長期低炭素ビジョン小委員会(第12回) 議事録

日時

平成29年2月3日(金)10時00分~12時30分

場所

海運クラブ 2階ホール
東京都千代田区平河町2-6-4 海運ビル2階

議事録

午前10時00分 開会

○低炭素社会推進室長
定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会長期低炭素ビジョン小委員会の第12回会合を開始いたします。
本日は、ご到着が遅れていらっしゃる委員もいらっしゃいますが、委員総数18名中15名の委員にご出席いただく予定であり、定足数に達しております。
なお、本日は、ご欠席の日本経済団体連合会の根本委員の説明員として、池田様にお座りいただいておりますので、委員の皆様にはご承知おきいただきますようお願いいたします。
また、既に地球環境部会長決定とされております本委員会の運営方針において、原則として会議は公開とされていることから、本日の審議は公開といたしております。
では、以降の議事進行は浅野委員長にお願いいたします。

○浅野委員長
それでは、皆様、おはようございます。今日もお集まりいただきましてありがとうございます。
それでは、配付資料の確認を事務局からしていただきます。

○低炭素社会推進室長
配付資料につきましては、一番初めに、議事次第がございます。その次に配付資料一覧がございます。資料1としまして、委員名簿がございます。資料2としまして、長期低炭素ビジョン(素案)がございます。資料3としまして、長期低炭素ビジョン(素案)の概要がございます。資料4としまして、長期低炭素ビジョン(素案)参考資料がございます。また、参考資料としまして、カーボンプライシングに関する意見交換会議事概要がございます。また、委員の皆様のお手元には、委員からの追加のご意見、地球環境部会の議事録を配付しております。資料については以上でございます。
資料の不足等がございましたら事務局までお申しつけください。
カメラはここで退席をお願いいたします。

○浅野委員長
はい。それでは、地球環境部会の議事録をお配りしております理由は、この委員会の親委員会に当たるわけですが、委員があまり重なっておりません。前回の案について、部会としての委員のご意見を承りましたので、それもご参考までにということで配っている次第でございます。
それでは、前回いろいろご意見をいただき、さらに、また、今申しましたように地球環境部会でもご意見をいただきましたことを踏まえて、最終の案の素案をつくるという作業にかかりまして、大分事務局には努力をしていただきましたが、まだ十分なものではございません。本日、ただいまからビジョンの素案について、事務局から説明をいただき、皆様方のご意見を承るつもりでおります。約30分ぐらいということで予定されておりますので、事務局の説明をお聞きください。

○低炭素社会推進室長
それでは、資料2に基づきまして説明をさせていただきます。
今も委員長からご紹介がございましたように、これまでの皆様のご意見、また、地球環境部会でいただいたご意見等を踏まえまして、この素案という形にしております。ページとしまして55ページほどございますので、それを30分で説明しますので、1ページ当たり大体30秒ぐらいのペースで説明をさせていただきます。
最初のページに目次がございます。第1章として、気候変動問題-科学に基づく取組が基本-、第2章として、パリ協定を踏まえた世界の潮流、第3章として、我が国の直面する経済・社会的課題、第4章として、脱炭素社会の構築を見据えた長期大幅削減に向けた基本的考え方、第5章としまして、長期大幅削減の絵姿、第6章としまして、長期大幅削減の実現に向けた政策の方向性という構成にしております。また、3ページ目、4ページ目には、各章でどういうことを書いているかということについて、サマリーとして載せております。で、5ページ以降が本編でございます。
第1章で、気候変動問題-科学に基づく取組が基本-というのがございまして、(1)としまして、気候変動問題に関する科学的な知見、1としまして、気候変動問題は社会の脅威ということで、観測された変化、気温の上昇についてIPCCの報告書に載っていること、また、「いぶき」などで測っている二酸化炭素の濃度について書いております。また、5ページの下のところから、将来の気候変動、リスク及び影響ということで、特に、IPCCに書かれているような影響の予測について記載をしております。6ページの下のほうでは、こういう気候変動の影響が、国家安全保障政策にも影響しているということにも触れております。
6ページの下のほうから、2としまして、2℃目標と温室効果ガス排出実質ゼロというのがございまして、世界平均気温の上昇の大部分が二酸化炭素の累積排出量によって決定づけられているので、気候変動リスクの抑制は、二酸化炭素累積排出量の制限を意味するといったことを書いております。また、2℃未満に維持できる可能性について、世界全体で40-70%削減され、2100年には排出水準がほぼゼロ又はそれ以下になるということも書いております。また、気候感度について、さまざまな不確実性等についてご意見もございましたけれども、その7ページの三つ目の段落では、気候感度の科学的な推定値には幅が存在するといったことについて記載をしております。
7ページの真ん中辺りから、3としまして、カーボンバジェットが前提となる世界ということで、2100年までの範囲で、二酸化炭素累積排出量と予測される平均気温の変化の量に、ほぼ比例の関係があるということで、2℃未満に抑える場合には、人為起源の排出制限からの二酸化炭素累積排出量を2.9兆トン未満に留めるということでございますけれども、既に累積で1.9兆トンが排出されている。このため、あと、残り約1兆トンに抑える必要があるということを、カーボンバジェットの説明として記載をしております。また、これについてもさまざまな幅があることについては、7ページの一番下のところからも書いているところでございます。次のページ、8ページに行っていただきまして、真ん中辺りのところですけれども、段落が変わったところで、各国が提出している約束草案を総計しても2℃を最小のコストで達成する経路には乗っておらず、追加の削減努力が必要になるということにも触れております。
8ページの下のほうで、(2)としまして、パリ協定の意義というのがございまして、パリ協定の概要について書いております。9ページの下のほうでは、パリ協定に書いていることとして、各締約国が、緩和に関する国内措置を遂行するというふうに決まっているということも書いております。また、生産ベース、消費ベースについても議論がございましたので、生産ベース及び消費ベース両方の削減が必要であるというふうに記載をしております。
また、9ページの下のところから、我が国の長期目標等ということで、我が国の温室効果ガス排出量の推移について記載をしております。また、10ページの上のほうから、2050年目標に係る経緯ということで、10年前の2007年ぐらいからの経緯について記載をしております。中ほどのところでは、2011年3月の東日本大震災を踏まえた後で、第4次環境基本計画というのが閣議決定されたということについても触れております。11ページ目の上のほうから、脱炭素社会を見据えた2050年目標の1人当たり排出量は約2トンということを書いておりまして、ここでは、先進各国の目標について触れております。また、世界全体で40-70%削減された場合に、一人当たり何トンぐらいになるのかということを記載しておりまして、これを踏まえて、先進各国の一人当たりの排出量とも比較をしておりまして、先進各国の一人当たり年間排出量というのがIPCCのシナリオと概ね足並みが揃っているということを記載しております。
11ページ目の下のほうから、第2章としまして、パリ協定を踏まえた世界の潮流ということで記載をしております。
めくっていただきまして、12ページのところから、(1)としまして、世界各国の動向について記載をしております。
(2)としまして、自治体の動向、次のページ、13ページで(3)としまして民間企業の動向についても記載をしておりまして、めくっていただきました14ページのところから、(4)として金融の動向ということで、この中で、TCFDとか、エンゲージメントとか、ダイベストメントについても記載をしております。また、15ページ目、(5)として、市民・科学者の動向として、この中でClimate Justiceなどについても触れております。
また、その真ん中辺りから第3章、我が国の直面する経済・社会的課題について、(1)として国内外の主要な課題と対応の方向性、1として、主要な経済・社会的諸課題として、人口減少とか過疎化、めくっていただきまして、16ページのところからは高齢化、真ん中辺りで経済再生の中で、デフレのことですとか、また各国で、例えば米国では、新規事業の創造などで収益を高め、欧州では、製品のブランドを作り上げることで、高価格を維持してきたというようなことについても触れております。その下のほうで、地方の課題について記載をしておりまして、17ページ目では、国際社会における課題、真ん中のところから、2として、経済・社会的諸課題への対応の方向性、その中で経済成長について記載をしておりまして、その下のほうでは、供給面の対応(「量から質への経済成長」)。めくっていただきまして、18ページ目のところで需要面の対応(投資促進と潜在需要の喚起)。で、そのページの下のほうから地方創生について記載をして、あ、その次のページですね、すみません、19ページのところから地方創生について記載をしております。で、19ページ目の真ん中辺りで国際社会への対応ということで、安全保障のことについても触れております。
また、19ページ目の下のほうから、(2)として、変化の著しい社会において考慮すべきと考えられる主な要素ということで、ICTの進展ですとか、めくっていただきまして、自然との共生、安全・安心への意識の高まり等について記載をしております。
その下から、第4章として、脱炭素社会の構築を見据えた長期大幅削減に向けた基本的考え方を記載をしておりまして、その次のページのところから、(1)として、気候変動対策をきっかけとした経済・社会的諸課題の「同時解決」について記載をしております。その中で、下のほうで1としまして、気候変動対策による経済成長について記載をしております。また、めくっていただきました真ん中辺りで炭素生産性の向上ということで、炭素投入量当たりの付加価値を炭素生産性ということで、それを大幅に向上することが不可欠であるということについても記載をしておりまして、また、その炭素生産性の分母や分子についても解説を加えております。次のページの真ん中辺りから、経済成長と気候変動対策-付加価値生産性と炭素生産性との親和性ということで、量から質への転換のことですとか、潜在需要の喚起と外需の獲得ということについても記載をしております。めくっていただきましたところの上のほうの2段落目の下のほうでは、世界市場における競争優位を獲得できなければ、他国のモデルを輸入する立場に陥りかねないことなどに留意しないといけないというようなことも書いております。
真ん中辺りから、2としまして、気候変動対策による地方創生・国土強靭化ということで、まず、地域のエネルギーとしまして、現在のエネルギー源の大半が化石燃料であるため、地域のエネルギー代金の支払いの多くが輸入代金として海外に流出していると、この地域のエネルギー収支を改善することは、地方創生にもつながるとか、もう少し下のところで、再生可能エネルギーの多くは自立分散型エネルギーでもあり、災害時の強靭さの向上につながるため、国土強靭化にも資するといったことも書いております。その下のところで、市街地のコンパクト化ということに触れておりまして、市街地のコンパクト化が温室効果ガスの排出削減に寄与するとともに、域内消費の増加ですとか、賑わいの回復等ですとか、健康寿命の延伸などにもつながるのではないかということを書いております。25ページのところから自然資本について書いております。
真ん中辺りからは、3としまして、気候・エネルギー安全保障ということで、我が国で80%を削減することに加えて、世界全体で「+α」の貢献をするということについて書いておりまして、それが気候安全保障の強化に資するというようなことも書いております。また、めくっていただきまして、26ページ目の上のほうで、エネルギー安全保障について記載をしておりまして、地域エネルギーを活用して、エネルギー自給率を高めることがエネルギー安全保障の確保に直結するといったようなことを書いております。
その下のところから、(2)としまして、世界全体の排出削減への貢献:国内対策が大前提であるということを書いております。その一番下の段落のところでは、我が国の排出量に占める割合、3.0%であるけれども、仮に我が国が削減しないとして、要は1位から4位のところまでしか削減しないということになれば、全世界の排出量の3分の1になるところが何もしないということになるといったようなことを書いております。
また、次のページ、27ページの上から、長期大幅削減の鍵はイノベーションであると、長期大幅削減の達成のためには、新たなイノベーションが必要であって、イノベーションの促進が経済成長に直結するものだというようなことを書いておりまして、技術のイノベーション、経済社会システムのイノベーション、ライフスタイルのイノベーションについて記載をしております。
また、27ページの下のところから、取り組むべきときは「今」ということで、今取り組まないといけない理由としまして、28ページの上のところで、カーボンバジェットの観点、インフラの観点、環境政策の原則の観点、普及に要する時間の観点、29ページに参りまして、世界の潮流の観点、また、パリ協定の長期目標実現の観点から、今、取り組まないといけないということを書いております。
29ページ目の真ん中から、第5章の長期大幅削減の絵姿について記載をしておりまして、(1)として、2050年80%を実現する社会の絵姿として、1では、「脱炭素市場の創出」と「質の経済」実現の両輪による持続的成長、めくっていただきまして、30ページ目で、2として、自然資本を基盤とした再エネ産業とコンパクトなまちづくりによる「地方創生」、31ページ目で、3で、気候安全保障への大きな貢献とエネルギー安全保障が向上した国家の実現と記載をしております。
また、個々の社会像につきましては、31ページ目の真ん中辺りから、(2)としまして、様々な分野における大幅削減の社会像ということで、この中の2行目のところで、徹底した省エネ、再エネ等の活用による電力の低炭素化の最大限の推進、電化・低炭素燃料への利用転換が対策の柱であるというふうに記載をしております。個々の分野については、1として、建物・暮らしについて書いておりまして、我が国全体のストック平均でもゼロエミッションに近づいているという状況を書いております。また、めくっていただきまして、飛んでいただきまして、33ページ目のところで、2として、移動について書いております。また、次のページ、3としまして、産業・ビジネス活動について書いておりまして、この中でICTの活用など、また、金融のことについても触れておるところでございます。
めくっていただきまして、36ページ目からエネルギー需給ということを書いておりまして、電力については、低炭素電源(再生可能エネルギー、CCS付火力発電、原子力発電)が発電電力量の9割以上を占めているという状況について書いております。次のページのところから、5としまして、地域・都市ということで、まちのコンパクト化について、また、地域のエネルギーのことについても記載をしております。
38ページ目の下のほうから、第6章として、長期大幅削減の実現に向けた政策の方向性ということについて書いておりまして、(1)として、基本的な方向性として、1として既存技術、ノウハウ、知見の最大限の活用ということについて記載をしております。その中で、39ページ目の2段落目のところですけれども、環境省の事業では、5年以内に追加投資が回収できるにも関わらず実施率が低い対策も存在するということで、ただ、ポテンシャルがあるものの低炭素投資がなされていない部分で、幾つかの課題もあるといったようなことについても触れております。
また、次のページ、39ページの2としまして、新たなイノベーションの創出・普及について記載をしております。この中で、大幅削減に必要なイノベーションについて記載をしておりますし、次のページ、40ページのところではイノベーションによる経済成長、また、40ページの下のところでは、イノベーション創出における政府の役割ということで、41ページ目の一番上のところでは、イノベーションの創出には原資が必要であるといったようなことも書いております。
また、その次の段落では、次の段落の41ページ目の2段落目のところの2行目では、不確実性を理由とした市場参入の遅れや投資・対策の先延ばしは、国際競争力の劣化にもつながるといったことも書いておりまして、その次の段落では、イノベーションの創出には需要側の役割も重要であるといったことを書いております。
めくっていただきまして、42ページ目のところで、3としまして、あらゆる施策の総動員、一つ目として、きめ細かな政策の実施等ということで、2行目ぐらいから、排出源ごとに、科学的知見を踏まえた定量的なデータに基づく分析やモデル解析のほか、様々な経済社会的諸課題との同時解決を念頭に置きつつ、排出源固有の実態と海外の動向等を適切に踏まえながら、我が国において機能する施策の在り方についてきめ細かく検討して、施策を実施していく必要があるということについて記載をしております。また、その次のところからは、あらゆる政策への気候変動対策の織込みということで、その一番下から二つ目の段落では、エネルギーとか国土形成、第1次産業から第3次産業までを対象にしたそれぞれの政策など、あらゆる分野に気候変動対策の観点を適切に織り込んでいくことが必要だということを記載しております。また、43ページ目の上のほうでは、その中でも、特に温暖化政策とエネルギー政策との連携について書いておりまして、ここは従来、皆様から、エネルギーと表裏一体だというご指摘もたくさんございましたので、特にエネルギー政策については記載をしております。
43ページ目の下のほうで、(2)としまして、主要な施策の方向性ということで、めくっていただきまして、44ページ目の上のほうで、1としてカーボンプライシング:市場の活力を最大限に活用ということで、その一つ目で、あらゆる経済社会活動において、人々が温室効果ガスの排出を認識できるような基盤の整備が必要であること、また、次の段落で、経済的なインセンティブを付与することにより「認識」を持たせて、人々の行動を誘導する経済的手法ということを書いております。その真ん中辺りから、カーボンプライシングの意義を書いておりまして、その4行目ぐらいでは、どのような変化が起きても社会が柔軟に対応できる仕掛けとして有効であるということを書いております。
また、次のページ、45ページの2段落目のところで、カーボンプライシングについて、炭素価格が明示的に示されるもののほか、エネルギー課税など他の政策によって実質的に排出削減コストが発生する場合に、「暗示的な炭素価格」とする考え方もあるということについても記載をしております。次のページ、46ページ目のところから、国内外におけるカーボンプライシングの動向とその効果ということを書いておりまして、次のページ、47ページ目のところで、環境問題と経済・社会的課題の同時解決の手法としてのカーボンプライシングということで、その2段落目で、カーボンプライシングによって化石燃料の相対価格が上がることで、低炭素製品・サービスに対する需要が創造されるといったことを書いております。
また、その次のページ、48ページ目のところですけれども、48ページ目、2段落目のところで、OECDの分析ということを書いておりまして、その次の行で、実効炭素価格の相当程度の上昇がマクロ経済に悪影響を与えている現象は確認できないといったことを記載しております。そのページの下のほうから、2050年80%削減・脱炭素化に向けたカーボンプライシングの必要性ということで、その次のページの、その段落の最後のほうの4行ですけれども、短期的・急変的な影響を回避しつつ、長期的な効果を最大限に発揮させる視点が重要といったことについて書いております。
49ページ目の上のほうから、2としまして、大幅削減に向けた他の主要な施策群としまして、一つ目として、環境情報の整備・開示ということで、人々や企業が気候変動の観点も含めて適切な財・サービスの選択を行うことが可能となるよう、財・サービスに環境情報の提供を促す仕組みが重要であるといったことも書いております。また、そのページの一番下の段落のところで、サプライチェーン全体の排出量の算定についても記載をしております。次のページ、50ページ目でございますけれども、真ん中辺りから規制的手法ということを書いておりまして、その一番下の段落で、規制には、例えば、技術、性能を特定するといったものですとか、政府計画、公共調達等に関するもの、先端技術の普及やイノベーションを促進するもの、エネルギー効率を改善するもの等について記載をしております。
次のページ、51ページ目のところで、革新的な技術開発の推進、普及について記載をしております。また、真ん中辺りから環境金融、下のほうで土地利用、めくっていただきまして、52ページのところで全ての主体による自主的な取組、次のページで、53ページのところで、教育・人材育成・市民参加、科学的知見の充実等、また、下のほうで適応能力の強化ということにも触れております。めくっていただきまして、54ページ目のところで、世界全体の排出削減への貢献ということも記載をしておりまして、その下のほうでは、資源循環の推進、次のページに参りまして、エネルギー起源CO2以外の温室効果ガス対策について記載をしております。
また、55ページの真ん中辺りから、(3)としまして、長期大幅削減に向けた進捗管理ということについて、進捗管理を厳格に行いまして、適切な見直しをしていくということが適当であるといったことも記載をしておるところでございます。
本文については以上でございまして、この内容を概要として書いたものが資料3になります。で、資料3では、(全体概要案1)としまして、このビジョン全体の構成について記載をしておりまして、2の方では、特に成長戦略としての気候変動対策というところに焦点を当てた書きぶりにしております。それ以降につきましては、基本的考え方以降の部分について、絵を交えつつ記載をしておるところでございます。
また、資料4では、素案の参考資料集ということでございまして、本文に書いてあることの根拠ですとか、参考となるデータ等々についてまとめておるものでございます。
全体としては以上でございます。

