中央環境審議会水環境部会(第13回)議事録

日時

平成17年1月28日 開催

場所

環境省環境管理局水環境部企画課

開会

環境省水環境部長あいさつ

議事録の確認

議題

(1)湖沼環境保全制度の在り方について
(2)報告事項

三位一体の改革に伴う環境監視調査等業務について
平成17年度機構・定員(案)の概要について
水生生物の保全に関する環境基準の類型指定及び排水規制について
東京湾及び大阪湾における全窒素及び全燐に係る環境基準の暫定目標について
中央環境審議会水環境・土壌農薬合同部会バイオレメディエーション小委員会「微生物によるバイオレメディエーション利用指針について(報告案)」の概要について

(3)その他

閉会

配布資料

 資料1 中央環境審議会水環境部会委員名簿(平成17年1月6日現在)
 資料2 中央環境審議会水環境部会(第12回)議事要旨
 資料3 中央環境審議会水環境部会(第12回)議事録(案)(委員限り)
 資料4-1 湖沼環境保全制度の在り方について(湖沼環境保全専門委員会報告)
 資料4-2 「湖沼環境保全制度の在り方について」(湖沼環境保全専門委員会報告案)に対する意見募集結果について
 資料5 三位一体の改革に伴う環境監視調査等業務について
 資料6 平成17年度機構・定員(案)の概要
 資料7 中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準類型指定専門委員会名簿
 資料8 中央環境審議会水環境部会水生生物保全排水規制専門委員会名簿
 資料9 東京湾及び大阪湾における全窒素及び全燐に係る環境基準の暫定目標について
 資料10 平成17年度水環境部予算(案)の概要
 資料11 平成15年度公共用水域水質測定結果について
 資料12 平成15年度地下水質測定結果について
 資料13 平成15年度全国の地盤沈下地域の概況について
 資料14 中央環境審議会水環境・土壌農薬合同部会バイオレメディエーション小委員会
「微生物によるバイオレメディエーション利用指針について(報告案)」の概要
 参考資料1 中央環境審議会議事運営規則 他

議事

午後1時30分 開会

【太田課長】
 定刻となりましたので、ただいまから第13回中央環境審議会水環境部会を開催いたします。
 本日は委員総数33名中23名の出席が御予定されております。まだお1人の方遅れてお見えになりますが、もう既に22名の御出席をいただいておりますので、部会の開催の定足数を満たしております。
 なお、本日の会議は、「中央環境審議会の運営方針について」に基づき公開としておりますことを御報告いたします。
 まず、会議に先立ちまして、甲村水環境部長より御挨拶を申し上げます。

【甲村部長】
 水環境部長の甲村でございます。よろしくお願い申し上げます。
 第13回の中央環境審議会水環境部会の御審議に先立ちまして、一言御挨拶申し上げます。
 各委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。
 また、去る1月6日の中央環境審議会の委員の改選以来最初の部会ということでございますので、新しい委員の方もおられますので、本来でございましたら水環境行政全般について御説明申し上げて、その後個別の御審議をいただくということになるかと思いますが、時間もございませんので、本日の議題に直接関係する水質の概況だけ簡単に御説明いたしたいと思います。また、時間がございましたら、後ろの方に参考資料としてつけてございますので、詳しく御説明いたします。
 平成15年度の河川、湖沼、海域の水質の環境基準の達成状況でございますが、まず、健康項目で申しますと、99.3%の環境基準の達成率でございます。0.7%非達成の部分といたしましては、主にこれは自然由来でございますが、砒素、鉛、フッ素、硝酸性窒素等で環境基準を超過しております。これら超過している地点につきましては、飲用に当たりまして適切な対策等をとっているところでございます。
 一方、生活環境項目につきまして、BOD、CODで申しますと、河川の環境基準の達成率は87.4%、湖沼が55.2%、海域が76.2%、総計いたしまして、全公共用水域では83.8%ということで、過去最高の環境基準の達成率となっております。
 ただし、個別に見てまいりますと、この3年間の各値の平均値と10年前の3年間のBOD、CODの平均値を比較いたしますと、河川におきましては76%の水域で改善でございますけれども、逆に24%の水域では悪化している状況でございます。湖沼につきましては、48%の水域が改善、52%の水域が悪化、海域につきましては36%の水域が改善、64%の水域が悪化というような状況でございました。ですから、全般的には良くなっておるわけでございますが、特に湖沼、海域について改善の効果がはかばかしくない、あるいは悪化しているというような状況でございます。
 そういう状況を踏まえまして、本部会では環境基準や排水規制等、水環境全般にわたる事項を対象として御審議をいただいております。
 今回の配布資料の一番下の方に参考資料1-2と、それからその下に参考資料1-3がございまして、現在の水環境部会の専門委員会の設置と審議状況をまとめてございます。簡単に申しますと、現在審議いただいておりますものは6件ございます。
 1つ目は、人の健康の保護に関する水質環境基準の設定に関することでございまして、平成16年2月に第1回目の答申がなされまして、引き続き農薬に関する項目についての環境基準の見直し等について検討することとしております。
 2つ目は水生生物の保全に関する水質環境基準の設定に関することでございまして、先ほど水質の基準といたしまして、健康項目と生活項目、今までは大きく2つだったわけでございますけれども、水生生物の保全に関する水質環境基準というのを15年9月に答申をいただきましてまず最初の設定がなされましたが、引き続き必要な検討を行うということとしております。
 それから、3つ目、4つ目はこれに関連いたしまして水生生物保全環境基準の水域の類型指定に関すること、及び排水規制等の在り方に関することでございまして、この2つにつきましては、この2月から本格的な検討に入ることといたしております。
 5つ目は水質総量規制に関することでございまして、先ほど申し上げました海域のうち、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、その3つの閉鎖性の海域につきまして、水質の総量規制に関することにつきまして、現在第6次総量規制の在り方について検討いただいているところでございます。
 最後が、湖沼の環境保全に関することでございまして、現在湖沼環境保全制度の在り方について検討いただいておりまして、このそれぞれの6件につきまして専門委員会を設置し、調査検討をいたしております。
 さて、本日の議題でございますけれども、先ほど申し上げた6つの御審議いただいている中の一番最後の6つ目で紹介いたしました、湖沼環境保全制度の在り方についてでございます。これにつきましては、平成16年10月に環境大臣から中央環境審議会に諮問された事項でございまして、昨年の10月から計5回にわたりまして湖沼環境保全専門委員会について御審議をいただいておりましたが、今月の19日に開催されました第5回の専門委員会でパブリックコメントも踏まえて報告が取りまとめられております。本日はその専門委員会報告を受けまして、答申の取りまとめにつきまして御審議いただきたいと思います。
 このほか、水環境に関しまして、三位一体の改革に伴う環境監視調査等業務の関係、平成17年度の機構・定員(案)の概要、水生生物の保全に関する環境基準の類型指定及び排水規制の関係、東京湾及び大阪湾における全窒素及び全燐に係る環境基準の暫定目標に関すること、水環境・土壌農薬合同部会バイオレメディエーション小委員会報告の概要等につきまして報告をさせていただければと考えております。
 どうか活発な御審議をいただきますようお願いいたしまして、冒頭の御挨拶といたします。よろしくお願い申し上げます。

【太田課長】
 それでは、続きまして、お手元の配布資料について御確認をお願いしたいと思います。一番上に議事次第がございまして、議事次第の次に配布資料一覧があるかと思います。そこにございますように、資料1から資料14番までそれぞれあるかと思いますので、御確認をいただきたいと思います。また、参考資料といたしまして、中央環境審議会の議事運営規則ほか、専門委員会等の資料が二、三点入っております。
 不足等ございましたら、事務局の方までお申しつけいただきたいと思います。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、本日は委員改選後初めて開催されます水環境部会でございます。まず、事務局から水環境部会長の交代について御報告をさせていただきたいと思います。
 中央環境審議会令第6条3項の規定によりまして、部会に部会長を置き、会長の指名する委員が当たると定められております。中央環境審議会の鈴木会長から新しい水環境部会長として東北工業大学の須藤隆一委員が指名を受けておられます。今後、須藤委員に部会長をお願いするということになっております。
 また、このたび委員改選に伴いまして、新たに水環境部会の委員をお引き受けいただいた方々がおりますので、その方々を御紹介させていただきたいと思います。委員名簿を見ながらいきたいと思います。
 上の方から3番目にあります全国市長会廃棄物対策特別委員会副委員長で恵庭市長の黒氏委員、今日は御欠席でございます。
 東京大学大学院農学生命科学研究科教授の鷲谷委員。鷲谷委員も御欠席でございます。
 次が甲南大学法学部教授の大久保委員でございます。
 社団法人地域資源循環技術センター理事長の黒澤委員でございます。
 それから、東北大学大学院医学系研究科教授の佐藤洋委員でございますが、今日は御欠席でございます。
 株式会社クレアン代表取締役の薗田委員でございます。
 全国漁業協同組合連合会代表理事専務の宮原委員でございます。
 独立行政法人国立環境研究所水土壌圏環境研究領域長の渡辺委員でございます。
 以上、新任の委員でございます。
 それでは、これ以降の会議の進行は須藤部会長にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【須藤部会長】
 かしこまりました。それでは、議事の進行を務めさせていただきますが、最初でございますので、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 本日は大変御多用の中を委員の先生方、環境省の事務局の皆様、また関連省庁の皆様、さらにはたくさんの傍聴の方々にお出でいただきましたことを御礼申し上げます。
 私は水環境部会の所属は比較的長かったのではないかと思いますが、このたび鈴木会長の御指名をいただきまして部会長という大役をお引き受けすることになりました。何分微力ではございますが、水環境行政の推進にいささかでも貢献できればと考えております。どうぞよろしく御指導いただきたいと思います。
 水環境部会は13ある部会の中で非常に課題もたくさんあるのではないかと認識をしております。先ほど甲村部長からのお話にもございましたように、今日御審議いただく湖沼対策の問題、沿岸海域の問題、地下水汚染の問題、水生生物保全の問題等、挙げていけばきりがないほどまだ課題が山積をしているわけでございまして、委員の先生方の御専門の立場から、どうぞいろいろ御指摘をいただき、またできれば時間の余裕のあるときには少しでもフリーにお話を伺える機会を持ちたいと考えております。
 本日は2時間という時間ではございますが、活発な御審議をいただければということで、最初の御挨拶にさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、あとは議事進行ということで、議題に沿って進めさせていただきます。
 先ほど御紹介がありましたとおり、鈴木会長の御指名で今日から私が進行役を務めるということになりました。時間は2時間ということでございますので、3時30分には終了できるように努力をしたいと思います。どうぞよろしく議事進行にも御協力いただきたいと思います。
 それでは、まず、第12回水環境部会の議事録の確認を行いたいと思います。議事録につきましては、資料3として準備されております。どうぞご覧になってください。本資料は、委員の先生方に御確認をいただいた後、事務局で修正をいただいた資料でございますので、中央環境審議会水環境部会及び専門委員会の運営方針についての2(1)に基づく御了承いただいたものとして、この場で前回議事録としたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
            (「異議なし」と呼ぶ者あり)

