中央環境審議会地球環境部会第4回海洋環境専門委員会議事録

開催日時

平成15年10月28日(火)10:00~12:00

開催場所

東海大学校友会館

出席委員

(委員長) 清水  誠
(委員) 浦野 紘平  塩田 澄夫
須藤 隆一  小林 悦夫
細川 恭史  小山 次朗
高村 ゆかり
(環境省) 小島地球環境局長、
荒井環境保全対策課長 他

議題

(1) 今後の制度の在り方の検討(III)
(2) 「今後の廃棄物の海洋投入処分等の在り方について」(案)の検討
(3) 報告書骨子(案)の検討
 

配付資料

資料1 海洋環境専門委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会地球環境部会第3回海洋環境専門委員会議事録(案)
資料3 今後の制度の在り方の検討(III)
資料4 「今後の廃棄物の海洋投入処分等の在り方について」(案)
参考資料 「今後の廃棄物の海洋投入処分等の在り方について」(案)の概要

議事録

午前10時3分開会

○荒井環境保全対策課長 ただいまから中央環境審議会地球環境部会海洋環境専門委員会の第4回会合を開催させていただきます。
 本日は、足元の悪い中、また早朝からお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。私は、司会役を務めさせていただきます環境省環境保全対策課長の荒井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、会議に先立ちまして、小島地球環境局長よりごあいさつを申し上げます。

○小島地球環境局長 地球環境局長の小島でございます。おはようございます。
 本日もご多忙の中おいでいただきまして、ありがとうございます。
 今日は、今後の廃棄物の海洋投入処分管理制度の在り方のうちにいわゆるアセスメント制度の検討など残された課題についてご議論をいただきます。それとこれまでのご審議の結果を踏まえて報告書(案)が取りまとめられておりますので、これについてご審議をいただいて取りまとめをお願いをいたしたいと思っております。
 8月末からの2カ月という非常に厳しいスケジュールの中でご議論をいただきまして、ようやく報告書の案をご議論をいただける、こういう段階に至ったわけでございます。本日の報告書は大きく2つに分かれておりまして、1つはロンドン条約96年議定書の締結に向けて、現在、海洋投入処分が行われている廃棄物などについて今後どのような対応をしていくべきかということであります。もう一つは、議定書に対応してどういう制度を仕組んでいくべきかということでございます。
 本日お取りまとめをいただきましたならば、この委員会のご審議の結果を今月31日に開催をされます地球環境部会にご報告をさせていただきまして、約1カ月のパブリックコメントの手続を経て12月中旬に地球環境部会を再度開催をお願いして、答申案としてご議論をいただく、こういう段取りをさせていただきたいと思っております。
 それでは、よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○荒井環境保全対策課長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります前に、本日の資料を確認させていただきます。

○水野環境保全対策課課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず、1枚目が議事次第でございます。続きまして、資料一覧がございます。1枚めくっていただきますと、資料1として名簿がございます。それから、次は資料番号は打ってございませんけれども、資料2とさせていただければと思いますが、議事録(案)がございます。続きまして、資料3といたしまして、今後の制度の在り方の検討(III)がございます。さらに、資料4といたしまして、今後の廃棄物の海洋投入処分等の在り方について(案)という冊子がございます。それから参考資料として、その概要がございます。
 以上でございます。
 なお、先ほど資料2とさせていただきました議事録(案)につきましては、委員限りの配付とさせていただいております。後ほど各委員に内容をご検討いただきました上で公開をさせていただきたいと考えております。
 もし、過不足等ございましたら事務局までお申しつけください。
 以上でございます。

○荒井環境保全対策課長 不足資料等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 海洋環境専門委員会の所属委員の方々でございますけれども、お手元の資料1にあるとおりでございます。大塚委員及び細見委員は、本日ご欠席でございます。
 それでは、ここから議事に入っていただきたいと存じます。
 清水先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○清水委員長 おはようございます。それでは、時間もありませんので、早速議事に入りたいと思います。
 まずは、本日の予定でございますけれども、局長からごあいさつがございましたように本日は第4回で、この専門委員会としての報告をまとめるということでございます。そのためには、まだ検討をしていなかった課題が若干ございますので、それについて検討をしていただいて、その後報告書の検討に移りたいと思います。
 それから、恒例によりまして議事録でございますけれども、あらかじめ先生方のところにはお送りしてあったと思います。それに基づきましてご注意があるかと思いますけれども、本日改めて特に何かお気づきの点がございましたらまずは伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 よろしゅうございましょうか。そうしましたら、この議事録で確定をしたということで公開の手続をとらせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、今後の制度の在り方の検討についてまだ課題が残っておりましたので、それをまずやりたいと思います。
 では、資料3のご説明からお願いをいたします。

