中央環境審議会水環境部会 瀬戸内海環境保全小委員会(第24回)議事録

議事次第

開会

議題

(1)
瀬戸内海における特定の海域の環境保全に係る制度の見直しに向けた課題・留意点
(2)
瀬戸内海における特定の海域の環境保全に係る制度の見直しの方向性(意見具申案)について
(3)
その他

閉会

出席者

委員長 岡田光正委員長
委員

大塚直委員、高村典子委員、白山義久委員、西嶋渉委員、三浦秀樹委員、岩崎誠委員、沖陽子委員、清水芳久委員、末永慶寛委員、田中宏明委員、西村修委員、野田幹雄委員、細川恭史委員、柳哲雄委員、山田真知子委員、鷲尾圭司委員

事務局

環境省:水・大気環境局長、大臣官房審議官、水・大気環境局水環境課長、水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室長、閉鎖性海域対策室長補佐、閉鎖性海域対策室審査係長、自然環境局自然環境計画課係長

農林水産省:水産庁増殖推進部漁場資源課長補佐、水産庁計画課計画係長

国土交通省:港湾局海洋・環境課長補佐、水管理・国土保全局海岸室課長補佐、河川環境課企画専門官、下水道部流域管理官付課長補佐

議事録

午後3時32分開会

○佐藤係長 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第24回瀬戸内海環境保全小委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席をいただき、誠にありがとうございます。

 本日の出席状況でございますが、専門委員を含め17名の御出席をいただいております。また、委員及び臨時委員6名の御出席をいただいており、定足数である過半数を満たし、本小委員会は成立することを御報告いたします。

 なお、池委員、小林委員、佐伯委員、髙橋委員、中瀬委員につきましては、御都合により御欠席との連絡をいただいております。

 また、本小委員会の委員をお務めいただいていた足利由紀子先生が、去る10月14日に御逝去されました。謹んで御報告申し上げます。

 本小委員会は、新型コロナウイルス感染防止の観点からWEB会議での開催となり、委員の皆様には御不便をおかけしますが、御不明な点があれば、事務局までお知らせください。

 続きまして、本日の資料を確認させていただきます。事前にお送りしました資料をお手元に御準備お願いいたします。

 画面上に配付一覧を表示いたします。

 議事次第、出席者名簿、資料1、2-1、2-2、2-3、2-4、2-5、3-1、3-2、参考資料1、2、3、4が本日の資料となっております。

 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいており、環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っています。

 議事中、委員長及び発言者以外は基本的にマイクをミュートに設定させていただきます。

 それでは、この後の議事の進行につきましては、岡田委員長にお願いしたいと思います。岡田委員長、よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 はい、委員の皆様方におかれましては、大変御多用の折、御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。

 本日は、答申を踏まえた必要な措置を実施するに当たり、その前段といたしまして、瀬戸内海における特定の海域の環境保全に係る制度の見直しの方向性について主に御審議いただくという予定です。

 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。最初の1、瀬戸内海における特定の海域の環境保全に係る制度の見直しに向けた課題・留意点でございます。

 事務局から資料を説明していただいた後、委員の皆様方から御質問、御意見を賜って審議したいと思います。事務局から資料2-1~2-5について説明していただきますが、広い範囲にわたりますので、2回に区切りたいと思います。

 まず、資料2-1~2-3について御説明をお願いします。

○浜名室長補佐 お世話になっております。環境省水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室の浜名でございます。

 それでは、早速、資料2-1~2-3に基づきまして説明させていただきます。

 本年3月に取りまとめいただきました答申を踏まえまして、制度の見直しに係る検討について、本年8月の第23回の小委員会におきまして、栄養塩類の管理等による生物の多様性及び生産性の確保に当たっては、栄養塩類の管理と、藻場・干潟の保全・利活用に係る取組の事例というものを御説明させていただきました。

 本日は、後ほど資料3-1、3-2におきまして、制度の見直しの方向性ということで御説明させていただきますが、その前に資料2-1~2-5におきまして、現状の課題等について御説明させていただこうと思います。

 まず、資料2-1、栄養塩類管理等に係る取組事例による効果等の整理結果についてです。

 第23回の小委員会におきまして、細川委員をはじめ皆様から、効果の観点を整理してみてはどうかといった御指摘をいただいたところです。

 まず、栄養塩類管理ですけれども、施肥、海底耕耘、下水処理施設の季節別管理運転、ダムからの一時放流、ため池のかいぼり、その他の事例があるといったところでございまして、本資料の1ページから3ページで、表のとおり順番に記載しています。

 生物の生産性の向上や、周辺環境への影響については、「知見なし」となっているところも多いですけれども、対象海域における栄養塩類の増加の効果は、一部を除き一定程度確認されているといった状況でございます。

 また、4ページ、藻場・干潟の再生・創出の取組について整理しています。

 藻場については、場の再生・創出がなった事例はありますけれども、期待された生物の生息状況の調査については、「知見なし」または、「今後調査される」といった形になっております。

 また、干潟については、場の再生・創出の後、二枚貝等の生物の増加が確認されているといったところです。

 そして、いずれにおきましても、地域住民の参加の下での取組については、普及啓発の効果についても言及されております。

 次に、資料2-2、栄養塩類管理の仕組みの導入に向けた課題・留意点の整理についてです。

 まず、整理方針ですけれども、1ページに書いてございますけれども、第23回小委員会で御説明いたしました栄養塩類管理に係る取組の中で、モニタリングや評価が実施されている事例において、管理対象区域、管理対象栄養塩類、管理対象区域における栄養塩類濃度の現状の把握、目標値の設定、実施手法の検討、効果及び周辺への影響の事前評価、モニタリングや順応的管理プロセスに係る計画の策定、対策及びモニタリングの実施、効果検証、周辺環境への影響の事後評価、その結果の管理への反映といった項目の状況を整理し、課題や留意点に係る考察を行いました。

 2ページ目、管理対象区域を定めている際の課題・留意点について、海域特性及び潮汐流や気象条件の変化等も踏まえ、効果や影響が及ぶ範囲を考慮した上で設定する必要があること、効果や影響が及ぶ範囲は必要に応じて数値シミュレーションに基づき設定することが望ましいこととしています。

 次に、管理対象の栄養塩類に係る課題・留意点については、当該海域の基礎生産の制限要因となっている栄養塩類を把握する必要があること。

 3ページ目、管理対象区域における栄養塩類濃度等の現状の把握に係る課題・留意点については、効果及び影響の評価に当たり、取組実施前の水質レベルや変動特性を正しく把握するため、複数年の調査データが必要であること。既存のモニタリングデータも可能な限り活用することが望ましいこと。栄養塩類は様々な要素が影響をしていることから、物理環境、海域環境、生物情報及び社会的情報等の現状把握も必要となることとしています。

 目標値の設定に係る課題・留意点については、取組の結果を評価し、評価結果を管理に反

映するためには管理対象区域における水質の目標値を設定する必要があること。管理対象区域において生物多様性・生産性を確保する上で望ましい栄養塩類レベルが不明瞭である場合があることとしています。

 栄養塩類管理の実施方法の検討に係る課題・留意点については、実施方法は、実施可能性、期待される改善効果、周辺海域への影響の有無等を総合的に判断する必要があること。また、関係者や有識者への聞き取り調査によって、「豊かな海」の概念がまだ一般に浸透していな

いことや、施設の主目的との兼ね合い、立地に係る課題等が挙げられています。

 次に、4ページ、5ページ、効果及び周辺環境への影響の事前評価に係る課題・留意点については、定量的な把握のため実証実験やシミュレーション等を行うことが望ましいこと。さらに、シミュレーションにおいて注目すべき生物等の詳細の留意点、栄養塩類の増加・沈降に係る影響として着目すべき点などについて、有識者から指摘を得ています。

 6ページから12ページにかけて、モニタリング計画の策定に係る課題・留意点を記載しております。

 全体に係るものとしては、栄養塩類だけでなく、周辺海域への影響を評価できるモニタリング項目も必要であること。管理運転の効果、影響を自然現象と区別するため対象区域のモニタリングも必要となること。周辺環境への影響については、対策実施期間以外に影響が発生する可能性があるため、年間を通してのモニタリングが必要であり、公共用水域水質測定や広域総合水質測定等の既存の海域モニタリングとの連携・活用が有効であることとしておりまして、さらに有識者意見といたしまして、モニタリング項目、モニタリング場所、モニタリング期間、モニタリング方法について、詳細を御指摘いただいています。

 次に、12ページでございます。順応的管理プロセスの検討に係る課題・留意点についてです。

 目標未達成の場合や周辺環境への影響が確認された場合等、様々な状況を想定して管理への反映方法について検討を行う必要があること。周辺環境への影響発生に対して迅速な対応が求められるため、周辺環境への影響を評価する項目について、管理基準を設けることが望ましいこと。各主体を交えて、モニタリング結果等の各種情報の共有や議論を行う場を設けることが重要であること。

