中央環境審議会地球環境部会第10回気候変動に関する国際戦略専門委員会議事録
開催日時
平成17年5月12日(木)10:00~12:19
開催場所
共用第7会議室 合同庁舎5号館5階
出席委員
(委員) | 明日香 壽川 亀山 康子 高橋 一生 新澤 秀則 三村 信男 |
甲斐沼 美紀子 工藤 拓毅 高村 ゆかり 原沢 英夫 横田 洋三 |
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議題
- 1.
- 第二次中間報告(案)について
- 2.
- その他
配付資料
- 資料
- 第二次中間報告(案)
議事録
午前10時00分開会
○水野国際対策室長 それでは、定刻でございますので、ただいまから気候変動に関する国際戦略専門委員会第10回会合を開催したいと思います。
それでは、議事進行につきまして、西岡委員長、よろしくお願いいたします。
○西岡委員長 おはようございます。
それでは、第10回の気候変動に関する国際戦略専門委員会を開催したいと思います。
今日の議事は、お手元に議事次第がいっておりますが、第二次中間報告(案)についてということでございます。その他というのは特にないと思いますが、そういうことでこれまで幾つか報告がございまして、それを中間報告にまとめたということでございますので、これについて審議していただきたいということであります。
既に、ここでの報告で大体のことは出尽くしていると思いますが、それをうまくどうまとめていただいたかということで、個々の項目に関する修正だとかご意見だとか、そういうこともございますし、あるいは全体の構成、それから最後に今後の検討課題というのがございますけれども、このあたりにつきまして活発なご意見をいただけるとありがたいというぐあいに思っております。
また時間でございますが、12時30分までを予定しておりますけれども、進行によりましては早く終わりたいというぐあいに思っております。
それでは、事務局の方からまず最初に資料の説明を願いたいと思います。
○水野国際対策室長 それでは、資料についてご説明をさせていただきたいと思います。
本資料につきましては、数日前に委員の先生方には、この前のバージョンにつきまして事前に送付をさせていただいておりますので、読んでいただいているということで、変更点を中心にご説明をさせていただければというふうに考えてございます。それから、その後幾つかご指摘をいただいておりまして、そこにつきましても適宜、その場所に来ましたらご説明をさせていただければというふうに思っております。
それでは、まず2ページ目をお開きいただきたいと思います。
まず、1の「はじめに」でございます。最初の○のパラグラフは、この委員会の位置づけを再度整理をさせていただいた上でこれまでの経緯を述べております。
2つ目のパラグラフにつきましては、この委員会で今回は条約の究極目的の具体化として長期目標について検討をいただいたということをうたっております。
続きまして、2の気候変動の長期目標に関する国際動向というところでございますけれども、ここは基本的には前回ご議論いただきました骨子そのままでございまして、2.1のところですが、気候変動枠組条約の究極目的と長期目標ということで、条約の究極目的を再度整理をさせていただいた上で京都議定書を発効したということ。それからそれを受けて、将来枠組みについての議論をする気運が高まっているということ。その中で長期目標の設定ということが今求められているということで、それが条約の究極目的の具体化、定量化に当たるということで、既に世界が合意している目標をさらに明確化するための試みであるということを明らかにしております。
続きまして、3ページのところでございますけれども、2.2でございますが、1つ目のパラグラフにつきましても、これも基本的には骨子そのままでございまして、これまでに科学的知見が蓄積されているということを述べてございます。
これにつきまして、既にご報告をいただいた例の中から気候変動のもたらす好悪影響の例ということで、表2.1ということでメリット、デメリットそれぞれについて整理をさせていただいております。なお、これは事前にお送りしましたバージョンから表形式が若干変わってございますけれども、前回お送りした表形式でございますとその空欄のところが、例えば好影響のところが空欄であれば好影響はない、あるいは逆に悪影響のところが空欄であれば悪影響はないような誤解を与えるといけないのではないかというご指摘がありましたので、そこについて誤解のないようにということで、こういった表形式に改めさせていただいておるところでございます。
続きまして、4ページでございますけれども、もう1つ科学的知見の例として、異常気象との関係を整理した表を載せてございます。ここにつきましては、現象の変化という真ん中の欄の中間あたりに熱指数という表現がございまして、これについてわかりにくいので注をつけたらどうかというコメントがございまして、これにつきましてはそのようにさせていただきたいと思っておりますが、現在まだ文案が固まっておりませんので、そのままとなっておりますが、最終的にはそれの補足説明をつけたいというふうに考えております。
続きまして、5ページでございますが、5ページの表2.3は最新の知見を整理をしたものでございまして、これにつきましてもその中段あたりにありますNature論文の引用のところにつきまして、引用が若干不正確なところがございますので、そこを改めさせていただいております。それから、5ページの下にはEUが2℃ということについて目標を設定して、それに向けて努力をしているということについての言及をしておりますが、これについても基本的には骨子のときにご紹介をさせていただいた案そのままでございます。
ただし、これにつけ加えて表2.4、表2.5、それから米国の状況について表2.6ということをつけ加えております。それが6ページでございます。これは、EUの環境大臣会合での結論文書、それから首脳会議での結論文書のポイントと、それから米国上院のファインスタイン・スノウ合同決議案の内容ということで、これも前回ご説明させていただいた内容をまとめてここに載せたものでございます。
続きまして、7ページから2.3ということで、我が国として長期目標を検討することの必要性ということでございますけれども、ここも骨子をもとに書いてございますけれども、まず最初のパラグラフで注釈をつけておりまして、これにつきましては前回の委員会の中で長期目標だけで短期・中期をやる必要がないということは誤解のないようにということのご指摘がありましたので、短期・中期についても長期目標を踏まえて検討する必要があるという表現を加えております。
なお、数日前にお送りしたバージョンからは若干表現が変わってございますが、これについてはご指摘がございまして、そのときには長期目標とは別にという表現になっていたものですから、別だと相互関係が、要するに短期・中期目標と長期目標との関係が全くないような誤解を与えるといけないのではないかというご指摘がございましたので、表現を改めさせていただいております。
それから、その下のパラグラフでございますけれども、これにつきましても不確実性がどういった段階であるかということと、それからどこで目標設定が可能かということについての説明でございますが、この文章のところは骨子のものと基本的に同じでございますが、それに以前ご報告をいただきました資料の中から図表を1つ引用をして掲載をしております。
これについては、数日前にお送りしたものから2点指摘をさせていただく必要があるところございまして、1つは出典でございますけれども、出典については当初Pershingの論文そのものというような書き方になっていたんですが、再度見直してみますと、これはそれをもとに若干コメントを加えてつくった表だということなので、そこの表現を改めております。
それから、原沢先生からですが、ステージ3からステージ4にいく段階のところで時間的ラグが大ということが書いてございますけれども、これは大というのは必ずしも正確ではないのではないかというご指摘がございました。ただ、これにつきましては、既に以前プレゼンテーションをいただいた表そのままでございますので、とりあえずそのままとさせていただきまして、必要があればこの場で後ほどご議論をいただければと。その時間的ラグ大ということが適切かどうかについてのご議論をいただければというふうに思います。
続きまして、8ページから3章、長期目標を設定することの意義ということでございますけれども、これにつきましては前回議論いただきました骨子、基本的にはそのままでございます。ただし、3番目のパラグラフのところで、長期目標は、気候変動対策を継続して実施する観点からの意義があるということですが、民間投資を呼び込むということのほかにも、公共投資に対する意義ということも指摘すべきではないかというご指摘を前回いただいておりますので、その旨の文章を2行目の終わりから3行目にかけましてつけ加えております。
それから、続きまして8ページの中段以降で、4.長期目標を議論する上での前提条件ということでございます。ここについては対象ガス、それから評価の起点、評価の時間的スケール、危険なレベルの判断指標ということで、これにつきましても基本的には骨子の段階のものと内容的には変わってございませんが、9ページにまいりまして、9ページの1つ目の○のタイプ1の閾値とタイプ2の閾値についての具体的な説明を既にいただきましたプレゼンテーション資料から引用させていただく形で説明を加えてございます。
タイプ1は、ある点を超えると政策決定者が許容できないと考える被害をもたらす値。タイプ2の閾値は、気候システム自身の主要なプロセスを安定なものとして維持するために超えてはならない値ということでございます。
続きまして、9ページの中段以降が5章ということで、地球温暖化による気温上昇と影響ということでございまして、これにつきまして骨子の段階では例示をしておりませんので、これにつきましては、その後報告をいただきました資料、それから事前に先生方ともご相談をさせていただきまして、新たな知見を加えて整理をさせていただいております。
5.1が世界への影響。これにつきましては、まず[1]としてタイプ1の閾値、累加的な影響という部分を整理しております。これにつきましては、この間のバージョンでは累加的で可逆的な影響という書き方をしておったんですが、必ずしも可逆的とはいえないということのご指摘をいただきましたので、可逆的という表現は削除しております。その上でこのタイプ1の閾値というところについては、温度が低いところからの影響から順番に整理する形で、まず生態系への影響ということで、1℃の気温上昇で幾つかの影響が出る事例が示されているということを書いてございます。
続きまして、10ページの最初でございますけれども、1.5℃から2℃の上昇で急にリスクにさらされる人口が増加するという研究結果、これにつきましても既にご報告をいただいたものでございますけれども、それを載せてございます。
それから、10ページの下のところは、食糧生産への影響ということで、今度は2.5℃以上上昇すると食糧の供給能力の拡大が鈍化するということをIPCCの第三次報告書から引用させていただく形で整理をしております。
続きまして、11ページからは[2]として、タイプ2の閾値ということでございまして、破局的かつ不可逆な影響ということでございます。これにつきまして、まず最初の海洋深層循環の停止ということでございます。これにつきましては、幾つかご指摘がございまして、まず1つは、中段以降のところでOppenheimerという論文を引用してございますけれども、前回のバージョンではOppenheimerの論文だけを引用した形になっておったんですが、ちょっと根拠が弱いということで、ほかの論文も引用した方がいいのではないかということがご指摘をいただきましたので、先生方からこのようなサジェスチョンをいただきまして、その一番最後のところにほかの論文の引用もつけ加えてございます。それが1点でございます。
それから、もう1つですが、ここでは循環の停止という表現を使っておりますけれども、停止だけではなくて、スローダウンすることが問題であるということなのではないかということで、停止やスローダウンということにしたらどうかということもご指摘をいただいております。ただ、ちょっとこの表現を見てみますと、まず停止というのが出てくるのが4行目に出てくるのと、それから7行目に出てまいりますけれども、この2つの停止というのはいずれも文献の引用でございますので、ここについてはそのままの方がいいのではないかと思いまして、そのままにしております。
それから、弱まることの問題点につきましては、その1行目の最後のところで海洋深層循環が弱まるとということで、弱まることについて表現をされておりますので、ひとまずそのままとさせていただいておりますけれども、これについては必要な修正があるかどうか、また必要に応じて後ほどご議論をいただければというふうに思っております。
それから、その次には南極氷床の崩壊の問題についてもあわせて整理をしてございます。
それから、11ページの真ん中からは5.2ということで、これは前回骨子の議論の中でご指摘をいただきまして、アジアへの影響ということ、地域への影響ということについても整理できれば整理をすべきではないかというご指摘をいただいたということに基づきまして、新たに起こした節でございます。ここにつきましては、基本的にはIPCCの第三次評価報告書から引用する形でアジア地域への影響について整理をさせていただいております。
1つ目が農業及び食糧安全保障、続きまして生態系及び生物多様性、それから水資源、12ページにまいりまして異常気象、デルタ地帯及び沿岸地帯、それから人間の健康ということで、順次IPCCの記述ぶりをそのまま引用させていただいております。
それから、12ページの下のところからは、日本への影響ということでございます。これにつきましても新たに整理をさせていただいたわけでございますけれども、IPCCの引用などを踏まえまして、それから地球シミュレータでの結果なども踏まえまして議論をさせていただいております。
