微小粒子状物質等専門委員会(第13回)議事録

日時

 令和3年11月18日10:02~12:07

場所

 WEB会議システムにより開催

議題

(1)PM2.5・光化学オキシダントに関する大気汚染状況について

(2)PM2.5・光化学オキシダントに関する対策の取組状況について

(3)その他

配付資料一覧

資料

・資料1   令和元年度のPM2.5・光化学オキシダントに関する大気汚染状況について

・資料2   ばい煙排出削減に向けた検討について

・資料3   シミュレーションモデルによるPM2.5濃度の変化に関する解析

・資料4   気候変動対策・大気環境改善のための光化学オキシダント総合対策について

参考資料

・参考資料1 中央環境審議会大気・騒音振動部会微小粒子状物質等専門委員会 委員名簿

・参考資料2 令和元年度大気汚染状況について

・参考資料3 令和元年度大気汚染防止法の施行状況について

・参考資料4 酸性雨の状況について

議事

午前 10時02分 開会

【長坂課長】 定刻を少し回りましたけれども、ただいまから第13回微小粒子状物質等専門委員会を開催いたします。

私、環境省大気環境課長の長坂と申します。

 委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。

開会に当たりまして、松澤水・大気環境局長よりご挨拶を申し上げます。

【松澤水・大気環境局長】 環境省水・大気環境局長の松澤でございます。

 委員の皆様におかれましては、ご多忙の中、ご出席をいただきありがとうございます。

 昨年と同様、新型コロナウイルス感染対策としてWeb開催とさせていただいております。ご不便をおかけすることもあろうかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

本日の専門委員会では、PM2.5及び光化学オキシダントの大気汚染状況についてご紹介するとともに、対策の取組状況について説明をさせていただく予定でございます。

今年の3月に公表した令和元年度の大気汚染状況では、PM2.5は環境基準達成率が概ね98%を超えるところまで到達しておりますが、一方で、光化学オキシダントについては、環境基準達成率がほぼ0%に近い極めて低い状況でございます。今後の対策が重要となっていると考えております。

光化学オキシダントの主成分であるオゾンは、気候変動にも影響を与えることが知られております。政府として2050年カーボンニュートラルを目指して取り組むこととなっており、温暖化対策と大気汚染対策、両面で進めていけることが多いと考えておりますので、こうしたことも踏まえまして、光化学オキシダントの削減が引き続き重要なのではないかと、対気候変動対策としても注目されるようになってくるのではないかと考えております。

後ほど紹介させていただきますが、こうした状況も踏まえまして、光化学オキシダント対策ワーキングプランというものの策定に取り組んでいるところでございます。

本日は、このワーキングプランについてもご意見をいただきたいと考えております。それらを今後の施策に反映したいと思っておりますので、委員の皆様には、それぞれのお立場から積極的にご意見を頂戴できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【長坂課長】 本日の会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、WEB会議での開催とさせていただいております。皆様におかれましては、2点についてご協力をお願いいたします。

 1点目は、発言者以外はマイクをオフ、ミュートにしていただくようお願いいたします。

 2点目は、ご発言を希望される際は、はじめに挙手ボタンを押してください。その後、委員長より指名されましたらご自身の氏名を名のっていただきまして、マイクをオン、ミュート解除の上、ご発言をされるようお願いいたします。また、ご発言後はマイクをオフにすることをお忘れなきようにお願いいたします。

 それでは、議事に入る前に、まず、本日の資料の確認をさせていただきます。事前に電子ファイルで資料一式を共有させていただいておりまして、今、画面では配付資料一覧を記載した議事次第を掲載させていただいておりますか、ちょっと出ていないですかね。申し訳ありません。今ちょっと画面には出ていないようでございますが、事前にお送りしました議事次第をご覧いただきまして配付資料をご確認ください。何か不足等がございましたら、また画面が見づらい、音声が聞き取りづらい等ございましたら、適宜、チャット機能などを使いまして事務局にご連絡をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 今回、3名の委員の交代がありましたので、ご紹介させていただきます。

 電気事業連合会の佐野委員の後任として吉田委員、日本化学工業協会の奈良委員の後任として森二郎委員、日本鉄鋼連盟の武井委員の後任として森功委員です。どうぞよろしくお願いいたします。

また、本日の委員の皆様の出席状況でございますが、委員14名中、12名の委員の方にご出席をいただいておりまして、定足数に達していることをご報告させていただきます。

なお、本日は、梶井委員、髙橋委員からご欠席との連絡をいただいております。

それでは、これ以降の議事進行につきましては、大原委員長にお願いをいたします。

【大原委員長】 皆様、おはようございます。委員長を務めております大原でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 委員の皆様には、ご多忙のところ、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。

 それでは、早速ではございますけれども、議題に入らさせていただきます。

 まずは議題1であります。令和元年度のPM2.5・光化学オキシダントに関する大気汚染状況等についてということで、事務局から資料1を使ってご説明をお願いいたします。

【事務局】 ただいま資料のほう、画面共有の準備をしておりますけれども、お時間もありますので、説明を進めさせていただきます。お手数ですが、お手元の資料1で確認をいただければと思います。

 まず、PM2.5の全国の状況について、ご説明をいたします。

PM2.5の全国の環境基準達成率に関しましては、一般環境大気測定局で98.7%、自動車排出ガス測定局においては98.3%ということで、かなり大気環境の状況としては改善が続いているという状況でございます。

 また、年平均値に関しましては、一般局での平均が9.8µg/m3、自排局で10.4µg/m3ということで、こちらに関しましても平成25年度以降緩やかな改善傾向が続いているという状況でございます。

 続きまして、2ページ目にございます図1-2及び図1-3についてご説明いたします。

 こちら、一般局と自排局における年平均値のヒストグラムとなっております。図1-2に関しましては、以前は自排局における高濃度域がかなり高いという状況でございましたけれども、昨今の状況としましては、一般局と自排局においてヒストグラムの差はほとんどなくなっていると、そういった状況でございます。

 続きまして、図1-3に関しまして、こちらはPM2.5濃度の年平均値を測定局の濃度階級別に発生率分布としてお示しをしたものになります。

こちらの図1-3に関しましては、淡いグレーのR1というものが直近のデータとなっております。こちら、推移を見ていただきますと、平成25年から令和元年まで掲載をしておりますが、一般局、自排局ともに年が経過するとともに、低下傾向にあるということが見て分かるかと思います。

 続きまして、図1-4にPM2.5濃度の月平均値の推移をお示ししております。令和元年度に関しましては、過年度、平成25年度からのところで比較をしましても、比較的どの月に関しても平成30年度と同じく低いという状況になっております。

その中で、5月の平均値が最も高くなっておりますが、こちらは気象の条件等から考えますと、この時期に移動性高気圧の周回流により大陸起源の大気汚染物質、これが飛来するとともに、各地での高温、それに伴っての二次生成粒子の生成が促進されたものと考えております。

 続きまして5ページ目、地域別の状況についてご説明いたします。

地域別の環境基準の達成率の傾向を見ますと、図1-7には関東、関西、中・四国、九州、四つのエリアに関しての達成状況を丸印のカラーでお示しをしております。この中で、緑色が短期基準のみ非達成、黄色が長期基準のみ、赤色が短期、長期ともに非達成の測定局となっております。

 令和元年度の状況としましては、非達成局は中・四国の瀬戸内海に面する地域と九州地方の有明海に面する地域に集中している状況となっております。これらの地域に関しましては、短期基準のみではなく、長期基準に関しても非達成となっている測定局が多いことから、越境大気汚染に加えて、測定局周辺の工業地帯における固定発生源、あるいは、海を航行する船舶の影響などが示唆されているところでございます。

 続きまして6ページ目に中・韓の状況ということで、日本、中国、韓国におけるPM2.5の年平均値の推移をお示ししております。

こちらを見ていただきますと、中国に関しましては、平成25年からデータを整理しているところで現在まで低下の傾向が続いております。

 また、韓国に関しましては、平成30年、令和元年に関しましては横ばいという状況ではございますが、緩やかな減少が続いている状況でございます。

 続きまして7ページ、光化学オキシダントについてご説明をいたします。光化学オキシダントに関しましては、環境基準の達成率、こちらは一般局において0.2%、自排局では0%ということで、依然として極めて低い水準となっております。

 図2-1には、光化学オキシダントの濃度レベル別の測定局数の推移ということでお示しをしております。こちらを見ていただきますと、0.06ppm以下ということで、環境基準を達成している測定局は、令和元年において測定局が2点ということになります。また、令和元年度を平成30年と比較しますと、0.06~0.12ppm未満といった測定局数が若干減少して、その代わりに0.12ppm以上という測定局が増えております。こちらは、令和元年の5月に全国的に高濃度になったというような事例がございまして、その影響によるものと考えております。

 続きまして9ページ目に光化学オキシダント濃度の長期的な改善傾向を評価するための指標、いわゆる新指標値というものを用いて注意報発令レベルの超過割合が多い地域である関東、東海、阪神、それから福岡、山口地域における域内最高値の経年変化を整理しております。

 こちらを見ていただきますと、平成18~20年度の3か年の移動平均値からしばらくは低下傾向が見られておりましたが、近年はほぼ横ばいということで推移をしている状況でございます。

 続きまして12ページで、光化学オキシダントの注意報等の発令状況等を整理しております。こちらの13ページの表2-1に注意報等の発令延日数及び被害届出人数の推移ということで表の形でお示しをしています。

 令和元年度に関しましては、平成30年と比較をしまして注意報等を発令された都道府県数が33と増加、発令の延日数に関しましても99日ということで増加をしております。これに関しましては、先ほどもご説明をいたしました5月に日本全国的に高濃度という事象が発生しておりまして、その際にかなり多くの自治体において注意報等が発令されたということで、都道府県数及び延日数が増えているといった状況でございます。

 資料1の説明に関しては以上となります。

なお、二酸化硫黄、二酸化窒素、SPM、一酸化炭素といったその他の大気汚染物質の環境基準達成状況に関しましては、参考資料2ということで昨年度末の3月に公表した資料を添付しておりますので、そちらをご覧いただければと思います。

 説明は以上になります。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、今ご説明いただきました資料1につきまして、ご質問、ご意見等いただければと思います。ご発言される方は挙手ボタンをクリックしてください。その後、私が指名いたしますので、お名前を名のった上、ご発言をお願いいたします。

 それでは、お願いいたします。どなたかいかがでしょうか。

金谷委員、お願いいたします。

【金谷委員】 はい、ありがとうございます。

 まず、この年は、令和元年度の5月はやはり越境大気汚染影響で西日本などでも運動会なども影響を受けた年だということを認識していますので、やはりちょっと高くなっているということは、私も認識しておりました。

 ちょっと質問したかったのは、むしろその年の最後のところですね。令和元年度の2月、3月のことで、これ、2020年の2月、3月なので、中国のコロナの影響がもう出始めている頃と思います。その頃に関して、PM2.5のことですけれども、越境大気汚染の結果が何か影響したというような、そういった解析結果はお持ちになったり、既に分析されていたりするでしょうか。

