中央環境審議会水環境部会(第19回)議事録

開会

議題

(1)
第7次水質総量削減の在り方について(諮問)
(2
)総量削減専門委員会の設置について
(3)
その他

閉会

配付資料

資料1中央環境審議会水環境部会委員名簿
資料2-1第7次水質総量削減の在り方について(諮問)
資料2-2第7次水質総量削減の在り方について(付議)
資料2-3「第7次水質総量削減の在り方について」諮問関係資料
資料3総量削減専門委員会の設置について(案)
資料4-1環境基準健康項目専門委員会の審議状況について
資料4-2水生生物保全環境基準類型指定専門委員会の審議状況について
資料4-3陸域環境基準専門委員会の審議状況について
資料5来年度の重点施策等について
資料6水生生物保全に係る環境基準項目の検討状況
資料7閉鎖性海域中長期ビジョンの策定について
資料8閉鎖性海域に係る窒素・燐の暫定排水基準の見直しについて
資料9国際協力の取り組みについて(コベネフィットCDM事業)
参考資料1 中央環境審議会関係法令等
参考資料2 平成19年度公共用水域水質測定結果について

議事

午前10時00分 開会

【今井課長補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第19回水環境部会を開会いたします。
 これよりの進行につきましては、座ったまま失礼させていただきます。
 開催に先立ちまして、本日の出席委員の御報告をいたします。所属委員34名のうち、過半数を上回る23名の委員に出席いただいております。中央環境審議会令第7条第3項により準用する同条第1項の規定に基づき、定足数を満たしており、本部会は成立しておりますことを御報告いたします。
 なお、本日は鈴木会長にも御出席いただいております。
 また、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただきます。
 次に、平成19年1月6日より2年間とされておりました任期が満了したことに伴いまして、新たに委員全員が任命されておりますので、今回、異動のありました委員の方のみ御紹介をさせていただきます。
 まず、退任された委員の方ですが、片山委員、黒川委員、元杉委員が御退任されました。
それから、委員を務めていただいておりました若林委員におかれましては、昨年11月に御逝去されました。改めて御報告させていただきますとともに、謹んで御冥福をお祈りいたします。
 次に、新しく当部会に所属することとなった委員の方々を順に御紹介申し上げます。
 厚生労働省国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長の井上達委員でございます。
 独立行政法人水資源機構副理事長の太田信介委員でございます。
 上智大学大学院地球環境学研究科教授の柳下正治委員でございます。
 それから、本日は御都合により欠席されておりますが、鹿児島大学水産学部海洋資源環境教育研究センター教授の小山次朗委員が新たに加わるとともに、中杉修身委員が昨年9月より当部会に所属され、引き続き所属いただくことになっております。また、当部会の部会長ですが、中央環境審議会令第6条第3項に基づいて、本年1月15日付にて松尾委員が引き続き水環境部会長に指名されておりますので、ここで御報告させていただきます。
 続きまして、事務局側にも昨年の部会開催以降に異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 水環境課長の川﨑でございます。
 閉鎖性海域対策室長の尾川でございます。
 地下水地盤環境室の和田でございます。
 申し遅れましたが、本日、部会長に引き継ぐまで進行を務めさせていただきます水環境課の今井と申します。よろしくお願いたします。
 それでは、議事に入らせていただく前に鈴木会長に御挨拶をいただきたいと思います。

【鈴木会長】 おはようございます。
 新しい任期の始まりということになります。そういうことでは、第19回とありますが、今年度、新しい任期としては第1回目の水環境部会と思います。皆様御案内のとおり、昨日、日付によりますと24日になるわけですが、アメリカではオバマ大統領の議会演説がございまして、演説上手な方というのは前から知られておりましたけれども、中身のある、非常に私も心を強くするようなお話がいろいろございました。
 環境関連も特出しでいろいろと考えておられるというようなことでもありますし、また国民に対する語りかけの仕方なんかも、なかなか見事なものだと思って感銘を受けたわけでございます。
 我が国の環境関係は、目下、低炭素社会については、新聞上でも取り上げられることも多く、あるいは皆様の御関心が高いところですが、水環境に関しましては、現在は、いわば日常的なことを粛々と進めながら基本を考えて頂く時期かと思います。本日は総量削減という難しい問題に取り組んでいただくことになっておりますが、こういう機会に、本来の水環境のあるべき姿というようなことを部会においてお考えいただきたいと思います。総量規制ということになりますと、現在は、二酸化炭素に関して、地球全体で総量規制をどうするか、こういう議論が進むところだろうと思いますので、いわばそういうものとパラレルに考えながら、そして、それぞれの水域に見合ったコンセプトをつくっていただければと願っております。
 水環境の場合には、水だけではなくて、陸域の活動とどういうふうに組み合わせて、流域管理であるとか、統合的な管理を具体的に実現するのか、どういう管理の仕方をすべきなのかというようなことをぜひこの水環境部会でお考えいただければ、と思います。
 長くなりましたが、この水環境部会も活発にお進めいただき、成果を上げていただきますことをお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

【今井課長補佐】 どうもありがとうございました。
 引き続き、水環境担当審議官の伊藤より御挨拶を申し上げることとしておりましたが、急遽国会対応が入りましたため、後ほど終わり次第、駆けつけることとしておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、本日の審議のためにお手元にお配りしている資料につきましては、配付資料一覧、資料1から資料9まで、参考資料1、2とございますので、もし配付漏れ等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 それでは、これよりの議事進行につきましては、松尾部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【松尾部会長】 水環境部会長に指名されました松尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の先生方には、今後ともいろいろ御協力いただかなければならないことばかりだと思っています。
 それから、前期より引き続きの方と、今期から改めてお入りいただいた委員がおられますけれども、なるべく自由にいろいろなことを御発言いただくように私としては運営させていただきたいと思っていますので、どうか遠慮なく御発言いただければありがたいと思います。
 それから、この水環境部会は、鈴木会長の思い入れも非常に強い部会として、ずっと運営させていただいていまして、今のお話でもあるように、水環境、今後の将来像みたいなものをどうやって持っていくべきかという、ある意味では非常に身近な環境でありながら、これからの見通しを持つのはまた難しい環境というか、対象なのかというふうにも思います。しかし、どうぞよろしく皆様方の御協力いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、この議題に従って進めさせていただきますが、最初の議題に入る前に、私が部会長に指名されたわけでありますが、中央環境審議会令の第6条第5項というのがありまして、それの準用による第4条第3項で部会長代理を指名するということが決められておるようであります。部会長に事故があるときは、部会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理するということになっているようであります。そういう意味で、私から指名させていただきたいと思いますが、私としましては、岡田委員に部会長代理をお願いしたいと思いますけれども、皆様いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【松尾部会長】 ありがとうございます。
 それでは、岡田委員、忙しい方でありますが、ぜひよろしくサポートをお願いしたいと思います。水環境部会の部会長代理には、岡田委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最初の議題に入らせていただきたいと思います。
 最初の議題は、第7次水質総量削減の在り方について(諮問)となっているわけであります。資料2-1及び2-2のとおりでありますけれども、本日付で環境大臣から諮問され、鈴木会長より水環境部会に付議されたものであるわけです。
 事務局のほうから諮問文の読み上げ、あるいはそれの趣旨について御説明いただきたいと思いますし、続けてこれに関連する専門委員会の設置についても御審議いただきたいと思いますので、それについても説明を続けてほしいと思います。
 それから、審議事項ではないんですが、資料7も関連するということのようでありますので、あわせて御説明をお願いしたいと思います。
 それでは、事務局、よろしくお願いいたします。

【尾川閉鎖性海域対策室長】 閉鎖性海域対策室の尾川でございます。
 それでは、座って御説明をさせていただきます。
 まず、資料2-1でございますけれども、本日付、諮問第256号、環水大水発第090226001号をもちまして、斉藤環境大臣から鈴木会長あて諮問された内容でございます。
 読み上げさせていただきます。
 第7次水質総量削減の在り方について(諮問)。
 環境基本法(平成5年法律第91号)第41条第2項第2号の規定に基づき、第7次水質総量削減の在り方について、貴審議会の意見を求める。
 諮問理由でございます。
 東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海においては、水質汚濁を防止し、当該海域の水質環境基準を確保するため、水質汚濁防止法及び瀬戸内海環境保全特別措置法の規定により環境大臣が策定した第6次総量削減基本方針に基づき、平成21年度を目標年度として、COD、窒素及びりんに係る汚濁負荷の総量削減に取り組んでいるところである。
 しかしながら、これら海域におけるCOD、窒素及びりんの環境基準の達成率は十分な状況になく、赤潮、貧酸素水塊といった富栄養化に伴う問題が依然として発生している。
 このような状況に鑑み、これら海域における総合的な水質改善対策を一層推進するため、第7次水質総量削減の在り方について、貴審議会の意見を求めるものである。
 以上でございます。
 続きまして、資料2-2を読み上げさせていただきます。資料2-2は、同じく本日付で中環審第495号をもちまして、鈴木会長から松尾部会長あて付議がなされた内容でございます。
 第7次水質総量削減の在り方について(付議)。

