中央環境審議会 大気・騒音振動部会石綿飛散防止専門委員会(第11回)会議録

日時

平成26年7月3日(木)10:00~11:58

場所

大手町ファーストスクエアカンファレンス RoomB

出席者

(委員長) 浅野 直人
(委員) 青島  等 浅見 琢也
稲垣 隆司 内山 巌雄
大迫 政浩 大塚  直
神山 宣彦 小林 悦夫
近藤 充輔 島田 啓三
武林  亨 谷口 靖彦
外山 尚紀 内藤  恵
本橋 健司 森永 謙二
山崎 淳司
(環境省) 小林水・大気環境局長
奥主審議官
難波大気環境課長
中村大気環境課長補佐
渡辺大気環境課長補佐
石塚総務課長補佐
永井大気環境課
秋元大気環境課

議題

  1.   (1)大気汚染防止法施行令及び省令の改正について
  2.   (2)リスクコミュニケーションについて
  3.   (3)その他

配布資料

  委員名簿

  資料1     大気汚染防止法施行令及び施行規則の改正概要

  資料2-1   埼玉県 提出資料

  資料2-2   川崎市 提出資料

  資料2-3   港区 提出資料

  資料2-4   青島 等 委員 提出資料

  資料2-5   外山 尚紀 委員 提出資料

  参考資料1-1 大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令(新旧対照条文)

  参考資料1-2 大気汚染防止法施行規則の一部を改正する省令(新旧対照条文)

  参考資料2-1 石綿除去工事等に係る情報開示の取組状況(自治体アンケート調査結果)

  参考資料2-2 石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)(抜粋)

  参考資料3   谷口 靖彦 委員 提出資料(大阪府の取組)

議事

【中村大気環境課長補佐】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止専門委員会の第11回の会合を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 私は、本日の司会を務めさせていただきます環境省水・大気環境局大気環境課の中村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、労働者健康福祉機構の圓藤委員、全国解体工事業団体連合会の中橋委員がご欠席との連絡を受けております。武林委員におかれましてもご欠席ということでございまして、本日の出席状況でございますけれども、委員20名中、17名の委員の方にご出席をいただいておりまして、定足数でございます過半数に達していることをご報告させていただきます。

 引き続きまして、お手元の配布資料でございますけれども、議事次第に配布資料一覧を記載してございます。資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、これ以降の議事進行は浅野委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【浅野委員長】 おはようございます。前回の委員会開催から、大分間があいてしまいました。前回の会議は昨年の10月23日に開いておりまして、大防法改正の施行に伴う技術的な事柄についてご意見をいただきました。その後、12月27日に開かれました大気・騒音振動部会に専門委員会の報告をいたしまして、それに基づいて法の施行準備が進められ、現在、既に改正法が施行されているということになっております。前々から、リスクコミュニケーションについてこの専門委員会で意見交換をしたほうがいいだろうと考えておりましたが、諸般の事情で本日まで開催が延びてしまいましたが、ようやく今日このテーマで話し合いをすることができることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 それではまず、議事の1でございますが、今申し上げましたように、大気汚染防止法の改正が行われ、それに伴う改正法施行のための施行令と省令の改正について説明をいただきます。昨年の6月に大気汚染防止法の改正が公布され、今年5月に施行令の一部の改正の政令と施行規則の一部の改正の省令が公布されて、先月の1日から改正法が動き始めております。

 これらの改正について事務局から説明いただきます。

【渡辺大気環境課長補佐】 環境省の大気環境課の渡辺でございます。よろしくお願いいたします。私から大防法施行令及び施行規則の改正概要についてご説明させていただきます。

 まず、大気汚染防止法の改正概要ということで、[資料1]をご覧ください。改正概要につきましては大きく3点ということでございまして、特定粉じん排出等作業を伴う建設工事の実施の届出義務者の変更。2点目といたしまして、解体等工事の事前調査の実施とその結果等の発注者への説明等。3点目といたしまして、都道府県等の報告及び検査の対象の拡大ということで、浅野委員長からもお話がありましたとおり、6月1日から施行されているというところでございます。改正政省令の規定について、詳しくはお手元の[参考資料1-1]、[参考資料1-2]に新旧対照表がついておりますので、ご確認いただければと思いますが、[資料1]によりまして概要のご説明をさせていただきたいと思います。

 法律の第18条の17におきまして、事前調査の規定が置かれました。解体等工事の受注者または自主施工者は、当該工事が特定工事に該当するか否かについて調査を実施という規定でございます。解体等工事とは、建築物等を解体し、改造し、または補修する作業を伴う建設工事ということでございまして、特定工事に該当しないことが明らかなものとして環境省令で定めるものを除くということでございました。この省令で定めるものとして、石綿等の製造、使用等が禁止されました平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した建築物等を解体等する作業を伴う建設工事であって、当該建築物等以外の建築物等を解体し、改造し、または補修する作業を伴わないもの、こういったものなどにつきまして、特定工事に該当しないことが明らかな建設工事として、省令に規定いたしました。

 次のページ、1枚おめくりいただきまして、解体等工事の受注者は、当該工事が特定工事に該当するか否かについて調査し、その結果を書面を交付して発注者に説明ということでございまして、その説明事項といたしまして、調査を終了した年月日、調査の方法、調査の結果を規定いたしました。この発注者に説明する時期でございますけれども、説明は、解体等工事の開始の日までに行うものとするということでございまして、オレンジの部分が政令や省令に規定した内容でございますけれども、そこの括弧書きの部分ですが、発注者が特定工事の届出を規定どおりに行うために設けたものでございまして、特定粉じん排出等作業の開始の14日前までということをきっちりできるようにということで、括弧の中の規定を設けました。

 その下でございますけれども、事前調査の結果の掲示でございます。調査結果の掲示につきましては、掲示板を設けることにより行うこととしました。掲示内容でございますけれども、調査の結果と調査を行った者の氏名または名称、住所、法人の代表者の氏名、調査を終了した年月日、調査の方法、特定工事に該当する場合は、特定建築材料の種類と規定いたしました。

 次のページでございます。報告及び検査の対象の拡大ということで、報告徴収でございますが、法第26条第1項に規定がございます。この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより報告を求め、または検査させることができるとしておりまして、政令改正によりまして、解体等工事の発注者等に対して事前調査等について報告を求めることができることとしました。対象者イメージのところをご覧いただきますと、改正前は特定工事の施工者が報告徴収の対象だったわけでございますけれども、改正後につきましては、解体等工事の発注者及び受注者並びに自主施工者ということになりました。

 その下の立入検査の部分につきましても、対象を拡大いたしまして、事前調査及び調査結果の説明の義務が適切に履行されたかどうかについて、現場確認できるように政令に規定を置いたというところでございます。

 最後のページでございますが、こちらは法改正に係らない事項となりますけれども、作業基準の改正でございます。昨年度の当委員会でもご審議いただいたところでございますけれども、負圧の確認、それから、集じん・排気装置の正常稼働確認の規定を設けたということでございます。具体的な中身としましては、前室の設置、集じん・排気装置の使用が義務づけられている作業について、漏えい監視を強化するものということでございまして、特定建築材料の除去の開始前に集じん・排気装置が正常に稼働することを確認すること。それから、除去の開始前に作業場及び前室が負圧に保たれていることを確認すること。特定建築材料の除去の開始後速やかに、使用する集じん・排気装置の排気口において、粉じんを迅速に測定できる機器を用いることにより、集じん・排気装置が正常に稼働することを確認すること。さらに、これらの確認をした年月日、確認の方法、確認の結果並びに確認した者の氏名並びに確認の結果に基づいて補修等の措置を講じた場合は、当該措置の内容を記録し、その記録を特定工事が終了するまでの間保存することと規定をいたしました。

 一番最後の作業イメージでございますけれども、集じん・排気装置の下の写真でございますが、排気ダクト内の測定時に警告灯を設置した例ということでございます。これは、連続監視の例ということでありまして、省令ではここまでの規定はございませんけれども、望ましい漏えい監視手法と考えているようなものでございます。

 説明は以上です。

【浅野委員長】 それでは、これより質問を受けたいと思いますが、その前に、小林局長がおいでになりましたので、ご挨拶をいただきます。

【小林水・大気環境局長】 水・大気環境局長の小林でございます。本日は第11回目の石綿飛散防止専門委員会ということになりますが、大変お忙しい委員の先生方にご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。私自身は火急の用事がございまして遅参をいたしまして、またちょっと中座をさせていただく場面もあるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。

 今、担当からご説明をしたとおりでございますが、昨年の6月に大気汚染防止法の改正、公布をいたしまして、以来、施行の準備を進めてきたところでございます。それに先立ちましては、この専門委員会で、現場の実態も含め、また、制度のあり方を含めまして大変熱心なご審議をいただきまして、お陰様で、届出者を発注者に変えていますとか、事前調査を位置づけますとか、大変大きな、そして、重要な意味を持つ改正に至ることができたというように考えております。この間のご審議、また、いろんなご指導に、改めまして御礼を申し上げたいと思います。

 今、担当から申し上げたとおりでございますし、またご指摘も賜りたいと思いますが、これをしっかり、ここでご審議いただいた意味を持つような形でしっかり普及をし、その制度に魂を入れていくということが重要と考えております。各地で説明会もさせていただきましたし、具体的なマニュアルなども整備をしまして、この制度の趣旨がしっかり徹底できるように努めてまいりたいと思っておりますので、引き続きのご指導をぜひよろしくお願い申し上げます。

 また、ご審議の中では、まだこれからさらに検討していくいろんな課題もご指摘をいただいておりまして、これも忘れずにしっかりやっていきたいと考えているところでございます。かなり勉強していかなければいけない難しい課題もございましたが、これらもまた引き続き検討してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 その中の一つの課題でございますリスクコミュニケーションにつきましては、今日は第一線でいろいろご尽力いただいております自治体の皆様方にもおいでいただいておりますし、また、一部の委員の先生にはお話もいただけるということで、今日はご審議を賜りますので、こちらにつきましてもどうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 これらを含めまして、答申の趣旨をしっかりこれからも全うするように頑張っていきたいと考えておりますので、どうぞ本日もよろしくお願い申し上げます。

【浅野委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、先ほど事務局から説明がありました改正法令に関して、何かご質問がございましたらお出しください。いかがでございますか。よろしゅうございますか。

【近藤委員】 粉じんの測定器具といいますか、測定装置といいますか、これについては何か通達等で示されるのでしょうか。

【浅野委員長】 どうぞお答えください。

【渡辺大気環境課長補佐】 環境省から自治体へ通知を出させていただいておりまして、その中でデジタル粉じん計、パーティクルカウンター、リアルタイムファイバーモニターをお示ししております。その具体的な取り扱い等を含めまして、石綿飛散防止対策マニュアルのほうでお示しさせていただいているということでございます。

