中央環境審議会 大気・騒音振動部会健康リスク総合専門委員会(第14回)会議録

1.日時

平成25年12月13日(金)10:00~11:10

2.場所

環境省第2・第3会議室

3.出席者

4.議題

  1. (1)第13回専門委員会の指摘事項
  2. (2)「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」の改定について
  3. (3)マンガン及びその化合物に係る健康リスク評価について
  4. (4)その他

5.配付資料

6.議事

【真先総務課長】 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第14回健康リスク総合専門委員会を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、ご多忙中にもかかわらずご出席いただき、大変ありがとうございます。
 まず、本日の出席状況でございますけれども、委員19名中、現時点で11名の委員の方にご出席をいただいております。定足数でございます過半数に達していることを報告させていただきます。
 それでは、開催に当たりまして、小林水・大気環境局長からご挨拶を申し上げます。

【小林水・大気環境局長】 おはようございます。水・大気環境局長の小林でございます。
 大分年も押し迫ってまいりましたが、今日も第一線の先生方にお忙しい中をご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 昨年の10月に第13回の専門委員会を開催させていただきました。この中におきまして、この有害大気汚染物質について、指針値を設定する際に、疫学の研究がない場合に動物実験の知見をどう活用するかというようなことで、改めて、従来からやってきていただいたことではございますが、考え方の整理につきましても、改定案というような形で提案をさせていただきまして、いろいろとご議論をいただいたところでございます。
 また、優先取組物質の一つでありますマンガン及びその化合物の健康リスクの問題につきましてもご議論いただきまして、その後、新たな知見なども出てまいりましたものですから、この間、整理をさせていただいたということでございます。そういう意味で、今日は、そういったリスク評価の考え方、あり方につきましても、改めてここで整理をいただくということと、それから、具体的にマンガン及びその化合物につきましてもご議論をいただくということが今日の課題でございます。
 今日のご審議をもとにいたしまして、全体的な考え方の整理や実施、また、マンガン及びその化合物の具体的な取り扱いについても、しっかり対応を進めていきたいと考えているところでございますので、今日も積極的な、幅広い観点からのご指摘をいただければ大変幸いでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【真先総務課長】 また、この度、新たに委員に任命された方が1名いらっしゃいますので、ご紹介をさせていただきます。
 一般財団法人残留農薬研究所業務執行理事・毒性部長でいらっしゃいます、青山博昭委員でございます。

【青山委員】 青山と申します。よろしくお願いいたします。

【真先総務課長】 ありがとうございました。
 続きまして、お手元の配付資料でございますけれども、議事次第のほうに配付資料一覧を記載してございます。ご覧いただけますでしょうか。
 配付資料1でございますが、委員名簿でございます。それから、配付資料2でございますが、健康リスク総合専門委員会(第13回)における指摘事項及び対応、それから資料3-1、「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」の改定について(案)(修正後)、それから資料3-2、これは同資料の改定案、これは見え消し版です。それから資料4-1、マンガン及びその化合物に係る健康リスク評価について(案)【概要版】(修正後)、それから資料4-2、マンガン及びその化合物に係る健康リスク評価について(案)【評価書本体】(修正後)、あと参考資料1、2、3と付けてございます。
 以上でございますが、資料の不足等ございましたら、事務局にお申しつけいただくようお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、これ以降の進行につきましては内山委員長にお願いいたします。

