり方の検討とか、あと、特に硝酸性窒素対策における面源対策の推進も行ってきているものでございます。
 それから次の23ページですけれども、計画の中で「水質等の監視測定」というものがございます。これも、水質総量削減制度がスタートしたときから、この瀬戸内海を初めとした海域におきまして水質とか、順次、植物プランクトンの調査、底質の調査、底生生物の調査とかも追加しまして行ってきているものでございます。データにつきましては、環境省のウエブサイトで公開したり、各種施策に活用しているというものでございます。
 それから次の24ページ目でございますけれども、「調査研究及び技術の開発等」というものがございますけれども、環境省の中で環境研究総合推進費という競争的研究資金がございまして、これは必ずしも全部が瀬戸内海ということではないのですけれども、瀬戸内海を含めまして海域一般を対象とするような研究も随時行っているところでございます。
 それからこのページの右側におきましては、重要生態系監視地域モニタリング推進事業、モニタリングサイト1000と呼んでいる事業を行っております。これは平成15年に開始しまして、1,000カ所程度を目安として調査サイトを設置しまして、継続的で長期にわたるようなデータ収集を行ってきているものでございまして、沿岸域の調査とか、シギ・チドリ類の調査等を行ってきておりまして、こうした結果につきましても報告書にまとめたり、ウエブサイトで公開したりしているものでございます。
 それから次の25ページでございますけれども、計画の中で「環境保全思想の普及及び住民参加の推進」とか、15番で「環境教育・環境学習の推進」というものがございます。特に瀬戸内海の保全推進事業ということで、一番左側でございますけれども、自然観察会等体験的事業とか、人材育成事業とか、資料等による普及啓発というものも行ってきているものでございます。この(1)~(3)につきましては、当初は環境省の事業として行っておりましたけれども、平成23年度から瀬戸内海環境保全協会の事業に移行しております。(4)といたしましては、瀬戸内海環境保全月間ポスター作成・配布でございます。これも、毎年6月を目処に、ポスターの絵を募集しまして、ポスターをつくっているというものでございます。
 それから真ん中の列でございますけれども、パークボランティアの活動ということで、国立公園等で自然の解説とか利用者の指導とか野生動植物の保護管理等をする事業を行ってきております。瀬戸内海の国立公園では、倉敷市の鷲羽山とか廿日市の宮島でパークボランティアが活動しております。
 一番右側につきましては、地方環境事務所の取組でございますけれども、瀬戸内海関係でも、「子どもパークレンジャー」ということで子どもの視点からの自然体験活動を実施したり、清掃活動とか自然観察会も実施してきているものでございます。
 それから、最後のページになりますけれども、26ページ目で、計画対応箇所としましては「情報提供、広報の充実」とか「海外の閉鎖性海域との連携」でございます。情報提供関係は、左側にございますけれども、せとうちネットで瀬戸内海に関係するようなことにつきまして情報提供のシステムをつくりまして、環境省の中のウエブページで公開しているものです。
 また、海外との連携等といたしましては、右上に世界閉鎖性海域環境保全会議(EMECS会議)に1990年以降、数年ごとに継続して参加しておりまして、本年も10月末から11月にかけまして第10回EMECS会議がトルコで開催されることになっておりますので、そちらにも参加する予定にしております。
 それから、右下ですけれども、世界の閉鎖性海域のデータベースの概要ということで、公益財団法人の国際EMECSセンターにおいて、世界の閉鎖性海域の環境情報データベースを運用しているというものでございます。
 ちょっと長くなりましたが、環境省の施策については以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。
 では、大塚委員のほうからどうぞ。

○大塚委員 2つほど簡単な質問をさせていただきたいのですが、一つは、地域協議会について、スライドの5のところでエコツーリズムの地域協議会がございましたし、あとスライドの14のところで海岸漂着物対策推進協議会というものがありましたが、海岸漂着物対策推進協議会というのは都道府県ごとにつくっているものなのでしょうか。ちょっと性格についてお伺いしたいと思います。エコツーリズムのほうは多分民間でやっているものだと思うので、これがどのぐらいの数あるということとか、どのぐらい活性化されているかというあたりをちょっと伺いたいということがあります。
 それから第2点は、スライドの20ですけれども、水島港とか新門司南地区で造成されたものは根づいているのかということです。その後おかしなことになっていなくて、根づいているかどうかというところをちょっとお伺いしたいということです。
 以上です。

○環境省 後ろから失礼します。環境省海洋環境室でございます。
 14ページになりますけれども、ご質問のあった、中ごろにある海岸漂着物対策推進会議の設置ということですが、国レベルでは、関係省庁が集まった推進会議がありまして、そのもとに専門家会議という有識者の先生方の会議があります。国の基本方針に基づいて、その下に、都道府県の地域計画をそれぞれの都道府県がつくる上で、地域の方々や専門家の方々が入った推進協議会というものがございますので、先生のおっしゃるとおり、基本的には都道府県レベルの協議会となります。
 以上です。

○環境省 エコツーリズムの関係でございますが、ページでいうと5ページのところにございます先生からご指摘の部分につきましては、3つのものの一番右なのですが、協議会をつくっていただいたところにつきましては交付金を出すということでございます。これにつきましては、大体、昨年度ベースだと20数カ所に交付金を出させていただいております。実際、エコツーリズム法に基づく基本方針をつくっていただいているところにつきましては、全国で3カ所ということで、現在審査中のものもございますので、だんだん増えてきているというところでございます。ただ、エコツーリズムにつきましては、環境省だけではなくて、国土交通省さんと文部科学省さん、農林水産省さんということで共管の法律でございますので、それぞれの省庁の中でも同じような取組をしていると伺ってございます。

○環境省 20ページの環境アセスメントについてです。まず環境アセスメントという制度なんですけれども、環境事業を行うに当たって環境の予測評価をして一定の環境保全措置をとるということで、このお示しさせていただいた2件については、干潟の造成とか藻場の生育基盤を造成するという措置例があったということで書いておりますけれども、今は法律が改正されて、場合によっては事後調査を実施することによって、その後に報告書を作成して、環境大臣というか、提出が義務づけられているという制度になったのですけれども、必ずしも環境保全措置のその後について全て環境省のほうに状況が伝わってくるわけではなくて、正直、この2件について現状というものは把握し切れていないという状況であります。

○岡田委員長 よろしいですか。多分、調べていただければわかると。調査しているはずですから。では、それはよろしいですか、先生。

○大塚委員 はい。どうもありがとうございました。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。どうぞ。

○中瀬委員 最後の26ページの情報のところなんですけれども、昨年度に順応的管理のためのデータベースが必要という議論をかなりしたと思うのですが、このせとうちネットの延長線上で何かさらなるデータベース等々について考えておられることがあったら教えていただきたいんですが。
 以上です。

○名倉閉鎖性海域対策室長 より使いやすくするとか、よりリアルタイムに近い形にするといったことは考えようとしているところでございますけれども、今のところまだどういう形でそれを実現していくかということについてはお示しできるような状況にはございません。また今後続けて考えてまいりたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。ではどうぞ、田中委員。

○田中委員 ちょっと2点教えていただけますか。1点は、4ページ目の播磨灘北東部の「ヘルシープラン」の話で、右下の絵がありますね。2つ違う話が一緒に入っているのでちょっとわかりにくいので確認なんですけれども、夏場に問題になっているのは、この湾域の中の溶存酸素の低下の問題があるので、これは堤防の下の水の疎通をよくする、あるいは川の疎通能力を上げるようなことをされようとしている話なんでしょうか。それと冬の問題として、加古川の浄化センターからの窒素の供給を上げるというか、窒素をとるレベルを下げるということをするという話なんでしょうか。何か先ほど湾奥のほうの溶存無機態窒素のレベルが高いので湾域の中に穴をあけるような話をされていたのですが、恐らく陸域側の話だから、比率としては軽いので、そこの部分を下のほうで抜いてもあまり意味がないような気がするのですけれども、そこがよくわからなかったのが1点です。
 もう1点は、後半のほうで海岸の保全の問題の話の中で、前回もちょっとしたのですけれども、水浴場が重要なので保全するという話が出ていたのですが、水浴場の保全という視点で見たときに、前回少し話したように、どうも使っている市民の感覚と違っているところがあって、この資料の中には入っていないのですが、この参考資料のほうでは、いいほうの百選の中に瀬戸内はいっぱい入っていると書いている。ところが、問題は、そういう評価がされていない水域についてどの程度環境省としてはデータを捉えていて、例えば透視度とかCODあるいは糞便性大腸菌のようなものが、使用する時期、季節において一体どれぐらいそれを満足しているかといったデータを持たれているのか。その辺が全然情報として出てきていないので、その辺がどう整理されているか。その2点を教えてください。

○名倉閉鎖性海域対策室長 まず4ページでございますけれども、栄養塩の管理で播磨灘の北東部ですけれども、まずDINが高止まりしているのは、例えば港湾の中とか、これはたしか、もう一つは加古川の横に水路がございまして、その水路の中は高止まりしているというものでございます。なので、そういったところでは夏になると貧酸素化が起こるということでございます。一方で、湾の外のところでは、冬にノリ養殖をするということで、ノリ養殖をするのは冬だけですので、あとはこのあたりのノリはそれなりにDINを使うということで、その外側に出ているDINはかなり低い濃度にとどまっているというものでございます。したがいまして、港湾の中にあるものをその外側のノリ養殖をしているあたりの沿岸域にまで押し出してやれば、それも冬に押し出してやれば一番効果的なんです。そういった意味で、一番右側の海水交換防波堤とかをもしつくることができれば、港湾の中に高止まりしているDINを外の沿岸域に持っていってやることができる。それから、真ん中にある河川を利用したというのは、加古川の横にある水路に高止まりしているDINを、これは実は川からポンプで水を上げて水路に押し流すようなことを対策として挙げているのですけれども、冬にその川の水を使って水路の中の高濃度のものを押し出すようなことができれば、ノリにDINを供給できるのではないかというものでございます。
 一番左の加古川下流浄化センターのものにつきましては、中に高止まりしているのは、もうそれはそれで仕方がないと諦めて、では冬にDINを供給するにはどうすればいいかということで、供給するために少し下水処理場の運転として窒素増加運転というものを冬にやれば、DINを供給できるのではないかということでございます。
 それから水浴場につきましては、使用している時期にどれだけデータをとれているかというのは、すみません、今はちょっとお答えできませんので、また確認して答えさせていただきます。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 よろしいですね。
 ほかにございますか。では、沖委員、どうぞ。

