国内排出量取引制度小委員会(第7回) 議事録

日時

平成22年6月14日(月)13:01~16:04

場所

砂防会館 淀・信濃

議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 議題
    1. (1) 欧州・米国の温暖化対策担当官によるプレゼンテーション・意見交換
    2. (2) その他
  3. 3 閉会

配付資料

資料1 本日の進め方について
資料2 The EU Emissions Trading Scheme - EU ETS
(欧州委員会 Vicky Pollard 氏提出資料)
資料3 UK market based instruments for tackling energy and CO2 - lessons learned
(英国エネルギー・気候変動省 David Kinder 氏提出資料)
資料4 Emissions Trading in Germany Experiences, Current Situation and Outlook
(ドイツ環境・自然・核安全省 Dr. Dirk Weinreich 氏提出資料)
資料5 Developments in U.S. National Crimate Change Policy: Focus on Congressional Proposals
(米国環境保護庁 Bella Tonkonogy 氏提出資料)

午後1時01分 開会

○戸田市場メカニズム室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会国内排出量取引制度小委員会の第7回会合を開始いたします。
 本日は、明日、明後日とICAP(国際炭素行動パートナーシップ)の東京会合が開催され、欧州、米国の温暖化対策担当官が多数来日されますので、せっかくの機会ですから、こうした方々をお招きし、意見交換をさせていただくこととしております。
 ご紹介をさせていただきます。
 本日は、委員総数14名中過半数の委員にご出席いただいておりますので、定足数に達しております。
 また、本日の審議は公開とさせていただきます。
 なお、お手元に同時通訳レシーバーを配付させていただいておりますが、こちらは、会場を離れる際に、一時的に離れる場合でも受付にご返却いただきますようにお願いいたします。メーンテーブルの方はメーンテーブルに置いていただければと思います。
 本日は植田委員長のご都合がつきませんでしたので、以降の議事進行は大塚委員長代理にお願いいたします。

○大塚委員長代理 それでは、議事を進めさせていただきます。
 まずは、事務局から配付資料のご確認をお願いいたします。

○戸田市場メカニズム室長 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 最初に議事次第がございますけれども、そこに配付資料のリストがございます。
 資料1「本日の進め方について」の後、資料2から資料5までが、欧州委員会、英国、ドイツ、米国の資料でございます。
 なお、欧州委員会から追加資料が1つございます。
 資料の不足等がございましたら事務局までお申しつけください。

○大塚委員長代理 では、議事に入ります。
 まず、本日の進め方でございますが、資料1に沿って事務局から説明をお願いいたします。

○戸田市場メカニズム室長 それでは、資料1に沿って本日の進め方についてご説明をいたします。
 本日は4名の方に参加いただくことになっております。それぞれ15分程度プレゼンテーションしていただき、30分程度意見交換ということで、45分のセッションを4コマ予定しております。
 まず、欧州委員会の欧州総局気候政策調整官のビッキー・ポラード様です。
 次に、英国エネルギー・気候変動省国際炭素市場政策課長のデイビッド・キンダー様です。
 次に、ドイツ環境・自然・核安全省のディルク・バインライヒ氏につきましては、後ほど到着をされます。
 なお、当初、同省の気候保護部長のフランツ・ヨゼフ・シャウハウゼン氏にも本委員会にお越しいただくことになっておりましたが、公務のため、残念ながら欠席ということでございます。
 最後に、米国環境保護庁気候変動課気候経済室政策分析官のベラ・トンコノジー様です。

○大塚委員長代理 どうもありがとうございました。
 それでは、早速、欧州委員会のポラード様からご報告をお願いいたします。

○欧州委員会(ポラード氏) 皆さん、ご親切なご紹介ありがとうございました。
 始める前に、まず今日は、私は少し時差ぼけに悩んでおりますので、少しゆっくり目に話したいと思います、通訳も入るということですし。
 私自身は欧州委員会の欧州総局気候政策調整官としてこの温暖化対策に取り組んでおります。皆さんの質問にも後でお答えしたいと思います。
 まず、EU-ETS、これは欧州の排出量取引制度になりますけれども、こちらの構造、それからどのような背景があって作られたのか等についてご紹介したいと思います。これに関しては、いろいろ皆さんご質問があると思いますので、後で是非お引き受けをしたいと思います。
 今日は3つのトピックをご紹介したいというふうに思っております。
 まず、最初に、このEU-ETSという排出量取引制度が、より広範な、大きな気候変動政策のパッケージの重要な一部であるということをご紹介したいと思います。
 そして、2番目に、これは稼働中であり、日々改善しているものであること、毎日たくさんの学習事項がありますので、それをよりよい制度に反映していきたいということを紹介したいと思います。
 そして、3番目といたしましては、今後、開発されるだろう国際炭素市場における構成要素としてこのETSを位置づけたいと思っております。
 では、まず第1番目のパートからご紹介したいと思います。
 まず、皆さんご存じのように、2005年の1月にこのEU-ETSは義務的な制度として施行されました。これは、キャップ・アンド・トレード制度として、環境に対しての負荷を下げることを保障する制度として導入されています。
 そして、EU全体の二酸化炭素排出量の50%をカバーするものであり、欧州全体の約11,500のエネルギー多消費施設を対象としています。直接排出を行う排出源を規制するものです。
 さらに、重要なインフラの整備も行いました。例えばEUAの登録簿。これは排出枠の登録簿でもありますし、さらに、例えば品質、それから量、双方の基準を満たした国際的なクレジットを扱うことを考えております。
 さらに、シンプルな市場制度として稼働させることとしております。これは価格介入というものを全く行わない制度として考えています。
 1つ強調したいことは、EU-ETSは、非常に広範なポリシー・パッケージの一部であるということです。これを明確に申し上げますと、ETSはそれぞれのセクターにおける排出量を削減することが重要ですけれども、付加的なコストをなるべく抑えた形で行うために開発されました。例えば炭素の回収貯留技術のような特定の技術の開発、それから森林における吸収減の整備、そういった他の炭素を下げるための制度と連結しながら行うことを目指しています。
 それでは、6番目のスライドに移っていただけますでしょうか。
 それでは、我々の削減目標をどのように内訳をしているかをご紹介したいと思います。
 2020年までにEUは、GHGのターゲットを90年比で20%削減すると約束をしています。これを各国に割り当てたものが下の図になっております。こちらは既に法律にも反映されております。言い換えると2005年に比較して14%減となるわけですけれども、EU-ETSの中では21%の削減を達成しようとしています。それ以外のセクターにおいてももちろん削減を指向しています。
 それでは、7ページに移ってください。これは我々のスコープを示しています。
 我々のアプローチの仕方ですけれども、まずCO2を多く排出している大口排出者に焦点を置きました。その方が効果が高いからです。一番排出が大きい企業、例えば発電所、石油精製業者、製鉄、セメント、パルプ、製紙、石灰、セラミックなどの企業を対象にしています。
 さらに、我々は、ちゃんと排出量が削減されているかどうかのモニタリングを行う制度制度も導入しています。これが制度のスコープの一環となっているわけですね。2008年からは、化学肥料製造からの一酸化二窒素の排出に関しても対応することとしています。それから、2012年からは欧州域内若しくは欧州に発着する航空業界にも対象を広げる予定にしています。そして、2013年からは、新たに、例えばアルミニウムなどの化学セクターの大口排出者も対象にする予定にしています。
 それでは、手短に我々が何をこれまで学んできたかをご紹介したいと思います。次のスライドをお願いできますか。ありがとうございます。
 9ページにもう一回お願いできますか。
 この図において、幾つか、これまでの制度の変遷についてご紹介したいと思います。
 これはフェーズ・制度と我々が呼んでいるもので、時間ごとに区分けされています。どのように制度が改善されてきたかがよくわかっていただけるのではないかと思います。もちろん、EU-ETSには、これで終わりというような日時はありません。ですから、半永久的に続いていくものと思っています。
 今、フェーズ3の準備が終わりかけているわけですけれども、もちろん、この後、フェーズ4からその後へと続いていくわけです。どのようにして我々がキャップをとらえているか、そしてこのキャップ、排出枠というものがどのようにこれから展開していくかということを集中的に我々は考えています。これから排出量というのが削減されていきますので、キャップというのもこれから定率減少していくと考えています。その定率減少の係数につきましては、事後見直しができることになっています。
 さらに、どのようにアロケーション、割当を行っていくかについても試行錯誤の段階です。
 次のスライドをお願いいたします。
 先ほども申し上げましたけれども、EU-ETSというのは今稼働しているわけですけれども、この制度が5年前に導入されまして、今我々はフェーズ2にあるわけですけれども、我々のチーム、それから学術分野のMITがこのフォローアップをしてくれているのですが、そのアセスメントの中で、フェーズ1である最初の3年間におきまして、炭素価格は非常に強目に推移したということです。
 ただ、制度の最初の方では、データの検証性があまり確保されていなかったために、我々はその部分を改善しなければいけないと考えました。
 そして、この炭素の価格付けに関しても、非常に上下動に苦しんだというのがフェーズ2での問題点でした。なので、EU-ETSとして長期的なメッセージを出すためには2%から3%ぐらいの幅で抑えるといったような指標を与えないと、それに参画する人たちに混乱を招いてしまうことがわかりました。
 また、フェーズ2でほかに起きたことですけれども、排出量のデータを各企業から提出してもらったのですが、2008年には3%排出量が削減されたと言われています。そして、2009年はこれが11.6%にまで進みました。これはETSの効果であると考えています。2008年後半ぐらいからETSの効果が非常に強いインパクトを持つようになりました。2008年から2009年にかけてこのインパクトというのが非常に広がってきたと思います。
 さらに、2009年は経済の停滞が起きましたので、天然ガス若しくはガソリン価格の下落の影響もあったと思うのですけれども、恐らくETSによって企業家達、企業の特にマネジメント・レベルにおけるこの炭素の削減に関する態度が変わってきたと考えています。
 このマネジメント・レベルにおいて、CO2をより削減していかないと、そうした行動を起こさないと企業にとって非常に大きな問題点が生じてしまうという、彼らの態度の変化が引き起こされたというのが、この最初のフェーズにおいて非常に重要な成果だったと考えています。
 これから質的な調査をもっと行っていきますけれども、1つ、ポイントカーボンという会社による調査の例があります。2006年においては、炭素に関して将来的なコストを投資において勘案していくと答えた企業は5%でした。これが2007年には65%に伸びています。2010年までには、47%の参加者が長期的な炭素価格が将来的に新しい投資をする上で非常に強力な決定要因になると答えています。特に、非常に大きな大口の排出者は61%の人たちが、これが決定要因になると答えています。さらに、54%の参加者が、EU-ETSが企業における炭素の削減に非常に奏功したと答えています。
 これは質的な評価ではないのですけれども、我々は欧州共同体において2020年までに20%削減することを保証しています。ですので、これを達成するために我々はどのような経路をたどったらいいのかをまず法律で保証しなければいけません。それをそれぞれの局面に分けて記したのがこの図になっています。
 EU-ETSがうまくいっている場合と、うまくいっていない場合があるわけですけれども、これが最終的にはEUにとってメリットがあるということを私は確信してやみません。
 我々のこれまでの経緯から非常に重要なレッスンを学びましたが、特にこの制度設計において、法制度を整備することが非常に重要であるということ。2008年から法制度が進んできたわけのですけれども、EU全体、欧州域内全体に関わるキャップを制定するための各国における法律整備も進んできています。
 例えば、2013年までには1.74%というのが大体の平均排出量削減率になるわけなのですけれども、これが、セクターごとに、よりボトムアップの形でキャップがどの方向に進んでいくのかを保証する制度を今考えています。さらに、炭素価格に対する安心感というものも非常に重要になります。
 次のスライドをお願いいたします。
 もう一つ重要なレッスンとして我々が学んだことは次のようなことになります。我々も非常に苦慮しながら学んだということなのですけれども、特に継続的な報告検証という、MRVにおける質のよいデータを確保することが非常に重要であることがわかりました。特に、対象施設から排出されるデータの確保が非常に重要です。
 さらに、オークション制度が非常に好まれることもわかってきています。消費者に対して電力価格が転嫁されることがあまりないように、我々としてはできれば無償割当という制度を使うことによって、なるべくその価格を抑えることができるようにすること、それからオークションによって確保された資金を炭素削減のためのこれからの資金源として使うということもよいアイデアだというふうに考えられています。
 さらに、炭素リーケージという問題が1つ考えられているわけなのですけれども、これに対して経験的に実証されたものはまだ出てきていません。炭素リーケージがどこでどのように発生しているのかに関してはこれから確認する必要があります。
 もう一つ我々が重要なレッスンとして学んだことは、コスト低減のために国際的なクレジット制度を使うことが非常に有効であるということです。もちろん制限はあるわけですけれども、50%の削減が今からEUの中で起こるわけですけれども、これを国際的な制度とリンクさせていくことがこれから重要になると思います。
 さらに、炭素リーケージに関しては、これから捕捉していくことによって将来的にどのような問題になるのかがわかってくると思っています。
 さらに、炭素価格に関してですけれども、フェーズ1におきましては炭素価格が暴落するという事件もありました。フェーズ2に関しては、多分、恐らく経済停滞による理由が大きいと考えているのですが、少し価格が落ちついてきたということがあります。ただ、炭素に関連する商品価格とほぼ同程度の変動性を持つのが本来の炭素価格であると考えています。ですので、この商品価格との同等性を保つために、例えばガソリン価格、天然ガス価格、そういったものとほぼ同じ価格設定になるべきだと考えています。我々のEU-ETSにおきましては、この変動性というものをなるべく安定に保つという意味でかなり成功してきていると思います。
 さらに、なるべくこの制度をシンプルに保つということ、これが非常に重要になります。なるべくすべての参加者がシンプルな制度を理解し、これを継続していくことが重要だと考えています。
 それでは、3つ目のパートに移りたいと思います。
 今ベンチマーキングというものを制定すべく努力をしているわけなのですけれど、ベンチマークに関しても少しご紹介できるのではないかと思います。皆さんにとっても有用ではないかと思いますけれども、ドイツからも恐らくベンチマーキングに関しての言及があるのではないでしょうか。
 その前に全体像をご紹介したいと思うのですが、EU-ETSというのは、もちろんEU域内、それからEUを構成する各国内の重要な制度であるわけなのですけれども、それより広範囲な国連のプロセスをサポートするものであるという位置づけになっています。
 さらに、国連の交渉を注視しながら、それと歩を同じく進める形でこれをサポートしていきたいと考えています。
 さらに、国際的な炭素価格をなるべく我々の域内の価格に近づけるという、その双方の価格というのがなるべく近づくことによって、市場の正当な競争性を利用しながら価格を設定していきたいと考えています。
 さらに、気候変動対策の重要な資金源としてこの制度を使うことができると考えています。今後、国際的にこの炭素削減に対する資金源の需要というものは拡大していくというふうに考えられますけれども、例えばCOP15のコペンハーゲン合意におきましても、今後、開発途上国においてもこの炭素削減のための努力に具体的に着手していくという宣言がとられたと思うんですが、このような仕組み、CDMに対する資金提供ということを行うことによって、我々はそこで生まれた排出枠というものを気候変動の対策の重要な資金源として使いたいと思っています。
 EUにおきましては、CDMとJIというのは非常に重要な位置づけだというふうに考えておりまして、ETSの一部として取り込んでいます。ただ、その総量は1.6ギガトンということで、それほど大きなものにはなっていません。これからは提言し、我々の投資が、国内のみならず、海外の、特に途上国においてアクションをとってもらうための一つのインセンティブになるような形で使いたいと考えています。ですので、プロジェクトベースのクレジッティング制度というものをこれからより普及させていきたいと考えています。
 さらに、ボトムアップのリンクという形で、ほかの先進国のキャップ・アンド・トレード制度とのリンクを行いたいと考えています。このリンクに関してのディスカッションは今行われているところですけれども、例えば2015年までにOECDの市場を取り込みたいと考えています。これは大西洋の両岸の国々の排出量取引市場を統合させることを意味します。一番大きな市場というのは、今、我々のEUの市場になるわけですけれども、これをより広げていくことによってメリットも大きいと考えています。
 さらに、先進開発途上国における競争優位なセクターというものを取り込むということを2020年までに考えています。例えばCDMですとか、そういったような方法が考えられるわけなのですけれども、CDMに関して言いますと、特に後発途上国におけるCDMのメカニズムの採用ということが重要だと考えています。これからETSにおきましても、途上国に対するCDMを中期的に広げていきながら、それより後のタイミングにおきましては、セクター別メカニズムというものをより投入していきたいと考えています。
 もちろん、炭素リーケージに対する取組も同時進行させなければいけません。国際的なクレジットを一定の上限の中で活用していくという話を再三述べましたけれども、それぞれのセクターにおける対策行動を創出し、さらに競争原理をより進化させていくためにこの仕組みは肝要であると考えています。
 次のスライドをお願いいたします。
 こちらも手短にご紹介したいと思いますけれども、我々は、今、ほかの国と協力をしながらキャップ・アンド・トレード・制度というもののリンクというものを指向しています。これを指向するためには、他のOECDの国々などとクレジットを相互に認識する政策の連携を行わなければなりません。
 例えば、国際的なクレジットをどのように認識するのか、目標遵守をどのように確保するのかといったようなことです。これから新興国にもその対象は移っていくと考えているわけなのですが、将来的にこのリンクをする上では各国間における調整というのが非常に重要になります。
 さらに、1.6ギガトンの国際クレジットを2008年から2020年までの間に使用すると考えられているのですが、これからプロジェクトタイプごとの活用上限が指向されることになると思います。アメリカからこの話については出てくると思うのですけれども、マケイン・リーバーマン法と言われていますリーバーマン上院議員などが作った法案に規定があります。
 ですので、アメリカの方でも非常にこういったような仕組みが進んでいますし、これからほかの国と協議をしていくことは大事だと思います。もちろん、これはベンチマーキングに関しても同様と考えています。