【内山委員長】 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 この会議の第13回は、局長からもお話ありましたように、昨年の10月で、1年近く経ってしまいましたけれども、その間、PM2.5の問題ですとか、緊急の問題が出てきたことがあり、その間にマンガンの国際評価書等が改定予定ということでしたので、それを待ってということで、今日になってしまいました。できれば今回で取りまとめたいと思いますので、十分なご議論をお願いした上で、とりまとめのご相談をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、今日は3つ議題がありますが、第1の第13回専門委員会の指摘事項についてというのは、議題2、3のそれぞれについてのご指摘事項でございますので、一緒に1を見ながら2を、1を見ながら3をということにしていきたいと思います。まず議題2の「「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」の改定について」ということを踏まえながら、1の指摘事項を、事務局の方からご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【横山総務課長補佐】 それでは、「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」の改定についてということで、資料2の1ページ目から2ページ目、それから、資料3-1及び3-2に基づきまして、指摘事項の順にご説明させていただければと思います。座ったままで失礼いたします。
 それでは、まず資料2の1ページ目の1つ目のご指摘でございますけれども、第13回の委員会で、健康リスク評価のあり方について、環境基準と指針値の関係について記述し、環境目標値の中でも特に指針値について言及するということを明示して、全体を整理すべきというご指摘でございますとか、あるいは、その環境基準と指針値の違いというのを明確にすべきというようなご指摘をいただいたところでございます。
 こういったご指摘を踏まえまして、こちらの環境目標値、環境基準及び指針値の関係についての追記を行いまして、指針値の設定に係る考え方等について整理を行う観点から、全体的な表現の整理を行ったところでございます。
 具体的な該当箇所といたしましては、資料3-1の1ページ目の下の部分から、(2)の第7次答申の「また、」以降の部分、それから、資料3-2の2ページ目の真中の部分でございますけれども、こちらのほうに指針値の性格といたしまして、「有害性評価に係るデータ制約のもとに定められた値」とされていること、それから、別紙でございます「指針値算出の具体的手順」においては、十分に信頼性の高いデータが得られる物質であって、「環境大気以外からの曝露についてなお検討を要する物質については、指針値に留め、環境大気以外からの曝露についての考慮を特に要しないか、又は、その評価が既に定まっている物質については、指針値を定めた上で、さらに必要に応じ、環境基準の設定について検討される対象とする」というようにされてございますので、ここの部分を明記させていただきました。
 また、全体的に環境目標値でございますとか、あるいは、環境基準、指針値といった表現について整理をさせていただきまして、今回、ご議論いただきます「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」については、指針値の設定に係る検討を行うためのものであるというようなことを明確にしたところでございます。
 それから、2つ目のご指摘でございますが、こちらの付属資料2の表題の表現についてのご指摘であったかと思います。こちらの表題は、そのほかの付属資料と整合をとりまして、「有害性評価に資する動物実験知見の抽出の考え方」というように整理をさせていただきました。
 具体的なところといたしましては、資料3-1の、こちら、ちょっと見にくくて恐縮なんですけれども、3ページ目の真中のほう、(2)別紙についての全面改定の三つ目の黒ポチでございますが、ここのところに付属資料2というようなことで、このタイトルを書かせていただいているところでございます。
 それから、同じようにタイトルの修正でございますけれども、資料3-1の4ページの真中よりも少し上のほうに、付属資料2として、タイトルを掲載させていただいているところがございまして、ここについても修正させていただいております。
 同様に、資料3-2の1ページ目、それから20ページ目にも、付属資料2の表題が出てまいりますので、そちらについても修正をしたというところでございます。
 続きまして、ご指摘事項の3つ目でございますけれども、これは定量的な知見の科学的根拠の確実性のうち、I、II、IIIというような3つの分類に分けさせていただいておりまして、それらについて言及している部分があったのですが、こちらについて、環境基準について記載している部分は削除することが適当ではないかというようなご指摘をいただいたところでございます。
 具体的には、資料3-2の4ページ目でございます。前後してしまって大変申し訳ございませんけれども、4ページ目をご覧いただきますと、上の方に、修正をしておりますけれども、「有害性に係る評価値の算出に用いられる定量的な知見の科学的根拠の確実性については」というようなことで、I、IIa、IIb、IIIa、IIIbという記載があるかと思うのですが、ここのIの部分の括弧部分を削除したというところでございます。
 一方、環境基準との整理ということで、このIIIbの一つ後の文章でございまして、ここの「このうち」から、「(1)のIに該当する知見が得られる物質については、必要に応じ、環境基準の設定について検討される対象となる」というようなことは、もともと記載があった部分でございますが、このIIIbの下のほうに持ってきて整理させていただいているというところでございます。
 それから、4番目のご指摘でございますが、動物実験の知見と疫学知見の整理ということでご指摘いただいてございましたが、こちらについて、疫学知見の優先性について追記をさせていただいてございます。
 すみません、またちょっと資料が前後してしまって申し訳ないですけれども、資料3-1の3ページ目でございますが、これはもともと記載があったところではございますけれども、(2)別紙についての全面改定の4つ目のポツの一番最初の文章でございますが、「適切な疫学知見がある場合には優先的にその知見を有害性評価に用い」というようなことを明記しているところでございます。
 それから、資料3-2の4ページ目でございますけれども、こちらの方にも、先ほどの環境基準との関係を書いたところの下に、「なお、」以下といたしまして、「適切な疫学研究の知見と動物実験の知見の両方がある場合は、原則として疫学研究の知見を優先して評価に用いるものとする。」というような記載にさせていただいてございます。
 それから、5番目のご指摘でございますが、「確実」という文言について、注釈及び用語や表現の整理を行うべきというようなご指摘がございました。ここにつきましては、資料3-2の4ページ目の脚注といたしまして、「確実性」についての説明を入れているところでございます。この中で、「本報告においては、有害性を評価するに当たって、定量的で、かつ大気汚染物質の曝露と健康影響の関連性が相当に確からしい疫学研究や動物実験の知見について「確実」とする。「確実性」についても、同様の趣旨で用いる。」というように書かせていただいてございます。
 こちらのリスク評価のあり方については、前回もお示しさせていただいたのですけれども、参考資料3として、用語集というものを考えてございまして、この中にも「確実性」という文言を追加したところでございます。
 具体的には、3ページ目の(12)というようなことで、文言を追加させていただいてございまして、先ほど、本文中にあったようなものと同じような文章を追加させていただいているところでございます。
 それから、ご指摘事項の6つ目でございますが、エンドポイント以外の有害性として動物実験の知見と疫学知見の両方がある場合には、これを組み合わせて考える際の考え方について、今後の課題なのかということでいただいたところでございますので、資料3-2の6ページ目でございますけれども、ここの5.今後の展望の3つ目の段落でございますが、ここの下線を引いている部分、「有害性評価値算出に用いたエンドポイント以外の重大な影響に関する確実な疫学知見及び動物実験の知見がある場合における有害性評価の考え方等についても、必要に応じて、検討を行う」と追記させていただいたところでございます。
 それから、付属資料でございますけれども、資料3-2の18ページ目をご覧ください。
 ちょっと資料3-2のほうは、別紙までの修正履歴が入ったものの後に反映したものを一旦入れてございますので、少しページ数が飛んでしまって恐縮でございます。
 18ページ目でございますけれども、ご指摘事項の7番目といたしまして、付属資料1について、一般集団の知見があれば、そちらを優先するのではないのかというご指摘をいただいてございましたので、こちら、18ページ目の冒頭のほうに、こういった文言をつけさせていただいておりまして、「また、」以下でございますけれども、「労働衛生・産業疫学領域から得られた知見には、小児、女性、健康状態のよくない集団は含まれないため、より広い曝露濃度範囲が観察され、これらの感受性が高い者等を含む一般集団を対象とした確実な疫学知見がある場合には、これを優先することが適当である。」という表現を入れさせていただいてございます。
 これに合わせて、資料3-1の4ページ目にも、そういった「一般集団を対象とした確実な疫学知見がある場合には、これを優先することが適当である」ということを4ページ目の上の2行目から3行目にかけて入れさせていただいているところでございます。
 それから、資料2のページをめくっていただきまして、2ページ目でございますけれども、8番目のご指摘事項といたしまして、付属資料1の18ページ目、先ほどと同じところでございますけれども、ここについては、真中のほうに削除している部分があると思うのですけれども、この「確実な知見でなくとも」については、削除してはどうかという話がございましたので、ここについても、ご指摘を踏まえて、削除させていただいてございます。
 それから、資料3-2の19ページ目でございます。こちらのほうでHillの9視点ということで、関連性の強さ、一貫性、特異性、時間性等、9つの視点を挙げさせていただいてございますけれども、これらの文言についても、解説をつけるべきではないかというご指摘をいただきましたので、先ほど少し言及させていただきましたが、参考資料3の用語集のほうに、これらのHillの9視点の全項目について、追加させていただいているところでございます。特にご指摘いただきました「一貫性」については、参考資料3の1ページ目の(3)といたしまして、「一貫性」という文言をつけ加えさせていただいてございます。
 それから、「整合性」の部分につきましても、こちらの中に入れさせていただいてございます。5ページ目の28番目として入れさせていただいているところでございます。
 それから、11番目のご指摘といたしまして、付属資料4、資料3-2の29ページ目をご覧いただきますと、トキシコキネティクス及びトキシコダイナミクスについて言及をしている部分があるかと思います。そちらについて、この不確実性を4や2.5にするという考え方につきましては、国際的機関で用いられる等、何か根拠があるのかというご指摘をいただきましたので、整理をさせていただきまして、この考え方について、「WHOについても同様の考え方が示されていた」というようなことと、「それぞれに対する人と実験動物の感受性の違いに応じて、個別に検討することができる」というようなことを追記させていただいているところでございます。
 それから、付属資料の最後の30ページのほうになりますけれども、「影響の重大性」について言及している部分があるかと思います。こちらについても、影響が不明確な場合に、この係数をさらに掛け合わせると、指針値が不合理に小さくなってしまうのではないかというご指摘をいただいたところでございますが、こちらについて、指針値というものは、人の健康に係る被害を未然に防止する観点から設定されるものであることから、定量的に評価可能なエンドポイント以外で、不可逆かつ重大な影響が観察されているものの、定性評価のみが可能又はこの定量的な評価が可能なデータが得られていない場合については、影響の重大性に係る係数を見込むということをしてきたものでございまして、これまでも同じような考え方に基づいて、実際には10以下という数値になりますけれども、合理的な数値を用いて指針値の設定がなされてきたところでございます。また、国外の機関においても同様な係数が考慮されていること等も踏まえまして、この有害性評価を行う際にはこの係数を考慮することとしているものでございます。なお、本文中にもございますけれども、こういった影響の重大性に関する係数でございますとか、あるいは不確実係数、こういったものはできる限り小さくするほうが望ましいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

