第1回中央環境審議会 地球環境部会フロン類等対策小委員会産業構造審議会 化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会フロン回収・破壊ワーキンググループ 合同会議 議事録

日時

平成17年10月7日(金)13:34~15:39

議事録

午後1時34分 開会

○小川環境保全対策課長 それでは、まだお見えでない委員の方もいらっしゃいますが、追ってお見えになられるご予定でございますので、ただいまから中央環境審議会フロン類等対策小委員会及び産業構造審議会フロン回収・破壊ワーキンググループ合同会議の第1回会合を開催いたします。
 会議に先立ちまして、まず笹谷秀光環境省地球環境局審議官よりごあいさつ申し上げます。

○笹谷審議官 環境省地球環境局審議官、笹谷でございます。
 本日は大変お忙しいところ委員各位にお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。また、日ごろから地球環境保全問題全体に関しまして、その推進にご尽力をいただいていること、この場をおかりしまして一言お礼を申し上げます。
 さて、本審議会でありますが、本年8月19日に小池環境大臣が中央環境審議会に対しまして「今後のフロン類等の排出抑制対策の在り方について」ということで諮問させていただき、地球環境部会に付議されました。そして、8月22日の部会におきましてフロン類等対策小委員会において検討をする、また、検討に当たりましては産業構造審議会化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会フロン回収・破壊ワーキンググループ、これと合同で会議を開催するということに扱われたところでございます。
 フロン類等のオゾン層破壊物質の放出が原因となりまして、成層圏のオゾン層は依然として脆弱な状態が続いているということはご承知のとおりでございますが、人の健康や生態系への悪影響が懸念されるわけでございます。
 気象庁の発表によりますと、本年の南極域オゾンホールは過去最大規模となった2000年、それから2003年に類似したペースで発達しており、ことしの最大時の規模はそれらの年と同程度、もしくは若干下回る程度になる見込みと言われております。
 また、オゾン層破壊物質の代替物質、いわゆる代替フロンガスによる地球温暖化への影響も近年重要な問題となっているところでございます。代替フロンガスは温室効果が高く、京都議定書における排出抑制の対象物質となっているということから、本年4月に閣議決定されました京都議定書目標達成計画に基づきまして各種対策を講ずることにより、その排出の増加を抑制していく必要があるわけでございます。
 特に、業務用冷凍空調機器に冷媒として使用されているCFC、HFCといったフロン類につきましては、現在フロン回収破壊法による回収・破壊が実施され、大気中への排出抑制が図られているところでありますが、廃棄される機器からの冷媒フロン類の回収率の低迷ということで、この合同会議ではその回収の一層の徹底を図るために、どのような必要な方策があり得るかを中心にご議論、ご検討をいただきたいというふうに考えております。
 委員各位の皆様におかれましては、そのご指導、ご鞭撻をいただきまして、実効あるフロン類対策を環境省としても講じてまいりたいというふうに考えておりますので、実り多いご議論をいただけるよう、ご協力のほどよろしくお願いしたいと思います。
 以上、簡単ではございますが、私のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○小川環境保全対策課長 それでは、続きまして塚本修経済産業省製造産業局次長よりごあいさつ申し上げます。

○塚本製造産業局次長 ただいまご紹介賜りました経済産業省製造産業局の次長、塚本でございます。
 今、笹谷審議官の方からごあいさつがございましたけれども、経済産業省といたしましても一言開催に当たりましてごあいさつを申し上げたいと思います。
 まず、日ごろから皆様にはこのオゾン層ホール地球温暖化防止施策の推進につきましてご理解とご支援を賜っております。心より御礼を申し上げたいと思います。
 皆様ご案内のように、我が国におきまして、いわゆるモントリオール議定書のスケジュールに沿いまして特定フロン等の生産等の規制、それから産業界の大変なご努力によります実質的な取り組みということで、代替物質等への転換や排出抑制が行われているということで、全体としてはおおむね期待どおりの成果が上がっておるということでございまして、改めて関係各位のご努力に敬意を表したいと思っております。
 今後さらにフロン類の排出を抑制するということで、生産、それから消費の抑制のみならず、いわば市中にストックされておりますフロン類の扱いということが問題なわけでございますけれども、これにつきましては既に空調冷凍冷媒に用いられているフロンにつきましては、関係の法令といいますか、家電リサイクル法、それからフロン回収法、それから自動車リサイクル法ということで対処がされているということでございます。
 今回の合同会議では特に業務用の空調冷媒であるわけですけれども、現在フロン回収破壊法で回収を図っているということでございますけれども、平成14年4月からということで法律ができたわけですけれども、毎年度約2,000トンということでフロン類を回収しているということでございます。ただ、現状ではこの回収がまだ十分でないということでございまして、先般閣議決定されました京都議定書の目標達成計画ということで、このフロン類の回収率を60%ということで回収の目標が掲げられておるということで、さらなる努力が必要であるということでございますので、この合同審議会におきまして早急に制度の見直しも含めご検討もいただくということでございまして、委員の皆様におかれましては、活発なご議論、ご検討をお願い申し上げたいということでございます。
 簡単ではございますけれども、経済産業省からも一言ごあいさつをさせていただきました。ありがとうございました。

○小川環境保全対策課長 それでは恐縮ですが、ここから座ったままで進行をさせていただきたいと存じます。
 議事に入ります前に、まず本日の資料の確認をさせていただきます。

○榑林フロン等対策推進室長 お手元の議事次第の紙、裏を返していただきますと資料一覧がございます。
 資料1、中央環境審議会フロン等対策小委員会委員名簿、1枚紙でございます。
 資料2、産業構造審議会フロン回収・破壊ワーキンググループ委員名簿、これも1枚紙でございます。
 資料3、諮問文、これも1枚紙でございます。
 資料4、産業構造審議会フロン回収・破壊ワーキンググループの設置について。
 資料5、合同会議の公開等について。
 資料6、検討事項について。
 資料7-1、これがホチキスどめの2枚紙、オゾン層破壊及び地球温暖化の状況です。
 資料7-2、これもホチキスどめしておりますフロン類の出荷、市中ストック、廃棄等の現状。
 資料7-3といたしまして、フロン等の排出抑制対策の現状。
 資料8-1、業務用冷凍空調機器の廃棄の現状とフロン回収に係る課題。
 資料8-2、業務用冷凍空調機器の整備の現状。
 資料9といたしまして関係者からのヒアリングについて。それから、参考資料を一まとめにさせていただいてあります。もし不足している資料等ございますれば、事務局までお申し出ください。よろしくお願いいたします。

○小川環境保全対策課長 それでは、本日第1回の会合でございますので、小委員会及びワーキンググループの所属の委員の方につきましてご紹介をさせていただきます。全体の名簿につきましては、資料1及び資料2にあるとおりでございます。本日のご出席の委員の方々についてご紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、委員長及び座長のご紹介でございますが、中央環境審議会フロン類等対策小委員会委員長の東京大学名誉教授の富永健委員でいらっしゃいます。
 それから、産業構造審議会フロン回収・破壊ワーキンググループ座長、新潟大学自然科学研究科教授の中井武委員でいらっしゃいます。
 続きまして、こちらの方から座席順にご出席の委員の方のご紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、小委員会ご所属の鹿島建設株式会社東京事業本部東京建築支店建築部設備工事管理部長の西田文明様です。本日は代理で米谷様にご出席をいただいております。
 小委員会及びワーキンググループご所属の群馬大学教育学部助教授の西薗大実委員です。
 小委員会ご所属の株式会社旭リサーチセンター代表取締役の永里善彦委員です。
小委員会ご所属の東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授の坂本雄三委員です。
小委員会及びワーキンググループご所属の東京都環境局都市地球環境部長の小山利夫委員です。本日は代理で山本環境配慮事業課長にご出席をいただいております。
小委員会ご所属の財団法人ひょうご環境創造協会副理事長の小林悦夫委員です。
小委員会ご所属の日本労働組合総連合会副事務局長の久保田泰雄委員です。
小委員会ご所属の横浜国立大学大学院環境情報研究院教授の浦野紘平委員です。
小委員会ご所属の社団法人全国解体工事業団体連合会常務理事の出野政雄委員です。
小委員会委員の気候ネットワーク代表の浅岡美恵委員ですが、追ってお見えになる予定でございます。
 ワーキンググループご所属の有限責任中間法人オゾン層・気候保護産業協議会事務局長の上村茂弘委員です。
ワーキンググループご所属の社団法人日本空調衛生工事業協会専務理事の大久保和夫委員です。
ワーキンググループご所属の財団法人食品産業センター技術開発部次長の片山博視委員です。
ワーキンググループご所属の早稲田大学理工学部教授の勝田正文委員です。
ワーキンググループご所属の社団法人日本冷凍倉庫協会技術部長の川野長太郎委員です。
 小委員会及びワーキンググループご所属の社団法人日本冷凍空調工業会専務理事の岸本哲郎委員です。
ワーキンググループご所属の社団法人不動産協会事務局長代理の中村光男委員です。
ワーキンググループご所属の日本フルオロカーボン協会事務局長の森田浩委員です。本日は代理で安東様にご出席をいただいております。
 ワーキンググループご所属の社団法人日本フランチャイズチェーン協会環境委員会委員長の山口秀和委員です。
小委員会及びワーキンググループにご所属の社団法人日本冷凍空調設備工業連合会専務理事の吉川慧委員です。
以上のほかに、小委員会の方で早稲田大学法学部教授の大塚直委員と静岡県環境森林部地球環境室長の遠藤和明委員がいらっしゃいますけれども、本日は所用でご欠席ということでございます。
 それから、浅岡委員、先ほどご紹介いたしましたけれども、お見えになられましたのでご紹介いたします。
 次に、事務局の紹介をさせていただきます。中央環境審議会の方から順にご紹介いたしますと、まずごあいさつ申し上げました環境省地球環境局の笹谷審議官でございます。
 申しおくれましたけれども、私、地球環境局環境保全対策課長の小川でございます。
 地球環境局のフロン等対策推進室長の榑林です。
 担当の柳田専門官です。
 ワーキンググループの方でございますが、塚本製造産業局次長でございます。
 獅山化学物質管理課長でございます。
 斉藤オゾン層保護等推進室長でございます。
 担当の岡田補佐です。
 担当の野田補佐でございます。
 それで、ここから議事に入っていただきますけれども、その前に本合同会議において審議を行うことになりました経緯について、事務局から簡単にご説明をさせていただきます。
 まず、中央環境審議会の方の経緯でございますが、資料の3をごらんいただきたいと思います。これが冒頭審議官からごあいさつの中でご紹介いたしましたけれども、環境大臣から中央環境審議会会長への今後のフロン類等の排出抑制対策のあり方についての諮問でございます。これは地球環境部会に付議されまして、本年8月22日に地球環境部会を開きまして、この中でフロン類等対策小委員会で審議を行うこと、また産業構造審議会のフロン回収・破壊ワーキンググループと合同で審議することが了承されたところであります。
 なお、この部会の際にご意見をいただいておりますので、参考資料の1、厚い資料の前の方のページ、2ページ目でございますけれども、これについて若干ご紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、全般的な事項といたしまして、フロン等の回収・破壊について今回中心になります業務用の冷凍空調機器以外についても全体的に進めていくことが重要ではないか。国内のフロン全体のマスフローを把握できるようなシステム、また回収率についても改めて確認する必要があるのではないかといったご意見。業務用の冷凍空調機器については、制度の認知度が低いということを検討すべきだということ。廃棄からの回収に加えて、整備時についても廃棄時同様の位置づけが必要ではないか。代替フロン等3ガスの排出抑制については、産業界の側で努力を進めているけれども、それに対しまして使用機器からの事後の回収率が低いということで、努力に不公平があるのではないかというご指摘がございました。
 また、2として所有者と取次者の責任関係でございますが、現行法で取次者の位置づけがあいまいなので、これを明確にすべきではないか。それから、便益を受けているのは使っている使用者であって、一方、取り次ぎを行う建築業者、解体業者などは取り扱いの面、それから費用負担の面で検討すべきところがあると、取次者に過大な責任を負わせるべきではないのではないかというご指摘がございました。それから、排出者(所有者)責任を明確にして、機器の確認をして使用者に知らせるような仕組みが必要ではないかといったご意見がございました。
 次に、フロン回収における経済的インセンティブの問題です。フロンの回収のために経済的インセンティブを持たせるような方法を検討すべきというご指摘がありまして、一方、廃棄者に経済的インセンティブを与えるのは難しいので、情報公開的な手法が考えられるのではないかというご指摘、それから市場価値のないものについてはインセンティブが働かないので、何かデポジット等の制度を考えるか、あるいは取り締まり、罰則という形が必要ではないかというご意見がございました。
 裏を見ていただきまして、諸外国の状況といたしまして、他国と比較して日本の排出抑制対策が進んでいるのかどうかというご指摘がございました。それから、日本の技術を途上国に積極的に技術移転していくべきではないか。逆に諸外国で進んでいる国があれば取組を参考にすべしというご意見がございました。
 化学物質管理の視点といたしまして、製造者責任の問題について化学物質管理全体の議論の中で検討すべきではないかという視点、それから市中に大量に蓄積している物質、フロン等が当たりますけれども、その排出抑制管理について、化学物質全体での管理というのを視野に入れて検討すべきではないかというご指摘があったところでございます。
 以上、中環審での経緯でございますけれども、続きまして産構審での経緯につきまして事務局からご紹介をいたします。