 また、取組機関からは、ひな形となる調査手法などがないため、対外的な説明が難しいといった声がありました。

 13ページ、対策及びモニタリングの実施に係る課題・留意点についてです。

 関係機関の連携により、効果的にデータを取得する必要があること。対策及びモニタリング結果等の各種情報を関係者間で共有する仕組みが必要であること。

 また、取組機関から、実施していく中で難しい点について指摘がありました。

 14ページ、効果検証に係る課題・留意点としては、現地のモニタリングだけでは評価が難しい場合にシミュレーションも併用して効果を確認する必要があること。栄養塩類濃度の変化や生産性の向上等と栄養塩類管理の取組との因果関係の把握が難しいこと。関係機関や有識者からも水の中での栄養塩類の動きは複雑であること等から、データを収集し、長期的な検証が必要であること等の指摘がありました。

 15ページ目です。周辺環境への影響の事後評価に係る課題・留意点については、現状では、先駆的な事例の実施報告がありませんでしたけれども、シミュレーションも活用して影響を確認する必要があるほか、有識者からは、その他の要因などに係る指摘がありました。

 16ページ、評価結果の管理への反映に係る課題・留意点については、評価結果を迅速に管理に反映することが必要であり、そのためには目標値や管理基準等をあらかじめ設定する必要があること。評価結果等が関係者間で共有され、意見交換する場を設ける必要があることが挙げられます。

 続いて、資料2-3、湾・灘協議会の設置状況及び課題についてです。

 こちらは、本年3月の答申の取りまとめに際しても、多くの御指摘をいただいた場所でございまして、現在の設置状況、運営状況と答申で記載されている求められる姿とのギャップが大きい状況にあります。

 また、設置を促進していくだけではなく、第23回小委員会におきましても、山田先生から、協議会設置後の活用も意識した維持に関するマニュアル的なものを作成してはどうかといった御意見をいただいております。

 課題といたしましては、標準的なルールは特段ないことから、協議会ごとに多様な状況であるということ。現状、府県を単位として設置されていますけれども、湾・灘単位で検討すべき課題もあることから、隣接する府県の取組状況を把握する必要があるとしています。

 資料2-1~2~5の現状と課題等を整理し、後ほど、資料3-1、3-2において、制度の見直しに向けた方向性に関する具体的な記述について御審議いただくことを想定しております。

 資料2-1~2-3につきましては、以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問があればお願いしたいと思います。

 それでは、どうぞ。

○岡田委員長 鷲尾先生、どうぞ。

○鷲尾委員 鷲尾です。ありがとうございます。

 資料2-2のところに、たくさん課題を整理していただいております。この中の各所に有識者ヒアリングの結果ということで、いろんな留意点が指摘されておりますが、特に、モニタリングを実施していく上で、実現可能性の高いものと、必須でやらなければならないものと、あるいは、こんなものがあったらいいなという希望的なものと、ちょっと混在しておって、一体何をどこまでやれるのかというのがちょっと見えていないような気がいたします。

 何よりも、目標値を決めて比較していくということがうたわれていますが、現場では非常に大きな変動幅が実際には起こっております。その幅と比べるというのが非常に難しいことだと思いますし、潮時、あるいは、そのときに発生している生物等によって、数値が大きく違ってくるという、そういうものに対して、どういうモニタリングが可能なのかというのは、いま一度検証する必要があるのではないかと考えます。

 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございます。

 では、事務局のほうで。

○佐藤係長 御指摘の点については、詳細のモニタリングについては、実際の運用に当たって、引き続き検討する事項だと思います。鷲尾委員の御指摘も踏まえて、今後の検討の中で、モニタリングの項目や場所等の条件を実現可能性も考慮し検討してまいりたいと考えております。

 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございます。

 鷲尾先生、よろしいですか。今後の課題と理解していますが。

○鷲尾委員 了解しました。

○岡田委員長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 特段ございませんか。では、またいろいろ気になることが出てきたら、御意見いただくという前提で、次を御紹介いただければと思います。

 それでは、資料2-4から、2-5について御説明をお願いします。

○佐藤係長 閉鎖性海域対策室の佐藤です。

 資料2-4を御覧ください。資料2-4では、特定施設の設置の許可対象の合理化について御説明いたします。

 事業者が汚水等を排出する特定施設を設置する場合は、届出が必要となってございますが、瀬戸内海の区域においては、関係府県知事の許可が必要になっております。令和2年3月の答申において、改正法策第3項を踏まえて、「制度運用の効率化・適正化を図る必要がある」とされたことを踏まえ、当該制度を運用している関係府県の皆さんの御意見などを確認しながら、制度運用の効率化・適正化について、更なる検討を加えました。

 その結果、例えば、2ページ、①既設の特定施設がある工場又は事業場が排水の全量を下水道に排除する特定施設を設置するような場合、あるいは②全量を産廃処理する特定施設を新設する場合など、公共用水域に必ずしも水を排出しない場合の特定施設の設置も、許可対象となっているということが分かりました。

 このような場合、当該特定施設の設置が、瀬戸内海の水質に変化を及ぼすというおそれがないことが明らかでございますから、許可対象の合理化、これを図ることが適当であると考えております。

 続きまして、資料2-5を御覧ください。

 ここでは、瀬戸内海における気候変動影響及び気候変動適応の検討状況について御説明いたします。

 資料2-5に掲載されている図について、当該検討状況の一部を掲載しておりますが、詳細は参考資料4にも掲載してございますので、こちらも適宜御確認いただきながら、御参照いただければと思います。

 それでは、1ページ目御覧ください。

 「瀬戸内海環境保全基本計画」や「気候変動適応計画」において、気候変動影響、あるいは、気候変動適応に関する調査研究の推進の必要性が記載されております。

 また、直近の令和2年12月17日に、最新の科学的知見の集積、あるいは、分析を踏まえた気候変動影響の総合的な評価についての「気候変動影響評価報告書」、これが公表されたところでございます。

 また、2ページ目を御覧ください。

 本年3月の答申においても、気候変動適応の必要性、これが明記されており、また、総理大臣、環境大臣からの発言においても気候変動が重要なテーマとなっております。

 この点、前回の小委員会において、気候変動検討事項として明確にお示ししていなかったところですが、このような状況も踏まえまして、現時点での検討状況を御説明いたします。

 1ページに戻りください。

 閉鎖性海域における気候変動の影響については、「気候変動影響評価報告書」においても取り上げられていますとおり、特に水環境分野については、気候変動による気温の上昇、これに伴う水質への影響、あるいは、海洋酸性化の進行といったことが想定されまして、特に瀬戸内海を対象とした研究においては、RCP8.5シナリオを前提とした、100年後については、3度近く水温が上昇するといった予測の例もございました。

 また、水環境分野のみならず、海水温の上昇においては、藻食性の魚類によるものと考えられる藻場の減少や水温の上昇によるものと思われる藻場の減少、あるいは、構成種の変化、また、南方系魚種数の増加、北方系魚種数の減少、また養殖ノリ収穫量の減少やワカメへの影響なども懸念されているところでございます。

 3ページ目を御覧ください。

 このような中、閉鎖性海域における気候変動による影響を評価し、気候変動影響に対する適応策、これを検討するため、請負業務として、4つのテーマについて分析・検討を行ってまいりましたので、結果等を御報告させていただきます。

 4ページ目、御覧ください。

 まず、気候変動による影響に係る水温のデータの分析について、1970年代、1980年代から現在までに蓄積された水質データ、これの季節変化等による周期的な変動を排除いたしまして、海水温等の長期変動解析を行いました。

 5ページ目を御覧ください。

 結果については、瀬戸内海における水温や水質の長期変動の表層については、湾・灘ごと、あるいは、湾・灘内特定の海域によって異なるといった結果が見られました。例えば、特に、東海湾や燧灘等の一部においては、このコンター図の赤色が示すとおり、局所的に上昇するなどが見られましたものの、1981年から2006年の間でのトレンドについては、瀬戸内海全体として平均で0.6度上昇する結果となっておりました。

 湾・灘ごとの水温の上昇のトレンドについては、参考資料4にも掲載しておりますので、詳細の説明は割愛させていただきます。

 6ページ目を御覧ください。

 次、「瀬戸内海環境情報基本調査」において行われた底質・底生生物調査を対象に、気候変動による底質環境への影響について分析を行ってまいりました。

 7ページ目を御覧ください。まず底層の水温について、ほとんどの海域で経年的に上昇傾向を示しており、特に大阪湾、播磨灘、響灘で顕著な結果となってございました。

 8ページ目を御覧ください。次に、底層環境のそのほかの傾向について、泥分は特段の傾向は見られませんでした。一方で、底質のTOCについては多くの海域で低下傾向が見られました。