【須藤部会長】
 特に御異議がございませんので、この場で議事録とさせていただきます。ありがとうございます。事務局はどうぞ議事録の公開手続を進めてください。
 それでは、本日の主要な課題でございます、甲村部長もおっしゃいましたとおり、また私も先ほど幾つかの問題を取り上げましたが、一番水の中での重要な課題である湖沼環境保全制度についてはいろいろ御意見をいただき、専門委員会で議論をしてまいりました。そういうところで湖沼環境保全制度の在り方という議題でございますので、これに従いまして進めていきたいと思います。
 これは平成16年10月14日付で環境大臣より諮問されまして、これまで私が委員長を務めてまいりました湖沼環境保全専門委員会において検討してまいりました。本日は、その専門委員会の報告を、皆さんの御議論の原案として用意してきております。これを審議していただきまして、水環境部会として答申案を取りまとめていただければ幸いでございます。
 それでは、湖沼環境保全専門委員会で最終的に行いましたのが第5回目の1月19日でございまして、そこで最終的に取りまとめた委員会報告について、私の方からその概要について説明し、詳細につきましては事務局の方からまた改めてお願いをするということにさせていただきます。
 資料につきましては、資料4-1をどうぞご覧になってください。まず、平成16年10月14日に開催されました前回の部会でありますが、それにおきまして、これからの検討に当たっての委員の皆様から貴重な御示唆、御意見をいただきました。その御意見等を踏まえて行いました専門委員会における検討の状況及び結果を報告させていただきます。
 検討の経緯でございますが、まず11月9日の第1回専門委員会では、諮問に関する理由、背景や湖沼環境保全の実施状況等について概括的な議論を行いました。
 11月19日の第2回専門委員会では、湖沼の環境保全施策に取り組んでいる関係省庁からのヒアリング並びに生活排水対策、工場・事業所対策、非特定汚染源対策、自然浄化機能の活用、総合的な施策体系について、それぞれ推進方策についての検討を行いました。
 12月13日の第3回専門委員会では、汚濁負荷量の削減効果の試算について検討を行いました。
 12月22日の第4回専門委員会では、第3回までの検討結果を踏まえまして、報告の取りまとめ内容を総合的に審議した上で、専門委員会報告(案)を取りまとめました。
 こうしてまとめられた専門委員会報告(案)を12月28日から本年1月12日までの16日間のパブリックコメントに付しましたところ、25名の方々から大変これ数多いんですが、78項目のコメントあるいは質問が寄せられました。
 1月19日の第5回専門委員会におきましては、これらのコメントについて検討を行い、専門委員会としての見解を取りまとめてございます。これについては、資料4-2で配布してございますので、どうぞそれもご覧になってください。
 そして、さらに、総合的な議論を重ねまして、専門委員会としての最終的な報告を取りまとめました。専門委員会の要点につきましては、資料4-1の目次に従いまして簡潔に説明をさせていただきます。どうぞそれもご覧になってください。目次でまず説明をさせていただきます。
 まず、「1.はじめに」としまして、湖沼の役割や重要性と、それらを踏まえた湖沼の水環境保全の必要性について説明しております。
 2の「湖沼の水保全をめぐる現状と課題」では、湖沼の環境基準の達成状況がかんばしくない現状、窒素・燐の除去等が進展していない生活排水対策の課題、負荷量規制の適応がいまだに多くの特定事業になされていない等の工場・事業所対策の課題。市街地・農地等の非特定汚染源対策が数値目標を掲げた施策にまで至っていない等の課題、自然浄化機能の活用が湖沼計画において位置づけが不明確等の課題を示してございます。
 次に、3で「今後の湖沼の水環境保全の基本的な考え方」でございますが、ここでは施策の効果を検証しつつ、従来からの規制的施策に加え、誘導的な施策、地域住民との協力等あらゆる分野で強化・拡充を図っていくことが必要等の基本スタンスを示してございます。
 4の「今後推進すべき施策と制度の在り方」では、非特定汚染源対策、自然浄化機能の活用、非特定汚染源対策を総合的な計画に基づいて展開し、適切に評価しつつ進めるとして、次の5つの項目についてそれぞれ具体的な推進施策を示しました。
 1つ目は、非特定汚染源対策の推進方策として、市街地対策や農地対策を進める地区を指定して、関係者の理解と合意に基づく協力のもと、汚濁負荷削減を重点的、集中的に実施し、併せて施策効果を把握する施策を示しました。
 2つ目は、自然浄化機能を活用する推進方策として、湖辺の植生を保全する必要がある地区を指定し、地域住民の協力を得て、植生を適性に維持管理していくための計画策定等の施策を示しました。
 3つ目は、特定汚染源関係のうち、生活排水対策に対しては下水道の整備や接続の推進、窒素・燐の高度処理を進めることを示しました。工場・事業所対策に対しては既設事業所についても負荷量規制を求めることや、未規制の小規模な事業所に対しても可能な対策を求めていくことを示しました。
 4つ目は、総合的な計画づくりの推進のために、流域全体を視野に入れ、水循環、生態系も含む多角的な視点から住民の参加を得て、長期的視野で計画を策定し、評価見直しを行うべきであることを示しました。
 5つ目は、湖辺の水環境の適切な評価方策として、水環境について汚濁負荷を適切にするモニタリングと汚濁メカニズムの解明を進め、地域住民にもわかりやすい補助指標を設けるべきであることを示しました。
 最後に、「5.むすび」といたしまして、本報告の考え方が十分に生かされるよう早急に適切な措置が得られることを強く望むということを希望いたしまして、専門委員会の報告とさせていただいております。
 本報告は諮問でいただきました専門委員の専門的、科学的検討の成果でございます。部会でのさらなる御検討をいただき、報告の最後に示してございますように、本報告の考え方に基づいた適切な処置が早急にとられることを切に希望いたしまして、私の報告とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
 少し長くなりまして申し訳ございません。
 あと、いろいろな詳細につきましては、事務局の方から補足をお願いしたいと思います。
 では、どうぞよろしくお願いいたします。