○沖委員 2ページ目ですが、新たな水質環境基準生活環境項目を今検討されているということで、下層DOと透明度というものが挙がっております。私は水生植物に関係しておりますので、この項目は非常に興味あるところですけれども、この項目が出されてからある程度の時間がたっておりますね。恐らく今、的確な環境基準の検討のために調査を進めていらっしゃると思うのですが、この辺の情報があまり流されていないのか、私自身あまり存じ上げないのですが、今後どのような予定で、どういう行程で発表していかれるかを披露していただければありがたいと思います。

○宮崎水環境課長 先生がおっしゃるとおり、あまり外向けに積極的に公表していないものですから、申し訳ないのですけれども、今まで委託先の検討会で主に検討を続けてきておりまして、ようやくその検討が大分煮詰まってきたものですから、本年度後半に中央環境審議会に対して、この新しい生活環境項目の環境基準の設定について諮問させていただこうというところまでようやく来ました。具体的には、次回9月5日に水環境部会を予定しておりまして、その場で諮問させていただいて、できれば今年度中なんですけれども、もうちょっと時間がかかるかもしれませんが、中央環境審議会の場で専門委員会も設置していただいて、議論を行っていきたいと考えているところでございます。

○沖委員 どうもありがとうございました。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 それでは、よろしければ、以上で環境省の施策についての分をとりあえず終了させていただきます。もちろん、後でお気づきの点がございましたら、今日の最後の機会にご質問等をいただければと思います。
 続きまして、文部科学省よりご説明をいただきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。

○文化庁参事官付島田主任文化財調査官 それでは、文部科学省文化庁の施策をご説明させていただきます。
 基本計画におきましては、目標としましては「自然環境の保全に関する目標」の5、基本的な施策としましては2の「(3)史跡、名勝、天然記念物等の保全」に当たります。説明させていただきますのは、伝統的建造物群の制度と文化的景観の制度でございます。
 まず、伝統的建造物群の制度からご説明させていただきます。伝統的建造物群の制度、いわゆるまち並み保存の制度でございます。この制度は、単体の建物だけではなくて、地区全体を保存する制度となっております。地区の保存につきましては、市町村が定めます条例に基づきまして、市町村が主体的に行っていくというものでございます。すなわち、市町村が保存のための条例を定めて、そして保存地区の範囲を市町村が決定いたします。その保存地区の価値が高いと認められれば、重要伝統的建造物群保存地区になります。これは国の選定を受けるということになります。基本的に地区の保存に係るさまざまな権限につきましては、条例に基づいて市町村が持っております。これが重要伝統的建造物群保存地区になりましても、その権限が国に移るわけではなくて、永続的に市町村が運用していくということになります。
 ただし、重要伝統的建造物群保存地区になりますと、所有者さんが行う修理や修景に対して市町村が補助金を交付する場合、市町村が行う補助金を交付すること自体を事業とみなして、国が市町村に対してその2分の1を補助するという形になっております。
 それからまた、市町村が直接行う調査事業、防災施設等の整備事業、それから土地家屋の買い上げ、また昨今よく行われています公開活用に資するような事業に対しても、国が経費の2分の1を補助するという制度になっております。これらの事業期間としましては、どこの地区でも重要伝統的建造物群保存地区になってからほぼ毎年、継続的に事業を行っています。防災などは数年に一回ということもありますけれども、個々の家の修理は毎年出てきますので、継続的に行っているところでございます。
 現在、全国で重要伝統的建造物群保存地区は、お手元の資料では平成24年度段階ですが、この8月7日で少し増えていまして104地区になっております。それから、瀬戸内法関係府県におきましては、平成24年度段階、お手元の資料では36地区になっておりますが、この8月7日付で1地区増えて37地区となっております。
 伝統的建造物群保存地区については以上でございます。
 次に、文化的景観についてご説明いたします。

○文化庁記念物課市原文化財調査官 文化的景観保護制度について、次のページのほうで説明させていただきたいと思います。
 上の黄色のところに書いておりますように、棚田や里山、歴史的な集落など、地域の生活・生業によって育まれた地域固有の土地利用が、日本各地で展開されています。国は、こうした文化的景観のうち、特に重要で、保護の措置が講じられているものについて、都道府県・市町村の申し出に基づき、重要文化的景観に選定します。
 平成16年に景観法とともにつくられました保護制度ですが、平成25年度に全国で35件の重要文化的景観が選定されています。国は、申し出市町村としての地方公共団体が行う文化的景観の調査、またそれを保護するための保存計画策定、またその後の修景等の整備、それからその文化的景観保護について周辺の方々へ普及・啓発するために、地方公共団体が行う事業の2分の1を補助しております。
 それについて右下のピンクのところに書いております。これは景観法とともにできましたので、景観部局と文化財部局が届出市町村の中で協力して、このような土地利用に基づく景観を守ろうというスキームになっております。瀬戸内海におきましては、左下にあります「遊子水荷浦の段畑」がこの重要文化的景観に選定されております。
 以上で文化的景観の説明を終わりにさせていただきたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関するご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。どうぞ。

○岩崎委員 よろしいですか。文化的景観についてちょっと二、三聞かせてください。
 私は広島の新聞社で文化財を長くやっているもので、大変関心がある話なんですけれども、瀬戸内海でこの非常に有名な宇和島の段畑が登録されている。それはいいことなんですけれども、どうも少ない。というのは、この文化的景観の扱いについては、地方公共団体でばらつきがあります。つまり、中国地方、中国ブロック、瀬戸内海というのは、あまり実は地元の役所に聞いても関心がないというか、やる気がないというか、そういう傾向がややあります。それで、この制度そのものの仕組みもしくは意義というのは、文化庁の皆さんは一生懸命PRされていると思うのですけれども、地元にうまくおりていないような印象も受けるので、その辺の周知徹底等においてより一工夫できないかということで、ちょっとご意見を聞かせてください。
 それともう一つは、これは大体、段畑とか、あるいは海岸部分の景観というのがどうしても注目されるんです。例えば海面のカキいかだ、つまり海面の構造物もしくは人工物とは限りませんが、そういう自然、海面を指定するにはどういう課題もしくは検討事項があるか、それをぜひ教えていただければと思います。

○文化庁記念物課市原文化財調査官 どうもありがとうございました。1点目ですけれども、周知徹底ということで、あまり知られていないのではないかというご指摘でございますが、そういう面は認識しております。対象範囲が広いため非常にややこしいところがありまして、文化財部局と景観部局とが協力して地元に入って景観を守るということで、何を守ろうかというところでまず壁にぶつかるようなところがございます。何を守れば景観が守れるかということが簡単に説明できていない点。またそれに対して我々も協力しようとしておりますが、都道府県、市町村になるとまた部局の中での調整が難しくなって、申出自治体全体の総意になりにくいところがあって、広まらないところがあります。ただ、それについて、私どもの周知徹底というか、こういういい例があるとか、こういうノウハウがあるということをきちんと発信しきれていないところもあると思いますので、昨年より私ども課と市町村の担当者で委員会をつくって、どのようにPRしたらいいかということを研究しております。
あともう一つは、少子高齢化、過疎化など、社会構造の変化という問題がございまして、話を理解していただいても、なかなか、今生活するのが精一杯で景観の話を持ってきてもらっても、、、という地域の実態もあるような気がしております。
 また、2点目のご質問にいかせていただきますと、海面については、国交省さんや環境省さんの国立公園のほうとお話をしている部分があると思うんですけれども、宇和島に関しまして申し上げますと、段畑の農地のほうである程度成功というか、それまでの努力もあって文化的景観保護の施策に一定の理解をいただいているのですけれども、なかなかそれが軌道に乗り切れなくて、次に海域にいこうというときに、まだ段畑のほうでいろいろと課題があるではないかということで、海のほうにいくのにちょっと戸惑っておられる地域の方がいらっしゃるような状況がありまして、これもまた文化的景観制度の運用の難しさが出ているのではないかと思います。
 ですので、先生のおっしゃる1点目、2点目、両方とも制度導入やその後の運用の難しい点があると思うのですけれども、それらを整理してPRしていこうと今努力している最中でございます。

○岩崎委員 それに関連して、実はこの在り方答申を前にした公聴会で、大阪でやったものだと思いますけれども、後で聞いたのですけれども、いわゆる登録制度というのはどうかという意見があったと思うんです。つまり、この文化的景観というのがいわゆる国の重文、国宝といえば、もうちょっと敷居を軽くして、いわゆる登録文化財ぐらいの軽さで、そんなに規制もかからないし、とにかく気軽に守っていこうという登録制のような仕組みも要るのではないかといったご意見があったと思うんです。これはお答えは要りませんけれども、ぜひ今後検討していけばいいのではないかと思います。
 ありがとうございました。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 本仲委員、どうぞ。

○本仲委員 この文化的景観で補助を出しているというのですが、どのくらい出していて、その37件が全部補助金をとっているということなのですか。全部でどのくらいでしょうかということと、地域を主体のようにしていますけれども、それは全体としてもう検討されているかとは思うんですが、国としてある程度、瀬戸内地区として、国としての方針を示すべきという気がするのですけれども。

○文化庁記念物課市原文化財調査官 どうもありがとうございます。文部科学省文化庁のほうで答えられる範囲ですと、今私どもが持っているのは2億円の補助でございまして、全て合わせても、市町村さんがつけても4億円にしかならない状況でございます。それで、それを少しずつ増やしていっているわけですけれども、そのうち、またハード整備に関わっている部分は、4億円のうち1億~1億5,000万円程度で、残りは調査や保存計画、その他普及・啓発に話がいっているかと思います。まだまだ、これからどういうものを補助していけば一番有効に文化的景観というものが保護できるのかというところでは難しいところがございまして、実際は、先ほどの話に戻りますと、景観を保護するよりも生活がなかなかおぼつかないとおっしゃる方もいらっしゃいまして、その辺のバランスについて文化庁のほうではいろいろと調整しているところでございます。
 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 それでは、文部科学省は以上にさせていただきます。どうもありがとうございました。
 続きまして、農林水産省よりご説明をいただきたいと思います。