○大塚委員長代理 どうもありがとうございました。
 戸田室長の方から追加のお話がございます。

○戸田市場メカニズム室長 申し訳ございません。ちょっと先ほど言い忘れましたことがございます。
 本日のご出席でございますけれども、影山委員の代理として平野マネジャーに、また大野委員の代理として宮沢課長の方に説明員としてご参加いただいております。
 また、プレゼンテーションにつきまして、ベルがございますので、終了3分前に1回、1分前に1回、ベルを鳴らせていただきますので、よろしくお願いします。

○大塚委員長代理 では、ただいまのご報告につきまして質問等がございましたらお願いいたします。発言される際には、お手元のネームプレートを立てていただきたいと思います。
 私の指名に従って、3人ほどまとめて質問いただいてご回答いただければと思います。簡潔にお願いします。
 では、有村委員から。

○有村委員 非常に簡潔なご報告ありがとうございました。
 何点かあるんですけれども、1つは、ETSでCO2が確実に減っているというお話だったと思うんですけれども、同時に企業の投資行動に影響を与えている、その割合が増えているという話だったんですけれども、そのことに関して規制をされる側としては特に抵抗感はないのか。要するに、今、普通の石油を買うとか、そういったものと同じような形で値段の中の一つにカーボンが入っていくというのが、それを自然に受け入れるようになってきているのかという点についてちょっとお伺いしたいということが1点です。
 それから、もう一点は、日本ですとマーケットの中に遵守義務を負わない主体が参加するということに対してかなり批判的な意見もあるんですけれども、ヨーロッパではそういった主体、トレーダーとかブローカーとかに対してどういう認識があるのか。つまり、彼らの役割というのがマーケットを潤滑にするのに貢献しているという役割があるのか、それともやはりかなり抵抗感があるのかといったところをお伺いしたい。
 3点目は、ベンチマークについて何かスライドをご用意されているというようなお話でしたので、もし時間が許されるのであれば、それについてもお話をいただければと思うんですけれども。

○大塚委員長代理 では、平野説明員、お願いします。

○平野説明員 非常にわかりやすい説明ありがとうございました。
 私から3つ質問がございます。
 まず1点目ですけれども、ETSが、これ、全体のパッケージの中での方策であるというお話がありました。日本でも、今、いわゆる環境税とか、それからETSと呼ばれるものが議論されておりますけれども、企業からすると、両方の負担がかかってくるというのはちょっとおかしいかなという気がいたしております。
 環境税と、それから排出量取引の全体のお話があったとして、ヨーロッパのほうでそういった二重の負担といったことに対して議論があったのかどうか、その辺をわかっていればお聞かせ願いたいと思います。それが1点目です。
 それから2点目ですけれども、配分に関してオークションのほうが望ましいといったようなお話がありましたけれども、オークションの場合は確かに最初に排出枠を割り振る必要がございませんけれども、一方で、企業からするとこれは相当大きな負担になるんじゃないかなというふうに思います。
 先ほど電気料金へ反映させないほうがいいんじゃないかというようなプレゼンテーションがありましたけれども、結局は最終的には最終ユーザーの一般の国民の方々に価格が転嫁されていくということになると思いますので、国民の方々にとってそういったオークションの費用も負担するということに対して、これはコンセンサスがあるのかないのかというのが2点目です。
 それから3点目ですけれども、国際的なリンクの問題です。
 OECDの国々のリンクということでしたけれども、例えば、今アメリカの中で議論されているような排出量取引と、それからEU ETSの間のリンクというのは可能なのかどうかということです。特にアメリカのほうの排出削減の量はヨーロッパよりも少ないというふうに思っていますし、それからアメリカのほうは、例えばREDDと呼ばれる森林のクレジットというものをたくさん使えるというふうに聞いておりますので、こういった異なる仕組みについてリンクをした場合に、ヨーロッパからたくさんアメリカのクレジットを購入するというようなことになるかと思いますが、そういったリンクも考えていらっしゃるかどうかということです。以上です。

○大塚委員長代理 挙げていただいた順で、増井委員、お願いします。

○増井委員 ご報告どうもありがとうございました。私の方からは2点ございます。
 1つは、現在EUは20%減という目標値を掲げられておりますけれども、これが30%減になったときに、現在の目標というのがどう変わるのか、もし検討されているのであれば教えていただきたいというのが1点目です。
 2点目が、この制度を作るに当たって、実際、産業界とどういうようなディスカッションあるいはやりとりがあったのか教えていただければと思います。
 以上です。ありがとうございます。

○大塚委員長代理 ありがとうございました。
 では、今の質問についてお答えいただきたいのですが、有村委員からあったベンチマークの点については後でまとめてご議論いただければと思いますので、その点はちょっと除いて後でという……

○冨田委員 すみません。平野委員の質問と関連がありますので、一緒に答えていただいたほうがいいと・・・。

○大塚委員長代理 そうですか。ではお願いします。

○冨田委員 すみません。国際リンクについて平野委員から質問がありましたけれども、ちょっと関連する質問ですが、国際リンクをするときには枠の設定において同程度の厳しさが求められると思いますが、何をもって同程度の厳しさと考えたらいいのかについて、お考えがあればお聞かせいただければと思います。

○大塚委員長代理 たくさん質問が出ましたが、ではお願いいたします。

○欧州委員会(ポラード氏) なるべく手短に答えたいと思います。
 最初の質問に関してですけれども、まず、最初に企業の態度に関しての質問が出たと思うんですけれども、排出枠を購入するに当たっての彼らの態度はどういったようなものかということですね。例えば天然ガスとか石油とかと同じようなトレーディングをしているかということだったと思うのですけれども、エネルギーをパッケージとして買う傾向が強いんです。ですので、彼らは、天然ガスや石油と同時にこの排出枠を購入するというようなプランの立て方をしているようです。
 ヨーロッパにおきましては、市場形成については市場に任せるということにいたしました。そのマーケットのオペレーターは、商品相場のバイヤーと同じようにそれぞれのやり方があります。プライマリー、そしてセカンダリーのマーケットもあります。この二次市場、セカンダリーがあるということは価格設定において非常に大事なことです。たくさんの人たちがこのマーケットを通してトレードをやる。それによって、本当のコストはどのくらいのものかということがしっかりわかるわけです。ここでは、大きな制度、大きなオペレーターということで、二次市場というのは非常に大事です。また、マーケットの効率性ということでも、コストが一番低く済むということです。適切な価格で購入することができます。ですから、削減を自分たちの仕事として考えているということで、特にこれは炭素市場に限ったことではありません。ほかの商品相場あるいは金融商品と同じように考えています。また、炭素についてもほかのマーケットと同じように規制をするということです。そして、これは効率的であるということを確認し、そしてリスクについてもきちんと規制されているということは確認しますが、ほかの市場と何ら変わることはありません。
 さらに、皆さんの方にご紹介している資料にもあったと思うのですけれども、私にもビジネス用のメールアドレスがありますので、皆さんの方でほかに情報が必要でしたら、このアドレスに是非送っていただければと思います。
 それから、企業の側での負担を減らしていくという話がありましたね。EU-ETSの中でもそれは非常に重要な議論として行われました。どのようにコストを負担させるためのオプションを、その参加していただくためのオプションを考えますと、制度の長所をよく理解してもらうということも重要でしたし、さらにコストを削減するためのメカニズムもこのETSの中には埋め込まれています。ですので、ETSというのは企業のコストを削減するための最適な制度であるということをなるべく理解してもらうようにしています。
 さらに、CO2の炭素税に関しての導入に関しては、例えばドイツにおいては議論されましたけれども、EU-ETSでカバーされている部分と炭素税でカバーされる部分がドイツではきちんと分けられています。企業にとっては、炭素税をとるかETSをとるかというのは企業の形態で決まるところもあります。なるべくコスト低減のための制度というのがドイツの中でも実際に実行されているわけです。
 それから、オークションに関して、このオークションに関しては、我々としてはなるべく汚染者負担原則(PPP)を適用しながら、コストを削減するための制度として最適なものだと考えるようになりました。このPPPに沿った形のオークションというものを行っているわけなのです。国によっては、非常にオークションの制度が進んでいるところもあれば、そうでない国もあるわけなのですけれども、それはもちろんそこの産業界の態度にもよるわけなのですが、例えば炭素リーケージという問題点というのは、今は経験的には実証されていないわけなので、このオークションという制度というのが非常に有効であると考えています。
 ほかの目的に、例えばリサイクルですとか、それから雇用に係る税金などを削減していくための資金源としても使うことができるというのがこのオークションの魅力ではないかと思います。
 それから、消費者に対する転嫁に関してなのですけれども、我々としても非常にインパクトが少ない形での制度を考えています。この価格というのが最終的に消費者の方に転嫁されてしまうというのは確かに予見されることではあるわけなのですけれども、このコスト意識というのがその炭素リーケージとの兼ね合いでもなるべく避けていくというのは、このエネルギー集約型の企業でも非常に意識は高くなっていますので、なるべくその問題点というのが税制の方で吸収されるような形で発生しているというのが現状だと思います。消費者の方でもライフスタイルの態度を変えてくると思うのです。そのコストが少し高くつくということであれば、消費者の側の意識改革にもつながるというメリットはあると思います。
 さらにEUの国の小規模な国においても、例えばEUに入る上で、もしくはこの排出量取引についての意見聴取というものが行われているわけなのですけれども、価格に対する転嫁ということに関してはそれほどの問題にはなっていないようです。
 それから連結に関して、非常に野心的なレベルでほかの市場とリンクをしていくということに関してですけれども、もちろんこれは簡単な作業ではありません。ただ、コミットメントをしていくということが非常に重要だと思うのです。これからGHGを減らしていかなければいけないという共有の理念を持つことによって実現できると考えています。
 そして、なるべく早いタイミングで、そして効果的な形でグローバルに排出量取引市場というものを作るということが非常に重要であるということは、徐々に意識が広がってきていると考えています。
 さらに、連結、リンクに関しては、より流動性が高い、そして安定性が高い市場とやらないといけないと考えています。もちろん、企業にとってもそれは市場取引に参加する上で非常に重要な点になります。
 ですので、必要なステップというものをとりながら、これを非常に長期にわたる複雑交渉を経ながら進めていくという段階になると思います。もちろん、今、交渉をするための制度づくりというのをしているわけなのですけれども、我々の方で同じ方向性を向いていれば、非常に野心的な試みではありますけれども、アクションにつながっていくのではないかと思います。
 アメリカとヨーロッパで比べますと、対2005年比で比べているということもありまして、アメリカの方が削減目標は低いですし、あとワックスマン・マーキー法案などの新しい法案なども出てきています。また、こういったようないろいろな変化が起きているわけなので、アメリカの態度も変わってきていると思いますし、これから成績の判断というものが連結に関しては求められてくると思うのですけれども、将来的には楽しみにできると思います。
 20%から30%については2週間前に発表しました。今後30%削減に移るということについてのアナウンスメントでした。ETSで何を意味するかといいますと、34%、2020年までに削減しなければいけないということになります。幾つかの方法を示しています。例えば割当の一部をオークション用にとっておく。14億がたしかこれに割かれていたと思います。
 それから、財務省への収入ということですか、ターゲットは非常に高いので、今後その収入がオークションでも入ってくると思います。想定として、1トン当たり2020年には30ユーロというのが予想されています。予想は16ユーロというのが最初の想定でしたが、今はそういうレベルになっています。
 そして、このコミュニケーションを発表したのは、分析をしてほしいということです。すぐに決定をするということではありませんけれども、いろいろな討論をしてほしいと思います。いろいろな国、企業でキャップの上限が厳しくなるわけですから、EU-ETSは今低過ぎると思います。今後、炭素の価格がもっと高くなって、投資の決定というのがある程度のテクノロジーを志向するような形でもっと影響力が高くなってほしいと考えています。
 それから、厳格なリンク、同じようなレベルの厳格さかということについては、もちろんいろいろなMRVというような検証あるいはメカニズムの政策がどうなっているのか、いろいろなことを検証してリンクをやり、これでリンクをしても大丈夫だということが確認されて初めてリンクを行うことになります。