 9ページ目を御覧ください。底生生物の密度、あるいは個体数について、これも増加傾向が見られているところでございます。

 10ページ目を御覧ください。こういったことを踏まえまして、底生生物に対して水温の上昇やそのほかの環境の因子が及ぼす影響について分析をいたしましたところ、下記のグラフにおいて底質のTOC、これと泥分についての結果、これを掲載いたしております。ここのグラフの赤線、横軸が底生生物の出現頻度の確率密度になります。横軸がそれぞれの環境因子、底質のTOCあるいは泥分のパーセントでございます。グラフの赤線が調査地点における環境因子の確率分布でございまして、黄色線が環境因子に対する底生生物の出現頻度でございます。

 ここで赤線と黄色線が一致した場合においては、環境因子の出現頻度と底生生物の確率頻度が一致しておりますので、それぞれに対する明快な関係性が見られないと判断いたしました。一方、赤線と黄色線が一致していない場合については、それぞれの関係性が一定程度あると判断いたしました。この結果、水温よりもむしろ底質TOCのほうが底生生物の出現頻度に対応して変化している傾向が見られたところでございます。

 そのほかの詳細のグラフについては参考資料4に掲載しておりますが、詳細な説明は割愛いたします。

 次に、11ページを御覧ください。冬季の瀬戸内海において、スケルトネマやキートケロスなどの小型珪藻からユーカンピアなどの大型珪藻への優占種交代が生じていることが指摘されていることに着目いたしまして、これらの培養試験により、複数の水温、光量、硝酸態窒素濃度におけるスケルトネマ、あるいはユーカンピア等の比増殖速度、これを計測いたしましたので、その結果を御報告いたします。

 12ページを御覧ください。実験結果で得られました最大比増殖速度、あるいは硝酸態窒素濃度に対する比増殖速度の半飽和定数並びに光量に対する比増殖速度の半飽和定数なども考慮いたしました関数、これを実験の結果に基づきまして構築いたしました。

 12ページ目を御覧ください。これらの増殖速度と水温、硝酸態窒素濃度、光環境との関係性を分析いたしましたところ、長期的な硝酸態窒素の低下よりもむしろ水温あるいは透明度の上昇によってユーカンピアの優先化が生じやすくなったのではないかということが示唆されました。

 14ページ目を御覧ください。続きましては、高い温度の状況において高温疎外を起こす傾向や、強い光環境において強光阻害、これを生じている傾向も実験により明らかとなりました。

 次に15ページ目を御覧ください。これらの植物プランクトンの知見も踏まえまして、海域の流動水質底質モデル、これと陸域の発生負荷のモデルを組み合わせまして、モデルシミュレーションにより100年後の瀬戸内海について分析いたしました。

 次ページ、16ページを御覧ください。シミュレーションの結果、水温については3から4度の昇温が見られましたところです。

 また、17ページ目について、表層Chl.aについては、RCP8.5においては冬の表層Chl.aは増加する一方、夏や秋の表層Chl.aについては瀬戸内海の中央部、あるいは奥部を中心に低下することとなりました。

 また、18ページ目を御覧ください。特にRCP8.5におきましては、表層DINが冬に減少して、夏から秋については増加する傾向が見られました。

 19ページ目を御覧ください。底層DOについて、現在気候において、大阪湾の湾奥部の一部において夏に貧酸素水塊が生じておりますが、RCP8.5などの将来気候においては、この貧酸素水塊が発生する範囲、あるいはその期間が長期化する可能性があることが分かりました。

 次に、21ページ目を御覧ください。これまでの気候変動の影響については、季節ごと、あるいは湾・灘ごと、更には湾・灘内の特定の海域によって様々水影響が異なるということが分かってきました。このようなため、湾・灘ごとの対策、これをもっと気候変動の分野においてもしっかりと進めていく必要があること、また栄養塩類の管理、あるいは藻場・干潟の保全・再生・創出といった取組も気候変動の視点からも極めて重要であるということが分かりました。

 以上です。

○岡田委員長 はい、どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。田中先生、どうぞ。

○田中委員 どうもありがとうございます。

 資料2-4の特定施設の許可対象の合理化の話ですが、前回からの流れは分かりますが、資料2-4の1ページ目の2つ目の丸で、公共水域に汚水を直接出さず、関連する工程により増加せず、汚染状況が悪化しないことは明らかな場合は、当該施設の設置が瀬戸内海の水質に変化を及ぼすおそれがないことが明らかであるための中で、具体例の中に下水道というのが書いてあって、全量を公共下水道または流域下水道に排除する特定施設を新設する場合は、なぜ全く影響がないと言えますか。その根拠がよく分かりません。

○岡田委員長 では、事務局から。

○佐藤係長 環境省、佐藤です。御指摘いただきましてありがとうございます。

 当該ケースは特定施設から直接公共用水域に水を排出するわけではないので、瀬戸内海の環境への影響に変化を及ぼすおそれがないということが明らかであると判断いたしました。なお、全量を公共下水道または流域下水道に排除する特定施設の設置について、瀬戸内海環境保全特別措置法の許可ではないものは水質汚濁防止法に基づく届出や下水道法においても同様の届出などの手続で審査されています。

○田中委員 例えば、難分解のCODをいっぱい流している特定施設が新設され、これまで水域に流しているものは新しい負荷になるということになります。それが問題ないかどうかをチェックしますよね。それが下水道に入れたら、下水処理場は難分解のCODはある程度は取れる部分もありますが、いろいろな水域でこれまで難分解のCODを入れられて困ってくるのが下水処理場というケースがいっぱいあります。それは下水道行政の中で勝手にやれと、そういう意味ですか。

○佐藤係長 下水道に排除するような場合については、下水道法に基づく届出と、特定事業場の場合は水質汚濁防止法に基づく届出等において適切に対処されているものと承知してございます。現在、一定の場合、これに加え、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく許可制度があります。審査においては、下水道へ排除するもののほか、排水路やパイプ等の故障がないかなどが確認されています。また、下水道への排除については、下水道法に基づく措置によって適切に対処されているものと承知しています。

○田中委員 では、これまではなぜ対象にしていましたか。

○佐藤係長 排水路やパイプ等の故障がないかなどを、現在、審査していますが、検討の結果、汚水等を公共用水域に排出しない特定施設を設置するのであれば、瀬戸内海の環境への影響がないことは明らかであり、許可の裁量が発揮されないと想定されるため、許可ではなく届出で足りるものと整理いたしました。

○田中委員 それは下水道サイドとかなり調整されて、もう既に下水道は納得されていますか。

○佐藤係長 実際に見直しするときには当然関係省庁の皆様に協議させていただきます。

○田中委員 そうすると、下水道サイドから言うと、故障した場合に下水道に何でも流れてきたら対応できるかというと、生物処理しているので、処理がうまくいかなくなるケースが出てくると思います。今の故障の話から行くとね。

 それが有害物質でないとすると、今度は難分解の物質が何かいっぱい入ってくると、これまで本来はそこが入ってこないケースに比べれば、入ってくる可能性が高いとなると、いろいろ水質管理上は問題が起こるケースがあって、そういうことが今までも幾つかの水域では見られて、現場で特にCODについては非常に困ってきたところがあると私は認識していますので、今言われたような、これまでの論理を変えるときには、下水道サイドの意見を十分聞かれたほうがいいのではないかなと思います。それは、下水道の処理をしているレベルによっても多分変わるでしょうし、管理の取締りをやっている体系によっても多分変わってくると思うので、一律に全て問題ないというふうに言えるかどうかは、私はちょっとよく分かりません。だから、ここの書き方が何かちょっと気になります。

○岡田委員長 はい、では環境省から別に。どうぞ。

○行木室長 閉鎖性海域対策室の行木でございます。

 先生からの御指摘を踏まえまして、実施に当たりましては関係省庁とよく調整をしながら検討を進めていきたいと思います。

 ここのところについて、瀬戸内海以外のところは水質汚濁防止法に基づきまして規制が取られていますが、その中では公共用水域に水を排出する事業場への特定施設の設置については許可制度ではなく、届出制度になっています。ここに掲げられているような事項につきましては、もともと下水道からの排水を規制の対象としており、直接公共用水域に水を排出しない事業場は水質汚濁防止法の対象にはなっていないという整理がなされているところです。

 一方で、瀬戸内法に関しましては、もともと特別に瀬戸内海について、特別に対応しようということでつくられた法律であったということがありまして、届出ではなく許可制になっており、それから水質汚濁防止法よりも踏み込み、ここで挙がっているように、公共用水域に水を排出する事業場への特定施設の設置について、直接その施設自体から排出していない場合も許可の対象としてきておりました。

 今回の整理で、法的な整理として、現状よりもう少し合理的と申しますか、水質汚濁防止法と合わせた整理とし、直接その施設からの排水による汚染の蓋然性がないものについては事前の許可の対象から外していこうという趣旨でございます。

