中央環境審議会地球環境部会第17回気候変動に関する国際戦略専門委員会議事録

開催日時

平成19年4月25日(水)10:00~12:00

開催場所

KKRホテル東京「孔雀の間」

出席委員

(委員長)

西岡 秀三

(委員)
明日香 壽川 太田 宏
甲斐沼 美紀子 蟹江 憲史
亀山 康子 工藤 拓毅
住 明正 高橋 一生
高村 ゆかり 原沢 英夫
三村 信男 米本 昌平

議題

  1. 「気候安全保障」について
  2. その他

配付資料

資料1 「気候安全保障(Climate Security)に関する専門委員会報告」(案)
資料2 国際連合安全保障理事会公開討論:「エネルギー、安全保障、気候」について

議事録

午前10時02分開会

○和田国際対策室長 それでは、若干、まだおくれていらっしゃる先生がいらっしゃいますが、定刻、若干過ぎておりますので、気候変動に関する国際戦略専門委員会第17回会合を早速始めさせていただきたいと思います。
 本日は、あらかじめ欠席の旨、ご連絡いただいております委員の先生が、松橋委員と横田委員でございます。
 議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 お手元の資料でございますけれども、議事次第が1枚ございまして、座席表がありまして、その次が資料の1、これがきょうのメーンの議論の報告書の案でございます。それから資料の2、これは安全保障、気候についてということで、3枚ものになっております。それから、委員の先生方だけ、お手元の配付になっておりますが、新聞記事の4月18日付の国連の安全保障理事会の新聞記事が1枚ついております。
 もし資料の不足等ございましたら、事務局までおっしゃっていただければと思います。
 それでは、以後の議事進行につきまして、西岡委員長によろしくお願いしたいと思います。

○西岡委員長 皆さん、おはようございます。
 それでは議事に移りたいと思っておりますが、本日の議事は、お手元にございますように2つございまして、気候、安全保障についてという論議と、それからその他ということでございます。その他は特に大した話はないかと思っております。
 この資料2の方でございますが、これは読んでおいていただければいいということでしょうか。何か……

○和田国際対策室長 また私の方から適宜触れたいと思います。

○西岡委員長 ああ、そうですか。どうもありがとうございました。
 前回及び前々回と、この気候変動と安全保障の問題、それから気候安全保障という考え方を使うことによってどういうメリットがあるんだろうかといったこと、いろいろと皆さんにご議論いただいたわけでございます。それで、それを事務局の方がまとめまして、一応、皆さんには前もってご意見もお伺いしながらまとめたのがお手元にあるものだと思います。これについて本日はまたご議論いただいて、さらにつけ加えることがありましたら、それを入れて、さらなる報告書にしたいというぐあいに考えておる次第であります。
 時間が12時までございますけれども、大体説明の方を3つに区切っていただきまして、それぞれの部分で何か簡単なご質問がありましたら、そこをいただくことにしまして、最後の章が、結局、結論になりますので、そのときに皆さんから全体についてのご意見をいただきたいというぐあいに考えておる次第です。
 それでは、室長の方からご説明いただけるでしょうか。

○和田国際対策室長 それでは、お手元の資料の1につきまして、早速、ご説明させていただきたいと思っています。資料の1につきましては、これまで第1回、第2回と委員の先生方の中にはプレゼンテーションをいただいたりとか、または幅広く委員の皆様方にご議論いただいた内容を少し盛り込むこととあわせて、ストーリーとしてわかりやすくと、パンチがきいているかなどの点に留意しながら一度まとめてみたということでございまして、先ほど、事前に先生方にあらかじめご意見をということでございましたが、網羅的にはまだ今の時点では先生方にお聞きできていなくて、またきょう、ご議論いただくとともに、ちょうど委員長からもございますと思いますが、この後、きょうの議論に加えて、必要であれば、また先生方から追加的なご意見をこの後いただくというようなことなどにかえさせていただければというふうに思っております。
 まず、早速なのでございますけれども、目次が出てまいりますが、目次からでございますけれども、全体の構成からご説明させていただきたいと思っております。まずは、この委員会で、いわゆる気候安全保障というものを検討するに至った背景を盛り込んでございます。その後、いわゆる気候変動温暖化問題による影響というところで、昨今、非常に科学的知見が新しく公表されておりますので、その内容などを盛り込みながらということ。それから、メーンでございます第3章のところでは、気候安全保障の考え方というところで、大きくは、従来の安全保障の概念を、少し考え方をまとめて、その後、気候安全保障の考え方というところでまとめてございます。最終的には、「おわりに」というのと、参考資料を添付しようと思っております。
 それで、まず、3つのパートぐらいに分けてご説明をさせていただければと思っておりますが、要約につきましては、2ページから4ページ目にございますけれども、こちらの方につきましては、5ページ以降の最後までの内容をピックアップしている内容でございますので、ここではご説明を割愛させていただきまして、5ページの本体の方から中身に入らせていただければというふうに思っております。
 まず最初は、5ページ目から11ページ目までの安全保障の考え方の前のところまで、背景と温暖化の影響というところまで、ポイントをご説明させていただければと思います。
 まず、早速、5ページ目の検討の背景というところでございますけれども、そこは、まず、2008年の国内・国際の政策検討状況ということでございまして、まずは、昨今では、第一約束期間が、いわゆる来年からもう始まるというタイミングに迫っておりまして、それもありまして、京都議定書目標達成計画の見直し作業というのにも政府部内で入っているところでございます。それから、国際的には、2012年、それからその後の、いわゆる次期枠組と言われるものの間にギャップを生じることのないように、空白の期間が生じることのないようにということで、次期枠組の議論が国際的にも、国際交渉の場でも活発化しているところでございます。
 それから、一方では、次期枠組交渉には参加しないという米国のスタンスであったりとか、一方では、主要排出国のコミットメントがまず先に必要だというような途上国の主張などなどもあり、なかなか国際交渉の場でも利害がぶつかっているところがあって、具体的な交渉に入れないでいるというような状況でございます。
 それから、さらに、取り巻く状況としましては、G8サミットでの気候変動への取組みということで、こちらの状況につきましては主に第1回で触れさせていただいたところでございますけれども、2005年、イギリスで開始されました「グレンイーグルズ・プロセス」、こちらの方について、G8に「プラス5」、さらには主要排出国が加わりまして、20カ国による、いわゆる「G20対話」というものが動き出しておりまして、第1回目が2005年、イギリス、ロンドンで、第2回目は、これはメキシコのモンテレー、昨年の10月で開催されているところでございます。
 本年の秋には、ことしのG8議長国でありますドイツにおきまして、G20の第3回が予定されておりますのと、それから、来年春には、来年の議長国である日本がG20をホストするなどが予定されているところでございます。
 この会合では、特に、世界エネルギー機関、IEAとか、ワールドバンクについても議論に積極的に参加して、タスクを一部分担して負っているというところもございます。さらには、科学的知見の関係では、IPCCの科学的知見とか、さらには、昨年10月末に出ました「スターン・レビュー」の関係も、このG20プロセスの中で紹介されているというところでございます。
 この成果のG20のプロセスについては、来年春に予定されております、いわゆる第4回目に当たるG20プロセスが日本で開催されますけれども、そこで報告されるということもございまして、日本のリーダーシップが問われるというところでもあろうかなというふうに思います。
 特に、本年につきましてはドイツが議長国でございますので、G8ハイリゲンダムサミットが6月に予定されているところでございますけれども、G8プラス5という議論になる予定でございまして、その意味でも、気候変動の問題が取り上げられ、まさに今や気候変動問題は首脳レベルの課題といった様相を呈しているところでございます。
 それから、気候安全保障の議論の開始と展開というところでございますけれども、こちらの方につきましては、いわゆるこの「安全保障」というキーワードがどういう経緯で最近出てきたのかというところを紹介してございます。特に、まずは、最初にこのキーワードを用いましたのがイギリスでございまして、国際社会において「Climate Change」の問題を「Climate Security」、いわゆる「気候安全保障」というキーワードで取り上げるに至っているというところがございます。具体的には、昨年の10月、先ほどご紹介しましたメキシコ、モンテレーで開催されました第2回のG20の中で、英国のベケット外務大臣の方が「Climate Security」という用語を用いて、国際社会の警鐘を非常に強く鳴らしたというところがございます。
 さらに、その後、その直後という形になるのかもしれないんですが、イギリスでは、さらにスターン・レビューというものを出しまして、経済的側面からの分析とか、経済的側面からの地球規模でのダメージというような観点を非常に具体的、科学的に分析をするレポートが出されたところでございます。その中では、二度の大戦や20世紀後半の世界経済恐慌にも匹敵するものであると。気候変動問題はそういう非常に大きな影響を伴うものであると。さらに、もとに戻すことが難しく、もうもとに戻すこと自体が不可能であるといったような重大な問題であるというような内容が盛り込まれているところでございます。
 他方、米国、アメリカでは、ブッシュ政権は非常にまだ、いわゆるかたくなな態度でありまして、前向きな姿勢が見えない状況でございますけれども、アメリカ自体におきましては、上院外交委員会の方でことしの3月にバイデン・ルーガー決議案という内容が出されたりとか、それから政府系のシンクタンクである海軍分析センターの方で、いわゆる気候変動が国家安全保障に影響を与えるものだという見解も示されているところでございます。
 バイデン・ルーガー決議案の内容につきましては、そこに少し小さな文字でポイントだけご紹介をさせていただいているところでございまして、端的にご紹介をいたしますと、いわゆる気候変動問題は、米国がこれまでも非常に重要視してきた施策、1丁目1番地という施策内容でありますが、国家安全保障の保障上の問題であると。それは、国家安全保障上の利害に影響を及ぼす可能性のある問題であるというように位置づけて、問題を少し鋭く紹介しているとともに、警鐘を鳴らしているというレポートが出ているところでございます。
 それから、一番下のところでございますけれども、国連の方に目を向けてみますと、昨年11月、これはCOP12がアフリカで開かれたところでございますけれども、その場で国連のアナン前事務総長は、「気候変動は、環境問題のみならず、あらゆる分野に対する脅威である」といった内容を紹介しております。
 それから、最近では、新たに事務総長に就任しましたバン事務総長が、2008年の国連総会の時期に、首脳レベルでの気候変動特別会合を開催してはどうかというような意欲も見せているところでございます。
 さらには、今月17日、4月17日でございますけれども、国連安全保障理事会で、初めてでありますが、気候変動問題が議論されるというような場もあったところでございます。
 こちらの方につきましては、先ほど資料の方でご紹介しました、資料の2がお手元にございますけれども、資料2をごらんいただければと思っておりますけれども、こちらの方に、安全保障理事会公開討論「エネルギー、安全保障、気候」についてということで、どういう議論だったかということを少しポイントだけ事務局の方でまとめてみたものをご用意させていただきました。17日に国連本部で開かれまして、議長が、先ほど触れさせていただきました英国のベケット外相で、出席者は、事務総長以下、閣僚級、日本を含めて、合計で55カ国がスピーチを行ったという内容でございます。
 公開討論のポイントとしましては、ほぼすべての国が気候変動問題の重要性を強調して、多くの国がIPCCやスターン・レビューを引用しながら問題の緊急性を訴えたというところが、まずは一番の大きなポイントではないかなと思っております。
 さらには、島嶼国を中心に、非常に国家の存続に根幹を与えるような問題が起こり得るんだという内容を指摘するとともに、安保理での議論を歓迎して、国際社会の取組みの強化が訴えられるという場面もございました。
 一方、逆に、米国、中国、インドについては、米国は、どちらかというと余り積極的に触れず、自国の取組みを紹介という点と、中国・インドを含む途上国については、安保理で議論されること自体、余り歓迎していないということがある一方で、先進国による支援が今後は必要だというところの強調が見られたところでございます。この辺のスタンスはこれまでと大きく変わっていないのかなと思っています。
 その後、後ろについております英文でございますけれども、英国のコンセプト・ペーパーということで、英国は、特に議長として出席してございますので、英国が、いわゆる気候変動問題を安全保障問題として位置づけるということにつきまして、コンセプトのペーパーをまとめているところでございます。こちらの方につきましては、後ほど、ご参考までにご用意しておりますので、ごらんいただければと思います。
 それから、7ページの真ん中ら辺にもう一度戻らさせていただきまして、気候変動対策と他の課題との関係というところからご説明いたします。気候変動問題については、今、これまで説明した内容などを踏まえますと、次のような認識が浮かんでくるというところでございまして、大きく3点挙げてございます。
 1点目が、まず、国連が進めている貧困撲滅とか平和構築といった、これまでの重要政策の部分の努力を妨げる大きな障害になるというものが、この気候変動問題であるといった点。
 それから、気候変動問題の影響というのは、脆弱な国にとっては直接的に安全保障上の問題になりますし、また、世界的規模での経済攪乱によって、脆弱な国に限らず、多くの国が安全保障上の問題となる可能性があるんだといった点。
 それから、3点目が、この気候変動問題に対応していくためには、緩和する対策というのと、それから、実際に起こってしまう気候変動の影響について適応していく対策というものについても、高い優先順位を持って取り組まなければならないということが紹介されているところでございます。
 ただ、このような気候変動問題の対応の手段などを少し幾つか考えてみますと、エネルギー問題とか開発問題と非常に密接、一体、不可分なところもございますので、気候変動の影響を緩和する対策として、その対策自体がもたらすような影響について、エネルギー問題、エネルギー安全保障と言うのかもしれませんが、エネルギー問題とか開発問題、特に開発途上国における開発政策問題にどのようなインパクトがあるのかというところも十分留意しなければいけないのかなという点を付言しているところでございます。
 それから、次期枠組:交渉開始に向けた努力というところで、各国の主張が対立して、なかなか交渉に入れないでいるところもあるので、今後は首脳レベルの意思決定が必要不可欠であるといった点も述べているところでございます。
 それから、本専門委員会の役割としては、最終的には、この、まず、気候安全保障の議論は既に国際社会で進行している議論であるということを受けまして、どのようにこの概念を理解し、今後の対策の議論に生かしていくべきかについて整理をすることというふうに盛り込んでいるところでございます。
 それから、次のページから2章になりまして、気候変動の影響というところでございますけれども、こちらについては、まず、これも第1回目に事務局の方からプレゼンテーションをさせていただきましたけれども、IPCCの四次報告レポートについて、前回、第1回では第1作業部会の内容でございましたが、その後、第2作業部会の報告などもございまして、温暖化が人的な影響である可能性が非常に高いといった観点などが結論づけられている点がございまして、特に、近年の異常気象の事例紹介ということで、そこにありますように、最近、12年のうち11年が1850年以降で最も暑い年の上位を占めているとか、それから欧州の熱波、それから豪雨の関係、ハリケーン、それから干ばつといったような具体的な内容が盛り込まれているところでございます。
 それから、将来の影響で、世界的に見た場合ということで、第1作業部会の関係では、過去100年間で0.74℃、既に上昇しているといったこともございまして、今後は、そこにありますように、平均ベースであらわすと1.8から4℃、気温が上昇するといった予測がなされているといったこともございます。海面上昇についても具体的に書かれていると。
 それから、影響の第2作業部会については、4月の上旬にその内容が公表されたところでございますけれども、影響の予測というところで、そこにありますように、水資源の減少とか生物種の絶滅リスク、それから珊瑚の白化、それから食糧生産量の減少などなどについて具体的に触れているところでございます。
 次のページにまいりまして、将来の影響ということで、日本の方についても具体的な内容について触れられておりまして、降水量、それから台風、熱波などの異常気象現象、それから経済的なダメージ、浸水による被害などについての経済被害についても具体的な試算がなされているといったところがございます。
 それから、スターン・レビューについてでございますけれども、こちらの方については、経済的試算がより具体的に幅広く行われているといったところがございまして、特に、対策を行った場合のコスト、いわゆる「Cost of Action」というのと、対策を行わない場合のアクション、「Cost of Inaction」というものを比較して、前者についてはGDPの1%程度の規模というものに対して、後者の対策しない場合というもののコストについては、最悪の場合には20%にも及ぶような、先ほども触れましたが、二度にわたる大戦とか世界大恐慌に匹敵するような内容というふうな内容も盛り込まれているところでございます。
 参考までに、日本をベースで考えた場合ということで、対策にかかる費用、スケールを少し概観してみますと、GDPの1%というと日本では約40兆円とか、GDPの5%というようなベースであっても、200兆円というような規模になるというところが盛り込まさせていただいているところでございます。そういう意味では非常に規模の大きい対策費用になるということもあって、民間を巻き込んだ総がかりな対策とか、経済構造や社会構造の変革を伴う対策が必要であるといったこともイメージできるのではないかなというふうに思っています。
 それから、気候変動がもたらす影響の評価というところでございますけれども、こちらについてはIPCCの四次報告の第1作業部会、第2作業部会の内容について評価しておりまして、次のような点に留意といった点を具体的に、念のためというところでもあるんですけれども、付言しているところでございます。
 IPCCの四次報告のレポートでは、現在得られている知見に基づいて評価を行っているということもございまして、今まさに進行している気候変動の現実の動きと比べますと、過去の事象を分析していることになるということもあって、いわゆる影響、変化の進行の速度が加速している傾向とか、それから、今回盛り込まれなかったような新しい科学的知見なども考慮すると、より一層変化が早く、大きな影響があらわれる可能性が実はあるのではないかといった点に留意する必要があるというふうな内容も盛り込んでございます。例えば、挙げますと、温暖化の正のフィードバックとかグリーンランドでの氷床のダイナミック融解というようなものの内容を具体的に挙げているところでございます。
 このように、ここまでの時点で早期の対策を講じなければ、すべての国にとって、もう取り返しのつかないような深刻な被害が生じる結果になる恐れがあるというような内容で、ここまでのところ、まとめているところでございます。
 私の方からは以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 11ページまででございますけれども、何か事実誤認とか、もう少しこう書いたらいいかといったところはございましょうか。それぞれご専門の方々にインプットをお願いしてありますけれども、大体正確に記述されているでしょうかということでございますけれども。
 はい、どうぞ、三村委員。