【浅野委員長】 よろしゅうございますか。

 ほかに何か質問はございますか。

 稲垣委員、どうぞ。

【稲垣委員】 要望を一つさせていただきたいと思います。この法律がこういう形で整備されたということは大変有意義なことだと思います。実は、私、こちらへ来る2日前に、うちの大学の中で解体工事に入るということで、発注者としての届出の印鑑をつかせていただきました。そういう点では法律改正の内容が少しずつ普及していると思います。大きな業者はそういうことができると思いますけど、これからまだ多くの解体が進む段階で、中小の業界がどういう形でこれをきちっと認識して対応するかということは大変重要だと思います。今日の資料にありますように、大阪府さんがこういう形でキックオフをやられることは大変すばらしいことだと思いますので、こういうよい事例をぜひ全国の都道府県あるいは地方公共団体にも示したり、業界に示すなど、対応していただけるとありがたいなと思います。これを要望させていただきます。

【浅野委員長】 ありがとうございました。ご要望として承っておきます。

 ほかにございますか。よろしゅうございますか。

 それでは、この点についてはご報告を受けたということにさせていただきます。

 では、次に、本日の議題の2でございますが、リスクコミュニケーションについてということでございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、これまでの専門委員会においても、ぜひヒアリングなどを含めたこの当専門委員会でのご議論をというご意見がございましたので、準備をいたしました。

 初めに、事務局から説明をいただきます。

【渡辺大気環境課長補佐】 [参考資料2-1]を用いて、事務局から説明させていただきます。

 今回の議論を進めるに当たりまして、法律の施行前の3月ということでございますけれども、石綿除去工事等に係る情報開示の取組状況ということで、自治体アンケート調査を実施いたしました。対象といたしましては、都道府県大防法の政令市、それから、東京都の特別区等について、回答を167いただきました。その中で、確認事項といたしまして、情報開示等についてどのような規定を置いていますか、ということで調査いたしまして、条例を定めている自治体が11、要綱、指針で定めている自治体が26、特になしというところも108ございまして、指導等も含めまして35%の自治体が何らかの取組で情報開示の取組を行っているという結果でございました。規定を設けた背景につきましても確認しているんですけれども、石綿の飛散に対する不安の高まりですとか、漏えい事案等の不適正事案の発生、あるいは、近隣住民からの要望対応等といったものが挙げられておりました。

 2番目としまして、条例・要綱等の内容ということで、これは延べ数でございますけれども、掲示も含めて情報開示、今回の法改正で規定されたのですけれども、3月の時点でということでございまして、情報開示の取組ということで掲示が43、周辺住民への事前周知ということで、説明会、個別訪問、チラシ配布等の取組ということで36、事前周知実施後の報告、自治体へ報告してもらうという取組が22、それから、掲示後の自治体への報告が18、届出情報のホームページ掲載が3ということで、これは、工事名ですとか場所、届出者、実施期間を一覧で自治体のホームページに公開するといったような先進的な事例もございました。

 その裏面でございますけれども、情報開示による効果ということで、想定される効果も含めて記載いただきまして、やはり、住民の不安を解消し、安心感を与えるというものが23、苦情・紛争の防止が12、住民への周知が図れるというものが11、適切な工事の推進が4というものがございました。

 さらに、事業者による情報開示の取組ということで、工事例なり典型事例等について具体例を挙げてくださいということで確認させていただきました。取組の背景としましては、自治体における条例、要綱への対応ですとか、周辺住民からの要望対応、不適正事案に対する行政指導によるもの、事業者の自主的取組といったものがございましたけれども、具体的な事例としましては、掲示板の設置ですとかチラシ配布、説明会の実施、個別訪問、回覧板、中には大気濃度調査結果の掲示といったものもございました。

 3ページ目でございますけれども、リスクコミュニケーション増進に向けた取組に関する自治体からのご意見ということでまとめたものでございまして、住民の不安を解消し、信頼関係を構築できるが11、国による指針・マニュアル等の整備で対応すべきというものが8、法令で規定してほしいというものが5、事業者による自主的な情報公開の推進が4、こういったところの意見が多くございました。

 最後のページに具体的なご意見ということでまとめさせていただいております。

 不安解消・信頼関係の構築という点では、事前周知により、石綿除去工事に関する苦情はほとんどなく、地域住民の不安は解消されていると思われる。このような取組は非常に有効な取組であると考える。周辺住民の不安解消につながると考えられるため、全国的に事業者による積極的な情報開示を推進すべき。一方、周辺住民には専門的な知識がないことが多いため、事業者は住民からの求めに応じた適切な対応をとる必要がある。

 指針・マニュアル整備というご意見の中でございますけれども、周辺情況はさまざまであり、一律の義務づけは適当ではないと考えられ、法令による義務づけまでは不要。しかし、掲示板だけでは不十分との住民意見もあり、マニュアル等で一定の考え方を示すべきといったご意見。

 法令での規定といったご意見でございますが、情報開示は周辺住民の安全についての理解を得る上で必要であるが、開示することでかえって不安をあおることがある。開示の手順や方法については法律で一律に定める必要があるというもの。

 少し下がりまして、工事規模による考慮というご意見ですけれども、除去面積が小規模な場合は書面等による情報開示、大きい場合は説明会実施など、規模に応じて対応を検討すべき。

 さらに、リスク説明の基準が必要といったご意見もいただきました。特定粉じん排出等作業の際に健康影響がないとされる目安の数値が必要。リスクコミュニケーションを進めるためには、万が一アスベストが飛散した場合の数値がないと不安は払拭されないのではないかといったご意見。

 その他のご意見といたしまして、作業中の情報、事業者による大気濃度測定結果等を自治会等に周知する仕組みが必要。事前の説明会等を規定するよりも、工事からの石綿飛散防止を徹底し、実際の状況を周辺住民が確認できる仕組みが重要。一番下のところでございますが、周辺住民等が石綿の情報を得ることで、違法な解体工事への監視の役割が期待されるといった意見がございます。

 以上でございます。

 こういったご意見をいただいたところでございますけれども、本日、その代表例ということで、リスクコミュニケーションの増進に係る取組等について、3自治体の方、また、青島委員、それから、外山委員にプレゼンテーションをお願いしているところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

【浅野委員長】 ではまず、自治体からのご説明をいただきたいと思います。自治体は埼玉県と川崎市、東京都港区、この3団体からご説明をいただくことにしておりまして、それぞれ[資料2-1]から[資料2-3]まで、資料もご提供いただいております。まず三つの団体のご説明をつづけて承った後に質問をお受けしたいと思います。その後、青島委員と外山委員からそれぞれまたご発表いただきまして、お二方の委員のご発表が終わった後で全体としての意見交換をしたいと思いますので、自治体のお三方のご発表が終わった後では質問のみにとどめていただければと思います。

 それでは、早速でございますが、今日はお忙しいところ、埼玉県、川崎市、港区、おいでいただきまして、誠にありがとうございます。改めてお礼を申し上げます。

 まず、埼玉県の中山さんからご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【中山(埼玉県)】 埼玉県大気環境課、中山と申します。私からは、お手元の[資料2-1]に基づいて、石綿除去工事に係るリスクコミュニケーションということで、埼玉県の取組についてご説明させていただきたいと思います。

 資料ですが、パワポの資料の後に、[資料2-1 1]ということで事業者向けのチラシとして配っているもの、あと、[資料2-1 2]として、指針の本文をそれぞれ添付させていただいております。

 では、表に戻っていただきまして、まず、リスコミの、私どもは指針でやっているわけですが、この背景としては、平成20年の厚労省の発表の中で、建設業者の健康被害が多発しているという状況がありまして、これはつまり、解体工事現場周辺での石綿のばく露の危険性ということでございますので、行政としては周辺住民への安心安全の確保という部分の対応が求められているという中で、事業者と住民の方が情報を共有する仕組み、こういったものが必要であろうということで、一つ、これがリスクコミュニケーションの今回ご紹介する指針の策定のきっかけとなっております。

 策定に至る経過ですが、まず、平成20年の11月に、対象としては、大防法の届出の対象の工事のうち、改造、補修、封じ込め等は除いた除去工事を対象として、事前周知の指導を試行的に実施いたしました。

 次のページを見ていただきまして、約半年間の試行を経まして、21年の3月に今回ご紹介している指針を策定しておりまして、翌年度の4月1日から施行という形になっております。実際、中身については施行時に作成した骨子のようなものがあるのですが、そこからの内容と大きく変わることなく施行しているという状況でございます。

 その下でございますが、中身についての考え方の中で、まず一つとして、行政による強制ではなくて、事業者の自主的な住民周知に対する取組、こちらを働きかけようということが一つの考え方としてありまして、指針をご覧いただいてもわかるのですが、周知の範囲であるとか方法、こうじゃなきゃいけないよというような形での中身にはあまりなってございません。こういったものは、工事の場所であるとか内容、周辺の住宅の状況に応じて、ケース・バイ・ケースで事業者のほうが考えながら対応していただくということで考えております。

 事前周知の実施者でございますが、こちらは工事の発注者としておりますが、実際には、その発注者の依頼を受けた施工業者でも可としておりまして、実際に私どもに報告をいただいている中でも、施工業者が報告するケースが多くなっております。

 対象工事は先ほど申し上げた除去工事でございますが、その中でも、周辺への影響は軽微であろうということで除去面積が10平米以下、あるいは、周辺に住宅がほとんどないといった場合、これは、非常に広い工場等の敷地の中の一画で、周辺への飛散のおそれがないといった場合ももちろん含みますけれども、そういった場合は対象の外としております。

 では、次のページをご覧いただきまして、周辺住民等の範囲ということでございますが、こちらも、明確な範囲という部分で定めてはおりませんが、実際には事業者のほうが工事の内容と周辺状況に応じて設定していくという中で、これも、実際のケースとしては、やはり周辺の自治会単位での周知ですね。戸別訪問であったりチラシ配布であったり説明会であったりといった形の周知が多くなっております。

 今お話しましたが、実施の方法としてはこちらの四つの方法(説明会。戸別訪問、チラシ配布、回覧板)でやっております。

 実際の周知の内容ということで、こちらに掲げております1から8の内容について周知をしてくださいということで、これは、例えば、戸別訪問でチラシ等を配布するのであれば、[資料2-1 1]の裏面のほうに、チラシの例ということで、こういった形でお知らせしてくださいというようなものもつくっております。

 パワポの資料に戻っていただきまして、内容8というところですが、実施の時期でございます。実施の時期は、当然ですけども、施工前まで、できるだけ早い段階でやってくださいということでお願いしておりまして、実施状況の報告ということで、[資料2-1 2]の資料の一番後ろの左隅に(様式)と書いてありますが、こちらの様式に従って、どういう方法で実施したであるとか対象の範囲はどの程度であるとか、どういった内容の周知をしたとか、チラシ等を配ったのであればどういったものを配ったのかといったことを報告いただくこととなっております。

 パワポのほうに戻っていただいて、埼玉県内の実施状況、下の表でございますが、埼玉県内は、政令市と事務移譲市を除きまして、大体年間で届出が100件前後ございます。その中で、先ほど申し上げた対象外となる工事を除きますと、実際には7割から8割程度が私どものリスコミの指針の対象となる工事でございます。こちらの表のとおり、重複部分はカウントしておりませんので、例えば、説明会もやってチラシも配布したよということであれば、説明会のほうにカウントしております。実施の中身については戸別訪問とチラシ配布といった方法が多くなっております。実施率としても、表の一番右にありますが、ほぼ100%に近い実施率でやっていただいているというところでございます。

