気候変動影響評価等小委員会(第14回) 議事録

日時

平成29年1月17日(火)15:00~17:00

場所

航空会館 501+502

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1) 論点整理について

    (2) その他

3.閉会

配付資料一覧

資料

議事次第 [45KB]
資料1

気候変動影響評価等小委員会の論点の整理 [PDF 305KB]

資料1別紙

補足資料 [PDF 3,001KB]

参考資料

参考資料1 気候変動影響評価等小委員会委員名簿 [PDF 88KB]

議事録

午後2時58分 開会

竹本気候変動適応室長

皆様、お疲れさまでございます。定刻にはまだ2~3分ほどございますけれども、全員おそろいですので、ただいまより第14回中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会を開催いたします。

初めに、環境省大臣官房審議官の森下よりご挨拶申し上げます。

大臣官房審議官

森下でございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今回で、気候変動影響評価等小委員会は、第14回でございます。昨年には本当に活発にご議論いただきまして、心からお礼を申し上げます。今年、いよいよ中間取りまとめという段階に入ってまいりますので、さらに活発なご議論をいただければと思っております。

この気候変動の影響評価、それから適応の取組でございますけれども、申し上げるまでもありませんが、内外の関心が非常に高まっているという状況だと思います。昨年のCOP22でも大きな柱として取り上げられておりますし、また昨年末、予算案の取りまとめがございましたが、その中でもこの適応については、私どもの環境省の中でも、最重要ポイントの一つとして重点を置かせて、取組をさせていただいております。

少し詳しく申し上げますと、年末に予算査定のプロセスがございますが、その中の目玉として環境大臣と財務大臣の大臣間折衝というプロセスを経まして、その結果、適応関係の事業で7億円、それから国立環境研究所の適応研究を含めた運営費交付金で5億円の増額という、我々としてはかなりすばらしい成果を勝ち取ることができております。この予算案について、これから国会で御審議いただくというところでございます。

中でも適応関係でポイントだと思っておりますのが、地域適応コンソーシアム事業でございまして、来年度から、国・地方公共団体それから地域の研究機関等が一体となりまして、地域における適応の取組の推進をしていこうということを考えております。さらには国立環境研究所で運営をしていただいております気候変動適応情報プラットフォーム、この機能を強化して、アジア太平洋地域への展開も含めて頑張ってまいりたいというふうに思ってございます。

いよいよ中間取りまとめということでございます。しっかりと私どもも取り組んでまいります。ぜひこういった周囲の期待等も踏まえまして、本日の会議でも積極的なご議論をいただければありがたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

竹本気候変動適応室長

ありがとうございます。本日の会議ですが、現在委員総数の過半数の委員にご出席いただいており、定足数に達しておりますので、この旨ご報告いたします。また本日の審議は公開とさせていただきます。

初めに配付資料の確認をさせていただきます。議事次第にございますように、資料1、気候変動影響評価等小委員会の論点の整理でございます。資料1には別紙がついております。それから参考資料1ということで、委員会の名簿でございます。資料の不足等ございましたら、お申しつけください。

それでは以降の議事進行は、住委員長にお願いします。

住委員長

それではお忙しい中、どうもありがとうございます。時間も限られておりますので、早速議事に入りたいと思います。

ある意味では適応は広い仕事でありますし、いろいろな省庁も適応の取組を行っていると思いますので、これからは全体の整合性をもって取り組んでいくということが非常に大事だろうと思います。今まで3回にわたってヒアリングをしてまいりました。今日は事務局によく論点をまとめて整理していただいたので、論点整理ということで、それを踏まえた上で、中間取りまとめに向けての議論の方向を指し示すことができればと思っております。

それでは、資料1及び資料1の別紙の説明を事務局からお願いいたします。

小沼気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。それでは資料1と資料1の別紙、両方使って私のほうからご説明させていただきます。

まず資料1、気候変動影響評価等小委員会の論点の整理でございますけれども、こちら資料の構成を先にご説明させていただきますと、最初の第10回の委員会で整理をいただいた論点が、大きく分けると八つございました。それぞれの論点にまず1-1、「継続的な気候変動影響の観測・監視の体制」という形で書いておりますけれども、最初に点線の四角で囲っているところが、第10回の委員会で提示させていただいた論点でございます。それぞれの論点につきまして、関連する「委員・ヒアリング対応者の主なコメント」というものを下に書かせていただいて、次のページにわたりますけれども、それぞれの項目について、さらに最初の論点を深掘りした「具体的検討事項」という形で整理をさせていただいたものでございます。これらについて順を追って説明させていただきます。

それではまず1ページ目でございますけれども、観測・監視の話でございますが、主なコメントといたしまして、まず、「観測・監視の計画・体制」に関するコメントがございました。具体的には地球観測の推進戦略をベースとしつつ、具体的な実行計画を作っていくことが必要ではないか、また、地方公共団体や地方環境研究所との連携が重要ではないかというご意見がございました。

さらに、「観測・監視の仕組み・予算」に関するコメントでございますけれども、長期的に続けていくために、その体制を担保するための仕組みが必要ではないかというご意見がございました。具体的には国の一括計上の予算がございますけれども、それが徐々に減額しているという現状を受け止めまして、一方で影響や適応の取組というものは、わかりやすい取組として、このような観測の活動を後押しできるのではないかというご意見と、さらにその影響モニタリングを推進していくために、メリハリをつけた上で一括計上の取組を強化していくのが重要ではないかというご意見もございました。

このほか、モニタリングに関する個別的なご意見でございますけれども、次のページにわたりますが、過去の貴重な観測データなどをデジタル化していくことが重要というご指摘がございました。また、社会的なインパクトを評価できるようにすると良いのではないか、生態系の分野であれば、全国をカバーする植生図が必要ではないか、高山やサンゴのモニタリングにつきましては、さまざまなステークホルダーが参加できるような仕組みを考えていったらいいのではないかというようなご意見がございました。

これを踏まえまして「具体的な検討事項」に入りますが、その前に補足資料を1ページ開いていただきたいと思います。コメントの中にもありましたけれども、スライド2になりますが、地球観測の連携拠点というものについて触れられております。事実関係を少し補足してご説明をさせていただきます。

連携拠点というものは、平成16年に総合科学技術会議が取りまとめた「地球観測の推進戦略」に従いまして、平成18年に環境省・気象庁が中心に設置をしたものでございます。事務局は国立環境研究所に担っていただいております。この中で、これまでもさまざまなワーキンググループを設けまして、観測データの情報収集、さらには利活用の方針についてご議論をいただいてきております。具体的な関係省庁連携の枠組みとしてかなり機能してきておりまして、最近では、観測・監視からさらに広がって、少しアウトリーチ的な活動も含めて、従来から紹介しております気候変動適応情報プラットフォームについての議論なども、この枠組みの中で進めているというものでございます。

さらにこちらの連携拠点につきましては、平成27年に「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」というものが策定されたことを受けて、その取組を強化しているというものでございます。下のスライドはその連携の全体像ということで、ご参考で記させていただいております。

先の資料の1に戻っていただければと思います。こういった事実関係を踏まえて、「具体的な検討事項」でございますけれども、大きく論点を二つ、具体的にブレークダウンしております。

一つ目が継続的な気候変動影響の観測・監視の体制はどのように構築すべきかということで、事務局として対応案も記載させていただきました。具体的には地球観測の推進戦略を受けて設置された地球観測の連携拠点の下で、関係省庁が連携した気候変動影響の観測・監視の体制等について、具体的な議論を進めていくこととしてはどうかというふうに書かせていただいているところでございます。

さらに二つ目としましては、長期的・継続的に気候変動影響の観測・監視の活動をしていくために、何らかの仕組みが必要ではないかという形で問題提起をさせていただいております。

次にいかせていただきます。1-2、「気候変動の影響予測」の論点でございます。

主なコメントでございますけれども、「影響予測の体制」についてコメントがございました。5年ごとのプロジェクトレベルで進められているものが多いのですが、予算的な保証がないため、制度的な担保が必要ではないかというご意見。さらには、気候予測、影響予測、自治体支援の研究を組み合わせた統合的な研究プロジェクトが必要ではないかというご意見がございました。

「社会経済シナリオ」に関するご意見も多くございました。分断や在来型の発展シナリオなどのシナリオの議論は不要ではないかということから始まりまして、国際的にコーディネートされたSSPを活用していくことが重要ではないか。さらには、そのSSPは我が国の実情とすり合わせた上で、日本版のSSPといった独自のシナリオの作成が必要ではないか、自治体レベル、流域レベルでの経済シナリオが必要ではないかというようなご意見がございました。

「影響予測の成果物」に関するコメントでございますけれども、各省庁の研究プロジェクトの間で調整をして、整合性のとれたデータセットを提供していく必要がある、特に環境省、文科省、気象庁の連携が重要というようなコメントがございました。

次のページにわたりますけれども、統計的ダウンスケーリング、力学的ダウンスケーリングをまとめたような、大きなデータシステムを作っていくことが必要ではないかというご意見もございました。

こちらについても、ちょっと国際的な動きを少し補足させていただきます。先ほどのパワーポイントの資料のほうに戻りまして、以前にお示ししたスライドもございますので、そこは割愛させていただきますが、スライドの7、8をご覧いただきたいと思います。まず、こういった影響予測の研究をやっていくときに、国際的なスケジュールにつきましても見ていく必要があると思っております。

具体的には、スライド7にIPCCのAR6の作成スケジュールが記載をされております。今年の9月の総会において、AR6のアウトラインが承認される予定でございます。それを受けて来年の2月には具体的な執筆者が決定されます。これに基づいて執筆作業が進んでいくことになるのですが、その上で2021年から22年にかけて、それぞれの作業部会から統合報告書までが公表されていくということになります。いわゆるカット・オフ・デート、論文の締切日でございますけれども、通常であるとそれぞれの報告書の約1年前に設定される見込みだということで、こんなスケジュールもにらみながら、IPCCにどう貢献していくかも考えていく必要があると考えています。

スライド8でございますけれども、国際的な枠組み、UNFCCCの動きでは、パリ協定のグローバルストックテイクという動きがございます。これにつきましては既に各国のほうで削減目標も含めた貢献については提出をしているところでございますけれども、これらの各国の取組については、定期的に見直し、報告、レビューをして、世界全体で進捗点検をし、PDCAのサイクルを回していくということが、パリ協定の仕組みとして決定されております。2023年に最初のグローバルステックテイクが始まる予定でございまして、以後5年おきにこういった取組のレビューがなされていくということで、こういった動きもにらんでいく必要があると考えているところでございます。

