中央環境審議会水環境部会(第6回)議事録
平成14年11月29日開催
環境省環境管理局水環境部企画課
日時
平成14年11月29日(金)13:00~14:40
場所
経済産業省別館1014号室
議事
1.開会 | ||
2.環境省水環境部長あいさつ | ||
3.議事録の確認 | ||
4.議題 | ||
(1) | 水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について | |
(2) | 専門委員会の設置について | |
(3) | 報告事項 | |
・ | 第3回世界水フォーラム及び閣僚級国際会議について | |
・ | 有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律の概要 | |
・ | 水産動植物に対する毒性に係る登録保留基準の改定について | |
・ | 中央環境審議会環境保健部会化学物質審査規制制度小委員会の審議状況 | |
・ | 農薬取締法の一部改正について | |
(4) | その他 | |
5.閉会 |
配付資料
資料1 | 中央環境審議会水環境部会委員名簿(平成14年11月29日現在) | |
資料2 | 中央環境審議会水環境部会(第5回)議事要旨 | |
資料3 | 中央環境審議会水環境部会(第5回)会議録(案) | |
資料4 | 水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(諮問書及び付議(写)) | |
資料5 | 水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について | |
資料6 | 中央環境審議会水環境部会の専門委員会の設置について(案) | |
資料7 | 中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会の構成(案) | |
資料8 | 第3回世界水フォーラム及び閣僚級国際会議について | |
資料9 | 有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律の概要 | |
資料10 | 水生動植物に対する毒性に係る登録保留基準の改定について | |
資料11 | 中央環境審議会環境保健部会化学物質審査規制制度小委員会の審議状況 | |
資料12 | 農薬取締法の一部を改正する法律案について |
(参考資料) | ||
参考資料 1 | 中央環境審議会議事運営規則 | |
参考資料 2 | 中央環境審議会の運営方針について | |
参考資料 3 | 中央環境審議会水環境部会及び専門委員会の運営方針について |
議事録
午後 1時03分開会
【盛山課長】 それでは、定刻となっておりますので、ただいまから第6回中央環境審議会水環境部会を開会いたしたいと思います。
本日は、委員総数37名中22名の先生方のご出席を予定されており、ちょっと今、松尾先生が遅れられているようでございますが、ただいまのところ、もう21名の委員の方々のご出席ということでございますので、部会開催の定足数を満たしております。
それから、本日の会議は、通例によりまして、中央環境審議会の運営方針について、に基づいて公開することとなっております。
続きまして、議事に先立ちまして、当水環境部の石原水環境部長よりごあいさつを申し上げます。
【石原水環境部長】 第6回水環境部会の開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、お忙しい中お集まりいただきまして大変ありがとうございます。
本日の部会では、水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について、専門委員会を設置していただきたいと考えております。水生生物の保全に係ります水質環境基準の設定につきましては、今月12日付で大臣から中央環境審議会会長に諮問をいたしております。
その他、本日は水環境行政の動向につきまして、若干ご報告をさせていただきたいと考えております。
ご審議のほどよろしくお願いいたします。
【盛山課長】 それでは、議事に入ります前に、お手元の配付資料についてご確認いただきたいと思います。
議事次第をめくっていただきますと、配付資料一覧としまして資料1から12まで、及び参考資料の1から3までございます。大部各種ございますので、ご確認の上、チェックをしているつもりでございますが、不足がございましたら、我々事務方の方までお申し出ください。
それでは、会議の進行をこれから村岡部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 それではまず、第5回水環境部会の議事録の確認から始めます。
議事録につきましては資料3として準備していただいておりますが、この資料は、委員の先生方にご確認をいただいた後、事務局で修正いたしまして、再度、委員の先生方に送付されている資料でございます。「中央環境審議会の水環境部会及び専門委員会の運営方針について」2(1)に基づきましてご了承いただいたものとして、この場で前回議事録として確認いただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
【村岡部会長】 ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、これを公表するお手続をお進めいただきますように。
それでは、議事次第に従いまして議事を進めていきます。
議題の1についてですが、11月12日付で環境大臣から、水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について諮問があり、同日付で当部会に付議されておりますので、これについてお諮りいたします。
まず、事務局から諮問内容等についてご説明いただきたいと思います。
【瀬川補佐】 それでは、資料4、資料5に基づきまして、諮問の内容について説明をさせていただきます。
資料4に基づきましてまず説明させていただきます。
資料4は、環境大臣から中央環境審議会会長への諮問文でございます。
環境基本法の規定に基づき、水生生物の保全の観点から、環境基本法16条の水質の汚濁に係る環境基準を設定することについて、貴審議会の意見を求めるとしております。
諮問理由ですが、水生生物保全の観点からの環境基準などの水質目標については、平成5年1月の「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の項目追加等について(答申)」におきまして、化学物質による水生生物への影響の防止といった新たな観点からの環境基準の設定の考え方は我が国においても早急に検討していく必要があるとされ、また、環境基本計画におきましても、水生生物への影響にも留意した環境基準の検討などの取り組みを推進すること、その必要性が指摘されております。
他方、欧米諸国では、70年代から水生生物保全の観点からの環境基準、水質目標が設定されてきておりますけれども、我が国では、水生生物保全の観点を中心に据えた化学物質の汚染に係る水質目標は設定されてきておりません。
また、化学物質の水生生物に対する影響につきましては、我が国の自然河川や湖沼水を用いた生物影響検討、あるいはフィールド調査などにおきまして、化学物質濃度が高い場合には水生生物に影響があらわれているということを明示しているものが見られております。
このため、環境省におきましては、水生生物の保全に係る水質目標の考え方を整理するとともに、環境中濃度が高く、水生生物に影響を及ぼすレベルについて十分な知見が得られたものを対象といたしまして、水質目標値の検討・導出を行ったところでございます。その結果につきましては、平成14年8月に報告書として公表しております。
今回の諮問は、この検討結果を踏まえ、水生生物の保全の観点から、環境基本法第16条第1項の規定による水質の汚濁に係る環境基準を設定することについて、審議会の意見を求めるものでございます。
裏のページは、中央環境審議会から水環境部会への付議の通知書でございます。
資料5に基づきまして追加の説明をさせていただきます。
資料5には経緯及び概要、それから諮問内容のほかに、前回、検討会の報告を部会でご紹介した際にご質問が出た点、生物の範囲について取りまとめるとともに、水生生物保全の環境基準設定までの一連の流れをフローでお示ししております。
資料5、経緯及び概要につきましては、先ほどの諮問の理由とダブるものがありますので、割愛をさせていただきます。
ただ1点、平成14年8月に公表いたしました報告書におきましては、亜鉛、フェノールなどを対象として具体的な水質目標値の検討・導出を行った結果を、須藤先生に座長をしていただいて、お取りまとめいただいたということを追加させていただきます。
諮問内容でございますが、諮問事項は環境基準の設定について、です。
具体的な内容につきましては、第1番には水質環境基準の考え方。それから2番目には、環境基準等への位置づけ、測定法、評価など、そういう点もあわせてご検討いただきたいとなっております。
次のページが水生生物の保全に係る水質目標の目標値の設定に用いた生物の範囲でございます。
保全の対象と、それから水質目標値の設定に実際に用いました生物の範囲というのをきちんと整理するようにというご指摘を前回いただいたと思いましたので、ここでは水質目標値の設定に用いた生物の範囲ということでまとめております。
この水質目標値の設定に用いました生物の範囲として、条件を2つ挙げております。条件1は選定基準でございますが、条件2の方は、付随的に発生します、数値目標をどのようにに設定するかといった観点でございます。
生物の選定基準としては、淡水域では漁獲量の多い魚介類。我が国全体で漁獲量が上位20位以内に含まれる魚介類を選んでおります。
あと、河川への放流が多い魚介類。これは、旧建設省さんでおまとめになられました「河川水辺の国勢調査」において集計し、これも上位20位以内に該当する魚類及びその他の生物を選んでおります。
それから、内水面につきましては、養殖対象種についても漁獲統計資料上、計上されているすべての魚介類を取り上げております。
海域につきましても同様の考え方でございますが、放流の多い魚介類について、魚類、甲殻類、貝類、その他、我が国で放流されている個体数が上位5位以内に含まれる魚介類を選んでおります。
条件2でございますが、具体的な数値目標の設定に当たって勘案したことでございます。
第1番目には、信頼性の高いデータが得られていることと。つまり、個別の毒性評価結果の信頼性をもとに専門家の方々に判断をしていただき、信頼性の高いものだけを選んでいるということです。
この際の1つのメルクマールとして、試験が適切に行われているかどうか。つまり、公的なテストガイドラインが設定されているということを1つのメルクマールにしています。
