自動車排出ガス専門委員会(第54回)議事録

日時

平成26年9月5日(金)15:00~16:20

場所

イイノホール&カンファレンスセンター4階RoomA1+2

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1)二輪車の排出ガス規制に関する国際基準調和の動向等について
  2. (2)ディーゼル重量車のブローバイガスに関する国際基準調和について

3.閉会

配付資料一覧

資料

資料54-1 自動車排出ガス専門委員会(第53回)議事要旨

資料54-2 二輪車の排出ガス規制に関する国際基準調和の動向等について

資料54-3 ディーゼル重量車のブローバイガスに関する国際基準調和について

資料54-4 平成26年度の自動車排出ガス専門委員会等スケジュール(案)

参考資料1 ディーゼル重量車のブローバイガスの国際基準調和に関する中環審答申等(抜粋)

午前15時00分 開会

【中谷室長】 定刻になりましたので、中央環境審議会大気・騒音振動部会自動車排出ガス専門委員会、第54回になりますが、開催させていただきたいと思います。

 大聖委員が少し遅れて来られるようでございます。それから、飯田委員につきましては、本日は欠席ということでご連絡をいただいております。

 それでは、開催に先立ちまして、審議官の早水よりご挨拶をさせていただきます。

【早水審議官】 水・大気環境局を担当いたします、大臣官房審議官の早水と申します。7月8日付で着任をしております。よろしくお願いいたします。

 先生方におかれましては、お忙しい中、この委員会にご出席をいただき、また、日ごろから環境行政の進展にご理解、ご支援をいただきまして、大変ありがとうございます。

 ここでご審議いただいております自動車の排出ガスの規制強化の関係でございますけれども、環境の規制と、それから、それに伴います自動車産業の競争力の強化というものが両輪となって進んできたと認識しております。その結果、日本の自動車が世界で売れるようになっているということ、それから、それと同時に、今日もご議論いただきますけども、自動車の国際基準の策定の重要性が高まっているということで、いろんな検討をしていかなきゃいけないということかと思います。

 環境分野など、国際基準の策定に当たりましても、日本は積極的に参加をするということ、それで、情報、意見を発信していくということが非常に大事だと思っておりますし、また、それが国内の環境対策に結びつくようなものにしていかなきゃいけないということでございますので、先生方におかれましては、引き続きこの取組につきましてさまざまなご指導をいただければと思います。

 本日の議題でございますけれども、当初の予定では、前回、この委員会でご議論いただきましたWLTCの国内導入に関する審議というものをお願いする予定であったのですけれども、その2回目の審議の準備がもう少し時間がかかるということがわかりましたので、今回は、関連する内容ではありますけれども、別の事項につきましてご報告をして、ご意見をいただくということを考えております。

 二つございます。そこにも議題に載っておりますが、一つ目は、二輪車の排出ガス規制に関する国際基準調査の動向についてのご報告でございます。平成24年8月の中環審の第十一次答申におきまして、世界統一試験サイクルの導入、それから、28年からの排出ガス許容限度目標値を強化するなどの規制強化を図ったところでありますけれども、その後の国際基準の動向を踏まえまして、今後検討すべき事項についてご意見を伺いたいと思っております。

 二つ目は、ディーゼル重量車のブローバイガスに関する国際基準についてのものでございます。内容をご説明させていただきまして、日本にも国際基準を取り込むことにつきましてご意見をいただければと思っております。

 限られた時間ではありますけれども、ご専門の立場から忌憚のないご意見をいただきたいということをお願いいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【中谷室長】 審議官でございますけども、この後、所用がございますので、退席させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それから、本日の会議でございますが、公開とさせていただきたいと考えております。

 会議の議事要旨、議事録につきましては、委員の先生方にご確認いただいた後に、ホームページで公開したいと考えております。

 それから、傍聴の方で撮影をされておられる方がおりましたら、ここまでとしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そ次に、事務局から資料の確認をさせていただきます。

 お手元の資料でございますが、まず、議事次第が1枚目にございまして、次に、2枚目に委員会名簿がございます。それから、次に、資料54-1としまして、前回の第53回専門委員会の議事要旨をつけております。それから、資料54-2としまして、二輪車の排出ガスの規制の資料でございます。それから、資料54-3でございますが、ディーゼル重量車の関係の資料でございます。それから、資料54-4としまして、一枚物で今後のスケジュールをつけております。それから、参考資料1としまして、これはディーゼル重量車の関係でございますが、答申の抜粋をつけております。それから、資料番号は振っておりませんが、資料54-3の補足資料としまして、排出ガスの排ガスデータをつけた紙を1枚おつけしております。これは、恐縮ですが、委員限りとさせていただいて、会議が終わりましたら回収させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 以上が資料の確認ですが、もし過不足とかありましたら、ご連絡をいただきたいと思います。

 ないようでしたら、それでは、進行のほうを河野委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【河野委員長】 河野でございます。

 本日は、まだ残暑厳しい折、お忙しいところご参集していただきまして、ありがとうございます。

 本日は公開ではございますが、いつものように活発なご審議をお願いしたいというふうに思っております。

 本日の議題は二つございますが、いずれも国際基準調和に関連する内容についての報告でございます。

 まず、本日の最初の議題であります、二輪車排出ガス規制に関する国際基準調和の動向等についてということに関しまして、事務局から説明をお願いいたします。

【鈴木係長】 それでは、資料54-2の二輪車の排出規制に関する国際基準調和の動向等について、ご説明させていただきます。

 資料の中身に入る前に、日本の二輪車の排出ガス規制の現況についてご説明します。

 平成24年8月の中環審第十一次答申で、平成28年(2016年)末までに、世界統一試験サイクル(WMTC)での排出ガス許容限度目標値の強化、燃料蒸発ガス対策の導入及びOBDシステムの導入が示されていますが、一方で、今後の検討課題として、将来的な技術開発により、さらなる排出ガス低減対策の推進を図ることが適当であり、その検討に当たっては、UN/ECE/WP29で策定される国際基準への調和についても考慮するということが示されています。このようなことから、WP29の排出ガス・エネルギー専門会合であるGRPEのもとに設立されたEPPR会議に日本からも出席し、世界統一基準(GTR)の作成について議論をしているところです。EPPR会議につきましては、後ほど資料に沿ってご説明します。