○大塚委員長代理 どうもありがとうございました。
 では、ほかの質問に移りたいと思います。明日香委員、お願いします。

○明日香委員 どうもありがとうございます。3つあります。
 1つは価格転嫁のことなのですが、最近、オランダのシーデルフトというシンクタンクがEUの第1フェーズと第2フェーズで、結局、無償でアローワンスを配布したにも関わらず、企業は価格に転嫁したというレポートが出ていたと思います。たしかこの前も言ったんですけれども、14億ユーロ、ウインドフォール・プロフィットがあったと。それは経済学的にはある程度予想されたことだと思うんですが、EU委員会はそこら辺はある程度は予想していたか、またはある面じゃ勉強のためのコストとして考えたかどうか、そこら辺をちょっと教えていただければと思います。
 あと、2番目の質問です。インターナショナル・オフセットに関してです。
 何らかの形でその種類なり対象国なりで制限をかけるというようなことがあったと思うんですけれども、それはもうちょっと具体的にどういう基準で、どういう哲学でリストリクションをかけるのかを教えていただければと思います。
 3番目は、先ほどの質問に出た各国の比較可能な公平性をどう考えるかという問題なのですが、1つとしてトレードメジャーがあると思うんですね。ボーダー・アジャストメントのような話があると思うんですけれども、そのときにEUとしてはトレードメジャーをどういう条件でどういう対象国、どういう国にどういうふうにかけるのかというような話をある程度具体的に議論しているのか、もし議論をしているのだったらその中身をちょっとだけでも教えていただけるとありがたいです。以上です。

○大塚委員長代理 では、笹之内委員、お願いします。

○笹之内委員 大変おもしろいお話ありがとうございました。
 1点だけ、スライド14ページ、ここに「As an important source of climate finance- up to」380億ユーロと書いてあるんですけれども、この「38」はどこで投資されるのか。途上国なのかヨーロッパ域内なのか。これはグローバルですから、いわゆるアネックス1カントリーで使われるお金なのか、途上国で使われるお金なのかということを、ちょっとどういう見積もりなのかを教えていただきたいです。

○大塚委員長代理 以上でよろしいでしょうか。
 私も、座長代理ですけれども、ちょっと質問させていただきたいんですけれども、2点ございまして、1点は、そのEU ETSの対象部門の削減というのは、燃料転嫁によるものが多いのか、削減技術の導入・普及によるものが多いのかという、その辺の割合とかがもしわかったら教えていただきたいというのが第1点でございます。
 それから、第2点でございますけれども、排出量取引に関するEU指令の改正において、価格の変動、特に上昇とかに対処するために排出枠のリザーブをとっておくという制度が入りましたが、これについて何か詳しいことを教えていただければ、その背景事情とかについて教えていただければと思います。
 関連して、リーマンショックの影響というのが、価格がむしろ下がってしまったと思いますけれども、排出量取引の今後のあり方に関して何かその議論に影響するようなものがあったかという辺りもちょっと教えていただきたいと思います。
 以上でございます。
 じゃ、今の3つの質問で、これもたくさんで申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

○欧州委員会(ポラード氏) 質問ありがとうございます。非常に興味深いと思います。非常に具体的な問題も入ってきていますし、最近いろいろEUの中ではマスコミも取り上げているところもあります。
 まず、棚ぼた利益、そして価格転嫁という問題について、EU-ETSを始めたときには、CO2のスキームということで、非常に大きなスキーム、実験的なものでした。最初はいつでもオークションということを考えてきたわけです。オークションの方がよいということで、そういう法案を提案し、そして加盟国、そして欧州議会の方でも話し合いがありました。我々としてはオークションを求めます。シンプルである。また、理論的にも非常によいと思います。PPP、汚染者負担ということでよいと思います。ただ、こういうことを導入すると割当ということが非常に重要であり、また業界の資産の保全も必要になるでしょうし、炭素リーケージの問題もあります。
 これまで、この棚ぼた利益がどのぐらいかという規模について考えてきました。そして、ある程度これに対して価格を払うかということで、随分たくさん払うのかどうかということで、棚ぼた利益についてはスキャンダルがあって、それによってこのETSの評判というのも少しイメージが悪くなりました。
 ヨーロッパの一部の国ではあるかもしれませんが、しかし恐らくアメリカでそういう議論の方がずっとあるでしょう。何も行動をとらないということになってしまっていますが、これはよくないと思います。
 環境十全性、整合性、誠実さということは、この価値を経済の中に平等に分配するということがあるわけです。ですので、本当は環境的な問題なのに政治的な問題になってしまい、これに対応しなければいけないということになりました。電力会社などについても、これは決してその評判がよいものではないと思いますし、これに対応が必要だと思います。全体としてこれがよいのかどうかということを考える必要があります。
 国際オフセットについての制限、CDMの枠では、一部これを認めないというところがあります。幾つかのプロジェクトは認めていません。いろいろな検証について明確でないということもあります。そして、原子力発電もやっていない国があるので、それについてはカバーしていません。将来はクオリティー・コントロールをやる権利ということを保留しています。それの幾つかの形があるでしょう。
 1つは、タイプによってクレジットを制限する。例えば、CDMプロジェクトでは、もう一部の国ではやらない。この国でだけというような形でやっています。2週間前のCDMについては、セクターレベルで、直接炭素リーケージの問題があるセクターに限るということがありました。
 例えば、CDMは中国の鉄あるいは鉄鋼については入れないというようなことがありました。ですから、そういう形でクレジットについては対応しています。
 もう一つの複数の係数を設ける制度ということを考えています。例えば環境的に影響が低い、例えば工業ガスなどについてもそうです。1対1ではないクレジットを使ってのコンプライアンスということを考えています。
 このペーパーの中で書いてある例では、2つのCDMのクレジットを与えるというような例もありました。そういうことをやるときには、幾つの乗数をかけるべきかということの分析が必要だと思います。そのほかのいろいろな分析、やり方が考えられます。こういうインセンティブを与えることによって炭素リーケージの問題にも対応できると思います。
 ファイナンスに関してなのですけれども、BTAの話が出ましたけれども、我々にとってはツールもしくはツールボックスのようなものだと受け止めています。ですので、これからアメリカの方のプレゼンテーションの中でも、炭素リーケージがどれほどのインパクトを与えたかということについて話が出てくると思うのですけれども、ある特定の国においては、例えばフランスなどでもこのBTAに関してのアイデアが出てきていますし、幾つかのレポートも出てきています。さらに、ほかの加盟国に関しても同様です。
 我々の考え方としては、もしこれができればいいというふうに考えているわけなのですけれども、炭素リーケージという問題の我々の経済全体に与える影響をコスト換算して、それを判断するまでは恐らく判断に踏み切れないだろうと考えています。
 EUとしては、これから炭素リーケージに関しては、我々の国際競争力に悪影響を与えてしまうと考えていますので、これについては注視が必要だと思います。それからWTOとしても、彼らにとってのコンプライアンスを求めています。非常に多くのデータも求めていますし、それが我々にとっての法的なチャレンジになるだろうと思っています。
 それから、MRVに関しての我々のコンプライアンスというものも、各国によってばらつきがありますのでこれを上げていくということ、例えば中国において非常に大きな問題が生じているケースもありますので、排出量だけではなくて、生産量においてもこのような問題が、データ上の問題、データの品質という意味での問題が生じています。それに加えまして、我々の交渉において、こういったことをしてくれないと罰則を与えますよというような話をしてしまいますと、非常に交渉のプロセスに悪影響を与えてしまいますので、一番いい方法としては炭素リーケージに関する競争というのが、国際的な協定、合意の中で取り込まれるというのが一番望ましいと考えています。2国間交渉の中ではなくて、国際的な交渉の中でこれについて規定してもらうというのが一番ベストであると思います。
 それから、380億をどこに割り当てるのかという話でしたけれども、これは基本的には炭素市場における発展に使うということだと思います。特に31%というのが、ディベロップト・カントリーということで先進国の方から来ることになるわけなのですけれども、クレジッティングのメカニズムというのはこれから新興国の方に転嫁していきたいというふうに思いますので、それの投資のためにも使うと考えています。特に途上国、それから新興国におけるクレジットの浸透というのはこれから非常に重要だと考えています。
 もちろん、すべての金額が新興国に対するCDMに行くわけではないわけなのですけれども、非常に多くの部分がここにおけるトレーダー、それからディベロッパーに対して使われることになるのだと考えています。
 幾つかアイデアがあるわけなのですけれども、なるべく投資をこういったようなところに投資することによりまして、途上国もしくは新興国の投資の礎としたいというふうに考えているわけなのです。例えばバイオマスですとか、そういったような新しい燃料の制度ということに使いたいと考えています。
 さらに、グローバルでのアクションというものを求められていると思いますので、それの一つの端緒になればいいと考えています。
 さらに、EU ETSにおける排出削減というのが初期のころに比べてかなり進化してきていると考えています。それはアセスメントの中でも実証されていることですので、例えば今は半分の業界だけが対象となっているわけなのです。EUの国々が削減しなければいけないうちの50%というのが、このETSが使われており、さらに削減が求められている企業の中の半分ぐらいがこのETSの対象になっているということなので、これからその対象を広げていく、さらにインパクトをもっと大きなものにしていくための投資として使いたいと考えています。それもこの380億の一つの使い道だと考えています。
 さらに、炭素価格が今まだ低過ぎるという話をしましたけれども、企業が投資をするに当たって何が一番適正価格なのかということを確保するためにも、彼らは投資をするに当たって炭素価格がネックになってしまってはいけないと思いますし、これから新しい技術開発をする上で炭素価格というのが足かせになってしまってはいけないと思いますので、彼らの新技術に対するインセンティブというのを上げていく形での炭素価格の設定というものを設定していかなければいけないと思っています。
 これは自然に落ちつくところの価格という意味ですけれども、操作をするという意味ではありませんけれども、さらに価格の変動性ということが今まで問題になってきたわけなのですけれども、価格の介入ということは行わない予定です。
 アメリカにおいてもこの炭素価格の安定性に関する提案がなされたようですけれども、それは必要ないというふうにEUの方では考えています。コスト抑制効果というのが実際制度の中に内蔵されていると考えていますし、それによって我々の方から価格介入というのは必要ないと思います。
 それから、リーマンショックの影響によりまして、価格に下げ圧力がかかったということがありましたけれども、2週間前にこれについての話をちょうどしたばかりなのですが、その価格がこのような形で下げられるということは、市場メカニズムというのが働いて、価格をなるべく適正な値に戻すというのが市場の動きなわけですよね。
 なので、キャップは決めるわけなのですけれども、データをなるべく透明性のある形で公開することによってなるべく市場の判断に任せるというのが我々の方向性です。
 国によっては、恐らくキャパシティーに関してはまだ最新化されていないなどの理由によってあまり投資が進んでいない、さらに投資に対して少し後ろ向きになっているということがあるようですけれども、CCSですとか、それから気候変動に関する問題点というのはどの国家にも同様に問題としてかかってくるものだと思いますので、各国がこれに対して整備を進めてくれることを願っています。

