中央環境審議会 水環境部会 排水規制等専門委員会(第19回) 議事録

1.日時

平成26年12月16日(火)13:00~15:00

2.場所

中央合同庁舎5号館 19階 第2、第3第会議室

3.議事

  1. トリクロロエチレンの排水基準等の見直しについて
  2. 今後の予定
  3. その他

4.出席者

  • (委員)細見 正明(委員長)、大塚 直、中杉修身、
  • (臨時委員)浅見 真理、古米 弘明、
  • (専門委員)柿沼 潤一、西村 修、森田 昌敏、矢後正幸、山下 洋正
  • (環境省)早水大臣官房審議官、大村水環境課長、他出席者

5.配布資料

  • 資料1 中央環境審議会水環境部会排水規制等専門委員会委員名簿
  • 資料2 中央環境審議会水環境部会排水規制等専門委員会(第18回)議事録案(委員限り)
  • 資料3 水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直しについて(諮問)
  • 資料4 専門委員会における検討事項等
  • 資料5 検討対象物質に関する情報(トリクロロエチレン)
  • 資料6 公共用水域・地下水におけるトリクロロエチレンの検出状況
  • 資料7 トリクロロエチレンに係る論点整理(案)
  • 資料8 検討スケジュール(案)
  • 参考資料1 排水規制等専門委員会の設置について
  • 参考資料2 水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第4次答申)
  • 参考資料3 地下水質に係る基準値について
  • 参考資料4 1,4-ジオキサンの暫定排水基準の見直しについて
  • 参考資料5 検討対象物質に関する情報(1,4-ジオキサン)

6.議事録

午後1時00分 開会

【大村課長】 それでは、定刻でございますので、ただいまから第19回中央環境審議会水環境部会の排水規制等専門委員会を開会いたします。

 本日は平沢先生から、ご都合によりご出席できないというふうに承ってございます。10名の委員の先生方のご出席をいただいております。

 それでは、議事に先立ちまして、大臣官房審議官の早水よりご挨拶申し上げます。

【早水審議官】 官房審議官の早水でございます。よろしくお願いします。

 第19回排水規制等専門委員会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 委員の皆様におかれましては、非常に天候の悪い中、またお忙しいところお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。また、平素から水環境行政の推進につきまして、格別のご指導を賜り、重ねてお礼を申し上げます。

 本日で第19回目の専門委員会ということになりますけれども、先般、本専門委員会でご審議をいただきましたカドミウムの排水基準、それから地下水の浄化基準につきましては、11月4日に改正省令が公布されまして、今月1日から施行されたところでございます。改めてお礼を申し上げます。

 引き続き必要な見直しとして、今日の議題となっておりますトリクロロエチレンにつきまして、本年11月17日に公共用水域及び地下水の水質汚濁に関する環境基準が見直されました。このことを受けまして、排水基準や地下水浄化基準などの見直しにつきまして12月8日付で環境大臣から中央環境審議会会長に諮問をしたということでございます。

 本日は諮問後、最初の委員会となりますので、活発なご議論をお願いしたいと思います。

 なお、あわせまして、来年5月に暫定排水基準の適用期限を迎えます1,4-ジオキサンにつきまして、これは諮問事項ではございませんけれども、本委員会でご審議をいただきたいと思っております。またこれは後ほどご説明をさせていただきたいと思います。

 本日は先生方の忌憚のないご意見を賜りますようお願いをいたしまして、冒頭のご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【大村課長】 続きまして、お手元の配布資料について、ご確認をいただければと思います。議事次第の表に配布資料の一覧がございますけれども、資料につきましては1から8まで、参考資料については1から5までございますので、お手元のものをご確認いただきまして、もし、不足等がございましたら、事務局に随時お申しつけくださればよろしいかと思います。

 それでは、カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただければと思います。

 それでは、以下の進行は、細見委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【細見委員長】 かしこまりました。

 本日はご多忙の中、委員の皆様にはご出席いただきまして、どうもありがとうございます。

 本日の専門委員会では、人の健康の保護に関する環境基準等の見直しが行われましたトリクロロエチレンの排水基準等の見直しについて審議してまいりたいと思います。どうぞ、委員の皆様におかれましては、活発なご議論をお願いしたいと思います。

 本日の議題に入ります前に、前回の議事録の確認ですけれども、これは委員の先生方だけに資料2という議事録(案)をお配りしております。この資料は、委員の先生方にあらかじめご確認いただいた後、事務局で修正しているものでございますので、もし異論がなければこの場で前回の議事録とさせていただければと思いますが、よろしゅうございますか。

(異議なし)

【細見委員長】 それでは、本議事録(案)を前回の議事録としますので、事務局におかれましては公開の手続を進めてください。

 なお、次回以降は、会議の冒頭での議事録確認を省略しまして、委員の先生方に個別に確認いただいた後、速やかに事務局より公開の手続を進めてもらうことにしたいというふうに思います。これはできるだけ早く公開をするようにと、次回の委員会を待ってやるよりはという趣旨だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議題に入りたいと思います。

 1番目、トリクロロエチレンの排水基準等の見直しについて、これは最初、事務局から検討事項や進め方について、ご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【事務局・吉村】 水環境課の吉村です。どうぞ、よろしくお願いいたします。座って説明をさせていただきます。

 資料3、それから資料4のほうをご覧ください。資料3でございますが、先ほど審議官からご挨拶申し上げた中でも触れておりました諮問の写しでございます。環境基本法の第41条第2項第2号の規定に基づきまして、水濁法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直しについて、12月8日付で諮問をいたしております。

 諮問理由としましては、水濁法に基づく排出規制、地下浸透規制については、順次必要な規制項目の追加等の見直しを行ってきておりまして、現在、28項目が有害物質として設定されております。公共用水域、地下水の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準項目であるトリクロロエチレンにつきましては、新たな知見を踏まえ、今年の11月に基準値の見直しを行ったところです。

 本諮問は、このような状況を踏まえまして、公共用水域、地下水の水質汚濁を防止するため、水濁法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直しについて、審議会の意見を求めるために諮問をいたしております。裏面でございますけれども、こちら12月8日同日付で審議会議事運営規則第5条の規定に基づきまして、 水環境部会に付議する文書の写しでございます。

