水銀大気排出対策小委員会(第2回) 議事録

日時

平成26年7月3日(木)17:00~19:00

場所

大手町ファーストスクエアカンファレンス Room A

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1)前回委員会における指摘事項について
  2. (2)水銀大気排出に関するヒアリング
    1. [1]一般社団法人日本化学工業協会
    2. [2]日本鉱業協会
    3. [3]一般社団法人日本産業機械工業会
  3. (3)その他

3.閉会

配付資料一覧

資料

資料1 委員名簿
資料2 前回委員会における指摘事項について(一覧)
資料3-1 水銀大気排出に関するヒアリング実施概要
資料3-2 ヒアリング資料(一般社団法人日本化学工業協会)
資料3-3 ヒアリング資料(日本鉱業協会)
資料3-4 ヒアリング資料(一般社団法人日本産業機械工業会)
資料4 委員からの書面意見

参考資料

参考資料1 揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制について(検討結果)
参考資料2 揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のあり方について(意見具申)
参考資料3 揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制制度の実施に当たって必要な事項について(答申)
参考資料4 揮発性有機化合物の排出抑制に係る自主的取組のあり方について(報告)

議事録

午前10時00分 開会

【難波大気環境課長】 それでは、若干定刻より早いんですけれども、委員の先生方おそろいですので、ただいまから中央環境審議会大気・騒音振動部会第3回水銀大気排出対策小委員会を開催いたします。

 委員の先生方におかれましては、ご多忙中にもかかわらずご出席をいただきまして、大変ありがとうございます。

 前回より委員の交代がございましたので、ご紹介をまずさせていただきます。

 電気事業連合会の阿部委員から辞任の申し出を受けまして、今回から、同じく電気事業連合会環境専門委員会副委員長でいらっしゃいます、松岡様に委員としてご出席をいただくことになりました。

 松岡委員、よろしければ一言ご挨拶をお願いいたします。

【松岡委員】 松岡でございます。

 微力ではございますけれども、当委員会でしっかりやっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【難波大気環境課長】 なお、資料1といたしまして、新しい委員名簿を配付しておりますので、後ほどご確認をいただければと思います。

 本日の出席状況でありますけれども、委員総数20名のうち、17名の委員の方にご出席をいただいておりまして、定足数である過半数に達していることをご報告させていただきます。

 お手元の配付資料でございますけれども、議事次第に配付資料一覧を記載してございます。参考資料の1~4につきましては、委員の皆様のみへの配付とさせていただいております。資料の不足等がございましたら事務局にお申しつけください。なお、委員の皆様の席上には、前回同様、ピンクのファイルに、水俣条約の仮訳、原文、大気汚染防止法をとじて、資料として置かせていただいております。こちらの資料は、机上資料とさせていただきますので、小委員会終了後、回収をさせていただきます。

 それでは、これ以降の進行につきましては、坂本委員長にお願いいたします。

【坂本委員長】 皆様、ご多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

 今回の小委員会では、前回委員会における指摘事項について事務局よりご説明いただいた後、水銀大気排出に関するヒアリングを行います。このヒアリングは、それぞれの皆さんにご説明をいただき、最後にまとめて質疑応答の時間を設けるやり方で始めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議題でございますけれども、議事次第で、「1.前回委員会における指摘事項について」ということで、まず事務局から説明をお願いいたします。

【長浜大気環境課課長補佐】 事務局でございます。それでは、資料2に基づきご説明申し上げます。

 まず、前回ご指摘の内容といたしまして、前回お配りしました資料の2012年の日本の金属水銀輸出量に違いがあるというご指摘をいただきました。資料2の別添1を用いてご説明いたします。

 この違いについては、年度集計なのか、年集計なのかという違いによるものでございます。左下の表については、年度ベースの集計を使っておりまして、右の表については、それぞれ年ベースの集計値を用いております。水銀は、1回にまとまった量の取引がされる傾向がございまして、集計時期が3カ月ずれただけで、このような違いが出るということでございます。

 続きまして、「海外の水銀大気排出規制では、条約対象施設5種類以外にどういったところまで規制対象としているか調べていただきたい。」ということでございましたが、調査の上、第4回小委員会にて情報を提示させていただきたいと思っております。

 続きまして、国内の大気排出状況インベントリーの生データがございますけれども、こちら、別添2-1、2-2として、それぞれ添付してございます。こちらの資料は、大変膨大な資料でございますので、後ほどご確認いただければと思います。

 続きまして、VOCの規制導入の経緯につきまして、、別添3を用いて説明させていただきます。別添3の最後の表をご参照いただけますでしょうか。

 VOC規制については、SPMやオキシダントに係る大気汚染の状況が深刻で、VOCはその原因物質であることから、固定発生源から排出されるVOCの排出総量を削減するため、規制と自主取組のベスト・ミックスを基本として、規制対象をVOC排出量の多い使用施設に限定して実施いたしました。また、排出濃度規制を定めるに当たっては、SPMやオキシダントの環境基準との関係で排出基準を定めることが困難なことから、BAT等の考え方や、既に排出規制を行っている各国等の知見を参考にしつつ、業種ごとの排出抑制技術の開発状況について、十分に調査、検討を行い、これらを勘案した上で、現実的に排出抑制が可能なレベルで排出抑制基準を定めました。

 これらの検討の経緯でございますけれども、平成15年でVOCの排出抑制に関する枠組について、VOC排出抑制検討会及び中央環境審議会において検討し、平成16年5月に大気汚染防止法を改正いたしました。改正後、局長諮問機関であるVOC排出抑制対策検討会において、環境省による排出実態調査や業界からの提供データに基づき、規制対象施設の規模要件及び排出基準等について検討いたしました。

 具体的な規模要件及び排出基準等の検討に当たっては、排出対象の6つの施設種類についての小委員会を設置し、各小委員会において、排出規制対象施設の規模要件と処理前後の排出ガス濃度のプロットから、適用可能な技術を用いた場合の排出ガス濃度を検討いたしました。これらの検討結果を踏まえたVOC排出抑制専門委員会の報告及びVOC測定方法専門委員会の報告を受けて、中央環境審議会が答申を行い、平成17年6月に政省令を改正いたしました。また、VOC排出抑制専門委員会において検討された自主的取組についてのあり方についての報告の後、平成18年4月に施行いたしました。

 続きまして、「VOCの排出インベントリーをこれまでどのように作ってきたかについて紹介してほしい。」ということですけれども、インベントリーについては、各委員のご助言を得つつ、事務局にて論点整理を行い、その結果を第4回の小委員会にてご提示したいと思っております。

 続いて、「海外の大気汚染法制について調べてほしい。」ということですけれども、調査の上、こちらも第4回小委員会にて情報を提供したいと考えております。

 続きまして、国立水俣病研究センターが九州各地で行った大気中水銀濃度のモニタリング調査結果について、別添4にご指摘いただきました報告書を示させていただいております。水俣市における大気中水銀の形態別モニタリング結果から、各水銀濃度とSO2などの大気汚染物質の濃度、それから、気象要素との相関や、後方流跡線解析を用いた高濃度時の気団の履歴についての調査を行い、その結果として、粒子状の水銀濃度の変動要因の一つとして、アジア大陸で放出された物質の影響が考えられるとしております。

 また、水俣市、平戸市、五島市、福岡市における大気中ガス状水銀と粒子状水銀の測定結果から、測定地点における濃度の差、日変動、形態間の相関について調査しており、結果として、アジア大陸由来物質の影響の可能性、それから、都市間ではガス状水銀と粒子状物質の濃度相関が見られたことを報告しております。

 続きまして、インベントリーの詳細な算定根拠、それから、他国におけるインベントリーの算定方法についてですけれども、こちらも各委員のご助言を得つつ、第4回の小委員会にて提示したいと考えております。

 続きまして、「国内外における排気中の水銀の測定方法に関する情報を整理して示してほしい。」ということでございますけれども、こちら、指宿委員に別添5を用いてご説明いただきたいと考えております。

 指宿委員、よろしくお願いいたします。

【指宿委員】 何か当方が質問したら、別の質問の答えを作れということなので、勉強させていただきました。それでは、ごく簡単にまとめてありますので、なるべく手短にご報告したいと思います。

 水銀化合物って何を測っているかというのが大事かなと思いまして、最初のページに、金属水銀と、それから、金属が酸化した状態の水銀、例えば塩化水銀など、これらがガス状の水銀化合物として測定の対象になっています。

 それから、ダストに付着した水銀と書いてあります。これはよく粒子状水銀という表現をされていますけれども、水銀自身が粒子状かどうかというのははっきりしないんですね。要するに、粒子についているということで、こういうふうに分類されると思います。

 測定方法の規格については、日本のJIS、それから、アメリカのEPAがMethod29、30A、30Bという三つの方法、それから、アメリカの規格に当たるASTMから出されているD6784というOntario Hydro Methodという方法がございます。それから、ヨーロッパではCEN、そこに欧州標準化委員会と書いてございますが、そこで作っている規格がEN規格という名前になっておりますが、番号で13211と14884という、二つの規格がございます。

 以下、簡単に方法論をご説明します。JISは日本で使われているものですので、特に図をつけてご説明をわかりやすいようにしたつもりでございます。その図で見ますように、排ガスの中に採取管を突っ込んで、フィルターを通した後のガスを、吸収瓶というふうに右に書いてございますが、ここに水銀を吸収する液、過マンガン酸で水銀を酸化して、この吸収液に取り込むということで、金属水銀もここに取り込まれることになります。それを今度は、その右のほうに持っていって、その溶液を、みんな水銀の2価になっているわけですが、それを今度は、右下の図がありますが、還元試薬というところに加えて、金属水銀に還元いたします。これを測定方法、この場合には原子吸光分析法を使われていますが、その右側のほうに測定のセルが書いてございます。そこへ持っていって濃度を測るということでございます。これが概略で、似たような図が次にもございます。これは水銀の蒸気――金属蒸気ですけれども、それを捕集するのに金を使う。いわゆる金アマルガムにして水銀を捕集する方法です。右のほうに水銀の捕集管がございますが、その捕集管を取り外して、中央下の加熱気化装置へ入れて、水銀を加熱して捕集管から追い出して、それをまた原子吸光で測るという、そういう仕組みになっています。この方法では金属水銀が測定されるということになります。

 その次のページを見ていただくと、こちらは同じJISの中ですが、3番目の方法として連続測定法というのがございます。こちらは排ガスを還元気化部、こちらでは還元剤溶液というふうに書いてございますが、先ほど水銀を還元するのと同じ溶液ですね。要するに、排ガス中に入っている水銀をここで金属水銀に還元してやる。気液分離のところを通して、金属水銀のみを吸収セルのほうへ持っていって濃度を測るという、そういう方法になります。

 この三つがJISに規定されている方法になりまして、一般的には、最初の吸収液で酸化して吸収するというのが一番よく使われますが、連続測定法は、特に廃棄物の燃焼で、燃料というか、成分が変動するので、なるべく時間をかけて、連続的に測るということで、濃度の変動を見るのに適しているということで、この方法がよく使われているようです。

 以上が日本の方法になりますが、あと、アメリカのほうでMethod30Bというのが、最近、非常によく使われるようになっていますので、図をつけてご説明いたします。

 この場合には、その左のほうに水銀トラップというふうに書いてございますが、言ってみれば、活性炭にヨウ素などを加えたものをこのチューブの中に入れてあります。このチューブに排ガス中の水銀、この場合には金属水銀と酸化水銀(Hg2+)がトラップされるということになります。このカートリッジを外してやって、先ほど、ちょっとJISでアマルガムの方法でご紹介いたしましたが、あんなところに持っていって濃度を測るという、そういう方法でございます。こちらが、最近、アメリカではかなりよく使われるようになっている。

