中央環境審議会 地球環境部会気候変動影響評価等小委員会(第9回)議事録

日時

平成27年3月2日 10:00~11:12

場所

航空会館 大ホール

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1) 日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について(意見具申)(案)について
  2. (2) その他

3.閉会

配付資料一覧

資料

中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会 委員名簿

資料1-1  日本における気候変動による影響の評価に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果について
資料1-2  地球環境部会(第125回)における主なご意見ついて
資料2-1  日本における気候変動による影響に関する評価報告書(案)
資料2-2 日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について(意見具申)(案)

【参考資料】

参考資料1 気候変動影響評価等小委員会(第8回)において提起された課題とその対応について
参考資料2 中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会(第8回)議事録
参考資料3

気候変動影響評価等小委員会の趣旨等について

  (中央環境審議会地球環境部会(第114回)資料1-2)

午前 10時00分 開会

竹本研究調査室長
皆さんおはようございます。定刻となりましたので、ただいまより第9回中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会を開催いたします。
私は、事務局の環境省研究調査室長の竹本と申します。よろしくお願いいたします。
本日の会議でございますが、今名札が置かれてある委員の中で倉根委員、増井委員がこれからご出席予定でございます。それから高橋正通委員におかれましては、急遽ご欠席と連絡が来ております。ただし、現在委員総数の過半数の委員にご出席いただいておりまして、定足数に達しておりますことを、ご報告いたします。また本日の審議は公開とさせていただきます。
最初に、2月に中央環境審議会の委員の改選がありましたので、ご報告させていただきます。
本日ご出席いただいております浅野地球環境部会長が、中央環境審議会の会長に就任されております。また、地球環境部会長も引き続きお務めいただいております。
それから臨時委員であった高村委員が委員に、専門委員であった田中委員が臨時委員にそれぞれ就任されております。
続きまして配付資料の確認をさせていただきます。まずお手元に議事次第がございます。それから委員名簿、資料1-1、日本における気候変動による影響の評価に関する意見の募集(パブリックコメント)の結果について。資料1-2、地球環境部会(第125回)における主なご意見について。資料2-1、日本における気候変動による影響に関する評価報告書(案)。資料2-2、日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について(意見具申)(案)。参考資料1、気候変動影響評価等小委員会(第8回)において提起された課題とその対応について。参考資料2、中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会(第8回)。参考資料3、気候変動影響評価等小委員会の趣旨等について。
以上でございます。資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
それでは以降の議事進行は、住委員長にお願いします。

住委員長
おはようございます。皆さん年度末、いよいよ3月になりました。大変お忙しいことと思いますが、お集まりいただきましてありがとうございます。この気候変動影響評価等小委員会も最後を迎えることになりました。皆さん今まで大変ご苦労いただき、ありがとうございます。
世間的にも非常に新しいことを出したということで、関心も高うございます。ただ世間は影響・対策も全部一緒になっていて、これは影響だけだよと言っていても、当然、適応はどうするのかと、世間にはそう受け取られていましたけれども、その辺の説明が多々あるかと思いますが、そういう点では第一歩だと思います。
それでは時間も限られておりますので、議事に入りたいと思います。本日の議題は、議事次第にあるとおり、(1)日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について(意見具申)(案)についてということと、その他となっています。
まず議題1、意見具申(案)について、パブリックコメントの結果、及び1月26日の地球環境部会に意見具申(案)を報告した際のご意見、それらを踏まえて意見具申の概要について、資料1-1、1-2、2-1、2-2を事務局より説明していただき、その後質疑応答に入りたいと思います。
それでは事務局、お願いいたします。

