中央環境審議会地球環境部会 第14回気候変動に関する国際戦略専門委員会議事録

開催日時

平成18年7月10日(月) 14:00~16:02

開催場所

法曹会館 2階(高砂の間)

出席委員

(委員長)

西岡 秀三

(委員)
明日香 壽川甲斐沼 美紀子
亀山 康子工藤 拓毅
住  明正高橋 一生
高村 ゆかり原沢 英夫

三村 信男

議題

  1. 気候変動に関する最近の国際動向について
  2. 炭素回収・貯留技術について
  3. 適応対策について
  4. その他

配付資料

資料1 気候変動に関する最近の国際動向
資料2 CO2回収・貯留技術(CCS)について(審議経過の整理)
資料3 適応対策について(審議経過の整理)
参考資料1 環境省報道発表資料:
「気候変動に対応するための長期的協力の行動に関する対話」
(概要と評価)(平成18年5月16日)
参考資料2 環境省報道発表資料:
「気候変動枠組条約附属書I国の更なる約束に関する第一回アドホック・ワーキンググループ
(AWG1)・気候変動枠組条約第24回補助機関会合(SB24)」
(概要と評価)(平成18年5月16日)

議事録

午後2時00分開会

○水野国際対策室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから気候変動に関する国際戦略専門委員会第14回会合を開催したいと思います。
 なお、資料につきましては、中央環境審議会の運営方針に基づきまして、環境への配慮として、縮小印刷をさせていただいておりますので、ご了承ください。
 それでは、早速でございますけれども、議事進行につきまして西岡委員長、よろしくお願いいたします。

○西岡委員長 それでは、ご多忙中のところをご参集いただき、どうもありがとうございます。
 本日の議題は、お手元にございます1、2、3についてでございます。すべての議題が事務局の方からの報告ということになっているようです。時間としては16時までですけれども、まず資料の確認をお願いします。

○竹本室長補佐 資料の確認をさせていただきます。
 まず、お手元の一番上にございますのが、議事次第の1枚紙でございます。続きまして、資料1でございますが、気候変動に関する最近の国際動向、パワーポイントの資料でございます。続きまして、資料2でございますけれども、CO2回収・貯留技術(CCS)について(審議経過の整理)(案)でございます。資料3といたしまして、適応対策について(審議経過の整理)(案)でございます。参考資料1ですが、環境省報道発表資料、「気候変動に対応するための長期的協力の行動に関する対話」(概要と評価)、参考資料2ですが、環境省報道発表資料、気候変動枠組条約附属書I国の更なる約束に関する第一回アドホック・ワーキンググループと気候変動枠組条約第24回補助機関会合の概要と評価でございます。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。資料については、大丈夫ですね。
 それでは、最初の議題に移りたいと思います。最初の議題は、気候変動に関する最近の国際動向ということで、事務局からの報告をお願いいたします。