○浅野委員長
それでは、これまでにいただいたご意見をもとに素案をまとめたわけでございますが、必ずしもその十分でないということは、十分わかっております。出されたご意見を全てこれに網羅することは、やっぱり事の性質上なかなか難しゅうございまして、やむを得ずこのような形になりましたが、忌憚のないご意見をいただければと思います。
それで、本日の進め方でございますが、まず、最初にお願いをしたいのは、やはり12時半にはきちっと終わりたいということを今回こそ守りたいと思いますので、よろしくお願いします。
それから、第1章から始めると、ちょっとまた大変なことになりそうで、恐らく第4章、第6章についてのご意見が多いだろうと思いますので、先に4章、5章、6章についてのご意見をいただいて、残る時間で1章から3章までとこういう進め方にしたいと思いますので、その心づもりをお願いしたいと思います。
それから、今回は、ローテーションは安井先生のほうからになりますが、荻本委員が早く退席をしたいので、先に発言をさせてほしいというお申し出がありましたので、まず荻本委員からご発言いただいて、その後、安井委員にマイクをお渡しいたします。
それでは、荻本委員、どうぞ。

○荻本委員
はい、ありがとうございます。すみません、わがままを言いまして。
何点かございます。どの章に関連するかというのはちょっと言いがたいところもあるんですが、私の書いた順番でお話しさせていただきます。
まず、非常にたくさん、豊富な内容が盛り込まれているんですが、その工学者の目で見ると、足して、例えば80%削減になるかどうかというのは、いまだに不明ということが一番大きいと思います。で、いきなり足し算をして、どれだけ効果が上がるのかということを算出すること自体は極めて難しいんですけれども、そういうことを間断なくやっていくんだと、次にはこんなことをやってと。そうしませんと、対策が足りているのか、それとも多過ぎるのか、そういうことがなかなか判断できないということで、足し算をするということを将来の課題として盛り込んでいただけないかというのが第1点でございます。
で、それのすぐ隣にあるのが、いつ、何をするのかというのがやはり重要だと思います。2050年の絵姿は見たんですが、じゃあ、5年以内に、10年以内に、20年以内にというような、いわゆるロードマップ的なことについても、将来の喫緊の課題というふうに位置づけられるとよいのかなというふうに思います。具体的な例で言いますと、ロックインという言葉が出てくるんですけれども、ロックインというのは、2050年に要らないものがロックインだと。でも、2050年に何を使っているのか、何が必要なのかということがわかりませんと、ロックインという言葉だけだと、何か、非常に誤ったことになろうと思います。足し算と時間軸というのを、ぜひお願いしたいと思います。
で、第2点は、価値と制度というところでございまして、私、今日たまたま、この向かいの砂防開館で、エネルギー資源学会の会議をやっておりまして、今、まさにオンゴーイングで、2050年80%削減が可能かどうかという試算のセッションが行われていて、私も発表の予定でございます。そういうことをやると、2050年に円/kWhで我々がはかっている電気の価値というものが、必ずしもエネルギー量ではかる価値ではなくて、よく言われる調整力ではからないといけないというようなことが非常に強く認識されてまいります。何が言いたいかといいますと、価値が大分変わる世界だという可能性もぜひ認識をしていただいて、何を目指せばいいのかというところで、その価値の変化を取り入れられるように、電気に限らずお願いしたいと思いますし、そういう世界では、技術も大切なんですけれども、今の制度がどう変わらないといけないのかと、例えば電力市場もそうだし、いろんな制度がございます。そういうところ、その制度というもののイノベーションも非常に必要だというようなところをどこかにお書き入れいただけないかというのが2点目でございます。
3番目は、そのイノベーションの実例ですけれども、実例というか、もう日本は、ドイツが先進的な国というような話がありますが、フィードインタリフで、再生可能エネルギーのお悩みは非常に大きな国になっています。これは、裏を返すと日本が、それを解くチャンスを今目の前に持っているということになります。これは一つの例にすぎませんが、我々が抱えている喫緊の課題を非常にうまく解くことで、その低炭素化というものの礎にもなるし、かつ、産業のもとにもなるというものを、明らかにもう位置づけられてはいると思いますが、そこにぜひ力点を置いていただければなと思います。
最後に、PDCA的な表現もいただきました。で、見直しというのが非常に重要です。見直すためには、指標が重要です。指標というのは、どのくらい低炭素化できるかという結果指標に加えて、今行われている施策が、どのようにうまく進んでいるのかという補助指標というんでしょうか、そういうものが重要です。ですから、見直しをしていくということもう明らかに、高らかに書かれておりますので、それを具体的にどういう仕組みでやっていくのかということを、やはり続けて、大きな課題として位置づけていただければ、恐らくうまくいくと思います。
以上です。ありがとうございました。

○浅野委員長
ありがとうございました。
それでは安井委員、どうぞ。

○安井委員
はい、ありがとうございます。
1章から3章は後だと言われちゃったんですけど、1章に題名だけ言わせていただきます。やっぱり、この後のサブタイトルである科学に基づく取組が基本というのは、なかなか、やっぱりインパクトがあるので、今日も、私も細かいことを言い出してもしようがないので、科学的に問題がありそうなことだけちょっと指摘して終わろうかと思っています。
で、4章以降でございますけれども、4章以降の一つは、37ページぐらいまでを開けていただきますと、そこにいろいろなものが実装されている云々という、そういうようなところがございまして、そのページの上のほうというか、真ん中よりちょっと上の辺りにCCS、CCUと書いてあるんですが、実を言いますと、長期的に二酸化炭素を固定させるCCUというのは、これ、多分科学的に定義が間違っているということで、ちょっとご検討いただきたいと思います。CCUは、utilizationの「u」なので、長期的にとかいうのは、結果として必ずしも考えられてないんですね。だから、もうほかのものに使うということが重要なので、これは科学的に間違っているということを一つ申し上げておきたいと思います。
それから、あとCCUに関連して申し上げますと、あるいはCCSについてのほうかもしれません、CCS、CCUについて申し上げますと、これは、実を言うとコストをかけてCO2を処理するというある種の経済行為でもあるわけですよね。そうなりますとカーボンプライシングと、実を言うと、実際これが始まったときの状況というものを考えてみると、かなり密接な関係がありまして、それで、どのぐらいのCCSのコストというものが、実を言うとカーボンプライシングのその値の基準になりかねない。だから、その辺りが経済学的にちゃんと検討されているのかというのは一つの大きな問題で、そうでない、ちょっとカーボンプライシングが、もっと、非常に短く書いてくださっていれば、それで、あまり文句もつけないんですけど、これだけ長く書いてあると、カーボンプライシングの全てが書かれているという感じを与えてしまうんだけど、その一番重要なところが抜けているんじゃないかという気がするんですね。実際、いつからやるかわかりませんから、いずれにしても、そのCCSを経済行為と見、カーボンプライシングの一つの基盤技術であるという理解はお持ちいただいて、少し書き直していただかないと科学的にもおかしいという指摘が行くかなという気がいたします。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。
諸富委員、どうぞ。

○諸富委員
第4章から6章ということですので、最大の今日のビジョン素案の重要なポイントとしては、やはり第4章、6章に書かれているカーボンプライシングということにあると思いますね。で、ここの議論の根本にあるキーワードとしては、やはり生産性ということがあると思います。
この生産性、炭素生産性というキーワードを軸に議論を展開されているわけですけれども、生産性にその焦点を当てた議論をしていくというのは非常に私も重要だというふうに思っておりまして、最近デービッド・アトキンソン、イギリス人ですけれども、彼が新所得倍増論という本を書きまして、日本のGDPが世界でも現在第3位なんですけれども、1人当たりGDP、これは生産性と呼んでいるわけなんですけれども、それで見ると世界で第27位、アメリカの州で見ると、第50番目のミシシッピよりも若干上であるぐらいと、非常にその生産性が低迷しているということを明らかにしているわけですけれども、日本の生産性がなぜこういうふうに低迷しているのかというのは非常に大きな問題であり、そして、これから人口減少が進んでいくと、これまでは人口の多さで絶対量の大きさを維持してきたんですけれども、今後、人口減少に転じると急速に、この生産性が低いままだと急速なGDPの縮小という結果を招くというふうに警告をしているわけなんですね。
そういうことでいくと、やはり、1人当たりGDP、いわゆる生産性の上昇、これが、その炭素生産性の上昇と同時並行的に、やはりこれから国の目標としていかなければいけないということが、この資料を、今日は参考資料として、素案につける資料集を随分丁寧につけていただいていますけれども、それが示すさまざまなデータというのは、炭素生産性を伸ばしていくことが、同時にその1人当たりGDPを伸ばしていくことと極めて密接なつながりがあるということを示す多数の証拠を突きつけてくれていると思うんですね。それは、例えば69ページだとか、70ページだとか、71ページのようなところに資料として上がっていますように、その日本の炭素生産性の低迷、これは前回も議論になったところですけれども、東日本大震災よりもはるかに以前から日本の低迷は始まっていると。そして、71ページなんかには、その伸びが極めて低い、日本の炭素生産性の改善の度合いが極めて低く、この間、過去、そうですね、20年間ぐらいの間に次々と他国に抜かれていっていると。これは、その炭素生産性だけの問題でなくて、全体の生産性も同時並行でやっぱり低迷をしているということが背景にあるということなんですね。
こういったことは、日本の残念ながらさまざまな原因があるものの、ここにも、ちょうど73ページでも指摘されているように、石炭火力の貯蔵であるとか、カーボンプライシングがやっぱり適切になされていないことによる投資の誤り、あるいは資源配分の誤りをやはり示しているのではないか。残念ながら、これまでの日本の温暖化対策が、2012年以降は、例えば温対税、あるいは、フィードインタリフというのが入ってきたわけですけれども、非常にそれ自体も不十分ですけれども、それまでは、カーボンプライシング政策がなかったことによって、こういった炭素生産性の低迷というものが生じているということを示してくれているというふうに思います。
141ページ、142ページ以降にもさまざまなデータがありますように、やはりカーボンプライシングを高く引き上げていくということが、やはり炭素生産性を引き上げていくことと極めて密接な関係があると。で、実効炭素価格が上がれば、1人当たり排出量も低くなるということが示されているように、カーボンプライシングを実行するということは、やはり炭素生産性は非常に有力な手段であるということが、データ的には、実証的に明らかにされているというふうに、この本資料では考えます。
そういう意味では、最終的にそういった炭素価格が引き上げられていくと、GDPに悪影響ではないかという懸念が当然生じるわけですけれども、その辺りは最後の、資料集のほうでいくと148とか149ページに上がっていますようにGDPを下げてしまう。つまり、炭素価格を強化するとGDPを引き下げるというような証拠は見られない。逆に、むしろ正の相関があるという傾向が見られるわけですね。
149ページが非常におもしろかったんですけれども、炭素価格を引き上げるような国は成長が落ちるというふうに一般には常識的に思われるわけですけれども、むしろ炭素税等のカーボンプライシングをやった国というのは、1人当たりGDPで見ると、その後、日本よりも伸ばしていって、最終的に2015年現在では、みんな日本より上に行ってしまっていると、これは非常に大きな逆説ですけれども、カーボンプライシングをやれば成長するということには、これは因果関係の証明にはならないわけですが、少なくとも、これは懸念を払拭するものではないかというふうに考えます。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。
増井委員、どうぞ。

