自動車排出ガス専門委員会(第53回)議事録

日時

平成26年6月25日(水)10:00~11:30

場所

主婦会館プラザエフ 9階 スズラン

議事次第

1.開会

2.議事

  1.     (1)WLTCの国内導入について
  2.     (2)平成26年度の自動車排出ガス専門委員会等の進め方について
  3.     (3)排出ガス後処理装置検討会報告について
  4.     (4)微小粒子状物質(PM2.5)に対する総合的な対策の取り組み状況-自動車関係の発生源情報の更なる把握に向けた検討- 

3.閉会 

配付資料一覧

資料

資料53-1 自動車排出ガス専門委員会(第52回)議事要旨
資料53-2 WLTCの国内導入について
資料53-3 平成26年度の自動車排出ガス専門委員会等スケジュール(案)
資料53-4-1 排出ガス後処理装置検討会最終報告
資料53-4-2 「排出ガス後処理装置検討会」報告書の取りまとめについて
資料53-4-3 排出ガス後処理装置検討会最終報告を踏まえた今後のスケジュール(案)について
資料53-5 微小粒子状物質(PM2.5)に対する総合的な対策の取り組み状況―自動車関係の発生源情報の更なる把握に向けた検討―

午前10時00分 開会

【諸川室長補佐】 それでは、定刻となりましたので、中央環境審議会大気・騒音振動部会自動車排出ガス専門委員会(第53回)を開会いたします。

 まず始めに、前回の自動車排出ガス専門委員から委員に変更がございましたので、ご紹介させていただきます。

 警察庁科学警察研究所交通科学部長の三井達郎委員のご後任として、田久保宣晃委員を任命させていただきました。しかしながら、本日、田久保委員につきましては、ご欠席の連絡をいただいております。

 また、草鹿委員及び塩路委員についても、本日、ご欠席のご連絡をいただいております。

 本日の議題で説明させていただく、排出ガス後処理装置検討会については、環境省及び国土交通省が合同で設置し、検討してまいりましたので、オブザーバーとして国土交通省自動車局環境政策課にご出席をいただいております。

 それでは、開催に先立ちまして、小林水・大気環境局長よりご挨拶させていただきます。

【小林局長】 おはようございます。環境省水・大気環境局長の小林でございます。

 本日は、河野委員長、坂本部会長を初め、大変ご多用の先生方にお集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。

 また、日ごろから環境行政につきまして、いろんな形で、ご理解、ご支援をいただいておりますことにも厚く御礼を申し上げたいと思います。

 本日は、諸先生方には、いろんな形で日ごろからご尽力いただいて、ご指導いただいておりますが、この中央環境審議会の専門委員会としては、昨年3月以来の開催ということになります。この間の重要事項につきましてご報告を申し上げ、またいろんなご指摘を賜れば幸いでございます。

 まず始めに、乗用車の世界統一試験サイクルにつきましてご報告をさせていただきます。

 これは本年3月に、国連におきまして、統一基準として採択をされたものでございます。これに今後、日本としてもどう対応していくのかと、こういったところにつきまして、ご議論をいただくことになると思いますので、大変重要な動きであるというふうに考えているところでございます。

 また、ディーゼル重量車の使用過程で発生した排ガス後処理装置の問題、これもかねてからご指導賜っておりますが、この性能低下問題につきまして、別途の検討会で調査を進めてまいりましたが、本年3月に、調査報告を取りまとめておりますので、これにつきましてもご説明させていただきます。

 3番目の議題といたしましては、最近、世の中の大きな関心を持たれておりますPM2.5の問題でございます。これにつきましては、この中央環境審議会の中で、この部会に専門の委員会、専門委員会を立ち上げさせていただいております。大変国民の関心の高いものでございますから、一定の濃度になりました場合には、注意喚起をするというような対応、これは自治体と連携をとりながら、要因といっても、なかなかメカニズムが、国外の要因もございますし、国内要因も非常に多岐にわたると、また、その生成メカニズムもいろいろまだ複雑なものがあって、研究途上にある部分もございます。

 こういったことから、メカニズムの解明ということも、そちらの委員会では大きな課題としております。

 ただ、環境基準の達成率が非常にはかばかしくございませんし、世間の関心も高いというふうなところから、対応策につきましても、並行して検討し、政府が、私どもが発表いたしました、政策のパッケージの中でも、今年度内には、暫定的な、あるいは当面の対策の方向というものはぜひ打ち出していきたいと、こういうことも表明をしているところでございます。

 今年は、排ガスの分野のこの中で重要な役割を占めていくものと考えておりますので、また、いろんな形で、ご指摘、ご示唆を賜ればというふうに考えているところでございまして、今日もそういったところのご報告もさせていただくところでございます。

 こういったことを含めまして、自動車の排ガスの問題につきましては、引き続き、世界の関心は非常に高いと考えておりますし、重要な分野であるというふうに思っているところでございます。

 特に環境の規制と、それから自動車産業の競争率強化、これが両輪になって進んできた分野であるというように考えております。

 そういうことで、日本車が世界で大いに流通し、技術的にもリードし、こういうことと非常に分かちがたい関係にあるというようなことも意識をしているところでございまして、先ほど申しましたように、国際基準の策定というような動きが随分急でございます。今後、日本としても、これに積極的に参画をし、情報意見を発信していくということが重要であると考えているところでございます。

 そして、それが国内の環境改善にも結びついていくということが望ましいことではないのかなと考えているところでございまして、この辺につきまして、また先生方のいろんなご指導を賜ればと考えているところでございます。

 本日もどうか忌憚のないご意見を賜りまして、充実した審議ができれば幸いでございますので、よろしくお願い申します。

 申し訳ございません。私は、ちょっと所用がございまして、ここで失礼させていただきますが、眞先総務課長あるいは中谷室長以下でしっかりご説明してまいりますので、どうぞよろしくご審議のほうをお願い申し上げます。

【諸川室長補佐】 はい、ありがとうございました。

 それでは、小林局長ですが、ここで退席させていただきます。

 冒頭の撮影につきましては、ここまでとさせていただきます。ご協力よろしくお願いいたします。

 本日の会議は、公開とさせていただき、今回の議事要旨及び議事録については、委員の皆様のご了承を得た後に、ホームページにて公開させていただきたいと思います。

 それでは、お手元の資料について確認させていただきます。

 まず一番上に、議事次第がございまして、めくっていただきますと、本日の出席者、そして自動車排出ガス専門委員会の委員名簿でございます。

 続きまして、資料の番号が振ってあります資料53-1、こちらが前回、自動車排出ガス専門委員会第52回の議事要旨でございます。資料53-2、こちらが横の資料でございまして、WLTCの国内導入についてという資料です。