これを踏まえまして、またワードの資料に戻りまして、「具体的検討事項」ということでございます。

一つ目、気候変動影響予測に関する論点でございますが、定期的に気候変動の影響予測を進めていくには、どのような体制や仕組みが必要かということで、まずは2020年を目途とする気候変動の影響評価、2回目の影響評価がございますけれども、そういった動きや、先ほど紹介させていただいたIPCCやUNFCCC等の国際的なスケジュールに留意しつつ、中長期的な見通しをもって影響予測を進めることとしてはどうかというふうに、対応案を書かせていただいております。

二つ目の大きな検討事項としましては、気候変動の影響予測計算の条件設定、対象期間やシナリオ、モデルやその解像度などございますけれども、そういったものをどう決めていくべきかということでございます。これにつきましては、しっかりと国としてのシナリオを決めていくには時間もかかるということもございますので、対応案としましては、新しい社会経済シナリオの作成も含めて、関係省庁できちんと連携をして、具体的な条件について議論を進めていかなければいけないのではないかということで、対応案を書かせていただいております。

三つ目の大きい項目でございますが、「気候変動影響評価・適応策に関する調査研究」でございます。

主なコメントでございますが、まずは、「脆弱性の評価」についてのコメントが多くございました。脆弱性、曝露の定量的評価だけでなく、現実の適応のアクションの遅れの理由や、制約因子についての定性的な理解を深めていくことが重要というご意見がございました。また、高齢化が進んで脆弱性が上がっていくということが予想されますけれども、適応策を実施することで、脆弱性が低減されていく、そういった評価技術を確立していくことが重要ではないかというようなコメントもございました。このほか国交省や土木学会が各インフラの防災施設の健全度評価を行っておりますけれども、将来の気候変動リスクに対する脆弱性についての評価が、まだ十分なされていないのではないかというようなご意見もございました。影響の脆弱性指標については、国際的にはさまざまな研究や取組が進んでおり、日本においても指標の研究を進めていくことが必要、さらにはそういった情報についてGIS等の技術を活用するのが重要ではないかというようなご意見もございました。

この項目につきましては、「社会経済シナリオ」も関連してきますが、先ほどコメントは整理させていただいておりますので、ここは「再掲」と書かせていただいております。

次に、「緩和と適応の統合的対応」に関するご意見ということで、緩和策の効果が出てくるまでのタイムラグがございますけれども、その前に後悔しない形での適応策を進めることが必要ということと、緩和と適応の最適化に関する調査研究として、例えば推進費や国環研の体制強化などが必要ではないかというようなコメントもございました。

このほか、「個別的事項」としましては、長期的な気候変動予測についての予測技術についての研究体制の充実や、イベントアトリビューションを示していくことが重要というようなご意見がありました。

次のページにいきますけれども、適応策を実施した場合にどれだけ効果があるか、適応策の評価をしていくことが重要。生態系分野につきましては、種の絶滅のような不可逆的なレジームシフトについても調査研究が必要ではないか。農業分野につきましては、農業従事人口の減少等が見込まれるところでございますけれども、将来の社会経済シナリオを複数策定して、対策検討していくことが重要ではないかというような多くのご意見がございました。

これを踏まえまして、「具体的な検討事項」でございますけれども、海外の脆弱性評価の事例なども参考としつつ、分野ごとの脆弱性に関する指標の設定や、脆弱性評価手法の開発等の調査研究を推進していくべきではないか。二つ目として、我が国の社会経済状況の変化を考慮し、地域レベルでの脆弱性評価を進めていくべきではないかという形で記載させていただいております。

次に2-1、「定期的な気候変動影響評価の進め方」でございます。

主なコメントとしまして、「影響評価の体制・仕組み」でございますが、さまざまな研究機関が保有する知見を継続的に収集していく仕組みが必要ではないかということと、共通シナリオを設定した上で、包括的な影響評価を実施するのがいいのか、ボトムアップで研究を文献サーベイで取りまとめていくのがよいのか、議論を深めていく必要がある。さらには成果物のメンテナンスも重要というようなご意見がございました。

「影響評価の指標」につきましては、気候変動の影響評価のカテゴリーは柔軟に考えていく必要があるということと、新しい知見を踏まえて重大性、緊急性、確信度の評価の考え方についても検討していく必要があるのではないか。地域別や都道府県別の影響評価が必要だということと、そういったものが地域で対応できるような判断の基準も示してほしいというような要望もございました。

それから「個別分野に関する事項」でございますけど、下になりますが、海面上昇の影響など、長期にわたって現れる影響についてもラフな見込みを示していくことが重要というようなご意見がございました。各分野におきましては、森林分野ではデータが十分なく、知見を充実させる必要がある。産業分野では産業界の参加が前回は少なかったので、産業界に対して積極的に呼びかけていくことが必要。国民生活の分野については科学的な知見が不足している。感染症の分野についても十分に評価ができていないので、研究体制の強化が望まれる。そういったご意見があったところでございます。

こちらも補足資料を少しだけ紹介させていただきます。スライドの21まで飛んでいただいて、ここに有識者ヒアリングの結果という形で紹介させていただいております。こちらにつきましては、前回の気候変動影響評価報告書を取りまとめていただいたときに、分野別のワーキンググループがございましたけれども、ワーキンググループの委員、計41名に対してヒアリングをした結果を整理させていただいております。

少しだけ紹介させていただきますと、次のスライド22ですが、最新の科学的知見の収集・整理については、定期的に影響評価を行っていくことが重要。さらには長期的な見通しが立つサイクルをあらかじめ示していくことが望ましいというようなご意見がございました。このスライドの下でございますけど、地方公共団体や地域の研究機関等と協力・連携することが重要というようなご意見もございました。

スライド23は各分野に関する意見ということで、例えば農業分野であれば農林水産省の研究プロジェクトの成果を中心に確認していくことが重要だとか、自然災害であれば土木学会に依頼をして、最新の文献情報の収集の協力を得ることが有効というようなご意見がございました。

さらにスライド24でございますけれども、重大性、緊急性、確信度の評価の軸につきましては、大きな変更・改善は必要ないのではないかという意見が多くありました。ただし、重大性については全体を包括して評価をするのは難しいということで、例えば全分野を横断的に評価する専門家を別途設けるべきという意見もありました。また、「現状では評価できない」という項目が結構ありましたが、そういった情報だけでは役に立たないので、では何が必要なのかという、現状とのギャップも示していく必要があるというご意見もございました。

最後にスライドの25で、こういった影響評価の結果をどう活用していくかということでございますけれども、わかりやすく発信していくということと、国と地域の研究機関とのネットワークの構築が重要だというようなご意見がございました。さらには、こういった影響評価の事例も参考としつつ、民間事業者の取組を支援できるような優良事例を提供していくことが重要ではないか、場合によっては事業者向けのガイドラインの作成・提供なども有効ではないかというようなご意見もございました。

戻っていただいて、こういったヒアリングの結果なども踏まえて、「具体的検討事項」というものを8ページの下のほうに整理をさせていただきました。

一つ目、2020年を目途とする影響評価を進めていくには、あらかじめ年次計画を定めて専門家とともに継続的に科学的知見の収集・整理を進めていくべきではないかということでございます。事務局として考える対応案でございますけれども、前回の影響評価の報告書の取りまとめ時と同様に、専門家による分野別のワーキンググループを設置し、あらかじめスケジュールを示した上で検討を開始することとしてはどうか、また、常に最新の知見を取り入れるという方針のもとで、文献等の収集・確認・公開等の手順を毎年度繰り返し実施していくこととしてはどうかという形で整理をしております。

二つ目の影響評価の指標につきましては、新しい知見を踏まえて必要に応じて改善していくべきではないかということで書いております。対応案としましては、議論にありましたとおり、例えば重大性については引き続き分野別に紹介しつつも、全分野横断的に評価することとしてはどうか、科学的な知見が不足している分野につきましては、どんな知見が必要かということもあわせて示していくことが重要ではないかということを書いております。

次に9ページ、3-1、「地方公共団体等による気候変動影響評価・適応策の支援」でございます。これはヒアリングがございまして、多くの意見がありましたので、ポイントを絞ってご紹介させていただきます。

まず、「気候変動適応情報プラットフォーム」に対する意見でございますけれども、こちらにつきましては、平成28年8月に設置をした、国立環境研究所が運営しているプラットフォームのことでございます。これは、国・地方公共団体・住民・研究者をつなぐ重要な基盤となっており、これを発展させていくことが重要ではないかというご意見がございました。その上で、各省庁がそれぞれに支援等の取組を進めていますが、連携や分担をした上で取組を進めていくことが重要ということと、地方公共団体においても縦割りとならないように、庁内の各部局に対して成果を効果的に提供していく必要があるというようなご意見がございました。イギリスの気候変動影響評価プログラムや、アメリカのEPAの取組なども紹介いただいております。さらには農業につきましては、農業温暖化ネットなど、他省庁のさまざまな情報とつなげていくことが必要だということでございました。

下のほうになりますが、各省庁において適応の主流化の考え方をしっかりと組み込んでいただきたいという要望もございました。10ページ目の上のほうになりますが、住民等のステークホルダーの参加のもとで、誰もが簡単に情報を入手できる環境を整備することが望ましいというご意見もございました。

「地方公共団体の取組支援」でございますが、冒頭紹介させていただきました来年度実施する「地域適応コンソーシアム」事業などを通して、地域の気候変動リスクに関する情報を収集・発信していく取組が重要だと。さらには地方公共団体が主体的に影響評価等を行うことができるような科学的なサポートの体制を強化していく必要があるといったご意見などがございました。地方公共団体と地環研の連携も必要というお話もございました。

また、国でやること、地方公共団体がやることについて、役割分担を整理することが重要ということと、地域特産品などは地域のニーズが高いと思われますが、こういったものに対してどういった役割分担や体制で進めていくべきか、議論を深めていく必要があるというご意見がございました。さらに、地方公共団体は科学的な知見をもとにした適応策を行っていくべきで、その支援が重要だということと、そのためにはSI-CATの後継プログラムのようなものが望まれるということ。地方公共団体のニーズ調査などが重要ということもございました。

