中央環境審議会地球環境部会 二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会 第2回会合 会議録

1.日時

平成18年10月12日(木)午前10時00分~午後12時15分

2.場所

三番町共用会議所 第3・4会議室

3.出席者

清水 誠 委員長
池田 龍彦 委員  木幡 邦男 委員
佐藤 徹 委員  白山 義久 委員
高村 ゆかり 委員  野尻 幸宏 委員
原沢 英夫 委員  細見 正明 委員
佐藤 光三 東京大学大学院教授
西尾 匡弘 経済産業省産業技術環境局環境政策課地球環境対策室課長補佐

4.議題

(1)
専門家へのヒアリング(二酸化炭素海底下地層貯留技術、海洋環境への影響等)
(2)
二酸化炭素海底下地層貯留の利用について
(3)
海洋環境への影響防止のための制度の在り方(論点)
(4)
二酸化炭素海底下地層貯留の利用に関する関連施策
(5)
その他
  

5.配付資料

資料1 二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会第1回会合 
議事録(案)
資料3-1 二酸化炭素の海底下地中貯留と環境影響評価
資料3-2 シミュレーターの精緻 シミュレーションの粗放
資料4 CCS2020-二酸化炭素の地中貯留技術の実用化に向けた実証試験について-
資料5 二酸化炭素海底下地層貯留の海洋環境への影響防止の在り方について(論点)
資料6-1 二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術/クリーン開発メカニズム(CDM)の検討状況
資料6-2 CCSのインベントリでの取り扱いについて
参考資料1 これまでの実証試験の結果(分離・回収ガスの性状等)
参考資料2 諸外国におけるCCS関連法令

6.議事

午前 10時00分 開会

○徳田環境保全対策課長 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会の第2回会合を開催いたします。委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。
 会議に先立ちまして、地球環境審議官の小島より御挨拶申し上げます。

○小島審議官 おはようございます。地球環境審議官の小島でございます。
 本日は、お忙しい中、二酸化炭素海底下地層の貯留に関します専門委員会の第2回会合にお集まりいただきましてありがとうございます。先生方には、日ごろより御指導を賜っております。深く感謝しております。
 今回はロンドン条約の議定書対応ということで、二酸化炭素海底下地層貯留によります海洋環境への影響の防止の在り方につきまして詳細な御議論をいただきます。一方で、その地球温暖化対策としての利用についても一定の整理をお願いしております。期間が限られる中、大変重要かつ難しい議論をお願いしているところでございます。
 先週、私はメキシコで開かれましたG8のグレンイーグルス・サミットの対話ということで1週間行ってまいりましたけれども、イギリスのスタンレビューのプレゼンテーション、IEAの報告書、それから世界銀行の報告というのがございまして、そのうちIEAの報告の中で、2050年、世界の排出量を2003年程度に抑えることが可能であるということが書かれています。
 その対策のあらましを見ておりますと、半分が省エネルギー、4分の1がCCS、そして4分の1が原子力あるいは再生可能エネルギーというような内訳になっておりまして、非常にラフに申しますとそういうことでございますが、CCSについては、電力のCCS、インダストリーのCCS、そしてトランスポーテーションのCCSと、その三つになっておりました。2050年の段階では、まだ化石燃料が使われるということでしょうし、石炭の対策というのは非常に大きいというように思っておりますが、将来の展望をしてまいりますと、そのCCSというのがだんだん一つの技術、単体技術で大きく減らすというものとして位置づけられてきつつあるというふうに思っています。
 もちろん、単体と言いましても、いろいろなインフラが必要なわけでございますから、一つの技術が開始されたからといってすぐに普及するというわけではなく、一つのシステムとして、あるいは炭素の価格が設定をされると、いろいろな条件のもとで実際に動いていくかと思いますけれども、その注目は非常に集まってきていると思います。
 今回のロンドン条約の議定書対応ということは、その制度的な対応の第一歩というふうに思っておりますので、将来を展望していく上で非常に大切な審議であろうというふうに思っております。
 先生方、お忙しい中ではございますけれども、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたしたいと思います。

○徳田環境保全対策課長 それでは、議事に入ります前に本日の資料を確認させていただきます。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 本日の資料でございますけれども、まず資料1が専門委員会の名簿、資料2は会議録となっております。これにつきましては、先生方からコメントをいただきましたものを反映したものになっております。それから資料の3-1で、白山先生のプレゼンテーションの資料。それから資料3-2で、本日おいでいただいております東京大学佐藤光三先生のプレゼンテーションの資料。それから資料4といたしまして、CCS2020、経済産業省地球環境技術室からプレゼンテーションの資料をいただいております。それから資料5は、二酸化炭素海底下地層貯留の海洋環境への影響防止の在り方について(論点)。資料6-1が、CCS、二酸化炭素回収・貯留技術、クリーン開発メカニズムの検討状況。資料6-2といたしまして、CCSのインベントリでの取り扱いについての資料です。
 また、参考資料1といたしまして、これまでの実証試験の結果として、分離・回収ガスの性状等をいただいております。参考資料2、諸外国におけるCCS関連法令でございます。資料2に関しましては、委員限りの配付になっておりますので、よろしくお願いいたします。
 資料については、以上でございます。

○徳田環境保全対策課長 本日は二酸化炭素海底下地層貯留技術、海洋環境への影響等につき専門の先生方へのヒアリングを実施させていただくこととしております。また、二酸化炭素海底下地層貯留の利用について、そして海洋環境への影響防止のための制度の在り方について、御議論いただくこととしております。
 本日は、委員総数14名中9名の御出席をいただいておりますので、専門委員会の開催の定足数を満たしております。
 なお、本日は専門家をお招きしておりますので、御紹介をいたします。
 経済産業省産業技術環境局環境政策課地球環境対策室の西尾匡弘課長補佐でございます。もう一方、東京大学大学院工学系研究科の佐藤光三教授にもお越しいただいております。
 本日はお忙しい中をお越しいただきまして、どうもありがとうございます。
 会議は原則公開、公開した会議の会議録は公開することとされております。会議の公開、非公開につきましては、委員長の決定ということとなっております。今回の第2回専門委員会につきましては、事前に清水委員長に御相談申し上げ、公開で開催することといたしております。ただし、佐藤光三先生の御発表資料の一部につき、佐藤先生の御意向により清水委員長とも御相談した上で非公開といたしますので、御了承ください。会議録につきましては、各委員御確認の後、公開をすることといたします。
 それでは、議事に入っていただきます。
 ここからの進行につきましては、清水委員長にお願いしたいと思います。

○清水委員長 それでは、時間もあまりございませんので、早速、議題1、専門家へのヒアリングということでお願いをしたいと思います。
 御案内のように、今日は佐藤光三先生と委員でもいらっしゃいます白山先生からお話を伺うということで、まずは佐藤光三先生から、二酸化炭素を安定的に海底下貯留するためのサイト選定に当たっての、現在のシミュレーションモデルの利用とその限界についてお話をいただき、その後、質疑・応答をしたいと思います。
 では、よろしくお願いをいたします。