 平成21年2月26日付け諮問第256号、環水大水発第090226001号をもって環境大臣により当審議会に対してなされた標記諮問については、中央環境審議会議事運営規則第5条の規定に基づき、水環境部会に付議する。
 以上でございます。
 続きまして、資料の2-3に水質総量削減の制度の概要と現在の状況につきまして、諮問関係資料としておまとめさせていただいておりますので、これにつきまして順次御説明をさせていただきます。
 おめくりいただきまして、下のページ番号1をご覧いただきたいと思います。
 1ページ目は、水質総量削減の概要でございます。水質総量削減の目的でございますけれども、まず、人口と産業が集中して汚濁が著しい広域的な閉鎖性海域、これを指定水域といたしまして指定するわけでございますが、この閉鎖性海域の水質改善を図るために、海に流れ込む汚濁負荷、その総量、トータルの量の削減の目標量、それから目標年度などを定めまして、総合的・計画的に水質保全対策を推進するものでございます。
 この指定水域でございますけれども、何枚か後にある位置図のとおり、3つの湾、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海と、それからそれに関連する地域が指定をされております。
 指定項目といたしましては3項目でございまして、化学的酸素要求量(COD)、それから窒素含有量、りん含有量、これらを含みます排水の規制ですとか、あるいはこれらに伴います水質汚濁を改善するための事業、これを実施することになります。
 対策の概要といたしましては、まず1番の事業の実施でございますけれども、生活排水に関しましては、下水道や合併処理浄化槽といった生活排水の処理施設、この整備を促進することとしております。
 それから、2番目の事業場対策といたしまして、総量規制基準というものを定めてございます。工場・事業場に対しましては、全国的に排水基準という濃度基準を決めておるところでございますけれども、これら水域に関連する地域に立地する事業場につきましては、濃度だけではなく、濃度にこの排水量を乗じた負荷量、濃度ですとミリグラム/リットルとかそういう単位でございますが、グラム/デー、キログラム/デーといったような量の単位で規制を行うと、こういうことになってございます。より厳しい、排水規制よりも厳しい規制が総量規制基準によってかけられてございます。
 それから、削減指導といたしましては、イは排水量の規定がございまして、一定規模以上の事業場しか対象になりませんので、その他の小規模な事業場ですとか、こういう総量規制基準による排水の規制になじまない畜産や農業などに対しましても、ここから出てくる汚濁負荷の削減指導を行うということでございます。
 さらに、エでございますが、今までは陸から海に流れ込んでくる汚濁負荷を削減するという取り組みでございますけれども、それだけではございませんで、湾の中には過去の汚濁によって蓄積した底質などもございます。また、干潟・藻場といったような、水質をきれいにする効果を持った浅海域の機能もございますので、こういう浄化機能を増す、あるいは直接浄化をしていく、対策をしていく、こういう対策につきましても、この総量削減として取り組んでおるところでございます。
 おめくりいただきまして2ページが過去の経緯でございまして、今回7次をお諮りしているわけでございますが、毎回5年間という計画期間を設けまして、これまで昭和54年から30年にわたりまして対策を実施してございます。当初はCODだけでございましたが、第5次から窒素、りんも加わっておるということがおわかりいただけるかと思います。
 現在の総量削減は、平成18年11月に本審議会の答申に基づきまして、基本方針を策定させていただいておりますけれども、目標年度は平成21年度と、来年度で切れるということになってございますので、今回諮問させていただいた次第でございます。
 3ページが、総量削減の体系ということで整理してございますけれども、この水質総量削減、地元の自治体さんと中央政府とともに歩んでいく、こういう計画でございまして、国レベルでは総量削減基本方針というものを環境大臣が策定をいたします。その中には、目標年度ですとか、削減目標量、それから基本的な事項が書いてございます。これを受けまして、関係の都府県では、それぞれ都府県ごとに知事さんが総量削減計画を策定することになります。これは、基本方針で設定いたしました削減目標量を達成するための方途という言い方をしてございますけれども、それぞれ発生源に応じまして対策を当てはめ、そして目標を達成するための施策を考えていくということでございます。
 具体の施策は一番下に、3つの箱に書いてございますが、事業の実施ということで、下水道の整備、し尿処理施設、生活排水対策を進めていきましょう。それから、真ん中の事業場、それから削減指導ということでございます。
 おめくりいただきました4ページが図面でございますが、三大湾という言い方をしてございます。東京湾、伊勢湾、瀬戸内海でございますが、瀬戸内海の中でも東側の大阪湾と大阪湾を除く海域というのは、かなり水質の状況も違ってございますので、実は別々の基準を設定してございます。その関係で、3つと言いながら、4つの絵が出てございますけれども、これらの水域が指定されてございます。
 それから、水域の周りにハッチがかかっておりますが、これは河川の流域界を示してございます。例といたしまして、例えば広島県というのを見ていただきますと、県全域ではなくて、山のほうに白地がございますが、これは江の川水系が日本海に注いでいるということでこれは除かれておる、つまり瀬戸内海に注ぎ込む河川の流域まで考えて、この地域を指定しておるということでございます。関係している県は下に書いてございますが、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海合わせまして20都府県に及ぶという、こういう広大な地域でございます。
 次へまいりまして、5ページに汚濁負荷の推移を示してございます。ちょっと小さい字で申しわけございませんが、先ほど基本方針で削減目標量を定めるということを申し上げたと思いますが、上からCOD、窒素、りんでございますが、例といたしまして、一番左上、COD、東京湾というところを御覧いただきますと、下から生活系、産業系、その他系という棒グラフになっておりまして、現在はH16というところからH21というところへ目指してございまして、つまり211、193という数字が見えるかと思いますが、平成16年で東京湾に流れ込むCODの汚濁負荷量の合計が、1日当たり211トンでございますが、この211トンを平成21年度までに193トンにまで削減をすると、こういう計画でございます。
 内訳といたしまして、生活系はどうかとなると144を128に、産業系は42を41に、このように削減をしていきましょうということでございます。過去は実績でございまして、21だけ計画になってございますが、どれを御覧いただいても、おおむね右肩に着実に減少している、削減の目標ということであれば、確実に実施がされているということが御覧いただけると思います。
 窒素、りんは先ほど申し上げましたように、5次からでございますので、左側が点々になってございます。総量削減が始まりましてから、大きく減少していることがおわかりいただけるかと思います。
 それから、6ページでございますが、6ページ、7ページ、左右に開いて見ていただいたほうがよろしいかと思います。恐れ入ります。
 6ページ、7ページがCODの状況でございます。そもそも削減を何のためにやるかといいますと、海域、東京湾なら東京湾が環境基準を達成していないので、排水規制に加えて、一般の排水基準に加えて総量規制基準なりをかける、あるいは施設整備を重点的に推進するということでございます。では、削減に伴います水質はどうなっているかということでございますが、御覧いただくように、やや改善傾向になるかとは思いますが、一時のひどい状況は脱しつつあるものの、最近につきましては、水質としては横ばい状態ということでございます。
 それから、左から、東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、申し上げましたように、瀬戸内海は大阪湾と大阪湾以外に分けてございますが、御覧いただければと思います。
 それから、次の8ページ、9ページが全窒素の状況、これも左のほうの非常に悪い時期からは脱しているかと思いますけれども、やや右肩下がり。それから、10ページ、11ページを御覧いただきますと、これはりんでございますが、りんはおおむね右に下がっているかと思いますけれども、最近については横ばいということでございます。
 これを12ページで御覧いただきますと、先ほどのは濃度でございますが、12ページでは環境基準、それぞれの海域ごとに類型を当てはめてございます。その当てはめに対する達成率ということで見ていただきますと、CODについても横ばいでございます。それから、全窒素・全りんは、海域によって達成率が向上しております。白三角を見ますと、大阪湾でございますが、窒素・りんの達成率については向上しているということでございます。
 それから、これまで水質の濃度を中心に御覧いただきましたけれども、13ページがその障害といたしまして、赤潮と青潮について御紹介いたしております。赤潮はご存じのとおり、プランクトンが非常に増殖する状況でございますけれども、この上のグラフで御覧いただきますと、一番上の瀬戸内海、昭和50年代前半の、つまり現在の総量削減の制度が始まる前の非常にひどい状況からは脱してございますけれども、最近でも、依然として100件程度の赤潮が発生しております。伊勢湾についても、右には下がってございますけれども、ここ数年、同じような状況でございます。
 それから、下は青潮(苦潮)でございますが、これは貧酸素水塊という、つまり海の底のほうに酸素が非常に少ないゾーンができまして、その中に含まれております硫黄が、海面に接したときに青く見えるということで青潮ということを言ってございます。つまり、これは酸素の少ない状況がどれだけ発生したかという件数というふうに御理解いただけたらと思いますけれども、その件数で見ますと、やはり左から右にかけて件数自体は減っておりますけれども、最近でも依然として発生をしてございます。
 この貧酸素水塊の状況につきまして、14ページ以降に図面で示してございます。
 14ページが東京湾の状況でございますけれども、右上方といいましょうか、北東の湾の奥部、千葉市の沖合いあたりでございますが、ここに広大な溶存酸素が低いエリアがあり、これは今年度といいますか、昨年の5月から12月の状況でございますけれども、このように夏場を中心に、非常に広いエリアで貧酸素水塊が発生しているということでございます。当然として、この酸素が低い状態が長く続きますと、底生生物も非常に生きていくのが苦しいという状態になっております。
 それから、15ページでございますが、これは伊勢湾の同じく昨年の状況でございまして、かなり広い、これも同じように広いエリアで酸素が低い水域が広がっているということがお見取りいただけるかと思います。
 同様に、16ページが大阪湾でございます。やはり夏場を中心に、この貧酸素水塊というのが大きく発生をしてございます。
 また御質問がありましたときに使わせていただきますけれども、17ページが、閉鎖性海域の水質汚濁のメカニズムということでございます。富栄養化と有機汚濁というものがございます。CODに代表される有機物、それから窒素、りんの流入をコントロールすると、非常に複雑に絡み合ってまいります。その中では生物も絡んでまいりますので、藻類がふえたりして、それが相互に行き交って酸素が低下をして底質も悪化をし、それがまた水質を悪化させるというメカニズムについて書いてございます。
 18ページ以降は、関係条文でございますので御説明は割愛させていただきまして、資料の3を御覧いただければと思います。
 資料の3は、本日、ぜひお決めいただきたい専門委員会の設置についての事務局の案文でございます。この部会にお諮りしているわけでございますけれども、かなり専門の事項が多岐にわたりますので、ぜひデータについても専門の方々に御覧いただき、私どもに対して御助言をいただきたいということで、資料3にございますように、総量削減専門委員会というものを設置させていただきたいと、かように考えてございます。
 案文は以上のとおりでございまして、別紙を御覧いただきますと、現在水環境部会には3つの専門委員会があるわけでございますけれども、4番目の専門委員会として、総量削減専門委員会の設置をお願いしたいと考えてございます。
 それから、私の説明の最後でございますが、ちょっと飛びまして資料7というのを御覧いただきたいのですけれども、よろしいでしょうか。
 資料7は、閉鎖性海域中長期ビジョンの策定についてという資料でございます。これは、実は第6次の水質総量削減につきまして、答申をいただいたのが平成17年でございますけれども、その答申の中で幾つか宿題をいただいてございます。先ほども私、グラフを説明したときに横ばいであるというようなことも何度か申し上げさせていただきましたけれども、やはり削減自体は皆様の御努力で着実に進んでいるわけでございますが、一部海域でやはりまだ改善が見られないところがあると。もちろん、複雑であることは理解していただいていると思いますけれども、それにしてももっと先を見据えた対策が必要ではないかということで、宿題をいただきました。その宿題に対する現在の作業状況を資料7にまとめさせていただいているものでございます。
 1ページの下のところに簡単なポンチ絵が書いてございますけれども、今申し上げました平成17年5月の答申の中で、2つの箱の中に書いてございますとおり、1つは目標とすべき水質というものを検討すべきではないかと。つまり貧酸素水塊だの、青潮だのということを言っておるわけでございますが、現在は底の層、底層に注目した基準がございません。こういう底生生物が大事だということであれば、その生息環境とリンクした目標というのをきちっと設定すべきであると、そういう検討をしなさいという宿題をいただいております。
 それからまた、確かに長い時間がかかるということはわかるんだけれども、それにしても、もう25年、30年かかっていることを考えなさいと。すなわち、将来に向かった効果的な対策というものも考えていくべきであろうということで、宿題を2ついただいているわけでございます。
 これに対しまして、平成18年度にまず懇談会を設置してございます。これは、各省からも御参加をいただきまして、閉鎖性海域の総合的な推進に関しまして、論点整理をさせていただきました。そうした中で、次から御説明いたします目標の在り方、あるいはそのシナリオといったものが必要であろうということで整理ができましたので、平成19年度から3年間の計画で中長期ビジョンをつくっているところでございます。
 内容につきまして、2ページ以降で、概略でございますけれども、御説明させていただきます。
 2ページでございますが、学識経験者の方にお集まりいただくとともに、関係省庁にも御参加をいただきまして、懇談会を設置をしてございます。また、懇談会の下には、目標設定のためのワーキング、それから対策効果検討のためのワーキングという体制で検討を行っているところでございます。
 2ページの下、3番の検討状況でございますけれども、まず目標設定につきましては、先ほども申し上げましたとおり、生物生息環境を表現するということで、状態指標という言い方をしてございます。底層DO、底の溶存酸素について1つ、それから市民にわかりやすい指標といたしまして透明度、この2つを目標とすべきであろうということでございましたので、この2つの目標に関しまして、現在、目標値をどうするか、あるいはその設定方法なり、評価方法をどうするかという検討を進めてございます。
 現在、途中でございますけれども、まず東京湾を対象としてケーススタディをし、在り方論について検討している最中でございます。現在のところでございますけれども、底層DOにつきましては、3つの目標を設定すべきではないかと。一般のお魚で言うと成魚、あるいは未成魚といったような大きな個体のための目標、それから、再生産の場という言い方をしてございますけれども、稚魚ですとか、仔魚ですとか、あるいは産卵期のお魚に注目した、さらに言ってみれば厳しい目標。それから、逆にひどい地域、現在無生物にある地域、あるいは港湾の中のような地域に関しましては、そういう無生物地域が既に発生しているわけでございますので、それを解消するための目標というのはどうしたらいいかということを考えてございます。
 透明度に関しましては、光の透き通りぐあいでございます。光が十分差していれば、植物も健全に育ってまいります。そうした海藻、藻類の生育に着目いたしまして、藻場を形成する藻類に必要な光量が確保できるような透明度というのはどれだけか。あるいは海水浴ですとか、レクリエーションといった親水利用から見たときに、どれぐらいであれば透明度というのはいいだろうかと、こういう目標を決めようとしてございます。
 それから、3ページを御覧いただきますと、次に目標を決めて、対策を決めて、将来を見据えていくわけでございますが、やはりここは数値モデル、数値計算による考察ということが不可欠になってまいります。このためのシミュレーションモデルというものを構築、開発しつつございまして、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海で、これまで起きている現象が再現できるようなモデルについて現在検討中でございます。モデルの概要は3ページの表にまとめてございますが、4ページへまいりまして、現在の状況でございますけれども、まずは現況再現という再現計算ということをいたしまして、再現性を現在確認しつつあるところでございます。流動面、水質面、底質面ということで、3つの観点で評価を行ってございまして、現在、懇談会で御覧いただいているところでございますけれども、おおむねよろしいのではなかろうかと。これであれば、将来の計算についても使えるんじゃなかろうかというところまで進んできてございます。
 次に、5ページでございますが、今申し上げた目標を設定すると。もちろんCOD、トータルりん、トータル窒素という現在の環境基準に加えまして、底層DOや透明度という新たな目標もあわせて、将来どのような海域や姿になっていくかということを設定するわけでございますが、それはモデルを使って対策を当てはめて、シナリオとしてセットいたしまして、予測し、検証していくというものでございます。作業のイメージを5ページにつけてございますけれども、対策シナリオという言葉をつけてございますが、遠い将来を見据えまして、その間にどういう対策を打てばどれぐらい水質改善がするか、あるいは将来、水質目標を達成するためにどれだけの施策を打っていけばいいのかということを定量的に評価できるように、現在準備を進めているところでございます。
 最後の6ページでございますけれども、これからでございますが、来年度が最終年度に当たります。来年度に向けての取りまとめに入っていくわけでございますが、目標につきましてはここに書いてございますように、3つの指定水域につきまして、それぞれ目標を決定していくとともに、評価方法についても設定をしていく予定でございます。モデルに関しましては、今、実は東京湾しかまだできておりませんので、恐らく今年度中にできると思いますが、伊勢湾、瀬戸内海についても、現況再現計算を行いまして、確認の上、評価に使えるモデルとしたいと思っております。そして、シナリオとして、これも各省さんとも御相談させていただきながら、実施可能な施策、対策についてどのように組み合わせていったら目標を達成できるかということを織り込んだ中長期シナリオを作成する予定でございます。
 長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 それで、今の第7次水質総量削減の在り方ということから発しまして、中長期ビジョンのこういう中でこれをもう一遍考えていこうという趣旨だと理解しましたが、しばらく時間をとって、皆さん方の御意見をいただいたり、御質問をいただけたらありがたいと思います。
 どうぞ御自由に御発言ください。浅野先生。