【大原委員長】 ありがとうございます。それでは、お願いいたします。

【事務局】 事務局でございます。

 今ご指摘いただきました新型コロナウイルス感染症による影響、こちらに関しましては、昨年度に開催をさせていただいております第12回の微小粒子状物質等専門委員会においても国設局のデータという形ではありますが、お示しをさせていただいております。

 また、今回の3ページのところでPM2.5濃度の月平均値の推移ということで掲載をしておりますが、こちらの中でご覧いただきましても、令和元年の2月、3月に関しましては、平成30年と比較してもPM2.5濃度が下がっているという状況かなと思います。

 昨年の検討の際にも、越境の影響、あるいは、国内の経済活動の変化ということに伴ってのPM2.5濃度の減少というものはある程度起こっているのではないかというところまでは整理をさせていただいておりますけれども、それがそれぞれの変化、また、経年的な変化、そういったものがどれぐらい寄与しているかというところに関しましては、まだちょっと十分な解析ができていないと、そういう状況でございます。

【金谷委員】 ありがとうございます。状況について確認しました。ありがとうございます。

【大原委員長】 ありがとうございました。それでは、ほかにはいかがでしょうか。

 どなたかございませんでしょうか。

 板場委員、お願いいたします。

【板場委員】 自工会の板場です。

 どうも説明ありがとうございます。

前回のときに、PM2.5について高濃度局が特に1か所、関東でございまして、そのときには環境省さんのほうの環境管理技術室が特別に調査されるといったことがありましたけれども、何かその辺のことの情報、もしあればと思いまして聞きたいと思いました。

 また、あと、一般局についても同じようにやはり高濃度の地点があるわけでして、固定発生源ですとか船舶の影響が推測されるようなことが書いてございましたけれども、やはり実際にしっかり調べていただいて原因を特定するといったことは必要じゃないかなということでお願いしたいと思います。そのときは、環境省さん、検討してみましょうということでございましたけれども、やはり今の報告を聞きますと、あまり特別にやられていないように感じました。

 あと、ちょっと資料について確認しておきたいんですけれども、参考資料のほうで、令和元年度の大気汚染状況を見させてもらいました。その中で、光化学オキシダントの資料でページ、12ページですね。全国の地図が出ているんですけれども、この地図と今回、この抜粋されている中の図2-5、ちょっと一致しなかったものですから、どちらかが間違っているんじゃないかなと思いまして、ご確認していただきたいと思いました。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。事務局からどうでしょうか。ちょっと今、資料を確認されているようですので、少々お待ちください。

【事務局】 事務局でございます。

 まず、1点目、ご意見ということでいただきました固定局における周辺の高濃度事象の特別の調査ということに関しまして、こちらに関しまして、現時点でまだ実施をしていないという状況でございます。特に現在、PM2.5対策というところで検討しているところとしましては、固定発生源の周辺のところというよりは、地域的なところでの対策、あるいは、越境汚染での対策というようなところで、いわゆる面的なところで評価をさせていただいております。

 PM2.5の成分測定ということに関しましては、国内の百何十地点というところで実施をしておりまして、そういったデータ等も活用しながら、特に特異的な部分、そういったところが今後明らかになれば、そちらに関しての追加調査ということは検討したいというふうに考えております。

 それから、2点目、資料についてご指摘をいただいたところですけれども、こちらが報道発表に出している資料のほうが修正をしているものなので正しいものになります。今回資料としておつけをしているものがバージョンの古いものを添付してしまっているかなと思いますので、そちらまた確認をして訂正させていただければと思います。

【大原委員長】 ありがとうございます。確認ですが、資料1の図2-4でいいんですか。

【事務局】 2-5ですね。

【大原委員長】 2-5ですか、すみません。図2-5ですね。それでは、後で事務局のほうで確認していただいて、適宜修正をお願いいたします。

 板場委員、いかがでしょうか、追加のご発言ございますか。

【板場委員】 いえ、ございません。ありがとうございました。継続的にやはり面的評価と成分分析等、よろしくお願いいたします。

【大原委員長】 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

 飯田委員、お願いいたします。

【飯田委員】 飯田でございます。

 光化学オキシダントの挙動についてお伺いします。昨年の4月末、5月で光化学オキシダントが上昇の傾向にあるということについて、何か、どんな見立てをされていますでしょうか。

【大原委員長】 ありがとうございます。事務局のほうで分かる範囲内でお答えいただけますでしょうか。

【事務局】 ありがとうございます。光化学オキシダントに関しましては、今回の資料1の中でもご説明しましたとおり、まず、気象要因による二次生成によっての光化学反応の促進ということが大きな影響にはなっていると思っております。

 一方で、やはり前駆物質、これに関しましては、越境の影響というところもございますので、現時点でまだ十分な解析できておりませんが、課題としてしっかりと研究したいと思っております。

【大原委員長】 ありがとうございました。飯田委員、追加のご発言ございますでしょうか。

【飯田委員】 そうですね。今回のコロナ感染の拡大で緊急事態宣言が出されて交通量が4月末、5月にかけて大きく減っています。それで、世界の都市を見ても、結構、その時期、そういう事態の時期に光化学オキシダントが増えているというのが二、三見られますので、日本においてもNOによって、減少によってオゾンの酸化、要するにオゾンの分解が遅くなっているんじゃないかという指摘があるんですけれども、ご検討いただけたらと思います。ありがとうございました。

【大原委員長】 ありがとうございました。新型コロナによる社会的な影響の一環として大気汚染の構造が一定程度変化している可能性もあろうかと思いますので、その点につきましては引き続き検討が必要かなと考えているところでございます。ありがとうございます。

 それでは、鵜野委員、お願いいたします。

【鵜野委員】 はい。九州大学の鵜野です。

 PM2.5の環境基準がほとんど100%になったというのは非常にすばらしいことで、こんなことは始めた頃はあり得ないと思っていたので、すばらしいことだと思います。

 先ほど、金谷委員から指摘していた去年の2月、3月、コロナの影響でPM2.5が下がったと、これ、多分、越境の影響が大きいと思いますが、このときにオゾンがどんなふうな挙動をしているかというのを調べると、オゾンの環境基準がなかなか達成しない問題の、越境の寄与の評価につながるんじゃないかと思いますが、その辺の検討はされたでしょうか。

【大原委員長】 ありがとうございました。検討状況はいかがでしょうか。

【事務局】 はい、ありがとうございます。昨年におきまして、特に2月、3月、この時期のPM2.5濃度の変化と併せて、国設局における光化学オキシダント濃度の推移というところは確認をしております。

その際に、光化学オキシダント濃度というところに関しましては、あくまで月平均値という形ではございますけれども、2月、3月、特に前年度との変動ということは大きくは確認できなかったという状況でございます。

 ただ一方で、月平均という形ではなく、例えば時間ごとの変化、そういったところも改めて解析することでそういった越境汚染の影響などに関しては追加的に確認ができるのではないかというふうには考えております。

 コロナの影響、コロナウイルス感染症に伴っての様々な影響、その寄与というところに関しては、引き続き調査、検討したいというふうに考えております。

【大原委員長】 ありがとうございます。鵜野委員、追加のご発言ございますか。

【鵜野委員】 分かりました。新しいことが分かりましたらよろしくお願いします。

【大原委員長】 ありがとうございました。今、事務局から回答がございましたように、新型コロナ影響による大気汚染の変化、越境大気汚染の変化もあるし、国内起源の大気汚染の変化もあろうかと思います。ある意味では、施策の効果を検証する上での貴重な重要な情報が得られる可能性もあろうかと思いますので、適宜、事務局でご検討いただいて、可能であれば、この専門委員会でもご報告いただけるとよろしいかなと考えているところでございます。

 ほかにはいかがでしょうか。ございませんでしょうか。

(なし)

【大原委員長】 ありがとうございました。それでは、事務局におかれましては、ただいまのご指摘を踏まえまして、適宜、対応いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、続いて議題2に移りたいと思います。

議題2はPM2.5・光化学オキシダントに関する対策の取組状況についてということでございます。

 まずは、その議題2の前半としまして資料2と3、これを事務局からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【事務局】 事務局です。

 それでは、資料2からまず説明をさせていただきます。資料2に関しましては、こちら、ばい煙排出削減に向けた検討についてということ、令和2年度の取組をご報告させていただきます。

 まず、ばい煙排出削減に向けたというところになりますけれども、これに関しましてはPM2.5及び光化学オキシダントのそれぞれ前駆物質とされる特にNOx、そういったものが固定発生源から排出されるというところで、この固定発生源対策について追加的な取組、これを検討しているという状況でございます。

 令和2年度に関しましては、特にPM2.5の環境基準達成率が低い地域ということで、関東、関西、瀬戸内、九州、その4地域を対象に状況を整理するとともに、技術的、経済的観点、地域性を踏まえた効果的な抑制策の検討ということで取り組んだところでございます。

 具体的にはということで、令和2年度に関しましては、大気汚染物質排出量総合調査、こちら平成29年度実績というものになりますけれども、これの確定値が令和元年度中に公表されたというところがございますので、これを用いての排出量状況の解析、それから、現行の規制基準、排ガス処理技術の導入等の状況を踏まえまして、ばい煙排出削減の可能性について検討したというところでございます。

それでは、資料の中身についてご説明いたします。

まず、1番としまして、ばい煙排出量について取りまとめた結果をご報告いたします。

こちら、先ほどもご説明をしましたとおり、令和元年度に公表されております、いわゆるマップ調査の確定値から、その4地域における施設種別及び業種別のばい煙排出量の内訳を整理したものございます。

結果を表1と表2にそれぞれまとめております。なお、こちらのマップ調査の結果解析に関しましては、昨年度ご報告をさせていただいた速報値を用いての解析結果から、大きな傾向の変化ということはございませんでしたということをまず冒頭申し上げます。

ばいじんに関しましては、いずれの地域おいてもボイラが最も大きい排出量を占めていたという状況でございます。また、地域によって排出量の多い施設の順番というものは変動するものの、いずれの地域におきましても上位の8割、大半の部分を占める施設種に関しましては、全国と同様の傾向であったということになります。

一方で、関東地域におけるガスタービンや、九州地域におけるディーゼル機関、これに関しましては、全国の上位8割の施設種にはないということで、その地域に特に多く存在している施設かなということで考えております。

また、業種別で見ますと、こちらに関しましても、地域によって順番は異なるものの、上位8割を占める業種に関しましては、地域と全国において大きな差はありませんでした。

続いて、NOxに関しまして、こちら、表2になりますが、こちらについて説明をいたします。

これもばいじんと同様に、いずれの地域おきましても排出量としましてはボイラが最も大きい割合を占めておりました。また、地域内において順番は異なるものの、上位を占める施設、これに関しましては、全国と同様の傾向であったというところでございます。

なお、関東におけるガスタービンや石油加熱炉、また、関西におけるガスタービン、これに関しましては、全国の上位8割の中には含まれていないということで、ばいじんと同様にその地域において特に施設数が多いということかなというふうに考えております。

