自動車排出ガス専門委員会(第58回)議事録

日時

平成28年3月29日(火)14:00~15:52

場所

中央合同庁舎5号館 22階 環境省第1会議室

議事次第

1.開会

2.議事

(1)業界ヒアリング結果のとりまとめ及び結果に対する専門委員会コメント(案)

(2)燃料蒸発ガス対策の実行可能性及び技術的課題(案)

(3)ガソリン直噴車のPM規制導入について(経過報告)

(4)二輪車の排出ガス規制に係る国際基準の動向について(経過報告)

(5)「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」について

(6)その他

3.閉会

配付資料一覧

資料

資料58-1 自動車排出ガス専門委員会(第57回)議事要旨

資料58-2 業界ヒアリング結果のとりまとめ及び結果に対する専門委員会コメント(案)

資料58-3 燃料蒸発ガス対策の実行可能性及び技術的課題(案)

資料58-4 ガソリン直噴車のPM規制導入について(経過報告)

資料58-5 二輪車の排出ガス規制に係る国際基準の動向について(経過報告)

資料58-6 「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」について

資料58-7 VOC排出抑制対策の実施事例

資料58-8 第13次答申に向けた自動車排出ガス専門委員会等スケジュール(案)

議事

午後2時00分 開会

【笠井主査】 それでは定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会大気・騒音振動部会第58回自動車排出ガス専門委員会を開会させていただきます。

 出席者の確認ですけれども、本日、田久保委員はご欠席のご連絡をいただいております。

 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただきます。開会に当たりまして、高橋水・大気環境局長よりご挨拶を申し上げます。

【高橋水・大気環境課長】 皆さんこんにちは。水・大気局長の高橋でございます。本日は年度末、押し迫ったところでございますけれども、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。

前回の専門委員会でご了承いただきました、第13次報告に向けた検討事項に関しまして、一部の委員の先生方にご協力いただきまして、自動車業界及び石油業界等からヒアリングをさせていただきました。本日はこの業界ヒアリングの結果を取りまとめますとともに、結果に対するコメントの(案)をご用意させていただきました。また燃料蒸発ガス対策につきましては、さまざまな対策技術がございますことから、それぞれの実行可能性、あるいは技術的課題につきまして整理をさせていただいた資料を用意させていただきましたので、ご審議をいただければと思っております。

 また、ガソリン直噴車のPM規制及び二輪車の排出ガス規制に係ります国際基準の動向につきましても、進捗状況をご報告させていただきます。

また、報道されておりますけれども、ご承知のとおりフォルクスワーゲンの排出ガス不正事案を受けまして、ディーゼル乗用車等の検査方法を見直すための検討会を、環境省と国土交通省が合同で立ち上げております。本日はそちらの検討状況につきましてもご報告を申し上げます。本件は今後の排出ガス対策に関連する事案でございますので、本専門委員会との連携を密にして、情報を共有してまいりたいと考えております。先生方におかれましては、引き続き専門のご立場から活発な議論をいただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

【笠井主査】 それでは議題に入ります前に、お手元の資料について確認をさせていただきます。

まず一番上に議事次第、そして専門委員会の委員名簿。続きまして資料58-1、自動車排出ガス専門委員会第57回の議事要旨、続いて資料58-2、業界ヒアリング結果のとりまとめ及び結果に対する専門委員会コメント(案)、続いて資料58-3、燃料蒸発ガス対策の実行可能性及び技術的課題(案)、資料58-4、ガソリン直噴車のPM規制導入について(経過報告)、資料58-5、二輪車の排出ガス規制に係る国際基準の動向について(経過報告)、資料58-6、「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」について、資料58-7、VOC排出抑制対策の実施事例、資料58-8、第13次答申に向けた自動車排出ガス専門委員会等スケジュール(案)。

以上でございます。資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。

では、冒頭の撮影はここまでとさせていただきます。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

(カメラ退室)

【笠井主査】 それでは以降の進行を大聖委員長にお願いしたいと思います。大聖委員長、よろしくお願いいたします。

【大聖委員長】 それでは早速始めたいと思います。皆様にはお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の議題に入りますが、まず議題1として業界ヒアリング結果のとりまとめ及び結果に対する専門委員会コメント(案)について、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

【笠井主査】 それでは事務局より資料58-2を用いてご説明をさせていただきます。

 昨年9月から10月にかけまして、一部の委員の先生方にご協力をいただきまして、自動車業界及び石油業界の各団体から、ヒアリングをさせていただきました。そのヒアリング結果を取りまとめまして、特に主要なところに対しては専門委員会としてのコメントの(案)をご用意させていただいております。

 まず3ページ以降が日本自動車工業会のヒアリング結果の取りまとめでございます。

 4ページをご覧ください。

 駐車時の燃料蒸発ガスにつきまして、自工会からはDBL、駐車時の排出ガス及びランニングロス、走行時のものも含めまして、人為起源のVOC全体の3.7%に過ぎないというデータをいただいております。

 それに対しましては、専門委員会のコメントといたしまして、平成18年以降の固定発生源におけるVOCの排出削減の対策によりまして、DBL等の駐車時、走行時の排出ガスの割合は、2000年から2010年にかけて2.9%から3.8%に増加しているということで、対策の重要性はますます高まっているということでございます。

 続いて5ページですけれども、駐車時の蒸発ガスの試験の、駐車日数の延長についてでございます。自工会のほうから試験結果を提供いただいておりまして、試験日数を2日間、あるいは3日間に延長した場合の結果を示していただいております。幾つかの車両ではキャニスタの破過によって規制値を上回っているという結果ですけれども、総じていずれも技術的にはキャニスタの容量増大等で対応可能ということで、その場合の対策コストは2日間で2,000~3,000円、3日間で3,000~4,000円で、必要な期間については3~4年ということをいただいております。

 コメントにつきましては、国連や欧米の動向を踏まえつつ、駐車日数を2日間または3日間に延長する方向で検討する。またコスト及びリードタイムについては詳細な根拠を示されたいということとしたいと思います。

 続いて6ページですけれども、駐車時の蒸発ガス試験のコンディショニング走行についてでございます。現行の試験法であるJC08モードからWLTC等にモード変更した場合の総パージ流量についてお示しをいただいております。一部ターボ車等でWLTCの方がパージ流量が減ってしまうというものもございますが、総じて走行モードによる総パージ流量の大きな差は見られないということでございます。

 コメントといたしましては、国連や欧米の動向を踏まえつつ、コンディショニング走行モードをWLTCに変更する方向で検討するとしたいと思います。

 続いて7ページですけれども、走行時の蒸発ガスについてでございます。米国では走行時の蒸発ガスの試験が導入されておりまして、米国の試験法に基づく排出量をお示ししていただいております。また、人為起源VOCへの寄与については0.57%というデータをいただいております。

 コメントといたしましては、走行時の結果について駐車時等と比較する場合、単位時間・単位走行距離当たりなどで比較する必要がある。また、その排出量を0.57%というデータを踏まえまして、走行時の規制の必要性について検討するということとしたいと思います。

 8ページですけれども、ガソリン直噴車のPMについてでございます。ディーゼルと同じ規制値であれば問題ない。またリードタイムについてはWLTPの発効から4~5年程度必要ということにされております。

 これに対しましては、今後のガソリン直噴車の技術開発の動向等を確認しつつ、多角的に判断することが必要。また4~5年のリードタイムについては詳細な根拠を確認してまいりたいというふうに考えております。

 続いて9ページですけれども、給油時の蒸発ガスについてでございます。

 給油時の蒸発ガスについては、人為起源のVOCの5.2%を占める。また人為起源に対して植物起源のものが多いということでございます。

 コメントといたしましては、まず植物起源のVOCというのは、対策を講じることがそもそも困難であり、人為起源のVOC対策を検討すべきである。また特に都市部においては人為起源のVOCが大半を占める地域もあるということで、人為起源のVOC対策を図る必要がある。

また右の円グラフをご覧いただきますと、給油時の蒸発ガスの人為起源VOCの3.4%~6.2%に増加しているということで、対策の重要性が高まっている。そのほかベンゼン等、人体に直接有害な物質も排出されているという観点も考慮する必要があると考えております。

 続いて10ページですけれども、Stage2についてでございます。補助金等施策があれば短期間に効果が現れる。また欧州では既にStage2を導入しているということでございます。

 コメントといたしましては、Stage2、ORVR、両方の対策技術について多角的に検証していくということとしたいと思います。

 11ページですけれども、ORVRについてでございます。複数の課題を挙げられておりまして、吹きこぼれ防止のために、給油流速を引き下げる必要がある。また、軽トラ等新たな技術開発が必要な車両がある。また、新車の買替サイクルが長期化しており、普及までに10年以上かかる。また欧州との基準調和活動から逆行する恐れがあるということでございます。

 コメントといたしましては、まず流量については給油機メーカーに確認をさせていただいたところ、給油機の一部の部品を交換すれば、給油流量を1割程度落とすことができるということを聞いております。また軽トラへの適用については、技術開発や、それに必要な期間等を考慮する必要があるということでございます。