○東京大学 佐藤(光)教授 シミュレーターに関してのお話をということで、今日、用意させていただきました。このタイトルはシミュレーターの精緻、シミュレーションの粗放というものです。これ、タイトルつけましたが、いろいろなところで将来予測にシミュレーションを使うのに、かなり過大に能力を皆さん考えておられるなということを常々感じておりました。それで、どういうふうに御説明すればいいかというふうに考えまして、シミュレーターとシミュレーションというのを、ちょっと別に見ていただこうという趣旨です。図らずも、今日の資料の方でもシミュレーターとシミュレーションをごっちゃに取り扱っていただいておりまして、やはり皆さん、そういう感じで捉えられているんだなというふうに思います。
 二酸化炭素の地中貯留ですので、1,000m以深ということで、元になるのは、やはり石油関係、石油とか天然ガスを開発するために使われているシミュレーターということになるかと思います。目的別に分けますと、ブラック・オイル(black oil)、コンポジショナル(compositional)、サーマル(thermal)というふうに分かれます。それぞれに特徴があるわけですけれども、私たちがCO2を地中貯留するということですと、ピュアなCO2を入れるかどうかわからないわけですから、入れる流体の中にCO2が何%、例えば窒素が何%というふうなことがあり得ると思いますので、基本となるのは、ここに出ていますコンポジショナルモデル、流体をコンポジション(composition)、集合体として考える、つまりCO2であったり、ほかの成分だったりというものの集合体を考えるということになります。それから、そのCO2が、例えば水に溶けるですとか、いろいろなフェーズの間を移動するわけですけれども、それは状態方程式EOSを使って計算するということになります。入れるCO2の温度等々が貯留層温度とかなり異なるという場合は、そこに温度変化を加味してサーマルコンポジショナルモデルを使うということになるかと思います。
 以下は、ちょっと私は自分でやった仕事だけでまとめ切れなかったものですから、コピーライトとか等々の問題で配付資料から抜いているものがあります。これは、ある中東の油田のものですけれども、シミュレーションというのは、こういうような、本当はこういう複雑なものを、こういう升目に切って、そこに、その升目1個1個に、いろいろな物性を与えて、その中の物の流れを見るものだということです。これの大きさにもよるわけですけれども、このケースですと、大体100m立方の一つのサイコロというのが10万個入っているというようなものになります。
 この地下の中を物が流れる等々のことは、石油とか天然ガスの技術を利用すればいいわけですけれども、二酸化炭素の云々ということになりますと、多分重要になるのはトラップメカニズムで、これがちゃんと反映されているかどうかということになるかと思います。トラップメカニズムは、皆さん御存じのように、主にキャップロックがあって、こいつでちゃんとCO2が止まりますよというもの。それからヒステリシス(hysteresis)というのを利用して、入ったCO2のところに水が溢れ侵入してくると、そのCO2がトラップされて動かなくなるというもの。それから、ソルビリティ・トラッピング(solubility trapping)、CO2が水とか、もともとあった流体の中に溶けるというもの。それから鉱物化をするというような、そういうメカニズムが考えられています。これらのほとんどは石油・天然ガス開発であまり重視してこなかったものですから、これらの物性を新たにシミュレーション、シミュレーターの中には組み込むことになります。
 関連する物性としましては、キャップロックの健全性に関して断層・亀裂の有無をどういうふうに表現するか、毛細管圧力をどう表現するか、多相流挙動、これは先ほどのレジデュアルガスというものですけれども、相対浸透率という、ある物性があるわけですが、その中にヒステリシスというのを導入します。これは何のことかと言いますと、この図の横軸が水の飽和率、水の割合です。最初水が100%あるところにCO2を入れ始めると、水の割合が減っていくわけです。この青いラインがCO2の流れやすさを表しています。CO2が増えていくと、CO2がどんどん流れやすくなるという状況です。これが逆に、例えばCO2を入れ終わってリディストリビュートすることによってCO2の飽和率が逆に下がってくるわけですけれども、同じ経路をたどらないで違う経路をたどる、履歴現象というのが存在することが知られています。この履歴現象によって、このCO2がゼロのところまでは減らず、例えばこの場合でしたら0.7ぐらいのところで動かなくなってしまう。ですから、この0.3ぐらいのCO2というのはトラップされるということになります。こういうような多相流挙動を表現する機能を入れなければいけない。多相流挙動、CO2の液体の溶解度ですとか、鉱物溶解速度等々を精緻にやらなければいけないという課題があったわけです。
 これらは、いろいろなところでいろいろな改良が行われていて、ほとんどの部分は、能力としてはだいだい兼ね備えています。地化学反応、水相の特性、それから地層変形と二次的な物質移動、二次的な物質移動というのはキャップロックの断層で起きるそういった場合が多いですけれども、その辺は示すことができるようになっています。
 これはRITE(地球産業環境技術研究機構)が行った研究ですけれども、例えば、これ、ある理想的なところに入れた場合のシミュレーションです。これがガスのサチュレーション(saturation)、これが水相のデンシティ(density)、カルサイトがどれだけ溶解したか、それから水層の中に含まれているCO2のモルフラクション(mole fraction)、pH、それからカルサイトがどれぐらい沈殿したかというものですけれども、CO2を入れ終わった時点でこうなっている。それが500年後には、こういうふうに変化しますよというふうな計算をしている。この程度のことは、計算上はできるというところまでは来ております。
 それから、漏洩に関してですけれども、このシミュレーションもRITEが行ったものですが、ある仮想的なところを考えて、ここに、キャップロックはこの上にあるわけですけれども、そのキャップロックがCO2を入れることによって圧力が上がりますので、その上がった圧力によって壊れることを想定しています。このグラフの横軸が、どれぐらい圧力が上がったかというものですね、縦軸がキャップロックの浸透率を表していると考えてください。最初はキャップロックですからゼロでいたわけです。ところが、ある閾値、この圧力差以上になってしまうと、例えばキャップロックに亀裂が走ってしまって、その圧力差が増えるにしたがって、その浸透率は上がりますよと。先ほどのヒステリシスと同じように、それが圧力がまた戻ってきても、その開いた部分は開きっ放しで、その浸透率は保持されたままですというようなモデル化を試みています。あまりこれの数字のところは気にしないでいただきたいですけれども、この例ですと、大体10年ぐらい入れるプロジェクトがあって、その途中で、このあたりにCO2を入れた分ですけれども、このあたりに亀裂が発生してしまったので、その発生した亀裂ですから、これが圧力ですけれども、圧力がある閾値に到達したということになってしまって、それから水がこれぐらい抜けてしまった、CO2がこれぐらい抜けてしまったというのが、長期間にわたって計算もしてあるということです。ですから、漏洩に関しても、あるモデル設定をすればできるというところまでは来ています。
 最初にお示ししました、この絵ですけれども、実際はこういう複雑なものを、こういうサイコロのような形に割ってしまっているというのが、今の普通のシミュレーターなんですけれども、最近、よく用いられているストリームラインモデルというのがあります。これは、あんなに大まかなサイコロでなくて、もっと細密にあらわした、これはパーミアビリティ(permeability)、地層の流れやすさのマップですけれども、これを直接反映するという試みをされています。どういうふうにやっているかと言うと、これに対応した圧力場というのを計算します。この圧力場に対応して、ストリームラインを描きます。その物の流れる方向に沿って、いろいろな計算をして、例えばCO2を入れた場合、CO2がどう流れていくかというのを計算して、それを結果として出すというものです。
 この場合は、ですから、先ほどのサイコロみたいな100m・100m・100mのような大き目のサイコロなんていうのも使わずに済むというところまで来ております。これは、そのPermeability mapですけれども、こんなに、かなり複雑な、細かいデータを使うことができて、それに対応して、こういうストリームラインを描くことができて、このストリームラインに沿った形で、時間とともにどういうふうに物が流れるかというのを計算していくということも行われています。
 これは一つの例ですけれども、ある時点でここから入れたものが、こういうふうに流れています。次のステップで、例えばここにもう一個井戸、こことここに井戸を新たに掘ってここから入れ始めると、どういうふうに変化しますかというのを、ストリームラインの状態は変わるわけですから、そのストリームラインをどんどんアップデートしながら計算していく。全然サイコロ等々は使っていないということです。というのがシミュレーターなわけです。かなり、こういうことをやりたいという要求があると、大体のことには答えてくれるツールとしては能力を持っていますよという状況です。多分、皆さんこういう状況を踏まえて、かなり将来予測ができるのではないかと思われているのかなと思います。
 一方で、シミュレーションというのは、シミュレーターを使って将来予測なり、過去のヒストリーマッチング(history matching)等々をするわけですけれども、それの一つの例ですが、こういうステップでシミュレーションスタディーというのはやりますよ、ということです。私が最初に問題設定する立場だったら、CO2を入れて、それが漏洩するかどうか等々の問題を定義する。それに必要なデータをレビューして、必要であればデータをとる、それからどういうアプローチをするか。これは、どういうシミュレーターを選ぶかということですけれども、レザバー・ディスクリプション(reservoir description)、貯留層がどういう性質を持っているのか。もし、これが今後、貯留層の性質等々で選んだシミュレーターに対応しなければ、もう一度、そのシミュレーターを変えてみる。
 ですから、今お話したシミュレーターというのは、セレクション・オブ・アプローチ(selection of approach)というのとプログラミング・サポート(programming support)、この二つがシミュレーターなわけで、ほかの部分というのはシミュレーション。実際、そのシミュレーターというツールを使って将来予測等々をする作業ということですので、データを設定する、それからヒストリーマッチというものがあったり、プレディクション(prediction)等があるわけですが、こういうのがシミュレーションと呼ばれるものです。ここのデータ・アクィジション(data acquisition)というところが一番厄介な部分で、ここにちょっと、読めないと思いますが、データはたくさん用意しなければいけませんよということです。
 一般的に言って、媒質に関するデータ、それから媒体に関するデータ、CO2が水とどう反応するかという、その流体に関することと、CO2を入れる媒体がどういうふうになっているかという、大きく分けるとその二種類ということになります。
 これは、CO2を用いたEOR、お聞きになったことがあるかと思いますけれども、ベネズエラのある油田で行ったスタディーです。こういうレザバー(reservoir)があって、ここから油を採ったのですけれども、採り残しがあるので、この油に対してCO2を入れるというスタディーを行いました。
 どういうスタディーをやるかと言うと、まず、ここは油でしたから、油の組成を分析します。メタン、プロパン、ブタン等々のものがどれぐらい入っているのかというのを分析して、それをすべてのコンポーネントをモデル化するには時間がかかり過ぎますので、あるグループにダンピングします。そのグループダンピングした擬似組成に対して、臨界圧力だったり、臨界温度だったり、アセントリックファクターだったり、いろいろな物性をここで定義していきます。これもある物性ですけれども、この程度の物性の定義が必要になります。当然ながら、その物性の定義というのは、何も指標がないと当てずっぽうになってしまって、普通は実際を反映していません。このグラフが示している、線で書いてあるのが実験値です。何もパラメーターを吟味しないで、ただとりあえず、こういうふうに置いておこうというのが白抜きのポイントです。最初は、ですから実測のデータに対して、ちゃんとした予測ができないようなモデルだったわけですけれども、先ほどのパラメーターをリグレッションで修正していくことによって、この黒ドットで書かれているように、実際のデータを反映することができたということです。それが、膨張度に関するパラメーター、これが油のビスコシティーに関する結果です。この二つがちゃんとできたので、これは何をやっているかと言うと、CO2を入れたときにどれぐらい油がとれましたかというのを、いろいろな圧力でやっているわけですけれども、この程度の流動もかかわったシミュレーションでは、流体のことをちゃんとすることによって、均一な媒体であり、媒体の性格がわかっている実験であれば、予測もまあまあの精度で行えますよという例になります。このように流体の方はよくできる。それはなぜかと言うと、流体というのはサンプルを採って来ることができて、地上で実験ができて、その実験に対してリグレッションをかけることによってパラメーターを選ぶことができるからであります。
厄介なのは、貯留層をキャラクタライズするという作業です。これが貯留層だとして、こういう貯留層がどういう性格を持っているのかということを決めなければいけないわけです。我々が使うデータというのは、井戸を掘って、井戸からコアと呼ばれる地下のサンプルを採ってきたり、その井戸に物理検層と言って、ある計器を下げて、その井戸で井戸の周りの性状を調べたり、圧力試験と呼ばれるものをやったり、それから地震探査ですね、そういうようなことをやって、それをいろいろな専門家が考えて、こんなふうに全体的にはなっているのであろうということをモデル化します。我々が興味のある対象がここだったとしますと、そこをもうちょっと精緻にやって、この精緻にモデル化してキャラクタライズしたものを数値的にはこういうシミュレーターの中に反映させるものとして表現できますということを作っていくわけです。
 これが地震探査で得られる情報です。どれぐらいの情報が得られるかというと、例えば、ここに大き目の断層がありますねというようなことはわかります。これの解像度はどれぐらいのスパンでやっているかによりますけれども、大体数十mの解像度しかありません。なので、この断層のちょっと隣に、もしかしたら深目の亀裂があるかもしれないけれども、それは、このデータで見えていない可能性は多分にあるわけです。これは圧力試験のデータです。これが井戸を掘っているわけですから、その井戸に計器を降ろしていって、どういう性状かというのを調べた物理検層と呼ばれるものです。これは実際の、RITEがやっているCO2の地中貯留で得られたデータです。1,090mから1,150m、60m区間で、大体この程度、これはちょっと解像度を落としていますけれども、かなりな、縦方向には解像度で、いろいろな物性を知ることができます。何種類かのツールを下げて、いろいろな特性を測るということです。そのCO2貯留の場合、4つの井戸がありましたから、こういうふうに4つ、その結果を並べてみて、専門家が、地質の専門家が見ると、ここの部分と、例えば60m離れたこの井戸のここの部分は対応しているというのがわかるらしくて、私はあまりよくわからなかったりするんですけれども、こことここがつながっていて、また60m離れたこの井戸のここがつながっていてというような坑井間対比というものを行います。そうすると、先ほどの、そのサイコロの升目ができて、この4つ井戸がありますけれども、4つの井戸が、こういうふうにつながっていますよねということを何となく作ってしまうわけです。
 ところが、実際には、本当はこれぐらい細かな物性の変化があるものを、シミュレーターの中では、縦方向で言うと三つぐらいに分けて、大まかに分けて、それを表現してしまっているということになります。
 多分、これが一番今日お見せしたい図なんですけれども、これは東京ドームです。200m×200mぐらいのものです。先ほどの地震探査というのは何をやっているかと、多分、ちょっと解像度のことはわかりませんが、ぱっと見て、これが断層だったとすると、ここには断層がありますねというのは地震探査でわかるんだと思います。ところが、例えばここに亀裂があるのかないのかなんていうことは、地震探査でわかるわけはありません。その解像度が低いのでわからないわけです。それで私たちは、そこに井戸を掘って、井戸から情報を得るわけですけれども、井戸の情報というのは何かと言うと、大体これは200m×200mなので、20km×20kmのレザバーに物を入れるということを想定しますと、大体井戸の半径というのは2ミリになりますから、鉛筆の、この黒い芯の部分を、この東京ドームのどこかにぽんと突き刺して、その芯の部分の情報を得ると。コアというのは、その程度のものです。それから、その井戸で物理検層というのをやるわけですけれども、その物理検層の探査範囲というのも数インチですから、せいぜいこの鉛筆の、この太さぐらいのところを井戸の周りで見ているということになります。
 石油の開発でしたら、ここに何百本か掘る場合もあるわけですが、CO2の圧入ということになりますと、この広いところに、例えば5本井戸を掘ったとすると、東京ドームに5本鉛筆を突き刺して、そこで情報を得て、その情報と、この大まかに見たこの写真だけで、東京ドームの性状を把握しろと言われているようなものなわけです。それは全くできるはずがないということです。実際には、先ほど断層とか亀裂とか、簡単に言っていますけれども、例えばこういう断層なのか、こういう小さな断層なのか、それから縦方向も三つに分けましたけれども、本当はこういう複雑な形を持っているのが地層なわけですから、これをああいうふうに大まかに切るということ自体が、かなり大胆なことをやっているということです。
 それで普通は、石油とか天然ガスの開発でも、そのままでは使い物にはなりません。そこで出てくるのが先ほどのシミュレーションのところで出てきましたけれども、ヒストリーマッチングというのをやります。ヒストリーマッチングというのは、開発をしている段階で、例えば圧力のデータであったり、生産量、油がどれだけ採れて、ガスがどれだけ出てというようなことがデータとしてどんどん集まってくるわけですけれども、そのデータに合うようなシミュレーションモデルでなければ将来予測には使えないわけですから、過去のデータ、過去の履歴を再現できるようにパラメーターを動かすというのがヒストリーマッチングの作業ということになります。
 圧力というのは不均質性の影響が緩和される方向に働くプロセスなので、レザバー・キャラクタリゼーション(reservoir characterization)に関しては十分な情報を与えません。実際に僕らがよく重宝するのは生産量のデータです。これは不均一性の影響を、まあまあ反映する方向に作用します。GORというのはガスと油の比率、WORというのは水と油の比率ですけれども、そういうような生産データが有効になります。
 ここの例は、例えばここから何かを入れて、ここから出しているというものですけれども、ここにトレーサー試験というのをやる、ここから何か検知できる物質を入れると、ここから出てくるわけですが、ここに何もないと、均一であると、こういうようなプロファイルになります。今、到達して、これが出てきて、どんどん少なくなるという感じがこういうふうになっているわけです。もしここに亀裂があったとするとどうなるかと言うと、ここに、今本当はここに1本亀裂があるんですが、亀裂をぴょんと伝わって、ここに出てくるということになります。これが亀裂を伝わったもの、こっちが亀裂を伝わらないもの。これがここに出ていて、亀裂を伝わらないものが、この辺に出ているということになります。こういうトレーサー試験のようなことができれば、ここにこれぐらいの長さの亀裂があるということに近い予測をすることができるわけです。ですから、生産量のデータがあるか、ないかというのは、かなり大きなことなわけですけれども、残念ながらCO2の地中貯留で、こういう生産量のデータがあるケースというのは少ないと考えられます。
 実際に、これはRITEが行った試験でのことですが、まだ入れる前は、こういうような予測をしていました。ここに入れる井戸があるわけですけれども、入れる井戸から、こういうふうに広がっていくんですと。このころは、どういうところに井戸を掘ればモニタリングができるかというのを確かめるためにシミュレーターを使いました。この緑ですとか青ですとかがCO2がこの近隣の井戸で出てくる割合です。大体200日以内に二つの井戸でCO2が観測されるはずだということが予測されました。
 それで、井戸の位置を決めてやったわけですけれども、実際には、その200日以内に二つの井戸でCO2を観測することができなくて、もともとここで考えていた、このレザバー・キャラクタリゼーションがちゃんとしてなかったということに、今のところなっていて、どういう解釈をしたかと言うと、ここに入れる井戸があるわけですけれども、こことここに観測する井戸があって、こことここに、そのCO2がなかなか来ないものですから、多分こことここの井戸の周りに低い浸透率の部分があるんであろうというような解釈をしています。これはCO2が到達するのが遅かったということを反映させるためにシミュレーションモデルの中で、こういう物性の変化をさせたわけです。これが、ドットがデータで、実線がシミュレーションモデルの計算結果ですけれども、こことここに低い物性を与えることによって、大体CO2があらわれる時間というのが二つの井戸で合わせることができましたということです。
 ところが、こういうふうな真四角な低浸透率部分があるというのは、ちょっと非現実的なんでしょうけれども、こういうところとか、こういうところに低い浸透率の部分があるんだというのはこういう生産のデータを用いて、ヒストリーマッチングをしない限りわからないわけで、今から入れますよという時点で、そこから漏洩があるか、ないかというようなことは、何かを入れるまではわかるわけがないということです。
 これは、そのヒストリーマッチングをやった結果つくられたシミュレーションモデルによって予測した結果です。これは、入れる層を二つに分けていて、上の層と中心の層で、これがCO2の飽和率。それから、これとこれが水に溶けているCO2の割合です。シミュレーターで、こういうことはわかりますよということです。
 それから、これがCO2を入れて1,000年後にどうなっているかというようなものです。先ほどお話したヒステリシスがない場合とある場合と、ヒステリシスがある方があまりCO2が動いていません。このケースでは、これが圧入終了時ですけれども、圧入終了時からヒステリシスがある場合は、そんなにCO2は動いていませんねということになっています。1,000年後も動かないでしょうという予測になっています。
 結局、課題としてどういうことがあるかと言うと、シミュレーターはちゃんとツールとしては開発されています。けれども、そこに入れるデータというのを集めることには限界があります。それは解像度の問題であったり、危険因子検知の確度であり、亀裂があるのかないのかということが本当にわかるかというと、わからないわけです。石油とか天然ガスというのは、もともとどういうところを、ここを掘ってみたら、石油がそこに溜まっていたというところから出発しているわけなので、石油が溜まっていたということは漏洩をしていないということなので、それはそれでいいわけですが、今回のCO2の場合は、あるところにCO2を入れて、そのCO2が抜けるか抜けないかが問題なわけなので、漏洩云々のことを、入れ始める前に、そういう因子があるかどうかというのはわからないということになります。
 それからヒストリーマッチングのための履歴不足、もちろん生産データ等々は、枯渇油・ガス田を利用しない限りないわけですから、それが不足している。さらに、キャップロックに関して、どういう生産履歴等々があれば、そのキャップロックの性状を云々することができるかということはわからないということになってしまいます。
  この解像度ですとか履歴不足の一部は石油とか天然ガスの開発でも同じような悩みは抱えていて、今、どういうことをやっているかと言うと、アプローチとして、これは先ほどお見せしたものです。これだけ浸透率の分布があるというようなことは、本当は、人間は、先ほどの話でわかるわけがないわけです。なので、今やっているのは、例えばこれをすべて平均化して、大体平均してこれぐらいの浸透率があるんでしょうというのはわかったとする。それから、振れ幅としてどれぐらいの浸透率の振れ幅があるというのがわかったとする。そうすると、確率実現といって、その幾つかの設定されたパラメーターの範囲内で、では浸透率の分布として、こんなケースも考えられるし、こんなケースも考えられるし、こんなケースも考えられる。幾つかの確率実現というのを発生させます。それぞれに対してシミュレーションを行って最終的に、例えば時間と、これが回収率だとすると、いろいろな確率実現によると、この辺からこの辺ぐらいの振れ幅で物事が起こりそうですよというような確率論的なアプローチを取るというのが、今、主流になってきています。
 今後、頼るものとしては、こういうような方向はあるのかもしれませんけれども、今日、お話ししたかったのはシミュレーションモデルによる予測をあまりに過度に評価していただきたくないということでございます。
 朝一番の発表で、こういうネガティブな発言で申しわけないんですけれども、以上でございます。

