中央環境審議会 大気・騒音振動部会 第5回 議事録

1.日時

平成26年4月18日(金)13:00~14:37

2.場所

ホテルフロラシオン青山 1階 ふじ

3.出席者

(部会長) 坂本 和彦
(委員) 相澤 好治 浅野 直人 礒野 弥生
大塚  直 小澤 紀美子 橘  秀樹
(臨時委員) 小倉  滋 梶原 泰裕 片谷 教孝
金子 成彦 岸  玲子 島  正之
大聖 泰弘 武林  亨 谷口 博昭
前田 義秀 町田 信夫 山本 貢平
若松 伸司
(健康リスク総合専門委員会) 内山 巌雄(委員長) 青木 康展(専門委員)
(環境省) 小林水・大気環境局長
平岡審議官
真先総務課長
難波大気環境局長
大村自動車環境対策課長
中谷環境管理技術室長
高林総務課課長補佐
横山総務課課長補佐
山根大気生活環境室室長補佐
中村大気環境課課長補佐

4.議題

  1. (1)水銀大気排出対策小委員会の設置について
  2. (2)今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十次答申)(案)
  3. (3)騒音・振動に関する取組状況について
  4. (4)その他

5.配付資料

資料1-1 水銀大気排出対策小委員会の設置について
資料1-2 中央環境審議会大気・騒音振動部会の小委員会の設置及び運営方針について(案)
資料2-1 健康リスク総合専門委員会報告について(概要)
資料2-2 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十次答申)(案)
資料3 騒音・振動に関する取扱状況について
参考資料1 中央環境審議会大気・騒音振動部会委員名簿
参考資料2 中央環境審議会関係法令等
参考資料3 新旧対応表(中央環境審議会大気・騒音振動部会の小委員会の設置及び運営方針について)
参考資料4 水銀に関する水俣条約の概要
参考資料5 水銀に関する水俣条約第8条(排出)の概要
参考資料6 水銀に関する水俣条約(仮訳文)
参考資料7 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(諮問)
参考資料8 「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について(第7次答申及び第8次答申)」
参考資料9 「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」(改定)に係るフロー図
参考資料10 「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」用語集

6.議事

【難波大気環境課長】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第5回大気・騒音振動部会を開催いたします。本日の出席状況でございますけれども、委員総数32名のうち、現時点で19名の委員の方にご出席をいただいておりますので、定足数、過半数に達していることをご報告させていただきます。

 お手元の配付資料でございますけれども、議事次第に配付資料一覧を記載してございます。資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
 ここで事務局を代表して、小林水・大気環境局長よりご挨拶を申し上げます。

【小林水・大気環境局長】 水・大気環境局長の小林でございます。本日は年度が始まりまして、まだ立ち上げの時期で、大変各先生お忙しい中ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。日ごろから大気行政、騒音振動行政、大変多くの課題を抱えております。しっかりやってもらいたいと思いますので、引き続きご指導いただければ大変幸いでございます。
 そういう課題の数多い中でございますが、昨年10月に水銀に関する水俣条約の採択署名のための外交会議が熊本市、水俣市で開催されました。これは日本が誘致をしたわけでございます。これまでに97カ国が署名、それから1カ国、米国が批准をしているという状況でございます。この条約自体は、大変幅広い内容を持ったものでございますが、特に第8条におきまして、水銀の大気排出の管理措置に関する条項がございまして、締約国に対して、新規発生源への利用可能な最良の技術、かねてからBATという言い方で言われているものでございます、あるいは環境のための最良の慣行BEPの適用が義務づけられるという、新しい内容を持ったものでございます。

 こうした状況を踏まえまして、本年3月に環境大臣から中央環境審議会に対しまして、その他の課題などとあわせてということでございますが、水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策について、諮問がされているところでございます。その中で、水銀の大気排出対策につきましては、ぜひ本部会でということで付議されているところでございます。後でご審議をいただければと思いますが、ぜひ、小委員会を設置していただきまして、この条約について、水俣という名前を冠したものでございますので、国際的にも恥ずかしくない、しっかりした大気排出対策ができますように、ご審議をいただければ幸いというふうに考えているところでございます。

 また、今日はあわせまして、健康リスク総合専門委員会におきまして、3月に取りまとめた今後の有害大気汚染物質対策のあり方について、これはもう第十次の答申になりますが、その案を今日はご審議をいただいてということも考えております。

 また、騒音振動に関する取組状況という資料も用意しておりまして、これも数々の重要な課題がございます。こういったこともご報告を申し上げ、大所高所からいろいろなご審議を賜れば、大変幸いと考えているところでございます。本日もどうか忌憚のないご審議を賜りまして、今後の環境行政を導いていただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

【難波大気環境課長】 マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは恐縮ですが、会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、ご協力をお願いいたします。
 それでは、これ以降の進行につきましては、坂本部会長にお願いいたします。

【坂本部会長】 皆様ご多忙のところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。今回の大気・騒音振動部会は、本部会に新たに設置する水銀大気排出に関する小委員会及び有害大気汚染物質対策のあり方に関する審議をいただき、その後、1件の騒音に関する報告事項ということになってございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速でございますが議事に入りまして、水銀大気排出対策小委員会の設置について、これを最初の議題といたします。事務局から説明をお願いいたします。

【中村補佐】 事務局より初めの議題の水銀大気排出対策小委員会の設置について、ご説明をさせていただきます。

 本題に入ります前に、参考資料4、参考資料5、この二つを用いまして、水銀に関する水俣条約の概要について、まず、ご説明をさせていただければと思います。

 参考資料4をごらんください。水銀に関する水俣条約の概要と題しているものでございます。採択までの経緯でございますけれども、2001年、国連環境計画(UNEP)が地球規模の水銀汚染に係る活動を開始いたしました。

 それを踏まえまして、2009年2月のUNEP管理理事会において、2010年に交渉を開始して、2013年までの条約採択を目指す旨が合意されました。そこから2010年6月に、第1回の政府間交渉委員会(INC1)が開催されまして、その後、回を重ねまして、2013年までに5回のINCを開催してございます。

 第5回の政府間交渉委員会(INC5)におきまして、水銀に関する水俣条約の条約条文案に合意をいたしまして、名称を「水銀に関する水俣条約」とすることが決定いたしました。

 先ほど局長の挨拶の中にもございましたけれども、昨年10月に、熊本市及び水俣市におきまして、水銀に関する水俣条約外交会議が開催されまして、ここで水銀に関する水俣条約を全会一致で採択して、署名が開始されたといったような流れでございます。

 1枚おめくりください。2ページ目からは条約の主な内容について、簡単に概要を書いてございます。前文でございますけれども、水銀のリスクに対する認識や国際的な水銀対策の推進の必要性、水銀対策を進める際の基本的な考え方で、水俣病の教訓として、水銀汚染が人の健康、環境に及ぼす深刻な影響などについて記載がされています。

 第1条は目的といたしまして、水銀の人為的な排出、放出からの人の健康環境を保護することを目的とすると書かれてございます。

 第3条以降が個別の話になってくるのですけれども、第3条は、鉱山からの水銀産出について、新規鉱山開発を禁止するといったことが書かれてございます。

 同じく第3条ですけれども、水銀の貿易について、一定のもの以外につきましては禁止されるといったことが書かれてございます。

 その次、第4条におきましては、水銀添加製品につきまして、これも一定の規定のもと、製造・輸出入を禁止する。そういった規定が書いてございまして、第5条は、水銀を使用する製造工程についての禁止・制限について述べられております。
 第7条は、零細、小規模の金採掘による水銀の使用、排出・放出の削減について書いてございます。

 次のページに行っていただきまして、第8条が、まさに今回関係してくるところになってございますが、第8条におきましては、大気への排出について、石炭火力発電所、非鉄金属精錬施設等を対象として、利用可能な最良の技術、環境のための最良の慣行の利用などにより排出を規制するといった趣旨のことが書いてございます。