 また普及に関しましては、自動車の平均使用年数、乗用車ですと現在12年程度になっておりますので、その点を考慮したいと思います。また基準調和についてはもちろん重要ではありますが、国内の環境対策としてもStage2、あるいは、ORVRということについて多角的に検証していく必要があると考えております。

 12ページからは、輸入組合からのヒアリング結果でございます。

 コメントについては、自工会と同じものが多いですので、一部割愛させていただきますが、まず13ページですが、試験の駐車日数、2日間への延長は対応可能。また3日間への延長は必要ないのではないか。ただ規制値については現行の規制値から厳しくしないというのが条件であるということでございます。

 コメントについては、自工会のものと同じでございます。

 14ページですが、コンディショニング走行の影響について。駐車日数を2日間に延長する場合、現行と同じコンディショニング走行の距離程度であれば問題ない。また基準調和の観点から、WLTCの走行モードの採用を要望するということでございます。コメントについては自工会と同様でございます。

 続きまして15ページですが、走行時の蒸発ガスにつきまして、試験には多くの準備が必要になりますが、得られる効果は少ないため、反対ということでございます。

これにつきましては走行時の排出量が少ないということの確認が必要と考えております。以下、自工会と同様でございます。

それから16ページですが、ガソリン直噴車のPMについてでございます。欧州並みのPM規制の規制値の対応は可能である。またPN、ナンバーの規制の導入には反対であるということでございます。

コメントについては、自工会のものと同様でございます。

17ページ、給油時の蒸発ガスについてですが、欧州の排出割合を示していただいておりまして、人為起源、VOCの2%程度というデータをいただいております。これについては国内の排出割合を考慮して検討していく必要があると考えておりまして、コメントの内容は自工会と同じコメントを記載させていただいております。

続いて18ページです。Stage2についてでございます。回収効率はORVRと同程度。使用過程において効率が低下してしまうという点については、欧州では遠隔監視システムを導入することで、その回収効率を維持している国もあるという情報をいただいております。また、導入後即時に排出削減効果が得られるとされております。

これにつきましては、多角的に検証していくということと、あとStage2を導入する際にも、費用負担の観点から一定の猶予期間が必要と考えておりまして、排出削減効果が出るまでには一定の期間が生じるというふうに考えております。

続いて19ページですけれども、ORVRの普及につきまして、20年以上かかるということですけれども、コメントといたしましては平均使用年数のデータを記載させていただいております。

続いて20ページ以降が、石油連盟からのヒアリング結果についてでございます。

まず21ページですが、O3への等値線図を示していただいておりまして、右の図の赤い点線のエリアではVOCを削減しても、それがO3の削減につながらないということでございます。

コメントといたしましては、二つの論文を引用させていただきまして、「関東地方は、VOC-sensitive、VOCを削減すればO3が低減されるという状態にあり、OXの低減のためにはVOC対策が重要である。」ということを引用させていただいております。

続いて22ページですけれども、これまでのVOCの削減対策は、オキシダントの低減につながっていないのではないかということでございます。

コメントといたしましては、平成18年度以降、VOCの排出抑制をしてきておりまして、右側の折れ線グラフを見ていただきますと、VOC対策を始めて以降、特に関東地域などの高濃度域ではオキシダントの低減につながっていると。これは日最高8時間の3年平均値といった新しい指標を用いた分析の結果でございます。

続いて23ページですけれども、PM2.5についてでございます。有機炭素がPM2.5のごく一部であるということをいただいておりますが、それにつきましては、VOCは二次生成によってPM2.5の原因になるというふうに言われておりまして、その内訳を示しておりますが、硫酸イオンに次ぐ割合を占めているということで、PM2.5の主要な成分の一つであるということを予想しております。

続いて24ページですけれども、PM2.5の低減効果についてでございますが、PM2.5は二次生成物質が大半を占めていて、化学反応で生成されるため、シミュレーションが難しい。そのためメカニズムの解明が必要であるということですが、これにつきましては過去の微小粒子状物質、環境基準専門委員会の資料でVOCがPM2.5になる過程の記述がございますので、そちらを引用させていただいております。また昨年3月の中間とりまとめにおきましても、給油所からの燃料蒸発ガス対策について、短期的課題ということで早急に結論を出すことが求められている状況でございます。

続いて25ページですけれども、受入時の蒸発ガス対策についてでございます。Stage1、受入時の対策というのは、自動車からの排出ガスではないということで、こちらの専門委員会で議論すべきではないのではないかということですが、これにつきましては自動車排出ガス専門委員会の第十二次報告におきまして、受入時の蒸発ガス対策も含めて早急に検討するということを打ち出した経緯がございます。また、その対策を検討するに当たっても、給油時とあわせて受入時についてもあわせて検討することが適当であると考えております。

続いて26ページですけれども、給油時のVOCの排出量についてでございます。給油時は全VOCの2.2%である。また人為起源に比べて植物VOCのほうが多いのではないかということでございます。

自工会へのコメントと同様、植物起源はそもそも対策を講じることが困難であるということと、あと東京都のデータを示させていただいておりますが、都市部では人為起源によるVOCが大半を占めている地域もあるということで、人為起源のVOCについて早急に対策を図る必要があるというふうに考えております。

27ページ、コメントの続きですけれども、内容は自工会へのコメントと同様でございます。

続いて28ページですけれども、Stage2についてでございます。まずStage2は給油キャップを取り外した際に排出される蒸発ガス、パフロスと呼ばれておりますが、これを回収できないために、回収効率が92%にとどまる。またORVRと共存すると回収効率が75%に低下してしまう。また回収したガスを地下タンクに送ることになりますので、地下タンク内のガソリンの品質維持に問題を与える恐れがあるということでございます。

コメントといたしましては、Stage2とORVR、両方について多角的に検証するということと、また液化回収方式というStage2の方式もございまして、こちらは地下タンクにガスを回収せずに、その場で圧縮冷却して液化した上で、自動車に再度給油するという方式でして、こちらの場合は地下タンクに戻しませんので、回収効率の低下や品質維持の問題というのは起こらないのではないかということでございます。

続いて29ページですけれども、ORVRについてでございます。回収効率が99%程度。また給油流速の引き下げにつきましては、現状の給油流速で対応可能なORVRの導入を要望するということでございます。

コメントとしては、多角的に検証していきますということでございます。

最後30ページ以降は、日本陸用内燃機関協会、こちらが特殊自動車の協会でございまして、また日本産業車両協会、これはフォークリフトのメーカーの協会でございますが、こちらの結果でございます。

31ページ、給油時の蒸発ガスについてですが、まず対象となる特殊自動車は、ガソリンが使われているものですけれども、ガソリンフォークリフトのみであるということでございます。

米国においてもORVRの対象に、特殊自動車は入っていないということでございます。またフォークリフトの構造上、タンクに直接給油ノズルを入れるような形になっておりまして、構造上対策は難しいということでございます。

コメントといたしましては、フォークリフトの排出量全体に対する寄与、あるいは技術的な課題を踏まえて検討したいというふうに考えております。

続いて32ページですけれども、駐車時の蒸発ガスについてですが、米国では部品認証といったやり方が行われておりまして、ガソリンホース、燃料キャップ、燃料タンクといった部品ごとに、規格を満たしているかということで規制を行っているということでございます。米国と同様な規制であれば対応可能であるということでございます。こちらについても、フォークリフトの排出量全体に対する寄与、技術な課題を踏まえて検討していきたいというふうに考えております。

ご説明は以上になります。

【大聖委員長】 ありがとうございました。それではただいまのご説明に対して、ご意見やご質問があれば、ご自由にお願いしたいと思います。

 名札を立てていただくと事務局としてはわかりやすいですけれども。いかがでしょうか。

【坂本委員】 それでは9ページのところでお聞きしたいんですが、給油時の燃料蒸発ガスについて、2000年のときに全体の3.4、そして全体の総量が約6割減っているということで給油時の3.4を0.6ぐらいで割ると、ほとんど対策が給油時のものは進んでいないということですが、これは業界としてやっていなかったということは確かなのか、それともやっているんだけど、こういう統計的数値になっているのか、この辺はいかがなんでしょう。

これはかなり今後やっていただかないといけない部分であろうというふうに、明確にこの部分は、そういう数値的からすると見えるなということなんですが。

【資源エネルギー庁(傍聴者)】委員長。

【大聖委員長】 どうぞ。

【資源エネルギー庁】 資源エネルギー庁でございます。

石油業界の取組の状況なんでございますけれども、これまでの資料だと燃料小売業で0.8%の削減しかできていないんじゃないかということで、議論が進められているわけでございますけれども、これまで石油業界の上流から下流まであわせて計算し直してみますと、概ね平成12年比で25%程度の削減が見込まれるという積算をしております。こちらのVOCの削減量につきましては、VOCの排出インベントリ検討会におきまして、平成26年度の数字を計算し直したところでございまして、今後平成25年度以前の数字についても、遡及的に見直しをしているところでございます。