 それから資料4のほうをご覧いただきたいと思います。続いて専門委員会における検討事項等について、ご説明をいたします。諮問に至る経緯ですけれども、9月11日トリクロロエチレンの水質汚濁に係る環境基準値、地下水環境基準値を見直すことが適切である旨、中央環境審議会より環境大臣に対して答申がなされました。この答申を踏まえ、11月17日に水質環境基準値、地下水環境基準値の変更が告示されております。答申の抜粋は、参考資料2におつけしております。

 それから、2の今後の検討事項ですけれども、環境基準の追加や見直しがあった場合、これを受け、水濁法に基づく排水規制や地下浸透規制等、環境基準達成のための方策について検討することが必要となります。このため、12月8日付で環境大臣より中央環境審議会に対して諮問が行われました。基本的な考え方としては、人の健康の保護を最優先しつつ、工場・事業場等からの排出の実態、処理技術の現状等を踏まえ、以下の事項について検討を行いたいと考えております。

 4点ございます。トリクロロエチレンの排水基準値の見直し、それから暫定排水基準値の設定の必要性、それから地下水浄化基準値の見直し、それから4点目ですけれども、地下浸透基準値の見直しの可能性などでございます。

 それから、3の検討の進め方でございます。本日の第19回専門委員会以降、概ね1~2カ月に1回の頻度で専門委員会を開催する予定でございます。今年度内を目途に、水環境部会への報告、すなわち中央環境審議会答申(案)でございますが、これを取りまとめていただきたいと考えております。

 今後の予定(案)としましては、第20回の専門委員会を来年1月、そしてパブリックコメントの実施を2月、第21回専門委員会での報告の取りまとめを3月という予定にしてございます。

 それから裏面をご覧ください。1,4-ジオキサンの暫定排水基準についてでございますが、暫定排水基準の見直しにつきましては、従来は有識者からなる検討会において、対象業種のフォローアップ調査を実施した上で、水環境部会のみで審議していただいておりました。しかし、審議内容が技術的な事項のため、今回から水環境部会での審議前に排水規制等専門委員会で審議していただくこととしておりまして、パブリックコメント手続を経た上で、暫定排水基準案を取りまとめていただき、その後、水環境部会で審議していただくこととしたいと考えております。

 私からの説明は以上でございます。

【細見委員長】 ありがとうございます。水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しが行われました。トリクロロエチレンの排水基準等の見直しということが1つと、それから審議官の話もございましたように、来年5月に適用期限を迎える1,4-ジオキサンの暫定排水基準等の見直しについて、今後、この専門委員会で審議してまいるということでございます。

 これにつきまして、ご意見、あるいはご質問等ございましたら、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、続きまして、事務局のほうから検討対象物質でありますトリクロロエチレンの物質情報等に関する資料、お手元の資料5、6と2つについてご説明をお願いします。よろしくお願いします。

【事務局・吉村】 それでは、続いて説明をさせていただきます。資料の5と6をご覧ください。先に資料5のほうからご説明いたします。

 資料5につきましては、前回、18回の専門委員会におきまして、若干ご紹介をさせていただきまして、委員の皆様からご意見をいただきました。本日は内容を修正して改めてご説明をいたします。

 1ページ目ですけれども、トリクロロエチレンの物性について、表にまとめてございます。物理的な性状としましては、無色の液体、水より重く、不燃性、揮発性物質でございます。分解性ですけれども、好気的な条件下では難分解、嫌気的な条件下では分解されるが、分解速度が遅いとの報告がございます。それから一番下のところ、環境中での挙動でございますが、2段落目、環境水中に排出された場合、容易には生分解されず、主に大気への揮散により水中から除去されると推定されます。比重が水よりも大きいことから、環境水中に大量に排出された場合には、水に溶解せず、底質に沈殿すると考えられます。

 また、土壌に排出された場合、水より重く、粘性が低いため、地下深く浸透し、地質を広域にわたって汚染すると考えられております。

 次のページに行きまして、1段落目です。土壌・地下水中の嫌気条件下での還元脱塩反応によりまして、テトラクロロエチレンからのトリクロロエチレン生成や、1,2-ジクロロエチレンなどへの分解などがあります。

 それから(2)人の健康への影響でございますが、人では、トリクロロエチレン暴露により神経、肝臓、腎臓に対する有害影響が引き起こされます。慢性の職業暴露による肝がん、腎がん等、発症リスクが上昇することが示唆されております。

 それから国際がん研究機関の発がん性分類では、人に対する発がん性があるとされるグループ1に分類をされております。

 それから(3)各種基準値でございますが、環境基準値は公共水域、地下水とも水道水質基準値と同じ0.01㎎/Lになってございます。

 それから3ページの用途、排出量についてです。主な用途としましては、従来、医療のドライクリーニング用及び金属機械部品の脱脂洗浄剤、医薬品、香料、ゴム、塗料、樹脂等の溶剤として使用されてきました。現在では、下の表1に示しますように、主に代替フロンガスの合成原料、それから機械部品や電子部品の脱脂洗浄剤として使用されております。それから工業用溶剤としては、油脂、樹脂、ゴムを溶解したり、染料や塗料を製造するときの溶剤などに使用されたりしているほか、わずかではありますが、試薬としても用いられております。

 それから(2)製造量・輸入量でございます。表2に製造量、輸入量、輸出量を平成15年から24年の10年間分まとめております。図1にはその推移を示しておりますが、製造量、輸出量は減少傾向にあります。平成24年度における生産量としては、4万2,936トンということになってございます。

 それから4ページ、(3)公共用水域等への排出量についてです。こちらPRTRの届出値ですけれども、平成13年から平成24年分を表3に示しております。それから見開きの右側のページ、表4には、平成24年度の届出値を業種別に詳しく示しております。24年度には大気への排出量というのが、年間3,079トンであるのに対しまして、公共用水域への排出量というのは年間約2.8トンとなってございます。表の中では2,764㎏となっております。

 公共用水域への排出量の業種内訳は、右側の表を見ていただきまして、下水道業、パルプ・紙・紙加工品製造業、化学工業の順に多く、次いで一般廃棄物処理業、産業廃棄物処分業となってございます。ただし、下水道業、一般廃棄物処理業、産業廃棄物処分業の事業所は、処理する廃液、または廃棄物中の物質が事前に特定できないことから、PRTRの制度上、特別要件施設として、排水規制の対象物質について、濃度の実測値から算出した排出量を届け出ることになってございます。これは、パルプ・紙・紙加工品製造業などの事業所が廃棄物処理施設を有する場合も同様でございます。この場合、排水中のトリクロロエチレンの濃度が検出下限値以上、定量下限値未満の場合、定量下限値の2分の1の値に排水量を乗じて排出量を算定することとされているため、排出量が過大に算定されている可能性がございます。

