自動車排出ガス総合対策小委員会(第12回) 議事録

1.日時

令和2年9月10日(木)10:00~12:00

2.場所

WEB会議

3.出席者 

(委員長)  飯田 訓正

(委員)   大久保 規子   石田 東生

       織  朱實    草鹿  仁

       村木 美貴    横田 久司

       小林 雅文    遠藤 啓二

       喜内 博子    渡邊  昇

(環境省)  山本水・大気環境局長

       森光水・大気環境局担当審議官

       小森自動車環境対策課長

       清丸自動車環境対策課長補佐

       森山環境管理技術室室長補佐

       馬島大気環境課主査

4.議題

(1)自動車排出ガス総合対策の経緯について

(2)自動車排出ガス総合対策の実施状況(概況)について

(3)今後の検討の進め方について

(4)その他

5.配付資料

  資料1   自動車排出ガス総合対策小委員会 委員名簿

  資料2   自動車排出ガス総合対策の経緯について

  資料3   自動車排出ガス総合対策の実施状況(概況)について

  資料4   今後の自動車排出ガス総合対策の在り方の検討の進め方について

  参考資料1 中央環境審議会大気・騒音振動部会の小委員会の設置及び運営方針について

  参考資料2 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する

        特別措置法

  参考資料3 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する

        特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(平成19年4月13日 衆議院)

  参考資料4 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する

        特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(平成19年5月10日 参議院)

  参考資料5 今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(中間報告)

  参考資料6 自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質の総量の削減に関する基本方針

  参考資料7 今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(答申)

  参考資料8  自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質の総量の削減に関する基本方針の

        中間レビュー(平成28年度)

  参考資料9 今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(諮問)

  参考資料10 今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(付議)

6.議事

【小森自動車環境対策課長】 定刻となりましたので、ただいまから第12回自動車排出ガス総合対策小委員会を開会いたします。私は司会を行います自動車環境対策課長の小森でございます。

 本日は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議での開催とさせていただいております。会議中、音声が聞き取りにくいなど不具合がございましたら、事務局までお電話またはWeb会議のチャット機能にてお知らせください。

 なお本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいております。環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行っております。

 Web会議の開催に当たりまして、通信環境の負荷低減の観点から、カメラの映像は冒頭の局長の挨拶及び新任の委員の紹介、事務局の紹介のみとし、議事以降につきましては音声と資料映像の中継といたしますので、あらかじめご了承ください。そのため、カメラ機能は通常オフにしていただきますよう、お願いいたします。また議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定いただきますようお願いいたします。なおご発言の際は挙手ボタン等を使用せず、ミュートを解除し、直接お話しいただきますようお願いいたします。

 議事録作成等の関係上、まずお名前を伝えていただき、委員長から指名を受けた方からご発言をお願いしたいと思います。

 今回は第12回会合ということですが、3年半ぶりの開催となります。ここで本小委員会の開催に当たりまして、事務局を代表いたしまして水・大気環境局長の山本よりご挨拶を申し上げます。

【山本水・大気環境局長】 皆様おはようございます。7月21日付で水・大気環境局長に就任いたしました山本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の皆様方におかれましては、本日大変お忙しい中ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。また平素よりご指導、ご鞭撻を賜り、感謝申し上げます。

 前回の第11回の自動車排出ガス総合対策小委員会から、先ほどお話しいたしましたように、平成29年3月に開催ということで、約3年半ぶりの開催ということになります。前回ですが、自動車NOX・PM法に基づきます総量削減基本方針の中間レビューの取りまとめということでご審議いただきましたが、その後、今回大変時間の開いた開催となってございます。

 現行の総量削減基本方針におきましては、令和2年度までに対策地域において二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る大気環境基準を確保するという目標になってございますので、この目標の達成状況や基本方針に定める施策等の進捗状況について、評価・点検を行う必要がございます。

 そのため、先月大臣から中央環境審議会に対しまして、今後の自動車排出ガス総合対策の在り方についての諮問を行いまして、それが本委員会に付議されたところであります。前回からの間隔があるということもありますので、今回はこれまでの対策の経緯、それから実施状況の概況について確認した後、今後の検討の進め方についてご審議いただきたいと考えております。

 限られた時間ではございますが、忌憚のないご審議をいただきますようお願い申し上げて、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

【小森自動車環境対策課長】 では次に、本日の委員のご出席状況でございます。所属委員12名のうち9名のご出席をいただいております。お二方遅れて参加というふうに相なりました。また前回の開催以降、委員の交代がありましたので、ご紹介させていただきたいと思います。

 ご紹介いたしますので、カメラの映像をオンにしていただいて、一言いただきたいと思います。

 新任の喜内委員でございます。喜内委員、よろしくお願いします。

【喜内専門委員】 はい。川崎市環境局環境対策部大気環境課の喜内と申します。

 今回初めて参加になりますけども、よろしくお願いいたします。

【小森自動車環境対策課長】 ありがとうございました。

 新任の渡邊委員でございます。

【渡邊専門委員】 初めまして。東京都環境局自動車環境課長の渡邊です。

 4月1日から就任しました。今回初めてでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【小森自動車環境対策課長】 ありがとうございました。なお、庭野委員も新任でございますが、本日は欠席のご連絡をいただいております。

 続きまして、事務局側について紹介させていただきます。

 水・大気環境局長の山本でございます。

【山本水・大気環境局長】 よろしくお願いいたします。

【小森自動車環境対策課長】 水・大気環境局担当審議官の森光でございます。

【森光水・大気環境局担当審議官】 森光でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【小森自動車環境対策課長】 総務課長及び自動車環境対策課長の小森でございます。

 よろしくお願いいたします。

 それではカメラ映像はここまでとし、これ以降は音声と資料映像のみとさせていただきます。

 続きまして資料の確認でございます。事前にメールでご案内いたしましたとおり、議事次第のほか委員名簿、資料1から4、参考資料1から10となっております。なお本日は事務局が画面上に資料を掲載しながら進行させていただきますので、ご案内の資料は必要に応じてお手元でご参照いただきますようお願いいたします。

 本小委員会の委員長につきましては、畠山大気・騒音振動部会長のご指名によりまして、飯田委員にお願いしております。

 それでは飯田委員長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。

【飯田委員長】 皆さんおはようございます。畠山部会長のご下命によりまして、この小委員会の進行役を務めさせていただきます。ご協力を賜りたく、よろしくお願いいたします。

 それでは早速ですが、議事に入らせていただきたいと思います。先ほど山本局長からもお話がありましたとおり、今日の第12回自動車排出ガス総合対策小委員会は、先回の11回が平成29年に開かれておりますので、今日の12回はまずこの間の状況について振り返りをしていただいて、それで今後の検討の進め方について皆さんからご意見をいただきたいと思います。

 それでは(1)の自動車排出ガス総合対策の経緯について、事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【清丸自動車環境対策課課長補佐】 環境省自動車環境対策課の清丸と申します。

 私のほうから、資料2を用いまして自動車排出ガス総合対策の経緯についてご説明を申し上げます。

 冒頭のご挨拶にもありましたとおり、3年半ぶりの開催ということで、自動車NOX法の制定から今般の小委員会の再開まで、駆け足でありますけれどもこれまでの対策の経過、プロセスをご説明申し上げます。

 略称について、NOX、NO2、PM、SPM等々いろいろ出てきますけれども、このスライドに詳細な定義を書かせていただいております。

 まず自動車NOX法の制定でございます。こちら平成4年12月となっております。当時、大気汚染防止法に基づきまして、固定発生源に対する規制でありますとか、自動車1台ごとの排ガス規制というものが行われていたところですが、特に自動車交通が集中する大都市圏を中心に、濃度が非常に厳しい状況で推移してきたところということでございます。

 このような背景から、従来の対策では環境基準の達成が困難な地域において、自動車から排出される窒素酸化物の総量削減を図るために、自動車NOX法が特措法として制定されてございます。

 概要については枠囲みに書かれておりますが、当時首都圏と阪神圏の一部の地域を対象としております。物質としましてはNOX、窒素酸化物。対策としましては、国が基本方針を定め、その基本方針に基づいて自治体が総量削減計画を策定する。あと車種規制を行うと、こういった内容でございます。この自動車NOX法に基づきまして国が定める基本方針において、NO2の環境基準を平成12年度までに概ね達成するという目標を掲げました。

 この12年度目標に対する評価について、平成12年に答申を頂いてございます。その評価について、スライド上段になりますけれども、12年度末までのNO2の環境基準達成が極めて困難であるという評価となっております。自動車NOX法に基づく対策により一定の効果はあったのですが、大気汚染の改善はこれだけでは十分ではなく、より強力な対策の推進が必要という答申を頂いてございます。