次の11ページ目の上のほうにわたりますけれども、同様に地域特産品への影響は地域で重要だが、国や都道府県の研究機関などが連携をしていくことが重要で、そのための仕組みを作っていくことが必要ではないかというご意見がございました。生態系サービスに対する地方公共団体の認識を高めていくこと、気候変動のリスクだけでなく、便益についても研究を進めるべきことというご意見もございました。

自治体のヒアリングにおきましては、具体的な提案としまして、適応策を含む瀬戸内海の管理を推進していくため、例えば瀬戸内海水環境会議等の、既存の枠組みを活用してはどうかというご意見もございました。さらには、専門家の派遣、財政的な支援、地域において適応をしっかり進めていくために緩和策の計画と同様に適応策の計画についても法定化できると良いのではないかというご意見もございました。地域において適応の取組を進めていくには、単に影響への対処という考えだけではなくて、持続可能な地域づくりに焦点を当てることが重要というご意見もございました。

「民間事業者の取組支援」でございますけれども、事業活動の全てのバリューチェーンを対象に、影響評価を行っていくことが重要であり、次のページにわたりますが、海外におきましては、そういった取組が進んでいるということと、これらの活動を促進するため、政府がガイドライン等の参考情報を公開している事例がございますので、このような情報整備が望ましいのではないかというご意見がございました。

また、適応への取組によって地域の持続可能な発展に貢献している企業に対して、財政等の優遇措置が重要ではないかということと、途上国における観測・インフラ整備等の支援、政府によるネットワーキングの支援、再保険等の支援、将来的な予測の精度を向上させていくと、そういった取組を進めてほしいというご要望もございました。住宅やまちづくりに関しましては、健康や快適性に対する認定や支援が望まれるということと、省エネや熱中症対策を両立するための技術開発や評価手法の確立といったものが望まれるというお話がございました。

これを踏まえて、「具体的な検討事項」が13ページの上のほうにございます。

まずは、「気候変動適応情報プラットフォーム」をどのように発展させていくべきかということで、対応案として、気候変動の影響評価に関するさまざまなプロジェクト等の知見の集約・整理、地方公共団体が活用できる適応支援ツールの開発、民間事業者の取組支援、アジア・太平洋地域の展開等の活動について、関係省庁が連携して進めていくことはどうかというふうにしております。

二つ目の地方公共団体による影響評価等の取組支援でございますが、「地域適応コンソーシアム」事業等を通じて国、地方公共団体、地方の研究機関等が協働で影響評価等を実施し、地域が独立して影響評価等の取組を進めることが可能となるよう、体制構築等の仕組みについて検討を進めていくこととしてはどうかということを書いております。

民間事業者の取組支援でございますけれども、既存のプラットフォームの枠組みなどを活用し、民間事業者が求める情報を積極的に提供していくこととしてはどうかというふうに整理をしております。

3-2、「国民への気候変動の影響と適応の普及啓発」でございます。

まず、「ネットワーク・人材の活用」として、市町村と住民の橋渡しを円滑にできるような情報発信が重要で、専門家の役割としては、予測結果を解釈し、一般の国民に理解いただくように説明していくことが必要という意見がございました。

次のページにいきます。このほか専門的な人材を育成・配置していくことが重要。農業分野におきましては各都道府県の農業試験場や、農業改良普及センター等の既存のネットワークを活用していくことが重要。地球温暖化防止コミュニケーターの活動と連携していくことが考えられるのではないかというご意見もございました。

自治体からは、桜の開花が早まってきているというような、市民が関心を持ちやすい説明の工夫が重要ではないかということと、双方向のコミュニケーションというものが重要ということで、市町村の職員や地域の地球温暖化防止活動推進員などとともに、緩和策、適応策の両方が必要だということを、理解いただくための活動を進めてほしいというような要望がございました。

これに関連する「情報基盤の整備」としましても、「気候変動適応情報プラットフォーム」を活用して、一般の国民が持っているような情報を集めて整理をし、発信していくという双方向のやりとりを進めていくための仕組みが必要ではないかというご意見がございました。専門用語の用語集やイラスト等を用意してほしいというものもございました。

さらに、「緩和と適応の統合的対応」としましては、適応の限界と適応と緩和のリンケージについて、国民の理解を深めていく必要がある。また、こういったものがリンクしている施策について、適応と緩和、両方が重要だということをきちんと常時発信していくべきだという意見がございました。

「具体的検討事項」としましては、地域で活動している団体等の協力を得て国民の理解を深めていく必要があるのではないかということで、対応案として地球温暖化防止活動推進員や農業の普及指導員等の協力を得て、国民の理解を深める取組を進めていくこととしてはどうかとしております。

二つ目の検討事項として、地方公共団体、民間事業者、国民等のステークホルダーと双方向でやりとりができる情報基盤を整備すべきではないかということで、プラットフォーム等を活用し、ステークホルダーが常時情報を提供し、それを整理した上で公開できるよう、その機能を拡充していくこととしてはどうかとしております。

最後に海外の話でございますけど、4-1、「海外における気候変動影響が日本に及ぼす影響の評価」です。まずは、食料の安全保障、国際的なサプライチェーンの両方の問題ともに重要で、特にアジアに着目する必要があるというようなご指摘や、我が国の安全保障につながる重要な問題だけれども、知見が乏しいということで、戦略的な取組を進める必要があるのでないかという問題提起をいただいております。

これを踏まえて「具体的検討事項」としては、世界各地で発生した気候変動の影響が日本国内に及ぼす影響については、知見が乏しいということもあり、既存の知見の整理や調査研究プロジェクトを戦略的に推進すべきではないかというふうに書いております。

二つ目は海外における対応事例等も参考に、民間事業者等が気候リスクに対応できるような情報整備を進めていくべきではないかとしております。

4-2の「途上国における気候変動影響評価・適応策の支援」では、アジアとの連携を重視し、途上国の適応策を日本が支援していくことが重要だというご指摘と、JCMのような緩和の制度もございますけれども、こういった制度を進めるためにも、緩和と適応のバランスをどうとっていけばいいのか、途上国にしっかり伝えていく必要があるというご意見もございました。また、モデルと技術を提供して、途上国の研究者と一緒になって研究を進めることが重要。生態系サービスに対する認識を高めていくことが必要というようなご意見もございました。

「具体的検討事項」として、途上国の行政機関、研究機関等とともに影響評価の支援を進めていくべきではないかということと、二つ目に我が国のパリ協定実施への貢献として、「アジア太平洋適応情報プラットフォーム」の構築について提唱しておりますけれども、こういった取組を進めて、アジア太平洋地域におけるさまざまなデータ・気候リスク情報の情報基盤の整備というものを積極的に進めていくべきではないかというふうにしております。

最後に、補足資料のほうで、海外の分野を少しだけ紹介させていただきます。

スライドの36以降を見ていただきたいのですけれども、ここにつきましては、これまでの委員会の中で、問題提起等が特段多くはなかったということで、少し参考資料を充実させております。

一つは海外における気候変動影響が日本に及ぼす影響につきましては、皆様方よくご承知のところでは、6年前の2011年にタイで大きな洪水がございました。そのときは800名以上の死者と400億ドル以上の経済被害が出て、非常に被害が大きいものでした。被災企業数が800社以上あったということで、そのうち日系企業も多く進出していて、半数以上が被災を受けました。

タイはさまざまな分野で世界のサプライチェーンの一角を担っていますが、特にハードディスク・ドライブの分野だとか、カメラ、自動車の分野で、世界的に大きな影響が出たということでございます。こういったリスクに今後どう対応していくかという検討も必要ではないかということで、事例として紹介させていただいております。

また、下のスライド39ですけども、英国においてはこのような課題にどう対応しているかといいますと、第2次の気候変動影響評価、CCRA2の中で、海外の影響というものも評価をしています。具体的には次のスライド40になりますけれども、CCRA2では六つの分野に分けて英国における影響を評価しております。海外に関連する部分では、第6章の「企業活動と産業」というところの一部に、「サプライチェーン・流通におけるリスクと機会」というところと、第7章の「国際的側面」というところで、食料や移住、地政学的側面に関するリスクについて評価をしています。

その評価結果が下のスライドでございますけれども、例えば上から二つ目の国際的な食料生産や、貿易における気象関連リスクというところでは、英国の食料システムに大きな影響が及ぼすのではないかということで、さらなる対策を必要とするとしております。さらにIt4というところで、特徴的なのは気候変動に起因する国際的な移住によるリスクということで、移民等が増える可能性もあるということで、こういったものについてもさらなる対策を必要とするとしております。一方で、一番上のBu6のところで、サプライチェーンによる影響などにつきましては、引き続きモニタリングをする必要があるという形で、知見が不十分だということもあって、知見の集約に努めるというふうにされているところでございます。

その次のページでは、食料の話について、英国でも重要という話が出ておりましたが、我が国におきましても、適応計画に従って、食料需給予測についての取組を進めております。こちらは農林水産省に提供いただいた資料でございますが、例えばIPCCのシナリオも活用して、超長期的な食料需給予測などの計算をしているところでございます。少し事例も紹介しておりますが、例えば、図1を見ると穀物等の国際価格の動向として、2007年の欧州の天候不順、豪州の干ばつで、穀物類の価格がどんと上昇しているというような事例や、2012年のアメリカで高温や乾燥が起きたときにも上昇しているというようなものがございます。こういったリスクにも対応できるように、さまざまな情報収集等も農林水産省のほうでしているということでございます。

さらには、途上国における気候変動影響評価適応策の支援の取組でございますけれども、スライド45以降で環境省の具体的な2国間の取組を紹介しております。例えば、インドネシアにおきましては、インドネシアの開発庁と環境省が覚書を締結した上で、気候変動の影響評価や情報整備、ガイドラインの作成等の支援を行っております。同様に、次のページ以降にありますように、モンゴルや太平洋島嶼国であるフィジー、バヌアツ、サモアなどにおきましても、我が国の技術や経験を活用しつつ、影響評価や適応策策定の支援をしているところでございます。

このような2国間の取組を引き続き続けていくとともに、最後のスライドにありますとおり、このような取組や集めた情報などを「アジア太平洋適応情報プラットフォーム」にきちんと集約をしていって、途上国の方々、さらには日本の民間企業の方々も含めて、役に立つような情報整備をしっかり進めていきたいというふうに考えているところでございます。