 これらの特別要件施設を設置する事業所―右側の表4のハッチのかかった部分でございますけれども―を除いた場合、公共用水域への排出量の届出がある業種は、トリクロロエチレンを意図的に取り扱う化学工業、上から3行目の115㎏です、それから非鉄金属製造業、金属製品製造業の3業種のみです。排出量は平成24年度には年間0.22トンでありました。こちらは右側6ページです。次のページのところの円グラフで表示しておりまして、3業種でいきますと、下の図4になります。全体で0.22トン、化学工業が半分以上を占めているというような状況になってございます。

 また、前回指摘をいただきましたその特別要件施設、特に下水道が入った場合に、推移が見えなくなってしまうということで、4ページの下の図2にはこういった特別要件施設等からの排出量を除いた排出量としまして、四角で推移をプロットしております。このような減少傾向になってございます。

 それから5ページの表4でございますけれども、左側のほうに標準産業分類コード、第12回改定版というのをつけております。これは後ほど説明いたします自治体の立入検査事業場の分類が、平成19年第12回改定版のため、PRTRの制度は平成5年の第10回改定の産業分類を使っておりますので、それを比較しやすいように表示をさせていただいております。

 それから7ページ、こちらはトリクロロエチレンのマテリアルフローということで、こちらは前回、平成22年でつけておりましたけれども、最新版24年のデータが把握できましたので、その数値に置きかえた形で掲載をさせていただいております。大きくは変わってございません。

 それから8ページ、公共用水域、地下水における検出状況でございます。こちらは資料6とあわせてご覧いただければと存じます。よろしくお願いいたします。公共用水域等の水質測定計画に基づく測定結果によりますと、公共用水域では表5の右から2列目に示しますように、超過事例、新環境基準値0.01㎎/Lの超過事例は3例ございまして、平成15、16、24年度にそれぞれ1地点、合計3地点でございます。地下水につきましては表6ですね。こちらの右から2列目に示しますように、超過事例というのは毎年度ございまして、平成15年度から24年度に延べ176地点で超過をしております。なお、新環境基準に改正されたのは、平成26年11月17日でありまして、それ以前は0.03㎎/Lでございました。もちろん0.03で評価した場合は、これらの超過地点数というのはもっと少ない数字になるということでございます。

 具体的な地点というのは、資料6に示すとおりでございます。河川につきましては、公共用水域につきましては、1番のところです。埼玉県笹目川の笹目樋管でございますけれども、平成24年に平均で0.013㎎/Lのトリクロロエチレンが検出されたということでございます。原因究明調査をいたしましたが、周辺のトリクロロエチレンを使用する特定事業場等へ立入は行いましたけれども、特段の異常は見られず、原因の特定には至らなかったということでございまして、24年5月に検出されておりますけれども、それ以降は現在まで不検出の状態ということでございます。

 それから地下水の方でございますが、こちらは表2と3ですね。0.03㎎/L、古い環境基準超過の分と、新しい0.01㎎/Lですね、新しい環境基準超過の分に分けて掲載させていただいております。古い環境基準を平成24年に超過したのは、千葉県千葉市の0.11、千葉県四街道市の0.07でございます。超過原因につきましては、調査を行ったが原因の特定には至っていないというところがほとんどでございます。四街道市につきましても、平成27年度より調査の実施を予定しているということでございます。

 それから3の0.01㎎/L超過の方ですけれども、こちらの方につきましては、基本的にその当時は0.03の環境基準でしたので、超過ではなかったということで、特段の原因究明調査は行っていないという回答が多ございました。

 それから9ページのほうに移ります。排水中からの除去技術でございます。こちらは前回と同様に、公害防止の技術と法規から引用をして表にしております。大きく4つの方法がございまして、揮散法、有機塩素系化合物は、難溶で低沸点のため、曝気すれば揮散し排水から分離できます。揮散させた有機塩素系化合物をそのまま大気に放出させることはできないため、別途排ガス処理が必要です。

 それから2つ目、活性炭吸着法、排水から有機塩素系化合物をごく微量まで除去できる方法として有効な手段であります。吸着量が少なく、排水中に共存する他の有機化合物によっても吸着量が低下するという問題点がございます。

 それから3つ目、酸化分解法、有機塩素系化合物は適切な酸化条件下では、二酸化炭素と塩化物イオンに分解されます。二酸化チタンなどの触媒を用いる方法もございます。

 それから4つ目、生物分解法、好気性のメタン資化細菌などには、有機塩素系化合物の分解能力を持つものがございます。しかし、通常の活性汚泥処理法の生物反応槽中では、他のフロック形成菌が優勢で、メタン資化細菌などが共生しにくい環境であるため、微生物による有機塩素系化合物の分解は起こりにくいと考えられております。

 表の下のところに少し書いておりますけれども、前回いただいたご意見を少しこちらにまとめております。生物分解法や酸化分解法については、実際の排水の処理に適しているとは言えないため、現実的な選択肢は揮散法と活性炭吸着法になるとの指摘もございます。それから揮散法を行った後の排ガスの処理について、現行では低濃度のトリクロロエチレンであれば大気へ放出しても問題ない場合もあるが、今後IARCの発がん性分類の報告を踏まえて、大気の基準値が厳しくなる可能性もあり、排ガスの処理方法を検討する際に念頭に置く必要があると記載させていただいております。

 それから排水処理技術ではありませんが、排出削減の取組として3段落目に事務局のほうで記載させていただきました。脱脂洗浄工程を有する事業場では、洗浄装置の運転・操作の改善や装置の改造等、製造工程の改善によるトリクロロエチレンの排出削減の取組もございます。

 それから排水における検出状況でございます。平成22年度に自治体が行った事業所への立入検査結果によりますと、表8、次のページでございますけれども、調査件数2,737件のうち、排水中からトリクロロエチレンが検出されたのは、176件でございました。これを業種別、それから濃度ランク別に整理したものが、10ページの表8と11ページの図6に示してございます。表8の方をご覧いただきまして、排水中からトリクロロエチレンの検出が見られた176件のうち、現行の一般排水基準0.3㎎/Lを超過している事例というのは、2件2業種、表8の右から2列目ですけれども、2件2業種でありました。それから排水基準が仮に0.1となった場合には、超過件数というのは19件11業種、表の右から2列目と3列目の合計になりますけれども、19件11業種となります。

