中央環境審議会地球環境部会 二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会 第3回会合 会議録

1.日時

平成18年11月20日(月)午後2時00分~午後4時23分

2.場所

虎ノ門パストラル 新館6階(ペーシュ)

3.出席者

清水 誠 委員長
赤井 誠 委員  大塚 直 委員
木幡 邦男 委員  小山 次朗 委員
佐藤 徹 委員  白山 義久 委員
高村 ゆかり 委員  野尻 幸宏 委員
原沢 英夫 委員  松橋 隆治 委員

4.議題

(1)
二酸化炭素海底下地層貯留の環境影響評価について
(2)
専門委員会報告書骨子(案)について
(3)
その他
  

5.配付資料

資料1 二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会第2回会合 
議事録(案)
資料3 二酸化炭素海底下地層貯留の環境影響評価技術について
資料4 二酸化炭素海底下地層貯留の生態影響評価について
資料5 地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方について-中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会報告骨子(案)
参考資料1 ロンドン条約第28回締約国会議・96年議定書第1回締約国会議二酸化炭素海底下地層貯留に係る議定書附属書Iの改正について
参考資料2 IPCC特別報告書に記載された二酸化炭素の海洋環境影響(生態影響)
参考資料3 海洋掘採施設等の安全の確保について(経済産業省資料)
参考資料4 新潟県中越地震による二酸化炭素地中貯留実証試験サイト(新潟県長岡市)への影響

6.議事

午後 2時00分 開会

○徳田環境保全対策課長 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会の第3回会合を開催いたします。委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただき、大変ありがとうございます。
 本来であれば、ここで地球環境局長の南川より御挨拶申し上げるところでございますけれども、所用により遅れての出席ということになりますので、後ほど御挨拶を申し上げるということにしたいと存じます。
 それでは議事に入ります前に、本日の資料を確認させていただきます。

○竹本環境保全対策課課長補佐 事務局の竹本でございます。早速御紹介いたします。
 まず一番表に議事次第がございます。続きましては座席表があるかと思いますが、その後本資料といたしまして、今回5つございます。まず資料1は委員名簿、資料2は前回の専門委員会の議事録でございます。続きまして資料3ですが、二酸化炭素海底下地層貯留の環境影響評価技術について、資料4は二酸化炭素海底下地層貯留の生態影響評価について、資料5は地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境の影響防止の在り方について、本専門委員会報告の骨子(案)でございます。
 続きまして参考資料が4種類ございます。まず参考資料1ですが、先日行われましたロンドン条約第28回締約国会議及び96年議定書第1回締約国会議におきます二酸化炭素海底下地層貯留に係る議定書附属書Iの改正について。続きまして参考資料2ですが、IPCC特別報告書に記載されたCO2の海洋環境影響(生態影響)。参考資料3が海洋掘採施設等の安全の確保について、経済産業省の資料でございます。参考資料4が新潟県中越地震による二酸化炭素地中貯留実証試験サイトへの影響でございます。不足等ございましたら、お申しつけください。

○徳田環境保全対策課長 本日はまず、二酸化炭素海底下地層貯留の環境影響評価について御議論をいただき、その後、専門委員会報告書の骨子(案)について御議論をいただくこととしております。
 本日は委員総数14名中、既に9名の御出席をいただいておりますので、専門委員会開催の定足数を満たしておりますことをお伝えいたします。
 会議は原則公開。公開した会議の会議録は、公開することとされております。会議の公開・非公開につきましては、委員長の決定ということになっております。今回の第3回専門委員会につきましては、事前に清水委員長に御相談申し上げ、公開で開催することといたしております。
 それでは議事に入っていただきます。ここからの進行は、清水委員長にお願いしたいと思います。それでは清水委員長、よろしくお願いいたします。

○清水委員長 委員の先生方、御出席いただきましてありがとうございました。今御紹介あったようなことでもって、議論をお願いしたいと思います。
 議題に先立ちまして、前回の専門委員会の議事録について、御確認をお願いしたいと思います。あらかじめ御覧いただいたと思いますけれども、何か御注意いただくことがございましょうか。もしよろしければ、これで確定したということにさせていただきたいと思います。

(了承)

○清水委員長 それでは、議題の1番目でございますが、二酸化炭素海底下地層貯留の環境影響評価についてということで、技術について、それから導入した場合の評価について御議論をいただくわけでございますけれども、事務局から御説明をお願いいたします。