○三村委員 住先生のちょっとご意見を後で伺いたいんですけれども、11ページの最後に紹介していただいた、より変化の速度が早くなるというので、最後のパラグラフの上に1行あいて、そのすぐ上ですけれども、「グリーンランドや南極でのダイナミックな氷床の融解など」と書いてあるんですけれども、これは、原文はそういうふうにはなっていなくて、南極やグリーンランドの氷床のダイナミックスが変化する可能性がある。つまり、氷床がどんどん流れ落ちる速度が早くなって、氷山がどんどんできて、溶けなくても氷山が流れ出してしまったら海面が上がるわけですから、ちょっと表現としては、「グリーンランドや南極での氷床の流下速度」とか、あるいは「ダイナミックス」という言葉を使うなら、そういう言葉を使うとか、そういうふうに、これは融解というものじゃないような気がしますね。

○西岡委員長 住先生、何かございますか。

○住委員 きっとダイナミックな融解という場合は、西南極氷床の形の大きな崩壊という、西南極氷床の下に海水が入って、ばっとなるというような、そういうのをイメージして、だから本当の突発的なというのをイメージするので、三村先生が言われたように、溶けるとダイナミックスに変わった。要するに、より多く出てくるようになるという話です。それで、グリーンランドがどんどん溶けて、どんどん水没するみたいな言い方は若干ちょっとというのは、言い方としてはちょっときついなというのも、これは印象を持っていますけれども、ここはそういう点で書きかえればいいと思います。

○西岡委員長 はい、どうもありがとうございます。
 これは、言い方として、ダイナミックメディティングという言い方をよく見ますね。だけれども、それはそういうことを意味しているということで。

○住委員 だから、ダイナミックスメディティングはこの……

○西岡委員長 そういうことを意味しているので、日本語に訳すときに、融解というのは上から溶けたみたいな感じをいつも持つけれども、それはちょっと違うのではないかということで、多分、訳語の問題だと思います。よろしくお願いします。
 ほかにございましょうか。
 はい、どうぞ。

○工藤委員 ありがとうございます。1点、ちょっと位置づけ的な部分で気になったので、IPCC等々の内容のレビューと、それから国際的な議論のレビューを一通りされている、ここは非常にわかりやすかったんですが、スターン・レビューの位置づけなんですけれども、スターン・レビューの結果を受けて、例えば、先ほどの試算をされたという、簡単な計算をしましたとかという部分が随所に出てくるんですけれども、スターン・レビューの中身の評価ということがどのくらい今固まっているのかなと思っている中で、ここまで前提として、この評価を前提としてこうだという文脈が適当なのかなというのはちょっと悩ましいかなと思いました。
 今、IPCCの話については、いろいろ議論した上で、いろいろな形でこうだということが出てきている内容だとは思っているんですが、スターン・レビューの数字等については、そのやった評価の意義というのはわかるんですけれども、その数字に対して具体的に、だからこうだという文脈になるというのはちょっと気をつけた方がいいのかなというところだけ、ちょっと気になりました。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 私も、この「日本の場合」という、簡単に「日本の場合」と書いてあるんですけれども、これは一体どういう前提なのか。「日本」というところがちょっとわかりにくかったので、もし「日本の場合」というんだったら、もう少し何か書き加えないといけないかな。日本は被害の状況が違うわけですから、その辺がどう考慮されているかということもあります。
 それから、今、工藤さんがおっしゃったのは、もう少し前の段階で、スターン・レビューに対するピュア・レビュー的評価がまだちゃんとされていないということもあるかなと思いますけれども、しかしながら、かなりの多くのデシジョンがスターン・レビューを引用しながら進みつつあるということですね。これは私どももいろいろと検討しているところでありますけれども、そのあたりを踏まえた書き方にする必要はあるだろうと思いますね。
 ほかにございますか。
 はい、どうぞ。

○明日香委員 すみません、気候変動対策と他の課題との関係というところなんですが、気候変動の影響が貧困なり開発に影響を及ぼすというのは多分あると思うんですけれども、逆に、気候変動対策がエネルギー、安全保障の確立なり貧困撲滅にいい意味で影響するというような、そっちの方のベクトルがもうちょっと強く書いてもいいのかなと思います。
 あともう一つ、先ほどのスターン・レビューで「Cost of Inaction」を初めて算出したと書いてあるんですけれども、多分、初めてではなくて、幾つかありますので、細かいところですけれども、「初めて」というのはちょっと間違いかもしれません。
 以上です。

