中央環境審議会 2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会(第4回) 議事次第

日時

平成23年10月27日 15:30~17:44

場所

フロラシオン青山3階「孔雀の間」

議事次第

1 開会
2 議題
(1)
関係者からのヒアリング
(2)
今後のスケジュール
(3)
その他
3 閉会

配布資料

資料1 松村 敏弘 東京大学社会科学研究所教授 ヒアリング資料
資料2 今後のスケジュールについて
参考資料1 コスト等検証委員会資料(第1回)【平成23年10月7日開催】
参考資料2 コスト等検証委員会資料(第2回)【平成23年10月18日開催】
参考資料3 原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会(第3回)【平成23年10月25日開催】

議事

午後 3時30分 開会

地球温暖化対策課長 
 それでは、定刻でございますので、ただいまから中央環境審議会地球部会2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会の第4回会合を開始いたします。本日、委員総数23名中13名ご出席ということを承っておりますが、まだいらっしゃっていない委員もおられますけれども、後程いらっしゃるというふうに理解しておりますので、始めさせていただきます。本日の審議、公開とさせていただいております。なお、今日ご欠席ではございますが、本日の部会より杉山委員が退任されまして、代わりに日本労働組合総連合会の花井委員が臨時委員として任命されておりますことを申し上げておきます。それでは、以降、議事進行を西岡委員長にお願いいたします。

西岡委員長 
 それでは、議事進行を行いたいと思います。まず、配付資料の確認をお願いします。

地球温暖化対策課長 
 それでは、配付資料を確認させていただきます。議事次第に資料リストが載っておりますが、資料1が、エネルギーのベストミックスが自然に実現する制度設計と、非常に大きな字で書いてありますが、資料1ということだけ書いてないのですが、非常に大きな文字で書いてある、この横のものが資料1になります。それから資料2が、今後のスケジュールについて、1枚紙。それから参考資料1といたしまして、コスト等検証委員会資料(第1回)。参考資料2といたしまして、コスト等検証委員会資料(第2回)、それから参考資料3といたしまして、原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会(第3回)の資料を用意しております。それから、テーブル席については、いつも用意させていただいております緑のファイルの資料集、2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会の資料集と、それから、今日は総合資源エネルギー調査会の第2回基本問題委員会の場におきまして、松村先生が提出されましたメモとして、A4縦の3枚紙というものを配らせていただいております。以上、もし過不足ございましたら、事務局までお申し出ください。

西岡委員長 
 よろしゅうございますか。それでは、本日の議事に移りたいと思います。議題といたしましては主に二つございます。関係者のヒアリングということでございますけれども、こちらは東京大学社会科学研究所の松村敏弘教授よりプレゼンテーションをお願いしたいと思っております。また議題2といたしまして、今後のスケジュール、これは事務局からの説明になるかと思います。最初に議題1の関係者からのヒアリングに入るのですけれども、その前に、参考資料1、2というのが本日のヒアリングとも大いに関係があると思いますので、事務局の方からご説明をお願いしたいという具合に考えてございます。

低炭素社会推進室長 
 それでは、参考資料のご説明を申し上げます。まず、参考資料1でございますが、こちらがエネルギー環境会議の下に設置をされておりますコスト等検証委員会の資料がございます。こちらにつきましては、エネルギーベストミックスを考える上での重要なデータをつくっていく会議でございまして、温暖化問題とも密接不可分に関わるということから、本日ご説明を申し上げたいということでございます。また、本日プレゼンテーションをいただく松村先生も委員としてご参画いただいております。
 まず、参考資料でございますけれども、おめくりいただきますと、このコスト等検証委員会の開催についてということで文書がついておりますが、1のところで、その趣旨、新たなエネルギーベストミックスの検討を国民合意を得つつ行うというために、各電源の発電コストを整合性を持った形で提供するというために、この委員会が設置されております。4.でございますけれども、この試算に使われるデータ、また計算式に関しましては、第三者が後日、試算可能な形で公開するという定義になっておりまして、検証が可能だというデータになっております。裏面にはこの委員会の委員名簿がついておりますが、国家戦略担当の石田副大臣を委員長に、10名の方から成る委員会になっております。  続く資料2と書いてある次のページのところですが、これまでの経緯についてということで、この委員会が設立されるまでの経緯が書いてございます。2枚おめくりいただきまして、パワーポイントの資料番号9と書いてある部分でございますが、これまでの試算についてはどこで行ってきたのかということが模式的に書いておりますけれども、燃料種ごとに試算をしていた組織が違うというのが現状あるデータのことになっておりまして、原子力であるとか、あと化石燃料、大規模水力につきましては経済産業省の審議会で試算がされたもの。これが平成16年のものでございます。また地熱につきましては、経済産業省の私的研究会において示されたもの。あと、風力、小水力、太陽光、こういったものの発電コストにつきましては補助金の実績に基づいて示されているということで、必ずしも統一されたフォーマットになっていないというところがございまして、これを比較可能な形で揃えていくというのが、この委員会のミッションになっているというものでございます。また2枚おめくりいただきますと、資料3-1ということで、このコスト等検証委員会のミッション、論点というものが資料としてまとめられております。1枚おめくりいただきますと、このコスト等検証委員会のミッションということですが、枠囲みのところにありますけれども、各電源の発電コストなどについて網羅的かつ整合を持った形で客観的データを提供するというために検討が行われているというものでございます。具体的内容につきましては、裏ページに検討すべき論点ということで、論点が五つ掲げられておりまして、これを現在審議をしているというところでございます。
 まず論点1といたしましては、この試算をするための基本的なフレームワークを決めるということで、試算方法であるとか、どのようなことに取り組んでいくのかということを決めていくということ。あと、論点2から4につきましては、各燃料種ごとに議論を進めるということ。そして、論点5としましては、各燃料種に共通事項ということで補助金であるとか、研究調査費用など、政策経費の扱いをどうするのか、広告費用をどうするのか。また揚水発電であるとか、蓄電池をどう扱うのか、省エネルギーについてどう扱うのかという共通事項について議論するということでございます。これら論点につきましては、次のページのところにございますが、進め方にスケジュールが書いてございますが、それぞれ論点を各回ごとに詰めてまいりまして、最終的には12月中に取りまとめをし、エネルギー環境会議の方に報告をするという仕組みになっております。一部、原子力のリスク部分などにつきましては、原子力委員会にその試算を依頼をし、それを報告いただくということ。また、この委員会におきますモデルプラント方式という形で計算をするということではございますけれども、有価証券を使っての試算というのも検証するためのデータとして用いるということで、併せて計算していくということが進め方になってございます。具体的な内容につきましては、7枚ほどおめくりいただきますと、資料5というものが出てまいりまして、論点、基本的なフレームワークについて用いられた資料が出てまいります。1ページおめくりいただきますと、1といたしまして、試算方法についてというものが出てまいります。これまで様々な分野で行われました試算でございますけれども、大きく分けると二つの方法で発電単価が計算されているということが示されておりまして、一つは有価証券報告書を使っての試算、もう一つはモデルプラントを設定して、それをベースにして試算をするという方式をとられておりまして、モデルプラント方式につきましてはOECDが採用している計算方法と同様の考え方であるということであります。それぞれの試算方法がどういうことを表しているかというのが、その下のところにポンチ絵で描いてございますけれども、モデルプラント方式につきましては、試算時点から何年稼働するのかということで、今後稼働開始することを想定するプラント、これを計算をしてみるということでございますが、一方、有価証券報告書を使っての計算ということでいきますと、ある時点から一定遡った期間の電源別の平均的なコストが計算されるということで、その意味合いも変わってくるということだとございます。1枚おめくりいただきますと、さらにモデルプラントを使った算出方法の基本的な考え方というものが書いてございます。まず、どのようなものをモデルプラントとしておくのかということを、直近の建設された実績などを用いまして、各電源ごとに、性能であるとか出力、規模、こういったものを設定するということ。次に、このモデルプラントをつくったり運営したりするのにかかる費用を設定するということで、建設費用であるとか、燃料費、稼働率、稼働年数、人件費などを設定していくということであります。これらをもとに費用を計算し、このプラントが稼働している間にどれ位の発電量を得られるのかということで割りまして、最終的にはキロワットアワーあたりの円という形で発電単価を求めるというのがモデルプラント方式の基本的な考え方でございます。続く5ページ目と振ったところが、この考え方に基づきまして、平成16年に総合資源エネルギー調査会の方で計算した際の計算式が乗ってございます。今回、どの方式をとるのかというのが、続く6ページ目のところに書いてございますが、この委員会のミッションであります、今後のエネルギーベストミックスを考えていくということのベースとなるデータをつくっていくということから、現在及び将来のモデルを設定して、将来の見通しをつくっていくという観点からモデルプラント方式がよいだろうということでございます。ただ、実績と突合するという観点から、有価証券報告書のベースの試算も行うと、そういうことでしておりまして、計算方式としてはモデルプラント方式を使うということでございます。もう一つ、次のページでございますが、7ページと振ってあるところに、今回の試算で新たに取り組む課題についてというところでございますが、大きく分けると、三つ新たに計算をしてみましょうということでございます。一つは、対象電源を拡大するということでございまして、原子力、火力、一般水力に加えまして、太陽光、陸上、洋上の風力、小水力、地熱、バイオマス、そして分散電源としてのコージェネレーション、こういったものをできる限り計算をしていきましょうということ。二つ目といたしましては、対象品目を追加・精査するということで、これまでは建設費たる資本費、また運転維持管理費、燃料費といったものでございましたけれども、政策経費をさらに加え、原子力につきましては、バックエンドの費用、また将来的なリスクに対応するコスト、こういったものを加える。あと化石燃料につきましては、CO2対応経費と、こういったもの。あと再生可能エネルギーにつきましては系統安定化費用など、考えられるものを精査をしていきましょうということが二つ目でございます。三つ目としましては、将来に向けての試算ということでございまして、従来でありますと試算時点で運転を開始するということをベースに計算をしておりましたが、将来の動向を把握するという観点から、2020年、2030年に稼働開始するプラントを想定して計算するということもやっていきましょうということでありまして、そうするために、今後の技術開発によるコストダウンであるとか、あと燃料費の動向、CO2対策費用の今後の動向といったものを計算をしていきましょうということになってございます。今申し上げたものを図式化したのが裏のページでございまして、今回の試算の対象とする発電コスト(案)というところでございまして、燃料種を幅広くとるということと、現時点でのコストに加えまして、2020年、2030年のコストを計算をしていくということ、あと、有価証券報告書を使った試算もしていくということでございます。これらの計算をするに当たりまして、どのようなモデルプラントを設定していくかというのが、続く資料の5-3と書いたものでございます。試算にどのような値を使っていくのかということを試算の諸元及び前提条件についてということで整理をしておりまして、ベン図のようなものが書いてございますが、全部で7項目の費用、数値、こういったものを整理をしております。まず、一番左手のモデルプラント、発電単価試算のための条件ということで、これはプラント自体の諸元ということでございまして、各燃料種ごとに出力設備の利用率、稼働年数、熱効率、所内率などを設定するということ。また、試算をしていくに当たりまして、現在価値に換算するための割引率であるとか、為替レート、こういったものを設定していくということがあります。あと、真ん中にありますのが発電に関する費用を考えられるものを列挙しまして、さらにそれを分類したものでございます。一番中心にあります四角の中に3.と書いてありますのが、これは現時点のモデルプラントの発電単価を計算するためのコストということで、発電施設を建設運用するための実際のコストであるということで、主なものが五つ掲げられておりますが、資本費、運転管理費、燃料費、バックエンドの費用、あと諸税ということをまず計算をするということ。あと、電源別の発電単価をさらに将来にわたっても計算するということで、その外側、4.にありますが2020年、2030年のものを計算するために、技術革新効果、量産効果によるコストの変化、また発電効率の上昇などを計算をするということ。あと、燃料費の上昇率、CO2の対策費の上昇率などを計算をしていくというのが4.でございます。あと、直接モデルプラントには関係はしないわけでありますけれども、電源別にカウントする可能性のあるものということで、5.で政策経費や広告費を計算をしていくということがあります。あと、さらに外側6.といたしまして、発電に関連するコストではあるけれども、個別の電源、固有のコストとしては成立することが難しいというものではありますが、計算はしてみるということで、系統の連系線費用であるとか安定化費用、こういったものを計算をするということがあります。その他、経済効果なども計算し、コストの計算に使っていくということを基本的なフレームワークとしてご議論いただきまして、これに基づいてそれぞれの作業が行われているというものでございます。
 続く参考資料の2が第2回目で開催をされたものでございまして、こちらは化石燃料を用いた火力発電についての議論でございます。1枚目の議事次第を見ていただきますと、3のところで各電源ごとに諸元を決めていきましょうというのが議題の3、あと、将来的な動向を見るために燃料費の今後の見通しとCO2の対策費用の見通しを書いたもの。また、今後の技術開発の効果がどれ位あるのかということについて石炭火力、LNGの技術開発動向を見ていくということ。あとコージェネレーションシステムの評価をするために、特に熱の取り扱いについて整理をしたというのが議題の7となってございます。最初から11枚めくっていただきますと、資料3というものが出てまいります。こちらにつきましては、石炭、LNG、石油、一般火力水力、こういったものの諸元を決めているシートでございまして、イメージをお持ちいただくためにもご覧いただければと思いますが、上の部分につきましては為替レート、割引率などが設定をされているということと、その続く4行位が各モデルプラントの諸元でございます。基本的には直近7年間で稼働した発電所の実績データをもとにつくっているということでございまして、例えば石炭火力につきましては75万キロワットというものを置いております。あと設備利用率、稼働年数をそれぞれ燃料ごとに比較できるように、例えば80%、70%、60%というものを書いてあります。あと、資本費であるとか、運転維持管理費などにつきましても、基本的には直近7年で稼働したものの値などを使っておいてあるというものでございます。これらの値をさらに議論して叩いた上で計算をしていくということであります。あと、表の下の方でございますけれども、2020年、2030年の価格変動を見るということで、技術革新、量産効果によってのコストの低減がどうなのか、あと燃料費がどれ位上がるのか、CO2の対策費用がどうなのかということを議論して、ここを穴埋めをしていくというのが資料になっております。続く資料としましては、その燃料費についてのものでございますが、様々資料がありますが、基本的には国際的な機関が出してある将来シナリオ、見通しを用いるということで、ここではIEAの化石燃料シナリオを用いて設定してはどうかということが議論がなされておりますし、4枚ほどおめくりいただきますと、CO2対策費用についても、これを化石燃料の火力発電所に加えていこうということが議論なされておりまして、採用しておりますのがIEAのCO2価格の見通しというものを基本的には扱っているというものでございます。
 以上がコスト等検証委員会で議論された化石燃料の議論までということでありまして、今後、再生可能エネルギー、原子力についての議論が深められるというところでございます。またその一部でございますが、参考資料3といたしまして、原子力のバックエンド費用、またリスクを補うためのコストということで、原子力発電、核燃料サイクル技術等検討小委員会の25日に開催されたものの資料をつけてございます。おめくりいただきますと、コスト等検証委員会からの依頼事項ということで、依頼事項のまず一つ目としましては、核燃料サイクル費用を計算しましょうということでございます。2010年モデルプラント規模としましては、120万キロワットのものについて、この費用がどれ位になるのかという計算をこちらの委員会でしているというものでございます。その下、パワーポイントの3と書いてあるところでありますが、試算モデルの考え方、マルの1ということでありますが、対象としますのは二つのモデルを基本とするということで、核燃料サイクルを行う場合と行わない場合、この2ケースを置いて、それぞれ再処理モデル、直接処分モデルということで、名前をつけながら試算がなされております。また参考といたしまして、日本の現状を考慮してコストを試算するという現状モデルというのも、この三つを計算をしていくというものになってございます。若干飛んでいただきまして、パワーポイントの14番というところをご覧いただきますと、その計算結果を載せてございます。こちらにつきましては、それぞれ割引率のケースを幾つか振っておりますが、(1)として割引率3%で計算した場合の試算結果でございます。モデルは三つでございますけれども、平成16年段階でいきますと現状モデルと直接処分モデルも計算しておりますので、前回計算したものも入っているというもので、例えば、項目としては様々ございますが、計のところをご覧いただきますと、再処理モデルでいきますとキロワット当たり1.98円、現状モデルでいきますと1.39円、直接処分モデルにつきましては1円程度と若干幅があるという試算結果になってございます。これらの値がコスト等検証委員会の方に報告がなされてくるということになろうかと思います。また若干飛びますが、13枚ほどおめくりいただきますと、資料の第3号ということで、原子力発電所の事故リスクコストの試算という固まりが出てまいります。こちらはもう一つのコストとして、二つ目のコストとして出されているものでございますが、1枚おめくりいただきまして、パワーポイント番号3番というところでございますが、事故リスクコストの試算の考え方を示しております。こちらにつきましては、損害費用に事故発生頻度を掛け合わせたものを総発電量で割るという考え方で、損害費用につきましては、追加廃炉費用と損害賠償額の合計として計算しますという考え方が示されております。
 続く4番目のパワーポイントでございますが、損害費用の試算方法といたしましては、モデルプラントを想定しまして、それがシビアアクシデントによって原子力災害の発生がなされたということを仮定して、予想し得る損害額を試算をするということでありまして、その損害といたしましては、物理的損害、人的損害、そして経済社会的損害というものを計算しますと。その損害額につきましては、公表された数値を参考としながら計算をするという前提を言った上で、また若干飛びますが、資料番号17番でございますが、発生頻度などを5パターン置きつつ試算したのが、事故リスクコストの試算結果というものでございます。損害費用といたしましては、3兆9000億円というのがモデルプラントの損害額という計算で、発生頻度につきましては5パターンございます。国内商業炉をベースにしたものから、世界商業炉をベースにしたものなど、それに応じまして、かなり幅が広い計算結果になっておりますが、稼働率も加味いたしますと、1.2円/キロワットアワーから0.0046まで、非常に幅が広いという状況になっておりまして、これはまだ議論がなされるというふうに聞いておりますが、これらの計算結果がコスト等検証委員会の方に介されまして、さらに議論が深められるというところでございます。こういった状況になっておるというところを今回ご報告いたしました。以上でございます。