○農林水産省環境政策課木内課長 資料2-3です。
 農林水産省の施策でございますが、1ページ目をめくっていただきますと、瀬戸内海環境保全基本計画の中では、1(1)、1は「水質汚濁の防止」ということ、そのうちの(1)がここに書いてあります「水質総量規制制度等の実施」ということで、その基本計画の中には、ここには書いてございませんが、「水質総量規制制度等の実施」の中で、生活排水について、地域の実情に応じて農業集落排水施設浄化槽などの各種生活排水処理施設の整備を促進する、それから窒素・りんの除去性能の向上を含めた高度処理の積極的な導入を図るということが記されてございます。
 これに対しまして、まず農業集落排水施設の整備ということです。これは、都道府県で集落排水とか下水道浄化槽、これらの各汚水処理施設の整備に関する都道府県構想というものを策定しております。これを地域の実情に応じて効率的に整備を進めるのですけれども、ここに書いてあります瀬戸内法関係府県における農業集落排水施設の汚水処理人口普及率は、平成23年度末において、73.9%となっております。これは、分母が都道府県の構想に係る農業集落排水施設の整備すべきもので、分子に実際に整備したものが入っておりまして、73.9%ということになっております。平成12年度末に比べますと48ポイントの上昇となっております。
 それから、その下に高度処理対応地区数とございますが、これは物理的あるいは生物学的に処理して、一層脱窒あるいはりん酸を取り除くという施設ですけれども、平成23年度末時点において223地区となっております。これも平成12年度に比べますと164カ所の増加となっております。
 それから右側に漁業集落排水施設の整備とございますが、これも普及率は平成22年度末で42.4%となっております。平成14年度末に比べて19.6ポイント上昇しておりますが、まだ普及率はこれから伸ばしていかなければいけないというところでございます。
 次の2ページは、同じく「水質総量規制制度等の実施」の中でも、ウの持続的養殖生産確保法に基づいて、これは基本計画の中に書いてあるのですけれども、持続的養殖生産確保法に基づいて、漁場管理の適正化に努める。あるいは持続農業法、また家畜排せつ物管理法に基づいて、適切に管理していく、環境をよくしていくと基本計画の中に記されております。これに対して、1つ目の上のほうに青で囲んでありますけれども、持続的養殖生産確保法に基づいて、漁業協同組合が自主的に漁場改善計画、これは適正な餌を与える、餌の投与の仕方等を適正にするなどの計画なんですけれども、こういうものをつくって環境改善を進めております。平成25年1月現在、全国で353件、うち瀬戸内法関係府県では93件の漁場改善計画というものがつくられております。グラフの中では、全国で改善計画を作成した海面養殖漁業の生産量というのが全養殖の85.5%に達しているということが記されてございます。
 それから左下の表ですけれども、農業排水中の窒素及びりんの負荷量軽減というところです。これは、持続農業法に基づいて、化学肥料や化学合成農薬を減らそうということで、エコファーマーという呼び名で認定制度等を設けておりますが、瀬戸内法関係府県において、平成24年3月末までにはこのエコファーマーは約1万6,000件まで順調に増加しております。グラフの中では、近畿・中国・四国地方における水稲ですけれども、稲の単位面積当たりの化学肥料の使用量を見てみますと、窒素質肥料においても、りん酸質肥料においても、昭和60年当時と比べて約6割まで減少してきております。
 それから、右のほうの絵ですけれども、家畜排せつ物の管理に関する法律に基づく状況です。ここの上から見ますと左のほうに管理基準対象農家―これは、牛でいうと10頭以上、豚でいうと100頭以上、あるいは鳥でいうと2,000羽以上とかという基準がございまして、ある一定の規模以上の畜産農家については、管理基準、例えば糞尿の処理について、保管はコンクリート構造で、下にしみ込まない、横にはみ出ないような施設にするとか、処理量の記録を残すとかという基準がございますが、こういうことを守ることを義務づけておりますが、この管理基準対象農家が約5万戸ございます。平成23年12月1日時点の全国値でございますけれども、この対象農家の約5万戸の99.8%がこの基準に適合して対応しているということになっております。
 それから、次の3ページ目は、「自然景観の保全」というところでございます。この中で、(2)の「緑地等の保全」ということで、基本計画の中には、良好な自然景観を有する沿岸地域等で林地の開発に係る規制の適正な運用、あるいは適正に病害虫を防除する、あるいは保安林を整備する、造林治山事業の適切な実施をして、健全な森林の保護育成に努めることと記載されております。
 これに対しまして、左のほうですけれども、森林・林業基本法に基づいて森林・林業基本計画を策定して、まとまりをもった森林経営を確立、それから多様で健全な森林への誘導をやっております。
 瀬戸内法関係府県においては、直近5年ですけれども、10~11万ヘクタール程度の間伐などの森林整備を実施しております。
 真ん中の右のほうの図ですけれども、松くい虫による被害は、若干減少傾向にありますけれども、引き続き防除対策を実施する必要があります。
 なお、国有林における森林景観の保全の取組事例として、一番下に、広島県廿日市市の宮島国有林で、これは世界文化遺産の厳島神社の緩衝地帯となっておりますが、森林景観の維持・回復のために、いろいろと間伐などの取組をやっております。
 それから、右側は保安林の話です。これは、森林法に基づいて、水源の涵養などの目的を達成するために、大臣あるいは知事が指定して、一定の行為の制限をするものでございます。瀬戸内法関係府県では、平成12年度末から23年度末までの間に保安林の指定面積が128万ヘクタールから158万ヘクタールへと、30万ヘクタールほど増加しております。
 それから、右のほうの保安林以外の民有林において開発行為を行う場合には、一定規模を超える開発行為についてはその都道府県知事の許可制ということにしておりまして、これでできるだけ適正な開発行為ということで、環境保全に努めております。
 4ページ目は、同じく「自然景観の保全」の中で、(4)の「散乱ごみ、油等の除去」ということです。平成19年から水産庁の事業で、漁業者が漁業活動中に回収した漂流物の処理等への支援を行うということで、漁場環境の保全の推進を行っております。グラフにありますように、平成24年度の大阪湾での漂流物等の処理実績は478トンということで、以前の平成19年に開始した当時に比べると4割程度の増加となっております。
 次の5ページ目です。3の(1)、これは「浅海域の保全等」の中でも、「藻場及び干潟等の保全」ということで、環境保全基本計画の中では、藻場・干潟が水産資源の保全あるいは水質浄化、鳥類の餌場などとして重要で、保護水面を指定したり、あるいは保全して積極的に整備したり、回復するべきと書かれております。
 これに対しまして、左のほうですけれども、漁港漁場整備長期計画というのを農水省ではつくっておりまして、平成24年~28年、5年間ですけれども、ここでは概ね5,500ヘクタールの藻場・干潟を整備する計画で事業を進めております。具体的には、平成24年でいいますと、水産基盤整備事業というもので、全国80カ所の環境整備を行うということになっておりました。瀬戸内海関係でいいますと、例えば岡山の東備地区ではアマモ場再生を核とした漁場整備、あるいは徳島県阿南地区などがあります。
 それから、右側に保護水面のことが書いてございます。保護水面制度というのは、水産資源保護法に基づきまして、水産動物が産卵し、稚魚が生育するのに適している水面であって、これを保護しなければいけないと判断したら、知事または大臣が指定するというものです。知事または大臣が指定した場合は、そこでの管理計画を定めて、保護水面の管理を知事または大臣が行うということで、平成25年7月末現在、瀬戸内法関係でいいますと、大分が11カ所、山口が4カ所、兵庫、岡山、香川がそれぞれ3カ所など、全部で27カ所が保護水面に指定されております。全国では116カ所が指定されております。
 最後に、6ページの「環境保全に関する調査研究及び技術の開発等」です。これについては、近年、「磯焼け」と呼ばれる藻場の大規模な消失あるいは干潟における生産力の低下が全国各地で発生しております。この原因については、いろいろと提案とか推計がされたり、それから対策の提案が幾つかなされていますけれども、全国で普及するまでには至っておりません。それで平成19年に農水省で「磯焼け対策ガイドライン」として、対策の持続的な効果の検証に対し、いろいろと支援した成果等を取りまとめて、全国に普及する取組を実施しております。さらに、平成22年から、また新たな事業で、魚類の食害による藻場の減少を軽減するなどのいろいろな技術開発・実証を実施して、現行のガイドラインの改定に反映させる予定であります。
 最後ですけれども、赤潮・貧酸素水塊対策推進事業というのを実施しております。瀬戸内海及び周辺海域等を主なフィールドとして、モニタリングによる監視体制の強化、あるいは発生機構の解明、プランクトンの生理・生態特性に基づく発生機構の解明などを実施しております。これも実は平成20年ごろからずっと続けているのですけれども、まだまだ時間がかかるようなところはあります。引き続きこういう技術開発を行っていくということにしております。
 以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。では、柳委員からどうぞ。

○柳委員 2点ありまして、まず3ページ目、「緑地等の保全」ということですけれども、2つあって、1つは、「森は海の恋人」ということで、漁師が今盛んに植林しているのですけれども、科学的な意義というか、意味ははっきり証明されているわけではないのです。だから、農林省としては、林業にも水産業にも関係しているので、ぜひ本当に「森は海の恋人」かどうかということを確かめてほしいのですが、その意図はあるかないかという話。
 それから、その下にある森林景観の保全という意味では、特に水産に関連した魚つき林というのが全国あちこちに指定してあって、それは本当にどういう意味があるのかという話と、ちゃんと保全されているかどうかということをチェックはされているかどうかということです。
 もう1点は、5ページですけれども、「藻場及び干潟等の保全」で計画が書かれていますけれども、これは先ほどの環境省とほとんど一緒だと思うんですけれども、環境省にしたら、干潟・藻場というのは環境保全の意義でやるのでしょうけれども、水産庁としては、水産生物、有用水産資源の再生産機能で主にやられるのでしょうけれども、一緒にやるという可能性はないのかどうかということです。特にこれは6ページの赤潮・貧酸素のことですけれども、先ほどの環境省の指標というか、その中にも赤潮・貧酸素が出てきて、特に貧酸素水塊を消滅させるのが一つの環境目標になっていますけれども、これも別々にやるより一緒にやったほうがいいと思うんですけれども、予定はあるか、ないかという話をお聞かせください。

