中央環境審議会 大気・騒音振動部会石綿飛散防止専門委員会(第9回)会議録

1.日時

平成25年7月12日(金)13:59~15:33

2.場所

法曹会館 高砂の間

3.出席者

(委員長) 浅野 直人
(委員) 青島  等浅見 琢也
稲垣 隆司大塚  直
神山 宣彦小林 悦夫
近藤 充輔島田 啓三
谷口 靖彦外山 尚紀
内藤  恵森永 謙二
山﨑 淳司
(環境省) 小林水・大気環境局長
難波大気環境課長
渡辺大気環境課補佐
村井大気環境課係長
磯崎大気環境課
奥主審議官
眞先総務課長
大場総務課補佐

4.議題

  1. (1) 大気汚染防止法の改正について
  2. (2) 石綿飛散防止対策の強化に向けた検討事項について
  3. (3) 石綿飛散防止専門委員会の今後の進め方について
  4. (4) その他

5.配付資料

  1. 委員名簿  
  2. 資料1 大気汚染防止法の一部を改正する法律(概要)
  3. 資料2-1 大気汚染防止法の改正を踏まえた今後の取組の方向
  4. 資料2-2 石綿飛散防止対策の強化に向けた検討事項(案)
  5. 資料3 石綿飛散防止専門委員会の今後のスケジュール(案)
  6. 参考資料1-1 大気汚染防止法の一部を改正する法律
  7. 参考資料1-2 大気汚染防止法の一部を改正する法律新旧対照表
  8. 参考資料2-1 自治体における大気濃度測定の取組状況
  9. 参考資料2-2 建築物の解体等現場における石綿大気濃度調査について
    石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)(委員限り)

6.議事

【難波大気環境課長】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止専門委員会の第9回の会合を開催いたします。
 委員の皆様には、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 私は、本日の司会を務めさせていただきます環境省大気環境課長の難波と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 座って失礼いたします。
 出欠の状況でございますけれども、本日は、内山委員、圓藤委員、大迫委員、武林委員、中橋委員、本橋委員からご欠席との連絡をいただいております。したがいまして、委員20名中14名のご出席をいただいておりますので、定足数でございます。過半数に達しているということをご報告させていただきます。
 また、事務局に一部異動がございましたので、改めてご紹介をさせていただきます。
 水・大気環境局長の小林局長でございます。
 奥主審議官でございます。
 眞先総務課長でございます。
 私が大気環境課長の難波と申します。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、本専門委員会の開催に当たり、事務局を代表して、小林水・大気環境局長よりご挨拶を申し上げます。

【小林水・大気環境局長】 改めてまして、水・大気環境局長の小林でございます。本日も、よろしくお願い申し上げます。
 大変お忙しい中、また本当に猛暑の中でございまして、実は我が水・大気環境局も熱中症予防の注意のメールというのを配信させていただくような業務をやっているところでございますが、そういう中、ご参集をいただきまして大変ありがとうございます。
 また、今ご紹介申しましたように、一部幹部の異動もございました。新体制のもとで引き続きしっかりやってまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 この専門委員会、昨年、精力的にご審議をいただきまして、石綿の飛散防止対策の更なる強化についてということで、中間報告をおまとめいただいたところでございます。これにつきましては、昨年12月の中央環境審議会大気環境部会におきまして審議をされ、環境大臣に中間答申がなされました。これを受けまして、さきの第183回になりますが、通常国会に法案を提出いたしました。これについては、また後でご紹介をするところでございますが、お陰様をもちまして、これは衆参とも全会一致で可決・成立をしているところでございます。
 若干エピソードを申しますと、我々は非常に重要な法案だと思っておりますが、必ずしも大きな、どういうんでしょうか、ボリュームの大きな法律ということではございませんが、衆議院のほうでも、一回、本会議でも議論したらどうかという議論もございまして、それはそうなりませんでしたが、参議院のほうでは本会議での審議もあるという、かなり最重要法案の一つに加わったというようなことでございまして、議員の先生方のご認識も非常に高かったということをご報告申し上げたいと思っております。
 そういうことで、この法案の施行は相当心してやっていかなきゃいけないというように思っておりますので、そういう意味で、改めましてこの専門委員会を再開をお願いし、この改正内容につきまして、具体的に詰めていくべき重要な点、それから、さきの中間答申と中間報告の中でも、引き続きの課題ということで重要なテーマをいただいているところでございますので、これについてもしっかり詰めていきたいと。
 いずれにしましても、健康に甚大な影響のある石綿を扱う制度でございますので、そういう意味でしっかり取り組んでまいりたいと思っておりますので、どうか、先生方におかれましては、引き続きいろんなご指導、またご助言をいただきまして、我々の行政を導いていただければと思っているところでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

【難波大気環境課長】 引き続き、お手元の配付資料でございますけれども、議事次第に配付資料一覧を記載してございます。資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけいただきますようお願いいたします。
 また、カメラ撮りは、恐縮でございますが、会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、ご協力をお願いいたします。
 それでは、これ以降の議事進行は浅野委員長にお願いいたします。

【浅野委員長】 それでは、暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 小林局長のご挨拶にもありましたように、大気汚染防止法の改正法が国会を通過いたしました。昨年8回にわたってこの専門委員会を開いてまいりました。皆様のご協力によりまして、専門委員会といたしましては、昨年12月に中間報告(案)を取りまとめ、これを部会に報告いたしまして、部会としての報告とすることができました。これを受けて法改正案が準備されてこれが通ったわけでございます。
 専門委員会の議論の際には、今後の建物解体時の石綿粉じんに係る基準や、それらの現場での測定のやり方の話であるとか、こういったような点についてもご意見をいただいたところでございますが、とりあえず法改正に関係のある部分についてのみ切り離して中間報告で取りまとめ、その余の議論は、法が改正された後に、施行の段階での準備ということで議論をしようと申し上げていたたわけです。そのときに、過去の経験では、なかなか国会では法律を通してくれないので、次の専門委員会がいつ開けるかわかりませんというようなことを申し上げたのですが、幸いにも、局長のご挨拶にもありましたように、順調に法案の審議が行われ、法改正ができたということでございます。早速、法の施行に向けての準備に入らなければならないと考えております。
 それでは、まずこの専門委員会の中間報告を受けての審議会の中間答申に基づいて、どのような法改正(案)になったのか、どういう形で法律が改正されたか、この点に関して事務局から説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

【村井大気環境課係長】 環境省の村井でございます。いつもお世話になっております。ありがとうございます。
 改正法案の内容につきまして、概要でございますが、私のほうからご説明させていただきたいと思います。
 資料といたしましては、資料番号の1、カラーで作成したものです。
 構成といたしましては、表紙が今回の改正の概要、裏面が、改正前の規制の概要という構成となっております。また、後ろのほうに、参考資料として1-1、こちらは官報の概要部分を切り取ったもので、1枚にまとめたものでございます。また、その次のページに、この官報だけではちょっと中身がわかりにくいので、改正法の新旧を抜き出したものを作成しております。また、今回の法案の審議に当たりまして、参議院で採択された附帯決議を参考までに1枚添付をしております。
 関連する資料といたしましては以上でございまして、私からは、資料1を用いまして、概要を説明させていただきたいと思います。
 まず、資料1の表についてご説明させていただきたいと思います。
 まず、改正の必要性という形で上のほう書いてございますが、こちらは昨年度、プレゼンをいただきました内容や、委員の皆様から多大なるご意見をいただいた形でまとめさせていただいたものでございますので、こちらにつきましては、割愛させていただきたいと思います。
 下の青いところでございます。こちらは改正内容という形で、主に3項目に分けてございます。
 まず一つ目でございますが、大気汚染防止法に基づく届出義務者の変更ということでございます。石綿に関する規制といたしまして、石綿が使われております建築物の解体時におきまして、届出が事前に必要となっておりまして、これまでは施工業者の方に届出義務を課しておりましたが、改正内容といたしましては、発注者に届出義務を課すという届出義務者の変更の改正でございます。また、届出の義務者が発注者になるということで、自主施工者という者が新たに出てまいりまして、こちらにつきましては、建築物の解体工事を請負業者に発注しないで自ら解体工事を実施する方でございます。この両者につきまして、今回、届出義務者に変更することでございます。
 続きまして、二つ目の事前調査の結果の説明でございます。こちらは委員会でかなりご議論があって、報告書を作成したところでございまして、報告書のほうの中では、事前調査の義務者は、発注者または建設業者という両論併記になっておりました。こちらにつきまして、環境省で検討した結果、ほかの関連制度とも整合を図るという形で、事前調査者の義務者といたしましては、建設業者である元請、これは法律では受注者という形になっております。この方にまず義務をかけまして、調査の内容について、特定工事に該当するかどうかということをまず調査していただくと。こちらの調査をした結果につきまして、発注者のほうに説明をしていただくことを義務づけております。また、届出が必要となる特定建築物、吹き付け石綿等が使われておりましたということがわかった場合には、届出も発生いたしますので、その届出に係る事項も発注者のほうに書面で説明するという形で義務化をしております。これによりまして、発注者の方が新たに届出者となるわけでございますが、届出内容につきまして、いわゆる受注者から説明を受けて、円滑な届出をしていただくというような構成で改正しております。また、調査の結果につきましては、特定建築物があるかないかということを解体工事現場の公衆の見やすい位置に掲示をしていただくこととしております。また、この概要の中には書いておりませんが、発注者には、調査に係る協力という形で義務をかけております。こちらが(2)の調査結果の説明等でございます。
 続きまして、(3)でございますが、報告及び検査の対象拡大でございます。こちらにつきましては、昨年の専門委員会の中でも、規制強化の中で立入検査を強化すべきということでございましたが、今回の改正によりまして、事前調査につきましても報告徴収または現場への立ち入りを行うことがございますので、これまでは特定工事を対象に、石綿が使われておりました建築物の解体工事現場に限られていた書きぶりでしたが、改正後には、事前調査を行う、いわゆる解体工事現場、建築物が対象となるということで、石綿の使用が確定していなくても、工事現場に自治体の方が立ち入れるように改正しております。また、それに伴いまして、報告の対象者、これまでは施工業者しかいなかったんですが、発注者、それと自主施行者が今回追加となっております。
 改正内容につきましては、簡単ではございますが、以上でございます。
 すみせん、あと、下のほうですが、公布日としましては、6月21日に公布されました。
 施行期日につきましては、書いてあるとおりでございますが、6月21日から1年を超えない範囲で、これから政令をつくりまして、政令のほうで、この法律を施行する日を決めるという形でこれから進めていきたいと思っております。
 改正内容につきましては、以上でございます。

