水銀大気排出対策小委員会(第6回) 議事録

日時

平成26年9月26日(金)10:00~12:00

場所

TKPガーデンシティ永田町 ホール2D

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1)他部会における検討状況(水銀大気排出関連)
  2. (2)水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策のあり方について
  3. (3)その他

3.閉会

配付資料一覧

資料

資料1   委員名簿

資料2-1 環境保健部会水銀に関する水俣条約対応検討小委員会(第2回)の結果について(報告)

資料2-2 循環型社会部会水銀廃棄物適正処理検討専門委員会の状況について(報告)

資料3   水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)

資料4   前回の小委員会における委員からの主なご意見

資料5   鉄鋼製造施設における水銀排出抑制に関する意見書(委員提出資料)

議事録

午前10時00分 開会

【是澤大気環境課長】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気・騒音振動部会第6回水銀大気排出対策小委員会を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらずご出席をいただき、ありがとうございます。

 開会に先立ちまして、事務局から、水俣条約の締結状況についてお知らせをいたします。

 国連総会の開催にあわせまして、9月24日、一昨日でありますけれども、国連本部において、「水俣条約の早期発効と効果的な実施に向けて」のサイドイベントが開催され、複数の国による署名・締結が行われました。その結果、現時点までの署名している国と地域は120、締結国は、既に締結をしておりました米国を含めまして6カ国となっております。ウルグアイなど5カ国が新たに締結したという状況でございます。

 我が国としましても、条約の早期締結ができるよう、できる限り取り組んでいく所存でございますので、委員の先生方におかれましては、引き続きのご審議、ご検討をよろしくお願いいたします。

 本日は、17名の委員の方にご出席をいただいておりまして、定足数に達していることをご報告いたします。

 配付資料でございますが、お手元の議事次第に配付資料の一覧を記載してございます。資料1から5までの資料をお配りしておりますので、不足しているものがございましたらお申しつけくださるようお願いいたします。また、委員の皆様の席上には、前回同様、ピンクのファイルを置かせていただいております。こちらの資料は、委員会終了後、回収をさせていただきます。

 マスコミの方におかれましては、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、ご協力をお願いいたします。

 それでは、以降の進行を坂本委員長にお願いいたします。

【坂本委員長】 皆さん、おはようございます。

 本日は、ご多忙の中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。今回の小委員会では、まず他部会における検討状況について報告をいただいた後、水銀大気排出対策に係る答申案についてご議論をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速ですが、議事に入ります。

 まず、議題1でございますが、他部会における検討状況(水銀大気排出関連)でございますけれども、各部会の担当者から説明をお願いいたします。

【上田環境安全課課長補佐】 それでは、環境保健部環境安全課の上田から、環境保健部会の小委員会の状況につきましてご説明させていただきます。資料は資料2-1をご覧ください。

 資料2-1、環境保健部会水銀に関する水俣条約対応検討小委員会(第2回)の結果について(報告)という資料でございます。

 この保健部会の小委員会につきましては、産業構造審議会のワーキンググループと合同で開催をしております。1回目は5月末でございまして、その辺、ちょっと間があいておりますが、2回目を先々週でございますか、9月12日に開催をいたしました。その第2回の議題でございますが、基本的には、事業者ヒアリングと、それから、今後の進め方ということの確認をさせていただいたということでございます。ヒアリングといたしましては、5ポツ、議事概要の(2)でございますけれども、主に水銀添加製品の製造事業者の団体、6団体、具体的には、蛍光灯、電池あるいは工業用の計測機器、医療用の計測機器、それから試薬という6団体、それから、水銀回収事業者として野村興産様、それから、非鉄製錬業者として日本鉱業協会様にお越しいただきまして、ヒアリングを行ったということでございます。

 それから、今後の進め方ということで、ページ番号は振っておりませんが、3ページ目になります。1枚おめくりいただきまして、次の紙の表側でございますが、別添2ということで、今後の進め方(案)ということがございますが、ここにありますとおり、第3回は10月10日に予定をしておりまして、その後、第4回、第5回と、年内までであと3回予定をしております。それで、第3回におきましては、その報告書案の検討に向けた主な論点をご議論いただくということで、準備を進めているところでございます。第4回で報告書案を検討していただきまして、その後、まとまりましたらパブリックコメント、そして、第5回におきまして、報告書の取りまとめという方向で進めさせていただきたいというふうに思っております。

 以上です。

【鈴木産業廃棄物課課長補佐】 それでは、続きまして、循環型社会部会における水銀廃棄物の検討について報告させていただきます。

 廃棄物・リサイクル対策部の産業廃棄物課の鈴木と申します。よろしくお願いいたします。

 資料2-2をご覧ください。

 1ページ目の循環型社会部会水銀廃棄物適正処理検討専門委員会の状況についてです。開催状況としましては、6月以降、3回開催しています。1回目には、水銀回収事業者からのヒアリングを行い、2回目、3回目で、論点整理をさせていただいたところです。

 2ポツの概要についてですが、先ほど申し上げましたとおり、1回目で回収事業者からヒアリングを行い、その後、論点整理をしてまいりました。論点整理の資料は、別添2としてつけています。後ほど簡単にご紹介したいと考えています。

 3のスケジュールです。次回、第4回の専門委員会におきまして、「水俣条約を踏まえた今後の水銀廃棄物対策について」中間取りまとめを行った後に、循環型社会部会に報告したいと考えています。その後、パブリックコメントを経て、第5回専門委員会において報告書を取りまとめる予定です。

 めくっていただきまして、裏面の別添1は、委員の名簿をおつけしました。

 それでは、別添2で、論点について簡単にご紹介したいと考えています。この資料は、第3回専門委員会の資料3ということでお示ししたもので、下線は第2回から第3回目の変更点について示しているものです。

 まず、1ページ目で論点一覧を目次として示しています。一つ目が廃金属水銀の処理についてということで、こちらは水銀そのものを処理するに当たって、どうしていくべきかということを示しています。2番目で水銀汚染物の処理、3番目で水銀添加廃製品の処理、4番目でその他必要な対策等というように、整理をしています。

 では、2ページの廃金属水銀の処理についてです。現在、有価で金属水銀が取引されていますが、条約の発効により使用用途が制限されたことで、廃棄物として取り扱うときのことを想定して、検討しているものです。

 金属水銀が廃棄物として取り扱われる際には、特別管理産業廃棄物に指定することが適当であると検討いただいています。その収集運搬、保管方法は、2ページ目から4ページ目で通常の特別管理産業廃棄物の処理基準に加えた基準を設定することが適当であると整理しています。

 続いて、8ページ目で、中間処理及び処分の方法を整理しています。9ページ目の真ん中の表で整理していますが、処分先としては、管理型処分場と遮断型処分場の2種類を考えています。管理型処分場に処分する場合、今の知見では水銀を99.9%以上に精製した上で、黒色硫化水銀化し、硫黄ポリマー化して固型化すると、溶出基準に適合するものができるということを確認しています。そのように溶出基準に適合したものについては、管理型処分場に処分できると考えています。さらに、表の右側にあるような、ほかの廃棄物との混合埋立の禁止や雨水の浸入防止措置などを入念的に追加措置として講ずる必要があると考えています。

 溶出基準に適合しないものや精製+硫化したものは、遮断型処分場に処分することとすると考えています。

 2番目の論点の水銀汚染物について、ご紹介します。14ページをお開きください。

 水銀汚染物とは、15ページの上のほうのグラフに示すように、例えば非鉄のスラッジや焼却の残さなどが該当すると考えています。このような水銀汚染物の処理については、現行法で管理型処分場で処分する場合は、水銀の溶出基準以下になるように処理しなければなりませんが、処理方法としては、特段明示はされていなく、事業者の判断に委ねられていますが、水銀を一定以上含有する汚染物については、キレート処理、セメント固化だけでは水銀溶出を抑制できないおそれがあります。

 また、15ページのグラフの上にありまように、濃い濃度のものは、水銀回収が一般的に行われていますが、今後、そのインセンティブが低下することによって、回収せずに埋め立てるという可能性もあると考えられるため、特定の施設から排出される一定濃度以上の水銀を含有する汚染物については、水銀の回収を義務付けることが適当ではないかと考えています。

 続いて、16ページから、3番目の論点の水銀添加廃製品について整理をしています。(1)の一般廃棄物の廃製品の対策です。家庭から排出される電池や蛍光管などについては、メーカーによる自主回収や、市町村が回収して、また、全都清ルートなどを経由して水銀回収や埋立処分がされています。市町村の廃製品の回収については、7割程度の市町村で分別回収が行われている状況です。一般廃棄物は質が多様で、水銀添加廃製品については、その全体に占める量が少ないということで、不燃ごみとして埋立処分がされた場合でも、排水基準などにより適正に管理がされていると考えています。ただし、体温計などは使われずに家庭内にある場合もあるため、環境上より適正な管理を確保するために、市町村等による回収または水銀回収をより一層促進する必要があると考えています。

 家庭から排出される水銀添加廃製品については、一覧の明示など普及啓発を行った上で、現行の市町村等による回収体制を維持して、さらに全都清ルートなどの既存の水銀回収スキームを活用した適正な処理を促すということと、また、小売店など関係機関の協力を得た回収スキームを検討していくことが適当であると考えているところでごす。

 17ページ以降で産業廃棄物について整理しています。産業廃棄物の水銀が飛散・溶出しやすい廃製品としては、計測機器や照明機器などが挙げられ、ストック量をこのように整理をしています。

 めくっていただいた18ページが、その飛散・溶出しやすい廃製品の処理方法です。水銀回収に関しては、例えば照明機器やボタン、電池などについては含有率が少ないため、水銀回収を義務づける必要性は低いと考えていますが、②の不溶化の有無にあるように、例えば蛍光ランプそのままでは溶出基準を超過してしまう例もあるため、不溶化処理や水銀回収を行うことが望ましいと考えています。

 また、3番目では、廃蛍光管などが「ガラスくず」で取り扱われると、安定型処分場にそのまま埋め立ててしまう可能性があるため、それを禁止することが適当ではないかと整理しています。

 また、4番目として、収集運搬や破砕の際に水銀が飛散することを防止するため、取り扱いに注意するよう、処理基準を徹底するということが必要なのではないかと考えています。

 めくっていただいた21ページ目ですが、水銀が飛散・溶出しやすい廃製品であることを明らかにするためにどうするかという論点なんですけれども、こちら、「水銀含有産業廃棄物」というカテゴリーを新たに設け、それをマニフェストや委託契約書に記載を義務づけるということが適当ではないかと、考えているところです。

 続いて、その他の必要な対策等が22ページから始まります。家庭や医療機関に退蔵されている体温計とか血圧計の対応をどうするかということです。製品として使用する限りにおいては、制限はありませんが、使わなくなった場合については、速やかに排出を促して、集中的に回収を促進することが適当だと考えています。そのため、既存の回収スキームを活用するとともに、小売店など関係機関と協力したスキームの検討も念頭に、回収を進めることが適当ではないかと考えています。

 また、22ページ目の下のリスト化など、上流側で必要な対策です。まず、水銀廃棄物の発生抑制のために、フリー化とか水銀の使用量の削減が必要ですが、それでも残ってしまう廃製品を適正に処理するために、水銀を使っているという情報が排出者から処理業者に適切に伝達されることが重要と考え、水銀の使用製品のリスト化や使用製品の表示など、輸入品も含めた上流側での対策を促進することが必要だと考えています。こちらについては、先ほど紹介がありました環境保健部会と連携して検討するべき事項と考えています。

 簡単ですが、循環型社会部会における検討についてご紹介いたしました。

【坂本委員長】 どうもありがとうございました。

 環境保健部会、循環型社会部会、それぞれでの検討状況についてご説明をいただきました。

 これにつきまして、何かご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。

 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 ほかの部会で検討されている中身について、とやかく言うつもりはございませんが、この水銀大気排出対策小委員会で検討をする上で関連がある部分について、ご質問させていただきます。