【内山委員長】 ありがとうございます。資料がいろいろ飛んで、見にくかったと思うのですが、一応資料3-2の10ページ以降に見え消し版ではなくて、修正を反映したものを付けていただいていますので、そちらを見ていただくと、今の修正した後の反映されたものが読み取れると思いますので、そちらも見ながら、今の修正等について、ご意見、ご質問等あればお願いしたいと思います。
 確かに、前回のときは、環境基準、指針値、それから評価値とか、いろいろな文言が複雑に出てきましたので、それがわかりにくいということで、今回のものは、主に指針値を算出するためのガイドラインであるということをはっきりと明記した点ですね。
 武林先生、どうぞ。

【武林委員】 ちょっと細かいところで恐縮ですが、資料3-2の19ページ、ここに疫学知見における因果関係の評価というところがございまして、参考文献のすぐ上の3行なんですが、因果関係を同定する中身のバイアスの検討として、選択バイアスという括弧の前に「対象者の代表性」と書いてありますが、代表性そのものは、必ずしもバイアスとは言えないこともありますので、例えば対象者の比較性の偏りというような、「偏り」という言葉が入ったほうがいいのではないかということと、その次の曝露や健康影響の測定誤差の影響というのも、測定誤差はランダムにのるのもございますので、例えば曝露や健康影響の測定の偏りというような、用語集にもありますが、「偏り」という言葉が明確に入ったほうがいいのではないかと思います。
 それから、交絡についても、「曝露と分離できない」というように書いてありますが、必ずしも分離できないわけではなくて、わかっていても、測定していない過去の研究もありますので、単純に「曝露以外の第3の変数」というぐらいの表現の方が、全体としては妥当なのではないかというように思います。

【内山委員長】 ありがとうございます。
 まとめてくださった青木先生の補足意見を伺うのを忘れてしまいましたが、今のことも含めて、ご意見をお願いします。

【青木委員】 今の点、私、ちょっと当方といたしましても、できるだけこのような考え方でまとめさせていただいたのですけど、確かに先生のご指摘、非常に詳細な点をご指摘いただいて、ありがとうございます。少しこれは、こちらとしては十分に検討させていただいたと思うのですけども、ご意見を少し反映させるような形でちょっと考えさせていただければと思います。

【内山委員長】 その他はよろしいですか。

【青木委員】 その他は大丈夫でございます。

【内山委員長】 わかりました。ここは疫学の先生にもお伺いしてみましたところですので、武林先生の今のご意見を踏まえながら、語句の調整をさせていただくということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【内山委員長】 ありがとうございます。
 その他にございますでしょうか。

【永田委員】 ちょっとよろしいでしょうか。先ほどの説明で、前回、議論された中で、やっぱりリスクコミュニケーションといいますか、一般の人たちにわかりやすいという形で、いろいろ説明を加えてもらうところがあったかと思うのですが、今の指針値の性格というところが、これはどちらかというと、こちらの決める側の論理としての話が書いてあって、それをどうやって受け止めるかという話が、用語集のほうにはもう少し解説的な形で書いてある。それを入れたほうがわかりやすいのかなと思って、両方を見比べて見ていたのですが、ちょっとこのままだと、何を言っているのというか、じゃあ、指針値はどうやって決めるのというか、そういう話は今出てきていない印象がありますけど、決められた指針値をどういうように解釈したらいいかという話が少し抜け落ちているかなと思いました。