西岡委員長 
 どうもありがとうございました。今、参考資料1から3について説明がございましたけれども、この件につきましてご質問、ご意見ございましたら、お手元のネームプレートを立てていただきましてご質問願いたいと思いますが、いかがでしょうか。それでは、大塚委員。

大塚委員 
 今回、コスト等検証ということで、原子力関係を中心に検討していただいて、大変いいことだと思っています。本当はこういうことは、別に事故が起きなくても、もっと前からやっておくべきだったことだというふうに思っていますけれども、ともかく今回こういうことがなされるというのは、我々がそのエネルギーをどう使っていくかということを選択するために非常に重要なことだというふうに考えています。経済学と法律学との関係とかという点からすると、コスト検証は非常に重要ですけれども、ただ、それだけで全部が決まるわけではないということも同時にちょっと考えておく必要はあるかと思いますけれども、最近、新聞紙上を賑わせている外交とか、エネルギー安全保障という面もどこかで考えなくてはいけないと思いますけれども、ただ、その前提として、このコスト検証というのは極めて重要だと思いますので、今回、事故の対策諸費用とか事故の賠償費用なども含めた形でコストが計算されているということは、高く評価したいと思っています。以上です。

西岡委員長 
 ほかにご意見、コメントございましょうか。よろしゅうございますか。それでは、次に移りたいと思いますが、議題1に従いまして、松村教授の方からプレゼンテーションをお願いしたいと思います。宜しくお願いします。