○清水委員長 どうも、先生ありがとうございました。
 決してネガティブではないと私は思っていますけれども。
 どうぞ、先生方から御質問ございましたらば。少し時間が押していますから、30秒ぐらい発言がないと、すぐ次へ行くことにしますが。せっかくの機会ですから何か。よろしゅうございますか。

○細見委員 石油とか、そういう類に関しては生産量がわかるデータが得られるので、このモデルの確からしさというのは確認できるというような御主旨だったと思うんですが、それは、もう既に石油の分野では、もう中東にしても、いろいろなところで取っているところでデータがすべて大体確認されているんでしょうか、そういうモデルは。

○東京大学 佐藤(光)教授 それは、一応サイトスペシフィック(site specific)なものですから、ある油田を開発し始めるというときは、今の我々の現状と同じで全くわからないところから始まってしまいます。ですから、ヒストリーマッチングはその時点でできないので、その時点ではかなり危ないことをやっているわけです。ただ、石油・天然ガスの場合は、生産履歴がどんどん時間がたつに連れて集まってきますので、例えば5年後にもう一度見直してみて、やはり生産履歴が合っていないから、先ほどお示ししましたようなことを何回かやって、最終的に例えば10年間の生産履歴が集まったときに、まあまあ満足できるシミュレーションモデルというのが確立されたとすると、それから先20年間はそれでいって将来予測をするというような、そういうことです。新規なところは本当にゼロから始めなければいけないと。

○細見委員 そういう10年間ぐらい履歴のデータがあって、その時に最後言われたモンテカルロ法というか、確率論的なモデルでもう一回計算し直して、それが、より確かなモデルかどうかとか、そういうものは二つ決定論的にやるのと、こういう確率論的にやる場合と、二つ比較したりしたやつというのはあるのでしょうか。

○東京大学 佐藤(光)教授 そうですね。ですから、どんどん生産履歴が集まってくるに従って、この幅がどんどん狭くなっていくという、そういう理解だと思います。最終的には決定論的なシミュレーションができればいいんでしょうけれども、それは多分、我々の業界で何かそういうものを示しても、みんな信じないです。それは一つのケーススタディーですよねという感じで、それを見ているということです。

○原沢委員 一点、データのアクィジションが非常にやはり重要だと思うんですけれども、その際にも、単にある程度お金をかければ、よりいいデータがとれるのか、あるいは方法論として、まだまだ開発しなければいけない手法はあるのか。その辺はどちらなんでしょうか。

○東京大学 佐藤(光)教授 やはり限界があって、先ほどの東京ドームと鉛筆の話になってしまうかと思います。やはり断層とかは大きく見るとわかるわけですけれども、石油の方でも、その断層が閉じているというか、物を通さない断層なのか、物を通してしまう断層なのかというのは、その地震探査で見られるものからは全然わからないわけです。
 先ほど言いましたように、ここに断層があって、例えばこの辺に構造があるから、この辺に石油がある可能性がありますよということになります。もし、この断層が物を通すということがこれでわかるのであれば、そこに井戸を掘る必要がなくて、多分抜けているから井戸は掘らないということになるんでしょうけれども、やはり石油・天然ガスの開発というのは、構造は見つけられるんですけれども、そこに溜まっているかどうかというのは掘るまでわからない。それは何を言っているかと言うと、これを見ただけで抜けているか抜けていないかわからないということです。
 ですから、これにも限界がありますし、断層が抜ける、抜けないがわからないのもありますし、ここにあらわれていない小さな亀裂なんていうのは、これでは見ることができない。その小さな亀裂を見る手法としては、こういう井戸を掘って、井戸で電気検層というのをやって、これでたまたまそこに亀裂があったら、それはわかります。でも、その亀裂は、しょせんこの中の鉛筆のポイントでしかないということで、ほかは全然わからないということです。ですから、もういくら頑張ってもだめです。

○清水委員長 どうもネガティブになるような。
 ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 それでは次のヒアリングということで、白山先生、よろしくお願いします。