最後になりますが、元の資料1の5-1「その他」、17ページの下のほうを、ご紹介させていただきます。

今まで八つの大きな論点に対するご意見を紹介しましたけれども、総論的なご意見もございました。一つ目はこの報告書については、環境省だけではなくて、関係省庁や地方公共団体などの適応に係る関係者が、これに従って具体的な取組を進められるような実効的なものにしていかなければいけないということと、中間取りまとめのパブリックコメントや地方公共団体の意見聴取等も行うと良いのではないかというようなご意見がございました。

このほか、継続的に調査研究費を確保していくための仕組み、適応計画を各省庁が整合性をもって進めていくための政府全体の調整された仕組み、民間事業者が参入して民間の資本が活用されるなど、持続可能な取組が維持されるような仕組みを考えていく必要があるのではないかという問題提起もございました。

さらに最後に今後の課題として、災害に強いまちづくりを推進する観点から、地域開発に対して規制をかけていくことや、水利権や個人の財産権など、適応のための公共的な問題とのコンフリクトが起きつつあるのではないかという現状を踏まえて、これは将来的な課題という形での問題提起でございますが、こういったものに対しても法制度的な対応も含めて検討していってはどうかということを、問題提起いただいたところでございます。

以上、小委員会の論点の整理ということで、長くなりましたがご紹介させていただきました。ありがとうございます。

住委員長

ありがとうございました。非常によくまとめていただいたと思います。最初に確認ですけど、このヒアリングの個々の意見みたいなものは、公表されるのでしょうか。例えば、取りまとめの中の付録に載るのでしょうか。

小沼気候変動適応室室長補佐

改めてご確認いただいて、もし趣旨が違うということであれば、また整理をさせていただきますけれども、本日もこのような形で資料として公開をさせていただいておりますし、例えば報告書の中の参考資料として、差し支えがなければ、今回のコメントについても活用させていただきたいと思います。

住委員長

それでは、この場にて、各コメントのスピーカーの人は、自分の話したことで意図と違うということがもしあったら言ってください。

また、このあと皆さんのご意見をもらうのですが、それはここにありますように、それぞれ論点整理が8項目ありますが、それについて、もう少しこういう論点があるのではないかとか、これはもうちょっとこうしたほうがいい、そうしたところを主としてコメントをいただきたいと思います。

それから8個あって時間が限られておりますので、全ての人が全部コメントいただくわけにいきませんので、スケジュールとしては、1週間以内に書面で事務局に意見を出していただければ、それを取り扱うという形になっております。本日ちょっと言い足りないとか、こうしたらいいと思うことは、あとで書面にて受け付けるということでございます。

それではまず、「具体的な検討事項」ということで、1-1の「具体的な検討事項」の(1)(2)、これについて何かコメント、ご質問等ありましたらお願いします。

鬼頭委員

2ページの初めのところで、データのデジタル化ということが書かれているのですが、ここの1-1、継続的な監視の必要性に関して、皆さんここ同意されると思うのですけども、データは過去のものも非常に重要なものがあると思います。このデジタル化に関しては、今どうなっているかというと、科研費であるとか、プロジェクトの一部等で研究者のそれぞれの科学的な関心に応じてデジタル化がなされていると思うのですが、それだけでは非常に不十分だと思います。

特に昔のデータというのは、貴重なデータはさまざまな要因で消えつつありまして、例えばデータの保管期間が何年にしているからなくなるとか、プロジェクトが終了したので捨ててしまう、それから災害でなくなるということもございますし、あと引っ越しというのがあります。

一つ例を挙げると、大手町の気象庁本庁は、以前から引っ越しする予定で、当初予定より遅れているようですけども、引っ越しされるであろうと。そうすると、非常に多くのデータがなくなるのではという心配がございまして、そういったものを研究者個人個人が、関心のもとでデジタル化していくと、どうしても重要なものがなくなるのではないかと思います。なので、例えば引っ越しするときにはデータの保全をきちんとすべきであるとか、そういった過去の貴重なデータをデジタル化していかないと、継続的な関心にもつながらないということが重要じゃないかなと思いましたので、コメントさせていただきます。

住委員長

今回の議論は、これからどうするかというところに力点が置かれているのですが、過去にも多くのデータがあるのでそのレスキューをしないとだめだよと、そういう論点もここの視点で入れた方が良いということですね。

鬼頭委員

はい。何らかの仕組みということであれば、そういうことだと思います。

原澤委員

今のまさに仕組みとか体制のところですが、地球観測の推進戦略については、もう10年以上たって、文科省傘下の委員会ですとか、内閣府等で議論されていると思うのですが、そういう中でこういった影響の話が非常に重要になってきたということで、受け皿の体制としては地球観測連携拠点の中で、例えばワーキンググループをつくって、そこで案づくりをして、それを上に上げていくような方向で、比較的短期間である程度方針をつくっていったほうがいいのではないかいうことです。ただ、地球観測連携拠点の全体像、先ほど別紙でご紹介がありましたけど、ちょっと上が非常に重たいのです。案をつくっても、それを上に上げて、国としてある程度オーソライズするために結構時間がかかるのかなと思うのですが、そういう中でもワーキングを積極的に進めていくということが重要になります。

あと、環境省であれば、環境基本計画の次期の検討が始まると、そういった中にも、そういう議論の結果をインプットすることによって、影響とか適応の重要性をさらに国レベルで認識していただくというようなことができるのではないかということで、私は地球観測連携拠点の当事者ではあるのですが、そういう形で進めていくことということができるんではないかということで、コメントです。

江守委員

少し論点の追加ですけども、多分このとき休んでいたのではないかと思うので、あるいは言い忘れたのかもしれませんけれども、モニタリングで、例えば気温のモニタリングを考えるときに、気候としてモニタリングするときには、非常に高い精度が要るという認識がどこかに明示されたほうがいい気がしています。例えば気温で言えば10年で0.1℃のトレンドを大きな変動がある中で検出しなくてはならないわけです。それは、例えば気象のモニタリングとして、晴れか雨か大きな日々の変動を見ればいいと思っているのとは、必要な精度が異なってくると思っています。

それは特に具体的には観測サイトの周辺状況が数十年で変わって、木が張り出していて昔と観測条件が違うのではという指摘がたまにされているわけですけれども、こういうものに対して、気候を高い精度でモニタリングしていくという意識で、メンテナンスしていく必要があるという認識が要るのかなと思います。それは重々わかった上で、いろんな予算の制約があるとか、そういうのが恐らく現実なのだろうとは思いますけれども、そこは認識すべきところだと思います。

特にそのことは最近あまり言われませんけども、昔は温暖化のいわゆる懐疑論がいろいろと言われていたときには、論点の一つとして観測サイトの環境が人工的な影響を受けていて、気候をちゃんと測っているか疑わしいというような指摘もなされたわけで、そこはきちんとしたデータがとれているということを自信を持って言えるということは大事なんじゃないかと思いました。

住委員長

そのほか。よろしいですか。

多分一つは、各省庁が連携してやるような監視体制を、ちゃんと組めているかどうかというのは、財務のほうから言われてくると思います。それから、例えば気温や海洋などは気象庁で業務としてもやっているわけですし、永年気候観測のいろんな規定があったりしますので、そういう既存のやっているような部分と新たにやる部分とは、その全体について、整合性を持ったプランニングをしていくということが大事だろうと僕は思います。

それを議論する仕組みとしては、地球観測連携拠点があるので、ほかの仕組みをまたつくると非常に大変だということですので、こういうところにワーキンググループをつくって議論をするということは、それはよかろうと思いますし、(2)の何らかの仕組みが必要でないかといったら、それは必要でしょうとみんな言うわけで、それはどういう仕組みかというところが、これ多分検討しなくてはいけないということだと思います。

それから、江守委員の今の論点はどうかなと思うのは、社会がもうちょっと認識しなければならないというのは良いと思うのですが、例えば、気温に関して言うと気象庁の観測が「ちゃんと考えている」と言うと僕は思いますけどね。だから永年気候観測というのは、同じ場所でやっていて、人為的な周りの環境変化も含むわけです。都市化とかそういう問題も含んでそういうところでやっているというはずなので、都市化なんかを例えば排除して、純粋自然だけの気候変化をやるといったら、それこそ南極に行くとか、いろんなストラテジーがあるはずだと僕は思います。だから江守委員の論点をどういう論点で言うかです。

江守委員

これ言ったのは、ご存じの方はご存じだと思うのですけど、東北大学名誉教授の近藤純正さんがそういう観測点を回って、ここはローカルな環境が変化しているので、トレンドがあるのではないかというような指摘をされたり、私費で木をお切りになったりして、普及啓発も含めてそういう活動をしていらっしゃるわけです。気象庁の方も、もちろんそういうことは重々承知でいらっしゃるだろうし、最善を尽くしていらっしゃるだろうとはもちろん思いますけれども、気象のモニタリングと気候のモニタリングは、気候のほうがすごく精度が要るという認識を、いま一度、おわかりだと思いますが、気象庁の方にも再認識していただいて、適切なローカルな観測サイトのメンテナンスの予算配分も含めて考えていただければというふうに思ったところです。

住委員長

それは多分(2)か、そういう中の論点として入るというふうに思いますけど、それだけを論点に立てて書くというのは違うと思いますが。そのほかよろしいですか。

じゃあ続いてその次の論点は、1-2で、定期的に気候変動の影響予測を進めていくにはどんな体制や仕組みが必要かということで、それはここの論点はそんなに異論があるとは思わないのですが、(1)と(2)が書いてあります。ご意見、ご質問等ございましたらお願いします。

木本委員

観測のところは観測連携拠点というのがあって、読んでいるとそこが責任を持ってというか、主体となってやるんだなという感じがしますが、予測のところは「すべきである」とか、「あるべきである」とか「あり方を考えたほうがいい」とか、主体主語がないです。観測に拠点があるのに予測に拠点が何でないんだろうなと思いますが、それを書けというのはちょっと短絡的かと思いますが、そのことに気がつきましたということを報告。

それと、これはものすごくたくさんあって、どこどこが何々すべきであるとか、ここはすべきであるとか、こんな「すべき」が一杯あったら、恐らく何とか室とか何とか課の方だけだと、賄い切れないんじゃないかなと。

