中央環境審議会 水環境部会 排水規制等専門委員会(第14回)議事録

1.開会

2.議事

  1. (1)第13回専門委員会における指摘事項への対応
  2. (2)第13回専門委員会における聞き取り概要等今後の予定
  3. (3)カドミウムの排水規制等の在り方
  4. (4)今後の予定

3.閉会

配布資料

資料1 中央環境審議会水環境部会排水規制等専門委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会水環境部会排水規制等専門委員会(第13回第1部)議事録(案)
資料3 検討スケジュール(案)
資料4-1 第13回専門委員会における指摘事項への対応
資料4-2 カドミウム公定分析方法における定量範囲及び常時監視における有効数字
資料4-3 鉱物資源マテリアルフロー(カドミウム)
資料4-4 公共用水域・地下水におけるカドミウムの検出状況
資料4-5 休廃止鉱山からのカドミウム負荷量
資料4-6 自治体上乗せ条例における「検出されないこと」の定義
資料4-7 地下浸透基準の設定について
資料5-1 第13回専門委員会における聞き取り概要
資料5-2 水産食料品製造業の排水実態等について
資料6 カドミウムに係る論点整理(案)
参考資料1 中央環境審議会水環境部会排水規制等専門委員会(第13回第2部)議事録(案)(委員限り)
参考資料2 第13回専門委員会における指摘事項への関係業界からの回答(委員限り)
参考資料3 第13回専門委員会 資料5

午後3時01分 開会

【宮崎課長】 それでは定刻となりましたので、ただいまから第14回の中央環境審議会水環境部会排水規制等専門委員会を開会したいと思います。
 本日は委員総数11名中9名のご出席が予定されておりますけれども、ただいまのところ8名の方に既にご出席いただいておりますので、定足数を満たしておるということで始めさせていただきたいと思います。
 議事に入ります前に、お手元に配付させていただいた資料の確認をさせていただきます。議事次第に続きまして、資料1がこの排水規制等専門委員会委員の名簿でございます。資料2は、前回の第13回の専門委員会の議事録。それも前回は第1部、第2部と分けて開催させていただきました。第2部は非公開とさせていただいておりますので、第1部のものをお配りさせていただいておりますが、ただ、この内容につきまして、先生方のお目通しいただいておりますけれども、印刷に不備があったものですから、きちんとしたものをこの時間内に配付させていただきたいと思います。これは先生方に既にご確認いただいておりますので、これをもってできれば議事録とさせていただきたいと考えておるところです。資料3は検討スケジュールでございまして、前回の専門委員会におきましていろいろご指摘いただきましたので、検討スケジュールを若干見直したものをお配りさせていただいております。資料4-1は、前回の委員会での指摘事項を1枚の表にまとめたものでございます。資料4-2から4-7が前回のご議論を踏まえて事務局で再度追加資料として用意させていただいたものです。
 資料5-1が前回の非公開で行いました部分の概要ということでございます。資料5-2が前回の委員会の中でもご議論がございました水産食品関係の資料を用意しております。これらを踏まえまして、資料6ということで、カドミウムに係る論点整理(案)というものを用意しております。それと参考資料といたしまして、委員限りでありますけれども、前回の専門委員会で非公開で行った部分の議事録とそのときの指摘事項の関係業界からの回答というのを参考1、2としておつけしております。参考資料3は前回の専門委員会の資料5を再度お配りしたものでございます。
 不手際がありまして申し訳ありませんでしたけれども、不足等ございましたら随時、事務局までお申しつけいただきたいと思います。
 それでは、以下の進行は細見委員長にお願いしたいと思います。

【細見委員長】 本日は年末の押し迫った中で、ご多忙の中、皆さんにご出席いただきましてありがとうございます。
 本日は、前回の審議を踏まえまして、カドミウムの排水規制の見直しの考え方について幾つかの論点を整理して今後の取りまとめに向けまして、どのように考えていくのか方針を考えていきたいと思います。委員の皆様におかれましては、引き続き活発なご議論をよろしくお願いしたいと思います。
 議事の前に、最初に資料3というので検討スケジュールが若干、前回と異なったという点をまずご説明を願った上で審議に入りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【上西課長補佐】 ありがとうございます。水環境課上西でございます。説明いたします。資料3をご覧いただきたいと思います。カメラ撮りされる方につきましては、これまでとしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 資料3でございます。検討スケジュール(案)でございます。今、座長のほうからご説明ありましたように、前回お出しいたしましたスケジュール(案)から少し見直しさせていただいております。前回11月11日の専門委員会の議論、ヒアリングを受けまして、今回12月24日第14回の専門委員会となってございます。今回につきましては、カドミウムの排水規制の見直しの考え方等につきまして、排水基準・地下水浄化基準等の案、暫定排水基準の必要性につきましてご議論を賜りたいと思っております。前回のスケジュール案では本日、必要に応じてヒアリングというふうな形にしておりましたけれども、これにつきましては、次回1月27日を予定しておりますけれども、今回のご議論を踏まえまして、必要に応じて業界団体等のヒアリングをやらせていただきたいなというふうに考えております。以降の予定につきましては、前回どおり報告案を取りまとめいただきまして、パブコメ、答申、告示というふうな形で考えてございます。
 以上でございます。

【細見委員長】 どうもありがとうございます。少し次回については、まだテンタティブであるというか、まだ決まっていないという状況だと思いますが、できるだけ早目にフィックスして進めていきたいと思います。
 それでは、議題の1番目ですが、前回の専門委員会でご指摘いただきました事項について、資料4-1というところで指摘事項への対応というふうにまとめてありますので、これをもとに資料4-1から4-6までを上西さんにお願いして、あと地下水関係については上田さんのほうでよろしくお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。