○白山委員 京都大学の白山でございます。どうぞよろしくお願いします。
 海底下地中貯留が環境にどういう影響を与え得るかということについて、現在の知見についての、できるだけアップ・トゥー・デートなお話をさせていただきたいとおもいますけれども、海底下に地中貯留をした場合の環境影響として考えられるものとしては、何か事後的なことが起きてしまってパイプが破れるというようなことがあれば、二酸化炭素が大量に噴出する可能性があるでしょうということになります。それから、私はよくわかりませんが、本当にあるかどうかもわからないんですけれども、例えば何か非常に大きな地学的なイベントが起きて、キャップロックが大きく割れるというようなことがあるのかもしれないと。可能性の話としては、そういうことがあるでしょう。そういうイベントはなくても、先ほどの佐藤先生のお話ではないですが、どこかに亀裂があって、キャップロックが不完全であれば、そこから徐々に漏れるということもあるでしょうし、地層が、入れている場所からは大分離れているかもしれませんが、路頭に、最終的には海底表面まで出てきていて、そこから漏出するという可能性、水平的に移動して漏出する可能性もあると思います。環境影響として、海洋汚染防止法に関連するものとしてはこのくらいでいいだろうと思いますが、実際には海底下に地中貯留しています、地中に入っている二酸化炭素の、その現場のところには実際にあるわけで、そこの環境影響評価ですから地下何千mですか、何百mですかわかりませんが、そういうところにいる現在ではかなりたくさんのバイパスがあるということがわかってきておりまして、そこにいる生物に対する環境影響というのは、確かにあるだろうと思います。ただ、これは、この委員会で検討すべき内容の外側にあるということではいいとは思います。
 海洋汚染ということで考えれば、漏出する水深がどこにあるかというのが一つ大きなポイントになります。というのも、二酸化炭素が漏出した場合、そういう二酸化炭素そのものの物性で、水深が深くて圧力が高ければ比重が周りの海水よりも大きいので、二酸化炭素そのものは、むしろ下の方へ進むということになります。したがって、多分海底に、くぼみがあればそこにたまるでしょうが、もちろん、深海とはいえ、毎秒で数センチ程度の海流が多くの場合ありますので、その水との間の反応によって少しずつ海水に溶解して海洋中に拡散するというふうに考えられます。
 一方、およそですけれども3,000mより浅い場合には、二酸化炭素そのものは比重が海水よりも軽いことになりますので、上の方へ、海表へ向かって移動をするということになりますが、その場合、出てくる二酸化炭素が液滴状で出てくるわけですけれども、その液滴が大きいか小さいかによって、多分履歴はさらに変わるだろうと思われますが、大きい方が早く浮くということになります。それから、大きい場合には、海表へ届くまでに全部溶けるかどうかがわからないという問題はあるだろうというふうに思います。小さければ、現場に近いところでほとんど溶けてしまうと。大きければ長い距離を移動するということになります。もっと浅くて、間違いなく十分に溶解しない、しかも大きな液滴が出るということになると、あるいは溶解せずに海表まで届いて、それで液化して大気へ拡散するということになるだろうというふうに思います。
 それを絵で見ればこういうふうになりますよということでありまして、現在、多分想定されているのは陸上に井戸があって、どこかの帯水層に入れると、それの、露頭が海洋にある、あるいはここの部分が、むしろこの辺に来ていて、実際には漏出している場所が海底下にあるというケースもあるでしょう。いずれにしても、漏出するのは海底になります。
 これは、海洋貯留、実際にもう海に直接入れてしまおうというCCSもありまして、その場合に、3,000mより深いところですと、こういう二酸化炭素の池が海の中にできますが、それを、ほぼシミュレートしているということになると。もし、この出てくる場所が、もうちょっと浅いところですと、今度、これは上に上がっていきますので、それは海の水の中に、どんどん撒き散らしているのと同じになりまして、これは、今度、船とか、あるいはパイプを上から海の中に入れていって、そこでパイプの先から二酸化炭素を海水に放出しようというふうに考えている海洋貯留と、ほぼ同じようなことが起きるということになります。こちらの場合には、インパクトを受けるであろう海洋が、プランクトンとかネクトン、こちらの場合にはベントス(benthos)が圧倒的に多いだろうというふうに予想されるわけですね。ただ、こちらの場合にも溶けた二酸化炭素の海水が、例えば海山みたいなところにぶつかれば、そこでベントスに対する影響もあるというふうに考えられます。
 したがって、海洋貯留の研究というのが別個に進んでいるわけですが、そちらでの研究成果として、海水に溶かそうというような海洋貯留の研究の成果は、多分3,000mよりも浅いところに海底下地中貯留をして漏出したケースを、ほぼ再現するものになると。
 一方、3,000mよりも深いところで漏出した場合のシミュレーションとしては、いわゆるレイク・タイプ(lake type)と呼ばれる、深いところへ海洋貯留しようと考えているものと大体同じようなことだろうというふうに思いますので、海洋貯留研究の成果が環境影響を海底下地中貯留をした場合の研究、影響予測として、海洋貯留の研究成果が、ある程度は参考になるということになるだろうと思います。
 ただ、非常に大きな違いは、海底下の貯留からの漏出というのは、ある特定の限られた海域に入れようとしている量とは、恐らくオーダーが相当に違うだろうということがありまして、逆に言えば、海洋貯留で、かなりインパクトについて精緻に考えられていることから考えると、海底下地中貯留からの漏出の量というのは相当に小さいということになるのではないかと私は考えているんですが、そこの辺は、佐藤先生がどのくらい正確に予想できるかというところと大きく関連する事象だというふうに思います。
 実は、そのCCSについてはIPCCの特別報告書が今年の春に出てきておりますけれども、その中で、海水中で二酸化炭素はどんなふうな物性を示すかということをまとめてありますけれども、基本的には、こういうことになっております。二酸化炭素が少し増えるとpHが少し下がりますけれども、やがて炭酸カルシウムによって海水のアルカリ度が上がりますので、結局、もとのpHに近いところに戻ると、こういうヒストリーを海水としては通るはずであるということになります。
 pHの変化は非常に多くの方が心配されるわけですけれども、生物学的には、pHよりも細胞そのものに対してはpCO2の方が大きなファクターとして考えるべきものであるということを、一つ、ここでは強調しておきたいと思います。一般に、pHの変化に対するものよりは、pCO2が増えることによる生物学的なインパクトの方が大きいと。つまり、同じpHの変化であっても、塩酸でpHを変化させた場合と二酸化炭素でpHを変化させた場合では、生物学的なインパクトは後者の方が大きいということです。
 実際に3,000m以深で何が起きるかというのは、ちゃんと実際に二酸化炭素を放出した実験をしているといったケースがモントレーでありまして、入れるとほぼ全滅します。この二酸化炭素の湖の下にいる生物は、ほぼ全滅します。ここから、だんだん溶けていくわけですが、その溶けていった周りでも、分散の影響が調べられておりまして、メートルのオーダーでは、確かにインパクトがあるということは、この実験ではわかっていますけれども、何キロも先まで影響があるかどうかについては、実際調べられていませんし、ここからこの量がわずか数リッターと、こんなものですから、それを調べようとするような実際のスケールにはなっていないということもあるかと思います。
 レイク・タイプではなくて、今のは3,000mより深いところに漏れてきた場合のシミュレーションで、それよりも浅いところに出てきた場合のシミュレーションとしては、ベントスへの影響はベンチックチャンバーという機械がありまして、海洋貯留の方では開発しておりまして、それによってある程度理解することができると。
 ただ、この実験は、オン・サイト(On site)で行っておりますので、非常にある意味で意味が深い、高い意味があります。つまり、多くの場合、深海の生き物とは浅い海の生物とでは生理学的に大きく特徴は違いますので、浅い海での二酸化炭素の影響実験は比較的容易にできますが、深海の種類をやるというのは難しい。しかも、深海の種類を、つかまえてきて浅い、減圧して実験したのではほとんど意味がなくて、やはりちゃんと高圧をずっと保ったままで実験したいということになりますので、オン・サイトで実験するというのは非常に重要です。しかも1種類だけで実験するのと違って群集レベルでやっていますので、実際に漏れたところをよく、それこそシミュレートしているということになるというふうに言えるだろうと思います。
 それから、ベンチックチャンバーの実験というのは、大体、週のレベルで今まで行われておりますが、実際に漏出した場合には、恐らくオーダーは週ではなくて年のオーダー、あるいは10年とかというようなオーダーになるのではないかと思うんですけれども、この実験は、まだ残念ながら週のオーダーですので、本当の漏出を完全に模擬しているとは言えないだろうということが言えます。それから、どのくらいの濃度で漏れてくるのかというのはよくわかりませんので、この濃度設定が適切かどうかは、よくわからないということがあります。
 でも、一応どんなことをやられているか、御紹介しますと、こういう浮きがあって、真ん中にコアがある。全体では500キロぐらいの測器ですが、海底に着いてコアが刺さって、その後、二酸化炭素を入れて、最後に底にふたをしておもりを離して水面に浮いてくるというような形の機械であります。
 実際に、どのくらい二酸化炭素が入っているかと言うと、設定として、2万ppmぐらいになるように設定して実験をしてみますと、最初は、ほぼそれに近い値になるんですが、コアの周りから少しずつ、あるいは下が開いていますので、そこから周辺にも広がると思いますが、少しずつ漏れてしまうのでだんだん下がってきますけれども、それ、始めは知らなかったわけですけれども、何回か実験をしてそれがわかっているので、途中でもう一回足しています。二回ほど足して、全体として2万ppmと、下が数千ppmの範囲ぐらいで、ずっと生物が二酸化炭素の高い環境にさらされるということになります。こちらは5,000ppmを目標にしてやっておりますが、これも出だしは5,000よりちょっと高い方になって、だんだん下がってくると千数百ぐらいまで下がってしまいますが、それを2回繰り返すというような実験をしてみますと、どんなふうになるかというんですが、実は場所によって結果がちょっと違いまして、熊野灘の2,000mぐらいのところでやりますと、メイオベントス(meiobenthos)という多細胞の1ミリぐらいの小さな生物がかなり大きく減ります。それに対して、ナノベントス(nanobenthos)ですね、これ単細胞の、例えばシリエーズとかフラジレスとか、そういうやつですね、それはあまり変わらないと。それに対してバクテリアはむしろ増えるというのが結果として得られています。
 ところが、これノルウェーのストローンフィヨルドというところでやりますと、これはちょっとばらつきが大きいということもありますけれども、メイオベントスは、少しずつ減っているかも知れないというような感じということなんです。ナノベントスは、どちらかと言うと、やや増えていると。バクテリアは、あまり変わらないというふうになっています。この両者の違いはどこから出てきているかと言うと、こちらのフィヨルドの方は、メイオベントス、非常にたくさんいる場所なんですね。そのために、これが捕食圧をナノベントスに与えておりますので、メイオベントスがちょっと下がってきて捕食者が減ったので数が増えた。あるいはちょっと、数としては数えられるんですが、元気がなくなっている可能性もありまして、それが恐らくナノベントスの数が増えるのに影響している原因だろうというふうに考えております。いずれにしても、ですからサイトスペシフィックだというのは、地質の調査だけではなくて、恐らく漏れるであろう場所の生き物を使った実験をしないと、その影響評価というのはなかなか難しいだろうということになるだろうと思っています。
 漏れ出した後の二酸化炭素はどんなふうに広がるかというのは、かなりモデルで精緻に推定されておりまして、見ていただくと、データ、これpHで書いてあるんですけれども、非常に小さいですよね。pHの変化としては最大で1でいくかどうかでして、それから横の方向の距離を見ていただくと500mぐらい。これは海洋貯留のときのシミュレーションですので、実は二酸化炭素を入れている量はものすごい量です。その場合で、大体このくらいの範囲でこの程度の変化があるだろうということが、モデルで予想されておりまして、これをそのまま、海底下地中貯留で漏れ出たときも、このモデルを使えば、全体としてどういうふうになるかということに関しては、ある程度推定が可能だということになるだろうと思います。
 海洋貯留ということをやったとして、0.1Gtカーボン/年を100年間入れたとしてどうなるかというようなデータで、CCSの方で報告書に書いてありますけれども、その場合でも、pHが大きく変わるところは地球上の海洋の0.01%と0.001%の間ぐらいになります。0.1以上pHが変わるところが全体の1.000分の1ぐらいで、それよりも大きく変わるところは非常に小さいということになりますので、海の水の量というのは非常に莫大でありまして、1カ所からずっと入れているとすれば、その周りは非常に大きくpH変わるでしょうけれども、海洋全体としては、システムが変わってしまうというほどの大きな影響があるとは思われないというふうにCCSの方では一応の報告書では記載をしております。
 その後、漏出した後が、本当にどこからか漏れているのというのがわかるかどうかというのがもう一つポイントだろうと思いますが、こちらに関する技術は、かなり進んでいると言っていいと思います。例えば、これはオレゴンの沖のところで海山があって、ここから二酸化炭素が漏れて少し噴き出しているんですが、それが周りの海水にどのぐらい影響を与えているかというのを調べた、これ実測値ですけれども、pHが0.01変化している場所というのが、一応観測できます。ですから、現在の技術でpHの変化0.01をディテクトすることは可能であるということになります。
 もう一つは、本当に漏れてしまったとき、生物にどのくらい影響を与えるかを、ある程度陸上の実験で推定したいということになりますが、その幾つかの実験例がありまして、それを、浅い海の生物を使ったデータから推定するということでやってみますと、おおよそですけれども、影響はほとんど見られない値というのが、大体短い時間の致死データから推定すると5,000ppmぐらいであります。それから、少し長い慢性的な影響として卵を産むかどうかに関して実験した結果から言うと、中層のプランクトンに関して、やはり2,000ppmではあまり影響はよくわからないんですけれども、それよりも高い1万ppmになると影響が出るということもわかっているということです。影響がないのは5,000ppmまで大丈夫そうだねというふうに、今のところ、浅い海の生き物を使った研究ではわかっているんですが、これは対象にした種類が非常に少なくて、たまたま非常に抗体性に強い生き物でのデータである可能性もあるので、まだもうちょっと慎重に検討する必要があるだろうというふうに思いますが、どちらにしても、大体5,000ppmぐらいなのかなということになるわけです。
 普通、アセスメント係数というのをかけておりまして、長期のデータがある場合にはアセスメント係数10を使うのが一般的ですので、予測される影響はほとんどないであろう二酸化炭素の変化量というのは500ppmであるというのが、現在の知見から推定されるものです。
 ただ、これをナイーブに使っていいかどうかについては、いろいろと議論があるだろうと思います。というのも、先ほどのデータは、中層性のプランクトンのカイアシ類のデータであります。それに対して、こちら、幾つかの生き物は炭酸カルシウムの殻を持っていて、普段炭酸カルシウムの殻をつくるという生物学的なアクティビティーを持っておりますね。pHが変化するということは、殻をつくるということに関しては非常にネガティブに効きます。
 実際に、先ほど予測無影響濃度とは違って、これはちょっと数字がなくて申しわけない、560ppmですから、現在の単位から比べたら200ppm違うだけなんですけれども、その空気を使ってずっと生物を飼っていますと、こちらの貝の場合で、大体3カ月ぐらいたつと大分成長が悪くなってしまいます。それから、こちらのデータではナガウニを使っていますが、こちらの場合は3カ月ぐらいたつと、むしろ痩せ始めてしまいまして、体重が減ってしまうと。これは、後で実験の最終のところで生物をちゃんとよく見ると、殻が薄くなってしまっていて、明らかに炭酸カルシウムが、溶けているという言い方は正しくないのかもしれませんが、炭酸カルシウムの殻の沈着が、量が減って最終的にこういうふうになったというふうに考えています。
 いずれにしても、炭酸カルシウムの殻を持っている生物にとっては、多分、無影響濃度の500ppmというのはちょっと楽観し過ぎかなというのが個人的な印象であります。
 同じように、アダルトに対して幼生というのは非常にセンシティブでありまして、これ大体2,000ppm相当ぐらいですけれども、こういうきちんとしたプルテウス幼生と言って、三角形のきれいな形をした幼生にウニはなりますが、pH7.59ぐらいまで下がってしまいますと、ここのところが、口があいた格好になってしまうんですね。正常な発生が阻害されるというようになってしまいます。ですから、pH7.59がpCO2で幾つになるかは容易に計算できますけれども、実際の先ほどの無影響濃度5,000ppmというのが少し楽観的かなというようなデータのもう一つのものであります。
 漏出ということに関して、非常に多くの方がナチュラル・アナログ(natural analogue)が海の自然にありますから、これを見て、そこにはいっぱい生物がいます、実際に、ナチュラル・アナログの生物がいっぱいいますので、特に漏出の影響はないというふうに考えていいのではないかという御意見がたくさん出てくるんですけれども、ナチュラル・アナログに住んでいる生物というのは、非常に長い期間ずっとナチュラル・アナログから二酸化炭素が出ていて、そこに適応したやつがそこに住んでいるというわけでありまして、ある日突然住んでいる横から二酸化炭素が出てきた種類とは違う種類が住んでいますから、ナチュラル・アナログで非常に豊かな生物相があるから海洋生態系に対して二酸化炭素の漏出が影響がないんだという議論は、これは少しおかしいというふうに私としては考えます。
  ただナチュラル・アナログを使って、周りのアナログのないところというか、二酸化炭素の影響がない場所と影響のある場所で生物を比較するということは、それは意味がある。つまり、二酸化炭素は確かに海洋生態系に影響があるかないかということを評価する上では、ナチュラル・アナログは活用の価値があるというふうに考えます。
 最終的には、まとめると、非常に精密に予測をするということは、残念ながら、今、我々の持っている知見ではできません。ただ、ある程度は幅を持った予測はできるだろうということでありまして、これは先ほどの佐藤先生の確率モデルの幅の話と同じようなものになっておりますが、生物サイドは、あの幅はまだ大分幅広いだろうなというふうには思います。それから、もう一つは、どこで漏れるかという、サイト・スペシフィシティー(site specificity)が非常に高いということがもう一つあります。たくさん出るかちょっとしか出ないかで影響は大きく違いますので、どのくらい漏れるかということをきちんと理解することは非常に重要だろうというふうに考えます。あとは、影響は確かにあるわけだろうと思いますが、それをどう評価するかというのがもう一つ問題で、幾つか、いろいろなモデルがあると思いますけれども、モデルというか、考え方があるというふうに思いますけれども、例えば稀少種がいるかいないかとか、そういうようなケースとかも恐らく考える必要があると。したがって、サイト・スペシフィシティーというのは、どこで漏れるかというサイト・スペシフィシティーの問題以外に、漏れるかもしれない場所の海の生物としてどんなものがいるかということの理解というのも非常に重要だろうというふうに考えます。
 簡単ですけれども、以上です。