 まず、環境保健部会のほうは、化管法の対象としてどういうふうに考えているか。これは規制と化管法の届け出による自主的な一種の規制ですけども、それも密接に絡みますので、そういうことは、具体的な検討はまだのようですけど、そこら辺は今度の論点の中に入ってきているのかどうかということが一つ。

 それから、循環型社会部会のほうは、水銀含有産業廃棄物という、この廃製品についてはということですけども、それは、特管産廃という場合は溶出試験をやってということになりますか。その特管産廃の場合に、溶出試験というのはこれこれこういうもの、廃棄物の種類を決めておいて、溶出試験を加えたものは特管産廃ということになりますけども、この水銀含有産業廃棄物というのは特管産廃になるのかどうか、どういうふうな扱いになるのかというのが一つで、というのは、水銀含有産業廃棄物とか、それから、水銀を含む特管産廃が扱える施設というのは限定することができるのか。施設に許可を与えるときに、そこら辺のところで、この施設についてはこういう許可を、こういうものを扱えるという許可を与えるということになると、大気のほうで規制の対象にする施設というのを、そういうものを扱うところに、ある程度、整理をすることができるかもしれない。そこら辺のところ、どういうふうに考えておられるのか、教えていただければと思います。

【坂本委員長】 お願いします。二つ質問がございました。環境保健部会の関係につきまして、お願いします。

【上田環境安全課課長補佐】 ご質問ありがとうございます。正直、まだその検討の途上だということでしかないんですけれども、個人的見解も含めてお答えしますと、正直、その化管法で水銀条約を担保するということは、あまり念頭にないということでございます。それはなぜかというと、環境保健部会の範囲ですと、最も重要なのは、条約で言うと、3条、4条と10条ということで、3条ですと水銀の輸出入関係、それから4条ですと水銀添加製品の関係、それから10条ですと水銀の保管の関係という、三つが最も重大なその担保すべき事項ということになりますが、化管法ですと、その水銀を取り扱っている者がどれだけ環境に排出しているか、あるいは、廃棄物として排出しているかというところに関わってくる法律でございますので、今申し上げた3条なり4条なり10条なり、つまり、水銀の輸出入なり、製品なり、水銀添加製品なり、あるいは水銀の保管なりといったところについては、直ではかかってこないのではないかというふうに、個人的にはですが、考えております。

 以上です。

【坂本委員長】 どうぞ、続けてお願いします。

【鈴木産業廃棄物課課長補佐】 ご質問いただきました含有製品が特管になるかどうかという点についてですが、特管に指定するのは金属水銀で、それ以外の廃製品などについては、水銀含有産業廃棄物というカテゴリーに入れ、通常の産業廃棄物と考えているところです。

 扱うものを制限することができるのかという点につきましては、省令などで業の許可証などの様式を示しているので、そちらのほうで限定することは可能と考えます。

【坂本委員長】 ありがとうございます。

 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 保健部のほうからのお答えでいくと、化管法の排出について、大気排出も含めては、保健部会のほうの委員会の対象の範囲外であるということになるのでしょうかという、逆に言うと、こちらでは水銀の大気排出というものを検討する委員会なので、一応規制を中心に考えているということなんですけども、そこら辺はどこでやるんだろうかなということが一つ疑問になったので、それは保健部会のほうでやられるのかというのが一つ。

 それからもう一つは、循環のほうの説明では、基本的には水銀を扱う産業廃棄物をやる施設というのは、今のところ限定をされないと。産業廃棄物の処理施設だと、どこでも扱えるような形になるのかどうかというところ、そこが多分、規制の対象にするというときに、物すごく大きく響いてくると思うんですね。だから、そこら辺をどう考えておられるのか。ある程度、そこで限定をしていただけると、そういうものを扱うところだけを規制の対象に、こちらの水銀の排出対策の対象にするという割り切りができるんですね。もちろんそれが守られるかどうかというのは別の議論ですから、一応そういうふうな整理をすると、そういうことができるんですけども、そこら辺はどう考えておられるのかという意味で申し上げたんです。

【坂本委員長】 どうぞ。

【上田環境安全課課長補佐】 すみません、舌足らずな回答で、大変失礼いたしました。当然、何といいましょうか、水銀条約を担保する上で、そのメインになってくるのは、恐らく新しい法律になるのではないかというのが今のところの考え方ですので、そういう意味で、その化管法がメインになってくるものではないというようなお答えをさしあげたんですが、すみません、関わらないかといえば、当然関わる問題でございますのと、それから、こちらでは大気への排出でございますが、水なり土壌への排出ですとかといったところは、当然この部会、この委員会ではございませんし、そういった残りの部分につきましては、保健部会で当然取り扱う範囲にはなってまいります。すみません。

【坂本委員長】 鈴木さんのほう、どうぞ。

【鈴木産業廃棄物課課長補佐】 先ほど申し上げましたとおり、施設を限定できるかということにつきまして、例えば、その業の許可とリンクさせて限定するということは、可能かと考えますが、専門委員会でそこまでの議論はしていませんので、持ち帰らせていただいて、検討を進めていきたいと考えています。

【早水審議官】 若干補足いたしますと、後で答申案の資料3のほうでご説明もいたしますが、ちょっと先にPRTRの話が出ましたので、資料3の10ページを見ていただきます。そこに少し触れております。インベントリーの作成に当たりまして、PRTR制度、排出量の把握の制度というのを活用できるのではないかということでありますけれども、対象となる施設とか、規模の考え方が必ずしも網羅的ではない、なるべく広くカバーはしているけれども、全てカバーしているわけでもないというところもありますので、この答申案としては、11ページの頭に「インベントリーについては、可能な範囲でPRTR制度を活用しつつも基本的には別途の情報収集が必要となると考えられる」としております。この案ではですね。ただ、当然活用できる部分もありますので、その辺り、どういうふうにやっていくかというのは、今後、答申案を検討されていく、あるいは保健部のほうでも検討される中で、少し調整が必要な部分かなというふうに考えております。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、今、ご質問等ございましたけれども、両部会と、引き続き事務局で連携をとっていただき、必要に応じた報告をしていただければと思います。要は、どこかの、どっちで取り扱うかが決まらないで、抜けがあってしまっては困ると、そういうことでございますので、よろしくお願いいたします。

 どうぞ。

【崎田委員】 申し訳ありません。循環のほうの廃棄物への質問です。後々、こちらに関係してくると思いますけれども、例えば焼却灰のところでの水銀含有量の出口のチェックとか、そういうものが、後々、例えばそれを受け入れてリサイクルするという業界も、非常に排出量が多いというセメント業界さんとかが関連してきますので、廃棄物段階においてこの分野での水銀の管理などはすごく大事だと思うのですが、どのような検討がされているか、教えていただければと思います。

【坂本委員長】 お願いいたします。もし、今、情報があれば、なければ、また後日ということでも結構です。

【鈴木産業廃棄物課課長補佐】 例えば水銀排出が焼却灰のほうに増えたことによって、セメント業界から増えるとか、そういうような検討を今はしておりませんので……

【崎田委員】 いえ、どのようにしたら減らせるかという話ですので。

【坂本委員長】 どうぞ。ご質問の趣旨がいま一つわからないようです。

【崎田委員】 例えば、こちらのほうでは、今後、減らすために規制のシステムをどうするかとかいうようなことも考えていくわけですけれども、それぞれの業界が原料を仕入れて、試行錯誤している中で、その廃棄物のほうの分野で、もう少し減らすようなこと、あるいは管理の徹底等をしていないと、影響してくることもあります。ですから、そういうことに関しては、循環や、廃棄物部門ではどんな問題意識を持っておられるか伺いたいと存じます。なかなかこちらの部会でも、そういうところまで意見交換というのがほとんどされていないので、前回、ちょっと私、こちらで発言を最後に一言したんですけれども、今日、廃棄物のほうのお話が出たので、少しその問題意識を伺いたいということで発言しました。

【坂本委員長】 どうぞ、浅野委員。

【浅野委員】 循環部会については、責任が私にもあるんだろうと思いますが、どうも今日の報告を聞いている限りでは、広がりをあまり意識しないで、水銀そのものが廃棄物になった場合、どうするのかという問題が、まず一つあると思います。

 さらに、水銀の混じっている製品が廃棄物化したときにどうするのかということは考えておられますが、それ以上のことはあまり議論されていないという印象をうけます。しかし、今、崎田委員がおっしゃったように、最終的に焼却灰が、またもう一回、資源として利用されることもある。それが大気中に放出される可能性があるので、そこの規制は我がほうで考えなきゃいけないという問題があるので、そもそも、例えば焼却灰が再利用されるような場合に、その焼却灰の中に、より少なく、水銀の含有量が仮に多少あってもしようがないけども、よりそれを減らすためにどうしたらいいのかというような点については、こちらでは手の打ちようがないので、廃棄物の処理段階で考えてもらえないかということもありそうです。つまり、これは大気のほうは燃やしてしまった、そこからしか話が始まらない。しかし燃やす前の段階は廃棄物の問題なんだから、例えば廃棄物処理施設で処理をする段階で徹底して分別をしていただく。そうやって水銀含有の廃棄物が焼却されないようにするというようなことを考えてもらえば、こっち側の負担が軽くなるのではないかというのが崎田委員の発言のご趣旨だろうと思います。その辺のところまで、廃棄物の領域で考えていただけるのではないかということですが、こういった点は多分まだ考えられていないようなので、今、事務局にお答えくださいという気はないのですが、酒井委員長にしっかりお伝えください。

【坂本委員長】 ちょっとお待ちください。

 まず、中杉委員。

【中杉委員】 ちょっとご意見の補足ですけど、基本的にはここで、この部会で大気水銀排出を考えるときに、今、BATの議論を中心にやっていますけど、BEPがあるわけですね。廃棄物処理施設でBEPというのは廃棄物をどう扱うか、先ほど私が質問させていただいたようなところ、これは一般廃棄物についても同じような話で、できるだけ回収しますよというレベルにするのか、有害ごみとして、今、報告のところで、水銀電池なんかは別に扱っている。でも、それはルールではないわけですね。自治体がそれぞれおやりになっている状況の、そこら辺のところをもう少ししっかりルール化していくと、一般廃棄物の処理施設についても、一応BEPのほうである程度対応できるということが制度化されたということになるので、そこら辺が物すごく絡んでくるんですね、こちらで考えるときに。対象をどうするかというと。ということで、検討をいただければということで、私も先ほど申し上げたのも同じような趣旨でございます。

【坂本委員長】 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 22ページのところに出ている一般廃棄物に関しては、その4のところにあるような回収のスキームをちょっと考えてはいまして、私はちょっと委員にすぎないので、座長ではないので、あまり最終的な責任のある発言はちょっと控えたいと思いますけども、これではちょっと不十分だというご意見もあるかもしれませんので、それをおっしゃっていただければ大変ありがたいと思いますけれども、できるだけ何らかのスキームを考えたいということを検討しているところでございます。

【坂本委員長】 よろしくお願いいたします。

 今、お話ございましたようなことにつきましては、循環型社会部会のほうの検討会でご検討いただき、いわば、こちらのほうで最終的に利用する段階で、できるだけ水銀が少なくなったものが来れば、大気中への排出が減らせると、そういうようなところで関係してまいりますので、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

 どうぞ、簡潔にお願いいたします。

【稲垣委員】 今の循環のところの14ページのところで、私は、そこら辺が明確にしてあるのかなと思って読んでいたんですが、2の水銀汚染物の処理のところの「このため」というところの段落なんですけれど、例えば大気で燃やしたものを、ダストとか、集塵灰とか、そういうものでとる。それは、ある一定濃度以上の水銀を含有する水銀汚染物については、水銀を回収してから処理するとなっていますので、ここで、その本来の系のところから水銀が飛び出てくるわけですね。これを別個管理すれば、それだけ水銀の循環の中から水銀の量が減ってくるものですから、そういう処理をするためにここを書かれたかなと思って読ませていただいたんですけれどね。