【浅野委員長】 それでは、ただいま大気汚染防止法の改正内容について説明をいただきましたが、何かご質問がございますでしょうか。
 島田委員、どうぞ。

【島田委員】 質問ではなくて意見なんですけれど、この概要で今後説明されていかれるわけですよね。そうすると、改正内容のところで、(2)番目のところで事前調査の結果の説明を義務づけるという表現になっているんですけれど、まず事前調査そのものが施工者に義務づけられたわけですよね。そのことをまず明確に言うべきじゃないかというふうに思うんですけれど。だから、事前調査と、事前調査及びその結果の説明というぐらいに少なくともしないことには、いわずもがなではあるんですけれど、結果の説明だけが出ていて、事前調査の義務づけというのが明確に言葉になっていないのかなというふうに思いますので、ちょっと意見を言わせていただきました。

【浅野委員長】 ありがとうございます。ご指摘どおり、新たに十八条の十七が起こされて、そこで調査についても義務を課すとしており、それをうけてその結果を報告せよというふうになっていることはそのとおりでありますので、確かにこの簡略版が少し不親切だというご指摘はそのとおりですから、何かの機会に直していただいて、ご趣旨のような説明が一般に行われるようにということにしていただきたいと思います。
 ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。
 それでは、この改正内容については、ご説明を承るということでございますので、以上までとさせていただき、次に、議題の(2)石綿飛散防止対策の強化に向けた検討事項に移りたいと思います。
 答申が法律改正にどのように反映されたか、それから法改正以降の事項以外の検討事項についても、中間報告の中では指摘をしておりますが、それらについても含めて、今後、この専門委員会がどのようなことを検討していくのかという点につきまして事務局から説明をいただきます。