こういった考え方をしますと、対象生物の範囲を非常にざっくりと絵にしてみますと、まず我が国に生息している水生生物の中で魚類、餌生物に分けるとすると、魚類、甲殻類、貝類等ございますけれども、その真ん中に漁獲対象生物があり、そのさらに真ん中に、今回、水質目標値設定に用いた主要魚介類がございます。さらにいえば、その中にテストガイドラインを設定されている生物というものをその生物範囲として選んでいます。テストガイドライン設定生物が我が国に生息している水生生物よりも外れておりますのは、例えばファットヘッドミノーですとかブルーギルといったいった生物、あるいはナミチョウといった生物については、テストガイドラインあるいはそれに準じるような公的なテストガイドラインがあるものでございます。
この結果、範囲外になるものは知見が足りないものでございます。前回の部会の際に、「生態系」という言葉で系としての関連性といったことを取り上げましたけれども、化学物質の生物間の濃縮などを考慮した系としての関連性を数値であらわすというもの、なかなか知見がございません。つまり、化学物質に着目いたしますと、システムダイナミックス的にある生物から他の生物に移行するという図が書けても、環境基準の値といった数値を設定するという観点からは知見がなかなか十分ではないなという感じはしております。
また、テストガイドラインが設定されていないものというのは、なかなか信頼性の高いデータと言うには難しいなと。例えば両生類でございますけれども。これらにつきましては、今後、科学的な知見が充実した時点で勘案することにしたいと思っております。
また、魚類であれば漁獲対象とはならないものも、今回の水質目標の設定の際には生物として用いておりません。具体的なものはメダカでございます。
メダカにつきましては、我が国では知見結果が多うございますけれども、諸外国では余りデータがございませんで、今回、水質目標の設定の類型分けをしておりますが、その類型がいずれに該当すると考えるのは妥当かといった解析をしても、比較がなかなかとれないような状況でございました。このため、今後試験結果がふえれば、淡水域での類型の代表種、例えばコイ、フナ、あるいはニジマスといったものとの感受性の比較ができるようになると思われますので、その時点で毒性試験結果を勘案するということにさせていただきたいと思っております。
3枚目の水生生物環境基準までの流れでございます。
優先検討物質のリストアップをまず平成12年12月の段階で行っております。ここから水質目標値を導出するための既存毒性評価結果を評価いたしました。ここで信頼できる毒性評価結果があれば水質目標値を導出するということで、その下に点線が示してありますけれども、検討会の報告書につきましては、ここの段階まで進んだものでございます。
専門部会におきましては、点線の上の部分の検証ももちろんお願いしたいと思っておりますが、主にその下の部分、環境中の検出状況を評価し、水環境中濃度が目標値を超過しているか、あるいはその蓋然性が高いかなどをご議論いただきたいと思っております。
蓋然性が高い、あるいは超過している場合には、やはり環境基準などの設定をし、モニタリングを含め、環境管理を行うという方向に進んでいきたいと思っております。
逆に、目標値を超過していない、あるいはその蓋然性が高くない場合、環境基準などには位置づけない。水質目標値は、検出値の判定基準として活用するということにしたいと思っております。
その蓋然性が高いかどうかのメルクマールについては、もちろん専門委員会の先生方にご議論いただくところでございますけれども、ちなみに、別途、専門委員会でご議論いただいております健康項目の場合には、検出状況や、あるいは基準値の10%程度の濃度がどの程度見られるのかといったメルクマールをお示ししております。
簡単でありますけれども、資料4及び資料5につきましては以上でございます。
【村岡部会長】 ありがとうございました。
それでは、諮問の内容について説明いただきましたただいまのことにつきまして、何かご意見とか質問とかございますでしょうか。
【浅野委員】 ただいまのご説明で大変よく理解できたつもりでおりますが、1点確認をしておきたいと思います。
この環境基準の設定ですが、水生生物の保全に係る環境基準を設定するということになりますと、環境基本法の考え方でいえば、生活環境に係る項目に属することになるわけですね。
そして、生活環境に係るというときに、その中に人の生活に密接に関係のある動植物及びその生育環境を含むということになっているので、それが当然ここに引っかかってくるということになるわけです。それは位置づけとしては極めて明瞭なわけです。今回の指標の生物は、単にデータを適切に獲得できるかどうかということからこのような縛りが現段階ではかかっているというご説明であったと理解をしたいのですが、それでよろしいですね。
つまり、範囲外になるものについても、将来のことについてはまた別である。つまり、漁獲量が多いといったことが人の生活に密接な関係があることの要件であるといった解釈が一人歩きをしては困るわけです。人の生活に密接な関係があるというのはもっと広い概念であっていいわけですから、少なくともサンプルと結びつかない限りだめであるということはあり得ないということははっきりしていると思いますので、今日のご説明は、それを意識してこういうコメントがついているという理解をしておきたい。これを確認のために議事録に残しておきたい、という趣旨の発言です。
【村岡部会長】 ありがとうございます。
事務局の方のどういうふうにお考えでしょうか。
【瀬川補佐】 生活環境項目であるということは、健康項目ではないという意味においてはそのとおりだと思います。指標生物とおっしゃいましたが、毒性評価の結果、水質目標値を出した範囲と、その生活環境項目の範囲の違いなどにつきましても、専門委員会でご議論いただき、必要であれば答申に残していきたいと思っております。
【村岡部会長】 ほかに関連したご意見等ございますか。
【中西委員】 もしかしたら議論の流れをうまくつかんでいないので、自分がこの委員会の部会の委員だということもちょっと数日前まで認識していなかったものですから、申しわけないんですが、ちょっと流れをよくつかんでないかもしれませんが、自分なりの意見を述べさせていただきます。
今、水域ごとにある目標の生物があって、それを保全するために水質環境基準を設定するということは賛成です。その目標になっている生物が、必ずしも水産生物だけじゃなくて、何らかの意味でその水域にとって重要であるというふうにみんなが考えられるような生物も含まれるべきであるということは、今、浅野委員が言われたとおりで、私もその点について賛成で、今後そういうものについて積極的に、どういう生物がその水域にとって重要であるかということをみんなで議論しながらつけ加えていくということをぜひしていただきたいと思っております。
ただし、じゃあ今度、その生物を守るためにどういう水質基準をつくるべきかということで考えますと、その生物の…、私の専門的な言葉でいえばポピュレーションレベルというんですが、個体群を生息させるということが目標であって、そういうような目標値を積極的に設定していくんだというところの立場をぜひはっきりさせていただきたいというふうに思っています。少なくとも個体のレベルではなくて、個体群、インディビジュアルなレベルではなくて、ポピュレーションレベルでの保護というところを目標にしていった方がいいというふうに思います。
そのときに、個体群を守るためには餌の生物も必要だということで、餌のところでも、例えばミジンコとか、あるいはある場合には藻類とか、そういうところで個体レベルの毒性の値を用いて個体レベルの保存ということを考えますと、非常に厳しい値になるということがあると思う。私は、本質的にそこまで守ることが本当に必要か、これの個体群を守るために必要かというところの議論が必要だというふうに考えています。
なぜそのように考えるかといいますと、生物を守るという立場からすれば、もちろん厳しい基準を設定すれば設定するほどいいということになるわけですが、私たちが環境全体ということを考えますと、生物に影響を与えるのは化学物質だけではなくて、ダムの建設もあれば、様々な開発行為とか様々なものがあるわけですね。ある場合には、そういう開発行為を防ぐために化学物質を使うということもあるわけですから、バランスをとれて、個体群の保護というところをやっぱり目標にとって、化学物質も、あるいはダムの建設も、あらゆるいろいろな開発も、同様のようなレベルで規制をしていくということが環境を守り、資源を有効に使うというところで重要なので、個体群の保護というところを目標にしないで、次々とこれも関係あるかもしれない、あれも関係あるかもしれないという形で個体レベルの規制が厳しくなっていくということは、私はかえって環境を守ることはできないんではないかという考え方を持っておりますので、ぜひそういうことを考えていただきたいと思っています。
【村岡部会長】 ありがとうございます。
ただいまこの諮問の内容につきましてお2人の委員から確認と、特に中西委員からはこういうことを討議すべきであるというご意見が出ましたけれども、まさにこれはこれから開いていく専門委員会の中でそういったことを討議するということになろうかと。それも含めまして。というふうに考えたいと思いますが、事務局の方で何かございますか。
【瀬川補佐】 1件だけ、技術的なこととしてつけ加えさせていただきます。
私どもは、中西先生おっしゃるとおり、ポピュレーションレベルでの保全を目的としております。
その具体的な手法といたしましては、やはり試験結果を勘案するという点でございますが、試験の確からしさというものを専門家の先生方にご議論いただき、非常に低いレベルで影響が見られたようなケースについては、特にその信頼性についてチェックをしていただいております。
また、人健康の場合ですと、LOAELあるいはNOAELにしかるべきセーフティファクターをかけているという形になりますが、こちらの魚類に関しましては、やはりポピュレーションレベルを保全するためということで、セーフティファクターの考え方を人よりは緩やかなものにしております。
また、先ほど「試験の確からしさ」ということを申し上げましたが、特に餌の生物につきまして、我が国に生息しております 170属のうち餌生物というのが122属ございまして、その取扱いでございますけれども、同じ種類に関する試験結果については幾何平均をとるなどいたしまして、余りに突出したような試験結果で1つの環境基準値を決めるというような方向には検討を進めておりません。
村岡先生おっしゃっていただいたように、これについては専門委員会でまた議論をしていただくことになると思いますが、8月に公表いたしました検討会の段階で、中西先生おっしゃられたポピュレーションレベルというのは、私どもとしても勘案しているところでございます。
【村岡部会長】 まだございますか。
【松尾委員】 これでいいと思うんですけれども、漁獲量の多いというのは、漁業権が設定されてないような水域でも、魚がいればこの新しい環境基準をかけようということになるんですね? そういう考え方ですね?