この報告書は「すべきである」ということを書く報告書だからよろしいのかもしれませんが、そのうちのどれをどうやって実現させるのかというのがないと、当事者になってみても、何のためにこの分厚い報告書をつくったんだろうかという、ちょっとむなしくなる感じがいたしますので、至るところにありますけれど、「あり方を考えるべきである」とか、「何々を検討すべきである」「べきである」というのは、いくらでも書けると思うんですけど、もう少し実現性も考慮した上で書くようにしたい。自分たち、私たちがつくる報告書ですから、そうしたいなというふうに思いました。

住委員長

そのほかありますか。今の木本委員の予測に関する云々のところは、連携拠点の中にワーキンググループを作るという話はなかったのでしょうか。

小沼気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。予測に関する体制のところも、関係省庁とよく相談していくことが重要だと思っておりますので、この会議の後にでも、よく相談させていただきたいと思います。ご指摘のとおり、連携拠点は観測を中心とした拠点でございますけれども、観測というところから広がった部分もいろいろと議論しておりますので、この枠組みを使える可能性はあるのかなとは思っております。その可能性も含めて、関係省庁といろいろ調整させていただけるとありがたいかなと思っております。

住委員長

そのほかございますか。書きぶりはこの委員会の立ち位置から、「はい、これやります」というふうには書けないとは思います。ただ木本委員の気持ちとしては具体的につながるところにいかなければ、お経のごとくお題目が一杯並ぶ報告書は山のごとく出てくるのは何とかならないかというのは、それはそうだと僕は思いますが、それは今後実行するように進めていくのだと思っています。

そのほか、何かございますか。ほとんど「議論する」としか書いていないので、来年度以降議論するのだから、これは悪いわけではないというふうな論点整理にはなっていると思いますが。

安岡委員

次年度には優先順位づけをするのでしょうか。

小沼気候変動適応室室長補佐

ごめんなさい。どの部分の優先順位でしょうか。

安岡委員

先ほど木本委員が言われた「べき」というのが並んだときに、極端な話をすれば観測に重点を置くべしということと、予測に重点を置くべしという、これは両方やらなきゃいけないことは明らかですが、どっちかと言われたときにどうするんだということです。ほかにも「べき」は一杯あるとは思いますが、それをどういうふうにするかという話だと思います。

竹本気候変動適応室長

個々の政策については、プレイヤーがそれぞれ異なっていますので、必ずしも優先づけをしなければいけないということではないと思っておりますが、いずれにしても木本先生のご意見も踏まえて、しっかり文言は整理をする必要があるとは思っております。

住委員長

たしか、この小委員会は環境省だけに対する小委員会ではないのですよね。

竹本気候変動適応室長

もちろんこれは中央環境審議会の小委員会でございますけれども、関係省庁の協力を得て、政府として、今後実施すべき気候変動影響に関する観測・監視や予測評価に関する方針をご議論いただいているというふうに理解しております。

住委員長

したがいまして、関連する省庁も、今回の報告書を受けて、自分のところだと思うところは動いてもらうということだと思います。そういう点では割と幅広にいろんな可能性を持ってやれるように書くというのが、筋ではないかと僕は思います。

江守委員

先ほど木本委員が前半でおっしゃったことに関係して、要するにモデルというか、予測の連携の仕組みがないのをどう受け止めるかということだと思うのですが、木本委員は恐らく当事者なので遠慮されておっしゃったのだと思いますけれども、やはり仕組みがもうちょっとフォーマルに必要だというふうに認識されるのであれば、そういうふうに書くということを検討してはどうかと僕は思いました。もちろん省庁の担当官の方々が、その都度相談してくださるというのは、重要なことかと思いますけれども、もう少し連携の仕組みをフォーマルにしていったほうがよろしいかと思います。逆にあまりフォーマルになっていると動きにくいということがあれば、また別の意見もあるかもしれないですが、そこはこの機会に検討をもっと具体的にすべきではないかと思います。

住委員長

今回の論点の整理としては、どのような体制や仕組みが必要かということになっていて、括弧内は事務局の対応案ですので、そこはこれからの議論になるという解釈でいいと思います。括弧の対応案が報告書に出る結論としてなるわけではないのだろうと思います。

小沼気候変動適応室室長補佐

ご指摘のとおりでございますので、今回さまざまなご意見をいただいた上で、方向性を整理していきたいと思います。また、ご意見を踏まえて、関係省庁も含めて調整をさせていただいた上で、さらに具体的な対応案が書けるのであれば、それを報告書としてしっかり取りまとめていきたいと思います。

住委員長

論点としては、明らかに体制や仕組みが必要で、それはどんなふうにしたらいいのというのを議論しましょうということです。そこが結構難しいのですけど、やっぱりそれはそれで議論するようなことになろうかと思います。

シナリオのところですけど、これはどうですか。本当に日本としてシナリオを作るのでしょうか。結局グローバルな予測では、日本だけで作っても仕方がないような気がします。このときにここに出てくる予測のシナリオというのは、例えば非常に領域的なregionalにという話ですが、そんなふうにできるのだろうかというか、その辺シナリオについて、高橋委員からコメントをお願いします。

高橋委員

シナリオは将来起こり得る様々な状況に関して、幅広く不確実性を考慮した形で設定して、対策等の検討に使っていかなければいけないので、その意味ではある特定のシナリオを選び、これが統一シナリオ・共通シナリオだから皆さん今日からはこれを使ってください、といったアプローチのみでは全ての議論をカバーできないかと思います。しかし、一方で、効率よく影響予測・適応評価を進めるのを支援する事業にもなりうるとも思います。

適応策検討の研究や調査が今後増えた場合、共通のシナリオが整備されていないと、その各々の研究・調査で個別にシナリオを作成することが必要になります。一部では、研究・調査業務の実施期間が短い場合などは特に、拙速に、鉛筆をなめて将来の社会経済シナリオが描かれてしまう場合も出てくるかもしれません。そのようなシナリオを前提とした影響予測・適応評価の結果については、信憑性や有用性が減ると思います。そのような問題を回避するために、効率的な影響分析を支援すべく、研究のインフラ、共通資産として、共通シナリオを設定・開発することは有意義な場合もあると考えます。ただし、その場合は、共通シナリオの幅におさまらない状況も生じうること、場合によっては独自に追加でシナリオを開発・利用することが必要であることを付記することも必要です。

モデルを使ってつくる定量的なシナリオだけでなく、専門家で集まって議論して作る定性的・叙述的なシナリオも組み合わせていく必要はありますが、技術的にも、共通シナリオの開発は可能なのではないかと思います。

住委員長

例えば、領域気候モデルを使って日本の将来の影響評価をするときに、日本に特有なそういうシナリオというのができるだろうか、可能なのかと、その辺の話はどうでしょうか。

木本委員

「シナリオ」と言ったときの、社会経済的な高橋委員のおっしゃったような面と、それから気象とか、それ以降の、その影響を受けて自然がどう変わるかみたいなところとでは、ちょっとニュアンスが違うと思います。気象だと、言い方が悪いけど、社会経済シナリオの重箱の隅をつつくような違いが気象にそのまま反映して、このシナリオでやった計算は、こっちのシナリオのときには使えない、そういうことはあり得ないと思いますので、この文章を見た人の印象として、「シナリオというのは新しく作らないと何も始まらないんだ」みたいに受け取られないようにお書きになるのがよろしいのではないかなと私は感じます。

住委員長

明らかに社会経済シナリオについては、日本に特化したようなシナリオがあったほうがいいという意見は強いです。それはグローバルのシナリオはよくわからないから、特に適応などいろいろなことを考えたときに、各自治体、都道府県にとってそういう本当に身近な気候影響評価を考えたときは、このようなニーズはあるのだと思います。それについて関係省庁が連携して具体的にやれるような体制にあるかなという感じが若干しますが。みんなばらばらで動いていて、だからまとめにくいというような気もしています。

それも含めて検討をしようというわけですから、今の議論は結論を出そうみたいな話ではないので、いろんな可能性を検討していくことは重要だと思います。ただ、「シナリオ」というときのイメージがみんな違いますので、そこは明確にある程度どういうものかというふうに明示しないと、人によっては大分違うイメージを持つということはあると思いますので、そこは注意していただければと思います。

木村委員

ちょっとずれるかもしれないですけども、先週の末にSI-CATの何人かで東京都の環境研の研究者といろいろ話をしました。そのときに東京都は環境に関係する部局がものすごくたくさんあるので、例えば緑化計画とか、そういうことを研究で進めて立案したとしても、全体で調整するというのは、ほとんど不可能ぐらいだということを聞きました。

そのときに、オーソライズされた将来予測、つまり、この場合は日本国内の地域の気候変動の予測がオーソライズされているということがあれば、ほかの部局に対しての説明が大分やりやすくなって、いろんな適応策についても検討を始めることができるということをお聞きしました。

なので、緩和策についてはIPCCがあるので、それに沿ってみんないろんな緩和の政策を都道府県、東京都でもしているわけですけれども、適応についてはこういう方向になるというイメージで、それにどう備えなきゃいけないのかということを考える基盤、それをオーソライズしたものがあったらいいと思います。例えば、今の時代だと気象庁は、割と信用されていますから、温暖化情報の9巻とか、これから出る10巻というところが、一つはよりどころになるかなというと思います。

八木委員

シナリオについては、住委員長おっしゃいましたように、気候シナリオと社会経済シナリオ、明確に区別する必要があると思います。

社会経済シナリオですけれども、思い起こせば適応計画のための影響評価報告書をつくったときの重大度・緊急度、あれは時間も限られていましたので、かなりエイヤと決めたのではないかと思います。今度2020年に改訂版を出すときに、そこはもう少し科学的にシナリオをもとにした影響評価をできるだけ加えた評価をしなければいけないと思います。そんな意味でも、ここに社会経済シナリオのことをしっかり明記していただく必要があるのかと思います。

住委員長

論点整理としては、どういうふうに決めるべきかというのが論点整理であります。こうしようという結論までは、多分今度の報告書で全ては入らないので、そういう論点で来年度以降議論をしましょうということであろうと思うのですが、現実的にはこの辺は大きな問題を含んでいるものと思います。信用できる答えが出てくるのならそれはいいのですが、不確実性という問題はずっとつきまとうものなので、なかなか難しいと思います。ただ、木村委員が言ったように、適応の方策の話と同じで、根拠の問題はあると思います。