【上西課長補佐】 資料4-1をご覧いただきたいと思います。こちらのほうに第13回、前回の専門委員会における指摘事項への対応として、表に簡単に取りまとめてございます。これと資料4-2から4-7を用いましてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、指摘事項・意見の1番目でございます。前回の資料5の表5-1の数値が少し不備があったということで、十分にチェックをして、また定量下限、有効数字等も明確に表示してほしいという指摘をいただいております。これにつきましては、資料4-2と一番後ろの参考資料3の7ページをご覧いただきたいと思います。この参考資料3が前回の資料5となってございます。この表5-1の上から申しますと、平成19年の検出範囲、最大値の部分、これが0.01となっていたところを、有効数字をきちっと書くということで、0.010としております。
 二つ目、平成20年度の基準値の10%超過地点数、これが34となっておりましたけれども、33ではないかというご指摘で、これは確かに33でございます。平成22年度の基準値超過地点数、これ7と書いてございましたが、精査したところ8でございました。これも修正をしてございます。それぞれ数値は精査したわけですけども、有効数字等につきましては、資料4-2のほうで簡単に取りまとめてございますので、ご説明を申し上げます。資料4-2でございます。こちらにカドミウムの公定分析法における定量範囲と常時監視における有効数字について簡単に取りまとめてございます。水質汚濁に関する環境基準、地下水の水質汚濁に係る環境基準、それぞれ0.003となっておりますけれども、これを検定するに当たりましてはJISの55.2、55.3、55.4に定める方法、付表8に掲げる方法というふうに定められておりますので、それらをこの表1のほうに規格55の公定法、定量範囲等々をここに取りまとめてございます。この表の一番右の欄が前処理ありの定量範囲、これが付表8で定義されたものでございますが、これがつまりは定量範囲という形になってございます。
 これを踏まえまして、常時監視における有効数字というものがこちらの処理基準で決められておりまして、これに基づきまして自治体が設定しているということでございます。報告下限値につきましては、カドミウムにつきましては、この裏面でございますが、環境基準値の10分の1以下に設定することが望ましいとなってございます。この報告下限値未満の数字については、報告下限値未満と書き、桁数につきましては、有効数字を2桁として3桁目以下を切り捨てるというふうになってございますので、これに基づきますと、先ほど申し上げた0.001というのは切り捨てるという形でいいわけなんですけれども、0.01というのは、これは、有効数字が書けておりませんでしたので、0.010と改めた次第でございます。
 1番目の指摘事項については以上でございます。
 2番目、3番目、4番目の指摘事項につきましてご説明を申し上げます。これらはカドミウムの用途、マテリアルフロー、リサイクル等につきましてご指摘をいただいたところでございます。これらにつきましては、独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構、JOGMECの取りまとめました鉱物資源マテリアルフローの2011カドミウムというものにつきましてお示しができると思いましたので、資料4-3にお示しをさせていただいております。資料4-3をご覧いただきたいと思います。
 1枚目でございます。カドミウムにつきましては、ニッケル・カドミウム電池はもうほぼ使われていないのではないかというご指摘も頂戴したところですけれども、充電池としてすぐれた性質を有するため、カドミウムにつきましては、ニッケル・カドミウム電池が最大用途となってございます。確かに環境上の問題からニッケル水素電池、さらに高価なリチウムイオン電池への代替は進んでございます。ただ、こういうことから我が国におけるカドミウムの輸入というのも減少傾向にあります。国内企業のスペックに合わないカドミウムについては、中国向け輸出が増大しているという形でございます。一方、国内のカドミウム生産については、こういう形で需要が減少しているにもかかわらず、中国に牽引される亜鉛需要の拡大に伴う増産の結果、副次的に増加しているというふうな形でございます。
 ほか、顔料の使用につきましては、有害物質ということであって厳しく制限されつつあるという形でございますので、国内需給につきましては、表1にも載っていますけれども、補正された数値が示されている表2のほうをご覧いただきたいと思います。これは2010年が最新データとなってございますけれども、こういうふうな形で推移しているということがご覧になれるかと思います。生産につきましては、今言ったような形で、亜鉛需要の拡大による副次的増産という形で生産については徐々に増えているというふうな形でございます。
 表3のほうに小型2次電池の国内生産推移というものもお示ししております。ニッケル・カドミウム電池につきましては、こういった形で推移をしているというふうな形でございます。先ほど申し上げました輸出入量につきましても、ここに示しております。
 次のページでございます。カドミウムに対しましてはリサイクルというものがされているのではないか、現状はどうなっているのかというご指摘も踏まえましてこちらのほうをお示ししたいと思います。最大の用途であるニッケル・カドミ電池のリサイクルにつきましては、資源の有効な利用の促進に関する法律に基づきまして義務づけられているところでございますけれども、その実態が2枚めくっていただいたページが、394ページになってございますけれども、そちらのほうにリサイクルの現状という形で表でお示しをしております。
 その他のリサイクルにつきましては、もう一度戻っていただきまして、この大きなフロー図の前のページ、392ページになりますけれども、一般的な家電製品であるとか、そういったものにつきましては、焼却とか埋め立てとかをされる形なんですけれども、そういう溶融飛灰の回収率というものも30%以下というふうに類推され、最大でも46トン程度が回収されているのではないかと推測されるということでございます。また、製鉄所からの製鋼煙灰というものも排出されているわけでございますけれども、これも回収されているカドミウムというものがございまして、これは135トン程度と推測されるということでございます。
 393ページにこの2010年のマテリアルフローというものをお示ししております。これはJOGMECにより作成されたものでございます。
 次のページでページ数がついていないものでございますけれども、カドミウム2012年ベースのマテリアルフローというものも最新版として載せてございます。こちらは経産省の資源エネルギー庁さんで作成されたもので、ベースとなるデータや集計方法は先ほどお示ししたマテリアルフローと同じという形になっております。これが最新2012年のデータということで、2010年と比較ができるのではないかというふうに考えてございます。
 続きまして、資料4-1に戻りまして、PRTRの届出量につきまして、下水道が飛び抜けて多いけれども、届出方法とか実態とか反映されていないのではないかというご指摘もございます。これにつきましては、PRTRの届出法を確認いたしましたところ、確かにその測定値が検出下限値未満の場合はゼロとみなし、検出下限以上定量下限未満の場合には、定量下限値の2分の1としてみなして算出することとなっているというふうになってございます。これは下水道に限らず、どういった業種もこういうふうな届出方法になっておりますので、これで推測することはなかなか難しいのですが、それによって集計の数値というものも左右される場合があるのではないかというふうに考えてございます。
 続きまして、自然由来の考え方と自然の海水中や河川中のカドミウム濃度、あとその環境基準超過地点と0.03を超過している工場との関係、自然由来の関係等々どうなっているのかというご指摘がございました。これにつきましては、自然由来というものをどういうふうにお示ししたかと申しますと、例えば鉱床地帯等におきまして、岩石、土壌等からの溶出等の自然的要因による場合を自然由来として整理をしております。これを資料4-4のほうに超過地点、それから超過原因等々を取りまとめてございます。これらの表につきましては、前回の資料と同じように平成23年度に環境基準値が0.003に改正されているために、22年度データ以前につきましても0.003を超過したものというふうな整理でこの表をつくってございます。
 資料4-4でございます。まず1枚目なんですけれども、こちらに公共用水域における環境基準超過地点とその超過原因につきましてお示しをさせていただいております。ほぼ多くは廃止鉱山及び廃止鉱山で十分処理をされていても周辺湧水等の影響、また底質等の影響で超える場合があるというふうにお伺いをしております。あとは自然由来、これも先ほど申し上げたように岩石土壌等からの溶出等の自然的要因によるもの等がございます。周辺に汚染原因となる工場、事業所がなく不明であるというものも複数確認されてございます。
 1枚めくっていただきましたものが地下水における同様に環境基準を超過した地点と超過原因でございます。こちらもなかなか原因となる工場、あるいは事業所等が周辺にないということが多かったのですけれども、人的汚染と考えられるもの、鉱山等に近く地質的由来と考えられるもの、あるいはボタ、鉱山関係の捨て石が原因であるかというふうに考えられるものが超過原因として考えられたものもございました。
 あと3ページ目に公共用水域におけるカドミウムの検出状況の水域別の内訳を書かせていただいております。これも基準値が0.003を超えたものを超過として書いておりますけれども、これは今までお示ししたデータが川とか海とかを分けて書いておりませんでしたので、ここで分けてお示しをしてございます。測定地点総数に対しまして、例えば平成19年度で測定地点総数4,400に対しまして、海域以外の測定地点数が3,465、それに対して、検出された地点数が33、そのうち基準値を超過した地点数が5というふうに読んでいただけたらいいかと思います。その右に参りまして、測定した地点数935、海域につきましては935なんですけれども、それに対しまして基準値を超過した地点数はゼロ、検出された地点数が6というふうな形になっております。これで見ますとおり、海域で基準値を超過した地点というのはこれまでなかったという形であります。検出された地点も、河川に比べては少ないという形になってございます。河川でも海域でもほぼ不検出というのが通常の状態なんですけれども、通常河川でカドミウム濃度がどれくらいかということをちょっと文献で当たってみたのですけれども、これが決まった数字というものがなかなかないのですが、河川で1~13.5ng/Lぐらい。海域で0.1㎍/Lぐらいというふうな文献が見られたことをご報告いたしたいと思います。
 続きまして、また資料4-1に戻ります。鉱山からの排水がどのぐらいの負荷をもって排出しているのか。特定施設以外も含めて鉱山由来を考慮しなければならないとご指摘を賜っております。これにつきましては、なかなか精査することも難しいんですけれども、今後精査してまいりたいとは考えてございます。NEDO技術開発機構、産総研化学物質リスク管理センターが2008年に取りまとめた資料がございましたので、これはあくまでも参考ということですけれども、資料4-5にお示しをしております。これは2008年1月に発行された詳細リスク評価書シリーズ13カドミウムという書籍から引用したものでございます。これは公害防止対策工事の実態、各鉱山のカドミウム濃度等から推計したらこれぐらいだろうという形で示されたものでございます。あくまでもご参考にという形で資料としてつけさせていただきました。
 続きまして、資料4-1に戻ります。0.03を超過している業種にどのような処理方法が使われていて、どう変えると改善するかなどを整理するとよいというご指摘をいただいております。これらにつきまして、自治体を通じて聞き取りを行いました。主に中和+凝集沈殿法が採用されているということでございます。吸着方法等高度な処理方式を使っているということはあまり事例がなかったようでございます。超過原因といたしましては、通常超過するということではなしに、清掃時の廃液の一時的な大量流入であったりとか、通常入れていないカドミウム含有原料を受け入れてしまったとか、排水処理時のpH調整ミスとか、そういったことが原因であり、改善がされているということを聞いております。その他の処理方法につきましては、前回業界団体からヒアリングをさせていただいたところでございます。
 続きまして、冷凍水産食品製造業がデータから0.03以上の検出がされているということが前回の資料でお示しをしたところでございますけれども、この検出原因は何かというご指摘を賜りました。これにつきましては、海洋では海水からカドミウムが生体内に取り込まれるため、水産食料品製造業のうち、ホタテ加工工場排水で最大0.041mg/Lが検出された。これは平成22年度データですけれども、そういった実態があったということを自治体のほうからデータをいただいたところでございます。これにつきましては、議題2のほうで他の業種とあわせて詳しく説明をさせていただきたいと思います。
 続きまして、自治体の上乗せ基準の中に「検出されないこと」というふうにありましたけれども、これはどういうことかというふうなご指摘がございましたので、資料4-6のほうに調べましたところの事例をお示ししてございます。例えば資料4-6、山梨県でございます。これにつきましては、裏面見ていただきまして、検出されないこととは府令第2条に規定する方法により検定した場合において、その結果が1リットルにつきカドミウム及びその化合物にあっては0.01ミリグラムを下回ることをいうというふうに数値として規定がされてございます。神奈川県条例につきましては「検出されないこと」とは、省令第2条に規定する方法により検定した場合において、その結果が当該検定方法の定量限界を下回ることをいうということで数値は出ておりませんけれども、神奈川県の生活環境の保全等に関する条例におきまして、検出されないこととは公定法によって0.001mg/Lを下回ることであるというふうに規定がされております。ですから、その条例を引っ張ってきまして、こちらの上乗せを決める条例につきましても、運用上同様の措置をしているというふうに聞き取りをしてございます。
 公共用水域等の関係につきましては以上でございます。