13ページにまいりまして、まず1つ目が将来の気候変化ということで、地球シミュレータを用いた計算でどうかということを述べております。なお、ここにつきましてもコメントがございまして、最初は、最後のところが真夏日の頻度が増加するということが定性的に書いてあったわけでございますけれども、少し定量的な表現ができたらその方がいいのではないかというご指摘をいただきましたので、ここについては一部の地域を除いて70日真夏日が増加するということが明らかとなっているということがわかりましたので、その旨定性的な表現から変更をさせていただいております。
それから、沿岸域への影響、それからブナ林への影響ということについても記述をさせていただいております。
続きまして、14ページにまいります。ここでは、5.2、5.3ということで気温上昇、海面上昇につきまして、それぞれの影響例を示しております。これにつきましても1つご指摘が前回のバージョンについてございまして、海面上昇の1mのところで費用についての表現があったんですが、マイナスの費用というような、マイナス何千億円というような費用が掲載されておりまして、ちょっと誤解を与えるのではないかということがご指摘がございましたので、ここの表現については削除させていただいております。
続きまして、その中段から長期目標の設定。6.1が長期目標設定の考え方というところでございます。ここにつきましても、基本的には前回ご議論いただきました骨子と同様でございます。ただし、前回ご議論いただいた中で前提条件をやはりもう一度明らかにしておく方が望ましいというご指摘がございましたので、5.1の最初のパラグラフのところで、その一番後段のところで4章の考え方に基づいて、どこを基準として何について議論するのかということを前提条件を改めて再掲する形で補足をさせていただいております。
それから、気温上昇幅1℃、2℃、3℃というところについての具体的な記述については変わりませんけれども、2℃のところの(参考)として、IPCCの第三次評価報告書の抜粋ということで、2℃から3℃以上の上昇でほとんどの地域で悪影響が顕在化するという表現がございますので、それはそのまま引用ということで(参考)に掲げさせていただいております。
ここのところは、そのほかは変わってございません。
それから、16ページにまいりまして、16ページの最初のところでございますが、工業化以降というところで基点を書かせていただいておりまして、前回骨子のときには産業革命以降という表現を使っていたわけでございますけれども、これについては表現を合わせる必要があるということのご指摘をいただいておりますので、工業化以降ということで表現を改めております。
それから、その次の○でございますけれども、次のパラグラフは、前回のご議論の中でローカルな影響の重要性と、それを特に日本への影響の重要性、それを踏まえた戦略づくりの重要性ということについてご議論をいただいたというふうに考えておりまして、そのことを受けまして、その部分についての記述を充実させていただいたということでございます。
それから、続きまして6.2、大気中の温室効果ガス濃度及び地球規模の排出経路との関係ということでございます。
まず、最初の○でございますけれども、ここは若干、前回IPCCからの引用のような書きぶりになっていたんですが、ちょっと不正確だというご指摘がございましたので、正確を期するために表現を改めてございます。それから、ここでも産業革命以降という表現が前回あったんですが、これを工業化以降という表現にしております。
それから、さらに計算結果につきましてちょっと微修正がございましたので、前回のバージョンからは一、二ppmだけですけれども、若干数字が変わってございます。
それから、続きましてその次の○ですけれども、AIMモデルを使った試算結果ということでございまして、まず1つはAIMモデルとはいかなるものかということについて説明を図5.3として加えてございます。なお、これについてもコメントがございまして、今回ここのAIMモデルができることすべてを議論をしているわけではないので、もう少し簡略化してもいいのではないかというご指摘もいただいておったんですが、ここについてはAIMモデルそのものの説明ということなので特にそのままでもいいのではないかということで、そのまま掲載をさせていただいております。
それから、このパラグラフに関しまして、AIMモデルによる試算では約475ppmというデータが出ているわけですが、この475ppmの意味を正確にするという趣旨から(注)を3つ、17ページにつけさせていただいております。
それから、図5.4、5.5につきましても、見た目はあまり変わった感じがしないかもしれませんが、再度新たな最新のデータに修正をするということをさせていただいております。
続きまして、18ページでございます。18ページにつきましては、気温上昇幅を2℃以下に抑えるような温室効果ガス濃度のレベルを達成するためには、温室効果ガス排出量の大幅な削減を早期に実現する必要があるということで、骨子からは若干丁寧な表現にさせていただいたということと、それから基準年を1990年に比べて何%削減する必要があるという表現をして、基準年をはっきりさせていただいております。
それから、18ページの下の○でございますけれども、ここにつきまして、削減パスについては骨子の段階ではCO2という表現を使っていたんですが、これは温室効果ガスとすべきではないかということのご指摘をいただきましたので、ここについては温室効果ガスという表現をしてございます。それから、さらにそのときに議論をいろいろいただいて、1つは不確実性ということの重要性、それからコストということの重要性についてご議論をいただきましたので、その旨の表記を追加しております。
19ページの5.6の図も前回プレゼンテーションをいただいた表をそのまま掲げたものでございます。
最後に20ページ、今後の検討課題でございます。今後の検討課題につきましては、7.1、ここについては前回簡単にご説明をさせていただいた部分でございますけれども、7.2、7.3につきましては、今回追加をさせていただいております。
まず1つは7.2でございますけれども、この7.2と7.3につきましては、数日前にお送りしたバージョンでも記述をしておったんですが、若干記述が長いというようなことでバランスがちょっと悪いのではないかというご指摘をいただきましたので、もう少しコンパクトに、趣旨は基本的には変えてございませんけれども、今回はちょっとコンパクトなバージョンにして整理をさせていただいております。
その内容ですが、まず7.2については、不確実性の重要性というものについて特に議論をいただいたということで、不確実性に対する対処ということで、環境リスク管理ということについての手法開発が重要だということについて今後の課題として位置づけさせていただいてございます。
それから、7.3につきましては、日本、我が国への影響の検討の重要性という議論をしていただく中で、我が国への影響というのは必ずしも属地的な影響ということにとどまらないということで、貿易が活発になっている現在の社会では、緊密一体化している経済状況にあるということを踏まえた認識が重要だということのご指摘もいただいておりますので、それを踏まえて、一体的な観点からの緊密に一体化した経済の現実に則した影響というものについての解明ということが課題であるということを整理させていただいたものでございます。
以上、簡単でございますけれども、内容をご説明させていただきました。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
事前に配られたものに委員の意見を入れて非常にコンパクトにまとめていただいてどうもありがとうございます。
これからの議論でございますけれども、まず全体の流れとしてどんなものだろうかということについて、もし何かございましたらご意見をいただきたいんですが、これは個別に見て、それからまたもとに戻ってもいいかなと思っております。
それから、一番大切なのは、この第二次中間報告の言いたいことですけれども、多分今後長期の交渉が始まるときに、全体として向かうところはどのあたりなんだろうかということを共有しておくということが一番大切ではないかということで、この報告書が出ているのではないかと思っております。そういう面から言いますと、ここにございます長期目標の設定6のところですけれども、このあたりが一番重要で、かつここでは議論がし尽くせない、あるいはそれをどう扱うかということについての7のあたりですね。このあたりが皆さんのご意見を特に求めたいところと私は考えております。
議論のやり方といたしまして、非常に短いあれですので、もしよろしければ1節ごとといいましょうか、やっていきたいと思っておりますが、よろしゅうございましょうか。
それでは、そのようにさせていただきます。
それでは、「はじめに」というところでございますが、何かございますか。大体もう皆さん見ていただいて、昨日の間にご意見いただいているのではないかなと思っておりますが、意見を言い損ねた方もいらっしゃいますし、また幾つか修正が入りましたので、そういうことも含めまして、もし気がつかれたことがございましたら、どうぞご自由にご発言いただきたいと思います。
それでは、2のところはいかがでしょうか。2章ですね、これは。2章は結構長いな。では、2.1から2.2までぐらいでいかがでしょうか。
どうぞ。
○工藤委員 最後の今後の課題とも若干関連するのですけれども、前回、もしくは前々回だったか、記憶は定かでないのですが、EUが今回いろいろ決めてきた内容の、言ってみればさまざまな背景分析等々、いわば解釈といいますか、評価ですね。その辺が実際今回まだやられていないということ。それから、この米国の案についてさらっと出ているのですけれども、この提案の米国内での位置づけというのはどういうものであるのかということについても、まだ恐らく議論されていない。そういった部分について、できれば最後の課題のところで、道筋なりを考える意味で、ヨーロッパなり米国の今の状況をさらに分析していく必要性というものも見ておく必要があると思います。逆に言えば、あまりさらっと書かれているので、これをどう受けとめればいいかというところが若干わかりにくくなっているのではないかという気がいたします。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
ほかにございますか。それでは、高橋委員。
○高橋委員 ありがとうございます。
この作業の目的が「はじめに」の最初の
○の最初のセンテンスに非常にはっきり書いてあるわけですが、2013年以降の枠組みの検討材料を収集・整理する目的でと。そのとおりだと思うんですが、その場合の政策環境としましては、1つはどうやって主要途上国を取り込むか。もう1つはどうやってアメリカをもう一度これに乗せるかということがあって、その2つが非常に具体的な課題としてあるというのをみんなが承知しているわけですが、それとの関係でこの作業がどういう意味があるかということ、それが1つの判断材料になるのではないかと思うんですが、そのあたりのところは何かこの検討材料を収集・整理する目的でという、非常に平凡な書き方、プラス何か加える方がいいのか。これは戦略専門委員会とありますけれども、戦略的に考えたらそんなばかなことは書かない方がいいんだという判断なのか、そのあたりをもう一度はっきりさせる必要があるのではないかなというような感じはします。
それから、3ページ目の表2.1、その中で、1の3つ目の水資源への影響、これ何か間違えているのではないかと思うんですが、IPCCの報告書からの引用だということですが、水が不足している一部地域(例:東南アジア)に住む一部の人々の水利用可能性の増大、世界的に見ますと、東南アジア、モンスーン地域で水が最も不足していない地域というふうに認識されているはずなので、こういうところに東南アジアという例が出てくるのは恐らくはっきり間違いであろうと思います。
とりあえず、その2点だけです。
○西岡委員長 どうもありがとうございます。
では、新澤委員、お願いします。
○新澤委員 2ページの一番下のパラグラフなんですけれども、議定書が定めていない2013年以降の国際的な枠組みを議論する気運、ここの文章なんですが、これは法律論上正確なんでしょうか。確かに目標はないですけれども、枠組みは議定書、2013年以降のことではないのかどうかというのはちょっと私にはよくわからないんですけれども。
○西岡委員長 ほかにございますでしょうか。
では、ちょっと今の点で幾つか出ましたので、もしそちらの方で答えることがありましたら。
○水野国際対策室長 まず、工藤委員のご指摘につきまして、EU、アメリカの動向についてそのままぱっと述べただけでは、ちょっとどういうふうにとらえていいかわからないということで、今後の課題ということも明確にすべきではないかということのご指摘をいただきました。全くそのとおりだと思いますので、その点については、今後の課題ということにつけ加えさせていただきたいと思いますし、最初のところの表現につきましても若干修正すべき点がないかどうか、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
それから、続きまして、高橋先生からご指摘をいただきました米国や中国を巻き込むということについての表現をどうするのかというご指摘でございますけれども、基本的には共通目的を持つということがすべての国が参加する枠組みをつくるという意味で非常に重要だということだと思いますので、もちろん、どこまであからさまに書くかということは別にして、何かそういった国際的な枠組みづくりに貢献するという意識をもう少し明確にする表現をちょっと工夫させていただければというふうに思います。
それから、表2.1の中の水の不足の表現につきましては、これは正確にもう一度IPCCの第三次報告書を確認をさせていただきまして、その引用をそのとおりにさせていただければというふうに思います。
それから、新澤先生からご指摘をいただきました2.1の2ページの最後のパラグラフの最初の書き方ですが、ここにつきましては確かに京都議定書が2013年以降なくなってしまうわけではないので、そうはいってもどういうふうに書けばいいか、ちょっと今は簡単に思いつかないんですが、誤解がないように要約ができないかということをもう一度検討させていただきたいというように思います。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
