長期低炭素ビジョン小委員会(第2回) 議事録

日時

平成28年8月30日(火)14時00分~16時00分

場所

TKPガーデンシティ永田町 ホール2A

東京都千代田区平河町2-13-12 東京平河町ビル2階

議事録

午後 2時00分 開会

〇低炭素社会推進室長

それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会長期低炭素ビジョン小委員会の第2回会合を開始いたします。

本日は、ご到着が遅れておられる委員もいらっしゃいますけれども、委員総数18名中11名の委員にご出席いただく予定でありまして、定足数に達しております。

なお、前回運営方針についてご確認いただいたとおり、代理出席は認めないこととしておりますけれども、小委員長が必要と認めた場合は、欠席委員等の代理の方を説明員として出席させることができるとしております。

代理出席ではなく説明員という立場で、本日は、ご欠席の日本経済団体連合会の根本委員の説明員として池田様、電気事業連合会の廣江委員の説明員として小川様にお座りいただいております。委員の皆様にはご承知おきいただきますよう、お願いいたします。

また、既に地球環境部会長決定とされております、本委員会の運営方針において、原則として会議は公開とされていることから、本日の審議は公開といたしております。

では、以降の議事進行は浅野委員長にお願いいたします。

〇浅野委員長

それでは、ただいまから議事を始めさせていただきます。

まず、事務局から配付資料の確認をお願いします。

〇低炭素社会推進室長

一番上に議事次第がございます。それから、その下に配付資料一覧がございます。資料1といたしまして、ビジョン小委員会の委員名簿がございます。また、資料2といたしまして、英語と中国語でまざっている資料がございます。それから資料3といたしまして、本郷さんからのCOP21パリ合意とビジネスインパクトという資料がございます。また、資料4-1といたしまして、国土形成計画(全国計画)の概要というのがございます。それから資料4-2といたしまして、資料番号は振っておりませんけれども、国土形成計画(全国計画)の冊子がございます。資料の不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。

カメラにつきましては、ここで退席をお願いいたします。

〇浅野委員長

それでは、前回お話がございましたが、本日から複数回にわたって有識者からお話を伺うということになっております。そこで、今日の有識者からのご意見を拝聴するということについて、ご紹介を事務局からお願いいたします。

〇低炭素社会推進室長

前回の会議でお話しいたしましたとおり、今回から11月ごろまで、関係者へのヒアリングを実施してまいりたいと考えております。

前回、小委員会の進め方でご紹介させていただきましたように、本ビジョンにつきましては、まず一つ目としまして、2050年及びそれ以降に向けて、我が国がどういった経済、社会的課題を抱えているかを整理した上で、二つ目といたしまして、科学的知見や海外の動向等を踏まえ、三つ目といたしまして、目指すべき社会の絵姿を描き、四つ目としまして、技術・ライフスタイル・経済社会システムにおいてどのようなイノベーションが必要かを検討し、五つ目といたしまして、各主体の取組等について議論していただくこととしております。

委員の皆様のご議論に資するよう、世界の潮流・海外の動向、長期的戦略の策定状況、科学的知見・技術、温暖化の影響、ライフスタイル、建物、移動、ビジネス、エネルギー供給、都市・地域・地方創生、金融システム、その他の多様な分野にかかるヒアリングを行ってまいりたいと考えております。

ヒアリングにつきましては、対象者のご都合も考慮いたしまして日程を組んでおりますので、各回さまざまなテーマのヒアリングを実施する可能性がございます点、ご承知おきください。

本日のヒアリングですけれども、お一人目としまして、世界の潮流・海外の動向に関しまして、中国における低炭素社会に向けた政策的取組につきまして、中華人民共和国国家気候変動戦略研究国際協力センター(NCSC)国際合作部の柴麒敏主任よりご説明いただきます。

またお二人目には、パリ合意がビジネスに与える影響につきまして、三井物産戦略研究所の本郷尚シニア研究フェローより説明いただきます。

さらに三人目といたしまして、我が国の経済社会的課題にかかる将来の国土の絵姿に関連しまして、国土交通省国土政策局の林田雅秀計画官より、国土形成計画について説明いただきます。

3名の方々には、本日、貴重なお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。委員の皆様につきましても、忌憚のないご議論をどうぞよろしくお願いいたします。

〇浅野委員長

それでは、ただいま事務局からご紹介のありましたお三方の方に、ただいまからご意見をお聞かせいただきたいと思います。

今回はお一人ずつ発表していただきまして、お一人ずつの発表ごとに、その後、委員の皆様方からの質疑応答ということにさせていただきたいと思います。発言される場合には、お手元のネームプレートを立てていただいて、順次ご発言をいただきたいと思います。

発表者への質問については、委員のご発言をいただいた後でご発表いただくということを考えておりますが、状況によってまた少し変えさせていただくかもしれません。

それから、本日の最初にご報告いただきます柴先生からのご発表の資料の扱いについて、事務局から皆様方にお願いがあるということでございますから、よろしくお願いいたします。事務局の説明をお願いいたします。

〇低炭素社会推進室長

資料2についてですけれども、本日お越しいただいた方々には紙で配付しておりますけれども、ウエブページには掲載しないようにというご要望がございます。資料の扱いにつきましては、先般、出させていただいた地球環境部会長決定の長期低炭素ビジョン小委員会の運営方針についての規定で、4のその他といたしまして、上記に規定するもののほか、小委員会の運営に関し、必要な事項は小委員長が定めることができるものとするとしております。

今回、浅野委員長にもご相談の上、ウエブページには掲載しないことといたしております。

なお、お越しいただいた方に、紙媒体で直接配付する分には問題ないとのことですので、今後、資料をご入り用の方につきましては、事務局にお問い合わせいただければと存じます。

〇浅野委員長

ということでございます。お問い合わせいただきましたら、本日おいでにならなかった方に対しても資料を差し上げるということはできると思いますので、変則ではございますが、外国の方ということでいろいろのご事情がおありですから、このことを配慮して、ウエブには掲載をしない、紙媒体のみで資料を配付するということで、これでも会議の透明性を保たれていると判断いたしましたので、事務局の申し出を了承いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、柴先生からご発表いただきたいと思います。

〇柴NCSC国際合作部主任

皆様、こんにちは。今回は日本の環境省並びに委員会のお招き受けまして、皆様方とこのように意見交換ができることを大変光栄に存じます。本日は、中国の地球温暖化対策及び今後の戦略につきましてお話しさせていただきます。本日のテーマですが、2050年に向けまして、ポストパリに向けまして、中国の低炭素発展の戦略、政策及び市場の展望というタイトルです。当初は講演時間が1時間だと伺っておりましたので、少し多目に資料を用意いたしました。ですが、本日、30分しかないということで、少しかいつまんで、要点のみご紹介申し上げます。

本日の講演のアジェンダですが、ここに書いている5項目があります。最初の二つですけれども、中国の中長期的戦略ということで、委員会のテーマにも合致しています。

後半の3項目ですけれども、皆様がご関心のある、135カ年計画、そして、2017年にスタートする予定の中国の炭素取引市場の話、最後に、アジアの炭素共同体、アジアにおける協力という内容となっております。

それでは本題に入る前に、まず私が勤務しているNCSC(国家気候変動戦略研究国際協力センター)について、ご紹介申し上げます。

この組織図ですけれども、中国が気候変動に対応する組織図となっています。

一番トップにあるのは委員会、もしくは工作グループ、あるいはタスクフォースというふうに呼んでおりまして、李克強首相がチームリーダーを担当しています。そして、その事務局は、発展改革委員会に設けております。また、その傘下に二つの組織がありまして、一つはNDRC、発展改革委員会の気候変動対応という部署ですけれども、もう一つが私が勤務しているNCSCとなっています。ほかには、外交部、環境保護部、工業信息化など、21の部局が入っています。気候変動に対応していくということは、目新しいものではありません。皆様がご存じのように、20世紀、80年代、90年代から、もう既に国連のスケジュールに載せています。また、去年パリで開催されましたCOP大会ですけれども、終戦後の非常に大きな大会と言っても過言ではありません。約150名の各国の指導者がその会議に参加しました。そして、国連事務総長の話によりますと、この大会ですが、経済貿易や安全保障などに関する会議ではなく、地球の温暖化対策、気候変動に対応する会議ということです。これまでにもいろんな国際的なルールがございまして、例えば国連憲章、憲法などなんですけれども、WTOにおいては経済・貿易などの問題などについてさまざまなルールを定められています。パリ協定に関しましては、国と国の環境問題を定めたものです。