【内山委員長】 わかりました。そうすると、参考資料3の用語集の4ページ目に出ている指針値の性格ですね。それを少し本文のほうに加えるような形でという。

【永田委員】 このまま取り込んじゃってもいいのかなという。

【内山委員長】 これは、環境省、特によろしいでしょうか。

【横山総務課長補佐】 はい。

【内山委員長】 ありがとうございました。それでは、ここの部分は指針値の性格、どうして決めるのかというだけではなくて、受け手側のほうの立場、どういうことが期待されているかとか、それから、自治体あるいは事業者にとって、この指針値の意味というものを少し用語集の方から加えて、本文に加えたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【内山委員長】 ありがとうございました。
 その他にございますでしょうか。
 小林委員。

【小林委員】 今、ご指摘いただいた部分なのですが、やはりこの指針値を受け止める側、要するに、地方自治体とか、そういう物質を排出している企業あるいは工場等々がどういうような対応をされるのかというのは、これは指針値をつくったときにも同じような議論があったと思うのですが、現実には、指針値を出してみたものの、実際にはそれほど皆さん、反応されていないんですよね。そういう意味からいくと、初めは私自身が心配していたのは、環境基準と同じような扱いで対応された場合、相当負担が大きくなってくるので、問題があるというふうに申し上げたのですが、実際はそこまで、地方自治体も、企業の皆さん方も、産業界も、反応されていないんで、これでいいのかなという感がしました。そういう意味からいくと、あまり詳しく書いていくと、どんどん指針値そのものの扱いが環境基準と同じ扱いになってしまうおそれがあるので、そこだけは十分ご注意いただいて、修正をお願いしたいと思います。

【内山委員長】 ありがとうございます。それでは、その点を踏まえた上で修正文をつくって、また皆さんに改めてお聞きすることもあるかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 その他にございますでしょうか。

(なし)

【内山委員長】 そうしましたら、青木先生を始め、このガイドラインの策定に長い時間をかけて、あるいは各学会のご意見も聞きながら、今日まで来たわけですけれども、前回、それから今回のご議論をふまえて、大体皆さんが、専門家だけでなく、一般の方にもわかりやすいような文章になったのではないかと思います。
 今回は、あくまでも現時点でのガイドラインですから、また新たな算出の方法ですとか、解釈に違いが出たら、適宜、改定していくものだと思っております。またそのときには、ワーキンググループなり、この専門委員会にお諮りしながら、最新の情報を入れながら、改定していきたいというふうに考えておりますが、現時点では、大体議論も出尽くしたということでよろしいでしょうか。それから、先ほどいただきましたご意見は、また私と事務局のほうで検討して反映させたいと思いますが、よろしゅうございますか、議題2については。

(異議なし)