 本日は大きく二つに分け、1.で欧州の二輪車排出ガスに関する動向について、2.で国際基準の動向についてご説明します。

 2ページに移ります。それでは、1.欧州の二輪車排出ガスに関する動向について、(1)としまして、全体概要をご説明します。

 3ページに移りますが、まず初めに、二輪車の世界統一基準の策定にあたって、もととなっている欧州の規則についてご説明します。欧州連合には欧州議会と理事会という二つの議会がございまして、その議会において、2013年1月15日に「二輪車、三輪車及び四輪車の認証及び市場監視に関する規則」が採択され、2013年3月2日、官報に掲載されています。この規則は二輪車等の排出ガス低減等に関する基本的な要件を規定しており、2016年からのEURO4規制、2020年からのEURO5規制の二段階で適用されることになっています。

 4ページに移りますが、欧州の二輪車規制のスケジュールになります。現行規制のEURO3の次期規制として、2016年からEURO4が適用され、さらに、2020年からEURO5が適用されるというような、二段階での規制が予定されています。吹き出しについては、世界統一基準の策定にあたり、欧州規則がEURO4及びEURO5で要求しているテスト内容になります。

 5ページに移りますが、この表の内容がEURO4及びEURO5で要求しているテスト内容になります。下線部についてが自動車排出ガス専門委員会に関係する内容となっております。次のページで、それぞれのテスト内容の概要についてご説明します。

 6ページに移ります。全体的なところでは、テールパイプエミッション以外は現行規制であるEURO3では規制されていません。EURO5の内容は環境効果調査を踏まえ決定することになっていますので、正式に決定した内容ではございません。

 テスト内容について、上から順番にご説明していきます。まず、テールパイプエミッションにつきましては、2006年から適用のEURO3で、初めて試験サイクルであるUDCにコールドスタートが導入されました。また、2007年7月からはWMTCでの試験も可能となり、規制値については、UDCの規制値に対して等価規制値を採用しています。2016年から適用されるEURO4では、試験サイクルをWMTCに一本化し、規制値はEURO3より強化されることとなります。EURO5では、試験サイクルをWMTCからRevised WMTCに変更され、規制値についてもEURO4より強化されることとなります。

 続きまして、アイドル時及びハイアイドル時のテールパイプエミッションにつきましては、2016年から適用されるEURO4から導入されます。EURO5もEURO4と同じ内容となります。

 続きまして、クランクケースガスエミッションにつきましては、2016年から適用されるEURO4から導入されます。EURO5もEURO4と同じ内容となります。

 続きまして、燃料蒸発ガスにつきましては、2016年から適用されるEURO4から規制導入され、規制値は2,000mg/testとなっております。EURO5では、規制値が1,500mg/testに強化される予定です。

 続きまして、耐久テストにつきましては、2016年から適用されるEURO4から耐久走行試験が導入され、EURO5では耐久走行距離の見直しがされる予定です。

 続きまして、OBDにつきましては、2016年から適用されるEURO4から導入され、EURO5では高度化されたOBDを導入する予定となっております。

 7ページに移ります。ここからは、1.の欧州の二輪車排出ガスに関する動向について、(2)としまして、EURO4及びEURO5で要求しているテスト内容の個別要件と、ご参考までに、我が国の規制との関係についてご説明します。

 8ページに移ります。まず、コールドスタート時のテールパイプエミッションにつきましては、先ほどもご説明しましたが、欧州では、2016年から適用されるEURO4から試験サイクルがWMTCに一本化されます。我が国においても、2016年(平成28年)までにWMTCによる規制強化が実施されます。規制対象となるclass1からclass3については表のとおりとなっております。EURO5については、正式に決定したものではございませんので、我が国においてはその動向を把握し、環境への影響を含め、国際基準との調和について、今後の規制強化について検討をしていくことになります。

 9ページに移りますが、アイドル時及びハイアイドル時のテールパイプエミッションにつきましては、欧州では2016年から適用されるEURO4から導入されます。EURO5もEURO4と同じ内容となります。三元触媒のあり・なしによる排出ガス低減システムの違いにより、それぞれ一酸化炭素の規制値も異なる値となっています。我が国においては、下段の表のとおり、アイドル時のテールパイプエミッションについては、一酸化炭素、炭化水素に対して規制していますが、ハイアイドル時のテールパイプエミッションについては未規制となっております。今後は、ハイアイドル時のテールパイプエミッションの必要性等も含め、国際基準との調和について検討していきます。

 10ページに移りますが、クランクケースガスエミッションにつきましては、欧州では2016年から適用されるEURO4から導入されます。EURO5もEURO4と同じ内容となります。我が国では既に規制しており、規制値については0gとなっています。

 11ページに移りますが、燃料蒸発ガスにつきましては、欧州では2016年から適用されるEURO4から規制導入され、規制値は2,000mg/testとなっております。EURO5では規制値が1,500mg/testに強化される予定です。我が国においても、2016年(平成28年)までに規制導入され、規制値は2.0g/testとなっています。EURO5については、正式に決定したものではございませんので、我が国においてはその動向を把握し、環境への影響を含め、国際基準との調和について、今後の規制強化について検討をしていくことになります。

 12ページに移りますが、耐久テストにつきましては、欧州では2016年から適用されるEURO4から耐久走行試験が導入され、耐久距離については、class1、class2は20,000km、class3は35,000kmとなっています。EURO5では耐久走行距離の見直しがされる予定です。我が国においては、耐久試験は既に導入されておりますが、耐久距離については、第一種原動機付自転車が6,000km、第二種原動機付自転車が8,000km、軽二輪自動車と小型二輪自動車が24,000kmとなっています。この耐久距離は、平成15年6月の自排専第六次報告でご審議していただいております。今後は国内の二輪車の走行実態等を把握して、国際基準との調和について検討していきます。

 13ページに移りますが、OBDにつきましては、欧州では2016年から適用されるEURO4から、StageⅠを要件としたOBDを導入します。我が国においても、2016年(平成28年)までに、表に示した中環審第十一次答申の内容を備えたOBDを導入します。EURO5では、高度化されたStageⅡを導入する予定となっていますので、我が国においてはその動向を把握し、環境への影響を含め、国際基準等の調和について、今後の規制強化について検討をしていくこととなります。

 StageⅠの内容についてご説明します。StageⅠでいう排出ガス閾値診断では、排出ガス閾値を設定してはいるものの、閾値以下でも故障警告灯を点灯してもよいこととなっています。つまり、実質的には電気回路の断線やショートを検知するものが主となります。

 続きまして、StageⅡの内容について、上から順番にご説明します。排出ガス低減装置の電気回路故障(断線等及び信頼性)を検知の信頼性を検知の部分ですが、StageⅠの電気回路の断線やショートを検知するものに加え、その他のセンサー出力が正しく動作しているか検知する機能を追加する予定になっています。

 次に、排出ガス閾値診断に基づく排出ガス低減装置の性能劣化を検知の部分ですが、排出ガス低減装置の性能劣化を検出し、排ガス閾値を超えるようであれば故障と判断する機能を追加する予定になっています。

