中央環境審議会地球環境部会「目標達成シナリオ小委員会」第3回会合議事録

日時

平成13年4月26日(木)15:00~17:30

場所

虎ノ門パストラル6F 藤の間

出席者

(委員長)西岡秀三
(委員)飯田 哲也
浦野 紘平
小高 松男
佐土原 聡
槌屋 治紀
水谷 洋一
渡辺 征夫
内山 洋司
太田 勝敏
木谷 収
大聖 泰宏
中上 英俊
森田 恒幸
(事務局)山田大臣官房審議官
小島大臣官房審議官
浜中地球環境局長
後藤総合環境政策局調査官
寺田総務課長
竹内地球温暖化対策課課長
石飛地球温暖化対策課調整官
角倉地球温暖化対策課課長補佐
世一地球温暖化対策課課長補佐

議題

(1)運輸部門における現行施策の評価と今後の削減ポテンシャルについて
(2)HFC等3ガス部門における現行施策の評価と今後の削減ポテンシャルについて
(3)その他

議題

資料1運輸部門における現行施策の評価と今後の削減ポテンシャル
資料2HFC等3ガス部門における現行施策の評価と今後の削減ポテンシャル
資料3EUにおける部門別の温室効果ガス排出削減の経済性評価について
(運輸部門HFCs、PFCs、SF6)
参考資料1温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会報告書へのコメントに対する回答
参考資料2地球温暖化の日本への影響2001概要
参考資料3主要な社会経済活動量の想定

議 事

午後15時00分開会

○西岡委員長 本日は、ご多用にもかかわらずご参集いただきどうもありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会「目標達成シナリオ小委員会」の第3回目の会合でございますが、開催いたします。
 議事に入ります前に、資料の確認を事務局からお願いしたいと思います。

○世一補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず最初にございますのが議事次第1枚紙でございます。それから座席図がございます。それから資料1としまして、運輸部門における現行施策の評価と今後の削減ポテンシャルという資料でございます。それから資料2としまして、HFC等3ガスに係る現行施策の評価と今後の削減ポテンシャル。それから資料3としまして、EUにおける部門別の温室効果ガス排出削減の経済性評価について。これは1番として運輸部門、2番でHFC等3ガスに分かれて書かれております。それから参考資料ですが、これはまだお見えではありませんけれども、水谷先生の方からシナリオ検討会の資料の報告書についてご意見、コメントをいただいておりまして、それに対する回答を事務局で用意させていただきましたのでそれを参考資料として添付させていただきました。それから参考資料2として、地球温暖化の日本への影響2001、概要でございます。それから参考資料3でございますが、主要な社会経済活動量の想定、これは参考資料1の方で質問されている内容に対応して付けさせていただいたものでありまして、シナリオ検討会の補足的な資料とご理解いただきたいと思います。
 以上、ございますでしょうか。

○西岡委員長 ほかに、出欠表について。

○世一補佐 済みません、それから先生方の資料の一番最後に次回以降の会合の出欠確認表、これは前回の委員会で欠席された先生、それから今後の出欠は未定と書いていただいた先生方にのみ配ってあるかと思いますけれども、会議終了後事務局に今後の予定のところを○印を付けていただいてお渡しいただければと思います。では、よろしくお願いいたします。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 後ほどお話があると思いますが、次回は5月10日に予定しておりますのでよろしくお願いいたします。資料でもし足りないものがありましたら、事務局の方にお申しつけください。
 それから、本日は、現在3時でございますけれども5時半までの審議を予定しております。本日は2題主要な議題がございますけれども、適宜割り振って進めたいと思います。また、前回と同様本小委員会は原則公開としておりまして、会議の議事録についても出席された委員のご了承を得て公開することにしたいという具合に思っておりますので、よろしくご承知おきください。
 それでは、今日の議題に入ってまいります。
 最初の議題は、運輸部門における現行施策の評価と今後の削減ポテンシャルについてということで、最初に事務局の方からご説明をお願いいたします。
 私、その前にもう一度この会自身の作業の内容についてちょっと申し上げておきますけれども、京都議定書にあわせてターゲットに向けてどれだけ減らせるかと、それぞれの部門でどれだけ減らせるかということを審議するのがこのシナリオ小委員会の目的でございます。前回お話しましたように、基本的にコストカーブみたいなものを頭に浮かべていただきまして、それをどれだけうまく書けるかと。それから、そのコストカーブみたいなものがいろんな制度によってどういう具合に変わっていくだろうかということを念頭にまとめていきたいという具合に考えているということが一つ。
 それから、今回の討議の中では、特に今日は例えば運輸部門でございますけれども、運輸部門に限ってどういう制度を導入すると効果的に減らせることになるだろうかといったことについて、このボトムアップの立場から皆さんのご意見をいただきたいというのが第2点でございます。
 それから、第3点、これは今日の議題ではございませんけれども、前回から個別のボトムアップの積み上げはいいけれども、それが全体にどういう具合な影響をもたらすのだろうかというご議論が前々回、前回とございまして、これにつきましては、事務局の方で現在相互の取りまとめをする方向でこのコストカーブの論議と並行しまして作業をやっていって、この論議の後にこれについても皆さんの討議をしていただきたいということがございますので、前回、前々回と同様、単にボトムアップだけでなく、こういうことが問題になるよということについても本日ご提案をいただきたいという具合に考えておる次第であります。
 以上のフレームワークのもとで、それでは事務局の方で運輸部門に関するポテンシャルについての作業の説明をお願いいたします。

○石飛調整官 まず資料1に基づきまして、運輸部門における現行施策の評価と今後の削減ポテンシャルのご説明をいたしたいと思います。
 まず1ページの1の排出量の現状と推移でございます。この運輸部門のCO2の排出量を見ますと1998年度総排出量の2割強を占めており、将来的には2010年の目標は、大綱上は17%増ということであったのですけれども、98年度の段階では既に21.1%とそれを上回る伸びを示しております。
 特に旅客部門が90年比で32%と大きな伸びを示しておりまして、中でも自家用の乗用車の占める割合が多いわけでございます。上のグラフは旅客部門の伸び、それから下のグラフが貨物部門の伸びです。貨物部門におきましても自動車が8割以上を占めておりまして、90年比で6%程度の増加となっております。
 続きまして2ページの図3でございますが、これは輸送機関別、燃料別の排出割合を示したものです。一番下に輸送機関、自動車、鉄道、海運、航空という区分けがございまして、その上に載っておりますのが各種燃料、それから電力も含まれております。したがいまして、この面積がちょうどそれぞれの排出割合を示しております。自動車が全体の9割近くを占めておりまして、当然のことながらガソリン、軽油の消費に伴うCO2の排出が非常に大きくなっていることがおわかりいただけると思います。
 それから、図4は旅客輸送機関別のCO2の排出原単位で、これもよくご存じだと思いますが、鉄道は非常に排出量原単位が少ない輸送機関であるということになっております。図5は同じく貨物のCO2の原単位でありますが、鉄道、船舶が非常に少ないのに比べて自動車、さらには航空機は非常に大きな原単位になっております。
 続きまして3ページの他部門との関係を図6に示しております。産業部門、エネルギー転換部門、民生部門、それぞれと関係しておりますが、特にこの運輸部門から出てくる排出ガスとして一番下にNOxを書いておりますけれども、運輸部門の対策につきましては特に都市部の大気汚染対策と共通する部分が非常に多いわけですので、そういった観点からもこの対策のあり方を検討していくということが重要であるということを述べております。
 続きまして、4ページからは要因分析であります。
 まず旅客部門でありますが、自家用車、旅客航空の輸送量が非常に伸びております。図7は旅客輸送量の推移でありまして、さらに、そのうち自家用乗用車の総走行距離の推移を図8に示しているところでございます。
 続きまして5ページには、世帯当たりの乗用車保有台数の増加で、このグラフをご覧いただきましたらわかりますように、世帯数そのものも伸びておりますし世帯当たりの保有台数も伸びている状況であります。一方、図10でありますが、1台当たりの走行距離の推移を見ますと、普通小型乗用車、また乗用車の平均で見ますとやや減少ということでありますが、軽乗用車は1990年に比べまして約半分に減ってきているという非常に顕著な傾向が示されています。
 これについて6ページのところに少し説明がありますが、ここには普通乗用車の増加による平均車体重要の増加ということが書かれております。図11には重量別の保有台数の推移が棒グラフで示されておりまして、一番下の軽自動車が90年に比べて約3倍に増えております。それから、一番上の大型の乗用車、これも非常に大きな伸びを示しておりまして、乗用車の重量は両極化している傾向がこれでわかると思います。特に大型化は、文章にも書いておりますけれども税制の見直しによって促進した部分があることが指摘されております。
 一方、軽自動車が伸びたということ、それから先ほどの軽自動車1台当たりの走行距離が減ってきたということですが、6ページの文章の一番下に書いておりますけれども、恐らく各家庭で2台目の車として保有されて、近くの買い物であるとか身近なところへの移動手段としての利用が増えてきているというライフスタイルの変化がこのような統計に現れてきているのではないかと思われるわけであります。
 それから7ページにまいりまして、燃費の趨勢です。トップランナー方式の導入によりまして出荷ベースの燃費は、95年以降、点線で表されているように上がってきていますが、ストックとしてはまだその効果が十分現れてきていないという状況でありますし、実走行燃費にまいりますと、都市部の渋滞等の影響によりましてほぼ横ばいか、若干悪化の傾向にあるわけでございます。
 8ページには、このトップランナー基準、省エネ法の燃費基準の動向がだんだん厳しくなってきていること、また出荷ベースの理論燃費もそれにあわせて少しずつ向上はしてきているという傾向が示されています。それから、ハイブリット乗用車を含めて非常に燃費のいい車が少しずつ増えてきているという統計が表3に示されております。将来的には、次世代の車として燃料電池の自動車の開発も今後活発化してくると思われます。
 続きまして、9ページにまいりまして貨物部門であります。
 この要因としまして、エネルギー多消費型の輸送形態にシフトと書いていますが、表4にありますように、輸送機関別に見ますとそれぞれのシェアが90年から98年に比べて、一番右側の貨物自動車が4.4%増加したのに対しまして、鉄道、海運がそれぞれマイナスになったということで、エネルギーの消費量、ひいてはCO2の排出量という観点からすると、より単位当たりの排出量の多いものにシフトしてきつつあるということが現れてきております。
 それから10ページにまいりまして、物流の小口化・多頻度が進展ということで、最近の通信販売、インターネットの活用による直接の売買のような取引がこれから進む可能性が非常に高いわけですので、それはむしろCO2の排出ということからすると増加の要因になる可能性もあるわけであります。
 一方、モーダルシフト、それから最近「グリーン物流」というような言葉が出ておりますけれども、そういったことを試みている企業もでてきています。また、「求貨求車情報システム」ということで、情報ネットワークを用いてなるべく積載効率を改善していくような動きも進んできていることを紹介しております。
 以上が現状までの推移の要因分析でございまして、11ページから2010年の排出量の予測に移ります。
 ここでは、これまでもご説明しましたように既に決定した政策、対策を実施した場合の予測で、これを計画ケースと呼んでおりますが、そのケースでの予測値を示したものでございます。
 運輸部門全体としては、90年に対して設定された大綱の目標プラス17%と比較すると7~8ポイントさらに増加するという予測になっております。旅客部門では、図14にありますように141、 142という指数になっております。また、貨物部門では、図15にありますように105ということで、いずれも基準年に比べて伸びています。
 12ページにまいりまして、大綱の個々の技術との比較ということで、表5に細かい比較表がございます。この大綱にさまざまな対策を盛り込みましてその削減量を見込んだわけですが、今回の計画ケースの検討では、その中で確実に行われる対策のみをピックアップして推計をしたわけでありますので、削減量の見通しは、大綱時に比べて少なくなっています。
 続きまして13ページは、今度は削減ポテンシャルの検討結果でございます。
 表6にありますように大きく3つに対策を分類しておりまして、排出原単位の削減技術対策という面では、やはり実走行燃費の改善、それから購入車両の小型化、都市部での自動車走行環境の改善、こういったものをポテンシャルとして見込んでおりまして、ここに示したような削減量、そして基準年の排出量と比べると0.9ないし 1.4%に相当するポテンシャルがあるのではないかという結果になっております。
 また、自動車走行需要の他への転換技術対策では、公共交通機関の利用、トラックから鉄道、船舶へのモーダルシフト、こういうものによって削減量が見込まれる。
 さらに、自動車の走行需要の抑制ということで、テレワーク、テレビ会議の推進、貨物輸送効率の改善によって0.4ないし 0.8%に相当する削減ポテンシャルが見込まれるということでした。
 続きまして、コスト-ポテンシャル評価ということでございます。
 今申し上げましたそれぞれの対策のポテンシャル、これを実行するに当たって、一定の仮定を置いた上でどのぐらいのコストがかかるのかという計算結果をまとめたものが表7でございます。
 もちろん物によりましてかなりばらつきがありますが、実走行燃費の改善、これは低公害車の普及による削減効果を見積もったものでございます。それからITSの活用、この2つにつきましてはプラスのコストがかかるということでありますが、それ以外のものについて今回試算した結果によりますと、むしろ費用対効果ではマイナスの費用になるということで、技術対策を導入すればそれだけメリットがあるということがわかったわけでございます。
 続きまして15ページには、この対策・技術導入にあたっての課題と必要な対策手法を幾つか述べておりまして、ライフスタイル等の見直しが必要になってくるということ、それから都市、または地域全体としてのインフラ整備もあわせて考えていくという視点が重要であり効果的であるといったこと。それから、自動車の税制のグリーン化についても、ここでは実施されているという現状の記述ですけれども、記載させていただいております。さらに、交通需要マネジメント(TDM)、こういったものが将来導入が期待されておりまして、それに伴う排出量の削減も期待されるわけであります。さらに最後には、大気汚染防止という観点からも相通ずる対策もあるわけでございますので、そういった点を総合的に見て推進していくが必要ということを述べております。
 16ページの表8でございますけれども、先ほどポテンシャルをはじいた各対策技術ごとに制度的・社会的な課題、必要な対策手法、副次的効果をまとめております。コスト計算ではマイナスになったものもありますが、それ以外のさまざまな制度的・社会的な課題があることによって現状ではなかなか対策が進んでいないという部分があるわけです。
 それから、必要な対策手法といたしまして、補助金であるとか技術開発、そして普及啓発でそれぞれの対策ごとに考えられるものを整理いたしました。また、副次的効果では、先ほどの都市部を中心とした大気汚染対策にも資するといったことを初めとしてさまざまな効果があることを紹介させていただいております。
 それから、17ページからは推計上の課題・留意点で、時間の関係で少し飛ばさせていただきますけれども、要因分析においてそれぞれの区分をどういうふうに設定したかであるとか、18ページにまいりますと、将来推計、削減ポテンシャルでの課題・留意点、ここでは主として我々が用いました統計値はこれは総合エネルギー統計、運輸関係エネルギー要覧の2つの統計があるわけですが、必ずしも全く同じ目的でつくられた統計ではありませんので、若干の齟齬が生じているところをなくしていくような努力が必要であるということを課題として挙げております。それが20ページまで続いております。時間の関係でここは省略をさせていただきたいと思います。
 以上のことをまとめたものが21ページでございます。ここを少し詳しくご説明をしたいと思います。
 まず、温室効果ガス排出量の現状と現行施策の評価であります。まず運輸部門全体で見ますとCO2の排出量は我が国全体の21.7%、そのうち9割弱が自動車の排出で、90年比で21%増という傾向になります。旅客部門を見ますと、自家用自動車が非常に増えているのが特徴でありまして、これは世帯数の増加、世帯当たりの保有台数の増加に伴う旅客輸送量が増加したこと、自動車の大型化、そして実走行燃費の悪化、こういったものによるエネルギー消費原単位の増加、こういうことが増加要因になっています。それから、貨物部門を見ますと、これは海運、鉄道から自動車、航空という単位輸送当たりの排出量の大きいものにシフトしてきていることが挙げられます。
 今後の削減ポテンシャルと主要課題といたしまして、計画ケースでもかなりの量を見込んでいたわけですが、やはり自動車の単体の燃費改善、低燃費車・低公害車の普及促進、購入車両の小型化、こういった単体に起因する削減対策が効果が非常に大きいと見込まれておりますので、この部門の対策を促進するためには、将来燃費基準を一層強化するであるとか、今年度導入された自動車関連税制のグリーン化を一層推し進めていく、さらに低公害車等への助成措置を引き続き実施していく、こういったことが重要ではないかということを課題として書かせていただいています。
 それから、旅客部門だけを見ますと自家用自動車の増加が一番大きな要因になっておりますので、その走行量を抑制して実走行燃費を向上させるためには、公共交通機関の利用への転換、輸送効率の向上、相乗りの促進、都市中心部の走行抑制。それから、テレワークでそもそも移動しないようなことが対策として考えられます。いずれも事業者や消費者の意識によるところが大きいわけでありますので、もちろん普及啓発を進めていくことは重要でありますけれども、さらにそれに加えて公共交通機関を利用しやすくするような割引切符や定期券を導入する、それから相乗りやカーシェアリングを促進するために何らかの経済的な措置が考えられないか。また、乗り入れ規制やロードプライシングといった規制的な措置も今後考えていく必要があるということでございます。
 22ページの貨物部門では、これもやはり貨物自動車の走行量を抑制することが必要ですので、鉄道、船舶へのモーダルシフト、積載率の向上、共同輸・配送等の促進という対策が重要になってきます。そのため、それらを促進するためのインフラ整備も必要ですし、あわせて経済的手法を用いて荷主、運送事業者の取り組みを促進していくような手立てを考えていく必要があるのではないかと考えられます。
 それから、旅客・貨物に共通する対策として、ITSやTDMの手法を導入することが今後期待されるわけであります。また、こうした交通対策は、先ほどのインフラ整備とともに地域の総合計画や交通計画に位置づけて推進していくことが重要になっていること。地域での主体的な取り組みも重要になってくるであろうということでございます。
 それから、最後は繰り返しになりますけれども、大気汚染防止上重要であるという観点も忘れないでということを述べております。
 続きまして、23ページは対策と効果の関係の鳥瞰図、それから24ページは、これは今までご説明しましたコード表であります。25ページが対策技術シート一覧で、今回はここに示しましたような対策について26ページ以降技術シートを用意しました。時間の関係で個々の説明は省かせていただきますけれども、例えば、26ページには実走行燃費の改善で、これは従来型のガソリン車をハイブリッド車に買い替えることを想定した場合にどのぐらいの削減効果があるか、また、費用対効果でどのぐらいのプラスのコストがかかるかということを試算したものです。また、あわせて制度的な課題の欄に、現在低公害車に対しては補助金、それから給油ステーション等のインフラ整備が必要なものについては助成措置がありますので、そういったものを加味するとコストはやはり下がって逆にマイナスのコストになることもあるということを、制度的な課題のところに紹介いたしております。また、社会的な課題、対策手法、副次的効果も記載させていただいております。
 以降、27ページからは同じような形で、なるべく定常的な比較評価ができるような数字を入れさせていただいておりますので、ご覧をいただければと思います。
 資料1につきましての説明を以上で終わらせていただきます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 続きまして、EUにおける部門別の削減対策の経済的評価についてご説明願います。