 いずれにしましても、先生の御指摘を踏まえまして、担当しておられる省庁とよく相談をしながら、実施に向けて検討を進めてまいります。御指摘ありがとうございました。

○田中委員 よろしくお願いします。書きぶりが何でも入れても問題ないというような等の誤解を受けないような書きぶりにしていただけるとありがたいです。

○岡田委員長 はい、ありがとうございました。

 ほかにございますか。白山先生、どうぞ。

○白山委員 ありがとうございます。

 資料2-5について、将来予測をされているモデルについて、瀬戸内海のような閉鎖性水域の陸上の土地利用の変化など人間の要素が結構大きいのではないかと思います。人間の要素というよりは社会的な変化みたいなものが大きいのではないかと思います。その点は多分、今のモデルにはほとんど入っていないので、いろいろなシナリオがあると思いますが、こんな社会構造になった場合にはこうなりますというような、少し社会科学の要素も今後の将来予測には、特に閉鎖性水域である瀬戸内海ではしっかり入れて将来予測をされる必要があると思うので、その辺りを視野に入れていただきたいということをコメントさせてください。

 ありがとうございました。

○岡田委員長 はい、ありがとうございます。事務局、どうぞ。

○佐藤係長 御指摘いただきましてありがとうございます。

 土地利用につきましては、参考資料4の59ページにモデルのパラメータ等がございます。御指摘のとおり、将来、例えば土地利用が変わるとどうなるかというところまで踏み込んでシミュレーションをしたわけではございませんので、今後、御指摘も踏まえて、検討してまいりたいと考えます。

 御指摘ありがとうございます。

○岡田委員長 はい、どうもありがとうございました。ほかにございますか。はい、岩崎先生。どうぞ。

○岩崎委員 気候変動の話ですが、最初の環境省の報告書のところに出てくる南方系魚種の増加というのがこの中に出て、後のほうの瀬戸内海に関する分析では、底質と底生生物がありますが、いわゆるそれ以外の泳いでいる魚の話が出てきませんが、地元に住んでおりますと、明らかに南方系の魚種が増えている、あるいはナルトビエイみたいなものもどんどん増えて、非常に海の生態系の変化というのは肌で感じているところもあります。こういう構造を語るにおいては、魚種、底生生物・底質以外の魚種の変化についても、データ化はなかなか難しいとは思いますが、評価・検討するべきではないかと思いますが、いかがでしょう。

○岡田委員長 はい、ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。では、事務局、どうぞ。

○行木室長 はい。閉鎖性海域対策室の行木です。

 御指摘ありがとうございました。御指摘のとおりだと思いますので、今後、検討する際に参考にさせていただきたいと思います。

 なお、冒頭で書かれております政府全体の報告書に対して、その後、3ページ以降紹介されましたものは、閉鎖性海域対策室において行った調査結果の紹介でございます。一方で、1ページ目のところで紹介しております影響評価報告書は政府全体のものですので、私どもの知見から得られたものも入っておりますが、それ以外、もっと多くの情報が入っており、南方系魚種の話も入っています。閉鎖性海域対策室において全て詳細にカバーできているわけではないという実情もございますが、政府全体の報告書ではほかの知見も含まれております。

 いずれにしても、この先、来年以降行っていく際に、先生の御指摘を踏まえまして検討させていただこうと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○岡田委員長 はい。ということですが、はい、どうぞ。

○岩崎委員 この南方系のデータについては、水産庁ではないが、瀬戸内海区水産研究所で相当調査されています。情報を教えてくれというとすぐ教えてくれると思いますので、他機関の調査も参考にされてはどうかと助言をいたします。

 以上でございます。

○岡田委員長 はい、ありがとうございます。では、次から他機関の情報も併せて整理するということの御指摘だと思います。ありがとうございました。

 ほかにございますか。特段よろしいですか。先ほど資料2-1から2-3のところでも結構です。今回は制度見直しに向けた課題・留意点を挙げていただくというのが目的でございますので、ぜひよろしくお願いいたします。よろしいですか。

 はい、ありがとうございます。それでは、次の議題に移りたいと思います。次の議題は、瀬戸内海における特定の海域の環境保全に係る制度の見直しの方向性。すなわち意見具申案についてということになっております。答申や前回までの小委員会において、委員の皆様からいただいた御意見を踏まえ、事務局において意見具申案を作成しております。

 また、意見具申と併せまして、今後の検討で踏まえるべき論点も作成しておりますので、事務局からそれぞれの御説明をお願いいたします。資料の3-1からになりますね。よろしくお願いします。

○浜名室長補佐 環境省、浜名でございます。

 そうしましたら、資料3-1及び3-2を用いまして、御説明させていただきます。

 瀬戸内海における特定の海域の環境保全に係る精度の見直しの方向性について、御説明いたします。

 まず、制度の見直しの意味するところについてですけれども、一番重たいものとしましては、瀬戸内海環境保全特別措置法の改正、その下に政省令の改正や法に基づく基本計画や府県計画の変更、ガイドラインの作成や施行通知といった運用面の見直しといったものが含まれます。

 昨年度の答申取りまとめに係る御審議以降、このような制度の見直しのほか、予算措置により実施していくべきものも含め、多岐にわたる御意見をいただいているところでございます。

 今回は、これまでにいただいた御意見、御指摘を踏まえまして、資料3-1については来年度に本審議会に諮問することを想定しています基本計画の変更を見据えまして、制度の見直し全般に係る論点について整備してございます。

 また、このうち、特に主に法令面の見直しに係るものを中央環境審議会からの意見具申の案といたしまして、資料3-2に整理しております。

 では、まず資料3-1について御説明いたします。

 冒頭5行は、今ほど御説明いたしましたことが記載されてございます。まず、1ポツ、特定の海域における栄養塩類管理の仕組み導入です。これまでの御審議を踏まえまして、柱書として2点。生物の多様性及び生産性の確保に支障が生じている特定の海域において、地域が主体となり順応的管理プロセスにより栄養塩類管理を導入するに当たって、地域の関係者の合意形成や周辺環境の影響の評価等の具体的な手順を明確化する必要があります。

 また、もう一つですけれども、栄養塩類管理の実施の障害となる規則に係る特例や手続の簡素化が必要であるということにしておりまして、(1)から5ページの(5)まで記載いたしました。

 栄養塩類の管理は、計画に基づき順応的に実施されるべきであることから、(1)栄養塩類管理計画の策定としまして、①で概要、②で計画区域の考え方、③で計画策定者について。また、取組の効果や周辺環境への影響を適切に把握し、計画の改善に反映していくことを確保するべく、④で計画への記載事項を網羅的に。さらに地域の関係者の合意の下で実施するべく、⑤や⑥で計画策定に係る手続について記載しています。

 (2)特定施設の構造等の変更手続についてです。これは、栄養塩類の順応的な管理に当たって、ある程度柔軟な処理能力の調整をするような特定施設の一部改修、例えば汚水等の処理施設の改修が必要になる場合というのが想定されます。このように、計画に基づいて栄養塩類管理を実施する場合、一定の要件を満たせば、構造変更に係る許可手続の簡素化の措置ができる、あるいはそれが必要であるといった旨が記載されています。

 (3)水質総量削減制度との整合性の確保についてです。順応的な栄養塩類の管理として、状況を見つつ特定の水域では栄養塩類を管理することも検討しているところであります。他方で、水質総量削減制度は、瀬戸内海全体で陸域からの負荷量の削減や現状維持を図ろうという制度ですので、これを調和・両立させるための検討が必要となっております。

 現在、中央環境審議会水環境部会に瀬戸内海環境保全小委員会とは別に、専門委員会を設けまして、こちらの瀬戸内海の小委員会と併行して、第9次の水質総量削減の在り方に係る検討が行われているところでございます。

 (4)科学的知見の充実についてです。栄養塩類と水産資源の関係については、平成27年度から本小委員会でも科学的知見の収集・分析を行いまして、本年3月の答申の取りまとめとなりました。分かってきたことも多いわけですが、因果関係を含めて未解明な点もありまして、引き続き更なる調査研究が必要でございます。最新の知見を順応的管理に反映していくといったことが求められます。

 (5)関係者の協力についてです。栄養塩類管理の実施に当たっては、地域の関係者等との合意形成が必要であるといったことから、その旨記載しているところでございます。

 次に、2ポツ、自然海浜保全地区の指定対象の拡大及び保全の質の向上についてです。

 (1)自然海浜保全地区の指定対象の拡大、(2)自然海浜保全地区の定期的な点検、(3)地区指定に係る視点という構成としております。

 まず(1)について、瀬戸内海における生物の多様性及び生産性の確保に当たっては、先ほどの栄養塩類の管理のほか、もう一つ生物の生息・生育環境の確保・改善といった点も両輪として同時並行で実施していくことが不可欠です。