 次のページは、カートリッジを使う方法は別にして、水銀の吸収に溶液を使う方法を一覧表で示しました。JISのK0222は、先ほどの酸化して水銀を吸収するという方法でございます。こちらについては図をつけてございます。

 それから、USEPAのMethod29というのがございまして、図をつけました。ちょっと次のページを見ていただけますか。左側がMethod29でございますが、実物に近い図が手に入りましたので、そのまま貼りつけてありますが、この場合には、水銀の酸化する溶液が2種類ございます。過酸化水素というのが左側のほうに書いてございますが、それに加えて、日本でも使っている過マンガン酸が吸収液として使われる。ここを金属水銀、それから酸化された水銀が通って吸収されるということになります。それらをあわせて、先ほど申し上げたような、還元して測ってもいいですし、アメリカではほかの方法も使われるような書き方をしております。それがEPAのMethod29になります。

 それと、ついでに、そこに書いてございますが、ASTM、アメリカの規格ですけれども、6784のサンプリングのところ、吸収するところが図として入手できたので、ここに貼りつけました。見ておわかりになりますように、吸収瓶がずらっと並んでいて、文章には吸収瓶が六つあると書いてありますが、実は七つございます。KClというのが左の3本、真ん中が過酸化水素で、右側が過マンガン酸の溶液になっています。この三つの溶液で水銀の2価と、それから水銀の0価、これを分別して吸収するという、そういう方法になっています。前のほうで水銀の2価が捕捉されて、後ろのほうで水銀の0、金属が酸化されるという、そういう仕組みになる。これを使うことで、今までガス状水銀を測る方法では込みで測っていた(金属とそれから2価になっている水銀を一緒に測る)のですが、この方法だと、それぞれの種類のガス状水銀がはかれるということになります。

 それに加えて、ちょっと左のMethod29のところに、そのサンプル管がぐっと伸びて、その次にフィルターが描いてありますけれども、このOntario hydro法も同じようなフィルターがついていて、そのフィルターに捕捉された粒子状物質をやはり処理して、水銀を分析する。これは粒子状水銀としてデータが出るということで、ですから、Ontario hydro Methodというのが、唯一、水銀の形態に応じて濃度を出すという方法になります。ちょっと前のページを見ていただくと、それが表としてまとめてございます。

 それから、その上のENの13211というのが書いてございますが、こちらは吸収液がUSEPAのものと同じじゃなくて、過マンガン酸と、それからクロムを使った2本の吸収瓶で水銀を酸化するということをやっております。ですから、この表を一覧していただくと、水銀の吸収液が微妙に違うというのがおわかりかと思いますが、JISは過マンガン酸、EPA29は過酸化水素が加わっていて、ENの場合にはクロムが使われていると。それから、アメリカの規格のほうでは3種類の吸収液を使っていると。そういう違いがあるということでございます。

 測定範囲については、そこに書いてございますが、これについては、もう今現在、いろいろ分析計の感度等も上がってきていて、あまりこだわる必要はないかなと思いますが、ガスの捕集量ですとか、そういうものが違えば、測定範囲も変わってくるというふうに思っていただいたほうがいいかなと思っております。

 さて、あとは8ページのほうに、それで、溶液を使わない方法というのは、JISで1個ご紹介しました、金のアマルガム。それと似たようなものが、先ほどご紹介した、活性炭を使ったカートリッジですね。それを使ったものが、やはり液体を使わずに水銀を捕捉して、その濃度を測るということでございます。JISの0222は金属水銀だけ測るというふうに書いてございますが、工夫すれば2価も測れるというのは、マーケットではそういうふうになっていますが、JISとしては金属水銀、EPAのMethod30Bは水銀金属と、それから2価の水銀も測れるという、そういう区別がございます。

 9ページ、今度は、じゃあ、今みたいに溶液にしろ、カートリッジにしろ、あるサンプリングをした時間の試料中の水銀しか測れないわけですが、連続的に測る方法というのはどうなのかというのを表にまとめてございます。日本のJISでは、先ほど申し上げたように、廃棄物焼却炉用に全ガス状水銀を連続的にモニタリングする方法があるとご説明して、それが一番上に書いてございます。

 EPA法には、全ガス状水銀をやはり連続モニタリングする方法が書いてございますが、実は水銀の変換法については何でもいいと。それについては、例えばどういう測定範囲で測定するものかどうかというのをきちんと示して、それの測定感度はその範囲の2%以下であるという、非常にオーバーオールな規定の仕方をしている。ですから、その規定に合う性能を持つものなら何でもいいということになって、結構いろいろなものがございます。

 それから、ENの14884、これも似たようなもので、装置について具体的な記載はないんですね。その方法がどういう測定範囲で、その測定範囲でどういう品質管理と品質保証をしているかをちゃんと求めなさいという、そういう規定なんです。ですから、連続モニタリングについては、そういう意味で、溶液で捕捉するとか、そういうのに比べると、かなり自由な規定になっているということでございます。

 さて、最後が、今の国際的な動向ということでまとめさせていただきました。実は、本年度から、経済産業省の標準に関連する予算で、水銀の測定法に関する国際標準化という調査研究というか、研究開発を開始いたしました。その経緯は、その上に書いてございまして、私どもの協会が国内委員会を運営している大気質技術委員会(TC146)の固定発生源分科会(SC1)になりますが、そこで日本から新規作業項目として、排ガスの水銀測定法を議論したらどうかという提案をいたしました。早速そこで議論があって、主な論点としては、その下に三つまとめてございます。一つは、CEN、EUでもワーキンググループを設置して、規格作成を開始しているよということが出されて、SC1でISOの規格を作るということであれば、このCENと共同してやるのがいいんではないかというのが一つ出てきました。それから、アメリカが、先ほどからご紹介しましたように、たくさんいろんな水銀の測定方法ですとか、あるいはデータを出しているので、こういうものも参照すべきだねというのが一つです。ISOでやるとすると、そういう国を越えた、あるいは地域を越えた、グローバルな水銀の測定方法を規格化するのがいいんじゃないかと。それについて、日本が調査をして、今年度のSC1の全体会合で報告するということになっております。先月ですけれども、アメリカにちょっと調査に行ったりとか、調査をしておりまして、日本のJISが今現在、使われているわけですので、そういうものからあまり乖離しない形で、ISOのほうで分析方法ができたらいいなと、願望ですけれども、そう思っているところです。

 以上でございます。

【長浜大気環境課課長補佐】 指宿委員、どうもありがとうございました。

 続いて、最後に、「インベントリーについて、方法論等をきちんと検討するために、本小委とは別に検討の場を設けた方が良い。」というご指摘に対しましては、インベントリーについては、繰り返しになりますが、第4回の小委員会にて提示したいと考えております。

 資料2については、以上でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 ただいま前回委員会でご指摘いただきましたことにつきまして、本日説明をしたもの、また、第4回のところで説明をさせていただき、議論をいただきたいという部分とございますが、今日説明をいたしましたところにつきまして、何かご質問、ご意見等ございますでしょうか。

 どうぞ、辰巳委員。

【辰巳委員】 ありがとうございました。

 指宿さんへのご質問なんですけども、最後のページの国際的動向というところの、この検討をなさる事務局は産環協さんでお受けになるんですかということの質問だけです。

 すみません、最後のページの今の国際標準化に向けての動向なんですけれども、今後、日本でその検討をしていくに当たって、日本の事務局は産環協さんでお受けになるんですかと聞いただけです。

【指宿委員】 うちで委託を受けていますので、やるようになっています。

【坂本委員長】 そのほか、何かございますでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 どうぞ、崎田委員。

【崎田委員】 今のご質問項目と同じ視点なんですけれども、日本の事務局は産環協さんがやってくださると分かりましたが、加えてこれは国際標準化で世界的なルールがどういう方向になるかで、取組今後進みやすくなるか等、いろいろなことに非常に影響してきますので、もちろんそれは世界各国、どの国にとってもそうだと思いますが、できるだけきちんとそのルール作りのところに積極的に参加をしてやっていただければありがたいなというふうに思います。よろしくお願いします。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 どうぞ、若松委員。

【若松委員】 前回の議事録のチェックをちょっとさぼっておりまして、私、前回ちょっと発言したのは、発生源の測定のこともあるんですけども、環境中でのそのモニタリングに関してのレビューもきちんとすべきだということを申し上げましたので、できればその点についてもご検討いただければと思います。

【坂本委員長】 それは次回ではなくて、4回目のところで、整理してご報告させていただきたいと思います。

 そのほかございますでしょうか。

【長浜大気環境課課長補佐】 すみません、本日ご欠席されている高岡委員から、指宿先生の測定方法に関するご質問をいただいております。水銀のような微量分析の成分の分析については、濃度変動を平準化するために、連続測定もその一つだとは思うんですけれども、バッチ測定については、サンプリングの時間が重要だと思っていると。それで、諸外国と日本とでどんな違いがあるのかというご質問を承っております。

【指宿委員】 サンプリング時間はあまり大きな変動というか、違いはありません。日本で言うと、20分とか30分ぐらいがJISで規定されていますが、アメリカで、先ほどのうんと細かくというか、それぞれを分析するというOntario法、これが原点みたいなものなんですが、こちらは1時間という記述がございます。ですから、そんなに大きくかけ離れていないというふうに思っていただくといいと思います。

【長浜大気環境課課長補佐】 ありがとうございました。

【坂本委員長】 そのほかございますか。

(なし)

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、今日、3件のヒアリングをお願いするわけですが、どういった形で進めていくかということで、まず事務局のほうから、資料3-1について説明をお願いします。

【髙林総務課課長補佐】 事務局、総務課の髙林でございます。

 資料3-1に基づきまして、ヒアリングの実施概要につきまして確認させていただきたいと思います。

 今後、この新たな水銀大気排出対策を検討するに当たりまして、発生源からの水銀発生メカニズムや、発生源種別ごとの排出抑制技術について、この委員会として、広く知見を得るために、今回、第2回小委員会と、7月9日に予定されております次回の2回にわたりまして、ヒアリングを実施したいというふうに考えております。

 主なヒアリング項目といたしましては、第1回の小委員会の際に確認させていただいた内容を再度書いているものでございますが、もう一度、読み上げさせていただきますと、対象発生源の使用・運転による水銀大気排出のメカニズム、当該発生源に主として用いられている排ガス処理の仕組み及びその排ガス処理手法よる水銀排出抑制の効果、業界全体における上記排ガス処理の導入状況、水銀大気排出状況に関するこれまでの測定実績及び測定方法、業界内における水銀大気排出の自主管理値等設定状況、また、排ガス処理以外で用いられている水銀大気排出を抑制するための手段ということで、ヒアリングでご説明いただきます各団体の皆様には、可能な限り、この項目についてご説明いただきたいということでお願いをしているところでございます。また、委員の皆様におかれましても、この点をちょっと頭に置いていただいて、ヒアリングをこの後していただければというふうに思っております。

 段取りでございますが、説明時間は1団体当たり原則15分ということでさせていただいております。原則といいますと、次回、廃棄物の関係がちょっと細かく分かれておりますので、そちらのほうはもう少し短くというふうに考えておりますが、本日の3団体につきましては、15分ずつでお願いしております。各説明者の方からのご説明を続けて行っていただいて、最後に質疑応答ということで、お時間をとらせていただこうと思っております。