【浅野委員】 第7次の総量削減のための検討を始めるという、このことについては、別に特に異論はございませんし、適切な判断が専門委員会で行われることを期待したいと思います。
 この第7次の総量規制の前の第6次総量規制を審議する折に、ブロックごとに関係者の御意見をお聞きするということがありまして、私は、そこでお出しいただいた御意見の中で、これはまことにもっともだと思ったことがあったわけです。つまり、総量規制という考え方である以上、要するに、その海域への汚染負荷量、汚濁負荷量をともかく下げればいいということであるわけです。一般の水質規制の場合には、総量ではなくて、各事業所の個々の特定施設から出る汚水の量を押さえるということですから、規制対象になるのは個々の特定施設毎ということが当たり前といえるわけですが、総量規制の場合には、ともかく負荷量が下がればいいというのであるならば、個々の特定施設にきちきちと数字の割り当てをしなくてもいいんじゃないかというわけです。
 具体的に言えば、ある事業者が複数の事業所に複数の特定施設を持っている場合には、その複数の特定施設を通じて足し算した負荷量が規制を達成できればいいはずだ。例えば最新鋭の施設ではより多く削減ができるけれども、少し古い施設の場合には、多目に出ても、トータルでは同じであればそれで済むはずであり、それを全部一律にこれまで下げなきゃいけないというようなやり方は、合理性がないのではないかというご意見だったわけです。これはまだ、排出取引みたいな議論がそんなに社会に広まっていなかったころのお話ではあったわけですが、私はなるほどと思いました。一挙に、これについて排出取引制度を導入せよとまで乱暴なことを申し上げる気はございませんけれども、少なくとも企業内での取引というのでしょうか、企業内で調整をして、最適な削減が実現できるという道を開くということは、あり得るのだろうなと思ったわけです。
 ただし、これは現行法上は直ちにそれを認めることは無理であり、また、どのような海域ならそういう足し算を認めるべきか、ということについても温室効果ガスとは当然に違いがございますから、そのあたりも十分に検討した上で、法改正をする必要がある。運用ではちょっと無理じゃないかなというふうに思いますけれども、もっともな御発言であったと思って、いまだに頭の中に残っているんですね。せっかくこういう検討をする機会に、ぜひ事務局としても検討していただいて、必要な場合は法改正にまで踏み込むということも考えて良いのではないかと思うのですが。
 こういうようなところをしっかりやっていくことによって、思惑としてはさらに温暖化のような問題でも、自由に取引というか、調整という発想が企業の中にも定着することも期待できるのではないか。こういう具体的に目に見える場所で、こういうやり方が極めて合理的だとみんなわかれば、この様な考え方を普及させる手がかりにもなるのではないか、そんなことも考えるものですから、これは過去に出された御意見ですけれども、御紹介申し上げて、検討をお願いしたいと思います。

【松尾部会長】 わかりました。
 どうぞ、関田さん。

【関田委員】 関田でございます。
 現行の第6次の総量規制の検討におきましては、単なる一律の規制強化ではなくて、対象海域の状況に応じて海域別にやるべき施策検討が行われたという意味で大きな意味があったと思います。これは、質問でございますけれども、第6次までは「総量規制」、第7次、今回の諮問の対象が「総量削減」、「規制」と「削減」、この違いは何か意味するところがあるのであれば教えていただきたいという質問でございます。
 それからもう1点は、この部会で第7次の中身を検討するのですけれども、懇談会とのすみ分けが、ちょっと私、少し理解し切れてなくて。もし懇談会でターゲットを決めるのであれば、そのターゲットに目指してどうしようというのが部会なのかなと、勝手に思っているのですけれども、その辺も教えていただければありがたいと思います。
 以上でございます。

【松尾部会長】 それでは、最初の浅野先生の御意見は、後であわせて議論するのが出てくるかもしれないので、まず先に関田さんの御質問にお答えいただくのがいいかもしれませんね。

【尾川閉鎖性海域対策室長】 まず、規制と削減でございますけれども、事務局の中で検討した結果でございますけれども、今回の在り方の答申をいただいてつくるものというのは、削減基本方針でございます。どうしても規制といいますと、削減基本方針の中の規制基準にすごく重点があるかのような印象を受けます。これまでの状況も踏まえまして、もちろんここを変えたから中身がどうと、前回も十分に、規制基準以外の御検討もいただいたと思っておりますけれども、実際の内容を反映させる形で、今回は削減の在り方ということで合わさせていただきました。また、専門委員会につきましても、規制だけ扱うわけではございませんので、削減の専門委員会ということにしております。ただ実態は6次とそれほど変わっていると思いませんが、それに合わせたつもりでございます。
 それから、ビジョンの懇談会との関係ですが、懇談会では、非常に超長期を扱うことにしてございます。先ほどシミュレーションモデルというふうに申し上げましたが、約30年、平成46年ぐらいを見られないかということでございます。折しも文科省で将来の気象についても、21世紀プログラムということで近々出る予定でございますので、その結果も踏まえまして、長期に計算機を回したいと思っています。
 他方で、ではこちらの総量削減計画を長期にできるかといいますと、やはり長く持ちますと達成状況の評価も難しゅうございますし、また目標が先に行くことによって、対策がうまく進まないということも考えられます。こちらは5年ということで考えておりますが、そういたしますと、ビジョンの懇談会で長期的なものをお示しし、それをもちろんこちらにも御報告させていただく。そして、それを御覧いただきながら、長期の目標を達成するための一歩として、今回の7次の総量削減というのはどういう位置にあるのかということを御確認いただきながら、5年だと平成26年度までの実施可能性も考えて、これぐらいの施策がよろしいのではないかと、そういう御判断をいただきたいと考えてございます。
 そういうことで、随時、懇談会の様子についても部会、あるいは専門委員会にも御報告させていただきまして、それを御覧いただいて、部会としての御判断を賜ればと思っております。
 以上でございます。

【関田委員】 わかりました。

【松尾部会長】 よろしいですか。

【宮原委員】 漁業の関係から、質問と意見を申し上げたいと思っております。
 削減ということで、この削減のあり方ですが、まず年間通じて一律でやるのか、それとも季節性を持たせるのか、夏場は確かに厳しくやるべきだと思いますが、冬場は我々漁業の関係でいいますと、のりの養殖とか、カキの養殖とかいろいろあるわけでございまして、それにはやはり栄養塩が必要でございます。ですから、削減を一律でやられますと、冬場、我々漁業にとってはかなり問題が出てくるわけで、夏場は当然厳しくやっていただきたいと思っておりますけれども、そういったことがどういうふうに考えられているのかと。
 それから、私ども漁業の関係で、漁業の水のあり方について、学者の先生方が集まっていただいて、漁業用水というものを考えていこうということで今検討に着手したところでございます。また、こういったものをこの審議会の中でも反映していただければありがたい、これはお願いでございます。

【松尾部会長】 今の最初の論点、非常に重要なところだろうと思うのですが、だんだんきめ細かな削減のあり方というものにかかわってくると、今のような季節でやるとか、そういう問題が出てくるのだろうと思うのですが、そこは専門委員会のほうでもまた議論していただければいいのでしょうが、何か現段階でコメントありますか。

【尾川閉鎖性海域対策室長】 余り私がお話ししないほうがいいかと思っているんですが、前回も大阪湾を除く瀬戸内海につきましては、窒素、りんに関しては環境基準を達成しているということで、規制も強化をせずに継続という形をいたしましたし、また栄養塩管理という考え方を導入すべきではないかという宿題をいただいているところでございます。お魚がいてこその海だと私どもも考えておりますので、そういう豊かできれいな海を達成するために、ぜひ水産の方々から御知見もいただきながら、どのような栄養塩管理にしていったらいいのか、これも専門委員会でぜひ御検討いただければと思っています。それに合う資料を事務局としては準備するよう努力したいと思います。
 ありがとうございます。

