中央環境審議会水環境部会(第32回)議事録

開会

議題

(1)
環境基本計画の点検について
(2)
報告事項
  • 最近の水環境行政における動向について

閉会

配布資料

資料1 中央環境審議会水環境部会委員名簿(平成25年5月30日現在)
資料2-1 第四次環境基本計画の点検体制について(報告)
資料2-2 第四次環境基本計画の点検の進め方について
資料2-3 水分野 重点検討項目(案)について
資料3-1 「ほう素、ふっ素及び硝酸性窒素等に係る暫定排水基準(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果について
資料3-2 水環境分野における最近の国際協力について
資料3-3 水質汚濁に係る環境基準等に係る環境省告示について
資料4 瀬戸内海環境保全小委員会委員の構成とヘルシープランについて
資料5 「海洋基本計画」及び「海岸漂着物地域対策推進事業」について
資料6-1 水質汚濁防止法改正後の取組について
資料6-2 低炭素価値向上に向けた社会システム構築支援基金について
(先進的地中熱利用ヒートポンプシステム導入促進事業)

参考資料

参考資料1 中央環境審議会関係法令等
参考資料2 第三次環境基本計画の進捗状況・今後の展望について
(平成19年11月)
参考資料3 第三次環境基本計画の進捗状況・今後の政策に向けた提言について
(平成21年12月)

午後2時59分 開会

【司会】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第32回水環境部会を開会いたします。
 開催に先立ちまして、本日の出席委員数のご報告をいたします。所属委員25名のうち過半数の17名の委員の方にご出席いただいておりますので、中央環境審議会令第7条第3項により準用する同条第1項の規定に基づき定足数を満たしており、本部会は成立しておりますことをご報告いたします。
 また、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただきます。
 なお、小林水大気環境局長は本日所用のため欠席しておりますことをご了承お願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に大臣官房審議官の平岡よりご挨拶を申し上げます。審議官、よろしくお願いいたします。

【平岡審議官】 水大気環境局担当審議官をしております平岡でございます。
 本日は第32回の水環境部会ということで、大変ご多用のところお集まりいただきまして、厚くお礼を申し上げます。水環境行政、環境行政全般に日ごろからご指導賜っておりますことをお礼申し上げます。新しい中央環境審議会の体制になりましてから2回目ということになるわけでございますが、本日は主に環境基本計画の点検ということに関しましてご議論、ご審議いただくということを予定させていただいております。平成24年4月に環境基本計画第四次ということで策定されておるわけでございますが、そのフォローアップということで点検につきましては、これまでのやり方と少し変えて水環境部会での審議ということをお願いするというような方向というふうに新しい体制の中でそういうことにさせていただくようになってきておりますので、この点につきまして、この後詳細に説明させていただきますけれども、ご協力をお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。
 そのほか、最近の水環境行政に関する取組状況をご報告させていただくということも予定しておるところでございます。大変ご多用のところお集まりいただきまして、改めてお礼を申し上げまして、今日のご審議をよろしくお願いしたいと思います。

【司会】 ありがとうございました。次に、本日の審議のためにお手元にお配りしている資料につきましては、資料一覧のとおりとなっております。もし配付漏れ等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 それでは、議事に移りたいと思います。これよりの議事進行につきましては、岡田部会長にお願いいたします。岡田部会長、よろしくお願いいたします。

【岡田部会長】 かしこまりました。それでは、早速第32回の水環境部会の議事に入らせていただきます。
 まず、本日の議題はお手元にございますように、審議事項として環境基本計画の点検についてとなっております。あと、報告事項として最近の水環境行政について関係する各課室よりご報告をさせていただきます。
 それでは、まず審議案件の環境基本計画の点検について事務局からご説明をお願いいたします。

【山本計画官】 総合環境政策局の山本と申します。
 それでは、私のほうから資料2-1と2-2につきましてご説明させていただきます。
 冒頭ございましたように、第四次環境基本計画につきましては、昨年4月に閣議決定されておりまして、今年度から毎年点検を行っていくことになっております。中央環境審議会の体制につきましては、従前からその部会によってはメンバーが多いことによって発言回数が少なく、実質的な議論が少ないなどの問題がございましたので、今回の委員の改選に伴いまして、部会の再編と委員の削減などを行っているところでございます。
 基本計画の点検につきましても、各部会の審議の活性化という観点から、これまで総合政策部会とその下の点検小委員会で点検を中心に行っていたわけですけれども、9つの重点分野のうち事象横断的な重点分野、すなわちグリーン経済、国際的取組、地域・人づくりについては、総合政策部会において重点的に点検を行ない、個別計画が存在する重点分野、すなわち地球温暖化、生物多様性、物質循環の分野につきましては、従前どおり各個別計画の点検を関連する部会で行って、結果を総合政策部会に報告していただくことを予定しております。さらに、そのほかの重点分野、すなわち水環境、大気環境、化学物質につきましては、重点分野に関連する部会におきまして点検を行っていただきまして、その結果を総合政策部会に報告していただくという形に変更することを考えております。
 資料をめくっていただきまして、裏面は具体的にどういうふうに変わるかというのを図示したものでございます。三次計画のときと変更された部分につきましては、先ほど最後に申し上げたところの下線が引いておりますが、水環境、大気環境、化学物質のところを少し変更させていただくという形にしたいと思っております。
 具体的な点検の進め方につきましては、資料2-2でご説明したいと思います。
 昨年、閣議決定をいただきました環境基本計画につきまして、今年度から毎年1回ずつ点検を実施するということにしておりまして、本年度が第1回目の点検になっております。
 めくって2ページ目でございますけれども、具体的に毎年の点検の進め方でございますけれども、まず、前年度の秋から冬にかけまして点検方法などについて審議をいただいた後に関係府省で自主的な点検を行っていただく作業がまずございます。その後、当概年度の7月ぐらいから総合政策部会を含めて各重点分野の部会による点検を行っていただき、その後、秋ごろから年末にかけて点検報告書を取りまとめるスケジュールで毎年行っていきたいと考えております。
 点検の内容でございますが、3ページ目でございます。
 主に四角の中の[2]のところでございますけれども、中央環境審議会の点検の部分でございますが、アとして総合的な点検として総合政策部会で点検を行うということですが、イのところで特に重点分野別に点検を行うことを考えております。重点点検分野は9分野ありますけれども、それぞれがかなりの分量を持っている分野でございますので、特に関心の高い項目につきまして分野ごとに重点検討項目ということを事前に指定して、その項目を中心に深堀した審議を行っていただくということを考えております。
 それから、ウのところは今年度の計画からのところですけれども、東日本大震災からの復旧・復興の部分と放射性物質からの汚染回復というところも点検を行っていきます。
 それから、めくっていただきまして5ページ目でございますけれども、環境基本計画の点検の際の留意点でございますが、四角の下に基本計画を引用しておりますけれども、環境基本計画の進捗状況につきまして、全体的な傾向を明らかにするためということで、環境の状況や取組の状況を相対的に示す指標、総合的環境指標を活用することとしております。下のほうに書いておりますが、ただ、これらの指標の使用に当たっては、それぞれの指標が持つ特性や限界等に十分留意していくことを考えております。
 めくっていただきまして、6ページ目は今年度の点検でございますが、概ね今ほど説明したとおりでございますので、7ページ目をご説明したいと思いますけれども、各年度9分野の中で重点的に点検する分野として重点点検分野を定めております。これは7ページの下半分のところに示した表でございますけれども、[1]から[3]までの横断分野につきましては、毎年点検を行う一方で、それ以外の分野につきましては、概ね2年に一回程度の点検を行うことを考えております。
 以下、参考でございますが、9ページ目は(4)地方ブロック別ヒアリングを総合政策部会の関係では行う予定ですので、そのスケジュールについて表をつけさせていただいております。
 最後のところは、今申し上げました点検の方法を表にしたものでございますので、説明は省略いたします。
 私からは以上です。