 今回及び次回のスケジュールは、ここに書かせていただいているとおりでございます。

 なお、この後、ヒアリングに用います資料3-2、3-3、3-4につきましてでございますが、一部、委員限りとさせていただいているページがございますので、傍聴席の皆様におかれましては、その点、ご了承いただければと思います。また、委員の皆様におかれましては、そういったステータスの資料でございますので、取り扱いについてはご注意いただければと思います。

 以上でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、資料3-2、3-3、3-4につきまして、各団体から説明をお願いしたいと思います。

 まず最初は、一般社団法人日本化学工業協会の紫竹環境安全部長さんから説明をいただきます。

 それでは、よろしくお願いいたします。

【日本化学工業協会】 ありがとうございます。本日は、このような機会を設けていただきまして、ありがとうございます。私、日本化学工業協会環境安全部の紫竹と申します。よろしくお願いいたします。

 それでは、まず2ページ目をご覧いただきたいと思います。ここには石炭焚き産業用ボイラーのフローの代表例という形で示させていただいております。基本的には、次回ご説明がある石炭火力発電所と類似のプロセスですが、化学製品を生産するには、熱源であるスチームと動力源の電気、両方が必要ということもあって、大きな違いとしましては、ボイラーから蒸気が出て、蒸気タービン発電機に行って、基本的には電気を発電するんですが、そのタービンの途中からスチームを抜き出して、これを抽気という言い方をしますが、蒸気と電気をそれぞれ、工場内の各プラントに供給するというところが大きな違いかと思います。

 一方、排ガスの処理につきましては、ちょうど真ん中のところから黄色いブロックがございますが、窒素酸化物、それから、ばいじんの除去、そして、硫黄酸化物の除去ということで、脱硝、除塵、脱硫、そして、最終的には煙突から排ガスが出ていく、このようなシステムになっております。

 それでは、3ページ目をご覧ください。ここは排ガスの処理方法、今申しました主な対策方法について列挙しております。基本的には、使用する燃料種、今日は石炭焚きボイラーの話ですが、重油の場合もあったり、あるいはLNGであったり、さまざまな燃料を使うケースがございますので、その燃料種、それから、自治体の規制等に応じて処理方法が、各社、選択されるというふうに聞いております。

 以下、次のページから、それぞれの代表例について、簡単にご説明いたします。

 4ページ目をご覧ください。最初に、脱硝設備です。これは模式的に、かつ絵も付けておりますけれども、基本的には、排ガス中に含むNOx(窒素酸化物)ですが、これにアンモニアを添加して、かつ触媒を通過させて、無害な窒素、そして、同時に水素を水に酸化するという形で、最終的にはNOxが窒素と水になる、こういう原理を利用したものでございます。

 次のページをご覧ください。5ページ目です。こちらは除塵設備の代表例としまして、乾式の電気集塵機の絵とその原理について、簡単に述べております。電気集塵機には放電極、ちょうど真ん中のピンクに色を塗ってあるところですが、それと、その両サイドに集塵極、この二つの極があって、こちらに高電圧をかける。そうしますと、真ん中の放電極から電離したイオン、このマイナスイオンがダストに帯電する形になって、そして、プラス側の集塵極のほうにダストが集まる、こういう原理を利用しています。そして、この集塵極の部分をハンマー等でたたいて、下のホッパーにダストを捕集する、このような原理が乾式電気集塵機でございます。

 次に、6ページ目をご覧ください。これは脱硫設備の一例でございます。この場合は湿式の水酸化マグネシウム法を示しておりますけれども、下の図でちょうどベッセルのような形になっていますが、下部に水酸化マグネシウムの水溶液を貯えポンプで循環して、上からスプレーで降らせます。一方、排ガスは下から吹き込まれて、途中、充填材で上からの水酸化マグネシウムのスプレーと気液が、向流接触をして、排ガス中のSOx分が水酸化マグネシウム水溶液に吸収、除去されます。化学反応的には水酸化マグネシウムが硫酸マグネシウムという形に変わって除去される、こういう仕組みを用いております。

 ここからが水銀に関する資料になりますけれども、先ほど坂本委員長からお話ありましたとおり、7ページ以降は委員限りという形にさせていただいております。

 まず、石炭焚き産業用ボイラー排ガス中の水銀の挙動ですが、これは後ほど、三菱日立さんが説明される資料を実は活用させていただいておりますけども、先ほどの脱硝、それから、電気集塵機、脱硫、この過程において、ボイラーで石炭を燃焼することによって、排ガス中に混入する水銀は、金属水銀という形で放出されます。これを脱硝の過程で灰に付着しやすく、かつ水に溶けやすい酸化水銀の形に変化します。酸化水銀は電気集塵機で灰に付着して除去し、脱硫部で吸収液に吸着して除去するということが一般的に言われています。この辺の内容は、委員である守富先生もいろんな論文等で発表されておりますけれども、一般的に言われているのは、これにより、70~80%水銀が除去されて、大気に放出されているというふうに言われております。

 それでは、8ページ目、弊協会の会員企業が所有する施設の概要について、簡単にご説します。

 施設の概要としましては、所有企業が14社、ボイラー基数として約40基ございます。設置年は、今から50年ほど前の昔から、最近の2008年に設置したという最新のものまでございます。ボイラーの大きさを示す数値がなかなか見つからなかったもので、タービン出力という形にしておりますけども、約6,000kw~22万kw、こういった規模のものを所有しているということでございます。

 一方、排ガス中の水銀濃度でございます。これは化学業界としては、今まで、水銀の排ガス中の水銀濃度を測定という経験がほとんどなかったもので、昨年10月の水俣条約の署名後、実態調査に乗り出すという形で、●施設について協力してもらい、測定を実施しました。

 石炭中の水銀濃度につきましては、●という範囲、幅を持っております。そして、除去率が●%~●%得られた施設、●施設ございますが、排ガス中の水銀濃度は●~●、平均しますと約●という形になっております。

 一方、●施設は、何らかの原因、下に書きましたサンプリングとか分析技術の不足、あるいは原料が変動したというようなこともありまして、うまく測定ができなかった。そのため、数値の精度という意味では疑問があるかなというのが●施設ございました。●~●となりましたが、基本的には初めて測定したということもございまして、測定の精度を上げるべく、引き続き、実態調査を継続しているというのが現時点の状況でございます。

 排ガス処理装置の導入状況でございますが、大きく分けますと三つございまして、集塵機のみ設置しているもの、それから、集塵機と脱硫のみ、それから、脱硝、集塵機、脱硫、この三つを設置しているものという形に分けられるかと思います。ただし、集塵機は全て設置されており、集塵機のみでも水銀が除去可能という結果が見られます。

 それでは、水銀の測定方法について、9ページをご覧ください。先ほど指宿委員のほうから詳細をご説明しましたので、ポイントだけご説明します。基本的には、今回、測定方法を採用しましたのは、JISのK0222の湿式吸収-還元気化原子吸光分析法、先ほどのJISの1番に該当するものです。ただし、定量下限値が1µgということもありまして、測定経験がなかった点から、電事連様が採用している方法をご教示いただきまして、低レベルの濃度を測定すべく、実施したという状況です。

 ちなみに、何が違うかというところを下の表で比較しております。定量下限値を●レベルに持っていくために、吸引ガス量、これをJISの方法の●倍の量を吸引するということを実施して、●レベルまで測定を上げております。これによって、排ガス採取時間が拡大して、結局のところ、分析する人のマンパワーがかかるということから分析費用が上がるという点が、一つ、ポイントでございます。

 一方、石炭中の水銀濃度の分析については、こちらもJISのM8821(石炭類-全水銀の定量法)従い分析を実施しました。

 以上が、私どものほうの業界での実態調査の結果でございます。

 最後のページでございます。これは水銀とは直接関係ございませんけども、今まで化学業界が大気の環境保全への取組という意味合いで、その一例を説明いたします。

 このグラフは、ある化学企業の大気環境保全への取組状況ですが、先ほど来、説明しました電気集塵機あるいは脱硝、脱硫といった装置をつけ、かつ運転の管理強化によって、1970年代、公害問題が起きたところを最優先課題として取り組んで、かなりのレベルまで低減させたというところが内容でございます。

 私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 時間も15分を少し切るぐらいでご説明をいただきました。ありがとうございます。

 続きまして、2件目でございますけれども、日本鉱業協会の清水理事さんから説明をお願いいたします。

 それでは、お願いいたします。

【日本鉱業協会】 日本鉱業協会の清水と申します。

 お手元の資料3-3に基づきまして説明させていただきます。

 まず、1枚めくっていただきまして、まず初めに、我々の非鉄金属製錬の概況をちょっとご説明させていただきます。我々、非鉄金属を扱う会社が53社、会員がありますけども、そのうち、微量に金属が含まれる原料を扱っております銅・鉛・亜鉛製錬所、18事業場が対象でございます。一次製錬所としまして、銅製錬所が5事業場、鉛製錬所が1事業場、それから亜鉛製錬所が6事業場、それから、二次製錬という呼び方をしていますが、リサイクル品の処理を行っておる6事業場が対象でございます。

 一次製錬、二次製錬というふうに申し上げましたが、一次製錬と申し上げていますのは、主な原料が外国から輸入しています鉱石――精鉱と、我々、銅精鉱、鉛精鉱、亜鉛精鉱と呼んでいますが、この精鉱を主原料として処理して、銅、鉛、亜鉛の地金を作っている製錬所。二次製錬と言っていますのは、リサイクル原料を原料としまして、溶融飛灰だとか、それから製鋼ダスト、あるいは電子基板、あるいは電池等、こういったリサイクル原料の処理を主にしているところを二次製錬と呼んでいます。

 一次製錬と二次製錬の違いは、一次製錬の主な原料であります精鉱につきましては、銅、鉛、亜鉛、それぞれ硫化物の鉱石でございますので、製錬を行いますとSO2ガスが出てきて、そのSO2ガスから硫酸、石膏といった副生品をつくっているというところが大きな違いでございます。

 それぞれの地金の生産量が左下に載っています。これは2010年の生産量ですが、銅の地金としましては150万t、鉛地金としては21万t、亜鉛地金としては57万tといったような生産量になっております。

 2ページ目には、こういった非鉄金属がどんなところに使われているかというのをちょっと車の絵を描いて示しておりますが、皆さんご存じだと思いますけども、銅につきましては、熱を伝えやすいとか、電気を通しやすいといった性質がございますので、主に銅は電線に使われます。電線と申しますと、電気を送ります送電線から、家の中を走っている電気の配線、あるいは、この車の中に配線されていますワイヤーハーネスといったような電線が主な用途で、そのほか、エアコンの熱交換器のチューブなどにも銅が使われている。

 それから、亜鉛につきましては、さびを防止するために、鉄の鋼板に亜鉛メッキをして、亜鉛メッキ鋼板が車だとか、いろんな鉄板として使われている。

 それから、鉛は、もうほとんどが鉛蓄電池、車のバッテリーなんかに使われているといったようなことでございます。

 そのほか、銅、鉛、亜鉛の鉱石の中には、微量でございますが、金、銀なんかが含まれておりますので、こういった貴金属の回収もやっている。あるいは、そのほかのセレン、テルル、白金、パラジウムといったようなレア・アース関係の金属も回収しているという事業でございます。

 次のページですが、ちょっと我々の業界の実情といいますか、現状をちょっとごちゃごちゃ書かせてもらっていますが、簡単に言いますと、我々の近年の事業環境として非常に厳しいものがございます。これは、一つは、原料の確保が非常に大変な状況になってきているという状況、それから、副産物の販売環境が非常に厳しい状況になっているといったようなことに加えまして、経済的な面でも、電力代の高騰等を含めて、非常に苦しい状況にあるということを書かせてもらっていますが、一方で、それを何とかカバーすべく、リサイクル原料を集めて処理していると。これが、社会問題となっております廃棄物の大量発生、最終処分場の逼迫等の問題の解決の一助となっているということも、非常に大きな効果としてあるというふうに思っております。

