中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会(第2回)議事録

議事次第

  1. 開会
  2. 議題
    1. (1)関係者からのヒアリング[2]
    2. (2)その他
  3. 閉会

配付資料

資料1  中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会 委員名簿
資料2  第1回小委員会での委員からの意見・要望・質問について(案)
資料3  大阪府におけるフロン類対策について(白谷委員説明資料)
資料4-1  フロン大気排出抑制対策 取組みの現状と今後の対策の在り方について
 ((社)日本冷凍空調設備工業連合会説明資料)
資料4-2  冷媒排出抑制に向けた取り組みについて((社)日本冷凍空調学会説明資料)
資料5  フロン対策の課題と今後の政策提案(気候ネットワーク説明資料)

議事録

午後3時01分 開会

○高澤フロン等対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会の第2回を開始いたします。
 お暑い中、ご出席いただきましてどうもありがとうございます。
 本日の委員の出欠の状況でございますが、浅岡委員と杉山委員が少し遅れるという連絡をいただいております。本日、小林委員、奥委員、西田委員の3名からご欠席という連絡をいただいております。過半数の委員にご出席いただいているところでございまして、定足数に達しております。
 また、本日のヒアリングの説明者といたしまして、社団法人日本冷凍空調設備工業連合会担当部長の石井様、同連合会と共同で冷媒フロン類の排出抑制に取り組んでおられる社団法人日本冷凍空調学会会長の片倉様、NPO法人気候ネットワークの桃井様にご出席いただいております。
 なお、本日の審議は公開とさせていただきます。
 では、以降の議事進行は富永委員長にお願いいたします。

○富永委員長 それでは、議事を進めさせていただきます。
 まず、事務局から配付資料の確認をお願いします。

○高澤フロン等対策推進室長 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第の下のほうに配付資料の一覧をつけてございます。議事次第の裏に座席表がついておりまして、資料1が委員の名簿でございます。資料2が第1回小委員会での委員からのご意見等について(案)でございます。資料3が大阪府におけるフロン類対策についてというヒアリングの資料になります。資料4-1が日本冷凍空調設備工業連合会のヒアリング資料でございます。資料4-2が日本冷凍空調学会のヒアリング資料でございます。資料5が気候ネットワークのヒアリング資料になります。
 以上が配付資料でございます。資料の不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

○富永委員長 それでは、議事に入りたいと思います。
 既にご案内のように、本日の議題は、前回に引き続きまして関係者からのヒアリングの第2回ということで、本日は大阪府、それから日本冷凍空調設備工業連合会、NPO法人気候ネットワークの3団体に説明をお願いしております。ヒアリングに入ります前に、事務局から資料2について説明をお願いします。

○高澤フロン等対策推進室長 それでは、お手元の資料2をご覧いただきたいと思います。
 こちらのほうは、先週の第1回の小委員会で出されました意見等を事務局で整理をさせていただいたものでございます。時間の都合上、個々の意見等の説明は省略いたします。事務局で整理しまして、6つの区分というか、見出しをつけさせていただきましたので、それを紹介いたします。
 1ページ目でございますが、1つ目が小委員会における検討の範囲ということ。2.フロン回収・破壊法の施行状況等ということで、現行法における課題等についてでございます。2ページ目にまいりまして、3.冷媒フロン類の排出抑制ということで、特に使用時の排出、漏えい対策についてということでございます。3ページ目でございますが、4.新冷媒の開発・ノンフロン化の促進。4ページ目でございますが、5.費用負担の在り方、いわゆる経済的手法についてご意見をいただいたところでございます。最後、6番目が途上国における対策の促進ということで、1回目につきましては、事務局の整理としましては以上のような区分にさせていただきました。
 事務局といたしましても、まずはフロン回収・破壊法の現行法の施行をしっかりということで、回収率の向上などを図っていきたいと思っておりますし、また、現行法の回収法の対象となっていない使用時の漏えい対策についてもしっかり対応しなければという認識でございますし、また、抜本的な対策としてのノンフロン化等の促進、そのほか全般的にわたる事項等がございますけれども、引き続きご議論いただければありがたいと考えております。
 本日もいろいろと意見をいただくことになると思いますので、今後、整理の仕方も相談させていただきながら、課題・論点の整理をお願いしたいと考えております。
 資料2については以上でございます。

○富永委員長 ありがとうございました。
 それでは、ヒアリングを進めたいと思いますが、まず最初に大阪府の取組などについて、白谷委員から説明をお願いしたいと思います。

○白谷委員 大阪の白谷でございます。それでは、資料3に基づきまして説明させていただきます。
 大阪府のほうでは、平成8年以前も関係省のモデル事業等も行っていたようなんですけれども、平成8年3月に、府内の全市町村43ありますが、それと府内の清掃施設組合、それに下に書いてあります業界団体10団体、これの会員で協議会をつくりまして、実質的には、法の直接的な事務以外は啓発等々ですが、この協議会としてずっとやってきたという経緯がございます。
 (1)に挙げていますのは、これも当時の話ですけれども、市町村に収集されましたフロン類をできるだけ効率的にやっていこうということで、協議会ルートというのをつくりまして、市町村等へのフロン回収機・ボンベ貸与、積みかえですね、運搬中継地から破壊施設への運搬、あるいはその経費の取りまとめなどを協議会としてやって、効率的にやっていくというのを進めておりました。
 それ以外の啓発事業については、当時、これは平成16年度までですが、各会員から会費をいただきまして、その会費をもって運営してきたということでございます。ただ、この会費については16年度で廃止しておりまして、17年度以降については残余財産で運営しているということでございます。
 ちなみに、2ページ目に書いておりますが、2ページ目は最近、19年度以降の啓発関連事業ということで挙げてございますが、フロン回収業者あるいは冷凍機器メーカー、あるいはビルメンテの業者さん等々を対象に、法の改正の説明会、あるいは適正なフロン回収技術の話とかをセミナー、説明会などを開催してきたという経緯です。
 21年度については、4の[3]にありますように、公益信託地球環境保全フロン対策基金を70万円ほどいただきまして、セミナーをやったということでございます。今年度につきましても、この同じフロン対策基金を活用させていただけると内諾をいただいておりまして、今年度は機器設置事業者を対象とした啓発事業をやっていけないかということで計画中でございます。
 3ページ以降でございますが、フロン回収・破壊法関連、法律の施行状況等ということで数字をまとめさせていただいております。
 まず、3ページのフロン回収・破壊法でございます。1番がフロン回収・破壊法に基づく回収業者の登録状況等ということで、登録の数を挙げております。現在のところ、真ん中にありますように2,096事業所、これも毎年百十数増えているという状況で、21年度116の新規申請がございました。22年度にもこれまでに、この4カ月で40社近くが新規登録されておりまして、やはり本年度も100以上増加するのではないかというふうに考えております。
 真ん中のグラフにありますように、半数以上、55%ぐらいになるんですけれども、2,096のうちの1,139が50キロ未満の特定製品対応、957、これは45%ですが、50キロ以上の製品についても対応が可能という登録状況でございます。
 およそ2,000の登録業者さんから、毎年、前年度分の回収状況についての報告を受けるわけですけれども、大阪府では、年度当初に前年度分の報告が必要な旨の通知文を報告様式とともに送付しまして、それで大体85~86%は返ってきます。これは法の規定では5月15日が期限ということになっているんですが、6月ごろから電話で督促をしまして、あるいは指導書も送付したりしまして、最終的にはここ数年は97%ぐらいの回収率となっています。残りの3%については、連絡がつかないとか、あるいはすぐに送りますと言ってそのままになってしまうというようなところが、これは数十社ということになります。
 ちなみに、報告されるのが97%あるんですけれども、そのうちの44%ぐらいが、結果的には前年度フロン回収ゼロというような実情がございます。
 回収量のほうは、これはグラフもあるんですが、その次のページのほうに挙げてございます。まず、CFCでいきますと、平成21年度は前年度より増加してございますが、平成17、18年度と比べますとかなり少なくなっています。CFCについては、1台当たりの回収量が、廃棄時は2キロ程度なのに対しまして、整備時は40キロ程度とかなり大きくなっています。これはちょっと聞いてみましたら、整備対象となるのが大きな容量のものが多いというのが一番の要因だと考えてございます。
 HCFCについては、廃棄時が150トン程度、整備時が70トン程度、回収量に対する引渡量が90%弱というようなところの状況が続いていると。
 HFCについては、整備時が20トン前後、ここ2年は十五、六トンですが、90%以上が引き渡されている。整備時については四十数トンぐらいのレベルで、80%ちょっとが引渡量というところでございます。
 3つのガスの集計が一番下の欄に挙げてございます、平成20年度、21年度は300トン程度ということで、平成20年度の全国の回収量が3,773トンということでございましたので、府内の回収量というのは全国の8%弱ぐらいということになります。これは、回収事業者数もほぼ7%ぐらいですか。大阪府の場合は人口も7%弱、GDPでいっても7.5%ということなので、大体人口なりにほぼ合致している数字かなと思っております。
 次のページは自動車リサイクル法関係です。大阪府域の場合は、大阪市、堺市、東大阪市、高槻市と、この4市については政令で委任されているということで、その分は除いてございます。回収事業者数の登録数はじわじわ増えているという状況で、2つ目の表ですが、21年度末現在で278社になっています。ちなみに、引取業者の登録が838、解体業者が108、破砕業者が22ということです。
 先ほど立入件数を忘れましたが、実際に自動車リサイクル法の回収業者への立入件数は、上の表の一番下の欄に書いてありますが150、去年は更新の時期が重なったということもあってちょっと減っておるんですが、百数十社に立ち入りに行くという状況です。ただ、21年度91は、すべてフロン回収業者登録されている方の分ということになっておりますが、基本的には解体業者と両方の許可を持っているというのが大部分です。
 自動車リサイクル法関係については、平成18年度、19年度に環境省から、自動車出荷時のフロン類装備情報というのと、引取業者が入力した装備情報に乖離があるということで、特に乖離率の大きい業者さんについて、全国一斉に立入検査・指導をしましょうという指令がかかりまして、大阪府の場合は、18年度に17業者に立入検査して、うち30業者がやや乖離に問題があるなということで指導をかけております。19年度についても10社行っていますが、ここは特に指導すべき対象はなかったという結果でございます。
 自動車については、回収量は下のグラフのとおりでして、平成20年度で見ますと、CFCが2,246キログラム、HFCが7,587キログラムというようなところでございます。
 最後の6ページになりますが、これは他部局との連携ということで、我々も、特にフロン回収の関係については非常に数が多いということで、例えば建設リサイクル法の説明会であるとか、あるいはリサイクル事業をやっておられる方の講習とか、これを毎年やっておるわけですが、そういう機会を活用しまして、フロン回収についても説明をしているということでございます。
 前回、予算という話が出ていましたので、4番で関連予算を挙げています。これは、毎年のフロン回収・破壊法関係と自動車リサイクル法関係の事務費です。実情はこういうことで、平成22年度については両方合わせて127万円という程度です。これは、立ち入るための旅費から郵送料、あるいはフロン対策の職員の研修ための管外旅費1回分等々もすべて含まれてございます。啓発事業の分は、先ほど申し上げましたように協議会の事業費を使っておりますので、この分には基本的にはありません。
 それで、5番に課題という形で3点だけ挙げてございます。当たり前の話と言えば当たり前なんですけれども、(1)ですが、フロン回収業者数、実際はフロンの入っている機器類が多いということになるんでしょうが、それが非常に多いというのがすべての課題のもとになっておるのではないかと思っております。環境省の資料では回収率が30%程度とされていますが、実際に正直なところ、分母がよくわからないという実情があると思います。回収率について、機器メーカーの方々、あるいは機器を設置する、あるいは整備する業者さんがどう実感されているのかというのを我々はもっと知りたいというのが実情です。
 それで、非常に数が多いというのも含めまして、フロンの回収率というのが政策的にどう考慮されていくかということなんですが、先日、小林委員が、今日はおられないのですが、意見をおっしゃっておられたのが、まず行政としては、オゾン層対策というものと温暖化対策というのを明確に分けていただいた上で検討すべきではないかというのが1つございます。その上でオゾン層対策としてはどうすべきなのか、あるいはどうできるか検討すべきであると思います。それで、温室効果ガス対策ということであれば、他の政策とのバランスもございましょうし、前回のご意見の中でも、その多くはつまるところ、行政コストあるいは他の施策とのバランスとの兼ね合いというところにつながっているのではないかと私のほうでは受け止めています。このあたりも十分に考慮して考えていく必要があるというふうに思っています。
 2点目の、整備時はフロンの回収業者が関与すると考えられますが、廃棄時は設備所有者の認識によるところが大きいというのがございます。これは結局、廃棄時というのは、いわゆる建設廃棄物と同じ話でございまして、もともとの廃棄する主体は誰かというところに、もともと廃棄する所有者の認識によるところが大きいと考えてございます。
 3点目は、よく言われていることだと思うんですけれども、フロン回収業者の技術力の問題というのがあるように聞いてございます。昨年度も我々のほうでは、フロン対策基金を活用しまして、機器メーカーさんあるいは回収業者さんについての技術的なセミナーも行ったわけですけれども、やはりそういう啓発事業も進めていくべきというふうに考えてございます。
 以上でございます。

