中央環境審議会水環境部会 瀬戸内海環境保全小委員会(第18回)議事録

議事次第

開会

議題

(1)関係者からのヒアリング

(2)その他

閉会

出席者

委員長 岡田光正委員長
委員

大塚直委員、高村典子委員、白山義久委員、西嶋渉委員、池道彦委員、沖陽子委員、清水芳久委員、田中宏明委員、細川恭史委員、柳哲雄委員、山田真知子委員

関係者

国立環境研究所地域環境研究センター海洋環境研究室 金谷主任研究員

国立研究開発法人水産研究教育機構瀬戸内海区水産研究所生産環境部環境動態グループ 阿保グループ長

国立研究開発法人水産研究教育機構瀬戸内海区水産研究所生産環境部藻場生産グループ 吉田グループ長

事務局

環境省:水・大気環境局長、水・大気環境局総務課長、水・大気環境局水環境課長、水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室長補佐、閉鎖性海域対策室審査係長、自然環境局自然環境計画課係長

文部科学省:文化庁文化財第二課課長補佐、文化財第二課文部科学技官

農林水産省:水産庁増殖推進部漁場資源課長補佐、水産庁漁港漁場整備部計画課計画官、林野庁森林整備部計画課森林計画官

国土交通省:水管理・国土保全局海岸室課長補佐、水管理・国土保全局下水道部流域管理官付課長補佐、港湾局海洋・環境課係長(代理出席)

議事録

午後1時30分 開会

○佐藤係長 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第18回瀬戸内海環境保全小委員会を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席をいただき、誠にありがとうございます。

 本日の出席状況でございますが、委員23名中、12名の御出席をいただいております。また、委員及び臨時委員7名中、5名の御出席をいただいており、定足数である過半数を満たし、本小委員会は成立することを御報告いたします。

 なお、足利委員、三浦委員、岩崎員、白石委員、末永委員、佐伯委員、中瀬委員、西村委員、野田委員、宮迫委員、鷲尾委員につきましては、御都合により御欠席との連絡をいただいております。

 また、本日は、関係者からヒアリングを実施させていただきますので、発表者の方々を御紹介いたします。

 国立研究開発法人国立環境研究所地域環境研究センターの主任研究員の金谷様でございます。

○金谷主任研究員 よろしくお願いします。

○佐藤係長 国立研究開発法人水産研究・教育機構瀬戸内海区水産研究所生産環境部環境動態グループグループ長の阿保様でございます。

○阿保グループ長 阿保です。よろしくお願いします。

○佐藤係長 同じく、瀬戸内海区水産研究所生産環境部藻場生産グループグループ長の吉田様でございます。

○吉田グループ長 吉田です。よろしくお願いします。

○佐藤係長 それでは、議事に先立ちまして、水・大気環境局長の小野より御挨拶申し上げます。

○小野水・大気環境局長 どうも、先生方、本日はお忙しいところ、おいでいただきまして、大変ありがとうございます。

 本日は、ヒアリングも第4回目と、最終回ということでございますので、引き続き、よろしくお願いいたします。

 先ほど御紹介させていただきましたように、本日は、国立環境研究所の金谷様、それから瀬戸内海区水産研究所の阿保様、吉田様にお越しいただいております。御多忙の中、また、遠方よりお越しいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、瀬戸内海の水産資源、気候変動、藻場、干潟等々、最新の調査研究の成果、実施状況について御議論いただければと考えております。

 また、本日は文部科学省、それから農林水産省、国土交通省の担当の方々にもお越しいただいておりまして、瀬戸内法の施行状況について御報告いただくこととなっております。大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、委員の先生方、本日もどうぞ、よろしくお願いいたします。

○佐藤係長 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料につきましては、環境負荷削減の観点から、ペーパーレス化の取組を推進しております。お手元のタブレット端末に本日の資料が一式格納されておりますので、御確認ください。左上側面に電源がございます。

 議事次第、配席図、資料1、2-1~2-6、参考資料1~4となっております。

 各資料を御覧になりたいときは、その資料が表示されている部分を1回タップしてください。見終わりましたら、もう一回、画面をタップしていただきますと矢印が出てきますので、それを押していただくと前の画面に戻ります。

 資料の不足やタブレット端末の不具合がありましたら、事務局にお申しつけください。

 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいております。

 なお、プレスの方はこれ以降の写真撮影等はお控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、この後の議事の進行につきましては、岡田委員長にお願いしたいと思います。

 岡田委員長、よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 かしこまりました。委員の皆様方、それから関係者の方々におかれましては、大変御多用の折、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 早速ですが、議事に入りたいと思います。

 今回は4回目の関係者の皆様からのヒアリングでございます。各御説明いただく方々には、大変時間が短くて恐縮でございますが、それぞれ15分ということで御協力のほどをお願いいたします。

 質疑応答に関しましては、前半のお三方にまとめて御説明いただいた後に、一旦、時間をとり、その後、関係省庁の方々からの説明の後、もう一度、時間をとるということにしたいと思います。また、最後に、全体を通じての御意見、御質問をいただく時間を設けるというふうにいたします。

 では、早速でございますが、前半のお三方の御説明をいただきます。

 国立環境研究所の金谷様、よろしくお願いいたします。

○金谷主任研究員 国立環境研の金谷です。

 今日は、過去20年間のデータ、10年おき3回の瀬戸内海のデータを用いて、埋在性のベントスである貝やゴカイの仲間とか、ヨコエビ類のような小さな甲殻類など、そういった泥の中に埋まったり、表面をはったりしている生き物たち、生態系の中で消費者として、魚の餌となったり、生態系の基盤となっている生き物たちがどうやって変化してきたのか、その原因は何かという解析結果を御紹介させていただきます。

 資料は2-1を御覧ください。

 それでは、2枚目に参ります。

 今回、お話しさせていただく内容は、環境省請負業務「閉鎖性海域における気候変動による影響把握等検討業務」という、過去3年間実施しまして、今年度から新たに適応策の検討も加わった内容にて4年目に入った業務の解析結果になります。

 こちらについて、国立環境研究所の、私がおります地域環境研究センターで、チームで解析を行っているところです。

 3枚目のスライドに行かせていただきます。

 非常にざっくりと、四つのサブテーマでこの気候変動業務をやっておりまして、サブテーマ1では水温・水質等のデータ分析、過去の30年ぐらいのデータを用いて、瀬戸内海の水温が本当に上がっているのか、どの海域で上がっているのか、そういった解析をしております。

 サブテーマ2では本日お話しいたします底生生物群集についての解析を行い、サブテーマ3では植物プランクトンの優占種交代というのが起こっていて、それの原因が水温なのか、栄養塩なのか、光なのか、そういった要因を知るために、実験室で培養実験などを行っています。

 サブテーマ4では瀬戸内海全体を束ねて、過去の水温、現在の水温、そして将来、水温、水質、底質がどう変わるか、モデルを用いて予測しております。

 これらをあわせて、モデルの結果から、将来、瀬戸内海の植物プランクトン、ベントス、水温、水質、これがどう変わっていくのかということを、今、調べているところです。

 4枚目のスライドに行きます。

 今回、私はベントスに関する解析結果を御紹介します。目的としましては、まず、ベントスに影響していると思われる底層水温が瀬戸内海でどう変わってきたのか、そして過去のデータから、生息環境がどう変わるとベントスはどう応答するかの対応関係を類推しました。その結果を用いて、現在、将来予測を行っている最中です。

 方法については、過去の水温・底質・底生動物の調査データを用いた多変量解析などを行っています。

 5枚目で、ベントスと底質のデータというのは、瀬戸内海環境情報基本調査という、1980年代から2010年代まで、10年置きに425定点で調査を行った底質と底生動物のデータがあります。第1回目は底質のみですが、そのデータを用いた解析を行いました。

 水温の解析は、行政調査である瀬戸内海総合水質調査と広域総合水質調査、こちらのデータを使用させていただきました。

 それでは、早速、解析結果に移ります。6枚目です。瀬戸内海の底層水温を平均値で海区ごとに示しております。

 1月、5月、7月、10月でどういう傾向が見られるかということですけれども、夏から秋にかけて高水温の海域というのは、播磨灘とか、備讃瀬戸といった瀬戸内海の東側の海域になります。これらの海域は、冬になると逆に非常に水温が下がります。

 一方で、外海である太平洋に面した紀伊水道、豊後水道、あとは東シナ海、日本海に近い響灘、これは冬、春に暖かい、恐らく暖流が入るからだと思いますが、そういう傾向があるということが見てとれます。

 7枚目に行かせていただきます。

 では、瀬戸内海の底層水温は、過去30年間で上ったのか、下がったのか、どの海域で上がったのかということを海区ごとに底層水温をプロットして、線形の回帰分析を行いますと、ほとんどの海域で有意な正の相関がありました。つまり、水温が徐々に上がっているということであり、統計的にも有意です。

 海区ごとに、上がっているスピードを平均化して示したのが8枚目のスライドになります。これは数字が0.04とか、0.08とかありますけれども、これ経年変化、1年間に何度上がっているかということになります。ほとんどの海域、ほとんどの季節(1月、5月、7月、10月)で有意な正の相関が見られていますが、上昇速度は10月の底層水温が最大でした。特に大阪湾、播磨灘、響灘とかで非常に大きな水温上昇が見られております。大阪湾の10月底層水温では0.09/年という傾きですので、(実際にはどこかで頭打ちとなる可能性が高く、9℃も上がらないと思いますけれども)、100年たつと9℃も上がるといった非常に大きな傾きが見られています。近年では、秋になっても水の中では夏が終わらずにいると、そういうイメージなのかなと考えております。

 9枚目、行かせていただきます。

 ベントスの、左側が密度になります。4回の調査で、各調査回の間でどれだけ変わったかについて差分をとったのが下の4枚のグラフになりまして、赤い色の海域が多様性、密度が増えたという海域になっています。これを見ますと、明らかに多くの海域で密度、多様性ともに増加しています。どういう場所で増加しているかというと、海が狭くなった海峡地形、瀬戸地形の海域で非常に上昇が大きいということがわかりました。

 10枚目に行かせていただきます。

 底生動物が増加している、その要因となっている可能性のある、底質はどう変わったのかというのを、次に同じような解析をして示しました。

 左側が泥分であり、泥っぽいか、砂っぽいかという指標です。右側が底質の中のTOC(全有機炭素)含量、すなわち有機物含量を示す指標です、これを見ますと、左側の泥分というのは、長期的に見てこの海域は全体的に泥っぽくなっているとか、砂っぽくなっている、そういった変化は小さかった。一方で、泥分の変化はないものの、底質のTOCというのは大きく低下している。右下のグラフの水色の海域になりますけれども、TOCの低下がこの20年間で瀬戸内海の広い範囲で起こっておりました。

 11ページに参ります。

 これは425地点の底生動物のデータというのを全て3回の調査分をまとめまして、どこの地点とどこの地点の種組成とか密度が似ているかというのでグループ分けしたものです。