○斉藤オゾン層保護等推進室長 それでは、資料の4に基づきまして産業構造審議会のワーキンググループ設置についての背景などをご説明させていただきます。
 問題意識としましては、先ほど来、中央環境審議会の関係でお話があったこととほぼ共通するわけでございます。ここでは少々実務的な観点でまとめさせていただいております。京都議定書目標達成計画というものがことしの4月に閣議決定されているわけでございますが、その中にかねてからお話があります業務用の冷凍空調冷媒回収率の問題が取り上げられておりまして、これを目標としまして、60%の回収率というふうなことが、別表ではございますけれども、掲げられておるわけでございます。また、あわせて補充用冷媒の回収率については30%というふうな記述もございますけれども。
 ここで問題になっておりますのは、実績として我々が把握しておるところ、どうもこの回収率が3割か4割弱ぐらいにとどまるのではないかというふうなことが把握されておるわけでございますけれども、何らかの抜本的な制度改正を必要とするのではないかというふうな問題意識がございます。
 いうふうなところで、京都議定書の目標達成計画にもあるわけでございますけれども、今後制度的な見直しを含めた回収率向上対策を講じるというふうな文言にも載っておりまして、このたびワーキンググループを設置させていただきまして、係る問題などを論議・検討させていただきたいというふうに考えておるところでございます。
 下の審議事項でちょっと図表がございますが、このワーキンググループの位置づけでございます。
 地球温暖化防止対策小委員会というものが化学・バイオ部会のもとにあるわけでございますが、先日この小委員会の各委員の方々に書面審査をお願いしましたところ、全員一致でご解答がありましたが、この係るワーキンググループの設置についてご了解が得られたところでございます。したがって、今日の開催の運びとなったわけでございますが、環境省の中央環境審議会の小委員会の論議と合同でこの問題について深くご論議いただきまして、一定の成果を得たいというふうに考えております。
 以上でございます。

○小川環境保全対策課長 それでは議事に入りたいと思いますが、まず本合同会議の議事進行につきましては、合同会議でございますので、富永小委員会委員長と中井ワーキンググループ座長のお2人に、その会ごとに交互に務めていただくということでお願いをしているところでございます。本日は富永委員長に議事進行をお願いすることとなっております。
 また、本日の事務局からのご説明につきましては、中環審事務局の方が主に担当して分担をして説明をさせていただいています。
 それでは富永委員長、これ以降の進行をお願いいたします。

○富永委員長 中央環境審議会地球環境部会の須藤部会長からご指名がございまして、私がこのフロン等対策小委員会の小委員長を務めさせていただくことになりました。
 なお、本合同会議の議事進行につきましては、既にご紹介がございましたように、中井座長と交互に務めさせていただくわけであります。
 ちょっと一言ごあいさつ申し上げますが、先ほどのお話にもございましたし、ご承知のようにCFC、HCFC等のフロンにつきましては、オゾン層破壊物質ということでありますし、それからそれ以外のHFC等のフロン類につきましても、これは温室効果ガスということで問題になっておりますが、現状を見ますと確かにこれまでのフロン規制によって一定の効果は確かに見えてきておりますけれども、まだオゾン層の完全な回復というところまでは道が遠いという状況、それから地球温暖化の方につきましては、京都議定書の目標達成ということのために、特にフロン類の排出抑制の強化、特には今回の議題でございます業務用冷凍空調機器の冷媒の回収率の向上といったようなことが急務になっているわけでございまして、それでこういったフロン類等の排出抑制の対策の強化というようなことについてご議論をいただく、ご審議いただくわけでございますので、ひとつ委員の皆様方にはどうかよろしくご協力いただきたいと思います。
 それでは、早速本日の議題に移りたいと思いますが、まず最初の議題として合同会議の公開及び検討事項について、事務局の方からよろしくお願いいたします。

○小川環境保全対策課長 それでは、資料5と資料6をごらんいただきたいと思います。資料5が中環審小委員会及び産構審ワーキンググループ合同会議の公開等についてという資料でございます。事務的な取り扱いについての案でございます。
 まず、1として合同会議の議事は公開することとし、配付資料については、この会議において非公開と決したものを除いては公開するということでございます。
 それから、会議録につきまして事務局で作成して、出席した委員の全員のご了承を得た上で公開をするというものです。
 3番といたしまして、もう少し簡単な議事要旨についてですが、これは事務局において作成しまして、小委員会委員長及びワーキンググループ座長のご了解を得た上で公開をするということでございます。
 それから、4番として議事進行についてでございますが、基本的には出席委員の全会一致によって決することといたしますけれども、採決を行うという必要が生じた場合には、合同会議の特別な扱いでございますが、中環審小委員会の出席委員の過半数と、それから産構審ワーキンググループの出席委員の過半数、両方の過半数をもって決するということでございます。
 続きまして、資料6の方をごらんいただきたいと思います。合同会議における検討事項についてということで、大枠の検討事項についての案でございます。
 1といたしまして、オゾン層破壊物質、ハイドロフルオロカーボンといったフロン類等の大気中への排出を抑制するための対策に関することでございます。
 2として、特に業務用冷凍空調機器に冷媒として使用されているフロン類の回収を徹底するための対策に関すること。
 以上の2点でございます。よろしくお願いいたします。

○富永委員長 ありがとうございました。ただいまのご説明に関しまして、何か特段のご意見ございますでしょうか。
 よろしゅうございますか。

○小川環境保全対策課長 委員長、ちょっと追加でご説明をさせていただければと思いますが、資料6の方の裏側に今後のスケジュール、今の考え方を書いております。本日の後、10月20日に第2回を開きまして、その後11月、12月までで案を取りまとめていただいて、パブリックコメントを行って、1月をめどに最終の結論を取りまとめていただくというものでございます。

○富永委員長 では、ただいまの補足も含めて特にご意見ございますでしょうか。
 それでは、ご意見ございませんでしたら、本合同会議の公開並びに検討事項につきましては、資料5、それから資料6のとおりとさせていただきます。
 それでは、続きまして2番目の議題、フロン類の排出抑制に係る現状と課題に移りたいと思います。
 説明は事務局からお願いいたします。

