中央環境審議会水環境部会(第29回)議事録

開会

議題

  1. (1)水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等について(第1次報告)
  2. (2)水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について(第5次報告)
  3. (3)水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について(第2次報告)
  4. (4)その他報告事項
    • 地下水汚染の未然防止対策について
    • 東日本大震災への対応について

閉会

配布資料

資料1 中央環境審議会水環境部会委員名簿(平成24年3月7日現在)
資料2-1 水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等について(第1次報告)
資料2-2 水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等について(平成22年8月12日諮問・付議)
資料3-1 水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について(第5次報告)
資料3-2 水生生物の保全に係る水質環境基準の水域類型の指定について(平成16年8月27日諮問・付議)
資料4-1 水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について(第2次報告)
資料4-2 水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について(平成21年11月30日諮問・付議)
資料5-1 水質汚濁防止法に基づく有害物質貯蔵指定施設の対象となる施設について(第1次答申)
資料5-2 有害物質使用特定施設等に係る構造等に関する基準の設定及び定期点検の方法について(第2次答申)
資料6 東日本大震災への対応について
参考資料1 中央環境審議会関係法令等

議事

午前10時00分 開会

【池田課長補佐】 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第29回水環境部会を開会いたします。
開催に先立ちまして、本日の出席委員のご報告をいたします。所属委員35名のうち過半数の26名の委員にご出席いただいておりますので、中央環境審議会令第7条第3項により、準用する同条第1項の規定に基づき定足数を満たしており、本部会は成立しておりますことをご報告いたします。
また、本日の会議は中央環境審議会の運営方針に基づきまして、公開とさせていただきます。
初めに、水・大気環境局長の鷺坂よりごあいさつを申し上げます。

【鷺坂局長】 おはようございます。環境省の水・大気環境局長の鷺坂でございます。
本日は大変お忙しい中、水環境部会の先生方にご出席を賜りまして、ありがとうございます。また、委員の皆様方には、日ごろより水環境行政の推進につきまして、何かとご指導、ご鞭撻を賜っておりますことを、この場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。
水環境部会でございますけれども、昨年の7月以来かと思います。いろいろと環境省の水・大気環境局におきましても、東日本大震災への対応をしてきたところでございまして、ただ、そういった流れの中でも、水行政が非常に重要だというふうに認識しているところでございます。
本日の議題でございますけれども、環境大臣より中央環境審議会に諮問し、水環境部会の水生生物保全環境基準専門委員会でご検討いただいておりました水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等ということと、同じように、水生生物の保全環境基準類型指定専門委員会でご検討いただいておりました水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について、専門委員会の検討結果と、答申案についてご報告いただき、ご審議をいただく予定としております。
また、同じく、環境大臣より諮問しておりました水環境部会の排出規制等専門委員会でご検討いただいておりました水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等につきましても、専門委員会の検討結果、答申案についてご報告いただき、ご審議をいただきたいと、このように考えているところでございます。
引き続き、水環境行政、非常に多岐にわたっている分野でございます。委員の皆様方のさらなるご指導、ご助言を賜りますよう、この場をおかりしてお願いを申し上げまして、私からの冒頭のごあいさつにさせていただきます。本日はどうかよろしくお願いします。

【池田課長補佐】 次に、本日の審議のため、お手元にお配りしております資料につきましては、議事次第にございます資料一覧のとおりとなっております。配付漏れ等ございましたら、事務局までお申しつけください。
それでは、議事に移りたいと存じます。これよりの議事の進行につきましては岡田部会長にお願いいたします。よろしくお願い申し上げます。

【岡田部会長】 はい、かしこまりました。年度末のお忙しいところ、朝からお集まりいただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速ただいまから第29回水環境部会の議事に入りたいと思います。
本日の議題でございますが、審議事項といたしまして、水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等についての第1次報告、次に、水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について、これは第5次報告になります。3番目に、水質汚濁法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について、これは第2次報告をいただいて、ご審議いただく予定です。それから、報告事項といたしまして、地下水汚染の未然防止対策について、並びに東日本大震災への対応についての2件でございます。
それでは、まず、審議案件の(1)水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等についての第1次報告でございます。これは平成22年8月12日付で環境大臣より諮問され、水生生物保全環境基準専門委員会において検討していただいております。本日は第1次報告についてご審議いただき、部会としての答申案を取りまとめさせていただきたいというふうに考えております。
それでは、水生生物保全環境基準専門委員会の委員長をお願いしております、須藤先生から全般的なご説明をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

【須藤委員】 かしこまりました。それでは、専門委員会の委員長を務めております須藤からご報告をさせていただきます。
水生生物保全環境基準専門委員会におきましては、先ほど部会長が言われましたように、平成22年8月にいただいた水生生物の保全に係る環境基準の項目追加等の諮問につきまして、平成23年1月より検討を開始し、本年1月のパブリックコメントを挟んで、今般、第1次専門委員会報告として取りまとめをいたしましたので、ここに報告をさせていただきます。その報告書は、ここにございます資料2-1をどうぞご覧になってください。第1次報告というものでございます。
まず、1ページ目でございますが、環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準は、公共水域について、維持することが望ましい基準として定められている行政上の目標であり、現在、水生生物の保全に係る環境基準については、ご承知のとおり、亜鉛1項目が定められているわけでございます。
2ページにまいります。今回の検討におきましては、水生生物の生息または生育に支障を及ぼすおそれある化学物質であり、水環境中での検出状況を踏まえ、優先的に検討すべき物質のうち、信頼できる毒性情報があるノニルフェノールについて検討を行いました。検討の基本的な考え方については、平成15年度の答申に示された考え方をそのまま基本として踏襲しております。
それでは、8ページ以降、具体的な検討結果が記載されております。どうぞご覧になってください。
具体的な検討結果といたしましては、公共水域において、全国的な目標値の超過等の状況から、ノニルフェノールは全国的な環境管理施策を講じて、公共水域における濃度の低減を図ることが必要であり、環境基準項目として設定することが適当であるという結論になりました。
検出状況については、別紙2にまとめてございますので、ご覧になってください。
基準値については、8ページにまとめてございます。8ページの一覧表がございます。それをどうぞご覧になってください。
ノニルフェノールを対象とした類型である生物Aについては1μg/L、高温域を好む水生生物を対象とした類型である生物Bについては2μg/Lなどの基準値を定めることとしております。
10ページをどうぞご覧になってください。
今後は、引き続き、優先して検討すべき物質について評価を行い、水生生物の保全に係る環境基準項目等への追加について検討を行うことといたしております。
報告の概要は以上でございます。よろしくどうぞご審議をお願いいたします。

【岡田部会長】 どうもありがとうございました。それでは、事務局から補足説明があれば、続けてお願いいたします。

【吉田課長】 水環境課長の吉田です。若干の補足をさせていただきます。
まず、このノニルフェノールという物質ですけれども、これは界面活性剤や合成樹脂、それからゴムの酸化防止などの原料に使用されておりまして、特にこの約6割が界面活性剤、これは洗剤などに含まれておりますが、その原料として使用されています。この物質による水生生物への影響ということですが、メダカなどの稚仔魚、これの成長が阻害されるという影響が確認をされています。
今、須藤委員長の説明にありました、水質目標の設定ですが、平成15年の答申の踏襲ということで、少し以前になりますので、少しおさらいも含めて補足をさせていただきます。
2ページの(3)のところに水生生物保全に係る水質目標の設定の考え方として、「平成15年答申の考え方を基本に」と書いてあります。その下の「①目指すべき保全の水準」にありますように、水生生物の保全に係る水質目標、これは、水生生物の生息の確保という観点から、世代交代が適切に行われるように、水生生物の個体群の存続への影響を防止することを目指して設定するということです。そのために、特に感受性の高い生物個体の保護までは考慮せずに、個体群の維持を可能とするレベルで設定をしようという考え方でして、目標値は、水生生物への影響を未然に防止する観点から、環境水中の濃度レベル、つまり、濃度でもって規定をしようということでありまして、その濃度の性格としましては、その最初の行ですが、水生生物にとっての「最大許容濃度」や「受忍限度」というようなものではなく、維持することが望ましい水準として設定することが適当という考え方です。
目標値につきましては、科学的に設定すべきといったようなことが書かれております。
そして、③対象とする生物及び類型区分というところですが、対象とする生物としましては、魚介類のみならず、餌生物についても評価の対象とするというもので、これは魚が生存していくためには、やはり餌生物についても一定の保全が必要ということであります。
次に、4ページの表にありますように、それぞれエリアを区分をいたしております。まず、淡水域と海域に分けておりまして、これはそれぞれ生息する種も異なりますし、化学物質の毒性発現についても異なると考えられることからです。特に淡水域については、生物Aと生物B分けております。このAのほうは、表のように、イワナやサケマスなど、そういう比較的低温域を好む水生生物、Bのほうは、コイ、フナ等比較的高温域を好む水生生物、一般的には低温域ですので、河川ですと上流のほうに生息するといったものが生物Aでございまして、下流域のほうに生息するのが生物Bとなりますので、河川の例えば上流域を生物A、下流域を生物Bというように類型区分をするのが一般的です。
また、それ以外に生物特Aというのと生物特Bというのがあります。これは特別域のA、Bということでして、この特別域というのは、魚についても、卵や稚仔魚は、親とは、毒性に対する耐性が異なる可能性がありますので、特に産卵域や稚仔魚の生息場については、特別に配慮する必要があるということで、この特別域を別途設けています。
また、海域については、そういう低温、高温という区分はありませんので、単にAと特別域のAに分類をいたしております。
それぞれの類型区分ごとに目標値、つまり、最終的には環境基準値ということになりますが、これを導出という言い方をしておりますが、算出します。その方法が、5ページの目標値の導出方法ということで、(2)に示しておりますが、国際的にも定着した最新の化学物質による生体影響の評価方法を用いるということと、現時点で利用可能な内外の科学的データを収集・整理するということ。さらには、委員の専門的知見に基づき検討・評価を行うといったような考え方で、導出しております。
その方法については、6ページのエの目標値の導出というところです。これは評価対象となる試験結果、この試験結果というのは、文献等に記されている試験の結果もありますし、自分たちで試験をしたものもありますが、その試験結果を類型区分ごとに、魚介類あるいは餌生物というふうに分類しまして、その魚介類に慢性影響を生じないレベルとして算出されます「無影響導出値」、同じように餌生物についても「無影響導出値」を算出します。それぞれ算出方法は若干異なりますが、その下をご参照いただきまして、最終的には、7ページの「無影響導出値」、それぞれ魚介類の分と餌生物の分ですが、それの小さいほうの数値を採用いたします。その結果が、先ほど須藤委員長のほうからお話のありました、8ページの表1にまとめているものでして、淡水域で申しますと、生物Aはニジマスの試験結果をもとに目標値を設定しておりまして、生物Bはメダカ、また、海域はマダイの試験結果をもとに算出しています。
最後に、10ページの今後の課題としまして、このノニルフェノール、水生生物の環境基準としましては、亜鉛につづいて、2番目の物質ですので、まだまだ科学的な知見が十分ではなく、今後とも、そういう水生生物と化学物質に関する科学的知見を集積する必要があるということ。さらには、(2)では、今後、このノニルフェノールの環境基準の維持・達成に向けまして、必要な環境管理施策を適切に講じていく必要があるといったようなご指摘をいただいております。
以下、別紙1、2、3と、それぞれその根拠や数値、それからノニルフェノールの検出方法等について、載せておりますので、お時間があるときに参照いただければと思います。
以上、補足とさせていただきます。

