中央環境審議会水環境部会(第25回)議事録

開会

議題

  1. (1)委員会の審議状況について
    • ・地下水汚染未然防止小委員会における審議状況について
    • ・総量規制基準専門委員会における検討状況について
    • ・排水規制等専門委員会における検討状況について
  2. (2)最近の水環境行政について
    • ・海洋環境室の設置について
    • ・海洋環境行政について
    • ・平成21年度公共用水域水質測定結果及び平成21年度水質汚濁防止法等の施行状況について

閉会

配布資料

資料1 中央環境審議会水環境部会委員名簿(平成22年12月10日現在)
資料2 地下水汚染未然防止小委員会における審議状況について
資料3 総量規制基準専門委員会における検討状況について
資料4-1 排水規制専門委員会における検討委員会について
資料4-2 水質汚濁防止法に基づく事故時の措置及びその対象物質について(諮問・付議)
資料5 海洋環境室の設置について
資料6 海洋環境行政について
資料7-1 平成21年度公共用水域水質測定結果について
資料7-2 平成21年度水質汚濁防止法等の施行状況について
参考資料 中央環境審議会関係法令等

議事

午前10時02分 開会

【須藤課長補佐】 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第25回水環境部会を開催いたします。
 開催に先立ちまして、本日の出席委員のご報告をいたします。所属委員35名のうち、過半数の23名の委員に現在ご出席いただいておりますので、中央環境審議会令第7条第3項により準用する同条第1項の規定に基づき定足数を満たしております。本部会は成立しておりますことをご報告いたします。
 また、本日の会議は中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただきます。
 次に、前回、本年の8月25日に部会を開催いたしましたが、その後、9月9日付で委員の交代がありましたので、ご紹介させていただきます。
 元全日本水道労働組合中央執行委員長の佐藤幸雄委員が退任され、新たに同委員長の岡崎徹様が委員となられました。

【岡崎委員】 岡崎でございます。よろしくお願いします。

【須藤課長補佐】 次に、事務局側に前回の部会開催以降に組織改編があり、新たに海洋環境室ができました。後ほどその内容についてご説明いたしますが、室長をご紹介させていただきます。海洋環境室の森でございます。

【森室長】 森です。よろしくお願いします。

【須藤課長補佐】 続きまして、水・大気環境局長の鷺坂よりごあいさつを申し上げます。

【鷺坂局長】 水大気環境局長の鷺坂でございます。委員の皆様には朝早くから、また年末のお忙しい中ご出席いただき、厚くお礼を申し上げます。また、先生方には、日頃より水環境保全行政についてご指導、またご協力を賜っておりますことを、この場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。
 本日の水環境部会でございますが、まず、水環境部会の小委員会や専門委員会で、今さまざまな議論がなされておりますが、パブリックコメントに入る状況にある事案ですとか、既にパブリックコメントが行われている事案もあります。そういったことでございますので、それぞれの小委員会、専門委員会の検討状況についてご説明を申し上げて、さまざまなご意見等をいただければと、このように考えております。
 それから、もう一つでございますけれども、今年の10月に環境省で組織改編がございました。今まで地球環境局にございました越境汚染大気の問題、海洋環境の問題につきまして、今年の10月から水・大気環境局に移管されました。そういったこともございまして、今後はこの水環境部会のほうでも海洋環境につきまして、ご議論があればご議論していただければと考えているところでございます。
 今日はそういったことで、海洋環境に関する現在の事業等についてご説明を申し上げたいと考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、環境省といたしましてこの水環境行政について、非常に今、さまざまな観点からいろいろな委員会や検討会等で議論されているという状況でございますので、一度、中間的にご報告申し上げ、いろいろご示唆、ご指導いただければと考えております。本日はどうかよろしくお願いしたいと思います。

【須藤課長補佐】 次に、本日の審議のためにお手元にお配りしている資料につきましては資料一覧のとおりでございます。もし配布漏れ等がございましたら、事務局のほうまでお申しつけください。
 また、本日ご欠席の西村博文委員及び後藤卓雄委員から意見書が提出されておりますので、各委員には別途お配りしております。
 それでは、議事に移りたいと思います。これよりの議事進行につきましては、松尾部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。

【松尾部会長】 おはようございます。早くからお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、早速でありますが議事に入らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 議題の(1)が「委員会の審議状況について」ということで、1つの小委員会、2つの専門委員会から、現状のそれぞれでの検討事情をお話しいただくということになります。
 特に最初の地下水汚染未然防止小委員会につきましては、私からお願いして小委員会の結論が出たところで一度この部会にご報告いただいて、その上でパブリックコメントへ回すという手順をとっていただきたいということを申しておりました。そういう意味では、その小委員会のそれぞれの専門のお立場からの意見がまとめられて、そのパブリックコメントに出す案ができているということで、それについてご報告して、みなさんのご意見をいただきたいと思います。
 それでは、委員長をお願いしました須藤先生から、よろしくお願いいたします。

【須藤委員】 かしこまりました。それでは、小委員長をお預かりしております須藤から、地下水汚染未然防止小委員会における審議の要旨を報告をさせていただきます。
 有害物質による地下水の汚染については、工場・事業場が原因と推定される有害物質による汚染事例が毎年継続的に確認され、水質汚濁防止法による地下水浸透規制等の制度が導入された平成元年度以降も、汚染原因となっている行為や事象が継続していることが確認されております。
 また、平成21年度の土壌汚染対策法、平成22年の大気汚染防止法及び水質汚濁防止法が改正されたときの国会の附帯決議において、地下水・土壌汚染の未然防止対策の必要性について指摘されているところでございます。このため、本年8月12日の環境大臣からの中央環境審議会への諮問を受け、地下水汚染の効果的な未然防止対策のあり方を審議するため、地下水汚染未然防止小委員会が設置されました。そして、先ほど部会長からご発言いただきましたように、私が小委員会の委員長の指名を受けたところでございます。
 小委員会は、産業界、自治体、学識者、利用者代表から構成されております18名の委員により、9月24日に第1回を開催し、以降12月8日までに4回の小委員会を開催し、毎回熱心な討論をさせていただきました。小委員会では、工場・事業場が汚染原因とされている地下水汚染事例の汚染原因行為等の実態、条例における構造及び点検管理に関する基準、消防法等他法令における漏洩防止に関する措置を調査・審議するとともに、産業界における未然防止対策の現状についても、クリーニング業界・石油業界・電気メッキ業界・化学関係の企業からヒアリングを行いまして、地下水汚染の効果的な未然防止対策のあり方について審議をさせていただきました。
 このたび、出席委員全員の合意を得まして、パブリックコメントの手続を行う案として、当方としては答申の素案でございますが、それをまとめることができたので、報告をさせていただきます。内容としては、後ほど宇仁菅室長からもう少し具体的に説明があると存じます。
 取りまとめ役を務める小委員会委員長といたしまして、毎年度新たな汚染事例が確認されていることから、人の健康や生活環境への影響を防止するため、パブリックコメントの手続を経た上で答申案として取りまとめ、それに沿って早急な措置を講じることが必要であると考えております。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございます。
 それでは、事務局のほうから少し中身についてご説明いただきたいと思います。