 それを踏まえまして、今後の在り方ということで下段になりますが、NOXのみならず粒子状物質、PMを対象に加えるほか、特定地域に名古屋市及びその周辺地域を追加するといった対策の方向性をお示しいただいてございます。あと車種規制について、従前は貨物車やバスが対象だったものを、ディーゼル乗用車も追加するほか、事業者に対して自動車利用管理計画の策定を義務付けるべきといった答申を頂いてございます。

 これを踏まえまして、平成14年5月に自動車NOX・PM法、従前は自動車NOX法だったものが、NOX・PM法という形で改正されております。平成14年5月の施行となっています。概要につきましては、前のスライドで説明したものと同じでございます。この自動車NOX・PM法の制定に伴いまして、基本方針につきましてもその1か月前、平成14年4月に変更されてございます。この中では目標を掲げておりまして、NO2、SPMについては平成22年度までに環境基準を概ね達成するという内容に変更されてございます。

 また基本方針では、都府県が定める総量削減計画では5年後の平成17年度と平成22年度までに達成すべき削減目標量を定めるというふうにされてございます。あと、事業者の判断の基準となるべき事項の策定に関する基本的事項を追加しております。

 これらの対策地域というのが、今画面でお示ししております八つの都府県にまたがる地域ということになります。

 平成12年の答申を受けまして、自動車NOX・PM法が制定されておりますけれども、中間報告が、その後、平成17年になされております。平成17年12月に中間報告を取りまとめていただいております。

 中間報告に示されている状況評価でございますけれども、大気汚染の状況は、全体としては改善傾向が見られるとされております。ただ大都市圏を中心に基準を超過している測定局が依然として残っているという評価をいただいております。今後の当面の対策としましては、平成22年度までに概ね環境基準を達成するという目標の変更を加える必要はないけれども、できるだけ早期に達成し、さらに改善を図ることが望ましいというふうにされてございます。

 審議会のほうではその後もご議論いただきまして、次に平成19年2月と書いてございますけれども、意見具申を頂戴しております。この意見具申の内容ですが、ちょっと画面の字が細かくなっておりますけれども、状況としましては、シミュレーションによると目標年度であります平成22年度には概ね環境基準を達成できるというふうに見込んでおります。ただ交通量が極めて多い道路、交差したり重層構造になっていたりするような地点ですとか、そういったところではNO2の環境基準が非達成となるというふうに見込まれるという評価となっております。

 これを踏まえての今後の対策の在り方というのが画面下でございますけれども、主に局地対策の重要性ということが意見具申の中で示されております。環境基準非達成の測定局は、主要幹線道路の交差点付近に多いということで、特に交通が集中するような局地の対策の重点化でございます。

 この平成19年の意見具申を踏まえまして、自動車NOX・PM法が同年19年5月に改正されてございます。この施行は翌20年1月ということになっております。改正の概要でございますけど、二つありまして、いずれも局地に関連するものであります。

 (1)の局地汚染対策、これは知事が対策地域の中に重点対策地区というものを指定しまして、総合的な計画を策定することで局地対策の集中的な実施を行う、そういう仕組みを創設しております。例えば、重点対策地区の中に新たに交通需要を発生させるような建物を申請する者に対しまして、届出を義務付けるといったような枠組みを作ってございます。

 併せまして流入者対策でございます。この重点対策地区の中でも、特に流入者対策を推進することが必要な地区を指定地区として指定しまして、当該地区内への流入をもたらしております周辺地域も指定しまして、この周辺地域の事業者による計画的な取組を促す仕組みというものを作ってございます。具体的には次のポツでございますけど、周辺地域から指定地区へ運行する自動車を使用する事業者に対しまして、計画の策定でありますとか、定期的な報告を義務付けるという枠組みが、作られております。

 またこの自動車NOX・PM法の改正に合わせまして、基本方針も変更されておりまして、今申し上げました局地汚染対策の推進、あと流入者の排出基準の適合車への変換促進、あとエコドライブの普及促進等々の規定を追加してございます。

 こちらのスライドが改正自動車NOX・PM法の概要ということで、その内容についてはご説明申し上げたとおりでございます。

 この平成19年の法改正の際、衆議院、参議院でそれぞれご審議いただいた際に附帯決議をいただいてございます。附帯決議につきましては参考資料に衆参ともご用意しておりまして、それぞれ10項目くらいあります。主立ったものはこちらのスライドで掲載させていただいております。

 例えば1ポツ目では、平成22年度までに環境基準を達成するよう、最善を尽くすこと、その後も着実に対策を実施することでありますとか、四つ目のポツでは、流入者対策については排出基準適合車が識別できるように、ステッカー制度の早期導入を検討すること等々のご指摘、附帯決議をいただいております。

 その後、平成22年となります。自動車排出総合対策小委員会の設置ということで、本日この小委員会が12回目でありますけれども、この小委員会が平成22年に設置されてございます。

 当時、平成22年7月に環境大臣から総合対策の在り方についてということで諮問してございます。その諮問の理由としましては、平成14年に改定されております基本方針の目標年度が平成22年度であること、あと平成19年に改正されました自動車NOX・PM法の附則2条で目標の達成状況に応じ、法の規定に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされているということを踏まえまして、諮問したというところでございます。

 平成22年7月に小委員会が設置されまして、翌23年3月に総量削減基本方針が変更されてございます。スライドにはないのですが、この間に小委員会のほうでご審議いただいた結果、平成23年1月に中間報告という形で今後の方向性についてご指摘いただいております。それを踏まえまして政府のほうで基本方針を検討して、平成23年3月に基本方針の変更について閣議決定したところでございます。

 その概要、枠囲みにございます。目標としましては、対策地域の中での目標ということで5年後、10年後の目標を掲げてございます。具体的にはまず平成27年度までに、測定局における環境基準を達成するよう最善を尽くすというのが一つでございます。

 二つ目にその5年後、平成32年度、今年度でありますけれども、平成32年度までに大気環境基準を確保するというものです。平成27年度は実際に測定機器を有する常時監視測定局での目標でありまして、平成32年度については測定局の有無にかかわらず、対策地域全般として大気環境基準を確保するというような目標となっております。

 小委員会では中間報告の後もご審議いただいておりまして、その結果、平成24年11月に答申を頂いてございます。その答申では、まず大気汚染の状況としては、NO2について環境基準、概ね達成と評価されておりますが、一部非達成局が引き続き存在する等々、継続的、安定的な達成の判断には引き続き監視が必要というような内容となっております。

 あと二つ目のポツで、自動車排出ガス対策の実施状況と評価につきましては、各種の施策の実施によりまして、NOX・SPMの総量削減は着実に進んでいると。局地についてはその達成を踏まえて、さらなる対策が重要ということで答申を頂いてございます。

 今後の在り方について、三つ目のポツになりますけれども、①のほうで自動車NOX・PM法に基づく対策ということで、現時点、平成24年度のその時点では、法を見直す必要がないといった内容となってございます。

 さらに数年飛びますけれども、こちらのスライドは平成29年3月に取りまとめた中間レビューについてものです。こちらは平成22年に改正されました基本方針の中間目標が平成27年度ということもありまして、当時小委員会で平成27年11月から平成29年3月まで複数回にわたってご議論いただきました。その結果が平成29年3月の中間レビューということで取りまとめいただいたものとなってございます。

 このレビューによりますと、中間目標の達成状況ということであります。まず一つ目に常時監視測定局による基準の達成状況ということですけれども、NO2につきましては自動車排出ガス測定局のうち1局が環境基準非達成。それ以外の測定局は達成されているという結果となってございます。

 SPMについては、全ての測定局で環境基準以下となっております。ただ大阪府の自排局1局だけは、日平均値が2日以上連続して環境基準値を超過しているという結果となってございます。SPMにつきましては1時間ごとの測定値を1日平均で取り、その1年間のデータを高い順に並べて上の2%にある数字でもって評価します。この評価方法では、全ての地点で環境基準をクリアしているのですが、特定の1日平均濃度が高い日が2日連続で続くという観点で基準値を超過しており、その意味では自排局1局が基準超過という結果となってございます。

 この中間目標の達成状況に関する評価と考察としては、目標そのもので見ると未達成ということになりますけれども、施策の効果についてはきちんと現れているというような評価をいただいております。

 あと先ほど申し上げましたSPM、2日以上連続して基準値を超過することによる未達成につきましては、主な要因としては自動車発生源に起因するものではないと評価されているところであります。

 基本方針に係る施策の進捗状況に関するレビューでありますけれども、対策地域であります八つの都府県において、平成27年度の自動車からの排出量は基準年度に対してNOX・PMとも3割から4割下がっているということで、排出総量の削減につきましては着実に進んでおり、平成32年度の排出量についても目標値を達成する見通しであるというふうに評価いただいてございます。

 基本方針に係る施策の今後の取組のうち、②では対策地域の環境基準確保に向けた取組について示されております。この中間レビューに関するご議論の中では、平成32年度の最終年度の目標の達成の評価についての手法についてご検討いただいております。