【大聖委員長】 事務局のほうですか。

【笠井主査】 今、資源エネルギー庁さんからのご説明がありましたが、ここに記載している数値は、現在公表されているVOCの排出量から推計したものでございまして、また別途そちらのVOC排出インベントリ検討会のほうでも、過去のデータ等を反映するための見直しについては、別途行われている状況でございます。

【坂本委員】 それについては、要するに2010年の全体としての排出量も、同時にさらに減っている可能性もあるものも考えて、見ていかないとやはりいけないなというふうに思います。

VOCの排出規制をやるとき、自主規制とそれから規制的な仕事、両方でやって、いかに公正性を確保するかというところに重要な論点がございまして、自主規制のところについては、それぞれ業界でそういうことをやっていくのを見ながら、その後また場合によっては規制をしないといけなくなるかもしれない、そういうような状況であのときのものは決まっていたというふうに思います。

そういう意味ではそれぞれの業界で自主規制でどのくらいのところの削減が進められていたかということを、きちんと把握する必要がある。そしてそれを見た上で、現状でかなり割合が高くなっているんであれば、考えなければいけないと、そういう状況にVOC規制の趣旨からしてもあるんではないかと思います。

【大聖委員長】 よろしいでしょうか。ガソリンの消費量が減ってきているということと、車両側で蒸気の発生が抑えられるような構造になってきているという、その両方で、先ほどのご説明のような現象があるというふうに理解しております。それはまたデータを確認していただいてと思いますけど。よろしいでしょうか。どうぞ岩本委員。

【岩本委員】 同じ表現が何回か出てくるんですが、例えば5ページ目に2日ないし3日間での規制値をどうしましょうということが書いてあります。一番下に参考ということで、欧州は2日間の合計で規制する、米国は2日ないしは3日間のうちの最大排出量の1日に対して規制と書いてあります。中身が随分違うわけです。これはどちらが好ましいとか、あるいはこれから検討するとか、何か明記しないといけないんじゃないでしょうか。

【笠井主査】 こちらの駐車時の蒸発ガスの試験法につきましては、国連のほうでも現在国際的に日本・欧州含め、議論が始まっている状況でございまして、今先生からご指摘をいただきました排出量をトータルで見るのか、それとも最大排出量の1日で見るのかといった点も含めて、その試験を検討している状況でございます。こちらにつきましては国連での検討状況を見つつ、どちらの考え方が適切なのかということについて検討していきたいと考えております。

【岩本委員】 ありがとうございます。

【大聖委員長】 どうぞ。

【坂本委員】 今のところに関連してお聞きしたいんですが、日本における駐車の時間がどのくらいかという比較、それからもう一つここでやろうとしているものは光化学O3なりPM2.5なりの二次生成なり、そういったものを考えた場合には、より夏季が重要になる、そういったときどうなのかを考えた場合には、欧米が何時間だとしても日本の場合はもう少し長くてもいいというような事情があるのではないかと思うんですが、その辺はいかがですか。

【笠井主査】 駐車の日数につきましては、もちろん長ければ長いほど、規制としては厳しくなるんですが、実態として平均的にどれぐらい駐車されているかといった点も考慮しないといけないと考えておりまして、駐車日数をどうするかといった点についても、国際的にも議論しておりますので、そちらの状況とあと駐車の実態等を見ながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。

【大聖委員長】 よろしいでしょうか。ほかにご意見ございませんか。

(なし)

【大聖委員長】 それでは、その次に移りたいと思います。

議題2でありますが、燃料蒸発ガス対策の実効可能性及び技術的課題(案)について、事務局からご説明お願いします。

【笠井主査】 資料58-3について、ご説明をさせていただきます。

こちらの資料は、燃料蒸発ガス対策につきまして、ヒアリング結果などをもとに、これまでに得られた知見を整理した資料でございます。

 まず3ページですけれども、駐車時及び走行時の蒸発ガス対策についてでございます。駐車時の対策といたしましては、キャニスタの容量の確保、あるいはキャニスタにたまった燃料を消費するためのパージの能力の向上が破過対策になるということでございます。また透過対策につきましては、ホースの材質の変更ですとか、燃料タンクの多層化といった対策があるということでございます。また、走行時の蒸発ガス対策については、基本的に透過によるものですので、駐車時の透過対策と同じ対策になるということでございます。

 4ページをご覧ください。給油時の対策についてでございます。

まずORVRについてですが、自工会によりますと、回収効率は90%程度。費用については車両1台当たり1万円程度ということとされております。またこの課題といたしまして、給油ノズルの外径をあわせる必要があるということと、給油流速を引き下げる必要があるということを指摘されておりますが、まず給油ノズルの外径につきましては、国内の給油機メーカー3社に確認したところ、既に対応済みであるということで、新たな対策は不要と考えております。

また給油流速につきましては、給油機の一部の部品を交換することなどにより、給油流速を下げることができるということで、給油機自体を取りかえなくても対応は可能ではないかと考えております。

 また、欧州では既に地下タンクに回収する方式のStage2が導入されておりますが、石油連盟によりますと、ORVRとStage2が共存することにより、回収効率が75%に低下してしまうということでございます。また、カリフォルニア州ではその計量器側でORVR車に給油する際には、それを判別して吸入を停止するようなシステムも実用化されているというふうに聞いております。また、日本がORVR規制を導入した場合、これまで進めてきました自動車の欧州との国際基準調和活動の流れに逆行してしまうことになるということも課題でございます。

 続いて5ページをご覧ください。Stage2の欧州で行われている地下タンク回収方式でございます。この方式は、回収したガスをそのまま地下タンクに送り込むというものでございます。回収効率は85%、もしくは95%というようなデータもございます。

 課題としまして、メンテナンスを行わないと、その使用過程において回収率が低下してしまうということでございます。費用としましては、800万円~2,000万円程度。これは1スタンド当たりの費用でございまして、計量機3台のスタンドを想定したものでございます。工事費等も含めた金額でございます。

 この方式の場合、地下タンクにガスを戻すためのペーパーの戻り管を、地下に設置する必要があり、工事に費用がかかる、もしくは工事期間が長くなるといった支障がございます。また、懸垂式の計量機については、現状対応する技術は実用化されておりません。懸垂式の計量機については、ストックベースで、東京23区の4割程度あるというデータがございます。また、出荷ベースで見るとメーカーによりますが、1.4%~9.4%ということで、ストックベースと比べると出荷台数としては最近では減ってきているというデータでございます。

 続いて6ページですけれども、同じくStage2の液化回収方式でございます。こちらの方式は回収したガスをその場で圧縮冷却をいたしまして、液化して、それを自動車に再度給油するというものでございます。回収効率はほぼ100%、あるいは95%といったデータもございます。費用としては1,200万円~1,600万円程度、またこちらの方式では地下タンクへのペーパーの戻り管は不要になりますので、工事の費用や期間等は比較的負担は少ないということでございます。懸垂式の計量機については、先ほどのものと同様でございます。

 続いて7ページをご覧ください。荷卸時の対策でございます。

まずStage1ですけれども、タンクローリにガスを回収する方式でございます。回収効率は85%というようなデータがございます。まずタンクローリ側につきましては、使用過程車に後付けする場合は50万円程度、新車の場合は15万円程度とされておりますが、既に出荷ベースで、約9割のタンクローリが対応済みであるというふうに聞いております。

またスタンド側としましては、切り替えバルブの設置が必要になるということで、費用としては30万円~200万円程度ということでございます。またStage1につきましては、一部の自治体、特に都市圏の自治体において既に条例で義務づけがされている状況でございます。

続いて8ページをご覧ください。Stage1のほかの方式でございますが、まずペーパーをタンクローリではなく、地下タンクに戻す方式でございます。回収効率は98%以上、費用は700万~750万円というふうに聞いております。

それから下の回収したガスを液化して、地下タンクに戻すという方式ですけれども、回収効率は99.7%、費用については650万円~800万円程度というふうに聞いております。

そして9ページ以降ですけれども、一覧表でそれぞれの項目ごとに整理をさせていただいております。まず回収効率につきましては、ORVRでは9割以上。Stage2については、まず欧州で行われているベーパー回収方式では、95%以上、あるいは85%、92%ということでございます。点検をしないと使用過程において回収効率が低下してしまう。またORVRと共存すると、回収効率が75%に低下してしまうというような課題がございます。

液化回収方式につきましては、計量機別置き型についてはほぼ100%、計量機内蔵型につきましては、こちらは省スペースを目的に開発された簡易型の新しい装置でございまして、現状では50~60%の回収効率となっております。ORVRの場合、パフロスですとか、駐車時・走行時の排出ガスについても回収が可能であるということもあわせて記載しております。

続いて10ページですけれども、費用についてでございます。まずORVRにつきましては、出荷時で1台1万円程度。さらに給油流速の引き下げが必要になった場合は、別途費用が発生するということでございます。Stage2につきましては、ベーパー回収方式については800万円~2,000万円程度。また地下タンクへの配管の工事が必要になりますので、費用の点はこんなのであるということでございます。