また、業種別に関しましても、これも同様で上位8割、これを占める業種に関しましては全国と地域において大きな差はありませんでした。

続きまして、5ページの2番、ばい煙排出削減のための検討ということでご説明をいたします。

令和2年度に関しましては、特に2点の観点から検討ということで実施をしております。まず、(1)に示しております制度的対応、こちらに関しましては、現在の大気汚染防止法において固定発生源、いわゆるばい煙発生施設に関しましては、排出基準が設けられております。一方で、このばいじんや特にNOxに関しましては、排出基準の見直しに伴って、それ以前に設置をされていた施設に関しては経過措置が適用されております。これらの経過措置が適用されている施設に関しまして、関東、関西、瀬戸内、九州地方、その4地方を対象に試行的に経過措置を撤廃し、新設の基準値を適用した場合にばい煙排出削減がどれぐらい見込めるかを試行的に試算しております。

その結果を6ページと7ページにあります表3及び表4にまとめております。まず、表3、ばいじんのところでご覧をいただきますと、特に中段の右にあります削減量、削減率というところで経過措置を撤廃した場合に、ばい煙排出量がどれぐらい削減されるか、それがまたその施設からの全体に占めるどれぐらいの割合になるかということでお示しをしております。

こちら、表3をご覧いただきますと、施設によっては削減量がかなり高い、削減率も高いといった施設もございますが、これらに関しましては、その右の欄をご覧いただきますと、そもそも経過措置の対象となっている施設数が少ないなど、全体としては、その少ない中に排出基準が厳しくなる結果、削減量としては多くなるといったような傾向が見てとれました。

それを地域ごとにまとめた結果が、ちょっと表の中で見づらいんですけれども、関東地方、関西地方等の一番下段のところに関東地方全体といったような形でお示しをしております。こちらを見ますと、表3に示します、ばいじんに関しましては、関東地方で5%など、全体を見てみますと、2%~5%という範囲の効果というものが見られるというところ、4地域の全体としましては、表の一番下にありますけれども、3%というような形になっております。

同様にNOxに関しまして中身を見ますと、関東においては2%というような結果ではございましたが、関西、瀬戸内、九州においては11%~17%ということで、一定程度、削減が見込めるのかなという結果になっております。また、4地方の全体として見ましても、12%という結果となっております。

一方で、先ほど申しましたとおり、経過措置の対象となっている施設においても既に新設基準と同程度に排出量を抑えられている施設もかなり多いということが分かりました。今回、表の一番右側にお示しをしている割合が、経過措置の対象となる施設のうちの経過措置を撤廃した場合に、その影響でばい煙排出量の削減が必要となる施設のパーセンテージとなっております。こちらを見ていただきますと、表3においては3%、表4のNOxに関しましては2%ということで、かなり一部の施設に限定されるというところかなというふうに考えております。

なお、この算定におきましては、マップ調査に回答をされている結果を用いての解析となっておりますので、マップ調査に未回答となっている施設に関しましては、この評価の中に含まれていないということ、そのため、今回の検討で全体の傾向が全てつかめているというわけではなく、その他の施設の状況に関しましても、追加的な調査が必要というふうに考えております。

続いて、ページ5に戻りまして、(2)に技術的対応についてということでお示しをしております。こちらは、特に各施設の実際に活用いただいている事業者様においての技術的な対応、そういったものによるばい煙排出の削減の可能性について、業界団体様へのヒアリング調査を実施しまして、その結果をまとめたところでございます。

結果は8ページの表5にまとめております。今回、令和2年度におきましては、排出量が特に多い施設を多く所有していました6団体様にヒアリングを実施させていただきました。その結果、特にばい煙の削減ということでの取組というところでは多く進んでいるという状況ではありませんでしたけれども、現在、脱炭素に向けた実行計画、これが各業界団体様においても策定をされておりまして、燃原料の転換や省エネ、新技術の導入など、温室効果ガスの排出削減に向けた取組によって、副次的にばい煙排出削減が見込まれるのではないかということで情報をいただいたところでございます。

ただし、これらの技術の導入の成果、効果というところに関しましては、実際にどれぐらいばい煙排出削減に寄与するかというところに関しましては、まだ明確でないというところがございます。こちらに関しましては、既に導入が進んでいるような事業者様への効果の聞き取りヒアリングですとか、同様に、そういった技術の開発状況がどれぐらい進展しているのか、そういったことに関する情報収集が引き続き必要であるというふうに考えております。

最後のページ、9ページ目に今後の課題ということで4点挙げております。本日ご説明をしました経過措置の撤廃の試行ですとか、あと、業界団体様へのヒアリングといった中で、ある程度どういった取組が効果的かということは情報としては整理をしたところではございますけれども、まだ情報収集すべき内容、検討すべき内容というのは多くあると考えております。そうした中で、今後の課題としまして、まず1点目に、業種及び施設種の詳細な検討ということで、今回、分類を行った1ポツのグラフにおきましては、いわゆる大分類での取りまとめとなっております。これをさらに小分類ごとに排出量を整理するなどによって特にどういった施設からが排出量が多いのか、そういったところをまず基礎情報として整理したいと考えております。

また、2点目としまして、費用対効果など、コスト面の評価方法の検討ということで示しております。これに関しましては、特に経過措置の撤廃ということが影響するような施設に関しましては、設置年数がかなり古い、そういった施設になります。それの例えば入替えですとか、あるいは2番目でご説明をいたしました新たな技術の導入、そういったことによるコスト面の評価、費用対効果というところは十分に検討する必要があるかなと考えております。

3点目としまして、気候変動対策による副次的なばい煙排出削減効果の検討ということで、これは先ほども申しましたけれども、個別の取組、脱炭素に向けた取組によって副次的なばい煙排出削減ということは可能性があると、そういったところまでは整理をしておりますが、それが実際にどれぐらいばい煙削減に寄与するか、そこの具体的なところに関しましては、情報収集をしてこういった取組による削減効果というものを見ていきたいというふうに考えております。

最後、4点目としまして、新たな技術の導入可能性に関する情報収集ということで、これは前の3点目とも関連しますけれども、脱炭素に向けた取組、新たな施設、方法の導入だとか、そういったものがどれぐらいの事業所様において広く導入していただけるのか、そういった導入可能性に関しましても情報収集をすることで国内における全体的なばい煙排出削減、その部分がどれぐらい見込めるのかという整理をしたいと考えております。

資料2の説明に関しましては以上です。

続きまして、資料3、シミュレーションモデルによるPM2.5濃度の変化に関する解析についてご説明をいたします。

シミュレーションモデルを活用しての検討、解析に関しましては、これまで特に昨年度の専門委員会でも光化学オキシダントに関する解析の結果、ご報告をしておりますが、シミュレーションモデルの活用というところ、特に将来推計といったところでも非常に有用というふうに考えています。

その中で、このシミュレーションモデルの精緻化に関しましては、これまで何年かにわたって継続をしているというところがありましたので、昨年の光化学オキシダントに続きまして、PM2.5に関しましても将来濃度推計ということをチャレンジしたというのが今回の資料となっております。

過年度の取組においてシミュレーションモデルの精緻化が一定程度進展しているということで、現在の大気汚染物質、この年次変化の傾向が将来も継続すると仮定した将来シナリオ、いわゆるBaUというものに基づいての将来濃度推計を実施いたしました。対象としました年度に関しましては、昨年度の光化学オキシダントと同じく、2025年度、令和7年度をターゲットとして計算を実施しております。

これらの検討によりまして大気汚染物質排出量の変化が大気環境濃度及び環境基準値の達成状況にどれぐらい影響を与えるかといったことを定量的に評価するための基礎的検討ということで実施をした内容でございます。

1.に令和2年度の検討の概要を簡単に整理しております。

まず、(1)としまして、平成30年度における現況再現計算ということで、これはシミュレーションモデルの精度、計算精度の確認ということで実施をしたものでございます。

最新の観測値ということで平成30年度までの常時監視結果等が取りまとめられておりましたので、その結果を用いて平成30年度を対象にシミュレーションを実施した結果と比較をして、再現性の検証を行ったというものでございます。

また、(2)としましてベースラインシナリオの計算ということで、先ほどご説明をしましたBaUの考え方によって推計された2025年、令和7年度の大気汚染物質の排出インベントリ、これを使用しまして、改善がかなり進んだ場合の低位、それからある程度進んだ場合の高位という二つのシナリオを作成し、それぞれにおける将来濃度推計を実施しております。

2.に計算条件ということでお示しをしております。こちらに関しましては資料の末尾に参考資料ということでもお示しをしておりますが、シミュレーションモデルの設定条件をご説明しております。こちらに関しましては内容を割愛させていただきます。

2ページ目に(3)としまして、排出インベントリの設定ということで表1に使用したインベントリ情報をまとめております。国外と国内、それから自然起源ということで表1に記載をしているようなデータを用いて排出インベントリの構成としております。

続きまして、解析結果、内容に入って説明をいたします。

3ページ目に、まず(1)に基準年度計算の再現性の確認ということで、再現性の確認を行った結果をお示ししております。

まず、①が空間分布の確認ということになります。今回の解析におきましては、計算領域を日本域全体ということで15kmメッシュでの計算と、よりメッシュ範囲を狭めた関東域の計算5kmメッシュということで実施をしております。

その中で、まず、図1に関東におけるPM2.5の年平均濃度、これをシミュレーションの結果と実測の結果で比較したものをお示ししております。図中のカラーをつけた丸が関東域における常時監視局の年平均値になります。

また、その背景としてメッシュがかかっているものがシミュレーションによる結果となっております。

こちらをご覧いただきますと、大局的な分布としましては日本域15kmメッシュと関東域の5kmメッシュで大きな差はございませんでしたが、やはり関東域5kmメッシュということで、より詳細な分析、推計を行ったもののほうが、かなりより高濃度の分布というものが明確に分かれて確認ができているかと思います。

続いて②に常時監視局データとの比較ということで表2にまとめております。こちら、表2の中で左から3番目に観測値、その右に日本域計算と関東域計算ということで、それぞれの計算を行った値の平均値をお示ししております。こちら、特に年平均値だけではなく、春、夏、秋、冬、それぞれの季節ごとにも並べておりますが、観測値と計算結果を比較しますと、全体的にシミュレーションではやはり過小評価という状況になっております。特に秋、冬に関しましては、観測値と推計値の結果がかなり大きく外れているという状況でございます。

一方で、表の右側に相関係数をお示ししてございます。こちらの相関係数に関しましては、0.6~0.8前後といったところで、大分、測定精度、推計の精度としては上昇しているのかなというふうには考えております。

続いて4ページに成分測定の結果との比較を示しております。図2に春、夏、秋、冬の四季ごとに観測値とシミュレーションの結果を棒グラフの形で並べております。こちらをご覧いただきますと、春や夏に関しましては、先ほどの表2でお示しをした内容で見ていただいたとおり、再現性ということで全体的な数字としてはやはり過小ということにはなっておりますが、その中の成分のところで見ますと、大分、再現性が上がっているのかなというふうに考えております。

一方で、秋、冬の過小がかなり大きい時期に関しましては、棒グラフでお示しをしているところの上から3番目、オーガニックカーボン、これに関しまして、特に冬においては非常に小さな推計結果となっております。これに関しましては、まだ冬における有機炭素の生成等に関して、まだ十分なモデルにはなっていないのではということが改めて確認をできたというところとなっております。説明文の最後でもお示しをしておりますとおり、特に冬季の大幅なオーガニックカーボンの過小評価に関しまして、大きな課題ということで認識をしたところでございます。