 続きまして、市場における故障診断頻度を検知の部分ですが、市場における故障診断頻度を検出する機能を追加する予定になっています。この機能は、実際のユーザーの使用状況において、故障診断が一定頻度で実行されていることを証明することが目的となっています。

 最後に、トルク低下検知の部分ですが、排ガス低減装置の故障発生時に、二輪車の発生するトルクが通常と比べて低下していないかを検出する機能を追加する予定になっています。

 以上で1.欧州の二輪車排出ガスに関わる動向についてご説明を終わります。

 14ページに移ります。続きまして、2.の国際基準の動向についてご説明します。

 15ページに移りまして、まず初めに、(1)としまして、冒頭にご説明しましたEPPR会議の設立についてご説明します。EPPR会議は、欧州委員会より改定の提案があった世界統一基準GTR№2及び国連規則UN-R40について議論をする場として、2012年11月に、GRPE会議のもとに設立しました。EPPRの正式な名称は、Regulation on Environmental and Propulsion Performance Requirements Informal Working Groupとなります。

 16ページに移りますが、(2)としまして、今までに行われたEPPR会議の検討内容についてご説明します。EPPR会議では、先ほどご説明しました欧州規則のテスト内容を世界統一基準GTRや国連規則UN-Rに盛り込むことについての議論を基本としています。今まで7回の会議の中で、燃料蒸発ガス規制については、カリフォルニア州試験法と同様の方法がGTRとしてまとまる見込みです。OBDについては引き続き議論中です。今後は、テストⅠ(コールドスタート時のテールパイプエミッション)、テストⅡ(アイドル時及びハイアイドル時のテールパイプエミッション)、テストⅤ(耐久テスト)について検討を行う予定です。

 最後のページになりますが、(3)としまして、国内の議論と国際基準との関係についてご説明します。今後は、EURO5の国際基準化提案が行われる見込みなので、我が国においても規制強化された国際基準を導入することは、我が国の大気環境改善のみならず、我が国産業の国際競争力の強化につながります。したがいまして、日本の次期規制について検討する際には、国際基準の動向を考慮に入れつつ、国際基準が我が国の大気環境改善につながるものとなるよう議論を行っていく必要があります。また、提案されている国際基準は、我が国の2016年規制よりさらに強化される方向であるものの、より効果的な基準となるよう、EPPR会議において、必要に応じて意見していく必要があります。このような内容を踏まえ、二輪車の排出ガス低減対策について検討を進めていきたいと考えております。

 以上で二輪車の排出ガス規制に関する国際基準調査の動向等についてのご説明を終わります。

【河野委員長】 どうもありがとうございました。

 ただいまの二輪車排出ガス規制に関する国際基準調査の動向等についてに関して、委員の皆様方からご質問、ご意見等ございますでしょうか。

 お考えになっているときにあれですが、ヨーロッパのほうでは、環境効果調査を踏まえて次のEURO4、EURO5に行くときも決めるというふうになっていましたが、環境効果調査というのは、これはいつもやっているのですか。これを説明していただければと思いますが。

【鈴木係長】 環境効果調査については、EURO5の規制を決めるのに当たって、いろいろな条件を満たしているか確認する調査なのですが、EURO5自体がまだ決まっているところではないので、この環境効果調査の結果次第では、EURO5の規制する時期ですとか、そういったものがずれてくるようになります。ただ、どこまで進んでいるかですとか、そういった状況については、今のところ把握はできていません。

【河野委員長】 これは今回が初めてなんですか、EURO5について。

【鈴木係長】 すみません。過去にこういった環境効果調査が行われているかというところまでは、今、把握はできておりません。ただし、EURO5についてはやられているということは認識しております。

【河野委員長】 決まっているわけですね。ありがとうございました。

 ほかにございませんか。

【塩路委員】 今の点で、同じことなんですけど、環境効果調査がどんなものであるかということと、だって、効果調査だから、前からやっていなかったら効果の調査にならないですよね。だから、きっと何か積み上げがあるのではないかなと思うので、何かそういったようなものの内容について少し調査をしておいていただきたいなと思います。調べておいていただきたいと思います。

【鈴木係長】 はい、わかりました。

【大聖委員】 環境調査というのも、アバウトな年間の排出量という形で計算されるのですけれども、多分、二輪車というのは、あまり四輪車に比べて排出割合は大きくないと思います。ですけども、技術的な公平性の視点も規制の一つの目安になると思います。例えば、四輪車でここまで減らしているのに、二輪車だと四輪車の何倍も出してしまうとか、そういうようなことが実際に起こり得るわけです。そういったことに対して、ある程度技術的にそれが対応できるのであれば、そうすべきという、考え方もあるのではないかなと思いますので、一言申し添えます。

【河野委員長】 今のはよろしいですか。

 こういうことを向こうでやるとなると、日本も何か対応しなきゃいけないのではないのかなというようなことを皆さんお考えのような気もしているのですが、実際の効果とか、そういうふうになると、排出量全体で云々するようなことではなくなって、非常にローカルなことも入ってくるかもしれませんしね。だから、そうなるといろいろ実情が違ってくるとか、何かそういうようなこともあるのかもしれませんので、いずれにしましても、これがどういうふうにやられるのかというのは、やっぱり情報をよくつかんでおいていただきたいと思いますけど、そこら辺はいかがですか。

【中谷室長】 河野先生がおっしゃるとおりでございまして、把握の仕方とか、そういったことをどういうふうにするのかというのは、情報をとっていきたいなと思います。

 環境省も、規制を強化するときに、やはり、効果評価とかということをある程度考えながら、効果を考えながら規制を今までやってきていますので、当然、EU政府も同じようなことをやっていると思いますので、それはいろんなチャンネルを使いつつ情報をとりたいと思います。

 それから、先ほど大聖先生もおっしゃられた件についてですけども、二輪の排ガスの寄与が少ない中で規制はできないのではないかというお話がありましたけども、大分、四輪のほうで排ガスの規制強化が進んでいますので、やはりどうしても二輪が今のところまだ目立つ状況ではあるのかなとは思っていまして、そういう意味で、引き続き規制強化はやっていく必要があるのかなと思っていますし、ただ、大聖先生のおっしゃられたように、技術的な対策の可能性というところも、規制強化を考える中では、技術的な容易さというのでしょうか、そこら辺もきちんと考慮した上で今後決めていきたいなと思います。