松村教授 
 まず3点お詫び申し上げます。まず1点目は、私のせいで時間の変更をさせてしまいまして、本当に申し訳ありませんでした。それから2点目ですが、私、このパソコンでパワーポイントを使いスライドを見せながらプレゼンするのかと思い込んでいたので、こんな資料を送ったのですが、紙ベースで説明するならもっとコンパクトにまとめた資料を送ればよかった。映すつもりでこう作ってしまい、すみませんでした。三つ目、もともとはダイナミックプライシングと低炭素化というタイトルで話してくれということを言われたのですが、私自身はダイナミックプライシングがドラスティックに低炭素化に効くと思ってないものですから、ちょっとそれだけでは30分話せないということで、勝手に1番と2番を加えて、さらにダイナミックプライシングをもう少し広義に解釈してデマンドサイド・マネージメントとしてしまいました。与えられた題と少し違うことを話すことになります。
それから僭越ですが、今ご指摘のあったコスト小委のことです。私、そちらの方にも出ておりますので、ご指摘の点、全くそのとおりですが、コスト小委の大前提としては、エネルギーベストミックスを考えるためには、コストというのは一つの要因ではあるけれども、唯一の要因でもないし、最重要のものでもないかもしれないということは、当然の前提として、それでも一つの重要な要因は要因であるのは間違いないので、淡々と計算しております。当然、ベストミックスの議論のときには、セキュリティなり環境なり、いろいろな問題があるのだということは重々承知した上で議論しているということはご承知おきください。
 それでは、今日のお話をさせていただきます。まず、コスト小委、基本問題委員会に参加しているのに、こんなことを言うのはぶち壊しになるかもしれないのですが、私は理想的には、ベストミックスだとかコストだとかというのは、議論しなくても自然に実現できるような制度を構築するのが本当は望ましいと考えています。この点を最初に申し上げて、その後でスマートコミュニティの話を少しだけして、最後にデマンドサイド・マネージメントの話をしようと思います。
 最初に、3ページをご覧ください。白紙で見直すことが決まっている旧計画のことを、今更言ってもしようがないかもしれませんが、ここで描き出した現実が消えるわけではないので、一応どんなことをその当時は考えていたのかをおさらいします。まず2030年度までに、90年比で30%を真水で二酸化炭素を減らす計画でした。ゼロエミッション電源はざっくり70%入れて、そのうち再生可能電源で20%を賄う。省エネもドラスティックに進めるということが既に前提となっていたということです。
次のページお願いします。さて、私自身が思っている超低炭素社会、実現は2030年より更に後になるかもしれませんが、超低炭素社会をもし構想するとすれば、可能性としては主に三つあると考えていました。その中で電化社会、エネルギーの中心を電力にもっていって、その電力をゼロエミッションにしていくシナリオの実現性が一番高いと考えていました。ただ、震災によってこのハードルが非常に上がったと認識しています。そのほかの2要素も組み合わせていくということの重要性がさらに高まったと思っております。  次のページをお願いします。ベストミックスですが、ベストミックスというときに恐らく電源、まず電気だけを考えたとしても電源のベストミックスという話があります。一つのものに集中してやるのが最適解であるということは基本的にはあり得ないと思うので、いろいろなものを組み合わせることが必要です。エネルギー全体として見ても、電気の割合はどれ位がいいのかも含めて、いろいろなベストミックスに関する考え方があり得ると思います。しかし私自身は、もし白地で絵を描く理想的な世界を考えるのなら、ベストミックスは集権的にこれ位がいいと決めるのではなく、個々の消費者の選択の結果として自然に実現される、そんな制度を作るべきだと考えます。そのためには、特に電力に関して言えば、送配電に関する透明なルールに基づくオープンアクセスと、合理的な料金体系がなければ実現は絶対無理だろうと思います。消費者の選択によって自然に実現するベストミックスを考えるきに、もちろん環境価値だとか、セキュリティだとかという価値を無視するわけではありません。そういうようなものは補助金なりフィードインタリフなり、或いはRPSなりという格好で適切に補正されるということは当然の前提として、或いは本来その電源が負担すべきコストというのが第三者に付け回しされていないかということをちゃんと監視するというのは当然として、こういう当然の前提が満たされた上で、公正な競争の結果として消費者から支持されるものというのが生き残る結果として、自然にベストミックスが実現される、そんな制度が望ましいと考えています。
 ベストミックスの議論をするときには、どの電源が、或いはどのエネルギーが、どれ位が望ましいかではなく、この価値に対してどれだけ補助金を出す、どれだけバックアップするのが望ましいのかと言う議論をすべきです。或いは本来その電源が負担すべき費用を第三者に付け回しするようなことが行われていないかどうかということをきちんと検証するのも重要です。こういう議論さえしておけば、あとは、どの電源のコストが安いだとか高いだとか、或いは特定の電源がセキュリティの観点から推進されるべきだとか、そういう議論をしなくても、自然にベストミックスが実現する社会になってほしいと考えています。ベストミックスはもちろんコストだけで決まるわけではありません。消費者が本当に再生可能エネルギーを支持しているのであれば、再生可能エネルギーを主力とするような事業者から電気を買うことになり、自然に再生可能電源が普及します。化石燃料は使ってもいいと思っている消費者は、化石燃料と再生可能エネルギーを使う事業者から電気を買うでしょう。脱炭素化の切り札は原子力だとまだ固く信じている消費者は、原子力を組み合わせる事業者から買う。何よりもコストが重要だという人は一番安いところから買うことになる。こういう選択の結果として、消費者から支持される事業者が生き残るということを通じてベストミックスが実現するのが本来の望ましい姿だと思います。このような市場において再生可能電源への支持を表明する、仮に再生可能電源が高くても、でも買うというそういう意思表示は、コストを引き受ける覚悟を伴う責任ある支持表明です。一方行動を伴わない再生可能電源に対する支持表明は、誰かがコストを払ってくれるという期待の下で、だから再生可能エネルギーを支持するというような、無責任な支持表明である可能性を否定できません。電力市場を自由化して、このような責任のある意思表明の機会を消費者は与えられるべきだと考えます。
 事業者の選択でも全く同じことが言えます。再生可能電源は費用が低い、化石燃料価格が確実に高騰するから近い将来相対的に低くなる、あるいは原子力は非常に費用が低いとか、安易に主張する人がいますが、自分たちの都合のいいデータをもってきて勝手に主張している無責任な主張である可能性を否定できません。本当にその電源のコストが低い、或いはすごく近い将来低くなると確信しているなら、再生可能エネルギーを主力とした事業を立ち上げて、これを売っていけばよい。或いは再生可能電源のコストが低いということはないとしても、再生可能エネルギーは消費者に支持されており、多少高くても買ってもらえると固く信じているのならば、それを主力とした事業を立ち上げて参入して、値段は高いが再生可能エネルギーの電気を買ってくださいという格好で消費者を説得していくのが本来の責任ある供給者の行動だと思います。自由化によって、自分の信じるものを、責任を持って示していく機会が与えられるべきだと思います。
それでは現状はどうなっているのかというと、現状はこの理想からほど遠い状況です。再生可能エネルギーのコストが低いと本気で考えているなら参入したらどうですか、高くても消費者の支持があると信じているなら、事業を立ち上げたらどうですかと、安直に言えない状況になっています。私は、残念ながら公正な競争環境がまだ実現していないと考えています。そもそも家庭用の電力市場は自由化されていないということもありますが、仮に自由化されたとしても、現在自由化されている大口の市場でも競争メカニズムが十分働いているとは到底言えない状況ですので、小口のところを自由化したらなおさら働かないと懸念しています。今の競争環境を改善しないで家庭用市場まで自由化したら、規制なき独占になってしまう恐れがあります。それから、自由化されたところで本当に公正で透明な競争環境というのは保障されているとはまだ言いがたい状況だと私は認識しています。先程言ったようなこと、消費者の選択の結果自然にベストミックスが実現する姿は、現時点ではまだ机上の空論で、今の社会では、垂直統合市場で不当に再生可能電源が抑制されている恐れのある電力市場では、先ほど言ったことは主張できないということは十分わかっています。しかし本来の望ましい長期的な絵を描くのであれば、先ほど述べたような社会に是非なってほしい、こういう社会に近づけていきたいと考えています。その公正で効率的な競争メカニズムをちゃんと働かせるためにはどのような施策があり得るか、必要かというようなことに関して、私自身はいろいろなアイデアを持っています。ここの部会ではさすがにその詳細を議論するうこと自体にはご関心がないと思うので、一応資料には1ページで少し書いておきました。コストの精密な比較をしなくても自然にベストミックスが実現する社会になることを願っております。ここの部会で出た意見を見せていただいたときに、電気事業法などを変えないという枠組みでやるのかどうかで検討が変わってくるということをご指摘になった方がいらしたようです。全くそのとおりだと思いあます。しかし私は逆に、低炭素社会を実現していくためには、電気事業法はこういうふうに変わっていくべきではないかということを、むしろこの委員会が積極的に発言していくべきだと思います。管轄違いだと考えるのではなく、当然これは環境政策にも直接に関連してくることですから、この観点から見たらこういう制度が望ましいのではないかという意見を積極的に言っていくことが重要なのではないかと思います。
 16ページ目です。ベストミックスは理想的には自然に実現する制度、それを構築することが重要だと考えてはいますが、制度の設計は、一つ間違えると非常に不安定な事業制度をつくってしまいかねないという懸念もあり、もしやるとしても、相当に慎重に時間をかけてやらなければいけないということになると思いますし、実際にどんな改革をするのかというコンセンサスを得ること自体にも時間がかかると思うので、今日明日にすぐ実現はできません。したがって、この理想的なメカニズムがまだ働いていないということを前提として何らかの絵を描く必要があります。したがって、ベストミックスを議論する審議会だとかは十分意義があると思います。特に、理想的な状況になるまでかなり時間がかかるとすると、今の行動が長期的な影響を持つものについては理想的案制度を前提としない議論が必要です。例えば、今、新規に原発を建てると、少なくとも40年位動かすということになると思いますから、サブスタンシャルな期間影響を与えてしまう。住宅を建てれば、30年なり、或いはひょっとしたら100年なりという期間で影響があります。したがって住宅に関して省エネなりの誘導をしていくことは必要なことで、この場でもほかの場でも議論すべきことだと思います。そういう前提でこれからお話ししていきます。  17ページ以降は基本計画でも議論されている縮原発という話なのですが、先程もご説明したとおり、もともとの旧基本計画では原子力比率50%ということを考えていたわけですが、これが実現できると思っている人も、或いは望ましいと思っている人も、もう誰もいないと思うので、必然的に原発の比率は減らしていかざるを得ない。どうやって減らすのかを考えざるを得ない。私自身は、まず省エネで、次に再生可能電源、再生可能エネルギーの導入を拡大していく。拡大というのはもともと拡大する予定だったのですが、さらに深掘りをする。3番目にガスシフトというのを考えていくという順番で考えるのが妥当なのではないかと考えています。
 省電力或いは省エネということにかなり期待する人というのがいるのですが、ここでは環境のプロの方たちばかりなので言う必要もないのかもしれませんが、もともとの基本計画でも、相当省エネを織り込んでいました。さらにそれに上積みしなければいけないということなので、そんなに簡単なことじゃないということは自覚する必要があります。この夏の節電対策で白熱球をLEDに替え、エアコンの設定温度、或いは冷蔵庫の設定温度を上げ、これでこんなに省エネができたのだから、原発の現行の30%分なんてすぐに代替できるなんていう、そんな安易なことを言う人もいて、私は愕然としてしまったことありました。もちろん前倒しして白熱球をLEDに変えるとか、そういうことは非常に重要だということはわかりますが、もともとの基本計画でもこの程度のことは想定されていたので、これだけで簡単に脱原発ができると考えてもらったら困ります。相当な深掘り、新しい発想が必要です。
 しかし一方で、震災の後にゼロベースで省エネを見直したら、意外な盲点がいろいろありました。ここをもう一回ちゃんと考えて、省エネをさらに深掘りすることが重要だと思います。それで、電力事業者の方もいらっしゃるので、或いはガス事業者の方も激怒されるかもしれないのですが、22ページ目で、私はこの省エネの中で是非考えてほしいと思っている点があります。火力発電所の省エネです。火力発電所、世界に冠たる発電効率だといろいろなところで自慢されて出てくるわけですが、そういったって40%から60%のエネルギーを、大気中、或いは海水中に捨てているわけです。総合エネルギー効率から見れば、それは世界のほかの火力発電所に比べれば優れたものかもしれないけれど、総合エネルギー効率ということから考えれば、そんなに自慢できる技術なのかと、いつも疑問に思っています。何とか廃熱の半分とか3分の1だとかを回収することを達成する方が、発電効率を数%上げることに血道を上げるよりも、ずっと意味のある政策だとずっと思っています。この点に関しては、今、大阪で行われている取組に大いに期待しています。
 発電所の廃熱利用というと、「お前は、あほか」と、「素人の浅知恵」と必ず言われる。何で利用が難しいのかという理由を10個でも20個でも聞かされることになるわけです。しかし、これから10年、20年、30年後を見据えていくときに、何でできないのかということを作文するのがとても得意な技術者、事業者にこれからの我が国の未来を預けるか、或いは、解くべき問題ははっきりしているのだから、これを何とかしよう前向きに考える人たちに未来を任せるのが良いのかを、真剣に検討した方がいいと思います。もし、日本の英知をどんなに集めても、大型火力発電所では総合エネルギー効率を高めることは無理だというのであれば、私は全面的に火力発電所を需要地近傍に設置する分散型電源である小型コージェネに切り替えていくことをかなり真剣に考えていくべきじゃないかと思います。今出てきたコージェネですが、燃料電池というのは、分散型電源の主力として、再生可能エネルギーと並んで考えてもいいのではないかと考えています。現行ではセキュリティの観点から見て、大幅に増加させることは本当に大丈夫か若干心配しているのですが、選択肢の一つとしては考えるべきだと思います。
 次に、再生可能エネルギーです。もともと旧基本計画の段階でも大きな対策をとる前のベースに比べて、太陽光では2030年に40倍にするという計画でした。それをさらに前倒しするというような計画、例えば2020年で20%というようなことですら、相当高いハードルがあると私は思っています。相当高いハードルだからあきらめるべしと言っているのではないのですが、そんなに簡単に達成できると誤認させるべきではありません。非常に意義ある政策なのだから、更に追加コストがかかっても是非やっていくべきだと国民に説得すべき事項だと思います。国民には、再生可能エネルギーというのはどうせすぐ安くなるのだから、化石燃料よりも安くなるのだから、国民に負担をかけませんというようなことは安易に言うべきではない。もし本当にそう信じているのであれば、それで事業者として参入していただければいい。そうではなくて、サブスタンシャルにコスト上がる可能性はあるけれど、そのコストを負担してでも普及させていきましょうと国民を説得していくのが筋なのではないかと思います。現在のフィードインタリフというのが導入されるときに、フィードインタリフで太陽光の導入を加速すべきだと、私は国民の大きな支持があると思っていたのですが、もちろん産業界からコストの増加を懸念する声というのがあったというのはもちろん存じていますが、家庭の電力消費者からは大きな支持があると思い込んでいたのですが、しかし審議会の場で買取価格が決まり、それをサーチャージという格好で電気代に乗せるという状況になったときに、消費者代表の委員から、「電気代が上がるんですか、それは云々」との発言があり、もう思いっきりがっくりきてしまった経験があります。フィードインタリフで、家庭用の電気料金の2倍もの価格で買い取れば、コストが発生するのは火を見るよりも明らかです。これを誰かが負担しなければいけないことは当然わかっていて、わかった上で消費者も支持したと思っていたのですが、必ずしもそうではなかったかもしれない。私たちはやはり、一定のコストを負担してでも普及させるべきだということを、正直にちゃんと国民に説得していくということが必要だと思います。  それから、再生可能エネルギーですが、特定の再生可能エネルギーを集中的に入れると、系統対策コストが膨大になるのは火を見るよりも明らかです。この費用を抑制するためにも再生可能電源の中でも様々なもの、バイオなり地熱なり小水力なりを上手に組み合わせて、系統対策コストを下げることも必要だと思います。この系統対策を下げる大きな力になると期待しているのがスマートコミュニティだと考えています。デマンドサイド・マネージメントをフルに使ってエネルギーを効率的に使っていく、再生可能エネルギーを効率的に導入していくことによって系統対策コストを抑えて、国民負担を減らしていくことが非常に重要だと思います。
 31ページお願いします。スマートコミュニティの元々のコンセプトはエネルギーだけではなくて、社会インフラの一大革新だと考えていますが、とりあえず今日関連しているのはエネルギーのことだけなので、エネルギーのことのみ話します。基本的には情報通信技術をフルに使っていって、インターネットの世界で起こったことをエネルギー市場でも起こしていくというのが一番重要な点です。自由に事業者が参入し、自由なアイデアでエネルギーを効率的に利用していくことを通じて、再生可能エネルギーの導入のコストを減らしていくことが必要です。
 34ページをお願いします。このデマンドサイド・マネージメントをするためには、スマートメーターが必要です。家庭用電力に関して、現在のように積算値だけを計るのではなく、もっときめ細かに計量して合理的な料金を設定し、最終的には通信技術を使った自動制御に繋げていき、これを利用して系統対策のコストを大きく下げて、再生可能エネルギーの導入を助けていくのだろと考えています。
 36ページをお願いします。ようやく本論というか、本来これをやれと言われた部分に到達しました。元々与えられたお題は、ダイナミックプライシングと低炭素化の関連性を説明してくれと言われたのですが、ダイナミックプライシングをもう少し広げて、デマンドサイド・マネージメントを考えて、これと低炭素化の関係を考えます。この際二つの要素を分けて考える必要があります。第一にデマンドサイド・マネージメントによってそもそも省エネをする、エネルギーの消費量を減らすという類の話と、エネルギーの消費量は変わらないが、使う時間帯を変える、使う状況を変えるという、二つのものを区別してください。炭素排出量の減少に関しては、電力消費量が減ることによって炭素排出量が減る効果と、さっき言った時間帯がシフトすることによって炭素排出量が減る効果を区別する必要があります。排出係数が低い時間帯に消費量が増えて、高い時間帯に消費量が減るということによって炭素排出量が減るということは、電力消費量が減ることによる炭素排出量の低下と区別して考える必要があります。
 まずわかりやすい省エネの方です。最初に考えられる効果としてまずスマートメーターによる見える化によって省エネが進むのではないかという議論があります。これについては一定の効果があると考える人の方が多いと思います。横道にそれますが、スマートグリットに関して、アメリカでは経済学者が主導して、ヨーロッパでは社会学者が主導して、日本では工学者が主導するとよく言われるのですが、恐らく見える化によって省エネが進むというのは、社会学者が主導する発想にすごく近い、だから経済学者の私が語るのは変だという気はするのですが、しかし現実問題として、どのようなパターンで消費しているのかがわかると、省エネの余地に気がついて、消費者が省エネをするという効果は実際にありそうだと考えられます。私はもっと期待しているのは、見える化で単にその場で消費者が見ることができるだけではなく、蓄積されたデータをプロが見て、こういう省エネの余地があるとかというような形で省エネ診断をする、それでさらに機器を導入して自動制御によって省エネをするビジネスが出てきてくれることを期待しています。消費者が手動でやるという類のはなしだと、時間がたつにつれて飽きてきて効果が低下することも出てくるかもしれません。しかしそれを十分補う効果として、機器による自動制御が発達してくれば、省エネが持続的に続くのではないかと期待しています。データを蓄積するという点からも、スマートメーターが非常に重要です。
 省エネのもう一つのポイントです。電力消費時間帯をずらすことが結果的に省エネに繋がることもあると思います。消費者の電力消費量は減らなくても、エネルギーの消費量が減ることがあるのだと思います。これは現在でも既に排出係数を計算するときに反映されていると思いますが、送配電のロスは、どれ位混雑しているのかに依存するので、すごく混雑している時間帯から混雑していない時間帯に移せば、送配電ロスが減って、それによって排出係数が下がるという効果は既に折り込まれているのだと思います。  もう少し大きな効果としてちゃんと考えるべき点は、ピーク時には揚水を使っているのですが、揚水を使うとこれだけで30%電力をロスします。そうすると、ピーク時からオフピーク時に消費をずらせば、揚水の稼働をそれだけ抑制することができ、それだけで30%電力量を減らせるはずです。こういう省エネをもう少し折り込んだ規制が行われることを期待しています。
 それから次に、省エネ以外の、タイムシフトと低炭素化の関係です。タイムシフトによって低炭素化をするのは、私はかなり難しいと考えています。あまり現実的ではないと思います。タイムシフトの一番大きな目的は、電力費用の削減であって低炭素化ではありません。電力は基本的にピーク時にあわせて設備を持っておかなければいけないので、ここのピークを抑制できれば、保持すべき発電容量を減らせるという意味で、コスト削減にはドラスティックに効く。ひと夏に何日もない猛暑日のピーク時の限界費用は、この意味でオフピーク時の100倍、1000倍のオーダーで高くなっていると思います。従ってピーク時の電力使用量を抑制していくことは、社会的に見て非常に重要なことです。しかしその効果が直接低炭素に繋がるかどうかはかなりあやしい。つまり、昼間のピークの限界電源というのが、例えば石油になっているというような状況だとして、オフピークというのは石油発電所を全部止めていて、限界の電源が石炭になっているような状況なら、むしろ消費をシフトさせれば排出係数が上がることも十分あるわけです。もちろん炭素税だとかによってきちんと炭素費用を内部化していけば、石炭のコストがそれなりに上がって、夜間の限界のところでも使わなくなるかもしれないのですが、現実的には炭素税のコストをちゃんと折り込んでも、ピークとオフピークのコスト差100倍、1000倍のオーダーからするとかなり小さな差なので、ピークシフトによって排出係数が悪化することは十分にありえます。少なくとも短期的には、ピークシフトが直接低炭素に繋がるという効果はあまり期待できない。今挙げた例は、炭素の排出量が増える例だけ挙げたので少し偏っています。排出係数が下がる例というのもあると思います。しかし、フェアに見て上がるケースも下がるケースもあり、大幅な低下は期待できないと考えるのが自然だと思います。
 しかし一方で、間接的な効果はあると考えます。再生可能エネルギーの導入のハードルを下げる効果はあると思います。再生可能エネルギーを入れることの系統対策の費用、余剰対策の費用を、デマンドサイド・マネージメントをフルに使うことによって下げることができる。したがって、同じコストでより多くの再生可能電源を入れられるようになる。結果として低炭素になる。こういうストーリーだったら十分あり得ると思います。例えば、風力発電所というのを導入するというときに、系統安定のために入れられない。系統安定のために入れられないということは、要するに需要量に比べて、発電量に比べて、系統安定化対策に使えるような周波数対策に使えるような電源が少な過ぎるという、こういうことで入れにくいんだとするならば、ピークからオフピークに移ってきて、オフピークの電力消費量というのが増えれば入れやすくなるという効果は当然あるのだと思います。この再生可能エネルギーの導入量が増えるという間接的な効果以外のところでは、ダイナミックプライシングで低炭素化というのはかなり難しいと考えています。スマートコミュニティという大きな枠組みの中で、これで再生可能エネルギーが入れやすくなるという、こういうストーリーでないと難しい。これと独立に低炭素化の効果を見積もることはかなり難しいと思います。
 最後のまとめです。言いたかったことは、制度改革が重要、省エネも再生可能エネルギーもどちらも重要だが、一定のコストがかかるということを覚悟すべき、スマートコミュニティを是非とも普及させたい、の3点です。と。スマートコミュニティを制度基盤として、いろんなアイデアを持った人、多様なプレイヤーが多様に入ってこられる社会を築いていくべきだと考えています。そのためには、自由化を待つことなく合理的な価格体系を、是非とも早く導入してもらいたい。また多様な電源を組み合わせるという発想が非常に重要で、何か一つのものに集中して投資するというような発想というのではなく、その意味でベストミックスというのが重要だと考えています。
 すごく早口で無理やり内容を詰め込んだのでわかりにくかったと思います。最後の2枚ついているのは、単に私の意見で、質問という形式はとっていますが、単に私の意見ですので無視してください。以上です。