○榑林フロン等対策推進室長 それでは、お手元の資料の7-1から7-3を用いまして、オゾン層及び地球温暖化の状況、それからフロンの排出の現状、フロン等の排出抑制対策の現状について簡単にご説明申し上げます。
 まず、7-1をごらんいただきますと、上の方に横軸に西暦、縦軸にオゾン層全量といったグラフがございます。ここにございますように、オゾン量というのが1980年以前と比べて少ない状況が続いていると。日本の上空においても、特に高緯度地方において長期的な減少傾向が見られる。
 下のグラフをごらんいただきますと、これは南極上空のオゾンホールの面積でございます。昨今、ことしはオゾンホールが去年と比べて大きい・小さいというような議論がございますが、ごらんいただきますと、1980年ごろと比べましてどんどんオゾンホールの面積が大きな状況になっておりまして、このところ高いところで若干の上下があるといったことで、南極のオゾン層は依然として深刻な状況にあるといったような状況でございます。
 次のページをごらんいただきますと、大気環境中のフロンの濃度はどうなっているかというグラフでございます。上のグラフがオゾン層破壊、一番初めに問題になりましたCFCでございます。ずっと濃度が上がってまいりまして、先進国におけるCFCの規制が開始された1989年から少しずつ上がる速度が緩くなってきて、先進国におけるCFCが全廃、1996年以降は上昇はなくなったものの、ほぼ横ばいのような状況が続いているわけでございます。
 下の方の2つの図は、HCFC、それからHFCでございまして、こちらにつきましては大気中の濃度は、まだ増加が続いているといったような状況でございます。
 続きまして、3ページの方にまいります。
 温室効果ガス排出量に占めるフロン等の割合はどうなのかということでございます。上の円グラフをごらんいただきますと、産業革命以降、人為的に排出された温室効果ガスに占めるようなフロンの割合はどうかというと、一番色が濃い部分、CFC、HCFCで13.5%、この程度の寄与があったというようなことがIPCCの報告書で取りまとめられているわけでございます。
 続きまして、温暖化対策のための京都議定書の対象である温室効果ガスの排出量に占める代替フロン等の3ガスの割合はどうかということですが、約1.9%、ただし京都議定書の中ではCFC、HCFCというのは京都議定書の対象にはなっていません。
 次のページへ行っていただきますと、フロンと代替フロンの関係といったものを簡単にお示ししております。
 まず、フロン(特定物質)、CFCやHCFCは、冷媒や発泡剤、溶剤、洗浄剤、エアゾール等に使用されてきて、オゾン層破壊効果があるといったことから、モントリオール議定書、オゾン層保護の観点から代替フロンへの転換が図られてきたわけでございます。
 一方で代替フロンとして使われていますHFC、オゾン層破壊効果はないものの、地球温暖化効果があり、CFCからの代替が進むことによってHFCの排出量が増加するため、京都議定書ではこの量を削減していくというような必要がございます。対策としてはノンフロン化といったものも検討していくといったような状況になっております。
 下の方のグラフをごらんいただきますと、代替フロン、3ガスと言われるものです。棒グラフの一番下の灰色の濃い部分がHFC、それからその上の白っぽいところがPFC、こちらは洗浄剤などに主に使われております。その上のSF6、マグネシウムやアルミニウムの鋳造のときだとか電気絶縁用に使われているわけでございます。そういったSF6、PFC、どんどん少なくなってまいりますけれども、HFCに関しましてはCFC、HCFCの代替として使用量がどんどん増加しておりまして、2010年にはかなり多くなると推計されています。これをいかに下げるかといったのが課題になっているわけでございます。
 続きまして、資料の7-2にまいります。フロン類がどれだけ出荷されていて、市中にどれだけたまっていて、廃棄はどうなっているのかといったことを簡単にご説明申し上げます。
 図の7-2-1というのが全世界におきますフロン類の生産量の推移でございます。1980年から灰色の部分、要するにCFCがずっと使われてきて、1988年、約130万トンぐらい生産量があったわけでございますけれども、モントリオール議定書の発行の1989年からどんどんとCFCの生産量は減ってまいりました。それにかわってHFCFがふえてきて、先進国におけるCFC全廃、HCFC規制が開始、1996年ごろからは今度はHFCへの転換が進んできて、最近では大体これらのフロン類、50万トンぐらい生産されているのが現状でございます。
 それでは、世界のCFC、HCFCの消費に占める我が国の位置づけといったのはどんなものかということで、生産されている間の累積値をごらんいただけると思います。左側の方がCFCでございます。世界累積生産量の10%、HCFCに関しましては14%と、かなりの部分が日本で生産されているわけでございます。
 次のページへまいりますと、今度は大体フロン等3ガスの排出量の推移と我が国の位置づけでございます。2002年時点で京都議定書の附属書I国全体の3ガスの排出量というのが基準年の10%増でございますけれども、日本は45%削減しているといったことがございます。一方で、米国、中国、ロシア、日本、韓国といった上位5カ国で全体の75%を占めているといったような現状でございます。
 下の方のグラフをごらんいただきますと、北米の排出量というのが1995年から2002年まで、平均5%弱で増加していますが、我が国は期間中、年間平均-7.8%で推移してきているといったことでございます。
 続きまして、それでは日本におけるフロン類の出荷量はどうかということでございます。先ほどの世界の動向をごらんいただきましたけれども、世界の動向と同様に、フロンの生産量は、ピークで20万トン近くあったものがどんどん減ってまいります。種類につきましても、CFC、HCFCからHFCへの転換がだんだん進んできて、2002年では約5万トンぐらいといった状況でございます。さらに、これをCO2換算、フロンの性質によりましてそれぞれ温暖化への寄与というのが変わってきますので、その寄与も勘案して、CO2に換算したらどのぐらいの温暖化効果のものを製造していたかというふうにしてみますと、さらに削減のぐあいが著しいということがごらんいただけるかと思います。
 続きまして4ページの方です。こちらにまいりますと、用途ごとに見てまいりますと、グラフの一番根元のベースになっている部分が冷媒その他、その上に発泡剤、エアゾール、洗浄剤というふうになっておりまして、洗浄剤とかエアゾールというのはどんどん出荷量が減ってまいっていますけれども、発泡剤、冷媒といったものはなかなか他のものにとって替われない部分もあり、製造が続いています。直近で見てみますと、HCFCで62.9%、HFCで76.4%が冷媒で用いられているといったものでございます。
 続きまして、5ページ、フロン類の市中ストックの量でございます。先ほどは化学物質としてのフロンの生産というのが世界で見ても日本で見てもどんどん減ってきているというふうに申しましたが、一方でエアゾールのように使われてすぐに大気中に放散されてしまうものもございますし、冷媒のように製品中にストックされているものもございます。そういったストックされているものの量を見てみますと、例えば業務用冷凍空調機器で約10万トン、家庭用機器で8万トン、カーエアコンで5万トン、建材用の断熱材で10万トンということで、合計しますと33万トン、大体最近の生産量で言うと数年分以上ぐらいはストックされているような状況になっているということでございます。
 次のページをごらんいただきますと、それではそういったストックされた用途から徐々に大気中や環境中に出る、捨てられるような量はどのぐらいかということでございます。上のグラフが冷媒に用いられるフロン、下のグラフの方が建材用断熱材に用いられるフロンでございます。ピークが既に済んでなだらかにずっと下がってきているという上のグラフでございますけれども、これがCFC。今まさに2005年現在でピークを迎えようとしているのがHFCです。それから、今後どんどん廃棄量がふえてくるだろうと予想されるのがHFCでございます。一方で、建材用の断熱材に用いられているフロンというのが、建材、建物の寿命が尽きるときに壊され排出されるというふうに仮定いたしますと、今、少しピークが来る時期が遅くなっていまして、大体2018年ぐらいにCFCのピークが来るんじゃないかというふうに推計されております。
 続きまして冷媒で用いられているフロンというのは具体的にどんなところに用いられているのかというのが次のページの図でございます。例えば、店舗用のエアコンであるとかビル用マルチエアコン、こういったパッケージエアコンと言われるもの、それからターボ冷凍機、ビルの地下なんかに置いてあります大規模なもの、それから冷凍冷蔵ショーケース、飲食店などで置かれているようなもの、小型チラー室外機、業務用冷凍冷蔵庫、輸送用冷凍ユニット、第一種特定製品と言われているのが今フロン回収破壊法で対象になっている第一種特定製品でございます。
 第二種特定製品としてカーエアコン、現在、自動車リサイクル法で対処なされております。
 家電リサイクル法対象製品として、冷蔵庫やルームエアコンというのがございます。
 具体的にこれらの生産量、廃棄量はどんなものかというのが次のページにごらんいただけます。先ほど申し上げましたパッケージエアコンというのが折れ線グラフ、出荷量の一番上のところでございます。ピーク時には年間100万台を超えるものが生産されているといったものでございます。
 それでは、それらに含まれているストック量、フロンがどのぐらい含まれているかというのを推計したものが下の表でございます。ずっと見ていただいて、合計のところをごらんいただきますと、フロンが入っているような機器、第一種特定製品と言われるものが大体市中に2,100万台ぐらいございます。これらが毎年毎年100数十万台廃棄に回っているというのが現状でございます。ストックで見てみますと、一番多いのがパッケージエアコンが約1,000万台、2番目がショーケースで350万台、3番目が飲料用の自動販売機で250万台ということで、それぞれ含まれているフロンの量でもパッケージエアコンが全体の6割を占めるといったような状況になっております。
 対策につきまして、7-3でご説明させていただきます。
 先ほど来、フロン対策というのがオゾン層の保護と地球温暖化防止の両面があるということで申し上げていますけれども、日本だけでなくて、国際的な取り組みとしてオゾン層の保護の観点からウィーン条約、それからモントリオール議定書があり、それに基づく国内法としてオゾン層保護法がございます。
 一方で、地球温暖化防止の観点からは、気候変動枠組み条約、それから京都議定書といったもの、それに基づく地球温暖化対策推進法、京都議定書の目標達成計画といったものがございます。オゾン層の保護、地球温暖化の防止、両方の観点から特定製品からの冷媒フロンの回収・破壊を進めようというものとしてフロン回収破壊法、それから個別の機器からの対策として家電リサイクル法、自動車リサイクル法といったものがあるわけでございます。
 次のページをごらんいただきますと、フロン類の排出抑制の体系図ということでございますが、フロン回収破壊法がございます。目的のところにございますように、フロン類の大気中への排出を抑制するために、特定製品に使用されているフロン類の回収及び破壊の実施を確保しましょうということでございます。ここの上にございますように、廃棄者から回収業者にフロンを引き渡し、それから破壊業者で破壊しようと。その管理をしっかりするために、回収業者については都道府県知事の登録制と、破壊業者については主務大臣の許可制度といったものを設けているわけでございます。
 次のページをごらんいただきますと、実際の法律の施行状況でございます。細かな数字は4ページの表の方でございますけれども、5ページの方の流れを見ていただきますと、第一種特定製品の廃棄者、ビルのオーナーであったり、委員の方々もいろいろな業界から来ていただいていますけれども、そういった業界から出されるような冷凍冷蔵庫であり、それから空調機でありというのは、年間100数十万台廃棄されます。その中から回収されるフロンというのが1,889トン、これが平成15年の実績でございます。そのうち再利用が336トンございまして、1,509トンが破壊業者に回ります。フロン回収業者は全国で2万6,824業者登録されておりまして、破壊業者は81業者でございます。
 具体的に、ほかのエアコンや冷蔵庫、自動車からどのぐらい回収されているかというのが表7-3-1でございまして、大体業務用冷凍空調機器から回収している量と、その他から回収されている量を足し合わせたものが同じぐらいの量といったような状況になっています。
 続きまして、京都議定書の目標達成計画における位置づけといったものでございます。
 ご承知のように、京都議定書が今年の2月に発行いたしまして、我が国についても温室効果ガスの6%削減が法的な拘束力があるような約束として定められています。ここではCO2を削減するために省エネに努めましょうとか、いろいろな対策もございます。代替フロン等3ガスについても、このままでいきますと6,700万トンCO2換算のものを追加対策によって5,100万トンまで減らしていかなければならない。そのために具体的な措置として、目標達成計画の中に掲げられているものといたしましては、表の7-3-2にございますように、業務用冷凍空調機器の冷媒回収率というものを60%まで向上させようと。あと、補充用の冷媒の回収率を30%にしよう。そのための施策といたしまして、業務用冷凍空調機器のフロン回収に関する制度面の抜本的見直しを含めた回収率と構造対策を検討しましょうと、こういったぐあいになっている状況でございます。