 事業者の反応というところですが、やはり、当初は非常にネガティブなご意見というか、反応がありまして、結局周辺住民への働きかけをすることによって、逆に不安をあおるだけではないかといったようなことであるとか、あと、工事の反対運動が起きたら困るんですというようなこと、こういったネガティブなご意見がありましたが、現状では、施行から6年目を迎えておりますが、少なくともほかの自治体さんでもやられているということもありますし、埼玉県内で事業者が届出を出して工事をする場合にあっては、このリスコミの実施については広く浸透している状況を実感しております。実際には、届出を出す前に、こういった形でリスコミをやりましたということで渡したものを報告様式に基づいて報告をしていただいているという事例が多くなっています。

 当初懸念していたようないわゆる苦情・相談が殺到するのではないかとか、住民の反対運動が起きるのではないかといったような部分というのは、実際の事例としてはほとんど出ていないという状況でございます。

 私からは以上です。

【浅野委員長】 中山さん、どうもありがとうございました。

 では、続きまして、川崎市の中松さんからお願いいたします。

【中松(川崎市)】 川崎市役所環境対策課、中松と申します。どうぞよろしくお願いします。それでは、座って説明をさせていただきます。

 私のほうからは、[資料2-2]を用いて説明をさせていただきます。

 最初に、川崎市の取組の背景ですけれども、川崎市では平成23年に公害関係の条例を改正しまして、石綿含有成形板を規制対象に加えるとともに、吹きつけ石綿等の大気汚染防止法による対象建材についても、環境測定の実施や完了報告の提出義務など、そのような独自の規制というものを設けました。この条例改正の中で、住民が近隣で石綿の工事が実施されているという事実を知らないままに工事を行うというのは問題であろうという観点から、事業者に対して周辺住民への周知義務を課すことにしました。

 次のスライドに行きまして、事前周知に関わる規制内容について説明させていただきます。

 川崎市で周知が必要となる工事ということが表の一番上に書かれています。大気汚染防止法の届出対象となっている工事全てと、さらに、石綿含有成形板を使用している床面積が80平米以上の建築物の解体工事の場合に周知が必要になってきます。

 周知の義務者ですけれども、工事の施工業者になっております。

 必要な周知の方法としましては二つございまして、まず最初が、表の左側の青い部分に書かれているものになります。事前調査結果の表示になります。こちらは、6月に改正された大気汚染防止法と同じような規定になっておりまして、掲示板の設置による表示を義務づけております。掲示板については工事の期間中に掲示をしておくことになっておりまして、周知事項としましては、事業者の氏名または名称、連絡先、石綿含有建築材料の種類、調査実施日を記載することになっています。工事現場に掲示する掲示板の大きさとしましては、縦40センチ以上掛ける横60センチ以上というふうに規定してございます。

 それとあわせて、もう一つ、右側のほう、広告物の配布等による住民周知が必要となっております。具体的には個別訪問や説明会になります。こちらの周知時期は工事開始までに実施するというふうに規定しております。周知事項としましては、事業者の氏名または名称、工事期間、その他の工事に関する事項について周知をするというふうに決めております。こちらの周知範囲については、作業区域から水平方向で20メートルの範囲という規定がございます。

 平成25年度における川崎市のこちらの周知が必要となる対象工事件数は990件ございました。

 実際に広告物を配布する周知範囲のイメージ図をその下のスライドに示してございます。作業区域から20メートルの範囲内に線を引いてございます。この20メートルの範囲内に建物が仮に入っていないとしても、その土地の一部分が入っていれば、そこに建っている建物の居住者に対して周知が必要というふうに規定しております。

 次のスライドに移ります。実際に事業者が行っている周知方法について説明をさせていただきます。ほとんどの事業者というのは、戸別訪問をしてチラシを配布しております。戸別訪問の際に不在の場合には、チラシをポストに投函することによって周知としております。このチラシには、解体工事の挨拶時に通常配布しているものに、石綿の除去作業があるという旨の内容の文章を記載して使用しているという事業者がほとんどです。また、ビルの解体で吹きつけの石綿がある場合などの大きい工事の場合には、通常の解体のお知らせのチラシとあわせて、アスベスト除去工事に関するお知らせというチラシを作成して配布しているところが多いようです。

 期待される効果ですけれども、周辺住民と事業者が工事に関する情報を共有することで、市民の不安を解消することができると思っております。あわせて、事業者は説明の内容に沿って責任を持って適正な工事を実施するようになっています。また、行政は、周辺住民からの工事への不安に対する訴えに対して、行政からの説明だけではなく、事業者に対し責任を持って住民に説明をするよう積極的な指導ができます。

 次に行きまして、行政による周知内容の確認方法です。川崎市では、周知実施後の報告というものを求めていないかわりに、条例で定めている事前調査結果届出書の中に周知の内容の資料を添付するように求めております。具体的な周知の内容としましては、周知の範囲、周知の方法、周知の実施予定時期、また、チラシを配布する場合には、それに使用するチラシのコピーをつけるようにしております。こちらの届出を確認しまして、内容が不十分であれば、内容を修正の上、工事開始までに適正に周知をするよう指導をしております。

 続いて、住民から寄せられた苦情内容とその対応の例を説明させていただきます。石綿に関する工事の説明内容が専門的過ぎてわからないというような問い合わせにつきましては、事業者に対して再度説明を実施するように指導をしております。本当に安全な作業計画なのかがわからないというような内容につきましては、事業者からは作業内容についてもう少し詳しく説明していただき、行政からは法令の作業基準などについて説明をさせていただいております。実際に行っている作業内容が適正かがわからないというものに関しては、行政による現地確認を実施しております。川崎市では石綿含有成形板の撤去工事には全件立ち入りを実施しておりますので、それを苦情者の方に説明して、しっかり行政のほうで監視しているという旨を説明させていただいております。

 続いて、取組事例を2例説明させていただきます。

 一つは、工事内容としては、木造2階建ての解体工事であった事例です。こちらは、工事開始前に事業者から工事内容について説明があったんですけれども、その内容が不十分であり、事業者の説明は信用できないという連絡が市にございました。事業者に対して行政側から再度の説明を指導しまして、個別訪問の上、説明を実施させました。それでも住民の事業者に対する不信感というものは払拭できませんでしたので、事業者による説明に市の職員も立ち会って、事業者と行政の両方から工事について説明を行った結果、住民の理解が得られたという事例がございます。

 次の事例は、社宅、RC造4階建ての9棟のまとまった解体工事の事例です。こちらは大規模な工事でしたので、工事開始前から、周辺住民から石綿の飛散に関する不安の申し立てというものが施主側と行政側の双方にございました。施主側には住民と対立せず話し合いの場を持つよう行政指導しまして、実際の解体を行う施工業者には、条例に基づいて20メートルの範囲内の広告物の配布だけではなく、周辺の自治会等を通して説明会を開催し、石綿の含有状況や解体の計画について説明をするよう指導をしました。また、行政と住民との会合の中においても、立入検査の方法などについて説明を行いました。こちらの現場についても、解体工事の開始後は施主側、行政側に再度の住民からの問い合わせはなく、工事は着実に行われました。

 次に、課題というところで、運用上の課題と法令上の課題と分けて話をさせていただきます。

 まず、運用上の課題ですけれども、届出書に周辺住民への周知計画を添付してもらうことで、事業者による周知が条例どおりに適正に行われるかを事前に行政が確認しております。事業者が届出内容に反して周知を実施していないなどの事例は、現在までに確認はされておりません。そのため、現状の運用方法でも大きな課題はないものと考えております。

 法令上の課題としまして、条例では作業区域から20メートルの範囲内にある住民や事業者について周知義務というものがございますが、実際に作業を行う敷地内の関係者に対しては周知義務というものはございません。ですので、例えば、大規模な工場で工事をする場合の従業者への周知や、学校で工事を行う場合の生徒への周知などが不十分な場合がございます。また、20メートルという周知範囲が適当かどうかの検証も必要だということが言われております。

 最後に、市条例の石綿解体工事に関する届出というのは、川崎市では、レベル1、2、3、全て含めて年間800~1000件程度ございます。事業者が条例に基づく住民周知をしたことによって、住民から行政側に問い合わせがあるのは全届出の2~3%程度です。そのほとんどは、行政の説明または事業者の追加説明により理解が得られています。また、そのうち過去数件では、一度の説明では納得してもらえなかったケースもありますが、その後、再度の説明などをすることによって、大きな問題に至っているというものはございません。

 このような経緯から、騒ぎになることを恐れて情報開示しないことよりも、積極的に情報を開示して丁寧な説明を行うことによって、住民に理解してもらうとともに、事業者が責任を持って適正に工事を行うことで、住民と事業者との間でトラブルになることを回避できているのではないかと考えております。

 以上です。

【浅野委員長】 中松さん、どうもありがとうございました。

 では、最後になりましたが、東京都港区の辻本さんからお願いいたします。

【辻本(港区)】 港区建築課の辻本と申します。よろしくお願いします。まず、私のほうから解体工事の事前周知に関する要綱の説明をいたしまして、次に、環境課の長谷川のほうから石綿等のご説明をいたします。

 では、[資料2-3]をおあけください。

 まず、要綱制定の背景からですが、港区では、まず、解体工事に関する指針を平成16年4月1日実施ということで制定いたしました。この指針は、解体工事に伴って生じる近隣紛争を防ぐために、必要な事項を定めて、近隣の生活環境の保全を図ることを目的として制定されました。

 次のページをおあけください。平成17年ごろからアスベストについての関心が社会的に高まってきまして、解体工事に対するアスベストの飛散に関する健康被害等の問い合わせが多数寄せられたものですから、区民の安全安心の観点から、指針を見直して事前周知と石綿飛散防止に関して必要な事項を定めることで、生活環境の維持と良好な近隣関係保全に資するということを目的として、平成20年6月に港区建築物の解体工事等の事前周知等に関する要綱を策定いたしました。

 次ですが、指針から要綱に変わりまして、主な変更点ですが、まず、床面積80平米以上あるいは特定建設作業を伴うものから全ての建築物を対象といたしました。また、工事施工者に石綿等の調査結果及び石綿含有成形板等の除去計画の報告を義務づけました。発注者等には標識設置及び設置報告、説明会等による隣接関係住民への周知の報告を義務づけました。最後に、職員による立入検査及び試料の採取が可能となりました。

 次のページです。対象となる工事ですが、建築物の解体工事、あるいは、石綿除去等工事です。それから、届出につきましては、石綿事前調査結果報告書、石綿除去計画書、これは成形板のみですけども。それから、解体工事等標識設置報告書と解体工事等説明会等報告書となっております。これにつきましては、[資料2-3 4]をご覧ください。解体・石綿除去等工事のお知らせの標識をA3に拡大しまして道路に面した場所に貼って周知するということになっています。真ん中に石綿等の調査結果報告を書く欄がございます。