 この第8条につきましては、次の参考資料5で、後ほど詳しくご説明いたします。

 続きまして、第9条ですけれども、第9条におきましては、今度は水、土壌への放出について、書いてございます。
 続きまして、第10条から12条でございますけれども、水銀の暫定的保管、水銀廃棄物の管理、汚染された場所の対策につきまして、環境上適正に実施をするといったことが書いてございます。

 第13条、14条は、途上国への資金援助などについて書いてございます。

 第15条、16条は、健康面の対策などについて書いてございまして、最後、第31条のところでございますけれども、この条約の発効は50カ国ないしは地域が締結してから90日後に発効するといった規定が書いてございます。

 一番下に書いてございますとおり、条約発効に向けた取組といたしましては、UNEPの事務局が2013年10月の外交会議におきまして、今後、2、3年以内に条約の発効を目指すといったような発言がなされているという現状でございます。

 以上が水俣条約の簡単な概要でございましたけれども、続きまして、参考資料5をごらんいただけますでしょうか。こちらが、先ほども申し上げましたけれども、今回、一番関係する水俣条約第8条についての概要でございます。

 8条の第1項におきましては、第8条の趣旨が書いてございまして、附属書Dに掲げる発生源、具体的には、①番から⑤番の施設、石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄金属製造に用いられる製錬及びばい焼の工程、廃棄物の焼却施設、セメントクリンカーの製造設備、この五つを対象に排出削減を実施する旨が、この第1項で規定されてございます。

 第2項は言葉の定義が書いてございまして、第3項におきましては、排出管理及び国家排出管理計画、これを自国の計画として作成することができる旨が規定されてございます。

 続きまして、第4項、新規発生源へのBAT/BEP適用、このBATとBEPでございますけれども、その下の文章に書いてございますとおり、BATというのは利用可能な最良の技術、BEPは環境のための最良の慣行と邦訳されてございますけれども、この第4項におきましては、締約国は、新規の発生源に関して、BAT/BEPの利用を義務づけなければならないといった規定が第4項に書いてございます。

 続きまして、第5項、第6項ですけれども、今度は新規ではなくて、既存の発生源に対する措置でございます。既存の発生源に関しましては、ここのアルファベットのaからeに書いてございますけれども、排出管理目標、排出限度値、BAT/BEP、水銀の排出管理に効果のある複数汚染物質管理戦略、その他の措置、ここに書いてあるような措置のどれか一つ以上を選択して、実施して、削減について取り組んでいきましょうといったことが、第5項、第6項には掲げてございます。

 第7項におきましては、排出インベントリを作成して、維持しなければならない旨が規定されてございます。

 続きまして、第8項から10項、締約国会議に関する規程ということで、採択すべき手引き(ガイダンス)の採択手順について規定してございまして、締約国は関連規定の実施に当たって、そのガイダンスを考慮しなければならないといった規定が書いてございます。

 最後、第11項は報告内容ということで、実施に関する情報を報告しなければならないといった規定が書いてございます。

 以上が第8条の概要でございますけれども、この第8条ないしは条約全体の規定ないしは理念に即して、国内担保措置を検討していく必要があるということで、本題の話になってきますけれども、資料1-1及び資料1-2でご説明させていただきますが、検討のため、水銀大気排出対策小委員会の設置をご了承いただきたいという趣旨でございます。

 まず、資料1-1をご説明させていただきます。設置の趣旨は、先ほどのご説明と若干かぶりますけれども、水俣条約については昨年10月に採択されまして、今後、2~3年程度での条約発効を目指している。

 我が国といたしましても、日本の地名を冠する条約をできる限り早期に締結すべく、関係府省が協力して作業を進めてございます。

 環境省の動きでございますけれども、この水俣条約を踏まえた水銀対策を検討するため、今年3月17日の中央環境審議会に「水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策について」ということが諮問されてございまして、さらに同日付で関係部会、三つの部会に対して、付議されてございます。

 三つの部会の一つが大気・騒音振動部会、この部会でございまして、大気・騒音振動部会には大気排出対策について、循環型社会部会につきましては水銀廃棄物対策について、環境保健部会につきましてはその二つの部会の事項を除く水銀対策についてということで、それぞれ付議されたということでございます。この対応のため、標記小委員会、水銀大気排出対策小委員会を設置して、水俣条約を踏まえた今後の水銀の大気排出対策について、必要な検討をいただきたいと考えてございます。

 2.の検討事項、こちらは繰り返しご説明していますけれども、小委員会の検討事項といたしましては、水俣条約を踏まえた今後の水銀の大気排出対策についての検討ということでございます。

 3のスケジュールでございますけれども、年内の取りまとめを目指しまして、おおむね1~2カ月で1回程度開催する予定で考えてございます。

 1枚おめくりいただきますと、別添1-1、その次に別添1-2がございますけれども、別添1-1は、石原環境大臣から中央環境審議会会長に対して出された諮問でございます。

 別添1-2が、中央環境審議会会長から大気・騒音振動部会の部会長、坂本部会長に宛てて付議されたものでございまして、そこの本文を読んでいただきますと、平成26年3月17日付で、環境大臣から中央環境審議会会長に対してなされた諮問につきまして、水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀の大気排出対策について、大気・騒音振動部会に付議すると書かれてございます。

 これを踏まえまして、資料1-2でございますけれども、「中央環境審議会大気・騒音振動部会の小委員会の設置及び運営方針について」というものをかねてより制定してございますけれども、これを改正する形で、小委員会の設置についてご了承いただきたいと考えてございます。

 この本文の1でございますけれども、「中央環境審議会大気・騒音振動部会に、次の小委員会を置く」と書いてございまして、(1)の自動車排出ガス総合対策小員会というのは既に設置しているものなのですけれども、ここに併記する形で、水銀大気排出対策小委員会というものを並べさせていただくと。

 一つ飛ばしまして3番目、水銀大気排出対策小委員会は、対策に関する事項を審議すると書いてございます。

 4番目、小委員会というものは全てそうなのですが、小委員会の決議は、中央環境審議会大気・騒音振動部会部会長の同意を得て、大気・騒音振動部会の決議とすることができる、という規定でございます。

 6番は会議の公開ということで、小委員会は、原則として公開とするということで考えてございます。

 7番は公開した小委員会の会議の資料、会議録は公開すると書いてございます。

 裏にいっていただきまして、そのほかの規定が書いてございますけれども、このような形で、この小委員会の設置及び運営方針の改正を行うことで、水銀大気排出対策小委員会を設置することをご了承いただきたいと考えているということでございます。

 事務局からの説明は以上になります。

【坂本部会長】 ありがとうございました。ただいま参考資料4と5、それから資料1-1と1-2を用いまして、小委員会の設置について説明をさせていただきました。これにつきまして、ご意見がございましたらお願いしたいと思いますが、なお、小委員会の委員長及び委員につきましては、参考資料1の5ページに中央環境審議会議事運営規則第8条というのがございますが、第8条の規定によりまして、部会長の指名ということになりますので、具体的な人選につきましては、私の方で検討してまいりたいと思います。委員長及び委員については私に一任していただくということでご了解をいただき、本日は水銀大気排出対策小委員会を設置することについてご検討をいただきたいと思います。

 それでは、先ほどの説明につきまして、ご質問等ございましたらお願いいたします。まず、名札を立てていただけますでしょうか。

【磯野委員】 水銀条約、水銀のこの関係は、いろいろな意味でナーバスな問題を含んでいる気がしまして、ということで、会議録の公開についてというところですが、いたって普通のことが書かれているんですが、このあたりのところは、できる限り公開を旨としながら、最低限の運用をしていただきたいということをお願いしたいと。

【坂本部会長】 ありがとうございました。資料1-2をごらんいただきますと、非常に限定された場合が公開できないということであって、基本的には全部公開という立場でほぼ進められていくと思います。ありがとうございました。

 どうぞ、そのほか、ご意見等ございましたら。

【小倉委員】 先ほどの部会長のご発言なんですけれども、小委員会のメンバーは部会長の一任で決定されるということに関して、ご配慮いただきたいということなんですけれども、この資料を読みましても、要するに産業に関する石炭火力ですとか、ボイラーですとか、このような設備を持っている人間でないとわかり得ないところが多々あると思いますので、産業界からの意見を踏まえたような検討になっていくべきではないかと思うので、メンバーの選定に際しても、その辺の配慮をいただければ非常にありがたいし、いい検討になっていくんじゃないかなと思いますので、ぜひともそれをお願いしたいと思います。