野本研究調査室長補佐
まず資料1-1につきまして、ご説明させていただきます。
こちらは、パブリックコメントを1月26日から2月22日にかけて行っておりまして、その結果でございます。意見提出者としましては、6団体・個人でございまして、延べ意見数としては16件という状況でございます。
順番にご説明させていただきます。まず一つ目のご意見ですけれども、重大性の評価に関しまして、「特に大きい」、「「特に大きい」とは言えない」という2段階で評価しておりますけれども、これをもう少し細分化できないか。例えば3段階で評価するべきだというご意見をいただいております。
ご意見への考え方を右に書いておりまして、そちらに事務局としての考え方を記載しています。
まず一つ目のご意見への対応ですけれども、今回は、気候変動の影響の程度などについて、定量的に評価した文献が限られており、重大性に関しては詳細に区分することが難しいということで、議論の中で判断しておりまして、2段階で評価するとしておりますので、原案のとおりとしたいと思っております。
続いて二つ目のご意見でございますけれども、こちらは各分野項目間の相互作用ですとか連鎖、循環の観点での課題抽出が見当たらないではないか。この辺りについても注意すべきというご意見がございました。考え方ですけれども、ほかの分野との関係性につきましては、例えば報告書(案)の中でほかの分野、項目との関係という箇所がございまして、そこについて文献などに基づいて可能な限り記載しておりますので、原案のとおりとしたいと思っています。
続いて2ページ目に参りまして、3番目のご意見ですけれども、報告書を根本から見直してくださいということで、IPCCの予測に沿った報告書は的外れではないかですとか、あとIPCCの基本の予測というのが当たっていないのではないか。ご意見が長いので割愛いたしますけれども、下のほうには温暖化のデメリットばかり強調してメリットの記載がほとんどないのではないかというご意見をいただいております。
これに対しては、右ですけれども、IPCCの第5次評価報告書自体は、800名の専門家が3万点を超える科学的文献をレビューして執筆されていまして、日本政府を含め、IPCCに参加している世界195カ国が承認しているという位置づけのものです。また、ご意見の中でご指摘をいただいていました近年の気温が停滞していることについて、予測は当たっていないのではないかという点に関しても、IPCCの第5次評価報告書の第1作業部会報告書の中に書いておりまして、観測によると1951年から2012年の期間に比べて、1998年から2015年の期間における地上気温の上昇の変化傾向は弱まっている。これに関しては放射強制力の弱まりと、自然起源の内部変動がもたらす寒冷化が、概ね同程度に寄与しており、放射には熱が海洋中に再分配されている可能性も含まれる。放射強制力の変化傾向の弱まりには、主として火山活動、火山噴火と11年周期の太陽活動が下降位相の時期にあることによるとございまして、そこについては説明されていると理解しています。
また、本報告書において、温暖化のメリットに関して取り上げるべきというご意見もございましたけれども、そこについても冬季の死亡率の低下など、温暖化による、よい効果についても取り上げております。
続いて4番目のご意見でございますが、こちらもIPCCに関してですけれども、人為起源温室効果ガスが、20世紀半ば以降の温暖化の支配的な原因であるというところに対しても、この知見は間違っているのではないのかというご意見をいただいております。特に20世紀前半にも温暖化していましたので、そことの比較において、IPCCの報告書が後半のみに焦点を当てて説明しているのではないかというご意見がございました。
右側に、それへの回答が書いておりまして、3ページの下側からですけれども、20世紀後半の温暖化については、IPCCの第5次評価報告書の第1作業部会報告書において、気温上昇に対する温室効果ガスの寄与度が、0.5℃~1.3℃の範囲内である可能性が高く、エーロゾルの冷却効果を含む、それ以外の人為起源強制力の寄与は-0.6℃~0.1℃の範囲である可能性が高い。自然起源の強制力の寄与というのは-0.1℃~0.1℃の範囲である可能性が高く、自然起源の内部変動性の寄与というのは-0.1℃~0.1℃の範囲である可能性が高いと評価されていまして、これらを合算すると0.6℃~0.7℃という、実際に実測された温度と一致しているということで、20世紀後半の気温上昇を説明するには、人為起源の温室効果ガスというのが不可欠という状況になっております。
また、20世紀前半の温暖化については、第1作業部会の報告書の第10章に記述がございまして、ここも気候の内部変動だけであることによる可能性が非常に低いということで、人為起源の寄与もあるということがございまして、ただそこに関して定量化することが困難ですという記述がございます。
以上から、IPCCの知見が誤りということは当たらないと思っておりまして、原案のとおり進めていきたいと考えております。
続きまして8ページですけれども、5番目のご意見としまして、政府全体の適応計画策定に当たっては、気候変動が日本にどのような影響を与えるかを把握して、それを踏まえる必要があると記載されておりまして、新聞報道等では適応計画の法制化を検討されているようであるが、気候変動影響の知見の不足、既存の施策による適応効果の整理といった課題が残されている中では、適応計画の法制化について拙速に検討されるべきではないというご意見をいただいております。こちらに関しては、適応計画やその法制化に関することは、意見具申の対象とはしておりませんので、そういう回答としています。
6番目のご意見でございますけれども、こちらが4つのシナリオの気候変動予測について書いているのですけれども、現状の排出量がRCP8.5に沿っていて、このままでは一番高い濃度パスを進んでいくのではないか、それについて説明を加えるべきというご意見をいただいております。こちらはRCPシナリオの説明は、意見具申の85ページ以降に記載しておりまして、その中でRCP8.5が高位参照シナリオであることを記載していますので、原案のとおりとしたいと思っています。
続いて7番目のご意見でございますけれども、こちらも気温上昇などについて、もっと視覚的にわかりやすく工夫する必要があるのではないかというご意見をいただいております。意見具申の内容をわかりやすく国民に伝えるということは重要だと思っておりまして、今後の課題として検討していきたいと思っております。
8番目ですけれども、地方公共団体に適応計画を促す記述があってもいいのではないかということで、ご意見をいただいております。こちらにつきましては、意見具申の最後の課題を述べておりますけれども、その中で、地方公共団体等の支援という項目がございまして、そこで地方公共団体への支援の必要性などを書いておりますので、原案のとおりとしたいと思っています。
9番目のご意見ですけれども、影響の経済コストの記述がないということでございまして、もっとコストの記述も入れるべきではないかというご意見をいただきました。気候変動の影響の経済的なコストについては、専門家のご判断も経て、記載できる範囲で記載しておりますので、原案のとおりとしたいと思っておりまして、そういう形で回答しています。
続いて10ページ目の10番目のご意見ですけれども、水循環を踏まえた検討というのが、農地の事例ですとか、少し書いている程度で、災害との関連の記述が寂しいのではないかというご意見がございました。こちらは水循環と災害の関係については、自然災害ですとか沿岸域の洪水等の分野において、関係性も含めて記述していただいておりますので、原案のとおりとしたいと思っています。
続いて11番目のご意見ですけれども、80cmの海面上昇があった場合、三大湾でゼロメートル地帯の面積が現在の1.6倍に増加するとございますけれども、こういう影響は三大湾以外の、例えば新潟平野ですとか佐賀平野といった地域でも起きるということがあって、それについても記載すべきというご意見をいただいています。あと複合災害に関する文献も追加すべきというご意見もいただいております。
まず前半のご指摘ですけれども、こちらはご趣旨のところでございますので、意見具申の文章を少し修正したいと思っておりまして、「80cm海面が上昇した場合、三大湾のゼロメートル地帯の面積が現在の1.6倍に増加するなど、影響の範囲は全国の海岸に及ぶ」と修正したいと思います。文献を追加する件に関してですけれども、こちらは基本的には気候変動以外の事象は含めては考えないということにしておりますので、原案のとおりにしたいと思っています。