このスライドには、2枚の写真を載せております。左下にある写真ですが、人々が大変喜んでいる姿を写しております。左上のほうですけれども、中国代表団の団長と俳優さんが一緒に撮った写真ですけれども、この写真からも読み取れるように、パリの大会は、非常に成功裏に開催されました。この会議によって、今後の目標を明確に定めました。気温の上昇は、1.5度から2度以内に抑えるという明確な目標を定めることができました。

産業革命前に比べますと気温が既に1度上昇したということですので、残りの(排出の)枠がごくわずかです。また、今世紀の残り50年の間にカーボンニュートラルを実現するという目標も定めました。

また、この会議、パリ協定ですけれども、発効に関して、二つの55の数字が出てまいりました。一つは55のメンバー国の承認が必要となる。もう一つは、承認した国の排出量が全体の55%という数字が出ています。現在承認している国はわずか23カ国しかありません。そして全体の排出量の1.1%を占めているわけです。間もなく、来月の4日から、G20が中国で開催する運びとなっております。そのG20において、中国、アメリカが共同宣言を出す予定です。つまり国内の立法のプロセスを踏んで、パリ協定を承認するということになります。そうなりますと、承認国の排出量が全体の38%を占めることになります。

また、聞いた話によりますと、日本国内においても現在、承認に向けてプロセスをスタートしたということです。今年中に承認をもらえる見込みとなっているという話を伺っておりました。そうなりますと、今年の年末までにこの二つの条件をクリアできると考えております。これまでに188の国が、2030年までのアクションプランを既に提出しまして、今後こういったアクション、その取組がさらに加速されると予測いたします。しかしながら、右下のグラフをご覧いただきますと、上昇温度は1.5度から2度以内に抑えるという目標まではまだまだ開きがあります。

また、パリ協定においてこういうことも定めています。つまり5年ごとに、これまでの5年間の取組を報告し、また次の5年間のプランを報告することになっております。パリ協定以外に、もう一つ有名な議定書がございます。京都で合意されました京都議定書です。京都議定書とパリ協定を比較しますと、かなり違いがございますけれども、一番大きな違いというのは、パリ協定においては、発展途上国も、温室効果ガスを削減する対象国になったというところです。ですので、今後、こういった温室効果ガスの排出削減というのは、長期にわたる任務となりまして、産業界にしてもマーケットにしても、方向転換、あるいは削減を呼びかけることになります。こういったグローバルなバックグラウンドのもとで、中国においても経済成長と環境問題の間に矛盾点が生じております。ニュースでも皆様方はご覧になられたと思います。現在、中国においてPM2.5が多発しております。右下にある写真ですけれども、中国北京の真ん中にある天安門広場で撮った写真です。北京の青空というのは、そこにあるディズプレイに映し出されたものしか青空が見られないということです。そういう意味で、中国の現在の発展モデルというのは、かなり環境に負荷をかけておりまして、そのリミットに近づいています。そういう意味で、グリーン発展、あるいは低炭素社会づくりに方向転換をせざるを得ません。

現在、中国において、ニューノーマル(新常態)という言葉がよく口にされます。つまり、一人当たりの経済力がある一定のレベルに達してから、成長スピードを少し落としていくということです。皆様も感じられたかどうかわかりませんが、2013年から、中国の国家戦略において、大きな変化が見られました。特に現在、エコ関係、環境重視、グリーン発展などの言葉がよく使用されますし、数多くの政策も出されまして、行動にも変化が見られます。

この写真ですけれども、中国の指導者が写されています。習近平国家主席、李克強総理などです。海外に訪問されますと必ず口にするのは、気候変動の対応策です。これまでにアメリカ、インド、ブラジル、フランス、EUなどの国と地域と共同で共同声明を発表してまいりました。とりわけアメリカとの共同声明ですが、これまでに5回ほど出しております。その中で、気候変動対策、低炭素発展に対する中長期的ビジョン戦略も打ち出しております。その中で、幾つかの目標を定めております。一つ目に二酸化炭素の排出量、2030前後までにピークに達して、その後、どんどん減らしていく。二つ目に再生可能エネルギーに力を入れていきます。つまり、非化石燃料の割合を20%まで高めていきます。三つ目に森林面積を増やしていきます。4番目に経済の量ではなく効率を高めていくということです。

また幾つかの改革を推進しています。例えば電力事業、電力分野において、グリーン電力、そして効率の高い電源を優先的に使うなどの方針を打ち出しております。

また、市場メカニズムを十分に生かしていきます。例えば、2017年までに全国の炭素取引市場をスタートさせます。

また東南アジア諸国との南南協力に関しまして、200億元を拠出し、国際協力に費やす予定です。先ほど申し上げましたように、2013年以降、中国の政策に大きな変化がございました。それまで、二酸化炭素の排出を抑えるということは、企業や地方政府の経済の発展を制約するという考え方がありましたが、最近の公文書を見ますと、制約という言葉は使っておらず、言い方を変えています。つまり低炭素発展というのは、そのもの自体が企業や地方政府に収益をもたらせるというような言い方になりました。つまり、低炭素社会づくりというのは、新しい技術、製品、新しいモデルをつくり出すことにつながります。経済成長に関しまして、それぞれの文明、時代によって、経済成長をもたらすポイントが、変化してきました。農業が主だった時代には、経済成長を推進したのは労働力であったり、土地であったりしており、産業革命以後は、資本であったり、エネルギーだったり、あるいは知識などのもので、経済成長を支えました。しかし現在、一番下に書いてあるのはエコ文明なんですけれども、この時代に入りまして一番重んじているのは環境資本ということになります。

また、24の先進国の発展モデルを細かく比較してみました。その結論としまして、Yellow Labelモデルを推進しているドイツ及びGreen Labelを推進している日本は、一番勉強になるという結論に至りました。しかしながら、Yellow Labelモデルは、一人当たりの排出量がそれほど少なくないということに気づきました。また、Green Labelに関しまして、排出量がピーク値に到達したのは、遅い時期であったという問題もあります。そういう意味で、中国としまして、Yellow LabelBlue Label、この二つのモデルの優位性を組み合わせまして、Yellow Labelよりも一人当たりの平均排出量をさらに少なくして、Blue Labelのピーク値に到達する時間を少し早めるといったようなニューモデルをつくり出していく必要があると考えます。

また、現在の中国は、そういったチャンスもあると考えます。つまりエネルギー、電力の使用量は、これまでの10年間に比べまして、5%ないし10%減少しています。その不足部分を、非化石燃料あるいは再生可能エネルギーを使って賄うことが可能ということになります。グラフをご覧になっていただきますと、石炭分野のピーク値に到達したのは2013年ということが読み取れます。それ以後、次第に減っています。

炭素強度について、これまでの歴史を振り返ってみました。中華人民共和国ができたのは1949年ですけれども、一番高い数値に到達したのは78年でした。つまり1978年、中国において、改革開放を実施した年です。それ以降、少しずつ落ちています。ですので、1978年は1回目の方向転換という風に認識しております。もちろん、当時そういった気候変動対策などはありませんけれども、そのときは1回目の方向転換だと考えています。2回目の方向転換点は2030年前後になると思います。ピーク値に達して、その後、減っていくということです。

2007年以降、発展改革委員会(NDRC)の気候変動対応司及び私どものNCSCが一連の政策を打ち出しました。例えば、国家法案、国家プラン、125カ年計画、135カ年計画などにおいて、さまざまな措置を打ち出しております。つまり、六つの角度からこういったトップ設計、政策設計をしておりました。立法、総量規制、炭素取引、排出認証制度、そして税制関係、投資制度。また、非化石燃料は、今後さらに増やしていきます。アメリカのキャパシティに匹敵するほどのキャパを新規に投入するの予定があります。

また、今後、この低炭素関係、グリーン発展につきまして、41兆元の投資を行う予定で、6,300万の雇用機会を創出する見込みです。2030年だけでなく、2050年までの長期ビジョンも立てました。これに関しまして、三つの方向転換が盛り込まれております。一つは経済モデル、二つ目はエネルギーシステム、3番目は消費パターン。

また、より明確な目標も定めまして、よりはっきりとしたロードマップも作成しました。この主な指標ですけれども、ここに列記をしているとおり、アメリカ、EUに比べまして、今後大きく改善していく所存です。

また、最終的目標に向けて、三つの段階に分けてそれぞれの目標を定めました。まず一つ目に、2020年までの5年間ということで、これを育成期間というふうに呼んでおります。市場メカニズム、財政支援、企業や地方自治体、業界をサポートするなどの政策も盛り込まれております。