○増井委員
はい、ありがとうございます。4章以降という話ではあるんですけれども、全体的な話として、非常によくまとめられているなと思うんですが、これは、誰に対するメッセージなのかというのが、やっぱり一番重要になってくるかなと思います。多分、素人じゃなくて玄人といいますか、専門家、ある程度こういう内容がわかっている方が、この資料を見れば、このビジョンの素案を見れば、書いてある中身、あるいは、これから何をしないといけないのかということがよくわかるかと思うんですけれども、いわゆる一般国民の方々に対して、どういうメッセージをここから出していくのかというところは、最後、きちんと議論する必要があるのではないかと思います。
そういったことを踏まえて、第4章以降の話なんですけれども、2050年にどういう姿が必要なのかということも含めて明確に書かれておりますけれども、やっぱりその、共通する一つの概念としてはバックキャスト、長期的な視点で何をしていかないといけないのかということが、中心になってくるかと思います。そういう意味で、もちろん長期の話は非常に重要なんですけれども、じゃあ、その長期を踏まえて、今、何をしていかないといけないのかということも、決して短期的な視野だけで行動するのではなくて、長期を踏まえて、今、何をしていかないといけないのかということもメッセージとしてわかるように、追記していただければと思います。
例えば、再生可能エネルギーの場合、もちろん、再生可能エネルギーに関する部分に記載するというのもあるんですけれども、エネルギーの供給として記述することも必要と思います。単に費用が安いといった側面からいくと、石炭火力が今でも選択され得るんですけれども、将来的にコストの低減ですとか、あるいは、そのカーボンプライシング等で見られるようなその炭素の価格づけ、そういったことを踏まえると、やはり再生可能エネルギーの普及というのが、長期的に今からやっていかないといけない第1の課題であろうというような形で、その長期の視点をぜひ強調していただければと思います。
最後に、もう1点は、53ページ、54ページ目辺りに、人材育成ということが書かれているんですけれども、通常、これまで、人材育成というと途上国に対しての人材育成という、日本のノウハウを途上国に対して提供するということが主に言われていました。けれども、これまで、日本におけるこういった温暖化対策の議論というのが、なかなか浸透していない、普及していないということを考えると、やはり国内においての人材育成というのも急務ではないかなと思います。
53ページには書かれているんですけれども、全ての方々が、全ての国民全体が参加する、そういったことを踏まえての人材育成、教育等のプログラムというようなものをきちんとまとめていかないといけない、それをつくり上げていかないといけないということが重要ではないかなと思います。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。
廣江委員、どうぞ。

○廣江委員
ありがとうございます。本日、時間がありませんので、特に気になる3点だけ申し上げまして、それ以外の点につきましては、また後ほど書面を提出しまして、かえさせていただきたいと思います。
まず第1点目は、確実に低炭素社会を目指すために、やはり原子力発電が必要だという点であります。もうこれは3回目になりますが、やはり何回言っても、この重要性はわからないと思いますので、改めまして申し上げたいと思います。私ども、福島であんな大きな事故を起こしてしまいまして、本当に申し訳ないと思っておりますし、限りなくこの安全性向上対策をしっかりとっていくというのは、我々に課せられた使命だと思っていますが、その上で、やはり原子力発電といいますのは、環境性、それから安定供給性、さらには、経済性という面では非常にすぐれた特性を持った電源の一つだろうと思っています。
先般、FITの算定価格、買取価格の算定委員会が、来年度以降の数値が出されました。そのとき、2030年、大変意欲的な太陽光、風力の買取価格の目標をお出しになりました。私も、一国民としては、ぜひこれを実現していただきたいと思いますが、やはりこれはあくまでも目標でありまして、期待でございます。本日の資料、参考資料にもございますように、やはり大量に太陽光、風力が入ってまいりました場合にはバックアップ電源が必要になってきますし、あるいは、蓄電池が必要という実態があります。
一方で、原子力発電は、現在、既に人類が手にしている低炭素電源でございます。したがいまして、2050年、大幅なCO2削減を目指すのであるならば、やはり一定量の原子力発電をつくることが必要であろうと考えています。現在、我が国に42基の原子力プラントがございます。これが全て60年まで運転を目指しましても、2050年に現役で活躍する台数は限られてまいります。したがいまして、今から、何らかの対策を考える必要がある。原子力発電は建設に非常に時間がかかります。地元のご了解も得なければなりません。2050年といいますのは、そのうち考えればいい遠い未来というわけでは、原子力にとっては、残念ながらそういう状況にはございません。
したがいまして、本日の資料には、あまりこの辺の記載がございませんが、ぜひ真剣に、この原子力発電をどう考えるかということについては議論いただきたい、これが1点目でございます。
2点目は、地域エネルギーのところで、エネルギー収支という概念が出てきております。非常に細かな話で恐縮でありますが、この改善の必要性ということが少し触れられております。我が国全体として化石燃料を減らし、資金の海外流出を減らす、これは非常に重要な点だと思いますが、果たして国内の一地方ごとに、その収支を見ていくということにどれぐらいの重要性があるのかということにつきましては、やや疑問に感じるところでございます。
安定的な国民生活にとって、エネルギー同様に非常に重要な食料を取り上げれば、ある地方は非常に米の生産をたくさんしていらっしゃる、ある地方は野菜の生産に特化していらっしゃる、ある地方は食料ではなしに工業製品、あるいはサービスの生産に特化している、さまざまでございます。すなわち、やはり地理特性とか自然特性に応じて生産活動が行われ、分業が国内で行われているということだと考えます。したがいまして、もちろん、地方の雇用面という面での否定できない部分もあるかもしれませんが、少なくともこのエネルギーの自給率に等しいような、その収支ということを、あまり議論するという必要はないのではないかなと考えるところであります。
3点目は、カーボンプライシングについてでございます。ご承知のように各国では、例えば、その割当量について欧州あるいは韓国では両極端な結果が出ておりますけれども、やはり効率的で効果的な割当量の設定というのは、相当難しい問題ではないかなと考えます。
さらに、炭素生産性という話が先ほど来出ておりますが、これは諸富先生も少し触れられましたけれども、私、昔々、学生時代に、初歩的な計量経済学の教科書を読んでいましたら、そこに日本の電化率の向上とがんの発生率には相関があるというような結論が導き出されまして、これは決してこういうことをやってはいけないと、要するに、理論なき計測であるというようなことが書かれておりました。今回のこの件が理論なき計測とは申しませんが、日本の経済の低調と、停滞といいますのはさまざまな要素があるわけでありまして、そこの正確な分析なくして単純に結びつける、今の諸富先生はそうではないというようなご発言もございました。そうだと思いますけれども、あまり短絡的にそこに結びつけるという考え方というのは、いかがなものかなと考えるところでございます。
いずれにいたしましても、後日、提出をいたします書面も含めまして、ぜひこういった意見については反映をいただきたいと考えるところでございます。
以上でございます。ありがとうございました。

○浅野委員長
ありがとうございました。
では、池田説明員、どうぞ。

○池田説明員
ありがとうございます。
環境省におかれては、非常に大部な素案の作成、お疲れさまでした。少し時間をいただいて、4章からコメントをさせていただきたいと思います。
21ページに「(1)気候変動対策をきっかけとした経済・社会的諸課題の「同時解決」」とあります。温暖化対策と経済成長の両立という考え方がしっかり明記されている点は、我々の思いと一緒でございます。ありがとうございます。ただ、よく読むと、経済成長が先か、温暖化対策が先かという記述がされています。どちらも重要であると思います。この内容では、「経済成長が先だ、という意見があるものの、環境政策が先だ」というメッセージになっています。我々としては、やはり企業が温暖化対策を実施するに当たっては原資を確保しなければならず、また、公共インフラを低炭素型に変えていくためにも、税収といった意味で原資が必要です。そうした面で、温暖化対策を講じていくためには一定の経済成長が必要であることも、きちんと強調していただきたいと思います。
それから22ページの4行目に、「約束された市場」という言葉が出てきます。これは2章のテーマにもなっていますし、いろいろなところで、「約束された市場」という言葉を前提に論理展開がされているように思います。ただ、この「約束された」という表現はとても違和感があり、ミスリードになるのではないかと思います。再検討していただけないかと考えます。「約束された」という言葉によって、環境分野への投資が100%確実なリターンを生むと、政府が保証しているような印象も与えかねませんが、決してそういう趣旨で記述されているわけではないと思います。確かに環境分野への潜在的な投資需要は、諸外国を含めて存在しており、市場規模は拡大し得ると思いますが、その投資に見合うリターンがなければ企業として投資に踏み切れないし、経済全体としても非効率につながったり、マイナスの影響が及ぶこともあると思います。本来、投資判断は個社の経営戦略や経済合理性のもとで自由になされるものです。100%確実な将来は存在しないという論理構成や表現ぶりになるよう、再検討していただきたいと思います。
それから、22ページ目の頭の2行目に、その「使い道がない」といった文脈で、企業の現預金の積み増しという言葉があります。その他のページでも、「約束された市場」の前後に記述があります。確かにリーマンショック後、中小企業を中心に、非常時に資金ショートをしてはいけないということで、手元資金を置く傾向があるとは言われておりますが、データで見ますと、大企業の現預金は売上高の1.3倍程度であり、当面の運転資金確保するに当たっての適正な範囲におさまっていますので、ここの部分の記述についても見直していただきたいと思います。
それから、23ページです。「炭素生産性の分子」の最後の文章に、「財・サービスの高付加価値化によって質で稼ぐ構造を求めることが、大幅な炭素生産性の向上を実現する上で極めて重要」とあります。一般に、高付加価値の製品は、生産段階で排出量が多くなりますが、使用段階を含めたライフサイクルでは大幅な削減が見込まれます。質で稼ぐ構造を追求するのであれば、炭素生産性は生産段階ではなくて、ライフサイクル全体で見るべきということを、もっと訴えていくべきではないかと思っております。
26ページの「(2)世界全体の排出削減への貢献」では、国内対策が大前提ということで、国内における大幅削減の達成が国際貢献を継続するための大前提と結論づけられています。しかしながら、経済のグローバル化に伴い、企業活動のバリューチェーンや製品・サービスのライフサイクルは、国内に閉じていないことが非常に多くなっています。次世代自動車を例にとっても、革新的な製品を国内で生産することで、生産段階での国内排出量が増えたとしても、それ以上に、使用段階も含めたライフサイクルを通じて、世界全体の排出削減に貢献することが可能です。国内における削減の取組の重要性を否定するものでは決してありませんが、国内・海外という二分論的な発想ではなく、日本を含めたグローバルでの削減の視点を前面に出していくことが、ビジョンとしてふさわしいのではないかと思っております。国内対策・国際貢献といった分け方にこだわるのであれば、少なくとも国内での削減の取組と国際貢献は同時に進めるべきであり、国内対策が大前提といった表現は見直していただきたいと思います。
第5章31ページ「(2)様々な分野における大幅削減の社会像」についてです。そもそも2050年80%という一つのシナリオのみならず、複数のシナリオについて、経済や産業構造、社会の姿を描いて、技術の見通しやコスト等を踏まえた実現可能性や、負の影響等も比較考慮しながら、理想と現実のバランスの中でシナリオ選択をしていくステップがあってしかるべきではないかと思います。
その上で、既に根本から追加意見として提出させていただいておりますが、2050年80%削減を国内で実現しようとすれば、仮に、①業務・家庭部門オール電化または水素利用とし、②運輸部門を全てゼロエミッション車に転換し、③再エネ、原子力、CCS付火力で電力を100%非化石化した場合でも、農林水産業と二、三の産業しか国内に残らないという試算がございます。2050年80%をベースとしたシナリオしか提示できないのであれば、このような定量的な試算に基づく産業の姿やその実現可能性、考え得る影響というものを多角的に示していただきたい。こうした将来の産業構造を、国民各層が受容していけるのか、国民的な議論を喚起するための材料を提供するということも、ビジョンの重要な役割ではないかと思う次第です。
36ページ「④エネルギー需給」の冒頭に、「低炭素電源である再生可能エネルギー、CCS付火力発電、原子力発電が、発電電力量の9割以上を占める」という記述がございます。しかし、これら低炭素電源の具体的なミックスは示されておらず、再エネ導入コストの見通しやCCS実装の実現可能性についての具体的な記載はなく、原子力に至っては、最初の「原子力発電」という5文字だけで、再稼働・リプレイスの是非も含め、一切の記述がありません。低炭素電源9割以上という目標がそもそも妥当なのかどうか、地に足のついた議論が必要であり、実現可能性の議論なく具体的な低炭素電源の割合を示すことが適切かどうか、ご議論いただきたいと思います。41ページの最後の段落で、「京都議定書の発効から我が国の辿ってきた削減実績等を踏まえれば、気候変動対策の分野において既に後れを取りつつあると認めざるを得ず」という記述があります。どうしてこういう自虐的な表現ぶりになってしまうのか、非常に残念です。京都議定書目標達成計画において、順調に削減の進んできた産業部門は、削減の進まない民生部門の肩がわり、目標深掘りを求められました。それでも経団連の環境自主行動計画のもとで、PDCAサイクルを回して削減努力を続け、最終的に京都議定書の削減目標を超過達成した経緯があります。また、現在でも、日本の産業のエネルギー効率は世界最高水準にあります。こうした事実からも、「気候変動対策の分野において後れを取りつつある」という記述は削除するか、あるいは、「自主的な取組で産業部門はしっかり削減を進めてきた」という事実はぜひ書いていただきたいと思います。それでも、書き残したいというのであれば、「民生部門での削減対策は後れている」といった記述に修正していただきたいと思います。
43ページ「温暖化対策とエネルギー政策との連携」で、S+3Eについて記述をしていただいたことはありがたいと思っております。ただ、よく読むと、「温暖化対策と関係の深いエネルギー政策へもしっかりインプットしていく」という記述があり、先に削減目標ありきで、そこからエネルギー政策を決めていくという考え方になっています。順番が逆なのではないかと思います。豊かな国民生活、活力ある経済社会実現のためには、やはりS+3Eのバランスがとれたエネルギー政策が重要であると考えていますので、S+3Eのバランスのとれたエネルギー政策と裏表一体の形で、温暖化対策を検討していくという内容に改めていただきたいと思っております。
44ページ中段の「カーボンプライシングの意義」につきまして、カーボンプライシングを、政府がトップダウンで目標を示す規制的手法とは異なる「経済的インセンティブ」と位置づけ、「費用効率的な政策ツール」、「最小のコストで削減目標が達成される」とのOECDの評価を引用しています。しかし、例えばカーボンプライシングの一つとされる排出量取引制度は、政府が意図的に産業別のキャップを設定するという点で、紛れもない規制的手法ではないかと考えます。さらに、取引において価格が低迷すれば、市場安定に向けた政府の介入が起きますので、自由な市場取引をベースとした制度というよりは、規制色の強い制度であり、効率性という観点からも疑問です。これまでも根本委員が繰り返し主張してきたように、規制的手法と言える明示的なカーボンプライシングは、長期の対策としては効果がないと考えます。
46ページの第3段落で、「日本の炭素税の税率は、既に大幅削減を達成している諸外国の炭素税率の水準と比べて低い」という評価がされています。しかし、日本エネルギー経済研究所の試算によれば、炭素税・排出権取引といったような、明示的なカーボンプライシングだけではなく、エネルギー諸税や、FIT賦課金、さらには、エネルギー税抜き価格といった、暗示的なもの全てを含めた広義のカーボンプライシングの日本の水準は、イギリスやドイツ、フランスといった欧州各国と比べても遜色がない水準であることが示されています。企業や個人の行動に影響を及ぼす価格シグナルという意味では、明示的なカーボンプライシングだけではなく、エネルギー価格という根っこからの部分のコスト全てを見て、判断をすることが重要ではないかと考えます。つまり、炭素税だけに着目するのではなく、本来であれば、このように炭素排出にかかる実質的なコストを国際比較すべきではないかと考えます。
長くなって恐縮ですが、47ページ、「環境問題と経済・社会的課題の同時解決の手段としてのカーボンプライシング」の第3段落から第4段落で、企業が、より良い製品・サービスを、より安く提供しようと、コスト削減に努力してきたことを否定し、カーボンプライシングを通じて、高いコストをかけることで環境負荷が顕在化するという記述があります。しかしながら、LED照明にしても、ハイブリッド車にしても、研究開発を進めてコストが下がってきたからこそ、現在のように普及しています。イノベーションによって製品・サービスのコストを下げなければ、決して消費者に受容されないというのが現実です。本当に消費者が明示的なカーボンプライシングのプレミアムを払ってでも環境価値・環境ブランドを求めているのか、理論的・実証的に分析していただきたいと考えています。第4段落で、研究開発・投資についての言及もありますが、ここでのカーボンプライシングという言葉が、仮に排出量取引や炭素税を意図しているのであれば、企業の原資をクレジットや税の支払いに回すよりも、直接、研究開発・投資に回すほうが効果的ではないかと考えますので、こういった意見もぜひ書いていただきたいと思います。
49ページ目、上段8行目の文章で、「できるだけ早期により効果のある明示のカーボンプライシングを導入することによって、長期的な効果を最大限に発揮させる視点が重要」とあります。これまでも何度も申し上げてきましたように、排出量取引制度や炭素税を初めとする明示的なカーボンプライシングは、企業に直接の経済的負荷を負担を課す手法であり、経済活力に負の影響を与えるのみならず、企業の研究開発の原資や、社会の低炭素化に向けた投資意欲を奪い、イノベーションを阻害するため、長期であればあるほど、温暖化対策として効果を持たないと考えております。ぜひここのところは削除していただきたいと思いますし、もし削除できないとしても、ただ今申し上げた明示的なカーボンプライシングに対する反対意見を、きちっと併記をしていただきたいと考えます。
最後ですが、55ページの一番下の段落に、中期目標の達成と長期目標を目指して、「カーボンバジェットの考え方を活用していくことが重要」とあります。しかし、2050年目標につきましては、温対計画において、三つの前提条件がしっかり明記されており、中期目標のようなコミットメントではございません。長期目標のシナリオ分析においても、三つの条件が変化した際の影響について、十分な検討がされているとは言いがたいと思います。このような長期目標の性質上、そこからバックキャストして、途中の削減目安を設定するカーボンバジェットの考え方は、馴染まないと考えます。
以上、非常に長くなりました。これまで、会議で発言できなかったことは後日書面で意見を提出をするようにと言われ、提出してきておりますが、前回会合分について、委員の方々には席上で配られていますが、昨日確認した段階で、ホームページ等では公開されていません。公開をしていただかないと、こういう形で全ての論点について発言せざるを得なくなりますので、ぜひご配慮をお願いいたします。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。
手塚委員、どうぞ。