○富永委員長 ありがとうございました。
 委員からご意見を伺うんですけれども、3件のヒアリング、全部終わってからまとめて質疑の時間ということにさせていただきたいと思いますので、引き続いて次のヒアリングをお願いしたいと思います。
 次は、設備業者の取組などについて、日本冷凍空調設備工業連合会及び日本冷凍空調学会から続けてご説明いただきたいと思います。

○石井説明者 それでは、日設連の石井でございます。まず、日設連のほうから現状の取組と今後の対策のあり方ということでご説明させていただきたいと思います。
 お手元の資料の2ページは、日設連はどんな団体かということで書いてございますが、我々会員企業は大体3,100社あります。国家資格であります冷凍空気調和機器施工技能士1級、これは約3,600名おります。また、会員企業による冷媒回収量ですが、20年度実績として1,225トンやっておりまして、これは全体の約32%になっております。
 また、冷媒対策への取組としまして、平成9年度から自主行動計画として設立いたしました回収冷媒管理センター、これが現在約110社全国にございます。また、あわせて冷媒回収につきましては、RRCを支援する形で約5万7,000人の技術者の登録を支援しております。
 次のページ、3ページに移ります。
 まず初めに、使用時の漏えい削減の取組ということで、ここに書かれてありますように、海外調査と仕組みの構築、並びに実態調査と大きく2つに分けてございます。
 使用時漏えいという問題につきましては、どうしても制度化を含めた実効性のある仕組みの構築ということが非常に重要と考えておりまして、昨年度、海外調査を、欧州F-ガス規則並びに米国カリフォルニア州高GWPの冷媒管理規則の調査を行いました。
 現在取組中の中身としましては、これは本年の9月に制定を予定しておりますけれども、ここにありますような漏えい点検資格者規程、並びに漏えい点検・修理の際にガイドラインを進めております。また、これにあわせて教材の準備があります。
 これからの取組といたしましては、3点あります。一つは、我々施工・保守サービス業者の認証をする制度というものが必要ではないかということ、二つ目は冷媒配管施工の技術を確立するための基準ですね、こういったものを策定する。そして、三つ目は、制度化に向けた実証モデル事業というものをぜひともやりたいということでございます。
 これと並行いたしまして、現在、会員事業者を対象とした実態調査を継続しております。ここに書かれているような内容で進めております。
 次の4ページは、海外調査、これは法規制という形でまとめてございますが、左から2番目の欧州のF-ガス規則と4つ目の米カリフォルニア州の高GWP冷媒管理規則と、この2つにご注目をいただきたいのですが、この中で両者とも技術者の認定ということをやっております。また、定期漏えい点検について法律の中で制度化されています。また、漏えい修理並びに記録の保存と、さらに記録した結果の報告制度ですね、これはカリフォルニア州の場合には導入されているということでございます。
 ただ、ご注意いただきたいのは、カリフォルニア州の規則は施行が来年の1月からということでございます。F-ガス規則については既に施行しておりまして、2011年7月にEU委員会によるレビュー結果の公表義務というものがございます。
 次の5ページですが、ここからは我々が今取り組んでいる仕組みについて説明させていただきたいと思います。
 2つございますが、1つは、これはいずれも業務用の冷凍空調機を対象としておりますけれども、漏えい点検の資格者に対する規程、あるいは点検・修理のガイドラインというものでございます。
 6ページからはその中身の説明になっておりますが、点検資格者規程につきましては、受講資格、既に日本ではいろいろな技術者資格がございますので、そういうものを十分活用したいというふうに思っております。その上で付加講習、修了考査をやり、合格者にはこのように点検の資格を与えるということでございます。
 次の7ページに移りますが、それでは漏えい点検の中身はどうかということでございますが、これにつきましては、前回7月27日の中央環境審議会で日冷工さんからご説明がありましたが、製品の区分をした上で定期点検の制度化というものを考えております。
 8ページの漏えい点検・修理ガイドラインということでは、要はきめ細かく手順をきちっと決めるということで進めたいと思っておりまして、システム漏えい点検、間接法、直接法による漏えい点検という手順を標準化して、それに従って正しくチェックしていくということでございます。
 その結果を、9ページにありますようなログブックとして管理する、ここが非常に大事なところでございまして、従来この辺が欠けていた点ではないかと思っております。漏えい点検記録簿というものを、これは今、製品別に3種類準備しておりますが、そういうものをやることによってガイドラインの実効性を高めたいと考えております。
 10ページは、漏えい点検ガイドということで、こんな内容で、点検資格者講習の教材として準備しております。間もなく完成の予定でございます。
 次に、11ページからは、冷媒回収率の向上への取組みということで、現在低迷しております冷媒回収率をどうやったら上げられるんだと、我々はこれには平成9年から真摯に取り組んでおるわけでございますが、結果としてあまり上がってきていないという実態がございまして、そのための社会システムを見直しして再構築する必要があるのではないかと思っております。
 これには3点ございまして、1点目は、現在構築済みの地域の回収冷媒管理センター、これをスケールメリットの得られる地域冷媒集約センターとして再構築していきたいと。この地域冷媒集約センターにおいては、我々会員のみならず、他業種の回収というものも当然含めたことを考えております。ただし、インセンティブの働く制度面のバックアップということが前提になると認識しております。
 2点目は、限りある資源の有効活用、あるいは再生・破壊の環境面からのLCA比較というところから、使用済みフロンを再利用・再資源化するという、いわゆる還流を拡大したいということでございます。これをやるのに必要になってまいりますのは、3点目のロジスティックの整備・改善でございます。
 以下の行政との協調推進、啓発活動、これは省略させていただきます。
 12ページになりますが、このような冷媒回収促進のための社会システムを構築するためには、やはり関係者に直接・間接的なインセンティブが働くシステム、その強化が何としても必要であります。。法制度上のインセンティブをどうしても付加することが前提になると思っておりまして、そうすることによって安全確実な回収が促進されます。我々はその受け皿として、既存の回収冷媒管理センターの機能を強化いたしまして地域冷媒集約センターとして再構築したいと、それによって回収効率の向上に寄与したいと考えております。
 13ページは、LCA比較の結果、蒸留再生が破壊に比べて非常に有利だということでございます。
 14ページは、我々の意図しております使用済みフロンの還流拡大スキームということで書かせていただきました。特に具体的な施策といたしましては、関係者によるタスクチームによる技術面、商流上の課題と対応策の検討、あるいは回収済み容器の物流ネットワークの構築、そして3つ目にインフラの整備ということをやって、強化したいと考えております。これについても、関係者にインセンティブを与えることによって、経済的なメリットから還流ニーズが増大するであろうと我々は予測しております。
 次に、15ページになりますが、今後の対策のあり方についてのご提案です。その1は機器使用時の大気排出の削減ということでございます。これは、やはりガイドラインが実効性あるものとするための要望でございまして、1から3までの義務化、資格者制度あるいは記録の保存の義務化、そしてまた、一定規模以上の設備の登録制度というものをあわせて検討する必要があるだろうと思っております。
 2つ目は、設備施工業者に対する資格制度の創設という点。
 3つ目は、漏えい実態調査、実証モデル事業に対して、行政並びに関係団体のぜひご協力をいただきたいということでございます。
 機器廃棄時の冷媒回収の強化につきましては、ここに提案が2つ書いてございます。1つ目は、冷媒回収の強化のためには、インセンティブが働くような法制度面の新たな仕組みということを切に要望したいと思います。
 2つ目は、現行のフロン回収・破壊法についてということで、特にここに3点挙げさせてもらいましたが、1点が、解体工事に絡んで事前確認書の保存の義務あるいは引取証明書、解体工事の際にそういったものを添付することを制度化できないか。
 二つ目の省令7条につきましては、現在、都道府県によりまして申請を受け付けていないところもありますし、再生を認めていないところもございます。こういったところの行政判断の違いが見られますので、国として新たなガイドラインの制定を望みたいと思います。