○竹本環境保全対策課課長補佐 それではまず資料3から御説明いたします。
 二酸化炭素海底下地層貯留の環境影響評価技術について、でございます。海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律においては、廃棄物の海洋投入処分に対し許可発給を行うこととしており、その申請には、事業者による、海洋環境に及ぼす影響についての調査の結果に基づく事前評価に関する事項を記載した書類等を添付することが求められています。
 本資料におきましては、二酸化炭素海底下地層貯留に当たって、貯留地点の選定等に係る調査項目について例示しております。また、当該調査の実施に当たりましては、利用可能な最善の技術(BAT)についての利用が原則であるとさせていただいております。
 まず、貯留地点の選定時における調査項目でございます。こちらの表にございますように、例示した調査項目ごとに適正な貯留地点としての条件を満たしていることを示す必要がございまして、それに基づいて対応していくということでございます。具体的には貯留層の容量、深度等、貯留層、シール層の完全性、貯留地点周辺の地下構造、二酸化炭素流の移動・漏洩経路、最後に貯留地点周辺海域の生物・生態系などがございます。
 まず1点目、容量、深度等につきましては、条件といたしましては計画している二酸化炭素流の量が十分貯留可能であること、二酸化炭素流が超臨界状態を保てる深度であることが例として挙げられます。具体的な調査手法といたしましては、地震探査、圧力観測、電気検層、坑井からのサンプリングが挙げられます。2点目貯留層、シール層の完全性につきましては、貯留層が二酸化炭素流を貯留できる構造であること、例えば温度、圧力、透過性、鉱物組成などから判断するということでございます。続きましてキャップロック等のシール層が貯留層に二酸化炭素流を貯留できる構造にあることでございます。最後に、二酸化炭素流の圧力による圧力上昇で、シール層の安全性が影響を受けないことでございます。こちらも貯留層の容量、深度等と同様の調査手法が考えられます。
 3点目、貯留地点周辺の地下構造でございますが、巨大な、又は活発な断層等による二酸化炭素流の漏洩経路がないなど、安定した地質構造であることが条件として考えられます。
 4点目、二酸化炭素流の移動・漏洩経路でございますが、貯留層からの二酸化炭素流の移動・漏洩経路がないことが条件として考えられます。こちらについては地震探査、現地調査、坑井からのサンプリングが調査手法として考えられます。
 最後に生物・生態系でございますけれども、藻場、干潟、サンゴ群落等、貴重な動植物の生息海域ではないことが条件として考えられます。こちらにつきましては現地調査、文献調査などが考えられます。
 続きまして潜在的影響評価の項目でございます。事業者が許可申請に当たって実施する潜在的影響評価に関しては、以下のような手続に沿って評価を実施する必要があると考えられます。まず漏洩シナリオの設定です。予防的アプローチに基づいて、保守的な仮定のもとでの漏洩ケースを設定し、二酸化炭素流の海底下地層内での移動及び海底からの漏洩のシナリオを設定します。この保守的な仮定でございますけれども、例えば、大地震が発生して貯留層から海底まで断層が生じるなど、通常は起こらないような極端なケースの設定ということでございます。
 (2)ですが、貯留された二酸化炭素流の海底下地層中での挙動の予測が挙げられます。上記(1)のシナリオに基づき、地層モデルを用いて海底下地層中の二酸化炭素流の挙動についてシミュレーションを行います。本シミュレーションによって、貯留された二酸化炭素流の三次元分布等を予測します。なお、シミュレーションは、二酸化炭素流の圧入中及び圧入終了後、時間を経た状態を予測することが求められます。
 (3)は、海水中における二酸化炭素流の挙動の予測です。上記(2)の結果を踏まえ、また、海底の二酸化炭素流の漏洩地点、当該二酸化炭素流の単位時間当たりの漏洩量等についてシナリオを設定し、流体力学モデルを用いて、海底から漏洩した二酸化炭素流の挙動についてシミュレーションを行います。本シミュレーションによって、二酸化炭素流の漏洩に伴う海水の二酸化炭素分圧(pCO2)の変化、pHの変化等を予測します。
 最後、(4)二酸化炭素流による海洋生物への影響予測です。上記(3)のシミュレーションの結果に基づき、海底から漏洩した二酸化炭素流による海洋生物への影響を予測します。pCO2、pH等の変化と、既存の生態影響評価試験結果等を勘案して、当該海域における生物への影響を予測します。
 大きな3点目ですが、監視(モニタリング)計画の項目でございます。事業者が許可申請時に添付する監視計画については、以下のような内容が考えられます。まず(1)二酸化炭素流の貯留層への圧入時及び圧入終了後において、それぞれ個別の監視計画を策定します。次に(2)監視結果の環境大臣への定期的な報告を行います。そして(3)監視対象項目と監視手法ですが、具体的には表のとおりの項目手法が考えられます。
 まず圧入井坑口及び観測井での圧力・温度等でございまして、こちらにつきましては圧力ゲージ、温度計等による監視が考えられます。続きまして圧力層内の圧力、こちらは圧力ゲージ等で監視をすることが考えられます。3番目にCO2挙動ですが、これは地層内の挙動のことでございますが、地震探査、音波探査、電気探査等による監視が考えられます。4点目に海水のpCO2、全炭酸等につきましては、海水サンプリングによるガス分析等が考えられます。最後に海洋生物への影響につきましては、海水のpCO2及び全炭酸濃度の変化と既存生態影響評価試験結果との比較、生物等試料採取による確認等が考えられます。
 続きまして資料4の御説明をさせていただきます。二酸化炭素海底下地層貯留の生態影響評価についてでございます。
 資料の御説明に入ります前に、本資料の位置付けについて簡単に補足をさせていただきます。この資料の目的は、二酸化炭素海底下地層貯留事業の許可申請時に添付される潜在的影響評価を審査するに当たりまして、生態影響評価の手法及びレファレンスになる化学的知見については既に存在しているということを事務局よりお示しするものでございます。実際に事業者の方々が申請をされる際には、こういった手法等について参考にしていただき、適切な影響評価を実施していただくというものでございます。本資料自体は事務局のペーパーとしてお出しするものでございまして、今後具体的な案件についての許可申請が出される際に参考としていただくものでございます。先週金曜日に委員の先生の方々にセット版という形で配付をさせていただいておりますけれども、その後何人かの先生方から追加コメントをいただいておりますので、本日の場で御議論いただければと思っております。
 それでは資料の中身の御説明をさせていただきます。まず1.二酸化炭素漏洩による海洋生物への影響です。
 (1)は海洋における二酸化炭素濃度についてです。気象庁により冬季における東経137度線、北緯7~33度の海域で行われた大気中及び海表面のpCO2の観測結果から判断すれば、2005年における我が国の海域付近の海表面におけるpCO2は概ね340ppm程度と考えられる。(ただし、pCO2は水温の他、生物生産の大きな海域や鉛直混合の盛んな海域においては日周変動、季節変動によっても変動する。)
 GEOSECS(地球化学的大洋縦断研究)や、Nakano et al.(2006)にて観測されたpCO2の鉛直分布によれば、北太平洋海域の場合、水深500mでは概ね500ppm程度、水深1,000mでは概ね1,000ppm程度であり、1,000m以深では水深が大きくなるにつれてpCO2が低下する。図1に参照がございます。野崎(1994)によれば、水深1,000m前後でpCO2が極大となるのはプランクトン由来の有機物の分解によるところが大きい。
 2ページにまいりまして、(2)海底からの二酸化炭素漏洩による海洋環境への影響についてです。海底下地層に貯留したCO2が海洋に漏洩した場合に生ずる可能性のある海洋環境影響の評価については、二酸化炭素回収・貯留(CCS)に関するIPCC特別報告書(以下「IPCC特別報告書」という。)や、海水中のCO2濃度を上昇させて行われた生物試験結果を踏まえると、以下の点に留意する必要がある。
 [1]多くの動物は低CO2濃度の環境に適応しており、高CO2濃度で極めて高い酸性の水への暴露は急性致死をもたらす。常時上昇したCO2濃度に生物がどこまで適応できるかは不明であるが、現状の低CO2濃度の海域で生息する多くの種は、一時的なCO2濃度の変動には耐えられても、CO2濃度が恒常的に高くなる海域においては、生物相が変化すると考えられる。
 [2]一般的には、外洋に分布する生物、深海に分布する生物は、沿岸浅海に分布する生物に比べて環境の擾乱に弱く、CO2濃度の上昇には脆弱である可能性がある。
 [3]総じて魚類成魚はCO2濃度の上昇に強く、無脊椎動物は弱い傾向がある。また、石灰質の外骨格を有する生物には強い影響が生じる可能性があり、高炭酸濃度の伊平屋海凹では、底生生物において石灰質の殻を持つ有孔虫が少ない事実も報告されている。
 [4]CO2濃度上昇の影響は、成体よりも初期発育段階でより著しい傾向が見られ、魚類では成魚への影響は小さくとも、卵稚仔で高い死亡率が発生する可能性がある。
 [5]急性致死レベルよりも低い濃度においても、成長抑制及び生殖能力の低下、病気への抵抗力の低下など高度な機能の退化が生じることがあり、特定種の個体密度及び生産力の低下、ひいては食物連鎖を通じた生態系レベルでの影響の可能性が示唆される。
なお、IPCC特別報告書の関連部分につきましては、参考資料2でもお示しておりますので、御参照いただければ幸いでございます。
 (3)は海洋生物に対するCO2の影響濃度です。IPCC特別報告書等によれば、浅海域の成魚については、実験の結果、短期致死限界濃度がpCO2で50,000~70,000ppmと、CO2の濃度上昇に比較的高い耐性を示したこと、また、空気呼吸する生物(海生哺乳類、ウミガメ)は、体液中のpCO2が水中呼吸生物よりも高く、潜水中に行われるガス交換は最小限であることから、CO2の濃度上昇による直接的影響はわずかであることが示されている。3ページにまいります。一方、イカ(Illex illecebrosus:カナダイレックス)では、モデル計算により、海水中のpCO2が6,500ppmまで上昇した場合に急性致死影響が予想されること、卵や稚仔、若齢個体の場合には、表1に見られるように、成魚や成体に比べるとやや低いCO2濃度で影響が生じることが知られている。
 Hayashi et al.(2004)はヒラメを用いて、またKikkawa et al.(2004)はマダイ卵・稚仔を用いて、CO2濃度の上昇によるpH低下の影響と、硫酸又は塩酸の添加によるpH低下の影響の比較試験を行っている。これらによれば、pHの低下が同じであっても、CO2による急性影響は酸による影響に比べて強く現れることが示されている。またKikkawa et al.(2006)がシロギス稚魚で行った試験によれば、CO2濃度を段階的に増加させた場合には、死亡率が小さくなる現象が見られている。
 IPCC特別報告書によれば、CO2濃度上昇が長期にわたる場合の影響についても指摘されている。特に、石灰質の外骨格を持つ動物にとって、恒常的なCO2暴露は、石灰化の阻害や骨格の溶解などの物理的影響が生じる可能性がある。少なくとも十数例のサンゴ及びサンゴモ(coralline algae)に関する実験及びフィールド調査により、産業化以前と比較して2倍のCO2濃度(560ppmまで)の上昇に伴う石灰化率の15%~85%の減少が示唆されている。また、pCO2が560ppmまで上昇すると、殻を持つ動物(棘皮動物、腹足類)の成長率及び生存率が低下することを示す研究結果もある。
 石灰化阻害のほか、海水中のCO2濃度の長期的影響として、体内各部において酸塩基調節が阻害されることに起因する、様々な代謝機能に対する影響が挙げられる。例えば、実験した2種のウニ類のいずれでも、受精率はpCO2が1,000ppmを超えて上昇するに伴って低下した(pH7.6以下の水の場合)。
 以上より、海洋生物への影響が生じるpCO2の下限値としては、CO2濃度の上昇に脆弱な、石灰質の殻を持つ動物においては500ppm程度と想定される。
 Kurihara et al.(2004)がカイアシ類(Acartia erythraea)をpCO2365ppm(対照区)、5,365ppm(+5,000ppm区)及び10,365ppm(+10,000ppm区)で8日間飼育した試験では、生存率には各区で有意差が認められなかった。一方、卵産出数や孵化率では+5,000ppm区では有意な低下が見られなかったものの、+10,000ppm区では有意な低下が見られた。
 喜田らは、Watanabe et al.(2006)が行った中深層カイアシ類の急性影響実験データを用いて、Mayer et al.(1994)の方法により影響が生じないとする推定濃度をΔpCO2で4,900ppmとしている。喜田らは、この結果と前述の卵産出数と孵化率の実験結果をあわせて、海水中のCO2増加によっても影響が生じないであろうとする推定濃度をΔpCO2で5,000ppmとした。また、異なる生物種による生態影響試験結果が得られていることを勘案して設定した安全率を考慮した場合の無影響レベルをΔpCO2で500ppmとしている。
 5ページにまいります。カイアシ類等の動物プランクトンは、魚介類の初期成育段階及びイワシ類に代表されるプランクトン食性魚類等の重要な餌生物であること、並びに昼夜の深浅移動に伴う有機物(エネルギー)の鉛直的な移動において重要な役割を果たす種もある。したがって、動物プランクトンに対する著しい影響が生じる場合には、局所的であっても、生態系に大きな変化を引き起こす可能性があることに留意する必要がある。  以上のように、カイアシ類を用いた試験結果からは、海水中のCO2濃度上昇の許容限界をΔpCO2で500ppmとすることも考えられるが、その場合には、海表面における現状濃度(約340ppm)からすれば、海洋表層でのpCO2で840ppmとなる。しかしながら、この場合には、サンゴ類や棘皮動物等で影響が生じる可能性のある濃度(pCO2で500ppm)を超えることになる。
 これらを総合すると、海洋表層においてはΔpCO2ではなく、pCO2で500ppmまでを海洋表層において海洋環境保全の見地から支障のない濃度の目安値と考えることが適当であろう。
 二酸化炭素流が海洋に漏洩した際の生物の慢性影響については、現時点では国際機関で承認された試験手法が確立されていない。今後、長期にわたる影響に関する研究等が進展し、また、試験手法の確立等がなされれば、これらの科学的知見の進展に伴い、許可申請時に最新の知見をもとに影響評価を行う必要がある。
 なお、(1)で示したように、pCO2は水深1,000mまではもともと漸増することが知られていることから、海底下地層における二酸化炭素流の貯留事業においては、漏洩が想定される水深を勘案しつつ、影響評価を検討する必要がある。
 続いて2.二酸化炭素の海底漏洩後の挙動に関するシミュレーションの一例です。二酸化炭素海底下地層貯留に関し、海底から漏洩した後の挙動については、RITE((財)地球環境産業技術研究機構)により数値シミュレーションが行われております。
 次のページにまいります。(1)地層中の二酸化炭素流の挙動シナリオ。本シミュレーションではRITE(2004)が実施した地層シミュレーションの結果が採用されている。本地層シミュレーションにおける貯留地点、貯留量等に関する仮定は以下のとおりである。
 二酸化炭素流の貯留層は日本近海に存在すると推定されている水深100m前後、海底下深度1,000m前後のドーム状の背斜構造を持つ帯水層。
 100万kw級の火力発電所から二酸化炭素を回収し、20年間で約7,300万トンの二酸化炭素を貯留層に圧入するという仮定です。
 本地層シミュレーションでは、通常想定される以上の規模の大地震が発生したとしても起こるとは考えにくい、以下の極端な漏洩シナリオが仮定されている。
 二酸化炭素流の仮想移行経路としては、貯留した帯水層と海底の間に上部帯水層が存在し、また大地震により断層が発生し、断層破砕帯が貯留帯水層から上部帯水層を貫通し、最短距離で海底に達するという極端なケースが設定されております。また、断層の傾きは浮力が最も大きくなり、二酸化炭素流の上部移行が最も早くなると想定される垂直方向を設定しております。
 断層破砕帯の幅は25mに設定されております。これは地層モデルのグリッドの最小サイズが25mという点を考慮したものでして、実際の断層破砕帯の幅は最大でも15m程度と言われています。また仮想移行経路での垂直方向の浸透率の値は、地表面近傍での値を浸透率を参考に、1md(ミリ・ダルシー)及び10mdの2種類が設定されております。また、水平方向の浸透率は200mdに設定されております。なおこの極端なケースの設定でございますけれども、参考情報として6ページの脚注11に詳細な情報を補足させていただいております。
 かいつまんで申し上げますと、通常事業者が貯留地点を選定する段階におきましては、巨大な断層が存在する場所は避けるであろうと。実際に地震探索等を行いますと、こういった大きな断層というのが検知される。ここに呈しておりますのは、そういった過去に巨大な断層がないような場合に、新たに非常に大きな地震が起こるというケースでございますが、こういったケースというのは実際今後1,000年程度の時間の範囲に新たな巨大な断層が生じるということは可能性としては非常に小さい、まず起こらないと考えられるという専門家のコメントを補足させていただいております。
 続きまして7ページでございます。この岩盤の浸透率ですけれども、深度とともに減少する深度依存性を示すことが一般的に知られております。このため、深部の地層であれば、地表面の数値よりも小さな浸透率を持つが、この極端ケースでは、地表面近傍の浸透率を参考に、一定の値で計算されております。この1mdという数値の設定でございますけれども、具体的には1,000年後までに、貯留された二酸化炭素流のうち、約80%もの二酸化炭素流が海水中に漏洩するという極端なケースでありまして、さらに10mdの場合は、200年後までに同様の量が漏洩するという極端なケースを表したものであります。
 他方、IPCC特別報告書の政策決定者向け要約によりますと、「適切に選択され管理された地中貯留サイトに二酸化炭素が留まる割合は、100年後に99%以上である確率は90~99%であり、1,000年後に99%である確率は66%~90%である。」とされておりますので、ここで想定した漏洩量というのは、これらと比べても極めて大きいという想定となっております。
 なお、参考資料4にもございますが、RITEが新潟県長岡で実施している二酸化炭素流地中貯留の実証実験におきまして、2004年10月に新潟県中部地震が発生いたしましたが、貯留された二酸化炭素流約8,950CO2トンは、地震後も想定範囲内に貯留されていたことが確認されております。
 続きまして(2)海底下からの漏洩シナリオでございます。次は実際に(1)の想定で海底に出てきた二酸化炭素流が、海洋中でどのように振る舞うかということを、シミュレーションを行ったものでございまして、そのためのシナリオでございます。こちらにつきましては、[1]漏洩量、[2]海流速度、[3]水深と気泡径などについて設定が行われておりまして、シナリオのまとめは9ページの[4]の一覧表にございます。
 [1]にございますように、漏洩量については、10-4kg/m2/sという単位で、2.8と0.4という2種類が設定されております。この0.4というのが1mdの場合、2.8というのが浸透率10mdの場合でございます。バックグラウンドの海流速度については0.05m/sと、0.1m/sの2種類が設定されております。続きまして漏洩する海底の水深につきましては、200mと500mの2種類が設定されております。
 8ページの一番上の丸の二つの三角に補足説明がございますけれども、我が国におきましては経済性等の観点から、海底下への地層貯留のほとんどは沿岸の陸棚直下で陸域に近く、かつ陸棚斜面から遠い水深200m以前の海底下に貯留とされると考えられるということでございます。また、さらにそれよりも深いケースとして考えられるシナリオでは、陸棚の斜面の下から漏洩する場合であり、この場合も漏出地点というのは陸地からの距離が比較的近いと想定されますので、大体500m程度と考えられておりまして、このような設定がされるものと考えられます。
 最後に漏洩して出てくる二酸化炭素の液滴、または気泡の径でございますけれども、気泡径として0.01m、それと同じ質量の液滴の径として0.0036mと仮定されております。なお、水深500mの場合は気圧と温度の関係から、液滴状で出てくると想定されておりまして、表のこのケース5に当たります。それ以外の200mの水深の場合は、気泡状で出てくるということが想定されます。
 このようなシナリオを設定しまして、実際にシミュレーションを行った結果でございますけれども、ここでΔpCO2の変化を計算しております。その図は10ページの図2に示されております。左側の図は、ケース1~4のΔpCO2の鉛直分布、水深200mから漏洩したときの4つのケース結果でございます。横軸にpCO2の変化量、縦軸に水深が表されております。右側は水深500m、ケース5のΔpCO2の鉛直分布でございます。
 9ページ(3)には、定性的な結果を中心にお示ししております。まず二酸化炭素の単位時間当たりの漏洩量のほか、温度、圧力など海水の物性等によって挙動が変化しました。2つ目の三角のところですが、計算が行われた5つのケースでは、いずれにおいても二酸化炭素の漏洩に伴うΔpCO2は漏洩地点付近の水深で最も高く、表層に向かうに従い減少しました。
 3点目ですが、単位時間当たりの漏洩量が多いと仮定したケースの方が、少ないケースよりもΔpCO2が高かった。4点目ですが、漏洩する二酸化炭素の気泡(液滴)径が小さいと仮定したケースの方が、ΔpCO2が高かった。次に水深500mの海底で漏洩すると仮定したケースでは、水深200mの海底で漏洩すると仮定したケースよりもΔpCO2が高かった。(この結果は、海底付近での漏洩した二酸化炭素の物性の違いが影響していると推定されます。)
 次に浸透率10mdで漏洩地点の水深を200mと仮定したケース4、及び漏洩地点の水深を500mとし、液滴で漏洩すると仮定したケース5で、海底付近においてΔpCO2が500ppmを超えた。他方、ケース1からケース3の3つのケース、(水深200m地点での漏洩を仮定)においては、すべてΔpCO2は500ppmを超過しなかった。表層付近では、いずれのケースもΔpCO2は漏洩地点と比較して大幅に減少したということでございます。
 10ページ、3.総合的な評価でございます。最初のパラグラフは先ほど御説明したIPCC特別報告書からリバースしたものでございます。次のパラグラフでございますけれども、上記2.で示したケーススタディは、200年及び1,000年の間に貯留量の80%が漏洩するという、非常に考えにくいケースであるということの御説明であります。この結果から水深200mの漏洩地点では102ppmオーダーで、水深500mの漏洩地点では102~103ppmオーダーでpCO2が増加するとされています。しかしながら、IPCC特別報告書の要約が示すとおり、適切に選択され管理されたサイトであれば、今回引用した極端な漏洩は起こりにくいと想定されます。ただし今回のシミュレーションにおけるパラメータ設定は、一定の仮定を通して行われたものであり、海水の物性(特にpCO2)は、水深や水温等の要因によっても変化します。また、漏洩地点の水深が上記2のケース以外の場合もあるということで、影響評価においてシミュレーションを行う際には、個別のケースごとに貯留地点における特性に応じてパラメータを設定する必要があるということです。
 このように、影響評価を行う手法(シミュレーションを含む)は存在しており、このため、許可発給の際に潜在影響評価を行うことは可能であるとしております。なお、海底下に貯留された二酸化炭素流に含まれる有害物質については、海洋環境への影響を防止する観点から、適切なレベルに管理される必要があることから、圧入可能な二酸化炭素流について、その物理的、化学的特性を管理する必要があります。
 最後ですが、二酸化炭素流が海底から漏洩する場合、当該二酸化炭素流中の有害物質は地層中の海水により希釈されたり、海底下地層にて有害物質がトラップされたりする可能性がある一方、海底地層中にもともと存在していた有害物質を取り込みながら(随伴しながら)上昇して漏洩する可能性も否定できない。しかしながら、これらの事象は個々の貯留場所と漏洩経路の地質等に強く依存すると考えられることから、事前に網羅的に把握することは困難であります。このため、海洋環境への影響の可能性について把握するためには、注入後においても海水のpCO2、pH等のモニタリングを行い、環境の変化を把握する必要がある。これらのデータやシミュレーション結果等を勘案し、最新の科学的知見も踏まえ、個別のケースごとに検討することが適切である。
 以上です。