今、幾つか出た中で、私はこの全体に第二次中間報告書の位置づけ全体を、これは私見ですけれども、こう考えているといいますのは、多分交渉のときに幾つかの断面があるといいますか、イシューがあるだろうと。いずれにしても、科学の観点から見たときにどういう目標を共通にしてやっていくかというのが今論議している段階で、その後、それについてのある程度の合意が得られた後で、それをどう分担していくかという話が多分始まるだろうと思うんです。それについては、今この第二次報告書ではまだ早いということでやっていないと。当然ですけれども、グローバルパーティシペーションの話、それから先ほど工藤さんからもお話ししましたEUはどういう観点からこういうことを言っておるんだろうかといった分析、あるいはアメリカがこれが多分法案として出ているけれども、それが政策としていってくるかどうかといった分析等々については、もうちょっと後の段階ではないかと実は思っているわけです。そういう面からいうと、ここでEUの話をぽんぽんと書くのがいいのかどうか、実はわからないところがあるんですけれども。ですけれども、ここで言いたいことは、長期目標についてはEUはこういう見解を出しているよというところだと思うんですね。その分析については多分もうちょっと後にせざるを得ない。ですからそういう意味で、そんなにたくさん書き込むことはないんですけれども、今のご指摘に対しては対応していただきたいというぐあいに思っている次第です。
どうぞ。
○三村委員 今の議論を聞かせていただいて、西岡先生が今おっしゃったことに私は賛成なんですけれども、先ほどお答えにあったみたいに、この文書が交渉に入るときに共通の科学的な認識だとか、あるいは共通目標をきちんと確認することが重要だという趣旨でデータを集めたということであれば、そういうことをちゃんと何か書いておいた方がいいのではないかなと思うんですけれども、それが1つです。
それから、先ほどIPCCの方に戻って見ていただくという話だったので、後で申し上げようかと思ったんですけれども、この3ページの表2.1の先ほどご指摘があった次の行、人への影響とエネルギー需要への影響を見ると同じ言葉が入っているので、きっとどっちかは何か、これは単純なミス……。
○西岡委員長 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
それでは、今のところで6ページまでいったということでございますがよろしゅうございますか。また戻るのは全然構わないですけれども、次へ進みたいと思います。
それで7ページのところでございますけれども、ここは1ページしかございませんが、これも一緒にやってしまえばよかった。いかがでしょうか。何かございますか。
どうぞ。
○三村委員 この図2.1の出典を私見ていないので、どの程度この論文を正確に、こういうことを書いたのかわからないんですけれども、ちょっとこの図は少し注意して直した方がいいかなと思うんですけれども。
幾つかあって、1つは表題が気候変動サイクルになって、真ん中に気候サイクルという言葉が書いてありますよね。気候サイクルというのは、こういう人間の影響だけではなくて、もっといろいろなフィジカルな要因とか自然の要因があるから、もしここで書いたような図をあらわすんだったら、図の中の言葉も気候変動サイクルとか何か、人間影響に起因してということがわかるような言葉にした方がいいと思うのが1つですね。
それから、ステージ4の中で、平均気温上昇がすぐ次の気候変動による影響ってステージ5につながっているんですけれども、だとするとステージ4は平均気温上昇・気候変動とか、何か気候変動という言葉が入っていた方がいいかなと思います。
それから、そうだとしたら、ステージ4からステージ5にいくときに時間的ラグが大と書いてありますけれども、これはすぐに影響が出るようなものもあるから、例えば小から大とか、ちょっと少し時間的ラグのところについては各ステップごとに少し見直した方がいいかなと、こういうような気がします。
それから、最後に、気候変動による影響のところで、不確実性(多様)と書いてあるんですけれども、これはちょっとよく意味がわからなくて、いろいろな不確実性があるという意味なのか、影響がすごくいろいろあるというような、多様な影響があるという意味なのか、物によっては、不確実性なんかなくて気候変動が起きたら確実に起きるやつもありますから、ちょっと短い文言の中であらわされようとして苦労されたんだと思うんですけれども、少し表現の仕方は注意を、表は皆さん見るところですから注意した方がいいと思います。
○西岡委員長 どうもありがとうございます。
どうぞ。
○甲斐沼委員 先ほど三村先生も指摘されましたが、この報告書の目標ということで、今回は2、3、4と最後のところが長期目標の設定に関することが書かれておりまので、今回多くの検討事項の中で長期目標に焦点を当てて検討しているということを最初に書かれた方が良いかと思います。それにあわせて2.3の最初の(注)のところで、なお、短期・中期の目標に関しては長期目標を踏まえて検討する必要があるという、この(注)なんですけれども、ここでは今回長期目標を考えて、その長期目標の中で短期・中期の政策的にどういうことをやっていくかという、短・中期の目標というよりも、実際に行動を起こすのはやはり短・中期の目標があるということで、その中でどう行動を起こしていくかというようなことを1行つけ加えられたらどうでしょうか。
○西岡委員長 ほかにございますか。
どうぞ。
○原沢委員 既に三村先生のご指摘があった図2.1でオリジナルの絵を使っていくということは原則だと思うんですが、もし修正ということができるのであれば、その時間的なラグの大というこの意味が、多分平均的な気温上昇ということであれば、多分ラグが小と大ということで多分そういう分け方でよろしいかと思うんですが、例えば海面上昇みたいなものをもし含むとするとちょっとその意味づけが変わってきてしまうかもしれませんけれども、ある意味気候変動全体をとらえるという意味では、これをベースにそういった時間的なラグもある、海面上昇といったような要因も含めて、全体像をある程度共通認識として持っておいた方がよろしいのではないかなと思ったんです。
ただ、これ何回も出てきた図なので、その段階でコメントせずに今の段階でするということで、これはこれで残しておいて、ある意味海面上昇みたいな気温が安定化してもどんどん進んでいくというような現象も温暖化では出るんだというような話も、もしかするとコメントで言っておいた方がいいかなという感じを受けました。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
何かございますか、全体としまして。
先に申し上げますが、この2.1は結局どの段階で長期目標を設定するのが一番リーズナブルであるかということを示すための絵でありまして、このこと自身を論じる必要はそんなにはないと思います。
何か今までのところで一言ありますか。
○水野国際対策室長 すみません、図2.1につきましては、プレゼンテーションを以前にいただきました資料をそのまま載せてございますので、ここでご議論いただいて、専門的な観点からどうするのが一番適切かという整理をいただければ、そのとおりに修正なりそのままにするなりということにさせていただきたいと思います。
それから、最初のパラグラフについて甲斐沼先生からいただいたご指摘について、またちょっともう一度趣旨を確認を後でさせていただいて、適切に対応させていただければというふうに思います。
○西岡委員長 これは、多分長期の目標が設定されると、次に短期に、あるいは中期に、いわゆるppm目標みたいなのを設定することもあるだろうし、そうではなくていろいろな対策でもってセットの政策もあるだろうし、いろいろな政策の打ち方は多分あるだろうというような趣旨で、目標の設定というと、何かppmを設定するような感じで考えられるけれども、もう少し広めにとっておいた方がいいのではないかなというご趣旨でいいのではないかなと。
○甲斐沼委員 そうですね。この会議の大きな課題が国際戦略専門委員会ということで、今回は長期目標に全部集中して書かれていらっしゃるのですけれども、短期の方は目標設定というよりも、もう少し具体的な、長期目標を考えた中でどう行動していくかを考えるというようなことをこの次検討するというようなことを書かれた方がという趣旨です。
○水野国際対策室長 はい。
○西岡委員長 いや、こういうことを言うともう一度申し上げますが、何か目標というと、我々がここで論議しているのがついついppmなものですから、短期目標、中期目標もppmのような形で設定するのかという誤解があるかもしれない。しかし、大切なのはそういうことだけではなく、向こうの方にこういう目標があったときにいろいろな手を使ってやる、そのための設定をするのを短期の目標という言い方をするんだったら、そういうものを含めておいた方がいいのではないかという趣旨かと思うんです。
○亀山委員 図2.1の責任者として、この図は多分ちょうど1年ぐらい前に、そもそも目標というのはどういう設定方法があるのかというのを議論をするときに私側から提供させていただいた資料が今回そのまま載せられておりまして、多分去年の長期目標の議論のレベルと今回の長期目標の議論のレベルでは科学的知見の意味においてかなり差がございまして、当時かなり大ざっぱに時間的なラグの大とか小とか書いたりですとか、不確実性に多様という言葉を使ったりですとかしておりますので、むしろ今回はこういった言葉がそもそも必要なのかどうか、この報告書の中で必要かどうかを含めて、私が先生方に今後ちょっと意見を伺ったり、あるいは水野室長とご相談させていただきながら改めて検討したいなという思います。
どうもご迷惑をおかけしました。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
非常に積極的なボランティアをいただきまして、これでそちらも一安心ということでございます。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
どうぞ。
○原沢委員 今、長期目標に絡めてちょっと確認という意味なんですけれども、2ページの下から3つ目のパラグラフに、これは気候変動枠組条約のいわゆる究極の目標がありまして、一番最後のところに進行することができるような期間内にというので、この期間内にというのがいつもちょっと引っかかっているところがありまして、私はここを長期というような意味でとっているんですが、この辺はいわゆる公式的な見解というのは、もしあればちょっと教えていただきたいということなんですけれども。
○西岡委員長 何かございますか。
それでは、実は……何かございますか。
○三村委員 ちょっと今のと関連したあれなんですけれども、今ごろ言うのも申しわけないんですけれども、長期目標というときの長期というのがどれぐらいの時期を指しているかとか、どういうことを意味しているか。それで、あるいは後ろの方に短期・中期という言葉も出てくるものですから、必ずしもどこかに書いておく必要はないかもしれませんけれども、この議論の前提として大体どれぐらいを考えているということをもし、前のあれに書いてあるのかもしれませんけれども、確認していただければと思います。
○西岡委員長 どうぞ、何かございますか。
○水野国際対策室長 その部分につきましては、前回の中間報告でも書いてございますが、もう一度わかるように明記をさせていただきたいというふうに思います。
○西岡委員長 今の第2章の後ろの方の話なんですけれども、私も大昔、どういうことでこの経済との関連が入ったんだという話を聞いたときに、割とすんなりと通ったのであまり記憶がなかったという話を聞いたんですね。これ昔話なんですが。
それは別といたしまして、限られた期間の中にという言葉は、実はこの報告書の中で次の段階ですけれども、いわゆる2℃を超えないようなという、そういった期間をみずからまず設定する必要があります。その中でやっていくといった感じの時間的なスケールをちゃんとはっきりさせようということが多分ここに含まれていると私は解釈しています。
それでは、ございますか。
○高村委員 蛇足でございますが、今条約の2条の「期間内に」の理解については、条約の交渉過程を見ますと、特定の具体的なタイムスケールを当てはめるという合意は少なくともこの段階ではなかったというふうに理解をしております。もし補足がありましたら、亀山さんの方からもお願いできればと思います。
○西岡委員長 それでは、次へ移りましょう。
次は、(3)が1つで、3章8ページ、長期目標を設定することの意義ということが1つの章になっていますが、ここの点はいかがでしょうか。
どうぞ。
○新澤委員 8ページの第3章の3番目のパラグラフで、投資について、公共及び民間について言及していただいていますが、技術開発についても、技術開発も投資だといえばいえないこともないですけれども、技術開発の方向性を示す上でのシグナルとして重要だというのも必要かと思います。
○西岡委員長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
○明日香委員 長期目標の意義なんですけれども、恐らく究極的な目標を確実に実現なり達成するために必要だと。いわゆる何でもそうなんですけれども、目標を設定をしてそれでなるべく具体的に目標を設定してある物事を達成するというのは、ピーター・バッカーも言っていますし、あらゆることに共通しますし、確実に実現するための目標というのは、よい目標を設定するということは強調してもいいかなと思います。
○西岡委員長 どうぞ。
○工藤委員 今、新澤委員ご指摘の部分ですけれども、そもそも温暖化対策、別に民間投資を呼び込むということが主眼に置いた取り組みではなくて、すべての分野でいろいろやるというというのが基本的な認識だと思うので、あまりその部分に絞り込んだパラグラフが急に出ていることについて、非常に違和感の様なものを感じます。そういった幅広い取り組みを促すというぐらいの表記の方がいらぬ誤解を生まないで済むのではないかなというのが私の印象です。
○西岡委員長 だけれども、大切なのは民間の方にも方向を与えるということはある意味で大切。呼び込むというといかにもちょっとあれですけれども。
○工藤委員 投資という言葉になっていますね。
○西岡委員長 投資もそうかもしれないね。
○工藤委員 投資というのはワン・オブ・ゼムですよね。投資を呼び出そう。
○西岡委員長 そうですね。企業の活動の一部だからですね。