 また、3つ目に使用済みフロンの処理方法として、破壊、樹脂原料として再利用ということに対する判断基準、この辺の明確化が望まれるところでございます。
 以上、日設連からです。引き続きまして、学会の片倉会長のほうからご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○片倉説明者 日本冷凍空調学会の片倉でございます。お手元に「冷媒排出抑制に向けた取り組みについて」というプリントがございますので、これに沿いましてご説明をいたします。
 日本冷凍空調学会の前身は、1925年、大正14年に設立した日本冷凍協会であり、社団法人になったのが今から80年前、1930年ということであります。学会として名称を変えたのが1997年でございますが、冷凍・冷蔵からスタートし、現在では空調、さらには高温の熱源機に渡る幅広い学術技術の発展と普及を目指した活動を行っております。
 現在使われている冷媒でございますが、冷媒には特定フロン、指定フロン、代替フロンなどがありますが、特定フロンは1996年に全廃され、指定フロンは2020年に全廃ということで、現在主として使われるものは代替フロンすなわちHFCということであります。このHFCの約70%は、1ページに書いてございますように、冷凍・空調用途で使用されております。そのほかにも、例えば発泡剤とか医療の噴射剤とか、そういったものにも使われております。
 こういった冷媒というのは、どういう温度帯で、どういう分野で使われているかというのが2ページでございます。耳慣れない言葉でヒートポンプと書いてございますが、冷凍や空調を行う殆どの機械は、熱を移動させて冷熱や温熱を得るという技術であり、これらをヒートポンプと総称します。このヒートポンプの基盤技術が冷媒であるということです。冷媒は家庭用、業務用あるいは産業用の機器に使用されており、横軸に示す温度帯のように、マイナス100度近いところからプラス160度ぐらいまでというところで活用されています。黄色く塗られているものがいわゆる代替冷媒、HFCということで、どの分野についても要の冷媒になっているということをここで申し上げたいと思います。
 3ページ目は、冷媒に関する社会的な懸念が高まっているということでございまして、こういった冷媒について、4ページでございますが、これからの冷媒の使用に対する基本的な考え方を冷凍空調学会として打ち立ており、後ほどご説明いたしますが、日冷工あるいは日設連と一緒になってこの問題に取り組んでいこうということであります。
 まず大変重要なことは、冷媒管理社会システムをつくり上げるということであります。というのは、日本はヒートポンプ先進技術国であり、これからは冷媒管理においても世界最先端を目指す必要があると我々は考えております。と同時に、既存の冷媒に固執するだけではなくて、よりGWP値の低い冷媒を使用するヒートポンプの開発も進めていくということでございます。
 その概念を書いたものが5ページでございますが、冷媒は、HFC、自然冷媒、それから低GWP値の新冷媒と、3つに大別されますが、新冷媒への移行は、これから10年とか15年、さらには20年ぐらいかかる見通しであり、その間に何を使用するかということになりますが、基本的には、やはり主役はHFCであると考えます。もちろん、冷媒を今後多様化させるという意味で、自然冷媒についても使えるものは使っていこうということをやっていくわけですが、一方で現状を考え、あるいは近い将来まで考えていくと、HFC冷媒というものをきちっと管理するということが必要であると、こういうことであります。
 したがって、今度は6ページを開いていただきまして、冷媒については大変複雑な流れというものがございます。冷媒を作っている冷媒供給者、それからその冷媒を充填して機器を作っている機器製造メーカー、そして、市場に置かれた冷凍空調機器の点検をするとか、配管をするという、冷媒の需要サイドでの日設連のような業界と、このように何層かの業界にわたって冷媒が流れております。こうしたことから、やはり各々の業界が自分の責任分解点を超えて、責任分解点が交わるような仕事をやっていくということが殊さら必要であると考えます。先ほど日設連から社会システムの再構築ということがございましたが、7ページのとおり、現状は3層構造になっているということであります。冷媒の生産・供給サイド、それから冷媒を利用している機器製造サイド、そして需要サイド面における設備業界サイド、こういったところが今後は8ページに示すように、どこかで交わる分野が必要だと、ここが一元管理の実現に必要なところだというように考えております。こうした形で冷媒管理社会システムをつくり上げるということでありまして、また後でこの内容については細かくご説明したいと思います。
 9ページに移りますが、そういった問題意識の下、冷媒を一元的に管理しようではないかということで、冷媒に関係する団体であるフルオロカーボン協会、日本冷凍空調工業会、日設連あるいはJICOP、INFREP、それに日本冷凍空調学会、こういった業界団体がこの4月に初めて同じテーブルに着いたということであります。
 そして、一元管理の確立に向け検討してゆく内容は1番から5番までの専門委員会で行います。これについては後でご説明をいたします。我々としては、22年度にロードマップをつくり、23年度に管理体制を固め、24年から本格的に運用できるような仕組みをつくっていこうと、このように考えております。
 10ページは冷媒管理のロードマップの主要検討項目でございます。基本的には大きく4つに仕分けられると思います。1つは、フロンメーカーから出た冷媒がエンドユーザーまでどういうふうに流れていくかと、そういう意味で、冷媒のトレーサビリティというのは世界でどこでも確立されていない。これを我々はぜひ関係業界がみんなで手を組んで、機器を使われるお客様のご協力も得て、冷媒のトレーサビリティシステムをきっちりとつくっていこうということであります。
 そうした上で対策の2として、実際に使われる機器の使用冷媒の抑制、これは機器そのものも部分的に変えるものは変えていくということです。また、冷媒漏洩防止ガイドラインも日冷工、日設連でもうじきつくり上げられるということでもありますから、そういった問題もトータルにしてこの中で考えていこうと。
 それから3つ目は、冷媒の取扱者の技能向上と、冷媒配管施工技術の標準化と、こういった問題もこの中に入ってくると思います。
 そして、こういった問題を全体的に解いていくのは、実はそのバックに、民だけの自主規制ということではなくて法制の整備が必要と考えます。そして、こういった管理をするということは、今まで管理不在であったことを考えると、それなりの管理コストがオンされるということになります。この管理コストをどうやってみんなが背負っていくかという、経済システムをこの中できちっと確立する、この4つの大きな課題を関係するみんなで考えながら、一方で国サイドからのバックアップも受けて、できるだけ有益なものにしたいということであります。
 我々の考えていることは決して妄想ではございません。11ページには、法制化を前提にした実証モデル事業プランを示しています。これはある団体でこういったことをやっておられるわけですが、IT技術を活用し冷媒がどういうふうにどこに流れていくか、どういうふうに充填されるか、どの機器に入っていくかということをきちっと時系列的にも、オンサイトでもわかるような格好にしていこうではないかと、すなわち冷媒の実態効果の見える化を図ろうということをやっていくわけでございます。
 一方で、日本だけではこの問題は解決できないと考えます。今後、特に新興国については、先進国以上に大きな経済発展をするということになります。これに伴い冷凍空調機器はさらに多く使われるということになります。そこで、アメリカとこの問題についてきちっと取り組もうということで、アメリカの暖房冷凍空調学会、ASHRAEというのがありますが、12ページのとおり、ヒートポンプ先進国である日本として、世界に先駆ける冷媒管理手法の確立をして世界標準化を実現するという意思の下、日本冷凍空調学会とアメリカ暖房冷凍空調学会の間で6カ月の協議を経て、今年5月21日に冷媒管理強化に関する覚書を締結しました。日米共同による管理手法を確立し、中国を中心としたアジア諸国への啓発を行い、最終的にはEU諸国への水平展開を目指すということです。単に日本だけでやるということではなくて、日本でやると同時に、世界と手を組みながらこの問題を解決するということでやらないと、地球温暖化問題に対応することはできないと我々は考えております。
 特に、13ページ、最後のまとめでございますが、先ほど申し上げました法制化を前提とした実証モデル事業の早期実施が極めて重要だと考えており、関係団体による共同実施に対する国の支援を要望したいと思います。と同時に我々は、この取り組みの進捗をこの審議会の中で都度ご報告させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