また、2020年から30年までの10年間、これを加速期間というふうに呼んでおります。技術を導入し、経済モデルを創出し、そして構造改革なども実施していく予定です。また、2050年までに非化石燃料を主なエネルギーにしていく予定です。

また、各セクターにおいても具体的な政策、アクションプランを定めております。産業セクター、建築セクター、交通セクターなどが含まれております。エネルギー分野に関して、現在、エネルギー革命を起こしておりまして、制度改革なども推進しています。低炭素社会づくりに向けた一連の政策、そしてこれから打ち出す政策などもあります。低炭素社会づくりに向けて保障を与えるということです。

長期的戦略以外に、5年間の135カ年計画において、より詳細なプランを立てております。

一つ目に、総量規制です。炭素の排出量に関しまして、エネルギー、水、土壌の管理と同じように総量規制をかけていく。

また、各業種別にそれぞれの削減目標を定めております。とりわけ電力関係、鉄鋼業、建築材料、化学工業を重点分野としています。

また三つ目に、先ほど申し上げました2017年に全国の炭素取引市場をスタートさせます。これがスタートしますと、おそらく世界で最も規模の大きい取引市場になると思います。

また、過去10年間の炭素排出量の増加量を分析しました。115カ年計画の間、つまり2005年から2010年までの間、二酸化炭素の排出量が20億トン増加しました。そして2010年から15年までの、125カ年計画の5年間、増加量が11億トンとなっております。今後5年間、おそらくさらに(増加量が)減少しまして、4億トンになる見込みです。

またセクター別では、産業分野では排出量が減っていき、建築関係、交通セクターでは少し増えるのではないかと考えております。

そうなりますと、この三つのセクターを重要分野にしまして、しっかりとした指標を定めて、管理を強化していきます。鉄鋼業を見ますと、この折れ線グラフ、一番上にあるグラフですけれども、これが鉄鋼セクターですね。これを見ますと、13次5カ年計画の間の5年間、排出量が大幅に削減される見込みです。これは強制的な目標となっておりまして、現在、キャパシティが過剰となっていますので、そういった過剰のキャパシティを撤去していく、この二つの仕事・目標を組み合わせて実行していきます。各セクターにおいてこのような取組を実施しています。それ以外に、各地方において、現在、100のパイロット事業を実施しております。

また、新築のニュータウンに関しても、計画段階から建設、運営まで、フルチェーンの低炭素の実践を現在推進しています。またサイエンスパーク、産業パークに関して、現在、50余りの産業パークにおいて、低炭素社会に向けて改造を実施しています。同じくコミュニティにおいても、低炭素社会づくりに向けてさまざまな取組を推進しています。現在、1,000以上のコミュニティにおいて、こういったことをやっております。

また、皆さんご存じのように、2013年から中国各地において七つの炭素取引市場をテストとしてスタートさせました。2015年、去年の実績ですけれども、取引高が11億トン、金額にして32億人民元に達しています。

中国の全国の炭素取引市場に関しまして、段階を踏んで全面的にスタートさせていきます。第一段階において、8の分野をカバーする予定です。鉄鋼、非鉄、電力、製紙、建築材料、航空関係等。現在の統計データを見ますと、恐らく8,000社余りの企業がこの取引に参加する見込みです。

また、取引規模ですが、おそらく40億トンに達していて、この数量は、EUの取引市場の2倍ないし3倍になります。金額にして1,000億人民元に達する見込みです。

また、国内だけでなく地域間の協力にも力を入れております。例えばアジア地域におけるコベネフィットなどのプロジェクトも実施しています。

アジアにおいては、多くの共通点があります。アジアには長い海岸線がございまして、海岸線沿いに住んでいる人々が、気候変動の脅威に晒されております。そういう意味で、エネルギーインフラ建設、都市化、建築、産業パークなどの分野において、アジアでの地域の協働を推進していきたいと思います。

また、韓国、日本においてもこういった市場メカニズムがあって、経験をお持ちです。そういった意味で、アジアの炭素取引市場をリンクさせることも念頭に入れてあります。もしリンクできれば相当な規模に達することになりまして、非常に将来性のあるマーケットになるのではないかと思っております。

時間の関係でここまでとさせていただきます、もし何かご質問があれば、また後ほどお答えいたします。

〇浅野委員長

どうもありがとうございました。大変熱心にお話しいただいて、予定の時間を20分オーバーしてしまいましたので、質疑応答はほとんど不可能でございますけれども、どうしてもご質問という方がありましたら、本当にお一人かお二人くらいしかお受けできませんが、いかがでございましょうか。自説の展開はご遠慮いただいて、端的に質問だけしていただけるようでしたら。

それでは大野委員と末吉委員、お二方からご質問をおねがいいたします。柴先生には、

最初にお二人から質問をさしあげますので、質問が全部終わってからまとめてお答えください。

〇大野委員

じゃあ1点だけお聞かせください。排出量取引制度の導入という計画があることを聞いて非常に感銘を受けたんですけれども、日本では、総量規制をすると経済の発展にネガティブな影響があるという議論が経済界の一部から出ることがあるんですが、中国の場合には、こういう排出量取引制度を導入して、総量のキャップをかけていくことに関して、それが経済界から何か反対であるとか、経済の成長にマイナスではないかとか、そういうふうな議論というのは起きていないんでしょうか。

〇浅野委員長

末吉委員、どうぞ。

〇末吉委員

どうも詳しいお話をありがとうございました。1点お尋ねします。こういったすばらしい総合的な政策を実行する上で、社会のさまざまなステークホルダーを巻き込んで協力して、計画を実行していくわけですけれども、そうした場合の、英語で言うエンフォーサビリティーといいますか、実践力とか実行力というのはどういう具合に確保されていくんでしょうか。

〇浅野委員長

ではお答えをお願いいたします。

〇柴NCSC国際合作部主任

一つ目のご質問にお答えいたします。

中国国内でこういった反対意見は経済界からないかということですけれども、マイナス影響はないかということですが、もちろんそういった議論もありました。しかし、先ほど申し上げましたように、2013年以降、中国においては大きな変化がありました。伝統的な経済、分野は、経済の成長が鈍化して、グリーン経済のほうが上回っています。急スピードで成長しています。そういう意味で、大局から考えますと、中国経済にはプラスになると考えます。

また、こういった排出削減に関しまして、産業界から支持の声が上がっております。現在、そのキャパシティ過剰な分野がございまして、この取引に参加している八つの分野のうち、七つの業種がキャパシティ過剰になっています。そういう意味で、そういった過剰なキャパシティを撤去して、その産業界のコストダウンにもつながりますということで、支持の声が出ています。

また、炭素取引によって得られた収益を使って再生可能エネルギーに費やしたり、新エネルギー車の開発に使ったり、グリーン経済に使ったり、そういった分野に使っています。

また、太陽光、風力発電に関しまして、中国の製造能力が非常に急速に上がってきています。生産規模も世界最大となっております。そういった企業にはかなりの力がついてきています。伝統的な化石燃料の会社、例えば石炭会社などは、現在、グリーンエネルギーの方向へと転換しています。

二つ目のご質問にお答えします。いろんなステークホルダーがいて、実践力をいかに保障するかということですけれども、中国の場合は、大きな政策を打ち出す前にパイロット事業を実施するというのが通常のやり方です。そういったパイロット事業を実施することによって経験を積みます。

また、途上国として、キャパシティ・ビルディングに力を入れております。いろんなデータを収集したり、政策研究を実施しています。もちろん、その間、日本からも多大なご支援をいただいております。

また、これは中国の特徴と言えるかもしれません。もし何か政策を打ち出した場合は、その方向性が明確になった時点で、いろんなリソースをその分野に集中させる能力があるわけです。

以上です。お答えになりましたでしょうか。

〇浅野委員長

どうもありがとうございました。まだまだたくさんご質問をしたいのですが、残念ですが時間がありませんので、どうもありがとうございます。

それでは、次に、本郷フェローからご発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〇本郷三井物産戦略研究所シニア研究フェロー

紹介いただきました本郷でございます。今日はこのような機会をいただき、大変ありがとうございます。

私が今日の説明させていただくのはCOP21パリ合意の企業への影響です。企業に非常に大きな影響を与えているというふうに私自身は考えており、また、私が勤務する研究所の親会社である三井物産においても、非常に大きな影響を受けていると感じています。企業の経営にどういう影響があるのかというところを、私なりの考え方を説明させていただこうと思います。というのは、このインパクトの感じ方というのは、企業の置かれているビジネス環境、また業種、それから長期の戦略、いろんな要素によって受け止め方は変わりますので、一つの意見、一つの見方としてお聞きいただければなというふうに思っております。