【坂本部会長】 ありがとうございました。今お話を承りましたけれども、幾つかの業界が、かなりパーセンテージの割合の高い排出をしているということは承知しておるところでございます。そういった意味では、今の点も考慮した上で、委員の人選をさせていただきたいと思います。

【小倉委員】 もう一点だけ。結局、その業界が持っている設備も、全く水銀の対策に寄与しない環境対策をやっているわけではない。ある意味、現存の設備はBEPに近い話かもしれませんけれども、機能を持っていますので、その上に新たな設備投資をやっていかなければいけないということになりますから、非常に合理的でないとやりにくいというところもあると思うんです。ルールはルールになるんでしょうけれども、その辺の考え方を含めて、やるのであれば合理的なやり方をやりたいというのもありますので、ぜひとも産業界からのご意見も取り入れられますように、配慮をいただきますようにということでございます。しつこくてすみません。

【坂本部会長】 ありがとうございました。

【梶原委員】 今の小倉委員の2番目のお願いに、ちょっとダブるような格好で恐縮でございますけれども、今後のこの小委員会で鋭意検討されていく、その方向に対して、我々としてのお願いというか、意見を述べさせていただきたいのですけれども。

 規制対象となる、先ほどご紹介ありました発生源カテゴリー、石炭火力等々の五つのそういった装置になりますけれども、これらに対して今後規制といいますか、そういうことが検討されていく中で、既に小倉委員もおっしゃいましたけれども、多くの方が既にご存じかと思いますけれども、日本の公害対策設備は世界最高レベルであると我々産業界は思っております。具体的に言ったら、脱硝、脱硫、電気集じん機等々ですけれども、こういった設備の組み合わせ使用によって、既に水銀除去がかなり進んでいるという、いろいろな解析、分析もございます。これはあくまでも業界内のモニタリングという話でございますけれども、そういった装置等々の水銀濃度というのは、その周辺において十分低いというようなことも、これは我々ベースですけれども、確認されております。これから、いろいろな検討の結果、国内での担保措置や法的な追加措置等々の必要性が検討されていくわけですけれども、現状の実態というものを十分踏まえた上で、検討を進めていただきたいなと、これは小倉委員と同じ意見でございます。日本の産業の国際競争力を削ぐということがないように、本検討も進められれば、お願いしたいと思っております。

 以上です。

【坂本部会長】 ありがとうございました。いろいろな規制なり、対策なりを決める場合には、当然、現状をよく理解した上でないと進められないわけでございますので、今ご意見をいただいたところにつきましては、現状を調査、検討した上で対応していくということになろうかと思います。

 それから、今お話ございましたように、日本の環境対策技術は、いわばBAT/BEPに近い形に既になっている部分があるのではないかとおっしゃいましたけれども、まさにそういう部分も含めた形で、既存の施設、それから新規の場合という形で、ルールに書いてございましたように、考えていくことになろうかと思います。ありがとうございました。

 どうぞ、そのほかご意見等ございますか。

(な し)

【坂本部会長】 よろしいでしょうか。今ご意見をいただきましたけれども、小委員会の設置についてはご了解をいただき、その運営に当たってご意見をいただいたとお聞きいたしました。

 それでは、もしそのほか、ご意見おっしゃらなかった方を含めまして、この件につきましてご了解をいただければ、小委員会を設置して、進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【坂本部会長】 ありがとうございました。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。続きまして、今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十次答申)(案)を議題といたします。

 まず、健康リスク総合専門委員会の委員長でございました内山委員長から説明をお願いいたします。お願いします。

【内山委員長】 ご指名いただきました、健康リスク総合専門委員会委員長の内山でございます。今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十次答申)(案)の概要につきまして、ご説明させていただきます。

 有害大気汚染物質のうち、優先取組物質の23物質につきましては、環境目標値の一つとして、指針値を設定することといたしまして作業を進めており、これまでにベンゼンを初め4物質の環境基準、アクリロニトリルを初め、8物質の指針値が策定されているところでございます。今回、1物質につきまして科学的知見が集積されてまいりましたので、リスク評価文書(案)を作成し、これまで3回の健康リスク総合専門委員会において議論を進めてまいりました。

 また、これまで行ってきた健康リスク評価の方法について、改定の必要が認められてきましたので、同時に議論を行ってまいりました。

 この結果、資料2-2の別添1、今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方についての改定について、及び別添2、マンガン及びその化合物に係る健康リスク評価についての二つの専門委員会報告を今年3月に取りまとめたところでございます。

 別添1の今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方についての改定については、有害大気汚染物質における指針値の設定の際に、リスク評価に値する人に関する疫学研究が乏しい場合などには、動物実験の知見を活用して、リスクを評価するなどの対応が必要になってきていることを受けまして、平成15年の第7次答申において策定され、その後、平成18年の第8次答申で一部改定がなされました。今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方についての全面改定という形で取りまとめをさせていただきました。
 また、別添2のマンガン及びその化合物に係る健康リスク評価につきましては、優先取組物質のうち、科学的知見が集積されて参りました、マンガン及びその化合物について、健康リスク評価を行い、マンガン及び無機マンガン化合物について、指針値の提案を行ったものでございます。具体的には、年平均値でマンガン及び無機マンガン化合物について0.14µg/m3という指針値を設定することとしております。

 以上が主な内容でございますが、あとは事務局から詳細な説明をお願いしたいと思います。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

【横山総務課補佐】 それでは、こちらの健康リスク総合専門委員会報告について、事務局から詳細について説明させていただきたいと思います。資料といたしましては、先ほど内山委員からもご紹介ございましたとおり、資料2-1、資料2-2という2つがございますけれども、資料2-2が非常に膨大なところもございますので、これまでの経緯も含めまして資料2-1に基づきましてご説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、資料2-1、1ページ目でございます。「1.有害大気汚染物質対策の経緯」というところでございますけれども、大気中から低濃度ではあるが有害な物質が検出され、長期間の曝露による健康影響が懸念されるということが明らかになってきたことを受けまして、平成7年9月に今後の有害大気汚染物質対策のあり方について、中央環境審議会に諮問がなされました。

 これを受けまして、平成8年1月に中間答申がございまして、平成8年5月に、有害大気汚染物質対策の推進等に関する各種の規定を盛り込んだ「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が平成9年4月1日施行されたところでございます。

 こちらにつきまして、概要でございますけれども、同じく資料2-1の3ページ目、それから4ページ目をご覧ください。3ページ目でございますけれども、こちらに参考資料といたしまして、大気汚染防止法の概要で簡単にまとめたものを付けてございます。こちらの5.に「有害大気汚染物質対策の推進」ということで、有害大気汚染物質について、事業者、それから国、地方公共団体の責務を規定しているところでございます。それから、指定物質、その排出施設を定め、指定物質抑制基準を設定した、それから、知事が指定物質排出施設設置者に対する勧告・報告徴収の実施が可能になると、こういった規定を設けさせていただいているところでございます。

 それから、資料2-1、4ページ目でございますけれども、こちらに有害大気汚染物質対策についてということで、これまでの対策の経緯、取組状況でございますとか、あとは下に参考といたしまして、関連する法令の規定等を掲載しております。

 資料2-1の1ページ目に戻っていただきまして、こちらの3段落目「その後」からでございますけれども、平成8年10月に第2次答申を踏まえまして、平成9年2月に出ました大気汚染防止法の施行通知の中で「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質」と、その中でも特に体系的に詳細な調査を行うほか、事業者に対して排出抑制技術の情報等の提供に努め、自主的な排出等の抑制努力を促進すべき「優先取組物質」が掲げられたところでございます。

 これらに基づきます具体的な施策の内容につきましては、今まで第9次まで答申が出てきているところですけれども、こういったものを受けまして、適宜対策を推進してきたところでございます。優先取組物質の中でも環境基準が設定されているものがございまして、平成9年にベンゼンに係る環境基準を設定して以降、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、それから、ジクロロメタンに係る環境基準が設定されてきたところでございます。