○手塚委員
どうもありがとうございます。私のほうからもコメントさせていただきます。
4章以後ということなんですけれども、これは全体に何度も出てくることなので、この場でお話しさせていただきますけれども、まずカーボンバジェットです。これは、この書面の中で全体で12回も言及されていまして、前半にも出てきますし、後半でもどんどん出てきます。これは、IPCCの第5次報告書を踏まえて、このカーボンバジェットというコンセプトが提示されているんですけれども、実は、これはパリ協定の中には言及されておりません。実際、2015年の12月12日に合意されたパリ協定の最終合意文書には入っていなくて、12月5日の時点で出ている『Draft Paris Outcome』という書類の中で、オプションとして世界全体のカーボンバジェットの公平な配分、あるいは地球全体の削減目標といった項目が含まれていました。この項目は、12月9日の議長提案バージョン1というドラフトにまでは残っていたのですけれども、その日の夜に出てきたバージョン2の段階で全部落ちております。つまり、パリ協定の交渉の段階で、カーボンバジェットあるいは全球の削減目標という数字は、国際的に合意できていない、できなかったというのが事実でございます。
したがいまして、このカーボンバジェットというものを前提として、究極のトップダウンアプローチのような形の対策をとっていくということは、少なくとも今の時点で世界の合意が得られていないということでございます。つまり全球の削減目標という数字は、国際的に合意できていない、できなかったというのが事実でございます。パリ協定の交渉の中では、先進国からの働きかけがいろいろあったんですけれども、途上国は、全球削減目標ということは受け入れられないというスタンスを貫きまして、こういう状況に今なっております。
したがいまして、このご提言の中で、カーボンバジェットが前提となる世界ということを何度も引用されているんですけれども、国際的な合意があるような形で引用するのは、ちょっと事実の認識が異なっているのではないかということになります。まして日本が自ら、このカーボンバジェットの配分量というのを自発的に決め、特に他国の状況、あるいは他国の対策の進捗状況、努力といったものを勘案せずに、一方的に自己規定するということは、日本国民の利益にならないだけではなくて、他国の努力を軽減するということにもつながりかねず、地球全体の温暖化対策にも逆行する懸念があるのではないかと思います。したがいまして、カーボンバジェットを根拠に、長期対策の定量的な目標を規定するということは不適切でありまして、削除していただきたいと思います。
我が国が掲げています2050年80%目標というのは、目指すべき方向という形で考えるべきだと思います。事実、他国で既に長期目標を掲げているところも、これはターゲットとして目標を掲げているわけではなくて、ビジョンないしは目指すべき方向として掲げられているというふうに理解しております。今申し上げましたような国際的な合意がない中で、目指すべき目標を掲げていくということですので、取り組んでいく際の対策、これについては、国際情勢の変化とか、あるいは気候科学の知見の進捗に合わせまして、臨機応変に対応していけるような柔軟なものとすべきと考えるところでございます。
次に、「約束された市場」という言葉、これも、本文に11回も引用されているんですけれども、先ほど、池田説明員が言及されましたように、提示、あるいは、誰が誰に何を約束しているかということが非常に不明確な言葉で、ある種のキャッチフレーズのようなものではないかと思います。事実、IAEA等が、今後の脱炭素化のために9兆ドルの追加投資が必要だということを言っているのは、そのとおりなんですけれども、投資回収ができないような投資を企業が行うことはないわけですから、こうした投資が全て実現するということを前提に議論をするのは、むしろ不適切で、そういうチャレンジが目の前にあるということを言っているんだというふうに解釈すべきだと思います。
そういう意味で、気候変動対策はいわば「約束された市場」であるとして、「政府の制度設計にも依存するのは投資だけではないといった消極的に理由によって現預金を積み増ししている企業にとっても、見通しを持って積極的に投資が行える有望な分野の一つである」ということが記載されていますけれども、この市場機会が確実にあるのであれば、企業はいずれにせよ投資をするわけですね。ただ、それを、定義が曖昧な「約束された市場」という言葉を使って、温暖化対策への企業の投資は、当然行われるべきであって、行われないのは経営判断が間違っているというようなことを含意しているのであるとすると、これは不適切な表現ではないかと思われます。ビジネスチャンスが温暖化対策の中にある、これはそのとおりだと思いますので、「期待される市場」といったような一般的な表現にしていただいたほうが誤解を招かないのではないかと思います。
次に、カーボンプライスです。こちらもかなりの紙面を取って議論されていますけれども、まず、第1に、最初に国際会議あるいはG7、あるいはコミュニケ等で、カーボンプライスが手法の一つとして言及されているのは事実ですけれども、これはあくまで手法の一つということで引用されております。まして、その一形態である炭素税、あるいは排出権取引といったものを各国に推奨するという事実は、少なくともこういう国際会議のコミュニケの中には書かれておりません。カーボンプライスの経済影響につきましては、さまざまな議論があるかと思いますけれども、先ほど言及が既になされているとおり、例えば実効炭素価格が高い国では、高い炭素生産性が観察されているというような引用がデータ等で示されていますけれども、炭素生産性の高いスイス、ノルウエー、スウェーデンといった国は、基本的に水力で電力を賄えるという国でございまして、実効炭素価格とエネルギーミックスの恐らく相関はあまりないのではないかということが考えられます。一方で、ドイツや英国は日本よりも高い実効炭素価格を持ちながら、GDP当たりの炭素生産性は日本とさほど変わっていないという事実もございます。こういったことを踏まえて、各国が、どのような炭素価格をかけて、炭素価格がどのような効果をもたらしているかということもきめ細かに分析していく必要があろうかと思います。
また、お出していただいている資料の国際比較は、主に、欧州を事例に出して日本と比較されていますけれども、カーボンプライスという経済にコストをかけていくということに対する産業界の懸念の本質は、基本的に、国際的に共通なカーボンプライスが存在していない中で、各国のカーボンプライスがどういう格差をもたらすかということだと思います。日本の場合は、欧州との貿易の比率がそんなに大きくなくて、基本的にアジア・太平洋地域での貿易が非常に活発でございます。そうしますと、このアジア・太平洋地域における国際競争力等を勘案したカーボンプライスの比較ということが必要になってくるのではないかというふうに思われます。
また、炭素価格にはさまざまなタイプがあって、暗示的な炭素価格もあるということが45ページ等で引用されていて、これは評価いたしますけれども、その後の記述の中で、この暗示的炭素価格がどういう効果をもたらしているかといったような記述は一切落ちております。先ほど池田説明員もご説明されました日本エネルギー経済研究所の分析によりますと、産業に課されている暗示的炭素価格を含めた全体の炭素価格、これは日本の場合、メガワット当たり150ドルを超えているという試算になっております。ドイツ・英国よりもかなり高く、アメリカ・韓国の2倍という形になっていますので、実は、日本の産業は、アメリカや韓国といった貿易競争相手の倍の炭素価格を負った中で産業活動を行っているという形になるわけです。実際、その結果として、電力多消費事業であるアルミ精錬は日本から撤退しておりますし、最近のFIT賦課金、あるいは震災後の電源コストの増加に伴いまして、中小の電気炉事業者4社が廃業しておりますし、鋳造事業者、これも電力多消費産業ですけれども、40社が廃業・撤退に追い込まれているという事実もございます。
こういった中で、これだけの足かせを負いながら国際競争力を何とか維持していられる日本の産業セクターは、恐らく生産性・付加価値といった部分で、その分を取り戻すためにたゆまぬ努力をしているのだろうと思われますが、仮に現状付加されている炭素価格が米国並みに下がれば、その分、収益が大きくなるわけですから、本資料の22、23ページで指摘されている炭素生産性、あるいは付加価値生産性が低いという事態も解消できるという可能性もあるというふうに思います。
日本が、既に負っている暗示的な炭素価格を明らかにしまして、それを世界との比較のもとに、今、どのような状態にあるかという現状をきちんと分析する必要があるのではないか思います。また、70年代から世界に先駆けて導入されています上流化石燃料税である石油石炭税等の価格効果、あるいは財源効果についても、きちんと評価分析した上で、今後、他国との比較の中で、どのような追加的なカーボンプライスが、どのような効果をもたらすかということをきちんと産業競争力的な観点からまとめて、その導入を検討する必要があるのではないかと思います。そういう意味で、「できるだけ早期に、効果のあるカーボンプライスを導入するということが効果を発揮させる」というのは、これは結論が先に出ているんですけれども、まずは現状から分析をすることが先ではないかというふうに思う次第でございます。
最後の論点として、気候変動対策による経済成長ということが21ページ以降に書かれているんですけれども、そもそも再生可能エネルギーは燃料を使わないので、日本の資金が海外に流出しないが、化石燃料を使うと資金が流出するという記述がなされておりますけれども、実績として、2016年の第2・四半期のデータを見ますと、国内に設置された太陽光モジュールの65%は海外からの輸入品でございます。そういう意味で、燃料費は出ていきませんけれども、資本費が海外に出ていっている。もっと言いますと、日本国民が長期にわたって負担するFITの補助金、これは年間総額1.8兆円と言われていますけれども、その一部が海外に流出しているということは、必ずしも国民は理解していないのではないかということを懸念いたします。
また、温暖化対策によるコスト上昇というのが、付加価値を高めることで単価を引き上げることができるので、ビジネスチャンスになるということも何度かこの章で引用されていますけれども、これは安価な同種製品が、炭素価格の安い海外から流入してくることを抑止するものではないのではないかと思います。最終消費者が基本的に炭素価格を払う、つまり、炭素価格が最終製品に転嫁されるという状況にならないのであれば、実際は、その炭素価格が安い国から入ってくる同等の商品に代替が進むだけで、結果的に企業は炭素価格を転嫁できないという状況が生まれるのではないかということを危惧いたします。消費者は、企業の提供する製品やサービスを使うことで最終的に炭素を排出する最終汚染者ということなので、消費者に対して、そのプライスメッセージが伝わるような形になっていないと、これは価格効果ということは期待できないのではないかということです。
ここで申し上げているのは、単純にカーボンプライスの導入をするべきではないということではなくて、日本が気候変動対策による経済成長を実現するために、最も基本となる前提条件は、国際的なイコールフッティングを確保・維持しながら、こういう炭素政策をとっていくということが必要だということです。それによって、初めて日本企業が自由な市場で健全な競争、技術開発、イノベーションということを進めていくことができるわけでして、その場合、特に、先ほど申し上げましたけれども、主要貿易相手国であるアジア・太平洋地域の各国との間で、温暖化対策、あるいはカーボンプライス、こういった政策が企業活動にイコールフッティングをもたらすという状況を確保していく。その中で、低炭素製品を開発・供給し、国際的な温暖化対策をリードしていくと、こういうレベル・プレイング・フィールドを確保するということが日本政府の役割ではないかと考えます。
なお、温暖化対策と経済成長を両立させる唯一の鍵は、化石燃料よりも安い、安定供給可能なエネルギー源を開発することでございます。実際、本委員会でも何度も紹介された、非常に先進的な炭素価格制度等を導入されていますドイツの2015年の排出量実績は、2009年を上回っているわけで、実際の効果は出ておりません。一方、エネ研の調査でも日本の半額以下の実効炭素価格にとどまっているアメリカでは、2005年から2015年に10%以上の排出削減を実現しております。これはなぜできているかというと、シェールガス革命ということで、石炭よりも安い低炭素燃料は社会に潤沢に供給できるということが実現しているからでございます。
つまり、技術革新によって、化石燃料よりも低炭素なエネルギーを潤沢に、かつ安定的に社会に供給するということが、最終的に、自然体の市場メカニズムでもって社会の低炭素化を実現する解決策ではないかというふうに考えます。そういう意味で、技術の開発、イノベーション、こういったものは、この温暖化対策の最終的な、最も重要な鍵になるというふうに考える次第でございます。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。
高村委員、どうぞ。

