中央環境審議会水環境部会 瀬戸内海環境保全小委員会(第17回)議事録

議事次第

開会

議題

(1)関係者からのヒアリング

(2)その他

閉会

出席者

委員長 岡田光正委員長
委員

大塚直委員、高村典子委員、三浦秀樹委員、岩崎誠委員、沖陽子委員、清水芳久委員、田中宏明委員、野田幹雄委員、細川恭史委員、柳哲雄委員、山田真知子委員、 鷲尾圭司委員

関係者

広島県 環境県民局 環境保全課 環境評価・瀬戸内海グループ 河原主査

関西学院大学 総合政策学部 総合政策学科 佐山教授

広島工業大学 上嶋客員教授

瀬戸内海関係漁連・漁協連絡会議(兵庫県漁業協同組合連合会) 田沼会長

特定非営利活動法人水辺に遊ぶ会 山守様

事務局

環境省:水・大気環境局長、大臣官房審議官、水・大気環境局総務課長、水環境課閉鎖性海域対策室長、閉鎖性海域対策室長補佐、閉鎖性海域対策室審査係長、自然環境局国立公園課国立公園利用推進室長補佐、同自然環境課公園事業専門官、同自然環境計画課課長補佐、同専門官、同係長、同生物多様性戦略推進室専門官

文部科学省:文化庁文化財第二課課長補佐

農林水産省:水産庁増殖推進部漁場資源課長補佐、水産庁漁港漁場整備部計画課計画官

国土交通省:水管理・国土保全局下水道部流域管理官付課長補佐、港湾局海洋・環境課長補佐

議事録

午後1時30分 開会

○佐藤係長 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第17回瀬戸内海環境保全小委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。

 本日の出席状況でございますが、委員23名中13名の御出席をいただいております。また、委員及び臨時委員7名中3名の御出席をいただいており、大塚委員は遅れていらっしゃるとの御連絡をいただいておりますので、御到着の時点で定足である過半数を満たし、本小委員会は成立する見込みであることを御報告いたします。

 なお、足利委員、白山委員、西嶋委員、池委員、白石委員、末永委員、佐伯委員、中瀬委員、西村委員、宮迫委員につきましては、御都合により御欠席との連絡をいただいております。

 また、山田委員におかれましては、交通機関の遅れによりまして、遅れて御到着との連絡をいただいております。

 また、本日は関係者からヒアリングを実施させていただきますので、発表者の方々を御紹介いたします。

 広島県環境県民局環境保全課環境評価・瀬戸内海グループ主査の河原様でございます。

○河原主査 河原です。よろしくお願いします。

○佐藤係長 関西学院大学総合政策学部総合政策学科教授の佐山様でございます。

○佐山教授 佐山です。よろしくお願いします。

○佐藤係長 広島工業大学客員教授の上嶋様でございます。

○上嶋客員教授 上嶋です。

○佐藤係長 瀬戸内海関係漁連・漁協連絡会議の田沼様でございます。

○田沼会長 田沼です。よろしくお願いします。

○佐藤係長 なお、特定非営利活動法人水辺に遊ぶ会の山守様は飛行機の遅れにより、後ほど御出席との連絡をいただいております。

 それでは、議事に先立ちまして、水・大気環境局長の小野より御挨拶を申し上げます。

○小野水・大気環境局長 環境省の水・大気環境局長の小野でございます。

 本日はお忙しい中、御出席いただきまして、大変ありがとうございます。

 今回は、ヒアリングの3回目ということでございます。先ほど御紹介申し上げましたけれども、広島県の河原様、関西学院大学の佐山様、広島工業大学の上嶋様、瀬戸内海関係漁連・漁協連絡会議の田沼様、それから、多少遅れておりますけれども、水辺に遊ぶ会の山守様にお越しいただいております。大変御多用の中、また、遠くから御対応いただき、大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、ぜひ、現場でさまざま感じておられる課題、さらには提言といったところを忌憚なくお聞かせいただければ、幸いでございます。

 また、環境省の事務方からは、瀬戸内法の施行状況についても御報告をさせていただき、審議の参考にしていただければと考えております。

 それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

○佐藤係長 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 資料につきましては、環境負荷削減の観点からペーパーレス化の取組を推進しており、お手元のタブレット端末に本日の資料が一式格納されておりますので、御確認ください。

 議事次第、配席図、資料1、2-1~2-6、参考資料1~6となっております。

 各資料を御覧になりたいときは、その資料が表示されている部分を1回タップしてください。見終わりましたら、もう一回、画面をタップしていただきますと左上に矢印が出てきますので、それを押していただきますと、前の画面に戻ります。

 資料の不足やタブレット端末の不具合がありましたら、事務局にお申しつけください。議事中も同様にお申しつけください。

 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただきます。

 なお、プレスの方は、これ以降の写真撮影等はお控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、この後の議事の進行につきましては、岡田委員長にお願いしたいと思います。岡田委員長、よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 はい、かしこまりました。

 委員の皆様方、また、関係者の皆様方におかれましては、大変御多用の折、御出席をいただき、誠にありがとうございます。

 早速ですが、議事に入りたいと思います。今回は3回目のヒアリングということになっております。各御説明をいただく方々には大変時間が短くて恐縮でございますが、それぞれ15分ということで、御協力のほどをお願いいたします。

 質疑応答に関しましては、前半のお三方にまとめて御説明いただいた後に一旦時間をとり、その後、後半のお二方と環境省で御説明いただき、もう一度、時間をとるという形で進めさせていただければと思います。また、最後に全体を通じての御意見、御質問等をいただくということを予定しております。

 それでは、早速ですが、前半のお三方からお願いいたします。

 まず、広島県の河原様、よろしくお願いいたします。

○河原主査 広島県環境保全課の河原でございます。

 本日は「美しく恵み豊かな瀬戸内海の実現」に向けた広島県の取組といたしまして、海ごみ対策と水質保全の取組について、御説明させていただきます。

○岡田委員長 どうぞお座りになって。

○河原主査 それでは、座って説明させていただきます。

 それでは、2ページ目を御覧ください。流れですけれども、一つ目に、瀬戸法に基づき策定しております県計画について、海ごみ対策と水質保全部分の概要を簡単に御説明いたします。二つ目に、本県の海ごみ対策の状況について、もう一度、詳しく説明させていただきます。最後に、海ごみや水質保全の課題解決に向けた必要な方策について、御説明させていただきます。

 それでは、3ページ目を飛ばしまして、4ページ目を御覧ください。広島県では、瀬戸法に基づく県計画を平成28年10月に策定しております。施策体系の頂点にあります基本理念としまして、美しく恵み豊かな瀬戸内海の実現としておりまして、本日の資料名としたものです。その2段下にございます基本的施策といたしましては四つに分けられておりまして、真ん中の二つが、本日御説明いたします水質の保全及び管理、海ごみに当たる部分が自然景観及び文化的景観の保全でございます。そして基本施策を支えるものとして、推進基盤の整備を実施することとしております。

 次に、5ページを御覧ください。基本施策の一つ目、水質保全及び管理について、御説明します。まず、水質の保全及び管理について、現状と課題について御説明します。環境基準達成状況ですが、下のグラフに広島県海域におけるCOD、全窒素、全りんの環境基準達成率の推移を示しております。四角の白い四角が全窒素、黒三角が全りんなんですけれども、それぞれにつきましては、概ね環境基準を達成している状況でございますが、CODにつきましては、主に広島県西部海域における達成率が低く、平成30年度は広島県全体で29%の達成率にとどまっており、引き続き水質改善対策が必要と考えております。一方で全窒素水質につきましては、環境基準を概ね達成しているところでございますが、広島県全海域で減少傾向にあって、栄養塩類である窒素、りんの海域への流入量の低下と漁業生産量の減少との関係が指摘されているところでございます。現状では、これらの関係性や有効な対策が不明であり、引き続き、知見の集積が必要と考えております。

 次に6ページを御覧ください。水質の現状と課題を踏まえまして、本県では水質の保全及び管理を通じて、海域の利用状況に適しました水質の確保を目標といたしまして、CODについては、平成29年に第8次水質総量削減計画を策定いたしまして、生活排水対策、産業排水対策を通じて、COD汚濁負荷量の削減を推進しているところでございます。また、漁業生産量と栄養塩類との関係につきましては、平成27年度から、きれいで豊かな海の確保に関する検討に参画するということで、最新の知見の集積に努めているところでございます。

 7ページを御覧ください。基本施策の自然景観及び文化的景観の保全のうち海ごみ部分について、御説明いたします。計画では、現状と課題につきましては、海ごみが周囲の景観を損ねるだけではなく、漁業被害や生態系への影響が懸念としております。目標といたしましては、瀬戸内海固有の自然景観及び文化的景観の保全と利用を推進することで、地域の魅力を再認識し、地域の活性化につなげるとされましたが、海ごみについては、主に自然景観の保全を推進することで地域の活性化につなげるというものでございます。

 次に、8ページを御覧ください。主な施策といたしましては、いわゆる海岸漂着処理推進法に基づく具体的な施策を定めることといたしております地域計画を策定いたしまして、重点的に取り組む地区を設定するなどをしております。また、自治体、漁業関係者、地域住民などの連携による自主的かつ継続的な回収・処理、発生抑制に取り組むこととしております。

 漂着ごみについては、海岸一斉清掃の拡大、漂流ごみにつきましては、広島港、尾道、福山に配備されております清掃船3隻による回収、その他投棄を防止するため廃棄物処理法などの強化を実施することとしております。

 次に9ページを御覧ください。推進基盤の整備について、御説明いたします。本県では、地域住民、活動団体、漁業者、自治体などで構成いたします湾灘協議会を平成29年4月に設置いたしました。県内海域の広島湾、安芸灘、燧灘、備後灘、備讃瀬戸を三つに区分いたしまして、西部、中部、東部それぞれに湾灘協議会を設置しております。

 ここまでが県計画に記載されました水質の保全及び管理と海ごみ関係の概要でございました。

 次に10ページを御覧ください。これまで実施してまいりました海ごみ対策について、御説明いたします。

 次に11ページを御覧ください。実際に本県のある海岸の状況でございます。瀬戸内海でも多くのごみが漂着している場所があるというのがおわかりいただけるかと思います。

 次に12ページを御覧ください。先ほどから御説明してまいりました海岸一斉清掃のメニューの一つ目となります、せとうち海援隊について御説明いたします。これは海浜における環境活動を支援する事業でございますが、これは平成14年度から取り組んでおります。いわゆるアダプト制度に似たような事業になります。対象となる活動は海ごみ清掃だけに限らず、海岸や干潟で行う生物調査などを実施する場合も対象としておりまして、こういう活動をされる団体などをせとうち海援隊として認定し支援していくものでございます。平成30年度末現在で認定団体数は36団体に上っているところでございます。支援の具体的な内容といたしましては、活動を実施するときに事故があった場合など、そのときのための保険の加入、活動に必要なごみ袋や軍手などの資材の提供、また、ホームページなどにより活動のPRを実施しているところでございます。また、回収したごみの処分については、関係市町と連携をとり、御協力いただいているところでございます。

 次に13ページを御覧ください。実際に回収いただいている状況でございます。説明は省略させていただきます。

 次に14ページを御覧ください。海岸一斉清掃のメニューの二つ目となります平成28年度に実施いたしました日本三景の一つ、宮島での一斉清掃のモデル事業でございます。「宮島海岸GOMIゼロ作戦」と題しまして、参加を募ったところ、約1,000名もの御参加をいただきました。趣旨といたしましては、県計画で御紹介した自主的かつ継続的な海ごみ清掃の環を広げることを目的とするものでございます。ごみ拾いは、なかなか大変な作業になりますので、楽しむとか、体験するとかといった視点とイベントを組み合わせた六つのイベントを設定いたしまして、市や環境保全団体、企業などと連携協力して実施したものでございます。具体的に御説明すると、GOMI拾いウオーキングというのは、例えば、宮島トンボという、この地域にしかいないトンボの説明をさせてもらったり、クイズを行いながら、実施した体験イベント、スポーツごみ拾いにつきましては、ごみの回収を5人一組で競うスポーツ感覚のイベント、最後にGOMI拾いコンにつきましては、海ごみ清掃をしながらの婚活イベントでございます。ほかにも同じ日にあわせて、企業や自治体が主体となった海ごみ回収とエコツアー、自然に触れ合えるようなものを組み合わせた体験型のイベントを連携して実施してまいりました。