○富永委員長 ありがとうございました。
 それでは、最後にNPO法人気候ネットワークからご説明をお願いします。

○桃井説明者 今日はお時間をいただきまして、どうもありがとうございます。気候ネットワークのフロン問題を担当しております桃井と申します。どうぞよろしくお願いします。
 まず最初に、気候ネットワークとはということで若干説明させていただきますと、気候ネットワークは、COP3、京都議定書会議の開催をきっかけに、1998年に市民団体250団体が集まりまして組織した温暖化問題を専門に扱う環境NGOです。
 フロンに関しましては、ちょうど2000年にフロンネットというNGOの組織をつくりまして、フロン回収を義務づけようということで、法制化に向けた運動を展開してまいりました。その結果、フロン回収・破壊法が成立するということに至りまして、このフロン回収・破壊法がきちんと機能するのかどうかということをずっとウォッチをしてきたわけですけれども、ここに来て回収率が非常に低迷しているということで、私たちも非常に残念に思っているところです。
 今回お話しさせていただく内容、1ページ目にそのサマリーをまとめています。我々の基本的なフロン問題に対する考え方ですけれども、まずCFCとかも含めまして、フロン類、フッ素系の有機化合物をフロンと総称していますが、これはCO2とは違って、環境中に排出された場合に、塩素が入っていればオゾン層破壊を引き起こすとか、地球温暖化係数が非常に高いとか、また、分解すればそれが生態系の影響などの環境影響リスクがあるということで、基本的にはCO2とは全く違った形で対応する必要があるということで、将来的にはその排出をゼロとする脱フロンの早期実現を目指していくということが必要だと思っております。
 フロンに関しては、やはりこういう問題があるということで、分野によってはかなりノンフロンの技術というのが発達してきていますけれども、代替がとりわけ進んでいない分野が冷媒だというのは、先ほど来ご説明にもあったとおりでございます。
 その中で、冷媒フロンについては、責任ある使用ということを前提に、今まで冷凍空調機器で管理をしながら使うというのをずっと進められてきていたわけですけれども、ここに来て慢性的な回収率の低迷、それから過大な稼働時漏えいというのが明らかになってきたということで、市中に出回ったフロンを管理していくということだけでは、フロン問題は決して解決ができないというのがここに来てはっきりしてきたということです。ですから、今後の重点課題としては、まずは脱フロンというのを最優先に考え、そして、過去にフロン対策、なぜこれほど大気中にほとんど放出されてしまったのかということをしっかりと評価・検証しながら、市中のバンク対策をしっかりしていくというような形での総合的な対策が必要だというふうに考えております。
 具体的にその政策の提案内容としましては、ここに3つ挙げております。
 まずは脱フロン社会の構築ということで、代替可能なものから即時使用規制をかけていくということ。それから、フロン全廃に向けた排出削減の目標設定、総量キャップというのを道筋を示していくということ。そして、転換先である自然冷媒への技術とか脱フロン技術の普及拡大をしていくということ。それから、半導体とかフロンの製造の分野では、漏えい基準をしっかりと設けてトップランナー方式で実施するというようなことが挙げられます。
 また、フロン税の導入ということを書いていますけれども、フロン問題が一番放出の原因になっているところというのは、経済的なインセンティブがなかったということに尽きると思います。そこで、この用途規制をしていくですとか、あるいは回収を促していくとか、管理をしっかりしていくという視点から、それらを補完する措置としてフロン税を導入するということが必要だと思っています。
 そして、今まで業界団体さんのほうからも話がありましたように、管理をするということについては全く異論はございません。しっかりと管理をしていくということ。そして、市中にあるバンク自体の量を減らしていくということをまず優先的にやっていただけたらと思っております。
 次に、2ページ目のほうから具体的なところをご説明したいと思うんですけれども、最初のところはちょっと時間もないので飛ばさせていただきまして、2ページ目の国内動向ということで、中長期ロードマップで、小沢環境大臣が2050年にはフロン類の排出をゼロにするというような長期ビジョンを打ち出されていました。これを実際に実現するという意味でも、今からきちんと削減に向けた計画を立て、脱フロンという方向性を打ち出さない限り、これはなかなか難しいのではないかと思っています。実際、ここに書いてありますように、今、フロンの出荷量、冷媒量で大体年間3万2,900トンということがフルオロカーボン協会の発表でわかっておりますけれども、一方で、破壊までしているものというのが今年の発表で3,940トンということでした。ですから、生産量に対して破壊まで行っているというのが1割程度というようなことが言え、とてもこれは責任ある使用をしているということは言えないというのが私たちの結論です。
 次に、3ページ目ですけれども、具体的に冷媒フロン対策をいかに進めていくかというところで、まず一番最初に脱フロン・自然冷媒への転換というのを打ち出しました。これは、自然冷媒の技術というのが既に確立している分野から用途規制をかけていくということで、その細かいところで規制をかけていく必要があると考えています。特に別置型ショーケースなどCO2の冷媒を使ってやるというものが、今年商品化されるというような話もありますし、そういうところからのフロンを使わないようにする、ノンフロン化というのを積極的に国が規制をかけていくということが必要だと考えています。
 もう一つここで、フロンではない製品というのがまだ高額だということもありますので、しっかりと価格インセンティブをつけるということも有効な手段です。ですから、リプレイスするための猶予期間ですとか、フロン税の導入ということがスムーズな転換を促していくと考えています。
 そして、3ページ目の2のバンク対策と書いてあるところですが、まず1番目の廃棄時回収の低迷についてです。これは、すごく昔からフロンの回収率を高めようということで、経産省、それから産業界がフロンの回収率の目標というのを立てていました。一番最初は、多分1994年だったと思うんですが、フロンの回収率20%を50%程度まで、1996年までに高めるということを言って未達成、それから、1998年の自主行動計画では回収率80%以上を目標とすると言って未達成、そして、その後にHFCの責任ある使用の原則というのを打ち出し、さらに京都議定書目標達成計画の中で、2010年度までに60%の回収率というのを打ち出していますけれども、今年2010年ですが、達成できる見通しはないというような状況です。
 これについての原因というのを、次の4ページ目のところにグレーで囲って原因を挙げてみました。
 まず一番最初に、費用をしっかりと廃棄者が払わなければいけないということは、フロン回収・破壊法で決められているわけですけれども、これが実際の現場では、回収業者がたくさんいて回収費用のダンピングのようなことが行われていると、意図的にフロンを大気放出しているということが横行していると考えられます。
 それから、フロンが人体には無害、無味無臭で目には見えないということ。そして、安い気体であるということで、罪悪感なく安易に放出されてしまっているということ。
 そして、ここでは何度も話題になっていますけれども、技術的問題もあります。稼働時に漏えいがあって、廃棄段階でフロンが残存していないとか、あるいは回収機の性能基準がなくて、特に冬場は、ガス回収の場合はほとんどが機器中に残ってしまうというようなことも考えられます。
 それから、管理・監視システムの問題ということで、今、業界団体のほうでかなり一生懸命回収しようということで呼びかけをしているというのは知っていますし、そこにはとても敬意を表するんですけれども、そうではないコントロール外の業者が非常に多いということで、自主的な管理のフローだけでは全体をカバーし切れていないというような問題があると思います。
 それから、罰則制度もあるということで、自治体による行政監視というのがあるんですが、これが全く機能していないと。故意・悪意の放出があったとしてもそれを摘発していないというのが現実的な問題としてあるということです。
 ですから、フロンの回収を向上させるということは今後も非常に大事なことになりますので、ここはやはり抜本的な仕組みを見直していくことが必要だと。まず第一に強力な経済的インセンティブの導入が必要です。それから、2番目に技術的課題の解決、そして3番目に回収業者、取扱業者の許認可制などの管理強化ということが必要になってくると考えています。
 それから、ルームエアコンとかカーエアコンのことはここではあまり話題になっていないんですけれども、問題点として下に書いてありますので、これは後ほどお読みください。
 そして、4ページ目の一番下に稼働時漏えいの問題について書いています。昨年3月に経産省の調べで稼働時の漏えいが非常に大きいということが明らかになって、ほぼすべての業務用冷凍空調機器で稼働時に大幅に漏えいしているということがわかりました。これはここにも書いてあるんですが、今のフロンを使っているような冷凍空調システムでは、完全に漏えいを防ぐことは構造上できないということだと思います。それが一番大きな理由だと思うんですけれども、その上で、次の5ページ目のグレーのところに書いてありますように、漏えいに関しての問題点ということで3つに分けて書きました。
 まず1つは法制度上の問題で、漏えいに関しての規制とか管理の基準がないということ。そして、フロンが安価で出回っているということで、漏えいしてもどんどんそこに安く継ぎ足せるというような問題があるということ。それから、技術的な問題ということで3つ挙げています。そして、管理システムということで、保有量とか充填量とかを把握するようなシステムが現状としてはないというようなことが挙げられます。
 ですから、まずは稼働時漏えいを防ぐということは、つまりはこれまでのシステムを根本的に見直していく必要があるのではないかというのが、まず一番最初に言えることだと思っています。さらに、根本的に見直していくまでのつなぎの策として管理というのが必要になってくるのだと思います。しかも、1番に書いてありますように、そこにはやはり経済的なインセンティブを位置づけるということが必要であるということ。それから、漏えいの点検の義務化、充填量・保有量の登録・公開を義務づけることなどが考えられます。
 そして、3点目、ヒートポンプ問題と書きました。今、ヒートポンプが省エネに効果があるということで、地球温暖化対策の柱のようにどんどんと進められているわけですけれども、これに伴って冷媒HFCが増加するということを懸念しています。
 まず第1に、先日、ルームエアコンですけれども、COPの表示に関して、トップランナー方式の基準に合わせるために、消費者には操作できない特殊な設定で測定をし、実際の使用とは乖離した高い効率を表示していたというようなことが報道されました。ここにもいらっしゃる岸本委員がこれに対して、この間の経済産業省の審議会でこの事実を認めていたということがあります。
 そして、今後、使用の実態に即した表示方法に改善するということだったんですけれども、既にトップランナー基準で高効率というのを表示上実現させているということに実態を合わせていくためには、これは懸念事項ですが、熱交換機ですとかコンプレッサーを大型化していくというような対応が考えられ、そこで結果的に冷媒フロンの封入量が増えるのではないかというようなことを懸念しています。
 それからもう一つ、産総研の報告で、省エネが進んでも、実際にはルームエアコンでは使用時間帯というのがもともと設定されていたよりも少ないということがわかって、LCCP上、HFCに当たる分というのが非常に大きかったと。LCCPでは冷媒によるインパクトが57%をも占めるというようなことが報告されました。ですから、幾ら省エネ、省エネと言ってこれを導入したとしても、今のように全く管理ができていないような状況でこれを進めれば、むしろ温暖化対策としては逆行するというようなことが考えられます。ですから、こういうことを含めてHFCの観点からは、冷媒フロンをまず総量規制していくというようなこと、そして市中バンクをこれ以上増やさないというようなことが必要になってくると思っております。
 これは冷媒フロンのところですけれども、改めて一番最初のページのところに戻りますが、最初の3点のポイントに結論は行き着くということです。
 そして、冷媒以外のフロン対策についても同様に、冷媒だけ強化するということではなくて、放出を前提としてつくっているような用途のもの、発泡断熱材ですとかエアゾールのようなものは即時禁止するというようなことを一方できちんととっていく必要があると考えています。そこに示したように、もう既に代替の技術が整っているようなものについては即刻禁止する。それから、半導体の製造ですとか、電気の絶縁ガスとか、代替がないというものについては、漏えいの禁止の措置をとるというようなことがあります。
 それからもう一つ、現在対象になっているのは京都議定書の対象ガスということで、温対法などでも規定されていると思うんですけれども、逆に、規定外になっている、議定書から外れている物質、例えばNF3とか、HFC245faとか、365mfcというような発泡分野で使われているものというのがありますけれども、こちらにどんどんと逃げるというか、実際に使用が、HFCを規制しながらも、議定書の対象外あるいは法の対象外になっているものへの転換というのが現実には進められているということで、これらの物質もしっかりとカバーしていくことが必要だというふうに考えています。
 最後に、7ページ目のところにフロン税についてということで、フロン税の考え方を改めてまとめました。
 フロン税の効果としましては、まずはフロンが安価に流通しているということに歯止めをかけるということ、そして段階的削減を補完するような効果があると考えています。それから、2番目に代替技術を転換していくのを促進するというような効果。それから、新技術の開発、省冷媒化・低GWP化を促進するような効果があるということ。そして、冷凍空調機器などでは再利用を促進するとか、使用時のメンテナンスとか漏えいの防止策につながっていくというような、一石三鳥の効果を期待できるというふうに考えております。
 フロン税のあり方に関しても、ここに若干私たちの考え方として示しているところですので、参考として後でお読みいただければと思います。
 8ページ目には、またこれ参考として、HFCの責任ある使用原則というのが、先ほど来、私は何度も申し上げたんですけれども、2002年11月にアメリカのEPA、経産省、UNEP、それから日米の25の事業者団体が一緒になって自主的なルールというのを策定しています。ここにいろんな分野について書いてあるんですけれども、HFCの生産の分野、それから冷凍空調分野のところでの原則というのを改めて書かせていただいています。
 当時は、責任ある使用が守られなければ、2050年までにはHFCは温室効果ガス総量の2%を占めるものになるというような予測だったわけですけれども、もう既に今の時点の予測では、2ページ目に書きましたように、最大では50%以下ぐらいのHFCが占めることになるかもしれないというような驚くべき数字が出ているわけです。ですから、やはりHFCをしっかりと大きく削減していくための脱フロン政策というのは、これから先、世界を見た上でも必要になってくるのではないかと思っています。ここで言われているような、原則で密閉された状態でフロンを使いながら、冷凍システムを動かすということが不可能であるということは、もう何度も業界の方からの発言でも言われていることです。ですから、しっかり脱フロンの方向性を打ち出していただきたいというのが気候ネットワークの主張です。
 以上です。ありがとうございました。