○水野環境保全対策課課長補佐 それでは、資料3に基づきまして説明をさせていただきたいと思います。
 今回は、今後の制度の在り方の検討の3回目ということで、残された部分についてご審議をいただくということでございます。
 大きく分けまして4つ項目がございまして、これは附属書IIの順番に従って大きな固まりごとに大くくりにして整理をさせていただいたものでございます。
 まず最初、1ページ目でございますけれども、潜在的影響の検討等ということでございます。なお、ここに振ってございます番号につきましては、報告書(案)の番号と同じとさせていただいております。
 まず、1ページ目でございますけれども、1つ目として書いてあるところは、排出事業者が申請の段階で明らかにする事項としてどのようなものがあるかということでございまして、大きく分けて3つあろうかということでございます。1つ目が投棄予定海域の現況、2つ目が廃棄物等の海洋投棄による潜在的影響、これをさらに大きく分けますと、影響仮説の設定と影響予測ということに分けられるかと思います。それから3点目といたしましては、監視計画ということでございます。
 この背景につきましては、1ページの終わりのところから2ページの頭にかけて書いてございますように、いずれの項目につきましても附属書II、いわゆるWAFでございますが、これかあるいは一般WAGというガイドラインの方に明記されている項目でございますので、これらについてはやはりそれに沿ってやると、当初のご議論をいただいた方針に従えば、こういったものについては明らかにする必要があるのではないかということでございます。
 続きまして、2番目でございます。
 2番目に書かせていただいているのは、排出事業者が今1で申し上げましたような検討を的確に行うためには、国が法令またはガイドライン等によってその具体的な検討内容、検討手法、監視項目、許可の要件等を明確にしておく必要があるのではないかということでございます。これにつきましては、2ページの中段以降で若干補足をさせていただいております。
 まず、1番目でございますけれども、国がそうしたガイドライン等の整備が必要だという理由として、事業者による環境影響予測ですとか監視計画の内容を一定水準に保つ必要があるという理由を掲げさせていただいております。
 2番目といたしましては、そういった形でガイドライン等を定めるということになりますと、現在日本では投棄可能品目がかなり限定されておりますので、かなり効率的に環境影響の検討等手続が進められるのではないかということを書かせていただいております。
 それから、具体的に国がガイドライン等を定めるに当たって留意すべき事項として、3番、4番で書かせていただいております。
 まず、3番目は、潜在的な影響の検討の部分についてでございますけれども、まず既に継続して投入処分が実施されている廃棄物等の場合には、中間段階での調査・評価になるということになりますので、廃棄物などの特性、特に海に還元することを目指した廃棄物なのか、それとも海底に速やかに沈降することを目指した廃棄物なのかという違いに考慮して、累積的影響を評価するのか、あるいは新たに行われる処分の影響に限定して評価するのかといった点をあらかじめはっきりさせておく必要があるのではないかということでございます。
 2つ目は、できるだけ定量的な評価が重要であるということで、環境基準ですとか、水産用水基準というものを使って評価することも考えられるのではないかということであります。
 3点目は、既に判定基準についてのご議論をいただきましたけれども、判定基準の適合ということがこの前の段階で既に検討されているということになりますので、それとの矛盾のないような制度にする必要があるのではないかということでございます。そのためには、例えばですが、判定基準項目以外の項目に限定して評価対象とすることや、あるいは海底への蓄積に評価を絞ることなども考えられるのではないかということであります。
 続きまして、監視計画の方についてでございますけれども、これにつきましては許可更新の審査の際の基礎資料となるということでございますので、その監視の対象といたしましては、3ページの一番上に書いてございますように廃棄物等の性状、判定基準への適合状況、投入量、投入日時、投入海域等、あるいは影響仮説の検証結果などを含める必要があるのではないかということでございます。
 ちなみに、その下の括弧のところに書いてございますように、現行制度におきましては、判定基準への適合状況については報告等は義務づけられておりませんし、また環境そのものの監視あるいは報告についても規定がないということになってございます。
 続きまして、1ページに戻っていただきまして[3]のところでございますけれども、こういった制度の的確な運用のためには、国は必要な情報を収集・調査してそれを広く提供する仕組みを設ける必要があるのではないかということでございます。
 続きまして、4番目でございます。
 4番目は、今度は排出事業者から提出された検討結果を国が審査する場合にどうやって審査をするのかということについてでございますけれども、国は必要に応じて専門家の意見などを取り入れて審査の妥当性、客観性を確保すべきではないかということでございます。
 これにつきましても、3ページの「[4]について」というところで若干補足をさせていただいております。
 排出事業者が検討した結果をどのように評価するかということでございますが、基本的な考え方としては海洋環境の保全上支障がないことということになろうかと思いますが、実際上、海洋関係にはかなり未知の部分も多うございまして、あるいは処分にかかる潜在的な影響というものも複雑になるというふうに考えられます。したがいまして、すべてを定量的な基準で評価するのは現実的には困難であろうということが考えられます。一方で、96年議定書の考え方といたしまして、予防的取り組みという考え方が明記されているわけでございまして、潜在的な影響の検討を行わずに海洋投入処分を実施することは許されないということが条約上言えるわけでございます。
 したがいまして、こういったことを考えますと、排出事業者から提出されました検討結果を、例えば数値としての基準値へ適合しているかしていないかというような単純なメルクマールで判断することは現実的には困難でありまして、その審査には専門的かつ総合的な判断が求められるのではないかということであります。こうしたことから、先ほど申し上げましたように国は必要に応じて専門家の意見などを取り入れて審査の妥当性、客観性を確保すべきではないかということでございます。
 もう一度1ページに戻っていただきまして、最後の5番目でございますけれども、最後の点は免除基準ということについてでございます。
 免除基準というのは、ここに書いてございますように、例えば、これ以下の処分量であれば海洋環境への過大な負荷は発生しないものと評価できるような基準を仮に免除基準と呼ばせていただいておりますが、そうしたものを設定して、これを満たす場合には潜在的影響の検討を免除するとか、あるいは簡易な検討で済ますことを認めるといった仕組みを設けることの妥当性につきましても、今後さらに制度導入の段階では検討していくことが必要ではないかということを書かせていただいております。
 これにつきましても、済みませんが、もう一度3ページの後半部分に戻っていただきますと、「[5]について」というところでそのことについて補足をさせていただいております。
 まず1番目に書かせていただいてございますのは、事実といたしましては附属書IIではそうした免除の可否等の記述はございませんということです。
 しかしながら、2番目のところに書いてございますように新たな許可制度では、まず潜在的な影響の検討に先立ちまして、判定基準への適合を含めて有害性等を明らかにすることになっております。したがいまして、そうした有害性が明らかになった廃棄物で特に問題がないということが前提となっているとすれば、子細な潜在的影響の検討等をするまでもなく、海洋環境への影響は十分小さいと判断できる場合もあるのではないかということでございます。
 したがいまして、3番に書いてございますように免除基準を設けて、これを満たす場合には簡略化を認めるということも考えられるのではないかということであります。
 ただ、留意事項といたしまして、4ページの一番上のところに書いてございますように、そうは言っても過度に潜在的影響の検討の対象から外れることがないように留意するというようなこと、あるいは一つ一つの排出事業者の投入量が少量であっても、複数の事業者が同一品目を同一地点に排出すれば当然ながら影響が大きくなってまいりますので、そういった懸念が生じないように配慮することなどが必要ではないかということであります。
 以上が潜在的影響の検討等というところの部分でございます。
 続きまして、5ページの監視のところに移らせていただきます。
 監視につきましては、今のところで説明をさせていただきましたように事業者につきましては監視計画というものを立てることになりますので、その監視計画に則って的確に行っていただく必要が出てまいります。しかしながら、この監視の[1]に書いてございますのは、それだけではなくて国においても制度を的確に運用し、海洋環境全般を監視する観点から監視あるいは調査などを充実していく必要があるのではないかということでございます。
 これについては、5ページの真ん中から半分下のところで補足をさせていただいてございますけれども、96年議定書の附属書IIではa、bとここに書いてございますようにcompliance monitoringという部分と、field monitoringということが明記されてございます。
 これにつきましては、基本的には先ほどの排出業者からの監視計画の中に盛り込んで、排出業者が主体的にやっていただく必要があるという部分かと考えられますが、このほかに、その次の行に書いてございますように議定書本文の中に、締約国は「単独で、又は他の締約国や国際機関と協力して海洋の状態を監視すること」ということが義務づけられてございます。
 また、中段「しかし」以降に書いてございますように、そもそも排出業者の処分の複合的な影響ですとか、あるいは海域設定の妥当性などの検証ということになりますと、やはり国の責任もあろうかということが考えられます。それから前回もご指摘をいただきましたが、そもそも国が海洋環境保全全般に責任を有しているという観点も留意する必要があろうかと思います。
 こういった観点から、先ほど申しましたような国によるモニタリングあるいは監視というものが必要になってくるのではないかということでございます。
 なお、6ページの一番上のところに書いてございますように、現在でも環境省あるいは海上保安庁で既存の調査がございますけれども、これは年に数点、五、六点程度、毎年地点を変えて調査をされているという程度のものでございまして、例えば水底土砂の投入地点などにつきましては一切調査の対象となっていないというようなことがございまして、さらに充実すべき点が多いということでございます。
 以上が1つ目の国としても調査を充実する必要があるのではないかという点でございます。
 もう一度5ページに戻っていただきまして、[2]の点でございます。
 [2]は排出事業者の監視結果の取り扱いでございますが、これにつきましては再許可の申請時には当然ながら報告をされることになろうかと思いますが、それだけではなくて、少なくとも年1回程度以上には潜在的影響の検討結果の審査主体である国に報告される必要があるのではないかということであります。
 これは発給された許可の妥当性を担保し、あるいは再許可発給に係る検討資料として活用する必要があるということから、そのようなことが言えるのではないかということでございます。
 また、実際に報告された検討結果を国といたしましては、[3]に書いてございますように排出業者が申請時の条件あるいは計画に従ってしっかりと海洋投入処分を行っているかということ、あるいは影響の範囲というものが当初予測の範囲におさまっているかということ、さらには予測し得なかったような影響というものが起こっていないというようなことを国は確認する必要があるのではないかということでございます。これが3番目でございます。
 それから最後の4番目でございますけれども、これは補足になりますが、以上のような監視結果から、当初の予測の範囲を超えて重大な環境影響が生じているおそれがある、あるいは予測外の影響を生じているおそれがあるというようなことが判定された場合にどうするのかということについてもあらかじめ考えを整理しておく必要があるのではないかということであります。
 また、そのために国は監視結果の評価基準の確立等にも努める必要があるのではないかということを補足させていただいております。
 以上が監視のところでございます。
 続きまして、7ページにいかせていただきます。7ページ目は許可の見直し・更新制度でございます。
 これにつきましては、既に前回、許可については有期限のものとするということについてご検討いただきましたが、有期限のものといたしますので当然ながら、さらに投棄を継続したい廃棄物については許可の更新ということが当然必要になってくるということかと思います。それが1番のところに書いていることでございますが、その際には廃棄物の発生抑制技術、あるいは再利用技術の進展、それから周辺環境の変化なども踏まえる必要があるのではないかということでございます。
 それから2番目といたしまして、これにつきましても再許可に当たって国はどのような場合に再許可を与えるのかというようなことについて、許可更新の要件をあらかじめ定めておく必要があるのではないかということでございます。
 これにつきましても、どういったことを具体的に考える必要があるのかということについては、7ページの(3)で幾つかポイントを整理させていただいております。
 まず最初に、当然のことながら、これまでの監視の結果といたしまして、当初の影響仮説の内容が妥当であったということが確認される必要があろうかと思います。
 2点目、3点目は海洋還元型と非還元型の廃棄物に分けて書いてございますけれども、まず海洋還元型のものにつきましては、処分量が増加しないということであれば同一海域における同一廃棄物等の処分は影響を生じさせないとみなし得るのではないかということが考えられます。
 一方で、非還元型の場合につきましては、蓄積を海底にしていくわけですから、たとえ従前の許可の時点で影響が生じていなかったとしても、再びしっかりと潜在的影響の検討というものが必要になるのではないかということでございます。
 dは、先ほども申し上げましたが、当初の時点からの技術の進展等についても、あるいは周辺環境の変化などについても考慮する必要があるのではないかということでございます。
 さらに、8ページにいっていただきますと、これは、当初の想定外の影響などがなかったとしてもということでございますけれども、周辺環境が大幅に変化をしたというような場合には還元型、非還元型にかかわりなく、改めて潜在的影響を検討する必要があるのではないかということでございます。
 最後に9ページでございますが、その他の必要な措置ということでございます。
 これは今までご議論いただいてきた部分は廃棄物の海洋投入という部分でございますが、ここは実はかなり別のものというようなことなんですが、廃棄物の洋上焼却についての規定が96年議定書上にございまして、これにどのように対応するかということでございます。
 96年議定書では、廃棄物の洋上焼却は全面禁止となってございます。したがいまして、これに的確に対応していく必要があるということが1点としてございます。
 それからもう一つは、内水に対してもそれ以外の海域と同等あるいはそれにふさわしいような効果的な措置をとるというようなことが規定されておりまして、これについても配慮する必要があるということでございます。
 なお、ちなみに現在のロンドン条約では全面禁止ということではございませんので、我が国の国内法でも廃棄物の洋上焼却というものは一部の規制措置が定められた上で認められているということになってございますが、これが少なくとも内水でない海域については禁止しなくてはいけないということがございます。
 なお、ちょっと説明が前後しましたが、内水といいますのは9ページの下に注釈で書いてございますように領海基線の内側の海域ということで、要するに非常に陸域に近いところの海域ということになろうかと思います。
 このような2つの点、要するに陸上廃棄物の洋上焼却の禁止ということと、内水適用というような規定が96年議定書にはございますので、1つ目として、まず少なくとも内水の外の海域につきましては廃棄物の洋上焼却を禁止する必要があるのではないかということでございます。
 それから内水につきましても、今申し上げましたように内水適用というような考え方があるということ、それから内水の外につきまして実際上、禁止措置を講じるということですから、それとの並びというようなことも考えて、速やかに内水の洋上焼却についても中止するような措置を講じることが適切ではないかということでございます。
 ちなみにその現況でございますが、4)に書いてございますように、我が国では現在2件ほど洋上焼却というものがされておりまして、これは木くずでございます。これは2件であって、品目としても木くずであるということがありますので、技術的に焼却が難しいということではないだろうということと、先ほども申し上げましたような内水適用というような考え方を踏まえますと、今の[2]のように、ここについても陸上処理に向けて移行していくことが必要ではないかということでございます。
 以上、駆け足でございますが、資料3の説明を終わらせていただきます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 これからご意見、ご質問をいただきたいと思いますけれども、一応確認をしておきたいので、資料4の10ページをちょっとごらんいただけましょうか。
 そこに新たな海洋投入処分管理の流れというのがございますけれども、今までその流れのうち排出海域の選択等について検討していただいて、潜在的影響の検討、監視計画の立案という、許可に至る手前のところを今日ご議論をいただくということでございます。
 どうぞ、水野さんの説明に質問あるいはご意見がございましたらお願いします。