○竹内課長 それでは、資料3に基づきまして、前回家庭業務部門でご説明申し上げましたものと同じやり方でのEUの経済性評価についてご説明申し上げます。
 2ページでございますが、まず運輸部門における経済性の評価でございますけれども、下のグラフにございますように、EUにおきましては2010年の運輸部門からの二酸化炭素排出量が対策技術向上がない場合には35%、90年に比べて35%の増大と。そこに対しまして、3ページにありますような対策を講ずるということで全体で1億1,600万トンのCO2を削減すると。その内訳として、乗用車で 7,300万トン、貨物車で3,000万トン、それからHFCで 1,300万トンということになっております。
 そこで3ページでございますが、ここのこれらの対策のそれぞれの削減コストというものがはじかれておりまして、やり方は前回の家庭業務などと同じようなやり方でございます。そこでコストの少ないものから、マイナスのものから多いものに順番に並べられております。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に基づき皆さんのお知恵を拝借したいのがございまして、1つは、この一番最後に幾つか技術につきましてのコスト等々の見通しがあります。これにつきまして皆さんのご意見をいただきたいというのが1つ。
 それから2つ目が、この運輸の部門でどのような制度的な対策を打てばこの削減がさらに推進できるであろうかといったことについてのご意見もいただきたい。あるいは、この積み上げだけではちょっと無理なところもあるだろうから、それをこういう具合に推定についてやったらどうかといったご意見もいただきたいということで最初に申し上げたとおりでございます。
 それでは皆さんのご意見をお待ちしております。どうぞ、内山委員。

○内山委員 ただいまのお話、いろいろな施策が網羅されておりまして非常に参考になりました。ただ、やや総花的な内容だなという感じがします。一体何が今後運輸部門で基本政策として大事なのかもう少し踏み込みがほしいなという感じがしました。
 今後も産業のサービス化に伴って運輸部門のエネルギー需要が伸びるのはやむを得ない傾向ではないかと思います。そういう中で都市部の大気汚染対策、そして将来の石油供給不安に対するエネルギーセキュリティーは運輸部門、同時に我が国のエネルギーセキュリティーにおいても大きな問題になるのではないかと思います。
 基本的に、運輸部門の方向はこれまでに開発してきた都市と地域のインフラ整備をどうしていくのかということではないかと私は思います。もう少し踏み込んでほしい、あるいは政策的に重要視してもらいたい点について述べさせていただきます。今回の資料にも少しは書いてありますが、もっと強力に進めてほしいのは、車のCNG化ということです。というのは、既存のガソリン車で燃費を改善する技術的なことをやっても、さらなる大きな効果を得にくい点があるのではないかと。それは過去の対策においてもほとんど改善されていないという結果が出ているわけです。
 ですから、燃料転換というのが非常に大きな課題になってきていると思います。特にバス、タクシーといった車のCNG化を図ると、燃料だけでみればCO2排出原単位も半分になるわけですから十分な効果が期待できます。また、都市の大気汚染問題も大幅に改善できることになります。また、エネルギーセキュリティーの面から言っても、我が国の場合、地域経済及び地域の人々の生活は車に非常に依存しているわけですから、燃料の多様化を図るということは非常にいい。さらに、国内天然ガスパイプラインを整備していけば、新しい公共投資ということによって産業を興すことができる。また、分散型技術の燃料電池とかマイクロガスタービンといったそういった技術への波及効果があると考えられます。CNG化というのは、単に運輸部門だけでなく日本のエネルギー全体の問題にとって非常に大きい効果があると思います。そういう点で、ぜひその辺をもう少し重視した内容にしていただきたいというふうにお願いします。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、小高委員。

○小高委員 私は今のご意見とちょっと反対のことを申し上げたいんですけれども、エンジンの効率というのは全く同じと考えれば確かにおっしゃるとおりだと思うんです。ところが、現在低公害車と言われているもの、単純に低公害車を普及すればCO2も減るのかという議論はちょっと別の視点で見なければいけないなと。現在CNGとか代替燃料を使った車、燃料の多様化という面からもいろいろ研究されているわけですけれども、いまだにあのディーゼルエンジンの効率には追いつかない。実際に出てくるCO2の排出量というのを比べますと決して低くないんです。だから、やはりその視点というのは大事だろうと思います。
 それから、あとは質問なんですが、一応対策シートの中で削減量が計算されていますけれどもこれはどういう仮定といいますか、何が言いたいかというと、車というのは、例えば燃費規制をやったからといって全部それで入れかわるというものではなくて、その新しい低燃費の車に入れかわるまである時間というのが必要になってくるわけです。大体数年のスパンはかかるだろうと、それを加味して計算されているのかと。
 それからもう一つは、自動車走行需要の他への転換ということがございますけれども、逆に何で自動車輸送というのが増え続けてきたかという視点が、要因分析がないと簡単にはいかないのではないかなという気がします。

○西岡委員長 今の点につきまして、2点ございますけれども事務局の方でお答えがあったらお願いいたします。

○世一補佐 まず最初のご質問ですけれども、自動車に関しましてもほかの家電製品と同じように新しい省エネタイプのもの、あるいは燃費のいいものの買いかえによるストックの省エネ率の向上の効果は計算に入れてやっております。ただ、こちらのシートの方で計画ケース、ポテンシャル、そこのところはそういう計算をしておりまして、一方GHG削減量の方、これは1台当たりということでコスト評価とGHG削減で割り算して炭素当たりの費用対効果を計算しておりますので、こちらの方は1台当たりの計算をしております。