○大塚委員長代理 どうもありがとうございました。
 では、続きましてイギリスのエネルギー・気候変動省のキンダー課長からご報告をお願いいたします。

○英国エネルギー・気候変動省(キンダー氏) まず、最初に、今日ここに来れてうれしく思います。ビッキーと同じように時差ぼけですけれども、3カ月ぶり2度目の日本です。そういう意味では日本については少し経験があるかもしれません。
 私は、プレゼンの内容はあまり触れないでいこうと思います。私の方からは2つポイントをカバーしたいと思います。
 1つは、これまでの教訓からイギリスは何を学んだか、マーケットベースのメカニズムによってCO2削減を考えてきたプロセスでの教訓です。かなりの長い期間、このスキーム、税あるいは貿易、排出権取引は絶対量なのか、それとも原単位なのか、いろいろ話がありました。その中で少しざっと振り返っていきたいと思います。
 そして、次に3つレッスンを学んだその中で、今の日本の議論に関連するものを拾っていきたいと思います。前回のときに既に質問がありました。今日の質問ですけれども、この原単位ということで考えていくのかどうか、あるいはこのスキームについてはインセンティブを与えて削減ができるのか、そして流動性のあるマーケットが可能なのか、マーケットからメリットがあるのかという議論です。
 本題に入ります前に、私は驚いています。それは日本の議論とヨーロッパの議論が非常に似ているということに驚いています。
 イギリスの財務省で私は仕事をしていて、EU-ETSの議論がありました。これは非常に政策上重要なステップだと思います。全体のターゲットが設定され、そして今、議論はどういう枠組みでやっていくのか、日本は25%削減という野心的な目標を掲げました。そこから今度はどうやって最適な形でそれを達成するのかということであり、それがETSの議論の中では非常に興味深いところです。どういう形でこのメカニズムを使い、柔軟性も入れながら、最もコスト効果が高く排出削減ができるかということで、本当に似ているなと驚いています。
 イギリスの経験を少しお話しましょう。次のスライドをお願いします。
 こちらのスライドにありますように、幾つかのスキームをイギリスではやってきました。この10年の動きです。それらをざっとおさらいしましょう。主要なメカニズムは何かをお話しします。
 まず、最初に、2001年、イギリスは2つの具体的な政策を実施しました。これはエネルギー効率を高めるための政策ということでした。また、その重要な効果は削減ということでありました。このような政策は日本でも注目を集めていると思います。今の議論に関連しています。
 最初の政策は、気候変動税、CCLということです。エネルギーを使う企業に対しての税をかける。これは一律課税ということで、企業が支払うものです。このCCLに加えてCCA、気候変動協定を導入しました。これは、税の負担というのはエネルギー集約型の企業には非常に厳しいかもしれない。そうすると、競争性の問題があるかもしれないと考えたわけです。そして、それなりの証拠もありました。
 また、直感としても、まだエネルギー効率をきちんと活用していないところが業界にあるのではないかという考え方です。ですので、この税だけではうまくいかないかもしれないと考えました。
 このCCAというのは、個々のターゲットをそれぞれのセクター全体あるいは工場、施設レベルで考えていく、その設定された目標が達成されれば、かなりのリベート、税の還付を受けるというものです。つまり、こういうターゲットを達成するインセンティブになる。それができれば、税についてのかなりの緩和があるということになります。
 また、絶対量なのか原単位なのかという議論がありました。多くの企業は原単位ということでやっていました。ただ、このスキームから幾つかがわかりました。このスキームは成功したということがまずあります。イギリスのエネルギー効率というものが非常に大きく改善しました。
 また、既にコメントが今日出ていますけれども、このような広い政策を実施したことによって、取締役会でいろいろとこういうことが議論されるようになりました。税ということでも非常に取締役会で話が行われたということになりますし、このターゲットについて2回再交渉をしました。業界の方で、かなり最初のターゲットよりも超えて達成したところもあるからです。それはもちろん彼らとしてはメリットがありますけれども、エネルギー料金が安くなるということもあります。
 ただ、このスキームの整合性、うまくいっているかどうかを確認するためにターゲットについての再交渉をやりました。ターゲットをもっと厳しくするということをやりました。これがイギリスの排出の30%をカバーします。そして、年間7メガトン削減ということをやっています。これは、2000年、2001年、2002年にかけての動き、そして2002年には自発的な自己規制ということで導入されました。これはEUの広いスキームに関連したものです。
 その後、3年後にはUK-ETSが、非常に自主的な形で行われました。自主的なスキームということで、34の直接参加の人たちがオークションに参加するということです。そして、排出削減をやろうということで、これはやりながらのトライアルというところがありました。この分析をやりました。事後分析をやると、排出削減について少し達成はありましたが、主要なゴール、そしてターゲットというのは、まずはインフラを整備して削減を助ける、そして企業にも準備ができていて、EU-ETSが導入された。それは5年後になりますけれども、そのときに準備ができているようにということで考えました。
 ここでの教訓というのは、またEUの交渉にもこれは役立ったと思いますけれども、我々がこのスキームで考えたのは、政府が十分なターゲットを設定するのは難しいところがあるということがわかりました。非常に厳格なターゲットを設定するのを政府がやるということは非常に難しかった。多くの企業はそれを大きく上回る削減ができていたわけです。ですから、炭素価格というのが非常に暴落したというのが最初のころにありました。UK-ETS、そういう状況です。
 その後、2005年、EU-ETSが導入され、これについてはビッキーさんが既に話をしました。私がここでイギリスの方からの見地として言いますと、これが我々のストラテジーでも中心的になったということです。イギリスの国際的な削減目標、京都議定書によるもの、そして国内の気候変動のストラテジーにとっても大きなものでした。今イギリスの法律にしようとしています。ビッキーが言ったように、EUの排出の50%、そしてイギリスの排出の50%というのがEU-ETSによってカバーされています。
 そして、最後の政策、イギリスから見たときに大事なのは、これは今年の4月、カーボン・リダクション・コミットメント、CRCというものです。これはEU-ETSと並行して行うもので、イギリスの排出の10%をさらに絶対量で削減しようとするものです。これは、今までのEU-ETSでカバーされていないところがありますし、それよりもっと広く商業用、住宅用あるいは小規模企業、そして公的なセクターをもカバーしようとすることです。
 これを入れたのは、イギリス政府が分析を行い、また一部の組織が分析を独立的にアドバイスとして提供したものに基づいています。多くのまだ今後排出できる分野があるということが確認され、価格シグナルをきちんと設定し、そのようなところについても排出削減をということです。4メガトン規模、年間を2020年までにやっていくというのがここでの目標です。6,000の商業あるいは公的セクターも入っていきます。
 また、いろいろな革新的な動きもやってきました。これについては、収入については中立ということです。そして、よいパフォーマンスに対しては報償、よくない人たちに対しては、それに対しての懲罰ということで、レポートという形で成績表を出します。そして、ボーナスを出して収入をリサイクルするということで、その成績が悪いところはより多くのお金を支払わなければいけないということで、そういうシグナルを発するようなことをやっていました。
 スキームについてもっと詳細に知りたいことがあれば質問の形でどうぞ。
 私のプレゼンを終わるに当たって、こういう3つの問題というのが日本にとって非常に大事だと思います。
 まず、その3つ目のうちの1つは原単位でのターゲットということです。いろいろとこれについては誤解があるようなので、日本に前回来たときには誤解があったようなのでそれを確認したいと思います。
 イギリスは原単位を支持している一方、EUの方は、絶対量、総量を考えている、そういうふうに見られているようですが、そうではありません。
 イギリスの全体の気候変動政策というのはEU-ETSが主体となっています。そして、排出についての上限についても絶対量で排出50%削減が必要であり、これによって国際的なターゲットを達成できると考えています。CRCについても、今後イギリスの経済についてはカバレッジを広げて、これは絶対量での進め方になります。気候変動についてのCCA、最初は原単位ということで始まりました。そして、このような合意というのは2017年まで続きます。今コンサルティングをいろいろやっており、将来どういう形にするかについても協議が行われています。全体の気候変動のストラテジーを考えるときに、評価として絶対的なキャップをやることの方が確実性が高いということになりました。
 ただ、国のツールキットの一部として、一部の分野、一部の政策では原単位のアプローチということが可能かもしれません。それを例えば原単位で見るということ、あるいはベンチマークとして総量、絶対量ということで見ることもできるでしょう。また、CCAの枠組みでもありましたように、この原単位によってエネルギー効率を高くするということで、絶対的な量でのキャップが設定されているところにも役に立つことがあります。
 ただ、これについては明確に誤解を解いておきたかったということです。どういう形で最適な25%の削減を達成するかというときに、原単位でやるということについてはかなりいろいろと課題が増えてくるということはあると思います。ETSを原単位でやるということはそういう意味では難しいところもあるでしょう。それから、ビッキーさんがおっしゃった点、今日話も出ていますけれども、EU-ETS、そしてこのETSが削減のインセンティブになるのかどうか、ビッキーさんがおっしゃったようにまだEU-ETSは比較的始まって早期です。いろいろと学びながらトライアルという段階でもありました。
 先ほど幾つかのイシューの話がありました。価格の暴落ということもありました。割当が多過ぎたということがあります。そこから、非常に演繹的なデータによって割当量を決めるのが難しいということもありました。ただ、価格は安定化してきました。経済の不況にもかかわらずです。これは本当にサクセス・ストーリーということだと思います。炭素価格は今持ちこたえています。経済的には不況であるにもかかわらずです。それは、EUが長期的な見通しを設定し、2020年までにキャップはこうなるということを示したことも一助になっていると思います。今後さらにエビデンスを集めて、個々のセクターのレベルで炭素価格がこの決定に影響を与えることが多くなると思います。
 2009年、ナショナルオーディットの方からの報告が出ています。これは独立団体で、我々の政策、そして資質を見ているところですけれども、EU-ETSは影響を与えたということが示されています。また、英国の参加者の定性的な報告もありました。その中で技術的な改善をそれぞれの6つのコアセプターで示してあります。EU-ETSがインセンティブとなって、これは炭素価格の影響ということです。鉄鋼、鉄、製油、それからそのほかの化学関係などもありますし、こういうセクターで投資の決定については燃料転嫁のみならず、燃料の価格、炭素の価格ということも取り込んでいるということです。
 ドラックス・コーファイア・パワーステーションというイギリスの、ヨーロッパの最大の混焼型火力発電所。こちらの電力会社が、こちらも投資を決めるときにもカーボン価格のシグナルに基づいて数百万ポンドのエネルギー効率の高い投資を決めた、また新しい技術の導入も決めたということで、新しいタイプのバイオ燃料、そして混焼ということで決めた、これは価格のシグナルを受けてのことでした。
 また、同じような影響がイギリスのほかの会社にも見られています。イギリスの参加者の82%には、前の年、排出枠の割当がありました。ですから、いろいろな広いニーズがあります。電力セクターだけでなく、いろいろな鉱工業のセクターの中でこのような取引をしようとしています。回答者の64%は、EU-ETSは影響があった、そして大きな影響があったと答えています。また、企業の32%は、EU-ETSによって炭素価格、そしてCO2の問題が取締役会のレベルの議論に乗るようになった、そしてそこでの決定にも影響するようになったとしています。というのが2つ目のポイント。
 そして、最後のポイントです。
 流動性の高いマーケット、そして広いマーケットによってメリットがあるのかどうか。我々としてはメリットがあると考えています。カーボン・マーケットをやるという原則、それは企業が自らの排出削減を一番効率がよい形ですることができる、そして流動性のあるマーケットへのアクセスを持つことによって会社にとって一番よい形にすることができます。
 私が先ほど言った数字、83%の企業がイギリスではマーケットのアクセスが必要であると、前の12カ月はそうだったということが示されています。一部は大企業であり、トレードのデスクを自分たちで置いてそういうことをマネージできます。しかし、それができないところもあります。ですから、マーケットへの入り方、参入の仕方については、適切な価格についてのインストルメントが見つかる、またリスクについてもヘッジをするというようなことも大事になってきます。これについてはもちろん並行して十分な規制というものが必要です。
 EU-ETSが金融の手段としてカーボン・マーケットを規制していく、これはほかの金融市場と全く同じ形の規制ということになります。ビッキーが言ったように、委員会の方でもそこを見ています。全体的な規制の構造はどういうふうにするのか、それは広い意味で、正しい形で、EUあるいは各国の金融規制という形で、同じで行われるでしょうというのが3つのポイントです。
 最後のまとめになります。
 ビッキーが言ったように、イギリスでもETSがうまくいくことができるということです。導入されることによって排出を削減することができるし、それも固定した上限を設定することによって全体的な目標を達成することができます。
 ただ、きちんとやるには時間がかかります。どういうふうに割当をやればよいのか、まだ技術的な決定ということも大事であり、これによって適切なトレードができるようになるでしょう。柔軟性を盛り込むということも大事です。いろいろな形というものが、業界あるいは政府の考え方というものがあるでしょう。
 最初のルールが設定されて、最初のトライアル期間がある。そして、そこである程度の柔軟性を持たせて改善ができ、こういう教訓を学び、それを取り込むことが大事となってきます。
 最後に、ETSというのは各国の計画の中で本当にかなめとして全体の削減の重要なところになるでしょう。ただ、そのほかにも政策が必要です。税ということも考えられるでしょう。炭素税というのも補完的な役割を果たすことができると思います。
 ご清聴ありがとうございました。

○大塚委員長代理 どうもありがとうございました。
 では、ただいまのご報告につきまして質問等がございましたら札を立てていただければと思います。
 則武委員、まずお願いします。

○則武委員 ありがとうございました。
 今、日本の中での議論の中で原単位ということもあるんですが、もう一つ、電力に対して直接排出か電力の使用者に対する間接排出かという議論が別にあります。その中で、CRCはエネルギー効率を高めるという点でどういうふうに考えられているのかということ、それからエネルギー効率という点でいけば、電力を使っている人たちが電力を使わずに、例えば天然ガスでコージェネレーションのような形にすることによってエネルギー効率を高めるということが、日本では結構、小さなコンビニエンスストアでもやられるような形で進みつつあると思いますが、そういったことに対してCRCが効果的なのかどうかという点について教えていただければと思います。

○大塚委員長代理 ありがとうございました。
 では、平野説明員、お願いします。

○平野説明員 私からも同じような質問ですけれども、CRCについてです。
 これはいわゆる民生とか、あるいは家庭部門の中小企業の削減を進めるための仕組みだというふうに理解しましたけれども、このスキームとETSの間は何か関係があるのかないのかということと、それからそういったCRCで中小企業とか、あるいは民間、民生の部門に排出量のターゲットを決めていらっしゃるということだと思いますけれども、どのようにしてターゲットを決めているのかというのが2点目です。
 それから最後に、これも負担の関係になりますけれども、例えば電力がETSでコストを負担したときに、電気料金が上がったとすると、この上がった電気料金の負担も民生の方が負担されて、それからCRCで自分たちのターゲットを満たすためにも、これも負担があるということになると、二重の負担になるような気もしますけれども、その辺り、制度の中で、制度設計で何か工夫はされているのかどうかを教えてください。以上です。

○大塚委員長代理 では、明日香委員、お願いします。

○明日香委員 インテンシティー・ターゲットに関して質問です。
 インテンシティー・ターゲットの特徴、ポイントとしまして、景気がいいときにはいいんですが、景気が悪いときには逆に企業の負担があるというのがあります。サイクリカルな問題点があると思うんですけれども、そのときにそれをUKの企業はどの程度認識していたか、逆にそのインテンシティー・ターゲットをとったことによって、かつ、景気が悪くなり、生産量が下がったような場合に、そういう企業は実際困った企業はあるかとか、後悔した企業があるかとか、そういう事例があれば教えていただきたいと思います。

○大塚委員長代理 いいですか。
 では、もうこれでないようですので、私がもう一つ追加させていただきますが、私は2点質問させていただきたいのですけれども、1つはCRCについてでございますが、日本でも中小規模のところとか、あるいは小規模のところのものに対して通常の排出枠取引とは別の制度あるいは国レベルの排出枠取引とは別の排出枠取引制度を導入すべきではないかという議論が実はございまして、それとの関係でちょっとお伺いしたいのですけれども、ずばりお伺いしたいのは、その2つの排出枠取引制度を作ったときに、その間のリンクをさせるのが適当かどうかという問題でございます。
 EU ETSと今のCRCとの関係は、先ほどご説明いただいたようにリンクしないということなのですけれども、それはもちろん、EU ETSは直接排出方式で、CRCは多分そうではないということがありますし、EUの制度にイギリス特有の制度をくっつけたわけですのでリンクできないというのはよくわかるんですけれども、日本の国の中で、1つの国の中で2つの制度を作った場合、リンクをするのが望ましいかどうかという問題に実は今直面しているものですから、それについて何かコメントいただければありがたいというのが1点でございます。
 それからもう一点でございますが、UK ETSについてでございますけれども、UK ETSについて原単位の目標と、それから総量目標との間で、あまり総量の方で原単位目標の削減を、総量目標の方の事業者の方に入ってこないようにゲートウエーをお作りになったと思いますけれども、これは結果的に成功したとか、あまり取引が進まなかったということだと思いますけれども、それについてお答えいただければと思います。
 追加的にそれに関して、恐らく別の意見からすると、原単位目標の排出枠と総量目標の排出枠は取引できないのかという議論はあるいはあるかもしれません。例えばCDMはある意味原単位目標とも言えますので、その2つを等価交換ができないのかという意見もあるいはあるかもしれませんけれども、しかしイギリスはそうされなかったわけですので、そこのところの理由を教えていただければと思います。
 以上でございます。
 以上、たくさんの質問で恐れ入りますけれども、よろしくお願いします。