 次のページがそのパンフレットですが、右側に六つほどありますが、上三つは県が実施したもの、下の同時開催と三つ並んでいるものが、これが企業や自治体などが主体となってやっていただくものを同時開催ということで連携したものでございます。

 次に、16ページを御覧ください。次に市町の海ごみ対策の支援、国庫補助事業でございます。これは海岸一斉清掃や啓発を行う市町の取組を財政面から支援する事業でございまして、先ほど、御説明いたしました地域計画の策定をしたことにより、平成28年度から補助事業が開始され、順次、事業実施市町が拡大しているところでございます。

 次に17ページを御覧ください。海岸漂着物実態調査でございます。ここまでは海ごみが流出した後の対応として、海ごみ回収の取組を御説明してきたところでございますが、本県では、回収の取組に加えまして、今後は流出防止対策、発生源対策が必要と考えております。この調査は、平成30年度に今後の発生源対策の基礎資料とするため、県内の海岸への漂着物の量とその種類を把握したものでございます。

 方法といたしましては、県内の海域を西部、中部、東部に分類いたしました。季節的な変動も考え、年4回の調査としております。調査は、また2種類ございまして、一つ目が量を目視で把握する「県内海岸全域調査」、もう一つが、一定地域のごみを全て1回、回収いたしまして、ごみの種類ごとに分別して、さらにそれぞれの量を把握するという「海岸漂着物組成調査」を実施いたしました。なお、これから発生源対策の効果測定にも利用するため、本年度以降も継続実施することとしております。

 次に18ページを御覧ください。県内海岸全域調査の地点図でございます。全部で、135地点で実施しており、湾灘協議会と同様に西部、中部、東部で分類しております。かなりの数の調査地点数になることがおわかりになるかと思います。

 次に19ページを御覧ください。同様に、海岸漂着物のこれは組成調査です。ここは実際に分別するので、135海岸ではできませんでしたが、10海岸で実施しております。

 次に20ページを御覧ください。組成調査の材質別の品目の分類でございます。発生源対策につなげるため、できるだけごみの種類を具体的に分別することとし、36種類に分別することとしております。波や日光で細かくなってしまうものも実際には多くて、もともと、どんな製品であったかわからないものがあり、その他分類不能なごみというものも実際にありました。

 次に、21ページでございます。海岸漂着物の量の結果でございます。海域ごとの年平均漂着量は、重量で、地域ごとに、7トンから52トン、体積で99立米~1,714立米でございました。海岸漂着量は、年間を通じて、西部で特に多い傾向が見られまして、全体の8割を占めておりました。本土側の海岸と比較して、島しょ部の海岸において、海岸漂着物が多い傾向が見られました。

 次に22ページを御覧ください。海岸漂着物の種類の分析でございます。西部におきましては、漁業関係に関するごみである発泡スチロールフロート及びカキ養殖パイプが大部分を占めておりました。また、中部及び東部につきましては、陸上の生活由来のごみであるペットボトル、その他のプラスチック類が大部分を占めておりました。漁業活動に関連するごみを除くと、西部・中部・東部における海岸漂着物量に大きな差はございませんでした。

 ここまでがこれまで実施してまいりました本県の海ごみ対策の実施状況でございました。

 次に23ページを御覧ください。最後に、課題解決に向けて必要な方策について、御説明いたします。

 次に24ページを御覧ください。まず、海ごみ対策についてです。本県において、発生源対策が必要と考えておりますが、まずは漂着量調査を実施しているところでございます。生活由来の陸域から流れ出てきたごみも相当量あることがわかってまいりました。そのごみにつきまして、実効性のある発生抑制を図るためには、発生源の解析が必要と考えております。海ごみの発生源は意図的なポイ捨てや不法投棄だけに限らず、非意図的な発生源、例えば、生活ごみをごみステーションで一般的には集積して回収されるなどされていると思いますが,こういったところの管理の不十分とか、カラスが散乱させるなども原因として考えられるところでございます。ついては、実効性のある対策を検討するためには、発生源ごとの寄与率などの分析が求められると考えております。

 次に25ページを御覧ください。海ごみの情報集約についてです。海ごみの回収につきましては、さまざまな関係省庁や主体が実施しており、情報の集約が必要と考えております。先ほどの海ごみの実態調査を実施したところ、清掃が盛んな観光地では、その周辺と比較して漂着量が少ないという状況になっておりまして、実際には、海ごみの実態を把握するには漂着量調査とあわせて、海ごみの回収量の情報も必要と考えられます。ついては、全国統一で情報収集できる仕組みと情報収集のフォーマットの整備により集約が必要と考えております。

 次に26ページを御覧ください。水質管理についてです。水質管理における必要な方策といたしましては、海域の特性や海面利用状況などにより異なる湾灘ごとの課題への対応の検討が必要であることから、国において実施されている各種検討結果やその他の知見をもとにした適正な栄養塩の管理のあり方を示すガイドラインの策定をお願いしたいと考えております。

 以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。

 続きまして、関西学院大学の佐山様、よろしくお願いいたします。

○佐山教授 それでは、早速ですけれども、説明させていただきたいと思います。座って説明をいたします。

 資料の2-2ということで、今日は自然景観及び文化的景観の保全の観点からということで提言をさせていただきます。

 実は、私は環境省のOBでありまして、環境省に30年ほど勤めさせていただきました。うち20年は現場のほう、国立公園を担当させていただきました。そういうことも含めて、今日は提言させていただきたいと思います。

 次、スライドの2枚目です。これは今日の御出席の皆様には、言うまでもありませんが、もう一回、少し振り返っていただければということで、平成27年2月27日閣議決定をされました「瀬戸内海環境保全計画」の自然景観及び文化的景観の保全に関する目標というところで、簡潔に説明させていただきます。

 まずは、自然景観の革新的な地域が国立公園等に指定されています。そういった瀬戸内海特有のすぐれた自然景観を失わないということが重要であります。それが適正に保全され、かつ自然海岸が現状よりも減少をすることのないように保全していき、かつ、失われた自然景観は、回復のための措置を講ずるということが1点目。

 2点目は、瀬戸内海の島しょ部、それから海岸の緑というものは、瀬戸内海の景観を構成する重要な要素であるから、保安林等の各種制度を活用して、緑を維持し、かつ積極的にこれを育てていくということです。

 それから、3点目、瀬戸内海は、本当にいろんな自然景観ばかりではなく、史跡、名勝、天然記念物等の文化財が非常に豊富であります。そういったものを適正に保全していくということです。

 4点目は、先ほどの河原さんの説明にもあったように、非常に海岸のごみ、漂着ごみというものが重要な課題となっておりますので、そういったことに対して対策を講じていって、正常に海面・海岸が保持され、それから景観を損なわないということが重要であると思います。

 それから、5点目、これが非常に重要なポイントかと思いますが、地域の自然、それから文化等を生かしたエコツーリズムの推進をしていくということになろうかと思います。

 次のスライドに行っていただければと思います。たまたま、私、平成25年度に福武財団のほうから助成をいただきまして、「瀬戸内海地域固有の景観資産の掘り起こしに関する調査研究」というものをさせていただきました。ちょうど、平成27年3月に報告書をまとめたのですが、そのときに代表させていただきましたけれども、メンバーには、いわゆる鉱工業の産業資産というよりは、遺産、景観ですね。そういったものの専門の岡田先生、それから奈良県立大学の井原先生。もともと造園の先生で、日本庭園、ひいては文化財、文化遺産、そういったものを専門にされている先生です。それから、立花さんは小豆島のほうでNPO法人の代表をしておりますが、観光協会に20年ほど勤めていたということで、非常に地元の知識、そういったものを広く観光客の皆さんに伝えていこうという活動をしている一方で、こまめ食堂という、小豆島で行列ができるような食堂をやっていらっしゃる方です。それから、水谷先生と言ってよろしいか思いますが、今、西田先生、一番下にありますけども、その後任として、奈良県立大学で教鞭をとっていらっしゃいます。それから、滝川さんは、もともと讃岐藩の衆燐図という、今でいうと、カラーの魚類図鑑といったものの研究をされておりまして、今は科研費等を使って、日本から持ち出されて欧米のほうにある標本類、そういったものを通じて、日本はどういうふうに研究をされたのか。また、ユニークなところでは、そういった研究の資料の中には琵琶湖の魚もありますけれども、そういった魚を通じて、かつての琵琶湖のいわゆる魚類相がどういうものだったのかというような研究もされております。それから、宮本さんはアート、今年は瀬戸内海国際芸術祭の年ですけれども、そういったアートと地域振興、地域おこしみたいなところを一生懸命やられている先生です。西田先生については、長く瀬戸内海の景観について、特に瀬戸内海の景観が、欧米人を含めて、日本人にどう評価されてきたのかを研究されてきている先生です。

 それで、その研究をやったときに、しまなみ海道というのがありまして、そこはずっと歩けるということですから、歩いてみると、何か見えてくるものがあるのではないかということで、とりあえず、尾道から波止浜まで歩いてみました。歩いたルートについては、しまなみ海道はいわゆるサイクリストの聖地ということで、日本人だけではなくて、インバウンドで大勢の外国人の方がいらっしゃいますから、いわゆる推奨ルートというか、入門ルートというか、そういったところを歩いてみました。

 まずは、向島に船で渡りまして、それから、向島の西側になりますか、御幸瀬戸のほうを歩いて、向島大橋、右下のスライドになります。そこを通り越しまして、次は津部田という漁港の整備されているようなところがあります。津部田の集落を越えまして、そこには干潟があったり、あるいは大林宣彦監督の「あした」という映画のロケ地になったところもあります。それらを見ながら、ずっと島を歩いてきますと、次の因島のほうに向かっていきます。因島大橋を見ながら因島大橋を越えまして、次のスライド、左上のスライド、平山郁夫先生がしまなみ海道五十三次、そういったところでスケッチをされています。その描かれたスケッチが陶板に焼きつけられたと思いますが、そういったものが随所に掲示されているというところであります。それから、因島を重井方向に向かって歩いていきまして、左の下、因島のフラワーセンターの前には、かつては因島といえば、除虫菊が大変盛んに栽培されていたわけですけども、かつてに比べれば一部でありますけれども、そういったところを復元しようと、そういう活動も行われております。

 次のスライドに行きますと、やっぱり歩いていて楽しみというと、食も一つの楽しみですので、そういったところを味わうというのも、とても大事なことで、これも後に提言させていただければというふうに思います。右上は、因島の除虫菊の父と言われる村上翁の石碑、こういったものも道を歩きながら楽しんで歩いていけるということです。それから、下に行きまして、生口島のほうに渡っていきますけれども、生口島を西側の方向に歩いていきますと、瀬戸田のしおまちの商店街。

 それで、次のスライドに行きますと、港のほうに出ていくところには、古い民家があったり、サイクリストの聖地ということで、船を利用しながら自転車を乗せていけるというのがポイントですね。それから、もう一つは、かつて瀬戸田は平成元年から瀬戸田ビエンナーレということで、芸術作品といったらよろしいでしょうか、そういったものが十何カ所ぐらい点在しております。生口島、最近ではレモンでも有名で、ちょうど、これは11月ぐらいだったので、ミカン越しに多々羅大橋を眺めるというような状況です。

 次のスライドです。次は大三島に行きまして、瀬戸内海、しまなみのポイントは、随所で自転車が借りられるところで、ここの多々羅のしまなみ公園でレンタサイクルを借りまして、上浦の集落などの古い集落を自転車で楽しめるというのも重要なポイントかなというふうに思っております。それから、今度は大三島の東側を歩いていきますと、甘崎城という日本唯一の海城、そういったものを眺めることができます。