○高村委員
ありがとうございます。できるだけ短く、努力したいと思います。
今までの議論を伺っておりまして、4章から6章に必ずしも特化しないんですけれども、前提として、2050年80%、それから、それをもとにして、この長期の低炭素ビジョンをつくるということの位置づけと、この文書の性格を、やはり明確にしていくほうがいいんじゃないかなというふうに思っています。ひょっとしたら、「はじめに」にお書きになるところなのかもしれません。
先般の中部の環境事務所で浅野先生、手塚委員、あるいは桜井委員などとご一緒にヒアリングをいたしましたけれども、やはり2050・80という絵姿、アスピレーショナル・ゴールとかと言っていますけれども、その書くところと、それから、2030年の26%、あるいは25.4%というターゲットと、やっぱり、かなり性格が違うということを、このところでも示す必要があるのではないかというふうに思っています。
つまり絵姿ですから、具体的にそのそこにボトム・アップで積み上げていける像を描くという仕事ではないというふうに思っていまして、2050年80%というあるべき、その長期、日本が目指すとした目標を達成するために、どういう形が到達点としてあって、どういう課題があるか。さっき、もういらっしゃらなくなりましたが、まさに荻本先生がおっしゃっていましたけれども、もちろんたくさん課題はあるわけですね。低炭素電源を9割にすると言ったときに。しかし、その課題が何かというのを明確にする必要はあるけれども、そこ、それだからといって、じゃあ9割という、低炭素電源9割という目指す目標を下げるという話では恐らくないというふうに思います。
特にIPCCの、それこそぜひ精査していただきたいんですけれども、特に1次エネルギー供給レベルではなく、電気のベースでいくと、かなりの高い全球の温室効果ガス濃度であっても、少なくとも、8割の後半から9割というレベルでの低炭素の電源化をしなければいけないというのがIPCCのAR5に入っていると思っています。そういう意味で、気候感度とか不確実性の議論はありますけれども、特に電気に関しては、そこはかなり確度の高い議論ではないかというふうに私は思っております。もし議論があれば、していただきたいと思いますが。
今、一番申し上げたかったのは、絵姿を書くのであって、その中に至るその可能性のある方法と課題を書くと、それは今から見て必ず書く、それが保障されているというよりは、むしろ今ありましたように、何が課題かということを明らかにするということが主な課題、私たちの課題ではないかということを、文書の性格としても明らかにしたほうがいいのかなというふうに思いました。
それからもう一つ、すみません、どうしても自分の専門に関わるので、手塚委員の先ほどのパリ協定のところが、どうしても、すみません、気になって申し上げてしまうんですが、全体のカーボンバジェット何トンということは、確かにパリ協定には書いてないと思うんですが、まさに、そのIPCCのAR5の議論で、気温上昇の抑制目標が決まれば、総体としてのバジェットがわかるという一番新しい知見に照らせば、パリ協定の中の気温上昇抑制目標そのものがバジェットの、少なくとも世界のバジェットの議論なんだと思います。それをどう配分するかという、そこは書かれてありませんが、しかし、少なくとも今世紀後半の排出実質ゼロ、先進国が途上国よりそれを早くやるという、そういうことは書かれていますから、逆に言うと、それを踏まえて、日本がどういう自らの排出パスを書くかという、そういう問題だというふうに思っております。
すみません、4章から6章については簡単に申し上げます。
4点ですけれども、カーボンプライシングについて、今もう議論があったように、いろんな論点があると思います。まさに手塚委員がおっしゃったように社内ですね、会社の中でのプライシングというのも行われているケースはあると思いますけれども、少なくとも、きちんとやはり、もう検討すべきタイミングだということは間違いがないと思います。ただ、私個人的には、やはり電力の分野で、今、その石炭火力が選択されているということ自身がプライシングの実効性という意味では、若干疑問を持っております。そういう意味では、今、検討すべきだろうという点は申し上げておきたいと思います。
それから二つ目は、これ、いろんなところに出てくるんですが、気候安全保障に関する言及が若干気になっておりまして、環境省でも2007年ぐらいに検討会をやったと思うんですが、どうも今書かれている言及は、国際的な気候安全保障に貢献するというところに非常に力点を置かれているように思います。むしろ私は、気候安全保障の眼目というのは、やはり日本の安全保障、これは狭い意味でのディフェンスというだけではなく、しかし領土保全という意味では、そういう側面があると思いますけれども、やはり日本にとっての安全保障という点で非常に重要な問題だという視点が、やはり入るべきではないかというふうに思います。これは書きぶりかもしれませんけれども、ご検討いただきたいと思います。
あと、すみません、4章から6章は二つですが、イノベーションのところなんですけれども、かなり注意して書いてくださっていると思うんですが、先ほどちょっと冒頭に申し上げました時間軸の話を、もう少し明確に書いていただけないかということです。つまり、2030年の目標は、政府が、達成が簡単か難しいか、コストがかかるかという議論はあるにしても、省庁それぞれ検討されて、ボトム・アップで積み上げて、審議会を行って決めたもので、ある意味では確度の高い目標で、そこの話、つまり今やるべき措置、対策がまずあるということを前提にイノベーションということを、その時間軸を明確にしていただきたいということです。
最後は、荻本先生もおっしゃっていただいたんですが、やはりロードマップの議論、これはどういう道筋がいろいろあるか、課題があるかということが明らかになるはずですので、やはり次の作業としては、それを達成するのにどういう道筋があるのかという議論を、やはりちゃんとすべきであろうというふうに思います。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。
では、末吉委員、どうぞ。

○末吉委員
はい、ありがとうございます。
気候変動との闘いは勝たなければなりません。我々の子ども、孫らのために負けるわけにはいきません。とすれば、この議論は、あくまで長期的視点からなされるべきだと思います。もちろんビジョンがそういうことだと理解しております。それはどういう意味を我々にもたらすかというと、目先のベスト・インタレストに捉われてはいけないということですね。今日、明日に起きていることで30年後のことを議論してはいけないということであります。これは当たり前の話です。誰にとってもそうですし、どんな産業であれ、どんなビジネス、企業であれ、全くそうだと思います。しかも、今、変化のスピードというのはすごいですよね。そのスピードもそうですし、方向が全く変わっていく、トランスフォーメーションが起きているとしたら、ひょっとすると我々の今ここでやっている議論なんか、5年もたてば陳腐化すると、いや、5年もたたずに、2年とか3年で、もう陳腐化するという話はいっぱいあるんだろうと思います。とすれば、やはりここで重要なのは、長期から要求されるビジョンをしっかり確立して、それを実行するという覚悟が、やっぱり非常に重要なんだと思うんですね。
それで、おまとめいただいた、これは大変なご努力だと感謝しておりますけれども、脱炭素経済、脱炭素社会といった文言が入ったのは、もちろん中身も含めてですが、とてもよかったと思っております。大変立派な素案ができたと思っております。それを申し上げた上で、あえて申し上げますと、脱炭素社会と、「脱」という言葉を使った割には、これまでの低炭素と、これからやるであろう脱炭素の事の重大性の違い、あるいは、脱炭素に転換したときに我々が受け止めなければいけない覚悟の大きさですね。これがね、僕にはあまり感じられないんですよね。もっと、やっぱりここは強調すべきじゃないかと思っております。
例えば、絵姿でいけば、これはサクセス・ストーリーを書いたということですけれども、このとおりいかなかったときの悲惨な状況がどうなるかというのはね、やっぱり相当入れ込んだ話にしておかないとだめなんじゃないでしょうか。ですから、この絵姿の中でいけば、ゼロエミッションは当然の話になっているんじゃないでしょうか。もっと卑近な例でいけば、地上には電気自動車とか水素自動車で、ガソリンエンジンなんて本当は、もうほとんど消えていると。空にだって、近距離は日本国内は全部電気飛行機が飛んでいるんだと、そんな時代になっているんじゃないでしょうか。
それから、サウジやUAEが最近言い出している、その油に頼らない経済と言っている、産油国ですら化石燃料から脱しようとしているのに、化石の資源を持っていない日本が、化石を守るという議論なんかは、もう、とっくにこの時代にはなくなっていると思います。
さらに具体的に申し上げますと、34ページに国際競争力の話が書いてありますけれども、もうこの時代には、国際競争力というよりも、非常にベーシックなマーケットに参加する要件になっているんだと、これをちゃんとやっているからうまくいくという話ではなくて、例えば、RE100%を達成していない企業は、ビジネスルールに反するということで、恐らく競争にすら入れない、そういうような絵姿になっているんじゃないでしょうか。
ですから、カーボンプライシングを含め、この日本は、国際社会が健全であって初めて社会や経済がうまく、日本だとすれば、カーボンプライシングを含めるその時点で、既に国際社会のベーシックなルールになっているものを持たないで、日本独自のルールで国際競争をするなんていうのは、あり得ない話だと僕は思います。ですから、多分、このころには、ダウ・ジョーンズ・アベレージ30はもちろんですけれども、日経平均225の企業の名前は大幅に入れかわっていると、そういったような状況を私は想像します。
それから、35から51に金融の話がありますけれども、これも、もう銀行とか投資判断には、当然に考えなきゃいけないファクターになっていると思います。これをうまく、環境をよくやっているから、いい会社だねという話ではなくて、環境をやっていない企業がどうして存在しているのと、そういうような社会になっているんじゃないでしょうか。ですから、この気候変動、あるいはClimate Changeのリスクは、非常に厳しいものになると。ですから、ダイベストメントなんて、もう当然に終わっていますよね、これから30年もたてば。それから、投資家は黙ってダイベストメントをしたり、黙って投資を避けると思いますよ。ですから、目に見えないからうまくいっているという話では全くないと思います。ですから、金融市場からも、CO2インテンシブな企業は、恐らく排除されているであろうと、多少例外は残るかもしれませんが。
ですから、このことを考えると、単純に金融という話ではなくて、日本にとって非常に重要な資本市場をどうしていくんだと、東京証券取引所も含めてですよ、上場要件をどうしていくんだ、その上場企業がどういう情報開示をしていかないといけないのか、あるいは上場企業やその他有力な企業は、どういう企業会計原則で会社のガバナンスを維持するのかですね、そういったことも今より非常に変わっていると思います。単純に申し上げれば、財務一本やりの企業会計原則なんてとっくになくなっていると思います。気候変動リスクや、サステナビリティと一体化した新しい企業会計原則になっているんじゃないでしょうか。それで、いい企業だと評価できるような企業こそ残る、それしか残れないということだと思います。
それから、39、40、41にイノベーションの話がありますけれども、もし私の読み方が間違いでなければ、イノベーションをつくることが重要だという記述が非常に中心的だと思います。でも、私はこう思います。この気候変動に対する闘いは、やらなければいけませんよね。単純にいけばCO2を減らさなければいけないんです。とすれば、そのことが最大の需要を生む要因だと思うんですね。何かファンシーな車をつくれば売れるとか、流行を追うとか、若者の嗜好が変わったからこうだとかって、そういう需要への対応じゃなくて、やらねばならない施策ということが、もう目に見えているわけですから、そのことで需要を生み出していく、そのことがイノベーションを引き上げていくんだというふうに私は思います。
一例を申し上げますと、日本の風力発電機をつくっているメーカーは、ちょっと言っちゃ悪いですけれども、非常に低迷していますよね、グローバルレベルでいけば。日本のトップメーカーで、世界のこのマーケットでトップ10に入っている企業は私はないと理解しておるんです。彼らが今、何をしているかというと、一つは、海外に行って、海外でマーケットを探して、そのマーケットで勝つための新しいイノベーションをしているわけです。ですから、某社は、海外の企業と一緒になって、8メガワットの、日本ではとても考えられないような大規模な風力発電機をつくって、それを売り込もうとしています。でも、日本のマーケットを見てください。8メガワットなんてあるんでしょうか。5メガワットだってないでしょう。そこに、イノベーションといっても生まれるんでしょうか。日本で需要をつくってないからですよ。
だって、このエネルギーミックスでは、2030年までの15年間に、日本の風力発電を300万キロワットから1,000万キロワット、15年で700万キロワット増やすというのが目標ですよね。700万キロワットなんていえば、お隣の中国で言えば何カ月かでつくっちゃうような大きさですよ。それを15年ですよ、これから。こういったことで、日本の中に、例えば風力発電機のイノベーションなんて起こりようがないじゃないですか。もっともっとビジネスも現実的に考えていただきたいです。
それから、これ最後ですけれども、やはりビジョンを掲げたからには、何をやるかも重要ですけれども、そのビジョンを実現しなきゃいけません。とすると、先ほど申し上げましたとおり、今、覚悟すべきことをもう少し、やはりこのビジョンの議論の中でもやっていただきたいと思います。55ページに、進捗管理と書いてありますけれども、私は、やはり諸外国の例を見ますと、日本も法律をつくって、法律をつくって、このビジョンを掲げて、例えばイギリスが2008年に気候変動法をつくりました。この中でカーボンバジェットもしっかりやって、今、第5回目が2032年に向けて決まったわけですよね。それでイギリスの方に聞くと、どの政党が政権を取ろうとも、誰が総理になろうとも、80%削減はしていく義務が課せられているんだと堂々と言いますよね。例えば、こういうようなことは日本にできないんでしょうか。
あるいは、フランスのエネルギー移行法は、単純に再生可能エネルギーを増やせというだけではなくて、金融がそのために何をしなきゃいけないのか、情報開示までマンダトリーに新しいルールを取り入れました。ドイツも、自然エネルギーを促進するのを法律でやって、あれほどになっているわけでしょう。もう3割を消費電力で超えているわけでしょう。中国だって、中国の経済や社会の転換のためには、グリーンファイナンスを実現しなきゃいけないんだと、そのために36箇条のガイダンスを去年の9月につくったじゃないですか。その中には、金融だけじゃないですよ。キャップ・アンド・トレードをちゃんと入れるんだと、そういうことまで、このガイダンスの中に入り込んでいるんです。こういったようなアプローチをする国と、我々は競争しないんでしょうか。負けるがままでよろしいんでしょうか。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。
桜井委員、お願いします。