【【内山委員長】 ありがとうございました。
 そうしましたら、次のマンガンの説明に行きたいと思いますので、議題3、マンガン及びその化合物の健康リスク評価について、これも議題1の指摘事項を踏まえながら、それから、その他の修正点を事務局の方からご説明いただいて、その後にご議論いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【横山総務課長補佐】 それでは、資料2の3ページ目から4ページ目、それから、資料4-1、4-2に基づきまして、指摘事項の順にご説明させていただきたいと思います。また多少資料が前後することがあるかと思いますけれども、申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず資料2の3ページ目の1つ目のご指摘事項といたしまして、こちらの資料4-1にございます概要版についてのご指摘だというように理解してございまして、LOAELからNOAELに換算する不確実係数といたしまして、5を挙げさせていただいたんですけれども、こちらの根拠は、概要版のほうにもきちんと記載をすべきだということでご指摘いただいてございました。これを踏まえまして、資料4-1の6ページ目をご覧いただければと思うんですけれども、この6ページ目に考え方を追記させていただいてございます。6ページ目の真中をご覧いただければと思うんですけれども、「LOAELからNOAELへ外挿するための不確実係数は、著者からの指摘及び軽微な神経行動学的機能への影響をみていることを考慮して5とし、」というふうに書かせていただいてございまして、この著者からの指摘の内容については、本文を参照するという形で整理をさせていただいたところでございます。
 それから、ご指摘事項の2つ目でございますが、評価書本体のほうで言及をしておりました部分でございますけれども、「子どもの脳の影響」の中で、「さらなる研究が必要」というように、前回、記載させていただいてございましたけれども、こういうふうに書いてあるけれども、この影響があるというふうに結論づけ、係数として3を考慮するということについては矛盾があるのではないかというご指摘をいただいたところでございます。これを踏まえまして、事務局でもこの文献等を再度見直しまして、この小児を対象とした神経系の障害との関連に係る研究について、マンガンへの曝露と学習障害でございますとか、神経行動学的検査の低スコアとの間に関連が見られた等の知見の概要でございますとか、また、交絡因子を調整した研究結果の概要等について追記したところでございます。
 具体的には、資料4-2の22ページ目でございますけれども、こちらの真中のほうをご覧になっていただければと思いますが、こちらのほうに、下線を引いている形で、文章を書いているところではございますけれども、前回、ご指摘いただいたところは、経口曝露による影響の2つ目のポツのところでございまして、「小児を対象とし」から始まる文章のところで、さらなる研究が必要と考えられるとなってございましたが、挙げさせていただいておりましたそれぞれの文献について、再度、見直しまして、その文献にどういった内容が書かれていたかというようなことの事実関係を整理して、こちらに報告させていただいたところでございます。
 それから、3つ目のご指摘でございますが、こちらも「生殖発生毒性」について、こちらは評価書本体、資料4-2の43ページをご覧いただければと思うんですけれども、こちらに生殖発生毒性についての記載がございます。ここで用いているTakserらの2003年という知見がございますけれども、これが健康な妊婦や、正常な新生児を対象とした研究等が引用されているということで、こういった文献の扱いについて、再度、整理すべきというようなご指摘をいただいてございます。こちらについて、再度、文献のほうを見直しまして、この文献の中で書かれている内容といたしまして、胎児期の子宮内曝露の影響については、妊娠時の母親のマンガンへの曝露源が特定されておらず、吸入曝露との関連性は不明であるが、臍帯血等のマンガン濃度と子供の知能発達の関連性を示されていることでございますとか、一部でスコアの低下が見られているようなことでございますとか、そういった知見を書かせていただきまして、「胎児期の子宮内でのマンガンへの曝露が早期の知能発達に影響を及ぼしている可能性があることを示唆する」というようなことで詳述させていただいたところでございます。
 続きまして、4つ目のご指摘といたしまして、国際的なガイドライン値等を書かせていただいたところですけれども、こういったものと比較したときに、日本の指針値とこういった値の性質の違いでございますとか、あるいは、同じ文献を用いているのになぜ値が異なるのかといったことについて、もう少し詳細に記載をしてはどうかというようなご指摘をいただいてございましたので、こちらも資料4-2の51ページ目から52ページ目をご覧いただければと思いますが、ここに定量評価といたしまして、それぞれの諸外国の知見を整理した表をまとめさせていただいたところでございます。一部、新しい知見が入ったりとかしたところがございますので、表が修正履歴ありで見にくくなってしまって恐縮でございますけれども、この中に、それぞれの、例えばWHOの欧州事務局、EPA、DHHS、カナダの保健省、カリフォルニア州のEPAでございますとか、こういったところはどういった知見を用いているのか、それぞれの知見において、総粉じんに占める吸入性粉じんの割合というものはどうなっているのか。それから、52ページ、表の13のところでございますけれども、こちらの中にそれぞれの不確実係数について、どのように考えられているのかということについて、追記させていただいたところでございます。この辺については、資料4-1の概要版のほうにも、こちらの本体資料の修正に伴いまして修正させていただいてございまして、具体的には、資料4-1の4ページ目の下のほうから5ページ目の上のほうに、こういった諸外国の知見において用いられている文献の考え方でございますとか、あるいは不確実係数について整理させていただいたところでございます。
 それから、資料2でございますが、めくっていただきまして、4ページ目でございますけれども、こちら、優先取組物質の中で、優先して指針値を設定する物質の考え方等の整理が必要ではないかということでございまして、これまで有害大気汚染物質については、環境目標値、環境基準でございますとか、指針値、これを設定するために、疫学研究、それから動物実験に係る知見、その他メカニズムに関する研究、曝露に関する調査研究等についての収集・整理を行いまして、これで得られた知見をもとに健康リスク評価作業を行ってきたというところでございまして、今回、このマンガン及びその化合物について、こういった作業が終了したことから、この指針値に向けたリスク評価を行わせていただいているということでございます。この優先取組物質における指針値設定に向けては、今後ともこういった情報整理等をしていきながら、作業を進めてまいりたいと考えてございますけれども、いただいたご指摘を踏まえて、考え方等については、今後、検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。

【内山委員長】 問題点の5番の説明が抜けたんじゃないでしょうか 【横山総務課長補佐】 失礼いたしました。すみません。ちょっと戻っていただきまして、資料3の3ページ目の一番下の5番でございますが、影響の重大性に関する係数を3とした根拠について、評価書本体で丁寧に記載してほしいというところでございます。すみません、重要な部分を飛ばしてしまいまして、申し訳ございませんでした。こちらにつきましては、概要版でございます資料4-1の6ページ目、それから、本体資料といたしましては、資料4-2の68ページ目をご覧いただければと思っております。
 こちらのほうに、この影響の重大性についてということで、具体的にどういった知見があって、今回、この重大性の3というものを考えたかということについての整理をさせていただいたところでございますが、68ページ目の1番上の行、1行目の後半でございますが、「また、」以降といたしまして、「男性労働者の生殖能への影響や胎児期の子宮内曝露が小児の早期の知能発達に影響を及ぼす可能性が示唆されていること、及び実験動物においても雄の生殖能への影響及び児への影響がみられていること、さらに、飲水曝露ではあるけれども、小児の神経行動の発達に影響を及ぼす可能性を示唆する知見があることを考慮し、健康リスク低減の観点から、影響の重大性を考慮した係数として3を追加する」というようなことで、詳述させていただいたところでございます。大変失礼いたしました。

【内山委員長】 ありがとうございます。前回、ご指摘いただいたところが1~6番ということで、それに対しての対応策、それから、先ほど申しました2011年、12年、13年に諸外国の諸機関で、また改定や見直しがありましたものですから、それを追加したということでありますが、何かご指摘ございますでしょうか。
 結論としては、提案の値自体は昨年と変わっていないということでよろしいですかね。あと、中心に取りまとめていただいた圓藤先生から何か補足説明はよろしいですか。