○石飛調整官 2点目の、ほかの輸送機関からなぜ自動車にシフトしていったか、そういうことも補完しないと制度的な対策ができないのではないかというご指摘でございました。
 確かに今までの要因分析の中で、ポイントのところまで細かい要因分析まではしていないわけでございますけれども、今回の技術シートの中ではそういったところ、例えば制度的な課題とか社会的な課題でなぜモーダルシフトが進まずに自動車にシフトしていっているのかということを、さまざまなこういう課題があるということを書かせていただいておりますので、こういうものを削減ポテンシャルの中ではまだ定性的な課題の整理ではありますけれども、これを今度課題を克服していくためにはどういう対策手法が必要になってくるかというような検討につなげていきたいと思っておりますので、そういう意味でここをご覧いただいて、まさにこの中でもご指摘があれば我々としてもまた検討を深めてまいりたりいと考えております。

○西岡委員長 それでは、大聖委員、お願いいたします。

○大聖委員 2つのこれまでの話題に関して、ちょっと私のご意見を申し上げます。
 1つは天然ガスの利用でありますけれども、これは確かにエネルギーの多様化という点では非常に有用ですから推進すべきだと思っております。小高委員の指摘のように、ガソリン車からCNG車にかわりますと確かに2割か3割くらいCO2がよくなるんですけれども、ディーゼル車との比較では天然ガスが劣ります。ただ全体として、例えば大都市での大気改善のセットで考えますと、そこではやはり天然ガスの方が有意義なわけですから総合的に考える必要があるんだろうというふうに思います。
 それから、インフラの整備を進めることでディーゼル代替、それからガソリン代替を使うことで全体の消費量が増えますから、コストダウンにつながるだろうということが一つ大きな効果を持つのではないかなというふうに考えております。
 それから、乗用車が増えているという一つの大きな要因は地方での車が増えています。これは公共交通機関、バスなどのこういった交通機関が非常にサービスが衰退していまして、本当に1人1台というような地方では時代になってきつつあります。ですから、そういう地方のモビリティーの問題というのは非常にこれから大きな課題になってきますし、それを公共交通機関に引き戻すための具体的な対策というのは非常に悩ましい面があるかなと思います。
 以上です。

○西岡委員長 中上委員、お願いします。

○中上委員 全体的に2010年、2020年ぐらいをにらんだ話ですからこういう計算でいいのかもしれませんけれども、ほかの分野でも同じことが言えるかもしれませんが、こういう運輸のエネルギーというのは延々と伸び続けるものなのでしょうか。どこか何か天井があって、このあたりに天井がありそうだというのはどこかににらめないのでしょうか。それがまだ100年間続くという話であれば、また延々と同じことをやり続けなければいけないし、人口が減ってくることだし枠組みが変わったとすると、30年、50年ぐらいのスパンで考えると少し下がってくるとか、そういう何か落としどころみたいなのはないんですか。いつも見るとみんな増えているから。家庭もそうなんですけれども日本の場合は伸び続けている訳です。外国はそうではなくて安定的に推移しているわけです。
 だから、日本でもそのうち安定するはずなんですが、それをにらんで話をするとまた違うアイデアも出るんではないかという気がするんです。イタチごっこのところがありまして、道路をよくすれば車が増える、渋滞を改善すればまた増えるというような、いわゆるリバウンド効果と呼ぶそうですが、ことがありますけれど、だからと言って延々と増え続けるわけはないんではないかという気がしないでもないので、そんな研究をなさっていますか。

○西岡委員長 大聖委員、何かございますか。

○大聖委員 そういう議論というのはあまりないと思いますけれども、やはり私は地方のモビリティーはどこまで伸びるのかというのが一つの大きなファクターではないかなと思いますのと、こういう大都市でのそういったような輸送の転換というのはもう限界に近い面があります。
 その一方で、例えば大都市のドーナツ現象から都市の中心部にまた回帰しているような傾向、すなわちCO2削減につながる職住接近のトレンドもあります。
 これら全体の見通しをつける必要があるんではないかと思うんですけれども、私は地方の問題というのは公共交通機関の衰退に関連して結構これからは悩ましい問題と思っています。

○西岡委員長 それでは槌屋委員、お願いします。

○槌屋委員 自動車の構成の6ページの絵を見ていただくとわかるように、大型というか普通乗用車と呼ばれる2,000cc以上の車が過去7~8年で急増しているんです。これは、聞くところによると税制でそれが購入しても負担が減ったということを聞いているんですが、これに対してはもう少し明確な何か手を打ってもいいのではないかと思うんですけれども、要するに極めて人工的に増えているわけですよ。ですから、これを人工的に減らすことは、政府としては今までやった間違いを正すという意味では重要なことではないかと思うんですが、対策の中には乗用車を軽自動車にと書いてあって費用はマイナスで、つまり得するとだけなっているんですが、軽乗用車にとやるとちょっと抵抗もあるんではないかと感じますが、2,000cc以上の人がドンガラで1人だけ運転しているというのをたくさん見るので、これはぜひ6ページの一番上の伸びているものは明確な対策をセットしておいていいと思います。

○西岡委員長 どうも。
 それでは太田委員、お願いします。

○太田委員 まず1つは需要の見通しの中の理解だと思いますが、先ほど大聖委員の方から地方都市といいますか、地方における車の利用への懸念というようなお話がございましたが、将来的には確かに人口が減っても我々の考えというのは、やはり世帯としては増え世帯ごとに動くのではないかという話と、当然私どもは動くのは好き勝手に動いているのではなくて必要があって動いていて、むしろそれは交通ニーズとして担保するというのはいいことだろうと。ただ、その時にエネルギー消費が少ない形でできないかというのがポイントだろうと思うんです。ですから、それが住まい方であったり、住まい方によって公共交通が使えるとか使えないとか、そういうことを含めてエネルギー消費としては増えない形が長期的にはだんだんといろんな要素が出てきているかと思います。
 そういう意味で、長期的対応性には、ぜひライフスタイルとか企業のビジネススタイルを変えるような仕組みをビルトインとした形で現在の何か政策を打っていくということが非常に重要だろうと思います。そういう意味で、ちょっと個々のではここでやりました、メニューとしては先ほどもございましたがいろいろ出ていると私も思いますけれども、それをやはりまとめ上げて、こういった何かしようというインセンティブを与えるようなオフィシャルフルという言葉がどこかに出ていたように思いますが、そういう要因になるような仕組み、ちょっと制度に入るかもしれませんが必要だろうと思います。
 私の考えているのは、やはり啓発関係をベースにしないと、ここで出てきたいろいろな策、公共交通に移るとかいろんな話が出ていますけれども、実際進ていくうえではそれをチェックする仕組みが必要だろうと。それは、例えばNOx対策その他では、特定地域の中の重要車両に対してある種の総量抑制的な考え方もございましたが、やはりこのCO2関係等を考えると何らかの形、どこまで強制するかは別にしても、一定規模以上の事業者なり一定規模以上の自動車を使っている、あるいはお客さんが来るところ、従業員がいるところにつきまして、ある種の交通計画を出していただいて、それが実際現在どの程度その乗用車を使い自動車を使い、荷物が搬入されお客さんが来、従業員が来たり自分の事業にはどんなふうに来ているかという、そういう意見プラスその他のものを含めたある種の自主的計画でしょうか、まず自分のものを把握していただいて、例えば10%削減というようなことを一つの大きな社会的な目標にしてそれぞれ努力していただくものを何かチェックする仕組みとか、何かそういうことをそろそろ始めないといけいなと。
 いずれにしても、何か組織的な啓発の努力といいますか、そういうインセンティブをつくることが一方であって、そしてそれをやりやすくするために実はいろんな公共交通が有利の仕組みをつくって、代替手段は魅力がだんだん上がってきていますよと。何かそういうことをしなければいけない段階かなというふうに考えておりますので、その辺もぜひ検討していただければと思います。

○西岡委員長 それでは佐土原委員、お願いいたします。

○佐土原委員 先ほどから、地方の都市圏の実際車が増えてエネルギーが増えている話があって、それを容認してどこまで伸びるかというような話もあるんですけれども、視点として今回の検討が2010年とか20年だとなかなか定量的にというのは難しいんでしょうけれども、ある程度今都市のまちづくりの方では、中心の市街地を活性化するとかコンパクトな都市づくりをやるとか、そういう話がかなり出てきているわけですから、それと連動して都市構造を交通エネルギーの少ない都市にしていくというような視点をこの中に盛り込んでおいた方がいいんではないかというふうに思いますので、そういったことを検討していただきたいと思います。

○西岡委員長 それでは小高委員、お願いします。

○小高委員 この14ページのコスト-ポテンシャル、ほかのところでもいいんですけれども、自動車自体の排出原単位の削減というのもあるんですが、大体我々は自動車関係者の間では、これはちょっと行くところまで行ってほかの対策もしないとだめだと。これは、エネルギーの消費だけではなくて排気ガスの問題もそうなんですけれども、それで自動車走行需要のほかへの転換という項目なんですが、日本側の都道府県別の自動車保有台数というのを見ますと、人口当たりの車の台数というのは必ずしも都道府県別の収入の常備でないと。むしろ、都道府県別で比較しますと、アベレージよりも低いところで結構車の保有台数が高いというのがございます。
 それはなぜかと言いますと、公共交通機関への利用と書いてありますけれども、利用する公共交通機関がないから車を使うというやはり状況があるわけです。だから、私は利用ということとともに、公共交通機関の利便性の向上という項目は、これは非常に抽象的な言い方で申し訳ないんですけれども、やはり公共交通機関を利便性を上げれば自然と利用する方向に誘導できるんではないかと。だから、そういう項目をやはり入れるべきではないかなと思います。
 それから、ついでにちょっと申し上げますと、先ほど重たい車が増えているというのがございましたけれども、重たいから必ずしも燃費が悪いということではなくて、8ページに2010年の燃費基準というのがございますけれども、この中でそれぞれ車体重量別に規制目標値が書いてあるわけでございますけれども、実際にこの数字が一番きついというのは大体1.5トンぐらいのところの車が一番きつくて、それ以上の、規制値自体も減っていますけれども、必ずしも重たいからといって燃費が悪いということにはつながらないということをちょっと認識いただきたいと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 いかがでしょうか。ほかに何かございますか。
 今、幾つかのご提案が出ました。それから、幾つか制度的なお話も出たわけですけれども、例えば…、はい、内山委員。

○内山委員 最初に委員長からコスト-ポテンシャルの評価が指摘されたにもかかわらず、それに対する議論があまりなかったように思ったものですから一言、説明させてください。14ページの表7に、費用対効果がマイナスになっているのがたくさんあるにもかかわらず、なぜ実際にできないんだという素朴な疑問を誰しも抱くのではないかと思います。自然にまかせればできるはずではないかと。それができていないということは、コストでは測れない車が持つ利便性や利用する立場の人にとっての問題があるのではないだろうか。そういった問題を考慮しないとコストだけの評価でたとえ利点があったとしても実際に効果あるものにはならないことを理解すべきではないかと思います。ですから、この費用対効果の大きいところに、どういう課題があるのかを整理して、それぞれについての対策を立てていくというのが大事かなと思っています。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにございましょうか。はい、中上委員。

○中上委員 槌屋さんからお話がありましたけれども、ある意味ではラベリングに相当するのかもしれませんが、ラベリングという手法でやると多分業界から、ものすごいリアクションが来ると思います。私のアイデアなんですけれども、ナンバープレートの色を、ヨーロッパのEUの家電製品のラベリングを参考にして、EUのラベルの場合は一番効率の高いのがグリーンなんです。一番悪いのは赤なんです。それが7段階ぐらい並んでいるんです。これを参考にして、一番燃料の悪い車あるいは排気量の大きな車を真っ赤っかにしまして、逆に燃費の良い車や軽自動車はグリーンにするわけです。営業車はもともと濃い緑のナンバープレートでやっていますからそのままして、営業車は除外すると言うのはどうでしょうか。極めてリーズナブルであると思うのですが。コストも全然かからないし、ペンキ代くらいはかかるかもしれませんけれども、ラベリングにしますと新たにラベルを張らなければいけない、そのラベルのコストをどうするかといろいろ問題が出ますけれども、ナンバープレートはもともとつけて走らないといけないわけですから、あの色を変えるぐらいなら簡単ではないかと思うんです。多分相当反対があるかもしれませんが、そういうアイデアはどうでしょうか。これは技術ではありませんので。