【宇仁菅室長】 それでは、資料2を使いまして、答申案について説明をさせていただきます。
 まず、1枚目に、先ほど須藤委員長からもご紹介がありましたように、審議経過を書いております。9月24日の第1回小委員会以降、10月14日に第2回小委員会、ここでは産業界における未然防止対策の現状についての聞き取り調査、それから、効果的な未然防止のための検討項目について議論をしていただいています。
 第3回小委員会におきましては、地下水汚染の効果的な未然防止対策のあり方の骨子素案について審議をしていただきました。
 それから、先ほどご紹介がありましたように、12月8日には第4回小委員会におきまして、答申素案についてご審議をいただいております。
 今後の予定としまして、今月12月中旬頃からパブリックコメントを実施する予定にしております。
 めくっていただいて答申案の中身でございますが、1ページ目、まず1の「はじめに」でございます。ここでは、地下水の特徴といたしまして、3行目辺りですが、19年度においては都市用水の使用量のうち約25%を地下水に依存していることなどを挙げております。将来的にも淡水資源としての重要性は高まると考えられます。
 その下、真ん中辺りですが、しかし地下水の特性としまして、一般に流動が緩やかで、汚染物質の希釈が期待できないので、一旦汚染されますと自然の浄化作用による水質の改善・回復は期待できない。人為的に水質の改善を行う場合でも、一般に多額の費用と時間を要するという困難さを伴いますので、将来にわたって地下水の水質を効果的・効率的に保全していくためには、汚染を未然に防止することが重要であるといったことを述べております。
 その下からは、水質汚濁防止法改正の経緯と今回の検討の必要性について説明をしております。
 時間の関係もありますので飛ばさせていただきますが、3ページをご覧いただきたいと思いますが、2番としまして、工場・事業場が汚染原因と推定される地下水汚染の現状について述べておりまして、先ほど委員長からもご紹介がありましたが、工場・事業場が原因と推定される地下水汚染の汚染原因等につきまして、環境省において調査を行っております。その結果、汚染原因行為等の終了時期が平成元年度以降である事例がありまして、水質汚濁防止法改正によりまして、地下浸透規制制度を導入した以降も汚染原因となった行為や事象があることが明らかとなっております。
 それから、また飛ばしていただきまして4ページをご覧いただければと思いますが、3番として、地下水汚染の未然防止に係る対策・取組の現状についてでございます。水質汚濁防止法による地下浸透規制の現状について記載をしております。
 それから、その次にまいりまして5ページでございますが、全国の都道府県、水質汚濁防止法の事務の実施を委任されている市がございますが、こうした自治体における条例による地下浸透規制の現状について記載しております。
 それから、その下ですが、他法令による有害物質の漏洩防止に関する規制の現状、さらには先ほど申しました聞き取り調査をもとに業界における地下浸透防止の取組について記載しております。
 それから、また飛ばしますが、6ページをご覧いただければと思いますが、4番の今後の地下水汚染の効果的な未然防止対策のあり方についてでございます。(1)の基本的な方針につきましてですが、ここでは真ん中からやや下辺りですが、したがって、地下水汚染の現状を踏まえますと、未然防止をするためには、現行の水質汚濁防止法に基づく規制に加え、有害物質を扱う施設・設備や作業において漏洩防止をするとともに、漏洩が生じたとしても地下への浸透を防止し地下水の汚染に至ることのないよう、設置場所等の構造に関する措置や点検・管理に関する措置が必要であるとしております。
 (2)の地下水汚染の効果的な未然防止のための措置についてですが、大きく2つございまして、まず[1]設置場所等の構造に関する措置でございます。ア)としては、有害物質を取り扱う施設の設備本体に付帯する配管等における漏洩防止でございまして、7ページにまいりますが、3行目ですが、例えば目視で確認できるよう床面から離して設置する等、漏洩があった場合に漏洩を確認できる構造とする。
 それから、その下のイ)にまいりますが、有害物質を取り扱う施設設置場所の床面、周囲等における地下浸透防止といたしまして、その4行目ですが、例えばコンクリート製で表面を耐性のある材料で被覆する等、有害物質の地下浸透を防止できる材料・構造とすることが必要であるといったことを書いております。
 その下の[2]にまいりますが、点検・管理に関する措置として、ア)点検の実施について述べております。
 続きまして、8ページをご覧いただきたいのですが、イ)として適正な作業・運転の実施について記載をしております。
 その下の(3)の対象施設等でございますが、ここでは2行目からですが、水質汚濁防止法に規定されている有害物質使用特定施設に加えまして、その下の4行目ですが、有害物質の貯蔵施設からの漏洩・地下浸透の事例が見られることから、それらについても対象とすることが必要であるとしております。
 下にまいりまして(4)のその他でございますが、これらの対象となる施設につきましては都道府県知事等への届出義務、それから、その下の立入検査、改善命令、そういったことが必要であるということでございます。
 それから9ページにまいりますが、5番としまして、今後の課題と留意事項でございます。
 いくつか挙げておりますが、例えば1)でございますが、措置の具体的な内容につきましては、本答申を基本としてさらなる検討の場を設け、関係業界の意見も十分に反映しながら決めていく必要がある。
 その下にまいりますが、その際には、既に講じられている事業者の地下水汚染の未然防止対策を十分に踏まえて決定する必要がある等々、いくつか挙げております。
 最後10ページでございますが、「おわりに」としまして、毎年度新たな地下水汚染の事例が確認されていることから、政府においては本報告を踏まえ早急に必要な措置を講じることが必要である。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 今、経過と内容についてご報告がありましたがいかがでしょうか。

【鈴木(邦)委員】 日本製紙連合会副会長の鈴木でございます。
 非常に、地下水汚染ということで因果関係の特定等難しい中、真剣なご議論いただいて、ここの答申までまとめていただいた小委員会の方々に、まず感謝を申し上げたいと思っております。
 産業界の事例それから努力についていろいろヒアリングしていただいて、盛り込んでいただいたということについても感謝申し上げます。
 2点ほど、産業界からいろいろ出ているご意見を少し集約しました。
 1つは、既成設備の改造についてほかに悪影響が出る可能性が十分ありますので、その辺を慎重に考えていただきたいと。この答申の中でも、十分に慎重にということを盛り込んでいただいておりますけれども、法的な規制よりもむしろ指針、ガイドラインといったものが適切なのではないかなという意見が多く出ているというところを指摘させていただきたいと思います。
 もう1つは、それに類した意見なのですけれども、水源地とそれから違う部分と、また要求の厳しさが違うというところもありまして、それから自治体のとらえ方も非常に違う部分もあるというところがありますので、一律の部分よりも自治体の裁量をできるだけ尊重してもらっていただきたいと、そういう意見が出てきております。
 以上でございます。

【松尾部会長】 いかがですか、今のご意見というか。
 では、浅野先生、どうぞ。

【浅野委員】 まず既存の設備についてでありますけれども、やはり未然防止という観点から言うと、きちんとした設備にしていただかなければいけませんし、それはやっていないところにはきちんとやっていただくということをお願いしなければいけないという認識は持っております。
 ただ、かなりの事業者は、もう既にそれなりの対応をしておられるわけですから、恐らくここに答申の中に書いておりますいろんなことについて、「実情も踏まえて」と書いた趣旨は、十分な対応をしている事業者がなおこれ以上にまた対策を講じなければいけないというようなことにならないようにしてほしいということでもあるわけです。もう少し別な言い方をしますと、これまでの公害規制は100%全部、みんなが何か新たな施設を作るなどという対策をしなければいけないような規制は余り例がなく、3割ぐらいのこれまで何の対策もしておられない方に少し頑張ってもらわなければいけないというような考え方で、行なわれてきているわけだから、その考え方は貫くべきであるというのが、小委員会の答申の中に書かれているものと理解される必要があると思います。
 それから、場所によっての差異があるということについては、あまり十分に小委員会で議論はされていなかった。事はやはり有害物質による健康被害の防止ということでありますし、それから、地下水の環境基準をつくるときにも、既に委員ご存じのようにそのような議論は行なわれたのですが、最終的には最後には公共用水域に流れていくという事を考えれば地域指定方式はよくないだろうということで全国一律の基準ということになりましたから、その経緯から言いますと、あまり正面切って規制に差を設けるということは言いにくい面がございますけれども、その点も含めて、実際には各業種ごとの状況であるとかさまざまな状況を踏まえながら、具体に何をやらなければいけないかということは考えていこうという考えかたが示されておりますので、その文脈の中でご発言のご趣旨を活かすことができるだろうと思います。

【松尾部会長】 どうもありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。大塚委員。

【大塚委員】 もともと、地下水の地下浸透規制についての規定があって、それに関連して地下貯蔵タンク等についての規制が今までなかったということがございますので、今回のこういうご検討は大変よいものだと思っています。
 2点、少しお伺いしたいのですけれども、1つは、例えばアメリカでは1990年代かもっと前かもしれません、80年代の終わりぐらいからかもしれませんが、地下の貯蔵タンクの規制はあったのですけれども、今回の検討に関して外国法の調査というのはどのぐらいされているかというのを1つお伺いしたいということがございます。
 それからもう1つは、確かにこのような対応は、もっと前からやっておくべきことだったのではないかと思っているのですけれど、今回この検討を特にされたきっかけというのは何かおありになったのでしょうか。さっき、例があるというのがありましたけど、数字とかが出ていないものですから、必ずしもよくわかりませんけれども、その点についても少しお伺いしたい。
 以上2点、お伺いします。

【松尾部会長】 事務局のほうからでいいですか。何でも浅野先生が答えるのがいいかどうか。

【浅野委員】 小委員会では外国法の検討は実はあまりやっていません。むしろ国内の類似の法令がどうなっているか、それから条例がどうなっているかということはかなり丁寧に調べて、二重規制にならないようにということはやりましたけど、外国のことは地下水の状況も違いますから、それほど参考になるまいということもあって、取り立てて調べておりません。
 それから、今回の検討のきっかけですが、これは極めて明確でありまして、土壌汚染対策法改正のとき以来、いくら土壌汚染対策法で汚染をされた土壌について事後の対策を考えても、もとを絶たなければどうにもなりません。ということがあって、前々からこれは水質汚濁防止法の世界できちんとやらなければいけないことはやらなければいけないということが指摘されておりましたし、それから、先ほど小委員長あるいは事務局からも説明がありましたように、国会でもこのことについては前から言われているということがありますので、特別に何かこういう事件が起こったことをきっかけにというよりも、むしろ土壌汚染対策法改正の際の議論の中からこれが出てきたということだと思います。

【松尾部会長】 ありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。眞柄先生。

【眞柄委員】 それなりにまとめていただきまして、敬意を表します。一、二、実施の際に際してどういうふうにするのかなというふうに思ったことを、委員会のお考えをいただきたいのですが。
 立ち入り検査や改善命令ということがあるのですが、そもそも最初の登録のとき、それから1回目のまさにそうなっているかということを現場へ行って見るわけですが、その後どれぐらいの時間経ったら再度行うのか。つくるものはいずれにしても構造物であったり化学物質を使ったりするものですから、通常の使用状況でも劣化という問題が生じますので、ある意味でこういう設備に未然防止設備のライフサイクルをどう考えるかというのは、具体的な省令でつくるときに少し配慮していただいたほうがよろしいのではないかということが1点です。
 それからもう1点は、この法令の改正によって都道府県が立ち入りを行うということでありますが、国の施設に対しては、それぞれの国の施設が存在する都道府県が実施するのか、あるいは、それぞれの地域に環境省の地方環境事務所がございますので、国のものに関しては国が立ち入りを行うのかどうか、そこら辺りのお考えをお伺いしたいと思います。