【河野委員長】 ありがとうございました。

 ほかには何かございませんか。

 今日は、議題からいきまして、国際基準調和の動向等についてということで、何か報告事項のような感じになっておりますが、実は、先ほど資料の説明がありましたが、最後の17ページですよね。だから、この動向に対して、国内の議論と国際基準調和との関係とありましたが、ここをうまいこと調整しながら、事務局、それから、皆さん方のお知恵をいただくのですが、それが、こういうことを踏まえて、現状でヨーロッパの二輪のことを踏まえながら、日本もそれに対応して進めていくということでよろしいかというようなご審議を今日はいただいているというふうに思いますが、それでよろしいですよね。

【中谷室長】 対策の方向性について、いろいろご意見をいただければと思います。

【河野委員長】 これにつきましては従来からいろいろご議論いただいているので、ご承知の方はいらっしゃると思いますけども、今日はこういうことで進めていただいているということをお認めするというような結論でよろしいのではないかと思います。

 まだもう一つ議題がございますので、そちらのほうは紛糾するかもしれませんので、まだ時間はございますが、先に行きたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(異議なし)

【河野委員長】 それでは、ありがとうございました。では、ただいまの二輪車排出ガス規制に関する国際基準調和の動向等については、事務局案のとおり進めることとしてまいります。これはよろしいということで結論を出していただいたのですが、ご異議がなかったということで、二輪車排出ガス規制に関する国際基準調和の動向等については、事務局案のとおり進めさせていただくということにさせていただきたいと思います。

 ご質問があれば、いつでもお申し出になっていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、2番目の議題でありますディーゼル重量車のブローバイガスに関する国際基準調和についてに関して、事務局から説明をお願いいたします。

【小平係長】 それでは、議題(2)ディーゼル重量車のブローバイガスに関する国際基準調和についてでございますが、資料54-3に基づき説明させていただきたいと思います。

 本資料の中で、中環審の答申や答申別添の自排専報告の内容について、要点を記載させていただいておりますので、実際の答申等の内容につきましては、参考資料1として添付させていただいております。

 スライド2に移らせていただきますが、背景についてのご説明がスライド2でございます。ディーゼル重量車につきましては、中環審の第十次答申に基づきまして、2016年から新たな排出ガス規制が始まります。主な改正内容といたしまして、世界統一試験サイクルやコールドスタートの導入などがございますが、現在、環境省及び国土交通省におきまして、ディーゼル重量車世界統一排出ガス試験方法――WHDCというふうに呼んでおりますが、――を含む技術基準GTR№4との調和を図りつつ、法令改正の準備作業を行っているところでございます。この新たな排出ガス規制のブローバイガスの取り扱いでございますが、日本が還元装置の備えつけを義務化しているのに対しまして、WHDC-GTRでは、一部の車種に大気解放を認めているなど、その内容が異なっておりますので、日本におけるディーゼル重量車のブローバイガスの取り扱いをどうすべきかについてご説明させていただきたいと思います。

 スライド3でございますが、ブローバイガス及び還元装置の説明スライドでございます。図をご覧いただきたいのですが、エンジンのピストンリングのすき間からクランクケースに漏れ出したガスをブローバイガスと呼んでおりますが、日本の規制におきましては、吸気側に吸引し還流させることで大気放出しないようにする、還元装置の備えつけを義務化しております。

 スライド4に移らせていただきますが、このスライドは、日本とWHDC-GTRのブローバイガス関連規定について比較したものでございます。まず、左側、日本の基準でございますが、中環審第三次答申におきまして、ディーゼル車のブローバイガスについて規制をしておりまして、その内容は、炭化水素については、ブローバイガスとして排出されるものについても対策を実施することが適当と示されております。この三次答申におきまして、具体的な対策の方法は示されておりませんが、環境省の自動車排出ガスの許容限度告示において、ブローバイガスとして排出される炭化水素については、排出してはならないという意味で0gとしております。国土交通省の道路運送車両の保安基準では、炭化水素等の発散を防止するものとして、ブローバイガス還元装置を備えなければならないとしております。一方、WHDC-GTRにおいては、原則として周囲大気中に直接排出しないこととなっておりまして、その点では日本と同様の内容でございますが、例外としまして、過給器つきエンジンでは、大気解放するブローバイガスを排気管排出ガスに合算したものを排出ガス試験における排出量とするという条件で、ブローバイガスの大気解放を認めている内容になってございます。

 続きまして、スライド5でございますが、こちらのスライドは、日本とアメリカ、EC規則、国連(UN-R規則)及びGTR規則について、今回ご説明させていただいております、ディーゼル重量車のカテゴリーにおける比較の表でございます。先ほどWHDC-GTRの規制の内容をご説明させていただきましたが、この表に掲げている日本以外の規制については、WHDC-GTRの規制内容と同様のブローバイガス規制がされている状況でございます。日本と諸外国の規制の内容は異なっておりますが、日本メーカーにあっては、国内仕様と輸出仕様でつくり分けはしておらず、ブローバイガス還元装置を備えている状況でございます。

 続きまして、スライド6でございますが、WHDC-GTRによる排出ガス測定のイメージを表したものになります。図の左側、これは直接排出なしというふうに書かせていただいておりますが、これがブローバイ還元装置を備えている場合の測定のイメージになります。これは日本の取り扱いと同様の内容になっております。

 そして、右側の図ですが、ブローバイガスを大気に解放する構造とした場合の測定のイメージになります。この場合、ブローバイガスとして排出されるガスは、排気後処理措置を経由した排気管排出ガスと合算し、その排出量が許容限度以下である必要があります。

 続いて、スライド7でございますが、スライド6の補足的なスライドでございまして、ブローバイガスを排気管排出ガスに混合して測定する場合のWHDC-GTRの内容を記載したものになります。先ほどのスライドの説明と重複いたしますが、エンジンから排出されたブローバイガスは、排気後処理装置の後段の排気管にて合流しまして、その後に希釈されてサンプリングされるということになります。

 スライド8でございますが、ブローバイガス還元装置を備えることによる影響について、考えられる点を挙げたものでございます。技術的な理由としましては、主に3点ございます。一つ目は、車両横転時にエンジンオイル逆流によるエンジン暴走のおそれがございます。また、エンジン暴走によりエンジンが破損し、最悪の場合は火災に至る可能性がございます。二つ目でございますが、寒冷地で使用した場合、ブローバイガスに含まれる水分が凍結しまして、その氷結水によりタービンブレードを傷めるなどの不具合が発生するおそれがございます。三つ目としまして、ブローバイガスに含まれるオイル分が吸気系に付着いたしますので、インタークーラーの冷却性能を低下させる可能性がございます。その結果、冷却性能が低下することによりまして、エンジン性能が低下するということになります。