 続きまして、5ページに、一次製錬のほうからの設備的な説明をさせていただきます。

 先ほど申しましたように、一次製錬は、この絵の左側の真ん中に書いていますように、原料としては銅精鉱、鉛精鉱、亜鉛精鉱でございます。それぞれ、硫化物でございますので硫黄が入っておりまして、これからそれぞれの銅、鉛、亜鉛の地金、メタルを回収するためには、こういった不純物、硫黄を含んだ不純物を除去するということをやっておるわけですが、ほとんど炉でこういった精鉱を溶かして、あるいは焙焼して、硫黄はSO2ガスになって、ガスの方に移行していきます。このSO2ガスから硫酸を作って、SO2の回収をしておるわけですが、炉から出ていくところで、もう1,000℃以上のガスが出ていきますので、初め、熱回収、ボイラーでやっています。その後、先ほどもちょっと説明がありましたけども、除塵機、電気集塵機、乾式EPという書き方をしていますが、集塵機でばいじんを除去して、その後、300℃ぐらいのガスが硫酸工場のほうに入ってきますが、その硫酸工場の入り口にガスを洗浄するためのガス精製設備と称しているものがございます。ここで水をかけてガスを洗ったり、あるいは海水等を使ってガスを冷やしたりして、40℃ぐらいのきれいなガスにして硫酸工場に送って、SO2をSO3に酸化して硫酸をつくるということをやっています。

 水銀の挙動につきましては、もうほとんど、この精鉱から入ってくるわけですが、精鉱の中には1桁ppmから、ちょっと多いものでは2桁ppmの濃度のものがありますけども、製錬所をトータルすると年間に50tぐらいの水銀が入ってきます。これがほとんどがこの硫酸工場の入り口で除去されるといいますか、落ちます。ガス精製設備のほうから、Hg含有スラッジと書いていますが、こちらの方に、これは主に硫酸鉛のスラッジでございますが、その中に水銀が含まれて除かれていきます。50t、インプットから入ってくるうちの40t近くがこのスラッジの方に移行していきまして、これを野村興産のイトムカ鉱業所様に持っていって、水銀を抜いてもらうというようなことをやってもらっているということです。したがって、硫酸工場、それから硫酸工場を出た後、排ガスの設備を通ってガスが排出されるわけですが、この一次製錬の排ガスから出ていく水銀の量は、年間に0.3tぐらいという非常に少ない量が出ていっているということでございます。

 それから、その次のページ、二次製錬ですが、ちょっとこちらは、一次製錬とちょっと挙動が違います。設備的には、原料であります二次原料、リサイクル原料ですね、溶融飛灰とか、製鋼ダストとかいったようなものを処理しておりますが、これを炉でやはり温度を上げて、回収するメタルを気化させて飛ばして、それを冷却して回収するというようなことで、粗金属をとって、それを製錬プロセス、一次製錬のほうに回して、製品のメタルとかを回収するというようなことをやっているわけですが、排ガスのほうには、原料に硫黄が入っておりませんので、SO2ガスが発生しませんので、硫酸工場といったような設備がございません。ただ、温度の高いガスが、排ガスが出ていきますので、ボイラー等で熱回収をして、その後、乾式の除塵機でばいじんを除去した後、一部の事業所では除害設備へ持っていって、洗浄してガスが出ていくといったような設備フローでございますが、原料から入ってきますのは、そのリサイクル原料から主に入ってくるわずかな水銀でございますが、0.9tぐらいというふうに調べた結果はなっておりまして、プラス、あと一次製錬からの中間品も原料として入ってくるものがありますので、それプラス0.8tぐらい、トータルで年間1.7tぐらいの水銀量が入ってきているというふうに見ています。そのうちの3割、4割ぐらいが煙突から出ていっているということで、0.6tぐらいの水銀が排出されているというふうに見ています。あわせて、ですから、我々、非鉄金属製錬の設備から大気に排出されているのは、一次製錬から0.3、二次製錬から0.6といったことで、0.9tぐらいのガスの方から出ていっていると。これは環境省さんの資料にも、そういったような数字が出ているということでございます。

 次のページ、ちょっと世界との比較という資料をつけていますが、大気排出されている2010年のデータでございますが、世界全体で1,960tほど排出されていると。そのうち、世界の非鉄製錬のところから188tという数字があります。これに対して、日本の非鉄製錬から、先ほど申し上げましたように、0.9tほどの数字が大気から出ていると。生産量が右側の上の表に書いていますが、世界全体の非鉄の合計で4,190万tで、それを割りますと、大気排出Hg原単位という表現をしていますが、1,000t当たり4.5kgの世界的には水銀が排出原単位になっているということに対して、日本の非鉄製錬からは0.4tぐらいということで、ちょっと世界との比較で10分の1ぐらいの数字になっていると。この辺は日本の非鉄製錬の管理がきちっとされているということで、低いものだというふうに思っております。

 その次のページは、委員の方々、先生だけの資料とさせていただいています。8ページ目の資料、排ガスの処理技術と排出濃度ということの資料をお付けしていますが、右側の表、先ほど説明させていただいたような一次製錬と二次製錬のガスのフロー、排ガスのフローをちょっと示しております。一次製錬のフローのところに、Hg除去率(2013年実測)という数字を入れさせてもらっていますが、これは京都大学の高岡先生に、昨年、ある一次製錬所で調査してもらった数字の除去率の数字でございます。硫酸工場に入るところ、ガス精製工程の入り口の洗浄塔の前のところをベースにしまして、ガス精製工程の出口のところで●%除去されていると。硫酸工場を出た後で●%強、●%除去されていまして、その後の脱硫の湿式の除塵機の出口では●%、ですから、大気へ出ていくのは、硫酸工場の入り口を100としますと、●%しか出ていっていないというような数字になっております。

 左下に小さな表をちょっとつけていますが、これは2010年の我々の業界の製錬所での濃度を調べた結果でございます。ばらつきが大きいんだろうと思いますが、一次製錬のほうは比較的安定した数字になっているかと思います。ただ、高いところでは、●の数字があります。二次製錬のほうは、これはもう原料次第でかなり大きく動くんだろうというふうに思っていまして、●といったような数字が幾つか出ております。全体を平均しますと、●ですが、こういった数字になっている。この測定に当たっては、JISのK0222という、このJISに基づいた測定をしているということでございます。

 それから、最後のページに、大気排出の抑制手段としてどんなことをやっているかと。これは、従来はどっちかというと、原料から入ってくる水銀の濃度を制限、コントロールするというふうなことをメインにやっているわけですが、これは、従来はどっちかというと、硫酸中の水銀濃度のために原料調整しているということをやってきているわけでございまして、結果的に排ガス中の水銀の抑制ができていたということというふうに理解しております。原料の濃度の規制、それから、できる限り均一な原料の調合といったようなことをやってきている。あとは、先ほど申しましたように、そのスラッジとして硫酸工場の入り口のところで、落ちているスラッジ中の水銀をイトムカさんに送って抜いていただいて、その事業所内のバランスを保っているということをやってきていると。あとは、当然ながら、これはもう特段、水銀のためというわけではなくて、もろもろのその環境対応をするために、老朽化設備の更新等々をやってきていると。

 今後も、こういった設備の改善、できる限りのところでやっていくということで、除去効率を維持していくということかなというふうに思っております。

 私のほうからの説明は以上でございます。

【坂本委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、3件目に入りたいと思います。

 一般社団法人日本産業機械工業会から、三菱日立パワーシステムズの牛久課長さんから説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

【日本産業機械工業会】 私は、三菱日立パワーシステムズ、牛久と申します。本日は、よろしくお願いします。

 私、三菱日立パワーシステムズの中で環境装置を主に設計・供給している部門におりまして、本日はメーカーの立場から、火力発電設備における水銀除去技術ということでお話をさせていただこうと思います。よろしくお願いします。

 資料のほうをめくっていただいて、2ページ目のほうから説明をさせていただきます。

 こちらに、大気に放出される水銀の割合ということで、国連のデータを示させていただいております。大気に放出される水銀と、この半分近くが石炭燃焼起因によるものであるというデータがございまして、石炭燃焼設備からの排出抑制というのが非常に重要な課題になっているということで、各国でそれらの対策がとられているという状況になっております。

 そして、次のページ、3ページ目になりまして、各国・地域における水銀規制値ということで、我々、メーカーにとっては、こちらの水銀規制値を守るということが、一つの環境装置の目標になるということで、各国の規制値をまとめております。こちらの右側のところが実際の規制値で、左側が各国の国・地域を表しております。こちらで実際に数値が出ているのが、EUの中でドイツ、こちらが30µg/m3、あとは下に行きまして、カナダと米国、米国が比較的厳しい数値で、新設が0.003lb/GWh、既設が0.013lb/GWhという数字になっております。

 一方、アジアにおきましては、中国のほうが30µg/m3という数値を規制値として出しております。この数値なんですが、30µg/m3という数値になりますと、ほとんど何もしなくても大体達成をできる数字ということになりますので、これによって、何か水銀対策設備をつけるという話にはなってきません。

 こちらの米国のほう、これ、MATS――Mercury and Air Toxics Standardsというもので、2015年から施行されるものになるんですが、こちらの数字が非常に厳しいものになっておりまして、これを守るために、米国の中で各メーカーが水銀対策設備の開発・供給を進めているといった段階になっております。

 それでは、次のページをめくっていただきまして、実際の火力発電設備における水銀挙動及び除去技術ということで、実際の除去方法について説明させていただきたいと思います。

 5ページ目、委員の方に配付している資料では5ページ目になるんですが、5ページ目の2番、排煙処理システムの概要ということで、こちら、一般的な石炭火力発電所、こちらについております排煙処理システムを説明させていただきます。

 これ、一番左側にある白い建物、こちらがボイラーになりまして、石炭を燃焼させて発電を行っているところです。ここから出たガス、一番右側に白い煙突がついておりますが、こちらに行くまでに幾つかの排煙処理装置を通ってまいります。この一つ目についております、この緑色のもの、これが脱硝触媒、窒素酸化物――窒素が酸化して出てくる酸性ガスなんですが、窒素酸化物を除去するための装置になっております。こちらの脱硝触媒を出た後に、こちらの青いもの、ガスクーラーというふうに書いてありますが、一度、ガス温度を下げています。こちら、ガスクーラーで温度を下げた後に、乾式EP、電気集塵機ですね、Electrostatic Precipitatorの略ですが、電気集塵機でばいじんを除去します。こちらでばいじんを除去した後に、次に赤いところ、脱硫吸収塔ということで、こちらは湿式の石灰石膏法の絵が描いてございますが、こちらでアルカリと接触させることによって、酸性の硫酸ガス(SO2ガス)をここで除去いたします。最後、煙突に行く前に、もう一度、GGH再加熱器ということで、ガスの温度を上げまして、煙突から放出するという形になっております。

 こちらが一般的な日本の発電所についている方式なんですが、特徴的なものとしましては、このガスクーラーとGGH再加熱器、ここで、電気集塵機の前で一回温度を下げて、煙突の前で一回温度を上げるという操作をしております。これがアメリカなどでは、あまりこういう装置がついてございません。こういう操作をすることによって、煙突から出る白煙を防止することができるということと、あとは煙突からの拡散がよくなるといった効果がございます。米国の場合には、あまり白煙を気にしないというところもございまして、あまりこういうものがついていないという設備になっております。