【岡田部会長】 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。

【浅野委員】 全く素人の質問ですが、このノニルフェノールという化学物質は、どういうところで、どんな用途で使われているもので、どういうところに存在するものなのですか。

【岡田部会長】 じゃあ、これは課長がいいですか。

【吉田課長】 ノニルフェノールは自然界にはありませんで、人間がつくり出した物質です。先ほど申しましたように、特に界面活性剤、洗剤とかあるいは化粧品に含まれている界面活性剤ですが、これの原料として、そのノニルフェノールの6割以上が使われていると、こういうものであります。

【岡田部会長】 よろしいですか。ほかに。
どうぞ。

【薗田委員】 すみません、ヨーロッパとか、各国のほうの規制の状況として、ノニルフェノールが何か規制されているとか、そういった基準値があるという事例がありましたら、教えていただけますか。

【吉田課長】 お手元の資料2-1の、今は前段の部分を説明しましたが、ページをくっていただいて、12ページの後ろに別紙1というのがあります。ページ番号がまた1ページからになっておりますが、この別紙1の1ページのところ、ノニルフェノールのその下の表に、それぞれの国ごとの目標値を示しております。

【岡田部会長】 よろしいですか。ありがとうございました。
じゃあ、どうぞ、藤井先生のほうから。

【藤井委員】 琵琶湖に始まる石けん運動の中で、このノニルフェノールは相当問題にして動いてまいりました。ですから、亜鉛に続いて、ノニルフェノールが取り上げられたことは大変うれしいと思います。ただ、ここで見ますと、9ページのところに、これからは「全国的な環境管理施策を講じて、公共水域における」云々とありますが、出る前の、つまり界面活性剤そのものを規制するとか、そういうところまで、ぜひ行ってほしいというのが、石けん運動をやってきた者の願いです。
それから、10ページのところで、これは環境ホルモンのところでも相当私たちは議論してまいりましたが、まだここについては「確たる手法がない」と書いてありますね。でも、ぜひここについても、さらなる一歩を進めていただきたいという、希望でございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。今の点はよろしいですね。
じゃあ、長屋委員、どうぞ。

【長屋委員】 9ページにおいて、淡水域における調査の結果が示されているのですが、海域における調査は行われているのかどうか。または、その海域における調査の今後の考え方について、あれば教えていただきたいと思います。

【吉田課長】 この同じく資料2の、先ほど別紙1をお示ししましたが、これが24ページまでありまして、その次に別紙2を横向きに挟んでおります。ここで、ノニルフェノールの検出状況ということで、それぞれの年ごとの数値を示しております。上の表が淡水域でして、下の表が海域です。

【岡田部会長】 よろしいですか。

【長屋委員】 では、海域では超過をしているところはないというふうなことで、よろしいですね。

【浅野委員】 いや、しているのは、この文書の中に載っていないようです。

【岡田部会長】 海域が10%を超過しているところはあるけれども、目標値を超過しているところはないです。ただ、浅野委員がおっしゃったように、9ページのところの書き方が、ですよね、長屋委員がおっしゃるのは。

【浅野委員】 調べていないのではなくて。

【岡田部会長】 海域については、超過しているところはないと書いてあれば、誰にも誤解を与えないと、こういうことですよね、先生。そういうことでしょう。

【長屋委員】 はい、そういうことです。

【岡田部会長】 どうしましょう、これ。いいですか、今回は。
入れ込んだほうが、そこまですること――じゃあ、これは長屋委員、いかがでしょう。どうしましょう、やっぱり書いておいたほうがいいですか。

【長屋委員】 可能であれば、書いていただいたほうが明確になると思います。

【岡田部会長】 じゃあ、これは事務局で検討させていただいて、可能であれば明記しておくというほうが誤解がないかと思いますので、そのようにさせていただきます。

【浅野委員】 公共用水域という概念には専門家の間では、常識的に両方含むということになっていますけど、多くの人の目に触れるので、公共用水域の後に括弧、こうこうと書いておけばいいのではないですか。

【岡田部会長】 この文章がですね。

【浅野委員】 ここはだから、超過のことだけを書いて。

【岡田部会長】 「公共用水域の淡水域における」と。

【浅野委員】 公共用水域という書き出しのところに、淡水域と海域と両方を含んで調べているということが書いてあるわけだから、それで調べた。だから、超過はこれだけだ。文章を、大きく書き直さなくても、括弧書きで少しだけ情報を補足すれば、趣旨は明らかにできるのではないですか。

【岡田部会長】 じゃあ、これはちょっと微修正ということで、よろしいですか。ありがとうございました。
どうぞ。

【岸委員】 先ほどの藤井委員の意見と私も同じです、ノニルフェノールに関して。
それと、私の質問は、8ページの目標値導出の概要の表で、ニジマスが使われたり、メダカとかマダイとかが出てくるんですけども、この魚を選んでいる理由というのは、前にも説明があったかもしれないけど、教えていただけますか。

【岡田部会長】 課長のほうから、どうぞ。

【吉田課長】 OECDという国際機関があるのですが、そこがこういう魚の試験について、こういう種を使って実施すると、広く認められている結果が出ると。つまり、魚についてはこの種で試験をするほうがいいですよという、いわゆる推奨種というのがありまして、その推奨種になっているもので試験を行っております。

【岡田部会長】 よろしいですか。ありがとうございました。
じゃあ、太田委員、どうぞ。

【太田委員】 関連しての質問ですけれども、この5ページのOECDテストガイドラインというのは、この推奨種以外にもどのようなことが規定されているものなのでしょうか。ちょっと知らないものですから、教えていただけばというのが1点です。
もう1点は、7ページですけれども、目標値の導出の場合に、魚介類と餌生物の小さいほうの数値をということなのですけれども、現実的にはどちらの数値になることが多いのでしょうか・ケース・バイ・ケースなのかもわかりませんけど、傾向とかいうのはあるのでしょうか。教えていただければありがたいです。

【岡田部会長】 じゃあ、これは、前者のほうはOECDのテストガイドラインですから、小山先生がいいかなと思います。すみません、先生にお答えいただければありがたいと思います。

【小山委員】 OECDで国際的に認められた試験法がございまして、世界中の化学物質の有害性評価を行うのに、どういう生物が適しているかということで検討されておりまして、先ほど来、紹介のありましたように、冷水域の代表的な生物、温水域の代表的な生物というものが設定されています。それから、動物プランクトンとか、植物プランクトンの試験種がすべて決められております。ただし、ここでは主に、主たる魚介類ですから、魚が中心プラスクルマエビとか、幾つかの主要な魚類以外の生物が主要魚介類として、試験種として挙げられています。
それから、それ以外に、それらの餌生物も対象とした別の試験がやられています。それは、先ほど来、紹介しているような動物プランクトンであるとか、植物プランクトン、これは主要魚介類の餌生物となる生物ですね。こういう試験結果、すべてがここに網羅されて、その最も低い値がここに出てくるという仕掛けでございます。

【太田委員】 非常によくわかりました。ありがとうございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。じゃあ、今の魚介類と餌生物の件は、課長のほうからお願いいたします。

【吉田課長】 今回は、結果的には魚介類の結果でもって定まっているという状況です。

【岡田部会長】 はい。よろしいでしょうか。
じゃあ、眞柄先生、どうぞ。

【眞柄委員】 ありがとうございます。農薬の水質汚濁性の評価をするときに、農薬原体から環境中で分解をしてほかの物質になったときに、どう水生生物への評価をするかということが議論をされております。
ノニルフェノールに関しても、後ろのほうの21ページのところなり、あるいは試験方法のところなり、各種異性体があるということがよく承知されているわけですが、この毒性評価をもとに環境基準値の値を算出する結果として、環境中に分解して生成する各種異性体を網羅した評価が行われているというふうに判断をされたという理解でよろしゅうございますか。

【岡田部会長】 これは、じゃあ、須藤先生。

【須藤委員】 先ほどの藤井先生の部分も含めまして、ご承知のとおり、ノニルフェノールはたくさんの異性体がもちろんありますし、非イオン界面活性剤の分解産物として環境中に存在するわけでございますから、その総和としてノニルフェノールを毒性評価として見たわけで、環境ホルモン、要するに生殖毒性はこの場合除外をしております。ですから、生殖毒性は含んでおりません。これは、これを入れるべきだという議論もたくさんあったのですが、生殖毒性の評価方法とか、そういうものがまだあいまいでもございますし、環境省としても、その方向性が定まっていないものですから、化学物質の毒性として評価をさせていただきました。
それから、藤井先生が先ほど、界面活性剤のことは大事だということをおっしゃいまして、私もそのとおりに思っておりまして、現在、非イオン界面活性剤よりも先に世の中に出て、洗剤運動のときの対象物質になったLAS、陰イオン界面活性剤のほうですね。LASについては、これも環境中にいまだたくさん存在しておりますので、現在、このような水質目標値が算定できるように勉強というか、評価しておりますので、次のこの会には出せるかな、あるいはその次かなと、こんなところで期待をしていただければと思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。
どうぞ、中杉先生。