○水野国際対策室長 それでは、資料1に基づきまして、気候変動に関する最近の国際動向につきまして、ご説明させていただきます。
 資料をお手元にお配りさせていただいておりますけれども、まず次期枠組みの検討に関連する動向につきましてご説明させていただきまして、次に中長期目標の検討に向けた動きがございますので、この説明をさせていただきます。次に条約・議定書交渉における他の要素ということで、適応、技術移転、CCSについてご説明させていただきまして、その後でその他の国際的取組について簡単にご説明させていただきたいと思っております。
 まず、次期枠組みの検討に関連する動向でございます。初めに、条約のもとでのプロセスについてご説明させていただきまして、その後簡単に先般行われました南アフリカ閣僚非公式対話につきましても触れさせていただきます。
 昨年末モントリオールにおいて開催されましたCOP/MOP1、COP11におきまして、将来の枠組みについて大きく三つ合意がなされております。一つ目が、条約のもとで、アメリカや主要排出国も含めまして、長期的協力をいかに進めるかということについて対話を行うということが決定されております。それから、今度は議定書ですけれども、議定書の3条9項、これは先進国の次期以降の約束について検討を昨年から始めるという規定でございますけれども、この規定に基づきまして、COP/MOP1では、アドホック・ワーキンググループということで、新たな補助機関を作ることが決定されております。それから、最後の3点目でございますけれども、議定書の9条に基づいて、議定書全体のレビューをCOP/MOP2で行うことになっておりますが、この準備を進める。この3点についてモントリオールでは合意がなされたわけでございます。これらについていろいろな動きがございますので、ご説明させていただきます。
 まず、条約のもとでの長期的協力のための行動に関する対話、それから議定書の3条9項に基づく検討につきまして、それぞれ各国からの意見提出が求められておりまして、我が国からもこれらにつきまして意見を提出しておりますので、その概要をご説明させていただきます。なお、我が国のこのそれぞれの意見につきましては、基本的には一体的に検討を進めるべきだという主張をしておりますので、ほぼポイントは重なっておりますので、ここで1枚にまとめて紹介させていただいております。実際の報告文書につきましては、ホームページで既に公表済みでございます。
 まずポイント、下線を引いて強調しているところを見ていただければと思います。ポイントとしては、条約第2条の究極目的の実現に向けて取り組む必要があるということを主張しております。そのために、長期目標、それからそれを達成するための道筋に関する合意(agreement)に向けた議論、さらは削減ポテンシャルや削減能力に関する共通認識、こうしたものを作っていくべきであり、そのための科学的知見の共有が必要であるということを主張しております。さらに、そうしたことを踏まえまして、長期的な気候変動対策のためには、すべての国がその能力に応じ排出削減に取り組むことを可能とするとともに、主要排出国による最大限の削減努力を促す実効ある枠組みを構築することが重要であるということを主張しております。一番最後の点でございますけれども、こうした観点から、長期的協力のための行動の対話は、京都議定書3条9項に規定された第一約束期間以降の期間に係る約束の検討や、議定書9条に基づく議定書全体のレビューと一体的に議論を進めていくべきだということを主張いたしました。
 この意見提出の後、補助機関会合が実際に開催されておりまして、その場で実際に、先ほど申し上げました条約のもとでの対話、それからアドホック・ワーキンググループともに第1回目の会議が開催されております。その概要のご説明でございますけれども、まず条約のもとでの長期的協力の行動に関する対話の概要がここに掲げたものでございます。共同議長ということで豪州と南アが選出されまして、約190の参加国のもとで議論されたということでございますけれども、大まかに申し上げまして、そこの結果にございますように、先進国は総じて条約の究極目的の達成に向けた連帯した取組が必要だということを主張しておりまして、これに対しまして途上国は一貫しまして条約の実施という観点が不十分であるということで、特に先進国の削減義務あるいは資金的な支援等々の取組が不十分であるということを主張しておりまして、将来枠組みの議論の厳しさが予見されたということがうかがえると思います。
 続きまして、議定書のもとでの先進国の第二約束期間以降の約束目標に関する検討、交渉ということで、アドホック・ワーキンググループの第1回目が開催されております。これは、まず議長にはザミット・クタヤール元事務局長が選出されまして、彼のもとで議論が進められております。ここでは、我が国を初めとした諸先進国が、まずこうした検討を行うに当たっては、科学的な分析、特に先ほど申し上げましたような長期的な、スケール・オブ・アクション・ニーディングという言い方をしましたけれども、必要となる取組のスケール、それからそれにつなげるための道筋、さらには削減ポテンシャルや現在の取組状況の評価などを早急に行って共通認識を形成する必要があるということを主張いたしました。さらには、このアドホック・ワーキンググループの作業というものは、条約のもとでの対話のプロセスあるいは、まだ始まっておりませんけれども、COP/MOP2で始めることとされている、議定書9条に基づく議定書全体のレビューなど、他のプロセスとの連携が必要だということを主張いたしました。当初、途上国は、条約の究極目的の実現に向けた具体的な議論といったものは必要がなく、あくまで先進国の次期約束についての数字のみを議論すればいいといったことを主張していたわけですけれども、最終的には基本的にこうした先進国の意向が盛り込まれる形で、さらに情報交換を進めるための作業を行うということ、あるいは具体的な検討リストを成果文書に添付するといったことについて合意がなされております。
 以上が条約のもとでの将来枠組みの検討に関連する動向ということでございますけれども、これとは別に南アフリカで閣僚の非公式対話というものが行われております。これは、昨年の6月にもグリーンランドで開催されました同様の非公式対話がございまして、それに引き続く第2回目の会議という位置づけでございます。我が国からは、小池大臣も参加されまして、条約の究極目的の実現に向けて、主要排出国による最大限の削減努力を促す実効ある枠組みを構築することが重要だといったことを呼びかけております。こういった議論を通じまして、気候変動問題はすべての国が連携して取り組むべき重要課題である等々のことが再確認されまして、対策の推進に向けて一定の成果を得ることができたと考えております。
 続きまして、中長期目標の検討に向けた動きでございます。これは先ほども簡単にご説明しましたが、まずアドホック・ワーキンググループ、先進国の第二約束期間以降の検討を進めるという作業グループでございますけれども、この検討作業の中で、まずは共通認識をいろいろな長期的な取組のスケール・オブ・アクション・ニーディング等々、ここでは添付リストの中でlevel of ambitionと英語で書いてございますけれども、そうしたこと等々について検討を進めていくべきだということが認識されております。具体的には、ここに添付リストというものが書いてあります。これは必ずしも議定書締約国がすべて合意したということではなくて、あくまで議長が作成したという位置づけではございますけれども、こうしたことが検討上必要ではないかということが認識されたということでございます。
 そうした中で、日本の取組でございますけれども、今年の2月に環境省とDEFRAが共同で、脱温暖化2050プロジェクトということで、西岡先生等々が中心になって実施していただきまして、今年の6月に第1回の国際ワークショップを開催してこういったプロジェクトをスタートさせたということでございます。ここでは、低炭素社会の実現に向けて、いろいろな理解を共有して、シナリオをレビューしていくといったことを科学的にやっていくということが目的となっております。ここではその内容の概要を説明させていただいておりますけれども、そうしたことを通じて、具体的な環境政策の方向性について日本ひいては世界に貢献していくということでございます。
 第3番目でございますけれども、条約・議定書交渉におけるその他の要素ということで、3点を簡単にご説明させていただきます。なお、次回のCOP/MOP2はナイロビで開催されることになっておりますけれども、特にここに掲げております適応や技術移転について重点的に議論していくということが既に念頭に置かれているものでございます。
 まず適応でございますけれども、ここに書かせていただきましたのは前回のボンでの補助機関会合での議論の概要ということでございまして、大きくは2点ございます。
 一つは、COP10で合意されたブエノスアイレス作業計画に基づく、適応に関する5カ年計画について、計画の中身を詰めていったということでございます。この中では、まず2年間の作業計画を作ろうということで議論が開始されたわけでございますけれども、特に途上国側からの期待が大きく、補助機関会合の話もマンデートの範囲を超えているのではないかと考えられるような独自の評価方法の開発まで行うことが必要だといった主張もありまして、先進国の方はそれはちょっと無理ではないかということもあったということで、意見が対立したということがございました。したがって、これは引き続き、今度のナイロビで開催されますSBSTA25で議論を継続することとなっております。
 それから、CDMプロジェクトの利益の一部を運用していくこととなっております適応基金についての議論でございますけれども、これは主にその基金をどこが管理するかということが議論になっております。基本的にはGEFではないかという議論が多かったわけですけれども、途上国からは、その運用の透明性あるいは途上国の関与の仕方が不十分であるといったことから異議が唱えられておりまして、これについても最終的な合意には至っておりません。
 したがって、一番最後にございますように、主にこの2点を含めて、適応についてさらに進展させていくということが、COP12ないしはCOP/MOP2での主要な課題の一つと認識されております。
 続きまして、技術移転でございます。これにつきましては、技術移転を促進するために専門家グループが既にマラケシュ合意に基づきまして構築されたわけですけれども、この専門家グループを今年のCOP12におきまして見直すという規定がございます。この規定に基づきまして、具体的にどのように改善していくか、見直していくべきかという議論がなされておりまして、基本的にはこれまでと同じように、丸の絵がありますけれども、この五つを引き続き主要テーマとして位置づけるとともに、さらに横断的な要素あるいは革新的な資金供与の仕組みなどについても考慮していくという勧告がEGTTの方からありまして、基本的にはこれは歓迎されたということですが、さらに議論を進めて、最終的な決定をCOP12でするということが予定されております。
 それから、CCSについてでございます。これにつきましては後でまた議題2のところで詳しくご説明させていただきますので、簡単に触れさせていただきますが、補助機関会合の開催中に二つのタイプのワークショップが開催されております。一つはCCS全般に関するワークショップで、二つ目がCCSをCDMとして位置づけるということに関するワークショップでございます。
 まず最初のCCSに関するワークショップについては、そもそものCCSというものについての理解をお互いに深めるという観点から議論がなされたわけですけれども、ここに書いてありますように、いろいろな観点からの意見が出されております。基本的には推進派の意見が多かったように思いますけれども、反対派の意見も含めていろいろな意見があったということでございます。
 それから、CDMとして位置づけることの妥当性等々についての検討ということでワークショップが開かれております。これにつきましても多様な意見が示されたわけでございますけれども、我が国からも、さらにCCSをCDMと位置づけるとはどういうことなのかということを具体的に詰めて検討すべきであるということについて意見を述べております。そのほかにもいろいろな意見が出されております。この2点についてはまた後で触れさせていただければと思っております。
 それから、その他の国際的取組の状況ということでございます。まずG8プロセス、それからAPP、ロンドン条約の動きについてご説明させていただきます。
 まずG8のプロセスでございますけれども、昨年の7月のグレンイーグルズでのG8会合を踏まえまして、昨年の11月にG8に主要な途上国を加えた20カ国、このときは19カ国の参加となりましたけれども、20カ国が参加する形で対話を進めるというプロセスがスタートしております。これにつきましては、第1回会合が今申し上げましたように11月に開催されたわけでございますけれども、さらに今年の秋には、10月ぐらいになると思いますけれども、メキシコで第2回目が開催されるということで、特にエネルギー問題と一体的に、どのような取組をしていったらいいのかということを検討していくということで、世銀とかIEAに対して具体的な調査・検討を依頼しておりまして、その作業状況についての途中経過が報告されて、それに基づいて議論がされるということでございます。特に技術の問題、それから市場の問題、あるいは適応の問題などが議論されるということであろうかと考えております。
 続きまして、アジア太平洋パートナーシップでございますけれども、これは前々回にご説明させていただきましたとおり、今年の1月に小池大臣も参加されまして第1回目の閣僚会議が開催されて、そこで正式に立ち上がったわけでございますけれども、今年の4月には実務レベルでの政策実施委員会の第2回目が実施されまして、今年の8月をめどに、それぞれのタスクフォースにつきましてアクションプランを策定していくということが決まっております。まだ具体的にできたものはございませんけれども、そうしたアクションプランを策定していくということが決まっておりまして、今鋭意それぞれのタスクフォースで検討が進められているところであります。
 最後にロンドン条約の問題でございます。これは本委員会でご説明するのは初めてかと思いますけれども、ロンドン条約というのは、次のスライドを見ていただくとわかりやすいと思いますが、基本的には、陸上発生の廃棄物等の船舶からの投棄についての管理をしていくことによって海洋汚染を防止するという目的で作られた条約でございまして、96年議定書ではこれをさらに強化するということで内容の充実が図られたものでございます。日本はロンドン条約に入っておりまして、96年議定書につきましても批准する方向で現在鋭意検討しているところでございますけれども、まだ批准を具体的に終わらせたわけではございません。
 この二つにつきましては、既に発効しておりまして、この前のページに戻っていただきますが、96年議定書につきましては、つい最近でございますけれども、今年の3月に発効したところでございます。こういった96年議定書を含めたロンドン条約のプロセスの中で、CCSといいますか、二酸化酸素の貯留の問題が現在も説明させていただきました条約あるいは議定書の趣旨に沿った形で議論されておりまして、この二酸化炭素の貯留という問題をどのようにつかむかということが議論されております。そして、今年に入りまして、96年議定書のもとで、これを具体的に可能とするといった方向性があり得るのではないかという議論が開始されておりまして、近々その具体的な案についても最終的に詰められる方向になりそうだということが示唆されております。これについては、そうした法的な検討と同時に、科学的な観点からロンドン条約の科学者会合というところで検討を進めておりまして、ここでは日本も参加する形で議論しておりますが、先ほど申し上げましたように、日本はまだ96年議定書そのものの批准国ではございませんので、そういう点では具体的な交渉には参加していないということでございます。いずれにいたしましても、そういったことで、ロンドン条約の方では二酸化炭素の海洋貯留というものが大きく位置づけられる方向で動きつつあるということでございまして、これらについても今後必要な対応をしていくべきであるということが指摘できると考えております。
 最後でございますけれども、今後の動きを大きく三つのタームでまとめさせていただきました。これは前にも同じような図を紹介させていただいたことがあると思いますけれども、一番左が条約あるいは議定書のもとでのプロセス、真ん中がG8のプロセス、一番右側がその他のプロセスということでございます。
 まず、条約あるいは議定書でございますけれども、今年の12月にCOP12とCOP/MOP2がケニアのナイロビで開催されることが決定されております。ここでは、前回のモントリオールに引き続きまして、条約のもとでの長期的対話、それから3条9項の検討ということでアドホック・ワーキンググループなどが引き続き行われるとともに、9項に基づく議定書全体のレビューについても新たな議論がされるということが予定されておりまして、こうしたことが特に注目を集めるのではないかと考えられます。そのほかにも、先ほど申し上げましたように、適応の問題とか技術移転の問題等々が議論される予定でございます。その後、2007年はアジア、2008年は中東欧ということで、COP14・COP/MOP4が予定されております。
 それから、G8のプロセスですけれども、すぐにロシアでG8が開催されることになっておりますけれども、ここではエネルギーが主要議題として位置づけられております。それから秋には、先ほど申し上げましたように、G8対話の第2回目がメキシコで開催されるということでございます。この対話の結果については、日本が2008年の議長国になっておりますけれども、その成果の報告を日本が受けるということになっておりますので、日本のG8プロセスも、議長国として日本がそれをリードしていく中で、その結果について意義のある成果を出していく必要があるということでございます。なお、2007年の議長国はドイツになっております。
 それから、その他の動きですけれども、先ほど申し上げましたように、APPにつきましては、8月をめどにそれぞれのタスクフォースでアクションプランがつくられることとなっております。それから、全く別ですけれども、IPCCの第4次評価報告書というものが来年の秋に出てくるということでございまして、これをいかに条約プロセスの方に生かしていくかということも一つの課題として上がってくるのではないかと考えております。
 簡単ですが、最近の動向については以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 もし議論がありましたら、後でまとめてやりたいと思いますが、今のところで簡単なご質問等々ございましたら、ぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。はい、どうぞ。

○甲斐沼委員 8枚目のスライドのところで、「更なる約束が目指すレベル」というところにGHGシナリオとかいろいろ書いてありますが、これについてはどういうシナリオか具体的な内容が書かれているのでしょうか。

○水野国際対策室長 今のご質問にお答えさせていただきます。この添付リストというところに表が載っておりますけれども、これはほとんどこの通りの表が添付されたということでございまして、アドホック・ワーキンググループで議論していく上ではこうしたことについて検討することが必要ではないかということで、議長が作ったリストということでございますので、これについて具体的にどういうシナリオを使う等々について何か議論されたということはございません。むしろこれは将来に向けて、単純に数字だけを強調するのではなくて、こうした科学に則って議論する必要があるという認識が一定評価されたということに意義があるのではないかという考え方です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかに。高村委員。

○高村委員 2点ほどございます。1点目は、スライドの6枚目の南アフリカにおける閣僚級の非公式対話について、いくつかかなり具体的な制度のオプションについて議論をなさったという議長、チェアのサマリーを拝見しております。例えば、途上国の約束のオプションとしてサステイナブル・ディベロプメント・ポリシー・アンド・メジャーズについて議論があったとか、あるいはセクトラル・アプローチについて議論があったといったチェアのサマリーが出ていたかと思うんですが、もしこうした点について補足してお話しをいただける事項があればお願いしたいという点が1点でございます。
 二つ目がロンドン条約に関する点ですけれども、私が聞き逃しているかもしれませんが、スライドの19のところで議論をされているのは、いわゆる海底の地中隔離の議論ということでよろしいわけですか。海中に溶かし込む技術の議論ではないということでよろしいでしょうか。

○水野国際対策室長 まず1点目でございますけれども、南アフリカの非公式対話については、今ご指摘がございましたようにチェアのサマリーというものが出ておりますけれども、これはもちろん非公式対話ということで、だれが具体的にどういう立場で言ったということなしに、フリーにディスカッションする中で共通理解を醸成していこうということで開催されているものでございますので、必ずしも条約のプロセスに直結するものではないと理解していますけれども、むしろ逆に、そうした形でフランクにディスカッションする中で、今先生からご指摘があったような具体的な中身にも触れる形で議論が閣僚レベルでできたということ自身に意義があるのではないかと考えております。
 それから、ロンドン条約についてでございますけれども、もちろんこれはまだ改正そのものが最終的にされたということではございませんので、確定されたということではございませんが、基本的には、今ご指摘があったように、海底に貯留するということが念頭に置かれていて、溶かし込むということは念頭に置かれていないと理解しております。
 ちょっと補足を直接担当からさせていただきます。