 次のスライドに行きますと、これは西田先生の「瀬戸内海の発見」の最初のところに出てきますが、瀬戸内海というのは一体どこなのか、瀬戸内海の本質はどこなのかということで、鼻栗の瀬戸というところが気になるわけですけども、そういったところで、これは「瀬戸内海の発見」という中公新書の「はじめに」ですが、瀬戸内海の場合は、文化が相当重層に蓄積されていますから、文学作品も多数あるので、そういった形での瀬戸内海の広報の仕方というのもあるのではないかなというふうに思っております。

 それから、次のスライドへ行きますと、伯方のほうに行きまして、開山、これはサクラでも有名なところですけれども、それから村上水軍の能島、それから、今度は大島のほうに渡りまして、ここは採石が非常に行われていたところですけども、そういったところを見ながら道沿いの古い民家も味わって楽しめます。

 それから、今度は、今治側に行きまして、これは来島海峡大橋になります。そういったところを眺めながら、右上のスライドになります。芸予要塞の一つとして小島砲台というのがつくられました。そういったところを遠目に見ながら、波止浜までたどり着いたということです。

 次のスライドに「東海自然歩道」という新聞記事があり、これは昭和44年ですから、ちょうど今年50年目になります。「東海自然歩道」というのは、次のスライドに行っていただくとわかりますように、長距離自然歩道という、環境省、それから地元の都道府県、自治体が一緒になって、整備している非常に長い歩道のことでありまして、これまで10本の道が整備中、もしくは整備を終えています。こういった長距離歩道は非常に長いので、もう少し短いしまなみ歩道も活用の方策があるのではないかということが提言の1でございます。

 次のスライドへ行って、提言の1。一つは「しまなみ自然歩道」の創設ということで、先ほども、少し説明しましたけれども、長距離の自然歩道は1,000キロを超えるような歩道ですので、それよりも短くて、達成が容易というのは重要なのではないか。それから、これは瀬戸内海の特色ですけれども、船を、あるいはバスを活用しながら何回にも分けて楽しめます。かつ長距離自然歩道のほうに月単位じゃなくて、日単位というか、週単位で達成感が味わえるというのも重要かなというふうに思っております。それから、自転車が各ポイント、ポイントでレンタルできるというのも、とても重要なことで、そういうものを生かしながら、単に歩くという歩道だけではなくて、自転車も活用できるという魅力がある歩道になるのではないだろう。あとは中国自然歩道や、四国自然歩道、そういった連絡道というふうに位置づける形もあるのかなというふうに思っております。

 次のスライドへ行きまして、提言の2、これは瀬戸内海景観資産の登録制度みたいなものができないだろうか。既に景観資産の登録制度ということでは、奈良県の景観条例が先例として、参考になるわけですけれども、一方で、制度という、なかなかハードルが高いので、手始めとして、そういう資産をリストアップするということから始めればいいのかなというふうに思っております。聞くところによると、瀬戸内海環境保全協会では、そういった動きがあると聞いておりますので、そういったところも、これから加速させると、資産制度につながっていくのかなというふうに思っています。それから、食というのも極めて重要なので、そういった登録制度という観点から、いろいろ食遺産、あるいは食の資産という形の制度というものも考えられるのではないかというように思います。

 提言の三つ目ですが、フェノロジーカレンダーということで、フェノロジーカレンダーというのは、次のスライドですけれども、言ってみれば、地域の気候とか生活とか文化とか歴史とか自然とか食とか、そういうものをギュッとつまった現代版の絵ごよみといったらいいのかなというふうに思っております。エコツーリズムというものを推進するに当たっては、私は資源、ガイド、ローカルルール、それらが三つのキーワードだと思っておりますが、言ってみれば、このフェノロジーカレンダーというのは、資源を見える化する作業だと思っております。言ってみれば、地域の曼荼羅という感じになるのかなというふうに思っています。そういったフェノロジーカレンダーに向けて、インスタグラム、これは流行っていますけれども、そういったところで開設をして、そういった写真も活用しながら、フェノロジーカレンダーにつなげていくというのが大事かなというふうに思います。

 最後に、フェノロジーカレンダーの概略というのが、次のスライドになります。これは「みんなでつくるフェノロジーカレンダー」というところから拝借をしてきました。左側のスライドにありますように、気象の条件、温度、降水量、それから自然の主要な写真、それから下は宝です。また、いろんなお祭りであったり、鳥が鳴き始めたり、魚はこんなものがとれたり、食べ物はこういうものがあったり、そういったものを1月から12月に整理したのがフェノロジーカレンダーです。

 三つ提言させていただきまして、私の発表を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、広島工業大学の上嶋様、よろしくお願いいたします。

○上嶋客員教授 上嶋でございます。

 私のテーマは、瀬戸内海のエコツーリズムの振興により、瀬戸内海の自然と文化を継承するために必要な提案です。結論的には、豊かな瀬戸内海というのはどうやってつくっていくのかということになると思います。

 2ページ目に行ってください。瀬戸内海の在り方を決める一番の根源は瀬戸内法改正ですが、その組立となる政策はこの図のように四つの柱からなっています。この四つがうまくつながらないといけないだろうということになってきますが、その政策にあった具体的な活動がちょっと見えないのかなと思います。ともかく中で何をどう動かすのかということで、私の立場としては自然景観及び文化的景観の保全をエコツーリズムから、まず進めていって、それが一つの活動母体になってくるであろうと思います。

 3ページ目に行ってください。ところで今年の1月9日、ニューヨークタイムズが世界を対象にして2019年に行くべき52の場所」が発表されました。日本では瀬戸内海がただ一つ選ばれたということで、これは非常にびっくりしました。なぜ選ばれたのか。自然、芸術、アクティビティ、平和、この四つがきちっと調和してつながっているという、この見事なバランスが世界に評価されたのではないかなと思います。ともかく外国から「アートと自然が調和する日本の内海」ということになり、非常に高い評価を受けていますが、この価値をどのような形で、提供するのかということが大きな課題になってきます。

 4ページ目に行きます。ところで、その前の12月30日に驚くべきことに、朝日新聞1面に「去りゆくひと 死んでゆく島 老いる国はどこに向かうのか」の見出しの記事が出ました。いわゆる、この新聞内容は、岡山県の黒島に対して無人島になるよというような話で、これが、現在の瀬戸内海の中で、象徴的な一つの傾向であるという話がありました。

 5ページ目、となると、瀬戸内海全体の状態は一体どうなっているだろう。中国新聞に2016年1月20日に出ましたが、「山間部・島嶼部 過疎進む」ということで、2015年の国勢調査を受けて、こういうような結果が出てきて、1965年から2015年まで何と約50万人が中山間部で減ったと。では、瀬戸内海はどうかということで見ていきますと、5ページの上の図ですけども、これは、下関市立大学の平岡先生がまとめたもので、小豆島は有人島で瀬戸内海第1位の大きさの島ですが、これが何ともう人口が70%近くまで減少して来ました。あとの赤く塗りつぶした島は、ほとんど無人島化しつつあるところで、塩飽諸島から備讃瀬戸の間で、瀬戸内海のど真ん中です。にもかかわらず、こういうような状況というのは、周辺の方々は気づいていることですが、何の対応も取られていません。

私が今、無人島化した島から活性化した島に蘇らせる活動のオファーを受けてやっているのが、山口県上関の沖に八島という島があります。6ページに示す新聞記事では、島の人口が1960年に669人いましたが、2015年では、たった28人、現在では10人を割っています。これでは島内に人が居るのかいないのか分かりません。年がいきますと、本土側に移っちゃって、病院に入りますから、住民票は置いてあるが、人はいないということで、漁師さんは、たった1人、他の島民は80歳以上が60%ということで、大変な状況になっているということです。

 この八島のエコツーリズム振興の可能性について頼まれたので、7ページ、では、ここをどうやって人が来て、そして少しはにぎやかな島になるかということで、まずは資源調査をしました。周防灘に突き出した八島は特異な地理からなる三つの島が繋がっている生物多様性の豊かな島です。周りは海藻や豊かな漁場など水産資源が非常に豊富な場所でもあります。あまり島の良さをPRしますと、留守の島が荒らされますから注意が必要ですね。島の田畑は放棄され、漁村は崩壊し、歴史ある神社やお寺は無人化して祭事は消滅しました。何と民家は120から130ありますが、全部空き家ですよ。もう二、三軒だけですね、家に入っているのは。こういう場所をどういうふうに処理していくだろうか。

 8ページ、広島湾を取り巻く中山間地と、それから島嶼部の人口の変化ですけども、島嶼部について言えば、1947年に13万人いたのが2010年では5万人に減少し、もう大体3分の1近くなってきています。

 ところが、では、漁業はどうするかということで、次の9ページです。結局、瀬戸内海には漁港が462港ある。1港当たり漁師さんはどれぐらいおられるだろうかということは、実は、まだ数字がわかっていませんが、私の近くの安芸灘諸島や防予諸島の島々の漁港では、実体的な漁民は大体10人程度かと予測しています。多くの漁港が衰退していくようです。

 次に10ページを御覧下さい。瀨戸内海の漁業はどうかというと、これは、もう皆さんはよく御存じですけども、いわゆる、一番とれたのは昭和60年、1985年ですけれども、46万トン、これは海面漁業ですけども。それが2011年度は17万トンになりました。現在では、17万トンにしてみても、3分の1ですから、大変な減少です。一体その要因は何なのか。資源量の減少だけでは無いかも知れません。

 次、11ページに行きます。結局、瀬戸内海は豊かな海かと言われたときに、漁業生産量は激減し、漁村、漁民の減少、過疎化、漁業者以外の島民も含めて人口減少、レベル4とありますが、最高がレベル5とすれば、もう寸前だなと。灯火が消える、種火がないところには、火は燃えないですからね。これはどうするだろうか。

 瀬戸内海は、東部と西部とは、どうも社会的システムの格差が非常に大きくなってきているのではないだろうか。人もそうですけども、活動する人たちが少なくなってきている。西のほうが少なくて東のほうが多いのかなという気がします。島嶼部の海上交通が激減しました。島に行く船がないですだから、島々はどうなっているのかを知らない、現状を見たことが無い、考えることが無い。だから安心できるというか、物流の停滞もすごいですね。特別な話題を持つ島には人が来ますが、瀨戸内海の素朴な島々には観光に行く人はいないわけです。平成の市町村代合併の影響は大きく、文化的歴史的な資産の管理は全くできなくなっています。このため、伝統的なお祭りや産業が消滅し、学校はもとより、神社仏閣や共同施設には人はいなくなって、管理できなくなっている。ひどいものです。それから、島内の生産力が落ちている、管理の力もない、住む力もないという状況です。

 そこで、これまでの紹介した課題を纏めたのが、12ページ、即ち、島嶼部の人口減少過疎化によってどのような課題が生じるのかを纏めたものです。その課題として、一つに社会システムの崩壊です。これは、文化的景観の崩壊につながっていきます。漁業の停止とか、いろいろあります。それから、二つ目は自然環境の管理不能、自然景観が破壊していく。とにかく竹が繁茂して、島中竹だらけということで、段々畑に竹が生えると、なかなか、もうとれません。白砂青松がない。白砂青松って知っていますかというかというぐらい、どんどん草ぼうぼうの中に松が生えて、瀬戸内海国立公園の管理活用が非常に不可能になってきている。それから、沿岸域の景観・環境管理が非常に難しくなってくる。漂着ごみの問題、先ほどもありました。藻場の管理、生態系の管理というもの、非常に問題がある。

 そこで、これまでの課題に対して、「提案Ⅰ」を、13ページに示します。提案として1番、瀬戸内海の「自然と文化」の実態調査をまずしよう。①として、瀬戸内海全体の国勢調査をまずやってほしい。島嶼部の歴史伝統の実態調査、人口がどうですか、文化財はどうですか、漁村はどうなっていますか、産業はうまくいっていますか、交通はどうですかということを島に対して、きちっと調査し、評価してほしい。そうすると、現状がもっと明らかになってくるでしょう。その結果から、「瀨戸内海白書」を作成し現状把握をしっかりして欲しい。藻場・干潟は既に調査をされておりますので、そういうこともあわせながら、社会科学と自然科学をあわせた瀬戸内海白書をつくっていただきたいというふうに思います。要する現状把握です。それから、島しょ部の無人島化の実態、本当にどれぐらい無人島化しているのかということを、例えば、「無人島化係数」でもいいですから明らかにしてほしいですね。そういう中において、何とか「無人島化」を止めるためには、エコツーリズムをどのように活用していけば、島外の人たちも含め考えて行ければと思います。そのための政策が必要です。