○須藤委員 ただいまの潜在的影響以下の部分の制度、監視も含めておおむねよろしいんではないかと思いますが、二、三ちょっと疑問というか質問とコメントを申し上げたいと思います。
 特に潜在的影響、いわゆる環境影響評価をやるということに多分なるんだろうと思いますが、ここに書いてあるようなことは、今までやられていたようにも思うんですが、新たにこれをやるようになるんでしょうか。それぞれによって違うかもしれませんが、ということです。それが1番目の疑問です。
 それから、2番目は一種の環境影響評価だと私は思うんですが、環境影響評価法が施行されて以来、大変こういう技術は進歩してきておりまして、水環境あるいは海洋環境、あるいは水圏生態系、こういうことについての技術が進展をしておりますので、水環境だけではなくて例えばベントスとか生態系とか、そういうことも特に大規模の処分をする場合は考慮された方がいいんではないかというのが2点目です。
 それから、3番目は小規模なものは何となく、伺っていると免除をするというふうに聞こえたんですが、仮に小規模であっても重複する可能性やら回数が増える可能性やら、免除というところの基準が少しあいまいなのと、例えば月に何回なのか、1年の集積なのかよくわからないんですが、小規模であっても何らかの評価、判定ですか、これはなされないと小規模がどんどん積み重なれば大規模になるので、そこだけはご注意された方がよろしいんじゃないか、その3点でございます。

○水野環境保全対策課課長補佐 まず、1点目でございますが、こういった項目については既に検討がなされているのではないかということでございますが、前回ご議論いただきましたが、現在の制度ではまず判定基準があって、有害物質がどれぐらいの含有量あるいは溶出量で含まれているかということについては、その段階で一定の評価がされます。
 それから、実際に投棄ができる海域の範囲というのは国が定めておりまして、あるいは投棄の方法につきましても、国が集中投入方式ですとか拡散方式だということで定めております。ただ、実際上では個別の投棄海域でどういった影響が起こるのかとか、投棄した後、どんなふうな環境変化が起こるかということをどのようにモニタリングしていくかというようなことについては一切その規定がございませんで、ですから今は端的に申しますとこういったものは全くないというふうに……

○須藤委員 モニタリングしていないんですね。

○水野環境保全対策課課長補佐 国はもちろんしていますが、事業者はしていません。

○須藤委員 国はというのは、環境省とか海上保安庁でしょうか。

○水野環境保全対策課課長補佐 先ほどちょっと紹介させていただきましたが、環境省の場合ローテーションを組んで年に数点について分析をしています。

○須藤委員 一部していると言うことですね。

○水野環境保全対策課課長補佐 以上が1点目でございます。
 それから、ベントス等生態系への影響ですが、これについては96年議定書のガイドラインであります一般WAGとかあるいは品目WAGなどでも、特に生物への影響というものが重視をされておりますので、これについてはそれに則って基本的に今後の制度の枠組みというものを作っていくということでしょうから、これについては十分注意をして制度を検討していきたいというふうに考えてございます。
 それから、最後の免除基準でございますけれども、これにつきましてはご指摘の点をよく勘案いたしまして、むやみに免除されるようなことはなく、しっかりと問題がないということを確認されるように制度を設計する必要があるというふうに考えてございます。

○清水委員長 ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。
 最後の免除のことに関しては、アセス法でもスクリーニングがありまして、一定規模以下は免除ということがありますので、これをどういうふうにするかというのはかなり大変なことだと思いますけれども、一応そういうものをつくることは考えておいてもいいんではないかと思います。
 どうぞ、ほかに。

○小林委員 1点は言葉じりの問題で申しわけないんですが、4ページ、一番最後の行から1行上のところなんですが、免除規定の文章なんですけれども、「個別の排出事業者が投入量が少量であっても」、その後の「複数が同一品目を同一地点に排出すれば」、この言葉じりなんですが、もう1カ所にも出てくるんですが、「同一品目」という言葉を使わなくていいんじゃないか。というのは、同一品目でなくても類似品目というのは結構あると思うので、というのが1点。ですから「複数が」だけでいいんじゃないか。
 それからその次の「同一地点」ということがここへ出てくるんですが、後の方へ行きますと「同一海域」になっていますね。「地点」というとポイントという誤解を招くので、これは「同一海域」に直された方がいいんではないかという、これは言葉じりでございます。
 それから、今の2点目が免除基準のところなんですが、私もこれは大変気になります。「これ以下の処分量であれば」とか、「これを満たす規模」という言葉にひっかかるんですが、何か量が少なければという言葉で言っているんですが、実際にこの免除基準をつくるときに本当に量だけで議論するのかな。場合によったら量ではない別の何か基準があるんではないかという気がします。そういう意味からいって、将来、これは制度導入の段階でさらに検討というふうになっているので、できましたら免除基準の後の括弧書きのところで「これ以下の処分量であれば」という言葉を消してしまって、「海洋環境への過大な負荷は発生しないものと評価できる基準」というふうにしてしまって、いわゆる「これ以下の処分量であれば」という言葉を消したらどうか。
 それから、その下でも「これを満たす規模の処分については」ではなくて、「設定し、これを満たす処分については」とする。「規模」という言葉を消す方が、後々、検討には楽ではないかなという気がするんです。というのは、先ほどちょっと言いましたように量だけではなくて海域全体を評価しながら、この品目については免除するよというのがあってもいいんではないかなというふうに思います。
 以上です。

○水野環境保全対策課課長補佐 ありがとうございました。いずれの点につきましても大変ごもっともなご指摘だというように思いますので、そのように修正をさせていただきたいと思います。

○清水委員長 現実には、後で報告書(案)をごらんいただきますけれども、そこで文言を修正をしたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 どうぞ。

○小山委員 同じ免除規定のことでやっぱり私も気になるのは、化審法で以前は1トン未満は非常に規制が緩かった。そこで、分子構造で側鎖をちょっと変えるだけで物質が全然違うというようなとらえ方をして1トン未満というのを幾つも出してくるわけですね。それと同じようなことがここであるとすると、非常に問題になる。
 ですから、今小林先生がご指摘になったような同一品目というのではなくて、やはり類似品目とか、廃棄物を本当に違うのかどうかというのをきっちり見ていかないといけないんじゃないかというふうに感じております。

○清水委員長 この「同一品目」という言葉がなかなかわかりにくいかもしれないですね。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。

○細川委員 私の意見ともう一つ質問と2つさせていただきます。
 今、免除規定についてのいろいろなご指摘がありまして、もっともだと思います。一方でスクリーニングという考えというのもアセスメントの中にあるということなので、あるいはいろいろ別途の手続の中でそれなりのアセスメントが行われているというような品目がもしあったとしたら、二重に課すというのもまた変だなというところもあります。どういう基準でというところはまた制度導入の段階で十分議論しなければいけないところだと思いますが、こういったようなことを検討するということはこれは妥当ではないかというのが私の意見です。
 それからもう1点質問です。ちょっと今の事項からは飛んでしまうんですけれども、9ページで、内水の洋上焼却についてということでいろいろな事情がご説明されています。特に(4)で京浜港で10トン、小松島港で15トン、2000年の実績という記述がありますけれども、これは2000年のみで、それ前後には余り実績はなかったんでしょうか。
 さらに、もう一つ質問ですけれども、なぜ洋上でこういう焼却が行われていたんでしょうか。禁止する、あるいは中止するというような措置をすることでどんな影響が出そうかというようなことについてわからないので、もしご存じだったら教えていただきたいなと思います。
 例えば震災が起きて何かいろいろ家屋等が倒壊してしまったようなときに、こういったものをどこかで処分しなければいけないなんていう事態が生じたときには、この規定というのはどんなふうに運用されるんでしょうか。
 以上です。