 その次に[資料2-3 5]ですね。解体工事等標識設置報告書、この報告書を区に届出ることとなっております。[資料2-3 5]の裏面です。ここに、地図とか、標識を貼った場所の図面、及び写真を撮って、証拠書類として添付させるようにしております。

 最後に[資料2-3 6]ですが、この解体工事説明会等報告書によって、周知の方法、こういうふうにしたということを報告させることになっております。

 では、また戻ります。

 [資料2-3]の6ページです。解体工事等の事前周知による手続の流れですけども、まず、有害物質(石綿)等の事前調査がございます。報告書あるいは除去計画書を標識設置の前に環境課のほうに提出することになっておりまして、その後標識設置、これは、非木造が30日前、木造が15日前となっております。その後、設置先、資料にありました設置報告書を7日以内に提出して、さらに、説明会、あるいは、戸別説明でもよろしいんですけども、行なった報告書を区に提出させるという形になっております。

 次の7ページです。標識の設置及び報告についてということで、標識設置後7日以内に建築課に標識設置報告書の提出を行うように求めています。報告書には、先ほど資料でご覧いただきました石綿事前調査結果報告書の提出月日とか受理番号を記入する欄がございまして、その欄に記入がない場合は、環境課に連絡をして、石綿の事前調査結果報告書を出すように指導しております。

 それから、次の8ページです。解体工事等説明会等報告書の提出につきまして、住民への事前周知を図るため、標識の設置とともに、説明会等の報告を発注者から提出するように求めております。この範囲ですが、隣接関係住民、これは建物の外壁面からその高さと等しい水平距離、円を描きまして、その範囲内に居住する方です。説明会の開催、または、戸別説明を行った結果を報告することとなっております。また、高さの2倍、これは敷地境界からの2倍になるのですけども、範囲に居住する方は近隣関係住民といっておりますが、この方たちから説明を求められた場合は誠実に対応するように指導しております。

 私からの説明は以上で、次に、環境課の長谷川のほうから石綿等の除去計画についてご説明いたします。

【長谷川(港区)】 着席のまま失礼いたします。港区環境課の長谷川です。それから、隣は同じく鈴木です。よろしくお願いします。

 続いて、[資料2-3]の9ページの部分、除去計画書のところからご説明させていただきます。

 除去計画についてですが、大気汚染防止法及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例に基づく届出の対象外となります石綿含有建材を除去する場合には、解体工事等を行う建築物の石綿除去計画報告書を提出するようになってございます。これにつきましては、添付資料の[資料2-3 3]をご覧ください。そちらにおつけいたしましたのが除去計画書の書式となっております。また、その次の2枚目につきましては、同じく事前調査結果報告書の記入例をつけさせていただいてございます。

 続きまして、石綿含有保温材等で、配管エルボ等につきましては、エルボ部分を養生した後、石綿のない部分で切断する場合には、基本的に大防法の届出は不要となっておりますが、実際の除去等の把握ができないため、除去計画書におきまして切断工法及び石綿の存在箇所、工程等を明記して提出するよう業者さんにお願いしてございます。これにつきましては、前後しますが、同じく添付資料[資料2-3 3]の3枚目をご覧ください。こちらの中ほどのほうに実際のエルボ等を除去する場合の記載事例を記入してございます。

 続きまして、[資料2-3]の10ページのほうをご説明いたします。石綿含有成形板等につきましても、存在箇所及び除去方法と工程を提出いただいております。これにつきましては、また前後しますが、[資料2-3 3]の4枚目以降に成形板等の存在箇所等を示した平面図の記載事例をつけてございます。また、その後ろのほうに工程等のフローチャートを同じく添付させていただきました。

 また前に戻りまして、適正に処理されていることを確認するために、特別管理産業廃棄物及び一般産業廃棄物、石綿含有建材を含んでおりますものですが、収集運搬及び処分場の許可証の写しを添付するようお願いしておりまして、これにつきましては、[資料2-3 3]の最後のページに廃棄物処分についての記録の記載事例をつけてございます。

 続きまして、[資料2-3]の11ページ、要綱施行による効果についてご説明いたします。

 先ほど、建築担当の辻本のほうからもご説明申し上げましたが、要綱に基づいて標識設置や説明会等が行われることにより、近隣の住民の方が計画や状況を把握することができるようになり、不安や疑問の解消が図られ、地域の安全・安心に貢献ができているものと思われます。また、要綱の施行当初は、成形板等の取り扱いで施工業者さんのほうから問い合わせが数多くあったと聞いておりますが、現在につきましては、成形板等についても除去計画書が通常のように提出されるようになってございます。そのため、現在については、近隣住民からの問い合わせがあった場合でも的確に回答できるようになってございます。

 最後の12ページ目についてご説明いたします。事前調査結果の報告で石綿がないという報告のあった物件についても、石綿の使用が疑われるような場合には、我々環境課の職員が現地に立ち入りを行いまして、石綿建材の有無を確認するようにしております。また、目視等だけでよくわからない建材等があった場合については、事業者に対して石綿の分析調査等を行うように指導しております。ただ、これについて、なかなか業者さんに従っていただけない場合には、区のほうで予算をとってありまして、業者委託によってサンプリング調査を行って、石綿建材等の使用の有無について確認を行う場合がございます。

 港区からのご説明については以上でございます。

【浅野委員長】 辻本さん、長谷川さん、ありがとうございました。

 それでは、ただいま3団体から状況についてのご説明をいただきましたが、この段階までで、3団体のご報告に対する質問が何かありましたら、お出しください。いかがでございますか。ご質問をご希望の方は札をお立ていただけますか。今、お二方です。ほかにいらっしゃいませんか。よろしいですか。

 それでは、大塚委員、どうぞ。

 お答えは後でまとめていただきますので、どの団体に対する質問かを明示してください。

【大塚委員】 どうもありがとうございます。

 まず、埼玉県さんのほうにお伺いしたいのですが、スライドの13で実施状況の実施率というものがありましたけど、先ほど、一応説明はちゃんと聞いていたつもりですが、100件のうち七、八割というのがまずどうして七、八割になるかということがわからなかったのですが、そのうちの分母は、100件の七、八割というのが分母なんでしょうか。その辺をひとつ教えていただきたいということがあります。

 それから、もう一つ、住民の不安という問題が14ページとかに出ていますけども、何らかの基準がないとまずいとかというような要望があるかどうかということについてお伺いしたいということです。

 それから、川崎市さんについてでございますけども、スライド7とかで現地確認を行政がなさっているということですが、法律でこういうことをやろうとするときに、必ず自治体さんのほうから、マンパワーが足りないというような話が出てくるんですけども、その辺は調整されているのだと思うんですけど、その点についてお伺いしたいということと、もう一つは、こういうふうに説明会をすることを義務づけていくというのは非常に重要だと私は思ってはいますけども、例えば、スライドの9とかだと、話し合いとかということになっていくと、住民の方のほうから「もう工事をしてくれるな」というような主張が出てこないかということが多少気になります、そういう事例はないのかとか、そういうときにどう対処しておられるかということを教えていただければありがたいと思います。

 以上でございます。

【浅野委員長】 大迫委員、どうぞ。

【大迫委員】 それでは、幾つかお尋ねします。

 川崎市さんのほうに関しましては、周知の報告ということでいただくことにはなっているんですか。事前に周知計画に関しては特に求めていないというふうに理解したのですが、事前の指導プロセスというものを中に入れるということに関しては、──すみません、今のは埼玉県さんのほうですね。ごめんなさい。川崎市さんのほうが事前の周知計画を調査すると。ただ、埼玉県さんのほうが事後の報告のみということで、埼玉県さんのほうに、事前指導のプロセスというものが、実際に実務的にはそういったことがないのか、あるいは、その必要性を感じているかということ。その点について、1点目、お伺いしたいと思います。

 それから、もう一つは、説明会に関して、もし規模の大きなもの等に関して説明会を開く場合に、行政の立ち合いを求められるということが住民なり、あるいは、事業者さんなりからないかということに関して、この点に関してお願いしたいと思います。

 それから、実際にいろいろと、行政として、こういう周知の結果に関して報告いただいたものをどのように次に反映させようとしているのか、新たな施策に対して反映させようとしているのか、そういったところのご予定なりお考えの点があれば教えていただきたいということがあります。主に埼玉県さんのほうにお尋ねいたします。

【浅野委員長】 それでは、ただいまお二方からご質問がございました。

 ほかにはご質問はございませんか。よろしいですか。

 それでは、埼玉県から、順次お答えいただけますか。

【中山(埼玉県)】 埼玉県の中山です。

 まず、大塚委員のほうからご質問がありました件数の集計の関係でございますが、説明不足ですみません。こちらは、全届出対象の中で、埼玉県の場合、対象としているのが除去工事ですので、改造補修であるとか封じ込めであるとか、そういったものがまず抜けてきます。さらに、石綿の除去面積が概ね10平米以下のものについても同様に対象外としておりますので、そういった対象外のものを抜きますと7割から8割程度になるということでございます。その数字というのが、実施状況の表の中の年度の隣にある対象届出数の数字になります。その右側に実施内容の内訳がございますが、これは重複したものを除いておりますので、実際にこの五つを合計した数字が実施した工事の数になります。ですので、この五つの数字を足したものを対象届出数で割ったものが実施率という形で、一番右の表に掲載させていただいております。

 すみません、もう1点ご質問いただいた14ページの住民の不安が増すのではないかといった部分の基準がないという部分、もう一度、申し訳ないです。

【浅野委員長】 何らかのアスベストの数値的な基準がないと、なかなか納得してもらえないのではないかという話です。

【中山(埼玉県)】 わかりました。すみません。こちらは、実際には今はこれ以下でなくてはならないという、いわゆる法律等の基準がない中の話なので、やはり、私どもとしても、そういったいわゆるオーソライズされた、要はこれ以下なら大丈夫だよと胸を張って言えるような数字というものが設定されておれば、当然それに基づいてご説明することができるので、当然そういった数字があるほうが我々としてもやりやすいとは考えております。ただ、実際の住民の方からのご相談等に対しては、私どもも、石綿の除去工事については全数立入検査を実施して、養生確認を実施しております。それで、全数ではありませんが、完了検査も実施しております。ですので、そういった立入検査で私どもは監視をちゃんとやっていますと。あと、事業者に実自主実測定ももちろんやってもらっているのですが、それだけではなく、私ども行政のほうでも行政測定という形での周辺のモニタリングも、全数ではありませんが、ピックアップして行っておりますので、そういった部分でお話をさせていただくしかないかなと今は考えております。

 続きまして、大迫委員のほうからお話があった点ですが、まず、事前周知に対する事前指導のプロセスがどうなのかという点でございますが、こちらは、確かに私どもは、実際に周知する際にこういう方向でやりますよというご報告をいただく仕組みにはなっておりませんが、少なくとも現時点においては、この制度自体が大分浸透してきているということと、届出の相談があったときには、一連の届出の報告書類、私ども埼玉県の場合は、この事前周知のリスコミの指針の報告だけではなくて、ほかの自治体さんでもやられているような完了報告というものも求めております。これは、自主測定の結果であるとか、廃棄物をどう処分したとか、マニフェストを添付するとか、そういった報告ですけども、そういった一連の手続きを御案内します。その相談のなかで、実際、事前周知はどういうふうにやるのですかということについて、その届出の内容、工事の内容等を踏まえながら、私どものほうでも助言をしながらやっていただくという形で対応しております。