 それから右側の図6でございますが、これは表8の結果を図に表しております。少し見にくいので恐縮ですが、まず、白い棒グラフが調査をした事業所の数でございます。件数の軸は上側に表示をしておりまして、フルスケールで400事業所になっております。調査した結果、NDの事業所数というのが白い棒グラフ、それからトリクロロエチレンが検出されたものが黒に塗った棒グラフになってございます。それからトリクロロエチレンが検出された事業場のデータだけで平均値をとったものが、丸の数字、平均排水濃度になってございます。濃度の軸は下側をご覧ください。フルスケールで0.4㎎/Lになってございます。この図から見ますと、概ね平均排水濃度というのは、0.1㎎/L以下になっているという状況でございます。

 12ページ、(3)でございますけれども、排出水からトリクロロエチレンが検出された176件のうち、トリクロロエチレン濃度が0.1㎎/Lを超過していた19件16事業場について、その後の改善状況を確認するために、都道府県等に対してヒアリング調査を今年の9月に実施しました。下の表は、先ほどの表8、全体の表8から、19件16事業場を抜き出してまとめたものでございます。ただ、この表につきまして、合計すると17件14事業場でちょっと数が2件2事業場少ないんですけれども、これは※印のところです。③のところで表の下に書いておりますけれども、平成22年度のデータが排出水に該当しない汚水等の測定データとヒアリングで判明した結果、その分については除外しているということで、2件2事業場を引いてございます。

 この17件14事業場についてヒアリングをいたしました。(4)トリクロロエチレンの用途でございますが、1から5の12事業場全てにおきまして、トリクロロエチレンは金属製品等の脱脂洗浄を目的として使用されておりまして、設置されている特定施設というのは65号の電気めっき施設が6件、71の5号トリクロロエチレンの洗浄施設5件、65号酸アルカリ表面処理施設1件でございました。

 それから6番、普通洗濯業の事業場では、トリクロロエチレンを含む溶剤がしみ抜き剤として使用されておりました。特定施設としては71の5号でございます。

 それから7番、大学ですが、こちらは届出等においてトリクロロエチレンの使用実態がないということでございました。特定施設としては71の2号イ洗浄施設でございます。

 それから(5)排出水の汚染状態の現状でございますけれども、排出水のトリクロロエチレン濃度は、平成23年度以降、8つの事業場で検出限界未満、残りの6事業場も0.005~0.088㎎/Lとなっておりまして、全14事業場において0.1㎎/L未満に改善されているという状況でございます。

 (6)超過原因、改善対策ですけれども、脱脂洗浄工程を有する事業場における超過原因というのは、ほとんどの事業場で脱脂洗浄工程におけるトリクロロエチレンの乾燥が不十分であったために、洗浄剤を次の工程へ持ち出してしまったか、あるいは気化したトリクロロエチレンが冷却水に溶け込んで排出してしまったか、のいずれかでございました。具体的な改善対策としては、冷却水への溶け込みを防ぐ対策の実施、あるいはトリクロロエチレンを使用しない脱脂洗浄剤への変更について、報告がございました。このほかにも、トリクロロエチレンの不十分な乾燥への対策としては、被洗浄物に液だまりが生じないように、被洗浄物の配置の変更等が挙げられます。

 それから普通洗濯業の事業場につきましては、使用しているしみ抜き剤の一部ですけれども、それをトリクロロエチレンを使用していないもの、不使用のものに切りかえて改善が図られてございます。

 それから上乗せ排水基準の設定状況でございますが、右側のページ、表9に整理しておりますけれども、3つの自治体で設定されておりまして、いずれも現行の排水基準値の10分の1である0.03mg/Lに設定されております。平成22年度の実績で上乗せ排水基準を超過したのは2件ということでございます。

 それから7番、13ページの検定方法でございます。(1)(2)の環境基準、それから(3)の排水基準、(4)の地下浸透基準、それから(5)の浄化基準、いずれもJISK0125に定める方法を検定方法としておりまして、下の表に整理しております。真ん中辺り、※1の印がつけております5.3.1の方法につきましては、排水基準以外の基準に適用される方法でございます。それから※2のほうは、逆に排水基準の検定方法のみに適用されております。それから表の右側に定量範囲を表示しております。5.2と5.4.1につきましては、JISK0125に定量範囲の値がそのまま記載されておりました。それ以外の方法につきましては、定量範囲がグラム表示でございましたので、サンプルの通常使用等のミリリットル数で割り算をしまして、定量範囲を算出して記載をさせていただいております。

 私からの説明は以上でございます。

【細見委員長】 どうもありがとうございました。

 資料5と6で、トリクロロエチレンに関する情報を整理していただきました。何かご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。

 中杉委員どうぞ。

【中杉委員】 追加で資料を提出していただければと思うのは、地下水のほうですけれども、ここで挙げている地下水におけるトリクロロエチレンの検出状況というのは、いわゆる概況調査の結果のみだと思うのです。周辺地区調査や継続監視調査では、はるかに多い数のところが基準を超えて検出されていると思いますので、その状況を両方整理して出していく必要があると思います。経年的でなくていいですが、今、累積でやって、現時点でどのぐらいあるのかというのは、やはり必要な情報であろうと。直接、地下水には関わらないのですが、土壌のほうでやはり密接に関連しますので、土壌環境基準を超えているのはどのぐらいの状況にあるのかという情報を、やはり土壌汚染自体が、場合によっては排水の地下浸透みたいなことが絡んでくる可能性がありますので、情報としては関連情報として必要なのかなと思いますので、そういうものも少し用意をしていただけるといいのかなと。そちらのほうがどういう原因であるかというのもわかれば、これは土壌環境課のほうに情報をもらわないといけないと思います。

 それからもう一つは、排水処理技術のところで、これからいろいろ調べられると思うのですけれども、揮散法については前回も私コメントしていますが、揮散した後のほうが少し問題になりそうな感じがするということで、ここでは別途排ガス処理が必要であると書いてありますけれども、実態としてどんなふうに行われているのかというのを、もしわかればそれを整理しておいたほうがよろしいのではないかということと、もう一つは、実際にはトリクロロエチレンの処理の揮散ではなくても、活性汚泥の曝気をやると、一応揮散をやっていることになりますよね。そこからどのようになっているのかというのも少し気になるので、そうなると、処理工程をどういう順番で組んでいくかというようなことも、少し関連をしてくるかなというように思います。ちょっとそこら辺も少し細かくなるのですけれども、例を調べるのであればそういうところも少し観点として入れて、情報提供をしていただければというふうに思います。