【松尾部会長】 では、浅野先生いいですか。

【浅野委員】 まず、前半ですが、消防法が既にその点についてある種先例を設けているということがあって、かなりの年数が経ったものについてはというようなことを言っていますから、それとあまりばらつきがあるような対応というのは望ましくないと小委員会では考えました。ただ、消防法で対象にするものと、今回、有害化学物質で対象にする物質は完全には一致しませんから、その点は当然考慮されなければならないと思います。
 立ち入りの頻度はどうなるかということですけれども、これは我々の考え方としては、水質汚濁防止法に基づく立ち入りというものが通常行われておりますから、そのときに今回の改正が行なわれた場合には立ち入りの際に調べなければいけないことが増えることになろう。ですから、自治体には大変お気の毒ですが、1カ所の事業場当たりの滞在時間が1時間以上延びるだろう、このぐらいのご負担をお願いすることになるだろうと思っていますから、あとは一般の場合と同様に立ち入りを行うということになると思いますが、この改正に伴って、特にこの部分についてはこの程度の頻度で見る必要があるというようなことが類型的にわかるならば、通知のレベルで何かの対応をするということになるのではないかと考えますが、これは事務局の考え方を聞きたいと思います。
 それから、立ち入り権限に関しては、国の施設だろうと、今まででも都道府県が立ち入っていると私は理解していたのですが、これはそうだろうと思いますから、特に国は治外法権というわけではないと理解します。

【松尾部会長】 事務局から補足はありますか。

【宇仁菅室長】 特にございません。

【松尾部会長】 国の機関の問題はどうなのですか。

【宇仁菅室長】 それはございません。

【松尾部会長】 要するにそれでいくと。わかりました。
 では、それでよろしいですね。ほかにはございますか。
 それでは、大体中身については特に議論がなかったと思うのですが、私が少し最後、質問的なことを。
 10ページの最後のところですが、「政府においては、本報告を踏まえ、早急に必要な措置を講ずることが必要である」とこう書いてあるのですが、先ほどの指針なのかガイドラインなのかとか、いくつか浅野先生のお答えの中でも少し触れることがありましたが、この何か具体的な措置というのは想定されているのですか。

【浅野委員】 小委員会の立場で枠を決めて、その上で事務局がどう考えるかということだと思います。
 基本的にはこの中にありますように、罰則も含めた対応をしなければいけないと言っていますから、これはやはり法改正でいかなければいけない。そのこともあって緊急性ということを強調しているわけです。大して緊急でないなら法改正は要らないではないかと言われるのは少し怖いことです、と小委員会では考えましたが、それを受けて事務局がどうお考えになるかは審議官がお答えになるでしょうか。

【関水環境担当審議官】 この「おわりに」の書き方というのは、他の審議会の答申でも類似表現でございまして、義務的措置を設けるようにということでありますので、水質汚濁防止法の改正を政府内で検討いたしまして、国会に提出させていただくと。そのときに細かい措置というのは、一般的に水質汚濁防止法におきましては、大まかな枠組みの義務規定を設けまして、具体的な床の構造をどうするということは環境省令で定めることは一般でありますので、恐らくそういう構造の法律改正内容を政府として答申をいただいた後に検討させていただくと、このように考えております。

【松尾部会長】 わかりました。

【岸委員】 先ほど、浅野先生がおっしゃったことで、3割ぐらいが悪い事業者がいると。それで、あとはみんな一生懸命頑張っているのに、そこに負担がいかないようにというふうなお話がありました。その3割というのが、何でその3割の人を取り締まれないのか、何か私はとても不思議に思うのです。今までだって規制があったはずなのに。それで、そのために一生懸命こういうものをつくっているというのは何かおかしいなと。

【浅野委員】今まででも規制基準を新たにつくるときに、その規制基準というのは、絶対にこれを越えたら危ないという絶対値で決めなければいけない場合には、有無を言わさず絶対値で決めるのですけれども、必ずしもそうでもないというものについては技術的可能性、社会経済的可能性というようなことも考慮して基準を決めてきていますので、それを当てはめた結果は、大体すべての企業が全部これでまた新しく何か対応しなければいけないような基準はなかなかできません。ざくっとした言い方ですけど、ほぼ7割ぐらいの企業がこれまでやっておられる対策で維持達成できるレベルの基準とし、結果として残りの3割はこれまで対策を十分してこられなかったのだから新たに対策をしなければいけませんねというような考え方で基準をつくることが多かったわけです。
 今回の話も、実際にお聞きしていますと、施設面で既に十分に対応しておられる企業はたくさんいらっしゃるわけです。例えば、クリーニング業界のお話を聞きましたけれども、漏れたときのためにきちんとお皿を器械の下につけて漏れた有害を受けるというようなことは、ほとんどのクリーニング業者がやっておられるそうなので、それで、きちんとあとは監視をしておけば漏れた場合はわかりますので、それもやっていらっしゃらないような本当に小さな事業者さんがいる場合には、それはきちんとやってくださいというようなことになるようにということです。
 これまで規制が行われていてそれが守られていないというわけではなくて、この問題は少し話が違いますので、少し説明の仕方が粗かったので誤解を与えたかもしれません。

【松尾部会長】 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、この小委員会からのパブリックコメントにかける答申案につきましては、このとおりで進めさせていただきたいと思いますが、事務局におかれましては、最後に今、審議官からもお話がありましたが、措置を講ずる辺りのところで、今までいろいろご意見のあったことについては配慮していただいて、適切に進めていただければいいのではないかと思うところであります。そういう意味で、この答申をこの部会として受けて、これをこのままの形でパブリックコメントにかけることに関していかがでしょうか。特にご異議がございましょうか。
 なさそうであります。それでは、皆さんのご了解を得たということで、手順を進めてもらうことにしたいと思います。12月中旬ごろからパブリックコメントを実施するということで、またその後意見が出てきたら、また小委員会のほうでしかるべくご検討いただければありがたいと思います。
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、次の報告へ移らせていただきたいと思います。総量規制基準専門委員会における検討状況についてということで、事務局より、よろしくお願いします。

【室石室長】 岡田委員長がご欠席でございますので、私、閉鎖性海域対策室の室石と申しますが、事務局のほうから説明をさせていただきます。
 資料3でございます。総量削減制度といいますのは、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海について、環境大臣が指定海域として指定いたしまして、それぞれの海域に流入する汚濁負荷の総量を規制するというものを核といたしました水質改善のための制度でございます。
 昨年度、第7次の総量削減のあり方について、部会の中で専門委員会をつくっていただきまして議論をいただきまして、今年の3月に答申をいただきました。これを受けまして、総量規制基準専門委員会を起こしまして、そこから4回にわたって議論をいたしております。このご報告をいたします。
 では、資料3に沿いましてご説明をいたしますが、まず、そこにありますように第1回におきましては、第6次の水質総量削減の設定方法について復習をいたしまして、新たな改定に向かっての検討事項について、ご検討をいただきました。
 それから、第2回につきましては、時期区分、少しこれは説明を要しますので、1枚その裏をめくっていただきますと、資料の裏に「水質総量削減制度について」という紙がついておりますけれども、その下の部分に表がございますので、これを見ていただくと一番わかりやすいかと思うのですが、水質総量規制基準につきましては、CODについては3区分、窒素、燐については2区分の時期の区分を設けまして、それぞれ段階的な対応をしているという現状がございますので、これを称して時期区分というふうに省略いたして呼んでおります。
 また、おもてのページに戻っていただきますと、2番のところですが、その時期区分について今回議題とするということを確認いたしまして議論を始めました。それから、総量規制基準の見直しの進め方について議論いたしまして、第6次と同様に東京湾、伊勢湾、大阪湾と、大阪湾を除く瀬戸内海を分けて検討するということを確認いたしました。
 また、総量削減全体は生活排水対策などいろんな対策を総合的に行う制度でございますが、その中の規制の部分というふうに考えた場合に、現状より悪化させない観点等から見直しの対象候補業種を抽出して規制基準を決めていくということを確認いたしました。
 それから、第3回でございますが、時期区分についてさまざま議論いたしたわけでございますが、第2回のところにもございますように、規制については現状より悪化させない観点等から見直しをしていくということも考えますと、時期区分を例えば統合するというような形で一気に厳しくするというのは、今回とるのには適していないということで、区分の変更は一気にはせずに、その区分間の値を順次一致させていくという行為を行っていくということを確認いたしております。後ほどまた、今回のC0の見直し、C値の見直しについての作業のところで少し触れたいと思います。
 それから、大阪湾を除く瀬戸内海については、見直しは行わないということを確認いたしましました。
 それから、その業種を抽出して規制基準の素案というものを提出いたしまして、委員会の中で議論いただきました。ここで少しまたおめくりいただいて、参考ということでカラーコピーになっておりますが、数字がすごく細かくて見にくいのですが、表が出ておるのをご覧いただきたいのですけれども、この表が今回、COD、それから窒素、それから燐について業種を抽出し、それをまた見直しをしたという結果でございまして、その表の上のほうに枠がありまして、条件[1]、[2]、[3]、[4]、[5]というふうにございますけれども、この条件に当たる業種を抽出しておるわけです。
 この条件の[1]あるいは[2]をご覧いただくと、文章としてC値の範囲が強化されていない業種であるとか、CODのC0とCj、窒素のC0とCjの差が大きな業種、その他の区分という抽出条件がございます。先ほど、時期区分について順次見直していくという方針になったというふうに申し上げましたけれども、こういった抽出条件などを設けることによって、少しずつ合わせていくという作業も今回いたしております。
 それから、条件[3]、[4]、[5]についてはご説明いたしませんけれども、こういったそれぞれの現状非悪化というような観点を主体とした条件を当てはめまして作業をいたしました。その中で、表をご覧いただきますと、「業種その他の区分」というところで、塗りつぶされている、色がついているところがありますが、その区分についてはC値と呼ばれる濃度の規制値を変えたのではなくて、今回、標準産業分類の業種名称変更に伴いまして、名称変更したという部分でございますので、それ以外の部分をご注目いただきたいと思います。例えば、一番最初に出ているのは、寒天製造業というふうになっておりますけれども、これについては条件[1]に該当するということで、従来の値が上限120、下限80といったCC0の値であったものを65を55に今回改定をするというご提案をいたしております。
 以下、平仄としては同じものでございまして、CODの次のページには窒素、その次のページには燐というふうに挙げさせていただいております。これについては、業種ごとにいろいろと細かな検討をいたしましたし、また、現在、パブリックコメントを実施いたしておるところでございます。その中でまたいろいろとご意見を伺ったりもしております。少し先走って言ってしまいましたけれども、現在はパブリックコメントを実施しておりまして、12月13日までということになっております。
 今後の予定といたしましては、第5回の専門委員会を12月24日に行いまして、そこでご議論していただいた上で取りまとめがなりましたれば、来年、部会のほうにもご報告をさせていただいて、ご議論をいただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 それでは、今ご説明のあった総量規制基準専門委員会のほうでの検討状況でありますが、何かご指摘ございましょうか。鈴木委員、どうぞ。