【太田課長】
 それでは、資料4-1の報告について、ちょっと全文を読む時間はないと思いますので、さっと要点だけをかいつまんで御説明をさせていただきたいと思います。
 今、部会長の方より御説明がありましたように、はじめにから始まりまして4までの構成になっています。
 まず、はじめには、先ほど御説明いただいたように、湖の重要性、特に新しい国民の水環境に対する意識の高まりとかニーズの多様化といったものにも今後応えていかなければいけない。そういうためにも、湖沼の環境の保全というのは重要で喫緊な課題となっているということが書いてございます。
 1ページ目の下の方からいろいろ課題が書いてございますが、まず、湖沼の水質の状況が悪いということが書いてございます。冒頭、甲村部長の話にもありましたように、湖沼についての達成率が他の水域に比べて著しく低くなっているという状況を説明しておりますし、また、顕著な改善傾向が見られないということを書いてございます。
 また、湖沼法で現在10の湖沼につきまして特別の対策を行っているわけですが、その湖沼におきましても、ほとんどの湖沼におきましていまだ環境基準が達成されていないという状況が示されてございます。
 発生源ごとに見てまいりますと、その次のページを見ますと、まず、生活系につきまして、整備率は上がっておりますが、まだまだ残されているものがあるということのほかに、接続率が低いものがあるとか、浄化槽の維持管理の徹底が十分されていないというような状況があるということ。工場・事業所につきましては、負荷量規制という制度が従来の濃度規制に加えて湖沼地域ではがかかっておりますが、かかっているのが新増設でございますので、かっていない既設の事業所がまだ半分ぐらい残っているという実状とか、未規制の小規模の事業所がまだまだ多数あって、それらのウェイトが相当の量を占めているという状況が書いてございます。
 その下の方に今度は市街地とか農地の非特定汚染源対策でございますが、ここにつきましては種々の施策は一応計画には盛り込まれておりますけれども、汚濁負荷の実態把握が十分にされていないとか、定量的な目的がない、設定するのが困難というような状況がありまして、ちゃんとした数値目標を掲げた施策にまで至っていないという実情が書いてございます。
 そのほか、湖内での浄化対策もやっておるわけですが、最近はしゅんせつ等の直接的、物理的な対策に加えまして、湖沼の植生等を使ったものが行われておりますけれども、まだそういうものの評価が十分されておらず、湖沼計画の中で位置づけが不明確ということが書いてございます。
 さらに、湖沼の水環境評価につきまして、まだ総合的な汚濁メカニズムの解明が十分なされていないとの指摘もその次に書いてございます。
 その次でございますが、湖沼の保全に関しまして、今、言ったような対策のほかに流域としての管理とか、水循環とか生態系の観点、あと住民参加の視点とか長期的な視点といったそういうものがまだ現在ないということが書いてございます。
 最後は、費用対効果の点から検討、さらに施策を加える必要があるとか、モニタリングをしながら検証しながらやる必要があるといったような課題も挙げられておるところでございます。
 3ページ目の3としまして、今後の湖沼の水環境保全の基本的考え方が書かれてございます。第1段落、第2段落は基本的に湖沼の水質汚濁の現象のことを書いてございまして、やはりさまざまな発生源、工場等の特定汚染源、それから市街地・農地等の非特定汚染源といったような外部的な汚濁要因がある。あと、内部生産と言われているプランクトンの問題とか、底泥からの溶出等の内部での問題、といった複雑なものが絡み合っているという説明を行いまして、そういうものの定量的な解明が十分ではない。したがって、今後そういうメカニズムの解明を進めるとともに、その成果を踏まえつつ、さらに効果的な施策をつなげていく必要があるという基本的な認識を書いてございます。
 したがって、そういうメカニズム等を進めると同時に、今後さらに、先ほど言いました外部的、内部的それぞれの要因につきまして施策の拡充を図っていくということが必要だろうと書いてございます。
 まず、外部につきましては、特定汚染源及び非特定汚染源について施策の効果を検証しつつ、拡充を図る。内部のものにつきましては、従来の物理的対策等に加えまして、湖辺の植生等の自然浄化機能を活用することが必要ということが述べられてございます。そのほか、生態系の保全でありますとか、地域の住民の多様なニーズ等に対応するような施策も必要だと。それらを含めまして、総合的な施策を取り組んで今後当たっていく必要があるということが基本的な考え方で書かれてございます。
 4からは、今後具体的に推進すべき施策と制度の在り方について言及されてございます。最初の方はイントロでございますので、省略させていただきまして。(1)としまして、非特定汚染源対策の推進について述べられてございます。非特定汚染源対策、市街地とか農地等でございますが、これにつきましては、前段で書いてありますように、地下浸透の対策とか雨水の処理の対策、あと農地における水管理の問題や施肥の問題といったようなものがありまして、これらに対する施策が進められてはおります。
 しかしながら、発生源がそういう面的な広がりを持っているとか、負荷量の把握が困難という状態がございますので、それらの対策を進展するために、まず負荷量の把握等をしっかり行い、効果を把握するとともに、普及啓発活動をしっかりやっていくということが重要ということが書いてございます。しかも、それは関係省庁が連携体制を構築していく必要があるということも書き加えさせてございます。
 また、具体的な方策といたしまして、このような関係者がみんなで総意をあげて取り組んでいく必要があるということから、具体的に特定の地域を指定いたしまして、その地域でそれらの誘導的な施策を重点的、集中的に実施するといった方法が適切ではないか。さらに、その実施した場所において、汚濁負荷の調査、モニタリング等を行って、その効果を検証しながら実施していく、こういった体制をつくることが必要ではないかということが提案されております。
 2番目に、自然浄化機能の活用の推進でございますが、これは従来から抽水植物とか沈水植物といった水生植物につきましては、もともとその生態系の重要な構成要素でございますが、それ以外としまして、富栄養化の原因となる栄養塩類を吸収するなどを通じまして、水質の浄化機能というものを持っております。こういうものを活用していくことが重要であるとの指摘でございます。
 ただ、現状を見ますと、そういう機能を持った植生がかなり失われております。一方で、そういうものを復元しようという取り組みも行われているわけです。したがって、その植生を持つ自然浄化機能を維持、増大させていくためには、基本的にそこにあった植生を保全していく、また維持管理していくといったようなことが重要であるということが記載されています。また、そういう取り組みをしていくためには、地域住民の理解と協力を得てやっていくということが必要だということが記載されています。
 具体的な方策といたしまして、そういう観点から、保全すべき地域といったようなものを指定いたしまして、そこで地域住民の方々の協力を得まして、そこを適切に維持管理していくといったようなこと。また、さらにそういう地域で無秩序な改変を防ぐような措置を講じるといったようなことも合わせてやることが重要ではないかということの提案がされております。
 3番目に、特定汚染源対策、これは生活系、工場系等でございますが、まず、生活系につきましては、下水道等の処理施設の接続率の向上の問題とか、現在あります単独浄化槽を窒素・燐を除去するような合併浄化槽への転換を進めるとか、浄化槽の管理の徹底を図るといったことが重要ということが記載されてございます。特に湖沼地域でございますので、窒素・燐の削減を強力に進めていくことが重要という指摘がございますし、例えば下水道の方では排出権取引のような検討も行われておりますのでそういうような経済的な方法を視野に入れる、また、浄化槽等につきましても、技術開発によりまして促進に努めていくことが重要との認識を示めさせていただいているところでございます。
 工場・事業所につきましては、2つのことが書いてございます。1つは、工場・事業所に対しましては、湖沼地域におきましては一般の地域と違いまして、濃度規制だけではなく負荷量の規制が新設の事業所については適用されてございます。冒頭述べましたように、これは既設の事業所にはかかっていないということでございます。これが法施行以来20年近くたっているわけですが、その中で20年ぐらいたって結果を見ますと、約半分ぐらいまでがこの負荷量の規制がかかっているという状態になっておりますので、残っている規制のかかっていない既設の事業所に対しましても負荷量の規制というものを適用していくという考え方を示してございます。
 その次のものは現在規制のかかっていない小規模な事業所等、このウェイトがまだ相当程度ある湖沼がございます。そういうことですので、それに対しての対応を考える。具体的には、それらのものはかなり有機系の排水が多いということもございますので、有機系の排水につきましては、合併浄化槽の技術の応用で処理が可能というものもあるということでございますので、そういうものに対しまして構造基準的なものをつくってそういう小規模なものにそういう技術を適用していくことを検討することが重要との認識を示してございます。
 また、家畜系、水産系につきましては、家畜については家畜排泄物の処理法が昨年11月に施行されたところでございますし、水産系につきましても湖沼法の中で特別な給餌の適正化等の方策が示されておりますので、これらについて今後引き続き適切な措置をやっていくことが必要との認識を示してございます。
 (4)としまして、総合的な計画づくりという視点が書いてございます。これは、ただ単に水質だけの計画としてそれだけを見るのではなく、計画をつくるに当たりまして、総合的な視点を入れていく必要があるということでございまして、そこには特に3つの視点、流域管理の視点、水循環の回復の視点、それから生態系の保全とか親水性の向上等の視点、こういったような視点を計画づくりの中に盛り込んでいく必要があるということが述べられてございます。
 さらに、計画の策定に当たりまして、特に住民の参加を得ることがこれから非常に重要な課題となっておるかと思います。そういう意味で、住民参加を組み込んだ計画の策定・実施・評価の仕組みへ今後変えていく必要があるということがそのイのところで書いてございます。また、それらの仕組みを構築するに当たりまして、関係者間での情報の共有といったものが重要といった指摘がなされております。
 9ページの下の方のウでございますが、もう1つの視点としまして、現在湖沼計画、5年ごとの分断された計画のような形になっておりますので、もう少し長期的な視点から将来像を明らかにしつつ、施策を構じていくというようなものが必要であるという視点とか、いろいろな対策がありますので、計画スパンを柔軟化してそれらに対応していくといったことも必要ということが書いてございます。
 10ページ目のエでございますが、これは施策を実施するに当たりまして、なるべく定量的な目標を設定し、定量的な評価を行っていくということ。さらに、それらを定期的に見直しし、検証していくといったことが大切ということを記載させていただいております。
 (5)としまして、湖沼の水環境の適切な評価ということでございます。冒頭申し上げましたように、湖沼の汚濁メカニズムについてはまだ未解明なところがかなりございます。したがって、そういうものを適切に把握していく必要があるということで、そのためにモニタリング体制を拡充していく。特にここにありますように、シミュレーション等にデータを用いますいろいろな指標、特にTOCといったものが挙げられてございますが、そういうものも含めてモニタリングをしていかなければいけませんし、機構解明の研究を進めなければいけないということが書いてございます。
 さらに、もう1つの視点が、補助指標の設定ということでございまして、今後住民の方々の理解を促進して協力して水質保全に当たっていくために、住民の方々にわかりやすい指標を設けることが必要ということでございます。そういう観点から、そこにありますように、透明度とか、クロロフィルaといったようなわかりやすい指標を補助指標として設けることが必要との記載がされてございます。
 以上が報告書の概要でございます。
 なお、後ろの方に分厚い資料がついてございますが、本報告をまとめるに当たりまして、使用した資料を一応すべてまとめて冊子としてつくっております。目次がついておりますので、適宜必要なところを御参照いただければというふうに思います。
 また、資料4-2でございますけれども、これは御説明にもありましたように、パブリックコメントを実施いたしましたが、そこで出てきたものの概要と見解をまとめたものでございます。
 資料4-2をご覧いただきたいと思いますが、意見の提出件数は25件、総意見数は78項目にわたってございます。
 簡単に概略を御説明いたしますと、まず非特定汚染源、市街地・農地等でございますが、ここにつきましては、非特定汚染源対策についていろいろ具体性のあるものを指定する必要があるですとか、いろいろな非特定汚染源対策はいろいろな関係の施策に盛り込んでいく必要があるとか、指定制度が有効であるとか、農業については直接支払い制度などの優遇措置が重要であるとかいろいろな基準等をつくると、こういったような幾つかの提案とか御意見、主として具体的な推進を図ってほしいというような意見が多かったかと思います。
 見解としましては、そういうふうな記載は当然されておりますので、もう少し具体化の段階でしっかりやっていきたいというような答え方をさせていただいているところです。
 2番目に自然浄化とか湖辺の保全関係の意見がかなりございます。これは、例えば10番、11番は自然の浄化機能、その効果がまだ未確定なところがあるので効果を把握しながらする必要があるといったようなこと。それから、12番から15番くらいは、むしろ前向きに自然のことを付加するような方向でしっかりやるべきという御意見でございます。
 効果の方につきましては、効果を把握しながらやる必要があると考えておるということ、前向きなのはその旨記載してございますという見解になってございます。あともう1つ、管理をしっかりしないと問題が起こるという御指摘もありましたので、当然適正管理についても記載してございますとの答えをしてございます。
 3番目に、特定汚染源対策、工場・事業場でございますが、主として前半の部分は未規制の小規模なものにも対策をとることが必要であるという御意見が幾つかございます。もう1つは、新しい技術的な支援とか経済的な支援とかそういうものが必要であるといったことでございます。これらについてもその趣旨については記載されているという認識でございます。
 浄化槽につきましては、浄化槽がただ単純に効果があるわけではないので、特に窒素・燐の負荷量の増加を招かないようにという御指摘とか、あといろいろな設備に当たっての支援体制を強化すること。それから、維持管理をしっかり、適正管理をしなければいけないといったような御意見が掲げてございます。
 これにつきましても、当然窒素・燐の除去型のものの普及が必要ということと、維持管理等についてはその旨の記載がされておりますというお答えをさせていただいております。
 住民参加につきましても、その重要性が指摘されておるところでございます。湖沼特性も同じようにその重要性が指摘されているということです。
 7番目に、実施体制が書いてございまして、ここではいろいろな責任体制をはっきりしろという問題。もう1つは、河川法と河川計画とかそういうものの関係をしっかり調整しながらやるべきであると、こういう御意見かと思います。やはり計画主体をしっかりしてやっていくということと、関係者との間の調整、連携を図ることが重要との認識を示しているところでございます。
 8番目に、監視測定とか機構解明関係でございまして。ここは調査とかモニタリングの必要性が書かれておりますので、この認識は同様でございますので、そういう認識ですというお答えでございます。
 また、補助指標につきましても同様に、各種いろいろな補助指標が必要との御意見が出ております。これにつきましてはその関係の記述をしておりますとの見解でございます。
 10番目に、しゅんせつ等の直接浄化関係でございますが、ここの最初の4つはしゅんせつ関係のところにつきましては、対策効果が把握されていないとか、二次汚染を起こすとか、悪影響があるというような否定的な見解がかなりございました。これにつきましては、やはり実施段階において詳細な計画で二次汚染とかそういうものを起こさないような計画をつくる必要があるといったような見解を示しているところでございます。
 最後に、その他ということで、ちょっと分類しきれなかったものが幾つか挙がってございますが。底泥の資源化とか技術開発の問題、経済システムの問題、それから化学物質とか重金属、ディスポーザー、漁業、外来種、渡り鳥、エコツーリズムといったような問題がございます。ただ、これにつきましては、主として有機汚濁系の汚濁防止について焦点を当てて議論してきたため、こういうものの記載が欠けていたり、またその背景として書かれているということにとどまっておりますので、そういうものとして取り扱っておりますということが記載されているところでございます。
 以上でございます。