西岡委員長 
 どうもありがとうございました。今回、一連のヒアリングをしておりますけれども、言ってみればディスカッサントということで、関係の深い委員からのご質問、ご意見を先にお伺いしておきたいという具合に考えております。今回は藤井委員にお願いしております。

藤井委員 
 ありがとうございました。大変示唆に富む、基本的に私、今の先生のご主張にはほとんど異論はないわけですけれども、立場上幾つか聞くという役目ですので、聞くというか質問を出すという役目ですので、幾つかまとめてお聞きします。
 最初は、この資料で言いますと18枚目のスライドの縮原発という点です。そうだろうとは思うのですけれども、ここで示されている省エネ、再生可能エネルギーの導入、或いはガスシフト、この三つは必ずしも並列ではなくて、極端な議論を言えば、エネルギーを全然使わない時代になれば、再生可能エネルギーもいらなくなります。そういう時代は現実にはあり得ないのですけれども、例えばEUで、この夏、排出権クレジットの価格が暴落しました。これは新しいエネルギー効率化の勧告案が出たことで、これからエネルギー効率化が進むと市場が判断し、それならば省エネのエネルギープロジェクトにあまり力を入れなくてもいい、或いはC&Tの削減クレジットをマーケットから買わなくてもいいというような反応が起きたためと言われています。この三つの政策は、政策的にはそれぞれ望ましいのですけれども、現実に進めていく上においては相互に影響しあってくるという点について、ベストミックスを目指していく中で、どのように考えていけばいいのかという質問が1点でございます。
 もう一つは、場合によればコージェネに全部切り替えてしまうというような、現行の集権型ではなくて分散型という点であります。これも私は大変賛成なのであります。それから電力の自由化、特に我々の低炭素促進の視点から電力システムの改正なり見直しについてもどんどん発言しろというのは非常に心強い限りではあります。その場合に、今、一般的に出ている議論ですと、発送電分離という形で、発電を小口にまで自由化して、先程のように消費者が原発ゼロの電力を買うとか、或いは原発100%の電力を買うとか、すでにドイツでは一部そういう形になっているわけですけれども、そういう選択ができれば望ましいと思います。その場合に、送配電というところも自由化するのかしないのか、この点が気になります。今回の事故の結果は、実は送配電網が独占されていることによって影響が広がりました。東京電力の発電部分の事故が、送電部門も東電によって独占されているために、独立系の電力会社からの電力供給も止まってしまうという事態に陥った。送電網というのは膨大なコストがかかるので、ここまで自由化してしまうと経済的に二重投資、三重投資になってしまうとの指摘もあります。しかし、例えば通信はどうなんだ、或いは鉄道はどうなんだということを考えますと、いずれも需要に応じて複数のネットワークが自由化されている。この辺についての先生のご議論をお聞きしたい。
 もう1点は、先程のデマンドサイド・マネージメントのところで、ピークとオフピークの調整という点です。この調整も自然体でできるのか、マーケットだけに任せておいてできるのか、やはりこの調整のところは何らかの公的な機構みたいなものを、つまり調整機関みたいなものを設けなくていいのかどうか。ヨーロッパの場合ですと、ご存じのように、ガス、石油、或いは炭素クレジットもそうですが、それぞれのマーケットがあって、マーケット間で相互の価格スプレッドが、日々示され、そのスプレッドを見ながら業者が需給調整をやっている面があるわけですね。日本でもそういうような、ガス発電の場合と、石炭発電の場合と、或いは原油の場合と、或いは石炭に仮にシフトした場合には炭素クレジット価格がアップして、排出権取引が活発になって、その結果、相互の市場調整がまた行われるというような市場型が望ましいのかどうか。或いは、そこまでいくにはやはり電力、エネルギー市場が相互につながっているヨーロッパと、わが国では需給のマーケット構造が違います。この辺はどのようにお考えになっているのか。大きく言いますと、この三つについて、先生のご意見をお聞きしたいと思っております。

西岡委員長 
 ありがとうございます。村上委員、続けてご質問を。

村上委員 
 今日、松村先生、ありがとうございました。毎度極めて歯切れのいいお話で、大変感銘しておりして、私も全面的に賛成でございます。質問というよりお願いしたいのは、やはり10年位前から電力が自由化されたというのだけれども、実態としてそれが随分機能したのかというと、私は非常に懸念しておりまして、今後、自由化ということが多分言われると思うのですけれども、それが実態として機能するような実態のあり方を、言葉だけ実態で実際はしてなかったというのが過去の状況じゃないかと思います。是非そういう形で、ご尽力いただければ大変ありがたいと思います。ご活躍を期待しております。ありがとうございました。

西岡委員長 
 村上委員の方から答えていただきたいと思います。

松村教授 
 自由化するだけではだめで、実際に機能するという市場をつくらないとだめだと。自由化するだけだったら、むしろ悪くなるということだってあり得るということは、全く意見共有しております。そういう制度をつくるために頑張れと言っていただいたのはとてもありがたいのですが、私は現時点でまだその仕事は何一つしておりませんので、頑張れと言われても、こういうところで発言するという以上のことは何もできないのですが、ご意見は実にもっともだと思いますので肝に銘じておきます。