【渡辺大気環境課補佐】 渡辺でございます。私のほうからは、資料2-1と2-2に従いまして、ご説明させていただきます。
 座って説明させていただきます。
 まず、資料2-1をご覧いただきたいと思います。本年2月に答申いただきました石綿の飛散防止対策の更なる強化についての中間答申、これを踏まえまして、法改正された事項、今年度の取組事項、それから、今後の取組事項として事務局において整理したものでございます。
 中間答申におきましては、検討の経緯がI、総論がII、IIIが各論という構成になってございますので、この資料2-1の中の左側の欄に、各セクションごとに中間答申の抜粋を整理してございますので、それぞれ説明させていただきます。
 まず、総論の1、石綿のリスク等に関する普及啓発のところでございますけれども、国及び都道府県等は、業界団体等とも連携を図りつつ広く国民に対して、石綿の問題や健康リスクについて普及啓発する必要があると。とりわけ、建築物等の所有者や関係する事業者等に対して、建築物等の解体等工事における石綿の飛散防止対策に関する法制度や対策の重要性、工事の実施主体等として対策を講ずべき責任等について、一層の周知徹底を図る必要があるということでございます。こちらにつきましては、今年度、今後もということになりますけれども、届出義務者の変更等につきまして、周知を図っていくということでございます。幅広い発注者への周知が必要と考えておりますので、関係機関とも協力いたしまして、対応していきたいと考えております。
 次に、各論の1番目、事前調査の義務づけの部分でございます。
 建築物の解体工事等に先立ちまして、大防法において事前調査の実施を義務づける必要があるということでございます。こちらにつきましては、法改正によりまして、石綿使用の有無の事前調査を解体等工事の受注者に義務づけることといたしました。
 また、発注者が届出等の義務を確実に果たせるよう、建設業者に発注者への調査結果の説明を義務づけるなど、専門的知識を有する建設業者から発注者への支援が必要であると。こちらも法改正によりまして、受注者から発注者への事前調査結果の説明、これを書面を交付して、説明しなければならないことといたしました。
 事前調査の対象建築物の範囲でございます。合理的な範囲で事前調査実施主体の負担を軽減する観点から、建築物を建築年代・構造等により、義務づけの対象か否かを判断することについて、今後具体的に検討する必要があると。こちらにつきましては、法改正事項といたしまして、特定工事に該当しないことが明らかなものとして環境省令で定めるものを除くとしたところでありまして、法施行までに、特定工事に該当しないことが明らかな解体等工事の範囲、これを省令で定めることとしております。
 続きまして、信頼性の確保の部分ですが、事前調査を義務づける際には、結果についての信頼性の確保が重要であると。改正後の制度の運用状況も踏まえて、登録制度の具体化について検討することが必要であるとされてございます。これにつきましては、少しお時間をいただきながら、改正後の制度の運用状況も踏まえ検討していきたいと考えております。
 同じく信頼性の確保の部分で、適正な事前調査を行う知識・技能を有する人材等の育成等に加え、適正な調査の実施を確保する方法の必要性を検討することが考えられると。建設業者自らが調査を行うような場合は、利益相反行為が生ずるのではないかというご指摘もいただいております。適正な事前調査という点につきましては、調査方法の明確化ということで、マニュアルの改正を今年度予定してございます。信頼性の確保の部分につきましては、今後の検討とさせていただいてございます。
 次に、各論の2番目ですが、特定粉じん排出等作業の実施の届出の主体の変更でございます。
 答申におきましては、届出の義務者を施工業者から変更し、工事を請け負おうとする建設業者から届出事項に関しての説明を受けた発注者に、特定粉じん排出等作業の実施の届出義務を課することとすることが適当とされておりまして、法改正によりまして、施工業者から発注者へ届出義務者を変更いたしました。
 次に、発注者が個人や小規模事業者であっても届出義務を適切に履行できるよう、建設業者から発注者への事前調査の結果や届出事項に関しての説明を法令上の義務として規定することが必要であると。この点につきましても、法改正によりまして、受注者から発注者への届出事項の説明ということで、書面に記載して説明しなければならないことといたしました。
 次に、各論の3番目の立入権限の強化の部分でございます。
 届出が提出されていない解体等現場に対しては、立入検査の実施が困難であると。このため、都道府県等の立入検査権限の対象を拡大すべきであるという答申でございます。この部分につきましても、法改正によりまして、立入検査の対象に特定工事以外の解体等現場を含めることといたしました。
 立入検査対象を拡大する場合、実務を担当する都道府県等が効率的に立入検査を実施するための環境も整備する必要がある。それから、特定建築材料使用の有無について、現場で速やかに判断可能な技能を有する人材を育成する方法を検討することが必要であると。この点につきましては、今年度、効率的に立入検査をするための環境整備が必要ということでございまして、立入検査マニュアルを策定していくこととしております。さらに、技術講習会の開催を通して、人材育成への支援を図っていきたいと考えているところでございます。
 次に、石綿の飛散状況について、現場で速やかに判断可能な方法の検討が必要であると。測定の精度に課題があるとの見解があるものの、迅速な測定方法の活用も検討すべきであると。立入検査における迅速な測定方法の活用ということでございますので、今年度予定しておりますマニュアル等の改訂にあわせて検討していきたいと考えております。迅速な測定方法につきましては、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 作業の一時停止についてですけれども、高度の蓋然性をもって石綿が基準を超過して飛散しているおそれがあると判断される場合で、特定粉じん排出等作業の一時停止の措置を検討することも考えられるということでございますが、この点につきましては、この後説明させていただきます大気濃度測定がどのように規定されているかによる部分も出てまいりますので、大気濃度測定の規定とあわせて検討という形にさせていただきました。
 次のページに行きまして、4番目の大気濃度測定の義務づけの部分です。
 周辺環境への石綿飛散については、引き続き作業基準の遵守を義務づけることが必要であると。また、集じん・排気装置等の性能確保について、作業基準での規定や技術指針の作成を検討する必要があると。この点につきましても、集じん・排気装置の出口で大気濃度測定を行うという考え方もございますので、今年度、大気濃度測定の規定とあわせて検討といたしました。
 作業基準の一環として、意図しない石綿飛散が発生していないことを施工業者が確認するため、作業期間中に敷地境界等における大気濃度の測定を行わせる必要がある。さらに、大気濃度測定結果の記録を行わせることが必要であるという答申でございますが、25年度の取組事項といたしまして、作業期間中に大気濃度の測定を実施することを作業基準に追加していきたいと。大きな検討の課題の部分になってくるかと思いますけれども、そのように考えてございます。
 また、その保存や報告を求めることについても、引き続き検討する必要があるということでございますので、この点については検討してまいりたいと考えております。
 各論の5番目でございます。大気濃度測定に係る評価基準及び測定方法でございます。
 敷地境界等の基準は、健康リスクの観点からの評価を考慮しつつ、周辺環境への石綿の飛散を防止するための管理基準として設定することが適当であると。評価基準の設定が必要になってくるということでございますので、検討してまいりたいと考えております。
 大気濃度の測定には、速やかに精度の高い結果が得られる方法が求められ、公定法を定めることについて検討すべきであると。この部分につきましては、大気濃度の測定方法を規定したいと考えております。
 さらに、集じん・排気装置の排気口やセキュリティーゾーンの出入口等で、繊維数濃度等を迅速に数値化できる機器の普及に向けて取り組むべきであると。機器の普及ということでございますので、マニュアル等で対応してまいりたいと考えております。
 大気濃度測定に係る信頼性の確保の部分につきましても、精度の高い測定・分析技術を有する機関の登録制度を設け、登録機関に測定を委託するよう勧奨するような制度を設けることが考えられ、その必要性について、引き続き検討する必要があると。これにつきましては、少しお時間をいただきまして、改正後の制度の運用状況も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
 さらに、適正な測定・分析を行う知識・技能を有する人材等の育成等に加えて、適正な測定の実施を確保する方法の必要性を検討することが考えられると。この点につきましては、どのように大気濃度測定が規定されるかというところもございますので、その後の検討事項と整理してございます。
 4ページ目でございます。
 各論の6番目のレベル3建材についてでございます。
 レベル3建材を使用した建築物等の解体作業等で石綿が飛散する状況について、実態が明らかにされていないことから、調査事例の収集等によりその実態を明らかにし、検証した上で必要な措置を検討することが適当と考えられると。いわゆるレベル3建材の対策につきましては、今年度から、できるところからになるかと思いますけれども、例えば専門の方からのヒアリングですとか、情報収集、そういったことからまずは取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
 さらに、「石綿飛散防止対策マニュアル」等により、知識・技術のさらなる普及を図る必要があるということでございます。これにつきましては、通知等によりさらなる普及を図ってまいりたいと考えてございます。
 7番目、その他(罰則)の部分ですけれども、今回の制度改正による取組を初め、その他の取組も含めた制度改正の施行状況を踏まえ、罰則を含む制度の在り方について検討していくことが適当であると。これについては、引き続き検討してまいりたいと考えてございます。
 立入権限の対象を拡大することに伴い、必要な罰則の規定についても拡大することを検討する必要があると。この点につきましては、立入検査対象が拡大されておりまして、罰則についても対象が拡大されているところでございます。
 その他の(各制度間の連携)というところでございますが、石綿に関連する法令に基づく情報の共有に努めるよう、関係各省と連携して都道府県等に要請することが有効と考えられると。これは昨年12月に都道府県等に情報提供済みでございますけれども、引き続き関係各省と連携いたしまして、都道府県等における情報把握を推進してまいりたいと考えてございます。
 その他の(完了検査)のところでございますが、現時点において完了検査は、第三者による実施は将来の課題とした上で、除去工事完了後の確認事項のチェックを正確に行うことについて、作業基準に規定することや立入検査時の指導項目として、報告を求める対象とすることも視野に、施工業者が適正に除去作業や飛散防止対策を実施する仕組みを検討することが適当であると。この点につきましては、実態を調査した上で検討していこうと考えてございます。
 その他(情報開示)の部分ですけれども、今回検討している制度改正に伴い、現場での掲示を含む情報開示についても、追加すべきものがないか検討する必要がある。こちらにつきましては、法改正によりまして、事前調査の結果等を当該解体等工事の場所において公衆に見やすいように掲示しなければならないと改正したところでございます。法施行までに調査結果等の掲示事項を規定する必要があり、検討してまいりたいと考えてございます。
 さらに、住民等への説明会の実施といったさらなる自主的な情報開示の取組についても、実行可能性を含めて検討する必要があるということでございますが、今後の検討課題というふうに考えてございます。
 以上、資料2-1の説明ですけれども、引き続き資料2-2をご覧いただけますでしょうか。石綿飛散防止対策の強化に向けた検討事項(案)ということで、石綿の飛散防止対策の更なる強化についての中間答申及び今般の大気汚染防止法の一部を改正する法律の成立を踏まえまして、石綿飛散防止専門委員会において当面検討すべき主な事項として整理いたしました。
 1番目といたしまして、平成25年度の検討事項ということで、今年度の大きな検討課題と考えております大気濃度測定の部分でございます。
 [1]番目として、義務づけの対象についてということで、この枠で囲った部分につきましては、中間答申の抜粋となっております。先ほども触れさせていただきましたけれども、外見上は作業基準を遵守しているように見えても、予期せぬ箇所から石綿の飛散が確認された事例もあると。このため、作業基準の一環として、意図しない石綿飛散が発生していないことを施工業者が確認するため、作業期間中に大気濃度の測定を行わせる必要があると。現在、大気濃度測定に要する期間は一般的に数日程度と考えられることから、規模の小さい、あるいは工期の短い解体現場等についても、一律に大気濃度測定を義務づけるか否かについては、慎重に検討すべきであるという答申ですが、論点につきまして、対象建築物等の規模要件が挙げられます。
 石綿繊維を測定する場合に要する期間は、一般的に数日程度と考えられることから、小規模な建築物の解体等現場を除外すべきかどうかと。小規模な現場ですと、測定をしたとしても、石綿の測定結果が出るのが数日後ということでございますので、その時点では既に除去工事が終わっており、適切な対応ができないのではないかといったような視点がございます。他方、迅速な測定方法、浮遊粒子数や総繊維数濃度等による測定方法でございますが、これらの場合には、一律に測定の義務づけが可能と考えられるがどうかという視点。また、小規模な建築物の解体等現場を除外する場合、その範囲をどのように設定するか、例えば床面積、石綿使用面積等で設定することができるかということでございます。この点につきましては、期間を要件とした場合には無理な作業工程を組むということも考えられますので、規定するのであれば、面積なのかということも考えられるところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、[2]番目の測定結果の評価方法についてですけれども、解体工事等毎に作業期間が異なること及び建築物等に使用される石綿の種類毎に毒性が異なること等から、有害大気汚染物質と同様に、大気中における石綿濃度の基準を設定するには、さらに検討が必要と考えられると。このため、敷地境界等の基準は、健康リスクの観点からの評価を考慮しつつ、解体作業等に伴う周辺環境への石綿の飛散を防止するための管理基準として設定することが適当である。敷地境界等において、石綿の飛散の有無を確認することにより、周辺環境への影響について確認することができるということでございます。
 論点といたしましては、大気濃度測定結果の評価基準ということでございますが、石綿除去工事に伴いまして、一般大気環境へ石綿を飛散させることを防止するため、作業管理としての基準を何本に設定するかという点。それから、敷地境界での基準とするのか、具体的に測定場所をどのように設定することが適切かの検討ですけれども、次のページの[3]の検討とあわせて検討することが必要ではないか。敷地境界での基準とする場合には、一般大気環境濃度の状況、環境省のモニタリングによりますと、概ね1本以下という状況でございますので、この値を参考とし、基準として設定することも考えられるのではないかということでございます。
 ここでお手元の参考資料2-2を少しご確認いただきたいと思います。
 参考資料2-2の2ページ目でございます。今ほど少し説明いたしました環境省が実施した大気中の石綿濃度調査結果について、22年から24年のものでございますけれども、一番上のグラフが一般大気環境、これは総繊維数濃度を表したもので、縦軸が件数、横軸が総繊維の数、1と10と数が振ってございますけれども、全部で347件の調査結果がございますけれども、見ていただくとおわかりのとおり、全て1本以下という状況にございます。それから、中段のグラフですけれども、これは建築物の解体等の現場における敷地境界等における総繊維数濃度でございます。こちらについては、件数が全部で118件ということで、線が少しぎざぎざになっていますけれども、繊維数が1本を超えているものも何件かございますが、9割強が1本以下という結果になってございます。一番下のものが、建築物の解体等現場の集じん・排気装置の排気口における総繊維濃度です。これは件数が少なくて、34件なんですけれども、こちらについても、8割強が1本以下というふうな結果になっております。これらを参考に検討することができないかということでございます。
 ページを戻っていただきまして、1ページ目をご覧いただきたいと思います。先ほどの論点ペーパーの資料2-2の横に一緒に置いて見ていただけるとわかりやすいと思うんですけれども、論点ペーパーの3ページ目、[3]番目のところ、具体的な測定方法(測定場所、対象物質)ですけれども、こちらの参考資料2-2の測定地点のイメージ図でまず説明をさせていただきたいと思います。特定粉じん排出等作業時の大気中の石綿濃度測定地点として考えられる地点ということで、赤い丸が四つほど示されております。敷地に対して建築物の占める面積が大きい場合には、あまり問題にならないと思うんですけれども、広い工場等におきましては、作業現場と敷地境界がかなり離れているということもあろうかと思います。そういった距離が離れている場合に、敷地境界で測定して作業管理の基準を設定できるのかという問題がございます。測定ポイントとして、(ア)敷地境界の考え方があるということと、敷地が広いような場合には(ア)´の部分、施工区画境界、工事区画と言ってもいいかもしれませんけども、そういったところがあると。さらに、その下のところに、点線の中に長方形が二つあるかと思いますけれども、下の大きい長方形が、これは隔離養生された作業場をイメージしてございまして、右側にバツの印があります機械があると思うんですけども、これが集じん・排気装置でございます。この集じん・排気装置の出口、集じん装置に不具合があれば、ここから石綿が飛散することになるということでございますので、ここで測定するという考え方があると。さらに、上の小さい長方形の部分、この部屋が3区画になっておりますけれども、ここから作業者が出入りしたり、廃棄物等の搬出口となるということで、このセキュリティーゾーン入り口、ここで見るという考え方もあろうかと思います。
 先ほどの論点ペーパーに戻っていただきまして、具体的な測定場所、対象物質ということでございますけれども、論点といたしまして、今ご説明させていただきましたが、(ア)ということで、一般大気環境への影響について確認する場合の採取場所ということで、こちらにつきましては、一般大気環境への飛散を防止するため、除去作業を行っている建築物等の敷地と隣地の境界ということでございます。(ア)´につきましては、先ほどご説明しましたとおり、一般大気環境への影響について確認する場合、敷地境界での測定が不適切な場合の採取場所として考えられると。それから、(イ)としましては、発生源となりやすい箇所からの影響を確認する場合の採取場所ということで考えられるというところでございます。
 次に、4ページ目へ入りまして、大気濃度の測定方法及び測定対象物質でございます。
 測定対象物質と測定に要する期間に応じまして、以下の方法が考えられるが、どのような測定方法が適切かということで、三つの方法をお示ししました。
 一つ目は、石綿繊維を計数する方法ということで、こちらについては、石綿の計数が可能なんですけれども、一般的に数日程度時間を要するというものでございます。位相差顕微鏡法で一定濃度を超えた場合に、電子顕微鏡で分析する方法でございます。
 二つ目といたしまして、現場で比較的迅速な測定方法ということで、石綿を含む総繊維数を計数する方法ということで、位相差顕微鏡法。こちらについては、石綿の計数はできませんけれども、比較的迅速に総繊維の計数が可能でございます。
 さらに、位相差顕微鏡法により繊維が確認された場合に、石綿か否か繊維を同定しながら計数する方法ということで、位相差/偏光顕微鏡法、位相差/蛍光顕微鏡法等がございます。こちらにつきましては、比較的迅速に石綿を計数できると考えられますけれども、今後、少しデータの蓄積等が必要とされているところでございます。
 三つ目といたしまして、現場管理のための迅速測定方法ということで、石綿の計数はできませんけれども、繊維状粒子や粉じん等を現場で測定可能ということで、こちらにつきましては、石綿を含むさまざまな粒子の個数等について迅速に測定いたしまして、一般大気環境と比較する方法でございます。
 ここで、もう一つの参考資料の2-1、一枚紙ですけれども、こちらをご覧いただけますでしょうか。自治体における大気濃度測定の取組状況ということで、自治体でどのように取り組んでいるのか、今回、自治体にアンケート調査を実施いたしまして、その結果でございます。
 1番目が濃度の測定の実施でございますけれども、この青い部分が94自治体、130のうちの94ということで、自治体が自ら実施している、条例等により施工業者に義務づけている、あるいは指導しているといった自治体が94ございました。7割強の自治体で濃度測定を実施あるいは指導しているという実態がございました。
 二つ目といたしまして、この94自治体から、濃度測定を実施する場合にどこで測定されているかということでございます。これは敷地境界というところが40自治体。それから、敷地境界、集じん・排気装置の排出口、両方でやっている場合、さらにセキュリティーゾーン入り口でもやっている場合というふうに分かれておりますけれども、延べ数で見ますと、(2)のところをご覧いただきますと、敷地境界で65自治体ということで、採用している自治体が多いという状況にございます。さらに、(3)番目の判断本数でございますけれども、石綿で10本というところで判断されている自治体が40ということで、最も多いという結果になっております。裏面については、その他の集計結果となっておりますので、参考としていただきたいと思います。
 こちらの大気濃度測定につきましては、測定方法等の専門的な事項などの検討が必要となる部分もございますので、後ほどスケジュールのところでも説明させていただきますけれども、この大気濃度測定について、検討する場を設けまして、検討をさせていただきたいというふうに考えております。その場におきましては、いただいております答申の内容、それから本日の委員会でのご議論を踏まえまして検討をさせていただきまして、次回の委員会におきまして、その内容をご説明し、またご審議いただきたいと考えておりますので、本日、ご議論をいただければというところでございます。
 5ページ目でございますれども、二つ目の事項でございまして、事前調査を義務づける対象建築物の範囲についてでございます。解体等の工事の場合も、一律に事前調査の義務を課すのは適切ではないという答申内容になっております。この特定工事に該当しないことが明らかな解体等工事の範囲ということで、除外できるものといたしまして、例えば労働安全衛生法により石綿等の使用が禁止された平成18年9月以降に新築のため着工された建築物等の解体等工事、これが考えられます。それから、木造住宅の解体等工事、これも除外できるのかというふうに考えていたところでございますけれども、現在、自治体へのアンケートの集計中でございますけれども、今集計している範囲で、まれに木造住宅・木造建築物であったとしても、届出事例が見られるということで、ゼロとは言えないということで、やはりここの部分は調査の対象とせざるを得ないかと考えているところでございます。それ以外にも何か除外ができるものがあるのかということで、この点についても少しご議論をいただければと考えてございます。
 (3)番目といたしまして、レベル3建材の規制の必要についてということでございます。この課題につきましては、先ほども少しご説明させていただきましたけれども、収集すべき情報ということで、レベル3建材を使用した建築物等の解体作業等における石綿の飛散実態、こういったものを収集いたしまして、措置の必要性を検討していくということがございます。これにつきましては、できるところから取組を進めていきたいと考えてございます。
 最後のページでございますが、それ以外の主な事項といたしまして、平成26年度以降の検討事項として2点ほど挙げさせていただいてございます。
 (1)番目といたしまして、事前調査の信頼性の確保についてということで、建築物・建材等で使用されている石綿について適正な調査を実施できる調査機関の登録制度を設け、登録調査機関に調査を委託するよう勧奨するような制度を設けることが考えられる。改正後の制度の運用状況も踏まえて、登録制度の具体化について検討することが必要であるということでございますので、適正な事前調査を行う知識・技能を有する人材・機関ですとか、事前調査の実態、こういったものを収集いたしまして、適正な事前調査を行う知識・技能を有する人材等の育成方法、登録等の制度のあり方、これらについて検討をしていきたいと考えてございます。
 (2)番目として、石綿除去後の完了検査でございます。こちらについても、完了検査の実態ということを収集して、検討事項といたしまして、適切な完了検査の実施方法でございますとか、石綿除去工事完了後の行政のチェックの体制、こういったところがあるのかなと考えているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【浅野委員長】 それでは、ただいま事務局から検討事項について説明をいただきました。ご覧いただいてわかりますように、今年度の検討事項と、それから次年度以降に検討する事項、このように仕分けをしております。これは中間報告の考え方にも沿っているということでございますが、まず、この仕分けについて、これでよろしいかどうか、特に大きなご異論がなければ、この仕分けを前提にして以下の議論を進めたいと考えますが、よろしゅうございましょうか。
 外山委員、どうぞ。