【須藤部会長】
 どうも簡潔に御説明をいただきましてありがとうございました。私の要旨と、それから今の太田課長の資料4-1、4-2の御説明でおおむね湖沼環境保全制度の、特に在り方といいましょうか、新しい提案も幾つかこの中でされているわけでございます。これから先生方から御意見を伺いたいと思います。
 何か御質問なり御意見なりございましたらどうぞ。
 どうぞ、浅野委員、お願いします。

【浅野委員】
 「6.参考資料」の2ページと3ページに現行法の概要が記されています。これを見てわかるように、現在の湖沼水質保全特別措置法は、言ってみれば緊急避難的に上乗せ規制をやりましょうということにとどまっています。もともとこの法律をつくったときに既にとりこぼしの部分があった、つまり土地利用とのリンケージという点がとりこぼされてしまっていたわけです。
 さらに、現行法の持っている大きな矛盾は、やはり特定の、しかもかなり規模の大きいものづくり産業部門に対する規制を強化する。それで湖沼の水質は何とかなるという発想で法律がつくられたわけですが、現実には湖沼の水質環境の抱えている課題というのはそういったものづくり工場から出る排水だけじゃなくて、もっとと言っては言い過ぎかもしれませんが、農畜産系の負荷とかあるいは都市の面源負荷というものの割合が結構高いわけです。ですから、乱暴な言い方をすると、きわめて不公正な規制をかけているとも言えるわけです。
 その意味では、今回専門委員会大変御努力になってこういう報告書をまとめていただいて、これまでとりこぼしになっていた部分をかなり埋めることができるようになったという点では大筋でこの報告書を私は評価したいと思っています。とりわけ、非特定汚染源の対策を強化する、強化すると書いてあるかどうかわかりませんが、私はそう読んだのですが、そのようになっていまして、これも丁寧に見ていきますと、農業系についてもしっかり書かれていますし、さらに特定の汚染源に関しても事業所という形でそこには畜産系についての目配りが十分あるということで、この点は大変結構なことではないかと思うわけです。
 ただ、残念なことは、やはりどうしても農業系の汚染負荷源は何となく規制の対象にはならないという先入観が強すぎて、啓発普及といったような対策で何とか乗り切ろうという雰囲気が強いですね。しかし、既に農薬取締法が一歩前進して、はっきり農業系に対しても規制をかけるという方向まできているわけです。ですからここのところをあまり遠慮しないで組み込んでいかないと、結局のところは善意に委ねるといっても、それだけではうまくいかないことが運ばないわけです。例えば過剰施肥の抑制といった話でも、たくさん肥料を撒けば余計収穫できると思い込んでいる人はなかなかこの点の調整には協力してくれないとも聞かされています。
 だから、やはりその辺のところにまで踏み込んでいかないといけないのではないかという気もするのです。ただ、現実にはなかなか規制といったってうまくいかないことは当然のことですね。
 そこで、例えばパブリックコメントの中に、この資料4-2の65ページのところに排出税という意見が出ているわけですけれども、これに対する専門委員会の御回答はややはぐらかしているような面があって、その点はいささか遺憾であると言わざるを得ない。つまり、4の3ア、4の4エにおいて関連の記述をしていると書いてありますけれども、書いてあることはと見ると、補助金を出しますということが書かれていたり、費用対効果のある施策を講じますと書いてあるだけで、言われていることに対してはまともには答えていないわけですね。
 もちろんこれは環境省ができることではないから無理な要求であることは承知での発言なのですが、前から硝酸性窒素の問題なんかを考えていると、やはり過剰な施肥をした人にはチャージをかけて、それで収量が減少した人に補てんをしてあげるぐらいのことをやればそこでバランスがとれるわけです。そのくらい思い切ったところにまで組み込んでいかないと、ただ補助金を出すだけだとやはり、ともかく儲けるためには何でもやるという人はやはりやりたい放題やるわけで、真面目に環境を考えて、少し環境配慮型農業で収量が下がってもいいという人は、細々補助金がもらえるくらいのところで終わってしまう。これだったらバランスがとれませんから、やはり悪いもの勝ちということになりはしないか。この辺のところが今後の課題としては残るのではないかということを私は考えています。
 ですから、この報告はまず一歩前進と言いたいところですね。とにかく前進したことは評価するのですけれども、今後にまだまだ残された課題があるだろうということです。
 それから、土地利用計画との関連性をしっかり考えるということについても、これも十分目配りがある書きぶりなのでいいのですが。ちょっと思いつきに近い提案なので、これで直ちにどうだこうだというふうになりませんけれども、この湖沼法改正と合わせてアセス法見直しの方にもこれが反映できるように少し総合政策局と話し合いをしていただけないか。つまり、湖沼に対して面源負荷を与えるような事業について、その部分がアセスメントの中で評価される仕組みがしっかり確立されていくかどうかということですね。とりわけ、現在の規模要件があまりにも大きくて、もっと規模要件を下げていかないと、こういうような湖沼に対する負荷を与えるような開発に対して十分な環境配慮を求めることはできないという状況にあるのではないかと心配されます。
 せっかくこういう改正をやるのであれば、アセスとの連動ということを考えていただきたいのですが、どうも報告書を拝見するとそのような関心はないようですね。ですから、やはりそこのところで、アセスはそれ自体規制法じゃないわけで、ある意味では自主的にやってくださいという制度なんですから、そこに十分反映できるようにしておく。どこまでのことをどこまで考えておけば湖沼に対する負荷を下げられるかというような問題があるだろうと思いますが。ものにならなかったけれども、琵琶湖については昔、滋賀県で開発全体を琵琶湖の負荷を下げるためにどうコントロールするかと随分頑張って勉強したことがありますけれどもね。やはり国の法律との関係があってうまくいかなかったという経験があるわけです。
 ですから、その辺はぜひアセスの方でもこの結果が生かされるような工夫を今後していく。こっちは、この法律とは関係なしにアセス法の世界でできることがあるはずですから、そっちの方でできることはやってもらうということをぜひ考えていただきたい。

【須藤部会長】
 どうも貴重な御意見ありがとうございました。私からお答えするというより、ちょっと一言二言お答えをさせていただいて、ほかの先生に移りますが。
 先生の今の2番目の土地利用のことについては、やはり湖沼の環境保全というのは土地利用をきちっとコントロールするというか、規制をしていかないとうまくいかないよという議論は随分ございました。しかしながら、この湖沼のところだけでその話を持ち出すというのは、わかっちゃいるんだけれども、ちょっと難しいということで、このような書きぶりになっています。
 それから、アセスのことについては、これから多分それは環境影響評価課とお話をしてください、今、基本的問題をやっている最中なので、そういう中に盛り込める可能性はなくはないだろうと私は思います。
 それから、一番最初の方の面源の農業の方については、農水省の方からも室長さんにいらしていただいて大分ヒアリングもいたしました。そういう中で、私の理解ではかなり今後はやる気を示していると、こういうふうに思いました。そういうことで、環境省でああやれこうやれというところまではたぶんいかないんでしょうが、かなり姿勢としては従来にない姿勢を示しているということだけはお答えをさせていただきます。
 では、藤井先生、どうぞ。

【藤井委員】
 琵琶湖に赤潮が起きたのが1977年ですから、もう28年ぐらい動いてきているんです。その経験からいって、これを読んだときに、あ、これで琵琶湖がよくなるというふうな実感は実はありません。つまり、それだけやってきたんだから、琵琶湖は随分よくなっただろうと国内外で言われます。大変つらいところです。
 今日、本日のこの保全性の在り方の中にも、例えば随分前からやってきている単独浄化槽の下水道への接続の問題とか、それから小規模事業所も随分歩きました、お豆腐屋さんから何から。だけれども、商売よりも高い処理施設なんかつけられるかという、そういう問題に随分ぶち当たりながら、それでも琵琶湖のためにとやってきました。そういうことがここにまた盛り込まれているということは、解決には時間がかかって、まだまだ盛り込み続けなきゃいけないんだなという片側思いつつも、さて、本当にこれでよくなるのかというのは1つ。
 そうはいっても、新しい視点を、今、浅野先生からも須藤先生からもあった、農水の関係随分出ていますが、これは農水だけではなくて、各省庁連携による、ここにも書いてありますが、推進体制を構築する必要があるではなくて、本当に推進体制をどういうメンバーでどう構築して、このテーマにはどう動くということを本当につくっていただきたい。
 例えば、バイオマスエネルギー、これはちょっとエネルギー関係ですが、バイオマス日本というのは2年半あまり前に進んだときに、本当に局長レベルの委員会、それから推進会議、これ本当に省庁1府5省で動いているんですが、その定期的な会議の中で、各委員会全部バイオマス日本出てきます。そうでないと、ここに書いたから推進できるぞというふうに思えないのですね。
 しかも、そこに置いたときに、さらにこの文言は省庁の在り方などについて書けないんだと思うんですが、最後のページです。「本報告の考え方が十分に活かされるよう早急に適切な措置がとられることを強く望む。」と、ずっと早急に適切な措置なんです。これだと数値目標も出ていなければ、早急に適切な措置では絶対だめで、もう一歩専門委員会の最後の案がとれる前に踏み込んだ表現の仕方がないものでしょうかというのが私の意見です。
 以上です。

【須藤部会長】
 大変これも貴重な御意見をいただいて、これも私が答えるのも変ですが。あのときは専門委員長でございましたので、適切な措置がとられることが「望まれる」だったんです、もともとは。これは専門委員会として強い希望を持って「望む」ということでかなりこういう形に変えてですね。

【藤井委員】
 それでも……

【須藤部会長】
 でしょうね、先生はそうおっしゃっていたんですが。もともとの原案は「望まれる」だったんです。それを「望む」と書いたところの意気込みだけは御理解いただきたいということで。
 それでは、太田課長。両先生からかなり応援演説といえば応援演説だけれども、これで本当に湖沼はきれいになるのか、保全はできるのかということですが。
 これはもともと先生方にも御紹介していると思いますが、総務省の政策評価の中で取り上げられて、湖沼の環境保全はよろしくないというところをかなり強く受けて、今度こそはということで始めてくださっていると私は思います。環境省で今の省庁連携も土地利用もさまざまな、あるいは環境アセスとか、その辺を含めて、課長から、どうぞお願いします。