○瀬川補佐 すみません、補足させていただきます。
 提案がありましたのは、オーストラリア、ノルウェー、フランス、それからイギリスでございますけれども、附属書の投棄可能な廃棄物リストとして挙がっておりますのは、海底下の地層への貯留ということで明記されております。ですので、海洋に貯留するということは当面議論されないようであります。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 原沢委員、どうぞ。

○原沢委員 ちょっとロンドン条約の関係なんですけれども、先ほどのご説明では、日本は必要な対応をしているというお話だったんですが、これはいつごろをめどに、多分批准ということになると思いますが、それが1点と、これをもし批准しないということになると、温暖化対策上何か不利益な点があるのか、ちょっとその辺を教えていただきたいんですけれども。

○瀬川補佐 最初のご質問について回答させていただきます。実は、ロンドン条約の96年議定書附属書Iの改正というのは、今年の秋に上がってまいりますけれども、この附属書Iの改正以外の本体部分と呼んでおりますが、これに関しましては既に平成16年に海洋汚染防止法の改正その他で処置済みでございます。これに関しましては、順調にいけば、早い時期に批准ができるということでございます。附属書Iの改正につきましては、今年の秋に検討の予定ですので、この検討に係る各国の出方などを見ながら対応を考えていくと考えております。

○西岡委員長 後の方。はい。

○水野国際対策室長 温暖化対策上不利益があるかとかということでございますけれども、これについてはもちろん議定書の改正の内容そのものがまだ最終的にファイナライズされていないということは踏まえなくてはいけないと思いますけれども、基本的には、こうした条約あるいは議定書のもとで、世界が統一的にこういった方向で環境保全を図っていくという方針が出されていくということなわけですから、それについて日本だけが独自な対応をとるということが適切かどうかということが重要な論点だと思っておりまして、基本的には、96年議定書そのものには日本も参加していくということで今も努力を続けておりますので、そういう方向で今後も検討を進めていきたいと思っております。

○西岡委員長 では、明日香委員。

○明日香委員 すみません、ちょっと教えていただきたいんですが、3枚目のスライドで、「主要排出国による最大限の削減努力」という言葉があると思うんですが、その主要排出国はどの国を指すのかという何かコンセンサスみたいなものが醸成しつつあるのか。例えばどの国を想定しているのですかと聞かれたときにどう答えればいいのか、その辺のニュアンスをここで教えていただければと思います。

○水野国際対策室長 まず最初にご指摘させていただかなくてはいけないのは、これはまだ日本が言っているということですから、世界的にもちろん主要排出国はどこかということでコンセンサスがあるということではないということだと思います。日本の場合につきましてももちろん、スペシフィックにどこの国だということを主張して、その範囲をしっかり規定するという形で主張しているわけではなくて、むしろこれまではすべての国が参加する実効ある枠組みと主張していた中から、主要排出国という観点で切り出しをして、そこに特に重点的な対策を講じていくことが必要だということを打ち出したということに意義があるのではないかと考えているわけですけれども、もちろん中国やインド等々については念頭に置いているということですが、そのほかどこまで含めるべきか等々についてはっきりとした規定を考えているわけでは今のところはありません。

○西岡委員長 ほかにございましょうか。どうもありがとうございました。それでは、また後ほど議論していただくことにいたしまして、次へ移りたいと思います。
 前々回の専門委員会以降ですけれども、CCS、炭素回収、隔離技術及び適応対策についての議論を進めておりました。これについての審議経過の整理ということでご報告を願いたいと思います。事務局からお願いいたします。