 資料2-1の5ページ目をご覧いただきたいのですけれども、こちらに先ほど出てまいりました有害大気汚染物質に係る優先取組物質についてまとめさせていただいたところでございます。優先取組物質につきまして、先ほど第2次答申を踏まえて設定されたという説明をさせていただきましたけれども、このときには有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質といたしまして234物質、それから優先取組物質といたしまして22物質が選定されたところでございます。その後、平成22年10月の第9次答申の中で見直しが行われまして、この中で有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質として248物質、それから、優先取組物質として23物質が選定されているところでございます。

 こちらの指針値ですけれども、優先取組物質につきましては、人の健康に係る被害を未然に防止するという観点から、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値、こちらが指針値と呼んでいるものでございますが、こちらを設定することになってございます。これは平成15年の第7次答申の中で述べられているところでございまして、指針値の役割といたしましては、大気環境モニタリング結果等の評価でございますとか、あるいは事業者による排出抑制努力の指標としての機能を果たすことが期待されているところでございます。

 その下に簡単な図を書かせていただいておりますが、こちらに有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質248物質ございまして、この中で優先取組物質というものが2重線で囲んでいる23物質のところでございます。この中で環境基準が定められているものが4物質、指針値が定められているのが第9次答申までの時点で8物質、それ以外にまだ設定されていないもの、ダイオキシン類につきましては特別措置法に基づき対応されておりますので、それ以外の物質がまだ指針値が設定されていない物質となっているところでございます。

 また、同じ資料2-1の1ページ目に戻っていただければと思います。こちらの2.に、先ほど申しました指針値の検討ということで、少し経緯も含めて詳細に書かせていただいてございます。

 第7次答申の中で、優先取組物質の中でも環境基準が設定されていないものにつきまして、環境目標値の一つとして、先ほど申しました指針値を設定することといたしまして、この評価方法に関する基本的な考え方をまとめました。手順というものが設定され、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、それから水銀及びその化合物、ニッケル化合物に係る指針値の設定がなされまして、第8次答申ではクロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,3-ブタジエンに係る指針値、第9次答申ではヒ素及びその化合物に係る指針値が設定されたところでございます。

 そのほか、先ほど申し上げましたとおり、環境目標値が設定されていないような優先取組物質につきましても、これらの設定が急務となっていることから、健康影響に関する科学的知見の充実というものを図ってきたところでございます。

 今般、本部会に設置されてございます健康リスク総合専門委員会におきまして、今後の有害大気物質の健康リスク評価のあり方についての改定、それからマンガン及びその化合物に係る指針値に関しての報告がとりまとめられたところでございます。

 ページをめくっていただきまして、2ページ目でございます。2ページ目に①、②といたしまして、それぞれの報告の概要を簡単にまとめさせていただいてございます。

 「①今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方の改定について」でございます。こちらのあり方につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、第7次答申の中で一旦定められたところでございますが、この中の「指針値算出の具体的な手順」に有害性評価、曝露評価、それから総合評価、それぞれの評価方法に関する考え方というものが示されました。

 第8次答申では、実際に指針値を設定していく際に生じた課題等を踏まえまして、具体的手順の規定内容を一部改訂したところでございます。今回は、今後、指針値の設定を推進していくためには、有害性に係る評価値を算出する場合に、疫学研究からの知見だけではございませんで、動物実験の知見を用いてのリスク評価が必要になってくるということから、特にこういった動物実験の知見を用いる際の具体的な手順を明確にする観点から、全面改定を行うこととしたところでございます。

 同じく資料2-1の6ページ目をごらんいただきたいと思いますが、そこに簡単な横の図で、概要という形でまとめさせていただいているところでございます。この指針値を設定するために、評価値をどのように算出していくかということでございますが、まずは国内外における発がん性でございますとか、発がん性以外の疫学研究でございますとか、動物実験に関する知見、こういったものから有害性別に情報収集いたしまして、そちらに基づきまして定性評価を行い、この定性評価を行ったものの中から定量評価に資する文献を抽出、整理をしまして、必要な有害性評価を行いまして、曝露情報と総合的な判断をいたしまして、指針値を設定していくという流れでございます。

 この中で、下線を引かせていただいている部分が今回改定をした部分でございますけれども、改定した部分のご紹介になりますけれども、手順1の(3)の番号は、後ほどご紹介させていただきます、資料2-2の別添の1で対応している部分でございますけれども、この中で1つ目、「上記知見」とございますが、これは定量評価に資する文献です。こういったものの中から、知見の科学的根拠の確実性及びデータの信頼性、妥当性、適切性についての必要な確認を行い、有害性評価に係る評価値を算出するための鍵となる知見、いわゆるキースタディを抽出するというところで整理させていただいたところでございます。この知見の抽出の考え方につきまして、付属資料という形で、それぞれ疫学知見、動物実験の知見について取りまとめさせていただいているところでございます。資料2-2の別添1の15ページに付属資料1といたしまして、有害性評価に資する疫学知見抽出の考え方、それから17ページに付属資料2といたしまして、同じく有害性評価に資する動物実験知見抽出の考え方という形でとりまとめさせていただいたところでございます。

 それから、資料2-1の6ページ目、手順1の(3)の一番下のところでございますが、発がん性の閾値の有無を検討し、ユニットリスクあるいは無毒性量等を求め、評価値を算出するというところでございます。ここも新しく明記させていただいたところでございまして、この場合の考え方につきまして、また前後してしまって申し訳ないのですけれども、資料2-2の別添1の21ページ、付属資料3といたしまして、発がん性の閾値の有無の判断に関する考え方で取りまとめさせていただいたところでございます。それから、同じく資料2-2の別添1の23ページには、付属資料4といたしまして、動物実験の知見に基づく評価値算出の具体的手順の考え方というものを整理させていただいてございます。

 これが評価値算出の具体的手順の概要ということでございます。

 資料2-1の2ページ目に戻っていただきまして、真ん中あたり②でございます。「マンガン及びその化合物に係る指針値について」というところでございます。こちらにつきましては、①で改定を行いました今後の有害大気汚染物資の健康リスク評価のあり方に従いまして、マンガン及びその化合物に係る健康リスク評価を実施いたしまして、指針値の算定を行ったところでございます。

 こういった指針値につきましては、現時点で収集可能な知見を総合的に判断した結果、提案させていただくものでございますので、今後の研究の進歩による新しい知見の集積に伴いまして、随時見直していくことが必要であると考えているところでございます。具体的なところは、3.で書かせていただいてございますけれども、マンガン及びその化合物に係る指針値の提案というところでございます。リスク評価を行いました結果、発がん性に係るリスク評価につきましては、人の発がん性への明らかな証拠が得られていないということ、それから疫学研究、動物実験ともに、十分な定量的データがないことから、発がん性に係る評価値というものは今回算出しないことと判断いたしました。発がん性以外の有害性に係るリスク評価につきましては、文献等から、人の神経行動学的機能への影響に関する疫学研究で、定量的に評価可能なものがございましたので、こちらから算出させていただきまして、このマンガン及びその化合物に係るリスク評価を行いました結果、マンガン及び無機マンガン化合物の指針値といたしまして、年平均値0.14µg/m3以下を提案させていただいているところでございます。

 こちらのマンガン及びその化合物でございますけれども、有機マンガン化合物の大気への排出も考えられますけれども、ただ、人為由来のマンガンの多くが無機化合物でございます酸化マンガンの形で大気中に放出されると考えられていることから、今回の指針値につきましては、マンガン及び無機マンガン化合物の曝露による指針値を評価させていただきまして、そちらの提案をさせていただいたところでございます。

 こちらの概要につきまして、資料2-1の8ページ目をごらんいただきたいと思いますが、こちらに非常に簡単ではございますけれども、算出プロセスを書かせいただいているところでございます。こちらを見ていただきますと、発がん性につきましては、定性評価、それから定量評価それぞれに十分なデータがなかったということで、有害性の評価値は算出しない形になってございます。発がん性以外の有害性につきましては、疫学研究、それから動物実験による知見、両方とも定量評価に資するものがあったということから、疫学研究の中で、合金鉄を製造する工場の労働者への神経行動学的機能への影響がございまして、こちらをキースタディといたしまして、0.14µg-Mn/m3という値を提案させていただいているところでございます。