【太田課長】
 両委員から御指摘のように、本当にこれできれいになるのか、まだ不十分なところがあるのではないかという御指摘だと思います。しかも、従来からある程度言われて、先進的なところではやられてきた施策もかなり多いかと思います。ただ、問題は、要はこういう制度をつくって、これをどう実際に推進するかという問題だと思います。やはり湖沼の問題、一部琵琶湖等は結構熱心なのですが、全国的に見ますとまだまだ不十分なところもございますし、そういうことを踏まえて、やはりこういう新しい制度をつくって従来外れていたというか、明確な規定がなかったところにきちっと一応規制を置くことによりまして、より一層実効を高めていくような取り組みが進みやすいのではないかと、そういう意味で私どもむしろこれをつくった後、しっかり各省庁と連携をとりながらやっていくのが重要というふうに認識いたしております。
 そういう我々に対する応援の言葉と受けとめさせていただきまして、今後頑張っていきたいと思っております。

【須藤部会長】
 今度こそはやってくださると、こういうことのようですので、水環境部に期待をするということにしましょう。
 ほかに、委員の先生。どうぞ、嶌田委員にお願いします。

【嶌田委員】
 この報告書を、今、読みまして、今、問題になった面源のところですが、従来と何が違うかというと、特定の地域を指定して、そこで住民参加のもとに、あと事業主体も含めてということで、どちらかというと規制というよりも住民参加の運動としてやっていこうという、非常にそこに住んでいるないしは事業をしている人々を信頼した上でやっていこうというそういう方向だろうというふうに読みました。
 さっき浅野先生が言われるように、ただ何でもありというような感じの話とは多分違うんじゃないかと。現在やはり農家にしても漁業者にしても何でもありでは世の中は通用しなくなっているんですね。ですから、そういう意味でそういう事業主体を信頼した上での環境運動じゃないと、従来は規制を中心にやってきたと思いますけれども、そういうものが根っこにないと多分うまくいかないんじゃないかと思うんですね。
 もし、この文章自身そういうような不信感をベースにした形の報告だとすると、ちょっとこれはおかしいかなという気がいたしました。

【須藤部会長】
 これも私がお答えしちゃよろしくないんですけれども。決してそういうことではございませんで、例えばエコファーマー制度をもっと進めようとか、エコファーマーというのはもちろん御自身がやってくださるということですから、そういうこともやっておられますし。先ほど言いましたように、農水省の皆さんが、2回目のときにですか、いろいろおっしゃっていただいて、本当に私からすれば役所としても前向きにそれを取り組んでくださっているということを理解した上での記載でございますので、そういうことがベースでこれは書かれているということなんですが。
 どうぞ、太田課長、今の問題。

【太田課長】
 今、部会長からお答えいただいたそのとおりでございまして。やはり、みずから進んでそういうことに取り組んでいただける方々が非常に増えてきているという認識を、むしろそういう方々をそこに積極的にやっていただきやすい環境をつくるというような視点で書かせていただいておるところでございます。

【須藤部会長】
 それと、説明が不十分だったかもしれませんが、ある特定地域というような表現にしているのですが、これはやはり湖沼によって例えば農場だとか畑だとかそういうような部分、水田とかですね、そういうようなところも非常に多く、負荷量の多いようなところをやはり指定をして、全部一律にやるというのは広いわけですので、そういう意味で特定の場所をまずは決めて、当然そこの農家なりそういう方々に、これは別に農業だけではなくて、小規模事業所もあれば、そういうことも含めて指定をしながらやっていく方が効率的ではないかと、こういう議論です。
 最初はこの議論も湖沼の流域全部ということだったのですが、とてもそうすると、先ほどのお話にございましたように、また同じことになるので、少しそういう意味で絞ってものを考えているということでございます。
 はい、どうぞ。

【嶌田委員】
 その関連ですけれども。今、三位一体の改革というようなこともありまして、どの地域でどのような事業をするかは地方自治体の考え方が従来より強く反映すると思います。また、実際に事業するのは地方公共団体の方なんですね。そうすると、推進会議でもって全体を決め、地域の中でも特定の地域限定してしまいますと、その辺は実際どうなんでしょうか。国全体の推進管理とか全体の計画とこの特定の地域との関係ですね。

【須藤部会長】
 これも後で太田課長に御説明いただきます。これはこれからの議論だと思うんですけれども、先ほどの湖沼水質保全計画をどういうふうにつくるかということになるわけですが、今の状況でいえば、県が主体につくりますね。ですから、環境省が具体的に水質、ここが特定地域だとか、それはなかなかできにくくて、当然地域からその御要望をいただきながらということになるんだろうと思います。
 太田課長、今の問題どうですか。

【太田課長】
 基本的にこういう重点的な地域というものも湖沼計画の中でつくりますので、県が主体でやっていただくということが前提でございますし。また、ここに書いてございますように、地域の合意を得ながら施行していく。地元でそういう先ほど言った主体的にやっていただけるような方がいるようなところを重点的に選んでいただいてやっていくという考え方を導入していますので、どこか国の方でぱっと決めてやるとかそういうことよりも、地元でそういうところを選んでいただくという発想で考えております。
 もちろん、国の方で選び方の基本的な考え方とかそういうものは示さなきゃいけないと思っておりますが、現実では現場でやっていただくということになろうかと思っております。

【須藤部会長】
 いろいろ御質問いただいておりますが、田中委員、どうぞお願いいたします。

【田中委員】
 湖沼保全の基本的な考え方というのはもとを絶つというのが第一と思います。それから、もう1つは入ってきたものを水中で浄化する、それから人間の技術力で改善していく。そういう観点から見ると、この報告書はほとんど考えられる内容は全て網羅されているというふうに思います。
 ただし、1つ欠けているのではないかというのは、流域の水循環の中における湖沼の位置づけという視点がちょっと欠けているのではないか。そういう視点を持たないと、流域管理の視点とか自然浄化機能の活用というものが十分活かされてこないと。自然浄化機能の中では水生植物、それから生態系の保全というような言葉を使っていますけれども、こういうものは要するに半恒久的でなければいけないわけですね。そのためには、流域の中における湖沼そのものが自然本来の、健全な水循環という言葉をよく使いますけれども、そういう位置づけにあったときに初めて成り立つものであるということですね。
 それで、日本のような湿潤地域での水循環を考えますと、河川水だとか湖沼水という地表水はいわゆる地下水の排水経路として機能しているということが、これは水文科学の方から分かってきていることです。全部がそうではありませんけれども、例外もありますけれども、大体そう考えてよい。ところが、湖沼と地下水との関係がかなり絶たれている例が非常に多い。それは、このパブリックコメントにもありますけれども、コンクリート護岸だとか、鋼矢板が湖岸全面に入っているとか、そういうところで湖沼の自然の水循環が絶たれてしまっている。そういうものをきちっと改善していく方向がないと、自然の浄化機能とか流域管理ということをいっても始まらない。
 その視点がこの報告書の中には欠けているのではないか。そういう視点を持つということと、それをまた住民にきちっと理解させるような方向で進めるというものを基本的にやっていかないと、この施策が恒久的に生きてこない、そういう感があります。
 森林の保全とか、都市域では地下水を涵養するとか、しかし、その涵養したものが湖沼に出てこなければ何もならないわけですね。それから、森林の保全というのは、一番大きな機能は地下水を涵養することなんです。それを湖沼に戻してこないと何の役にも立たない。その戻る出口が断ち切られている例が非常に多いのではないか、日本の湖沼は。
 ですから、そういうものをなるべく排除するというか、元に戻すような施策、これは非常に基本的に重要な面ではないか。そういうものがちょっと欠けているというふうに思います。

【須藤部会長】
 どうも御指摘ありがとうございます。
 それでは、幾つかまだありそうですので、鈴木委員からまいります。御質問いただいて、あと事務局の方で御回答をいただきます。
 鈴木委員から、まずどうぞ。

【鈴木委員】
 レポート、全体的に網羅していただいてて非常に結構だと思います。ただ前にも私申し上げたことがありますが、底質の問題について申し上げたいと思います。これについてレポートではあまりきちっと書かれていないという印象があります。いろいろ問題があるからだと思いますけれども。しかし、いろいろ排水規制をやっても、あるところまでくると、最後の堰を乗り越えられないという場面に遭遇します。要するに排水規制の限界効用みたいなものがあって、底質の影響の方が相対的に大きくなってくるという場面がかなりあり得るのではないかと考えられます。
 もちろんここには「浚渫対策効果や影響に関する知見の集積が必要」と書いてありますけれども、ここでいう対策効果とは浚渫そのものの対策効果、あるいは影響というのはむしろ浚渫の悪影響のことを言っておられると思うんですね。そうではなくて、全体の環境負荷の中で底質がどのくらいの比重を占めていて、どのくらいの影響を与えているのか。もし影響が大きければ、底質について積極的な対策をしていかないといけないということになります。
 したがって、底質を含む影響度の総合評価と、それによる対策の在り方の研究など、そうした底質に対するもうちょっと前向きな書き方をしていただけないかと思います。今後推進すべき施策と制度の在り方のところにも、あるいは総合的な計画の推進のところにも、底質問題が触れられていないというのはちょっと腑に落ちないなという感じがいたします。

【須藤部会長】
 わかりました、ありがとうございました。
 では、宮原委員、どうぞお願いします。
 とりあえずはほかの議題もありますので、この辺で一応御質問のところは最後に、まだありますか。先生あるんですか。では、宮原先生、黒澤先生。順番になるべく簡潔に御質問を先にいただきます。

【宮原委員】
 新参者で申しわけございませんが。質問になるか要望になるかちょっと。この特定汚染源対策のところにかかってくると思うんですが、イの工場対策・事業所対策の推進のところなんですが。我々、漁業者団体としてはよく問題になるのは、湖沼の中で水質汚濁防止法の規制で1日50トン排出するところに対しては規制がかかりますけれども、それ以下には規制がかからない。そのためには50トン以下にして排出量を抑えて事業所を新設するという例が多いわけでございまして。何とかしてこれを規制の対象にするよう水質汚濁防止法を適用拡大していくということが、この湖沼法の改正の中でできるのかどうかわかりませんが、そういったことをひとつ検討していただきたいというお願いでございます。
 それから、ここで畜産系のことも書いていただいておりますし、家畜排泄物処理法もできておりますので、これも完全実施できるように進めていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