○竹本室長補佐 それでは、資料2に基づきましてご説明いたします。
 ページ数は24ページでございますが、目次にございますように、「はじめに」というものと、あとCCSのポテンシャル、それから最近の国際動向という主に三つのパートからできております。
 1枚開きまして、1の「はじめに」でございます。ここでは、本件についてのご議論自体は3月14日の第12回会合から始めておりますので、それぞれの回ごとで何が紹介され、どういった議論がされたかというのを簡単にご紹介しております。一応、本日の水野室長からの報告の中でもCCSに関するワークショップの説明がございましたので、それについても入れさせていただいております。
 最後のパラグラフに本資料の位置づけをお示しさせていただいております。「本資料は、本専門委員会におけるCCSの議題において、発表者が自身の責任において発表した内容と、本議題における質疑応答の概要を中心に、本専門委員会における審議経過を整理したものである。本資料が、今後のCCSに対する理解の一助となることを期待している」ということでございまして、この資料は、これまで出させていただいております中間報告のように、先生方の合意のもとで資料を取りまとめるというものとはフォーマットが若干異なっておりますので、その点を明記しております。
 続きまして、本体でございますが、2章、CCS技術に関するポテンシャルでございます。本専門委員会におきましては、CCS技術の世界や日本でのポテンシャルについてIPCCの特別報告書のほか、国内外の専門家による発表や研究結果の紹介が行われたというものでございます。
 (1)CCSのポテンシャルでございますけれども、目次にございますように、6点紹介させていただいております。まずIPCCの特別報告書、それから産業総合技術研究所の赤井グループ長による評価、RITEの秋元主任研究員による評価、それから国立環境研究所の藤野主任研究員からご紹介がありました海外の文献の発表結果ですが、一つがCook、それからEdmondsによる評価で、最後に藤野主任研究員ご自身の評価というものを載せております。
 それで、3ページからちょっと詳細に申し上げます。まずIPCCの特別報告書でございますが、ここではさまざまなことがまとめられておりますけれども、主に3点だけ最初の目出しをさせていただいております。一つは、CCSは、CO2排出を抑制しつつ、中・長期的に化石燃料の利用を可能とする技術オプションである。二つ目に、IPCCによれば、CCSは、コスト効果的な温室効果ガス削減に大きく寄与できる技術オプションの一つ。世界の地中貯留の技術的ポテンシャルは66~90%の確率で、約2兆二酸化炭素トン程度と推定される。大量のCO2を輸送する場合、1,000キロメートル程度まではパイプライン方式が有利である。輸送量が少量の場合や、海洋を長距離輸送する場合は、船輸送が経済性を有することもあると抽出させていただきました。
 その後、赤井先生の方からご紹介いただいた資料も掲載しつつ、3ページといたしまして、背景でございます。それから5ページにCO2回収技術、それからIPCC特別報告書によるポテンシャル評価、さらにその漏洩についての項目を抜き出しております。
 まず背景でございますけれども、3ページの二つ目の点でございますけれども、この特別報告書は2006年9月のIPCC第3作業部会において発行が承認されております。この特別報告書は、IPCCで初めての特定の「技術」を対象とした評価報告書であり、その内容は、今年完成する予定の2006年国別温室効果ガスインベントリガイドラインや来年のIPCC第4次評価報告書等に影響を及ぼすことが予想されるということでございます。それから、本報告書には、政策決定者向け要約(SPM)も付属しているということでございます。
 5ページでございますけれども、CO2回収技術でございますが、燃焼後回収、燃焼前回収、酸素燃焼方式などがある。距離に応じたコスト効率性については、先ほど申し上げたとおりでございます。
 本報告書によるポテンシャル評価といたしましては、ここで紹介されているモデルの評価結果によりますと、例えば550ppmに温室効果ガス濃度を安定化させるためには、CCSがコスト効果的かつ削減に大きく寄与できる技術オプションの一つであると紹介されております。また、地中貯留の技術的ポテンシャルは、先ほど申し上げたとおりでございます。
 次の6ページでございますが、CO2の漏洩に関する知見でございます。種々の観測データ及びモデルに基づくと、適切に選定され管理された地中貯留場所にCO2がとどまる割合は、100年後に99%以上である確率は90~90%であり、1000年後に99%以上である確率は66~90%であるということで、ただし書きとして、この数値は、IPCC特別報告書第5章の執筆者の投票に基づいた専門家判断によるものとして提示されたということでございます。
 それから、海洋隔離されたCO2についてでございますが、数百年にわたって少しずつ漏洩し、隔離量は、100年後で65~100%、500年後で30~85%と算定されている。低い数値は注入された深度が1,000メートル、高い方は3,000メートルということでございます。
 続きまして、産業総合技術研究所赤井グループ長による発表資料から抜き出したものでございますが、ポイントは、CCSは、将来の革新的な対策技術の出現に至るまで、CO2の大幅な排出削減を達成するためのつなぎの技術であるということであります。
 7ページでございますけれども、意義といたしまして、比較的低コストで、将来の革新的な対策技術の出現までの時間を稼ぐことが可能であること、化石燃料使用を急速に削減する必要性を低下させ、経済的持続性を保つために有効であることから、CCSは、将来の革新技術の出現までの「つなぎの技術」としての位置づけと見ることができるということでございます。
 また、CCSは、化石燃料をベースとしたシナリオの上に乗った技術であり、エネルギーロスを伴うことから、長期的に持続可能な方法で大幅削減を可能とする唯一の技術であるとまでは言えないということでございます。
 続きまして、RITE、これは秋元先生の発表資料から抽出したものでございます。多くのモデルで、CO2濃度安定化のためにCCSはコスト効率的なオプションであり、CO2削減ポテンシャルも大きいことが示されている。二つ目ですが、コスト評価に当たっては、CCSを評価しようとする場合、CO2の回収地点から貯留地点までの輸送コストに左右される。CCSでは排出源と貯留層のマッチングがコスト面から重要であるということでございます。
 また1枚、これは帯水槽層へのCO2貯留ポテンシャルについてということで、図を出していただいておりますが、RITEの評価によりますと、世界の究極的なCO2の貯留可能量は、陸域で5,600Gt-C、これは5.6兆炭素トン換算です。沿岸海域で1.5兆炭素トンと推定されています。このポテンシャルのうち10%のみが利用できるとしても、CO2排出量100年程度の貯留が可能と評価されております。
 続きまして、8ページでございます。多くのモデルで、CO2濃度安定化のためにCCSはコスト効率的なオプションであり、CO2削減ポテンシャルも大きいことが示されている。コスト評価に当たっては、CO2の回収地点から貯留地点までの輸送コストに左右される。排出源と貯留層のマッチングがコスト面から非常に重要でありまして、RITEの方で世界を詳細に77地域に分割したモデルで評価を行いましたが、この評価においてもCO2濃度安定化のためには非常な重要なオプションの一つであるということでございます。
 続きまして、藤野先生の方からご紹介いただいた外国の研究者の発表資料の評価を抽出しております。
 まずCookによる評価でございますが、1点目といたしまして、長期の排出削減計画のための現実的な国際合意が必要である。地中貯留は、CO2濃度安定化のための戦略において、再生可能なエネルギー、原子力、エネルギー効率化とともに、主要な技術オプションとなり得るというものでございます。
 幾つか結論がございまして、まず、今後10年間において、CCSに関する本格的な研究と実証のための努力が必要。2015年より、発電所及び主要産業において商業的な普及が開始され、2055年までに交通分野にも適用されると予測している。ただし、長期の排出削減計画のための現実的な国際合意が必要。排出削減のためのコストが高くなる場合にCCSは普及する。地中貯留は安定化の実現のために必要であるという、先ほどもおっしゃったことでございます。
 9ページには、Cookが紹介した図を紹介させていただいております。
 続きまして、Edmondsによる評価でございます。大きくまとめると4点ございまして、10ページでございます。CCSは、CO2排出の制約の存在によって推進される。大規模な石炭火力発電及び水素製造との効果的な組み合わせが必要である。温室効果ガス安定化のためのコストを1,000億ドルから1兆ドル低減できる可能性がある。日本や韓国の炭素貯留ポテンシャルは低目の見積もりで、オーストラリアやアメリカは十分な地中貯留ポテンシャルがあるということでございます。
 今ご紹介した以外のポイントといたしましては、一つは、上から5番目でございますけれども、ある対象地域においてCO2貯留のキャパシティが理論的に多く存在するといったこととか、コスト的に他の削減対策に比べて高いということを知ることだけでは普及しない。要するに理論だけでは普及というところまでは直結しないのではないかということを主張しております。また、次のパラグラフですけれども、国やステークホルダー、さらに貯留の時期といったことで適切な手法は変わってくるということで、特効薬は存在しないということですとか、気候変動に対するリスク管理には多くの戦略があるということで、どの戦略をとるかは個々の判断によるといったことをまとめております。
 それから、11ページにEdmondsが紹介した一部の情報を載せた図を添付しております。それで、申しわけございませんが、実はカラーの方の印刷で図2-9のJapanのところで、この図はCCSのポテンシャルに対してどれぐらいの累積排出量があるかということで、要するに100に近ければ近いほどキャパシティが逆に小さいということを示しております。それで、韓国と日本は100%、すなわち余りキャパシティがないということを示しているのですが、この日本のところがちょっと印刷ミスでゼロになっておりますが、これは100%でございますので、後で修正しておきます。
 次に12ページでございますが、国立環境研究所藤野主任研究員の評価でございます。3点ございまして、日本、EUは、再生可能エネルギー、省エネルギーの普及を優先する戦略が有利である。他方、アメリカ、オーストラリア、産油国、途上国は地中貯留の普及を優先する戦略が有利である。2点目といたしまして、海洋貯留の利用が必要になる国は一部であり、国際的な合意が課題である。CCSはつなぎ、ブリッジの技術であるということでございます。
 ちょっと時間の都合がございますので省略いたしまして、続きまして、CCSの日本におけるポテンシャルでございます。13ページでございますけれども、四角の中を読みます。まず1点目といたしまして、IPCC特別報告書では、石炭または天然ガス火力からのCO2分離・回収コストは、15~75US$/tCO2(回収量当たり)と試算されております。我が国での評価例では、新設の石炭火力発電所からの化学吸収法による分離・回収コストは、3,000~4,000円/tCO2(回収量当たり)と試算されております。CO2地中圧入コストは、年間圧入量等が小さい場合、圧入する深度の増加に対して急速に増加する。日本で地中貯留を行う場合、パイプラインの建設コストは高く、またCO2輸送量は小さいとみなされるため、パイプラインの輸送コストは、世界での報告例よりもかなり高いという評価になっております。13ページは、それをご紹介した図の一例でございます。
 14ページでございますが、コスト計算のためにここでいろいろな地中貯留あるいは帯水層での貯留の技術の例を示しております。図2-11でございますけれども、例えば一番上はそのまま地中に埋めるという絵で、上から2番目は沿岸海域ですが、地下に坑井を掘って、ずっと帯水層まで穴を掘っていくというやり方で、続きまして、海上プラットフォームから圧入する。一番下は、海底坑口ということで、若干違う技術を用いております。こういったそれぞれの技術ごとにどれぐらいコストがかかるかということを14~15ページにわたって秋元先生の方でいろいろご紹介していただいたところでございます。
 それで、ここは、重要な点については先ほど四角の中でご説明させていただきましたので、ちょっと省略させていただきます。
 続きまして、17ページの[2]でございますが、日本におけるCCS貯留ポテンシャル/経済性評価でございます。3点ございまして、1点目は、RITEによれば、日本における貯留ポテンシャルは、構造性帯水層の基礎試錐データがあるものに限っても二酸化炭素ベースで52億トン程度と推定される。この量の約半分程度は、2050年までに経済性を有する可能性がある。RITEによれば、一つのケースでは、日本国内の貯留量は、2020年において約2,300万tCO2/year、2050年において約2億2,000万tCO2/yearになると試算される。ただし、今後は、CO2分離回収コストの低減や、輸送コストの低減を目的とした排出源近傍の貯留層の利用可能性の検討等が重要ということで、RITEの方でまとめております。この関係資料として図をご紹介させていただいております。
 続きまして20ページでございますが、本専門委員会におけるCCSに関する質疑の概要ということで、前々回と前回にいろいろ委員の先生方からご意見、ご質問があったものを、特にカテゴライズがなかなかできなかったものですから、そのまま並べております。以下ご紹介いたします。
 今後60年から80年までCCSで対応する場合と、最初からCCS以外の再生可能エネルギーの技術開発に重点を置いた場合との、技術開発の投資と効果についての見解はというご質問に対しまして、赤井先生の方からは、CCSには急激な濃度上昇のピークシェアリングという役割があると言われている。革新的で持続可能な技術への代替が60年~80年先か、それ以降になる場合であっても、結局CCSは化石燃料がベースである。21世紀中にはCCSに対する代替技術が必要ではないかと考えるということでございます。
 続きまして、既存の電力施設からCO2を回収する場合と、新設の施設で事前に計画して回収する場合のコストの違いについてというご質問に対しまして、赤井先生の方からは、当然、既存の施設からの回収の方が、コストが高い。しかし、発電所の寿命を考えると、既存の施設を利用できなければ大きな削減効果は見込まれないと考えるというご回答でありました。
 三つ目のご質問は、地中にCO2を隔離した後のモニタリングについてでございまして、次のページですが、赤井先生の方から、技術的にはモニタリングはかなり開発されている。隔離量当たりにすればコストが低いという評価もあるが、コスト面が一つの課題ということでございました。
 続きまして、CCSによる自然ハザード(CO2の噴出等)のリスクはないのかというご質問に対しまして、秋元先生の方から、貯留サイトのCO2が一気に漏洩して温暖化に寄与する可能性は非常に小さいと考えられるというご回答でございました。
 続きまして、コスト低減の見通しについて、日本の場合、回収したCO2を船舶で他国に輸送するしかないのではないかというご質問に対しまして、回収コストは技術開発等により低減するが、輸送コストについては低減の余地が小さく、回収地点近傍で貯留するのが最もコストが低いと秋元先生から回答がございました。
 続きまして、排出量取引とCCSの貯留量の関係についてという質問に対しましては、排出量取引がない場合には、先進国内で多くの削減を行う必要があり、特に帯水層貯留が多くなる。排出量取引がある場合には、途上国の比率が増加するということでございました。
 続きまして、CCSが存在することで、アメリカが京都議定書を重視しなくなるのではないかというご質問、ご意見に対しまして、秋元先生の方からは、米国は石油メジャーを多く抱えており、CCSは受け入れやすい温室効果ガス削減のオプションである、藤野先生の方からは、京都議定書への復帰は不明だが、米国が将来、CCSを有効なカードだと考える可能性はあるというご回答であります。
 海洋隔離に関するご質問に対しましては、秋元先生の方から、国際的には、海洋環境の影響評価の課題だけでなく、海洋隔離を実施しなくても地中貯留で十分という見方もある。今後も海洋隔離の影響調査を実施していくことが重要であるというご回答があり、赤井先生の方からは、海洋への隔離と地中への貯留のリスクの比較分析も重要であるというご意見をいただいております。
 続きまして、CCSに関し、我が国から途上国への技術移転は可能かという質問に対しまして、秋元先生から、日本は、分離化学吸収法の回収技術に関しては世界トップレベルである。技術移転で貢献できる可能性はあるというご回答がございました。続きまして22ページですけれども、これは藤野先生の方から、中国、インドではCCSのポテンシャルが大きいので、日本の技術が貢献する可能性がある。ただし、日本としては、CCSだけではなく、再生可能エネルギーや省エネ技術のオプションも持っておく必要があるというご回答がございました。
 次は、CCSに関する国際的なガイドラインが必要ではないかというご意見に対し、赤井先生の方から、IPCCの2006年インベントリ・ガイドラインにおいて、CCSが正式な排出削減技術として認定される予定、このほか、CDMなども視野に入れたプロジェクトごとの排出削減の算定方法についても議論が行われているというご回答がありました。
 続きまして、CCSが将来の国際制度に与える影響は大きい。非常に大きなポテンシャルがあるかわりに、立地制約やコスト等の問題もある。CCS技術について社会とのコミュニケーションをしっかりしないと、再生可能エネルギーや省エネルギー技術の開発普及の努力が後退するのではないかというご意見に対しまして、3人の先生からご回答がございました。まず秋元先生の方からは、社会としっかりとコミュニケーションを図っていくことが重要である。藤野先生からは、CCSが必要な社会かどうかを判断するのは国民である。そのための技術の組み合わせを提案しておくことが重要。赤井先生の方からは、パブリック・アクセプタンスの重要性、技術の本質を正しく伝えることが重要であるというご回答をいただいております。
 それから、日本としてCCSはどのような位置づけを持つのか考えることが重要ということに対しましては、秋元先生からは、もちろん再生可能エネルギーや省エネルギー技術とのバランスの重要性ですとか、赤井先生の方からは、いずれにしてもCCSをやり過ぎると石炭自体がピークを打ってしまうということで、現実的ではない。ただし、天然ガス中の不純物としてのCO2を大気放出せずに分離回収し隔離する事業のように、産業プロセスの中で実施できて追加コストが小さい場合には、早期に実施してもよいのではないかというご意見がございました。
 それから、特許に関するご質問については、既に日本の企業が取得した事例もございますけれども、さまざまな種類があるので、一つの特許に縛られることはないであろうという秋元先生のご意見でございました。
 それから、最後に米国の排出量取引制度に関するご質問がございまして、アメリカにおいては、いわゆるEOR――石油増進回収の要するに産業目的で使っている技術ということもございまして、こういったことでそのインセンティブが働く可能性もあるといったコメントもございました。
 それから、23ページ、24ページですが、本日水野の方からご紹介がありましたボンの補助機関会合期間中のCCSに関する二つのワークショップの内容を掲載しております。こちらについては若干記述的に細かく書いておりますが、内容としては基本的に先ほどのご説明と一緒でございますので、説明は省略させていただきたいと思います。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 これまでこのCCSにつきましては、3人の方の発表がございまして、それはそれぞれの方々の自分の責任でということで発表していただいた内容でございますが、今説明していただきましたのは、本専門委員会における審議過程を整理したという意味でございます。言ってみれば、この委員会でもきちんと審議して、認識を共通にしたということをここで表しているかと思います。それぞれの方々には原稿の方もチェックしていただいているとは思いますけれども、何かご質問がさらにございましたら、どうぞ。工藤さん、どうぞ。