○清水委員長 ありがとうございました。
 どうぞ、御質問ございましたらばお願いをいたします。

○木幡委員 大変、貴重な御発表を聞かせていただきました。
 2点ほどお聞きしたいんですけれども、実験でやられていたときに、ナンバーで書かれているんですけれども、バイオマスとしてはどうだったのかなというのと。例えば指数のようなもの、組成のようなもの、これはどんなふうに考えているのかなというのが1点です。
 もう一つは、深いところですから、恐らく普通の意味のプロダクションというか、基礎生産はないわけですよね。だから、上から降ってくるものか、あるいはマイクロバイオループではないけれども、バクテリアを基点としたようなフードでこれはあるはずなんですが、そういったものを考えたときに、どんな影響が予想されるかなというのを、もしわかりましたら教えてください。

○白山委員 バイオマスの方ですが、これは、実際には計算していないので今お答えできないんですが、論理的には計算は可能です。ある程度、幅を持った推定はできるということになると思います。
 こちらの方、熊野灘の方は水深2,000mぐらいで、あまり上から有機物のインプットも少ないところでありまして、そういうことがあって、バクテリア・リッチでメイオベントス・プア(meiobenthos poor)というエコシステム、こちらの方は水深が浅くて800mぐらいでしたっけ、400mぐらいでしたっけ、数百mのボーダーでありまして、しかも北の方、ノルウェーですから非常に冷たい海で、一次生産が非常に高いということで、非常に有機物レベルも高くて、メイオベントス・リッチ(meiobenthos rich)で、バクテリアはむしろそっちの捕食圧が高くてあまり数がいないという、そういうエコシステムになっています。それが、このエコシステム自身の構造を大分変えていまして、そのために二酸化炭素を同じ濃度で与えても、群集全体としてのレスポンスについても違うということになったんだろうと思います。一次生産に関してはマイクロバイオループがどのくらい効いているかよくわからないので、そこはちょっとお答えできないというのが。

○木幡委員 特段、何か別の影響が出るようなことはないですか。

○白山委員 はい。ともかく両者で大きく違うのは、片方はメイオベントスの方が減った、片方はなぜか減らなかったということですね。片方はバクテリアが逆にふえているんです。それは多分捕食圧が減ってバクテリアがふえたということだろうと思うんですけれども、それに対して非常に有機物の多いところだと、捕食圧が減って影響が出るのは、むしろナノベントスの方で、バクテリアの方ではなかったというものなんです。これからいろいろな場所でいろいろな研究をしていくと、全体を統一的に理解することができると思うんですが、現在は何となくこういう知見が集積しつつあるというような、まだ現状です。

○清水委員長 よろしいですか。どうぞ。

○佐藤委員 予測無影響濃度の話と、それからあと、炭酸カルシウムの殻を持つ貝とかウニの成長の話が二つありましたけれども、この話は、言ってみれば中層の生物の予測無影響濃度と、あと表層のものの差というか、むしろ貝とかウニの成長阻害とか、そういう話には表層酸性化の話と関連があるというふうに考えるんですけれども、そうすると、表層酸性化って、2年ぐらい前から皆さんかなり話題になってきていて、多分海洋生物の方々、皆さん興味を持って、これからどんどんデータが蓄積されてくると思うんですけれども、そうすると、その表層酸性化に関する生物影響の、つまり表層の生物に対する予測無影響濃度みたいなのが作られてくる可能性というのはあるでしょうか。ということで、実はこれは、だから海域地層地中隔離のロー・リーク(low leak)の場合の、どこに入れるかという話に多分絡んでいて、つまり地面の下の深さではなくて、海の海底の深さがどのぐらいのところかと、先生の話、今日の最初のところにありましたけれども、それとも絡んでくると思うんですが、いかがでしょうか。

○白山委員 予測無影響濃度をどこに設定するかというのに関しては、ですから、今、お示ししている予測無影響濃度はある特定の種類から推定しているものだけれども、もっと違うものでやれば違うデータが出るであろうという話で、これ、全部浅い海の生物のはずですよね。少なくとも、このデータは浅海種でつくったデータですから。したがって、生物スペシフィックだということをむしろ強調したいというのが今日のお話の趣旨でありまして、カイアシ類だと6万5,000ppmぐらい、それは中層で扱っても深海で扱っても、そういう結果が出たということですけれども、それはカイアシ類のスペシフィックに対するデータであって、ほかの種類を使えば別のデータが出てきますと、こういうふうに理解していただくということはあると思っていますけれども。
 むしろおもしろいのは、ですから浅い海の種類で出したデータと、中層で出したデータは、あまり大きく違わないということも逆におもしろくて、浅い海の研究の成果というのが深海の生物の推定に全く無意味だということはないだろうというふうにも考えていいのではないかと思います。

○池田委員 3,000m以深で、レイク貯留とか、あるいは海中に放出している実験ですね。その実験は、この地中貯留とは全くコンセプトが違うんですが、実験は今でもやられているということなんでしょうか。それで、今後、地中貯留をすることによって、そのレイク貯留というものは今後なくなっていくのかどうかという見通しについては、何かありますか。