【中杉委員】 何人かの先生方のご意見対して事務局のほうでお答えになったものに、少し補足をさせていただこうと思います。眞柄先生、ご承知だと思いますけども、異性体によって当然変わってくる可能性があります。ですけども、例えば今、須藤先生が言われた界面活性剤、LASみたいなものでも、長さによって当然変わってきます。そうすると、長さによって、ここまでという話があるのですが、現在はそこまでしてというふうな形で、必ずしもできていないので、とりあえずやるというふうな整理だろうというふうに考えています。
それから、太田委員の言われた話、小山先生がお答えになったのに、私がまたというのは失礼なんですけども、実際には試験法の中身が細かく決まっています。こういうふうな魚を何尾使って、どういうふうなやり方でしなさいということが全部決まっていますので、それに基づいてやるというふうな形になっております。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
ほかにございますか。よろしいですか。
特にこれ以外のご意見がなければ、本件について、当部会としてご了承いただいたというふうにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【岡田部会長】 ありがとうございます。それでは、本報告を部会からの答申とさせていただきます。中央環境審議会の議事運営規則第6条第1項の規定に基づいて、会長の同意を得て審議会の決議としていただき、大臣への答申の手続をとらせていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
それでは次に、審議案件の(2)水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について(第5次報告)でございます。これは平成16年8月27日付で環境大臣より諮問され、水生生物保全環境基準類型指定専門委員会において検討していただいてきております。本日は第5次報告についてご審議いただき、部会としての答申案を取りまとめさせていただきたいというふうに思います。
それでは、水生生物保全環境基準類型指定専門委員会の委員長をお願いしております、須藤先生から全般的なご説明をいただきたいと思います。お願いいたします。

【須藤委員】 かしこまりました。それでは、須藤が引き続いて、水生生物保全環境基準類型指定専門委員会の検討結果について、報告をさせていただきます。
水生生物保全環境基準類型指定専門委員会では、水生生物の保全に係る水質環境基準に関する第5次の水域の類型指定について、平成22年6月の第20回委員会以来、パブリックコメントを間に挟みまして、4回にわたって検討を行いました。そして、平成23年8月31日の第23回委員会におきまして、第5次専門委員会報告として取りまとめましたので、ここに報告をさせていただきます。
その報告書が3-1でございます。(第5次報告)と書いてございますので、それをどうぞご覧になっていただきたいと思います。
今回の報告は、国が類型指定すべき海域10水域のうち、東京湾、伊勢湾の類型指定についてでございます。類型指定の基本的な考え方につきましては、平成18年の第1次答申から平成22年度第4次答申までに示された考え方を基本といたしております。まず、海域の魚介類の生息状況に関する情報を基本とし、地形や水質等の情報を考え合わせて検討を行うことといたしました。
どうぞ、あと8ページ、9ページをおめくりいただきたいと思います。
具体的な類型指定の検討結果ですが、東京湾につきましては、これまで水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について(第2次答申)でございますが、それにおいて、類型指定の検討を行われ、生物特Aに指定される水域を除く、東京湾全域を生物Aとすること、及び三番瀬、盤洲干潟や三浦半島の浅場などについて、生物特Aとすることが適当であるとの結論を既に得ております。
一方、内房南部沿岸については、魚介類の産卵情報が不足していることから、特別域の指定に至っておりませんでしたが、環境省の平成20年度に実施した調査により、ヒラメ、マダイ等の産卵及び稚仔魚が確認されたことから、内房南部沿岸の浅場を新たに生物特Aに設定することにいたしました。
それから、次いで、伊勢湾でございますが、生物特Aに指定される水域を除く全域を生物Aとすることが適当であり、藤前干潟、木曽川河口付近、鈴鹿・津地先の浅場、それから松阪・伊勢地先の浅場、知多半島の北部の浅場、知多半島南部の浅場、湾口などの水域に生物特Aを設定することといたしました。
また、どの水域についても、環境基準類型に設定されている全亜鉛の水質濃度については、基準値レベルを超過する状況になかったため、達成期間については(イ)に分類される。(イ)というのは直ちに達成するということでございます。
全体をまとめてみますと、今回の報告により、国が類型指定する水域のうち、河川・湖沼37水域、海域2水域の合計39水域について検討することができました。47水域のうち39水域ですから、あと8水域残っているということになります。引き続き、国が指定する水域につきまして、これまで水生生物に係る類型指定がなされていない残りの海域の8水域の当てはめについて、審議を続けておりまして、その資料がそろい、検討が進みましたら、ここにおいて順次報告をさせていただきたいと考えております。
以上でございます。

【岡田部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、事務局から補足説明があれば、続けてお願いいたします。

【吉田課長】 それでは、恐縮ですが、若干補足をさせていただきます。
ただいまの9ページをご覧いただきまして、伊勢湾を事例としまして、その区域の設定方法について、簡単にご紹介をさせていただきます。
先ほどのノニルフェノールのところでもお話ししましたように、一般域と特別域に分類をしております。その特別域というのが、この少しブルーの濃いエリアでありまして、魚の産卵場や稚仔魚の生育場として、より厳しい基準を設定するということになります。実際には、全亜鉛の基準で申し上げますと、このAという区域は0.02㎎/L以下に対しまして、この特別域Aにつきましては0.01㎎/L以下というように環境基準で定められております。
この特別域Aの設定方法の考え方ですが、5ページに戻っていただけますでしょうか。5ページの伊勢湾というところがあります。その中段より下のところに、②特別域についてというところがあります。まず1点目は、保護水面というものを調べます。これは水産資源保護法等で、例えば水産動物の産卵や稚魚が生育するのに適している水面を保護するために措置を講ずる必要があるということで、定めているエリアがあります。こういったエリアは基本的に特別域に設定しようと考えておりますが、この伊勢湾に関しては、そういう保護水面は設定されておりません。
次に、地形の状況等を見ますが、今、申しましたように、魚の産卵や稚仔魚の生育場を、文献ですとか、聞き取り調査などで特定していこうというものであります。まず、どういう魚を選定するかにつきましては、その伊勢湾における主要な魚介類、特にこういう浅場で産卵をするような魚介類を選定いたしておりまして、スズキ、イシガレイ以下11種類を選定しまして、この11種類について、どういうところで産卵をするのか、どういうところで稚仔魚が生育するのかといったような文献、あるいは聞き取り調査を行います。
ページが一貫しておりませんで、一番後ろのページが63ページになっておるわけですが、ずっと戻っていただいて、8ページをお願いします。後ろから3分の1ぐらいのところになりますでしょうか。図2-3として、伊勢湾の底質分布という図を載せています。これは文献などに何メートルより浅いところの例えば砂質土で産卵するとか、そういう表現がありますので、産卵場を調べるためにも、こういう底質、いわゆる海底の砂とか、泥とか、その状況を、まず調べます。それから次に、9ページにありますような、干潟や藻場など、そういう海底の植生の状況を調べます。さらに、13ページになりますが、今度は主要な浅場を調べます。こういったものと、それからもう一つの条件といたしまして、14ページになりますが、この図は伊勢湾の底層DOの分布と書いております。DOというのは溶存酸素といいまして、水の中に含まれる酸素の濃度であります。赤いところは酸素の濃度が1以下ということで、ほとんど無酸素の状況になっているエリアということでありまして、伊勢湾につきましては、こういうエリアが相当広範囲に広がっているということで、こういうところを特別域に設定するのはいかがなものかというようなご意見もありまして、このエリアを除くという意味からも、こういう調査をしております。
17ページにありますように、夏場に3㎎/L以下のエリアを貧酸素エリアとして設定しております。21ページからは、魚の種ごとに、先ほど申しました文献や聞き取り調査で分布の状況を調べたものです。例えば、23ページを見ていただきますと、これはイシガレイの生息特性・地理的条件から見た好適な水域ということで、赤のエリアが稚仔魚の生育場、それからブルーの線を入れたところが、イシガレイの産卵場ということで場所を特定をいたしました。それぞれ魚の種ごとに整理しまして、これを足し込みまして、先ほどの貧酸素のエリアを除きまして、ほかにも、もちろん個々に細かな調査をするわけですが、追加的には、その後、魚の産卵調査を実際に行いまして、そういうエリアで産卵をしているかといったようなことを確認をした上で、9ページのエリアを最終的に設定をしたということです。少々わかりにくくて、申し訳ございません。
以上で補足とさせていただきます。

【岡田部会長】 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。
じゃあ、眞柄委員、どうぞ。

【眞柄委員】 細かいことで、8ページの類型指定の様子というのはよく理解できます。一方、魚の生息状況、その他の情報は、漁業権が設定されているところでありまして、私の見るところ。つまり、私の近所の東京港の中のデータはないですが、こちらの類型指定のところには、それがきっちり書かれているということで、そういう理解で、その類型指定というのは、必ずしもその水生生物の漁場云々ではなくて、我々の身の回りのすぐ目に見える軒先もちゃんと入っていますよという理解でよろしいわけですね。

【須藤委員】 私は、そのとおりに理解しています。

【岡田部会長】 よろしいですか。はい、じゃあそういうことで。
大久保委員、どうぞ。

【大久保委員】 伊勢湾においては、貧酸素の海域が結構あるということですけれども、これは経年的に見ますとどうなっていますか。今後の施策と絡んでくると思うのですけれども、貧酸素海域が増えているという状況はあるのでしょうか。経年的な変化ということが、もしわかりましたら、教えていただきたいと思います。

【岡田部会長】 じゃあ、稲垣委員のほうから。すみません、申し訳ございません。

【稲垣委員】 伊勢湾は、大変実は貧酸素水塊が以前から発生していて、漁業に影響がある地域であります。したがって、県としては以前から、覆砂あるいは浚渫、こういうものをしっかりやって、できるだけこの貧酸素水塊をなくしていこうと。
それでないと、やはりこの貧酸素水塊が風で移動していって、アサリ場とか、いろいろなところへ移動していくことによって、逃げることができない貝なんかは全滅してしまうというような、大変大きな問題がありますので、これについては今、県・市を挙げて、そういう取組をしていると。その一つが、例えば矢作川の上流にあるダムに、非常に今、砂が堆積しておるものですから、そういうものを持ってきて、覆砂するとか、そういう取組も今させていただいています。