液化回収方式につきましては、内蔵型、別置き型、それぞれ1,000万円前後ということでございます。こちらは地下の工事が不要ということで、計量機の更新時に導入すればある程度費用の低減は可能。また回収することで給油所側にある程度費用が返ってくるということでございます。自動車の台数及び給油所の数は記載のとおりでございます。

11ページ、普及速度についてですが、まずORVRについては、平均使用年数は12.38年。これに加えて必要な開発期間が必要になるということでございます。Stage2につきましては、計量機について7年ごとに点検が義務づけられているということで、計量機を更新する場合は7年、14年もしくは21年といったタイミングで更新されるというふうに聞いております。その程度の期間が必要になるのではないかと考えております。

12ページですけれども、技術的な課題でございます。ORVRにつきましては、トラックや二輪車、あるいは特殊自動車といった適用が困難な車両がある。また吹きこぼれ防止のために給油速度を引き下げる必要があるということでございます。また、普及速度につきましては、現行の給油速度でも吹きこぼれは起きないというような実証データもございまして、この点については引き続き検証していきたいと考えております。

Stage2につきましては、まずベーパー回収方式については、ORVRと共存することで回収効率が低下してしまう。また、液化回収方式も含めまして懸垂式の給油機では現状対応する技術がないということでございます。出荷割合あるいはストックベースの割合については、先ほどご説明差し上げたものと同様でございます。

13ページですが、地域的な規制の可否については、ORVRは自動車の規制ですので、地域的な規制というのは困難である。Stage2については地域的な規制は可能ということで、燃料販売量等に応じた規制というのが考えられるというふうに考えております。

14ページですけれども、荷卸時の対策でございます。まずタンクローリに戻す方式につきましては、30万円~200万円程度。回収効率は85%ということでございます。地下タンクに戻すタイプにつきましては、それぞれ700万円前後。回収効率は100%近いという状況でございます。

以上、現状をまとめさせていただきました。ご説明は以上になります。

【大聖委員長】 ご説明ありがとうございました。それではご意見やご質問がありましたらどうぞよろしくお願いします。草鹿委員、お願いします。

【草鹿委員】 前のときにも申したかもしれないんですけれども、結局今車齢が12年ぐらいということになると、給油時の場合の蒸気対策としては、車両側で完全に全車両にORVRが装着されるのは12年ということになるので、もしそこより早い段階で、いわゆる燃料蒸気を抑制したいということになると、当然スタンド側のほうにつけるということが、まず第1に即効性が出てくる対策になるということになる。

それで、お値段が今回の資料では詳細に書いてありますので、と同時に、じゃあもし給油側のほうで対策をするとなると、今度は年間にどのくらいの設備を導入できるかというお話になって、これも効果が高いところということになると、やはり使用頻度が高い、いわゆる車両の出入りが大きいSSになるというようなことになるんですけれども、技術的に判断がつかないのが、やはり全体として、いわゆるどういうスケジューリングでHCを落としていくかということが、ちょっと見えないので、車齢が12年ということを境に、それよりも前に対策を講じなければ、やはりぎゅうぎゅうになるし、これは12年というスケジュールを延ばしていけるのであれば、車両というオプションも出てくるんですけれども、いわゆるそういう形のスケジューリング、VOCに対するスケジューリングをどういうふうに落としていったらいいか。あるいはなかなかこれは現状の科学技術ですと難しい部分もあるんですけれども、そこを決めるためのツールのような見通しというのは、あればちょっとお話しいただきたいなと思っているんです。

【大聖委員長】 よろしいですか。

【瀧口大気環境課長】 今ご質問のあった件につきましては、VOCの削減やPM2.5あるいは光化学オキシダントの今後をどうしていくかということについても関係してくるかと思いますが、これらも別途検討しておりますので、こちらの対策と整合性がとれるようにしたいと思っております。

【大聖委員長】 どうぞ。

【田路環境管理技術室長】 最初のご質問の遡及性の観点ですが、当然車両の入れかえという電では、車齢というのは一つの観点ですが、ORVRもしくはStage2でやるにおいても、そもそも規制の適用時期、すなわちリードタイムという概念が、もう1個加わっていきますので、リードタイムプラス、ほかの要因のセットで考えなくてはいけないというふうに考えています。

【大聖委員長】 よろしいでしょうか。どうぞ山田さん。

【山田主席研究員】 Stage2とORVRの普及速度という観点でいただいたんですが、実は欧州それから米国においての調査というのを今年やってまいりまして、その中で出てきたこととして、ORVRを導入した米国については、多分1995年ぐらいにORVRの導入を決めて、それでORVRが普及しましたと宣言するまでというのは、やはり15年ぐらいかかった。これは先ほどの車齢の話と大体同じなんです。

 一方、欧州の場合はどうなっているかというと、欧州も2003年ぐらいにStage2を導入して、実際このStage2の導入プログラムが終わるというのは、2020年なんです。そういう意味でやはり同じく15年ぐらいかかっているので、結局どっちにしても普及速度という意味で、やはり買いかえサイクルに依存してくるので、あまりそこに大きな影響はない。よほど大きなお金を使って、要はお金を入れて、強引に入れかえていくということをしない限りは、そこであまり大きな差は出てこないというようなことを聞いてまいりました。

以上です。

【草鹿委員】 今お話もありましたように、リードタイムもあるので、結局そのときに流れとして15年ぐらいになっているようになったんですけど、15年というオプションをどうやって決めていったかという、方法です。これが少し見えないので、それを我々同じ15年だねということを日本に適用できるわけでもないので、どういうスケジューリングで合意形成をしていたというのも一つ、僕は技術者なんですけれども、それを決める技術を採択するのに当たって一つ勘案したい案件ではあります。

【田路環境管理技術室長】 欧米の海外調査をしまして、わからなかったことも、わかったこともあって、特に今の規制の導入の背景とか、費用対効果について十分に分からないこともあります。いずれにせよコンタクトできる人はいますので、そこを通じて今のご質問、リードタイムとかも含めた考え方について可能な範囲であれば、聞いてみようとは思いますが、非常に難しい問題なので、お答えができるかどうかは、なかなか難しいかと思います。

【大聖委員長】 よろしいでしょうか。これはemissionですので、汚染者負担の原則があります。pppというわけです。ですから原則的には排出ガス対策の費用は、排出者が負担すべきものだと思うんです。そういう原則でそれがStage2なのか、ORVRなのかということになるのではないかと思います。コストの問題というのも含めて議論していただきたいわけです。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【資源エネルギー庁】 資源エネルギー庁でございます。

 4ページでございますけれども、4ページの下のところなんですが、「また計量機側でORVR対応車か否かについて判別し、ORVR対応車に給油する場合のみ計量機側から吸入することを停止するシステムも実用化されている。」という記載がございます。しかしながら、先ほどの笠井主査のご説明のとおり、こちらで少なくとも国内において現在実用化されている製品というのはない、でございますので、その旨正確に記載されたほうがいいのではないかというご提案でございます。

 それと、非常にテクニカルなことなんですけれども、今私が読みました「また」以下のところは、こちら同じ段落の頭のところに「石油連盟によると」という形になっているんですが、この「石油連盟によると」というのは、一文目のところで切れているはずでございますので、ここでわかるように、テクニカルなんですけど、改行とか改段をしていただけるとありがたいかなと思います。

 それともう一つはコメントになってしまうんですが、13ページのところでございます。地域的な規制の可否というところでございますけれども、こちらそもそも、どの物質の濃度、いつまでにどの水準まで減らしていくのかという、先ほどの草鹿先生のおっしゃっていたことと関連するところでございますけれども、こちらのターゲットとして、その物質だけやるかどうかとか、その辺りのターゲットが全て、関連するPM2.5の専門委員会と、その辺りを含めて議論していただく必要があるんじゃないかなということをコメントさせていただきます。

先ほど瀧口課長のほうから、そういった辺りを含めて検討していただくというお答えをいただいているので、こちらのご回答は不要でございます。

【大聖委員長】 どうも。

【田路環境管理技術室長】 1点だけ補足しますと、4ページのところは、私どもの思いは技術として、日本以外も含めてあるということで、具体的にこれもカリフォルニアのほうで実用化されているということを意味していまして、特段国内外問わず、その技術は既に世の中にあるという考えをお示ししているわけですので、そこの点についてはご理解いただければと思います。

【大聖委員長】 わかりました。こういう行政の中でやりとりするというのは、理解を助けるという意味では我々も有意義なコメントだと思いますけど、もし資料が行きかっているようでしたら、あらかじめチェックしておいていただいてという期待も申し述べたいと思います。

ほかに。石井委員どうぞ。

【石井委員】 確認ですけども、導入したときの効果みたいなのを考えながら検討していくと、そういうことでよろしいんですよね。

【田路環境管理技術室長】 まず当面は、効果という観点では費用対効果という切り口で、単位VOC減らすのに幾らかかるかというふうな、まず計算をして今後お示ししていきたいと思っています。

【大聖委員長】 よろしいでしょうか。

(なし)