○清水委員長 ありがとうございました。ただいま御説明いただきました資料3、それから性格も含めてというか、その資料の使われ方も含めて説明をいただいた資料4、どうぞ御質問、御意見ございましたらお願いいたします。

○木幡委員 ちょっと質問したいのですけれども、その前にまず私の認識不足だったというか、ちょっと認識が違ったのは、もともと水深が深いところでやるかなと思ったら、実際上考えられているのは浅い、沿岸に近い200mぐらいの水深のところのさらに深い地層だということなのですけれども、そうするとちょっとだけ心配なのは、あとの方の資料5だったかな、参考資料の中にも書いてありましたけれども、堆積層のところでは、例えば嫌気的な条件で硫化水素が溜まっているようなことが普通に起こっていると思うのです。
 そうすると、今問題になっているのはCO2が漏洩して、CO2の化学的なことだけを言っていますけれども、実際にはCO2が気泡となって上がってくるときに、周りの堆積層は攪拌してしまうと。そのために本来地表面ではなくて、少し深い所にあった硫化水素とかをどんどん撒き散らすような、半分気泡の物理的な作用みたいなものが出てくるかと思うのですけれども、その辺について、もし議論するとすれば、どんな感じになるのですか。要するに、今一番最後に御説明になったのはCO2に溶けてしまう部分、CO2に含まれる有害物質なのですけれども、そうではなくて本来海底にあって攪拌されることで出てきてしまうようなものの影響というのは、何か考えておく必要はないのでしょうか。

○清水委員長 お答えをしますか、それとも少し他の方も伺ってから。

○佐藤委員 資料4についてなのですけれども、ちょっと立場上私少し説明しなくちゃいけないかと思いまして。実はRITEの報告書で、地面の中から漏れてきて、海底面から出て、その後海中に出てくると、ここのシミュレーションをやったのは実は私のところでして、RITEさんの方から海洋生物環境研究所を経て、受託研究として私のところで受けてやったもので、お話の中で何回か通常想定される以上の規模の地震が発生しても起こり得るとは考えにくいとか、そういう表現が出てきたと思うのですけれども、実際私どもがこの計算をやるときに、RITEさんの方から説明を受けたときに、本当にそのことについて奇異に感じられたかと思うのですが、本当に起こらないことであると。
 例えば6ページの下に亀裂が存在する、今後1,000年程度の時間の範囲で新たな巨大な断層が生じることは起こらないと、「1,000年程度」という数字がありますけど、私は地殻の専門家ではないのですけれども、RITEさんから説明を受けたときには10万年とか100万年とか、そういう数字で聞かされていて、何でそんな条件でやったかというと、むしろ影響が出るようなのはどんなことかというような、そういうことで計算を委託されたという経緯でございます。
 以上です。

○原沢委員 3つ、ちょっと質問なのですけれども、資料3の調査項目の関連で、2ページ目に貯留地点周辺の海洋の生物というくだりがあるのですが、先ほど木幡委員のお話で、貯留地点の水深が200mから500mというような話があったのですけども、深海の生物なんかの影響というのは、この場合は考慮に入ってこないのかどうかということの確認なのです。それと関連してこういった海洋の、特に深海の調査というのは結構大変じゃないかと思うのですが、調査あるいはシミュレーションといったものが、現状としてできるところというのがどれぐらいあるのかというのがもしお分かりになれば、教えていただきたいのが1点目です。
 2点目が、先ほど地震の話ということですが、最近千島沖でマグニチュード8.1というものもあり、7.9に変わりましたけれども、これはかなり大きいものではないかと思うのですが、そういったレベル以上のものも対象にされているという、想定されている地震の規模みたいなものを教えていただければと思います。これが2点目です。
 3点目は、資料4の5ページ目の真ん中に、これらを総合するとpCO2で500ppmまで、というのが一つの閾値として出ているのですが、その前のページの方では、500m深くなると、そこでもう500ppmぐらいのCO2濃度があるということで、ちょっとこの辺の例えばまた1,000mまで下がると1,000ppmとなって、もう既に基準値を超えてしまうのではないかと思うのですが、私の理解が少し多分間違えていると思うのですけれども、この500ppmがある程度目安になるということと、もう実質的にそういった濃度が現実問題として出ているというところの考え方の整理を、もう一回教えていただいて確認したいと思います。
 以上3点です。

○野尻委員 今の原沢委員の御質問に私が答えるのがいいのかどうか、ちょっとわからないのですけれども、同じところがこの文章の非常に重要なポイントになっていると思います。これはCO2の化学というのが、強酸あるいは強塩基ではなくて、弱酸なので、非常に一般の人にわかりにくいというところから、いろんなものが起因している部分があります。
 もう一つ、根本的に、最も今回のこの資料4において問題のある部分として、2つの違った現象をちょっと混同している。一つは、今海洋の酸性化というものが懸念されているわけですけれども、これは大気側の二酸化炭素濃度が上がっていくことによって、海洋の酸性化現象が懸念されているということ。それと、今回海底下に地層貯留をした二酸化炭素流が海底下から染み出してくること、この2つの現象は実は違った現象であります。どういうふうに違うかというと、簡単に申しますと表層の二酸化炭素濃度が上がってきて、pHが下がりpCO2が上がり、海洋生物に影響が出ると、これは大気の二酸化炭素を通じて起こるので、世界中あまねく起こるわけです。世界中あまねく350ppm平均値だった海のpCO2が大気側とほとんど一緒に上がっていきますから、大気中の二酸化炭素濃度の安定化レベルを550ppmと考えたら、概ね海のpCO2も550ppmになってしまうわけです。そうすると石灰の殻をつくるような弱い生物には、恐らく間違いなく影響が出るだろうというふうに考えられているわけです。
 それと、海底下地層貯留から染み出してくるものは、下から出てきますので、例えば1カ所から出たものが全海洋に影響を及ぼすわけではありません。出た近傍で影響を及ぼすと。全海洋的に500ppm上げようと思っても、人間どんなに大量に化石燃料使って入れてもそう簡単には上がりませんので、それはちょっと違った現象であると。ですからここの場では、表層の二酸化炭素濃度は500ppmが望ましいのではないかという議論をしてしまいますと、大気の二酸化炭素濃度の安定化レベルは500ppm以下であるべきだということとほとんど同義になってしまうので、我々のこの委員会のミッションとは違う。ただしそういうところで得られた知識、あるいはもし海底下地層貯留から漏れた二酸化炭素流が、本当に局所的に表層に影響を与えるとしたら、その判断基準に一つ考えることはできるわけです。
 それと、まだ知見が十分ではないのですけれども、海洋の表層で棲んでいる生物というのは、かなり大きなpCO2変動の中で生きているということも我々の実験でわかっておりまして、前回白山委員がここでスライドで示した中でも、例えば一日のpCO2のピークが700ppm、800ppmになることがあるわけで、そういう日はミニマムは400ppmであったりして、それでも平均値は結構沿岸海域で500ppmを超えている状況が当たり前に起こっているわけです。
 恐らくそういうところではサンゴのようなものが棲みづらい、あるいは生息率が低いのかもしれない。あるいは今サンゴがたくさんちゃんと生存している場所は割合とpCO2が上がりにくい場所だというようなことも考えられておりまして、その辺まだよくわかっていないのですが、今日本の周りの海では、pCO2は昼間下がって夜上がるということが多いのですが、光合成が起こっていますから、夜は平気で500ppmを超えているわけですし、沿岸有床的な海域だったら、一日中500ppmを超えているというところは当たり前にあるわけですので、この500ppmという数字がひとり歩きするのは非常にまずい。ということで、我々の委員会としては海底下から出てくるものの影響を、この場では議論することが必要であって、その表層のCO2低下の現象は別の現象で、グローバルな議論になるということをまず念頭に置いて、議論を進めていただきたいなと思います。

○清水委員長 ありがとうございました。他の先生方から、どうぞ。

○赤井委員 先ほど資料4については、資料としての位置付けの御説明があったのですけれども、資料3の方が位置付けとしてどうなっているのかというのを御説明いただければと思います。特に最初のページに表があって、「例えば」と書いてあるのですけれども、例えばと書いた上で適正な貯留地点としての条件とか、幾つかの項目があったり、それから最後の方ではモニタリング計画の項目があって、監視計画の話とかいろいろ書いてあるのですが、これがどういう位置付けなのかというのを御説明いただければと思います。