それでパリ合意のインパクトについて、いろんな企業の方と意見交換をさせていただいておりますけれども、共通の認識というのは「ゲームチェンジかもしれないね」ということです。今まで行ってきたゲームから大きな変化があるかもしれない、変化になっているんじゃないかなと、ここが議論の出発点であります。

で、なぜゲームチェンジなのかという点でございますけれども、パリ合意では「2度目標」、それから「21世紀後半のネットゼロエミッション」、これが合意されているわけですね。一方で、IPCCの第5次報告では、累積排出量と温度上昇の関係、これは統計的な関係でいくと正の相関があるということが科学的なものとして発表されているわけです。この二つを組み合わせて考えると排出量には上限があるということになります。これがどのくらい厳しい上限かはいろいろ見方があるかもしれませんが、いずれにせよ、目標を達成するための上限があるということは確実なわけです。ということは、この「排出枠」の存在、別の名前で言うとCarbon Budgetとも呼ばれていますけれども、これがあったというところが大きな変化というのが我々の理解であります。

で、この「排出枠」があった場合、上限がある排出枠をどう使っていくかというのがビジネスにとって必要になってくるわけです。これは、言い換えますと分配のルールが必要になるわけです。市場経済の中で分配を考えるということになれば、必然的に価格付けが出てくるわけです。これは気候変動の世界では炭素価格、Carbon priceとか、いろんな呼び方をされていると思いますけれども、企業にとっては何らかのコストが発生するということを意味します。今まで無料だった排出にコストがかかるわけですから、先ほど申し上げたゲームチェンジが始まったということと思っています。

で、このCarbon price、炭素価格についても、いろんな企業の方、いろんな研究者の方、学者の方、政治・行政の方、いろんな考え方で解説されておりますけれども、企業側で働いている人間からすると、Carbon priceというのは、大きく三つに分けられるのかなというふうに考えております。

一つ目は規制に対応するコストです。例えば、石炭火力に対する規制があった場合、その規制値に対してどういうふうな形で対応していくか、そのための設備投資だとかいろんなことをしていかなければいけませんので、それに対応するコストというのは必然的に出てきます。これはexplicitに出てくる価格ではないかもしれませんが、コストとして、企業経営の中では当然考えていかなければならないと思います。

それから、二つ目は排出量取引。これは市場が炭素価格を決めるものになります。企業にとって、排出量取引を使うかどうか、(自らの排出源で削減するのと比べて排出量取引を使うのが有利か、)それは会社の判断ではありますけれども、そこに出てきた価格、コストというものは企業の投資判断、経営の中で考えていかなければいけないということになろうと思います。

また、三つ目にあるのは炭素税。これは政府が炭素価格を決めるものです。排出量取引と似てはいますけれども、政府が決めるか、市場が決めるか、そこの違いが企業にとっての受け止め方ということになります。

炭素価格に関する外部環境でございますけれども、先ほど柴先生もご紹介ありました排出量取引でございますが、世界的にいろんなところで使われるようになってきております。EUもそうだし、中国も行う。韓国も既に導入している。メキシコでは、炭素税と排出量取引の組み合わせということも考えている。北米ではアメリカとカナダが、国レベルではなくて州レベルを中心に、また、国境を越えて州と州の間の連携なども行おうとしていると。最後になりますが国際航空でもオフセットのための排出量取引が行われようとしている。この表にありますように、国あるいはセクターによってさまざまな形態があり、排出量取引というのは一様ではありません。また求める削減の厳しさも違います。したがって、価格も当然違ってくるわけです。企業は、いろんな国で、いろんな活動をしているわけですので、その国の状況一つ一つを見ながら、会社にとって適切な炭素価格あるいは炭素コストというものを考えていかなければいけなくなります。これが大きな変化になってきているのではないかと思います。

で、このスライドの右側にあるのがInternal Carbon Priceです。これは企業がどういうコストを経営判断の際に想定しているかというものです。ここでは2030年を想定し、トン当たり幾らかということを示しています。これは、あるNPOが公表可能な数字を取りまとめたものでございます。ここには日本の企業は出ておりませんが、さまざまな国の企業が出ている。ここで一つ注目すべきことは、価格について非常に幅があるということです。トン当たり10ドルと言っている会社もあれば、80ドルと言うところもある。また、ある会社は幅を持って答えている。先ほど申しましたように、その事業の性格、その事業を行っている場所によって想定している価格が違っていると理解していいのではないかと思います。また、幅を持って答えているところがありますように、会社の中で投資戦略、あるいは経営戦略を考える上では価格は一つではない。これはshadow priceですので、幾つかのケースを想定した上で価格を出しているというふうに考えればよろしいかと思います。中心的なケース、low priceなケース、high priceなケース、基本的にはこういうような三つのケースを想定し、考えているということではないかなと思います。

そのような外部環境の中で、企業はリスクマネジメントとともに新しいビジネス・オポチュニティを探していかなければいけないということになります。ここで紹介しているのは、新しいビジネスチャンスです。炭素制約が確実になってくると、それに対応して、必ず新しいタイプのビジネスが起きてきますので、ある種、その分類化したものがこの表でございます。CO2を減らすことが目的ですので、省エネ、あるいは再生可能エネルギーは当然出てくるわけでございます。これは当たり前の結果として出てくるビジネス、現在と連続性の強いビジネスということだろうと思います。

しかしもう一つ、別のカテゴリーとしては、現在、あまりなじみのない分野であっても、必ず登場するビジネスというのも出てくるわけです。ここで例として挙げているものの一つは電力の安定化ビジネスということであります。これからどういうシナリオを描いていっても、再生可能エネルギーというのは増えていくわけです。ただ、再生可能エネルギーと言っても一つではなく、たくさんの種類の再生可能エネルギーがあります。安定した電力供給が可能な電力と不安定な電力、この二つに分けて考える必要があるのではないかと思います。言い方を変えると、再生可能エネルギーの価値は、電力、エネルギーとしての価値と、環境の価値、という二つに分けて考えていく必要があるというふうには見ております。

いずれにせよ、再生可能エネルギーが増えていくということは、全体として言うと、不安定な要素が強くなります。しかし、電力需要のほうは当然ながら安定した電力を求めるわけです。このギャップをどう埋めていくか、こういったところに新しいビジネスが出てくるんじゃないかとみています。

それから、もう一つのタイプとしては、CO2の排出を前提とし、それをオフセットするような形のビジネスがあるだろうと思います。先ほどの柴先生のグラフでも、2050年まで石炭火力のシェアはどんどん落ちていくとはありましたけれども、やはり相当な石炭火力が使われます。将来のネットゼロエミッションを考えていくと、本当に化石燃料がゼロなのか、あるいは、化石燃料は使いつつも、それを実質的にゼロにする方法なのか、手法を考える必要があります。実質ゼロにする手法の一つとして想定されているのがCCS、二酸化炭素地下貯留ということになります。このように、電力の安定化ビジネスや、二酸化炭素地下貯留のような非連続性、現在とは非連続性の強い新しいビジネスというのも出てくるのじゃないかと思っています。

いずれにせよ、ゲームチェンジによって新しいビジネスは出てくるし、この低炭素化、さらにはネットゼロエミッションを目指した動きの中で、必ずそこには新しいビジネスが出てくる。少しキャッチーな言葉でありますけれども「約束された市場」、「約束されたビジネス」と考えております。企業にとっては、この「約束された市場」に取り組んでいくにあたっては、市場のマグニチュードとスピードとをいかに予測、戦略を立てていくかということが大事になってきております。

「約束された市場」に関連してですが、まだ、例えば国際エネルギー機関(IEA)の分析においても、あまり大きく取り上げられてはいませんけれども、ICT、情報技術の活用も削減効果は大きいと思います。今、日本で、あるいはドイツでもそうですが、ICTの活用と言えば、工場での最適化、工場単位での最適化(オプティマイゼーション)が主ですが、ICTの活用によって、需要と供給を同時にコントロールすることで、無駄な生産をしないということも可能になってくる。実は、この、今までのエネルギー関係の分析の中では、需要そのものを減らす、需要そのものをコントロールするという形での削減ポテンシャルについてはあまり分析されていないのではないかと思います。もしかすると、ここが隠された削減ポテンシャルじゃないのかなというふうには見ております。