○西岡委員長 ほかにございますか。
 よろしゅうございますか。では、先へ進みましょうか。
 よろしくお願いします。

○和田国際対策室長 それでは次は、12ページから14ページの下のところまでですが、ここからメーンの内容のところになりますけれども、3章ということで、気候安全保障の考え方というところでございます。
 まず、安全保障の概念ということで、次に定義の内容に触れております。安全保障につきまして、特に前回でございますけれども、定義、考え方、これまでの少し学問的な分野の紹介などなども先生方にご紹介いただいたり、ご議論いただいたところですが、そこを少しまとめてみたものでございます。
 中身について、まず、安全保障については幾つかの定義があって、「誰が、どのような価値を、どのような脅威から、どのように守るか」といった問題が安全保障の問題であるというふうに言えるのではないかということでございます。ここでは、安全保障の考え方について、その要素毎にとらえて分析してみました。
 これまでの代表的な安全保障の定義ということで、先生方から教示いただきました内容について少し定義を幾つかまとめているのが、その小さな文字の部分でございます。ここでは、それぞれちょっと割愛させていただきたいと思っています。
 参考のところで、特に、さまざまな安全保障の考え方というところで、そこは小さな文字の部分のところとも若干重なっておりますけれども、共通の安全保障とか協調的安全保障という内容で触れていまして、特に、まず、共通の安全保障というところで、70年代、ヨーロッパで偶発的な核戦争が起こる可能性を回避しようということで生まれたものであって、その後、偶発的事故をきっかけに意図せざる戦争が起こる可能性を認識して、戦略的相互依存関係の世界において生存を保障するものといった考え方が一つ紹介されました。
 それから、「協調的安全保障」というキーワードで、「敵対する可能性のある国」も含めて、協力体制を築いていくことによって紛争の芽を早めに摘むといった概念なども紹介されております。
 あわせて、安全保障の観点では、特に、どちらかというと、日本が非常に中心的に、国際的にこれまでも提唱してきた内容ですが、国連開発計画(UNDP)でも提唱されていますが、「人間の安全保障」というキーワード。これは、地球規模の危機として、人口増加とか経済的機会の公平性といったようなものを「各個人あるいは人々に対する脅威」というものに対処していこうという概念で生まれてきているかなと思います。そういう意味では、人道的な観点というのが含まれているのは、この人間安全保障という整理がなされているところでございます。
 それから、カナダ政府でも、人道的介入の観点で保護する責任ということで、EUの人間安全保障ドクトリンとか、それから対テロとかの観点の脅威に対処するといった点も触れられているところでございます。
 それから、最近ではブッシュドクトリンとかいうことで紹介されておりますけれども、テロへの安全性というところで、先制攻撃の許される範囲を超える「先制攻撃論」とは質的に異なるものなどといったような従来の考え方を少し整理しております。
 それから、最近、これは日本が非常に土地勘があるという部分でございますけれども、総合安全保障というところで、軍事的手段と非軍事的手段の両方が必要で、非軍事的手段の例として、経済的相互依存関係の強化といったような、こういうものによって国際協調を生み出していくというような安全保障の形態もあるといったところが紹介されておりました。
 それから、ここからは少し要素別に言葉の整理というか、「安全保障」というキーワードの整理に基づいて、これ以降の気候変動問題を「安全保障」というキーワードの観点からどう整理できるかという基礎にしようということで、まずは用語の整理をしてみました。
 まず、脅威とは何かというところでございまして、これについては、意味的には「威力によって脅かし脅すこと」というふうになっていまして、物理的な損害を与える「客観的な脅威」というのと、それによる不安などの「主観的な脅威」という整理があります。それから、脅威の原因として、短期的な脅威としては、軍事力の観点、それから長期的脅威の原因として、「国の総合力」という言葉を使っていますけれども、領土、資源、人口、経済力などなどというものがあるということがございます。それから、脅威としては、その長期的・構造的な要素として、領土とか資源とかエネルギーをめぐる紛争・国家の分裂などというものが挙げられております。それから、「脅威」を与えている主体というものとしては、従来であれば国家ということなんですけれども、最近ですと、テロリストとか、国際的な、いわゆる組織暴力などの観点も挙げられております。
 それから、どのような価値を守るのかということの観点の定義もございましたが、伝統的な安全保障の分野では、国・政府が中心になって、領土の保全とか政治的独立、領土内の人民の生命と財産を必要な手段で守るといった観点という考え方。それから、リベラルな安全保障の考え方ということで、経済的相互依存関係によって国際協調を促す。先ほど日本が非常にこれまで提唱してきた内容ということでも紹介を既にしているところでございます。
 それから、誰が守るかといった観点でございますけれども、国家の軍事力や経済力を含めた国家の力が果たす役割と、国家自体が果たす役割というのは依然として大きいであろうといった観点。それから、ただ一方で、国家だけでは対処できない部分について、国際機構とか企業、個人などが担うというような部分もあるのではないかといった点でございます。
 それから、どのように守るかといった点については、従来の考え方をそのまま当てはめますと、当てはめるというか、従来の考え方ですと、軍事的手段を含むあらゆる手段を行使するということが守る手段ということで位置づけられております。これにつきましては、特に前回、前々回と委員の先生方にプレゼンテーションなどをいただいた内容について、簡単に取りまとめたものでございます。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、いかがでしょうか。このあたり、特にご専門の先生方、これで大体よろしいでしょうか。
 太田先生、どうぞ。

○太田委員 細かい点ですけれども、参考の枠の中の13ページですが、「EUの人間安全保障ドクトリン」というところは、保護する責任と同じ位置にあるということで、この下、アスタリスクではなくて、丸にしてもらって、1つ文字を上げてもらうという感じにしてもらうといいかと思います。
 あと、ちょっと私自身、テロへの安全保障をここに伝統的な考え方として入れた方がいいかどうか、個人的には余り入れない方がいいと思っているんですけれども、ブッシュドクトリンはひょっとしたら一貫性なものに終わってしまうかもしれないということで、正当性は余りないような気がしているので、そこはちょっと皆さんで議論してもらいたいなと思います。もし入れるとしたら、「ブッシュドクトリンにおける」というところから始まる括弧してあるところですけれども、「大量破壊兵器を有している国家やテロリストに対する」、ここに「予防的」という言葉を補ってもらって、「予防的『先制攻撃論』」ということで、これは従来の先制攻撃論とはかなり違う、踏み込んだものであるということで非常に論議されているところなので、ちょっと私としてはこれをこの中に入れるのはどうかなという気はしていますが、あえてこういう考えもあるというふうに提示するという場合であればいいかなとは思います。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 はい、どうぞ。

○高橋委員 14ページの②のところですが、どのような価値を守るかというところ、今書いてある部分はこのままでいいと思うんですが、それにつけ足す必要があると思いますのは、最近、この七、八年の、10年ぐらいでしょうか、特に安保理でのこの問題を扱うときに、実質上、安保理の決議を通して、立法行為のようなことが行われてきて、表に出てきていますのが、人権、それと民主主義。この人権と民主主義を守るということが安全保障のコンセプトとして中心になり、初めて、それ自身に関しては非常にいろいろ問題を含んでいるわけですが、その事実は一応書いておいた方がよかろうと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 今、2つの専門の方々からのご指摘があったんですけれども、それに関しましてご意見ございましょうか。
 はい、高村委員。

○高村委員 ありがとうございます。2点、関連して、特に高橋先生のご意見に関連してだと思うんですが、理論的なこういう考え方があるという整理として、よくまとめていただいているというふうに思うんですけれども、一つの国際社会の動向として、その安全保障に対する脅威、それから守るべき価値というものが、この間、特に、ここ10年ぐらい広がってきているということを、つまり時代的、歴史的にどうその拡大というものを抑えておく必要があるのではないかというふうに思います。脅威のところでいけば、他国からの侵略だけではなくて、一定の、ここにも挙げられておりますけれども、脅威が国際社会の安全保障の脅威として認識をされ始めていますし、それは、整理をしていただいています、例えば人間の安全保障といったような概念が、国際社会、国際連合の中でも議論されているといった点からも言えると思います。価値の点でも、単に領土保全等ではなくて、いわゆる人間の幸福といいますか、福祉の向上といったところがまさに直接的な守るべき価値として認められるようになってきているといったところを触れていただくのがよいのではないかというのが1つでございます。
 2つ目が、これはこの後の多分記載にもかかわるのですけれども、どのように守るかというところで、理論的には間違いがないというふうに思うんですが、他方で、恐らく、少なくとも1945年以降は、安全保障に関して、その軍事的手段を一方的に使うということについては極めて厳格に制約をしてきたという国際社会のルールがあるというふうに思います。これは恐らくその趣旨で後段書かれているように拝見をしているんですが、そのことはここには言及をしておいた方がよいのではないかというふうに思います。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 はい、どうぞ。

○明日香委員 どこに入れるか、ちょっと悩んでいるんですが、その気候変動問題の地球環境問題の特徴として、やはり次世代の問題というのがあると思いますので、多分、その価値を守るかなり人権という話になると思うんですが、「現世代及び次世代」という言葉を入れると、気候変動の特徴、かつ非常に重要な、これから対策を考えるにも重要なのものなので入れていただければと、ここを検討していただければと思います。

○西岡委員長 住委員。

○住委員 僕も高村先生の意見と同じなんですが、4番のどのように守るかというところは、唐突というか、ここだと何でもありでちょっと言っているだけなんですよね。それで突然、「保障には、『城砦』、「土塁』の意味がある」と。これは英語のセキュリティという意味なんでしょう。これはそう言わないと、保障というのは、その武力を持つんですかというのは、日本語であるかというのもちょっと調べた方がいいと思うんですけれども、多くの人がこれは日本語で読むわけですよね。そうすると、日本語の保障というのは本当に土塁なんていう意味があるんですかねというふうにとられかねないのと、突如として、これは軍事的手段を含む何ぞやとぼんと出てくると、何か、本当に意味があるんですかねととられるから、もっと前の総合、いろいろまとめてあるんですけれども、ここをもうちょっと書かないと、僕は物すごく何でかと勘繰られる気がしますので、ここは、もしそうであれば、いろいろなことがあって、国際的な枠組とか、それから軍事選択とか、いろいろなことを書かないとだめだというような気がしますが。

○西岡委員長 ほかにございますか。

○高橋委員 私は、今の住先生の意見、100%賛成です。この4番は書き直した方がいいと思います。

○西岡委員長 ありがとうございました。
 はい、どうぞ。

○甲斐沼委員 先回も言った、「安全」という言葉ですが、セキュリティ、日本語だと「安全」と訳されてますが、英語のセキュリティとちょっとニュアンスが違って、安全の考え方というか、日本の安全だと、かぎをかけなくても、泥棒が入ってこないというのが安全というですが、セキュリティの安全は、ここでブロックして、そこの中、塀の中は安全だということで、日本語とちょっとニュアンスが違うので、その辺、4番は確かにすごい唐突に思われるので、書き直していただいた方がよいかと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにございませんか。
 米本委員。

○米本委員 私も、どう発言したらいいのか、よくわからないんですけれども、そもそもこのレポート、これは日本語で書くんですが、これは外国人も多分読むと思いますので、そういう意味では、この書きぶりの神経の使い方というのは生煮えのところが結構ある。むしろ、かえって書かない方がいいのではないかというようなアイテムのやり方があるので、それをむしろ今から、事務局、ここまでまとめていただいたんですけれども、ここでディスカッションした方がいいと思いますが、何とも申し上げにくいんですけれども、例えば、先ほど、今の世界というのはねじれていると思います。大体、「セキュリティ」という言葉を国際、外交で使い出したことは、アメリカに対する変化球で、ここに、先ほど、このブッシュドクトリンをどう評価するかというのが、これはありましたけれども、要するに、圧倒的な軍事力を持っているアメリカが、下手すると勝手なことを言い出す。既に言い出しているかもわからないようなことについて、国際社会がどういう認知の仕方をしているかということそのものが日本の書きぶりに出てくると外国人は読むと思いますので、そういう意味では、私は、最初からちょっとここにいづらい、なかなか腰が落ち着かない感じがするんですけれども、非常に日本がこれまで安全保障、もしくは英語に訳したときに、「セキュリティ」という言葉を使うことの外交的メッセージ、中長期的なメッセージ性というのは少し神経を使って、たとえ日本語のレポートでもまとめた方がいいのではないかというのがちょっと漠然とした直感でございます。

○西岡委員長 ほかにございますか。
 はい、どうぞ、蟹江委員。

○蟹江委員 私も、この流れからして、ここで伝統的な安全保障の概念を定義して、次に基本安全保障の各論というかに移るのかなと思ったんですけれども、どうも、ここの部分で安全保障の伝統的なものも含まず表現しようとしているような印象を受けましたので、そうすると、やはり安全保障の考え方自体が変わってきているというところを入れた方がいいかなという感じがしています。例えば、脅威が何かというところも、古典的には国家であるということが書いてありますけれども、今、例えば、SARSのような病気であるとか、環境問題なんかを含めて安全に対する脅威だというふうに考えられていると思いますので、そういう国際社会の動き方自体が変わっているというところももしかしたらこの部分に入れた方がいいんじゃないかなという感じがしています。どのように守るかというところも多分そういう議論だと思うんですけれども、例えば、どこかにあったような気がしたんですけれども、ソフトパワーのようなものというのも長期的には安全保障をする一つの手段としても考えられると思いますので、その辺までも含めて、ちょっと広げて、国際社会全体の動きというところを踏まえた書き方にした方がいいのではないかなという感じがします。

○西岡委員長 先に三村さん。

○三村委員 今、蟹江先生がおっしゃったのと非常に同じような印象を持っていまして、さっきから④のどのように守るかというところが問題になっているんですけれども、私は、気候問題の中のソフトパワーというのは、IPCCとか科学の成果が国際政治にかなり密接に関連を持ったというところが非常に大きいのではないかと思っています。それで、だから、そういう、例えば、今これだけ気候変動問題に対して国際世論が非常に高まってきているというのも、1つは、予測されたものが実際に目の前で起きてきた、そういう観測事実があるということと、それから将来に対してかなり精密な予測ができるようになってきた、そういうのが非常に大きいのではないかと思うんですね。そうすると、どのように守るのかという中に、例えば、科学的な成果を常に新しいものにしていくとか、それを国際政治の中にインプットしていくとか、あるいはIPCCのような仕組みを今後どういうふうに生かしていくかとか、そういうようなものも何か入ってくるのではないかな。私は全く専門外ですから、そういうのがソフトパワーというものの中に入るのかどうかもよくわかりませんけれども、少なくとも、この文章の前半ではそういうことがいろいろ書いてあって、後半には、そういう科学の予測とか、そういうのが全然書いていないというのも何か変な気もしますし、きっとそういうことが必要なのではないかと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかになければ、島田専門官、どうぞ。