 右側がそのグループ分けしたものを色分けして瀬戸内海の地図上に示したものです。上が第2回で、下にいくほど最近になります。赤で色をつけた地域というのは、底生動物があまりいなくて多様性も低い海域です。紫のエリアは密度も多様性も高いですが、この20年間で赤いエリアが減って、紫のエリアが増加しています。環境要因を比べると、赤というのは底質TOCが高い海域のベントスの群集、紫というのは底質も砂っぽくて、底質TOCも低い海域の群集ということがわかりまして、だんだん底質TOCが減ってくると、その海域ではベントスの密度、多様性が回復しているという結果が得られました。

 12枚目に参ります。

 これはCCA(正準対応分析)という多変量解析を行った結果で、細かく御説明いたしますと非常に複雑になってしまいますので割愛いたしますが、そこの図の中で赤い矢印、これがどの種がどれぐらいいるかというのを規定している環境要因の向きです。

 図を見ますと、X軸のほうに赤い矢印がまず何本か束ねてありまして、そこは泥分とか、泥のTN(全窒素)、泥のTOC、泥の含水率が含まれており、底質の質を示す矢印というのはX軸に沿って束ねられていて、逆にY軸のほうには水深とか、泥温といった環境要因が束ねられていると。

 これはどういうことを示しているかということですけれども、横軸方向の底質の環境と、縦軸方向の水質、水温、二つの軸が瀬戸内海の底生動物群集の構造、どこにどういう生き物がいるかというのを規定している大きな二つの要因であるということがこの解析結果からわかりました。

 13枚目に参りますが、今の結果をもう少し細かく示したものです。

 こちらも実際のデータを細かく御説明すると非常に煩雑になってしまうので、左側に結果、メッセージだけまとめましたが、密度や多様性の高い底生動物群集というのはどういう場所にあるかというと、深い場所も、浅い場所もいろいろありますが、砂の海域にまずそういう群集が成立していました。もう一つ、泥質であっても、有機物の低い泥底には密度や多様性の高い群集が成立しているということがわかりました。一方で、密度、多様性ともに低い群集というのは、有機物含量の高い泥底に分布しているということがわかりまして、これもこれまでの解析結果とうまく合致する結果となりました。

 次のスライドに参ります。14枚目です。ちょっと番号が消えておりますけれども、これはまた違う解析をしました。

 横軸に、これは底質のTOCをとって、縦軸にそのベントスがどの地点でどれぐらいいたかという頻度分布をとったものです。これも、ベントスの優占種、200種近くについて全部行いました。結論から申しますと、ベントスの分布というのは、底質の泥分と底質のTOCへの選好性が高くて、泥分と底質のTOCですと、その底質TOCのほうにより敏感に対応しています。

 一方で、もう一つ重要と考えていた泥の温度とか、水深に対しては、あまり底質ほどはっきりとした選択性を示さなかったということがわかりました。

 結果をまとめます。15枚目です。

 瀬戸内海底層水温は経年的に上がっておりまして、ベントスが回復してきたのは底質TOCTNの低下(底質の改善)が原因と考えています。

 気候変動で底層水温が上がると、ベントスは基本的には水温、耐性が高いので、すぐに死ぬということはないと思いますが、生活史(成長速度、繁殖時期・回数、成熟サイズなど)などの生理的・生態的特性は変わる可能性があると考えています。

 水温が上がるよりも、むしろ底質が急に変わるような影響が、洪水とかそういった影響が気候変動によって生じると、ベントスの分布が急に変わるのではないかと考えております。

 16枚目です。瀬戸内海のこれからというのを、私なりに考えてみました。

 図の横向きのベクトルというのは、これは泥の中の有機物が経年的に減少しているという瀬戸内海の現状です。右側から左側に、底質、有機物が減っていって、健全なベントス群集が復活してきます。それと同時に、縦軸の水温は、多分、将来的にどんどん上がっていきます。この二つの軸が同時に進行していったときに、瀬戸内海の生態系がどうなっていくのかという相互作用についてはこれから調べる必要があると思います。いろんなことが起こる可能性を考えています。

 時間がありませんので、もう17枚目に行かせていただきますが、今後、必要な方策を私なりに考えてみました。

 まず、モニタリング、これは非常に大事です。気候変動は数十年スケールで生じるので、基本調査が20年分あるといっても、まだ回数としては、ベントスは3回しかデータがありません。得られたデータを共有しつつ、調査で得られた生物標本なども有効に活用していければ良いのではないかと思います。

 もう一つ、ベントスが回復すると、これを食べる生物群には絶対何らかの影響があると思われます。ベントスを食べる底生魚の資源量等についても情報が必要だと思いますし、水産有用種以外の生物への、温度ですとか、いろんな水質の影響という知見はほとんどありません。こういった知見が必要と考えます。

 最後に、共通して必要な考え方ですが、生態系の要素間、いろんなつながりと相互作用がありますが、どこがどう変わると全体がどうなるかというのは、なかなか難しい。まだまだわからないことがいっぱいあります。

 また、環境変動への生態系の応答というのは、あるところで急に変わる閾値的なものか、単調に増加するような連続的なものか、それとも過去の履歴を引きずって、変わりやすく、戻りにくい、そういった履歴効果がある可能性もあります。ですので、対策をしてもすぐには効果が出ないかもしれませんが、あるところで変わる可能性もあるということで、長期的なセンスで考えていく必要があるのではないかなと考えております。

 以上です。ありがとうございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、瀬戸内海区水産研究所の阿保様、よろしくお願いいたします。

○阿保グループ長 阿保と申します。本日は、小委員会にお招きいただきまして、ありがとうございます。

 私からは、昨年8月の第11回の小委員会において報告しました栄養塩と水産資源に係る調査研究について、その後の進捗状況を中心に、ここで御報告、御紹介させていただきたいと思います。

 資料2-2の2枚目を御覧ください。

 昨年度も御紹介しましたように、水産研究教育機構を代表とする共同研究機関で、水産庁事業として栄養塩の水産資源に及ぼす影響の調査を実施しております。本事業では、底生性の微細藻類、藻場生産、二枚貝生産、それから小型浮魚の事業環境及び生産ということで、かなり幅広い形で栄養塩との関係を調査研究しております。

 次の3ページ目には、その事業の課題構成を載せております。本日はこの各課題について進捗状況を御紹介しますけれども、このうち(1)のウの藻場生産に関する部分については、この後、吉田グループ長のほうから報告がありますので、省略いたします。

 また、(3)の栄養塩管理方針の検討につきましては、水産庁さんのほうから、この後、御報告があると思いますので、私のほうからは割愛させていただきます。

 それでは、4枚目を御覧ください。

 まず、栄養塩が底生性の微細藻類に及ぼす影響に関する課題について、成果を御紹介したいと思います。

 この図は、広島湾内の干潟において、微細藻類群集のサイズ組成を調査したものです。干潟域と、それから隣接海域の結果を比較しますと、干潟域においては、周年を通してサイズが2~20μmのものが主体であることがわかりました。これは二枚貝の餌として好適なサイズであるとともに、多くの二枚貝の浮遊幼生にとっても、捕食できるサイズなので、干潟域ではこうした生物の餌料の餌の供給場として重要であることが明らかになりました。

 続きまして、5ページ目をお願いします。

 これは播磨灘南部の干潟において、窒素濃度と底生微細藻類の増殖との関係を調べた結果になります。

 左の図は、底生珪藻であるNaviculaの窒素濃度に対する増殖応答を試験した結果ですけども、半飽和定数は2.43μMという値が得られました。これは海産の植物プランクトンに類似するか、またはやや高目の値になります。

 また、右図を見ますと、ここの調査した干潟での窒素濃度を表していますが、年間を通してこの窒素濃度は半飽和定数を上回っていますので、本種に関しては、窒素不足による増殖制限は受けにくい環境であると考えられました。

 なお、今回のこの調査は、陸域側の負荷の比較的大きな河口干潟での調査でしたが、今後は試験する微細藻の種類を増やすとともに、ほかの河口干潟ですとか、あるいは陸域の影響がもっと少ない前浜干潟なども含めて、広範囲に調査が必要であると考えているところであります。

 続いて、6ページ目をお願いします。

 これは二枚貝生産に及ぼす影響についての調査結果ですけども、兵庫県の播磨灘北西部で実施している課題についてまとめたものです。

 播磨灘では、御存じのように、貧栄養化が進んでいますが、その一方で、北西部沿岸域だけはカキやアサリなどの二枚貝養殖が盛んに行われています。

 そこで、本課題では、北西部沿岸だけがなぜ高い生産力を維持できているのかを明らかにするために、陸域からの栄養塩供給に焦点を当てまして、その供給された栄養塩やそれを利用して発生する植物プランクトンの動態について調査を実施しております。

 その結果、河川水が栄養塩の供給源として重要な役割を果たしており、二枚貝養殖場の周辺では植物プランクトンが多く発生して、高い生産性を維持できているということが示されました。

 続きまして、7ページ目ですが、本課題では、和歌山県の和歌の浦の干潟においてアサリの飼育実験を実施しました。

 図1を見ますと、海水中の珪藻が増えると栄養塩濃度が低下して枯渇しておりまして、ここでは栄養塩が珪藻増殖の制限要因になっていることが示唆されております。

 また、図2では、アサリ飼育実験のカゴ内の海底表層には、二枚貝の餌となる2~20μmのサイズの底生微細藻類が多く存在することが明らかになっております。

 さらに、右側の図3ではアサリ成長と海水の珪藻密度に相関関係が見られることがわかりまして、これらのことから、アサリの成長には浮遊珪藻とともに、海底の表層から巻き上げられた底生珪藻も重要であろうということが明らかになってきております。

 次に、8ページ目ですけれども、左側は、1970年代、80年代ごろにはアサリの生産性が高く、現在はほとんどとれない海域における既存データを解析した例です。この図を見ますと、年間水温が最低となる2月の水温とDIN濃度を年代別に比較していますが、アサリがとれていた時期には水温が低目であって、DIN、栄養塩濃度が高かったことがわかります。アサリを増やすためには、低目の水温と豊富な栄養塩、あるいはどちらか一方の環境条件が必要と考えられますが、現在は地球温暖化や貧栄養化のために条件としてはよくないということが考えられます。

 また、右の図はマガキ養殖が盛んな広島湾での調査例ですが、広島湾では、近年、マガキの採苗不良が問題となっておりまして、その原因の一つとして、マガキ幼生の餌不足が想定されています。昨年の調査では、大雨に伴う出水によって海域へ栄養塩が供給された結果、植物プランクトンが急激に増殖しました。その結果として、マガキ浮遊幼生の生産性が向上して、採苗が非常によい状態、絶好調となったということがわかりました。

 これらの結果から、アサリやマガキなどの二枚貝の生産性向上には、水温とともに栄養塩環境が深く関与しているということがわかると思います。

 続きまして、9枚目を御覧ください。

 これは瀬戸内海の広範囲にわたって珪藻類の休眠期細胞の分布密度を調査した結果です。

 春期の休眠期細胞の分布というのは、その直近の冬季、冬の珪藻類の優占種を反映していると考えられます。この図によりますと、大阪湾と広島湾では、富栄養化海域の主要生物とされるSkeletonemaが優占しておりまして、燧灘・備讃瀬戸ではChaetoceros属、播磨灘ではThalassiosira属の割合が高い傾向が確認されております。