 瀬戸内海環境保全特別措置法では、自然海浜保全地区という制度が設けられておりまして、地域の人々の活動の場となっている砂浜・干潟などが保全の対象となっています。この制度は、僅かに残された自然海浜を守ろうということで設けられたものですが、いわゆる里海づくり活動等によって、人の手で再生・創出された藻場なども指定対象に加えるような変更が必要と考えております。

 この自然海浜保全地区制度は、保護区制度ではありますが、工作物の新築等の行為に当たって届出が必要といった、規制としては比較的弱い制度でございまして、この制度のみで瀬戸内海の自然環境の保全を図るということは、当然難しいわけですけれども、一方で、こういう規制の弱い制度だからこそということで、地域で行われている保全・再生・創出の活動により、良好な状態となっている海域について、地域への負担が少ない形の保護区として積極的に発信し、里海づくり活動の励みとなって、更なる活動の促進であるとか横展開といったことにつながるきっかけにしたいというふうに考えてございます。

 自然海浜保全地区の概要や規制の内容については、参考資料の2の別紙もございますので、適宜御参照ください。

 次に、(2)について、一方で自然海浜保全地区の現状といたしましては、第23回の小委員会で御説明いたしましたが、関係府県に行ったアンケート調査におきまして、全91地区のうち、60の地区では何らかの保全活動が把握されているものの、残りの31地区については府県において保全活動を把握できていないといった状況が分かってきております。詳細は参考資料の3を御覧ください。

 このような状況に鑑みまして、地区指定後も定期的な保全状況の点検が行われ、自然海浜保全地区の維持やさらなる質の向上といったことにつながるような仕組みが必要と考えております。

 (3)について、こちらは第23回の小委員会において、沖委員から、エコトーンとか生物の移行帯が生物多様性の保全上大切なので、そういったことも意識していくとよいのではないかといった御指摘をいただきましたので、そうした点も踏まえまして、また自然環境行政との連携といった観点も含め、地区指定に係る視点ということで記載しております。

 続きまして、3ポツ、湾・灘協議会の活用による連携強化についてです。先ほど資料2-3においても御紹介いたしましたけれども、第23回小委員会で、山田委員の御指摘も踏まえまして、(1)において国によるガイドラインの作成の必要性や、より広域的な連携の推進について記載しております。

 (2)では、既存の会議体を活用することが関係府県の負担を軽くすることにつながるのであればということで、記載いたしました。本年3月の答申の取りまとめに係る審議の中で、西嶋先生からもこういった内容の御指摘をいただいているところでございます。

 4ポツ、特定施設の設置の許可対象の合理化についてです。先ほど資料2-4で御説明いたしまして、田中委員から表現ぶりについて御指摘いただいたところですが、このような許可制度については定期的に見直しを行いまして、適切なタイミングで合理化・最適化を図っていくといったことが適当というのが原則論としてございまして、このため今回の制度の見直しの検討のタイミングで、必要なことを実施していこうというものでございます。

 5ポツ、気候変動適用に係る視点その他の基盤的施策についてです。先ほど資料2-5で気候変動に係る最近の状況について御説明いたしましたけれども、答申におきましても4つの方策の一つとしまして、海洋プラスチックごみを含めまして、「漂流・漂着・海底ごみ、気候変動等の課題に対する基盤整備」といったことが記載されてございます。制度の見直しに係る全体の視点として重要と考えてございます。

 資料3-1は以上でございます。

 続きまして、これを踏まえまして、資料3-2でございます。資料3-1の基本計画の変更も視野に入れた制度見直し全体に係る論点に対し、資料3-2では、主に法令面の見直しに係るものを簡潔に整理するといった方針で編集してございます。

 まず、1ポツ。これまでの経緯でございます。平成27年の法律改正、本年3月の答申、栄養塩類の管理と藻場・干潟の保全・再生・創出等といった経緯を踏まえまして、瀬戸内海における特定の海域の環境保全に係る制度の見直しの方向性を取りまとめるものというふうに記載しております。

 次に、2ポツ、制度の見直しの必要性及び方向性でございます。(1)が順応的管理プロセスによる栄養塩類の管理です。瀬戸内海については、引き続き水質の改善が必要な海域もあるものの、全体としては大きく改善してきたこと。一方で、近年は気候変動による水温の上昇や降雨の変化、栄養塩類濃度の低下等に起因すると見られる課題も指摘されていること。

 これらを踏まえまして、湾・灘内の特定の海域ごとの実情に応じたきめ細やかな栄養塩類の管理を行っていくに当たり、現行を振り返りますと、栄養塩類の削減に主眼を置いた規定はありますが、栄養塩類が供給される場合といったものは想定しておりませんので、これに対応するルールが定まっていないという状況でございます。

 2ページについて、このような背景の下、順応的な栄養塩類の管理を効果的かつ機動的に行っていくためには、区域、管理対象、実施手法等を定めた計画を策定し、これに基づく取組をすることが適当というふうにしております。

 併せまして、この計画には栄養塩類の管理に係る取組が周辺環境の保全上、支障とならないよう、事前の調査や評価を行うことや、継続的なモニタリングを実施すること、そして万が一周辺に著しい影響があった場合には、取組の中止または変更を行うといったことなどを記載することが適当としております。

 また、計画に基づく取組である場合、所定の要件を満たせば特定施設の構造等の変更に係る手続を緩和することも適当としてございます。

 3ページ目、次に、(2)藻場等の計画的な保全・再生・創出等です。生物の多様性及び生産性の確保に当たっては、栄養塩類の管理だけではなく、藻場・干潟・浅場等の保全・再生・創出、それから底質の改善等も両輪として進めていく必要があるといったこと。これに関連して、瀬戸内海環境保全特別措置法に位置づけられた自然海浜保全地区の指定対象拡充等を図ることが必要としております。

 次に、関係者間の連携強化です。様々な主体の参画の下、広域的な課題についての府県の枠を超えた地域合意・連絡・協議等の場の設置に向けた取組が必要としております。

 (4)特定施設の設置等に係る許可制度の運用の効率化・適正化です。これまでの検討を踏まえまして、瀬戸内海の環境負荷が増大しないことが明らかな事案について、許可対象の合理化を図ることが適当としてございます。

 (5)です。漂流・漂着・海底ごみ(海洋プラスチックごみを含む)、気候変動等に係る視点その他の基盤的施策です。全国レベルで見ますと、海岸漂着物等は外国語の書かれたごみといったようなことが話題になりますが、瀬戸内海に関しましては、閉鎖性海域という特性もありまして、ほぼ日本語という調査結果もございます。もっと言いますと、おそらくこの地域由来の可能性が高いというわけですけれども、これは言い換えますと、瀬戸内海地域全体で発生抑制対策を含めて取組を推進するということが、この問題の解決にとって大変有効であるということでもあります。

 次に、気候変動について、近年の瀬戸内海において、この影響が生じていること、及びこれが長期にわたり拡大するおそれがあるといったことに鑑み、瀬戸内海の環境保全に関する施策においては、気候変動に関する視点も踏まえた対策・対応が必要としております。特に今回のトピックとしております生物の多様性及び生産性という観点では、これを踏まえた適応策の検討が必要としています。

 最後に、栄養塩類の管理に係る制度と水質総量削減制度の整合性確保、更なる科学的知見の充実、多様な関係者の積極的な関与等が必要というふうにしております。

 資料3-1、3-2の説明については以上でございます。

○岡田委員長 はい、どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。細川先生、どうぞ。

○細川委員 細川です。

 資料の3-1、3-2について、一つ御意見を言います。資料の3-1の例えば2ページ目のラインの7を読みますと、栄養塩類管理計画をまず人為的に管理し得る狭い範囲が望ましいというような論点の整理にしてあります。この整理だけを読むと、湾・灘協議会などはさておいてというようにどうしても読めてしまいます。栄養塩類の管理計画というのは非常に大きな計画、管理計画のように思えます。非常に大事な計画のように思えますが、それをこういう狭い水域に落とし込むというのについては、論理の整理が必要だと思います。

 目標達成のための手段として、まずここから始めるというような論理、これを示してほしいと思います。これが示せたらもうちょっと分かりやすくなるのではないかと思います。例えば、資料の3-2のほうでは、基本計画の4つの方法というので、1ページ目の8行目に、「栄養塩類の管理等による生物の多様性及び生産性の確保」という方策が掲げられております。この基本計画を達成するために、①栄養塩の一番大事なところ、あるいは生産性が高いところ、これが一番陸地に近い浅いところです。ここからまずは改善していくというようなロジックを組み立てていただいて、その上で、②この近場については生産性を上げる、あるいは水産の均衡を図るというようなことも踏まえて、こういうことから取り組むというような、浅い場所での栄養塩循環の位置づけを示していただいて、その上で③河口の近く、あるいは栄養塩負荷の近くの浅いところから計画を立てていくというようなロジックにしたらいかがでしょうか。それが一つでございます。