【宮崎課長】 続きまして、この水部会での重点検討項目についてご説明させていただきたいと思います。水環境課長、宮崎でございます。
 委員の皆様方には先ほどご紹介のあった環境基本計画、平成24年4月27日の冊子を配付させていただいております。これをちょっとあけていただきますと、94ページ辺りに付せんをつけておるかと思いますけれども、94ページ辺りから水環境保全に関する取組というページがございます。ここにはこれまでの取組状況ですとか課題でありますとか、中長期的な目標ですとか施策の基本的方向という記述がございまして、100ページ目からは重点的取組事項というふうになっておりまして、我が国における水環境の保全から始まりまして、この流域に共通する施策ですとか山間部、農村都市、あと都市部、閉鎖性水域などと、こういったまとめをしておるようでございます。それで、今回私どもで考えましたのは、第四次のこの環境基本計画の点検の第1回目の点検作業ということでありますので、大くくりにはしようと思いますけれども、一応項目全体を見渡した上でそれぞれ議論していってはどうかと考えた次第です。
 資料2-3をあけていただきますと、ここにご提案ですけれども、重点点検分野名として水環境保全に関する取組であります。その重点検討項目の1といたしまして、健全な水循環構築のための取組という取りまとめをしてはどうかなと。これには先ほどありましたように、流域に共通する施策の取組の状況、森林の状況、川の流れの全体の状況、河川流量の低下ですとかそういった都市部での取組といったことで、先ほど環境基本計画の前半部分にあったようなものを大体この健全な水循環構築のための取組というふうにまとめてみてはどうかと、考えた次第であります。
 これは国会のほうにおきましても、まだ提案にはなっておりませんけれども、水循環基本法案なるものが超党派の先生方で議論をされておられまして、この水循環系というのは同じテーマでありますので、同じような方向性を持った話題ということで一まとまりにしてはどうかと考えた次第です。
 その2番目が水環境改善のための取組というふうにまとめてみましたけれども、こちらはまだ水環境の中で改善がなかなか見られておらず、それの改善をするということが取組の中心的な課題というふうに認識したテーマでありまして、具体的には湖沼ですとか閉鎖性海域は、これらはなかなか改善が進んでいない代表例かというふうに思っております。それと少し毛色は違いますけれども、海洋汚染の防止を図る取組をここにまとめてはどうかなと。それと、国際協力連携の取組の状況と書いておりますけれども、世界を見渡しますと、これは世界の水環境で相当まだ改善すべき課題が多いと。特にアジアを中心といたしまして、我が国の関心のある地域におきましても、まだまだ問題が山積していると。そこに各省とも最近は国際連携、国際協力ということの取組が非常に進んできておりますので、こういったことを今の取組状況ということでご紹介させていただいてはどうかなと、そういう大きな2つのまとめにしてはどうかと考えた次第であります。
 以上です。

【岡田部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。

【福島委員】 どうもありがとうございます。質問させていただきたいのですが、重点検討項目のところに関係府省としていろいろな省庁の名前が出ていて、実際にいろいろこういう保全に関して取り組む場合には、こういう省庁のご協力がないと進まないというのは明らかだと思います。今回この見直しの作業においてどのような格好でほかの省庁と協力してやってゆくのか、それが1点です。
 それともう一点、私は湖のことでこの部会に深く関わらせていただいていますが、湖の話ですと、やはり生態系で自然環境部会とか、その影響の点で地球温暖化の話とか、いろいろほかの部会との関連なくして改善が図れないような事項もあるかなと感じております。ということで、その辺をどのようなやり方で進めていかれるのかお伺いできればと思いました。お願いいたします。

【宮崎課長】 まず1点目についてお答えしたいと思いますけれども、ちょっと先ほど説明が確かに漏れました。ここに関係府省の名前が具体的に書いておりますけれども、これはこれらの省庁におきまして、ここで書かせていただいているような取組が進んでいるだろうというふうに想定しておりまして、内々に各省ともご相談させていただいておりますけれども、次の第2回のときに各省でのそれぞれの項目に沿った取組状況を資料として提出していただいて、あるいはお話をできればしていただいて委員の皆様方と議論を重ねていただければと、こんなふうに考えておるところでございます。

【浅野委員】 今までは環境基本計画の点検を総合政策部会でいたしておりましたので、ほかの部会のみに所属しておられる委員にはどのように点検作業をすすめてきたかというのはご存じないんだろうと思うんですけれども、まず関係する各府省に対してこういうような形の取りまとめをした質問を送ります。それにもとづいて各府省から、その質問に沿って検討していただきお答えをいただくということを全ての項目についてしてきています。これまではこういう準備を総合政策部会の事務局でやっていたんですけれども、今後は水環境に関しての点検はこの部会でやりますので、各府省のほうもわかっておられますから、従来どおりそれぞれの質問項目について答えてくださるということです。環境基本計画は政府の計画ですから、環境省だけではなく全ての府省が環境基本計画に従って環境に関連する施策を進めなきゃいけませんので、各府省がどういうことをおやりになったかということを取りまとめて聞くのが我々審議会の責任ということになります。
 2番目のご質問ですが、実に適切なご質問というか本当にそのとおりだと思います。実は今回の第四次環境基本計画のかなり重要な点は、項目を縦割りにしないという考え方が強く出ていまして、どの項目を取り上げるにしてもできるかぎり他の項目との関連を考えていきましょうということが強く打ち出されています。たまたま事務局でも昨日その話をしていたんですが、例えばヒートアイランド問題などは当然温暖化等につながりがあるので、こういうものはそういう目で見て指標としても評価していかなきゃいけないのではないかという議論をやっていますので、ここでできる限り他の分野にまたがることでも、それを入れておいて、温暖化に係る課題については地球環境部会でとりあげるわけですから、そこで来年とりあげますけれども、今年水環境の分野で出てきたテーマとか話題というのは、来年またそれを温暖化対策の領域でも取り入れて考えていくことになります。
 ちなみに地球温暖化対策の改正法が、5月24日に公布されましたけれども、これからは、地球温暖化というには今までと違って、地表と大気の温度が上がることだけではなくて、海水温が上がることも地球温暖化に含めることになりまして、温暖化の定義が変わっていますので、その意味では水環境部会で取り上げなきゃいけないことが地球温暖化のテーマそのものということになってきております。ですから、生態系に関しても事情は全く同じですから、関連することについてはここで議論をしてもかまわないと思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。よろしいですね。ほかにございますでしょうか。
 では、藤井委員どうぞ。

【藤井委員】 第1回のときにも質問させていただいたんですが、被災地の水汚染の問題で平岡審議官のこの前のご挨拶に向けて質問いたしました。今日の資料2-2の3ページのところの[2]のウ、復旧・復興及び汚染回復等の点検の中に括弧して総合政策部会等とありますが、この水環境部会も意識して「等」というふうにあるのか、もう基本的に総合政策部会がやるんですということなのか、その辺りのところはまだ整理されていないということなのでしょうか。そこをこの1回目から2回目の間に何か議論が進んでいたんでしたら、お伝えいただきたいと思います。

【山本計画官】 総合政策部会等と書いてございますのは、どういうふうに正直点検を行っていいのか、どういう場で行っていいのかというのはまだちょっと決めかねておるところでございますので、こういう書き方をさせていただいておるところでございます。当然のことながらさまざまな分野にまたがるものですので、仮に総合政策部会でやるとしても、ほかの色々な部会のご協力を仰がなきゃいけないのではないかと考えております。

【岡田部会長】 では、山室委員、どうぞ。

【山室委員】 私も湖沼が専門でこちらに参加させていただいていると判断しております。環境基本計画がこのように書かれているので、こうなってしまったのかと思うんですけれども、資料2-3の重点検討項目、水環境改善のための取組のaとbがそれぞれ湖沼と閉鎖性海域になっております。湖沼も閉鎖性海域も環境基準が達成できていないと、水質における環境基準が達成できていないという点では非常に似ていると思うんですけれども、そのための取組が湖沼においては水質改善に並んで湖辺の植生や水生生物の保全、湖辺環境の保全というふうに書いてあります。湖辺というふうに沿岸にかなり注目した対策になっていると思うんですけれども、bの閉鎖性海域においてはそれだけではなくて、底質環境の改善とか、あと、それから人との関わりということを重視した里海の創生ということが書いてあります。湖でもやはり人との関わり、例えばヨシをただ植えるだけではなくて、きちんとヨシ焼きをするですとかヨシを刈り取るとか、そういう人との関係というものがないと、やはり植物が腐っていくだけであって、植えるだけでは水質の保全にはつながらない。また、湖においても閉鎖性海域と一緒で干潟とか海浜とか植生がなくても砂浜自身の浄化機能があって、それをどのように実施するかということはやはり重要な問題であると思うんですね。
 ですので、湖とその閉鎖性海域を見ると、同じような問題を抱えているにもかかわらず、取組がどうも湖においては湖辺の植生に偏っていて、それをさらにどうするか、もしくは植生がないところの水質浄化機能をどうするかという観点が抜け落ちているような気がいたします。それは基本計画がこうなってしまったから仕方ないと考えるのか、それ以外の点についてもどういう取組をしているのかというのをあわせて聞くのかということについて、どうお考えか教えてください。