○英国エネルギー・気候変動省(キンダー氏) 答える最善の努力をいたします。一部答えられないものについては、後でCRCの方からの詳細な答えを提供したいと思います。
 最初の質問、CRCとインセンティブ、これは最後の質問にも関連しています。なぜそれをやったのか、EU-ETSとのリンクはあるのかという質問でした。
 幾つかの制度を設定し、二重の規制にならないようにということを考えました。CRCとEU-ETSの間が二重にならないようにということで、例えばCRCの施設については、それを政府に示せば、25%以上の削減を例えばEU-ETSでやったということならば、直接CRCに参加しなくてもよいということになるわけです。
 ですから、そういう形で、そのほかにもセーフガードを設定しました。制度を考えるときには、これは我々が発見したことですけれども、パラレルな制度を行うと規制上複雑になってしまう。ただ、ルールを設定して二重の規制にならないようにする方法があると思います。そして、CRCのより広いベネフィットというものはそれなりの根拠があると考えています。
 我々がわかったことの一つとして、理論的にはEU-ETSは、炭素、例えば発電についての価格を示す。それが電力価格にも影響するでしょう。ただ、エネルギー効率を図るときの難しさというのは、例えばコンビニエンスストアとか中小企業でやるときには電力の料金というのは比較的小さい規模なわけです。全体の料金体系の中でほんの少しなわけです。ですから、電気料金を少し上げたとしてもそれほど影響は大きくない。そして、それによっては、例えばコージェネレーションとかCHPとか、それによってもたらされるようなメリットというのはなかなかもたらされないと思います。また、逆インセンティブであるとか、必ずしも削減が達成されないかもしれない。あるいは、テナントとの問題があるかもしれない。大家対テナントの間で、本当にそういった投資が必要なのかなどのような議論がいろいろあるでしょう。
 ですから、CRCによって幾つかのターゲットを設定する。この分野についてはこうですよというターゲットを設定することによって、エネルギー効率の方策がより大きく浸透するということになると思います。これまでイギリスではそれがきちんと行われてきませんでした。日本の商業用の、あるいは住宅用のセクターではそういう削減ができるかもしれませんし、そういうものがあるとしたら是非知りたいところです。
 2つ目の質問、これはCRCとそのターゲットをどう設定するかという話だったと思います。
 ターゲットは、CRCについてはまだ設定していません。このスキームは4月に始まったもので、現在、情報を集めています。それが終わってからターゲット設定。これは来年になります。ターゲットの設定は幾つかの異なるメトリックを使って行うことになると思います。参加者について何らかの早目の行動をとることによって報酬が与えられる。例えば政府のトップ・スタンダードに準拠するということによる報酬、あるいは別のターゲットを総量ベースで設定するかもしれません。そうすれば、個々のビジネスとしては総量レベルでの削減ができる。あるいは、セクター全体として考えていくというような形で全体のターゲットをCRCについて考えていく。あるいは、その個々の施設ベースで考えていくということもできます。
 もう一つの質問は、原単位のターゲットなのか、そしてそうすると景気サイクルの影響を受けるということでした。
 それはマイナスということで見られるかもしれません。不況のとき、あるいは会社が本当に大変なときには、なかなか投資用の資本が得られないとか、あるいは資源集約型のターゲットの場合、それについてはさらに削減が必要になってくるかもしれません。これについては興味深いと思います。
 ヨーロッパで不況のときにEU-ETSはあまり批判を受けませんでした。工業セクターあるいは団体からもあまり批判を受けなかった。これは政策レベルでそういうことは想定されたということなのかもしれません。このゴールというのは、コストを少し払って削減ということはもう理解されていたのかもしれません。
 ですから、EU-ETSはあまりそういう意味では批判を受けませんでした。もちろん、次のフェーズに問題が起こってくるかもしれません。余剰なキャパシティーが制度の中に入ってきたときに、導入したときにどうなるかということです。これについても、欧州委員会としてもEUの30%削減というところに動くときに議論になる可能性はあると思います。
 そのほかの質問で、CRCについて質問がありました。1つの国で2つの制度というのはどういうことなのだ。リンクをつけるべきかどうか。
 CRCを導入した理由というのは、排出の中でEUレベル、ETSでカバーされないというところがあったからです。国によって違うし、あるいはEUのETSではあまりカバーするのが適切でないという分野がありました。直接なリンクは作ってはいません。今後は可能かもしれませんが、まずはこのスキームを設定して何年かやってからリンクをということが考えられると思います。また、間接的なリンクを張るということも考えられます。セーフティーバルブという形でCRCを考えて、これによってターゲットを達成する、そしてCERとかAAUとか、それを購入し、それによってターゲットを間接的に設定していくということも考えられます。
 ただ、デザインを明確にし、ルールを明確にし、二重の負担を避けるということができれば、2つのスキームを並行するということは可能だと思います。ただ、本当にいろいろとエビデンスを見て、あるいは業界の声を聞いて、ルールが正しいかどうか、二重のレポートの要件になっていないかどうかなどを確認することが大事だと思います。
 もう一つの質問はゲートウエーでした。UK-ETSとCCAの間のゲートウエー、これは比較的複雑な問題です。なるべくシンプルに説明したいと思いますし、また質問があれば後で聞いてください。
 UK-ETSは直接参加者に対しての割当をするということになります。そして、最初から既にわかっていたのは十分に厳格なターゲットを直接参加者には提供できる。ただ、かなりの過剰分というものがありました。それによって価格が非常に下がったわけです。UK-ETSとCCAの間にはリンクしていたのは、CCAの参加者は柔軟性を求めていたからでした。UK-ETSの割当量を買うということも、コストを抑えるために必要ということがありましたので、この2つの制度の間にリンクを設定しました。
 ただ、これでわかったのは、業界としてはそういうリンクは欲しがっていたけれども、実際には多くの企業は自らのエネルギー効率を高める投資をする方がよいということで、そういうUK-ETSのプールのところにアクセスしようとしませんでした。ですので、ターゲットを多くの企業がそういう形で達成したので、リンクが必要ではなかったということがあります。
 次の段階におきましては、次のCCAのときには、このリンクについてはやめるつもりでいます。UK-ETSとCCAのリンクはやめるということで、将来はセーフティーバルブのメカニズム、これはCRCもあるもので、これはEUAとかCERを買うことができるという形にしていきたいと思っています。

○大塚委員長代理 どうもありがとうございました。
 では、続きまして、ドイツ環境・自然・核安全省のバインライヒ課長からご報告をお願いいたします。

○ドイツ環境・自然・核安全省(バインライヒ氏) 皆さん、こんにちは。私の声はよく聞こえますでしょうか。デイビッドのプレゼンテーションがあまりにすばらしかったので、私はちょっと恥ずかしいんですけれども、お待たせしてしまいまして申し訳ありませんでした。
 それから、もう一つ申し上げたいことなのですけれども、まず最初に今日お招きいただきましてありがとうございました。さらに、皆さんの前でプレゼンテーションをすることを大変うれしく思っています。ドイツの方で蓄積してきた経験ですとか我々の見方を共有することができることを非常にうれしく思っております。それから、フランツ・ヨゼフ・シャウハンゼン気候保護部長、彼は今日ここに来る予定でいたんですが、我々の方の大臣からちょっと呼び出されてしまいまして、ほかのタスクをしなければいけない、ほかの業務が発生したということで、今日ここに来ることができない状況になっておりますので、それにつきましてもお詫び申し上げたいと思います。
 今日のプレゼンテーションに移りたいと思うのですけれども、もうたくさんのことが既にカバーされましたので、我々の方からは少しドイツの方のインプットをご紹介したいと思います。手短に我々のやっていること、それから我々の状況をご紹介したいと思います。
 ドイツに関して言いますと、EU-ETSの排出シェアの中で24%を占めておりまして、これはEU-ETSの中で最大の1国が占める割合となっております。さらに、ドイツ1国内の温室効果ガスの排出量の約40%がこのEU-ETSでカバーされるというふうに考えられています。このドイツのETSの排出量の中から内訳を見てみますと、21%が産業セクターから、79%がエネルギーセクターから来ております。これはもちろんエネルギーセクターの方が排出量が大きいからなのですけれども、さらに電力会社の火力発電所などが対象となっています。もちろん、ここからの発電量の削減をしていきたいと思っているのですけれども、そんなに簡単にはいかないわけです。なので、79%がエネルギーセクターというふうになっています。そして、年間の排出量の削減の対象として、1,656の施設が現在ドイツ国内で対象になっておりまして、この排出量の対象トン数は428メガトンとなっております。これは2009年の数値です。大体430メガトンというふうになっております。
 次のスライドをお願い申し上げます。
 恐らく既にここに書いてあることは皆さんの方からも言及があったと思うのですけれども、我々の取引制度の見方、視点というのは、ほかの国ですとかEUと共有のところもありますので詳細については触れませんけれども、キャップ・アンド・トレードに関しましては幾つかの側面があるということで、成功しているところと成功していないところがあるわけなのですが、成功していないところに関しましては解決していきたいと思っているのですが、現状には比較的満足しているという、大体うまくいっているというところではないかと思います。
 このEU-ETSの指令に基づきましてドイツの方でも国内の施策を考えているわけなのですが、キャップ・アンド・トレード・制度というものを我々は採用しておりまして、それには非常に多くのメリットがあります。もちろん、環境負荷に対する非常に高い有効性があるということ、さらにご存知のようにキャップという上限枠を決めるという施策なわけですから非常に環境にとっては有効であるということ、それからコスト効率がいいということで、非常に企業にとっての柔軟性も高いということになっています。
 さらに、政府にとっても、それから国際的な義務を果たすために政府にとって非常に有利な点は、ETSによってカバーされているセクターというのが非常に明確であり、さらにキャップを設定しているために、そのキャップを到達するという最大目標を達成すれば排出量を削減できるということが確保できるということです。
 さらに、コスト効率ということですけれども、価格を設定して排出のためのコストを設定しますけれども、それが非常にコストが低減される形で達成できるということです。一番安価な、一番そのコスト削減が高まる方法というのがこのキャップ・アンド・トレードだと思います。
 さらに、企業においてもこの排出枠の取引をするということが比重に柔軟な措置として受け止められています。例えば法的な秩序というものも設定されているわけですし、彼らとしても自分たちのインセンティブに基づいてこの排出量を削減していこうというような動機づけが生まれます。これから申し上げることは必ずしもメリットだけではないんですけれども、キャップ・アンド・トレードというのは自動的に市場の動向によって危機に対応する価格設定に誘導されるということです。
 たまに価格が上がり過ぎたり下がり過ぎたりといったようなデメリットもあるわけなのですけれども、需要が上がると、価格も上がり、需要が下がると、価格が下がるといったような市場の自動的な調整というのが行われるわけですし、また市場における安定性というのは経済的な観点から実行されるということがあります。
 最後のポイントなのですけれども、この地域特有の市場というものを拡大して、また連結していくことによって将来的にもっと大きな国際的な市場というのが近い将来実現されていると考えています。非常にユニークで堅牢な、グローバルな炭素市場というのが効率的に作られるであろうと考えています。これは統一市場ということで指向されることになると思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 こちらは先ほどの要約を図で示したものになるわけなのですけれども、何がこのキャップ・アンド・トレードのメリットであるかということです。
 まず、ステークホルダーがそれぞれあるわけなのですが、右下にはもちろん環境ですよね。これは非常に重要なステークホルダーになるわけですけれども、それ以外に、政府にとって、そして企業にとってもメリットがあるということは先ほど申し上げたとおりです。政府に対して排出量削減のためには最小コストで済むというところです。
 ですので、その相対的キャップと絶対的なキャップという議論もあるわけなのですけれども、先ほど話にありました原単位のターゲットというのは、技術改良とか、そういったような観点からメリットが全くないわけではありません。
 ただ、環境、気候の保全のための効率性ということを考えますと、やはり義務的な、そして総量におけるキャップというのが、一番メリットが高いのではないかと思います。
 ドイツで我々が経験してきたことを少し共有させていただきたいと思います。スクリーンに出ていますか。
 まず、我々はパイロットフェーズということで試行錯誤の段階を繰り返してきました。これは非常に長い期間をかけて行ったわけなのですけれども、困難に直面した結果、最終的にはこの排出量取引というのが産業ニーズとも合致する形で制度設計を完了することができました。
 産業ニーズというのは、ご存じのように、ドイツというのは非常に産業ベースの経済でして、輸出率も高いので、炭素リーケージということから生じる問題点に対する安全策というものを用意しておかなければいけないわけです。
 この件については先ほども話があったようですけれども、幾つかの方策というものもドイツでは話し合われました。例えば国境調整ですとか無償の割当ですとか、それから移行期において何をするかといったようなことも話し合われました。
 まず、この無償割当によってできるということは、ロー・リダクション・ファクターという非常に低い削減係数というものがあるわけなのですけれども、これを考えたときに、やはり移行期の方策として無償割当ということが、例えば1から2.5%ぐらいの割合で、その影響が大きいエリアですとか、このロー・リダクション・ファクターのようなところに無償割当を行うといったようなことを行ったわけです。もし産業界に対してある一定の円滑なサブキャップというものを提供することができたりですとか、ロー・リダクション・ファクターというその低減因子、低減係数というものを提供することができるのであれば、制度における環境に対する効率性というのは必ずしも確保されなくなってしまうわけです。ですので、ベンチマークを使うことによって、さらにそれを積極的なものとすることによって、企業に対して、産業サイドに対して排出量を削減するためのインセンティブを提供することができるというふうに考えるようになりました。
 もし企業の方で、非常に極端なケースですけれども、必要としているよりもっと多くの枠というものを強要してきたような場合、特に同じ業界のほかの企業に比べて、例えばほかの競合企業というのがよりよいパフォーマンスを行うということによって、彼らにとってメリットというのが報酬として出るべきだと思うのです。ですので、こういったところを配慮しながら、パフォーマンスがいいところと悪いところをきちんと評価できるような形でベンチマークというのを考えるようになりました。
 こちらのスライドなのですけれども、どのようにして我々が割当をしたかということです。2008年から2012年までのフェーズ2におきましての割当に対するグラフなのですけれども、2005年には473メガトンという二酸化炭素量というものがありました。こちらを2008年以降は7%削減するという目標を立てました。これは大体450メガトンぐらいに相当するわけなのですが、業界によっては歴史的に排出量が高いというところもあります。そして、9%オークションの方法で、そして残りを電力とか熱を製造する企業の方にも割り当てました。
 2003年までの進捗状況なのですけれども、こちらでご覧いただけますように、2008年以降ですね、失礼しました。1.25%がこのロー・リダクション・ファクターに設定されています。そして、ベンチマークの制度というものをこの頃に導入することによって、現在利用できる最適な技術を使ってどういった指標ができるかを考えました。
 次のスライドです。我々が学んだ経験についてご紹介したいと思います。
 第1フェーズにおきましては非常に大きな問題に直面しました。もちろんEUの観点からすると、この制度というのは進捗させていかなければならないという非常に優先順位の高いものでした。オークションに関しましては、第1フェーズにおきましてはまだ導入されていない部分があったのなのですけれども、第1フェーズにおきましては無償割当を中心に行いました。
 ただ、ドイツにおきましては、先ほどもご紹介しました産業ベースの経済ということで、社会の方もどちらかというと完全な民主主義性というよりは非常に経済拠点に、経済に基づいた形の民主主義になっておりますので、結果として我々は次のような問題に直面しました。このような無償割当を広範囲に行うことによって、企業間若しくはセクター間で非常に大きな競合状況が生じました。非常に複雑な制度を導入することによってこの問題点というのを回避したわけなのですけれども、大体2005年から2007年までのフェーズ1におきましては、ドイツにおいては58もの割当に関するルールを作らざるを得なくなりました。そして、これをある共通のルールに統合するわけではなくて、一つ一つばらばらに作ったという形でこの58の割当になってしまったわけです。ですので、この排出量取引を行う当局にとってもこのルールの適用というのが非常に難しいことになりました。
 さらにもう一つ大きな問題として我々が直面したのが、EUにおきましても同じ状況だったと思うんですけれども、2005年においてはデータが欠落している、十分なデータがないということで、パイロットフェーズでこれから準備を進めていく上で排出に関するデータが十分でなかったということが、最終的にEU-ETSにおいても過剰な割当を生じることになりました。2006年に炭素価格というものが下がったわけなのですけれども、そういったときにもデータの不足が我々の対応を遅らせる一因となりました。今そのような問題に関してはフェーズ2におきまして改善すべく努力をしているところなわけなのですが、フェーズ2におきましては、現状を非常に明確でシンプルかつ透明性の高い割当のルールが既に整備されているとは言えないんですけれども、ただフェーズ1に比べれば非常に厳格で使い勝手のよいルールというのができていると思います。
 さらに、非常にエネルギー効率の悪い、もしくは歴史的に非常に電気を食う、熱量を食うような企業に対してのベンチマークを設定することによって、なるべく排出量の削減を効率的に行うようにしています。
 さらに、オークション、オークションという方法を使うことによって10%ぐらいのオークションの方法を、排出量の10%ぐらいに使っているわけなのですけれども、このようなデータの問題ですとか、それから参照期間における問題点を解決すべく行っています。さらに、歴史的に非常に排出量の高い企業に対してのベンチマークなども行っています。
 さらに、オークションという方法は、割当方法としては非常に望ましいものであると考えています。これは、企業間、セクター間の競合というものを避けることができるようになると思いますし、また、よりよい、そして効率性の高い割当というものを実現すると考えています。EUは少しずつこの方向に進んでいると考えていますけれども、まだ始まっていませんけれども、フェーズ3の準備を始めていまして、2013年から始まりますけれども、ほぼ100%このオークションという方法を割当に使おうと考えています。
 さらに、炭素リーケージに関する問題に関して、産業セクターではまだすぐには捕捉できていないのですが、1つ明確なことは、フェーズ3においてはEU域内で調和のとれたベンチマークの設定が必要になるであろうと考えています。そして、これを整備すべく国ごとにキャップを設定し、それを調和のとれたものにしようとしています。
 次のスライドをお願いいたします。
 私の紙の方を見ていますけれども、これから将来的な全体像についてご紹介したいと思います。
 まず、先ほど申し上げたフェーズ3におきましては、新しい加盟国が入ってきます。そして、我々としては電力生産に関しましてオークションを100%使うということで、また移行的な無償割当というものを非常に積極的なベンチマークに基づいて設定する予定でいます。ビッキーさんの方からこの部分についてご紹介があったと思うんですけれども、オークションに向かっているという方向性というのは皆さん共有しているようですが、さらに無償割当というものはこれから特に2013年以降2020年まで非常に率が下がってくるだろうと考えています。ただ、移行的な方法として無償割当というものを考えているのは、10%ぐらいのCO2の効率の高い製品に報いる形でこのベンチマークを導入したいと考えています。これはサブセクターとしての位置づけになります。
 さらに、もう一つ重要な施策として、特別な業界キャップ、サブキャップを設定する予定にしています。これはより広範なEU域内のキャップの中のサブキャップとしての位置づけになりまして、いろいろな産業というのがよりよいベンチマークを達成すべく努力をしています。もちろん、野心的でない、積極的でないベンチマークもあるわけなのですけれども、配られるパイというものの大きさは決まっているわけですので、1つのセクターがほかのセクターに比べて優位に扱われたり、またよりハンディキャップを与えられてはいけないのです。ですので、業界全体、産業全体においてフェアな、公平な割当を行うための努力をしています。
 こちらもビッキーさんの方からご紹介があったと思うんですけれども、EU域内全体で無償割当のルールというものを制定しようとしています。コミトロジーと呼ばれている方法論なわけなのですけれども、ETSの指令によりましてこれから詳細なルールが制定される予定です。EU全体においてこういったようなルールが適用されるのは非常に重要だと思います。なぜなら、それは排出削減に対する競争というものも刺激しますし、10%ルールということで、10%というものがスタンダードとして望ましい数値になるわけなのですけれども、EU全体でセクターごとのベンチマークも作り、1プロダクト1ベンチマークと言われる方法論を採用しようと考えています。
 これはつまりそれぞれの個別の状況によって区別が生じてはいけないということです。例えばベンチマークが拡大して高くなり過ぎたり低くなり過ぎたりといったようなことを避けるために個別の具体的な要件というもので差別をしない、区別をしないための1プロダクト1ベンチマークというものになっています。
 それでは、私のプレゼンテーションを終了しますので、皆さんからご質問を受けたいと思います。