 さらに、こういうロジックを立てますと、資料3-2のほうで、「栄養塩の管理と、藻場・干潟の、あるいはエコロジカルネットワークとの結びつきの整合性」とか、「両輪の同時並行」とかといった抽象的な記述部分の解決の仕方についても少し具体的に見えてくるのではないかと思います。どうやったら整合性が取れるのかというようなところについて、もう少し論理の道筋が見えてくるのではないかというふうに思う次第です。

 以上です。

○岡田委員長 これは、事務局からお答えください。

○浜名室長補佐 環境省、浜名です。御指摘ありがとうございます。

 いただきました御意見の中で、答申の流れからのことを改めて御説明させていただきますと、瀬戸内海全体としましては、過去に比べて、水質の改善は進んできている一方で、現在の状況としましては、栄養塩類が偏在しており、さらに水質の改善が必要な場所もあれば、主に漁業、特にノリ養殖といったものに関しては、栄養塩類が足りていないのではないかといったような、そういう課題、それぞれ海域ごとに、ばらばらの課題が出てきているという現状認識がなされております。

 したがって、今回のタイトルにもございますけれども、湾・灘内の中の特に特定の海域、そういった場所での栄養塩類の管理というものが重要であると、そういう位置づけでございますので、瀬戸内海全体で生物多様性、あるいは生産性の観点から栄養塩を管理していくというよりは、特に課題が顕著になっている特定の水域というところで、スタートの時点から、かなり狭いエリアを意識しながら、湾・灘内の一部ということで議論をスタートしています。そのストーリーでの答申からの流れに沿ったものではありますが、そこの大きな流れの説明を省力して説明していました。大変失礼いたしました。

○岡田委員長 事務局、どうぞ。

○行木室長 一点だけ追加で申し上げたいのですが、例えば湾・灘協議会の場なども活用いたしまして、この資料3-1の6ページのライン17あたりから書いておりますとおり、今お話のあった栄養塩管理などによる生物の多様性・生産性の確保などの合意形成の場としての活用を期待されているといったようなことも書いてございまして、対象とする区域としては、先ほど浜名から申し上げましたとおり、小さく、より細かく区切って、地域の状況に応じてということを念頭に置いておりますが、当然地域、湾・灘など、様々な関係者との意見交換をし、合意形成を図っていくという、より大きな視点からみた課題だとも認識はしているところでございます。 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございます。細川先生、よろしいですか。

 それでは、鷲尾先生。

○鷲尾委員 ありがとうございます。幾つかちょっとお伺いしたいところがございます。

 まず、資料3-1、今話題になりましたけれども、9行目の特定の海域というのが、いろんな問題が起こっているところを指すということは、今伺い知ったところですけれども、どこを指すのかというのがいま一つ分からなかったものですので、特定の海域というものの定義をお伺いしたいというのが一つ。

 それから、3-1の5ページ目になりますけれども、自然海浜保全地区の記載がございますけれども、先ほどの説明の中にもありましたけれども、藻場・干潟などのものも、人工造成されたものも指定対象に含めるということが挙がってきております。このときに、藻場・干潟、それぞれの属性で定義されたものだけではなくて、エコトーンというような、場の連続性みたいなものを意識した形に認識していただいたほうがいいのではないかと思いました。

 それから、その下に、自然海浜保全地区の定期的な点検という項目に関連するかと思いますが、その後、OECMという海洋保護に関する手段が出てきておりますけれども、これは6ページの5行目に入ってきておりますけれども、まさに海洋保護区の議論が国連をはじめ、進められております。我が国における海洋保護区というのは10%にしないといけないところが、少し前までは8.3%、今度、拡大されて10%を超えるという見込みがついたところです。そこで言う海洋保護区というものとの関連というのを、ぜひ記載していただきたいというふうに思います。

 OECMのほうも、海洋保護区としてきっちり管理する部分と、それに準ずる部分というような位置関係ができるかと思いますので、その整理をぜひ記載していただきたいということがあります。

 それから、もう一つ、次になりますけれども、6ページの湾・灘協議会のところですけれども、23行目、二つ目の丸ポツですけれども、関係府県が湾・灘協議会等を設置するという、主語が関係府県になっておりますけれども、府県をまたがる課題もあるわけですので、関係府県が単独、あるいは共同で湾・灘協議会等を設置するというケースもあるのではないかと思いますので、そこを配慮いただきたいと思います。

 最後というか、7ページになりますけれども、4ポツの1行目、行数で言うと6行目になりますが、括弧書きされているところ、(下水終末処理施設等一定の場合を除く)、この一定の場合というのは、日本語的にどういう意味なのかが分からないので、分かるように書いていただきたいということ。

 それから、全体に係るところですけれども、特に最後の気候変動、その他基盤的施策という中にぜひ入れていただきたいのが、海砂の問題です。温暖化とか、栄養の問題とかは話題に上ってきましたので、ありがたいと思いますが、瀬戸内海でもう一つ大きいのは、長年続けられてきた海砂採取です。

 その跡地が、採取が規制されるようになったのはいいですが、その後、ほったらかしです。ですから、海砂の砂場というものの海底環境の多様化ということが放置されたままですので、海砂の課題をぜひ取り上げていただきたいというふうに思います。

 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 では、一つ一つ関係者のとおり、そのとおりというものはさっと済ませて結構ですので、どうぞ。

○浜名室長補佐 環境省、浜名でございます。

 多岐にわたり御指摘いただき、ありがとうございます。

 まず、栄養塩類の管理のところで、特定の海域について、資料を簡略化するという観点で、少し省略しましたが、3月の答申において、どのようなことが課題として挙げられていたかということを振り返りますと、例えばですけれども、大阪湾の湾奥部においては、埋立て地等が入り組み、高濃度で栄養塩類が偏在しているといったことや、播磨灘南部、豊後水道等においても、近年も夏季を中心に赤潮の発生に伴う養殖魚介類の斃死等の被害が発生しているということ、播磨灘、備讃瀬戸等においては、栄養塩類濃度の低下及び水温の上昇等による植物プランクトンの種組成の変化により、冬季に大型珪藻が優占するようになり、栄養塩類をめぐる競合が起こり、養殖ノリの色落ち等の被害が発生している等々、ほかにもイカナゴの話や、カキ、アサリの可能性の話ですとか、そういったことも記載されておりまして、ここ辺りをイメージして、湾全体、あるいは灘全体というよりは、その中でも特定の海域というところで特に問題が発生しているという理解でございます。

 続きまして、自然海浜について、まさしく前回、沖先生から指摘がありましたのもエコトーン、移行帯の部分でございます、そこ辺りも意識しまして、地区指定に係る視点ということで記載しましたが、もう少し明確にエコトーン、あるいは移行帯という言葉で記載するようにしたいというふうに思ってございます。

 それから、OECMのところとか、海洋保護のところは、後ほど自然環境局に発言していただこうと思っておりますが、先に、4ポツの括弧書きの中ですね。ここは、先ほど田中委員からも書きぶりについて御指摘をいただいたところですので、後ほど、国交省の下水道部局の皆様に、表現について確認を取りたいと思っております。

 また、海砂のところ、おっしゃるとおりかと思っております。書きぶりについて、今後検討してまいりたいと思います。

○羽井佐補佐 自然環境計画課の補佐の羽井佐と申します。御指摘いただきまして、ありがとうございました。

 OECMに関しましては、今年度、我が国でどのように取り組んでいくかという勉強会を専門家の方と一緒に始めたところでして、まさに今、勉強しながら進めているという状況でございますので、関係省庁の方々とも適宜相談をしながら、今後1、2年かけて検討していくこととなっております。

 そのような状況も踏まえまして、この計画の中での書きぶりにつきまして、水産庁の皆様ともいろいろと御相談しながら、閉鎖性海域対策室との間で、書きぶりの充実ができるかどうかを考えていきたいというふうに思っております。御指摘ありがとうございました。

○岡田委員長 ありがとうございます。よろしいですね。

では、次に田中先生、どうぞ。

○田中委員 ありがとうございます。大きくは3、4点あります。

 まず1点目は、資料3-1の位置づけがちょっとよく分からりませんが、最初の3-1の6行目とか7行目、3-2のほうは、制度についての意見具申案ということで書かれていますが、制度の見直しに係る意見具申と併せて、今後の検討において踏まえるべき論点を整理するもの、これの意味が分かりませんが、これはどう扱われるのかと。単なるメモとして、議論するときのメモになるのか、それとも、制度の意見具申の中に何か盛り込まれるのか、それとも、別個に公開される意見書みたいな形になるのか。それがまず1点目です。

○岡田委員長 では、これはちょっと先に答えていただいたほうがいいと思いますから、どうぞ。環境省のほうから。

○浜名室長補佐 ありがとうございます。

 資料の説明の際、冒頭に、口頭で御説明いたしましたところでございますけれども、制度の見直しと申しますのは、法律改正もありますし、その下での政省令の改正、さらに基本計画など、あるいはガイドラインや通知といったものの見直し、さらには、制度だけではなく、この審議会でいろいろいただいた御意見の中には、予算措置により実施していくべきものといった多岐にわたるものがございました。