【上田室長補佐】 それでは地下水地盤環境室のほうから上田でございます。よろしくお願いいたします。
 資料4-1の表の一番下の段と、それからその次の下から2番目段と二つについてご説明を差し上げます。
 まず、簡単なほうで、一番下の中杉委員のご指摘でございまして、地下浸透基準が水道水として飲めるような水でさえ浸透してはいけないとなっているのはおかしいんじゃないか、その必要性があるのかどうかというご指摘でございます。これは大変恐縮ですが、今後の課題として整理をさせていただくのがとりあえずはいいのかなと思っておりまして、ただ、これは平成23年に水濁法改正によって、地下水浸透規制が導入された平成元年の当時とは、地下水の規制の環境が大きく変化したと、枠組みが大きく変化したということもございますので、それを踏まえて、1回妥当性を検証すると、少しお時間をいただきたいというのが事務局の考え方でございます。
 それから、その一つ上で、地下水浸透基準と環境基準との関係の整理をお願いしたいというところでございまして、これにつきましては資料4-7でご説明しております。資料4-7をご覧いただけますでしょうか。資料4-7地下浸透基準の設定についてということで、有害物質の地下浸透基準の設定方法につきましては、1枚目のところに非常に簡単に書いておりますが、環境基準の1/10もしくは検定方法の定量下限というどちらかで設定をされております。それで、地下浸透基準値が環境基準値の1/10より高くなっているような項目についても、公定法、すみません。これはGISではなくてJIS、ジスのほうですけれども、JISの工業排出試験法の定量下限の値を浸透基準としていると。それから、複数の検定方法が規定されている場合には、最も定量下限値の高いもの、最もその精度の悪いものを基準値として採用しているということでございます。文字で書くとこうでございますが、なかなか理解しにくいので、少し詳細に2ページ目と3ページ目をもちましてご説明をさせていただきます。2ページ目、3ページ目、あわせてご覧いただければと思いますが、別紙と書いてありますけれども。
 まず、2ページ目のほうで、すみません、番号が一切打っておりませんので説明がしにくいのですが、一番左上の浸透基準が環境基準の1/10になっている項目ということで、これはいわゆる今までの整理でございまして、その表の一番右の設定方法のところに※がございますが、※を下のほうにたどっていただきますと、JISの公定法で1/10以下まで測定できるものについても環境基準の1/10で切っているというのがこの表のものでございます。これはそういう意味では1/10にそろえているというものでございまして、比較的整理がしやすいということだと思いますが、その次のものが2ページの中ほどの表でございますけれども、浸透基準が環境基準の1/10より低い項目ということでございまして、これがつまり環境基準の検定方法である1/10までよりもさらに低いところまで測定法として求めているものでございます。
 そこに4項目+窒素関係という、大きくは5項目ございますが、これはそれぞれ事情がございまして、まず最初の1.1ジクロロエチレンにつきましては、これは旧環境基準が0.02mg/Lでございまして、そのときの地下浸透基準1/10がそのまま残っていると推測されます。それから、一つ飛ばしまして、トリクロロエチレンとテトラクロロエチレンでございますが、これもやはり環境基準よりもかなり低い値に浸透基準が定められております。これもかなり資料をいろいろひっくり返しましたが、実際のところちょっとわかりかねるところもあるんですけれども、恐らくこれは平成元年より前に、つまり地下浸透規制が設定されるより前に測定方法が既に局長通達である程度規定されていたことがあったわけで、そのつまり地下水浸透規制がまだできる前の局長通達で決まっていた測定方法の定量下限というのがそのまま使われているというのが、事務局の推測でございます。
 それから、その一つ上の1.1.1トリクロロエタンにつきましては、これは環境基準に比べるとかなり低い浸透基準が定められておりますが、これもすみません、推測になってしまいますが、1.1.1トリクロロエタンにつきましては、土壌の中で分解されてその一つ上の1.1.ジクロロエチレンになるということもございますので、1の1/10の0.1という地下浸透基準の置き方が適切ではないと判断されたのではないかというふうに推測をしております。その結果、JISの公定法の定量下限のうち最も高いもので0.0005という値が定められているのではないかというふうに考えております。
 その下の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素につきましては、これは合計値で大体1/10にそろえているということでございます。
 それから、その下でございます。浸透基準が環境基準の1/10より高い項目ということで、環境基準の1/10よりも大きい値に定められているものでございますが、大体これは重金属系のものが多いわけでございますけども、これらはJISの公定法で最も高いものがそのまま選ばれているということが基本でございます。
 3ページ目に参りまして、これは単純でございます。一番最後の四角で環境基準が「検出されないこと」になっている項目につきましては、これは「検出されないこと」というのが公定法の検定方法で「検出されないこと」ということでございますので、浸透基準も同じという考え方でございます。
 説明が長くなりましたが、以上でございます。

【細見委員長】 どうもありがとうございました。
 前回、この専門委員会でいろいろご指摘を受けたその資料4-1にありますように、受けた意見に対してそれぞれお答えをいただきまして、対応方をご紹介いただきましたけれども、これは各委員の皆さん、どこからでも今の説明に対して、ご意見あるいは質問があればお願いしたいと思います。どなたからでも結構ですが。
 じゃあ、中杉委員から。

【中杉委員】 資料4-4ですけれども、これは多分、超過原因というのは報告されたときに書かれていたものが書かれているというふうに解釈してよろしいんだと思うんですけれども、実際にはこれも産総研のほうですけども、地球化学図という名前でしたか。日本の自然由来でこういうもの、例えばカドミはどの地帯が高いという地図をつくっているんですね。それと比べてみて、この川がその高いところに合致するのかどうかというのを少し見ていただいたらよろしいのかなと思います。河川の底質をたしか中心に調べられているんだと思います。
 そういうふうなことで、全体にそういうふうに自然的に高いところはどこだということで調べられていますので。

【細見委員長】 ちょっと詳しい資料名はもう一回確認しますけれど、全国のデータベースというか、多分、一番最終の末端の部分でいろいろ底質を分析されて、非常に高いところだとかというのは全国の地図にされて出されていると思いますので、その河川と今回の対象になっている河川において、高いところが一致すれば今回で言う鉱床地帯等というのと近いのではないかと。特に不明になっている部分なんかは判断基準が明確ではないので、ちょっとチェックしてください。
 ほかにございますでしょうか。
 浅見委員、どうぞ。

【浅見委員】 いろいろ資料をありがとうございました。資料4-5でNEDOさんと産総研さんの休廃止鉱山からのカドミウム負荷量とあるのですが、これはもう休廃止鉱山が全てこの中に入っているということでよろしいでしょうか。普通の鉱山ですとか、ほかのものとこれを比較してみてもよろしいのかどうかというのが教えていただければと思います。ほかの資料で年間の負荷量といいますか、全体の出荷量ですとか、そういったものが出ておりますけれども、それに比べると大分けた数が低いものですので、休廃止鉱山はここで不明ありますけれども、このような量でほとんど少なくて考慮する必要がないような感じに見てしまっていいのかどうかというところを教えていただければと思います。

【上西課長補佐】 この資料につきましては、把握できた一部の数値を踏まえて推計をしたというふうな資料のようでして、全てを網羅しているというふうには言いがたいのかなという感じもするんですけれども、基本的にこの推計した時点の全国の休廃止鉱山がほぼ7,000ぐらいだろうという形で、全体を取りまとめた措置のようです。それ以上のことはちょっと詳しいことはわかりかねるのですけれども、そのような形だというふうに理解をしております。

【細見委員長】 ここの元の資料をもし経産省の方とか、もしわかれば今の浅見委員の質問に対して、ちょっと答えておいていただいたほうが、今後、休止鉱山に関しては、暫定だとか、いろいろ議論しないといけませんので、その実態を知る意味でもこの表というのはどんなデータで、どういうふうに計算したらこうなったのかという根拠だけ明らかにしていただければと思います。

【上西課長補佐】 わかりました。元資料をお示しするようにいたします。

【細見委員長】 それで浅見委員、よろしいですか。

【浅見委員】 あとは、恐らく資料の4-4の個別のそれぞれのところのケースと見合わせてみて、やはり考えたほうがいいのか、それとももう休廃止鉱山についてはあまり考えなくていいのかというところを見ていくことになるのかなと思います。

【細見委員長】 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 産総研の環境詳細リスク評価書については、必ず専門家がレビューというか、チェックをしているんです。専門家からきた質問に対して、この評価書の中に答えが書いてあります。そこもちゃんと見ていただく。疑念があればそういう指摘が出されていて、著者の側でこういうふうに考えたって答えまで書いてありますので。

【細見委員長】 ありがとうございます。リスク評価書シリーズの本になっているもの、最後の部分でしたか、載っているのは。レビュアーに対するお答えというような形で載っていると思います。
 ほかにお気づきの点だとかは。
 柿沼委員、どうぞ。