○岡田委員長 では、どうぞ。

○農林水産省 林野庁治山課の井口と申します。
 「森は海の恋人」ということでございますけれども、特に、戦前・戦後にかけては、我が国の森林は荒廃し、豪雨の度に流域から河川を通じて大量の濁水が海域に流出していた時代があった訳でございますが、その後の森林の復旧・回復に伴い、水産物の生産が増大したなどの事例もあり、森林の有する水土保全機能を維持増進し、流域の保全を図っていくことが重要と考えているところでございます。
一方、森林と海域の環境の関係について、これまでも科学的研究がいろいろとなされてはおりますが、対象とする圏域・範囲がものすごく大きいということもございまして、特に、栄養塩類や有機物その他の微量物質などの影響で直接に魚が増えているかということになると、なかなか検証が難しく、現段階では研究途上といったところかと理解しているところでございます。私どももとしましても、引き続き、そういった科学的研究の動向や事例の把握に努めて参りたいと思います。
 魚つき保安林につきましては、いろいろな効果はございますけれども、森林が水面につくる陰影によって日射が遮断され水温の上昇を抑制したりとか、鳥類など捕食者から発見され難くなることで生息・繁殖の場となったり、岩礁など林木を含めた立地環境自体が目印として魚類の生息に適した場所になったりと、森林を介した物質循環の効果というよりは、ある程度局所的で物理的な作用によるところが基本と考えられ、そういったところを保安林として保全しているところです。

○農林水産省 水産庁計画課の中西と申します。
 5ページ目の関連でご質問をいただきましたけれども、水産庁においては、漁港漁場整備長期計画において、先ほど説明いたしましたとおり、藻場・干潟の整備を推進しておりまして、おっしゃるとおり、水産庁においては、水産生物をいかにして増やしていくかといった観点で整備しておりまして、この漁港漁場整備長期計画については第3次目となるのですが、第3次目からの特徴と我々は呼んでいるのですけれども、水産生物の生活史に対応した漁場整備を推進しようと。すなわち、特に瀬戸内海については閉鎖性の強い海域ということでございまして、ここの湾内で生息する水産生物の行動パターンというのが大体わかっておりまして、これに対応して、大体魚というのは、小さいときは浅瀬で生活する、大きくなると深場に潜って生きていくという習性がございますので、そういった習性を捉えて、浅場において、特に浅場でもどの辺に稚魚がいやすいかとか、あるいは産卵するのかとか、そういった知見を各県の水産試験場とも連携をとって、そういった観点で整備を推進しているところでございます。
 また、環境省さんの取組も我がほうのこういったところと関連するところはありますので、そういった場合には、我々の事業は各都道府県が主体となってやっておりますので、そういった場を通じまして協力させていただければなと思っております。

○岡田委員長 よろしいですか。

○農林水産省 すみません。最後の赤潮の関係なんですけれども、水産庁の漁場資源課の者ですが、水産庁としましては、赤潮・貧酸素に関しましては、もちろん環境省のほうでもやっているのですけれども、水産生物、水産の生産物における影響といった意味合いで調査研究をしているところであります。瀬戸内海におきましては、漁場は広くありますけれども、どちらかというと貧酸素というよりは赤潮の問題が顕在化していると考えております。そのためのモニタリング・調査研究を重点的にやっているところでございます。

○農林水産省環境政策課木内課長 最後に、先生のおっしゃった環境省との連携の話なんですけれども、実際にどういう研究をやっているかというのを見てみると、国と県と、それから大学というところとはよく連携しているのですけれども、確かに環境省との連携というのは、今のところ予算的にはなかなか見られていないところはあります。例えば横で流して一緒にやるとかです。そういうのは、こういう場で環境省がどういうことをやっているかというのはわかりますので、これから情報を交換してやっていきたいと思っております。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかに。田中委員、どうぞ。では、順番に言ってください。

○田中委員 では1点だけ。どうも先ほどから農水省のほうのご意見を聞いていると、陸域側の栄養塩を下げるほうの話がいろいろ出てくるのですが、先ほどの環境省のほうの播磨灘の話でノリの話が出てきたのですが、あるいはここの答申の在り方の中で議論されている中で、逆に季節による栄養塩の低下によるノリへの被害の情報が出ているのですが、農林水産省として、今この瀬戸内のエリアで、どういうところでそういうことが起こっているのか。あるいは、その原因が本当に栄養塩不足なのか。この辺についての情報はどのように捉えられているのでしょうか。

○農林水産省 すみません。先ほどの水産庁漁場資源課の宇津という者でございます。
 今のご質問に関しても、水産庁のほうで先ほど紹介がございました赤潮・貧酸素水塊対策推進事業という事業の中で、ノリのいろいろな対策ということで、技術開発の事業を設けております。これは、昨今瀬戸内海において栄養塩不足ということでノリの色落ちが顕在化しているというのを漁業者のほうから聞き及んでおりますので、そういったことに対応するということで、主に瀬戸内海の東部、兵庫県、岡山県、香川県、徳島県といったところのノリの養殖漁場において、人為的に栄養塩を効率的に供給するシステムの技術開発を実施します。前回の小委員会の中で委員の先生からもご指摘があったように、積極的に施肥をするといった話もありましたけれども、そういった意味合いで、施肥を効率的にするための技法の開発を、また、兵庫県における事業所からの増加排水といったことに係る技術開発を進めているところです。これは平成25年度からの事業です。

○田中委員 実態についてはまとめていないんですか。

○農林水産省 実態については、漁業者の聞き取りの中で、栄養塩の不足によってノリの色落ちが出ているというのは聞き及んでおります。

○田中委員 それは、定量的に、このエリアでそういう報告がどれぐらいあるとか、あるいはどれぐらい生産量が減っているとかという平面的な発生状況、ちょうど赤潮でかなり細かい情報が出ていますが、これと似たような聞き取り情報というのはないのですか。

○農林水産省 定量的に色落ちという話については、生産量が下がっているとか、そういった面で、生産量の下がった部分において色落ちによる影響があるということでは、定量的な数値はあります。今ちょっと手元には持ち合わせていませんけれども。

○田中委員 その辺が、あまり実態をきちんと把握しないで、いきなり対策に出るということが何か不思議な感じがするのですが。

○農林水産省 ただ、漁業者のほうから、ノリの色落ちの問題というのは顕在化しているというのは聞き及んでおりますので、現実問題として、それによって生産量が下がったりとか、金額が下がったりとかということがありますから、そこでの対策ということで進めることとしています。

○岡田委員長 ではあと、すみません、足利委員、どうぞ。

○足利委員 今の田中委員さんと同じなんですけれども、私は周防灘の西側のほうで活動していますけれども、こういう会議が開かれると、常に漁業者の方たちが、窒素・りんの問題、栄養塩がなくなったということをおっしゃいます。その一方で、今の資料の中を見せていただいても、一生懸命頑張って総量規制に間に合うように窒素とりんを減らしていますということで、非常に矛盾なんですね。それで、ぜひ窒素、りん、特に栄養塩のメカニズムをきちんと調べて、それを漁業者にもわかる状況でお知らせいただきたいなというのが一つと、もう一つ、5ページのところに、藻場・干潟はとても大事ですということで、イラストも載っています。ここには、例えば渡り鳥の場所としても重要であるとか、いろいろ書いてあるのですけれども、どうしても水産庁さんというか、漁業者の方、水産の方の立場からだと、水産物としての干潟・藻場の重要性というところが出てきて、例えばこれが環境省さんのほうになると、生物多様性という発想になってくると思うのですけれども、本当に生物多様性、たくさんの生き物がいてこその水産であると私はいつも感じています。ですから、そのあたりを、先ほどの柳委員さんのお話もありますけれども、もう少し環境行政と水産行政のすり合わせをしていただきたいなと思っています。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 今の点は、農林水産省、それから環境省、協力してこれからご検討いただければと思います。
 それでは、ちょっと時間が押していますので、以上にさせていただきます。
 次に、経済産業省の施策についてご説明をいただければと思います。

○資源エネルギー庁石油精製備蓄課竹谷課長 資源エネルギー庁の石油精製備蓄課長の竹谷と申します。よろしくお願いいたします。資料2-4に基づきまして、経済産業省の施策についてご説明をさせていただきます。
 まず環境保全基本計画での位置づけですけれども、基本的な施策の中の1(3)に「油等による汚染の防止」という項を立てております。それに基づいてやっている施策ということでございます。
 資料2-4に基づいてご説明を差し上げますけれども、施策の名前が大規模石油災害対応体制整備事業というものでございまして、一言で申し上げますと、施策の概要のところに書いてございますが、大量の石油流出事故などが発生しますと、環境等に非常に大きな影響を与える可能性がございますが、事故対応の緊急性、十分な油濁防除資機材の保有の限界等から、製油所や油槽所のみでは体制を整備することは困難でございます。したがいまして、全国的に、支部も入れると7カ所の基地を設けまして、そこにまとめて機材を配備する形で、大量の石油流出事故が万一起きた場合の対策をしているということでございます。したがいまして、この瀬戸内海地域につきましては、3)にございますが、平成4年9月から倉敷市に油濁防除資機材基地を設置いたしまして、オイルフェンス、油回収機などを備えつけているところでございます。
 右半分に、実際にどういうことをやっているか記載しておりますが、基地名、所在地、開設時期は先ほど申し上げたとおりでございます。配備している資機材としては、オイルフェンスがございます。これは固形式と、空気を入れて使う充気式がございます。他に、油回収機などを配備してございます。
 当然、造ってからもう20年近く経っていますので、設備が耐用年数を迎え、更新も行っているところでございます。また、最近、東南海地震等といった大きな地震に対する関心も非常に高くなっておりますので、昨年度、高性能の油回収機を追加的に配備したということでございます。
 なお、この瀬戸内海の基地では、他地域で事故が起きた際にも設備の貸し出しを行い、貢献しているところでございます。
 右下になりますが、設備を備えておくだけでは意味がありませんので、毎年訓練を行ってございます。昨年は、2号基地の要員を対象に、船舶を実際に使用いたしまして、洋上でオイルフェンスを実際に張ってみるといった訓練を行っております。予算に制約もございますので、毎年こういう充実した訓練を行えるわけではございませんが、その前の年には、研修所でオイルフェンスや油回収機の使い方等を製油所等の社員等の方々に勉強していただくとともに、演習も実施してございます。
 左下の評価及び課題でございますが、幸いにしてこれまで大きな問題が生じたということはありませんが、ご説明で申し上げたとおり、常にきちんと資機材を維持・更新していくということ、さらに、基地の要員の方々に対して十分な訓練を実施し、瀬戸内海の環境をきちんと保全していくことについて、努めていくことが今後も課題であると思っております。
 長くなりましたが、以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。
 よろしいですか。
 それでは、ありがとうございました。
 それでは、最後になりましたけれども、国土交通省よりご説明をいただきたいと思います。

