気候変動影響評価等小委員会(第12回) 議事録

日時

平成28年12月5日(月)9:00~12:00

場所

霞山会館Room 1-3

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1) 学識経験者からのヒアリング

    (2) 地方公共団体からのヒアリング

    (3) その他

3.閉会

配付資料一覧

資料

議事次第 [PDF 6KB]
資料1

ヒアリング資料(東北大学、総合地球環境学研究所 中静透委員) [PDF 1,815KB]

資料2

ヒアリング資料(農業・食品産業技術総合研究機構 八木一行委員) [PDF 2,491KB]

資料3

ヒアリング資料(福島県生活環境部環境共生課) [PDF 631KB]

資料4 

ヒアリング資料(兵庫県農政環境部環境管理局温暖化対策課) [PDF 446KB]

資料5

ヒアリング資料(徳島県県民環境部環境首都課) [PDF 514KB]

参考資料

参考資料1 気候変動影響評価等小委員会委員名簿 [PDF 12KB]
参考資料2 気候変動影響評価等小委員会における主な論点 [PDF 10KB]

議事録

午前9時 開会

竹本気候変動適応室長

おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより第12回中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会を開催いたします。

初めに、環境省地球環境局長の鎌形よりご挨拶申し上げます。

鎌形地球環境局長

おはようございます。環境省地球環境局長の鎌形でございます。どうぞよろしくお願いいたします。せっかくの機会ですので、少し最近の状況をご報告させていただきます。

 先月、11月の上旬から中旬にかけて、モロッコ・マラケシュで気候変動枠組条約の締約国会合が開催されました。既にパリ協定が発効されているということで、パリ協定の締約国会合も同じ時期に開催されたということでございます。

会議では、パリ協定の枠組みは決まっておりますけども、詳細なルールがまだ作業途上ということでございまして、そのパリ協定の実施ルール、実施指針を定めるためのスケジュールというものが決まりました。全ての国が参加した形で、しっかりとした議論を進めて、2018年までにルールを決めていくというようなことが合意されたところでございます。

もう一点、同じ会議でのご報告でございます。この会議の場には、閣僚級会合には日本からは山本環境大臣が出席したわけでございますけども、山本環境大臣から、気候変動対策の支援イニシアチブというものを公表いたしました。全部で五つの項目にわたっております。緩和に関するもの、適応に関するもの、そして透明性に関するもの、そしてフロン対策、それからSDGs、こういった5点についての支援イニシアチブを発表したということでございます。

その中で、適応関係でございますけども、既に日本国内で適応情報プラットフォームが今年の8月に立ち上がっておりますけども、これをアジア太平洋適応情報プラットフォームという形で、日本が中心の役割を果たして、アジア太平洋地域の適応情報の収集・整理・提供に当たっていこうということ、また、このプラットフォームを2020年を目途に立ち上げるということを公表いたしました。これは非常に評価を持って受け止められたということでございます。こういった形で、国際的な展開も含めて今後進めてまいりたいというふうに考えてございます。

今日の委員会では、有識者の方をお二方、そして3つの自治体からお話をお聞きするということになってございます。有益な提言をいただけることを期待しているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

竹本気候変動適応室長

ありがとうございます。

本日の会議ですが、現在、委員総数の過半数の委員にご出席いただいており、定足数に達しておりますので、この旨、ご報告をいたします。また、本日の審議は公開とさせていただきます。

それでは、配付資料の確認をさせていただきます。まず、お手元に議事次第がございます。それから、資料1ですが、本日、ヒアリング資料5点でございます。まず、東北大学の中静委員のヒアリング資料。続きまして、資料2が、農業・食品産業技術総合研究機構、八木委員のヒアリング資料。続きまして、資料3が、福島県生活環境部環境共生課のヒアリング資料。資料4が、兵庫県の温暖化対策課のヒアリング資料。資料5が、徳島県の環境首都課のヒアリング資料でございます。それから、参考資料1が委員名簿、参考資料2が気候変動影響評価等小委員会における主な論点でございます。あわせまして、本日、兵庫県から「温暖化からひょうごを守る適応策」というパンフレットの写し、それから、同じく兵庫県の県民モニターのアンケート調査結果の概要、さらに机上に小さなパンフレットがございますが、福島県の温暖化解説というものを配付させていただいております。過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。

それでは、以降、住委員長の方からよろしくお願いいたします。

住委員長

皆さん、おはようございます。お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

いよいよ、大方、来年度の予算編成も目処が立ったと思いますし、来年度に向けて実行する段階に入ってくると思います。そういう中で、建前論の話をしているときはまだ割と楽なのですが、いざ具体的なことをするとなると、100%の具体的なアクションというのはございませんので、やってみるといろいろ問題が起きる。それをどう対処するかという、そういうことが問われてくるのだろうと思います。今日は、実際、そういう面で苦労されている県の方からのお話を聞いて、やはり総論が非常に大事なのですが、かつ各論もきちんとやるという体制でいかないと、恐らくうまくいかないと思いますので、そういう観点で、我々もいろんな現場の声を聞きながら、勉強をしていくという態度が大事だろうと思います。

それでは、まず、前回に引き続き、学識経験者からのヒアリングということで、まず中静委員の方からお話をお願いしたいと思います。

中静委員

おはようございます。

東北大学にずっといたのですが、10月1日から、総合地球環境学研究所にクロスアポイントメントということで、地球研が80%の東北大20%ということで、東京を挟んで行ったり来たりしているところです。

今日のお話は、中北リーダーを始めとして、創生でやらせていただいた研究などの成果も含めていますが、今日のメンバーには、いろいろな会議ですでにお話を聞いていただいている方も多いので、重複する場合にはお許しください。

気候変化あるいは気候変動が生態系・生物多様性に与える影響ということに関して最近の研究をまとめたお話しと、論点として挙げられている点に関しての私の考えをお話ししたいと思います。

気候変化が生物多様性とか生態系に与える影響と適応策を考えると、研究レベルで言いますと、一つは分布移動の話の研究があります。分布移動だけでは、恐らく適応策というのはなかなか難しいというのは、皆さんもおわかりだと思います。それで、生態系の機能とか、生態系サービスの変化として、それを捉えていくということがどうしても必要になるだろうと思っています。もう一つは、環境省の適応策の中にも、自然環境分野で言われていることですが、ほかの分野の適応策としての生態系の利用という点についてもお話ししたいと思います。

これはS-8の森林総研のグループ、松井先生たちがやられた研究ですが、例えば白神山地というような、ブナ林が世界遺産地域の指定要件になっているようなところでも、気候変化が起こると、ブナに適した環境が、シナリオにもよりますけど、100年後にほとんどなくなってしまうというようなことが起こり得ます。ただ、森林は、ご存知のように100年、200年という年数で更新しますので、100年後、仮にこういう気候条件になったとしても、ブナ林がすぐなくなるとは限らないわけです。

同じような分布モデルは、これは創生で高藪さんと共同でやらせていただいたものですが、タケの分布が2100年ぐらいに北海道まで可能となるという結果です。どの時期になればどの場所でタケが生育できるようになるかという予想が可能になっています。タケノコの好きな人は、この時期を待ってタケを植えるとタケノコが採れるという予想になるわけですけれども、ご存知のように、西日本ではタケがどんどん広がって、いろんな問題を起こしています。その問題をきちんと管理できないところでは植えてはいけないという、それが適応策になるということです。でも、この場合も生育に適した気候条件だけの話ですので、人間が植えなければ、そんな大きな問題にはならない。

これは高山植物です。日本の高山というのは大陸に比べて標高が低いので、高山植物は大陸のものよりもずっと温度が高いところまで、日本では分布しています。山が低いですから、温暖化が起こると逃げ場所がなくなって、相当たくさんの種類の絶滅が危惧されているわけです。植物の種類で言いますと、RCP2.6でも、かなりの種について、75%から100%の生育地を失うであろうと予想されています。つまりRCP2.6でもかなり厳しいところに来ているということです。ただ、これも、実際は100年後に、そういう温度条件あるいは環境条件、特に雪の影響なんかも強いですが、そういう条件になるということですので、100年後までにこの対策を打たないと絶滅してしまうという話ではないかもしれない。

高山帯というのは、要するに森林がなくなる標高よりも上のことですから、現在の高木限界のモデルから、高山帯の分布を描くことができます。30年前ぐらいの気候条件から判別した高山帯の分布条件を、現在の気候に当てはめると、この時点でもう消えていてもおかしくないところがいっぱいあるということがわかりますし、100年後は、もうほとんど高山帯に相当する場所は、日本からなくなってしまうわけです。

ただ、これもそのとおりに変化するかというと、そうではありません。30年前と今の空中写真を使って、高木限界がどれぐらい標高の高い方向に動いたかということを、全国30ぐらいの山を写真で調べました。どの山も、少しずつ平均値は高いところに動いているのですが、そのスピード全体を平均しますと、1年当たり0.3メートルぐらいです。温度が上がってきたスピードだけから計算すると、毎年1.7メートルですので、大体5分の1ぐらいのスピードでしか上がっていないということがわかります。これも地域差がありますから、その地域差にどういう条件が効くのかということも、ある程度は推定できます。実際には気候変化そのものの変化から予想されるスピードと、このような方法で実測したスピードの間で高山帯に変化が起きるだろうということが分かります。

もう1つの問題は空間解像度です。今の気候変動シナリオで使っているのは、一生懸命つくっていただいても、1キロメッシュというのがせいぜいですので、その1キロメッシュ推定すると、実は高山帯の山のピークから相当何百メートルも低いところまでが、その1キロメッシュに入ってしまうので、本当にどこを守ればいいかということになりますと、かなり厳しい状況にあります。

次は海の話です。これは国立環境研の山野さんたちのサンゴの分布に関する研究です。温度条件で言うとこの青い線よりも南にしか分布できないのですが、実は酸性化も同時に進行します。サンゴ分布にも海水のPHの限界があります。海水温の低いところほど酸性化が起こりやすいので、この赤い線よりも南でないとサンゴが分布できない、ということになってきます。そうすると、将来、サンゴの分布も北上できない可能性もあるわけですが、実際には、予想されている酸性化の濃度程度でも生きている場所もあったりしまして、その予測は非常に難しいというふうに聞いています。

それと同時に、山野さんのグループは、サンゴの幼生が、あるところから海流に流れて、別なところに供給されていく、そういう海流変化モデルもつくられていて、現在では南から北の方へ比較的幼生が供給されていても、将来はその幼生が行くところと行かないところがあると。場所によっては、非常に移動が難しい場所もあり得るというふうに、移動のスピードですとか、それから、移動できる場所と移動ルートというものがわからないと、こういう生態系の予測が難しく、したがって適応策にも結びつかない可能性が大きいわけです。

山野さんのグループや熊谷さんのグループは、本当にサンゴ礁のいろんなデータをたくさん集めておられまして、非常に精度の高い分布図をつくっておられます。そういう予測を進めていって、スピードですとか、移動ルートですとか、そういうものに迫っていくことが必要になるわけですね。

それとは別に、今度は機能の話ですけれど、創生で一緒にやらせていただいている名古屋大学の熊谷さんの研究ですが、森林植生が気候変化と相互作用を持つということで、非常に精密な生態系のプロセスモデルをつくっておられます。森林が二酸化炭素を吸って酸素を出す、だけど同時に水も蒸散するわけですけど、そういうものを全部取り込んで、気候変化と大気の方の変化と森林生態系の変化を、相互作用を持たせたモデルというのをつくられています。

熱帯林に関しても、いろんな性格を持った樹木が成長していく現象もモデリングできていますので、例えば森林の発達にともなう蒸散量の変化なども予測できます。そうすると、潜熱も含めて相互作用がある程度推定できるというところまで来ているようです。東シベリアにおける気候変動予測では、森林の土壌がどうなるかというようなことも推測できるようになってきているようです。

気候変化の森林の機能に対する影響という点では、温度で分布が変化するという話と同時に、極端気候が増えるということの影響があります。例えば台風が強大化するというようなことで、森林が崩壊あるいは荒廃していくということが心配になってきます。森林の荒廃は、いろんな生態系サービスの劣化に直接繋がるので、台風の強大が森林に与える影響についても、私は非常に関心がありました。そういうことも、ある程度モデル化できるようになってきました。

例えば北海道の2004年18号台風を、モデルで再現していただきまして、非常に細かい風の情報などを推定していただくことが可能になりました。それを組み込んで、大規模な風倒を引き起こした気象要因、これは200メートルメッシュぐらいで推定していただいた気象条件に、生物要因、例えば林齢、樹高、人工林か天然林か、それから地形要因、などを組み込みまして、風倒が起こっているか起こっていないかを予測するというようなこともされています。

そのモデルを使いますと、実際の風倒がある程度再現できます。さらに、温暖化した場合に同じルートを通る台風というのを再現していただいて、どういう影響になるのかということをやっていただきますと、本州あたりでは台風が強くなるのですけれども、実は北海道に入る直前に台風が弱くなってしまいます。その理由は気象を専門とされる方に詳細はお聞きしていただきたいのですけども、結局、台風が弱くなったために、被害自身も小さくなったという結果でした。でも、人工林の方が風倒にはかなり弱いということは明確に出ます。ですから、台風が強大化するとした場合の適応策として考えられることは、できるだけ、人工林(多くは針葉樹の一斉林)から天然林に近いような林に変えていくということだろうと思います。

それから、森林の荒廃を招くのは、マツ枯れ等病気の問題も大きいです。以前から、例えば気温が何℃上がるとマツ枯れの病気がどこまで進行するか、という予想がされています。現在は青森県で止まっているのですが、それが北海道に入っていくというのは、シナリオごとに予測できます。病気を運ぶマツノマダラカミキリという昆虫が、生活史を全うできる気温条件というところで決まるわけです。今、東北森林管理局では、岩手県などに有名なマツ林がいっぱいあるのですが、これをできるだけ早目に切って、それをマツ以外の樹種に転換しようなんていうことも現実に考えられているようです。