【宮崎課長】 大変申し訳ありません。確かに環境基本計画の記述がこういう記述になっているものですから、湖沼については湖辺環境にスポットライトが当たっているかのような記述になってしまっておりますけれども、実は私どもも先生おっしゃったような人との関わり具合ですね。例えば水生植物を刈り取って、それを堆肥化して、それを利用することによってなんていうことも実際やっておりますので、そういう今の取組については当然ご紹介できるものというふうに考えておるところであります。

【山室委員】 いいですか、続きで。

【岡田部会長】 はい、ではどうぞ。

【山室委員】 すみません、ありがとうございます。それでしたら非常に心強く思うんですけれども、あわせまして、やはり閉鎖性海域に書いてある底質環境の改善、これと同じことがやはり湖沼にもあると思います。というのは、せっかく沈水植物が復活した琵琶湖も沈水植物がなくなる昔よりも非常に密に生えておりまして、それが富栄養化していったときに蓄積した湖底の栄養を吸うためにそれ以前、消滅する以前よりも密になっているという指摘がございます。ですので、根本的にはやはり蓄積した堆積物についてもどう考えるのか。もちろん浚渫すれば終わりというそういう乱暴な話ではないんですけれども、それについても丁寧な取組を今後考えていただければと思います。

【岡田部会長】 よろしいですね。おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございます。
 では、浅野委員、どうぞ。

【浅野委員】 要するにそういうことをこれから部会で議論して、環境基本計画に書いてあることが別に聖書でも何でもないわけですからね。ここはこういうことをさらにつけ加えなければならないということをはっきりさせた上で、次の第五次の計画をつくるときには、もっときちんとした計画になるようにするというのが点検の目的です。もちろん書いてあることがどのぐらい実際に国の機関で行われているかということも問題ですから、まず第一にはそれが点検の目的ではありますけれども、計画には足りない部分があるというようなことは当然考えなきゃいけないだろうと思います。湖沼にもいろんなタイプの湖沼があるわけですから、どうやらこれを書いたときには湖沼の保全法を念頭に置いて、そこに書いてあることを念頭に文章を書いてしまっていますので、いろんなタイプの湖沼全部を網羅的に書いていないということがあると思いますし、それから、環境基本計画をつくるときの事情を言いますと、あまりごちゃごちゃ書いていくと、物すごく分厚くなってしまって誰も読んでくれないということになるものですから、かなり削り取った面があるんですね。原局が書いてきた文章は3倍ぐらいあったのですけれども、ばっさばっさ削って短くしたというような部分もありましたから、そう考えてみればこの部分がない、この部分がないというのは当然の結果なのです。それは点検のときにきちっとみんなで議論をして、こういうことも問題なんだからやりましょうということを言っていけばいいわけです。だから、これにこだわって、これに書いてあることしかやってはいけないのだったら点検はやる意味がないと思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。ほかにどなたかご質問。どうぞ、浅見委員。

【浅見委員】 すみません、理解がちょっと足りなければ申し訳ないんですけれども、多分重点項目の2になると思うんですが、表流水の水質的なものというのがどちらに入るのかなというのがちょっとこれで読めないと思っております。特に水源利用とか湖沼水、ダム等のこともありますので、そちらの水質の改善についてはまだまだの部分があるのではないかというふうに思っております。特に微生物的なものに関しましては、水質環境基準のこの達成率の評価の中に入れていただくのが難しいような状況になっておりまして、これも点検をしてしっかり微生物的な汚染のところも見ていただけないかと思っております。
 もう一つは地下水なんですけれども、後の議論も関係あるかもしれないんですが、硝酸性窒素の汚染に関しましては、まだ改善が見られていなくて、むしろ値としては上昇している傾向と思いますので、その辺はどこに当たるのかというのを教えていただければと思います。

【岡田部会長】 今の点はさっきと同じですね。

【浅野委員】 やって悪いという話ではないのですが、今年はここに重点を置いてやりましょうというある程度の約束の中でやらないと点検の項目が広がり過ぎるということはあるわけです。しかし他方では、指標についてはきちっと全体を見ましょうということになっていて、これはご覧いただくとわかるように、かなり幅広く水環境分野についての指標が並んでいるわけです。これらの指標についてはきちっと数字を出して検討していきますから、その中でこの数字に関連してという形で多分今、委員が言われたようなことが入ってくるだろうとは思うんですけれども、特に改善がなかなか進まないのはここだからというのがこの重点という形で出ているもので、各府省に対しては、これを中心に考えてくださいということでお願いをしますので、あらかじめ質問していないことについてあとから聞かれると、先方の役所としても困るという面がありますから、もしどうしても入れなきゃいけないという項目であるならば、今の段階で手直しをしなくてはいけないということになると思います。

【岡田部会長】 もう既に指標等で今おっしゃったことは入っているはずですから、大丈夫だと思います。

【浅野委員】 入っているので、多分そこの中の議論でかなり網羅的な議論ができると思っております。

【岡田部会長】 あと、議論が進展している段階でまたお気づきだったらコメントしていただければ落とすというか、見落とすことはないと思いますので、よろしくお願いいたします。
 はい、どうぞ。では、課長どうぞ。

【宮崎課長】 すみません、一言だけ。浅見先生が言われた地下水汚染の話もちょっとあまり目立たないかもしれませんけれども、重点検討項目1のa)のところで地下水汚染対策なんていうことも書いておりますので、全然落とすつもりもなく、ちょっと分量が少ないのであまり目立たなかったかもしれません。申し訳ありません。関係する話題はできるだけ取り上げていければと思います。ただ、浅野先生がおっしゃったように、絞り込みと幅広くというものの兼ね合いがどうしようかなというところだと思います。

【岡田部会長】 では、中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 今の話に絡んでなんですけれども、実はもう一つの分野として化学物質の分野がございます。化学物質の分野が検討項目的なものについては中心的にそっちで整理をしようというような形の整理をしていますので、そちらでまた議論することになると思います。硝酸性窒素の場合は非常に微妙で、どっちでやるのか難しいんでございますが、そのほかの例えば表流水にしろ地下水にしろ、検討項目についてはもちろんこちらでもやられますけれども、化学物質のリスクのほうでもそういうふうな点検をさせていただく。化学物質のほうは、今年度は対象じゃなくて来年度が対象になるものですから、今検討を順次始めていますけれども、場合によっては化学物質のリスクのところについてこんな評価をやるということを水環境部会でご紹介をして、ご意見をいただくというなどもあり得るのかなというふうに考えています。

【岡田部会長】 ありがとうございました。それでは、ほかにございますか。
 それでは、今事務局からご説明があったとおり、それから今、幾つかご議論いただいたとおり環境基本計画の点検におきまして重点分野、水環境保全に関する取組の点検を今ご紹介いただいたような形で水環境部会で行うということですので、ここに書かれている重点検討項目を水環境部会として基本的に決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、環境基本計画の点検における重点分野、水環境保全に関する取組の重点検討項目を水環境部会として決定いたします。もちろん今いろいろコメントのあったような点は議論の中で反映させていただくという前提で決定させていただければというふうに思います。よろしいですね。
 ありがとうございました。
 それでは、次に水環境課よりほう素、ふっ素及び硝酸性窒素等に係る暫定排水基準に対する意見の募集、すなわちパブリックコメントの結果、それから、水環境分野における最近の国際協力及び環境基準の告示、この3つについてご報告をさせていただきます。
 では、お願いいたします。