○島田国際交渉専門官 委員長、ありがとうございます。私自身が、今、環境省でお世話になる前は、ちょうど、先ほど高橋先生がおっしゃった、8年から10年は、私、国連の安全保障理事会の方におりましたので、その点からちょっと一言ということであります。
 まず、先ほど太田先生がおっしゃいましたテロへの安全保障、ブッシュドクトリンの話ですけれども、実際、このテロへの安全保障というとらえ方は、まだ、例えば、国連諸国、特に安全保障理事会ではされておりませんで、「セキュリティ」という、その言葉を使うこと自身に非常に大きな議論がご指摘のとおりありまして、今、どちらかというと、テロへの対策というような形でアメリカが勝手に言っていることだということが、他のSCS、安全保障理事会の諸国の考え方であるという点が、1点、補足です。
 あと、甲斐沼先生がおっしゃった「セキュリティ」という言葉と「安全」という言葉の違いということで、ご指摘のとおり、日本語の「安全」というのは、安全保障というのは、脅威がないというようなことが主な意味だと思うんですけれども、特に、セキュリティカウンセルでいう、そのセキュリティというのは、その脅威がない状態というのと、また英語で言うディフェンスみたいな防御というような意味というものと、脅威に対しての対策というものも含むので、もう一つ広義なのかなということで、クライメートセキュリティというとき、どういう観点なのかという点ですね。
 あと、高橋先生がおっしゃったヒューマンライツと民主主義というのが、最近、安全保障のところへ入ってきているという点は、本当にそのとおりでして、この気候変動の問題そのものも、いろいろなところで、最近、人権の問題だというような議論も出てきていますので、それは、実際、セキュリティカウンセルの方でも入ってきていますし、あと、経済社会理事会のエコソックでもそうですし、ジュネーブにあります人権委員会の方でも、もう既に、この気候変動問題というのは人類に対しての安全保障の問題であると。その生存の問題だという点で、いろいろIPCCなどの見解なども踏まえながら、今、実際、話をしているという点では、本当に高橋先生のおっしゃるとおりで、最近はヒューマンライツとか民主主義も入っていますので、もう少し広義なとり方をしなければいけないかなと思います。
 あとは、これは私の恥さらしで一つなんですけれども、実は、私、これを初めて、きょう見まして、ご指摘の点というのは非常に本当に重いなと。特に、どのように守るかという点では、私も一応事務局の側にいるんですけれども、正直申しまして、一体これは何を言いたいのかよくわからないというのがありますので、ご指摘を踏まえまして書きかえる方向に行きたいというふうに思います。どうもありがとうございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 はい、工藤委員。

○工藤委員 先ほどの米本委員のコメントにも若干関係するんですけれども、前回の議論の中でも、特に、この「安全保障」という言葉のみんなの認識、定義とか意義というのが大事だ。そういう意味でこういう流れになっていると思っているんですが、今のこういった文脈の中でも、やはり具体的に、では安全保障というのは何だろうと言われると、やはり見えないところがあって、逆に、日本がこういうものを具体的にどう考えているかという、ほかの事例が多分あると思うんですよね。例えば、エネルギー安全保障みたいなことを日本政府はどう考えているかとか、それ以外の安全保障と関連するような公式文書なり何なりみたいなこと、こういった事例みたいなものが、この定義の一般論と気候変動という気候安全保障に行く間に、紹介という形で明確に入っていると、じゃ、大体基本的な考え方はこういうことで日本政府もやってきているんだということと、それと、ほかの気候問題ではこういうことが違うからこうだとか、ああ、こういうところは共通だからこうだとか、そういう対比として、今までの日本の、ある意味、公式な事例みたいなものを入れるというのもひとつ文章としては大事なんじゃないかなという気がしました。

○西岡委員長 亀山委員。

○亀山委員 工藤さんの先ほどのご意見に関連するので、今挙げさせていただきました。私も全く同様の感想を持っておりまして、その意味では、日本は、高村先生が先ほどおっしゃった、トレンドの一番先端にいるというか、一番リベラルな形でその「安全保障」という言葉を使ってきたという位置づけをどこかに書くべきだと思います。
 具体的な修文案としては、12ページの総合安全保障の概念というのが小さくポツで入っているんですが、このあたりとか、あと13ページのボックスの中の一番下の総合安全保障、このあたりを多くの使い方の一例として何気なく入れるのではなくて、あえてそこを取り出して、一般的には安全保障というのはこういうふうな考え方だけれども、日本では「総合安全保障」という言葉を使って、単に軍事的な意味での脅威のみならず、エネルギーや食糧やさまざまな広い意味での人間、国民に対する脅威というものに対して安全保障というものを使ってきましたよということをどこかにまとめて書かれたら、先ほど工藤さんがご指摘されたような意見を組み入れることができるのかなというふうに私は感じておりました。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 はい、どうぞ、太田委員。

○太田委員 今の亀山委員に一言足すだけですけれども、やはりこの大平首相の私的な諮問機関で研究した総合安全保障で、最後に地震が出てくるんですね。地震からの安全保障というのが出てくるので、自然災害ということを非常に、日本の土地柄、そういうことを重視してあるということは、まさに、津波の問題とか、そういった問題を先取りしている問題でありますので、そこを強調されると気候変動にかなり自然な形で関連づけられるかと思います。よろしくお願いします。

○西岡委員長 はい、どうぞ、原沢委員。

○原沢委員 細かなところなんですが、脅威とは何かの中で、領土・資源・エネルギーと書いてあるんですが、それに加えて環境問題そのものがこういった脅威になって、具体的に言うと、例えば、環境難民とか、実際起きているということで、気候変動問題が環境的なセキュリティを考える上で重要で書き加えていただければと思います。

○西岡委員長 それでは、皆さんに議論していただきました。全体にこの部分が、次につながる部分の前処理といった感じで書かれていたけれども、もう少し流れを持った形にしたらどうかというのが皆さんのご意見。ちょっと平面的に書き過ぎているかと思います。その概念がどう変わっていったか、あるいは特に日本という立場から安全保障の問題をどうとらえているということは確かに強調してもいい。次に反映させる前段としても必要かなと思っております。
 幾つか、周りをどのように守るかというところのあたりだとか、これはもう書き直してもらった方がいいようなところもあるかと思っておりますが、全体として、幾つか、環境の問題、福祉の問題、現世代、次世代の問題という話、あるいは人権民主主義を守るという件もございます。
 それから、やはりこのレポートは、そういう意味で、今、国際問題の中核になるという意味で、英語に訳したときにどうなるかといったこと、あるいは日本としての立場をある程度、そんなに大事でないのにここで振りかぶるあれではないと思いますけれども、きちんと書かれているということは非常に大切かと思っております。
 そんなところでしょうか。それでは次へ進ませていただきまして、また後ほど議論していただきたいと思います。
 どうぞ。