先ほど、炭素価格が生ずる、ということを説明申し上げましたが、その炭素価格をどう使っていくか、企業の中でもいろいろ議論しているところでありますけれども、おもしろい使い方ができるというふうに理解しております。将来の炭素価格、現在の炭素価格と将来の炭素価格は恐らく違うだろうと、規制が次第に強くなっていくとすると、将来の炭素価格というのはかなり上がるだろうと見ています。ただ、どこの、国ごとに規制が違いますし、時間軸でも違うと。じゃあ、どのくらいの炭素価格を想定するのがいいのかというのは非常に難しいものがあります。例えば、国際エネルギー機関のWorld Energy Outlookでは3つのシナリオを取り上げていますが、その時の炭素価格も示しております。ここでは、新政策シナリオのケース、450シナリオのケース、両方を示しております。この二つの数字を使うと、いろんなことが見えてくるというのがあります。

例えばエネルギーの扱い方に関しましても、化石燃料を使うものと再生可能エネルギーを使う場合のコストの比較ができます。炭素価格がゼロの場合、新政策シナリオの場合、450シナリオ(2℃シナリオ)と3つの異なるシナリオ、つまり炭素価格の違いで、エネルギー間の競争力が見えてくる。そうしますと、エネルギーに関連する産業にとっては、どういうエネルギー・ポートフォリオを持つのがいいのか、いつの時点で、どういうようなポートフォリオに変えていく戦略が望ましいのか、ということが見えてくるということになります。炭素価格を使うことによって、将来の低炭素化に向かうための戦略が、ある程度、定量的に分析するということが可能になってくるのではないかと思います。

で、次の使い方は企業のリスクマネジメントということです。いろんな企業、エネルギーの使い方が違いますので、CO2の排出の量というのも違います。ただ、これからCO2の排出に何らかの規制がかかり、そして、そのコストが非常に上がっていくとすれば、どれだけのコストが将来発生するのかということを、経営判断としてきちっと把握しておく必要があるのは当然です。

まず、その第1ステップとしては、自分の会社のオペレーションで、どういう国で、どういう業務の中で、どれだけの排出量があるのか、これをきちっと把握するということが大事になってくるわけです。もちろん、その産業によっては、自ら出す排出量よりも、生産したものが排出量規制の影響を受けやすい、受けることになるものというのがあるわけです。例えば、自動車なんかがそうではないかと思います。自動車自身は、製造プロセスではそれほど排出量はありませんが、自動車をガソリンで動かしている限りにおいては相当の排出量が出るわけですので、炭素価格が入ることによって、その商品に、あるいは自社のマーケットに影響があるかもしれない。ここの分析も本当は必要なんですが、実際、これはなかなか簡単ではなく、私自身も今取り組んではいますけれども、まだまだ課題が多い分野だとは理解しております。

その次はCarbon Priceのシナリオに基づく経営へのインパクトの評価です。先ほどのIEAのような数字を適宜選んで、どれだけのインパクトがあるかというのを調べていくわけです。これは、3番にありますけれども、一種のストレステストということが言えます。どれだけ炭素価格が上がったら、どれだけ企業に、どれだけ経営に影響があるのかということを定量的に把握することができるということです。それを受けて、どういう形で経営戦略に反映していくのか、これは、私のような分析をやっている人間というよりは、むしろ経営者の判断の問題でありますけれども、いずれ、その経営戦略への反映というものが当然必要になってくるのではないかなと思います。いずれにせよ、この経営判断で使おうと思ったときに、炭素価格が上がる、低炭素化に向かわなければいけない、そういう方向性ははっきりはしているわけですけれども、それがどれだけのマグニチュードで、どのぐらいのスピードでやるか、それを考えるためには定量化が必要であり、低炭素社会への移行においては、排出量定量化がまず第一歩ということが言えるのではないかと思います。

で、今のような定量化、リスクを定量化することによって経営への影響が数値的に判断、わかるわけですが、ただ、もう一方で定性的なリスクコントロールというのも必要になるわけです。例えば、金融サイドで動いている、金融サイドの動きとしては、機関投資家の中で、化石燃料を使っているものは将来がないのじゃないかということで、例えばDivestmentとか、Engagementとか、そのような動きがあります。これは企業にとっても非常に大きな動きでありまして、企業が資金調達をしていくためには、金融機関からの支持を受けなければいけない。しかし、金融機関が非常に違った見方をしていった場合には、これは大変なことになるわけですから、定量的に判断するだけじゃなくて、このような外の動き、外部環境の動きにも注意していかなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。

その次は、最後に近づきましたけれども、マクロ経済との関係をちょっとコメントさせていただこうと思っております。日本経済の課題、私のような、そのビジネスサイドで動いている人間から見た考えでございますけれども、日本経済においては三つの課題があると認識しております。

一つは「需要不足」。日本経済の課題は需要不足という意見があるんですけれども、実は、投資する場所が見つからないだけじゃないのかと思います。日本全体としてはお金がたくさんあるわけです。日本の産業界の内部留保というのは年々増えていっているわけです。ただ、それなのにもかかわらず投資が進まない。とすれば、ここにある問題というのは、投資先が見つかっていないという可能性があると。では、これはマクロ的な数字の分析以上に、実際の企業の中で働いてみると、いろんな企業の方とほかの会社の方、ほかの産業の方と意見交換をしますけれども、どこに投資するのが適当なのか、短期的な話ではなくて、長期的にどこが成長ゾーンなのか、ここがうまく見えてきていない、こういう悩みが出てきているというのが今の現状ではないかなと思います。

それから、二つ目は財政赤字の問題です。むしろ、これは財政制約と言ったほうがいいかもしれませんけれども、過去に行ってきたように、景気対策として、経済の成長をさせるために、政府が出動し、特定の分野に集中的に資金を供給するということが、果たして今、可能なんだろうか、妥当なんだろうか、と考えます。これは、なかなか難しいかもしれないね、と考えます。

それから、三つ目は金融の問題です。先ほど申し上げたように内部留保、あるいは個人の貯蓄、こういったことを考えれば十分過ぎるほどの資金があるんですが、実際には、その投資には回っていかない。これは、やはり金融における投資銀行、あるいは産業金融的なファンクションが十分に機能していない可能性があるのではないか、と思います。

で、この気候変動の問題とこの日本経済の課題を考えると、実は、その低炭素社会を目指すための動きというものは、日本全体の成長を促すチャンスになるかもしれないということです。ちょっと言い方を変えますと、規制、あるいはルールを導入すると、それに対応するコストがかかるわけですが、そのコストの反対側には必ずビジネスがあるわけです。ですので、コストの側だけを見るのではなくて、後ろにあるチャンスをどう見るかということを考えると、新しいルールをつくってゲームチェンジを進めることによって新しい成長が可能になるかもしれない。そういう一つのシナリオも描けるかもしれないと思っております。

で、政策に関してですけれども、補助金というのは非常に大事。規制と補助金は一対のものだとすれば、この補助金についても効率的な改善が、効率的に使えるような改善が必要ではないかなと思っております。例えば、気候変動対策、CO2削減のための補助金がありますが、この補助金が効果的に使われていたかということも、他の補助金と同様に、事後評価の対象となるわけです。そのときに、1トン削減するにどれだけのコストがかかったかということは容易に計算できるわけです。環境省が行っている補助金事業について、幾つかの事後評価委員会があり、そのうちの一つに私も参加させていただいておりますけれども、そこでは、この事後評価として、1トン削減するにどれくらいのコストなのかということをきちっと計算することにいたしました。こういうことによって非効率な補助金を見直し、できるだけ効率的な使い方というのが出てくるのじゃないかと。さらに、それを展開していくと、逆に削減コストの目標価格を決めて、つまり目標の行政コストを決めて、これに合う投資を支援しますという、パフォーマンスベースといいますか、成果ベースの補助金への改革というようなことも可能かもしれないと思っております。

それからもう一つ、政策への期待として申し上げれば、日本の市場と海外の市場を一体として考える、これは非常に大事なことではないかなと思っております。

ちょっとここでは二つの例を紹介したいと思うんですが、左側の例はインドのケースです。インドでLED照明を普及させるために行ったのは、ある政府機関がスペックを決めて、それを共同購入する、共同で大量に購入することにしたわけです。それをすることによって生産者に対して大きな市場を約束した。その結果、コストの引き下げが急速になったと、1年半ぐらいの間で3割ぐらいに減ったのでしたかね、非常に大きな削減ができたと、コストカーブの低下が急だったというケースがあります。これを見ると、いかに市場を初めから大きくつくってあげるかということが大事ということが見えてきます。日本の市場だけで考えるのではなくて、日本よりは世界の市場が大きいわけですから、世界全体を市場として相手にするような政策、補助金、支援策というものを考えていってはどうかなと思います。