今の生活環境項目でも、漁業権が設定されるところについては、一応類型を設定することができるようになっていますね。ですから、それを超えて……。そちらの方が逆に問題があるのは、漁業権がもう消滅しちゃっていて、だけれども、魚が場合によっては戻ってきているところがある。そういうようなところに魚の保全を考えるような環境基準を新たに設定するのか。そういう問題としてこれは考えていいのかどうか、ちょっとそこを確かめたいと思うんですが。
【村岡部会長】 それでは事務局、お答え願います。
【瀬川補佐】 生活環境項目で環境基準を立てますと、必ず類型当てはめが必要になってまいります。その類型当てはめの際に勘案すべき事項は、別途、専門委員会でご議論いただきたいと思っております。
松尾先生ご指摘のように、漁業権の設定の部分に関しましても1つのメルクマールにしたいと思っておりますし、また、そこに実際にお魚がいるかどうかといった調査結果も勘案されることになると思います。
【嶌田委員】 中西委員が言われたこと基本的に賛成なんですが、これから専門委員会で検討されるときに一番気になることは、生物の選定基準として海域では漁獲量のうち上位20位以内に含まれる魚類とありますが、これはまさしく商業用漁業の対象物になるもので、これらの魚種は、海域間を移動するのが相当あるわけです。1つの海域で水質目標を設定しても、他の海域に移動した場合にどうかという問題があります。例えばイカなんかは日本の海洋を大回遊しています。今、松尾委員の言われたように、漁業権とかいうことよりも魚種によって考え方が変わってくるものではないかと思います。
また、これはこれからの専門委員会の検討だろうと思いますけれども、かなり商業漁業との関係も勘案していく必要があると思います。メダカとか何かそういう話ですと、そういう問題も起きないのですが、上位20位以内となりますと、ちょっとその辺の問題がこれからの専門委員会で検討するときに気をつける必要があると思います。
【村岡部会長】 ありがとうございました。
このようにいろいろなご意見いただきましたので、この諮問の内容をよりよくご理解いただけたのではないかと思います。いただきました意見は、後でご議論いただきますが、多分、専門委員会の方に引き継いで、こういった課題をご検討していただくことになろうかと思います。
それでは、事務局から説明がありましたこの諮問につきまして、今後、この部会で審議をすることといたします。
それで、これに関連することで議題の2に移りますが、専門委員会の設置についてでございます。
中央環境審議会の議事運営規則の第9条第1項によりまして、「部会は、必要に応じ、その定めるところにより、専門の事項を調査するため、専門委員会を置くことができる」と規定されております。それで、事務局から、まずこの専門委員会の設置についてご説明いただきたいと思います。
【瀬川補佐】 それでは、資料6に基づきまして説明をさせていただきます。
中央環境審議会水環境部会の専門委員会の設置について(案)としております。
中央環境審議会水環境部会には、現在、4つの専門委員会がございます。陸域環境基準、海域環境基準、ダイオキシン類環境基準、環境基準健康項目、その一番最後のところに水生生物保全の環境基準の専門委員会を立てるという案でございます。
「水生生物保全環境基準専門委員会においては、水質の汚濁に係る水生生物の保全に関する環境基準の設定及び改定に関する専門的事項を調査する」というこの1文をつけさせていただくという案でございます。
裏のページにまいりまして、それでは、実際どのようなスケジュールでということでございますが、ここにお示しいたしましたのは、事務局側の今考えております案でございます。
本日でございますが、11月29日金曜日の第6回水環境部会で専門委員会の設置をお認めいただけますれば、第1回を12月12日に開催したいと思っております。
第1回では、先ほど浅野先生からのご指摘ございましたけれども、制度的な枠組み、あるいは対象物質の選定の考え方、基準値設定手法などをご議論いただきたいと思っております。中西先生からのご指摘に関しましても、恐らく基準値の設定手法のところでご議論いただけるものと思っております。
第2回につきましては、年が明けて1月30日を予定しております。第2回では、評価あるいはモニタリングでございます。また、嶌田委員にご指摘いただきました類型当てはめの考え方につきましても、その考え方の部分のみご議論いただこうかと思っております。
第3回専門委員会では、各物質の検出状況、測定法、あるいは将来の課題といったものをご議論いただきたいと思っております。この時点で、2月21日以降の時点で一度、水環境部会、本部会でございますけれども、検討状況をご報告させていただき、報告案の骨子あるいは将来課題などにつきまして、大所高所からのご意見をいただければと思っております。
翻って、専門委員会でございますけれども、4月頃に第4回を開催し、報告案を取りまとめ、再度、本部会にお諮りするのは5月から6月頃かとなっております。
6月から7月頃にかけまして、その答申をもとに告示を環境省の方で全国的にさせていただき、環境基準自体は平成16年4月1日に施行すると。こういったスケジュールで考えております。
簡単でございますけれども、資料6につきましては以上でございます。
【村岡部会長】 ありがとうございます。
この件に関しましては、内容が、ご理解いただけますように、極めて専門的でございますので、ただいまご説明いただきましたようなことで水生生物保全環境基準専門委員会を設置して、そこで討議をするということにしたいと思いますが、専門委員会の設置ということでいかがでしょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
【村岡部会長】 ありがとうございます。
それでは、議事運営規則の第9条第1項の規定に基づきまして、この専門委員会の設置に関し、「中央環境審議会水環境部会の専門委員会の設置について」は、先ほどの資料6のアンダーラインの引っ張ってあるところが改正になりますが、この改正案のとおりに決定させていただきまして、今回の諮問につきましては、水生生物保全環境基準専門委員会を設置することとさせていただきます。
それで、この専門委員会の構成でございますが、先ほど決定いたしました「専門委員会の設置について」の資料6の7にございますように、「専門委員会に属すべき委員、臨時委員又は専門委員は部会長が指名する」ということになっております。そこで、資料7を見ていただきますが、このような構成案で指名をしたいと思います。
本部会の委員及び臨時委員の中から、各分野の学識経験者の委員にご参加いただきたいと思っております。また、その他の学識経験者といたしまして、小倉委員、小山委員、篠原委員、高橋委員、中舘委員、宮崎委員につきましては、専門委員として新たにご参画いただくということを予定しております。
それで、議事運営規則の第9条第2項では、「専門委員会に委員長を置き、部会長の指名によりこれを定める」ということになっておりますので、委員長につきましては、今回の諮問につなげる検討を行ってこられました水生生物保全水質検討会の座長も務めていただきました須藤委員にお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
【村岡部会長】 ありがとうございます。
それでは、座長を務めていただきます須藤委員、並びに今回指名させていただきました委員及び臨時委員の方々におかれしまては、大変ご苦労でございますけれども、今後、この専門委員会で十分ご審議いただきますようにお願いいたします。
以上でこの専門委員会の設置に関する審議は終わりまして、次に移ります。
議題の3ですけれども、今回、幾つかの報告事項を準備していただいております。これにつきましてまず事務局から、5つございますけれども、一応ずっと説明いただきまして、後でまとめて質問あるいはご意見をいただきたいと考えております。
それでは事務局、順次お願いいたします。
【仁井課長】 私の方から、来年3月に行われます世界水フォーラム、それからこれに伴って行われます閣僚級の国際会合についてご紹介申し上げます。
資料の8でございます。おめくりいただきますと、世界水フォーラムの構成が書いてございます。
まず、世界水フォーラムでございますが、これは水問題、水環境の問題だけではなしに、資源としての水といった要素がかなり強いところではございますが、これの解決に向けていろいろなセクターの人間が世界的に集まって議論しようじゃないかということで、1997年にモロッコのマラケシュでスタートしたものでございます。2000年にはオランダのハーグで第2回の世界水フォーラムが行われ、このときから政府ベースで開催する閣僚級の国際会合も同時に行われるということになり、世界的に多くの人を集めてきているというもので、来年3月に京都、大阪、滋賀で行われる世界水フォーラム、3回目ということになります。