【宮崎課長】 それでは、資料3-1をお開き願いたいと思います。
 前回の部会でご議論いただきましたが、前回ご欠席の委員もいらっしゃいますので、参考という形で簡単に前回の議論に使った資料とほぼ同等のものを用意しておりますので、これをまずご覧いただければと思います。
 ほう素、ふっ素、硝酸性窒素につきまして暫定排水基準というのを設けております。これは一般排水基準を直ちには満足できないものが若干例外的にあるということで、暫定的に設けた基準があるわけですけれども、これを3年ごとに見直してまいっておりまして、3年間で技術的な評価ですとかあるいは実態調査ですとか対応状況ですとか、そういったことを評価しながら少しずつ一般排水基準に近づけていくという取組を従来行っております。
 一番後ろの別表の左下にございます一般排水基準は、ほう素につきましては10mg/Lという基準になります。ふっ素に対しては8という基準になります。硝酸性窒素については100という基準になるわけですけれども、残念ながら先ほど申しましたように、直ちには達成できない業種が一部ございますので、それについては暫定排水基準ということで設けてやってきております。例えば温泉につきましては、旅館業、ほう素は500となっていまして、500→500ですので、これは今回の見直しでも同じ基準でやむを得ぬという評価をしたところでございます。ふっ素につきましては、自然に湧出している温泉と人工的にわざわざ地下から掘り出しているという温泉については多少区別をしたほうがよいのではないかという議論を踏まえ、これまで50という基準だったところを自然湧出以外の温泉につきましては30というふうに若干改定をしたいということをご紹介いたしました。
 畜産排水につきましては、硝酸性窒素ですけれども、一般排水基準100に対してこれまで900という暫定排水基準を適用してまいったわけですけれども、これも実態調査を踏まえますと、700までは落としても大丈夫だろうということで、この基準に下げてはどうかというご説明をさせていただきました。そのほか工業系につきましても、一般排水基準までもう大丈夫だという業種もございましたし、まだちょっとそこまでは厳しいので、もう少し様子を見させてほしいというような業種もありました。それをまとめたものがここの表になっております。
 前回この表をご説明しまして、これは原案ですというご説明をさせていただきまして、これをもとに部会終了後、3-1、1枚目に戻っていただきまして、4月19日から5月20日まで1カ月間パブリックコメントということで、これに対する意見募集を行いました。その結果、延べ件数として40件、意見提出者数・団体として32ございました。大くくりにしておりますけれども、主には温泉業とその他ということでまとめております。
 温泉業につきましては、先ほど少し紹介しました自然由来であるか、あるいは人工的なものなのかということでご意見をいただいております。意見の概要のところをご覧いただきますと、そもそも温泉を規制対象とするのはけしからんという意見もまだございます。ただし、それについては特にふっ素で健康被害がかつて確認されたこともあって、訴訟に発展するような社会的な問題となったこともございますので、これを温泉だからといって取り外すというわけにはなかなかいかないというのが私どもの考え方でございます。
 意見にもありますように、自然湧出しているものと人工的に掘削した温泉では区別をしてほしいという意見もございました。あと、そのほかは温泉規制そのものをやめてほしいという意見が多々あるわけですけれども、それについてはなかなかそういうわけにもいかないと。ただし、人工的に掘削したものは環境の負荷をより積極的に与えることとなりますので、これは自然湧出温泉とは区別をして暫定排水基準を設定してはどうかというふうに考えておりますので、原案どおりとさせていただきたいという回答になります。
 もう一つ大きなテーマとして排水処理の技術あるいはコストあるいは廃棄物がどうしても問題となります。これは私どももこれまでも技術実証試験を公募いたしまして、そういう温泉排水の処理をする技術には一定の効果もあがっており、コスト的にも下がってきたということは承知しておるんですけれども、まだ実験している中ではパーフェクトなものにはまだ若干到達していないということがやむを得ぬというところがございます。それで、処理能力としては落とすことはできるんですけれども、やはりコストの問題、廃棄物の問題等ありまして、まだ残された課題がございますので、ここはなかなか厳しいと。ただし、今後ともそういう技術が開発されることに努めてまいりますし、あと、ご要望も出ておりますけれども、税制優遇ですとか低利融資といった財政的な措置が引き続き適用されていくように私どもからも要望していきたいというふうに考えておるところでございます。
 裏にまいって健康への影響ということでご意見をいただいております。これは有史以来、日本人は温泉を利用しているにもかかわらず、それが体に悪影響を与えているのかという趣旨かと思いますけれども、温泉につかることで健康影響があるといったことは全然想定もしておらないわけでして、それを飲んだりあるいは先ほど申しました水道の原水に例えばなったりしたことがございまして、そのときに問題となったという事例が実際ございます。そういうふっ素、ほう素の高いものを飲むと、やはりそれは健康に影響が出るだろうということで、そのために規制をしているものでございますので、そういうお答えをさせていただいております。
 また、今旅館業については規制をかけておるわけですけれども、同じような目的といいますか機能といいますか、宿泊はしないんですけれども、日帰りで温泉利用するという施設が結構増えてきております。日帰り温泉施設は現在のところは規制の対象になっておらず、そもそも温泉施設を規制対象としてほしくないという意見もございますが、日帰り温泉と旅館業で不公平ではないのかというご意見も確かにいただいております。これは私ども日帰り温泉が本当に環境上、問題となっているのかどうかまだ現時点でも十分把握しておりませんので、施設の規模ですとか排水量等、排出実態とかこういうものの具体的な実態を把握した上で今後検討を行っていければと、そんなふうに考えているところでございます。
 その他につきましては、先ほどの技術的な話ですので、重複しているかなと思います。
 あと、電気めっき業に関する内容でこれも技術開発に近い話ですので、引き続き努力をして、あるいは産官学一体となってフォローアップをしてまいっておりますので、技術的な助言等フォローアップを引き続きやってまいりたいという回答をさせていただいております。
 その他法令との関係で、どうも廃掃法を懸念されている方がいらっしゃるようでして、最終処分場の省令に影響するのかという問い合わせがございましたが、今回の改正は水濁法に基づく排水基準を定めようということですので、最終処分場の省令については何ら影響されるものではありませんというふうに考えておりますので、そういうご心配はする必要はないのではないかというふうにまとめさせていただいております。
 以上、前回の部会でご紹介させていただきました暫定排水基準に関わる話題についてご紹介させていただきました。
 続きまして、水環境分野における最近の国際協力についてという3-2を簡単にご紹介したいと思います。
 1枚あけていただきますと、これまで水環境課でWEPAという取組をやってきております。アジア水環境パートナーシップ、これ2003年の第3回の世界水フォーラムにおきまして環境省が提唱した取組でありまして、アジアの13カ国がパートナー国として参加されています。その中で国際的なワークショップですとか年次会合を開きながら各国との情報共有あるいは課題分析ということをやってきているということでございます。
 一番最近の話題といたしましては、今年の2月にカンボジアのシェムリアップで国際ワークショップ及び年次会合を開催したということと、あと、WEPAの取組ということで委員の方々には配付させていただいておりますけれども、アウトルックというものを最近出版しております。こういう各国の水に関する情報を集めてわかりやすくまとめるという活動をしてきております。こういったことでもし委員の皆様にもご活用いただければというふうに考えておるところです。
 もう一つの国際的なワークショップ等への参加ですけれども、先ほどの資料の2枚目ですね。アジア・太平洋水サミットへの参加というのをつけてございます。これはどちらかというと竹村委員のほうがまさにその会議の主催者になっておられましたので詳しいんですけれども、私どももWEPAのワークショップをこれと並行して開催されましたテクニカルワークショップということで開催させていただきましたので、そのご紹介をさせていただきたいと思います。
 アジア・太平洋水サミットはチェンマイで5月19日、20日に開催されました。これは本当に各国の大統領ですとか首脳クラスが集まる会議で、私ども事務局ではこれ本体には参加ということではないんですけれども、これと並行して行われました下のほうにありますテクニカルワークショップでWEPAワークショップというのを開催いたしました。
 1枚めくっていただきますと、4ページのところにWEPAテクニカルワークショップの概要というふうに書いてございます。5月17日に開催いたしまして、「よりよい水質に向けたアジアからの声~水に関するポスト2015年開発目標に向けて~」ということで開催いたしました。基調講演はこのWEPAのアドバイザーを務めていただいています前の中央環境審議会の会長ですね、鈴木基之先生がアジアの発展と水環境ということで基調講演をいただきましたし、この後、パネルディスカッションでは岡田部会長にもWEPAアドバイザーということでタイ、スリランカ、インドネシア、ベトナムの方々とのパネルディスカッションを行っていただきました。それで、まとめといたしましては、このWEPAを通じた地域間での知識の共有はアジアの水管理の改善に貢献しておりますと。今後、排水管理のインベントリ構築等さらに連携を強めるべきであるということですとか、ポスト2015年目標については、排水管理といったことも話題になっておると考えておりますけれども、各国がいろいろ多様性に富んでおりますので、そういうことを念頭に置いたものにしてほしいというような意見がございました。
 下の写真がパネルディスカッションと会場の様子を写したものです。
 1ページ戻っていただきまして、3ページですけれども、ここに19、20日のアジア・太平洋水サミットそのものの写真を紹介しております。チェンマイの国際会議展示場で開催しておりました。これはこの国際展示場のお披露目をかねたものとどうも聞いております。会場内はこんな感じで、環境省・IGESでの展示ブースを展示しておりました。そこの場にも会長であられます森元総理も来ていただいたということであります。ただし、会場全体では韓国が非常にプレゼンスが大きくて大分日本はやられちゃっているなというような印象に残念ながらなってしまいました。一番右下はプレナリー・セッション、これは開会のときの様子でございます。ここで一番上にありますチェンマイ宣言というのがまとめられまして、アジア・太平洋水サミットというのは大分で第1回は2007年に開かれたものですけれども、水と衛生を優先度の高い国家的な課題として改めて合意すると。ポスト2015年目標などに洪水ですとか干ばつですとか、そういう災害リスクも位置づけようと。3ポツはこれまでも言われておりますけれども、総合的な水資源管理の促進ですとかそういったことを引き続きやっていこうと。あるいはパートナーシップの構築、強化に努めるということ、そういう取りまとめがなされたようです。もし竹村先生から後から追加があれば言っていただければというふうに思います。
 さらにめくっていただきまして、水環境課でやっております中国ですとかアジアで排水管理ですね。排水管理のモデル事業というのをやっておりますので、これも簡単にご紹介しますけれども、中国ではアンモニア性窒素等の削減というモデル事業をやっております。これは特に農村部の対策ということで、主には生活排水処理の普及をやっております。両国の環境大臣間の覚え書きに基づきましてずっとやってきておりますけれども、最近になりまして、さらにアンモニア性窒素についても落とす必要があるというふうになってございまして、それに日本が得意分野であります膜分離活性汚泥システム、MBRというようなものを導入してアンモニア性窒素の削減を今回モデル的にやっていこうじゃないかということを進めておるところでございます。
 以上が国際的な最近の動きでございます。
 それで、その次が最近の環境基準に係る動きについてご紹介させていただきます。資料3-3ですけれども、これは昨年の平成24年12月のこの水環境部会の第30回の部会でご審議いただいたものをその後、告示をしてきておりますというご報告だけです。1番目が水質汚濁に関係する環境基準のうち、水生生物の保全に関する水質環境基準の項目追加ということをやってございます。これまでは亜鉛とノニルフェノールということだけだったわけですけれども、それに加えまして直鎖のアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩ということで追加になったという告示を平成25年3月にしておりますというご紹介と、2番目はこれも24年12月にご審議いただいた利根川の渡良瀬川にある渡良瀬貯水池と荒川にあります荒川貯水池の2つがこれまで河川だった類型指定が湖沼に変えるという告示をこれは6月の上旬になると思いますけれども、告示を予定しておるところでございます。
 3番目が海域の環境基準の類型指定ですね。これも水生生物のものですけれども、これも12月にご議論いただいたもので、具体的には大阪湾について類型指定を行うというものでございます。6月にこれも告示を予定しております。
 以上でございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまのご報告に関しましてご質問、ご意見等がございましたらお願いします。
 はい、どうぞ。よろしくお願いいたします。