西岡委員長 
 それでは藤井委員の方に答えていただきたいと思います。

松村教授 
 まず18ページの3点に関してです。18ページは三つ点を打つという格好にしないで、あえて1、2、3、と順番をつけました。ガスシフトは重要でないというつもりで3と書いたと言われると困るのですが、順番としては、まず省エネを考えるというのが筋だと考えています。省エネは環境の観点からも、エネルギーのセキュリティという観点からも、化石燃料購入により国富が外に出ていくのを減らすという観点からも、どの観点から見ても悪いことは何もない。その意味で省エネを1番に挙げたつもりでした。それから相互依存関係にあるというご指摘、全面的に賛成いたします。ご指摘、全くそのとおりで、100%賛成です。
 2番目、送配電のところなのですが、まず事実認識を確認させてください。日本の現在の市場では、ある意味、送配電の部分は、すごく開き直って言ってしまうと、自由化されています。どういう意味なのかというと、新規参入者が送電線を引こうと思えば引けます。送電線を引いちゃいけないというルールになっていません。自営線という形で引こうと思えば引ける。でも費用面を考えるとばかばかしくて引かないという、そういうだけのことです。つまり、まさに藤井委員がおっしゃったとおりで、新規に電力会社が参入してきて、東京中の大口需要家に供給するために新たに別の電線を関東全域に引き直すのは社会的に無駄に決まっているし、競争力があるはずがない。電線を引こうと思えば引けるがそのオプションは使わないという、こういう選択をしているのだと理解しています。やってもいいという意味で言えば、もちろん家庭用には配れませんが、自由化はされている領域なら送配電部門に参入できます。しつこいようですが、送配電部門というのは圧倒的に自然独占性のあるような巨大な規模の経済性のあるところなので、ここはどのように制度設計したとしても、基本的には一社、それは全国一社がいいのか、地域に分けるのがいいのかというのは別としても、一社でやって、独占になっているので、ある程度の管理をして、規制をしてコントロールしていくということが効率的なのではないかと考えています。送電部門に競争が入る余地はゼロとは言いませんが、かなり地域限定的なものを除けば、送電部門で通信の光ファイバー網のような、あるいは移動体通信のような設備ベース全面的な設備ベース競争を引き起こすのは難しいと思います。それでも自由に引きたいというのを止めるのだとすれば、それは問題があるという問題意識であれば共有します。。自由化という文脈で、本当に送配電部門が重要なのだとすると、それはむしろ今議論されているように発送電を分離するのかどうかという論点の方が、送配電を自由化するかどうかという議論よりも重要だと思います。この発送電分離に関しては、相当慎重に議論する必要があると思います。制度設計を誤ると、系統安定性に深刻な影響を与える可能性はあると思います。もちろんちゃんとした制度を設計すればそんなことはないと考えています。しかし諸外国でも成功した例もあり失敗した例もあります。失敗した例に関しては、ここが悪かったと私たち指摘はできるのですが、しかし諸外国は失敗したというときに、その制度をつくったときにはベスト&ブライテストがつくったのにもかかわらず、それでも後から見るとへんてこりんな制度で失敗してしまった例だってあるわけですから、制度設計には相当慎重な議論と準備が必要だと思います。
 しかし、発送電一貫のままで本当に公正な競争環境がつくれるのかというようなことは真剣に考える必要があります。更に発送電一貫体制が、供給安定性のために本当にベストなものだったのかもちゃんと検証する意味がある。発送電一貫体制の下で今このような系統がつくられてきているわけですが、本当に今の系統は系統安定性のためにベストな系統だったのか。ひどい輪番停電を引き起こしたのも、連係線の建設が遅々として進まなかったのも、お粗末な需給調整契約を長年放置してきたのも、全て垂直一貫体制の一般電気事業者です。これらを検証することを通じて、供給安定性という観点からも、競争環境を整備するという観点からも、どのような制度が望ましいかを議論していくべきです。系統安定性の問題がクリアできるよう十分配慮した上で、公正な競争環境を築くために発送電分離という方向を真剣に考えるべきだと思います。
 それから3点目、デマンドサイド・マネージメントです。途中で排出権取引のこともご指摘になられて、ちょっと違う要素が二つ入っていたと思うので、それぞれにお答えしたいと思います。まず排出権取引がいいのか、炭素税がいいのか、ほかのやり方がいいのかというのに関しては、私は特に強い意見を持っておりません。私は排出権市場でなくても、炭素税でもどちらでも市場メカニズムを生かすための方策だと考えています。この点に関してはどのような制度設計が市場メカニズムを生かすために最善なのかということについては、大変申し訳ないのですが、私自身は深い知見を持っておりません。理想的な状況ではどちらでも効率的な資源配分が達成できるはずだと考えています。理想的な状況でなければ、どちらも一長一短で、無条件にどちらかがより優れていると言うことはないと思います。
 その前のデマンドサイド・マネージメントです。強制的にやらなくても、市場メカニズムでできるのかというと、白地に絵を描く話であれば、私は自然にできると思います。市場メカニズムがちゃんと働いていれば、コスト高であるピーク時の需要を抑制する誘因を事業者も持っています。自然にそういうピーク時に高い価格が出てくれば、消費者の方も消費量を抑制する。或いは高価格時に消費量を自動的に抑制してくれる機器を開発するメーカーが出てきて、自然に普及が進むと思います。私はデマンドサイド・マネージメントを、特に強制しなくても進むのではないかと楽観的に考えています。ただ、これはあくまで白地に絵を描いた理想的な市場ができたらということが前提です。公正な競争環境が、そんなに急にはできないというのであれば、電力事業者の方はきっと怒られると思いますが、今までの電力事業者さんのマインドは難しいかもしれません。基本的に消費者が望むだけ供給するのが責務と考え、デマンドサイド・マネージメントなど当てにならないとの偏見にとらわれ、需要側をコントロールするというマインドがなかったとはいいませんが極めて乏しく、更に変化を嫌う保守的な人たちだと思っています。
この市場構造がずっと続くとすれば、一般電気事業者の自由に任せておいても、デマンドサイド・マネージメントは望ましい水準よりも進まないと思っています。もし競争メカニズムがうまく働く理想的な状況にできないのだとするならば、料金にも一定の介入、監視が必要です。本当に効率的な料金体系になっているのかどうかを見る必要があります。したがって、非常に中途半端な回答で申し訳ないのですが、私は理想的な制度ができるのであれば、デマンドサイド・マネージメントについて何か強制するという必要はない。しかし、現状を見てデマンドサイド・マネージメントについて介入が不要だとは思っていない、というのが回答です。

西岡委員長 
 藤井委員の方よりさらにご質問ありますか。特に私聞いていて、2番目の発送電分離等々も含めたところですね。

藤井委員 
 私がもし電力会社だったら、今、電力会社の設備投資は発電部門よりも送電の方が圧倒的に大きいですよね。抱えている資産価格を見ますと、それがわかります。発送電分離した場合に、電力会社は送電接続料というものの収入と売電の収入と分かれるわけですね。設備投資は確かに膨大なのですけれども、これはしかし、資産として見れば常に設備投資、更新していかないといけない。設備投資を改善していかなきゃいけないというときに、そうすると接続料が発電コストに基づいた公定な価格になった場合に、果たして電力会社は全体として十分な利益が上がるのかどうかということが論点になると思います。多分、電力会社からすると、発電部門を分離された場合に、十分な送電施設を長年にわたって供給できませんよという議論が出てくるのではないかなということです。アメリカでは、発電の部分は最新の発電設備をつくれば、価格競争力が増して、収益が上がるのでどんどんそれを更新していけると思うのですけれども、送電の方は、買い手は競合する発電事業者ですから、そこの価格交渉は自由でなく、政策価格として抑えられるならば、送電会社側、つまり電力会社にとっては非常に不利になってしまい、送配電部門の設備投資に必要な十分な資金を調達できなくなってしまう懸念が生じるのではないか。つまり、システム全体ではそこが逆にボトルネックになってしまうのではないか。アメリカではそこをクリアするために、「送電権」みたいなものを複数の業者に認める形にして、送電需要がマーケットで余っていれば売れる仕組みをとっている地域もあると聞いています。私は、東京ガスあたりは、東京都内で自前の送配電兼業の電力会社をつくってもいいのではと思います。利益の上がる、おいしいところだけやる電力業者が幾つも出てきて競い合う中から、最新技術の導入と価格の安定が図られるのではないか。それらの送配電網も全部相互接続でシステムとして繋がっておれば、緊急時も複数系統で使えるわけですよね。ですから、そういう議論も必要ではないかと思います。これは、私が頭で考えただけの思いで、非現実的かもしれません。しかし、電力会社を経営していく立場で言えば、そこの論点をクリアする必要があるのではないか。発送電分離を主張される一部の方は、送配電部門は「公的な電力会社」にしろと言う。しかし、効率化のために民間活力を使うという視点からいうと、それはちょっと逆だろうというふうに思います。どうでしょう。

松村教授 
 第一に、今現状がどうなっているのかという理解を揃えたいのですが、現状では託送料金は規制料金です。したがって、規制料金だと投資できなくなるという発想だとすると、それは現状でも同じ問題があります。現状でも託送料金は基本的にコストベースになっていて、したがって、投資をすればその分のコストの部分は公正報酬を乗せて回収できる仕組みになっています。発送電分離をして、それで別会社になったら規制価格で投資をしなくなるんだけど、垂直一貫だと規制価格でも投資するという理屈は私には理解しかねます。もし投資誘因が本当に問題なら、今だって問題があるはずです。
 発送電分離はいろんなやり方がありますから、完全に所有権を分けてしまうというようなものから、そうでないものまでありますから、本当は一言で語るのはかなり問題があるのですが、それでも敢えて言うと、私は基本的に、送電部門、或いは系統運用部門が、安定性に関して責任を負うという格好になると思います。今は電力会社が垂直統合の企業が全体として供給安定性の責任を負っているわけですね。供給安定性の責任を負っていてちゃんと投資をするというのがもし正しいとするならば、同じロジックで、発送電分離後の送電会社だって送電に関してはちゃんと投資する誘因はあるのではないでしょうか。そこに責任がかかっているので。心配なのは、むしろ発電の方の投資だと思います。供給責任が、安定性の責任が送配電部門にいってしまえば、発電の方は責任を負っておらず、発電所が足りないのは私たちのせいじゃないなどと言われるとすごく困る。この点適切な制度設計が必要です。それから、発電投資と送配電投資は当然リンクしていなければいけない。同じ会社でないとそのコーディネートがうまくいかない、そういう類の心配は十分あり得ると思います。分離したときに本当に供給安定性が担保できるのかに関しては、全く心配ないというつもりはないのですが、今ご懸念になったようなことは、私はあまりに心配していない。
 それから2点目。送電権等に関して非常に重要なことを指摘されたと思います。私は、発送電分離の話と送電権を導入するという話は、決して矛盾していないと思います。さらに、料金は規制だということを言いましたが、その規制料金の中にある種の混雑料金の発想を入れて合理化していくことも当然あり得る。混雑料金が出てくれば、本当に混雑している線の所有者は結果的に儲かるというようなことになると思います。いずれにせよ送電線を持っている事業者が自由に価格を決めてもいいという制度には決してならないと思います。既に述べたように送電部門は自然独占性があるので、必ず規制は残ると考えます。ただ、おっしゃったような形で合理化していくことは、当然に考えるべきことだと思います。