○西岡委員長 なかなかのアイデアが出て…。
 幾つか私もお話をお伺いして気がついたのですが、先ほど地方とそれから都心的なところ、大都市とありますけれども、地方と都市の間というのはどういう交通の重みが現在あるんですが、その全体として。
 やはり、公共交通と言ったらどうしても今地方の過疎なところにそれを引くというのは非常に高いような感じもしますから、多分それはかなり集中した都市の中の話で、結構これはもうそれでいっているのかもしれません。
 それから、地方の方は先ほどの話で、むしろどうやって補助を出して公共交通を生き延びさせるかというような話かなと思うんですが、そういう制度的な問題をどう取り組むかという話があると。それから、いろいろ遠くからいろんな都市に向かっていろいろなものを運んできたりする、あの辺の重みはどうなっているかなというのはちょっと僕もわからないところがあるんですけれども、昔は半分半分ぐらいだったような気がするんですけれども、そんなところがあるかと思います。
 それから、都市構造の話が佐土原委員の方から出たんですけれども、これは具体的にどういう形で考えていくんですか。あるいはスパンの話も相当あると思うんですけれども、もう少しこれを具体的に何かアイデアと言いますのがないかなということもちょっと感じました。
 そのほかグリーン税制の話は、これはもう進んでおりますが、私大分前に名古屋大の林先生がシミュレーションなさって、前いかに失敗したかという話をまずきちんとシミュレートされていて、そして今度やったらどうなるかという話がシミュレートしてありますので、そういうのは参考になるのではないかなと思っております。
 いかがでしょうか。ほかに何か、事務局の方で幾つか出ましたことについてありましょうか。

○石飛調整官 地方と都市、それぞれこの運輸部門でどういう対策をとるかというのは今西岡先生がおまとめいただいたとおりかなり違った側面があると思います。今回はオールジャパンでの要因分析を示したわけでありますけれども、今後対策を進めていく上で、やはりそういう地域の特性というものをある程度考えていかなければいけないというご指摘だろうと思いますので、そこも少しできる範囲で分析をした上で、具体的には対策を打ち出していければというふうに考えております。
 それから、都市構造につきましてもより具体的に考えていくべきというご指摘だったと思います。これも、主として先ほどの地方と都市の都市の部分に係わることでありますので、もしできましたらもう少し具体的な、例えば都市の計画や地域の総合計画、そういうところにどういう位置づけをすべきなのかといったことも今後の検討として我々も考えていきたいというふうに思っております。
 それから、確かに都市のインフラ整備を伴うものにつきましては、2010年であるとか現在検討会で検討しております2020年というような非常に短いスパンでありますので、その間にできることというのは限定されるというのはやむを得ないと思いますけれども、その中でも比較的コストもかからず、また社会的、制度的な制約要因の少ないもの、そういうものをなるべく優先的にという視点は、今回の検討の中でもしっかりと持って具体的な案を考えていきたいと思います。
 それから、グリーン税制につきましては、今アドバイスいただきましたように早速資料を入手しまして我々も今後の検討課題、検討材料とさせていただきたいと考えております。
 以上です。

○西岡委員長 どうでしょうか。ほかに。
 はい、太田委員、お願いします。

○太田委員 今の都市構造とか都市計画的な方で世界のいろいろなところで議論しているのは、1つはやはり既成市街地に対しての開発を優先しようというような考え方です。日本も、これから人口全体は2020年レベルくらいからどんどん減っていくということですから、むしろ新規開発の大きなニュータウンというのが非常に限定されると。再開発プラスいろんな個別の開発をできるだけ郊外ではなくて都心に戻していくというような、そういう意味での政策指針みたいな考え方になるかと思います。
 あとは立地上の許可といいますか、開発許可の段階で交通アセスメントという言い方が1つございまして、その中で例えば、従業員に対してある種の、カリフォルニアの規制で昔ありましたけれども、車通勤に対して平均乗車人員的なことである種の目標を掲げて、それになるように計画してくださいと。目標を達しない場合には、やはり相乗りをするような仕組みなり公共交通、バスを10年間無料で配送するとか、そんな事業をやはり規制とあわせるような、何かそういう目標がはっきりしていて、それとあわせながら誘導していくというようなやはり制度的なものがあって、その時のインセンティブとして十分魅力的な公共交通があるとか、そういう意味のパッケージをやはりしていかないと難しいのかなというふうに思います。
 そういう意味で、都市計画的なことで一般論としてのコンパクトシティとかそういうことだけではなくて、具体的にチェックするものがないわけではないと。だけど、もちろん時間はかかるということは当然のことだということだと思いますが、少なくともそういうものを正面からできるだけ受けとめ、早くやっていくということも必要かなとも思います。

○西岡委員長 はい、大聖委員。

○大聖委員 いろんな取り組みの中で燃費の対策というのは割と定量性があって、車の構成費なんかを見ますとどれぐらい全体として燃費が改善されるというのは読めるんです。これはかなり定量性があると思うんですけれども、ほかの車の利用に係わる分野というのは非常に定量性が低いと思います。いろんな予測計算には仮定が入りちょっと極端な結果が出たりします。
 交通の中身を見ますと1つは物流があります。それからもう1つは業務で使っている、それからプライベートユース、この3つなので、これは全然違う使い方をしていますので、やはりそれなりのめりはりのきいた具体的な対策をとらなきゃいけないと思います。その中でこういう利用に係わる規制や、あるいはグリーン税制、あるいは最近のITを使ったようないろいろな取り組みがありますけれども、それをやるとどれぐらい減るんだという、定量的な議論というのは何かモデルを使ってやっていく必要があるんではないかと思います。数値計算モデルというのはファクターが多くあり難しいんですけれども、私はやる価値があるのではないかなと思っております。
 アメリカなどでも、例えばe-コマースでどれくらい物流のエネルギーがセーブできるかというような試算があります。逆に増える面も要素としてありますけれども、そういったやはり数値モデルである程度のトレンドを予測しながら、一方で定量性の高いものにそれを近づけるような努力をやはりここ10年ぐらいでやりませんとなかなか方向が見えてこないと思います。ぜひそういうモデルを取り込んでいただきたいと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 はい、どうぞ、水谷委員。

○水谷委員 コスト-ポテンシャルについての概念的なことというか、どういう割り切りでコスト-ポテンシャルを考えていくかということなんですけれども、26ページからシートがございます。ちょっと全体的に違和感を感じるものですから、私のご意見を申し上げます。
 26ページはハイブリッド車、単体のコスト-ポテンシャルを評価してあります。本当であれば削減ポテンシャルの方が、これはあまり根拠はなかったと思うんですが、燃費規制の目標を1.5倍に強化できるという想定ですので、この時の車種構成はどうなっているんだということをちゃんと想定した上で、例えばハイブリッド車は何%、あるいは何台、天然ガス車とかGDI車、CVDトラスミッションが採用されていたり、シャーシを軽量化した車両はどれぐらいかという全体の車種構成を考えて本当なら削減ポテンシャルも算定されなきゃいけないのではないかと思いますが、コスト-ポテンシャルという面もそういうふうに考えないといけない。単体ベースの評価でいいのか。ここの委員会に要請されているものは。個別技術のコスト、効果の評価が求められているのかということなんです。
 27ページも同じことでして、評価されているのはエネルギー費という、いわゆる燃料費だけなんです。普通考えると、こういうふうにモーダルシフトしていく場合にいろんな設備投資、インフラ投資が必要になりますが、それについてどれぐらいの規模なんだということを試算することが求められているんではないかなと私は個人的に思っています。燃料費がどれぐらい浮くよという話であれば、鉄道がトラック輸送より燃料費が少ないのは決まっているではないかと、試算するまでもないないと。
 同じようなことを28ページからもすべて言えまして、29ページの貨物の輸送効率の改善、これは共同輸・配送、よく昔から注目されている一つの手法なんですが、そのために共同輸・配送の拠点の整備というのが非常に大きな課題になっています。その拠点の整備のためにどれぐらいの、さっき申し上げたインフラ設備投資が必要なのかということの試算が求められているのかなと。
 30ページも、バスと自家用車なんですけれども、これはバスの方が燃料費が少ないに決まっているわけです、同じ人数をバスで運ぶのか、あるいは乗用車で運ぶのかということで見れば。
 公共交通機関については意外と私のイメージと近くて、31ページの場合ですか、これは路面電車の新規施設を考えたらどれぐらいコストがかかるのかということに一応概念的にはなっているとは思うんですが、もうちょっと踏み込むとこういう路面電車のインフラというのは、逆に結構30年、40年使えますので、その現在価値で評価する必要が出てくるんです。エネルギー費というのはフローの現在価値で評価されているので、こういうストックのものをちゃんと現在価値で評価してコスト-ポテンシャルを求めるのではないのかなというふうに私は考えております。
 このシートは全体的に非常に違和感があるというか、ここの委員会に求められているコスト評価というのはこういう個別の技術1つ1つの評価なのか、あるいは全体的な効果を見たとか、集合的な効果といいますか、なのかというところをちゃんと把握した上でした方がいいと。こういう割り切りでやるというのならこれでも私構いませんが、多分ここの委員会に求められているのはそういう割り切りではないんではないかなというふうに思っております。
 以上です。

○西岡委員長 その点に関して交通の関係の委員の方で、いや、これはこうやるべきではないんだろうかというお話はございましょうか。
 このあたりが、どれについても難しいところだと思うんです。個別でなければものすごくマクロな話になって全然見えなくなるというのがこの世界で、そこが一番正直言って苦しいところではないかなと思っております。何かもう少しこういう具合に改善できるんではないかというようなところはございましょうか。
 水谷先生、何かいい案が…。

○水谷委員 先ほど、典型的に26ページの実走行燃費の改善のところで申し上げましたように、これは削減ポテンシャルを評価する時に2010年でストックベースでこういうような車種構成になる、こういう技術がこういうシェアで採用されるという想定がまずないので今言ったような形のコスト-ポテンシャルが評価できないんだと思うんです。
 あるいは隣の27ページだと、削減ポテンシャルを求める際には、さらに分担率が5%上がるというふうに見込んだと書いてあるんですが、こういうような政策、あるいはこういうような設備、施設を整備する、こういうふうに制度を変えるから5%上がるんだという積み上げになっていないのでコスト-ポテンシャルの評価ができないということなんです。
 だから、この私からの調査検討会報告書のコメントに対する回答というのを参考資料1でいただいておりますけれども、本日。私が指摘申し上げた非常に大きな点の一つはそういうことでありまして、設定したのはいいけれども、その設定値にどうやって達成するのかということが削減ポテンシャルで明らかにされていないのでコスト-ポテンシャルの評価ができないというふうになっているんではないかと、そういう構造になっているんではないかということです。それが解消されれば、これは厄介な作業になる、1つ1つの試算が厄介な作業だということはわかるんですが、それを回避して、ここの委員会に求められているような仕事ができるのかというのが根本的な疑問と言いますか、意見として持っております。

○西岡委員長 事務局の方で今の幾つかのご指摘に対していかがですか。

○世一補佐 実は、そのコスト評価のところは4月から作業を初めていまして、いろいろ各部門がありまして部門ごとにいろいろな特徴がございますので、現在我々の方も頭を悩ませながら試行錯誤の段階ということはございます。
 それからポテンシャルの、その削減ポテンシャルとしての将来2010年の車種構成等の想定を置いた上で計算すべきではないかと。正確には先生の言われるとおりかと思うんですけれども、我々はこの削減ポテンシャルというのは今のところ計画ケースから追加的に考えられるものを、こちらに関してはまだ積み上げの段階でしかないと。計画ケースの方は、先生が言われましたようにエネルギー構成ですとか車種構成とか、すべて計算し尽くして矛盾のないように計算しておりますけれどもポテンシャルはまだ積み上げの段階でして、今後この小委員会の場で精査していただいてどこまで実際に削減できるのか、それがある程度固まれば、車種構成ですとかエネルギーのその発電所の燃料構成ですとかいろいろなものが決まってきますので、そうするとまたそれをフィードバックして正確な計算ができるということでして、現時点ではなかなかそういう構成までを踏まえた計算はちょっと難しいかなという状況でございます。

○西岡委員長 冒頭に申し上げましたように、幾つかそういうご指摘を受けて、また全体的にどういう経済の波及効果等も含めた作業はいずれはするという予定になっておりまして、その中で処理していきたいと考えております。
 この制度委員会の方へこちらの方から、提案が幾つか出ましたけれどもほかに何かございましょうか。全般に、例えば環境全体の話、どこでどう書けるか知りませんけれども、どういう影響を持つだろうかという話もあると思います。太田委員の方からありましたように、各事業別にいろんな実施規制といいましょうか、実施計画というのを立てると、その効果はどれぐらいあるんだろうか。あるいは遠い将来を見ると、ひょっとすると国内の取引があったりした時に、そういうところをどう押さえて動かしていくか、幾つか考えられることもあります。あまりまだ具体的にここまではいっていないと思いますが。
 ほかに何か制度委員会への、こういうことも検討してもらいたいということはございましょうか。よろしゅうございますか。はい、どうぞ。