右側の例は国際航空のケースです。国際航空が2013年に、2020年で二酸化炭素排出量を打ち止めにしますという目標を立てました。ただ、実態としては、実際の旅客貨物の輸送量というのは増えていきますので、これは非常に厳しい目標です。そこで、参考になることを彼らはしております。バスケットメジャーと呼ばれておりまして、複数の政策をワンパッケージにしています。大きく分けると四つありまして、飛行機の燃費改善、二つ目はインフラ改善、それから、バイオ燃料を使ったケース、それから排出量取引、オフセット取引を使ったケース、四つを入れております。これは以下を、国際機関が削減目標を達成するために四つのオプションを示し、それを、各航空会社は個々の判断で、自社の状況に応じて好きなものを選ぶ、好きな組み合わせでやる。結果は必ず守ってくださいねと、その手法はお任せしますよ、つまり選択肢を与える、というやり方であります。これ、非常に、今後の日本の政策を考えていく上では参考になるのではないかと思います。

で、最後のスライドでございますけれども、ここに書いたことは、ほぼ全て説明しております。最後の行、この青字の部分だけ一言ご説明させていただいて終わりにしたいと思います。民間企業にとっては、将来の市場というのが実は不確実だというのが非常に困る、ただし、そこにビジネスチャンスがあるわけです。ただ、非常に難しいのは規制、政策的なものです。これは民間企業にはコントロール不能なものです。政策変更リスクは民間企業にとって最も苦手なリスクです。しかし、日本が、あるいは世界が目標を明確にしてくれると、その先にある市場というものは明確に見えてきます。もし仮に規制がある、あるいはそういう目標があるとすれば、選択肢は多いほうがいいわけです。先ほどの国際航空では四つの方策、これを組み合わせて使ってください、こういうのは企業にとって非常にやりやすい話です。民間は目標が明確、そして、選択肢は多いほうがいいというのが企業一般のマインドではないかなと思います。

私の説明は以上でございます。どうもありがとうございました。

〇浅野委員長

どうも、本郷さん、ありがとうございました。

またまた時間がございませんので、大変申し訳ありません、今度も2人ぐらいに制限をかけざるを得ないんですが、ご質問がございましたら。はい、大塚委員、どうぞ。

〇大塚委員

大変有意義な話をありがとうございました。

スライド10のところで、成長戦略の気候変動対策というお話をなさったのは大変印象的だったんですが、そこでおっしゃった、その規制によってその成長戦略をしていくということが、気候変動対策については具体的に、例えば考えていらっしゃる方があったら、少し詳しくお話しいただけるとありがたいと思います。火力発電とかの効率性とかの基準とか、そういうことも含めてお考えでしょうか。

〇浅野委員長

すみません、質問をまとめて差し上げます。手塚委員、どうぞ。

〇手塚委員

大変包括的なご説明をありがとうございました。質問ということなので、意見ではなくて質問ということで限らせていただきますけれども、3ページで六つのCarbon Pricingというコンセプトをお出しになっていて、これはこのとおりあると思うんですけれども、実は、私どもの今、実体験、特にエネルギー多消費産業の感覚からすると、この規制対応、直接的な排出量規制、あるいは排出権取引、あるいは炭素税のほかに、インプリシットなCarbon Pricing、つまりエネルギーに対する課税であったり、あるいは自主行動計画的な、企業が規制として押しつけられるのではなくて、自ら掲げたCO2削減の目標に対して行動を起こしているというような、その非明示的なCarbon Pricingというのも実際は存在するのじゃないかと思います。資料にはそれらは入ってないんですけれども、OECDのレポートなんかを見ますと、明確にそのexplicit Carbon Pricingimplicit Carbon Pricingと分けて、それをそれぞれ評価しているんですけれども、日本の場合は、結構そのimplicitの場合が多いというような評価があったと思うんですけれども、本郷さんのお考えで、こういう、ここで展開されているCarbon Pricingの考え方の中に、こういうimplicit Carbon Pricingというのは含まれていると考えてよろしいんでしょうか。

〇浅野委員長

それでは、どうぞお答えください。

〇本郷三井物産戦略研究所シニア研究フェロー

ご質問ありがとうございます。

大塚先生の規制の件なんですけれども、いろんな規制があるので、何か、どれか一つというわけじゃなくて、いろんなものがあると思うんですけれども、私が考えているのは、例えば、ある特定のものを取り上げて、これは幾つ、例えば、先ほど石炭火力というのがありましたけど、石炭火力のときはこうだとか、あるいは、ガス火力はこうだとか、そういうような規制のやり方もあるけれども、今のCO2の問題にとっては全体として、それが世界のレベルで考えるのか、日本なのか、あるいは東京都のレベルで考えるのか、その政策のレベルによって違うと思いますけれども、その中で、一つのCO2の目標を出して、それに対してどう組み合わせていくかというのはある程度任せるというような規制が企業にとってはありがたいのではないかなと思います。

例えば発電事業を行う場合、例えば、海外で親会社がやっていますけれども、そういったときに考えられるのは、石炭火力もガス火力も、大規模な水力発電も、いろいろやっているわけですね。そうした中で一つ一つに規制がかかるよりは、会社全体として、ポートフォリオとしてこういうふうにしなさいよと言われるほうが、いろんな調整の余地があるので、そういうやり方のほうがやりがい、非常にアジャストしやすい、トータルに言うとコストは低く済むのかなと。いわば連結ベースで、企業ですので連結ベースで考える規制というのが、私の立場からすると非常にやりやすそうだなというふうに感じております。

3ページ、手塚先生からおっしゃった、あ、これですね。で、explicitかimplicitかというのは、あまり私は、そういう定義ではなくて、規制対応コストは全てimplicitなものだと、価格だと思っております。例えば、そのインドですね、インドであると、Perform、Achieve、Trade、PATスキームとありますけれども、あれはCO2規制ではなくてエネルギー消費規制ですね。その場合、なぜインドはCO2規制じゃなくてエネルギー規制をしたかというと、リニューアブルエネルギーをたくさん使いましょうというので別の政策がありますので、一緒にしてCO2にしてやると、ちょっと面倒くさいねということで、エネルギー消費規制とリニューアブルの規制を別に分けたという背景があると理解しています。ですので、このimplicitというのを、私は否定するつもりは全くなくて、それは最終的にかかってくるものであれば全てコストであり、explicit以外のものは全てimplicitだというふうに理解しております。

〇浅野委員長

よろしゅうございましょうか。

どうもありがとうございました。本郷さんにも、まだご質問をたくさん差し上げたいんですが、残念ですが時間の関係がございますので、どうもありがとうございました。

それでは、最後になりましたが、林田計画官からお願いいたします。15分ということでお願いをしておりますので、よろしくお願いいたします。

〇林田国土交通省国土政策局計画官

それでは、私のほうからは、国土形成計画ということでご説明をしたいと思います。

柴先生のほうから、冒頭、中国の視点からの説明。それから、本郷先生のほうからは、ビジネスの観点からの説明ということで、低炭素社会についてのダイレクトな説明があったわけですが、私のほうは、お手元の資料で4-1、5枚紙の、国土形成計画の概要。あと、分厚いやつは、これ本体でございまして、同じ内容でございますので、この5枚紙に基づいてご説明をしたいと思っております。

まず、1枚目のスライドの副題にございます、「戦後7番目の国土計画」の部分でございますけれども、口頭で、これまでの国土計画の歴史について、ざっと触れたいというふうに思っております。

法律がございまして、もう今はございませんけれども、国土総合開発法というものがございまして、昭和37年に全国総合開発計画というものができました。一全総と言われるものであります。その後10年、あるいは78年ということで、新しい計画が策定されておりまして、平成10年の21世紀の国土のグランドデザインというところまで五つの計画というものが策定されております。その後、2005年に入りまして、国土総合開発法は廃止されまして、新たに国土形成計画法が成立をしております。それに基づいて、平成20年に国土形成計画が策定をされ、昨年、今回ご説明をする、戦後7番目の計画である本計画が策定をされたということであります。名称の変遷からもおわかりのとおり、計画の主眼というものは国土の開発から国土の形成という形に変わっておるものでございます。

図の最初の丸でございます。「国土形成計画の意義」についてでございますけれども、ここに書いてあるとおり、国土に関わる幅広い政策について、長期的視点から、統一性を持った方向付けを行うということで、関連する政策としては、米印のところにも掲げてありますように、地域、産業、文化、観光、そしてエネルギー、あるいは環境など多岐にわたっておるものでございます。