○清水委員長 ありがとうございました。
 前に何かのときに、何かの拍子に潮をかぶってしまって、陸上で燃やすのはなかなか問題があるというのでやったということをちらっと聞いたような気がしますけれども。
 どうぞ。

○水野環境保全対策課課長補佐 今、委員長がご指摘いただいたようなことが基本的な理由だというように私どもも伺っております。
 実績といたしましては、ここしばらくあるということだと思います。何年からというのはちょっと今情報がないんですが、1年だけではないです、しばらくあります。

○細川委員 そうすると、潮をかぶった木くずについては陸上処分が技術的あるいは制度的に可能であるということでしょうか。

○水野環境保全対策課課長補佐 それについては、もう少し検討の余地はあろうかと思います。

○清水委員長 ただ、余り絶対できないということでもなさそうな気がしますけれどもね。
 どうぞ。

○浦野委員 全般的にはこれでよろしいかと思うんですけれども、それから何人かの委員の方から免除基準について抜け道がないようにというご指摘がございまして、それはもう全くそのとおりだと思うんですが。逆に、今までの議論でいきますと、今後海洋投入処分が続くであろうと思われる品目というのはそれほど多くなくて、中身も割とはっきりしておるということです。そのため過剰な調査とか負担、検査を課すというのは、規制する側からすれば安全側でいいかもしれないけれども、全体としての社会負担、国がやるとしてもそれは税金でやるわけですから、そういうこともよく配慮して、本当に何が必要なのかというのをよく精査して、必要なことはしっかりやる、しかし余り必要でないことは免除するということは当然だと思うんですね。ですからその辺もやはり安全側、安全側ということで過剰な調査、あるいは過剰な分析等を強いることのないようにという配慮もぜひ必要だというふうに私は思いますけれども。

○清水委員長 ありがとうございました。
 免除基準についてはいろいろご意見をいただきましたけれども、実際にそこにも書いてありますように制度導入の段階で慎重にいろいろなことを検討しなければいけないということは、ご指摘のとおりだというふうに思います。
 この点は改めて報告書の中でも議論をいただくわけですが、ほかにいかがでございましょうか。
 

○高村委員 申しわけございません。幾つかご質問と意見を申し上げたいと思います。
 まず第1点目に2ページの[2]の3)のaのところですけれども、ここで潜在的な影響の検討に関して、累積的影響を評価するのか、許可申請する分の影響に限定して評価をするのかということをあらかじめ定めるというふうにあるわけです。あらかじめ定めることについては異論はないのですけれども、許可申請をする処分の案件だけの影響に限定をした評価というものが、そもそも議定書の趣旨からして意味があるのかどうか、どういうシチュエーションをお考えなのかどうかということです。
 つまり、それが与える影響を取り出して評価をするというのは逆に難しいのではないかというふうに思ったりいたしますが、この点についてご質問です。
 2点目ですけれども、3ページの[3]にかかわりますが、必要な情報の収集・調査というのは非常に重要だというふうに認識をしております。これはむしろ報告書全体の議論の中で申し上げる筋の話かもしれませんが、特に潜在的な影響の評価に当たって情報の公開と意見聴取、いわゆる影響の評価の段階について明記しておく必要があるのではないかという点が2点目です。
 それから3点目でございますが、監視のところですけれども、これは先回あるいは先々回の会合でも何人かの委員の方から関連するお話があったように記憶しておりますが、なかなか監視というものを国のレベルで能力を高めていくにしても制約がある。事業者による監視ということですが、事業者の場合、その監視結果に応じて許可の再発給が決まるということになりますと、それを客観的に担保する何らかの工夫というものが、第三者監視といったようなものが必要ではないかというふうに考えます。
 そして最後、これは質問ですけれども、先ほど細川委員の方からご質問があったことと関連いたしますが、内水の外側での、本来禁止をすべき廃棄物等の洋上焼却の現状というものがあるかどうか。全くないのであれば議定書批准上、何の問題もないかと思うんですけれども、こちらでは内水における焼却のみの現況についてご紹介があったと思いましたので、ご存じでしたらということです。
 以上です。

○水野環境保全対策課課長補佐 まず1点目でございますが、累積的影響なのか、許可の部分だけの影響を評価するのかということについていろいろ難しい点があるのではないかというご指摘だったかと思います。これにつきましてはまず技術的な話から申し上げますと、新たな許可の部分だけ取り出すということは、要するに累積的影響で評価するのか、新たな部分だけなのかというのは、いわゆるベースラインというものをどこに設定するかということでございます。その前の段階の現況というものをベースラインとすれば累積的影響になりますし、その前の許可が終わってその次の許可を出す段階での現状をベースラインとして、そこの現況把握のものを現状とすれば累積的影響になるということかと思います。したがいまして、ある程度、調査とシミュレーションなどを組み合わせれば、いずれにしても評価というものはある程度可能ではないかというふうに考えられます。
 ただ、もちろんそれがいいことなのかどうなのかということは検討の余地があろうかと思いますが、ここで本来環境への影響ということだけで言えばもちろん、累積的影響ということがいいということになろうかと思います。しかし、例えば許可更新の段階ですと前の許可からということもある場合もあるかもしれませんが、今既に、制度が入る前から継続的に投入している場合がありまして、どこまで遡及をしていいのかとかというようなことも考えると、いろいろ検討すべき点はあるのではないかということであります。
 それから、2点目といたしましては、住民への意見の公開だけではなくて聴取の部分ということでございますが、これにつきましては、前回、市民関与のあり方ということでご議論をいただいたというふうに思います。これにつきましては、報告書(案)では、市民関与の機会を確保するということで書かせていただいておりまして、確かに情報の提供の方だけではなくて、聴取も含めてその機会を確保するということについて検討させていただくことになろうかというふうに思います。
 それから、監視の部分で客観性を確保するということについて重要ではないかということでございます。これにつきましては、もちろん大変重要な点であろうというふうに考えておりますが、現在でも、例えば、判定基準への適応状況ですとかいろいろなところで事業者が主体的にやらなければいけない部分で、客観性の確保は重要な部分があるわけでございます。これにつきましては、評価といいますか、調査の方法ですとか調査期間などの一定の要件が定められているというようなことがありますので、そういった部分については、例えば、有害性の判定などにつきましては、評価がしっかりできるんではないかということが一つ。
 それからもう一つは、先ほど事業者による検討結果をどのように評価するかという部分で、必要に応じて専門家の意見を伺う必要があるのではないかということは、まさにそういった点も含めて、客観性がどれほどあるのかということも含めてご議論いただくという意味で書かせていただいたということでございます。そういった意味で第三者の関与というものをそういった側面で組ませるということができるのではないかというふうに考えてございます。
 最後に洋上焼却の部分でございますが、実績が内水の外であるかどうかということでございました。これは現在、ございません。
 以上でございます。

○清水委員長 よろしゅうございましょうか。
 ほかに。
 ありがとうございました。
 それでは、再度報告書の中でまたご指摘をいただくかもしれませんけれども、一応検討課題の残りの部分を終えたということにさせていただきまして、報告書(案)に移りたいと思います。
 それでは、ざっとまずご説明をお願いします。