 続きまして、資料53-3、これは縦の1枚紙です。平成26年度の自動車排出ガス専門委員会等スケジュール(案)という資料でございます。

 続きまして、資料53-4-1、排出ガス後処理装置検討会最終報告という厚い資料の縦の資料でございます。

 続きまして、資料53-4-2、「排出ガス後処理装置検討会」報告書の取りまとめについてという資料で、ステープル留めの2枚紙でございます。

 資料53-4-3、排出ガス後処理装置検討会最終報告を踏まえた今後の作業の方向性についてという1枚紙でございます。

 資料53-5、これは横の冊子ですけれども、微小粒子状物質(PM2.5)に対する総合的な対策の取り組み状況という資料でございます。

 以上が本日の資料でございます。もし過不足等ございましたら、おっしゃっていただければと思います。

 それでは、専門委員会委員長でございます河野委員長に、これからの進行をお願いいたします。

【河野委員長】 おはようございます。河野でございます。

 何といってもサッカーは残念な結果になりまして、何かちょっと睡眠不足でボッーとされている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は私のことで、そういうこともありましたが、早速最初の議題に取りかかってまいりたいと思います。

 WLTCの国内導入についてということでございます。

 それから、同時に、二つ目の議題であります、平成26年度自動車排出ガス専門委員会等の進め方についてという議題に関しましても、事務局のほうから説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【諸川室長補佐】 それでは、資料53-2、WLTCの国内導入についてご説明させていただき、その後、資料53-3、平成26年度の自動車排出ガス専門委員会等スケジュール(案)について説明させていただきます。

 まず、資料53-2を使用しまして、WLTCの国内導入についてご説明いたします。

 WLTCの略は、右下にありますけれども、Worldwide harmonized Light duty Test Cycleの略でございます。

 2ページに移ります。

 WLTCの目的としましては、世界における典型的な走行条件を代表する全世界共通の軽量車テストサイクルを策定することでございます。

 テストサイクルについては、日本以外にもEUやインド、韓国、米国の実走行データをもとに策定されています。

 日本からは、現状の排出ガス試験モードであるJC08モードを策定したときに取得したデータ等を提出しております。

 中国についても、当初データを提出する予定でございましたけれども、結局未提出ということになっております。

 資料の右下になりますけれども、先ほどWLTCについては、Worldwide harmonized Light duty Test Cycleの略とご説明しましたけれども、WLTPというものが、また、ございまして、こちらはWorldwide harmonized Light duty driving Test Procedureの略になります。こちらは試験法の意味でございます。

 3ページに移りまして、参考としまして、平成24年8月の中環審第十一次答申の抜粋として、WLTCに関わる乗用車等の排出ガス低減対策について載せております。この中で、WLTCを導入することや、新たな排出ガス許容限度目標値を設定すること等が答申されてございます。

 4ページに移ります。

 昨年3月以降の主な動きについてご説明いたします。前回の専門委員会より後の進捗となります。昨年6月の第66回のGRPEにおいて試験サイクル策定作業の終了が報告されております。このGRPEとは、国連の下にある排出ガスエネルギー専門家会合の名称でございます。

 地域別のWeighting Factorにつきましては、各国で設定するような議論もございましたが、現時点では、設定しないということになりました。

 昨年8月には、試験法WLTPのgtr案を国連事務局へ提出し、11月の第67回のGRPEで承認され、翌年3月、今年の3月の第162回のWP29へ提出され、その場で採択されております。

 このgtrとは、global technical regulation、世界統一基準の略でございます。WP29とは、GRPEの上に位置づけられております、自動車基準世界調和フォーラムのことでございます。

 次の5ページに移りますけども、こちら4ページで説明しました、WP29やGRPEの組織構成について参考までに掲載しております。

 国際連合の下にあるWP29、自動車基準調和世界フォーラムというものがあり、その下に排出ガスエネルギー専門部会GRPEがございます。

 さらに、その下のグループにWLTPを議論するようなグループがあるということでございます。

 なお、参考までですけれども、排出ガスエネルギー以外にも、騒音などその他いろいろな分野がこのWP29において議論されております。

 6ページより、本日ご議論いただく試験サイクルの説明をしたいと思います。

 7ページでございますが、まず、車両のクラス分けと適用サイクルについてご説明いたします。

 このクラス分けについては、車両を縦軸のPMRと横軸の最高車速に応じてClass1からClass3まで区分しております。PMRとは、Power Mass Ratioの略でございます。

 縦軸をPMRで、横軸を最高車速にとっていますけども、まず縦軸ですけれども、PMRが34のラインと、22のラインで、Class1、2、3と分割しております。

 Class3につきましては、二つに分かれておりまして、最高車速が時速120キロを境としまして、Class3aとClass3bと呼ばれるものに分かれます。

 日本に存在する車両については、ほぼ全てClass3aとClass3bに該当します。Class3aにつきましては、主に軽貨物などの車両が該当しまして、それ以外については、Class3bという形になります。

 それぞれのサイクルについては、クラスごとにL、M、Hなど書かれておりますけれども、LがLOWで、MがMEDIUMで、HがHIGHで、ExHがEx-Highということで、それぞれのフェーズを足し合わせたサイクルということになります。

 Ex-Highにつきましては、各国のニーズにより除外することもできるということになっております。

 また、Ex-Highですけれども、一部の車両については、車両の仕様に応じて速度に追従ができない場合には、ダウンスケールと呼ばれる手法をとることができるということになっております。後ほど説明しますが、日本については、Ex-Highを入れるか入れないかですけれども、基本的には入れない方向で考えております。Ex-Highを入れない場合については、ダウンスケールについては、特に関係ないということでございます。

 8ページになりますけれども、これは最終試験サイクルのうち、Class3のサイクルでございます。Class3の中には、Class3のversion5.1と呼ばれるものとversion5.3と呼ばれるものがありますが、このサイクルでは、二つを一緒にしたサイクルになっています。少し見にくい形になっていますが、青色が、LOWで、緑色がMEDIUMで、黄色がHIGHで、赤がEx-Highという色分けになっています。

 Class3aの車両については、version5.1というサイクルを使います。Class3bについては、version5.3というサイクルを使います。

 微妙に速度が違って見えますけれども、version5.1のほうが、なだらかな速度になっており、先頭のところで、ピークのところがわかりますけれども、そこで違いがわかるようになっております。

 9ページは、Class2とClass1の最終試験サイクルとなっております。

 Class2とClass1のサイクルは、Class3と比べますと、加速度が違うということと、サイクルの波形も違うということがわかると思います。

 特にClass1については、非常にローパワーの車両が対象となっておりまして、サイクルがLOWとMEDIUMまでという状況になっております。

 10ページに移ります。

 WLTCと日本の走行実態を比較したものについてですけれども、今後、WLTCにつきましては、日本以外にも米国や欧州などのデータが入っておりますので、当然、日本の走行実態よりも高い速度、高い加速度の使用頻度というものが含まれております。この高い速度の部分については、Ex-Highというフェーズを設けておりますけれども、Ex-High フェーズについては、各国のオプションとすることで決着しております。