○富永委員長 ありがとうございました。
 それでは、これから質疑に入りたいと思いますが、発言される予定の方、お手元のネーム札を立てていただけますか。よろしいですか。
 それでは、こちらのほうで指名をさせていただいて順にご発言いただきますが、前回、大幅に終了予定時間を超えましたので、今回はできるだけ予定時間の中で議事を終わりたいと思っておりますので、ご協力をお願いします。なるべく簡潔にご発言をいただくということ。それから、前回のように、何人かの方のお話、質問をまとめて伺って、質問と思われるものについては関係のほうからお返事をしていただくという形をとりますので、恐縮ですが、今日、ヒアリングでご説明いただいた方々は、この質疑の間中、該当されるコメントについてはメモをお取りいただいて、適当なところで区切りますので、そこでご回答いただくという形にさせていただきたいと思います。
 それでは、松野委員からどうぞ。

○松野委員 ご指名ありがとうございます。説明委員の先生方、ご説明ありがとうございました。順を追って質問をさせていただきます。松野と申します。
 大阪府の方に質問したいことは、前回の群馬県の方のご説明でもあったんですけれども、通常言われていることの繰り返しになるかもしれませんが、罰則の適用が難しいということについて、通常言われていることかもしれませんけれども、どうしてそれはできないのかというようなことについて再度ご説明いただきたいということです。その辺をちょっと教えていただきたいということ。
 それから、冷凍空調設備工業連合会の方に伺いたいことは、これは事務局の方にも伺いたいんですけれども、さまざまなフロンの排出を防ぐ方法というのが考えられていらっしゃるわけなんですけれども、私は経済学をやっているものですから、多くの人からあまり好かれないことも多いんですが、どういうふうにやると安くできるのかというようなことを考えるのがいいということを、通常我々も考えるし、一般の人たちもそう考えると思うんですが、どういう方法でやる場合に、どのぐらいの量を削減、排出を減らすために幾らぐらいの費用がかかるのかというようなことのデータがあるのかということですね。それは事務局の方でも、そういうようなことがあるのかということ、それを伺いたいということでございます。
 それから、気候ネットワークの方については、フロン税の提案がございましたけれども、これは回収したらお金を返すというようなことも考えているのかというようなことをお答えいただきたいと思います。
 以上です。

○富永委員長 ありがとうございました。
 飛原委員、どうぞ。

○飛原委員 飛原でございます。
 まず全体を聞いての感想は、フロン問題というのは微罪で、何をやっても効果がないような問題なんだなというのが全体を聞いての感想ですけれども、それは質問ではありません。
 具体的に質問ですけれども、日設連の方に質問があります。1つは、使用時漏えいについての対策の提案をされておりますけれども、使用時漏えいの原因調査というのをきちっとされた上での提案になっているのかということをお聞きしたい。すなわち、分野はいろいろあるわけですね。エアコンもあれば業務用冷蔵もあれば、たくさんの分野があるんですけれども、それぞれにどのような原因で経産省で調査されたような大きな漏えい数値のようなものが出てきたのかという原因について、どの程度詰めた上での対策提案なのかということをお聞きしたい。
 2点目は冷媒回収の話ですが、1つには、冷媒回収は難しいし時間もかかるわけですけれども、私は前から、液体で回収できるような仕組みをつくるべきだと申し上げているんですが、それはなかなか受け入れられないんですけれども、なぜガスで回収するというのを中心にやられるのか。液体回収を進められない理由は何なのかというのをお聞きしたいというのが2点目です。
 3つ目は、冷媒回収の提案のところとか、いろんなところにインセンティブを付加してくれというようなことがあったんですけれども、具体的なインセンティブの内容は何なのかというのが述べられていないと思うんですけれども、それは何なんでしょうかというのをお聞きしたい。お金を下さいということなのか、ただ下さいと言われても誰が払うのかとか、いろんな問題がありますけれども、どういうことなんでしょうかというのをお聞きしたい。
 その3点です。
 それから、気候ネットワークの方にお伺いしたいんですけれども、全体のご主張は私も大体同感するんですが、できないところは、1つは完全に脱フロンという、フルオロカーボンを全廃に近いようなご意見に関しては、やはりリスクとベネフィットをいろいろ考えた上での選択肢というのが合理的な科学的判断じゃないかという気がするんですが、なぜ完全な脱フロンでなければならないのかということについて、それが1つです。
 2つ目には、フロン税のご提案でありますが、私もこれは興味がありますが、フロン税としてどの程度の税を賦課するとどの程度の効果があるかというシミュレーションなり、あるいは試算なりをした例があるのかといったようなことについて、もしご存じであればお聞かせ願いたい。
 以上です。

○富永委員長 ありがとうございました。
 それでは、西薗委員、どうぞ。

○西薗委員 まず、私もこの問題にフロン回収・破壊法を制定するころからかかわっておりますけれども、そのときにやはり思いましたのは、フロンの生産から、これはガスとしての生産、それから機器の生産、それから最終的には使用から廃棄までという、その各段階に応じてきちんとした管理をしないと成果は上がらないだろうということを当時から思っておりましたが、法律を制定する経緯の中では廃棄時のみということに当時なりまして、ずっとそのことは主張してまいりましたので、今回、前回の日冷工さん、それから今回の日設連さん、それから冷凍空調学会の片倉会長さんのご発表の中で、全体の流れの中をとらえた管理をするという方向でご努力をされているということに対しては、大変敬意を表したいというふうに思っております。
 それで、特に片倉会長さんがまとめられた資料の6ページ、7ページ、この辺りに、非常に外部の者にはわかりにくい冷媒に関するいろいろな業界のかかわりですとか、そういうことがきちんと整理されていて、非常にこれは参考になるというふうに思うんです。
 ただ、これは大阪府さんのほうの発表にもありましたけれども、第一種の回収業者が大阪でもきちんと管理し切れないと。全国3万社あるわけですが、3,000トンの回収量に対して3万社あるということは、これは大阪のご発表にもありましたが、ほとんど仕事をしていないところがありましたけれども、それから特にきちんと利益が上がってできるところは本当にわずかなのではないかなということを思います。
 そういうことを考えますと、片倉会長さんの6ページ、7ページの下のほう、冷媒の需要サイド辺りのところに関わるところ。それから、次の8ページの図で言いますと、これは閉じられた輪になっていますけれども、現実には、ここで言うと黄色い輪の辺りなんでしょうか、この辺りのところは実は閉じられていないのではないか。つまり、これは気候ネットワークさんのご発表に、管理システムとして、5ページ辺りですか、漏えいを前提として、客観的な評価もできないし、全体のコントロールができないというようなこともおっしゃっていましたけれども、まさに実は閉じられた輪になっていない、開放系になっているのではないかというところをどういうふうにお考えかということです。
 それとあわせて、これも先ほど来話題になっておりますけれども、例えばフロンというものに税という、これは税だけですべてが解決するわけではありませんが、きちんとした管理システムを補完するものとして、フロン自体の価値を高めるような税のような仕組みは必要なのではないかということについてどうお考えか、このあたりをお聞かせいただけたらというふうに思います。
 以上です。

○富永委員長 3人の委員の方からご意見をいただきましたので、この辺で切らせていただいて、今までのコメントの中で、ご意見についてはこちらでまた記録していただきますが、それぞれこちらで特定した方について、質問の形になっているものについては順にお答えいただきたいと思います。
 それで、最初に大阪府の罰則の件ですか。

○白谷委員 罰則の適用事例がないということですが、大阪府を初め、どこの都道府県あるいは市町村でもそうだと思うんですけれども、我々は環境の法律に限っても、いろんな法律について限られた人員の中で指導・監督を続けていくという立場にございます。それをやりくりしていくわけなんですけれども、基本的に我々が立ち入りに行くときの目的というのは、罰則適用というのを前提にはしてございません。まずは指導して改善していただくというのが第一の目的というふうに我々は理解してございます。
 ご承知のとおり、罰則を実際に適用いたしますとなると、実際のところは我々が直接罰則を適用するわけではございませんので、警察あるいは検察、それから裁判という順を踏むわけですから、それに持っていく証拠なり、あるいはそれをやっていくというのが実務的には出てくると思います。
 我々としては、何らかの不適切な状況があれば、まずとにかく改善していただくという形でございますので、その段階で改善していく目的としていますので、まずはそこに重点を置いているというのが1つございます。そのあたりを理解していただきたいなというふうに思っております。ちょっと答えになっているかどうかわかりませんが。
 あとは、前回群馬県さんがおっしゃっていたのと同じ答えになると思いますので、省略させていただきます。