○工藤委員 だから、それをあえてなぜ民間投資みたいなものが……
○西岡委員長 もう少し幅広に書いてもらう方がいいのではないかなと、まさにそうなんです。
ほかにございますか。
どうぞ。
○高橋委員 1点だけです。9ページの……
○西岡委員長 ちょっと待ってください。今8ページ。
○高橋委員 今8ページだけですか。では、後ほど。
○西岡委員長 どうぞ。
○新澤委員 長期の目標ですから、長期的な効果、影響のあるものについてピックアップして言及するということが必要なわけで、そういう意味では投資という言葉でいいのではないかと思うんですね。短期的に対応できるようなものというのは、長期の議論ではないと。投資であるとか技術開発といったものが特に長期目標に関してはかかわるんだということ。
あと、制度とかも入れることもできると思うんですけれども。制度をつくっていく。制度投資というんですかね。制度をつくり上げる。
○西岡委員長 ほかにございますか。
どうぞ。
○三村委員 今の部分ですけれども、前の中間報告にどういう文言が使われていたかちょっとよく思い出せないでいるんですけれども、例えば最後の方に脱温暖化社会とか、何かそんなような言葉が前の報告書にもし入っているんだったら、長期目標というのは、そういう社会を目指す上で重要ということもあると思うんですよね。ですから、民間投資をやったり、あるいは公共投資や制度を変えていって、その先にどういう社会があるかという話にも関連するような気がしますが、もしそういうようなことが既に前の中間報告でも出されているのであれば、そういう言葉も使われたらどうかなと思います。
○西岡委員長 ほかにございますか。
どうぞ。
○高村委員 前のお二方のご発言とも関連いたしますけれども、ここでは特に国際社会という言葉が使われています。その中におそらく入っているんだと思うんですが、社会といいますか、国民に対してどのようなリスクがあり、どのような方向に向かうのかということのメッセージでもあるというふうに理解をしておりまして、その点を何らかの形で入れていただければという点が1点です。
2つ目は、これは言葉の問題ですけれども、最初のパラグラフの2行目の最後のところから3行目の頭のところに「京都議定書に続く」とありますが、先ほど新澤委員からもありましたけれども、京都議定書が2013年以降どういう形になるのかという点については、削減義務については定めておりませんが、ほかの排出目録の作成や報告などといったところについては、今の段階では2013年行こう義務がとぎれるということを想定をしていないと思いますので、表現をご工夫いただければと思います。
○西岡委員長 どうもありがとうございます。
ほかにございますか。
それでは、対応すること、よろしいですね。
では、幾つか出ましたけれども、皆さんのご意見はもっともだと私は思っております。ぜひ入れていただきたい。
それでは、4に移りたいと思います。8ページ、9ページ。
高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 大したことないんですが、9ページの上から2つ目の◆で、工業化以前(1850年頃)を基準としとありますが、これ先ほどのご説明で言葉は修正したと。産業革命以降というのもおかしいしということで、工業化という表現使ったということですが、時代設定として工業化というのは実に据わりの悪い表現なんだと思うんですね。恐らく、社会構造で第二次産業がある一定の比重以上の状況になった。それがもたらす影響のことを言っているんだろうと思うんですが、時代設定としては大体それでいいんだろうと思いますが。そうすると、恐らくなじみの深い言葉としては、産業社会化以降という表現の方が自然だろうというふうに思います。
あと、16ページ等々、二、三カ所同じあれがありますが、工業化以降というのはちょっと据わりが悪いと、それだけです。
○西岡委員長 今までずっとこの世界ではこれはたしかプレインダストリアルという言葉だったと思うんですね。それをどう訳すのはこちらの勝手ですけれども、それはやはりあれでしょうか、プレインダストリアル、僕らはもう単純にそのまま訳してしまいますが、意味としてはおっしゃる産業社会……
○高橋委員 マニュファクチュアリーという言葉は使っていないんですよね。インダス、産業社会、それ自身の構造。
○西岡委員長 いかがでしょう。何かご意見ございますか。
○横田委員 私も、実はこの基準年についてわかりにくいなという感じがしていまして、前に戻りますが、6ページに、2.5、2.6、その前にもあるかもしれませんが、これは向こうの文書を訳したのかもしれませんが、「産業革命前」という言葉が使われているのですね。これは、同じことなのかどうか、少なくとも産業革命というと私の理解では時代的にもう少し早く、18世紀の終わりから19世紀の初め頃なんですね。今の「プレインダストリアル」ということの理解を大体1850年前後にとらえる、これ自身は間違いではないと思いますが、それと対応しているのかどうかがちょっとわかりにくいんですね。ですから、ちょっと確認をしていただきたいと思います。
大体多くの研究が最近は国際的なレベルでIPCCも大体「プレインダストリアル」と、現在、あるいは将来と比べてという形になってきているような傾向がありますので、そういうものとしてそこを基準とするというふうにちょっと断り書きを入れた方がいいのではないか。書物によっては違う基準値を使っている可能性もあります。この中でもいろいろな研究を引用しています。その場合に、それは本当に我々と同じ基準値で2℃上がったらどう、2.5℃上がったらどうと言っているのかどうかもちょっと心配なところがあるので、確認していただきたいのです。
特に、断り書きで現在よりも2℃とか、現在よりも何℃というふうなことが書いてあるのがあって、これはこれではっきりしているのですが、この報告書では、現在は、例えば1850年プレインダストリアルを基準として何℃上がっていると認識しているのか。1℃ぐらいなのか、0.6℃ぐらいなのか、その辺をはっきりさせないと、今よりまた何℃か上がることの意味が読んでいる人にわかりにくいと思うのです。基準値とそれから何℃上昇したときにどうという、そこのところを読んでいる人に正確にわかるようにして頂きたいです。というのは、1℃どころか0.何℃の差が影響を与えるということがわかってきているわけで、一番大事な現在が基準値から何℃上がっていると認識しているのかがわからないと数字の意味が非常にあいまいになると思うものですから、お願いいたします。
○西岡委員長 今の点、私もいつも、今は産業革命からコンマ6℃上がっているという言い方をするわけで、このご提案のようにある程度ここで使っている言葉について、ちょっとフットノートを入れていただけませんでしょうか。
考え方としては、産業革命からいわゆる工業化、1750年ごろから1850年ぐらい、100年については、産業革命はあったけれども、蒸気機関車が1台走ったぐらいで別にCO2が増えたわけではなくて、実際問題として、社会が産業化したときにいよいよ大きな変化が始まったということですので、そのあたりは大体我々として、物理学的にフラットだと思っているんですが、それが原点なんですね。そんなことでちょっと歴史と……
何かございますか。
○原沢委員 今の件、非常にいろいろな文献を読んでいますと、おっしゃるとおり文献によって起点が違うということがありまして、産業革命前というのは大体1750年ぐらいを言っているのかなと。プレインダストリー、多分、これ僕工業化とやってしまったんですが、もしかしたら産業社会と思うんですけれども、それが1850年ぐらい。その後100年間はそんなに人間活動は活発になっていない。ほぼ同じ。ただIPCCなんかでは、放射強制力を1750年以降の累積でやって、それが温暖化に効いているというような話でとっていたりしますので、そういう意味ではIPCCなんかといわゆるEUが政策的に使っている値の起点がどうもやはり違ってくるので、その辺はやはり(注)としてしっかり共通的な認識として入れておいた方がいいだろうと。その際に、産業革命とかプレインダストリーの理解といいますか、言葉の定義はある程度何か歴史に詳しい方のご意見でしっかりやっておかないと、いわゆる翻訳だけの話ではないような気もしたので、そこはやはり(注)をしっかりやっておいて、共通的な認識を持てばよろしいのではないかと思います。
○西岡委員長 では、そんなようにお願いします。
それでは、次に移りましょうか。よろしゅうございますか、今のところの4のところですが。
もしよかったら、それでは5のところは、これは今まで出ました幾つかの影響の報告をまとめたということでございまして、一気にやってしまいたいと思いますが、何か気がつかれたことございましょうか。
この中でちょっと私が意見を述べたものですから、いわゆるTHCのシャットダウンの話がございますが、シャットダウンって一挙にシャットダウンするんではなくて、スローダウンしてシャットダウンということがあるものですから、あまりシャットダウンだけが問題ではなくて、それ以前の話が問題ではないだろうかというようなことで、私としては停滞というような言い方もいいかななんてことを申し上げましたが、今ご説明にありましたように弱まるという話があり、かつ最終的には停止が問題になるということでございますので、私はこの程度でいいかなと思っています。
ほかにございますか。
○三村委員 細かいことで申しわけないんですが、確認を幾つかしていただきたいと思うんですけれども、12ページの表5.1でバングラデシュの国土の15%が氾濫するというというので、750km2になっていますけれども、ちょっとこれは少な過ぎるのではないかなと。バングラデシュの国土ってもうちょっと広かったように思います。
それから、13ページの最初の○の2番目の括弧で沿岸域への影響で、最後の文章で「外用性の砂浜海岸」と書いてある。これ「外洋」ですね。だから太平洋に面しているような砂浜の海岸ではということですね。
それから、14ページの表5.3ですけれども、ここもうちょっと重要なことで、先ほど費用の点をとったとおっしゃったんですけれども、海面上昇の1mの影響の中で被害が幾らかという話ではなくて、対策をとる、現在と同じだけの国土保全をやるために堤防のかさ上げとかそういう対策をとる費用というのが算定してありまして、昔の運輸海岸、港湾とその周辺の海岸では11兆5,000億円、全国では20兆円以上の追加の施設投資が必要だというような結果が出ているので、そのことはきっと書いておいた方がいいのではないかと思うんです。
マイナスのコストが云々というのは、いろいろな研究の中でそういう話が出ているんですけれども、具体的に非常にわかりやすい形では対策費用の見積もりが出ているということですね。
○西岡委員長 それでは、今のお願いいたします。
どうぞ。
○工藤委員 確認といいますか、5.がすぐに5.1の世界への影響というふうにつながっているので、逆に言うと、ここをあえて世界、アジア、日本と言っている、こういう構成を、アジアを取り上げているという意味合いみたいなものがちょっとよくわからなかったんですけれども、この辺に何か意図か、目的はあったのでしたでしょうか。
○西岡委員長 どうぞ。
○水野国際対策室長 今のご指摘につきましては、前回のご議論の中で、前回は骨子についてご議論いただいたわけですが、そのときの骨子案として事務局から示させていただいたのは、世界への影響と日本への影響ということで2節立てにしておったんですけれども、そのときの議論の中でリージョナルな影響というのも最近は注目されているし、実際にそういったレベルでの影響というものも重要ではないかということで、できたらそれを入れたらどうかというご指摘がありましたので、これをつけ加えさせていただきます。
○工藤委員 そういった祝詞みたいなものが、5.1の前ぐらいに書いて、地域的な影響の一例としてアジアを取り上げているぐらいの言葉があった方が良いのではないか、さくっと入っていると逆にわかりづらくなるかなというのが私の質問です。
○西岡委員長 ありがとうございます。私も全くそうだと思います。5.1の9ページのちょうど章の名前の下のところあたりに、まず我々はもちろん世界への影響について論じる必要があるだろうということ、しかしながら実は国の方の対応を考える際には、やはり日本がどうなんだというのが2番目に大切ですね。3番目は我々アジアに位置して、かつ途上国の問題が今後重要になるという面からは、アジアについても注目する必要があるだろうといったような意味のことを多分書いてもらおうと。
ほかにございませんか。
○甲斐沼委員 細かいことですが、14ページの表5.3の1m以上のところの影響の高潮・津波災害時の人口1,730万人、資産150兆円の拡大というところ、一見した時に少しわかりにくいかなと思います。何が人口1,730万人に影響して、この資産150兆円というのは、何に対する影響なのかということかを明示された方が良いかと思います。
○三村委員 ちょっと私も今どっちだったかちょっとよくわからないんですけれども、これ原典で確かめていただけたらと思うんですけれども、このもとの論文は、海面上昇はなくて何もないときにどれぐらいの人口が影響を受けて、それから海面上昇が起きて、さらに高潮などが来たときにどれぐらいの影響が起こるかという、両方計算してありますから、絶対値でこれだけになるのか、それとも増分がこれだけになるのかということを今甲斐沼さんおっしゃったんだと思うので、ちょっと今すぐこの場ではどっちだったかは覚えていません。
○甲斐沼委員 ちょっと見ただけではわかりにくいということです。
○三村委員 そうですね。
○西岡委員長 表現、私もちょっと、この被害時の海面以下の資産が拡大するというぐあいなんだと思うんですけれども。
○三村委員 そうですね。
○西岡委員長 そんなあたりでよろしいでしょうか。
次お願いします。
○明日香委員 すみません、アジアへの影響、アジアに限らないとは思うんですけれども、例えば食糧安全保障に関して、その影響で、私環境難民という言葉はあまり好きではないんですが、昨日たまたまインドの方とお話をしていて、インドではかなり真剣にバングラデシュからインドへの難民が増えるのではないかと、その数字、だれが何人ぐらいになってという議論があるらしいんですね。そういう社会的な影響をどこまでここに書くかはあまりストレートに書きにくいとは思うんですが、触れておいてもいいのかなとは思います。
以上です。