続いて12番目ですけれども、こちらも地盤工学会などにおいて文献がありますので、それを追加してほしいということがございました。具体的にご提案いただいた文書に関しては、参考文献に追加したいと思っておりまして、ただ意見具申ですとか報告書の内容に関しては、特に差異とか矛盾がございませんので、文章はこの原案のとおりとしたいと思っています。
13番目のご意見ですけれども、複合的な災害は重要であるにも関わらず、これに関する記述がないというご意見がございまして、文献を一つご紹介いただきました。これに対しては、先ほど複合災害の話等もございましたけれども、原則としては気候変動以外の事象については考慮しておりませんので、原案のとおりとしたいと思っております。
14番目ですけれども、降雨に伴う土砂災害の素因としては、地形的要因、地盤的要因、あと植生要因があって、地形的要因が抜けているではないかというご指摘がございました。ここでは気候変動の影響を受ける可能性のある主な要因として、地盤条件と地質条件という2点を挙げておりますので、地形的要因が土砂災害の要因であるかどうかということに言及しているわけではございませんので、原案のとおりとしたいと思っています。
15番目ですけれども、こちらも気候変動と土砂災害の関係で二つ論文をご紹介いただいておりまして、一つ目に関しては参考文献として追加したいと思っています。なお文章に関しては特に差異はございませんので、原案のとおりとします。二つ目の文献に関しては、地震の影響も含めた評価となっていますので、今回は外したいと思っております。
最後、12ページ目の16番目のご意見でございますけれども、エネルギーに関する気候変動の影響の要因として、「エネルギーインフラへの影響被害については研究事例が少なくて、コンセンサスがあるとは言えない」と記載されていることから、まずは知見の充実に努めるべきである。それでまた電気事業に関して言えば、巨大地震や津波、集中豪雨、暴風といった自然災害が発電、送電、変電設備などに与える影響について、平成26年1月から産業構造審議会保安分科会において評価され、自然災害に強い電力設備のあり方について検討されている。このように他の施策をもって既に適応に資する対策検討が実施されているものもあり、気候変動の影響評価はそれを踏まえて行われるべきである。そのためにはまず、既存の施策による適応効果の整理も行っていく必要があるというご意見をいただきました。ご意見に対する考え方ですけれども、影響評価の結果に基づき、既存の研究ですとか調査が不足している部分については、知見の収集に努めてまいりたいと思っています。また、本意見具申に関しては、気候変動による影響を評価するに当たりまして、適応策を講じない場合を前提として、影響を収集しているというところがございますので、記述としては現状のままとしたいと思っています。ただ、ご指摘いただいたような内容の知見に関しては、重要なものですので、今後の影響評価の充実に向けては、知見を収集していきたいとしています。
こちらが資料1-1でして、続いて資料1-2についてご説明いたします。こちらには1月26日に開催されました地球部会で意見具申のパブコメ(案)をご紹介したときに、先生方からご意見をいただいたものと、そのご意見に対する考え方を記載しています。
1番目ですけれども、普通の人にこの内容をわかりやすく伝達する必要があるというご指摘をいただいておりまして、それらの考え方ですけれども、今後の日本における気候変動の影響評価の結果について情報発信に努めてまいりますとしています。
2番目ですけれども、適応分野における研究者あるいは研究体制がどういう位置づけになっているのかを記述する必要がある。今の体制で十分なのかというご意見がありまして、これについては意見具申の課題でも挙げているとおり、既存の研究や調査が不足している部分に関しては、知見の収集に努めてまいりますとしております。
3番目ですけれども、評価できない、科学的な知見が欠如している、研究例が少ないということはあるわけだが、知見がないけれども、これは重要だと、そういう評価があってもいいのではないかというご意見をいただいております。こちらは知見が十分ではなくて、重要な分野に関しては、確信度は低いけれども、重大性が大きいと評価されている分野もございまして、ただ評価できないという分野もございますので、これらについては知見の収集に努めてまいりたいと思っております。
4番目のご意見ですけれども、重大性などが分野ごとに評価されておりますけれども、もっと横断的な効果ですとか、重層的な効果も見ていったほうがいいのではないかというご意見がありました。ここは、まず今回は分野別に重大性を評価しておりますけれども、今後横断的な観点で影響を評価、把握する必要があるということでしたら、そこも検討を今後行っていければと思っております。
5番目ですけれども、産業経済分野に関してですけれども、もっと実務家の知見も活用していったほうがいいというご意見がございました。そこに関しては今後知見の集積に努めていきたいとしています。
裏のページにいきまして、6番目のご意見ですけれども、温暖化すれば、いろいろな被害が出るけれども、ポジティブな面もある。ポジティブな面についてはもっと書いたほうがいいということがございました。ここはもう先ほどのところでもございましたけれども、ネガティブな面だけではなくて、ポジティブな面についても評価している。今後新たな知見が出てくれば、それも含めて評価していければと思っております。
7番目ですけれども、報告書をアップデートしていくということは、ぜひやってもらいたいというご意見がございました。こちらは意見具申、報告書の課題のほうにも書いておりますけれども、定期的に気候変動による影響の評価が必要だとしておりますので、それに基づいて定期的な評価を行っていければと思っております。
8番目のご意見ですけれども、2008年に環境省のほうで「気候変動への賢い適応」という報告書を出しておりますけれども、そこからアップデートが進んでいないではないかという点と、もっとモニタリングについて重要なので、そういう点も焦点を当てるべきではないかというご意見がありました。
まず1点目ですけれども、こちらは一昨年から昨年にまとめられましたIPCCの第5次評価報告書など、2008年以降に発表された最新の科学的知見も含んで評価しておりますので、それらも踏まえた結果です。また、意見具申の構成上、課題に関しては後ろに取りまとめておりますけれども、継続的な観測監視は非常に重要でして、今後もしっかり取り組んでいきたいと思っています。
これが概要でございまして、あと資料2-1はちょっと大部になりますので説明は割愛いたしますけれども、こちらが詳細な報告書になっています。資料2-2が意見具申になっておりまして、先ほどの資料1-1で変更したところだけご紹介します。
具体的には50ページですけれども、こちらに海面上昇の項目がございまして、その真ん中のほうに(将来予測される影響)というのがございまして、それの3番目のポツでございますけれども、ここで影響の範囲は全国の海岸に及ぶと記載を追加しています。
また参考文献については、ここでは明確には現れておりませんけれども、先ほどの分厚い報告書の最後のほうに文献を2件追加しています。また資料2-2で、事務的に多少の言葉の修正等を適宜行っております。
主立った変更箇所だけご紹介したいと思いますけれども、同じ資料2-2で少し戻りまして、3ページ目のところですけれども、以前、3ページ目の下から3行目のところで、文献数533件とご説明させていただきましたけれども、その後精査を行いまして、重複している論文等もございましたので、整理しまして509件としております。
また、少し飛びまして24ページのところですけれども、気候変動による影響の予測(概要)というところですけれども、少し将来予測のところで例えばA1Bシナリオですとか、いろいろなSRESシナリオや、RCPシナリオがまじっていたりしておりましたので、それが文献に基づくものだということがわかるように、24ページの下の注を入れております。32番の注ですけれども、文献により気候予測モデルですとか、排出/濃度シナリオ、影響評価のモデルなどが異なっていることから、本報告書に記載された「将来予測される影響」も、それぞれ参考とした文献の前提条件に基づいて記載しているという注意書きを入れています。
主立った変更点は以上です。後は先ほど幾つか言及させていただきましたけれども、83ページ以降のところで課題を述べておりまして、パブコメ等でいただいていたご意見に対しては、かなりの部分はこういうところで将来の課題として知見の充実ですとか、定期的な気候変動の影響の評価、あと地方自治体への支援等について記載をしているところでございます。
説明は以上となります。