【大聖委員長】 それでは次に議題3に移ります。

ガソリン直噴車のPM規制導入について、事務局のほうからご説明ください。

【笠井主査】 資料58-4について、ご説明させていただきます。

 こちらPM規制の、これまでの経緯及び今年度の実験を行いましたので、その結果の速報についてまとめた資料でございます。

 まず3ページですが、国内におけるPM規制の経緯ということで、ディーゼル車についてはPM規制を導入し、規制値を強化してまいりまして、現在5mgという規制が適用されております。それに加えてポスト新長期におきましては、リーンバーン直噴のガソリン車に対しても同じ5mgの規制値を導入したところでございます。また重量車につきましても同様に、ディーゼル車及びリーンバーン直噴車に対して0.01gという規制を適用しているところでございます。

 続きまして4ページですけれども、欧州における経緯でございます。欧州も同様に、4.5mgという規制が適用されておりまして、その対象はディーゼル車及びガソリン直噴車ということで、リーンバーン直噴に限らず、ストイキ直噴車も含めて、直噴車全体に規制が適用されているところでございます。

 5ページをご覧ください。ディーゼル車のPM規制の導入によって、ディーゼル車のほうではDPFといったフィルターが装着されておりまして、これによってPMが大幅に低減されているところでございます。

 続いて6ページ、参照ください。

ガソリン車においては、従来のポート噴射という噴射方式に対しまして、筒内に直接噴射する直噴の割合が10年増加してきております。こちら自工会様の資料を使用させていただいております。直噴車の中でも第十二次報告に記載のありましたとおり、三元触媒が利用できる理論空燃比で燃焼するストイキ直噴車の割合が増加する傾向にあるという状況でございます。

 7ページですけれども、そのようなガソリン直噴車でPMが排出される仕組みについてですが、直噴車では燃料と空気の混合時間が十分に取れないといったことで、PMが排出されるということでございます。特にリーンバーン直噴車では不均一の混合気に点火をしますため、ストイキ車に比べてもPMの排出量が多いということですが、ストイキ車でもPMの排出量はポート噴射に比べると多いということでございます。

 8ページをご参照ください。今年度環境省で交通研様に委託をさせていただきまして、PMの測定を行わせていただきました。左側がJC08モード、右側がWLTCモードでございます。

結果、WLTCのほうがコールドの比率が100%になりますので、排出量としては多くなる。ただし、現在ディーゼル車及びリーンバーン直噴車に対して適用されている5mgといった規制値に対しては、いずれの車両も下回っているということで、この5mgといった規制の導入は可能なのではないかというふうに考えております。また緑のところがディーゼル車ですけれども、ディーゼル車と比べましても非常に排出量は多くなっているということで、現状ディーゼル車のみにPMの規制がかかっている状況というのは、規制のバランスから考えても好ましくはないのかなというふうに考えております。

 以上、ご報告させていただきます。

【大聖委員長】 ご説明ありがとうございました。それではご質問、コメント、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。こういう直噴車が今後増えてくるというのはもう確かでして、燃費対策ということが主な狙いですけども、それに対するPMの対策ということになります。よろしいでしょうか。

それでは次に移りたいと思います。どうぞ、何か。

【田路環境管理技術室長】 8ページ目で、今回実験結果の速報をお示しましたが、当然ストイキ車に規制をかける、かけないかは次回以降審議していただければよいかと思いますが、もう来年度始まります。すなわちA~F車等を含めて環境省の事業でデータをとっていまして、これらの車両は各日本でストイキ直噴をつくっている各メーカーを1台以上選定し、かついわゆる売れ筋車両を選定して、今回のデータは非常に代表制のあるデータだと思っています。

 つきましては、今後ストイキ車についての規制をかける、かけないかということについて、今日示したデータでご判断いただき、来年度以降は、環境省として新たにデータを追加的にとらなくていいというふうなご判断でよろしいでしょうかということを、お聞きしたく思います。

【大聖委員長】 いかがでしょうか。エラーバーが示されていますので、このばらつきを考えても5mg以下だということを判断していいだろうということですね。よろしいでしょうか。何かございますか。技術的な障害というのは、特に私どもはないというふうには判断しておりますので、いかがでしょうか、そのようなことで進めていただければと思います。どうぞ。

【飯田委員】 ありがとうございます。N増しを使用するか、しないかのご判断ということで、なかなか難しいところがあります。ワーキングでどこまでの議論されたのかという点にお伺いしたいと思います。いわゆるコールドスタートにおけるプール燃焼に起因して発生・排出するものと、ホットソークでも排出されるものと、2種類の排出形態が存在すると思われます。

コールドスタートの排出頻度とホットソークの排出頻度を考えた上でのデータの解析が必要です。それが今の試験から、うまく計算や推計ができるかどうか、ご関係の方から教えていただければと思います。

【大聖委員長】 WLTPは、基本的にホットとコールドと分けていなくて、コールドからスタートするという一発のものですから、時間割合的に言うと、WLTPのほうがコールドの割合が大きいという状態が特徴です。

【飯田委員】 はい。それは判っているのですが、コールドソークとホットソークの寄与率を分けて取得して、将来のインベントリ解析に資するデータになっているかが、キーになるということをご指摘申し上げたところです。

【大聖委員長】 どうぞ山田事務局。

【山田主席研究員】 今、生データを比べているところなんですけれども、飯田委員のご指摘のとおり、やはりコールド、ホットの比率というのは非常に重要なデータだと思っております。

JC08の試験をするときには、コールドスタートとホットスタート、両方やっていますので、そういう意味ではそれぞれのデータはあります。それでまたその辺を考慮したときに、ここにある車でそういういろんな排出パターン、要するにコールド比率の違いというのがあるのかというのを、ちょっと今見てみたんですが、大体全ての車で同じような傾向を示しています。

それでホットスタートの割合も多少ありますが、コールドの最初が非常に多いとか、そういうようなデータも含めてもう既に手元にあって、大体同じような傾向を示しているというような現状になっております。

【大聖委員長】 ちょっとつけ加えますと、飯田委員が「プール燃焼」と言われましたが、「プール」というのはあまり聞き慣れないと思います。燃料が蒸発しないでピストンの頭部ですとか、シリンダー壁に当たって液膜状になって燃えることを「プール燃焼」といいます。ちょっと解説を加えておきます。

ほかにいかがでしょうか。

(なし)

【大聖委員長】 それでは、これまで割ときちんと確認していただきましたと思いますので、このデータを生かす形で進めさせていただければと思います。

 それではその次に移ります。

議題4ですけれども、二輪車の排出ガス規制に係る国際基準の動向についてということで、事務局からご説明ください。

【笠井主査】 それでは資料58-5について、ご説明させていただきます。

 2ページをご覧ください。

二輪車の排ガスにつきましては、現在国連のほうで欧州の現行の規制がEURO4ですけれども、EURO4レベルの国際基準をつくるための議論がなされている状況でございます。欧州ではEURO5という次期規制の案が提示をされておりまして、国連のほうでもEURO4レベルの議論が終わり次第、EURO5レベルの国際基準をつくるための議論がスタートする見込みとなっております。このEURO5レベルの国際基準は、できましたらそれを国内にも取り入れるべきであるというふうに考えておりまして、欧州のEURO5に向けた調査の状況ですとか、国連のほうの審議状況について情報収集をしてまいりたいというふうに考えております。

 続きまして3ページをご覧ください。

これは自工会さんからいただいた資料ですけれども、国内の現行の規制とEURO4の規制及びEURO5の規制案について比較した表でございます。このうち特に上から三つ目、HCの規制値がございますが、EURO5ではTHCが100mg、さらにNMHCの規制も加わるということで、この規制値が68mgとなっておりまして、厳しい規制値が提示されております。

そのほかアイドル規制につきましては、EURO5ではEURO4と同じなんですけれども、国内ではCOとTHCの測定を行っていまして、欧州ではCOのみの測定ということで、これを調和していくのかどうかということについて、検討が必要と考えております。また耐久走行につきましても、一つは走行モード、欧州で今、二つのモードが認められておりますが、EURO5ではそのモードが一つに限定される。さらに耐久走行距離につきましても、国内と欧州でそれぞれ車両の区分も違いまして、車両区分ごとに耐久走行距離が決まっておりますので、それを調和するのかどうかということが、検討が必要と考えております。

またエバポにつきまして、現行日本も欧州も2gという規制値ですけれども、EURO5では1.5gに規制される予定となっております。またOBDにつきましては、現在断線による診断、OBDIということで断線診断をやっておりますが、EURO5ではOBDIIということで、失火検知や触媒の劣化検知による閾値の診断が求められることになるということでございます。

 続きまして4ページと5ページですけれども、主な課題についてまとめさせていただいております。

まず4ページの1.HCですけれども、EURO5ではTHC100mgに対して、NMHC68mgということで、自工会さんからヒアリングで聞かせていただいた話では、THCが100mgであれば、NMHCは90mgが妥当なのではないかということでございます。このTHCとNMHC、両方を規制するのかどうか、あるいは規制値をどうするのかということについて、検討する必要があると考えております。