【鈴木(邦)委員】 既にパブリックコメントを実施されている最中ということですので、あえて付け加える必要はないかとは思うのですけれども、産業界の中で一、二挙がっていたことを挙げさせていただきますと、自治体等で、今回の総量規制、これが出てきたときにさらにまた自治体から上乗せという形で、自動的にこう上げてこられたりすると非常にやっかいな話になってしまうと。それから、根拠だとか非常に緻密に積み上げられて検討されてきたところに、またその各地の自治体でやられると、それは全体のバランスを崩してしまうということで、何とかそういう方向に行かないようにご指導をお願いしたいということが一つ。
 それから、これは前からいろいろ考慮されていることはよく存じ上げている部分ですけれども、やはり生活系、それから農業、養殖といったところ、なかなか難しい問題が多々あるとは思いますけれども、引き続きご検討をお願いしたいと。
 それから、一部の産業界から、自分たちも注目しているところをいろいろ挙げて推進してほしいということの中に、干潟と藻場の保全再生、底質関係ですね、その辺について継続的な検討、それから対策推進というものについて検討していっていただきたいというような要望が出ていますので、多分パブコメでも意見を述べてこられると思いますけど、あえて、少し蛇足ですけれども付け加えました。

【松尾部会長】 どうもありがとうございます。何かお答えはありますか。

【室石室長】 今のご意見については、専門委員会のほうに申し上げて、またその中で反映させていきたいというふうに思います。

【松尾部会長】 特に、自治体ごとのばらつきで上乗せが出てくると困るというようなことに関しては、どんな状況なのですか、今は。

【室石室長】 国のほうでC値の上下限を決めておりますので、その中で設定していただくという制度となっています。専門委員会の中での議論においては、都府県の値は下限に張りついている場合が多いようでございますけれども、真ん中をとったり上限という県もあるという、そういう実態は委員会の中でも議論いたしました。

【松尾部会長】 では、それを超えて、もっと厳しくなっているということではないわけですね。その範囲で決めるということでありますね。よろしいでしょうか。わかりました。どうぞ、鈴木委員。

【鈴木(英)委員】 今のお話なのですけれども、基本的にやはり環境とか安全というのは、地域差がない方が望ましいと思います。もちろん今の時代、地方自治というのが非常に大事ですから、地方で決めていただくのはそれでいいのですけれども、やはりばらつきがあると、いろいろ産業間の競争環境が変わったり、ほかの県に意味なく波及する可能性があります。
 ですから、地方自治体が上乗せ基準をお決めになるときには、まさにその地域の特色の中で十分合理性のある範囲で決めていただく必要があるのではないかと思います。
 このため、例えば国の委員会か何かで、十分それは妥当性があるのかどうかというのを議論していただくとか、そういう制度があってもいいのではないかと。その位合理的、慎重に扱っていただきたいと思います。

【松尾部会長】 わかりました。
 その辺りはどのように答えていただけますかね。
 恐らく、これは私の感想的なものですけれども、地方のある種の独自的な判断と、国の一律で規制する部分とをどう調整するかという、一般論としてもご議論があるのだろうと思いますけれども、これは誰か答えてもらえますか。

【鷺坂局長】 的確なお答になるかどうかわかりませんけれども、今の流れとしまして、なかなか国で何か地方公共団体を義務づけるとか規制するとか、そういった制度を設けるというのは、地域主権の流れの中で非常に厳しい状況にあるということです。そういった流れの中で、今回の水質汚濁防止法等も一定の幅を設けて行うということでありますので、その幅の中で、例えば地方で設定した数値が本当に正しいのかどうかということを、やはり国でやるというのはなかなか難しいのではないかなと、そのような感想でございます。

【松尾部会長】 一応、国のレベルでの検討結果がここに出ているということで、これを基にしてお考えいただきたいという趣旨になるのではないかというふうに思いますけれども。よろしいでしょうか。

【大久保委員】 1点、教えていただきたいのですけれども、時期区分に関しましては、今回、区分は変更せずに順次一致させていくということにしたということで、実際に赤のところを拝見しますと、ほぼ内容が一致しているものと大きな開きがあるものと両方あるように思います。個々具体的に検討されたということなのですが、検討の際の主な考慮要素を教えていただけますでしょうか。個別具体的なお話は結構ですけれども、主な考慮要素としては、技術的な側面とか現実的可能性とかいろいろあると思いますので、どの点を重視されたのかを教えてください。

【室石室長】 一番大きいものとしては、やはり実際に現場でそれが可能かどうかということでございまして、そのために第1番目にまず私どもがデータとして見る部分としては、負荷最大を出している日の濃度値がいくらであるかというのを、第1要素として検討しておりました。

【松尾部会長】 よろしいでしょうか。

【大久保委員】 ありがとうございます。
 それで、それを今後、順次合わせていくに当たって、段階的に数値を下げていくための何か新たな施策のようなものというのは、特にあるのでしょうか。

【室石室長】 現在、6次まで総量削減来ておりますけれども、この中でC0とCiが一致している業種というのが、全体の6割越えぐらいまで来ておりますので、特に新しく手だてをとるというよりは、今回のような作業を地道に続けていくことで一致していくだろうというふうに考えております。

【松尾部会長】 では、そういうことで、専門委員会のほうの結論を、また改めて部会のほうに報告させていただいて、そこで最終的なご判断をいただければありがたいと思います。
 それでは、排水規制等専門委員会の検討状況について、細見委員長、よろしくお願いします。

【細見委員】 排水規制等専門委員会のまとめ役をさせていただいております細見でございます。お手元の資料4-1と、それから資料4-2に基づいてご説明させていただきます。
 この専門委員会は、大きく2つ検討事項がございます。1つは、水質汚濁防止法に基づく排出水の排出規制及び地下浸透水の浸透等の規制について、新たな項目の追加等がございましたので、それについて検討するということが1つ。それからもう1つは、水質汚濁防止法が改正されて、事故時の措置とその対象物質について検討するという大きく2つございます。
 まず、最初の水質汚濁防止法に基づいて排出水の排出規制、地下浸透水の浸透等の規制についてでございますけれども、お手元の資料に経緯として書いてございますように、昨年の9月に水質環境基準値とそれから地下水の環境基準値の見直し等が、中央環境審議会から環境大臣に答申がなされまして、その答申を踏まえて昨年の11月30日に、人の健康保護に係る水質環境基準と地下水環境基準項目の追加と基準値の見直し、変更が告示されたわけです。こうした環境基準の追加と見直しを受けまして、水質汚濁防止法に基づいて排出水の規制それから地下浸透規制等について検討するようにというふうに諮問が行われて、昨年のちょうど1年ぐらい前に検討を始めたところでございます。
 これまで5回の審議を行いまして、その見直しとあるいは追加項目物質について検討したのが、下にありますように、各物質について説明をさせていただきます。まず、1,4-ジオキサン、これについては人の健康保護に係る環境基準と地下水環境基準に追加された物質でございまして、排出水の排出規制それから地下浸透水の浸透規制については、まず排水基準を設定された環境基準値、これは0.05mg/lでしたので、これの10倍値、すなわち0.5mg/l、また、地下水の浄化措置命令に関する浄化基準というのは環境基準値、すなわち0.05mg/lとするような方向で議論が今進んでおります。ただ、1,4-ジオキサンにつきましては特定施設、あるいは暫定排水基準についての検討を行っているところでございます。さらには、当該物質を含む廃棄物の取り扱いについては、別途、委員会が設置されておりまして、それの検討結果を踏まえて議論をしていくということになっております。
 次のページの塩化ビニルモノマー、1,2-ジクロロエチレン、これにつきましては地下水の環境基準のみに追加された物質でございます。これは今までの従来の物質、今までとは少し違うタイプのもので、したがいまして排出水の排出規制に関しては追加しないこととし、地下浸透の浸透規制のみに追加することとしまして、地下水の浄化措置命令に関する浄化基準を環境基準値0.05mg/lとするような方向で今、議論を進めております。
 それから、1,1-ジクロロエチレンにつきましては、基準値が見直されました。従来は0.02mg/lだったものが0.1mg/lに環境基準値が見直されましたので、それに伴って排水基準はこの新たに設定された環境基準値0.1mg/lの10倍値、すなわち1.0mg/lにする。それから、地下水の浄化措置命令に関する浄化基準については、環境基準値0.1mg/lと同じ値とするという方向で、今、議論を進めております。
 もう一つの大きな検討項目として、水質汚濁防止法に基づく事故時の措置とその対象物質の検討内容でございます。これは、本年の1月に中央環境審議会の答申で、「今後の効果的な公害防止の取組促進方策の在り方について」、水質事故に対する迅速な対応を推進するようにということです。この答申を踏まえて大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法の一部が法律改正されました。それが4月28日に成立して5月10日に公布されました。
 この改正後の水質汚濁防止法におきましては、公共用水域に多量に排出されることによって、人の健康あるいは生活環境に係る被害を生ずるおそれのある物質を製造する施設を設置する工場、これ少し長いのですが、こういう人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質、これを指定物質といって、そういう指定物質を製造しようとするような施設を指定施設として、その設置者に対して、もし事故によって指定物質が排出された場合に応急の措置と、その内容について都道府県知事に届けるようにということが義務づけられたわけです。
 この専門委員会におきましては、では、どういう物質を指定物質にするのかについて、10月19日に開催しました第5回の排水規制等専門委員会におきまして、指定物質について議論をさせていただきました。これについて、事故時の措置の対象物質、すなわち指定物質としてのたたき台を今現在つくっておる段階です。
 今後の予定でございますけれども、来週第6回の専門委員会を開催しまして、まず1,4-ジオキサンを除く物質について報告をとりまとめ、パブリックコメントに書ける案を取りまとめる予定でございます。それから、先ほど申し上げましたが、事故時の措置の指定物質のリストですけれども、これについてもパブリックコメントにかける案を取りまとめる予定でございます。その後、12月末から1月にかけましてパブリックコメントを実施し、第7回の専門委員会を2月上旬に開催をいたしまして、このパブリックコメントの結果を踏まえて水質汚濁防止法に基づく排出水の排出規制、それから地下浸透水の浸透規制にかかる項目追加等についての報告と、事故時の措置の対象物質のリストを作成したいと考えています。その結果を、恐らく2月末だと思いますけれども、この水環境部会に報告申し上げたいということでございます。
 なお、1,4-ジオキサンにつきましては、先ほど申し上げましたように、特定施設とかあるいは暫定排水基準について、特に処理技術についてまだ不十分なところがございますので、その処理技術等の今の進展を踏まえて、暫定排水基準についての検討とか、1,4-ジオキサンを含む廃棄物の取り扱いについて、これは別の委員会がございますので、それの検討結果を踏まえて、恐らく本年度中にはまとめをしていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 それでは、今、委員長からご説明のあったことについてご質問、その他があればお願いします。それでは、鈴木委員。