○野田補佐 続きまして、資料の8-1をご説明させていただきます。
 資料8-1、業務用冷凍空調機器の廃棄の現状とフロン類回収に係る課題と題した資料をごらんください。
 1.の業務用冷凍空調機器からのフロン類の回収率についてご説明をさせていただきたいと思います。
 資料7-2でごらんいただいたとおり、業務用冷凍空調機器というのは非常に多種多様でございまして、またさまざまな場面で利用されております。また、機器のサイズもさまざまであることから、充てんされております冷媒量も多様でございます。したがいまして、廃棄台数の実数の把握というのは非常に難しいところがございますけれども、推計では150万台から190万台程度の機器が毎年廃棄され、その中には約5,000トンから6,800トン程度の冷媒フロン類が充てんされているものと考えられております。
 先ほど資料7-3の3.フロン回収破壊法の施行状況でご説明しましたとおり、平成15年度の業務用冷凍空調機器からの回収量は約1,890トンとなっております。また、平成14年度は約1,960トンですので、おおむね毎年2,000トン程度が回収されておるということでございます。したがいまして、回収量ベースで見ますと約3割台程度の回収率となっておるわけでございまして、こちらについてはさらなる回収の徹底を図る必要がある状況であると認識をしております。
 続きまして、2.回収率が低い水準にある原因の分析でございます。
 回収率が低位にとどまっている原因の分析の説明に入ります前に、フロン回収破壊法の制度の概要について資料8-1の最後のページの図で簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
 こちらのフロー図は、第一種特定製品、すなわち業務用冷凍空調機器でございますが、これが使用済みとなり廃棄される際の機器の流れと回収される冷媒フロン類の流れを示した図でございます。
 先ほど資料7-3の2.フロン回収破壊法の概要で説明させていただきましたとおり、フロン回収破壊法の制度におきましては、業務用冷凍空調機器を廃棄しようとする者、つまり廃棄者がその機器に充てんされております冷媒フロン類をみずから、または他の者に委託しまして、フロン類回収業者に引き渡さなければならないという義務が課せられております。つまり、業務用冷凍空調機器の廃棄者はみずからが回収業者に電話等をするなりしてフロン類の回収を依頼するか、もしくは第三者に回収業者への取り次ぎを委託しなければならないということになります。
 廃棄者と回収業者の間に入ってフロン類の回収を取り次いでおるというような人たちというのは、このフロー図にありますように、業務用冷凍空調機器そのものの廃棄にかかわる事業者、すなわち建物の解体やリフォームに伴う廃棄の場合には建設業者や設備工事業者、機器のみを廃棄する場合には産業廃棄物処理業者などであると考えられております。いずれにせよ、廃棄者はみずから回収業者へ回収を依頼するか、もしくは回収業者への取り次ぎを第三者に委託するか、どちらかの対応をしなければならないという制度になっております。
 戻っていただきまして、1ページ目をごらんください。
 さて、回収率が低位にとどまっているという状況を受けまして、私ども経済産業省、環境省におきましては、昨年度、業務用冷凍空調機器の廃棄に関係する事業者を対象にアンケート調査を行うとともに、それぞれ回収率が低位にとどまっておる原因の分析を行い、フロン回収破壊法の課題についてそれぞれ検討を行っております。1ページ目下段から3ページ目の中段にかけまして、その検討において指摘された問題点を記載しておりますので、その内容をご説明をさせていただきたいと思います。
 初めに、「フロン類回収を推進するために考えられる方策と検討課題について」における問題点の指摘でございますが、大きく3つの問題点を指摘しておるところでございます。
 第1に業務用冷凍空調機器の廃棄者の問題点でございます。具体的には、廃棄者がフロン回収破壊法第19条の引き渡し義務、すなわち、みずからまたは他の者に委託してフロン類を回収業者に回収させなければならない義務をそもそも認識をしていないのではないかという問題、そして認識していたとしても適切にその発注を回収業者や機器廃棄を行う業者に行っていないという問題であります。後者につきましては、建物の解体やリフォームといった機器の廃棄にかかわる契約中において、フロン回収に係る費用項目を明記していないということがあるという問題も指摘されております。
 2ページ目をごらんください。第2に取次者の問題点でございます。具体的には、廃棄者から回収業者への取り次ぎを受託した取り次ぎ業者がフロン類の回収を確実に発注しなければならないとの意識がなく、回収の発注がなされていなかったり、機器の廃棄に際して複数の業者を経ていく中で発注やその費用が伝わらないということがあるという問題でございます。
 第3にその他の問題点といたしまして、機器の整備、メンテナンス時における業務用冷凍空調機器からのフロン類の回収につきましては、現行法では義務づけがなされておりませんが、この整備時に開始されたフロン類がどのように扱われているのかについて明確ではないという問題があるという指摘でございます。
 また、回収業者に十分な回収能力がない場合や、フロン類回収に十分な作業時間を確保していないというような場合があることによって、適切な回収が行われていない場合があるという問題点の指摘もされております。
 続きまして、2ページ下段の「業務用冷凍空調機器フロン類回収システム検討調査」の指摘をご説明させていただきます。
 問題点の1点目といたしまして、フロン回収破壊法は機器の廃棄時にフロン類を回収業者に引き渡すこと、フロン類をみだりに放出してはならないことが義務づけられているが、廃棄時の引き渡しについて取り次ぎ業者に回収の発注を依頼することに関して、具体的な措置の規定というのを置いておりませんので、その実行性というのが必ずしも確保されていないのではないかという指摘。
 問題点の2点目としまして、フロン回収破壊法は機器の整備時におけるフロン類の回収作業の具体的な措置の規定を置いておりませんので、その記録の保存でありますとか、自治体への実施報告等の義務づけがなされていないので、その辺の扱いというのが明確ではないという指摘。
 問題点の3番目といたしまして、廃棄者から機器の撤去工事等を受注した元請業者が機器の処理とフロン類の回収作業を一括して整備工事業者や解体業者に依頼をしているような場合、元請業者、設備工事事業者等を経てから、さらに下請等を経ていく段階で、フロン類の回収の依頼が途切れているおそれがあるという指摘。
 問題点の4番目といたしまして、報告されている回収実績によりますと、収集率に報告によって齟齬が見られる点もあり、回収業者によっては適切に回収を行っていないおそれがあるのではないか。こういった原因としては、この法律というのが機器の自己保有等を義務づけていない、資格要件が定められていない、十分に回収を行えない業者がこの制度のもとでは許容されているということがあるのではないかという指摘がされております。
 「3.業務用冷凍空調機器からのフロン類回収率向上に係る課題」といたしまして、この2つの検討報告に共通して指摘されております事項を次の4点に整理をしております。
 第1に、業務用冷凍空調機器の廃棄者が適法にフロン類を引き渡していない可能性があるということ。第2に、業務用冷凍空調機器の廃棄者が機器の廃棄とフロン類の引き渡しを一括して第三者に委託した場合において、回収の発注等がさらに下請の事業者等を経ていく段階で途切れてしまい、回収事業者まで到達していない可能性があること。第3に、回収業者による回収が適切に行われていない場合の可能性があること。第4に、機器の整備時に回収されたフロン類の扱いについて不明であること。
 以上が業務用冷凍空調機器からのフロン類回収率向上に係る課題として検討されたことでございます。
 以上でございます。

○榑林フロン等対策推進室長 続きまして、資料の8-2に基づきまして整備時の現状を簡単に申し上げます。
 フロン回収破壊法で、業務用冷凍空調機器からフロンを抜く場合というのは2通り考えられます。1つはもうその機器を使わなくなって要らなくなってしまったんでフロンを抜く場合、もう1つは、例えば修理だとか整備をしなければならないときに抜くといったようなことがございます。現行の法律では、フロン類のみだり放出の禁止、それから回収・運搬基準の遵守といったものは共通でかかっているわけでございますけれども、機器廃棄時には、例えば回収した量について都道府県知事に届けろといった規定、それから所有者が回収業者に回収したフロンを引き渡さなければならないといった規定があるわけでございますけれども、整備のときには回収量の届け出等の規定というのは設けられてないわけでございます。
 次のページを見ていただきますと、法律に基づいて先ほど1,889トン年間回収されているというふうに申し上げましたけれども、整備のときの回収量というのがどうかというと、全国データはないのが現状でございます。そこで、幾つかの自治体、東京都であるとか、静岡県、群馬県、条例その他で整備のときの回収量を把握している自治体のデータを幾つか挙げてみました。色が濃い方が廃棄時に回収された量、それから薄い方が整備時に回収された量です。自治体によって多少の違いはございますけれども、廃棄時の半分から、東京都に至っては廃棄時より整備時の方が回収量が多いといったようなこともあります。
 さらに右のページへまいりまして、整備時におけるフロン回収等の課題で、具体的な課題について、例えばアンケート調査の自由記述欄等でご指摘されたもの、幾つかご紹介します。
 例えば、整備時におけるフロン類回収の取り扱い、2番目の丸のところをごらんいただきますと、建設業者、設備業者、機器使用者等ではフロンガス回収を行うのは機器を廃棄する者が該当するだけであり、機器の移設、機器修理はフロンガスの回収は必要ないと解釈している場合があるといったようなご指摘もございます。
 さらに、回収されたフロン類のマスフローというのがちゃんととれていないとの指摘があります。
 それから、費用負担のところの1番目の丸では、廃棄に伴うものについてはユーザーの方々もだんだんわかってきていただいて、それに生じた費用を支払ってくれるんだけれども、修理に伴って回収したフロンについてはユーザーになかなか理解してもらえずに、費用を負担してもらえないといったようなケースがあると、こういった声も都道府県行政の担当者会議、セミナーのときに書かれているようなものもございます。
 以上、整備の現状でございます。