マツ枯れが起こっていくと、生態系サービスも劣化していくだろうという意味でお話ししているわけです。これは北大の柴田さんたちがやられた研究ですが、土地利用変化と気候変化のシナリオを組み合わせて、森林生態系など、いろんな生態系から流れ出てくる窒素が、河川の水質に対してどういうふうに影響を及ぼすのかという研究も進んでいます。水、無機体の窒素、それから有機体の窒素と、無機体のリンと有機体のリンと、それからSediment(沈殿物)について、気候の変化、土地利用の変化に応じて、ある程度地図情報として推定できるようになっています。同時に農業生産物とのトレードオフなども考えられるようになってきています。

それから、もう1つ水の質の話をしますと、これは東北大の占部さんたちにやっていただいたダム湖の研究です。国交省が持っている全国のダム湖のプランクトンデータを用いて、ダム湖の流域の土地利用と、それから気候、気象条件と、それから、そこの水の中のP(リン)と、クロロフィルaとの関係について研究が進んでいます。このクロロフィルaで、水質といいますか透明度が決まるのですけど、様々な要因間の関係を解析しますと、土地利用がかなり効いているのです。単相関では、気温とクロロフィルa量にはかなり強い相関があるのですが、こういう要因間のパス解析をしますと、気温からクロロフィルa量に直接影響することは余りなくて、どうやら土地利用を介して来ているらしい。あるいは土地利用を介して、リンを介して来ているらしいということです。逆に言いますと、気温が上がっても、土地利用が変わらなければ、この場合の土地利用というのは、要するに畑とかを増やさないということ、森林を今のままの状態で確保するということですけど、そういうことであれば、透明度はそんなに大きな影響がないのだというようなことも、統計モデル的にはわかっています。

今の例は水質でしたけど、生態系サービスそのものが定量的に評価できないとか、地図上に落とせないという悩みがあって、なかなか、温暖化・気候変動の研究も、生態系サービスの研究と結びつけられずに来たわけです。しかし3月にJBO2という生物多様性総合評価が発表されました。前のJBO1のときは、ほとんど生物そのもののアセスメントしかできなかったのですが、今回は生態系サービスについても定量的に評価できるようになってきたことがわかります。JBO2では、供給サービスだけでなく、調整サービスではこんなものとか、文化的サービスではこんなものが、ある程度、全国レベルで動きが推定できるようになったということなのです。

それで、例えば絶滅危惧種の分布などに関しても、例えば鳥類の分布で、現在の実際の分布と、実際の保護区がこういうふうにあるので、例えばあらたに保護地域に指定できる面積に限りがあるとき、どこを優先して指定したらもっともたくさんの種を残せるかというようなことも推定できるようになってきています。実際に、さまざまな生態系サービスに関しても、例えばNO2の吸収量ですとか、地下水涵養量の変化などというのが、森林がある場合とない場合とで比較していますけれども、そういうものが地図化できるようになったので、これと気候条件、あるいは地形条件とあわせた形で、これからの気候シナリオにあわせて、どの時点でどこが脆弱になりそうなのかということが推定できるようになっていくだろうと思います。

最後に、Eco-DRR(Disaster Risk Reduction)とかEbA(Ecosystem based Adaptation)という点について話します。環境省の適応策の中でも、こういう言葉が盛り込まれているわけですが、要は今までコンクリートといいますか、人工構造物中心で防災ですとか適応策を考えてきました。人工構造物は、その性能も正しく評価できるのですが、不確実性は大きくなるものの、生態系を利用した場合にも、それに近いことはできるだろうということです。また、生態系を利用すれば、災害時以外のときにも、いろんな生態系サービスが利用できます。だから、両者のよいところを組み合わせた技術というのを作っていくべきじゃないかということが、欧米を中心に議論されています。震災以降は、そうした考え方も必要だろうということで、日本でも議論が活発になっています。生態系を上手に利用すれば、防災や減災も期待でき、それらに対する適応もできると同時に、気候の安定化ですとか、生物多様性の保全ですとか、炭素固定とかというサービスに加え、文化的なサービスもあわせて期待できることになります。生態系を利用して、こういう多面的な機能を利用したような適応策を考えると、地域もよりレジリエンスを高めることができるという考え方が少しずつ広がっています。国のレジリエンス懇談会の中でも議論され、今年の国土強靭化アクションプランの中には、グリーンインフラですとか、グリーンレジリエンスという言葉を入れていただいています。こういう方向も、これから考えていくべきだろうというふうに思います。

生態系の研究面から見たときに、気候変化の影響評価や適応策について、その方向性をまとめると、意識してこれから積極的に進めるべき点は、「適応策の策定に利用できるモデル」や、「他分野の適応策が生態系に与える影響」、「適応策としての生態系利用」です。また、「不確実性の評価」、この中には生物間相互作用という非常に厄介な問題もあるのですけれど、それも含めて不確実性の評価をしていく必要があるでしょうし、適応策には「影響の生ずるスピード」が考えられなければいけないので、変化スピードですとか、相互作用を考慮したプロセスモデルというのは、どうしても必要になると思います。そのほかに、観測事実ですとか、それから、シナリオの高解像度化とか、それから社会経済シナリオとの組み合わせというようなものが、必要になってくるだろうというふうに思います。

最後に、この委員会の論点として挙げられたことに対して、我々の分野から言えることというのは何かということです。例えばいろんな予測をしたり適応策を練ったりしたときに、重要になるのは植生図です。しかし、残念ながら、環境省の植生図は、全国をカバーする1/25000の植生図がまだ完成しておりません。本当なら5年とか10年ごとに更新されていく状況がないと、なかなか土地利用シナリオと結びつけていくことは難しくなるわけです。植生図の定期的更新というのは、本当に急務じゃないかと私は思っています。

それから、不可逆現象の理解です。種の絶滅というのは典型的な不可逆現象ですが、それが起こることによって、レジームシフトといって、条件を改善したからといって、もとの状態に戻ることが困難になる状態を言うわけで、ティッピングポイントと似た概念ですけど、そういうことは、もう生態系ではしょっちゅう起こっています。こうした現象がどこでどんな状況で起こるのかという研究をしていかなければいけないと思っています。

それから、地方公共団体の支援ということに関しますと、生態系サービスというのは、地方公共団体の中で認識されている部分もあるのですが、なかなか認識が進んでいない部分もあって、その認識を高めていくという作業というのはどうしても必要になります。それがないと、適応策の中に生態系サービスですとか、生態系を利用した防災・減災という考え方がなかなか入り込んでいきません。防災や減災のコストを誰が払っているのかとか、誰が利益を受けているのかということも含めて、もう少し明確にしていく必要があるだろうと思います。そのために、地方公共団体レベルで適応策を考えるとなると、やっぱり高解像度の気候変化シナリオというのが必要になってくると思います。

海外における影響評価の推進という点では、日本のように、生物多様性や生態系の情報が豊富な国は少ないということを考えなくてはいけません。今日お話ししたようなモデルや予測も、そういう詳細な情報に裏打ちされているからこそできるわけで、途上国において、生物多様性とか生態系情報の充実ということは重要です。我々も途上国でも研究していますが、まだまだ情報が十分でないためにできないことがたくさんあります。

それから、日本にも一部あてはまりますが、いろいろ研究がやられている割には、その情報が海外に発信されていない。情報の英文化とかデジタル化も進めていかないと、影響予測や適応策に結びつかない部分があると思っています。もう1つは、生態系サービスに対する認識も、先進国に比べて大分遅れている部分があるので、その認識を高めていく作業を一緒にやっていく必要があると思っております。

どうもご清聴ありがとうございました。

住委員長

どうもありがとうございました。それでは、何かご質問等ございましたら。

山田委員

植生と防災に関して言及されましたので、ちょっとだけ、質問なのかコメントなのかわかりませんけど。

近年の日本の洪水災害というのは、鬼怒川みたいな大河川もありますけれども、中小河川の氾濫が圧倒的に多いのです。そこで、何がどうなっているかというと、川に木が生え過ぎちゃっているのですよね。それで、適正に切りたいのだけども、今度は、そこが野鳥の巣になっているとかあって、なかなか切れない。どんどんこのまま行くと、昔、我々が子どものときに遊んだ河原が、もう植生だらけで、川に入ることもできなくなっている。これを適正にしたいというのもあるですが、温暖化を通じて、そういう本来の川が、もう川じゃなくなってきているほど、植生が増え過ぎていることの効果を今後どう考えるかというのは、非常に厄介な話なのです。それで、エンジニアリング的には、流れている石を使って守れなどというのですが、流れてきた石で護岸をつくっても、どうせまた流れてしまう。だから、その辺が非常に厄介なので、ぜひ、そういう観点の試算や研究もお願いしたいですね。

中静委員

川が変わってきていることに関しては、生物的にも、すごくいろんな影響が出てきています。例えば河原がなくなっているために、そういう場所に巣を作る鳥が減っているとか、あるいは、河原で森林が広がっていますけど、そこにはニセアカシアというような、外来種で非常に問題になるようなものが広がっているとかという事実があります。そういう点も含めて考えていくべきだろうなと思います。どうしてそういう変化が起こったかというと、いろんな意見があると思いますけど、上流で防災のために砂防ダムが作られたからだという説もありますし、昔に比べて森林が育ってきたからだという説もあって、その辺は、人工構造物と生態的な方法とを組み合わせたりしながら、総合的に考えていく必要があるだろうと思っています。

木所委員

水産研究所の木所です。貴重なお話ありがとうございます。

今回、生態系の予測についてだと思うのですが、基本的に、私も生態系的な研究をやっているので、いつも思うのですが、我々の生態系に関する知見というのは、やっぱり断片的なものに過ぎないわけで、今回もサンゴとか高木限界の例で示されましたように、どうしても、予測というのは、結局全てを予測できないわけです。何を基準にするかによってまた予測値も変わるわけです。そこで何をもとに予測して、何が足りないかと、そういったことが大事になってくるのです。そういったものをもとに、結局、研究者の方が、一般の人に説明する際、こういったものを用いて予測しています、というと、それを受け取った側は、それでいいのかとか、じゃあどうしたらいいか、という、その辺のギャップも生じていることを感じます。特に説明の方法がなかなか難しいのかなというふうには感じています。

特に生態系サービスとか、農業とか漁業とか、産業等から関連すると、そのときの影響も大きくなったりしますので、その辺、出し方も難しいかなと。かといって、出さないと何も情報がないわけですので、その辺の、今後、この委員会を進めていく上でも、次の農業も含めて、何か大きな問題になってくるのかなというふうには考えているのですが、その辺について、例えばどういった情報の提供、細かく説明するのがいいのか、ポイントを絞って、ある程度、枝葉を落としての説明が大事なのか、その辺について、何かコメント等ありましたら、お願いしたいと思います。

中静委員

私は、ある程度、枝葉を落とした説明の方がいいのかなというふうに思っています。重大な影響がどういうところに出るのかということの説明をやっぱりするべきです。例えば森林の分布移動が起こったとしても、スムーズに移動が起これば、生態系サービスを考えるうえで問題は少ないという可能性もあるのですが、本当に分布がスムーズに変化しなかった場合には、いろんな影響が起きる。例えば筑波山のブナ林なんかが、衰退していったりとか、病気で崩壊していく林が増えたりとかするわけです。そういうときに、今までのような土砂防備ですとか、崩壊防止というようなサービスがどのぐらい得られるのかというようなことが問題となります。タケの分布にしても、それが広がることでどういう影響が出るのかということを明らかにする必要があります。

ですので、分布移動がうまく起こらないとか、病気が広がるということが、どういうふうに結びついていくのかという影響を大きな話として説明したうえで、不確実であることも含めた説明をする必要があると思っています。

小池委員

山田先生のコメントと多少重なるのですけども、河川管理、治水の方では、これまで生態系のEco-DRRというのを全く考えてこなかったのです。ヨーロッパを中心にこういう考えが出てきたときも、日本のハザードは大き過ぎて、とても考えられないというスタンスが強かったのです。ただ、最近、先ほどお話があったように、思いもつかないことが中小河川で起こる、特に中山間地等で起こるようになってきて、まだ計画の内数には入っていないのですが、このような効果も積極的に考えていこうという機運が高まってきました。去年、河川管理の方では、想定最大外力という概念を砂防法の中で位置付けて、それをどうやって算定するかまで提案したのです。そういう想定最大に緩和するような機能として、Eco-DRRというものをやっぱり考えていこうというのが、特に今年の岩手、北海道の災害を受けて、今、議論が始まっております。

お尋ねしたいのは、国内でこういうものを生態学の方で評価した事例というのがあったら、ぜひ紹介していただけるとありがたいのですが。

中静委員

私自身はそんなに詳しくないのですけども、最近、グリーンインフラ研究会にも参加していまして、その研究会からグリーンインフラに関する本が1月に出ます。そこには非常に多く事例が、ローカルな事例で、国交省さんがやられた事例ももちろんあるのですが、地域の人たちと相談しながら、今までとは違う形で遊水池を作ったりとか、流路を災害が少なくなるような形で変えて、そこを自然復帰したりするというような事例が、たくさん出ておりますので、そちらを多分見ていただけるといいかなと思います。

住委員長

小池委員は、今回初めての参加なので、少し自己紹介をお願いします。

小池委員

なかなか参加できず大変申し訳ありません。今日も早く出ないといけないので、ちょっとばつが悪いのですけど。

東京大学の小池と申します。私は、今、ユネスコの水災害リスクマネジメント国際センターというところもクロスアポイントメントで勤めておりまして、水災害関係が、気候の変化とともに、どう変わるかというようなことは非常に重要なテーマでございまして、昨今、そういう災害が多いので、ぜひ協力してやらせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

住委員長

ほかにご意見はありますか。

高橋委員

パリ協定以降、1.5℃目標が注目されるようになりました。世界的には1.5℃と2℃の違いを論ずるときに、よく生物・生態系への影響が強調されるのですが、日本の国内で1.5℃と2℃は大きな違いがあるとお考えになりますか。

中静委員

2℃と1.5℃の違いは、対象によっていろいろだと思います。例えば高山植物なんかは、もう今の気候でも既にかなり危ない状況になっていると考えざるを得ないところはあります。逆に、例えばタケの分布なんかは、高藪さんと一緒にうちのグループが推定させていただいていますが、1.5℃とか2℃ぐらいだと、余り大きな差がないというようなこともあります。RCP8.5ぐらいまで行くと影響が大きくなるのは、もちろんですけれど、1.5℃と2℃ぐらいですと、どのぐらい違うかという差を論じるだけの解像度の高い推定がないケースが結構あるのかなと私自身は思っています。