 次のページに行きまして、実際の水銀の挙動についてお話をさせていただきます。

 何度かお話が出ておりますが、気体状の水銀の形態としましては、この二つの種類がございます。金属水銀、0価のHg0と酸化水銀、2価のHg++といった二つの種類がございます。同じ気体状の水銀ではあるんですが、とれやすさが非常に違ってくるということで、水銀の除去率を上げるためには、この金属水銀をいかに酸化水銀の形にするかということが大事になってまいります。

 そうしたら、次のページに参りまして、7ページ、発電設備における水銀及びSO3の挙動ということで、ここで突然、ちょっとSO3という言葉が出てまいりますが、硫黄酸化物の一種なんですが、硫黄酸化物の種類が、SO2とSO3の2種類ございます。ほとんどの硫黄はSO2という形で、この中をボイラーから出てまいります。このSO2はほとんど脱硫装置でとることができるんですが、一部、サルファ分がより酸化をされて、SO3という形になることがございます。このSO3は脱硫装置でもとれません。非常にとりにくい形になっておりまして、このSO3がいることで、この水銀の挙動に影響を与えるということで、ここにSO3の挙動というふうに書かせていただいております。

 こちらに水銀の形態を示しておりますが、ボイラーから出てきた水銀というのは、金属水銀が比較的多い形になっております。この金属水銀が多い形のガスを、脱硝触媒を通すことによって、金属水銀が酸化水銀に酸化されていきます。この酸化水銀に酸化されたものを、次、乾式EPを通すんですが、酸化水銀も金属水銀もガス状なので、乾式の電気集塵機では全くとることができません。一方、この一番上にある粒子状水銀、こちらの粒子状の水銀は物理的な形を持っておりますので、乾式の電気集塵機でとることができるという形になります。

 ここで、次の脱硫装置に行ったところで、酸化水銀、こちらはガス中の水銀の中でも水に溶けやすい形になっておりますので、脱硫装置で酸化水銀を減らすことができます。

 最後、脱硫装置を出た排ガスで残った金属水銀が大気へ放出されていくという形になっております。

 次のページに、8ページ目になりますが、このフローの中で、水銀除去技術というのをどういうふうに入れていくかということがございます。実際には、ここに脱硝触媒、ガスクーラー、電気集塵機、脱硫装置という、こういう環境装置がついておりますと、先ほどのページでご説明しましたように、大体の水銀はとれてしまいます。これをさらによくとるためには、または、石炭の炭種によってはあまりとれないような炭種もございますので、そういう炭種の場合に、どうやって水銀をとるかという技術をここに列挙させていただいております。一番左側の脱硝触媒のところ、ここでは水銀をとるというよりは、水銀をよりとりやすい形の酸化水銀の形に、いかに酸化をしていくかという技術を紹介してございます。

 次の乾式EP、電気集塵機のところでは、まず排ガスの低温化、排ガスを低温にすると水銀の捕集率が上がるということがございますので、排ガスを低温にして乾式EPでとると。または、先ほど説明をしたSO3が共存すると、乾式EPで水銀がとれにくいというデータがございます。なので、こちらのSO3を除去するためにアルカリを注入するなどの操作を行うと。または、これは米国で一番よく使われている方法ですが、この3番、水銀除去のために活性炭を注入するという方法がございます。これは活性炭の表面に水銀を吸着させて、乾式EPで除去するという方法になっております。

 最後の脱硫装置のところですね。この脱硫装置で、基本的には酸化水銀はとれるんですが、一部、とれた酸化水銀がまた還元されて、再飛散してしまうという、そういう現象が起こることがございます。そういうのを防止するために、液の状態をコントロールするという技術がここで使われることがございます。

 そうしたら、次のページ、9ページ目、こちらに今の技術をリストにしております。ちょっと詳細になりますので、後ほど見ていただければと思います。

 次のページ、10ページ目に参ります。ここから個々の技術について説明をさせていただきます。10ページ目、活性炭(Activated Carbon)噴霧による水銀除去と書いておりますが、米国で一番多く行われている方法ではございますが、これは乾式EPの前に活性炭を注入する方法です。一番直接的に水銀を吸着してとることができるので、よく使われる方法になっております。

 次の11ページ目に、この活性炭を噴霧したときの水銀除去率というのを記載しております。これ、右、横軸が活性炭の噴霧量(lb/MMacf)ということで、ガス量当たりの噴霧量になっております。縦軸が水銀の除去率、乾式EPでの水銀の除去率という形になっております。これはいろんな色で塗ってございますが、それぞれの色が炭種の違いを表しています。この石炭の炭種によって、とれやすい炭種、とりにくい炭種というのがございます。これは石炭の中に含まれるハロゲンの量であったり、サルファ分が酸化してできる、先ほどのSO3の量ですね、こういうものによってとれ方が全然違ってくるという傾向がございます。

 こちらの活性炭噴霧、一番確実にというか、簡単にとれる方法ではあるんですが、問題点が一つございまして、こちらのコストですね。活性炭、かなり大量にガスダクトの中に噴霧する必要がございますので、この活性炭のコストが、やはり年間の運転費に占める割合というのが馬鹿にならない量になってくるということで、こちらでちょっと試算をしたものが右下の黄色い枠の中に書いておりますが、●kwのボイラーというふうに仮定して、通常の活性炭の単価を掛けた場合に、年間約●円を超えるような活性炭の運用コストがかかってきてしまうということになっております。

 次のページからは、この活性炭の代替技術ということですね。こういう方法でやったら、こんな高価な活性炭を使わなくてもとっていくことができますよという技術を幾つか紹介させていただいております。

 次が、12ページ目になります。高性能システムによる水銀除去ということが書いてございまして、こちらは、特に何かをするというわけではなくて、先ほど日本でよく使われているというふうに説明したガスクーラーを設置するだけです。乾式の電気集塵機の前で温度を下げることによって、水銀を電気集塵機で捕集しやすくすると。本当はこのガスクーラーというのは最後に再加熱をするための熱をとるための装置で、こういう水銀をとるための装置ではもともとなかったんですが、こういうガスクーラー、日本でよく使われているガスクーラーを米国の設備にもつけることによって、米国で水銀をよくとれるようになりますよという形で、各地の電力さんに売り込みに行っているという状況です。

 こちらの13ページのほうに、こちらのガスクーラーで温度を下げたときに、どのぐらい水銀の除去率が向上するかというデータを示しております。石炭の炭種によって違ってくることはあるんですが、4割~5割ぐらいの割合でよくなっていると。この濃い青のほうのHESというのがHigh Efficiency System、高性能システムと呼んでいるもので、薄い紫のところですね、こちらがConventional Systemで、従来のガスクーラーのないシステム、アメリカでは従来のガスクーラーのないシステムが一般的なので、こちらをガスクーラーがあるシステムにすることによって、除去率が上がりますよという説明をしております。

 すみません、ちょっと時間があれなんですが、次に、14ページ目以降に、酸化触媒による低減というものを説明させていただきます。

 15ページ目、この酸化触媒による方法というのが適用されるのがこの緑の部分、脱硝触媒の部分になります。脱硝触媒、通常はNOxを分解する触媒がついているんですが、こちらに、NOxを分解するだけではなくて、水銀も酸化してしまおうと、そういう触媒を一部入れ替えでつけることによって、とれにくい金属水銀ではなくて、酸化水銀の形にしてやろうというのがこの技術のところになっております。

 次の16ページ目に行きまして、こちらが水銀酸化触媒の開発コンセプトということで、水銀酸化触媒のこの活性を上げていきますと、水銀はもちろん酸化されるようになるんですが、その水銀を酸化するだけじゃなくて、今度はSO2からSO3への転換率が上がってしまうと、そういう問題がございます。さっき、電気集塵機のところで説明いたしましたが、SO3があると除去率が下がってしまうと。電気集塵機というのは除去率が下がってしまうということがございますので、SO3への転換は極力避けたいということで、SO3へ転換しない、でも、水銀は酸化するという触媒の開発を進めております。

 17ページ目、反応モデル、脱硝活性サイトとかで選択的に水銀だけを酸化していきますというコンセプトで開発をいたしまして、次の18ページ目、●のほうでトータル●件の発電所に納入させていただいております。こちらが水銀を酸化するための触媒の技術ということになります。

 次に、19ページ目に行きまして、次が、今度は触媒ではなくて、ハロゲン化合物、これを注入することによって酸化をしようと。酸化をするだけじゃなくて、脱硫装置でしっかりとっていこうという技術になります。

 20ページ目、実際にどこで適用されるかということになりますと、一つ目が、この緑の部分ですね。脱硝触媒の前にハロゲンを添加します。ハロゲンを添加することで酸化率を上げます。次は赤い部分ですね。赤い部分のところで酸化還元電位、液の性状で酸化のしやすさを表すパラメータになりますが、これを制御して、金属水銀への還元を抑制していこうという、この二つの技術の組み合わせになっております。

 次の21ページ目になりますが、こちらに全体の水銀のフローを示しております。先ほどの繰り返しですが、SCR、脱硝触媒の前でハロゲン化アンモニウムを噴霧して、脱硝触媒での酸化率を上げます。この青の部分が増えるということですね。青の部分を増やした状態で、今度、一番右端のFGDと書いてある、これは脱硫装置になりますが、この脱硫装置でしっかりこの青い部分をとって、最後、煙突から出ていく水銀は非常に少なくできますよという形になっております。

 次の22ページ目に行きまして、こちらが脱硝触媒のところで酸化率を上げるという形のシステムの構成になっておりまして、酸化剤を噴霧することで、中で水銀を2価の水銀に酸化するというシステムになっております。

 次に、23ページ目、こちらのほうで、脱硫装置で水銀をとるということで、2価の水銀、水に溶けやすい水銀なので、どんどんこの脱硫装置で水に吸収されてなくなっていくんですが、一部、2価の水銀が0価の水銀に還元されて、出ていってしまうという現象が発生することがございます。これを防止するために、こちらの酸化還元電位(ORP)、これを適切な領域に制御することで、再飛散を防止するというのが技術のコンセプトになっております。

 次の24ページ目から、こちらが実際に●で実証実験をしたときのデータになります。ちょっと24ページを飛ばしていただいて、25ページのほうに最終的な結果が載っておりますが、石炭中ではかった水銀の濃度から逆算すると、大体●ぐらいの水銀があるといったものが、煙突の入り口では●以下になっているということで、除去率として●%以上の除去率を達成するという形になっております。

 すみません、ちょっと時間が延びてしまいました。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 ただいま3件のご説明をいただきましたけれども、この後、皆様から質疑応答、質問していただき、また、それについてお答えいただきたいというふうに思いますけれども、まず本日、欠席しております片谷委員から、資料4と書いてございますように、事前に意見をいただいてございます。このヒアリングとは直接関係はしないということですが、ここで紹介をさせていただきますと、まず、1番として、「インベントリーの精緻化については、諸外国におけるインベントリーの算定方法や精度を参考にしながら、労力と効果を考慮して検討する必要があるのではないか。」という形でのご意見。それから、2番目として、「制度化する場合は、事業者・地方自治体への負担を十分考慮する必要があるのではないか。」というような形の意見をいただいてございます。

 それでは、ただいま3件の説明をいただきましたけれども、これについて、質問等をいただきたいと思いますが、まず、質問のございます方は、どの方でも結構ですので、まず名札を立てていただければと思います。ご質問のある方は、名札を立ててください。