【大塚委員】 こちらは埋め立てのほうなんですか。

【稲垣委員】 埋め立てなんですよ。ですから、埋め立てをやるときに、高濃度のものですと、管理型にしても、いずれ溶出してきますので、これについては遮断型にして、要は系外へ出さないような形にするとか、完全に回収してしまったものは、それだけできちっと保管すれば問題ないのかなというふうに理解したので、そういう議論はされていないんですか。

【大塚委員】 こちらのほうは、今までスラッジとかで大量に出てきているものに関して、新しく水銀が無価になっていく可能性があるものですから、回収のインセンティブが減るので、それに対する対応をするということで、今まで以上にやるということでは必ずしもないんですけども、新しく問題が発生することを抑えるという話で、一般廃棄物のほうの回収の話は、ちょっと今以上に何かスキームをつくらなくちゃいけないかどうかということで、稲垣委員におっしゃっていただいたとおりではあるんですけども、ちょっとそういう性質の違いがあるかなと思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 いずれにしろ、今の内容につきましては、循環型社会部会のほうでご検討いただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、議題の2へ移りたいと思いますけれども、水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策のあり方について、事務局から説明をお願いいたします。

【永田総務課(併)大気環境課課長補佐】 それでは、事務局より、資料3に基づきまして、答申案のご説明をさせていただきます。

 まず、全体の構成なんですけれども、前回、骨子案としてご議論いただいた際から、大きな目次上の変更はございません。

 なお、前回までは両論併記としてさせていただいた部分も、基本的には、今回、一つの案としてまとめてご提示させていただいております。

 早速中身なんですけれども、2ページ目、「Ⅰ はじめに」は、前回の骨子案からほぼ変更ございませんので、割愛させていただきます。

 「Ⅱ 背景1.水銀の特性」ですが、我が国の科学的知見に照らした書き方に、今回、若干修正をさせていただいてございます。

 水銀の毒性は化学形態の違いによって異なりますけれども、特にメチル水銀については、とりわけ発達中の胎児の中枢神経が最も影響を受けやすいとされているというようにさせていただいてございます。

 続いて、3ページ目「2.水銀の大気排出の状況」でございます。こちら、世界と国内という整理を前回どおりさせていただいてございます。具体的な書きぶりはほぼ変わりございませんので、割愛させていただきますが、根拠となるデータにつきましては、今回から別紙として、一番後ろにつけさせていただいてございますので、適宜ご参照いただければと思います。

 「3.水俣条約の概要」でございますが、これも、これまでご議論いただく上で、前提としていろいろご紹介させていただいてございますので、今回、詳しいご説明は割愛させていただきます。

 4ページ目「4.我が国におけるこれまでの水銀大気排出対策の取組」ということですけれども、これまでも有害大気汚染防止対策に該当する可能性がある物質の一つとして水銀は選定されてございます。その中で、優先取組物質として、環境目標値の一つとして、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値ということで、大気中の水銀蒸気の吸入による長期曝露に係る指針値というものが設定されてきてございます。

 また、大防法に基づくばい煙排出規制等への対応として、従来から排ガス処理装置が導入されてございますが、これによって、水銀の大気排出抑制に一定程度の効果があるものというふうに考えてございます。また、常時監視に基づくモニタリングを実施しているところ、これまでのところ、指針値を超過した測定値というのはないということを、確認させていただいています。

 次、5ページ目「Ⅲ 水銀の大気排出対策の在り方について」の「1.水銀排出規制制度の必要性」でございますけれども、水銀については、その特性から、水俣条約上、大気排出を規制し、実行可能な場合には削減するための対策を講ずるということが求められてございます。また、条約の採択に先立ってUNEPが取りまとめた「Global Mercury Assessment」におきましても、水銀の人為的排出の削減は、環境中を循環する水銀量を削減するために極めて重要であることが指摘されてございます。

 水俣病経験国であります我が国としましては、この条約の趣旨を積極的に捉えることとしまして、条約に定める排出規制の的確な実施を確保するために、十分な担保措置規定を伴う法規制としていくことが重要であるというふうに考えてございます。現行の大防法につきましては、先ほど申し上げた有害大気汚染物質対策の枠組みの対策が講じられてはございますけれども、この制度は、具体的に見ますと、排出基準ですとか、その遵守のための担保措置規定などが規定されているわけではございませんので、条約の実施を確保するための措置としては不十分であろうというふうに考えてございます。

 また、有害大気汚染物質対策制度は、この大気経由の吸入曝露によるヒト健康への影響のみに着目してあるという制度でございますので、今回の条約に基づく排出規制というのは、環境中を循環する水銀による人の健康、それから環境への影響全般に着目した制度であるという違いがあることから、今般は、有害大気汚染物質対策の枠組みとは別途、条約を踏まえた新たな規制措置というのを設ける必要があろうというように整理をさせていただいています。

 続いて、その具体的な排出規制制度の枠組みということで、「2.(1)新規施設に係る規制、(a)規制手法」でございます。これにつきましては、前回までもご議論をいろいろいただいているところですけれども、まず、その規制の手法の考え方として、事業者において最新の技術に応じて効果的な排出抑制の手法が選択されやすいような枠組みとすることが望ましいということが考えられます。

 この点、排出口における濃度規制ということは、排出口における濃度基準に適合するために事業者が講じる対策としまして、水銀除去設備の種類・構造ですとか、運転管理方法の改善など事業者が自ら判断をして、その事業活動に応じた最適な組み合わせというのを選択することができるということ。また、技術開発の都度、その構造・設備を基準として設定しますと評価・審査することが必要になるわけですけども、そういった煩雑さがないということから、事業者と業者の双方にとって効率的であることということから、排出限度値によって規制する手法を採用することが適当であるというように考えてございます。この場合、水銀の大気排出濃度には一定の変動がございますので、条約の趣旨も踏まえまして、その水銀の排出口からの平常時における平均的な排出状況、これを捉えた規制とする必要があろうということでございます。

 なお、前回、排出量規制は考えられないのかとご指摘いただいてございます。これについては、従来の排出量規制は、規制対象物質の総量を一定以下に保つという観点から、各事業者に対して排出量の上限を割り当てていくという考え方に立った規制手法でございますが、今回の条約のBATを適用して可能な限り排出抑制するという観点からは、この活動量によらず技術力を反映し得る濃度規制とするのが適切であるというふうに考えてございます。

 「(b)具体的な規制水準を設定するに当たっての基本的考え方」でございますけれども、先ほど申し上げた規制の必要性というところを踏まえますと、この排出基準は、ばい煙の排出基準のような環境基準等の環境上の目標の維持達成を目指す観点から設定されるというものではございませんで、「利用可能な最良の技術に適合」した値とするという必要があるという考え方を確認させていただいています。

 このため、排出限度値の設定に当たりましては、経済的、技術的考慮を払いつつ、その排出源分類ごとの状況等について十分に調査・検討を行って、勘案した上で、現実的に排出可能なレベルで定めることとしたいと思ってございます。また、排出基準の基準値につきましては、平常時に対象施設において達成されるべき値として設定されることが適当であるということでございます。

 なお書きのところは、先ほどもご議論にありましたけれども、廃棄物焼却炉に水銀含有物が混入するような場合を想定したものです。そういった場合には、規制対象施設の設置者等について、後述で責務規定のところでご紹介いたしますが、対象施設で取り扱うものの水銀含有量が可能な限り削減されるような措置が必要であろうということで、事業者に対しては、その必要な措置を講ずること、また、国民に対しては、その措置に協力することといったことを求めるべきであろうということで、書かせていただいています。

 具体的な基準値につきましては、今後検討ということでございます。

 「(c)規制の実効性を確保するための措置」でございますが、排出濃度規制を入れた場合には、その排出濃度を測定し、結果を記録することというのが当然必要になってございます。その際、水銀の大気排出濃度には一定の変動がございますので、その測定方法としましては、平常時における平均的な排出状況を捉えた規制となるように、その排出状況を適切に代表する試料を測定できるようなサンプリング時間ですとか、方法、頻度とすることに留意をしながら、定めていくべきであろうということで、具体的な手法については、今後検討とさせていただいています。

 実効性確保のためのその他の措置としましては、届出制度ですとか、排出限度値の遵守義務、それから排出限度値を継続して違反した場合には、所要の命令、罰則等がかかるような制度を設けることが適当ではないかというふうにさせていただいています。

 規制の実施主体については、都道府県知事及び大防法の政令で定める市の長が当たることが適当であるということでございます。

 「(2)既存施設に係る規制手法」でございますが、水俣条約上は新規の発生源とは異なる規定で、既存施設について措置することも認められているところでございますが、既存施設につきましては、ばい煙の排出規制、VOCの排出規制等の従来の大防法における既存施設の取り扱いとの整合性というのも踏まえつつ、新規施設と同一の仕組みで措置することが適当であるというように考えてございます。

 ただし、その排出基準値につきましては、当然施設の大幅な改変が必要になってしまうような技術的な制約が生じることもあり得るということで、新規施設とは別に、「利用可能な最良の技術に適合」した値というものを検討して、設けていくことが適当であるというようにさせていただきました。

 具体的な基準値につきましては、この既存施設について、既に講じられている対策の実態を調査・把握をした上で、水銀の排出削減に有効と評価された対策を踏まえて、この施設の種類に応じた基準値となるように、今後検討ということとさせていただいています。

 続いて、「(3)排出規制の対象施設の規模」でございますが、75%という条約上のカバー率を満たすように、原則として一定規模以上のものに限定するということが適当とさせていただいています。

 ただし、規制対象の発生源のうち、施設規模にかかわらず水銀を確実に扱う、あるいは基本的には扱わないというように特定できるような施設類型にございましては、規模の大小にかかわらず、対象または対象外とするということも考えられるのではないかとさせていただいています。

 この具体的な基準については、今後検討ということでございます。

 続いて、「(4)排出規制の対象施設の選定の基本的考え方」でございます。水銀大気排出規制の対象につきましては、条約の規定に基づきまして、5分類に該当する施設は、排出規制の対象とする必要が当然あるということでございます。

 他方で、その条約に掲げられていない施設については、条約の対象外でありますので、特段対応しないということも考えられるところでございますけれども、我が国において水銀大気排出の一定割合を占めるような排出源につきましては、水俣病経験国である日本としましては、独自の対応として何らか一歩進んだ対応をするということで、2案を両論併記として提示させていただいてございます。

 まず、A案でございます。1ポツ目、水銀は、一度大気に排出されると分解されず、残留し蓄積していくという特性がございます。

 これについて、世界規模での水銀の大気排出量をもう一回確認しますと、鉄鋼製造施設については2%~6%という占める割合になります。一方で、条約対象施設である廃棄物焼却施設については2%~8%ということでございまして、これと比較すると、条約対象とはされなかったものの、その排出割合は大きいというふうに言えるのではないかということでございます。

 我が国における大気排出量を見ましても、全体のうち21%~28%ということでございます。ヒアリングのほうで測定結果に基づく試算値というのをご報告いただきましたが、それに基づきましても15%~21%ということになります。特に、焼結炉は除塵設備等が設置されているということではございますけれども、大気排出量が多いということでございますので、これらにつきましては、主要な排出源として、大気排出規制の対象とすることが適当ではないかということでございます。

 ただし、その場合であっても、既存施設につきましては、特に過大な負担とならないように、排出限度値の設定、適用に当たりましては、最大限の配慮をしていくという案でございます。