【竹村委員】 アジア・太平洋水フォーラムについて簡単にお話しします。
 これは主催がアジア・太平洋水フォーラムというそういう組織がありまして、それは何かというと、全く法人格を持たない任意の法人でございまして、事務局は日本水フォーラムが私どもはNPOでございますけれども、NPOが事務局を担っているということで、NPOの事務局、つまり執行委員会は3人いらっしゃいますけれども、その3人の執行委員会と事務局という非常に小さな組織がアジア・太平洋に呼びかけて首脳が集まるというもので、10カ国の大統領、首脳が集まりました。韓国から首相が参加しました。非常に何を言いたいかというと、こういう水問題は2006年に亡くなられた橋本龍太郎前総理が水問題は縦割り行政を乗り越えないと解決できないと。どの国も極めて縦割り行政が激しいと、水に関しては。それを乗り越えられるのは唯一1人だけだと。首相か大統領だと。だから、この会議に参加する価値があるというか資格があるのは大統領か首相または国王、その3名だということで、本会議にはその方しか参加できないという非常におもしろい会議が提唱されまして、各国はそれに賛同して、事務局がいわゆる外交ルートではなくて、NPOが主催するということで大変おもしろい社会実験的な会議が大分で2007年に行われまして、第2回が今回タイで、ちょっと遅れたのは、タイは大洪水がありましたので、ちょっと遅れましたけれども、そのような会議が行われたということでございます。実際、タイの政府が外交ルートを使っているさまざまな支援をしてくれたので、できているわけでございますが、基本的にはNPOが呼びかけて、そして、各国の大統領、首脳─国王もいらっしゃいましたけれども─国王が集まって水問題を議論するという水に関しては非常におもしろい現象ができつつあるなということでございまして、皆様方、何かのときに水フォーラムのホームページを開いていただければ詳細が出ておりますので、よろしくお願いいたします。

【岡田部会長】 どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次に、閉鎖性海域対策室から瀬戸内海環境保全小委員会委員の構成とヘルシープランについてご報告をお願いいたします。