 また、この休眠期細胞の量は、各海域の生産速度を反映していると考えられました。

 このように、珪藻の休眠期細胞の調査というのは、スナップショット的な水中のプランクトン調査よりも正確に各海域の珪藻類の生産状況を把握できる可能性を示すことができたと考えているところであります。

 続きまして、10枚目をお願いします。

 これは瀬戸内海広域総合水質調査データを解析して、外海起源の窒素・リンの推定とその長期変動を示した結果です。これについては、昨年の委員会でも既に報告しておりますので、説明は割愛させていただきます。

 続いて、11ページ目、12ページ目で、これは藻場生産に対応する課題です。これについては、この後、吉田グループ長のほうから報告がありますので、ここでは説明を割愛させていただきます。

 それでは、13ページ目を御覧ください。

 これは小型浮魚の餌料環境及び生産に関する課題です。本事業では、近年、不漁が続いている燧灘のカタクチイワシを対象にした調査研究を実施しております。

 13ページ目は、燧灘におけるカタクチイワシの仔魚の食性及び餌料環境の調査結果です。

 左側の図は5月に燧灘で採取されたカタクチイワシ仔魚の胃内容物調査の結果ですが、稚魚の主な餌がカイアシ類の卵及びノープリウス幼生であって、最大長が0.2mm以下の餌が重要であることがわかりました。

 また、右側の図は胃内容物中の餌のサイズと環境中のノープリウスのサイズを比較したものです。カタクチイワシの仔魚はカラヌス目などの大型のものは餌の対象とはしておらず、キクロプス目やパラカラヌス目等の小型種が餌として重要であることが明らかになりました。

 続いて、14ページ目をお願いします。

 これは燧灘におけるカタクチイワシの豊漁年と不漁年の餌料環境について、生態系モデルを用いて解析した結果です。

 燧灘では、5月発生のカタクチイワシ仔魚と栄養塩環境について、栄養塩濃度に有意な相関関係がありますことから、ここでは春期における豊漁年と不漁年の餌料環境について解析を行いました。

 中段右側にモデルの概念図を示しておりますけれども、海洋生態系モデルであるeNEMUROを用いて解析を実施しております。

 下段の左側の図に、モデルへの栄養塩の入力値を入れていますけれども、観測値をもとに、こういった栄養塩濃度をインプットして計算を行っています。

 下段右側が、再現された栄養塩、硝酸塩濃度、珪藻、メソ動物プランクトンの各月の平均値、4月、5月、6月の平均値を示しておりますけれども、このように、不漁年では、春の栄養塩濃度の大幅な減少に応答して、春季の珪藻ブルームの規模が小さくなって、メソ動物プランクトン現存量が大きく減少するということがわかりました。

 このことから、春期の春の栄養塩濃度の経年変化が珪藻ブルームの規模を左右して、カタクチイワシの餌として重要なメソ動物プランクトンの現存量を決めているのではないかということが示唆されております。

 続きまして、15枚目を御覧ください。

 左の図は、近年、シラスやカエリの漁獲量が低迷している燧灘及び、一方、漁獲量が増加している安芸灘の二つの海域について、春の卵の出現状況と孵化月日別の漁獲割合を比較した例です。

 なお、シラスというのは3cm未満のカタクチイワシの稚魚、カエリは3~5cmの仔魚のことですが、例えば5月29日に孵化した卵のうち、その何割がシラス、あるいはカエリとして漁獲されたかを示している図になります。

 この図を見ますと、両海域とも5月~7月に多くの卵が出現しますが、燧灘では6月の発生群のみが漁獲されておりまして、5月、7月の発生群は漁獲されていなかったということがわかります。

 一方、安芸灘では、5月~7月、全ての発生群が漁獲されているということで、つまり孵化から漁獲完了するまでの一月半の間の生産というのが、隣接する海域によっても大きく異なるということがわかりました。

 次に、右側の図を御覧ください。

 これは燧灘におけるシラス・カエリ漁獲尾数と、その餌であるカイアシ類現存量の関係を調べた結果です。5月発生群の漁獲尾数とカイアシ類の現存量には有意な正の相関が見られまして、5月発生群の加入量には餌料環境が重要であるということがわかります。

 この結果と、先ほどの生態系モデルの結果もあわせますと、燧灘における春のカタクチイワシの漁獲には餌料環境が重要であって、近年の不漁は、春季の栄養塩の低下が原因として影響している可能性が示唆されております。

 続きまして、16ページ目の栄養塩管理検討につきましては、後ほど、水産庁から報告がありますので、割愛します。

 17ページ目には、結果をざっとまとめておりますけれども、時間がないので次に行かせてもらいます。

 環境省さんのほうから、今後の必要な方策について考えを述べるよう求められていますので、1819ページ目にはちょっと私見を書いておりますけれども、時間がありませんので、19ページ目の今後必要な調査・研究について、簡単に述べさせていただきます。

 どんな分野や領域の研究が必要で、どういう順番に研究を進める必要があるかということですけれども、なかなか一朝一夕に栄養塩と水産資源の関係解明というのは進みません。やはりデータというのが不足しているのが現状であると思います。

 ということで、既存の調査データやモニタリング調査を継続するとともに、不足している餌生物に関するデータの蓄積が必要でないかと思います。

 モニタリング調査を持続した上で、その次に海域の生産性の評価、それから餌料生物の質の評価、特に質の評価を進める必要があるのではないかと考えております。また、栄養塩と水産資源の関係というのは、さまざまな種によっても違い、海域ごとに異なると思いますので、詳細な調査を地道にやるしかないのではないかなと思っております。

 以上です。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。続きまして、瀬戸内海区水産研究所の吉田様、よろしくお願いいたします。

○吉田グループ長 私のほうからは、瀬戸内海の藻場の特性と近年の変化、環境省さんの最新のデータを使わせていただきまして、それについて紹介したいと思います。

 それから、研究トピックは、今、阿保のほうからあった、同じ事業に入れさせていただいてやっている貧栄養化の影響、それから気候変動の影響についてもやっておりますので、紹介したいと思います。

 では、2枚目でお願いします。

 断片的な情報になってしまいますが、環境省さんの最新調査、瀬戸内海の藻場面積が1万5,600haということで、前回、第4回自然環境保全基礎調査のときは1万5,000、大体同じ数字ですが、方法については、前回は聞き取り調査、今回は衛星画像を解析したもので、単純な比較はできないということです。

 ただ、私、もう20年以上、瀬戸内海で藻場の調査をしていまして、感覚としては、それほど大きな劇的な変化はないかなという印象を持っております。

 環境省さんのこの非常に貴重なデータです。しかし、最新のデータは藻場がいろんな種類、アマモ場とか、海藻藻場があり、海藻藻場にもいろいろガラモ場とか、アラメ場、カジメ場等がありますが、残念ながら、藻場を一括でまとめられているということです。

 それで、この中でも、前回との詳細な比較ということで、この環境省さんの最新のデータでは、23エリアを選んで、前回と同じ手法で比較されたということです。

 その結果、アマモ場が、前回に比べて14カ所増加していて、減少が3カ所で、海藻はいろんな種類の海藻の藻場がありますが、10カ所増加で、減少が11カ所ということで、アマモ場は明らかに増加傾向にあります。岡山県のデータをお借りしましたが、岡山県では、一生懸命、藻場、アマモ場を調べておられまして、最近、アマモ場が増加傾向にあるという。これは、我々が調べている海域でも同じです。

 一方、海藻藻場が増加と減少が同じぐらいの量なので、増減がちょっと不明瞭であるという特徴があります。

 これは第4回調査のときの1万5,000haですが、瀬戸内海の象徴であるアマモ場を初め、いろいろな藻場があるというのが瀬戸内海の特徴です。特にアマモ場と、それからホンダワラ類によるガラモ場、それからアラメ・カジメ類、瀬戸内海ではクロメが主ですが、アラメ場、これらの草、それから藻は非常に大きな立体構造を持ちまして、多年生でありまして、生態的な機能が非常に大きいということで、狭義にこの三つを藻場という、コンブも含めまして藻場という場合が多いです。瀬戸内海でも、この三つの藻場は主要な藻場となっています。

 それで、瀬戸内海の各海域で、どのようなこの三つの種類の藻場が分布しているのかということで、環境省さんの海域区分と、農林水産統計区分とは海域区分は微妙にずれていまして、これは農林水産統計区分に合わせて、各藻場の面積を集計したものです。そうすると、非常に各海域で特徴的な分布が見られまして、アマモ場は備後・芸予瀬戸とか、備讃瀬戸とか、安芸灘が多いという結果になっています。

 これは、見ていただけましたらわかりますとおり、非常に島が多いので、非常に海岸線が複雑で、風浪から遮蔽される入江が多くて、砂泥がたまってアマモ場が形成されます。

 一方、アラメ・カジメ類につきましては、逆に、伊予灘とか、紀伊水道とか、外海に近いところに非常に多い結果になっています。これは、アラメ・カジメ類というのは非常に流動が大きくて、しかも安定した岩盤が必要ですので、ちょっと外海が近くて、急峻で岩礁域が発達するような海域に多いという、まさに対照的なものとなっています。

 このように、藻場の分布というのは、各海域で非常に多様性があって、恐らくそれに応じた漁業というのもなされているのではないか。

 こういう解析が適当かどうかわかりませんが、海域面積当たりのアマモ場面積と、漁獲量のデータとの相関をとってみますと、結構、正の相関がある。もちろん、それが直接的な藻場の効果を示すものではありませんが、ヒラメとかでもこのようにいい相関が得られているところです。

 次のページに行っていただきまして、もう一度、瀬戸内海の藻場の特徴、第4回の調査のときのものを見てみますと、実はアオサ・アオノリ場が非常に多いという結果になっています。これは、ほかの海域を見ましても、特異的な結果です。当時の報告書を見させていただきますと、アオサ場では、浮遊性のアオサが多くて、風波による堆積、だから、風波によって砂浜とか干潟に堆積して変動が激しい。それから、アオサ場が顕著な増加傾向である。それから、大分県の主に中津干潟だったと思いますが、干潟が分布し、アオサ類がその上に浮遊しているということで、当時、いわゆるアオサの異常増殖、これは世界各地の富栄養化した内湾域で、顕著で、最近、中国でも顕著ですけども、レッドタイド、赤潮になぞらえて、グリーンタイドと言われていますけれども、当時、このような状況にあったのではないか。このような状況で起こった干潟とか、砂浜がアオサ・アオノリ場として、藻場としてカウントされていったのが当時の現状だったのではないか。