【柿沼委員】 資料4-7で環境基準と浸透基準を整理していただいた整理の事情はよくわかりましたけれど、この整理をする際のカドミウムの今回浸透基準を検討するということですので、こういったそれぞれの項目のグループごとの考え方というのはどういうふうに整理したらいいのかなと。一つは、環境基準の1/10という考え方があって、もう一つは公定法の定量下限値をベースにしているという、二つの考え方が大きく分けるとあると思うんですけれど、例えば今回カドミウムを考えるに当たって、どういった考え方をとればいいのかなという。

【上田室長補佐】 ご質問ありがとうございます。資料4-7で、すみません。説明がちょっと舌足らずだったかもしれませんが、前回の論点メモのときにもカドミウムにつきましては、公定法の今の定量下限の最大値が0.001でございまして、それを据え置きでよいのではないかと。つまり、0.003というふうに環境基準が下がりましたけれども、それに合わせて定量下限を0.0003まで下げるという必要はないのではないかというふうに考えています。それはこの資料4-7の2ページ目の一番下のブロック、三つ目のグループですけれども、1/10よりも高い項目というグループと同じで、結局、公定法の定量下限が環境基準の1/10より大きいという場合に、しかも環境基準まではかれているという場合に、一応こういう整理をしておりますので、つまり今回で言うとこのカドミウムは三つ目のグループに入って1/10より高い項目の中に入るのではないかというのが今の事務局の考え方でございます。

【柿沼委員】 テクニカルな意味で、そういう考え方、整理されるのはわかるんですが、定量下限値で、または1/10って、その考え方の一番根本的なところは、結局、地下浸透については可能な限り最大限ゼロに近い、あるいは排出しない、そういう考え方がベースだということなんでしょうか。

【上田室長補佐】 ご質問ありがとうございます。そこにつきましては、平成元年に地下浸透規制を入れるときにいただいた中環審の答申で、すみません、答申の部分を全部覚えているわけではありませんが、希釈も期待されないし、地下での挙動もわからないところもありますし、一旦汚染されると浄化は非常に難しいといったような状況を踏まえて、検出されないことが望ましいという答申をいただいていまして、それに基づいて今、結局ある検定方法で検出されないことというふうに規定をしているのが現状でございます。それに基づきまして、先ほども申し上げたテクニカルな説明になってくるということでございます。よろしいでしょうか。

【細見委員長】 平成元年の地下浸透規制をする際に、検出されないことが望ましいというのが大きな目標で、それを具体的に各項目に割り振ったときに、定量下限値でやっているのと環境基準の1/10に分けられたわけですよね。そのときの、こちらは定量下限値、こちらは1/10というのは、定量下限値のほうが高い場合をまず優先したのですか。

【上田室長補佐】 説明がなかなか一筋縄でいきにくい説明なので、なかなかご理解いただけないのですが、基本は環境基準の1/10に設定しているのが基本なんですけれども、公定法の定量下限が1/10より大きい場合は公定法にしていると。ですから、ここでいうと、一つ目のボックスと三つ目のボックスが基本ということになります。二つ目のボックスがちょっと個別事情でいろいろ考慮されて低いものが出ているという理解だというふうに考えております。

【細見委員長】 柿沼委員、どうぞ。

【柿沼委員】 あまりあれしても、ここの議題とは離れた方向へいっちゃうのかもしれませんけれど、考え方として基本的にはできるだけ検出されないということを前提に定量限界、または1/10という、そういう割り切りをしたということなんですか。

【上田室長補佐】 そういうことでございます。公定法が環境基準の1/10より低いところまではかれる場合は、結局最初のボックスになっておりまして、1/10で切っていると。ですけれども、公定法が1/10まではかれない場合は、三つ目のボックスで公定法で切っているというのが原則でございまして、二つ目のボックスにつきましては、個別事情でいろいろということでございます。繰り返しになりますが、中杉先生、この間のご指摘で、そもそもその考え方がいいのかというご指摘ございましたので、そこは少しお時間をいただいて今後の課題として検討させていただきたいということでございます。

【細見委員長】 とりあえず前回の委員会で中杉委員のほうからも今の浸透規制の基準の考え方というか、決められた時期が平成元年で、その後、地下水の環境基準とか幾つか設定されてきているので、ちょっとその時間差に応じて対応がとれていないというか、もう一度ちょっと見直すことが必要かもしれないなというのが前回の中杉委員の意見で、これも含めて大きな地下浸透に関わる問題は、ここの排水委員会、規制委員会でやるのか、もうちょっと違うところでやるのか、もう一度また事務局のほうでお考え願いたいと思いますが、今回のカドミウムという限定すれば、今事務局のほうから説明ありましたように、公定法の定量下限値の最大値は現在のところ0.001mg/Lであるということなので、今の考え方でいけば、これが浸透基準になるだろうというような整理の仕方だと思います。
 ですから、環境基準の1/10になるともう一つちょっと違ってくるんですが、三つ目の枠で考えると、環境基準の1/10よりも定量下限値が高いために0.001mg/Lが浸透基準として、現状ではいいのではないかというのが事務局の考え方です。ちょっと地下浸透基準を経緯も含めて中で文章化するなり、何か残しておかないと継続性の問題もあると思うので、もうちょっと調べていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
 ほかに。

【森田委員】 地下浸透基準の問題とそれから測定法の問題というのが実はつながってしまうんですよね。私の記憶では、地下浸透というのはできるだけ地下に汚染物を投げ込んではいけないというか、だからそれは検出されないことというのが一応の基本的な理念で、しかし、一方でそれぞれの持っている分析法の限界もあるので、したがって、とりあえず環境基準の1/10以下だったらいいことにしちゃうかねというのが一つの議論としてはあり、そのときにそこまではかれない場合はどうするのでしょうかということがあり、そこで上にある定量下限がそれよりも上の場合は、やむを得ず定量下限のところでそれを浸透基準にしてしまうということが発生していたのだというふうに私自身は記憶しているんですが、これがまず第1です。
 それから、第2の問題は、実は、分析技術は絶えず高感度になっていまして、やろうと思えばもっと下をはかることができる。はかることができるということが一方でありながら、ある種、今までの行政の継続性だとか、あるいは、極端なとまではいかないまでも、事業者のほうに負荷をかけ過ぎないほうがいいのではないかとか、いろんな要素があります。したがいまして、実はカドミウムの測定ももっと下まではかることができますし、それから0.001が定量下限というわけでは、実は必ずしもそうではない。ただ、これもはかる方法があるということと、したがってそれを採用すればはかることができるんですが、それがはかれないような技術も存在して、全ての技術ではかれるようなそういうふうな視点をつくる、それが到達点にしてしまうと0.001という1㎍/Lという数字が出てきますが。
 一方の側で、例えば水生生物への影響みたいな議論で、カドミウムが非常に、例えばニジマスに対して毒性が非常に強いんです。ニジマスに対する安全性をある程度担保しようとすると、カドミウムの基準というのは、0.001と、これのさらに1/10ぐらい。それぐらいまで下げないといけない。その中でさらに分析下限はその1/10ぐらいをはかれないとちゃんとした運用をできないだろうというと、そのための測定の技術というのは、0.001のさらに1/100ぐらい。それがはかれるだろうかという議論をしておりますが、それははかれます。はかる方法というのは何をやるかというと、測定機器、例えば原子発光とか、質量分析にかける前に前処理をやって、そしてカドミウム以外のものを除いて濃縮をかけることによって、1/100まで達成できる。
 したがって、はかれるかどうかと言われれば、実ははかれるんだけど、それとは違ったところで、つまり簡単に安くはかれるだろうかとか、そういう議論もあってこういう数字が出てきているということでありまして、ちょっと検出下限が1㎍/Lとか、あるいは定量下限がそういう数字では、現在の測定技術からいけば、そうではないというのはご理解いただきたいと。

【細見委員長】 どうもありがとうございました。
 分析技術というのは日々進歩しているということで、介在物だとか除いた上で濃縮していけば、0.001の1/100までできるという技術は今のところある。しかし、それを全ての場合に誰もができるかというと課題が残されており、一般的に研究機関、分析機関ができるというところでは、現在のところでは0.001となっているという。

【宮崎課長】 前回の専門委員会でもご議論いただきましたし、今日お示ししております資料4-2でも定量下限の話は整理をしておりまして、環境基準のほうで採用している公定法というのは、この55.2、3、4の三つなんです。これでしたら0.001をさらに下回る環境基準0.003の1/10まではかれるということで、この三つを採用としていると。ただ、地下浸透基準のほうはこのフレーム原子吸光までも採用しているということで、少し定量下限の甘いものを採用しているものですから、この基準にせざるを得ないということのようなんですけれども、ちょっとここは事務局側でももう少し精査が必要かなというふうに考えておるところでありまして、今日別に基準値そのものをご議論というわけでもなくて、考え方をご紹介しておりますけれども、もう少しここら辺りは詰める必要があるのではないかなというふうに思っております。