○清水委員長 ありがとうございました。とりあえず事務局からお答えをいただいて、さらに追加があればその後にまた伺いたいというふうにします。どうぞ。

○竹本環境保全対策課課長補佐 では今お答えできる範囲で回答いたします。
 木幡先生からの御質問ですけれども、その中にある硫化水素等を随伴しながら、実際にこれが海洋に出たときにどうなるかということですけれども、資料4の中でも御説明いたしましたけれども、実際にモニタリング等の調査を行い、知見を蓄えつつ検討していきたいというふうに考えております。
 それから佐藤徹先生の御意見どうもありがとうございました。別途専門家の方にもお聞きしましたけれど、IPCC特別報告書にもあるとおり、1,000年という単位がよく出てきますが、これは1,000年後になると化石燃料自体が枯渇をするので、化石燃料に伴う温暖化の問題は大体1,000年ぐらいの時間のスケールで見ていくことが適切ではないかと考えました。そこで、1,000年か100万年というスケールでジャッジをするものではなく、一応我々の温暖化問題における頭の中としては1,000年で考えているということでございます。
 続きまして、原沢先生の御質問で、深海の生物に関するモニタリング評価に関することでございますけれども、資料4の中でも一部補足説明を入れさせていただきましたけれども、当面少なくとも我が国で行われる海底下地層貯留に関する事業というものは、コスト等を考えますと恐らく500m程度よりも浅いところでの漏洩は想定されるということでございまして、例えば1,000mよりも深い2,000m、3,000mといったようなところでの漏洩事象というものは、今のところ想定されておりませんので、今回からの例示からは外させていただいた次第でございます。
 また地震のマグニチュードの件でございますけれども、これも佐藤委員の方からちょっと御案内がありましたように、特にマグニチュード8あるいは9の地震が起こったら、どれぐらいの断層が生じるといったようなことは、とりあえずそういった点については評価しておりませんで、あくまでも非常に大きな断層が生じて、実際大きな地震が発生しても起こらないようなある種の仮定を置いた断層を無理矢理シナリオの中で作っていくということでございますので、今回RITEのレポートを御紹介しておりますけれども、こういった地層自体はまず通常は起きないというような評価になっておりますので、特段マグニチュードの関係についてはこの中では評価されておりませんし、実際の事業者の申請に当たってもそういった関連付けについてはとりあえず必要がないと考えております。
 原沢先生の3点目の御質問につきましては、これは野尻先生の御意見と同じと考えております。野尻先生の御専門家としての立場の御意見をどうもありがとうございます。本件につきまして、先ほど冒頭に申し上げましたように、事務局から、今後事業者の方々がこういった環境影響評価を実施するに当たっての手法と、このようなデータがあるということをお示しするために出させていただいたものでございまして、具体的に例えば環境基準のように、500ppmという数字が危険であるということを、この場で決定していただくという趣旨のものではございません。野尻委員の方からいろいろお聞きしておりますところ、今でもいろいろと最新の知見というものが出ているということでございますので、このような点につきましては、今後先生方の御意見をより取り込みながら、必要に応じてより良い資料にさせていただきたいと思っております。
 それから赤井委員の方から御質問ございました資料3の位置付けは、資料4と同様、事務局が作成した資料でございまして、本資料は事業者の方々が申請時に当たって利用する技術について例示をしたものでございます。従って、これをもって専門委員会の同意のもとでの資料とする予定はございません。
 以上でございます。

○清水委員長 一通りお答えをいただきましたけれども、追加でさらに御質問ございましょうか。

○野尻委員 せっかく参考資料がございますので、それで少し御説明をした方がわかりやすいと思うので、参考資料2なのですけれども、参考資料2の4ページのところにCO2の化学について少し記述があります。これを見て今の議論をフォローしていただくと少し分かりやすいので、私の方から勝手にこの表1を説明してしまいますけれども、これごく普通の深層海水で、左から2番目にΔpCO2が書いてあって、3番目にΔDICと書いてあるのですが、このDICというのは全炭酸です。海水中の全炭酸濃度。これはおよそ、2,300μmol/kg、2,300μmol/lでも少し違いますが、大体近い。2.3mmolぐらい炭酸というのが溶けているわけで、その溶けている主体は上にあるHCO3-なわけです。これと並行関係にCO2とCO32-があるので、そのCO2を圧力の単位で表現するのがpCO2です。ppmと書いてありますが、正確にはマイクロアトムといって、100万分の1気圧で表現するのです。
 さっきからpCO2が500ppm増えるというのは、そこの上から4行目ですね、580ppm増えることとして、これを大体見ていただければいいわけです。そうするとpHが0.3下がるわけです。深層でもともとpHが7.8か7.9ぐらいのところが0.3下がると7.5とか7.6に下がると。そのときpCO2としてはもともと500ppmとか1,000ppmだったのが1,080ppmになったり、1,580ppmになったり、580ppm増えるわけです。そのときに全炭酸がどれだけ増えるかというと、100ppm増えるというふうに書いてあります。
 したがいまして、私たち深層の海水で、そこでCO2の漏洩があったかどうかというのを計測する立場で言うと、この全炭酸で計測するしかないのです。この全炭酸に関してはスタンダードもあるし、汲んだ水を船の上に持ち上げても全炭酸の量というのは保存されるので、測定できるわけです。そうすると先ほど申し上げたように2,300μmol/kgで本来あるべきところが2,400μmol/kgになったというのは、多分検出できる。そうするとCO2につながっているところから何らか漏洩があったかなということが検出できるレベルが、2,300μmol/kgに対する100μmol/kg増であるから、2,400μmol/kgぐらいに思っていただくと、今の技術で大体やれます。それが20や30μmol/kgの増減を検出してくださいと言われると、非常に難しい。
 だからモニタリング、監視という立場から言うと、たまたま500ppmというのはそう悪い値ではないです。深層の海水で500ppm、pCO2が増える現象というのはほぼつかまえられる。だけど200ppm増える現象をつかまえてくださいと言われると、今の技術で結構厳しいところになります。したがって、そういう部分で後の監視について何かドキュメントを作るとしたら、ある種目安というものは記述していけるのではないかなと考えています。

○清水委員長 ありがとうございました。竹本環境保全対策課課長補佐から何かありますか。お礼だけですか。

○竹本環境保全対策課課長補佐 ありがとうございます。

○清水委員長 小山委員どうぞ。

○小山委員 生態系について、ちょっと一言申し上げますけども、今日例示していただいたいろんな例というのは、かなり多くが割と短期の試験が多かったですね。私の知っている範囲で結構長い間ずっと高CO2濃度の海水に飼育していると、生物があるとき突然影響を受け始めるというような知見が出始めていると聞いています。ですから実際に漏洩している期間が、短期で終わるのか、長期で終わるのかという、一つのシナリオも考えていただいて、生態影響も長期なのか短期なのかということも少し考えていただけるとありがたいということです。

○清水委員長 ありがとうございました。白山先生、何かコメントありますか。

○白山委員 長期、1年以上にわたっての研究というのも、それなりに複数出てきておりますけれども、やはりどれも最初の数カ月は余り影響がないのですね。大体3カ月とか4カ月ぐらい経つと影響が出てきますけれども、その辺のメカニズムがまだよくわかっていませんので、実験結果が出ているだけだということだと思います。

○清水委員長 ありがとうございました。ほかに。まだまだわからないことがいろいろありそうでございますので、慎重にということでございますが。
 よろしければここで少しお休みをいただきまして、10分後の、3時10分に再開をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

午後2時57分 休憩

午後3時05分 再開

○清水委員長 それでは再開をしたいと思います。南川地球環境局長が御見えになりましたので、ここで御挨拶をいただきます。よろしくどうぞ。

○南川地球環境局長 どうも皆様方、お忙しいところをありがとうございます。この問題非常に大事だと思っておりますが、ちょっと私、海外出張とか国会とか重なりまして、今日初めて参上いたしました。本当にありがとうございます。
 一昨日までですか、ケニアのナイロビでCOP12、COP/MOP2がございました。そこでの最大の議論というのは、やはり2013年以降の枠組みをどうするかということだったわけでございます。これについては、当然ながら2013年以降もすき間は作らずに世界的な削減をしていくということは、前提としてあったわけでございますけれども、2013年以降の削減についても中国を中心とする途上国からは、「途上国は削減の対象にならないのだということを明記すべきだと、その上でいつまでに決めるか。」と提言があり、これは具体的に2008年のCOP/MOP2で基本的なラインを決めようということなのですけれども、そういう議論がございました。
 実はサウジとか中国、インド、それからブラジルといった国が途上国代表で提言をしたわけですけれども、結局最後に残ったのは中国だけでございまして、中国が最後に一国だけでもたなくなって、途上国は引き続き削減の対象としないというところに収まった形で、2008年にぜひ次期の枠組みを作ろうと、そのための必要な点検を次回の来年のアジアにおけるCOP13で行おうということが決まったところでございます。来年はインドネシアで行われる見通しでございます。ちょっとジャカルタになるのかバリになるのか、多分治安のいい方になると思うのですけれども、そんな感じでございます。
 それからもう一つの議論としまして、CCSの議論も実は随分話題になりました。このCCSを温暖化対策でどう扱うかという点で、大変話題になりまして、結局のところはこれも決定を見なかったということでございます。やはり一部の国がこれによってCDMの価値が非常に下がるのではないかとか、いろんな議論が出されたようでございまして、結局決まらなかったということでございます、ただヨーロッパ諸国も条約ができて、これについて積極的に準備をしていこうとしています。
 できれば当座の削減、あるいはCDMの対象にもしていこうという姿勢で臨んでおりますので、我々としてもそれと同調する形で対応していきたい。そのためにはぜひ専門委員会の結論を受けて、私どもとしても必要な制度化を、次の国会でできるようにしていきたいなと、そんな気持ちでおるところでございます。かなりいろんな議論があって難しいとは承知しておりますけれども、ぜひとも皆様の積極的な議論と、これが日本のためになるような形でまとめられますことを期待しておりますことを表明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○清水委員長 局長、ありがとうございました。
 それでは議題の2に移りたいと思います。専門委員会報告の骨子(案)について、どうぞ御説明をお願いします。