 続きまして、9ページ目、B案でございます。これについては、条約に掲げられていない施設でありましても、やはり我が国におきまして、対象施設と同等に水銀を排出しているというような鉄鋼製造施設のような施設については、条約対象施設に準じた排出抑制取組を求めることが適当であるということでございます。

 しかしながら、条約の求める規制対象とは直接なってございませんので、その条約を担保する措置としては排出基準の遵守義務等を求めることまではしないこととした上で、事業者に対する一般的な責務が法律上明文化されれば、それを根拠として、自主管理基準の設定ですとか、排出施設の新増設時における水銀を除去する設備の設置等の排出抑制措置を実施すること、排出状況を測定し、自主管理基準達成状況について定期的な有識者等による評価・公表を実施すること、インベントリー策定の協力等、ほかの一般的な対象外の排出事業者よりも一段階、積極的な取組を求めることとする案でございます。

 本日は、この2案につきまして、皆様にご議論いただければと思います。

 続いて、「(5)事業者による自主的な排出抑制取組の責務」については、水銀の大気排出に関係する事業者一般については、その責務として、自主的な排出抑制取組を求める規定を設けることが適当であるということで、こういった対応はBEPの利用の促進にもつながるものであると考えてございます。

 特に、先ほどいろいろご質問、ご議論ございましたが、廃棄物処理施設等の排出源については、焼却する対象物に混入する水銀含有物を可能な限り削減していくことが重要でありますので、入口対策として、一般廃棄物については市町村等による分別回収を促進すること、産業廃棄物については排出事業者に対してマニフェスト等により水銀含有であることを明らかにすることなどを徹底する等、具体的な廃棄物対策が実施されるような措置を検討していくことということが適当であるというようにさせていただいています。

 「(6)国民による自主的な排出抑制取組の責務」でございますが、国民におきましても、その日常生活の中で、大気排出抑制促進というのが可能であると考えられます。具体的には、水銀添加製品を廃棄する際には地公体等のルールに則った適切な廃棄を行うこと、また、製品等を購入する際には水銀含有量の少ない製品などをできる限り選択していくことなど、国民に対しても一定の努力を求めていくことが重要であるということでございます。また、そういった取組の実施は、BEPの利用の促進にもつながるということでございます。

 この論点につきましては、循環部会、それから保健部会のほうでの検討ともあわせて検討していきたいということでございます。

 続いて、10ページ目、「3.目標、インベントリー等」につきまして、「(1)大気排出対策の目標の設定」でございますが、水俣条約上は目標を設定することができるというふうにしてございますが、世界における我が国の大気排出割合が1%であるということ、また、我が国では従来からさまざまな排出抑制措置が講じられてきていることを踏まえますと、先進国たる締約国の責任として、排出量をできる限り抑制していくということは重要でございます。その観点から、現時点では、インベントリーを活用した排出量の定量的な把握、評価を定期的に行っていくべきであるということとさせていただいています。

 また、この点につきましては、保健部会での検討とあわせて検討ということでございます。

 「(2)インベントリー」でございますが、インベントリーを策定・維持するためには、事業者側から幅広い積極的なデータ提供が必要であろうということでございますので、排出事業者による自主的取組として、その広範なデータを実効的に収集することができるようにするということが適当であろうということでございます。

 先ほど、早水のほうから補足もございましたが、その際にはPRTR制度のデータをできる限り活用していくということでございますが、基本的には別途の情報収集が必要になるというふうに考えられます。

 このインベントリーの情報収集等のあり方につきましては、今後検討ということとさせていただいています。

 続きまして、11ページ目「(3)国及び地方公共団体の責務」でございます。国におきましては、一般的に水銀対策を牽引するということのほか、国民に対する普及啓発等の必要な施策を着実に講じていくこと、また、規制対象施設の設置者等が施設の設置等を促進するための各種支援措置を講ずることが適当というふうにさせていただいています。

 「また」のところでは、これまで講じてきた環境中の水銀による健康リスク低減を図るということは、条約の趣旨からも、引き続き重要であるということで、そのための指針値については維持し、大気モニタリングの評価、事業者の排出抑制努力の指標として、引き続き活用していくことが適当であるということとさせていただいています。

 また、開発途上国に対する能力形成、技術援助等の支援を行うということのほか、我が国としても、この水銀の世界的な循環メカニズムを解明していく上で必要となるような世界的な形態別水銀のモニタリング測定網の構築ですとか、そういった取組を進めていくことは必要であるということとさせていただいています。

 地公体につきましては、規制の適切な実施のほか、事業者に対する情報提供、住民に対する知識の普及を図っていくことも必要であろうということにさせていただいています。

 この論点につきましても、分野横断的でございますので、保健部会のほうと連携して検討というふうにさせていただいています。

 「Ⅳ その他」でございますが、これまでは今後の課題ということで設定していましたが、内容に応じ、その他と整理をさせていただきました。内容としましては、前回ご提示させていただいた内容と同じになります。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、まず、この説明いただきました資料を幾つかに分割して、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。

 最初に、4ページ目の2、背景まで、ここのところは事実関係を整理したことでございますので、この部分について、何か特段の質問があればお受けしようと思いますが、ご質問のある方、名札を立てていただければと思いますが、4ページ目の2の背景、ここまでのところでございます。

 貴田委員、お願いします。

【貴田委員】 1ページ目の水銀の特性に関してなんですけれども、水銀の毒性は、2ページの一番下のところですが、ここは前回の委員でご指摘があったかと思うんですけれど、なぜ水俣条約でかなり規制しなければならないのかの説明を十分にするために、ここは、とりわけメチル水銀の胎児の中枢神経に影響が大きいというところは、2番目の参考資料として、厚生省の通知が引用されているわけなんですけれど、これ、恐らくWHOでコホート研究によって、この数値、一週間の摂取許容量が2分の1になったという、この事実は書き込んでおいたほうがいいのではないかなというふうな気がしています。2000年ごろだったと思うんですけれども、つまり、毒性評価が厳しくなったということを加えておくべきではないかというのが1点です。

 それから、2番目の大気排出の状況なんですけれども、これは恐らくUNEPのほうも、全体的な大気排出量は人為起源等に限定をしていて、恐らく13ページの日本の大気排出イベントリーも、合計の数値は人為由来なのですが、自然由来がそこの中に書かれているので、これは少し枠外に書かれるべきではないかなというふうに思っています。多分言葉としても、人為由来の排出量の抑制ということが問題になるのであろうというふうに思っておりますので、少し丁寧に書いていただければなというふうに思います。

【坂本委員長】 高澤委員、お願いします。

【高澤委員】 背景のところの4番、これまでの取組というところにおきまして、日本の水銀大気排出量というのが世界全体の1%程度という非常に低い水準であります。また、何回かこの委員会でもお話ししたんですけども、いわゆる大気中の水銀蒸気吸入による長期曝露に関する指針値、これについても、かなり低い大気中の水銀濃度になっております。大防法に基づくばい煙排出規制等に対する産業界によるこれまでの対応努力というのもあります。水銀の大気排出抑制に貢献しているものということで、できれば答申案のこの取組のところに、こういう産業界の努力というようなところについても、何らかの形で反映していただきたいなというふうに思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 事務局のほうからは、今、特にお答えをしなくてよろしいですか。例えば、貴田委員のおっしゃった数値が2分の1になったところ等々を書き込んで、それからあと、人為起源の形で分けてやったら、より適当だろうと、そういうことですね。

【貴田委員】 そうです。

【坂本委員長】 それから、高澤委員のほうもよろしいでしょうか。

【高澤委員】 できれば、何かお考えがあれば。

【坂本委員長】 どうでしょう。

【髙林総務課課長補佐】 ここ、書いてある内容自体は、別にご異論があるということではなくて、これに加えてということですね。

【高澤委員】 はい。

【髙林総務課課長補佐】 それにつきましては、ちょっとまたご検討させていただいてということで、よろしくお願いいたします。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 ちょっと時間の関係がございまして、後のほうが相当いろいろなご意見があろうかと思いますので、次に進めさせていただきたいと思います。

 崎田委員、何か。

【崎田委員】 今のお答えを伺いながら、ちょっと一言、失礼いたします。先ほど、産業界の努力など、もう少ししっかり書き込んでいただけたらというご意見がありましたことについてです。例えば産業界の皆さん、割に水俣の経験を経て、二度とこんなことを起こしてはならないというので、いろんな業界が代替製品に変えるなど、様々な取組をされて、その大気排出に直接というような印象よりは、いろんなそのものに関してかなり努力されている印象があります。ですから、大気というよりは、何かそういう全体的な動きに関して、どこかで書き込んでおいていただくということが必要であり、そのほうが皆さんで納得感ある内容になるのではないかなと思いました。よろしくお願いいたします。

【坂本委員長】 ありがとうございます。

 それでは、次のところへ入らせていただきたいと思います。

 次の部分でございますけれども、5ページ目のⅢの1、水銀排出規制の必要性、ここから7ページ目の既存施設に係る規制手法、ここまでの部分についてご意見をいただきたいと思います。ご意見、ご質問のある方は、名札を立てていただければと思います。

 それでは、大塚委員からお願いします。

【大塚委員】 6ページのところで、(b)のところの二つ目の段落のところですが、ここに書いてあることは、これでもちろんいいと思っているんですけども、そのBATという条約が要求している「利用可能な最善の技術」というのは、技術の進歩があれば、より厳しくなっていくものだもんですから、最善のというところがあるもんですから、その点に関して何らかの記述が必要か、あるいは、仮に必要でないとしても、ちょっとその点に関しては留意を、注意をしていただきたいということを、概念上の問題として申し上げておきたいと思います。私の意見というよりは、BATというのはそういうものなので、ちょっとこの表現だけだと、やや固定したもののように誤解される可能性があるかなという感じがしましたので、申し上げておきます。

【坂本委員長】 高澤委員、お願いします。

【高澤委員】 ご質問が1点と、あと意見のほうをちょっと1点、お話ししたいと思います。

 まず、条約の担保措置ということで、産業界としては、有害大気汚染物質の枠組みを基本とした事業者が自主的な排出抑制に努める規定となるよう、何回かご意見をさしあげたというふうに思っております。この点につきましては、委員の皆さんから、特に明確な反対というような姿勢も示されたというふうには認識しておりません。もちろん十分議論もなされていないというような状況なんですけども、いろいろと時間の制約もありまして、なかなか議論もできないままに来ておるんですけれども、結局、この答申案には、そこら辺の点が全く反映されておりませんので、そこら辺、この反映をされずに、この答申案になった経緯をお聞かせいただきたいというのが1点でございます。

 それから、もう1点でございますけども、冒頭、循環型社会部会のほうから委員会の進捗のお話がございまして、廃棄物中の水銀のお話がございましたけども、セメント産業におきましては、まさにそういう廃棄物の灰、そういうようなものを有効利用、再資源化するというようなことで、循環型社会に非常に大きく貢献をしているというふうに思っておるわけでございますけども、できれば、そういう循環型社会への貢献をしているというようなところを、ぜひこの答申案のところに加えていただきたいなと。

 といいますのは、例えば新規、既存にかかわらず、排出限度値を設けるようなところがございます。6ページの具体的な規制水準を設定するに当たっての基本的な考え方のところで、例えば「このため」以降のところの経済的、技術的な考慮だけじゃなくて、そこに、できればその後に「循環社会への考慮」というような文言を一言入れていただくとか、既存施設における、7ページの規制手法におきましては、今後検討して、具体的な基準値については云々今後検討していくべきであるというようなところのその後ろに、「なお、検討に際しては、現状の実態を踏まえながら、循環型社会の形成に対しても最大限の配慮をすることとする」というような、やはり循環型社会部会のところできちっと吸い上げられないと、大気側でも吸い上げられないような気がするので、産業界としてはそういう、特にセメント業界辺りが循環型社会で最終的に廃棄物をきちっと循環させているんだというようなところを、ぜひ配慮していただくようなちょっと文言を落とし込んでいただきたいというふうに思います。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 中杉委員。