○小高委員 今の件に関してほんの思いつきなんですけれども、車が一定の規模以上使うような大規模事業者に対してトータルの、燃料消費量で押さえられると思うんですけれども、それをあるシキイ値というのを設けて、それ以上を越えた場合には非常に高い税金を取るとか、そういった施策は考えられるんではないかなという気がします。

○西岡委員長 いろんな事業所で大きい車と小さい車をうまくコンビネーションでやるということですね。

○小高委員 そういうことですと事業所全体で、ある単位の中でいかにして効率よく動かすかという多分工夫がなされるだろうと。零細の業者までそれをやってしまうといろいろ影響が大きいでしょうから、大型トラックを20台とか30台持っているような業者、そういうところを当面は対象にしてやれば一つの可能性のある施策ではないかなという気がします。

○西岡委員長 内山委員、お願いします。

○内山委員 これも言いにくいことなんですけれども、ガソリン税というのは、やはりどちらかというと今まで運輸部門で燃焼費を増やすために使われてきたという面があるんではないかと思うんです。都市、地方への道路建設とかいろんな形でそういう点を見ますと、やはりそういう税の使い方のあり方ということを今後は省エネ型の方にも向けていくという政策を私は一つ期待したいんですけれども。
 それから、先ほどのちょっと細かいことにこだわって申し訳ないんですが、確かに全体からしますと現状の効率は悪いんですけれども、ガソリン車も昔効率が悪かったので、新しい率というのは最初はみんな効率が悪いものですから、そういった技術開発にもぜひ効率改善のための投資をしていただければというふうに思っております。

○西岡委員長 それでは飯田委員、お願いします。

○飯田委員 その制度の話で言えば、今内山委員が言われたことと同じことを言おうと思ったのですが、いわゆる既存税制のひずみというのをきちんと出すということが大事だと思います。以前地球温暖化対策としてその建設省が出してきた道路整備がそのまま環境対策に計上されたことで笑い物になったことがあると思うんですが、もはや道路をつくることで温暖化対策になるというメッセージをやはり出すべきではないと思います。もちろん適切な社会資本の整備は必要なんでしょうけれども、むしろ既存税制というのは、一部は社会資本の整備に使いつつ、やはり明らかに環境税的な側面という形で今の縦割りの税の見直しのあり方から、少なくともまず国土交通省の中でも道路財源は道路だけではなくて、この先ほどあった公共交通の整備というまず交通の中でも使い分ける。かつ、いわゆる環境税的な側面もあるという、やはりそういう形で、単に上乗せの環境税ではなくて既存税制のまず見直しが出発点という強いメッセージを出す必要がある。
 その意味で、先ほどの表8の表に戻ると、都市部での自動車走行環境改善のこのITSだけが前面に出るのは、本当にこれは削減になるのかというのが若干疑問がありまして、確かに極所的には円滑になるかもしれませんけれども、総体として総量は増える方向もあるのではないかということで、こういったことはあまり何か建設省的で、若干違和感があります。むしろ、都市部においては総需要抑制という方向が良いと思います。
 それから、天然ガスの先ほどの話については私も内山さんのご意見に賛成で、天然ガスとそれからいわゆるリニューアブル、自然エネルギーの関係ではいわゆるGTLという最近のこの天然ガスからのガソリン、あるいはDMEというディーゼルに非常に低公害で使える新しい新燃料は、これは天然ガスからもつくれますしバイオマスからもつくれますから、やはりこういったものは大々的に推進していく方向は出して行くべきである。結局石油の問題というのはほとんど輸送問題に尽きますので、この大胆な燃料シフトはこの輸送問題、これはちょっとエネルギー施策から言うとそういうのは非常に大事なんですけれども、天然ガスシフトというのとプラス自然エネルギーシフトというのは重要かと思います。技術としては別だと思いますけれども、いわゆるクリーンエネルギー自動車というのはあまりリニューアブル、自然エネルギーは前面に出ていませんので、そのあたり(燃料のグリーン化・自然エネルギー化)をもうちょっと表に出してもいいかなというふうに思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 はい、森田委員。

○森田委員 運輸部門で経済的インセンティブがどのくらいきくかというような議論なんですけれども、確かにある程度の効き目はあると思うんですけれども、総体的に見て、ほかのセクターに比べて運輸部門の経済的インセンティブはききが悪いんです。これをどういうふうに持っていくか、すなわちその運輸部門についてはかなり頭を使った政策をやらないとなかなか減らないだろうと。
 内山委員が言われたように、例えば炭素税とか、あるいは税金をかけてその収益をうまくほかの方に投資をしていくということは一つの多分いい方法だと思うんです。例えば、先ほど大聖委員の方からそのITというものがどのくらいこの運輸部門に効果があるかということですけれども、これもなかなか難しい計算なんですけれども、実はそのITの直接効果というのはあまり大きく出てこないんです。
 なぜかと言いますと、ITを使って運輸に対するそのコストが下がった分だけ、消費者はどこかそれをほかの消費に向けて、下手な消費をするとCO2はまた伸びてしまいますし、それからまた、その運輸部門への投資が減った分だけほかの部門に投資を送るわけですけれども、それが下手な部門に投資が行きますと、またCO2が増えると。そのうち経済というのは非常に連関して動いておりますので、そこのところがどうもうまくいないと。むしろ、こういう時に運輸サービスが減少できた分、そこの分を何とかITのサービスとかIT関連材の生産のサービスの方にうまく吸収してくれれば、産業構造全体がうまくソフト化して、それでその産業構造がソフト化することによるCO2の減少が、実はこの間接効果は非常に大きいだろうと我々は見ているわけです。
 そうしますと、そこのところをうまく誘導していくような何か手をまたその裏で打たなければならないということでございまして、多分運輸部門というのは非常に単純な経済的インセンティブだけを与えたのではなかなかうまくいかない。すなわち、環境以外の政策とうまいこと統合をしないとなかなか難しいというのが今のところの私どもの推計データです。

○西岡委員長 それでは、渡辺委員。

○渡辺委員 私の意見は前回の民生の時に申し上げたことと大体似ているんですけれども、やはり多くの部分が個々の人間というか一般人が多いと。業界推移であれば比較的制度的に何とかなるわけですが、一般のマイカー族といった方が多いという場合には、やはり環境教育みたいな視点をかなり強くしないといけないんではないかなという気がしております。
 特に最近の風潮ですと、経済成長というのが非常に優先化されていまして、車の大型化なんかというのも、やはりそういう部分では個々人の心の持ち方の問題もあると思うんですけれども、その経済効果ということが一つはあってああいう形で進んでいるんではないかなという気がしていまして、ぜひそういう視点も、この小委員会の枠をちょっと越えていますけれども追及していっていただければというふうに思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 では、木谷委員、お願いします。

○木谷委員 地方での運輸関係部門、エネルギーの伸びというのがやはり将来心配だと思います。例えばヨーロッパでは、ご承知のように数カ国で、いわゆる農村地帯で植物油をエステル化したものをディーゼル燃料に使っています。いわゆるバイオディーゼルと言われているもので、かなり税金で補助をしておりますけれども、むろん技術的には問題なくやれることですし、コストの方もヨーロッパでそれを実際にやっているわけですから、可能性を検討するべきだと思います。ヨーロッパは農業用トラクター中心にやっていますけれども、むろんディーゼルを積載した輸送機関一般に使うことができるわけですから、農村及び都市での輸送関係にも利用できます。排気も通常のディーゼル燃料よりも良いといわれています。輸送関係のエネルギーもそういった自然エネルギーと言いますか、いわゆるCO2ニュートラルなエネルギーでもって代替することができれば、かなりCO2削減に貢献するのではないかと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、大体ご意見も出尽くしたような感じもいたします。個体レベルでは、特にその技術革新、あるいは燃料転換に関する補助の話。あるいは都市構造、特に都市構造だけではなくディマンドのコントロールを何かの、これは計画と言うんですか規制と言うんでしょうか、アセスメントと言うんでしょうか、そういう形でやったらどうかというご提案もあったかと思います。さらには、全体の税制の関係も特別会計とはおっしゃりませんでしたけれども、その使った金をどこへどう回すかということに対するご示唆等々はいただきまして、このようなことにつきましては制度委員会の方にもまた報告をしていくということに、それから、幾つかコストの推計の仕方についてもご意見があったと思いますので、これはまた事務局の方で修正したものを最後の段階で出していただきたいと考えております。
 以上でこのセッションにつきましては終わりたいと思いますけれども、特に何かもう一言ございましょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、飯田委員。

○飯田委員 私は、この分野は全然専門家ではないんですが、やはり先ほど都市構造ということですごく気になるのは、私の田舎なんかもそうなんですけれども、いろいろな地域を歩いてみても本当に町中がシャッター街みたいな町にどんどんなりつつあるんです。
 先ほど委員長も指摘されたように、今実態はどうなっているんだというところがあって、都市と地方という時に、いきなり農村における交通というところまで話が飛ぶ以前の中規模都市が都市構造でも本当に急激にここ数年変わっていると思うんです。かつて私の、山口の田舎の方でも商業的な中心都市であったところが本当にこの10年ぐらいで完全にさびれてしまって、郊外に大規模ショッピングセンターがぼこぼこできて、そちらに車中心の流れが完全にでき上がってしまっています。そういうことが今全国規模で起きているように思います。
 それは、もちろん温暖化対策だけで解決できる問題ではないんですけれども、明らかにものすごい勢いでこの自動車交通のいわゆる全走行で押し上げている一つの効果ではないかと思います。それがもう大規模店舗の緩和からいろんなものが相まってそこに乗っかっていっているわけですけれども、そういったものを、少なくともまず実態を明らかにするところが今何かどこにも見当たらないのではないか。ここの政策を眺めていてもそこまでは見えないですし、大規模店舗法の話は、そっちはそっちでまた町中の買い物の弱者みたいな話だけになってしまって、そういう今の日本の都市のあり方というのが非常に大きく変わっているというところもちょっと一歩引いたところから、これは先ほどどなたかもおっしゃいましたけれども、環境問題だけではないですし利便性もありますし、いろんな問題からある意味すごく深刻な問題ではないかなというふうに思いますので、そういった少なくとも実態をきちんと踏まえたまた制度の議論に、短期間では無理かもしれませんけれども宿題としてはやはり必要ではないかと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。
 次は資料の2を見ていただきたいんですが、今度はがらっと変わりましてHFCと3ガスに係る現行施策の評価と今後の削減ポテンシャルということでございます。これにつきましても、事務局の方からの説明の後にご討議を願いたいと思います。