○西岡委員長 今の件は、12ページのデルタ地帯及び沿岸地帯等々のところで、もしIPCCの方でもそういう表現がもしありましたらですね。
ほかにございますか。
どうぞ。高村委員。
○高村委員 世界への影響のところとアジア、日本への影響のところを対比をしたときに沿岸域への影響に入るのだと思うのですが、世界全体の影響の項目で、海面上昇の影響で危険にさらされる人口ということで多分1つは書かれているのは了解しているんですけれども、海面上昇そのものについての影響に関して言及がないように思いましたので、その点は適切な科学的知見がないのか、あるいは盛り込めない何か理由があるのか、教えていただければと思います。
○西岡委員長 何かございますか。
○水野国際対策室長 今の最後のご指摘の中で、対応させていただくものは対応させていただきたいというふうに思っておりますが、最後の点、海面上昇について世界のところで書いた方がいいのではないかというご指摘をいただきまして、ここについてはもう一度確認をさせていただきたいと思いますが、ただちょっと我々として課題ではないかというふうに考えておりますのは、海面上昇の場合に、要するに何度で幾ら上がるということを記述をどうしたらいいかというときに、どうしても水温上昇しかなくて気温上昇との関係がなかなか明確なものがないものですから、どこまで書けるかということを、そこも含めてちょっと検討させていただければと思います。
○西岡委員長 多分、10ページの水資源、沿岸域、人の健康への影響という絵がありまして、そこのところで簡単な3つについて説明があってもいいのではないかなと私は思います。
ほかに。
○三村委員 今の点ですけれども、IPCCのレポートの中で、第二作業部会の報告書の中にはその数値は入っていないんですけれども、実は全体のシンセシス・レポートの中の第6章とか7章とかそのあたり、7つの質問か何かそれぐらいのところに、海面上昇で世界全体で何億人影響が出て湿地帯がどれぐらい沈むとか何かそんなような数値が出ていたと思いますが、ちょっとそっちの方を調べてみていただければと思います。
○西岡委員長 ほかにございますか。
○原沢委員 ちょっと細かいところで気がついたんですけれども、9ページの中にタイプ1の閾値で累加的な影響というのがあって、その下の方に世界への影響で、前は累加的で可逆的な影響で、可逆的な方はとったということで、累加的というと、ある蓄積があって影響が出るというイメージになってしまうのかなと。むしろ絶対値でそのときある絶対値が閾値を超えるとぽんと影響が出てくるとか、多分そういう意味であると、この累加的というのがちょっとうまく状況をあらわしていないのではないかなというので、これがちょっともし積算的に聞いているようなことであればこれでいいんですけれども、絶対値がぽんと高くなったときに影響が出るということであるとちょっと表現が誤解するかなというのを、ちょっと気になったんですけれども。ちょっと今いいワーディングが浮かばないんですけれども。
○西岡委員長 今の点は原沢委員にお願いして考えてください。
それでは、どうぞ、もう1つ。これでこのあたりを終わりにしたいと思います。
○高橋委員 私、対案がないので、ちょっとそういうことについて発言すべきかどうか迷って最後に手を挙げたんですが、この長期のところのこれを書く理由というのは、主にどういうタイミングだとポリシー・インターベンションというのは意味があるかということを確定できたら、多少おぼろでも確定すると交渉の目的としてやりやすくなるのではないかということに意味があるんだろうと思うんですね。そうでなくて一般的なことを書いてもしようがない。それを何かできたらここのあたりの記述というのは世界、地域、日本、それぞれのが意味が出てくるのではないかというふうに思ったんですが、今の表現ですとそれは一切ない。ない状況でこういうこと書くと、じゃ何なのと、どうしたらいいの、いつ何をやるのということなのではないかと思うんですが、そのあたり、今の知見からすると、長期的にはこうなるけれども、インターベンションポイントがどうのというのは今後さらに詰めていく課題なんでしょうかとか、そういう何かあれがないとこれの意味がちょっとわからないのではないかという気がします。どうも極めてネガティブな表現ですみません。そんなここのあたりの印象を受けます。
例えばインターベンション、7ページのところの、先ほど皆さんご議論していた図2.1、これはインターベンションポイントを考える場合の1つの考え方だという意図でここされたわけですが、例えば長期の場合に、何かインターベンションポイントで意味あるようなことがいえるのかどうか、それがなかったら今度それを探すのが課題ですねというふうに言い切れるのか、何か工夫が必要なような感じがします。
以上です。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
○水野国際対策室長 今の高橋先生のご指摘についてですが、私正確にご指摘の趣旨を理解しているかどうかはちょっと心もとないところがあるかもしれませんけれども、要するに政策的な介入といいますか、対応をどういうふうにこのするかということの話だとちょっと誤解を与えるのではないかということについては、これは報告書のもう少し大きな流れの中でそれが位置づけられているというふうに理解をしておりまして、5のところは確かに影響だけを記載しておるんですが、こういった影響が出ると、こういった温度だとこういった影響が出るということを踏まえて、では政策なインターベンションというのはどうあるべきかと、その強度とタイミングについて、まず強度という意味では要するに何度に抑えるということが求められるのかということがその6のところであって、それをもとにさらにそのタイミングについて、要するに排出パスという、目標の濃度、それからそれに向かっての排出パスということはどうあるべきか、さらにバードンシェアリングということで、最後のバードンシェアリングについては、議論はここではまだしていただいてはいないわけですけれども、少なくともその前のところのタイミングについての議論というのは、6.2のところで議論をさせていただいているというふうに理解をしておりまして、ですから、5章だけでは確かにその影響だけが出てきて、ではどうなのということではありますけれども、それに対する政策的な取り組みの必要性、そのあり方については、その次の6節のところで整理をさせていただいているというふうな理解かというふうに思っておりますけれども。
○西岡委員長 どうぞ。
○甲斐沼委員 先ほどの私の質問がわかりにくかったと思いますが、昨日たまたま別の会議に出ていたときに、ロング・ターム・ターゲットという言葉とショート・ターム・ポリシー・オブジェクティブという言葉が出まして、ロング・ターム・ターゲットを考えた中でショート・ターム・ポリシー・オブジェクティブを考えましょうという趣旨でした。ターゲットとオブジェクティブの区別を明確にする必要があるかと思います。私の質問ですが、7ページの最初の検討することの必要性のところの(注)を、(注)ではなくて、この文章の中に高橋委員のような趣旨を1行入れて頂いたらというのが、私の発言の趣旨でした。
○西岡委員長 どうぞ。
○三村委員 今の水野室長のお答えは、まさにそのとおりだと思うんですけれども、高橋先生のご質問に私の理解しているところで、影響のことに関してだけお答えしますと、私の考えを言いますと、影響がいつどの程度出てくるかとか、2000何年にクリティカルなポイントを超えるかとか、そういうことに関する研究は今盛んに始まっているところだと思うんです。それで、ここで引用されている文献は、主にIPCCの2001年の第三次レポートから引用されていますから、その時点ではまだそこまで研究というか議論がいっていなかった。今準備している第四次報告書では、そういう時間の経過の中でいつ影響が厳しくなってくるかとか、そういう議論もしようという方向にありますから、今の研究の進展を待てば、やがてそういう姿も見えてくるのではないかと思います。ただ、そういう全体の理解は非常に重要だと思うので、私の提案は、今高橋先生がおっしゃったようなことを今後の検討課題の中で、研究面でもぜひそういう影響が将来どういう時点で閾値を超えるかとか、どんな時点でどんな影響があらわれるかというようなことを、もっといろいろなパスとの関係で正確に予測するような研究をする必要があるとか何か、そういうことを入れておいたらいいのではないかと思いますけれども。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
それでは、まず今の議論を踏まえてということで次へ進みます。今の議論は、私も非常に重要だと思う。リスクの観点からいって水野さんはどちらかというと、この抑制のタイミングのことしかおっしゃらなかったんですけれども、今の話は実際に検出がどうなっているか、それから温暖化の持っているタイムラグを持っている性質だとか、あるいは抑制策の実現可能性と適応策とのバランス、こういったものを考えてどういうタイミングを位置づけるかという、非常に重要な問題を実は提起なさったものですから、ちょっと宿題が大き過ますが、多分後ろの方が私はいいと思っております。
それでは次へいってみましょう。一番中核のところはこの6のところでございまして、まず6の全般のところですね。6.1、それから6.2がまた別になっています。6.1の方から何かご意見ございますか。
どうぞ。
○工藤委員 これは多分報告書全般の性格にかかわることだと思っているんですけれども、最初の目的のところで戦略検討に際していろいろポイントを抽出するんだ、整理してそういうところを出すとしている。それは逆に言うと、そういったプロセスの中で、最終的に政策的な判断をするための材料提供ということと私は認識しております。そういった中で15ページの下から3番目のパラグラフのような2℃云々という具体的な数字に対する出発点という言葉の考え方ですね。ここの表記そのものをこの委員会の文章の中に書くことの意味づけが私は迷っていまして、要するにその上の方に1℃なり、2℃なりというさまざまな閾値的な発想でそれぞれこういう状況があるんですよという、ここまでがこの委員会のいってみればレファレンスなのか、その中から大体このあたりが適当であるというところまである程度規定するところが目的なのかというところで言うと、私はもしかしたら前者だと思っていたんですけれども、やはりここまで書く必要があるのかどうかというところは、若干これを読ませていただいて、気になったところです。
逆に言うと、その下のパラグラフで2℃を中心にして云々というよりも、要するにいろいろな意味でそういった温度域による影響みたいなものを、これからも突き詰めていって、そして社会的にいろいろ検討していくような、そういったような見方ですよとしたした方が良いと思います。そういったような整理の仕方を前提に、上の方に1℃なり、2℃なり、3℃なりというレファレンスがあるというふうに考えていたんですけれども。
それとは別に、先ほどちらっと申し上げたEUなり何なりといったものは、2℃といっているのはどういう背景があるのですかということをある程度総合的に見た上で、この点に関する日本の考え方を整理する必要があって、この数字の出し方というのは、どの段階でどう考えるのか、そのプロセス的なことも含めてちょっと問題提起させていただければと思います。
以上です。
○西岡委員長 ほかにご意見ございますか。
○明日香委員 今のお話は、多分この委員会の意義とか位置づけとかいうことに多分関係することだと思うんですが、私は個人的にはやはりこの委員会の意義としてある程度具体的な目標を政策決定者にわかるようなレベルで提示するというのがマンデートなのかなと思っています。その意味で、6.1の一番最初の文章なんですけれども、その影響に関する科学的知見は既に蓄積されつつある。多分その科学的知見が蓄積されているかいないかというのは、もう永遠に続く話だと思うんですね。多分水かけ論になるので、それをある程度防ぐために、ここに、例えば、政策的な判断を行うために必要な科学的知見は既に蓄積されつつあるという言葉にすると、比較的そういう水かけ論的な議論は避けられるのではないかなと思います。かなりセンシティブな部分だと思いますが、ご検討いただければと思います。
○西岡委員長 ほかにご意見ございましょうか。
高橋委員。
○高橋委員 まさに今の15ページの半ばの2℃という、これが報告書全体、それをどういうふうに見るかということがかぎなんでしょうけれども、その前の方、私がこのドキュメントを読んで、そのまますーっと長期目標の検討の出発点となり得ると、考えられるという結論にはならないんですね。多分、いろいろな状況から一応そのあたりが1つのベースのようであるなという程度の印象を私は受けるんですが、そうすると検討のその後、やはりもうちょっと私の感覚からすると、ニュアンスを込めた方がいいような感じがしますので、検討の一応の出発点となり得るという程度だと、恐らくクレディブルな表現のような気がします。それまでのでスパッとこういうふうに言い切ると、多分いろいろ異論が出てくると思います。ただ、一応のだと多分そうかなということではないかなと思います。
○西岡委員長 ほかにございますか。現時点における一応の。
事務局何かご意見ございますか。ちょっと待ってください。
どうぞ。
○横田委員 最初に高橋委員が発言したことに関連して、お答えもいただいているのですけれども、日本としての長期目標はいいんですが、問題の性質上、日本だけが努力してもできることに限界があるわけですね。したがって、日本が国際的な場面で、あるいはもう少し具体的にしてもいいのですが、G7なり、あるいは国連の環境計画なり、あるいは気候変動枠組条約事務局、あるいはその締約国会議、そういう場を通じて、日本の長期目標を実現するためには、要するに世界の長期目標と一致させた上で、かつ世界各国に働きかけていかなければいけないという視点をどこかに簡単にでも触れておいた方がいいのではないか。そうしませんと、実際には、日本の努力だけではもう実は目標そのものを達成できないということがみんな伝わらないわけなのですね。そのことをどこかにきちんと書いて、外交政策にも関係する重要な問題であるということがわかるようにしていただけるとありがたいと思います。