【松尾部会長】 ほかに。名札を立てていただけますか、そうするとやりやすいので。
 では、どういう順番だったのかわからないけれども、佐藤委員からお願いします。

【佐藤(健)委員】 第6次の総量規制の結果といいますか、経過といいますか、この辺をもう少し詳しく認識する必要があるのではないかと思うんですね。ですから、先ほどの環境省のほうの御説明でも、規制ということで総量の濃度といいますか、排出のほうは着実に減少しているけれども、結果としてのCOD、あるいは水質といいますか、そのものは横ばいであるというのが、今までの経過だったと思います。
 実際に、指定水系を当てはめるとか、あるいはその中でABCの類型に分けるとかというような形で、かなり細かい形でもっていろいろと見てきたのですが、今回はそういった細かいデータというのも示されておられませんし、それから今言われた、総量は減っているけれども水質は横ばいであるということの解釈、それから第7次がスタートするのかもしれませんけれども、その辺の解釈はもう少しきちんと認識すべきじゃないかと思います。その辺いかがでございますか。

【松尾部会長】 だれがどう答えるのがいいのか……、とりあえず皆様の意見を一回り聞いていきたいと思います。では、メモしておいて後でお聞きしましょう。
 大塚先生、いかがでしょうか。

【大塚委員】 いろいろなところに話が飛んでいって申しわけないですが、せっかく浅野先生がさっきおっしゃったことですので、議論しておいていただいたほうが私もありがたいと思いますが、御案内のように、国交省で下水道に関して現在排水量取引が仕組みとして入っているようですけれども、アメリカでもこの議論は結構あって、実際にやっていますけれども、一つは工場と農地との間の排水量取引ということが水質関係で問題になっているのですが、これはやっていいかどうかというのは、かなり問題があるということと、それから工場同士でしたら、恐らくあり得ると思いますが、それでも、工場が河川の上流にあるか下流にあるかによって、海の汚染に対しての影響というのが違ってくるものですから、その間の取引をどうするかというのは、複雑な問題が発生しますので、御検討なさるとしたら、その辺も含めてぜひ御検討いただきたいということで、意見を申し上げさせていただきました。

【松尾部会長】 それでは、池田さん。

【池田委員】 水質総量削減のことで、やはり御意見を申し上げたいと思いますが、この資料2-3、この3ページ目を見ますと、基本的にこれまでと同じ方法で総量削減をしようということであろうと思います。主に表流水といいますか、目に見えやすいところの水に注目して規制をしようとしているのですが、例えば栄養塩類の窒素などは、地下水経由のものがすごく多くて、平水時にはそれが河川経由で海へ出てくるということが定量的にも最近よくわかりつつあって、そういう面での強化というのを少し考えていかないといけないのではと思います。
 第5次の頃だったでしょうか、この一番右側の削減指導のところをもう少し強化したほうがいいのではないかと申し上げたのですが、ここはなかなか難しいということで、相変わらず目標になっていると思うのですが、ここを少し手をつけないと、横ばい状況からなかなか脱し切れないという気がいたします。ここを、なかなか難しいところはあるんですが、少し量的にこういうところからどれぐらい出ているのかということを把握して、その上で削減量を考えるということが必要かと思います。
 もう1点申し上げようと思ったのは、最終的な削減目標量というのはどうなるのですかと申し上げようと思ったのですが、これは懇談会のほうで検討されているようなので、それは結構でございますが、やはり先ほど何だかおっしゃったように、総量規制との関係をここで考えていかないといけないと思います。
 以上でございます。

【鈴木会長】 いろいろと御質問があって、それぞれ削減に関して重要なところだと思います。私、一つ余り議論になってなかった点を伺いたいと思います。シミュレーションモデルで、どういうふうに取り扱われているかにも関連しますが、こういう閉鎖性海域の場合に、底質として、何十年分かの栄養塩であったり、有機物であったり、過去の遺産が溜まっていることだろうと思います。それを一体どういうふうに考えていくのか。浚渫等も含めた事業まで将来考えないといけないのか、あるいは削減を厳しくし、流入ゼロに近いところまで落とし込んでいけば、たとえば10年ぐらいで底質も回復すると考えていいのか、そういうあたりをもう少し定量的に把握しておきたいと思いますが、多分、渡辺先生がその辺は一番よく把握しておられるのでしょうか。漁業関係からみても底質の問題はたいへんではないでしょうか、養殖の後の底質をどうするかという問題もあると思いますし。時定数が非常に大きいですよね、東京湾でも何年と水が滞留しているので、春と夏と冬とうまく切り分けるなんてことができるのかどうかよくわからないのですけれども、これはやはり昔からの水産の知恵というか、江戸前の時代から水産はやられているわけですから、その辺のところのノウハウが、こういうところにも反映されるということになるといいのかなと思って伺ってました。

【松尾部会長】 では、今のところだけ。お答えいただけますか。

【渡辺委員】 鈴木会長の御指摘の部分につきましては、検討事項の中に入っているということで理解しておりまして、どういった方策でそこがクリアされるかということについては、今後検討会の中で議論をされていくものと思っております。
 お答えになったかどうかわかりませんが、検討に入っているということでございます。
 。

【須藤委員】 鈴木会長と大体同種のことを申し上げようと思ったのですけれども、まず総量のその他というところには、これは従来から、今の底質からの海域への負荷量は多分入ってないんだろうと、私こういう理解をしているのですが、それでよろしいでしょうかということと、底質の問題は今度の中にもきちっと位置づけられているような気がするのですが、そのときに、底層の溶存酸素を一つの状態指標に入れることによって、底質からの海域への負荷が多分相当減るんだろうなという理解を、制御によっては減少するんだろうなという意識を持っておるわけですが、まず従来からの経緯からすると、その他部分というのは、全部陸域からの面源の負荷ということでよろしいのでしょうか。
 それから、底泥からの部分について、今後どういうふうにここに表示なり、変遷なり、こういうことをやっていく必要があるだろうと思うんですが、その辺の見通しについてお聞かせください。
 以上です。

【松尾部会長】 では、お願いできますか。

【尾川閉鎖性海域対策室長】 底質でございますけれども、この法律で削減目標量の定義がございまして、流入する汚濁負荷量という言い方になってございます。ここで書いておりますその他というのは、その他流入するということでございます。もちろん、会長からもお話がございましたけれども、過去、水域に流入したものが底質として溜まっていて、それが環境基準の達成なりに悪さをする、あるいは底層DOに悪さをする、それは当然考えられますので、今回、ビジョンの中では渡辺先生のモデルを私どもから委託でお願いしているわけでございますけれども、底質の寄与についても考えております。やはり陸域からの新たな抑制というのはもちろん必要なのでしょうけれども、過去に溜まったものも対処いたしませんと、効果の発現というのは難しゅうございますので、国交省さんでも、覆砂ですとかやってございますので、これらの事業についても考えてございます。
 したがいまして、基本方針では項が分かれておりますけれども、その他施策ということで、底質の浚渫ですとか、そういう底質対策についても既に盛り込まれておりますし、専門委員会ではそのあり方についても御検討いただく予定でございます。

【松尾部会長】 よろしいでしょうか。ほかに御発言ある方。

【真柄委員】 今のことと関連して、環境基準の制度を底層のDOなり、透明度を入れるという長期的な環境省としての行政目標を、この総量規制制度を端緒としてお考えになっておられるかどうか。あるいは、そういうことをこの規制制度の中で削減の在り方の中で検討しようというテーマになるのかどうなのかというのが1点です。
 それからもう1点は、陸域ですが、国交省、先ほど下水道のお話がありましたけれども、水資源の担当、あるいは河川の担当のところでは、流域総合管理というコンセプトが導入されて、陸域の水資源、水というものを質と量の観点から見ていこうかという制度が動き出しつつあるわけで、そういうほかの陸域の部門での行政の動きと、今の総量規制制度の考えの中で、どうリンクさせていくかという、その2点についてお考えを聞かせてください。

【松尾部会長】 では、後でまとめてやります。
 では、関田さん。

【関田委員】 恐れ入ります。先ほどの鈴木会長のお話にもあった、過去の蓄積の話ですが、多分東京湾とか大阪湾というのは、深掘跡というのがあるかと思うんです。専門家の先生方、たくさんおられるのですが、それが影響しているのか、していないのか、私もよくわからないんですが、例えばこの懇談会の中で、深掘跡の影響なんかは議論されるのかなと。というのは、この流入とか何とかを規制しても、下に溜まっていて、要するにほとんどよどんでいて、いくら規制しても結局は東京湾の水質、例えば大阪湾にしても改善しないと、それはまた何やっているかよくわからないのではというところで、またお答えいただけたらありがたい。

【松尾部会長】 それでは、岸委員、先にお願いします。

【岸委員】 岸です。
 3ページに総量規制基準による規制というのがあって、排水量が50?以上の工場・事業場が対象という数字があります。これは、随分前に私が伺ったことがあるんです。この50?というのはどういうところから来ているのですかと。それで、そのことについて、いろいろな先生が、これも随分昔に決めた数字だから、ちょっと改めなきゃいけないねと言われながら未だにこれなんですね。ずっと変わってない。これを変えるのはとてもたいへんなことなんだろうなと思うけれども、やはりそういうことを何か考えていかないと、なかなか改善はしていかないのではないかなと思っております。

【松尾部会長】 それでは、まだおありかもしれませんが、ちょっと私が今までの意見をまとめさせていただいて、まとめて答えていただくほうがいいかなと今思っていますが、1つは5ページの削減の経過ですよね。これは、数値自体は実績ですか、平成16年までは。そうすると、その前の計画でここまで目標にしましょうといった目標値と、実績で達成できたのかができないのか、そこの検証がないと、これからどういうのをやろうかなというときに、目標だけいつも出して、結果として削減していると言っても、目標が適切だったかどうかということが検証できませんよね。恐らく佐藤さんの御意見もそういうことだったのではないかと思うのですが、この今までの実績がある種の目標とどういう関係になって達成できているのかというのは、一度整理していただく必要があるのかなというような感じを持ちました。
 それから、浅野先生ほかの方のもので、総量規制というのであるから、ある種の排出権取引のようなものをそろそろ具体的に考えていったらどうかと。例えば、下水道のグループとか、企業の中とかとあるけれども、私はもう少し広めて、思い切って地域の全体にかけてもいいのではないかと思うのですが、そういう問題についてのお考えがどうなのか。事務側で、全部答えられるかどうか。恐らく、今後の専門委員会のほうでの話題でしょうし、またその報告を受けながら、この部会での大きなテーマになることではないかと思いました。
 あと、池田先生からの御指摘の中で、今、岸さんの話もありましたけれども、小規模の事業所とか畜産とか、いわゆる地下水の水質からの負荷の問題とかということも御指摘があったわけですけれども、そういう意味で、従来の枠の中に入っていなかったような部分を、今後、どうするのか。だんだんきめ細かくなってくればくるほど、そういう部分が無視できないような要素になるのかなという感じを持つところであります。
 それから、あと1つ、真柄先生のものは、非常にこれも興味があるものですが、環境基準の中に底層の環境を入れるのか入れないのか、これも非常に重要な指摘ではないかと思いますし、陸域の管理のあり方というか、これは総量規制的なものにかかわってくるのか、総量規制によっては、排出権の問題も含めたそういう陸域のほうの管理の問題にかかわってくるのかと思うところがあります。
 それから、あと1つは、海底に溜まっている負荷量の問題ですね。5つぐらいのテーマかと思うのでありますが、答えられる範囲でというか、今後、検討するということでもいいと思いますが、コメントいただければありがたいと思います。