○国土交通省海洋政策課森高課長補佐 国土交通省総合政策局海洋政策課の森高と申します。資料2-5に沿って、国交省の施策につきましてご説明差し上げます。
 会議の冒頭、事務局よりご紹介いただきましたが、当省はかなり政策が多岐にわたりますので、国交省の主要な瀬戸内海の環境保全に資する取組を港湾、海岸、河川、下水道、都市という5つの切り口からご説明いたします。それぞれ、資料の左上に答申や基本計画の該当箇所を記載しておりますので、それもご参考にお聞きいただければと思います。
 それでは早速ですが、1番目に、港湾関係の環境に関する取組についてご説明いたします。
 2ページ目でございますが、まずは港湾についての環境に関する全般的な取組の方向性についてご説明差し上げます。
 港湾環境政策の基本的な方向でございますが、港湾行政のグリーン化ということで、平成17年3月29日に出された交通政策議会の答申に基づきまして基本的な施策が現在も進められているところでございます。黄色で囲っておりますところに書いておりますけれども、港湾のあらゆる機能に環境配慮を取り込んでいくことが不可欠であるということで、その下にあります「港湾の開発・利用」と「環境の保全・再生・創出」を車の両輪として、施策として推進しているところでございます。
 具体的な取組につきましては、大きく3つございます。1つ目が自然環境の保全・再生・創出ということで、干潟・海浜・藻場等の保全・再生・創出などを行うということです。2つ目は循環型社会の形成です。リサイクルポートの形成ということで、これは静脈物流とかの拠点の整備などを行い、環境に配慮した港湾を目指しているところでございます。3つ目が地球温暖化対策ということで、港湾から排出するCO2等、ガスの対策などもきちんとやっていこうということで、このように17年の答申がまとめられているところでございます。
 さらに、地球温暖化対策につきましては、右側にございます平成21年3月の交通政策審議会の答申にある「地球温暖化に起因する気候変動に対する港湾政策のあり方」というもので、その取組の基本的方向が書かれております。その中では、緑色で囲っておりますが、臨海部空間からの温室効果ガスの排出削減ということで、藻場などを整備して、CO2吸収源を拡大するとか、あとは、赤色で文字囲いをしているところですが、低環境負荷の物流システムということで、適切な輸送ルートの選択とか、モーダルシフトなどを推進していくというものです。最後の3つ目、青色で囲っておりますが、港湾活動に伴う温室効果ガスの排出削減ということで、船舶への陸上電力供給施設の導入促進がございます。船の中で電力を賄うには船のエンジンを回して発電するわけですが、当然CO2などを発生するわけですので、そういったものをなるべくなくそうということで、陸上電力供給施設の導入を促進しております。あとは、先ほど環境省さんからもお話がありましたが、再生可能エネルギーについては、港湾区域においても利用の導入を促進しようということで、昨年度、環境省さんと共同で、港湾区域における導入促進マニュアル等を作成しているところでございます。
 続きまして、港湾関係の主要な環境に関するプロジェクトについてご説明差し上げます。海の再生プロジェクトにつきましては、東京湾、大阪湾、伊勢湾、広島湾など、閉鎖性海域の水質改善に向けて、関係省庁及び関係地方公共団体等が連携して、水質環境改善のための行動計画を策定し、総合的な施策を推進するものでございます。左下の日本地図のところにそれぞれ、今行われているプロジェクトを4つ書いておりますが、平成14年に東京湾の再生プロジェクトが立ち上がったのを皮切りに、その後、大阪湾、伊勢湾、広島湾と、現在4つのエリアでこのプロジェクトが推進されているということでございます。東京湾につきましては、第一期計画が終了いたしまして、今、二期目の計画がスタートしたところでございます。
 施策の中身につきましては、海洋環境の改善、海域におけるごみ回収、モニタリング、啓発活動、河川からの汚濁流入負荷の削減、合流式下水道の改善等、陸域と連携しながら多様な施策を、関連する者が連携してやっていくというものであります。
 次のページですが、海の再生プロジェクトにおいて、瀬戸内海に関連する大阪湾と広島湾のプロジェクトについて、それぞれ順を追ってご説明差し上げます。
 まず大阪湾の再生プロジェクトでございますが、平成16年に大阪湾再生行動計画が策定されまして、その計画に基づいた取組が行われているところであります。現在、中間評価を踏まえた第二期行動計画を平成26年6月に策定すべく検討が進められているというところでございます。
 大阪湾再生推進会議の目的といたしましては、陸域からの流入負荷削減対策の強化や海域における良好な環境の回復による水質浄化対策などを行うことで、「海と都市のかかわり」に重点を置く、総合的な海の再生を目指すというものです。具体的な目標といたしまして、「魚庭(なにわ)の海」を回復するという目標を立てておりまして、具体的には6つ掲げているところでございます。
 1つ目は、年間を通して底生生物が生息できる水質レベルの確保ということで、これは具体的に底層DOを指標として目標を立てているところです。
 2つ目が、海域生物の生息に重要な場の再生ということで、干潟・藻場とか、砂浜とか、そういったものをきちんと再生整備しようということを目標として掲げているところです。
 3つ目でございますが、人々の親水活動に適した水質レベルを確保するということで、海水浴から散策まで、いろいろ海と人が触れ合う機会というのがあるのですが、それぞれの活動に応じた水質レベルを確保するというものです。こちらも具体的な指標として表層CODを掲げています。
 4つ目が、人々が快適に海に触れ合える場を再生するということで、これは自然的な海岸線の延長などの取組をきちんと実施していくということをうたっております。
 5つ目、臨海部での人々の憩いの場の確保ということです。これは、臨海部における海に面した緑地確保などをやろうということで挙げております。
 6つ目、ごみのない美しい海岸線・海域を確保する。これは、浮遊ごみとか漂着ごみ、海底ごみなどのごみをきちんときれいにしましょうという目標を立てております。以上が、大阪湾の再生プロジェクトでございます。
 次ですが、広島湾の再生プロジェクトについてご説明申し上げます。広島湾は、4つのプロジェクトの中でも比較的若く、平成19年に広島湾再生行動計画ができまして、プロジェクトが立ち上がっているところでございます。
 こちらの目標につきましては、恵み豊かで美しく親しみやすい「広島湾」を保全・再生し、次世代へ継承するということで、具体的な施策としては3つを掲げております。
 1つ目は、森・川・海の健やかなつながりを活かし、豊かな広島湾を保全・再生するということで、水環境の再生とか、生物の生息の場の保全・再生をするということを掲げております。
 2つ目でございますが、人と海とのつながりを取り戻し、親しみやすい広島湾を再生するということです。こちらについては、海水浴などの客が減少しているということもあり、魅力ある親水空間をつくっていこうということを目標として掲げているところです。
 3つ目は、宮島などの魅力ある自然景観、歴史・文化を活かし、美しい広島湾を再生するということです。これにつきましては、宮島ということで具体例が出ておりますが、観光資源になり得る豊富な自然の景観、歴史・文化などがあるので、そういったものを生かして、美しい広島湾を再生していこうというプロジェクトになっております。
 次からは瀬戸内の港湾に関係いたします個別具体の事例について、ご説明差し上げます。
 1つ目が、しゅんせつ土等を活用した海域環境改善、環境修復の取組でございます。こちらにつきましては、徳山下松港におきまして、しゅんせつ工事で発生するしゅんせつ土砂を何か有効に使えないかということで、隣接する海域にしゅんせつ土砂を積むことによって、アサリの生育場としての干潟を造成しているということでございます。こちらにつきましては、モニタリングを平成21年~24年に実施しているところですが、アサリの生育場として機能しており、アサリの出現は経年的にも増加していることが確認されているということのほか、アマモとかコアマモなど、海草類が確認されておりまして、そういったところで魚が卵を産む場所としても機能しているということが確認されているところでございます。
 次は大阪湾内の海底地形修復に向けた検討でございます。これにつきましては、深掘跡の埋戻しということで、そもそも深掘跡とは何かということですが、これは高度経済成長期に埋立工事に必要な土砂が不足したためにこういった海の底を深掘りして賄っていた跡であります。深掘跡については、水が貧酸素状態になりやすいということがございまして、台風とか、大雨とか、そういった影響で深掘跡にたまっていった貧酸素状態の水が周辺海域に拡散すると、魚など、その周辺の生物にちょっと影響を及ぼすという問題点がございまして、現在、港湾のしゅんせつ土砂を活用してこの深掘跡の埋戻し作業というものを全国で実施しているところでございます。瀬戸内海の具体的な事例といたしましては、大阪湾の阪南2区沖というところを現在実施しているところでございます。モニタリングにつきましては平成22年から継続的に行っているところでございますが、現状については顕著な改善効果は確認されておりません。
 次は、生物共生護岸の実証実験でございます。こちらにつきましては、要は港湾区域に生物共生型の護岸をつくるということで、平成20年~21年度の事業でございまして、ここに書いてあります堺の泉北以外では、秋田、北九州、新潟、沖縄の計5カ所で実施した事業でございます。瀬戸内海に関連するところではこの大阪の泉北が該当いたします。
 どういうことを実施したかといいますと、干潟や岩礁機能を持つ生物共生型の港湾施設をつくるということで、緩斜面にしまして、生物がすみやすいような環境をつくっております。また、護岸の上のほうには人工干潟などを水面付近につくるような形で、生物がすみやすい護岸をつくっております。こちらにつきましては、干潟部分でゴカイなどの生物の増加が確認されているとともにイシガレイなどの稚魚を確認しているということで、干潟部分が稚魚の生息場として機能しているということが考えられます。
 9ページ目でございますが、今度は油流出事故対策の取組でございます。浮遊ごみや油の回収ということで、左下の地図に書いておりますが、各港ごとにこういう海洋環境整備船というものを、瀬戸内海ですと8隻整備しております。閉鎖性海域における海面に漂流する流木などのごみや船舶等から流出した油の回収を実施しているということでございまして、右にあるような大体200トン弱の大きさの船により、ごみや油の回収を実施しているということでございます。話はちょっとそれますが、ここに書いている中の徳島のみずきと和歌山の海和歌丸につきましては、東日本大震災のときにも東北に出動しまして、震災に起因する漂流がれきなどの回収に従事したということもございます。