【名倉室長】 閉鎖性海域対策室、名倉でございます。
 資料4に基づきましてご報告させていただきます。
 この資料4の中に2つの案件が入っております。1ページ目のところと2ページ以降ということで別の案件が入っております。
 まず、1ページ目についてご説明させていただきます。
 これは名簿の案だけをご提示させていただいておりますけれども、これにつきましては、前回の水環境部会でこの瀬戸内海環境保全小委員会を設置いただきました。また、前回の水環境部会の中でこの瀬戸内海の環境保全基本計画の変更について大臣から諮問がございまして、中環審会長からこの水環境部会に付議があったところでございます。
 この小委員会の委員ですとか専門委員につきましては、中央環境審議会の議事運営規則で部会長が指名することになっております。現在この資料4の1ページ目にございます方々に対して、委員の委嘱の手続を進めておるところでございます。まだ全部その手続が終わっておりませんで、とりあえず内諾は得た段階でございますので、今のところこういう案という形で出させていただいておりますけれども、正式の手続が終わりますれば日程の調整をしまして、小委員会の活動として入っていきたいというふうに考えております。
 以上、報告させていただきます。
 それから、2ページ目以降につきましては、全く別の案件でございまして、私どもの部屋のほうでここにあります海域の物質循環健全化計画策定事業というのを進めております。これは通称ヘルシープランというふうに呼んでおりますけれども、2ページ目の上のほうに緑色の字の囲みで書いておりますけれども、生物多様性に富んだ豊かで健全な海域環境を実現するために生物の生息ですとか生育場の保全も含めて、海域と陸域とを通じて生態系の低次から高次に円滑に物質を循環させるためにモデル地域を設けまして、ヘルシープランというのを策定して、このほかの地域で同様のプランを作成する際の手順を海域のヘルシープラン策定の手引きというものに取りまとめましたので、関係自治体に配布したというものでございます。
 この手引きの概要につきましては、左下のところに書いておりますけれども、はじめにというところがございまして、この物質循環健全化に向けた取組とか課題とかこの手引きの位置づけというのを書きまして、Iのところですけれども、ヘルシーな状態というのはどういう状態かということで、この中では再生産可能な生物資源を生み出す海の仕組みが十分に機能している状態というのをヘルシーな状態だというふうに定義づけまして、こういった計画を立てていく際にどういうふうにやっていくかということで、IIのところで海域のヘルシープラン策定の要領というのをSTEP1からSTEP7までで書いたものでございます。まず現状把握ですとかをしまして、問題点を抽出して課題を抽出すると。基本方針を決定して健全化に向けた方策等を書いていくと。その実施状況ですとか効果等を確認するためのモニタリングの計画を立てまして、順応的管理ということで改善をしていくという方法でやっていってはどうかというようなことで手引きをつくっております。
 モデル地域としましては、右のほうに地図で出しておりますけれども、愛知県の三河湾ですね。それから、兵庫県の播磨灘北東部、これらにつきましては平成22年から24年の事業としてモデル地域におけるヘルシープランというのをつくったということでございまして、もう一つ、広島の三津湾につきましては、平成23年から本年度、25年までの予定でこのプランづくりをしているところでございます。
 既にヘルシープランをつくったものの概要を3ページのところに載せております。
 3ページの左側がこれは三河湾のヘルシープランというものでございまして、一番上のところに不具合としまして、貧酸素水の拡大というのがあると。貧酸素水があることが問題になっておるというものでございまして、対策としては、対策の[1]としては例えば干潟、浅場を保全とか再生するとか、対策の2としましては、アマモ場の保全・再生を行うとか、そのちょっと右下のほうにいって対策の3としては食物連鎖阻害地形の改善をしていくとか、それから、ちょっと左下のほうになるんですけれども、対策4としてはソフト的な対策としてサポーターとかを増やしていこうとか調査研究をやっていこうとかというようなことを対策として盛り込んでいるというものでございます。こういう形でプランというものをこういう対策をやっていけばいいというふうにつくったものでございますけれども、これ実は三河湾につきましては、もうかなり前からこういった対策をやりつつあったところでございまして、かなり成果が現れてきていると。例えばアサリにつきましては、全国一獲れるようになってきているとかというようなこともございますので、そういったものをこれからも進めていこうというような計画づくりをしたものでございます。
 それから、その3ページの右側にいきまして、播磨灘北東部のヘルシープランというものでございますけれども、ここの辺りにつきましては、不具合としてはノリの色落ちですとか海面漁業生産量の減少等があるということで、問題としては何が問題かというと、その下のところにございますけれども、湾の奥部のほうでの滞留域ではDIN、溶存無機態窒素の濃度が高どまりしていると。夏には底層で貧酸素化が起こるというようなことはございますけれども、一方で沿岸から沖合域ではDIN濃度が低下をしてノリの色落ち等が起こるということになっておりまして、こうしたDINの偏在というのが問題になっているというものでございますので、そうした偏在をなくしていくというのが対策ではなかろうかということで、その対策としては3つほど上げておりますけれども、1つは一番左側で加古川の下流浄化センター、これは下水処理場でございますけれども、そこで冬の間窒素を若干増やすというような運転方法をして流せば、この沖合域でのDINが足りない状況というのが少し緩和できるのではないかというような対策が1つございます。あとの2つは、この偏在をなくすということですけれども、河川水を利用しまして、たまっている汚れを水で沖のほうまで流してやるというような方法があるのではないかとか、あと一番右は海水交換防波堤という港湾の入り口のところにこの水の流れで海水が交換するような防波堤をつくれば、その港湾の奥にある栄養分を外に出すことができるのではないかというようなことが考えられるということで、こういったものにつきまして、こういった構造物については実際ちょっとつくってみるとかというふうにはなりませんけれども、下水処理場の運転等は実際少しやってみて、それをシミュレーションでどれぐらい広がるかというようなことを行いまして、こうした計画をつくったというものでございます。
 こうした計画につきましては、その次のページをめくっていただきますと、4ページ目以降が実際にこういう形で実行してくださいとか、ほかの地域でもやってみてくださいという事務連絡を出しておりますけれども、一応こうして実際にヘルシープランをつくったところでは、このプランに従ってやってみてくださいと。そういった以外のところでもこういう問題を抱えているところでは、こういうプランづくりをしてみてくださいということで、こういうプランをつくった場合にはそのプランとその後の実施状況とか効果が本当に出ているのかどうかというようなモニタリングをしっかりして、環境省にご提供くださいということでお願いしておるところでございます。
 4ページ目以降は実際に出した事務連絡で、もう少し今ご説明したものの詳しいものと一緒に関係自治体のほうに送っております。こうした取組をやっておりますので、また実際にやっていただいたところからは本当に効果があるのかどうかといったようなことがデータとしていただけることになっておりますので、そうしたデータを集めまして、こうした取組の有効性等を確認してまいりたいと思っております。
 以上でございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまのご報告に関しましてご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。
 どうぞ、福島委員。

【福島委員】 ヘルシープランについてお教えいただきたいのですが、非常に立派な計画というふうに思いましたが、これの策定主体はどこになるのかというのが1点です。2点目はいろんな対策を打つときに実際にはお金がいろいろかかると。その辺の経済的支援みたいなことは、ここではどのように扱われているのかを教えてください。

【名倉室長】 策定主体としましては、まず、このモデル地域として策定したところにつきましては、環境省のほうで実施をしまして、委託先に検討会を設けて議論をしていただいたという経緯がございまして、プランの表書きとしては環境省の名前とその検討会の名前の両者でつくったというような形をとっております。この環境省の費用でやったところ以外のところでこういう取組をしていただく際には、恐らくその自治体の行政のほうが中心になってやっていただくことになるのかなと思っておりますけれども、特にどういうやり方でないといけないというような決めはしておりませんで、ただ、関係者でよく意見の交換をしてやっていただくようなことをお願いしておるところでございます。
 それから、後半の費用につきましては、環境省はそこまでやっていただくにしても、実際の費用をなかなか負担させていただくのは難しいということで、今このモデル事業の中でせいぜいというかシミュレーションのお手伝いをさせていただくというような状況でございます。

【岡田部会長】 よろしいですか。ほかにございますか。はい、どうぞ。

【浅野委員】 少し今の説明では物足りないものがあります。せっかくそこまで検討会までやったけれども、それぞれの場の検討会しか行われていないような印象ですね。ですから、もっと横断的にものを眺めるとかこういうようなプランをどういうところだったらつくれるんだろうかとか、そういうものなしにやみくもに自治体にぽんと投げて、こんなものがあるからやってご覧なさいといっても動けるのでしょうか。もう一回この検討会に加わった方々に集まってもらって、もう一回横断的な検討会をやって全国の情報をしっかり集めて、こういうところだったらこれができそうだみたいな見通しをつけて情報を流したほうがいいのではないかという印象ももつのですけれども、いかがですか。

【岡田部会長】 では、どうぞ。

【名倉室長】 横断的な検討会というのは、実はつくっておりまして、統括検討会というのをつくって、そのもとにこのそれぞれのモデル地域の検討会がぶら下がっているというか、意見交換はしながらやってきております。全部で3地域選びまして、本年度まだ三津湾が残っておりますので、本年度まではこの統括の検討会、それから、三津湾での検討会というのを動かしていくということになっております。このモデル地域を選ぶ際にも、まず関係自治体にお声がけをして応募していただいて、そこから選んだということになっておりますけれども、実際には費用面の問題もありまして、幾つかしか選ぶことができませんでしたので、ほかのご要望等もあればまたご相談をしつつ、環境省としてどこまでできるかということで、こうした有効性も見ながらどの程度これが有効性を発揮するのかということも含めてデータを見ながら、あとをどうしていくかということは考えてまいりたいと思っております。

【浅野委員】 わかりました。あとは水環境学会ぐらいで頑張って、しっかりフォローアップをしてPRをしてもらう以外ないと思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。ほかによろしいですか。
 それでは、次に海洋環境室より海洋基本計画及び海岸漂着物地域対策推進事業、この2つについてご報告をお願いいたします。