○工藤委員 ありがとうございます。恐らく書きおろされているものには発表者のチェックが入っていると思うのですけれども、若干気になったのは、12ページのCCSの戦略論みたいなところがさらりと書かれている点ですが、恐らくニュアンスとしてこのようにおっしゃられたのかなと思いますが、結構いろいろな意味を含めた文章となっています。特に選択した場合には有利、不利といった話とか、地中貯留もしくはその他も含めて、いろいろな枠組みの考え方によってはいろいろな解釈ができるような表現になっています。ご当人がこれでよいということであるならば、私は全く一向に構わないのですけれども、22ページあたりに、地中貯留なり省エネなりといったさまざまなポテンシャルというものをいろいろな可能性も含めてバランスよくという点がディスカッションの流れの中心になっていたような気がするものですから、その辺、この報告書のイメージは、役割はちょっとよくわからないんですが、気になったこととして一応確認させていただきます。

○西岡委員長 いかがでしょうか。

○竹本室長補佐 工藤先生がおっしゃっておりますのは、12ページの藤野先生の記述の最後のくだりということかと思います。この資料の位置づけでございますけれども、私の方からあるいは西岡委員長の方からご紹介がありましたように、発表者が自身の責任において発表した内容と質疑の内容を中心にまとめているということで、例えば秋元先生においては、非常にポテンシャルも大きく、コスト的にもペイできるものがあるだろうということで、今後コスト削減のための技術開発をしっかりやっていこうという非常に前向きなご意見をいただいております。他方、藤野先生からはこういったご発表があったということで、それをそのまま載せさせていただいた。今回、繰り返しになりますけれども、委員会として見解をおまとめいただくというものではなく、とりあえずまずベースとして、ある種、非常に前向きな話と、若干抑えたような表現があるかと思うのですが、それをあえて併記して、これをベースに、また必要に応じて今後、本審議会あるいは別の会議の場かもしれませんが、そこでこういったものを参考にしていただくという趣旨で作成しておりますので、一応事前に発表いただきました3人の先生方にごらんいただいてコメントをいただいて作成しているということでございます。一応そのような位置づけということで、もちろん本審議会あるいは環境省として、例えば12ページに載っている内容をそのまま是認するといった段階ではまだまだないということでございますので、また今後、例えば本日いただいたようなご意見、またこれは後でご説明しようと思っていたのですけれども、きょうのご質問やご意見の経過もまた適宜、議論の概要ということでこの資料につけさせていただこうと思っておりますので、ご理解のほどよろしくお願いします。

○西岡委員長 このきょうの報告自身は、ここで結論を出したということではなく、こういう話があったということの記録だということでございますが、ほかにございましょうか。原沢委員。

○原沢委員 CCSに関連して、排出量取引との関係とか質問が出て、お答えがあったのですけれども、きょうの前半で水野室長の方からCCSにおけるCDMの位置づけみたいな話がありまして、CCSと排出量取引、CDMの京都メカニズムとの関係というのは結構重要になってくるのではないかと思っています。具体的には、例えば今年から54億円をかけて排出権のクレジットを買うという作業が始まりましたね。そういう中で、意外と排出量取引、ワイドローブの体制がなかなか整わなかったりするので、クレジットがそんなに見積もれないとすると、CDMというのは非常に重要になってくる。そういう中でCCSという技術をいかにうまくCDMに結びつけたり排出量取引に結びつけられるかというのは、結構重要な課題ではないかと思っています。ということで、こういった技術的な話もさることながら、国際制度におけるCCSと京メカみたいな関係というのは、もう既に環境省の方ではどこかでやられているのかもしれないんですけれども、非常に重要ではないかということ。その際に、例えばCDMですと、相手国が、途上国がCO2をCCSで減らすというのに日本がかかわると、それでクレジットが入ってくるというタイプと、例えば日本が出したCO2を途上国に持っていって、そこで処理するといったときに、CDM化するときに、さっきの条約ではないですけれども、廃棄物としての取り扱いになったりとか、結構きょうお話のあったテーマというのは非常に関連があるということなので、こういったことも今の段階からしっかり考えておく必要があるのかなと考えましたので、特に質問ということではなくて、コメントです。

○西岡委員長 ほかにございますか。高村委員。

○高村委員 ありがとうございます。技術の科学的知見については、赤井さんあるいは藤野さん、秋元さんの方から既に有用なインプットをいただいておりますので、それについて申し上げるということではなくて、この審議経過の整理の仕方として、2点申し上げたいと思います。
 一つは、このCCSという技術をなぜ国際戦略について検討するこの委員会で取り上げるに至ったのかということについて、その背景、位置づけを記す必要があるのではないかと思います。まさに冒頭に書かれているように、この審議を受けて、社会的にこの技術についての理解の一助となる、ということを目指すものであれば、おそらく温暖化抑制との関係でのこの技術の重要性であるとか、あるいはこの技術が持っている社会的ないろいろな意味でのインパクト、この委員会でこれまで既に議論していったようなインパクトを含めてこの技術について社会に問う必要があるという位置づけがここでの議論にはあったかと思います。それに照らして、CCSをこの委員会でなぜ取り扱うのかという点について冒頭にご説明いただくのがいいのではないかということが1点です。
 二つ目は、原沢先生が今おっしゃられたこととかかわるのですが、今回、技術の評価という意味では有用なインプットをいただきましたが、あわせて検討過程の中で、むしろ政策的に課題となる問題が出てきているかと思います。先ほど工藤委員からもありましたけれども、この中の議論では、この技術のミティゲーションのオプションの一つとしての重要性をふまえつつ、あわせてその他の多様なミティゲーション・オプションを同時に拡大追求していかなければいけないということが全体の議論の基調であったかと思います。そういう意味では、日本にとってこの技術をどのように政策の中に位置づけるのか、どういう政策上の意味合いがあるのかという今後の検討課題が、いくつか審議の過程で上がっているかと思います。そうした一種の今後の課題というものも最後にまとめていただくのがよいのではないかと思っております。
 以上です。

○西岡委員長 明日香委員。

○明日香委員 すみません、これは赤井さんにお伺いした方がいいかもしれないんですが、いわゆるEORですか、石油増進回収というのが、いろいろな数字のポテンシャルが何兆トンぐらいかあると思うんですけれども、そのうちの大体EORの部分はどのくらいなのかということと、EORの場合のコストというのは、コストに関しては15~75とか、3,000~4,000とあると思いますけれども、その下限として考えた方がいいのか、それともネガティブコストといいましょうか、EORの場合はそのように考えるのか。もしネガティブコストの場合に、いわゆるCDMとして認められるか、認められないかという議論が今どうなっているのか。そういう議論があるというのは私は認識はしているんですが、何かそういうコメント等をいただければ思います。

○産業技術総合研究所赤井氏 手元に数字がないので、EORのポテンシャルははっきりわからないんですけれども、必要でしたらちょっと調べて、いろいろな評価があるんですけれども、数百ギガトンというあたりだったかと思うんですが、ちょっと後で確認します。
 それから、コストなんですけれども、EORについては、やはりいろいろな評価がされていまして、例えば先ほどのトン数十ドルという普通の回収処分のコストが石油増産でオフセットされて10ドルぐらいになるとか、おっしゃったようにネガティブになる、もうけの方が大きくなるとか、そういった幾つかの評価があります。それも、かなり処分サイトの特性によってくると思います。
 それから、制度的な話なんですけれども、CDMについては、実は今の審議経過メモとか、あるいは最初にご紹介された最近の動向のところにも書いてありますように、最近ちょっとまた経済産業省が若干しかけたところもありまして、国際的にもかなり話題になっていまして、ボンでワークショップが開かれる前に、実はパリで経済産業省主催のワークショップを一度、途上国等々を招待してやっていますし、あとは国際エネルギー機関の中でやはり温暖化対策技術を扱っている温室効果ガス関連の研究協力協定、そこが事務局となってワークショップを同じころにやっています。それで、実はそのIEAの方の2回目が8月の頭にありまして、それは何とウィーンでOPECの本部で、OPECが委員会としてやるということになっています。ですから、そういう意味では、かなりそのあたりは政策的に、どちらかというとちょっとどろどろとした動きもあるように感じているんですけれども。
 今のは情報ですけれども、EORをCDMの対象として扱うかどうか、これはもうCCS、CDMの中で最もクリティカルな議論になると思います。つまり、いわゆるCDM用語で言うリーケージです。こちらでCO2は封じ込めたけれども、増産した石油がこちらで燃やされてCO2が出てくる。その分をどう考えるのか。それについては、実は過去にやられたワークショップでも立場によってかなり意見が違って、極端な例は、石油が増産されても、英語で言うと、"Oil is not green house gas."――燃やされなければ関係ないだろうと、それが一番極端な意見。それからもう一つ、少しマイルドなのは、それは、そのオイルをどこの国が買って、どういう形で、例えばプラスチックボードにしてしまえばCO2排出はないし、そのぐらいでしたら燃やした時点でカウントすればいいだろう。そういったいろいろな議論がありますし、NGOのグループにおいてはEORはCCS、CDMとしては認めない、あるいはCCSとしても認めないという議論まであります。ですから、EORの問題は非常に難しいですし、特にアメリカのメジャーなどはEORのCCS性についてかなり神経を尖らせているという現状があると思います。
 ちょっと長くなりましたが。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。最初の質問で、何トンぐらいあるかという話は、数字がわかりましたら、事務局の方にお願いします。
 ほかにございましょうか。これまでのところ、事務局の方でもし答えがありましたら。高村委員の方から、取り上げた背景という話がございましたし、あるいはもう少し政策的な課題としての検討をどうするのかという話があったかと思いますが。

○竹本室長補佐 高村先生のご意見でございますけれども、この資料の構成といたしまして、最初の「はじめに」のところに、なぜCCSをこの委員会で取り上げることになったかという位置づけと、あと課題につきましては、事務局の方で文章を考えまして追加させていただこうと思います。
 それから、適応の資料とのかかわりでございますけれども、この後、修正あるいは追加されたものについて、事務局の方で適宜行いまして、また委員長ともその取り扱いについてご相談したいと思っております。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。次は適応政策でございます。これにつきましても同様に、これまで議論していただきまして、ここで整理ということで、お話をお願いいたします。