 ②として、国勢調査と併せて同時に「生態系一斉調査」を行うことです。私はスナメリを追いかけていますが、スナメリが少しずつ増えてきました。増えてきたけど、瀨戸内海の何処にどれだけ生息しているのか、その挙動については実は明らかにされていません。研究機関や市民グループ、海運や水産関係者と協同して継続的な調査ネットワークを作り、「スナメリの一斉全域調査」が出来るように提案します。あとは棚田の問題、あるいは白砂青松の問題というところもあります。

 ③については、「瀬戸内海国立公園」の環境価値を評価するための環境資源調査を実施することです。瀬戸内海国立公園として指定する個々のサイト数は全体で768サイトあります。これだけの国立公園の場所があるということは、皆さん知りません。では、それ一つ一つが、誰が管理しているのかということは、非常に難しいです。これを満喫プロジェクト等に発展していくためには、瀬戸内海全体をもう少しつかんでほしいというふうに思います。

 次、14ページに行きます。無人島化の危機にある島嶼部の蘇生、即ち、生産の場の活性化を図ることで豊かな瀨戸内海を創ることが必要です。これをエコツーリズムの運用でどうできるのかということを考えていきます。

 15ページ、ツーリズムの分類ということは、この図を御覧いただければ、大体わかっておられると思いますが、マスツーリズム、本来からの大量送客、大量消費型の観光、これに対して、エコツーリズムは地域の個性を体感し、旅人個人の志向に基づいた観光をすることです。エコツーリズムの概念としてもともとグリーンツーリズム、ブルーツーリズム、フォレストツーリズムという三つが重なったような感じは、何となく、皆さん、理解されていると思います。もっと、具体的なエコツーリズムの活動や魅力を体感して貰い、マスツーリズムとの違いを見せていかないといけないと思います。一方では、ジオパークがどんどん増えてきましたが、そのジオツーリズムについても見なければいけない。国際的にはサスティナブルツーリズムというのは、非常に、先行的に動いております。

 16ページ、エコツーリズムの定義としては、ここに書かれているように、歴史文化、自然環境を体験して、学ぶということと、地域の自然環境や歴史文化の保全に責任を持つ観光のあり方です。資源保護と観光立地と地域振興と経済効果、この四つがぐるぐる回ることで、島の活性化にもつながっていくだろうと思います。

 17ページ、そこで、「提案Ⅱ」を紹介します。その1番目はエコツーリズム推進による地域活性化と無人島化の阻止ということで、私は、今、無人島に対して、ちょっとこだわっており、人がいなくなったら何もできないということを一番心配しています。エコツーリズムの振興による瀬戸内海の自然・文化的景観を守り、活かす、新たな社会基盤の構築ということで、この「社会基盤」とは、島内の集落再編、生産の促進と市場の創生、そして、島外からの多くのツーリストの参加、DMO体系の構築、宿泊施設や二次交通の整備などを作る事から始まる。

 2番目、「瀬戸内海エコツーリズム全体構想」、これは今、環境省がエコツーリズム推進法に基づき力を入れている大きな政策であります。地域丸ごとエコツーリズムが可能なように、全体的にまとめていこうというものですが、今現在、15団体ありますが、これをさらに瀬戸内海の個性的な地域で全体構想を創り、それらのサイトをネットワークして瀨戸内海を一体化するような全体的な構想を考えていけたらというふうに思います。それを瀬戸内海全体のエコツーリズム推進機構ということでつくれればと思います。

 3番目、何と言ったって、若者を島嶼部に定住させるということが、非常に重要になってきます。これは、エコツーリズム事業がきちっと展開しないと、若者が生活し定住するための「なりわい」が成立しません。新たな産業として成り立つよう考えなければなりません。これについては、フランスの例も、後で説明いたします。

 18ページでは、エコツーリズムが一体どこで機能するのかということですが、世界的に見ると、ナショナルトラスト、のあるイギリスで、トラスト内のプロパティーを使ったエコツーリズムが盛んで歴史が深い。それから国立公園、ナショナルパーク、これらは世界的に価値の高いエコツーリズムサイトです。それから世界遺産、ラムサール条約登録地、それからサンクチュアリー、ジオパークというところでしょうか。

 19ページには、イギリスのナショナルトラストと類似したフランスの「沿岸域保全整備機構」について示しています。創設目的については、ここに記載している通りですが、その目的は、皆が使う大切な沿岸域の場所は土地を買い取り、無秩序な建設開発をさせないようにして、エコツーリズムに不可欠な、沿岸域の豊かな自然と歴史文化に価値ある風景を将来に残そうとするものです。サイト数は428あって、面積は58,838ヘクタール(ha)、多分、これは1999年の値なので、もう瀬戸内海の国立公園の面積と同等になっているかと思います。

 20ページ、時間があまりなくなってきましたが、これはフランスのケメネーズ島という島です。この島をフランス観光協会が買いまして、これを先ほどの沿岸域環境整備機構に委ねたりしております。このプロジェクトは「島嶼部活性化プロジェクト」で通称、「ISLAプロジェクト」呼ばれている。この本体は、五カ国が集まって創る「ノースウエストヨーロッパ」により創られ、欧州地域開発基金による援助を受けている。目的は、この島をエコアイランドとして活用していくことと、エコ・レストレーションというコンセプトを持っています。全て自然のエネルギーで賄って、そして、いろんな土地と資源を再生していく。農場放棄地や建物をレストレーションしたり、船着き場の再生をしたり、再生可能エネルギーを使って、電気をつくっていく、太陽光・風力発電、それから水処理も全部自分たちでやります。有機物の廃水処理施設もつくっています。こうやってエコアイランドをつくっていく。

 次の21ページ、そこにケメネーズ等に定住する若者を募集して、そして、その若者たちが島を管理していく。ここに、エコツーリズムを活用する概念を取り込んでいる。即ち、若者が収入を得るための「なりわい」として、島での生活を体験させるエコツアーの客を受け入れることで確実な収入が得られる。お客が来る、泊まる、そして料金をもらっていくということです。農業はオーガニックラベルというジャガイモをつくっていますけども、水産業としては、夏と冬はいろいろ使いながら分けています。島への交通は、フェリー代は入島税をとっていますので、そのお金が入ってきます。タクシーボートは、これは電動船です。そうやって、民間企業と契約して、宿泊費に含めて徴収しているということです。

 若者たちは、次の22ページの写真にあるように、若い夫婦2人と、子どもは2人いますけども、山の無い丘だけの小さな島ですが、自然の恵みを戴きながら自由な放牧と沿岸の海産物、そして自然エネルギーを活用したエコランドにおけるエコツーリズムによって絶えることの無いエコツアー客からの収入により生業が成り立ち、島の維持と活性化に大きな貢献をしていることが明白です。こういうことを日本でできないかというふうに思います。

 そこで、23ページには日本のエコツーリズムの政策について、各省庁の取り組みを示しています。2007年にエコツーリズム推進法が成立してから多くの政策や活動がなされてきました。この中にもエコツーリズム推進全体構想というのが、2014年から進んでおりますので、ぜひとも、これをもっと拡大していっていければ。それから、あと、エコツーリズム大賞というのがありますが、大賞を貰うような素晴らしい活動を行っている全体構想の団体や地域の情報をもっと身近にPR出来るようにするネットワークが未整備だと思います。更に、国立公園満喫プロジェクトや世界遺産の活用メニューには、しっかりしたエコツアープログラムを明記して紹介するようにして貰いたいと思います。

 次に24ページに行きます。あと、私たちは、今、一般社団法人の瀬戸内エコツーリズム協議会ということで、2010年に発足しまして、来年で10年目になりますけども、広島県さん、廿日市市さん、呉市さんと一緒になって、今、瀬戸内ツーリズム推進協議会をつくりましてやっております。廿日市市さんは宮島を全体構想ということで、現在、登録申請中でございますので、近いうちに認定されれば、瀨戸内海で国立公園の島が丸ごと、エコツーリズム推進全体構想になることは初めてのケースになると思います。宮島と姉妹提携しているフランスのモンサンミッセルのエコツーリズムに負けない活動が求められます。

 「瀨戸内海エコツーリズム協議会」が活動している範囲は、25ページに示す西瀬戸になります。広島湾奥の宮島サイト、広島湾入り口の防予諸島サイト、そして呉市の安芸灘諸島サイトのトライアングルで囲まれた島々の環境資源を対象に活動しています。

 26ページに行きますと、瀬戸内海全体をずっとこれから西から東へ進んでいこうかなというふうに思っております。これは、全体的にはスナメリを対象にしたこともやっています。

 27ページには本協議会の活動内容を示してあります。時間がないので御覧頂ければと思いましが、基本的に、活動の柱は、1.エコツアーの構築、2.人材育成、3.施設整備と活用、4.エコツーリズム全体構想の推進、となっています。

 その中で、28ページに示すように、人材育成については、対象者として、ツアーガイドの方や学生、地域の若者や活動家の方々に「エコ塾」を定期的に開催しています。講師はそれぞれの地域で実際にエコツアーを実施されている方にお願いしています。

更に、29ページには、全体構想への活動として、先ほど紹介しました「宮島エコツーリズム推進全体構想」の構築活動を行っています。

 そこで30ページには、新たに、提案Ⅲとして「漁業・農業との連携エコツーリズムの推進」することを提案します。すなわち、これまでのように漁業・農業と分けていないで、これと、エコツーリズムとを連携させてやっていこう。グリーン・ブルーツーリズムと言われていますけれども、とにかく、瀬戸内海島嶼部における無人島化対策として進めていければというふうに思います。島内のにぎわいの創生ということでやっていきたいと思っております。現在、31ページに示すように、安芸灘に位置する広島県の大崎上島において、「漁港漁場再生と賑わいの創生」に向けて、事業化への実証実験を行っています。島の活性化のために漁業生産の確保と島内産業の繁栄のためにエコツーリズムによる来島客の増加と定住を図る試験事業を行っています。ここに、漁業と農業のコラボレーションが不可欠となります。

 宮島のエコツアーですが、34ページに示すように神の島、宮島を取り巻く、礼拝のための7つの神社を船で巡り、それぞれの場所での景観や地理地形、沿岸域生態系を体感する一日コースのエコツアーです。外国人のツアー客には特に人気の高いものです。35ページには防予諸島でのエコツアーの紹介です。山口県の柳井から、愛媛県の松山までを結ぶ多くの島々を巡る防予諸島のエコツアーです。この海域は潮流が激しく、渦潮の発生が多くの海峡で見られ、スナメリが生息場を創っているとみられ、船上から多くのスネメリが発見されます。小学校の子供達や水軍歴史家の方々が多く参加されます。

36ページは周防大島北側の広島湾での定期船などによるスナメリ目撃数です。集積場所がよく分かります。特に、37ページに示す、久賀~前島間の定期連絡船からはかなりの確率で、スナメリが発見出来ます。そのため、人気の定期船になっています。2019年3月の一ヶ月間で何と300等の発見がありました。38ページでは、周防大島の海域公園に存在する「ニホンアワサンゴ」を船上からウオッチングするエコツアーの様子です。大変貴重な存在で、生息するコロニーを船上から覗くことが出来る貴重な場所です。

 以上、無人島を無くし、豊かな瀨戸内海を目指すために、エコツーリズムの役割と政策への「提案」をさせていただきましたが、ここで改めて、39ページにその役割を纏めてみました。これらのことが少しでも実践的に動くことが、瀨戸内海の目指す方向かと考えます。

 長くなりましたが、これで終わります。ありがとうございました。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、これまでの御説明に関しまして、御質問等がございましたら、お願いいたします。