○石飛調整官 資料の2に基づきましてご説明申し上げます。
 まず1ページでございますが、排出量の現状と推移というのがございます。ここではHFC等3ガス、全部1つのグラフにまとめて表示いたしております。98年度の排出量をご覧いただきますと、総排出量(二酸化炭素換算)のうち7.4%を占めておりまして、それぞれ3種類のガスの内訳は2.4、 1.3、 3.7となっております。99年度は最新の実排出量のデータがございまして、これで見ますと4,130万トンとなっております。基準年、このHFC等3ガスの場合には95年でありますけれども、それに比べると18.5%減少しています。
 特に図1をご覧いただいてわかりますように、今のところSF6の減少が一番大きくきいていると思います。それから図2は、今までインベントリー上でも条約事務局に報告しておりました潜在排出量(生産量+輸入量-輸出量-破壊量)でございますけれども、これだけ見ますとやや右肩上がりかなということで、実排出量から見ると図1のようになっています。
 続いて2ページの排出特性であります。この3種類のガスは、冷媒、発泡剤、エアゾール、電気絶縁剤、また溶剤、洗浄剤など、さまざまな分野で使われているものです。しかも、これらはガスを生産する段階、使用段階、それから保管する段階、さらには製品を廃棄する段階、それぞれの段階で排出されるという特性があるわけです。しかも生産してすぐに排出されるというものではございませんで、製品のライフサイクルに依存するためにガスを充填した製品が廃棄されるまでの間少しずつ放出されるのと、さらに何年か後に廃棄する時に放出されるということで、かなり時間的なスパンが長いというものでございます。
 部門別に見ますと、産業部門ではガスの製造時、それからほかの物質を生産をする際の副生ガスとしての排出。また、さまざまな機器への充填。それからエッチングやクリーニングの際に使用することに伴いまして排出されます。
 エネルギー転換部門では、主として絶縁ガスとして使われている機器の使用、点検、廃棄時に排出されます。
 民生部門では、冷蔵庫、エアコン、噴霧器、消火器等の使用、廃棄に伴って、HFC、PFCが排出されます。
 運輸部門では、主として自動車用のエアコンの使用、廃棄に伴いましてHFCが排出されます。
 続いて3ページにまいりまして、これまでの増減の要因でありますけれども、まずHFCにつきましては、先ほど申し上げましたように冷媒を始めとして非常に幅広い用途で使われまして、近年の生産量としては増加の基調にあります。特にこの物質は、CFC、HFCの代替ガスとしての開発、生産設備投資が行われておりまして、生産が非常に伸びることが予想されております。また、冷媒、溶剤、洗浄剤だけでなく、従来から炭化水素が使われてきたエアゾールの分野、それから二酸化炭素、炭化水素が使用されていた発泡の分野でもHFCが使われ始めています。
 続きまして、今までも特定フロンのCFCの自主的な回収が進められておりまして、まだHFCはそれほど回収・破壊量が大幅に増えている段階には十分至っていないわけでありますけれども、CFCを見ますとこのグラフにありますように、冷蔵庫、冷凍空調機器、カーエアコンの回収率はまだまだ低いレベルにとどまっておりまして、これはCFC、HCFCだけでなくHFCを含めた回収破壊の制度化が必要ということで、現在国会でも法制化に向けての動きが非常に活発化しています。
 続きまして、4ページに炭化水素等の代替物質、ものによってはこういう物質へ置き換えることができまして、既に実用化レベルにあるものが多いわけであります。エアゾールでは、先ほども言いました炭化水素等の代替物質が十分使われます。しかもこういったものは、一度空気中に出しますと回収処理は事実上困難でありますので、そういう排出形態も考えると可能な限り炭化水素等へ代替していくということが望まれるわけです。
 冷媒用途では、既に業務用の機器ではアンモニア等の代替物質を使用したものがわずかではありますが製造されております。また、炭化水素系のものも海外では使われておりますので、我が国でもそういったものを導入するための研究開発と実用化が一部では始められているという状況です。
 発泡用途では、冷蔵庫の断熱材として炭化水素のシクロペンタンを用いたものが既に実用化されているとか、その他フロンと混合した発泡剤がありますので、こういったものをなるべくフロン系やHFC以外のものにシフトしていくということも今後可能性としては期待されるわけであります。
 続きましてPFCですが、主として電子部品等の洗浄剤、それからドライエッチング、CVDクリーニング、こういった分野での使用がなされておりまして、特に80年代以降のハイテク産業の成長に伴って使用量が大きく伸びてきているという状況にあります。
 このPFCにつきましては、回収処理装置が実用化されておりまして、技術的には90%以上と非常に高い回収効率に達していますが、まだ半導体製造や液晶製造の部門でも導入率、設置率は低レベルにとどまっているというのが現状でございます。
 それから5ページにまいりまして、代替物質につきましてはまだこれに置きかわる完全な物質はないわけでありまして、まだ調査研究段階で、将来そういうものが出てくるかどうかはまだ見きわめがつかないという状況です。
 続きましてSF6でありますが、これは弱電機器の電気絶縁用として封入、充填される用途が非常に多かったわけでありますが、それに加えまして、先ほどのPFCと同じように半導体・液晶のエッチング、CVDクリーニングの用途としても利用されています。さらに、海外ではタイヤや靴底、二重防音窓に充填、封入するという利用が報告されておりまして、こういうものは先ほどのダストブロアと同じように回収が非常に困難でありますので、なるべくこういうものを使わないような誘導というのが望まれるかと思います。
 それから、SF6の電気絶縁用途での回収処理は比較的進んでおりまして、点検時の回収が87%、撤去時の回収が88%。主として変圧器などを電気事業者が点検・撤去する際に回収するということであります。
 それから、この物質にかわる代替ガスの開発というのもまだ途上段階にあるというふうになっております。
 それから備考のところに、これは京都議定書の対象にはなっていないわけでありますけれども、三フッ化窒素という物質がこの3ガスと同じようにエッチングやクリーニング用途に使われ始めているということでありまして、将来的には京都議定書でどう対応するかということにもなってくると思われます。既に化学物質の審査規制法で、有害性等に着目いたしまして指定化学物質に指定されておりまして、製造量、輸入量が報告されるということなっており、現状では217トンという数字が報告されております。
 6ページにまいりまして、2010年の予測に移ります。
 計画ケースでの予測でありますけれども、HFC等の3ガス、95年を基準年といたしまして見たところ、図4にありますように79%に減っていくと予測されております。減る要因としては、家電リサイクル法の施行によりまして家庭用の冷蔵庫、エアコンの冷媒の回収が義務づけられていることがあります。その他生産段階での対策も比較的進んでいくことでの削減が期待されております。
 逆にHFCに関しては、業務用の空調機器、カーエアコン、これにつきましては、現状では計画ケースとしては自主的なもの以外は含めていませんので、先ほど申し上げましたような制度化に結びつくような対策の強化が必要になってきて、削減ポテンシャルでは算定の対象にしておるわけであります。
 7ページに、それぞれの用途別にどのぐらいの割合を占めているかという構成比を示したものでございます。
 若干複雑な図になっておりますけれども、この中で95年に比べまして2010年の固定、もしくは2010年の計画ケースで非常に構成比の割合が増えてくるものといたしまして幾つか挙げますと、一番上のドライエッチング、CVDクリーニングに伴うSF6の排出、これが若干増えていくであろうと。それから、下から5番目から3番目にあります、HFCの発泡剤としての排出。それから、カーエアコンなどの製品の製造、使用、そして廃棄の段階でのHFCは、割合としては非常に増えていくだろうと予測されております。
 逆に上から2番目のSF6につきましては、かなり構成比としては減っていくということですし、一番下のHCFC-22の生産に伴うHFC-23の排出もさまざまな対策の効果が出てきて減っていくという予測になっております。
 8ページにまいりまして大綱との比較でありますが、大綱上はこの3種類のガスすべて含めて基準年比較でプラス2%という大くくりな目標が示されていますので、これと具体的な対策との比較はできませんが、右側には今回算定しました計画ケース、また固定ケースとの差、すなわち削減量がどの程度になっているかを示しておりますのでご覧をいただければと思います。
 続きまして、9ページからは削減ポテンシャルであります。
 計画ケースでも自主的な回収、破壊の取り組みを始めとして、生産段階での排出抑制をかなり見込んでいたわけでありますけれども、削減ポテンシャルにおきましても、基本的にはそういった対策をさらに強化をしていくことと、さらに今後期待される代替物質の開発、実用化に伴いまして、そういうものへのシフトが考えられます。
 このうち漏洩防止や、原単位の低減による使用量の削減につきましてはかなり計画ケースで取り込まれているということで、ポテンシャルの計算の対象にはしていません。また、代替等による需要削減によって生産量が低減されることにより、ガスの生産時の排出量が削減される可能性があるわけでありますけれども、一方で輸出量が増えると生産量は減らないという関係になってきまして、今後それがどういうふうになるかという見きわめが非常に難しかったわけで、この代替等による排出削減によって生産量が軽減されることに伴う削減については今回検討の対象からは除外いたしまして、結果的には回収処理を一層強化することを対象にしました。この中には制度化も含めた回収処理の強化も含まれます。
 それから、温室効果の低いもの、また非フルオロカーボン系の物質等への代替、この2つの種類の対策についてポテンシャルの検討を行いました。
 10ページには、今回検討対象にした対策技術の一覧を示してございます。
 一番右側に削減ポテンシャルを検討した対策ということで、いずれも回収処理の強化と、使用量の削減、つまり代替による使用量の削減、この2つに分類されます。
 続きまして、11ページにその結果のポテンシャルの値が示されております。表4を見ますと、HFCの業務用冷凍空調機器の廃棄時の排出、それからカーエアコンの廃棄時の排出、この回収強化と、それから代替もあわせて考えた場合3つの数字がございまして、いずれも大きなポテンシャルになっております。これは、先ほど来申し上げております回収破壊の義務化をねらった制度化を念頭に置いております。
 それ以外に、一番上の欄のHCFC-22の生産に伴うHFCの排出、それから下の方にありますドライエッチング、CVDクリーニングに伴うPFCの排出の数字が大きくなってきております。
 それから、次のページにまいりまして12ページ、コスト-ポテンシャルの評価でありまして、表5にございますように、まだ費用対効果のところで特に代替物質についての費用対効果をどういうふうに算定するかということにつきまして事務局の中でもいろいろと検討は進めているわけでございますけれども、まだ統一的な前提条件の置き方等につきまして一定の結論を得るというところまで至っておりませんので、まだ今のところ空欄とさせていただいておりますが、今後作業を進める上でいろいろとご指導をいただければと思っております。今のところはHFCの副生品の排出抑制、それから冷媒の回収処理、カーエアコン等業務用の冷凍空調機器について費用対効果の数字を提示しております。
 それから13ページにまいりまして、対策・技術導入にあたっての課題と必要な対策手法で、回収・処理につきましては、比較的こういったことがスムーズに行われるもの、例えば回収・処理がその場でできるようなもの、それから排出主体と回収・処理をする主体が一致している場合、これは主としてSF6の使われている電気絶縁用途などですが、こういったものは回収・処理の対策は講じやすいわけでして、現に比較的回収・処理の割合が高くなっていますが、そうでないもの、冷媒用途、発泡用途のものにつきましては、メーカーとユーザーと回収者にさまざまな主体が関与してまいりますので、そういう一連の回収・処理を円滑に進めるための社会システムづくりがどうしても必要になってくるということで、法制度としてまた経済的な手法も含めた検討をして、目標達成のための仕組みづくりが必要ということを述べております。
 代替物質につきましては、CFC、HCFCからHFCへの転換がオゾン層保護対策として進められてきているわけであります。したがいまして、さらにこれをそれ以外の物質に代替するということも対策としては必要になってくるわけでありますが、その際には、もう一度設備投資等のためのコスト負担が生まれてくる可能性があるわけで、現にそういう要因によってHFCからさらなる代替に進んでいかないという実情があるのではないかと考えられております。
 また、HFC、PFCを炭化水素系の物質に代替する場合には、可燃性であることから消防法等のさまざまな規制がかかってくるであるとか、中小・零細企業にとってはなかなかそういう面での代替が進まないという面がありまして、そういうことを乗り越えての対策をするためには、やはり経済的な助成措置、技術支援、普及啓発などを含めてさらなる促進策が必要になってくるのではないということを課題として述べております。
 14ページに、今申し上げましたようなことも含めまして、3種類のガスについてそれぞれの対策技術を進めていく上での現状での制度的、社会的な課題、必要な対策手法を示しております。副次的効果は特になしということでございますけれども、それぞれの分野、対策・技術について、現状ではこういうことを進めていくべきではないかということで案として提示をさせていただいています。
 特に必要な対策手法のところでは、普及啓発、助成措置といったようなものは現状でもあるわけでありますけれども、HFCの回収・処理に関しては法制度の導入ということを述べさせていただいておりますし、HFCのエアゾール、噴霧器、消火器の使用、それからPFCの溶剤、洗浄での使用といったようなものつきましては、もちろん物によって強弱はありますが、なるべく使用しないような禁止を含めた措置もやはり考えていくべきではないかというふうに我々としては考えております。
 以上がポテンシャルとそのコスト評価、そしてさまざまな課題の整理でございます。
 15ページ以降は、また推計上の課題・留意点ということで幾つか掲げさせていただいております。
 15ページには潜在排出量と実排出量、こういった差がありますということを改めて紹介させていただいております。それから16ページには、この分野は必ずしも十分な情報が私どもとしても得られる状況になっておりませんので、なるべくそういったものが出てくるような仕組み、そして中ほどにマスバランスと書いておりますけれども、排出を含めた使用実態が十分わかっていないわけでありますので、そういうものもあわせて情報公開と協力が得られるようなシステムづくりを考えていきたいと思っております。
 それから、施行令上推計が不可能な部分というので、これも現状いろいろな使用量、排出量の実態把握の上でのネックになっているものでありますけれども、SF6につきましては、まだ在庫量がどのぐらいかということが不明で、全体の使用量の捕捉率が7割ぐらいにとどまっているのではないかというような点もありまして、こういった点もやはり実態を正確に把握する上では課題と考えているところでございます。
 それから、17ページの下ですけれども、削減ポテンシャルの推計上の課題・留意点ということで、これもほかの部門と共通するところですが、回収処理や代替も含めて、そういった対策がどの程度普及するかという想定につきましては、もちろん明確な数字をすべて当てはめるというところまではいっておりませんので、かなり仮定を置いたものでございます。
 その中でも、すべてが100%導入するという考え方をとることももちろんポテンシャルでありますからできるわけでありますけれども、今回2010年という短期のスパンで切って、そこでより現実的なポテンシャルをある程度はやはり考えていくということも念頭に置きまして、その中で例えば50%であるとか10%であるとか、そういった割り切りを検討会の委員の方々のお知恵を拝借しまして設定をさせていただいたわけであります。今後この説明の仕方も含めてもっとこうすべきではないかというご指摘があれば、検討を深めていきたいと思っています。
 それから、18ページには回収処理と、代替物質への転換を考えたわけでありますけれども、この2つをあわせてやることもできますし、どちらかの対策を優先していくということも物によっては考えていく必要があります。したがって、単純に回収処理プラス代替物質の組み合わせ、削減ポテンシャルの足し合わせということにはならないわけでありますので、今後それぞれの代替と回収処理をどういうふうに進めていくのかということも含めて考えていく必要がありますので、そういったところも配慮した上での削減効果を算定しているということを紹介しております。
 以下、コスト評価の課題で回収処理のコスト、それから冷媒の回収システムの構築のコスト評価ということで、こういった仮定を一応置かせていただきましたということを紹介しております。
 19ページにまとめをしております。排出量の現状と現行施策の評価ということで、HFCにつきましては、ここに書いておりますように、オゾン層破壊物質の代替物質として近年生産が増大して幅広く利用されておりまして、これからは使用量はもっと増大するであろうと見込まれます。
 PFCにつきましても、ハイテク産業の成長に伴いましてさまざまな用途で使用量が増加しております。回収処理装置は今も導入されており、また効率は高いわけでありますけれども設置率は低い状況にとどまっております。
 SF6につきましては、電気絶縁用に加えましてエッチング、CVDクリーニングの用途にも広がってきておりまして、電気絶縁用途では回収処理は非常に高い実績を示しております。
 それから、3種類のガスをひっくるめて業界の自主的取り組みがなされておりますし、さまざまな排出抑制策が講じられているわけでありますけれども、例えば冷媒用のHFCやドライエッチング、CVDクリーニングの用途、PFC、それからSF6の回収率は依然として低いレベルにとどまっているわけでありますので、こういったことも今後のポテンシャルとしても考えられますし、さらにそのポテンシャル実現のための対策が必要になってくるわけであります。
 (1)の1回収・処理につきましては、HFC等3種類の生産工程、それからガスを利用する製品の製造工程など、工場内における回収処理については比較的対策を講じやすいということで相当の削減ポテンシャルが見込まれるわけでありますが、当然対策でやろうとすると処理装置を導入するということで設備投資が必要になりますので、そういった経済的な面での支援が必要になってくるのではないかと。
 それから、冷媒用途、発泡用途につきましては、物質のライフサイクルを考えますとさまざまな主体が関与してくるわけでありますので、そういったものを一連のシステムとしてうまく回収処理が流れるようにするための検討が必要ということで法規制、さらには経済的な手法も考えていくことが今後の検討課題でございます。
 それから、代替物質につきましては、エアゾール、開放系の洗浄、発泡用途というようなものは現状では回収は困難ですので、なるべく代替物質が実用化されているものについてはそちらの方にシフトさせるための規制的な措置を導入することも考えていいのではないか。その際、中小・零細企業に対しては助成措置や技術支援が必要になってくると考えられます。
 冷媒用途につきましては、回収、破壊、再生利用を中心とする考え方がありまして制度化も進んでいますが、一方でより環境への負荷の少ないものに代替をしていくという対策があるわけでありますので、そのどちらがいいかということにつきましては、現状での技術開発の状況、社会的な受け入れ体制、経済的なコストを勘案しまして評価していく必要があるのではないかということでございます。
 それから最後に、エッチング、クリーニング用途のPFC、SF6につきましてはまだこれという代替物質が開発されておりませんので、さまざまな影響は考慮しつつも研究開発を進めていって、その結果いいものができればそういうものにシフトさせていくことが必要だということを述べさせていただいております。こういったことを制度面でも考えていく必要があるのではないかということでございます。
 それから、21ページには対策と効果の関係を示しております。
 それから、1枚飛びまして23ページにはそれぞれの対策・技術のシートの一覧ですが、現状ではまだ3種類の回収処理についてのシートを用意するにとどまっておりまして、今後残されたものにつきましても、また今日いろいろご指導をいただきながら作業を引き続き進めていきたいと考えているところでございます。
 以上で資料2の説明を終わらせていただきます。