【須藤部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、黒澤委員、どうぞ。

【黒澤委員】
 鈴木委員がおっしゃられたことと関係しますが。この報告書なかなか、方々、四方八方目を配られて書きぶりが本当にいいと思います。例えばむすびのところに、真ん中辺に書いてありますが、「湖沼の汚濁メカニズムを定量的に解明しつつ」、しつつというのもなかなか意味を込めて書いてあると思うんですが。こういうことをその前に5の(5)のアのところの真ん中辺にも、内部生産やTOCとところどころ言及されておりますが、これをせっかく書かれておりますので、これを次の段階はいかに具体化していかにしかるべきところ、ときでその具体的な手段、方法を公表といいますか、そういうことが大切だと思いますが。これについて具体的なスケジュールとか具体的なものについて、あればお伺いしたい。

【須藤部会長】
 では、高橋先生あるんですか。では、どうぞ。もう1つだけお伺いして。結構時間過ぎていますので、すみません、お願いします。

【高橋委員】
 生息環境としての水域の保全、報告にも書かれていることですが、その点について意見を言いたいと思います。
 内部要因に対する対策として、バイオマニピュレーションのようなこととか述べられていますが、特にここでは一次生産者ですから植物のことが取り上げられているんですけれども。琵琶湖でも随分ヨシ原の再生とか保全とかいうことが言われてきましたけれども、ちょっと文脈的に気になる部分が。文章のところで気になるところがあるんです。

【須藤部会長】
 どうぞおっしゃってください。

【高橋委員】
 いいですか。「定期的に刈取りを行うなど」というふうに書かれています。私は、植物以外の動物、水生生物とか鳥とかそういうものの方にもどうしても関心がありますので、植物を水質浄化機能だけで見ているようなそういう見方に対してちょっとナーバスになります。
 それで、刈取りを行うということが一人歩きして、どこでもいつでも刈取りをすればそれがいいことのようなそういうふうに、特に市民を巻き込んで運動としてやっていく場合、そういうふうになっては困ると。琵琶湖ではそういうふうにちょっとなっているので、こういう文章は入れていただきたくないというふうに思っています。
 生物によるコントロールというのはもっとほかにも魚の流入河川への遡上・回遊を保証するようにしていくとか、漁業を回復していくとかいろいろな総合的な考え方があると思うんですが、それはこの文章の中にそういうことは含まれているのだと。これからそういうものも総合的な視点で研究も含めてやっていくと書かれているので、それは特に文章をつけ足してくださいとは申しませんが、ちょっとこれが植物のことに偏重して、しかも刈り取るという言葉がここにあると、ちょっと気になるのですけれども。気にしすぎでしょうか。

【須藤部会長】
 それでは、今、4名の先生から御質問をいただきました。順番に、田中先生の水循環から、底質の問題、それから50トンの問題、それから今の刈取りというか、浄化機能の活用の問題。それ、どこからでも結構ですので、お答えください。

【太田課長】
 それでは、まず田中先生の地下水といいますか、健全な水循環の確保という視点。この文章の中には当然健全な水循環の確保が大切ということはかなり書いたつもりではございます。当然我々も地下水について非常に重要な要素であるという認識は持っております。ただ、具体的な施策として書いたときに、現在あるのが地下浸透の方の話がメインなもので、そちらの方を例示的に書かせていただいて、今、言った、まだ例えば矢板で遮断しているのではないかというところまで具体的な、どこを除去するとか、どういうのがいいというところまでの具体的な施策がなかったものですから今のところは書いておりません。意識の中ではそういうものが重要というのは理解しておりますが、具体的な施策はこれからの検討課題なのかなというふうには認識しております。外しているということではないという御理解いただければと思っております。
 それから、底質の問題、非常に重要な問題だということで、これはその理解をしています。ただ、従来は底質の問題というのは、先ほど言ったしゅんせつ等物理的な問題の方が多かったんですね。今回、いろいろ審議の過程の中で底質、しゅんせつ等の問題につきましてはかなりいろいろと議論がございましたので、そこは効果を発揮し、というのはちょっと若干注釈をつけたような表現ぶりに途中で変更させていただいておるところでございます。
 ただ、もう少し底質からの溶出の問題とかそういうものをしっかり調べる必要があるというのは、これはもうそのとおりでございまして、それは実は溶出とは書いてないんですが、内部生産という言葉の中に私どもとしては入っているという理解でおりまして。そういう意味で、随所にメカニズムの解明という言葉が出てきておりますが、その中に含んで我々としては書いているつもりでございます。重要性はよく認識しているところでございます。
 それから、50トン以下が対象になってなくて問題ではないかという御指摘ですが、現在、こういう湖沼を持っている自治体では裾下げというのがございまして、今は10トンから25トンまで下げた規制を自治体の方が条例で裾下げの条例をつくりましてやっているのがほとんどでございます。そういう意味で、通常のところよりもかなり低めにやっているという実態はございますが、それでもまだその下が残っておりますので。
 そういう意味で、今回提言の中で、それ以下のものでも何かできる対策がないかということで、先ほど御説明いたしましたように、例えば有機系のものについて浄化槽の技術等の応用を使ってなにがしかのそういう対策を講じていく必要があるという認識を示してございます。ただ、これからやっていく話ですので、もう少し技術的な検討が必要だと思っておりますので、これは私どもの方で、例えば今後湖沼の指定施設の構造基準とかそういうものの中にそういうものも折り込めないかというような具体的な検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

【須藤部会長】
 それでよろしいですね、お答えは。もう1つある。

【太田課長】
 刈取りの問題がございまして。これにつきまして、定期的に刈取りを行うと書きましたのは、一般的にヨシ原とかの保全とかになると、全く手をつけなければいいという逆の意味での心配……

【須藤部会長】
 管理をしないということですね、そういうことが起こっているんですね。

【太田課長】
 そちらの方の心配が少しございまして。やはりこういうものをやっていくためには、こういう定期的な刈取りだけがいいというわけではないんですが、しっかり管理をしていくということが重要だということで、その例示として挙げさせていただいたという認識でございまして。刈るのが絶対いいんだとかそういうことではございませんので、ただ刈り方の問題とか当然含んで書かさせていただいているつもりではございます。

【須藤部会長】
 どうもありがとうございました。
 どうぞ、田中先生、お願いします。

【田中委員】
 どうもお答えありがとうございました。私の言ってるのは、その具体的な施策を講じろということではなくて、湖沼を保全する1つの視点としてその流域の中の湖沼の位置づけ、それを水循環の中できちっとやっていくというのが大事だというところをもう少しはっきりと前書き等に書いておく必要があるのではないか、そういうことです。よろしくお願いします。

【須藤部会長】
 4ページの下の方で読めませんかね。すみません、4ページの下の方。ちょっと田中先生もおっしゃってくれて。太田課長、いいですか、そこで読めるような気もしなくはないんだけれども、どうですか。

【太田課長】
 今の御指摘なんですが、例えば3ページの3の基本的な考え方の一番最初のところで、やはり水循環系が崩れたというところが今回の湖沼の問題点の発端であるという、そういうまず基本的な認識から書いておりまして。そのためにはということで、4ページ目の真ん中あたりですね、中段のところに湖沼流域全体を視野に入れて健全な水循環の回復の視点をというふうに記載しておりますので、一応これで読んでいただけたらというふうに思っておりますが。

【須藤部会長】
 そういうことで。鈴木委員、まだ御議論ありますか。はい、どうぞ。

【鈴木委員】
 一言だけ付け加えさせていただきます。底質の問題は、今まで対象になっていなかった小規模の事業者の方などにこれから協力してもらえるよう説得するためにも、片方で底質の問題もちゃんと研究してちゃんと対策をとろうとしているんだよというのをはっきりさせていただかないと反論が出るなど難しい問題になるかなという気がしています。この中に書いてあるとおっしゃるので、それはそれでいいんですけれども。もうちょっと底質問題に力を入れていただきたいなと思います。

【須藤部会長】
 わかりました。ありがとうございます。
 底質の問題は専門委員会でもかなり激論になるほどの議論がやはりありました。そして、要するに汚濁解明が不十分なので、それを解明しつつという、先ほどの御指摘。しつつというのは、してからではおそいから、しながらやりましょうと、こういう意味でございますので、その意気込みは多分事務局もそういうふうに考えての表現だと思いますので、御理解をいただきたい、こういうふうに思います。
 まだ先生方の御質問受け方としては不十分だとは思いますけれども、以上、大体いただいた意見は表現ぶり等の中で読めることもあるし、それから事務局としては他省庁にお願いするなりして進めて下さい。
 また、今後のスケジュールとあったですね。今後のスケジュールはちょっと言っていただかないとまずいね、これ大事な質問があったので。どのくらいの間にこういうことをやりましょうということなんですが。そこだけお答えをいただきましょうか。

【太田課長】
 御指摘は、メカニズムを解明しつつ、それをどういう段取りでやるかということだと思いますが。基本的には今回さらにそういうものを解明するためにはモニタリング等を充実させていく必要があろうと思っております。そういう意味で、今回の計画の中で実計画をつくるときの中で、モニタリングをしっかりやりなさいというのが(5)に書いてあるかと思います。そういうものの中で、データを蓄積しつつ実施すると。もちろん5年間、次の計画が終わるまでやらないということではなくて、その間でわかることから逐次反映をさせていくというような形でやっていきたいというふうに思っております。

【須藤部会長】
 ということで、今までの御質問等あるいは御意見については、いずれも事務局がそれを考慮して前に進めてくださるということでございましたので、表現ぶりの部分については恐らく全員の先生方が、100%これでよろしいとおっしゃっていないところもあるのかもしれませんが、一応こういう問題はあるところで区切りをつけて次の段階に移さなくちゃいけませんので、これをもって水環境部会としての答申案とさせていただいて、これを、先ほど申し上げましたように、鈴木会長に報告をしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
            (「異議なし」と呼ぶ者あり)

【須藤部会長】
 大変どうもありがとうございます。
 それでは、鈴木会長にこの案を報告したいと思います。
 再度お願いをしておきますが、いろいろ先生方から御注文なり御意見なりいただきました。これはぜひ、議事録も残っていることでございますので、実現できるように事務局は最大の努力をしていただきたいということを私からもお願いをしておきます。
 それでは、あと、今後のスケジュールについて、事務局から御報告願います。

【太田課長】
 それでは、ただいま答申案として御了解をいただいたということでございますので、これにつきまして、本日付で中央環境審議会の会長の方に報告をさせていただく予定になってございます。
 また、会長より本日付で環境大臣宛てに答申がなされると、そういう予定で準備を進めておりますので、今後帰りましてすぐその手続をとらさせていただきたいと思っております。