○竹本環境保全対策課課長補佐 それでは御説明させていただきます。資料5、骨子(案)でございます。この資料の(案)につきましては、もう事前に委員の先生方には送付させていただいておるところでございます。冒頭目次がございます。この骨子は3つのパートに分かれておりまして、まず1番目に二酸化炭素海底下地層貯留をめぐる動向と利用の在り方。2番目にこのCCS海底下地層貯留に係る海洋環境への影響防止の在り方、3番目にその他でございます。
 まず1ページでございますが、「はじめに」という章がございます。こちらにつきましては専門委員会報告(案)の段階で記述させていただく予定にしております。
 続きまして1章。動向と利用の在り方。(1)でございますけれども、ロンドン条約及び96年議定書の概要でございます。「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」これはロンドン条約でございますが、ロンドン条約は、陸上発生の廃棄物の投棄による海洋汚染の防止を目的とした条約であり、1972年11月に採択され、75年8月に国際発効しております。ということで、これは我が国も署名をして締結をしておりまして、現在81カ国が締結をしているという状況でございます。
 他方、これは省略いたしますけれども、略称96年議定書は96年11月に採択されておりまして、現在15カ国を含む26カ国以上の批准または加入の後30日目に発効することとされております。本議定書は本年の3月24日に発効したところでございます。9月30日現在で29カ国でございます。
 本議定書は海洋投棄及び洋上焼却を原則禁止とし、海洋投棄を検討できるものを限定列挙する方式、リバースリストと呼んでおりますけれども、リストアップされたものについて検討できるといった方式になっております。これは附属書I・IIに記されております。海洋投棄できる場合には、その影響の検討等に基づいて許可を発給することを義務付けています。その枠組みにつきましては、議定書の附属書にWAFと呼んでおります廃棄物評価フレームワークに示されております。なお附属書IIの実行ガイダンスとして廃棄物評価ガイドライン、ウェスト・アセスメント・ガイドライン、WAGと呼んでおりますが、WAGが定められており、具体的には一般的な廃棄物評価ガイドライン、一般WAG及び個別品目ごとの評価ガイドライン、(品目WAG)が定められております。
 (2)96年議定書附属書I改正に関する動向でございます。本年の4月28日、オーストラリアにより、「附属書Iに定める投棄可能な廃棄物その他の物」として、海底下地層に貯留される二酸化炭素流を追加すること等を内容とする議定書改正案が提案されております。同改正案はフランス、ノルウェー及びイギリスによる支持を受けて行われました。同改正案は、本年の10月31日から開かれましたロンドン条約の第28回締約国会議と、96年議定書第1回締約国会議において検討が行われまして、採決の結果、同改正案が採択されております。その採択の中身につきましては、参考資料1を御参照いただければと思います。附属書の改正は、採択後100日で効力を生じるということになっておりますので、この改正は来年2007年2月10日に効力を生じることになります。
 (3)国内における96年議定書附属書I改正への対応。我が国ではロンドン条約の求めるところを、「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に取り込み、廃棄物等の海洋投棄並びに洋上焼却処分の適切な管理を行ってきたところであります。今回の議定書の採択を踏まえまして、我が国においても同議定書を締結すべく、海洋汚染防止法の一部改正等、国内担保制度の整備を進めてきており、同改正法は来年、平成19年4月1日より施行されることとなっています。今般の附属書Iの改正につきましては、我が国としても地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用と、その海洋関係への影響防止の在り方について検討を行うこととしたということでございます。
 (4)CCSの技術です。[1]CCSの利用動向でございます。まず二酸化炭素の貯留技術は、分離・回収、運搬、圧入及び貯留という一連のプロセスからなります。二酸化炭素流貯留の対象としては、貯留層の区分から、枯渇油層及び枯渇ガス層、帯水層(深部塩水層)並びに炭層が検討されています。海外においては、商用規模の貯留プロジェクトが実施されています。最大規模のものではノルウェーが北海で実施するSleipnerプロジェクトが挙げられます。同プロジェクトにおいては海底下地層から採掘された天然ガスに随伴する二酸化炭素を分離・回収し、近傍の海底下帯水層に貯留しています。
 一方、国内では経済産業省の補助事業として、新潟県長岡市においてRITEによる二酸化炭素流の帯水層貯留の実証実験が行われ、現在は貯流した後のモニタリングが継続的に行われています。また、北海道夕張市においては、二酸化炭素の炭層貯留の研究開発が行われています。
 [2]二酸化炭素分離・回収技術。貯留される二酸化炭素は、化石燃料等の燃焼過程から生じる排ガスを処理して分離・回収する。二酸化炭素の分離・回収は、主としてエネルギー関連施設を含む大規模工業施設において実施されると想定されています。現在、実用化及び研究段階にある燃焼過程における分離・回収技術は複数あり、[1]燃焼後、[2]燃焼前、[3]酸素燃焼の三つの形態に分類されます。回収後の二酸化炭素流に含まれる不純物の種類・量は、燃料の種別、性状、燃焼法、回収技術によって異なります。
 二酸化炭素分離・回収の実施には、追加的なエネルギーが必要とされます。なお、分離・回収に係るコストは、二酸化炭素流地層貯留全体のコストの多くを占めており、当該技術の省エネルギー化、コスト低減化が課題となっております。
 [3]監視技術。二酸化炭素流の貯留層内での挙動の監視については、地震探査による遠隔的な手法や観測井等による監視が検討されています。また、二酸化炭素の貯留層から海水への漏洩の有無を監視するためには、サンプリングによる二酸化炭素濃度計測では連続的な監視が困難であるので、センサーを用いて二酸化炭素濃度やそれに伴うpH低下などをモニターし、データを伝送する技術の開発が検討されています。
 (5)二酸化炭素海底下地層貯留の環境影響でございます。こちらにつきましては先ほど資料4のところで詳細に御説明しておりますので、省略をさせていただきます。
 (6)でございます。地球温暖化対策としての展望。我が国の二酸化炭素海底下地層貯留の地球温暖化対策としての展望を検討するに当たっては、世界全体での先行する知見を取りまとめたIPCC特別報告書及び国際エネルギー機関(IEA)が2006年6月に発刊したエネルギー技術展望の技術進展シナリオ等を参照することができます。
 一方、CCSの形態は、大きくは「地中貯留」と「海洋隔離」に区分され、また、「地中貯留」には、本専門委員会の審議事項である「海底下地層貯留」と「陸域の地層貯留」が含まれます。前述の報告書等においては、海底下地層貯留と陸域の地層貯留とを区分せずに「地中貯留」として説明している場合があることから、本項においては「地中貯留」とした場合には「海底下地層貯留」と「陸域の地層貯留」とを含むものとする。
なお、海洋隔離については、IPCC特別報告書において詳細な記述があります。その中には、海洋生態系への影響も指摘されており、海底下地層貯留の評価にも適用ができます。96年議定書では、海底下を含む海洋への二酸化炭素の投棄行為が禁止されていたが、今般の同議定書附属書Iの改正に伴い、二酸化炭素の海底下地層への貯留が可能となった。一方、海洋隔離については、ロンドン条約締約国会議において将来的な検討事項であることが指摘されています。したがって、二酸化炭素海洋隔離については、今後は国際的な動向も踏まえつつ、当該技術の環境影響評価に関する調査の実施等により科学的知見の充実に努めていくことが重要であるとしております。
 [1]二酸化炭素流の地中貯留可能容量。IPCC特別報告書において、世界における二酸化炭素流地中貯留の可能容量は66%~90%の確率で約2兆CO2トンと推定されています。また、我が国における地中貯留の可能容量は、構造性帯水層の基礎試錐データがあるもので約52億トンCO2トンであるとの試算もあります。
 [2]CCSの短期的な地球温暖化対策としての位置付け。国連気候変動枠組条約及び京都議定書に基づく各締約国の温室効果ガス排出・吸収量は、IPCCが定めたインベントリガイドラインに基づき計上されています。2006年10月には、新たな知見も盛り込んだ2006年IPCCガイドラインが公表され、CCSの計上方法についても記載されているが、現時点では、2006年IPCCガイドラインを用いて、CCSによる削減量を京都議定書第一約束期間(2008年-2012年)に適用することについては決定されていません。また、クリーン開発メカニズム(CDM)に関しては、現在、CDMプロジェクトにおけるCCSの扱いに関する検討が行われている段階であります。
 我が国における二酸化炭素流地中貯留技術については、現在はまだ実証実験の段階であり、また、IPCC特別報告書等が行った試算によれば、二酸化炭素の分離・回収、パイプラインによる輸送等にかかるコストはかなり高く、当該技術の短期的な導入・普及には課題があります。このようにインベントリやCDMにおけるCCSの取り扱いは、国連気候変動枠組条約締約国会議及び京都議定書締約国会合においては議論の途上であること、また、二酸化炭素流地中貯留技術の現時点での実施コストは高く、技術フィージビリティ及び環境影響等についての検討を行うための実証実験は行われるものの、実用ベースでの実施に至る可能性は高くないと考えられます。これらのことから、我が国としては、短期的には二酸化炭素流地中貯留技術について研究開発を進めていくこととし、京都議定書第一約束期間においては、着実に現行の温室効果ガスの削減対策を推進していく必要があるとしております。
 [3]CCSの中長期的な地球温暖化対策としての位置付け。大気中の二酸化炭素濃度の増加に伴い、表層海水中の二酸化炭素濃度増大が引き起こす海洋の酸性化の影響なども指摘されています。このような地球温暖化の影響を防止するためには、国連気候変動枠組条約の究極目的である大気中の温室効果ガス濃度の安定化を実現する必要があり、このためには、早期に世界全体の排出量を現在の半分以下にまで削減する必要があります。
 二酸化炭素流地中貯留は、削減ポテンシャルが極めて大きいことから、環境への影響を生じないよう適切に実施されるのであれば、中長期的には重要な地球温暖化対策のオプションの一つになり得ます。例えば、IEA技術進展シナリオでは、CCSの利用により、2050年までに基本シナリオより20~28%の世界のCO2排出量が削減されると予測されております。
 しかし、温室効果ガス排出量の大幅削減を実現するためには、二酸化炭素流地中貯留技術の活用のみならず、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの普及についても引き続き最大限取り組む必要があることは当然であります。当該技術は、将来の革新的な対策技術への転換期において有効であること考えられます。ただし、2100年以降の長期的展望に立てば、化石燃料資源も枯渇の方向に向かうと考えられることから、二酸化炭素流地中貯留技術は将来における社会経済システムの抜本的な変革や、安全かつ確実な革新的技術が実現するまでの21世紀における「つなぎの技術」として位置付けることが適当であります。
 2013年以降も見据えた、中長期的な二酸化炭素流地中貯留技術の利用に当たっては、技術開発・評価のほか、中長期的な観点からの我が国としての当該技術の位置付け、環境影響評価、安全性評価、コスト評価、持続可能な開発との整合性等について検討を行う必要があるとしております。
 続きまして2章、二酸化炭素海底下地層貯留に係る海洋環境影響の防止の在り方であります。
 (1)二酸化炭素海底下地層貯留に係る許可の申請主体。WAFは二酸化炭素海底下地層貯留に係る行為の規制を行うことを求めていることから、この観点からは、当該貯留行為を行う事業者が申請を行うことが適切であるとしております。
なお、排出行為を行う者と貯留行為を行う者とが異なる場合については、許可申請に当たって必要とされる、貯留される二酸化炭素流の特性等の情報に関する伝達等について、国際的な動向も踏まえ、制度的な検討を行う必要があります。
 (2)二酸化炭素海底下地層貯留の審査主体。二酸化炭素流海底下地層貯留については、貯留地点周辺の地層の構造及び海域における環境影響等を適切に審査する必要があることから、審査主体は国が行うことが適切であるとしております。
 (3)国民からの意見聴取。国は、二酸化炭素海底下地層貯留に係る許可発給に当たっては、透明性確保の観点、説明責任の遂行、海洋環境に係る情報の集約等の観点に留意しつつ、公告・縦覧等を実施し、国民の意見提出の機会を確保する必要があるとしております。
 (4)二酸化炭素流の処分量等に関する削減努力及び処分方法に関する検討。WAFは、廃棄物の海洋投入処分において、海洋投入処分量等の削減努力等を求めています。また、廃棄物その他の物の海洋投入処分の許可に当たっては、海洋投入処分以外に適切な処分の方法がないものであることが求められています。
 二酸化炭素流海底下地層貯留の場合、その特性に加え、WAFの実行ガイダンスである二酸化炭素流海底下処分に関する評価ガイドライン(CO2・WAG)等の国際動向を踏まえつつ、実態に即した制度の検討を行う必要があるとしております。
 (5)貯留される二酸化炭素流の特性把握及び行動基準。[1]事業者による二酸化炭素流の特性把握。海洋投入処分(二酸化炭素流の場合は貯留)される廃棄物等については、事前の適切な影響評価を行うため、化学的、物理的、生物学的特性を十分に把握する必要があります。このため、海洋環境への影響を防止する観点から、排出源から分離・回収した二酸化炭素流の特性について把握すべき事項について、整理する必要があります。
 9ページです。[2]行動基準(判定基準)。96年議定書においては、行動基準(Action List)として、当該基準を超える場合には原則として投棄を禁じること等を判断するための基準を設けるべきとされています。廃棄物海洋投入処分の場合、我が国では、投入処分される廃棄物について有害物質に係る判定基準を設けており、これによって96年議定書の求める行動基準を担保しています。
 2006年11月に開催されたロンドン条約議定書の第1回締約国会合で改正された同議定書附属書Iにおいては、貯留目的の二酸化炭素流については、「海底下へ貯留されること」、「二酸化炭素が圧倒的(overwhelmingly)であること。また、分離・回収プロセス及び原料に起因し、偶発的に含まれる物質を含みうる。」、「廃棄物その他の物が廃棄目的で添加されないこと」と表現されています。我が国においては、予防的アプローチに基づき、CO2・WAGの検討状況等国際的な動向を勘案して、二酸化炭素海底下地層貯留に関する判定基準の設定について検討することが適切であるとしております。
 (6)事業者による二酸化炭素流の貯留地点の選択。廃棄物海洋投入処分の場合、処分が行われる海域の環境保全の観点から、廃棄物の品目ごとに排出海域を定め、海洋投入処分を企図する排出事業者が、該当する海域区分の中から投入処分を実施しようとする海域を選択し、潜在的影響の検討及び監視計画の立案を行った上で処分地点を選択する方式となっています。
 他方、二酸化炭素流海底下地層貯留の場合、貯留地点周辺の海底から漏洩する二酸化炭素流に係る海洋環境を保全する観点から、当該貯留を企図する事業者が、貯留した地層内における二酸化炭素流の挙動や、漏洩した場所における海洋環境への影響の評価を行う必要があります。地層の特性は多様であり、かつ、貯留の安定度は専ら地層の特性に依存するため、貯留地点の選定は、当該貯留事業の適正な実施に当たっての重要なプロセスであります。
 したがって、二酸化炭素流の海底下地層貯留の許可発給の手続においては、廃棄物海洋投入処分で定められた同様の仕組みとして一律に排出海域を特定するのではなく、むしろ、事業者が、事業ごとに当該貯留を計画する地点を選定して、潜在的影響の検討及び監視計画の策定を行った上で、当該貯留地点を適切に選択することが重要であるとしております。
 (7)貯留される二酸化炭素流による潜在的影響の検討、10ページです。廃棄物海洋投入処分の検討に当たっては、海洋投入処分を企図する排出事業者が、廃棄物の排出海域における海洋環境の保全に著しい障害を及ぼすおそれがないことを示すため、事前に潜在的影響の評価を行うこととされています。
潜在的影響の検討については、二酸化炭素及び二酸化炭素流に含まれる不純物が漏洩した場合に海洋環境に与える影響について、CO2・WAG等に基づき、評価を適切に実施するよう措置する必要があります。このため、国が、法令または指針等によって具体的な検討内容、検討手法、監視項目等を明確にしておく必要があります。
海底下地層に貯留された二酸化炭素流が海洋環境に与える影響の評価は、当該貯留を企図する事業者が行う必要があります。また当該影響予測の手順は、主として次の2段階に分けて考えることが適切であります。[1]圧入された二酸化炭素流の海底下地層中での挙動の予測。[2]二酸化炭素流が海底から漏洩したと仮定した場合における海洋環境への影響予測。
 上記[1]については、Best Available Technology(BAT:利用可能な最善の技術)を活用し、かつ、保守的な仮定でのシミュレーションを行うことを基本とすることが適切であります。また、[2]についてはBAT及び保守的な仮定を前提に、二酸化炭素が漏洩したと仮定した場合における海水中の二酸化炭素濃度上昇による影響を予測対象とすることが適切であります。
 また、当該影響予測に係るシミュレーションを行う際には、個別のケースごとに、可能な限り、貯留地点における特性に応じてパラメータを設定していく必要があります。
 (8)監視(モニタリング)。[1]監視制度の基本的な考え方。我が国における二酸化炭素海底下地層貯留の監視制度の検討に当たっては、WAF及び今後作成されるCO2・WAGを踏まえる必要があります。二酸化炭素海底下地層貯留が海洋環境に及ぼす影響の有無を確認するためには、圧入時並びに圧入後に漏洩が生じていないことや、海洋環境の変化の程度を定期的に監視する必要があります。このため、当面想定される実証実験等の事業を念頭に置いた監視に関する適切な手法、期間、実施主体等について、検討する必要があります。
 二酸化炭素流の海底下地層貯留は、今後、温室効果ガス国内インベントリ上、排出されなかった量としてカウントすることになる可能性があります。このような場合には、圧入終了後の監視の期間、頻度を含む国内における監視制度の検討に当たっては、COP及びCOP/MOP等における国際条約に基づく監視制度との整合を図る必要があります。 [2]監視の主体。二酸化炭素海底下地層貯留に係る事業の許可を受けた事業者(以下「許可事業者」という。)は、二酸化炭素流の貯留地点周辺の地質、海域等に関する詳細な情報を有していること、及び汚染者負担原則も踏まえ、監視の主体は許可事業者とすることが適切であるとしております。 [3]監視の手法。監視に当たっては、以下の監視対象項目ごとに、科学技術の進展、監視の実施に伴う環境への影響等を考慮し、適切な手法を選択することが適切であるとしております。
 (ア)観測井における二酸化炭素流の圧入圧力、貯留層内の圧力。(イ)貯留層における二酸化炭素流の挙動。(ウ)海水中の二酸化炭素濃度及びpH。(エ)海洋生物への影響。
 [4]二酸化炭素流の圧入時、圧入後における監視の考え方。監視の実施期間については、対象となる事業が、長期間にわたる二酸化炭素流の貯留を目的としていることから、二酸化炭素流の圧入期間中に加え、圧入終了後(閉鎖後)も相当期間、監視を実施する必要があります。また、監視結果については、定期的に、許可事業者から環境大臣に報告することが適切であります。
 (ア)圧入時の監視。圧入時は、貯留された二酸化炭素流の挙動が不安定であることから、坑井における二酸化炭素流の圧入圧力、貯留層内の圧力、圧入量(貯留量)の監視、貯留層における二酸化炭素流の貯留状態等の監視を定期的に実施することが適切であります。また、海水中の二酸化炭素濃度、pH、海洋生物の状況など、海洋環境についても監視することが適切であります。
 (イ)圧入終了後(閉鎖後)の監視。圧入終了直後においては、圧入貯留層の圧入口付近の圧力が高く、二酸化炭素流の帯水層内での移動が大きいと考えられることから、二酸化炭素流の貯留状態及び海洋環境の監視を行う必要があります。許可事業者が当該監視の結果、環境影響が予測の範囲内であったことを確認して、その結果を環境大臣に報告することが適切であります。
 二酸化炭素海底下地層貯留については、圧入後も長期の安定性を確認するため、相当期間監視を実施していく必要があります。
 (9)海洋環境への影響のおそれが生じた場合の措置。許可事業者による監視の結果、海底下地層内の二酸化炭素流の挙動または海洋環境への影響が予測の範囲を超えていた場合には、二酸化炭素流の[1]圧入時と、[2]圧入後の場合に応じ、以下の対応措置を講じることが必要であるとしております。
 [1]圧入時に二酸化炭素流が貯留層から漏洩した場合の措置。許可事業者は、当該圧入行為の中止、貯留層内の圧力の解放等の対応措置を講じるとともに、海底下地層内の二酸化炭素流の挙動及び海洋環境への影響が予測の範囲内に戻るまで、高頻度での監視を継続する必要があります。この場合、許可事業者は、当該監視結果及び当該措置を実施する旨を直ちに環境大臣に報告するとともに、当該措置及びその後の監視の結果についても定期的に環境大臣に報告する必要があります。
 [2]圧入終了後(閉鎖後)に二酸化炭素流が漏洩した場合の対応措置。許可事業者は、貯留層内の圧力の解放等の措置を講じるとともに、海底下地層内の二酸化炭素流の挙動及び海洋環境への影響が予測の範囲内に戻るまで、高頻度で監視を継続する必要があります。この場合、許可事業者は、当該監視結果及び当該措置を実施する旨を直ちに環境大臣に報告するとともに、当該措置及びその後の監視の結果についても定期的に環境大臣に報告する必要があります。
 なお、前回の専門委員会で本日お越しいただいておりませんけれども、池田委員の方から、沖合からプラットホームで貯留する場合の安全性の確保についての御質問がございました。それにつきましては参考資料3で経済産業省から回答をいただいております。ちょっと大部ではございますけれども、簡単にかいつまんで申し上げますと、まず1ページでございますけれども、鉱山保安法におきまして、参考資料3の1ページの(2)の規制の内容が紹介されております。
 鉱業上使用する海洋掘採施設及びパイプラインについて、技術基準に適合するように維持することが義務付けられておりまして、例えば海洋掘採施設におきましては、「予想される最大総荷重を支持し、かつ、風及び波の圧力並びに地震に対して十分な強度を有していること」、「坑井に異常が発生した場合に石油の自噴を速やかに遮断することができる緊急遮断措置が設けられていること」等の基準が定められております。
 また、海洋に設置されるパイプラインにおいては、「導管の腐食を防止するための適切な措置が講じられていること」。「パイプラインの保安施設については、適切な圧力検知装置が備えられていること」等の基準が定められております。
 (3)緊急時の措置でございますけれども、鉱業権者は、鉱山における保安を確保するため、鉱山の現況に応じて構ずべき保安上必要な措置について保安規定を定めることとされておりまして、具体的には災害時の対応ですとか、海洋施設における油の処理について定めることとされております。
 次の2ページでございますけれども、こちらは高圧ガス保安法に関する概要でございまして、石油等の採取を伴わず、単に海底下へのCO2地中処理を行う場合に使用するプラットホーム及び海中のパイプラインの保安につきましては、その施設において使用されるCO2が高圧ガスであれば高圧ガス保安法の適用を受けると考えられるとされております。
 規制の内容といたしましては、高圧ガス保安法では、高圧ガス施設の保安を確保するための技術基準が定められております。例えば導管の場合、「導管には、腐食を防止するための措置及び応力を吸収するための措置を講ずること」等の基準が定められております。
 緊急時の措置でございます。(3)ですが、事業者は保安を確保するために危害予防規程を定めて、都道府県知事に届け出ることとされております。また、漏洩等災害防止の危険が高まった場合、事業者は災害発生防止のための応急の措置を講じなければならないなどとされております。
 脱線いたしましたけれども、また元に戻らさせていただきます。
 13ページですが、(10)許可制度でございます。[1]許可の見直し・更新制度。WAFは、「許可は、監視結果及び監視計画の目的を考慮し、定期的に見直されるべき」としており、定期的な許可更新制度が求められております。
 海底下地層貯留に当たっては、平成19年4月から施行される海洋汚染防止法に基づく廃棄物海洋投入処分の許可体系と同様に、実施計画(適切な貯留場所の選択を含む)、環境影響の事前評価、監視計画等に基づく「有期限の許可」を環境大臣が発給し、監視結果等に基づいて許可更新を行う仕組みとすることが適切であるとしております。
 [2]許可の有効期間。許可の有効期間については、実態を適切に把握しながら処分を実施するためにも、許可の有効期間はあまり長期とならないような適切な期間とする必要があります。
 二酸化炭素海底下地層貯留における二酸化炭素流の圧入期間は、一般に10年以上の長期間になると想定されており、圧入終了後も相当期間の監視が必要になると想定されます。許可の有効期間については、廃棄物及び水底土砂に係る許可制度も踏まえ、また、実態を適切に把握しながら処分を実施するためにも最長5年程度とすることとし、許可を定期的に更新していくことにより、長期間の監視を担保する仕組みとすることが適切であります。
 次のパラグラフでございますけれども、前回専門委員会におきまして、高村先生からの御質問に関するパラグラフでございます。なお、今後民間企業によって海底下地層貯留が本格的に実施される段階においては、別途、許可事業者が破産等により監視等を継続できなくなる場合の対応について、検討していく必要があるとしております。
 続きまして3章その他でございます。(1)事業者側での他の権益との調整。二酸化炭素海底下地層貯留の実施に当たっては、貯留地点周辺の海域及び貯留予定の地層に係る既存権益との調整を図る必要性が生じる可能性があります。特に貯留海域に鉱業権が設定・出願されている場合、事業者において、既存の権益との調整を図っていく必要があります。
 14ページ、(2)科学的知見の集積、国民への普及。本報告書は、現時点での科学的知見に立脚しており、今後も、二酸化炭素海底下地層貯留に係る監視及び生態影響評価等に関する最新の科学的知見を得るために必要な技術開発を推進するとともに、関連技術の開発・普及の動向を随時収集・分析する必要があります。その上で、事業者は、許可申請時において、このような最新の技術の組み合わせを念頭に置いて、潜在的影響評価、監視計画の策定等を行う必要があります。
 国は、二酸化炭素海底下地層貯留に係る科学的知見のさらなる集積を図るとともに、これらの知見を国内の事業者、国民などに普及させることが必要であります。また、国は、監視手法の検討も含め、二酸化炭素流による海洋環境への影響に関する調査研究を推進することが重要であります。
 (3)国際的な動向を踏まえた制度の評価、見直し。本報告書は、現時点での国際的な枠組みに立脚しています。このため、今後も国際的な動向を注視し、積極的に議論に参加し、必要に応じて制度の評価、見直しを行う必要があります。
 以上です。