○白山委員 この実験そのものは、多分まだ続いているのではないかと思いますけれども、今日はほんの一例だけお示ししましたが、いろいろな実験結果が出ておりまして、この辺にちょっとえさを入れておくと魚が、多分突っ込んでくる。深海の生き物は非常にふだんえさが少ないですから、二酸化炭素のレイクに頭を突っ込んでくるということもありまして、そうなったときには、瞬間的に麻酔されてしまうというような知見なんかも出ていまして、レイク・タイプには、かなりたくさんデータの蓄積があります。これを考えた上で地中貯留をやったら、もうこれはやめてしまうかどうかという御質問かと思いますけれども、それは社会情勢というのでしょうか、どれだけCCSをしなければいけないかにかかるんだろうと思います。つまりCCSを社会としてこれだけしたいという量があって、地中でこれだけの量が入れられるというのがあって、それが十分であって社会的コンセンサスもそちらに高くあれば、それはそうなるでしょうし、いやとてもそんなものではなくて、CCS、海もいっぱい使わなくてはいけないというような話になったとき、今度はではレイク・タイプにしますか、海の中層に入れた方がいいですかというのは、また議論をするだろうし。これをやれば確実にここの生き物に関してははっきりとインパクトが出ますので、それを容認するというような議論が当然出てくるだろうと思います。

○清水委員長 ありがとうございました。
 まだほかにもあるかもしれませんが、実は大幅に予定を遅れておりますので、この辺で次の議題に移させていただきたいと思います。どうも、白山先生、ありがとうございました。
 それでは、議題の2番目、二酸化炭素海底下地層貯留の利用についてということで、西尾さん、お願いします。

○経済産業省 西尾課長補佐 経済産業省産業技術環境局地球環境対策室と地球環境技術室でCCSの方を担当しております、西尾と申します。よろしくお願いいたします。
 今日のお題として、二酸化炭素の海底下地中貯留の利用ということで、こちらで、当方で今のところ念頭に置いております、そのプロジェクトから、いかにして実証に移っていくかと、実現に移っていくかということについて簡単に、ちょっと今日、御紹介をさせていただくということでお話をさせていただきます。若干、皆様にお配りしております資料と、スライドが出てくる順番が違うかもしれませんけれども、その辺は御容赦いただければと思います。
 表紙のCCS2020ということで、実は今年5月に当省の産業構造審議会の中にあります地球環境小委員会の方で二酸化炭素の地中貯留、これをいかにして進めていくかというときに、表題と言いますか、冠したものが、このCCS2020というものでございます。2020ということで、2020年には本格的にこれが使えるようにちゃんとしていきましょうと。そのための道筋としてはどういったことをやっていくべきかということを、その時点で議論をさせていただいたというものでございます。本日のプレゼンにつきましては、その辺をベースにしまして、若干の、実際に実証ということを考えたときに、次のステップに何を考えているかということを御紹介したいと思います。
 経済産業省、通商産業省時代、1990年代の初頭から、このCCS、当時はまだCCSという表現はありませんでしたけれども、基礎研究を始めて以来、地中貯留に関しましては2000年から地中貯留のプロジェクトというのを開始しております。現在、第一フェーズ5年で終了した後の第二フェーズに入っておりまして、これが実証に向けたワンステップを踏もうというところに差しかかったところでございます。
 皆様の御資料では、めくっていただいて2ページ目の上になります。もう、今回対象となっているものということで、皆様、御承知かと思いますけれども、二酸化炭素の回収・貯留技術(CCS)というのは、CO2の大量発生源からCO2を分離・回収して、何らかの形で輸送をして圧入をする。先ほどの白山先生からもお話で若干ありましたが、海洋に入れるというものも含めて幾つかプロジェクトを動かしているところでありますけれども、本日、話題の中心になっていますのは、この中で言うところの地中貯留で、今回、御議論いただいているのは、この海域地中帯水層についてということかと思います。当初で、今、行っている検討というのは、まずこちらの陸域地中帯水層ということもやってございますので、併せてこちらに御紹介をしております。
 では、表紙の方の全体システムということで、先ほどのポンチ絵と、それをまた並べて記述をしたものです。対象としておりますCO2発生源というのは、やはり一番多いのが火力発電所からのCO2。それに続きまして、いろいろな産業界、セメントであったり鉄鋼であったり、はたまたケミカルプラント化学であったり、石油産業であったりといったようなところが、そのCO2の排出源としては考えております。こちらの回収の方法等につきましても、別途プロジェクト化して、そちらの方で検討しているところでございます。一番現実味があるということでは、この吸収法ということが考えられておりまして、実際には、あと輸送でパイプラインを介するということで地中貯留を行うということを想定してございます。
 3ページ目の下側のところに帯水層貯留のロードマップというものをお示ししてございます。2000年から新潟県の長岡のところで実際にCO2を地下に圧入するという実験をしてございましたけれども、これが2000年から2004年まで。今、第二フェーズに入りまして、2005年以降、今、モニタリングを中心にした検討というものを行っております。
 そちらから、では実際に2020年、これ2015年までにある程度使えるようなものにまとめていこうということで、2015年からそれ以降ということで本格適用というものを書いております。そういったステップを踏んでいく際に、今考えているのは、この基礎実証というものを、一応一つ前段に考えております。先ほどの佐藤光三先生の方のお話にもありましたけれども、実際に、その帯水層を使うということを想定しております。しかも、その帯水層そのものの構造が、いわゆる石油産業であったり天然ガスといったようなところの構造で完全にシールをされて、そこに止まっているということが保証されるかどうかということを含めて、そうでないところを使わないと、恐らく量的な問題であったり、適地をどういうふうに選定するかというところの制約条件にもなるだろうということも含めまして、一般的な本当に帯水層というものを使えるかどうかということを検討するという基礎実証という段階が一つ必要かなというふうに考えております。
 基礎実証ということでは、この後でちょっと規模その他のお話をさせていただきますけれども、恐らく、岩野原で1万トンのCO2を今地下に入れております。最終的には100万トン規模。100万トンを年間入れるようなところを商用規模というというのをIPCCの特別報告書の中にも記載がございます。そういったところを一つのターゲットにしたときの中間段階というところに位置づけたいというふうに考えております。さらには、本格システム実証というようなところでは、量的なものが増えてくるということもあって、実際の大量排出源からのCO2をターゲットにして、そこからどのようにして輸送をして圧入するかという、一貫したシステムといったものの実証というものも必要ではないかというふうに考えております。
 一つ、その上に御紹介してあります。日本の長岡プロジェクト、これは2000年から2004年までの間で圧入をして、今モニタリングを継続しているというところでございます。長岡、御承知のように新潟の地震の震源地の20キロほどというところで地震が起きたというサイトではありますけれども、そちらでCO2を1万トンほど深さ1,200mほどのところに圧入をして、それの挙動というものを調べているということをやっております。
 こちらでは、キャップロックといって、ここで一応たまっているということにはなっていますが。先ほどの佐藤先生からのお話にも、この辺のデータというものも御紹介されていましたので、この辺については簡単に触れさせていただくだけで済ませたいと思います。ここでは、CO2圧入レートということで、1日に20トンから40トンのCO2を押し込んでいくということをやりました。実際のCO2は市販品を調達してまいりまして、タンクローリーで、輸送ローリーで運んで、このタンクに貯めながらCO2を送り込むというような実験を行っておりました。
 ということで、今、次のステップとしては、基礎実証、構造性の帯水層で、何かキャップロックがあるということが期待されないかもしれないというところでも、実際こういう貯留ということができるということを科学的にも確認をしたいということで、次のステップを踏みたいというふうに今考えております。それは、実際に排出源から、遠いところまで運んでやるということはエネルギー的にも、コスト的にも、あまりいい、有利ではないということを反映したものでございます。
 いずれにしましても、CO2がそこに止まってくれるようなトラップのメカニズムであったり、実際に、そこにいてくれる、あるいは漏れてこないと、漏れてきたとしても、それに対するモニタリングといったようなことを確認することで貯留の可能性というものを科学的に検証するということを目的として考えております。
 帯水層にCO2を圧入するという実施概要として考えていますのは、この貯留サイトとしては、少なくとも地質構造や地質データが、今現状でも比較的揃っているところで、もちろん追加的な検討をしながら貯留サイトというものを選定しようと。さらに圧入の規模ですけれども、先ほどの長岡のサイトよりは規模としては大きくなると。この後で表が出てきますけれども、数万トンというレベル、それが十分に観測するのに十分かどうかという議論も、これからしなければいけないんですが、例えば10万トン、圧入する期間にもよりますけれども、トータルでいくと恐らく10万トン単位のCO2を地下に圧入するということを想定することになるんだと思います。現状、まだこの辺については検討がされている最中でもございますし、何も決まっている状況ではございませんので、その辺についてはお含みおきいただきたいと思います。モニタリングにつきましての、これは今非常に重要なファクターになっておりますので、重要な研究課題になっているということは御承知しております。
 試験のイメージを、5ページ目の上のところに入れさせていただいております。左側にあるイメージが、これが岩野原で、長岡のサイトで行ったイメージが、こちらのイメージになります。周りに井戸を掘って、それで観測をし続けながら、帯水層、キャップロックがあるところにCO2を入れたということで探索を行ったというのが岩野原の実証実験のイメージですけれども、この後に続く基礎実証の試験としては、こういうキャップロックというものではなくて、連続的な、そういう帯水層の中にCO2を押し込んでいくと。そこで、そこでのCO2の広がりといったようなことを、例えば地震探査を使うとか、そういったことで検証していくことになるのではないかというふうに考えています。
 海洋汚染防止法といいますか、このロンドン条約の絡みでいきますと、実際陸上から海域のどこかのサイト、何かを使って入れるという、いわゆる規制対象とは若干違う格好でもしかしたらやるのかもしれないなと思っていますけれども、陸上から大偏距掘削なりで、その対象となる帯水層に入れるということになるのではないかというふうに考えております。もちろん、沿岸部でやるかどうかということも、今、現在検討している最中ですので、こういった可能性があるということも御紹介ということでいたします。
 これは、本当はもう一つそちらに本格実証というものが多分くっつくんだと思うんですけれども、貯留層としては、ターゲットとして、非構造性と言われている普通の帯水層を想定すると。圧入量が数万トン程度かなと。これが10万トンになるか20万トンになるのかということについては、今後のサイトとの兼ね合い、あるいはCO2の調達の方法によるということも考えられています。圧入レートの、数十から、こちらの資料では100トン程度と書いているかもしれませんが、1日に100トン単位のCO2を入れるということが、多分一つの目標になろうかと思います。場所についても、それなりにモニタリングということも関連しますし、キャパシティという問題からも、恐らくは沿岸域を考えることになるのではないかなということを考えています。
 いずれにしましても、モニタリング、岩野原の方でいろいろと限界があるというふうに佐藤先生の方からも御紹介ありましたけれども、そういった手法を何とかうまく使って検討していきたいというふうに考えています。恐らく本格実証というところのもう一つの先の話ですね。例えば2015年とかというところをターゲットにして行うものに関しては、恐らく圧入量としては、いわゆる商業ベースのレベル、そこに行くか行かないかというレベルかもしれません。そういったものを考える必要があると思いますし、そうなると圧入レートは1日に数百トン入れるということを想定することになろうかと思います。
 いずれにしましても、実際にサイトとして考えるところという、そのポテンシャル評価を、今RITEさんの方でいろいろとやっていただいています。これは、多分一番最後のところの図になっているかと思いますけれども、御覧になっていただくとおわかりになりますように、実際に大量排出源というのは、日本の場合はほとんど沿岸域に集中しているわけです。その沿岸域から、実際に構造としてCO2を溜めておくことのできそうなところということを、いろいろと探索をしているところでございます。実際の排出源とのマッチングも含めて、今後検討させていただきたいというふうに考えています。
 これは、最終的に本格実証をやるときにはこんなようなシステムも考えられる可能性があるなということで、簡単に御紹介だけさせていただいておきたいと思います。モデルの検証等は、実際にどういったデータをとるといったようなことは、先ほどの佐藤先生のお話の中にも若干ありましたので、今回、私は資料の方にもつけさせていただいておりませんので、こちらからの御紹介は、ここまでとさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 どうぞ、御質問ございましたらばお願いをいたします。