【外山委員】 二つほど少し気になる点がございますので、申し上げたいと思います。
 まず罰則なんですけれども、現行法では、作業基準違反等で変更命令に違反した場合に初めて6カ月以下・50万円以下の罰金ということになってくるんですけれども、これが今回の改正で測定の義務が法律に載ってこなかった。政省令のほうでの改正ということになってくると、ほかの大防法の物質は、最高の罰則が1年の懲役、それから100万円以下の罰金ということなんですけれども、そこにも至らないということで、罰則が軽過ぎるという話は、環境委員会の中でも、自民党の穴見委員ですとか、民主党の篠原委員もおっしゃっていましたけれども、やはり非常に軽過ぎるというふうに私は思います。今回の改正でも、大防法の最高罰則にすらならない、その半分にしかならないというのは、やはり早急に検討すべき状態ではないのかなというふうに考えています。中間報告の中でも、罰則を含む制度のあり方について検討していくということで、罰則の規定について拡大していくということがありますので、そういう意味では、従来のものから全く最高罰則が上がっていないということですし、大防法の最高罰則の半分でしかないというところは、やっぱりまずいのではないのかなと思っています。ぜひ、この表でいきますと、資料2-1で言いますと、4ページ目の7.の(罰則)ですけれども、平成25年度の取組事項の中に、例えば現状の罰則制度の検証だとか評価だとか、そういったことを入れて、早急に検討すべきではないのかなというふうに考えます。これが1点目です。
 それから、もう一つは、附帯決議がついていたと思います。その4点目ですね。リスクコミュニケーションに関してですけれども、やはりその増進に向けて先進的かつモデル的な取組を進めるということがありますし、公明党の加藤委員からも同様の指摘があって、副大臣もそれに対して積極的に進めていくというお答えがあるんですけれども、それに関連すると、やはり先ほどのこの資料2-1の4ページ目のその他ですね、(情報開示)の辺りに関連してくると思うんですけれども、やはりリスクコミュニケーションの第一歩というのは、住民にきちんと情報を伝えるということが大変重要だと思いますので、そういう意味で、これは掲示をしようということで、いわばこれは当然やるべきことだと思うんですね。それ以上に、やはり例えば届出の内容に関して、今は開示請求をしないと出てこないという状況ですけれども、それを積極的に開示をすると。これ、全部である必要はなくて、開示できる部分は開示をしていくということもそうですし、あと、やはり住民説明会も、これも検討ということになっていますけれども、ぜひ、これも平成25年度の取組事項の中に入れていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