○富永委員長 よろしいですか。
 それでは、次に、日設連さんのほうに幾つかありましたので、よろしいですか。

○石井説明者 幾つかのご質問をいただいたんですが、飛原先生からいただいた使用時漏えいの原因調査ということでございますが、実は昨年度、経産省のほうからご報告いただきました排出係数、新しい数値が出されたわけですが、これは26万件のデータを分析して出されているということで、日冷工さん初め業界としてはある程度原因はつかまれているということであります。
 なお、KHK、高圧ガス保安協会から毎年事故のデータが出ております。今年度も、21年度は75件の、これは非常に増えたのですが、すべて漏えい絡みで事故が報告されております。こういったデータも過去に遡りまして、過去十数年遡ったデータを協会としては分析しておりまして、漏えいの原因というものがある程度特定されておるということで、中身的に言いますと経年劣化ですね、これに絡むのがかなり比率が大きいと。この中には振動原因あるいは腐食の問題というのがかなりの比率を占めているということがデータ的には出てきております。
 そのほか、細かい分析データも我々は持っておりますが、引き続き我々日設連としては、現場での実態調査というものを継続して調査すると、これを現在進めておりますが、さらに継続していくということでございます。
 次に、冷媒回収で一体回収の問題ですが、これは、実は既に一体回収をやられている機械もございまして、特に大型の低圧の機械でございますね。低圧冷媒を使った機械というのは、高圧でないということもありまして、割と一体回収、冷媒の液回収というのが基本になっております。高圧になるに従って一体回収というのはかなり技術的に難しい面があるということと、機械によってはポンプダウン、今現在やられている方法はポンプダウンでまず液をため込んで、液を回収して、残ったガスを、いずれにしても最終的にガスは残らざるを得ないものですから、法的に決められている回収圧力、マイナス100mmHg、その程度までは引きますが、それ以上引くということになっておりませんし、その段階でガス状態で残っている量が高圧になればかなりの量がありますので、それを液化するということになりますと、コスト面でちょっと難しいかなということでございます。引き続き、そういう面ではどういうやり方が一番いいのかということは、我々引き続き検討させていただきたいというふうに思っております。
 3つ目のインセンティブの具体的な内容ということでございますが、これは我々もここにはちょっと抽象的に、直接あるいは間接的なインセンティブということで、これは皆様のこういった場でのご意見を、皆様のお知恵をいただきたいと我々は思っておるんですが、今まで出た議論の中では、蛇口規制の問題、それからデポジットの問題、それから税の問題、あるいはキャップ・アンド・トレードですね、そういった問題、いろんな選択肢がありますので、それらを総合的にどういうやり方がベストなのかということをよく精査していく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
 それと、ご意見をいただいてご返事していなかったと思うんですが、経済排出コストの問題ですね。これは実は非常に大事なことだというふうに我々は認識しておりますが、そういう意味で製品の、あるいは制度化する段階で、定期点検やるにしても当然コストがかかりますので、どこから網をかけるかという仕切りを非常に大事にしております。
 例えば、前回にもありましたように、ルームエアコンで点検制度をやるというのは、これは全くコスト的に合わないということで、費用対CO2ですね。EUでは、CO2トン当たり2,000円とか3,000円とか、そういうレベルを想定しているようでございますが、我々も定性的には、大型になればなるほど経済コストは楽になるということで、それをどの辺に線引きをするかということで、これから実証モデルをやる中で十分経済的なコストも検討していきたいというふうに思っております。これは学会さんのほうから先ほど発表がございましたところにも、当然その中で検討していくということでございます。

○片倉説明者 まずコストのところでありますけれども、まだ全体的にとらえ切れていない。というのは、つまり一元管理システム全体をどうのように構築・運営していくかということについてまだ十分な議論ができていないということです。と言っても、何もやっていないということではございません。例えば機器メーカーについても、冷媒が回収できる仕組みにするということとか、あるいは機械から出たところの配管からの冷媒漏洩を機械側でセンシング出来ないかというような、まだまだ技術的に詰めるべき点があるのではないかということを議論しています。我々としては現状肯定ではなく、更に改善できる仕組みをメーカー、設備会社、そして冷媒メーカーがみなんで考えこの問題の解決を目指しております。つまり業界関係者がみんなで同じ橋を渡ってこそ初めてできると。では、今まではどうだったかというと、それは必ずしも、みんなが同じ橋を渡ってこの問題に対処し得たかというところに実は我々の反省点があり、そこをきちんと押さえないとこの問題は解けないと、こういうことであろうと思います。
 一元管理に伴うコストについては、十分つかまえ切れておりませんが、増分コストをどうやって負担するかというときに、もちろんエンドユーザーも支払わなければいけないし、税だけでできる問題でもないし、いろんな経済手法をミックスすることが必要だろうと思います。この点については、我々の協議会における経済システム検討の中で早急に詰めていこうということで、ただ今議論をしているところです。
 そして、最後のご質問ですが、設備業界サイドのところは輪が開いているのではないかと。8ページの絵ですが、実際はそういうことではなくて、輪は各々の業界の責任分解点を示すものであり、今までこの輪がぶつかっていなかったということであります。この輪をぶつける、この輪を交わらせるということで初めて一元管理ができるということでありまして、今までそれが不十分であり、3つの業界の責任分解点をどこか一点で交わらせるというところに今回の一元管理の一番大きなポイントがあるということであります。これは世界でどこもやっていないわけですし、日本でも今まで十分できていなかった。十分というか、基本的にはできていなかったという反省をかんがみて、こういった仕組みで一元管理ができるようにしようじゃないかと、こういうふうに今考えているわけです。
 最後に法律の問題ですが、法律もいろんな法律があると思います。実際にやっていくに当たっては、上位法から下位法まで、どの段階でどういう問題に適用するか、その効果は何かということをよく検証しなければなりません。法律と経済システムについては十分な吟味が必要であり、いずれにしても絵に描いた餅にならないように、そして関係するどの人たちにとってもディスインセンティブにならない仕組みを考えなくてはなりません。この難しい問題に、あえて挑戦し、良い答えが出せるように頑張っている最中です。

○富永委員長 事務局のほうからお願いします。

○高澤フロン等対策推進室長 最初の松野委員のご質問で、事務局のほうにもコスト的なデータとかないかというご質問でございましたが、残念ながら事務局のほうにもそういったコスト的なデータはまだございませんが、大変重要な問題だと思っておりますので、また実際の具体的な方法とともに、コスト的な話も考えていかなければならないと思っているところでございます。

○富永委員長 そうすると、ヒアリングのときの1番目と2番目の課題についてのご質問はこれで全部回答いただいたということでよろしいですか。あとはNPO法人気候ネットワークさんのほうに移りますけれども、よろしいですね。
 ではお願いします。

○桃井説明者 ご質問ありがとうございます。
 まず、フロン税に関しての松野委員のご質問ですが、回収したらお金を返すのかということですけれども、私たちとしては、フロン税は非常にシンプルなものがいいと思っています。ですから、まず税をかけるということで、これを返金するというのはここでは考えていません。回収して再利用したものとの価格の差をつけていくというのが一つねらいとしてはあります。ですから、再利用したものは税がかからないので、回収を促進させていることにつながるということです。
 それから、飛原委員の質問なんですけれども、脱フロンということで、完全な脱フロンをなぜ目指すのかということなんですけれども、ここで私たちが考えているものは2点あります。1つは環境影響のリスクがあるということで、ハロゲン化合物が大気中に出たときの生態系への影響などが非常に懸念されているということ。それから、まだ評価がしっかりとできていないものにすぐ飛びついて、どんどんと使ってしまっていいのかということが疑問としてあります。
 もう一つ、これはHFCにCFCやHCFCから転換されていったときに、基本的には同じような機器のシステムの中でフロンを使い続けるということで、HFCに転換されたと思うんですが、その後に地球温暖化の問題というのが大きくクローズアップされて、またその先に転換を迫られている状況にあるということです。
 これは、実際にフロンに携わっている現場の業者の方たちに言わせれば、一回転換するときに、その機具を、また工具を買い直したり、非常に投資にお金がかかって、またさらに次に変えなきゃいけないという現状で、さらにまたその後に変えなきゃいけないというようなことは絶対にやめてほしいんだと言っています。
 ですから、半永久的に使い続けられるようなシステムにこれから先大きく転換するということが、求められている時期なんだと思っておりまして、先ほど、HFCの使用が漏えいを前提にしているというようなことを考えると、次に、例えば今アメリカでデュポンが開発したHFO-1234yfとか出ていますけれども、こういった物質への転換に行って、さらにまた環境影響リスクが出て、またさらに転換するという「つなぎの策」として使うということではなく、自然冷媒でずっと使い続けられるようなものに転換していくことを今進めるということが大事なのかなと思っています。
 そのためには、例えばですけれども、配管をビルの中全体に通すとか、ショーケースの中に全部通すとかということではなく、二次冷媒型にして、1カ所で本当に閉鎖的に使えるような状態にして、二次冷媒でブラインで回すというようなものが考えられますし、そういう方向への転換も含めて、脱フロンというのを実現させていくということを合わせ持って考えていったらいいかなと思っています。
 それからもう一つ、フロン税についての試算があるかということですけれども、これは具体的に、今、手元に試算はございません。アメリカがCFCを削減していくときに、CFCに課税するというようなことを実施していたりという例が、海外で例がありますけれども、今回、フロン税というのは、あくまでも削減を補完するためのものだというような位置づけ、それから、回収を促していくようなものだという位置づけで導入を考えられたらと思っていまして、しかも、今、炭素税の話も一方で出ていますので、炭素税にあわせるような形で、GWPに応じた課税というのが実質的に効果が上がるというふうに考えているところです。

○富永委員長 ありがとうございました。よろしいですか。
 それでは、今、拝見すると、あと永里委員と大塚委員と浦野委員、お3人、札が立っていますので、その順で伺っていきたいと思います。
 永里委員。