 今回、制度の見直しに係る方向性ということで意見具申はいただこうと思っておりまして、ここは主に法令面での見直しということを意識しているわけですけれども、資料3-1としましては、法令面だけではなくて、基本計画、府県計画、さらには運用通知、または予算措置により実施していくべきもの、そういったものも含めて記載しているところでございまして、制度の見直しということで、まず、法令の見直しを行った上で、恐らくですけれども、来年度には、基本計画の変更の諮問というものを審議会に対してさせていただくことになるかと思っておりまして、基本計画を策定する際の論点ということで、今回、資料3-1のほうで記載をしております。

 なので、今回、資料3-2をお示ししまして、ここでいただいた御意見等をさらに踏まえて、一旦、法令面の見直しに行くわけですけれども、その後、再び基本計画の変更に戻ってまいりますので、そのときにいただいた御意見を踏まえて作成し、また皆様に御審議いただきたいというふうに考えてございます。

○田中委員 そうですか。そうすると、結構ここで残しておくこと、細かいことも含めて重要だということですね。

○浜名室長補佐 はい。御指摘のとおりでございます。

○岡田委員長 どうぞ、田中先生、続けて。

○田中委員 では、その上で、資料3-1の中身の中で特に気になっているのが、計画の記載事項のところで、3ページ目あたりのところですけど、何をこれからモニタリングするかというときの話ですが、栄養塩を必要なところは増やす方向でいいんだけれども、何の栄養塩を本当に戻すのか。戻す意味は、特に陸域側で戻した場合と、欲しいと言っているところとの間はどうなっているのか。ここの部分が、先ほど御説明いただいた資料2-2のほうで、かなり細かくいろんな視点で、まだ分からない点もあるが、いろいろ議論が書かれています。

 この中の、こちらに戻って、資料3-1に戻ったときに、この中身をずっと見ていくと、12行目あたりまではCOD、全窒素、全燐及び底層DOですよね。そのときに「等」と書かれていて、実は、「等」が極めて重要なものがいっぱい入っているだろうと思います。ところが、この「等」をさっと読んでしまうと、環境基準点において、全窒素、全燐、底層DO、CODを中心にモニタリングするだけでいいというふうに誤解される可能性があって、特に窒素の場合、戻すべきものがアンモニア性窒素なのか、硝酸性窒素でもいいのか、この部分が出す側から言うと、極めて重要だと思います。特に下水道では、どちらを流すかによって、非常に大変な操作が必要になってくる。それは、徐々に増えることは増やせるが、別の項目、具体的に言うと、BODの問題が非常に大きな問題になります。

 先ほど、資料2-2の中では、アンモニアで流しても、結局そこの水域に至ったところで硝酸の形態になっているのではないかという意見が書いてあったりしてあります。だから、モニタリングの中では、何が必要なのかをもうちょっときちんと議論して書くべきだと私は思います。それが1点です。

 それから、資料3-1の中の課題かな。5ページ目の科学的知見の充実、これは多分もっといっぱいあると思いますが、その中で、非常に大きな問題として、海の側からの意見として必要なものが少し書かれているんですが、議論として、陸域側からいろんな栄養塩が供給が減っているんだろうという想定がされてきているわけですよね。その原因がやっぱりよく分かっていないと思います。

 それは、陸域側の中には都市もあるし、それから農地もあるし、山林もあるし、それから畜産系施設もあって、こういうものが陸域から一帯長期的にわたってどう変化してきているのか。これがやはり理解が足らないだろうと思います。その上で、長期的に、コントロールすべきものが点源だけでいいのか、あるいはもう少し何か協力すべきものがあるのか。こういう議論のベースのデータがあまりにも不足している。だから、そういう部分をしっかりとここに、少なくともそういう部分は書いてほしいと思います。

 それから、資料3-2のほうですけど、ここは、あまり時間がないので1点だけにしますけれども、2ページ目の部分です。2ページ目の丸の三つ目のところです。併せてのところです。ここで、先ほどの物質の話が、ここではより具体的に22行目ぐらいに書いてあります。

 化学的酸素要求量つまり、CODですよね。そのほかに、その他の水の汚染状態を示す項目、これが何を一体示す、どこまで含むのか。例えば先ほどもアンモニア性窒素というのは、栄養でもあるけれども、生態系の保全から言うと、環境基準はまだ定められていません。環境基準を定める話さえあった項目であって、こういうものについても含まれるのかどうか。こういうところも議論を実はしっかりと本当はやっておく必要があると思うので、この辺についての見解を聞きたいと思います。

 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございます。

 どうぞ、環境省。簡潔に。

○浜名室長補佐 専門的な見地からの御指摘、大変勉強になりました。我々はまだ詰めなければいけないことが多々あるということを改めて認識した次第でございます。ありがとうございます。

 そこで、資料3-2の部分だけ、1点だけちょっと御説明いたしますけれども、ここは、計画を定めるという観点で、いわゆる制度的に法令に書いていくときに、そこではあまり具体名を羅列していくということが適切ではないものですから、その他の水の汚染状態を示す項目というふうに書かせていただきましたけれども、これは、いずれ基本計画や、通知といったところで明らかにしていかなければいけない内容ですので、今後、さらに詰めていきたいと思っております。ありがとうございます。

○岡田委員長 ありがとうございます。ということでよろしいですかね。これはあくまでも方向性を示すという趣旨ですね。よろしいですか。

 次に、白山先生、どうぞ。

○白山委員 ありがとうございます。三つほどコメントさせていただきたいと思います。

 まず一つは、科学的知見という言葉がたくさん出てきますが、実は2021年からが、国連の定めた持続的可能な発展のための海洋科学の10年というのに定められておりまして、世界的に海洋科学の推進を、持続可能な社会の実現のために推進しようと、こういう話になっております。

 それから、例えば昨年、大阪ブルーオーシャンビジョンというのが出たりしておりまして、国際的に非常に沿岸環境の保全というのが大きなトレンドになっているし、大阪ブルーオーシャンビジョンを考えれば、日本は主導すべき立場にある。

 瀬戸内海というのは、そういう一つの典型的な、国際的に誇れるような管理の成功例の一つだと言えるのではないかと思います。そういう、今後も国際的な社会の動きをもうちょっと意識するような書きぶりがどこかにもっとたくさんというか、もっといろいろなところにあっていいのではないかと。そうでないと、せっかくの成功例がガラパゴス化してしまって、非常に残念、もったいないというふうに思いますので、その辺、論点の中に加えていただきたいというのが一つです。

 二つ目は、先ほどの鷲尾先生のコメントにもありましたけれども、自然海浜保全地区の指定とか、そういうことですが、増えた、指定したでおしまいではなくて、その後、どうやってそれを維持していくかというようなことまで、しっかり論点としては書くべきではないかというふうに思いますので、そこをもうちょっと膨らませてほしいというのが二つ目の意見です。

 それから、三つ目ですが、科学的な知見という言葉の中に入っているのかもしれませんけれども、最近、モニタリングに貢献する新しい技術が、海洋科学の中では非常に長足に進歩しておりまして、その辺りを利活用するのだということをしっかり書いていただきたい。

 例えば、赤潮や魚種、さらにはその魚種の現存量等も、環境DNAから推定する、あるいはモニタリングするという手法が、科学論文としては多数出版されてきております。こういう最新の技術も活用するということを書いていただけるとありがたいと思います。

 長くなりました。以上です。

○岡田委員長 今の白山先生の御意見、ありがとうございました。これは事務局のほうで検討するということで、時間が押していますので、高村先生、簡潔に御意見をよろしくお願いいたします。

○高村委員 高村です。よろしくお願いします。

 自然海浜保全地区というのが、それが設定された当時と比べ、大分かけ離れた役割を期待するようになっていると思います。たくさんの委員の先生がおっしゃいましたけれども、それの広がりとか、つながりとか、そういうふうなことを意識していただければ。

 あと、今申したのは空間スケールの問題ですが、時間スケールについても、藻場の再生というのは大体10年ぐらいは見ていかなくてはいけない。今やっても、効果が現れるのが例えば10年後なので、栄養塩とは違った時間スケールでのモニタリングや、メンテナンスが、省庁横断的に、実施していく必要があると思います。その取組の中に、藻場の再生のメンテナンスや、モニタリングなどの位置づけもしっかりと入れていただきたいと思います。

 あとは、他の先生が言われたと思いますので、それだけです。

○岡田委員長 ありがとうございます。これは、では、資料3-1のほうに入れていただければと思います。

 では、次に大塚先生、お願いします。

○大塚委員 恐れ入ります。大塚です。

 ちょっと1点質問させていただきたいので、恐れ入ります。資料3-1のほうの、この栄養塩類の管理計画ですが、これは、一度つくってから変更するのはどれぐらいの頻度を考えていらっしゃるか。やや違和感があるのは、資料3-1のほうの3ページの33行目の⑤で、指定に当たっての意見聴取になっているんですけど、文章を見ると、指定ではなくて、計画の策定の話になっています。あと、4ページの⑥もそうです。