○富永委員長 どうもありがとうございました。以上でオゾン層破壊と地球温暖化の状況、それからフロン類の生産消費などの現状、排出抑制対策の現状、こういった事柄について事務局の方から取りまとめてご説明いただいたわけでありますが、ここで委員の皆様からご質問、ご意見をちょうだいしたいと思います。今回は第1回でございますので、全体を見渡していろんなご質問があるかと思いますが、まずご自由に発言していただきたいと思います。
 それで、ご発言になる方は、ちょっとこの名札を立てていただきましょうかね。大体時間の方がある程度制約がございますので、1時間ぐらい質疑の時間を予定しておりますが、もちろん関連質問ということがまたあると思いますけれども、今の時点でまず発言の予定の方はちょっと札をお立てください。その後も、ご発言になるときは札を立てていただければと思います。
 それで、よろしければこちらの方から、左の方から今回は時計回りに順に当てさせていただきますが、久保田委員は途中ご退席と伺っていますが、何かご発言ございますか。もしご発言があるようでしたら、どうぞ先に。

○久保田委員 労働組合の立場で今、何か考え方を持っているわけではありません。そこまで準備をしてきょう臨んでおりませんので、関係の組合等々からも一度ヒアリングも含めて行う必要があるんじゃないかと思います。
 質問ですが、2つあります。
 家電リサイクル法や自動車リサイクル法のような、必ずしもこれらは同じシステムではないと思っていますが、この種の取り組みを進めていく上できちっと回収ができない一番のネックは、絞り込んでいくとどこにあるのか、何かありましたら、事務局で結構ですが教えていただきたいと思います。もう一つは何か日本以外の国で、例えばヨーロッパ諸国等々でどのような制度になっているのか、回収率等の状況はどうなのかということについて、情報がありましたら教えていただきたいと思います。
 以上です。

○富永委員長 2つご質問がありますけれども、事務局の方でよろしいですか。

○榑林フロン等対策推進室長 まず、1番目のご質問、現状どこが課題かと考えているかというようなことでございますが、1つは家電リサイクル法、自動車リサイクル法、立ち上げ当時はやはり制度の周知といったのが不十分だったこともありまして、そのための周知活動をどんどんやってきたわけでございます。
 業務用冷凍空調機器というと、扱っている人が少ないかなと思いきや、先ほどお話もございましたように、市中に2,100万台あり、そういった多くのユーザーの方々にこれは所有者の責任で処理費用を払ってもらうんだよといったようなことを周知する、それから制度的にそれがうまくいくようなことを考えなければいけないだろうというのが1つの課題だと思います。
 また、次の課題といたしまして、廃棄者が廃棄しようと思ったときにだれにお願いしたらいいんだ、どんなルートがあるんだというような、ルートが複雑であったり、きっちりと回収業者まで渡るようなところがすっきりしないといった部分、ここをはっきりしなければいけないんじゃないかということ、それらがあるかと思います。
 海外につきまして、幾つか調べて見ました。同様に回収についての制度がある国はあるんですが、全国的にどのぐらい回収がうまくいっているとかいっていないという統計的なものは見つけることはできませんでした。ただし、かなり回収というのはどの国でも困難なのかなというのはちょっと想像はしています。
 以上でございます。

○富永委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、先ほどお約束しましたように、こちらから順にですから、西薗委員、永里委員という順でご発言いただきたいと思います。
 まず西薗委員、どうぞ。

○西薗委員 いろいろと詳細な資料を事務局の方はありがとうございました。大変全体像がよくわかったと思いますけれども、まず資料の5ページという番号が振ってある7-2のところで、フロンの市中ストック量というのがございますけれども、これはいろいろなところのデータをこのように寄せ集めて比べてみますと、全体の状況が非常によくわかると思いますが、今回話の主題になっております業務用の冷凍空調機器の部分、かなり比率が大きいということで、この部分がこの審議会の中心の議題になるということは、これは十分納得できることなんですが、スケジュールを見ますと3回なり4回、5回ぐらい予定されているんでしょうか、という最終的な報告が12月ぐらいからまとめられるような形になると思いますけれども、ぜひその折にこれはお願いといいますか、意見として、例えば建築用の断熱材ですとか、それから断熱材はもともとフロン回収破壊法でも附則という形で検討するということで取り扱われておりますし、このような何ていいましょうか、業務用の冷凍空調機器以外の他分野でやはりきちんと抑えておかなければいけないところを、法律の中にどういう条文として盛り込めるかというところまではなかなか難しいかもしれませんけれども、今回の審議会としては中環審の答申の中でもそういう全体的なところをきちんと見るようにというようなご意見も大分出ているようですので、業務用だけにとどまらず、やはりそういう分野のこともきちんと答申に盛り込んでいただきたいという点が第1点です。
 あとは、これはちょっとまた少し話が大きくなってしまうかもしれませんが、これも中環審の意見として出ておりましたけれども、これ国内対策としての、あるいは狭い意味では京都議定書の達成計画の裏づけとしての一つの流れの中に置かれているということはよくわかりますけれども、やはり今の日本の企業が大分海外にも、これはもう私よりもこちらには工業会関係の方もたくさんいらっしゃっていますので、アジア各国等に進出して工場等を持っておられると思いますので、こういう対策をいかに日本国内を一つのモデルとしてアジア圏のような途上国の中でさらに広げていくかというような視点も、どこか我々としてはやはり持っている必要があるかなという、これは少し壮大な話になりますが、ぜひそのこともご留意いただけたらというふうに思います。
 以上です。

○富永委員長 今の発言について、今の段階で何か。

○榑林フロン等対策推進室長 お話が出ました断熱材につきましては、フロン回収破壊法の附則で書かれていることもございまして、経済産業省、環境省、両方とも調査研究をずっと進めています。できますれば次回以降で必要な資料なり何なりをご提示させていただけたらと思っております。

○富永委員長 じゃ、2番目のご発言は一応承っておいて、また生かしていただくということでよろしいでしょうかね。
 では、永里委員、いかがですか。

○永里委員 ありがとうございます。
 資料7-3に関連する話として、ここに書いてあるのは国際的な取り組みと国内の取り組みについて非常にわかりやすく書いてあるんですが、私がちょっと懸念するのは、国際的な取り組みにおいてフロンの側、すなわちモントリオール議定書の方の観点からいきますと、HFCというものに関しては規制がなくて、地球温暖化の方の観点が出てきたのは後の方ですから、その辺の整合性というのは非常に問題があります。今でも国際的な動きの中で、モントリオール議定書の方でもHFCの規制はないとしても、地球温暖化問題に配慮していくべきじゃないかというような動きもありますし、一方アメリカの方は更なる支出を伴う政策については非常に消極的なように私は見えます。この世界の動きに留意しつつ、将来を見据えてこの委員会は地球温暖化との関連を視野に検討していくべきではなかろうかと、これは私のコメントでございます。

○富永委員長 ただいまのコメントについては、ご異議はたぶんないかと思うんですけれども、何かそれに関連してご発言いただく方ありますか。当然、両方の観点から考えていくということであろうかと理解しておりますが、よろしいでしょうか。
 それでは、小林委員、どうぞ。

○小林委員 いわゆるフロン回収の一番問題点というか、これから議論していかなければいけない論点の整理の中で、やっぱり資料の8-1、8-2、この辺が重点的だろうと思うんですが、8-1の方で今までの検討のものがずらっと列挙はされているんですが、その中で8-2で冷凍空調機器の整備の現状ということで、整備の方に何か重点を置かれているような雰囲気がするんですが、本当に整備のときの放出が問題なんだろうか。
 ちょっと1つ気になるのは、整備をされる方というのは基本的に冷凍空調関係の関係者なんですね。つまりフロンそのものを今まで扱ってきた知識のある方々が扱っておられると思うんですね。そういうところで、本当にそういう放出が行われているんだろうかという意味で、もう少しここは実態を押さえていく必要があるんじゃないかなという感じがするんです。
 それで、この8-2の資料の裏、2.のところに東京都と静岡と群馬のデータがついているんですが、よく見ると東京都についてはこれ、整備だけじゃなくて家電がまざっているんですね。家電の回収の部分を引いた場合どうなるのか。そうすると、静岡とか群馬と同じような状況になるのではないか。これは感じでございますけれども、そうなったときに本当に整備による問題点があるのかどうか、もう一度これは見直す必要があるんじゃないかなという気がします。
 そういう意味からいって、私自身気になっているのは、やっぱり冷凍空調機器の廃棄、いわゆる空調機器を廃棄するときに、その専門業者がほとんど入らないで、解体業者であったり廃棄物処理業者が受け取って捨ててしまうということが起こるわけで、そちらの方が本当は問題ではないのかな。
 ですから、逆に言うと自動車リサイクル法なり家電リサイクル法と同じように、冷凍空調機器そのものを廃棄することに対して何らかのチェックをかけるシステム。もう1つは、例えば物を解体するときに、建物の解体についてはすべて届け出をしてもらうとか、そういうふうな中でもう1つの問題としてはアスベストもあるわけですが、そういうふうな問題を一個一個の化学物質で議論するのではなくて、その母体になる空調機器であったり建物というものの実態をきちっと押さえていかないと、実質的に回収率は上がっていかないんではないかと。
 そういう意味で、論点整理を少し見直した方がいいんではないかなという感じがします。これは意見でございます。

○富永委員長 ありがとうございました。事務局から何かありますか。

○榑林フロン等対策推進室長 今のお話についてちょっとだけ説明させていただきますと、東京都のお話がございましたけれども、東京都で家電が入っているというのが、家電を整備したときの量が若干入っているというふうに伺っています。例えば、家庭用の冷蔵庫とかエアコンというものの整備に伴う回収量というのはそれほどと思われませんのでという話と、確かに委員おっしゃるように、建物の解体とか、そういったときの回収、重要ですけれども、整備のときにつきましては、今廃棄のときはフロン回収業、都道府県知事の登録を受けている者でなければ扱うことができないんですけれども、整備については何も資格がない人が扱うことができるといったこと。
 それから、この3県以外のところだと整備時にどのぐらい回収して、どれだけ破壊しているかというデータが統計的にきちんととれていないということもございまして、解体等の廃棄時の回収とあわせて、整備についてもご検討できたらなというふうに提案させていただいている次第でございます。

○富永委員長 関連のご質問、あるいはご意見ございますか。今の小林委員、はい。

○西薗委員 手短に、では。
 小林委員がおっしゃったことは、多分プロが扱っているだろうということで、よくわかるんですけれども、どうも私がちょっと感じておりますのは、現行の法律の中では廃棄の場合の回収は報告義務があるけれども、整備時には恐らく報告義務がないという点がやはり少しバランスを欠いているんではないかなというふうに感じております。
 と申しますのは、結局本来は廃棄の状況であっても、整備という名目で抜き取ったフロンを、やみに葬ると言うとちょっと言葉が悪いですが、見えないところへ持っていってしまうようなことも可能ですし、それを逆に廃棄時の回収しないという脱法に使われる可能性もあるということで。だから、今現時点では制度上の整備自体を少し網の中に入れていった方がいいんではないかなというのが、これは私の感想でございます。