○永里委員 ありがとうございます。
 今日のお話の中で、化学工業の実態ということについてご説明したいと思うんです。半導体と化学工業というのは全然違っていまして、その両方にタッチした私としてあえて言いますが、化学産業というのは非常に成熟した産業で、研究開発にものすごく時間がかかるんです。それに対して半導体産業というのは、まだ若くていろんなイノベーションが起こってくるんです。そのことを踏まえた上で、実際に化学工業で何が起こったかということをアナロジーとして申し上げます。それは今回のことに対する非常に示唆に富む話だと思うからです。
 それは、苛性ソーダは昔、水銀を使ってつくられておりました。これが漏えいすることによって非常な問題を起こしたことはご存じのとおりです、大変な問題を起こしました。したがって、これを何とかして阻止しなきゃいけないということになったわけです。そのときに、やっぱり化学産業というのは成熟していますので、なかなか技術開発が難しかったんですが、そのときなされた方法はクローズドにするということだったんです。要するに水銀を出さなくすると。欧米の化学企業はこれでやったわけです。
 ところが、日本の化学企業は3社あったんですが、この日本の企業がそれとは別にイオン交換膜というものを使って、全然水銀を使わない方法でやるということを考えついたんです。しかし、これはコロンブスの卵と同じなんですが、後から考えると当たり前なんですけれども、25年かかっているんです。その間に死の谷というのを渡りまして、何回かは、もうこの研究開発はやめようと、というのは何百億という金がかかっているわけです。
 何百億という金がかかっているのがなぜできたかというと、ほかのところで儲かっている事業があるからそういうことになるんですが、要するに結果としては、25年かかってイオン交換膜によって苛性ソーダができるようになって、これで公害問題はなくなったんですけれども、私が言いたいのは、日本冷凍空調学会のご発表のヒートポンプによる冷媒の使用状況と今後の展望について、5ページに書いてあるんですが、このことは、実は気候ネットワークの懸念されている5ページのヒートポンプ問題というのがありまして、ここに懸念の表明が書いてありまして、これは非常に留意すべきことだと思います。
 しかし、実際、今申し上げましたとおり、5ページのこのことを考えますと、今度は逆にこちらの5ページ、学会の5ページのほうは、低GWP型の冷媒をつくるというのが20年かかるような図になっております。まさしくそういうことなんです。要するに成熟した化学工業においてはこれだけ時間がかかるわけです。その間は、上の自然冷媒を使ってやるのは当たり前としても、HFC冷媒をクローズな状態で、要するに漏れないような状態にして使っていくという方法しかないんだろうと思うんですね。それが現実的な回答だろうと思います。
 そのために、学会のほうの8ページには、冷媒マネジメントセンターの創設で一元管理しますということを書いているわけです。また、これが一元管理するためには、10ページのロードマップまで書いて、法制強化とか経済システムの確立とかいろいろ書いてあります。現実はこういうことで時間を稼ぎながら、漏えいさせない方法でやっていくしかないのではないかというのが、これは私の意見でございます。
 以上です。

○富永委員長 ありがとうございました。ただいまのはご意見ですので。
 次、大塚委員、お願いします。

○大塚委員 日本冷凍空調設備工業連合会さんにまずお伺いしたいんですけれども、先ほどからご質問があったので、割と重なってくるところがありますが、前回もそのお話がかなり出ていたように、結局、回収のところで、色もないしにおいもないということで、ふたを外せば出ていっちゃうというところがあるものですから、むしろ回収のところでお金を払うぐらいのことにしないとまずいんじゃないかという議論は結構あることはあって、それがコストがどのぐらいかかるかという話をかなりしていたと思いますけれども、この考え方に対してどう思われるかというのをお伺いしたいところがございます。
 結局、規制でやっていくのはもちろん基本的にはいいんですけれども、規制だと、やはり嫌々おやりになるということが皆さんあって、私は法律の人間なので規制のほうが好きなところもあるんですけれども、しかし、それだとこの問題は無理かなというふうに考えていますけれども、経済的インセンティブの、プラスのほうのインセンティブを与えてやっていただくというのは、結構この問題についてはフィットしているかなというふうに思いますが、それについて印象をお伺いできればと思います。
 気候ネットワークさんに関しては、私も似たような発想はかなり持っているので、共感するところは多いんですけれども、先ほどのご質問に対するお答えで、炭素税と同じように割と考えておられて、その発想はもちろんあるとは思うんですけれども、しかし、既に使ってしまっているものをどう回収するかというところももうちょっと考えていただけるとありがたいかなと思っていて、フロン税をもし使うんだったら、さらにその上で回収にも補助するというようなことをぜひお考えいただければなと、これはお願いというか意見でございます。
 それから、気候ネットワークさんにもう一つお伺いしたいのは、多少外れるかもしれませんが、国際的に新興国からこれから山のようにモントリオールフロンが出てきますけれども、これについて何かお考えになっていることがもしあれば、お答えいただければありがたいと思います。
 以上でございます。

○富永委員長 浦野委員、どうぞ。

○浦野委員 私は、質問ということではなくて意見で、特に環境省への要望的なことになるかと思っています。
 皆さんのお話を伺って、各自治体、業界団体、学会が新しい取組をしていて、大変心強い点もあります。特に、冷凍空調学会のマネジメントセンターの構想にはそれなりの期待をしたいというふうに思っております。
 しかし、冷媒以外の問題もございますし、先ほどもご指摘がありましたように、業界団体等に入っていないアウトサイダーというのもかなりございます。あるいはユーザー、例えば解体業者とか建築業者とか、その他冷媒を使っている業界、コンビニだとかスーパーとかも含めて、そういう業界が抜けちゃうわけで、そういうところも含めて今後どうするかということを考えると、なかなかすぐに効果は出ないかもしれないということ。そういう意味では、努力は進んできて、今までもそうですし、これからもいい方向に行くと私は期待していますけれども、ただ、何となく印象としては、遅々として進まないというような感じ。あと、補助金をくれとか、税金で財務をどうするかと言うのは簡単なんですが、なかなか今の政治状況で簡単に多額の補助金だとか税制を動かすというのは大変なことなわけです。
 そう考えたときに、従来、少し常識的には難しいとか、やれないというようなことに、一種タブーかもしれませんが、そういうものに新たに目を向けて、新しい取組、新しい技術の開発をどこかブレイクスルーしなきゃいけないんじゃないかというふうな感じを持っています。そういう意味では、気候ネットワークさんの考え方も方向として私は同意できるわけです。具体的に何かやるということを考えなきゃいけない。
 産業界でも、特にご要望のあった整備とか回収とか、そういうところが名前だけの業者とかアウトサイダーに対しては、もうちょっとしっかりした資格とか厳格化をしていくという、ある意味の規制強化的なものもきちっとできるような体制をつくっていかなきゃいけないし、一方で、新技術を何かやろうとすると、例えば高圧ガス取締法だとか消防法だとか、その他もろもろの法律でかなり縛られて動けないという状況もあって、こういった法律の柔軟な運用も一層進めて、新技術や新業者の参入も容易にしていく。厳格化、規制強化の部分と、あるいは新しいものに柔軟に対応するということを、何とか両方やらなきゃいけない。そういう意味では特にユーザーとか市民、国民を巻き込まないとこれ以上なかなか行かないんじゃないか。
 ここにお集まりの方は、みんな業界団体とか、行政の方とか、割と有名なNGOの方なんですけれども、もっと広い国民とか広いユーザーをどうやって巻き込むかという意味で、私が前回お話ししたのは、においつけたらと言ったら、嫌なにおいがしたら困るとかいろいろあるんですけれども、においというのは、私は着臭というのをやめて着香でもいいです、香料でもいいです。いいにおいがするでも、大量に利用したらこれは何だと気づくようなことも、そんなことは技術的には十分できるんですね。だから、それをどの時点で、全部にやらなくてもいいですよ。大きなところにはやらせるとか、そういうことも含めて、あるいは従来可燃性で危険だと言われているハイドロカーボン冷媒も、実は技術的には安全に使用するという技術はそれなりにできるんですね。
 例えば、ガソリンなんかは大変危険なものを自動車にいっぱい積んで走っているわけですから、いろんな意味でできないことはない。だから、そういうものも今までは難しいと言われて、あるいはだめだと言われているものをもう一度積極的に応援するような方法も、技術開発あるいは社会システムのほうで考えないと、すぐではなくて、さっきの小沢大臣が目標としているような長期の目標、あるいは中期の目標というのを達成するためには、ここでお話のあった取組を進めることも大事ですけれども、それをブレイクスルーする何かを一生懸命考えないといけないんじゃないかというのが私の意見です。

○富永委員長 では岸本委員。

○岸本委員 まず冷媒の問題なんですけれども、これは非常に難しい問題で、何かやれば解決するというものではなくて、いろいろなことを積み重ねていかないと、決定打がないというのが現状だと思います。
 特に、今のフロンにかわる新しい冷媒というのはいろいろ提案はされていますけれども、まず見込みはありません。使えそうな冷媒というのはまだないという、そういう中で、市場には約20万トン以上のフロンが多分あると言われています。漏えい率というのが大体年間このくらいだろうと出ていますから、相当量が漏れているのが現状ですね。これは市場にもう既にあるものですから、これからつくるものについての対策と既にあるバンクの対策は分けて考えないといけない。
 バンク対策については、先ほど学会から発表があったように、資格の認定だとか、管理をして強化してそれを防ぐという方法しか、今のところいい妙案はないのではないか。そういう意味では、我々も協力をぜひしていきたいと思っていますので、連携をとってぜひよろしくお願いしたいと思います。それに関しては、そのための実証だとか、そういった側面の支援を国でもぜひよろしくお願いしたいと思っています。
 それから、新しい冷媒もそうなんですけれども、いろいろなものを考えていくときに、日本の場合はいろいろな安全に関する規制というのがありますので、その辺も無視できない。そういうものも整合性をとって、若干柔軟に運用するとか、そういうところにも少し踏み込んでいく必要があるなというふうに思っていますので、その辺もひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから、自然冷媒というのは昔からあるんですけれども、なかなかいい性能のものがなくて、フロンが使われたというのは圧倒的に性能がいいからなんですね。これを今見直す時期に来ています。そのための技術開発というのは、従来のように各企業が個別に企業競争でやっていてはなかなかうまく進まないと思います。そういう簡単なものではないということなので、もっと官、産、学ですか、この辺が一体となって何か一つのものに取り組むという方向にしないと、企業で競争してやりなさいよというだけではどうも何かうまくいかないような気がするので、その辺の仕組みづくりをぜひよろしくお願いしたいと思っています。
 においの話は前回も話が出ましたけれども、いろいろ課題もあるので、そういうことも検討していきたい。
 それから、気候ネットワークさんの内容です。大体こんなものかなと思うんですが、1つだけ間違えがあるので正しておきます。
 大したことではないんですが、5ページの下から3つ目のところで、「ルームエアコンでは「爆風モード」の設定をやめたメーカーの冷媒量が約800gから約1300g程度増量している」と書いてありますけれども、これは高効率になったときに冷媒が増えているわけであって、爆風モードとは全く関係ないということを言っておきたいと思います。
 以上でございます。