中北委員

どうもありがとうございました。

今ごろお聞きするのもどうかというところですが、最後の酸性化の話がありましたね。海洋の酸性化の情報というのは、大体、どこから出てきている、大洋モデルから普通に出てくるものでしたっけ。

中静委員

それはどうでしょう。私たちはエンドユーザー的なところがあって、よくわからないのですけど。科学的なモデルとしてはそんなに難しいモデルではないのかな、と思っていますが。

中北委員

入っていたら出るということですか。

大体、この影響評価に、ある程度満足いくようなぐらいのスケールというか、何というか、そこら辺は、影響評価から見てどんな感じでしょうか。

住委員長

それは無理があると言った方がいいのではないでしょうか。無理があるというか、スケールは大きいと思いますよ。生態系の影響評価は、どうしても割と個別で狭くなりますよね。だけど、海洋酸性化というのは、もっと大きなスケールだと思いますので。

中静委員

多分、地域的なばらつきもすごく出るだろうと思います。

住委員長

そこにものすごいスケールギャップがあって、そこを常に注視しないといけないと思います。

生態系の研究者は身の回りの生態系をまずは注目しますので。

中静委員

予測も難しくて、フィリピンのある海域だと、100年後ぐらいに予想されるような酸性濃度でも、サンゴがまだちゃんと生きているところもあるという話もあります。サンゴの進化的適応といいますか、生物としての適応がかなり速く進むという説もあります。そこも非常に不確実な部分なので、恐らく、今できる予想は、かなり粗々のもので、細かく見ていくといろんな問題点がある、そういう状態にあるだろうなというふうに思います。

中北委員

どうもありがとうございました。

住委員長

いろいろとまだあると思いますが、時間ですので、次に移りたいと思います。本当にどうもありがとうございました。

それでは、八木先生、お願いします。

八木委員

お待たせいたしました。農研機構の八木と申します。

このヒアリングのご依頼で、まず自分の研究の説明をということでしたが、私自身、専門が土壌でありまして、どちらかというと緩和策の研究をしてまいりました。しかしながら、農研機構、私の組織の中で、気候変動の研究を取りまとめる立場にありますので、今日のお話は、農研機構を中心とした我が国の農業分野での研究の状況ということでご報告したいと思います。

さらに、農林水ということでご依頼いただいたのですが、林や水は、先ほどの中静先生の話題にもありましたし、ご専門の委員の方もいらっしゃいますので、ここでの話題は農業分野ということに絞らせていただきます。

それで、研究の前に、農研機構ということで、この4月から、下にありますように、四つの組織が一つになりまして、新しい農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)となりました。私が所属していた農業環境技術研究所というところは、この中の重点化研究センターの1つで、農業環境変動研究センターという名前になりました。前と同じように、農研機構の農環研とお呼びいただければありがたく思います。

それで、農業関係の気候変動の研究ですが、過去10年ぐらいの歴史を振り返ってみますと、各省庁でのプロジェクトでずっと対応されてきております。農林水産省の中でも、これ以前から始まっていましたが、日本全体を対象としたようなプロジェクトが、それぞれ3期、4期ほど続いております。初期のころは炭素循環ですとか影響評価、基礎的なことが対象だったわけですが、それが品種・育種ですとか生産ということで、実際の現場の問題にだんだん移ってきているわけです。これに加えて、一部の研究者は、環境省のS系の研究ですとか、あるいは文部科学省系のKAKUSHIN、RECCA、SI-CAT、そういったものに参加させていただいている研究者もございます。

そして、農業分野の、これは適応計画の中の農業・林業・水産業の部分を農林水産省がまとめて、こういった形で出しているわけですが、農業のどの品目につきましても、あるいは病害虫・雑草につきましても、野菜だけはまだ情報が不足して評価不能ですが、重大性が特に大きい、そして緊急性、確信度も高いものが多いということで、国民の関心も高いということで、農業というものを扱うことが、気候変動の影響評価・適応に非常に重要なものであるということが理解されるところです。

それで、農業の重要性、あるいは脆弱性ですが、これは気候変動、温暖化とは違いますが、明治からの水稲の全国平均の収量の変化を示したものです。徐々に増えてきているのですが、4~5年に一度、この青い丸で示してあるような冷害年に大きく生産量が落ちる年がある。皆さんもよく記憶にある93年ですね、平成5年の平成の大冷害、これは全国の収量が26%減少したということです。歴史的に、こういった冷害の対策というものがずっととられてまいりました。

それに対して、今、新たに加わっているものが高温の問題でありまして、お米(水稲)の場合ですと、高温ですと収量よりも品質というものが問題になります。お米が実るころに高温に遭うと、お米が白く濁ってしまうという、白未熟粒と呼んでおりますが、こういう現象が起こります。これが起こると、同じだけ量がとれても、品質が悪くなります。そうすると、グレードが下がります。1等米、2等米、3等米、規格外ということで、農家の収入に大きな影響があります。これは既に九州ですとか西南日本、さらには本州の中央部もそうですね、高温年に幾つか起きているところです。あと、割れているようなお米も出ます。さらには、今後予想されることとして、さらに高温になったときに、不稔という問題が考えられます。これは開花期に34℃-35℃、これはイネの花ですが、数時間しか咲かないのですけども、この数時間に34℃-35℃以上の高温に遭うと、花粉を供給する葯の裂開が阻害されます。そうすると、花粉が落ちないで受精しないということがありまして、温室の試験では、34℃-35℃以上の1℃の温度上昇につき約16%、この不稔が増加するということが示されております。

不稔はまだこれからの話ですけども、品質低下ということが現在も非常に大きな問題で、2010年が非常に暑い夏でしたが、そのときの全国の1等米比率の割合、それと直近5年間の平均値との差を地域ごとにここで示しております。このように、各地域で1等米の比率が落ちて、大きな問題が出ております。これは『日本の気候変動とその影響』(2012年版)に示されているものです。通常年の1等米比率は、ここに示してあるように約80%ですけれども、この年は60%程度に低下してしまったと。特に九州、中国・四国、北陸と東海で、影響が大きかったということになります。

これを回避するための適応技術ですけれども、肥料の管理と水の管理で、ある程度緩和できる、適応できるということが示されております。これ、お手元の資料にないものです。人から借りてきたもので、お見せするだけで申し訳ないのですが、猛暑でお天気のいいときと、曇りがちだけどムシムシしている夏では、全く違う対応をとります。例えばこちらの方では肥料を増やして、中干しというのは、水を数日間から1週間落とす処理ですけども、水を落とす期間を短縮する。逆に、ムシムシしているときは、肥料を控え目にして、中干しを徹底するという、こういう管理方法が開発されております。

こういった情報を農家に提供するために、気象の早期警戒、そして災害管理システムというものの開発を今進めているところです。これは、その日から10日程度先の気象を予測する情報を提供します。そして、高温障害の危険があるときには、どんな肥料を与えたらいいか、水をどうしたらいいか、そういった情報を提供することを、全国的にメッシュを切って、Webで情報を発信するようなシステムを今開発しているところです。これは高温だけじゃなくて、既に東北の「やませ」という低温障害、低温被害について、この技術が開発されて使われているということです。それを応用して、高温ですとか、フェーン、それだけではなくて、病害虫、そういったものにも活用しようということで、今、開発を進めているところです。

これは、今までお話ししたのは現在のお話ですけども、将来、さらに高温によって品質の低下が起こると。この図は、良質米、先ほど申しましたような1等米等の良質米の比率の低下の割合で、この評価は環境省のS-8で出された成果だと思うのですが、モミが実るときに、26℃以上の高温の日の割合を積算したものから評価しています。そうすると、現行移植ですと、今世紀末ごろには、現在の管理をずっと続ければ、日本のほとんどの場所で減収が起こることになります。北海道は例外です。これに対して、移植の時期、つまり田植えの時期をずらすことによって、ある程度、影響を軽減することが可能だという評価が行われております。

これは、もう少し細かく地域的に評価することも今開発しているところです。例えば新潟の長岡で、コシヒカリの場合を例にとって、2090年代に、何月の何日に田植えをしたら、今お示ししました高温被害のリスクが増えるかということで、リスクの程度を色で分けているところです。現行移植の5月の上旬、ゴールデンウイークごろに田植えをしますと、赤、オレンジが大きくなって、リスクが大きいと。それを軽減するためには、ここが7月初めまで、2カ月ずらす必要があると。ただ、これでは生産量も落ちますし、大きな問題があります。じゃあ、今度は高温耐性品種、「あいちのかおり」という耐性品種を移植したらどうかと。そうすると、同じように被害が起こるのですが、これを軽減するための移植、田植えの移動は1カ月で済むということになります。これは一つの例ですが、こういうシステムを作って、もう少し事細かに地域に情報を提供するようなシステムを今開発しているところです。

今まではお米の話、イネの話をしてきましたが、水につきましては、全国の336流域で、水の動態ですとか、用水・排水の状況、そういったものがメッシュ化されております。これを使って、将来の水需給に対して、農業に使える水がどうであるか、そういった評価が行われております。気候モデルを使って計算をし、10年の渇水流量の確率、10年確率渇水流量というもので評価しておりますが、水が足りなくなるリスクというものが多くの地域で示されております。

これはその典型的な例で、新潟県の高田の流域ですけども、ここは特に、降雪量の減少によって、春先の水が少なくなると。春先というのが、田植えに必要な水ですので、そうしたときに、上流部では大丈夫だけど、下流部で水の量が足りなくなりそうだと指摘されております。

後は果樹ですね。大きな問題として研究が進んでおりますけれども、リンゴ、ミカン、そういった主要果樹が、温暖化によって適地が北に上がっていくことが考えられます。これらにつきましては、これはウンシュウミカンの例ですけども、現在の栽培適地に対して、2060年代にどう変わっていくか、こういう情報を提供して、すぐではないですけども、植え替えを計画的に進めていくような情報を提供するということが、研究が進んでおります。これはリンゴです。北海道は、今、より低温過ぎるのですが、2060年代では、北海道が主要産地になる可能性が示されております。

以上のように、農業分野、農水省の各種施策がありまして、それに対応して、研究の分野でも、そのニーズに合わせたアウトプット、アウトカムを出すようなことを考えて研究を進めております。その中には、施策オプションの策定に貢献するようなことですとか、気候変動影響のリスクをわかりやすく提示すること、そして農家や現場の方への適応策導入のインセンティブ付与、あるいはグローバルな問題があります。下の方は、緩和や、国際的なプレゼンスですけども、こういったことを目標に研究を進めているところです。

最後に、論点に対するコメント、意見ですけれども、なかなか全部にお答えはできないのですが、特に(3)番の地方公共団体等の支援について幾つか申し上げたいと思います。

まず、何よりもユーザーのニーズ把握と、それをもとにした情報や支援ツールの提供ということが第一に重要であると思います。特に影響評価情報の不足している、今日は例としてイネと水資源と果樹とご紹介しましたけど、この三つは、比較的研究や情報整理が進んでいる部分であります。そのほかでも、地域によっては主要な作物がありますので、そういったものに対する情報の収集・発信というものが求められると思います。影響評価だけではなくて、可能な限り、適応策もあわせて提示することが重要でありますし、適応策の研究開発、技術開発も進める必要があると思います。

それと、リスクだけではなくて、便益についても積極的に情報発信が重要です。先ほど申し上げましたように、北海道でリンゴがとれる、あるいは北海道でコシヒカリがとれる、南の方では熱帯の果樹の生産が可能になります。農家にとっては、悪いことだけではありません。そういった便益、メリットについても、積極的に研究を進めて、情報発信することが必要だと思います。

その例について、これも農水省の資料ですが、幾つかの果樹では、既に産地化しているようなオレンジだとかブドウがありますし、ライチや、ウンシュウミカンは技術開発・普及の段階でいます。野菜ではクウシンサイと書いてありますが、クウシンサイは中国や東南アジアでよく食べられている、油炒めするとおいしい野菜ですけども、こういったものが産地化を既にしていますし、キクの南の方の品種が使えるということがあります。

それと、あと数点ほどですけども、我々の情報発信だけではなくて、受け手の側の地域、公共団体、これらが主体的に影響評価を行っていくための専門家の養成が必要だと思います。これは農業の団体や、サイエンスコミュニケーター、インタープリター、研究機関の情報を地域に、あるいは現場の農家の方に提供する、その仲立ちをやっていただくような方ですね。

それと、行政的には、環境省で進められております気候変動適応情報プラットフォーム、それと他省庁団体研究機関の既存のプラットフォーム、あるいはこれから計画されているプラットフォーム、それをぜひうまく効果的に連携させていただくことが、ユーザーにとって混乱のないことかと思います。

例えば農業分野では、農業改良普及支援協会というところで、農業温暖化ネットというものを情報発信のサイトとして公開しております。あるいは、私どもも農水省のプロジェクトの情報発信を行っております。ですから、これらをうまくリンク、繋げることによって、さらにユーザーにとってメリットのある、役に立つことができるかと思います。

それと、最後に、農業分野の既存の国内ネットワークというものを活用すべきだということです。この図は、私が国連のFAOの会議で日本の農業の状況について紹介するときに使ったものを日本語訳したものですけども、歴史がありまして、日本の農業分野のネットワークというものは、すごいものがあります。ついこの間も、農協改革で自民党農林部会の小泉進次郎さんが大分苦労されていたところですけれども、ここには議員先生は入っていないですが、これを逆にうまく使うことによって、情報発信や、地域での対応というのが使える組織です。地域には、各県に公設の試験研究機関、農業試験場がございます。同時に、都道府県の各地域に農業改良普及センターという組織があって、現場の農家の方の指導、あるいは土壌、作物の分析などの支援を行っております。農業団体もございます。なかなか敵にしますと厄介ですが、これを味方につければ、うまく生かせることができるということです。