 次に、Ex-Highを日本としてどのように考えるかということですけれども、日本においては、国内走行実態としてEx-Highフェーズに該当する走行パターンについては、全走行の5%の交通量比でございまして、Ex-Highフェーズを含む速度、加速度分布は日本の走行実態と乖離があります。

 カイ二乗検定の値の結果では、37.250という非常な値になっております。これらのデータについては、11ページから12ページでご説明します。

 では、11ページからご説明いたします。

 11ページが、日本と世界5地域の交通量比になります。円グラフに書いておりますけれども、上のほうが日本の交通量比、下が世界World-wideの交通量比になっております。

 日本の交通量比を見ますとLOWとMEDIUMが非常に大きい割合ですけれども、その次に高い割合としましてHighがありまして、そして最後に、Ex-Highが5%であるということがわかると思います。

 一方で、その下に、World-wideについては、HIGHですとか、Ex-Highの交通量が多いということがわかると思います。

 12ページでございます。

 速度加速度分布の比較でございますけども、まず、このスライドの中央よりちょっと左側の上ほどに、統一された日本の速度加速度分布という図がありますが、これが日本の交通実態ということで考えていただければと思います。

 その下に、①から⑤の速度加速度分布がありますが、これらはWLTCのEx-Highを導入する場合ですとか、導入しない場合、もしくはWeighting Factorを入れる場合と入れない場合の組み合わせで分けた速度加速度分布でございます。

 また、<参考>については、参考までにJC08の速度加速度分布をつけております。

 ①から<参考>の数字がありますけども、このカイ二乗値という、それぞれのカイ二乗値、これは日本の速度加速度分布と比較した場合のカイ二乗値を記載しております。

 Ex-Highフェーズを導入しない場合として、②と④のカイ二乗値を検討したところ、②がversion5.3ですけれども、カイ二乗値が0.784、④が、version5.1のEx-Highフェーズを入れない場合ですけども、カイ二乗値が0.843となりまして、Weighting Factorを適用した場合、これは③ですとか、⑤ですけれども、こちらと比べたり、またJC08と比べた場合と同様な数値というふうになっております。

 ということで、Ex-Highフェーズを入れない場合でも、このような速度加速度分布になって、日本の交通実態と非常に近い状況になっているということがわかります。

 13ページに移ります。

 このような結果から、Ex-Highフェーズについての方針(まとめ)でございますけれども、WLTCのうちEx-Highフェーズを採用しないこととし、その他のLOW、MEDIUM、HIGHのフェーズは採用すると、その理由は、以下となります。

 一つ目の理由として、日本においては、国内走行実態としてEx-Highフェーズに該当する走行パターンは、全走行の5%にすぎず、また、Ex-Highフェーズを含む速度加速度分布は、日本の走行実態と乖離があるということでございます。

 二つ目の理由としまして、Ex-Highフェーズを導入しない場合には、カイ二乗値はWeighting Factorを適用した場合や、JC08のモードと同程度まで小さくなるということが挙げられます。

 以上のことから、Ex-Highフェーズを採用しないということでよいかと考えております。

 14ページから、WLTCのコールド・ホットの比率でございます。

 15ページに移りまして、WLTPのコールド・ホットですけれども、我が国においては、ポスト新長期以降、JC08で25%のコールドスタートをしたときの値、ホットについては、75%の比率にしております。

 一方で、欧州のほうでは、NEDCモードでは、コールドスタートのみの、つまり100%となっております。

 WLTPのほうでは、各国間でコールド100%とすることで、合意されております。このコールドスタートについては、排出ガスへの影響が大きいため、低温時の排出ガス性能をより多く、より高く評価するということで、WLTCにおいては、コールドスタートを100%としたことは合理的だと考えております。

 16ページについては、参考としまして、現行規制JC08モードのコールドスタートとホットのときの重み係数を計算したときの算出方法を掲載しております。コールドのほうが25%と申しましたけれども、このような条件、計算式でコールド25%、ホット75%ということを算出しております。

 17ページですけれども、JC08のコールド、そして、ホットの重み係数を算出したときの同じ条件、計算式で、仮計算した場合のものでございます。WLTCの距離については、JC08よりも長くなりますので、JC08と同じような計算をした場合、それぞれの重みを計算した場合は、コールドの割合が大きくなるということになります。これは仮計算の結果でございますけども、先ほど申し上げたとおり、WLTCについては、100%コールドです。コールドスタートを100%というふうにしますので、結局はこの左側のみで評価するということになります。

 最後になりますが、WLTCの国内導入に向けた今後の予定ということでご説明させていただきます。

 19ページです。

 試験サイクルが、JC08モードからWLTCへ変更されることに伴い、新たな排出ガス許容限度目標値の設定が必要となります。そこで、次回以降で、新たな排出ガス許容限度目標値及びその適用時期を議論していただければと考えております。

 以上でWLTCの国内導入についての説明を終わりまして、続いて、議題の2で用意されている資料ですけれども、資料53-3を使いまして、平成26年度の自動車排出ガス専門委員会等スケジュール(案)についてご説明いたします。

 次の答申の番号が、十二次答申になりますけれども、第十二次答申に向けた主な検討事項として、最初に掲げておりますけれども、次の答申では、乗用車等に係る世界統一試験サイクル(WLTC)の導入を考えております。

 また、WLTCを導入するに伴いまして、WLTCの排出ガス許容限度目標値や、その適用時期を第十二次答申に向けて検討いただくというふうに考えていただければと思います。

 その下に、スケジュールの表を載せておりますけれども、本日が一番上に載っております。その次のスケジュールとしまして、7月ですが、これは作業委員会のほうでの対応になりますけれども、WLTCの導入等に向けた業界ヒアリングを行うことを予定しております。

 また、次の専門委員会、第54回ですけれども、8月、9月辺りに考えておりまして、十二次報告案の取りまとめを考えております。

 続きまして、その次に、パブリックコメントを実施しまして、11月から12月辺りに大気・騒音振動部会のほうで十二次答申をパブリックコメントを踏まえてご審議いただければと思っております。

 そして、この具体的なスケジュールや実施内容については、今後の審議状況を踏まえつつ、適宜見直しする予定でございます。また、開催回数についても、今後変更があり得るということでございます。

 また、この実施内容、入っておりますけれども、書いたもの以外にも国内や国連における議論を踏まえて、実施内容を適宜追加することもあるということで、そこについては、ご留意いただければと思っております。

 以上で資料53-2と、53-3の説明を終わります。

【河野委員長】 はい、どうもありがとうございました。

 ただいまのWLTCの国内導入、それから、平成26年度の当委員会の進め方に関しましてご意見、ご質問等ございましたら申し出ていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

 何か非常に細かい話で、ちょっと疑問に思った、疑問というわけではありませんが、WLTCの4ページにあるglobal technical regulationというのは、これは世界統一基準gtrということですね。