 2.OBDIIにおける失火検知についてですけれども、EURO5では最高回転数近くまでの検知が求められるということですけれども、二輪車のエンジンは高回転型であるということで、高回転域において慣性力が大きくなり、失火による回転力の低下が出にくく、検出が困難である。また低負荷の領域においても、四輪に比べると慣性マスが小さいということで、正常に燃焼していたとしても回転変動が発生しやすいので、失火との識別が困難であるということを聞いております。これについては検出領域を限定するのかどうかについて、検討する必要があると考えております。

 3.触媒の劣化検知についてでございます。

二輪の場合、マフラーに触媒が内蔵されておりますので、触媒の後ろに劣化検知用のO2センサーを配置することは困難であるということで、こちらは技術的な可能性について今後検討していく必要があると考えております。

 続いて5ページ、4.アイドル規制についてですが、国内ではアイドル規制、COとHCの規制を行っておりますが、欧州ではCOのみ規制しております。これにつきましては、今のHCの規制値では失火検知は困難である。また触媒の不具合についてもHCよりもCOのほうが検知しやすいということで、COのみ測定するほうが合理的なのではないかというご意見をいただいております。これについてはCOのみとするのか、HCの測定も続けるのか、あるいは規制値をどうするのかということについて、検討が必要と考えております。

 最後5.耐久走行距離ですが、国内と欧州の車両区分に応じてそれぞれ距離が決まっておりまして、概ね欧州のほうが長い耐久走行距離となっております。これを導入する場合、規制強化になりますが、国内での二輪車の走行実態も踏まえて、耐久走行距離を調和するのかどうか検討する必要があると考えております。

 最後6ページですけれども、欧州のEURO5に向けた調査の状況でございます。昨年10月に欧州のほうで入札が行われて、調査の実施業者が決まったということでございます。今後7月までに調査が行われるということになっております。

調査の内容ですけれども、一つはテールパイプの排ガス試験でございます。排ガスのEURO5の規制値及び特にHCのNMHCとTHCの比率のバランスの妥当性について検証が行われるというふうに聞いております。

また、駐車時のエバポの試験ですけれども、1.5gに強化されるということで、その費用対効果について検討する。また耐久走行につきましては、SRCモードに一本化されるということで、その妥当性の検証を行うということでございます。またOBDIIの閾値診断につきましては、これによって修理性が向上するのかどうか、模擬車を用いて検証するというふうに聞いております。

また最後、こちらはポストEURO5ということで、EURO5の、さらにその後を見据えた検証内容となっておりまして、PEMSを用いた排ガス試験ですとか、使用過程車の排ガスの確認、あるいはPM規制、PN規制といった検証を行うこととなっております。今のところ試験車等の試験が開始されたですとか、試験車が決まったというような情報も入ってきていない状況でございまして、引き続き欧州の最新動向について情報収集を行ってまいりたいというふうに考えております。

説明は以上です。

【大聖委員長】 ありがとうございました。それではこれに対してもご意見、ご質問ありましたらよろしくお願いします。どうぞ。

【岩本委員】 ちょっと教えていただきたいのですが、4ページ目にNMHCの量が欧州と日本でかなり違うという数値が出ております。この理由はわかっているんでしょうか。

【笠井主査】 欧州のEURO5の案ですけれども、四輪車に対してNMHC68mgという規制になっているということで、その規制値を持ってきているのではないかというふうに聞いております。そのため、二輪車の場合、国内でそれを自工会さんのほうで調査を行ったところ、68mgはかなり厳しい。トータルが100mgなのであれば、90mgが妥当ではないかというようなデータが示されている状況でございます。

【岩本委員】 わかりました。

【笠井主査】 その辺も引き続き。

【大聖委員長】 引き続き調査したいと思いますけれども、一般にいいますと、触媒の温度が低めのときはメタンの割合が多いです。浄化温度、メタンが一番高いからです。十分触媒温度が高いとTHCとNMHCの割合というのは近づくので、そういう傾向があります。

【小渕委員】 日本の排ガスは低いということですか。

【大聖委員長】 そうです。よろしいですか。

ほかに何かご質問があれば、お伺いします。

(なし)

【大聖委員長】 それでは次の議題5に移りたいと思います。

「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」について、事務局のほうからご説明ください。

【笠井主査】 それでは資料58-6について、ご説明させていただきます。

 昨年9月のフォルクスワーゲンの排出ガス不正事案を受けまして、環境省及び国土交通省は合同の検討会を立ち上げて、検討を開始させていただいております。そちらの検討会の状況について、こちらの専門委員会にも関連する内容ですので、今回ご報告をさせていただきたいと存じます。

 検討項目ですが、一つは不正ソフトの使用を防止するための試験方法の見直しについて検討を行っております。また国内で販売されているディーゼル車につきまして、今年度測定を行いまして、その結果をこちらの検討会に示して審議をさせていただいております。これまで10月に第1回を開催しまして、3月3日に第2回ということで、その検証結果をお示しさせていただいているところでございます。

 委員の先生方は、こちらの専門委員会にもご出席されていらっしゃる先生方に加えまして、特に認証試験の問題もございまして、交通安全環境研究所からも複数の委員にご参加させていただいております。

 3ページですけれども、今回3月3日にお示しした試験結果についてのまとめでございます。国産のメーカー4社の6台につきまして、今回台上試験と路上走行試験を行いまして、結果をご報告させていただいております。まず、不正ソフトの有無につきましては、今回環境条件に応じて、エンジンや触媒を保護するために必要な制御が行われていたということで、VWと同様の不正ソフトの搭載は確認されなかったという結果となっております。

 続きまして台上試験と路上走行試験の結果の乖離についてですけれども、NOxについて、一部の車両で大幅な乖離があったということでございます。その割合としましては2~5倍程度で、条件によっては、最大10倍程度の乖離が発生していたところでございます。その原因としましては、試験環境ですとか、運転方法の違いがあったということで、特に外気温の影響が最も大きかったということで、外気温が低い場合等に、保護制御が働いて、排ガスの低減装置の機能が停止したことによるものというふうに考察されております。また欧米でも同程度の乖離があるというようなデータも示されているところでございます。

 あわせてPEMSの精度についても今回確認をしまして、精度としては十分であるというところが確認されております。

 4ページですけれども、今回の結果を受けた今後の方針についてですけれども、まず保護制御の範囲が、メーカーごとにばらばらであったということが結果になっておりまして、今後の方向性としましては、まず一つ目は、路上走行検査の導入でございます。

路上走行では、台上試験において確認できない保護制御が作動する場合もあるということで、実走行での排出ガスの低減を図るために、PEMSを用いた路上走行検査を導入するという方針となっております。今後、具体的に検査方法、路上試験の試験方法ですとか、あと台上試験の規制値に対して何倍の規制値にするのかといった検討を行ってまいります。

その際、大気環境保全を念頭に置きつつ、日本の走行環境、走行速度などやPEMSの精度、あるいは欧州の動向等を考慮して、総合的に検討していきたいというふうに考えております。来年度、追加的に必要なデータ等も、この検討会において検討してまいりたいと考えております。

 さらに保護制御の条件について、各社ばらばらであったということで、現在大型車向けには保護制御のルールが整備されているところですが、それの乗用車向けにも真に必要な保護制御の範囲を定めた指針を整理すべく、検討することとしております。あわせて新車時だけでなく、使用過程においてもサーベイランスについて強化してまいりたいというふうに考えております。

 最後、5ページですけれども、今後のスケジュールでございます。4月に第3回の検討会を開催しまして、そこで中間とりまとめを行う予定でございます。その後、試験法ですとか規制値、あるいは保護制御の条件といったことについて検討をしてまいりまして、来年4月ごろを目処に最終とりまとめを行う予定でございます。最終とりまとめが出されましたら、その内容についても、こちらの専門委員会にご報告させていただきまして、ご了承が得られれば、中央環境審議会の答申にも反映をさせていただきたいというふうに考えております。

 ご説明は、以上になります。

【大聖委員長】 ありがとうございました。それではご質問、ご意見、お願いします。どうぞ。

【坂本委員】 多くの委員の方々は、こちらのほうの見直し委員会、出ていらっしゃるんで、情報は十分お持ちだと思うんですが、私はそちらのほう出ておりませんので、例えば3ページに国産メーカー4社の6台について台上試験、及び路上走行試験を実施した結果、その後、「各社から事前に報告があった保護制御の範囲内」これはどういうデータかを示してもらうと、非常にこれはよくわかる。そしてこれともう一つ、実際の調査をやった結果等を比較して考えることができると思います。

 それからあともう一つ、「外気温が低い場合」という形で書いてあるけど、それから保護制御が働く範囲、これはどういう温度範囲なのか、それについて教えていただきたいというふうに思います。

【田路環境管理技術室長】 では、私のほうからお答えします。

 事前のヒアリングというのは、各メーカーに、例えばEGRを止めるときは外気温が何度からとめますか等について聞いておりました。これら聞き取った結果を一覧表に示したもので、今日ちょっと時間がなかったもので、お示ししませんでしたが、もちろん後日ご説明もすることも可能であります。