【中杉委員】 最初の意見、一つのつもりで、大塚先生とほとんど同じだったので言うこともないかなと思いましたけども、基本的には、BATは大塚先生が言われるとおりで、どんどん変わっていく、進歩していくと。今回も、産業界の方から出されているのは、日本のレベルは非常に高いよということを言われているんですが、将来的にどうなるかわからないわけですね。ひょっとすると、日本のレベルが遅れてしまうかもしれない。そのときは当然変わるので、こういうふうなとまった形ではないというところのニュアンスをどこかに書き込む必要があるだろうと。

 それから、今の高澤委員のご意見に対して、ちょっと気になるのですが、こういう水銀を使って出している業種というのは、全て何らかの形で社会への貢献はしているわけですね。廃棄物処理についても同じようなことで、社会に対して貢献をしているので、セメントが循環型社会に貢献をしているということだけを特出しで書くというのは、少しおかしいのではないかと。書くとなると全部書かなきゃいけない話になりますから。確かに、それはそのとおりだと思いますけど、書き始めると、全部の――水銀を排出しているところは全部何らかの貢献をしているわけですね。特に廃棄物処理も、この循環型社会の中で重要な貢献をしているので、そこまで書くとちょっとバランスが欠けてしまうかなというふうな、これは印象で申し訳ありませんけど。

【坂本委員長】 松岡委員、お願いします。

【松岡委員】 いいですか。

【坂本委員長】 名札が挙がった順番でそう考えるので、申し訳ありません。簡潔にお願いいたします。

【松岡委員】 3点、意見がございます。

 1点目が規制手法、測定についてですけども、具体的な規制基準を設ける場合、基準への適合性評価方法、これは規制基準に適合しているかどうかとか、否かどうかとか、そういった評価する方法について具体的な検討が必要だと思いますけども、測定方法や頻度とあわせて、今後検討していくべきだというふうに考えております。6ページの第1パラグラフの後半の部分に、「水銀の排出口からの平常時における平均的な排出状況を捉えた規制とする」と、「排出限度値の評価方法については、測定方法、頻度等とあわせて、今後検討していく必要がある」というような形で追記していただければなと思います。

 あと、2点目が、実効性確保のためのその他の措置ということで、7ページになりますけども、これまでは事業者による排出実態あるいは長期的な観点で、環境中を循環する水銀量を削減していくというこれまでの議論及びこれまでの産業界の大気排出抑制に対する遵守状況を勘案すれば、罰則と書いてあるんですけど、罰則規定による規制措置は不要ではないかということで、7ページの実効性確保のためのその他の措置についての罰則というのは削除していただきたいというふうに考えております。

 あと、3点目になりますけれども、既存施設における規制手法ですが、これについては、条約によれば、書いてありますけども、新設と異なり、必ずしもBAT/BEPに基づく限度値を導入するということは求められていないということでありますので、7ページの既存施設に係る規制手法の部分に、例えば「具体的な基準値については、新設施設とは別に、既存施設として、既存設備からの排出実態に踏まえた値を設けることが適当」といった表現にしていただきたいというふうに思っています。

 以上でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 守富委員、お願いします。

【守富委員】 ありがとうございます。

 まず最初に、一番最初の1ポツの水銀排出規制制度の必要性のところで、幾つか文言は出てくるんですけれども、最終的に、パラグラフ目の「人の健康及び環境へ」というところで最後は落とし込まれているものですから、今日も、この前段のところでUNEPのほうから出ているような案文は出されていると思うんですけど、やはり地球環境汚染物質としてのということと、地球全体で水銀総量を削減するんだというのが、どこかのフレーズにあってもいいのかなという印象は受けます。何かこれを読んでいると、最終的にはやっぱり健康だと、もちろんそうなんですけども、今回の目標は、どちらかというと、そういうローカルな話ではなくて地球環境全体の話ですので、そこをもう少し強調して書かれたほうがいいんじゃないのかなという印象を持ちました。

 それから、僕も一つですけど、先ほどの高澤委員、中杉委員のほうからもありましたけども、循環型社会形成のための、この後の話にも出てくるんですけど、むしろ9ページ目の事業者の自主的な排出抑制取組の責務ということで、どちらかというと、そこのところで触れられるBEPの「環境のための最良の慣行」という、ここの6ページの辺りのところでは、基本的にはBATの話が中心に、BATに基づいた濃度規制という、簡単に言えばそういう話になっているんじゃないかなと思うんですが、やはりここのところで、個人的にもいろんな業界といいますか、各セクター間を、特にセメント廃棄物のほうはまたがって水銀は動きますので、単に各セクターのBATというよりは、各セクター間をまたがるということも配慮して、私は循環型社会形成のためにといいますか、何らかのそうした表現はここでとったほうがいいのではないのかなという印象を持っております。

 それから、3番目ですけども、一応、BATのベースで濃度規制だという話はわかるんですけれども、7ページ目の規制の実施主体は地方自治体で行うということになるかと思うんですが、最終的にBATを提案したときのガイダンスといいますか、具体的な中身及びそれの指針値的なものはどこで示すのかなと。国のほうとしては、最終的に、この後も国の役割のところで促進であるとか、そういうのは出てくるんですが、具体的なBATの技術であるだとか、何らかの自治体のほうで取り入れるべき、今ここで出てくるBATに基づく濃度規制値、もしそれが、そうしたものを行うとすれば、個人的にはやはり自主管理規制のほうがいいのかなとは思っているんですが、何らかの形でそうした規制を入れるのであれば、やはり国の役割のところをもう少しどこかで、どこでそうした値を出すのかというのを、逆に事務局の考え方を少し教えていただければというふうに思っています。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 続きまして、稲垣委員、お願いします。

【稲垣委員】 基本的には、この考え方でいいと思うんですが、先ほど大塚先生、中杉先生も言われましたように、BATというのを入れたときには、これ、アメリカなんかは5年に一回の見直しとかというような規定がありますので、BATを入れたときの見直しの期限とか、考え方というのをきちっと明確にされたほうがいいのかなというふうに思います。

 それと、7ページの既存施設に係る規制手法、特に下の具体的な部分の辺の書き方というのはこれでいいと思うんですが、ただ、先ほど来、産業界の方がいろいろ言ってみえるんですけれど、既に、日本の産業界の方々が相当取組を進めてみえるのは事実であります。ですから、一生懸命やったものが馬鹿になったというような規制をつくらないように、ある程度、産業界の方々がやられたものは評価した既存施設というのも、例えば日本に幾つか同じような施設があった場合には、一番厳しいレベルをとるんじゃなくして、平均的なレベルの基準にするとか、そういうような考え方というのは、今後必要になってくるんじゃないかなというふうに思っております。

 以上です。

【坂本委員長】 指宿委員、お願いします。

【指宿委員】 考えていた質問のうち、もう幾つかほかの委員のほうからありましたので、それ以外のことということで、一つ気になったのは、今のBATの話で、前にも意見を出させていただいたんですが、今までの議論の中で、BATをどういうふうに決めていくんだというのが全然、あまりなされていなくて、それをやっておかないと、この答申案の中で、じゃあ、BATについてどういうふうに考えていくというのが出てこないような感じなんです。例えば、6ページの(b)で具体的な規制水準ということで考え方が書いてあるんですけれども、その中に、排出源分類ごとの排出状況及び排出抑制技術の状況について十分調査・検討を行うと。ここはBATを考えていく上で非常に重要なところなので、少しここにBATと絡むような書き方をされるといいんじゃないかなというのが一つ、私のほうからの意見でございます。

 それからもう一つは、もう少し小さい話かもしれないんですが、測定の方法と絡むんだと思いますけれども、先ほども6ページの最初の段落の最後のところで、排出口からの平常時における平均的な排出状況を捉えた規制というふうに書いてあるんですが、これは非常に理解しにくい表現になっているんじゃないかなと思うんです。前にVOCの排出規制について測定方法を検討したときに言われたのが、むしろ6ページの一番下ですね、排出状況を適切に代表する試料を測定できる方法、これが多分、各分野における排ガス中の水銀をきちっとはかるというか、代表する水銀を測る方法だと思うんですね。これと平常時における云々という文章が並列で出てくると、どちらを選んだらいいのかわかりにくいということになると思うので、少しここは整理をされたほうがいいのではないかと思います。ちょっと難しいんですけれども、分野ごとに水銀の排出状況がかなり違うと思います。特に廃棄物焼却とか、セメントのところは、瞬時に入ってくる水銀があるわけで、そこは何かまた別に書く必要もあるのかなと思うんですが、ご議論していただけたらと思います。

 以上です。

【坂本委員長】 続きまして、増沢委員。

【増沢委員】 5ページの水銀排出規制制度の必要性の第2段落のところですけれども、我が国として、水俣条約の趣旨を積極的に捉えることとしと言いつつ、その次に続くのが、条約の的確な実施を確保するということしか出てこないわけなんですけれども、積極的という以上は、条約の義務は当然履行する必要がありますので、もう一つ、この「積極的に捉える」というところの中身を規制制度の必要性のところで書き込んでいただいたほうが、もしかしたらいいのかなと。例えば、水銀の排出量を日本としてできるだけ削減していくという考え方に立つといった形で、多少その「積極的」の中身を書いていただいたほうがいいような気がしております。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 若松委員、お願いします。

【若松委員】 6ページ目の2段落目の「なお」以下の5行なんですけども、総量規制に関する記載がありまして、総量規制の定義というか、総量規制は地域内で排出される規制対象物質の総量を一定以下に保つための手法だと書いてあるんですけど、ちょっと私の認識とは違っていて、総量規制はあくまでも濃度規制なんですね。個別の1本1本の煙突だけではなくて、その地域全体の全ての量の排出源がその地域に及ぼす濃度を規制するというやり方だと思いますので、この記載はちょっと違うんじゃないかなという気がします。ですから、この「なお」以下の5行はなくてもいいんじゃないかなという気がしますので、私としては、これは削除したほうがいいというふうな感じを持ちました。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 片谷委員、お願いします。

【片谷委員】 ちょっと話を戻してしまうようで恐縮なんですけれども、先ほど稲垣委員がおっしゃったご意見と、概ね私の発言しようと思っていたことは同様でございます。

 先ほど来、産業界における過去の努力についての、現在も当然継続中の努力についてのご議論があって、それについては私も十分理解しておる立場のつもりでございます。

 一方で、そういう努力がなされているということを、例えば7ページのような、もうかなり各論的になってきた部分の中にあまり明示することになりますと、やはり何か、今、この規制を検討しているということに対する姿勢の後退のような印象も与えかねないという心配がありますので、先ほど崎田委員がおっしゃったような、総論として、産業界がこれまでされてきた努力、あるいは現在もされている努力についての評価をするような記載をどこかに入れるというのが、私は一番よろしいのではないかと思います。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございます。

 貴田委員、お願いします。

【貴田委員】 先ほど指宿委員のほうから、BATの定義というか、内容のことをご指摘されたと思うんですけれども、私も同様に思っていて、例えば石炭火力の場合と廃棄物焼却の場合とでは、多分BATの方法というのは違うんじゃないかなという気がしています。

 それは、排出される水銀が原子状水銀なのか、粒子状水銀なのか、イオン性水銀なのかという、こういうことにも関わってきますので、また、どこでどう技術的にとれるのかという問題もあるので、もちろんBATを考えてというのは、基本的にするというのは、一般論としてわかるんですが、かなりイメージをつくっておかないといけないんじゃないかなというふうな気がしております。この記述でいけるのかという、そういう意味での具体性を持ったほうがいいなというふうに思っております。