 一部読み上げますけれども、「環境基準確保の評価手法である数値計算手法(シミュレーション等々)により将来推計を行い、最終目標年度までに対策を要する交差点付近等の地区の絞り込み、必要な対策を講じる。」というふうにご提言、レビューを頂いているところでございます。

 この中間レビューにつきましては、参考資料8に全文を掲載させていただいてございます。

 最後のスライドとなりますけれども、こういった経緯を踏まえまして、小委員会を再開したのが今月でございます。先月8月に、自動車排出ガス総合対策の在り方について、環境大臣から改めまして中央環境審議会のほうに諮問したところでございます。

 諮問の内容も基本的には10年前と同じでありますけれども、目標年度が平成32年度までとされているということと、あと平成19年のNOX・PM改正法のときの附則第2条、これらに基づいて今後の自動車排出ガス総合対策の在り方についてのご意見を求めるものでございます。

 この8月の諮問に対しまして、中央環境審議会のほうで大気・騒音振動部会に付議されてございます。その後、8月19日に大気・騒音振動部会が開催され、本件について自動車排出ガス総合対策小委員会において検討するということが了承されたというところでございます。

 以上が自動車排出ガス総合対策の経緯についてのご説明となります。

【飯田委員長】 この事務局からのご説明に対して、委員の皆さんからご意見、ご質問等ございましたらお願いいたします。

 ご発言はお手元の画面でミュートボタンを解除して、それでお名前を言っていただければ幸いです。いかがでしょうか。ございますか。

 特にないようであれば議題2に進めさせていただきます。もちろん途中で振り返って(1)の議題1についてもご質問いただいて結構です。

 それでは(2)の自動車排出ガス総合対策の実施状況(概況)について、事務局からご説明をお願いいたします。

【清丸自動車環境対策課課長補佐】 引き続きまして資料3に基づきまして、自動車排出ガス総合対策の実施状況について、こちらも概況となりますけども、ご説明申し上げます。

 説明では、NO2とSPMの濃度の状況でありますとか、環境基準の達成の状況を、最初にご説明申し上げます。その後に、8都府県のほうで定めております総量削減計画の進捗の状況。さらに、基本方針に多種多様な対策、取組が掲げられておりますけれども、これらの総量削減施策の状況について概略でありますけども、ご説明申し上げます。

 まずNO2の環境基準の達成の状況であります。測定局には一般局と自排局、自動車排出ガス測定局がございますけれども、こちらのグラフはNO2の一般局における基準の達成状況の棒グラフでございます。一部文字が小さいところもあり恐縮ですが、基準の達成状況は非常に高いものでございまして、平成15年度以降、対策地域内の全ての一般環境大気測定局で基準を達成しているという状況でございます。

 次のグラフは同じくNO2でありますけれども、自排局、自動車排出ガス測定局の環境基準の達成状況でございます。こちらにつきましても一般局ほどではないのですが、徐々に基準の達成率が上がってきておりまして、近年ではほぼ100%の達成率ということで推移してございます。

 ただ厳密には100%ではありませんで、平成23年度以降は1地点、2地点ないし3地点、約200局のうちの数地点で、基準超過をしているというのが近年の傾向でございます。

 こちらのグラフはNO2の一般局と自排局、それぞれ平均を取って、経年でグラフにお示ししているものでございます。このグラフの青丸が自排局の平均値、白丸が一般局の平均値となってございます。このグラフで見てとれることが主に二つございまして、一つは自排局、一般局、共に左のほうの平成5年当初から見れば、濃度は近年着実に減少しているというのが一つの傾向となっております。

 あともう一つは、当初ですと自排局と一般局の濃度の差がかなりありました。近年一番右のほうですと、差は引き続きあるのですが、全体の平均濃度の減少に伴いまして自排局、一般局の差が少しずつではありますけど、減りつつあるという状況となってございます。

 数字と文字が細かくて申し訳ございませんけれども、こちらの表は二つ前のスライドでご説明しましたNO2の自排局で基準を超過している地点につきまして、近年10年程度の超過地点を全てピックアップしたものです。

 表の中でグレーになっているところが超過しているということをお示ししているものでありまして、平成19、20、21、22年度辺りは、10地点から20地点くらい超過していたものが、23年度以降超過地点が急激に減りまして、以降1地点から3地点の超過で推移しているというところでございます。

 この表の中で、例えば中段くらいにありますが、東京都の松原橋測定局がございまして、これまで濃度が高い数値を示しており基準を超過していたのですが、少しずつ下がって、直近の平成30年度で見ますと、0.058ppmということで、環境基準の上限値を下回ってきているというような状況となっております。他方、平成30年度につきましては、松戸の上本郷局で基準を超過しており、近年は1地点の超過ということで推移しているところであります。

 こちらが先ほどの表の数字をグラフで表したものでございます。0.060ppmで赤線が横に伸びておりますけど、ここが環境基準の上限値でございます。紫色の松原橋局も着実に下がって、近年割り込んでいる。一方松戸の測定局は直近の数字ですけど超過しているというようなところとなっております。

 ちなみに、平成30年度に松戸の測定局で環境基準を超過した理由について、当該地域が対策地域となっております千葉県さんのほうに確認しておりますが、現状では原因の特定ができていないというふうに聞いておるところでございます。

 なお、グラフの下のほうに参考をおつけしておりまして、このグラフで示しているデータは平成30年度までのデータですが、直近の平成31年度のデータについてもWebサイトに出ております。そういったデータを元に、その後の平成31年の数字を概算してみますと、先ほどの上本郷の測定局は0.040ppm付近であるということで、平成30年度を除く従前の減少トレンドの中に乗っているのかなという感じがいたします。ただ、いずれにしましても、この単年度のデータだけではちょっと評価が難しいので、引き続きこうした測定局については、データの注視が必要であるというふうに考えております。

 こちらのスライドは、自排局のうち環境基準を超過した測定局をプロットしているものでございます。主要幹線道路沿いというところもあり、対策地域の中でばらけたところに超過地点がございます。

 先ほど自排局と一般局の平均濃度の差についてご説明申したところですが、こちらのグラフでは、それに加えまして対策地域の平均値と全国の平均値についてもグラフにプロットしたものでございます。

 ○で示されているものが対策地域の平均値。△で示されているものが全国平均値であります。あと青色が自排局の数字、白で表されているものが一般局の数字となっております。対策地域と全国で比べますと、対策地域の平均値のほうがおしなべて高いといった傾向は見てとれますけれども、先ほどのスライドと一緒でございまして、全体的に濃度が減少する傾向にあるということと、それぞれの差、自排局と一般局の差、対策地域と全国平均の差については、差が縮まりつつあるといった傾向となってございます。

 ここまでがNO2に関する説明であります。この次がSPMとなっております。まずSPMの環境基準達成率でありまして、こちらのグラフは一般局のデータとなっております。年度によっては割り込んでいるという年もございますけれども、近年、平成27年度以降で見ますと、100%の基準達成率となってございます。

 こちらは自排局のデータでございます。一般局と推移は概ね似ているようなグラフの形を示しております。こちらにつきましても近年を見てみますと、平成28年度以降は100%の基準達成という状況となっております。

 先ほどの一般局、自排局の測定データについて、環境基準の達成率が年度によって100%であったり、80%のなったりということで、年度によってばらつきがあります。そのばらつきの推移を示しているものが、こちらのグラフでございます。このグラフでお示しておりますのが、環境基準を2日以上連続して超過することによって、非達成となった測定局の割合となっております。

 冒頭の説明でも一部触れておりますけれども、SPMの基準超過について、1日平均値を1年で高い順に並べたときの上位2%が基準を超過しているのではなくて、1日平均値が高い状態が2日以上連続して続くということで超過していることが、超過理由のほぼ全てを示しているということでございます。

 では、このグラフの平成23年度を見ますと非達成が20%を超えております。当時の議論などを確認しておりますと、この年は黄砂の影響があって、数日間濃度が高い状況が続いたことにより環境基準非達成となったといったような報告がなされております。この下のグラフでありますけれども、こちら自排局と一般局の平均濃度の推移です。こちらは先ほどのNO2と傾向としては似ておりまして、年平均値としては長期的には緩やかな低下傾向にある。あと自排局と一般局の差が縮まりつつあるというものでございます。

 同じくSPMにつきましても一般局と自排局、あと対策地域平均と全国平均の四つのデータの折れ線、経年変化をお示ししてございます。こちらもNO2との類似点としましては、一般局より自排局、あと全国平均より対策地域平均のほうが濃度としては高いというところと、全体として減少傾向にあるというところは同じかと思います。NO2と比べますと、より差が縮まっているといいますか、グラフの左端の平成12年度ではそれぞれ差があったのですが、右端の直近の平成30年のデータを見ると、自排局、一般局、対策地域、全国平均ともに、ほぼ同じような数字、年平均値になってございます。ここまでがNO2とSPMについての濃度の推移、環境基準の達成の状況でございます。