【細見委員長】 わかりました。まず、この資料5では、表6で概況調査の地下水のデータが記載されていて、これは広く平均的に見るための調査ですけれども、もう少し、一旦汚染が見つかった辺りのところに、精密的な調査も行われていて、それが実際、超過事例が減っているのか増えているのかというような傾向がわかればという、そういう趣旨だと思うんですが。

【中杉委員】 多分、資料4の今後の検討事項の中で、トリクロロエチレンの地下水浄化基準の見直しというのが入ってきているので、まさに汚染を超えている累積で、継続監視しているようなところというのは、その対象になり得る形なので、それがどのぐらいあって、現状としてどんな状況にあるのかという情報はやっぱり必要だろうということで、お願いをしたいということです。

 これはそういう意味でいくと、継続監視だけではなくて、周辺モニタリングの話もそれはどうするんだろうな、継続監視だけに絞ってもいいのかもしれませんけれども、そこら辺のところはお任せしますけれども、いわゆる概況調査と周辺地区調査と、それから継続監視の3つの調査があるということですので、ほかの2つ、場合によっては継続監視だけでも、結果としてはそちらに流れ込んでいくのでいいかと思いますけれども、しっかり情報を出していただければというふうに思います。これを見ると、地下水もあまり、これでも多いと見るかですけれども、あまりないなと思われるかもしれません。実際にはこのぐらい、かなりの数のものがあるということが実態ですので。

【細見委員長】 いかがでしょうか。

【事務局・袖野】 ご指摘ありがとうございました。次回までにトリクロロエチレンの検出状況につきまして、継続監視調査や、他の関係する調査ですね、土対法に基づく調査、こういったものの情報を整理して、お示ししたいと思います。

 なお、ご参考までに、平成24年度の継続監視調査におきましては、トリクロロエチレンの超過地点数ということで、171件報告されておりまして、アンケートの原因のところでございますけれども、工場・事業場由来が55件というような状況になっております。

 以上です。

【細見委員長】 では、次回、このトリクロロエチレンの状況について、より汚染源に近いようなところの情報も含めてお願いしたいと思います。

 それからもう一つご指摘のあった処理技術に関して、特に活性汚泥のように曝気をしているところでの挙動がどうなっているかということでしょうか。

【中杉委員】 実際には、どういうふうな処理の順番になっているのかなというのを少し見てみたほうがいいのではないだろうかと。曝気処理をして生物処理をしてから揮散法というのをやっているのは、あまり逆に言うと意味がないような感じがするので、そういうものの実態がどういうふうになっているのかなと。普通だと揮散処理して、VOCは除いてから生物処理をやるのがいいのかもしれないなと思いながら、どうしたらいいのだろうかというところもあるので、その辺の実態について少し情報を集めていただければ、ありがたいなという意味です。

【細見委員長】 これは恐らく、トリクロロエチレンを意図的に扱うような事業所、化学工業とか、非鉄、あるいは金属製品のところの排水処理システムだと思いますが、どうでしょう、調べられますか。

【事務局・吉村】 網羅的にというのは少し難しいかもしれませんので、幾つか実態を調べて実例としてご報告をさせていただきたいと思います。

【細見委員長】 幾つかヒアリング等の調査をしていただいて、フローシート等がわかれば、今のご指摘に答えられるかと思います。よろしくお願いいたします。

 ほかにご意見、ご質問はございますか。

 古米先生どうぞ。

【古米委員】 資料5の12ページの下のところで、トリクロロエチレンに係る上乗せ排水基準の設定状況ということで、3自治体が0.3ではなくて、その10分の1の0.03にしている点について質問です。大阪府は水源地域なので、0.01を見据えて厳しくしたとも考えられます。熊本でもそういった水源汚染の懸念があってということだとは思うんですけれども、この0.3に対して10分の1で0.03とされたのは、これらの自治体のほうでどういう背景でしょうか。基準に対して、何か排出基準の話の関係とは違う論理なのかなと思ったので、もしそこら辺がわかっているようだったら、お知らせいただきたいと思います。

【事務局・吉村】 申し訳ございません。ちょっと今、手元にデータがございませんので、次回のときにご報告したいと思います。

【細見委員長】 0.03、環境基準と等しい値の排水基準の上乗せをされている根拠とか、理由とかというのがわかれば、ちょっと参考にしたいというご意見だと思います。

 では、次回、それは大阪府、熊本県、福島県についてはお願いしたいと思います。

 ほかに、ご意見とかご質問はございますか。

 浅見委員どうぞ。

【浅見委員】 すみません、資料5の7ページのマテリアルフローなんですけれども、最後の出口のところで、PRTRで把握されている部分が、半分よりも大分少なくて、その他のところが非常に多くなっておりまして、小規模の事業所ですとか、これで把握されていないような用途のところが多くて、もし排水基準とかというのを設定した場合に、どういうところから難しいところがあるのかとか、抜けてしまいそうなところがあるのかというのが、このその他の部分にも大分関わってくるのかなとも思ったんですけれども、その辺はどのような感じか教えていただけますでしょうか。

【細見委員長】 わかりますかね。その他が非常に多い。でも、下にその他の求め方というか、供給量からPRTRで求められた量を差し引いた値ですね、これは。これの内訳というのは。何かそんな情報はありますか。

【事務局・吉村】 その部分についてはちょっと調べておりませんので、わからないというところが正直なところなのですけれども、ただ、どういったところからトリクロロエチレンが排出されるかというのは、そこは基本的には自治体が、使用している事業場への立入調査をしておりますので、その実態を平成22年度という実績ですけれども、お調べして、まとめて先ほどご説明をさせていただきました。その中で問題になっているような事業場というのが、大体そこで網羅されているのかなというふうには考えております。実際、そのPRTRでの使用されている業種というのも、ごく限定されているというような状況でございますので、その小規模なところでどこか見過ごしているような使用事業場というのは、現時点では今のところは想定は、資料でお出ししたもの以外にはないというような状況でございます。