 なので、こういうところに表れていると思いますが、計画の策定と計画区域の指定が、一体化されてしまっていて、たしか2ページの17行目のところの④で、計画区域というのが計画の記載事項に入っていますので、関係府県が計画をつくるときに計画区域もつくるということだと思いますが、1ページの31行目ももちろんありますが、これは、計画区域の指定と計画の策定とがどういう関係に立っているのかというのはよく分からない書き方だと私は思ったので、この点、教えていただきたいです。

○岡田委員長 これは環境省のほうからお答えください。

○浜名室長補佐 ありがとうございます。

 まず、先ほどの3ページ、4ページの指定のところは策定ではないかと。まさしくそのとおりで、いろいろ修正していく中でごちゃごちゃになってしまったところがあって、大変申し訳ございません。

 今、大塚先生がおっしゃいましたとおり、計画をつくるときに、計画区域と計画の中身というのは一体的に考えていくものではあるので、そこをどのように、どういう順番でやっていくのかというのは、基本的には一体でやっていくべきものだと思っていますので、少しそういった観点で表現ぶりの整理を整えてみたいと思います。失礼いたしました。

 それから、最初の点でございます。計画のスパンの話ですけれども、こちらは、答申の取りまとめに当たって御意見をいただく中で、いわゆる基本計画のような、5年に一度みたいな時間スケールではなくて、機動的に、できるだけ早く見直していく。可能であれば、年1とか、あるいはもっと可能であれば、最新の気象条件とか、そういったものの予測も踏まえて、さらに短いスパンでといったような御指摘も審議会の場でいただきましたので、年1ぐらいをイメージしつつ、理想はもっと短くと、そういったようなイメージでございます。

○大塚委員 ちょっとだけいいですか。私は、科学的なことが必ずしもよく分かっていなくて申し訳ないですけど、中身は変わらないが、計画区域だけ少し広げたほうがよかったというようなことが出てくることもあるのかなと思っていて、そうすると、今おっしゃったように、頻繁に計画を改定できるようにしたほうがいいですが、普通、区域の指定の話と計画の中身の話は、別に法的には考えることが結構多いものですから、先ほどお話を聞いていて、一体化したほうがいいという御趣旨はよく分かりましたけど、区域だけ変えるということが少し機動的にできるようにしていただけるとありがたいと思いました。ありがとうございます。

○岡田委員長 ありがとうございます。これは御指摘の趣旨というか、御指摘か御心配の趣旨を踏まえて、再度環境省で検討してもらえればと思います。

 では、次に西嶋先生、お願いします。

○西嶋委員 特定の海域における栄養塩類管理の仕組み導入というのは要望も多い話で、とてもいいことだと思います。ちょっと気になっているのが、資料2-2のところで御説明いただいた、様々な意見が出ていて、計画を立てて、予測をして、モニタリングしてというようなことが書かれていますが、これを全部やれという話になると、なかなか現実はできないのではないかと思います。

 今の取組を既にされているところも、やはり網羅的にこれができているところはほぼないと言っていいと思います。その中で、要望の中にもひな形がないので、調査手法とか評価方法が分からないというような御指摘もございますし、予測するには、どうしてもシミュレーションが必要になってくると思いますが、それを独自につくっていく、それぞれつくっていくというのもなかなかハードルの高い話だと思います。

 その中で、資料3-1のところの3ページの頭のところに、数値シミュレーションモデルの構築には大きな努力を要するため、今後必要な支援を行うことが望ましいというようなことが書かれています。これは多分想像するに、環境省が主語だと思いますが、こういう取組をしていく中で、一つは、マニュアル的なものをどういうふうに整理していくのかとか、特に広域になったときに、そういう支援ツール的なものをどう準備していくかというようなことも合わせていかないと、要求ばかり大きくなってくると、実際にはなかなか対応できないということにもつながると思うので、その点のお考えを聞かせていただきたいですが。

○岡田委員長 では、どうぞ、環境省。

○浜名室長補佐 ありがとうございます。

 今まさにおっしゃっていただきました、必要な支援を行うことが望ましいということで、我々は、理想としましては、何か環境省からシミュレーションできるものを提供できればという思いもありましたが、現実的にそう簡単にできるものでもないという御指摘もいただいております。ここは、実はお金が許せばという側面はありますが、先ほど気候変動のシミュレーションはスーパーコンピューターも使っていて、いろいろやれる御時世になってきておりますので、そういったものも活用も考えていただけて、実現可能であれば、より詳細なシミュレーションができて、なおかつ周りの方々に対しても説明しやすいことになるのではないかと思っております。そういったものを少し視野に入れながら、具体的にはさらに検討していきたいとに思っております。

○岡田委員長 よろしいですか。

○西嶋委員 はい。ありがとうございます。

○岡田委員長 末永先生、手が挙がっているかと思いますが。

○末永委員 よろしいでしょうか。

○岡田委員長 はい、どうぞ。

○末永委員 今、西嶋先生のほうの御意見と同じようなことですが、今回、植物プランクトンの光制限、あるいは栄養塩制限の例を出されていますが、これは多分生態系モデルにフィッティングさせているのではないかというふうに見えました。なので、もしかしたら今、数値シミュレーションに関しては、ある程度準備されているのかなと思いました。おそらくこの点につきましては、今日御参加いただいている柳先生などが御専門でありますので、見解がお聞かせ願えるのではないかなと思っています。

 それと、もう一つは、資料3-1の中で、水質、底質等という文言が出てきますが、先ほどの田中委員のほうの御意見にもありましたように、やはり今、香川県でも工場地帯、あるいはその中の漁港において、養殖基準の底質は定められていますが、実際に臭いも、実際に泥も取っても非常に基準を満たさない、ひどいという状況になっていると。

 その項目の中に、泥の環境基準を満たすのは、ダイオキシン等、そういった毒性のあるものの基準しかない。養殖をしているところであれば、COD20mg/gという基準は出てきていますが、それ以外のところでは、底質の基準が不明になっているところが多いという漁業者の声が最近多く聞かれてきております。先ほどの項目の中に、底質の関する項目も現行のダイオキシン以外も何か配慮できるような、検討できるようなものにしていっていただけたらなというふうに感じております。

 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。今の点は、環境省、よろしいですね。資料3-1のほうの中で御検討いただくというふうにしたいと思います。

 まだ御意見があるかと思いますが、予定の時間は5時半までということになっておりますので、本日の御意見をいただくのはここまでというふうにしたいと思います。

 ただし、やはりいろいろ御意見があると思いますし、事務局としてはいろいろいただきたいというふうに思います。資料3-1につきましては、まだこれから徐々に追加、修正していく論点です。そういう意味では比較的時間の余裕がありますが、資料3-2につきましては、これは見直しの方向性ということで、どちらかというと、早めにこれを確定しないと、次のステップに進めないということで、申し訳ございませんが、私が言うのも変な話ですが、事務局の都合もございますので、できましたら、今日、明日中ぐらいまでに、特に資料3-2については、文章の問題の細かいところもあるかと思いますので、御指摘をメールにて事務局にいただければ大変ありがたいというふうに思います。

 頂いた御意見も踏まえまして、資料3-1はこれからずっと追加、修正していくということで作業をするということにしたいと思います。ただ、資料3-2につきましては、本日いただいた幾つかの御意見を踏まえまして、必要な作業を進めて、今後、パブリックコメントを実施しなければならないというふうに思います。パブリックコメントをいただいて、次回の審議会で再度御審議いただくということになります。

 頂いた意見を踏まえた修正につきましては、申し訳ございませんが、委員長に御一任いただいて、作業を進めるということでお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 よろしいですね。それでは、今後、事務局と調整いたしまして、成案をつくり、パブリックコメントを実施し、さらにもう一度、次回の審議会で御議論いただくというふうにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 よろしいですね。

 ありがとうございました。それでは、議題3のその他でございますが、事務局から何かございますか。

○佐藤係長 特にありません。

○岡田委員長 議題については以上でございます。

 全体を通じて何か特にという御指摘があれば承りたいと思いますが、よろしいですか。

 それでは、事務局にお返しいたします。

○佐藤係長 委員長、議事進行ありがとうございました。

 委員の先生方におかれましては、活発な御審議ありがとうございました。

 次回の小委員会の開催については、委員長と調整の上、御連絡させていただきます。

 本日の議事録については、委員の皆様には速記がまとまり次第、お送りさせていただきますので、御確認をお願いしたいと思います。御確認いただいた議事録は、環境省ウェブサイトで公開いたします。

 それでは、以上をもちまして、第24回の小委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。

午後5時32分閉会