【諸川室長補佐】 はい。

【河野委員長】 これは、どうして小文字なのですか。後は全部大文字ですよね。

【諸川室長補佐】 理由はわかりませんけども、小文字で使われているのを見ております。

【河野委員長】 はい。いや全く本論とは関係ない質問で失礼いたしました。

 ほかございませんか。

 Ex-Highは日本では、ほとんど使われてないということですよね。

【諸川室長補佐】 はい。

【河野委員長】 いかがでしょうか。

 本日は、WLTCを日本国に導入するかしないかということについて、皆様方のご意見を聞いて、もしよければ、これを導入するということを本日承認していただいて、次回以降、規制値等について議論をするという、そういうスケジュールということが、先ほどご紹介あったと思いますが、これは導入するということで認めさせていただいてよろしいでしょうか。

(異議なし)

【河野委員長】 では、そうさせていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは、次に移りたいと思います。

 3番目の議題、排出ガス後処理装置検討会報告についてということに関して、事務局のほうから説明をお願いしたいと思います。

【諸川室長補佐】 それでは、議題の(3)の資料についてご説明させていただきます。

 こちら資料の53-4-1から53-4-3、3種類使って説明させていただきます。

 まず、排出ガス後処理装置検討会最終報告については、資料53-4-1の冊子として配付しております。

 資料53-4-2が、プレス発表資料でございます。こちら本件は、今年の3月28日に環境省、国土交通省両省においてプレス発表しております。

 こちらの資料を基本に報告書の内容についてご説明したいと思っております。

 平成17年規制、新長期規制と呼んでいますけども、それに適合したディーゼル重量車のうち、排出ガス後処理装置として尿素SCRシステムを搭載したものについて環境省の調査により、使用過程で同システムの性能が低下して、窒素酸化物NOxの排出量が増加する事例が確認されたところでございます。

 このため、環境省及び国土交通省において、平成24年より学識経験者等からなる排出ガス後処理装置検討会を設置し、原因究明及び対策の検討を進めてまいりました。

 この検討会では、本専門委員会の委員でございます塩路委員に座長をお引き受けいただきまして、また、本日もご出席いただいている多数の専門委員の皆様にご協力いただきまして、検討を進めてまいりました。

 本検討会においては、昨年3月に中間報告を取りまとめてから、平成25年度に6回の会合を開催し、メーカーからのヒアリング、交通研による実測調査、ワーキンググループによる作業等により、検討を進めまして、今年3月に最終報告を取りまとめたという形になります。

 それらの平成25年度の経緯については、報告書、資料53-4-1の最終ページに経緯が載っておりますので、そちらをご覧いただければと思います。

 また、64ページの一つ前の63ページには、検討会の委員の先生の名簿を載せております。

 また再度資料53-4-2、プレス発表資料のほうにまた戻っていただきまして、報告書のポイントという半分より下のところについてご説明したいと思います。

 1ですけれども、平成17年規制の適合車については、平成25年3月に公表した中間報告において、性能低下の主な原因は、SCR触媒のHC被毒であるということを特定するとともに、尿素SCRシステムを昇温すれば、性能が一定程度回復することから、関係する自動車メーカーによる同システムの定期的な昇温を行うよう求めておりました。

 このため、今回の最終報告書においては、この昇温作業の実施状況と効果を評価の上、関係メーカーに引き続き実施を求めることとしました。

 また、中間報告においては、尿素SCRシステムを構成する前段酸化触媒の劣化のメカニズムの検討が課題となっておりましたため、平成25年度の検討会においては、そのメカニズムの検討も行っております。

 2、現行の平成21年規制、ポスト新長期規制適合車についてご報告します。

 平成21年規制適合車についても調査したところ、一部の車種については、NOxの排出量に若干の増加が見られたものの、排出ガス後処理装置の性能は、使用過程において概ね適切に維持されていると判断されました。

 ③今後の方向性でございます。

 平成17年規制適合車については、関係メーカーに対して尿素SCRシステムの昇温作業の実施率の向上等の積極的な取組と環境省及び国土交通省への定期的な報告を求める。

 平成21年規制の適合車については、今後の使用過程で走行距離が伸びた場合の排出ガス性能について、環境省、国土交通省及び関係メーカーが連携して実測調査を実施する。

 平成28年からの次期規制に向けて、メーカーには、本報告書を参考に、今後の技術開発において排出ガス後処理装置の耐久性の一層の確保を図ることを求める。

 また、使用過程での性能維持方策として各種センサー等により性能低下を検出する高度な車載式故障診断システム、OBDシステムがございますけれども、こちらについては、平成22年の中環審の第十次答申において、平成28年、2016年の次期排出ガス規制開始から概ね3年以内、つまり平成31年までに義務づけるということを提言しているところでございますが、これを1年前倒しして、平成30年より義務づけるということにしております。

 触媒の性能低下のメカニズムについては、未解明の事項が多いということなので、環境省及び関係メーカー等が協力して、引き続き、中長期的に調査研究を実施すべきということが取りまとめられております。

 ここまでが報告書のポイントとなります。

 続いて、資料53-4-3、1枚紙でございますが、そちらに基づいて、排出ガス後処理装置検討会最終報告を踏まえた今後の作業の方向性についてご説明いたします。

 (1)新長期規制適合車の昇温作業ですけれども、先ほどの報告書にもありましたけれども、関係する自動車メーカーにおいては、昇温作業の実施率をさらに向上させていくため、ユーザーへの周知を徹底するとともに、引き続きユーザーが継続検査等のために整備工場に車両を持ち込む機会等を利用し、定期的な昇温作業を実施するということになります。

 実施状況については、環境省、環境省経由で自排専及び国土交通省へ定期的に報告いたします。

 (2)ポスト新長期適合車の使用過程での排出ガス性能に係る調査ですけれども、今後の使用過程で走行距離が伸びた場合の排出ガス性能について、使用過程車についての実測調査を環境省、国土交通省及び関係する自動車メーカーが連携して、継続的に行い、またメーカーは自主調査の結果を環境省及び国土交通省に定期的に報告することにより、今後の推移を把握いたします。得られた知見については、自排専に適宜ご報告させていただきます。

 (3)触媒の被毒や性能低下のメカニズムに係る検討でございます。

 新長期規制及びポスト新長期規制の触媒の被毒や性能低下のメカニズムについて、環境省、自動車メーカー、触媒メーカー等が協力して、中長期的に調査研究を実施する。

 進捗状況を自排専に適宜報告。得られた知見は国土交通省とも適宜共有。

 具体的な検討体制、メンバー、作業スケジュール等は、環境省において今後検討の上、自排専に報告する。

 (4)排出ガス試験法見直し等に係る検討。

 検討会の最終報告を踏まえまして、国土交通省、交通安全環境研究所自動車審査部、日本自動車工業会等から構成されるワーキンググループにおいて、道路運送車両の保安基準及び関係する法令基準等の改正作業を進める予定でございます。