【細見委員長】 まず答えていただいて。

【早水審議官】 ちょっと補足しますと、ここでいうPRTRの件は、届出排出量・移動量なので、PRTRの場合だと取扱量と従業員数の裾切りがありますので、届出の部分だけを出しているところです。ひょっとしたら非点源のいわゆる裾切り以下の小規模事業所の推計値を持ってくると、何かわかるかもしれません。その分は少なくともこの「その他」には入っているということかと思います。

【細見委員長】 今の件に関連して、中杉委員どうぞ。

【中杉委員】 届出外の排出量は推計をしているでしょう。だからそれを足し合わせたらどれぐらい、届出と合わせるとどのぐらいで説明できるかというのが一つと、もう一つは、実際には大気に出ていったものを外に出さないというので、活性炭で吸着をするという方法で、このごろは活性炭をレンタルして回収して、活性炭がいっぱいに吸着されると、それを回収してきてそこから脱着して回収するというようなのが一つの方式として成り立っています。そこはだんだんぐるぐる回っていって、増えてくるというのはおかしいのだけれども、そこら辺がどうなっているかというのがちょっとわからないので、そこら辺、もう少し調べたらいいかもしれませんね。これは水のほうではなくて、多くは大気のほうなのかもしれませんけれども。多分、そういうふうな複雑な流れで、もう一つ、PRTRには必ずしも表れてこないしというような部分が若干あるのかもしれません。その場合、どのぐらいの大きさなのかは私も実態は把握していませんけれども。

【細見委員長】 これは可能か、今の浅見委員のご指摘で、その他がやっぱり多いので、小規模を初め、見過ごしていいのかということで、もう少し内容が、この理由がもう少し詰められれば、それをぜひ努力していただければと思います。

【早水審議官】 あえて補足といいますか、排水基準の場合は、水濁法の場合は規模は関係なくかかりますので、PRTRだとそこはちょっと違うということで。

【細見委員長】 先ほどの各自治体による立入は、もちろん規模によらずにされているはずなので、それに基づいて出てきたのが、この表8になるんでしょうか。ですので、一応、使用されているところは立入等のチェックが入っているとみなして、この表8ができているというので。そうするとこの図の見方としてその他というのはやっぱり非常に大きく表れているので、ちょっと誤解を招く可能性があります。表し方の問題だと思うんですけれども、一応は努力されて、排出源的なところというのは、この表8で表れていますので、この図5の意味を少し整理の仕方を変えていただくなり、注釈をつけるなりして、より誤解のないようにしていただければというお願いでございます。

 この件に関しては、一応そういう形で努力をしていただくということにさせていただければと思います。

 ほかにございますか。よろしければ先に進めたいと思います。

 引き続きトリクロロエチレンについてですが、事務局から資料7、トリクロロエチレンの排水基準等の見直しに係る論点整理の案について、ご説明をお願いいたします。

【事務局・吉村】 それでは、資料7、トリクロロエチレンに係る論点整理(案)としてお示ししております。こちらをご説明いたします。

 トリクロロエチレンの対策の基本的なあり方でございますが、行政上の政策目標である環境基準が見直されたことを踏まえ、その基準を達成・維持するための排水基準等のレベルについても見直すこととしてよいかという点につきましては、行政上の政策目標である環境基準、健康項目が見直され、公共用水域や地下水において、新環境基準を超える地点もあることから、排水基準等について見直すべきではないかとしております。

 それから2点目、排水基準についてです。(1)新たな環境基準の達成・維持を図る上で、妥当な排水基準のレベルはどうあるべきか、という点につきましては、トリクロロエチレンに適用されている排水処理技術は、排水基準が見直された場合にあっても新排水基準に適合し、かつ新環境基準の達成・維持を図る上で妥当なものと考えてよいのではないか。このこと等を踏まえると、排水基準はこれまでの排水基準の設定のあり方と同様、新環境基準の10倍値0.1㎎/Lとしてはどうかとしております。

 それから(2)暫定排水基準の設定の検討が必要な業種はあるかという点につきましては、トリクロロエチレンは代替フロン合成原料、脱脂洗浄剤等として使用されているが、工業分野においては関係業界団体からの意見陳述希望は特になかった。排水基準は一律排水基準のうち、一般排水基準で規制することが原則であり、上記を踏まえれば、暫定排水基準を設定する必要はないのではないかとしております。

【事務局・袖野】 続きまして、地下水質に係る基準についてご説明いたします。

 1点目、地下水の浄化基準は環境基準と同じ値とすることでよいかでございますけれども、地下水の浄化基準というものは、人の健康に係る被害を防止するために命ずる地下水の浄化措置における基準であるということから、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として設定されている地下水の環境基準とこれまで同じ値に設定されてきております。このことから、トリクロロエチレンに係る浄化基準、現行の0.03㎎/Lにつきましても、新たな環境基準と同じ値、0.01㎎/Lとしてはどうかと考えております。

 裏面にまいりまして、2点目、地下浸透基準値の見直しは可能かでございますけれども、まず、地下浸透基準値の設定方法でございますが、参考資料3のほうをご参照いただければと思います。参考資料3に地下水質に係る基準値について一覧にしておりますけれども、地下浸透基準の設定は従来、環境基準の10分の1倍値、もしくは検定方法の定量下限に基づきまして設定してきております。トリクロロエチレンにつきましては3ページ目になりますけれども、別紙としております(2)浸透基準が環境基準の10分の1より低い項目として整理しております中にございまして、現行は0.002㎎/L、公定法の定量下限値によってこちらの基準となっております。

 現行のこの0.002㎎/Lが公定法の定量下限値ということで設定されておりますので、この値よりも厳しい基準値となれば、定量可能な範囲よりも低い値となりますので、公定法の中で適用できない検定方法が出てくるということに留意する必要がございます。先ほど資料5の中で、公定法の検定方法をご紹介いたしましたが、この中で一番最後の溶媒抽出・ガスクロマトグラフ法の定量下限が0.002となっておりますので、0.002㎎/Lよりも厳しい値となりますと、こちらの測定方法が適用できないということになってまいります。

 こういったことなどを考慮いたしますと、これまでの地下浸透基準の設定方法を踏まえまして、当面、トリクロロエチレンの地下浸透基準値は現行のままの0.002㎎/Lとしてはどうかと考えております。