○水野環境保全対策課課長補佐 それでは、資料4についてご説明させていただきます。
 なお、既に委員の先生方には事前にお送りをさせていただいておりまして、若干修正したところはございますが、基本的にはその線でございますので、非常に簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 まず1ページ目「はじめに」でございますが、ここでは以前の委員会で海洋の現況はどうかというようなご指摘もございましたので、現在は特に問題が見つかっていないけれども、予防的取り組みの考え方から、より厳格な廃棄物の管理が重要であるということを書かせていただきました。
 それから3ページからが本文でございます。3ページの最初、ロンドン条約96年議定書を巡る動きということで、1-1では議定書の概要をまず簡単に経緯と発効の見込みについて書かせていただいております。ここでは、以下ですべて「廃棄物等」ということで言葉を整理するということで注釈の5番に書かせていただきましたが、いろいろご議論いただきましたので、ここについては注釈でそのような整理をさせていただきました。
 それから1-2でございますけれども、廃棄物の投入等の現状でございますけれども、これについてはしゅんせつ物と下水汚泥と産業廃棄物に分けて整理をさせていただいて、我が国が世界最大レベルにあるというようなことを最後に書かせていただいております。
 ただし、これにつきましてはご指摘もございましたので、4ページの注釈の8にございますように、すべての国が報告をしているわけではないので、完全に把握されているわけではないというようなことについても補足をさせていただいております。
 ごく簡単に表1で主要国といいますか、投棄許可実績があった国すべての下水汚泥と産業廃棄物に限って実績を整理をさせていただきました。
 それから、5ページからは我が国における廃棄物等の海洋投入処分管理等の現状ということで、2-1は国内制度の概要でございます。これにつきましては、海防法と廃掃法で担保しているということで、品目指定、それから判定基準、排出海域、排出方法などについてごく簡単に紹介をさせていただいております。
 それから5ページの最後のところで、この制度は海洋環境保全のために必要な事項は、法制定時にすべて考慮されている、したがって法律上定められた要件を重視していれば環境への影響は生じないというようなことを前提とした概括的な仕組みであるというような簡単な評価を加えさせていただいております。
 6ページ目は海域図でございます。
 それから7ページの2-2でございますが、これは従来からの方針ということで、我が国が内外で表明をしている考え方として3つあるということを整理させていただいております。1つ目は陸上処分の原則、2つ目は海洋投入処分の禁止の継続、3つ目が海洋投入処分量の削減ということでございます。
 なお、そのほかに政府内のロンドン条約関係省庁等では「廃棄物海洋投入削減等に向けた今後の取り組みについて」というようなものを取りまとめて、一体的な取り組みを進めているというようなことについても書かせていただいております。
 続きまして、今後の廃棄物等の海洋投入処分等の在り方に関する基本的考え方ということで、ここからが本題ということになろうかと思います。
 まず、3-1が基本的考え方ということでございまして、一番最初のところでご議論いただきましたように、まず国際的にどうかということより前に、我が国としてどう考えるのかということが重要であるというご指摘をいただきましたので、その点を含めて、我が国として予防的取り組みの考え方を尊重していく必要があるということをまず初めに書かせていただきました。その上で、国際的にも我が国の動向に大きな関心が寄せられているということであるとか、あるいはWSSDの経緯などについて簡単に書かせていただいております。
 8ページにいっていただきまして、大きな基本的な考え方を4点に整理をさせていただいております。
 まず最初は、予防的取り組みの考え方を原則として、海洋国としての責任を果たすという観点から、国際発効におくれることなく96年議定書を締結することを目指して、早急に国内体制の整備を図る必要があるということでございます。
 このために、2番目として海洋投入が禁止されている廃棄物等については速やかに投入処分を中止する必要があるということでございます。
 3番目に、その他の廃棄物については陸上処分の原則を維持・強化してできるだけ減量化をするというのがまず1つだということでございます。
 その上でなお、やむなく海洋投入処分を継続するものについては、96年議定書の定めに従って新たな海洋投入処分管理の仕組みを整備する必要があるということでございます。
 3-2は品目についての評価でございまして、附属書Iへの対応ということでございます。
 まず1点目といたしましては、我が国が現在投入をしている廃棄物のうちで、廃火薬類等不燃性の一般廃棄物については附属書Iに該当しないということでございますので、これについては速やかに海洋投入処分を中止する措置が必要であるということでございます。
 2番目は、現在、投入が認められている廃棄物についても、実際は実績としてないもの、あるいは速やかに中止される予定のものについては、今後の見通しを勘案して順次、投棄可能品目から外していくことが妥当ではないかということでございます。
 3番目は、水底土砂のうち特定水底土砂、有害水底土砂、それから指定水底土砂については、その区分を中止する必要があるということでございます。
 続きまして、9ページのところは3-3の附属書IIへの対応ということでございまして、新たな個別許可制度で有期限の仕組みを設ける必要があるということでございます。
 なお、この部分につきましては事前に塩田委員からご指摘をいただきまして、許可がある程度の複数年にまたがるようなことになりますと個別の投棄に当たっての法律が遵守されていることをちゃんと国が確認する必要があるのではないかというご指摘をいただきましたので、[1]の最後のところに「また、許可を受けた廃棄物等が適法に排出されることを国が確実に把握できる制度も必要である」ということを補足をさせていただきました。
 それから2番目、3番目は基本的な考え方として、予防的取り組みの考え方と汚染者負担の原則の考え方を踏まえる必要があるということでございます。
 4番目は、附属書に沿った制度とするということ、それからできるだけ廃棄物評価ガイドラインも尊重する必要があるということを明記してございます。
 続きまして、個別品目についての評価が10ページの下のところから、実際上11ページからございます。
 まず、廃火薬類でございます。廃火薬類はさらに細分類で3つに分かれてございます。
 まず、不良弾等でございますけれども、これは自衛隊から生じるものでございまして、廃火薬類はいずれも96年議定書の品目には該当しないので投棄ができないものとなりますが、これにつきましては陸上処分が既に行われている部分もかなり多いというところでございまして、技術的な障害はないと考えられます。したがいまして、速やかに必要な措置をとって海洋投入処分を中止すべきであるというまとめとさせていただいております。
 続きまして、不発弾でございます。
 これは第二次大戦等に起因するものでございまして、この評価につきましては不発弾は国の責任において陸上処分に移行すべきものであるということで、現在は、ヒアリングをいただきましたけれども、所管が明確でないというような理由から、体制の整備等が十分に進展していないということでございます。これは国が十分な責任を果たしていないのではないかということであります。したがいまして、国は不発弾をすべて陸上で処分するための体制を早急に整備するべきであるということでございます。
 なお、以下のところでは特殊なものが一部あるというような指摘もございましたが、外国の例など鑑みますと、処理施設の整備ということまで含めて考えれば、そういった技術的な問題というのはないのではないかということを補足をさせていただいております。
 続きまして、12ページでございます。押収爆発物、猟銃用廃火薬類等でございます。
 これにつきましての評価でございますが、これについても技術的な障害はないと考えられますので、速やかに必要な体制を整備して海洋投入処分を中止すべきであるということでございますが、猟銃等の廃火薬類については警察がボランタリーに集めているような紹介がございまして、そのときに治安維持とのバランスが重要であるというようなご指摘もあったかと思います。このため、陸上処分の要請と治安維持上の要請との両立を図る必要があるということで、そのための仕組みを生産者も含めて関係者間で検討することが望まれるということを補足をさせていただいております。
 続きまして、不燃性一般廃棄物でございます。
 これも2つに分けられます。まず、ごみピット水ですが、これにつきましては一般廃棄物の処理施設のごみピットにたまった汚水ということでございまして、附属書Iの品目には該当しないということが考えられます。ただし、これは実際に現在投入をしているのが2自治体のみで、技術的にも困難はないということでございますので、速やかに海洋投入処分を中止すべきであるという整理とさせていただいております。
 次に、ためます汚泥でございますが、これにつきましては不燃性一般廃棄物という区分にはなってございますけれども、前回のヒアリング等で明らかになったように、実際上は下水汚泥というようなものということでございますので、品目的には投入処分が継続可能ということで整理を直させていただいております。しかしながら、実際、技術上の問題等はないということでございますので、13ページの上のところにございますように速やかに投入処分を中止すべきであるという整理とさせていただいております。
 それから続きまして、浄化槽に係る汚泥・し尿でございます。
 これにつきましては、評価のところを、若干表現ぶりを修正をさせていただいておりますが、できるところは速やかに海洋投入処分を中止すべきであるということで、既に中止の措置が法的にはされておりまして、平成19年1月末で中止ということになってございますが、できるところから速やかにやるべきであるということをはっきりとさせていただいております。
 なお、「また」以下に書いてございますように、今後投入がやむを得ない場合であっても行動基準、判定基準の評価を含めて附属書IIへの対応が必要であるということでございます。
 なお、以下の品目はすべて附属書IIへの対応が必要な品目になります。
 続きましては、赤泥でございます。
 これにつきましては、前回の検討資料でも削減努力が必要であるということは書かせていただいておりましたが、実は、国際的にも削減努力を表明しておりまして、その段階で海洋投入処分の中止を視野に入れつつというようなことも宣言をしているというようなこともございますので、そういったことを視野に入れて削減していくということで、以前のものよりも強化した形で整理をさせていただいております。
 14ページにいっていただきまして、建設汚泥でございますが、これにつきましては建設リサイクル推進計画2002の着実な推進で海洋投入処分量を削減していくということで、変更ございません。
 それから次、動植物性残さでございますけれども、これにつきましても基本的には中止することで技術的な障害はないということだというふうに考えられますが、零細企業なども多いということでございましたので、体制の整備を早急に進めて取り組んでいく必要があるということに整理をさせていただいています。
 家畜ふん尿につきましても、技術的には問題ないのではないかということで法律の整備もされたということで、それに向けて努力をしていく必要があるということで整理をさせていただいております。
 そのほかのものにつきましては、15ページのその他ということで整理をさせていただきましたが、実は前回は下水汚泥については別途項目を立てて記述をさせていただいておりましたが、前回のヒアリングの結果といたしまして、これについては速やかに中止をするというようなことが表明をされておりますので、これについてはほかのものと並びでここに簡単に2005年度中に取りやめる予定となっており、今後は行われないものと考えられるという簡単な整理とさせていただいております。
 なお、同様な整理としては、糖蜜廃液、焼酎粕、それから動植物性残さのうちかんきつ類というようなものがございます。
 続きまして、水底土砂でございますけれども、これにつきましては投入が今後とも継続せざるを得ないということが考えられますが、先ほど申し上げましたように指定水底土砂、有害水底土砂等については、処分を中止して現在の一般水底土砂のみを海洋投入処分ができるものとすべきであるということにまとめさせていただいております。
 16ページからは、今度は実際上、投入が禁止された廃火薬類等ではない残りの、今後とも場合によっては投入が継続される廃棄物についての管理の在り方と仕組みの具体的内容について整理をしてございます。
 基本骨格は5-1のところに書かせていただいております。
 まず、許可の申請主体でございますが、これについては情報が十分である、あるいは判断ができるということで排出事業者が適切であるということでございます。
 続きまして、審査主体でございますが、これについては基本的には国とすることが適切であるということでございます。しかしながら、既存の制度等で自治体が主要な役割を担っているというようなこともございますので、必要に応じて自治体との連携も重要であるということを書かせていただいております。
 続きまして、17ページのところでございますが、市民関与の在り方でございます。
 ここにつきましては、先ほどもご指摘がございましたが、透明性の確保、説明責任の遂行、あるいは条約の集約等の観点に鑑みて市民関与の機会を確保する必要があるということでございます。
 それから許可の有効期限でございますけれども、これにつきましては実態を踏まえつつ、余り長期とならないような適切な期間とする必要があるということでございます。しかしながら、一律に決めてしまうのではなくて、品目の特性等を勘案して柔軟に定めることができる仕組みとする必要があるということでございます。
 以上が基本的な骨格のところの整理をさせていただいた部分でございます。
 続きまして、5-2といたしまして、附属書IIが求める仕組みへの対応の考え方ということでございまして、もう少しブレークダウンした考え方を整理をさせていただいております。
 まず最初が、(1)といたしまして廃棄物抑制審査等ということでございます。
 これにつきましては、18ページに[1]、[2]、[3]とございますように、具体的にどういったことを排出事業者が申請時に明らかにする必要があるのかというようなことを整理をさせていただいております。
 また、2番のところではできるだけ定量的に記述を求めていくことが必要であるということ、それからいわゆる産業廃棄物とその他の例えば下水汚泥、一般廃棄物、それから水底土砂などでは発生形態等に差異があることを考慮する必要があるということを書かせていただきました。また、これは今回の議論をいただいたところと同じですが、国はガイドライン等を整備して検討内容等を明確にしておく必要があるということでございます。
 それから、関連情報の収集・整理というようなことについても書かせていただきました。
 それから続きまして行動基準でございますけれども、行動基準については19ページの上のところに[1]、[2]、[3]というふうに整理をさせていただいております。
 まず、行動基準、我が国で言いますと判定基準というものでございますが、今後、投入が継続されると見込まれる廃棄物のうちで判定基準が設定されていないのは、し尿・し尿浄化槽汚泥だけということになりますので、この部分についても有害物質の含有量に基づいた判定基準の設定が必要であるということでございます。
 それから2番目は、既に申し上げましたように、水底土砂につきまして特定・有害・指定の区分については廃止すべきであるということでございます。
 それから3番目といたしまして、将来的には海洋生態系保全の観点も加味した基準というものも検討していく必要があるということでございます。
 続きまして3番目、排出海域の選択でございますが、これにつきましてはまず基本的な考え方として、大枠を国が定めておいて、その中で排出事業者が個別の投入地点を選択する。その選択にあたって、潜在的影響の検討をするというような仕組みが必要であるということでございます。
 20ページにいっていただきまして、しかしながら現在の排出海域の選定の在り方については、適宜見直す必要があるということでございます。
 その具体的な内容が20ページの真ん中以降に書いてございますけれども、まずA海域につきましては、現在有害物質を含んでいる廃棄物等を固化したものを投入海域として定められているわけでございますけれども、これにつきましても廃止することが適切であるということでございます。
 それから、A海域は緊急避難時の投入海域としても定められているわけでございますが、緊急避難ということでありますと、もう少し柔軟な仕組みとした方がいいということを整理させていただいております。
 それから、ほかのC海域、F海域についてでございますが、これについては21ページの上のところに書かせていただきましたように、排他的経済水域に相当する海域にとどめることが適当であるということで、排他的経済水域というのがはっきり線引きがなかなか難しいところがありまして、今のところ「相当する」というようなことで便宜的に書かせていただいております。
 それから、排出方法につきましては、現行法では排出海域と排出品目とセットになるような形で定められておりますので、当面の間は現行の定めを維持することが適切であるということでございます。しかしながら、将来的には技術的な進展等を踏まえて弾力的な制度とすることも考えられるということでございます。
 21ページの5番以降は、今回ご議論をいただいたところでございますので省略をさせていただきますが、項目だけ申し上げますと、潜在的影響の検討等、それから23ページが監視、それから24ページが許可の見直し・更新制度、それからその他の必要な措置ということで、先ほどご指摘をいただいたところは修正をさせていただくということを前提にそのままの文書を引き写させていただいたというふうに考えていただければと思います。
 最後に「おわりに」が26ページにございますが、パラグラフが幾つかございますが、まず最初に理念を書かせていただきまして、それから国際的な動きとして予防的取り組みの考え方が出てきて、WSSD等でこんな動きがありましたということを書かせていただいております。
 それから、96年議定書の締結ということをどう評価するかということが3つ目のパラグラフに書かせていただきまして、これは前回ご指摘をいただきましたので、単に96年議定書の責務を果たすということだけではなくて、海洋環境保全の取り組みの第一歩とすべきというようなことをご指摘いただきましたので、その部分を明記をさせていただいております。
 それから、その次の2つのパラグラフはごく簡単に、現在の投入をやめるための努力についての評価をさせていただいております。まず最初のところでは、多くの分野で努力が積極的になされているということで、これについては評価できるということを書かせていただいております。
 「しかし」以降のところでは、一方で残されている問題も少なくないということで、第二次大戦に起因する不発弾を特に例として挙げさせていただきましたが、ごみ捨て場ではないというようなことで、しっかりやるべきだということをご指摘をいただいたところをはっきり明記をさせていただきました。
 以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 これからご意見をいただきますけれども、今ありました免除基準の修文についてははっきりさせてしまった方がいいと思いますので、まず22ページをご覧をいただけましょうか。
 [5]でございますけれども、「これ以下の処分量であれば」というのをまず取ります。それに対応いたしまして、それの下の行に「これを満たす(下回る)規模の処分」とありますが、「(下回る)規模の」も要らないと思いますので、「これを満たす処分」というふうにしてしまってはいかがかと思います。一応そんなようなことでこれからご議論をいただきたいと思います。