 こちらのスライドは総量削減計画の進捗状況になります。基本方針に基づきまして都府県さんのほうでNOX、PMの総量削減計画を策定し、これに基づく取組を実施するのでありますけれども、毎年度進捗状況について国に報告することとされております。その中で排出量などについても報告いただいており、それをお示しした表となっております。

 この表の見方でありますけれども、上段がNOX、下段がPMになります。大きく三つの列がありまして、左側の列が基準年度、自治体によって違いますけど、平成21年度ないし平成22年度を基準年度としての排出量というのが左側にございます。それに対して中段が目標年度、令和2年度、平成32年度に目指す排出量でございます。右側の列が平成30年度、データとして把握できております直近の数字でありますけども、現状の排出状況というものであります。

 例えば、上にありますNOX、埼玉県さんの数字を見ると、平成30年度の排出量はこの表の右上になりまして、ちょっと字が小さいですけども、自動車からの排出量は1万1,157トンとなっております。それに対して左側になりますが、平成32年度に目指す排出量、ここまで抑えるといった排出量が1万1,639トンということで、平成30年度時点で既に目標を達成している状況にあります。

 その結果、一番右端の列にありますけど、基準達成率という数字で見れば、100%を超えております。このように表の右端の列を見ますと、60%台から170%台まで、幅はありますけれども、全体でみると総量削減は着実に進んでいるのではないかというふうに考えてございます。

 ここからは、4番目の基本方針に掲げる総量削減施策の状況でございます。

 後ほどご参照いただければと思いますが、参考資料6に平成22年に改正された現行の基本方針がございます。その中を見ていただきますと、前半には目標が書いてありますけども、後半のほうで各種施策、総合対策の一環として取り組むべき施策が書かれておりまして、全部で1から8の項目があります。これらの取組の状況について、以降のスライドで概略をご説明申し上げるものでございます。

 こちらのスライドの(1)は、自動車単体対策の強化となっております。この単体対策につきましては、累次にわたります中環審の答申に基づきまして、着実に排出ガス規制が強化されてきてございます。こちらのグラフでは上段が乗用車、下段がトラック・バス、左側がNOXで右側がPM、これらに対する排ガス規制の推移をお示ししております。

 制度ができた当時の基準値に比べれば、近年は1桁か、それ以上の厳しい基準となっているという状況でございます。また、この排ガス規制につきましては、直近では先月に第14次答申を頂いておりまして、その中で自動車排出ガスの粒子状物質に関する粒子数、数の規制を導入するといったような方向性が示されているところでございます。

 施策の二つ目は、車種規制の実施でございます。こちらの車種規制は、対策地域の中でその基準を満たさない車に対して車検、新規あるいは更新登録ができないというものでありますけれども、車種規制の結果、当然ながら基準適合車への代替が進んでおります。対策地域内のデータでありますが、平成14年当時の基準適合率は50%に満たなかったものが、近年ではほぼ100%となってございます。

 同じく(2)の車種規制でございます。流入車規制ということで、主に八つの都府県を中心にということかとは思うのですが、対策地域の外から流入する車両につきまして、それぞれ独自の規制が実施されているという状況となっております。

 スライドには条例に基づく主だった規制の概要をお示ししておりまして、地域によって特徴があります。例えば左側、埼玉、千葉、東京、神奈川を見ますと対象物質がPM、大阪、兵庫、愛知を見ますとNOX、PMというふうに対象物質が異なっております。また規制値につきましては、逆に埼玉、千葉、東京、神奈川ですと、長期規制並みのより厳しい規制が課されているほか、対象となる種別についても、それぞれ自治体さんの実情に応じて条例に基づく規制が実施されているところであります。

 (3)は低公害車の普及促進であります。こちらのグラフでお示ししておりますのは乗用車、そのうちの新車の販売台数のグラフでございます。ちょっと見にくいところもあるかと思うのですが、棒グラフで色が濃いところとグレーのところ、これらを合わせたものが新車、乗用車販売台数の全体であります。こういった推移の中で、より環境への負荷が小さい低公害車、具体的には次世代車の割合を示しております。次世代車につきましては、政府の定義でクリーンディーゼル、燃料電池、電気、プラグインハイブリッド、ハイブリッド等と分類しており、その割合をグラフの中に書き込んでいるものでございます。

 これらについて、2030年には新車販売台数に占める次世代自動車を5割から7割にするという政府目標があります。把握できている直近のデータである2018年を見ますと、37.8%ということで、これまでの間、着実に推移しているところです。次世代車の内訳を見ますと、図を見てお分かりいただきますとおり、青色で示されておりますハイブリッド車の割合が多いという状況となっております。

 あと低公害車の普及促進ということで、もう一つグラフをお示ししてございます。こちらのグラフでありますけれども、図の右側のほうに書いてございます、昭和54年規制以前から、平成28年規制まで累次にわたる規制があり、対策地域内における普通貨物車の規制区分別の通行台数比率となっております。

 走行している普通貨物車をサンプル調査的に確認しまして、その車がどのような規制基準を達成しているものであるかというデータとなっております。傾向としてはきれいな推移を示しており、従前でありますと、より緩い規制を達成している車を中心に市中を走っていたものが、近年着実により厳しい規制に対応している車が増えている状況が見え、代替が着実に進んでいるというふうに言えるかと思います。

 (4)はエコドライブの普及促進でございます。エコドライブにつきましては国も地方公共団体も多種多用な取組を行っておりまして、国では関係省庁、環境省も含まれますが、警察庁、経産省、国交省の関係省庁から成る「エコドライブ普及連絡会」を設置しております。その中で「エコドライブ10のすすめ」などの取組を行っているところでございます。

 各都府県さんにおかれましても、それぞれ独自の取組、普及推進体制の整備でありますとか、講習会の開催、啓発等を行っているところでございます。こちらの表では神奈川県さんの取組を書かせていただいております。この中で県独自でありますとか、あと事業者、市町村、関係団体といった方々の取組事例を掲載させていただいております。

 (5)は交通需要の調整・低減でございます。こちらも基本方針に掲げているものでございまして、こちらでは大阪府さん、大阪府域における取組をご紹介させていただいております。

 この交通需要の調整・低減と一言で言っても、表を見ていただければ分かりますとおり、輸送効率の向上でありますとか拠点の整備、TDMの実施、あといろんな取組があるということで、その結果、実施主体も大阪府さんのみならず、国の機関であります近畿運輸局でありますとか、地方整備局でありますとか、様々な実施主体の中での取組ということとなっております。

 (6)の交通流対策の推進でございます。こちらも大阪府さんの取組事例をご紹介させていただいております。交通渋滞の解消、駐停車対策、ITS等々の取組がございまして、やはりこちらも大阪府の環境部局、単独でできるものというよりも、多種多様な連携が必要でありまして、この中ですと大阪府警さんですとか西日本高速道路さん、阪神高速道路さん、様々な実施主体での取組を書かせていただいております。

 基本方針に掲げております(7)は、局地汚染対策の推進でございます。平成19年のNOX・PM法の改正の中で局地汚染対策を中心とした制度の枠組みが作られておりまして、それに基づく基本方針では、この局地汚染対策の進め方として、汚染メカニズムについての解析調査、交差点の改良、道路緑化・環境施設帯の整備、エコドライブ等排出量低減に効果のある自動車使用の協力の促進、ITSの活用等々、その地域の実情に応じた対策を実施するということとされております。

 この局地汚染対策について、平成19年の法改正で新たに設けられた重点対策地区の仕組みでありますけども、現時点ではこの重点対策地区の指定は0件であり、1件もないという状況でございます。だからといって局地対策をやっていないというわけではなく、各都府県さんのほうではそれぞれ取組が行われているところでございます。

 こちらの事例としまして、神奈川県さんの事例をご紹介させていただいております。これも多種にわたる取組ですけど、一例で申しますと、例えば表の中段にありますが、池上測定局のNO2情報システムによる電子メール配信というものがございます。濃度が比較的高いところですけども、池上新田の測定局のNO2が高濃度となったときにメールですとか、ラジオ放送ですとか、あと道路情報版で情報を提供するといったような、局地的な対策が進められているというところでございます。

 取組の最後、(8)が普及啓発でございます。普及啓発は多種多様な取組が多くございます。

 こちらについては2枚の表に分けてお示ししておりますけれども、私がこれまでに説明しました(1)の単体規制から(7)の局地汚染対策まで、あとはそれ以外の取組も含めてでありますけれども、国もそうですし、あと都府県さんのほうで多様な取組をされているというところでございます。こちらについては、後ほど表のほうをご参照いただければというふうに考えております。

 以上が、資料3の説明となります。

【飯田委員長】 ご説明ありがとうございました。

 この資料3につきまして、委員の皆さんからご意見、ご質問等ございましたら発言をお願いいたします。

 繰り返しになりますが、ミュートのスイッチを切って、お名前を言っていただいて、ご発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