【坂本室長】 海洋環境室の坂本でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、1ページ目の海洋基本計画でございます。
 ご承知のとおり海洋基本法は平成19年にできておりまして、第1回目の初めの海洋基本計画が平成20年にできたということで、5年もしくは6年を目指して改定ということで、今回改定がなされたわけでございます。今回の新しい基本計画は閣議決定が4月26日に行われております。そして、今回の新しい海洋基本計画をめぐる社会情勢として4つが掲げられております。1つは東日本大震災後の防災、エネルギー政策の見直し、2つ目が海洋資源、再生可能エネルギーに対する期待の高まり、3つ目が海洋権益保全をめぐる国際情勢の変化、そして、最後4つ目が地球環境の変化、北極海航路活用可能性の高まり等の自然・社会情勢の変化、こういった情勢の変化を踏まえて新しい海洋基本計画ができたということでございます。
 そして、新しい海洋基本計画でございますが、全体は4つの大きな柱から構成されております。まず、1つの大きな柱として総論でございます。そして、第1部、第2部と、それから最後に第3部という4つの大きな柱となっております。総論では海洋立国日本の目指すべき姿として4つの中柱を掲げております。1つ目が国際協調と国際社会への貢献、2つ目が海洋の開発・利用による富と繁栄、いわゆる海洋資源等海洋の持つ潜在力を最大限引き出していこうというものでございます。3つ目が「海に守られた国」から「海を守る国」へ転換していこう。4つ目、最後が未踏のフロンティアへの挑戦ということで、海洋の未知なる領域の研究の推進などを行っていこうというものでございます。
 そして、総論を受けまして第1部、第2部で具体的な方向性が示されております。全体として7つの中柱がございまして、1つ目が海洋の開発及び利用と海洋環境の保全との調和を図っていこうというものでございます。なお、赤文字のところが環境省の関連の施策が書き込まれているところでございます。そして、2つ目の中柱が海洋の安全の確保ということで、ここは青文字になっておりますけれども、特に今回海洋政策本部のほうで力を入れて書いたところでございます。3つ目が科学的知見の充実ということで、海洋科学技術に関する研究開発の推進とか海洋調査の推進を図っていこうというふうになっております。4つ目が海洋産業の健全な発展ということで、海洋産業の振興及び国際競争力を強化していこう、また、2つ目として海上輸送の確保というものが掲げられております。5つ目の中柱が海洋の総合的管理ということで、特にEEZの開発の推進ということに力をいれております。6つ目が海洋に関する国際的協調を推進していこうと。7つ目が海洋教育の充実及び海洋に関する理解の増進を図っていこうということで、具体的な方針が書かれております。
 最後に第3部として海洋に関する施策を推進するための必要な事項として3つが掲げられておりまして、施策を効果的に推進するための総合海洋政策本部を見直していこうじゃないかということで、参与会議における検討体制の充実とか事務局機能の充実を図っていこうと。2つ目として関係者の責務及び相互の連携が書かれております。3つ目で施策に関する情報を積極的に公表していこうではないかということになっております。
 それで、赤文字のところをご覧いただきますと、環境省関連では風力発電等の海洋再生可能エネルギーの普及のための実証フィールドの整備などということで、長崎での実証研究のことが盛り込まれております。そして、次に海洋環境の保全等として生態学的、生物的に重要な海域の平成25年度までの抽出と、それから海洋保護区設定を推進していこうというものです。そして、次に海上輸送からのCO2排出抑制や海底下二酸化炭素回収貯留の調査・取組を推進していこうというところが環境省の関係でございます。
 そして、右へいっていただきまして、科学的知見の充実では、海洋科学技術に関する研究開発の推進等で自然災害対応等の重要課題の研究開発、これは具体的に環境省が海洋再生可能関係の研究でございますが、そういったものが盛り込まれております。そして、2つ目で衛星情報の一層の活用と宇宙の活用ということで、現在GOSATという人工衛星が上がっておりますが、これの後継機などの話が盛り込まれております。
 最後というか、海洋産業の健全な発展というところでまた赤文字が新たな海洋産業の創出がございますが、これはちょっと先ほど述べさせていただいた風力発電の話と、それからエコツーリズムの推進の話が盛り込まれているところでございます。
 以上が新しい海洋基本計画の概要でございます。
 次のページをめくっていただきますと、海岸漂着物地域対策推進事業ということで、要は我が国の海岸にいろんな外国由来もしくは国内由来のごみが漂着して景観とか環境を害しているわけでございますが、それの新しい事業が平成24年度補正で100億円近いお金をちょうだいいたしまして、25年、26年2年間で実施してまいることとしております。
 これにつきましては、補助金という形で基金を2年間積み立てていただいて、それを取り崩しながら海岸清掃に当たっていただこうというもので、補助率は10分の10、一部事業計画だけは2分の1ということでございますが、実際に海岸でお集めいただくようなものについては、10分の10全額を補助させていただくという形で進めさせていただいております。
 現在、多くの都道府県から絵に描いてございますが、一応要望をちょうだいしておりまして、内示をさせていただいております。数県についてはご要望いただいておりませんが、ほとんどの都道府県からご要望をいただいて、現在手続を進めているところでございます。前、21年からグリーンニューディールの中でもこういった事業を行っておりまして進めてきたわけですが、それと大きく違うところというのは、前回のグリーンニューディールの中では事業主体は基本的に都道府県ということになっておりまして、一部海岸を管理している市町村については市町村が事業主体になる場合もございましたけれども、ほとんどが都道府県が事業主体という形になっておりました。今回につきましては、海岸管理者か否かに問わず都道府県もしくは意欲的な市町村がいずれでも事業主体になっていただけるということで、さらに一層海岸清掃に努めていただきたいという趣旨のものでございます。
 以上です。ありがとうございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。よろしいですか。
 それでは、続きまして、地下水・地盤環境室より水質汚濁防止法改正後の取組及び先進的地中熱利用ヒートポンプシステムの導入促進事業、これについてご報告をお願いいたします。

【木村室長】 地下水・地盤環境室、木村でございます。当室からは2点ほどご報告申し上げます。
 初めに、水濁法改正による有害物質の地下浸透策についてのご報告ということで、資料1のほう、表裏ございますが、後ろの方は字をかなり大きくして内容をざっくりと書かせていただいていますが、これについてまずご説明させていただきます。
 初めに、これは事業者に対する有害物質の地下浸透禁止に関する規定を平成元年に水濁法の改正で整備したところでありますが、その後も汚染事例が継続的に確認されたために中央環境審議会地下水汚染未然防止小委員会におきまして審議をいただきまして、平成23年6月に水濁法の一部を改正する法律が成立しました。この改正の主な内容としましては3点ほどございまして、有害物質貯蔵施設を水濁法の届け出対象とするなどの対象施設の拡大、有害物質使用特定施設等に対する構造等に対する基準の遵守義務、それと3点目ですが、同施設に対する定期点検の義務の創設、この3点が主な改正の内容でございました。
 その後、法律改正後1年以内に施行ということで、平成24年6月1日の法改正施行に向けまして、23年11月の政令改正で有害物質貯蔵指定施設の具体的な定義について定めまして、24年3月の省令改正で構造物等に関する基準や定期点検の方法等について定めております。ただし、この法改正の施行に際して、既に設置されている施設については平成27年5月までの3カ年、適用猶予期間を設けることとしておりましたので、この間に対象事業者に対して周知徹底し、確実に法に適合させていただく必要があるということで、昨年度は法改正に関する説明会の実施や地下水汚染未然防止のための構造と点検、管理に関する検討会を設置いたしまして、法改正の内容をまとめたマニュアルを改定するとともに、法指定施設に該当するか否かの判断などについての事例集や漏えい検知技術に関する事例集を作成しておりまして、間もなくこれは6月頭ぐらいを目処に今頑張っておりますが、ホームページで公表していく予定であります。また、ホームページ公表後も引き続きマニュアルや事例集を充実していくとともに、講習会等を開催しまして、周知普及を行っていきたいと考えておるところでございます。
 次に、資料6-2でございますが、これはまた前後ろ、さらにパンフレットもつけさせていただいていますが、地中熱利用についてでございます。
 地中熱につきましては、地下10メートル以下の地中の温度が通常1年を通じて15度前後と極めて安定していることから、この安定した熱エネルギーを冷暖房や融雪等に活用することを地中熱利用として呼んでおります。このことにつきましては、次に入っておりますが、地中熱ヒートポンプシステムというパンフレットを使ってどういう利用法があるかもご紹介しておりますので、後ほど見ていただければと思います。
 この地中熱利用は省エネ、温暖化対策に高い効果を持つほか、熱が空気中に出ないということでヒートアイランド現象の抑制効果も期待されているところでございます。このことから、当室としても導入を促進すべく先進的地中熱利用ヒートポンプの導入促進事業を今年度より立ち上げさせていただきました。これにつきましては、資料2の冒頭にありますが、低炭素価値向上に向けた社会システム構築支援基金という中の一事業として、ちょっと真ん中辺に赤で囲ってあって、1億と書いてございますが、この事業がこれに該当するところでございます。
 地中熱利用ヒートポンプを支援いたします事業は、ここに書いてあるほかにも経済産業省が再生可能エネルギー等の支援の施策の中の一メニューに加えているほか、環境省では従前、クールシティ推進事業や環境技術実証事業によって支援を行ってきましたが、現状ではなかなか日本では諸外国に比べてもまだまだ普及が遅れている状況にあります。普及促進に関する課題として、そもそも認知度があまりない、低いということ、イニシャルコスト、いわゆる導入コストが非常に高いことが非常に問題となっておりますので、現在ここで出しておりますこの補助事業によりましてこのような課題を克服しながら普及を図ってまいりたいと思っております。
 なお、当室としては地中熱利用をただ促進するということはちょっとなかなか問題があるのではなかろうかというところで、地盤環境に与える影響をしっかりと把握することも必要と考えておりまして、この補助事業の中では地中温度変化などのモニタリングを行い、地中熱利用に伴う地盤環境や、さらにCO2対策でどれぐらい削減効果があったか、また、ヒートポンプの効率評価などもあわせてできるようなデータの収集もこの事業の中で行っていきたいと考えておるところでございます。
 当室からのご報告は以上でございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。
 はい、どうぞ。