それから、もう1点、先ほどどなたかがおっしゃったことですが、この報告書そのものは政策提言ですから、専門家がわかって、それを実行に移していくということでいいと思うのですが、具体的には日本の国内の努力の中にも産業界、それから一般国民、そのほかにもあるかもしれませんが、呼びかける相手があって、その人たちにやはりわかるように何をしたら地球温暖化をストップするために国民として協力できるのかということを示す必要があります。産業界は実は良くわかっていて、あまり賛成していないと言われていますが、そこをどう突破するかが重要な問題だと思いますが、国民の家庭でのエネルギー消費等の影響というのも決して小さくないわけで、それはこれまでのここでの研究でも触れられてきたことですが、国民がどういう形で協力していくかということを考えると、そこへのメッセージがわかりやすく出るような政策にならないといけないという気もするのです。その点、少し具体的に触れていただけるとありがたいと思います。
○西岡委員長 ほかにございますか。
それでは、そちらの方で何か今の一連のものについて。
○水野国際対策室長 まず、最後のご指摘については、反映できる範囲で適切に反映させていただきたいと思いますが、15ページの下から3つ目の○に関連して、これは以前から何度もご議論いただいていて、要するにこの委員会としてどこまでの整理をしていただくのが適切かどうかということについては、何度もご議論をいただいてきたことかと思います。
それで、ちょっと若干個人的なあれも入るかもしれませんが、私なりのご説明をさせていただきますと、まずこの専門委員会では、まず専門的な観点から現在の最新の科学的知見なりを収集し、整理をいただいて、それがその後の議論に貢献できるようなものとしてまとめていただくということが非常に大事ではないかなというふうに思っております。
そういった意味では、単純にちょっと模式的に言いますと、ごく単純に科学的知見を列挙するだけでは、政策決定者も含めて専門家ではない者から見れば、どこか手がかりがない状態についてはほとんど変わりがない状況ということで、やはりそこについては、専門的な範囲でできる評価といいますか、ある程度の評価というものをしていただいて、それをもとにさらに政策的な判断についての議論をしていくということが必要なのではないかということで、そういった意味では、そこまでの専門的な結論というものを出していただくということは必要なことではないかなというふうに、若干個人的な見解もあるかもしれませんが考えております。
そういった意味では、例えば3つ目の○で申し上げますと、ここで2℃とする考え方は長期目標となるということで結論をしてしまうのは、これはこの検討、専門委員会の趣旨にはそぐわない、判断をする場ではないということで、適切ではないのではないかというふうに思いますけれども、ここで整理をさせていただいたのは、これを出発点にしてさらに議論しなさいということでとっかかりを与えた上で、議論の場を次の段階にゆだねるという表現をしているわけですから、そういった意味では、この検討会にふさわしい表現になっているのではないかなというふうに思います。
それで、出発点という表現、個別に。それで、これについては、どこまでかということについては、これまでも何度もご議論いただきましたが、いろいろな幅広いご指摘をいただいておりますけれども、やはり全体としてはそういったある程度明確な専門家としてのスタンスを示すべきだというご議論が多かったというふうに認識をしております。
それから、個別の出発点という表現ですけれども、これはまさに出発点ですから、そこで決まりということを言っているわけではなくて、その後それをもとに積極的にいろいろ議論をしてもらえばいいということをメッセージとして出しているわけなので、要するに一応の出発点というと、またほかにも出発点がある感じで、出発点という中には一応という意味、要するにここは最終着地点では必ずしもないと決めつけるものではないという趣旨は含まれているのではないかというふうには私としては思いますけれども、それについてはまた少し議論いただいてもよろしいかもしれませんが、そういった理解をしております。
○西岡委員長 ご意見ございますか。
○明日香委員 私も一応というとちょっとあいまいな感じがしますので、例えば基本的な出発点という。かえってよくないかもしれませんが、いろいろご検討いただければと思います。
○西岡委員長 それでは、新澤委員。
○新澤委員 そうすると、6ページにあるEUの首脳会議のメッセージがありますよね。それとはちょっと性格が異なるということでよろしいんでしょうか。
○西岡委員長 工藤委員。
○工藤委員 要するに、私も気になったのは検討という言葉の意味合いで、これをもってもう既に国際的なところの検討に持っていく性格の持っているようなものなのか、国内で今後こういう形で日本のいろいろな戦略なり、この委員会で戦略的なことをいろいろ考えましょうという話と、国内のこれからの議論の1つの言ってみればたたき台といいますか、1つのイメージとしてそれを取り上げるか、これで大分イメージが違うと思うのですけれども、その辺はどのように解釈すればいいのかなと思っています。
○西岡委員長 ほかにございますか。
それでは。
○水野国際対策室長 まず、新澤先生のご指摘ですが、これは当然ながら最初のEUのものは非常に政治的な判断ということでございますから、これは明らかに性格は違うという考えが当然のことかと思います。
それで、工藤委員のご指摘については、検討というのがどういうことかということなんですが、それを受けて次のパラグラフで、要するに最終的には社会が判断する。社会というのは、日本もあるし世界もあるわけですけれども、そういったところの中で社会的な議論の進展が必要だということで、それがステップワイズに必ず国から始めて世界にいかなければいけないのかどうかということについては明記はしておりませんけれども、いずれにしても国の中でも必要でしょうし、それから国際社会の中でも議論が必要だということでしょうから、そういったことも含めて検討の出発点になるということが、この2つのパラグラフを続けて読んでいっていただければ一般の方にも誤解はないのかなというふうに考えております。
○西岡委員長 ほかにございますか。
○明日香委員 細かいところで恐縮なんですけれども、さっき日本の目標と世界の目標というふうにあったんですけれども、多分正確には日本が考える世界の目標はこうあるべきだという話なのかなと。それもいろいろ議論があると思いますけれども、そういう意味では私はそういう観点でクリアにできれば、いろいろな意味でいいかなと思います。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
今の新澤委員の方からのEUをどう扱うかということで、EUはEU、うちはうちということで、我々は我々なりにきちんと科学的な知見からこのあたりだろうというのが、この非常に大切なところだと私は思います。
それから、今の工藤委員の一番最初に提起なさった問題につきましては、今のご説明、それから下にあるような扱いということで1セットにして考えたいと思っております。
では次、またもとに戻るかもしれませんが、ちょっと6.2の方へ移りたいと思います。
どうぞ。
○高橋委員 議論の当然の前提かと思っていたんですが、今の幾つかの発言からどうも当然にはなっていないような気がしましたので、確認しようと思うんですが、この2℃ということを明確に言い切るということの意味は、日本がこういうことをこれから検討する出発点としてそれに伴うすべての責任を負いますよということをオフィシャルなドキュメントで宣言することになります。
それの持つ、特に途上国に対する責任というのは非常に甚大なものがあります。私はそうあるべきだとも思うんですが、それが実態であると思うんですが、ただし、これがその次の政策等々のプロセスに乗ったときに、とてもそんなことを責任を負えないよということになるに違いない。それは、その次のプロセスをやる人たちはまずそういう反応をすると思いますね。そういうことを考えた場合に、やはりこのあたりは少しぼかしておいた方がいいということが私の発言の趣旨なんですが、どうもはっきり言わないとわからないようなので、もう一度それをはっきり申し上げさせていただきます。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
どうでしょうか。ほかに。高村委員。
○高村委員 今の高橋先生のご意見をうかがって、確かにグローバルな意味でどれだけの気温上昇幅に抑えるかという議論というのは、先々にいけば将来の制度の枠組みの議論と当然つながってくる問題だと思うのですけれども、他方で先生がおっしゃった日本の責任という意味でいくと、これだけからは一律的には出てこないかなというふうに思ってはいます。グローバルな意味で到達すべき責任というのはこれで明確になるかと思うんですが、その責任の負担、費用の負担の問題というのは、この段階ではどの国がどういう形で負担するかということは明確にはこの段階では出てこないのではないかということが1つです。
2つ目は、若干どこまでぼかすかというのはありますが、私はここで出ている提案の筋で、特にこの○でいきますと、1番目と2番目の○をむしろくっつけた形で、これは議論の出発点なんだという位置づけで出していくことの意味というのは、むしろ社会的に非常に大きいというふうに思います。
横田先生から先ほどご指摘がありましたけれども、リスクコミュニケーションの観点からすると、何となくこういうものだという出し方よりは、この議論を重ねてきた段階でどうも2℃あたりというのが危険という意味では1つの指標の数字になりそうだといった検討のたたき台を出すということ、出し方の問題としてはある程度の数字というものを出していくことの意味があるのではないかというふうに思うからです。
以上です。
○西岡委員長 ほかに。
○明日香委員 私も、大変今のご意見に近いところがあるんですが、交渉ってもっと先の話だと思うんですね。少なくとも今議論していることは、科学的な知見のもとにいろいろなモラルなりシックスも含めたバリュージャッジメントでこうあるべきだという論理の帰結みたいな話だと思うんです。では、それを具体的にどういうふうに責任なり、分配なり、交渉という話はこれからだと思います。2℃と決めたとしても日本が全然やらないパターンも考えられますし、もちろんその確率は低いんですけれども、多分今の目標というのは、交渉というレベルとは違う種類のことを我々が今議論しているのではないかなと、先ほどの話を聞いて考えました。
○西岡委員長 どうぞ。
○高橋委員 我々がこの作業をやっているのは、真空の中でやっているわけではないんですよね。これからどういう政策の検討をするかという材料を集めているわけでして、そのコンテクストですべてを判断していかなくてはならない。それが1点。
それから、もう1点は、この世界的ないろいろなインパクトに対するコストシェアリングがどうなるかわからない。制度がどうなるかわからない。それはそのとおりなんですが、それがこのグローバルなインパクト、それからアジアへのインパクトのこの表現からして、少なくとも膨大なことになるということは非常に明確。しかも、その膨大なことになるということを日本が検討するときに、それを前提とすると言い切るということはそれなりに非常に大きな責任を負うということ。そこまでは明確だと思うんです。それがどの程度の例えば金額なのかとか、そんなことは先の先のことですが、私から見ると、そのあたりのポリシー・インプリケーションは実に明確だというふうに思います。もし、そういうふうに思えないんだとしたら、私はかなりびっくりしますね。
○西岡委員長 何か。
○三村委員 今の議論の中で2つのことが議論されているような気がするんですけれども、1つは温暖化上昇の抑制幅を決めるときにずっと議論してきたのは、要するにどんな影響が出るかというのを科学がどこまで明らかにしたかということを決めてきたわけだから、科学の結論としてどういう影響が出る、それを抑えるためには何℃が必要だという議論と、それを決める上で科学の結論だけではなくて、やはり社会的な合意が必要だから政策決定過程とかそういうこともちゃんと考えて、そのインプリケーションもちゃんと考えなければいけませんという話だと思うんですよね。それが15ページの最初の○と2番目の○に書いてあるんですけれども、私の意見は、この2番目の○は一番最後に持っていったらいいのではないかなと思うんです。どうしてかというと、今までいろいろ議論してきたら、影響の科学の結論で言うと2℃ぐらいに抑えなければいけませんと。でも、科学の理解にもいろいろな限定条件や不確実性や幅があって、例えば1℃以下であってもまずいものもあれば、3℃以上上がっても大丈夫なものもあるし、次のページのように適応策を取り込むと意味合いが違ってくるものがありますと。そういう科学の認識を踏まえた上で、長期目標の設定は科学だけではなくて社会、あるいは政策決定プロセスで考えられるものだと。こういうふうに何か論点が分かれるようにちゃんと書けば、私は今までのこの影響の議論の中から2℃というような値をここで書いていくというようなことについては、ある程度意味がはっきりするのではないかと思いますけれども。
○原沢委員 三村先生と同じ意見なんですけれども、例えば下から3つ目の○というのは科学的な知見をベースにして言っていますし、2番目の○についてはある程度政策的な意味合いも入ったパラグラフになっているものですから、これが2つ続けてありますと、いわゆるサイエンスといわゆる政策決定がちょっとミックスしてしまっているので、そういう意味では例えば2番目のパラグラフの、また、影響等に関する科学的な知見というのを前のパラグラフに持っていって、2番目のパラはある程度、そういううまく分けて後ろへ持っていくかどうかという、そういう切り分けをしっかりしておいた方がよろしいのではないかと。
2℃につきましては、EUは2℃以下と言っていますけれども、ここは2℃と言っていますし、2℃を中心にということで、ある意味2℃に限定したわけでなくて、若干含みを残しているという苦労した文章が入っているのではないかと思いますし、そういう意味では一応というような話にすると、ちょっと文章として何かいい言葉があればということなんでしょうけれども、少しぼやけてしまうかなという感じはします。
○西岡委員長 新澤委員。