 続いて、その他の理由といたしまして、還元装置の設計や、製造上の手間や、装置を備えることによる製造コストの増加などが考えられます。日本のみ還元装置の備えつけを義務化しておりますので、日本での販売台数が多い国産車メーカーに負担が生じている状況でございます。また、販売台数は少ないと思われますが、日本に輸出している海外の自動車メーカーにあっては、日本向けの車両のみ還元装置を備える必要がありますので、国産車メーカー同様の負担が生じていると考えられます。

 続きまして、スライド9とスライド10でございますが、これは、が先ほどご説明させていただきました、還元装置を備えることによる不具合の事例を表しているものでございます。

 まず、スライド9でございますが、車両転倒時におけるエンジンオイルの燃焼室への逆流の説明になります。仮に車両が横転した場合は、エンジンも横倒しになるわけでございますが、ターボチャージャー等でエンジンの吸気側に強い負圧が発生している場合、ブローバイガスの配管を通じて燃焼室内にオイルを吸い込んでしまうおそれがあります。その結果、オイル暴走運転やエンジンが破損するおそれがございます。

 続いて、スライド10でございますが、寒冷地におきまして、ブローバイガスに含まれる水分が凍結する場合がございまして、その氷によりブローバイガス配管が閉塞した場合は、クランクケースの内圧が増加することでオイル漏れにつながります。また、氷がターボチャージャーのインペラへ衝突することにより、インペラの先端が破損することがございます。インペラの破損状況については写真の掲載をしてございます。

 続いて、スライド11でございますが、中環審第十一次答申で示されました、ディーゼル特殊自動車のブローバイガスの取り扱いについてご説明させていただきます。中環審第十一次答申及び同答申別添の自排専報告では、ディーゼル特殊自動車にあっては、ブローバイガスの大気解放を禁止することにより、転倒時等に吸気側にエンジンオイルが混入し、エンジン暴走の危険性があり、安全性の確保及び国際基準調和に伴う開発費用の低減を図る観点から、原則としてブローバイガス排出を禁止するものの、大気解放する必要のある車両については、排出ガス試験時に排気管排出ガスと解放されるブローバイガスを測定し、それらを合算したものに許容限度目標値を適用するとしております。この扱いでございますが、ブローバイガスの測定方法など、先ほどご説明させていただきましたWHDC-GTRの規制内容と同様のものでございます。同答申の内容を踏まえまして、環境省では、大気解放する必要のあるものとして、過給器つきのエンジンを備えた車両については、解放されるブローバイガスと排気管排出ガスを合算した排出量に対して、排気管排出ガスと同じ量の許容限度値を適用させる内容の許容限度告示の改正を実施しております。

 続いて、スライド12でございますが、ディーゼル重量車の規制については、中環審第十次答申で示していただいておりますが、その一つ前の答申である中環審第九次答申におきまして、今後の自動車排出ガス低減対策と課題といたしまして、国際基準調和に対する記述がございます。その内容でございますが、自動車排出ガス規制の国際基準調和に積極的に貢献し、環境保全上支障がない範囲で、可能な限り国際基準調和を図ることが望ましいと示されております。この課題を踏まえまして、ディーゼル重量車の規制強化について、中環審第十次答申にて示されたということになります。

 続いて、スライド13以降でございますが、ディーゼル重量車のブローバイガスの取り扱いについて、WHDC-GTRと調和した場合のご説明でございます。まず、大気環境への影響についてでございますが、WHDC-GTRの内容と同様の規制を行ったディーゼル特殊自動車の規制強化を示した中環審第十一次答申に至る議論の中で、ディーゼル重量車のエンジンとほぼ同構造である特殊自動車用のディーゼルエンジンを複数用いて、ブローバイガスを大気解放させた状態において、ブローバイガスを含めない場合と含めた場合で排出ガスを測定しておりまして、排気管排出ガス中へのブローバイガス混合の有無にかかわらず、計測結果にはほとんど差がないということが確認されています。計測した排出ガス値につきましては、委員限りの資料として、A4一枚紙で卓上配付させていただきました資料に記載させていただいておりますが、3種類のエンジンを用いまして測定した結果、左側の数字が大気解放されるブローバイガスを含めない状態で測定した結果、右がブローバイガスを合算して測定した結果になりますが、どの規制物質においても排出ガス量の差がほぼないということが確認されています。

 続いて、スライド14でございますが、ブローバイガスを大気解放できる構造とした場合、排気管排出ガスに解放させるブローバイガスを合算した排出ガス量に対して、排気管排出ガスと同じ許容限度値を設けることで、環境負荷という観点では、現行規制に対して悪化するものではないと考えております。これは、大気に排出されるブローバイガスも含めて排出ガス規制をしていると言えますので、中環審第三次答申で示された「ブローバイガスとして排出されるものについても対策を実施することが適当」の内容を踏まえたブローバイガス対策の運用方法であると考えております。

 続いて、スライド15でございますが、これまでに説明させていただきましたが、国際基準調和することによりまして見込まれる効果は、自動車メーカーの国際競争力の確保につながるものと認識してございます。

 スライド16でございますが、これは、本件ブローバイガス取扱方針のまとめでございます。説明させていただきました内容を踏まえまして、ディーゼル重量車のブローバイガスの取り扱いにつきましては、従来の還元装置の備えつけだけではなく、WHDC-GTRで定める測定方法等と整合、調和を図り、過給器つきのエンジンについては大気解放を認める方法として、排気管排出ガスに大気解放させるブローバイガスも合算した排出ガス量に対して、排気管排出ガスの許容限度を据え置いた許容限度値を設けることにより、ブローバイガスの排出対策を行いたいと存じます。また、ブローバイガス排出ガスの適用時期についてでございますが、本取り扱いに独自のリードタイムを設けるという考えではなくて、次期排出ガス規制の適用次期である2016年に合わせて適用させたいと考えております。

 以上、事務局からの説明でございます。

【河野委員長】 ありがとうございました。

 ただいまのご説明ですが、ディーゼル重量車のブローバイガスに関する国際基準調和についてについて、中環審第三次答申――これは平成10年ですが、――で示されたブローバイガス対策に関する運用方法について、還元装置の備えつけだけではなく、テールパイプガスとの合算測定を行うことにより大気解放を認める方法についても、運用方法として追加するということでございます。その運用については2016年から行いたいという点でございます。

 この審議につきまして、事務局案でも結構ですが、スケジュール等に関しまして、どういう予定なのか、もしわかれば教えていただきたい。

【中谷室長】 では、少し補足させていただきますが、この16ページのスライドの②にありますように、ディーゼル重量車の排ガス規制を2016年から行うことになっておりますが、そのための準備といいますか、告示改正を、これからパブコメとかを行いまして、年内に告示改正をしたいなと思っていますので、それにこのブローバイの内容もあわせて処理できれば非常にありがたいなと思っております。