○清水委員長 ありがとうございました。この専門委員会が親の地球環境部会から託されました課題は、現在CCSの利用が国際的なものを含めてどんなになっているのか、その在り方に関すること。それからもう一つは、それを実際にやった場合にどんな影響が想定されるか、それに対応するにはどうするかといったような二つの課題を重ねたと思います。それに対応して1、2ということになっておりまして、そのほか考えておくべきこととして3があるというふうに御理解をいただければと思います。
 どうぞ、この専門委員会の報告書としてこれが出ていくわけでございますので、委員の先生方から自由にお気づきの点を御指摘いただければと思います。いかがでございましょうか。

○大塚委員 よろしいですか。大変よくまとめていただいていると思います。大塚ですけれども、ちょっと前回2回、私が日程調整の件で出席できなくて申しわけありません。
 1点だけちょっとお伺いしておきたいところがありますが、このモニタリング監視の問題でございますけれども、多少気になっているのは許可の有効期間が5年で、閉鎖をしてもう許可期間が完全に終わった後で何か問題が起きたという場合、あるいは問題が起きるかどうかそもそもわからない状況で監視をする義務というのが、どのようにして実効的に行われるかという点が多少気になるところであります。許可期間が終わった後監視義務を果たさなかった場合に、多分罰則ということになるのだと思うのですけれども、特に監視をちゃんとしていなくても、事業者にとってはあまり痛痒を感じない状況になる可能性もありますので、罰則をつけておくだけということになるのでしょうけれども、そこが多少気になる点があるということでございます。もし何かお考えでしたら、お答えいただけるとありがたいと思います。