【須藤部会長】
 どうもありがとうございました。
 ということで、これをもって最初の議題は終了させていただきますが。
 次が、議題2で、事務局からの報告事項でございます。予定した時間が、皆様先生方の御熱心な御討論で少し予定よりも少なくなっておりますので、事務局の皆さん、どうぞ、次の報告事項については要領よく御説明いただきまして、最後に質問いただきたいと思います。
 事務局から順次御説明いただきます。お願いいたします。

【谷課長】
 御説明いたします。まず、資料の5をご覧ください。三位一体の改革に伴う環境監視調査等業務についてでございます。平成17年度の予算案におきまして、三位一体の改革の一貫といたしまして、環境監視調査等の事業の補助金の一部につきましては今年度で廃止と。そして、その原資については地方公共団体へ税源が移譲されるという予算(案)となりました。
 これに基づきまして、水質汚濁防止法等々の調査事業につきましては来年度から都道府県、政令市等の財源により実施されるという予算案となっております。ただ、これによりまして、環境監視調査等の事業の法的な位置づけあるいはその重要性は、何ら変わることはございません。環境省としてもこういう観点から環境監視の地点ですとか、項目、頻度などに関しまして、引き続き適正な監視水準を確保されるようにということで都道府県、政令市等に要請を申し上げているところでございます。
 委員の皆様方にも、どうぞ今後とも御支援を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 裏を見ていただきますと、こちらで対象となる事業について補助金が書いてございます。環境監視調査等の補助金のうち、ほとんどの部分がこういった形で移譲されることになります。ただ1つだけ、一番下にございます環境監視調査等補助金の、ダイオキシンの土壌汚染対策でございます。こちらのものにつきましては、引き続き補助金という形で実施をいたします。
 以上で資料5の説明を終わらせていただきます。
 次に、資料6でございます。平成17年度の機構・定員(案)の概要でございます。これも予算案に伴うものでございますけれども。まず、環境省の機構といたしまして、地方環境事務所の設置がございます。これまでございます自然保護事務所、地方環境対策調査官事務所、これらを再編いたしまして、全国7ブロックで地方環境事務所、仮称でございますが、これを設置するという方向の機構・定員(案)となってございます。これによりまして、地域の実情に応じた機動的できめ細やかな施策実施を可能としたいと考えております。
 また、それと合わせまして、2の(1)でございます。これまで大気の方が局で、水は部という形で行政の機構がございました。これを統一的に局長の指揮の下で大気と水合わせて処理をするということで、また合わせまして、世界水フォーラム等国際的議論への対応を図るということで、水環境部と環境管理局を統合いたしまして、「水・大気環境局(仮称)」と大臣官房審議官を設置したいと考えております。
 後ろをご覧くださいませ。まず、旧とございますが、現行の体制でございます。環境管理局の下に総務課と大気の関係、大気環境課、自動車環境対策課とございまして、水環境の方は部でございます。この中に企画課、水環境管理課、土壌環境課とございます。平成17年10月よりこれを統合いたしまして、水・大気環境局(仮称)でございますが、水が最初にございます。こういった局を設けまして、その下に審議官が置かれまして、総務課以下いろいろな課が置かれます。
 なお、これに伴いまして、現行ございます水環境の企画課、これは企画官という形ですが、この中で位置づけるということを考えてございます。
 資料6、以上でございます。
 次に、資料7をご覧くださいませ。資料7は水環境部会の水生生物保全環境基準類型指定専門委員会の名簿でございます。前回の水環境部会、昨年秋に、こちらにつきまして須藤先生に委員長をお願いしますということだけを御報告申し上げましたが、委員の先生方は、このような名簿でお願いをすることとなっております。2月以降、適宜御議論をお願いする予定となっております。
 資料7は以上でございます。
 次に、資料8でございます。こちらは、中央環境審議会水環境部会水生生物保全等排水規制専門委員会の委員名簿でございます。こちらも同じく、前回の水環境部会の際に松尾先生に委員長をお願いいたしますということだけ御報告申し上げました。今回、こちらにございます委員の先生方に、専門委員会に御参加いただくということで、その名簿でございます。こちらも同じく、来月2月から御議論を始めていただく予定でございます。
 次に、資料9でございます。こちらは、東京湾及び大阪湾における全窒素及び全燐に係る環境基準の暫定目標でございます。先生方御存じのとおり、現在いろいろな全窒素・全燐に係る環境基準がさまざまな水域について設けられております。そのうち幾つかの部分が暫定目標でございましたが、この暫定目標がだんだん終わってきておりまして、これは海域につきまして最後まで残っておりました暫定目標の地域でございます。全窒素及び全燐の環境基準の達成が直ちには困難であった地域、東京湾では全窒素3水域、全燐では2水域。大阪湾では全窒素が1水域ございました。これにつきまして、平成16年度、今年度を目標とする暫定目標が設定されております。
 これらの水域でございますが、先日、平成15年度の水質測定結果が出たわけでございますけれども、これを見ますと、すべての水域におきましてこれらの暫定目標が達成されました。また、経年変化を見ましても数値が減少傾向にございます。この暫定目標は当初設定しましたとおり、平成16年度までということでございます。平成17年度以降は環境基準そのものの達成、維持を図るということになってございます。
 なお、有明海の暫定目標は平成15年度までで終了しております。
 このような地域を含めまして、排水の有機汚濁の削減、全窒素・全燐の削減その他、御尽力をいただきました関係の皆様に心から御礼を申し上げたいと思います。どうも大変ありがとうございました。今後とも引き続きまして、水環境、水質保全のための御協力をよろしくお願いを申し上げます。
 なお、これに基づきまして、海域の暫定目標がすべてなくなりまして、残るは湖沼地域だけでございます。湖沼の方はまだ湖沼計画との関係で幾つかございまして、一番今の段階で長いものは平成20年とか当分ございます。
 続きまして、資料10以下は御紹介だけで、細かな御報告はいたしません。資料10は平成17年度水環境部予算(案)の概要でございます。こちらにございますとおり、やはり予算の方でも湖沼環境の保全対策について幾つかの項目を新規あるいは増額で予算(案)でいただいております。水環境のリスク管理の推進、硝酸性窒素、農薬対策等ございます。閉鎖性海域の水環境の改善、国際的活動経費など、このような予算(案)となっております。
 資料11でございますが、こちらが平成15年度公共用水域水質測定結果についてでございます。冒頭、部長からの御挨拶でも若干触れさせていただきました。内容の御説明は省略させていただきます。
 資料12でございます。こちらが地下水質の測定結果についてございます。硝酸性窒素など問題点もございますが、こちらについても詳しい御説明は省略させていただきます。
 資料13が地盤沈下地域の概況でございます。こちらも詳しい説明は省略させていただきます。
 以上でございます。

【太田課長】
 続きまして、資料14でございますが、これは水部では管理局の方にいきますのが、中央環境審議会水環境・土壌農薬の合同部会バイオレメディエーション小委員会の報告資料を添付してございます。管理局の担当室長より御説明を申し上げます。

【須藤部会長】
 どうぞ、続けてやってください。

【徳永室長】
 環境管理技術室の徳永でございます。
 この「微生物によるバイオレメディエーション利用指針」につきましては、今、御紹介ありましたように、この水環境部会と土壌農薬部会の合同部会を立ち上げていただきまして、さらにその下に小委員会を設置して、これ昨年の3月でございますか、それ以来議論してきたところでございます。
 現在、環境省の方では地下水の微生物によるバイレメに関しまして指針を持っておりまして、また経済産業省の方にも、これは土壌も対象にしておりますが、類似の指針があるということで、政府で2本の指針があるのは事業者の方から見るとやりづらいという意見もございましたので、両方の指針の一本化を図ろうということで、審議の当初から産業構造審議会のもとにワーキングがございまして、当方の小委員会と産構審のワーキングと合同で4回の議論を行いました。
 その結果として、資料の1枚めくっていただいたところにプレス資料がございまして、3枚めくっていただいたところにタイトルがあるんですけれども、「微生物によるバイオレメディエーション利用指針について(報告)(案)」という報告(案)をまとめていただいたところでございます。
 この報告の内容につきまして、概略だけ御紹介しておきたいと思います。1ページ目にお戻りいただきたいと思いますが。指針の対象としましては、バイオレメディエーションといいますと大きくはバイオオーグメンテーション、これは微生物を栄養剤等と一緒に添加する場合がございます。それと、もう1つはバイオスティミュレーションといいまして、栄養物とか酸素等は添加するけれども、微生物自体は土着の微生物を利用するという大きく2つの手法がございますが、今回の指針ではそのうちバイオオーグメンテーションを基本的に対象としましょうということで整理しております。スティミュレーションにつきましては、栄養剤等の添加をやめた時点で最初の状態に復帰するだろうという想定のもとに、指針の対象とまでする必要はないだろうという意見をいただいております。
 次に、利用微生物でございますけれども、そこに書いてございますように、指針で確認の対象とする。この確認といいますのは、行政サービスとして事業者から求めがあったときには安全性の評価について国で確認しましょうという仕組みを指針の中に設けておりますが、そのときの確認の対象とする微生物としまして[1]と[2]のような形で2種類に整理しております。
 また、対象範囲といいますか、どんな物質を浄化するか、またどんな場所でやるかということで(3)のところにございますように、石油類あるいは分解が遅い化学物質、トリクロロエチレンなどのVOCの物質などを前提に議論しましょうと。また、場所としましては、土壌と地下水を主な対象として議論しましょうということで審議をいただいた経緯がございます。
 以上のような内容で指針を取りまとめていただきまして、昨年11月から12月にかけてパブコメを行いました。その結果、出てきた意見を現在集約して、一部報告書の修正等も必要かということで、委員の方にいろいろ意見照会を行っている最中でございます。そういう意味で、今回お示ししておりますこの案につきましては、若干のてにをはの修正は入るかなと思っておりますけれども、考え方の基本的なものは変わらないという理解で、今回御報告という形でここにお示しさせていただいております。
 あと、今後の予定でございますが、小委員会の委員の方にパブコメの意見を踏まえて意見照会を行いまして、最終的に小委員会の報告書として取りまとめたいと思っております。なお、小委員会の報告書は部会の部会長の同意を得た上で部会の報告とできるということになっておりますので、土壌農薬部会とこの水環境部会の部会長それぞれに報告書の最終版ができた時点で御意見をお伺いして、合同部会の報告としたいと思っております。
 なお、委員の皆様にはまとまったものにつきまして文書の形で最終的な報告という形でお送りしたいと思っております。
 なお、この指針につきましては報告書としてまとめた後に、経済産業省との共同告示という形で広く周知したいと思っておりまして、それについても現在ぼちぼち作業に取りかかったところでございます。
 私の方からは以上でございます。