○野尻委員 非構造性帯水層における圧入基礎実証試験という、左側に岩野原で右側に地下、海底下の絵があるんですけれども、配られている資料には鉱業権が設定されている範囲という記述があるんですけれども、これと、一番最後から一つ前ですか、各地にどれぐらい排出源があってという、この地図と、何らか関係があるわけでしょうか。そうすると、大規模排出源があり、なおかつ鉱業権が既に設定されているということになると、実証試験をやる対象は、当面ある程度限られるという、そういうことでよろしいんでしょうか。

○経済産業省 西尾課長補佐 すみません、そちらの配付の資料と、こちらに出している資料とは実は違いまして、鉱業権設定云々に関しましては削除をさせていただきたいなと思っていたところでございます。申しわけありません。
 もちろん、CO2を地下に入れるということになりますと、経済産業省からいろいろと考えなければいけないところとして、その鉱業権に抵触する、あるいは侵害をしてしまう可能性というところがあります。ですから、確かに最初のパートナーとしては、そういったことがわかってくれている人たちとやるのが、多分一番スムーズであろうということで最初書いてあったんですが、実際検討している対象は、それだけではございませんで、よろしければ皆様にお配りしている資料のそちらの方は線を引っ張っておいていただくとありがたいなと思います。

○清水委員長 そういうことで、よろしくお願いをいたします。ほかに何か。
 よろしいですか。それでは、どうもありがとうございました。
 それでは3番目、海洋環境への影響防止のための制度の在り方に関して(論点)ということで、どうぞお願いします。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 それでは、資料5に基づきまして、簡単に二酸化炭素海底下地層貯留の海洋環境への影響防止の在り方について(論点)ということで説明をさせていただきます。
 この論点に関しましては、今後、専門委員会報告あるいは答申といった形で進めていく際にポイントとして書かせていただくこと、こんなことがあるのではないかという事務局案でございます。それで、本日、御意見をいただきまして、これら論点に追加すべき論点がございましたら、ぜひ忌憚ない御意見をいただければと思っております。構成としては、基本的な仕組みと、それからロンドン条約96年議定書の附属書が求める仕組みとしております。主なポイントだけかいつまんで説明をさせていただきます。
 基本的な仕組みのところですが、そもそも海底下地層に貯留が可能な二酸化炭素流はロンドン条約96年議定書では、発生量及び海洋投入処分量の削減努力が求められております。このため、抑制の概念を整理していくという必要があるのではないかと考えております。(2)ですが、許可の申請主体です。廃棄物の海洋投入処分ですと、投入処分を行う者がこれを行うことになっており、貯留行為を行う者が申請を行うことが合理的ではないか。ただし、(1)の発生量削減努力などは排出行為を行う者がこれを行うことになりますので、何らかの担保措置というのが必要ではないかと思われます。それから飛びまして、(5)許可の有効期間であります。二酸化炭素海底下地層貯留につきましては、新しい技術でもございまして、日進月歩の中で、実態を適切に把握しながら実施するためには、許可の有効期間はあまり長期とならない方がよろしいのではないかという論点がございます。
 続きまして、96年議定書附属書Ⅱが求めるしくみでございますが、まず、貯留される二酸化炭素流の特性把握及び行動基準でございます。海洋貯留処分、二酸化炭素流の場合は貯留されるものでございますが、事前の適切な影響評価を行うためにどういった特性を有しているのかというのを把握する必要がございます。また、96年議定書では、行動基準、アクションリストとして、それを超える場合に原則として投棄を禁じるという基準を定めるということになっております。
 前回の専門委員会におきましても、現在、廃棄物評価ガイドラインとしてCO2に特化したガイドラインを国際的に整備しているということを御紹介申し上げましたが、行動基準に関しましても国際的な動向を見ながら検討していく必要があるのではないかと考えております。
 それから(2)排出海域の選択でございますが、廃棄物の場合は品目ごとに排出海域が緯度何度から経度何度というような形で定まっております。他方、今日は東京大学佐藤光三先生にも御紹介をいただきましたように、漏出が最小限であるような海底地層を貯留場所として選定する必要がございますが、貯留海域を限定する必要があるのだろうかということがございます。
 それから(3)でございますが、二酸化炭素の海底下地層貯留について、貯留経路形態がさまざま異なる事業が想定されます。96年議定書が明確に対象といたしますのは、船あるいはパイプラインで海洋施設まで輸送し、海洋施設で圧入をするというものでございます。他方、海洋環境に影響を及ぼす可能性がある二酸化炭素の海底下地層貯留事業につきましては、そういったインジェクションの形態にはよらず、広く制度の対象とするということが海洋環境の保全という観点から必要ではないかという御意見もございます。このため、事業範囲については論点として取り上げる必要があると考えております。
 (4)潜在的影響の検討でございますが、これにつきましては二酸化炭素流を、その廃棄物として取り扱う評価ガイドラインにおいて、評価のポイントとなるのが現在検討されております。こうしたガイドラインをもとに、国が法令や指針などによって具体的に事業者の方々、あるいは申請者の方々に検討をしていただく内容を明確にしていく必要があるのではないかという論点がございます。
 3ページ目にまいりまして、(5)監視でございます。96年議定書におきましては、許可条件の遵守、それから貯留地点の選択肢の検討が、環境保全や、あるいは人の健康保護の観点から十分であったということを実証するために監視を行うということを求めております。本件の場合、その海洋環境に及ぼす影響の有無を確認するためには、注入時それから貯留後に漏洩が生じていないことなどを定期的に監視することが必要でございます。このため、当面想定される実証実験等の事業を念頭に置いた監視に関する適切な手法、期間、それから実施主体等について検討する必要があるのではないかということを考えております。
 この点につきましては、国際的な動向あるいは諸外国の事例を参考にする必要があると考えておりまして、本日、参考資料2として簡単に、これまでに得ております情報だけまとめております。例えば、1ページ目にございますけれども、オランダなどにおきましては、鉱業法において、貯留後、30年程度の監視ということを求めるというものもございますので、こうした諸外国の情報を、今後とも収集していきたいというふうに考えております。
 戻りまして(6)許可の見直し・更新制度でございます。先ほども申し上げましたが、CCSは新しい技術でございますので、技術動向や周辺情勢の変化を踏まえまして、許可を定期的に見直し、あるいは更新をしていくという制度を設ける必要があるのではないかということでございます。
 それから(7)その他でございますが、①他の権益との調整でございます。先ほどの鉱業権の話を経産省さんからもお話をいただきましたけれども、漁業権、その他の権益との調整というものを事業者さんの方で行っていただく必要があるのではないかということです。
 それから②ですが、科学的知見の集積でございます。本委員会にお諮りしております内容は、現時点でのスナップショットでの科学的知見に立脚をしておりますので、今後も監視や生態影響評価に関する最新の科学的知見を得るために必要な技術開発、これを推進する必要があり、また関連技術の開発・普及の動向を見据えての情報収集を行うと。その上で許可申請時において、こういった最新の技術の組み合わせを念頭に置いて環境影響評価を行う必要があるのではないかという論点がございます。もちろん、これは申請者の側の環境影響評価でございますが、さきに(4)で申し上げたように、国が何らかのガイドラインを示す必要があるかと思いますので、そういったガイドラインにも、そうした最新の知見を取り入れて柔軟に見直しを行っていくということも必要かと考えております。また、「国は」とありますが、こういった科学的知見、集積がされましたら、適切に一般の方々に普及をさせるということも必要ではないかという論点がございます。
 最後は③国際的な動向を踏まえた制度の評価、見直しですが、現時点での国際的な枠組みに立脚して制度的なあり方を御議論いただくわけですが、今後も国際的な動向を注視し、積極的に我が国としても議論に参加をし、必要に応じて制度評価、見直しを行うことが必要ではないかと。こういった論点を、事務局の方では用意をしております。追加的な論点等ございましたら、ぜひ御意見をいただければと思います。

○清水委員長 ありがとうございました。
 先生方に議論をしていただきたい問題について、事務局ではこのように整理をしてみましたという御紹介がございました。何か、こういうことも検討すべきではないかといった追加すべきことがございましたらば、どうぞ、今日御発言をいただければと思います。この論点に関する議論は、この次の会合でもって考えておりますので、本日は取り上げるべき話題としてどんなものがあるだろうかということでお諮りをしておりますので。どうぞ、何かお気づきの点ございましたらお願いをしたいと思います。

○高村委員 3点ほど発言をさせていただきたいと思います。
 一つは、これは確認までですけれども、今回上げていただいている論点は、この技術を温暖化対応策としてどう位置づけるかという議論というのはとりあえず置いておいてといいますか、実際にこの技術を適用するにあたって、いかに海洋への影響を最小化するかという枠組みについての議論と理解はしておりますが、それでよいのかどうかという点が1つ目。
 それから2つ目は、今日の御報告をいただいて非常に勉強に私自身なりましたけれども、最初のサイト、実際にその事業が行われていない場所を新たに行う場合には、データの問題、それに伴う予測の幅というものがあるということもよくわかりました。その上で、とりわけその技術を適用していく段階で、条約の一般的義務のところにもございますけれども、不確実性とかデータの不足に伴う予測の幅に関して、やはりきちんと予防的な方策というのをとるという大原則は確認をする必要があるのではないかというのが2点目です。
 それと3点目ですけれども、項目としては既に上がっておりますので詳細はまた次回に議論をしたらよいと思うのですが、とりわけ、国ではなくて商業ベースで事業を展開する際に、場合によっては責任を監視ですとか、あるいは自治体に生じる事故等による漏出について責任をどういう形で担保するのか。つまり、事業者、場合によっては個人が亡くなるとか、破産をするといったようなこともあり得るわけですけれども、それを、そのまますべて国がかかる費用を担うというのは必ずしも適切ではないのではないかというふうに思っています。そういう意味で、きちんとした、起こってはならないですが、起こり得る漏出あるいはそれに伴う影響に対応するような仕組みというものを検討する必要があるのではないかということです。
 以上です。

○清水委員長 ありがとうございました。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 まず、第1点目の今回の論点が海洋環境への影響防止の在り方についてという、そこだけに限定しているということについては、御賢察のとおりでございます。
 それから2点目。予測の幅、データの確実性などについてある中で、ある程度の幅を持ってという御意見でございますが、ウェイスト・アセスメント・ガイドライン(waste assessment guideline、以下「WAG」)の中でも、その不確実性に関しましては、特に海洋環境への影響と影響の評価という面での不確実性に関しましては、恐らく検討されるべき項目として明記をされるというふうに考えております。特に、そのまま文言が入るかどうかわかりませんけれども、プレコーショナリー・アプローチ(precautionary approach)を採るべきといった御指摘、各国から出ておりますので、そういった観点から不確実性をできるだけ少なくする、あるいは確実性ということを念頭に置いて、その環境影響評価を行うということになろうと思います。
 第3番目につきましては、いろいろ議論があるかと思いますので、恐れ入りますが、第3回専門委員会で議論させていただきたいなと思います。