【圓藤(陽)委員】 はい。

【内山委員長】 前回も、特に影響の重大性についての不確実係数をどうするかというところはご議論があったと思いますし、机上の従来の不確実係数の値の資料もあると思うのですが、最初の頃は総合的に判断してという形で、不確実係数100なら100、500なら500と記載し、その内訳というのは、あまり報告書にははっきり明示されていなかったものです。その、できればその内訳をなるべく記載していこうということで、今回は特に重大性についてもこの3としたということを明記しました。前回は、その3の意味ですとか、それから、これを改めて重大性としてとると不確実が大きくなるわけですので、その必要があるかどうかということをいろいろご議論いただきましたので、影響のエンドポイントとした以外の知見について、もう少し詳しくまとめたて記述したということです。影響の重大性の不確実係数を3とする、じゃあ、なぜ3ですかと言われると、はっきりしたお答えは出ていないんですけれども、これは私のちょっと私見にもなるのですけれども、従来、エンドポイントが発がん性以外で、その他に定量的な評価はできないけれども、発がんのおそれがあるというような物質については、この不確実係数は最大10ということになっているのですが、5~10ぐらいをつけたものが多かったということです。そのほかの生殖発生毒性ですとか、神経発達毒性ですとか、いわゆる不可逆性の変化がある可能性のあるものについては、それほど大きくない係数で考えていったらどうかというものが頭の中にはありました。それで、今回は生殖発生毒性ですとか、催奇形性ですとか、神経発達ということがありましたし、それから、人でのデータもあったということで、3ぐらいが適切ではないかというのが、この評価書案を作成するときのワーキンググループで合意した点であります。じゃあ4じゃなくて、なぜ3かと言われると、ちょっと困るんですけれども、大体そこはプロフェッショナル・ジャッジメントと今まで言われてきたところで、総合するとこのぐらいの不確実係数と。こういった影響がもっとはっきりしてきましたら、逆に今回の指標ではなくて、別の影響の重大性の可能性とされている指標をエンドポイントとして指針値をつくり直すとか、評価し直すこともありますし、それが否定されれば、その不確実係数がもう少し小さくなるということになります。指針値は一応未然防止ということの安全域に立つというものですから、実際の作業現場とか労働現場とは違って、少し安全域のほうを見込んだ値にしたいというのが、有害大気汚染物質の指針値のもともとの目的でもありますので、圓藤(吟)委員から、あまり不確実係数を考えると、だんだん値が小さくなってしまうというご指摘もあったんですけれども、その重大性という不確実係数を3としてとったということでございます。これは私の意見も入っているのですが、他の委員の意見もあるかと思いますので、ご議論いただければと思いますが。
 それで、昨年の測定データですと、一番最後の曝露評価の記述が何ページでしたか、68ページの指針値の提案についてのところで下線が引いてあるところですね。昨年の第13回専門委員会の時点では、その消してあるところ、「継続調査地点のモニタリング結果をみても、最近は濃度の低下傾向がみられる。この指針値案を2010年度の調査結果と比較すると、発生源周辺で指針値案を超えている複数地点がみられ、沿道でも1地点であるが指針値案を超過する地点がある」という曝露評価だったのですが、2011年度の調査結果に書き替えると、「発生源周辺で指針値案を超えている地点が1地点」ということで、沿道ではなくなったということです。全体的には、マンガン、これが有害大気汚染物質として議論されているよということを少し頭に置いてくださっているとありがたいんですけれども、全体的には下がっている。それから、発生源周辺でも、その値が下がってきているという傾向が見られるということです。
 中杉先生、いかがですか。

【中杉委員】 曝露を担当していました。基本的には、新しい2011年のデータが1年たってしまいましたので、リバイスしなきゃいけないということで、こういうふうな形になりました。全体として減ってきているということなのですが、明確に検証しているわけではないんですけれども、多分ニッケルの指針値で、小林委員が、あまり企業の方が関心を持たれていないということを言われましたけど、実際にはかなり関心を持たれていて、ニッケルの対応をしてきておられるところが増えてきている。それによって、ニッケルをきれいにするとマンガンもきれいになると。全体として、そういう効果が出てきているのかなというふうに私は解釈をしています。まだ詳しい解析はしていませんが、そういう意味では、ニッケルと同じ頃にマンガンも同じように指針値をつくると、さらに多くのところで超えていた可能性が高いのではないかなというふうに思いますけど。

【内山委員長】 ありがとうございました。

【小林委員】 先ほどの言葉の修正ですけど、今、中杉先生がご指摘のとおりなんです。というのは、私がちょっと気にしていたのは、外に向かって関心が高くなっていくと、その問題点がひとり歩きしてしまって問題になるんですけど、今、中杉先生が言われるように、内部的に企業の人とか、実際に担当している行政の人間が作業をする上で関心を持ってもらうというのが、結構多く出てきているんですね。以前にも同じようなことで、基準をつくるぞと言っただけで、基準をつくる前にそれが全部なくなってしまったという例もありますので、そういう意味では大変効果があると思っております。

【永田委員】 よろしいでしょうか。今、内山先生から説明いただいた、この係数3の話なんですが、理解はいたしました。ただ、ここに書かれている内容、一般の人たちというか、私がそれを代表しているとは言えないのですが、結構重大な影響の可能性が示唆されると書いてあるんですよね。この文章で、きっと内山先生が言われた内容は表現されているんだろうなと思いながら、何を見てほしいかというところが説明ないと、そういう意味では、かなり重大な影響が書いてあって、その可能性がありますよということが書いてあるという内容になっているものですから、ちょっとその辺の解釈をもう少し解説できないものかなということを期待していたんですが、なかなかそれは難しそうだというのはわかりました。ただ、何かこれからこういうのを定めていく、あるいは見直していく過程の中では、もう少しその辺のところをはっきりさせていただいて、3の理由は書いてあって、それをどう読み解くかという話になってくるのかもしれませんし、一方で、5にはしない理由というのがあるのだと思うんですよね。そういうものを併記していただくとわかりやすくなるなという気がしますし、ちょっとこの辺は考えていただけるとありがたいなと。
 それから、ちょっとこれはあれなんですが、事務局のほうに、上のほうにもう一つの係数の話が出ていて、先ほど、LOAELからNOAELに外挿するための不確実係数は、著者からの指摘と書いてあって、詳細は30ページを見ろと書いてありますよね、本文の。これ、本体の資料4-2の30ページを見ればいいんですよね。そうですね。これ、30ページって、それが書いてあるという理解ですかね。何か私信が見えてこない。Lucchiniという人のこれでいいんですか。

【横山総務課長補佐】 失礼いたしました。30ページのほうですけれども、この表の中には、基本的に文献の概要を書かせていただいてございまして、今回、私信という形でございまして、脚注のほうにLucchiniのほうからの私信ということで書かせていただいてございます。