○水野環境保全対策課課長補佐 もう1点、23ページの一番上の(b)のところの「同一品目を」というのも取らせていただきます。

○清水委員長 それから、「同一地点」は「同一海域」。
 ということで、これを原案としてご議論をいただきます。
 塩田先生、早目にご退席ということを伺いましたが、先にご意見をいただきましょうか。

○塩田委員 発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
 私は今までのこの問題についての検討について、技術的観点からの知見がもともとございませんので、その点については皆様方のこの場における検討が非常に順調に進められたことを大変喜んでおります。
 海洋の法令の遵守につきまして私はちょっと意見があったんですが、海洋の法令の遵守については、条約でいろいろな制度が定められて、それを条約を締結する国が国内法を制定するに際して、国内法が整備されているということは当然なんですが、実際にそれがどの程度守られているかということについての開示の制度につきましては非常にばらつきがございます。
 どの程度これが完全に遵守されているかということは、ほかの海洋汚染の分野以外で、海上の安全の問題がございますが、非常に問題がいろいろあるということで、世界各国が条約で決められていることが本当に守られるようにしようということでいろいろ努力が続けられております。皆様、北朝鮮の関係で船舶の安全性についての検査を強化したということをご存じだと思いますが、そういう制度も最近、各国政府が努力した一つの例でございます。そういう意味で、この制度が国内における検討においてそれが遵守されるということを確認されながらこのような基準がつくられたということは、これが我が国においては完全に遵守されるということを意味すると思いますので、そのようなことが確実に関係当局によって把握されるということも意義があることであろうと思います。その点について先ほどはっきり明文化していただいたということも、意義があることだと思います。
 したがいまして、以上をもちまして、私はこの内容について一応読ませていただきましたけれども、特段の異議はございませんので賛成でございます。
 発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

○清水委員長 ありがとうございました。
 それでは、これから順次ご意見をいただきたいと思いますけれども、構成については前回、これでよかろうということでお認めをいただきましたので、この構成については改めて伺いませんが、まず書きぶりについて1、2あたりで何かお気づきの点ございましょうか。7ページまで。
 また最後に全体を見直していただくということで。
 それでは3、基本的な考え方についていかがでございましょうか。ここは、基本的考え方と附属書への対応ということでございます。
 どうぞ。