続きまして5ページの下段になりますが、(2)としまして、ベースラインシナリオにおける将来濃度推計の結果についてご説明をいたします。

この前の再現性の確認のところで過小評価ということはかなり見てとれたところではございましたが、現時点のシミュレーションを用いて将来濃度推計を行ったというのが今回のご報告になります。

 ベースラインシナリオの設定に関しましては、①にお示しをしております。特に既存の対策をある程度見通せる年ということで、2025年(令和7年度)をターゲットということで、その年における濃度推計を実施しております。

 また、ベースラインシナリオにおける排出源ごとのシナリオ案に関しましては、今回、箇条書の形でお示しをしております。例えば一番上に書いています電気業、これに関しましては、資源エネルギー庁から出ております長期エネルギー需給の見通し、こちらにおいての省エネ設定ケースと追加的な省エネ対策なしの二つのケースを用いて、低位シナリオと高位シナリオということで、それぞれ設定をしております。

 そのほかの発生源に関しましては、6ページ目に記載をしております。

 なお、固定燃焼発生源に関しまして、こちらで考慮されているのは、いわゆるエネルギーの需給の見通しというところを用いての推計のみとなっております。いわゆる大気汚染対策の進展につきましては、十分に反映をさせている将来推計ではないということが、一つ注意すべき点というふうに認識をしております。

 また、後ほど改めて課題として説明をさせていただきますけれども、今後、さらに気候変動対策や電気自動車の導入など、脱炭素に向けた取組というものがさらに加速することも想定されます。同様に、諸外国においても、そういった取組に伴っての大気環境の変化、そういったものが予想されるということで、これらの情報の精査、より情報収集というものをした上で、改めて将来シナリオというものは検討する必要があるかなと考えております。

 続きまして、②としまして、ベースラインシナリオでの排出量の試算、その結果をご説明いたします。

 今回設定をしましたベースラインシナリオに基づいて推計をしました、2025年度における排出量、これを積上げグラフという形で図3にお示しをしております。図3では、全国ベースとしてのNOX、SOX、VOC、それから一次粒子として排出されるPM、PM2.5、それぞれをお示ししております。

 こちらの中で、特に排出量のSOXとPM2.5に関しまして、船舶ということで示されている緑色の部分が、将来ではかなり減っているという結果となっております。こちらはベースラインシナリオの設定のところでも触れておりますが、船舶に関しましては、2020年の船舶燃料硫黄分規制強化、これを考慮したシナリオということで、排出量としては大きく減少しているということになっております。

 その他の発生源からの排出量の変化、これに関しましては、ベースラインシナリオに沿って計算をした結果というふうになっております。

 続きまして、8ページ、こちらでベースラインシナリオにおける将来濃度推計の結果、これをお示ししております。

 前節②までで示しました排出量変化、これを使いまして、日本全国におけるPM2.5濃度、これを推計した結果が図4になります。この図4の中で、赤色で示しているのが基準年ということで、2018年度における観測地、それから、青色で示しているのが、ベースラインシナリオで計算をした2025年度の対策がやや進んだという場合での高位シナリオ、また、緑色がかなり進んだという低位シナリオ、その二つの結果を並べて表示しております。

 この推計の結果を見ますと、どの地域においても、2018年(基準年)と比較して1μg/m3程度、これぐらい減少するのではないかという推計ができました。また、高位シナリオと低位シナリオ、この比較をしたところ、低位シナリオのほうが、やはり推計濃度が低くなる結果となっておりますが、高位シナリオとの違いに関しましては、0.1~0.2μg/m3程度ということで、それほど大きな差ではなかったというところでございます。

 最後、4.としまして、今後の課題をお示ししております。

 (1)が、まずシミュレーションモデルの再現性についてでございます。本日もご説明をしましたとおり、PM2.5濃度に関しましては、年平均値、計測値と比較して、7割から8割ということで、かなり低い過小評価の状況となっております。

 また、各成分の計算結果に関しましても、先ほどご説明をしましたオーガニックカーボンのほかにも、夏において硝酸イオンですとか、冬においての硝酸イオンや硫酸イオン、アンモニウムイオン、こういったものも過小評価になっているという状況でございました。これらに関しましては、例えば環境省において実施をしています成分自動測定機のデータ等も活用しまして、その年動変動、各成分の年変動に関しても、その再現性をより高めていく必要があろうかというふうに考えております。

 また、シミュレーションモデル自体に関しましても、現在においても、環境研究総合推進費なども活用していただきながら、活発に研究がなされている状況でございます。今後も、そういった研究の進展等に関して、情報収集を継続し、再現性を向上するための検討、これが必要であるというふうに考えております。

 また、排出インベントリに関しましても、統計の更新等によって、随時、インベントリに関しては更新がなされているところでございます。こういった最新の情報を反映されたインベントリを用いて、濃度計算というものを継続的に実施することによって、例えば将来推計におけるシナリオの設定ですとか、そういったところのノウハウの蓄積を継続しながら、引き続き取り組んでいく必要があると考えております。

 続きまして、9ページに(2)、ベースラインシナリオにおける推移予想に関しての課題ということでお示しをしております。さきにも述べましたとおり、今回計算に用いたベースラインシナリオにおいては、脱炭素化に向けた取組の加速といった、そういった情勢の変化などは十分に反映できておりません。こういった情勢の変化ですとか、あるいは大気環境の変化、そういったものを十分に情報収集するとともに、それに対応した排出量の推計というものを適切に実施する必要があると考えております。

 例えばということで、3点ほど挙げておりますが、再生可能エネルギーや電気自動車の導入促進による大気環境への影響、また、気候変動対策や技術の進歩、こちらに関しましては、先ほど資料2でも触れさせていただきましたけども、そういった取組による大気汚染物質排出量の副次的な削減、そういったものの変化の影響、また、中国や韓国といった、日本に近い国を初めとした諸外国における排出量の変化、そういったものの状況というものも十分に注視をした上で、シナリオの策定、検討というのが必要であるというふうに考えております。

 資料3の説明に関しましては以上です。

【大原委員長】 ご説明いただき、ありがとうございました。

 資料を二つご説明いただきました。資料2と資料3で、一定程度性格が異なりますので、資料ごとにご意見、ご質問をお受けしたいと思います。

 まずは資料2に関しまして、ご意見等お願いいたします。いかがでしょうか。

 三浦委員、手を挙げられていますか。

【三浦委員】 はい、石油連盟の三浦でございます。

【大原委員長】 お願いいたします。

【三浦委員】 資料2に関して意見を申し上げさせていただきます。

 まず一つ、経過措置の撤廃の効果というものを表3、表4でお示しいただきました。これにつきましては、全国で見る、もしくは地方ごとでもトータルで見ると数%ということで、正直、この経過措置の撤廃が排出抑制に効くのかどうかというのは、ちょっと微妙なところではないかとの感想を持ちました。

 ただ、ご説明にもありましたとおり、施設によっては、そこそこ排出抑制効果があるというようなデータも出ております。翻って、このような経過措置の撤廃を対策のツールとして見た場合に、全国一律に規制制度を撤廃してしまうと、効果のあるところは、有効なのでしょうけども、もともと寄与が少ない、悪さをあまりしていないところについて、ただ一律に措置を撤廃してしまい、そこで施設の建て替えとか廃止といったような設備対策を強いられると、事業者にとっては、何のためにこれをやるんですかという話になってしまいますので、こういった話をする場合には、個々の対策効果というものを見た上で、一律ではなく、対策の寄与するところに特化してピンポイントで行う措置を取られるほうがいいのではないかという事が、まず一つ目の意見でございます。

 あと、もう一つですが、今後の課題のところで、気候変動対策による副次的なばい煙排出削減効果の検討というような課題を挙げていただきました。これは私どもも、昨今のカーボンニュートラル政策の進捗度合いによって変わって来る活動量、特にPMとかオキシダントに関わる炭化水素系の燃料の転換や消費が、これからは原因物質の排出に関して大きく効いてくる要素ではないかと思っておりますので、これら寄与度の検討と、あと、資料3にもあります、シミュレーションのほうでもカーボンニュートラル政策の進捗による、排出の影響を精緻に検討していただいた上で、対策に繋げる議論にしていただきたいと思っております。

 以上でございます。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、まずは前半のご意見、経過措置を撤廃する場合には、その効果を考慮して、きめ細かくというようなご発言だったと思いますけれども、事務局のほうから、何かコメントありましたらお願いいたします。

【事務局】 ありがとうございました。

 先ほどご説明の中でも私も申しましたし、今、ご意見をいただいたところとしましても、やはり費用対効果、そういったところも十分に検討する必要があろうかなというふうに考えております。

 また、一方で、PM2.5対策に関しましては、やはり環境基準の非達成が残っている地域、その地域での対策というところと、あとはやはり前駆物質も含め、越境する物質ということでもございますので、どの辺りの地域で対策をすることが一番効果的なのか、そういったことも、シミュレーション等々も活用しながら、検討していく必要があろうかなというふうには考えております。ありがとうございます。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 もう一点、後半のほうの、2050のカーボンニュートラルと気候変動対策を見据えた上で、大気汚染対策も進めていくべきではないだろうかということに関して、いかがでしょうか。そのとおりかと思いますが、何か追加のご発言がありましたらお願いします。

【事務局】 ありがとうございます。

 これに関しましても、本日、資料でもご説明をさせていただきましたとおり、対策だけではなく、そういった様々な世の中の変化に伴っての大気環境の変化、これは十分に注意をした上で、必要な対策を実施するために、検討を続けるということが必要かなというふうに考えております。

 簡単ですが、以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。三浦委員、追加のご発言ございますか。

【三浦委員】 結構でございます。ありがとうございました。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。資料2についてお願いいたします。

 金谷委員、お願いいたします。

【金谷委員】 ありがとうございます。

 資料2の8ページ、表5のところだったかと思うんですが、地球温暖化、今の話の続きでもあるんですけれども、地球温暖化対策としてのアンモニアの利用ということに関して、ばい煙が下がるのではないかというストーリーだったかと思うんですが、これ、窒素酸化物の排出に関しては、どのような影響があるかないか、どの程度かということに関しては、何か知見を集積されておられる状況なのでしょうか。既に発電所などではアンモニアの混焼ということが、もう既に試験的に、あるいは速やかに始まってくるというふうにも伺っているので、ちょっとお聞きしたいと思いました。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 確かに今ご指摘のようにアンモニアの利用、大気汚染にとってみると、ちょっと微妙かなという面があろうかと思いますが、何か情報をお持ちでしたら、事務局のほうお願いいたします。

【事務局】 環境省の大気環境課の山崎でございます。

 アンモニアにつきましては、まず、アンモニア自体が窒素を含んでいることから、利用に当たって、窒素酸化物が増大するのではないかというような懸念の声もございまして、環境省といたしましても、まず、今年度、調査の予算を確保し、アンモニア発電とか、燃焼を伴う利用の中で、窒素酸化物が増加して、環境に影響するようなことがあるのかどうかという観点から、まずは文献調査などから調査を開始しているところでございます。