【須藤部会長】
 どうも御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの資料14のバイオレメディエーションを含めまして、全部で10ぐらいありますね。5から始まって14までの資料でございますが、どうぞどこでも結構でございますし、あるいは省略をされた、先ほど企画課長おっしゃったんですが、そういう中でも結構でございます。ぜひこの場でお聞きしたいということがございましたら、御質問あるいは御意見をいただきたいと思います。どうぞ。
 では、大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】
 資料5について、また申し上げておきたいと思いますが。この三位一体の改革に伴う環境監視調査等の業務の件でございますが、これは地方分権推進との関係で非常に重要な問題が提起されているということはかねてから問題になっているところですけれども、今回、通知という形で適正な監視水準を確保するように要請されたというのは大変結構なことだと思っております。ただ、通知で本当にこれが確保されるかというのはやや問題があるかと思いますので、基準を達成するために調査をするというのは、いわば最初の前提の問題ということなので、ここが不十分になっていくと、今後日本全体で大きな禍根を残すことになるのではないかというふうに少し心配でございます。
 ナショナルミニマムを達成するということは今後ともぜひ環境省に頑張っていただきたいというふうに思っておりますので、再来年度の予算に向けてどういうふうに補助金の復活等をお考えになっているかとか、あるいはそれが無理であれば、今までよりも細かく調査の義務を都道府県について、義務かどうかわかりませんが、都道府県が調査をすることについて法律に規定を置くということをするか、何か抜本的なことを考えていかないと、地方分権推進という一般的な趨勢はいいとしても、それに伴って環境行政が全国的におかしくなっていくというのは大変心配がございますので、環境省としてどういうふうにお考えになっているかということを、応援する立場からお伺いしておきたいということでございます。

【須藤部会長】
 私もちょっとそれと合わせて、これは部会長という発言ではございませんですが、今の大塚先生と同じように非常に心配を実はしております。実は、24日、今週の月曜日ですが、全国の地方環境研究所の総会がございました。私は現在協議会の会長を務めております。その中でもこのモニタリングの業務がきちっとできるようにということを、66人の所長がいるんですが、その前でぜひお願いをいたしました。ということで、必ずしも不安がなくはないわけでございますので、その辺、ちょうど、今、大塚委員がおっしゃったので、一緒に含めてお答えをいただければと思います。

【谷課長】
 ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりでございまして、しっかりしたモニタリングは今後水環境の改善を住民、事業者、行政一体となって相互の信頼感の下に努力していく基盤であると考えております。地方分権の議論の中で、このことがおろそかになることがありませんように、私どもといたしましても、予算ということで何ができるのか、あるいはいろいろな制度その他何が一番ふさわしいのか、今、部内で鋭意検討を行っているところでございます。先生方からもどうぞ御意見をお寄せくださいますようにお願いを申し上げます。
 ありがとうございます。

【須藤部会長】
 どうぞ、藤井委員、お願いします。

【藤井委員】
 これを聞かせていただいて本当によかったなと思うんですが。琵琶湖でいいますと、本来はやはり地域がイニシアチブをとるべしと思っているんですが、実は財政難の中で10何カ所ある監視のポイントを1カ所にすると。これで年間2億浮くというのが非常に大きな記事になっています。これを見たら戻ってくる、戻ってくるというのはおかしいですね、地域にお金、財源がくるのに、なぜ1カ所にしてしまうか。これは一級河川含めてモニタリングのあるんですが、1カ所にするという。そことの矛盾を滋賀県に帰って正そうと、その材料ができてよかったなと、今、思っています。
 本当におっしゃるように、どこかがしっかりしないとこのモニタリングの機能、これが本当に大事ですから、これは国であろうと地域であろうとどこかがきっちりとやらなきゃいけないという意味において、滋賀県のその監視をしなきゃいけないなと、今、思いました。

【須藤部会長】
 課長あれですか、両先生からも応援演説をいただいているんですけれども、この平成17年度は、例えば水環境だけでよろしいんですけれども、水環境のモニタリングはどう変更されたかとか。例えば地点、項目、こういうことの調査というのはできませんか。いや、もちろん次年度に入って早々でよろしいんですけれども。水環境部からのお願いとして、今のように、私も……

【藤井委員】
 2億削減。

【須藤部会長】
 ですから、そういうことは、結局モニタリングがあって初めて水環境の現状がわかるわけですから、前と同じことをやればいいということでも必ずしもないんですけれども、合理化するのは必要なんだけれども、非常に極端ですよね、今のようなお話を伺うと。
 そういう調査を水環境部として、これは多少の予算は伴うんでしょうけれども、していただいた方がよろしいのではないでしょうか。
 どうぞ。

【浅野委員】
 それぞれの都道府県は来年度の水質保全計画が大体この2月ぐらいの審議会で決められます。ですから、その気になれば3月の終わりぐらいになれば、各都道府県がどういう計画を立てているのかというのはわかるはずです。
 それにしてもちょっとびっくりするのですけれども、26億の補助金があったのを1億の税源移譲で、それではないの。これどういう意味ですか。この数字がよくわからない。1億円というのは、これは補助金が1億。

【谷課長】
 すみません、資料5の裏側、すみません、私の説明が足りませんでした。26億の予算がございました。これのうち、1億円だけが残っております。残りの部分が廃止になりまして、それにつきましては税源移譲という。

【浅野委員】
 その移譲される税源が、ちゃんとこれに見合うだけの税源が移譲されているかどうかの問題ですね。

【谷課長】
 そこは地方財政計画にこの部分が組み込まれております。

【浅野委員】
 ですから、大体察しはつくのですけれども、これが丸々補てんされているという可能性はほとんどないだろうという気もするわけで、そこが問題だろうと思いますが。
 これに関連することですけれども、水質のモニタリング計画もやはり継続性というのがあるので、どうしてもあまり毎年毎年変えない方がいいということはよくわかるのですが、しかし、案外無駄なことをやっているという面があることは前から気が付いている。例えば健康項目なんかについても、毎年NDで出てこないところを毎年調べて、それに結構お金がかかっているなどということもあるわけですから、その辺はもっときっちり合理化し、何年かNDが続いたら、そこはもう計画的にローテーションで回せばいいといったようなことは当然指導されているのだろうと思いますけれども。
 県の審議会でそういうような話をしてもなかなかはかばかしくなくて、変えたがらないわけです。今までは補助金があるからやっていればいいといったところがあったのだけれども、なくなったときの知恵の出し方ですね。そこはやはりはっきりと方向を示してあげて、最低やらなきゃいけないことはこういうことですとか、あるいは在来型のBODとかCODのそんなに数減らされたら、全く継続的にデータとれなくなるから困りますとか、そういうようなことは当然おっしゃっているのでしょうね。

【須藤部会長】
 では、志々目室長。

【志々目室長】
 モニタリングの件でございますが、公共用水域と地下水についてまとめてお答えをさせていただきたいと思います。浅野委員の御指摘のように、一方では検出されないものをずっと測定するということについては無駄があるのではないかという観点も踏まえまして、公共用水域と地下水のモニタリングを効率化するための指針を平成11年に出しております。
 先ほど谷企画課長の方から申し上げました部内で検討中の今後のモニタリングの体制の整備の中でもこのような指針等も参考にしつつ、モニタリングの着実な実施と効率化を図ることの両面が確保できるように検討していきたいと考えております。

【須藤部会長】
 それで、先ほど浅野先生もおっしゃっていたんですけれども、16年から17年にかけてどう変わったぐらいのところはなるべく早めに、確かにおっしゃるとおり、各地方の審議会には測定計画出るんですよね。それで、私も幾つかの県に関与しているので、それはわかるんですけれども。全部で60幾つありますか、それはわからないので、政令もありますから。それは取り寄せるなり何かして、どう変わったかだけはわかるようにして、後で報告、報告というのは今度の部会でもいいんですけれども、報告をしていただいた方がよろしいかと思いますので。

【谷課長】
 測定計画、報告いただくことになっております。
 あと、それに加えまして、公共用水域等の取りまとめたものを測定結果、今回も資料でお出ししておりますが、そういうところで実際にどのように測定されたか、これもこの測定結果を取りまとめる過程で私どものところに報告がなされるわけでございますので、計画と、それから実施した結果の取りまとめ、来年度も取りまとめてまいりたいと考えております。

【須藤部会長】
 ありがとうございます。
 ほか、何か御質問ございますでしょうか。ほかにございますか。
 大体予定した時間にまいりました。大変最後になりまして水環境行政の推進の上では基本的な重要な問題を御指摘いただきました。水環境部組織も変わるわけではございますが、当然継続性のある問題でございますので、よろしく御配慮いただきまして推進をしていただきたいと思います。
 それでは、最後に事務局から御連絡がございますでしょうか。どうぞ、その他として何かございますでしょうか。

【甲村部長】
 どうもありがとうございました。まず、2点ほど申し上げたいと思いますが、1つは、今日御審議いただきました湖沼環境保全制度の在り方についてでございますけれども、答申に基づきまして、現在ございます湖沼水質改善特別措置法につきまして、これは昭和59年にできた法律でございまして、浅野委員からも御指摘があったように、かなりいろいろその当時の経緯があって抜けがある部分がございますので、今日いただいたこの答申をできるだけ活かして法律の改正を考えてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、先ほど、つい今しがた議論がありました、環境監視調査等の補助金でございます。補助金としては約25億あまりがなくなって、地方財政計画上、税源移譲される額がその8割ということになっています。これは全国知事会との交渉の中で地方自治体に任せてもらえば効率化できるという、量を減らすのではなくて、やり方を工夫して8割のお金で同じことができるというような御議論の中で、額としては地方財政計画上8割移譲されておりまして、かつ、地方自治体の基準財政需要額でしたか、そちらの方に満額算定されているということですが、それはあくまでも予算制度上のことでございまして、御指摘のように、実際それが的確に実施されるかどうか、当然各県の水質測定計画を集めて比較する必要がございますし、また、従来、先ほど志々目室長からも説明いたしましたけれども、我々も何件か昭和40年代の水質調査法から途中の先ほどの効率化マニュアルから地方分権推進法に基づいた事務処理基準とかいろいろ出しておるわけですが、なかなか孫引き孫引きでどれを見ても何をしたらいいかよくわからないというような面もございますので、その辺は統一的にこれを見れば最低限これだけはやらなければいけないというようなことをまとめたいというふうに内部で検討中でございますので、またよろしく御指導方お願いしたいと思います。
 今日はありがとうございました。

【須藤部会長】
 ありがとうございました。
 課長、そのほかは特によろしゅうございますか。では、もう閉会でよろしいですね。
 それでは、大変今日は湖沼を初めといたしましていろいろな角度で御熱心な御討論をいただきまして大変ありがとうございました。
 本日の議事はすべて終了いたしましたので、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 お疲れさまでございました。

午後3時26分 閉会