○西岡委員長 それでは、次にEUの資料3の方をお願いします。

○竹内課長 続きまして資料3の4ページからでございますが、同じようにHFCなどの経済性の評価がされております。下のグラフにございますように、95年と比べると対策なしの場合は2010年に75%の増加になるということでございます。
 そこで、5ページにありますような対策を講ずると。5ページは、ガス別から用途別にそれぞれの削減コストが記載されております。それを今度は7ページにまいりますと、コストの安いものから順番に出るように並べてあります。その際、ここでは金利別に3種類の金利を設定してコストが並べられております。
 さらに8ページにまいりますと、これを削減コストの低い対策から並べた場合の総削減量ということで、注の4にございますように個別の削減対策による削減量を足し合わせていくと30Euroの削減コストの対策を実施した時点で総削減量が5,000万トン、削減すべき量であるところの 5,000万トンに達するという分析がされているということでございます。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、約20分ぐらいございますが、今の3ガスにつきましてご専門の立場からご意見をいただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
 ある面では非常にこの対象が明快なのですが、それからこの手法についても処理の助成あるいは規制、経済的手法、割とターゲットがはっきりしている話だとは思いますけれども、この全体のコストの評価の仕方、あるいは削減のための制度等につきましてここに書かれた以外、あるいはここに書かれた内容につきましてご質問、あるいはご提案をいただきたいという具合に思っております。
 これは浦野先生のところですが、いかがですか。

○浦野委員 これを計算している側の立場から質問というのもあれですけれども、ちょっと皆さんに認識をしていただきたいという意味で、大体この3ガスというのは割と皆さんなじみがないということで、前回も申し上げましたけれども、潜在排出量で言うと先ほどご紹介のあった運輸部門の貨物輸送とほぼ同等ぐらいあるんです。実排出量で貨物輸送の大体2分の1ぐらいあり、かなり大きな割合を占めているということをまず皆さんにご認識いただきたいということと、しかも、このごろは非意図的というとおかしいですが、つくるつもりでなくてもできちゃう部分が若干はあるんですけれども、そこはそこで対策がとりやすい。
 それからもう一つは、もう製品として出ていてどこでどう使われているというのが、SF6の3割ぐらいが不明なんですけれどもほかについては何とかわかるということと、それから、うまくやれば2010年に21%ぐらい削減できるという意味では、ほかのものがなかなか増えていってしまう話ばかり多いのですが、ここはうまくやればかなりの削減が見込める可能性が、ポテンシャルがあると。このポテンシャルは、前回のお話のあったものとはちょっと違って、技術的に可能だというだけではなくて、現実2010年に導入が少し努力をすれば可能であるという程度の普及率を考えているわけです。もちろん何かしらの努力は必要なわけですけれども、100%普及するというような考え方はとっておりません。
 現実的に可能と思われる普及率、あるいは回収率等を想定して、もちろんいろんな政策をとった場合の希望的な数字ではありますけれども、100%というような感じではない数字が入り込んでおって、なお削減が多少見込めるという状況でございます。
 ただし、ここの中でやはり工業的に使われている部分と、末端ユーザー、自動車とか冷蔵庫とかその他ですけれども末端ユーザーに行っている部分で、たまたま末端ユーザーと言っても家庭用の製品については家電リサイクル法が施行されたことによって、この法律の制定で一気にいける状況ができてきたと。同じようなことがカーエアコンで今ちょっと議論になっているところなんですが、そういった法制度をどう組み立てるかで非常に大きく変わってくると。これがきちっとできれば、実現がかなり保証されるという部分が結構多いということで、国の政策というのが非常に重要だということになります。
 それからもう一つは、代替というものもヨーロッパを中心に幾つかいろいろな代替が出てそれが日本にもかなり入ってきていまして、そういう意味では2010年ごろにはかなり代替がいろんなもので進んでくるだろうというふうに思われているわけですが、そうすると相当の代替が行くというふうに思っておりますが、ただこの製品も洗浄用途等はすぐに大気へ出るか出ないかという議論になるわけですけれども、冷媒であるとか発泡剤というのは非常に長い間使われて、10年後あるいは20年後に排出されるということになりますので、2010年時点よりも2020年、あるいは2030年ぐらいの視点を持つとかなり削減がもっと見込まれるということで、2010年という短期では見えない部分もかなり出てくるというふうに考えております。
 ただ、16ページに幾つか課題が出ておりまして3点、根拠データの公開とチェックができるかとか、あるいはマスバランス、これは製品はわかっているわけですからきちっと統計をとろうと思えばとれるはずなんですが、これが必ずしもそろっていないという点でいろいろな不都合があるということが記載されておりますけれども、ぜひこれは関係諸機関で協力してこの情報を整理してきちっとした削減ポテンシャルなり、あるいは対策の効果等が見れるように早い時期にしていただきたいというふうに思っております。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 はい、内山委員。

○内山委員 1点お伺いしたいことがあります。先ほどの日本の資料2と、ヨーロッパの資料3と比較してみますと、結果の傾向が非常に似ています。例えばHFCの割合や将来の増え方、それから全体の量の増え方も非常に似ています。結果からみると日本とヨーロッパは同じような傾向で動くのかなという印象を受けています。ただ、日本の推計にはコストカーブ、いわゆる供給曲線がありません。日本の供給曲線は、ヨーロッパの供給曲線とほぼ同じくらいのものになるのか、それについてちょっと教えていただきたいんですが。

○浦野委員 では、最初に私が一部答えて、あとはまた関係の方にお答え願いたいと思うんですが、実はこのHFC関係は、CFCといった従来ここには入っていないフロン類、CFCあるいはHCFCといったフロン類の代替として入ってきているものですから、それはオゾン層の保護法等で国際的にスケジュールが決められて動いてきたという経緯がございますので、比較的世界的に似たような状況で動いていると。ただ、国によって違うのは、代替化というのは、やはり先ほどもちょっとご紹介しましたけれどもヨーロッパの一部の国はかなり進んでいるとか、あるいは進んでいない国があるとか幾つかございますので、日本でのシナリオも代替化のシナリオをどういうふうに描いていくかである程度違ってくるということがあり得るということです。
 それから、もう一つはコストの件ですけれども、コストは実は日本の場合まだ情報が非常に不足しておりまして、今回も一応モデルケース的なものを少しお示ししたんですがまだ十分なデータとか解析ができておりませんで、ヨーロッパと比べて似たような形になるのか、ならないのかというのはちょっとはっきり申し上げられないという状況でございます。
 何か事務局、あるいはこの計算をしたコンサルさんとかで何か補足のご意見がありましたら…。

○西岡委員長 特にないようです。
 ほかにご意見、はい、どうぞ。渡辺委員。

○渡辺委員 先ほどの浦野先生の話に若干補足と、あとちょっと疑問の点がありましてお話いたします。
 まず、7ページのところに出ています図の一番下にHCFC-22の生産に伴うHFC-23の排出の低減ということですが、これは私自身も年度の委員会で実際にこれを議論しているんですが、この技術は非常に確立しつつありまして、もう数年ですべてやれと言えば、例えば2010年のところを前倒しでできるくらいの技術的な完成度は高いわけです。問題は、例えば23の方は特別ダイオキシンなんかは出ないんですが、22の方はちょっと燃焼が悪いとダイオキシンが若干出てしまうというような問題がありまして、その燃焼コントロールというのは若干難しいところがあるんですが、それもほとんど技術的には問題なくて、現在ダイキン工業とアサヒガラスでそれぞれやっていまして非常にいい成績を上げていると。ですから、こういうものはすぐに実行に入れるというふうに思います。
 私がちょっと疑問に思ったのは、その上の方の3つ4つの、大体1つでくくるとHFCの発泡剤やあるいはカーエアコンに使っているところから出てくるものが将来的に非常に増えるだろうと。せっかく全体として幾つか減る部分があるのがすっかり帳消しになってしまうようなことになっているんですが、この辺はどういうことになるんでしょうか。