 改正の進捗状況、具体的な内容については、環境省と適宜情報共有。必要に応じて自排専にも報告する。

 触媒の被毒や性能低下のメカニズムについて、(3)の検討が進展すれば、必要に応じて排出ガス試験法への見直しへの反映を中長期的に検討する。

 PEMSの活用方法については、国土交通省、環境省、日本自動車工業会が連携して検討します。進捗については、自排専にも適宜報告する。

 ということで、最終報告で、今後の課題とされた事項については、こちらの自動車排出ガス専門委員会にも適宜ご報告させていただきたいと思っておりますので、フォローアップのほうをお願いできればと思っております。

 また、本検討会におきまして、ご協力いただいた委員の皆様におかれましては、この場をかりて、改めて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 事務局からの報告は以上となります。

【河野委員長】 はい、どうもありがとうございました。

 今最後におっしゃったように、これに関係されている皆さんご苦労さまでございました。

 それから、塩路さん、今日は欠席ですが、何か格別にご伝言があったとかいうことはありますか。

【諸川室長補佐】 特に、はい。

【河野委員長】 それでは、ただいまの説明に対しまして、ご意見、ご質問等をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 報告書の最後のほうに、銅ゼオライトを使う場合には、何か試験法みたいなものが書いてありましたね。これでやって、銅が排出されていなければ使ってもいいのではないかというようなことでしたが、ここら辺は今どういう状況になっていますか。銅ゼオライトの使い方とか、そういうことについては、岩本先生はご存じでしょうか。

【福島室長(国土交通省)】 オブザーバーの国土交通省でございます。

 銅ゼオライトの触媒につきましては、前回の専門委員会、環境省さんからご報告があったかと思いますけれども、この後処理装置の検討会の中間報告の際に、今後、低温での排出ガス対策というものに起因すると鑑みて、銅ゼオライトの活用が進むことが期待されることから、今現在、銅につきましては、環境中に排出されないことというガイドラインはございますけれども、その確認方法を整備すべきだという報告が昨年で出ております。

 それを踏まえまして、資料53-4-1、最終報告の本体でありますけれども、この59ページ、参考資料4、これは国土交通省のほうから出ております通達でありますけれども、銅ゼオライト触媒からの銅排出が行われないことを確認するための確認方法というものが60ページ、61ページに書いてございます。それと通達といたしまして、自工会、あと海外メーカーとも通達しておりまして、このはかり方でもって、銅が出ていないということを確認すれば、いいですよという一つの例示としてお示ししたところでございます。

 銅ゼオライト触媒につきましては、これまでも自動車メーカーのほうへ環境中に排出していないということを確認した上で使っておられましたが、その確認方法は個別の案件ごとに、自動車メーカーのほうで方法を考えて、それを国土交通省のほうで確認するということにしておりましたけれども、こういう通達を出しまして、考え方を整理することでもって、この考え方によって確認してくだされば、支障はなかろうということになっておりますので、今後も、この方法などを使用して、もちろん従来の各社独自の方法でも排出されないのであればそれで結構ですし、普及が進んでいくというふうに分析してございます。

【河野委員長】 ありがとうございました。

 ほかに何かご質問等ございませんでしょうか。

【坂本委員】 私は触媒の専門じゃないので、よくわかりませんが、資料53-4-1で新長期規制と、それからポスト新長期規制で変わったところというと、DPFをつけたというところが大きな違いになっていて、今回のポスト新長期規制のものでは、今のような問題は起こらなかったということですけれども、DPFのところにたまったものを燃やしたときに、サルフェートがかなりたまっていたものが出て、後でSCR触媒のほうに妨害をするということも、これは温度を少し上げているので起こらなかったということになるのでしょうか。

【諸川室長補佐】 はい。DPFの再生において後処理、再生温度が高まりまして、それによって前段酸化触媒のほぼ被毒が起きなかったのではないかと考えられるという状況でございます。

【坂本委員】 SCR触媒の部分の温度は上げてないのですか。

【諸川室長補佐】 はい。DPFの再生のときの温度でございます。

【大聖委員】 SCRは当然上がるわけです。

【坂本委員】 その前のほうのガスの温度がその分だけ上がると、そういう形ですか。

【大聖委員】 はい、そうです。大体500度ぐらいは上がります。

【坂本委員】 よくそのDPF触媒で潤滑油とか、いろんなものに入ったものも含めて、そこにたまっていたものが、かなり燃やしたときに出て、サルフェートの濃度なんか、あるとき瞬間的に高くなるとかね、そういったことがあるので、場合によると、SCR触媒のところが温度が上がっていなければ、同じようなことがまだ起こっているのだろうという推定をしたのですが、今大聖委員のお話から聞きまして、DPFのところの温度を上げているので、その後、まだガスの温度が下がらない状況でSCR触媒のところへ行くから大丈夫だということを聞いて、だったらそうかなというふうな形が多少わかりました。ありがとうございます。

【岩本委員】 岩本です。少し補足をさせていただきます。この厚いほうの資料53-4-1の31ページを見ていただけるでしょうか。硫黄がアルミニウムに付着すると確かに触媒活性が低下しますが、低下はある一定の温度範囲で起こることがわかります。今ご心配のところは、硫黄があまりたまらなくなった温度、高温側ということなので、大聖先生がご説明くださったように、問題が起こりにくいゾーンということになります。

【河野委員長】 よろしいですか。

 ほかにございますか。

(なし)

【河野委員長】 ないようでしたら、これは報告書のご説明ですので、承認を受けるというようなことはございませんので、続きまして、4番目の議題であります、微小粒子状物質PM2.5に対する総合的な対策の取り組み状況についてということで、事務局のほうからご説明お願いします。

【諸川室長補佐】 それでは、事務局のほうより、資料53-5に基づきまして、微小粒子状物質PM2.5に対する総合的な対策の取り組み状況についてご説明いたします。

 本件は、環境省のほうで行っております、PM2.5に対する総合的な対策の取組の状況のご報告になります。

 本資料の構成は、三本構成となっておりまして、最初にPM2.5の総合的な対策が求められている背景を説明しまして、その後、2番目に、総合的な対策に取り組むに当たり、基礎となる発生源情報の整備、いわゆるインベントリ等の整備についてご説明したいと思っております。

 最後3番目に、今後の予定をご報告いたします。

 このPM2.5の取組に関しては、後ほど出てきますけども、自動車関係の取組もございまして、その取組については、自動車排出ガス専門委員の各委員の皆様にご認識いただきたいと思っておりまして、そのための今回ご報告するという趣旨でございます。

 2ページが、1番目のPM2.5の総合的な対策が求められている背景でございます。

 3ページですが、背景についてご説明いたします。

 我が国におきましては、これまでの規制等、大気汚染防止法や自動車のNOx・PM法などの規制などの取組により、大気環境の保全に努めてきておりまして、SO2、NO2などの濃度は大きく改善しております。