 10ページ目でございますが、大阪湾水質定点自動観測の実施及びデータ配信ということです。こちらにつきましては、もともとはごみ収集を効率的に行うために潮の状況や各種情報を収集していたところであったのですが、これらの情報については、ごみ収集以外にも非常に活用できる情報も多いということもありますので、右にあります大阪湾環境データベースといった形で公開しているというものでございます。
 11ページ目でございますが、瀬戸内海の環境保全・再生に資する普及・啓発ということで、先ほど申し上げました海の再生プロジェクトを実施している4つのエリアの関係者が一堂に集まって情報共有などをして、今後効率的に海の再生に向けた施策を進めていくための海の再生全国会議というものを開催しております。あとは、右にありますとおり、海辺の自然学校ということで、体験型の活動も積極的に行っているところです。
 以上が1つ目の港湾における取組についての説明でございます。
 引き続き2番目の海岸関係の取組についてご説明いたします。海岸における取組につきましては、13ページ目をご覧いただきたいのですが、施策の概要としては大きく5つございます。1つ目がエコ・コースト事業ということで、良好な自然環境、藻場とか干潟を積極的に保全、回復する必要性の高い海岸におきまして、自然環境に配慮した自然と共生する海岸づくりを推進するということでございます。右側に下関港海岸の実施事例ということで、整備前、整備後とあります。ちなみに、この島は巌流島でございまして、宮本武蔵と佐々木小次郎が決闘したと言われるところですけれども、自然環境に配慮して、海岸線などを整備しているというものでございます。
 2つ目は、渚の創生事業でございますが、現状、河川からの土砂の流入が減少しているという状況があり、ずっと放っておくと海岸からの浸食がどんどん進んでしまうということへの対策でございます。河口や海岸等に堆積している土砂を、侵食が進んでいる海岸へ流用する―サンドバイパスという言葉を使っているのですが、そういうことで美しい砂浜を復元するという取組を全国で実施しているところでございます。
 3つ目、いきいき・海の子・浜づくりは、先ほどもちょっと触れましたが、普及・啓発活動の一つで、文部科学省と連携して、青少年が安全に海を使った活動を実現できる海岸の形成を図るということと、都市と農村の交流を推進するという目的で実施する事業でございます。
 4つ目、自然豊かな海と森の整備事業でございます。これは、林野庁と連携して実施している事業ですが、海岸に白い砂と青い松の続く「白砂青松」に代表される自然豊かな利用しやすい海岸づくりを推進しようということで、全国的に実施している事業でございます。
 最後に景観形成ガイドラインでございます。こちらにつきましては、地元の自治体が海岸に関する自然環境の保全の取組を行いやすいよう、ガイドラインを策定いたしまして、行政関係者やまちづくりに関わる市民等による海岸保全や後背地の計画などの方策を提示しているところでございます。
 以上が海岸における取組についての説明でございます。
 続きましては、3番目に河川関係の取組についてご説明いたします。瀬戸内海に関連しました河川の直接浄化の取組事例は、15ページ目にありますとおり、1つ目が岡山県にあります百間川という川の浄化、2つ目が愛媛県の石手川の浄化でございます。
 まずは百間川における直接浄化についての取組といたしましては、ここに書いてあるとおり、百間川に5カ所の直接浄化施設を設けまして、それぞれいろいろな方式はあるのですけれども、浄化施設を5カ所稼働して浄化を実施しております。右下に浄化前と浄化後の水質の比較ということで掲げておりますが、概ね、浄化する前、その施設に入ってくる前の水質に対しまして、浄化施設を使ったあとの水は、大体BODが2mg/L程度まで削減されているということで、効果はあるのではないかと考えているところです。
 続きまして、先ほど申しました石手川における直接浄化の取組につきましても、同じように浄化施設を通過させることで直接浄化を実施しておりまして、ここにはBOD除去率は約40%と書いておりますが、具体的にいいますと2mg/L程度まで削減という形の浄化を実施しておりますので、効果があるのではないかと考えられます。
 18ページ目でございますが、市民との協働による河川環境管理、これは河川敷のごみ掃除ということでございます。平成23年度においては、瀬戸内海流入河川における清掃活動実績として、参加人数は12万6,000人、回収量約4,000トンということで、かなり多くの方にご参加いただいているところです。
 次ですが、多自然川づくりの取組についてご説明差し上げます。そもそも多自然川づくりとは何かということですが、河川全体の自然の営みを視野に入れて、地域の暮らしとか景観などとの調和にも配慮して、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために、河川管理を行うことをいうことです。論より証拠で、写真を見ていただくとわかります。これは広島県の太田川水系古川の実施事例です。施行前ですと、河川は直線的で、コンクリートの護岸がむき出しになっておりますが、施行後は、コンクリートの護岸を覆土して景観に配慮するとともに、川も直線的ではなく蛇行させるような形で、生物もすみやすい環境にするような取組を実施しているところでございます。
 20ページ目ですが、河床の汚泥の除去でございます。底質ダイオキシン類対策ということで、ダイオキシン類を高濃度に含んだ底質の存在が確認された大阪の神崎川につきましては、大阪府がしゅんせつ除去を行っているところですが、これについて国も事業への財政支援なども実施しているところでございます。事業期間につきましては、平成16年度から平成32年度までを予定しているところでございます。
 以上が河川関係の取組についての説明でございます。
 引き続きまして、4番目でございますが、下水道関係の取組についてご説明申し上げます。
 22ページ目ですが、下水道の整備でございます。これは全国的な問題でもありますが、下水道の整備につきましては、未普及地帯の早期解消に向けて、早期かつ低コストに下水道の整備を推進するというのが非常に重要であると考えております。当省においては、下水道クイックプロジェクトということで、地域の実情に応じて、低コストで早期かつ機動的な整備が可能となる新たな整備手法などを検証しまして、手引書などを公表しているところでございます。具体的な事例といたしましては、従来ですと、下水管というのは地中に埋めて通すものなんですけれども、露出した形で下水管を通してしまうと、コスト面、あとはスピード面で非常にメリットがあるということで、こういった露出配管などのやり方などをガイドラインで示しているところであります。
 あとは、都道府県構想マニュアルということで、これにつきましては、汚水処理施設のベストミックスを推進するために、国交省・農林水産省・環境省の関係3省で現在マニュアルの策定を検討中ということで、平成25年度中にマニュアルを策定するということで検討しております。
 下水道の整備につきましては、右側に具体的な数値が出ておりますが、下水道処理の人口普及率は、全国75.8%に対しまして瀬戸内海の関係府県ですと76.3%ということで、全国より若干上回っているという状況でございます。
 続きまして、下水の高度処理の推進でございます。こちらにつきましては、水環境の改善に向けまして、窒素・りんの除去性能を高めた高度な処理施設の導入を推進するということでございます。また、下水処理場の増設や改築・更新期にあわせて高度処理の導入を推進していくということのほか、赤色で囲っているところですが、既存施設を活用して、例えば運転管理を工夫するということがあります。従来ですと、ずっと好気タンクに水を流して、バクテリアに窒素やりんを分解させるのですけれども、ところどころに嫌気タンクを設けて、バクテリアの性質を生かして、効率的にバクテリアに分解させるための運用を既存施設などでも実施しているところでございます。下水処理の高度処理の導入までは何もしないというわけではなくて、今ある施設でもやれることからまずやっていこうということで取組を推進しているということでございます。進捗を示すデータにつきましては、高度処理の実施率が全国だと33%ですが、瀬戸内海の関係府県ですと44%と、11%ほど高い数字になっております。
 24ページ目ですが、合流式下水道の改善でございます。合流式下水道、要は雨水と汚水が一緒になって流れているものです。合流式の場合、都市において大雨が降った際に、汚水などを含む未処理の下水が放流されてしまうということで、これが水質汚染につながるということで社会問題化しておりました。そこで、合流式の下水道につきましては、大雨が降った際に、未処理の汚水がそのまま川や海に流れないような対策をとるため、平成14年から、ごみが川や海に出ないようにするネットのようなきょう雑物除去施設の整備や、雨水貯留施設などを設置するに当たって補助をするという形で対策を練っているところでございます。現在、瀬戸内海の関係府県の65都市のうち、改善実施済みの都市というのは19都市でありまして、今後はその65都市全てにおいてこういった改善を実施すべく、現在も取り組んでいるところでございます。
 25ページ目は、下水処理水の再利用でございます。下水処理の水につきましては、公園、せせらぎ水路など、あとは農業用水などへの利用ということで、水を無駄なく活用していくということに取り組んでいるところでございます。
 最後になりますが、都市関係の取組でございます。都市関係とは何かというと、要は都市公園とか、都市緑地法に基づく特別緑地保全地区施策ということです。直接的に瀬戸内というよりも、どちらかというと全国的なレベルでの説明になりますが、都市公園につきましては、都市における貴重な緑とオープンスペースを提供するとともに、地震等の災害から市民を守るとか、あとは市民の活動の場として非常に不可欠なものであるということで、整備を進めているところでございます。瀬戸内海関係府県での実施事例といたしましては、直近では、岡山市における西大寺緑花公園など、これは吉井川の河口付近にあるのですが、こういった公園の整備などを進めているというところでございます。
 あと、特別緑地保全地区につきましても、こちらに書いてあるとおり、都市における自然的環境となる緑地において、建設行為などを許可制とするとか、緑地を現状凍結的に保全する制度でありまして、豊かな緑を都市にきちんと残して、将来に継承していくということでございます。こちらにつきましても、進捗を示すデータは、わずかながらではありますが、全国的に増えているというところでございます。
 大変長くなりましたが、以上で国交省の施策について説明を終わらせていただきます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、では松田委員からどうぞ。