【尾川閉鎖性海域対策室長】 基本的には、すべて受けとめまして、検討はさせていただく予定でございます。
 ただ、ちょっと事実関係というか、多少つけ加えたいのは、佐藤先生からもお話がございましたけれども、やはりきめ細かに見ないことにはわからないというのは、御指摘のとおりでございまして、実は今の水質の状況にしても環境基準にしても、全部水域の中を空間的に平均して一つの値で見ておる。これはこれで、私ども、行政上の目標はずっとこれでやっておりますので、それは見るわけでございますが、では、その総量削減を見ようと思ったときにそれだけでいいのかというのは、もちろん不足してございます。私どもで、広域総合水質調査ということで、全国の3大湾で調査をやってございますが、地点別あるいは湾・灘別にしっかり情報を見まして、それはまたデータの読み方についても、専門委員の先生方によく御判断いただいて、要するに、グラフがどうだということをお見せするのはいつでもできるんですけれども、その評価の結果もお見せしたいと思っております。
 また、排出権取引につきましては、実は数年前に私どもの中で内部の勉強会をやってございまして、大塚先生も入っていただいていたような記憶がございますけれども、その中で勉強もさせていただいておるんですけれども、やはり直ちにというわけにはいかないだろうけれども、こういう内海、内湾の対策としては有効な方法であろうと。あるいは、モデル地域でちょっとやってみることも大事なのではないかということをいただいております。したがいまして、直ちにこの湾全体にというのは難しいかと思いますけれども、検討については順次進めさせていただければと思っております。
 それから、真柄先生からもお話がございました他の総合管理との関係でございますけれども、東京湾あるいは大阪湾、伊勢湾、そして広島湾につきましては、湾再生の取組が進んでございます。私どもも、当然にしてメンバーに入ってございますので―メンバーというか、事務局に近い形でございますので、中身はよく承知しておりますし、その中での取組というのは、もちろんこちらに吸い上げさせていただいて、法定計画の中に反映していく予定でございますし、そうした姿をとることできっちり整合をとって、また地元との連携も図っていけるのではないかと、かように考えてございます。

【川﨑水環境課長】 21年度の重点政策の中でもお話しいたしますけれども、環境基準に入れるつもりの予定で検討を進めていきたいと考えているところです。

【松尾部会長】 ありがとうございます。
 では、最後、薗田委員、お願いします。

【薗田委員】 こちらの総量削減については、大賛成ですけれども、1つ、CSRの立場から、これをぜひ進めていただきたいなと考えていることがあります。先ほど浅野先生からも、企業の中で、ある程度バランスをとってコントロールしていくのがいいというお話がありましたけれども、ちょうど今、ISO26000SRの規格化が2010年施行の予定で進んでおります。この中では、企業はバリューチェーンで、いわゆる上流から下流まで、すべて自分たちのかかわる範囲でCSRを進めなさい、あるいは、これは企業(コーポレート)だけではなくて、すべての組織に対してもこういう考え方でマネジメントをするSRの規格です。ぜひこのバリューチェーンでマネジメントを進めていくことを強く押し出されたほうが良いと思います。企業にとっては非常に大変だと感じるかも知れませんが、最近、低炭素社会に向けた取り組みの論議でも、いわゆるカーボンフットプリントを進める中で、上流から商品の一生を考えて、ライフサイクルでCO2を見えるようにする考え方が出てきています。いわゆる子会社であれ、あるいはグループ会社であれ、サプライチェーンであれ、そういうところもすべて、やはり企業の責任としてやっていくんだという部分を強く押し進めていただければ、企業として積極的に取り組んでもらえるのではないかと考えます。
 あと、もう1点、非常に難しいかも知れませんが、先ほどのビジョンのところに関しての意見です。企業においては、中・長期のビジョンを立てられるときには大体3か年から5か年でのビジョンが多いのですが、最近、先進的な企業は、2050年のビジョンとか、あるいは2020~2030年とかのかなり長期に亘ってあるべき姿をまずは描いています。いわゆる予測に従い、過去のトレンドを伸ばして、できる範囲でやっていきましょうというのではなく、逆に、あるべき姿から、いわゆる未来を予見して、こういう大きな方向性で何をすべきかを考えるというものです。私たちは、未来の子供たちに、こういう美しい水域を残していきたい、あるいは水というのは命とかかわってくる問題ですから、次世代の子供たちに何を残したいのかということを明確にしながら、ぜひ大きなビジョンを組んでいただければと思います。このバックキャスティングという考え方を応用して、今から5年間の中・長期という目標を定めていく方法が効果的です。この考え方を、ぜひ各都道府県の知事の方々にもお伝えし、今度、目標を策定される時に活かしていただければ、より建設的な数字が出てくるのではないかなと思いますので、ぜひこれはお願いとして申し上げます。

【松尾部会長】 よろしいですか。対策の部分になってきたときに、従来だとハードな処理装置で排出量を減らすということだったけれども、やはりある種、ソフトな対策というのでしょうか、多分そういうものも、もう少しいろいろなメニューを用意していく中で、今のようなお話は重要なことになってくるのではないかと思いますけれども、では、それも専門委員会のほうの議題にしていただければありがたいと思います。

【佐藤(健)委員】 昨年度の部会でやったと思うのですけれども、このシミュレーションモデルのところで、例えば4ページなどに書いています「再現性の確認」という言葉になっているんですけれども、昨年、例えば下層のDOについてやっていて、CODとの相関が低いとか、あるいは透明度も同じだとか、そんなようなことも報告されたと思うのですが、その相関性という問題と再現性の問題というのは、どんなところが現実的な立場で出てくるのか。

【松尾部会長】 質問のご趣旨がわからない点がありますが、どうでしょうか。

【佐藤(健)委員】 昨年は、相関性が余りないのだというような見方をされていたのではないかと思うのですが。

【松尾部会長】 何の相関?

【佐藤(健)委員】 透明度と下層のDOについては、CODの相関が低いというふうに言われたように記録されていますよね。それはどうなのかなと。

【渡辺委員】 ちょっとよく把握はしていないのですけれども、その透明度、それからDOとCODとの相関が悪いという。

【佐藤(健)委員】 ええ、そうですね。
 ここで言う「再現性」ということは、相関をとるということとは違うのですか。

【渡辺委員】 とは違いますよね。

【佐藤(健)委員】 すると、「再現性」というのはどういうところなのでしょうか。

【渡辺委員】 「再現性」というのは、観測された結果と予測した結果が、どれぐらい合致しているかという問題を議論しているのであって、今おっしゃっている相関というのは、DOと……

【佐藤(健)委員】 そう。例えば、CODであるとか。

【渡辺委員】 CODが、相関があるかないかということとか、透明度とCODが相関しているかどうかということとは別の問題ですね。要するに、因果関係があるかどうかということを、「相関性」という言葉で呼んでいるのだと思うのですが、再現性というのは、例えば観測されたCODの変化、もしくはDOの変化というものが、モデルがどれぐらいきちっと追随して、評価、検証しているかということを議論しているというのが「再現性」というように理解しておりますけれども。

【佐藤(健)委員】 それは、では、因果関係まで言っているのではないと。

【渡辺委員】 いや、因果関係を含めて、すべて再現しているということなので、例えば透明度とCODがどういう相関があるかどうかということとは、また別の問題ですよね。

【松尾部会長】 ちょっとあれですが、ただ、DOはDOで再現性をとる、CODはCODでやっているということになっているので、恐らく実際の現象は、CODとDOがはかられているのだけれども、計算のは、多分、別々にやっているから―ではない?

【渡辺委員】 いやいや、今おっしゃっているのは、相関性があるかないかという部分については……

【佐藤(健)委員】 将来の規制にかかわる問題として、どういう因果関係で物を考えているか。

【渡辺委員】 ということですね。例えば、今おっしゃったようなCODとDOの相関ということになりますと、いわゆる再現性の中でも、例えば有機物の分解によってDO、溶存酸素が消費されるという意味での因果関係が入っておりますので、当然、そこは再現しておりますし、したがって、そういう意味では相関もあるというふうに考えていいのではないか。
 しかし、DOを規定する要因というのは、必ずしもCODだけではなくて、それ以外の要因もかかってくる。例えば、動物プランクトンの呼吸によってDOが消費されるとか、それからアンモニアの硝化過程においてDOが消費される、そういった因果関係もすべて組み込んだ形で計算しますので、1対1の相関が出ていないというような生態系の複雑化が連関しているということは事実であります。

【佐藤(健)委員】 そういうモデルを、今……

【渡辺委員】 入っているということであります。

【佐藤(健)委員】 入れているということですね。

【渡辺委員】 はい。そういうことであります。

【松尾部会長】 多分、非常に細かいモデルになっていると思うのですけれども、それが全体をうまく本当に、再現できていると言いながら、ではすべての生態系が再現できているかといえば、またこれはまだまだ端緒についたばかりではないか、あえて申し上げるとそんな状態ではないかと思いますけれどもね。
 安中委員、手が挙がったけれども、簡単にお願いします。

【安中委員】 1次のときにかかわって以来でございますので、すっかり忘れてしまったのですけれども、雨天時の負荷の扱いというのは、最近どういうふうになっているのでしょうか。晴天時データとは全く違う場合がありますので、簡単に教えていただければと思います。

【松尾部会長】 では、お答えください。

【尾川閉鎖性海域対策室長】 シミュレーションモデルということでよろしいでしょうか。雨天時につきましては、L-Q式、雨に伴いまして負荷が出てくるという式を与えて、モデルの中で再現しようとしております。現在のシミュレーションモデルは、定常モデルではなくて非定常な、そういう降雨直後の流出についても考慮して、再現できるようにというふうに設計してございます。先ほどもお話がございましたけれども、水温、塩分といった流動の再現ができているかどうか、その前提で水質の再現ができているかどうかということを検証しておりますので、モデルの中に盛り込んでおります。
 また、対策につきましても、これは下水道とも御相談させていただいてございますけれども、降雨直後の雨水吐からの越流ですとか、あるいは、その簡易処理による問題につきましても数字の中に入れまして、これを合流改善などすることによって将来削減する、こういう計画についても盛り込む予定でございます。

【松尾部会長】 それでは、まだ議論はあるかもしれませんが、一応、ここでこの総量削減の問題と、その以後のことについて、ちょっと確認させていただきたいと思います。
 今回の第7次水質総量削減に関する諮問を受けて、これに関連する調査審議を行うべく、準備を進めていただきたいと思います。
 そこで、先ほど、事務局より説明いただきました専門委員会を設置するということについてのこの部会での確認をさせていただきたいと思います。先ほどのような意味で、規定にあるような総量削減専門委員会を設置することについて、よろしいでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