 もう1点が、説明会、行政の立ち会いを求められるか、ところでございますが、私どもが実際に説明会、すみません、私も全ての現場を把握しているわけではないんですが、実際に説明会の場に県が立ち会って参加したという事例は、おそらくないと思われます。

 私どものほうで定めている指針自体が、事業者の自主的な取組を促すということでやってもらっているということと、もちろん説明会には立ち会わない、何が何でも立ち会わないということではなくて、実際に求めがあればどうかというところはありますし、あと、実際には、事業者からの対応で不十分であれば、通常は私どものほうにご連絡が来ます。その周辺の方から、こういった工事をやるような話を聞いたんだけども、これは実際どうなのかというようなお話は、私どものほうに直接来る場合もあります。そういった場合であれば、先ほど言ったように、我々行政のほうもきちっと立入指導で監視しますという部分のご説明をしながら、こういう工事は法律の定められた基準があって、その基準の中でやるということが定められているので、そういったものに従ってちゃんとやるように指導しますというような話をして納得をいただくということになろうかと思います。

【浅野委員長】 どうもありがとうございました。

 では、川崎市、どうぞ。

【中松(川崎市)】 それでは、大塚委員のほうから質問があった内容について、回答させていただきます。

 まず、川崎市の場合の全件アスベストの立入検査を行っているので、それについてのマンパワーをどうされているのか、どうしているのかという、そういう質問だったかと思うんですけれども、川崎市は条例が改正される前までは、正規職員3名と非常勤職員1名の計4名で対応しておりました。条例が改正されまして、全件立ち入りを行う際に職員を増やしております。その際に、正規職員1名と、非常勤職員2名の計3名を増やしまして、それで全件立ち入りを行うようにしています。ですので、通常、立ち入りを行う場合は、正規職員1名と非常勤の職員2名の計3名という形で行っておりますので、非常勤職員を増やすことによって正規職員の負担を少なくするように配慮をしています。

 あともう一つの質問が、工事の停止について要望があった場合、どのようにするのかという内容だったかと思うんですけれども、基本的には行政のほうから、その工事の停止については権限がないということで、お断りをさせてはいただいております。ただ、基本的な内容としましては、アスベストの飛散が心配だから工事を停止するという、そういう話だと思いますので、工事内容については事業者からも行政からも、何度か説明をさせていただいて、工事に対して理解をしていただくというようなことをしております。

 以上です。

【浅野委員長】 ありがとうございました。

 それでは、港区には特にご質問ありませんでしたけれども、全ての自治体に対するご質問という理解もできるのですが、いろいろと報告を提出されるということが行政上どんな形で活用されるだろうかということなんですが、港区はいかがでしょうか。過去の届出のデータのようなものが何らかの形で行政に反映できるのだろうかと、そういうような趣旨の質問だと思います。

【長谷川(港区)】 届出いただいた内容につきましてはデータベース化しておりまして、そういう点では、近隣の住民の方、今日はリスクコミュニケーションということでお話しになっているわけですが、そこの工事はアスベストを使っているのかとか、あるいは届出をきちんとされているのかといったような苦情というかご質問をいただくことは間々ありますので、この辺について、速やかにお答えできるというような形にはなっているかと思います。

【浅野委員長】 ご質問された方、よろしいですか。

 では、どうもありがとうございました。

 では、後でまた青島委員、外山委員のお話の後で意見交換したいと思います。しばらくお待ちください。

 それでは、青島委員、ご説明いただきたいと思います。

【青島委員】 近隣説明会等の取組ということで、事例を含めて、ちょっと時間も押しているということなので、できるだけ要点だけを説明したいと思います。

 まず、今の県の方、あるいは市の方の説明、基本的にはこの近隣の説明会をするのは、2番目のスライド、周辺住民の情報開示ということで、今回、法の改正により掲示を周辺住民の見やすいところに掲示をするということで義務化されておりますし、下に書いてあるように、住民への説明というのは、やはり事業主の方、それから施工者も含めて、大変重要なことだと認識をしております。日経連のいろいろな部会の委員の方にもこの辺の意見を聞きまして、まとめたものでございます。

 内容は、事例-1、四、五年前の近隣説明会の資料となっております。これは中央区の事例でございます。それからもう一例は、墨田区のアスベストに関しての事例を例の2としております。いろいろ要綱、各自治体等の要綱、それを守った、あるいは中高層の建設工事の環境影響評価となると、1年も前に説明をするような物件もございます。実際の具体的な再開発部分の石綿調査というのはその後になってきますので、2度、3度とその工事の説明会を行うということになります。

 2ページ目の例-1、4ページにあるような式次第をもとに説明をしていくということになります。工事の概要とか、既設の建物の解体の説明、それから解体材の処理計画の説明、その他質疑応答、それで閉会というような流れになっております。

 この中で、ページを飛ばしまして、アスベストに関しては20ページの分別解体、それから廃棄物ですね、どのような廃棄物がどこにあってどういうふうに出るのかという説明をしております。一般的な近隣の方が、全体の建物の廃棄物の中で有害物質がどこにあるのかということが、大変興味を持っておられます。それについて、6-1の図のように、調査結果を公表するということになります。

 それからその下の図、イメージとして、断面図をもとに事務室のアスベストがどこにあったのか、どういうものがあるのかということを説明します。

 それから、次のページに行きまして、どのような手順で除去をするのかということです。それを24ページ、26ページ、図ですね、それを参考に説明するということです。

 それから、レベル3の非飛散性アスベストといわれているものの手順を説明、27のフロー図です。そのように説明をする。

 そのほか、28のスライドです。安全対策事項、工事に伴っての近隣への被害が及ぼされるものについての安全あるいは環境に対する対策についての説明をします。

 それから34図のスライド、何らかの苦情とか受付窓口を、誰々が担当だと、これは事業主が誰々、それから、工事現場の問い合わせは誰々ということで、連絡受付窓口ということで、この連絡先を伝えるということでございます。

 これが一つの例でございます。一般的な例でございます。

 それから、例-2です。これは、最初の近隣説明で、さらにアスベストについての質問が殺到して、追加の説明をしたということでございます。大変アスベストに不安に思っていらした住民の方がいまして、説明をしたということです。

 基本事項から、あと、隔離養生について、どういった飛散防止の対策をとるのか、それから、廃棄物についてはどうするのかということが、質問として出ておりましたので、その流れを基本の概要からアスベストの対策処理、レベル1からレベル3の区分けとか、特定建築材料のレベル1、レベル2だということの、詳しく説明をしたものでございます。

 その中で、この現場の特殊性というのがありまして、ここに40スライドの図に書いてあるように、外部に面した部分にアスベストが施工されていたということを、これは一般の、先ほどの高層ビルの内部の梁、あるいは柱、床と違って、外部から除去しなければならないという工事でしたので、この部分についての外部隔離についての状況とか、断面図をもとに説明をしたということです。

 それから、41スライドの図です。これは、飛散防止、漏えい防止の測定についての届出の内容について、詳しく説明をしました。どこの位置で粉じん濃度をはかるのか、石綿濃度をはかるのかということですね。これは足場の下ではかった、それから内部ではかったものということで、このような位置で測りました、計画していますと、外部には漏えいはしないということの確認になりますよという説明をいたしました。

 次に、レベル2についても大変不安に思っている方がいるので、レベル2の方法、43、44のフロー図ですね。それから、セーバーソーを使った除去の方法についても説明をし、レベル3についても45図のように説明をしました。それからアスベストの処理工程ですね。いつ、どういうふうにやるのかと。

 47図です。廃棄物については、飛散防止の処理をし、搬出をし、処分場に持ち込むということを説明しております。

 終わってから質疑応答になりまして、いろいろな質問、この現場だけではなく、ほかの近隣説明会で、非常に不安に思っている方から質問が出てくる。ただ法律とか規定とかそれ以外のことで、健康不安とかそういった問題、例えば1本でも吸った場合はどうなりますと。日本の基準ではなくて海外ではどういう基準ですかというような質問に対して、丁寧に答えるということになります。

 それと課題としては、事業主の方はいろいろな方がいます。大きなホテルとか病院とか、それから守秘義務があるのであまり公表したくないという方もいらっしゃいます。先ほど、騒ぎになることを恐れて情報公開をしない、風評を恐れるという方がおりますので、情報公開を事業主の方に相談の上、公開するということになりますので、大変時間がかかったり、近隣説明会の中ですぐ回答できない部分があるので、その場合については隠蔽しているのだろうというような不信感を持たれるという可能性も出てきます。ですので、一つは、これは土壌汚染の対策法に、このような土壌汚染に関するリスクコミュニケーションガイドラインというのがございます。こういったものが、例えば環境省さん、あるいは厚生労働省さんから出てくれば、それをもとにリスクがあるかないか、それからどのような方法で近隣説明会を行うのか、それから近隣の方が安心できる現場の工事ということが、近隣説明会の方法というのが、行政からも、先ほど自治体の方からもありましたけれども、なかなかこれという基準がありませんので、そういうガイドラインがあれば、もう少しスムーズにいくのではないかと思います。

 以上です。

【浅野委員長】 青島委員、どうもありがとうございました。

 それでは次に、外山委員お願いいたします。

【外山委員】 [資料2-5]をご覧ください。石綿をめぐるリスクコミュニケーションということで、幾つかの事例をお話しすると同時に、リスクコミュニケーションとしてどうだったのかということを、私たちなりに評価をしているという報告をしたいと思います。

 2枚目のスライドで六角形の図式があります。これは古典的なリスク評価、リスクアセスメントの図ですけれども、真ん中に利害関係者の関与ということがあって、やはり私たち、これが最も重要だろうというふうに考えています。

 その下に、リスクコミュニケーション3つの戦略ということがありますけれども、これは吉川先生が書かれているもので、一つは、リスク情報を理解するための教育、2番目に、意思決定過程への人々の参加、3番目に信頼の確立ということで、この三つを軸にして、評価を私たちなりにしたという報告をしたいと思います。

 次、めくっていただきまして、これら六つ、これから一つずつお話をします。

 最初に、2つの事故後のコミュニケーションということで、3枚目に行きまして、二つの飛散事項とその後のコミュニケーションということなんですけれども、一つは1999年、文京区のさしがや保育園というところで起きた飛散事故です。保育園の中で改修工事をしまして、クロシドライトを飛散させて、12日間、比較的長時間にわたって園児などがばく露してしまったということがありまして、当然、父兄の方は非常に怒りまして、専門委員会が設置されて、1年半くらいかかって検討して、リスク評価されました。やはりこれは10-5リスク以上になってしまったということで、区としては長期健康管理ですとか心理相談、これではやっぱり納得できないということで、一部の父兄の方は民事損害賠償請求を起こしていて、区として結局コストとしては1億円以上のものがかかってしまったということで、非常に高くついたという事件がありました。