○和田国際対策室長 それでは、引き続きまして、14ページの後ろの方でございますが、ここのところから、今、西岡委員長の方からございましたように、今ご議論いただいた内容と、そういう意味ではリンクしている内容でございますので、今ご指摘いただいた内容のところの変更とリンクするというのが前提で紹介をさせていただければと思っております。
 早速でございますけれども、まず、気候安全保障、ここでもう「気候安全保障」というキーワードを表題として導入してございます。気候安全保障の考え方ということで、安全保障問題としての気候変動問題といったところでございまして、次のページから具体的な内容に触れているところでございます。
 15ページになりますけれども、まず、安全保障というものにおきましては、脅威の媒介について、その脅威を与える「主体」と脅威を受ける「客体」というものがあって、そういう意味では、脅威を受ける客体が脅威を認識して、その脅威を「除去しようとする行動」というふうに整理してございます。
 それから、気候変動による影響を「脅威」というふうに認めるかどうかにつきましては、第1章、第2章のところにもございましたが、IPCCの四次評価レポートとか、第1作業部会、第2作業部会の両方ですが、それからスターン・レビュー。スターン・レビューの位置づけ、ピュア・レビュー的な位置づけもというのがございましたが、そこはまた検討させていただくことにして、スターン・レビューとまず挙げてあります。
 それから、気候変動の文脈という意味では、「脅威」は世界の人々が受ける気候変動による影響と、それから「主体」は、温室効果ガスを排出する、例えば企業とか団体とか個人とか、それを統括する国家という整理をしてありまして、「客体」についても、その影響によって生命とか財産を失う企業・団体・個人ということになっておりますが、言葉だけ並べると、与える側も受ける側も同じになるのでございますけれども、そこにもありますように、例えば、小島嶼国のように温室効果ガスをほとんど排出していない国家であるにもかかわらず、影響の方だけ大きく受けてしまうといったようなアンバランスもあるといった点を補足してございます。
 それから、具体的に「誰が、どのような価値を、どのような脅威から、どのように守るか」といった点に照らして整理をいたしますと、「誰が」という点につきましては、法整備がどうかというのは、先ほどの修正と連動しますけれども、今の時点でのということでございますが、基本的には国家であって、国家だけで、国家が国際協調しつつ、国民の生命などを保護するといった点があると。そういう意味では、国家の基本ですが、国家だけでは及ばない部分があるといった点。
 それから、「守るべき価値」としては、昨今、先ほど先生方からもご指摘いただきましたように、広がっているんだというところは最低限書く必要があるかなと思っているんですが、人類の食糧生産や経済活動だけでなく、最近では生態系というような観点にも及ぶといったところが指摘されているところでございます。
 それから、「どのような脅威から」という意味では、温室効果ガスの排出による気候変動影響自体が脅威であるといった観点の整理をしています。
 「どのように」というところは、ちょっと先ほどとも大きく連動して、整理をさらにし直さなくてはいけない部分ですが、気候変動の世界でいえば、いわゆる緩和策が適応策ということを講じることによって対応していくといったことを整理してございます。
 それから、これも前回、先生方からご指摘いただいたところでもございますけれども、「脅威」というような用語自体が、そこにありますが、「Threat」という単語が用いられていることもあって、主観的要因だけで正当化されるというようなこともあらわしていて、気候変動の脅威は、思い込みというような観点だけではなくて、科学的にも解明されて、さらに解明され続けているといったような客観的な脅威に基づいているということも、一方では、気候変動の世界ではしっかりしているといった点を盛り込まさせていただきました。
 それから、安全保障の用語といった観点でございますけれども、これは用語の整理でございますけれども、従来ですと、国家安全保障とか国際安全保障と、こういう文脈で使うのかもしれないんですが、これに加えまして、「人間の安全保障」とか、それから「食糧安全保障」とか「エネルギー安全保障」というようなさまざまな安全保障が取り上げられているところでございますけれども、それと、気候変動と安全保障という観点で見てみますと、気候変動自体の概念とか安全保障の概念を明らかにして、両者の関係を説明していくことも可能ではないかというふうに考えております。その意味では、気候変動がもたらす安全保障の領域横断的な「脅威」に対処するという観点から、これを用語として「気候安全保障」と。先ほどベケット外務大臣の法がスピーチで用いた「Climate Security」という単語で表現することも可能ではないかという整理をしてございます。
 また、一言で「気候安全保障」という用語で表現することによって、わかりやすいといった点でも効果的ではないのかといった点。一方では留意事項もあるのでございますけれども、わかりやすいといった点もあるのでないかということで盛り込んでおります。
 それから、それによって、気候変動問題について優先順位が高くなって、国内対策とか国際的な連携も促進されるといった効果も期待されるのではないかというふうに整理してございます。
 それから、あとは、そこにもございますが、気候安全保障自体については、基本的には非軍事的手段によって気候変動の脅威から守るといった性質のものであって、非軍事的な手段を用いる安全保障を発展させてきた日本としては、先ほど亀山先生、ほかの委員の先生方からもご指摘がありましたが、特に、そういう歴史を持つ日本として気候変動問題に臨む姿勢として用いるのは適当ではないかというような整理をしてございます。
 それから、気候変動における脅威の主体の認識といったところでございますけれども、第2段落目のところですが、温室効果ガスを増加させている主体として、およそすべての世界中の者という整理がされてしまいますけれども、気候変動では「自らの行動」が脅威で、その対策はその行動を是正するというふうに、もう平板的に一般化してしまうことを前面に出してしまうと、道徳的な観点から見ると余り政策的な観点にはならないといった点の留意が必要であるといったことを盛り込んでございます。
 それから、次のページ、17ページでございますけれども、まず、脅威の除去といった観点でございますけれども、温室効果ガスを大量に排出している国は削減を行うことが効果的であることは言うまでもないといった点でございますけれども、「共通だが差異のある責任」と。最近ではこの原則は非常に途上国が強く指摘をしておりまして、次期枠組交渉の場でも原則論として大きくハイライトされて、前面に持ち出されているところでございます。その意味では、その原則によって、削減のコミットメントの形式や内容についても、いわゆる先進国と途上国の間での調整が図られる必要があるといった留意点もございます。ただ、開発途上国における排出量が、一方では開発途上国の中で排出量が急増しており、これからも急増していくといった点がございますのと、先進国と比較して安価な削減ポテンシャルがより多く存在するといった点とかがありまして、持続可能な開発政策、いわゆる開発政策の中に気候変動の緩和政策を統合化・主流化することによって、「低炭素で成長する経済社会」というものへの転換を促していくということが重要ではないかというふうに整理しております。その実現のための国際的な協調が必要なのではないかということでございます。
 それから、地球公共財の保護と気候安全保障といった点でございますけれども、地球公共財という整理をさせていただいて、具体的に整理をしますと、まず、地域の不安定化と紛争のもととなる恐れがありますものとしては、そこにありますように、海面上昇、飲料水不足などなどがまず挙げられていた点がございます。
 一方では、小島嶼国では国土そのものが失われるということで、場合によっては移住を余儀なくされているというようなことも既に指摘されているところでございます。
 一方、日本では、エネルギー資源・食糧の国際依存の高さということもありまして、その観点から、間接的であるのかもしれないですが、リスクを背負ってしまう影響というものも考えられますし、直接的なものとしては、海面上昇、それから健康の観点で、衛生、健康面での影響などといったところもございますし、委員の先生方からの指摘では、例えば、沖ノ鳥島が失われるといったようなことで、経済水域消失といったような観点も具体的な例として挙げられているところでございます。
 その意味では、「このように、気候変動による影響は、広範にわたり、すべての国・地域に及ぶ」といった言葉がございまして、国境によって区分されない地球大気の組成の変化によって生じるものであるといったことでございまして、いわゆる気候変動対策、温暖化対策は、「地球公共財」への脅威の除去として、それが人類すべての安全保障につながるという論理構成もあり得るのではないかといった点を盛り込んでございます。
 それから、気候安全保障の効果というところでございますが、こういう整理による効果というところでございますけれども、こういう整理によって、世界各国の気候変動対策の優先順位を高いものにして、国際社会の連帯した対策に向けた行動を正当化することにつながるといった効果を具体的に挙げているところでございます。
 また、全体的な現象と温室効果ガスの増加との因果関係についてはもう既に明らかにされておりまして、今日では、既に起こっている異常気象ということについて安全保障の問題として認識する時期に来ているといった点でございます。
 それから、その意味で、気候安全保障という整理を通じて、国家の安全保障上の課題として気候変動問題が認識されるようになれば、国として長期的な確固たる対策を講じることが促進されるといった意味もあるのではないかなというふうに考えております。
 それから、国際社会の文脈からしますと、温室効果ガスの削減というものを強制するものとして、国際社会がとれる選択肢として、安全保障理事会で気候変動を議論することが将来的には非常に重要ではないかといった観点。場合によっては、「強制手段」というキーワードを挙げていますが、経済的手段などというものがあり得るのではないかといった点。
 それから、一方では、実際に受けてしまった影響について、これは適用措置の観点から支援が必要なのではないかというところとも当然ハイライトされてくるのではないかなというふうに思っております。
 それから、18ページの下の部分になりますが、気候変動においては、さらには次のようなことが考えられるといったことでございますけれども、国連の枠内で温室効果ガスの排出削減と適応策を合意して行動するといった点がまず1点目と。
 それから、もう具体的に、さらに被害が拡大することが明らかになった場合には、国連の決議を経て、国連の加盟国が、対策の一環として、大排出国に対して経済措置、貿易措置というような観点もあり得ると。
 一方では、さらには、3点目としては、世界の有力な国が連携して経済措置、貿易措置というような措置を講じて、大排出国に対する対応というものもあり得るのではないかという整理をしてございます。
 それから、このような国際的な対応によって利益を受ける主体、客体としてという意味でございますけれども、まずは脆弱な国といった観点がございますのと、それから、不安定化する途上国の増加によって世界的な安定が損なわれるといった観点。そこの観点からも、自国の安全保障の問題が生じて、世界経済の相互依存関係が進んでいるといった現在では、他国の影響にも自国に反映することがあり得るといったことも盛り込んであります。
 それから、温暖化の影響に強靱な国の場合でも、国家の健全な発展は阻害されて、安全保障上の問題が生じるといった点もございます。その意味では、本年4月に安全保障理事会で気候変動問題が議論されたことは、ある意味、画期的ではないかといった内容を盛り込んでございます。
 それから、気候安全保障と国際交渉、ここでは国際交渉というのは温暖化の国際交渉という文脈でございますけれども、現在の国際交渉では、どちらかというと、気候変動の影響を脅威というふうにとらまえるといった考え方よりは、気候変動の対策に伴うコストが脅威なんだといった深層心理というか、基本的な考え方もあって、対策を回避するといった点が国益の観点から優先しているといった方向になっているのではないかという危惧の点を書いているところでございます。
 この後は割愛しまして、20ページのところでございますけれども、ここはスターン・レビューのところの言い方を若干付言させていただいておりますけれども、「Cost of Action」の企業や経済に対する影響だけに配慮する考え方という意味で、気候変動対策に位置づけられているところでございますけれども、まずは、多くの考え方としては、気温が上がっても影響はそんなに大きくないだろうというような、「Cost of Inaction」ができるだけ過少に評価しようという傾向が働いているのではないかといった観点。
 それから、経済発展を続けている国にとっては、今回こういう問題、いわゆる気候変動問題が取り上げられているといったこと自体が経済発展を阻害してくるといった観点で、もっと自国の利益的な観点からすれば、経済発展の方を選択しているというようなダイナミックスがあるのではないかと。
 それから、自国の温室効果ガス排出義務を負うことは、もう究極まで回避をしたいといった考え方。
 それから、第一義的には、先進国が途上国に対する責任を持っているんだと。すなわち、先進国だけが対策をすればいいんだといったところも非常に国際交渉の文脈の中ではハイライトされているというか、大きな流れとなってしまっているのではないかなというふうに思っております。
 そういう意味では、現在の国際交渉のこのような膠着状態を打開して、交渉を進めて、さらに、今後の将来像といったものを示す意味でも「気候安全保障」というキーワードが重要ではないかといった整理をしてございます。
 それから、気候安全保障への取組が各国にもたらす良性の効果といったところもここで整理をしてございます。
 まずは、繰り返しになりますけれども、気候変動は人類の生存基盤にかかわる問題であって、人類の今後の基盤の安定化に向けた潜在的な脅威であるといった点。
 気候変動問題は、単に環境問題というふうにとらえるのではなくて、食糧問題とかエネルギー問題、場合によってはテロといったような地球規模で生じる脅威の1つとして、これと並ぶような安全保障概念のものとして位置づけられるとともに、特徴的なものとしては、これらに直接・間接的に大きな影響を及ぼすという意味で中心に据えられるべき課題と。いわゆるほかの問題よりは、気候変動問題から転じてエネルギー問題、それから転じて、さらに食糧問題とかというふうに、非常に間接波及効果の大きい問題であるといった点をハイライトしてございます。
 具体的に、気候安全保障という観点から講じられる対策としては、軍事的な安全保障で生産されてきた軍事の肥大化というものではなくて、これは前回、委員の先生方からご意見をちょうだいしたところでございますけれども、温暖化対策を通じて、低炭素で成長する経済・社会を作り出す技術や社会インフラといったプラスのメリットのところが非常に大きいといった点が挙げられるのではないかなというふうに思っています。
 それから、資源とかエネルギーの安全保障に直接に寄与するという意味では、大気汚染、水質汚濁、いわゆる環境、従来型の公害問題といったものに貢献するといった観点や、貧困撲滅、人間安全保障にも貢献できるといった観点を具体的に挙げているところでございます。
 その意味では、気候変動問題を安全保障問題として認識して、各国が国際的に協力、連携して、国民生活や生態系、それらを気候変動の脅威から守っていくといったことについては、気候変動に対する安全保障対策という意味では非常に効果的なものではないかなというふうに最終的に整理をしてございます。
 それから、「おわりに」といった部分でございますけれども、ここはもう最終的に、気候安全保障の背景なども冒頭述べまして、最終的な既決としては、気候変動の影響を正確にきちんと把握していくためには、「気候安全保障」の概念は整理の仕方として効果的ではないか、適切ではないかといった観点。加えまして、「気候安全保障」の認識を世界が共有することによって、気候変動政策に高い優先順位がより一層与えられて、気候変動対策の促進がなされるといった観点や、国際連帯による気候変動対策の促進される効果も期待されるのではないかというふうに考えております。
 最後に、本専門委員会としては、政府が「気候安全保障」の概念が持つ有効性というものを具現化する方向で今後の国際交渉に臨む必要があるといったことを提言するという形で既決してございます。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 はい、どうぞ。

○南川地球環境局長 ありがとうございます。私、ちょっと、あと数分しましたら国会の関係で出ますので、皆様にお礼を申し上げるとともに、若干の所見を述べさせていただきたいと思います。
 言葉というのは実は非常に大切なものだというふうに思います。米本先生からも、英語にした場合、どうなるかというのがございましたけれども、日本語であれ、外国語であれ、言葉としてどういう響きを持つかということを常に幅広い観点から考えていく必要があるというふうに思っております。
 もう約30年前になりますけれども、私もまだ入って2年目の終わりころからOECDに派遣されまして、当時、まだ私も若かったんですが、高橋さんがまだそこにおられまして、高橋さんもまだ若くて、まだというのは失礼ですが、今でも若いんですが、大変当時から元気な方でございまして、よくお話をいろいろ伺いました。それで、当時、高橋さんたちが安全問題をやられていた、経済安全の問題をやられたということで、経済面からの安全保障についてもいろいろお話を伺ったことを思い出しております。その中で、いろいろ経済問題についてもキーワードというのがあって、言葉というのは非常に大事だということをいろいろお伺いしていた記憶がございます。
 その当時からでございますけれども、ローマクラブから、地球の限界とか、そういった指摘がございました。それがずっと何となくそのまま続いておったわけでございますけれども、やはりこれは環境省で、当時の環境庁でございますけれども、原文兵衛大臣の時代にいろいろ議論をしまして、やはり何となく世界が地球の限界点を感じながら、なおかつ具体的な行動をとれないということについてのいらだちを感じまして、やはり世界的な力のある方の賢人会議というものを国連をベースに作って、そこでどういうステップがこれから大事なのかということをよく議論してもらおうということで、UNEPの理事会だと思いますが、提案をしました。また、結構、日本がたくさんの検討費用を出したと思います。そこでできたのがブルントラント委員会でございまして、その中からサスティナブル・デベロップメントということが出てまいりました。報告書は極めて厚いんですけれども、やはりその言葉が非常にその後生きているというふうに思います。そういう言葉がこの施策を検討する人の中に、心の中に染みていって、それが92年のリオサミットであり、そこから「Climate Change」の条約とか、あるいはバイオダイバスティーの条約というのが生まれていったのではないかというふうに考えておるところでございます。したがって、そのキーワードというのをやはり非常に大事にしていきたいというふうに思います。
 そういう意味では、この「気候安全保障」、まだまだ動き出したばかりの言葉でございまして、これからどういう広がりを持っていくのか、深みを持っていくのかわかりません。ただ、私自身、この行政をやっておりまして、環境行政を30年以上やっておりますけれども、気候安全保障とか、それから、温暖化で申しますと、ことしのローカーボン・ソサエティー、これはことしの安倍総理とブレア首相との共同声明に出てきた言葉でございますけれども、3回出てきます、ローカーボン・ソサエティーがですね。やはりそういった概念というのは、日本語で言うと低炭素社会といって非常に聞き取りにくいんですけれども、非常に大事な概念だというふうに思っております。したがいまして、この気候安全保障につきましても、まだまだ未消化であることはもちろんでございますけれども、それをあえて承知の上で、こういった勉強会をやらせていただいております。
 そういう意味で、ファーストステップでございますし、私ども、これから英語で書いたらどうなるかということもよく認識しながら、さまざまな検討を進めていきたいと思っています。また、先生方からもいろいろご意見を伺って、ファーストステップとして今後の歩みの一つの基礎にしたいというふうに思っているところでございます。また引き続き、よろしくお願いしたいと思うところでございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日予定している時間が12時まででございまして、ちょっと延びるかもしれませんが、そんなに延ばすあれはございませんので、皆さん、簡潔にご意見いただき、それから、後ほどまた細かいところにつきまして、あるいは書面でいただきまして、それを最後に、私のも入れてまとめたいと思っております。
 今までの、特に、これからご議論いただくところ、それから全体を通してでも結構でございますけれども、こういう安全保障というとらえ方をすることによって、どういう先へステップフォワードできるかというところが一つのキーかなと思っております。全体の点でもよろしゅうございますし、あるいは細かい点でもよろしゅうございますので、ご意見をいただきたいと思います。多分、ワンラウンドでおしまいかと思います。短くお願いいたしたいと思います。
 どうぞ。
 高橋委員。