 一方で、平成21年9月に環境基準が設定されたPM2.5については、環境基準の達成率は非常に低い状況となっておりまして、大気環境行政における残された大きな課題となっております。

 自動車排出ガス専門委員会の中環審第十一次答申(平成24年8月)におきましては、これまでの排出ガス規制等によるPM低減対策を着実に実施するということとされております。

 また、今後については、PM2.5に対する総合的な対策等を検討する中で、自動車に必要な対策についても検討するということとなっております。

 平成25年1月ですけれども、中国におきましてPM2.5における深刻な大気汚染が発生して、我が国でも一時的に濃度の上昇が観測されたことによって、国民の関心が高まり、PM2.5による大気汚染に関して包括的に対応することが求められているところでございます。

 これを踏まえまして、環境省においては、昨年12月にPM2.5に関する総合的な取組、政策パッケージを取りまとめたところでございます。

 この政策パッケージにおいては、PM2.5の対策を進めるために、中環審に新しい専門委員会を立ち上げております。

 微小粒子状物質等専門委員会、以下この資料では、PM2.5等専門委員会といいますけれども、こちらが新しく設置されております。

 4ページでございます。背景の(2)を説明いたします。

 発生源情報、いわゆるインベントリ等の整備につきましては、PM2.5の具体的な削減対策を講じる上で、基礎的な情報となるものでございます。

 昨年度PM2.5排出インベントリ及び発生源プロファイル策定委員会、以下この資料では、PM2.5インベントリ等検討会を設置し、PM2.5の発生源情報の把握に着手したところでございます。

 この下の図にあります、黄色い枠組みの発生源情報がこのPM2.5インベントリ等検討会の実施内容に相当する部分でございますけれども、その上に、微小粒子状物質等専門委員会と書いていますけども、この専門委員会は、本パッケージにある各取組と有機的に連携するということとなっておりますので、PM2.5インベントリ検討会から、この上のPM2.5等専門委員会に対して、適宜状況が報告されるという形になっております。

 ここまでが背景となります。

 参考資料としまして、5ページから載せておりますけれども、まず環境基準達成状況等についてですけれども、この資料では、SO2、NO2、STMの物質について一般環境大気測定局、一般局と自動車排出ガス測定局、自排局における環境基準達成状況、そして、平均濃度の推移を示しております。

 まず、一番上が、SO2ですけれども、SO2については、一般局が99.7%、自排局が100%となっております。

 次に、(2)のNO2ですけれども、これは一般局が100%、自排局が99.3%。

 (3)SPMについてですけども、SPMについても、一般局が99.7%、自排局が99.7%という達成状況になっていることがわかると思います。

 6ページには、PM2.5の環境基準達成状況を載せております。PM2.5の環境基準については、平成21年9月に定められておりまして、その後、測定していますので、平成22年、23年、24年の3カ年のデータのみでございます。達成率は上がっているという状況になっておりますけれども、数字自体はこのような状況になっているということでございます。

 7ページですけれども、こちらも参考ですけれども、平成24年8月の中環審の第十一次答申、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について、本件の関連部分の抜粋を添付しております。説明は割愛いたします。

 8ページ、こちらも参考ですけれども、微小粒子状物質等専門委員会の委員名簿を添付しております。

 次に、2.発生源情報の整備についてご説明いたします。

 10ページ、こちらの資料は、第1回の微小粒子、PM2.5等専門委員会の資料で使われたものでございまして、その資料をもとに発生源情報の整備の背景について説明させていただきます。

 PM2.5につきましては、発生源から粒子として排出されるもの、これを一次粒子といいます、それと排ガス状の物質として排出されたもの、これは前駆物質と呼ばれますが、それが大気中で化学反応を起こして粒子化するもの、これを二次生成粒子と呼び、一次粒子と二次生成粒子、この2種類が存在します。

 したがって、PM2.5の総合的な対策を行うためには、各発生源からの一次粒子としてのPM2.5を排出量のみならず、二次生成粒子となる前駆物質の排出量を把握する必要があるということが言えます。

 発生源情報を整備していくことで、主要な排出源が特定されて、優先すべき排出量削減の区分ですとか、どの排出源についてデータが不足しているかというものが明らかになると考えられます。

 排出インベントリというものは、各発生源から排出される物質の排出量を物質別に産業別や燃料別、各発生源別に整理したものでございます。このPM2.5の一次粒子については、自動車などで整備が進んでいるものもあります。また、前駆物質については、環境省で行っておりますVOCの調査がありますが、後はその他一部民間研究機関や地方自治体においても、個別に発生源情報の整備に取り組んでいるところでございますけれども、環境省や国全体でPM2.5の発生源情報について、整備もしくは管理されているものは、現時点では存在していないという状況でございます。

 このため、有効なPM2.5発生源情報の整備について、平成25年度から着手するということになっております。

 11ページでございますけれども、発生源情報の整備に関しまして、今後の検討項目、今後というのは、主として今年度を意図しておりますけども、こちらの項目についてご説明いたします。

 大きくは、固定煙源の発生源情報の把握、自動車の発生源情報の把握、環境省排出インベントリの整備の三つを行いたいと思います。

 2番目の自動車につきましては、これまでもPMの排出量の把握はしておりますけれども、さらなる排出量の把握に向けまして、ガソリンのPMの把握、そしてガソリン車の燃料蒸発ガスの実態把握を行いたいと考えております。これらのデータを使いまして、また、自動車だけではなくて、固定煙源のデータも合わせまして、昨年度整備に着手しました排出インベントリを一部更新していきたいと思っております。

 これらの項目のうち、この自動車関連につきまして、次のスライド以降でご紹介したいと思います。

 まず、ガソリン車のPMでございますけれども、検討することになった背景ですけれども、従来から環境省で行っている自動車からの排出原単位に関する調査においては、ガソリン車からのPMの排出原単位をゼロというふうに設定しておりましたけれども、ディーゼル車の排出量が大幅に低減されているということですとか、ポート燃料噴射方式と比較してPMが多く排出されると考えられる筒内直接燃料噴射方式のエンジンを備えたガソリン車、つまり直噴ガソリン車と言っていますけれども、近年普及しているということが考えられますので、ガソリン車のPMについての排出実態の把握が必要と考えております。

 調査対象については、寄与率が比較的高いと思われる車両重量クラスや、排気量で選んでいきたいと思っております。条件はもちろん直噴ガソリン車でございます。

 調査方法については、JC08モード等で考えていきたいと思っております。

 計測項目については、PMの重量だけではなくて、成分も見ていきたいと考えております。

 続いて、自動車関係の二つ目の取組ですけれども、燃料蒸発ガスについてご説明いたします。

 まず、検討することとなった背景ですが、背景といいますか、これまでの燃料蒸発ガス規制の経緯をここに書いております。

 その経緯を簡単におさらいいたしますと、燃料蒸発ガス規制については、エンジンやキニャスタ等の大気開口部から排出される燃料蒸発ガスを捕捉するHSL、ホット・ソーク・ロス規制ですとか、駐車時に外気温を熱源として排出される燃料蒸発ガスを規制するDBLと書いていますけども、ダイアーナル・ブリージング・ロス規制を導入してきております。