【岡田部会長】 はい。どうもありがとうございました。委員にご答弁いただいて、大変恐縮しております。ありがとうございました。
ほかにございますか。
じゃあ、中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 前にも亜鉛でご説明いただいたことがあるのかもしれませんが、確認ですけども、この4ページの最後のところで、伊勢湾について、亜鉛について環境基準の達成は直ちにということを言っていますよね。それで今回、先ほどのノニルフェノールが出てきました。そうすると、物質ごとにこの環境基準の達成というのは変えていくのか。人健康に係る項目については、もう全面的に直ちに達成ということにしていますよね。水生生物の保全に係る環境基準では、どういう考え方で整理をされているのか、教えていただければと。

【岡田部会長】 では、どうぞ。

【吉田課長】 基本的には、今後のご議論をいただいてということになりますが、まずノニルフェノールに関しましては、現時点でまだそのデータがありません。今回、環境基準の設定をいたしますと、それぞれ自治体で測定が定期的に行われることになりますので、例えば3年間ぐらいデータをとっていただいて、状況を確認した上で、そういう対策手法や、管理手法等を考えながら、じゃあどういう形で達成できるかというご検討をいただいた上で、直ちに達成、あるいは5年後というような区分分けをするということになるわけですが、それを物質ごとに行うのか、それとも、一体として行うのかについては、今後のご議論ではございますけれども、基本的には物質ごとではなくて、トータルとして見ていくのかなと考えておるところであります。

【須藤委員】 この問題、まだ二つ目の議論をしているわけでございますので、すべて直ちに達成にするのか、ロの指定、5年以内に達成するのかということについてはこれからの議論でございますが、化学物質ごとにそれぞれの達成期間を変えるのはまずかろうという気がいたしますので、直ちに達成にしておいて、達成すべく、もし達成していなければ、環境施策で改善をするというほうが妥当かなというふうに思っております。
先ほどの、今度はLASなんかが出てくると、もしかしたら、直ちに達成というのは無理かもしれませんので、それは今後の検討課題にさせていただきたいと思います。

【岡田部会長】 じゃあ、中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 その考え方の議論に従うというふうに決めるということでございますので、了解しましたけども、7ページのところの一番最後のところですね。「伊勢湾におけるこれまでの年間を通じた調査結果からは、環境基準値以下で推移していることから」という、ここがちょっと誤解を招く表現ではないのかなと。こうなると、亜鉛については環境基準値以下で推移しているから、直ちに達成するというふうに読めてしまうので、先ほどの話と絡めて疑問が生じたものですから、そういう質問をさせていただきました。

【岡田部会長】 確かに、若干誤解を与える記述ですね。
じゃあ、関連して、眞柄先生、どうぞ。

【眞柄委員】 問題は、その環境基準を達しているかどうかという評価をする地点が、従来のBOD、COD、生活環境項目なり、有害物質の評価をする環境基準の地点と、水生生物のこの環境基準なり、類型指定が適切であるか、達成されているかどうかということを評価する地点を同じにするか、同じにしないかということが、必ずしも十分議論されていないのじゃないだろうかと。
それは行政的に判断されることですから、基本的な考え方はこれで結構ですが、実際に地方自治体なり国が類型指定をして、それを評価するところをどこにするかということについては別途お考えいただければ、先ほどからの議論は問題なく解決するとは思います。

【須藤委員】 眞柄先生がおっしゃるとおりでございまして、環境基準点で今の水生生物の環境基準をはかるのは適切じゃなくて、もうちょっと沖のほうがいいとか、あるいはもっと岸のほうがいいとかという議論が時々出ているんです。でありますが、今のところは一律にこうしておりますのですが、やはり地方自治体の実際に現場をよく知っている方が、水生生物の環境基準点はここのほうがいいと、こういうことがあれば、当然今後については移動させることは、これは環境省がお決めになることでしょうけれども、私はやっぱり今、先生がおっしゃったとおりの方向で議論していきたいと思います。

【岡田部会長】 じゃあ、小山委員、どうぞ。

【小山委員】 調査地点の問題ですけれども、水深のほうがむしろ問題ではないかと思うんですね。採水のですね。ご覧のとおり、底魚類、カレイとかヒラメが結構対象の魚種になっていまして、そういうものは底質の近くに住んでいますから、多分今までの採水というのは基準点の表層水を取って、せいぜい50センチくらいのところだと思うんですけども、もっと底質に近いところの水を取って、本当にそれが超えていないのかどうかということが、むしろ重要ではないかと思います。

【岡田部会長】 ご注意、ありがとうございました。
ほかによろしいですか。
今の件は、議事録にきちんと残すということで、今後の適用等において、注意していただくということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
はい。どうぞ。

【浅野委員】 やはり、水生生物についての環境基準が整備されてきますと、同じ環境基準といっても哲学が異なるものが入ってきているわけです。ですから、これはもうちょっとちゃんと時間をかけて検討ということになるとは思いますけども、環境基準の取り扱い方については、勉強をし直さなきゃいけないんだろうと思います。
特に従来の基準は、水の質をある表面に近いところではかればいいというので、海域の指定のために線を引っ張るときでも、大体直線で引っ張っているわけです。ところが、今回の海域は別紙図面に記載のとおりという形でしか告示ができないようで、これまでのように一直線で選を引けることにはなっていないようです。だから、それだけでも、まず現場の行政にとってはこれまでとは違っていて扱いにくいということが起こってくる可能性があります。
この線の引き方は、浅場であるとかいったようなことを基準につくられているわけですから、従来のように、海面で測量器で測って、これでよろしいといった議論にはなじまない面もありそうです。そして、ことの性質から見ても測定点についても、別の考え方を取り入れることが必要になってくるということなのだろうと思います。ですから、そこは直ちにというわけにいきませんでしょうけれども、ご検討いただきたいと思います。

【須藤委員】 浅野先生とここで議論をするつもりはないのですが、先生がご承知のとおり、この水生生物の環境基準というのは生活環境項目なんですね。やはり、生態系をいかに保全するかという項目を環境基準の中に別途設ければ、今のようなことは可能なんで、それは先生のほうの分野でぜひ、環境基本法16条のところでそういう項目を設定できると追加していただくことを期待しておりますので、よろしくお願いします。

【岡田部会長】 はい。ありがとうございました。
ほかによろしいですか。
それでは、大変有意義なご議論をいただきまして、ありがとうございました。ただ、今日の時点において、本件について、部会としてご了解いただいたということで扱わせていただいてよろしいでしょうか。

(異議なし)

【岡田部会長】 じゃあ、それでは、本報告を部会からの答申とさせていただきます。
中央環境審議会の議事運営規則第6条第1項の規定に基づいて、会長の同意を得て審議会の決議としていただき、大臣への答申の手続をとらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、次に、審議案件の(3)水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について(第2次報告)でございます。
本件は、平成21年11月30日付で環境大臣より諮問され、排水規制等専門委員会において検討してきていただいております。本日は、第2次報告についてご審議いただき、部会としての答申案を取りまとめさせていただきたいというふうに思います。
それでは、排水規制等専門委員会の委員長をお願いしております細見先生から、まず全般的なご説明をお願いいたします。

【細見委員】 かしこまりました。この排水規制等専門委員会におきましては、平成21年11月にいただきました水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等の諮問につきまして、平成23年2月に塩化ビニルモノマー、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレンの項目につきましては、第1次報告を既に取りまとめて、この部会で了承いただいております。その後、引き続きまして、1,4-ジオキサンにつきまして検討を行い、今般、お手元の資料にございますように、第2次の専門委員会としての報告を取りまとめましたので、簡単にここに報告させていただきます。
今回の報告は、1,4-ジオキサンにつきまして、排水基準、地下浸透規制基準、、地下水の浄化措置に関する浄化基準、この三つについて設定する件でございます。
お手元の資料4-1をご覧いただければと思います。3ページ目を開いていただきますと、排水基準の設定というところがございますが、排水基準につきましては、これまで環境基準の10倍値に設定されており、1,4-ジオキサンにつきましても、従来の考え方を踏襲して、環境基準0.05㎎/Lの10倍値であります0.5㎎/Lとするということにさせていただきたいと思います。
また、地下浸透規制につきましては、有害物質が検出されないこととするということですので、環境基準の0.05㎎/Lのその10分の1を定量下限値ということにさせていただきたいと思います。
地下水の浄化措置に関する浄化基準につきましては、これまで環境基準と同じ値というふうに設定されてきておりますので、1,4-ジオキサンにつきましても、従来の考え方を踏襲して、環境基準と同じ値の0.05㎎/Lというふうにしております。
4ページ目をお開きいただくと、特定施設の追加というところでございますが、水質汚濁防止法では、汚水を排出する施設を特定施設として、まず指定をして、この特定施設を設置する特定事業場から公共用水域に出るところの排水について規制を行っております。しかしながら、1,4-ジオキサンにつきましては、従来の特定施設では一部ひっかからないというか、及ばないというところがございますので、新たに1,4-ジオキサンを排出する施設について、排水規制を行うための特定施設として、三つ新たに追加するということにしております。一つは、界面活性剤製造業の用に供する反応施設のうち、洗浄機能を有するもの、二つ目、エチレンオキサイドの混合施設、三つ目、1,4-ジオキサンの混合施設、この三つを追加するということにしております。
続きまして、お手元の資料の5ページ、あるいは次の6ページですが、7番目の暫定排水基準についてでございます。
排水規制につきましては、排水基準の速やかな達成を図るということを基本としております。しかしながら、排水基準を直ちに達成させることが技術的に困難な業種に関しては、そういう業種に対しては、経過措置として暫定排水基準等を設定することが適当というふうに考えております。
1,4-ジオキサンは、これまでのヒト健康の項目と違いまして、水にも溶け、あるいは溶剤にも溶けるという非常に変わった特徴を持っている物質でございますし、従来ですと活性炭等で吸着除去できるものが、これに関しましては非常に難しい。処理技術として、まだ課題を抱えているというふうに思っております。
さらに、1,4-ジオキサンを排出する事業者等のヒアリング等を行いまして、以下の四つ、一つは感光性樹脂製造業、これは液晶等で使われていると思われますが、そういうところで1,4-ジオキサンが直接使われている。それから、エチレンオキサイド製造業及びエチレングリコール製造業、これは副生成物として1,4-ジオキサンができてしまうと。さらに、ポリエチレンテレフタレート製造業、これペットというペットボトルの材料ですが、ここにつきましても、副生成物として1,4-ジオキサンが生成すると。さらには、この感光性樹脂製造業に属する事業場から排出される水を受け入れている下水道業、これも、下水道では、今の処理技術で1,4-ジオキサンを処理することはできませんので、特異的に感光性樹脂製造業からの事業場排水を受けている事業場に関しては、暫定排水基準を設定することが適当であるというふうに、この排水規制等専門委員会では議論させていただきました。
報告書の概要は、以上でございます。