 ただ、いろいろまだ調査をもっとすべきとかというご判断があるようでしたら、それは切り離して考えたいと思っておりますが、できれば同じタイミングで告示を出させていただければという、そういうふうには思っております。

【河野委員長】 ありがとうございました。

 もしこれを認めるということになりますと、製作コストの面等から考えると、みんなブローバイガスについては当初合算して測定して、それが基準値以下であれば解放ということだから、ほとんどこの形式になるということなんでしょうね。その辺は事務局ではどういうふうにお考えですか。

【中谷室長】 この要件は、ターボつきのディーゼルエンジンについて、この運用方法を認めるようにするというのが国際ルールで提案されているものです。大型トラックは基本的にターボつきのディーゼルエンジンですので、この運用方法を大型トラックについては認めるということになるかなとは思っております。

【河野委員長】 ありがとうございました。

 皆様方からご意見、ご質問をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【草鹿委員】 我が国の場合は、非常に起伏が激しい道路でありながら、エキゾーストリターダーのようなものを使用する場合も多々あると思いますけれども、この場合もブローバイガスの影響というのは少ないと考えてよろしいでしょうか。排気ブレーキです。車両の動的特性という観点からご質問します。

【小平係長】 事務局のほうから回答させていただきます。

 全ての現在製造されているエンジンに対して確認をしているわけではございませんが、現行生産されているあるエンジンのデータをご紹介しますと、全負荷時、フルロードのときでブローバイガスから出ている量と、テールパイプガスに対してブローバイガスとして排出される量を、割合を示すと1%程度と聞いておりまして、その点では、極端に負荷がかかったから多いわけではございません。ただ、やはり一例として、あるエンジンのデータを確認している状況ですので、それが全てのエンジンに当てはまるかというところを言われますと、我々も把握していなという状況でございます。

【草鹿委員】 しかし、車両として積載量を積んだ場合とか、あるいは、非常に長い下り坂を有する場合というのは、ブレーキも通常のブレーキと、それから、エキゾーストを絞るような形で排気リターダーを使う場合とあるかとは思いますけれども、各種ケースを想定されて最終的には吟味されるとよいと考えています。

【河野委員長】 どうぞ。

【小渕委員】 なかなか難しい問題だと思いますけども、私も、日本の国際競争力というものを維持する、これは日本だけフェアでないというか、不利な条件になっているというようなことは理解します。というわけで、今、どうすべきだという意見はまとまらないのですが、少し考える時間ということで、14ページですかね。少し苦しい感じの。第2段落のところなんですけれども、鍵括弧の中です。炭化水素について対策を実施することが適当という、三次答申で示されたというのをそのまま読むと、何らかの対策が必要というふうに、そのままでは読めてしまうけれども、実質的に下の式です。左下の不等号の式が成り立てば、こういう対策を実施したことと同じ相当だという解釈ということでいいですか。確認のためというか、理解のためなんですけども、これでよろしいでしょうか。

【中谷室長】 そのとおりでございます。基本的に、何らかの対策が必要ですという考え方は変えるつもりはないのですけども、いろんなやり方の中の一つとして、ブローバイガスとテールパイプガスを合算したガスの濃度が許容限度より下回っているのであれば大丈夫ではないかということで処理するという、そういう方法を今回運用の一つとして認めてはどうかというふうに考えております。

【小渕委員】 よろしいですか、関連しますけど。

 では、次の15ページの最後の国際競争力というところなんですが、逆に言うと守りですけども、国内競争力の確保という意味で還元装置を義務づけるという、そちらの意義はあまり考えられていないというか、あまり有利ではないということなんですか。国内競争力の確保という意味では、還元装置を義務づけるほうが確かに強いかなという面もあると思いますけれども、そちらのメリットというのはあまりないということなんですね。逆に、還元装置を義務づけるということは、外国メーカーにとっては、日本で売るのは大変という意味では、国内メーカーの有利な状況にはなっていると思うのですが。

【中谷室長】 国内だけ考えればということであればおっしゃるとおりかと思いますが、やはり、自動車が国際的にこれから流通するという観点で見ると、やはり、国際基準に合わせた方向性というのを昔から答申の中で打ち出しておりますので、その方向性を踏まえると、やはりこういう扱いというものが必要なのではないかなというふうに考えているところであります。

【河野委員長】 今のお話は、よく考えると、コスト的な話は、これは書いてありますけど、やっぱり、物をつくる上では、あまり無駄に物を取り込まないということも、節約みたいなものですけど、そういうことも含まれる話ではありますよね。そうだからといって、これが間違っているというわけではないのですが。

 ほかに。

【後藤委員】 特殊自動車のほうでは既にこの考え方を入れているということですし、今度の大型ディーゼル重量車についても同じように考えたいという、その考え方は当然だと思うので、基本的にはいいのだろうかとは思っております。ただ、少し気になるのは、合算して許容限度以下であればいいということなんですが、実際に合算しているのは、効果的に実際に合算ができているのか、要は試験法として合算がうまくできるのかというところだけは注意してほしいということが私の懸念しているところです。

 具体的には、スライドの7で、別途、サンプルプローブを排気管に接続して合算しているということですが、このブローバイガスのパイプ、これが試験期間中つないではかっているということですと、このホースの内表面にガスが吸着して、実質的に合算になっていないようなことが起きないようにしてほしい。例えば、今度の新しいものですと、コールドスタートから始まりますので、その辺のブローバイガスが実際に合算したことになっているかどうかというところは懸念点ですので、実際にはかるときには、その辺のところを留意したようなはかり方にしてほしいと、そういうことを思います。

【小平係長】 後藤委員からご指摘いただいた点を踏まえまして、今後、その試験法を決めるときに考えていきたいというふうに思います。

【河野委員長】 どうぞ。

【坂本委員】 お聞きしたいのは、ブローバスガスと、それから、排出ガスというのは、組成は全く同じと考えていいのかどうか。要するに2%か何%とかであっても、質的に変わってくる。例えば、私たちなんかだと、光化学反応性が最終的にどう変わるかとか、そういったところも見ないといけないと思いますけど、今の考えでは、全体の濃度が許容限度以下であればいいという形になっていますけど、そういう意味では、今の排出ガスとブローバイガス、同じか近いのかなという気はしますけど、私、エンジンのほうはわかりませんので、その辺についての情報をお持ちでしたら教えていただければと。それが同じだということが言えれば、まさにこのとおりでいいと思いますけれども。