【細見委員長】 ついでにじゃあ、環境基準ではなぜフレーム原子吸光55.1の測定法が採用されなかったのかというのは何かがわかるのでしょうか。環境基準が決まっていれば、それに準じていくというのが一つの考え方かなと思ったのですが。

【根木課長補佐】 そこのところについても、もしよろしければ次回、お示ししたいと思います。

【細見委員長】 森田先生、ちょっとそれを見ていただいて、次回コメントなどをお願いしたいと思います。何か先生が関わっておられたかもしれないので。

【森田委員】 要するに、フレーム原子吸光法というのは、非常に古い方法に今はなってしまっていて、それで本当ならば捨てちゃったほうがいい分析法に近づいている。実はもっと古い方法が比色分析法というのがあるんですが、それはもっと感度が悪いですけれども。だから、昭和47年というと72年ぐらいですね。72年ぐらいのときに比色分析からフレーム原子吸光に切りかわった時期があって、しかしその後、徐々にいろんな分析法が発展する過程で、80年代に入ってICP発光分析とか、そういった新しいタイプの分析法ができる。あるいは高感度化するために、電気加熱の原子吸光法が出てきてという、そういう流れになっています。したがって、フレーム原子吸光法というのは、今となっては非常に古い方法で、これを民間の分析機関でも非常に小さい分析機関を除いては、そこから切りかわりつつあるというのが一方の側であります。
 そういうトレンドがあり、1990年代に入って、多分、水濁法は93年ぐらいに水道法の改正と一緒に少し切りかわってくるのですが、その時点で少し並列して古い方法も使える。新しい方法も使えるような形で、一応書き並べて、やがて古い方法は淘汰されるだろうというふうな、そんな流れで今のところきているという感じです。

【中杉委員】 資料4-1の一番下の項目について、私の前回の指摘に対して事務局のほうで今後の課題というふうに言われましたけれど、本来、分析方法というのは目標基準が決まって、その分析方法が決まってくる話で、分析方法が決まったから次の目標が決まるというのは本末転倒な話だと思うんです。そういう意味でいくと、今回の話をするときも、やはり私が前回申し上げたものを全面的に今回の改定に使うのかどうかというのはともかくとして、そこを頭の中に入れて考えていかなきゃいけないんだろうと思うんです。そういう意味ではもう少しリスク論からいって、地下浸透というのはどうなんだろう。確かに望ましくは何も入れないというのがいいのでしょうけど、現実問題として、自然にもこれだけあるというところに、水として飲めるものも入れないというのは、本当に合理的なのかどうかというところも少し頭の中に入れながら決めていくべきだろうと。あえてはかれるから、じゃあ基準を下げるんだというのは、ちょっと本末転倒のような感じがいたします。

【細見委員長】 何か。

【浅見委員】 今のご指摘、本当にそうだなと思うんですが、恐らくなんですけれども、環境基準の1/10までというのが先にあったのではなくて、定量下限で検出されないものという原則があって、有機物の場合はもっと低くまではかれてしまうので、環境基準の1/10を目安にしましょうという逆のことからきているのではないかなというのが主たる流れだったんじゃないかと思うんですが、それからいきますと、今回の浸透基準を前の環境基準の定量下限値でとりあえず決めてしまおうというのはちょっと尚早かもしれないなというふうに思います。その原則からいったら、今の定量下限でいきますと、ちゃんと1/10というのも十分達成できるし、測定方法だけ古いものを除けば達成できるのではないかと思います。そのロジックのことは今後検討されるということなんですが、地下浸透するような先の地下水がどういう水質であって、そこにどのくらいのものを入れるのでどういうことになるのかというところがちょっとこの資料ではわかりません。もともと非常に低い濃度で全く検出されないようなところに浸透するので、もっと検出されないようなものということを求めるのか。そもそも大分自然にもあるものですので、少し検出されているところにほとんど影響がない程度のものなのかという、そういう議論を多分一度見ないとわからないと思いますので、そのところ、全体の地下水の状況と一緒に見させていただけるとありがたいなと思います。

【細見委員長】 少し地下の浸透基準については分析方法、それから元々の検出されないということ。もしくは地下水に影響ないようにするということとか、基本理念みたいなところとも、基本理念とそれを実際に運用していく手続というのは、もう一度議論をする場があってもいいのかなというふうに、今日の議論を踏まえて私個人的に思うので、少しカドミについては個別に今回、この委員会で議論しますけれども、ほかの項目も含めて何か考えるチャンスが必要かなと思いますので、事務局で整理等をお願いしたいなと思います。
 そのほかのことについていかがでしょうか。
 なければ、次の議題のほうに移りたいと思います。議題2番目でございますが、第13回の専門委員会におきましては、関係の業界の方から聞き取り調査を実施させていただきました。それの要点をまとめたものを説明していただいて、また議論させていただきたいと思いますが、資料5-1をよろしくお願いいたします。

【上西課長補佐】 資料5-1をご覧いただきたいと思います。座長もおっしゃったように、第13回の専門委員会におきまして、2団体、3業種に関しまして聞き取りを行いまして、その概要を簡単にまとめたものでございます。ご紹介をいたします。
 日本鉱業協会のほうから金属鉱業と非鉄金属一次・二次精製精錬業につきまして聞き取りを行いました。金属鉱業につきましては、カドミウムの排出要因といたしまして、操業上での使用実態というものがないけれども、鉱害防止事業としてカドミウムを含む坑廃水処理を実施しているということでございます。対策としては、処理方法は一般的に凝集沈殿方法を採用しています。薬剤添加量を上げる等、操業改善により対応することが可能な事業場もありますけれども、pH管理等、設備増強のための設備投資に期間を要する事業場もあるというふうに聞いております。また、鉱山ということがございますので、電源確保が困難な事業場もあると。こういう事業場につきましては、動力を必要としない処理方法の開発・検討が必要であり、新基準達成の見込みが、期間というのが不明であるというふうにヒアリングをいたしました。
 非鉄金属一次・二次精製精錬業でございますけれども、カドミウム排出要因といたしましては、鉱石とリサイクル原料から年間2,000トン程度カドミウムを生産しているということでございました。対策といたしましては、処理方法は凝集沈殿方法であると。添加剤の増量等の操業改善によりカドミウム負荷を低減するとともに、反応槽、シックナーの増設等で排水処理能力の強化というものが対策として挙げられますけれども、これも期間を要するというふうに聞き取りをいたしております。
 2番目、日本溶融亜鉛鍍金協会から聞き取りをいたしております。溶融亜鉛めっき業でございます。排出要因といたしましては、使用する亜鉛地金の種類により、カドミウムが不純物として含まれているという形でございます。対策といたしましては、一般的に凝集沈殿方法により処理をしている。高度処理としてキレート処理を行う事業場もあるということでございます。ただ、カドミウム濃度というものが変動するということで、変化を十分把握する必要がまだある。排水系統や排水処理方法の変更等には対策の期間を要するというふうに聞き取りをしてございます。
 この聞き取りを踏まえまして、追加の質問等も含めまして、委員限りでございますけれども、参考資料2として関係業界からの回答を添付してございます。前回委員会での指摘、追加質問を受けまして、排出データを比較しやすく整理したもの。事業場と環境基準点の関係の事例等につきまして回答が得られておりますので、ご参考に見ていただきたいと思います。
 以上でございます。

【細見委員長】 どうもありがとうございます。
 前回の聞き取りの調査のまとめを要約していただきました。これについては報告だと思いますので、ちょっとそれと関連するという意味で、この聞き取りをさせていただいた業種以外に、実は前回の委員会でご指摘を受けました水産食料品、製造業の排水実態等につきまして、あわせてちょっと事務局から説明をお願いしたいと思います。

【上西課長補佐】 資料5-2をご覧いただきたいと思います。水産食料品製造業の排出実態等についてという形で資料をお示ししてございます。これは実はホタテに含まれるカドミウムについてでございます。海洋では海水からカドミウムが生体内に取り込まれ、特にホタテ貝につきましては、他の貝類と比してもカドミウムの濃度が高いということが知られてございます。特にホタテガイの中腸線、ウロというふうに呼ばれていますけれども、これは食べるところではなくて取り除く黒い部分でございますけれども、そこには比較的高濃度のカドミウムが蓄積されており、廃棄処分されてきましたけれども、この部分につきまして、肥料とか飼料とか、活用のためにカドミウム除去技術というものが開発研究されているということが実態でございます。
 このホタテ加工場につきまして排出実態を調べましたところ、事例として表1、表2のような実態が得られました。表1でございますけれども、これは平成22年度に自治体が調査したものでございます。排水濃度0.02mg/L未満、これは不検出等も含めましてですけれども、31事業場中29検体、29事業場がこれぐらいのほぼ出ていないという、0.02mg/L未満という実態が得られております。ただ、一部の事業場でございますけれども、0.034でありますとか、0.041とか、そういう排水濃度が得られた事業場がございました。
 表2のほうでございます。これは平成24年から25年度に調査をした、これも自治体から得られた実態調査でございます。これも同じような形でまとめてございます。検体数の表にしておりますけれども、これは17事業場につきまして調べましたものでございます。0.02mg/L未満のものが22、0.02mg/L台のものが3、0.04mg/Lが示されたものが1事業場ございました。この自治体、同じなんですけれども、この0.034と0.041、平成22年度で得られた事業場と平成24年、25年で調査された0.04の事業場はまた異なる事業場だということでございます。
 排水処理方法でございますけれども、このホタテ加工場につきましては、有機成分の高い排水が排出されることから、加圧浮上分離法が多く用いられてございます。例えば凝集処理法、加圧浮上分離+オゾン酸化法でございますとか、活性汚泥法が入っている、処理方法として採用されている事業場もございます。
 これらの排水実態でございますけれども、このように現在の排水実態調査からは0.03を超過する事業場というものが一部見られましたけれども、これが通常な状態なのか、どういう状態で出ているのかということにつきましては、詳細な排出実態調査について、実態について貝の漁獲時期でありますとか、加工工程でございますとか、排水工程等も含めましたさらなる調査・研究が必要であるというように考えてございます。
 以上でございます。