【岡田部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、事務局から補足説明があれば、続けてお願いいたします。

【吉田課長】 それでは、若干の補足をさせていただきます。
資料の2ページに、1,4-ジオキサンの物質の特性等が書いてあります。2のところですけれども、1,4-ジオキサンは常温で無色の液体ということであります。水に任意の割合で混合し、つまり水とよくまざり合うということです。それからあわせまして、先ほどお話ありましたように、油ともよくまざり合うという性質を持っています。
そういったようなことから、3の用途のところにありますように、化学工業、医薬品製造業、繊維工業等で、有機合成反応溶剤、これは、例えば新たな物質を合成するための溶剤として用いられているということです。さらには、その4行目、5行目のところにありますが、界面活性剤を生成する際にも副生成することが知られております。
そして、また2に戻って恐縮ですが、その3行目にありますように、河川等、環境汚水中に排出された場合でも、大気中には拡散しにくい。そして土壌に放出された場合には土に吸着されにくいため、地下水まで到達するような性質を持っているということであります。
また、健康影響についてですが、動物実験では、発ガン性を有するということがわかっておりまして、国際がん研究機関によりますと、人に対しても発がん性を示す可能性があるとされているところです。
もう一点、先ほど基準の設定につきましては委員長の方からお話ございましたので、4ページの(4)に検定方法というのがあります。ここを少しお話しさせていただきます。この1,4-ジオキサンにつきましては、以前、環境基準に設定されたときに、検定方法が規定されております。ただし、今回、それに加えて、より効率的な手法を設定することにしております。
6ページの次に別紙があります。この別紙以降、1ページからはジオキサンの測定方法ということで、第1のほうはパージ・トラップ・ガスクロマトグラフ質量分析法、その後ろには、第2として7ページ以降にヘッドスペース・ガスクロマトグラフ質量分析法を紹介させていただいていますが、この方法を用いますと、その下の塩化ビニルモノマーもそうなんですが、この手法を用いますと、例えば、ベンゼンですとかトリクロエチレンなどのほかの揮発性の有機化合物も同時に測定をすることができるため、従来の方法に比べて安価にかつ早く行うことができるようになります。今回、その新たな検定方法を追加させていただいております。
以上、補足とさせていただきます。

【岡田部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。
どうぞ、藤井委員。

【藤井委員】 2ページのところの「用途、排出量等」のところの第2段落に、工業用途以外での云々の最後のところに、「廃棄物からの浸出、家庭排水などがある」とありますが、この排出源として家庭排水というものが入っておりますが、そこをもう少し、この家庭排水だけではちょっとわからないものですから、どういうつながりでこの家庭排水が載っているのか、ちょっとご説明いただきたいと思います。

【細見委員】 簡単に申し上げます。ちょっと詳しいことは事務局から言いますが、先ほど、この1,4-ジオキサンというのは、界面活性剤をつくるときに、どうしても副生成してしまう。ですから、界面活性剤を家庭で使われる際には、すべての界面活性剤ではなくて、たしかAESだったと思いますが、それが使われるときに、要は家庭から副生成物として含まれている1,4-ジオキサンが同時に出ていきますということです。

【山本課長補佐】 今、細見先生からお話がございましたように、AESが主成分の潜在製品である台所用の合成洗剤ですとかシャンプーといったものを測定したところ、そういったものからも1,4-ジオキサンが検出されているということでございます。

【岡田部会長】 はい、よろしいですね。
どうぞ、眞柄先生。

【眞柄委員】 本当にご苦労さまでございました。大変なご検討と思って、感謝をしています。
それで、この次のステップとして、この部会とは関係ないんですが、もともとジオキサンが検出されたのは、産廃関係の事業所からの排水でジオキサンということが我が国では明らかになったので、産廃の関係の、その行政的な対応は今後どのように対応されていらっしゃるか、あれば教えていただきたいと思います。

【岡田部会長】 じゃあ、事務局。

【山本課長補佐】 廃棄物最終処分場からの放流水につきましては、廃棄物処理基準専門委員会のほうで、排水基準等の検討が行われているところでございます。そちらの専門委員会では、放流水の濃度の状況ですとか、処理による効果等の調査結果を踏まえ、今、鋭意検討がなされているところと聞いております。

【眞柄委員】 それで、そちらのほうも、今回の報告にありますように、暫定というようなことがあるのかないのか、そこら辺のところが、ちょっと心配だったものですから伺ったわけです。そちらのほうで検討されているということであれば、それは結構なんですが、できるだけ処理施設処分場は数が多いものですから、その辺のところの配慮をぜひ、あちらの部会のほうにお伝えいただければありがたいと思います。

【山本課長補佐】 基準値としては、暫定排水基準を定めるということありきではなく、こちらの一律の排出基準と同様、環境基準の10倍の値として設定することとしてはどうかということで検討がなされております。

【岡田部会長】 ありがとうございました。ほかにございますか。
特段よろしければ、本件についても、部会としてご了承いただいたということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【岡田部会長】 ありがとうございました。
それでは、本報告を部会からの答申とさせていただきます。中央環境審議会の議事運営規則第6条第1項の規定に基づいて、会長の同意を得てから審議会の決議としていただき、大臣への答申の手続をとらせていただきたいというふうに思います。どうもありがとうございました。
以上をもちまして、審議案件は終了いたしました。
次に、報告事項に入ります。
初めに、報告事項の1、地下水汚染の未然防止対策について、事務局から報告をお願いいたします。

【宇仁菅室長】 地下水・地盤環境室長の宇仁菅でございます。
資料の5-1と5-2を使いまして説明をさせていただきます。
地下水汚染の未然防止対策につきましては、昨年の2月の中央環境審議会答申を踏まえた水質汚濁防止法を改正する法律が昨年6月に成立、公布されております。それを踏まえまして、昨年7月に中央環境審議会会長に対して諮問をし、その諮問した内容について、資料にありますように、昨年9月と12月に答申をいただきましたので、そのご報告でございます。
まず資料5-1の2ページをご覧いただきたいんですが、簡単に法律の改正の内容を説明しております。(1)番として、有害物質貯蔵指定施設等の届出規定の創設。2番目としまして、構造、
設備等に関する基準の遵守義務の創設。3番目としまして、基準違反時の改善命令等の創設。それから4番目としまして、定期点検を義務づけるということでございます。それから、書いてありませんが、既設の施設につきましては、改正法の施行日から3年間は構造等の基準の適用を猶予するという規定もございます。
それで、4ページをご覧いただければと思いますが、今回の改正水濁法、真ん中あたりですが、今回の改正水濁法では、この有害物質を貯蔵するものが対象となりまして、5条3項において規定してございます。「当該指定施設から有害物質を含む水が地下に浸透するおそれがあるものとして政令で定めるものをいう」と法律で定義されておりまして、その政令で定める内容につきまして、その下に書いてありますが、水濁法施行令第2条に定める有害物質を含む液状のものを貯蔵する施設であって、当該施設から当該物質を含む水が地下に浸透するおそれがある施設とすることが適当であるという答申をいただいております。
この答申を踏まえまして、既に政令につきましては昨年11月に改正をして公布をしております。
続きまして、資料5-2をご覧いただければと思います。こちらの方は、タイトルにありますように、有害物質使用特定施設等に係る構造等に関する基準の設定及び定期点検の方法について(第二次答申)ということでございまして、構造の基準ですとか定期点検の方法について審議をしていただいて、答申を取りまとめていただいたものでございます。
めくっていただいて2ページになりますが、2番のところに、その基準、それから定期点検の方法について取りまとめておりますが、最初のところにありますように、事業場における生産設備・貯蔵設備等の老朽化ですとか、生産設備の使用の際の作業ミス、こういったものによる有害物質の漏えいが地下水汚染の原因の大半となっていることを踏まえまして、従来からの地下浸透規制に加えて、施設、設備や作業において漏えいを防止するとともに、漏えいが生じたとしても地下への浸透を防止し、地下水の汚染に至ることのないように施設設置場所等の構造に関する措置や点検・管理に関する措置が必要とされたわけでございます。
めくっていただきまして、3ページをご覧いただければと思いますが、今回の構造等に関する基準の対象としましては、(1)番に書いてありますように、設置場所の床面・周囲、それから本体に付帯する設備、地下貯蔵施設本体、作業・運転、こういったものが対象になります。
(2)番にまいりますが、そこの真ん中あたりになりますが、今回の特徴としまして、この未然防止の措置は構造等に関する基準と定期点検の方法を独立して規定するのではなくて、組み合わせによって規定するということを基本としております。具体的には、その下にありますように、新設の施設を対象とした基準、便宜的にA基準と呼んでおりますが、これが最も厳しい基準になりまして、その次に、既設の施設の実施可能性にも配慮した基準を設け、それぞれに対応した定期点検の方法を組み合わせて定めております。
それから、既設の施設については、法施行後3年間は構造等の基準の適用が猶予されますので、その間の定期点検のみの措置の三つの水準の措置を設けるということでございます。
続きまして4ページにまいりますが、(3)番にありますように、以上のようなことを踏まえまして、構造等に関する基準、定期点検の方法は別紙のとおりとするということでございます。
めくっていただいて、横長の資料として6ページになりますが、別紙がございまして、これ以降が構造基準あるいは定期点検の方法の詳細な内容になります。この場では説明は省略させていただきますが、例えば8ページをご覧いただければと思いますが、床面及び周囲の構造としまして、①番、コンクリート、タイル、その他不浸透材料による構造とすること、それから必要な場合には耐性及び不浸透性を有する材質で被覆が施されていること、周囲は防液堤等で、またはこれらと同等以上の機能を有するものを設置すること、そういった内容になっておりまして、右の方の欄を見ていただきますと、それに応じて定期点検の方法が年1回以上ということで定められております。
こういった基準を定めることが適当であるということで、答申をいただいたものでございます。
現在、この答申を踏まえた水質汚濁防止法施行規則の改正の最終段階でございまして、まだ公布はされておりませんが、近々公布される予定となっております。
それから、資料はございませんが、この省令だけではわかりにくいということもございまして、別途、構造と点検管理に関するマニュアルを作成しております。作成に当たりましては、構造と点検管理に関する検討会を設置いたしまして、この部会の委員でもあります細見委員に座長を務めていただいておりますが、業界の方、それから学識経験者の方、自治体の代表の方に入っていただきまして、大変熱心に議論いただきまして、何とか取りまとめていただいたところでございます。
現在、そのマニュアルを使いまして、全国の各ブロックで説明会、自治体を対象とした説明会と、事業者の方を対象とした説明会を開催しておりまして、本年6月から改正法が施行されますので、それに向けて準備をしているという状況でございます。
以上で、説明を終わります。