 実際、その広島湾の1990年代にアオサの大増殖が起こりまして、アサリのへい死とか、起こっています。顕著だったのは、世界遺産の厳島神社です。干潟の上に特に鳥居がありますが、その周辺にアオサが堆積して非常に悪臭を放ちますので、その回収を町が行っている。それが始まったのがちょうど1990年代前後ですね。このころ、その以前もアオサはあったと思いますが、どうやらこのころ、アオサの大増殖が起こっていて、それが藻場としてカウントされた。当時、何が起こっていたかというと、アオサの種類を見ますと、かなり南方系の種がまじっていることと、それから気象台のデータを見ますと、急に温度が上昇しているような傾向も見られますので、ちょっと気象の変化と何か関係しているのではないかと考えております。

 ところが、見ていただきましたらわかりますとおり、この宮島のアオサの量、アオサを回収させて処分されるアオサの量は、近年、極めて減っております。

 次の6ページに行っていただきまして、それで、アオサが減少しているということで、これ、写真を見ていただきましたらわかりますとおり、これは我々の調査現場ですけども、アオサが減った場所でアマモが顕著に増えております。

 それで、今、阿保のほうからも報告がありましたとおり、非常に最近栄養塩が減少しておりまして、下のちょっと海藻の図は、一次生産者における低栄養塩環境への頑健性ということですけども、これはあくまでも概念ですけど、微細藻類よりは海藻のほうが頑健性が強くて、それよりも底質から栄養塩をとるアマモのほうが強いであろうと。海藻の中におきましても、体型が単純で、成長の早いノリとかアオサというのは、やはり成長が早い分、栄養塩を必要としまして、それよりもホンダワラとか、アラメ・カジメ類というのは栄養塩が少なくてもいいだろうということで、近年、このように水質が大幅に改善したことによりまして、恐らくアオサが減ってきて、アマモが増えてきている。それが環境省さんの右のグラフにも、これは中津の結果ですけども、当時、海藻藻場があったところが今アマモになっているというのは、このようなことではないかなと考えております。

 7ページに行きますけれども、海藻藻場の増減傾向がアマモ場よりも不明瞭な理由ですけれども、水質が非常に改善して透明度が上がっていますが、海に潜ってみると、岩礁の上にたまっている浮泥の影響というのは必ずしも改善していません。これがちょっと瀬戸内海の特徴でありまして、大抵のところは5メートルより深く潜りますと、岩の上にこのように浮泥がたまる状況で、必ずしも藻場というのは回復していません。群落の拡大は限定的であります。

 盛んに、水産基盤整備事業とか、いろんな目的で、増養殖のために人工藻礁が投入されていますが、結構、5メートルぐらいの深いところに、設置されることが多く、これは一つには、船舶航行の安全を確保するために海上保安庁さんからそのような指導があるというふうに聞いていますけれども、結果的にそこをある程度深い水深に沈めたことによって浮泥がたまってしまって、ちょっと十分な効果が上がっていないのではないかなというところが考えられます。

 一般的な普通の藻場というのは、やはり潮間帯から漸深帯まで続いておりまして、それから水平的にも、砂浜域、岩盤から礫、それから少しずつ砂泥に移っていくという特徴がありますので、非常に環境勾配が大きくて、生き物の棲み場としての多様性も高いということです。

 例えばナマコを増殖させるためのナマコ種について、増殖礁がある程度深いところに沈められますが、観察しますと、特にナマコの子どもというのは潮間帯に出る性質がありますので、それの施策とちょっとミスマッチというのは感じるので、これをもうちょっと浅い所にしていく必要があるのではないかなと考えています。

 研究トピック、次をめくっていただいて、貧栄養化と気候変動の影響予測ということで、ちょっともう時間がないので、この辺は駆け足にさせていただきます。

 9ページを見ていただいて、これは文献調査ですけれども、各海域の藻場の窒素、溶存態無機窒素の年間の変動範囲、非常に大きな、どこの海域でも大きな振れがありますが、熱帯・亜熱帯海域というのは、非常にその中でも栄養塩の振れが小さくて、濃度も低い。富栄養化したところはもちろん高いです。瀬戸内海のレベルというのは、次、10ページに行っていただきまして、もうちょっとそのサンゴ礁レベルに、海域によってはなってしまっているのではないか。右のグラフですね、周防大島というところで、2009年から2010年の藻場の近くの栄養塩ですけれども、基本的に非常に低い濃度が続いています。これは、海藻藻場の生物生産にちょっと栄養が足りないのではないかなということがちょっと考えられます。

 11ページ目に行っていただいて、それで、私たちがやっていること、ちょっと断片的な紹介になってしまいますが、では、実際、どれだけ海藻の一次生産に足りないのかということで、例えば一次生産にどれだけ必要なのかということを栄養塩の海藻への供給というのは、濃度と、それから流れ、フラックスとして供給されるので非常に評価が難しいです。したがって、フラックスの結果である藻体内のN含量を調べまして、それと、例えばプロダクションの環境を調べまして、左の下の図のとおり、これから相対的に現場の海藻がどういう状況にあるかというのもちょっと、これはあくまでも概念図、まだこの結果が出たわけではありませんが、具体的に言いますと、大体、このアカモクという海藻は藻体内N含量が1.5%で、成長が飽和して、それ以上の窒素になりますと、それはストックしてためられるわけです。だから、ここが窒素制限の限界でありまして、その現場の藻体と比較して、どういう状況にあるかということで指標づくりを行っております。

 それから、12ページ目に行きますと、藻場の、そうすると、一次生産からは餌料供給機能の影響はどうかということで、海藻を直接食べる磯の生物、それから、例えばヨコエビ類を通じた魚類への影響などを、現在、調べています。

 やはり、例えばこのヨコエビに依存するメバルの稚魚とかは、ヨコエビのいっぱいいる藻場では非常にたくさん食べていて、成長もいいということで、さらにこの一次生産がヨコエビの生産にどうかというところを、現在、調べているところです。

 それで、すみません、次に気候変動の瀬戸内海の藻場への影響評価・予測ということで説明させていただきます。

 14ページに行っていただきますと、1990年代以降、この後水産庁さんのほうから御報告があると思いますが、特に暖流域なので、藻場の消失が顕著に見られておりまして、世界的に見ても、日本の黒潮とか、対馬暖流の沿岸というのは、水温の上昇が著しくて、結果的に植食性の動物が海藻を食べてしまうということで磯焼けが起こっています。

 現在、2010年時点ですけども、わかっているだけで、もう既に10%の藻場が、約9%の藻場が既に消失したことがわかっています。

 15ページ。では瀬戸内海はどうかということですけども、先ほどの浮泥の影響というのはありますが、基本的に大規模な磯焼けというのはまだ起こっていないという認識です。ところが、瀬戸内海を抜けて、豊後水道、紀伊水道を外海に移動していくと、このように磯焼けの状態が表れていくということで、やはりここにある環境勾配がこの磯焼けの発生と非常にリンクしているということです。

 16ページを見ていただきますと、私たちのほうで瀬戸内海から、それから豊後水道の南のほうまで藻場の調査を行ったところ、ここはわずか100キロぐらいのところで、特に冬期、10度ぐらい、下手したら水温の差があるという非常に明瞭な水温勾配があります。その水温勾配に沿って、瀬戸内海では、例えばアラメ・カジメ、昆布の仲間ですね、それとホンダワラ、ガラモ場がありますが、だんだん南に下っていくと、まず、アラメ・カジメ類が脱落していって、温帯性のホンダワラ類もなくなって、最終的には磯焼け、場合によっては熱帯性の海藻とかサンゴが出てくるという状況になります。特にこのアラメ・カジメ類というのは、水温の上昇に非常に脆弱であるということがわかります。

 実際、1990年代から、このアラメ・カジメ類の南限というのは、大部分は瀬戸内海側に後退している。これ、17ページですね、ということがわかっています。当然、それは、当然というか、水温の上昇と非常に関係しているということです。

 18ページ目ですけども、では、カジメ類の藻場が安定して形成されている場所の水温環境はどういうところなのかということを考えてみますと、これはモデル再現した、日平均水温が15℃以下の年間日数ですけども、15℃以下の日数が年間で2カ月以上続く場所が、安定的にカジメ・クロメが残る場所ということになりました。要するに、70日ですけども、この間、魚とかウニも、15℃より下がると、大分、食べる量も、活動が制限されてくるということ、それから海藻の成長も活発になりますので、そういうところじゃないとやはり安定的に藻場は残せないということです。だから、だんだん水温が冷却される期間が短くなると、磯焼けが瀬戸内海の方面に上がってくる可能性があるのではないかということです。

 これをもとに予測しますと、IPCCのシナリオで予測しますと、私たちの予測、あくまで私たちが試験的にやっている予測ですけども、RCP2.6だと何とかアラメ・カジメの藻場は瀬戸内海でも残るけれども、シナリオのRCP8.5だと完全にもうなくなってしまうという予測になります。なかなか、この、今、水産のほうでも磯焼け対策、頑張ろうと言っているところで、このような結果、本当にどう公表するか、なかなか悩ましかったですけども、一応、将来予測しろというのがノルマだったので、このような予測をいたしました。

 ちょっと断片的な報告になってしまいましたが、今後、どのような研究が必要かということで、基本的には前のお二方のおっしゃったことと一緒です。

 環境変動、水温上昇とか、貧栄養化が瀬戸内海の生態系とか生物生産に及ぼす影響の評価、予測及びその対策、そのためには、生態系構造の解明とか、理解がベースであろうということです。

 それから、気候変動の影響、今、特に外海では磯焼けが大変問題になっていて、水産庁さんのほうでも、磯焼け対策、一生懸命、中心になってやられていますけれども、瀬戸内海ではまだ大規模に起こってないことがあって、ちょっと危機感が乏しいかなと思います。藻場への影響というのは、同時に、水道部から、多分入ってくるのではないかということを考えていまして、やはりもっと頻度の高いモニタリングというのが必要ではないか。

 それから、地域産業において、環境変動へ適応することが必要で、養殖業では既に、例えばノリ・ワカメとか、カキとか、魚類による食害とか、生理的な不調、水温上昇による生理的な不調で生産が不調になっております。だから、これももちろん、一部、現在進んでいますけれども、適応的な対策技術の開発が不可欠になるのではないかということです。

 それから、2番目です。ちょっと私が素人ですが、地域のにぎわいについて、瀬戸内海の沿岸環境は地域のにぎわいとともにあると、瀬戸内海特措法でうたわれているのが、非常に私は好きですけども、やはり地域のにぎわいを保全・創出するために、社会的、経済学的な研究、もしかしたらもうされている方がおられるかもしれませんが、必要ではないか。特に現場を見ていますと、魚、我々がお店で買うと高いですが、漁師さん、非常に、魚、非常に安く、魚の販売レートは非常に安いので、なかなか生活が難しいのではないかなということで、やはり地域のにぎわいを、沿岸環境の保全とともにつくり出していくにはどうしたらいいかという研究を、私のほうの希望ですけども、必要なんじゃないかなというふうに考えています。