ところで、適応計画の法制化の問題については、どのようになっているのでしょうか。

竹本気候変動適応室長

引き続き進捗状況を踏まえながら対応するということにしております。この場におきましても、いろいろと適応計画を進めていくための知見の収集方法等についてご議論いただくということは、今後の参考になるものと考えております。

住委員長

それでは続きまして、1-3の「気候変動影響評価・適応策に関する調査研究」ということで、論点整理としては6ページになります。1つは分野ごとの脆弱性に係る調査研究を推進していくべきではないかということです。それから2番目として、地域レベルでの脆弱性評価を進めていくべきではないかということです。もうちょっとこれ以外に足すことはないかとか、何か意見はありますか。

磯部委員

この中の自然災害の部分ですけれども、ここでの論点整理というか、ここでの整理が最後1-3の表題も「調査研究」になっているので、ちょっと違うかもしれませんけど、今の委員長のお話も含めて適応に関して、これ自然災害、特に極端現象が自然災害をもたらして、災害をこうむるという場合が多いと思うんですけれども、それは極端現象が確実に気候変動によって変わってきたということが確実になったときには、もう対応は手遅れになっているということなので、それでは基本的に遅いのだと思います。

一方で、今3.11の地震・津波が起きて、それでレベル1、レベル2という考え方が出てきて、レベル2というのは科学的に考え得る最大クラスの津波に対して人命を守るようにするということが決まり、それを受けて水防法も改正されて、レベル2的な考え方が台風による高潮とか、それから洪水とか、内水氾濫についても、影響評価までまだいきませんけど、浸水範囲を予測するというところまでいっていますので、これとの関係が深いのではないかというふうに思います。

厳密に言えば、今のレベル2のほうは現在低頻度で起こるような自然のハザードに対してどうするかという考え方であるのに対して、気候変動のほうは将来の不確実性があるという現象ですが、両方で共通していると思うのは、リスク管理をしていかなければいけないという、逆にリスク管理で適応すべきではないかというふうな考え方ができる共通性があると思います。

そういう意味で、今やっているレベル2の高潮とか洪水とか、あるいは津波は特にこことはあまり関係がないと思いますけれども、そういうものについて浸水域を検討し、さらに避難計画を立てるとかというときに、こちらの気候変動という立場から情報をインプットして、それによって低頻度の災害に対するリスク管理と同じように、気候変動に関してもリスク管理ができるように、適応策を実際にimplementしていくという可能性があるのではないかと思います。

そういう意味で、6ページの検討事項というところに、本当になじむかどうかはよくわからないのですが、(1)の辺りの脆弱性評価手法に加えて、実際に必要な行政的な活動に情報提供をしながら、その情報提供によって自動的に適応が進んでいくようなことも考えられないかというのがあり得るのではというふうに思いました。

安岡委員

これまでのところは、観測とモデルという話が出てきて、この1-3は適応策ですよね。分析論から設計論に行くという、設計論の部分で、どういう適応策のオプションというか代替案があって、というのを網羅的に挙げるという作業は、ここではまだやっていないです。それをここできちっと挙げて、そこはどういうのが一番やりやすいかというのは、それぞれもっと専門の方に聞かなければいけないと思います。そういう場所を設けておく必要があるのではないかという印象は受けました。ここに書いてあることですと、適応策を本当に設計として最適化してやっていくという部分が、ちょっと記述が少ないような気がしたものですから。以上です。

高薮委員

さっきの磯部先生に対するコメントですけれども、我々は、文科省の「気候変動リスク情報創生プログラム」という名前のもとに、まさに今磯部先生が言われたようなレベル1、レベル2に対応するような情報を出すという努力をしてまいりました。今の磯部先生のコメントというのはすごく大事だと思うのですけれども、ここでは対策ですけれども、今言ったような情報が我々データのプロダクトのところに返ってくると、それではどういう情報を出せばいいか、レベル2の対応ができるような情報を出すためにはどうすれば良いかということで、実験のデザインが大きく変わってきます。このようなことは、連携のような話は、どこにどういうふうに入れたらいいのですかね。前のところは観測・予測だけで一つ項目が立っていたのですけれども、あのときも思ったのですけれども、予測をする際に、どうしても今言ったようなユーザーの声を聞かなきゃいけないというので、その辺りがちゃんと連携がとれるような形にしていきたいなと思います。

住委員長

ここの論点は、基本的に「気候変動影響評価・適応策に関する調査研究」という大項目で、変動リスクは外力と脆弱性と曝露があって、そのうちの脆弱性を調査研究したらどうかという、そういう筋書きになっています。多分、脆弱性だけではなくて、ハザードはほかでやっているからいいとしても、3コンポーネントがあるということと、そのコンポーネントの一つの脆弱性だけの研究をしていればいいかというところが、そこの書き方だと思います。

適応策全般に関する部分について、脆弱性もそうだと思うけど、今言ったような、例えば具体的なアクションに関して言うと、災害とのリンク、防災の観点で議論されているところもあったりすると良いと思います。そこをもっと幅広な、他の分野との関連等を考えつつ調査検討したら良いといったようにですね。

これもここで結論を出しているわけではなくて、どういう調査研究をしたらいいかを議論をしましょうということなので、脆弱性だけとするのは、少し絞り過ぎているかもしれないと思います。これを全部適応策と変えれば、非常に幅広になるのですが。

江守委員

脆弱性以外のこと、もちろん書いてもいいと思うのですが、脆弱性に関して特に申し上げると、4ページのコメントのところでも高橋委員が「社会科学の研究者の力も借りながら」ということを書いていて、僕もその他のコメントのところで似たようなことを言っています。やはり社会がどう対応するかという話なので、制度であるとか社会、もっともしかしたら心理であるとか、そういうところを含めた研究が恐らく含まれるべきではないかと思います。恐らくここでの検討というのは、自然科学、工学寄りに偏って、そういうところが抜けているのではないかという気がするので、社会科学的な分野も含めた調査研究を推進していくというのはどうかと思いました。

住委員長

そういうことで、ここは少し修文したほうがいいものと思います。皆さんのご意見を参考にしながら進めていきたいと思います。

2-1の「定期的な気候変動影響評価の進め方」というわけで、ここでの論点の整理は、2020年を目途に科学的知見の収集・整理を進めていくべきではないかということです。 (2)は重大性・緊急性の話ですが、先ほどもエイヤという話も出ましたが、ある意味ではエイヤでやらないと進まないということもあるとは思います。(1)(2)とまとめてあるのですが、これらについて何かコメント、追加するご意見等ございませんでしょうか。

木所委員

水産研究所の木所です。前回もこれまとめていてちょっと気づいたんですけども、前回まとめたとき、現状何が起きているかということと、将来予測とかいろいろ文献集めたわけですけども、そういうのを考えて一般の人に出したときに、何が一番インパクトがあるかというか、関心があるかというと、やっぱり100年後とか50年後の予測というのはあまりインパクトがないのに対して、今何が起きているかというのは、かなり影響が大きかったかなというふうには思ってはいます。

それで、これは適応策ということで、適応策をつくるときも何年後を目標にするかというのは結構もめるところだと思いますが、そのときにやはり関心があるのは、温暖化というのは現在進行形でもう起きている。起きちゃったんだから仕方がない、それで適応しなきゃいけないという、そういった考え方も重要じゃないかなというふうには考えているところです。

今後適応策のための影響評価の進め方となると、予測も大事なのですけど、今後5年後、10年後どんどんやっていくならば、モニタリングしながら、もう起きちゃったんだと、こういうことが起きちゃったということを、どんどん積み重ねるということが、特に今やらなきゃいけない、もう起きたんだからしようがないというような、そういった説明でいいのかどうかわからないのですが、適応策をやらなきゃいけないという視点でいうと、そういったことで、モニタリング、何が起きているかというのをもうちょっと重視して、重点化したほうがいいかなというのが個人的な見解です。100年後の予測精度が上がるのも大切とは思うのですが。

石川委員

(2)のところで、指標を改善するというところの中に、一番この中で私が問題だと思ったのは、「評価できない」という項目が意外と多かったというところで、そこのところはどうやってモニタリング、それから予測のほうの研究開発につなげていくかという仕組みを、きっちりつくっていかないといけないと思います。「評価できない」というものをなるべく減らしていく努力をどう進めていくかというのは、もうちょっとしっかり出してもいいのではないかと感じております。

住委員長

そのほか。よろしいですか。

論点の報告書で、それは減らすべく各自努力しなさいと書くしかないのだろうと思いますけど、ここのポイントは、継続的にそういう影響評価を集めるようなスキームをつくっていきましょうということです。それは大事なことだし、重大性・緊急性・確信度みたいなものを、適宜いろんな情報があって見直していくような仕組みをつくったほうがいいのではということであろうと思います。確信度についてはいろいろ難しい面はあるのでしょうが、そういう体制づくりを提案していくというのは、一つの鍵だと思います。思いのほか、最初環境省の努力で影響評価を行ったのが、それなりに意味があったものと僕は思いますので、今後もこのような形でまとめていくことが重要です。

それから、文献の収集等ありますが、それを過去のデータも含めて、いろんなものの情報を集めて、みんなが見えるようにしていくという努力は非常に大事なことだと思いますから、そういうことを論点として出していくのも良いのではという気がしております。そのほかよろしいですか。

次に、3-1、「地方公共団体等による気候変動影響評価・適応策の支援」です。これは、自治体や民間事業者が一杯いろんなことを言っておりまして、なかなか読んでいるとおもしろいのですが、そこで論点の整理が(1)「気候変動適応情報プラットフォーム」をどのように発展させていくべきか。(2)地方公共団体による気候変動の影響評価等の取組をどのように支援していくか。(3)民間事業者の気候リスク管理、適応ビジネスの取組をどのように支援していくべきか。ご意見があればお願いします。

木本委員

今の項目はそれでいいと思うのですが、意見じゃなくて質問ですが、ここでは「気候変動適応情報プラットフォーム」という主語が出てきて、これが民間や国民の皆さんに何かをしてくれるみたいに文章が書かれているわけです。私の質問は、このプラットフォームというのは、スケール的に言って、専任の方が何人いて、どれぐらいの大きさの事業なのでしょうか。単にウェブのページだけというだけでは、読んだ人は大したものなので、これに頼って、発展させるとすばらしいことが起こるように読めてしまうかもしれませんが、実際は2人しかやっていなかったら、具体策になったときに腰砕けになっちゃいますよね。ちょっとそれが心配なんです。