 まず事務局からどうぞ。

【長浜大気環境課課長補佐】 今回ご欠席の高岡委員から質問を受けておりますので、ご紹介させていただきます。

 資料3-2についてでございます。排ガス処理の導入状況について、それぞれの処理装置の組み合わせの導入状況を示していただきたいと。また、バグフィルターの設置率についてどうなっていますかというご質問。それから、排ガス中の水銀濃度について、石炭データ、それから排ガス濃度データと、排ガス処理システムとの対応を示していただけませんかという、以上、2点について、事前に承っております。

【坂本委員長】 それでは、今、名札を立てている方の中で、最初の発表をいただいたところにつきましての質問の方だけ、今、名札を残して、立てたままにしていただけますか。

 まず、3件、今日、発表いただきましたので、まずまとめて、1件目のものについての質問をいただき、そして次に、2件目のものに質問をいただき、それから、3件目のものに質問をいただいて、その後、それぞれお答えいただくというような形にしたいと思います。なぜかと申しますと、時間が、この後、35分ぐらいの間でやらざるを得ないと、そういうことでございます。

 そうすると、まず、1件目の説明に関連して質問のございます方。

 全員そうということでしょうか。

【坂本委員長】 まず、今の高岡委員の質問につきまして、まず最初に説明をいただきました、紫竹さん、お願いいたします。

【日本化学工業協会】 ありがとうございます。

 まず、排ガス処理装置の組み合わせですが、先ほどの資料のところに3種類の組み合わせと書いておきましたが、集塵機の中にも電気集塵機、あるいはバグフィルター、あるいは脱硫についてもスプレー塔等、処理方法によって差はあるんですが、大きくこの三つのタイプで……

【永田委員】 ちょっと、そういう説明を聞きたいんじゃないと思うんですよね、高岡先生も。このデータのベースとなるような詳細なものは出せないんですか。

【日本化学工業協会】 どのような形でお出しすればいいかということ……

【永田委員】 いやいや、入ってきた、使用した石炭中の濃度と出口濃度の関係とか、あるいは、その排ガス処理設備がそれぞれどうなっているかと。個別の施設が特定されないような形であれば、詳細なデータをもうちょっと出せないんですか。

【日本化学工業協会】 お出しすることは可能ですけども、先ほどお話ししましたとおり、データ数を積み上げているわけではないんで、その数値がどれだけ精度あるものかどうかというところに、我々としては……

【永田委員】 それは、だから、我々も了解した上での話だと。

【日本化学工業協会】 それであれば、お出しすることは可能です。ただ、今日は、すみません、持ち合わせていないというのが実態です。

【坂本委員長】 そうしますと、次回、例えば幾つか処理装置をつけていますけれども、その処理装置を、Aという装置、AとB、それからAとBとCをつけたものと、そういうもの等についての割合、それから、今の排ガスのデータにつきましても、一部あるものについてお出しいただけるということでございます。

 ありがとうございました。

 辰巳委員、どうぞ。

【辰巳委員】 ありがとうございます。

 すみません、8ページでご説明いただいた会員さんの概要のところなんですけれども、日化協さんの入っている方が14社ということなんでしょうけれども、そうじゃないところもたくさんあるのかどうか、その辺りが聞きたかったんです。だから、こういう測定とか、きちんと対応できるような企業じゃない企業が、もっと何かすごくひどい排出をしているかどうかというのがわからないのかもしれませんけれども、想定できるかどうかという話が一つです。

 それから、もう一つありまして、すみません、一番最初の2ページでご説明いただいたように、日化協さんのお仕事をされている本来のプラント移行のところがあれで、そのために必要な電気とか蒸気をつくっているために出てくるというお話ですよね、これは。そうですよね。それで、電気をそのまま買うということをしないで、これ、どこもみんな、こういうふうにつくっているんですかということが知りたかったと。

 以上です。

【坂本委員長】 お願いします。

【日本化学工業協会】 最初のご質問ですけども、会員以外というのは、昨年、環境省さんの委託調査で、エックス都市研さんが全国の産業用ボイラーというのを調べたんですが、その中で、あくまで化学業界ということですけれども、私どもの会員以外というのが数社ございました。

 それから、先ほど、二つ目のご質問ですが、基本的には自家発、自分たちの工場で使うための電気、スチームでございますけども、発電余力がある場合は、逆に売る、売り電をしているという企業もございます。

【坂本委員長】 日化協だと思いますが、中杉さん、どうぞ。

【中杉委員】 多分時間がかかると思うので、まとめて、それぞれに対して質問させていただきます。

 日化協のほうでは、排出抑制というのは技術的な話のところが中心ですけども、持ってくる石炭自体がいろいろな炭種があって、それによって水銀が違ってくるというような先ほどもご説明があって、そういうところについての努力というのは今のところやられているのか。

 それから、鉱業協会のほうは、原料を選んでおられますよという話ですけども、これは一番最初の一次製錬のところの話が中心かと思うんですが、二次製錬のほうは、もっと原料の変動が出てくるのかと思うんですが、そこら辺はどういうふうにされているのかというの。

 それから、産機工のほうは、もう一つ、水銀の挙動なんですけども、石炭の燃焼というのはどんどん、今、熱効率を上げようというので温度を高くしていますよね。そういうことによって、その水銀の挙動というのは影響しないんだろうか、変わってくることはないんだろうか。多分、今後、熱効率を上げるために、どんどん石炭焚きのボイラーの技術革新がありますよね。そういうことによって変わってこないかということをご質問させていただきたいと思います。

【坂本委員長】 続いて、増沢委員でしょうか、お願いします。

【増沢委員】 すみません、既に次回というか、また資料をお出しいただけるというお話になっているのかもしれないんですけれども、資料の8ページのところの、排ガス処理の3パターンあるということでしたが、ボイラーの基数が全部で40あるということで、それがこの3パターンに分かれるということかと思うんですけれども、それぞれがどの割合なのかということを教えていただければと思います。

【永田委員】 今のところについてですけど、次回、出てきてからでいいんじゃないですか。詳細なデータを出していただけるということなので、そこに関しては。

【坂本委員長】 今、多分どういった装置をつけているか、それが分布がどのくらいになっているか、それから、多分その場合に出力との関係も考えて、カバー率がどのくらいかになると、もっと非常に有効なデータになると思いますので、そういった点をお考えいただければと思います。

 それから、こちらのほうで、浅野委員、どうぞ。

【浅野委員】 基本的には、やっていることはあんまり変わらないなということはよくわかりました。どの業界であろうと、要するに、従来からの公害対策の設備を設けることによって水銀が除去できるという点では大体共通する感じがしたのですが、そこで質問なのですが、三菱のこの水銀除去技術は、多分、今までいろいろ聞かされている技術にプラスアルファみたいなものが入っているわけですね。ということは、つまり、そこではどの程度のコストが余計に必要なんだろうかということに関心がありまして、それがないと、なかなか先へ進まないんだろうと思うのですが、それは一体いかほどなのでしょうということです。従来のやり方でこれだけ落ちるということが言われているとすると、さらにもっと落とすということになるんだろうと思うんですけど、そのための追加コストがどんなものなんだろうということが気になります。この中で、多分、火力発電に限らず、ほかのところでも似たようなことはできるんじゃないかなと思ったものですから、お聞きいたします。

【坂本委員長】 稲垣委員、お願いします。

【稲垣委員】 二、三点教えてください。まず、先ほど中杉先生が言われましたが、これは次回の電事連のほうに聞いたほうがいいかもしれませんけれど、石炭中の水銀の管理というのは産地によって全然違うと思いますので、その辺の管理をそれぞれの業界がどういうふうにやってみえるのか、まず教えていただければと思います。

 それと、非鉄金属、日本鉱業協会さんとしては一次製錬がメインでやってみえるんですが、これからは二次製錬の工場から相当出てくるのではないかなと思います。今日のご説明でも二次製錬からの水銀のほうが多いわけですから、特に二次製錬に対する管理というのが、今後どうなってくるのかというのが、もしわかれば教えていただきたいのと、特に製錬工場、私どもの基本は、建屋集塵装置の義務付けで、炉から漏えいしたものもすべて炉頂で全部処理をするようになっていますが、そういう規制がないところもあると思うんですね。ですから、排ガス系統に入っていかないところから出てこないかどうかというのが、少し心配だなという気がします。

 それと、火力発電所の三菱日立さんのところで、ガスクーラーの話で、水銀の低減だとか、そういうことで言ってみえたんですが、ガスクーラー、特にEPの場合は、私が言うまでもないと思うんですけれど、水分と温度のバランスで電気抵抗が全然違い、集じん効率が違うものですから、そのために、ガスクーラーで管理されてみえるんじゃないかなと思うんですが、あまりにも水銀のほうに力を入れた説明だったんですけど、まず、ばいじんの処理のためにこういうことをやってみえるはずなんですね、そこで、プラス、水銀のこういうことがあるのかどうか。ばいじんをとることによって、水銀が一緒にとれてくるものという意味で言われたのかどうかというのがわかりません。もう一つ、最後のほうに、湿式EPがついている。まさに、僕は、この最後の湿式EPをつけるというのは大変重要だと思います。私どもの県内にある石炭火力発電所は、この一番最後にあるような系統になっておるんです。乾式EPをやり、脱硫をやり、湿式EPをやるという系列になっているはずですので、その湿式EPに伴う効果というのはどういうふうに考えてみえるのか、教えていただければと思います。

【坂本委員長】 貴田委員、お願いします。

【貴田委員】 最初の産業用ボイラーについてなんですけれど、ほぼ似たような意見は持っていたんですけど、出ていないものとして、水酸化マグネシウムのところで脱硫されて、水銀はそちらに行くと思うんですが、石膏だったらセメントに使われるということなんだけど、この水銀はどこに行っているのでしょうかということが1点。

 それから、非鉄金属のことで言えば、先ほども言われましたけれども、二次製錬というか、二次原料と言われるものの、いわゆる二次製錬のほうから見ると、排出係数が相当に高いということになるのではないかなという気がするんですけど、これはどういうふうに考えられているのかということと、それから、一次製錬のほうでも、シュレッダーダストなどが結構入っているというふうに書かれているのですが、これは5ページですか、一次製錬の水銀フローの中でも、二次原料(ASR等)というふうに入っていますが、これは量的に言えば、あまり関係ないという意味なのかという質問です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 崎田委員、お願いします。

【崎田委員】 ありがとうございます。似たような質問がありますので、短くします。

 最初の日化協さんは、やはり8ページの資料ですが、一番下の行に、集塵機は100%設置され、集塵機のみでも除去可能というふうになっていますが、一体何%が集塵機だけで大丈夫なのか、本当に100%なのか、99%なのかとか、そうした詳細なデータを少しお示しいただいたほうがいいのではないかというふうに思いましたので、次回お願いいたします。

 それで、その次の非鉄製錬さんは、やはり脱硫装置とか、そういう大気に排出しないようにブロックしたものをどういう形で、ここには今副産物とかいろいろありますが、どういう形で水銀というのを固定して存在させているのかという辺りをもう少し全体の量等を含めて、具体的にお話しいただければありがたいなと思いました。

 あと、最後の火力発電に関しての技術のことなんですが、ここで伺いたいしたいこととしまして、今全く新しい火力発電所を建てるときに設備ができるのか、それとも、今まであるのを改良することができるのか、その辺のことを教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 辰巳委員、どうぞ。

【辰巳委員】 ありがとうございます。

 すみません、日本鉱業協会様にお願いします。最後の9ページのところで、今後の抑制の手段という形で、老朽化設備の更新というふうに書いてあって、もう当然だとは思うんですけれども、その古いものとの差は物すごくあるのかどうかというのが、ちょっと何となくわからないので、定量的な形で、なおかつ、どのくらいのものが古くて、どのぐらいの更新の可能性があるのかとか、その辺りのことがもしわかれば教えてください。