【永田委員】 私信は公開しないという話、何か前回やりましたね。だから、ここの私信というふうに書かれちゃうと、何かこれについての話がどこかに出てきそうだという感触を受けちゃうもので、何かほかに書きようってないんですかね、ここは。著者からの指摘というのはこの私信のことを言っているんですね。

【横山総務課長補佐】 そうです。

【永田委員】 何かかなり重要な事項としてこれを入れていて、その中身は出さないというか、形になっているものですから。

【内山委員長】 そうですね。これはプライベート・レターということでいただいていますので、よくこのWHOとかEPAの評価書等でも、プライベート・レターでということはあるんですけれども、ただ、カナダか何かは生データをもう一回いただいて、分析し直しているということがあって、それでも10では大き過ぎるだろうと。確かに妥当性があるということで、そこまでは私どもはできなかったので、その理由ということを伺ったら、5ぐらい、10では過大だろうというお手紙はいただいたと。これはプライベート・レターということにしてくれということだったので、それ以上はちょっと書けないかなということなんです。私どももその理由は納得しているということなので、圓藤先生、何かご意見はありますか。

【圓藤(陽)委員】 私は、だから、私信を入れるのは反対で、要するに、軽微な神経行動学的指標でつくっているので、これ自体がLOAELからNOAELに10にするには大きいと考えて、私自体はルート10、3でもいいかなとは思ったんですけれども、それよりは5ぐらいのほうがいいというお考えもありまして、5にしましょうということになったと思います。だから、私信は、私は抜いたほうがいいとは思っています。

【内山委員長】 これが全て、以前、ここに載っている文献は全て見られなければいけないというご指摘も工業界のほうからあったものですので、今回、私信ということをわざわざお断りしたのですが、ここに、いわゆる評価書に文献として載っているものは、全て誰でもが手に入るということのご指摘があったので、今回はちょっと私信というのを入れたのですが、何かいい表現があれば。

【永田委員】 まず、今の話を聞いていると、ひっくり返すというか、最初に軽微な神経行動学的機能というのが出てくるべきなのかなと。私信が最初に出てくることでも、若干違和感を持つところがあって、ちょっと本質の解決策の話をしているわけじゃないんですが、それのほうが自然な書き方かなとは思いました。

【内山委員長】 わかりました。この下線部に加えたところを逆に後のほうにし、むしろ軽微な神経行動学的機能への影響を考慮する。

【永田委員】 そっちのほうが重要だと。

【内山委員長】 そのほうを考慮する。それから、トキシコキネティクス、トキシコダイナミクスを踏まえた個体差も考慮、これはいいんですね。軽微な神経行動学的機能を見ていること及び著者からの指摘というような順番ですかね。確かにおっしゃるように、軽微なものを見ているから、我々もちょっとということもありましたので、よろしいですか。

【浦野委員】 永田先生がおっしゃるように、私信をベースにしたという書き方はやっぱりまずいと思うので、私信を参考にして、この委員会、専門家が見て判断したというような表現にして、私信が根拠であるかのような表現は避けたらよろしいんじゃないか。
 それから、もう1点、こういう指針値が決まったときには、先ほどからお話があるように、自治体なり企業なりが、マンガンについて何らかの対策を取ろうとされるわけですよね。あるいは、取ってほしい。現状、大気はあまり超過していない状況なので、何もしなくていいというわけにはいかなくて、発生源の企業なり、発生源の企業が立地している自治体はやっぱり気にされると。そのときに、56ページのPRTRデータが参考になるのですけども、一体どこを対象にして何をやったらいいのかが曖昧なんですね。もうちょっと過去のものも含めて示すか、あるいは具体的な発生源を情報提供されたほうがいいのではないかと思います。指針値は決まったけど、具体的に何をするんだといったら、どういう業種、どういうところから発生しているので適切な対応をしてほしいということですから。PRTRデータは年によって大きく変わるものもあるので、もうちょっと詳細に見てもらうほうがいいかなと思います。

【内山委員長】 ありがとうございます。
 中杉先生、いかがですか。

【中杉委員】 特にマンガン等の化合物やPRTRデータの大気への排出というのは、そんなに変わらないことが多いのですが、今回は大きく変わっている。この辺のところは有害大気のほうで議論する話なのか、それから、PRTRのほうでもう少し考えてもらう必要があるのだろうと思うんですけど、確かに、解釈の違いで随分変わってくる。特に廃棄物として移動しているのと、埋め立てと、そこの解釈がどうなのかで、そこら辺の数字がものすごく大きく変動します。そういう意味で、とりあえずこの年はこんな状態ですよということの整理をして、全部並べるという話になると、またそれだけその解釈がどうだという議論をしなければいけない。それに対しては議論できないということで、とりあえずこういう形で整理をさせていただいているということであります。

【浦野委員】 56ページに出ているのは、あくまでも大気への排出量なのですよね。だから、埋め立てに行ったとか何とかって、そういうのは関係なくて、大気への排出量が大きく変わるとかいうのは不自然なので、何を信用していいのかわからないという、どこを指導していいかわからないという感じにならないようにする必要があるのではないか。

【中杉委員】 ただ、PRTRのほうで解析をしてもらって、いろいろ議論してもらうのは、それはそれでいいんですけども、有害大気の中ではどうだということがはっきり言えないので、どういう原因でどうなっているかということも言えない。ただ、こう変わっているということを言えるとしても、じゃあ、どこのレベルだと変わっているんだという議論、そういう解析までは、ちょっと残念ながらできていませんので、今回はこういうふうな形で整理をさせていただく。
 排出している事業者の方は、当然どっちに行っているかというのは自ら計算して、どういう方法だということは、いろんなことでガイドラインがあったりして、それでやっておられますから、それは把握しておられると思います。自治体の方も、全体の流れで経年の形を見ておられますから、それはそれで、そういう数字のばらつきがあるんだなということは理解をしていただけているというふうに解釈しますけども、ここまで細かくこの解析まで入れてしまうとなると、非常に難しいといいますか、実際問題、今、得られている情報からは出てきていないし、PRTRの報告書の中でも、そこら辺は全く触れて解析をしていないということになります。