○岡田委員長 どうも、ありがとうございました。

 それでは、これまでの御説明に関しまして、御質問等がございましたら、お願いいたします。

○沖委員 御説明ありがとうございました。

 2点ほど、お伺いしたいことがございまして、まず、1点目、金谷様のほうですが、我々、今まで感じていた底層の水温とベントスの生活史とか、繁殖、成長とが、どういうふうに関わってくるかという、この辺がデータできっちりと示していただきましたので、非常にわかりやすく聞かせていただいておりました。

 15ページになるかと思いますが、まとめのところに書いておられました、豪雨出水等の底質変化のことを少し心配しておられるというところですが、私も、同じように感じておりまして、恐らく今までは、底層は静的な感じでの動態がかなり捉えられていましたけれども、これから先はやはり、豪雨がこれだけ多くなってまいりますと、ドラスティックに変わっていくというこの点において、どういうふうにこれからデータをとっていかれるのかを、お伺いしたいということがございます。

 それから、もう一点ですが、阿保さんのほうですけれども、これはたしか9ページだったと思いますが、珪藻の休眠期細胞のことを御説明いただいておりまして、私も高等水生植物の埋土種子を扱っておりましたので、種子の休眠ということにすごくこだわってきました。こちらの珪藻のほうはよく存じ上げませんが、やはりこの休眠というのは、種によって、かなり異なってくる、あるいは覚醒するときに、どのような環境要因が関わってくるとか、こういうふうなところはもう詰めておられますか。その点をお聞きいたしたいと思います。

○金谷主任研究員 最初の御質問についてですけども、豪雨の影響をどう調査するかということで、今回、報告させていただいた基本調査を、これは環境省さんがやっていて、10年に一度のデータになります。10年に一度ですと、突発的な豪雨の影響というのは検出できないと思われますので、何らかのプロジェクトで、豪雨が起きたときに、その海域で即座に調査ができるような体制というのをつくるというのがあると思います。

 豪雨の影響なのかわかりませんが、基本調査のデータでも、過去3回分並べましたら、紀伊水道だけ泥質化しているというデータが出まして、1点だけではなくて、紀伊水道全体が泥っぽくなっていて、これは物理の専門ではないからわかりませんが、これは何かイベント的なものがないと説明できないのではないかと思っていまして、それで豪雨の影響というのをちょっと考えたということもあります。

○沖委員 わかりました。ありがとうございました。

○阿保グループ長 珪藻の休眠期細胞についてですが、休眠する環境としましては、基本的なブルームを起こした後に、栄養塩が不足したりして、ブルーミングが収束するときに休眠してくる、環境が悪くなったときに、適した環境ではなくなったときに休眠するということです。それから、今度、発芽するのは、基本的には光条件ですとか、水温とかによると思いますが、基本的に重要な種類については、ある程度、研究は進んでおります。

 ただ、今回お見せしましたような休眠期細胞の分布に、種によって差を起こすような、それほどの特徴的な差はないのではないかと考えております。

○沖委員 そうしますと、定量的にかなり量があれば、これは優占種になり得るという推測は十分に立つと考えてよろしいですか。

○阿保グループ長 そうですね。基本的に、その前に優占していたので、種があると。環境がよくなれば、再びそれが出てくる可能性が高いです。

○沖委員 細かなことで失礼いたしました。ありがとうございました。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 では、細川委員、どうぞ。

○細川委員 瀬戸内海の栄養が富栄養化に向かっているときの生き物の反応と、栄養が減っているときの生き物の反応がそれぞれ違って、ある種のヒステリシスがあるというのが、この委員会の中でも重要な認識です。そこら辺の解明が必要だという問題意識でお話を聞かせていただきました。水産関係の方から、例えばスナップショット的なプランクトン調査よりも、前の年の種がとても効果的な指標になるとか、吉田さんの発表では、フラックスというような言葉も出てきて、反応のダイナミックスに対するアプローチが進んでいるのかなと思って、大変元気づけられました。

 同じ問題意識の中で、金谷さんの統計の解析ですけれども、データ数が少ない中で御苦労されているというのはよくわかりますが、ヒステリシスみたいな、時間遅れみたいなものがある現象の中で、こういった統計解析というのは、どこまで議論ができるのだろうかというようなことを感じました。

 解析をされていて、栄養塩がまだ豊富な90年代辺りの統計的な傾向と、それから栄養塩が減っているときの2000年から2010年ぐらいのときの解析とで、何か、特徴が大きく違うことに、解析の中で気づくというようなことはありましたか。

○金谷主任研究員 御質問、ありがとうございます。

 栄養塩に関しては、ちょっと私の認識ですと、もう90年代とか、この今回の解析のもう最初から一貫して、恐らくずっと緩やかに減っていると考えていまして、ですから、増えていくフェーズというのは、今回のデータでは、やはり捉えられてないと考えています。ですので、履歴的な効果についてはそれよりも前のデータがないので何とも判断できないのですが、長期的に緩やかに減っている状況に対して、ベントスがどう応答しているかというのが、今回の解析で用いたデータセットから見ることのできる一つの限界点だと考えています。

○岡田委員長 よろしいですか。

 では、白山委員、どうぞ。

○白山委員 金谷さんの御発表に一つ質問です。最後のほうで、ダイヤグラムがあって、硫化水素がというのが出ていたと思いますが、御発表の中の底質では、硫化水素というのはほとんど使われていなくて、底質のTOCが圧倒的に重要な要素になったと思いますが、むしろその硫化水素か、酸化還元電位(Eh)か、どちらかのほうが何となく生物にききそうな気がします。そこは解析されましたか。あと、一つだけ、細かいですが、多様性とおっしゃるのは、結局、種の数なのか、それとも群集の組成として、同じような数が多数の種類いるケースと、トータルの種類は同じだけど、優占種が非常に大部分を占めていて、ちょろちょろというのとでは、多様性の評価、普通は大分違いますが、その辺りはどうお考えになったのかをお聞かせください。

○金谷主任研究員 ありがとうございます。まず、二つ目の御質問からですけども、今回、多様性というのは、純粋に種数といいますか、タクサの数でやっておりまして、均等度(evenness)とか、そういった多様性指数は考えておりません。

 最初の御質問ですけども、基本調査の底質の硫化物は全硫化物(TS)ではかられていて、硫化物と本当に毒性のある硫化水素というのを一緒にはかっていますので、硫化水素のみでの評価・解析ができませんでした。 もう一つは、全硫化物は第2回調査では測定されていませんでした。Ehについても、ちょっと解析は試みましたが、調査回毎に測器のセンサーが違うなど、いろいろな原因があるかもしれませんが、回次ごとの値の変動も大きく、指標として解析することはできませんでした。

○岡田委員長 よろしいですか。

 では、最後に、高村委員、どうぞ。ちょっと時間が押していますので。

○高村委員 金谷さんですが、環境省のデータを有効に解析されたと思います。

 それで、砂質と泥の違いが生物の群集を決めていますが、その砂質と泥がどういうふうに決まるのか、河川からの流入の影響とか、TOCの中身ですね。プランクトンなのか、川から入ってきたものなのかとか、それを明らかにしていただけると、これからの瀬戸内海の保全をどういうようにやっていけばいいのかがわかると思います。今回のデータだけでは、きっと答えは出ないかもしれませんが、これから環境省との委託も続いているということなので、その辺は是非明らかにしてほしいなと思いました。

 それと、吉田さんの藻場の話はすごく勉強になりましたが、私、海のことはよくわからないので、藻場のタイプが四つほどありますが、それぞれの生態機能の違いとか、特徴の違いみたいなものを少し素人にもわかるように、整理していただければと思います。これ、どういうのを、人間が望ましいと考えているのかとか、そういうのがちょっとよくわからなかったので、それはまた、機会があれば、まとめていただければ、ありがたいと思います。

○岡田委員長 では、最後の点は、また、別途、先生のほうでおまとめいただければ、可能な限り、ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、ちょっと、若干、時間が押していますので、後半の御説明に移りたいと思います。

 では、最初に、文部科学省から、よろしくお願いいたします。

○田井課長補佐 文化庁文化財第二課の課長補佐をしております、田井と申します。

 文化庁の取組状況について御説明をさせていただきます。

 ページをおめくりいただきまして、資料2-4の2ページを御覧いただければと思います。

 まず、瀬戸内海環境保全基本計画の中に文化庁関係の施策がどのように位置づけられているかというところから、ちょっと御紹介させていただきますと、まず、計画の目標のところに、自然景観及び文化的景観の保全に関する目標として、瀬戸内海の自然景観と一体を成している史跡、名勝、天然記念物等の文化財が適正に保全されていること、というところがございます。

 また、目標達成のための基本的な施策といたしまして、史跡、名勝、天然記念物等の保全として、そういった史跡、名勝、天然記念物については、指定、管理等に係る制度の適正な運用等により良好な状態で保全するよう努めるものとすると。

 計画の点検の部分で、指標といたしまして、重要伝統的建造物群保存地区の選定件数、史跡、名勝、天然記念物等の指定件数、重要文化的景観の選定件数などが挙げられているところでございます。

 次の3ページに行っていただきまして、こういった位置づけに基づきまして、本日の御報告といたしましては、まず、文化財保護制度について、概要を少し御説明いたしまして、それから、先ほどの指標に位置づけられておりました重要文化的景観の選定状況、重要伝統的建造物群保存地区の選定状況、史跡名勝天然記念物の指定状況、また、今回の報告に当たりまして、こういった文化的資産をどのように活用していくかという、活用の部分もちょっと報告に入れてほしいということがありましたので、日本遺産の認定状況についても御説明をさせていただきたいと思います。

 4ページでございますけれども、まず、文化財保護制度の概要でございます。

 文化財保護法という法律の中で、文化財を有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物、文化的景観、伝統的建造物群という6分野に定義をいたしまして、これらのうち重要なものを、文化審議会の答申を受けて、文部科学大臣が指定・選定等を行うという仕組みになっております。

 こういった指定された文化財につきましては、現状変更や修理などに一定の制限が課されるとともに、保存修理ですとか、防災、買い上げ等に助成をしているというような状況でございます。

 右の図が、先ほど申し上げました文化財の累計になりますけれども、今回、指標として挙げられているものは、このうち上から4番目の記念物の部分、それからその下の文化的景観、伝統的建造物群という部分が今回の指標として挙げられているものでございます。

 続きまして、5ページから、文化的景観の選定状況について、永井から御説明をさせていただきます。ちょっと説明者は交代いたします。

○永井技官 文化的景観の保護制度について御説明を差し上げます。

 文化的景観は、文化財保護法に位置づけられた文化財の一つということですけれども、具体的にイメージを持っていただきますのは、地域の風土を生かした生活・生業によって生み出されている、例えば棚田や里山、歴史的な集落などが挙げられます。

 この仕組みは、この後説明させていただきます伝統的建造物群保存地区と同様に、市町村が主体となりまして、地域の資源を生かして、保全をしていくというような取組を文化庁として支援をしていくような枠組み、選定制度ということになっております。