○竹本室長補佐 引き続き資料3のご説明をいたします。
 まず、目次が1ページ目にございますけれども、1章、「はじめに」でございまして、非常にかかわる議論は第12回国際戦略専門委員会以前から一部ご議論いただいておりますので、それをまとめたものと、第12回以降の審議の経緯をご紹介させていただいております。それから、4ページから11ページにかけましては、原沢先生のご発表の資料を中心に、あるいは岡本先生の方からご発表のあったものを中心にまとめさせていただいております。11ページから3章でございますが、適応5ヶ年作業計画でございます。これは、第12回の委員会で事務局の方から説明させていただきましたものを載せております。14ページには、短いですけれども、先進国における適応対策の動向。さらに15ページは、途上国の開発政策における気候変動の考慮。その次に6章として、資金メカニズムについてのご紹介でございます。最後に、CCSと同様でございますけれども、本専門委員会における適応対策に関する質疑の概要を紹介させていただいております。
 まず2ページでございます。1の(1)は、既に第12回専門委員会の資料としても紹介させていただいた、以前の審議の経緯でございます。
 (2)がそれ以降ということでございます。まず、第12回会合では、5ヶ年作業計画についてのご紹介と、原沢先生の方からのご発表がございまして、事務局提案の中で、本専門委員会において、これは3ページの上から二つ目のパラグラフですけれども、科学的知見とか、各国の適応対策、さらにコスト、国際動向、資金等について整理していこうということになった経緯がございます。
 それから、第13回専門委員会でございます4月25日におきましては、適応対策に関する国際動向とか、東京海洋大学の岡本先生の方からサンゴ再生研究についての発表が行われております。
 3ページの最後のパラグラフでございますけれども、CCSと同様に、本資料は、発表者が自身の責任において発表した内容と、本議題における質疑応答の概要を中心に、本専門委員会における審議経過を整理したものでありまして、今後も、本専門委員会において、本資料を活用しつつ、適宜、適応対策に関する議論を継続することとするということにさせていただいております。
 続きまして4ページでございますが、第2章、科学的知見でございます。情報量はかなり多いですけれども、まとめると4点になるかと思います。一つは、温室効果ガスの排出削減対策――緩和策の補完策として、適応対策が必要。2点目として、気候変動は、先進国、途上国双方に大きな影響を及ぼす。特に島嶼国などの途上国は脆弱であり、これらの国においては適応対策を優先する必要がある。3番目ですが、各国に合った適応対策の確立、人材育成、国際的な援助が不可欠。地域特有の条件、伝統的な相互扶助の仕組み、固有技術を活かすことが必要。対応能力を各国が独自に形成するのは難しい。地域全体での協力が必要ということでございます。
 何ページかにわたってご紹介させていただいておりますけれども、まず背景としましては、IPCCなどの背景情報をご紹介させていただいております。まずは、どのように低レベルに安定化しても気候変動の影響は避けられないという趣旨のことが書かれております。IPCCの第三次評価報告書についての記述も紹介させていただいております。
 4ページから5ページですけれども、適応能力についてということで、原沢先生の資料から抜粋いたしました。まず、適応能力の特性は、地域や国、社会集団によって異なる。時間的にも変化する。この要因には、資金力とか科学技術、情報、インフラなどなどがある。適応能力の強化は持続可能な開発の推進と同じであるということですとか、開発にかかわる政策決定や実施、計画は適応能力の動向に大きく影響するということでございます。
 適応対策に関する論点としては、三つございます。緩和対策の補完策として、適応対策をどう位置づけるべきか。論点2として、適応対策と、通常のインフラ整備・開発との区別をどのようにするか。そもそも適応対策とはどの範囲を指すのか。さらに、人間活動に起因した気候変動の影響を区別することは困難としても、明らかに気候変動の影響であるケースや、気候変動に極めて脆弱なケースにどう対応するか。適応対策を開発政策やその他の政策にどのように反映させるかといったテーマを論点2としております。三つ目としては、対策の実施責任はだれにあるのか、あるいはコストはだれが負担するかといった点が挙げられます。
 次に、分野別の適応事例ですけれども、原沢先生の方からは、さまざまな分野ごとにいろいろな対策の事例が考えられるということで、5ページから6ページにわたりまして、例えば水資源とか、沿岸域、農業、気象災害・防災、人の健康、金融サービス、生態系などについて具体的な事例をご紹介いただいております。また、前回の専門委員会で東京海洋大学の岡本助教授の方から、サンゴに関する適応対策の事例をご紹介していただきましたので、それを掲載させていただいております。
 7ページ、(5)でございますけれども、気候変動影響及び適応対策のコスト評価事例ということでございます。現時点ではなかなか包括的なコスト評価というのは余りなされておりませんけれども、事例としては幾つか挙がってきておりますので、そういったものを原沢先生の方でまとめてご紹介いただいたものでございます。一つは、イギリスの保険業協会報告などによる自然災害のコストでございまして、まずは過去の自然災害の被害額の例、これは気候の災害に関する保険金支払額などについての日・米・欧の情報をまとめたものと、もう一つは、将来の気候変動による自然災害に関する影響予測の事例として、日本・アメリカ・欧州の台風等の被害の予測額を紹介させていただいております。
 8ページでございますけれども、沿岸域の脆弱性評価でございます。こちらにつきましては、我が国における脆弱性評価と、世界における脆弱性評価をご紹介させていただいております。
 8ページ、[3]でございますけれども、各国の脆弱性評価事例ということで、一つは島嶼国のキリバス、それからカナダの事例を紹介させていただいております。次に10ページでは、イギリスの事例で、自然災害の試算結果について紹介させていただいております。
 4番目としては、アメリカ・フィラデルフィア市における熱波への適応対策の事例を紹介させていただいております。これは具体的に、実際に導入された早期警戒システムのシステム設計に当たっての便益と費用の比較をしております。
 11ページの真ん中でございますけれども、3章として、適応5ヶ年作業計画のご紹介でございます。主に3点挙げられるかと思います。まず、2005年のCOP11において、適応5ヶ年作業計画が採択された。2番目として、各国が気候変動の影響・脆弱性・適応への理解を深め、科学的・社会的知見に基づいた適応対策に関する意思決定を可能にすることが目的であります。気候変動条約の補助機関会合(SBSTA)におきまして、2008年までの計画前半の活動についての交渉が続けられているということでございます。
 詳細は、先日の第12回会合でご説明いたしました、11ページから14ページにかけてでございますが、これは省略いたします。(4)SBSTA24の結果と今後の作業でございますけれども、14ページの最初のパラグラフにつきましては水野の方からご説明させてございますが、さらにその後ですけれども、本作業計画につきましては、2007年秋に公表予定のIPCC第4次評価報告書を受け、2008年にこの5ヶ年作業計画のレビューを行いまして、5ヶ年計画の最終年である2010年のCOP16に報告が行われる予定になっております。
 続きまして、4章といたしまして、先進国における適応対策の動向でございます。2点ございまして、一つは、大半の先進国は、自国の気候変動影響評価を進めている。次に、一部の先進国は、国家、セクター、プロジェクト・ベースで適応対策を実施しているということでございます。
 まず、OECDによれば、気候変動枠組条約に基づく第3次国別報告書提出時点において、先進国とはここではOECD諸国又は条約附属書I国を指しますが、先進国の約4分の1が、気候変動影響評価の極めて初期段階にあります。しかし、大半の先進国は、気候変動影響評価を進めて、適応対策に乗り出しております。一部の先進国については、今申し上げたように、さまざまなタイプの適応対策の実施、あるいは開発政策への主流化を図っております。具体的な事例といたしましては、インフラ整備に関するものが幾つかございまして、海面上昇等を想定したものとして、カナダ・コンフェデレーション・ブリッジとか、デンマーク・コペンハーゲンの地下鉄、英国・テムズ川。これは、一部は既に実施済みなんですが、将来、海面が数十センチ上昇することに合わせて地下鉄の高さを上昇させるとか、河川が上昇しても船が通行できるような設計にするとか、そういった検討が行われているといったものの事例がOECDで紹介されております。
 15ページでございますけれども、国家の計画としても、フランス、イギリスなどが適応対策の計画を策定済みあるいは策定中という事例がございます。セクターあるいは地域レベルでございますけれども、オランダあるいはアメリカなどで、その交通あるいは洪水等に対しての予防的な政策をとっております。
 続きまして15ページ、5章でございますけれども、途上国の開発政策における気候変動の考慮でございます。ここでは主に、OECDの閣僚会議の結果を前回の会合でご紹介しましたので、これを再度まとめたものでございます。ポイントは2点ございまして、OECDにおいて、開発政策の気候変動適応策への統合に向けた作業を進めることが合意されたというものと、OECDにおきましては環境と開発の統合に関する優良事例の収集、能力開発の推進が重要であるということが示されております。
 次に16ページ、6章、資金メカニズムでございます。こちらも前回事務局の方からご紹介させていただいたものをまとめたものが中心になっております。3点ございまして、気候変動枠組条約・京都議定書のもとには、適応対策を中心とした途上国支援のため、三つの資金枠組みがあります。後発開発途上国基金(LDCF)のもとで、後発開発途上国の国別適応行動計画の策定が進められている。京都議定書の発効に基づき、CDMの収益の一部を途上国の適応費用支援に充当する適当基金の早期運用開始が課題であるということでございます。
 それで、16ページから18ページにかけまして、三つの基金についての概要をご紹介しております。5月のボンの交渉の結果についても、水野が申し上げた内容について再度ここでまとめさせていただいております。
 18ページでございますけれども、LDCF――後発開発途上国基金を通じた途上国における国別適応計画の策定状況についてご紹介しております。この基金から付託を受けた地球環境ファシリティ(GEF)が、UNEPや世銀の協力のもとで国別適応計画などの策定を今行っている最中でございまして、現在合計44カ国が支援を受け、既にホームページ上で公開されているという状況になっております。
 19ページから21ページにかけまして、サモアとバングラデシュの策定例についてご紹介しております。
 22ページでございますが、本専門委員会における適応に関する質疑の概要でございます。ここはそれぞれ、すべてご紹介いたします。
 まず22ページの一番上ですけれども、生態系への影響など、適応しきれない気候変動の影響もあることに留意することが必要である。
 続きまして、適応対策は緩和対策と比較して短い時間で効果が現れるという意見があるが、日本では、1960年代以降、台風や地震津波対策のため堤防の整備を行った結果、当時10万人に1人の災害死亡率が現在は200万人に1人に激減した。このために40年の歳月がかかった。バングラディッシュで適応対策を進める場合、長いリードタイムが必要になると考えられる。
 適応の問題は、先進国と途上国の違い、対策のタイミング、地域による違い、影響の違い、対策を予防的に行うか、事後に行うか等、複雑な体系が考えられる。まずは、科学的知見に基づいた情報の共有化と環境づくりを行うことが必要。ベストプラクティスの集積、同様の影響を持つ地域・分野のグルーピングが重要。次期枠組みの参加インセンティブの検討は、現時点では難しい課題。
 続きまして、適応対策は、その費用を負担すると自国が被害を免れるという意味で緩和対策と性格が異なる。途上国に対する責任論の議論はあるが、基本は各国が単独で行うことができるものがあるのではないか。なぜ国際的な議論を行う必要があるのか考える必要がある。例えば、日本が消費する食糧に対する適応は、日本の適応だけでは不十分で、外国の農産物の適応能力を高める必要がある。このように輸出国側の適応を日本が考えることが戦略的に必要。その上で、途上国に対する責任論も踏まえ、国際的な協力の枠組みづくりに貢献するというような考え方が重要ではないかというものでございます。
 続きまして、先進国の途上国への責任論については、緩和対策と適応対策のそれぞれの責任分担をリンクさせて議論すべき。
 途上国の優先課題はミレニアム開発目標の達成が中心。これを達成することと一緒に適応問題を考えたらどうかという議論がありました。
 続きまして、適応に関しては、防災については国土交通省が、熱波、感染症については厚生労働省が、既に実施している政策がある。ただし、これだけでは対応できないような将来の気候リスクに対しては追加的な適応対策が必要。政府は、このような広範な調査を実施して、日本にとっての適応対策の必要な分野と対策、現在とられている対応と将来とらなければならない対応の一覧表のようなものを作成する必要があるのではないかというご意見もありました。
 続きまして、今、アメリカでは、ハリケーン・カトリーナの情報を集めて、国、地方としてどのように対応したのか評価を行っている。日本においても、例えば、2004年の猛暑、豪雨、台風に関する災害などのデータを収集して分析しておく必要があるのではないか。
 基本的には、気候変動の影響や気候災害の情報やデータを評価した上で場所、分野、時期、対策の内容等を考慮した行動計画のようなものが必要になる。
 続きまして、先進国における適応行動計画も重要。他国の策定状況はどうなっているのかというご質問です。今後、適応の政策枠組みを策定するためには、専門家だけでなく、国内のステークホルダーとの議論を行うプロセスが重要であるということです。これにつきましては、事務局から、現在までに、カナダ、フィンランド、フランス、イギリス等が計画を公表している。これらの計画の特徴は、地方自治体の計画作成への参加、情報ネットワーキングの構築の重点化、ステップ・バイ・ステップの計画策定アプローチとし、第一歩として国内の脆弱性評価から実施していくといった回答をさせていただいております。
 最後に、途上国の国別適応行動計画は、先進国主導で策定され、途上国の意図が、すみません、漢字が違いますが、正確に反映されていないのではないかというご意見に対しまして、事務局からは、例えば、バングラディッシュでは、国内4カ所でワークショップを行い、地方のステークホルダーの意見を聴取する機会が設けられた。西岡委員長の方からは、計画策定段階では、地域の社会制度、伝統、知恵などが重要であり、先進国はこの点を尊重していたというご回答をいただいております。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ただいまの整理につきましても、前のCCSと同じような性格のものでございます。何かご質問はございましょうか。個別の発表については一応確認をとっていると思いますが。
 私の方から一つありますが、今度のSBSTAでもお話があったようですけれども、途上国のGEFにかわる既存の機関というのはどういうことが想定されているのでしょうか。