 ただ、9月にカドミウムにつきましても同様に、地下浸透基準値等のご審議をいただきまして、現行のこの地下浸透基準値の設定方法の妥当性について、検証が必要であるというご指摘をいただいております。今後、地下浸透基準の設定方法の妥当性につきまして、検証が必要であると考えておりますが、こういった作業に一定の期間が必要でございますので、今回は従来の設定方法を踏襲することとして、将来的に全体の検証結果を踏まえて精査することとしてはどうかと考えております。

 以上でございます。

【細見委員長】 どうもありがとうございます。

 資料7では、基本的なトリクロロエチレンの対策のあり方ということと、それから排水基準と地下水に係る基準について、検討方針、方向性を提案していただきました。これについて、ご議論をしていただきたいと思いますが、質問も含めてどうぞ忌憚のないご意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 大塚委員どうぞ。

【大塚委員】 法的な観点から意見を申し上げますが、排水基準の強化と、それから地下水の浄化基準の強化に関してどう考えるべきか、ということが法的にも問題になると思いますが、基本的にここに書いておられるとおりでいいと思うのですけれども、排水基準に関しては、これまでもこういう強化をしてきたのであって、こういうのを遡及というふうには言わないので、ドイツ法でいうと、不真正遡及という言い方をしますけれども、科学的知見が充実してきたので、それに伴って排出基準を強化することは可能であるというふうに考えられているところでございます。

 地下水の浄化基準についても強化できるんですけれども、もし既に浄化の措置命令を出しているものがあると、その措置命令を出した人に対してもう一度措置をとるように、浄化するように命令できるかというと、それはなかなか難しいと思いますが、それは行政の信義則の問題が発生するのでちょっと難しいと思いますけれども、既に教えていただいているように、措置命令を出したものは1件もございませんので、その点についても、とりあえず今はあまり考慮をする必要はないですけれども、浄化基準を強化することは可能だし、今まで出したものもないので、とりあえず今はあまり気にしなくていいですけれども、これから措置命令をもし出すものがあって、その後、浄化基準を強化することになったときは、その例に関しては、少しお気をつけいただいたほうがいいということなのだろうと思います。

 以上でございます。

【細見委員長】 いかがでしょうか。ちょっとすみません、法律の言葉として、大塚先生、まず排水基準の規制強化の法的な名称は何というのですか。

【大塚委員】 すみません、不真正って、不は不足の不ですけれども、真正は、真人間の真と正しいという字。

【細見委員長】 あと正しい。

【大塚委員】 ええ。不真正遡及というふうに言って、遡及は遡及かもしれないけれども、責任の遡及というふうに考える必要がないという意味で、不真正遡及というふうに言っておりまして、科学的知見が充実してきたので、それに伴って基準の強化が可能だというふうに言われています。

【細見委員長】 排水基準については、科学的ないろいろな情報が整ってきて、不真正ということで。

【大塚委員】 遡及は遡及かもしれないけれども、普通の遡及ではないという意です。だから、あまり遡及と考えなくていいということです。すみません、面倒くさい言葉で申し訳ありません。

【細見委員長】 ありがとうございます。あと、もう一つの地下水の浄化については。

【大塚委員】 同じなのですけれども、ただ、この場合は、行政命令で浄化命令をもし出していると、その人との関係では、行政の信義則の問題が発生するので、同じ人に対してもう一度浄化しろというのは、ちょっと無理だということになると思われます。今までその例がないので、今回、考える必要はないのですけれども。もし、今後そういうのが出てきた後に浄化基準を強化するときになったら、その人との関係ではちょっとお気をつけいただいたほうがいいということだと思います。先の話をしているので申し訳ありません。

【事務局・袖野】 ご指摘、ありがとうございます。

 大塚先生ご指摘のとおり、地下水の浄化措置命令は、まだ一度も発令されたことはございませんので、そうした事例がないんですけれども、今後のことを考えたときに、科学的な知見が集積されて基準が改定された場合に、その望ましい状態にする基準を担保するための措置命令ということですので、こうした命令が行政信義則に抵触するのかどうかという点は議論中で、まだちょっと省内で整理できておりませんので、この点については引き続き議論の中で整理させていただきたいと思います。

【大塚委員】 そうしていただいて結構ですけれども、そこは土壌とパラレルにお考えいただいていくとありがたいと思います。

【細見委員長】 ありがとうございます。

 土壌での措置命令でも同じことが言えると思いますので、地下水と土壌と、媒体も同じというか、接しているわけですので、両方の考え方を整理していただきたいというふうに思います。

 中杉委員どうぞ。

【中杉委員】 ここに問いかけに対して、一応答えが用意されているのですけれども、その内容についてはこれで結構だろうというふうに思います。最後の地下浸透基準の全般的な見直し云々の話ですが、これは今のままでいくと、土壌の環境基準よりも地下浸透基準のほうが厳しくなるのですよね。土壌から溶け出している水というのは、これは濃度が高いので、そこら辺のところ、問題もあるし、土壌、地下水というのは、表裏一体のものなので、やはりそこら辺のところをどう考えていくかというところもあわせて、単に地下水のほうだけでここをどう直すかということではなくて、土壌のほうも土対法の基準の改正もありますし、そういうところとあわせてやっぱり考えていただく必要があるだろうと。両方は同じようなことを―同じことというと語弊があるのですけれども、非常に似たことを、土のほうから見ているか、地下水のほうから見ているかという観点でやっているだけというようなところがあります。こっちから見るとこうで、こっちから見るとこうでという、ずれが出てきているような可能性が今あるんです。だからそこら辺を少し整合をとるような形に直していっていただく。できれば前も水部会のとき少し申し上げましたけれども、やはりそこら辺は一体なものに将来的には持っていったほうがいいだろうというようなことがありますので。そういう観点での検討をしていっていただければと。こちらだけで何か結論を出すのではなくてということでお願いしたいと思います。

【事務局・袖野】 地下水室は、土壌課内に設置された部屋でございますので、こちらの検証作業の際にも、土壌の検討状況とあわせて、一緒に考えていきたいと思っております。ご指摘ありがとうございました。

【細見委員長】 ほかにこの論点整理の方向性が示されているわけですけれども、それに対して何かご意見、ご質問、ほかにございますか。

 特段の意見が、ご異論がなさそうなので、この資料7に示されました方向性については、特段の異論がないということで、委員会報告をこの論点整理の案に沿ってまず取りまとめていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。

(異議なし)

【細見委員長】 ありがとうございます。

 それでは、事務局におかれましては、この資料7の論点整理に基づいて、委員会報告(案)を作成していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、引き続きまして、議題2で、今後の予定というのがございますが、続きまして、事務局からこの今後の予定についてご説明をお願いしたいと思います。