(1)番と(4)番について、最後にちょっとだけ。「研究調査の推進、情報や知見の集積」ということで、農業分野では、将来の農業従事人口や、経営規模、生産力、あるいは輸入農産物等が、今後、数十年で大きく変わっていく可能性がございます。ですので、将来の社会経済シナリオ、それをまず考えること、それを複数策定して対策を考えることが何よりも重要だと思います。不確実性評価も含めてですね。

海外に対してですが、世界の食糧需給の変化、途上国における気候変動の影響評価等の支援です。ともに我が国の食糧需給、安全保障にとって必須の問題であります。しかしながら、まだ戦略的な取組ができていないと思いますので、今後の課題と考えております。

以上です。どうもありがとうございます。

住委員長

どうもありがとうございました。それでは、何かご質問、コメントございましたら。

小池委員

どうも包括的にありがとうございました。

1点、私、水の研究者ですので、水のところをお聞きしたいのですが、自然流況でこういう計算をすると、雪も早目に融けますし、雪でなくなる場合も多く出てきますから、こういうふうに渇水流量・低水流量が減るのですが、短期的・集中的な雨の頻度が増えますので、貯留施設があると、かえって低水流量は増やせるというような結果がいろんなところで出てきています。農業サイドでは、そういうご検討はされておられませんか。

八木委員

私も、この情報は、関係者からいただいただけで、詳しいことを伺っているわけではないので、申し訳ありませんが、はっきりしたことは申し上げられません。ただ、これは私の前の農村工学研究所、今は農研機構の農村工学部門となりましたけども、そこで開発しているシステムでありますので、当然、自然の水だけではなくて、ため池ですとか、農業施設、灌漑排水施設、そういったものを考慮に入れて評価されているものだと思います。

山田委員

昔、30年ぐらい前に、北海道大学にいたとき、石狩川のピーク流量というのは、5月の連休の、5月5日ぐらいだったのですが、最近は、ほとんどもう4月の半ばか前半ぐらいがピークになって、5月の、北海道は田植えが遅いから、田植えのときにはもう水がないという。それから、新潟でも、阿賀野川でも早く融雪が出ちゃって、本当に代掻きして田植えをしたいときに、水が少し足りない。

絶対的に足りないというのと、農業にとって足りないという、二つあるのですが、ぜひ検討してほしいなと思うのは、そういう県に行ったときに、水利権を少し弾力的に運用できませんかと言うのです。つまり、本当に必要なときにもう少し使えるようにできないかということなのだけど、農家の方は大分歳になってしまっているから、もうそれをやる元気がないと。でも、誰かがやってあげない限り解決しないので、水利権の弾力的運用が必要です。でも、そこまでやったとしても足りないよねというところをどうするかというのが、キーになるのかと思っています。ぜひ、水利権のようなものも、将来どうすればいいのかというのを検討してほしいなと。多分、されているかと思いますけれども。

八木委員

貴重なご意見ありがとうございます。

もちろん科学的な対応だけではなくて、行政的、施策的な対応というものをセットにしてということだと思いますので、農水省の方もいらしていると思いますし、関係者にも伝えたいと思います。ありがとうございます。

平田委員

どうもありがとうございます。

今、お話をお伺いしていて、ふと思いついたことですが、適応策、土地利用の変化を伴わない適応策だと、その中で自分の身の周りのことだけやっていけばいいという話も、生態系はありました。よく考えると、適応策を考えた結果、例えば、私、森林出身ですけど、森林の方に対しての土地利用変化がある、または、ここはちょっと適さないから、森林に戻さなきゃいけないとか、いろんな土地利用間での何か変化が適応策に伴う可能性があるとなってくると、こういうところでもそうでしょうけれど、かなりいろいろなところの関係をうまく見ながら適応策を考えていかないといけないところが出てくるのではと、今、お話を聞いていて、感じました。

八木委員

またまた貴重なご意見ありがとうございます。

おっしゃるとおりだと思います。土地利用の問題は、気候変動への対応だけではなくて、それ以前に、農業構造の変化ということで、非常に大きな問題が既にあります。耕作放棄した農地というものをどうしていくかということは大きな課題であります。森林に戻すのも1つの方法かもしれません。今、将来の気候変動に対応して、どういう管理をしたときにベストなことができるかということをあわせて検討することは、大きな課題だと思います。ありがとうございます。

秋葉委員

2010年の気象と玄米品質のスライドのところで、その対応として、肥料とか水で適応したということでした。次のスライドの早期警戒・栽培管理支援システムでは、病害虫については、その発生予測、栽培管理支援情報として、病害虫発生危険情報や病害虫防除適期を提供するとのことでした。私の専門は水道分野で、一般論として地球温暖化による気候変動は、将来病害虫の発生を促し、農薬の使用量を増加させることになり、水道水源の微量有害物質のリスクは大きくなるといわれております。前のスライドの玄米品質で肥料や水で適応したということですが、農薬はどのような位置付けになっているのでしょうか。そこのところをお聞かせ下さい。

八木委員

農薬の問題だけに絞ると、病害虫の発生拡大防止ということに関して、まず、1つの有用な方向だと思われますが、それはオプションの1つですよね。オプションとして考えるということで、そのときには、もちろん水源の汚染のリスクも含めて考えるということです。いろんなご意見をいただきましたけども、1つのことだけ考えていたらいかんということですかね、答えは。温暖化の対応ということで大量に出てくるのだけど、それに派生して、幾つものことが出てくる、問題が出てくるのではなく、それを総合して考えなければならない。地域の方は、多分、もうよくご承知だと思うのですけども。ということかなと思います。

中静委員

例えば気候が変化したときに、作付する作物を変えるとか、品種を変えていくというのが、有効なものの適応策の一つになると思うのですが、イネなんかは毎年植えるということもあるのですけど、果樹ですと、作物を変えると、時間もかかりますし、農家さんが持っている技術体系そのものを、新しいものに変更せざるを得ないということになりますので、単純な適応策ではそうだけれども、かなり抵抗も大きいのではないかと思うのですけど、その辺はどうでしょう。

八木委員

はい。おっしゃるとおりです。最後にお示しした、リンゴの図が出たとき、長野県で大騒ぎになったというようなお話も聞いております。ですので、1つは長期的なしっかりした戦略計画というものを、地域、自治体でとっていただく材料にするということと、余計な混乱を生じないような配慮ということが非常に重要なのかなと思います。

住委員長

よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

それでは、次の議題に移りたいと思います。次の議題は、各地方公共団体からのヒアリングになります。本日は、福島県、兵庫県、徳島県から、気候変動への適応を担当する部局の方においでいただきました。それぞれプレゼンテーションが15分程度、質疑応答を5分程度としたいと思っております。地方公共団体の皆様には、気候変動の影響評価や適応策に関する取組の概要について紹介をするとともに、国として地方公共団体等の支援をどのように行っていくべきか、ご意見、ご提言をお願いしたいと思います。

それでは、まずは福島県の方からお願いをしたいと思います。

福島県(荒井主幹)

福島県環境共生課の荒井と申します。本日はよろしくお願いします。

何分、このような場でお話しする機会が初めてなものですから、とりとめのない説明になってしまうかもしれません、予めご理解をお願いいたします。

本日、お話しする項目ですが、福島県における気候変動の影響評価や適応策に関する取組の概要、それから気候変動影響評価等小委員会の主な論点のうち、(3)の地方公共団体等の支援に関して、要望みたいな形になるかもしれませんが、お話しさせていただきたいと思います。

初めに、福島県における気候変動の影響評価、概要についてです。

平成27年度に、福島県では気候変動と影響の予測を委託で行いましたが、実はこれを事業として予算要求したのが26年の夏ぐらい、これが本県において適応について検討してみようと考えた始まりでした。遅くはないけれど、早くもなかった、47都道府県の中では、そのような位置付けにあるかなと思っています。

今年度は、その結果をもとに県民への普及啓発ということで、後ほどご説明しますが、「ブックカバーキャンペーン」等をやる計画になっております。それから、あわせて、温対計画の見直し、その中で適応策を追加するということを検討しております。

それから、次年度以降、29年度につきましては、今、庁内で調整中ですが、引き続き、県民への普及啓発、情報収集をやっていくとともに、適応策というのは、やはり日々進化しているといいますか、各自治体もそうですが、いろいろ動いているところもあるので、随時見直していく、今年、温対計画を策定しても、毎年、少しずつバージョンアップしていく必要があるのではないかなと考えております。また、これを県の取組だけではなくて、市町村の取組に広げていくための支援をするということで、具体的には、市町村の温対計画、区域編をつくってもらうことを働きかけていくことと、その中で、適応計画についても考えていただくという取組を来年度行うことを計画してございます。

それで、昨年度行いました福島県の気候変動と影響の予測ですが、こちら、事業の目的についてですが、未来の福島県の気候変動を具体的に示すことによりまして、県民に温暖化を身近な問題として感じてもらう、一人一人の省エネルギー、緩和を本気になってやっていただきたいという思いから、当然、適応を行うための基礎資料とするというのは大本にあったのですが、庁内でこの事業を認めていただく過程の中で、緩和にも使えますというのが1つポイントとしてございました。

下に書いてございますが、福島県は、奥羽山脈と阿武隈山系で、太平洋側気候の浜通り、内陸部の中通り、日本海側の会津に分かれておりまして、地域的な気候の違いが大きいというのが、今回の研究を委託するきっかけとなっております。

予測した内容ですが、本県の場合、当時参考にしましたのは、当時、長野県、埼玉県等が先進県だったのですが、そちらは環境系の研究所があって、中心になってやられていました。ただ、福島県の場合は、そういう環境系の研究機関がありませんので、我々、事務職員だけでやらなくてはならないということで、非常に不安なものがありました。それをどのようにしてやったのかといいますと、温暖化の緩和の関係で、福島大学の渡邊明先生とのお付き合いがあったということと、東日本大震災の関係で、国立環境研究所が福島県が新しくつくる環境創造センターというところに職員が派遣されて福島支部がつくられるという関係で、当時、福島出張所がございました。そこに飛び込みのような形で相談に行きまして、筑波の方からも協力いただけるようになり、そこからこの予測が始まったということでございます。具体的には、福島大の渡邊先生と国立環境研究所の肱岡先生が連絡をとり合いまして、体制等も含めた予測の形をだんだんつくっていただいたということでございます。

予測内容は、RCP8.5、4.5、2.6、期間は2040年の前後10年、それから世紀末について、気候モデルはMIROCを使ってやっていただきましたが、これは渡邊先生や肱岡先生を始め研究者の方々に合同会議で決定していただきました。なお、その際は、県の予算とか、スケジュール等も踏まえて決めていただいております。

それから、右側の影響予測項目につきましては、S-8と意見具申などを参考に、庁内の関係部局の意見を踏まえて決定しました。こちらについて、後ほど温対計画の改定の検討において、その中に適応策を入れるうえで、このままの流れで進めております。

本県の特徴としましては、基本的にはS-8のものがベースで、その中からの選択になっているのですが、農業の中で、福島県の主要産品のモモについては、追加して検討してございます。

次は、気候変動の予測の結果の例です。気温の例だけお示ししていますが、こちらは概ね全国の傾向と同じで、2040年、近未来までは全シナリオで2℃ほど上昇、世紀末につきましては、モデルによりまして、2℃から5℃の間の上昇になるという結果になっております。こちら、予測につきましては、GCMモデルを力学的に5キロまでダウンスケールしまして、それから統計的に1キロメッシュまでダウンスケールして予測しております。

結果的に膨大な気象予測のデータが残されておりまして、今後、このデータをどういうふうに活用していけるのかというのが、これからの課題というか、重要であろうと思っております。

それから、影響の予測結果、農業のリンゴの部分を表示してございますが、福島県の場合、中通り地方の北部、県北地方がリンゴの産地でございまして、この結果を見ますと、RCP8.5の場合は、高温不適地になるのですが、それ以外の場合は、何とか栽培適地が残っているという結果になってございます。

また、お示ししておりませんが、モモについては、全シナリオで主要産地の栽培適地が増えるというような結果が出ていまして、必ずしも温暖化イコールマイナスという結果にはなっておりません。ただ、栽培適地という問題ではプラスであっても、その下のレベルといいますか、農業の関係の方からお話を聞きますと、例えばモモですと、福島県の場合は、今、お盆前が一番いいモモがとれて、商品の販売時期としていいのですけども、これがもっと早くなるのでは、あるいは、既になりつつあると言われています。それで次のレベルの適応、出荷時期に関する対策というようなレベルでの適応の検討が必要ではないかなとも思っております。

ここまでが昨年度の事業でして、今年は、予測結果をもとに普及啓発活動をやるというのと、温対計画を見直すということでございます。

キャンペーン、普及啓発としては、県内書店で「温暖化」「適応」をイメージしたブックカバーと小冊子、先ほどお手元にお配りしていますが、それをお配りするということでございます。委員お手元の配付した資料ですと、右側にポスターが描いてあるかと思いますが、実はこれはまだ確定稿ではありませんで、公表もこれからになります。間もなく公表できると思いますが、現在、作業中ですので、公表されるまでの取り扱いに、ご配意いただければと思います。

こちらがブックカバーです。上が文庫用で、RCP8.5、4.5、2.6のイメージと、緑色のが適応のイメージで、左側のQRコードから県のホームページに飛んでいただいて、温暖化についていろいろなことを県民の方に考えていただければと思っています。実は、後ほどの話にも関連しますが、緑の適応イメージ、こちらのデザインがいまだに納得いかないというか、苦労したところでございます。

それから、こちらは8ページの小冊子です。マンガを使って、子どもたち、中学生とか小学生も念頭につくっています。適応の解説に当たりましては、その前に緩和の説明も書かなくてはいけないので、結果的に総合的なパンフレットになっているのかなと思っています。

それから、現在やっております適応策の追加、温対計画の見直しですが、こちらについては、先ほど申し上げましたように、調査した項目が、下の方にございますように、健康、農林水産業、生態系、水災害・水資源ということで、これらの項目について、福島県の計画に入れるということで、今、鋭意やっておりますが、いろいろと苦労しているところでございます。

ここまで、福島県の取組を簡単にお話しさせていただきましたが、次に、2点目の地方公共団体の支援に関してお話しさせていただきたいと思います。

こちらは今回の発表に当たり事前に示されております論点でございますが、まず、意見を申し上げる前に、本県の推進体制、その前提として、どうしても福島県というのは特殊な事情が今ございますので、それについてお話しさせていただきたいと思います。