この世界水フォーラム、下の枠にありますように、大きく2つに分かれます。いわゆるフォーラムあるいはフェアと言われるものと、それから下の方にございます閣僚級の国際会合でございますが、上2つに関しましては、右の方にございますように、世界的なNGOであります世界水会議、ワールドウォーターカウンセルと言っていますが、これとホスト国であります日本での世界水フォーラム運営委員会、これは橋本龍太郎元総理が会長をされている委員会でございまして、NPO法人であります第3回世界水フォーラム事務局が事務局をしているものでございますが、これがジョイントして主催をするというものでございまして、政府側は、これの開催に関して支援する、協力する、参加するといった立場でございます。
これは3月16日から23日間、日曜から日曜までという1週間プラス1日という工程で、メインの会場を京都とし、滋賀会場、大阪会場で行われるものでございます。ここは多数の分科会といいますか、それぞれの参加者が開催するセッションなどの集合体ということで構成されております。
一方で、政府ベースで開催いたしますものが閣僚級の国際会議でございまして、これはフォーラムの後半といいますか、最終日の3月22日、23日というのが閣僚レベルの本会合でございまして、その少し前に、高官級の会合を準備会合として開催する。これは京都の会場で行うということになっておりまして、メインの議長は国土交通大臣が務めるということになっております。
今申し上げたところが右の方のページで若干詳しく書いてございますが、NGOベースが主催をいたしますフォーラム、これは多数の分科会の集合でございますが、そこの中で私どもも主催者として幾つか参加いたします。
下の方にございますが、私どもと水環境学会、国際連合大学、地球環境戦略研究機関とでジョイントいたしまして、水質のモニタリングについてのセッションを開催いたしますし、また、環境省と全国浄化槽団体連合会、それから日本環境整備教育センターのジョイントで、浄化槽に関してのセッションを開催することになっております。
私どもの水環境セッションの方は3月21日に予定されておりますし、それから浄化槽セッションの方はたしか3月16日だったかと思います。こういった催し、世界的な催しでございますので、先生方もぜひご参画いただければありがたいですし、その場合でありますれば、私どものセッションにもご出席いただければ幸いでございます。
おめくりいただきまして、今度は閣僚級国際会議についてでございますが、先ほども申し上げましたように、フォーラムの最終段階の22日、23日、土曜日、日曜日に閣僚級レベルの本会合がございます。これは全体会合と、現段階では5つ程度の分科会を組み合わせてということで考えております。
この閣僚級の国際会議では、最終的なアウトプットとしては、会議として合意を諮り採択する閣僚宣言を1つのアウトプットとして出すというものと、閣僚宣言は合意をベースとするものでございますので、具体的な行動までなかなか踏み込みがたいところもありますが、一方では、単にビジョンを語るのではなく、具体的なアクションを語っていかなければいけないという要請もありますので、討議の結果をまとめるということではなしに、それぞれの国のいわばボランタリーな具体的なアクションを一覧表にするといいますか、取りまとめる。仮称ではございますが、「ブループリント・フォー・アクション」といったもの、この2つを閣僚級国際会議のアウトプットにしたいということで、今、所要の準備をしているところでございます。
準備状況については、下の方にこれまでの状況、あるいは今後の若干のミーティングの状況を書いております。
私の方からは、水フォーラムに関するご報告として以上でございます。
【坂川室長】 それでは、資料9についてご説明をいたします。
私、閉鎖性海域対策室長の坂川と申し上げます。よろしくお願いをいたします。
資料の9は、有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律の概要でございます。最初の1ページとその裏の2ページ目が法律の概要でございまして、その後に法律の条文を添付しております。
有明海におきましては、平成12年度にノリの不作という問題が発生をいたしました。それ以外にも、長期的に二枚貝など、そういった底生生物が減少してきているというようなことも言われております。また、赤潮の発生が増加をしてきている、こういう問題もあります。さらに八代海におきましても、赤潮による漁業被害というものが生じているわけでございます。
これらの問題に対応するために、このような法律が議員立法で与党の方から国会に提出をされまして、今国会、臨時国会で審議がなされました。そして先週金曜日、ちょうど1週間前でございますが、参議院で可決・成立したものでございます。
それでは、法律の概要でございますけれども、まず最初、1番、目的であります。
この法律の目的は、有明海及び八代海の再生に関する基本方針を定めるとともに、当該海域の環境の保全及び改善、並びに水産資源の回復等による漁業の振興に関し、実施すべき施策に関する計画を策定し、その実施を促進する等特別の措置を講ずることにより、国民的資産である有明海及び八代海を豊かな海として再生することを目的とする。このような内容でございます。
そして概要でありますが、まず最初に、指定地域の指定ということがあります。
主務大臣が、関係県の申請に基づき、関係行政機関の長に協議して地域を指定するということになっておりまして、ここで主務大臣は、環境大臣を含めて、そこの括弧の中にありますような6大臣ということになっております。また、関係県は、これら2つの海域に面する福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、それから有明海の流域を含みますところの大分県、合計で6県ということになっております。
そして(2)でありますが、主務大臣が基本方針を定め、そして(3)にありますように、関係県が基本方針に基づいて計画を定めると。このような仕組みになっております。
そして(4)にありますように、主務大臣、関係行政機関の長及び関係県の知事は、それぞれの県計画の調和を図りつつ、その実施を促進するために必要な協議を行うため、促進協議会を組織することができるということでございます。
そして(5)でありますが、国の補助の割合の特例も定められておりまして、漁港漁場整備事業のうち、政令で定めるものについて補助の割合の特例を定める。
裏の方にまいりまして、(6)でありますが、地方公共団体が県計画を達成するために行う事業に関しまして、地方債について特別の配慮をすると。また、国は、必要な資金の確保に努めるとされております。
(7)でありますが、国及び関係県は、有明海及び八代海の環境の保全及び改善、並びに水産資源の回復等による漁業の振興を図るため、各種の調査を実施し、その結果を公表するということでございます。また、国及び関係県は、総合的な調査研究の体制の整備、海域に流入する水の汚濁負荷量の総量の削減に資する措置等を講ずるものとされております。
次に(8)でありますけれども、環境省に有明海・八代海総合調査評価委員会を置くとされております。この評価委員会が行いますことは、附則に基づいて行う法律の見直しに関し、国及び関係県が行う調査の結果に基づいて、有明海及び八代海の再生に係る評価を行うというものでございます。
ここで法律の見直しという部分がございますが、これはそのページの一番下にあります3番の(2)のところでありますが、この法律の施行の日から5年以内に、法律の施行状況、調査の結果を踏まえ、必要な見直しを行う。このようなことが附則に書かれております。これを意味するものでございます。
このような法律の見直しに関しまして、(7)のところに書かれてある国及び関係県が行う調査、その結果に基づいて再生に係る評価を行う、このようなものでございます。
(9)でありますが、そのほか、下水道・浄化槽等の整備、河川の流況の調整、森林の保全及び整備など、ここに書かれてありますような様々な努力規定、また配慮規定が設けられているところでございます。
3番の施行期日でございますけれども、本日、この法律が公布されております。そして、公布の日から施行するとなっておりますので、本日から施行されていると。そういう状況にあるわけでございます。
このような法律でございまして、環境省といたしましては、主務大臣の1人といたしまして指定地域を指定したり、基本方針を策定すること。また、促進協議会のメンバーになること。このような役割がございます。それ以外に、国及び関係県の1つとして調査研究を実施していく。また、調査研究の体制の整備、汚濁負荷量の総量の削減に資する措置等を講ずるというような役割もございます。また、(8)にありますような評価委員会を設置するということもございます。
そのような環境省の役割がいろいろございますので、この法律が適正に施行されるように、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
【早川室長】 続きまして、資料10でございます。
水産動植物に対する毒性に係る登録保留基準の改定についてでございます。
農薬環境管理室長の早川でございます。よろしくお願いいたします。
表紙を開いていただきまして、背景についてご説明します。