○松田委員 大変多角的な取組をご紹介いただき、ありがとうございました。今日も、これまでの議論の中で、省庁間の連携とか、施策のすり合わせといったお話が出てきたわけですが、先ほどご紹介がありました藻場や干潟の保全といったテーマでも、かなり類似の施策が環境省とか農水省からも紹介されました。それで、お伺いしたい点ですけれども、何年か前に、国交省さん、実際には地方整備局ですけれども、それと水産庁のジョイントで、瀬戸内海に600ヘクタールの干潟を再生するというプロジェクトが、かなり鳴り物入りで立ち上がりました。それで、国交省と水産庁との組み合わせ、それから600ヘクタールという数値目標もありましたので、注目していたのです。けれども、あれが瀬戸内海に特化したプロジェクトであるにもかかわらず、今日のご紹介では表向きには出ていないような気がするのです。それは農水省さんのほうからもなかったように思うのですが、どうしてでしょうかという単純な質問です。よろしくお願いします。

○岡田委員長 では、どうぞ。

○国土交通省 国交省の港湾局の佐川と申します。
 今ほど委員からご質問のあった瀬戸内海の600ヘクタールというのは、これは私も具体的に承知していないところもありますが、海砂利を採取した跡地の修復ということでしたでしょうか。

○松田委員 直接海砂利とは違うと思うんです。当時は、かなり立派なパンフレットなどもできて、鳴り物入りで報道されたので覚えているのですけれども、ご存じないでしょうか。

○国土交通省 申し訳ございません。港湾局の施策として、先ほどいろいろと説明してもらったように、大阪湾の再生プロジェクトという観点から事例紹介させて頂きました。

○松田委員 それとは別です。

○国土交通省 それ以外については、本日は、私のほうからご説明できません。

○松田委員 そうですか。

○岡田委員長 よろしいですか。では、これは後で調べていただいて、正確な情報にしてご回答いただいたほうがよろしいかと思います。いいですね、松田先生。

○松田委員 ありがとうございます。はい。

○岡田委員長 では、次回までによろしくお願いいたします。
 では、山田委員、どうぞ。

○山田委員 今、各省庁からのご説明、どうもありがとうございました。各省庁では、それぞれの目的と対象が違うということで、それぞれの取組をなさっていることがよくわかりました。しかし、手法はかなり重複しているところがあるということもまた今教えていただきました。例えば、藻場と干潟について特化させて言わせていただきますと、環境省さんでも、それからまた農林水産省さんでも、それから国土交通省さんでも、藻場・干潟の再生に取り組んでおられます。確かに、対象とする生物が違うとか、目標が微妙に異なるということはあると思うのですが、手法は全く一緒です。先ほど柳委員と足利委員がおっしゃいましたように、それぞれがそれぞれの手法でなさっておられるわけですけれども、ここに農林水産省さんが、「水産生物の生活史に配慮した効率的な藻場・干潟の整備を推進するとともに、集積した知見を事業に反映させる」と書かれています。それぞれの省庁さんで集積された知見がかなり今まであると思うのですが、それをどのように反映させておられるのか。
 例えば、各省の連携なのですが、確かにここの4ページに、大阪湾再生プロジェクトで各推進会議の体制ということで、いろいろなプロジェクトの連携ということが書かれていますけれども、その評価が、例えば国土交通省さんが中心になさったこの事業が、水産庁の方には、漁業資源がいかに増えたのか、あるいは生物多様性がどのように増えていったのか、そういう観点での評価というものはあるのでしょうか。
 以上の2点についてお伺いさせていただきます。

○岡田委員長 これは、今ここでお答えいただくのはかなり大変だと思いますので、今ご指摘のあった関連する省庁である程度ご相談、整理していただいて、次回もしくはこの検討に間に合うようにできる限り整理していただくことが多分必要だと思います。
 ということでよろしいでしょうか。では関連して。関連してですね、細川委員。どうぞ。

○細川委員 細川でございます。連携をして協議会をつくる、あるいは協議会をつくって、いろいろな会計分野を横断して事業を一緒にする。これは、従来の国の行政制度の中では大変やりにくいというか、画期的というか、非常に努力が必要なことだと思います。ついては、いろいろな事情で、途中までいったけれども、うまくできなかったとか、あるいは規模が随分小さくなってしまったとか、御苦労の結果についてはいろいろあると思います。協議会なり、一緒にやった事例なりをなるべく多く集めてみて、ここでこのぐらいできましたというものを少し整理していただいたらありがたいなと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 それは、今の注文に関する追加意見というか、要望だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、順番で、田中委員、どうぞ。

○田中委員 河川系の方のほうにちょっとご質問なのですが、河川の浄化施設の果たしている役割を海域側から位置づけるというのは、かなり新しい発想というか、今までもともとの河川側ではなかった発想で、非常に重要なことだと思います。
 今日はあまり話が出てこなかったノンポイントからのコントロールの手段としても、一つ情報としては重要な役割をしていると思うのですが、ちょっとそれに関して2点質問があります。
 河川の浄化施設の、特に瀬戸内側については、かなりの河川で直接浄化を現在やっています。例えば、ここではあまり書かれていない大和川などはすごく有名ですし、中国方面だったら芦田川、これはもともと芦田川の河口堰を守るためにりんまで取っているような事業をやっているのですが、今日ご説明があった2つの河川系だけ述べられているのですが、これはどうしてなのかというのがまず1点です。
 2つ目は技術的な観点なんですが、河川の浄化施設はもともと河川の維持、水質をよくすることを目的に多くの場合設計されていて、どうしても、特に直接浄化で礫間接触でやっている場合には、どうしても汚泥はある程度たまってくるのです。この中国あるいは瀬戸内のエリアがどうなっているかはよくわからないのですが、今まで、例えば取水施設の中の、普通はラバー堰をつくったりするのですが、そこでたまっている汚泥は、雨が降り出すと、関係ないからということで流してしまうのです。あるいは、浄化施設の中にたまっている汚泥を、場合によっては、河川ではあまり関係ないので、雨天時に流すというケースも出てきた場合があったのですが、ここのエリアについては、そういう汚泥についての対応はどのように現在されていて、ここに書かれている総量規制という視点からはどういう役割を持たれているのか、どの程度把握されているのか、この情報をちょっと教えてください。

○国土交通省 河川環境課の三宅と申します。
 まず第1点目のご質問でございます。瀬戸内の界隈にはこうした施設は多く設置してございまして、今回この2カ所を挙げさせていただきましたのは、あくまで事例という意味でございまして、全体としては、平成13年度以降、最近であれば二十数カ所整備がされているという状況でございます。
 あと、汚泥の関係でございますが、いわゆるメンテナンスをしているということは聞いておりますが、流しているケースが今どうなっているかということまでは、現在把握できていないところでございます。
 あと、3点目の総量規制との関係というところでございます。これは、先ほど委員からお話がありましたように、基本的には川の浄化というところを目的にしているものでございまして、瀬戸内海にも資するという位置づけで書かせていただいており、全体として定量的には分析していないという状況でございます。

○岡田委員長 よろしいですか。

○田中委員 特に先ほどの底泥関係の管理をどうするかが以前から河川管理処置として非常に大きな問題になっていて、あるエリアでは下水道との連携をやっているのです。例えば利根川の水系の中に入ってくるような手賀沼関係とか、かなり苦労をいろいろされているところがあるので、もし総量規制という視点からの位置づけをされるのであれば、そこまでも含めたいろいろな連携を、同じ省庁の中で局も一緒になられたわけだから、そういうことも一緒に検討していただきたいなという、これは意見です。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 それでは、白山委員、どうぞ。

○白山委員 ありがとうございます。省庁連携のことが何度も話題になっていますけれども、在り方の私どもの答申の中では順応的管理ということを非常に強く新たに提案させていただいたわけですけれども、順応的管理をうまくやるためには、関係するステークホルダーがきちんと情報を共有して、一体となってやらないといけないということがございますので、そういう点からも、ぜひ省庁連携ということにつきまして、より積極的に取り組んでいただけるといいなと思っております。先ほど細川委員のほうから事例をまとめるといいのではないかというご提案があったのですが、それにつけ加えて、ぜひ省庁連携をした結果のプラスの面をしっかりその中に書き込んでいただくということをして、今後どんどん推進できる一つのきっかけになればとも思いますので、ぜひそういう面を視点として入れていって、ただ平板的に、このように連携しましたと書くだけではなくて、その効果というところまで一つ踏み込んだものにしていただければありがたいと思います。
 それからもう一つは、在り方の答申の中にも書き込んであるのですけれども、海洋基本法とか、環境基本法とか、新しい法律体系がどんどんできている中で、省庁連携というのはその中でも明確に指摘されているということからいうと、特に海では、海洋政策本部というものの役割が大きく期待されるものではないかと思います。この場でどなたがどのようにお答えになるという話ではないと思うのですけれども、海洋政策本部というものも少し視野に入れて、瀬戸内海の環境保全というときに、海洋政策本部を巻き込んでぜひ進めていただければと思います。
 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 今のご指摘の点は、いいですね。今後の資料の整理に活かすようにというご指摘だと思いますので、では事務局のほうでよろしくお願いいたします。
 ほかにございますか。どうぞ。

○池委員 一つ単純なご質問をさせていただければと思います。7ページで深掘り後の貧酸素状態の改善のために、埋め戻してもう一度モニタリングをしているという状況なのですが、現状では顕著な改善効果は確認されていないけれども、また埋め戻してモニタリングをしていくと書かれていますね。もともとの仮説が違っているので効果がないという考え方はないでしょうか。そうであれば、そのまま繰り返していくのではなく、何が原因なのかをわかってからやっていくことが大事なような気がします。貧酸素形成は、非常に複雑なメカニズムで起こっていることも考えられますから、モニタリングをしては原因を考えて新しい施策をとることを繰り返すということにならないでしょう。この辺については何か原因が見えつつあるのかを知りたいのですが。

○国土交通省 大阪の深掘につきましては、まだ緒についたばかりと申し上げたほうがよろしいかと思います。三大湾で、今、深掘跡を精力的にやっておりますが、伊勢湾については、ほぼ100%終わっております。一方で大阪湾のほうは全体のボリュームのまだ数%でございますので、先ほど順応的管理というお話もあったとおり、これからそういった管理手法に沿ってモニタリングを引き続き続けてまいりたいと考えております。