○鷲尾委員 ありがとうございます。

 最初の広島県さんのお話ですけれども、海ごみの取組ということで、県内各地での取組事例を御紹介いただきましたけれども、湾灘協議会も県の管轄圏で設定されているということで、県内の活動はよくわかりますが、海ごみというのは、拡散すると越境していきます。そういう意味で県外に出ていく海ごみに対しての状況認識というのはされていると思いますが、例えば、山口県に出ていった海ごみとどう対処していくのかということを、県をまたいで、どういうふうにつながっていこうとしているのか、今後の対策等がありましたら教えていただきたいと思います。

○河原主査 県外との連絡というものは、ちょっと今は出てきていませんが、発生源対策、出すから御迷惑をかけていると思います。そういったところで他県に影響がないように、御迷惑をかけないようにということで、今、着手した段階ということでございます。

○鷲尾委員 広島県というのは、陸域が北側にありまして、大体北風に追われて海ごみというのは漂流していきますので、南側のほうがたくさん受けることになります。そういうところからの声というのをちゃんと反映させないことには、なかなか発生源、もとを止めるのは大事ですけれども、既に広がってしまったごみをどうするのかということが見えてこないと思いますので、ぜひ、県を越えた交流、それから対策というのは練っていただきたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 高村委員、どうぞ。

○高村委員 エコツーリズムの話は非常に刺激的で、おもしろく聞かせていただきました。ぜひ頑張って進めていただきたいなと思いますが、歴史的な、時系列にどう発展していっているのか、参加人数も含め、今後どう発展していくのかというのを、将来予測みたいなものを、もう少し御説明していただければと思います。

○上嶋客員教授 ありがとうございました。

 2007年のエコツーリズム推進法ができて以来、しばらく四、五年はほとんど動かない状況でした。今、ようやくエコツーリズムガイドという人たちが生まれてきて、今、全国で約1,000人生まれてきました。これは環境省さんが27年に全国調査した結果ですけれども。我々の中では、その職業とする人たちが、なかなか観光業界の中で認められていません。

 というのは、大衆的なツアーは、ガイドさんはオーケーですけれども、10人、5人という単位でやるツアーは既存の観光業界は儲からないということもあるので、日本の場合はエコツアーのコストが認められていません。オーストラリアの場合は、1人5万円払って、5人一組で、25万円で連れていってくれます。1人のガイドが25万円もらえるわけです。というようなリッチな世界にまだなっていません。もっともっと職業的な価値として、収入が多くなるようなレベルに上がれないと、満足できるツアーはできません。そこが、まだまだエコツーリズムの価値の底が浅いといいますか、という状況ですので、頑張って、まずはエコツーリズムの教育をしていかないといけない。

 あと、観光企業との連携をしなければいけないというのがありますね。ボランティアはやめて、お金をとってやりなさいと言っています。すぐボランティアをやってサービスだけで満足してしまうから。あなたたちは、もう少しお金を稼いで仕事をしなさいということを若者には言っていますが、ちょっと冗談っぽいですが、要するに、なりわいをきちっとやらない限りはプロとして育ちません。そういうプロになろうとする人たちが一番大事なのは、コーディネーターとインタープリター、ガイドさんですね。この二つが増えておかないと、ツアーを持っていけないですよね。私は、そのソースはつくっていますが、なかなか事業としていけないということで。

 すみません、長くなりましたが、ありがとうございました。

○岡田委員長 よろしいですか。ありがとうございました。

 ほかによろしいでしょうか。

 それでは、ちょっと予定の時間よりオーバーしていますので、次に進みたいと思います。後半の御説明に移りたいと思います。

 瀬戸内海関係漁連・漁協連絡会議の田沼様、よろしくお願いいたします。

○田沼会長 座って失礼させていただきます。瀬戸内海関係漁連・漁協連絡協議会の幹事を務めております田沼です。本日は、発言の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。

 はじめに、岡田委員長をはじめ、委員の皆様方、そして環境省の皆様方には瀬戸法の豊かな海に向けて御尽力いただき、感謝申し上げます。私たち漁業者も瀬戸内海を豊かな海にするためにさまざまな資源管理に取り組みながら、日々の操業をしています。しかしながら、豊かな海にするために漁業者の力では及ばないたくさんの課題があります。

 この度は、瀬戸内海に関係する10府県の漁連・漁協で豊かな海にするための課題について、まとめた資料をお配りしております。この書類は瀬戸内海再生議員連盟に対して、今年の3月に提出したものです。内容が多いので、今回は沿岸域の保全をテーマにして、五つの話をさせていただきます。

 まず、資料2ページを御覧ください。「沿岸域の良好な環境の保全」に関する内容です。

 沿岸は、さまざまな小さな生き物のすみかであります。その藻場や干潟などが生き物等にとって、必要不可欠でありますことは、改めて言う話ではないと思っていますが、しかしながら、現実は予算の具合や、あるいは港湾であるため、改善できないなど、埋め立てが進んだ都市部を中心に取組が進んでいない状態であります。生き物をたくさん育むことができる沿岸域となるよう藻場や砂浜の造成、傾斜護岸や石積み護岸、生物のすみかとなる構造物の設置など、計画的に、より広い範囲で実施していただくようお願いいたします。

 さらに、昔、海砂が採取された海底では、砂がなくなって、地盤がむき出しになったまま放置されている海域があります。また、深堀り後では、貧酸素水塊の発生場所となり、潮流によって移動すると浅場を中心に海底の生物の大量死をもたらしています。良好な河川の浚渫土を利用するなど、早急な対策をお願いいたします。

 また、栄養塩と漁獲量に関する内容です。この小委員会で6月にまとめられた「湾灘ごとの水環境の現状と課題」に基づきまして、貧栄養と富栄養、そして、栄養塩の偏在化問題を湾灘ごとに解消するため、湾灘ごとが求める全窒素・全りんの下限値を設けるなど、瀬戸法を再度、改正していただきますようお願い申し上げます。特に、それを達成するための施策として、下水道の栄養塩管理運転が効果的に実施されるための取組や、その効果を検証するため、周辺の水質や生物のモニタリングをお願い申し上げます。

 また、栄養塩の偏在化につきまして、埋め立てや防波堤などによって沿岸の潮通しが悪くなると、海岸での富栄養化や海底のヘドロ化が起きる一方で、その沖では貧栄養化も進みます。不必要な埋め立ては行わないことは当然ですが、そのような埋め立てが進んだ場所では、潮の流れをよくする対策を実施していただきますようお願いいたします。

 資料3ページを御覧ください。「赤潮と貝毒対策」に関する内容です。前回もお話しいたしましたが、豊かな海を目指していく上で、魚類養殖、藻類養殖、漁船漁業、いずれにとってもよい海であるために、栄養塩は高過ぎても、低過ぎてもよくなく、湾灘ごとの漁業実態を踏まえて、バランスのよい、適正な栄養塩の管理がとても大切だと考えております。栄養塩は高過ぎると赤潮が大発生したり、魚類養殖に被害を与えます。一方、栄養塩が低過ぎますと、ノリやワカメの色落ちやアサリやカキ、イカナゴなどのさまざまな生物の餌である植物性プランクトン不足につながり、海に生き物を育てる力がなくなってしまいます。

 そして、最近、貧栄養化で珪藻が少なくなったせいか、貝毒プランクトンが蔓延して、大きな漁業被害を与えています。湾灘ごとの赤潮や貝毒プランクトンのモニタリング体制を強化して、漁業被害を未然に防止する施策の実施をお願いいたします。

 また、大阪湾では、貝毒対策として、海底耕転を行うことで珪藻の発生を促して、貝毒プランクトンの増加を抑えることができないかと、取組を始めています。この取組への科学的な調査の支援や貝毒の発生抑制や防除のための研究と対策を早急に講じていただきますようお願い申し上げます。

 資料5ページを御覧ください。「海ごみ」に関する内容です。海ごみのほとんどは陸から海へ流れ出たごみです。これらは、魚介類に悪影響を与える上、操業の支障になっています。特に、海底に沈まった海ごみを効率的に回収できるのは、底引き網などの漁業者だと考えております。国の責務として、普段から海ごみを回収・処分ができる体制の構築と費用の負担をお願いいたします。

 香川県では、底引き網の漁業者が海底ごみを回収して、県と市が処分費を負担している事例もあります。このような取組を他県でも実施するように、国で法制化し早急に対策を講じていただきたいと思います。

 最後に、瀬戸法が改正されて、湾灘ごとの豊かな海を目指すこととなっているにもかかわらず、環境保全の県計画はあるものの、いまだ湾灘協議会が設置されていない県や海域があります。早急に全ての地域で湾灘協議会を設置し、湾灘計画を策定した上で、豊かな海を目指す取組が進むよう、国からの支援をお願いいたします。

 以上、私からの意見とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、水辺に遊ぶ会の山守様、よろしくお願いいたします。

○山守様 水辺に遊ぶ会の事務局をやっている山守と申します。よろしくお願いいたします。

 水辺に遊ぶ会は、皆さん御存じと思いますけれども、1999年に発足いたしまして、今年で20周年を迎えました。それで、どんな活動をしてきたかということを簡単に今日は御説明したいと思います。

 資料をめくっていただきますと、中津干潟の保全手法で大きく三つお話ししたいと思います。市民参加型の干潟保全の取組についてです。中でもカブトガニについてどうしているのかということになります。最後に少しだけですけれども、地域の課題と今後の必要な方策について、お話しさせていただきたいと思います。

 まず、市民参加型の干潟保全ということですけれども、基本的には二つです。啓発活動と調査研究活動ということの2本立てになっております。具体的には、まず、ビーチクリーン活動、これはもう発足当初からやっていますが、20年続けており、年4回、延べ1,000人ほどのボランティアの方々が集まっていただいて、中津干潟の海岸を清掃しております。これも最初のころは、ほんの数人から始まった活動ですが、今は、いろいろな企業さんとか一般の方々がたくさん集まっていただいて、今非常に活動的になっております。

 次に、当団体が力を入れているのが、やっぱり観察会の開催になります。これは、結局、イメージとしての環境じゃなくて、実際に現場に歩いていって見て、それで感じてもらうということを非常に重要視しています。だから、基本的には中津干潟の保全団体ですので中津干潟の観察会が多いですけれども、干潟を形成する川とか山とかの関係も見ていただこうということで、いろんな形で観察会を開いております。小学校の授業でやっているので、大体年30回程度ですかね。あと、一般向けに10回程度、開いていると思います。

 次、環境学習というのを出していますが、これも主に学校等の授業の関係でやっています。小学校で大体20校以上ですかね。あと、大学等でもお話しさせていただきますし、社会教育の現場でもいろいろと中津干潟の生き物とか、今、問題になっている海ごみの問題とか、そういったことに関してもお話しさせていただいているところです。

 次、漁業体験と書いてありますが、写真を見て、これは、何をやっているところかわかりますかね。これは、ノリすきの体験授業をやっているところです。手で実際にノリをすいて、天日で干してノリを回収するようなことをやっています。要するに干潟でどういったなりわいが行われているのかというのが、なかなか子どもたちが自分の食物がどこから来るのかというのがまだわかっていないようなことも結構あります。そういった事実を見て、これはいかんということで、地元の干潟の自然で一体何が行われているのかということを体験的にできることをやっていこうということで、今、これはノリすきですけれども、これ以外にも水産庁さんとかと一緒に、かつて、ササヒビといって潮の干満を利用した構造物をつくって、そこで漁をするという方法がありますが、そういったことの活動をしたりとか、あと、古代遺跡で、ここ、タコツボが弥生時代ぐらいから出ますが、特徴的ですね。豊前地域と、九州の北部ですね、大分県の北部地域と、あとは兵庫県に出ると言われていますが、こういったものを文化的に見直そうということで、実際に、みんなで子どもたちと一緒にタコツボをつくって、それを海に置いてタコツボ漁をしたりとか、そういうこともやっております。