【鈴木(邦)委員】 この件につきましても、これからパブコメに上げる案を詰められる、それからさらに審議を加えられるということで、少し蛇足になるかもしれないのですけれども、産業界でいろいろ挙がっている意見で、一つは事故時の措置について、これは非常に重要なことであって、健康被害を防ぐ意味で極めて重要な措置だと思っておりますが、判断基準ですね、どういう事項についてこれが対象になるのかという判断の基準について、よくご議論をいただきたいと。
 一つ事例として、結果として拡がってしまった場合に、時間遅れだとかそういうものもあるかと思うのですけれども、実際には一つの事故であったのが、別のところから、自治体なんかからいろいろ声が上がってきてとか、そこまで広域になってしまうと逆に大事故なのですけれども、そういうところで混乱がないだろうかというようなことを懸念している事業者もいるというようなことを、事例として少し申し上げたいのですけれども。
 そういう点で、判断基準についてできるだけご議論をいただけたらというところが一つある。
 それから、これは化学関係の事業者の方から出てきたのですけど、塩ビモノマーについて、きちんと委員会でもってご認識されて議論をされているということは今の報告でよくわかったのですけれども、分解生成物であるということを、地下水の中で出てきた場合、その形で出てくるものが結構あるというところを明確にしてほしいというような意見が出てきました。多分、この辺もパブコメあるいは次の専門委員会のときに出てくると思いますけれども、あえて蛇足ながら一言述べさせていただきました。

【松尾部会長】 それでは、意見を先に伺った上で、最終的に細見先生からお話を伺おうと思います。石原委員。

【石原委員】 ありがとうございました。
 排水の話なのか、最初の土壌の地下水の汚染防止とも関連するのですが、もともと土壌の、土壌って何か岩石の小さいのと水と一緒なのか、よくわからないところも若干あって、土壌の地下水の浄化措置命令というのは、環境基準でここに書いたように現行の規定がなっているのですね。多分、最初の地下水の汚染の防止が、法的措置に仮になったとして、浄化の措置命令をどういう形で出すかということになると思うのですけど、土壌のほうはリスク管理を前提にした溶出基準の1、2とかそういう構造になっているのですが。
 今すぐ、水質汚濁が環境基準で浄化措置命令をかけている体系は急にいじれるのかどうかわかりませんが、地下水のこの法的措置を講じるときには、その健康被害で構築するとすれば、環境基準で浄化措置命令をかけるのはおかしいと思いますので、現行の水質汚濁の浄化措置命令の環境基準というのは、この現在やっておられる委員会でどう検討するかとはまた離れますけれども、少し考えたほうがいいのではないかと、こういう気がしております。

【松尾部会長】 須藤先生。

【須藤委員】私、環境基準の策定のまとめ役をした者でございます。その環境基準を達成させるために排水基準をつくられるということで、今までの原則に従ってやられているのはそれでよろしいと思うのですが、一つだけお願いをしておきたいのは、細見先生が暫定基準の話をされていたと思うのですが、こういう難しい物質は暫定基準をつくって、ある程度の技術開発を促すとかそういう結果を待つのが、それはそれでよろしいのですが、今までの例で暫定基準というのは3年間で最高でも3回ぐらいということになっていたのですね。それが4回目なんていうのも過去にあるのです。そういう意味で、無限にというか時間的に長く暫定排出水基準を、しかも非常に高濃度でそれを推移させるというのはまずいと思うので、細見先生のほうでもう一回、暫定基準の原則論をやっていただいて、この物質、恐らく処理技術は一生懸命やればできると思いますので、その辺を促すことによって暫定基準はどんなことがあっても二、三回までにとどめていただきたいなと思います。
 以上です。

【松尾部会長】 眞柄先生、どうぞ。

【眞柄委員】 今、須藤先生からお話があったことですが、なぜ排水規制の専門委員会でジオキサンが最初から暫定排水基準等を設定しなければならない結論に達しているか、その理由をご説明いただきたいと思います。
 今年度中に結論は出されるということですから、それなりに適用可能な最善の技術というものについて目安をお持ちになっていらっしゃると思いますので、それをやはり説明をしていただかないと、なぜジオキサンだけが後送りになるかということがやはり説明し切れていないと思います。
 それから、もう一つは措置命令の浄化基準、先ほど石原委員がおっしゃったように、0.05というのは実質的には本当にあるのかどうかということも含めると、排水基準のほうの暫定基準の0.5を達成するための暫定排水基準を適用せざるを得ない技術水準と、地下水の浄化措置命令の0.05の技術が同じ水準の技術かどうかというところを、やはり説明をしていただきたいというのが切なる願いでありまして、そもそも排出規制等専門委員会でこの4物質を検討しているのに、今回のパブコメで3つしか挙げないという理由をやはり説明していただきたいということでございます。

【松尾部会長】 それでは、いくつかご議論があったけれど、それを含めてよろしくお願いします。

【細見委員】 まず、鈴木委員からご指摘いただきました、事故時の措置とその対象物質の関係でございますけれども、今、この専門委員会で議論しておりますのは、これまで水質事故としていろいろ事例がございます。基本的には今まで起こった水質事故をベースにして考えていますので、今日、後藤委員からも意見書が出ておりますように、事故の定義を明確にしてほしいということだと思いますが、私としては、今まで起こった事故をベースに考えているということで、それ以上潜在的な事故を今は想定していないということでございます。
 それから、もう一つは塩ビモノマー、それから1,2-ジクロロエチレンというのは、トリクロロエチレンとかテトラクロロエチレンの分解から来たものではないかということでございます。確かに、ほとんどそうだと考えられます。その理由というか、根拠は公共用水域のデータを見ても検出されておらず、地下水のみに検出されていますので、主に分解生成物として考えています。ただ、100%そうなのかということに関しては、専門委員会で少し確認をとってから決めていきたいと思います。
 それから、地下水の浄化命令の浄化措置基準の基準値ですけれども、これについては後で環境省のほうの考え方もお伺いしたいと思いますけれども、地下水を通じて人の健康に係る被害が生じるおそれがあるときには、措置命令が行われるということで、実質的には一度もまだ措置は行われていないわけですけれども、ただ、こういう歯止めが必要だと私は思っていまして、それからその基準のレベルですけれども、やはり地下水を我々が飲料用として利用するわけですので、環境基準値のレベルが妥当なのではないかというふうに考えています。これについては、環境省のほうから、委員会でここに関しては議論を、措置命令の内容についても議論していません。ただ、排水規制と地下水の浸透の規制に関して、従来の方向で検討している段階です。
 それから、須藤先生のほうから、環境基準と排出基準との関係で、一部これまででも、例えば硝酸性窒素等も暫定基準が、いくつかの業種について暫定基準が適用されています。これを、長期にわたって暫定基準を続けていくというのは、やはり公平の原則からいうとあまり望ましくないと思われます。ただ、この委員会で、眞柄先生のご質問とも関係するのですけれども、1,4-ジオキサンにつきまして、いくつか文献調査、それから今現在プロジェクト、具体的にいうとNEDOのプロジェクトで、この1,4-ジオキサンの分解技術が研究され始めています。そのレベルがどういうレベルなのかということを理解する必要があります。
 要は、アップツーデートなレベルの処理技術を我々としても勉強させていただいて、処理技術の現状というものを今把握しつつある段階で、すぐにこの0.5mg/lをすべての業種において達成できるかどうかということに関しては、若干疑問だという意見もございますので、現時点ではそういう最新の処理技術を踏まえた上で暫定基準もあり得るかというふうな議論がなされている状況です。
 ただ、とはいえ、本来の環境基準と排出基準との関係からいっても、一律の排出基準のほうにできるだけ速やかに移行していくというのが望ましいと、個人的には思っております。
 それから、眞柄先生から、地下水の浄化措置命令の基準が0.05mg/lであることは、すなわち排水基準の場合に0.5mg/l、これでも難しいと言っているのに、0.05mg/lが達成できるのかという、ご指摘かと思いますけれども、これに関しては正直申し上げて、地下水の浄化技術についてまだ議論というか行っておりませんので、これについても専門委員会のほうで議論させていただきたいと思います。
 以上、私のほうからです。