【小平係長】 事務局のほうの手持ちのデータとしまして、その辺りの具体的にブローバイガスとして排出されるガスの成分というのがどういうものなのかというのは、把握し切れていない状況ではございますが、仮にどんなところがテールパイプガスに。還元装置を備えた場合と備えない場合で何が違うのかというところを考えてみますと、確かに、ブローバイガスとしていきなり大気に放出されるわけですから、凝縮の仕方なども何か変わるのではないのかなという観点では、事前に調べておりまして、ブローバイガスとして排出されるガスの温度自体がもともとそんなに高くありませんので、さほど凝縮して粒子になるということはないというような研究の結果というのは確認しております。

【坂本委員】 今ので、結局、7ページの測定方法のときに注意する形が書いてあるのは、そこで出るガス量が少ないのと、温度が低いから、そこで凝縮したり、もしくは、温度が下がることによって管璧にくっついて、濃度がより低く測定されるおそれがあるので、こういういろんな注意が書いてあるのだと思います。そういう意味では、少し測定方法のところとあわせて、それから、組成についても何らかの情報があると、やはり安心するという感じになると思いますので、そういう情報を整理していただくとありがたいと思います。

 以上です。

【河野委員長】 ありますか。おっしゃるとおりですか。

【中谷室長】 手持ちのデータはありませんので、とりあえず。

【大聖委員】 一般には、ブローバイガスというのは潤滑油のミストが分離し切れなかったものが一部含まれる可能性はあると思います。それから、もう一つは、ディーゼルエンジンの燃焼の場合ですと、ピストンの外周の部分に存在するガスがブローバイガスとして出てくるのですけど、そこの部分は空気の割合がすごく高いのです。ガソリンエンジンと違いまして。ですから、通常のブローバイですと、燃料の未燃の成分が一部含まれますけれども、排気の平均値に比べると、かなり低いと思われます。そういうことなので、ここにもありますように、ハイドロカーボンとPMですかね。それが関係してくると思います。

 ただし、今後、例えば、予混合圧縮着火燃焼というような新しい燃焼技術が入ってきますと、ピストン周りガスがブローバイガスとして抜けるような場合にはハイドロカーボンが含まれる可能性はあります。それは少し注意しなくてはいけないと思いますけど。

 以上、コメントです。

【河野委員長】 どうぞ。

【小渕委員】 一つ気になるのは、ブローバスガスが使用過程で増えてくるというのは、それほど気にしなくてよろしいでしょうか。新車で試験したときには1%ぐらいかもしれないけども、何十万キロ走ったらば3%になってきたとか、そういうことは調べておりますか。

【小平係長】 ご指摘のとおり、ブローバイガスにつきましては、使えば量が増えてくるという傾向にございますので、確かに新車時相当と使用過程相当では変わってくるなというところは、我々も感じているところです。

 試験法の話になりますが、ガスの試験で耐久走行試験というものがございまして、例えば、車両総重量が12トンを超えるようなクラスになってきますと、65万キロ相当の耐久の試験を行うことになります。それなので、65万キロというのがリアルワールド再現できているかどうかというところは、再現できていないところというものも出てくるのかもしれませんが、認証試験の中で65万キロ相当程度の走行をしたエンジンにおいても、ブローバイガスの排出量が増えたとしても、その量も含めて許容限度以下であるというところを確認いたしますので、耐久試験法の中で限れば、ある程度の走行を見越した確認ができるというふうに考えております。

【河野委員長】 どうぞ。

【塩路委員】 先ほどの坂本先生のご発言なんですけど、確かにブローバイガスというのは、大聖先生が補足された通り、ほとんどが潤滑油のミストが蒸発しているものだと思います。要するに高温揮発性ハイドロカーボン、後藤委員の心配も、多分、そこから発生しているのですよね。壁面に付着するという心配も。だから、その辺りを押さえておかれたほうがいいかなという気がしました。かなり高沸点成分がまじっている可能性もないことはないので。だから、ここのハイドロカーボンの値が同じだったと言われている、むしろ少ないものもありますよね。だから、壁面に付着していなかったらいいのではないかなとは思いますけども、そこのところを少し押さえられたほうがいいかなという気がしますけれども。

【中谷室長】 ありがとうございます。もう少し今のお話をお伺いしまして、潤滑油がやはりまざっている、どのぐらいまざっているのかとか、そこら辺の成分の中身をもう少し詳しく調べて、それでまたご報告させていただこうと思います。

【河野委員長】 そのほうが安心ですよね。安全だし。

 どうぞ。

【坂本委員】 今のお話を聞くと、かつてはディーゼルから出る比較的沸点の高いものは反応にあまり関係はしないと言われたわけですけども、最近のあれ(研究)では、むしろそういったものが、粒子の状態を経て、またさらに酸化されて質量が増えて、粒子濃度が上がるとか、そういった大気中での反応もあるわけです。そうすると、今のお話で、ブローバイガスと、それから排出ガスで、そういう組成が違うということは、やはりその部分も見ておいて考えたほうが、先ほど申し上げたように、より安心できる情報を我々は持つことになると思いますので、ぜひお願いいたしたいと思います。

【河野委員長】 ほかにはございませんか。

 だから、さっき、事務局としてはもう少し調べてという話をされたような気はするのですが、もしそれをやると、こういう方式が果たしていいのかどうかというようなことにも関係してくる話ではあるのかもしれませんね。

【中谷室長】 具体的な成分をしっかり調べないとまだわからないと思いますけども。ただ、一応、国際ルールでこのやり方がありますので、それなりのやっぱりバックグラウンドがあってこれを決めていると思いますので、やはり、そこを確認すれば、逆に安心できるような材料があるのかなという気はしますので、一応それをもう一度早急にまとめまして、ご報告、場合によっては、先生方、個別でご報告させていただいて、ご意見をいただくという形にさせていただこうかなと考えております。

【河野委員長】 どうぞ。

【小渕委員】 一方では、やっぱり安全性ということもありますので、暴走というようなこともね。そちらとの兼ね合いということもあるということは理解しておりますので、それは必要だと思います。

【中谷室長】 補足ですが、小渕委員が先ほどおっしゃられましたように、オフロードエンジンについては、もうこのやり方を答申の中でも認めてはおりますので。ですから、我々事務局としましては、全くもってこのやり方で大気に影響が出てしまうというわけではないのかなというふうには考えておりますので、それを横延長といいますか、ディーゼル重量車に延長したいなという、そういう考えでおります。そこを少し踏まえていただきましてということでございます。

【後藤委員】 あと、54回ということで、当然私も歴史はよく知らないのですけれども、多分、先陣の委員の方は、これを入れられた何か歴史のようなものもきっとあるかもしれないですよね。何かこれが入ってきた背景が。そういうものももしわかる範囲でお調べいただければ、またご報告いただければと考えています。