【岡田部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのご報告に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。

【関田委員】 ありがとうございます。構造基準、点検基準を検討するに当たりまして、産業界からも委員として参加させていただいて、新しい施策について精力的にご検討いただきましたことには、まず敬意と感謝の意を表したいと思っています。
今年の6月より施行というわけですけれども、今回の新たな地下水汚染未然防止施策については、対象となる事業者及び対象設備等の形態も多岐にわたると思われます。今後の運用に当たり、2点ほどお願いをさせていただきたいと思います。
一つ目は、6月の施行に向けて既に事業者向けの説明会などを開催いただいているようですけれども、多くの質問が寄せられていると聞いております。施行まであまり時間もございませんので、スムーズな運用開始のために、事業者・自治体双方への事前の周知、理解には特段のご配慮をお願いいたします。
二つ目は、施行後についても、新たな法制度の運用解釈において自治体間での齟齬が生じないよう、国としての施行状況のチェックと適切なフォローアップをお願いさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

【岡田部会長】 はい、ありがとうございます。じゃあ、今の件は事務局、よろしくお願いいたします。
ほかに。どうぞ。

【須藤委員】 地下水汚染の未然防止に関する答申を取りまとめさせていただきました、地下水汚染未然防止小委員会の委員長として、一言補足をさせていただきます。
地下水汚染の未然防止を図るため、一定の施設に構造基準の遵守と定期点検の実施を義務づける水質汚濁防止法の一部を改正する法律が昨年6月に成立し、公布されましたが、事業者にとって最も強い関心事項である具体的な構造基準や定期点検の方法については、今回の答申をもって定められるということになります。
業界委員を含む小委員会の皆さんには、大変熱心なご討論をいただき、先ほどのご説明がありましたように、昨年の12月26日に第二次の答申を取りまとめることができました。あわせて、先ほど宇仁菅室長からもご説明がありましたように、具体的な技術や施行の問題につきましては、細見先生を委員長とする業界の委員を多数含む検討委員会を設置して、マニュアルを作成することができました。
今後は、本年6月からの施行に向け、事業者において十分な準備が行われるよう、事務局には万全を尽くしていただき、円滑に改正法のスタートが切られ、そして近い将来に法改正の効果があらわれて地下水の汚染事例が減少し、清浄で良質で安心して飲めるような地下水が全国各地で復活することを願ってやみません。
最後に、改めまして、これまで多大なご協力をいただき、またこれからが対応の本番となりますが、ご理解をいただいている業界関係者各位に御礼を申し上げたいと思います。
以上をもって、簡単な補足にさせていただきます。どうもありがとうございました。

【岡田部会長】 はい、どうもありがとうございました。
ほかによろしいですか。

(なし)

【岡田部会長】 それでは、ただいまの報告は以上とさせていただきます。
次に、報告事項の2、東日本大震災への対応について、事務局からご報告をお願いいたします。

【吉田課長】 それでは、私のほうから東日本大震災の対応について報告をさせていただきます。お手元の資料6をご参照ください。
前回の部会、昨年7月の時点で、最初の緊急モニタリングの結果について簡単に説明させていただきましたので、今回は、それ以降のものについての報告となります。
まず環境モニタリングということで、有害物質等の状況を調査いたしております。昨年7月の時点で結果の出ておりませんでしたダイオキシン類の結果から、順次ご説明させていただきます。
1ページの下の表が、ダイオキシン類の水質と底質の調査結果ですが、それぞれ基準値が上に書いてありまして、青森県と岩手県では、特に基準値をオーバーしているものはないという状況でした。2ページの、宮城県、福島県、茨城県では、それぞれ幾つかのポイントで基準値を少しオーバーしているものが見つかっております。
2ページの下段は、底質の調査結果としまして、河川や海域といっても沿岸域の底質、砂や泥などの底質に含まれる重金属等の状況です。これは、特に決められた基準値はありませんで、水銀とPCBに関しましては、暫定の除去基準値というのが決められております。水銀とPCBについて、その値をオーバーしているものは、特にはございません。そのほかの物質については、土壌含有量の基準値というのがあります。これについては、少し値をオーバーしているものもありますけれども、もともと、そういう物質が高いエリアもありますので、特に今回の震災の影響が著しく出ているような状況は見られませんでした。
3ページは、地下水になります。地下水につきましても、それぞれの県で有害物質並びにダイオキシン類の調査を行っております。基準値をオーバーしたもののみを、その3ページの下の表に載せておりまして、宮城県で1地点、福島県では鉛、ヒ素等について7地点で基準値を若干オーバーしているものが見つかっております。
次の4ページはダイオキシン類ということで、これにつきましても福島県で1カ所、基準値をオーバーしているものが見つかっております。
地下水につきましては、追加調査もしておりまして、それについては、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素について、福島県内で3地点の超過が見られているということで、そのほかの項目については基準値以下でありました。
海洋については、宮城県沖、岩手県沖、福島県沖の海域の3測線で、それぞれ3ポイントずつ9測点について、調査を行っています。この結果につきましては、特に問題となるような値は検出されておりません。
それから、4ページの下段で、閉鎖性海域ですが、これは、いわゆる藻場等の調査です。現在調査を実施中ですので、年度内に、その結果の取りまとめを行う予定です。
5ページに、今後の対応となっておりますが、今見ていただきましたように、震災の影響で被災地の環境が著しく汚染されているという状況では特に確認はできなかったわけですが、一部環境基準値を超過する有害物質が検出されているという状況ですので、これにつきましては、引き続き自治体等に周知をいたしまして、常時監視で注視をしていただく。あるいは、地下水については、井戸の所有者に対し飲料の指導等を行うといったような対応をしております。
これ以後、自治体のほうで常時監視をしていただいておりますが、これまでは、特に問題というようなことは報告されていません。
次に、水環境中の放射性物質に関してです。これにつきましては、その2行目にありますように、政府のモニタリング調整会議というのが平成23年8月に開かれまして、ここで「総合モニタリング計画」というものを決定いたしております。そのときに、各府省で、モニタリングの役割分担を明確にいたしまして、環境省におきましては、水環境の放射性物質のモニタリングについて取りまとめを行うようにということで、測定並びに取りまとめを行っております。
この結果につきましては、ずっと飛びまして、87ページをご覧いただきたいと思います。総合モニタリング計画に基づく水環境の放射性物質モニタリング実施状況ということで、まずは公共用水域の一番左の欄が実施の範囲や測定地点。それから次が分析の内容で、対象として分析を行った核種、並びに水質、底質、環境資料について分析を行っています。それから実施状況として、福島では2回、その他の地域では、それぞれ1回の結果が出ております。引き続き、これは行っていくということです。
その次の88ページに、地下水と、それから海洋環境についても、同じような表で示しています。
それらの結果が、89ページです。今回、かなり広範囲に、それぞれの県で1回は調査を行いました。それから、福島県内については2回の測定結果がありますので、少しグラフ化をしてみました。まず状況ですけれども、①にありますように、水質、水のほうからは、直近の調査では、1Bq/L以上検出されたのは7地点だけで、最大でも7Bq/Lということで、非常に小さい値にとどまっております。
それから、底質につきましては、現状と推移ということで整理をいたしておりまして、これは、次の90ページ以降のグラフをご覧いただければと思います。
90ページのグラフは、ヒストグラムにしたものですが、この説明の前に、98ページを、ちらっとご覧いただきたいと思うんですが。98ページは、今回測定を行いましたポイント並びに、その測定日について示しております。福島県を中心に、北は岩手県から南は千葉県まで、かなり広範囲にわたって、全体で公共用水域としましては700ポイントぐらいの場所で調査を行いました。
90ページに戻っていただきまして、上のグラフが、そのうちの河川の分、これが大体500ポイントぐらいありますが、河川の底質で、水の底の砂や泥の中に含まれる放射性物質のセシウムの濃度をグラフ化したものです。これは、キログラム当たりの濃度の、その範囲内の地点数をグラフであらわしたものです。数値の高いところでは、1kg当たり80,000Bqを超えるような数値も出ていますが、大半は下のほうに固まっておりまして、2,000Bq以下のところが大半というような状況です。
下のグラフが、同じく湖沼の底質のヒストグラムでありまして、これも高いところでは6万を超えるような数値が見られておりますけれども、やはり大半は2,000Bq以下といったような状況です。
これを、地点別にあらわそうということで、次の91ページからですが、河川は数が多いですので、ピックアップをいたしました。91ページは、阿武隈川と言いまして、福島県のちょうど中通りあたりを南からずっと北に流れている川で、宮城県に入りまして、その後、太平洋に注いでいます。それぞれのポイントごとに、最新のデータ、最新のデータといっても、11月時点ですが、それぞれのポイントの数値を棒グラフで示したものでして、左側が上流になります。そのポイントのところ、小さくて恐縮ですが、四角で囲んでいるのが阿武隈川の本川でありまして、その本川の途中に四角で囲んでいないのは、そこに流入する支川での数値を示しております。宮城県に入りまして、一番右側が太平洋に近いところです。この状況を見ますと、一応福島県と宮城県の県境付近に、少し高い数値が見られているという状況がわかるかと思います。
それから92ページが、今度は利根川について、同じように上流から下流まで、数値を並べてみました。これは群馬県から流れてきまして、茨城県のほうで銚子に、銚子という千葉県の場所がありますが、あそこで太平洋に注いでおります。茨城県の右側に、今度は千葉県となっておりますが、これは、利根川が途中で江戸川に分岐をいたしまして、その江戸川が千葉県を通って東京湾に注ぎますので、その部分を、この千葉県というところで示しております。これも、下流の茨城県、千葉県で少し高い値が見られますが、最大でも1,500程度にとどまっているという状況です。
次の93ページが、今度は湖沼、これは全部の場所の値を載せていますので、非常に文字が小さくなって恐縮です。宮城県から山形、福島、茨城、それぞれの場所での湖沼における底質の放射性セシウム濃度です。高いところでは6万を超えるような数値が福島県内で見られます。ただ、ヒストグラムで示したように、大半の場所は低い値でとどまっています。
それから次の94ページが、海域、沿岸域です。沿岸1kmから2kmの底質のセシウムの濃度でありまして、これも94ページがヒストグラムにあらわしたものです。海域は、オーダーが少し下がりまして、高いものでも500を超える程度。大半は、100Bq/kg以下にとどまっているという状況です。
これの場所ごとに示したのが、95ページで、北の岩手県から南は、茨城県の、先ほど言いました犬吠埼、銚子のところまで、順にデータを並べております。やはり、福島第一原発の付近で少し高い値が見られているという状況です。
96ページからが、推移ということで、それぞれのポイントでセシウムの濃度の変化状況を示しています。先ほど言いましたように、福島県だけのデータで、96ページは河川ですが、この浜通り16地点、中通り13地点の29地点だけは、5月、7月にもデータをとっておりますので、4回のデータがあります。見づらくて恐縮ですが、黄色、緑、赤、青というように変化してきておりまして、青になりますと、もう数値的には大分小さくなっておりますので、データからは、河川については減少的な傾向が見られています。
97ページが海域でありまして、これも福島県内の、左の半分が沿岸域、右半分が水浴場ということで、左の沿岸域は大体1kmから2kmぐらい離れた場所ですが、水浴場というのは、砂浜から何十メートルというようなところでの数値であります。これは、9月と11月、赤と青ということで変化を示していまして、少し減少傾向は見られますが、少し増えている箇所も見られているという状況です。
99ページは、先ほど河川で4回のデータが見られているものがありますが、残りの福島県内、2回だけの調査の地点を整理しています。先ほどの4回の地点には、特に20km圏内の地点は含まれていませんので、すべてこちらに入っています。特に、この20km圏内では、数値が上昇しているか所が見られますが、全体としては、河川については減少傾向というふうに考えています。
それから100ページが、福島県内の湖沼でありまして、こちらについては、赤と青を見ていただきますとわかりますように、湖沼に関してはセシウムの濃度が増加傾向という状況が見てとれます。
もう一度89ページに戻っていただきたいんですが、今後の対応ということで書いておりますように、引き続き、やはりモニタリングを継続し、かつ強化ということで、これは、水生生物についても、放射性物質の濃度を調べよう。さらには、東京湾についても、水質・底質のモニタリングを進めていこうということで、最終的には来週、予定をされておりますが、モニタリング調整会議というのが政府全体で、先ほど申しましたように総合モニタリング計画というのを定めることになっておりまして、ここの中で決定をいたすことになります。
それから2としまして、環境中の放射性物質の動態を解明していこうといったような検討。それから、やはり陸地の今進めております除染、これを進めることで、水域への放射性物質への移入といいますか、侵入をできるだけ抑えようということで、陸地の除染を推進することが、今後の対応として考えております。
以上が放射性物質の状況でありまして、再度、恐縮でございますが、5ページに戻っていただきたいと思います。一番下段の海洋ごみにつきまして、これは海洋室のほうからお願いします。