あと基本的に、今回大きな各社共通の問題は、非常に低い外気温のときに、低い温度の吸入空気とEGRの再循環の空気がまざりまして、そこで凝縮水ができて、それが燃料の噴射バルブ等に支障を来すということで、あえてそういう場合はEGRを切ったり減量させるというふうなことが共通して見受けられました。こういうのが主なことでございますが、その詳細については必要であれば別途、ご説明に伺いたいと思います。

【坂本委員】 温度がないと、ほとんど議論にならない。なぜ私それをお聞きしたいかというと、冬の時期にNOxが高濃度になったり、それからPM2.5が環境基準を超えたりする場合があって、その温度範囲にそれが入っているのか、入っていないかによっては、考え方がかなり違うと思います。特にNOx・PM法の地域内で、そういう温度範囲になるのかどうかとか、そういったことを考える必要があるんだということで、これをお聞きしたいと思ったわけです。多分、今でもすぐわかる話があるんじゃないかなと思うんですけど。

【大聖委員長】 どうぞ。

【笠井主査】 個別の温度条件ですとか、検討については、こちらの検討会のほうで資料でお示しして、しっかり議論をしているところですので、検討会の資料にもそのような条件等も記載しておりますので、その資料をもって、別途必要であればご説明にお伺いしたいというふうに考えています。

【坂本委員】 私があえていろいろお聞きしているのは、この自動車排出ガス専門委員会というのは、どういうところに位置しているかというと、大気・騒音振動部会のもとにある専門委員会である。そして多くのこれが示された委員の方々はエンジンとか触媒だとか、そういうほうの専門家が多くて、大気に対してどの程度、どういったことがあるかということを考えた場合、今私が申し上げた意見というのは、かなり重要になるということで、あえて申し上げたということなんですけれども。

【大聖委員長】 私どもも十分、認識しているつもりですので、ご理解いただきたいと思います。また、坂本委員に対しまして説明をぜひお願いしたいと思います。資料ですか。

【坂本委員】 資料があるのであれば。

【大聖委員長】 そうですね。結構資料としてはかなりボリュームがありますので、ここで添付して一々説明していると、時間がなくなるということでした。

【坂本委員】 多分何度から何度ぐらいの範囲かというのがわかれば。

【大聖委員長】 メーカーによってちょっと微妙に違うのです。設計の考え方の違いです。

【坂本委員】 いや、メーカーが違うと。

【塩路委員】 車ごとに違っています。あるメーカーでは吸気温度が15℃、あるメーカーでは10℃、15℃あるいは0℃、そういうところに分布しています。

【坂本委員】 その辺のところを考えないと、今まで自動車排出ガス対策がどういうふうに進んできたかというと、トップランナー方式という形でやってきて、今後もそういったことを考えた場合、今のような情報を整理して、今後の対策を考えていくべきであろうというふうに思います。

幸いフォルクスワーゲンと同じようなことはなかったということですけども、過去においてモード運転のときに、あるポイントでの排ガス性能は良いがそれを外れると著しく悪かった。そういったこともあって、だんだん実走行モードに変えていって、そしてさらに今回の路上試験とか、そういうような形で、より実際のリアルワールドのデータをつかもうという形になってきたと、そういう経緯もございますので、やはり今塩路委員が何度ぐらいというお話をしていただいたんで、かなりのことが見えてきましたけれども、やっぱり考えるべき温度が、これは非常に少し高い温度なのか、それともほかの全然基準を超えず、カバーできたところのメーカーと、どういう違いがあるのかというようなところを考えるべきであろうというふうに思います。

【塩路委員】 ちょっと追加しますと、重量車については、以前にディフィートストラテジーに対して検討しており、保護制御が認められている範囲が外気温度0℃以下なんです。今回まだ規制の対象というのか、基準の決まっていない乗用車で行っているわけですけれども、この結果わかったことがいろいろあって、おっしゃるように保護制御の範囲をどういうふうにするかも問題です。

個人的にはちょっと高過ぎるなとは思いますけども、その考え方とか、あるいは一部タイマー的な制御をしているところもありましたので、そういうところは避けていったほうがいいなとか、レベルも含めてこれから検討するところです。ここは今ご報告のあったのが不正事案を受けた対応ですので、それに対してはとりあえず不正と呼ばれている案件はなかっただろうというふうに、現段階では結論づけるという状況です。

【坂本委員】 ある意味では性善説に立つと、幾つか困ることが出てくるということも考えないといけないかなと思います。

【大聖委員長】 ありがとうございました。塩路委員、補足説明ありがとうございました。

【飯田委員】 坂本先生のおっしゃるとおりだと思います。

今までのインベントリ解析は、実はあまり気象条件との相関を明快にはっきりした形で整理しておりません。確かに冬場、10℃より低いような条件で、実はNOxがたくさん出ているということになると、冬場の硝酸アンモニウムをベースとするPM2.5の生成プロセスおよびその低減対策に大きく関わってくるところです。今日の前半で議論のあった蒸発ガスの排出量も温度に依存するところです。北海道から九州までの気温条件との相関を見ながら、総合的に考えていくべきだと思います。ご指摘どうもありがとうございました。

【大聖委員長】 ありがとうございました。どうぞ。

【田路環境管理技術室長】 インベントリで、ちょっとご説明しますと、インベントリの温度に関しては、車両の触媒の温度に係る活性化に関しては、一部加味したインベントリになっております。ただし、今回のようにEGR減量とか、EGRバイパスとか、そういう概念は入っていないものと思われます。

 もう一つ、ちょっと今日この件少し混乱を招いたかもしれませんが、一応このフォルクスワーゲン事案も環境省と国交省のこういう検討会でやらせていただいていますので、そこの途中報告ということで、今日ご説明のお時間をいただいた次第でありまして、今後環境省、国交省の共同の検討会と、こことどういうふうにリンクするかは、委員長も含めてちょっとお知恵をいただいて、進め方は少し考えていきたいと思います。それによってここで出す情報量とか、説明の仕方も変わってくると思いますので、ただ一義的には今、ongoingで環境省と国交省でやっていますので、二つの場を設けるというのは非効率という面もありますので、今後このリンクの仕方は、少しご意見をいただきながら考えたいと思っています。

【大聖委員長】 ありがとうございます。実は8台、テストをやっているわけで、ここでは今6台についてご説明概略あったわけですけども、あと輸入車が2台ありますので、その結果も踏まえてまた、次回ご報告するチャンスがあると思います。

【田路環境管理技術室長】 輸入車の2台の試験結果につきましては、次回の来月の検討会で出したいと思います。

【大聖委員長】 ほかにいかがでしょうか。

全体に対してご質問、ご意見でも結構ですので、よろしくお願いします。遡ってのご質問でも結構です。

【塩路委員】 ちょっと口を挟む機会を失いまして、すみません。

 要するに、今日は第13次答申に向けての論点とか課題とか観点、それに絞って整理されたと理解しています。だから今日ここは別にどうするというような話はなかったというふうに理解しているのですが。まず蒸発ガスに対しては、これは昔からずっと議論してきた問題で、特に合意形成が重要で、慎重に審理してきたという歴史があると思います。けれども、今回かなり集中して資料を集めたとか、ヒアリングだとか、いろんな業界へのヒアリングだとか、それを通じて丁寧に対応していただいたと思っています。

 その結果、かなり合理的なデータが集まってきて、ほぼ確定してきたかな。今後それを使って導入の効果だとかあるいは費用対効果、それとか実際に表れる効果のスピードだとか、あるいは地域性だとか、国際調和だとか、こういったようないろんな観点で、これからどうしていこうかということを提案されるんじゃないかなと思っています。二つ目のガソリン直噴の話は、N増しぐらいの議論になっていたかなと認識しています。

 3番目のものは、これはOBDIIをやるのが二輪車、非常に難しいということがあって、技術的な対策可能性の見きわめがこれから大事になってきて、それをどう答申に反映していくか、全て13次答申にどう反映していくかというための措置を、今日はご報告いただいたんだと理解しているんですけども、まずはそれでよろしいんですよね。

【大聖委員長】 そのとおりです。

【塩路委員】 だから、今坂本先生の言われたようなところは、これからどうしていくかというような議論になるんではないかなと思っているんですけども。ただ最初の蒸発ガスについては非常に難しいと思っていますので、合意が得られる対応策を、これから提示していただけるんじゃないかなと思っています。単なるコメントです。

【大聖委員長】 どうぞ、坂本委員。

【坂本委員】 データの示し方で、例えば資料58-4の最後のページ、こういった形で書いてあっても、これはNが幾つでの標準偏差なのか、何なのかがわからないと、実は統計的に考えていい数字なのかどうかというのは、全くわからないんです。それで、これでいいかと聞かれて、あまり皆さん悩んで、まあと私は思ったんですけど、やっぱりそういったところはデータを示すときに、これはN、それからここのバーはそれぞれどういう意味を持つのかというのを、きちんと表記しなければいけないというふうに思います。そういう数が出てくれば、先ほどの話でこれでいいかという形を聞かれたけれども、今塩路委員のようにN増しもというような話も出てくるんではないかというような気もしますけれども、これはどのぐらいの数字が入れられるんでしょうか。