○竹本室長補佐 途上国も具体的にどの機関に付託すべきといった意見は聞かれませんでした。強いて挙げるとすれば、モントリオール議定書の多国間基金を挙げております。ただ、それについては、余り現実的ではないという意見が途上国の中にございまして、どちらかというと、GEFに対するこれまでの例えば審議・承認プロセスが非常に遅いとか、一定の先進国の意見が非常に強く出ているといったこととか、特に産油国、知見の少ない途上国にはなかなかプロジェクトが通らないという不満もあって、そのようなものが一固まりになってGEFに対する不満が出ているということのようでございます。

○西岡委員長 ほかにいかがでしょうか。はい。

○住委員 この報告書というか、これが出てくるところの意味がいまいち、またこの書き方の中でもよくわからないところが僕にはちょっとあるので、やはりまとめみたいなところを何か出しておかないと、整理をしたんですよというだけではないものがあるような気がしますので、何かそこのところを、これを使って今後どうするかみたいなところでもいいんだけれども、何かそういうある種の結論的なものはつけないと、何となくよくわからないようなまとめになっている気がしますので、それをしたらどうかなと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにございますか。三村委員。

○三村委員 幾つかコメントと質問を伺わせていただきたいと思います。
 まず8ページの[2]沿岸域の脆弱性評価、(i)我が国における脆弱性評価で、沿岸域の対策費は12兆円と書いてあるんですけれども、これは11.5兆円です。丸めると12兆円になるのかもしれませんが、計算結果は11.5兆円で、しかもそれは日本全体ではなくて、港湾と、それに付随する海岸ということですから、ある程度正確に書いておかれた方がいいんじゃないかなと思います。
 それから、先ほどの住先生の意見ともちょっと重なるんですが、例えば15ページ以降など、現在、既に途上国だとか先進国を含めていろいろな取組が行われているという話が書いてあります。ここに書いていない話でも、例えばADBでもいろいろな国の適応対策の計画について援助しているとか、そういうことはあります。世界全体で今何が起きていて、その動きが全体としてどこに向かっているのかとか、あるいはイギリスはスターンレビューとか言って、対策のコストと被害のコストを比べることをやっているわけです。そうすると、全体の対策の枠組みの中で適応のコストが見積もられるのかとか、そろそろ個別の例ではなくて、世界全体でどのような枠組みで取組があるのかが少し見えるようになっているんじゃないかと思うんです。この委員会で直接やるのが適当かどうかはわかりませんけれども、少しそういう世界全体の動きをまとめるようなことをやると、適応に関する現状の認識がはっきりすると思います。これはこの報告書ではないんですけれども、この報告書を受けて、もう少し深めるような作業をどこかで考えたらいいんじゃないかと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにご意見はございましょうか。甲斐沼委員。

○甲斐沼委員 先ほどの住先生の意見と同じような質問ですが、国際戦略専門委員会としてどうまとめていくかとかについて、ここではどういうことを議論するか、日本の方針をどうまとめていくのかについてお伺いしたいと思います。5ページのところに適応対策に関する論点というのがまとめてありまして、これは非常によくまとまっていますが、私の質問は、これと、ここに書いてある論点がどう対応しているのかというところがまだ理解できていないので、その点について説明していただければと思います。
 例えば、論点2のところで、「適応対策と、通常のインフラ整備・開発との区別をどのようにするか」というのがあります。これは、温暖化対策と、温暖化対策を念頭におかなくても実施しなければいけない対策等の区別というのは非常に難しいですが、ただ、非常に重要なことですので、この分離をするための指針というのがどのように議論されているのか、もしありましたら教えていただきたい。
 例えば、インド等で鉄道とかを敷設するときに、インドでは豪雨による鉄道の災害が多いということを聞いております。その中で、例えば事故が起こりそうになっているところに警報システムを事前に導入しようという話があっても、なかなかコストの面で導入できない。ただ、今、公共交通の整備が進んでいる中で、警報システムを一緒に導入する、あるいは洪水に対応したような投資をしていくというのは非常に重要かと思いますが、それは過剰投資と考えるのか、あるいは温暖化対策コストとして必要であると考えられるのかについて、これらの要素についてどの程度考慮されているのか。インフラ整備は、例えば公共交通は削減対策にもつながりますし、あるいは適応対策にもつながるといった幾つかの側面がありますので、こういった点について、この論点1、2、3について、もう少し整理していただけると非常にわかりよくなるかと思います。

○西岡委員長 今のご意見に、ほかには。明日香委員。

○明日香委員 ご参考までの情報なんですけれども、去年バヌアツで、GEFが最初にファイナンスして援助した高潮難民が発生しているらしいんです。そのときに多分このように計算の原点は、一応取り決めたコストだけを払うということになっていますので、どのように計算したかとか、今まで幾らぐらい払って云々というのは、結構参考事例として使えるかもしれないので、もしおありになればと思って……。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにございましょうか。
 私も実はちょっと一言言うのを忘れたんですけれども、多分この適応対策についてはさらなる議論がこの委員会でも要るのではないかなと思っております。先ほどのCCSの方は、これは技術の話でして、一応抑制対策の一つのオプションとして十分知っておく必要があるということかと思いますし、またこの議論もいつかまた再燃させる必要が出てきたらやる必要があるかと思っておりますけれども、適応策につきましては、まだオンゴーイングなところがあって、しかもどう組み合わせていくか、さらに日本がほかの国にどういう提案ができるかといったこともあったりしまして、国際戦略専門委員会として今後もう少し突っ込んだ議論が要るような感じもいたします。事務局の方ではどのようにお考えでしょうか。

○竹本室長補佐 いろいろご質問、ご意見をいただきましてありがとうございます。
 まず、構成に関しましては、住先生からご意見がございましたように、あるいは西岡先生からも、今後も議論を深めていく必要があると、皆さん大体同じようなご意見だと思いますので、いずれにしても課題の整理はしておく必要があるかと思いますので、事務局の方で案を考えて、ご紹介といいますか、ご相談したいと思っております。
 前後しますけれども、例えば甲斐沼先生の方から、5ページの三つの論点を今後事例の収集も含めて検討していくというのも一つ課題としてあるかと思いますし、三村先生の方からもご案内のあった他の国際機関あるいは他国での取組の事例というのももっと調べて、あるいはスターンレビューはまだ公開されていないという認識ですけれども、出されましたら、しっかりそれを分析していく、コストに関してもしっかり分析していくという必要もあろうかと思います。
 これも西岡先生がおっしゃっているとおり、国内もそうですけれども、国際的にも、例えばボンの会議でも交渉がもつれたりして、なかなか統一したガイドラインなどには踏み込めないような状況にございますので、そういった国際的な議論の進展、あるいは世界から出された報告書あるいは日本で出された報告書が更新された時点でうまくまとめていければと思っております。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 何か追加のご意見はございましょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、本件につきましては、この委員会でもさらに取り上げていきたいと思っております。一番最初に、気候変動に関する最近の国際動向ということでお話をお伺いした後で、簡単なご質問にとどめるという話をしたんですが、何かこのあたりについてのご意見あるいは今後の進め方についてのご意見はございましょうか。どうぞ、高橋委員。