【浅野委員長】 とりあえず、ご意見として承っておきます。
 ほかにございますか。
 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 今のご意見と関係しますけど、ちょっと質問を今のこととの関係でさせていただきたいんですが、資料2-1で2点ちょっと質問をしたいんですけど、一つは、1ページの上から三つ目の欄のところのさっきも出ていた説明義務ですが、これは義務づけをしたんですけど、多分、十八条の十七は罰則がないので、そもそも事前調査義務はかかっているけれども、その調査自体と説明については罰則は多分ないと思うので、これはどういうふうに担保されるのかというのは、ちょっと、いろんな方法があると思います。例えば業者さんを何か――公表は、しかし、しにくいですが、何らかの方法があるかもしれません。
 それをお伺いしたいのと、それからもう一つ、2ページのところですけども、2ページの一番下のところで、一時停止の措置を検討するというのが答申のほうでは出ていたんですが、これは大気濃度測定の規定とあわせて検討ということですが、一時停止の措置というのは、これは命令なので、情報がないとちょっと無理かと思いますが、これは、その点はどういうふうにお考えになっておられたのかというのをちょっと教えてください。

【浅野委員長】 稲垣委員、どうぞ。

【稲垣委員】 大変難しいかと思いますが、資料2-1のところに、3カ所ほど人材の育成という項目がございます。1ページの一番下、それと2ページのちょうど下から三つ目ですか、それと3ページは一番下、ともに人材の育成というのがあるんですが、これが全て今後の取組のほうに入っております。この大変重要な法律を動かすときに、人材の育成というのは、いろんな整備もしていかなければならないことは十分わかりますけれど、やはり早急に人材の育成というのに取り組んでいただけるようなことが必要じゃないのかなと思っております。

【浅野委員長】 ほかにございますか。よろしゅうございましょうか。
 小林委員。

【小林委員】 3人の方々からご意見をいただいた内容なんですが、これについて、ちょっと私なりのコメントをさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、大塚委員のほうからご意見がありました、罰則があるかないかという議論なんですが、実際に行政として実務をやっている人間にとりますと、測定の義務があるということが重要であって、それにやらなかったら罰則があるかないかというのは、あまり問題にはなりません。つまり、罰則がないから測定をしない業者がいるということにはあまりありません。測定の義務付けがあればいいので、それに罰則があるかはあまり問題になりません。
 それから、2点目は、先ほど外山委員のほうからありました罰則の軽重、いわゆる軽過ぎるのではないかというご意見につきましては、私自身、これだけの問題ではなくて、環境法全体の罰則規定が甘過ぎると思っているんです。もっとやっぱり厳しい罰則をかけるべきではないかなという感はしております。ただ、ここの段階で、この大防法のところでそれを議論するというのはいかがなと。というより、環境法全体としてご議論いただいたほうがいいのではないかと。そうしないと、あまりにも問題点が散逸してしまうということがあるので、これについては、また別のところでご議論をいただければなというふうに思っております。
 それから、三つ目は、26年以降の検討事項と書いてあるんですが、これは25年度の検討の中で並行的に検討していただいて、ただ、結論を出すのが26年以降であってもいいと思うんですが、25年度の段階から並行的にご議論をいただかないと、25年度の検討の内容の中で、この議論というのは出てくると思いますので、そういう意味では並行的に検討をしていただきながら、答えを出すのは少し遅れてもやむを得ないというふうには感じております。
 以上です。

【浅野委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまいただきましたご意見をもとに、検討事項ということに関しては、この専門委員会が直接やらなければいけないことが多くありますし、リスクコミュニケーションにせよ、人材育成にせよ、どういう方策を講じるべきかということについては、今年度全く議論をしないということは適当でないというご指摘は、そうだろうと思いますので、次回以降の専門委員会の中でどういう形で取り上げることができるかということは、さらに事務局に検討をさせます。
 それから、信頼性確保、それから完了検査について、これをとりあえず情報収集を始める。そして、レベル3についても、今年度、既に情報収集を始めるということになっておりますが、情報収集をしていただいた上で、さらに議論をするという、中間報告の線にそった手順に関しては、特にご指摘がありませんでしたので、このように進めさせていただきたいと思います。
 それでは、25年度の検討事項と書かれている内容のうち、今日、事務局から示されましたことは、一つは測定について、もう一つが対象建築物の範囲について、もう一点がレベル3について、これは情報収集から始めますということが書かれているわけですが、とりわけ(1)と(2)について、これから議論をしていかなければいけないわけです。そこで、ここに書かれている論点にさらに追加すべきこと、あるいは、この論点についてこんなふうに考えるべきではないかというご指摘がありましたら、それをお受けしたいと思います。では(1)、(2)、どちらでも構いませんので、ご指摘がありましたら、ご意見をお出しください。いかがでございましょうか。
 稲垣委員、どうぞ。