【河野委員長】 ほかに何か。

 どうぞ、御園生先生。

【御園生委員】 全体として大変結構だろうと思っているのですが、少し言わずもがななんですけども、大気質も着実に改善しているし、国際調和のほうも着実に進んでいて、結構だと。ある意味で非常に、初めに河野委員長が言われた環境影響でしたか、効果の評価の仕方とか、それから、今のブローバイガスの成分が一体何物かという辺りで、全体が順調に進んでいるので、気が緩んでいる傾向がもしかしてあるのではないかという気がするので、その辺をしっかり、国際調和のほうも、合わせればいいというのではなくて、やっぱり日本が積極的に口出ししなきゃいけないのだろうと思うし、過剰なことはやらなくてもいいのですが、気は緩めないようにしないといけないというような気も感じましたので、言わずもがなですけども、その辺りをきちんと対応していただければありがたいというような印象を持ちました。そういう感想です。

【河野委員長】 貴重なご意見をありがとうございます。

 ほかに何かございますか。まだ時間はたっぷりあるのですが。

 どうぞ。

【大聖委員】 少し蛇足ですけれど、このブローバイガスの問題というのは、多分予想されるのは、エンジンの性能が悪化してきて、先ほど小渕委員が言われたように、例えばシリンダーが磨耗して、あるいは、ピストンリングの不具合などで、ブローバイガスが増えるということが考えられます。ですけど、こういうエンジンのトラブルというのは、ブローバイガスに関係することだけではなくて、エンジン自身のメカニズムですとか、あるいは、後処理システムですとか、全体の劣化と特別違うということではないような気がしますよね。ですから、使用過程でかなり長期間使った車に対する性能の低下とか排出ガス特性の悪化というのは、やっぱり市場でちゃんとチェックしていくような取組も必要ではないかなと思います。それはやっぱり、先ほど言われたように65万キロメートルの耐久要件を満たす排ガス試験をやっていますので、そこはひとまずクリアされているのではないかと思います。市場での排出ガス性能の実情というのは、サーベイランス的なことは国でおやりになりますので、そういったデータをもとにして、いろいろと判断される可能性があると思います。以上、コメントです。

【河野委員長】 ありがとうございました。

 ほかにはございませんか。

 どうぞ。

【津江委員】 すみません。単なる私の個人的な興味をお聞きしているだけなんですが、結局、ブローバイガスを含めてはかったときに、HCがほとんど変わっていないということは、先ほど大聖先生のほうからもありましたけれども、排ガスのHCに比べて、ブローバイガスの濃度が非常に低いというか、ほとんど検出限界に達していないものであるというふうに考えてよろしいでしょうか。

 もう一つ、それがあるならばですが、というか、なぜ二つをまぜてはからないといけないのかなというのが私の率直な意見でして、別々にはかって、それを足せばいいと思いますが、わざわざこういう風洞といいますか、トンネルをつくって、まぜた状態ではかっているという、何か歴史的な経緯があれば教えていただきたいのですが。

【中谷室長】 一つ目のご質問ですが、我々としても、詳しくはメカニズムを把握はしていないのですが、多分、津江先生がおっしゃるように、ブローバイのガス濃度というのは非常に少ないものですから、合算してはかったときに、先ほどの委員限りの資料にもありましたように、ガス値は変わっていないのではないかという、そういうふうに、同じように理解をしております。

 あと、何で一緒にはかるかなんですが、これは、はっきり確認したわけではないのですけども、このほうが1回で処理が進むので簡単にできるという、そういうところが一つあるのかなという気もするのですが、はっきりした理由は私ども把握しておりません。

【津江委員】 結局、ブローバイガスの濃度をはかって、それが検出限界よりもというか、0になっていればいいというふうに考えてもいいのかなと思ったもので、質問しました。

【小渕委員】 今のことに関連してよろしいですか。

 4ページのところに変な言葉があって、私はわからないのですけども、右のところの「物理的又は数学的のいずれかによって追加される場合は」という、この数学的というのは、実は、これは別々にはかって、平均して、合算していいですよという意味合いでしょうか。そういう測定もあり得るということなんでしょうか。

【中谷室長】 今ご指摘のとおりだと思いまして、あと、詳しくはわからないのですが、計算で何か出せるのであれば、それで使ったりとかですね。多分数学的というのはそういうことかなと。ブローバイガスの濃度が何か推定されるのであれば、その数字を使えるということかなと思うのですが。

【河野委員長】 これは訳した文ですよね。

【中谷室長】 はい。

【河野委員長】 翻訳した。だから、翻訳は少しわかりづらいということかもしれませんね。原文を出さないとわかりません。

【中谷室長】 原文を持ってくればよかったなと思います。申し訳ありません。

【河野委員長】 まだ時間はありますが、いかがでしょうか。今日はかなり熱心にご議論いただいて、感激いたしておるのですが、ほかにございませんでしょうか。

 無理やり質問を出してもらうと、あまりいいことはないということですが、時間は少し早いのですが、審議をこのまま終わってもよろしいですか。事務局としては問題ないですか。

【中谷室長】 まだ少しデータが足りないというご指摘でありましたので、事務局のほうでご指摘を踏まえてデータをまとめまして、またご相談に上がりたいなと、この件につきましては考えております。

【河野委員長】 部会長からああいう質問が出るようだと、本審を乗り切れないのではないかというふうな気もしますので。

 そうしますと、今日のこの議題における結論なんですが、ディーゼル重量車のブローバイガス対策の運用方法については、本日、かなりご意見をいただきました。それらを踏まえて進めることといたしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【河野委員長】 では、そういうことにさせていただきます。

 それで、ディーゼル重量車のブローバイガス対策の運用については、いただいた意見を踏まえつつ進めさせていただくということにさせていただきます。

 なお、本日の議題は全て終了いたしましたが、最初のほうの議題で何かご質問がなければ、マイクのほうは事務局にお返ししたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(なし)

【河野委員長】 それでは、事務局のほうにお渡しいたします。

【中谷室長】 最後に、事務局から今後の予定をご連絡させていただこうと思います。資料54-4でございます。

 この表のスケジュールで、本日9月5日が第54回になりまして、この後ですが、まだ日程が確定できない部分がありまして申し訳ありませんが、この後、WLTCの国内導入に向けた排出ガスの許容限度の目標値だとか、そこら辺のご審議をこの検討会で10~11月の間にやっていただきまして、その後、56回としまして答申(案)のご審議をいただくというふうな、その段取りで進めていければなと考えております。それから、最終的に、できましたら年内に答申をいただくというようなことで進めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日は長時間にわたりましてご審議いただきまして、ありがとうございます。第54回の委員会はこれで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。