 啓発活動を簡単にまとめますと、ビーチクリーン、自然観察会、環境学習会、漁業体験をやっています。あと、干潟のエントランスということで松林ですね。今、松林の荒廃が全国的に著しいですけれども、中津干潟も同じでして、その辺にちょっと問題、幾ら干潟の自然が大事だとかといっても入り口のところで、ごみが山のように捨ててあるというのが現実でしたので、それを何とか解消したいという形で、いろんなボランティアの皆さんと一緒に松林を再生しました。大体、本気でやれば二、三年で復活します。これも経験的に大体言えることです。あと、もう一つ啓発活動ですが、うち、20周年ですけれども、長い間、拠点がありませんでした。やっと拠点が5年ぐらい前にできまして、これも築25年のハウスを処分するところをいただきまして、学生さんたちと一緒にペンキを塗り直したりとか修理をしたりとかして、それで何とかやっていますが、これができたおかげで、実にいろんな方々が来てくれるようになりました。啓発活動としては、非常に大きな効果があったと思っています。

 次、2本柱のもう一つ、市民研究になります。今まで海ごみの回収とかをやってまいりまして、その調査もずっと続けてきました、20年。あと、中津干潟の生物相調査ということで、大体網羅的にやって、800種、もっと多いか、それぐらい見つかっていますが、そのうち3分の1が大体絶滅危惧種もしくは希少種ということになっていることがわかりました。だから、非常に全国的に干潟が少なくなっていることもあり、中津干潟には、結構、希少な生き物たちが残っているということが市民レベルの研究でわかっております。あと、渡り鳥です。これに関しては、定期的に本格的に調査をしておりまして、ラムサール条約の関係の部分は全部クリアしていますが、なかなか地元自治体との関係が難しくて、今ちょっと止まっております。あと、カブトガニの調査なんかもあります。カブトガニは、後でまた詳しくやります。

 次、大学との連携ということですけれども、中津干潟という場所は注目されておりましたように、いろんな研究者の方々いらっしゃいます。生物系のみならず、漁業関係もいらっしゃるけれども、あと、土木関係とか、変わったところでは人文地理学とか、あと、服飾学、アカニシで染物をやったりするものですから、そういった方面からも関心があって、注目を集めているところです。

 そうやって、我々、団体としては、そういった研究者の方を側面からサポートするということで、例えば地元の自治体等と交渉する場合とか、漁協さんとお話しする場合とか、間に入ってお話、メディエーターとして働いてみたりとか、あと、学生さんが卒業研究をする場合に泊まるところがないとなったときには、ぼろの一軒家をお借りして、それを長いこと、そこに常駐して、研究が続けられるような体制を整えたりとか、そういうことをやっております。

 そうこうしているうちに、研究はしているけれども、市民がその事実を知らないということに気づきまして、それを何とか市民に伝える方法がないかということで始めたのが、今年で3年目になりますけれども、中津干潟アカデミアという催しになります。これは、研究者が一堂に会しまして、市民にわかりやすい言葉で、非常にわかりやすいことが大事ですけれども、非常にわかりやすい言葉を選んで、市民の方にわかるような内容の話を、研究の発表をする会ということにしております。ただ発表するだけじゃなくて、中津干潟の例えば海の幸を楽しむとか、漁師さんとかも、もちろんこれに加わって議論をすることも行われているところです。

 次、土木事務所等行政との協力とありますが、何かとどうしても建築とか土木とか環境というのは対立しがちですけれども、そうも現場では言っていられないということでお互いに対話しながら、いろんなことをやっています。この中でセットバック護岸というのを御存じの方がいらっしゃるかどうかわかりませんけれども、かつて市民と行政とか、あと、ステークホルダーが集まりまして、いろいろと議論しまして、それによって多自然型の護岸がつくられることになりました。しかしながら、これは砂がちょっと減るという現象がありまして、最初のころは、自然護岸がよく守られて砂もついていましたが、川からの砂が減るとか、浚渫とか、いろんなことがありまして、砂が減ってしまいました。それに対して、どういう対処をするかということを考えましたが、住民からは不安だという声もありますので、何とかしなきゃならないということで、ここに写真に見えているのが、これはネットに入れた自然石ですけれども、これを突堤にしまして、これで砂をある程度ためることができるわけですね。これの意味は、コンクリートと違って、一度つくったらもうだめということじゃなくて、失敗しても何度もやり直しが効くということ、それからコストが安いということ、実際に効果があったということですね。これは結構、注目していいと、私たちは思っていますが、とにかく、現場との対話をしながら、これだったらだめだからこっちにしようねということで市民と対話しながら、我々の団体とか市民とか現場の方々、研究者とか、いろんな人が対話しながらできているということがおもしろいかなと思っております。

 調査研究を簡単にまとめさせていただきますと、市民調査、大学との連携、大学間交流、先ほど、研究と言っていましたが、研究をしているけれども大学同士の横のつながりがありませんでしたが、我々を通じて、横のつながりができたということですね。それから、海ごみ冊子制作とありますが、これは長いこと調査とかをやってきましたので、それに基づいて、大分県さんから声がかかりまして、子ども向けの海ごみの冊子をつくるということで、去年、全県下の小学校5年生全員に配布するような冊子をつくりました。多方面から一応評価をいただいているところです。あと、希少生物の調査、あと、学生等への協力調査をするということは、先ほどのお話です。

 この中で注目されるべき種として、カブトガニというのがありますが、これもRDBの1Aということで非常に珍しい、数が減ってしまった生き物ですけれども、中津干潟にとっては、やっぱりシンボル的な生物の一つでありまして、写真に出ていますのは、前のほうが雌で、後ろが雄ですけれども、これ、夏に産卵に来ている状態です。これ、砂地を好みます。砂地で産卵をすると言われています。実際にしています。

 ただし、中津干潟というのは、非常に広大で1,350ヘクタール、もっと大きいと言う人もいますが、それを見ると全て網羅的に調査するというのが1団体ではほとんど不可能です。それでも20年の活動の中で一番注目されているのはどこかということをチョイスしまして、そこについて、継続的な調査を続けているということになります。

 主にやっているのは、最初に産卵調査ですけれども、これは舞手川河口域を中心に、地名を言ってもわからないかもしれませんけど、主に産卵することがわかっておりますので、そこを継続的に調査しております。

 それから、幼生調査、カブトガニは生活史の中で小さいとき幼生のときに、先ほど、産卵するときは砂地と言いましたが、幼生時には泥の干潟を好むと言われています。だから、そういったところを中心に調査をしております。

 飼育調査ですけれども、これは若干、奇形が出ることもありますので、これを注目するために飼っているということもあります。

 次、標識調査ですけれども、これは漁業者の方の協力がないと、なかなかできない調査ですけれども、何せ形がとげとげしておりますので、網にかかると外すのが物すごく大変ですね。だから、現場の方は、こんなのがおったら逆に困るということの声は聞きますが、中には、非常に協力的な漁業者がいらっしゃいまして、これを全部きれいにとって、我々のほうに連絡をいただいて、それに大きさとか重さとか、いろんな計測をしまして、最終的には標識をつけて、それをまた海に放流するという活動をさせていただいています。

 カブトガニを保全するということは、ざっくり干潟の保全そのものだという部分もあると思います。先ほど言ったように河口域の砂地とかが必要です。泥干潟が必要です。また、大人になって、餌生物がたくさんいる豊かな海がないと、彼らは生きていけないということで、ある意味では、干潟の豊かさをはかる指標の一つになろうかなと、こういうふうに考えております。

 最後、地域の課題・今後の方策ということですけれども、いつも干潟の保全活動をする中で困るというか、考えさせられる部分がありますが、これは目指すべき干潟環境とは何かという、物すごくちょっと深いお話ですけれども、もともと、どういう干潟だったのかというのも、はっきり言って、まだよくはっきりわかっていないと思います。そういった部分を解明していく努力というのがやっぱり必要ですね。あと、活動を進めていく上でもイメージを先行でやってしまうと、科学的裏づけというのが非常に曖昧になって、何となく雰囲気で、これはいいことだよねという感じで広がっていきます。しかし、それだと、やっぱり言葉に説得力がないと私どもの団体では考えています。だから、あくまでもバックボーンに必ず、最初にだから共感を得ることという話もしましたけれども、同時に科学的な調査活動も絶対に車の両輪として必要だということを言っておきたいと思います。

 それと、干潟の環境で、今、目指す姿がわからないと同時に、地域別で、これは、かなり、やっぱり異なります。だから、一般的な干潟とは何かということを言っても、個々の問題で、全体違う結果が出てくることがあって、これは、本当に難しいです。だから、やっぱりローカルというか、地域性を鑑みて、その場でやっぱり研究もしなければいけないし、調査活動もしなければいけないというのが本当のところではないかなと我々は思っております。

 あと、最後に総合干潟センターと書いてありますが、これは、どういうことかといいますと、我々の活動の20年を振り返ってみて、一体何をやってきたのかと思ったときに、最初に思ったのは、干潟の保全活動ですから、保存ですね。それから、教育活動とかですね。あと、研究活動と、それから、博物館もありましたように展示ということですけれども、これを見たら博物館の活動そのものという感じがしました。いや、待て、もう一遍、深く考えてみると、それだではないですね。例えば漁師さんの相談とか、地元の文化のヒアリングとか、そういったことも、かなりやっています。だから、例えば、売り先がないかとかという相談とか、経済的な相談も結構受けています。それに対して、我々が答えられる分は必死になって答えてはいますが、逆に言えば、そういったところに漁業者とか一般の方の海に関わる方々にニーズがあるということですね。我々がニーズで応える中で、もしかしたら、我々の活動はこういった総合干潟センターのようなものになるのかなという形で、研究活動のみならず、こういった経済活動とか文化活動とかにも何か関われることがあれば、今後もやっていきたいと思っていますが、なかなか、実際は少人数で頑張っておりますので、難しいというところが正直なところです。

 私の発表としては以上です。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、環境省からよろしくお願いいたします。

○浜名室長補佐 環境省閉鎖性海域対策室の浜名でございます。

 瀬戸内海環境保全特別措置法等の施行状況に係る環境省の取組について、御説明させていただきます。資料につきましては、資料2-6でございます。

 表紙に続きまして、1ページ目、目次でございます。基本計画に記載された項目に沿って資料を作成してございます。

 2ページ目から28ページ目までは水・大気環境局分となっており、私から御説明させていただきます。参考資料1から7は、適宜、御参照いただくということでお願いいたします。

 ちなみにですけれども、参考資料1は前々回の小委員会でお示ししたもの、参考資料2は特別措置法及び基本計画の本文、参考資料3の関連予算及び参考資料4の指標のフォローアップは、今年の3月の小委員会でお示ししたものでございます。参考資料5は昨年9月に公表したもの、参考資料6は今年の6月に公表したもの、参考資料7は先週金曜日に公表したものということで、いずれも既出の資料でございます。

 それでは、2ページ目でございます。前々回、高村先生から御指摘いただいた藻場・干潟に係る瀬戸内海全体での定量的把握という観点になってございます。平成27年度から3カ年で実施いたしました瀬戸内海における藻場・干潟の分布状況調査の概要です。近年、技術向上が進んでおります衛星画像による解析手法というものを用いまして、効率的かつ定量的に実施したもので、広範囲を調査したものとしては、約25年ぶりでございます。

 続きまして、3ページ目でございます。瀬戸内海特別措置法に基づく保護区であります自然海浜保全地区の指定状況でございます。これまでに9府県で合計91地区が指定されておりますが、平成5年の指定を最後に新規の指定がなされていない状況でございます。

 4ページ目、海砂利の採取状況についてです。基本計画において、原則として行わないものとしており、数字の入っている大分県についても河口閉塞対策として除去したものとなってございます。

 5ページ目、6ページ目は埋め立て関連でございます。5ページ目は過去から埋立免許、承認されている面積の推移といったものを表しておりまして、昭和48年の瀬戸法施行を契機として、埋立ては大幅に減少してございます。また、不要な埋立てを抑制するといった観点から、未利用地や既存施設の活用が新たな埋立てに優先して行われるよう、未利用地の情報も整理しており、6ページでは関係府県等から得られた未利用地の状況でございます。関係府県ごとに把握の方法等が異なっていること、とりわけ民有地であるとか、民間管理地の実態把握というのが自治体によっては難しいといった課題があると承知してございます。