住委員長
非常に膨大なところをご説明いただきまして、ありがとうございます。
それでは、今のパブコメとか部会のご意見も踏まえて、コメントとかご質問をいただきたいのですが、パブコメについて議論をしていても意味がありませんので、それを参考にして、意見具申(案)に関してコメント等がさらにございましたら、それを言っていただければと思います。意見のある方はコメント等、その前にご質問等ある方は名札を上げていただければと思います。

原澤委員
ありがとうございます。パブコメの16番と、資料1-2の部会の5番に関するコメントなのですけども、地球部会の委員の先生、何人かの方は、産業経済分野が弱かったのではないかということで、もっと企業の方を入れた形で、こういった評価をやったほうがいいのではないか、まさにそのとおりでありまして、この分野は非常に情報が少なかったということもありますので、これはもし次にやるとすると、そういった多様なステークホルダーといいますか、そういった方にも入っていただくのがいいのではないかと思います。
それは今後の課題ということですが、あえて記載する必要はないということでありますが、2番目が、もう一人の委員の方は、既に企業はいろんな取組をやっていて、自然災害があるとBCPというプランをつくって既にやっている。先ほども「適応効果」というキーワードがありましたけれども、企業はもうやっているのだから、今さらこういった適応を取り上げなくてもという話があったのですけれども、どうも企業の、あるいは産業界の方の意識が、気候変動とその他の現象というのが、あまり区別されていないかな、そういった面でもこういった評価の結果を、そういった方々にも広報していく必要があると同時に、情報をいろいろ今後とも作成して公表していただくような、そういった取組が必要かなという発言をさせていただきました。参考までにコメントであります。

住委員長
どうもありがとうございました。
では、江守委員。

江守委員
ありがとうございます。パブコメの3番、4番について、あえてコメントをさせていただきたいと思うのですけれども、これは非常に長く書いてありますけれども、基本的には私はIPCCを信用していませんということだと思うので、対応方針もいろいろ個別のことについて書くことはできますけれども、それによって多分書いた人は納得するということはないだろうと思っております。ただ、委員会の対応としては、こういうことしか書けませんので、仕方がないだろうなと思います。
こういうご意見が出てくるというのは、国民の中で非常にこの問題に関心のある市民がいらっしゃるということですので、それはそういう認識を、我々専門家も行政も、こういった場で確認するいい機会になったのではないかなと思います。個人的には、こういった方からシンポジウムで質問を受けたり、メールで質問を受けたりすることもありますので、丁寧にコミュニケーションしていく必要があると思っております。以上です。

住委員長
どうもありがとうございます。
では、高橋委員。

高橋(潔)委員
パブコメをどうこう言っても、しようがないということだったのですけれども、パブコメ関連で、質問ではなくて回答のほうです。例えばパブコメをまとめられている資料1-1の、パブコメの11番の回答で、最後のところ、「原則として気候変動以外の事象は考慮していませんので、原案のとおりとさせていただきます。」という答えがあると思います。これは参加されている方たちはみんな了解の上かと思いますけれども、気候変動以外の暴露とか脆弱性が大きく変わって、そこにさらに気候変化が生じるということで、影響が生じたり、リスクが大きくなったりということが心配される。そういったことも極力拾ってリスク管理していこうということかと思います。
回答が短目で書かれているので、このような答えになっているのだと思うのですけども、気候変動以外の事象は考慮していないというわけではないと思いますので、そこのコミュニケーションは適切にしていただけたらいいのかなと考えました。以上です。

住委員長
言い方って非常に難しいと思います。そのほかよろしいですか。秋元さん。

秋元委員
2点ですけども、1点目はパブコメのIPCCへのコメントですけど、私はIPCCは非常に健全だと思っていまして、今回もIPCCのAR5は、平衡気候感度をこれまでの2.0℃~4.5℃のレンジから、こういう気温の伸びが少し少ないということもあって、1.5℃~4.5℃と下方修正していますし、そういう中で不確実性は非常にあるのだけれども、ただ、いろいろな文献からして、温暖化は疑いの余地がないし、上昇するのも疑いの余地がないという判断を総合的に下していますので、そこはいろいろな意見があること自体はいいと思うのですけども、非常に健全なプロセスの中で判断はなされてきているのではないかなというのは、個人的な感想です。ただ、我々も、一方的に絶対的に上がるのだとか、この数字だというようなコミュニケーションをすると、こういうものが出てくる可能性もあるので、注意したコミュニケーションが必要かなと、改めて感じました。
2点目は、資料1-2の部会のコメントは、どれも私はもっともかなと拝見させていただきました。我々がやったプロセスの中で、わからないことはまだたくさんありますので、今後どういう分野が足りないかとか、そういうことを含めながらインプルーブしていくプロセスが非常に必要で、研究の知見が足りない分野はかなりあるということは明らかになってきましたので、これからの活動ということでは、そういうコメントは結構あったと思いますけれども、そこは非常に賛成かなと思いました。以上コメントです。

住委員長
そのほか、よろしいですか。沖さん。

沖委員
ありがとうございます。ささいな点ですが、報告書にも意見具申案にも、両方に一番最後に一覧表で影響評価が示されております。重大性、緊急性、確信度について3種類の色で示されておりますが、できればせっかくでしたらプロットの模様だけではなくて、形も変えていただいて、白黒でコピーしてもわかるようにしていただくと、色覚がわからなくても見えるということでありがたく思いますけれども、よろしくお願いいたします。

住委員長
ありがとうございました。そのほか。古米委員

古米委員
資料1-2の4番目のご意見に関して、横断的な効果あるいは重層的な効果というところの言葉として、「今後横断的な観点で影響を把握する必要があれば」というのは、必要でないかもわからないというイメージがあって、今回は将来総合的に、あるいは戦略的にやるという意味においては、ちょっと表現を変えておいたほうがいいと思います。先ほど出たように、複合影響は今回取り扱っていないのだけれども、大事であるのだということをコメントしていることの対応で言うと、表現を統一させたほうがいいことと、場合によっては83ページ以降の、日本における気候変動による影響評価の課題の中の、項目だけ設定をするわけではありませんけれども、各項目の中で、1個1個の影響評価プラスアルファの横断的なものが必要になってくるという追加の文章もあってもいいのかなと思います。