 現時点では、まだ20%アンモニアを混焼した場合とか、専焼の場合は小規模なレベルという段階ですが、こうした利用の場合には、特に問題がないというようなデータは出ていますが、今後、さらに混焼率を増やした場合、そして大規模施設で専焼を行った場合でも問題がないかどうかについて引き続き調査をしていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。金谷委員、追加でご発言はございますか。

【金谷委員】 ありがとうございます。結構です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。坂本委員、お願いいたします。

【坂本委員】 失礼しました。この後のほうです。

【大原委員長】 はい、分かりました。それでは、後ほどお願いいたします。

 ほかには、資料2についてよろしいですか。

 なければ、資料3のほうに移りたいと思います。早速ですが、坂本委員、お願いいたします。

【坂本委員】 ありがとうございます。

 お聞きしたいのは、資料の4ページで、冬のデータについて、ナイトレートとオーガニックカーボンの計算値が非常に低いという話ですけど、これは2015年のインベントリを使ってやった場合には、まだ発生源データについて凝縮性粒子とかが入っていない。このナイトレートとオーガニックカーボンは、気温によって炭素粒子に変わることがあるから、凝縮性粒子の影響も、夏は出なくても冬は出るなんていう場合もありますので、この辺のところが関係しているのかなとも思うんですが、エミッション・インベントリの関係で、いかがでしょうか。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 事務局から、いかがですか。

【事務局】 ありがとうございます。

 今ご指摘いただきましたとおり、凝縮性粒子等も含めた排出インベントリの精緻化というところも、まだ十分ではないのかなというふうには課題として認識をしております。こちらに関しても、引き続き情報収集等をしながら、インベントリの情報として、様々な知見を反映させるとともに、モデル計算のほうに関しましても、精緻化ということで取り組んで、精度を上げていきたいかなというふうに考えております。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 坂本委員、いかがでしょうか。

【坂本委員】 はい、結構です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、田邊委員、お願いいたします。

【田邊委員】 ありがとうございます。

 今の図3の話ですが、観測値と計算値の不一致について、できれば原因を整理してお示しいただけるとありがたいと思います。例えば夏と秋の硝酸の過小評価は、観測値が24時間捕集の分析値の場合には、観測値が揮発によって過少になることも原因の一つと考えられます。

 それから、炭素成分について、私、これ、いつも不思議に思うんですが、エレメンタルカーボンも冬に非常に過少になるので、そのほか、過少になっているものが結構たくさん冬にはあるので、これは大陸からの移流計算の問題なんでしょうかというか、すみません、これは質問です。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 事務局から、ちょっとお答えが難しいかもしれませんけれども、可能な範囲内で回答をお願いいたします。

【事務局】 ありがとうございます。

 今ご指摘をいただきました比較対象としている成分分析、こちらのデータに関して、特に硝酸等が揮散してしまうんじゃないかということは、課題として承知をしているところでございます。そうした中で、環境省において実施をしている24時間連続測定、成分の自動測定機、まだ配備数としては十分ではございませんけれども、こういったデータも使いながら、成分の再現性というところに関しましては、比較検証していきたいかなというふうに考えております。

 また2点目、ちょっとご指摘をいただいた移流の汚染の部分に関しましては、いわゆるシミュレーション計算の際にどういった条件だったりということを設定するかというところ、まだ課題なのかなというふうには認識をしております。いただいたご指摘等も踏まえまして、そちらも引き続き検討、精緻化したいかなというふうに考えております。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございます。田邊委員、追加のご発言ございますか。

【田邊委員】 今の点に対しては、結構でございます。

【大原委員長】 それでは、ほかの点に関して、いかがでしょうか。特にございませんか。

【田邊委員】 よろしいですか。

【大原委員長】 どうぞ。はい。

【田邊委員】 図4のほうなんですけれども、これ、実測値とモデル計算値を比較している図になっているんですけれども、モデル計算値は低めに出るので、基準年の実測値と将来予測値を比較することは、あまりよろしくないんじゃないかというふうに感じます。基準年の年平均値は、多分、前の表で見ますと、観測値で12.31で、推定値は7.34なので、もしこの数字がこの図に当てはまるのだとすると、ベースラインシナリオでは濃度が高くなってしまうということなのでしょうかという、これが質問です。

【大原委員長】 以上でよろしいですか、田邊委員。

【田邊委員】 はい。

【大原委員長】 では、事務局から、ご回答をお願いいたします。

【事務局】 ご指摘ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたとおり、確かに基準年の観測値と比べまして、シミュレーション自体がそもそも低減になっているというところはあろうかと思います。一方で、すみません、ちょっとご説明が十分でなくて申し訳なかったんですけれども、今回の将来濃度推計に関しましては、過少という部分も加味した上で、基準年とベースラインシナリオでの比較という形になっております。なので、今回、実際の数字の部分で並べていなかったところで、非常に分かりにくい形になってしまったかなと思いますが、その辺りは、過少の部分も補正をしての比較ということになっております。

【大原委員長】 少し補足しますけれども、シミュレーションによる基準年と将来年の変化率、これを使って基準年の観測濃度を変化させたと。そういう趣旨で、その手法が妥当なのかどうかという問題もあるんですが、少なくとも、現況でこれほどの濃度のレベルの違いがあるという中で、そうせざるを得なかったということでございます。

 以上ですが、田邊委員、いかがでしょうか。

【田邊委員】 分かりました。多分、どこか私が読み飛ばしたのかもしれないので。

【大原委員長】 いや、書いてないみたいですね。

【田邊委員】 それは相当誤解を招くので、ぜひ書いてください。

【大原委員長】 はい、ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。資料2のほうについてでも結構ですが。

 飯田委員、お願いいたします。

【飯田委員】 飯田でございます。

 資料3のシミュレーションについては、まだまだ課題山積ではあるんですが、これから先、一次粒子の排出源が、ばい煙の対策等で減っていって、それから、相対的に二次粒子が増えてくるという状況の中で、やはりシミュレーション技術のほう、引き続き育てていただいて、それのポリッシュアップ、加えて研究者の育成というところも非常に大事かと思いますので、その辺を引き続き留意して進めていただきたいという意見でございます。特にご回答は要りません。よろしくお願いします。

【大原委員長】 貴重なコメントをいただきまして、ありがとうございます。私もそのとおりだと思います。なかなか、キャパシティ・ビルディングが難しい状況ですね。

 このシミュレーションの仕事に私も関わったのですけれども、コロナの状況の中で、非常に短期間で環境省がやられた仕事で、そういった面で、まだやるべきことが多々あろうかというような印象も持っておりますので、それらの点につきましては、今後の課題ということでご了解いただければと思います。

 また、若手研究者やモデラ―の育成なども重要な課題かと考えております。委員の方の中には、大学の関係者もいらっしゃると思いますので、ぜひご協力いただければと思います。

 ほかにはどうでしょうか。

 鵜野委員、いかがでしょうか。

【鵜野委員】 鵜野です。一応、大学の関係者という意味で。

 図2のシミュレーションの結果の図を見ていますが、モデルをやっている立場からちょっと補足すると、冬の硫酸塩が非常に過少になっているのは、多分、最近報告されていますが、ヘテロ反応でSO4ができるのが、ちゃんと入っていないんですね。それを入れると、SO4がよくなって、SO4をバランスするのにアンモニウムが出てくるから、アンモニウムもよくなるんですね。ですから、SO4、アンモニウム硝酸塩は、ぐっとよくなると思います。秋と冬に、OCMですか、それがうまく動かないのは、何か違うなと思いますね。ですから、どうして秋と冬だけOCMがうまくシミュレーションされないのかは、ちょっとモデルに戻って再検討されると、モデルの再現性がもっとよくなるんじゃないかと思います。コメントです。

【大原委員長】 コメントいただき、ありがとうございます。

 今、モデル等に関して幾つかご指摘いただきましたので、今後のシミュレーション業務に関しまして、参考にさせていただければと思います。ありがとうございました。

 ほかにはどうでしょうか。

 日化協の森委員、お願いいたします。

【森(二)委員】 日化協の森と申します。今回初めての出席ですけども、今後ともよろしくお願いいたします。

 資料2に関してということでも、よろしいということで、資料2についての、これは先ほど三浦委員のほうからもあったことなんですけども、いわゆる冒頭のところで、追加的な固定排出源の対策の必要性ということを考えられていますけども、資料3にもありますように、今後、やはりいろんなファクターが入ってくる。それも、エネルギー転換もありますし、それから技術革新も入ってくることもあるんですけども、それは中国においても、それから韓国においても、同じような形で進んでいくというところで、あまり固定発生源という形で、対応だけで見ていくというのも、どうなんだろうかというところが、率直なところで思いましたので、いろんな、もう少し多面的なといいますか、そういうところで対策のファクターを、要素を考えていただければというふうに考えました。

 以上です。

【大原委員長】 ご指摘いただき、ありがとうございました。

 環境省からご回答をお願いします。

【事務局】 ありがとうございます。

 ご意見いただいたことを踏まえて、十分に、そういったこと、様々な情報等々加味しながら、対策を検討していきたいかなというふうに思います。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。ほかにはご発言ございませんでしょうか。よろしいですね。

 はい、どうもありがとうございました。

 それでは、続いて資料4につきまして、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

【事務局】 それでは、資料4について説明させていただきます。

 資料4、こちらに関しましては、今年の9月に開催をしました第15回大気・騒音振動部会において、先にお示しをしている資料になります。

 気候変動対策・大気環境改善のための光化学オキシダント総合対策についてということで、<光化学オキシダント対策ワーキングプラン(水・大気環境局)>(案)というふうに記載をしておりますけれども、このワーキングプランというものを策定したいというふうに考えております。

 背景としましては、光化学オキシダントの主成分でありますオゾン、これは放射強制力が二酸化炭素、メタンに次いで3番目に大きいということで、それ自体が温室効果ガスであるというほか、植物の生育に悪影響を及ぼし、植物による二酸化炭素吸収を阻害するため、気候変動という観点でも影響が大きく懸念されていると。そういった汚染物質でございます。

 これまでに、水・大気環境局においては、特に人健康の保護という観点から、光化学オキシダント排出抑制対策として、前駆物質の削減ということで進めてきたところでありますけれども、環境基準の達成率としては依然として低い状況にあるというところでございます。

 こういった背景を踏まえまして、大気環境の改善だけではなく、気候変動対策といった観点からも、国内における光化学オキシダントの削減が急務であるというふうに考えております。

 そこで、この両方に資するということで、示しておりますような二つの目標を掲げまして、これに必要な政策パッケージを策定したいと。それに先立って、今回、対策ワーキングプランということで、どういった取組を進めていくか、そういった方針をまずは整理をしたいというふうに考えているところでございます。

 2番目の大気環境の現状、こちらに関しましては、本日、議題の1でご説明をしました内容と重複いたしますので、ここでの説明は割愛させていただきます。

 2番目、2ページの3.としまして、これまでの検討状況及び課題ということで、4点挙げております。

 特に光化学オキシダントの気候変動への影響の解明ということで、3.2からお示しをしておりますが、先ほど冒頭申しましたような背景が記載をしております。

 また、3.3の光化学オキシダントの生成機構の解明、それから3.4に関しましては、従来の光化学オキシダント対策ということで、継続して記載をしているところでございます。