【大久保委員】 すみません。大久保でございますが。

【飯田委員長】 どうぞご発言下さい。

【大久保委員】 よろしくお願いします。

 今後の評価につながるところですので、確認だけしておきたいと思います。一つは総量削減計画に関する、今の資料の13ページになりますけれども、全体として見ると削減が順調に進んでいるということでございます。ただ、やはり都道府県によりまして、結構差がありまして、もちろんもともとの目標が違いますし、状況も違いますので、単純な比較はできないわけですけれども、東京、千葉、神奈川で見ますと、神奈川県のもともとの目標に対する削減はかなり進んでいるのに対しまして、千葉、東京は、その目標に比べれば達成率が低いということになるかと思います。

 その後の説明で各都道府県の先進的な取組について、独自の取組も含めましてご紹介がありましたけれども、何か対策による自治体ごとの違いが影響しているのか。それぞれ都道府県はこういう取組をやっていますというご説明はありましたけれども、特に削減に効いている取組として特徴的な取組があるという分析がありましたら、事例的にでも教えていただければと思います。

 それからすみません、あともう1点です。

【飯田委員長】 ありがとうございます。じゃあ1点ずつ行きましょうか。

【大久保委員】 はい。

【飯田委員長】 まずは総合削減計画を、各地方自治体が立てて取り組んでおりますが、それらの成果が大きいもの、小さいものがあり、差があるんじゃないかというところ。

 これの背景には施策の内容とか、地方自治体、あるいは特定地域の事情があるのではないかということで、それを把握していたら説明いただきたいと。それが今後どうするかを考える上で、大事な資料となりますということです。

 事務局、いかがでしょうか。

【清丸自動車環境対策課課長補佐】 個々の削減がどれだけ定量的に効いているかというところは、現時点できちんとは調べ切れていないところであります。これまでの議論では、例えば単体規制が効いているでありますとか、エコドライブの推進も定量評価は難しいんですけど、重要かつ一定程度効いているといったようなお話もお伺いしております。

 今日の時点では、きちんとした数字というのはちょっと難しいのですが、この後スケジュールについてもご説明しますけれども、今後の調査の中で、例えば個々に自治体にお話を聞くなりして、どういう対策を行いどの対策が効いたかでありますとか、スライドでもお示ししています排出量、こちらの数字についても達成できた要因、もしくは達成できなかった要因について聞いていきたいというふうに考えております。

 なお、国の基本方針としては環境基準の達成が目標であり、その手段として各自治体さんのほうで目安となる排出量を計算いただいております。基本方針の目標そのものはスライドで示しておる排出量ではなく、環境基準の達成状況ということになります。そういったことも踏まえまして、当初見込んでいた排出量からの変化やその理由について確認していきたいというふうに考えてございます。

【飯田委員長】 ありがとうございました。

 大久保委員よろしいでしょうか。よろしければもう1点のご質問、お願いいたします。

【大久保委員】 ありがとうございます。

 言い忘れましたが、今の点との関係で東京とか千葉の経年的な削減の傾向、数年にわたりまして同じように減ってきているのかという点も含めて、お知らせいただければと思います。

 2点目の質問は、重点対策地区の指定はないけれども、各自治体独自に対策をやってきて、そして局所的な対策も効果が出ているのではないかというお話でしたけれども、一応法改正をして入れた制度ですので、今後の評価に当たりまして重点対策地区の指定の必要性がなかったということなのか、あるいはその指定のしにくさといいますか、活用のしにくさがあったのかという点について、ご説明をいただきたいと思います。

 以上です。

【清丸自動車環境対策課課長補佐】 ありがとうございます。まず経年変化につきましてご指摘のとおりでありまして、説明では平成30年度の排出量ということでお示ししておりますけれども、毎年度報告いただいているものでもありますので、それが分かるような形で今後お示ししていきたいというふうに考えております。

 あと重点対策地域を指定していない理由ということで、これまでの議事録等々を見ますと、以前のこの小委員会の場でもご議論があります。それによりますと個々の自治体の実情もあって、対策はやっているんだけど指定に至らなかったというようなご説明も聞いているところです。濃度が大分下がってきている中で本当に必要なのかどうか、あるいは何がネックになっているのかというのは、きちんと都府県さんのほうにもお伺いしながら、議論を進めていきたいというふうに考えております。

【飯田委員長】 よろしいでしょうか。

【大久保委員】 はい、ありがとうございます。

【飯田委員長】 ほかの委員の皆さんからご質問をお願いいたします。よろしいでしょうか。

じゃあほかにご質問がないようでしたら私から意見を述べさせていただきます。今回の事務局の整理、ご説明では、いわゆる対策地域と対策地域外でどの程度平均値で差があるのか。これ人口の重みづけはしておりませんで、単純に監視局の平均で比較したわけですけども、SPMについてはもうほとんど差が見いだせないところまできたと。それからNO2についてはその差はさらに狭まってきたということで、特定地域とそれ以外のところで、同じような状況にだんだん近づいているということが分かります。

 それから、監視局での基準の未達成状況は東京都の松原橋が30年度にやっと達成されました。それから神奈川県は、川崎市の池上新田の未達成が平成26年度を最後に、その後は達成を続けております。 

 それから、ただ今回気をつけなきゃいけないのは、千葉県の松戸上本郷です。30年度基準が未達成となりました。平成21年度の未達成を最後にずっと達成が続いてきたんですが、29年度でNO2濃度がちょっと横ばいかなというようなデータが見られ、30年度で急に増えたということでございます。

 ただ、これは31年度の速報値を事務局からご紹介をいただきました通り、0.038ということで、どうも30年度が特異点であったとも考えられるところですが、これについては自排局、あるいは監視局の全部の達成を必要条件とし、加えて面的な達成を目標とする流れの中で確認が必要だと思いました。

 それで、全体は下がってはいるものの、自治体さんによっていろんな事情がありそうだということでございました。それから対策については、大阪府さんの例であるように、実は交通の効率化というのを取り組まれていて、排出ガスの削減だけではなくて、エネルギーの削減、ないしはCO2の削減にも寄与していこうとする取組がなされているところが、特徴的だと思います。これは小林委員にも後でコメントを頂いて、こういうITCの活用について、いずれご意見をいただければというふうに思っています。

 ほかに、ご質問ないでしょうか。

【村木専門委員】 よろしいでしょうか、村木です。

【飯田委員長】 どうぞ。すみません。私の発言が長くなって申し訳ありません。

【村木専門委員】 いえ、とんでもございません。

 13ページのところで、総量削減計画の進捗状況を見ていると、かなり達成できていて好ましいなというふうに思えるんですけども、本年度のことを考えるとコロナでそもそも移動自体が減ってきているとか、またはそうではなくて、公共交通の利用をせずに自家用車の利活用というのをするということもあると思いますので、これは質問というよりお願いになりますが、今年度のデータをどのように見ていくのかということと、これから先のところというのを特に注視していただきたいなと思います。

 以上です。

【飯田委員長】 ありがとうございます。コロナ禍で始まった在宅勤務やWebを活用して交通量は確かに減っているということですけども、実はそこに中身の違いがあって、最後の1マイルと言われる宅配の量ははるかに増えているところがありますので、その辺の事情を確認しつつ、そこも検討していただきたいというご意見だと思います。

 事務局、いかがでしょうか。

【清丸自動車環境対策課課長補佐】 今のコロナの話につきまして、次の議題で触れようかと思っておったところなんですけれども、なかなかコロナの影響についての定量化が難しいところでありますが、できる限り検討していきたいと考えてございます。

 後ほどの資料のほうでも、ご説明申し上げたいと思います。

【飯田委員長】 ありがとうございます。

 ほかにご意見、ご質問ありましたら、委員の皆さんお願いいたします。よろしゅうございますか。

 じゃあ一旦ここで区切らせていただいて、(3)の今後の在り方検討の進め方について、事務局からご説明いただきます。

 この後も質疑応答で遡って議題1、2に関わることについても、また総合的にご意見、ご質問等いただきたいというふうに思います。

 それでは事務局、よろしくお願いいたします。

【清丸自動車環境対策課課長補佐】 引き続きまして事務局のほうから資料4に基づきまして、ご説明申し上げます。

 今後の在り方の検討の進め方についてでございます。

 まず一つ目、1.でありますけれども、前半のパラグラフ、一部読み上げながらご説明いたします。

 今年度、平成22年に改定されております基本方針の目標の達成年度を迎えることから、評価・点検を行うというふうに書かせていただいております。具体的には二つございまして、一つは目標の達成状況に関する評価・点検、あともう一つは基本方針に定める施策等の進捗状況、先ほど(1)から(8)と申したものでございますけども、この目標の達成状況と施策の進捗状況の評価・点検ということをまずやっていこうというふうに考えてございます。