 また、燃料の蒸発性の指標であるリード蒸気圧については、その値が試験結果に大きく影響すると考えられたことから、このリード蒸気圧の範囲を従来よりも狭くしまして、56kPa以上60kPa以下といったような規制が導入されているところでございます。

 また、市場に供給されている燃料については、燃料生産者の自主的な取組により、平成17年から72kPa以下、また平成17年から65kPa以下に低減することができたとされております。

 燃料蒸発ガスについては、このような経緯で、重ねて規制強化をしているという状況でございます。

 一方で、車両の技術開発の進歩や、車の使い方の変化による燃料蒸発ガスの排出実態の変化を確認するため、今年度調査を行うということを考えております。

 調査方法についてでございます。

 基本的には、具体的な検討はこれから行うという前提でございますけれども、一つ目のチェックでございますが、ガソリン車からの燃料蒸発ガス排出量について、国内外の計測結果や推計手法を調査し、ガソリン車からの燃料蒸発ガスの排出量の算定に必要なデータを整備したいと考えております。

 二つ目ですけれども、アンケート調査を考えております。

 調査項目は、地域、用途、車種、始動時刻、運転時間、駐車継続時間等について調査を行いたいと思っております。

 調査期間は、個々の車両ベースで、1週間以上連続した調査ができればと考えております。

 今後の予定でございます。

 非常に簡単でございますけれども、自動車関係の発生源情報(ガソリン車のPM、燃料蒸発ガス排出量)については、今年度、把握に着手する予定でございます。

 取組状況については、自動車排出ガス専門委員会に適宜ご報告する予定でございます。

 また、自動車を含めた全体の発生源情報の取組状況については、PM2.5等専門委員会へ適宜ご報告する予定でございます。

 以上をPM2.5に対する総合的な対策の取組状況についてご報告を終わります。

【河野委員長】 はい、ありがとうございました。

 ただいまのPM2.5に対する総合的な対策の取組についてということで、ご説明がありましたが、ご意見、ご質問等あれば、お申し出いただきたいと思います。

【後藤委員】 12ページのガソリン車のPMのところで2点ほど教えていただきたくて、質問したいと思います。

 調査方法の試験方法のところでですね、1車両当たり10種類程度とするというふうに書いてありますけれども、これ10種類というのは何が10種類なのか、この表現ですと、よくわかりにくいと思ってですね、どういうことでしょう。

【諸川室長補佐】 説明は確かに不十分でございまして、JC08モード以外にも、国でつくったモード以外にも、一部の研究機関で速度別のモードをつくっているというふうに聞いていますので。

【後藤委員】 モードが10種類程度という意味ですね。

【諸川室長補佐】 はい、そうです。そちらを使いたいというふうに思っています。

【後藤委員】 そういう意味ですか、わかりました。

 あともう1点はですね、下の計測項目のところで、PM重量をはかるのは、もちろんでしょうが、欧州ではかられているPNについては、今回ははからないのでしょうか。

【諸川室長補佐】 予定の中では、はからないというふうに考えております。

【後藤委員】 そうですか。

【諸川室長補佐】 はい。

【後藤委員】 せっかくでしたら、はかったほうがいいのではないかというふうに思ったので、お聞きしましたが。

【大聖委員】 大変でしょうが、分布もできれば測って頂ければと思います。

【後藤委員】 分布もというお話もありましたけど、ご検討ください。

【諸川室長補佐】 はい、検討させていただきます。

【河野委員長】 はい、どうぞ。

【岩本委員】 わかっていたら教えていただきたいのですが、5ページ目に、経年変化がプロットしてございます。上の二つは大きな波があったりして、理解できる変化なのですが、一番下だけ何かすごく極端な変化が2回ぐらい起きています。これはどうしてだろうと疑問に思っています。

 つまり、2004年から2005年ぐらいで、ドーンと上がって、また落ちている。それから、2008年から2010年ぐらいのところも同じように落ちている。こういう変化がなぜ起こるかがわかれば、因果関係がわかり、どこを押さえれば改善できるかがわかってくるのではないかと思います。いかがでしょうか。

【河野委員長】 何か海外からの影響とかいうのが、随分話題になったところですよね。【中谷室長】 わかる範囲でお答えして、足りないところは、坂本部会長に補足いただきたいと思いますが、聞いているところですと、直近で2011年、かなり落ち込んでおりますが、一応原因として考えていますのが、日本に黄砂が越境ということで、主に中国から飛んできており、その影響がかなり高かったのではないかということで、その結果、SPMの濃度が上がって、達成率が下がったというふうに考えておりまして、その前の状況も多分同じようなことかなとは思っていますけども、ですから、国内だけではなくて、越境の汚染の状況というのが影響しているのではないかというふうに見ているところです。

【岩本委員】 はい、わかりました。ありがとうございます。

 そうすると、例えば、国内の努力だけではどうしようもないところがある可能性があるわけですね。そういったときには、例えば達成基準の決め方の中に、ほかからの因子を明示できるようにしておかないと、国内は頑張っていますよということがわからなくなってしまいますね。その辺は考えていただいたほうがいいかなと思います。

【諸川室長補佐】 はい。

【坂本委員】 今のSPMのところについては、室長からお話があったようなのが、まさに黄砂が時々来ると、そういうことで、かなりばらつく原因があるのは、もう一つは、環境基準の達成した、しないというのに、2日連続情報というのがあって、SPMの場合には。そういう黄砂の影響が大きく出るような形で達成、達成した、非達成というのを決める部分があるということ。

 それから、もう一つ、今2002年から4年にかけて急上昇したのは、これは都市部でかなり悪かったものが、1都何県何市の使用過程車に対する規制が、この2003年のたしか10月ぐらいにやられたと思いますが、そして2003年から急激に自排の測定局の達成率が上がってきたというのは、かなり直接的な効果があったということを示しているのではないかと思います。

 それから、環境基準の達成率については、SPMのときには、まだそういったことはあまり言ってなかったのですが、PM2.5になってからは、例えば、黄砂が原因であるような形で達成率が落ちた場合には、黄砂の原因で除くとこのぐらいとか、両方の表現があって、黄砂の影響も少しわかるような形で表現をしてもらうというようなことになっているかと思います。そういう状況です。