住委員長
ありがとうございます。そのほか。よろしいですか。沖さん。

沖委員
では、もう1点。両方の一番最初のところに509点の文献数を活用したというところがございますが、主に日本についての影響評価を行った文献を集めたということで、その上で適宜IPCCの第5次評価報告書の該当分野を参照した部分もあるというのが実態だと思います。
何を申し上げたいかといいますと、日本において必ずしもさまざまな影響分野全てが研究されているとは言えない状況であって、ここに示されたものだけは、文献に基づいているので見落としがないわけではないのではないかということを断っておいたほうが、後からこんなことが抜けていたではないかと言われても、それは現時点ではこれしか無理だったということを、きちんと書いておいてはいかがかと思います。これは必ずというわけではなくて、ぜひ事務局でご検討いただいて、ということでコメントです。

住委員長
ありがとうございます。僕も追加で、資料1-2の4番に関して僕も思うところを申し上げますと、横断的な効果、重層的な効果が重要であることはそのとおりだろうと思いますけれども、今回の作業プロセスとして、文献に基づいてエビデンスベースで言えることを言ったということなので、そうするとどうしても要素ごと、分野ごとに分かれる。なかなか横断的、重層的なことが文献になっているということがあまりないということではないかなということが一つはあると思います。
ですので、こういった視点というのは、むしろ今回出たものを材料にして、いろんな場で議論を行って、あるグループで議論した意見としてこういうのが重要であるとか、こういう横断的な効果に注目すべきであるというのが出てくるというプロセスが、これから始まるという面があるのではないか。そのときによく言われますように、専門家だけでなくてさまざまなステークホルダーを入れて議論するということが重要だろうと思いました。

住委員長
そのほかよろしいですか。木本さん。

木本委員
資料1-2の2番のご意見に対してのお答えが書いてあって、2番のご意見というのは研究体制が十分かどうかとか、連携がどうであるとか書いてあるのですけども、この報告書は研究体制について検討する報告書ではないと思いますから、研究体制については別途検討したいと書けばいいと思うのですけど、このままのお答えですと、私も似たような意見を持つ者としては、あしらわれた感じを持たれてもいけませんので、もう少し前向きなところを入れていただいたりすると、研究体制については別途検討したいとか、そんなふうに書いていただいて、せっかくこれは部会ですから、偉い先生のご意見だと思いますので、ニュアンスをポジティブに書いていただけるとありがたいかなと思いました。

住委員長
どうもありがとうございます。そのほかよろしいですか。
いろんな意見具申もそうですけど、すぐ適応対策だと思う人が多いのです。適応計画は役所とかほかでやっています。これはここだけといって限定しても、なかなかそうはないというのは、その辺はどこかであれをするか、少し加えたほうが僕もいいような気はしないでもないですけど、悪く言ったら隠しているのではないかみたいに国民は思う可能性がありますので、そんな気がします。
では、ここで、浅野先生、ご感想をお願いします。

浅野部会長
ありがとうございます。
パブコメでのご意見についてはあれこれ言ってもしようがないという委員長のご発言ではありましたが、部会でも同じような議論がありましたので申し上げさせていただこうと思いますが、パブコメの5番の中に適応計画の法制化は拙速であるということが記されています。これが、適応策を議論するための前提がよくわかっていないからという理由であるならば、そもそも適応計画を検討すること自体がおかしいということになるわけです。だが計画をつくることはいいのだが、それを法律にもとづくものとすることは拙速だというご指摘は変なおはなしだと思います。
といいますのは、適応計画の法制化ということの意味が、どうも誤解されているように思われるからです。適応計画を法律に基づいてつくったら、何か作られた計画があたかも法律規範と同じように人を縛るものだと思い込んでおられるのではないかなという気がいたします。計画自体はあくまで計画であって行為規範ではありません。何かそのあたりに誤解があるのではないかと思われます。ただしかし計画を法律に基づいて作られた計画にするということと、単なる閣議決定、単なる環境省の決定で作られた計画にするというのでは、まるっきり重みが違うということはあります。
計画をつくって何を書いても、各省がその計画を見ながら、きちっと自分のところがやることについては、これは適応の観点からこんなことを考えなければいけないということを、真剣に考えていただけるかどうか、国会で国民の意思として決定し作られた計画であれば、これに取り組む際の真剣さに違いがあるだろうと思うのです。法律が決めなさいといっていることを決めているのですからというのと、ただ単に閣議で決めましたというのは、その辺の重みが違います。閣議決定ならまだいいのですが、そうではなくて単なる一省庁が物を言ったというだけだと、他の省庁はそんなものは知りませんよということになりかねません。
ところが、適応の対策は、恐らく本気で考えていけば、さまざまな施策を統合しなければいけませんし、施策間での調整もしなければいけません。矛盾しそうな施策について、これをできるだけ矛盾しないようにということを考えなければいけないわけですから、その意味ではやはりせっかく適応の計画をつくる以上は、法律に基づく計画であることが必要であろうと思います。繰り返しますが、法律に基づく計画であるということと、書かれていることが全部法律条文そのものなのだというのとでは、まるっきり話が違う。そこら辺のところをもう少しきちんと理解をしていただく努力をしなければいけないだろうと思います。
それ以上に、今日の委員の先生方のご指摘を聞きながら、本当にそうだなと思って聞いておりましたことは、ここで出された意見具申及び報告書がどういうものであるかということについて、きちっと理解をしていただく工夫が必要だろうということです。つまりどういう前提でどういうことを考えてこれができているのだ、だからここに書かれていることは、どこまでがどういう意味を持って使えるのだ、その辺のところを過不足なしにご理解いただけるようにしなければいけない。つまりわからないことがいっぱいあるから、この報告は割合にルーズで、いいかげんなものであるということではない。少なくとも今、文献に出ていて、内容として信頼できるものは全部この中に盛り込まれている。だから決していいかげんな話ではない。もし穴があいている部分があるとすれば、その部分は研究が十分できていないということだけでしかない。その部分について必要以上に憶測を入れたり、思い込みを入れては書かないという約束で検討を進めたから、こういう報告になったのだと思うのです。ですから、はっきりしない点は、研究がはっきりしていないのであって、事柄が曖昧であるということとは違うような気がします。
ですから、どういう前提で、これができているのだということをはっきりさせることが大事だと思います。今度は逆にこの報告書がある種判決文であるかのように読まれても困ると思います。私は前々回の委員会で色分けをするときに、せいぜい松竹梅がいいでしょうと申し上げたのは、そのぐらいでなければ、判決文になってしまうと思ったからです。重大性について3段階評価をしたりするということをやっていきますと、やれる場合はいいのですけど、やれないものについては、全く逆の印象を与えてしまうことになりますから、だから3段階ぐらいにしていただいてということを申し上げました。これにはご不満の委員の方もいらっしゃったかもしれないと思うのですが、こういうやり方でバランスがとれた成果物になったという感じをもちます。
この報告をどう使っていただくのかということについては、この委員会を離れて、これから先、環境省の仕事になりますから、そこはぜひ事務局はしっかり発信をしていただかなければいけませんし、私ども地球環境部会としても、この報告をいただいた上で部会で議論するときには、その辺りの誤解がないように、十分に理解をしていただくという努力をしたいと思います。また自治体に対する発信についても、同様に正確に理解していただいて、どこをどのように使っていただければいいのかということがわかるようにしていただかなければいけないと思います。