 それから、三菱日立パワーさんのほうですけれども、3ページに水銀の規制値が国によって違うと書かれていて、ドイツと中国はほとんど同じ規制値だけれど、アメリカのほうが厳しいんだというお話があったんですけれども、アメリカの厳しいのと、ドイツや中国の規制値との比較が、やり方が私はちょっとわからないもので、片方の、要するに、単位が違っていて全然わからないんですね。だから、どのくらい厳しいのか、100倍なのか、1,000倍なのか、その辺りがちょっとわからなくて、教えてください。

 以上です。

【坂本委員長】 永田委員、お願いします。

【永田委員】 日本鉱業協会のほうで、6ページ目で、この二次製錬の話、さっきからも話題になっていますが、ちょっとこの量的関係で、埋立処分に回しているというふうな形で書いてある、このスラッジの部分ですね、これがどのぐらいの量あるのか。バランス式で、こっちのまた分析結果みたいなやつは、何かお持ちじゃないでしょうか。その辺のところがあれば、次回でもいいので、出していただけるとありがたいなと。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 今、一通り、委員の皆さんから質問をお受けしましたけれども、それぞれの質問のところについてお答えいただき、そして、かつ、今日、この点については答えられないけれども、データを整理して、後で提出するとか、そういった形でお答えいただければありがたいと思います。

 では、まず、日化協の紫竹さんからお願いいたします。

【日本化学工業協会】 ありがとうございます。

 委員の方々から何点かご質問をいただきましたけども、冒頭、その排ガス処理装置の組み合わせ、あるいは石炭中の水銀濃度との関係、除去率との関係、その辺は、次回、整理した形でお示ししたいと思っております。

 それから、中杉委員からのご質問の、それから稲垣委員からも同じような石炭の産地の管理も持ち帰って、ご報告したいと思いますけども、おそらくで申し訳ありませんが、石炭の中の水銀濃度まで管理して購入はやっていないと思いますが、一応確認させてください。

 それから、貴田委員からの水酸化マグネシウム法での水銀はどうなっているかというところなんですが、会員のほうで、どこまで定量的にその下流まで分析しているかどうかが、ちょっと定かではないんですが、これもちょっと持ち帰らせてください。

 崎田委員からの集塵機のみでの件も冒頭の形で、全体まとめた形で整理させていただきたいと思っております。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 日本鉱業協会、清水さん、お願いいたします。

【日本鉱業協会】 たくさん質問いただきまして、私、ちょっと理解が間違っているところがあるかもしれませんが、一つずつお話しさせていただきます。

 一つ目は、中杉先生からお話がありました、二次製錬の原料のところはどう管理しているのかということだと思いますが、正直申し上げて、管理されていません。もう溶融飛灰、それから製鋼ダスト等がメインでございますが、もう入ってくるまま処理しているということで、それがそのままというのはちょっとあれですけども、大部分が排ガスで出ているということであります。

 それから、稲垣先生からご質問の、やはり同じような二次製錬の話で、管理はどうしているのかと。コントロールしているのかということだと思いますが、同じようなことで、管理というか、コントロールできません。原料次第です。もう原料に依存しているということでございますが、将来、その原料、溶融飛灰とか、製鋼ダストとか、中の水銀が下がれば、排ガスも下がるということになるんだと思います。そこは我々のところでは管理、コントロールできておりません。

 それから、排ガスへ入っていかない水銀というのは、恐らく永田先生からのご質問と同じ、スラッジなんかに行っているのはどうしているのかという……

【稲垣委員】 それと、炉の形態によって、例えば反射炉とか、そういうものというのは、原料を投入するときに集じん機に集じんされず、もっと漏えいしたりするんじゃないですか。

【日本鉱業協会】 それは炉の排ガスじゃなくて、漏れガスとかで出ていかないのかとか、そういうことですか。

【稲垣委員】 はい。

【日本鉱業協会】 そこまではちょっとつかめていませんけども、日本の製錬所ですから、ガスをもんもんと漏らしながら操業しているような事業所はないというふうに思います。海外はわかりませんが。

 それから、貴田先生からですか、二次原料の排出が高いですねということですかね。同じように、ですから、ここは入り口、原料を管理できていませんし、そういうきちっとした硫酸工場の洗浄設備のような設備がありませんので、原料次第になっているというところであります。

 それから、ASRの話がちょっと出ましたけども、ASRは水銀にはもうほとんど関係ないというふうに思っています。量的には、日本で発生するASRの相当な割合を非鉄製錬が処理しているということでございますが、水銀には直接関係ないというふうに私は思っています。

 それから、崎田先生からでしたか、全体のバランスが何かはっきりしないねと。ちょっと私も口頭でしか申し上げませんでした。ここについては、ちょっと数字を出せるかどうかは、持ち帰って相談させていただきたいと思います。

 それから、辰巳先生からは、設備の老朽化でどれぐらいの差があるのかというのは、これは設備の老朽化の具合によって全然違う。もう全く機能しないような設備であれば、もうそのまま素通りしちゃうでしょうし、ちょっとその質問に定量的に答えるのは難しいかと思います。

 それから、最後、永田先生から質問がありました埋め立てのスラッジのデータ、これもちょっと持ち帰らせていただいて、相談させていただきたいというふうに思います。

 以上かと思います。

【坂本委員長】 あと1点、二次製錬の排出係数が非常に大きいのではないか。今後、二次製錬……

【日本鉱業協会】 排出係数というのは、排出濃度がということですか。

【坂本委員長】 60%ぐらいですね、水銀の工程率が。だから、今後、それが相当増える可能性が、多分、世の中の動きからすればあるんだろうけれども、ここが改善されなければ、相変わらず高い排出率が続くんだろうと。どうでしょうかということ。

【日本鉱業協会】 我々、処理している二次、リサイクル原料というのは、あくまで、ですから、何でもかんでもごみ処理しているということではなくて、亜鉛が入っているような製鋼ダストだとか、回収するべきであろう重金属といいますか、メタルが入っている溶融飛灰だとか、限定されますので、どんどんリサイクルが進んでいってというようなことは、そう大きくはないんじゃないかなというふうに思います。もう既にやるところはやってきていて、これからそんなに、ゼロじゃないと思いますけども、そんなに極端にもう2倍も3倍も増えていくというようなことじゃないんじゃないかなと思いますけども、逆にこういう規制が厳しくなって、一般廃棄物に入ってくる水銀の電池だとか、蛍光灯だとかが減ってくれば、そういう溶融飛灰なんかの中の水銀が下がっていくんじゃないかという期待をしているんですけども、ただ、現状では、量的に絶対量としては大したことないというふうに思っていますけども、濃度的にちょっと高目の濃度が出ているというのは実態でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、産機工、三菱日立パワーシステムズの牛久さん、お願いします。

【日本産業機械工業会】 中杉先生のほうからまず質問をいただきました、石炭焚きの燃焼温度が上がっているという件なんですが、こちらのほうは、基本的にはこの温度による影響というのはあまりないはずと。水銀の形態が、温度が高いと0価に還元されやすくなるというのは理論的にはあるかもしれないですが、実際にこの程度の温度差でそれが起きるというのはちょっと考えにくいと。具体的に同じ石炭で比較したデータというのがちょっとないので、具体的なデータはちょっとなかなか難しいですが、理論的にはそこまで変わらないんじゃないかというふうに考えております。

 あと、次、浅野先生のほうからご質問をいただきました、コストがどのぐらいかかるかというもので、こちらが、今、米国でよく使われている活性炭噴霧でやった場合のコスト試算というものが、こちらの委員さんのみの資料になってしまっており恐縮なんですが、11ページのところ、この右下のところに記載しておりまして、●ということで、この右の横軸で●のところですね。これだけ噴霧したら、この緑の炭とか、青の炭、この炭だったらほとんど●%とれますよと。それ以外の炭だったら、もうちょっと対策が要りますよというところの噴霧量として仮定して計算すると、大体、年間●円ぐらいかかるという試算になっています。これ以降の塩化アンモニウム噴霧による方法とか、こういうものは、このコストを下げるというのを目的にちょっと開発しておりますので、具体的には、これの●とか、そういう数字になるのを目標に実証をしているという状態です。

 実際に、この活性炭を噴霧しているのがアメリカのプラントということで、やはりこのアメリカの炭というのがちょっと特殊なところがございます。PRBという炭で、サルファ分が低くて、非常にハロゲンも低いということで、0価の水銀の割合は非常に多い炭なんですね。この炭を焚くと、ほとんどが出ていってしまうということで、アメリカで何か対策をしなきゃいけないということになると、これだけの非常に高価な設備、活性炭を●とか、こういう量を噴かなきゃいけないということになってきてしまうというのが、アメリカの各電力さんの悩みという形になっております。

 次のご質問で、稲垣先生のほうですね。ガスクーラーで、これでばいじんをとるものだよねという話なんですが、まさにそのとおりですね。ちょっと水銀にフォーカスして話をし過ぎてしまった感があるんですが、もともとこのガスクーラーというのが乾式電機集塵機の性能を上げるためにつけているものになります。ガスクーラーで乾式EPの性能を上げて、ここでとった熱を煙突の前で入れることによって、煙突の白煙を防止するという形になっておりますので、もともとこのガスクーラーは乾式EPの性能を上げるためのものです。でも、このガスクーラーで温度を下げることによって、水銀も一緒にとれてしまうというのがわかってきたというのがございます。その一番の大きな原因は、やはりこのSO3がとれるということが大きいんじゃないかなというふうに思っています。SO3は露点がそれほど低くない、120℃とか130℃ぐらいで露点に達してしまうので、このガスクーラーを通すことによって、SO3がいなくなるんですね。このSO3がいなくなると、乾式EPでの水銀の除去率が上がるということが起きているんじゃないかなというふうに考えております。なので、ガスクーラー、乾式EPの性能を上げるだけじゃなくて、水銀の除去率にも効果があるというのは、理論的にもあり得る話かなというふうに考えております。

 あとは、最後に、湿式の電気集塵機ですね。すみません、こちらのちょっと資料のほうで流用してしまったので、湿式電気集塵機というものがちょっと入ってしまったんですが、申し訳ないですが、この湿式電気集塵機では、水銀はあまりとれないかなというふうに考えております。やはり電気集塵機なので、帯電するものでないととれない形になります。この脱硫装置を出た後というのは、粒子状の水銀というのがもうほとんどいないような形態になっているので、ガス状の水銀しかいないような形になっております。しかも、そのガス状の水銀も、この脱硫装置で還元されて、水に溶けにくい0価の水銀だけが出ていっているような形になっているはずですので、そうすると、なかなかここの湿式の電気集塵機をつけても、それでとることはちょっと難しいかなということで、ここの水銀対策のリストの中には入れておりません。ただ、粒子状水銀、乾式EPでとれるといっても、100%とれるわけではございませんので、それが抜けてきた分については、ここの湿式のEPでとれる効果というのは存在すると思います。

 次が、崎田先生のほうからいただいた、新規なのか、改良なのかと、新規のプラントで適用可能なのかという話ですが、これはどちらも可能です。既設を改造してつけるということも可能になっておりますが、既設を改造してつける場合には、どうしても敷地の制約とかもございますので、なかなかつけられる場所が限られてくるということで、そうすると、先ほど説明した活性炭を噴霧するだけとか、こういうものは活性炭のサイロさえあれば噴霧することができるので、こういう対策に行きがちになってくると。実際に敷地があるとか、新しいプラントを建てようとかいう場合には、実際に酸化率の高い触媒を入れてみたりとか、このガスクーラーをつけてみたりとか、こういう対策をするのがオプションの中に入ってくるということだと思います。