【細見委員長】 どうもありがとうございました。
 5-1、5-2で排水の実態に関してと、それから聞き取り調査も含めまして、何かご意見だとかご質問ありますでしょうか。

【中杉委員】 水産食料品の排水のほうですけれども、ここにも書いてあるように、カドミウムについて開発・研究されている。これは、排水だけではなくて、廃棄物の処理ということと絡めた形で、リサイクル技術ということで、環境省の研究費の中でもたびたび出てきたりするのですが、そういう意味ではどういう調査・研究がされているのか、その実態がどうなのかということも少し調べていただく必要があるのかなというように思いますけど。

【上西課長補佐】 されているというよりも、する必要があるというふうにお示ししたものです。

【中杉委員】 実際には研究提案がなされて環境省から要請を受けてやっているケースも廃棄物のほうで。基本的には、廃棄物のほうでとれれば水のほうでもとれるはずなので、最初に見えてしまうという形ですから。ちょっとこの辺もどんなものをやられているかというのを少し調べていただいたほうがよろしいかなと思います。

【細見委員長】 このウロからのカドミをとるというのは幾つか提案されているとは思いますけれど、ウロ自身からとる方法、一応調べていただければと思います。それはまぜごちゃになって排水の中からまたとる方法とまた違うかもしれませんけれども、参考になるかなと思いますので。よろしくお願いします。
 ほかにございますか。
 森田委員、どうぞ。

【森田委員】 水産物の中にカドミウムの多いようなものがいつかあって、一つはイカの内臓の部分に少し高くたまりますし、それから貝類のやはり内臓部分にたくさんたまると。それは大体カドミウムがある種のシステイン系のイオン型のアミノ酸のペプタイドないしは大きいタンパク、それにくっついてそこに蓄積をし、そして同時に生物側にとっては無害化して存在している状態なんです。そういう意味ではこの種の議論というのはどうしてもカドミウムの存在している化学形態が重要ではないかという意見はずっとつきまとって存在をしています。一方で、今はそこまで、そこの議論はともかくとして、排水中に来るカドミウムをどうするのかという議論が出てくるのですが、それについてはこういうタンパクみたいなのにくっついているようなカドミウムも、やがては無機化されてまた生物に再利用されてくるという、そういうサイクルの中に入ってきますので、しかもカドミウムの化学形態も非常に多様ですので、それを分析方法としてやはりカドミウムの金属イオン状態のものと、プロテインに結合したやつと分けてはかるというのは、できなくはないけど非常に複雑なプロセスになってしまいます。そういう意味ではトータルのカドミウムでやるということになるんだろうと思うんですが、そうすると有機物の側をある種分解をして、例えばオゾンのようなもので酸化して、カドミウムを比較的フリーな格好にした後、カドミウムの吸着をするような除去技術でこなしていくんだろうと思いますが。
 いずれにしましても、こういった生物体内に含まれてきて濃縮している、そのカドミウムをどうするかという記述と、水の中に含まれているカドミウムをどうするかという、処理をする、取り出すというのは、相当かけ離れていますので、参考にするのはいいけれど、例えばウロのカドミウムをとる技術って、すごくたくさん提案されましたけれども、実用的な意味で活動しているのは今ほとんどなくなっていると思います。例えば電気分解でカドミウムを取り出すとか、そういうのも提案はされましたけれども、もう非常に実際にやると困難だというのは、例えばウロというのはすごく油が多くて、そういうサンプルを電気分解でカドミウムを取り出そうとしたら、実は電極が油まみれになって電気が通じなくなるとか、非常に原始的なところで実際には使えなかったというのがありますので、水に限って処理技術がどんなふうにできるかという、それを中心に調べられたほうがいいかなという感じがします。

【細見委員長】 ありがとうございます。
 ほかにご意見はございますでしょうか。
 なければ、とりあえず排水処理技術も重要かと思いますけれども、排水の実態が、例えば今ここに書かれているように本当に漁獲期とか加工期だとか、多分季節変動というのはすごく激しいのかなとも思われますので、その辺の実態等に関してどこまでデータがそろっているのか。例えば、今31事業だとか、17事業場で、いつどのようなところでとられたのかとか、もしちょっとわかれば。難しければもちろんここで書いてあるとおり、宿題だと、調査・研究が必要であると書かれているとおりだと思いますが。季節によって違うかもしれないなと。
 ですから、ここに調査・研究が必要であるというふうに書いてありますので、排水処理技術とともに排水の実態のほうももうちょっと調べていただくというか、これらの今から、もう年のシーズンは終わっているんですか。西村先生は割と仙台に近いかもしれませんが、文献等でもないのか、ちょっとそれも含めてレビューしていただけますでしょうか。難しいですか。

【上西課長補佐】 今後やっていかないといけないのかなというふうには思っています。

【細見委員長】 じゃあ、排水実態等についても今後調べていただくということにさせていただきたいと思います。
 それでは、本日3番目の議題としてカドミウムの論点整理という形で、今までの議論を踏まえまして、今後この規制等専門委員会で議論する一つのたたき台として資料6がございますので、この資料6についてご説明をお願いします。

【上西課長補佐】 資料6をご覧いただきたいと思います。カドミウムに係る論点整理としてお示しをしております。
 まず、排水規制等の関係につきまして表面のほうをご説明したいと思います。まず、カドミウムの対策の基本的なあり方についてなんですけれども、これは根本的な話なんですけれども、行政上の政策目標である環境基準が見直されたことを踏まえ、排水規制及び地下浸透規制について見直すべきと考えてございます。排水規制につきましては、新たな環境基準の達成・維持を図る上で妥当な排水基準のレベルはどうあるべきかということでございますが、これまでの排水基準の設定のあり方と同様、環境基準の10倍というふうにしたいというふうに考えてございます。ですから、新たな環境基準0.003に対しまして排水基準は0.03とすることが妥当ではないかと考えてございます。
 なお、公共用水域での検出状況は、過去5年のデータではお示しいたしましたとおり、見直し後の環境基準値を10地点程度で超過しているというような状況でございます。また、カドミウムに適用される排水処理技術につきましては、このように排水基準が見直された場合にあっても、見直し後の環境基準の達成・維持を図る上で妥当な排水処理が維持されるというふうに考えてございます。
 もう1点でございますが、暫定排水基準の設定の検討が必要な業種はあるかということでございます。基本的に排水基準につきましては、一律基準で規制することが原則であると考えてございます。一方、カドミウムは天然には亜鉛に伴われて産出し、坑廃水や亜鉛地金、小型家電リサイクル原料等に含有するために、工業分野におきましては金属鉱業、非鉄金属一次・二次精錬・精製業、溶融亜鉛鍍金業の業界団体から意見陳述希望があり、前回委員会におきまして排出基準強化への対応策及び対応期間についてヒアリングを行ったところでございます。
 また、今ご議論いただきましたとおり、カドミウムは海水から生体内に取り込まれるため、水産食料品製造業、特にホタテ加工業につきましては、自治体及び関係省庁を通じて情報収集を行っているところでございます。
 以上でございます。

【細見委員長】 では、地下水のほうについてはどうでしょうか。

【上田室長補佐】 続きまして、その資料6の裏面でございます。3地下水にかかる基準についてということでございます。既にここは先ほど来、議論していただいておりまして、引き続き少し事務局で整理せよということかもしれませんが、とりあえず資料の説明だけはさせていただきます。
 まず(1)で、地下浸透基準については、現行の0.001mg/Lでよいかどうかということで、環境基準が0.01から0.003ということで引き下げられまして、ですから環境基準の1/10の0.0003まで地下浸透基準を引き下げる必要があるかどうか。あるいはこのままでよいかどうかということでございますが、事務局としては公定法、いわゆるJISの公定法、工場排水基準の公定法でございますが、の決定方法で最も高いものをとると0.001だということで、そのままという整理を書かせていただいておりましたが、また少しこの整理をさせていただくということかと思っております。(2)で、浄化基準につきましては、環境基準と同じ値にすることでよいかどう基準かということで、これは、従来どおり、ほかの物質も環境基準と浄化基準は一致しておりますので、カドミウムも合わせるのではいかがかというふうに考えております。
 それから、4ポツ、その他のところで、これは中杉委員ご指摘のところでございますけれども、地下浸透基準そもそものあり方ということで、水濁法の改正が最近ございましたし、その規制の枠組みというのも大きく変化したということもございますので「有害物質が検出されないこと」とされている地下水の浸透基準についてその妥当性を検証していくべきではないかということを論点としていただいております。以上です。