西岡委員長 
 それでは今の件も含めまして、ほかの委員の方々からのご意見、ご質問をいただきたいと思います。

荻本委員 
 どうもありがとうございました。コスト小委に出ていて、似たような議論をちょっとしたところもあります。基本的に、おっしゃったとおりだろうなと。自由化の議論もなかなか古典的な話題から始まるんですけど、まさにそのとおりだろうということですから、いろんなものを考えていく時期なんだろうというふうに、まさに思いました。その上で、ちょっと細かい話ですが何点かコメントしたいのは、ベストミックスを考えるのではなくて、補助金を考えるんだというのが9ページにありました。それは今だと、例えばフィードインタリフを幾らにしようかというのは、例えば2030年のPVを何万キロ入れたいので、入れるための価格を達成するためにフィードインタリフの額が決まってくるというような話があって、私から見ると、チキン&エッグというのでしょうか。ですから、補助金のレベルを決めるためにも、恐らくどうしたいのかというのがないとうまくいかないというので、恐らくどっちが先ということでもないのかなというふうなことを思いました。
 それから、市場で消費者、お客さんの方が決めるというような話も、基本的にはいいような気がするんですが、私、大分年を取ってきて55歳になってくると、残りが短いということになると、やっぱりその55歳の人間が考えることと、もっと若い世代の人間の考えることが違うと。極端な話、千年位生きられる人間が考えれば、つまり何を言っているかというと、投資回収期間より十分長く生きている人間がベースだと、恐らくうまくいくような気がするのですが、残念ながら40年のプラント寿命があると、人間はコンパラなものですから、どこにオーバーラップするかということで、結構人間の判断は変わってくるだろうなということですから、ベストミックスというものを考えるときに、人間の要素というのもあるでしょうし、チキン&エッグというのもあるだろうなというふうに思いました。
 それからエネルギーで、40%から60%を海に捨てているということがもったいないということがあって、これもまさにそのとおりでありまして、コージェネのようにそこで捨てているはずの熱をお風呂に使えれば、それはもう丸儲けということになりますから、それも正しいと。ただし、残念ながら、熱というのはその場で使わないとかなり運ぶのにコストがかかるということになりますから、その熱を使ってくれる人が周りにいないといけない。もっというと、今の技術ですと、残念ながら必要な電気を起こしたときに出てくる熱の量を使い尽くすほど、日本の場合はあまり熱需要がない。暑くてたまらない国なんで、そういうことがあるというところが、やっぱりそこに一つ限界があるのだろうと。ですから、熱というのは使い尽くせれば当然その分いいということはそうなんだけれども、人間が必要な熱というのは限りがあるので、その範囲かなと。やっぱりエネルギーというもので考えると、まさにエネルギー保存則というのがありますから、1000度の熱を10倍に薄めて100度にして、もう1回10倍に薄めて10度にして、もう1回10倍に薄めて1度にして、全部これは同じエネルギー量を持っているんですが、価値はだんだん落ちていくと。ですから、その価値が落ちても人間が使うお湯の調達できればそれはそれで本当にその価値があるんだけれども、残念ながら1度の差とか10度の差ではエレベーターは動かないし車も動かないというところで、うまく熱が使えるかどうかというのがポイントだろうなというふうに思いました。
 それから、自由化のところなんですけれども、私自身も興味を持って、10年20年考えた歴史がございます。ただ、今起ころうとしていることが、かつて20年前に自由化の議論がされたときには、非常に化石発電の世界では、コンバインド火力と複合発電という、従来より非常に効率が高くて、もしかすると設備費も安い技術が出てきた。もう一つは、燃料代が非常に安定した時期だったと、90年代ですね。こういうときの自由化議論だったと。今は再生可能エネルギーがどの位入ってくるかという自由化議論だと。何が違うかというと化石の場合は好きなだけ発電できるし、好きなだけ発電しないこともできる。ところが再生可能エネルギーは、もうそういう自由がないところでどういう市場を成り立たせればいいのかと。つまり機会費用がゼロなんですね。ですから、それをどうやって市場の中に折り込むのかというのが非常に、今までと少し違う。大分違う市場だろうなということで、さっきおっしゃったとおりだと思うのですけれども、市場をつくるというのは悪いことではないというような気がするのですが、どんな市場をつくればいいのかというのは、再生可能エネルギー主導か化石主導かというので大分変わるんじゃないかというふうに考えています。コメントというか意見というか、以上です。

松村教授 
 まず、量が先か価格が先か、補助金の率が先か導入量が先かという話です。一般論として、量なのか価格なのか、つまり例えば関税なのか輸入数量割り当てなのか、炭素税なのか排出権取引の方がいいのかという、こういう類の議論は当然あり得ます。ある種の量の目的、炭素排出量をこれだけに抑制しなければいけないというのが外生で与えられているときに、税・価格ではなくその量を使うという話は当然あり得るのですが、恐らくおっしゃったのはそういう話ではなくフィードインタリフそのものの問題だと思います。私の理解では、本来の経済学的に正当化できるフィードインタリフの正しい整理は、量産効果のような異時点の外部性を内部化するための手段だと思います。量産効果によって将来導入費用が下がるだろうと予想されるときに、費用が下がった後で入れる消費者は量産効果のメリットは得るが、そこに到達するためには早い段階で入れてくれる人が必要です。そうすると早い段階で導入した者は将来の費用低下に貢献しているわけで、この将来の価格低下に資する効果の分だけ外部性の問題は発生します。この外部経済効果にあたる補助金を出す。フィードインタリフに含まれる補助金相当分、買い取りプレミアム相当分がこの外部性に対応するのだと私は理解しています。もちろん実際の導入に関しては、これだけ太陽光を入れるためにこれ位の水準で買い取り価格を決定した、という発想があったのは十分わかっています。しかし、私は本来の姿としては、これ位の外部性があるのだからこれ位プレミアムが与えられて当然だという、こういう議論があってプレミアムの水準が決まるべきだと考えます。したがって、この点で当然意見の一致はないのだと思いますが、私が言った理想的な市場の世界は、そういう類の外部性を内部化するような補正は当然の前提となっています。その補正の大きさはちゃんと考える必要があるとは思いますが、もし本当に外部性の部分を全部内部化する補助金を出したとしても、フィードインタリフでそれだけ優遇しても普及しないということであるならば、他の手段を考えるのが本来の姿だと思います。闇雲に数量をコミットメントにし、普及しないなら普及するまで補助金を積み増すと言う発想は、国民負担の果てしない増大となり、最終的には国民の支持を得られないと思います。
 2点目、世代の問題です。もの凄く難しい問題だと思います。しかしこれもまさに、外部性の話だと理解しています。今の私たちの行動がまだ生まれていない人にも影響を与えます。まだ生まれていない人は市場において意志表示をすることができません。この人たちに与える影響を無視して色々な判断をしてもいいのか。これはかなり深刻な問題です。市場に参加できない、市場の外にいる人に影響を与えるわけですからこれは典型的な外部性の問題です。将来世代に迷惑をかける可能性があるのなら、現世代の責任として、その負担分というのは税金なりでコストを補正すべきだ、将来世代にかかる費用は税なりで抑制すべきだと考えています。参加できない人に対して、その人たちがどんな選好を持っているのか、完全に予見することができませんが、明らかに将来世代のコストとなるものがあるとするならば、それはさっき言ったaのところで、或いはbのところで補正すべきだと考えます。
 それから、熱に関してです。熱は運ぶのにコストがかかるという点に関しては、全く意見を共有しております。今回お配りした資料で、熱は運ぶのにコストがかかる。だから、スマートコミュニティを考えるときには、電気以上に熱のことを重視すべきと書いたつもりですが、時間の関係で飛ばしてしまいました。
 熱のことは確かに重要で、しかも運ぶの電気に比べてはるかにコストがかかるので、広域に運搬するのは難しいことは十分わかっています。しかし、私は近くに需要がないから熱が利用できないという発想は是非とも克服したい。近くに需要がないからじゃなくて、極端なことを言えば、発電所の位置もはじめから熱需要を考えてきめるような、そういう発想の転換をすることが重要です。また熱を遠くまで運んでいくには膨大なコストがかかるとしても、近場まで運んでいく技術で何とか解決できないか、うまく熱をカスケード利用できないかというようなことをもっと考えるべきだと思います。今大阪での取組に注目すべきと書いたのはそういうつもり書きました。大阪ではごみの発電所に関して、従来、普通にボイラーで発電していたものを、さらにバイナリーの発電機を増設して熱をもう一度使う、或いは畜熱してローリーで近くに運んでいくなどを実証しようとしていると理解しています。こういうような工夫、それが本当にいいかどうかというのは別として、熱交換して冷房に使うなり、いろんな使い方があると思います。ハードルが高いというのは十分承知していますが、だからこそ英知を集めて何とかしていくことを考えるべきだと思います。ハードルが高いということは重々承知した上で言ったつもりでした。
 それから4点目。20年前の自由化のときと状況がかなり違うという点に関してです。間違いなく状況はかなり違うと思います。しかし私は、白地に絵を描くという、あえて机上の空論の話をしたときには、どのような状況でも通用する議論をしたつもりできました。再生可能エネルギーに関して、基本的に化石燃料を使う必要がない、そういう意味で、発電のところのコストがゼロになっているとか、いろんな特性も全部読み込んだ上でフェアな競争をした、本当に社会的に望ましいものが望ましい量だけ入る社会になってほしいと考えています。再生可能エネルギー支持者から見ると、とんでもないことを言っているといわれるかもしれない。つまり再生可能エネルギーにポテンシャルがもしないとするならば、ほかの方法を考えるべきだと、言ってしまっているわけですから。自由化すべきという主張は、再生可能エネルギーを導入するために自由化するというつもりで言ったのではなく、本当に入るべき電源が自然に入るような制度にしてほしいというつもりで言いました。ただ、現状の認識で言うと、垂直一貫体制下で再生可能エネルギーが不当に不利に扱われていると考えています。したがって、この不当に抑制されている部分を制度改革で除去するのは重要だと思います。先程書いた白地に絵を描くというところは必然的に除去される状況になるわけですが、真っ当な改革がされれば、現状よりは、再生可能電源に対して追い風になると私は思います。しかし、高い目標を上げたところに到達できるかどうかという点に関しては、むしろ遠い将来の目標値に安易にコミットしないという発想が正しいと思っています。しつこいようですが、代替電源が何であるかということによらないでうまく機能する制度をつくるべきだというのが私の趣旨でした。以上です。

西岡委員長 
 ほかにご意見を。大聖委員。

大聖委員 
 私、運輸関係のことをやっておりますので、そういう視点から言いますと、例えば電気自動車とか、プラグインハイブリッド自動車などが増えてくると、当然昼間の充電、あるいは夜間の充電というようなことが起こって、新しい電力デマンドが発生します。例えば、これはキロワットの話とキロワットアワーの話が両方あると思いますけれども、昼間の充電で急速充電をやりますと、大体50キロワット位必要なのです。そうすると、そういう車が一斉に10万台位充電をしますと500万キロワット位のピークが発生するわけです。
 それからもう一つ、例えば1日に10キロワットアワー位電気自動車で使うものが10万台位になりますと、大体100万キロワットアワー位になるわけですけれども、(トル:これがどんどん、)今、台数が少ないですけれども、今後ストックとして増えていくとばかにならない量になります。そういった新しいデマンドに対してどういうふうに対応したらいいのかという課題が、昼間と夜間と両方あるわけで、このような問題は、結構、電動化が進むと無視できない量になってくると思います。それをカバーするのはどうすべきかということが課題です。昼間の太陽光を蓄電するという機能も車の中にはあるわけです。あるいは、そういったようなマネージも加味して考えますと、ここ10年位は大丈夫かもしれませんけれど、2030年位になるとかなりのボリュームになるのではないかと予想されます。とりわけ今、石油の消費量の4割位が運輸交通分野で使われている訳です。それの1割でもそういうようなことが起こると、非常に大きな構造変化であり、デマンドの変化が起こると、それにどう対応したらいいかということになります。そういったことも少し折り込みながら考えなくてはいけない。それに関してどういう考え方をしたらいいかというようなこと。それから、CO2の削減効果というものが、本当に電気自動車やプラグインハイブリッドでどの程度引き出せるのかということもポイントになってくると思っています。以上です。

松村教授 
 最初に、省エネが劇的に進むのに、私は電力の消費量がそんなに劇的に減るとは思っていません。それはまさにご指摘にあったようなことも考えているからです。いろんな燃料源が電気に置き換わってくるとすると、エネルギーの消費量の減少に比べて、電気の消費量の減少は小さくなります。まさにご指摘になったようなことというのが起こり得るからです。
 それで、EV、PHVが普及するほど、私はデマンドサイド・マネージメントがさらに重要になると思います。今現在もある種のデマンドサイド・マネージメントがある。例えば家庭用なら一部の家庭に深夜料金と昼間料金があります。しかしこんな雑な料金体系で、仮に深夜時間帯が始まった瞬間に日本中のEVが一斉に充電を始めたら、人為的にピークが突然立ってしまいます。こんなおろかなシステムを、EVやPHVが普及した後で残しておいたら絶対にまずい。この点はちゃんと考えなきゃいけない。そういうこともまともなデマンドサイド・マネージメントをきちんとやっていけば解決する。本当にコストの低いときに自動的に充電してくれるシステムの開発が進んでくれると期待しています。
 さらに、太陽光が大量に入ってくるという状況になると、震災前は電気が余り過ぎて、出力調整をしなきゃいけない、電気を捨てなきゃいけないなんていう、そんなばかばかしい議論を本気でしていた人たちがいますが、EVが普及してきて、何時から何時までの間に充電できれば十分ですというような情報があらかじめ入力されていれば、本当に電気が余るときに優先的に充電してくれるシステムもつくられると思います。これも価格体系が合理的なら自然に進むと思います。基本的に電気が余っているときは電気代が安くなるはずですから、電気が安くなるときを見計らって、生活パターンと見合わせながら自動的に充電してくれるシステムは、自動車のオーナーにとってもメリットがありますから、自然に普及すると思います。再生可能エネルギーの大量導入と非常に相性のいいEVやPHVが入っていけば、相互に補完してコストを低減できると思います。いずれにせよデマンドサイド・マネージメントがキーになると思います。
 それから、自動車の専門の方から怒られるかもしれないのですが、V2G、V2Hというのを期待しています。これによって、もちろん恒常的に電気を流すのは費用的にも荒唐無稽かもしれないのですが、本当に危機的なときに、危機的なピーク時、1年のうちのごくわずかな時間帯だけでも流してくれるということをするだけで、電力のコストが劇的に下がると期待しています。電池に負担がかかるのは十分わかっていますが、年中やるというのでないやり方も含めて、様々な可能性があるはずです。V2Hにとどまらずに、V2Gまでいってほしいと強く願っています。自由化の過程で自然に自動車、電池のプロの事業者がそういう事業に入ってこられれば、系統対策コストも下がり、エネルギー事業と自動車事業の間に非常にハッピーなウィン・ウィンの関係が築かれることを期待しています。
 CO2削減効果がどれだけあるかというのは、申し訳ありませんが私は全く知見を持っておりません。つまり電池をつくるのにどれ位CO2がかかるのかというような類のことは、やはりプロの方でないとわかりません。私たちではどの人が言っていることが正しいのかわからないので、この点についてはコメントできません。ごめんなさい。