推進体制は、県庁内の各部局による連絡会議を設置して、適応について今検討をしているところですが、温暖化対策は世界的な課題であること、また適応は、地方自らの問題であるというのは十分理解されているのですけども、どうしても福島県の場合は、東日本大震災、原子力災害からの復興・復旧が緊急課題だということで、人も金もこちらに重点的に投資せざるを得ないという状況でございます。

例えば農林水産部、やっぱり農業系が一番適応への理解があるところですが、実は震災前から先行して、独自に気候変動の影響予測について研究しておりまして、既に報告書も平成24年度に何とか取りまとめましたが、震災の関係で、現在は、農林水産業の再生とか、放射性物質対策、それから、だんだん避難地域が解除されますので、そこの農業をどうするかと。そちらに手いっぱいということで、基本的に、人も金も足りないというのは、どの都道府県も同じかもしれませんが、福島県の場合、特に厳しい状況にあるということでございます。

そのような中で、どのような支援が求められるかということですが、具体的な、実務的な内容、細かい内容になってしまうのですが、まず、用語集が欲しいなということ、専門用語をわかりやすく、統一的な説明をする必要があるということです。実は影響予測を一昨年やって、今年、適応計画の検討をしているのですが、例えばRCPという言葉がなかなか理解していただけない。例えば、RCP2.6というと、2.6℃上がるのか、みたいに言われます。放射強制力の説明をすると、そんなことではわからないだろう、県民・一般の方に理解できないだろうと。では、「温暖化の努力をした場合」とか、「このまま放置した場合」みたいに書き換えると、逆にそれでは正確性がないというふうに言われまして、その間でいろんなバタバタやった経過がございます。この辺を何かわかりやすい統一的な説明、用語集みたいなのがあると助かるなと思っています。また、先ほど申しましたように、適応のイラストが難しかったというのもあって、そういうようなものも、わかりやすい統一されたものがあればいいと思っています。

それから、影響評価についてですが、福島県では影響の予測はしたのですが、評価まではしておりません。というのは、「重要性」「緊急性」「確信度」について、S-8、国の結果をそのまま使ってやったのが実態で、有識者会議等を開いた中で、やはり都道府県独自の評価もやるべきだろうという意見が出されました。それで、関係部局に検討をお願いしたのですけども、最終的には、難しい、わからない、できないというような回答がほとんどでした。それぞれの自治体が、当然、国の結果は参考にするのですが、地方独自に「重要性」「緊急性」「確信度」を判断する上でのノウハウや、考え方のようなものをお示ししていただければと思っております。

最後にモニタリングについてです。例えば今福島県では、サクラの開花日の情報などが、気象台が無人化しているため、定点観測の地点がなくなってきておりますが、このような気候変動に関する現象を県民、事業者、あるいは市町村に入力していただいて、ビッグデータというか、データを蓄積することで、何かができるのではないかと思っております。先ほどもお話があったかもしれませんが、気候変動プラットフォームなどで、いろいろな情報を、できればこちらからも入力できる、一方的に与えるのではなくて、双方向のデータのやりとりができるような仕組みがあればいいのではないかなと思っております。実は、これは県でやれないかと思いましたが、なかなか難しいということで、むしろ全国的に統一したものがあれば非常に助かるなと思い、今回、お話しさせていただきました。

本日、用意しましたのは以上でございます。どうもありがとうございました。

住委員長

どうもありがとうございました。

大変生々しい現場のお話を受けたと思います。何かご質問。

高橋委員

ご説明どうもありがとうございました。

最後のスライドの、「自分事」に関連して、市民とのコミュニケーションについて1点質問させていただきたいと思います。

例えばS-8やSI-CATでの分析結果がある影響項目については、それをいかにうまく伝えるかという工夫で克服できるところはあるかと思います。また、各部局の所掌範囲のことであれば、それぞれ専門的な知識や、これまでの経験を生かしてコミュニケーションができると思います。一方で、市民の方では気づいているけど、それに対する評価が研究者側・行政側でできていない影響項目も実はあるかもしれない。双方向コミュニケーションは、その種の見落としを減らしていく観点からも、今後、大事になっていくのかなと思います。

私自身の経験で、大学で影響関連の内容で講義した際、授業の後のレポート課題で、それぞれの生まれの県の特産物などについて、あまり世間では言われていないけれど温暖化影響が心配なものを挙げてみなさい、と尋ねたことがあります。福島県の子からは、あんぽ柿が心配だという回答がありました。実際に影響があるかどうかはわからないのですが、あんぽ柿が心配だとか、他県の学生からは日本酒の造りが心配だとか、いろいろ面白いアイデアが上がってきました。そういうコミュニケーションを今後活発にしていったらいいのかなと思うのです。

質問は、これまで、一方的に説明するだけではなくて、意見を聞くような場などを持たれたことはあるかどうか、または、今後、そういう場を持つことも考えておられるかということです。

福島県(荒井主幹)

ありがとうございます。県民の方と双方向の意見を持つ機会というのは、実際、適応については、まだございません。それで、先ほどの温対計画の次のステップとして市町村に温暖化対策計画をつくっていただこうというのは、県民の方との双方向のやりとりは、やっぱり一番の基礎的自治体である市町村さんに真剣にやっていただくというのが必要かなと思いまして、そちらの取り組みの中から、次に県民の方々に広げる、まずは市町村の職員の方にも意識してもらって、いろいろ取り組んでもらい、それを取り掛かりにしてやれればなと思っています。

江守委員

どうもありがとうございました。1つコメントをさせていただきたいのですが、先ほど専門用語の難しさで、RCPといっても、みんな、わからないという話があって、そのとおりだと思いました。僕もいろんな自治体とかで温暖化の説明をさせていただくことが多いのですが、なるべくRCPという言葉は使わないで説明するようにしています。

一方で、やっぱり本格的に検討する上で、ちゃんと中身が定量的にわからないといけないじゃないかという声が出てくるというのも、そのとおりなので、これは一般的な問題としてこういうのを説明するときに、正確さとわかりやすさの間にトレードオフがあるというふうによく言われることだと思います。

その対処の仕方として僕がいいと思っているのは、短い時間で説明しなくちゃいけないときには、なるべく平易な言葉にして、より知りたい人には、もっと詳しい説明がわかるということが段階的に用意されていることが、重要ではないかと思います。RCP2.6で言えば、最大限努力ということで、一言で言わなくちゃいけないときには、それでいいと思いますが、もう少し言うならば、今世紀末に世界全体で排出ゼロ、ほぼゼロになるようなシナリオであるということが伝わるのが本質ではないかと僕の場合は思っています。

こういった点に関しては、ご存じかと思いますけれども、IPCCリポートコミュニケーターという事業が環境省の方でありまして、来年度からは温暖化防止コミュニケーターに衣替えするということで、僕も検討に参加していますが、そちらの方で説明の努力がなされていますので、そちらと組み合わせてご検討いただければと思っております。

福島県(荒井主幹)

どうもありがとうございます。

住委員長

よろしいですか。どうもありがとうございました。

それでは、引き続きまして、兵庫県の方に移りたいと思います。

兵庫県(小塩課長)

失礼いたします。兵庫県の温暖化対策課長、小塩でございます。兵庫県における適応策の取り組みについて、ご説明申し上げます。

兵庫県の取り組みでございますが、平成26年度から庁内検討会ということで立ち上げて検討を進めております。初年度、2年目と県庁内の連絡体制の構築及び既存施策の体系化ということで、これだけの作業をするのに実は2年かかってしまいました。中身的には、適応策として県の施策を取り込んでいく、囲い込んでいくということでございますが、それを嫌がる部局もございました。また、そういう作業を経まして今年度から県民向けの情報発信ということで、お手元の資料で「温暖化から兵庫を守る、適応策」というパンフレットを作りまして今年度から県民への情報提供を始めているという状況でございます。

施策体系といたしまして、基本的に国に準じて網羅的に体系表を作っております。ただ、このページと、次のページですけれども、非常に網羅的にはなっておりますけれども、中身の濃度は全然違います。といいますのは、もちろん環境部局は当然のことながら、検討の進んでいる意識の高い部局と、そうでない部局がある。農業とか防災というところは、もともと適応策というような枠組みではなくて、独自に、そういった施策の展開をしてきたということがございます。そういった先行している部局とそうでない部局をどう水準を合わせていくのかなというのが、なかなか今後とも難しい問題ではないかと考えております。

先ほど八木先生からのお話もございました。2010年度、米は象徴的に夏の暑さで収量、品質が落ちたということでございます。こんなデータも提供しております。実は、ここにない銘柄がございまして。兵庫県というのは、酒米である山田錦、お酒を飲む方はご存じだと思いますが、山田錦の消費量の約7割を兵庫県で生産をしております。実は、農業政策として早くから山田錦の高温対策、栽培方法の普及とかに取り組んできておりました。ところが、データ提供を求めたのですが、データはもらえませんでした。食用米ではないので、同様のデータが揃わないのかも知れませんが、一般の食用米と比較して早くから取り組んできた酒米が、きちんとした施策展開によって効果が出たという使い方ができたらいいなと思ったのですが、そうはいかなかったのかもしれません。

パンフレットをつくって適応策を紹介しているということですが、先ほどの福島県さんのお話の中で桜の開花時期のお話がございました。兵庫県の資料で2枚目になるのですが、すみません、別資料で兵庫県の「温暖化から兵庫を守る、適応策」という資料がございまして、その右端の4ページに桜の開花が早まっているというデータがございます。兵庫県の場合は、ちなみに桜の開花時期について、神戸の気象台がきちんとデータをとってくれておりまして、これについて、経年の表をお手元のように、ちょっと見にくいですが、ご覧ください。

先ほどのお話を受けてちょっと説明させていただきますが、実は、日本人にとって、兵庫県民にとって、桜というのは一つの記憶に残る自然現象として大切な切り口かなというふうに思っています。

例えば、これ、神戸市の小学校の卒業式というのが3月23日、下に3月23日というところがあると思いますが、入学式が4月11日でございます。50代、60代の方というのは入学式の桜というイメージで、桜の満開の花の下で集合写真を撮ったというような記憶がまだ残っておられます。一方、若い世代、10代、20代というのは、実は、2010年なんかは桜の開花が3月20日で、3月23日が卒業式ですから、卒業式の日には桜が咲いていた。4月11日、入学式のときには、もう葉桜になっていたというような現象が現実的に起こっております。

ここら辺が世代間で大きな相違があるということで、一般の方にお話をする際に、県として大きな課題ですよと言う前に、もっと身近な印象に残っている桜というもの一つを取り上げても、それが50代、60代と10代、20代とには大きな相違があると。「さくらさくら」という森山直太朗さんの「旅立ちの時」というような歌がありますが、決して歌だけではなくて、本当に高齢者といいますか、我々の世代と子どもたちの世代は、桜一つとっても大きな意識の違いがあると。そういうようなお話をして、実は、桜はこんなのですけど、桜以外にも、もっと重要な影響があるのですよというようなお話をしていくというのが、一つの県民へのアプローチではないかなと思っております。

これまでの取り組みでございますが、これも先ほど質問がありました。双方向の情報発信ということで、実は、適応策というのを県としていろいろ言い出したときに、温暖化防止活動推進員の中からも、「県は緩和策をもう諦めるのか」とか「緩和策を軽視するのか」というような間違った理解もございました。

一方、双方向のコミュニケーションというのがとても大事だと思っていまして、これは平成27年、環境省近畿地方環境事務所が主催して気候変動のワークショップを兵庫県で実施していただきました。我々の知らない情報、知らない地域の自然現象というのがいろいろ参考になりましたので、来年度、予算要求をしておりまして、地域の温暖化防止活動推進員とか市町村職員、地域の人々、また推進員の意識変革も兼ねて、緩和策と適応策は両方とも必要だというのを双方向の情報交換をしながら県内各地に広めていきたいということを来年度、考えております。

県民モニターアンケートというのを実施いたしました。これによると、「温暖化の影響は既に現れていると思いますか」という方が、「思う」と「どちらかといえば思う」で合わせて94%でした。これは、一般の方にアンケートしたわけじゃなくて、県民アンケートのモニターさんということで登録をしていただいている方です。ですから、そういう意味では、県政に対する意識が若干高いということですので、この率も若干高目に出ておるのではないかと思います。

またこういった、水害の増加、農作物の収穫量の変化など、どういうテーマに県民が興味あるのかという、こういうデータをとりました。施策の順位付けといったら何ですけれども、優先順位を付けていくというのも必要なことかなと思っております。

一番下ですけれども、こちら緩和策、適応策の認知度でございます。そういう言葉を知っていますかという中で、緩和策については53.3%、適応策については37.5%、やっぱり適応策はまだまだ認知度が低いなと、考えております。

兵庫県でも、適応策の基本方針というのを今年度末までに取りまとめようとしております。既存施策の適応策としての位置付け、囲い込みをきちんとしていくということと、取り組みを「知る」、「伝える」、「対処する」というふうに三つの段階に設定をし直すというようなことで進めてまいりたいと思っております。

希望する支援の例があまりに具体的過ぎて申し訳ないのですが、実は、農作物等、防災についても、陸域については、まがりなりにも、先ほどの研究等のとおり、作り方や品種改良や防災への取り組みというのは、ある程度進んでいる、知見も集まってきているかなと思うのですが、水産物については海域の知見が少なく、根本的な対応策というものになかなか触れられておりません。

特に、瀬戸内海というのは閉鎖性海域でございまして、比較的管理が進んでいる、利用が進んでいる、里海として身近なものであるというようなところがございます。瀬戸内海における海水温や栄養塩に係る将来予測評価というものが進めば、瀬戸内全体を囲んでおる府県の瀬戸内海の管理というのが一層進む、あるいは適応策についても外洋とは違って打ち出しやすい、あるいは成果が上がりやすいのではないかと考えております。

国に対する要望といたしまして、兵庫県1県、単独の府県ではなかなか瀬戸内海というテーマを取り扱うのが難しいですので、国の研究機関との連携。既に、瀬戸内海の府県におきましては瀬戸内海水環境研会議がありますので、そういった既存の枠組みを使って閉鎖性海域の管理に関して適応策としての管理方法の提言というようなものができれば、世界にも閉鎖性海域がございますので、そういったところへの情報発信ができるのではないかなというような希望を持っております。