【松尾部会長】 よろしいでしょうかね。
 それでは、事務的、制度的な話で、事務局のほうからお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【宇仁菅室長】 地下水の浄化措置命令に関する浄化の基準でございますけれども、先ほど細見委員長からご説明していただいたとおりですが、人の健康に係る被害が生じ、または生じる恐れがあると認められたときに発することがあり得る命令として定めておりまして、他の物質と同じでございますので、他の物質と同じように環境基準値と同じ値とすることで、そういう方向で検討していただいております。

【松尾部会長】 よろしいですかね。
 環境基準でそれができるという趣旨ですか、今のは。わかりました。

【細見委員】 後藤委員の12月10日付けのメモがありますけれども、3番目の1,4-ジオキサンについてございます。
 確かに1,4-ジオキサンにつきましては、いくつかの業界、実際に1,4-ジオキサンを扱っている業種をはじめ、1ここに書いてございますように非意図的に1,4-ジオキサンが生成するという業種がございます。それについても、その代表的なプロセスを担当されている業界にも来ていただいて、実情、それから取り得る対策、そういうものについてヒアリングを一応しておりますので、そういう点についても一応配慮しているつもりでございます。
 以上です。

【松尾部会長】 よろしいでしょうか。眞柄先生。

【眞柄委員】 今、後藤委員からの質問も出ていますが、もともと1,4-ジオキサンがトリクレン等の安定剤として使われていた経緯と、それから現在は生の1,4-ジオキサンそのものが使われているというふうに、1,4-ジオキサンの使用形態も変わってきている。
 そして、なおかつ低いレベルの処理技術と、まさに廃ジオキサンというような形で産廃の部分に流れてきているものを、この規制の対象にしたときの処理技術というのと、あるいは管理の技術も、大分、私は違うのではないだろうかというふうに認識をしております。
 私の認識が間違っていればそれで結構なのですが、そういう複雑な状況の中にあって、本当に年度内にパブコメを出せるまでいけるのかどうかということが、私は実は懸念をしているわけでして。というのは、ここは部会ですので、やはり部会でそれだけの方針を出されるということは、それなりに確信がおありになるのかどうかということが、むしろ心配なのです。
 地下水のほうのジオキサンも、先ほどお話ししたように、ほかの有機塩素系の化学物質と共存している場合と、それからまさに1,4-ジオキサンが圧倒的に多い状態で地下水に存在している場合と両方あるわけで、その両方ともにも対応できるような技術の指針なり何なりについて、排水規制等専門委員会でご検討になっていらっしゃるのかどうかというのを、改めてお伺いしたいのと。
 多分、森田先生からのご質問は、これは分析するのにものすごく大変なのです。そういうところまでも一応考慮の対象にして、排水規制等専門委員会でご検討になっているかどうかというのは、少ししつこいかもしれませんが、化学物質としてトリクレンが使われていて、ホウ酸が出てきて、ジオキサンになっていって、いわばモグラたたきみたいな形で次々出てきている化学物質ですので、この際、将来のことも考えて、こういう物質に対してどういうスタンスで規制なり何なりに移っていくかということを議論しておいたほうが、将来のためにもいいと思いまして、くどいようですが質問をさせていただきました。

【松尾部会長】 わかりました。非常に重要な指摘を含んでいると。
 森田先生、もし補足、関係しているのであれば、先にご意見を。

【森田委員】 いいえ、特にジオキサンというわけでもなかったのですが、ジオキサンにつきましては、社会的に非常に大きな問題になったのは、むしろ例えばヨーロッパの辺りで、水道の中にあるいはペットボトル水の中に出てくるジオキサンを一体どう考えるのだというところが、市民の感覚からいうと結構大きかったんだという感じがするのですね。以前からも発がん性が指摘され、しかも極めて、こういう塩素を含んでいない化合物であるにも関わらず、非常に分解性が悪いということを含めまして、しかも水によく溶けるものですから地下水とかにたまってくるというのが一連起こったことであると同時に、もう一つは、発生源が非常に多様で、最初は工業的に生産され、つくられていたジオキサンの汚染が主体ではないかぐらいに考えられていた部分があるのですが、実際はいろんな副反応からも出てきて、エチレングリコールというか、酸化エチレンとかそういったものを使う業態には全部介在してくると同時に、例えば典型的にはペットボトルみたいなそういうボトルの、これはエチレングリコールとテレフタル酸の重合体なのですが、そういうところに、しかもそういう容器そのものを置いているうちにも少しずつ分解生成してくるようであるという、そういう複雑な環境への侵入形態を持っているということ。
 それをどう実際に実効的に制御していくかというところで、今でもまだ知らない発生源を含めて調べなければいけないことが多分あると思います。そういう意味では、ジオキサンそのものでないものとしては、ペットボトルのほかにポリエチレングリコール型の界面活性剤、これも当然関係してくると。そういう意味では、工場から出た後、環境での発生を含めて考えなければいけないというのが一応存在することは存在します。
 毒性自身はそんなにひどく強いわけではないので、したがって、この種の有機汚染物質としては0.05ppm、50ppbとか、比較的緩い基準が設定されておりますので、実効的にはできなくはないのですが、しかし、それでも極めて生物処理で取りにくいということがあり、どうするのかなというのはもちろんあるのですが、それでも、いろんな処理装置なども市販され始めていますので、ある程度のことはできるかなという状況にあると思います。そんな状態で、排水処理も徐々に目処が立ってきているということだろうと思います。
 もう一つ、少し発言させていただきたかったのは、事故時の部分なのですが、今、細見先生のほうからは、事故があったケースのような物質を考えるというふうにおっしゃっておりましたけれども、ただ、この種の有害物質の問題というのは、事故が起こる、ないしは危険性が存在するという点で、十分に蓋然性を持って存在するものについては、ある程度直接的な事故といっても、よく事故そのものが解明されているわけではありませんので、そういう潜在的な危険性のあるものも含めて考えるべきだろうというふうに考えています。特に、今までの、この種の事故時の対応としてあるのは、劇毒法の法律の中で、それは毒物などが環境の中に出たときは保健所に届け出ることになっておりますし、それから、時々遭遇する、これは必ずしも事故そのものというよりも、劇毒物、毒物に指定されているものが外に出たときは、とりあえず届けてくださいという、そういう仕組みだろうと思うのですが、それに対応したような機能も本当は要るのだろうというふうに考えておりますし、それから、これも事故というふうにどう評価するかわかりませんが、水道の取水停止とか、そういったことも起こるようなケースも多分にありますので、具体的な事故のケースということをもう少し、それもわかっていないケースもあるということで、広目に考えておいたほうがいいかなという、そういう感想であります。

【中杉委員】 細見委員長のもとで、私も排水規制等専門委員会に入っていますので、皆さんのご意見に対して、少し委員長を補足したいと思います。
 一つは、一番最初にこの排出規制の考え方を整理するときに、新しい考え方というのは当然考えなければいけないだろうと考えたのですけれども、それについては、前回もこの水環境部会でご説明があった、今後の水環境保全に関する検討会のほうで、新しい形については考えようということになっています。ですから、とりあえず今回は従前の考え方に基づいてつくり上げましょうということを、一番最初に合意をさせていただいたという経緯がございます。そうは言いながら、少し新しく踏み込んでいるところもございますけれども。
 それから、塩化ビニルの生成について分解生成物だけだという話ですけれども、これはたしか事務局で調べられていたと思うのですが、塩化ビニルについてはPRTRの排出の状況を見ますと、全くゼロではない。ですから、分解生成物だけではないということは確かだろうというふうに思います。
 それから、眞柄先生の地下水の浄化についてですけれども、地下水の浄化措置命令をかけられたときに、例えば0.05mg/lの地下水そのものをきれいにするというのが、地下水の浄化措置では必ずしもない。眞柄先生が言われるように、3月までにできるかどうかという話についてはまだですけれども、必ずしも0.05mg/lの水を対象に分解できないと地下水の浄化はできないというわけではないということだけ、一言申し上げておきます。

【松尾部会長】 少し、議論がまだあるのかもしれませんが、今後、排水規制等専門委員会のほうで、もうしばらく時間をかけて検討していただくようでありますし、その後、パブリックコメント等にも出されるということでありますので、最後に少し細見委員長からお話しいただいて、ここで終わらせていただきたいと思っています。