 それから、2点目なんですけど、これは6ページの(b)のところ、基本的な考え方のなお書きのところで書かれているところなんですが、これは次のところで議論するべきことかもしれないんですが、ここでは規制対象施設の設置者は入ってくる水銀含有量を可能な限り削減するように措置をするというふうに書かれているんですけど、これだと、先ほど言われたセメント業界は、自らが管理というか、それをせねばならないということにもなりますし、もちろんその努力はしていただかねばならないとは思うんですが、その前に、例えば水銀含有製品の自主的回収とか、その事業者の意味合いですね、9ページに書かれている(5)の事業者というのが、いわゆる規制対象の事業者という意味ではなくて、多分、全ての事業者ということを勘案すると、全体として、水銀含有製品をつくっているところに対しても、自主的取組といいますか、回収の取組、つまり大気排出を下げる意味での取組を、協力を求めるというようなこともあってもいいのではないかなというふうな気がしています。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 高岡委員、お願いします。

【高岡委員】 やはりBATのところの考え方というのが少し気になるところでございます。もう既に多くの委員の方がご指摘なされておりますように、BATは変わっていくようなところもございますので、そこを踏まえますと、今後の見直しとか、水俣条約自体も、また中身が変わっていくということもありますので、その見直し等についても記述があったほうがいいのかなと思っております。

 それからもう一つは、BATにつきましては、既に議論が始まっていると思いますので、その辺りの状況を、もし環境省事務局のほうでおわかりでしたら、最新のところをお示しいただきたいというふうに思います。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 浅野委員、お願いします。

【浅野委員】 まず、高澤委員のご意見ですが、枠組み規制の考え方でいいんではないかとおっしゃるわけですね。枠組み規制の考え方には最初からかかわりをもっておりましたので、申しあげますと、大防法に最初に枠組み規制を入れたときには、やはり対象となる事業者さんが限られていて、しかも責任を持って自主的な取り組みをやっていただける方々であった、ということがこの仕組みの大前提でございました。むしろ規制される側側からこういうふうにやりたいという提案があって、それで、まあ、いいでしょうといって法律に取り入れたという経過がございます。ですから、あらゆる場面にこの手法を広げるのは無理だということは、既にVOC規制のときに、一部から同じような手法の導入をと言われたんですが、不特定多数が相手になる可能性があるような場合にはこの手法によることはとても無理だろうと申し上げて、それを採用しなかったことがあります。今回も、その意味では、ちょっとあまりにも対象が広過ぎるので、全体として枠組み規制で十分だということにはならないだろうとか考えます。

 それとの関連で申し上げますが、前回にも申し上げましたように、規制といっても、もちろん私は全部、在来型の手法でやることだけが規制だとは考えておりません。柔軟にいろいろな方法をとることができるということは前提にしての話です。その上で、しかしやっぱり、罰則は外せとおっしゃるんですが、ほとんどの規制対象者がちゃんと基準をクリアしてくださっているということは、我が国では公害規制以来の伝統でありますので、だったら逆に罰則があったって一向に構わないわけですね。やっぱりどうしても枠をはみ出たことをやる人がいないとも言えないということがありますから、これまではむしろ我が国で罰則を入れろという声が出てくるのは、産業界からということすらあったのです。過去には、我々はちゃんと真面目にやるけど、不真面目な人がいると困るから、罰則をつけておいてくださいよというような声をきくことも何度も経験していますので、罰則があるからおかしいという発想には、賛成いたしかねると考えます。

 次に、若松委員は、「なお」以下は削ったらどうかとおっしゃったのですが、これは削るべきではないと思います。表現をきちっと変えるということはかまわないのですが、これはやはり、今回の考えている課題が在来の公害規制とどう違うのかということを、随所で触れておいて、それを何度も繰り返し強調していかないと、どうしても、規制される側も従来の規制のような感覚で受け止められるおそれがある。あるいは、規制をする側の自治体の中にも、伝統的な規制と同じようなことだと考えられてしまうことがないとはいえない。しかしそれでは全く困りますので、意図が違うということを明確にするという意味では、何遍も繰り返したほうがいいんだろうと思っていまして、その意味では、これを削ってしまうのは甚だもったいないという感じがいたします。

 それから、全体としてまずその考え方をしっかり示すということと、具体的に規制をどういうふうにやるのかということが二段構えで書かれなくてはいけないので、後のほうの話とそもそもどういう考え方でやるのだということとを区別して書き分けるというのが、この原案なのだと思います。その辺を考えないで、後のほうに書いていることを前に持ってくると、話がごちゃごちゃになると思いますし、それから何よりも重要なことは、具体的な規制の数字等は今後さらに専門委員会などで検討するということが大前提になっていますから、専門委員会が議論するときに混乱が起こらないようにするという意味で、いろいろご指摘のあった点についてはわかるんですけども、余りに踏み込んで書いてしまいますと、かえって柔軟ではなくなるということがありますから、ここでは考え方として適切かどうかという点がより重要なのだろうと思います。

 そこで、例えば平常時における平均的な排出状況を捉えた規制という表現は、確かにわかりにくいですから、もうちょっとその表現を変えるにしても、ここであまり細かく書き込んでしまうと、業種ごとの違いというような話が全然出てこなくなってしまいますから、ここはある程度ぼやっと書いておいて、業種ごとに特性の違い、状況の違いということが具体的な各論の中できちっと反映できるようにということに留意をすべきだろうと思います。

【坂本委員長】 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 浅野先生に言っていただいたのでありますが、罰則の話はやはり入れておくべきだろうというふうに思います。これは、数年前ですか、大部分のところはもうきっちり守られているんですが、数年前に一度、守られない事例が数多く出て、それについてどうするかという議論を環境省で検討会をやりました。そういうこともあります。私もそれに参加したんですけども。そういう事例も残念ながらなくなっていないので、そういうものはやっぱり設けておかないといけないという、現状ではそういうふうな状況であるというふうに認識しています。

【浅野委員】 ちょっとすみません、言い忘れました。

 この文章は、従来の罰則とは考え方が違うということを示しているのです。というのは、従来は、私もうっかりしていたんですけども、直罰規定について、過失でも故意でも全くそれは区別することなしに処罰するという規定になっているわけです。もともと過失でも処罰するというのは、よっぽどの場合でなければないはずだと教えられてきていましたから、ずっとこれは故意のみを処罰するものだというふうに思い込んでいたのですが、実は過失でも処罰されるという規定だったのです。前回の大防・水濁法改正のときに、これはもうおかしいから、過失に変えろといって、そのように答申を書いたつもりだったのですが、法制局を通らなかったらしい。

 今回の罰則の書き方は、どちらかというとダイオキシン規制のタイプです。まず命令、それから処罰というふうになっていまして、直罰じゃないということになっています。それから、またその瞬間風速的に基準を超えたら直ちに罰するということではなくて、定常的にやっている人は処罰ということで、つまり実は前に、故意だけを処罰するようにと提案したときと同じようなやり方を求める書き方になっているのです。その辺は少しご理解いただけたほうがいいのではないかと思います。

【中杉委員】 それから、指宿委員から、平常時における平均的な排出状況を捉えた規制になるようにという話があって、それで、排出状況を適切に代表する試料をという、これはなかなか難しいと思うんですよ、表現が。平均的な排出状況であろうと、日変動みたいなのはあるだろうと。それを押さえなきゃいけないよと。それでいて、事故時みたいなものを入れて考えるとまたおかしいよねということで、それを表現すると、こんなことになるんだろうと。

 これは上のほうにも書いてあるんですよね。6ページの一番上の段落の一番下にも、この規制となるようと、規制にしましょうということで、排出状況を適切に代表する試料をとりましょうと。これ、ちょっと矛盾するようだけど、なかなか書きにくいので、こういうふうになったんではないかなと、私は、ここは具体的に中身をこれから検討していかなきゃならないかと。そこを全部書き始めると、議論もできていないしというふうな表現じゃないかなというふうに私は理解しました。

 それから、貴田委員が言われた石炭とセメントと全部違うよねという話は、それはそのとおりだろうと思うんですけども、6ページの(b)のところで、排出源分類ごとの排出状況及び排出抑制技術の状況について十分に調査・検討を行いという、これはVOCの規制のときに同じことをやったので、これはそれぞれの状況を十分踏まえた上でここに書かれているというふうに私は理解をしています。

 それから、先ほど私がコメントしたのに対して、またご意見が出たんですが、循環型社会形成に貢献しているからどうかという話をここに持ってくるというのは、おかしな話だろうと。事業者の方が十分努力しているという一般論としては、それはそのとおりで、有害大気汚染物質についても、従来、自主的な取組を、やはり業界団体が自主的な取組をやられたという経緯もありますから、そこら辺の一般的なところについて、4ページの4のところに少し書かれてもいいのかなというふうに思いますけども、循環型社会に貢献しているからという話は、こことは少し違う議論だろうというふうに思います。

 以上でございます。

【坂本委員長】 大分意見をいただき……

【若松委員】 一言だけ。

【坂本委員長】 先ほどの総量規制で。

【若松委員】 先ほど浅野先生からご意見をいただいたんですけども、私が言いたかったのは、濃度規制をするために排出量規制ではないんだというふうな意味のニュアンスでここに書かれているのがちょっとおかしいので、いわゆる、できるだけ環境中への水銀の負荷を減らすために、濃度を一つの目安として規制をするんだというような、そういったことで十分だと思うんですよね。それはもう、とりもなおさず排出量規制というか、全体の負荷を減らすということですので、その全体の負荷を減らすという言葉と総量規制という言葉がリンクしてしまっているので、ちょっとこれはまずい。表現として、少なくとも第2段落目の上から3行は若干よろしくない記載なので、そこは直していただいて、適切な表現にしていただければと思います。

 ちょっと言葉が足りなかったかもしれません。よろしくお願いします。

【坂本委員長】 ありがとうございます。

 幾つかこの場で質問に答えなければいけない部分があったと思うんですが、そういった部分についてだけお答えいただき、そして、それ以外の文案の修正等については、今後、事務局と含めて検討させていただきたいというふうに思います。

【髙林総務課課長補佐】 すみません、いろいろとご指摘、ご質問等ありがとうございます。

 ちょっとお時間もございまして、残りの部分もございますので、いろいろいただきましたご意見を、今後、また個別にも先生方ともご相談させていただきながら反映していこうと思いますが、1点、高澤委員からご指摘いただきました、自主的な規制をということでご指摘いただきましたが、これにつきましては、浅野委員のほうからも既にご指摘いただいたとおりでございますが、我々、事務局としての考え方につきましては、Ⅲの1ポツの規制の必要性でございますとか、規制手法のところで書かせていただいているとおりでございます。特に、1ポツでございますが、先ほど増沢委員からいただいたご質問ともちょっと関連するかと思いますけれども、1ポツの2段落目のところで、水俣病経験国である我が国としては、水俣条約の趣旨を積極的に捉えるということもありまして、ちょっと1フレーズ飛んで、十分な担保措置規定を伴う法規制としていくことが重要であるというふうに考えております。これは諸外国に対しても、きっちり日本はやっているんだという姿勢を見せるためにも、なかなか諸外国から細かいところまで見てもらえないというところもありますので、きちんとその担保措置、平たく言うと罰則というか、命令というか、そういうものも伴った措置をきちんとやっていますというのを見せれるようにしていくというのも、それはそれで、これは条約担保ということもありますので、非常に重要かなというふうに思っております。そういうことでここに書かせていただいているというのが、事務局としては考えてございます。また、委員の皆様の間でのご議論というのは、今後、引き続きあるかと思いますが、ということでございます。