○岸本委員 日本冷凍空調工業会の岸本でございます。
 今の小林委員の話なんですが、ここで言っている整備時の話を入れようというのは、今、多分、西薗委員と同じなんですけれども、ちょっと法の網から外れているところがあるんで、そこを中に入れた方がいいでしょうということで、本質的な冷媒回収率を上げるということに関しては、今言ったように廃棄時、あるいは使用済みのときの方がはるかに問題だと思っています。
 実際この整備とかメンテナンスというのは、割合メーカーが直接やるケースが非常に多いわけですね。当然、何かぐあいが悪くなったり、メンテナンスするためにやるわけですから、比較的全体の実情というのはつかみやすい状況になっていますので、ここによる廃棄そのものがそんなに大きな問題になるというものではないというふうに我々も思っていますが、若干今、法の義務化とか、そういう網の中に外れているので、それは中に入れた方がいいだろうと。そういう意味では、一つの論点として中に入れたいねと、そういうことだと思っています。

○富永委員長 小林委員、よろしいでしょうか。大体そういうことで。

○小林委員 いや、特に反論する気はないんですが、法の整備上の問題と具体的に回収率を上げるという問題とが混同されないようにしたいなというのがあって、ちょっと申し上げた。逆に言うと、整備のところが法律上抜けているから、それを制度上入れたいと。何か入れると回収率がどんと上がるように誤解をされては困るなと。回収率を上げるところはまた別のところでもう少し議論しなければ、これができたらいいんだということにはならないだろうという意味です。

○富永委員長 大体今のご議論で整理されたと思いますので、それでは次に浦野委員、どうぞ。

○浦野委員 今の整備の話、整備は小林委員、多少誤解されているかと思うんですが、整備のところをメインでやろうということでなくて、あくまでもこれも加えましょうという趣旨だということです。
 ただ、逆に整備が本当にフロン放出していないかというと、実はいろいろ聞いてみると、整備といってもいろいろな整備があるわけですけれども、ある程度抜いてしまっている、廃棄する、あるいは抜けてしまっているというケースもかなりあるように聞いています。ですから、やっぱりこれもきちっと状態把握をして、位置づけをきちっとする必要があるというふうに思います。
 私1つだけ追加的に今後の検討に重要な点と思っておりますのは、回収率というのがいろいろな目標が出たり、あるいは統計をとったり発表されたりするわけですけれども、これがいま一つはっきりしない数字でございまして、破壊量で見る、例えば資料の7-2の6ページ目に図の7-2-10という廃棄量の予測推移が出ていまして、2004、2005年現時点での冷媒の廃棄は合計すると大体2万3,000トン弱ぐらいになる計算になっているわけですね。それで一方、資料7-3の同じ冷媒の回収量というのを15年度で見ますと、合計で3,674トンでございます。そうすると、回収率を単純に計算すると16%にしかならないことになります。一方、破壊の方で見ますと、破壊は2,976トン、これはきちっとした届け出で、かなり精度のある数字ですけれども、これで見ると13%にしかなりません。
 そういう意味で、今後回収率を向上、あるいは公表するときに、一体どういうものを分母にとり、どういうものを分子にとっているのか、機器ごとにいろいろな状況が違いますので、一律にできない部分もございますけれども、はっきりする必要があります。例えば表7-3-1に業務用と家庭用のエアコン、冷蔵庫、自動車と並んでいますが、実は回収率の中身がみんな違うんですね。それを並べざるを得ないんですけれども、この辺もう少し整理してきちっとしておかないと、今後の法改正、あるいはいろいろな指導等を行った効果、あるいは温暖化等の削減の見通し等がどこかですれ違ってきたり、誤解をされたりする可能性があるので、この点はぜひもう少し詰めた議論が必要なんではないかというふうに思っております。
 私の意見ですけれども。

○富永委員長 ありがとうございました。
 回収率の分子、分母というところは、なかなか事務局の方でも難しいだろうと思うんですけれども、基本的に回収率を議論しているわけなので、そういう意味でこれは非常に重要な点でございますが、事務局あるいはそのほかの委員の方から何か関連してご発言がありますでしょうか。

○浅岡委員 私もそれをちょっとお伺いしたいのですが、いいですか。

○富永委員長 ではまずその点だけに関して先にご発言ください。

○浅岡委員 私はもう1つ前提事実がちょっと不案内なので、もう1段前のところでご質問があるんですけれども、7-2で消費量という言葉が使われていまして、それから1ページでは消費量でありまして、3ページでは出荷量という言葉が使われておりまして、ストック量、回収量というようなのがあります。この消費量というのと出荷量とは多分本来違うものですね。
 出荷量は3ページに何万トンという数字がありますけれども、消費量とは何でしょうか。その数字が充てん量ということなんでしょうか。
 いずれにしても、その割合がストック量を計算するときの計算のもとになっていると思うんですけれども、いずれにしても理解しにくい。違いがわからないものですから、重要な問題なのか、無視していいのかがわからないのと、そもそもフロン類を製造される工程で漏出があり得るのか、それは無視していいようなものなのか、知識がないものですから、お教えください。
 先ほどの整備に関してですけれども、ストック量というのは整備のときに2回はカウントされないわけですよね。そうすると、整備で入れかえたときには、毎年の数字がどうなっているのかもわかりにくいと思いました。
 そういう意味で、先ほど浦野先生がおっしゃいましたように、何に対して何をどれだけ改善すると、そのことによって対応できていない問題に何があって、そこにどういう対応策があり得るのかを整理していく必要があるかなと思います。
 また、先ほど少し議論になりました整備の段階での制度整備は当然必要なことですので、この改正でやっていかれることを前提にして、今の数字の部分でどこがカバーされるのかも理解ができていません。

○富永委員長 ある意味ではなかなか難しい問題だと思うんですが、まずこの前提になっている消費量、出荷量、ストック量などいろいろな定義というか、また実際の内容というか、それが先ほどの浦野委員の言われた回収率というものを考えるときに、どういうふうに絡んでくるか、これは重要であるんですが、細かい問題なのですぐお答えいただけますか。事務局に。

○榑林フロン等対策推進室長 細かい話は経済産業省事務局の方からお答え願おうと思いますけれども、大まかな話、今までの回収率の考え方は、機器が捨てられるときも、そもそもその機器にどのぐらいフロンが残っていただろうかというのを推定いたしまして、それに対して回収された量がどのぐらいかということで、回収率というのを求めてまいりました。
 今、明らかにわかっているのが、例えば何年度にどのような種類の機器がどのぐらい製造されたかというのは、統計としてわかっています。その機器の平均寿命がどのぐらいかというのは、これはある程度推計でわかっていまして、1台あたりの初期に注入した量から何年たって壊す量がこのぐらいあるから、このぐらい出てくるはずだというのを分母にして、分子に実際に回収した量をということで、回収率をあらわしているわけです。そういった場合に、例えば機器を使用している間に途中で抜けてしまったんで後から追加しましょうといったものがあっても、そういったものは回収率の中にはあらわれてこないといったような問題も出てきているわけでございます。
 あと、細かな数字の説明にはなりませんけれども、ストック量というのをあえて、少し無理な推計かもしれませんけれども、推計で出したというのは、製造はもう終わりましたと、だからフロンの問題は終わったんですよというんじゃなくて、まだ大気中には出ていないんだけれども、管理していかないと出てしまう可能性があるものがこんなにも多く我々の身の周りにあるんだよということで、回収というのがいかに重要かなということで、ちょっと思い切った整理をさせていただいたといったような次第でございます。

○斉藤オゾン層保護等推進室長 先ほどのお話にちょっと補足的ではございますけれども、まずこのガスの統計というのが非常に難しいところがございます。出荷量というのは工場が限られていますから、そういうところにデータを求めるというようなことで、それなりに把握できるわけでございますけれども、それがいかなる状況で廃棄されるか、これは結論から申し上げればデータをとりようがないところがあるわけでございます。ただ、それは推計するほかないと。しょせん捨てられるというのは人が勝手にやってしまうものですから、国が管理する話ではありません。個々法人ないしは個々の企業がやっている話でございます。これは網羅的に政府の方がデータをとるということは、結論から言えば不可能な部分でございます。
 さりとてそれなりの施策を打ち上げるに当たり推計はしていかなければならんだろうというふうなことで、実はこの問題については前々から関係業界を通じていろんな角度で推計をしておるわけでございます。その耐用年数であるとか、あるいは使用実態、そのアンケート調査等々から、それぞれの機器の使われるであろう年数、あるいは廃棄されるであろう数、それからそれらに内蔵されておったであろうフロンガスの量、これらを勘案してまとめ上げたのがこれら一連の資料でございます。
 それで、できる限り真実に肉薄していく必要から、出荷量というのをご提示させていただいたり、あるいはストック量。なぜこのストックが問題なのかと申し上げると、先ほど環境省さんからもお話がありましたけれども、フロンについては生産についてどんどん抑制を図って、これはもう確実にやっておるわけでございます。そもそも条約があり、議定書があり、それから我が政府の法律があり、それによってまた輸出入管理、こういったものを活用して着実にフロンの使用抑制、これを図っております。これは極めて強い拘束力を持って対処しておることから、フロンの、いわゆるもともとの特定フロンと申し上げますけれども、CFC、HCFC、こういったオゾン層を直接破壊するといいますか、破壊するそのもの、これについては着実に抑制をしておるわけでございます。これらがこのグラフから読み取っていただければ幸いであるわけでございます。
 ただし、問題となりますのは、これまでに使われた特定フロンは冷媒であるとか、あるいは先ほどからちょっと西薗先生からお話ありました建材などにストックとして残っているものです。これらは実は条約の世界ないしは法規の世界では一義的には規制されていないわけです。フロン回収破壊法では例外的といいますか、特殊な法体系で回収・破壊について冷媒についてだけ措置されておるわけでございますけれども、一義的には生産と消費の抑制を図るものの、ストックについて現在もうそれぞれの製品に使われているものについては規制はないというのが基本的なスタイルではあったわけでございます。
 先ほどからご説明しておりますけれども、ストックとしてかなりの、生産量として数年分のストックが既に市中に製品として出ておるというふうなことにかんがみて、それらについて排出抑制をしていくべきではないかというふうなこと、これはオゾン層破壊の観点からまずは出てくるわけです。これは非常に重大な問題でございますので、二酸化炭素問題、温暖化対策よりもまず前面に出てくる、前に出てくる重要な課題としてオゾン層破壊というのがあります。
 これについて、今や生産抑制、消費抑制はしておるけれども、ストックはまだ何ていうんですか、カバレッジがまだ甘いんじゃないかというような指摘がされておるわけです。
 そこで問題になります、何で今、冷凍空調冷媒が問題になっているかといいますと、その対応が効果的になし得るというふうな認識がございます。建材についても問題はいろいろ指摘されておるわけでありますが、実際にこれを具体的に排出抑制するとなりますと、費用対効果の面から疑問が残るというようなことが非常に指摘されておりまして、ないしは手間がかかり過ぎて、かえって二酸化炭素が出てしまうとかなんていう話もあったりして、というようなことから、冷凍空調冷媒についてまずもって先に対応すべきではないかと、またストックもそれなりに大きいというふうなことで手をつけておるというふうなことでございます。
 というふうな観点で資料を作成しておりまして、なかなかそれぞれの資料の目的というのが、それぞれ相違が、ちょっと違う部分があることも事実でありますけれども、それなりのできる限りのデータをここには活用しまして、ご理解を求めているというふうなことでございます。