○高橋委員 主な点、2点と、それから小さい点、2点。
 小さい方から言いますと、15ページの星印が上の方からぽちぽちぽちとなっていますが、3番目のところ、「気候変動による影響を」という文章の最後から2番目のラインの最後の方にいきなり中国語が出てくるので、私は違和感を感じます。「全球平均気温」の「全球」というのは、中国語だと非常になじみのある表現ですが、日本語に直した方がいいだろうと思います。
 それから、17ページの地球公共財の保護と気候安全保障、3つポチがありまして、3つ目のポチの一番最後の文章、「また、海面上昇により、沖ノ鳥島が失われる等で排他的経済水域が失われる」。これは日本の国益の観点からは非常に大事なポイントですが、地球公共財の議論にはなじまないポイントだと思います。
 主な点、2点申し上げます。1点は、国連の使い方、国連安保理も含めての使い方の問題。それから、この気候安全保障というコンセプトを使ったときのコストインプリケーションの問題、その2点を申し上げます。
 国連は、物事、これをイシューレイジングするには非常に大事な機関で、大事な役割を持っていると思いますが、ただし、実際に交渉するとなると、これは国連病が、非常に大変な、何の問題にでも反映してきてしまう場所なので、これを使う場合に非常に気をつける必要があると思います。今回の安保理の使い方は、私は、イギリスの使い方は正解だったと思います、イシューレイジングとして。ただし、余り頻繁に安保理も使っては、かえってマイナスになると思います。その理由は、やはり国連は国連独特のゲームでいろいろなものが進展する。そのゲームの中心は、開発途上国の3つの地域グループですべてのことがイニシアティブをとられる。その3つの集合したG77というのがまだばっこしている。これは私はお化けだと思いますが、世界にはそういう実態がないのに、国連独特の機能をしている。それによって物事が動かなくなる。これが非常に私は危険だと思います。
 今回の場合、大事なのは、その3つのグループも含めて、開発途上国、特に主要な開発途上国をどうやって巻き込んでいくかということが大事になると思いますので、アメリカを巻き込むための、このコンセプトによって、開発途上国との関係で全体がにっちもさっちもいかなくなるというような状況を防ぐために、国連の使い方、これは使っていいんですが、気をつける必要があるだろうと思います。それが重要なポイントの1点。
 それから、もう1点はコストインプリケーションですが、この17ページの上から4行目の「『共通だが差異のある責任』」。これは1991年のダックで作り上げた、リオサミット用のコンセプトでしたが、これがやはり今回の場合、非常に関係してくると思いますが、この「Climate Security」という議論をどんどんどんどん進めていくと、我々の経済社会活動が、開発途上国、特にもろい開発途上国の安全をも脅かす活動になるというロジックが明確に出てくるはずですので、そうするとコストが非常に高いことになる。コストが高いこと自身は、必ずしもいつもまずいわけではないんですが、それを念頭に置いて、この「Climate Security」というコンセプトを使っていく必要があるだろう。さて、非常に高くなってしまうコスト、それをどういうふうにするかということを念頭に置きつつ、このコンセプトのありようというのを考えていく必要があるだろうと思います。
 以上です。

○西岡委員長 どっちからいこうかな。こちらから。では、太田委員。

○太田委員 とりあえず、1点。今の高橋委員の発言とも関係すると思うんですけれども、国連の使い方というところです。それで、1点、すごく気になっているところ、18ページから19ページのところで、最後の段落に、「軍事介入における『人権の保護の議論では』」というところですけれども、国連の介入が要るということ。「気候安全保障」という言葉で、安全保障理事会でそういうこと、この問題を取り上げられて、迅速な行動が要請されるという、そういう流れで、ここに書かれてあることは想定され得ることが書かれてありまして、実際、4月17日に国連安全保障理事会で気候安全保障の問題が議論されたということです。
 それが最終的にこのような取り扱いになるというところは十分想定されるんですけれども、この紹介された安全保障理事会、実際の話では、途上国を中心に、この問題を安全保障理事会で扱うのはふさわしくないという意見がたくさん出たということが紹介されてあったんですが、やはりこれはG77というような、高橋先生の話ではお化けというふうに表現されましたが、そうしたものとの対立を非常に生むようなところだと思うので、もしこういうこと、本当に安全保障理事会で気候安全保障が常に議論されるようなことで、何らかの行動を要請するというようなことが想定され得るとしても、この書き方はちょっと注意しないと、すごく、関係諸国はすぐ、この英語で書かれたものを読んだときに、かなりディフェンシブになるというか、こういったことはまだどうなるかわからないのに、ここをしっかりこういうふうに書いてしまうというのはちょっと疑問かなと思いますが、ただ、便益を受けるというところを強調するというのは全然問題ないと思うんですけれども、実際、この排出削減をしない国に強制的にさせるということを、もし安全保障理事会で気候変動の問題が議論されたときに、そういうふうになるあれが望ましいというふうに今の時点で言い切っていいのかどうかとか、その辺のところをちょっと慎重に扱った方がいいのかなという気がしました。これは皆さんの意見もお聞きしたいと思っています。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 甲斐沼委員。

○甲斐沼委員 私、その安全保障については専門外なので、ちょっと全般的な印象としましては、ちょっと言い回しといいますか、全体的に表現がわかりにくいというような印象を受けました。
 16ページの気候変動における脅威の主体の認識というところの表現なんですけれども、この辺も何かちょっとくどいかなと。温室効果ガス排出を引き起こした者と、将来と、それと排出者の関係というのが定義されていますが、この排出とガスの関係はもう既に共通の認識だと思うので、この辺はもう少しすっきり書けるのではないかと。
 その次のところの、「自らの行動」が脅威であるから、では「道徳運動」となってしまいというところの、この因果関係もちょっとよくわからなくて、排出が問題であるので、それにみんなが対策を行うということは必ずしも道徳運動とは―その道徳運動も一つでしょうけれども、ちょっとこの辺、違和感を覚えました。
 それとあと、21ページですが、21ページの下から6行目のところで、「適応対策が意識化されることによって、貧困撲滅など人間として必要な生活基盤の確保にも力が注がれ」と書かれているんですけれども、それもあると思うんですが、貧困撲滅に、例えば温暖化対策が有効であると言われているのは、例えば、いろいろな太陽光なりバイオマス、エネルギー等について、そういう雇用を創設するといったようなこともあると思うので、ここは適応対策だけというようなことでも、ないような気がします。
 それと関連しますが、最初のところで、背景のところの7ページですが、気候変動対策と他の課題との関係という表題になっていますが、ここの文章を読むと、むしろ、対策とほかの課題というよりも、気候変動問題と他の課題との関係ではないかなと。これは、この貧困の話も含めた、貧困対策も含めた形で、ここに書いてあるのは、対策をしたから他の課題がどのくらいよくなったかということが特に書いてあるわけではないので、ちょっとその辺が気になりました。
 あと、言葉の定義が重要だという話ですけれども、最後の22ページ目の最後、「政府が『気候安全保障』概念が持つ有用性を具体化する方向で」と。ただ、ここは、概念というのも重要なんですけれども、やはり言葉は重要なんですけれども、さらにそこから進んで、概念の有効性を具体化ではなくて、もっと政策的にも結びつくような形で提言が示されればよいのではないかと思います。
 以上です。

○西岡委員長 蟹江委員。

○蟹江委員 幾つかあるんですけれども、1つ目は、なぜこの気候安全保障という言葉が大事なのかというところが非常に恐らくこの部分で大事になってくると思うんですけれども、エネルギー安全保障とか資源の安全保障とか、そういう言葉がある中で、恐らく、そのエネルギーの安全保障というのは、資源の配分の問題が前面に出てくるということだと思うんですけれども、例えば、バイオマスなんかを使うにしても新たな資源の配分という問題が出てきますし、あるいは、それを使う技術なんかも含めて、その配分の問題ということだと思うんですけれども、「気候安全保障」という言葉を出すことによって、その資源を使った結果の面が含まれると思うんですね。それを全体として包括的に含むというところが非常に重要なポイントではないかなと思いますので、そういう視点というのがあるといいのではないかなというふうに思います。
 そういうことを考えると、「気候安全保障」という言葉自体は割と新しいかもしれないですけれども、先ほど南川環境局長の方からもお話がありましたけれども、その潜在的な問題自体というのはローマクラブのころから脈々と続いていて、決して、コンセプトは新しいことかもしれないけれども、現象として、事実としては新しいことではないんだというようなことというのもどこかに含み置いておくといいのではないかなというふうに思いました。
 それから、ちょっと細かいことになりますけれども、15ページ目の「『誰が』」というところですけれども、これは、基本的には国家であるというのは多分そうだと思うんですけれども、後ろの方で「地球公共財」という話が出てきて、公共財を基本的に管理するというか、考えるというのは、面倒を見るというのはやはり公共部門で、だから国家が大事なんだというような書き方をすると、より全体の通りがよくなるかなという感じがしました。
 それから、これも細かいことですけれども、19ページの上の方の「第一に」、「第二に」、「第三に」というふうにありますところの「第一に」のところで、「影響に脆弱な国」というのが客体になるというのがありましたけれども、これは、国に限らず、国の中でもいろいろな格差があって、一般に裕福な国と思われていても、やはり永久に脆弱な人々というのはいるわけなので、より人々という視点に焦点を当てた方が大事だと。要するに、先進国、途上国の間の問題だけではなくて、先進国の中でもやはりそういう脆弱性の問題というのは存在しているぞということは言っておいた方がいいかなというふうに思います。
 それから、これは先ほど、最初のコメントですね。包括的にとらえる概念としての気候安全保障ということとも関係すると思うんですけれども、その下の国際交渉の促進というところで、やはり包括的にとらえるがゆえに、先ほど高橋先生からお話のあった「共通だが差異のある責任」という問題で非常に難しくなっていくというところもあるとは思うんですけれども、ただ、包括的であるがゆえに、やはりグローバルで交渉するというのが、この気候安全保障という考え方の重要な一つの側面ではないかなと思います。そういう意味では、国連の枠組、使い方は難しいとは思いますけれども、やはり国連の枠組での交渉というのが非常に重要になってくると。あるいは、それをそれこそ促進するというのがやはり大事だということは強調してもいいのではないかなというふうに思います。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 工藤委員。

○工藤委員 やはり先ほどからちょっと気になっているのは、これが、誰が読んで、どこにどう発信されるのかということによって大分内容が違うのかなという気がだんだんしてきまして、例えば、19ページから20ページの流れをちょっとざっと見ますと、今の将来枠組の交渉がなぜストップしているかということを詳細に分析されているんですけれども、この評価でいいのかという話から始まって、実は、これをずっとたどっていくと、最後は、「Climate Security」という考え方がこういった膠着状態を打開して、さらに将来の姿を示すことができるというふうに談じているんですよね。これをここでどうですかと言われても非常に困るなと。逆に言えば、期待されるなり何なりという、そのアプローチの効果というものを見るということと、実際に今の交渉がもう明らかにそっちに行くんだという評価というのはまた全然違う考え方だと思いますので、その辺のところと、それから、そういう意味で、その下のところに、これも文章を一読しますと、やはり気候問題というのを日本の安全保障問題の中で中心に置けよというふうに読めてしまうんですね。この判断というのは、恐らく、ここの単一的な議論だけではとてもとてもできない話ではないかなと私は思うんですけれども、この辺の表記の仕方といいますか、その辺、もう少し見た方がいいかな。
 そういう意味でいきますと、もしかしたら、非常に、そもそもの目的は、この「Climate Security」という言葉をいろいろな意味で使っていきましょうということは、先ほどちょっと局長の話はそうだと思ったんですが、それを言うにしては余りにも多くを語り過ぎちゃっているのかなという気がしまして、象徴として、まずこの考え方をある程度共有しましょうよということをやろうとするときに、余り細かくやっていっちゃうと、中身では、例えば、今後の交渉ポジションに影響するような表記もままあって、それとのリンクの中でみんなこれを考えようとやっちゃうと、いろいろな意味で、誰が読むかということも含めてなんですけれども、リスクがあるかなというふうにちょっと感じまして、その辺、もう1回、ちょっと一読しながら、またいろいろコメントしたいなというふうに思います。