 文化的景観につきましては、ここに選定までのフローがありますけれども、市町村が景観法に基づく計画ですとか、文化財としての価値を明らかにする調査、計画などを策定する市町村の取組に対して、補助や指導・助言等を行った上で、市町村の申し出に対して、諮問、答申を受けて、選定を行っていく、また、選定後は、修理・修景・防災・活用等の事業に対して、経費の補助を行っていくというものになっています。

 次のページをおめくりいただきますと、選定の状況を示しております。資料は10月1日現在ですが、昨日、一昨日、1016日に、沖縄のものが一つ選定に加わりまして、65件になりました。ただ、瀬戸内海地域に所在する重要文化的景観の数は変わらず13件ということになっております。

 特に沿岸部に所在しております三つについて、次のページで、どういった国庫補助事業を活用した保護や活用が図られているかということを御説明差し上げます。7ページを御覧ください。

 文化的景観の国庫補助事業では、文化財としての価値を明らかにする保存調査、計画の策定、また選定後の修理、それらに関わります普及啓発活動に補助を行っております。

 まず、別府の湯けむり・温泉地景観、別府市にありますものについては、これは2年ほど前の熊本地震で被災がありました湯の花をつくる小屋を職人が復旧するような事業に対しても支援を行っております。

 その下、豊後高田市の田染荘小崎の農村景観では、昨年度、このように随分老朽化しておりました堂宇の修理を行いました。ここでは、ほかにもサイン等の案内板の設置事業などもあわせて行っております。

 次の愛媛県西予市、宇和海狩浜の段畑と農漁村景観におきましては、選定前の保存調査、計画を策定する事業に合わせて、普及啓発事業を行いました。住民等を広く巻き込みまして、地域らしさを考えて保全のアイデアを出し合うワークショップを開催しております。成果も、広くわかりやすく共有されたというところです。御選定を今年の2月にされまして、もう矢継ぎ早に、地域のシンボルとなっていて、祭りの拠点ともなっている神社の修理に向けた調査・設計等も行われているところです。

○田井課長補佐 続きまして、8ページを御覧ください。

 重要伝統的建造物群保存地区の選定状況について御説明をさせていただきます。

 重要伝統的建造物群保存地区という制度ですけれども、こちらは周囲の環境と一体を成して歴史的風致を形成している伝統的な建造物群、街並みのようなものですけれども、価値の高いものを、市町村または市町村教育委員会が「伝統的建造物群保存地区」として決定いたします。その決定された地区のうち重要なものを国が重要伝統的建造物群保存地区として選定をしております。地区として選定をされますと、修理、修景、防災、耐震対策等への国庫補助など、また、相続税などの税制優遇措置が受けられるというような制度でございます。

 続きまして、9ページを御覧いただきますと、瀬戸内海地区に所在する重要伝統的建造物群保存地区ということで、27件が選定されております。地区としては、瀬戸内海地区ということですけれども、内陸にあるものもございますので、下線を引いているものが沿岸にあるというふうに思われる地区でございます。

 具体例としましては、香川県丸亀市にあります塩飽本島町笠島というところがございまして、こちらは岡山県と香川県に挟まれた塩飽諸島の中の本島というところのうちの笠島という地区を指定しているものでございます。こちらは、戦国時代には塩飽水軍の要所となり、江戸時代には、水運の要所となったような場所でございまして、昔の街並みがよく残っているというようなところでございます。

 続きまして、10ページを御覧いただければと思います。

 史跡・名勝・天然記念物の指定状況について御説明させていただきます。

 この史跡・名勝・天然記念物、総称して記念物と呼んでいるものですけれども、このうち史跡といいますのは、貝づか、古墳などの遺跡で、我が国にとって歴史上または学術上価値の高いものを国が指定しているというものでございます。

 その下の名勝でございますけれども、こちらは庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で我が国にとって芸術上または鑑賞上価値の高いものを指定しているものでございます。

 その下の天然記念物でございますけれども、動物、植物、地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いもののうち、重要なものを指定しているというものでございます。

 これらの中で、さらに特に重要なものを特別史跡、特別名勝、特別天然記念物に指定をしております。

 次の11ページを御覧いただければと思いますけれども、こういった史跡、名勝、天然記念物は全国で3,317件ありますけれども、瀬戸内海地域については、993件が指定されております。

 こちらも、先ほど申し上げましたように、内陸のものも含むのですけれども、具体例といたしましては、ここに写真で載せておりますけれども、能島城跡という、これは史跡ですけれども、しまなみ海道の大島と伯方島の間にある能島という島でございまして、村上水軍の根拠地の一つとして城跡が残っております。こういったものも史跡として保護を図っているというものでございます。

 次の12ページは、名勝と天然記念物のうち主なものを挙げさせていただいております。

 名勝ですと、この小豆島にあります神懸山のようなところですとか、天然記念物であれば、屋島といったようなところが指定をされているというところでございます。

 続きまして、13ページを御覧いただければと思いますけれども、こちらは日本遺産の認定状況ということで、こういった文化遺産を保護するとともに、さらに活用を図っていくというための制度の一つでございまして、地域の歴史的な魅力や特色を通じて、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産」として認定する。その上で、そういったストーリーを語る上で不可欠な魅力のある有形・無形の文化財を地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内外に戦略的に発信することによって、地域の活性化を図るといった制度でございます。

 こういった我が国の歴史・文化を語るストーリーというのを各地域から提案をしてもらいまして、それを文化庁で日本遺産として認定をしていくというようなものでございまして、これに選ばれると、日本遺産として知名度が上がるということもありますが、右側にありますけれども、人材育成ですとか、普及啓発、調査研究などに補助をしたりですとか、プロモーションに当たって補助をするといったような支援もしております。

 次のページですけれども、14ページが瀬戸内海地域の主な日本遺産ということで挙げさせていただいております。

 日本遺産全体は全国で83件認定されておりまして、瀬戸内海地域については、鞆の浦ですとか、そういったものを初めとして、27件、ここに挙げさせていただいているようなものが認定をされているという状況でございます。

 また、今回は文化財関係で御説明しておりますけれども、活用という観点からすると、例えば瀬戸内国際芸術祭のような芸術祭ですとか、そういった芸術文化関係の施策でも支援をさせていただいているところでございます。

 文化庁からの御説明は以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、農林水産省から、よろしくお願いいたします。

○片石計画官 水産庁計画課の片石と申します。

 資料につきましては、資料2-5「農林水産省の施策」というファイルをお開き願います。

 1ページ目です。

 Ⅰ.沿岸域の環境の保全、再生及び創出、また、Ⅱ.水質の保全及び管理に係る部分で、藻場・干潟につきまして御説明いたします。

 こちら、1ページ目ですけれども、昨年3月の委員会でも御説明しましたが、水産庁の公共事業の実施に係る五カ年計画における四本柱の二つ目ですね、赤枠で囲っている部分につきまして、豊かな生態系の創造と海域の生産力の向上というのがございまして、その中で黒四角の二つ目ですね、広域的な藻場・干潟の衰退要因等の把握とハード・ソフト対策を組み合わせた回復対策を実施ということで位置づけております。

 次のページをおめくりください。2ページ目です。

 こちらは重点の詳細ですけれども、具体的な内容といたしましては、整備目標、ハード、ソフトが一体となった藻場・干潟の総合回復の実施というのを、上段、実施の目標ですね、実施の目標のほう及び中段の整備目標のところにおいても、藻場・干潟が衰退している海域のうち、総合的な回復対策を行う海域数として目標を設定して実施をしております。

 3ページ目をお願いいたします。

 また、私どもの水産公共事業の中での認識として、藻場・干潟の機能といたしましては、多くの水産生物の生活を支えて、産卵や幼稚仔魚の成育の場を提供するという大きな役割を果たしているという認識のもとで長期計画の推進を進めているというところになっております。

 おめくりください。4ページ目でございます。

 特に藻場の保全・創造対策につきましては、①のガイドラインの策定などの技術の開発と普及、②の全国レベルの会議での開催のような情報共有、ちょっと飛びますけど、③の補助事業による藻場の造成支援を行っております。また、その国の基本的な藻場・干潟の創造対策の基本的な考えといたしまして、真ん中にあります藻場・干潟ビジョンというものを取りまとめております。

 おめくりください。

 その藻場・干潟ビジョンということですけれども、こちら、四つの視点ということで掲げておりますが、的確な衰退要因の把握、ハード・ソフトが一体となった広域的対策の実施とあわせまして、新たな知見の積極的導入ということを重視することとしております。先ほど研究者の方々も最新の知見というのも積極的に取り入れて進めていくようにということで、国のビジョンとして位置づけております。

 また、国のビジョンとして、この四つの視点を位置づけて、それを踏まえて、各海域で地方版の藻場・干潟ビジョンの策定も推進しておりまして、こちら次のページ、6ページを御覧いただきたいですけれども、現在、瀬戸内特措法の海域におきまして、三つの海域について、藻場・干潟ビジョンを、藻場・干潟をどうやって回復していくか、総合的対策をどうしていくかということを策定済みですけれども、そのほか、現在、14海域において、藻場・干潟ビジョンの策定を検討しているところでございます。

○若松森林計画官 続きまして、スライドの7枚目、自然景観及び文化的景観の保全に関係して、森林・林業に関する取組について御説明いたします。林野庁計画課、若松と申します。

 まず、林野庁では、平成28年5月に森林・林業基本計画を策定し、これに基づき、森林の有する多面的機能を発揮させていくために、多様で健全な森林の整備及び国土の保全等の施策を推進しております。

 具体的な取組内容は真ん中の枠の中に書いておりますが、まず一つ目、公益的機能の発揮を図るために、主伐後の再造林を推進しております。瀬戸内海の地域、民有林の割合がかなり高くなっておりますので、メーンとして民有に対する支援というものを実施しております。

 また、二つ目、公益的機能の発揮が要請される森林については、森林法に基づく保安林というものに指定しまして、適正な保安林の配備や保安林の管理によって国土の保全というものを推進しております。

 一番下、指標の実績ですが、瀬戸内海環境保全基本計画に定められている指標のうち、二つ、ここで御紹介いたします。

 まず、森林整備のうち造林の実施面積ですけれども、平成25年から平成28年、毎年、大体、4,000haから3,000haの造林を実施されております。

 右側、瀬戸内海関係府県の保安林の指定面積ですが、既に160ha以上の保安林が指定されている中なので、割合としては微増というような形にはなりますけれども、毎年、数千ha、保安林のほうも指定をしております。

 また、ここには書いておりませんけれども、保安林以外の民有林において、開発行為を行う場合にも、一定規模を超える場合には、林地開発許可制度というものがございまして、これにより適切な開発行為をやっていただくということで、環境の保全に努めております。

○森課長補佐 以上、豊かな海をつくるためにということで、ハード面のほうを説明させていただきましたが、8ページからソフト面のほうについて説明させていただきます。水産庁漁場資源課の森と申します。よろしくお願いいたします。

 まず、水産資源の持続的な利用の確保についてですが、有害生物の駆除等々として、ナルトビエイについては、周防灘と別府湾で駆除に対する支援を実施しています。駆除量が減少しておりまして、平成24年度に103トンあったものが、昨年度は25トンとなっております。