○富永委員長 ありがとうございました。
 はい、どうぞ。

○西薗委員 関連質問。先ほどの浅岡委員のご質問に関連してということなんですけれども、私の理解の範囲で今のことを、少し単純に私が理解していることを申し上げますと、最初の表7-2の消費量という表現ですけれども、これはモントリオール議定書上で規定といいますか、要するに生産国ではないところは生産量になりませんので、輸入と、それから逆に生産国が輸出に出した分を差し引きして消費量という表現になっていたように思いますので、そういう数値が国別の生産国ではないところも含めて消費量ということで比率が出ているというふうに理解すればいいと思うんですが。ですから、これは日本の場合には生産国ですので、輸出分はもちろん差し引くわけですが、かなり生産量と消費量は近いんだろうというふうに認識しております。
 それで、同じ資料の7-2の、例えば4ページがよろしいでしょうか。出荷量推移というのがありますので、ですからこれは恐らく日本の場合には国内向け出荷量を言っているんだろうと思いますので、消費量とそれほど大きな違いはないだろうというふうに思いますけれども、結局、先ほど浦野委員が言われました分母に何を持ってくるかという話を考えたときに、下の部分でずっと旧来は5万トン程度、現在でも3万トン程度ということになるんでしょうか、冷媒がかなりの量を占めているという。
 しかも、この中で管理できるフロンというのは何かというのを考えたときに、上の方に載っている、例えばエアゾールなんかはもともと放出目的のフロンですから、これは管理できないフロンの代表ですから、本来こういうものは用途規制するべきかなというのは、これは私のちょっとこの話とはまた別の議論かもしれませんけれども、こともありますが、やはりこの半分以上を占めている現在でも3万トンからの出荷量のある冷媒フロンについて、一定量が市中に残っているとすれば、それを見逃すことではなくて、きちんとこの3万トンという分母に対してどこまで集めることができるのかと、それが先ほどの浦野委員のご指摘のとおり、まだ3,000トンに過ぎないという、13%程度という、あるいは16%程度というのは、見方が私は一番やはり納得ができる。ですから、その部分を出荷した分に対してどれだけまた手のうちに取り戻せるかというような、そういう視点が一番わかりやすいのではないかなというふうに思っております。

○富永委員長 ありがとうございました。
 きょう用意していただいた資料は、第1回目ですから、この問題をいろんな方向から浮き彫りにするという意味で、多分資料の出どころも、それから性質もいろいろと違ったものが一つに盛り込まれていますので、必ずしもそれが全部同じように計算に使われたという意味ではないと思います。どういう傾向であるかとか、あるいはこの部分がどのぐらいの重さを占めているとか、そういうふうなむしろ概念的な把握をしていただくために、ちょっと直接は関係のないような資料も持ってきていただいていると思いますので、いろいろ用語や定義の面で多少混乱が生じますけれども、基本的な考え方は、やはり先ほど幾つかのご意見で集約されたようなことだと思います。私の個人的な感じを1つだけ申しますと、既に今までの回収率の見積もりで、例えば28%という数字とか30数%というような数字が出てきます。これは分子も分母ももちろん見積もりですから、主として多分分母の方だと思うんですが、どういうふうに見積もるかによってそのぐらいの差が出てくる。
 そうすると、こういうふうな推計でもっていろいろ前提のもとに数字を出す場合は、積み重ねで実際の数値を積むんじゃなくて、推計で出す場合は、例えばIPCCの気温の予測にしても10ぐらいモデルがあって、いろいろ違う前提でやれば随分大きな温度上昇値のスプレッドがある、広がりがあるのと同じように、ここでの推計もいずれも同じようにもっともらしい前提を置いていても、やはり全部同じになるとは限らないわけです。ですから逆に、例えば仮に28%と35%という数字が出たとすると、それはどちらが正しくて、どちらが間違っているというのではなく、むしろそのくらいの広がりの中に実際の回収率はあるんだというように推定の幅を考えるべき。プラスマイナスをつけるか、あるいはこれこれの範囲内という言い方にするか、しないできっちりした数字だけが一人歩きする方がむしろ私どもの常識からすると少し不思議だという感じがするんですね。
 どちらも統計上の数字で動かないものであれば、それは非常にきっちり出ますけれども、推計値ですから、今後ともその辺のことも含めて。ですから、問題は多分分子にしろ分母にしろ、同様にもっともらしい、同様にリーズナブルであるという前提で推計しているかどうか。その上で2カ所で少し違ったというのであれば、それはむしろリーズナブルな範囲でのばらつき、あるいは低い見積もりと高い見積もりであって、実際の値はその間にあるというような解釈の方がいいのではないかなという気がするんですね。
 例えば今年28%で来年32%になったら4%上がったと見るのかどうか、あるいは見積もりの誤差の範囲内に入るのかという問題に帰着すると思うので、このような表現の問題は、なかなか行政的に数値にそういう幅をつけるというのは、なじまないかもしれませんが、これまでの議論についてはそういう感じをもっています。
 この見積もりの問題は、回収率を最終的に60%に持っていくという、はっきりしたゴールがあるわけですので、見積り方についてある程度コンセンサスがあって、その上で違うところでやってみれば結果が少し違うのはむしろ当然だというようなことで、これは実務的に、できれば途中の段階でもう少し詰めていただいたら、多分浦野委員、浅岡委員のコメントされたことの趣旨に沿うんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、これについてほかにご発言がなければ、次のご発言に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。よろしいでしょうか、事務局から何か。
 では、一応そういうことでご検討をいただくということで、浅岡委員ほかにご発言がありましたらどうぞ。

○浅岡委員 どうもご丁寧な説明をありがとうございました。およそ理解をいたしましたが、資料7-2の4ページで見ますと、例えばHFCは2万8,000トンぐらい生産をしていて、出荷をしていて、6ページを見ますと今から10数年経過して2万2,000トンぐらいが廃棄されると思うのですけれども、100%回収しても蓄積するなという感じがいたしまして、このフロン問題も将来的に長い、大変だなと感じた次第です。これも何か誤解をしているかもしれません。
 そのほかにご質問したかった点は、先ほど資料7-2-4のところで洗浄剤等は随分下がってきていると。4ページですけれども、HFCの用途につきまして、これがたとえばSF6に変わっているとかはないでしょうか。5ページにつきまして、このストックの建設用断熱材というのは、今、代替品が難しいというご説明もあったかと思いますが、回収は難しいと理解すべきなんでしょうか。
 最近、水発泡とかも聞きますが、今後はどの程度可能性があるのでしょうか。

○斉藤オゾン層保護等推進室長 まず、洗浄用のフロンのお話でございます。これらにつきましては、ほかのフロンにかえるというふうなことはやっておりません。極力代替のオゾン層破壊、あるいは地球温暖化物質としても低減させるような方向でしかこれは動いておりません。非常に厳しい、自主的な洗浄業界さんのご努力がありまして、私どもも敬服するぐらい自主的に、非常なモラルの高さを私ども感じておりますけれども、逐次代替のノンフロンの製剤といいますか、物質を使いまして対応しておるというのが実態でございます。
 SF6に関しては、専ら今はコンデンサーとか、あるいはマグネシウム鋳造等々でありますが、これについては政府としても極力この物質を使わないように検討しておるところでございまして、多額の予算を投じまして代替物質の、ないしは代替の手法の確立に向けて、NEDOというような機関もございますけれども、対応してございます。これは断言してよろしい話かと思います。
 それからもう1つ、建材の話がございました。これはご認識のとおりでございまして、私ども実はこれ関係業界を含めて、ないしは関係省庁を含めて、従前から研究会で熱心なご討議をいただいておりまして、結論としましては、今あるものをどうこうするというのは、これは非常に困難なものがあるというのが実情でございます。ただ、今ご指摘ございましたけれども、別の代替の物質でもって対応していくというのが、これ極めて現実的なところまで来ておりまして、ノンフロン建材、そういったものについては今やある意味で市場メカニズムにおいてもかなり受け入れられてきております。
 ただ1つ懸念されますのは、寒冷地域におきましては、やはりフロンが一番安く効果よくできる。これがフロンていいますか、代替フロンでございますけれども、温暖化の観点から見ますと、実は寒い地域で性能のいい断熱材を使った場合、むしろ温暖化対策には寄与するという計算もなくもないというのがございます。その点をどういうふうに考えるかというのがありますが、さりとてできる限り代替フロンでもない、温暖化物質でもないというふうな物質をどんどん活用していけるように、これは市場においても受け入れられておるところでありまして、私どもとしてはそれを後押ししていきたいというふうに思っております。
 実際そういう何ていうんですか、新たな商品開発について、一定の助成策を講じるようなことをやっております。ということで、これ逐次成果を発揮しつつあるなというふうに思っております。

○坂本委員 今、建材の方の断熱材のノンフロンの話が出たんで、一言コメントさせてください。
 私の専門はそういう建築の省エネ、断熱というのが専門でございまして、その観点から、ノンフロンの技術というのは非常に進んで、非常に実用化されております。吹きつけの温度の問題や何かちょっと出ましたけれども、そういうささいな問題ありますけれども、実用化されていまして、でもやはり少しコスト高ということで、まだそういうフロンのものも許されておりますから、まだノンフロンでなければだめよというふうにはなっていませんので、やはりフロンのものも実際は使われているということですけれども、これはやっぱり行政側が背中をちょっと押してあげると、ノンフロンでなければだめよということで、完全に規制されると、これはもうみんな業界はこぞってノンフロンに走りますので、私はその辺、行政の側で背中を押していただきたいというふうに望んでおります。
 以上、コメントです。