○富永委員長 ありがとうございました。
 一応一通りこれでご質問は……。
 どうぞ。

○浦野委員 フッ素系の冷媒は非常にすぐれているということは間違いないんですが、フッ素系、フロン系の冷媒と、いわゆる冷凍能力とかいろんな機械上の問題では、炭化水素系冷媒はほとんど同じ性能のものがあるんですね。ただし危険性があるということで、爆発、火災の危険性があるということで、今、日本では特に厳しくてうまくいかない。一部冷蔵庫はほとんどいっていますけれども、そういうこともあるので、冷媒能力がフロンと同等のものがないわけではない。ただ、安全面とかそういうものは問題があるということで、当然それも含めて見れば、フロンガスが増えているということですので、念のため。

○富永委員長 ありがとうございました。
 ご意見が多かったわけですけれども、ご質問というか、質疑の形のもございますので、今度は逆に、それでは気候ネットワークさんのほうからお答えいただきたいと思います。

○桃井説明者 最初のご質問で、大塚委員からバンク対策をどう考えるかということだったと思うんですけれども、1つは管理強化をするということは非常に重要だと思っています。そして、何か経済的なインセンティブをそのために与えるということも必要だと思っています。
 そのために必要なものの一つとして、フロン税というのが効果を上げるのではないかと思っているんですが、今ある冷凍空調システムの中のバンクの大半がHCFC-22が多いと。もちろんHFCもあるんですけれども、廃棄されている段階ではHCFC-22が多いと思います。これは一方で、まだ販売されていて、かなり安い値段で売られているということなので、ここにも課税をしていくということで、再利用を促していく必要があるのではないかと思っています。こうなると、フロン回収・破壊法で回収・破壊をしなければいけないというところも改正が必要になってくるかなということです。
 それから、特に新興国でモントリオールフロンがこれから先大量に出てくるということについて、決め手になる対策はやっぱり難しいなというふうには思っています。もちろん、それをきちんと回収していくような仕組みとか支援というのを日本でもしていく必要があると思うんですけれども、まずその前に、日本でたった1割しか回収・破壊していませんというような現状をしっかりと改善しないと、途上国はもっと、管理をするなんていうことは恐らく難しくなってくるんだろうと思っていますので、日本がいい事例を、いいお手本を見せられるような形をとれたらいいのかなと思います。
 それから、岸本委員にご指摘いただきました。爆風モードの設定をやめた後に冷媒量が増えたということでなくて、効率を高めるときに増えたんだというようなご指摘、ありがとうございました。
 むしろ、今お話を伺って、効率を高めるためには、HFCを増量しなければいけないんだということを伺えたということで、やはりバンクを増やすことにつながるのではないかと思っていますので、しっかりとしたバンク対策を進める上でも考えていただきたい。ヒートポンプを推奨するということをしっかりと根本から見直していただけたらというふうに思っています。

○富永委員長 ありがとうございました。
 大塚委員の前半のほうは、日設連さんへの質問ですね。

○石井説明者 大塚委員のほうから、フロンの回収について、回収のコストの費用負担をどう考えるかというご質問だったかと思うんですが、実は業界で定期的にアンケート調査をやっているんですね。この中には、フロンの回収というのがそれぞれの工事業者さんの中でどのくらいの比率を占めているか、また、それが業としてどうかということもアンケートをとっておるんですが、比率というのは非常に低い、数%のオーダーなんですが、回収だけとりますと業としては成り立っていないと。端的に言えば、多くの業者さんは、赤字で受注して仕事をしているということが実態でございまして、やはり我々の業者側から行きますと、これを何とか改善したいなという強い気持ちはございます。
 ただ、これは冷凍空調業界の業界としての仕組みの構造的な問題もございますので、その辺も含めて、例えば、以前から出ておりますが、回収の場合にユーザーから我々回収業者のほうに直に発注していただくと。中間の業者さんをできるだけ取り除いた形でやりますと、工期もユーザーさんにとっても早く、時間的にも早いですし、我々にとってもコスト的にその分をカバーできることになりますので、そういった方式を広めていただきたいということで、行政のほうにもお願いしております。実は、先ほどユーザーさんとの取組といいますか、コミュニケーションの問題もありましたが、我々の業界あるいは関係者の方々を集めて、フロン回収・破壊法その他のセミナーをやっておるわけなんですが、そういう場に以前は設備工事業者の方々がほとんどだったんですが、最近はユーザーさんもかなり来ておられますし、解体業者さんからゼネコンさんも入っている。また、特徴的には、かなり家電業界さんですね、家電量販店さん、この方々が回収をやられるというケースが非常に増えておりまして、この方々がそういうセミナーに参加されているということもございます。
 要は、回収コストができるだけ安くなるように、直発注していただきますと、システム的には行程管理上も楽になりますし、そういうことを強く進めていきたいということでございます。
 あと、インセンティブは、ここに書きましたけれども、やはり現状では、我々の目に見えるインセンティブが働いていないというのが、我々は回収促進のための委員会を業界としてつくりまして、数年間、5、6年はやっているんですが、結果が数値が上がらないということで、これは結果責任と言われればそれまでなんですが、いろんな意見が出てくるのは、やはりインセンティブの問題に最終的に帰結、そこに落ち着くといいますか、何とかならないのかということになってきている、これが実態でございます。

○富永委員長 短いご質問で。

○鳥波委員 ただいま日設連としましていろいろご質問にお答えをさせていただきました。時間も迫っておりますのであれでございますが、私、フロン回収と、それから漏えいと、今、現実に実務的にはこの2つを当面どういうふうに克服していくかというようなことだろうと思うんですが、その中でぜひ一つだけご理解いただきたいのは、これまで、平成7年ごろ、今日は小林委員が欠席されていますが、兵庫県で県条例に基づくフロン回収というのがつくられて以降、平成9年に我々業界の自主行動計画と、私たちは自主的な対応をしてまいりましょうと。行政が応援というよりも業界人としてやるべきだということで、実はここは、日設連の会員というのはほとんど中小零細の会員なんですね。これが全国に三千数百社いるわけですが、やはり供給サプライヤーとしての責任の中で各地域で自主的な対応をしてきたと。その結果が現在いろいろご指摘のある数字になってございます。
 結論的に申し上げますと、今、石井のほうからもちょっと補足説明させていただきましたが、やっぱりこれ、ただ、業界さん、あなた方はしっかりやるんだよと。一方生活が、そこはお前さんたちの枠で知恵を出せと、こういうことでずっとこれまで来たと言っていいかと思うんです。ですから、今日いろいろご提案をいただいた、ご意見をいただいた時点で、私は大変ありがたいと。フロンは多分、先ほど来、浦野先生からもお話しありましたが、これまでの過去10年の積み上げを一回根本的に見直していただいて、やはりこれから我々が先々相当実務的に、意欲的に取り組めるような環境をぜひ整えていただきたい。それを一言でインセンティブということでお願いしてございますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○富永委員長 ありがとうございました。
 ちょうど予定時間を5分ばかり過ぎましたので、本日はここまでにさせていただきたいと思いますが。

○松野委員 申し訳ないんですが、1点だけ伺いたいんですけれども。

○富永委員長 では、これで最後の質問にさせていただきます。

○松野委員 前回も群馬県の方が話されて、そこは適用は難しいと、大阪府の方もそうだというふうにおっしゃられたんですけれども、事務局の環境省のほうでは、もっと積極的に適用せよという考えなのか、現場がそう言っているんだから仕方がないという考え方なのか、どちらなのかということをお伺いしたいです。

○高澤フロン等対策推進室長 まだ現場の状況をしっかりつかみ切れていないところがありますので、もう少し大阪と群馬以外のところも実態をしっかり調べて、どういった方向で臨むかというのは引き続き考えたいと思っています。

○富永委員長 とりあえずそういうことでよろしいですか。
 それでは、本日のヒアリングでは、大阪府、それから日本冷凍空調設備工業連合会、日本冷凍空調学会、それからNPO法人気候ネットワーク、これらの方々からご説明をいただきましてありがとうございました。また、委員の方々から大変貴重なご意見を頂戴いたしまして、ありがとうございました。
 今後は、前回と今回のヒアリングの内容、それから、いただいたご意見を踏まえて事務局のほうで課題、それから論点を整理する作業を進めていただきたいと思います。
 それから、もし追加のご意見、コメントなどがございましたら、事務局のほうに書面でご提出いただくことが可能ですが、8月10日火曜日まで、もしご意見がある場合は書面でご提出ください。事務局のほうから後ほど提出の様式をメールで送らせていただくということであります。これを含めた上で整理をして、次回の小委員会でご議論をいただくというような段取りになります。
 それでは、最後に事務局から連絡事項などがございましたら、お願いいたします。

○高澤フロン等対策推進室長 委員の皆様方におかれましては、活発なご議論をありがとうございました。
 次回の開催の日程につきましては、また今後調整をさせていただきまして、改めてご連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ご多忙のところ恐縮でございますが、引き続きよろしくお願いいたします。

○富永委員長 それでは、以上で本日の議事は全部終了することになりますが、資料の取り扱いについては、既に前回にお知らせしましたようにすべて公開ということ、それから会議録については、事務局で調製した後、発言委員の皆様に確認をとらせていただきます。それで、会議録並びに議事要旨については、これも公開ということになります。
 以上です。
 本日は、どうもお暑いところありがとうございました。

午後5時08分 閉会