○清水委員長 とりあえずはよろしゅうございますか。ありがとうございました。
 ほかに。どうぞ。

○原沢委員 2点、確認という質問なんですけれども、よろしいでしょうか。
 一つは2ページ目の(4)で、二酸化炭素評価ガイドライン等をつくられるという動向だと思うのですが、この前にあった環境アセスメント法学会とか、それから先ほど見せていただいた地図の日本全国は、ほぼこういった貯留の対象になるとしたときに、都道府県の役割もちょっと出るのかなと思うんですが、その辺で、現在のアセスメント法あるいは地方のアセスメント法のところのちょっと関係を確認したいのが1点と。
 3ページの(5)の監視なんですが、2行目には健康保護の観点というのがあるということなんですが、二酸化炭素のこの場合については健康保護までというのが、ちょっと対象になっているのかどうかというのを、ちょっと確認だけさせてください。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 簡単な方から。人の健康の保護でございますけれども、一般的な、今回CO2に関しての品目別のWAGが検討されるのですが、その上に一般的なガイドラインがございまして、これに関しましては人の健康保護ということをうたっております。最終的に、品目WAG、CO2に関しますWAGの中で、人の健康の保護という文言が入ってくるかどうかというのは、今後も御議論があるかと思いますが、現時点では、それをオミットすることなくここに書いているというものでございます。
 環境影響評価法と、それから地方での条例に基づくアセスに関しましては、今、包括的なデータ、あるいはその仕組みの羅列がないので、少し検討させていただこうかと思います。いずれにしても評価形態が異なっておりますけれども、もともと海洋汚染防止法の中で、このロンドン条約の国内担保の仕組みがございますので、後で整理をして御議論をいただければと思います。

○清水委員長 という御説明でございますが、よろしゅうございますか。
 ほかに。どうぞ。

○池田委員 2点ほど申し上げたいと思います。
 一つは、2ページ目の排出海域の選択なんですけれども、先ほど他の権益との調整ということで、漁業権とかに対する調整が必要だというふうにおっしゃったんですが、まさにその通りだと思います。先ほどの経産省からのプレゼンテーションの最後に、全国の主な大規模排出源と帯水層という中であったのは、かなり日本大陸に近接しているところがございまして、そこにあるいろいろな海域を使っている人たちとの調整が必要だとすると、その海域の選定ではなくて、むしろ配慮する海域を明確にするというのが一つ必要なのかなと感じました。それが1点でございます。
 もう一つは、いわゆるパイプラインで地下層に圧入するわけですけれども、先ほどの絵の中でも、陸上のプラントから地中あるいは海中を掘って圧入するという方法が一つあるのと、かなり沖合に出ると、海上のプラットホームというものが多分必要になってくると思うんです。そうすると、海上のプラットホームというのは、かなりオープン・シー(open sea)の中にできることになり、その構造的な安全性の確保というのが非常に重要で、漏出の方ではなくて、それが一気に壊れると大問題になります。石油掘削の場合、北海でそういう事故があったわけですけれども、そういう事故を防ぐような対策をどうしても必要なのではないかなと思います。その安全確保という点が、基本的な仕組みの中で必要かということを申し上げたいと思います。この2点を御説明願います。

○清水委員長 それは事務局からお答えをするのか、西尾さんになるのか。まず、ちょっと事務局から。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 他の権益との調整でございますけれども、私どもは廃棄物の海洋投入処分の許可を受け付け、それから適正な処理といったことを進めておりますが、漁業権との調整というのは、基本的に事業者の方でやっていただくと。そして海洋汚染防止法の観点から行うのは、当該廃棄物を海洋投入処分する際の環境影響評価を見て、それが適用できるものなのかどうかという観点になりますが、そこの海域に、漁業権が設定されているからといって、そこの場所では海洋投入処分を止めるということにはなりません。つまり、調整が可能なものであるということでございます。
 ですので、CO2の場合はどうするかというのはこれからの議論でございますけれども、少なくとも漁業権などに関しまして、それが設定されているからといって、そこの部分を排出海域として設定しないということは、恐らく、これまでの経緯からするとそのような整理はないというふうに思っております。
 それから、海洋施設の構造的な安全性の担保でございますけれども、海洋汚染防止法の他の法で担保する部分もございますので、そこをまとめまして、また御説明を差し上げたいと思います。海洋汚染防止法上での構造的な安全というのは、事故対策をとるといったときは現在の法律の仕組みの中ではございませんので、恐らく他の法律に担保されると思っておりますが、整理をして説明させていただければなと思います。

○清水委員長 西尾さんから、構造施設の安全性みたいな問題について、何かありますか。

○経済産業省 西尾課長補佐 今の事務局の説明で、多分十分かと思います。対応するべき法律というものについては、こちらの方も検討させていただいておりますし、また、特に高圧ガスの関係であるとかといったような法律は、当省でも所管しておりますので、そういったところからの観点という部分については、当方も検討させていただいて、御説明させていただきたいと思います。

○清水委員長 ありがとうございました。
 ほかに。
 それでは、こういった論点でもってこのまま次回以降に検討させていただく。あのお話にもありましたけれども、国際的な動向を踏まえながらということで、前回も申し上げましたけれども、10月末から11月の始めにロンドン条約関連の会議がございますので、そこでもう少し詳細がわかって、具体的な議論がしていただけるのではないかというふうに思っております。
 それでは、最後の4番目の二酸化炭素海底下地層貯留の利用に関する関連施策ということで、どうぞ御説明をお願いいたします。

○近藤地球温暖化対策課課長補佐 環境省の地球温暖化対策課の近藤と申します。資料6-1のところで御説明させていただきます。座ったままで失礼させていただきます。
 CCSの活用ということで、CDMの現場はどういうような状況になると、現在わかっていることについて簡単に御説明を申し上げます。
 CCS-CDMにつきましては、昨年末に改正されました温対法案の方で幾つか出されております。まず1つ目、(ア)の方でございますが、各国が本年2月13日までにプロジェクト境界、リーケージ、永続性について考慮しながら、気候変動枠組条約の事務局に対して意見を提出するという手続になってございます。
 それから、それを受けまして、5月末に開催されております補助機関会合(SBSTA24)の方で「二酸化炭素回収・貯留とCDMに関するワークショップ」というのを開催しましょうと。それから、CDM理事会に対しましてはCOP/MOP2が本年11月に開催されますけれども、この場で行われる決定に対する勧告というものをまとめてほしいというようなこと。それから、MOP2におきまして、CCS―CDMにおきまして、どういうふうに取り扱っていくのかということについて、CDM理事会からの勧告を行いまして検討していきましょうというような方向性が、今決まっています。
 この後、各国からのサブミッションがアンケートの期限までに提出されておりまして、それを受けて5月にワークショップが開催されている状況でございます。
 一方、CCS-CDMについて、CDMの世界の話では、それをCDMと認めるにあたって、どのような排出削減量があるのか、これはベースライン方法論と言われるものでございまして、これどのようにモニタリングをしていくのかという、モニタリングの方法論でございますが、これらについて、まず申請していく必要があるということでございまして、国の事業者の方からは、二つほど方法論が申請されている状況でございます。一つはベトナム、もう一つはマレーシアでございますが、データの一つは地中隔離、もう一つは海底下での貯蔵ということでございまして、それぞれ全体で数千万トン規模の非常に大きな、現行で申し上げますと、フロンかそういうものの回収・破壊というようなものぐらいでしか達成されない規模の量の資源としての方法論が申請されております。
 簡単でございますが、以上でございます。

○清水委員長 資料6-2についても。

○馬場地球温暖化対策課課長補佐 続いて、資料6-2でございます。国内のインベントリ、いわゆる温室効果ガス排出吸収目録でございますが、これとCCSの関係について整理したものでございます。
 結論から申し上げます。2.の一番下のところでございますが、インベントリの関係の規定でCCSをインベントリから差し引くことについて定めたものは、今のところございません。2006年IPCCガイドラインという、このインベントリの計算方法を定めたガイドラインの中でCCSの計上方法については記載されているのですが、これはあくまで技術論をまとめたガイドラインでして、第1約束期間につきましては1996年ガイドラインを参照するとされていることから、2006年ガイドラインがあることをもってCCSをインベントリから差し引くということを考えることはなかなかできないのではないかということでございます。
 1.関係規定ということで、いろいろと書いてございますが、一つは、1996年、IPCCガイドラインではCCSの算定方法は記入されておりませんと。2つ目の丸ですが、COP決定の中で第1約束期間のインベントリには1996年ガイドラインを参照するということで、四角の箱の2つ目でございますけれども、Decision2ということで、そのような記載がされております。それ以降でございますが、3つ目の丸でございますけれども2002年のUNFCCCのインベントリ報告ガイドラインでは、CCSについて、もし実施する場合には、その影響なりについて透明性をもって説明をせよというふうな記載がございます。これは、あくまでUNFCCCのインベントリ報告ガイドライン上の記載でございまして、京都議定書上、これが認められるかどうかというのは明らかではございません。その後、4つ目の丸でございますが、2005年9月にCCSに関するIPCC報告書が採択されまして、2006年10月にIPCCガイドラインが公表予定でございます。ガイドラインでは、CCSの計上方法について記載されております。
 以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 資料6-1及び資料6-2について御説明をいただきましたけれども、何か御質問がございましょうか。

○原沢委員 1点確認なんですけれども、インベントリの方ではCCSが使えないという一方で、CDMの方ではCCSとして、ある程度排出権も認められるという、そういう判断でよろしいのかどうか。確認になりますけれども。

○近藤地球温暖化対策課課長補佐 CDMの方ですが、これはまだ認めるということになってございません。そういうことをやりたいという事業者さんがいて、審査してくださいというような申請が上がっているという状況でございます。これにつきましても、実際どうなるかわかりませんけれども、今後CDMを世界がどう扱っていくのかというのが決まって初めて、作業が進むだろうと思っております。

○原沢委員 CDMの方が、ちょっと先行するという形。

○事務局 そういうような、幾つかが実際に一応、事業化の段階には来ておるという状況を踏まえて、そういう事業者さんから申請が上がっているということでございますので、そういう技術があるという状況にあるということだと思っています。

○清水委員長 ありがとうございました。
 ほかにどなたか。どうぞ。

○経済産業省 西尾補佐 すみません。私から質問するのも何なんですけれども、このインベントリのガイドラインの関係で、1996年ガイドラインが参照されるということではあるんですけれども、実際、そのガイドラインの中で記載をされていないものを後から追加するために2006年ガイドラインを適用するという、使ってしまうということも多分あるのではないかと思うんですけれども、そのあたりも含めてでCCSを差し引くというよりはCCSについて考えることができないということ自体がちょっとおかしいのかなという感じを持っているんですけれども、それについてのお教えいただきたいと思います。

○清水委員長 何かお答えが。

○馬場地球温暖化対策課課長補佐 インベントリでも、そのCCSを差し引くことができないとまでは決まっておりませんでして、差し引くことについて、定めたものがないという状態でございます。2006年ガイドラインがどう位置づけられるかにもよってくるかと思うんですが、今のところ、できないわけでもなくて、できるわけでもないという微妙な。定めたものがないという状態でございます。

○清水委員長 都合のいい方に解釈ができるのかもしれないんですが。
 ほかに、よろしゅうございましょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。本日予定をされておりました議題は、これで終わりますけれども、次回以降に関して、徳田課長の方から何か。

○徳田環境保全対策課長 第3回の委員会は、11月13日の週に予定をしておりますが、後ほど正式に御連絡をいたします。
 本日の配付資料につきましては、公開とさせていただきます。
 議事要旨につきましては委員長に御確認いただき、公開し、会議録につきましては各委員に御確認いただいた後に公開させていただきたいと思います。

○清水委員長 ということのようでございますので、よろしくお願いをいたします。
 本日は、座長不手際で大分時間が過ぎてしまい、おなかもお空きになったかもしれませんが、御勘弁ください。
 それでは、これで本日の専門委員会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

午後12時15分 閉会

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