○西岡委員長 それでは、浦野委員の方から。

○浦野委員 今、ご指摘のありましたように、HCFC-22の生産に伴う生成というのは、これは典型的なケースとして24ページに書いてございまして、コスト計算はともかくとして、一応計画ケースでは現在この技術が普及率というか、技術そのものはできているんですけど確実に全部についていないということで、29%から80%まで計画だけでも上がるという、要するに業界の計画で80%までいくと言われているわけですが、先生ご指摘のようにもうちょっと努力すると95ぐらいまでは、100という想定はちょっと苦しいので95というのは、現実的に最大値に近いところで95まで強化されるという計算でやっておりまして、比較的順調にいくだろうというふうな見込みをしております。
 カーエアコンの方は、回収率が今の計画ケースでは頑張っても実回収率は10%ぐらいしかいかないということなんですが、今たまたま話題に出ております法律ができて規制というか義務づけが行われれば一応72%ぐらいまではいけると。なぜ72かと言うと、残り28ぐらいは何でいかないのかというご疑問もあるかと思うんですが、実は冷媒の回収というのは回収率を頑張って85%ぐらい、それから自動車自身の回収、機器の回収するもの自身も85%ぐらいというふうに見ますと、掛け算すると72ぐらいになるということで、完全な回収はなかなか困難というふうな部分がございます、頑張っても。
 もう一つは、カーエアコンが以前はCFCというここに入ってこないフロンを使っていたのが最近になってHFCに変わってきたわけで、それが捨てられる時期がちょうど今から少しずつ増えてきて、今後ずっと急激に捨てられる量が増えてきますのでその分が、ですから今まではカウントされていなかったCFCというものだったのがカウントされるHFCに変わって、ほとんど全部新車は変わっているんですけれども、それが捨てられる時期がこれからどんどんどんどん来て急激に絶対量が増えてくると。それが表に出てくるために、割合として先ほどのページのようにカーエアコン等の割合が急速に増えた形になると、こういうことでございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかに何かご質問、あるいはご意見ございましょうか。よろしゅうございますか。
 もしないようでしたら、これはある面ではこの規制であるとか誘導であるとかというところをどれだけ強めてできるだろうかということがポイントではないかなと思っておりますが、その辺を考慮いたしましてポテンシャルを十分計算していきたいという具合に考えております。
 それでは、この3ガスにつきましての討論はこれで終わりたいと思いますが、これで今日の議事は大体終わったんですが、ほかに何かその他ということでございますか。

○石飛調整官 冒頭資料確認の時に申し上げましたが、今回参考資料1ということでこの検討会に対するご意見に対して先ほどちょっと議論がございましたけれども、このような形で一応整理をさせていただいております。
 また、今後も出てきたご意見につきましては、資料そのもので反映するものと、ご質問については、今日十分答えられなかったものを含めてまた後日ご指摘がございましたら、こういった形で整理をした上で今後の議論に反映させていけるような形で進めていきたいと思っております。
 それから、前回は民生部門のご議論をいただきまして、その指摘を反映させた形の資料はどういうふうにして委員に還元するのかというご質問がございまして、事務局の中でもいろいろと検討させていただいた結果、特に配付資料、それから技術シートにつきましてはまだまだこれから作業を進めていかなければいけないわけでございますので、そういったものはなるべくできた段階で、できれば電子媒体として皆様にご提供をするような形を考えております。インターネット接続環境のある方につきましては、そういうふうな形でご覧いただけるような仕組みをこちらで現在考えさせていただていております。また、その電子媒体の資料に対してご意見をいただいて、それを逐次また資料に反映するというような形でそれぞれの資料の中身を充実、改善させていただきたいと思っております。これにつきましてはこういうふうな仕組みをつくりましたということをなるべく早く皆様方にお知らせをして、その後の資料の修正につなげていきたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 今のお話は非常に重要だと思います。ここで我々がいつも討議して、最後にまとまった時にぽんと渡されてこれでどうですかと言われてもなかなか手を入れることは非常に難しいということがよくありますので、ぜひ早目にフィードバックをお願いしたいという具合に考えております。
 本日は運輸部門とHFC等の3ガス部門における今後の現行施策の評価と今後の削減ポテンシャルについてご意見をいただいたわけでございます。特にこの制度的な問題につきましては、次回の国内制度小委員会の方に報告いたしまして向こうの方でも論議していただきたいと考えております。
 時間になりましたけれども、何かほかに議事の進行、あるいは今後の進め方についてご意見がありましたらお伺いしたいと思います。
 次回は5月の10日に14時から17時まで、東条インペリアルパレス2階の千鳥の間になっているようです。討議の内容は産業部門だけでしたか。

○世一補佐 産業部門とエネルギー転換部門です。

○西岡委員長 エネルギー転換も非常に大きな部門でございまして、時間もちょっと長めにとってございますが、ひとつよろしくお願いいたします。
 はい、どうぞ。

○飯田委員 一言だけ、ブッシュ政権の京都議定書離脱に関して、今のところ環境省としてどういうふうに対応されているのか、簡単にもし今のお話を伺えればということでよろしくお願いします。

○西岡委員長 そのこと自身は本日の議題と関係ございませんが、この機会を使ってお話をいただければありがたいと思います。

○局長 実は、先週の19日から昨日25日まで川口環境大臣、それと私も随行いたしましたけれども、ニューヨーク及びワシントンに行ってまいりました。ニューヨークでは4月21日土曜日に、現在のCOP6の議長をしておりますオランダの環境大臣のプロンクさんが招集をする形で、アメリカも参加をしておりますが、40カ国余りが参加をいたしまして非公式の閣僚レベルの会合を開いております。
 それから、ワシントンでは米国政府の高官、それから上院議員、共和党の議員の方とかマスコミに対する働きかけ等をしてきたわけでございます。ニューヨークの非公式閣僚会合では、ハーグで不調に終わったわけで中断しておりますが、それ以来初めての非公式ながら先進国、途上国が集まった会議ということでありまして、事前にプロンク議長から交渉をさらに進めるたたき台というつもりだと思いますが、主要な政治的決着を図るべき事項についてのプロンクさんの考え方を記したペーパーと言いますか、ノートが事前に配付をされておりました。
 ただ、実際の会合自体は、むしろそのアメリカの京都議定書不支持表明を受けて皆さんそれについてどう考えるか、それから、COP6の再開会合に向けてどのように進めるべきかという点に議論が集中をいたしまして、プロンクさんの事前に配付をされたペーパーについての議論は余りできませんでした。全体としては、やはりアメリカのその態度表明については、大変今後の交渉の見通しに対して懸念を表明する国がほとんどでございました。今後の進め方という点については、それにもかかわらず京都議定書に関する運用ルール、これの交渉を進めるべきである、それで7月のボンにおける再開会合の成功に向けて一生懸命努力しようではないかということを言った国がほとんどであったと。ただ、一部の国からは努力してもどこまで達成可能かについて慎重な見方も示されたと、こういうようなことが、一言で申しますとニューヨークの会合の結果でございました。
 今後の進め方としては、5月の下旬にスウェーデンのストックホルムにおきまして、今回ニューヨークと同様の形でプロンク議長が非公式の閣僚レベルの会合を開きたいと。今回十分に議論ができなかったそのプロンクさんが用意をされたペーパーについて議論をしたいと、こういうことでございました。
 それから、アメリカの代表は閣僚レベルではございませんでしたが従来の立場を繰り返していたと。この問題に真剣に取り組むけれども京都議定書とは違うアプローチでいきたいと、こういうことでございました。
 それから、現在政策のレビューを真剣にやっているということでありました。
 それからもう一つは、そのCOP6再開会合それ自体は予定通り7月16日から27日までボンで開催をするという、これはプロンクさんの今後の方針の表明でありますけれども、そういうことでありました。
 それで、本来この再開会合において関係国間で合意すべきものは、そのプロンクさんが用意されているペーパー自体ではなくて、各交渉事項についてテキストを用意しているんですが、このテキストがこれまで、特に京都メカニズムと呼ばれる柔軟性メカニズムについては非常に交渉事項が多くて、そして各国の意見がしゅうれんしない事項が多かったんです。数百カ所に及びまして、いろいろな意見が分かれている事項について代替案が括弧付きで列記されているというような状態がハーグ会合まで続いたのでありますけれども、その後、かなりそれぞれの交渉グループの共同議長が、議長から恐らく指導があったんだと思うんですが今鋭意作業を続けているということで、プロンクさんとしては6月ごろにはその括弧を全部外したきれいなテキストを用意してボンの会合のために各国に配付をしたいと、こういうようなことも表明をされております。それまでに各国間、各交渉グループ間の協議も同時並行でやってほしいと、こんなことを言っておられたと、こういうことでございます。
 ですから、一言で申しますと、全体としてはやはりそのアメリカの今回の態度表明に関してみんな非常に心配をしていると。交渉の前途に対して非常に不確定な、そういう先行きを不透明にしている要素であるという認識がみんな共通でしたにもかかわらず、この京都議定書を早く実施に移すための協議は進めようというような意向がほとんどの国から表明をされたと、こういうことでございました。
 十年来の地球温暖化の条約から始まりまして京都議定書、さらにその運用ルールをめぐる交渉ということで、十年来の交渉の中で最大の危機に直面しているという意味では皆さん認識は共通をしていると。そういう中で、そういう時にはいろいろな知恵が皆さん出てくるということで、一生懸命そういう知恵をこれから出していこうというようなことなんだなと思います。
 ただ、いずれにいたしましても、アメリカの検討中のものがいつどういう形で出てくるのか、これが今後の最大の不確定な点でありまして、したがって、それが全く今は手がかりがつかめないというところで知恵を出す必要があるんだろうということなのですが、どういう知恵をどのように出したらいいのかというのがはっきりしていないというような現状でございます。
 ワシントンにおきましては、米国政府高官ということで、大統領府のリンゼイ経済担当補佐官、この方がどうも現在の閣僚レベルの政策レビューの中心におられるようですが、それから、国務省ではアーミテイジ国務副長官、それから環境保護庁のホイットマン長官、このお3方に川口大臣が会いました。
 それから、共和党の上院議員で、京都議定書反対の意向を表明しておられる方々の中心人物の一人でありますクレイグさんという上院議員、アイダホ州選出の4人と会談をいたしました。あるいは、そのマスコミとの意見交換と言いますか、そういうことも行っております。
 ここでは、従来から日本が非常に強く懸念をしていること、それから、交渉にぜひアメリカがもう一回京都議定書に参加をしてもらうことが極めて重要であるということを強く申し入れをさせていただいたほか、アメリカが懸念をしておりますコストの問題については、短期的な経済への影響という点は確かにどこの国でもそういう問題は懸念事項としてあるわけですけれども、同時に、やはりこういう対策を進めることによってもたらされると言いますか生まれる経済的な機会、オポチュニティというものもあるはずであるということ。それから、対策が遅れれば遅れるほど温暖化による影響が、環境に及ぼす影響が出てきて、そういうものを後で急に回避しようとしてもそれだけ大きなコストが生ずるとか、あるいは被害が出てしまえばそれも非常に大きなコストになると、こういった点も、やはりその政策の評価においてあわせて検討すべきであるというような指摘もさせていただきました。
 要は、やはり国際的なプロセスが、ニューヨークの会合でも明らかなとおり、7月に向かって進んでいると。こういう状況の中でアメリカの政策レビューの結果を出していただく時に、やはりそういう全体の中でアメリカはリーダーシップを発揮すべきであるので、やはりそういう流れをよく考えた上でタイミングが重要であるということと、それからその国際的な協議が進んでいるという実態を認識した上でどういうふうに内容を出していただくのか、そのあたりも非常に大事なんですよということは強く申し入れをさせていただきました。
 そういった点が重要である点についてはかなり認識をいただいたのではないかというふうに思っておりますが、なお、それにいたしましても、やはり検討の方向についてはかなり従来の主張を繰り返していましたので、なかなか楽観を許さないのではないだろうかというふうに思います。
 また、タイミングも、かなりこれも当然ボン会合があることは百も承知しているわけでありまして、一生懸命早く結果が出るように努力をすると言っておりましたけれども、他方で皆さんもある程度ご記憶のとおり新政権の政治任命スタッフの指名、さらに上院での承認のプロセスが非常に遅れておりまして、閣僚あるいは副長官レベルぐらいまではある程度埋められているんですが、その下の例えば次官方、日本で申しますと局長クラスですね、そのあたりがまだほとんど各省庁埋まっていないという状況であります。一番重要なテーマだから役人には任せずに閣僚レベルでレビューをやっているんだと、こういうことなのですが、それはそれで大変結構なことだと思うんですが、実際しかし、作業はこれほど複雑な問題ですと、やはりスタッフがいないとなかなかやれないという面も事実だと思いますので、このスピードがどういうふうになるのか、これもまたかなり厳しいことではないかなという感じがいたしております。
 ただ、いずれにしましてもこれからも粘り強く働きかけをしていきたいと、こういう印象を改めて強く持って帰ったというのが現状でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 非常に詳細なご説明をいただき、どうもありがとうございます。
 それでは、ほかに何かございませんか。
 それでは、本日の議事はこれで終わりにしたいと思います。どうも皆さん、ありがとうございました。

午後17時31分閉会