 特に3.4番、光化学オキシダントの削減対策とその効果の検証というところでございますけれども、これまで、先ほども申しましたとおり、前駆物質の削減ということで取り組んでいると。そうした中、NOXに関しましては、各種発生源からの対策効果により、大気中の濃度というものの減少傾向が継続していると。その結果、NO2という観点で見ますと、環境基準を達成して、長くその状態が続いているという状況でございます。また、VOCの排出量に関しましても、平成12年度と比べまして、今、直近のところで50%以上減少しているといった状況で、大気汚染防止法と、あとは事業者様の自主的な取組、そういったものによる効果というのは十分に見られているところではありますが、光化学オキシダントの環境基準の達成状況とすると、やはり依然として低いと。なので、これまで実施をしてきました発生源対策、これらの対策効果というものを、改めてシミュレーションモデル等も活用して検証し、従来の取組を継続するとともに、より効果的な対策の検討というのが必要であるというふうに考えております。

 これを踏まえまして、4.で、今後の取組事項ということで3点挙げております。中でも特に、②番目に気候変動に着目した科学的検討、③番目に光化学オキシダント濃度低減に向けた新たな対策の検討ということでお示しをしております。本日は、特にこちらで2点お示しをしている内容について、よりこういった観点からの検討が必要ではないかといったようなご意見を伺いたいかなというふうに考えているところです。

 ②の気候変動に着目した科学的検討としまして、まずは、アが光化学オキシダントによる植物の二酸化炭素吸収阻害の定量評価というものでございます。こちらは、シミュレーション等を活用しまして、国内の光化学オキシダント濃度とその影響による植物の二酸化炭素吸収量の低下、こういったものを推計しまして、国内のオゾンに、光化学オキシダントによる影響というものを定量的に評価したいというふうに考えております。

 イとしまして、温室効果ガスとしての光化学オキシダントの寄与調査ということで、これに関しましては、既に様々なところで調査・検討・整理がされているところではありますけれども、この枠組みの中でも、改めてその辺りを整理し、気候変動対策の必要性というところを再度確認したいというふうに考えております。

 それから、ウ.国際機関との連携でありますけれども、これに関しましては、例としてCCACですとかEANETというものを挙げておりますが、そういった国際機関での取組、気候変動対策の検討、そういったものと連携をすることで、新たな知見の収集、あるいは環境省における取組の発信、そういったものも取り組みたいと考えております。

 ③番の光化学オキシダント濃度低減に向けた新たな対策の検討というところに関しましては、こちらも3点整理をしております。

 アとしまして、 現状の把握、生成機構の解明及びシミュレーションモデルの精緻化ということで、これに関しましては、大気の常時監視等によって観測されている光化学オキシダント濃度、これらをより詳細に、従来の環境基準を達成している/していないというようなものだけではなく、より詳細に解析をして、大気環境の現状というものを正確に把握したいというふうに考えています 。また、生成機構に関する新たな知見の収集ですとか、前駆物質の排出インベントリやシミュレーションモデルの精緻化、こういった取組によって、光化学オキシダント生成に係る寄与率といったものを整理していきたいというふうに考えております。

 イとしまして、過去の対策効果の検証ということで、括弧書きの中に(前駆物質削減による効果)というふうに記載をしております。課題のところでも述べましたとおり、これまでの排出規制や自主的取組、こういったことによる前駆物質の削減が光化学オキシダント濃度の変化にどれほど影響を及ぼしているのか、それをさきに説明しました現状把握というものと合わせて検証をしたいというふうに考えております。

 最後、ウとしまして.光化学オキシダント対策の検討・削減シナリオの策定ということで、これに関しましては、従来も人健康保護という観点で取組を進めておりましたけれども、大気環境等に関する将来予測や上に挙げておりますような取組の成果、こういったものを踏まえて、光化学オキシダント対策に必要な取組、これを改めて検討しまして、削減に向けたシナリオを策定したいというふうに考えております。

 最後、4ページ目に、今後のスケジュールということで、簡単なものではありますが、お示しをしております。先ほど説明いたしました気候変動との関与、そういったことに関しては、今年度から来年度といったところで、情報収集を開始していきたいと考えております。また、光化学オキシダントの対策、この部分の検証に関しましては、今年度中から実施している取組を継続するとともに、将来濃度シナリオ、そういったものの策定も踏まえて、光化学オキシダント対策に必要なものの検討を進めたいというふうに考えております。

 簡単ではございますが、説明は以上となります。

【大原委員長】 ご説明いただき、ありがとうございました。

 委員の皆様も、ご存じといいますか、共通した認識を持たれているかと思いますけれども、光化学オキシダントをいかに低減するのかということは、極めて重要な緊急性の高い課題になっているというところでございます。

 それと、光化学スモッグ対策につきましては、日本でもそうですし、欧米でもそうですけれども、これまで、いろいろな対策、あるいは規制戦略を持って対応されてきたというところでありますが、一連のご説明にもありましたように、今回、それに加えて気候変動の側面が極めて重要であることから、この点を加味しつつ、環境省として政策パッケージをつくられようとしています。

 政策パッケージに盛り込む事項を、この4.のところで挙げていただいておりますので、これで十分なのかどうか、もっと必要なことがあるのではないだろうかなど、様々な角度からご意見をいただきたいというのが、ご議論いただきたい趣旨でございます。

 それでは、ご発言をよろしくお願いいたします。

 金谷委員、お願いいたします。

【金谷委員】 ありがとうございます。JAMSTEC、金谷でございます。

 気候変動対策と大気汚染の対策をオーバーラップさせていくということは、非常に今の時宜にもかなって、非常に重要な方向で動いていらっしゃるというふうに認識しておりまして、改めてありがとうございます。

 私自身も、IPCCのAR6ワーキンググループ1の報告書、この8月に出まして、オゾンのことをカバーしているチャプター6、SLCFのチャプターのレビューエディターをさせていただきました。そちらからの知見の提供ということも各方面にしているところでありますけれども、私にできることがあれば、また追加でということも可能です。一つは、ここでの植物影響、オゾンが植物にダメージを与えて、光合成を下げてCO2を減らしにくくするという、そのお話も、そこにも少し書かせて――ワーキンググループ1報告書にも書かせていただいているところがありますが、low confidenceで、その効果を、限られた知見をもとに、全球に敷衍する形で地球システムモデルに入れて評価すると、オゾンの直接効果を上回るような温室効果になってしまうと書かれています。科学的にモデルでどう表現してよいか定まらず保留なっているという、そんな状況でもありますので、国内でも分かること等々、知見を高めていくということは重要かと思いますし、もう一つは、やはりメタン・プレッジで、今、もう日本も含め100か国以上参加をして、2020年比、2030年30%メタンを下げるという話になってきたときに、オゾンがどう変わってくるのかに関しては、国内の都市部のオゾンの生成が下がるわけではないかもしれませんけれども、全球的なベースライン濃度は下がる話ではありますので、今の環境基準の非達成/達成ということには効いてくる可能性が大きくあると思いますので、そこも注視していく必要があろうかと思います。

 ちょっと長くなって申し訳ないんですけど、AR7の次のサイクルでは、都市の特別報告書をIPCCでも作ることになっていますし、SLCFのインベントリの方法論を、インベントリ自身ができてくるのは、まだ大分先ではありますけども、方法論をつくることにもなっていますので、そこのオーバーラップをぜひ脱炭素室の方とも連携をされて構築、がっちり組んで構築されていくということは非常に重要だと思っています。

 まず、ここまでにします。ありがとうございます。

【大原委員長】 貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

 IPCCが先日出されたレポートでは第6章に、SLCFのセクションを設けられており、それはIPCCのレポートの中では初めてだと思いますけれども、金谷委員はそこにおいてレビュアーを務められており、非常に貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

 取り分けメタンの観点が抜けていると思いますので、このところに関しましては、環境省も少し目配りしていく必要があるかなと思いました。

 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 三浦委員、お願いいたします。

【三浦委員】 石油連盟、三浦でございます。

 ご説明ありがとうございました。

 4.の今後の取組事項の③で、光化学オキシダント濃度低減に向けた新たな 対策の検討ということでア、イ、ウとございます。ア、イにつきましては、アが現状と未来、イは過去に対するレビューという形で、前駆物質の削減が光化学オキシダント濃度にどう寄与するかを、シミュレーションを活用して検討するというような、時間軸を変えた形での記載だと理解いたしております。先ほど申し上げましたこととも関連しますが、光化学オキシダントにつきましては、人為的な前駆物質と言われておりますVOCの排出量は、カーボンニュートラル政策が進展した場合、もうこれはほとんど政策というよりも社会全体が変わっていくというパラダイムシフトのような現象でございますが、その影響は、やはり光化学オキシダントにおいてもかなり大きなファクターになるんじゃないかなと思っております。そういう点でも、こういったようなシミュレーションをするに当たっては、将来のパラダイムシフトによって、原因物質の活動量がどう変化していくのか、それがどう影響していくのかということも、ぜひここに盛り込んだ上でご検討いただきたいと思っております。

 そういう点で、5の今後のスケジュールの中に、そういった調査、例えばマクロ経済調査の様な話が出てくるのではないかと私は思っているのですが、そのような調査とか検討というものが、どの辺に含まれるのかがこの資料を見ただけでは分からなかったので、お示しいただければと思いました。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 事務局からお答えいただけますか。

【事務局】 ありがとうございます。

 今ご指摘いただいた内容、おっしゃるとおりかなと思っております。今回、そういった大気環境等に関する将来予測という部分、今、画面に示しております③のウの中身の、冒頭に、ちょっと簡単に書いてしまっているところがございました。おっしゃるとおり、まずはそういったところ、将来どうなるというところの解析に関しては、十分に時間をかけて、しっかりと取り組むべき事項かなと思っております。今ご指摘いただいた内容を踏まえまして、中身、改めて考えたいかなと思います。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 私からも補足しますが、将来シナリオの設定は極めて重要だと私も思っております。2030、2050に向かって、社会がまさに動こうとしている中で、やはりそういったような動きを考慮して、そこをベースにして将来どうなるのか、その上で大気汚染対策をどう進めればいいのかといったような検討をしっかりと進めるということが重要で、項目で言うと③のウのところに書き込まれていますが、やや表現が弱い印象もありますので、そこはぜひ事務局のほうで加筆していただければと思います。

 あわせて、将来の動向、あるいはシナリオを描く、さらには技術がどうなるのか。先ほどアンモニアの燃焼による影響という話もございましたけれども、いろいろな情報がシナリオを描く上では必要で、そのためには、ぜひ、今日ご出席いただいている業界団体の委員の皆様のご協力もぜひいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上ですが、三浦委員、追加のご発言はございますでしょうか。

【三浦委員】 ございません。ありがとうございました。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 それでは、電事連の吉田委員、お願いいたします。