 その結果を踏まえまして、今後の対策の在り方について検討するという流れでございます。なお、「検討に当たっては」と書かれている段落でございますが、全て参考資料におつけしてございますけれども、これまでの一連の検討の中で、平成23年の中間報告でありますとか、平成24年の答申、平成29年の中間レビューといった中で方向の検討性、評価の検討方法などをお示ししていただいておりますので、そういったものを踏まえつつ、評価・点検、在り方の検討を行っていくということを考えてございます。

 この二つの評価・点検のうちの一つ目、目標の達成状況に関する評価・点検であります。これが2.で書かれてございます。こちらはおさらいということになりますが、平成22年に改定された基本方針で示されている目標では、平成27年に測定局で環境基準を達成する、今般の令和2年度、平成32年度につきましては、対策地域において大気環境基準を確保するということで、測定局に限らない中で大気環境基準を確保するということで目標を示しているところでございます。

 この目標の中間年度について、平成29年3月に取りまとめられております中間レビューでは、下の枠囲みのような形で評価いただいております。

 まずNO2につきましては、常時監視測定局で全局達成という目標は、1、2局達成できなかったということで、中間目標そのものは達成できなかったと。ただ、排出量の削減に伴う濃度の低下というのはきちんと見られているということから、これまでの総量削減施策による効果というものは、現れているというふうに評価をいただいてございます。

 浮遊粒子状物質、SPMについて、こちらも環境基準の測定局での全局達成という目標そのものについては、達成していないのでありますけれども、達成していない原因というのが自動車発生源に起因するものでないと。先ほど申し上げたように1日平均値が高い状態が2日か、それ以上続くということで、主に自動車ではないのではないかということと、あと1日平均値を1年で並べたときに、上位2%を除外した値は環境基準値を十分に下回っていると。そういったことから、総量削減施策の目的としては達成しているというような評価をいただいているところであります。

 平成32年度の評価に当たり、平成29年3月に取りまとめられた中間レビューで、平成32年度目標の評価手法についても示しております。それがこの下の5-2と5-5でございます。

 まず5-2の内容になりますけれども、これは中間レビューの抜粋でありますが、環境基準確保の考え方としては、以下の二つに整理するというふうに示されてございます。一つは常時監視測定局における継続的かつ安定的な環境基準の達成。あともう一つは測定局がない場所においても汚染の広がりを考慮するという、この二つの視点から環境基準の確保の有無について評価・検討するというふうに示されてございます。

 その具体でありますけれども、下の5-5というところで、評価手法の指針も同じく中間レビューで示されてございます。先ほどの①、②に対応するものが、こちらの①、②になるものでございます。

 ①につきましては測定局における測定値を元に、継続的・安定的にその値を下回っているかという評価でありまして、②については汚染の広がりを考慮するということに関しては、「面的評価」を行うことが示されています。この「面的評価」とは何かということですけれども、括弧で書いてございますように、測定局がない場所においても周辺の測定局のデータに加えまして、シミュレーションでありますとか簡易測定、そういった手法を組み合わせて評価を行うということの方向性を示していただいております。

 なお、この「面的評価」におきましては、濃度の高い状態が2日続くでありますとか、そういった評価というのは非常に難しいのと、あと自動車発生源起因ではないと考えられるということで、この「面的評価」を行うに当たりましては、年平均値、1日平均値を1年で高い順に並べたときに、上位2%に当たる数字がNO2でありますと0.06なのか、SPMについては0.10を上回っているのか、下回っているのかといった評価を行うというふうに示されてございます。

 こうした考えのもと、枠囲みの下でありますけれども、この小委員会では中間レビューで示されております環境基準確保の評価手法の指針に基づきまして、中間レビューの平成27年より後、平成28年度以降のデータを元に、基準達成の評価ないし「面的評価」を行うこととしたいと考えております。

 なお、この「面的評価」につきましては、中間レビューの後も、横田先生を中心とした検討会において、「面的評価」に用いるシミュレーション等についてご検討いただいております。今後この小委員会でも「面的評価」のシミュレーションでありますとか評価については、横田先生ワーキングの結果なども踏まえて、ご議論いただければというふうに考えております。

 あと、これまでの答申ですとか中間レビューでは、同じように環境基準達成に関して、考慮すべき点ということで、幾つかご指摘いただいております。この場では一つ一つ説明しますとお時間がかかりますので割愛しますけれども、例えばNO2につきましては、自排局中心に超過している測定局があると。あと年度によって達成状況に変動があるということで、例えば大気中での酸化等により生ずるNO2の影響も含めて、高濃度での出現状況を多角的に検討する必要があるのではないかといったようなご指摘などもいただいているところでございます。こういった個々のご指摘につきましても、可能な範囲でということになりますが、今後の検討に当たって考慮していきたいというふうに考えております。

 あともう一つの評価・検討の事項であります施策の進捗状況でございます。こちらにつきましては、先ほどの二つ目の資料で、自動車の単体対策から普及啓発まで、幅広い取組ということで概略を申し上げたところでありますけれども、こちらにつきましてもこの画面で出ております①から⑧までにつきましては、今後直近の状況を調べてまいりたいと思います。

 具体的には8都府県さんの取組の状況であるとか、あと国でも環境省のみならず国土交通省等々、様々な省庁が関わっておりますので、そういった実施主体、あと民間事業者さんによる取組に関する情報も集めるとともに、取組による効果についてどう評価しているかとか、そういった情報も可能な範囲で集めていきたいというふうに考えてございます。

 この後のスライドでは、表でこれまでの答申ですとか、中間レビューで施策の進捗状況の把握に当たっての留意事項ということでご指摘いただいておりますので、こういったものについて掲載しており、可能な範囲で考慮していきたいというふうに考えております。

 詳細は割愛させていただきます。

 併せまして、施策の進捗状況の評価に当たってですが、こちらでは「その他」と書いておりまして、平成22年の基本方針、あるいは平成29年3月の中間レビュー以降といいますか、より直近の状況や新たな視点についても留意していきたいというふうに考えてございます。こちらではコロナウイルス、電動化、CASE、MaaSを例示として書かせていただいております。

 まずコロナウイルスでありますけれども、先ほど委員からもご指摘がありましたように、大気汚染について大なり小なり影響を及ぼしている可能性があります。令和2年の4月から5月にかけて緊急事態宣言が出されており、これらに伴う社会経済活動への影響でございます。ウィズコロナ、アフターコロナにおける新たな生活様式による活動の変化、あと大気汚染の状況といったものについては、どういった評価ができるかというのは、今後の検討となりますが、考えていきたいというふうに考えてございます。

 一例で申しますと、先般開催された大気・騒音振動部会の中の専門委員会、微小粒子状物質等専門委員会において、直近のデータ、まさに緊急事態宣言が出されている期間のNOXの濃度ですとか、あとPM2.5の濃度がどうなったかというような報告がなされております。

 それを見ますとNOX、PM2.5の4月、5月の濃度は前年度比で若干下がっているというような数字も出てございます。ファクトとしてはそうなんですけど、ただ評価が非常に難しいところでありまして、本当にコロナの影響なのかとか、あとコロナの影響であったとしても、先ほど委員からご指摘いただいたように、物流はどうなっているのか、自家用車と公共用の自動車の割合はどうなっているのかといったようなところはまだ分析、検討はなされておりません。あとコロナのみならず、これまでの削減の取組の効果でありますとか、近年中国、韓国でもかなり濃度が下がっておりますので、そういう越境の寄与の減少ですとか、そういった要素というのは、いろいろ考慮しなければいけないのですが、そういったものも加味しつつ、今後の対策の在り方について、何かしら言及できないかということを考えていきたいというふうに思っております。

 三つ目のポツ、電動化につきまして、諸外国では次世代自動車のうち、特にEVでありますとか燃料電池車といったような排気ガスそのものを出さないというような車両へのシフトが鮮明になってきております。その結果、温室効果ガスの削減だけでなくて、大気環境の改善が期待されているといったところについても考慮したいと考えております。ただこちらについては、もちろん電気が何で作られているかというところにもありますので、そういった点についても考慮は必要かというふうに考えてございます。

 あと最後のポツで書いておりますのは、CASE、MaaS、といった次世代モビリティサービスであります。こちらについても多くの実証研究というのがこの間なされておりますので、こういったサービスがもたらすであろう交通量の増減、それに伴う大気環境の影響といったものについても留意していきたいと考えております。

 あと最後のページでございます。事務局案として、今後の進め方をお示ししてございます。本日9月10日ということで第12回の小委員会、事実上のキックオフでございます。

 本日は冒頭にこれまでの経緯を説明し、そのあと実施状況、そしてこのスライドを用いまして、今後の進め方についてご説明申し上げたところです。この後考えておりますスケジュールを申し上げますと、平成3年度末まで約1年半をかけてご審議、ご議論いただければというふうに考えております。その行程でありますけれども、次に予定しておりますのが今年度末頃、今年度末に1回開催するか、2回開催するかというのは、今後検討させていただければと思うのですが、今年度中に開催することとしまして、まず常時監視測定局における基準達成の評価、まだ対象年度の32年度データがありませんので、平成28年度から平成31年度までのデータを用いて測定局の評価を行うほか、先ほど申し上げました「面的評価」についても、別途これまで検討の積重ねがございますので、そういった知見を用いまして、対策地域全体における「面的評価」についてご議論いただければというふうに考えています。