以上でございます。

住委員長

どうもありがとうございました。それでは、何かご質問は。

八木委員

興味深い貴重なお話をありがとうございました。最初の方でご紹介いただいた酒米の山田錦の情報がなかなか集まらなかったという問題は、風評被害の問題でしょうか。つまり、兵庫県の山田錦の品質が悪いという情報が出ると、酒がまずくなると思われて売れなくなるという問題かなと思うのですが。それを克服というか、うまく扱うための工夫とか、何か、そんなところにお考えがありましたら教えていただければと思います。

兵庫県(小塩課長)

ありがとうございます。

私自身も農業の方の専門ではございませんので。ですが、県の農林水産部局が気にしていたのは、1つには、大きな問題として、やはり風評の話だと思います。通常の食用米は全国一般に、もうデータが出ておるのですけれども、山田錦に関しては兵庫県独自のデータということになりますので、それに関しての風評被害を第一義的には心配をしたのかなと。これも想像です。

2点目は、それに対して、きちんとした研究機関等で事前にこういうことは想定されていましたので、夏の暑さに対する作付けの仕方でありますとか栽培方法でありますとか、専門家に言わせると、こういう時期に水を張るとか抜くとか、いろんな調整について指導もしてきたというようなこともございまして、その成果を2010年に問われたのですが、その成果がどうなったのというのが、公表できる精度ではなかったのだと憶測します。

八木委員

ありがとうございました。情報のコントロールの問題だと思うのですよね。そこをうまく、出していけない情報を。例えば、今おっしゃった、対策技術がうまく成果が出たということがあれば、それは積極的に発信するべきだし、出せないものは出さないという、そんな工夫がぜひ必要なのではないかなと思います。ありがとうございます。

木所委員

前の福島県と同様なのですけれども、兵庫県の方でも適応策のパンフレットというのをつくられているのですが、なかなか適応策といっても。多分、緩和策だと、一般の人でも、「ああ、今からやらなきゃいけない」ということで何となくイメージが湧くかと思うのですが、適応策と言われても、一体いつの話だと。100年後の評価をもとに適応策を紹介されても、何かぴんと来ないのかなと。

適応というと、二つ前の小委員会のときに木村先生から話があったと思うのですが、適応策と緩和策は結構ごっちゃになっているというイメージがあるかと思いますし、その辺の適応策、いつをイメージして作られたかというのが大事かと思いました。その辺についてのアイデアというか、イメージというのがありましたら教えていただきたいというのが1つ。

もう1つは、最後に瀬戸内海の漁業資源の方の話がありましたが、確かに、今、瀬戸内の方は温暖化以外にも貧栄養とかいろいろな問題があるかと思います。多分、生物は瀬戸内海だけじゃなくて、生物としてはいろんなところにいますので、もし瀬戸内海の漁業資源と考えるときは海域特性と生物の2方向が大事で、それぞれ生物は国レベルとか、ほかの県レベルと連携をとって、海域は海域の連携とかで、2方向の対応というもので解決しやすいのかなというふうには考えていました。

適応策の方のイメージ等ありましたら、教えていただけたらと思います。

兵庫県(小塩課長)

ありがとうございます。今、自分自身も気が付いたのですが、我々、県民にお話をする際に、過去、記憶にある範疇ですから我々が小学校時代から今まで、桜の話ではございませんけど、桜の開花時期が変わりましたよねという記憶にある範疇から今までという区切りと、これから適応策を提言する先というのは、明確に、イメージとしては2100年のところをイメージしながら、それをバックさせてくるというようなイメージで説明をしていましたので、そういうところは県民に確かにわかりにくかったかと、今さらながらに思っております。次に、明日以降、説明するときには、やっぱり2030年とか2050年とか、県民の手の届く範囲内での説明の仕方が必要だなというふうに、今さらながらに感じております。

中北委員

発表をお伺いしながら瀬戸内海が出てこないかなと思っていたら、最後に出てきて、思ったのですが、ぜひ、こういう府県をまたがった瀬戸内海全体のものが国ともつながって進むことを期待したいと、できればいいですねと、すごく思いました。

あと、瀬戸内海の環境会議、これは水環境研会議ですかね、民間と一緒にされている瀬戸内海環境会議とか、そういうのを兵庫県等の民間さん、山陽か何かとタイアップされて長いことやってこられたというのをお聞きしたことがあるのですが、そういう民との関わりとかは、どのように。何か考えられているところがありましたら、教えていただきたいと思います。

兵庫県(小塩課長)

これまでの瀬戸内海に関する関わりというのが、やっぱり公害をスタートにやっておりますので、公害の防止というところから発想して民間も実はつながっておりました。民間ベースで、例えば、瀬戸内海に関しては漁礁の提案などがあり、鉄鋼スラグを使って漁礁をつくるとか、いろんな提案もございました。適応策という分野に踏み出したとしても瀬戸内の民間企業の協力というのは必要だと思いますので、既にある枠組みの中で、そういった発展的な取り組みをしていただければなというところがございますので、そういった民間とのつながりというのは、これからも続いていくものだというふうに考えています。

石川委員

最後のところに関連してですが、我々、SI-CATという、文科省のプロジェクトの中では、今回初めて瀬戸内海もきちんと影響評価に耐えられるような将来予測の水温データについて出そうと思っていて、兵庫県さんにも、そういうデータがあったら使っていただけますかという話があると思いますので、それをコメントさせていただくとともに、一方で、実は、ノリとかイカナゴという特産品というのに関しては、恐らく県の方々の方が詳しいことが多いと思います。これは野菜についても多分同じで、特産品というのは地方特有の問題だと思いますので、そういうところに関しては、やはり県と国の研究機関とか国というのが、いかにうまく連携していくかというところをつくっていくのが大事じゃないかと思っていますので、これからもよろしくお願いいたします。

住委員長

どうもありがとうございました。

それでは、時間がありますので次に移りたいと思います。最後に、徳島県さんの方から、お願いしたいと思います。

徳島県(藤本課長)

徳島県の環境首都課、藤本でございます。

本日は、このような場を与えていただきまして、誠にありがとうございます。

私の方から、本県の取り組み等についてご説明をさせていただきたいと思います。

まず、背景ですけれども、もうこれは皆さん専門家ですので、ここは省略をさせていただきたいと思います。

続きまして、ちょっと本県の紹介になりますけれども、最初に「環境首都課」という名前に、初めて聞かれた方は何て大げさな名前だろうというふうにびっくりされたと思いますけれども、既に2004年に室の名前に入りまして、首都課、課になりましたのが2006年ということでございます。これは、今の本県の飯泉知事が就任して初めての組織改正のときに、こういう名前をつけました、非常に思い入れのある名前でございます。我々としては、この名前に名前負けしないように、これまで頑張ってきたつもりでございます。

2005年に地球環境ビジョンということで、京都議定書を受けまして2010年に10%削減という目標を立てまして、それについては達成をさせていただいております。

次、2008年に、地球温暖化対策推進条例を制定しました。当時は中・四国初でしたが、環境保全型農業ですとかイベントの環境負荷の低減、それからカーボンオフセットなど、今では当たり前になっておりますが、そのような規定と、それから罰則なんかもこのときに入れさせていただいております。

それから、温暖化対策推進計画ですが、ここで2020年の削減目標を立てました。排出抑制で7%、森林吸収で8%という目標を立てさせていただきました。この計画の中でいろいろ施策も作っていったのですが、その中の部局横断の施策という中に、そのときは「賢い対応」という名称でしたが、適応というような考え方をこのときに記載をさせていただいております。

それから、昨年に水素グリッド構想、それから自然エネルギー立県推進戦略を作らせていただいて、今年4月に課の担当の名前に「気候変動」という名前をつけさせていただいたところです。

ちょっと自慢といいますか、宣伝になりますが、27年1月からいろいろ協議を始めまして8月に水素グリッド構想を作りましたが、いろんな目標を立てまして、今現在、本県、多分全国トップクラスだと思いますが、FCVを6台導入させていただいております。ミライを2台とクラリティ4台導入して、各部局においていろいろなイベント等で活用させていただいておるところです。

それから、自然エネルギーにつきましても、本県が自然エネルギー協議会会長県ということでございますので、国のエネルギーミックスの数字をできるだけ引き上げてほしいというような要望も、これまでしてまいりました。また、本県が率先ということで、本県におきましては2020年に25%、それから2030年に37%という目標を掲げさせていただいております。

ここからが本題ですけれども、この小委員会、適応が恐らくメーンということでしょうけれども、本県の場合、適応だけではなく緩和策を含めた、これを両輪として、その羅針盤となる条例、この三つを3本の矢として昨年度から取り組んでいるところでございます。その中心になるのが外部の有識者によります環境審議会、その中に昨年12月に新たに気候変動部会というのを設置いたしまして、そこで約1年間、議論をしてきたところです。

条例につきましては、先ほども申し上げましたように、既に条例はございますけれども、今回、いろいろな地球環境の変化、それから国際的な動き、国内にも非常に大きな動きがありますし、また適応とか水素という新たな概念も出てきたということで、改正ではなく新たに策定ということで今回、この条例を策定させていただきまして、9月議会で可決をいただいたところです。

それから、緩和策としましては、後でちょっと出てきますけれども、国を上回る意欲的な削減目標を今回、新たに追加をさせていただいております。

適応戦略については、これは新たに策定ということで、これも後ほどご説明をさせていただきたいと思います。

まず、条例ですけれども、名前に「脱炭素」と、脱炭素社会を目指すということを書いていますけれども、これが非常にいろいろなところで注目を浴びているところです。私としましては、名称を付けるときには、昨年のパリ協定で世界各国が脱炭素社会を目指すという約束をしたわけですから、当然、実現に向けて取り組むのは当たり前のことかなというふうに思って付けたわけですけれども、これが意外と注目を浴びているところで、いろんなところで報道をされております。

それから、両輪としてやっていくということと、これも後で申し上げますが、適応の本格導入というので、ここが非常に大きなポイントかなと思っているところです。

これが条例の構成ですが、この基本方針のところ、それから新たに第4章といたしまして気候変動への適応に係る対策ということで、章を設けて適応についても、緩和と適応の両輪ということで条例に位置づけさせていただいております。

その条文ですけれども、基本方針のところで、今まで緩和策の目標とか施策を基本方針として定めるというのは、どこの県でもあったかと思いますけれども、今回、新たに気候変動の適応を図るために必要な施策に関する事項を県として条例の中で基本方針を定めるというふうに掲げさせていただいております。これに基づきまして、今回、適応戦略をつくったというところです。

適応に関するところでは、基本的事項ということで、後で出てまいりますけれども、いろんな基本理念などを書いております。それから分野別ということで、今回6分野、定めさせていただいております。後は、県民の理解の促進とか調査研究をしていくというようなことを書かせていただいております。

条例につきましては、こういうことで、「1億総活躍」をもじったわけではありませんけれども、全ての県民が活躍するという形で、子どもからお年寄りまで、みんなが頑張っていこうというところです。

それから、もう一つ大事なところは、やはり環境問題だけじゃなくて、環境対策をすることによって地域の課題を解決していこうと。いわゆる、最近では防災対策ですとか、それから福祉施策、それからまちづくり、その辺りにも関連してきますので、環境対策をやることによって地域の課題を解決していこうというふうに考えています。

ここは、いろんな条例の中の施策を書いておるところです。

ここからが緩和の計画ということで、一つ申し上げたいのは、温室効果ガスの削減だけじゃなくて、いわゆる電力の排出係数、これが電力構成によりましていろいろ変わってきますので、それに左右されないエネルギー消費量の削減目標というのを今回、新たに付け加えさせていただいております。

これが今回の目標で、国を大きく上回る40%という目標を掲げさせていただいております。

これが、方向性とか視点でございます。

それから、これが具体的な施策でございます。特徴的なもので言えば、今、話題の食品ロス、この辺りも今回条例の中にも明記をして、削減の計画の中でも主要な施策としてやっていこうということで、現在、私どもの環境首都課の方でも食品ロス対策ということで、フードドライブの箱というのを置かせていただいて、県民の皆様もしくは県庁職員が率先して、家庭での使わない食料品とかを集めて福祉施設等に配達するという取り組みもやっているところです。

ここからが適応戦略でございます。適応策の必要性、これは、もう皆さんは専門家の方々ですので必要ないと思いますけれども、1つ。ここの2つ目が私の方では非常にポイントだと思っておりまして。緩和策、いわゆる省エネとか自然エネルギーの導入につきましては、これは全国ほとんど同じような施策になってくると思います。ただ、気候変動の影響というのは、やはり地域特性によって、どういう地域にあるかということによって異なってくるということで、これは地方が独自に策定する意義が非常にあるのではないかと。緩和策よりも、こちらの方が、地方がつくる意義が強いのではないかなというふうに思っております。

それで、私どもといたしましては、内容につきましては専門家の皆様から見ますと非常につたないものかもしれませんが、やはり作ること、いわゆる行動することに意義があるということで、まずは作ってみようということで、今回、作らせていただいたところです。なかなか、中身的にはちょっとまだうまくいっていないところもありますが、やはり県の姿勢を県民の皆様に示すということが非常に大事かなと。それによって県民の皆様も動いてくれるのかなというふうに考えておりますので、まずは動いて作ってみようということで、今回、作らせていただいたところです。

計画期間につきましては、国の方は、確か10年だったかと思いますけれども、やはり、10年というのは長いので、できるだけ短い期間で見直しもしていこうということで、一応、計画期間は5年ということです。

方向性としては、やはり地域特性に応じたリスク。本県は、特に高齢化が進んでいたり、地盤の緩いところもあったり、台風がよく来るというようなことで、そのような地域特性を踏まえて、ソフト、ハード両面から対応力を強化して各分野での安全・安心のシステムをつくっていくということ。もう1つが、適応ということになると、どうしても守りの部分が多くなってきますが、やはり守りだけでは面白くないということで、先ほど来、話も出ておりましたけれど、やはりプラス面、これをできるだけ効果的に使っていきたい。ということで、農産物の新たなブランドを作っていくこと、それから、どんどん暖かくなるということで観光なんかの新たな地域資源の発掘というような、この辺りも大きな方向性として考えているところです。