 7ページ目でございます。特定施設の設置規制についてです。直近3年間については、概ね横ばいといった傾向でございます。また、関係府県から環境保全上著しい支障を生じさせるおそれがない場合、現行の手続きの一部簡素化を求めるといった声が上がっているところです。

 8ページ目でございます。水質総量削減制度の実施状況でございます。瀬戸法、水濁法に基づき、総量削減基本方針を定め、対策が行われています。なお、窒素、りんについては、平成13年までは、瀬戸法12条の4の指定物質削減指導方針に関する規定に基づき対策が行われてまいりましたが、水質総量削減制度の対象に窒素、りんが加わってからは、これにかわって実施されているといった状況でございます。

 9ページ目でございます。平成27年度から3カ年で実施いたしました底質、底生生物調査についてです。本調査については、昨年度の小委員会にて御説明させていただきました。

 10ページ目でございます。有害化学物質の低減のための対策及び油等による汚染の防止等に係る関係法令の一覧でございます。これらの法律に基づきまして、適切に対応がなされているものと承知しております。

 11ページ目でございます。瀬戸内海の水浴場の水質調査についてです。調査対象となった137水浴場の全てが水浴場として、適切な水質を維持しておりました。

 12ページでございます。水質等の監視測定についてです。

 13ページ目、14ページ目でございます。こちらは、調査研究の一環として、当省が行っております気候変動による影響調査や将来予測についてです。

 15ページ目、広域的な連携の強化に向けた取組として、前々回、山口県から報告がありました地域循環共生圏に係る事例でございます。

 16ページ目、情報提供、広報の充実策としまして、当省が実施している取組でございます。

 17ページ目、環境保全思想の普及及び住民参加の推進策として、里海づくり活動の状況調査を行ってございます。昨年度にアンケート調査を実施いたしまして、全国の活動事例291例の回答がありました。参加者・スタッフの高齢化、スタッフや後継者の不足といった人的支援に関わる課題のほか、今、水辺に遊ぶ会の山守さんからのお話に出てまいりましたように、専門知識の不足ですとか、効果把握ができていないといった観点からの課題も抽出されてございます。

 18ページ目、瀬戸内海の環境の保全に関する府県計画の策定状況と策定に係る意見聴取方法の取りまとめです。

 19ページ目は、湾灘協議会の設置状況で、先ほど、漁連・漁協連絡会さんからも御指摘がございましたけれども、現在5県で7協議会が設置されています。

 続きまして、20ページから28ページは漂流・漂着ごみ、海底ごみ対策の推進についてです。基本計画においては、自然景観及び文化的景観の保全の項目となっております。

 21ページ目、22ページ目は、海洋ごみ問題の現状、環境省による海洋ごみ調査についてです。

 23ページは国別の流出量の推計値です。現在、国際合意のある統計というのはありませんが、Jambeckという研究者の出した数値になりますけれども、中国及び東南アジアからの流出が多いという推計になってございます。

 24ページですが、平成29年度における環境省の調査で、全国10地点でペットボトルの表記言語を調べたものでございます。瀬戸内海関連では、淡路市が調査地点に含まれておりまして、日本語表記のペットボトルが多く、不明というものを除けば、ほとんど日本国内由来のものであるといったことが示唆されてございます。

 25ページ、26ページでございます。関連する最近の動向について、まとめてございます。昨年6月の海岸漂着物処理推進法の改正、第4次循環型社会形成推進基本計画の策定を受け、ほんの5カ月前でございますけれども、本年5月にはプラスチック資源循環戦略の策定、海岸漂着物推進法に基づく基本方針の変更を行い、また、我が国の具体的な取組について、海洋プラスチックごみ策定アクションプランを策定し、本年6月のG20に臨んでおります。対策の詳細は26ページでございます。

 27ページ目、環境省では国内の海洋ごみ対策に取り組んでいる現場の自治体の費用のほとんどを支援する予算事業を実施しており、来年度も41億円の要求をしているところでございます。

 28ページ目でございます。海ごみ対策は内陸地域の取組も重要であり、本小委員会でも、数々ご指摘がされているところですけれども、環境省では、内陸地域との連携に係るモデル事業というものを昨年度から3カ年で実施しているところです。

 駆け足ではございますが、水・大気環境局分は以上でございます。

 続きまして、自然環境局からです。

○山根係長 自然環境局です。

 めくっていただきまして、30ページです。重要生態系監視地域モニタリング推進事業、通称モニタリングサイト1000ということで、平成15年以降、順次開始しております。何かといいますと、我が国の代表的な生態系を対象に全国約1000カ所の調査サイトを設け、生態系の変化等を長期的かつ定量的に毎年把握しております。

 成果は、環境省生物多様性センターのホームページ等で公表しております。これをもって、生物多様性保全や適応関係など、各種施策の企画立案等に活用いただくことを想定しております。

 また、昨年度平成30年度末に沿岸域調査の取りまとめを行いました。その報告書についても公表しております。また、その他生態系についても順次公表を予定しております。

○永仮専門官 31ページを御覧ください。私のほうからは生物多様性地域戦略の策定状況について、説明いたします。

 生物多様性地域戦略、いわゆる地域戦略につきましては、法に基づきまして、生物多様性の保全などを目的といたしまして、地方公共団体が努力義務として策定することを求められた法定計画となっております。

 瀬戸法対象市町村などにおける地域戦略の策定状況ですけれども、この真ん中の辺りに書かれているところを御覧ください。府県につきましては13県、政令指定都市につきましては6市、割合といたしましては85%で、市町村につきましては12市2町の14市町、割合にいたしましては4%という状況です。この割合については、右に書かれております全国の自治体の策定状況とほぼ同じ割合です。

 地域戦略における瀬戸内海の環境保全に向けた取組事例といたしまして、岡山県と神戸市のそれぞれの地域戦略を掲載させていただいております。まだ未策定の団体、あるいは策定しても運用に課題を抱えているような自治体に関しましては、アドバイザーという形で専門家を派遣したり、地域戦略の策定に向けた手引書を策定したりなどして、支援しているところでございます。

 今後につきましても、さまざまな機会を捉えて、未策定の自治体に対し策定するよう働きかけていきたいと思っております。

 私のほうからは以上でございます。

○山根係長 続いて32ページです。

 環境省のほうでは、国際的な動きを踏まえまして、生物多様性の観点から重要度の高い海域、通称、重要海域と呼んでいるものを選定しております。これは、生物多様性条約COP9が2008年に開催されまして、そこで各締約国及び生物多様性条約の事務局が科学技術的作業として、生態学的・生物学的に重要な海域を選定するようにというふうになりました。そこで、科学的な選定の基準というものが提示されました。

 これを踏まえまして、我が国においても生物多様性の観点から重要度の高い海域というものを、生態学的及び生物学的観点から科学的・客観的に明らかにし、各種施策の推進のための基礎資料とすることにしました。

 抽出に当たっては、専門家5名から成る検討会を設置し、2011年から2013年に検討を行いました。その後、資料の整理等を行いまして、2016年4月にこれを公表しました。右側に図でお示ししておりますけれども、瀬戸内海地域の選定地につきましても、沿岸域というところに着目して、多くの地点が選定されています。この選定された場所というのは、環境省のホームページで全て情報等を含めて閲覧できるようになっております。

○西野課長補佐 それでは、続きまして33ページ、生物多様性の観点から重要度の高い湿地(重要湿地)について、御説明をさせていただきます。

 この重要湿地でございますけれども、平成13年度に選定されました「日本の重要湿地500」がもとになってございまして、当初においては、ラムサール条約湿地の選定の際に参考にされたりいたしておりましたが、その後も保全地域の指定の検討やアセス等の開発案件における保全上の配慮を促す基礎資料として活用されてきたところでございます。

 その後、環境の変化や新たな知見に基づきまして、平成28年4月に見直しが行われておりまして、現在、名前が「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」という名前で、陸域における湿地が多いわけでございますけれども、瀬戸内海における藻場・干潟等43カ所を含む全国633カ所が現在選定されているところでございまして、引き続きアセス等、環境配慮を促すための基礎資料として、現在も活用されているところでございます。

○瀧口公園事業専門官 続きまして、34ページでございます。自然公園等の保全と書かれたものでございます。

 自然公園法で、御存じのとおり、規制されているもので瀬戸内海国立公園というものがございまして、我が国で最初に指定された公園の一つでございます。基本計画においても、計画の目標として、こういったところを国立公園に指定するということですとか、また、施策としては、調査を行った上で必要なところを公園区域に組み込むというふうな目標が掲げられております。

 本資料にて、ここ5年間で新規指定等区域を拡張したところなどをこの地図上で挙げております。具体的に申し上げますと、平成29年3月に山口県と広島県の区域を、特に山口県については黒髪島ですとか周防大島の陸域の部分を新たに国立公園の区域として、拡張をしてございます。

 今後も、本日、佐山先生などからいただきました知見などをもとにしながら公園計画等を変更していく、そういった検討を進めてまいる所存でございます。

 以上です。

○尾崎室長補佐 エコツーリズムの推進に係る取組について、御説明いたします。35ページですけれども、大きく分けまして二つ書いてございます。上段がエコツーリズム推進アドバイザーの派遣でございます。エコツーリズムに取り組む地域に必要な有識者の方をアドバイザーとして派遣する事業を行っております。28年度までは、単独でアドバイザーの方を地域に送るという事業でしたが、29年度以降は、より効果的な事業となるように研修とセットで人材育成事業として、必要なアドバイザーを送りながら、その地域にとって、より自立的な取組が続くように研修も含めた内容として、実施してございます。過去5年間で延べ20回の派遣を瀬戸内海に係る関係府県の団体に対して実施しております。

 下段がエコツーリズム地域活性化支援事業というものでございまして、こちらはエコツーリズム推進法に基づいて、全体構想の策定を目的とした団体に対する交付金でございます。エコツーリズム全体構想をつくるために必要なプログラムづくりであったり、人材育成事業であったり、そういったものをまとめて行えるような事業となっております。こちらも過去5年間の実績を記載してございますけれども、延べ17団体支援しております。先ほども発表がございましたように、今、宮島地域で全体構想の策定に向けて取り組んでございます。

 以上です。

○西野課長補佐続きまして、36ページ、自然再生推進法に基づく自然再生の取組について、御説明をさせていただきます。

 自然再生推進法でございますけれども、これは議員立法により平成14年12月に成立したものでございまして、現場等の実際の事業を所管しております農林水産省、国土交通省とともに環境省を入れまして、3省の共管法ということで取り組んでございます。

 具体的には、失われた自然を、代償措置ではなくて、もとの姿、従来の姿に再生することを目的といたします自然再生事業、これを地域主導のボトムアップで進める取組、これに対して、各さまざまな分野の専門家による自然再生専門家会議を組織いたしまして、助言を行うことで支援しているものでございます。

 生物多様性の確保を通じた自然との共生を目的として、地域、特に利害関係を有しますさまざまな方、また、特にボトムアップの取組として地域住民の方を巻き込みまして、多様な主体の参加で実施しているものでございまして、残された自然の保全の優先と自然生態系の劣化の要因の除去等に取り組んでございます。

 現在、全国26地域で実施されているところでございまして、管理者が比較的明確に定まっている海域よりも、どちらかというと陸域で、特に地域住民の参加を巻き込みながら、主に実施されておりますが、瀬戸内海におきましても、山口県の椹野川河口域、干潟を対象として、自然再生協議会を立ち上げて取組を今実施しているところでございます。これにつきましては、この資料の15ページ目、また山口県様からの発表にもございましたとおりであり、椹野川河口域・干潟でございますが、カブトガニやクロツラヘラサギなど、餌場と生息場等になるなど、生物多様性の観点等から大変重要な地域でございまして、こうした地域で、地域の住民を巻き込みながら再生活動を実施しているところでございます。

 以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。それでは、これまでの御説明に関しまして、御質問等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