 それから、2006年に佐渡の両津小学校というところで起きた事件、こちら小学校ですけれども、除去現場から漏えいをして、半日、生徒などがばく露してしまったという事件がありました。これも専門委員会を設置しまして、ですけれども、さしがやと比較をしてリスクは非常に低くて、全員が10-5以下であったということで、それでも佐渡市としては長期健康管理ですとか心理相談を行って、それに対するコストが413万円くらいかかったということです。

 共通しているのは、やはり非常に父兄の方が怒ったということが契機になって専門委員会が設置されて、もう一つはリスク評価を数値的に出したということがこの二つの事件に共通している特徴だというふうに思います。

 評価ですけれども、教育に関してはリスクを定量化したということが非常によかったというふうに思います。それをわかりやすく説明したということですね。これが理解につながっていたというふうに思います。説明会ですとか個別相談も非常に頻繁に行って、理解を求めました。

 それから、人々の参加という面では、やはり皆さんの怒りというか、そういったものが専門委員会設置に大きな役割を果たしたということで、その後の説明会にも保護者などが積極的に参加をしています。

 信頼の確立という面では、一旦これは崩壊したわけですね。信頼関係が全く崩れてしまったというところから出発をして、その後、できるだけやはり行政としては努力をして、公正に進めていったんですけれども、やはり高リスクのさしがやの方では、やはり訴訟まで至ってしまったということです。なかなか難しさがあるということです。

 以上が最初の事例です。

 それから、2番目にK会館解体工事ということなんですが、これは2010年に私たちが関与した事案で、これは新宿区で、ある建物の民間の解体工事が発表されて、説明会がありました。その隣に区立保育園があったんですね。その保護者の方と話し合いをしたんですけれども、業者の方がなかなか適切な説明ができなくて、レベル3はないんだというような、ちょっとあり得ないような説明をしてしまったことから、非常に不信感が募って、保護者の方が、もう裁判も、停止の裁判までを考えるというような事態になって、決裂状態になってしまいました。その段階で、アスベストセンターとNPO法人が仲介をして、結局、私たちが第三者監視ということで、するということで、工事協定が結ばれたということです。関係者はここに書かれているとおりです。

 私たちが委託された内容というのは、新宿区が立入検査をする際に、私が同行するということです。その中で、養生検査、作業中検査、完成検査、事前調査の確認をするということと、あとは保育園で気中モニタリングをしようということです。

 結果的には、検査の中で、やっぱりマイナーな修正ですので、取り残しとか養生の破れとか、そういったものがたくさん見つかったということと、一つ重要なのは、事前調査の確認の中で取り残しの石綿が見つかったということで、これはやはり飛散防止に役に立ったということだろうと思います。

 モニタリングの結果は、気中石綿濃度の上昇は見られなかったということです。評価としては、教育に関しては、やはりリアルタイムの状況の説明、濃度もそうですね、そういったものがされたということと、説明会も開かれているということです。

 それから、人々の参加という面では、工事協定までやはり積極的に皆さん関与されましたが、その後は静観されたということです。

 信頼の確立という面では、やはり決裂状態から、皆さんが、行政も業者の方も一歩踏み出して、法律以上のことをやるということで、皆さんが納得したというところで、こういう一歩踏み出す努力というのが大事なのかなということですし、あとは、見落としの発見とその後の処置によって、事故予防ということにもつながっていったということで、やはり信頼はまあまあ築けたのかなというふうに思います。

 それから、3番目、再生砕石をめぐるリスクコミュニケーションということなんですけど、今日も埼玉県の方が見えていますけれども、この問題、2010年ごろ新聞報道されて大きな問題になりましたけれども、もともとは2009年にさいたま市の市民グループは、公共施設跡地で再生砕石をやったときにアスベストの建材ですね、レベル3のスレート板が多数まざっているということを見つけたということが発端で、その後、埼玉県は飛散防止の工事を2,100万円かけて実は行っています。

 その後、この市民グループの方が一生懸命近くですとか、あるいは関西まで行って、再生砕石について調査をした結果、やはり非常に高い確率で再生砕石にアスベスト含有建材がまざっているということがわかって、それが新聞報道されたということがきっかけになっています。

 その後、市民グループの方が一生懸命、国も含めていろいろ申し入れをして、その結果、厚労・環境・国交の合同の対策委員会ができて、対策委員会じゃなくて対策がとられて、次のページにありますけれども、こういう3省合同でパトロールをおこなうとか、そういった取組がなされたという経過があります

 これに関して、リスクコミュニケーション的にどうなのかということですけれども、教育という面では、さいたま市内でのグループを中心にして、やはり地元でそういう情報を返していくということと、アスベストについての基本情報も含めて提供していったということができたということだと思います。

 それから、参加という面では、さいたま市の工事に関しては市民グループが提案をして、対策工事が十分にできたということですけれども、国レベルの対策という面では、グループは問題提起をしただけだということ。いわば一方通行のリスクコミュニケーションというのでしょうか、受け止めたほうも、やりとりをするのではなくて、対策を打ったということです。なので、信頼関係的にはあまりできていないということです。

 ただ、埼玉県はこの後非常にやはり努力をされて、再生砕石の問題について取り組まれて、この予防に関して、目視でスレート板、スレート建材を見つける等の努力をされているというふうに理解をしています。

 それから4番目ですけれども、これは東日本大震災の石綿をめぐるリスクコミュニケーション、これは私たちを中心としたNPOが取り組んだ試みですけれども、何をしたのかというと、ボランティアとか住民による石綿の調査、被災地の石綿の調査をしましょうということで、マッピングですとか、気中石綿濃度測定、ヒアリング等をしていきました、それからそういった情報を仮設住宅などで説明会を行って、住民へ提供していくということです。

 それから、一つやはり、被災地のいろんな、厚労省の調査でもわかりましたけれども、レベル1、2の除去現場でやっぱり非常に漏えいが高い確率で見つかっているということで、私たちも非常に問題事例を1件見つけまして、その対応を行政にとっていただいたというようなこともありました。

 そんな経過があって、石巻市とは比較的リスクコミュニケーションが良好にできて、石巻市が発注する解体工事に関して、特別教育を市が行うと。それに私たちが講師で行くということで、宮城県内と福島を合わせて450名ほどの方に特別教育ということができたというようなことがありました。

 それで、これが評価ですけれども、次のページに行きますけれども、教育という面に関して、やはり調査とその結果を地元に返す、石綿についての基本情報を提供していくということがなされましたが、残念ながら、やっぱり本当の地元の方々の積極的な参加というのは、私たちの感触としては弱かったのかなというふうに思います。

 信頼の確立ということでは、3年間続けていく中で、行政とのある程度の信頼関係ができて、連携が取れるようになりましたし、やはり一部の自治体ですけれども、非常に先進的な取組、すぐれた取組ができたということだと思います。

 5番目、ちょっとこれは広い話になります。石綿被害者とリスクコミュニケーションということなんですけれども、石綿の被害がやはり日本で今広がっていて、2012年の段階では1,400人の方が中皮腫で亡くなっているということで、被害者がどんどん増えています。私たちは、相談を受ける中で、2000年からやっぱり中皮腫の方が非常に増えてきているというふうな実感を持ちました。そのような方が2002年の5月に初めて集まって、厚生労働省へ陳情を実はしています。このときは、補償というよりも、石綿の使用禁止を訴えたというところが一つポイントだと思います。

 こういったことが効果が実際あったのかどうかがわかりませんけれども、2年後には建材等への使用禁止が進められるということで、大きな使用禁止に踏み切っていくということですので、やはりこのときの遺族の要望、陳情というのは、石綿の疾患の予防ということに大きく貢献しているのではないかというふうに思います。

 この陳情がきっかけになって─2003年の2月に中皮腫・アスベスト疾患患者と家族の会が設立されるということになります。スライドNo.19の2002年2月は2003年2月の誤りです。

 この会が果たした役割というのは実はその後もありまして、これはクボタショックです。実は、クボタショックに先駆けて、前年から患者と家族の会によって、周辺での調査が行われていて、5人の中皮腫の患者さんが見つかっていたということです。その後、半年後には85人になります。今は260人を超える方がクボタに何らかの申請をしているということですので、未曽有のアスベスト被害となりましたけれども、その発見のきっかけになったのが、実は患者と家族の会であったということです。

 その後も新しいアスベストリスクの発見という意味では、大阪での西成での住民の石綿被害の発見ですね。

 それから、今年に入ってですけれども、教員の中皮腫が2件、審査会で公務外決定が取り消されました。つまり、学校の先生が教育の場でアスベストにばく露をしたということが公務上の災害として認定されたということがありました。学校の先生というのは、ハイリスクだということは海外では常識になりつつあるんですが、日本ではまだまだそういう状況ではないですが、学校職員の皆さんを支援してきたというのも患者と家族の会になります。

 それから、今年の4月には、石綿麻袋の再生工場での被害を発見したと。これも報道されましたけれども、このような経過で、実は、患者と家族の会の皆さんというのが、やっぱり、アスベストの病気の発見と予防と補償に関して非常に大きく寄与してきているということがあります。

 評価ですけれども、この1番目、教育というのは少しずれているかもしれませんけれども、やはり、皆さん十分な経験と知識、それからネットワークがあるということですね。今現在、500名の方がいらっしゃいます。それから、発見と予防の機会に寄与してきたということです。

 意思決定の人々の参加という面では、やはり、現状では不十分だと言わざるを得ないと思います。行政などがヒアリングですとか情報収集をされるということ、それから、こうした石綿疾患の予防に関しても、政策決定、患者と家族の会なり、そういう被害者の方が関与していくということが今後は必要になってくるだろうというふうに思います。

 信頼の確立に関してはこれからであろうというふうに思います。

 それから、最後、6番目ですけれども、これは、実は改正された大防法によって、初めてだと思いますが、飛散防止事例があったということで報告したいと思います。これは神奈川県の葉山町です。民間の工事で、今年5月10日に説明会がありました、レベル1、2はありませんよということだったんですけれども、これはちょっとどうもおかしいということが住民の側から上がりまして、これも、アスベストセンターの方が住民勉強会を行いまして、呼ばれて行ってお話をしまして、それをきっかけに、21日ですけれども、神奈川県横須賀三浦地域県政総合センター、環境部環境課へ調査要請を住民の方がしました。

 環境課では、6月1日の大防法改正を待って、つまり、立ち入りを県ができる6月1日の改正を待って、これは日付が入っていなくてすみません、6月1日以降です。県の立入検査によって煙突用の石綿断熱材が見つかったということで、これは飛散事故を防いだということが言えると思います。

 この事例の強化ですけれども、教育という面ではアスベストセンターによる住民の勉強会があって、住民要請のアドバイスがあったと。それで行政への要請が行われたということ。そして、未然防止によって信頼が確立していったということが言えるのかなというふうに思います。