大聖委員 
 ちょっとその際に問題になりますのは、急速充電という考え方と普通の充電という考え方が大きく違うということなのです。ですから、普通の充電では数キロワットですけれども、急速充電ですと50キロワット位使うのですね。かなりピーキーな使い方をする、それが昼間あり得るというようなことで、それを一斉にやるというようなことになるわけですね。蛇足ですけれども。

松村教授 
 すみません、急速充電のことというのを答えるのを忘れていました。確かに急速充電はみんなが一斉にやればもの凄く負荷をかけると思います。これもやっぱりうまくコントロールするのが重要です。ひょっとすると、自由化してデマンドサイド・マネージメント、ダイナミックプライシングが普及してくると、急速充電をたくさん使う人は不利になるかもしれない。急速充電をピーク時に恒常的にやる人は不利になるかもしれません。しかしそれは、やはり社会的にコストの高い使い方をしているということなので、そういう使い方をする人がコスト高になるのはやむを得ないと思います。

大聖委員 
 もう一つ蛇足ですけれども、そういう自動車自体が持っている蓄電機能をうまく使うというのにも、今のところもの凄い割高ですよね、明らかに。これをどこまで下げられるかというのはかなり大きな、電気自動車のコストを下げるということも含まれますけれども、蓄電のコストというのはべらぼうですから、なかなかペイしないという状況が続くと思っています。

松村教授 
 しつこいようなのですが、僕その点で、PHVとそれから燃料電池車には期待しています。EVは動く揚水だと思いますが、PHVと燃料電池車はちらは動く発電所でもあります。これを恒常的に動かして発電してグリッドに供給するのは全く荒唐無稽ですが、それこそ災害があったときに燃料電池車が行って1時間供給するとか、1年のうち1時間だけ供給するとかというようなことでも貢献が大きいと思います。もし電気料金が非常に適正になっていれば、そのようなピーク時はもの凄く高いコストになっているはずですから、コストに見合う売電価格が設定されれば、収入もそれなりに入ってくると思います。それでコスト削減になってくれれば、自動車開発とエネルギー供給安定にウィン・ウィンの関係が築けると期待しています。

西岡委員長 
 ほかにいかがでしょうか。

松岡委員 
 北九州市でございます。先生にスマートコミュニティでご指導いただいている関係もあり、今回、ご指摘いただいたこと、ご提案いただいたことについては、精緻にしっかりとしたデータをその事業の中からやっていきたいと思います。
 そうしてやっていく中で、私どもいろいろと実証事業をやっていく中で思いあぐねるところがございまして、まず1点がベストミックスということなんですが、誰にとってのベストミックスかということなんです。今まで地域の部分というのは、どちらかというとベストミックス、国としてのベストミックスで、我々地方公共団体なんていうのは、それはあまり関心を示さずに、ただ新エネをつけるだけの、そういったエネルギーの関わりだったように思われるのです。ただ、今回の、もう現実に日本全体のエネルギーは、九州は特に原子力比率が高いものですから、もう既にそこの部分の中では産業自体が影響が出てきています。もともと増設計画があったやつが休止になるとか。それから、安全・安心という部分、住民のためにという部分の中では、やっぱり地域のエネルギー政策というものが必要だろうということで、県とか、それから福岡市さんもエネルギー政策担当を急遽設けたりとかいう形で、地域のエネルギー政策が確立しつつあるんですが、といったときにベストミックスとして、もう一つは国としての安全保障なんかをも含めてのベストミックス、それから地域としてのベストミックス、さらに言えばそのHEMS、BEMSとして、先程先生が言われたようなエネルギーを選択するというような、そういった部分の消費者としてのベストミックス、階層構造がそれぞれにフェーズがあるんだというふうに思うんです。それはそれぞれに別々に議論していかなければいけないんじゃないかなと思うんですが、そのあたりについて、そういったことが先生のおっしゃるような多様性とか、それから今からの時代の流れの中でのフレキシビリティですね、状況に応じた形のしなやかさ、そういったものに繋がるんじゃないかなと思うんですが、その点について、1点お伺いしたいことと。
 それから、2点目でございます。大きな悩みが一つ、フィードインタリフであります。まさにこの制度によって、新エネがたくさん地域の中に整備されるという動きがもうかなり出てきてございます。これはこれで非常に喜ばしいんですが、しかし、これはあくまでも買取ということであって、エネルギーマネジメントには繋がらない。依然として分散電源を今から本当にしっかりやっていこうということと、系統にそちらの方で繋げていく、フィードインタリフ制度という部分は、ちょっと若干相矛盾するところがあるんではないか。そこの折り合いなんです。5年、10年という期間限定ということでございますが、結果としてその限定の中でやはりみんなが新エネをつけることという部分が、経済コストという観点だけの中でどんどんとついていって固定化してしまう、逆に言えば。そういった恐れがあるのではないかと。そこの中に地域の工夫とか、そういった部分がだんだんスポイルされていくんではないかという思いがありますが、その点についてご見解をと思います。
 それからあと、よく言われるのが、新エネをつけていくと、3点目でございますけれども、系統に対する影響ということが言われておりますけれども、ただ、逆に平準化という問題は系統だけの問題なんだろうかと。地域として本当にそういった部分を平準化する仕組み、そういった部分は分散電源という新しい地域システムの中で本当に持っていって、そしてお互いの系統とそれから分散電源とのマッチングというか、いい関係ですね、そのあたりを築いていかなければいけないんじゃないだろうかなと思ってございますが、このあたりについて先生のお考えを聞かせていただければと思います。

松村教授 
 ありがとうございました。まず1点目、地域のエネルギー政策、地域でのベストミックス、地域での特色、この点については、先程のプレゼンテーションでもそうですが、私の中で完全に抜け落ちていた、発想の中で抜け落ちていた点です。確かに重要な点であると、今反省しております。確かにその点、当然に考えるべきで、国全体としてこういうベストミックスが実現していくというだけではなくて、特定の地域で国との特性の違いというのに応じたベストミックスが当然あり得るわけです。その点について完全に考え落としていました。もしさっきの白地に絵を描く世界であれば、国のある種のいろんな価値というのにさらに追加して、特にこの地域ではこの価値が高いと。したがってベストミックスが変わってくるというのであれば、追加した補助金なり、追加した規制なり、追加した税なりというので補正していけば、自然にうまくいくのではないかと思いますが、これも白地に絵を描く机上の空論ですから、現実の世界を考えるなら、確かにその観点は非常に重要で、完全に抜け落ちておりました。すごく反省しています。ちゃんと勉強して考えたいと思います。
 それからフィードインタリフと地域のエネルギーマネジメントだとか、或いはさらにスマートコミュニティだとかということと相性が悪いというのは、今の制度を前提とすれば正しい。しかし私は、制度を変えれば十分にその問題は解決できると思います。フィードインタリフは、そもそもプレミアムを乗せて買い取っているわけですが、これは本来は特定の再生可能エネルギーで発電してくれたことを評価して実質的な補助金を与えるものであって、誰に売ったのかということと無関係に利益を与えるべきものだと思います。発電した電気をどう売り、或いはどう消費するのかというのは、全く白地で選択でき制度にすることは、比較的簡単にできると思います。余剰買取制度になっている家庭用の太陽光については、このような発想での制度の組み替えは絶対不可能、不可避的に売電・消費と実質補助金がリンクされているので発電量に比例する補助金にそのままでは組み替えできないので、その点はデットロックですが、それ以外のところでは、政策当局さえやる気になれば地域のエネルギーマネジメント、スマートコミュニティと相性の良い再生可能電源支援の制度設計は可能だと思います。したがって、フィードインタリフをやっている限り未来永劫だめだと考える必要はありません。もっともフィードインタリフというのは基本的に期間限定の政策なんで、そういう議論をすること自体意味がないのかもしれないのですが。フィードインタリフという発想を残していても、うまく調整する方法はあります。ただ、現行制度に問題があるということは、十分認識しております。
 3点目。地域の分散型電気への地域内での平準化という議論は、まさにスマートコミュニティの議論の中核だと思います。私自身は、震災前はばかの一つ覚えみたいにスマートコミュニティ、スマートコミュニティと言っていたので、もしそういうことを話せといわれたら、まさに今ご指摘なったような点を喜々としてプレゼンしたと思います。おっしゃることは本当にごもっともだと思います。ただ一方で、震災前に分散型電源のメリットをさんざん強調していたのは、系統電力に対して分散型の電力、或いはスマートコミュニティという発想があまりにも軽視され過ぎていたということが背景にありました。逆の極端に振れるのもよくないのではないかなと考えています。電気は基本的に、エネルギーとして運ぶコストは相対的に低いものですから、大規模な発電所を遠隔地に建てて運んでくるのも一つのビジネスモデルとしては正しい。割合があまりに高過ぎたとは思いますが、この系統とスマートコミュニティというのをうまく協調していって、ウィン・ウィンの関係を築いていくということ重要だと思います。したがって、地域の分散電源のマネジメント、コミュニティのエネルギーマネジメントの重要性、そこの平準化の重要性というのはもちろんおっしゃるとおりだと思いますが、そこで全部やるのがよいかはもう少し考える余地があります。全体の制度をうまく設計して、系統電源ともスマートコミュニティともうまくウィン・ウィンの関係を築けるような制度を考えていくべきだと考えています。以上です。

西岡委員長 
 もしよろしかったら、ほかに質問を。

渡邊委員 
 ありがとうございます。中部電力の渡邊でございます。エネルギー、特に電力を中心にいろいろなお話を聞かせていただきまして、大変勉強させていただきました。
 一つ目の消費者の選択するベストミックスの話で、非常に興味深いと思っております。エネルギーというのは国の根幹を成すものですので、やはり国策という面が大きいのではないかと思っております。その意味で、先生の8ページのところに書かれている環境価値とかセキュリティ価値で補正すると書かれておりますが、そういう観点も大事だと思っております。ただ、補正すべきウエートはかなり大きく、補正で大丈夫なのかと個人的には思っております。特に震災後は、このセキュリティの価値のウエートが非常に高くなったのではないかと思っており、セキュリティの観点から考えると、やっぱり我々としては、中心となるのは今現時点においては原子力しかないのではないかと思っております。その意味では、福島の事故の反省と新たな知見、こういうものを踏まえて安全性を徹底的に高めて原子力を活用していくということも重要ではないかと思っております。
 もう一つ、これちょっとお聞きしたいのですけれども、消費者が選択するベストミックスについて、やはり電源開発になると計画してから実際にできるまで10年、20年というリードタイムが存在します。したがって、消費者が現時点でほしいと思っているニーズが実際にでき上がるまでに10年、20年かかりますので、逆に言うと10年、20年先にはニーズが変わってしまう可能性もあるではないかと思います。消費者がベストミックスを選択するだけで本当に時間のずれがちゃんと補正できるのかどうか、その辺について、もし何か良い制度案があれば教えていただきたいと思っております。また、この電力供給にはリードタイムが発生するということが、私どもとしては、この電気という商品がほかの商品と大きく違うところかなと思っております。その意味で、発送電分離の問題もこのリードタイムというのが大きな影響を与えているのではないかと思っております。
 最後に、デマンドサイド・マネージメントについてですが、やはりこれには、いろいろ長所短所があろうかと思っております。現在、全国で実証試験、当社も豊田市でトヨタ自動車さんやいろんな企業の方と実証実験を一緒に進めており、先生の言葉をお借りすれば、みんなの知恵を集めて課題解決に向けて進めているところあります。その実現可能性については、その実証試験の結果を踏まえて、改めて議論していくべきではないかと思っております。以上でございます。