 では、順番を逆に。大塚委員のほうからどうぞ。

○大塚委員 漁連・漁協連絡会議の方にお伺いしますが、海ごみに関して、大変おもしろい話をしていただきましたが、一つお伺いしておきたいのは、この網ですね。漁業の底引き網等の網に関しては、海に捨てられることに関して、本当は捨てるのをやめていただいたほうがいいですけれども、重いとか、いろいろなことがあって、なかなかやめにくいというお話も伺っていますが、これ自体はやめることに関しては、県とか国とかがどういうことを考えたらいいかということをもし御示唆いただきましたら、ありがたいと思います。

 それから、回収に関しては、県や市が負担するというのは、もちろんあり得ると思いますが、やはり漁業者の方も自分で捨てられたものですので、ある程度、負担をされないとまずいのではないかということが、原因者負担の考え方からは出てくると思います。そうしないと捨てたら捨てっ放しということになってしまいますので。

○田沼会長 そのごみは、川から流れてきたやつは、ごみのたまる場所が海の底にあります。それが全部たまって、そこにごそっとプラスチックとか空き缶とか、あんなのが、水が入って、沈んで誰も回収できへんということで。

○大塚委員 そうすると、海の少し深いところではなくて、川から海に流れるとか。

○田沼会長 川から海に流れて、潮の具合で深いところへ落ち込んでいって、誰も回収できへんということで。

○大塚委員 ということで、2点ほど、今の点をお伺いできれば、ありがたいと思います。以上です。

○岡田委員長 では、よろしいですか。

 では、次に高村委員、どうぞ。

○高村委員 全体に対してですけれども、四つの柱、政策の基本の柱というのをいかに結びつけるかというふうことが、市民のボトムアップの活動の中には全部入ってくると。エコツーリズムのお話もそうでしたし、山守さんの話でも、結局、全部つながってやっておられるだということがわかりました。

 行政のほうからは、なかなか四つを結びつけるということはできないけれども、ボトムアップの活動をやるときには、かなり全般を見てやっておられるなというのが感想で、そういうことを行政のほうは応援していくというか、そういう姿勢で進めていただければ、ありがたいなと思いました。

 それで、山守さんの団体は1999年ですから、もう20年も活動をされていて、エコツーリズムは、2007年ぐらいから法律が整備されて、徐々にということなので、これから成長していくとを期待します。上嶋先生のスライドを見ていたら、やはり政策も非常に大事だなというふうに思いました。それで、自然局の満喫プロジェクトというのが瀬戸内海であるので、ぜひ、そういうふうなところを強化していっていただければなと思います。

 瀬戸内海の環境をどうしていくのかということは、地域循環共生圏の話としても、よくマッチするので大事なことだと思いました。

 それと、あと干潟の山守さんがちょっと不安に思っておられるというのは、ほかのところにも椹野川の、私ちょっと場所のことはわかりませんが、瀬戸内海で幾つか干潟の保全をやっておられるグループとか、そういう場所があるので、そういうところと情報交換ができるような仕組みというのをつくられればいいかなと思います。

 自然局にもお願いですが、自然局が実施している干潟のモニタリングは1カ所でしかやっていませんよね。やはり瀬戸内海全般で、それぞれ、特徴があると思います。全部が全部同じような干潟になっているわけではなくて、ここの場所はこういう生き物が特徴的だとか、そういうふうなことが、瀬戸内海の沿岸全体が日本全国の沿岸環境の中でどういう位置づけであって、その瀬戸内海の個々の干潟が瀬戸内海全体の中でどういうふうな位置づけであるかということを示していくのは、環境省の役割、自然局の役割だと思うので、そういうことを皆さんにお知らせして、皆さんのボトムアップの活動をやりやすいように支援していくような、そういうふうなものを、ちょっとやっぱり強化していただきたいなと思います。よろしくお願いします。

○岡田委員長 では、今の御意見だから、よろしいですか。

 山守さん、何かあればどうぞ。

○山守様 そうです。行政とか既存の組織の皆さんが、ある意味できないというか、やりにくいことをやるのがNPOのある意味仕事だと思っています。だけど、そうはいっても、人的支援の問題とか、金銭的なものもありますが、そこら辺を何とかいろんなことで努力しながら、まとめているというのが、今、正直なところなので、確かに、今おっしゃっていたこと、支援がいただけると一番本当は助かりますが、今後の課題かなと思っております。

○岡田委員長 ありがとうございます。

 じゃあ、引き続きまして、三浦委員、どうぞ。

○三浦委員 環境省さんの資料の19ページ目のところでございますけれども、湾灘協議会の設置状況というものが、ここに記載をされているわけでございます。湾灘ごとの実情に応じた栄養塩も含めた環境保全を行うためには、湾灘協議会の設置、推進というものが、まだまだ私も必要だと考えているところでございます。

 そこで、環境省さんのほうから、まだ設置していない府県に対して働きかけを行っていただきまして、全県設置をしていただきたいと思っているわけでございますが、その辺はいかがでしょうか。

 それと、先ほどの大塚委員の回答のところで、私からも発言をさせていただきますと、海のごみのほとんどは、やっぱり台風のときも含めた川から流入、陸からの流入というものがほとんどでございまして、それが海にたまっていると。そういうものをとる、陸に引き上げるためには、底引き漁業の漁業者だけしか、そういうのをとることができないのではないかということを瀬戸内海漁連会議のほうは言っていたということで、それを補足させていただきます。

○岡田委員長 では、これ、環境省からどうぞ。

○中野室長 今、湾灘協議会について、御指摘をいただきました。これまでの議論の中でも、例えば府県計画の策定以外にも湾灘協議会の役割として、大いに期待されている部分も御意見としていただいたところでございます。また、これまでの議論の中では、同様の機能を有する既存の協議会というものの活用ですとか、その辺も視野に入れるべきというような御指摘も頂戴したと思っております。

 今、瀬戸内海環境保全特別措置法上は、湾灘協議会の位置づけは、府県計画を定める際の地域の実情を踏まえるための手法の一つとして整理されておりますが、これまでの議論、また今後の議論も踏まえて、あるいは地域の実情も踏まえながら、私どもも課題として検討を進めたいと思っているところでございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 では、鷲尾委員どうぞ。

○鷲尾委員 ありがとうございます。最後のほうで環境省さんが出てきたので、その話からさせていただきますけれども、今日、重要海域であるとか、生物多様性に関する情報をたくさん頂戴しまして、ありがとうございます。

 ただ、そのお話の中で、海洋保護区というキーワードが一切出てこなかったというのは何か政策的な意図があるのでしょうか。このごろ、インバウンドで世界中から人が来られていて、日本は海の国だと言っているのに、それを説明する海洋保護区という世界共通のキーワードが使われてないのは、なぜなのかということを一つお伺いしたいと思います。

 もう一つ、御発表いただいた各地の事例の中で、それこそ中津干潟で取り組んでおられること、それから漁業者が海の底のモニタリングをやっているということ、それから、エコツーリズムで海に向けた視点を市民の方々と共有していく、こういうことは、全て海洋保護区の内容の充実、そして、モニタリングということにつながっていくと思いますので、海洋保護区にもいろいろなランクがあるとは思いますが、そこに市民、国民の目線が行くというところが非常に大事ではないかと思います。

 ですから、先ほどの環境省さんの御説明では、市民・県民、誰も知らないで、誰もと言ったら語弊がありますけれども、ほとんど伝わらない言葉で語られていたというのが、非常に残念なところだと思うので、国民の理解を得るためには、ぜひ、今共通して使われる言葉を積極的に使っていただきたいと思います。意見です。

○岡田委員長 環境省のほうで、何か。

○山根係長 自然環境局です。

 海洋保護区という言葉を使わなかったところに、もちろん特段の意図があるわけではありませんが、確かに世界の中で、例えば国立公園であったり、漁業的な区域というところを議論する際には、海洋保護区という言葉を使っております。

 今、この個別の御説明というところで、例えば国立公園とか、そういったところで御説明させていただいておりますけれども、やはり、いろいろな言葉がありますので、それがしっかり伝わるように場面場面で説明していきたいと思っております。

○岡田委員長 ありがとうございました。よろしいですね。

 それでは、予定の時間になりましたので、ヒアリングを終了させていただきますが、議題1も通じまして、全体を通じて何か御意見、それから追加の御質問等ございますでしょうか。

 はい、どうぞ。

○柳委員 湾灘協議会のことですけど、瀬戸内法に書いてある湾灘協議会というのは、水質を確保、全体ないし湾灘ごとに考えるので、例えば、播磨灘は兵庫県だけでは無理ですよね、岡山県も関係するし、香川県も関係するし。前々回も含めて、今日もですけど、提案された湾灘協議会は、全部、これ各県単独ですよ。今日の環境省の資料においても、山口県も入っていないし、愛媛県も入っていなかった。これでは全然、瀬戸法の湾灘協議会にならないので、環境省は、さっき考えると言われましたけど、相当、県にちゃんと言わないと府県計画だけ、瀬戸内法と乖離すると思います。

 以上です。

○岡田委員長 今の御注意、たしか前回も御指摘いただいたと思いますので、環境省のほうで、もう一度御検討いただければと思います。よろしいですね。

 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、関係者のヒアリングで審議の中で追加的なヒアリングの必要性を随時検討すると、こういうことになっております。現時点でヒアリング対象者の追加等について、何か御意見ございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、議題2、その他でございますが、事務局から何かございますでしょうか。

○佐藤係長 前回宿題となっていた兵庫県に対する質問について回答を預かっています。また、環境アセスメントに関する質問について、御回答をいたします。

 まず、兵庫県に対する質問の、1点目が赤潮発生に関するデータや記載が資料になかったが、赤潮に関するデータはあるかという質問については、前回の地域の課題のヒアリングが沿岸域の環境の保全、再生、創出及び自然景観・文化的景観の保全が対象だったので記載しておりませんでした。赤潮発生件数や被害件数等は瀬戸内海の環境の保全に関する兵庫県計画において、毎年度点検評価を実施しており、協議会、審議会でも報告を行い、意見をいただいているところです。水産庁の調査の瀬戸内海の赤潮によれば、大阪湾と播磨灘で1970年代から80年代にかけて、それぞれ50から60件程度発生した赤潮が近年数件から20件程度に減少しており、漁業被害は0から2件程度でございまして、過去のデータと比較すると問題になるものではないと考えています。

 2点目、自然海浜の保全について、潜堤の設置に対して、海水の交換が減少して悪影響が出るのではないかという懸念については、養浜は背後地を波浪等から防護する目的で設置しておりまして、離岸堤や潜堤と組み合わせて整備する事例が多くなっています。物理的に養浜の前に構造物を設置するため、海水交換への影響は皆無とは言えませんが、整備延長が長くなる場合は開口部を設けておりまして、影響は軽微であると考えております。

 環境アセスメントに関する質問については、省内の担当課室からは、事業の実施により環境への影響が改善される場合、プラスの面への環境の影響評価における環境影響評価については、その取り扱いの整理や優良事例等の事例収集、提供、普及、方策の検討を継続的に行うべきである旨、有識者から指摘されているところとのことでした。

 以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございます。よろしいですか。

 次回から、回答の御説明は、簡単な絵とか文章を入れて、このタブレットに入れて、御説明いただいたほうがわかりやすいし、思い出すかと思いますので、よろしく御検討をお願いいたします。

 ただいまの回答につきまして、さらなる御質問等ございますか。よろしいですか。

 それでは、本日の議題は全て終了いたしました。本日の議論、本当にありがとうございました。特に御説明、それから質疑対応をいただきました皆様には厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

 それでは、事務局にお返しいたします。

○佐藤係長 委員長、議事進行ありがとうございました。

 次回の小委員会は、10月18日13時半から引き続き関係者からのヒアリングを実施する予定にしております。委員の先生方におかれましても、引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 また、本日の議事録については、委員の皆様、御説明いただきました関係者の方々には、速記がまとまり次第、お送りさせていただきますので、御確認をお願いしたいと思います。御確認いただいた議事録は環境省ウェブサイトで公開いたします。

 説明いただきました関係者の皆様、ありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして、第17回の小委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午後3時37分 閉会