新しい基本計画では、持続可能社会の構築のために、社会経済活動は生態系の構造と機能を維持できるような範囲で、その価値を将来にわたって減ずることのないように行われる必要があるということで、農薬を含めた様々な化学物質による生態系に対する影響の適切な評価と管理を視野に入れて化学物質対策を推進する必要があるということでございまして、今日ご出席いただいています須藤先生には、当環境省水環境部に設置しました農薬生態影響評価検討会の座長をお願いしまして、平成14年--今年ですけれども--5月に、我が国における農薬生態影響評価の在り方について第2次中間報告を取りまとめていただきました。
実は、これに先立ちまして、平成11年1月に農薬の生態影響評価の基本的な考え方、これも須藤座長の検討会でまとめていただきました。第2次中間報告は、それを農薬取締法の登録保留基準という制度の中にどのように具体化していくかということをお取りまとめいただきました。
それをベースに、先般、11月11日に農薬専門委員会を開催いたしまして、登録保留基準の改定ということの報告をおまとめいただいたところでございます。
簡単にご説明いたしますと、現行の農薬取締法におけるいわゆる水産動植物に対するリスク管理措置でございますけれども、まず上市前ということで、登録段階に登録保留基準というのがございます。これは1ページの2番の(1)でございますけれども、申請された使用方法に従って使用された場合に、水産動植物に対して著しい被害が生ずるおそれがあるときは登録を保留する。
その基準というのは、次のページにございますけれども、コイに対する48時間の半数致死濃度、いわゆるLC50が0.1ppm以下というような基準になっているところでございます。
それ以外にもいろいろなデータをとりまして、ラベルへの表示とか、そういったことで登録時にリスク管理をしているところでございます。
登録後、いわゆる使用段階でのリスク管理も農薬取締法では規定しておりまして、例えば、農薬を使用する者が遵守することが望ましいいわゆる農薬安全使用基準を定めたり、それでもなかなか対応がとれない場合は、政令で水質汚濁性農薬というものに指定しまして、ある地域を限ってゾーニングして、いわゆる面源規制でございますけれども、その地域においては、都道府県知事の事前許可を得るというような制度も用意されているところでございます。
こういった制度になっておるんですけれども、いろいろな意味で現状の知見にかんがみると問題があるということです。この登録保留基準が実は昭和38年にできたままでありまして、例えば問題点としましては、2ページ目の一番下の[1]に書いてございますけれども、比較的感受性の低いコイの魚毒性に注目したものであると。その他の生物は考慮してない。
それと毒性の強さ。これはいわゆるハザードでしか考えてない。最近、リスクは当然ハザードと曝露の両方を考えるんですけれども、曝露の方は全然考慮されてない基準である。
さらに、水田農薬だけが対象で、畑とか果樹園等で使われるものについては対象になってないということでございます。
それと農薬による生態系の実態、こういったものを調査いたしましたら、なかなか農薬だけを一般環境で区分して、水生生物に影響があったかというのは明確には困難であったんですけれども、一方、一般河川水をとってきて、魚類とかミジンコとか、そういったものを飼ってみると、かなりの程度で遊泳阻害を起こしたり、そういった状況もある。
こういったことから、程度は不明であるけれども、やはり農薬が我が国の水域生態系に何らかの影響を与えているのではないかということを踏まえまして、この基準を改定する必要があるということでございます。
次に欧米主要国の制度の現状でありますが、我が国と違いまして、甲殻類とか藻類まで含め、さらに曝露量も含めたリスク評価をやっております。それと、経費と時間のむだを省くためにもtierシステムでやっているということでございます。
そういったことを踏まえまして、登録保留基準の改定はどうあるべきだということが4ページでございます。
具体的に申しますと、5ページをお開きいただきますと、まず基本的にはアでございますが、生態系保全の目標と評価の基本的考え方ということで、農薬の生態系の影響の程度は、実環境において定量的に分離・特定することが困難な状況でありますので、少なくとも河川等の公共用水域の水質環境基準があるような地点において、農薬取締法が保全対象としている水産動植物への影響が出ないように現状の評価手法を改善する。それによって、農薬による生態系への影響の可能性を現状より小さくすることを目標としていこうということでございます。
具体的な評価手法としまして、1番目は現行の登録保留基準と同様に急性毒性に着目するということでございます。
2番目としまして、評価対象生物種は、藻類、甲殻類、魚類、この3種類でやっていこうと。さらに、農薬を散布した場合に予想される公共用水域中のその農薬の濃度、PECと言っていますけれども、これと先ほどの魚類、甲殻類、藻類の代表種の急性毒性試験から得られた急性影響濃度、これを比べてリスク評価を行う。例えばPECは段階制をとり、より簡便であるけれども安全サイドに立ったものから、より実態に近いものまで段階的にPECを求めていこうと。
PECがAECを上回る場合は登録保留とする。そのAECを登録保留基準値とする。PECがAECを下回る場合であっても、その程度に応じてきめ細かなラベル表示への反映とかモニタリングの実施等をやっていこうということでございます。
なお、5ページの下の方は告示のイメージで、これは今後検討していかなきゃいけないんですけれども、基本告示としまして、そのような環境中の予測濃度が環境大臣が定める基準値を上回った場合には登録保留をするということでございます。
6ページにいって、具体的に農薬の成分ごとにこういうふうに基準値を定めていくというスキームを考えておるところでございます。
今申し上げましたようなものを、25ページ、最期のページでございますけれども、評価スキーム体系図という形にしてあります。右の方で急性影響濃度。下の方に書いてございますけれども、それぞれ魚類であれば、96時間のLC50×1/10、ミジンコであれば、48時間のEC50×1/10、藻類は、72時間のEC50×1。こういったものの最も低い濃度を基準値としまして、これと比較する左側のPECは、第1段階で数値計算による予測する。第2段階では、数値計算のみではなくて、水田使用農薬であれば、実際にライシメーター等を使った試験結果を踏まえた計算により求める。非水田使用農薬では、地表流出・ドリフト試験の結果を踏まえた計算により求める。第3段階では、水田使用農薬であれば、圃場を用いた試験結果を踏まえた計算により求める。ただ、網掛け部分の試験はまだガイドラインができてませんので、今後早急に作成していく必要があるということでございます。
ちょっと前後しますけれども、PECの考え方についてご説明します。、11ページを開いていただいて、上の図でございますけれども、10km四方の100平方キロメートルの流域面積を1つの環境モデルとしまして、これを日本の全国土というふうに想定しますと、大体、水田面積が 500ヘクタール、畑地等が 750ヘクタールに縮小される。ここで農薬を使った場合に、それが支川河川を通じて本川に流出してきて、環境基準点に至る。この環境基準点での濃度を予測しましょうということでございます。
そのシナリオとか算定方法は、詳しくいろいろな計算式が出てきていますけれども、地表流出とドリフトにより川に流れ込むということで、いろいろな観点を含めまして推定することとしております。
時間がありませんので、細かいことは割愛させていただきますけれども、こういったもので今までにない形できめ細かい管理と、登録保留基準の改定できちっとした入り口規制をしていこうということで、12月5日の土壌農薬部会に報告させていただきます。ただし、これは農薬取締法に基づきまして農業資材審議会の諮問答申事項でございますので、さらにその手続を踏まえて告示改正を行っていきたいと考えています。
少々長くなりましたけれども、以上でございます。
【瀬川補佐】 それでは、続きまして資料11に基づきまして、中央環境審議会環境保健部会での審議の状況について、簡単に紹介をさせていただきます。
現在、環境保健部会に設置されました化学物質審査規制制度小委員会におきまして、化学物質審査規制法に関する審議が行われております。先ほど早川室長の方からご紹介いたしました登録保留基準、あるいは、本日、専門委員会の設置をお認めいただきました水生生物の環境基準といったように、化学物質の影響という観点で生物を保全していく上で幾つか環境省でその取組みを進めておりますが、そのうちの1つとして紹介をさせていただきます。
こちらの制度小委員会の検討課題でございますが、環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査及び規制の在り方について、その審査・規制制度の見直しなどについてを検討課題としております。