次の丸、「計画の特色」でありますけれども、本計画の策定については、一昨年夏に策定をした「国土のグランドデザイン2050」というものがございまして、これをベースに策定をしております。すなわち、2008年をピークに人口減少、日本では実際に生じておるわけですけれども、初めて策定された本格的な人口減に初めて正面から取り組む計画ということでありまして、地域の個性であるとか、地方創生、イノベーション、経済成長を重視しているところでございます。

それから、3番目の丸でございますけれども、本計画の基本コンセプトでございますけれども、何といっても「対流促進型国土」の形成ということで、詳細は後で触れますけれども、ここでは3番目のポツにあるキャッチフレーズ、「ローカルに輝き、グローバルに羽ばたく国土」というところだけ強調させていただきたいと思います。

最後の丸は本計画の実施体制についてでございますけれども、ここも後で触れますので省略をいたします。

2枚目。本スライドから計画の内容に入りたいと思います。まず、計画期間は2015年から2025年までの10年間ということであります。ご承知のとおりこの期間には、日本にとっての一大イベントであるところの東京オリンピック・パラリンピックがあるということでありまして、その後も見据えて国土政策を進めていかなければならないということでありまして、その意味において、この10年間を「日本の命運を決する10年」という位置づけをさせていただいております。

2番目の丸、「目標と将来像」でございますけれども、まず、我が国を取り巻く最近の状況といたしましては、人口減少、少子高齢化、あるいは、ご説明いただいた中国を始めとする新興国を念頭に置いて、国際社会での競争激化というような背景。あるいは、首都直下型地震であるとか、南海トラフといった巨大災害の切迫といったような状況。あるいはインフラの老朽化、それから地球環境問題、多岐にわたっております。一方で、自動運転であるとかAI、それからIoTなどのICTの劇的な技術変化、こういったものも変化としてございます。

その左の箱でございますけれども、まず最初のポツでございます。若者の中には、最近、田舎で自然とともに暮らすと、いわば「田園回帰への希望」といったような動きが見られる、ライフスタイルの多様化が見られております。次のポツでございますけれども、構成員の減少を背景に、地域コミュニティによる共助が弱体化する一方で、NPO、大学、企業等、多様な主体によって補完、こういった共助の活動が代替される事例が見られていると。一番下のポツは、東日本大震災の経験で、災害対応への国民の関心が高くなっているということであります。このように、国民自身の価値観に変化が見られているということが二つ目でございます。

その隣の箱でございますけれども、人口減少、産業構造の変化などに応じて、国土のあり方といったことも変化をしているということであります。すなわち、最初のポツ、未利用農地であるとか空き家などの問題が深刻化している。また、森林は戦後、植林されてから、現在、利用期に入っておりまして、こういった国産材の活用を考えると、その持続的な管理が必要になってくるということであります。それから、海洋とか離島の問題、これは適切に管理することが安全保障上の観点から求められるようになってきているということであります。

以上のような状況を踏まえて、国土づくりの目標として三つの四角の上の①から③にございます、「安全で、豊かさを実感できる国」、「経済成長を続ける活力のある国」、「国際社会での存在感を発揮する国」ということを掲げさせていただいております。

これらを受けた国土の基本構想のベースが、上から2番目の箱にある「対流」ということであります。すなわち「対流」とは、地域間でヒト、モノ、カネ、情報が双方間で活発に動いているという状態であります。そして、「対流」が地域の活力をもたらしてイノベーションを生むということであります。「対流」は単発ではなくて連続して起こるということがポイントでありまして、そういった背景から、最後のポツでございますけれども、「対流」が続くには、地域は多様な個性を有して、それを常に磨いていく必要があるだろうということであります。

その下の箱でございますけれども、「対流」が起きるための国土のあり方の基礎と、前提となるものが、重層的かつ強靭な「コンパクト+ネットワーク」というキーワードであります。最初のポツ、「コンパクト」とは空間的密度を高めるまとまりであります。「ネットワーク」とは、地域と地域を結ぶつながりということであります。

具体的には、右下のポンチ絵をご覧いただきたいと思います。「対流」のイメージでございますけれども、農山漁村地域、それから研究・教育地域、それから都市地域、それから海外というものがございまして、それぞれが相互の矢印で結ばれて、それぞれ対流が生じていると。これが「コンパクト+ネットワーク」のイメージ、対流のイメージであります。

これとは別に、最後のポツでございますけれども、人口減少そのものへの対応と、対策というものが必要ということで、例えば「一億総活躍プラン」とか、そういった対策、緩和策を同時に推進する必要があるだろうということです。

それから、一方で、人口の一極集中が続く東京圏、これはまた別の問題ということなんですが、下から2番目の四角の箱のところですけれども、地方から東京への転出者がそのまま東京圏にとどまる、東京一極滞留、こういったものを解消するということ。あと、一方、地方の魅力を高めることによって、一極集中の流れを変える必要があるだろうということであります。一方で、東京自身は競争力を持つ、今も持っている国際都市でありますけれども、国際的な競争力激化の中で、さらにその競争力を磨いていく必要があるということであります。その下、過疎化や高齢化などの課題でございますけれども、都市と農山漁村がそれぞれ取り組む、ばらばらに取り組むのではなくて、ネットワークを通じて相互協力を行うということで解決を図ろうということであります。

3枚目。このスライドにおいては、計画のキーワードである対流促進型国土の形成、特に、その前提となる「コンパクト+ネットワーク」の内容について、さらに具体的に見ていきたいと思っております。

まず、左上の「個性ある地方の創生」でありますけれども、「小さな拠点の形成」、「コンパクトシティの形成」、「連携中枢都市圏の形成」、この三つの絵を掲げております。それぞれ中山間地域等にある集落地域、それから、急激な人口減少が見込まれる地方都市、で、それらが連携した都市圏に対応する、それぞれ「コンパクト+ネットワーク」の図であります。小さな拠点の形成につきましては、生活に必要な機能を、例えば歩ける範囲内で道の駅の周辺にまとめ、高齢者がコミュニティバス等の手段において、病院、コンビニ、郵便局を回ることができると、そういうイメージでございます。続いて、コンパクトシティの形成でございますけれども、都市機能誘導区域に、医療、介護、福祉、商業等の都市機能を集約・誘導すると。で、その周辺部とか公共交通の沿線を居住誘導区域として、住んでいる方々を誘導すると。これらを公共交通網で結ぶというものであります。

ここで1点、コンパクトシティというのは、元来、低炭素社会の実現に向けた欧州発の概念ということなんですけれども、我が国では、どちらかというと中心市街地の衰退等の課題、都市部の課題に対する「目指すべき都市構造のあり方」を示すというところから出てきております。

それから連携中枢都市圏の形成というところでありますけれども、人口減少の中で、都市として必要な人口を確保すると、何十万人とか20万人とか必要な規模がありますけれども、そういったことを踏まえて、行政区域を越えて連携をしようというものでありまして、コンパクトシティ同士を交通ネットワークで結ぶイメージであります。いずれにいたしましても、各地域で、いかなる「コンパクト+ネットワーク」を実現するかということについては、各地域がそれぞれの特性を踏まえて、自らの将来像を踏まえて、自ら知恵を出す必要があるというふうに考えております。キーワードにつきましては、地域消費型産業であるとか、「生産性向上」、「海外展開」、「地域発イノベーション」、「起業増加町」、ちょっとこれはもじっていますけれども、「起業増加町」といったようなところであります。各地域に安定的、持続的に仕事が生まれることで、都市圏と地方圏の間で「人の対流」が生じるということを目指してまいります。

次に、「活力のある大都市圏」の整備の箱をご覧いただきたいと思います。東京圏などの大都市圏は、既に我が国経済の成長エンジンであるということでありますけれども、さらにグレードアップが必要だろうと。いずれにいたしましても2020年、東京でも間もなく人口減少・高齢化が生じますし、先ほど申し上げたとおり首都直下型地震の危険も常に控えているということであります。このため、箱の下の左側の写真でございます。これは大阪のナレッジキャピタルの例ですけれども、異なる業種の人材が交流する場として、コラボオフィス、ナレッジオフィス、ナレッジサロンを設けて、イノベーションを生む場としての機能向上を図るといったような取組。で、その隣の写真ですけれども、介護や子育てを1カ所でできる「スマートウェルネス住宅・シティ」の例を掲げているところであります。