 また、9ページに、先ほど食害の話が吉田さんのほうからも説明がありましたけども、瀬戸内海では、豊後水道のほうのところには食害が表れているけどということになっておりますが、アイゴやイスズミ、ウニ等の食害対策としましては、磯焼け対策の中で取り組んでおります。平成27年3月に磯焼け対策ガイドラインを改訂しまして、植食生魚類等の生体に関する知見の充実や実施事例の追加を行っています。

 また、平成28年度からは、水産資源を育む、水産環境保全・創造事業や水産多面的機能発揮対策事業で海藻類の移植、播種、それからウニの除去の支援を実施しているところでございます。

 10ページを見てください。種苗放流に関してです。

 基本的に、各府県ごとに、ニーズに応じてさまざまな魚種を放流しています。国としましては、都道府県域を超えて回遊するトラフグのような広域種について、DNA親子判別技術等を用いた種苗放流による資源造成効果等を把握するための取組を支援しております。

 また、急激な資源の減少が見られておりますアサリ等の二枚貝の天然種苗の採取、採捕効率が上がる技術改良等について支援しております。

 11ページです。

 基盤的な施策ということで、赤潮発生メカニズムの解明と被害軽減対策を実施しております。この中で、モニタリングによる赤潮の挙動を把握し、ポータルサイトでの情報共有を図るとともに、かかるデータを利用しまして、発生メカニズムを解明し、発生シナリオを構築しております。

 また、被害軽減のために、粘土散布手法を開発し、カレニアのような中層域でブルーム化する赤潮についても、効率よく駆除できることを目的としております。

 次のページの12ページ上段とも関連していますが、冬期の珪藻赤潮の発生や海域の栄養塩不足から起こるノリの色落ち対策としまして、施肥や海底耕耘等の栄養塩供給、つまり緊急避難的な形ですが、そのノリやワカメの色落ち対策としての実証試験を実施しております。

 下のほうに書いております、栄養塩管理モデル構築のための基礎的なデータ、これに関しましては、先ほど水産研究・教育機構の吉田さん、阿保さんのほうから報告があったとおりでございますので、当方のほうでは、その一番下の赤字で書いております栄養塩管理方針の検討を説明いたします。

 次のページ、13ページでございます。

 13ページから15ページにおきまして、海域に栄養塩を供給する手法としての下水道の管理運転の効果というのを見ております。

 博多湾ではリン不足ということでございますので、冬期にそのリン塩を増やす管理運転の結果、排水中に、または前面海域のリン濃度が上昇することが確認されております。

 また、管理運転期間中に、下げ潮時にノリ漁場に低度なリンが供給されているというところが、その次のページのところの14ページでございますが、上層部分のところで黄色くなっております。その結果、漁業者の意見が出ておりますけど、聞き取り調査によりますと、水処理センターより西側の海域ではノリの質が上がったということが確認されております。

 16ページにちょっと飛びますけども、環境省の環境基準と水産用水基準、これは水産資源保護協会というところが策定しているものでございますが、ほぼこれまで同じような基準で来ましたが、2018年8月に改訂しておりまして、水産用水基準のほうでは下限値をつくってやっております。

 この中の表の中にノリ養殖とワカメ養殖で、必要な無機態窒素、無機態リン、いわゆるDIPDINでありますが、DIPの必要な量が0.0070.014㎎、DIN0.070.1㎎としております。

 これらの基準は、DINDIPはこれだけの量になっていますが、環境基準、それから水産用水基準のほうはTPTNで示されておりますので、それがどんな感じかということで、ちょっと15ページに戻っていただくと、グレーゾーン、図の中のグレーゾーンが示しているのが、いわゆる水産用水基準で必要なとされる濃度になっておりますが、これがやっぱりⅠ類型、環境基準でいいますと、Ⅰ類型では、TPDIPの関係でいうと8%、それからTNDINでは22%という低い、TPがⅠ類型の場合ですね、それからTNがⅠ類型の場合だと低い値になっているということです。

 また、ちょっと16ページに戻っていただきまして、先ほど瀬戸内海の濃度の値が、栄養塩濃度の値が低いという話がありましたけれども、2017年度の年度平均でも、やはりⅠ類型の値にほとんどなっておりまして、幾つかの海域ではまだⅡ類型残っているのがありますけれども、ほとんどがTNTPともⅠ類型の貧栄養化しているという状態になっている状態でございます。このようにいうと、やっぱりⅡ類型以上の栄養塩が必要ではないかというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、次に、国土交通省からお願いいたします。

○森課長補佐 すみません。最後のページが抜けておりました。

 17ページに、地球温暖化に対応します施策としまして、ノリの養殖技術の開発事業を掲載しております。

 先ほども高温に対応した施策ということで養殖関係がありますけれども、スサビノリの中で高温耐性のあるものについて、うまく育って、味もよく、色もよくというところを目指したやつをやっております。今後は、実海域での実証を進めていくというところでございます。

 申し訳ございませんでした。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、国土交通省、お願いいたします。

○菊池課長補佐 国土交通省の海岸室の菊池と申します。よろしくお願いします。

 それでは、1ページを御覧ください。

 我々、海岸事業を進める上で、海岸法という法律に基づいて事業を進めているところでございます。この海岸法におきましては、防護という目的に加えて、平成11年に法律改正されましたが、従来の目的であった防護に加えて、利用と、あと環境保全といったものが新たに法改正で目的として位置づけられたところでございます。我々は、これに沿って、今、事業を進めていると。

 具体的には、2ページ目に、簡単に整理しましたが、例えば貴重な空間を保全・創出するために、例えば砂浜がやせ細っているところについては、養浜といっていますけれども、砂浜を回復するような事業もしていますし、例えば海岸防護施設を整備するにあたっても、砂浜と一体となって、良好な空間を整備したり、右下にありますように、場所によっては、アカウミガメ等の産卵に適した砂浜もありますので、そういったところをしっかりと保全していくというような取組。

 続いて、3ページを御覧ください。

 あと、水産資源を考慮した施工の工夫ということで、左上のほうにありますように、例えば海岸整備に伴って撤去したブロックを魚礁として活用することによって、そこでまた新しい魚のすみかを創設したり、右上にありますように、「鳴門わかめ」の養殖に影響を及ぼさないよう、堤防を前出しするのではなくて、既設堤防をうまく活用しながら、貴重な環境を保全するというような取組等々をしているところでございます。

 以上です。

○末久課長補佐 続きまして、4ページになりますけど、河川における取組については、河川環境課が台風19号の対応のため欠席となっておりますので、1枚飛ばしていただきまして、5ページを見ていただければと思います。

 下水道の取組ですけれども、引き続き、下水道未普及地域の整備を、行うとともにあわせて、近年、きれいなだけではなくて、豊かな水環境を求めるニーズが高まっているということで、水産庁さんの説明にもありましたが、下水道では、地域のニーズを踏まえて、ノリの色落ち対策などの観点で、冬場に栄養塩の濃度を上げる季節別運転の取組が進んでいるところです。

 国交省としても、6ページですけれども、あくまでも環境基準の達成維持が前提としてこうした季節別運転を推進するという観点からいろいろ取組をやっています。

 具体的には、平成27年1月に、下水道計画のマスタープランである流総計画の指針を改訂しまして、法定計画の中で、きちんとその季節別の運転を位置づけられるように制度の改正を行ったところです。

 資料の下部にありますとおり、播磨灘では、平成30年に実際にその流総計画を改訂しまして、全国で初めてこの季節別運転を本運用しているところです。

 また、一方で、平成27年9月には、運転方法にかかる手順書を策定しまして、季節別運転をやりたいけれども、どうやったらいいかわからないというような自治体さんに対して、具体の手順を示すとともに、定期的に、自治体間の情報共有のための検討会、勉強会などを開いて、知見の水平展開を推進しているところでございます。

 こういった取組の結果もありまして、7ページ目になりますけれども、試行を含めて、季節別運転を実施している処理場は、平成20年度の時点で9処理場だけでしたが、30年度の時点で、31処理場まで増加しているところでございます。

 ただ、一方で、海域によっては、周辺にCODの環境基準が未達成の海域があったり、魚の養殖をやっているところでは、赤潮の発生の懸念など、そういった声もあります。

 このため、こういった季節別運転を進めていくためには、下水道部局だけではなくて、水産部局等の、関係部局が連携して、地域の合意を得た上で、モニタリングですとか、検証、そういったものを行っていく仕組みづくりが必要ではないかというふうに思っております。

 そういった観点からも、環境省さんですとか、水産庁さんと、引き続き、協力、連携していくことが重要と考えております。

○下山係長 8ページ目です。

 港湾局ですが、本日発表予定だった佐渡が、災害の対応のため出席できないということで、代わりに下山が報告します。

 まず、海洋環境整備事業としまして、漂流ごみと油の回収を行っていますが、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海、八代海の閉鎖性海域において、海面に漂流する流木等のごみや、船舶等から流出した油の回収を実施しているところです。

 本日も東京湾において、今回の台風19号で貨物船が沈没した対応ということで、油の回収を行っているところです。

 次の9ページ目に移りまして、平成30年度にあった7月豪雨時の漂流物回収状況としまして、伊勢湾、瀬戸内海、有明海における7月8日~8月7日までの回収量の累積としては7,2993ということで、平常時、例年の7月~8月の2カ月分の回収量の約4倍をこの短期間で回収した状況でございます。各海域に配備されている、下の写真にあります海洋環境整備船の方で、流木等を回収して、航路に漂流物がないよう事業を実施しているところです。

 次の10ページ目に移ります。

 浚渫土砂等を活用した海域環境の改善ということで、深掘り跡の埋戻しについてです。阪南港2区の窪地に浚渫土砂の投入ということで、現在も整備中ですが、大阪湾の窪地において、浚渫土を活用して埋め戻しを行い、海域環境の改善を図るといった事業を実施しております。

 次の11ページ目に移ります。

 瀬戸内海の環境保全・再生に資する普及・啓発への取組としまして、海辺の自然学校、港の良好な自然環境を生かして、児童や、親子を対象に港湾局が自治体、教育機関、NPO等の地域の主体と協力して実施している自然体験プログラムでございます。

 平成30年度については、岡山県水島港や愛媛県松山港など、瀬戸内海8箇所で開催しており、全国では26カ所で開催しているところです。

 下の方に、29年度の開催事例として、こういった取組の方をしているのを参考に写真をつけております。

 次に移りまして12ページ目です。

 海の再生プロジェクトでプロジェクトの概要としましては、都市再生プロジェクト第三次決定と国交省の環境行動計画を受けまして、東京湾、大阪湾、広島湾、伊勢湾の閉鎖性海域の水質改善に向けて、関係省庁及び関係地方公共団体等が連携して、水質環境の改善のための行動計画を策定して、総合的な施策を推進しているところです。