【森室長】 海洋環境室長の森でございます。海洋ごみにつきまして、ご説明させていただきます。
今回の震災によりまして、大量のものが海に流出しているということでございます。海に沈んでいるものと浮いているものがございまして、まず、沈んで海底に沈積していると思われるものについてですが、今回、モニタリング調査、有害物質等、流れ出ていないかどうかということで幾つかの測線で底質と水質について調査をしておりますが、その際に、サイドスキャンソナーを用いまして、線で、測線に沿って海底にごみがないかどうかと、物質がないかどうかというのを探査しまして、もし、何か物質があるということなら、水中カメラをおろして撮影を行って調査をいたしました。
その結果なんですが、6月に行った第1回目の調査では、ロッカーとか養殖の施設が一つずつ見つかったという程度で、大きなものは発見されなかったという結果が出ております。それで、3回目の海洋モニタリング調査に合わせて12月6日から26日にやっておりますが、これにつきましては、仙台湾の中も詳しく調査をしていると聞いておりますが、これについて、結果が、今解析中ということで、後日わかるということになっております。
それから二つ目の丸でございますが、漂流物の問題につきましては、現在も漂流しているというふうに考えられまして、これにつきましては、アメリカのほうも非常に問題意識を持ったということでございまして、現在、我が国としては、内閣官房の総合海洋政策本部を中心としまして、関係省庁が協力して対応を行うということになっております。
それで、恐縮ですが、一番最後のページを見ていただきたいんですが、別紙14という資料でございます。それで、現状としましては、東日本大震災に伴って、漁船、木材、コンテナ等、ガレキが我が国から流出していると。それで、航行船舶等からの情報等の収集により、航行上、特段の支障がないか、状況を把握するということをやっております。それで、現在、海洋本部の取りまとめのもと、関係省庁、定期的に集まりまして、今後どうするかということを検討してまいりましたが、衛星とか航行船舶からの情報を収集するという現状調査、それから、シミュレーションによる漂流物の予測ということを行うということと、あと、関心を持っているアメリカ等関係国と情報共有をして、今後対応していこうということと、外国に漂着する場合も含めて、我が国のさらなる、どういう対応がとれるかということを検討しようということを考えております。
それで、その一番下に体制として書いてございますけれども、全体調整を総合海洋政策本部事務局が行いまして、現状調査、モニタリング等は環境省、海上保安庁、それから水産庁、国土交通省が連携して行うと。それで、②のシミュレーションモデルによるがれきの漂流予測ということにつきまして、実はそれが環境省のほうの役割として重要なものでございますが、現在、3月中旬を目標に、シミュレーションによってどのようなふうに漂流物が流れていくかということを予測しようということでやっている最中でございます。
それで、今後その結果等を、アメリカとか各省庁と情報共有いたしまして、今後の対策を検討していくということとなっております。
以上でございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまのご報告に関しまして、ご質問、ご意見がございますでしょうか。
では、石川委員から、どうぞ。

【石川委員】 放射性セシウムの調査で大変いろんな場所を綿密にやっていただいて、動向がわかってきましたけれども、全体的には、特に底質に問題があると。それが傾向としては下がりつつあるということがわかったのは、いいんじゃないかというふうに思います。
それで、はかるのに、セシウム134と137で半減期が違いますので、もしはかるときに、それを別々にはかっているのか、一緒になってはかっているのか。別々にはかっているとすれば、半減期が短いものが、どのぐらいの割合なのかというのがわかると、さらに今後、安心できるのかどうかというあたりのヒントになると思いますので、わかりましたら、お願いいたしたいと思います。

【吉田課長】 セシウム134と137を分けて測定をいたしております。134のほうは半減期が2年で、137のほうは半減期が30年ですので、そういった状況も今後、整理ができるのかなと考えております。
今日は、資料にはおつけしておりませんが、ホームページを見ていただきますと、すべてのデータを載せてありますので、もしご時間がございましたら、覗いていただければと思います。

【岡田部会長】 よろしいですか。
じゃあ、大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 新聞の報道によると、東京湾の放射性セシウムに関して、底質の中でも下のほうにさらに生物が食べたりして行っているという報道がなされていますが、今回のモニタリングでは、そういうことまでは多分、お調べになってないということでしょうか。
さらに、そういうふうに底質の中でも下のほうにどんどんおりていっていくというのは、環境行政を行う上では、どういうふうに考えたらいいのかな、どういうふうに評価したらいいのかというのが、お伺いしたいところです。
つまり、浚渫とかをしても、対応できなくなるということではあるんですけれど、ある意味、水に触れている部分から下に行くというのは、悪いことではないのかもしれません。ちょっとその辺についてお伺いしたいと思います。

【吉田課長】 東京湾につきましては、現時点で、私どもとしてはまだ調査をしていないという状況です。ただ、東京湾に入る河川については、今、江戸川のデータはお示ししましたが、隅田川と荒川についても調査を実施しております。これは、まだ結果は出ておりません。
それから、セシウムがどういう動態をするのかということについては、来年度も含めて、今後研究をしていこうと考えておりますので、そのあたりが整理できれば、またご報告させていただければと思います。

【岡田部会長】 はい、じゃあ、細見委員どうぞ。

【細見委員】 若干、先ほどの大塚先生とも絡むんですが、底質の調査は、今回で傾向はよく察せられるわけですけれども、この底質調査方法で定めている方法というのは多分、エッグマンバージで採泥していると思うんですね。そうすると、場所によっては10cmぐらいとれるかもしれないし、砂地のところだったら5cmしかとれないといったときに、多分このサンプリングによる何らかの違いというか、比較するのが難しいので、できれば、これは希望ですけれども、コアサンプラーでとっていただいて、鉛直分布がわかれば、そうすると経時変化、これから何年か追っていかないといけないというときに役立つデータになるんじゃないかと。
要は、今だと10cmぐらいとってしまうと多分、近年というか、この1年ぐらいでたまったものが多分、1cmとか2cmぐらいなので、悪く言えば希釈しているんではないかというふうにも見られなくもないので、できれば、すべての点でやるのは、すごくコストもかかりますし、問題があるかもしれませんけれども、できれば何点かは確実に鉛直分布をとっていただくと、経年変化がより詳細にわかるんではないかと思いますので、ちょっとご検討のほど、よろしくお願いいたします。