審査及び規制のあり方についてですが、化学物質の審査及びその結果に基づく規制の考え方、そして枠組みがまず第1点。関連いたしまして、生態系保全等に係る化学物質審査規制検討会の報告書。この報告自体は平成14年3月29日に公表されております。こちらの方は環境省に設置されました検討会でして、本日ご欠席でありますけれども、国立環境研究所の中杉先生が座長を務められ、まとめておられます。
こちらの方の主なポイントでございますけれども、4点ほどございます。
化学物質の審査・規制の枠組みに、生態系の保全を目的とした枠組みを導入することの必要性。また、そういった生態影響に関する資料や評価が、我が国でも技術的に実施可能な時期に来ているということ。3点目は、製造・輸入される化学物質については、事前に生態影響を生かす試験審査を行い、生態系保全に支障を及ぼすおそれがある化学物質については、製造・使用に関する規制を行う仕組みを導入することが必要。また、4点目ですけれども、関連しまして、既存化学物質の対策や現行の審査規制体系の見直しなどにも触れております。
こちらの報告書、本日添付しておりませんけれども、ホームページ上に掲載をしております。
審査・規制制度の見直しなどについてですが、より合理的かつ効果的な化学物質の審査の促進を図るため、現行の審査・規制制度及びその運用に関する課題への対応として4点主に挙げております。
第1点は、製造・輸入量や曝露可能性に応じた柔軟な事前審査制度の導入の検討。
2点目が、審査・点検後のフォローアップ。
3点目が、規制対象となった化学物質などに関するより効果的な環境汚染防止のための措置の検討。
4点目が、既存化学物質の点検の促進でございます。
また、その他、制度の円滑な運用のために改善すべき点についても検討を進めておられます。
検討スケジュールでございますが、既に2回終了しております。第1回は10月17日、背景説明、検討課題整理、自由討議などが行われました。
第2回目は11月7日に開催され、環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査及び規制の在り方についてということで様々な議論をしていただいておりますが、そういった議論を整理いたしまして、第3回、第4回へ進んでいくとお聞きしております。
なお、この小委員会でございますけれども、第2回から第4回につきましては、厚生労働省の厚生科学審議会に設置されました化学物質審査・規制制度の見直しに関する専門委員会、そして経済産業省に設置されました産業構造審議会の下にあります化学物質管理企画小委員会との合同委員会ということで進められております。
現在、その第2回までの審議が終わっておりますけれども、次と次の回、第3回、第4回のご議論を経まして、答申案の中間取りまとめをする予定にしております。この答申案、中間取りまとめに対しましては、12月下旬から1か月間、パブリックコメントの手続をとりまして、広く国民の皆様方の意見を募集する予定にしております。
1月末から2月上旬にかけて、その後1、2回程度開催し、最終的な答申案を取りまとめる予定としております。
なお、これらパブリックコメントの手続及び答申案の取りまとめ等につきましては、先ほど申し上げた厚生労働省及び経済産業省と作業を一緒にいたしまして、3省合同でその事務を進めていく予定でございます。
裏にまいりまして、小委員会の委員の名簿を添付させていただいております。
環境保健部会に設置されました本小委員会につきましては、委員長を鈴木継美先生にお引き受けいただき、浅野先生、池田先生、委員、臨時委員、専門委員として入っていただいております。大塚先生、須藤先生、村岡先生についても同様に入っていただいております。
また、先ほど申し上げましたように、厚生労働省に設置された専門委員会、経済産業省に設置された小委員会と全く合同で行いますので、本部会、水環境部会の委員であられますほかの先生方につきましても、本件についてはご議論にご参画いただいている先生方でございます。
それからもう一つ、添付させていただいておりますのがパンフレットでございます。こちらにつきましては、私どもの環境保健部の方で取りまとめをしておりますパンフレットでございますが、生態系を守るための化学物質対策ということで、一般の方々にその必要性をわかっていただくために作成したパンフレットでございます。
水質環境基準あるいは登録保留基準などにつきましても、その取組について触れております。
こちらのパンフレットは、そのようにして一般の方に広くお配りするという目的で作成しておりますので、本日もご紹介をさせていただきました。
私の方は以上でございます。
【村岡部会長】 それではもう1つありますね。
【早川室長】 最後でございますが、資料12でございます。
農薬取締法の一部を改正する法律案についてご説明いたします。
ご存じのように、今年の7月以降、無登録農薬が44都道府県で広範に輸入、販売され使用されていたということがございまして、それを受けまして、急遽、今臨時国会にこの改正案が提出されております。
具体的に申しますと、無登録農薬が輸入されないように水際での監視を強化する。無登録農薬の使用を法的に禁止する。さらに、違法な販売等が行われないように罰則を強化する。こういったものが主な背景でございます。
主な改正内容としましては、まず、無登録農薬の製造、輸入及び使用の禁止ということでございます。現行の農薬取締法では、登録をとらなければ販売できないということで販売段階のみの規制があったわけですけれども、結局それでは今回のような事件も生ずるということで、無登録農薬の製造、輸入、使用、それぞれの段階で禁止するというふうに強化するという内容でございます。
ただし、そうしますと、農家が通常みずから使ったりするようなものも登録をとらなければいけなくなってしまうというようなことになってしまうので、「ただし、原材料に照らして、農作物等、人畜に害を及ぼすおそれがないことが明らかなもの」を、特定農薬というふうに改正法案では呼んでいるんですけれども、そういったものに指定し、登録がなくても使用はできるというふうにすると。
ただし、この特定農薬の指定というのは、農林水産省と環境省が共同して行うという内容になっております。
さらに、農薬の使用基準の設定でございまして、これまでは基本的に農薬の使用者には規制、罰則がかからなかったわけですけれども、これからは農薬の使用者が遵守すべき基準というものを定めまして、この基準に違反して農薬を使用してはいけないものとする。違反した場合には罰則がかかる。そういう意味で使用者規制が入ったということも2つ目の大きな特徴でございます。
使用者が遵守すべき基準は、農林水産省と環境省が共同してつくるということになっております。
さらに、罰則の強化でございますけれども、違法な販売、使用が行われないように罰則を強化するということで、同じ農業資材でも飼料安全法の罰則の水準に合わせまして、現行の販売に係る義務違反については1年以下の懲役または5万円以下の罰金だったところを、3年以下の懲役または 100万円以下の罰金、法人につきましては1億円以下の罰金にすると。
使用に係る義務違反については、3万円以下の罰金だったところを3年以下の懲役または 100万円以下の罰金にするというふうにかなり厳しくしております。
2ページ目に現行と改正後でどこが違うのかという絵がございますけれども、現行は、楕円で囲ってあります無登録農薬の販売の禁止とか作物残留性農薬等の使用規制、これは、現在登録ないようなドリン剤とか砒酸鉛を使った場合に罰則がかかるという規制であったわけですけれども、右側の方の改正後にいきますと、無登録農薬の製造・輸入の禁止、あるいは輸入代行業者の広告の制限、無登録農薬の使用の禁止が盛り込まれます。さらに、先ほど申し上げましたように、農薬の使用基準というものをつくりまして、使用方法等を定めた基準でございますけれども、そういったものを義務化し、違反したら罰則がかかると。こういうような規制が強化されるという内容になっております。
衆議院は先般通過しまして、来週、参議院で審議予定となっておりまして、通過・成立しますと、3カ月以内で政令で定める日から施行となりますので、3月ぐらいから施行されるというような予定になっております。
以上でございます。
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。
以上、5つの最近の話題につきまして事務局から報告いただきましたが、これらに関しまして何かご意見とか。
【浅野委員】 2つあります。
1つは有明新法ですが、有明新法の立法は、大変ご苦労だったと思います。議員立法とはいえ、懸案がこれで前進するのは大変いいことだと思います。
ただ、1点だけ気になりますのは、所管外のことですからお答えは無理かもしれませんが、要望として伝えておきたいと思います。
15条に河川流況調整という規定があって、これは極めて重要だと思うんですが、この規定によると、ダム管理の問題だけしか明示されてないんです。しかし、実際には、河川管理そのものも問題があるのではないかという気がします。