【吉田委員】 電気事業連合会の吉田でございます。

 私のほうからは、資料の3ページ、3.の4のところにも記載があるんですけど、先ほどの三浦委員からもあったとおり、光化学オキシダント排出抑制策として、NOX、VOCの削減に取り組んできましたと。NOXについては濃度減少、それからVOCの排出量も低下ということで、ここのところについては、これまでの関係者の皆様のご努力の成果なのかなというふうに思っております。ただ、しかしながら、こうした努力の成果にも関わらず、肝心の光化学オキシダントの基準、この達成が依然として著しく低いということで、前の2ページのところの3.3のところにも記載がございますが、やはり光化学オキシダントの排出抑制策の具体化に当たっては、生成機構のさらなる解明が必要だというふうにありますので、ここのところについては、大変難しい取組かと思いますけれども、今後ともどうぞよろしくお願いいたしますということです。

 それで、それを踏まえての4.のところ、先ほどもご説明があったとおり、今後の取組事項のところ、③濃度低減に向けた新たな対策の検討ということで、ア、イ、ウと示されておりまして、このとおりなのかなというふうには理解をいたしましたが、一方で、次の4ページに示されております今後のスケジュールを見ますと、アのところが、令和3年後半からずっと線が引かれていて、それとは別に、イ、過去の対策効果の検証、それを踏まえて、令和5年からすぐに対策の検討というふうに線が引かれているわけでございますけれども、まずはやはりイの検証ですとか、ウの対策の検討を始める前に、しっかり、アの生成機構の解明、それからシミュレーションのモデルの精緻化、ここをしっかりやった上で、イとウの検討に進んでいくのかなというふうに思った次第でございますが、ここのところについては、事務局のほうではどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 では、事務局からお願いいたします。

【事務局】 ありがとうございます。

 ご指摘いただいたこと、もっともかなと思います。おっしゃるとおり、まだ十分に生成機構というものが解明できていないと。そうした中で、対策効果の検証ということで実施をした際に、十分な情報を持って効果が検証できるのかというところに関しては、正直、ちょっとどうなのかなというところは、はっきりとは申し上げられないかなとは思っております。

 ただ、一方で、これまでに実施をしているようなシミュレーションの精緻化、そういったものの成果というものを見ながら、ある程度、生成機構の解明が進んだところで、そのときからえいやということではなくて、やはり先ほど別の資料でご説明をしましたとおり、検証というところに当たっての取組、継続をしなければ、なかなか十分な検証をするためのノウハウというものも蓄積できないのかなというふうには考えております。そういった意味では、今回お示しをさせていただいたスケジュールに関しましては、現時点で持っている知見に基づいての効果の検証とかというものは、同時並行的に進めていくと。そうした中で、生成機構の解明等の中で、新たな知見が入ってくれば、またそれを踏まえて検証の成果にリバイスをかけていく、そういった進め方が必要なのかなというような、そういった認識の中で今回お示しをしているところです。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 吉田委員、追加のご発言ございますか。

【吉田委員】 ありがとうございました。

 一応、こういう線引きはしてあるけれども、やはり大前提は生成機構の解明、これが大事だというふうに理解をさせていただきました。どうもありがとうございました。

【大原委員長】 いやいや、それは大事なんですけれども、生成機構の解明が十分に終わるまでほかのことをやらないということにはならないと思うんですよね。やはりそこは同時並行的に進めていくということが極めて大事だと。短期的に取組を進めるためには、そうするしかないと私は思います。

 はい、ありがとうございました。

【大原委員長】 それでは、自工会の板場委員、お願いいたします。

【板場委員】 自工会の板場です。ご説明ありがとうございました。

 やはり皆さんと同じようなことになりますけれども、自動車としても、やはりNOX、VOC対策、工場としてもVOC対策に取り組んできて、半減とか、いろいろやってきたというところがあって、その割に、割にと言っちゃあれですけども、オキシダント対策の効果が出てこないというところでは、皆さん、今後どうするんだろうといったことを考えられると思っております。

 確かに観測とシミュレーションの精緻化ということで、シミュレーションモデルの精緻化を進めるということでございますが、シミュレーションについても、情報を集めれば、いろんなシミュレーションモデルはあると思いますので、それを含めて、どのようにしたら観測とシミュレーションの一致が図られるのかというのを一生懸命やっていただきたいと思っております。

 あと、それに絡んで、この後、対策、もう削減シナリオということになるんですけれども、このときに、やはりPM2.5と同じように、やはり費用対効果も含めてやることは必要かなと思います。オキシダントを下げるのは、とにかく大事だということで、進めるのは分かっておりますけれども、やはり費用の面も見る必要があるというふうに思っております。

 また、気候罰則という話を最近ちょっと聞きまして、やはり気候変動が同時に起こってくるわけですから、将来予測をするに当たっても、やはり気温の変化、この辺を加味した上でのシミュレーションをやるとか、やはりその辺も追加して見ていただきたいと思いました。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 事務局から、もし何か。

【事務局】 ありがとうございます。

 今ご指摘いただいた内容、おっしゃるとおりかなと思います。そうですね、PM2.5対策ということで、先ほど別の資料でご説明させていただきましたけれども、やはり費用対効果というところに関しては、しっかりと確認をしたいかなと思います。

 また、今おっしゃっていただいた気候変動による変化というものも、シミュレーションに加味するべきと。そこに関しましては、将来シナリオということで、検討する際に、そういったファクターというものも十分合わせまして、取り組みさせていただければと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、鵜野委員、お願いいたします。

【鵜野委員】 鵜野ですけど、資料4を拝見すると、急務であるとか、必要あるというのが5回も出てきまして、オゾンはオキシダントが非常に重要な課題であるということです。ただ、基準の達成率は、未達成が30年以上続いているということが非常に重要な問題だと思います。今意見がありましたように、気候罰則が正に働くため、温暖化が進むと、多分、オゾンの濃度が下がるイメージはあまりないと思うんですね。ですから温暖化の適用対象の一部としても、もっと強調して、もっと重点的に考えてほしいと思います。

 私、モデルをやっているんですが、非常に問題なのは、エミッションが下がってもオゾンが下がらないというのがモデルで再現できないんじゃないかというところなんですね。そこはどうしてなのかというのは非常に問題で、今後の課題にもあるんですけど、重点的に取り組む課題だと思います。

 特に、例えば図2の平成18年ぐらいから20年にかけてオゾンは下がっていて、その後、オゾンは横ばいで推移しています。この辺のところが既存のモデルでちゃんと再現できているかどうかというのを、ちゃんと検証する必要があるんじゃないかと思います。

 以前、モデルの委員会の報告、たしか秋元先生の論文として出ていたと思うんですけど、それは2010年頃のエミッションの状況なんですね。国内のエミッションも、その後、結構下がって、VOCも下がっているんですけもど、中国の排出量の変化というのが、2010年以降、物すごく下がっている、変化していますから、その辺を含めたモデルの検証・検討というのがすごく大事じゃないのかなと思います。

 特にモデルなんですけど、今使っているモデルは、どこまでのプロセスが入っているのかというところをちゃんと見直して、例えばPM2.5が下がると、OHラジカルの濃度が上昇してオゾンが減るということはよく知られているし、同じようなことは日本だけじゃなくて中国でも起こっているので、越境のオゾンレベルは多分物すごく変化しているんですね。温暖化の進展で、VOC起源、自然起源のVOCの発生量が物すごく変化するし。ですから、その辺のエミッションの変化とか、汚染物質の相互の成分の変化とか、越境オゾンレベルの変化とか、温暖化の影響を全部精査しまして、既存のモデルの物理化学過程を見直した解析をしなくちゃいけないんじゃないかということを最近考えています。

 ですから、この辺のところを重点的に見直してオゾンの問題を捉えないと、多分、この先、モデルシミュレーションを繰り返しても、同じような答えしか出てこないんじゃないかと思うので、この辺をちゃんと再検討されたらよろしいんじゃないかと思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。シミュレーションの立場から、重要なご指摘をいただきました。

 もし、事務局から、何かご回答がありましたらお願いします。

【事務局】 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、特に光化学オキシダントの長期的変動ということで、今コメントいただきました新指標による変化というものもお示しをしているところですが、おっしゃるとおり、過去の対策効果というようなところで、検証するに当たって、まずは高濃度域の変化というものが十分にシミュレーションで再現できるのか、そこに関しては確認をしていく必要があろうかなと思っております。また、その辺りの再現性が取れた上でなければ、なかなか、過去の対策効果がどれぐらいどこに寄与したのかというところは、十分な議論ができないかなというふうには考えておりますので、その辺り、しっかりと、いただいたご意見を踏まえて取り組みたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ぜひ、シミュレーションの高度化・精緻化に関しましては、鵜野委員のご協力もいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、上野委員、いかがでしょうか。お願いいたします。

【上野委員】 ありがとうございます。東京都環境研の上野です。

 まず、環境基準なんですけれども、自治体としては、環境基準達成に向けて努力しているわけですけれども、今の環境基準は、どう頑張っても達成できないような状況だと思います。この資料を見たところ、基準を検討するのかと読めたんですけれども、よくよく見ますと、環境基準の検討に向けた整理ということで、まだまだ先のような印象もあるのですが、ぜひ、環境基準の検討ということをやっていただきたいと思います。

 それから、もう一つ、気候変動に着目した科学的検討とありますが、これも気候変動がオキシダント濃度に与える影響もあって、それが自治体としてはまたちょっと不安な面もあるので、検討していただきたいと思います。

 それから、もう一つ、大気環境の現状ということで、グラフをお示しされていますが、自治体としては、自治体レベルでは、オキシダントの昼間の年平均値というのもよく出しているんですけども、それがちょっと増加傾向にありますので、気候変動に向けた科学的検討をするというのが必要だというのも説明に使えるのではないかなと思ったので、ご検討いただければと思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 事務局からお願いいたします。

【事務局】 ありがとうございます。

 今ご指摘いただいた内容、ご意見を踏まえて、検討したいかなと思います。

 ちょっと私のほうからもコメントできることとしまして、おっしゃっていただいた気候変動から受けてのオゾンの濃度変化、そういったところに関しましては、おっしゃるとおり、十分に精査すべきかなと思っております。光化学オキシダント濃度の変化に寄与するようなファクターとして、どういったものがあって、それが今後どういうふうに変化していくかというところに関しては、将来予測というところでも必要かなというふうには認識をしておりますので、その辺りの情報もしっかりと収集をして、精査したいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、日化協の森様、お願いいたします。

【森(二)委員】 ありがとうございます。

 私のほうからは1点、まずご質問なんですけど、今の4.のところの③のウのところですけども、ウの2行目のところに、「大気環境等に関する将来予測や上記の成果を踏まえ」という、この「上記」なんですけど、この「上記」は、今書かれています①から③のア、イまでのことを示しているのか、それとも③だけのことなのかなというのが、ちょっと気になっています。それはなぜかというと、ここで削減シナリオを策定するという話になったときに、じゃあ、①の削減シナリオだと、人健康被害みたいなものを防止します。②だと、やっぱり温暖化に対する寄与みたいなものを削減の目標としてやるのか。いやいや、違うんだと。やっぱり環境基準みたいなものが出ていて、これが未達なので、ここの削減シナリオにするんだというような形で、いろいろ目的と目標が変わってくるんじゃないかなというところで、どこまでそれを包含するんだろうかなというのが、ちょっと疑問に思ったのが1点。