 併せまして基本方針に定めております(1)から(8)の進捗状況につきましては、幅広く関係者に状況をお聞きした結果を報告するのと併せまして、8都府県さんのヒアリングでありますとか、関係事業者さんのヒアリング、あと場合によっては関係省庁のヒアリングといったものを行いたいというふうに考えております。

 その後でありますけども、年度をまたいで令和3年の秋頃というふうに書いてございます。秋頃の意味は、対象年度であります令和2年度の測定データが大体固まりますのが秋か、それ以降となりますので、そのデータを元に、対象年度であります令和2年度の評価というものを測定局で行うのとともに、「面的評価」を行いたいというふうに考えております。

 それらの情報をもって在り方に関する検討ということで論点を提示しつつ、ご議論を進めていきたいと思っております。その結果、今後の小委員会の回数は特に予断を持つものではございませんけれども、パブリックコメントなども経て、目安としまして来年度いっぱい辺りで答申案に辿り着ければというふうに考えてございます。

 以上が、検討の進め方、おおよそのスケジュール感のご説明でございます。

【飯田委員長】  それでは、今後の進め方について、委員の皆様からご質問あるいはご意見をいただきたいと思います。

【石田臨時委員】 石田でございますけれども、よろしゅうございましょうか。

【飯田委員長】 石田さん、よろしくお願いします。

【石田臨時委員】 お願いします。

 先ほどご報告いただきましたが、自排局等の環境基準の達成状況に関して、まずちょっと考えたこともありますので、意見を申したいと思います。

 松原橋、これは交通量とかあるいは地形とかあるいは構造物の関係があって、相当難しいなというふうに思っていたんですけれども、達成できて、やればできるんだということが立証できたみたいな感じで、非常にうれしいなと思っておりますが、これが安定的に続くかというと、ちょっと微妙なところがあるのかなとも思います。

 ですから、そういうことに一喜一憂することなく、総量規制、削減の政策は堅持すべきだというふうに思います。その上で、私専門が交通政策とか交通計画ですので、その観点から何点か申したいと思います。

 まず一つは、コロナの影響、先ほども議論になりましたけれども、これをどう見るかということなんですけれども、短期的には社会のアクティビティレベルが相当下がっていますので、自動車交通量は減っていますけれども、実は自動車の選択性向が、かなり自動車依存度が高まっているということが、規模は小さいんですけれども、大学とか研究所でやっている小規模アンケート調査でも結構明確に出ておりますし、交通混雑情報、VICSというカーナビについてあるやつを見ていますと、若干混雑が徐々に増してきているという、そういう状況もありますので、さらにeコマースとか在宅で物流がいろんなところで増えていますので、ここについては注視をしておくべきであろうと。ですから、そういう点からも、総量削減策は堅持すべきであるというふうに強く思います。

 その上で、何を考えるかというと、これも出ておりましたけれども、新しいモビリティです。EVとか燃料電池車とか、あるいは自動運転とかあるいは最近注目されているのは、小さなマイクロモビリティという。重量も少ないし小さいし、速度もあまり出ないご近所車みたいなものの位置づけをちゃんとするとか、あるいはそれを総合的に運用するためのケースと座長おっしゃいましたけれども、コネクティッド、情報連携をどうするかとか、それはMaaSとも同じなんですけど、そういうこととの連携をきちんと位置づけていくということが大事だと思います。

 そういう観点からすると、総量削減の非常に大きな動向の一つが、排ガス規制だったわけでありますけれども、こういうモビリティが非常に多様化してくると、フリートマネジメントという考え方も、にわかには難しいですけれども、そういう方向性もあるのかなというふうな感じがしておりますので、よろしくお願いをいたします。

 以上です。

【飯田委員長】 石田さん、貴重なご指摘ありがとうございました。

 コロナ禍の影響、それからCASEやMaaSあるいはIT(インフォメーションテクノロジー)の導入が進む一方でまた物流業界の人手不足の件も抱えていて、運輸物流システム、それから人の移動にいろんな構造変化が起こるので総合的な検討をいただきたいというふうに思っております。

 また、その折には石田さんからもご説明いただくなり、あるいは小林委員からもご協力いただくなりして、取り組んでいければと思っております。

【石田臨時委員】 ありがとうございます。喜んでいろいろさせていただきたいと思います。

【飯田委員長】 ほかにいかがでしょうか。

【織専門委員】 織ですけど、よろしいでしょうか。

【飯田委員長】 はい、お願いします。

【織専門委員】 私も石田先生のように、質問というよりか幾つか大きなコメントなんですけれども、全体今日、振り返っていただいて、日本の排ガス規制が本当に効果を上げてきて、もうかなり環境基準もほぼほぼ達成という、すばらしい成果が出てきていると思います。

 ここで振り返らなければいけないのは、やはり個々的な基準、局の達成度ではなくて、全体的にコロナ禍、あるいはSDGsの中でどういう方向に日本の排ガス規制が向かっていくのかということを、ぜひ議論していただきたいなというふうに思っております。自動車の単体規制ですとか、フリート規制も今まですごくうまくいっています。ここまでうまくいった背景には、やはりトラック業界の方ですとか、いろんな運送業界の方の努力もあったと思うんです。

 そういったフリート規制、先ほどおっしゃっていたようにフリートマネジメントがうまくいった部分はどういったところなのか、またそれがこれからの流通がどう変わることによって、どういうふうに展開していけばいいのかという、そういった視点の検討が今後必要になってくるのではないかなという点が1点です。

 もう1点はSDGsとの絡みです。今まで世界に誇るべき排ガス規制を行ってきた日本のこの制度が、SDGs的な観点からいってどのように位置づけるのかということも、ぜひ検討の段階には入れていただきたいなというふうに思っております。

 もう1点、欧州との関係なんですけれども、日本ではこういう形で排ガス規制がすごくうまくいっている一方ですけども、最近のヨーロッパのほうのCAFE規制で、欧州の排ガス規制に対して日本が罰金を1.8兆円ぐらい支払わなければならない状況になってきているということで、こちらCO2の話なんですけれども、一方で日本では排ガス規制でこれだけ先進的なことをやっておきながら、欧州でCO2規制によって罰金が科されてしまっている。この辺のギャップがせっかくこれだけやっているのに、こちらのほうではうまくいっていないというか、そちらになっていく。その辺のギャップを全体的に総合的にリンクづけて完結していくような方法というのも、検討していかなければならないのかなというふうに思っております。

 最後になんですけど、私今さらなんですけれども、自動車の免許を取って、教習所に通っているんです。昨日卒検が無事に終わって、あと学科試験だけという状況になっているんですが、そこで思ったんですけど、何で教習所の科目に、自動車の排ガスと大気汚染防止と環境とか、リサイクルと環境みたいな科目が1科目でもないのかなということなんです。

 ぜひ教習所で若い人で、これから自動車を運転しようという方に、排ガス規制がどうなっているのか、あるいは公害訴訟がどういうのがあったのか、あるいは自動車リサイクルがどういうふうになっているのか、そういう時間を50分設けていただいて、環境と自動車についての意識も持ってもらうということも、これからの排ガスをやっていく上では重要じゃないかなというのを実感しました。よろしくお願いいたします。

【飯田委員長】 ご指摘ありがとうございます。

 石田さんのご意見についても、この小委員会で意見交換させていただきたいと思います。

 事務局、この件はいかがでしょうか。

【清丸自動車環境対策課課長補佐】 ありがとうございます。

 今回の諮問に関して、平成22年の基本方針に基づく平成32年度目標に対する評価、あと平成19年に改正されました自動車NOX・PM法の附則2条というところが根っこであります。そのため、基本的にはその範疇で自動車からの排出ガス総合対策について検討することにはなるかと思うのですが、その中でできる範囲で検討を進めていきたいと思っております。今、先生からもありましたSDGSの観点、これをどのように取り入れるのかについてなかなか難しいのですが、ただ他方で最近数年間での大きな動きでもありますので、そういったところについても、できる限り考慮していきたいというふうに考えております。

 あと、自動車の教習という話もございました。エコドライブや普及啓発というようなところになるかと思うのですが、そういった事例なども確認しつつ、何ができるかということについて考えていきたいと思います。ありがとうございます。

【飯田委員長】 ご意見のとおり、この委員会は自動車NOX・PM法、これがまたきちんと維持すべきなのか、それとももう目的を達成したから外していいのかというご意見も含めて、きちんと精査するというのが目的でございます。