【中杉委員】 2つ目の地中熱利用の促進をしていくことが必要だろうと思うんですが、言われたとおり負の影響が重要な問題になっていくだろうと。実際に私も東京都の環境影響評価審議会に関わっていまして、実際にそういう案件が出てきているんですね。まだ今のところ数が少ないから少々入っても問題がないだろうというふうなことで終わってしまうんですけれども、これがどんどん普及していくと、あっちでもこっちでも地上の熱を地下に持っていくということになる。そういう意味では、実際にどういうふうに評価をしたらいいだろうかというところをぜひ極めて決めていただけるとありがたいなと。なかなかそのためのデータを収集するというのをまず今やられているということなんだろうと思うんですけれども、実際にこれから非常に重要なポイントになってくるかなと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。これはよろしいですね。

【木村室長】 そのようにさせていただければと思います。

【岡田部会長】 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
 では、どうぞ。

【浅野委員】 水質汚濁防止法の改正で、構造基準を取り入れたということは画期的なことですが、構造基準というのは、ものの構造だけでなく、管理行為の適正化というやりかたでもちゃんとクリアできる仕組みにしているわけです。ここのところが本当にちゃんと徹底されていかないといけないですね。発想は、実は民法717条の工作物責任とか、国家賠償法2条の営造物責任というようなものにありまして、工作物や営造物の設置管理の瑕疵というときに、単に物的な施設の瑕疵だけを問題にしているんじゃなくて、判例はそれの管理の仕方も含めて工作物や営造物が危険性のないものとなっているかどうかという議論をやるわけです。これについてははっきりした判例法ができ上がっているわけです。これらの判例法の考え方がベースになって、水濁法改正のときにこういう行政領域の法律の運用にもこのような考え方をとり入れてみようとしたわけです。ですから、いたずらに施設をちゃんとしろというようなことばかりを要求するのではないということで、事業者の方々にも賛同をいただいてこの改正は割合スムーズに進んだわけですから、今後とも自治体がその趣旨をちゃんと徹底して理解できるようにということをやっていかないといけない。へたすると、どうしてもものを中心にものを考えてしまうということではこの改正の趣旨に反するので、その辺はぜひしっかり引き継ぎもしていただいて、お願いをしたいと思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。これも本件はよろしいですね。ほかにございますでしょうか。
 はい、どうぞ。

【浅見委員】 ちょっと別件でよろしいでしょうか。前回のときに少し硝酸の件で中途半端なことを申し上げてしまって、排出量の全体の削減が見込めるようなことが望ましいのではないかというようなことを言って、浅野先生にもお助けをいただいたようなところだったんですけれども、背景で一つ参考情報として今後の動きをちょっとご紹介しておきたいと思います。水道法のほうでは、硝酸性窒素に関連いたしました亜硝酸性窒素というのが今度基準化される見込みになってきておりまして、特に支障がなければ0.04mg/Lという亜硝酸性窒素の濃度が決まる可能性が出てきております。毒性の点から非常に低い濃度です。硝酸性窒素が環境中に出て還元状態になりますと、亜硝酸性窒素が生成してきます。水道でなるべく酸化処理をして硝酸にしてということで対応はできるようにしているんですけれども、完全には対応できないところも出てくるかもしれないということです。食品安全委員会のほうの結果も出まして、そのような非常に厳しい値が設定される可能性があるということでお知らせしておきたいと思います。
 以上です。

【岡田部会長】 ありがとうございました。ほかに関連してございますでしょうか。
 全体を通じてご質問、ご意見等がほかにございましたらお受けしたいと。はい、どうぞ。

【藤井委員】 海洋関係で質問をするのをちょっと手を挙げることができませんでした。1ページの風力発電のところです。第1部、第2部の……

【岡田部会長】 資料番号をちょっと言っていただけますか。

【藤井委員】 ごめんなさい、資料5ですね。資料5の第1部、第2部の海洋に関する施策について風力発電を扱った項が真ん中辺りにあります。この実証フィールドの整備など政策支援のところで、福島や長崎での実証研究の中の長崎が赤字になっていますが、福島は黒字、例えば南相馬なんかももう本当に風力発電、被災地がありますが、福島については、環境省はタッチしないということでしょうか。それ以外にも宮城県も含めて、ご存じのように被災地における風力発電はここのカテゴリーとは違うところでするということでしょうか。

【坂本室長】 申し訳ございません。この長崎、五島の椛島のところだと思うんですけれども、これ今やっているものについての記述になっておりまして、申し訳ございませんが。

【藤井委員】 では、それは福島の実践のほうにも……。

【木村室長】 すみません。ちょっと聞きかじりのご報告をさせていただきますが、洋上風力発電ということで環境省は長崎のほうに試験プラントをつくっております。今現在、プラントの発電量をもうちょい大きいものに変えようとして、もともと小規模の発電量を大きい規模にして、さらに試験をしています。福島沖等につきましては、たしか経産省のほうがやられているかと思いますが、これについては環境省も連携して、そこで得られたデータをまた経産省と協力しながら福島沖のほうの風力発電に役立てていただこうというような形で、連携的な形で今やられていようかと思いますが、ちょっと直接に環境省がその部分はやっておらないで、まだ長崎のほうの洋上風力の試験ということで環境省がやっているという状況でございます。

【岡田部会長】 よろしいですね。ほかにございますでしょうか。
 ないようでしたら、以上をもちまして第32回水環境部会を閉会させていただきます。
 事務局にお返ししますので、連絡事項等がございましたらお願いいたします。

【司会】 ありがとうございます。
 本日はお忙しい中長時間にわたるご審議をいただき、ありがとうございました。
 なお、本日の審議事項の環境基本計画の点検は、9月を目処に総合政策部会に報告することになっておりますので、それまでにあと2回ほど部会を開催する予定です。後日事務局から日程調整をさせていただきたいと存じますので、委員の皆様にはご多忙のところとは存じますが、ぜひとも出席を賜りますようお願い申し上げます。
 お手元の資料につきまして郵送をご希望の場合は、封筒にお名前をお書きいただければ事務局より郵送させていただきます。
 これにて、本日の部会を終了いたします。ありがとうございました。

午後4時30分 閉会