【山田主席研究員】 お答えします。まずコールド試験、これJC08のコールドスタートモード、それからWLTCに関しては、N=3で示しているのが±σということになります。またホットの試験に関しては、N=6をやっているんですが、だからJC08に関しては、用はN=3、N=6で足して誤差の分配式、そういったものを考えているというような形になっている。基本的にはエラーもありまして、σです。

【坂本委員】 一般的にコールドの比率が高いほうが、変動の幅が大きくなるんではないんですか。そういうもののほうが、より数をたくさん測定する必要が、議論する場合にはあるんだけれども、今の場合には片方は6、片方は3、そういう状況である。これについてはどう考えるのかなというふうにも思います。

【塩路委員】 むしろWLTCのほうも3なんですか。

【大聖委員長】 違う。

【坂本委員】 6ですよね。

【塩路委員】 JC08ですよね。

【山田主席研究員】 WLTCも3です。

【塩路委員】 3ですね。

【山田主席研究員】 コールドは。

【塩路委員】 コールドですからね。

【大聖委員長】 なるほど。

【山田主席研究員】 必ずしも3じゃないものというのもありますけれども、最低3という。

【塩路委員】 ただ3ではなかなか分布の状況はわからないんですけども、一番高いところなんかは、これひょっとして5を超えているものが1個まじっている可能性もないことはないわけですね、これ標準偏差だから。標準偏差はもともと正規分布というか、ガウス分布をもとにして定義されているので、Nが3では意味があるのかどうか、ちょっとよくわからない。

【山田主席研究員】 基本的には統計的ばらつきを出すというよりは、やはりこの誤差がどれぐらいか。

【塩路委員】 ということは、素データをぽんぽんと示してもらったほうが、3であったら、ずっとわかりやすいです。この資料58-4について、これ資料というのは別に公開はされないんですよね。このまま出ていくことはないんですよね。

【大聖委員長】 資料は公開されます。

【塩路委員】 公開ですか。それなら7ページ、「技術的背景」というのがあるんですけど、これ皆さん何も言われなかったんですが、「筒内インジェクタ」という言い方はあるんですか。あるいは下のほうで「吸気ポートで噴射」とか、少し修正した方が良いと思います。この辺、私も前に見ていたんですけども、何も指摘できずに申し訳ない。

【大聖委員長】 ポート噴射は普通に言いますけど。

【塩路委員】 いや、ポート噴射じゃなくて、筒内インジェクタ。

【大聖委員長】 筒内インジェクタはあまり言わないですね。

【塩路委員】 だからインジェクタにより筒内へ直接噴射するという言い方をするんですけども、それとかあるいは吸気ポートで噴射というのも、普通吸気ポートで噴射か、ちょっとよくわからない。この辺文言、文章のちょっととした表現がおかしいところがあるので、また。

【大聖委員長】 そうですね。チェックして事務局に届けていただけませんでしょうか。私も気がついたところをチェックしましたので、届けます。

【塩路委員】 公開だったら。

【大聖委員長】 どうぞ。

【田路環境管理技術室長】 今のストイキ直噴のNの話なんですが、Nが幾らかというふうな話も非常に大事かと思いますが、私ども考えるのは、今の現状の技術力でいかほどかという、大体の車両の実力をつかむというふうな側面もあります。あわせて重要なのは、今の実力はこうで、今後技術開発でどこまでできるというふうな要素を加味して、総合的に規制をかけるというふうな考え方をしたいと思いますので、そういった意味でここのNのところを細かく議論してもいかがなものかと思います。

【大聖委員長】 そうですね。あまりやってもね。

【塩路委員】 だからこそ、全ての測定値をプロットすべきなんです。こういうふうに少数の測定値を統計処理したりすると、意味が曖昧になると思います。

【大聖委員長】 これあとは製造者側にとって、リーズナブルな値かどうかということの確認していただいて、それで進めていただければと思います。どうぞ。

【坂本委員】 そういう意味で言えば、製造する側はある程度の安全係数を見て設計をするから、かなり低いところの数値、例えば今のWLTCでやったC(GDI)のちょっと高いのがありますね。これはこんな感じのところの設計にはなっていないんではないかと思うんです。一般的には基準がこうだとすると、それの何分の幾つかというぐらいのところで設計を多くの場合はすると思うんですけど。

【田路環境管理技術室長】 現状ストイキ直噴は規制がかかっていません。

【坂本委員】 今はそういう意味ですか。

【田路環境管理技術室長】 はい。

【大聖委員長】 よろしいでしょうか。

(なし)

【大聖委員長】 それでは、ほかにありませんか。遡るのはこれぐらいでよろしいですか。どうぞ。

【笠井主査】 残りの資料について、ご説明。

【大聖委員長】 その他ということですか。

【笠井主査】 よろしいですか。

【大聖委員長】 どうぞ。

【笠井主査】 では、そのほかの、残りの資料についてご説明させていただきたいと思います。

 資料58-7です。前回の専門委員会の際に津江委員、飯田委員、田久保委員よりご指摘をいただきました燃料小売業以外の業種のVOC削減対策の取組状況につきまして、大気環境課のほうから資料58-7を用いてご説明させていただきます。

【伊藤課長補佐】 それでは、資料58-7になりますが、VOC排出抑制対策の実施事例ということでご説明させていただきます。

 VOCの排出抑制の取組ですが、大気汚染防止法において、排出規制と事業者の自主的取組の組み合わせによって実施されております。

事業者による自主的取組につきましては、その取組を促進するため、各業界団体等が自ら目指す方向性や方策を設定の上、産業構造審議会の小委員会で毎年度、実施状況のフォローアップをしていただいているところであります。

これまでに実施された排出抑制対策の内容、費用等の例は、以下のとおりということで、事例としての一覧表にしております。

A施設からE施設ということで、施設ごとの実施事例を表にしてございます。例えばAの施設でありますけれども、プラスチック製品製造業における事例でありますけれども、排出抑制対策の対策名ということで、蓄熱式脱臭炉とありますが、対策の概要としてはこれまで活性炭を使っていた施設を、蓄熱式の施設へ転換したということでして、設備投資費として1億円で、削減量は年間に換算したものですけれども、216tとなっております。年度の途中にその対策事例もございますので、年間に換算したものをここに整理しております。

以下B施設とありますが、例えばほかに見てみますと、電気機械器具製造業等で、電線の製法の変更で、VOCの使用方式を変更したということで850万、5.4t。あるいはC施設は、これは鉄鋼業の事例ですが、脱臭装置の設置でして、プラズマ触媒酸化法による酸化分解法として800万、1.5tとなっております。以下D・Eの施設は、いずれも輸送用機械器具製造業でありますけれども、設備改善による回収装置の設置ですとか、塗装効率の向上ということで、オイルフィルタの全製品を粉体塗装化して、溶剤塗装を使う塗装を廃止したということで、それぞれ550万と500万という事例です。削減量はいずれも約7tとなっております。

このような事例がございまして、これは業界全体ではなくて、個々の施設における事例でありますけれども、このような事例を整理させていただきました。

資料58-7は以上でございます。

【大聖委員長】 ありがとうございます。自動車、石油の関連以外のところでも、このような取組が行われているということが、今ご説明にあったとおりです。どうもありがとうございました。

いかがでしょうか。この資料に関しては。よろしゅうございますか。

(なし)

【大聖委員長】 それでは、その次に移りたいと思います。

その次の資料8のほうを使って、今後のスケジュール(案)ということで、ご説明をお願いしたいと思います。

【笠井主査】 資料58-8、今後のスケジュールについてでございます。

 本日は3月29日、専門委員会ということで、来年度4月以降、燃料蒸発ガス対策の欧米の動向ですとか、あるいは費用対効果について計算をいたしまして、具体的な対策案について来年度以降検討をさせていただきたいと考えております。

 その対策案を踏まえまして、報告書の(案)を作成いたしまして、12月にこの専門委員会を再度開催させていただきたいと考えております。そこで対策案についてご審議をいただいて、ご了承が得られれば報告書案の形にまとめまして、パブリックコメントを実施して、最終的に第13次答申ということで、部会のほうに諮りたいと考えております。

 以上です。

【大聖委員長】 ありがとうございました。それではこのような専門委員会のスケジュールで進めたいと思います。よろしゅうございますか。

(異議なし)

【大聖委員長】 それではその他ということでありますが、事務局のほうに、もうバトンタッチしてよろしいでしょうか。それではよろしくお願いいたします。

【笠井主査】 大聖委員長、ありがとうございました。今回の議事録につきましては、委員の皆様のご了承を得た後、環境省のホームページにて公開をさせていただきたいと存じます。

 以上をもちまして、自動車排出ガス専門委員会、第58回を終了させていただきます。長時間のご審議ありがとうございました。