 次のスライド、今までのものをまとめたものですので、ここでは説明を割愛させていただいて、後でお読みください。

 最後のスライドです。石綿をめぐるリスクコミュニケーション、日本での課題ということなんですけれども、やはりリスクの定量化等を的確な情報を公開するということが前提として大事だということです。

 それから、届出情報の積極的な開示ですね。これは開示、ホームページで開示していたり、先進的なところは幾つかあるんですけれども、例えばこれは情報開示請求をやってしまうと、時間がかかり過ぎて工事に間に合わないというようなこともあるので、やはり積極的に開示をしていくということが必要だろうと思います。

 あとは、それぞれの立場から「一歩踏み出すこと」によって良好事例が出てくる、よりよい工事ができるということは言えると思います。

 それから、やはり個別の事案での枠組みづくりに、ぜひ行政がやはり関与する、行政の役割は重要だと思うんです。ですので、そういう紛争というかそういう事態になったときに、行政が関与をしてきちっと枠組みをつくって、リスクコミュニケーションを進めていくということが必要だと思います。

 5番目と6番目は被害者ですけれども、被害者の情報を収集するチャンネルをつくると。それから政策決定に被害者が関与する枠組みをつくっていくということです。これはいわば国レベルのリスクコミュニケーションということになると思うんですけれども、やはり被害者の方というのは非常にネットワークがあります。いろんな職種の方が入っておりますので、ぜひそういったところからきちんと情報を収集して、これからの政策決定に関して関与していくということが、そういう枠組みをつくっていくということが必要ではないのかなというふうに思います。

 ありがとうございました。以上です。

【浅野委員長】 それでは、この後意見交換をしたいのですが、残り時間がかなり厳しくなってきましたので、先に谷口委員に、[参考資料3]についてご説明をいただきたいと思います。

【谷口委員】 そうしましたら、[参考資料3]について説明させていただきたいと思います。

 法律が改正され、また、この改正を前提として、大阪府の生活環境等の保全条例をどうしたものかということを検討し、本年の3月に条例の改正をしたわけです。それでもって大防法との整合も図りながら、先ほどのリスクコミュニケーションの関係で言いますと、その基礎となるのはやっぱり情報ということで、事前調査の結果なども、解体現場に置いておくようにという規定を設けたところです。

 一方で、大阪府においては、平成24年度で3件の不適正な事案、25年度には1件の不適正な事案があったわけです。さらに解体の発注者が届出をしないといけないということですと、全国で280万棟の建物があるということですから、その1割が大阪にあるとしても、およそ30万棟あると。この30万棟の解体工事を、今後40年にわたってきっちりやっていくということを考えた場合に、どうしても行政だけで対応し切れるものではないというふうに思うわけです。

 したがいまして、建物の所有者が集まるような団体、あるいは、その建物を解体して、次に何がしかの開発に入っていくわけですから、そうすると、そこには資金面で関係するということで、例えば銀行だとかいう金融機関、それから、何か建物、土地を買って、そこの建物を潰して開発するということになると、間には不動産関係の方々が関与するということで、そういった開発などに関わるような人たちにも石綿の問題を知っていただきたい。そして、その場面場面でこの問題について何がしかの協力をお願いしたい、こういうふうに思ったわけです。

 そこで、参考資料2枚目のほうを見てもらったほうがいいのかもわかりませんけれども、今申し上げたようなことを上に書いておりますけれども、一番下に関係団体(予定)とありますけれども、大阪の場合は大阪ビルディング協会、大阪府の賃貸住宅経営者協会、ビルメンテナンス協会、中小企業団体中央会、こういった方々に声がけをさせてもらいまして、石綿解体について関与をいただくということをお願いし、6月17日に一堂に集まって、それぞれの団体がどういう取組をするのかということを意思表示していただいた上で、1枚目にありますように、行動宣言として取りまとめました。ここに書いてある中身はそういうことで、それぞれが協力して会員団体などに石綿飛散防止対策についてきっちりと周知していくということに取り組みますと、こういうことです。

 下に、賛同いただいた団体さんの名前を書いております。6月17日に間に合わなかった団体もいっぱいおりますので、引き続きましてこの団体の名前を増やしていくということに今取り組んでおります。

 裏側に別紙というのがございますけれども、それぞれが意思表示をするだけではなくて、実際に毎年どれだけのことをやったのかということをはっきりさせていくということで、まず2番ですけれども、年に1回、周知活動の状況を取りまとめると。それから、やっぱり年に1回ですけれども、その結果を公表するということでみんなで取り組んでいくということでございます。できるだけ多くの方々に賛同いただけるように取り組んでいきたいと思っております。

 以上です。

【浅野委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいままでのご報告全部を通じて、委員の皆様方からご意見なりコメントなり、何でも結構ですが、お出しいただければと思います。ご発言ご希望の方は札をお立ていただけますか。

 それでは、内山委員、大迫委員、大塚委員の順番でお願いいたします。

【内山委員】 いろいろ先進的な例も含めてご発表いただきまして、ありがとうございました。特に伺っていて感じたことは、港区も、それから川崎市も、埼玉県も、やはり行政がいわゆる今までの取り締まりとか監督するという立場から、発注者あるいは事業者と協力して、連携して、むしろアドバイスをしてあげたり、それから説明なり住民とのトラブルが、あるいは苦情が来たときに、行政からも行って一緒に説明してあげる。だけど、あくまで立場は住民であるはずなんですね。だけれども、発注者と対立するのではなく、監督するとか取り締まるのではなくて、一緒にやっていきましょうという姿勢が見られているのではないかというふうに思います。これがこれからの、特にリスクコミュニケーション、石綿の、こういう法規制のもとで行っていくものには、特に重要なコミュニケーションの一つの形になるのかなというふうに、伺っていて思いました。

 もう一つは、これは注文なんですけれども、これからは測定ですとか、それから前後で測定記録等が出てまいると思うんですが、それが終了したときに、これで終了したという、工事が終了した、あるいは、この周辺住民とも協力いただいたということで、これもぜひ報告することも重要と思います。これで多分リスクコミュニケーションが完結するのだろうと思うんです。そしてそれがまた違うところで生きてくる。この事業者だったら結構ちゃんとやってくれるとかいう記録が残って、また次のところに行くのではないかなという感じがするので、そこら辺のところもこれからのリスクコミュニケーションの流れの中に生かしていただければというふうに思います。もしそういうことをやっているところがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

【浅野委員長】 ありがとうございました。

 大迫委員、どうぞ。

【大迫委員】 1点目は、今、内山先生からもあった、それぞれがどういう姿勢で取り組んでいくか、さらにその醸成をしていくということが重要かなというふうに思いました。それから、今後の議論の中で、やはり個別のリスクコミュニケーションと、それから国全体としてどういうふうに取り組んでいくかという、国全体の国民の理解でありますとか、そういったところのリスクコミュニケーションが大きくあるかなというふうに思います。

 特に、国全体というところにおきましては、外山委員からのお話もありましたし、また、環境政策として、リスクコミュニケーションをどう取り扱っていくかという、もちろんアスベストだけに限らないわけでありますので、教育のこともありましたが、例えば環境教育に関しては環境教育推進室などもございますけれども、そういう個々の環境政策上の課題、リスクコミュニケーションの課題を、国全体としてどうしていくかという視点の中で考えていくということも重要かなと思いました。

 それからあと、後半の青島委員と外山委員の説明に対する質問なんですが、一つ目は、青島委員に関しては、各会社で、例えばこういった説明の現場でどういった能力を持っている方が説明するのか、あるいはより住民に対して理解しやすい説明ができるのか、研修とか何らかの育成とかを意識されているのかどうかということと、あと、先ほど国として何かマニュアル等、ガイドラインがあればというお話もありましたが、業界としていろんな事例の積み重ねの中で業界としてのマニュアルみたいなものをつくっていくというような動きなり発想はないのかということをお伺いしたいと思います。

 それから、外山委員には、いろいろとリスクコミュニケーションのいろんな場面があると思うんですが、第三者の役割といいますか、それがリスクコミュニケーションも含めてこの石綿の工事に係る一気通貫の中での役割といいますか、そういったところに関して何かお考えあるのかということをお聞きしたいと思います。

 以上です。

【浅野委員長】 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 リスクコミュニケーションの重要性は、今のお二人の委員がおっしゃったとおりで、私もそのとおりだと思いますが、2点ほど申し上げたいと思います。、今、大迫委員がおっしゃったように、国のほうでガイドラインをリスクコミュニケーションに関してつくっていただくというのは私も大賛成で、ぜひやっていただきたいんですけど、川崎市とか埼玉県で、全件立入検査をしているというのは、私は少し驚いたんですけれども、やろうと思えばできるのかなということがありまして、さっきの川崎市のお話だと、正規4名で非常勤3名ということですが、こういうよい事例をぜひほかの都道府県にも広げていっていただきたいということがまず第一に、意見として申し上げておきたいところです。もちろん都道府県の面積などが違うでしょうから、一概にすぐにというわけにはいかないでしょうが、結構やる気になっていただくかどうかにかかってくるのではないかという印象を受けました。

 それから、二つ目ですけれども、さっき青島委員が言われたこととの関係で気になったのは、事業者さんが発注者との関係で、守秘義務との関係で、アスベストが含まれているかどうかとか、どこに含まれているかとかいうことを言えないという話ですが、これは守秘義務といっても多分契約でということなのかもしれませんし、契約ははっきりないのかもしれませんが、仮にそういう契約があるとすれば、私は公序良俗違反になり得るのではないかと思います。周りの住民の健康との関係での情報なので、そういうものが守秘義務の対象だと当然にはいえないのではないかということを申し上げておきたいと思いますし、そういう意識を持っていただくことがまた非常に重要ではないかというふうに思いますので、意見として申し上げておきます。

 それから、外山委員のご説明はとてもおもしろかったのですけれども、スライド3のところで、さしがや保育園の事件で、コスト1億円というのはなかなかすごい額になっているんですけれども、これはどこが特にお金がかかったのでしょうか。詳しくご説明いただけるとありがたいと思います。

 以上です。

【浅野委員長】 それでは、まず、青島委員、先ほどの大迫委員からのご質問にお答えいただけますか。

【青島委員】 会社での専門の教育を受けたそういう近隣説明会に立ち会うのはどのような方が、いるのかどうかということと、近隣説明会は、主催が発注者あるいは事業者ですので、営業の方が取りまとめる、あるいは事務方が取りまとめて、技術的な質問が来るので、技術の専門家が同席するというのが一般的なものです。専門家が当社はいない場合は、専門知識を持ったコンサルタントですね、専門の除去業者の方が同席するということになります。

 ただ教育はどうするかというと、なかなかそういう専門知識というのは、個人あるいは技術的なもの、それから知見、経験とか、いろいろ影響しますので、なかなか各社ともいないのが現状だと思います。

 それと、先ほど言った、例えば日建連だとか、そういう業界団体でマニュアルをつくったらどうかというお話もありましたけど、業界団体でマニュアルがあっても、例えば省庁、環境省とか厚生労働省という名前がないと、近隣の方はやはり信頼性というもので、やはり行政発行のマニュアル、土対法は、たしか環境省のガイドラインだと思っています。