○桜井委員
今までのご意見を聞いていると、僕は、1、2、3章というのが非常に大事だと思ってきました。したがって、是非とも1.2.3章を含めて意見をいわせてください。これを言わない限り、後の私が言うことが言わないとよくわからないということになっては困っちゃうんでね。

○浅野委員長
はい、結構でございます。どうぞ。ご意見をお述べください。

○桜井委員
僕は、このビジョン小委員会は、当然、今後の低炭素発展戦略を出すための考え方、方向性というものを我々が議論し、そして提案するということになりますので、僕は、やはり第1にCOP21、パリ協定の意義を、しっかりと確認しなきゃいけないと思うんですね。パリ協定は、パリ協定に到達するまでに総論賛成、各論反対を乗り越えられず随分長い時間がかかりました。やっと非常に大事なパリ協定が合意されるに至りましたが、このパリ協定の項目のみならず、パリ協定の意義やその意味するものをしっかりと確認し、提言書の中に明確に書き込むべきと思います。私の理解では、まず、このパリ協定で決められたことというのは、今後の世界のあり方、そして持続可能な成長と発展というものを遂げるために、逃げられない温暖化対策の目標が決められたことです。私たちは避けられない目標なんだという理解が絶対に必要だということです。これが1番目です。
それから2番目に、その目標達成のためには、今の企業のあり方、あるいは社会のあり方、あるいは経済のあり方等々、いわゆる既存のシステム基盤ではとても目標を達成することはできず、大革新が必要なのだということを、やはり明確に謳うべきだと思うんですね。
3番目に、「出来ることをやるのではなくやるべきことをやるの時代に入った」ということです。日本というのは今までかなり技術革新を行って、省エネ化というものに対してはかなりの技術レベルに行った、あるいは、再エネ化というものについてもかなりのところまで行っていると思う。そとから見ると、何で日本は、そんなに技術を持っていながら、このCOPでの目標値や実施プロセス等の議論に当たっては、非常に保守的なんだという声が結構あるんですよ。これも事実です。もう名前を挙げれば、切りがないですけれども、しかし、やっとCOP21でパリ協定という避けることのできない目標値や修正メカニズムが合意されたいうことは、我々は真摯に受け止める必要があると思うんです。それは何を意味しているかと言えば、これからは、目標達成のために出来ることをやるではなく、やるべきことをやる段階に入ったのだとの認識の基に、そのやるべきことは何かを抽出し技術革新やイノベーションを喚起し目標達成に全力を尽くすことが求められということでしょう。僕は非常に大きなテーマだと思っております。世界は技術力が高く、自然を愛する文化をもった我が国への期待は大きいものです。
従って、是非ともパリ協定の意義として、「出来ることをやるからやるべきことをやる時代にはいった」との意義を表記すべきと思います。
次は、パリ協定の意義とは違いますが、理念とビジョンの明記です。
僕は、前回でしたか、企業経営者が考えるビジョンというのは、企業の役割であり、世の中に存在する意味合いであると。そしてビジョンというのは将来の目標、ゴールですね。この二つのことを、端的な言葉として、かつ少々の説明文を添えて理念とビジョンを表記することが非常に大事だと考えています。より目標が明確かつ分かりやすい提案書となると思います。理念、ビジョンが明確なほど活動の質とスピードが違います。理念・ビジョンの内容については前回紹介しましたので省略します。
それで、4章、5章、6章にちょっと入りますけれども、この辺はもう簡便にいきたいと思うんですが、まず、4章、5章、6章ということになりますと、第1に、今回のまとめ案ではこれは4章にあったかな?第2章だったか?世界の潮流というのをやっぱりしっかりと内容を表記すべきですね。今回の提案書の中に、まとめの中に入っている世界の潮流というのは、国の動向、あるいは企業の動向、金融の動向などとセクター別に整理されて見やすく書いてありますけれども、本当に企業が何をするために、今、具体的に何を着手しているのかとの見方をすると、あまり参考にならないですよね。だから、ここのところは、もうちょっと詰めたほうがいいと思いますね。
それはなぜかというと、世界がやっているんだから、真似してやろうじゃないかという、そんな変な目的ではなくて、要するに、私たちの今やっていること、これからやろうとすることと世界のそれとを比較して、我々の位置づけを知ることなんですよね。対策として、世界がやっていることを真似しなさいということではなくて、自分たちは今、リコーは今、あ・・、失礼リコーじゃなくて日本でした。すみません。
それで、日本はいま何をすべきかを見出す意味で、世界の潮流では、やはり中身を、具体的に書いたほうが参考になりいいと思いますよ。中身はいろいろとデータもありますしね、具申してもいいと思います。その意味ではむしろ、初期版のまとめ案のほうが良かったと思います。
それから、次は第6章のカーボンプライシング。カーボンプライシングはいろいろとご意見がありましたけれども、やはり僕は、基本的にカーボンプライシングを何故導入するのかというのは、やはりそれは技術革新、イノベーション、あるいは社会の構造改革を動機づけし、推進するには、確信を持って必要だと考えますね。それは何故かというと、現在の経済価値基準だったらば、商品や、サービスの購入判断基準は品質が良いか、寿命が長いか、信頼性が高いか、あるいはコストが安いかなど、この辺の三、四点ですよね。温室効果がスの排出の過多は無視ですから、排出量の多い安い商品の購入は増え排出量の増大は進むに決まっています。COP21の目標を達成することはほとんどできないということです。
だからと言って、開発費をかけ生産投資を行い、低炭素・脱炭素商品やサービスを高コストで販売しても現在の価値基準の基では売れる話ではありません。従って供給者は積極的な低炭素・脱炭素化開発投資を控えるようになるはずです。
ご皆さん当然御承知のことですが、カーボンプライシングはこうした消費者および供給者の行動を低炭素・脱炭素化に向けるために、意義をもつ新経済システムです。
カーボンプライシング制度下では、排出量に応じてコストがかかる制度ですから、何もしない排出量の多い商品・サービスは当然高価格になりますし、カーボンプライス次第では低炭素化商品・サービス(投資コストのかかった)の価格を超える可能性があり、消費行動の変化が生じます。また、点炭素化商品・サービス自体の低価格化競争によって技術革新はさらにすすむことになります。以上、低炭素化技術開発努力に対する市場からのインセンティブが供与されるわけですから、新しい「経済合理性」が成り立つ経済社会の出現と言うことにもなります。
私は、カーボンプライシングによって産業界・企業の積極的な低炭素・脱炭素化開発が芽生えると革新しています。 
カーボンプライシングは、企業からの技術革新資金の先取り、高価格化による経済成長への影響がある等のご意見もあり考慮すべき点であるとは承知しますが、既に述べた様に、カーボンプライシングは、インセンティブ効果を活用しての資金を投じた低炭素・脱炭素技術革新競争を誘引し、低炭素・脱炭素化の促進と、コストダウンによる経済成長の同時実現を可能とするものだと考えております。
私は、そのカーボンプライシングというのは低炭素・脱炭素に挑戦するにせよ、何もしなくて炭素税を払うにしても、当然コストは高くなるんです。コストが高くなることが大事なんです。企業経営としても売れなくなってしまうから、そういうカーボンプライシングで余分なコストが発生すれば、これを何とか安くしようと、脱炭素化で安くしようという競争が始まるわけですよね。これが技術革新やイノベーションの活発化に繋がることになり、脱炭素社会構築の原動力となるかのせいがあると期待しています。成果が出るのは何年か後に、だんだん出てくるものでしょう。今、末吉さんが言われたように、変革というのは、近視眼的に見たらば、それはコストだけが発生しているというだけのことですね。そうじゃなくて、それをカバーするのは、いろんな手があると思うんですね。ということをやるということが、今後の新しい社会づくりということに対して技術革新、イノベーションというものを興していくには、カーボンプライシングというのは非常に重要であるということですね。
それから、少しばかり、まとめの版のP-46に気になることが書かれています。んですが、政治家の皆さんとお話しすると、カーボンプライシングで集まった資金をどう活用するかと、つまり社会保障にとか財政健全化のためにとか、経済社会の課題解決のために同時実現のためにとして、カーボンプライシングの収入を活用することも結構なのですが、この活用にあたっては十分注意して使用することを述べておくことが重要だと思います。カーボンプライシングの目的はあくまでも新しい経済価値とし排出炭素に比して付加し、低炭素化・脱炭素化革新を喚起させようとするものであり、喚起するための適正な炭素価格の設定が重要な制度であります。利活用重視によって、収入増大を狙った炭素価格の設定にならぬ様に注意した記述が欲しいと感じます。
ちょっと長くなってしまいましたけどもう一つ、バックキャストの問題ですね。脱炭素社会の構築を目指すにはご承知の様に、大変革を起こすことが必要です。そのためには、先ほどパリ協定の意義を言った様に、やれることをやるんじゃなくて、やるべきことをやることだと言いました。やるべきことを抽出するためには、バックキャストで抽出する以外には有効な方法は無いでしょう。フォアキャストで出来ることを精一杯積み上げていく方法も考えられるでしょうが、現在まで徐々に増加する排出量を今世紀半ばごろには80%~95%と言う急角度な削減をするには、フォアキャストを基盤に中期戦略計画を策定し、不足部分をフォアキャスト戦略の見直しとバックキャストによる不足部分埋め立てをし、相互の整合性を取っていくことが基本かと思っています。
個々の技術について云々とかいうんじゃなくて、やっぱりそういう、その考え方、方向性、進み方というのは、やっぱり今回の提案書にはあったほうがいいなと、また、あるべきだなというふうに思います。
ちょっと、もうこの辺で終わりにしておきますけれども、時間がないので、多分、提案書にしてというか、何か書くことはできないかもしれませんけれども、あまり期待しないでください。

○浅野委員長
ありがとうございました。
崎田委員、どうぞ。

○崎田委員
どうもありがとうございます。できるだけ短く努力いたします。
今回、やはり生産性だけではなくて、暮らしや地域が変革をするという、そういうようなビジョンを立てていくというのが大変重要だというふうに私も思いますし、この流れもそう来ているというふうに思っております。そのためにビジョンを明確にして、考え方の方向性をしっかり押さえるという、そういうふうに第4章が出てきているのは、非常にわかりやすい導入だというふうに思っております。
その中に、21ページのところで、気候変動と社会の課題の同時解決という言葉がありまして、この中に同時解決という言葉がすごくたくさんあります。私は、物すごく大事だと思うんですが、同時解決という言葉だけではなく、同時解決しながら総合力を出していく、あるいは相乗効果を出していくことでイノベーションを誘発していくような、そういう視点が明確に描けたほうが、その2050年までのもちろんバックキャストという視点、大事だけれども、今あることをどういうふうに変革につなげるのか、それだってあるんだよという、そういうことをきちんとつなげるには、そういう書き方も必要なんではないかというふうに思いました。
そういうことも踏まえて、一番最初に同時解決の話、そして気候変動による経済成長、そして気候変動対策による地方創生・国土強靭化というのが24ページにありますが、明確に、そういうふうにこれからの社会をつくっていく、強くつくっていくんだということが明確に出てきているということは、今回のつくり方として、私は大変共感できるというふうに感じています。
その後、27ページに、やはりイノベーションということが、そういうことをきっかけとして起こすんだということが書いております。私は、これを読ませていただきながら、イノベーションというのを全く新しい改革の中で起きてくる、新しい改革というか、技術改革の中で起きてくるというだけではなくて、もっと私たちの身近なところにもイノベーションの芽はたくさんあるんだと、私たちが解決の担い手になるんだという、もっと自分事化するようなところもあっていいんじゃないかというふうな感じがしました。
何を申し上げているかというと、例えば、27ページの下に、ライフスタイルイノベーションというところで、自然、文化を大事にする日本古来の生き方もあるというような、そういうような書き方があるんですけれども、これを読みながら、例えば最近、政府が働き方改革をちゃんと考えるという委員会、会議を開催しておられます。これは今、話題の長時間労働のことが第1の目的になるかもしれないけれども、ここで、ゴールデンウィークをしっかり休む、そして、夏休みをしっかり休む、その後、秋休みもしっかり休むとか、そういうことを明確に位置づけていただければ、ゴールデンウィークに田植えをして、夏にそれをちゃんとチェックをして、秋に収穫するというのを、全ての人、全ての働く人ができるようになるんですね。そうすると、実家が自然豊かなところだけではなく、第2の故郷として、そういう場を得た人が、そういう暮らしを家族と一緒に楽しむということもできるわけです。
そうすると、それだけで食料自給率であったり、ほとんど高齢化したまちが生き返ったり、若者との対流ができたり、地域に住む人が増えるとか、都市のCO2が削減するとか、そういうことに全部つながっていくと思うんです。そういうような連関が起これば、2050年というのが夢ではないんだということが、多くの人に感じ取っていただけるのではないかと思うので、何か、今の話を全部書いてという、それは大変かもしれませんが、もうちょっと自分事ができるような表現もあっていいのではないかというふうな感じがいたしました。
なお、ちょっと飛びますけど、50ページのところに規制的な手法という言葉がありました。やはり、今、その間にカーボンのお金のこととか、大事なことがいっぱいありますが、もう専門の先生方がいろいろご発言されましたので、お任せして50ページに飛ぶんですけれども、規制的な手法という言葉がありました。やはり、自発性とかイノベーションで解決するのは大事なんだけれども、規制的手法も、押さえは必要なんではないかというところが50ページにあります。
例えば、じゃあ規制的手法を考えるのであれば、そういう中に自治体の取組に関しての目標設定をするような規制的手法も、今後、検討する可能性があるのではないかということぐらい書いておいていただいたほうが、それぞれのCO2をたくさん出す地域が、本当に都市改革とか地域づくりをするという、一番最初の計画づくりの段階で、長期を見据えた変革したまちづくりを計画するかどうかというのが重要だというふうに、私、前回のときに申し上げましたが、そういうふうなところが起きている地域もあれば、まだ起きてないところもある。やはり、CO2の排出量を、その地域の特性に応じて目標設定する可能性もあるんだぐらいのことを書いておいていただくと、みんな真剣に考えていただくのではないか。そして、真剣に取り組んでいるところの、すばらしい取り組みが広がっていくんじゃないかというふうに思っております。
その後、53ページのところに、教育・人材育成・市民参加ということが書いてあります。私、先ほど来、お話ししているように、これは技術もそうですが、私たちの一人一人の全ての参加が重要だというふうに思っておりますので、この教育・人材育成・市民参加というのは、もちろん技術的な人材育成も全て含めて、もっともっと前にあってもいい、方向性の、4章の一番最初のほうにあってもいい大事な、横串につなぐ大事な視点ではないかというふうに考えておりますので、そこをもう一度お考えいただければありがたいなというふうに思っております。
で、もう最後の1点なんですけれども、最後の55ページのところに、長期大幅削減に向けた進捗管理ということがあります。私は考えたんですが、やはりマイナス80%に向けた進捗管理という、その大目標だけではなくて、やはり補助指標的な、どういうふうに持続可能な社会に向けてイノベーションが起こりつつあるのかというような、そういう定性的なところを見ていく、定量的なものも入れつつ、補助指標的なものが必要なのではないかというふうに思っています。
で、それを考えるときに、ここにほとんど何も出てこなかったんですが、2015年に国連が提唱した、採択したSDGsの視点がありますけれども、17の目標と169のターゲット、そして、もうすぐ発表される230の補助指標というか、230の指標というのがもうすぐ発表されると思いますけれども、こういうようなのは、開発途上国だけではない、先進国が、持続可能な地球環境をともにつくっていき、暮らしていくための目標ということでつくってあるわけですので、こういうのをうまく活用していくということが大事だと思っています。
例えばですが、海とか、山とか、都市とか、教育とか、生産と消費とか、そういうような大目標があるわけですので、そういうことを全部、その中の目標も入れて、ターゲットを入れて、きちんと見ていくということをすると、世界の目標の中で日本がどうして、どう動いているのかということが発信力を強くチェックできるのではないかというふうに思っています。
よろしくお願いします。