小沼気候変動適応室室長補佐

ご質問ありがとうございます。この「気候変動適応情報プラットフォーム」でございますけれども、前回の委員会でも少しご紹介させていただきましたが、昨年の8月にまず設置をさせていただきました。国立環境研究所に運営をしていただくということで、進めているものでございます。

昨年からの取組ということで、ご指摘のとおり、まだ規模は小さくて、昨年数千万円の予算で、まずは立ち上げをやらせていただきました。現在は、ウェブサイトを中心として情報を提供するような形で、数人規模で国環研のほうで運営していただいている状況でございます。

ただ、これではさまざまな国民のニーズに応えられないというふうに、私どもも認識をしておりまして、来年度の予算案のほうで、このプラットフォームにつきましても発展させていくために、かなり増額をしていただいているところでございます。そういったことも受けまして、運営側である国環研のほうにも体制を強化していただいて、運営する人数も増やした上で、ウェブサイトを充実していくだけではなく、実際に自治体や民間事業者が使えるような、さまざまな支援ツールを開発して提供していくことも含めて、その機能を強化していきたいというふうに考えているところでございます。

住委員長

これは今後どのように発展させていくべきかということを論じましょうというわけだから、今は小さいんだけど、それではだめだよとか、もっとあれもせよとか、これもこうしてお金を例えば50億ぐらい要るねとか、そういうふうなことを書いて出していくということが趣旨だろうと思います。

日本の予算要求システムというのは何らかの根拠がないと、お金が欲しいから頂戴というわけでくれるわけではありませんので、そういうプロセスだろうと思います。具体的にここでは、適応プラットフォームを、ちゃんと国民の期待に応えるべくするにはどういう機能があって、どのぐらいのものでどういうことが必要かということを議論するのだろうと思います。(2)もそうですけど、どういうことをどのようにやっていけばいいのか、更地で考えることもあると思います。今あるものでちまちまと考えるのではなくて、本来こんなふうにあったらいいよというようなことを出していくのだろうと思います。

原澤委員

若干当事者としてのコメントですけども、ここでいただいたいろんな意見を、プラットフォームのコンテンツづくりに反映させたいと思っています。先ほど来ご紹介のあった地球観測連携拠点という中にもワーキンググループをつくりまして、いわゆる専門家の方々にいろいろなコンテンツに関わるような情報を、省庁連携した形で集めていくというような話。それに加えて環境研の中に緊急事業連携部門という、今年度新しく部門を立ち上げまして、その中に適応オフィス、当初はオフィスという形で小ぢんまりスタートしたのですけども、適応の流れがぐっと来まして、先ほどご紹介があったように予算的にもかなりしっかり取っていただいたということで、本格的にセンター化を目指して、今、研究所の中ではパーマネントな人材も採用すべく検討しているということです。次の回はちょっと無理でしょうけども、将来的には木本先生のご質問にお答えできるだけの体制になっていくはずだと考えております。ということで、補足の説明です。

あともう1点、先ほど13ページの(3)民間事業者の気候リスク管理、適応ビジネスということで、ここも私ども非常に重要性が高いと思っています。特に前回の取りまとめの際にも、産業への影響と、国民生活の影響のところ、ちょっと薄くて、この数年間にかなりいろいろ事例や研究成果が出てきたりしたということでもありますし、前回でしたか、民間の方のヒアリングということで、三者からの報告があって非常に情報としてはよかったと思っております。

逆に言うと事業者というのは、どちらかというと気候リスクにどう対応するかということで、リスクをメリットに変えるようなところが、非常に先導的な取組をされているところもあるということです。イギリスは企業が独自に適応策の検討ができるような、そういったプールもつくっていたりするものですから、そういうのも参考にしながら、かつ、地方自治体は今後、必ずこういった方向に進んでいくので、いろいろな支援が必要だということがあるのですが、企業の方々はまだまだ適応ということ自体が、緩和とちょっと混同されているようなところもあったりするので、そういう意味では積極的に情報を提供するだけじゃなくて、具体的にどういう事例があったりするというようなことも、このプラットフォームを経由して出していきたいと思います。一方で、なかなか情報がどこにあるかもわからないというところもあったりするものですから、先ほど次回のこの委員会の取りまとめの際には、ワーキンググループに企業の方に積極的に入っていただいて、知見を共有しつつ、企業の適応というような形に進んでいけるのではないかと思っています。そういった情報も将来的にはプラットフォームの中に乗せて、ユーザーを増やしていくという方向性だと思います。

安岡委員

これは地方公共団体や民間事業者をどう支援していくかという視点で書かれているのですが、例えば海外のことを考えたら、民間事業者のほうがはるかに情報を持っていて、そこから情報をもらうという、つまり双方向のプラットフォームというのも僕はあっておかしくないし、それはむしろつくるべきじゃないかと思います。支援というと、全体に上から目線が感じられて、もっと双方向でやりましょうよというものをつくっていったほうが良いのではないでしょうか。特に海外だったら日本でも取れる情報は非常に少ないですから、どんどんもらってきたらいいのではという印象を持ちました。

木所委員

一つ確認ですが、この「気候変動適応情報プラットフォーム」というのは、定期的に行う気候変動影響評価、これと関係しているということでよろしいのですよね。そうすると、これをベースにしてやれば、作業も簡単になるのかなと思って期待したのですけれども。

小沼気候変動適応室室長補佐

関係はしてきますけれども、「気候変動適応情報プラットフォーム」自体はできたばかりですが、新しい知見も含めて、常時発信していくような枠組みとして活用していきたいと思っております。

定期的に進めていく気候変動の影響評価は、2015年にまとめたばかりですが、次に5年ぐらいのサイクルで進めていくものでございますので、その影響評価のために必要な知見などは、プラットフォームの中で常時発信していくというような形での連携はあり得るのかなというふうに思っております。

住委員長

そのほか、よろしいでしょうか。あと、中間取りまとめの中にこの論点での記述をどう書くのでしょうか。こういう論点でこうしますという大まかな結論を書くようにするのか、議論をすることは必要であるとするのか、どのような書き方をするのですか。

小沼気候変動適応室室長補佐

書きぶりについては、よくご相談させていただきたいと思っておりますけれども、本日いただいたコメントも踏まえて、現状がどうなっているのかということを改めて整理をさせていただいた上で、ある程度次にどう進めていくかという方針もしっかりと書き込んでいきたいというふうに思っております。

住委員長

わかりました。よろしいですか。

次の「国民への気候変動の影響と適応の普及啓発」ということで、これは15ページですが、地域で活動している団体との協力を得て国民の理解を進めるということですが、それは必要だと思います。出ている論点自体が、こんなものやらなくても済むということではないと思いますが、対応案、それからまたちょっと違う論点があるのではないかと、ご意見ございましたらお願いします。

高薮委員

具体的検討事項のちょっと前になるのですが、14ページの真ん中の「兵庫県ヒア12」というところで、「遠い将来の2100年ではなく、2030年や2050年などの近い将来を対象に」ということが書いてあり、さっき木所委員のほうから100年後ではなくて近未来、あるいは現在のモニタリングのほうが大事だとか、そういうような情報というのは、本来データのつくっている気象のほうにデータ情報として遡ってくるべきだと思うのです。ですから、そういうようなことがどこかに書かれたらいいかなと思うのですが、今までの見ていると上流から下流に情報が一方向に流れているだけのように見えますので、その辺はどこかで遡るようなことが書かれてもいいかなとは思いました。

住委員長

一応「双方向」とは書いてはあるんですが、なかなか難しいんですね。日本の行政ということを考えると、現実的にはやはり上から下ということがあるのだと思います。日本の民間も、それほどすごいと言い切れるわけではないと思うのですが、ただ、やはりステークホルダー、NPO等、いろんなもので逆方向の情報もあります。そこは双方向のことを非常に重視する、国民対話もそうですけど、やはり本当の意味で国民対話ということは大事ですので、その辺は書いておくのは大事だと思います。

あまりピンと来ない部分もあるかもしれませんが、こういうことは、adaptive adjustmentというか、やりながら直していくしか僕はないと思うんです。

それでは4-1、「海外における気候変動影響が日本に及ぼす影響の評価」です。これも具体的論点としては非常に大事です。これは言うまでもなく今までみんな言ってきたわけで、それを調査研究プロジェクトとしてちゃんとやりましょうということで、それは誰も反対はしないとは思います。それから(2)に書いてありますように、海外の情報収集に努めていくという、極めてまともなことが書いてあります。

このほか、この点に関しても具体的に、もうちょっと使える論点がないかとか、例えば「推進すべきではないか」と言ったって具体的にどうするか、ちゃんと予算措置まで早くやると書けとかいうご希望はあると思いますけど、なかなかそうはいかないものかもしれませんが、その辺も含めて何かありますか。ただ、従来では、日本はどうしても国際と国内をプロジェクトをつくるときに分けてきたんです。だからどこかでそういうこともなくすようなことは非常に大事だとは思いますけども。

木村委員

ちょっと論点がずれるかもしれないですけれども、先ほど僕が話したように、各自治体、あるいは自治体の研究機関の人たちと、それから行政との関係ですけれども、自治体の行政は人がどんどん入れかわったりしています。知事さんについても一番最初のときに申し上げたように、関心のある知事さんが来たり、全くそうでなかったりということがころころ変わります。

そうしたときにやっぱりこの適応策というのは、そういう中央行政に携わる人たち全体に、継続してしなければいけないいう意識が浸透しないとうまくいかないと思うのです。しかし現時点では選挙で選ばれた人たちにそれが十分理解されていたり、浸透されていたり、つまりよく知っている、とは思えないのです。ですから、そういうところをしっかり理解していただけるように、つまり一般の人まで含めて、そういうことが必要だということを十分理解してもらえないと、地方行政がなかなか十分そういう方向に向けてしっかりした政策をとるのに時間がかかってしまうのではないかなというふうに思うのです。その辺難しいでしょうけれども、そういうことについても留意していかなければいけないのかなというふうに思います。

八木委員

海外の影響ですけれども、特に食料の問題で顕著ですけども、先ほど江守委員からもお話があったように、社会経済的な分野との連携、これが必須だと思いますので、そのことを明示していただく必要があるかと思います。