【内山委員長】 圓藤先生、どうぞ。

【圓藤(吟)委員】 それほど難しくなくて、2010年度を消して2011年度に変えるという必要はなくて、両年度を併記しておけば、見る側として変動があるものなんだなというのがわかるので、もうそれていいんじゃないですか。

【中杉委員】 それは、逆に言うと、もう少し前はどうだったのとか、全部グラフを描かなきゃいけなくなってしまう。

【圓藤(吟)委員】 表15には15年ほど、10数年書いてありますけども、複数年あれば、もうそれでいいし、わざわざ消す必要もないんじゃないかという気はいたしますけども。

【小林委員】 すみません、これ今見て、すごく気にしたんですけど、業種が一段ずれてしまっているんですよね。2010年度と2011年度がばっと書いてあるんですけど、これ、一番上のところは化学工業、パルプが消してあるんですが、これ、一段、全部ずれているんですよね。だから、これ、大きく変わったように見えるんですが、そうじゃないんですよね。これは全部業種をそろえていくと、大したことはないんですよ。

【中杉委員】 実際には、1t以上出ているところは1という数字がつくんですけど、そうでないところはゼロです。ゼロのところは、基本的に出しているかどうかわからないので、1t以上出しているものという形で整理をしています。パルプ・紙・紙加工品製造業というのは、2010年度は60㎏出していたということだったんですが、それがゼロになった。それも大きな変動だといえばそのとおりなんですけども、そのような形で整理しています。全く変動していないわけじゃなくて、業種によってかなり、これを大きいとみるか、小さいとみるかですけども、ある業種はぼんと増えたり、ある業者は半分ぐらいになったりということがありますから。

【小林委員】 一行、全部ずれている。

【内山委員長】 今、ご指摘のことは、一段ずれているので、そう思ってみると、割と合理的な値になるんじゃないかと。

【中杉委員】 いや、それでも半分ぐらいに一遍になってしまうというのはどうなのかと。

【内山委員長】 ここはちょっともう一回確認いただいて、これで正しければこれで出すということで、よろしくお願いいたします。
 それと、あとはPRTRのデータ、毎年変わるということもありますので、そこら辺のところは少し宿題にさせていただければと思いますけれども、確かに60が1,526とか、変動が大きいような気もしますので。

【小林委員】 60が1,526ですと、これ…。

【内山委員長】 それが1,639が1,526になったと考えれば、一段ずらすと、確かにおっしゃるように桁は大体合いますので、ちょっとここは確認させていただこうかと。ただ、前と分類の仕方を変えたんですか。

【中杉委員】 いや、先ほど説明しましたように、1t以上、1t以下というか、ゼロという数字のところは、出しているか、出していないかわからないので、ゼロのところは全部外したんです。

【内山委員長】 その前の表の2行目の化学工業が1行目に今回は来ている。パルプ・紙・紙加工品製造業がなくなったと。

【中杉委員】 パルプ・紙が、これは業種の順番が、業種の分類が順番になっていまして、パルプ・紙というのは化学工業の前にあります。だから、そこはゼロで消えたから、一つ繰り上がったというだけの話なんです。

【内山委員長】 だから、その消してあるのと、今の11年度で比べてはいけないということですね。

【中杉委員】 ええ。これは見え消しにしてしまう、だから、こういうふうになってしまうと。

【内山委員長】 見え消しだから、パルプ・紙・紙加工品製造業が、11年度は恐らく空欄かゼロに、1t以下になっている。

【中杉委員】 一応ゼロ、届出上はゼロという集計は、多分…。

【内山委員長】 ゼロになったから、今回、抜かしたので、2行目にあった化学工業が一番上に来たので、右左を修正したと考えると、ものすごく差があるんだけれど、表がずれているだけと考えれば。

【中杉委員】 そうでいながら、実際には半減してしまうとか、倍増してしまうというのは、これは本当に正しいのかどうかはわからないと。

【内山委員長】 わかりました。じゃあ、これはちょっと見え消し上で、行を変えてしまったために見にくくなっているものですので、これは2011年度として書き直せばと思います。
 あと、PRTRの年度による差ですとか、そこら辺をどの程度出すかというのは、またちょっと宿題にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 その他にございますでしょうか。
 よろしければ、語句の修正、もうちょっとわかりやすくとか、順番をこう変えたらどうかというようなご指摘はありましたけれども、指針値の値自体には大きく変わるところはございませんので、あとは字句の修正、私と事務局、またあるいは、ご関係の先生方にまたちょっとご相談してということにしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

【内山委員長】 ありがとうございました。また少し修正しておりますので、お気づきの点がありましたら、事務局にでも言っていただければ、まだ修正可能だと思いますので、とりあえず今日の議論は出尽くしたと思います。十分な議論は前回に済んで、今回、その修正していただいたもので大体よろしいということで、今日の会議はこれで終了にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【内山委員長】 ありがとうございます。
 それでは、あとは事務局にお返しいたします。

【横山総務課長補佐】 本日はどうもありがとうございました。先ほど、内山委員長からもお話がありましたけれども、修正すべき部分につきましては、ちょっとまた委員長ともご相談させていただきながら進めさせていただきたいと思っておりまして、本日いただいたご指摘を反映させたものを、パブリックコメントを行いまして、次回の専門委員会では、その結果と、これを踏まえた報告書案についてご議論いただければと考えているところでございます。
 次回の専門委員会につきましては、日程等をまた事務局から改めてご連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日の議事要旨、それから議事録につきましては、各先生方、委員の皆様にご確認いただいた上で公開することになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【内山委員長】 それでは、どうもありがとうございました。