【稲垣委員】 1ページ目の対象建築物等の規模要件、それと4ページ目の下の方にあります測定との関連も出てくるかと思いますが、私は、対象要件の規模要件としては、小規模のものというのは、確かに施工業者にいろんな負担をかける、これは大変大きな問題だと思いますけれど、かといって床面積だけで判断してしまうのはいかがなものかなと。非常に規模が小さくても、石綿使用等が多くあれば、それは問題ではないかなと思います。
 そのときに、そういうものをどういうふうに測定したらいいかというのは、4ページのところにあります一番下のところにありますけれど、かといって、厳しくやっていたら工事がもうみんな終わってしまっているということになってもいけませんので、石綿の測定はできないけれど、簡易な方法でやれる方法、これは少なくとも今回の法改正で一番最初にご説明いただいたように、解体工事等の事前調査、これが義務づけられておりまして、石綿を使用しているか、使用していないかというのは、ある程度わかるわけでございますので、そういうところで、石綿を使用しているものについては、簡易なもので、粉じんが高ければ当然そこには石綿が入ってきているというのもわかりますので、その辺も関連づけてやれるような制度にしていただけるといいなと思います。

【浅野委員長】 そもそも、義務づけ対象の規模要件を定めるということは、調べなくていいという場面をつくってしまうことになりますね。ですから、あるとわかっていればいいのですが、あるかないかわからないままで通り過ぎる余地もあって、それがある程度の年代以降のものならばという……。

【稲垣委員】 そういうことですね。

【浅野委員長】 そういう話なのですが、その点、いかがでしょうか。

【稲垣委員】 ある程度年代が古い建物だったら。実は、一番最後に少し言おうかと思ったんですが、この法律ができて、私が預かっている大学の調査をしました。そしたら、一つのキャンパスのほうは相当多く石綿が使われていたということが明らかになってまいりましたので、そういうものについては、今後、耐震工事をやったりするときにも一部取り除かなければいけないというのが出てきましたので、早急に調査をしろと指示をしました。それと、ここへ来て、経済が少し上向いてきまして、税金も上がって、県税収入も増えてきました。そのため、今までとまっていた耐震工事というのが相当予算で入ってきております。そうしますと、工事に入る前にこの制度というのはきちっと明確にしておかないと、非常に混乱を招くおそれがあるかなというふうに思っておりますので、少しぐらい小さくても、古い建物は調査したほうがいいのかなという気はしております。

【浅野委員長】 ありがとうございました。
 近藤委員、どうぞ。

【近藤委員】 まず、測定の対象物質なんですけども、期間が短いということで、便宜的な迅速方法ということですね、浮遊粒子だとか、総繊維数ということも考えられているようですけども、私の経験則上、浮遊粒子数というのは、気象条件とか季節的なものがありまして、大きく変動します。資料2-2の総繊維数は高い値がなく非常に安定していると思われますけども。したがって、便宜的にやるとしても、総繊維数までにとどめておいたほうがいいのではないかと。浮遊粒子数は、かなり無理があるんじゃないかなという感じがしております。
 それから、もう一つ測定の場所ですけども、参考資料2-1の自治体の例で、敷地境界というのがありますけども、ここに施工区画境界というのがないですよね。ですから、敷地境界と施工区画境界とあまり区別しないで調査されたんじゃないかと思います。作業基準を満足しているかどうかということを考えるのであれば、施工区画境界のほうが妥当ではないかというふうに思われます。

【浅野委員長】 ご指摘ありがとうございます。
 青島委員、どうぞ。

【青島委員】 大気濃度測定の義務づけの対象ということで、私も稲垣委員と同じように考えておりまして、小規模の扱いについて、これは以前、15平米以上のものについて特定粉じんの届出が義務づけをされていたと。現状が、それより小さい、例えば天井に点検口をあける、上に吹きつけ材があるとかですね、そうすると届出の対象になると。それから、設備の配管を通すということでも、特定粉じんの排出届を出すということにしております。そうなってくると、本当に小規模な場合については少し緩和措置があっていいかなと。小規模の定義をどうするかというのが一つ問題かと思います。
 それと、試料の採取場所についてのお話ですけど、やはり現実的なものは、(ア)´ですね、(ア)´が現実的に行う方法だと私は思います。
 それと、もう一点、資料2-2にある2番目の表です。これは環境省の実態ということで、全くこのとおりだと思われます。ただし、建物の調査で、一部分、非常に高い値が工事の前にあるという状況が見受けられますので、その辺の解体前の調査というのが、事前調査で測定が今自主的にはかるようになっておりますので、その値をちょっと調査して、いろいろ知見が少ないと思いますけど、データが、例えば工場の中の金属ヒュームが飛んでいたり、アスベスト以外のものがあって最初から高いと。それから、劣化・損傷していて、建物の中で非常に高い値が出るという、あるいは別棟で解体しているので、それが、粉じんが舞っているという状況がありますので、その辺をちょっと考慮した値にしていただきたいと思っております。ちょっと、この環境省の値は、実態ですので、そのとおりだと考えますけど、そういうイレギュラーな物件があるということを考慮していただきたいと思っています。
 以上です。

【浅野委員長】 ありがとうございました。
 谷口委員、どうぞ。

【谷口委員】 まず、対象建築物の規模要件の関係ですけども、確かに1.に書いてあるように、すぐ終わってしまう解体もありますので、規模要件はあったほうが現実的だなというふうには思っています。その規模要件の設定の仕方としては、やっぱり石綿の使用量といいますか、面積といいますか、その辺のところがやっぱり基本だと思いますから、一番下にあるように、石綿使用面積などで判断をするというのが現実的だというふうに思っています。
 それから、測定については、敷地境界、もしくは(ア)´ですね、施工区画境界。こういうところで測定するというのがまずは必須ではないかと。それは当然周辺への飛散、お隣さんへどれだけの迷惑をかけているのかということをまずはしっかり把握するということだと思います。
 それで、ここは敷地境界ではかるとか、施工区画境界ではかるとかということで、赤印が1カ所しかないんですけれども、やっぱり今までの大気汚染防止法などでも、敷地境界での測定というのは、濃度が高くなると考えられる場所と、風向風速などを考慮するんですかね、4カ所、合計5カ所になろうかと思うんですけども。5カ所全部というのは多いかもわかりませんけれども、1点ではないのではないかなと。風向風速を考慮したものということかなというふうに思います。
 それから、基準として、作業基準として何本にするかということなんですけども、下のほうには、先ほど説明もありましたし、概ね1本という数字が出ていますが、大防法では10本という数字が、これは製造業の場合ですけれども、そのまま持ってくるのはいかがかという気はしますけれども、参考となるものが多分ほかにないのではないかなというふうな気もしますので、10本というのが現実的ではないかなというふうに思っています。
 以上です。

【浅野委員長】 神山委員、どうぞ。

【神山委員】 この横の資料2-1の一番下のところですけども、信頼性の確保のところで、今年度、マニュアル等で明確化していくというふうになっているところに関係するところですけども、過去に事前調査をしていますと、それでアスベストが使われていませんというような建物で、ないものとして工事をして、実は2階・3階のほうに使われていたとか、調査は1階でしか行われていなくてというような話があったりしていますので、このマニュアルの中で、調査地点をどのように明確に具体的に書き込んでいくかというのは、これはマニュアル化問題になると思いますが、そこのほうに記載したいと思います。つまり、漏れのないような調査をいかに確立していくかということですね。
 それと、立入権限の強化のところで、2ページ目の3ですね、2ページ目の下から二つ目の箱に書いてあるようなことなんですが、立ち入りで速やかな判断が可能な方法の検討ということで、迅速測定法の活用も検討すべきだと。これも今後検討し、マニュアル化するということなんですけれども、これが資料2-2の4ページに書かれていることと直接関係していると思うんですけれども、資料2-2の4ページでは、3段階の可能性が列記されております。一番上から下に向かって、アスベストの特異性は下がるけれども、逆に時間は短くなっていく。つまりリアルタイムな測定に近づいていくと。これをどう組み合わせるかということが、このマニュアルをつくるときのポイントになると思うんですが、このときに、現場管理のための迅速測定を、一番下ですがこれを非常に有効に使うということが大きなポイントになるのではないかと私は考えております。パーティクルカウンターとか、リアルタイムモニターを、負圧除じん装置の排出口付近、その装置が正常であれば、そういう装置は何ら反応しないはずですので、それが何らかの高い値を出すと、一般大気に比べて高い値を出すというときに、即作業を止めるということも大変なプレッシャーになると思いますので、そういうときには工事施工者のほうに負圧除じん装置のチェックをしてもらうような、一時工事停止みたいな形ですね、そんなふうなところにこれが利用できるのではないかという。その間に、アスベストが漏れているかどうかは、その真ん中辺の現場で比較的迅速な測定方法でチェックができるという、二段構えにしておくことで、十分、現在多々見られる負圧除じん装置の不具合で漏洩が起きていることに対応できるのではないかなというふうに思っております。
 すみません、もう一つなんですが、資料2-1の3ページ目の上から二つ目、大気濃度測定の義務づけですけども、これは施工業者のほうに義務づけするという立場で書かれているわけですけれども、従来、環境省が一般大気モニタリングで解体現場周辺の調査というときに、工事現場に測定に行くと大体断られると。なかなか測定現場を特定するのに苦労していたいきさつがありますが、今度、立入検査ができたということで、それらが自由自在と言うと語弊がありますけど、できるのかどうかということとも関係するんですが、自己測定ですね、施工側が自ら測定するのに加えて、立ち入り等でチェックできるような二段構えの形がこれで十分とれてくるというふうに期待していいかどうかということですが、そのように期待したいと思います。
 以上です。