 あとは、辰巳先生のほうからいただいた、米国とドイツの規制値、これがわからないという話で、失礼いたしました。確かに単位が全然違うので、わからないですが、こちらの3ページ目のほうで、米国のほうの既設のユニットのところ、0.013lb/GWhというのが、同じµg/Nm3に直すと、約1.6ぐらいという数字ですね。そちらの右側の0.003lb/GWhというのは、0.36ぐらいの数字になります。こちらの新設に係っている0.003lb/GWhというのが、非常に低い規制値になっているかと思います。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 今、私のほうからもちょっと質問があるんですが、これは全体のところにお願いをしたいんですが、先ほど申し上げたタービン出力と、それから、どういう装置がついているかという形、いわば比較的、高性能な除去をできる装置が、タービン出力とか、そういったものの大きいところについていれば、全体としての排出削減率は高くなりますので、そういった情報を整理していただきたいと思います。あればということですが。

 それから、あともう一つ、これは産機工の牛久さんのところだったかと思うんですが、16枚目のところで、SO2はSO3のミスではないかという。低いSO2転換率、これはSO2がSO3になるということで、SO2転換率とする。

【日本産業機械工業会】 そうですね。すみません、SO2が転換されるので、我々の業界では、SO2転換率という言い方を。

【坂本委員長】 なる方ではなくて。

【日本産業機械工業会】 なる方ではなくて、なる元の方をということです。

【坂本委員長】 それから、もう一つ、アンモニアをいろいろ入れていく技術のところで、アンモニアのスリップは考えなくて、これは全く今のところとは関係なく、PM2.5とか何か、そういったものを考えた場合、今後、アンモニアをどうするかというのも結構重要な話になりますので、その辺はいかがなんでしょうか。

【日本産業機械工業会】 アンモニアスリップは、この脱硝触媒のほうで必ず問題になるものになってくるので、このアンモニアがスリップしないように、この噴霧量を制御していくと。ちょうど使い切るぐらいの量を噴霧していくという形になります。このアンモニアスリップが増えると、エアヒータの腐食とか、そういう形になってきますので、これはスリップが少なくなるように管理をしております。

【坂本委員長】 ありがとうございます。

 時間がもうほとんどございませんが、もし何か、これだけは言っておきたいということが。

 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 日本鉱業協会さんで、二次製錬で二次原料といいますか、これ、ほとんど産廃というふうに考えてよろしいですか。いわゆる一般廃棄物、都市ごみは扱ってこないのかという話で、これになると質のコントロールってものすごく難しくなるんですね。今後、小型家電が、今、リサイクルが始まっていますけども、そういうものを含めてくると、そこら辺が非常に材料的に、産廃以上にコントロールが難しくなると思うんで、ここで言っている廃電池というようなものも、主には、今のところ、産廃というふうに考えてよろしいか。

【日本鉱業協会】 廃電池のところは産業廃棄物でいいですね。溶融飛灰というのは、これは自治体のごみ焼却溶融施設から来るものですから、一廃ということでございます。

【永田委員】 さっき、先生が言われたデータ、そういう意味では、一番最初の日本化学工業協会もそうなんですけど、今の二次製錬のところも、排ガス処理系と排出濃度の関係というのは、ある程度、出していただけるんですかね、データを。

【日本鉱業協会】 ちょっと持ち帰って……

【永田委員】 逆に言うと、そういう意味では、対策としてどういうものがあり得るんだろうかという検討が必要になってきますよね、きっとね。そういうときにどういう排ガス処理系をやっているかということによって変わってくるんじゃないかと思うので、その辺のところをはっきり見させていただいたほうがいいと。

【日本鉱業協会】 バランスということですね、この。

【永田委員】 バランスというか、それぞれごとに、さっきの話からすると、かなりの程度、この煙突に出てくるのもありますけど、埋立処分のほうに回っていくということになっているけど、ほかのところのデータを見ると、かなり排ガス処理系でとれているはずなのに、スラッジのほうにもっと回っていてもいいんじゃないかと思われるようなところが煙突のほうに出てきているということは、それぞれ、どういう施設がどういう排ガス系を持っているのかということによって変わってきているということなんだと思いますので、その辺の事情をちょっと我々に教えてくれませんか。

【日本鉱業協会】 すみません、鉱業協会ですけども、田中ですけど、6ページ目の資料で……

【永田委員】 今じゃなくていいんですけど。

【日本鉱業協会】 今、ちょっと細かいデータはお持ちしておりませんので、ちょっと簡単に説明できるところだけしますと、やはり排ガスの熱回収除塵設備というところで、ダストをとっているんですね。これで半製品という形のものができるんですが、そちらのほうに水銀がかなりとられておりまして、それが一次製錬のほうに中間品として、また処理されることによって、一次製錬のところでスラッジとして回収されて、イトムカ鉱業所でメタル水銀が回収されるというところが大きな流れです。埋め立てにはあまり行っていない。

【永田委員】 そうですか。その辺のバランス感覚もわかるような資料を出してもらえませんか。ここだとちょっとわからないんですよね。

【坂本委員長】 今、お話ありましたけども、全体をマテリアルバランスがとれるような形で、データがあるものは、ぜひそういったものを出していただくことによって、いわば排出ガスの濃度の測定値が相当ばらついていたら、マテリアルバランスもそれほど信用できない部分になるんだと思うんですが、そういったことも含めてお出しいただくことによって……

【日本鉱業協会】 ちょっと持ち帰って検討させてください。ただ、二次原料のところは、全て同じ原料じゃなくて、製鋼ダスト処理しているところと、溶融飛灰を処理しているところでは、バランスが全然違ったりしているんじゃないかと思いますので、ちょっと含めて。

【坂本委員長】 比較的、この二次のところのほうは入り口のほうが相当動いていますから、大変な……

【日本鉱業協会】 ちょっと検討させてください。持ち帰らせてください。

【坂本委員長】 ありがとうございます。

 簡潔にお願いします。

【辰巳委員】 すみません、日化協さんのほうが、8ページの資料で、今回、今まで測定した経験がなかったけれども、今回、測定なさったというお話で、できなかったものもあると。何らかの原因でと書いてあるんですけど、できなかったものとか、今後、これはずっと続けて測定していかれるものではなくて、今回のためだけ、今回というか、この前の法律ができるという前提で初めて測定されたんだけれど、今後、どうしていかれる、測定されていくのかどうか。

 それから、日本鉱業協会さんは、今までから、こういうふうに測定はきちんとなさっていたということ、今回、やっぱりされたということですか。その辺り、ちょっとお聞きしたかったんです。すみません、両方ともで。

【日本鉱業協会】 従来から出して、PRTRに基づいた調査というのはやっていたと思うんですけど、詳細なバランスは、今回――平成18年からバランスの測定はやっているそうです。

【辰巳委員】 そうすると、日化協さんは、どうしてやっておられなかったんですか。すみません。

【日本化学工業協会】 なぜ測定をやっていなかったかまでは、明確な理由はわかりませんけども、石炭から始まって、排ガスまでの濃度というのを測定したというのは、今回というか、昨年から始めたということです。

 それと、今後、継続するのかというのは、説明のときに申し上げましたとおり、ばい煙濃度測定を、2カ月あるいは半年に1回という形でやっていますので、それに合わせた形で、水銀濃度も測定するよう、私どものほうの協会から会員企業には伝えております。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、日化協さん、それから日本鉱業協会さん。ありますか。先ほどちょっとなかったので、失礼しました。簡潔にお願いします。

【大塚委員】 三菱日立パワーシステムズさんにちょっとお伺いしたいんですけど、3ページの各国・地域における水銀規制値ですが、ドイツと中国が同じになっているのもちょっとよくわからないんですけども、考え方の違いというのが背景にあるかというのをちょっとお伺いしたいんですけど、これはドイツと中国は、技術ベースで、テクノロジーベースで考えているということなんでしょうか。アメリカが特に厳しいという理由は、さっきの石炭からの部分に関して問題があったということかとは思うんですが、ちょっとその辺、もし説明していただけたらありがたいんですが。

【日本産業機械工業会】 そうですね、この規制値を制定した理由というのは、ちょっとなかなか各国の事情もあるので、わからないところがあるんですが、この30µg/m3というのは、とりあえず置いてみたという数字に近いかなというふうに思っています。特に石炭中の水銀が非常に高い炭とかでない限り、これを出ることはまずございません。大体もう10とかそのぐらいですね、一般的には。排煙処理設備が全くついていないケースとかだと、これぐらい出ることもあるんですが、実際には、ついているプラントではこんなに出ることはないですよということで、この二つの数字は、ちゃんと排煙処理システムをつけなさいよという程度の数字でしかないかなというふうに思います。

 逆に、このアメリカのところは、かなりアグレッシブな数字になっておりまして、このMATSルールができたときも、かなりいろんな団体からクレームが入ったようなことを聞いております。やはりアメリカ、内陸のプラントが多いということもございまして、五大湖とか、ああいうところで濃縮をしやすいという話を聞いております。そういうところで濃縮をしてしまうと、やはり五大湖の周辺、大都市がかなりありますので、そういうところの健康も加味して、非常に厳しいチャレンジングな数字をEPAとして出してきて、まだ猶予期間の中なんですが、2015年から実際にこれを守らなければいけないと。それもまた延ばしたりという、そういう猶予期間はあるようなんですが、基本的な流れとしては、これを守っていかなきゃいけないということで、今、各メーカーのターゲットとなっているのは、このアメリカの規制値ということになっております。このアメリカの規制値の中でも、この既設のほうですね、0.013lb/GWh、1.6µgという数値、こちらでしたら、普通に排煙処理システムをつければ、普通の炭であれば達成可能な数字かなというふうに思っております。逆に、アメリカのちょっと特殊な、先ほど言いましたPRBという炭、こちらの場合は、やはりちょっと対策が必要になってくるという、そういう数字になっていると思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、今日、3件ヒアリングをさせていただきましたが、日本化学工業協会、それから日本鉱業協会、それから日本産業機械工業会の皆さん、ありがとうございます。

 それで、今日質問をしたところで、今日お答えいただけなかったところで、データがあるものにつきましては、次回までに整理をして、事務局のほうへ出していただければと思います。それから、先ほど口頭で説明をいただいたところにつきましても、もし、さらに補足したほうが、我々の理解が進むだろうと思うような部分は、そういった部分もつけて出していただければありがたいと思います。ありがとうございました。

 次回は、今回と間がなく、来週ありますので、そのときまでに用意できるようでしたら、それは、なおありがたい話ですけども、その後でも結構でございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、今日の予定は以上でございます。

 何か連絡事項などございましたら、事務局のほうからお願いいたします。

【難波大気環境課長】 本日は、長時間にわたってご議論をどうもありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で公開することとさせていただきます。

 次回以降の日程でございますけれども、今お話ございましたように、第3回小委員会は7月9日の10時から12時ということでございます。さらに、第4回の小委員会は7月30日の10時から12時、第5回は8月18日の10時から12時、第6回は9月26日の10時から12時という予定になっております。次回はヒアリングの第2回目ということで、残りの6団体からのヒアリングを行う予定でございます。また、第4回小委員会では、水銀大気排出対策における主な論点についてご議論をいただく予定となっております。これまでのご議論やヒアリングの内容を踏まえて、論点とすべき事項がございましたら、7月14日までに事務局宛てにご意見を提出いただきますようお願いいたします。

 以上でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

※「●」は非公開資料に係る発言