○大塚委員長代理 どうもありがとうございました。
 では、ただいまのご報告につきまして質問等がございましたら札を立てていただければと思います。では、明日香委員からお願いします。

○明日香委員 どうもありがとうございました。
 EU委員会の方もいなくなってしまったのでドイツの方に答えていただければと思うんですが、ベンチマークのことです。
 たしか第3フェーズでは、そのベンチマークの対象となるインダストリーは、基本的に炭素リーケージあるいは国際競争力創出が予想される産業ということだと思います。その基準として、炭素集約度なり貿易集約度がある一定の閾値を超えるというようなルールを決めていると思います。EUの場合はその基準だと、たしか164か168ぐらいのセクターがその対象となる、いわゆる保護セクターとなるというふうに認識しています。その百六十幾つというのはかなり多くて、ベンチマークを作るのは非常に大変だと思うんですが、どういうプロセスになっているかと。
 もう一つ、その基準がどうして多くなったかというと、貿易集約度が15%以上であれば自動的に保護対象となるというルールを設定したと思うんですが、それを入れたことによって百六十幾つ、たしか全体は二百幾つなので、かなりの部分の産業が保護対象になってしまったと。それは予想された結果なのか、それともあまり考えずにそういう基準を作ったことによって数が増えてしまったか、もしかして今後悔しているかとか、そこら辺を教えていただければと思います。

○大塚委員長代理 では、有村委員、続けてお願いします。

○有村委員 ドイツのご説明ありがとうございました。
 日本とドイツは、どちらも輸出産業がかなり経済を担っているというところで似ているところがあると思うんですけれども、その点からドイツの産業界からはEU ETSに対して反対というのはなかったのかというのが質問1点目で、2点目はそれに対してどういった対策をしたことで産業界の方に納得していただけたのかなと、なければそれまでなのですけれども。
 それと、あとは3点目は、ドイツは再生可能エネルギーで非常に成功しているというふうに言われていると思うんですけれども、ETSの役割とその他の政策との役割というのはどういうふうになっているのかと、効果はどういうふうになっているのかという辺りを説明いただければと思います。

○大塚委員長代理 それでよろしいですか。では、増井委員、お願いします。

○増井委員 どうもご報告ありがとうございました。
 私の方からは1点だけなのですけれども、この小委員会の中でもいわゆるLCA的なライフ・サイクル・アセスメントのような考え方、特に消費段階でエネルギーの削減が見込まれるものについては産業側に対しても配慮が必要ではないかというような意見が特に産業界から強く出ています。実際こういう制度、ドイツで制度を議論された際に、そういうライフサイクルの考え方というのは実際議論されたのかどうか教えていただければと思います。
 以上です。

○大塚委員長代理 今のに追加的に私が聞かせていただいて申し訳ないのですけれども、さっきのスライドの8ページで、ベンチマークが使われるのが、CO2の効率性の高い製品についての報酬を与えるというようにお書きになっているんですが、これは先ほど明日香委員が引かれた貿易集約度とか炭素集約度が高いところについてオークションはちょっとすぐには無理なのでベンチマーク方式でやっていくという話とはちょっと別の話なんだろうと思うのですけれども、これはもう少し詳しくどういうことかということをご説明いただけるとありがたいと思います。
 則武委員にもうお願いしましょうかね。則武委員、ではお願いします。

○則武委員 ありがとうございます。
 まず、2ページ目のスライドで、ドイツのETSの排出が、エナジーセクターが79%を占めるということで、非常に高い比率になっているということで、再生エネルギーの導入ということもあるかとは思うんですが、それ以外にも省電力機器、電力を削減できる機器の開発とか利用が重要じゃないかなと思うんですが、それに対する方策としてはETS以外に別のものが必要ではないかと思うんですが、どうかという点をお聞かせいただきたいということと、それに関して、EUの中ではEUP指令、名前が変わってERP指令になったかと思いますけれども、省電力の機器に対する開発促進というものが進められますが、逆にそれは先ほど大塚委員の話と含めても、このETSの中に対してはエネルギーセクターに対する支援ということになってしまうんじゃないかなと、そこの金銭的効果がエネルギーセクターに出てくるんじゃないかなと思うんですが、それに対してご意見あればお聞かせいただきたいと思います。