現実に、有明海沿岸の河川について、河川管理の進捗率が非常に悪いので、進捗率を上げるということで様々な計画が考えられていますが、それによって現況の河川が干潟と一体を成していると思われるような場所について管理が行われていきますと、かなり状況が変わるんじゃないかという危惧の面があります。やはり河川全体を有明海と一体的に管理するという考え方でいかないと、ただ水量だけダムで管理すればいいというものでもないだろうという気がいたします。
この辺のところは法文上では、15条しか見つかりませんけれども、方針なり計画なりを立てるときにしっかり目配りをしていただきたいということでして、これはぜひ環境省からも意見として出していただきたいと思います。これが1点です。
もう1点は、農薬取締法改正です。大変これは評価したいと考えます。改めて丁寧に読ませていただいたんですが、何で今までできなかったんだろうということの方が驚きで……。
要するに、これまでは売ることについてだけチェックがなされ、その後は売らなきゃ多分大丈夫だという極めておおらかな考え方で規制が行われてきているわけでした。今回、ようやく入口のところもというか、輸入・製造に関しても他の化学物質並みのチェックがかかるようになったということです。農取法が適用されるときは化審法は適用除外になるわけですから、当然それに見合うものがなきゃいけないのに、販売の段階での登録制度しかないというのはちょっとおかしかったと思っていたのですが、これでようやくそろうかなという気がします。
もっとも、どんな段階でチェックするかという時期の問題にすぎないんではあるわけですが、システムとしての整合がとれたかなという気がします。
それから、特に今度の改正で重要だと思っていますのは、どうもこれまでの化学物質管理は入口規制ばっかりで、そこのところでやれば後はうまくいくという感じのものが多すぎて、出口規制がないんですね。そこのところをようやく、一番取り扱いにくい農薬という、使用者がかなり不特定多数にわたると思われるところについての取扱に関する規制ができたのは大変いいことだと思います。
これは、将来、化学物質の下流側での使用規制にも道を開くという気がいたしますし、これとさらに環境保全の観点からの環境規制、モニタリングとうまく合わせていくと、もっと化学物質管理で効果があるんじゃないかと思いますので、大変結構な改正であると考えるわけです。 ついては、実際の運用がどうなるのかが問題で、規制は法制化したけれども、捕まる人はゼロですというのも困る。もっとも、罰則がある、厳しい懲役刑まであるような罰則がかかるようになったというPRを積極的にやることによって、事後規制が強くなったということを使って未然の抑制を図るということも大事だと思いますから、これは環境省がどこまでやるか知りませんけれども、少なくともそういう形で動かしていく道具ができたということを評価したいと思います。
【村岡部会長】 今の関連でのお話ですか。
【鈴木委員】 有明、八代の話なんですけれども、浅野さんが川の話をしましたけれども、実は、キャッチメント全体を捕まえないといけないわけですから、単に川と海を一緒に見ればいいというものではなしに、もっと広げてほしいわけです。そこのところは生態学的な意味での状況をもっと踏まえた線の引き方が問題になってくるんだと思うんですけれども。今日いただいた資料では、まっすぐな線がどこかに引いてあるようでありますけれども、あれで全体の生態系が捕まるのかなというのがちょっと心配になりました。
【岸委員】 農薬の罰則に関連した問題です。
私は法律とかそういうこと本当に弱くてよくわからないので。
全部100万円以下、1億円以下ということになっていますよね、これはこんなもんなんですか。だって、100万円以下って、5万円だって100万円以下ですよね。だからその辺どうなっているのかなって。
この間、表示の問題だったか、何か罰金が30万円でって。随分安いわね、こんなんだったらお金払ってでも違反するわねというお話をしていたんですね。だからその辺がちょっとよくわからないんです。
「以下」というのが、こういうものなのかなっていう……。
【村岡部会長】 大抵、罰則は何万円以下と言う。この辺は法律の先生、いかがですか。
【浅野委員】 「以下」というのは、確かに、それより下は最低1円でもいいわけです。しかし現実には、裁判官の頭の中には適用の基準というのがありまして、例えば100万円以下というのであれば、情状が一番悪いという場合は最高100万円まで科すことができるわけだから、これは100万円という感覚になりますね。それよりちょっといいなと、情状が多少いいかなと、8割ぐらいかなと思えば、8割ぐらいのところで掛けている。
そうすると、最高刑が30万の場合は、一番悪いときは30万円になるんですね。それよりちょっと悪いときはその8割ぐらいのところにいくというふうになりますから、やっぱり何万円という上限を示しているのは、その事柄の重要性の評価だということになります。
1億円というのは、これは少なくとも罰金としてはかなり高いですね。100万円も、普通の人に対する罰金としてはかなり高い金額だと思います。あわせて3年以下の懲役が併科されていますから、懲役刑がくっついていて100万円以下の罰金というのは、環境関連の法令という観点でいうと相当厳しいということになります。しかし、国民感情としてこれでいいかと言われればまた別の考え方もあるかもしれません。
この間、私の住んでいる町で洗剤を川に流した人がいて、コイが全部死んじゃったので大変だったんですが、結局、その犯人は悔い改めまして、10日間ぐらい従業員を動員して川ざらいをした。10日間の懲役刑を自ら科したようなところがあるから、まあいいかといって地元がおさまったという例もあります。
しかし、そういうことでもない限り、やっぱりこれはとても刑が軽いのはおかしいという議論があるのはよくわかりますが、一応それぞれの事柄のバランスみたいなものの中でこれが位置づけられているところからいうと、今度の罰則強化は従来の農取法の思想からいえば、つまり農家を相手に物事を考えるときの思想からいうと、相当厳しいという印象があります。
【岸委員】 ありがとうございます。
【村岡部会長】 今、農取法の改正のことと、それから有明新法の話題が出ておりますけれども、この2つに関しまして関連するようなご意見は。
【大塚委員】 有明新法についてお伺いしたいんですが、有明海、八代海の総合調査評価委員会というのは、多分、海域の調査にとっては非常に重要なものだと思うんですが、ちょっとお伺いしたいんですけれども、25条で、「委員会は附則第3項の規定に基づいて行う見直しに関し」という限定があるんですけれども、この限定というのはどのぐらいの意味を持ってくるのか。つまり、法律の改正の見直しのときにだけ関係するという、そういう理解になってしまうんでしょうか。ちょっとお伺いしたいんですが。
【村岡部会長】 それでは、先ほど来出ております意見で、もし何かつけ加えるようなご説明でもありましたらお願いします。
【坂川室長】 まず今の大塚委員のご質問でありますが、25条に「見直しに関し」と書いてありまして、そういう意味では、この委員会が行うべき最終的な目標としては、5年後の見直しの前に、それに関連して再生に係る評価を行うということだろうと思っていまして、それが最終的なゴールなんじゃないだろうかと。
ただ、それまでの間に何もやらないということでは決してなくて、評価というのも短期間でできるようなものではないと思いますので、できるだけ早く委員会を設置いたしまして、議論を重ねていきたいと。先生方のご検討をお願いしていきたいというふうに思っています。
それから、先ほど浅野先生の方から河川の流況のお話がありましたけれども、この法律の中で河川の流況、河川と海を一体としてとらえるという思想が15条にあらわれているんだろうと思いますけれども、実はもう1カ所、18条のところに「調査研究の実施」というのがありますが、ここに1号から8号までどういう調査を実施すべきか書いてありまして、その4号のところに、「河川の流況と当該海域の環境との関係に関する調査」というものも含まれています。ですから、今後、国と関係県が協力して流況と環境との関係も調査をしていって、その結果を踏まえて評価をしていくと。こういうことになるというふうに考えております。
【浅野委員】 私が言いたかったのは、河川管理者の行動のパターンを少し変えてもらわなきゃいけないということで、それは別途必要なところで発言をしておりますので、両方で言う方が効果的だからそう言っただけのことです。
【村岡部会長】 真柄委員どうぞ。
【真柄委員】 農薬の新しい法律に関係することでありますが、農薬の使用基準と、それの遵守の義務化というのが入るんですが、いわゆるこれまで行ってきた登録というのは、いわば化学物質に近い一つ一つの農薬について登録をしてきているわけですが、実際に市場で使われている農薬というのは、各種の農薬を混合して使っていて、その混合剤についての使用を規定するんだろうと思うんですが、今の法律は、登録した一つ一つの農薬について、言い換えれば、例えばフェニトロチオンを含んでいる農薬、マーケットの農薬が10種類あったら、各種ごとに使用基準を決められるということ? そういう理解でよろしいんでしょうか。