○清水委員長 一通り伺ってから、竹本環境保全対策課課長補佐に御回答いただくことにしますので。じゃあ赤井先生。

○赤井委員 これ後でまだ細かいコメントはするチャンスありますよね。この場で気づいたある程度全体にかかわりそうなところだけ。
 例えば言葉の使い方がまだちゃんと統一されていないところがあるような気がします。例えば2ページ目の下の方で、下から3番目のブレットの、CCSの利用動向の最初のブレットですけれども、二酸化炭素の貯留技術は分離・回収・運搬、圧入・貯留というプロセスからなっている。それから二酸化炭素流貯留、ここの2番目の二酸化炭素流貯留は、これは地中貯留ですよね。その手のところが割とあります。それからここに引用ワードを入れないのかどうか。これ一般的な話で、この委員会の判断というよりも、一般的な動向ですので、引用ワードも考えられていると一応入れておいた方がいいかなと思っています。
 それから3ページ目の上の方の[2]です。二酸化炭素分離・回収技術として、分離・回収だけ書いてあるのですけども、ここには輸送とか運搬とか貯留技術については記述が必要ないのかなということと、それに絡むのですけれども、最初のブレットの下から3行目の後ろの方、回収後の二酸化炭素流に含まれる不純物の種類・量は、燃料の種別、性状、燃焼法、回収技術によって異なると書いてありますけども、これも輸送技術をどうするかによって、また変わってきますので、最初の輸送とか圧入技術を含めるかどうかということとあわせてご検討いただければと思います。
 それから6ページ目の一番下のパラグラフ。枠組条約の関係で、下から4行目ぐらい、「CCSの現時点での実施コストは高く、立証実験は行われるものの、実用ベースでの実施に至る可能性は高くない。」という部分の後に従って我が国としては続くので、この「実施に至る可能性は高くない」というのが、一般的なことなのか、日本でのことなのか、そのあたりの区別もしていただければと思います。
 それからコストについては、これはもう非常に相対的なものなので、CCSのコストが確かに高いのですけれども、他に比べると安いという評価も、IEAのシナリオ等を見ると、結局そうなってしまっているのですけれども、そういったバランスも必要かなと思います。
 それから7ページのつなぎの技術云々という、ここは私個人的にはこうだろうなと思っているのですけれど、これがこの委員会の判断として良いのかどうかということを確認いただきたいと思います。
 それから8ページ目の、他にもあったのかもしれないのですけど、ここで少し気がついたことが、(4)の下にWAFでは廃棄物の海洋投入処分において、海洋投入処分量等の云々と。この海洋投入処分、ロンドン条約で言っているものと、これは海洋環境ですね、海洋環境へのダンピングですよね、海底下も含めた。ただ「海洋投入」って日本語で書いてしまうと、ウォーターカラブというイメージがどうしても強くなってしまうので、これは外に出た時に、何か誤解を招くのではないかなと。「海洋投入」という言葉が少し気になっています。  それから同じような意味なのですけれども、10ページ目の下から2行目。「二酸化炭素海底下地層貯留が海洋環境に及ぼす影響の有無を確認するためには」と書いてあるのですが、ここは海底下を含んでいない記述だと思うのですけれども、また、ロンドン条約から離れて日本のことを述べている部分ですので、ウォーターカラブの話だと思うのですけれども、こういったところのロンドン条約での提言の仕方と、それから国内向けでの言葉の定義の仕方は若干ずれているところがありますので、そのあたりも言葉を統一していただければなというふうに思います。
 あと細かいところが幾つかありますけど、またそれは別途。

○清水委員長 ありがとうございました。こう行きましたから、松橋先生の方から行きましょうか。

○松橋委員 簡単に1点だけお尋ねしたいと思います。ちょっと学内の校務で遅れまして申しわけございません。  審査の主体なんですけれども、8ページ目のところで「環境影響等適切に審査する必要があることから、審査主体は国が行うことが適切である。」と、それでそのとおりかと思いますが、実際の影響評価の事例が基本的にはこれは海洋貯留をした場合の実験とか研究の成果というのが、4ページ目あたりに盛り込まれていると思うのですが、海底下地中に入れた場合に、どれぐらいのリスクでそれが海底上に染み出してきて、さらにそれが海洋中に拡散してきて、海洋生態系に影響を与えるという、その影響評価は相当何段階もアンサータンティがあって、複雑な難しいアセスメントになると思うのですが、実際にそれをやってどこかで線引きをできるのか、その辺の具体的な審査のクライテリアについて少し現状のわかる範囲で教えていただきたいと思います。以上です。

○原沢委員 3点ほどちょっと質問と意見なのですけども、1点目は9ページに貯留地点の選定については事業者が行うというくだりがあるのですが、その前の方にはもう日本では54億トンのCO2の容量があるというようなことがわかっているということは、かなり場所的にも特定されていますでしょうし、後は沿岸のいわゆる生態系なんかについても、これは環境省ですから、十分押さえていらっしゃるということで、本来の趣旨から言うとある程度範囲を指定できないものだろうかというところで、あえてここを事業者に任せたというところを少しお聞きしたいという点です。
 2点目は11ページに上の方に温暖化対策との関係がありまして、上から5行目ぐらいにはインベントリ上排出されなかった量としてカウントされることになる可能性があると。まだ可能性があるという段階で、逆に言うとCCS、ここがしっかりできないと、何でやったのかというようなところがあるかと思うのですけれども、そういう意味でこれは海洋投棄という委員会ではありますが、かなり温暖化対策の方と密に連携してやっていかないといけないのかな。
 例えば事業者がCCSをやった時に、そのカウントされる量が事業者の削減目標の達成に使われるだけなのか、或いは国としてインべントリという形で産出されるのかというようなところは、やはりどこかでしっかりと見ておかないと、温暖化対策という意味では十分対応できないのではないかという不安があったので、その辺についてお考えをお聞きしたいという話です。
 3点目は、海洋のプラットホーム等の安全性については、別途鉱山保安法があるという話があったかと思うのですが、今回の場合ロンドン条約との関連で海洋投棄の問題と、こういったプラットホームの安全性の問題と、温暖化対策の問題が非常に多くの仕組みと関わっているということを考えますと、何か一番重要かというと、やはり情報を公開してお互いの何をやっているかというのをしっかりわかるような仕組みを作っていかないと、なかなかそういったことができないのではないかということで、ぜひ情報をしっかり事業者の方も公開して、それを国はしっかり受けとめて温暖化対策、或いはいろんなところにうまく使っていけるような仕組みが重要だということがうたい込まれた方が良いのではないかと思いますので、最後のはコメントでありますが、3点。

○野尻委員 二酸化炭素流に含まれる不純物の件は、前回から大分議論になっていたと思うのですけれども、最終的にこれで読んでいくと、10ページの上から二つ目の丸になるのかと思うのですが、「不純物が漏洩した場合に海洋環境に与える影響について、CO2・WAG等に基づき、評価を適切に実施するよう措置する必要がある。このため、国が法令または指針等によって」と書いてあるので、これは不純物に関しては結構個別、具体的に検討手法を決めて、それが済んで初めてこの二酸化炭素流貯留というのを実施に移すという考え方を示したというふうに理解してよろしいかと。そうなると結構この決め方は難しいものを秘めているなと、物質によって非常に難しいものが中であるかもしれない。だからかなり急ぎ、真剣に具体的検討をするのには結構手間がかかるのではないかなという印象を一つ持ちました。
 それともう一つ小さいことなのですけれど、12ページの一番上の行、2番目にまた、海水中の二酸化炭素濃度等を監視するのが、この圧入時に監視するわけですけれども、これは例えば圧入前のバックグラウンドになるわけですよね、データとして。ですから圧入終了後の監視というところには、この具体的な行がないので、これも入れておいた方がバックグラウンドを見て、圧入終了後もその後の変化を見るというふうに読めるので、(イ)のところの丸のどこかにまた、監視するというのを加えていただいた方がよろしいかなというふうに思いました。以上です。

○清水委員長 ありがとうございます。じゃあどうぞ。

○高村委員 いくつかございますが、大きな点から御質問、コメントをしたいと思います。まず第1点目は6ページから7ページのところにかけての温暖化対策におけるCCSの位置付けの点であります。書かれている内容を変えるというものではないのですけれども、一つの削減ポテンシャル、削減のオプションとしてのCCSの位置を確認しつつも、別の専門委員会のところでも議論があった点でありますけれども、同時に懸念をしますのは近年の温暖化による影響の研究の進展ですとか、最近ですとスターン・レビューなどによりますと、温暖化の悪影響が大きく、短期の行動の遅れというのが、むしろ全体としての対策の経済的なコストを高くするということが指摘をされているかと思います。
 そういう観点からも、そしてさらにこれはIPCCの報告書の中にもありますけれども、いくつかのシミュレーションのもとで、現時点でCCSが大気中濃度の安定化に資するその位置というのは15から55という試算だと思います。逆の言い方をすると45から85というのはほかの対策をしない限りは、大気中濃度の安定化というのは難しいということを言っていることになります。そういう意味では7ページ目の中段にあるところですけれども、この短期の行動を遅らせない、つまりそのほかの省エネですとか、再生可能エネルギーの技術についてまずは最大限取り組む必要があるというところが非常に大事ではないかというふうに思っております。それがまず第1点です。
 2点目ですけれども、同じく7ページ目のところで、海洋環境影響の防止のあり方について詳述していただいておりますけれども、細かなところの前に、基本的な考え方というのを1の前のところに置いてはいかがかというふうに思っております。内容的には既にこの報告の案の中で述べられている点ですが、例えば想定するような項目としては、海洋環境の保護の観点から、そしてとりわけこのロンドン条約の96年議定書の批准をするための諮問を受けた2~3年前の専門委員会では、特に日本の場合は近海も含めた漁業資源への依存というものが非常に重要な位置を占めているという議論が、委員会からの諮問への答申の中にも入っていたかと思います。そういう意味で、海洋環境の保全というのが、この記述の文脈においても重要であるという点、それから先ほど松橋先生からも御指摘がありましたが、そうは言ってもいろいろな不確実な点をまだまだ残しているわけですけれども、そうした不確実さに対する予防的なアプローチが必要であるという点、そしてそれとも関わりますが、この報告書(案)の中でもいくつか出されておりますが、例えば漏洩を最小限にするといったことは原則的にこの中で確認をされているかと思いますけれども、IPCCの特別報告書における漏洩率の試算でも、適切なサイトの選定と監視を前提としての漏洩率になっていたかと思いますので、適切なサイトを選定し、そうしたサイトを監視するしくみなど、ここで議論をしている仕組みがこの技術の適用においていかに大事かということを前提として書くのがいかがかというふうに思います。
 そして3点目ですけれども、こちらは先ほど原沢先生が御指摘の点とかかわるかと思いますが、9ページのところでサイトの選定についてある程度一定の基準というものをつくるのが可能かどうかとありますけれども、できるとすればあった方がよいのではないかという点であります。例えば先ほど大体水深で500mぐらいの地点が事業として想定されているというお話がございましたけれども、例えば、非常に脆弱な生態系のある地点というのは、おそらくサイトの選定としては選択できないだろうというふうに思いますし、先ほど休憩時間中話しておりましたけれども、表水に漏出をしてしまいそうな地下の状況があるとすれば、そこはおそらく望ましくないサイトであるということがある程度言えるのではないかと思います。サイト選定の一定の基準づくりというのは、これは事業者さんにとっても必要で、一定のコストをかけて調査をした後で、やっぱり駄目でしたということがないという意味でも、必要ではないかというふうに思います。
 そしてあと細かな点でございますけれども、12ページ目のところで、海洋環境の影響のおそれが生じた場合の措置として、一定の記載がございます。こちらに異論はございませんけれども、二酸化炭素の漏出そのものが事業者さんのところにコストとして返ってこない構造になり得る可能性があるとすれば、漏出の際に事業者さんが対応措置を迅速にとるということをどういうふうに確保するかという点が必要ではないかというふうに思います。
 そしてあと2点、細かな点でございますが、13ページ目のところで、先ほど大塚先生から御指摘があった点と関わるかもしれませんが、許可の有効期間の2番目の丸のところの最後のところですが、こちらの許可を定期的に更新していくことにより長期的な監視を担保する仕組みとするというふうに書かれておりますけれども、意地悪な読み方をしますと許可がなくなると監視の義務がなくなるかのような印象を持ちました。むしろおそらく許可というのは圧入の許可ということで、その許可の条件として一定期間の監視の義務が伴うという理解でよいかという点でございます。
 そして最後の点でございますが、14ページのところですけれども、最後に書かれております必要に応じて、ここで議論しております仕組みの評価と見直しは今後も非常に大事だろうと思っております。それは一般的に御指摘のあったまだまだ科学的な知見・研究が進んでいないということがまず一つあるわけですけれども、同時にロンドン条約のもとでのWAF・WAGがまだ最終的に決まるのにもう少し時間がかかるだろうということ、さらに、もう既に報告書(案)の中にございました温暖化の枠組みの中でも、CCSについて国内の削減のカウントの仕方、方法について含めた2006年のIPCCガイドラインの扱いというのが決まっておりません。こうした国際的動向を考えますと、「必要に応じて」とありますが、おそらく次回は2~3年のスパンで見直す必要があるというふうな感触を持っておりますが、そういう理解でよいかということでございます。
 以上です。

○清水委員長 ありがとうございました。いろいろな御意見をいただきまして、これは最終的な報告書の修正版をつくる際に参考にさせていただく、或いはその過程でもって個々の先生方から御指導をいただくということになろうかと思いますけれども、今ここでお答えできることがあったらば竹本環境保全対策課課長補佐からお願いいたします。