住委員長
どうもありがとうございました。この意見具申(案)は最終的に大臣に意見具申をするのでしょうが、その後の公表とか発表形態を説明していただけませんか。

野本研究調査室長補佐
ご意見ありがとうございました。今後の意見具申の進め方ですけれども、今日のご意見を踏まえまして、委員長とご相談しながら最後確定して、小委員会でご議論いただきましたけれども、その後は地球部会へのご報告、部会長へのご報告及び会長へのご報告という形を経まして、それは事務的な決裁を中でするのですが、それを経て最終的には報道発表という形で、中環審から大臣への意見具申という形で公表をさせていただこうと思っております。それは今日のご意見を反映した上で、できれば3月の早い段階ではできたらと思っております。

住委員長
よろしいですか。何はともあれ、こういうことによっていろんな波風が立つということ自体が、こういう意見具申(案)のインパクトでありまして、これを出発点としていろんな議論が加速されていけばよろしいかなと思います。いいですか。
では、山田委員。

山田委員
ここの一番トップに置く話ではないかもしれませんけども、一般の理系でない方と話しすると、物理的現象なのだけど、確率的に起こるなんていうと、全くそこで会話が途切れてしまう。でも現実はそうでしょう。あるいは最近起きているような、この数十年の大発見であるカオスを講演でわかりやすく説明しても、なかなか理解できない。
そう思うと、物理的現象だけど確率的に起こるというようなときに、そのリスクはどうだ。必ずしも悪い側ばかりではないので、「リスク」という言葉は必要ではないのですけど、では、そういう将来の不確実性に対して、世界各国のいろんな物の考え方としては、対策の仕方とする哲学としては、こういうものが今まで出されていますよというようなものが少しサーベイも欲しいなと思っています。
つまり、みんなが議論する共通の議論の筋道をあまりにも漠然と議論してしまうと、何も議論が進まないのだけど、リスク評価から見たらこういうものが見えてきますねとか、あるリスクだったら対策は打たなければいかんけど、この程度のリスクだったら辛抱しようかというような、そういう物の考え方が大体世界へ出ていますよとか、そういう話を今後とも出さないと、ただぼんとマテリアルだけを出すと、百家争鳴みたいになって、結局何も前に進まないみたいです。
だからいずれにしろ、物の考え方、あるいは数理的なやり方としては、今までこんなのが挙がっています、物の考え方としては今までこういうのが出ていますというのを、少し整理が欲しいなと思っています。だけどこれがこのレポートの最初に来たらまた大変なので、また別の機会になるかと思っていますけど。
それから1個だけ私が言って、これが議事録として残ってしまうと過激なので、参考資料の2ページ目に、水供給のところで、「大洪水の場合には洪水緩和の機能はないため」となっておりまして、対応方法をきちんと適切に直していただいているのですけど、私が言いたかったのは、「大洪水の場合に洪水緩和の機能はない」と言っているのではなくて、「機能は限定的なものである」という趣旨ですので、「全くない」と言っているわけではありませんので、そこをもし議事録等に残るようでしたら、そういうつもりで修正をお願いします。

住委員長
わかりました。よろしいですか。それではもう時間も来ましたし、本日のご意見を踏まえて事務局が修正をしたのを私が確認し、最終の案とすることでよろしいでしょうか。

(異議なし)

住委員長
ありがとうございます。それではそういうプロセスで進めていきたいと思います。
それでは次の議題のその他についてですが、何かございますでしょうか。

野本研究調査室長補佐
ありがとうございました。先ほど住委員長からもありましたとおり、意見具申(案)につきましては、必要に応じて一部ご意見いただいたところは住委員長とご相談の上、修正を行いまして、ご了承いただいた後に中央環境審議会の決裁を経まして、環境大臣に意見具申するという手続になりまして、先ほど申しましたとおり、環境省から報道発表をするという手続になります。簡単ですけれども、以上になります。

住委員長
どうもありがとうございました。気候変動影響評価等小委員会、ここはこれで区切りだと思いますが、今後どうするかということは何かありますか。

野本研究調査室長補佐
今後と申しますと、この小委員会についての今後ということでございますか。

住委員長
小委員会ということもそうだし、それから適応・影響評価の今後から、全体この辺に関連するビジネス全体を、皆さん漠としてどうなったのだろうと思われているので、特に適応計画が出たり、政府全体として進んでいくわけですよね。だから全体が見えないという感じがしますが、その辺も含めて説明していただければ。