○西岡委員長 ありがとうございました。
 住委員。

○住委員 これはどういうポジションに出すか、まず大きいところから言いますと、16ページの安全保障の用語だと、「基本的には非軍事的手段により」と書いてあるんですが、「基本的には」という言葉があると、おまえら、軍事的な手段も考えているのかととられるから、これは絶対とった方が僕はいいと思うんですね。
 それと、2番目に、18ページあたりに、非常に、いわゆる制裁行為とか、国連によるそれを考えていますが、これをこれだけ強く書く自信があるんですか。僕は、例えば、これが本当に外へ出たときに、日本というのは本当に何を考えているの。例えば、明確に対象となるのは中国でしょう。アメリカもそうだけれども。すると、米・中に対してやる気があるんですかという話になりますよね、これをこう書くということは。それだけの、例えば、切り回しとか何かとかを考えた上でこれを言っているんですかみたいなふうにとられかねないと僕は思います。
 ですからこれは、それからもう1個言うと、日本というのは逆に制裁される側に回るかもしれないんだけれども、その自信はあるんですかみたいな気も僕はしてきますし、これは、何というか、もちろん政府部内では多分大論争になっていたんだと思いますけれども、何かもうちょっとその辺のところはよく考えて、これだけのことを言うんだったら、本当にそれを考えないと、ちょっとリスキーな僕は印象を持っています。それというのは、余り気候安全保障、安全保障と言わないで、むしろポジティブに、みんなのために地球公共財を守りましょうとか、そういうような話の方が、僕は、書いてある内容はそういう意味なんでしょうけれども、非常に違うふうにとられかねないという感じがします。
 それから、細かいことなんですが、17ページの「地球の気候を一定の状況に保っている大気は」と書いてありますが、こうすると、ほかの人は物すごく怒りますので、地球の気候を守っているのは大気だけじゃなくて、海もあれば何とかもあるというから、ここはちょっとそういう「気候システムは」とか、もうちょっとゼネラルに変えていただかないともめると思います。
 それだけです。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 高村委員。

○高村委員 ありがとうございます。細かな文章表現のところは置いて、4点申し上げたいと思うんですが、後段のところ、かなり―後段といいますのは、この(2)の気候安全保障の考え方のところで、かなりいろいろな内容を盛り込んでいただいているんですが、もう少し内容を整理してみてもいいのかなというふうに思っております。というのは、これは先立つ先生方の発言にもあったところですけれども、恐らくここで気候安全保障を今このタイミングで議論をしてきた意味というのは、「気候安全保障」という言葉で新たにフレーミングが可能であって、そこに意義があるんだということを確認するといいますか、検討するというところにこの委員会の意味があったと思いますので、そういう意味では、1つは、こうした「気候安全保障」という文言で、いわゆる安全保障のフレームワークで気候変動の問題がとらえられると。これは、さっき、4つ、要素に分けていただいていますが、かなりその4つに丁寧に対応されている、書いていらっしゃる感じがあるんですけれども、むしろ、この脅威があって、それが本来守るべき価値を侵害しているというところをきちんと書くことが必要なのではないかというふうに思います。
 具体的には、もう変えてくださっていますけれども、つまり、気候変動による悪影響というものがどういうものであって、それによってどのような私たちが守りたい価値が侵害されるのかということを丁寧に書くことが必要ではないかと。もう一つは、こういうフレームの中で議論することの意義とインプリケーションというのを整理してみてはどうかというふうに思います。これが、一つは整理の仕方の点であります。
 2つ目は、これは前段の(1)のところでも議論があったところですが、恐らく、ここで議論をすることの意味のもう一つは、日本にとってそれがどういう意味を持つのかということをきちんと書く必要があるのではないか。それは日本にとってどういう脅威があり、そういうフレーミングが今までの日本の政策の中で可能であって、しかも、日本が今直面している、特に将来の枠組の議論の中でこういうフレームを作ることが、フレームの中で論じることが意味があるということを書く必要があるのではないかということであります。
 その意味では、先ほど高橋先生の方からもありましたけれども、17ページのところで、実は地球公共財のところで書いていただいているんですが、こうしたところは少し前の影響のところも含めて丁寧に書いていただく、あるいはまだ十分に日本の影響と脅威がどういうものかということが議論、わからないところもあるのであれば、きちんと検討するという課題を明確に書く必要があるのではないかと思います。
 あわせて、日本にとっての意味ということでいきますと、先ほど(1)のところで亀山さんの方からも総合安全保障といったような考え方をもう少し前面に出してもいいんじゃないかとありましたけれども、同時に、人間の安全保障に関しても、こちら、日本が外交上非常に重点を置いて、議長も緒方貞子さんを置いて進めてきた概念で、しかも、日本が安全保障理事会の常任理事国に手を挙げているという中での意味というものは触れておく必要があるのではないかというふうに思います。
 3点目でありますけれども、18ページのところ、ここも既に複数の、太田先生、住先生、高橋先生もご指摘ですけれども、とりわけ安全保障理事会の強制措置という形が果たして温暖化の文脈でなじむのかどうか。そしてもう一つは、テクニカルな話でありますけれども、実際には実質事項ですので、拒否権対象事項になりますから、いわゆる大量排出国が拒否権を持っているという構造の中で果たして現実的に可能かどうかということからしますと、可能性はあるということだと思いますが、これが果たして安全保障理事会で気候変動を議論することの将来的既決というのがよいかどうかということであります。それは、同じ趣旨といいますか、同じようなラインでありますけれども、18ページ目のところに人道的介入の議論がありますが、人道的介入の議論についてはやはり非常に批判も多いですし、日本として果たしてそれをこの文脈で書くことがどうかというのは少し検討が必要のように思います。これが3点目です。
 最後、4点目ですけれども、気候安全保障という枠組の中で議論することの一つの重要性として、19ページ目のところで、いわゆる行動しないことのコストというものを適切に指摘していただいている点は非常にいいというふうに思っております。あわせて、これは重なりますけれども、高橋先生がおっしゃいました、途上国にとってその脅威というのが、その途上国が望んでいる発展そのものを阻害するものであるということは、この間、阻害をする可能性があるということは、IPCCの報告書、あるいは、その評価はありますけれども、スターン・レビューの中でも出されている明確なメッセージだというふうに思いますので、その点はぜひ押さえていただければというふうに思います。
 以上です。

○西岡委員長 原沢委員。

○原沢委員 気のついた点ということで、お話ししたいと思います。
 1つは、17ページの下から最初のスターのところで、ヒトスジシマカの記載があるんですけれども、今、ヒトスジシマカはもう青森ぐらいまでいて、これ自体がいることは全然問題ないんですけれども、いわゆるデングウイルスのウイルスが入っているとか、そういったところの問題なので、ヒトスジシマカが浮いているなという感じなので、消した方がよろしいのではないかというのが1点目です。
 2点目は、19ページ、先ほど蟹江先生がおっしゃったように、気候変動の影響に脆弱な国というだけではなくて、最近のIPCCの報告書なんかでも、途上国においてもプアレスト・オブ・プアとか、先進国の豊かな国でもやはりプアな人々が取り上げられているので、最新のIPCCの見解を入れ込んだ方がよろしいのではないかと思います。
 3点目ですが、同じく19ページの気候安全保障と国際交渉の促進というところで、その下のパラグラフが、すべてがすべてコストを脅威に思っていると考えているというのは、認識がこれでいいのかなというのがありまして、一部の国は、例えばコストでも考えていると思うんですが、やはり気候変動の影響の脅威というものを考えて、国際交渉、特にヨーロッパ、EUなんかはそうでないかと思いますし、日本も多分そうではないかと思うので、ここの認識はこれでいいのかなというのが3点目であります。
 あともう一つですが、用語として、「影響に強靱な国」とか「良性」とかというような言葉が読んだときにちょっと違和感があったので、一般の方が読むとすると用語も少し易しい方が、回りくどいかもしれないですけれども、易しい方がよろしいのではないかということです。
 最後ですけれども、21ページの上から2行目、低炭素社会の話が書いてあるんですが、ここで取り上げているのは技術と社会インフラだけなものですから、誤解を与える可能性があるので、例えば、規制とか経済的措置も含めた制度も入れておいていただきたいと思います。この辺は西岡座長の方の専門なので、文章として、例として挙げているのであればいいんですけれども、低炭素社会が技術と社会インフラだけだというような形での書き方ですと、ちょっと認識が違うかなということです。
 以上です。

○西岡委員長 どうぞ、米本委員。

○米本委員 何か、皆さんのご意見を聞いていたら、最初、お話ししようと思ったこととだんだんずれてきてしまったんですけれども、私は、これは非常に、このタイミングで日本の専門委員会が「Climate Security」に関する意見報告というのをまとめるのは極めて重要で、それは、やはりイギリスが何を言うのか、それこそ国連安全保障理事会で何を言うか、見ていたんですけれども、別に新しいことを言っていないわけですけれども、そういう意味では、逆に、日本がこの言葉でどういう現時点の解釈、あるいはメッセージ性を出すかというのは非常に重要だと思います。だから、そういう意味では、少しここでちょっと、ほかの方のご意見もそうなんですが、少し切り取る方向で、メッセージ性をもう少し明確にした方が、あれもこれもというよりはいいのではないかなと思います。
 それから、これは確認ですけれども、日本が守るべき価値を人権と民主主義ということを明確に、それは言ってもいいんですけれども、それは、かつては旧社会主義圏に対する変化球であり、今残っているのは中国であって、中国とインドと何が違うかというと、インドはとことん議会制民主主義をやってきているのに、中国は少なくとも一党独裁であるので、私、数年前、NGOの会議で「デモクラシー」という言葉をメッセージに入れたら、これはちょっとサインして持って帰れないということをおっしゃったNGOの代表がいて、そういう意味では、明らかに日本は自覚的に、例えば、安倍総理がNATOの事務局に初めて行って、日本と共通価値としては人権と民主主義だということについては、今、中国はもうそれに対して適当にうっちゃる表現は使い始めていますので大丈夫だと思いますけれども、そういう意味でも、ある種の明確なポジショニングを改めて強調することということは覚悟して、やはり覚悟というか、自覚的に書いた方がいいと思います。
 それからもう一つは、そういう意味で、脅威という意味では、やはり脅威というのは、このコスト、場合によっては、脅威と感じたときにはコストを無視しても、あるいは血を払ってでも実現する政策目標であるということを思いますと、むしろ、日本は、非合理的なほど脅威と感じた時期がありました。それは第一次オイルショック、第二次オイルショックで、そのときは、世界の経済行動は、これは世界同時不況になるので、すべての国は、当初、手控えたんですけれども、日本はここなんだと感じて、物すごい勢いで、要するに、脱硫装置も開発しちゃったし、省エネも国内投資をやっちゃって、それで結果的に、80年になると世界最高の、先進国ではローカーボン社会を達成してしまっているわけでして、そういう意味では、むしろ認識、あるいはエイドスみたいなものがこの脅威という、あるいは安全保障ということについて、何か余りメッセージ性ということでは、そういう脅威のドスのすごいところ、場合によっては人間の安全保障よりも日本にとって低カーボン社会の方が上だというような政策チョイスもあるかもわからないような危険な言葉使いであるということを十分たっぷり意識した上で、書いてあることを少し省略する方向がいいのではないかというふうに思いました。
 それからもう一つは、先ほど三村委員がおっしゃいましたけれども、やはりサイエンスが脅威の認識に対する、あるいはエピステーメーロジカルブレイクスルーというか、そこに圧倒的に影響を与え出したことが重要だと思いますので、そういう意味では、IPCCで強調するのはいいんですけれども、スターン・レビューというのはなるべく、何か悔しいですので、引用するのはいいんですけれども、もしくは西岡レビューみたいなものをお作りになって、それぐらい壮大な、パースペクティブで少しコンセプトを切り取るような感じの方がいいのかなというふうな感じを持っております。