【松尾部会長】 ありがとうございます。
 それでは、案のとおり、総量削減専門委員会を設置するということに部会として決定させていただきたいと思います。
 専門委員会の委員長、あるいはメンバーにつきましては、中央環境審議会の議事運営規則第9条第2項に基づいて、委員会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員につきましては、「中央環境審議会水環境部会の専門委員会の設置について」の5に基づいて、それぞれ部会長が指名するということとされておりますので、後ほど私から指名させていただきたいと思います。その際には、この中のメンバーの方にも御参加いただくことになると思いますので、その節はぜひよろしくお願いしたいと思います。それから、先ほど、この部会でいろいろな意見が出ましたが、恐らく聞いていただいていると思いますので、そのメンバーの方にはそういうことも配慮した上で、適切な専門委員会での検討をお願いしたいというふうに考えるものであります。よろしくお願いいたします。
 続きましては、議題の「その他」に移りたいと思います。
 まず、専門委員会の審議状況について、資料4-1から資料4-3につきまして、各委員会から順次御報告をお願いしたいと思います。この3つの小委員会、専門委員会からの審議の御報告をいただいた後で、一括して質疑を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 各専門委員の委員長の先生、的確にというか、短目に御報告いただけるとありがたいと思いますので、よろしく御協力ください。
 では、最初に須藤委員から、水生生物保全環境基準類型指定専門委員会の活動状況について御報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【須藤委員】 かしこまりました。
 それでは、水生生物環境基準類型指定専門委員会の審議状況について御報告させていただきますが、資料は、簡単な資料4-2を作ってございますので、それをどうぞ御覧になってください。
 今回の報告は、国が類型指定を行う水域、47あるわけでございますが、その一部について、前回の部会の際に報告した後に引き続きまして、現在、木曽川、淀川等についてやっております。木曽川、淀川水系の10河川、及びそれぞれその河川に関係する自然湖及び人工湖を対象として検討を行っているところでございます。
 昨年8月26日に開催しました専門委員会におきまして、検討対象水域の全水域について概況説明を行いました。続いて、昨年11月26日に開催いたしました専門委員会におきまして、検討対象水域における生物A及びB類型の区分案の審議を行いました。御承知のとおり、冷水域がAで温水域をBとしているわけでございます。
 検討に際しましては、これまでと同様に水域の水温特性及び魚介類の生息状況に関する情報を基本的に整理いたしまして、これに水域構造等の情報を考え合わせて検討を行うこととしております。
 また、前回答申時に整理いたしました特別域の指定の考え方を踏まえまして、検討対象水域の一部の水域について、水産資源保護法に基づき指定された保護水面、関係者により保護水面と同等に保護されている水域、さらに水深、河床状況、河岸の植生などから、魚介類の産卵の場として重要な水域についても審議を行いました。これは、特別なそういう産卵地床の水域ということで指定を行うためでございます。
 次回委員会の専門委員会におきましては、琵琶湖について特別域の検討に係る説明を行うこととしておりまして、これらの審議結果を踏まえて、次回に大体の第3次報告案を取りまとめていく予定でございます。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございます。ちょっと資料の番号の順番が、失礼しました。
 事務局から、何か補足的なことはございますか。

【辻原水環境課課長補佐】 特にございません。

【松尾部会長】 それでは、また御質問の際にお願いします。
 資料番号4-1のほうが、実は先にあったようでしたが、これも須藤先生のほうから、環境基準健康項目専門委員会の審議状況についてということで、御報告いただきたいと思います。

【須藤委員】 続いて、私から、またこれについても報告させていただきます。
 資料4-1を、どうぞ御覧になってください。ここに、検討の要旨について記載してございます。この状況について、簡単に報告させていただきます。
 本専門委員会における検討事項は、前回の部会において示されておりますが、これまで開催いたしました2回の審議では、環境基準健康項目に係る前回答申である第1次答申で、今回の検討課題とされておりますアンチモン、1,4-ジオキサン等6項目、この6項目については、資料4-1の2のところに書いてございますので、どうぞ御確認ください。それから、要監視項目の課題等の整理を行っているところでございます。
 昨年9月30日に開催いたしました再開初の専門委員会におきまして、第1次答申以降の常時監視調査結果など最近の環境基準項目、要監視項目の水環境からの検出状況の確認と厚生労働省における水道水質基準の検討状況や、内閣府食品安全委員会での毒性評価の活動状況など、健康項目の検討をする上で非常に重要と考えられる取組等を、事務局から説明を受けまして、これを踏まえて総括的な審議を行いました。
 続いて、昨年12月25日に開催いたしました専門委員会におきましては、第1次答申において今後の課題整理とされる6項目―先に示した6項目でございますが―に対して、製造使用量の近年の動向やPRTRデータによる環境中への排出状況、常時監視調査における指針超過値が見られた事例における原因等に関する情報を踏まえて、今後の取扱いに係る審議会を行いました。
 3月16日、これからでございますが、開催を予定としております次回の専門委員会におきましては、アンチモン、マンガンについて、審議未了であった事項に係る検討を行うとともに、第1次答申以降に内閣府食品安全委員会から示された新たな毒性評価や厚生労働省における水道水質基準見直しの動向を踏まえた該当項目の今後の取扱いについて、審議を行うこととしております。
 これらの審議結果を踏まえて、第1次答申で課題の指摘のあった先ほどの6項目、及び第1次答申以降に新たに毒性評価が示された項目について、第2次報告案として取りまとめていく予定でございます。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございます。
 事務局から、補足はいいですか。ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、資料4-3に係る専門委員会の報告ですが、陸域環境基準専門委員会からの審議状況についての御報告を、岡田委員からよろしくお願いしたいと思います。

【岡田委員】 本専門委員会では、水域の類型指定の見直しについて審議を行っております。
 今年度から、新たな水域について対象に検討を行っておりますので、その審議状況につきまして御報告させていただきます。
 今回の報告は、国が類型指定を行いました一部の水域の見直しの検討状況ということになります。前回の部会の際には、今後、検討対象とする水域について報告させていただきました。
 お手元の資料4-3にございますように、水質改善に伴う河川類型の見直し水域、これが渡良瀬川(2)等の3河川、それから暫定目標の見直し水域、これは深山ダム等の4湖沼、それから河川類型から湖沼類型へ見直しするという水域が、相模ダム等の4湖沼でございます。これらを対象にして、検討を行っているところでございます。
 お手元の資料4-3の1にございますように、昨年10月9日に開催いたしました専門委員会では、検討対象水域の全水域について概況の御説明をいただき、審議をさせていただきました。
 それから続きまして、つい先日の2月24日になりますが、その専門委員会で検討対象水域の一部の水域、すべてではございませんが、その将来水質予測、それから類型指定の見直し案というものについて審議させていただいたところでございます。
 今後、次回以降の専門委員会におきまして、残りの検討対象水域の見直しについて審議を行うということになっております。これらの審議結果を踏まえて、報告案を取りまとめるという予定になっております。
 以上が今回の御報告でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。これも、事務局から、特にコメントはいいですか。
 それでは、今、3つの専門委員会からの御報告をいただきましたが、この件に関して御質問あるいは御意見がある方は、挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【鈴木会長】 前回、たしか議論になったと思いましたが、「環境基準」というのは、達成率が100%に近くなれば改めていく性格のものなのかどうか。私、ちょっと整理がつかないのですが、岡田先生の専門委員会では、その辺の議論はどういうふうにされているのでしょう。
 そして又、将来、「見直し基準」みたいなものができてしまって、毎年毎年見直しに伴って変わるのだとすると、環境基準達成率というのは、一体どういう意味を持っているのか。達成できないところは、むしろ下げていくとか、何かそういうことをおやりになるのですか。本来は、水域の利用目的か何かがあって、そちらからきちんと決まってくるわけですね。ここで見直しがされたということは、利用目的が変わったということですか。どういうことか、もう一度ご説明ください。

【岡田委員】 利用目的が変わったというふうに明確に申し上げることは、難しいところがありますが、利用目的を明確に認識し直したと。例えば、かつてヒメマス、要するに一番上の類型ですが、捕れるということで文書には出ていた。しかしながら、実際にはそのような漁獲が行われていなかったし、今もないというような場合は、無理してそれをAA類型にするのはやめましょうというような議論は行われております。ですから、そういう意味で、類型を何が何でも高くするとかという、それだけのことではございません。
 ただ、非悪化の原則がございますので、もし十分上位の類型が満たされるようになった場合、それがもちろん、今の、それから将来の水利用と相反しないというような場合は、非悪化の原則に基づいて上位の類型に指定し直すということは行われております。これは、暫定とか、それから類型の見直しは、多分、問題ないと思いますので、粛々とこれはハウスキープ、義務的にやっている面もございます。
 よろしいでしょうか。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 これは、案外難しいですよね。例えば、私が前に少しかかわっていたときに、ある川が汚れてしまっていると。そうすると、もう漁業権もなくなってしまっているようなところがあるんですね。でも、今、水質が改善されて、魚が棲むようになっている。そうすると、では、もうここには漁業権がないのだから、そこは魚が棲まない基準のままでいいのかと言われると、そうではありませんということになって、では、少し上のランクのものに、しかも、何年間もずっとそのいいランクが保持されていますと。だったら、その保持されているものを守るようにランクを上げましょうと、そのような理解だというふうに思うんですね。
 だけれども、では、日本の川が全部AAになれば、それが目標かというと、多分、それは違うであろう。ですから、そういう意味では、その辺が実際問題としてどのレベルまで上がってきているか、水質がよくなっているかということと、あるその目標値を少し高くすることで地域のインセンティブを上げて、そのよりよい状態を守るように環境基準をレベルアップしておきましょうと、このようないろいろな要素を持って、見直しがされてきているのですね。
 だけれども、この前も私、何かのときに部会で申し上げたと思うのですけれども、「環境白書」などに出てくる達成率だけで見る考え方というのが、過去のBだったものがAになったりする。そのよくなっているというのが、なかなか実績として数字に入らないですね。私は、それは非常にもったいないと思っていて、CがBになったり、BがAになった、そのレベルが上がったこと自体をもう少しうまく適切に評価する方法があれば、環境行政の地域、地元の努力も含めてなんだけれども、環境に対する取り組みが評価される方向へ行くと思います。
 ですから、達成率に全部してしまった途端に、その辺のうまくいってレベルを上げた努力が、何かうまく褒められていないというか、その努力に報いるような評価がされていないような感じは受けていて、ちょっとその辺は、単に上げればいいということでなくて、上げたものをうまくエンカレッジして、もっとそれをうまくやっていけるという方法へ何か評価方法を考えていただくといいというふうに、かねがねこの問題は考えているところであります。これは意見ですので、お答えは結構です。

【浅野委員】 私は、今の部会長の御発言を支持したいと思います。来年度の環境基本計画の点検での重点項目に水がありますから、事務局はそのことも意識して、準備していただければと思います。

【松尾部会長】 ありがとうございました。それは、そういうことで。

【池田委員】 これは、須藤先生にお伺いしたいと思いますが、水生生物のほうです。これは、もう大分前から私は申し上げているのですが、A類型とB類型という形に分かれていますね。一方では、2の(2)のところで産卵床の議論をされているわけですが、A類型というのは冷水域ということで、代表的な魚類としてサケ・マス類ということになっていますね。それから、B類型は温水域ということで、コイとかフナですよね。一応、そういう分け方をされているのですが、基本的な河川の構造というのは、多分、A類型というのを考えると、これは山地河床のような気がするのです。ところが、B類型というのは下流があって、中流は砂れき河川になっていまして、そういうところの産卵床というのは大事ですが、そこの整理はこの中でどういうふうにされているのでしょうか。必ずしも、中流の砂れき床河川のほうを、この類型では十分表し切れていないのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。