【細見委員】 これから来週、委員会を開催します。森田委員それから中杉委員とも委員会のメンバーでもありますので、本日の議論を踏まえて、委員会で検討いたします。さらに、眞柄先生のご指摘の点についても検討させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【浅野委員】 事故の類型化をきちんとやらなければいけないというご意見が出され、また書面も出ているわけですけれども、法文そのものは水質汚濁防止法の14条の2、それから大気汚染防止法の17、それから廃掃法21条の2、随所に事故時の措置の規定というのはあるわけです。概ねその書きぶりは「破損その他の事故」というふうになっていて、大気汚染防止法だけは故障がそれに加わっているという状況でありますけれども、事故だけではなくて、事故の結果こういうことが起こったというのが全部の要件になっているわけです。
 ですから、実際の発動はこういうことが起こったというところで縛りがかかるわけです。事故という言葉からは概念的には何か爆発事故みたいなイメージを持ってしまうのですけど、そうではなくて、施設の故障もあれば人員ミスもある、何しろ物が出ることが問題である。ルーチンワークではないところで出ることが問題であるという、この限りで理解をすればいいのだろうと思われますので、むしろルーチンワーク以外のところで出てくる、それでどのくらいハイリスクかということで、物質を決めるという考え方でいいのではないか。
 事故の対応によって物質がどうだこうだという議論はあまり意味がないような気がします。だから、あまり専門委員会で、そこは心配して議論をなさる必要はないと私は思っていまして、むしろ、どういうものを事故として取り扱うかというのは、これは運用の問題ですから、事務局がきちんと考えて最終的にはマニュアルをつくるということになるのであって、専門委員会の役割ではないと考えます。あまり、細見委員長には、心配なさらずにおやりいただければと思います。

【松尾部会長】 それでは、そういうことで細見先生には、ひとつよろしくご審議いただいて、だんだんまとまってきた段階で、また部会でご議論いただけばありがたいと思います。
 それでは、次の「最近の水環境行政について」ということで、ご報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【森室長】 それでは、海洋環境室、森と申します。海洋環境室の設置についてと、海洋環境行政について、この資料5、6を続けてご説明をしたいと思います。
 初めに資料5でございますが、環境省海洋環境室の設置についてということで、この10月1日に新しく海洋環境室が発足したわけでございますが、その背景といたしまして、海洋を巡る国内外の関心と重要性が高まったこと、それから海洋環境に対する国際的な取組の活発化、それから海洋ごみ問題の法制度の整備ということが挙げられると思います。それで、それに対応するため、課題が非常に多く目白押しであるということもございまして、国際交渉、国内法制度の企画立案、法施行の各面で集中的に対応することが不可欠であると。それと、さらに課題に即応して各省庁、それから民間団体、地方公共団体、関係業界、それから国際関係者と十分に交渉・調整をして的確に対応することも求められているということで、一元的な対応をする体制の構築が必要ということで、海洋環境室が発足したわけでございます。
 それで、海洋環境室の主な業務といたしましては、廃棄物の海洋投棄の原則禁止、ロンドン条約及びロンドン条約議定書を受けたものでございますが、現在、海洋投棄というのは原則禁止になっておりまして、特定のものだけ許可のもとで認められているということでございます。
 それから、油及び有害液体物質による海洋汚染の防止という、MARPOL条約を受けた形での有害液体物質の査定ということもやっております。
 それから、油の流出事故対策ということで、流出事故が起こった場合の国内の対応と、あと各国との協力体制といったことをこのOPRC条約で決めているわけですが、そういったことに対応するということでございます。
 それから、バラスト水による有害水生生物及び病原体の移動の防止ということで、このバラスト水管理条約自体まだ発効しておりません。したがいまして、日本もまだ未批准ということになっておりますが、近々発効する見込みになっておりますので、それに対してどういうふうな対応をしていくかということを現在やっております。
 それから最後に、国内外における海ごみ対策の適正な実施のための対応ということで、現在、漂流・漂着物が我が国の海岸に多量に押し寄せてきているという状況がございまして、それに対する対応を行っております。
 続きまして、海洋環境行政についてでございます。
 1ページをめくっていただきますと、まず、海洋汚染に関する国際条約と国内での対応ということでございますが、先ほども申し上げましたけれども、条約のほうを見ていただきますと、ロンドン条約、MARPOL73/78条約、OPRC条約、この3つの条約は既に発効しております。それで、それを受ける我が国の国内法というのは、すべて海洋汚染防止法によって担保されているということでございまして、廃棄物、それから船舶からの油、有害液体物質等からの汚染の防止と、それから油等の流出事故への対策というのは、今こういったもので受けておるということでございます。それから、最後のバラスト水管理条約というのは、まだ未発効でございますから、これについては今後、国内法でどういう対応をするかというのは国交省とも協議をしつつ進めていくということでございます。
 次のページにいっていただきますと、それで廃棄物の海洋投入処分に関する問題なのでございますが、現在、水底土砂と建設土砂、それから赤泥、それから家畜し尿、それから焼酎かすですね、そういったものは海洋投入は認められるということになっておりますが、実際に海洋投入処分されているものは水底土砂と建設土砂それから赤泥の3つでございます。
 それから、海洋への油及び有害液体物質による汚染防止というMARPOL条約でございますが、環境省の担当している部分としましては、一番大きなものが付属書<2>に関わる部分でございまして、ケミカルタンカーによって輸送されるばら積み液体物質の有害性の判定をするというところにございます。それで、それにつきましても、申請を受けて有害液体物質の査定の検討会を開催して、適切に評価を行い、分類を行っているということでございます。
 続きまして、OPRC条約につきましては、油事故とか、あと有害液体物質等によっても被害が考えられるわけでございますが、そういった事故が起きた場合の連絡体制の確保とか、対応及び対策の設定とか、そういったことをやっております。さらに、もし起こった場合に、非常に脆弱性の高いところについては、保護すべき海岸ということでマップをつくって、そういうところを調べているということでございます。
 それから、バラスト水による有害水生生物及び病原体の防止というところでございますが、これは貨物船とかタンカーが荷物を下ろした後、そのまま航行できないものですから、バラスト水を積んでまた移動するということで、そのバラスト水に含まれている生物等によって生態系等への悪影響が懸念されるということで、それを防止するためにできた条約でございますが、これについても適切に対応するために今、検討をしている最中でございます。
 それで、次のページにいっていただきまして、我が室のもう一つの柱である海ごみ問題ということがございます。それで、左の方が長崎県、右側が山形県ですが、海ごみの種類も、ぱっと見ていただくとわかると思いますが、長崎県の方はプラスチックが非常に多いと。山形県のほうは灌木とか自然木のものが多いというような状況でございます。
 それで、この問題につきましては、以前からあったわけでございますが、次のページを見ていただきます、国内での対策の経緯ということでございますが、平成18年に漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議というのを設置いたしまして、各省庁が連携をして海ごみに取り組むということをやっていましたが、それでも十分な対応がとれていないということでございまして、平成21年、去年の7月に海岸漂着物処理推進法が議員立法で制定されたということでございます。
 その後、その法律に基づきまして基本方針の閣議決定が今年の3月に行われております。
 その法律の概要でございますが、次のページを見ていただくと、目的といたしまして、海岸における良好な景観及び環境を保全するためということで、海岸漂着物の円滑な処理及び発生の抑制を図ると、この2つの柱をもって制定されておるということでございます。
 海岸漂着物等の円滑な処理ということで、海岸管理者の責任を明確にしたということで、漂着物の処理というのを海岸管理者はやらなければいけないということを明確にしております。
 次のページにいっていただくと、海岸漂着物の発生の抑制ということになりますが、それは国及び地方公共団体が発生状況、発生原因に係る定期的な調査を行って、不法投棄の防止等の措置、それから土地の適正な管理に関する必要な助言・指導に努めるというふうなことがうたわれております。
 次のページへいっていただきますと、環境省による主な漂着ごみに関する調査ということで、これも推進法に基づきまして調査を行わなければならないということになっておりまして、各地においてモニタリングとかあとモデル調査という形で、ごみの対策について調査を行っているという状況でございます。
 次のページにいっていただきますと、海ごみ問題についての国際連携ということがございます。大きな問題となっているのが、まず第一に医療系廃棄物の大量漂着ということで、長崎とか日本海側の各県に、医療系の注射器とかそういったものが流れ着いてくるということがございまして、その発生源等も今調査をしておりますが、中国等に対して対策をとるよう申し入れをしたこともございます。さらに、ポリタンクについては、ハングル文字が多いということもございまして、これ自体、養殖で使われるポリタンクではないかと思われるものが大量に流れ着いてきたりしておりまして、これについても韓国に対して善処を申し入れたりしております。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 海洋関係が水・大気環境局のほうへ移ってきたということで、水環境部会のテーマにもなってくるということなのでしょうかね。何か、ご意見はありましょうか。

【浅野委員】 総合環境政策部会で、環境基本計画の点検をやっておりますけれども、ヒアリングを瀬戸内海地域でやったときに、かなり大きな問題だとして指摘された事項が、漂着ごみではなくて、海底ごみの問題でした。
 現実には漁船が魚をとるかわりにごみを引き揚げてしまう。商品にならないので、またこれを、本当はよくないのだけどまた海に捨ててくるという繰り返しがあるようで、自治体の中ではこれを廃掃法上どうするかと。産廃だと言ってしまうとどうにもならないので、大変苦慮しておられるわけです。
 この問題は、我々全く気がつかなかった問題で、きちんと取り上げなければいけないという認識を持って帰ってきたわけでありますけれども、事は少し漂着ごみとは性格が違いますから、廃棄物・リサイクル対策部とも協議をしながらどうするかということは考えなければいけません。しかし、今の廃掃法のかなり硬直的な枠組みだけですと、どうもうまく対応できない。場合によっては、やはり特別立法というようなことまで考えなければいけないかもしれませんし、今、かなりの量、東京湾にも海底ごみがあるという話を聞いたのですけれども、こういう問題があちらこちらにあるようですから、実態を調べてやはりそれをきれいしていかないと水産資源への影響も大きいと思われるます。関心事としては頭に入れておく必要があると思われますので、発言をしておきます。