○南川地球環境局長 とりあえず私の方でわかる範囲でお答えさせていただきます。お答えというか、今どう思っているか、どう検討していきたいかということだけお話しさせていただきます。
 まず、大塚先生とそれから高村先生からございました許可の期限の問題、モニタリングの問題、特に閉鎖後の問題がございます。許可の期限を5年で切るということについては、どういう事業者がいるかわかりませんから、やはりある程度スパンを切らざるを得ないということはございますが、当然ながら更新を前提とした5年ということでございます。ただ難しいのは、全ての埋立て事業が終わってしまった後に、また許可の更新というのが制度論としてあり得るかどうかとよくわからないのです。若干でも引き続き注入をするようなことがあれば、これは許可の更新でその間監視も併せてやってもらうということできると思うのですけれども、全部終わってしまって一杯になったときに、もうこれ以上施設のstorageがないというときに、またそのstorageの許可を出すというのが制度論としてあるのかどうか、非常にそこはなかなか難しいと思います。
 よく詰めますが、一番わかりやすいのは廃棄物の埋立処分場のような形で、許可はそこで終わるけれども、あと何年間か監視してもらうことに命令を出しておくとかということで、それが漏洩した場合に、何らかの罰則で対応するというのは、一番ノーマルだと思います。それからもう一つは廃棄物で途中から取り締まり始めたように、あらかじめデポジットを取っておいて、もし漏洩したらそれで対応するという手はあるのですが、CO2にそれが馴染むかどうか、なかなか議論があるところだと思いますし、幾らかかるかも分からないものですから、当初からそれを入れるというのはかなり難しいのかなと思っていまして、そのあたりこれから制度的によく詰めたいと思います。これでうまく行くのですと言えるかどうかは、正直言って自信がございません。ただ今おっしゃっていること、もちろん問題意識として持った上で詰めていこうと思っています。
 それから赤井先生から御指摘いただいたことで、言葉遣いの点は御意見さらにいただきまして、我々も誤解ないように是非していきたいと思いますが、ちょっと輸送技術の点で別掲するかどうかはすみません、私はよくわかりませんので、後で課長から答えさせます。
 それから「つなぎの技術」ということもありますし、やはり評価をいろいろした上で、私どもとしてやはり本来の省エネを含めた、従来からの対策というのは必要だということについて、きちんと訴えていきたいというふうに思うところでございます。
 それから松橋委員の方からあった問題で、評価についてどういう形でやるのか、クライテリアどうするのかということ。これは基本的には他の国も同じようなことを当然やるわけですし、ヨーロッパの方が多分先行しますので、そのあたりを見ながら決めていきたいと思います。日本として緩いことを決める気は全くありませんけれども、あまり厳しくして実行不可能なことをやっても意味はございませんので、当然ながら国際的にダンピング条約の議論の中でも、かなり厳しい議論もされていますので、そういったことの並びで是非整理をしていきたいというふうに思っております。
 それから知見の問題で、これはなかなか難しいのですけれども、全部事業者任せということが良いかどうか。ある程度は知見の特性というのですか、どういう形で示せるかどうか、これはちょっとこれから私ども恐縮ですが、今アイデアないものですから、是非何らかのガイドラインがつくれるかどうか、よく検討したいと思うところでございます。
 それから温暖化対策としての位置付けでございますけれども、今のところなかなかこうとしか書きようがないというのが正直なところでございます。と言いますのも今回COP12、COP/MOP2で相当この問題議論になりましたけども、結局結論は出なかったということでございますので、残念ながら今のところはこういう形でやる以外に方法がないのではないかなと思っておるところでございます。ただ、どの国も大変な関心を持っております。そういう新しい情報については逐次先生方にお伝えをしたいと思っておるところでございます。
 それから海洋のプラットホームの安全性について、その温暖化の観点、安全性の観点、投棄の観点での情報公開ということについては、是非徹底させたいと思っておるところでございます。それから野尻先生からお話のあった不純物の漏洩についてですけども、これもダンピング条約の会議そのものでも問題になったというふうに聞いておりまして、適正を期するようにしたいというふうに考えているところでございます。
 それから、あと高村委員から御指摘のあった件で、漏洩の件は最初に申し上げたとおりでございます。それから、基本的な考え方等を書くことについては、よくこれから検討しますし、また少し御示唆をいただければ幸いでございます。あとCCS対策について他の大気のCO2の安定が役立つ度合いが決して高いわけではないので、他の対策も必要だと、それについてはきちんと記述をしていきたいし、私どももそれは是非温暖化対策、今中間審そのものでも産構審でやっていますので、是非しっかりとやっていきたいというふうに考えているところでございます。
 それからあとはサイトの基準の問題は同じでございまして、是非考えていきたいと思います。それからコストとして返ってこない云々はそのとおりなのですけれども、これも本当に最初に申しましたが、なかなかじゃあ幾らデポジットを積んでもらうかというのは難しいですし、あまりデポジットが高いと、今までもちょっとコストがどうなるかよくわかららないころがあるものですから、あまりハードルを高くしたくないという気持ちも実は相当強くございます。そこはよく御理解を賜れば幸いでございます。とりあえず今そのような状況でございまして、いただいた御意見を真摯に検討させていただいて、また御相談させていただきたいと考えているところでございます。

○清水委員長 追加がありましたら、どうぞ。

○徳田環境保全対策課長 特段追加というわけではございませんが、清水先生、それから局長から話がございましたように、いただいた御意見を今後報告書(案)を作成する際に十分に入れていきたいというふうに考えております。輸送、運搬、貯留技術等々につきましての取り扱いについてもちょっと考えさせていただきたいと思います。
 先ほど局長が大体御説明をしたかと思いますけれども、松橋先生から、実際の審査には特にクライテリア如何というようなお話がございましたが、国際的動向を踏まえつつというようなお話を差し上げたところではございますが、先生が来られる前に資料3あるいは資料4で私どもがまとめた資料を御説明したところでございまして、そういったようなものを活用しながら、審査をしていくことになるのではないかというふうに考えているところでございます。
 そのほか、現段階でお答えできるものについて答えたいと思います。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 それでは1点だけ私の方から。サイト選定の基準、あるいはその他クライテリアといったものでございますが、資料5、10ページの上から二つ目の丸でございますけれども、ここで「国が、法令又は指針等によって具体的な検討内容、検討手法、監視項目等を明確にしておく必要がある。」ということを書いております。
 これまで海洋投入処分を行ってきました廃棄物などに関しましては、環境省の方で申請の進め方に関する指針ということでまとめております。これは申請書の記載における留意事項ですとか、あるいは事前評価の際のポイントですとか、そういったものでございます。CO2に関しましてもこういったガイドライン、あるいは指針といった形でまとめておくことが必要かと思っております。この点について10ページの上から2番目の丸に書いてあるということでございます。

○竹本環境保全対策課課長補佐 現時点では局長を初め、事務局から回答をしたとおりでございますが、繰り返しになりますけれども、これはまだ骨子(案)の段階でございまして、例えば赤井先生の方から御指摘のあったようなファクトについての追加記述については、報告書(案)の方で記述できないか検討したいと考えております。

○清水委員長 ありがとうございました。高村先生から2のところでもって趣旨説明を最初にやったらどうかというお話も、これも「はじめに」をどういうふうに書くかというところとも関連をしておりますので、それも含めて考えてもらえると思います。
 追加で何か先生方から。

○白山委員 二つほどお願いをしたいと思いますが、一つは8ページの(4)のところですが、海洋投入処分の削減努力とか、そういう記述があるのですが、このCCSというのはむしろ処分すればするほどポジティブな面が出るということがあるわけです。そのあたりをもうちょっと明示的にそこをキーワードとしてそういうことが入っている方が望ましいのではないかということがあります。どういうふうに書くかについては少し考えていただくとして、ちょっと難しいのですけれども、でもそういう面もあるということは意識して欲しいということでございます。
 それから10ページのモニタリングなのですけれども、あるいは影響評価でもよいのですけれども、基本的に生態系に影響が有るか無いかを評価しようと思ったら、事前にベースラインの調査をすることは必須なわけです。そのベースラインの調査をすることに関しては一言もどこにも出てこないので、それに関してはどこかに少し何か付け加えることをお願いしたいと思います。

○佐藤委員 先ほど赤井委員から意見があって、それから局長の方からもある程度お答えがあったことなのですけれども、やっぱり6ページ目の一番下のところですね、最初のパラグラフが結局「実用ベースでの実施に至る可能性は高くないと考えられる。」というふうに終わってしまうのは、これはどう考えてもおかしいわけで、これは国際的であり、かつここに時間的な概念がどうしても入るべきだろうと。
 その後で国内の話になって、短期的という話と、第一約束期間の話が出てくるのですけれど、これは短期的イコール第一約束期間ということで書かれているのですかね。つまり最初に局長が戻られてきてお話があったように、今回のCOP/MOPのお話で、「当座」ってその時は使ったのです、言葉で。それが第一約束期間ということだと思うのですけれども、それで国際動向をやっぱり見るということはどうしても必要なのかな、それを一文がやっぱりここには必ず必要なのかなというふうに思います。
 それが第1点で、もう1点目は、これは白山先生もおっしゃったことなのですけど、8ページの(4)の最初の丸、「適切な処分の方法がないものであることが求められている。」ということと、それと今の6ページ目の終わりから7ページ目の頭に来ている「着実に現行の温室効果ガスの削減対策を推進していく必要がある。」というのと同じような話というか、そこのところを強調するというのがやっぱり重要かなというふうに思います。

○清水委員長 これまで海洋投入処分が考えられていた廃棄物とCO2は相当違いますので、ただそれをやっぱりWAFの中で考えるということなので、いろいろ工夫をしなければいけないという辛いところもあるわけです。その辺十分に事務局でもってまた勉強をしてもらいたいと思います。ほかによろしゅうございましょうか。

○赤井委員 今、最後に佐藤委員おっしゃったところで、私が読んでいてちょっと気になったのですけれども、CO2を考えたときに、廃棄物として、例えば煙突から出てくるCO2も廃棄物なので、回収されたものが廃棄物、廃棄物その他という。

○南川地球環境局長 それはすみません。廃棄物として扱うという意味ではないのですけれども、ダンピング条約があって、一義的には海洋汚染防止法というのがございますので、それだけで行くと決めたわけではありませんけれども、その部分を触るときに、今の制度としてはダンピング条約上の整理だけでいくとこうなっている、ということをそのまま書くとこうなるということだけであって、別にCO2を廃棄物として、何か明示して扱おうということを決めているわけではございません。ただ現在だと技術的にこうなっていますということだけ、とりあえず御承知置きいただいて、我々も表現については誤解を与えたくないものですから、よく考えたいと思います。清水委員長おっしゃるとおり、他の廃棄物と違って小さければ小さいほどいいというわけではないものですから、そういう側面も十分踏まえた上で誤解なきように、よく相談させていただきたいと思います。

○赤井委員 少し気になったのは、廃棄物かどうかは別として、対象が回収したものなのか、それとも煙突から出ていってしまっている自然のものもすべて含めて同じカテゴリーなのか。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 今回のアネックスI、附属書Iの改正の本文の方には、sequestrationを経たものということで明示をしております。私どもも煙突から出たものといった広いコンテクストでこのCO2の問題を、海洋汚染防止法の中、あるいはその他法令の中で取り扱うということを決めたものではありません。附属書Iに書いてあるのは、Carbon dioxide streams from carbon dioxide capture processes for sequestrationというふうにありますので、明らかに貯留目的で回収をした二酸化炭素流だと認識をしております。

○赤井委員 ありがとうございます。

○清水委員長 今のは参考資料1でございます。よろしいでしょうか。ほかにどなたか。
 よろしければ繰り返しになりますけれども、今日いただいた御意見をもとに、リバイス版を作りまして、また御相談をいたします。その過程でもって、個々の先生方に御指導を仰ぐこともあろうかと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それじゃあ今後のことについて。

○徳田環境保全対策課長 第4回、次回の専門委員会につきましては、12月26日に予定をしておりますが、後ほど正式に御連絡をいたします。本日の資料については公開とさせていただきます。26日は3時からの予定にしております。場所はまだ決まっておりませんので、決まり次第、御連絡を申し上げます。議事要旨につきましては委員長に御確認いただき、公開し、会議録につきましては各委員に御確認いただいた後に、公開させていただきたいと思います。

○清水委員長 今のように、12月26日、大変押し詰まって恐縮でございますけれども、日程の調整をした結果、そこが一番御参加をいただけるということのようでございますので、どうぞお繰り合わせ、お願いをいたします。
 ほかに御発言がなければ、今日はこれでもって会議を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

午後 4時23分 閉会

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