西岡委員長 
 どうもありがとうございます。先生、どうぞ宜しくお願いします。

松村教授 
 補正するというのは、量として少ない、水準として低いということを決して意味していません。その程度のことで大丈夫かなどと言われるのは心外です。フィードインタリフを例にとれば、余剰電力を48円で買い取る。買電価格は24円とすればもの凄く大きなプレミアムがついていることになります。フィードインタリフによる導入促進は、私の位置付けでは補正です。補正だから必然的に小さいなどという発想を私は全く持っておりません。
 それからセキュリティの価値とわざわざ書いたのは、抽象的に原子力がセキュリティに資するなんていう雑ぱくでいい加減な話ではなく、どういうふうに資するのかを分類して、それぞれの特性に応じて補正すべきだと考えています。原子力を純国産と位置付けるのは本当に正しいかどうかは別としても、仮に国産と同程度のセキュリティ価値があるとしても、それならば、太陽光だって風力だって地熱だって国産なわけですから、そういう、国産であることをセキュリティというなら、みんな同じように揃えて促進すべきという発想です。ほかに特有のセキュリティの要因というものがあるのだとすれば、それもそういう形で、同じ性質を持っているものというのは同じように揃えていったらどうですかと、こういうつもりで言っています。原子力はセキュリティに資するから推進すべきだという、そういう雑ぱくな議論のつもりではありませんでした。しかし、本当に原子力にそういう価値があるのだとすれば、当然補正されて、市場の中で生き残っていくのだろうと思います。電力事業者さんがずっと主張してこられたとおり、原子力が本当に安いコストなのであるとするならば、自由化しても生き残れると思っています。原子力はある種のセキュリティに関しては劣等生です。1カ所に集中立地しているケースが多く、災害に対して極めて脆弱です。社会的受容性が低く、必要なときに動かないケースが多い、しかも大規模電源なので影響が大きい、という点を考えれば、これもセキュリティ、供給安定性に関して分散型電源に劣ります。テロ対策も心配です。どのようなセキュリティを重視するかによって原子力の評価は大きく変わります。抽象的に原子力がセキュリティに資するなんていう雑ぱくな話は簡単には受け入れられません。その価値をきちんと説明すべきです。
 リードタイムのことですが、私は全く理解しかねます。例えば自動車メーカーがEVを開発するときに、開発を始めてから1年や2年ですぐ商品化するなどということではなく、長い時間を掛けて開発するわけです。長い時間をかけて開発した後で、本当に消費者に受け入れられるかどうかリスクはあるわけです。リードタイムが長いから商品開発できないなどということは決してない。燃料電池車だって同じです。ほかの市場でも、長いリードタイムが必要でそれを市場メカニズムでやっているなんていくらだってあります。将来の消費者の選好が現時点で完全にわからないなどというのはどんな市場でも当たり前のこと。何で電力だけそこが特殊な問題で、何らかの補正が必要なのか、全く理解に苦しみます。電力市場の構造のことを一番よくわかっているのは電気事業者さんのはずなので、その電気事業者さんが、将来の消費者のニーズをきちんと想定して、その消費者にとって一番いいと思う電源を開発していくのが本来の正しい姿です。今の消費者だけみて開発していくのが見識ある電気事業者の行動だとはとうてい思えません。もちろんリスクがあるのは当然ですが、それは、電気事業者さんが供給するものでなくても、ほかの市場でもみんな同じです。また一旦建てたらかなりしばらくの間は発電するのは、どんな設備だって同じですから、将来を見通して計画するのは、一般電気事業者さんの電源だけではなくほかの事業者の電源だって同じです。リードタイムが長いから、投資額が大きいから、国が関与して補正すべきだという議論は、私はにわかには賛成しかねます。見識ある電気事業者が言うこととはとうてい思えません。更に、リードタイムが長く柔軟性に欠けリスクが大きいという性質はまさに社会的費用です。これが理由で市場メカニズムでは原発の開発が進まないとすれば、それは原発が高コストの電源と言っているのに他なりません。しかし、さっきも言ったとおり、セキュリティだとかいろいろな社会的な価値があるわけですから、別の視点でこういう価値があるので補正すべきだという議論であるとするならば、検討する価値はあると思います。以上です。

西岡委員長 
 冨田委員と、それから赤井委員、続けて、短く。どちらからでも。

赤井委員 
 では、問題としては大きいんですけれども、単純に。排出目標との関連がやっぱり気になりまして、この検討会の前身から、2020年、25%、2050年、80%という数字が、それが今生きているかどうかは別として、そういうコンテクストの中だとどういうふうにお考えになるのかなということをちょっと伺いたいなと思って。回答は別に、時間もあるので、必要ないのですけれども、例えば、エネルギー基本計画で30%減という数字が出ていますけれども、あれは電力だけ見ると、実は30%どころじゃなくて、6割か7割減なんですね。原単位が3分の1くらいに落ちていると。そのため、ほかで落とせないから、あそこを一生懸命落として、そのかわり原子力をあそこまで入れて稼働率を上げて、石炭火力も多分2000万トンくらいはCCSやって、それでやっとあの数字が出てくると。それを考えると、例えばガスシフトというお話がありましたけれども、ガスを火力で使ってしまうと、エネルギー基本計画で設定した原単位よりもさらに悪い火力が、CCS無しだと悪い火力が入ってきてしまうと。そういう意味では、本当に削減目標が大きいときに、しかも今の、これは多分、原発のかわりにリニューアブル(再生可能エネルギー)になっても同じなのですけれども、電力部門にもの凄く削減幅を設定しているがために、非常にバランス的に苦しいことは、多分原発をリニューアブル(再生可能エネルギー)に変えようが同じだと思うんですけれども、そのあたりでもしお考えがあれば、また別の機会でもいいのでお聞かせいただきたいなと思います。
 それから、廃熱については、荻本委員の質問とか、それに対するお答えで、私も昔から廃熱利用できないかということをいろいろ考えたのですけれども、一つだけ、ITとの絡みで、これも何回か、よく言うんですけれども、熱の利用で、ベストエフォート型の利用ができるうまい利用技術があれば、もう少し楽になるのかなと。要するに、ある一定の温度で、とにかく電力の同時同量みたいなものではなくて、1年通して見ればこれだけの熱量が大体プラマイこれくらいの温度で供給できますよという、それくらいの緩い義務を課したような供給、それから需要関係があれば、もう少し熱の利用は進められるんじゃないかなと考えております。以上です。

冨田委員 
 ありがとうございます。最後になりましたので、簡単に三つコメントを差し上げたいと思います。どれも傾聴すべきご意見をお伺いしたと思っています。
 ベストミックスのところですけれども、これも何人かの委員の先生がおっしゃっていますけれども、消費者による部分最適の行動の結果として全体最適に繋がるのではないかという制度設計のご提案があったと思います。全体最適の目的関数は何かと考えたときに、恐らく6ページのところにある費用であるとか、供給の安定性、省CO2、省エネ、エネルギー安全保障、こういったところが目的関数になるのだと思いますが、一部でコスト、補助金とか税とかそういうことで調整して、これを達成するというように聞こえた部分もあるのですが、必ずしもコストだけで全部目的関数が整合性がとれた形でできるとは、私は思えません。消費者にとってみれば、コストだけではない価値観というものもやはり必要だろうと。硬い言葉で言えば、環境に関する倫理観とか、そういったものもやはり必要なのではないかなと、そんなふうに感じました。
 それから、これも何人かの委員もおっしゃっていました火力発電所の廃熱利用のところで、場合によってはコージェネで全部賄ったらどうかという、多分、先生は議論を惹起するためにそういうおっしゃり方をされたのだろうと思いますが、荻本委員もおっしゃったように、熱需要がある部分に関してコージェネというのは非常に有効だということですので、私自身としては、火力発電所、大規模な火力発電所 vs コージェネではなくて、火力発電所 with コージェネであるべきと考えております。そういった意味合いの取組をしていきたいと思っております。
 それから、最後ですけれども、ガスシフトに関して、3番目ということだったのかもしれませんけれども、それ以降何のコメントもなくて、残念に思っていたのですが、机上に配られております、昨日の基本問題委員会の先生のメモの最後に出ているのですが、事業者がインフラ整備に対する消極的な姿勢を改めることを前提にということでばっさり切られていまして、ここについて若干コメントさせていただきます。たまたまですが、10月31日が、初めて横浜でガス灯が設置された日ということで、ガスの記念日になっています。今日、2030年に向けた都市ガス業界の方向性をプレスリリースさせていただいているのですが、その中に、中長期的な取組ということを申し上げていまして、ガスのシフト、高度利用、それから分散型エネルギーの普及促進のほかに、普及促進のための基盤強化という観点で、安価で安定的なエネルギー、天然ガスの資源を確保しようということと、それから、国内供給ネットワークの整備についても視野に入れて取り組んでいくことを表明しているということだけ申し上げたいと思います。以上です。

西岡委員長 
 先生、何かお答えになることございましたら。

松村教授 
 簡単に。私が長くしゃべり過ぎ、こんな時間になってしまって申し訳ありません。まず、排出目標、それから、目的関数、両方関連していると思うのですが、私の議論は凄くずるい議論です。ずるい議論だというのは、ほかの価値というものに関して補正するというのだけれども、どれくらいが正しいのかということについて、一切言っていない。一切言っていないのは、私はこれも国民が決めることだと考えているからです。国民がセキュリティをどれくらい重要だと思っているのか、或いは炭素をここまで減らすのが必要なのだと思っているということがまずあって、それを実現するとすれば、帰属価格がこれだけになるので調整するという議論があってしかるべきです。今回のプレゼンで議論したものの上にもう一段議論があるということは重々承知しています。国民が持つべき目的関数はどのようなものか、セキュリティの価値や環境価値をどれくらい重視すべきなのかということは、全く別の議論として必要です。帰属価格を幾らとするのが最適なのか、高ければ高いほどその価値を重視しているということを意味するのですが、例えば二酸化炭素価値はいくらが正しいかという議論を今回は全くしていない。それは全く別のレベルで議論すべきです。
 消費者の倫理観に関しては、私は今回のプレゼンで目一杯言っているつもりです。つまり、消費者は価格が低いからといってそればかり選ぶことはないと考えています。再生可能エネルギーは正しいと思いる、将来世代のためを考えても正しいと思っている、そういう消費者は再生可能電源の電気を高くても買うことを前提としています。ただ、もし消費者を更に説得し啓発していくべきだという議論を否定するつもりはありません。 それから、ガスシフトに関しては、もちろんそうおっしゃるのは間違いないと思います。先程のご発言のように、基盤整備についてはもう大きく踏み出したので、「変えることを前提に」というその前提条件はもう満たされたから、もう心配するな、と言っていただければ私も安心します。「お前の言っている条件は満たされている」と堂々と主張していただければ結構です。ただ、本当に変わったかどうか、口だけなのか本当に整備が進むのか私たちはちゃんと見ていきます。本当に変わったのなら、もう本当に変わったので、

西岡委員長 
 どうもありがとうございました。本日、先生が一番おっしゃりたかったことは、ベストミックスというのは自然に決まるようなシステムが一番いいのだという話が基本だったと思います。そう言われて、突き放されてみると、いかに我々は多くのことを逆に考えなければいけないかなということに、いろいろと思いを来したわけであります。本日はなかなか活発な議論をいただきまして、皆さん、どうもありがとうございました。このセッションはこれで終わりたいと思いますので、次の議題といいましょうか、スケジュールを。

低炭素社会推進室長 
 資料2でございますが、今後のスケジュールということでございます。次回、第5回目でございますが、引き続き関係者からのヒアリングを行いたいというふうに思っております。以上でございます。

西岡委員長 
 どうもありがとうございました。ほかにもしなければ、本日はこれで散会したいと思います。どうも皆さんありがとうございました。

地球温暖化対策課長 
 事務的なご連絡だけですが、次回日程、11月21日でございます。是非宜しくお願いいたします。また議事録につきましては、ホームページで掲載を予定しておりますので、後程、皆様にご確認をいただく予定でございます。ありがとうございました。

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