竹本研究調査室長
ありがとうございます。まずこの意見具申(案)につきましては、今申し上げましたように3月のできるだけ早い時期に確定をさせていただきたいと思っております。もう既に並行して適応計画の中身については、関係省庁と議論を開始しております。いずれにしましても政府としては夏までに、政府全体としての計画を策定し、公表する予定にしておりますので、そういった予定どおり策定できるように努めていきたいと思いますが、そういった過程で影響評価に関する知見について、いろいろとご相談する機会はあるかと思いますので、その際はぜひよろしくお願いいたします。また適宜、中央環境審議会の地球環境部会におきましても、そういった適応計画の進捗状況、これまでもご説明はしてきましたけれども、またご報告の機会があれば、そのようにさせていただきたいとも思っております。
それからあとこの小委員会でございますが、今回をもちまして先生方のミッションというのも、おかげさまをもちまして無事に終了することになります。また別途、田中審議官からもご挨拶をさせていただきたいと思いますが、今後も定期的に影響評価が必要ということでございますので、またご相談させていただきたいと思いますが、田中審議官から改めてご挨拶させていただきたいと思います。

住委員長
どうもありがとうございました。巷でいろんな話をしますと、適応計画に関しては見えてこないねというご意見が非常に強かったです。秘密裏にとは言いませんけども、役所内でただやっているだけで、情報が出てこないという不満が結構いろんなところにあるかと思いますので、地球環境部会でいいと思いますが、そこに進捗状況を報告し、何かするということは、非常に大事なことではないかと僕は思うのです。
何でもあからさまにしろとは言いませんが、つんぼ桟敷に置いておいて、はい決まりましたからよろしくという対応でやると、環境省はどうも困っているところがあるからそうしているのだろう、適応計画は実は陰謀があって、全然気候変動なんて関係なくて、別のことを考えているのではないかと考えるというのが、今の世の中の常識だと僕は思いますので、割とそういう点では公明に情報を出していくということは、信頼を勝ち取る上で非常に大事なことだという感じを持っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは何か今のことで、いいですか。

浅野部会長
適応計画が、一体どこの役所の仕事であるのかとか、どの法律に基づいてこの適応計画がつくられるのかということは、必ずしも自明ではないです。ただはっきり言えることは、閣議決定されている環境基本法に基づく環境基本計画の中で、適応についてはきちんとやらなければいけないと書いてあるわけです。ですから、少なくともそこによりどころがあることは間違いないと思います。
そして、政府としても適応計画を政府全体でつくるということをお決めになっておりまして、これは必ずしも中央環境審議会への諮問、答申という手続きにのるものではありません。しかし、環境基本計画については中央環境審議会で意見を述べるということになっておりますから、その限りにおいてはそこにつながりがあると考えています。
そこで、地球環境部会としては、適応計画の哲学のような部分については、少なくとも環境政策という立場、あるいはさまざまな分野の政策の統合という観点から、しっかりした考え方を示したいということが、部会委員の皆さん方のご意見でもありますので、折に触れ部会の中で報告もいただき、議論もし、必要であるならば意見具申という方法ででも、何らかの方法を講じなければいけないと考えています。
ただ、細かい一つ一つのセクターの計画ということになりますと、各省の所管する事項との関わりが非常に大きいものですから、他省庁の懐に手を突っ込んでああしろ、こうしろということはとても言えないので、ちょうどアセスメントをやるときに、全体として大きな方針、基本的事項は環境大臣が決めるけれども、個々のアセスは個別の大臣がそれぞれの事業ごとに、個別にまた事情を考えてお考えになるというのと同じような構造になるのかなと考えています。
ですから、何となくわかりにくいということは、そのとおりなのですけども、しかしさらに緩和のほうで考えられていることと、適応で考えられていることがばらばらに動いては困る面があります。だから何となく適応は適応だけで動いてしまって、さらにこれをやるのだったら、これがまた各省の予算取りの種に使えるみたいな話になってしまうと、緩和の話との関係が切れてしまうのではこれも困ると思います。両方、両輪でいかなければいけないという、その辺のところを十分に調整していかなければいけないということになりますので、中央環境審議会の部会としての責任を果たす必要があると感じております。
さらにそれに加えてこの問題については、国が何かをすれば、それにあわせて地方で自治体が動けばいいというものではないわけです。各自治体の抱えている課題は、それぞれの地域の特性に応じてまるっきり違うでしょうし、とりあえずまずここからやらなければいけないということを一つ考えてみても、県によって、自治体によってまるっきりテーマが違うだろうと思うのです。
その辺りのところをまた下手をすると、緩和のときと同じように国が何か決めたら右に倣えでそれに倣って何かつくればいいという雰囲気が、何となく今、自治体の中に出始めているので、これはよくないと思っていまして、そんなことは国を待たずに自分で考えていただきたいと言っております。しかし、気候変動が進むと今後どうなるのかということについて、今日おまとめいただいた先生方のこの取りまとめは、非常に大きな意味を持ってくると思います。これをいかに活用して自治体が独自に必要なことを考えていただくかということは、また環境省のこれからのお仕事ではないかと思います。
いずれにいたしましても、本当に長い間先生方にご苦労いただいたと思います。この小委員会については、部会長としてご相談を受けたら「残していただきたい」と申し上げるつもりでおります。というのは、やはりフォローアップは必要ですし、3年後にまたもう一回イロハのイから立ち上げるような無駄なことはやりたくないので、ここまでの蓄積は大事にしていきたいと思っておりますから、折に触れまたご報告申し上げる機会をつくり、ご意見を承る。ここのところはもっと研究を強化すべきであるとのことについても、専門家集団から意見を出してもらうということは非常に大きいと思います。
これは一方では環境研究についても私は関わりを持っておりますけれども、そういうところで何をやるべきかということに関して、必ずしも本当にその分野の専門家からの声が反映されていないような気がしていますので、もったいない限りでありますから、この小委員会にお集まりくださった先生方には、今後もいろいろな意味でおつき合いいただきたいと願っております。本当にどうもありがとうございました。

住委員長
では、河宮さん、何か。

河宮委員
ありがとうございます。今後の活動についての質問なのですけれども、影響評価のためのデータ、シミュレーションでつくったんですが、それはもう公開されているのでしたか。今後していくということなのですが、この委員会の活動が一段落して、誰もメンテナンスしなくて、そのデータの配信がうまくいかなくなるようなことがないのかなというのがちょっと心配なので、それは研究自体にも役立つことだと思うので、今後ぜひともメンテナンスの活動は続けていってほしいということと、あと研究者の間でも自発的に影響評価に役立つためのデータセットをきちんとつくり上げていこうというような動きもあるので、そうした活動ときちんと連携をとって、いいデータを配信できるような体制を、細々とかもしれないですけど、継続していっていただけたらいいなと思います。