【細見委員長】 どうもありがとうございました。
 まず、議論として、今回排水規制の2ポツですけれども、これについて何かご意見とかご議論をまずお伺いしてから、次、地下水に移りたいと思いますが、いかがでしょうか。資料6の1枚目のほうでご意見、ご質問等があればお願いいたします。
 私からでちょっと恐縮ですが、2番目のこのカドミウムの水産食料品製造業ですけれども、割と今まで、例えば今回ヒアリングしたのは鉱山廃水だった金属工業、それからメッキ業とかある種の業界みたいなのがあって、そこに情報を求めて、そこを中心に次はどうするのかとか、いろいろそういうふうな形で今まで進めてきていますが、そういう意味でこの水産食料品製造業というのはどういった今まであまりこの排水規制でやってこなかったかなと思うので、その辺りの情報というのはどうなっているんでしょうか。わかる範囲で。

【上西課長補佐】 いわゆるその工業分野と違いまして、そういうホタテ加工の業界団体というものそのもの、そういうヒアリングする対象の、ホタテ加工の業界団体というものはちょっとなさそうな感じなんですけれども、この実態等につきまして状況をお示しいただくようなことができないかどうかというのを今関係省庁を含めまして相談をしておるところでございます。
 浅見委員どうぞ。

【浅見委員】 すみません、今のにも若干関係するんですけれども、必要な業種ということのお話だけで今回の改正に対応できるのかどうかがちょっとわからないと思っております。11ページ、前回の資料5の今日の参考資料3の11ページを拝見しますと、カドミウムの平均濃度が高い業種というのがほかにあまり分類されないとか、業務用機械器具製造業ですとか、あまり業界団体さんでまとまっているかどうかがわからないところが多いかもしれないなというところで、制御できるかどうかというところと、あと、休廃止鉱山のお話何回か出ていますけれども、そこはどうやって対応するのかというのがちょっと結局わからないので、できるのかなというのが若干あります。値自体はもうこういうことなのかなと思いますが、ちょっとそこが気になっております。
 あともう一つは、先ほど森田先生から水生生物のお話があったんですけれども、それは別途議論されるという理解でよろしいのでしょうか。環境基準自体のほうの話になるのでこことは範囲が別になるという理解でよろしいでしょうか。

【細見委員長】 じゃあ、環境省で答えていただいて。

【根木課長補佐】 水生生物のほうについては、今現在、データの蓄積や評価などという検討を別途やっておりますので、これについては別ということで考えていただければというふうに思います。

【細見委員長】 今回、環境基準の見直しにどう対応するかということでこの場の議論はそれでよろしいですね。水生生物について別途今調査を続けていただいていますので、その結果とかでまた水生生物に対しても排水規制に関わることになると思いますね。仮に先ほどニジマスのような問題とか一杯出てきたということになった場合にはね、カドミに対して水生生物の影響を考慮した排水規制はあり得るのかということですね。

【根木課長補佐】 そこについては、今データの蓄積などをしておりますので、そのデータの蓄積などをされてきた後にご議論いただけるとありがたいかなというふうに思っております。

【細見委員長】 中杉委員。

【中杉委員】 今の委員長のお話は一つの例を挙げるとすれば、亜鉛について亜鉛は水生生物の環境基準をつくりましたよね。あれに対して排水規制をどういうふうにしたのか。亜鉛はもともと一般水質項目じゃないですかね、特殊項目ですかね。あれで排水規制か何かをやっていたのか、排水の基準の水生生物については基準ができましたよね。あれに対して排出規制というのをどういうふうに考えたのかというのは、もし、カドミウムについて水生生物の水質環境基準がつくられれば同様の考え方で整理をされるんだろうと思うんですけど、それはどうなっているんですか。

【上西課長補佐】 亜鉛につきましては、水生生物の保全項目としての環境基準というものが設定されたのを踏まえまして、それを守るための排出規制はどうなるかという検討がなされたので、カドミウムも同じような考え方でするべきかなというふうに考えてございます。

【細見委員長】 浅見委員、それでよろしいでしょうか。

【浅見委員】 こちらは了解いたしましたが、ちょっと業種がばらばらなのはどうすればいいでしょうか。

【上西課長補佐】 業種の件につきましては、前回の委員会でも申し上げましたけれども、関係省庁、経産省等を通じまして、工業分野につきましてはさらに業界団体を通じまして、この資料5の表7-1に示すようなところで工業系のものにつきましては、ヒアリングした団体以外のものについて対応できるというふうな情報を得ておりますので、工業分野につきましてはこのヒアリングをした3業種以外につきまして対策はとれるというふうに認識をしております。あと、産業廃棄物処分業等は工業分野以外なんですけれども、これにつきましても関係担当課を通じまして、業界のほうに聞き取りをいたしまして対応可能であるというふうに聞き取りをしてございます。

【細見委員長】 どうぞ。

【中杉委員】 廃棄物関係で気になるのは、廃棄物処理業が廃掃法のほうでちゃんと押さえられているんだと思うんですが、リサイクルの部分が意外と抜けるんですよね。リサイクル業でニッカド電池の回収をやっているところというのは、これも金属精錬のところとオーバーラップするのかもしれませんけど、そこを少し実態を見てもらったほうがいいのかなと。どうしてもあれは廃掃法でもカバーできなくてちょうどすき間みたいなところになっているので、ちょっと調べていただけませんでしょうか。

【細見委員長】 廃棄物処分施設については、廃掃法でこの排水基準は適応されるので、こことは違うところでやられると思いますが。先ほど中杉委員が言われたように、リサイクル、ニッカド電池をリサイクルしているところ、これは有価物だとすると、廃棄物ではないので廃棄物処分施設ではないということになると、そこの排水はどうなるのかと。これもちょっと宿題というふうにさせていただきたいと思います。
 ほかにございますでしょうか。
 なければ、ちょっと地下水の地下水に関わる基準に関してはかなり測定方法を含め、地下浸透基準の考え方含めていろいろ議論していただきましたけれども、まだ、もっと意見があるという先生方がいらっしゃったらお願いしたいと思いますが。
 森田委員、どうぞ。

【森田委員】 ここの資料6でまとめられた、地下浸透基準が1 ppb という数字でこの数字そのものはそんな悪くない数字かなという感じ、そんなに極めて現実的な数字かなという感じはします。しかし、途中で申し上げましたように、その公定法という訴え、一体これは何だろうかという議論があり、そうすると、ある基準が存在をして、その基準を十分にはかれるようにつくられるのが公定法という、そういう形からしますと、そういうふうに基準が低いところに来ますと、当然公定法が少し低いところをはかるために変化しても構わないという感じはするんですよね。それで、今のこのロジックは、現在の公定法で最も定量化の高いものを浸透基準にするのが適当かどうかというのは本当はちょっとロジックとしてはちょっと正しくはないと、むしろここまで下げなきゃいけないんだけれどはかれないからこうですというのだったら理解ができますけれども、そういう意味で、何というか、今の公定法にこだわったロジックは必ずしも本当は正しくはないかもしれないと。ただ、着地点としての1ppbというのはそんな悪い数字じゃないかもしれないという感想です。

【細見委員長】 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 この森田委員が言われるようにロジックがこれでいいのかどうかというのは非常に疑問が残る。基本的には0.001㎎/L の水が入るということは例えば環境基準を超える水とまざったときにはそれを希釈することになります。0.001㎎/L以下の水が入れば0.001㎎/Lを超える水というのは、これはカドミウムが入るというふうに考えるとどんどん地下水濃度が高くなっているように見えるんだけど、水が入るとまざるということを考えると必ず下がるんですよね。そういう意味で言えばこの数字というのは本来は私が申し上げたように、もう少し上げてもいいのかもしれないけれども、途中段階としてとりあえず現行はこうだからっていうふうなことでこの数字は今回は妥当かなというふうに思います。ただ、ロジックは森田委員が言われるようにそれでいいのかというのは苦肉の策なので仕方がないのかなと思いながら、少しおかしいなというふうな感じがいたします。