 大阪湾では、平成26年に第二期を策定しまして、新たに偏った栄養塩の供給対策を実施するとともに、引き続き、多様な主体と連携した環境改善に向けた取組を推進していきたいと思っております。

 あと、広島湾では、平成29年に第二期計画を策定しまして、森・里・川・海の繋がりを生かした、人々が豊かさを享受できる広島湾を実現し、次世代に継承するとしております。

 次の1314に関しましては、大阪の再生プロジェクトの概要と、14ページには広島の湾再生プロジェクトの概要が記載されています。

 あと、御紹介いたしますのは、資料の方は添付されていませんが、「大阪湾の生き物一斉調査」というものを、大阪湾の沿岸で活動する団体の協力を得ながら、市民だとか、学識者の方々と生き物を一斉に調査する取組を、平成20年度から、毎年5月~6月の大潮時期に実施しているところです。

 今年度に関しましては、今年の6月に実施しておりまして、この大阪湾の再生に向けて、市民の大阪湾に関する関心を高めることを目的としまして、市民が興味を持ちやすい生き物を対象とした市民参加型モニタリングを実施しているところです

 港湾局からは以上です。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、これまでの御説明に関しまして、御質問等がございましたら、お願いいたします。

○田中委員 どうもありがとうございます。

 水産庁のほうと、それから国交省の下水道のほうで、いろんな形でリンクをされて、栄養塩の管理を結構正確にやっていこうという、かなりいい方向できていると思います。そのときに特に水産庁のほうでの説明をいただいた中で、例えば場所によって、かなり必要なものはみんな違うわけですよね。それもターゲットが、ノリなのか、あるいは一般的な漁獲量全体に与えるようなものなのか。例えば、今日、御質問いただいた博多湾の場合、先ほどノリのために、特にリンですかね、リンを上げるという話をされましたが、ここは窒素については、まず十分なのか。それは、ほかのところでは窒素が足りないという話がありますが、ここの場合には、どういう事情でリンの話が出てきているのか。それがちょっとよくわからなかったので、それを教えていただきたい。

 それから、ほかのエリアも含めて、どういう窒素、先ほど言われたDINが割と多いと思いますが、どういう形態で、どういうものを、一体どういうターゲットに対して戻したらいいのか。先ほど水産養殖基準の話はありましたが、形態、特に下水道の場合には、運転の方法を変えることによって、トータル窒素の中の栄養塩管理として、溶解性のものを変える形のものも、アンモニアの形で出すか、あるいは硝酸の形で出すか、この辺、結構、いろいろサイト、サイトで苦労していると思います。まず、その辺が、どの程度、今、水産庁のほうで、こういう形で戻せば、こういう場合には、この程度、欲しいということの整理が、どの程度ついているかなというのを、わかる範囲で少しお答えいただくと、まず、助かります。

 もう一つは、下水道サイドのほう。地元で言われて、いろいろ対応されているのはわかりますが、今のいろんな栄養塩レベルの違うものを、どの程度、介しているのか。先ほどもいっぱいエリアが広がりましたよね。その中で、例えばこれまでは窒素を戻すという話が割と中心で、そう考えていましたが、博多湾の場合だと、リンを戻してほしいと。ひょっとすると窒素についても、ある程度、供給しているのかもしれませんけど、その辺の地域の、当然、状況というのは、どの程度、そちらのほうで把握されていて、そういうゴールの決め方とか、それから効果をこれから調べていかないといけないと言われていますが、どういうふうに地域を巻き込んで、目標設定、あるいはそういう意味があることをやっているかどうかという確認をどういうふうに、今、立てようとされているか、この辺で、答えられる範囲でちょっとお答えいただけると助かります。

○森課長補佐 まず、では、水産庁のほうからお答えします。

 初めの、なぜリンなのかという話ですけども、まず、国交省さんも一緒かもしれませんが、基本的にその海域の環境基準の達成具合がまずあって、その中で、どの要素の基準が低くなっているかというのがあります。それがすなわち足りない要素だろうというところの判断で出てくると考えてます。博多湾や伊勢湾では、リンが足りないというところがありますので、そこは足りないリンが出るような形で見ているところがあります。

 もう一つの、ノリなのか、ほかのものなのかという話で、まずはほかのものについては、先ほど阿保さんのほうから話がありましたけれども、それがどのようになっていくのかというのは、なかなか生物体系で難しいものがあって、今、水産機構と話していたのは、餌環境ということであれば、やっぱり植物プランクトンの話があるので、その植物プランクトンにどういう影響があるのかというのを見ていかなきゃいけない。つまり動物プランクトンが食べやすかったり、ほかの、貝が食べやすい植物プランクトンが生まれるにはどうしたらいいかということを考えていかなきゃいけないところまで、まだちょっと行っていない。まずはノリだということで始めております。

 どんな窒素がいいのかというところは、それは先ほど田中先生が言われたように、下水処理場のところが出てくる、その処理によって変わってくるところがあるので、どうしてもそこはアンモニアであったり、硝酸塩であったりする話になってしまうところがあります。

 ノリにとっては、アンモニアのほうが吸収しやすいとかという研究もあるみたいなふうには聞いておりますが、いずれにせよ、DINというか、溶存窒素の形態であれば取り込みがやはり行えるという理解ではいます。

 知る限りのところでは、以上でございます。

○末久課長補佐 国交省下水道部でございます。

 田中先生から御指摘いただいた中で、まず、窒素を戻すのか、リンを戻すのか、どう決めているのかという話ですけれども、ノリの養殖の場合だと、窒素とリンの適正な割合があるということで、その割合の中で、減っているほうを増やすような運転をしているということを聞いたことがございます。

 また、地域をどう巻き込んでやるか、これは非常に難しいですけれども、先ほども申し上げたとおり、基本的には、ノリ業者さんの要請に基づいて実施することが多いが、一方で、赤潮の問題とかもありますので、どう地域を巻き込んでやるのかというのは、今後の課題というか、環境省や水産庁とよく連携する必要があると考えております。

 また、その効果の確認ですけれども、実態としては、ノリ業者への聞き取りをやっているところはありますが、実際にどういうメカニズムで実際に生産量が増えているかどうかというのは、なかなか下水道部局ではわからない、難しい問題と考えております。

 以上です。

○田中委員 ありがとうございます。

 結局、環境基準、当然、水産のことも定められているとは思いますが、同時に、生体の保存も考えられているはずなので、そういう視点から、本当にどういう割合とか、どういうレベルがいいのか、どんなものが本当に足りないのか、その情報を、やはり供給する側のほうもある程度理解しながら、供給する側のほうもやはりさまざまな運転上の苦労をしているところがやっぱりあると思います。そういう苦労の部分があまり、今、出てきていませんが、お互いにそういう情報をやっぱり共有化、もう少ししていただくのがいいのかなという、ちょっと感じを受けました。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 じゃあ、高村委員、どうぞ。

○高村委員 すみません。文化庁さんのほうにちょっと教えていただきたいですけれども、天然記念物の指定で、生き物を対象にした場合です。これは指定したら、補助金などを市町村に渡して、それで、生き物ですから、史跡と違って、いなくなったりとか、その個体群や群集が、変化はするわけですよね。分布域が変わったりとか。

 指定すると、その後のフォローというのはどういうふうにされているのか、教えていただきたいです。

○田井課長補佐 どうもありがとうございます。

 動物の場合は、まず、その地域を定めて、この地域のこの動物という形で指定する場合と、地域を定めずに、その動物と指定する場合が、まず、ございます。そういった形で指定をされますと、その文化財保護法上、現状変更と呼んでいますが、その動物の場所を移したりですとか、そういうことをする場合には、例えばオオサンショウオを、護岸、川を工事するのでどこかに移しますというような場合には、現状変更の許可というものを文化庁のほうに出していただいて、そこで勝手にそういう移動が行われないように規制をしていくというところと、あとは「き損」と呼んでいますが、個体が死んでしまったりしたような場合には、その届け出を文化庁に出していただくと、そういったような形で、その後、指定された後の保護というものを図っていっているというところでございます。

○高村委員 積極的な保全は、環境省自然局のほうに任せて、その個体を故意に動かすとか、その辺は縛りがかかっているということですね。そういうふうに理解してよろしいですね。

○田井課長補佐 そうですね。法令上の文化財保護法上の縛りという意味では、そのようなことになりますが、補助事業のほうで、補助事業の予算的な措置のほうでは、再生事業ということも行っておりまして、そういった生育環境の復元ですとか、増殖等による回復のための事業に対して、市町村教育委員会に補助しているというところはございます。

○岡田委員長 よろしいですか。

 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。

 本日は、前半でもヒアリングさせていただきましたが、全体を通じて何か御意見、御質問等、ございますでしょうか。よろしいですか。

 では、どうぞ、山田委員。

○山田委員 今日来ていただいた農林水産省や国土交通省、文部科学省の方々への調査研究や施策を担当されている方に湾・灘協議会に関するお願いです。瀬戸内海環境保全特別措置法や瀬戸内海環境保全基本計画、平成27年に公布・施行されたもので、その中には、湾・灘協議会に関しては、関係府県知事は、「・・・関係のある瀬戸内海の湾、灘その他の海域の実情に応じたものになるようにするため、あらかじめ当該湾、灘その他の海域を単位として関係者により構成される協議会の意見を聴き、・・・」とあります。そしてまた、「国は、地方公共団体による前項の措置が円滑かつ着実に実施されるよう、地方公共団体に対し、必要な援助を行うように努めるものとする」とあります。

 ぜひ、環境省さんを初め、農林水産省、国土交通省さんにお願いしたいのですけれど、湾・灘協議会はまだ五つしか設立されてないということを、前回の17回で御報告がありました。湾・灘の実情に応じた施策をこれからとっていくためにも、皆様に援助をお願いしたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 今のはよろしいですね、環境省。

 ほかにございますでしょうか。

 それでは、今回の関係者からのヒアリングにつきましては、審議の中で、追加的なヒアリングの必要性というのを、随時、検討するということになっております。現時点で、さらにヒアリングの対象を追加したいという御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、議題の2、その他でございますが、事務局から何かございますでしょうか。

○佐藤係長 特にありません。

○岡田委員長 それでは、本日の議題はこれで全て終了いたしました。

 本日は、長時間にわたりまして、御議論いただき、ありがとうございました。

 特に本日御説明及び質疑対応いただきました皆様には深く感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

 それでは、事務局にお返しいたします。

○佐藤係長 委員長、議事進行、ありがとうございました。

 追加的なヒアリングについて、特段、意見はありませんでしたので、予備日の1029日については開催せず、次回の小委員会は、1125日、月曜日、15時半からを予定しております。委員の先生方におかれましても、引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 また、本日の議事録については、委員の皆様及び御説明いただきました関係者の方々には、速記がまとまり次第、お送りさせていただきますので、御確認をお願いしたいと思います。御確認いただいた議事録は、環境省ウエブサイトで公開いたします。

 説明いただきました関係者の皆様、ありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして、第18回の小委員会を閉会とさせていただきます。

 本日は、どうもありがとうございました。

午後3時34分閉会

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