 資料2-2が、こちらの詳細になりますけれども、こちらについて、簡単にご説明させていただきたいと思います。

 まず、資料2-2ですけれども、「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十次答申)(案)」ということで、1枚付けさせていただいてございます。こちらの詳細につきましては、別添1、別添2にそれぞれとりまとめさせていただいてございまして、別添1が「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方についての改定について」でございます。なお、この健康リスク評価のあり方について、第7次答申、それから第8次答申でこれまで策定されていたものにつきましては、参考資料8に付けさせていただいてございます。

 それから、今回、リスク評価のあり方について、フロー図、それから用語集ということで、確実性、信頼性でございますとか、幾つかいろいろな用語が出てまいりますので、そういった意味で用語集というものを作らせていただいてございまして、それぞれ参考資料9、参考資料10という形で添付させていただいているところでございます。

 別添1、めくっていただきまして、1ページ目に、1.の策定経緯ということで、これまで各答申の中で、どういった流れで策定をされ、また改定されてきたかということをまとめさせていただいてございます。2ページ目の下に、2.として今回の全面改定についてということで、1つ項目を設けさせていただいてございまして、3ページ目から4ページ目にかけまして、(1)番から(3)番に、改定の内容をまとめさせていただいてございます。こちらの詳細を添付資料として付けさせていただいているところでございます。

 それから、別添2でございますが、こちらが「マンガン及びその化合物に係る健康リスク評価について」ということでございまして、こちらもページをめくっていただきまして、1ページ目に検討の経緯ということで、先ほど簡単に申しましたけれども、第6次答申、第7次答申、それから現在まで行った指針値の設定でございますとか、そういった検討が行われてきたかということでございますとか、リスク評価に係る考え方を少し整理させていただいてございます。それから、1ページ目の下に2.といたしまして、「健康リスクの評価手法について」ということで、この健康リスク評価のあり方の考え方につきまして、特に有害性に係る評価値の算出に用いられる知見の根拠の確実性等について書かせていただいているところでございます。それから、3.の2ページ目の下でございますけれども、こちらに「環境中のマンガン及びその化合物による健康リスク評価の概要について」ということでまとめさせていただいておりまして、これが2ページ目の下から続きまして5ページ目に「(4)指針値の提案について」ということで、これらの知見に基づいたまとめのような項目を設けさせていただいてございます。詳細につきましては、7ページ目以降の別紙としてつけさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

【坂本部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見等ございましたら、お願いいたします。まず、名札を立てていただければと思いますが。

【橘委員】 確認といいますか質問、これは私の勉強不足もあるんですけれども、指針値という言葉の意味合い、環境基準があり、また、それに準ずるものとして指針値というのを考えていいのかどうか。あるいは、指針値で暫定的というのは誤解かもしれませんけれども、将来、疫学的あるいは動物実験も含めて、病理学的な根拠が重なってくれば、環境基準というようなものになるものなのかどうか。それから環境行政の中で、これがどういう役割を果たしているのか。部分的にご説明がありましたけれども、その辺を一つ、これは有害物質だけではなくて、いろいろなものに共通の概念だと思いますので。

 それから、指針値というのは英語で何て言うのかなと思いながら聞いていたんです。環境基準というのも、Environmental standardsとなっていますが、外国人にはわからないんですよね。これ何だと言われる。単に用語の話じゃなくて、そこに持っている意味合い、強制力があるのか、目標値なのか、理解するときの大変大事な話だと思う。

 それから、ついでに今回のマンガンの件で、資料2-1の最後のページにフロー図みたいなのがありますけれども、合金工場の労働者への神経行動学的機能への影響という、これが根拠になって、0.14という大変イグザクトな数字が出されているわけですけれども、これが国際的な、あるいは非常に多くの研究をサーベイした結果に基づいて決めたものなのか。0.15ではなくて0.14という大変イグザクトな、意味ありげな数値になっているのが、これはどうしてかなという疑問を持ちながら、どうなのかなという感じを持ちながら伺いました。

【坂本部会長】 ありがとうございました。2点質問がございました。事務局からお願いいたします。

【横山総務課補佐】 それでは、最初にご質問いただきました環境基準と指針値の関係、それから指針値の位置づけといったお話でございます。

 環境基準は環境基本法の16条に基づきまして設定されているものでございまして、一方、指針値は、中央環境審議会の第7次答申の中で位置づけられているものでございまして、環境目標値の1つとして、環境中の有害大気汚染に係る健康リスクの低減を図るための指針となる数値を設定しなさいと第7次答申の中で述べられ、こちらに基づきまして設定してきているものでございます。

 指針値の性格につきましては、有害評価に係るデータの制約のもとに定められた指標としての機能を果たすことが期待されるというふうになっておりまして、こちらの指針値について、十分に信頼性の高いデータが得られる場合につきましては、環境大気以外からの曝露について、なお、検討を要する物質については指針値にとどめるとされ、環境大気以外からの曝露についての考慮を特に要しない、または、その評価が既に定まっている物質につきましては、指針値を定めた上で、さらに必要に応じまして、環境基準の設定について検討するという位置づけになってございまして、指針値といたしまして、先ほどご説明させていただきましたとおり、機能といたしましては、事業者でございますとか、あるいは大気環境モニタリングの結果等の評価に当たっての抑制努力の指標としての機能を果たすことが期待されているものでございます。

 先ほど英語の話でございますが、こういった用語について、一旦整理をしたほうがいいだろうということもございまして、参考資料10という形で用語集をつけさせていただいてございます。この用語集の中に、先ほど申しましたような指針値の定義でございますとか、位置づけといったものをまとめさせていただいてございます。用語集、参考資料10の4ページ目、(20)番となっているところでございますが、指針値といたしまして、「guideline value(guideline value for hazardous air pollutants)」と書かせていただいてございますけれども、こういった用語が該当するのではないかと考えているところでございます。

【内山委員長】 それでは、0.14という値の求め方については、私から説明させていただきます。資料2-2の別添2の55ページに、WHOを始め、EPA、カナダ、いろいろ各国のガイドラインですとか、レファレンス・ドーズド、コンセントレーションというものを挙げております。こういうガイドライン、指針値をつくりますときに、健康専門委員会ではあらゆる文献を集めて、リストを上げて、それを必要なものから、この報告書にありますように概要をまとめて、さらにその中から定量評価に値する文献をピックアップして、そこから指針値を求めるという手順を踏んでおります。その際にも、各国でどのような値になっているかということも十分に調査し、そのもとになった文献もまた新たに全て網羅して調べるということを行っております。

 ここに出ている値がいろいろあるんですが、これは注にもありますように、マンガン及びその化合物を何で計っているかということによって、多少その値が違っておりますけれども、ほとんど基礎となる文献は同じものということになってまいります。

 そして、このときに普通の手順としては、有害性評価のときに人の疫学調査があればそれを優先させるのですが、そのときの最少毒性量ですとか、無毒性量というのがまずまとまって、それに不確実性係数、あるいは労働者のものですと労働者から一般環境、一般の人たち、24時間365日生涯曝露されるというようなケースを補正いたしまして、計算値で求めています。それで0.14という、0.15と何が違うんだということになるんですが、そういう今までの経験上の不確実係数ですとか、あるいは、労働者ですと1日8時間、1年間で二百何日の労働時間で曝露されていた疫学調査を、先ほど言いました、一般の方ですと生涯曝露に直していく、そういうことを踏まえまして0.14ということで、説明するときに、0.14を超えたらすぐに影響がありますということではなくて、生涯曝露されたときに、それ以下であれば大丈夫でしょうという形ですので、あくまでも一つの値ということで、それを超えたら危ないです、それ以下だったらということではなくて、この指針値でも、答申のところにもありますように、0.14µg/m3以下というのが必ずついておりますので、そういう形でご理解いただければと思います。