○大塚委員長代理 以上でよろしいでしょうか。
 では、恐れ入りますが、お答えをお願いします。

○ドイツ環境・自然・核安全省(バインライヒ氏) ありがとうございました。
 幾つか質問をいただきましたけれども、まず、最初の質問からではなくて、今までのドイツのETSの導入の経緯に関して紹介したいと思います。
 まず、業界側から、産業側から反対があったかどうかということですけれども、非常にたくさんの反発がありました。2003年ぐらいから交渉が始まったわけなのですけれども、しばらくは非常にけんけんごうごうの議論が続いたわけなのです。
 例えばスチール、鉄鋼ですとかセメントですとか、そういったような企業からは非常に多くの反論が起きたわけです。DDIと言われるドイツの産業界の関連業界があるわけなのですけれども、そちらの協会の方からも非常に多くの懸念が提示されました。
 こういったような業界団体からの反発、それからエネルギーセクター、サプライヤーからの反発というものがあったわけなのですが、さらに製油業界、それからそういったところから非常に多くの反論が出ました。
 そのための対策として我々がやったことは2つあります。まず、マテリアルベースでは、非常に長時間をかけて我々が導入しようとしている制度の有用性というものを伝えると同時に、ほかのものと比べて、ほかの導入が可能性として考えられる制度に比べていかに皆さんたちをこの新しいETSが守るか、保護するかということを伝えたわけなのです。もちろん、国際的な約束を守らなければいけないということがあったわけですけれども、マイナス20%というのがドイツに課せられた排出炭素量のターゲットだったわけで、業界にとってはいずれにせよこの20%減というものを達成しなければいけないのであれば、例えば環境税で達成するのか、それともこのETSで達成するのかということを説明したわけです。もちろん、環境に対する効果ということで考えると、我々としては石炭、石油を使っているような非常に電力消費が多いところに非常に強制的な仕組みというものを導入しなければならないような側面もあったわけですが、我々としてはそういったことは避けたかったわけなのです。なので、いろいろなオプションがある中で、いかにこのETSがメリットがあるかということをクリアにしようというふうに考えました。
 ドイツにおいては、まずは自主的なスキームというものを作ったわけなのですけれども、ただそれだけでは我々が達成しようとしているようなターゲットには十分ではありませんでした。ですので、このような状況がETSに関しての議論が始まったときに起きてきたわけなのですけれども、私たちとしては恒久的なステークホルダーミーティングということで、非常に永続的に、例えばAGEという、これは鉄鋼のワーキンググループですけれども、ドイツで非常に発言権を強く持っているところです。こういったところ以外にも、すべての主要な業界セクターの代表を環境省の方に呼びまして、また環境省以外に関連している省庁というところにも声をかけまして、さらにドイツ議会の方の主要な関係者というものも巻き込みまして、さらにNGOも呼んだわけなのです。非常に活発で、そして熱のこもった議論というものが行われました。もちろん、一般的に言って非常に反発が多かった仕組みなわけなのですけれども、ワーキンググループを幾つか作りまして、経済的な観点から、それから法制度の観点からJICMと言われているグループを作りまして、これはワーキンググループになるわけなのですけれども、さらに1つのワーキンググループの下にサブグループを幾つか作りまして、そこで議論を密にするようにしました。これがうまくいったと考えています。
 もちろん、業界によってはスタートが円滑であったとは言えないわけなのですけれども、こういったような非常に大きな変革をしなければならないときには、もちろんこういったような制度というものを十分に説明することによって最初が肝心だということです。
 もちろん、過剰割当ですとか無償割当ですとか、そういったような方法もあったわけなのですけれども、これは非常に削減には奏功しないということがわかっていましたので、最初はそのような形で業界とも懐柔をしながらやっていったわけなのですが、第2フェーズ以降はなるべく削減自体に奏功するような仕組みというものを作るようにしました。
 ただ、既にこれからフェーズ3に入ろうとしているわけなのですが、今の時点では業界から強い反論はないということをつけ加えておきたいと思います。もちろん意見がぶつかることもあるわけなのですけれども、炭素リーケージなどに関する問題意識というのがまだ高い状態で続いていますけれども、詳細に関しましては省きたいと思うんですが、また別途聞いていただきたいと思います。
 これが、我々が業界と議論をしてきたプロセスなわけなのですけれども、最初は大変だったというところは恐らく日本でも一緒なのではないでしょうか。
 それから、ベンチマークに関してなのですが、すごく率直に申し上げまして、ドイツの環境における役割というのは必ずしも最高のものではなかったというふうに思います。首相も代わりましたし、さらに例外的なルールもたくさんありました。それは30%から80%のオークションというのが業界ごとに割り当てられたんですけれども、100%の無償割当というところもあったりして、非常にその辺が整合性がとれていませんでした。その基準というのが非常に積極的でないものもあり、多くのセクターにおきまして、例外規定を割り当てることによって、また炭素リーケージなどの問題もあって、ご存知のように5%ぐらいのコスト効率性だと考えられているわけなのですが、この集約のターゲットには遠く及ばないということで、20%というのが我々としてリンケージボックスとしてのターゲットとして考えているものになるわけなのですけれども、国際的な状況にかんがみますと、この国境調整というチョイスがあるわけなのですけれども、我々としては非常に輸出志向の経済になるわけなので、これが必ずしも最適なオプションではないと考えています。
 もしこの国境調整というのが確実なたった1つの方法論であるとするならば、恐らくこの炭素リーケージの問題は解決しないと思います。国際的なコペンハーゲンのCOP15の前の環境に関する我々の交渉の中で、特に閾値上にある国というのはこのような方法というものを多用しようとしていたのですけれども、これは基本的には彼らの業界を守るためその保護主義に基づいた方法だったわけです。ですので、国際的な交渉においてはこういったことが足かせになったという経緯を我々はよく見てきました。ですので、国境調整が必ずしも解決方法につながらないということがよくわかっていたわけです。
 カーボンフットプリントに関する効率の高い製品に関する質問があったと思うんですけれども、これは65%というCO2効率というものを基準にしているわけなのですが、輸入されたものはすべて、もしくは国内で組み立てられたものに関しては、基本素材、基本的なマテリアルと異なり、輸入されたもの、もしくはドイツとかEUのほかの国といったような非常に先進的な経済を持っているような国においては、基本的にマテリアル、原材料の導入というものはあまりないわけですから、我々としては輸入商材に関して二酸化炭素の効率性というものをどのように図ろうかということを考えたわけです。カーボンフットプリントというものをまず調査することによって、それぞれの商品のドイツの国内に入ってくるまでのカーボンフットプリントを捕捉しようとしたわけです。
 もう一つの選択肢としては、国際的な合意がないようなエリアにおきましては、我々はえてして自分たちの産業というのを保護する傾向に向かうわけなのですけれども、ただそれはもちろん炭素の排出量を増やしてしまうというリスクを生じさせてしまうわけなのですが、ただそのリスクというのが実際に目の前に表れるまでにはまだかなり時間があるわけです。だから、リスクとしてはそれほどの危機感がないわけです。
 そのような状況の中で環境の観点からすると、やはりなるべく迅速に対策を打たなければいけないということで、我々としてはなるべく早く迅速な対応をとろうとしたわけです。そして、炭素リーケージのリスクというものも同様に考えていこうというふうにしたわけです。
 炭素リーケージに関してはほかにも質問が出ていたと思うんですが、ベンチマークについての議論ということでもう一度、誰が質問したかは忘れましたけれども、どうやって対応するか、たくさんのベンチマークがあります。私が今わかっている限りでは、65のベンチマークが、セクター、サブセクターについてあります。それはそれほどたくさんの製品ではないと思います。164ではありません。どういうふうに設定したか、これをコミッション、委員会の方でやったのかどうかはわかりませんけれども、委員会の方で調査、研究を依頼して、科学的な科学者のグループ、幾つかの団体の人たちが加わって最初に調査をやりました。どの製品にベンチマーク方式をやるのか、どちらがベンチマークということでは大事なのかということで、今は65のセクターということになっています。白リンクセメントのベンチマークが必要なのか、ノーマルなグレーのセメントについてまた別のベンチマークが必要なのかなどという議論はあります。
 ただ、平均的な業界というのはベンチマークの選択については満足しているようです。次のステップ、まだこれは行われていませんが、次の段階はベンチマークの値をそれぞれの製品について決めていくということです。これは現在評価中です。
 最初は科学的研究に基づいての数字を見て、いろいろな情報源、エネルギーの統計なども考慮しました。その後、手順としてヨーロッパ全体の産業界からのデータを求めました。それに基づいて10%とか、そういう形で値というものが明確になっています。業界からのデータだけに頼るわけではありません。もちろんクロスチェックをやっていきます。検証して、それが妥当かどうかを確認します。それを今、委員会の方でやっています。夏の中ごろまでには最初のドラフトを公開する予定となっています、すべてのベンチマークについて。それから、それぞれの値について公表の予定です。EU全体の割当ルールについても、新しい参入者に対してはどうするのか、割当はどうするのか、その産業としてのキャップはどうするのかなどなどです。
 多分もう時間がないと思います。なるべく最後のものを短く言いますが、エネルギーは79%、石炭の火力発電もまだたくさんあります。多過ぎると思います。それから、FITの制度、再生利用可能なエネルギーについてはやっています。これはEU -ETSの一環としてやっています。キャップが十分に厳格ならばそういうことは必要ではないではないかということも言いますけれども、しかしキャップがあまり厳格ではないということもあって、再利用可能エネルギー100%というわけにはいかないというところがあります。
 ETSはコスト効果の高い削減の方法です。一方、FITというのは技術の開発を促すということがあります。これはまた違う手段として考える必要がある。これを混ぜながらやっていくことが必要だと考えています。
 なぜこの両方が必要なんだ、ETSだけで十分ではないかという議論もあるのはわかっていますけれども、省エネの技術、これについてもさらに積極的に進めようとしています。エネルギー効率法の最初のドラフトが出ています。今あまり野心的ではないので、この秋までにもう少しまとめるということが考えられています。ほかのセクター、例えば一般家庭についてはかなりタフな規制というものが既にあります。それをさらに改良し改善しようとしています。再利用可能な暖房であるとかエネルギー効率のスタンダードを古いタイプあるいは新しいタイプの建築物に対して適用するというようなことはやっています。こういうプログラムは気候変動に関わるいろいろな側面も反映しています。ETSの枠の中でレビューをして、エネルギー効率を高めるセクターというのをETSの外でもやろうとしています。それから、一般家庭についても、エネルギー、省エネということをやろうとしています。
 最後の部分で、ライフサイクルという質問がありましたけれども、ライフサイクルの意味がちょっとわからなかったんですけれども、このライフサイクルの意味なのですけれども、このライフサイクルという考え方を投資の際に考慮するべきだということでしょうか。例えば投資の際に長期間の稼働期間というものを考慮してLCAという概念を反映すべきだということなのですか。どういう意味でLCAという言葉を使われましたか。

○増井委員 私が言ったのは、家庭で例えばハイブリッド自動車を購入して使ったときに、家庭部門ではそれだけエネルギーの排出量が削減されるわけですけれども、ハイブリッド自動車等をたくさん製造すると、今度は産業部門で、自動車製造部門でたくさんCO2が出てくるということで、家庭で削減されたCO2を産業部門に、実はここにある、最後の8枚目のスライドにある「CO2-efficient products」、そこのところなのですけれども。

○大塚委員長代理 これとはちょっと違うみたいですけれどもね。そういう今おっしゃったこと、つまりハイブリッド自動車を1台作るのは普通の自動車を作るよりも生産過程ではCO2がたくさん出るんだけれども、その消費のところまで含めると普通の自動車よりもCO2が減るというふうに考えたときに、その部分をオフセットのようなことを考えられないかというふうに考えていただくとわかりやすいのではないかと思いますけれども、そういう質問でございます。

○ドイツ環境・自然・核安全省(バインライヒ氏) オフセットできるかどうかという質問ですけれども、ちょっとお答えするのが難しいと思うのですが、今、国内でのオフセットの制度というのは残念ながらありません、非常に複雑なディスカッションになりますので。ただ、基本的に申しまして、包括的な観点からすると、こういったすべての部分を含んだような議論というのは必要だと確かに思います。
 一つの例えば商品のライフサイクルというものを見ることによって、商品が作られるところから使われるところまで、そのライフサイクル全体でいかに排出量というのが動いていくかというのは、環境の観点からすると、包括的に補足していくというのは非常に重要だと思います。それをすべての商品に関して考えていくべきだと思いますけれども、1つだけ我々として連邦の環境関連の担当している部門がこの部分に注目をしていまして、もしすべての排出量というのをカバーできるような何か手法があるのであればベターであるということなのですが、ただ制度の中でETSであるとかセクターごとにカバーされるわけです。それから、法制度の整備などで、また家庭と、それから企業サイド両方をきちんと捕捉するような法制度というのがあれば、この辺りはきちんとカバーされるのではないかと思います。それが我々がとろうとしているアプローチなのですけれども、ライフサイクルというよりは。

○大塚委員長代理 どうもありがとうございました。
 では、時間の関係もございますので、ここまでとさせていただきます。
 次に、最後にアメリカの環境保護庁のトンコノジーさんからご報告をお願いいたします。よろしくお願いします。

○米国環境保護庁(トンコノジー氏) ありがとうございます。今日はお話しできてうれしく思います。ベラ・トンコノジーと言います。アメリカの環境庁から来ました。そして、今は気候・経済局の方で仕事をしています。現在のアメリカ議会ではどういう議論が行われているかという話をし、そしてその議会の提案についてもご紹介したいと思います。ですので、今日の話はこういう内容になります。
 気候変動対策法案が下院で去年可決されています。現在は上院で審議中のアメリカン・パワー・アクトというものです。そして、EPAとしてはこの政策のデザインには参加していません。テクニカルな支援という形で議会のスタッフに協力します。向こうの方で政策を作っているということなので、我々の意見というのは反映されていませんが、技術的な支援を提供し、この実施を将来助けていこうということです。
 この気候変動対策法案というのは去年6月に可決されました包括的な環境対策についての法案ということになります。下院上院あわせて初めての試みということになっています。これは数セクターかかっていて、キャップ・アンド・トレード、排出量取引となります。2020年までに17%の削減、2050年までに83%削減ということです。これはベースとしては2005年に比べてであり、アメリカの排出の85%、そしてGHGの6つのガスをカバーしています。幾つかのメカニズムがあります。1,000ページ以上の詳細にわたるドラフトとなっています。本当にすべてを知っている人はいないのではないかと思います。私もすべてを知っているわけではありませんので、質問されても答えられないところについてはフォローアップで答えていきます。
 一部のメカニズム、キーとなるものをここに示しました。柔軟性、コスト抑制のメカニズム、これについては国際オフセット、バンキング、そして将来に対してのバンキングあるいは将来からのボローイング、そして戦略留保のオークションということです。
 そして、アウトプットベースの割当、そして長期的には国境調整ということも入っています。これは大統領の権限でやれるということです。加えて、再生可能エネルギーのスタンダード、そのほかのエネルギー効率に対しての対策も盛り込まれているものです。
 アメリカン・パワー・アクトというのは現在、上院で審議中、これはディスカッション・ドラフトということで、まだ正式に導入されているわけではありません。今年の5月12日、上院議員、リーバーマン氏が提出したもので、リーバーマン法案とも呼ばれています。しかし、私としてはAPAということで呼びたいと思います。これは先ほどのACESに似ています。同じ削減の割合、これは2013年が出発年となっています。そして、2020年、2050年まで続くものです。この中には20億トンのオフセットを年間割り当てる。国際、そして国内で割り当てていきます。
 先ほどの法案と同じ内容があります。違いとしては2013年から始まるということで、2012年ではありません。そして、発生源、セクターについては、より長い段階的な調整ということで、工業セクターがカバーされるのは2016年となります。代替のメカニズムというものがあります。これは運輸セクターについて、これは燃料プロバイダーと呼ばれている制度です。ですから、直接キャップということではなく、セクターサイズ、留保的な形で間接的にやるということです。
 キャップについては全体の経済についてはあるけれども、運輸セクターについては少し違う扱いとなっており、直接このトレードスキームに参加するわけではありません。そして、再生利用可能なスタンダードは入っていません。しかし、恐らくはこれはこれまでに上院のエネルギー法案で可決された法案に基づいてスタンダードは加わると考えています。
 今の状況ですけれども、あまりこうだということは言えません。夏になると方向性がわかると思います。行政としてはこれを強く通過を支持しています。そして、オバマ大統領もこの一、二カ月ほどより多く、重要な演説の中で、ピッツバーグでも、あるいはカーネギー・メロン大学でも、このような炭素汚染、これに対して何らかの対策が必要だということを訴えています。
 我々の経済分析の中には全体的な影響、これは環境面及びアメリカ経済への影響を考えました。また、分析については下院の通過された法案の中に反映されています。そして、このレポートのコントリビューターということで、ホワイトハウスからの国際競争力の報告にも盛り込まれています。
 また、APA、これはこの数日で出てくると思いますけれども、そこに分析も入っています。一般的なところで示しますと、この分析によってエネルギーセクターの転換を促すと考えられます。
 また、炭素価格が低い、あるいはない場合のコスト効果の高い形、それをトレーディングによってコスト効果が高い形でやろう。特にバンキングメカニズムは有効と考えています。
 また、この法案の中では、消費者あるいは貿易に暴露されている業界への影響度は相対的に小さいと考えられております。
 主要な、国際的な問題について話をしたいと思います。幾つか話はできるんですけれども、一応その国際面での状況ということをピックアップしてお話をしたいと思います。
 まず、最初に言いたいのは、アメリカでよく質問されます。これをできるのかという質問です。
 この法案が可決したとしても、そしてG8の合意をやるとしても本当に、科学的にそういうふうに言われているけれども、ゴールを達成できるのか、地球温暖化についてのモデルもアメリカにありますし、科学者は、これはできるということを言っています。そして、アメリカのゴール、G8のゴールは一貫しており、削減ができるとしています。2050年までの削減です。そして、グローバルでは50%の削減ということです。2050年ということに主要なターゲット、450ppmのゴール、そして2℃ということが達成できるとされています。確実だとは言いませんけれども、達成可能ということです。
 また、国際オフセットが非常に重要な部分になります。費用緩和措置が入っており、ほかの国と協力し、あるいは先進国と協力することによってこのプログラムを設定し、非常に有効だと考えられます。
 特に、この整合性、国際的なオフセットのプログラム等をやることによって有効だと思います。このチャートはたくさんの情報が盛り込まれています。鍵となるのは恐らく2番目です。シナリオ9、国際オフセットがない場合ということです。この場合には、このチャートではコストへの影響がどうかということを示しています。オフセットがある場合とない場合、国内のプログラムがある場合です。シナリオ9というのは何も国際オフセットがない。ですから、国際的なオフセットが100%全くないわけです。2020年から2050年までこれによって割当価格が50%以上高くなるでしょう。このモデルは五十数%ですけれども、ほかのモデルでは100%以上価格が上昇するという分析もあります。ですから、大きな価格への影響が考えられます。
 もし国際的なオフセットがないならば、ということですので、これはプログラムにとっては大事な鍵となります。国際オフセットのプログラムを適切にやっていくということはアメリカにとっても非常に大事なことです。
 そのほかの国際的な質問としては、これだけではありませんけれども、国際的な問題として出されるのは競争力がどうかということです。これは皆さんにとっても関心事でしょうし、ヨーロッパの方々にも関心事でしょう。この質問について我々も分析をしました。
 ホワイトハウス主導のレポート、国際競争力とリーケージという報告もありますが、この中には2つのコンポーネントがあります。
 1つは、どのセクターがこの条項に適応するのか、そしてそれがうまくいくかどうかということです。こちらのスライドは、どのセクターが適応可能か、500のセクターを見ました。製造業のセクターを見たものです。そして、このグラフでわかることは、この適応可能なもの、この右、そして上のものです。そして、バブルの大きさが排出の規模を示しています。セクターの名前がないのですけれども、そういうスペースがなかったので書きませんでした。しかし、レポートをダウンロードしたいのならば、もちろんシェアしても大丈夫です。
 その多くは、パルプあるいは化学、鉄鋼、非鉄、非金属というようなことで、競争力ということではここに挙げているような形になっています。
 次のスライド、こちらはこういう条項がどううまくいくかということで、これは生産量ベースの割当ということで、これは短期的には企業にそういう形で割当を考えています。左の方、こちらは後発後進途上国に対しての割当がない場合、右の方は割当がある場合です。このグラフの中ではたくさんごちゃごちゃしていますので、全部、説明はしません。ただ、関心を払っていただきたいのは、それぞれのバーで横の棒になっているものがあります。それぞれのセクターに適用されるもので、これはリーケージを示しています。
 左の方では、それぞれのセクターでは小さいリーケージ、そして排出に比べてそれぞれのセクターを比べてください。この割当がある場合とない場合で、この割当をすればこういうリーケージがなくなるということになります。
 これはアメリカン・クリーン・エナジー・セキュリティー・アクト、下院で示した気候変動対策法案の中でそういうことが示されています。いろいろな法案ということに加えて、法案以外ではどういう動きがあるか、EPAはご承知の方もいると思いますけれども、基本的には最高裁の2007年の判決によって、GHG、温室効果ガスが大気汚染、大気浄化法の中で公衆の衛生あるいは福祉に脅威を及ぼすかどうかということで、確かにそれは及ぼすということを最高裁が判断を示しました。
 それによって公衆衛生、福祉が影響をされるいろいろな軽車両あるいはそういう乗用車、ライトトラックなども含めて害を及ぼす可能性があるということになりました。それを受けて、軽量車両についてもルールが適用されることになりました。これは排出削減を行わなければいけないということになっています乗用車、ライトトラック、SUVが含まれます。2012年から2016年までに削減を義務づけられており、アメリカにおいては大きなステップです。自動車業界もこれを支援しています。
 それから、テーラーリング・ルール、テーラー・ルールと呼ばれるものを出しています。これは段階的に温室効果ガスを大型の施設に適用していくものです。このプログラムは段階的に2013年から始まります。現実的なアプローチを温室効果ガスの規制について大気浄化法に基づいてやります。包括的なクリーンエネルギー、そして気候変動についての法案を通過させようとしています。議会の法案によって前進をしていきたいということですけれども、しかしそれが実現するまでは、いろいろな大気浄化法に基づいた形での対策、それを実質的な、実際的な、あるいは一般常識に基づいての形で進めていきたいと思っています。
 以上です。
 我々の方は技術的な支援を提供しているということですので、必ずしも政策のデザインということについて話はできませんけれども、テクニカルな部分での質問があれば受けたいと思います。どうもありがとうございました。