 それと、大塚委員からの守秘義務の件について、これは私も法的にそんなに詳しくないんですけど、例えば改修工事とか、工場とか中の改修については、図面の持ち出しとか一切禁止なんです。だから石綿に関するデータについても出してはいけない。守秘義務の契約書を結んで、それで中に入ると。それからカメラについてもだめだと。持ち込むときは携帯電話も持ち込んではだめだというような守秘義務を結んで工事をする場合もございます。ですので、解体の場合は違います。その一例として先ほどお話ししたんですけど、全部が全部守秘義務を結んでいるわけではないので。ただ、外資系の建物についてのときには、営業上差し支えるので公表はしないでくれというような、口頭、あるいは指示書がある場合もございます。

 以上でございます。

【浅野委員長】 ありがとうございました。

 では、外山委員、どうぞ。

【外山委員】 アスベスト除去工事での第三者の役割、リスクコミュニケーションの役割ということですけれども、やはりアスベストの除去工事というのは非常に特殊な工事で、発がん物質を密室の中で取り扱って、やはり100%、完全に除去しなければならないという、非常にやっぱりシビアな、厳格な工事なんですけど、それがやはり、第三者がやっぱり必ず監視しなければ適切な工事はできないというところまで私たちは考えています。

 現に、この幾つかお話しした事例もそうですけれども、私たちが第三者として監視というか入りますと、必ず幾つかは不備といいますか、深刻なものではないにしても、現場での修正点というのは必ず見つかりますので、やはりそういう意味で、何かしらそういう枠組みというかシステムを法律の中で位置づけてつくっていくということは、私は個人的には大変重要なことだというふうに考えております。

 それとあとは、コストなんですけれども、ちょっと正確な数字が今わからなくて申し訳ございません。さしがやのほうが高額になっているのは訴訟での和解金だというふうに思います。あとは委員会を開く費用ですとか、心理相談とか等ですから、それほどかかっていないと思います。詳細は後で事務局のほうにわかる範囲でお送りしたいと思います。

 以上です。

【浅野委員長】 ありがとうございました。

 訴訟が、正式に提起はされていないで、その手前のところで和解となったのでしょうか……。

【外山委員】 訴訟を起こされて和解になっております。

【浅野委員長】 訴訟が起こって、訴訟中の和解ですね。

【外山委員】 はい、そうです。

【浅野委員長】 であれば、多分和解金にかなりのコストがかかっているでしょうから、大体想像はつきます。

 ほかにご意見はございますか。今日自治体からおいでになった方でも結構です。何かコメントでもございましたらいかがでしょうか。どうぞご遠慮なく。特に、外山委員の報告に対して、何かありますか。行政が協力せよというふうに言われていますが。

 結果的には、しかし、やっぱり問題になったような事案で行政は逃げてはいないというのが先ほどのお話ではあったと思うんですが、この辺は、外山委員が期待しておられる枠組みづくりの協力ということについてどのような具体的な内容を考えておられるのですか。

【外山委員】 やはりK会館に象徴される事例だと思うんですけれども、やはりこの場合はかなり行政の方が間に入っていただいて、区立保育園という、そういう状況もあったんですけれども、従来の条例ですとか法的な枠組みをかなり超えていただいて、活躍していただいて、そういう全体の枠組みを創生していただいたということがあります。たまたまこういうことになったということなのかもしれませんけれども、成功事例として、やはりこういうような役割でしょうか、こういうことが求められているのかなというふうに思います。

【浅野委員長】 これは、事案としては、区立の保育園があるので、区としてはそちらのほうの立場をかなり考えなきゃいけないという事情があったのでしょうね。

【外山委員】 そのとおりです。

【浅野委員長】 そうじゃないような場合でも、どこまで会話できるか。港区だったらいかがでしょうか。

【長谷川(港区)】 区立施設の改修、解体等につきましては、当然私どもの営繕担当の部署のほうで行う、あるいは教育委員会からということになりますが、それは民間の解体・改修と同じように届出を出していただいて、私どものほうで通常どおりの審査を行って、現場の確認が必要であれば行うということで、それについてはほかの部分とかわることはなく見るということになっております。

【浅野委員長】 どっちかというと、先ほどの話は、被害者側との関係で行政側がかなり当事者的意味合いでの利害関係が強い、そういう事案でしたね。もし仮にそうじゃないような場合、どこまで踏み込めるかという問題。でも、一般的には苦情が出てくればちゃんと対応せざるを得ないと考えていいのでしょうか。

【長谷川(港区)】 当然、私ども自治体に苦情が出てくれば、それは言われたことについては全て対応するということになっております。また、外山先生のお話の中でクボタの事例については我々のほうも聞き及んでいる話だったんですが、ちょっとほかの区さんの事例については、なかなか不勉強で存じ上げない部分もあったものですから、これは同じ区の中での事例として今後勉強していかなきゃいけないことだなというふうに感じました。ありがとうございました。

【浅野委員長】 谷口委員、どうぞ。

【谷口委員】 今日は埼玉県さん、川崎市さん、それから、港区さんのこの個々の工事についての周辺住民の理解を得るための手続といいますか、大変参考になりました。

 ただ、私は、大阪府においても、やっぱり石綿があるのではないかなということで、匿名の通報があったりして対応するんですけれども、何も石綿のみならず、ほかの環境問題でも当然そういうことがあれば対応するわけです。その対応の仕方というのは、多分それぞれの市町村なり都道府県なりで、長年の経験で独自の対応のやり方というのが、ある種文化みたいなものがあるのではないかなと、こう思っています。

 ということで、例えば大阪府で、埼玉県さんのやり方が直ちに適用できるかというと、これはなかなか難しいなと思うんですけれども、ただ、そういう地域特性といいますか、いうのは、やっぱりしっかり踏まえた上でルールをつくっていくのだろうなと、こう思うわけです。ですので、大阪でも建物の密集しているところと山の方であまり密集していないところがあったりしますということで、その辺の、例えば先ほど20メートルというのがありましたけれども、本当に20メートルでいいのかどうか、大変悩ましい問題だなというふうに思いました。いろいろご教示いただきましてありがとうございました。

【浅野委員長】 港区で高さ方向まで見ているというのはなるほどと思ったのは、マンションが多いからどうしたってそうせざるを得ないのだろうなということがよくわかったんですが。

 それでは、内山委員、森永委員の順にどうぞ。

【内山委員】 先ほどから出ているさしがや保育園の件なんですが、私も関与していたんですが、これはリスクコミュニケーションではなくて、クライシスコミュニケーションになっているんですね。事故が起こってしまってからのコミュニケーションの再生ということで、これは何回かリスクコミュニケーションでうまくいく段階があったところを、ボタンの掛け違いとか誤解とか、あるいは行政がちょっとよく調べずに進めてしまったというような、いろいろな齟齬があってこういう事例が起こってしまった、ばく露が起こってしまったという例です。両津小学校の場合もそうなんですけれども、いわゆるこれはリスクコミュニケーションと、それからクライシスコミュニケーション、いわゆる何かが起こってしまった後の、それを修復するためのコミュニケーションは、やはり分けて考えておいたほうがよろしいかと思います。

 それで、リスクコミュニケーションがうまくいっていれば、多少はちょっと漏れてしまったというようなことがあっても、全くコミュニケーションがなかったところに突然アスベストが漏れていたというのを住民が知るよりは、一緒に考えながらやっていたんだけど齟齬があったというところですぐに止められたというところで随分違ってくるので、これはリスクコミュニケーションと、それからその後の、もし万が一事故が起こってしまった、アスベストが漏れてしまったときのコミュニケーションというのは、少し分けて考えていただいたほうがいいかと思います。

【浅野委員長】 ありがとうございました。

 森永委員、どうぞ。

【森永委員】 今日は、非常に前向きに取り組んでいる三つの自治体の方からお話を聞いて、非常に参考になりましたけれども、ちょっと事務局にお聞きしたいんですが、[参考資料2-1]の自治体のアンケート調査の結果なんですが、回答数が167ということなんですけど、回収率は幾らだったんでしょうか。

【浅野委員長】 回収率はどうかということですが。

【渡辺大気環境課長補佐】 全体で178を対象としまして、167いただいています。

【森永委員】 ということは、答えてくれなかった自治体もあったという意味というふうに理解していいということですね。

【浅野委員長】 178出して167ですから、答えてくれなかったのは11団体。

【渡辺大気環境課長補佐】 調査時期が3月でしたので、そういったことからすると回収率はよかったのかなと。

【森永委員】 よかったけども、年度末で答えてくれなかったところもあったと、そういう理解ですか。

【渡辺大気環境課長補佐】 そうです。

【森永委員】 わかりました。どうもありがとうございます。

【浅野委員長】 神山委員、何かコメントがおありでしょうか。よろしいですか。

 それでは、予定の時間がそろそろ迫って参りましたが、本日は先進事例というのでしょうか、自治体として積極的に取り組んでおられる例がありまして、これを参考にしながら、さらにこの情報を各自治体にも流す、あるいは、必要な場合には、さらに今後制度的な改善に生かしていくということが必要になると思いますので、今日ご報告いただいたお話を、今後どのような形で活用できるか、あるいは、制度に生かしていくかということについては、改めて事務局と私で相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、特に何かございますでしょうか。

 稲垣委員、よろしいですか。

【稲垣委員】 今日は本当にいろいろ勉強させていただきましたけれども、やはり一番問題は、先ほど外山さんも言われましたけど、教育かなという気がします。一番最後の事例などは、どこの工事か知りませんけれど、本来(アスベストは)あるべきだと思って事前に対応すべきことはせず、うのがなくて調べてみたらあったということは、やはり、それぞれ、まだこれだけ(アスベスト問題が)大きな問題でありながら十分周知されていないという問題があります。これは自治体だけじゃなく、その業界も含めて、教育というのが大変重要かなということを、今日つくづく思いました。

【浅野委員長】 ありがとうございました。

 ほかに何かご発言はございませんか。

【内山委員】 先ほどから教育、教育という言葉が出てくるんですが、コミュニケーションでは学習という言葉を使わせていただいています。教育というのは誰かが教えるという上から目線のところも多少あるので、お互いに学んでいくというので、コミュニケーションの場合は学習という言葉を使ったほうがよろしいかと思います。。

【浅野委員長】 外山委員、どうぞ。

【外山委員】 今後のこの委員会の進め方に関して、何か既定のものがありましたらぜひ教えていただきたいというふうに思うんですが、いかがでございますか。

【浅野委員長】 改正制度がどのように施行されているかという状況については、これからもちゃんと見ていかなきゃいけませんので、そういったようなことを考えながら、次にいつ開催するかということについて、またご連絡を差し上げると思います。

 ほかにございませんようでしたら、事務局からどうぞ。

【中村大気環境課長補佐】 本日は長時間にわたってのご審議をどうもありがとうございました。本日の議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で公開することとさせていただきます。

 以上で本日の議題は終了いたしました。

 本日の会議はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。

【浅野委員長】 それでは、どうもありがとうございました。本日はこれで散会いたします。