【坂本部会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。そのほか、ご質問、ご意見等ございますか。

【大聖委員】 今、内山先生のコメントで理解した部分もあるんですけれども、この報告書のいろいろなガイドラインも含めて提示されている事項が、国際的な位置づけの中で、どうなるのかということを知りたいと思っています。例えば、WHOですとか、そういったところでのガイドラインもありますし、先進国で独自に決めているところがあるかもしれませんので、それがどういう位置づけになっているのかというのを、どこかで書いておかれたほうがいいのではないかなと。

 あるいは、この報告が例えば国際的に知られたときに、どういうインパクトがあるんでしょうか。日本固有の環境を保全しなければいけない、いろいろな特殊な事情がありますから、そういったことも加味してこうなっているんだろうと思いますけれども、そういった国際性といいますか、特に先進国ほど厳しい方向に向かっているでしょうし、新興国はその後いろいろと、これらを参考にしながら取り入れていくんだろうと思います。

 それからもう一つは、今ありましたように、どういう考え方でこういったものを決めたかということも、概要書の中にちょっとでも入れておいていただくと、一般の人が読んだときに理解しやすいんじゃないかなと思いました。

 以上です。

【坂本部会長】 ありがとうございました。それでは、これは事務局でお願いできますか。

【横山総務課補佐】 先ほど国際性というお話がございましたけれども、今回、我が国におきまして、指針値というものを位置づけさせていただきまして、その中で評価を行いまして、今回答申という形で取りまとめさせていただいたところでございます。様々な国際機関において、どういった数値が設定されているのか、あるいは考え方がどうなっているのかということにつきましては、今回検討する際にも盛り込んでございまして、資料2-2の別添2の55ページ、それから56ページに定量評価という項目がありますけれども、その中でそれぞれの国際機関がどういう位置づけの値、どういう知見に基づいて設定しているかということをとりまとめさせていただいてございまして、こういったものも、今回の検討する際の参考としているところでございます。

 それからもう1点、設定の際の考え方につきまして、概要書にもということでございました。資料2-2の別添2になるんですけれども、最初の「健康リスク評価について」というところで、リスク評価の詳細の前までに、簡単に5~6ページで概要をとりまとめさせていただいたところがございまして、この中は、どういった因子等を勘案して、今回の指針値を提案させていただいたかといったことも書かせていただいてございます。具体的には、資料2-2の別添2の6ページ目の「②発がん性以外の有害性に係るリスク評価について」というところで、どういった知見を用いて、かつ職業曝露から一般曝露への補正でございますとか、そのほか不確実係数の考え方等につきまして、まとめさせていただいたところではございます。

【坂本部会長】 内山委員長、何か補足があれば、よろしいですか。

 今、お話がございましたけれども、そういった指針値を決めるフロー図として、参考資料9にもう少し詳細な形で、こういったステップを踏んで数値を求めていますよという資料をつけてございます。

 ただ、今、大聖委員がおっしゃられたのは、もう少しこれをもっと全体的に、最後の資料の形で読んでいくのではなくて、わかりやすい位置に示してはどうだろうかと、そういうことかと思います。

 それから、WHOとか、そういったものが出している値との関係で、例えばPM2.5であれば、できれば10µmとか、もっと低い数値とか、そのぐらいのところが出ていて、国のさまざまな事情によって、あるところからやってだんだん数値を厳しくしていくこともあり得ると、WHOなんかは言っているわけですね。ですから、幾つかの状況を勘案して、やるということはあり得ると思います。

 そのほか、いかがでしょうか、ご質問、ご意見等。

 私から気になったことを申し上げますと、幾つか整理してあるところに、µg/m3というのと、µg-Mn/m3というのがあるように思いました。これは今回、マンガン及びその化合物という形で書いてあるので、µg/m3であると、化合物のときはどうなのかとか、そういう誤解が出てくる可能性もあるのかなと。µg-Mn/m3という形に統一すべきではないかと思いました。

 それから、別添1の19ページ、20ページに参考情報が整理してございましたけれども、文献の発行年を書いてないですね。やはりこういった資料は発行年を入れておくべきかなと思ったんですけれども。別添1、19ページと20ページですね。

【横山総務課補佐】 修正させていただきます。

【坂本部会長】 ありがとうございます。それは修正というか、追加でいいです。

 そのほか、いかがでしょうか。

【岸委員】 質問させていただきます。別添1の今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方についての改定についてというところで、別添1で、4ページ目でございますが、労働衛生・産業疫学領域から得られた疫学知見を用いる場合は、その限界を考慮するとともに、一般集団を対象とした確実な疫学知見がある場合には、これを優先することが適当であると書かれておりますが、私も疫学を仕事にしておりまして、労働衛生・産業疫学領域でも、用量反応関係が非常にきれいに出て、かつ職場のデータのほうが曝露の開始と終わりといいますか、年数等も非常に把握しやすいということがありますので、場合によっては一般集団のデータよりも、特にドーズレスポンスや何かを見ますと、結構参考になるデータがあるんじゃないかと思うんですが、そういう意味からして、一般集団が優先することが適当であると言ってしまえるのでしょうかというのが、私の質問でございます。

【坂本部会長】 それでは事務局、もしくは内山委員長、もしくは青木委員。

【青木委員】 国立環境研究所の青木でございます。実は取りまとめの事務局というか、させていただいた者なんですけれども、先生のご指摘全くそのとおりなんでございます。

 ただ、有害大気汚染物質の疫学に基づくリスク評価といったときに、生涯曝露というものを意図して、まとめてリスク評価をしていこうと考えておりますので、一般には職業曝露という名前もございますが、生涯ということ、曝露でない場合が多いということから、良好なデータが得られた場合は、一般集団を対象にした疫学を優先させると書かせていただいたわけでございまして、先生がまさにおっしゃられるとおり、例えば、曝露量の推定とか、そういうところがしっかりしたものが労働疫学のほうであるのは存じておりますので、そういう場合は疫学知見として確実なものを使わせていただくということは、先生のご指摘のとおりでございます。

【岸委員】 やはり疫学的にリスク評価に値するようなデータかどうかということは、例えば、工場の周辺で住民が曝露されたとしましても、滅多にそういう状況で曝露のオンセットからアウトカムが出ているときまで、きっちり観察できたデータというのはなかなか少ないと思うんですよね。ですから、労働衛生を決めちゃうデータであろうと、一般データであろうと、十分かどうかというところを吟味して用いるべきで、どちらか優先というのは、おっしゃり過ぎじゃないかなという気がいたしました。

 以上です。

【坂本部会長】 ありがとうございました。よろしいですか。

 その他いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(な し)

【坂本部会長】 そういたしましたら、資料2-1と2-2、それから別添1、別添2という形でご説明をいただきました。ここにつきましては、先ほど申し上げました、少し文言、それから、発行年等は追加をしたものとして、これをお認めいただけるかどうかという形でお諮りをしたいと思います。

 資料2-2にございますように、今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十次答申)(案)でございますけれども、今、1、2、それからその下に指針値等とございます。この答申(案)を、先ほど一部語句の修正等はしたものとしてご承認いただけるかどうかということでございますが、いかがでございましょう。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【坂本部会長】 ありがとうございました。

 それでは、事務局で、先ほど申し上げた点につきましては修正したものをつけて、最終的な十次答申をこれでしていただきたいと思います。

 続きまして、本日の第3番目でございますけれども、騒音・振動に関する取組状況ということでございます。これは報告事項でございますが、事務局から説明をお願いいたします。

【山根補佐】 それでは、資料3をごらんください。騒音・振動に係る取組状況につきまして、昨今の環境省の取組について、ご報告をさせていただきます。

 騒音・振動対策につきましては、環境基本法や、騒音規制法、それから振動規制法に基づきまして、環境基準や特定の事業場や建設作業等から発生する騒音・振動の規制基準を定めて、対策を行っているところでございます。