 高岡委員からいただきました最新状況というのは、専門家会合の状況ということでございますか。

【高岡委員】 はい。

【髙林総務課課長補佐】 もしかすると、守富委員からお答えいただくほうがより適切かもしれませんが、先立って第2回の会合がございまして、守富委員にもご参加いただいております。その結果を踏まえて、今度のINC6が11月初旬にございますけれども、そこで引き続きの議論という形になってくるかと思いますが、前回の専門家会合の議事録等、取り急ぎ私のほうでも拝見させていただいておりますけれども、ちょっとまだ何らか方向性が、その専門家会合として固まっているような段階ではないのかなと。また次のINCでどうなるかというところではあるんですけれども、そういう意味で、INCも次ございますので、もしかしたら、ちょっと最終版には何らか反映できるところがあるのかもしれませんけれども、いずれにせよ、ちょっとこの答申がまとまる段階までに、明確な方針が専門家会合ないしはINCで固まるということは、ちょっとタイミング的にないのかなというふうに考えております。

 守富先生、補足等ございますでしょうか。

【守富委員】 そのとおりです。

【髙林総務課課長補佐】 ありがとうございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 今、幾つかいただきましたご意見等につきましては、事務局を含めて、先ほど申し上げましたような形で必要な修正を加えて、次回、案を提示するという形にさせていただきたいと思います。

 続きまして、まだかなりのご意見をいただきたい場所がございますので、次へ移りますが、7ページの(3)排出規制対象施設の規模から、8ページの(4)排出規制の対象施設の選定の基本的な考え方、一部ここにも意見は出ていたようですけれども、ここにつきまして、ご意見等おありの方は名札を立てていただければと思います。

 まだございますか。時間配分を考えながらやりたいと思いますので、質問の数を――じゃあ、そこまでで。

 まず、今日、中村委員から資料を提出していただいてございますので、中村委員から、その資料についての説明、ご意見等あればいただいて、その後、ほかの皆様方からご意見をいただくという形にしたいと思います。

 お願いします。

【中村委員】 委員長、ありがとうございます。

 本日は、資料5ということで、意見書を提出させていただいています。私たちの関連の方々から多く心配していただいていますので、ちょっとそれを踏まえて、再度ご意見ということで言わせていただきたいと思います。

 資料5を見ていただきたいんですけども、まず、今まで、私たち鉄鋼業についてですけれども、水銀の排出対策については、水銀そのものを対象としたことはないんですけれども、主たる排出源となる焼結炉、これにつきましては、大防法の規制にありますばいじんとか、硫黄酸化物、窒素酸化物、ダイオキシン等、そういう排出抑制をするということによって、そういう対策をするということをしています。それで、そのほかの排出源につきましても、除塵等の設備をすることによって、今までの大気汚染対策をやっていると。それに伴いまして、多くの水銀がとれているというふうに考えております。

 添付している資料の1ですけれども、この資料、先般も私、配付させていただきましたけれども、UNEPのデータ及び世界鉄鋼連盟からデータを集めまして、評価をさせていただいています。右下にグラフがありますけれども、日本の水銀排出実績というものは、かなり少ないほうになっているかと思っています。各国に比べてもトップレベルにあるかと考えております。

 次に、鉄鋼業におけるインベントリー等の取組ですけれども、現在、UNEPとかのまず水銀がどのぐらい出ているかという情報の精度を上げているということは非常に重要かと思います。従前、鉄鋼業界では、カバー率としては24%程度しかしていませんでしたが、至近に至っては約72%まで精度を上げてきております。

 添付しています2について、これも前回プレゼンのときにご説明させていただきましたけれども、カバー率を上げることによって、より実態に近くなっているということがわかります。それに伴って、排出の実態というものは、より少ないということがわかってきているということもあります。

 こういうインベントリーの情報収集は、今後とも環境省さんは継続されることになりますので、私たちも、それぞれに協力しながら、インベントリーの精度を上げながら、ご協力をしていきたいというふうには考えております。

 次ですが、ここが大きく懸念しているところなんですけれども、鉄鋼業には、一次製鉄(高炉法による製鉄)と電気炉による製鉄の会社があります。高炉法というのは、今現在、国内で4社だけ、それから電炉法というのは41社ほどあります。鉄連及び普通電気炉工業会の会員メンバーの数ですけども、それぞれ従業員というのは4万5,000、あるいは2万名ほど働いております。それに加えて、鉄鋼関連の加工とか流通を含めると、全員で22万人ほどの産業規模にはなっているところでございます。この高炉法というのは、先ほど一番最初にも述べました焼結炉、こういう設備に、水銀を最もよく除去できると言われているとちょっと考えています活性コークス吸着塔法みたいな除去設備を、現在の一次製鉄の設備等に導入しますと、日本国内だけで2,000億円ほどかかると考えております。これは非常に事業規模からしても大きな投資になるということで、非常につらいところがあります。また、それだと年間で10億程度の運転コストがかかるという実態もあります。また、電気炉である二次製鉄ですね、現在、主にバクフィルターによる集塵等をやっていますけれども、さらに何かつけ加えるということがありますと、現在、非常に電気炉というのは、電気炉メーカーさんというのは非常に事業環境が厳しい状況になっています。特にここ数年は、電気料金等が非常に上がっておりまして、苦しい状況にあるというのが事実あります。電気炉というのは、基本的にスクラップ、市中から発生するスクラップを用いて製鉄をしていますし、どちらかというと国内だけで、地域密着型の産業となっていますし、スクラップ等のリサイクルというところにも寄与していますし、地域寄与にも大きな役割を果たしていると認識しています。こういうところがさらなる経営負荷を与えるということは、非常につらいという状況になります。

 とはいいながら、鉄鋼業は従前からいろんな大気汚染対策等はやってきていますし、今回、水銀に対しましては、何らかの取組というのは続けていかなくてはいけないかという認識はしております。今まで述べてきましたように、従前どおりの大気抑制対策というのはやっています。それから、その結果として、水銀の大気排出原単位というのは、世界的にも低い状況になっていますということが一つあります。

 それから、先ほども申したように、すべからくそういったものに大規模な投資をするということは、本来の鉄鋼事業環境に非常に大きな影響を与えてしまいます。もう一つは、今回、国際的には条約上は5分類の施設に限定しているというところもあります。これに加えて、日本においてだけ鉄鋼業を規制の対象にするということは、やはりそういう規制のない国と比べて、産業的な国際的な競争性から不公平性を招くのではないかということを懸念しています。ということもありまして、私たち鉄鋼業としては、厳しい排出規制というのは非常につらい難しいものであると考えております。

 一方、とはいいながらも、今後何か取り決めをしていくときには、私たちの考え方もありますし、基本的には、自主的な取組で、従前より有害大気汚染物質対策というのを含めて自主的取組というのはやっております。鉄鋼業界として、従前やっていますインベントリーを、より精度を上げるというのがまず基本かなとは考えております。インベントリーの精度を上げるということはどういうことかというと、まず排出実態をより把握し続けるということになりますし、それをきちんと収集して、整理して、評価するというプロセスになります。そういう全体を含めて、自主管理基準をつくったり、定期的な測定、あるいはそういう実態を把握する、それでインベントリーを作成して評価する、あるいはそれを、全体を通した管理のシステムを評価するということをやっていきたいと思っております。

 以上でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 高岡委員、お願いします。

【高岡委員】 まず、水銀を排出している排出源は、全てやはり基本的には水銀を削減していくことを努力していただく必要がまずはあるんではないかなと思います。その上で規制的な措置をということになりますが、このA案、B案と二つあるわけですけれども、最終的に、私もいろいろ考えて、どこに戻っていくのかとなりますと、やはり水俣条約への担保措置という側面が非常に強いのではないかなと思います。ですので、そうなりますと、基本的には5分類というところに対して、まずは規制対象になるのではないかと思います。

 ただ、これはBATも変わりますし、水俣条約も今後もちろんまた変わっていく可能性がありますので、現時点で自主的な方法で取り組むほうがいいのか、今後、非常に高度に厳しくなった時点でまた排出限度値がかけられるということがいいのか、それは非常に大きな選択だと思っております。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 崎田委員、お願いします。

【崎田委員】 ありがとうございます。

 私も、結論的には高岡委員と同じような方向性を持っております。前回発言を同じようにさせていただきましたが、実はこの委員会が始まるまでは、やはり日本が水俣条約の水俣の国ということで、もっと強気にきちんと対策をした方がよいというA案のことを私はイメージして、この委員会に臨みました。ただし、取り組んでおられるいろいろな状況、そして世界との状況などのお話をかなりたくさん伺いながら、きちんとやっていただきながら法律としてはB案という、この流れでいくというのが、今、やはり私たちのスタートとしていいのではないかというふうな考えに至っています。

 なお、先ほど鉄鋼業界の方が、自主管理基準をきちんとつくって取り組むというふうにおっしゃいました。それをもう一歩強めて、例えば鉄鋼業界の自主行動計画をきちんとつくり、それに関して内部できちんと評価をし、その上で、今後水俣条約に関する総合的な評価を毎年のように実施する場が設けられると思いますので、、そこで一緒にきちんと出席して、同じような評価を受けていくというようなことを明確にしていただいたほうがいいのではないかなと私は思っています。

 よろしくお願いいたします。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 貴田委員、お願いします。

【貴田委員】 お二人、B案を賛成という、現実的にはというご意見だったと思いますけれども、私はやはり今でもA案のほうを基本的には賛成しております。

 というのは、A案の最後に、ただし、既存施設については、特に過大な負担とならないような排出限度値の設定及び適用に当たり最大の配慮をすることというのがありますので、やはりこの水俣条約のどこを一番重要視するかといったときに、やっぱり全体的な排出量の抑制というのはあろうかと思います。

 鉄鋼連盟の努力といっても、非常に最近のことだろうというふうに思って、今後期待できるというものはありつつも、最後のなお書きのところで、限度値の設定に関する配慮、あるいは、どのような形でいつということも含めて考慮するのであれば、基本的にA案でいくほうがいいのではないかなというふうに思っております。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 大塚委員、お願いします。

【大塚委員】 A案でいくとしても、「ただし」というところがあるように、既存施設については、過大な負担にならないような限度値を定めるということになると思いますし、B案でいくとしても、特に重要なところは、この二つ目のポツの4行目の排出施設の新増設時における水銀を除去する設備の設置等の排出抑制措置の実施というところにあると思いますので、もしB案をとる場合には、ぜひここを注意していただけたらと思います。

 先ほど崎田委員が言われたように、自主行動計画のようなものをつくって対処していただくということは、非常に望ましいというふうに考えております。

 以上です。

【坂本委員長】 稲垣委員、お願いします。

【稲垣委員】 私は従前からこの委員会で言っているように、基本的には、長い間、地方行政をやってきた人間からすると、あまり不公平感があるような規制というのは、大変難しいのかなというふうに思います。現実に排出量が多いにもかかわらず規制対象になっていないという点は、説明しにくいのかなというふうに思いますし、先ほど来、議論があります既設の施設の基準のつくり方というのは、やはり現状を踏まえる、あるいは、ここのただし書きに書いてあるようなこともあるわけですから、先ほど中村委員が言われたように、活性コークス吸着法等を全て導入しようとか、そんなレベルのものではないんじゃないかなというふうに私は思いますので、その辺は公平感というものを出すべきじゃないかなというふうに思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 じゃあ、守富委員、お願いします。簡潔に。

【守富委員】 ありがとうございます。

 一応、BAT/BEPの専門家会合のほうでも、そういう話が一方ではあったんですけれども、やはり世界的に、今日、中村委員のほうから資料が出ていますように、ある程度、皆さん、どこの各国もそれなりに頑張っているんですけれども、特に日本の場合、頑張っているかと思うんですが、特に全体の5分野のところにある程度限定して、水俣条約のほうは限定されていますので、かつ日本の1%ということも踏まえると、やはりこれはB案のほうが、自主管理基準に基づいて積極的にそちらをやっていただくというほうが適切ではないかなというふうに思っております。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 特に今、質問という形のものはなかったかと思いますので、今日いただきました意見、場合によっては、また個々に委員にご相談する場合もあろうかと思いますが、事務局と相談をして、最終的なまとめをつくる方向で処理をしたいと思います。