そして、下の「グローバルな活躍」の拡大の箱ですけれども、これは将来のリニア中央新幹線の開通を念頭に置いておりますけれども、今の三大都市圏を一体化するということで「スーパー・メガリージョン」を形成するという話であります。いずれにいたしましても、リニア中央新幹線ができますと、東京-大阪間が1時間で結ばれるということで、それを踏まえていろいろな可能性が生まれてくるということであります。特に、この三大都市圏が一つになるということは、世界に類を見ない超巨大都市圏が誕生するということでありまして、海外からの投資の対象にもなるでしょうし、あるいは2020年、東京オリパラ後の観光立国の展望も描くことができるのではないかというふうに考えております。

4枚目。ここでは、「安全・安心と経済成長を支える国土の管理と国土基盤」として、「住み続けられる国土」の前提となる国土そのものの管理やインフラ整備のあり方をまとめておるところであります。

まず、左の上の、「災害に対して粘り強くしなやかな国土の構築」の箱であります。災害大国とも言える我が国は、さまざまな自然の脅威に常にさらされているというところであります。このため、建物の耐震化、老朽施設の改修も含めたハードの対策、及び災害情報の迅速な提供であるとか、有事に備えた避難訓練などのソフト対策との組み合わせによって、整備の重点化、既存のインフラの活用、民間資金の有効活用を図りつつやっていこうというものであります。特に、人と各種機能が集中している都市につきましては、地下への浸水など災害に対して強靭とは言えないということで、それらへの対策が必要だということであります。特に、3番目の丸ですけれども、ここの部分については、有事の際の機能のまひを防ぐべく、太平洋側に集中する人及び諸機能の日本海側への分散などを図るといったこととともに、首都機能のバックアップ体制の整備を推進しようというものであります。4番目の丸は、地域の防災対策は住民相互、あるいは地域の中の助け合い、共助ですね、そういったものが重要であるということで、それを公がサポートしていくという基本姿勢を述べたものであります。

隣の箱は国土管理についてでありますけれども、キーワードとしては、「多面的機能の発揮」、「景観・環境の保全」、「低・未利用地、空き家の所有から活用」というところであります。特に、ここでは4番目の丸でございますけれども、人口減少下においては、国土管理も複数の効果を発揮すべきということでありまして、開発圧力が人口減少によって低下する中では、国土利用の選択肢が広がるということを指しています。すなわち、右下の写真でありますけれども、貯水池の写真がございますけれども、治水という防災・減災の効果、これのみならず、自然環境の再生という複合的な効果を両立している例であります。また、市街地というのは、コンパクト化によって生活利便性の向上に特化するという一方で、中山間地域の荒廃農地については、希少な野生生物の生息地としての保全を図るということで、国土の選択的な利用の例として、例を掲げさせていただいております。そして、これらの国土の利用については、最終的には地域の合意、住民の合意によって決せられるべきということで、最後の丸では「国民的経営」というふうに記述させていただいているところであります。

下の箱でございますけれども、「国土基盤の維持・整備・活用」についてであります。これは、これまでに整備してきた社会インフラ、エネルギーインフラ、情報通信インフラといったもの、これは我々が生活を送り、経済活動を行う上での重要な基盤ということであります。人口減少等の我が国を取り巻く環境が変化する中で、今後も適切に維持・管理し、賢く、スマートに使っていこうというものでありまして、必要なものは、「選択と集中」のもとで、その充実を図っていこうということであります。それによって輸送コストの削減、移動時間の短縮といった生産性の向上であるとか、あるいは災害対応の向上、あるいは快適さといった生活の質の向上の最大化を図ろうということで、これは最初の丸にあるインフラの「ストック効果」の最大限の発揮というところが、そういった内容を表しております。

また、3番目の丸でございます。矢印のある左側の図がイメージでございますけれども、今後、老朽化するインフラがどんどん増えていくということでございまして、できるだけコストの縮減、平準化を図っていこうということでありまして、そのメンテナンスについて、事後的な対応から予防保全へと戦略的に進めていくということを表しております。こういったノウハウというのは、海外に輸出することによって新しいビジネスにもなるのではないかというふうに考えております。

4番目の丸でございますけれども、既存のインフラを最大限活用し、賢く使うということでありまして、真ん中の図は・・・。

〇浅野委員長

恐れ入りますが、質問の時間が全くとれなくなってしまいますので。

〇林田国土交通省国土政策局計画官

申し訳ございません。簡潔に説明いたします。

真ん中の図は、道の駅で地域の情報発信を行うとか、そういったような例。それから、右側の図は、道路を賢く使うという例でございます。

最後のスライドをお願いいたします。

まず、左側の「国土づくりを支える参画と連携」というところでありまして、ここは、本計画のコンセプトを生かす、自主的に取り組む人材とか、そういったものを育成していこうということであります。

で、その下の真ん中の箱でございます。これは、共助社会づくりということで、「対流促進型国土の実現」には、地域住民がお互いに支え合って地域の解決に取り組む共助社会が必要であるというようなことであります。下のほうにNPOの例を二つほど挙げさせていただいております。新潟県の例と山梨県の例です。

それから、一番下の「横断的な視点」でございます。ここは、やはり中・長期的な、こういった計画を実現するに当たっては、中・長期的な視点が必要ということなので、民間の資金、PFIとか、PPPとか、あるいはIoTとか、人工知能といったイノベーションも活用しようということであります。

それから、右上の箱は、「広域地方計画の策定」ということで、今ご説明したのは全国計画ということでありまして、全国計画だけでは、なかなか地域の皆さんが計画をつくることができないということで、八つのブロックに分けて、この全国計画をかみ砕いたものをつくっているということで、本年3月末に大臣決定をしております。

最後の箱は、「国土利用計画との連携」ということであります。これは森林とかそういったものの利用の仕方ということで、右下の表にもございますけれども、今後2025年までの、将来の面積の目標を表しておりますけれども、特に森林については、4ha増加というふうにしております。これは、森林の持つ温室効果ガス吸収対策といったような多面的な役割を重視した結果であるというふうに言えます。

繰り返しになりますけれども、以上が計画の説明でありますけれども、「対流」とか「コンパクト+ネットワーク」ということで、人口減少を迎える我が国の国土形成の計画のあり方として、そういったキーワードをもとに、今後10年間進めていこうということであります。

 以上であります。

〇浅野委員長

時間がございませんので、残念ながらお一人ぐらいしか質問をおうけできません。

崎田委員、どうぞ。

〇崎田委員

ありがとうございます。実は、国土審議会に参加をさせていただいておりまして、この検討過程に関わっているので、本当は質問者の資格としてはないのかもしれませんが、1点、実は、活力ある持続可能な地域づくりには、大変この国土計画が大事だというふうに思って参加をしておりましたけれども、一番最初の2ページのところの国土空間の変化というところ、この森林の持続的な管理を続けるというのが、ここの分野で今回非常に大事なことだというふうに思っております。で、最後のページに、今後のその方針とか定量化の数字が出ておりますが、どのくらいこれが、きちんと温暖化対策に貢献するか、そういう全体、日本全体でどのくらいの貢献をするかという、そういう定量化などを試みておられるか伺いたいというふうに思います。

よろしくお願いいたします。

〇林田国土交通省国土政策局計画官

すみません、端的に答えると、国土利用計画、その定量化までは多分やっていないと思うんですけれども、私、最後に説明したとおり、やはりその二酸化炭素の吸収とか、そういった面から、ほかの農地とかはやはり15万ha減っていくわけなんですけれども、森林に関しては、やはり4ha増えるということで重視をしているということだというふうに理解をしております。

〇浅野委員長

はい、ありがとうございました。

それでは、林田計画官、どうもありがとうございます。時間があれば、もっとお話を伺いたいんですが、大変残念ですが、時間がまいっております。

それでは、本日、3人の方にご意見をお聞かせいただきました。大変熱心にご発言いただきまして、我々も参考になったと思います。次回、また、引き続きこのようにヒアリングを行いますが、事務局はぜひ、依頼するときに何分でお願いしたいという点を正確にお伝えおきください。今日のように全員が持ち時間オーバーということですと、質問できなくて、みんなイライラして帰ると思います。

国内の関係者に対しては、後日また書面で質問をいただければ、それにお答えいただくことができると思いますから、事務局宛てに、質問があれば、こういうことをということでお出しいただきたいと思います。

それでは、事務局からお願いいたします。

〇低炭素社会推進室長

発表者の皆様におかれましてはご説明を、委員の皆様におかれましては活発なご議論をありがとうございました。次回の日程につきましては、9月15日、木曜日、10時から12時を予定しております。次回におきましても、引き続き関係者へのヒアリングを実施する予定であり、ヒアリング対象者等の詳細につきましては、追って事務局から連絡を差し上げます。よろしくお願い申し上げます。

〇浅野委員長

それでは、本日の議事はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

午後 3時58分 閉会

ページ先頭へ