 下のグラフのとおり、昭和40年代に法律が制定されて以降、およそ右肩下がりで、騒音・振動については減少傾向にございます。昨今につきましては、再び増加傾向に転じており、そこで高止まりをしているという傾向にあります。平成24年度の苦情の件数につきましては、騒音が大体1万6,000件、それから、振動について約3,200件という状況になっているというものでございます。こちらについては、環境省で取りまとめました、それぞれの法律の施行状況調査に基づいた資料となっております。

 2ページ目をごらんください。続いて、各事項との取組についてご説明をさせていただきます。

 まず、風力発電施設に係る取組でございます。風力発電施設につきましては、騒音等による生活環境への影響を未然に防止するという観点から、その設置に当たっては、その影響をできる限り回避・低減するための適切な評価、あるいはその対策の実施が求められているところでございます。

 環境省におきましては、昨年度、平成25年度から水・大気環境局長の委嘱によります「風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会」を設置いたしております。こちらで、風力発電施設に係る調査、予測及び評価手法等について、検討会を運営しております。
 現在、検討会を運用しているのですが、その中で騒音対策技術把握が必要だという意見が挙げられましたため、現在、「風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会」、技術に関する分科会を設けて、こちらで風力発電の製造メーカー、事業者等から情報収集、調査検討に現在着手しているという状況でございます。

 こちらの検討ですが、引き続き、検討会のもとに設置をされました分科会で、騒音対策技術に関する情報を集積しつつ、それらの報告、結果等を取りまとめ、風力発電施設から発生する騒音等の評価手法の検討を行いたいと考えております。
 また、平成22年度からは環境総合推進費により、3年間の計画で風力発電等による低周波音の人への影響評価を行っております。こちらも取りまとめておりまして、風車騒音の低周波音に対するヒトの生理心理反応の基礎的データ等を得ております。こうしたものも踏まえて、報告書は取りまとめることを考えております。

以降、それぞれ個別の取組になります。新幹線鉄道騒音につきましては、新幹線鉄道騒音の現行環境基準に基づく環境対策の取組状況等の整理を行いまして、評価指標の検討を行っております。平成26年度には社会反応調査を行い、その結果を踏まえつつ、適切な評価指標の検討や基準達成に向けた技術的可能性について検討する予定にしております。

 在来線の鉄道騒音ですが、こちらは平成25年度には過去に実施した調査結果、諸外国における評価手法の検討・整理や対策技術等を中心に情報収集を行っております。その中で、特に在来線鉄道騒音の暴露量を把握するための評価手法について引き続き情報収集や、知見の整理などを平成26年度に行った上で、評価方法の検討を行いたいと考えております。

 3ページ目になります。低周波音に関する取組でございますが、昨年度、平成25年度におきましては、地方公共団体職員が対応している事項の実態の把握につきまして、アンケートの提案を行い、地方公共団体における対応の実態把握及び分析等を行うとしてございます。また、諸外国の最新の取組状況等もあわせて調査するという予定にしております。

 それから、騒音規制法、振動規制法に係る評価手法でございますけれども、昨年度、工場事業場に係る評価指標等について、特に等価騒音レベルにした場合について、住民反応等の対応や予測の対応について検討を行っているところでございます。

 また、特定建設作業ごとに設定されている規制につきましても、実際に、複数の作業が同時並行で行われている場合を対象とできるよう、規制方法もあわせて検討を行っているところでございます。平成26年度につきましては、工場・事業場等の騒音振動の評価手法について、エネルギーベースを基本とした評価手法等の検討を進めるという予定にしております。

 続きまして、自動車騒音に関する取組でございますけれども、平成25年度におきましては、「今後の自動車単体騒音低減対策のあり方について」(第二次答申)で提言されました二輪車の加速走行騒音規制の強化について、平成26年1月から規制の適用を開始したところでございます。また、タイヤ騒音規制につきまして、環境省・国土交通省合同で検討会を開催し、新車の適用開始時期について中間取りまとめを行ったところでございます。

 平成26年度につきましては、タイヤ騒音規制について、今後の検討された事項等について引き続き検討を行うとともに、また、四輪自動車の走行騒音規制の見直しについて、国際基準調和に配慮しつつ、我が国の騒音規制の実態に即した低減が図られるよう検討を進めてまいります。

 また、騒音規制法に基づく、全国の自治体の自動車騒音常時監視を実施しておりますが、平成25年度には、平成24年度に権限委譲された一部自治体の結果も含めて公表等を行っております。

 それから、沿道・沿線対策に関する取組でございますが、騒音問題の沿道・沿線対策の強化を図りまして、未然防止を念頭に、平成25年度には、沿道・沿線対策に関する自治体担当者向けのガイドラインの策定を行いました。また、平成26年度につきましては、自治体における活用を図っているという予定にしております。

 第3の議題に、騒音・振動に関する取組状況につきましては、以上でございます。

【坂本部会長】 ありがとうございました。ただいま説明のありました騒音・振動に関する取組状況について、ご意見がございましたら、お願いいたします。

 磯野委員、途中で退席される予定ということで、もし何かありましたら、先にお伺いしようと思いますが。

【礒野委員】 結構です。

【坂本部会長】 よろしいですか。

【大塚委員】 簡単に一言申し上げるだけですけれども、風力発電施設に関しましては、環境影響評価の政令もできており、環境影響評価の対象にされているところですので、低周波音に関して、ぜひ検討を進めていただいて、何らかの基準をおつくりいただくといいと思いますが、これは環境基準までおつくりになるおつもりなんでしょうか。その辺の感触をお伺いしたいんですけれども。

【眞先総務課長】 総務課長の眞先でございます。先ほどの資料3の2ページ目の(1)のところで、取組状況を説明させていただいておりますが、現在、平成25年度から始まっております検討会で、取り扱いについて検討中という状況でございます。この検討に先んじまして、平成24年度までに評価手法等を検討する場がありまして、そこで一定の報告もいただいております。その中で風力発電施設に係る騒音問題ということで、さまざまな分析をいただいておりまして、現段階では、環境基準そのものということではなく、別の視点で風力施設の騒音問題を扱うのが適当であろうというお話もいただいておりますが、いずれにいたしましても、平成25年度から設置しております検討会の議論を進めまして、まさに行政上の取り扱いをどうしようかということを検討させていただきたいと思ってございます。

【大塚委員】 指針値は出されるおつもりなんですか、それはいかがなんでしょうか。

【眞先総務課長】 先ほど申し上げた平成24年度までの技術的な報告書の中では、一定の数値についてのご提案も頂戴しておりますが、これは行政の中でどのような取り扱いが適当かということも含めて、現在検討をさせていただいているという状況でございます。

【坂本部会長】 ありがとうございました。そのほか、ご質問、ご意見ございましたら、お願いします。

【橘委員】 私自身、この中の環境省の作業の幾つかに参加していますので、質問というより、多少補足をしながらお願いという形で。

 1ページの苦情に届出数というのは、いつもこのデータで出てくるんですけれども、これがいつも見ながら、どのくらいの意味を持っているのかなと。これ以外に統計的データはなかなかないですから、一つの指標ではあるのでしょう。恐らく最近上がってきているというのは、建設工事騒音ではないかなと思います。かつては建設の鎚音高くと、必ずしも騒音ではなかったんですけれども、最近は騒音の代表になってきてしまっている。

 それから、2ページ目の風力発電施設からの騒音、これは日本では2000年ぐらいから商用の事業が活発化して、これは日本に限らず、世界中で騒音の問題になっていて、近所の人には非常に深刻な騒音影響を与える。風力発電というと、騒音、低周波音の問題ということになるんですけれども、低周波音というのは、日本の環境省の定義でもちょっと曖昧でございまして、十分聞こえるとされる周波数も含めて超低周波音の領域まで全部含めているわけで、その辺がわかりづらい。これは国によっても定義が多少違っている。

 この○の最後に書いてあります、環境総合推進費、これは私も担当させていただいた。結論としては、超低周波音の領域の音も出ているんですけれども、人間の感覚閾値に比べれば十分低い。それよりむしろ、風車特有の問題として、非常に静かなところに建ちますから、そこで夜中なんかにしゅわしゅわしゅわと非常にペリオディカルな音が出て、非常に気になる。要するに耳に聞こえる騒音問題として本格的に取り組むべきだというのが、この研究の結論。