○浅野委員長
ありがとうございました。
小木曽委員、どうぞ。

○小木曽委員
大変遅参をしたことをまず謝罪させてください。申し訳ございません。
読ませていただきまして、かなりのボリュームのもので、働き方改革が叫ばれる中、随分徹夜をされているのではないかと心配をしております。
その中で、それを言いながら、何か、ちょっと厳しいことをこれから言うので申し訳ないんですけど、全体としては、やはり報告書というものが、今までの議論を忠実にまとめていくということを考えますと、正直、まだ特定の方向性を書くというところに行くまでに議論が熟していなくて、ちょっと議論がまだ発散している状況なのが正直なところかなというふうに思っております。例えば、経団連様とか、あるいは鉄鋼連盟様も何回も意見を出されて、かなり論点に分けていろいろおっしゃっているところがありまして、それに対して、どういうふうに考えるのかといったところが、論点として報告書にあるべきかと考えます。この具体的な政策手法を書く章立ての部分は精緻な議論をすべきだと思うので、確かに、導入したらどういう影響が出るのかとか、そういうことも含めて議論をした上で方向性というのを書かないと、ちょっと議論の順番としては、やや、ちょっと性急かなという感じがします。
一方で、私、最初から申し上げているように、社会構造が変革してライフスタイルも変革をする、低炭素社会に世の中が向かっているという、これはもう避けられない事実でございまして、そこのところについて言及をしていただいているところには非常に感謝をいたします。さらに、特に5章、特に6章のところについて、今まで議論で投げかけられたことに対して、もうちょっと因数分解をした形で、どういう論点があるのかということをきめ細かく議論をしていかないと、ちょっと議論が発散したまま、どっちがいいかというところについて議論をまとめ切ることは難しいんじゃないかなという気がしております。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。
大塚委員、どうぞ。

○大塚委員
はい、ありがとうございます。意見を提出させていただきましたが、修正させて、あるいは追加していただくことがありがたいと思うことについての意見を、まず二つ申し上げます。
まず、28ページの環境政策の原則の観点ですけれども、ここで予防的なアプローチ、予防的取組方法のことが書いてあります。ほかにも、予防的取組方法の話がどこかに出ていたような気もしますが、予防的取組方法は、温暖化との関係でも極めて重要ですけれども、人為的な要因で温暖化が起きているということについては、IPCCの第5次の評価報告書で95%以上ということになっているので、もはや、その点については科学的不確実ということではございませんので、その点について、予防的な取組方法の問題が起きるわけではございません。ただ、2℃目標に関して450ppmの削減のシナリオを用いる点については66%の蓋然性があるという辺りについては、まだ科学的不確実性が残っていますので、どの点について、その科学的不確実性が残っていて、どの点については残っていないかということについて、もう少しはっきり書いていただいたほうがいいんじゃないか、あらゆる温暖化問題が、予防的アプローチの対象と言い切れないような状況に既になっていますので、その点については、きっちり書いていただいたほうがいいんじゃないかと思っています。
それから、ここで、28ページのここのところで、予防的取組方法のすぐ後のところで、公害の発生と克服という我が国の歴史を踏まえて確立された原則というふうに書いてあって、何だかよくわからないんですけれども、汚染者負担原則のことを恐らく言いたいのかなと思っているんですけれども、CO2排出も環境負荷なので、まさに汚染者負担原則の問題にはなりますので、ちゃんと書いていただいたほうがいいと思います。
それから、もう1点、追加のお願いを申し上げたい点でございますが、36ページの4のエネルギー需給のところで、電力について、CCS付火力発電を含めて9割以上、低炭素の電源9割以上ということが書いてありますけれども、石炭火力については、先ほど来ご議論が既にございますが、稼働年数が40年ぐらいありますので、2050年を考えたときには、もう既に、これから新増設する石炭火力はこの対象になりますので、石炭火力に関しては、CCS-Readyをしていただく必要が既にあると、さっきのロックインの話になりますけれども、2050年のことを踏まえたロックインのことをまさに考えたときに、CCSなしの石炭というのは、今から抑制していく必要があるということをしっかり書いていただく必要があると考えております。
以上2点が追加とか修正のお願いでございます。
あとは、簡単に5点ほど申し上げておきたいと思いますけれども、一つは、意見のところの2ページ目辺りと1ページの最初辺りに書かせていただいたことですが、先ほど来ご議論があった問題について、国内対策と海外貢献の関係の問題ですけれども、国内対策がまず前提であるということが重要だと思っています。それは、私の意見の1ページ目の最後の辺りに書いたことでございます。海外貢献についても、もちろん重要だと思いますけれども、これについては、国際的に承認していただく必要があるような問題になりますので、定量化して他国にそれを証明する必要があるということと、我が国の海外貢献が、将来にわたって、どの程度継続するかということについても証明していく必要があるということになりますので、この点は、定性的に言っているだけでは残念ながら難しくて、きっちり定量化して証明していく必要があると思われます。あと、その他国の企業も、海外貢献をする、CO2の少ない製品をつくるということはもちろんありますので、それも当然、考慮する必要があるというような問題があるということを申し上げておきたいと思います。
それから、2点目でございますけれども、炭素生産性との関係のご議論がございますが、41ページの下から4行目のところは、自主行動計画等で産業界が今まで頑張ってこられたことは私も評価しておりますけれども、残念ながら炭素生産性が相対的には、ほかの国との関係では相対的には下がってきているということがございます。今まで環境省のほうが出してきたスライドとかにも出ているところがございますけれども、残念ながら後れをとっているということを認めざるを得ないのではないかと思います。その一つの原因は石炭火力ですけれども、それ以外のものも、もちろんあるということだと思っております。
そして、私の意見の2ページの下から4行目辺りに書いておいたように、これは原発事故以前に既に起きていることなので、その点について、きちんと把握する必要があると思いますし、意見の3ページのところの7行目ぐらいに書いておいたように、炭素生産性がこれだけ相対的に下がっているということを考えると、今や我が国のCO2排出の限界削減費用というのは、世界一高いというふうにずっと言われてきましたが、必ずしもそうではないのではないかということが言えると思います。
それから、三つ目でございますが、カーボンプライシングの点でございますけれども、その4のところに書いておきましたけれども、暗示的なコストが高いというご議論がございますけれども、炭素生産性を6倍以上にする、1人当たりの排出量を5分の1の水準にするということを考えると、それを誘導していくために、カーボンプライシングは必要だということになると思います。で、カーボンプライシングによって研究開発の原資がなくなってしまうというご議論もございますが、まさに、研究開発についてどういう方向性を与えるかということがカーボンプライシングの重要なところだと思いますし、ご懸念のアジアとの関係についても、先ほどお話があったように、中国は排出枠取引を入れましたので、むしろ日本が後れているという状況になっているということでございます。約束された市場につきましても、カーボンプライシングが、まさに約束された市場があるということを気づいていただく契機となるところに大きな意味があるということだと思います。
それから4点目ですけれども、47ページのところで、エネルギー政策との関係の議論がございますが、私は、これでいいと思っていますけれども、エネルギー政策を決めていくときに、環境との関係が必ずしも十分に入っていないというところがございまして、S+3Eの中で環境が必ずしも重視されないでいるという現状が、まさに問題だと思いますので、この書き方でいいと思っております。
それから5番目でございますが、カーボンバジェットについては、先ほど、高村委員から言っていただいたとおりでございまして、我が国は、3%分について、さらに先進国としての責任というのはもちろんありますが、3%分についての責任を負っているということでございますので、まさにそれを達成していくということが重要であり、それは過剰なことをやるということではないと思っております。
以上でございます。