○高橋委員 今の最初のアイテムに特に関係ありますが、後の二つも多少関係あるようにも思います。ご報告を伺っていて、地球環境分野の今の状況というのは、1970年代の南北交渉に非常に似ているなという印象を受けました。いろいろなテーマに関していろいろな作業が行われて、いろいろな交渉が行われている、そういう状況かと思いますので、1970年代の作業は、たまたま私がやりましたので非常によく覚えているのですが、多分今も役に立つのではなかろうかなということを1点申し上げたいと思います。
 当時私はOECDの事務総長の補佐官をやっておりましたが、南北交渉の中で、当時20前後のアイテムが世界で交渉されていまして、その個々の交渉アイテムに関しまして、それを全部網羅して南北交渉のステート・オブ・プレーというペーパーを年何回か作りまして、そのためにOECDの各部局のそれぞれの分野にかかわっている人たちを全部動員しまして作っていたのですが、そこから非常にはっきりしてきましたのが、どういう分野で交渉は滞っているか、どういう分野が多少先行しているかというのが、そういう作業をしますと非常によくわかるんです。今の状況ですと、例えば国連事務局がそういう仕事をやってくれればいいんですけれども、想像しますに多分やらないだろうと思いますので、世界に環境分野のステート・オブ・プレー・ペーパーというのはないんだろうと想像します。そうしましたら、日本政府が日本政府として、世界の地球環境分野で、どういう分野でどういう交渉が行われて、それぞれがどういう段階にあるか、どういうイシューが今交渉の中心テーマになっているか、そこではどの程度交渉の問題が、例えば科学的知見でおくれているのか、あるいはその他のステークホルダーのそれぞれの利害関係でそこがうまくいっていないのか、そのようなことはかなり明確に出てくると思いますので、ステート・オブ・プレー・ペーパーのようなものをぜひ作ったらいかがだろうかという感じがします。それは、ここの地球環境部会のサブコミティーである国際戦略専門委員会での作業を通じて感じられる点だという位置づけで、地球環境部会に対するこの専門委員会からの提言の一部として出して恐らくいいんだろうと思います。それが1点。
 それから、それとの関係で、交渉がうまくいかない場合に、それを前に持っていくときに、貿易分野でロンドンにありました貿易問題研究所というのが非常に重要な役割を1960年代から80年代まで果たしております。これは、貿易問題に関して、例えばウルグアイラウンド発足に関してどうもうまくいかないといったことがありますと、その問題に関してイシューズペーパーを作って、関係の人たちを例えばスイスの山の中の村に閉じ込めて、(笑)自分の国のことはとりあえずやめてくれ、このイシューに関して議論してくれということで3日ぐらい缶詰でやりまして、その後、さあジュネーブに帰って勝手に交渉してくれといったことをやりますと、十中八九、その問題が行き詰まっていたのがディブロックされていきました。そのようなもので貿易のケネディラウンド、東京ラウンド、ウルグアイラウンドというのはかなり助けられていましたけれども、その研究機関が、シンクタンクがつぶれてしまいましたので、今のドーハラウンドはにっちもさっちもいかないという状況がありますけれども、この環境分野に関しまして、そのステート・オブ・プレー・ペーパーを作って、そこでブロックされているような状況が特定されたら、例えば日本のIGESなり何なり、その研究機関が中心になって、非公式に関係の人たちを集めてそれをディブロックするためのブレーンストーミングセッションのようなものを行っていくといったことをやっていくと、日本の存在感というのは非常に出てくるのではなかろうかなという感じがします。
 恐らく国際戦略専門委員会などというのは、国際戦略などというのは多分そんなことを考えることが適当なのではないかと思いますが、その前提として、一つはステート・オブ・プレー・ペーパーのようなもの、もう一つはそれをやるに適した機関、もう既に私は日本にはあると思いますが、そういうものを動員するということ、その2点が必要なのかなと思いました。それは主にきょうの三つの点の第1点に関係しますが、もしかしたらやがて第2点、第3点にも関係してくるかもしれません。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにご意見はございますか。はい。

○住委員 APPのことなんですけれども、京都議定書の補完となると書いてありますが、非常に世間的に見てよくわからないというのが多くの人の印象のような気が僕はしているので、日本だけですよね。ある意味でこれはアメリカブロックとヨーロッパブロックの中に日本だけ両方入ってちょこちょことしているわけではないんですが、だからこれをどういう位置づけで環境省としても日本国としても、要するに京都議定書の補完としてというところをもう少し明確に出していってPRしていく必要が僕はあるような気がするんですけれども。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにございましょうか。はい。

○明日香委員 コメントというか、僕は、ちょっと大きな話になるかもしれないんですけれども、多分、南北問題という文脈で考えるときに一番重要なのは公平性の問題でして、途上国にこういうことをやってみましょう、やってくださいと言うのはいいんですけれども、そのときにどういう原理原則でやってもらうかというのをはっきり国内で議論した方がいいと思いますし、逆にそういうのがないと、途上国も、やれと言われても中身が何もないんじゃないかということで何も聞かないのかなと思います。そのときに、ではどういう原理原則でやれということは、日本はどういう原理原則でやるというものが当然伴わないと、説得力もないのかなと思います。もちろん、それは交渉のタイミングとか交渉のやり方とかいろいろあるんですが、やはりこちらである程度玉を出さないと、あちらも何も動かないのかなというのが、個人的に今途上国の方とお話をしていて感じるところです。単純に言えば、日本がどうすればいいかという議論もなるべく早くやった方がいいんじゃないかということなんですが、そういう公平性の原理でする議論をこの場でもうちょっと深めてもいいのかなというのが個人的な感想です。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 亀山委員、どうぞ。

○亀山委員 時間もありませんので、簡単にですけれども、私もきょうご発言された高村先生とか工藤さんのご意見に非常に賛同するんですが、やはりこの資料2と資料3の位置づけがどういうものなのかというのがちょっと不明な中での発言になります。この交渉の歴史を繙く時間もそうありませんが、京都COP3の直前に、排出削減だけでは合意はできないということで森林の吸収源の話が急に持ち上がって、その結果が京都議定書の3条3項と4項に入ったわけです。それでもまだ国内の排出削減だけでは目標は達成できないと言って、京都メカニズムも入りました。それだけではまだアメリカやオーストラリアは参加できないと言って、今度はCCSの話が出てきたり、それで途上国につきましてはもう適応の話だと言って、削減の話をしようと思うと、それを回避するような別の話題で盛り上がるんです。森林の話で盛り上がり終わると今度はCCSで盛り上がり、CCSの話が飽きるとまた次の話題が出てくるのかもしれませんが、一番中心の話題は、どうやったら削減できるのかという、そこのメーンテーマがあるということは、せめてこの専門委員会だけは忘れてはいけないと思うんです。ですので、今後この専門委員会で適応対策についてさらなる議論が必要だというのはその通りだと思いますけれども、年に1回ぐらいは、(笑)どうやったら削減できるのかという大枠の話もしてもいいのではないかなと思います。
 以上です。

○西岡委員長 ほかにございませんか。
 非常に……。工藤委員、どうぞ。これで最後にしましょうか。

○工藤委員 私も簡単に。削減も含めまして、究極目標なり何なり、気候変動にどう取り組むかという考え方を先々どう考えるかというのが世界に求められたイシューであって、今の亀山委員の言葉に半分は賛成で、半分は賛成じゃないんです。温暖化ということだけにこだわっているとなかなか途上国を巻き込めない世界、これは現実的にあるということと、先ほど住先生がおっしゃったように、APPなり何なりというさまざまな補完的な枠組みが、逆に途上国での省エネなり何なりを促進して温暖化対策にも貢献するというパスもあり得るという、そのポテンシャルはやはり視野に入れながら広範に検討していくということが大事じゃないかなという気がいたします。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 非常に貴重な意見が最後になってたくさん出ましたので、事務局の方ではそれぞれどのようにお考えでしょうか。

○水野国際対策室長 ただいま大変貴重なご意見を各委員の先生方からいただきまして、どうもありがとうございます。基本的には、今後議論を進めていく上でどんなことを中心的に議論していくべきかということについて、多くの示唆をいただいたということだと思います。これにつきましては、もちろんすべてを同時にやるわけにはなかなかいきませんので、優先的にどんなタイミングで議論すべきかということにつきまして、委員長とも相談させていただいた上で、タイミングなり内容なりを決めさせていただければと思っております。
 これは一般論でございますけれども、個別的には、まず最初に高橋先生の方から、南北交渉のときにステート・オブ・プレーというペーパーが有益であったということで、こちらでもそういったことを参考にしたらどうかということで、そういった提案をしたらどうかというご提案をいただきました。これにつきましては、不勉強で恐縮ですが、我々の方ではステート・オブ・プレーというペーパーがどういったものであったかということを承知しておりませんので、また勉強させていただきまして、どのように使えるかということについて検討させていただければと思っております。
 それから、貿易問題研究所の件については、これは直接この委員会でどうのこうのということでは必ずしもないご意見ということで承らせていただきましたけれども、大変貴重なご示唆だと思いますので、それを念頭に、また勉強させていただきたいと思います。
 それから、住先生の方からAPPの補完の位置づけをPRすべきだということについてご指摘をいただきました。私どもは実は正直申しまして、APPにつきましては、再三再四、それは京都議定書を補完する取組であるということについては強調してきたつもりではございますけれども、実際に必ずしも十分でないといった認識があるということであれば、さらにそういった点を強調しながらこういったものに取り組んでいきたいと思います。
 もちろん、前後しますけれども、工藤先生がおっしゃったように、APPそのものも、官民が具体的にできるところから積み上げる形で取組をするという意味では、京都議定書を補完する取組として大変重要だと思っておりますので、そういった位置づけを忘れない範囲で、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
 それからあとは、必ずしも統一的というよりはさまざまなご指摘をいただいたと思っておりますけれども、明日香先生からは、公平性の原理原則について検討したらどうかということ、それから亀山先生からは、先をどうするかというところを中心に議論すべきだということ、それから逆に工藤先生からは、必ずしもそこだけに焦点を絞らずに、APPなども含めたより幅広い議論の中での位置づけを考えていくべきだというご指摘をいただきました。
 それから、もちろんこの議論の前の議題のときにも、適応問題については、議論をここで終わらせてしまうのではなくて、さらに議論を深めるべきだという意見をいただいております。これにつきましては、先ほど一番冒頭に申し上げましたように、それぞれに大変重要なご指摘をいただいたと思いますけれども、どういった優先順位でどういったタイミングでこの場で議論いただくかということにつきましては、よく整理した上で決定する必要があると思いますので、今具体的にスケジュール等を決めてはおりませんけれども、十分に事前に委員長と相談させていただいた上で、各先生方とも相談させていただいて、テーマなりタイミングなりは決めさせていただければと思っております。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 全体に国際的なスケジュールがありまして、いろいろな動きのうねりというのがあります。大体ナイロビが次のターゲットになるかと思いますけれども、余り間際になってこういうことを考えようとしてもなかなかできないというのがありますので、ぜひイン・アドバンスに前もって前もって、我々の知恵が出せるところがあったら、ぜひ設定していきたい、あるいは設定していただきたいと考えております。
 ほかに何かご発言は特にございましょうか。
 それでは、次回の予定といいましょうか、あるいは今後の予定ということでしょうか。

○水野国際対策室長 今ご説明させていただきましたとおり、具体的には日程はまだ決めてはございませんけれども、タイミングを逸しないように適切にご議論いただくということを念頭に、また委員長と相談させていただいて日程なりテーマなりを決めさせていただければと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

○西岡委員長 それでは、きょうの審議の内容につきましては、後ほどまた議事録が回っていくかと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 本日の委員会はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

午後4時02分閉会

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