住委員長

そのほかよろしいですか。じゃあ続きまして、途上国支援、17ページ。それは支援を進めていくものですし、それから「アジア太平洋適応情報プラットフォーム」の構築を云々、これは将来こうやりましょうと書いてあるわけですが。

木本委員

ご意見のところにどこかにあったような気がしますが、ここの具体的検討事項、これは書いてあることはこれでいいのですけど、ここに「人材育成支援」という単語を入れなくていいか、入れたほうがいいのではないかと思います。アジアの皆さんに尊敬される日本になる一番の早道は、若手を育てることだと思いますので、そのキーワードを僕は入れておいたほうがいいと思います。

住委員長

それは問題ないので、ぜひ入れていただきたいと思います。

高薮委員

環境省さんにお聞きしたいことがあるのですが、さっきの人材育成支援と関係するのですけども、(2)の「アジア太平洋適応情報プラットフォーム」というのは、誰が主人公なのかということです。

これをつくるのが、もし日本の研究者だけでこれをつくってしまうと、これは途上国の人材支援にとっては、すごくマイナスになっちゃうおそれがある。つまりこれがもし立派なのができて、みんながアクセスできるようになったら、それぞれの国では自分たちで人材育成をしなくても、これを見ればいいじゃないかということになっちゃうと、すごく人材育成にとってはマイナスになるかなと思うので、できればもしこれをやるのであれば、プラットフォームの設計に関して、発展途上国の人たちが参加できるような形をつくっていただければなというのが、我々東南アジアといろいろ今、おつき合いあるのですが、おつき合いしていて感じている印象です。

小沼気候変動適応室室長補佐

ご質問、ご意見ありがとうございます。「アジア太平洋の適応情報プラットフォーム」については、昨年末に提唱されたもので、コンセプトも含めてこれから関係国とも議論を深めていくことになるかと思います。方向性としては、人材育成も含んでおりますので、単に日本に情報を集約して一方的に発信するのではなくて、途上国政府あるいはステークホルダーが自国で取組をしっかり進められるような基盤整備にしたいと考えており、そのための人材育成というのは当然必要になってくると思いますので、その方向で進めていきたいと思っております。

八木委員

アジア太平洋地域で既存のネットワークがあるのではないかと思います。あまりそう詳しくはないですけど、適応か影響評価か、あるいは国連辺りもそういったところも連携ということも一つの視点になるかと思います。

住委員長

これに関しては構想を打ち上げたというところで、具体的にどうするかを今後検討していきましょうということだろうと思います。その中で具体的に、どういう内容にするかというのをやるのだろうというふうに思います。

途上国については、このぐらいの論点でよろしいでしょうか。例えばODAだとかそういうようなお金絡みの話は全く出ていないのですが。

安岡委員

JICAとJSTのSATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)は、まさにこのテーマを一つとして既に走っています。このプログラムの中ではequal footingというのが、非常に重要で、決して援助だけではないと。向こうと一緒にやるというところが、非常に大きなテーマになっています。この気候変動影響評価、それから適応ということに関しては、環境外交と科学技術外交が手を結ぶ非常にいい機会だと思いますので、私は少し大きなフレームワークで考えていかれたらいいかなという気がしました。

高橋委員

今の安岡委員からの意見への補足です。やや構造は違いますが、例えばEUでも、適応を発展・加速していくために、各構成国での適応への取り組みの共通点・差異について、情報整理して共有しています。この、構成国共同での情報整理によって、他国での取り組みから学んだり、逆に他国に経験を共有したりと、互いに引っ張り上げるような仕組みができていると思います。それと同等のものを、日本がアジアの各途上国諸国に伝えるというのではなくて、一緒につくっていくという視点で計画していくと、今の安岡委員の意見のようなものに近いものになっていくのかなと思いました。

住委員長

どうもありがとうございます。そのほか何かございますでしょうか。

あとは、「その他」があります。ここにも大きい問題があって、それは報告書に書いてもらっても良いと思うのですが、非常に難しい問題もあります。多少いろんな大きなことも考えているということで、触れていただくのは悪くはないものと思います。

一応論点見ていただきまして、ほとんどこういうことを議論をしましょうということで、論点自体に関してそんなの議論することはないという話はなかろうかと思います。皆さんフラストレーションたまるのは、論点を議論するだけではなくて、どうやって具体的に展開するか、予算をちゃんとしてくれとか、そういうことを非常に思う方も多かろうとは思うんのです。ただ、このようなきちんとした論点整理の報告書と、そういうものがあった上で、次のステップに行くというのが行政的なある種の流れですので、そういうところはご理解いただきたいと思います。

ただ、影響評価とか、そういうものをそこで継続的にやっていくというスキームが重要です。「地球観測連携拠点」というものは、名前が悪いと僕は思いますけど、それはいきさつがあって、もともともうちょっと広くすればいいと思いますのですが、そういうフレームワークの中には既に適応も入っているし、広げていくことはできると思います。「予測連携拠点」のように「予測」が入っていないからおもしろくないとか、いろいろそう思うことは多々あるでしょうが、ここはそういうことはこらえて、省庁間の全体の調整をつけて、整合的にnational governmentとして取り組んでいくという体制をつくっていくことが非常に大事だろうと思います。

それからいろんな視点があって、上から目線だというのは、そういうところ多々あると思いますが、その辺が非常に双方向と言いつつ、具体的にどうするかというのは、今後の課題だろうと思います。

また、やはり適応自体も個別国内的に対応するだけではなくて、非常に大きなグローバルなネットワークの中でいろんなものが動いておりますので、グローバルな視点というのは、日本の国内の適応に関しても必要になってくるのではないかなと思っております。それで、海外との関係を含めたような適応に関する研究とか調査みたいなことは、もうちょっと日本でやるようにしないと、海外と国内をごちゃまぜにするなみたいなところは、日本はまだまだ研究計画のつくり方に問題があるような気がしますので、その辺は変えていくべきところかなと思います。

最後に、今までの議論をまとめて、何か言いたい人はいますか。今年度あと2回ぐらい会議がございますので、そこで今の論点整理された論点について、個別具体的に議論がされると思いますので、そのときまでに考えていただければと思います。

それから最初のほうに申しましたように、今日言い足りないことがあったとか、後で帰ってみたらまた思いついたとか、いろんなご意見がございましたら、1週間以内に事務局宛てに書面にて意見を出していただければと思います。これはメールでいいと思いますが、意見を出していただければ、それを事務局のほうでまとめて、次回に反映させるということだと思います。ということで、論点のところはちょっと足すなりの対応になると思います。

江守委員

ちょっと今日の議論を通じてすごく議論が難しかったのですが、難しかったというのは、どういう発言を求められているのかが途中からよくわからなくなったので、具体的検討事項のところに書かれていることをどうすればいいのかというか、具体的検討事項に(1)(2)とか、そこに文章があって、その文章自体を何か改定するような発言を求められているのか、あるいは例えばこうしていくべきではないかということの問いかけに対する回答するような作文を求められているのかということがわかりにくかったのです。

住委員長

今回は回答する作文は求められていないという理解です。

江守委員

求められていないということが、すごくわかりにくかったと思っています。

住委員長

ここに「事務局対応案」と書いてあるのは、あまりにも抽象的な論点だとみんな困るだろうということで、事務局が親切にそういう対応を書いたので、今回の基本的な議論は、論点としてこういう論点で議論をしていくのでいいですかというのが一番基本です。

その論点について、ああだこうだというのは、次回以降の議論です。大事な点は、ちょっと欠けている論点があるね、この論点はおかしいねというのはあまりないと思いますけど、やはりもうちょっと論点を足したほうがいいねというのが、一番皆さんに期待されるところだと思います。

竹本気候変動適応室長

住委員長おっしゃるとおりでございまして、若干資料づくり、説明不足の点があったことはお詫びいたします。

まずは、この論点自体に過不足がありますかということが一点です。また、さらにこれも深掘りしていくに当たって、具体的にどんな方針で今後調査研究なり、モニタリングを進めていくべきかという、できるだけ具体的なご提案なりを、メールベースでも受け付けておりますのでお願いしたいと思います。今日いただいたご意見、それから今後メール等でいただくご意見を踏まえて、さらにそれぞれのパーツについて、ポイントを深掘りして、より明確な方針づくりができればありがたいというふうに思っております。

江守委員

今「論点」と呼んでいるのは、具体的検討事項(1)(2)とかのことを「論点」と呼んでいるのですね。

竹本気候変動適応室長

私が申し上げましたのは、そういう意味です。

住委員長

1-1とか1-2というのは、その前のこの委員会に出されているクエスチョンというか、大きな論点です。それに対して、こういう具体的な論点で議論をしましょうという作りだと思います。

ただ、非常に論点が抽象的で曖昧というか、漠然としている部分があるので、やっぱり具体的にこういうことと入れていかないと、論点自体がクリアにならないということがありますので、ある程度対応策みたいなものは入れてあるのだと思います。そうは言っても、対応策として、じゃあ予算をとってこういう組織をつくって、こういうふうに事業を展開しましょうというような結論には、簡単にはならないのです。そこはちゃんと全省庁と連携しながら、こういう方向で検討しましょうとか、そういうふうになるというのが、役所の文化だと僕は思います。例えばお金絡みとか具体的な話になりますと、そう簡単に「ほい」と言ってというわけにはいかないと思います。

ただ、それを具体的にどうするかという方向は、全体的に議論しながら、わかるようにしておかないとだめだと思います。また、昨今全体的な連携というか、各省庁がよくお互いに話をして、全体としてバランスよく調整をとることを非常に大事にされていますので、そういうフレームワークは大事だろうと思います。そういう意味で、「地球観測連携拠点」という各省庁を巻き込んだような、ある種のフレームワークが一応できておりますので、それは「適応計画連携拠点」なりを作れば良いのですが、それも難しいので、まずは、こういう既存のものを使っていろいろやっていきましょうということもあると思っています。

よろしいですか。何もなければ、これで事務局にお返しします。

竹本気候変動適応室長

本日は活発なご議論をいただき、ありがとうございました。本日の会議の議事録につきましては、委員の皆様にご確認いただきました後、環境省のホームページに掲載をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。また本日いただいたご意見等を踏まえて、次回の小委員会に向けた準備を進めてまいります。

次回小委員会でございますけれども、ご案内のとおり2月7日火曜日10時から12時を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

住委員長

それではどうもご苦労さまでした。

午後5時00分 閉会