 その意味で、石田さんも言われたとおり、長年の懸案であった松原橋、あるいは池上新田の測定局にて環境基準をクリアできましたが、松戸上本郷の例もあり慢心してはいけなくて、今ぎりぎりのところで推移していますので、コロナ禍の影響による物流や人流の状況の変化により、あるいはCO2削減のためのいろんな効率化との整合性みたいなところで、また基準がクリアできないところも出てくる可能性がぬぐいされません。

時系列データで時間軸をしっかりと常時監視局の挙動を確認するということ。それから横田先生にお願いして、横田ワーキングにて今後、時間と空間、ある時刻において、特定地域の全ての地点で達成できていること。要するに測定局の点ではなくて、面として達成できていることを、きちんと確認すること、これは慎重に進めさせていただきたいと思います。

 ほかに委員の皆さんいかがでしょうか。

【草鹿専門委員】 草鹿ですけれども、よろしいでしょうか。

【飯田委員長】 はい、草鹿先生。

【草鹿専門委員】 どうも草鹿でございます。説明どうもありがとうございました。

 まず商用車の貨物車とそれから自家用の乗用車と分けて今後考えていく必要があると考えています。まず商用車のほうは、コロナ禍ということを除くと、恐らく走行距離としてはそれほど減っていないと考えています。さらにこの貨物車に対してはここで書いてあるような電気自動車とか燃料電池自動車というオプションがあまり考えられず、通常のディーゼルエンジンを主体とした原動機が当面続くだろうと予想していて、これに対応する対策が必要になると考えています。

 それからもう一方の乗用車のほうは、これは寄与度としては大きくないんですけれども、当然電気自動車、それからハイブリッド自動車とプラグインハイブリッド自動車が考えられ、燃料電池車というのは、やはり台数的にも将来予測もあまり多くないと予想しています。つまり初めの3車種ぐらいに候補が絞られてくると思っています。

 その中で最近のトレンドとしては、電気自動車のリチウムイオンバッテリー製造時のCO2の排出量です。これは今欧州でも問題になっていますけれども、車種によってはもう電気自動車ができた瞬間に、バッテリの製造時でガソリン車が12万kmぐらい走ったのと同等のCO2を排出している勘定になっているので、電動化というのは局所的な大気汚染削減効果は大きいんですけれども、グローバルな観点で言うと、温暖化ガスをバッテリ製造時に大量に排出していると言えます。こういうことに注意しながら対策を組んでいくことが必要じゃないかなと思っています。

 以上です。

【飯田委員長】 草鹿先生、ありがとうございました。車両の単体規制についての面からご指摘をいただきました。ほかに(3)の今後の進め方について、ご意見ございましたら、委員の皆さんからご発言いただきたいと思います。

【大久保委員】 大久保でございますが。

【飯田委員長】 大久保先生、どうぞ。

【大久保委員】 2点ございます。基本方針の目標達成についてしっかりと評価していくという事務局の方針にはもちろん異存ありません。それで先ほどから委員長からもご指摘がありましたように、対策地域内での自排局と一般局の差がこれだけ縮まり、また対策地域と対策地域外との差も縮まってきているということは、21世紀に入る前にはなかなか期待できなかったことで、その意味でこの自動車NOX・PM法の効果というものが着実に上がっているということが伺われます。

 このような段階ですので、1度国際的な日本の政策の位置づけというものを振り返ってみるということも、後1年半ぐらいありますので、重要ではないかと思っております。

 先ほど織委員のほうからはCO2との関係で、まだ様々な問題があるのではないかということがありましたが、NOX・PMとの関係でも現在欧州ではたくさんの自動車公害訴訟が起きており、ディーゼル車の流入規制を最高裁が命じるなど、日本のしばらく前の状況に近いものがあって、大変大きな政策課題となっております。

 ドイツでもそういう判決が幾つも出ているわけですけれども、例えば一つの判決ではたしか40μg/m3の規制値を上回っているといったようなことから、ディーゼル車の流入禁止ということを含めた対策をとるようにという判決が出たりもしております。この点、日本が総合的な対策をとってきたことにつきまして、国際社会に対して発信できることというのもあると思います。また欧州ではディーゼル車の割合が高いという違いはありますが、規制値については、単体規制は日本とほぼ同じレベルと思いますけれども、その他の規制基準、あるいは環境基準のレベルといったものも含めまして、国際的に発信できる部分、逆に海外の制度から学べる部分があれば、検討してみたらどうかということが1点でございます。

 もう1点は、これも先ほどから各委員から出ておりますし、また織委員からはSDGsとの関係ということが出ましたけれども、今まで作ってきた対策の中でエコドライブのように環境対策にもなるし、それから安全といった観点から、事業者さんにとっても大変受け入れやすく、また意味のあるものというのもあると思いますので、気候変動、安全でありますとか、それから騒音対策ということについても、一挙両得のような形でNOX・PM法が寄与できる部分があれば、その点も付加的な要素としては評価、定量的という意味ではありませんが、定性的に挙げてみるということも、意味があることではないかと思っています。

 総合的な取組という点で、Society5.0の推進という観点も含めて、附属的に評価していただければと思います。

 以上です。

【飯田委員長】 貴重なご指摘ありがとうございました。やはり自動車NOX・PM法で貢献できたことを、きちんと取りまとめて、それらを情報発信することが肝要であるというご意見でございます。

 事務局いかがでしょうか。

【清丸自動車環境対策課課長補佐】 はい、ありがとうございます。

 一つ目の国際的な日本の政策の位置づけに関連して、先生のほうから環境基準ですとか排ガス規制についてご例示いただいております。環境基準については、日本と諸外国が必ずしも全く同じ指標ではないのですが、類似のものはヨーロッパを含め諸外国ありますので、そういったところと比べて日本はどういう位置づけにあるのかということについて、再度確認してまいりたいと思います。

 あと排ガス規制、先生のご指摘のとおりであり、先ほど申しました粒子数規制もあり、現時点では世界でも最も厳しい部類に入っているというところもありますので、そういった国際的な中での日本の状況というようなものも、しっかり把握してまいりたいと考えております。

 あと二つ目の気候変動にも資する、安全・安心にも資するというところのご指摘もごもっともでございます。先ほど少し申し上げたように、主としましては基本方針の目標のレビューでありますとか、自動車NOX・PM法の附則に基づく検討ということになりますので、大気汚染物質、とりわけ自動車NOX・PM法が中心となりますが、CO2や安全・安心の観点、そういった付加的なベネフィットについても考慮していきたいというふうに考えてございます。ありがとうございます。

【飯田委員長】 ありがとうございます。

 それでは時間も迫ってまいりましたので、今説明のありました資料の内容のとおり、事務局において必要な作業を進めていただきますよう、お願いいたします。

 それでは最後にその他の項目でございますが、ここで事務局のほうから補足があれば連絡事項等、お願いしたいと思います。あるいは委員の皆さんから全体を通して、このことは確認しておきたいということも含めてお受けしたいと思います。いかがでしょうか?

【渡邊専門委員】 すみません、東京都です。

【飯田委員長】 はい。

【渡邊専門委員】 今後の進め方として、一言だけお話しさせていただければと思います。

【飯田委員長】 どうぞ。

【渡邊専門委員】 これまで事業所の皆様のご協力によってSPM、NOXに関しては環境基準が達成されてきていますが、PM2.5の環境基準もまだ継続的な達成には至っていない。またオキシダントも環境基準はいまだ達成されていない。その前駆物質としては、自動車から排出されるVOCとかNOXも原因があるので、そういったものも今後の検討に当たっては、視点として入れていただければと思っています。あくまでも意見でございます。

【飯田委員長】 ご意見のとおりで、なかなか達成率が改善しない光化学オキシダントの原因物質としてNOxとPMのみでなく、VOC、PM2.5あるいはPN(パティキュレートナンバー)についても自動車からの排出ガスとして、強い関連性を持っていますので、中環審および自動車専門委員会でのご検討内容について、この小委員会でも情報共有を図って検討したいと思っています。ご指摘ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。特に無いようですので事務局にお返ししたいと思います。いろいろ率直なご意見、意見交換ができましたことを厚く御礼申し上げます。本日はありがとうございました。

 じゃあ事務局にお返しします。よろしくお願いします。

【小森自動車環境対策課長】 自動車環境対策課長の小森でございます。

 本日は長時間にわたりましてご議論いただきまして、ありがとうございました。また途中、聞こえにくいところもあり、申し訳なく思いますが、次回しっかりとそういったところの改善もしていきたいと思っております。

 自動車環境対策課長として、途中コメントなどをしておりませんけれども、様々な貴重なご意見を委員長、また委員の皆様からいただいたと思っております。本日はキックオフでございますので、しっかりと受け止めつつ、よい議論になっていけばと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次回は今年度内の開催を予定しておりますけれども、日程につきましては今後調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日の小委員会の議事録につきましては、事務局で案を作成いたしまして、委員の皆様にご確認いただいた後、ホームページで公表する予定としております。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは以上で、小委員会を終了いたしたいと思います。本日は誠にありがとうございました。

【飯田委員長】 どうもありがとうございました。