【小山委員】 今の海底ごみについては、水産のほうではゴーストフィッシングという呼び方をしていて、海底ごみで確かに水産資源が影響を受けるというのは明らかになっていると。
 それから、私の質問ですが、海洋汚染の中の油汚染、これはいつも話題にはなりますけれども、そのときに大きな問題がないとなかなか取り上げてもらえない課題でございます。特に申し上げたいのは、油処理剤の問題です。
 一つは、皆さんご存じかわかりませんけれども、今現在の日本の油処理剤の基準、毒性の基準ですね、これはヒメダカでやっております。ほとんどの油流出が海で起こっているのに、その基準がヒメダカでまだ行われているというのは、昔の技術的な問題があって、どうしてもヒメダカでやらざるを得なかったというのもあるのですけれども、これは一時的に環境省で委員会をつくって、海の魚でやろうという話が出たのですけれども、たち切れになっている。
 それから、もう一つ大きな問題は、油処理剤を使っていいかどうかという判断ですね。これはいつもうやむやになっています。油流出事故が起こったときに、環境省あるいは水産庁から十分に配慮してほしいというだけのコメントが出るだけで、明確な今までの行政的な対応というのでしょうかね、そういうものが行われていないという一つの大きな問題があります。
 それから、油だけではなくて、いろんな有害液体物質が流出したときの脆弱性マップですね。これは実は環境省だけではなくて、水産庁であるとか海上保安庁もつくっているのですね。これがなかなか統一されたものができていないというのが一つ問題だと思いますので、ぜひそれをご検討願いたいということです。

【薗田委員】 クレアンの薗田です。
 バラスト水による問題のところなのですけれども、こちらのほうは船舶系の企業のほうで、企業の社会的責任、CSRとしてやはり生物多様性の問題、生態系の攪乱をどうするかということを、実は数年ぐらい前から私どもいろいろお話をしていまして、かなり多くの企業が大量のバラスト水を放出することから、非常に影響があって何とかしなければいけないとは考えているのですけれども、なかなか具体的にどうするかというところがまだ根本的な解決に向かっていないというのが現状です。
 実際、今、バラスト水条約について採択されて準備を始めているということなのですが、少しこのあたりをもう少し詳しく教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【松尾部会長】 それでは、今、海底ごみの問題と、それから油汚染の処理剤の安全性というのでしょうかね、毒性評価みたいなのがどうなのかとか、それから、今のバラスト水の状況について考えておられることでいいと思いますので、よろしく少しご説明いただければありがたいと思います。

【森室長】 まず、海底ごみに関しましてですが、この問題、漂流・漂着ごみの検討の際にも問題として取り上げられまして、法律が制定される際に議会の附帯決議の中に海底ごみについて調査すべしということになっておりますので、これについてある程度のことはしなければいけないという認識ではあります。ただ、現在、まず漂着ごみを何とかするという、これも非常に難しい問題でございまして、それを対処しながら、なおかつ海底ごみについても対応を広げていくというのが、これからの課題だというふうに考えております。
 それから、油処理剤、海洋汚染に関しまして、私も不勉強でございましたけれども、全くそのようなことがあるというのを今初めて聞きました。これから勉強させていただいて、これに対してより良いことができるよう考えたいと思います。
 さらに脆弱性マップにつきましても、水産庁それから海上保安庁でもつくっておられるということなので、そういったものもうまくマッチングさせるような形で検討をしていきたいと考えております。
 それから、バラスト水に関しては、排出する際には、プランクトンの大きさ等に基づいて、排出する際の濃度が条約上決まっておりまして、その濃度以下になるようにプランクトン等を減らす濾過装置等を認定してそういったものをつけてもらうとか、そういった対応を考えているということでございます。

【松尾部会長】 ありがとうございます。いかがでしょうか。須藤先生。

【須藤委員】 すみません、1つだけお願いいたします。
 1年ほど前に、私が南極の昭和基地周辺が大変海洋汚染が進んでいて、そしてその原因は基地の浄化槽に原因があって、かなりオーバーローディングであることを報告させていただきました。それに対応して新しい浄化槽を今年度ですか入れてくださるというところまで伺っているのですが、従来、地球環境局でこの南極問題対応していたのですが、大変おもてに出にくい話なので、海洋汚染の中でこの南極の問題というのは対応はされるのでしょうか、されないのでしょうか、そこを伺いたいと思います。

【鷺坂局長】 地球環境局で所管していた南極条約の関係は、今回の組織改正の中で自然環境局に移管されております。

【須藤委員】 わかりました。

【藤井委員】 海洋ごみの10ページのところにJEANからの資料が出ておりまして、この漂着ごみに対する調査と、それから次のページの国際連携のお話が出ていますが、特に今年、3RをめぐるNGOの会議の中で、かなりこの海洋ごみを問題を取り上げました。このJEANの写真は、これはゼブラのボールペンであったり日本のライターであったり、ほとんど4,000キロ離れた地平の島の中にも日本ごみもあるわけで、次のところにあるハングルばかりではないと。ここの中でロシアが抜けていますが、日・中・韓・ロでNGOは漂流ごみの国際連携をやっているのですね。この調査、国際連携の中で少しスピードを上げてやっていかないと、量と質が大変悪くなっているものですから、ぜひNGOとの連携軸もここの中でいろんなプログラムをつくって進めていただきたいという、これは要望です。

【松尾部会長】 わかりました。それはよく伺って、うまくやっていただくということですね。

【大塚委員】 別のことになって恐縮ですけど、一言だけ。一般的なことで恐縮ですが、今回、水・大気環境局にこの海洋環境行政が入ってきたというのは、ある意味いいことだと思うのですけれども、政策評価のほうに少し関わっておりまして、水・大気という国内の問題が中心の中で、水のほうは海外との関係がかなり問題になる海洋環境行政、大気のほうは酸性雨が入ってきたということですけれども、若干やりにくい面もあるのかなと心配しているところも全くないわけではありません。ただ、先ほどのご説明とかを聞いていると、随分熱心にやっていただけるようですので、一安心しているところですけれども、埋没することのないようにぜひよろしくお願いします。

【鷺坂局長】 水・大気環境局でも、国際的な、特に東アジアを中心としてということでありますが、そういった観点から、しばらく前より、水・大気環境局の国際協力推進室を設けております。また、海洋環境室が今回設けられたということでありますので、体制整備は進めてまいりたいと思います。

【松尾部会長】 それでは、最後に残っている資料7についてご説明いただきましょうか。

【吉田課長】 水環境課長の吉田でございます。それでは、資料7-1と7-2をご覧ください。
 まず、資料7-1ですが、これは先月末に発表いたしました昨年度の公共用水域の水質測定結果であります。概要について、簡単にご報告をさせていただきます。
 2ページをご覧ください。表とグラフをお示しさせていただいております。まず、環境基準の健康項目につきましては、環境基準の超過地点数ですが、調査地点数が全部で5,400余ありまして、そのうち環境基準を超過しているのが51地点ということで、99.1%がクリアしています。ただ、約1%超過しておるわけでして、その内訳が表2です。
 砒素とふっ素がかなり値としては大き目になっております。ただ、一番下の合計欄ですが、全体としまして右のほう51の地点数のうち、自然由来が27ということで半数以上が自然由来になっているというような状況もございます。
 それから、その下の図1のほうは、同じく環境基準ですが、BOD、CODの達成率の推移ということであります。河川、海域、湖沼それぞれで環境基準を設定いたしておりますが、全体の数値としてはずっと上がってきておりまして、昨年度は87.6%です。ただ、内訳を見ますと、河川のほうは92.3ということでかなり値が高いですが、海域は79.2、湖沼については50.0ということで、まだ改善の余地は十分残っているというような状況でして、ここしばらく傾向は変わっていないということであります。
 それから、3ページは湖沼の環境基準ということで、全窒素・全燐の達成率の推移です。こちらにつきましても、達成率52.2%ということで、とりわけ全窒素のほうが約15%と達成率が低い状況でとどまっているといったことが、課題として残っておるところであります。
 もう1点の資料7-2です。こちらのほうは同じく11月末に発表しておりますが、水質汚濁防止法等の施行状況ということで、これは都道府県が実際にいろいろ実務を行っておりますが、その施行の状況ということで、裏面に表を載せておりますので、こちらを見ていただきたいと思います。
 まず、表1は特定事業場数ということで、全国で21年度につきましては27万4,000余となっておりまして、少し減少傾向であります。
 それから、その下が特定事業の業種別の内訳ということで、1位が旅館業、2位が自動式車両洗浄施設で、これは例えばガソリンスタンド等にあります車を洗う施設でございます。3位が畜産農業になっています。
 それに対して、立入検査、行政指導が表3です。これが、先ほど申しました都道府県が企業にあるいは事業場に立入検査をした回数でして、21年度は4万2,367ということです。そのうち行政指導を行ったのが一番右の欄でございまして、7,172となっております。
 さらにその下は、改善命令を発出したものということで、昨年度は26事例でございます。
 その下、表5でございますが、さらに罰則を適用したものということで、昨年度は6事例がその排水基準違反ということで罰則の適用がされております。以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 何かご質問ございましょうか。よろしいですか。
 ありがとうございました。
 それでは、報告事項もこれで終わりましたのですが、特にご発言がなければ、これで今日の部会を終わりたいと思います。
 事務局のほうから最後、事務連絡等をお願いしたいと思います。

【須藤課長補佐】 いつものお願いでございますが、本日の会議録につきましては速記がまとまり次第、また各委員の皆様にお送りさせていただきますので、ご確認のほどをよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【松尾部会長】 以上をもちまして、中央環境審議会第25回の水環境部会を閉会させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

午前11時55分 閉会