○岡田委員長 よろしいですね。ありがとうございました。
 では、中瀬委員、どうぞ。

○中瀬委員 全般に関わることなのですけれども、今日ご報告いただけました事例は、結構人口集中地域での事例が多く見られたと思います。ところが、瀬戸内全域を考えるときには、かなり人口が減少している疎住地域がすごく出てきていますね。そういう意味では、疎住地域でこのいろいろな施策を皆さん方のところでどう打っていかれるのかというのが非常に気になりました。要は、人口偏在で人口がどんどん減っているところで景観をどうするのか、産業をどうするのか、そのあたりが全体に関わってくると思いますが、今日は質問というより、またそういうのもあったらぜひ教えていただきたいということで、要望させていただきます。

○岡田委員長 これは今お答えできることではないですね。今後その視点を入れて、事務局でデータ・資料を整理するときに検討してくださいというご要望だと思います。
 国土交通省さんについては、もうほかによろしいでしょうか。ではどうぞ、本仲委員。

○本仲委員 先ほど池委員が言われていた深掘りの件ですけれども、私は徳島なのですが、吉野川という一級河川がありますね。アユが有名なのですけれども、砂利をたくさんとったために深くなった部分があるということです。そうすると何が今起こっているかといいますと、アユの産卵場所がなくなっているそうです。5カ所ぐらいあったのが今は1カ所、海に一番近いところだけになってしまっているということです。今、吉野川はそれをまた埋めているとかということはないんですけれども、海にしても、川にしても、多分深く掘るということは生態系に非常に影響してくるということはわかると思うので、そういうデータをこれから集めていく必要があるとは思っております。そういうことで、多分これもちゃんとデータを集めていただけたら、と思っております。よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 国交省さん、今のご指摘の点について、何か今お答えできるところがあれば。簡単には難しいと思いますが。

○国土交通省 港湾局でございますけれども、今のお話は多分貧酸素水塊の話とはまたちょっと別の切り口かと思いますので、河川のほうからもしコメントがあったら、お答えしてもらったほうがよろしいのではないかと。

○岡田委員長 どうぞ。可能な範囲で結構です。簡単な質問とは思っていませんので。

○国土交通省 砂利採集は、吉野川にかかわらず、いろいろな河川でかつて盛んにされたということでございます。吉野川については、個別に今把握してございませんが、そうした話があるのであれば、現場のほうにもそうしたお話があったことはお伝えして、考えていきたいと思っております。

○岡田委員長 よろしいですね。
 ありがとうございました。
 では、大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 今のところの深掘りの跡の埋め戻しについて、ちょっと簡単な質問で恐縮ですが、これは基本的に修復ということで、問題は少ないのだと思うのですけれども、かなり、間がたってから修復したりすると、環境への新たな影響のおそれも全くないわけではないかと思いますが、これをするときの環境への影響というのはどこかで検討されているのでしょうか。ちょっと教えていただけますか。

○国土交通省 事前にということはございません。ただ、その影響を調べるために、周辺の海域と埋め戻した直近の場所の比較をモニタリングで行っているということでございますので、これからその変化についてまた検討してまいりたいと考えております。

○大塚委員 この手の埋め戻しをするときには常にやっておられると考えてよろしいのでしょうか。

○国土交通省 今、国交省の港湾局で行っている深掘跡の埋戻しにつきましては、モニタリングを行っております。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 それでは、最後に細川委員、どうぞ。

○細川委員 国交省あるいは経済産業省に関連することなのかもしれません。在り方答申の中に「沿岸防災と環境保全の調和」といった新しい事項が出てきております。想定される災害には高潮とか津波とか、瀬戸内の立地コンビナート事故とか、いろいろあるのでしょうが、環境に調和した防災の在り方を考えていきましょうといった答申です。コンビナートを担当している省、あるいは護岸や国土防災を担当している省として、環境と調和した防災政策のツールのようなご検討をもししているようでしたら、後で結構なのですけれども、ご紹介いただければと思います。

○岡田委員長 経済産業省さんと国土交通省さん、もし今お答えできる部分があれば、簡単に。後ほどでよろしいですか。国交省さんは。
 今のご指摘に関連する点は、次回以降にお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、一応ここまでで国交省さんの質疑を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 あと、今の細川委員のご質問にも出ましたが、関連する省庁も含めて、今まで、省庁間にわたる、もしくは今までの各省のご説明で聞き漏らしたこと等がございましたら、ご質問をお願いしたいと思います。では、長屋委員から、どうぞ。

○長屋委員 先ほどの農水省のお話を伺って、ちょっと確認をさせていただきたいのですが、今回のこの各省庁のヒアリングの対象というのは、この次第にもあるのですが、現行の基本計画に係るところの施策の進捗状況と、あわせて現行の基本計画に基づいた今後の施策についてのヒアリングの対象であったということなのかということをちょっと確認させていただきたい。であるから、農水省の資料といいますか、今回のご答弁も、例えば先ほど足利委員からあったように、今の総量規制制度でどれだけ規制しているかということについての資料が提出されたと私は考えているのですが、それでよろしいのかどうか。
 ただ、先ほどそういう中で田中委員からも足利委員からもあったように、今回、在り方答申が出されて、新しい考え方に基づいてやっていくということであるならば、そういうものについて、特に私は農水省のほうからそれなりの資料が整理されて、先ほどの田中委員なり足利委員からあったようなご質問に対して、農水省としてまたは水産庁としてのお考えなりデータなりを示していただく。そういうことをぜひお願いしたいと思います。
 それからもう1点、環境省のほうには、先ほどございました「ヘルシープラン」については、今年度で終了ということでの一つの区切りになっているのですが、これも相当私どものいろいろの心配に向けて環境省として対応していただいた事業だと思っているのですが、今後26年度以降はどのようなことで考えられているのか、もし現在お考えがあれば、伺いたいと思います。

○岡田委員長 では、最初の1点目の話は農水省さんから。どうぞ。

○農林水産省環境政策課木内課長 では最初の点ですけれども、基本的には基本計画の進捗状況について、まず説明させていただきました。その中で、予算的にもこれから続くのもございますし、今後どのように展開するかというのはありますけれども、まだ在り方答申を十分に踏まえてそれに対応したものにはなっていないところはあると思っております。これからそのように対応していきたいと思っております。

○岡田委員長 どうぞ。

○長屋委員 要望としては、この基本計画にこの在り方答申等が反映されていくためにはそんなに時間がないのだと思っておりますので、ぜひそこはそれなりのデータなり、お考え、今後の施策、考えておられるものについては、なるべく早く出していただきたいというご要望を申し上げます

○岡田委員長 では、よろしいですね。お願いいたします。
 では、環境省のほうから。

○名倉閉鎖性海域対策室長 「ヘルシープラン」の今後でございますけれども、昨年末に「ヘルシープラン策定の手引き」というのを出しまして、関係自治体に送付しております。本年度、今、広島の三津湾でプランづくりをしておりまして、その結果を踏まえて、その手引きに改定すべき点がありましたら改定しまして、関係自治体に送付しようと思っております。
 今後につきましては、今のところはまだ明確な方向性は出しておりませんけれども、今のところ、モデル地域として実施しました自治体にとりあえずプランを投げたというか、こういうのを実行してみてくださいということでお示しした形になっておりますので、あわせてそのデータなりをとっていただくようなことはお願いしているところでございます。ですので、今後どこかの時点でそのデータがたまってきましたら、何らかの形でのフォローアップ、効果があったのか、なかったのか等の検証は必要だと思っておりますけれども、今のところ、何年にどうしようということはまだ明確に決まっておりません。

○岡田委員長 よろしいですか。では、どうぞ。

○長屋委員 私どもはこれに対しては大変期待していたところでございまして、この資料にもございますように、生物多様性なり生物生産性と栄養塩レベルとの関係、科学的なこの知見の集積、目標の設定ということが目的であったと思いますので、ここに近づけるために、これについても在り方答申の中には書かれているわけですが、全く同じものをやれということではなくて、こういう今回の在り方答申の中で掲げられているものを今後環境省としてどのように取り組まれていくのかということを、次回でも結構でございますから、また教えていただきたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。全体を通じて、ほかにご意見がなければ。どうぞ、岩崎委員。

○岩崎委員 岩崎です。先ほど人口減のところをどうするのかという話がありまして、ちょっと私の意見として言わせてください。これは前回もちょっと申し上げたのですけれども、島々、島嶼部の過疎・高齢化は、先ほど文化的景観のときにあった議論はまさしくそのとおりで、制度があっても、やはりそれについていけない。地域のマンパワー不足もしくは人口減として、恐らくこれまでの十数年前と今と比べると、かなりさまざまな施策が地元の受け皿となりにくくなっている状況があるのは、これはもう否定できないと思います。各省庁の皆さんにぜひその点も留意して、バランスのとれた施策、もしくは地元に投げれば終わりだというのではなくて、地元の公共団体あるいは住民がいかに参画しやすいかと、そういうこれまでとは一段違う仕掛け、発想がこれからは求められているのではないでしょうか。私は地元でいろいろ取材しますと、そういうことを日ごろ痛感しますので、これは各省庁の皆さんへのお願いということで申し上げておきたいと思います。ありがとうございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 よろしければ、本日は以上とさせていただきます。特に多くの委員の先生方から、各省連携に向けて、今後そのデータを整理・収集する、それから新しい在り方答申に関連して、今後の施策に向けた資料・データもできる限り急いで整理してほしい等々のご要望がございました。これは、事務局、それから関係省庁の方々にもう一度整理していただければと思います。
 最後になりましたけれども、各省庁の皆様方、本日は関連する資料のご提供、発表、本当にありがとうございました。感謝を申し上げます。
 それでは、ほかに何か委員の皆様方からございますか。よろしいですね。
 それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○西田室長補佐 本日の議事録についてです。速記がまとまり次第お送りさせていただきます。ご確認をお願いしまして、全員のご確認をいただいたものにつきまして、環境省ウエブサイトにて公開いたします。
 また、次回の日程なんですけれども、これは既に調整させていただいておりますとおり、11月12日火曜日の13時半からと予定してございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 一つ忘れました。今日は、比較的短い時間でご報告いただき、質疑応答させていただきました。後ほど、もし何かお気づきの点、それから今後に向けてもう少しこういう情報を整理していただきたいといったご要望がございましたら、事務局に、これは環境省のほうにまとめてお寄せいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして第2回の小委員会を閉会とさせていただきます。
 本日はどうもありがとうございました。

午後4時26分 閉会