【浅野委員長】 ありがとうございました。
 今の神山委員のご指摘の最後の点ですね、事務局はどういうふうに考えておられるのかというご質問だろうと思うのですが、施工業者によるモニタリングと、立入検査の際のモニタリング、二つあるのではないかというご指摘だったと思うのですが、この点はどうでしょうか。

【渡辺大気環境課補佐】 現状でも、先ほどの参考資料2-1の中で、自治体が自らやっているという件数が、この表の中ではわかりませんけども、半数強の自治体が自ら実施しているということになってございます。立入権限につきましては、現行でもございますので、そういった立入検査の中で、自治体のほうが実施していくことができるというふうに考えてございます。

【浅野委員長】 それで、それについての何かこういう調べ方がいいよという推奨とか、そんなものが多分施工業者とは違う角度から決められるということはないのかというのが、多分、神山委員のご指摘の含意ともなる、この点どうですか。

【渡辺大気環境課補佐】 ご指摘の点は、ごもっともな部分がございまして、立入検査に行った場合、石綿を測定する場合は、すぐその場で判断できないということがございます。そこで、先ほど資料2-2の4ページ目で示させていただきましたけれども、現場で速やかに測定できる方法ということで、デジタル粉じん計、パーティクルカウンター、リアルタイムモニター等あるんですけれども、こういったもので測定するということになると、石綿か否かを同定できるものではございませんので、その結果により作業停止ということを法的にできるかということ、そこはちょっと困難なのかなと思います。この大気濃度の測定について、対象物質を総繊維とするのか、あるいは石綿にするのか、そういったところを検討していかないと答えは出てこない部分なんですけれども、それも含めて今後の検討課題だというふうに考えてございます。

【浅野委員長】 はい、わかりました。
 それと、もう一つは、どこでどんなふうにはかるのかということと、はかり方の問題というのが多少関連しそうですが、先ほどの近藤委員のご指摘は、一般的に敷地境界線で大気測定のような形ではかるとするならば、浮遊粒子状物質だと、あまりにも他の交絡因子を拾い過ぎてしまって、問題を把握できなくなるのではないかというご指摘でしたし、神山委員のご指摘は、どちらかというと施設の周辺で中から出るものをはかるという観点からのご意見ですが、その辺について、少し整理をしておかないと混乱が起こるかもしれませんね。これは今後ちょっと、よく、お二方のご意見を踏まえながら、何をどこではかるのかというときに、違いがあるということを意識しておかなければいけないということだと思います。
 それでは、外山委員、どうぞ。

【外山委員】 まず、5ページ目の(2)、事前調査を義務づける対象建築物に関しては、これは平成18年9月以降の新築のほうの建築物に関しては除外するということでいいと思います。木造建築も、確かに私も、ごくごく少数ですけども、まれに吹きつけがあったりするものも、まれですけれども、あるので、除外しないというのは、これでやむを得ないのかなというふうには思います。
 最初に戻って、大気濃度測定の義務づけですけれども、規模要件でという話もあるんですけれども、やはりリスクということを考えると、小規模であっても、例えばクロシドライトの吹きつけがあるような建物もあります。そうすると、非常にリスクが高いですし、飛散すると非常に高リスクになってしまうということもありますし、床面積で判断というのも合理的ではないですし、使用面積の算定というのも、なかなか難しいのかなという面もあります。数日程度要するというふうに言われていますけども、私たちが通常やると、私たちは総繊維プラスPLMで分析していますけれども、翌日の朝までには必ず結果を出しているということが、やろうと思えばできることもありますので、私は、規模要件というのは、これは設定しないほうがいいのではないのかなというふうに考えています。
 あと、やはり分析方法と濃度基準というのは非常に関連があって、やはり世界的には、今、一般環境中の石綿濃度測定に関しては、電子顕微鏡を使用するというのが流れになってきているというふうに思います。ただ、今、日本ですぐにということは、それはなかなか難しいというのはあります。なので、偏光顕微鏡等を併用するということはあり得るのかなというふうに思います。ただ、やはり将来的には、きちんと電子顕微鏡でもって国際標準に合ったような形で分析できる技術者を養成していくということは必要になると思います。
 基準値も10f/Lということを言われます。WHOの基準だというふうにありますけれども、オランダでは非常に低い基準値が採用されているということをヒアリングの中でも紹介されましたが、これらも電子顕微鏡で全てはかられているものですので、やはり総繊維で10f/Lという基準というのは、現状では科学的な根拠が希薄になっているので、きちんとリスクに合った形で今後検討していく必要があるというふうに思います。
 以上です。

【浅野委員長】 谷口委員、どうぞ。

【谷口委員】 事前調査の関係なんですけども、我々のほうで、今までの経験から、例えば石綿を使ってある建材の外側に別の建材で覆ってあって、目視ではわからない、板をはぐって中を見ないとわからないというようなケースがあったりして、事前調査はやっているんだけど、そこまで見ていなかってわからなかったというようなことがありました。ということで、事前調査のマニュアルをつくるということなんですけども、やっぱり何をどう見ていくのか、あるいは一部試験的に建材を剥がして中まで調べるというようなことまで、丁寧にマニュアルに記載するという必要があるのかなと、こう思っています。
 それから、もう一点、このマニュアルの法的な位置づけなんですけども、この資料2-1のところでは特段記載はされていないんですけど、多分、今の環境省のほうから出ているマニュアルを改正するという趣旨だと思うんですけれども、これはぜひ大気汚染防止法の世界の中でですね、告示とか何とかという格好で、法的な、一部分であるというような位置づけにしていただけないかなと。でないと、立ち入りの現場で、これをやりましたかと、この事前調査の中のこの部分をちゃんとやりましたかということを確認し、やっていないとしたときに、やっぱり事前調査が不十分であるということで、石綿がある・ないについては疑義があるということまでちゃんと担当者が現場で言えるようにしたいなというふうに思いますので、ぜひ、そういう位置づけも含めてご検討いただければというふうに思います。

【浅野委員長】 現場の必要性ということで、今の点は事務局に十分検討させます。
 では、小林委員が先で、次に神山委員におねがいいたします。

【小林委員】 今、谷口委員のほうからご発言いただいた内容にちょっと関係するんですが、このマニュアルの扱いですね、今、ちょっと谷口委員のほうからは何らかの告示かというお話があったんですが、一つは、施行令、施行規則とはせずに、指導マニュアルとして、こういうふうにしたほうが望ましいという部分も結構あると思うんですね。そういう意味で、谷口さんが言われたことは、反対ではないんですが、何か、施行令、施行規則といった告示行為と指導マニュアルのような局長通知の2種類の文書をつくる必要性があるような感もしてきたんです。例えばこうしたほうが望ましいよと、しかし、義務づけではないですよという、何か色分けをしないと、これ、地方自治体におりてきたときに、省令とか告示でやられてしまうと、やらなきゃいかんようになると、これ、また大変なことになってくると思うんですが。ただし、すべてをマニュアルとすると、今度は逆に甘くなるおそれがあるんですね。ここまではしなければならないという規制的な部分と適切な指導を行うためのマニュアルとする部分の二つの扱いがあるなという感がするんです。
 それから、もう一点、先ほどのアスベストの測定のところで、資料2-2の4ページのところにありました、いわゆるきちっとアスベストを測定する方法、それから現場での迅速測定法、この辺の扱いですが、実際上、阪神大震災のときもやっているんですが、アスベストはきちっと測定して、その結果で処分するというのは大変難しいです。今、外山委員が言われたように、2日ぐらいでやろうと思えばやれんことはないんですが、大変な作業になってしまうんですね。そこまで測定者に義務付けるというのは大変なことになってくると。逆に言うと、指導として迅速測定をやって、その結果、あるレベル以上、例えば1とか10ではなくて、もうちょっと高い値のものが出てきたら、これは粉じんでいいんですが、出てきた場合は、とりあえずアスベストの測定が終わるまで、四、五日待ってください、工事を一時中止できませんかというような、指導マニュアルみたいなものがあってもいいのではないかなと。実際に、阪神のときは、粉じん濃度だけでとめたことが結構あります。ちょっと待ってくれと。もう少し精査をした上で次の指示をするから、その間、二、三日、工事を中止してくれと。結構、それは従っていただけたので、そういうふうな、少し指導的なマニュアルも欲しいなという気がいたします。