○新澤委員 ちょっと話を混乱させると思うんですけれども、科学には自然科学と社会科学があって、1℃ではなくて2℃というところの判断は、その15ページの一番上のパラグラフで1℃以下に抑制することは、現実的に極めて困難であるという、ここでもう政策判断が入っているんですよね。しかし、その先私何かどうしたらいいということ言えないんですけれども。難しいですね、これ。
○西岡委員長 ほかにございませんか。
どうぞ。
○横田委員 今の議論、一番大事な点だと思いますので、私の意見を言わせていただきますけれども、高橋委員が心配していらっしゃることはよくわかるのですね。これはやはり日本の経済力、そして日本の環境面での努力というのに対しては世界は注目していますから、日本がこういう目標を立てたということが数字でひとり歩きしますと、これは当然途上国などは技術がない、お金がないということで、ではそういう目標を立てた日本に自分の国の努力について協力してもらうという話になって、それで日本は受けて立つという方針がはっきりあればいいのですけれども、とても今の財政状況でそんなことができでないことは我々承知しているものですから、要するに空手形を出すような格好になってはいけないという心配があることは確かです。
私、今その後のご発言を伺っていて、私もそれに賛成なのですが、まず2℃を超えるということは、我々のいろいろな研究から見て、決定的に重大な影響が人類の将来に起こる、地球の環境、生態系のバランスに起こるという認識をしたということははっきり書いていいと思うのですね。そこは必ずしもあいまいにする必要はない。これまでの科学的な知見によればこうだという答えは出していいと思うのですね。その次に、これを前提にした政策目標を早急に立てて、それに基づいた行動をとるようにということを提言すればよい。その場合に、付随的に、実は平均的に言えば全球的に2℃を超えてはというのは答えとして出しましたけれども、実はその影響の仕方が分野によってさまざまであるということも書いてありますから、そういうことを考慮して、きめの細かい政策を立案していく必要があるのだということを我々の意見として書いておくということであれば、私は高橋委員の心配は一応取り除かれるのかなという気がしているのですが、いかがでしょうか。
○西岡委員長 ほかにご意見ございますか。
それでは、どうぞ。
○高橋委員 今、横田委員がおっしゃったとおり、それで一応懸念はなくなります。要するに、この作業全体が、例えば2.0という数字も極めて荒っぽいですよね。実はもっともっときめ細かなことがナチュラルサイエンスとしてはやられているはずなので、そこで2.0というのをとったことは、それ自身が極めて政治的な判断なわけです。それを我々ははっきり認識しなくてはならない。それを先ほどのご発言にあったように、社会科学の面から見るとどうかということもこれから考えていくことになるわけなんですが、そういうことを非常に明確にしておくべきなので、我々がナチュラルサイエンスの知見からすると、こうこうこういうところに知見が収れんしつつあると。これがかなりはっきり見てとれると。それをベースに、今後、ソーシャルサイエンスの面から見るとどうなのか、それをベースにして政策判断がどうなのかという作業が行われますということがはっきりすれば、これは非常に私としては、先ほど言いましたような、日本がまたしても非常に一方で格好いいようなことを言っていて、もう一方で責任とらないというような国にならないためには、はっきりさせた方がいい点がそこではちゃんとテイクケアされているというふうに思います。
○西岡委員長 どうぞ。
○原沢委員 ちょっとサイエンスの私の言葉の使い方が悪くて、自然科学と社会科学、どちらも科学だと思うんですよね。いわゆる政策は、イコール社会科学の1分野ではありますけれども、多分実際の政策判断とはまた違った次元という意味で、サイエンスとポリシーを分けた方がいい。これはIPCCが口を酸っぱく言っています。ポリシー・レラバントだけれども、ポリシー・プレスクリプティブではないという話があって、実際3つの作業部会が作業をするときに、第一作業部会だけがサイエンスという言葉を使ったので、それはおかしいということで、やはり社会科学も含めてサイエンスという位置づけをとっている。ただ、やはり政策での生かし方については議論が必要だというところで、そういう意味でサイエンスという言葉の使い方ですけれども、ちょっと私間違って使っていて、自然科学と社会科学を含めてサイエンスということであって、それとポリシーといいますか、実際の政策といいますか、そことのつながりはやはりしっかり分けた方がいいという意見です。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
それでは、このあたりで意見を集約しなければいけないんですが、今非常に私は重要なことが論議されたと思うんですね。これは確かに研究者の面から言うと、いわゆるナチュラルサイエンスとソーシャルサイエンスと間の1つの融合というときにいつもこういうことがまず問題になるだろうし、それが1点。
それから、2つ目が我々出発点という言葉は非常に重要な意味で、これだけで論議するわけではない、今の話でですね。我々のいろいろな意味での対策のフィージビリティも考えなければいけないし、いろいろなこれからの政策の構築の仕方を念頭に入れてやるけれども、この問題に関しては、ここのところはやはり1つの出発点、何もないと話が進まないから、そういう面では現在の科学から言われる点ではこの辺が出発点ではないかと。しかし、それは今皆さん議論いただいたように、全体の政策の中のコンテクストで十分考えつつあるだろうということだと思う。
具体的に、それではこれをどうするかということですが、基本的には私は三村委員のおっしゃったやり方で、この持っている意味を書いて、そしてそれを全体として考慮したときにこの問題に関して何か出発点があるとしたらこのあたりではないかという言い方にしてもらった方がいいかなと私は思っております。この件につきましては、私が今言ったような趣旨がアクセプトを皆さんにされるかどうかわかりませんが、基本的にそういうことでちょっと修文していただきたいというぐあいに思っております。
ちょっと時間がなくなりましたので、ちょっともとへ戻るにしましても、6.2の方にいきたいと思うんですが、もしその前にお2人でごそごそなさっておられますが、三村先生、どうぞご意見ありましたら。
三村先生、何か一番最後の今後の検討課題で言っておくべきことはございますか。
○三村委員 もう途中で申し上げたのでいいと思ったんですけれども、ちょっと全体的な印象だけ言わせていただくと、せっかく第二次中間報告書って出したんだから、今非常にうまくまとめていただいたと思うんですけれども、我々の今回の検討で科学的には何がわかって、それが政策的にはどういう意味を持っているのかということをはっきり打ち出して、いろいろな各層の方々の議論に一石を投じるというか参考にしていただけるようなものにするというのがいいのではないかというのが1つ。
それから今後の検討課題というのは、今日の議論でもすごくいろいろ出てきたというか、もっとタイミングの問題をはっきりさせなければいけないとか、そういうものが日本の政策の中にどういう意味を持っているかとか、それから今後の世界全体の気候政策を決めていくときに途上国だとかアメリカなんかのこと、それからEUのポジションに対してどういうような配慮をすべきかとか、そういうようなことがいろいろ出てきたので、ちょっとどこにどう入れたらいいかというのはよくわからないんですが、今後の検討課題のところもきちんと課題を整理しておいていただければ次の見通しもよくなるというような気がします。
○西岡委員長 それでは戻りまして、6.2につきまして何かご意見ございましょうか。
6.2については、ここではAIMモデルを1つといいましょうか、といいますのは、やはり日本の知恵もちゃんと絞ってやっているということがございまして入れたわけですけれども、ほかにもモデルたくさんあるかもしれません。今の時点ではこれがアベイラブルではないかと思っております。
特につけ加えることございませんか。モデルの方……
どうぞ。
○横田委員 内容的なことではないのですが、これ何かちょっと位置づけがここでいいのかなという疑問はあります。ひょっとしたらこの6.1、今ちょっと議論があったこれの前に来ていてもいいのかなという気がするのですね。あるいは前の5のところの最後の方ですかね。目標の考え方の後に6.2のこのことが出てきて、いろいろ図なども出てくるのですが、何かちょっとその位置づけがこの報告書の中で読む人にわかりにくい感じがするのですが、どうでしょうか。
○西岡委員長 私の方の解釈は、まず2℃あたりを出発点にするというのがありまして、そしてこのモデル自身はその2℃をなるべく避けるようにやっていくにはどういう手順でやっていくかという次の段階に入っているんですね。ですから、順番としてはまず全体のターゲットを定め、そしてそれに行く道筋をどうするかというのが次の議論になっているということ。
ですから、順番としてはこれでいいので。ただ、そのつなぎのところが書かれていないから突如としてこれ別なものが入っているようにお考えかもしれません。
○横田委員 これ2℃というものを達成するための具体的なステップとしてこういうことを検討すべきであると、こういうデータがもう既にありますよということ、それをちょっと一言加えていただければとわかると思うのです。
○西岡委員長 ほかにございますか。
そうしますと、まだもとに戻る可能性は十分ありますが、次の今後の検討課題ということで幾つかあります。それぞれのポイント7.1、7.2、7.3、これを一括してご議論いただきたいと思います。
それから、既に出ました私のメモの方にありますのは、こういうことで1つは我々の顧客であるところの国民、それから一般の社会に対してこのことを十分知っていただきたいという意味のことが要るかということ。それから、このことが持っている今後の政策を決めるタイミングを決めるときにおけるこのレポートの位置づけについてさらに検討する必要があるということ。それから、こういうことをやることによる次のステップ、責任ということもございましたが、そこまで言うのはちょっと難しいところもあるかもしれない。それから日本の政策の中でこれを踏まえてどうやっていくかの検討が次に要るという話。それから三村さんが最後におっしゃった科学、これはちょっと次のステップなのかどうかわかりませんけれども、こういうことに対するディスカッションを多分深めていくことが必要だろうということかと思います。
以上のところが私のメモに挙がっております。
ほかにございますか。
○亀山委員 7.3のどの○に入るのかよくわからないんですが、ここの○1、○2は、食糧生産のことだけ主に特化して書かれているんですが、私の懸念は先ほど明日香委員がアジアのところで環境難民のことを書いたらいいのではないかというご意見ありましたが、むしろあのご意見はこちらの方に入れた方がいいのではないかなということを思っておりまして、というのはIPCCに環境難民の話が実際書かれているのであれば、先ほどの明日香委員のご意見のとおりあそこに入れた方がいいと思うんですが、たしか私IPCCにそこまで書かれていなかったような気がしていまして、もし書かれていないのであれば、先ほどの章の中に混ぜるよりはむしろ今後の課題のところに書いた方がいいのではないかというふうに考えております。
それで、ここで私が申し上げたいのは、環境難民だけではなくて、気候変動の影響というのは、例えばアフリカであれば飲み水、フレッシュウオーターの取り合いから生じる紛争、コンフリクト、英語ですけれども、に発展することへの危険性でありますとか、あるいは天然資源の中でも例えば石炭よりも天然ガスがより好まれるようになるのであれば、天然ガスといったエネルギー資源の取り合いですとか、言ってみれば安全保障という言葉で多分くくれると思うんですが、エネルギー安全保障の食糧安全保障、それから本当にコンフリクトという意味での安全保障、こういったことが長期的には懸念、特に我々社会科学の間では懸念されていることでございまして、それをどこかちょっと一言入れていただいたらいいのかなというふうに思いました。
以上です。
○西岡委員長 原沢委員。
○原沢委員 7.2の2番目のパラグラフなんですけれども、リスクといった場合には、発生の確率だけではなくて、起きたときの被害の掛け算で引くわけですから、特に温暖化の場合は非常にその確率は低いけれども、一たん起きると大変なことになるという事象もあれば、確率は高いけれどもそんなに被害はない。逆に言うと両方の現象が起きてくる可能性があって、そういうものに対してリスク管理をしていかなければいけないということが基本だと思いますので、確率だけではなくて、ロー・プロバビリティー・ハイ・コンセクエンスの問題ですとか、逆の問題ですとか、ちょっと幅広にリスク管理のスタンスを書いていただいた方がよりわかりやすいのではないかと思います。2番目のパラグラフです。
○西岡委員長 ほかにございますか。
○明日香委員 先ほどの私の……すみません、2つありまして、まず1つ、環境リスクという言葉があるんですけれども、多分環境という言葉がない方がより大きな意味を持って社会的なリスクなり政治的なリスク、安全保障的なリスクも含めますので、より問題の重要性が認識されやすい言葉になるのかなと思いました。それが1点。
あと、これからどういうふうにするかという話なんですが、先ほど高橋先生がおっしゃったように、多分コストなり技術という話を出さざるを得なくなると思うんですね。そのときに日本で、すみません、これは甲斐沼先生と同じ質問になるかもしれないんですけれども、ユートプションがどういうものでコストがどのくらいになるか、そういう情報提供がどういうタイミングでこの委員会なり、日本に対してできそうか。あと、AIM以外のどういう研究者がいて、どういうタイミングで使えそうかとかいう、そこら辺の、それをどういうふうにこの場で反映するかという見通しみたいなものがあればちょっと教えていただきたいと。
私が個人的に2℃というのは交渉マターではないというふうに申し上げたのは、もちろんそこから派生する責任というのは十分認識しておりますし、ではそのときにどういう案があって、どのくらいの技術があって、どのぐらいのコストかというのは、大体イメージが私自身にはありまして、先ほど膨大というふうにおっしゃったんですけれども、膨大というのはまた個人的な判断になりますので、なかなか難しいところなんですけれども、少なくともマネージャブルなコストであって、かつベネフィットも非常に大きいものではないかなと判断していますので、先ほど申し上げたような発言、ちょっと不十分だったかもしれませんけれども、の背景になっております。ですが、そこら辺を共通認識をつくるためには技術コストの話をかなり具体的に、かつ戦略的にしていかなければいけないとは思います。