【岡田部会長】 どうぞ。

【吉田課長】 ご意見、ありがとうございます。そのコアサンプラーによる測定というものについても、今後の研究の中でも、考えていきたいと思っています。
ただ、ちょっと1点、場所によって大分値が違ったりいたしますので、なかなか平均的な値というふうには評価がしづらい点がございます。これだけのデータが集まりますと、何となく傾向というのが見えるような状況はあるんですが、個々に見たときには、そのポイントでの数値で、周りもそうなっているかというと、なかなかそうは評価しづらい点もありますので、数値の見方としては、そのことも含めてご覧いただければと思います。

【岡田部会長】 はい、どうぞ。

【田中委員】 地下水についてなんですけれども、かなりの地点のデータが出されるということなんですが、地下水に関しては幾つかの滞水層がありまして、深いもの、浅いものというふうに分かれると思うんですけれども。恐らくここで対象としているのは、浅いところの地下水というものを対象にしていると思うんですけれども、そのはかった井戸の深度ですね、この情報というのが非常に重要になってくると思います。
特に、これから継続してモニタリングをしていくようなときに、仮に汚染が広がっていった場合に、どの深度の地下水が汚染されているのかと、そういうことをやはり見極める上で、少なくとも、そのはかった井戸の深さですね、これの情報を一緒につけていただくと、非常にデータが有効に生かされるのではないかと。
もう既にお持ちなのかもしれませんけれども、わかっているものに関しては、そういう情報、それから、まだわかっていないものに関しましては、そういう情報をなるべく深さをはかるような形で出していただけたらなというふうに思います。

【岡田部会長】 田中委員のご指摘、どうですか。

【宇仁管室長】 地下水の場合は、河川と違いまして、測定できる井戸が決まってしまいますというか、ある井戸で測定しているのが現状です。ご指摘のように、深さについても把握はしておりますので、そういったものも、また整理をしていきたいと思いますけれども、今のところ、ほぼほとんどの地点で検出はされていませんので、そこまでの分析はしてないんですが、今後、注意はしたいと思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
ほかにございますか。

【岡﨑委員】 今、田中先生のご指摘に関連してなんですけれども、水事業体の立場で言いますと、やっぱり一番そこのところに関心がありますし、苦労しているところなんですね。
基本的に、今回提示をされたこのモニタリングについて、さまざまな努力をされているということで敬意を表しますけれども、ぜひともこうした資料について、情報について、今後の手だて、対応にも関連するでしょうが、的確な公開と情報の共有化、それは国、関係各省庁のみならず、県、各地方自治体、事業体、それから殊、水に関して言いますと、一定成熟した都市構造、上下水道構造のところは自力自答が可能なところもありますけれども、簡易水道等々を含めて、やっぱり相当ナーバスになっていると。しかも手が届かない、そういったところが偏在しておりますから、まず第一弾はやっぱり情報の共有化等が大事だと思います。
ですから、そこのところは、今後の対応にも関連するでしょうけれども、ぜひとも的確な情報の適宜開示と、公開と共有化ということをお願いしたいというふうに思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。それはよろしいですね。おっしゃるとおりだと思いますので。
じゃあ、どうぞ。

【中杉委員】 2点ございます。
1点は、2ページの資料ですけれども、底質の分析の結果のところで、土壌含有量基準値を比較対象として上げておられるけれども、これは底質の含有量と測定法が違いますから、これを並べて書くというのは非常にまずいと。鉛は茨城県で最高を超えていますけれども、この部分は土壌含有量基準の測定法でいえばたぶん超えていないことになりますので、こういう使い方をしていただかないほうがいいと思います。それが1点。
それからもう一つ、今、地下水の話がありましたけれども、今までご報告いただいたもの全般を見ていると、震災絡みで地下水汚染が新たに起こっているというふうには見えないんですね。ですから、そこのところを少し考えなきゃいけないので、今、これは震災絡みの影響があるかどうかという調査をやっていると。それで、ここで見られているものが、実際に基準を超えているものが、どういう由来なのかというのを調べてみる必要がある。その結果、震災由来であれば、ほかでもそういうことが起こっているのではないかという、そういう詰め方をしていかないといけないんで、ただモニタリングをしていくという話であると、従来の地下水汚染の対応ということと変わりがないわけですね。そこら辺をしっかり整備をしなきゃいけないと。
例えば、塩化ビニルモノマーが基準を超えていると、これは郡山ということですので、私、細かい中身はわかりませんけれども、従来、郡山では地下水汚染で塩ビが超えているところがございました。そこと同じところをはかっているのか、それとはまた別なところで問題が起こっているのか、そこら辺をしっかり詰めていただく必要があると思います。
これは土壌のほうでも、震災絡みで土壌の調査をやっています。その調査結果ともあわせて見ていただければというふうに思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。よろしいですね。
じゃあ、松田委員、どうぞ。

【松田委員】 5ページのこの海洋ごみのところの、1点目の海底ごみの調査なんですけれども、実際にどのぐらいのエリアで調査が行われたのか。仙台湾では、かなり詳しい調査が行われたというご報告がありましたが、どのぐらいのところで行われたのか。
それから、もし必ずしも、まだ全域的に行われていない場合に、今後、モニタリングの予定があるか、その2点について教えていただければと思います。

【岡田部会長】 じゃあ、よろしくお願いします。

【森室長】 仙台湾は、湾を横切る形で2測線、サイドスキャンソナーを引いて、見つかったものについてカメラで撮っているというふうに聞いております。それから、あと測線としては、9測線でしたかね、それは縦に沿岸から沖に向かって引いているということでございます。
それで、今後はやはり船を使うものですから、有害物質のモニタリング調査に合わせて、サイドスキャンソナーを引いて調べるということが、ちょっと我々の努力では限界なので、その際にやるということでございます。

【岡田部会長】 よろしいですか。ありがとうございました。
じゃあ、須藤先生。

【須藤委員】 今まで、ここで触れられなかったモニタリングのことについて、被災地で仕事をしている立場から、一言申し上げたいと思います。
被災地の周囲の3県の沿岸にある下水処理場は、ほとんど機能しておりません。ですから、生下水がそのまま流れているとお考えいただいていいと思います。もちろん下水道当局は、塩素消毒ぐらいしなくちゃいけないということで、簡易沈殿、塩素消毒なんていうのはやっているんですけれども、大腸菌群、あるいは大腸菌という値が基準値の、場所によってですが、一けた、二けた、けたが違うほど高くなってきております。もちろん、下水道の放流口の部分というのは、普通だったらBODで20以下ですけれども、下水道の機能が停止してからは、BOD120から160、昔の、今でもそうですけれども、一律基準のそのまんまの値というような程度の値で流出しているということは、これを復活するためには、もちろんその処理場によって違うようですけれども、1年ないし3年ぐらいかかるということです。
放射能の汚染も大事なんですけれども、要するに生活排水による汚染、それから、それに伴って、既に生態系が大分影響を受ける、ベントスもほとんど見つからないという場所もございます。そういう意味では、動物、植物、そういうものの回復のため、こういう科学的な分析、あるいは放射性物質ともあわせて、生態系調査あるいは今の衛生学的手法の調査というのをつけ加えていただきたいと。
もちろん、これは我々も黙っているわけじゃございませんで、手伝うつもりでやっているんですが、皆さん何がお困りか、わかりますか。私どもが調査に行こうと思うと、船がなかなか手に入らないんです。要するに、みんな船が流出しちゃっているんで、あいている船がないんで、調査をするための船を借りることができないと、こんな状況でもございますので、ご理解をいただきたいと思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。よろしいですね。
小山先生、どうぞ。

【小山委員】 一つだけ、確認をさせてください。
一番最後の資料の資料6、別紙5のノルマルヘキサン抽出物質の単位、これはmg/gでよろしいんですね。

【岡田部会長】 何ページですか。

【小山委員】 資料6、別紙5の1ページ以降ですね、2枚目以降のすべてにわたって、n-ヘキサン抽出物質の単位ですね、mg/gですけれども、これは、これでよろしいんですか。mg/kgではないんですね。ここでわからなかったら、後で確認してください。

【吉田課長】 確認をさせていただきます。

【岡田部会長】 じゃあ、そういうことにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
ほかによろしいですか。渡辺先生、どうぞ。

【渡辺委員】 湖沼で、やはり放射性物質がもう蓄積する一方でありますし、また、同様に閉鎖性の強い東京湾の場合も、多分底質の濃度が下がるということは期待できない以上、何らかの考え方を、やはり早急に整理をされて、環境基準というような考え方とは、ちょっとまた違うのかもしれないんですが、少なくとも緊急に、どういう指針を考えるかというようなことを早急にお考えになる必要があるんじゃないかなというコメントであります。

【岡田部会長】 ありがとうございました。これも事務局で今後ご検討いただければというふうに思います。
ほかにございますか。

(なし)

【岡田部会長】 はい。それでは、本件につきまして、大変有益なご助言、ご意見をいただきまして、ありがとうございました。
一応、これで本日予定させていただきました審議・報告については、すべて終了いたしました。委員の皆様方から、この際まだ追加でご発言がございましたら、一、二はお引き受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

(なし)

【岡田部会長】 それでは、以上をもちまして第29回の水環境部会を終了させていただきます。本日は、本当にありがとうございました。
それでは、事務局へお返しいたしますので、連絡事項等がございましたらお願いいたします。

【池田課長補佐】 本日はお忙しい中、長時間にわたるご審議、まことにありがとうございました。お手元の資料につきまして、郵送をご希望の委員の方におかれましては、封筒にお名前をお書きいただければ事務局から後日郵送させていただきます。
事務局からは以上でございます。
これにて本日の部会を終了いたします。まことにありがとうございました。

午後12時04分 閉会