それから、基本的な視点ということで4つ。これは国の方とも似ているところがございますが、まずは主流化ということで手戻りをなくすると。将来の施策が手戻りのないように、最初から組み込んでおくと。次に、気候変動は予測も難しいところがありますので、そのときどきで柔軟に対応していくと。さらに、先ほどの兵庫県さんの話でもありましたが、まだまだ知られていませんので、これから皆さんに知ってもらう努力をしなくてはいけないと。それから、やはり我々行政じゃなくて現場で頑張っている方々、このような現場の方々の行動が大事だと思いますので、そういう方々を支えられるような人材の育成をしていきたいというふうに考えております。

こちらが分野ですけれども、国の適応計画は、確か7分野だったかと思いますけれども、国民生活とか都市生活の部分を県土保全とか産業経済の中に組み込みまして、後は同じような感じで6分野設けております。それぞれの分野ごとに地域特性、現況、予測、それから現在の対応、それから今後の方向性です。それから、指標は国の方にはなかったのですが、本県においては、ある程度、主要な数値を加えさせていただいているところです。

これが、その1つの、これは県土保全分野ですけれども、概要的にまとめさせていただいたものです。現況とか将来予測、今後の方向性と取り組み、指標、こういう感じで。これが概要版ということで、県民の皆様にお知らせをしている内容です。

ここで1つ、生態系を活用した防災・減災ということで、先ほど話もございましたけれども、Eco-DRRというような概念も、この中で入れさせていただいているところです。

次に、これが農林水産の分野の概要版ということになっております。

こちらの方が、先ほどの2つが分野ごとのまとめでしたけれども、分野ごとだけではなく、気候変動の要素ごとのまとめもさせていただいております。気温上昇、降水量の変化、海水面の上昇、海水温の上昇、この4つの要素で同じようなまとめをしております。

これが、海水温の上昇に関するまとめになっております。

これが今までのまとめですけれども、一応、大きな2つの方向性に基づいて4つの基本的視点、それから4つの基本的視点に応じるような横断的な取り組みをやっていくと。で、各分野がこうありますというところです。

これが推進体制ですが、こちらが庁外、地域の中での取り組み、それから、これが庁内、県庁の中での取り組みということで、庁内の中では環境対策推進本部というのがもともとございましたので、そこを活用しております。ただ、現実的には、多くのみんなが集まって話をしてもなかなか進みませんので、どうしても県土の分野、農林の分野とか個別個別の話し合いになっているところです。

それから、地域の方で申し上げますと、これ、先ほど言おうと思って忘れましたが、私ども環境首都課ということで非常に大きい名前になっていますので、所管分野も非常に広くございまして、気候変動の緩和と適応だけじゃなくて、3Rの分野、ごみゼロの分野、それから環境学習、普及啓発、それから自然公園、生態系、生物多様性、それらを全て私どもの課で所管しておりますので、ほとんど環境に関する団体は全て私どもと関係があるということで、そのような団体とも密接な連携を常にやっておりますので、そのような方々と意見交換しながらやっているところでございます。最終的には、外部有識者の環境審議会の方で定期的な点検とか見直しをして、進化をさせていきたいというふうに考えております。

我々の取り組みは以上でございますが、一応、論点の話ということですので、ちょっと3点ほど書かせていただいております。本県の場合、県独自にやってきて非常にガラパゴス化しておりますので、なかなかお役に立てるところはないかもしれませんが、やはり、これからつくる団体にあっては支援があった方がいいかなというふうには思っておりますので、3つに大きく分けて書かせていただいております。

1つは人的支援ということで、やはり、専門的知識を持った方が県庁の中にはいない場合もありますので、そういう最先端の知見を持った専門家の方々を派遣していただく。いわゆる職員向けの場合、それから県民向けの場合、これ内容が変わってくると思いますけれども、それぞれの場合に応じて専門家の方を派遣していただければありがたいなと思っております。

それから、財政的支援ということで、これは適応策の本質と外れて、この際というような要望になって誠に恐縮ですけれども、やはり現場の方々と話しておりますと、こういう話が出てまいりましたので、書かせていただいております。適応について、地方の方が、先ほどもありましたけれども、いろんな特産物とか、そういうことに関しましては経験もありますし知恵もあります。また、やる気もありますけれども、なかなかお金がないというような状況もございますので、適応策を絡めていろいろな事業をやっている場合について、できるだけの支援がいただけたら非常にありがたいなというふうに考えております。

それから、最後に技術的支援というか、その他的な感じですけれども、先ほども申し上げましたけど、やはり適応策というのは地方でこそ策定すべき計画かなと私は思っておりますので、温暖化の計画と同じように法定化ができたらどうかなと。これは、ほかの地方公共団体の方からは「何を言っているんだ」と言われそうな感じもしますけれども、こういう形でどんどん地方での策定が進めばいいかなと思っております。

最後、ここですけれども、ちょっとわかりにくい表現になっていますし、私自身もまだ余りわかっていないのですが、現場の特に土木系の職員の方と話をしておりますと、皆さん、適応という言葉は知らなくても、やはりだんだん温度が上がっているとか海水温が上がっているとかというのは実感してわかっていますので、それをどうにかしていきたいという気持ちはあるのです。ただ、国交省とか、そういうところの基準がまだまだそれに追いついていないという部分があります。この基準のとおりしていたら、将来、また、もう一回、やり直さなくてはいけないというような感じで。

国の方も適応策の主流化というのは話があると思うのですが、なかなか、それが各省庁まで行っていないのかなというのが実感としてあります。ですので、各省庁のいろんなデータにおきましても、適応の考えを組み込んで、将来を見越したようなデータをつくっていただけたらありがたいなというところでございます。

ということで、ちょっと取りとめのない話になって申し訳ございませんでしたけれども、本県の取り組み等の話については以上でございます。どうもありがとうございました。

住委員長

どうもありがとうございました。それでは、今のご発表に関して、質問あるいはコメント等ございましたら。

山田委員

3県の方の話を聞いていて、私自身が防災関係、洪水、災害関係をやっていますので、何となく痒いところに手が届かない話だなと思いましてね。例えば、兵庫県でも、この7、8年、円山川が決壊したり、それから神戸の都賀川でゲリラ豪雨が起きていますよね。それが全て地球温暖化に由来するかは知らないけれども、我々が経験もしなかったほどのすごい豪雨が降るという。全て、そうですよね。ほかの県の方も。そのときに、私もそういうものに幾つか関わりますので、県土整備部とか土木部と環境部局が一緒になって議論するなんて、ほとんどないですよね。実は、物すごくお互いに絡み合うのに、全然別の世界で生きていると。お互いがね。それは中央省庁でも同じようなことでしょうけれども、何か、その辺が、このままのやり方でいいのかなという疑問があります。

例えば、どの県にでも流域下水道などがありますけど、あれをどうするのかとか、水道下水道の気候変動に伴うスペックが変わることに対して、もう、そんなのやるお金もない我が国になったときに、どうすればいいのかとか。それは環境部局だけじゃなくて地球温暖化でもあり気候変動でもあり、でも日々の維持管理の問題でもありで、そういう全部を議論する場がない、あるいは意見を集約する場がないというのが、どうも歯痒い感じです。

これは、私のいろいろ、県や東京都なんかとお付き合いする中で感じている日々の感想です。これは単なるコメントとして聞いてください。

中静委員

大変進んだ施策をやっていらっしゃって、もう本当に驚いているところですけど、ちょっとお伺いしたいのは、2030年の削減目標のところで40%とすごく高いところで目標を設定されているのですけど、吸収量13.6%というのはどういう中身なのでしょうか、ちょっとお教えいただければ。

徳島県(藤本課長)

基本的には、もう本当に森林吸収ということで、農地とか藻場とか、そのようなのはカウントしていなくて、ほとんど森林吸収ということです。

中静委員

何か森林の手入れをされてということですか。間伐の促進などをされてということですか。

徳島県(藤本課長)

そうですね。既に、森林整備の事業は、これまでもいろんなプロジェクト的にやってきておりますし、後はカーボンオフセットなんかを大々的に宣伝して活用して資金を入れていこうかなというふうに考えています。

原澤委員

どうもありがとうございます。緩和策と適応策は、両輪と言っているのですけれども、具体化するにはどうしたらいいかというところはなかなかアイデアがなかったのですけれども、徳島県は緩和と適応を条例に位置付けてしっかりやっていくということで、これが1つの先駆的な形になっていくのではないかと思いました。

それで質問ですが、適応戦略ですか。多分、緩和策の方については計画をつくって、毎年PDCAサイクルを見ていくということだと思いますが、適応戦略の場合は、やはり5年の見直しまでずっとやって5年で見直しするのか、あるいは毎年、ある程度、緩和策との関係も考えながらPDCAサイクルを回すのか、その辺を一つお聞きしたいのが質問です。

もう1つは、徳島県の場合、こういった戦略をつくるときに、民間事業者や市町村との関係をどう考えてつくられたかというのを教えていただきたいと思います。

徳島県(藤本課長)

ありがとうございます。まず、最初の適応の方のPDCAサイクルのお話ですけれども、一応、大きく戦略というか計画の期間は5年とさせていただいておりますけれども、おっしゃられましたように、緩和策の方と同じように、そこは毎年毎年、まずは庁内でいろいろ叩いた上で、環境審議会にかけて進行管理、評価をしていただいて直すべきところは直していきます。私どもの計画、先ほども申し上げましたけれども、ほとんど走り走りで作っていますので、なかなか専門的なところの将来予測とか評価とかは入っておりません。その辺りも、できる限り新しい知見が出てくればどんどん入れていきたいと思っております。

それから、もう一点の民間とか市町村との関係ということですけれども、まず、先ほど来、申し上げています環境審議会という中に、学識経験の方に加えましていろいろな民間企業で頑張っている方、それから民間の団体で頑張っている方、それから市町村の代表の方も入っていただいて議論をしておりますし、その公式の場以外にも、これも先ほど申し上げましたが、いろいろな団体と私どもはネットワークがございますので、その辺りと意見交換もしながら、いろんな情報をいただいたり提案をいただいたりして、それを反映させるようにしていっております。

住委員長

よろしいですか。

では、最後にお聞きしたいのですけど、徳島県の場合はずっと昔からやられておられますけど、具体的に展開するときの財源は自主財源なのですか。それとも補助金などを頼りにしてやられたのでしょうか。

徳島県(藤本課長)

ありがとうございます。それは、策定に関してということですか。事業実施についてですか。

住委員長

事業実施についてです。

徳島県(藤本課長)

そこは、本県もそんなに全然財政豊かではないというか、どちらかというと貧しい方でございますので、できるだけ国の資金、それから民間のいろんな外部資金をまずは目指した上で、それがない部分については県単の方でやっていくというような流れでやってきています。

住委員長

どうもありがとうございました。

以上で5名のお話を聞いたのですが、あと30分ぐらい時間があります。今までのお話を聞いて、総合的に皆さんのご意見、コメント等ございましたらお願いします。

先ほどの山田先生コメントの関連ですが、国交省はそれなりに基準を変えようとしているのではなかったでしょうか。

中北委員

最大化想定とかというのでは、各地方で再検討して、それを基準にやっていくというような流れでは動かれています。ただ、まだ、今の100年計画の設計外力がどこになるかというような導入の仕方はされていないというような感じになります。それは、目指すのは目指されているということになりますが、今、お聞きしたら、なかなかつながっていないというのを初めてお伺いしたという感じです。

天野委員

補足をさせていただきます。そういう意味では、基準として確固たるものがまだできていないというのは、確かにそうなのですが、今、中北先生がおっしゃったように、計画論をどうしていくかという議論をやっておりますのと、あと、例えばダムですと、運用を将来、例えば雨の降り方が変わったというような状態になったときに、現状の運用ルールを変えていくことを検討しています。例えば、国交省のダムの場合は多目的ダムといいまして、治水の用量と利水の用量とか幾つかに分かれているのですけれども、利水の用量を治水の方に少し融通してもらうとか、季節的な変化があったときにそれに対応するとか、というような具体的にどうするのかという、技術的な検討はやっているという状況です。

それと、あと、先ほど徳島県の方からもお話がありましたけれども、事業をする際に、将来例えば流量が増えるというようなことが予測されるときに、具体的にお金がどうこうというところまでは、まだ踏みこんではいないですけれども、将来、後悔しないように、少し現状とは違って、現状の最適解よりは将来の予測に対しての最適解に近いものにしていくというような検討は、細々ですけれども始めているというところです。

江守委員

先ほどの山田さんのコメントにちょっと似ているというか関係するのですけど、三つの県の方に少しお伺いしたいと思います。実際に自治体でこういう検討を進めていかれる上で、多分、幾つか典型的な障害というのが、1つは縦割りの問題があって、もう1つは、先ほどお話の中に出てきましたけど、優先順位が、ほかにもいろんなことがあるので、大事なのはわかっているけどということはあると思うのです。それは、今までもいろんなところで、そういうふうに伺ってきたのです。

それで、そういう状況を変えられるとすれば、例えば、知事のリーダーシップであるとか、それから国のリーダーシップということが考えられるのではと思います。皆さん、恐らく、取り組みを伺っていると、それぞれに知事はご理解があったりする県の方がいらしているのかなというふうに思うのですけれども、国が去年の11月に適応計画を閣議決定しているわけでが、それによってインパクトがあったかどうかというのを、感じをお伺いできればなと思います。適応計画ができたことで、皆さんが県庁内で、ほかの部局を巻き込んで適応の検討を進めるのが、進めやすさが変わったみたいなのはありますでしょうか。一言ずつ、お伺いできればと思います。

福島県(荒井主幹)

福島県で適応計画を検討するときに、まだ国の計画ができる前にスタートしたのですが、そのときに、いずれ関係の各部には、各省庁でも適応計画を作るので、我々、横で今はやるけれども、いずれ国との関係での縦のラインも出てくるので、というようなことを話していました。その後、現実に国の計画が出たときに、具体的には国交省と農林水産省が適応計画を作りましたので、これでその流れが、縦の流れもあるのかなと思いましたが、現実には余り変わっていないというか、国が作ったことによって農林部、土木部で具体的な何か動きが出てきたというのは、ちょっと感じられないのが実態です。