住委員長
では、野尻委員。

野尻委員
浅野部会長から、頭ごなしに行動計画をつくれなどというのはうまくいかないというような、そういうお話をいただいた後で言うのもあれなのですけれども、私日本の国の温室効果ガス排出量インベントリの責任者やっておりますので、私の発表プレゼンの中に法律何条と書いてあるのは、実はこの法律だけでして、地球温暖化対策の推進に関する法律、いわゆる温対法であります。
それで我々、インベントリつくっているわけですが、実は私たちの環境研究も、この地球温暖化に関するものについては法的根拠があるのです。法の中の国の責務として、地球温暖化に関わる調査研究やりなさいと書いてあるので、我々が研究をしている。我々が研究していることに法的根拠があるという、非常に珍しい分野だと思っているのですが、よくよく見ますと、そこの中に「国民の責務」というのがあって、国民の責務は私も法律はほとんど読んだりしないので知らなかったのですけど、国民はその日常生活に関して温室効果ガスの排出抑制等のための措置を講ずるように努めるとともに、国及び地方公共団体が実施する温室効果ガスの排出抑制等のための施策に協力しなければならないというようなことが第6条に書いてあるのです。
ということは、これは多分COP3の京都会議の後、そのころにつくられた法律なので、ここまで先進的なことが書けたと思うのですけれども、どうも我々理系の人間はそういうことを知らないし、あるいは国の教育等の場でも、そういうことが若い世代に伝わるようなことをどうもしていないので、実は環境省からいろんな、これは主として対策なので、今回の影響とかあるいはそれから実は影響は避けられないから適応だという、そういうようなときに直接関係がないと言われることもあるかもしれないのですが、これは法律ですので、こういう法律に書いてあるよというようなことがわかる、前文の中でイントロのところでわかるような書き方をして、国民の責務としてこういうこともあるんだよという、それを書き加えていただいた上での、いろんなものを出していくというような工夫をされると、実は私たちの温暖化防止に対する行動というのは、法的なベースがあってやっているのだということが伝わると思いますので、今回も意見具申についても、どうもそういうところは触れられていない。
触れると、また省庁間で結構厳しいところがあるのかもしれないのですが、せっかくこのような大胆な法律があるということを、世の中に伝わるようなやり方を考えるというのも、一ついいことではないかと思いますので、私たちは私たちで気候変動予測に関する、どこまで確からしいのか、どこまで不確実性があるのか、わかりやすい言葉で伝えるという責務も私たちはあるわけで、環境省としてはそういうことも考えて、上手に国民に周知するということをやっていただきたいなと思って、一言述べさせていただきました。

住委員長
どうもありがとうございます。よろしいですか。法的な側面は我々も疎いですから、読んだことがありませんので、そんな義務があるとは知らなかったです。

野尻委員
責務です。

住委員長
責務。義務ではないのですね。そういうこともまたいわゆる啓蒙活動も大事かもしれませんが。
よろしいですか。
では、最後に田中審議官から一言お願いします。

田中大臣官房審議官
本日は活発なご議論をいただきまして、本当にありがとうございました。今回の気候変動の影響評価ですけれども、我が国において初めてといっていいと思いますが、網羅的に、かつ統一的な観点でおまとめをいただいたものでございます。当初から環境省としても、なかなか手探り状態で始めたというところもございまして、その結果、委員の先生方にも大変ご迷惑をおかけしたということもございますし、関係省庁の間でもいろいろと混乱があったということも正直あったかと思います。これまで執筆も含めて検討を深めていただきました委員の先生方、それからここにいらっしゃらないような専門家の先生方にも、そのご尽力に対して、特に大変短い期間でおまとめをいただいたということにつきまして、心から改めて感謝を申し上げたいと思っております。
先ほどお話もございましたけれども、この影響評価につきまして、今後中央環境審議会の手続きを進めてまいりますが、もう部会長も会長もここにおられてお話を聞かれておりますので、スムーズに迅速に手続を終えて、早急に意見具申としてまとめ、その結果を公表していきたいと思っております。
次の段階について、今もご議論がございました。この意見具申を踏まえまして、気候変動影響について今年夏ごろを目処に、政府全体の適応計画を策定しようという方針でございまして、これに向けた作業を、関係省庁とともに進めていきたいと思っております。その過程で今、中環審の議論も含めてさまざまなご意見なりご提案がございました。もちろんこの分野、関係省庁の持っているさまざまな施策と非常に密接な関係がございますので、そのプロセスも含めて、計画の策定に向けてしっかりと議論をしていきたいと思っておりますけれども、環境政策の重要な分野であるということも、また今、会長のほうからご示唆がございましたように、間違いございませんので、中央環境審議会のほうにも報告も含めて、しっかりとそのプロセスを進めていきたいと思っております。
この影響評価のプロセスにつきましては、これで一段落ということでございますが、幾つか課題にも記載されておりますけれども、まださまざまな課題がありますし、これからも先生方のご知見、それからご検討を賜るような分野が出てくるものと思っておりますので、一方で計画策定に向けた手続もございます。それから次回以降の、またさらなる影響評価の作業ということもあると思いますので、折に触れていろいろとお願いをすることが想定されますので、その際は、今回よりもより改善されたプロセスでスムーズに進めていきたいと思っておりますので、何とぞご理解とご協力のほどをさらにまたお願い申し上げて、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

住委員長
どうもありがとうございました。これが始まりということですので、今後とも皆さんよろしくお願いしたいと思います。
それでは、これで多少早いですが、長くやるばかりが能ではありませんので、皆さんには時間というボーナスを差し上げたいと思います。
事務局から何かありますか。

竹本研究調査室長
事務的なご連絡でございますが、本日はどうもありがとうございました。資料につきまして、郵送ご希望の方は、そのまま席に置いていただければと思います。また、議事録につきましては事務局で取りまとめを行い、委員の皆様にご確認をいただきました後、ホームページに掲載をさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。

住委員長
それでは、これで終わりにいたしたいと思います。どうもご苦労さまでした。

午前 11時12分 閉会