○富永委員長 ありがとうございました。
 何かございますか。

○榑林フロン等対策推進室長 グリーン購入法なんかを活用いたしまして、ノンフロン化製品を促進しようという対策、政府全体で取り組んでいるところでございます。

○富永委員長 今のご意見も行政側でも検討いただければと思いますが。
 あとご発言はございませんか。まだ時間がございますが。第1回ですから。はい、どうぞ。

○米谷代理 資料8-1に関してでございますけれども、この資料の中で廃棄者の問題点、取り次ぎ業者の問題点ということで書かれてございます。私ども立場というのは恐らく取り次ぎ業者ということになろうかと思います。ここに書かれてある内容というのは、非常にもっともというところも、うなずけるところもあるかなというふうに思っております。
 当社にしましても、建設業界全体にしましても、フロン類の回収の必要性というのは極めて強く認識しておりまして、それなりの周知に努めてきているところではございます。
 そういう中で、より現状の回収率が十分には上がっていないということに関しまして、それを徹底させるためということで考えていった場合に、やはりまず一義的にこの責任というのが廃棄者にあるという、そこの部分はぜひ徹底していただきたい、この点は現在のフロン回収破壊法でも全く変わらず、そういう思想かと思います。それを徹底させ、また費用負担に関しましても、廃棄者の方がきちっと持っていただくというためには、まず廃棄者と取り次ぎ業者との間で廃棄者から取り次ぎ業者に対して明確にフロン回収をしてもらうことを委託するよという、そういう意思表示をきっちりした形で委託契約書など、そういったような形で締結をするという仕組みを導入していただくことは検討していただけないかという点。
 それとあわせまして、私ども取り次ぎ業者というのはあくまで委託を受けた段階からの責任が生じるという、そのあたりの責任関係の明確化という部分をぜひお願いをしたいというふうに思っております。
 あわせまして、同じ8-1の中で回収業者に関しましても、この回収業者が適正に回収を行っていないおそれがあると、こういうことになってしまいますと、回収業者に頼んだ我々の立場というのも非常にむなしいものになってしまいますので、回収業者の質の向上、回収業者に回収してもらったものに関しては、確実に回収され、破壊されるという、そこの部分については大前提になる話と思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 以上でございます。

○富永委員長 その点は。はい、どうぞ。

○斉藤オゾン層保護等推進室長 今、委員からお話ありました点、すべてごもっともというふうに考えておりまして、場合によっては法律にしなければならんだろうと考えますけれども、関係省庁と今後調整を図っていく必要があるかとは思っておりますが、ご指摘の点は十分配慮すべき課題として問題意識を持っております。まず第1点がそれでございます。
 それからもう1つ、回収業者に渡した後、きちっと適切にやられないのではどうしようもないんじゃないかと。これまたしごくごもっともでございまして、これは法律の徹底というふうなことに尽きるかと思います。これは現行法上も許されない話かというふうに思っておりますので。
 そもそもこの法律の中に、実は非常に重要ではあるが、余り実施されていない条項としまして、みだりに放出してはならないというふうなくだりがございます。
 実は、先ほど来問題になっております整備の問題につきましても、整備事業者に詳細な報告を求めるようなシステムはないわけでありますけれども、その中にあって整備事業者がみだりにフロンを放出してしまうというようなことがないように、法的な規制があるとすればその法規でございます。みだりに放出してはならないというふうな一般的な条項でもって、そのあたりの整備に当たっても、廃棄に当たっても、常にいかなる関係者も対応しなければならないというふうな規定があるわけでございますが、これが実は余り機能していないというふうなジレンマがございます。これは私ども大変問題にしておりまして、この機会にこういった係るそもそも原則論からして許されない法の抵触事例に何とか対応したいと、改善していきたいというふうに思っておるところでございます。これは委員のご指摘も私どもとまさに志を一にするころかというふうに考えております。

○富永委員長 よろしいでしょうか。ほかに事務局ありませんか。よろしいですか。
 新しいご発言はもうないようでしょうか。はい、どうぞ。

○小林委員 今のご発言の中で私すごく気になるのは、取り次ぎ業者の方で廃棄者に対する意識啓発をきちっとというお話があったんですけれども、昨年の議論の中で、廃棄者から取り次ぎ事業者へ出す解体等に関する契約書の中にフロン回収が明記されていないということが問題になったわけですが、大体こういう契約書をつくるのは廃棄者がつくるんですか。基本的には大体、普通の場合、廃棄者って余りそういう意識がないから、取り次ぎ業者側が契約書の案をつくって廃棄者に提示することがほとんどだろうと思うんですよね。そうすると、その契約書に書いていないということは、取り次ぎ業者の方でフロン回収について契約書に明記しないことに問題があるんじゃないかな。そういう意味で、逆に言うと取り次ぎ業者側が廃棄者に対するそういう情報提供をするというシステム、またそういう意識というのも必要ではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

○富永委員長 はい、どうぞ。

○斉藤オゾン層保護等推進室長 今、委員のご指摘のとおりでございまして、その問題意識、十分今実は検討しております。建物を廃棄するときに、解体するとき、そういったときに何がしかの契約作業、契約的なシチュエーションもあるわけでございますが、そのときにこのフロンについての扱いをきちっと措置するべく、責任関係を、ないしは契約的な関係として措置すべく、それらについて不公平にならないように対応していく必要があるとの問題意識のもとに、場合によっては法的な措置を検討していく必要があるというふうに考えております。

○富永委員長 まだ少し予定時間が残っておりますけれども、もしご発言があるようでしたら。よろしいですか、もう。はい、どうぞ。

○西薗委員 今、議論がかなり集中したところで、全然また違う方に最後、多分最後かと思いますので、忘れないうちに1つだけ言っておきたいと思うことを、全く違う観点のことで述べさせていただきたいと思います。
 それは参考資料の方の1の中環審の方の意見が、1の裏側というんでしょうか、載っていると思うんですけれども、やっぱり私この点がすごく実は将来的には重要なんじゃないかなと思っているのは、これは本当はご専門の浦野委員あたりから解説いただけるとありがたいと思いますけれども、化学物質管理の視点というのが中環審から出ているんですけれども、そもそもこのフロンの問題というのを思い起こしてみますと、フロンというのは少なくとも毒性という点に関しては極めて低い物質だったために、今までかなり無規制に使われてきたという、それの積み重ねを、今20年、30年とそれをやってきたことのしりぬぐいをこういう形でドタバタとやっているわけですけれども、この仕組みそのものがちょっとまずかったんじゃないのかなということを、やっぱりもう一回反省する必要があると思うんですね。
 今、多分化学、例えば化審法みたいなのでも単なる毒性ではなくて、やっぱり製造の時点では生態系に対する影響であるとか、環境全般に関する影響というのをだんだん取り入れるようになってきていると思いますけれども、そういう流れの中で、既に生産が終わっているフロンに関してそういう枠組みというのは難しいかもしれないけれども、現在まだ生産が続いているような物質であるとか、これから開発されていくような物質については、そういうような何ていうんでしょうか、製造の段階からどういうようなレベルでの規制を行っていくかというような位置づけを検討していくような仕組み、これはフロン回収破壊法でも全然違う視点になりますけれども、本来でのフロン対策ということでいきますと、そういう視点をこれから組み込んでいく必要がぜひあるのではないかということを強調しておきたいと思います。

○富永委員長 ご発言ありますか、経産省。

○獅山化学物質管理課長 今、西薗先生の方からご指摘がありましたように、フロンに関してでございますが、こういったものは確かに毒性、人体に直接の影響というのが少なかったということで、昭和48年に制定された化審法の中で取り上げられてきませんでした。
 しかしながら、フロンについて、オゾン層、そして地球温暖化に関する問題がありましたということで、こういったものにつきましては新しい知見に基づいてどんどん対策をとっていくことが必要であるというふうに理解しております。
 いずれにいたしましても、化学物質というのは多数のものがありまして、製造の段階から、使用、最終的な廃棄、そういったライフサイクル全体にわたるさまざまなリスクがあると思いますがリスク評価に応じて的確に管理していく仕組みがどんどん整備されているところでございますし、それに応じた管理につきましてはまた別のところでしっかりと議論させていただくということになるのではないかと思います。

○富永委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、大体今日は一通りご意見は伺ったと思いますので、本日はフロン類の排出抑制に係る現状と課題ということで、大変いろいろ貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
 それで、本日の議論を踏まえて事務局の方では今後のフロン類等の排出抑制対策についての原案を作成していただきたいと思います。
 最後に議題の3、その他についてそれでは事務局の方からご説明いただきます。

○榑林フロン等対策推進室長 お手元の資料9について簡単にご説明申し上げます。
 実際の業務用冷凍空調機器からのフロン回収、本日も熱心なご議論をいただいたわけですけれども、より現実について広く知るために、関連業界の方々から整備・廃棄時におけるフロン類の回収に係る実態であるとか、フロン類の排出抑制に係る取り組み等について、ヒアリングを実施させていただけたらどうかというふうに考えています。
 項目といたしましては、業務用冷凍空調機器の整備・廃棄時におけるフロン類の回収に係る実態、それから業務用冷凍空調機器の整備・廃棄時におけるフロン類の排出抑制に係る取り組み及び課題、3番目といたしまして現行フロン回収破壊法に係る問題点、4番、今後のフロン類の排出抑制に係る取り組みということについて、機器を使用する立場の業界団体の方々、それから機器の廃棄にかかわる方々、それから機器の整備・フロン回収にかかわる方々、それから行政機関関係といったようなところから、短い時間にはなりますけれども、次回ヒアリングをさせていただけたらなというふうに考えております。

○富永委員長 ただいま事務局から次回のヒアリングの進め方について説明していただきましたけれども、これにつきまして何かご意見、ご発言ございますでしょうか。
 よろしゅうございますか。特にございませんか。
 それでは、特にご意見なければ、次回のヒアリングについてはただいまご説明いただいたような形で進めるということにさせていただきたいと思います。
 本日の議題は以上でございますけれども、事務局の方から何かあれば。

○小川環境保全対策課長 本日は委員の皆様方、どうもありがとうございました。
 次回の日程でございますが、後ほど正式にご連絡はいたしますけれども、きょうの段階でぜひスケジュール帳にご記入をいただければと思います。次回ですが、10月20日木曜日の午後2時からでございます。場所は経済産業省の中の国際会議室というところを予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○富永委員長 はい、ありがとうございました。それではこれをもちまして本日の会議を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

午後3時39分 閉会