 ですから、今ご質問、ご要望があったように、日本でも最近では多くの環境アセスメントがあり、地方自治体が対応に非常に苦慮している。ですから、国としての指針に近いようなものをなるべく早く出す必要があります。どこまで定量的なものが出さるか、議論が進められているところですけれども、そろそろ環境省としての指針を出していかないと、地方自治体が大変困っているという状況だと思います。ぜひその辺をお願いしたいと思います。

 それから鉄道騒音、新幹線については昭和40年代後半だったかな、今の環境基準ができております。3ページ目の騒音規制法についてですが、これは当時の測定の技術レベルや騒音全体に対する知見のレベルに基づいて決められたものです。当時はアナログの計測器で、針が動くような騒音計で、目で見ながら何秒か置きにとっていくとか、あるいは最大値をとっていくとか、そういうことしかできなかった時代にとりあえず決めた。当時としては大変効果があったと思うんですけれども、今では大変古くなってしまっている。特に騒音規制法はそうなんです。いよいよ環境省さんが本格的にこういうふうにやるぞという姿勢を見せていただいているので、大変期待をしているところでございます。

 新幹線については、ご存じのように、列車が来たときの最大値評価をしているわけですけれども、ほかの道路、航空機騒音は、エネルギー的評価になっています。エネルギーという言葉が随分出ていますけれども、これは本当の意味での物理的なエネルギーではなくて、信号のエネルギーという意味で、この場合には、人間の耳が聞くのは音圧ですから、それを二乗したものの積分、あるいはそれを時間平均したもの、一種の総曝露量的な評価をしているわけです。それにあわせて新幹線もすべきではないかということで検討が始まったということですね。

 これは昨年の報告書でもあります。それは方向としていいんですけれども、新幹線は大変な騒音低減対策がされていまして、1964年当時の新幹線に比べると、今は15db以上静かになっている。大変な努力をされて、それは現行の環境基準をもとにやっていますから、それをぱっと白紙に戻してしまうと対策技術が宙に浮いてしまうということもあって、その辺も考えなければいけない。環境省さんでも、今年もこの点の検討をおやりになるんだと思いますけれども、ぜひ、お願いしたいと思います。

 在来線については、先進国の中で何の基準もないのは日本だけなんですね。ただ、在来線鉄道というのは人々の生活に密接に関係していますから、基準値の決め方が難しいとは思います。新線、大規模改良に対しては指針値が出ているんですけれども、在来線鉄道全体を通した環境保全目標が欲しいですね。

 3枚目の低周波音、これは先ほど言いましたように、低周波音というのは意味が非常に曖昧で、それから一般の人々が感じているのも、何か薄気味悪い騒音という感じ、マスコミなんかもそういう報道をするので問題です。物理的に、あるいは音響学的にいえば、低い周波数で耳に聞こえる音なんです。ただ、橋が振動して、耳には聞こえないけれども、ガラスがビリつくとか、本当の意味での超低周波音の問題もございますので、その辺を切り分けなければいけない。

 エコキュートの音が低周波音問題として随分話題になっていますけれども、それから一般の人たちは、感じなくてもX線が体に悪いみたいな類推で、聞こえなくても感じなくても体に悪いというような新聞報道などがありますので、非常に影響を受けている。環境省さんも、マスコミ報道と同じレベルにならないように、十分注意していただきたいと思います。

 最後に自動車、これは今も自動車単体騒音専門委員会がございまして、自動車については日本ではいち早く、自動車の単体規制として、環境基準とは別に、騒音規制法で規制基準として走行モード別に、加速時、定常走行時、それからマフラーから出る音について、世界に先駆けて規制基準を設けていたわけですけれども、最近、国際的な動きとマッチングが必要になってきました。そこでここに書かれているように、国連欧州委員会なんかにも環境省からも参加していろいろやられているということで、これからの活動に期待するところでございます。

 意見ではございませんけれども、補足ということで、以上でございます。

【坂本部会長】 ありがとうございました。

【片谷委員】 今、橘委員が冒頭の資料のグラフについて、コメントをなさいましたので、私もそれに関連することで申し上げたいと思います。

 私、悪臭について、苦情件数の変動の要因を調べたことがありますけれども、そこである程度わかることというのは、発生源の数の変化とか発生量の変化とは、必ずしも比例的ではないということがありますので、この図だけ出しますと、近年、騒音、振動の発生源が増加していると受け取られる方が多いと思うんですね。その辺の説明というのは、少し必要かなと思っております。

 先ほど建設騒音が、かつては騒音でないものを騒音と感じるようになったという、感知する側の変化もここには含まれているということは、私も同感ですので、そのあたり、3ページにも等価騒音レベルと住民反応の関係等の記載がありますけれども、そういった点をもう少し詰めて、こういうグラフの説明にも、それを反映させていただけるとよろしいかなと思っております。

【坂本部会長】 ありがとうございました。事務局から何かありますか、今の点。

【眞先総務課長】 ありがとうございます。先生のおっしゃるとおりでございまして、この苦情件数の推移だけ見ていますが、これはそもそもどういう原因で、例えば減少なり増加傾向があるのかというご質問があるかと思います。なかなかこれは分析が大変難しいですが、重要だと思っていまして、苦情の内容をよくよく把握させていただいて、そこを分析することが次の対策につながることだと思いますので、そのあたりをきちんと充実させていって、今後の対策にぜひつなげていきたいと思っています。

【山本委員】 風力発電のことで少し質問をさせていただきます。

 再生可能エネルギーの一つとして、風力発電というのは非常に重要だと最近言われていまして、それで今どんどんつくられていることも承知しています。平成24年10月から風力発電所に対する環境アセスメント、つまり法アセスがスタートして1年半たっているという現実があって、そこで重要なのは、2ページの(1)の二つ目の○の風力発電設備に係る調査であるとか、予測及び評価手法がきちっとしていないと、風力発電のアセスメントというのはなかなか進まないと思っています。急いで結論を出していただきたいなというのが、私のコメントと意見です。

 それから、ここで聞く話ではないかもしれないのですけれども、風力発電施設の発電能力を、政府として今後どれぐらい今よりも増やすことを考えていらっしゃるのかというのをお伺いしたいと思います。それによっては、予測手法、調査手法、評価手法を急いで固めなければいけないのか、そうでないのか、もう少しゆっくりでもいいのかなどを考えないといけないと思っています。その辺のこともお願いできればと思います。

【眞先総務課長】 ありがとうございます。風力発電設備に係る調査予測及び評価手法をきっちり確立させることにつきましてのご指摘と思いますが、まさに先生ご指摘のとおり、平成25年度から検討を開始しております検討会において、今おっしゃられたような評価手法、調査手法、予測手法を技術的にしっかり確立させていこうという取り組みをやっているところでございます。いろいろな論点が含まれておりまして、検討会自体は、分科会で対策技術の情報収集などもやっている状況でございますが、私どもといたしましては、可能な限り速やかに調査手法、予測手法、評価手法等についてしっかり固めて、世の中に出していきたいと考えているところでございます。

【山根補佐】 風力発電施設の今後といいますか、4月11日にエネルギー基本計画が閣議決定されておりまして、その中で今後3年間程度、風力も含めた再生エネルギーについて導入を最大限加速していくということになっております。その後、積極的に推進をしていくということで、2012年に年間発電量が水力も含めて1割程度だったものを、2030年には、再生可能エネルギーの割合を約2割という形で、倍増させる計画になっております。こうした形で風力発電施設、それから洋上風力も含めて、広げていくという形になるかと考えています。

【坂本部会長】 そのほかご質問、ご意見ございますか。

(な し)

【坂本部会長】 よろしいでしょうか。これは報告事項ということですが、各委員からいただきました意見を今後の騒音低減に関する環境行政に生かしていただきたいと思います。

 もし、このほかご意見等ございませんようでしたら、今日用意いたしました議題三つ終了ということになります。事務局から何かございましたら、お願いいたします。

【難波大気環境課長】 1点、本日の議事要旨及び議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で、公開することとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

【坂本部会長】 それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。