【浅野委員長】 ありがとうございます。
 先ほどの大塚委員のお話とも関連するところですが、今の小林委員のご発言は、実務的には現実的なご発言ではないかと思って聞いておりました。
 神山委員、どうぞ。その後、浅見委員。

【神山委員】 先ほど谷口委員のお話で、事前調査の関連で、見落としで多々アスベストの吹きつけなり何なりがあるところに、後から板とかボードで囲ってあるようなケースが結構あったという話なんですが、これ、1980年代半ばぐらいですか、日本で最初にアスベストの吹きつけが問題になったときに、まだ当時はあまり日本に吹きつけを安全に除去する技術が普及していないということで、囲い込みと当時言っていたんですが、それのほうがより安全だからというので、先延ばしですね、現実に除去するよりは、囲い込みをしておいて先へ延ばすという工事が結構やられたと思いますので、今後、設計図書に残っていないかもしれませんけれども、谷口委員言われるように十分注意して事前調査をやってもらうような、それもまたマニュアルに注意書きが必要かもしれませんけども、ちょっと思い出しましたので。

【浅野委員長】 ありがとうございます。年代的に、ある程度そういうことが集中的に行われた時期というのは、わかるとすれば、やっぱり年代によって要注意というようなことがありそうですね。
 浅見委員、どうぞ。

【浅見委員】 何点かございます。まず、測定についてですが、やはり現場管理のための迅速測定方法でありますけども、この場合は、主に集じん・排気装置の出口、排気口のところだと思います。この辺りにつきましては、デジタル粉じん計で、あるいはパーティクルカウンターにおきましても、突然漏れた場合、急激に粉じん量が増える、従って測定量が増えるということがわかりますので、そういう意味では、非常に有効に使える場合もあります。また、その他に敷地境界や施工区画等で測定する場合は、その測定の意味を明確にしておく必要があるのではないかなと思います。
 もう一点、先ほどから話が出ています面積、建物の規模ですけれども、もし行うのであれば、床面積ではなくて、取る面積ですね、具体的には、耐震工事とか、狭い面積を行うということがあります。もし、規模要件をつけるのであれば、そういう目で見ていただいたほうがいいのではないかなと思います。
 最後事前調査の除外項目ですけれども、やはり年代では除外してもいいんですが、ただ、石綿則でも調査の記録は行わなくてはならないので、18年9月以降ですと現実的な調査は要らないかもしれませんけれども、何らかの記録を明確にしておく必要があるのではないかなとは思います。
 もう一点ありました。レベル3の話ですけれども、これ、非常に難しくなるのは、今の大防法の中では事前調は、石綿の有無ではなくて、特定建築材料の有無ということで規定しておりますので、レベル3まで規定するとなりますと、その辺りが、ちょっと今後どう考えればいいのかなというところが気になっているところです。
 以上です。

【浅野委員長】 レベル3は、今後どうするかということを含めて考えることになりますから、本当に必要となれば、大防法構造そのものに踏み込まざるを得ないということが起こるんだろうと思います。今のところは、ちょっと……。それはおっしゃるとおりだと思います。
 ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。
 それでは、今日、一わたりご意見をいただきましたので、これらを踏まえてさらに事務局に検討をさせます。
 それでは、次に今後の検討の進め方ということで、事務局からご提案がございますので、それを聞きたいと思います。

【渡辺大気環境課補佐】 続きまして、お手元の資料3についてご説明させていただきます。中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止専門委員会スケジュール(案)でございます。
 本年度の石綿飛散防止専門委員会では、今回を合わせまして3回程度開催する予定としておりまして、主要な論点について検討結果を取りまとめまして、本年12月開催予定の中央環境審議会大気・騒音振動部会に報告していただきたいと考えてございます。
 先ほど少しご説明させていただきましたが、中間答申、それから本日のご議論を踏まえて、大気濃度測定に係る事項につきましては、大気濃度調査検討会という場で集中的に検討させていただきたいというふうに考えてございます。第2回のこの専門委員会に、事務局案という形でご報告させていただきまして、ご審議をいただきたいと考えてございます。
 1ページはぐっていただきまして、アスベスト大気濃度調査検討会について、メンバー等の概要でございます。この検討会では、平成17年度から、一般大気環境等における石綿の測定方法等の検討を行ってきたところでございます。このメンバーの中の山﨑先生まで、こちらが現在の委員となってございまして、神山先生に座長をお願いしているところでございます。今般は、大防法の建築物の解体等現場において大気中の石綿濃度測定を規定するために、測定方法及び結果の評価方法について検討するということでございますので、臨時の委員ということで、関係業界等にも参画していただきまして検討をしていきたいということで、具体的には、臨時委員として、健康リスクに関する専門家、建設業界の専門家、建築物の解体等に関する専門家ということを今現在予定しているところでございます。
 以上でございます。

【浅野委員長】 それでは、ただいま事務局からの進め方の案ということでご提案がございました。
 先ほどの委員からのご指摘がありましたように、今後、26年以降にというふうに書かれているものの中で、人材養成やリスクコミュニケーションについては急ぐべきであるというご指摘もございました。この点を踏まえて考えると、予算の都合もあるのもしれませんが、これはこれでとりあえず法の施行のために準備をしなきゃいけないので、このスケジュールでやることをお認めいただいて、さらに技術的なことについては、技術的に集中的にご議論をいただくことは必要だと思いますが、3回目の時間を延ばして、人材養成とかリスコミについて含めるか、あるいは、それはもうちょっと別枠な話ということではあるけれども、1月以降にでも、一度、みんなで意見交換をしてみるとか、あるいは人材養成ということであれば、もう一回ヒアリングをやるということも考えられなくはないですね。特に実際にやっておられる方々のご意見を聞くというのは有効だと思います。今度、絞りをかけて、その辺を議論するということが望まれる。リスクコミニュケーションのテーマは恐らく我々の手だけでは負えない要素があって、むしろほかの部会の知恵をかりなければいけないかもしれませんけども、いずれにせよ、どういう形でこのテーマの議論をしていけばいいのかということは、事務局と準備をした上で考えたいと思います。これに加えて、予定された委員会の中でとりあげるか、あるいはもう一回ぐらい委員会の開催数を増やして取り上げることがいいのか、そういったことを考える必要があると委員長としては考えておりますので、そのような修正を検討することを含めまして、ただいまのご提案にそって今後の審議を進めていきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 外山委員、どうぞ。

【外山委員】 立入検査マニュアル、あるいは測定のマニュアルというのは大変重要だと思うんですね。これはどのように検討して決定していくんでしょうか。

【浅野委員長】 その点は事務局、いかがですか。

【渡辺大気環境課補佐】 今回の制度改正、省令改正の部分も踏まえてですけれども、これまで石綿飛散防止対策マニュアル等を策定してきましたので、これまで検討してきたときのメンバー等を参考に検討していきたいというふうに考えてございます。

【浅野委員長】 外山委員のご指摘は、マニュアルが外に出る前に、一度、専門委員会で目を通すような機会をつくれと、こういうことでしょう。

【外山委員】 というよりも、もし、こういうマニュアルを検討する機会があれば、私もぜひ参加したいという考えもあります。

【浅野委員長】 何か、どういう形で検討するのかということも含めて、では一度考えるということにしましょう。
 ほかにございますか。よろしゅうございましょうか。
 それでは、特にご意見がほかにございませんようでしたら、この手順で進めていくということと、私が申し上げた修正を含めて、今後の検討を進めていきたいと思います。よろしゅうございますか。ご異議なきものと認めます。
 それでは、本日、お諮りすることは以上でございますが、その他について、事務局からございましたらどうぞ。

【難波大気環境課長】 今回いただきましたご意見を踏まえまして、大気濃度測定等について検討いただき、次回の専門委員会に事務局案として提示をさせていただき、引き続きご審議をいただくとともに、今、浅野先生からもご提案いただきました点につきましても、事務局として十分考えさせていただきたいと。回数等につきましても、考えさせていただきたいと思います。
 また、本日の議事録につきましても、各委員にご確認いただきました上で、公開することとさせていただきます。
 以上でございます。

【浅野委員長】 それでは、これで終わりたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。まだ予定の時間まではありますが、よろしければ、本日はこれで閉会いたします。
 どうもありがとうございました。