 それから、もう一つ、これは要望ではありますけど、先ほど三浦委員のほうからもございましたけど、産業界としては方針が決まって、経済的・科学的なところがあればやっていくという形なんですけど、いかんせん、タイムラインというものを、やっぱりある程度、設備更新の点から考慮していただきたいなというふうに、要望としてお願いしたいと思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 事務局からお願いします。

【事務局】 ありがとうございます。

 今回、このワーキングプランの中でお示しをしています光化学オキシダントの削減シナリオ、ここに関しましては、目的のところでもお示しをしているとおり、気候変動対策という観点からも、そのシナリオの策定というのが必要というふうに考えているところでございます。なので、今、コメントをいただきましたとおり、例えば植物の二酸化炭素吸収阻害、今、プランのところでは定量評価をまずチャレンジしたいというふうに書いておりますけれども、そういった評価の結果として、いわゆる植物の二酸化炭素吸収量というものを十分に確保するためには、どの程度までのオゾン濃度が必要なのか、そういったことも整理ができるかなというふうに思っております。そういった様々な情報を踏まえまして、目標を定めて、それに必要な削減シナリオということで策定をするというようなイメージでおります。

【大原委員長】 ありがとうございました。ですから、「上記」というのは全てだということですね。

 ということでございますけれども、森様、いかがでしょうか。よろしいですか。

【森(二)委員】 はい、結構でございます。ありがとうございます。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、田邊委員、お願いいたします。

【田邊委員】 ありがとうございます。

 まず最初に、先ほど鵜野委員がおっしゃったモデルをきっちり見直したいというのに、私も大変賛成したいと思います。生成から沈着まで、いろんな課題があると思うんですけれども、モデル自体が、やっぱり抜けているメカニズムのほかに、いろいろなパーツを組み合わせて作られているために、例えば少なくともVBSの整合が、エージングが何日も進んだ場合には、炭素収支が取れなくなる可能性があるといったような問題もありますので、本質的に、いろいろ見直すというのは大事だと思います。

 一つ、実は個人的に①イに関係して気になっているんですけれども、過去の光化学オキシダントの健康被害と現在の状況の違いに関して、何か説明ができるといいと思うんですが、オキシダントの中身が過去と現在で異なるからだとかといったような、何か説明は可能なのでしょうか。質問です。

【大原委員長】 すみません。ちょっとご質問の意味がよく分からなかったので、もう一度、分かりやすくご説明いただけますか。

【田邊委員】 過去、光化学オキシダントというと、目がちかちかしたり、倒れたりとか、今も、その当時とオゾン濃度は、そんなにオキシダント濃度は変わらないのに、そういう被害が出てないというような話が、オキシダントの中身が過去と今で違うからといったような何か説明ができるのかというのが質問です。

【大原委員長】 なかなか難しいですね。

 事務局からどうですか。

【事務局】 ありがとうございます。

 環境省としましても、特に光化学オキシダントの高濃度に伴っての注意報の発令状況ですとか、あるいは被害届、そういった状況については、自治体様からご報告をいただいて、毎年、整理をしているところではございます。そうした中で、いわゆる健康被害を訴えられた方々が、どういった症状というところに関しては、まだ、ご指摘をいただいたような過去からのところで、通年での評価というか、精査というところは、ちょっと十分にできていないので、それはちょっと、いただいたご指摘を踏まえて、検討したいかなとは思っております。

 一方で、注意報の発令、延べ日数に関しましては、単純に過去から現在までのところで、かなり減少してきているというところもありますので、その辺りが、いわゆる高濃度という状況になるのが、以前よりは濃度レベルとして下がっているのかなというような、そのぐらいの認識をちょっと今持っているというところですが、その辺り、もうちょっとしっかりと精査したいかなと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 田邊委員、もし追加で何かありましたら。

【田邊委員】 いえ、見直していただけるのであれば結構です。

【大原委員長】 なかなか難しい課題だとは思いますけれども、これからディスカッションさせてください。お願いします。

 坂本委員、いかがでしょうか。

【坂本委員】 ありがとうございます。二つあります。

 まず最初は、現在の環境基準、これが短時間ばく露による影響は、決めた当時と同じような状況があるのかどうなのか。また、その後、短時間ばく露による影響、健康影響のデータが出ているのかどうか。見直すという形で、環境基準、先ほど上野委員からお話がありました。それから、田邊委員からも、オキシダントの中身が過去と今では変わっているのではないかというようなこともありましたけれども、その辺を考えて、健康影響が、現在決められている環境基準の短時間ばく露の影響があるのかないのか、過去の疫学調査データ、それから最近のものまで見て、きちんと検討を早くしていただきたいということです。これは5ページの①のイに相当するところですね。

 それから、もう一点は、今回、光化学オキシダントという形で出ていますけれども、実はいろんな生成機構を考えた場合、PM2.5を一緒に考えざるを得ないと思います。要は、光化学オゾンについて効く方向と、それからPM2.5に効く方向、VOCによっては違う方向になるものもあります。そういう意味で、機構、それから実態の解明、それからシミュレーションの精緻化、これはまさに重要なところなんだと思うんですけれども、これについて、ぜひ、きちんとやっていただきたいというふうに思います。ですから、これは3ページの③のところ、光化学オキシダント濃度低減に向けた新たな対策の検討というところに、PM2.5の影響も考慮しながらやるということが同時に必要だというふうに思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 事務局からお願いします。

【事務局】 ありがとうございます。

 今、1点目、ちょっとご指摘いただきました人健康への影響の部分、こちらに関しましては、局内でも連携しながら、ご指摘をいただいた、例えば場合によったらオゾンの成分が変わっているのではないか、そういったところ、整理をした内容等踏まえて、ちょっと検討をさせていただければと思っております。

 また2点目、ご指摘をいただきましたオキシダント対策というところにおいては、PM2.5との相関といいますか、そういったところも検討すべきということで、ご指摘ありがとうございます。もともと、PM2.5と光化学オキシダント、前駆物質は同じくするものですけれども、今コメントいただいたように、生成に寄与する割合とすると、異なっているということもあるかと思います。ご指摘いただいたところも踏まえまして、両面のところから、しっかり検討させていただきたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 既に時間を超過しつつありますので最後になりますが、三浦委員、ご発言をお願いいたします。

【三浦委員】 三浦です。すみません。ありがとうございます。

 こと光化学オキシダントに関しましては、もうずっと環境基準を達成できていないがゆえに、削減が急務であるということで、常に追加対策あるべしと語られていますけれども、一方、生成機序自体もよく分かっていない部分もあるわけです。だからこそ、きっちりそれを研究していきましょうという話があって、そこから効果的な対策というのが現れてくるのだと思います。

 一方で、いやいや、分からないからといってやらないのでは、環境改善対策としては間に合わなくなってしまうので、パラレルに対策と検討を進めていくのだというお話もあり、それも分からなくはないのですが、今まで対策をやっていなかったかというと、やっておりました。産業界も、一時期より、自主的な取組や何かでVOCを数十%減らしたというような実績もあったにも関わらず、大気環境改善にあまり効いてこなかったというような経緯があるわけです。我々といたしましても、環境をよくするために、投資とか、必要なコスト負担するというのは、やぶさかではありませんが、効かない対策に対して空振り、無駄弾を撃たされるのは、経営的にも、いわゆるステークホルダーに対しても、なかなか説明ができない話になって参ります。これだけの長い期間、光化学オキシダントが、いろいろやっても改善されないということであれば、やはりそこは短兵急といいますか、とにかく効くか効かないか分からないけど、やることはもうどんどんやっていこうぜ、みたいな話ではなく、じっくり、どうしてこういうことが起こるのか、何をすれば確実に減るのかというような解析ともくろみを踏まえてから対策をしようという形にして頂きたい。これ以上、何か対策を取りあえずやりましょうと、ただただコストだけがかかっていくのは、ちょっとどうなのかなと前から思っておりました。

 環境基準につきましては……。

【大原委員長】 申し訳ございませんが、時間が超過しておりますので、手短にお願いできますでしょうか。すみません。

【三浦委員】 1時間値において、環境基準を下回らないので問題だという話があったときに、いやいや8時間値だったら下がっていますよという話をよく聞くんですけれども、では、環境基準を8時間値に変えるという検討があるんですかというと、今回の資料を見ましても、そこまで踏み込んでいる感じもない。環境基準か、対策か、どちらのほうから近づけるのかというアプローチの問題はあると思いますが、その辺をもう少しきちんと考えた上で、施策を実施していただきたいと思っております。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、事務局から手短にお願いします。

【事務局】 ありがとうございました。

 ご指摘いただいたこと、すみません、ちょっと簡単にはなってしまいますけれども、しっかりと、ご意見を踏まえまして、検討をさせていただきたいと思います。

【大原委員長】 すみません。時間を超過しております。申し訳ございません。

 金谷委員から、チャットでご発言いただいておりますが、せっかくの機会ですので、ご発言お願いします。

【金谷委員】 すみません。ありがとうございます。

 2点あります。

 1点、WHOのガイドラインが9月に書き変わっていて、むしろ基準は世界的には厳しくなる方向もありますので、それを踏まえる必要が今後あるということが一つ。

 2点目は、日本のGOSAT GWという、CO2、メタンを主体とした衛星の3号機ということですが、そこでのセンサーでNO2の測定が入ってきます。それを1kmメッシュで測定を目指しています。発生源対策あるいはオゾンの解析等、こちらでも有効活用、成果の最大化という観点で、検討する必要がここでもあるんじゃないかと思いました。

 以上です。

【大原委員長】 2点コメントをいただき、ありがとうございました。

 それでは、ほかにご発言がないと思いますので、この議題につきましては、これで終了とさせていただきたいと思います。

 たくさんコメント、ご意見をいただきまして、ありがとうございます。事務局におかれましては、ご対応をいただくよう、よろしくお願いいたします。

 すみません。あと5分ほど超過をお許しいただきまして、議題の3のその他ですが、これにつきまして何か。

【事務局】 ありがとうございます。事務局でございます。

 すみません。時間がありませんので、資料のご紹介だけさせていただきます。

 今回、参考資料4ということで、酸性雨の状況についてというものをおつけしております。環境省において、酸性雨モニタリングというものに関しましても、長期間にわたって実施をしております。これの令和元年度の直近のデータということで、取りまとめたものを資料としておつけしておりますので、ご参考まで、ご覧いただければと思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、本日予定されておりました議題は終了となります。

 全体を通しまして、もし、ご意見やご質問などございましたらお伺いいたしますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、本日の議題は全て終了いたしました。

 座長の不手際で、時間がオーバーしまして、大変申し訳ございませんでした。

 それでは、進行を事務局にお返ししたいと思います。

【長坂大気課長】 本日は、長時間にわたって議論いただき、ありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で、環境省ホームページにて公開をいたしますので、後日、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の委員会はこれで終了いたします。

 どうもありがとうございました。

午後 0時07分 閉会