○浅野委員長
ありがとうございました。
伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員
どうもありがとうございます。レポートを読ませていただきまして、まあ、これでいいのかなと思ったので、今日は何も話さないつもりで来たんですけれども、皆さん、たくさんおしゃべりになったので、ちょっと7点だけ、印象みたいなことをお話しさせていただきたいと思います。必ずしも最終報告に反映させていただかなくても結構なんですけも。
一つは、やはりこの2050年ということを考えたときにイノベーション、このイノベーションというのは単なる技術革新だけではなくて、社会改革とか、あるいは、都市の構造変化とか、あらゆるものを含んでいるわけですけれども、これをやっぱり入れたということは非常に大事なことだろうと思うんですね。それがなしには、恐らく、その2050年の目標を実現できないということは、恐らく多くの方が、皆さん感じていらっしゃることで。問題は、ただ口を開けて待っていたらイノベーションというのは出てこないというところが多分問題なんだろうと思うんですよ。もちろん、民間の役割は非常に大きいと思うんですけれども、社会として、地域として、国として、どういう政策、あるいはどういう立場に立ったらいいかと、やっぱり大きな骨太の視点が重要で、そのカーボンプライスだけではないと思いますけれども、私は、やっぱりプライス・メカニズムというのは非常に重要だと信じておりますので、このカーボンプライスということを組み込んだこと、これは単に値段を高くして、要するにカーボン活動を抑制するというような、その短期的な反応のお話だけじゃなくて、まさに、先ほど末吉さんのおっしゃったように、何が起こるかわからないことも含めて、将来に向けて、そういうビジョンを描いたということが重要だというふうに感想を持ちます。
その上で、第2点は、これはちょっと、なかなか難しいですけれども、やっぱりカーボンプライスの書き方は、もうちょっと、やっぱり工夫が必要かなと、今日出てきたコメントを見てみても、どちらかというと誤解に基づくようなものが多くて、つまり、そのカーボンタックスだけがカーボンプライスではないわけで、結局、カーボンプライスというのは、石油の価格が何らかの理由で上がったってカーボンプライスになるわけで、結果的には、やっぱり、そのもし低炭素に関わる活動をし、いろんな形のイノベーションを含めて抑制することが必要であれば、それの値段が上がるということで、ただ、それが放っておけばいくのでなければ、恐らくカーボンタックスとかそういうことも必要だということで、カーボンプライスについて、もうちょっと、やっぱり広く議論したほうがいいんじゃないかと思います。
先ほど、例えば日本だけ上げても、海外から安いものが入ってきたらという議論があって、ここは重要な論点だと思うんですね。つまり、カーボンタックスのことは、どうやってやるかわかりませんけれども、一番簡単なのは、日本はほとんど化石燃料を輸入しているわけですから、化石燃料の輸入のところに税金をかけるというのが、多分、一番わかりやすいなというふうに思うんですけれども、であれば、同時に、その海外で化石燃料を使って加工した部分についても、そのカーボンコンテンツについて関税かければ、多分、内外無差別になると思います。
そんなのは無理だというけど、委員もご存じのようにトランプ大統領が、まさに、その付加価値税について税金をかけようと言っているわけで、ここは非常に実は重要な問題で、いいか悪いかは別として、まさにそういう国内のtaxation、消費税もそうですし、カーボンタックスもそうだろうと思うんですが、こういうものが国際的にどういう関係にあるかということをまさに議論されているわけですから、今年、来年の議論だったらいざ知らず、2050年ということであるとすると、ボーダータックスも含めて、やっぱり広範囲にカーボンプライスということをきちっと議論する必要があると思います。
で、排出権取引と、前回言いましたようにカーボンタックスは、もう全く違うものなんです。両方ともプライス・メカニズムを使うわけですけど、排出権取引というのは、基本的に、ある特定の限定した、あるいは、今ここにいる人たちの中でやるわけですから、これはどちらも、もちろんそれぞれ意味があると思いますから、それぞれ明示的に議論すればいいんですけど、排出権取引の見解をもって、カーボンタックスの批判を先ほどされたと思うんですけれども、それは僕は間違っていると思うんですよ。だから、そういう意味では、やっぱりもうちょっとカーボンプライスについて、より緻密で詳細な議論というのは、今回というよりも今後必要なのかなと。
それから、生産性の問題をおっしゃって、それは大事な点だと思うんですけれども、ここは、ここで、このレポートではもう仕方がないのかもしれませんけれども、将来は、もうちょっと、やっぱりきちっと議論するべき論点かもしれません。ご存じのように経済学者が生産性の議論をして、TFPというものを見るわけです。つまり、労働や資本が増えることによって成長が出てくる以外の部分ですね、社会的イノベーションを含めて、それがどの程度になるかということで。
これは、もうご存じのように、今、日本の生産にとっても非常に重要なポイントになっていて、簡単に言うと、1980年、1990年辺りを境に、日本のTFPが物すごく下がっているわけです。で、今後、高齢化の中で、しかしこれが上がっていくという唯一の、今、皆が持っている期待は、まさにICTとか、あるいは社会的イノベーションとか、それから、こういう環境絡みの技術もあるかもしれませんけれども。であるとすると、これは、マクロというのは非常に重要で、日本の成長戦略の考え方とか、高齢化との関係も非常に重要で、どこまでそこに書き込むかは別の問題として、単にミクロの意味での生産性の話ではなくて、マクロの観点で生産性の議論を、やっぱりどこかでもうちょっとしておくと、このいわゆる地球温暖化の問題との関係がより明確になるのではないかということだと思います。
4点目は、何人かの方の議論を聞いていて非常に気になったのは転嫁の問題なんです。つまり、例えばメーカーに炭素税をかけられちゃうとメーカーのコストが上がると。その話を聞いていると、何か全部メーカーがコストをかぶるような話になっちゃうわけですね。あるいは、別のコンセプトで消費税をかけたら、みんな消費者が負担しちゃうと、全部消費者に転嫁する。少なくとも経済学の一番ベーシックな議論では、短期は別として、こういう2050年という形であるとすると、どこに税金をかけたって、結局、最後はどこかに転嫁するということで、そこの転嫁の比率が問題だと思うんですね。
例えば、先ほどCCSと炭素税の話が出ていましたけど、仮に、仮にって、これは私の勝手な議論で申し訳ないですけど、仮に鉄鋼産業を維持するためにはCCSが絶対に重要だと、CCSのコストはどうかわかりませんけれども、仮にコストが高いとすると、じゃあ鉄鋼産業はどうなるだろうかというときに、恐らくポイントは、それによって鉄鋼の生産コストが上がったときに、どこまでそれが価格に転嫁できるような製品であるかと、本当に社会にとって必要なものであれば、結局、価格は上がっていくと思いますし、ほかに代替できるようなものであれば、申し訳ないけれども、そこは。もしCCSとのほうでCO2を削減できることでコストが高いのであれば、ほかのものに代替されていくということで。
最終的には、何が言いたいかというと、最終段階のサービスや財の段階での代替性の問題というのが、この転嫁比率に非常に大きな関係をするわけで、その代替性というのは、その商品、そのサービスが、その社会にとってどれだけ重要であるかということの意味でもあるわけですから、そういう意味で、転嫁の話はもうちょっとしておかないと、炭素税だけですと、何か炭素の価格だけのようにおっしゃるんですけれども、実は、それを入れた結果、全体的に、社会全体の価格体系がどうなるだろうかということに、やっぱり議論を広げていく必要があると思うんです。
で、5点目は、非常に気になった点なんですけれども、スターンレポートというのが大分前にあって、その論調と随分違うんだと思うんですね。私の、非常にそのおぼつかない記憶によると、スターンレポートというのは、何もしないと大変なことが起こっちゃうと、2050年ではないかもしれません。2070年か、2100年かもしれませんけれども、それに比べたら、実は、こういういろんな炭素、いろんな環境をやったら、要するに随分社会がよくなるんだと。つまり、何が言いたいかというとリファレンス・ポイントをどこに置くのかということで、何となくこれを無防備に読んでしまうと、リファレンス・ポイントというのは、何もしないとこういうふうに成長するんだけど、それでも何か成長するかもしれないというのは、非常に何か楽観的な議論をしているかもしれませんけれども、ひょっとしたら、何もしないと大変なことが起こるから、それに比べたら、もうちょっとましなんだよという議論かもしれません。ただ、先ほども言いましたように、それが2050年という年で切っているから、スターンレポートの視点とは少し違うのかもしれませんけれども、そこら辺がやっぱり一番ベーシックなところだから、やっぱりきちっと、ある程度書いておく必要はないかなと。
それから、使い道のない資金が滞留していることをどう見るかという話、これは諮問会議でも、私はよく、経団連の会長に叱られながら擁護しているんですけど、要するに企業が投資しているかどうかは別として、一番重要なポイントは、日本は未来のどこに投資するのかということが非常に重要で、普通は、これは今の現在の社会保障に使うのか、将来の教育に使うのかという議論で今行われているわけですけれども、実は、よく考えてみたら、この環境に対する投資、これは企業がやるのか、政府がやるのか、これはいろんな視点がありますから別だと思うんですけれども、ここはやっぱり日本人、日本にとって重要なポイントで、企業は、自分の利益で勝手に議論するから関係ないんだと、それはそうかもしれません。だけど、社会全体で見たときに、本当に投資しなくていいのかと、企業がやるのが難しかったら政府がやらなきゃいけないし、政府がやることが本当によくないと考えれば、企業にやってもらえるような、やっぱりインセンティブの仕組みが必要だということで。やっぱり言うのは、そこは非常に大事な話でね。だから、未来に対する投資という話が、まさに2050という話で議論しているわけですから、そういう意味では、この議論から逃げちゃいけないと思うんですね。
それより前にあったのは、前回も申し上げましたけれども、この地域ぐるみの話で、米と、先ほどのお話の電力は違うんですよ、あるいはエネルギーは。米というのは、市場取引ですから、ですから、それは東京都の真ん中で米をつくるのは採算が合いませんし、新潟県でつくるのはいいと思うんですけれども。ただ、今ここで議論されているのは、コンパクトシティを本当に各地域が実行するのかとか、あるいは、その他以外の地域分散電源の取組をやるのかどうかということを考えたときに、簡単に言うと、コンパクトシティが一番わかりやすいんですけど、残念なんですけど、ほとんど進んでないんですよね。それは、やっぱりそこにインセンティブがないわけで。
ですから、すると、地域によってどういう取り組みをするかということについて、ある種のやっぱりその「見える化」をしてやっていく。それでも、全部できるなんて私も思いませんし、東京でもちろん、そのやるエネルギーと北海道のエネルギーは違うと、米と同じ議論があると思いますから、それはおっしゃるとおりなんですけれども、ただ他方では、やはり、誰がこういうことに取り組むかということに対して、地域の取り組みにできることがあるのであれば、しかもそれが、いわゆる普通の見方でのマーケティングのメカニズムに乗らないのであるとすると、地域の間のいろんな比較についての議論をするということ自身は、それなりに意味があるんじゃないかというふうに思います。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。
足立委員、どうぞ。

○足立委員
大変な労作、ありがとうございます。崎田先生とも少しかぶりますけれども、53ページに教育・人材育成・市民参加を書いていただいています。国民、市民のこの問題に対する理解度と重要度、もうこれがその成否を分けると思いますので、体系の中で、どこに位置づけていただくのがいいか、ウエートを重く、横串として置いていただきたいというふうに考えます。
それから、自治体の役割ということで、ちょっと記述をいろいろ探したんですけれども、あまり、ちょっと書かれていないように思います。私ども基礎自治体1,700、それから都道府県、二層制でやっていますけれども、それぞれ地方ヒアリングでも大変いろんなバリエーション、そして進んでいるところをお聞きしました。でも、必ずしもそこまでいっていないところもある。そういう中で、地域社会の集合が日本だとは申しませんけれども、やはりそのエリア、エリアでの最終的なファシリテーターとしての自治体の役割、非常に大きいと思いますので、自治体を叱咤激励する意味でも、どこかに位置づけを書いていただきたいと思います。将来のイノベーションを起こす上でも、この教育、非常に大事だと思いますし、若い人が、俺がイノベーターになってやろうという意欲を持って、どんどん、そういう人材が出てくるような、そういうふうな教育も必要だと思います。
それから、最後、1点、36ページのエネルギー需給のところの電力については、低炭素電源(再生可能エネルギー、CCS付火力発電、原子力発電)が、発電電力量の9割以上を占めている、今日は、ここがかなり議論になるのかなと思ったんですけれども、割とさらっといったんですけれども、方向はこういうことだと思うんですけれども、この括弧内の書き方であるとか、それぞれのウエートづけを書く必要があるのかとか、そういった点については、ちょっと私たちも意見が今はまとまりませんので、さらに議論を深めていくのであれば、また、それをお願いしたいなと思います。
以上でございます。

○浅野委員長
ありがとうございました。
それでは、また、例によって制限をかけなかったらこういうことになりまして、もう終了時間間際になってしまします。最初に、(1)から(3)までは後で残った時間でというふうに言いましたが、もう時間が残っておりませんので、ここで、どうしても発言をしなければ今晩寝られないという方に限って、2分間だけご発言を許しますが、どなたか、そういう無謀な手を挙げる人はおられますか。
高村委員、どうぞ。

○高村委員
すみません、挙げてしまいましたが、1点だけであります。先ほど、約束された市場か、あるいは期待された市場か、書きぶりのところはあるんですが、これは先ほど、桜井委員がおっしゃったように思いますけれども、やはり世界の、特にエネルギーをめぐる動向については、潮流のところに書いていただくほうがよいのではないかと思います。もちろんこの排出減、世界の排出減としてもそうですし、日本の排出量の9割というエネルギー、危険だと考えると、やはりそこを客観的なファクトとして、もう評価はともかく、IEAなり、IRENAの、きちんと日本が加盟している国の最新の報告書に基づいて書いていただくということが、共通認識を持つ上で非常に大事ではないかというふうに思います。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。
それでは、それ以外、多分まだ、いろいろおありだと思いますが、大変恐縮ですが、紙でお書きいただければ、それはまた参考にさせていただくということにいたします。
それでは、局長から発言を求められておりましたので、どうぞ。

○地球環境局長
活発なご議論をどうもありがとうございました。今日出させていただいたものも、これまでの議論を踏まえてというつもりでまとめておりますけれども、冒頭から、座長からもお話がございましたように不十分な点もあったかと思います。また、今日もさまざまご意見いただきましたので、こういったご意見を反映させる形で、座長のご指導を得ながら、また、再度ドラフティングしていきたいと思います。
そういった中で幾つか、かなりご議論の論点がございましたけれども、初めの説明で少し不足していたかもしれないと思う部分もありますので、この案をまとめるに至った考え方、幾つかの点については述べさせておいていただきたいと思います。
一つは、科学に基づく取組というところでございます。気候変動問題、科学的な事実、この辺は異論はないと思うんですけれども、例えば気候感度など、さらなる知見の蓄積が必要なもの、ご指摘もございました。こういったものは引き続き努力して、その知見の蓄積に努力していく、こういうことは必要なのだと思います。ただ、その時点で、つまり、その時点、その時点で最も確率の高い科学的知見に基づき、被害が未然防止されるように対応を積み重ねていく、こういったことが大きな原則なんじゃないかという思いで、今書いているというところでございます。
また、その不確実性というのは当然存在するわけですけれども、その不確実性、それぞれ度合いもございますが、不確実性があるからといって対策を先延ばしするというのは、いかがなものかというような観点もございます。むしろ今こそ、一定の不確実性があっても、我が国が低炭素経済への移行をしていくというモデルを自ら示して、世界における競争優位を獲得すると、こういうチャンスとしての受け止めというものを考えているというところでございます。
また、カーボンバジェットについてもいろいろご意見がございました。ただ、科学的知見に基づけば、IPCCの内の知見ですが、気候変動問題は累積の排出量によって決定づけられてくると、こういうようなところでございますので、やはり、このカーボンバジェットの考え方というのは、一つ根幹をなすものではないかと私どもも認識しているので、今のような案に書かせていただいているということでございます。
また、そういうことでございまして、あとは脱炭素社会ということについてのご指摘もございました。世界全体での脱炭素社会を構築していく、こういったことも見据えて、我が国が2050年80%削減、これは、この目標の性格についての議論もございましたけれども、目指すというような立場でございます。こうした大きな方針に沿って進んでいくという基本ということでございます。
また、「約束された市場」ということについてもご議論がございましたけれども、これまでの議論を踏まえ、私どもの認識としては、気候変動対策、長期にわたって継続的な投資が必要になるという、ここは確実なことだと思います。こういったことが、私どもというよりは、いろんな場面で「約束された市場」という表現でされていると、こういうことで書かせていただいたということでございます。
また経済との両立、これは大変重要なことだというふうに考えています。市場の活力を最大限、そういった中でも、市場の活力を最大限活用しながら、国内市場を活性化させていくということが必要なんじゃないかと思います。そういった国内市場を活性化させていくということが、経済を回していくということが国際競争力の源泉となるんじゃないかということで、国内対策あって、そして国際貢献というようなことで書かせていただいておりますが、どちらも重要な取組だ、国際貢献の重要な取組だということは、私どもも考えているということでございます。いずれにしても、こういったいろんな問題を同時解決していくということが今回の議論の中で出てきたことだと思いますので、そういった観点からの気候変動対策について、まとめを素案として書かせていただいたというところでございます。
また、カーボンプライシングについても、さまざま議論が出ました。各論、いろいろございます。これについては議論はしっかりしていかなければならないというふうに考えています。ただ、私どもとしては、一つのカーボンプライシングという形で、それぞれの行動主体に、ある意味、価格面でのメッセージを示していくというようなことでございます。こういったものが、さまざまな課題を同時解決するための、実現するための手法の一つだというふうには考えています。市場の活力を最大限活用して炭素生産性を上げていくと、こういうような観点から具体的にどういう姿が考えられるのかというのを、幅広い関係者と、一歩先に進んで、しっかりと議論をしていく必要がある、こういう時期なのかなという観点から書かせていただいていることで、議論はさらに進めていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
以上、幾つかの論点について、この素案を書かせていただいた趣旨などについても触れさせていただきました。いずれにしても、これまでの意見、そして、今日たくさんいただきましたご意見を踏まえて、座長のご指導をいただきながら、もう一回のドラフティングをさせていただきたいとこのように考えてございます。
また、次回までの会合の間、個別にもいろいろと、各委員の方にご相談させていただく場面もあろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。

○浅野委員長
はい、それでは、ただいま局長から少し説明がございましたが、今日いただいたご意見をもとにしながら、さらに事務局に修正をさせることにいたします。しかし、これまでの議論でもおわかりのように、完全に全員の意見が一致することはあり得ないということははっきりしていますので、どういう書き方にするかということも含めて、検討させていただきたいと思います。
それから、「はじめに」というところが今日は出てないのですが、次は、できれば、今日のご議論を踏まえて「はじめに」の部分も埋まるようにと努力はしてみたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
局長のご挨拶にもありましたように、次回まで約1カ月ございますが、そこの間に委員の先生方に、また個別にご相談を申し上げるということがあろうかと思いますから、どうぞその節には、ご協力くださいますようにお願いいたします。
では、事務局からお願いいたします。

○低炭素社会推進室長
事務局から1点ご連絡でございます。先ほど、ご意見の中で、この意見書について、机上に配付させていただいているものについてのご意見がございましたけれども、本日、机上に置かせていただいているものについては、ネット上では、前回のところに載せているというようなことになります。つまり、本日、例えば紙でいただいたものについては、本日分の資料等が載っているところに載るというような形で載せさせていただいておりますので、ご連絡いたします。
本日は、委員の皆様におかれましては、活発なご議論をありがとうございました。
次回の日程については、3月1日水曜日、午前中を予定しております。
よろしくお願い申し上げます。

○浅野委員長
それでは、本日はこれで終了いたします。
どうもありがとうございました。

午後 0時31分

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