【細見委員長】 もう一言、どうぞ。

【森田委員】 先ほどから、中杉さんの後、発言されるやつと私のが少し齟齬が発生していて、それで、何が問題で何がよくないことなのかという議論をしていくと、実は、地下水に工場排水のようなものを捨ててはいけないというのが私の頭の中にはずっとそのまま残っているんですね。なぜそうなのかというと、もちろん中杉さんは水道水と同じぐらいの規格の水だったら地下にどんどん入れてもいいんじゃないかというふうにちょっと発言されたような気が。しかし私のほうもう少し古典的に何というか、水を勝手に人の地下に流し込んではいけないということが少し感想としてあります。なぜそんなことを考えるかというと、実は環境基準にしても、あるいはその何が有害物質かということについても、私たちは実はちゃんと知らないんです。たまたま表流水の中である危険レベルに達したものを環境基準と称し、それによって規制をかけているんだけど、だけど知らないことは知らないような有害物質は山のようにあって、そしてそれは規制を受けないんだけれど、そういうものを含む潜在的なものはなるべく地下に入れてほしくないなというちょっと思いがあるということでありますが、これは感想。

【細見委員長】 森田先生、それから、中杉先生から幾つかのこの浸透基準の根幹に関わるようなところですので、その他4で書いてあるように、妥当性というか、これをちょっと検証していく場が必要かと思います。そうでないとなかなか両方見方としてあり得ると思いますし、かといって、言い方が悪いんですけど、例えば、浅見先生やっておられるような水道水が地下配管からちょっと漏れがありますよね。例えばああいうものは一体どうなるのかとか考えていくと、水道水では水道基準を満足していると、でもこの浸透規制の考え方からするともっと厳しい値になっているわけですよね。そういうことも含めて幾つか頭の整理というかをこの浸透基準を設置されて以降の環境の仕組みも変わってきましたので、一度ここで今までの経緯をおさらいして整理していく必要があるだろうということで、その部分はもうちょっとこの規制委員会ではちょっと所掌の範囲を超えていますので別途ということにさせていただいて、ただ、今回、カドミウムのその地下浸透基準についてはこの0.001というのは定量下限から見たものとそれから、ある種の地下水の汚染を防ぐという意味からと幾つか考え方があるかというふうに思いました。これについては次回改めてご議論をさせていただくということにして、本日はいろいろ意見を伺ったということにさせていただきたい。
 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 森田委員が言われることは理解をしますけれども、そうであればカドミの基準で押さえるという話じゃないんだろうと。排水はもう地下浸透してはいけないと、工場排水は地下浸透してはいけないという考え方に正さなきゃいけない話なんですね。実態的には多分排水の地下浸透というのは今かなり少なくなっているだろうと思いますので、そこら辺の実態というのを少し調べていただけないでしょうか。現実問題としてどれだけ地下浸透しているのか、大分これは減ってきているはずなんですね。

【上田室長補佐】 現状、工場、事業所から出た汚水を公共用水域ではなく地下にわざわざ浸透しているという事業所の数を申し上げますと、平成23年度末時点で10事業所です。届け出をしてある意味許可をとって地下に浸透している事業所は10だけということになります。ただ、今回の法改正によっていわゆる漏えいの未然防止という別の規制枠が入りましたので、そこも少し実は考えなきゃいけないかなというふうに思っています。

【細見委員長】 確かに地下水の汚染の未然防止については、施行されて本格施行というか、27年の6月がA基準とかB基準とか、早く言えば本格的な施行になるということも含めて地下浸透、故意に、故意というか必要にかられて地下浸透処理をしようというのと、故意ではなくて何か事故とかあるいはその漏れで地下水汚染をするという場合も結果的に地下水汚染につながることなので、そういう立場からもこの浸透基準というのは少し見直してもいいのかなというふうに思います。ちょっと長くなってしまいましたけれども、今回はカドミウムについて議論するということで、この0.001㎎/Lについてもう少し議論を深めたいというふうに思います。
 そのほかで特にどうでしょうか。
 西村委員、どうぞ。

【西村委員】 排水規制のほうですみません、論点整理に出されているとおり環境基準が見直されたということで、排水基準を。原則的に見直していくということは絶対必要だというふうに思っております。当然、もう議論がありましたが、暫定排水基準がどうしても必要だという場合にはもちろん検討することが絶対的に必要だと思いますが、原則はできるだけ、踏襲していったほうがよいというふうに思っております。本当は少し専門というか研究やっているところで、いわゆる鉱山排水、日本はもう廃止休止ばかりになっておりますが、日本が資源を輸入している諸外国に見れば、重金属汚染等々大変深刻な状況というのも実際に出ておりますので、ぜひ、日本のこのすぐれた技術をこういうような状況で基本的にいろんな業界団体も開発に力を入れていただいているようですし、あるいは、パッシブトリートメントなんかは、逆に外国のほうで経済性等々の問題から研究が進んでいる部分もありますけれども、日本のすぐれた技術をもってすれば加速度的にそういうことができて、そういう技術開発の成果が国際的にも非常に重要な知見となって貢献できるのではないかなというふうに思っていますので、こういう外国からの輸入も踏まえて、物質が循環しているものについては、ぜひ、日本の国内の規制ではありますけれども、そのようなグローバルな視点での考え方、将来的な方向性というのも非常に重要かなというふうに思います。

【細見委員長】 ありがとうございます。
 古米先生。

【古米委員】 先ほどの森田委員からご説明もあって、0.001という値が妥当かどうかを検討するときに、地下浸透基準に関する公定法はJISの規格の55.1も入っていると。しかしながら、地下水の水質環境基準のほうは0.003と決めたときは55.1は入れないで、55.2、55.3、55.4とした。守るべき地下水を測定する公定法とそれをコントロールしようとしている対象の水に適用される公定法が異なっている状態の中で、従来型の考え方をそのまま踏襲して決めましたというのはそれでいいのかどうかという疑問が一つと。もし、じゃあ、要は地下水浸透の基準についても考え方を検討し直して公定法として55.1はなくなったとして、すなわち既にどこでもフィージブルでアベイラブルな精度のよい分析法があるので55.1はなくなったとすると、この考え方で進むとこの今仮に0.001を決めたときには遡ってそれが変わることによって自動的にまた変わるという論理になるんでしょうか。何か質問というか今から議論しなくちゃいけないところにここがいろいろ言ってはいけないと思いますけれども、一応今度の議論では立場としてはそうとっているという、今までの経緯としてはいいんだけれども、経緯の中で明らかに守るべきものとコントロールするものが違う公定法でやっていること自身に対してどう考えておくのかというのは若干私は気になったままこの0.001を見ているので、そこら辺は今後の方向としては、どうなるのかというのはやっぱりある程度ここで考えておかないと混乱しそうな気がするので発言させていただきました。

【細見委員長】 ちょっと私も勉強という意味で排水の規制の公定法と環境基準をはかる公定法とが違うという例というのはほかにあるのかないのかも含めて、ちょっと全部整理して少し次回議論する際の、ちょっと言い方が悪いかもしれませんけれども、演習問題という形でどういう考え方があるかというのを。

【宮崎課長】 ちょっと正確に答えられませんけれども、排水規制のほうは通常環境基準値の10倍で通常設定しておりますので、多少ぼやっとした測定方法でもオーケイであるということだと思っています。ただ、今回の地下浸透規制は逆に環境基準よりも厳しいことを目指しておりますので、そこが話のつじつまが合っていないと私たちも感じております。そこの辺りを先ほど来説明しておりますように、もう少し事務局のほうでも整理をさせていただきたいというふうに感じております。

【細見委員長】 恐らく公定法が若干異なる場合があるだろうという、仮に排水規制を排水を出す側で浸透しようという場合には、通常だったら排水基準に従った公定法と今回浸透する場合には違う方法でまたはからないといけなくなるかもしれないということでしょうかね。今地下浸透しておられる事業者が10事業者いらっしゃるということなので、そういうことも踏まえて今の明らかに表面水として排水する場合と地下浸透する場合の排出側としても大きな差があるので公定法といったときに2種類の公定法を使うのか、従来どおり行くのかということも含めて次回ご議論させていただいて、本日はAでもないBでもないというところで、ちょっと各委員の中においては頭の中で本来目指すべきところとそれから実態等も含めて次回にこの浸透規制のほうについては、いろいろ意見が違うようなので少し時間を置いて取りまとめをしていきたいと思います。事務局におかれましてはいろいろ難題というか両方意見があるので、それをまとめた上で次回議論をして取りまとめに進めていきたいと思いますが、1月27日、次回あるかどうかはまた追って説明があるんでしょうか。

【上西課長補佐】 予定といたしまして1月27日10時半から。

【細見委員長】 やるということ。

【上西課長補佐】 はい、やる予定でございます。

【細見委員長】 じゃあ、この0.001の議論もその27日にもう一回まだやるチャンスは十分あるということで、いろいろ問題点があるということをご理解していただいた上で次回させていただければと思います。もし、特に今ご発言とかがなければ、今日いろいろ熱心な議論をしていただきました。特に浸透規制についてはいろんな考え方があるということで、次回以降の審議に活用できるように事務局においては取りまとめをお願いしたいと思います。
 今後の予定が4というふうになっていますけれども、これは事務局のほうからございますでしょうか。

【上西課長補佐】 次回の委員会につきましても、先生方今日ご指摘いただいたことを踏まえまして資料を取りまとめ、ご審議賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【細見委員長】 それでは、本日は熱心な議論をどうもありがとうございました。これで議事を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

午後4時48分 閉会