○小林委員 1点だけ確認なんですが、8ページの上のところの[4]ですが、「その上でなお、海洋投入処分を継続せざるを得ない廃棄物等については」という言葉なんですけれども、今は海洋投棄をしていないが、将来的に新たなそういう品目が出てきて海洋投棄をせざるを得なくなるような事態というのがないというふうに、もう考えていいんでしょうか。逆に言いますと「継続」という言葉にひっかかるんですけれども、そういうふうな部分が出てきたときは、やはりもう一度再検討というのがあるのかな。
 だとしたら、例えば「海洋投入処分を行わざるを得ない廃棄物等」というふうにしておいた方が、将来的にはどうかな。これは決意として、しないんだと割り切れば終わりなんですけれども、いかがなんでしょうか。

○水野環境保全対策課課長補佐 今の点につきましては、決意として、新たな品目は海洋投入処分をしないということだと思います。そのことにつきましては、7ページのところに、既に我が国がどのような基本的な方針で取り組んできたかというようなことも前にも整理をさせていただきましたが、その[2]のところにございますように既に現在禁止をしているものは今後とも禁止をしていくというようなことを国内外にも表明をしてございまして、政府一体としてそういった方向で取り組んでございますので、そういったことが原則になると思います。ただ、もちろん緊急避難というようなことについては場合によっては出るかと思いますが、これについてはここの文脈で整理をすることではなくて、また海域のところで若干書かせていただきましたが、ここは基本的な流れとして書かせていただいたところでございますので、そういった例外ではなくて継続的に投棄をされるものという意味では今後、新たなものが出てくるものはないというふうに整理をさせていただいたということでございます。

○清水委員長 よろしゅうございましょうか。一応、しないという決意で、[4]の上にある[3]が「基本とするべきである」ということでそこでも言っているようにも思いますが。
 ほかに3に関しまして。
 どうぞ、高村先生。

○高村委員 この基本的な考え方ないしは「はじめに」なり、一番最後のところでもよろしいんですけれども、96年の議定書の趣旨は海洋環境の保護というところにもあるんですが、海洋生物資源の保護という観点も強く持っているというふうに理解をしております。特に、我が国の場合には漁業の育成といいますか、そうした問題もあるかと思いますので、何らかの海洋資源の保全という趣旨も加えていただけるといいなというふうに思います。

○細川委員 関連で。第一回の専門委員会での浅野先生からのご指摘もあって、これの目的規定について格調高く書きなさいというところがあったと思います。高村先生のご指摘もあって、「我が国のたんぱく源のかなりの部分を水産物に依存している。水産物は世界の海からとられてきている。したがって、世界の海を守っていく、環境を守っていくのが我が国の国益になる」というような趣旨のことが前書きか後書きかどこかに書き込み、したがってここで海防法を変えましょうという脈絡で整理していただいたらと思います。高村先生のご指摘と関連してです。

○清水委員長 どうぞ。

○水野環境保全対策課課長補佐 今の点につきましては、議定書の一番最初にも、この議定書の締約国は海洋環境を保護し、並びに海洋資源の持続的利用及び保存を促進する必要性を強調しということでまず最初に書かれてございますので、そういった点につきましては、文章についてはちょっと検討させていただきたいと思いますが、何かしらつけ加えさせていただきたいと思います。

○清水委員長 どちらかと言えば、「はじめに」の方がいいですかね。修文を考えたいと思います。
 ほかにどうぞ、3に関しまして。
 特にご発言がなければ、4にまいりましょうか。
 これはそれぞれ個別の品目に関して、前回のヒアリングに基づいて現状と評価それぞれ……
 どうぞ。

○須藤委員 4につきましては、特に廃火薬類は前々から指摘をしてきたわけでございますが、処分を中止すべきであるというようなことで、現状の段階からしたらやむを得ないのかもしれない。文章を変えろという意味ではないんですが、「すべきである」というのの見通しをきちっとお立てになっておかないと、だめだったよということで、さっき予算もとれないかもしれないなんておっしゃっていられたんだけれども、あまり今の段階から弱腰だとこの辺はうまくいかないかなと。すべきであるのはいいんですけれども、そういうコメントです。
 それから2番目も同じようなコメントになるんですが、ここでいろいろ議論した結果、その他に入っているような、例えば下水汚泥なんかがもうすぐに、これは許可が与えられればできる品目であっても我が国として対応してくださると、大変いい方向に向かっていると思うんですが、残念ながら浄化槽汚泥とかし尿についてかなりの量が、自治体の数も282自治体とおっしゃっていられるので、150万キロリットルというのは相当の量ですよね。これはまた評価をしながらこのままやるということになるのかもしれませんが、平成19年1月、中止はされるというものの、まだまだ期間が相当あるので、ましてこれは環境省の地球環境局のお仕事でありながら、おひざもとである廃・リ部の部分がここが一番目立ちますよね、何しろ処分量からして。これはもう少し何とか、それは前倒しとか努力するとか何かにしていただかないと、ちょっとかなり目立つので。やむを得ないというんでしたら、今日は廃・リ部の方もいらっしゃらないからお答えいただけないでしょうけれども、調整した結果がこうなのかもしれません。ちょっとコメントはいただきたいと思います。

○水野環境保全対策課課長補佐 2番目の点でございますけれども、浄化槽に係る汚泥につきましては、やはり我々といたしましてもほかのものが陸上処分に向けて努力されて、これも当然努力はしているんですけれども、これだけ残っていくと、現実としてそういうことがあるということがあって、これについてさらなる努力ができないのかというようなことについても中でもいろいろ議論をさせていただきました。
 ヒアリングのときにも須藤先生からもご指摘をいただいたかと思いますが、仮に平成19年1月末に中止ということになっているにしても、全部が全部そこまでずっと出していて突然、平成19年1月にガタンと減るようなことであってはいけないし、実際ないだろうというようなことがあって、できるところは早くやっていくという理解です。全部平成19年1月を前倒しにできるかというとなかなかそれは難しいということであったんですが、そうではなくてできるところについてはできるだけ前倒しをしていくということはやっていくべきだろうということで、ここでもそういった趣旨を含めて可能なところから速やかにということで書かせていただいたということでございます。ご指摘はよく承知をさせていただいております。

○清水委員長 この議論を前にしたときに、とにかく見通しをつけてくれないかという話があったわけです。そこのところが「計画的に行い」という文章に多分なっているんだろうと思いますけれども、そういったものを明らかにした上で、今、浦野先生からそこの文章の「中止していく必要がある」ではなくて「中止すべきである」にしたらどうだというようなお話がございました。

○浦野委員 多分、ほかのところが何とかすべきであるといって、ここだけがちょっといかにも。でも、これ「すべきである」にしても実質的には何も変わらないで、むしろ決意をはっきりした方が、自分のところだけ何か緩いみたいな感じにとられないでよろしいんじゃないかと思うんです。

○清水委員長 どうぞ。

○荒井環境保全対策課長 ご指摘ありがとうございました。ご指摘の点につきましては、また廃・リ部にもよく伝えまして、私どもとで、環境省の中ということでございますが、ぜひ前向きに調整をさせていただきたいと思います。
 それから廃火薬等につきましても、自衛隊さんの方では例えば不良弾等についてはまだ技術的に、例えば輸入しているいろいろな武器で要らなくなったものとか技術開発をしなければいけない部分もあるということではございますけれども、少なくとも不良弾等についてはきちんとやるというふうに言っていただいております。
 今後、不発弾、それからその他の押収爆発物等についても調整を鋭意していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○清水委員長 4の部分に関して、ほかにさらにいかがでございましょうか。
 特によろしければ、5に移らせていただきます。今後の海洋投入管理制度の在り方。
 今、4で思ったんだけれども、海洋投入「処分」を入れて「海洋投入処分管理制度」ではないでしょうか。

○水野環境保全対策課課長補佐 そうです。

○清水委員長 この辺、申請主体、審査主体、それから市民関与の在り方、許可の有効期間等いろいろな問題をご議論いただきましたけれども、書きぶりに関して何かお気づきの点ございませんでしょうか。

○高村委員 2点ほどです。
 1つは、17ページの市民関与の在り方。
 先ほどご発言させていただいたところとかかわりますけれども、恐らくそういう趣旨でお書きなんだろうというふうに理解をしておりますが、できましたら潜在的影響に関するデータ、あるいは監視データを含めた許可申請、あるいは許可についての情報公開と意見を述べることができるという趣旨を反映していただければというふうに思うことです。
 許可に関わりさまざまな情報があると思いますが、とりわけ環境影響にかかわる部分について明記をしていただければよいなというふうに思います。
 2つ目は、20ページの海域の設定のところですけれども、これは内容的なもの、趣旨の点というよりは条約上の理解の問題ですけれども、排他的経済水域というのが注意書きにございます。排他的経済水域とは、沿岸国が当該海域の海洋環境保全の義務を負う海域であるというふうに書かれておりまして、本文のところでも、「わが国の海洋環境保全義務が及ぶ」というふうに20ページの最後のところがなっておりますが、正確には海洋環境保全の管轄権を有するというのが正しいのではないかと思います。海洋環境保全義務そのものは国連海洋法条約で排他的経済水域、公海問わずかけられている義務だと思いますので、その点をご訂正いただくのがよいのではないかと思います。
 以上です。