○西岡委員長 続いて、明日香委員。それから、最後は亀山委員で。

○明日香委員 すみません、何点かあります。
 まず、前のところでも議論になっていたんですけれども、三村先生も議論になっていると思うんですが、スレット、脅威、なぜ「脅威」という言葉を使うかということで、私、ちょっと思ったのは、多分、主観ということの意味が入ると。さっきブッシュのテロの対策が安全保障問題じゃないというような認識もあるという話をしたんですが、多分、スレットの場合は、総合認証というんでしょうかね。アメリカの場合もテロの対策を安全保障と考えてもいいから、我々の気候安全保障というのも安全保障である。それで、お互いの安全保障を尊重するというのが一つの対アメリカとしての戦略的な言い方もあるのかなとは思います。それが第1です。
 第2は、ちょっとそれと一見矛盾するところもあるんですが、温暖化の科学者のブログで、リアルクライメートというところがあるんですけれども、そこで議論になっているのは、制度じゃなくて、温暖化というのはクライシスだと。かつ、クライシスというのは科学中立的な判断で、科学中立的なコメントだと科学者が言えるものだというような認識を少なくともリアルクライメートの研究者はしています。なので、価値は中立とは何かと、科学における中立は何かとか、そういう難しい問題になるんですけれども、多分、私も独立した危機という認識を、クライシスという認識を温暖化に持ってもいいんじゃないかな。少なくとも、かなり先を行っている科学者、さらにその分野の研究者がそういう議論をしているとは思います。
 あと、3番目は、住先生が最初の方におっしゃった、例の道徳運動云々の話なんですが、16ページですか。私は、やはりどれだけ、要するに、言いたいのは1人当たりという話なんですけれども、1人がどれだけ出しているかというのはやはり考えないと話は進まないと思うんですね。当然、たくさん出している人とたくさん出していない人が同一に議論されてしまうのはおかしいと思いますし、そういう意味では、道徳、ここの書き方というのはちょっと舌足らずであって、かつ「政策とはならないおそれがある」というふうに書いてしまうと、それこそ炭素税みたいな施策の意義を完全に否定しているようにも読み取れると思います。なので、やはりただ出しているではなくて、どれだけ出しているかという認識を書きぶりは期待したいと思います。
 次が、17ページの上のあたり、今のお話ともつながるんですが、大量に排出している国が削減を行うことが効果的であると。おっしゃいたいことはわかりますし、対中なり交渉の見合いもあるとは思うんですが、やはり個人的な意見ですけれども、中国に今の、中国に限らず、人口が拡大していて、かつ無電化人口が何千万人いる国に対して削減しろというのは、より厳しい人口政策を行って、電気を使っていない人は電気を使うなというのと同じような意味合いに少なくとも受けとめる人は受けとめるんですね。そのような重みがある、ここら辺の議論だと思いますので、そこら辺をもうちょっと認識して書いていただいて、もし英語に直す場合という意味でも書いていただければなと思います。多分、妥協案というか、修正案としては、例えば「抑制」という言葉を使うなり、「公平」という言葉をどこかに入れるなり、そこら辺は検討していただけるとありがたいと思います。
 あと、19ページの下の方で、気候変動の対策、エネルギーの制約。エネルギーの制約というのは何となくわかりそうで、余り具体的にはないんだ。恐らく、途上国と先進国でまた本当は区別していただきたいんですけれども、エネルギー使用料というような、より具体的な話に本当はなっているのかなと思います。
 最後に、20ページの真ん中あたりで、「アメリカや中国、更に日本やEUを含め」、「地球の気候を変えようとしている」と書いてあるんですが、多分、英語に何と訳すのか、よくわからないんですけれども、ちょっと言葉として変えようとしているというのは、何かほかの言葉で補った方がいいのかなとは思います。
 全体的には、私、対外的にも対内的にもこういう議論をメッセージとして出すことは非常にいいことだと思うんですけれども、余り公平とか、そういうのが欠けていると、何となく今の京都議定書は不公平だとか、そっちの方の議論にもつながってしまうし、途上国が入っていない、途上国は何もやらないというような意味合いが強くなってしまうと、途上国、京都議定書欠陥論に使われてしまう可能性もあるので、そこら辺は気をつけながら、かつ対中国に対しても、アメリカに対しても、ロジカルに、かつ倫理的なところでもいろいろ言われないような文面にしていただければと思います。

○西岡委員長 亀山委員。

○亀山委員 すごくたくさん言いたいことがあったんですが、ほぼ、今まで各委員がおっしゃったことをすべてサポートいたしまして、後日、紙面でコメントをさらにサブミットすることができるというお話でしたので、そこでたくさん書かせていただきたいと思います。
 1点だけ、多くの委員の方の発言とかかわるのですが、まだ指摘されていない点として、日本政府がこの「気候安全保障」という言葉で何をしたいのかという点が全く書かれていないと思うんですね。その脅威の主体は国です。客体も国ですということを非常に丁寧に述べていただきながら、そこから急に、じゃ、みんなの問題だからみんなで解決しましょうという感じで、何となく他人事のような雰囲気がこの文章全体から漂ってきてしまってきているような気がいたします。
 「総合安全保障」、「エネルギー安全保障」、「食糧安全保障」、この言葉すべてに共通するのは、日本政府が日本の国民に対して、エネルギーは確実に供給する責任を我々が持ちますよ。日本国民が毎日ちゃんと食べられるように日本政府は責任を持ちますよということで、国民が毎日、生活できるために必要なものを供給することを政府が責任を持ちますよということを宣言しているために、この言葉を使っているんだと思うんですよね。もちろん、エネルギーにしろ、食糧にしろ、日本のことだけ考えていると結果的にだめで、やはり間接的にはアジア、あるいは世界全体の食糧、あるいはエネルギーについても考えていかないと目的が達成できないんですが、あくまで最終目的は日本国民が守るべき客体になっているんですね。気候変動に関しましては、もうやはりそこがスタート地点なのではないかなと思うんですね。日本国民が気候変動という悪影響からまず守られるということを日本政府は多分コミットしなきゃいけないと思う。そで、コミットして、じゃ、どうやって守ろうと思ったときに、やはり世界に出ていって、日本だけが削減するんじゃなくて、ほかの排出国も削減してくれないと日本国民が守られないんですよという、そういうロジックなんじゃないかなと私は思うんですよね。それで、最終的に、国連を使っても、UNSCを使っても結構ですけれども、何となく、ではそこでリーダーシップを日本が発揮するんですよという、そういうメッセージがどこかにないと、どうも他人事のように書かれているなという印象を受けました。
 以上です。

○西岡委員長 これで、皆さん、まだ言いたいことがたくさんあるのは承知しておりますけれども、事務局の方で何か対応ございますか。

○和田国際対策室長 西岡委員長の方に今後の進め方はお任せしたいと思うんですが、事務局としては、きょういただいた意見、修正するとともに、改めて、サブミッションと言うと固いですけれども、忌憚のないご意見を改めていただいて、再度また修正するというようなことの心づもりではおりますので、そこはもう全く問題ございません。

○川又室長補佐 すみません。それから、ちょっと今の手続上の今後の進め方についてなんですが、我々の都合なんですけれども、SB、COPの下の補助機関会合が5月の第2週から始まるというところがあるので、先生方のお手間ということを考えても、一度、きょういただいた意見をとりあえず事務局の方で取り入れてリバイズしたものを作って、そのSBに行く前に委員の方々にお配りして、それについて、盛り込まれていないとか、あるいは新たに、さらに追加する意見があるとか、そういった部分について皆さんからご意見を出していただくという形の方が時間がむだにならなくてよろしいかなと思いますので、できればそのような形で進めさせていただければ。

○西岡委員長 細かく、いつ、その作業をなさいますか。今、先ほどの亀山さんのように、もう頭の中にあるものをぽんと……

○川又室長補佐 もちろん、今、お出しいただく分には……

○西岡委員長 きょう、あすということなんですけれどもね、例えばね。

○川又室長補佐 具体的に今考えているのは、5月の連休の谷間のあたりに西岡座長の方にご相談させていただいて、それで、そのときに、連休中に皆さんの方にお送りさせていただいて、連休後からご意見を、1週間、10日ぐらいの期限で皆さんに出していただくというようなスケジュールで考えています。

○西岡委員長 だけれども、すぐに対応、意見が出せれば……

○川又室長補佐 もちろん、すぐにいただける分には……

○西岡委員長 きょう、あすじゅうだったらいいですかということを聞いているんです。

○川又室長補佐 はい。もちろん、いただければ。

○西岡委員長 はい、わかりました。
 それでは、どうもありがとうございました。私、きょうはまたまた非常にいい議論ができたなと思っております。キーワードは幾つもあるんですけれども、まず、ひるむなという言い方はおかしいかもしれません。非常にいい仕事だということでひとつやっていこうというのが今のひるむなと。
 それから、踏み出すなというのがありまして、ちょっとやはりこれは踏み出し過ぎなところが、さっきのアメリカに対して我々はどう―ごめんなさい、これはオフレコだ。どう攻撃するかなんていうことが書いてあるというのはちょっとおかしいなとか、それから、非常に切り込んだ書き方が今までなぜできなかったというのがありまして、私も全くそうだと思いますけれども、一体ここまで書いていいのかということもございます。それが2つ目ですね。
 3つ目がずるくなれということなんですけれども、やはり安全保障理事会なるものの、例えば、使い方だとか、そういうことも十分踏まえてやることが大切だなと思います。
 それから、慎重にということなんですけれども、これは明日香委員もほかの委員からも多くありました。やはり余り変なところで言葉じりをとられないような書き方をしてくださいと。
 それから最後に、腹を据えてほしいということなんですけれども、これはやはり最終的な落としどころ、最後に亀山委員が指摘しましたけれども、やはり我々は気候の変動から国民を守るんだという視点が一番大切だと思いますので、その辺でうまく筋ができるようなものにしていただきたいというのがきょうの議論の私の方のまとめです。よろしくお願いします。
 どうも、皆さん、ありがとうございました。
 次回は。

○和田国際対策室長 委員長がよろしければ、今、事務方の方からもございましたけれども、リバイズしてお送りして、またはその前にいただけるご意見はいただいて、再度修正をして、ご意見をいただいて、めどとしては5月中ぐらいを目標にしてまとめてと思っています。あと、先生方からのご指摘では、例えば、どこにまくのか云々と、こういうご指摘もありましたが、まず日本語で整理をして、政府部内とか、某産業界とは言いませんけれども、いろいろな主体に国内でまず少し幅広く周知をさせていただいて、それからしかるべくタイミングで適切に英語にして国際的にもPRしていきたいなというふうなステージに持ち込みたいと思っていますので、次回、お忙しい先生方に再度お集まりいただいてというよりは、もし、座長、先生の皆様方がよろしければ、先ほどのプロセスでご確認いただいて、最終的には座長にご確認いただく、委員長にご確認いただくというようなことにしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

○西岡委員長 よろしゅうございますか。それでは、もし今、頭に詰まっているものをさっと出しておきたいというんだったら、きょう、あすじゅうということで、来週作業いたしまして、それからまとめたいということです。よろしくお願いします。
 次回の予定とか等々につきましては。その次。

○和田国際対策室長 そういう意味では……

○西岡委員長 これはこれで。

○和田国際対策室長 これは、こういう皆さんがお集まりいただいてというのはここで一たん締めさせていただいて、それでまとめさせていただいた内容でご了解を得られるかどうかというところは、あと、やりとりで整理をさせていただければというふうに思っております。

○西岡委員長 次回。

○和田国際対策室長 次回ですね。さらにこの次のところもありまして、さらに本丸というわけではないんですけれども、事務局としては、さらに、特に、ことしのCOP30なんかに向けて、次期枠組というお話がどんどん動き出してくるというのがございますので、この気候安全保障の整理に続きまして、踏み込み過ぎというのは問題ですが、さらに次期枠組という観点で先生方から忌憚のないご意見をいただこうというシリーズに移行しようと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。また、日程などにつきまして、また改めてご相談をさせていただきたいと思っています。

○西岡委員長 工藤委員。

○工藤委員 もし可能でしたら、今の段階のを電子ファイルでいただけるとコメントが入れやすいと思うので。

○和田国際対策室長 わかりました。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 では、よろしゅうございますでしょうか。

○和田国際対策室長 はい。

○西岡委員長 それでは、どうも、皆さん、ありがとうございました。

午後12時17分閉会