【事務局・吉村】 資料8について、ご説明をいたします。

 資料8、排水規制等専門委員会検討スケジュール(案)をご覧ください。こちらトリクロロエチレン、1,4-ジオキサンにそれぞれ分けて少しご説明をさせていただきます。

 12月8日、こちらはトリクロロエチレンの諮問をさせていただいたのは、最初にご説明をしたとおりでございます。そして本日、12月16日、第19回の専門委員会で、トリクロロエチレンにつきまして排水基準等の見直しについて、ただいまご審議をいただいているところでございます。

 一方、1,4-ジオキサンにつきましては、本日のところにはフォローアップ調査の進捗状況についてということを記載させていただいております。こちらはまだ全然説明をしておりませんので、参考資料の4のほうをご覧いただきまして、少し1,4-ジオキサンフォローアップ調査の進捗状況について、ご説明をいたします。参考資料4、1,4-ジオキサンの暫定排水基準の見直しについてをご覧ください。

 1,4-ジオキサンに係る排水基準については、排水基準を定める省令の一部を改正する省令で規定されまして、平成24年5月25日に施行されました。この際、一般排水基準0.5㎎/Lに対応することが著しく困難と認められる業種、その他の区分に属する特定事業場に対しては、経過措置として改正排水省令の施行の日から3年間、来年の5月24日までに限って適用する暫定的な排水基準が設定されたところでございます。具体的な数字は裏面の省令の抜粋、附則別表のところに、業種と、その業種に対応した許容限度として、暫定排水基準値が記載をされてございます。

 2のフォローアップ調査のところでございますけれども、暫定排水基準が設定された業種については、速やかに一般排水基準に対応することができるようにするため、有識者からなる検討会を設置し、該当業種の一般排水基準への対応に向けた行程や、排水処理方法の改善等の取組状況をフォローアップしております。

 検討会は、個別分野ごとの検討会、工業分野、それから畜産分野、それから温泉分野と、全体の検討会で構成されておりまして、1,4-ジオキサンに関する暫定排水基準が設定された業種のフォローアップ調査につきましては、工業分野検討会で実施されております。

 その業種ごとの対応状況というのは、以下のとおりでございます。感光性樹脂製造業につきましては、来年の5月24日までに一般排水基準に対応予定でございます。それからエチレンオキサイド製造業、エチレングリコール製造業につきましては、一般排水基準への対応に向けた取組に一定の期間を要することから、業界団体としては暫定排水基準の延長を希望されているというような状況でございます。ポリエチレンテレフタレート製造業につきましては、一般排水基準に既に対応済でございまして、経過措置も今年の5月24日で既に終了をしてございます。それから下水道業につきましては、感光性樹脂製造業の対応完了に伴いまして、来年の5月24日までに一般排水基準に対応予定という状況でございます。

 それから3点目、今後の予定でございますが、1,4-ジオキサンに係る暫定排水基準の継続の必要性、それから継続が必要な場合の適用業種、それから許容限度の見直しにつきましては、12月に開催される工業分野検討会におきまして、フォローアップ調査の結果について報告を行い、議論していただく予定にしております。その結果を1月の次回の排水規制等専門委員会においてご議論いただきまして、パブリックコメント手続を経た上で、水環境部会において改めてご議論いただきたいというふうに考えてございます。

 フォローアップ調査の進捗状況についてということで、1,4-ジオキサンの状況をご説明をいたしましたので、資料8のほうに戻っていただきまして、今後の予定の続きでございますが、次回1月26日、専門委員会第20回におきましては、トリクロロエチレンにつきましては委員会報告(案)について、ご議論をいただきたいと思っております。それから1,4-ジオキサンにつきましては、今、ご説明をいたしましたように、暫定排水基準の見直し(案)について、ご議論をいただきたいと考えております。

 それから2月、これらの案につきまして、パブリックコメントの手続をいたしまして、3月には第21回の専門委員会でトリクロロエチレンについては委員会報告を取りまとめ、1,4-ジオキサンについては、暫定排水基準(案)の取りまとめを予定をしてございます。3月以降ですけれども、第37回の水環境部会におきまして、トリクロロエチレンにつきましては細見委員長のほうから水環境部会へご報告をいただき、水環境部会でのご審議の上、答申をいただきたいと考えてございます。1,4-ジオキサンにつきましては、こちら暫定排水基準は諮問事項ではございませんので、水環境部会でご審議の上、ご了承をいただきたいと考えてございます。

 1,4-ジオキサンの暫定排水基準が27年の5月24日までですので、5月には省令改正をしたいと考えてございます。それからトリクロロエチレンの省令改正については、今の段階では27年度の前半を予定してございます。

 以上でございます。

【細見委員長】 どうもありがとうございます。専門委員会における今後のスケジュールですけれども、トリクロロエチレンと1,4-ジオキサンについて、説明がございました。何かご質問とかご意見はございますか。

 特によろしいでしょうか。特段の意見ございませんので、それでは、資料8のこのスケジュール(案)に沿って進めてまいりたいと思います。それでご了解いただいたということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【細見委員長】 ありがとうございます。

 それでは、事務局におかれましては、このスケジュール(案)に沿って委員会報告(案)を次回の委員会、これは1月26日開催予定の第20回の専門委員会で議論できるように、ご用意をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、議題のその他とございますが、事務局におかれましては何かございますか。

【事務局・吉村】 本日の議事録につきましては、また先生方のほうに送らせていただきますので、ご確認のほうをよろしくお願いいたします。ご確認いただきましたら、こちらのほうで速やかにホームページのほうに掲載をさせていただきたいと思います。

 それから本日お配りした資料で最後の参考資料5でございますが、1,4-ジオキサンに関する情報ということで、少し最近の検出状況等をまとめてございますが、1,4-ジオキサンにつきましては次回でご審議ということになってございますので、ご参考までにお配りをさせていただきました。こちらについては、後ほどご覧をいただければ幸いでございます。

 私からは以上でございます。

【細見委員長】 ほかにございますか。

 それでは、参考資料5は各自勉強していただきたいということで、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議題は以上でございますけれども、全体を通して何かご意見等がございましたら、どうぞ。

 ないということですので、それでは、本日のこの専門委員会の議事を終了したいと思います。本日は誠にありがとうございました。

午後2時13分 閉会