兵庫県(小塩課長)

縦割りということにつきましては、兵庫県は、特に防災の意識が高うございまして、あと我々環境が農林水産部門にいるということで、防災と農林とは結構きっちりと連携できています。逆に、せっつかれているという感じですね。もっとデータをくれと。雨が増えるのはわかったと。じゃあ、どこに、どんな降り方をするんだというのを、もっとデータを早くくれ、早くくれというふうにせっつかれているような状況でございます。それに我々の方は十分応えられておりません。

適応計画につきましては、平成26年、27年ぐらいに私の先輩方が知事に「これは取り組まなくてはいけないんです」というのを随分言っていただきまして、ですから比較的、取り組みは早く始められたのではないかなと。特に今回、2030年の削減目標の修正、あるいは再エネの導入目標の設定とか新たな計画をつくる中で適応策基本方針というのをきちんと織り込むということで、そういう意味では知事はご理解をいただいているというふうに感じています。

徳島県(藤本課長)

それでは、徳島県でございます。

まず、障害というところでは、縦割りというよりは、やはり知識がないというところが大きかったのかなと。ですから、先ほども申し上げました土木の職員なんかは、「適応」という言葉は知らなくても適応に関するような事業はしているのですが、ただ、それが適応ですから計画に乗せていろいろやっていきましょうと言っても、いやいや、それは適応とか温暖化のためにやっているんじゃないというふうに言われるんです。そこをいろいろ説明して、ああ、これはやっぱり適応なんだとわかってくれれば、そこで、もう非常に協力的になってくるということがありますので、やっぱり庁内の意識共有というか、知識レベルを合わせるということが非常に大事かなというふうに思いました。

それから、国の適応計画ですけれども、私がこの職についたのが昨年の4月ですけれども、その引き継ぎの際に、国の方がそろそろこういう計画をつくるというような引き継ぎを受けまして、いろいろ、それ以降、内容を調べてみますと、これは非常に大事な計画だなと思いまして、それから私の中でこれを作っていかなくてはいけないなという思いが出てきました。やはり国がつくったということは、環境部局においては非常に大きなインパクトがあったのではと思っています。

倉根委員

まず、兵庫県の方にお伺いしたいのですけど、私、健康部局というか感染症部局なのですが、そのときに、県と、それから例えば政令指定都市がある場合には、政令指定都市は、何か独立した感じで、こちらは県、こちらは違いますよということでよくお話が来るのです。兵庫県の場合には、神戸市も含めてやっておられるのですか。あるいは、神戸市は神戸市として、県は県としてやっておられるのですか。

兵庫県(小塩課長)

適応計画につきましては、例えば、気温の変化についても、このパンフレットにございますが、県の北、それから中部、淡路ぐらいに大きな違いが出てくるのですが、では、神戸市の北区と西区でどう違うとか、そんな細かい作業はできかねるところがございます。ですから、神戸市は、県の成果を見て、その情報を提供してもらって、その先で神戸市バージョンを考えましょうかというふうな考え方でございます。そういう意味では連携してやっていくと。別々に作業をするということは、逆にないのかなと。連携してやっていくべきテーマではないのかなというふうに考えています。

倉根委員

それから、もう1つ。これは、3県に伺いたいのですけど、今日は県としての取り組みということなのですが、隣の県とは県境があるといっても非常に近いわけです。ある地域は、もう本当に、すぐ隣の県に接している。このときの隣県との協力といいますか、協力関係というのは、どういうふうになってますでしょうか。

兵庫県(小塩課長)

兵庫県も含めてですが、関西広域連合という一つの枠組みがございまして、ここに環境を担当しているところがあるということで、広域の環境について一緒に考えていくという土台があろうかと思います。徳島県さんも、関西広域連合に入っておられます。ですから、我々の提案といたしましては、瀬戸内海を囲む県のそういったつながりでありますとか、既に広域的なつながり、あるいは研究成果の交換というのはございますので、そういうものを発展させていって広域的な連携というのをさらに強めていくべきではないかというふうに考えます。

福島県(荒井主幹)

福島県は、東北地方の一番南の端の県になります。いろいろと隣接県との交流はやっているのですが、環境に関しては、東北地方の中で情報交換する機会は定例的に年に何回かあります。ただし今、先生におっしゃられて、南の隣接県、北関東との交流がなかったと感じています。

徳島県(藤本課長)

先ほど兵庫県さんの方からお話がありましたように、徳島県も四国でありながら関西広域連合に入っておりますので、そのような感じで広域的なお話もさせていただいています。一方、四国の中では、なかなか、適応についての話というのは具体的には出ていませんが、いろいろ機会を設けて広域的に連携できるところは連携していこうという話はしているところです。

高橋委員

少し戻りまして縦割りの話ですけれども、行政の中での縦割りもあると思うのですが、研究の側でも手法とか見るところが違って、縦割りが弊害になっているところがあるかと思います。具体的な例として、今年になってから「Nature Climate Change」という雑誌に掲載されたヨーロッパの研究プロジェクトの成果があって、その中でセクター別、水とか農業とか人間健康とか、それぞれ別々に計算した結果と、セクター間をリンクしたモデルを使って総合的に評価した結果で、かなり違いが出るという成果を出していたりします。

研究としては、我が国でも、より現実的な評価ができるのであれば、同様の研究に取り組むことが今後必要になっていくと思います。また、そういう研究が、もしかすると行政の縦割りを崩していくための一つの助けになるのかもしれません。しかし一方で、今日伺ったお話を踏まえると、まだ、一つのセクター別の評価でもなかなかコミュニケーションが難しいようで、複数セクターが絡んだら評価結果が変わりますよといった結果が示されると、コミュニケーションがさらに難しくなるのかもしれないとも思いました。以上、感想です。

中北委員

的を射ているかどうか、わからないのですが、先ほど、市町村からの要望で細かい将来変化の情報はどうなっているのかというお話がありましたが、これは「革新」が始まったころからですけど、木本先生とかにもいろいろご指導いただいたりしながら、より細かな領域気候モデルで細かな情報が出てくるという話と、将来の変化が細かく意味のある情報として出てくるというのは、なかなか混同してしまうのですが、やっぱり、しない方がいいというのが私たちも影響評価等を考えてくるときに一応キープしながらやってきたことなので。

もちろん、もう少し定量的に、まだきっちりとその違いを出せてきたわけじゃないのですが、そこのところは県であり市町村というようなスケールにいくときに、やはり共有をしておかないといけない大事なことかなとは思います。出力としては、将来こうなるというのはこうこうこうと出てくるのですけど、でも、有意な変化がこことここで違うとかというのは、言葉あるいは文章を書くときに区別するように気を付けておいた方がいいのかなというのが、今、自分自身に対しても、もう一度、改めて注意しないといけないところかなと思いました。定量的にどうかというのは、まだちゃんと出せていないのですけれども、そこが大事かなと思いました。すみません。

木村委員

3県の方にお聞きしたいのですが、こういう適応策の取り組みについての情報を取りまとめておられますよね。そのときにトップの理解、つまり知事、副知事の人たちに理解していただいた上で配付されていると考えているのですけれども、そうしたときに、それが知事、副知事、専門知識はそれほど多くないですよね。そういうトップがこういう情報を見て、それで、じゃあ、これで発信していいという判断をする、その根拠は審議会ですか。あるいは、知事がそのときの、これは一般向けに書かれていますから、それをお読みになって、これを発信していいという判断をされるのでしょうか。あるいは、そういう判断はないのでしょうか。

福島県(荒井主幹)

当然、知事には詳しい話をする時間をとることは難しいので、極力、ワンペーパーなりツーペーパーくらいにまとめた資料で事前にレクをして、最終的に県の温暖化対策の推進本部会議というので、知事が筆頭の会議で決定するという流れになっています。後は、もう我々に任せていただいていると。要点だけ説明してという形でやっています。

兵庫県(小塩課長)

兵庫県の場合は、温暖化対策の推進計画みたいな大きな計画につきましては、知事に何回も入ってレクをしてということで決まってまいります。その中で、どんな数字を発信するのかというのは、知事と何回もレクをするという形になります。ただ、このパンフレットみたいなものは、部長ぐらいの判断で作っております。

徳島県(藤本課長)

徳島県ですけれども、本県も、戦略自体は全部で56ページあるのですが、当然ながら、こういうのを知事まで入れるわけにいかないので、それを2、3枚にまとめて、確かに何回かレクをしました。知事も非常に環境には造詣が深いものですから、適応の概念自体も理解をしていただいて、反対に、こういうことをした方がいいのではないかというようなご指摘もいただいたりとかしながら決めてきました。ただ、最終的には、先生もおっしゃったように、私どもの場合、外部の環境審議会というところでいろいろ議論していますので、そこにも信頼を置いていただいているのかなと思っています。

木本委員

今日、自治体の方にお話をいただいて、質問はしなかったけど大変参考になりました。なりましたが、途中で愕然としたんです。私は自治体の方の環境担当の方のこういう話を聞いたのがほぼ初めてなんです。「温暖化対策は待ったなし」と言われたり、適応策の会議をやっていたりするわりにはです。私、必ずしも適応の専門家ではないですけれど、温暖化に関わって、もう10年か15年かになるのですが、実際に国民の皆さんにかなり近いところにおられる方々の話を今日初めて聞いたというので、これじゃあ対策もなかなか進まないのではないかと思いました。

それは、私の心がけが悪いからだと言われれば、それまでですけれども。幾ら報告書をたくさんつくっても、会議を何回開いても、実際に国民の皆さんに近い人たち、多分、ご専門でないのに担当になって、いろいろな資料を集めたり、いろんな話を聞いたりして、しかも現場の人からはいろいろと、こんなことやらなくちゃいかんのかみたいな突き上げもある中で苦労されていると思うんだけれども。お話の端々にも出てきましたね。専門家の人たちとコミュニケーションがとりたいというような意味のことを、どの県の方もおっしゃっていたように思います。それに鑑みて、関係者が1回もこういう話を聞いたことがないというのは根本的に問題があるんじゃないでしょうか、対策を進めていく上に。

いや、私個人の問題だ、私の心がけだけの問題だと言われれば、それまでですが、何かちょっと、RCPだとか小難しいことを言って、こんな分厚い報告書をつくっている割には、効率と言ってはあれかもしれないけど、少し策を考えてもいいんじゃないか。もちろん、江守さんみたいにあちこち回って国民の皆さんとコミュニケーションをとられようとしている方はおられると思いますけど、私のように委員の中に自治体の方のお話を聞いたことがない者がいるようでは、なかなか先が心配だなあという感想を述べさせていただきました。

住委員長

はい、ありがとうございます。そこまで事態が進行したということなのだと思っています。高橋委員など、影響や適応の研究者は、自治体ともそれなりに一緒にやられていると思います。ただ、どういう形でそういう機会を広めていくかということは、これからの課題だと思っています。

最後にお聞きしたいのですが、具体的な適応作業というか、施策の実施段階になったときに、主として担われるのは基礎自治体の市町村が前に立つのでしょうか。県というのは、ある意味では、枠組みをセットする、もしくはお金を配るというような位置付けになるのか、それとも県として事業を展開するような形になるのか、どちらなのでしょうか。

福島県(荒井主幹)

内容によるのかなと思います。例えば、農業であれば、研究等は県の方がして、実際の対応は市町村かJAさんとか業界の方がやっていくということでしょうし、土木系だと、道路とか河川によって所管が決まっていますので、それぞれでやられて、全体的な治水計画みたいなものは県がつくるということになるのではないのかなと思います。

兵庫県(小塩課長)

兵庫県も同様でございまして、案件によりけりという言い方しかできないのですが。ただ、包括的に申し上げますと、緩和策につきましては市町でも十分取り組めるテーマがたくさんありますので、個別にやっておられるところはたくさんあります。ただ、適応策ということになると、まだ十分な知見が市町にはございませんので、先ほど神戸市との連携の関係もお話ししましたが、これについては県が率先してやっていかなければならないのかなというふうに考えています。

徳島県(藤本課長)

私も全く同様で、やっぱり案件によって県と市町村、役割分担をしてやっていくべきかな、と思っています。

住委員長

どうもありがとうございました。そろそろ時間になりましたので、よろしいですか。

最後に環境省に言いたいことが一つあります。とても難しい問題ですが、先ほど山田先生が言われた水利権の問題とか、また、よく出てきますのは財産権の問題があります。戦後、個人財産が保護されてきて、悪いことではないのですが、公共的な問題と個人の財産権のコンフリクトのような問題が起きてきました。制度的に従来の社会の仕組み自体が現代の温暖化するようなそういう時代に合っていない、そういう制度的な問題もあると思っています。

こういう適応の問題について、技術的な対応もあるのですが、法制度みたいなところもやっぱり問題提起をしていく必要があると思っています。すぐには解決しないと思いますし、個人財産権を規制すればいいというわけでもありませんので、そこは十分な配慮が必要ですが、何らかの問題提起していかなければならないと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

それでは、長い間、どうもご苦労さまでございました。前回と今回のレビューを受けまして、いよいよ次回以降、論点整理、それから3月に向けての中間とりまとめ、さらには来年度以降、どういうふうに具体的に展開するかというふうに話が進むものと思います。今後とも、皆さんのご協力をお願いしたいと思います。なお、次回は、幾つかの企業からヒアリングを行います。

竹本気候変動適応室長

本日は、活発なご議論をいただきましてありがとうございました。住委員長からご紹介がありましたとおり、次回、民間事業者の方々のヒアリングもございます。本日いただいたご意見やヒアリング結果も踏まえまして、中間取りまとめに向けた論点の整理を行っていきたいと思います。

また、議事録につきましては、委員の皆様にご確認いただきました後、環境省のホームページに掲載をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

次回の小委員会は、既にご案内のとおり、12月16日(金)13時から15時を予定しておりますので、よろしくお願いします。

住委員長

よろしいですか。それでは長い間、どうもご苦労さまです。これで終わりにしたいと思います。

午前11時50分 閉会