【早川室長】 基本的にそういうことでございます。
今、農薬の安全使用基準がありますけれども、作物残留に関するものは、例えばフェニトロチオンでしたら、フェニトロチオンの乳剤や粒剤で収穫何日まで何回まで使用可能というふうに決まっておりますけれども、そういうふうに決まってくると考えております。
ただ、登録は、同じフェニトロチオンの乳剤でありましても、メーカーが違えばそれぞれ別の登録になりますけれども、同じ乳剤であれば、それは1種類としてそういう基準になってくる。そういうふうに考えてもらって結構だと思います。
【村岡部会長】 ほかの報告も含めまして何かご意見ございますか。
中西委員、どうぞ。
【中西委員】 農薬の方の登録保留基準の改定についての報告案について、ちょっと質問させてください。
これが入口規制であって、日本の化学物質規制がどちらかというと入口規制が厳しくなっているということについては、私も余りいいことではないというふうに思っておりまして、基本的に出口規制をもっときちっとやった上で入口規制をどうするかという議論が必要だというふうに考えています。
そういうことで考えますと、農薬登録保留基準で計算されていることと、今度、答申のいわゆる環境基準との関係がどんなふうになるのかっていうこと。まだ環境基準の方決まってないから、その数値自体をあれすることはできないわけですが、それについて疑問に思いましたので、その点について、お答えはいただかなくてもいいんですが、考えていただきたい。
1つは、環境基準点である値を超えないようにというふうに設定して、あるシナリオのもとで数値が次に設定されていく環境基準値との関係というのは一体どんなふうになるのかということが1つと、それから、これから後、環境基準値を設定していくときに、農薬は対象にしないような感じの例外規定というものはつくらないんでしょうねという、そこのところをお尋ねしたいと思う。そのことをちょっと念を押しておきたいということです。
【村岡部会長】 ご質問もありましたし、いかがでしょうか、事務局の方。
【瀬川補佐】 環境基準の専門委員会でのご議論になるかと思いますけれども、まず第1点はPECの関係でございますが、環境基準を設定いたします際には、資料につけましたように、環境中での超過、あるいはその蓋然性の高さという観点で検討いたしますので、基本的には実測した結果、調査結果をもとに超過の状況を見ていくということにしたいと思っております。これは先生方のご議論にもよりますけれども。
それから2点目。農薬は環境基準項目から外すのかということでございますが、現行、例えば健康項目でありましても、農薬は対象になっておりますので、環境基準の対象としてハナから外すということはございません。
【村岡部会長】 ほかに関連してございますか。
【土屋委員】 今の農薬に関連してなんですけれども、これスケジュールが書いてないんです。事務局としては、いつごろこれの運用を考えておられるんですか。
【早川室長】 事務局としては、農薬取締法ではこういう枠組みの改正は農水省の農業資材審議会に諮問しなくてはならないことになっていまして、それを12月にやります。1月に答申をいただきまして、パブリックコメント等で、告示改正は3月頃ではないのかなと思っております。
ただ、先ほどの図を見ていただくとわかるんですけれども、PECの方の第2段階の一部とか第3段階のところは、実はまだどういう方法でやるかというのが決まってない状況でございまして、このガイドラインを作った上で、さらに準備期間を入れて施行というふうに考えておりまして、そういう意味では、告示改正をしてから施行までは2年ぐらい必要なんじゃないのかなというふうに思っていますが。
不十分な状態のままでの規制というのはもちろんできませんので、きちっと環境整備をした上で施行するというふうに事務局としては考えております。
【村岡部会長】 ほかに何かご意見ございますか。
【池田委員】 農薬の部分で、資料10の23ページになります。試験生物種で[1]、[2]、[3]というふうに挙げておられますが、この指定されている試験生物種は、多分、OECDの推選する種の中には納まっていますが、OECDではこれ以外のものも推薦していると思うんですが。
例えば、外国で開発された農薬云々だとかいうときには、若干の摩擦が起こり得るのではないか。そのあたりのお考えはいかがか。
もう1つは、24ページにかけて不確実係数の提案がございます。不確実係数というのは、採用する側はやむを得ず採用するけれども、批判するときは必ず対象になるというかなりめんどいものだと思いますが。この係数を選定したことに対する理由書というか、バックグラウンドドキュメントに相当するものはあるんでしょうか。2点お伺いいたします。
【早川室長】 1点目につきましては、「この他」というふうに書いてございますけれども、農林水産省の申請者に対する試験ガイドラインではこれ以外にも、ニジマスとかブルーギルとかファットヘッドミノー、そういったものも認めております。ただ、評価するときはここに書いてあるコイとメダカを、我が国の環境を考慮してコアとして評価しようと。ただ、それ以外のデータも、感受性の違い等を見るためにも提出されるのであれば、それはそれでちゃんと評価するというふうに考えております。
2点目につきましては、先ほど申しました須藤先生の検討会でずっと議論してきまして、これまでのいろいろな内外のデータを踏まえて、急性影響で種差を考慮すると不確実係数はこのくらいでよろしいんではないかということでございます。
【村岡部会長】 池田委員、よろしいですか。
【池田委員】 多分今のでいいだろうと思います。要領を得ませんでしたけれども、あるんだと思います。
【村岡部会長】 これは自由な意見ですから、要領を得なくても、特に決めなきゃいけないという問題ではありませんが。
ほかに何か。
【高岩委員】 農薬とはいささか違うんですが、私ども海の関係で、合成洗剤は海を汚すということで、一時期かなりの程度で合成洗剤を追放しようというような運動をやりまして、自分でもできるだけ優しいという洗剤を開発しまして、若干落ちが悪いものですからなかなか普及しませんですけれども、海に対して合成洗剤が悪いというような話はうちらの中では一般的になっているんですが。これが、下水道が普及しますと回復するでしょうけれども、なかなか普及値が低いとなりますと、正直、垂れ流しになっておるわけですよ。
私の方の、先日もお話ししましたけれども、水であった関係上、沿岸の方は生活排水といいますか、洗剤のような白い水が流れなくなったということでかなり環境よくなったということなんですけれども。
いずれにしましても、洗剤というのは全く無害なものじゃないんだろうと思いますが、農薬は今問題や議論になったようですが、洗剤というのはどこでチェックしたり、どういう所管なのか。私全くわからないんですけれども、これは水環境部としてはチェックするとか、何もないんですか。
【村岡部会長】 管理課長、いかがですか。
【瀬川補佐】 合成洗剤に含まれておりますLAS、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムに関しましては、水生生物の保全の観点から、水質目標の優先取組物質の1つとされておりますので、本日ご議論いただきました水生生物の観点でいえば、将来、事務方の方でドキュメントを用意して、ご議論していただく対象の1つにはなっております。
【村岡部会長】 よろしいですか。
【高岩委員】 実際はどういう毒性があってどうなのか。実際どれだけの影響を及ぼすかということはわからないので全く無知な質問なんですが、浜とか私ども水産の中では、合成洗剤を追放しようというのが一時期かなり強い奮闘もあったわけですから、こういったことも下水道が普及すればある程度解決されるんでしょうけれども、今のところ、田舎ほど垂れ流しになっているもんですから、それらについてもご配慮願いたいと思っています。
【村岡部会長】 ほかに何かご意見ございますか。
それでは、5つの報告、これすべて水関係、この部会に関連するような最近のトピックであったわけですけれども、それに対していろいろな意見いただきましたので、より理解が深まったということのほかに、今後の対応等について幾つかの要望等もございましたので、それは議事録の方にとどめていただくということにしたいと思います。
それでは、この辺で本日の議事を終了したいと思いますが、議題の4に「その他」とありまして、今後の日程等について、事務局の方からご説明等ありましたらお願いします。
【盛山課長】 それでは、次回の日程ということでございますけれども、本日お認めいただきました専門委員会でのご審議、まずこれのスタート、そしてそれがどういうふうにまとまっていくか。こういうことも見ていきたいと思います。本日の段階ではいつという目処を申し上げる段階ではございませんので、今後、検討結果を見据えながら、追って調整をしてご連絡させていただきたい。このように考えております。
【村岡部会長】 それでは、本日は活発なご意見、ご質問等いただきまして、ありがとうございました。これにて会議を終了させていただきます。
午後 2時41分 閉会