○西岡委員長 ほかには。
どうぞ。
○甲斐沼委員 今のご発言と関連しますが、今回は長期目標を中心に取り扱われていますが、これが今後の検討課題の7.1の2番目の○の中にどう関係するのかなと考えてみますと、日本、或いは、世界の中でどのような対策が必要になってくるのかということを、2番目の○のところに少し書き直していただいても良いかと思います。
あと、3つ目の○ですが、一番最初の○の、2℃という明確な目標と、ある程度の柔軟性を持った目標という表現の違いが少し気になりました。
あと、3番目ですが、2℃というのは大体暗黙の了解というか、100年で2℃ぐらいで10年間で0.2℃という、速度についてもある程度考慮された上かと考えます。むしろそれ以上ゆっくりというのでもないだろうし、また短期間に2℃まで上昇して、その後一定に保つのも経済的な影響は大きくなりますので、むしろ速度というよりも、先ほど三村先生おっしゃったように、いつどういう影響が出てくるかといった影響のタイミングに関する研究をまとめていくのが今後の課題になるのかな思います。
あと、細かい点で恐縮ですが、7.2の最初の○のところの一番最後の文章で、気候変動は実験室での検証ができないことから不確実性は避けられないという文章が気になりました。実験室での検証と気候変動の不確実性はスケールの違うものなので。
○西岡委員長 ほかにございますか。
今ので私1つあるんですが、一番上の柔軟性を持った目標という意味なんですけれども、もう少し分解して考えてみると、まだ不確実性が残っているという話、それからそのためには時間的にどんどん新しい知見を入れながら、そして社会的にはディスカッションを加えながらやっていく必要はあると。すなわち、2つの意味での柔軟性があるのではないかということをはっきりし、柔軟にしてもちょっとあまりに柔軟な言葉だなという気がしました。
それで、それから甲斐沼委員のおっしゃったさらなる2つ目の件ですが、それは長期目標に関する検討というよりも別なところではないかなと実は思っているんですけれども、長期目標は長期目標だと。だけれども、それをさらに発展させるのは……
○甲斐沼委員 すみません。何を言いたかったのか忘れましたので、削除して下さい。
○西岡委員長 今おっしゃった7.1の2つ目のところですけれども、それは大きな題の7.1の長期目標に関するということですので、それは今のご意見をむしろさらなるあれに持っていった方がいいかなというふうに。
それから、もう1つタイミングのこともおっしゃいましたけれども、それも長期目標のことではなくて、むしろ7.2ですね、環境リスク管理。リスクの管理として、まず事実を検出みたいなものをしっかりやっていくこと、予測をきちんとやっていくこと。それから、ある確率を加えて予防的な手を打っていくというような話をここのところにまとめて入れてあげればいいのではないかなと思います。
それから、7.2というのがまさに、今日主として高橋委員及び横田委員、皆さんの、工藤委員の発言なさったかと思いますので、この辺うまくまとめていただきたいというふうに思います。
ほかにございましょうか。どうぞ、高村委員。
○高村委員 コメントとして3点、あと1つご質問を事務局の方にさせていただければと思います。
1つ目は、今議論踏まえまして、ここのあたりを出発点にしようということで議論をこれから進めていこうというのが委員会の意見だと思いますけれども、それを行っていく上で、おそらく先ほどの高橋委員のコメントともかかわると思うんですが、費用の問題といいますか、実際2℃というものから導き出される排出量のレベルをどういう政策で、どういう形でやっていっていくのか。それがどういうようなコストを生み出すのかといったような部分については、今回の委員会の会合ではまだ詰め切れていない部分だと思います。広い意味での政策的なインプリケーションということだと思うんですけれども、特にコストと必要な政策、措置の議論、検討というのが必要ではないかというのが1点目です。
2つ目は、これは冒頭あたりに工藤委員の方からあったEUとアメリカから、どうしてこういう議論が出てきたのかというところにかかわりますけれども、7.2の3番目の○のところにあります地球温暖化問題におけるリスク管理の手法開発という文言ですが、手法開発といいますと非常に何か狭い印象を持ちまして、むしろ先ほどありました、いかにこういう問題に対して、こういうリスクに対して政策決定をしていくのかというアプローチ、あるいはその考え方、そして手法というものを明らかにしていくことという意味だと思いますので、そのあたりの文言をご検討いただければという点です。
3点目が7.2の2番目の○ですけれども、後半の「しかし」以下のところがいま一つ意味合いが私よくわからないところがありまして、おそらくおっしゃりたいことは、不確実性に対する評価というものは社会のメンバーといいますか、人によって異なるという趣旨だと思うんですけれども、ここのところの文言を理解するのが少し難しいなと思ったという点が3点目です。
そして、最後事務局に対してのご質問といいますか要望ですけれども、ここで挙げられている今後の検討課題というのは、この委員会として今後検討していこうというテーマかと思いますが、多くの委員の中からやはり1つの手がかりとして、これをもとにディスカッションを進めていこうということが出ていたと思います。そういう意味では、政策決定者の側でこれを受けてどういうふうに進めていくのかといのが最後のご質問です。
以上です。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
高橋委員。
○高橋委員 先ほどの亀山委員のご指摘、私はそのとおりだと思います。
ポイントは、環境問題に出発点のある気候変動、これがいろいろな形で問題をセキュリティの問題に転化、これからし始めつつあるという点、その点が今後の検討課題として非常に重要だと思います。
7の今後の課題を見ますと、私これ非常に美しいなと思いました。7の1、2、3、それぞれまた○が1、2、3、カルテジアンなプレゼンテーションですので、これを崩すのもちょっと残念だなという感じします。そうすると、7.3の一番最後の○の後にワンセンテンスつけ加えまして、今のセンテンスはそのままでいいと思います。その後に、例えば、特に気候変動のもたらす環境問題の安全保障問題化を重要な課題として検討する必要があると。例えばそんなような表現を入れておきますと、私どもが持っています問題意識にピタリとするような気がします。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
○明日香委員 西岡先生も先ほどちらっとおっしゃったんですが、7.1のどこかに例えば予防原則に基づいてという言葉を入れると本当、入れていただければと個人的には思います。
あと、7.2の○の2つ目と3番目なんですが、ここちょっと確率の話が出てきて、言いたいことはわかるようでよくわからないと思いました。実際、確率なり不確実性の話なり、受けとめ方の違いというのは、だれが具体的にどういう事象でどういう確率だって結構ややこしい話ですので、もうちょっとわかりやすいというんでしょうか、話し方にできないか。
すみません、あまり具体的な対案はないんですが、ちょっとそういう感想を持ちました。
○西岡委員長 それでは、議論をこの辺にしたいと思います。
何か、今の件でそちらの事務局の方でどうでしょう。
○水野国際対策室長 基本的には、いただいたご指摘、今後の課題ということについては盛り込んでいきたいというふうに考えておりますが、2点ばかりご質問をいただきましたので、それについてちょっとコメントをさせていただきます。
1つは7.2の2つ目の○ですが、この趣旨は表現はどのように工夫できるか、さらに検討させていただきたいと思いますが、趣旨は要するに不確実性といったときに、例えば確率が5分の1という何か事象があったときに5分の1という数字に焦点を当てて議論をしていくのと、5分の4という数字に焦点を当てて議論をしていくのでは結論が違う場合があり得るということで、そのような違いがあり得るということも認識しておく必要があるのではないかということを書いたということであります。もう少しわかりやすい表現にできないかどうかをちょっと検討させていただきたいと思います。
それから、高村先生から今後の使い方ということのご指摘がございました。結論から申しまして、具体的にどういうタイミングでどういうふうに使うということについてまだ結論があるわけではございませんが、当然この中にも既に案の段階でも書いてございますし、また議論も非常に的確にいただきましたように、科学だけで長期目標についての議論は終結するものではなくて、その後の議論がむしろ重要だということだというふうに事務局としてもよく認識をしてございますので、これをいかにうまく社会的な合意形成の中に貢献をする資料として使っていくかということについては、またしっかりと検討した上で適切に活用させていただきたいというふうに思っております。
以上です。
○西岡委員長 それでは、今の議論をこれで終了いたしたいと思います。
その他ということで、今後といいましょうか、これをどういうぐあいに考えていくか、ちょっとお願いします。
○水野国際対策室長 まず、今後、この検討を踏まえてどうするかということについては今ご説明したとおりですが、このレポート自体をどうするかということにつきましては、もう一度こちらの方で、今基本的には、ほとんどの部分については、個別具体的なご指摘としていいただきましたので、それを盛り込む形で座長の西岡先生と相談をさせていただきたいというふうに思っております。
また、本日欠席の委員の先生方もいらっしゃいますので、そういった先生方にも本日の案をお送りしてコメントがあるかどうかということについて確認をさせていただきたいというふうに思っております。
具体的に、次回の専門委員会等につきましては、どういうタイミングでどういうふうにするかということにつきましては、また西岡先生とも相談をさせていただきながら改めてご相談をさせていただければというふうに思っております。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
どうも皆さんありがとうございました。
この委員会は、国際戦略専門委員会でして、国際的な動きはどんどん進んでいきます。それに対応して専門委員会としてのタイミングのいいインプットを図っていきたいというように考えておりまして、また次にどのような項目を主眼において検討するかについては、事務局の方とも話し合いながら考えていきたいというぐあいに考えております。
私の方から、一応今の時点で、この第2シリーズに関する皆さんのご協力をお礼を申し上げたいと思います。
最後に一言、地球審議官の方から。
○松本地球環境審議官 地球環境審議官松本でございます。
今日も大変に活発なご議論、大変ありがとうございました。
最終的な第二次の中間報告の形にまとめるにはもう少しさらに調整をさせていただくということでございますけれども、こういう一堂に会しての専門委員会、今日がとりあえず節目ということでございますので、お礼を申し上げたいと思います。大変に3回にわたって本当に精力的に真摯に鋭意ご検討いただきました。
今年の2月16日に、いよいよ京都議定書が発効いたしまして、そして今年、そのポスト京都の議論のスタートの年ということでございます。
公式の検討の作業、これは実に来週の月、火、5月16、17日、これドイツのボンで政府専門家セミナー、これが行われます。ちょっと細かい話になりますけれども、これが実際上議論の最初になるわけでありますが、共同議長、2人でやるわけですが、その1つを日本がとりまして、外務省の小西前地球環境問題担当大使でございます。今外務省の参与という形になりました。これも大変これから世界的な問題であります地球温暖化問題に日本がどういうふうに貢献していくか、1つは外交という観点からも意味のあることかなと思っております。
COPのプロセスで申し上げますと、さらに9月ごろ、多分、まだ正式には決まっておりませんけれども、非公式の閣僚会合というようなことも次期開催国でございますカナダは考えているようでございますし、11月末から12月にかけてモントリオールでCOP11、そしてCOP/MOP1、こういうことでだんだんと本格的な議論が進んでいくということになろうかと思います。さらには、7月にG8のグレンイーグルスサミットが、というようなことで、私ども日本政府としても今の時点でどの程度の科学的な知見をベースにして見通しを立てていったらいいのか。3回にわたってのご議論、そして今日の議論も一番焦点でございましたけれども、なかなか科学でどんとこういうふうに割り切れるという問題ではなくて、いろいろな時を経ながら、新しい知見を重ねながらやっていかなければいけないことでございますけれども、全く何にもとっかかりのないというのは、それこそ政策の方の責任を持っております私どもとしては大変に外交をやる上でも辛いことでございます。
したがいまして、今日ご議論いただいたような形で言葉の整理は当然必要でございますけれども、それなりの方向性を示させていただきまして大変ありがとうございました。今までのご議論、そして最終的におまとめいただきます第二次中間報告の成案を踏まえて、それこそポリシーの方、きっちりとさらに進めていきたいと思っております。
また、具体的なスケジュールは、水野室長言ったとおりまだ決めておりませんけれども、今後とも引き続き先生方のご議論、そしてご指導をいただきたいと思います。
とりあえず、どうもありがとうございました。お礼を申し上げます。
○西岡委員長 どうもありがとうございました。
先ほどのレポートの扱いについて、もう一度ちょっと確認しておきますが、今日の皆さんのご意見、私の方で真摯に受けとめまして、事務局と十分注意しながら取りまとめたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
それでは皆さんどうもありがとうございました。これで3回のシリーズを終わりたいと思います。
午後 0時19分閉会