【河野委員長】 はい、ありがとうございました。

 そうしますと、ついでに、ページめくっていただいて6ページですが、6ページを見ますと、両方とも達成率が低いなというのがわかりますが、それから、あと一般局と自排局を比べますと、自排局のほうが1マイクログラムから2マイクログラムぐらいちょっと大きいかなというので、車の影響があるかなという感じもしますが、それと、自排局のほうは、22年度は低かったのですが、23年度急に大きくなっているというような結果が出ていますが、これについてのコメント、これはどう解釈すればいいのかというようなことをご説明いただけますか。

【坂本委員】 まず、この数値をどう見るかというのは、22年、23年、24年というのは、測定局が整備されていく状況で、測定局数が違っているということをまず基本的に考えなければいけないから、トレンドとしてそれをやや見てはいけない部分がある。もし全く同じ測定局について、22、23、24という形で比較していくと、恐らく、今河野先生が言ったような形で、エレメンタルカーボンなり、ディーゼルのすすなり、かなり減っている部分が、この自動車排ガス測定局と一般局の差を示していて、ある時点まではディーゼル自動車のすすが減っていくと、かなり自排局の濃度が減っていったのが、だんだんそこまでは減らなくなってきているというのが今の実情かなというふうに思います。

【河野委員長】 はい、ありがとうございました。

 ほかに、よろしゅうございますか。

 はい、どうぞ。

【坂本委員】 先ほど、かなり越境汚染の影響があるというような形でお話が出ていて、日本で何かやったら、実はほとんど効果が上がらないのかというようなことがあったと思いますが、必ずしもそれはそうではないだろうと、私自身は思ってございます。

 それはどういうことかというと、いろんな成分を見ていきますと、当然国外からの越境成分がかなりあるわけですけれども、国外から越境成分が比較的少ない成分で国内からのものがかなりのウェイトを占めるものがある。そして、例えば、浮遊ナイトレート硝酸塩なんかは、かなり高濃度になってまいりますけれども、SO2、サルフェート、それからNOx、硝酸塩、そういうものに比べてナイトレートのほうが寿命がずっと短い、反応も非常に早い、そういったことを考えると、当期における高濃度のかなりの部分を硝酸塩が関わっていて、その部分については、都市部で硝酸、NOxの排出量が減れば、減る要因はあるのだろうと、かつこれはいろいろなシミュレーションもまだ十分ではない状況ですけれども、感度解析をしていくと、結構NOxが減れば、減る可能性がありそうだというようなところの情報は出つつあるという状況です。

 それで、もう一つ、NOxが減ると、オゾンとの関係、それからVOCからの二次生成の粒子、そういったところにも先々効果が出てくる可能性はありますので、その辺のところは今後、注目して見ていき、かつメカニズムも含めて、きちんと研究をしてやっていく必要があるだろうというふうに思います。

 あと私、少し今回の調査で排ガスを測定するとき、アンモニアは全くはからないのか、もしNOx還元触媒が、新車の場合だと、ほとんどあれだから、なかなか結果は出てこないのかもしれませんが、ずっと以前に戸田の美女木で、NOxとアンモニアを、交通の量の多い交差点のところから距離別にはかると、NOxとアンモニアはまさにリニアな関係が出てくるということで、自動車排ガスからアンモニアがある程度出ているということは事実なのですね。

 そういう反応をする片割れと一緒に出るということは、まだ濃度が希釈されていくところで反応するとしたら、よりほかよりも効果が高かったりする可能性もあるので、アンモニアについても、使用過程車のほうが多いとは思いますが、ちゃんとはかっていただく必要があるのかなという気がいたします。

 それから、今日、自動車ということですけれども、もう一つは、ディーゼル自動車から出る分子量に比較的大きい、ガスと粒子、ガスのほうに比較的粒子に対するような部分についても、従来は、反応性が低いからという形で考えていたものも、どうも長い時間かかると反応して、酸化されていって、だんだん分子量が上がっていき、有機エアロゾルを増やすほうに効いている可能性もありそうだとかいうようなこともわかってきているということで、ある意味では、数値といったところについても見ていく必要があるのかなという気がいたします。

 それから、あともう一つは、今自動車排ガスの場合には、あまり問題はなくなってきたかと思いますが、排ガスエミッションインベントリを測定するとき、どうしてもなかなか水分の凝縮を防ぐために、温度の高いところでかつては測定をしていた、ディーゼルもそうだったわけですね。それがやっとだんだん温度を下げていって、環境中の温度に近づいてきたので、エミッションインベントリ、もしくは、そういった形ではかったものが環境中の濃度を推定するのに利用できるようになってきたわけだけれども、固定発生源のほうについては、まだまだそういうところへ行っていないというところがあって、我々はそういうエミッションインベントリなり、そういった形で出たものが、どういう測定方法をされたものか、環境中の濃度を推定するために、1対1対応で見られるものなのかというようなのを注意して、より環境濃度を推定するのにふさわしいエミッションを測定していくような形にやっていかないといけないのではないかということを少し付加して申し上げたいと思います。

 以上です。

【河野委員長】 はい、ありがとうございました。

 いろいろ勉強させていただいて、非常に貴重な意見をありがとうございます。

 ほかに何かございますか。

【大聖委員】 今の坂本先生のご指摘に関連して、少し申し上げますと、例えば、DPFや、酸化触媒に付着しているPMが急に高温になったり、再生のとき等がそうですが、揮発成分が出てきて、それが大気中で凝縮するということがあり得ます。ですから、DPFというのも完全に粒子を通常は捕捉していますけれども、そういう急に高温になるような状態のときには、そういうものが出てきて、凝縮性の粒子状物質を形成するという可能性があります。

 そこで、酸化触媒も酸化はある程度されるわけですが、そこで酸化し切れないというケースがあり得るということです。

【河野委員長】 それはあれですかね。今のモードでは含まれてない。

【大聖委員】 再生は含まれてないです。

【河野委員長】 そのときは。

【大聖委員】 再生のときですね。

【河野委員長】 そうですね。あり得ますよね。

【大聖委員】 全体としては、割合は少ないと思いますけども。

【河野委員長】 はい、ありがとうございました。

 ほかに。はい、どうぞ。

【後藤委員】 今の質問、坂本先生のほうからお話のあった中で、特にアンモニアについてですね、触れられたのは、非常に大事だと思っていまして、今の中では、アンモニアというのは、あまり対象に入れられていない感じがしますけども、非常に見ていく必要があるというふうに私も思っております。ぜひとも考慮していただければと思いました。

【河野委員長】 はい、ありがとうございました。

 ほかにございませんか。

(なし)

【河野委員長】 ないようでしたらですね、前半等の議題につきましても、何かご発言あれば、少し時間がありますので、質問していただいたらと思いますが、ございませんか。

(なし)

【河野委員長】 ないようでしたら、少し時間が早いのですが、本日の議題は全て終了したということにさせていただきます。

進行は、再び事務局のほうにお返しいたします。よろしくお願いします。

【諸川室長補佐】 河野委員長、どうもありがとうございました。

 本日は、長時間にわたり、ご審議いただきまして、まことにありがとうございました。

 これにて終了させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。