○清水委員長 ありがとうございました。
 200海里に関してはそういうふうな形で修文をさせていただきます。

○水野環境保全対策課課長補佐 市民関与の部分につきましては、太い字の下のところで少し個別申請・許可について情報公開、自由に意見を述べることができるシステムというようなことを書かせていただいておりますので、ここに若干環境影響等の情報を含めてというのを補足をさせていただきたいと思います。

○浦野委員 市民関与の在り方についてもう少し早い時期にご質問すればよかったのかもしれませんけれども、いわゆる通常の市民という感じの方と、関連自治体の意見は当然どこかの機会に聞かれると思うんですけれども、漁業関係者とか直接利害にかかわる方の意見というのは、通常のパブリックコメント等とはまた違って意見聴取する必要があろうかと思うんですが、これについては何かこの市民関与の機会ということの中に含まれるのか、また別に考慮されていると理解をしていいのかということをちょっと補足のご説明があればと思うんですが。

○水野環境保全対策課課長補佐 ここの部分については、市民関与のところについてご議論いただいた2回前だったと思いますが、そのときにも幾つかの論点があるのではないかということでご議論をいただきました。
 現在、今後もですが、廃棄物が捨てられる海域というのは、水底土砂は近くでありますけれども、主として例えば赤泥などですとかなり外洋で100海里とか向こうのところで投入をされていますので、むしろ関係市民という概念ということで限定するよりも、広く国民一般に対象の範囲を定めて意見の聴取ですか、公開の対象を定めた方がいいんではないかということでご議論いただいて、それを受けてここにこういうふうに書かせていただいたということでございます。

○浦野委員 その点は理解をしているんですけれども、いわゆるそのほかの関係者の意見というのは、その前の審査の段階でいろいろ必要に応じて聞くという理解でよろしいですか。

○水野環境保全対策課課長補佐 そうですね。

○清水委員長 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。

○小山委員 2点あります。
 19ページのし尿・し尿浄化槽汚泥についてですが、これは有害物質の含有量に基づいた判定基準を新たに設定するというふうにありますが、これは人づてに聞いているので確かかどうかわからないんですが、医薬品の環境影響評価について世界的に今検討が進んでいるというふうに聞いていますが、し尿についてこれは適用になるのかどうか、ちょっと一つ心配な点があるということ。
 それから前回あるいは前々回の議論でも出たと思うんですが、生態影響についてきちっとやはり導入すべきだということですが、今日のこの報告書の中には生態影響について何らかの記述が、私はさっきからめくって見ているんですが、例えばその方法について今後環境省として発展させるとか、そういうような意思表明みたいなものはどこかにあるんでしょうか。

○清水委員長 後の方のご指摘に関しては、その下の[3]のところで「将来的には、海洋生態系保全の観点を加味した判定基準の確立について」ということで、現在水質の環境基準についても生態系を考慮した亜鉛についての議論がありますけれども、ああいうのが順次行われていけば今のお話のようなこともカバーされると。
 どうぞ。

○浦野委員 個別の物質、亜鉛とかその他個別物質についての基準というのは今後も増えていく、生態系保護を考えた視点でふえていくと思うんですが、今のように例えば医薬品もありますし、汚泥のような場合、あるいはし尿でもそうですけれども、何が入っているかよくわからないということで、個別物質だけでは対応し切れない。前回お話しもしましたけれども、例えば廃棄物と同じような溶出液について藻類、ミジンコ、魚、3点セットですけれども、そういうものの毒性試験をするというような方法ももう既に確立されつつあるものですので、そういった生態影響そのものを個別成分ではなくて毒性そのもので判定していくというのが、欧米では既に10年以上前から取り入れられているわけですから、日本もそういう視点も今後十分ご検討いただきたいというふうに思います。

○清水委員長 その辺は十分にわかるんですけれども、全体としての今のシステムがこうなっているので、ここで余り突出するわけにもいかないというので、どこかにもしも書き込めれば何か書き込みたいというふうに思いますが。
 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。
 そうしたら、「はじめに」「おわりに」も含めて、全体としてさらに何かお気づきの点がございましたらお願いをしたいと思います。
 前回、いろいろなものに関して陸上処分ができる技術がありながらまだ海洋投入処分をやっているということに関しては、国がきちんとした対応をしなければいかんよというご意見がありましたので、その辺がここに主に書かれているというふうには思いますが。
 どうぞ。

○須藤委員 新たな意見というよりも、「おわりに」をさっと読ませていただいて、前回いろいろな先生方、私も申し上げたわけですが、その議論の内容を非常に格調高くおまとめいただいたというふうに思って、感謝申し上げたいと思います。
 しかしながら、先ほどちょっと申し上げたように環境省のものが残っているのが非常に残念だということをもう一度、この格調高い割に残念だというふうに申し上げておきたいと思います。

○清水委員長 ありがとうございます。
 ほかに。
 よろしゅうございましょうか。そうしましたら、ついでにこういう参考資料がつきますという参考資料が本文の後に1から6とございますけれども、これは要らないだろうというようなお話ではなくて、こういうのもつけておいた方がいいんではないかというようなことでお気づきのことがございましたら何かご意見がいただければと思いますが、ざっと見ていただければと思いますが、いかがでございましょうか。
 特に参考資料4は取り組み等の状況ということで、この辺は環境省のところの書きぶりはどうなっていたでしょうか。これは既存の資料を持ってきたということでございますので、こういうのをつけるのが適切であるということをお認めいただければ、このようにさせていただきたいと思います。
 あと特にご意見がございませんでしたらば、一応こういうことで今日ご意見をいただきまして、まだ修文をさせていただきますというような宿題をいただきましたけれども、一応勝手でございますけれども、私にお任せをいただきまして、それで事務局とも相談をしながら修文をさせていただいて、部会にご報告をさせていただくということにさせていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、もし他になければ、今後のスケジュールについて事務局からちょっとご説明をいただけますか。

○荒井環境保全対策課長 ありがとうございました。
 ご議論いただきました専門委員会報告書(案)につきましてでございますけれども、本日、96年議定書の趣旨の書き方、市民関与あるいは生態影響等についていろいろご指摘をいただきました。委員長からもご提案がございましたとおり、これらの議論につきましては清水委員長のもとで事務局におきまして適宜修正をいたしまして、冒頭、局長からもございましたように31日の地球環境部会にご報告をさせていただきたいと存じます。
 その後、1カ月のパブリックコメントの手続を経まして12月の中旬、また日程を調整させていただきますが、今のところ18日ぐらいを予定してございますが、その開催予定の地球環境部会におきまして、答申案の一部としてご審議をいただく予定となってございます。
 その際、専門委員会報告書として修正すべき点等が出るようでありましたら、清水委員長にご判断をいただきまして、必要に応じて修正をいただければというふうに存じております。もちろん専門的な事項につきまして重大な変更が出るようでありましたら、また委員の方々のご意見等も伺いながら対応させていただきたいと存じます。
 したがいまして、本専門委員会としてお集まりいただくのは、現時点では事務局としては本日が最後になろうかと考えております。
 本日の資料につきましては、公開とさせていただきたいと思います。議事要旨につきましては、委員長にご確認をいただき公開し、議事録につきましては各委員にご確認をいただきました後に公開をさせていただきたいと存じます。
 大変長い間、どうもありがとうございました。

○清水委員長 ありがとうございました。
 それでは、閉会に当たりまして局長から何か。

○小島地球環境局長 おまとめをいただきまして、どうもありがとうございました。非常にタイトなスケジュールの中で4回開いていただきました。
 今後の手続は、今、荒井課長の方から申し上げたとおりでございますけれども、答申をいただきました後、制度化に向けましてまだまだ関係者と調整をしなければいけない事項が残っております。調整を進めながら、立派な仕組みをつくり上げてまいりたいと思っております。
 最後に、繰り返しになりますけれども、委員の方々のご協力に感謝を申し上げまして、あいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。

○清水委員長 どうもありがとうございました。
 今、局長からもございましたように大変短い間に4回も専門委員会を開きまして、あまり普通の専門委員会でこういうことをやらないんですけれども、今日報告書をまとめることができて、大変に私もご協力に感謝を申し上げる次第でございます。
 今のごあいさつにもありましたように、これは在り方についての考え方を示したわけでございますので、これをもとにしてきちんとした制度をつくっていただきたいというふうに思います。
 今後、手続があってその後で答申ということになるようでございますので、それを受けて制度ができるということになります。本当に短い時間にご協力をいただきまして、ありがとうございました。
 これで海洋環境専門委員会を閉会をしたいと思います。ありがとうございました。

午前11時44分閉会