 続きまして、9ページ目の(5)事業者による自主的な排出抑制取組の責務、及び(6)国民による自主的排出抑制の責務がございますが、この部分につきまして、質問、ご意見ございましたら、名札を立てていただければと思います。お願いいたします。

 それでは、崎田委員、お願いいたします。

【崎田委員】 この(6)の国民による自主的な排出抑制の責務のことなんですけれども、私も、国民が使用者(消費者)の1人としてきちんと役割を果たすというふうな中に位置づけられることは重要なことだと思っております。

 それで、なお、ここの4行目辺りに、水銀含有量の少ない製品をできる限り選択というふうに書いてあります。もちろんこれは大事なことです。考えてみると、こういうことができるようにするためには、購入するときに、そういうものだとわかるような情報がきちんと商品に書いてあるとか、表示が徹底しているとか、そういうことも実はすごく重要です。この国民の責務を実施するためには、やはりもう一つの委員会のほうで検討していただくであろう製品の話などが全部関係してくるというふうに思っております。ですから、ここにどこまでそれを書き込むのかどうかというのは、少し難しい話かもしれませんが、やはりこの話は社会全体での流れをきちんと見据えた上で取り組むことなのだということはきちんと認識しながら、皆さん、三つの委員会で検討していくということが大事ではないかというふうに思っております。よろしくお願いします。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 貴田委員、お願いします。

【貴田委員】 崎田委員とほぼ同じ内容で、若干追加させていただきたいと思います。

 先ほどもちょっと6ページのところで意見を出したんですけれども、(5)の事業者の責務、それから(6)の国民の責務というところで、やはり先ほど崎田委員が言われたように、国民の協力、責務というか、それはあろうかと思います。なので、言葉としては、やはり廃棄行動における協力という意味合いのことは入れていただきたい。水銀含有製品の廃棄、それを選んで、それを適切な回収に行くとかというような内容を入れていただきたい。例えばボタン電池であるとか、蛍光管、体温計等というのは、やはり消費者としての責務であろうかと思います。また、滞蔵しているものも出していくという、そういう観点での協力ということも必要かなというふうに思います。

 先に(6)のほうに行っちゃったんですけれども、(5)のほうの事業者による自主的な排出抑制取組の中でも、水銀含有製品、電池業界などはもう自主的な取組をやっておられますけれども、やっぱりそれをさらに進めるといいますか、そういう協力というのも必要になってくる。また、自治体も、回収システム、一応回収されているとはいうものの、適切な処理というところまでは行っていないかもしれないので、そこら辺の回収システムの構築ということについても、記載をしていただきたいかなと思います。もちろん、ここだけの話じゃないかもしれないんですけど、少なくとも大気への排出を抑制するためには、入り口でちゃんと回収すべきという、そういう観点で書いていただければと思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 大塚委員、お願いします。

【大塚委員】 9ページの(6)のところですけども、ここに書いてある適切な廃棄を水銀添加製品についてするということと、製品の購入のときに水銀含有量の少ない製品を選んでもらうということと二つございまして、どちらも表示の問題と関係してきますので、水銀含有製品に関しての表示の義務づけということが問題となると思いますし、表示の義務づけをするときも、この二つの観点でちょっと、若干ずれる可能性があるので、そこに気をつけて検討していく必要があると思いますが、これはそこにも書いてあるように、ほかの部会のことですので、私自身にもはね返ってくることですけども、ぜひ検討していきたいと思っているということを今ちょっと申し上げておきます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 増沢委員でしょうか、お願いします。

【増沢委員】 まず、(6)の国民の自主的な取組のところで、さっきから出ている製品等の購入の際の選択のことが出てくるんですけれども、一方で、事業者の側については、こうした製品のユーザー事業者という視点があまり明確に読めないような気がいたしますので、そういった水銀含有製品の利用等に関わる事業者といった、製品関連の事業者も幅広く読めるようにしていただいたらいいのかなというふうに思いました。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 ご意見よろしければ、今いただいたご意見を事務局のほうで検討し、必要な修正を加えて、次回に案を提示できるようにしたいと思います。

 続きまして、9ページまで今終わりましたので、10ページ以降の、10ページになりますけども、目標、インベントリーについて、それから、その他、ここにつきまして、ご質問、ご意見のございます方は、名札を立てていただければと思います。

 まず、浅野委員、お願いします。

【浅野委員】 この小委員会の報告の内容にはあまり関係がないだろうと思いますが、自治体の人と話をしていると、やっぱり回収ルートについて本当に自治体としては困っていて、集めてもいいんだけど、その後、持っていく場所がないというので積極的に回収にとりくむことをためらっているようです。今、全国に1カ所しかない。だから、既に既得権でちゃんとルートをつくっているところはいいんですけど、つくっていないところは全くどうにもならないという状況にあるようです。ですから、これはこの委員会の話ではなくて、大塚さんの委員会なのか酒井さんの廃棄物の委員会なのか、どこか扱えばいいのかはわかりませんけれど、もっとやれるサイトをつくっていかないと必ずどこかで行き詰まりますので、環境省の大きな課題であることを一斉にあちこちで書いておかなきゃいけないのかという気がします。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 高澤委員。

【高澤委員】 その他の項なんですけども、私の記憶違いかもしれませんけども、水銀以外のカドミだとか鉛の話というのは、今回、この小委員会ではメインではないので、あまり議論としてはしなくていいよねというような話が、4回目ぐらいに僕はあったかなと思っているんですよ。にもかかわらず、最後、その他にぼんとこういうふうに、議論していない項目があたかも検討しないといけないんだみたいな格好で出てくるのは、ちょっといかがかなと思いまして、その他として削除する、もしくは、せめて、私のこれは個人的な意見なんですけども、いわゆる前段ですね、我が国としても注視しておく必要があるというようなところ辺りでとめておけば、当然、注視しておけば、何かの世界的な動きが出れば、日本は何もしませんよということには絶対ならないので、もうそこだけでも十分に伝わるんじゃないかなというふうに思っております。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 このいわば水銀に限られた部分をまずきちんとやるということが重要であって、そして、いわば今回の水銀の問題のような、地球全体での量が増えないような形、もしくはそういった形を考えていかなければならないような物質が、こういうものがありますよという形で情報を整理する、注視していくというところまででいいんではないかということでございますが、いかがでしょうか。私もそれで現時点ではよろしいかなと思いますけど、事務局、どうぞ。

【髙林総務課課長補佐】 すみません、一つ、反論ではないんですけど、申し上げさせていただきますと、全く議論がなかったわけではなくて、いきなりやぶから棒に出てきたわけではなくて、確かにおっしゃるとおり、この委員会のスコープというのはあるんですけれども、以前、第2回目かぐらいだったかと思いますけれども、それに関連してということで、国内法化する際に、こういった問題をどう考えるのかというご議論は一度あったやに記憶しております。

 ただ、今後の課題という形で載せさせていただくには、やっぱり今まさに高澤委員がおっしゃったとおりで、今回のスコープに対してどうかというところがございましたので、今回はニュートラルに、その他というふうにさせていただいたところでございます。

 その上で、2文目をどうするかというところは、委員長ともご相談させていただいて、また検討させていただければと思います。

【坂本委員長】 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 表現ぶりとしては、高澤委員が言われたように、その部分で構わないと思いますけども、鉛、カドミについては、国際的云々ではなくて、特に我が国ではイタイイタイ病を経験していますし、この問題については、かなり自然的な原因も含めてどう管理するかという非常に問題になると思います。必ず検討しなければいけない課題になるだろうということだけ申し上げておきたいと思います。

【坂本委員長】 指宿委員、どうぞ。

【指宿委員】 すみません、その他でもう一つお聞きしたいなと思ったのは、水銀の大気排出抑制ということで言うと、脱硝ですとか、脱硫ですとか、そういう技術が非常に役に立つというのはみんな認識していると思うんですが、温暖化対策の観点からいくと、そういう対策技術というのは結構エネルギーを使って、CO2の排出量を増やしていくということがあるのです。私、特に気にしているのは、アメリカで石炭を使った発電というのが今後どうなるのかという辺りで、この辺、UNEPや何かで議論されているのかどうかわからないんですが、例えばアメリカがシェールガスに発電の燃料を変えていったときに、石炭はあまり使わなくなって、それで、同時に、自動的に水銀の排出量が減っていくという、そういうシナリオはあり得るわけで、今、日本の中でこの水銀の排出量をどういうふうに減らすかという議論の背景として、そういった部分をどう考えているのかという、その辺、書く書かないは別にして、何かそういう議論というのはあってもいいんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、その他ということで発言させていただきました。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 今の点は、非常にアメリカの動きが、今、指宿委員から話があったように動いてきて、石炭火力は相当程度減る方向へ行ってくる。まして、新たな石炭火力をつくる場合には、CO2の工程も考えるぐらいのところへ行きつつあるというような状況を我々は知りつつ、今後の水銀についても、もしかすると厳しい方向へ行く可能性もあり得る。そういった場合に、BATというものがどういうものになるかまでも考えながら動いていくことも実は必要なのではないかという気はいたします。

 これは、ここの場で今すぐこれをここに盛り込むという話ではなくて、今後の動きとして、そういう部分も私たちは認識として持っておく必要があるんではないかというお話でございました。ありがとうございました。

 事務局のほうから、何かございますか。

【永田総務課(併)大気環境課長補佐】 すみません、最初のほうに守富委員からご質問がありました件で、ちょっと1点補足なんですけども、国の責務として排出限度値を設定するといったときに、自治体との役割等の観点でどういうものになるのかというご質問がございましたが、ここの国の責務で明確には書いてございませんが、基準の設定の仕方としては、自治体が独自に設定していくという手法もございますけれども、今般は国としての排出量を削減していくという観点に立ちまして、基本的には国が一律の基準を設定していくということだろうと思いますので、それについては、これまでどおり法令に基づく基準の設定ということで、今後、専門委員会等のもとで検討をさせていただいて、策定していくということになろうかと思います。

【守富委員】 指針値に関してですか。

【永田総務課(併)大気環境課長補佐】 いえ、基準値として策定していくことになろうかと考えております。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 今、いろいろご意見をいただきましたけれども、事務局のほうで、ご意見を参考にし、必要な修正を加えて、次回、答申案の形でご提示できるようにしたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

 時間がやや超過してございますが、全体を通して、何かこれはやっぱり考えておいたほうがいいよというような感じのこと等ございましたら、お願いいたします。

 どうぞ。

【三好局長】 ちょっと、浅野先生から渋い顔をしているという、決してそのようなことはございません。どうもありがとうございました。

 ご意見をいただく中で、ここで取り組むことが適当かどうかという、注釈をつけながらのご意見もいただいておりますが、私どもの気持ちとしては、やっぱりできるだけ積極的に、まさしく水俣条約の意義を積極的に捉えて、ここの分野は大気汚染ということでございますけれども、そういう気持ちで取り組みたいというふうに思っております。個々の表現につきましては、委員長とよくご相談しながら、案としてまとめさせていただきたいというふうに考えております。

 どうもありがとうございました。

【坂本委員長】 今、お話がございましたように、次回の第7回小委員会では、答申案として提示するように、事務局でまとめていくようにお願いをしたいと思います。

 もし皆様から特にご意見等ございませんようでしたら、本日の議題は以上でございますので、事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

【是澤大気環境課長】 本日の議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で、公開することとさせていただきます。

 次回の委員会でございますが、10月29日水曜日、10時から12時を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 次回は10月29日、ここで答申案をお出しして、そこでまとめていただく、その後、パブコメ等々へ行くという予定でございますので、次回以降もよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。