【須藤委員】 池田先生から、これはこの問題の初回から御指摘をいただいて、特に中流域の指標生物であるアユの問題をどう取り扱うかということによって、アユの生態と、それからその生息環境について、いろいろデータを集め、検討してまいりました。先生御承知のように、アユは回遊魚でもございますので、下流にも行って、海にも入りますね。そういうことを考えるのと、それからもう一つは、放流されている場合が非常に多いわけですね。放流されているものを、こういう中でどう取り扱うかというのも一つの議論になっていまして、鋭意、今度の委員会でも、アユとワカサギ―ワカサギは中流域ではありませんけれども、その2つの我が国代表的な魚の生態を扱って、中流域の問題をどうするかということを議論することにしております。先生へのお答えにぴったり合う回答が、この専門委員会でできるかどうかはちょっと不安でございますけれども、とりあえず今のところですと、アユについては上流域に含めるということについて、従来から議論してまいりました。今のところは、大体そんなことを考えておりますが、もう少しデータを添えて、この場で報告させていただきたいと思っています。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 それでは、次のテーマに移りたいと思いますが、次は事務局からの報告事項ということにさせていただきたいと思います。お手元の資料5、6、資料7は既に使っていまして、資料8、9というのが残っていると思います。これについて、それぞれ手短で結構ですから、御報告いただけたらありがたいと思います。よろしくお願いします。

【川﨑水環境課長】 それでは、資料5「平成21年度の重点施策について」、手短に御説明させていただきます。まだ予算は決まっておりませんので、予定ということでお聞きいただければと思います。
 まず、新たな項目として、1ページ目、気候変動による水質への影響検討ということで、こういう調査を開始するということです。
 3ページを見ていただきますと、その概要を書いてございますが、左上、多摩川等、20年間で2度ぐらいの水温上昇等があり、気候変動に伴う影響について、特に水質に関しては、水温度上昇の影響が非常に強いことが懸念されております。そういうことから、水域ごとに課題となるような水温上昇のあるような水域の抽出をし、目標とするべき温度とか、それに対する施策の検討を行うようなものでございまして、これから起きると思われます気候変動に対する対策について、事前の準備をしていこうという検討の内容でございます。
 その次、5ページ、アジア水環境パートナーシップ事業(第2期)というのがございます。これは、第1期、平成15年の世界水フォーラムのジャパンから始めたものでございまして、アジア11カ国と日本において、日本の経験、技術等を活用しながら、情報、それから人材の支援を行うことによって、各国の水環境ガバナンスの強化をしていこうということでございます。これが、21年度より第2期に入る予定をしてございまして、第2期においては、特に政策立案者の能力支援等を考えております。そのため、日本の大学等からの支援、それから研究の充実などを考えているところでございます。
 また、IWRM―統合的水資源管理というのが、今、ユネスコ等で動いておりますので、それも念頭に置いた支援協力等を行っていきたいと思います。
 続きまして、新たな水管理手法に関する類型指定、これは最初、お話をいたしました底層のDOと透明度について、環境基準に入れるべく検討を行うということでございまして、まずはデータ収集を執り行うことから始めていきたいということでございます。
 その次、9ページ、WETを活用した排水規制手法の調査でございます。これは、化学物質、全世界で約10万種類あるのですが、日本の排出基準では27種ほどしかございません。また、新たな化学物質等が出てき、未知の部分も多いという点がございますので、今行っております一律の排水基準を補完する意味合いにおいて、排水全体として水生生物を使用しながらその毒性を把握するようなもの、これの勉強をしていこうということでございます。
 一番下の中を見ていただくと、左のように化学物質ごとに基準を設けている一律排水基準に対して、右のように効果的に補完するような仕組み、これについて勉強し、排出規制のあり方について検討していければということでございます。
 11ページ、これが3Rを念頭に置いた排水処理技術の開発等についてでございます。これは、なかなかお金がかかって排水基準を達成できないような業者がございますので、これらについてリデュース・リサイクル・リユースについての技術開発を行っていこうというものでございます。特に、これは事例で入れておりますが、温泉施設等においては、なかなか排水処理が進んでいない点も踏まえて勉強していこうということでございます。
 13ページ、水質分析法の国際標準との整合に関する検討調査費ということでございます。今、日本で行っております公定分析法がございますが、世界的、国際的にISOの規格がございますので、それとJIS等々を含めた整合性を検討し、必要に応じて公定分析法を改定することによって、日本の国際協力とか貢献、それから国際的な水質分析の技術の統一を図っていこうというものでございます。
 その次、15ページ、やすらぎの水環境再生事業費ということでございますが、これは特に都市内の水辺環境に関して、その再生を図っていこうということでございます。特に、イメージしているのは何かといったら、皇居等のお堀の水質をかなり念頭に入れてございます。皇居以外のいろいろな場所のお堀等もございましょうが、それに関して勉強していこうというお金。お金はちょっと少ないのですが、メインは自然環境局のお金を活用させていただいて、動く予定をしてございます。
 それから、17ページ、日中水環境パートナーシップというのがございます。特に、中国においては、水環境問題が深刻化してございます。それで、平成19年4月に日中の環境関係について共同声明が行われまして、その後を受けて平成19年から、分散型排水処理というもので日本の技術を中国に活用していただくような協定を結んで、現場で施設をつくっております。一番最後のページを見ていただきますと、現在、重慶市、それから江蘇省において、分散型の排水モデル事業を農村集落単位で、今、施設をつくってございます。特に、中国は、大都市は下水道整備等がいいんですが、残されている農村集落に対する対応というのに非常に困られていて、日本との技術支援、協力において行っていこうというものでございます。特に、物をつくるだけではなくて、管理というものを重点にしてございまして、十分な管理ができるような施設と対策を行っていきたいと思っています。
 それと、旧水質二法ができまして50周年になりますので、3月12日に、ここにパンフレットがございますが、シンポジウムを行う予定をしてございます。
 以上です。

【松尾部会長】 ありがとうございます。
 それでは、続けて資料6について、御説明ください。

【辻原水環境課課長補佐】 資料6につきましては、水環境課課長補佐をしております辻原から御説明いたします。
 資料6、横長のものを御覧いただきたいと思います。
 水生生物保全に係る環境基準項目の検討状況でございますけれども、皆様ご存じのとおり、平成15年に水生生物の保全に係る環境基準項目は、初めて亜鉛1項目について設定されております。その際、クロロホルム、フェノール、ホルムアルデヒド、3項目についても要監視項目ということで設定されておりますけれども、その後の内部の検討状況につきまして御紹介しておきたいと思います。
 当初、787物質を母集団ということで考えておりまして、環境基準設定の際に81まで絞っていきました。そのときに、毒性評価、文献データでございますけれども、集まったものが41ございまして、その中から4物質、値が決められたということでございますけれども、その後、鋭意、文献の収集、精査、それから文献等でデータが収集できないものにつきましては、環境省が自ら毒性試験を行っております。
 こういったことで、さらに14物質程度、絞り込みを行っております。これは、収集できた毒性データと、環境中の検出状況を比較いたしまして、リスクが高いというふうに思われるもの14物質を優先的に選んでおります。その14物質につきましては、資料6の1枚目の右下のほうに、※3ということで書いてございますけれども、アンモニア、LAS、アニリン、ノニルフェノール等ということで、今、こういった物質を中心に、データ収集を鋭意進めているということでございます。
 一部につきましては、かなりデータ収集のほうが進んできておりますので、用意が整ったものから、平成21年度以降、内部的な検討ではございますけれども、改めてこの値の設定について検討を始めたいというふうに考えております。
 簡単ではございますけれども、以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 それでは、資料8について、よろしくお願いします。

【尾川閉鎖性海域対策室長】 資料8を御覧ください。1枚紙、昨年9月30日の報道発表資料をお配りしております。
 これは、窒素、燐の排水基準のほうでございますけれども、全国に一律の排水基準が設定されましたのは、中ほどに書いてございますが、平成5年10月だったのでございますが、その時点で業種の特性等から一般排水基準を達成できない事業場につきましては、期間を限りまして暫定排水基準ということで、一般排水基準よりも緩い基準を設定してございます。これは、5年ごとに見直しを行っておったんですが、昨年9月末に期限が切れるということで、原則廃止を考えながら見直しを行った結果でございます。
 裏を返していただきますと、昨年9月までの暫定排水基準と、その後の現在残っているものが書かれてございます。なるべく細かく見直しを行ったわけでございますけれども、今なお達成できないところもございます。これらの業種につきましては、関係省庁ともお話をさせていただいて、次の平成25年までには一般排水基準へ移行したいということで、今回、また暫定の延長をさせていただいております。一部の事業場については、基準を少しでも下げるようにということで見直しをさせていただいているところでございます。
 これらの基準、要は、3大湾につきましては、さらにまたこの一般排水基準よりも厳しい総量規制基準がかかっているわけでございますので、ぜひこの暫定につきましては早期に廃止したいと、かように考えておる次第でございます。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 それでは、資料9について、よろしくお願いします。

【和田地下水・地盤環境室長】 それでは、お手元の資料9につきまして、簡単に説明させていただきます。
 私は、地下水・地盤環境室に所属してございますけれども、一昨年の10月から、水・大気環境局のほうに国際協力推進室というものが設置されておりまして、そこの担当も併任しておりますので、その取組の一環ということで、ポイントだけ御説明させていただければと思っております。
 コベネフィット・アプローチということで、まだ国内では余り浸透していない言葉なのですが、国際的には、一昨年、元安倍総理が「クールアース50」ということで、国際的な場で日本のイニシアチブということで打ち出した内容でございます。
 一番最初のページに、いわゆるコベネフィットということで、ベネフィットの共通・相乗効果というような意味でございますけれども、国内のニーズ、それから国際のニーズの両方にまたがるような共通的な事項について、途上国に取組を促していくというものです。いわゆる途上国で、今、喫緊の課題になっている公害問題、我が局の担当でございますけれども、それと温暖化対策を一石二鳥的にできるような取組はないだろうかというものでございます。
 おめくりいただきまして、想定されるコベネフィットの対象分野ということで、まずは第一歩目ということで、大気汚染とか水質汚濁とか廃棄物のそれぞれの分野で、CO2でありますとかメタン、場合によっては亜酸化窒素などの場合もあるのですが、温室効果ガスと公害対策の双方を同時にできるという取り組みの概念を整理してございます。
 さらに、しばらくおめくりいただきまして、パワーポイントではない資料でございますけれども、1枚全体で「コベネフィットCDMモデル事業」というのがございまして、こちらは今、コンセプトだけ私のほうから御紹介いたしましたけれども、いろいろ細かな議論よりも、何か具体的に事業をやってみようではないかということで、今年度からモデル事業の補助事業ということで、2分の1補助で企業に補助をしているところでございます。
 裏のほうに、具体的にどんなプロジェクトかということで、第1号、第2号プロジェクトですけれども、マレーシアでの廃棄物処分場での準好気性型の管理処分場、それからタイでの、これは非常に高濃度BOD排水なんですけれども、そこからメタンを回収して水質汚濁対策と、それからGHGのメタン削減というような事業も始まってございます。
 さらには、その後の白黒になってございますけれども、裏表1枚で、インドネシアと中国につきましては、現在、タイ、マレーシアのように具体的なプロジェクトを発掘すべく、フィージビリティスタディを現在進めているという状況でございます。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 それでは、資料5から9までで、一応、1つずつ私が申し上げますから、その段階でもし御質問、御意見があれば、お願いしたいと思います。
 それでは、まず資料5については、何か御意見ございましょうか。
 どうぞ。

【石原委員】 ちょっと教えていただきたいのですけれども、21年度の重点施策ということで、たいへんありがとうございます。
 このWETですか、Whole Effluent Toxicityというコンセプト自身がよくわからなくて、普通に考えると、何となく個別の物質に着目した毒性しかないのかなと思うんですが、外国でやっておるということでもあるようですから、少しコンセプトなり、どういう規制手法なのか、イメージがわくような形で教えていただければと思うんですけれども。

【松尾部会長】 ほかには、この資料5について、御質問はございますか。
 では、柳下さん。

【柳下委員】 気候変動のところで、水量の減少に伴う影響という言い方で書いてあります。今回の総量削減との関係もそうなのですけれども、確かに陸水の河川のことを考えれば、減少に伴う水質影響が気になるでしょう。しかし、都市洪水の増加に伴う問題、特に政令指定都市の場合は早く下水道が整備されていますので、合流式が多いですよね。この影響というのは、今回の専門委員会の中で検討はしていただけるものと考えていますけれども、水量減少に伴うものというよりも、要するに、都市洪水の増加等、降水の今までの変動パターンがまるで変わることに伴う負の影響を考えるべきではないかということです。

【松尾部会長】 よろしいですか。では、2件について、お答えいただくということですね。

【川﨑水環境課長】 まず、水量のほうですけれども、温暖化で一般的に言われていますのが、総雨量は増加する、無降雨日数も増加するということで、雨の降る期間は短いかわりに大量の雨が降ると一般的に言われています。ですから、渇水期は長くなるという意味で、水量減少等という意味はあるのですが、出るときには一気に出てしまう。いわゆるゲリラ豪雨の増加というような両面性がございます。
 それで、この中で、その面について、実はゲリラ豪雨みたいに非常に小さなメッシュでないと、再現なりができないということがあって、それは別途に国土交通省なりと研究はしていこうと思うのですが、今、20キロメッシュは大き過ぎて、1キロメッシュぐらいに落とさないといけない。それは、別途の検討ということで、気候変動についてはちょっと後で、申しわけないのですが、一緒に勉強させていただきたいということでございます。
 それから、WET関係ですが、イメージは、排水一つ一つの物質ではなくて、排水を例えば池に置いておいて、水生生物を入れて、その挙動によって何かおかしいものが出ているか出ていないかというのを判断する。ただ、どの物質が悪さをしているかはわからない。そういった意味での補完なのですが、それをうまく組み合わせることによって、よりよいものができればそれでいいかなということで、勉強させていただきたいというようなイメージのものでございます。

【石原委員】 水生生物の環境基準と似たような感じのイメージですかね。多分、毒性の評価を、生物を用いてやることだろうと思いますから、どういう物質があるのかがわからないけれども、そのサンプルの排水について、多分、生物で用いるしか総合的に評価しようがないということで受け取らせていただければ、水生生物を用いて須藤先生のやっておられるのと一種、同じような規制手法になるという感じですかね。

【須藤委員】 ただいまの御質問は、私どもの担当しているのは、ある個別の化学物質に対して水生生物がどういう毒性を持つか、これはよろしいですね。さっきの亜鉛なら亜鉛ということですが、今、水環境課長がお話になったのは、水の中に、わからないけれども、有害な物質がたくさん入っていると―少しかもしれないし、たくさん入っているかもしれないと。それだけで生物に反応させて、いわゆるバイオモニタリングするというか、そういう意味です。化学物質から入るのではなくて、生き物の挙動から、それを全体で評価した後、今度は化学的に分析でやっていこうということであろうと理解しております。

【石原委員】 なかなかおもしろいと思いますから、ぜひ研究を進めていただければ。

【松尾部会長】 そうですね。わかりました。

【石原委員】 具体的に、どこかの国でやっている例もあるんですか。まだそこまではないですか。研究段階ですか。

【辻原水環境課課長補佐】 アメリカであるとかドイツにつきましては、一部、既にこういったことやられているということであります。

【石原委員】 一部のステートということですかね。

【辻原水環境課課長補佐】 ええ、そうですね。アメリカの場合ですと、連邦は総括的な基準を決めますけれども、規制そのものは州がやっておりますので、先進的な州では、実際にこういったことを既に始めているということです。

【石原委員】 ありがとうございました。

【松尾部会長】 では、資料6と、あと資料8、9、いかがでしょうか。何か。
 それでは、大久保さん。

【大久保委員】 すみません。資料5のほうで名札を立たせていただきましたけれども、2点、教えていただきたいのですが。1点は3Rのところで、温泉施設特有の課題が挙げられていますが、日帰り温泉施設が規制対象外になっていることの趣旨と、これをむしろ規制対象にするという議論も行われているのかどうかということを1点教えていただきたいのです。もう一つは、お堀の再生関係ですけれども、現在、大阪市で環境基本計画の見直し、改定を進めている中で市民アンケートをとったところ、「お堀が汚い」という話が結構ありました。しかし、実際には、数字で見ると水質はすごくよくなっている。政策担当者と市民との間の意識の乖離というのが明らかになりまして、これは大きな課題として考えています。具体的には透明度の話ともかかわると思うのですが、再生の手法として景観以外にどんな手法を施策として考えていらっしゃるかというのを教えていただければと思います。
 以上2点、お願いします。

【川﨑水環境課長】 まず温泉ですが、温泉は、日帰りは対象外になっていますので、逆に対象外の日帰りのものと泊まる方によって、同じ旅館で隣同士でちょっとフリクション、問題が起きたりしておりますので、それから、データ自体が、余り温泉にはデータがとれていないというのも踏まえて、少し温泉については勉強が必要だという趣旨です。温泉だけやるという趣旨ではございません。
 それから、大阪のお堀が汚い云々というのはお聞きしていますが、環境省だけではなくて国土交通省、下水とか、いろいろな方々で協働してよいものにしていこうという趣旨で動いております。大阪のお堀はお堀で、またお話を聞かせていただければ、関係者が寄って検討すると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【大久保委員】 すみません。個別のイシューのお話をお聞きしたいのではなくて、重点施策として、何か施策自体として考えていることが具体的にあればという趣旨の御質問でございました。

【川﨑水環境課長】 既存の、例えば川の水を入れるとか、いろいろな手だてがありますので、それを含めて関係者、民間の方々も含めてですけれども、一緒によいものをつくっていこう、水質をよくしていこうという考えのもとでやっているものです。

【松尾部会長】 それは、大阪城の周りだけではないと。そういう特定のお堀を名指しながらやるわけですか、それは。

【川﨑水環境課長】 お話があれば伺います。

【松尾部会長】 それは、ぜひそちらで手を挙げれば、対応してもらえるということかもしれませんね。
 それでは、ちょっと時間が迫っておりますが、資料6と8と9でいかがでしょうか。
 では、須藤先生。

【須藤委員】 余り時間がないから、一言、お願いだけで結構でございます。
 資料8で、暫定、特に畜産が、これは第3回目になるので、今までのこの暫定というのは、たしか原則3回まででやめるということになっていたと思うのですが、これは4回目に多分入っていると思うので、確かに難しいことはわかるのですが、今までずっとそういう期間を与えてきて、120で、私が知る限りにおいては、畜産も大体、管理がまあまあよければ半分ぐらいは達成していると思うので、もうちょっとの努力でいけるので、決まってしまったことなんですけれども、ぜひ今回だけで、それ以上はもう延ばさないでくださいというのがお願いでございます。

【松尾部会長】 それでは、大塚先生、先に。

【大塚委員】 資料6でちょっとお伺いしたいんですが、環境基準1物質、全亜鉛を決めたとき、なかなかたいへんだったんですけれども、要監視項目の3物質というのも決まっているわけです。今、御検討なさっている※3のところにたくさんあるのですが、要監視項目の3物質については、検出状況が不明なので3物質として上がっていたと思うのですが、これはその後、検出状況は明らかになってきているんでしょうか。今回、もし環境基準をお考えになるのでしたら、こちらの3物質についてどのような対応をされているか、教えていただきたいと思います。

【辻原水環境課課長補佐】 3物質の状況でございますけれども、要監視項目ということで、全部の環境基準点ではございませんけれども、都道府県で、一部のポイントで測定を毎年、その後やっております。
 その結果を今まで見るところでは、指針値を超えるものがないということですので、これは健康項目の考え方と同じでございますけれども、こういう状況であれば、基準に上げていくというふうな状況にはないということかと思います。

【大塚委員】 ありがとうございました。

【鈴木会長】 特に質問ということではないのですが、資料9でコベネの御紹介がありまして、一方、水・大気局にも国際協力推進室というのができて、たいへん結構だと思います。ここではタイとマレーシアについての紹介がありますが、インドネシアや中国、その他に行っても、候補となる案件は山ほどあると思うんですね。もう既にいろいろ動いているところもあると思いますし、特にバイオマスの戦略とどういうふうに絡めるかというような問題もあったりして、おもしろい問題もあると思うので、ぜひどこかで体系的に整理していただいて、個別に一本釣りという感じではなくて、アジア全体に対する環境省の戦略が見えるようにすることも重要と思いますので、この点を少しお考えいただければという希望を申し上げておきます。

【松尾部会長】 ぜひひとつ、よろしくお願いしたいと思いますが、よろしいですか。
 それでは、ほぼ予定の時間になるところで、終わらせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、これで本日の水環境部会については終わりたいと思いますけれども、その前に、伊藤水環境担当審議官が戻ってこられましたので、最後ですけれども、御挨拶いただきたいと思います。

【伊藤水環境担当審議官】 水環境審議官の伊藤でございます。
 本日は、お忙しいところ、熱心な御議論を賜りましてありがとうございました。また、私が国会に呼ばれました関係で、遅れてしまいましたことをおわび申し上げます。
 21世紀は、水の世紀とも呼ばれており、水問題については、ますますその重要性が高まってきていると認識しておりますし、また、今年は旧水質二法が成立・施行されてから50年という節目の年でもあります。ここで、私は、水環境行政についても、大きく転換、展開していかなければならないと考えている次第でございます。
 当面の課題として、私は2点、重要と思っている次第でございます。
 1点目は、本日諮問申し上げました総量削減をきちんとやっていくということでございます。これは、今後、この審議会の場で、いろいろ御議論賜りたいというふうに考えておる次第でございます。私どもも、きちんと準備して、対応していきたいと考えております。
 それからもう1点は、私ども、水環境行政でやはり一番重要なことは、環境基本法で定められておりますところの環境基準を設定し、その維持・達成を図っていくということでございます。非常に問題意識を持っておりますのは、水の環境基準、健康項目も生活環境項目もどちらもなんですけれども、今のままでいいのかどうかということをきっちり見直していきたいと。健康項目につきましては、具体的に須藤先生のもとでいろいろ御検討いただいておるわけでございます。生活環境項目につきましても、今度の総量削減とももちろん関連するのですけれども、今の環境基準のままでよいのかどうか。底層DOあるいは透明度ということも、当然考えているわけですけれども、それがもちろん海域だけで入れるというのもどうなのか、湖沼等ではどうしていくのかということも、しっかり我々として詰めていかなければならない、こういうふうに考えている次第でございます。
 いずれにしましても、今後、先生方のいろいろなお知恵等も拝借しながら、国民の期待にこたえられるように、あるいは世界全体の期待にこたえられるように頑張っていきたいと思いますので、よろしく御指導のほど、お願い申し上げたいと思います。
 本日は、どうもありがとうございました。

【今井課長補佐】 それでは、最後に1点だけお願いさせていただきたいと思います。
 本日の会議録につきましては、本日御出席の委員の皆様に、速記録がまとまり次第、お送りさせていただきますので、御確認をよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【松尾部会長】 では、以上をもちまして、中央環境審議会、第19回の水環境部会を閉会させていただきたいと思います。
 本日は、皆さん、どうもありがとうございました。よろしくお願いします。

午後 00時03分 閉会