○大塚委員長代理 どうもありがとうございました。
 では、ただいまのご報告につきまして質問等がございましたら札を立てていただければと思います。では、有村委員から。

○有村委員 皆さん、長い間お待ちいただきましてありがとうございました。
 実は2月にベラさんのEPAと私たちの上智大学の環境と貿易研究センターとリソース・オブ・ザ・フューチャーという3者で2月にワークショップをワシントンで開いたんですけれども、そのときにも今日ご説明のあったアウトプット・ベースド・アロケーションとボーダー・アジャストメントが大きな議題だったわけですが、この新しく出たアメリカン・パワー・アクトの中のコンペティティブネスと排出量・リンケージに対する条項の中でも、この2つというのはまだ残っているのかどうかということを教えていただきたい。
 もしそうでないとするならば、新しい法案、まだディスカッションドラフトですけれども、そこで言われているコンペティティブネスと排出量・リンケージのプロビジョンというのはどんなものかということを1つお伺いしたいと思います。
 もう一つは、最後におっしゃられていましたけれども、基本的には米国で包括的な法案が通るということを望まれているわけですけれども、それが難しい場合に、例えばクリーン・エア・アクト、大気浄化法のもとでEPAが規制をしていくというようなこともあるのかなとアメリカの場合思っているわけですが、その場合にもアメリカ全体でのキャップというようなものを考えることができるのかと、法律上の話をちょっと教えていただければと思います。

○大塚委員長代理 では、平野説明員、お願いします。

○平野説明員 ご説明ありがとうございました。2つ質問です。
 1つは連邦と州の関係に係ることです。
 既にアメリカの中の州の一部においては排出量取引が導入されているところがあると思いますけれども、仮に連邦大でのETSが導入されたときには、州のETSと連邦大のETSの関係はどうなるのかというのが質問です。
 それから、2点目ですけれども、これは政策的な話になるかもしれませんが、ご説明の中で毎年20億トンのクレジットを使えるという説明がありましたけれども、アメリカの排出量に比べて3分の1程度になると思いますが、とてつもなく多い量だなという感想ですが、これは現在のCDMあるいはJIといった国連ベースの取引あるいはクレジットの仕組みの延長線で考えているのか、それともアメリカ独自の制度で考えているのか、お考えをわかれば教えてください。以上です。

○大塚委員長代理 では、明日香委員、お願いします。

○明日香委員 3つあります。
 一番最初は、今の質問とちょっと重なるかもと思うんですが、AP、アメリカン・パワー・アクトの中でインターナショナル・オフセットでバイラテルラルのアグリーメントの制度で来たクレジットを受け入れるというような条項が入っていたと思うんですが、具体的にそれはどういうものなのか。
 それは例えばある種のクレジットを受け入れないという意味で入っているのか、それともまた新しい何か制度を具体的に考えているのかというのがまず第1です。
 2番目は、ちょっと大きなアメリカ全体の話になると思うんですが、アメリカにおいてもその排出量取引制度に関してはいろいろ議論があって、例えば電力会社でもいろいろな意見があるというふうに聞いています。たしかデューク・エナジーとか、アメリカンAEPでしたっけ、大きな大手のアメリカの電力会社が比較的排出量取引制度にサポーティブになってきているというふうに聞いています。なので、そこの背景なり理由について何かわかれば教えていただければと思います。
 あと、3つ目は、お話にはなかったんですが、最近、上院でアラスカの議員のマコウスキーさんが決議を出して、それが否決されたと思うんですが、それが政治的にどういう意味を持つのかについて教えていただければと思います。以上です。

○大塚委員長代理 では、とりあえずそのお三方にしていただければと思います。
 以上のご質問についてお答えいただければありがたいと思います。

○米国環境保護庁(トンコノジー氏) 質問ありがとうございました。
 まず最初に、国境税調整、そしてアウトプットベースの割当、これは両方とも入っていますし、アメリカのクリーンエネルギー、セキュリティー・アクトに入っています。これについては、その適用範囲の基準というのは両方の法案でほぼ同じだと思います。
 どういうふうな形でEPAとしてどういうふうに割り当てるかということが少し詳細に書いてあるかもしれません。ベンチマークの開発を製品ベースあるいはサブセクターでやっていくということで、セクターレベルだけでやるのではないということを考えています。少し柔軟性を持たせて実施をしていきたいと考えています。
 そして、国境税調整についてもアメリカン・パワー・アクトに似ているものです。こちらの方がもう少し大統領の裁量権があると思います。2020年ということです。これで実施するかどうかということです。
 それから、アメリカン・クリーン・エネルギー・アンド・セキュリティー・アクト、こちらの方は、この下院のものは国境調整については議会との共同の実施あるいは大統領の署名が2020年に必要ということで、これについては下院の方の承認も必要となりますし、実施しないということならば議決が必要です。
 一方、APA、上院の法案につきましては、国境調整については、大統領がそういうふうに決めて、これが最終選択だと言えばそれで対応できるわけです。ほかについてはほぼ同じです。
 それから、大気浄化法、クリーン・エア・アクトというのはEPAとしてはよいツールです。この法律を使って短期的な排出削減ができると考えます。ただ、我々が求めるレベルまでこれでやるということは難しいと思います。全米規模あるいは全経済規模でのキャップをこれで進めていくことが必要ですし、議会の承認が必要になってくると思います。そして、コスト効果が一番高い形、そして一番速い形でやるには議会の承認というものが必要になってくると思います。ちょっとここでとめますね。
 それから、連邦政府と州のものについてですけれども、このキャップ・アンド・トレードについては、州がそれぞれの州のプログラムを続けることは、連邦プログラムが承認されれば、もうそれはできなくなります。州ができるのは、継続してイノベーティブな形、新しいツールをキャップ・アンド・トレード以上のものについては継続することを言ってきますので、州が望めばということです。
 ただ、州がこれまでの形のキャップ・アンド・トレードを続けることはできません。もし州が独自のプログラムがあって厳格だということになると、ほかの州の負担が軽減されてしまう、そうするとそのキャップを超えた部分での軽減が難しくなるということで、州としては追加的なことはできますが、そして追加的なセクターでキャップ対象となっていないものはできますけれども。
 それから20億トンというのはもちろんたくさんの量ですし大きな量です。我々のモデルでは、この20億というのはプログラムの期間中は難しいのではないかと思っています。多くの国際オフセットというのはプログラムの早いころに買われて、将来に向けてのバンキング、つまり価格抑制のメカニズムになっています。ですので、これで国際的なオフセットの条件をアメリカではそこに行くのかどうかわかりません。ただ、蓄積していくと、プログラムの期間中モデルによると累積の削減というのが国際オフセットから得られると考えています。
 それでは、その国際的なオフセットのプログラムはどういうものかということを答えます。
 これは、法案の中でというよりは、行政機関の方で定義をして、この法案が行政機関に対し権限を与え、オフセットを受け入れる、失礼、プログラムをほかの国とまとめて、そこのオフセットを受け入れるということです。
 例えば、国際機関、国連などと協力して、そしてまた行政機関はそこでのルールということを作らなければいけないし、そのオフセットはアメリカが受け入れるかどうか決めなければいけません。ただ、これを使うことによってほかの国と協力をして国際的なオフセットプログラムを作ることができます。それもハーモナイズされた形でできるし、そして実施ということでは、これは非常に意味があると思います。特にこのモニターあるいは検証するということで、ほかの国との協力というのは非常に大事だと思います。MRVの観点から非常に大事です。
 業界はこれを支持している、なぜかという質問につきましては、業界では意見が分かれていると思います。一部の業界は支持しているし、一部はあまり支持していません。企業の中で支持しているというところを挙げますと、アメリカン・エレクトリック・パワー、デューク・エナジーなどの大規模な排出企業、キャタピラー、アルコアなどの製造業の大手、そのほかもこの法案を支持しています。
 これはなぜかというと、確実性が欲しいという気持ちが企業側にあります。また、一部の業界のコンセンサスとして、アメリカの気候変動あるいは排出削減についての法案がどうせ出るのだから、どうせ出るなら早目に出てほしい、そうすればルールも明確になるし、そのルールに従って動くことができるという思惑があります。特に石炭関連会社については、今、新しい石炭のプラント、発電所を作るについては新しい投資をしなければいけません。ただ、それが確実性がないと難しくなります。どういうふうに今後なるのかということを早目に知りたいという気持ちがあります。

○大塚委員長代理 どうもありがとうございました。
 では、ほかの質問をお願いします。
 まず、増井委員からお願いします。

○増井委員 プレゼンどうもありがとうございました。
 私は、8枚目のスライドから二、三質問なのですけれども、こういうグラフが出てきたときに、対応する各産業界からどういう意見が出されたのか、特徴的な意見があれば教えていただきたいなと思います。
 特に、例えばトレード・インテンシティーが高くて、エナジー・インテンシティーの低い産業から不平とか何か出なかったのかということと、ちょっと確認なのですけれども、41番の部門というのはこの太線のところから外れているんですけれども、これはいわゆる対象内ということなのか、その2点よろしくお願いいたします。

○大塚委員長代理 冨田委員、お願いします。

○冨田委員 ありがとうございます。
 私は1点です。
 先ほどEUの方から国際リンクの話がありましたけれども、米国としてEU ETSとのリンクについてどう考えていらっしゃるのか、理由を含めて教えてください。

○大塚委員長代理 ほかによろしいですか。
 ちょっと私も追加的に質問させていただきますが、2点ございまして、1つは、戦略的リザーブ、ストラテジック・リザーブの話が3ページに出ていますけれども、アメリカはEUに比べて費用緩和措置、コスト・コンテーメント・メカニズムについてかなり熱心でおられて、私自身がお気持ちはよくわかるつもりではいますが、これはEUに比べてどうしてアメリカでこの議論が盛んかというのを、一般的な話で恐縮ですが、教えていただきたいところがございます。最近だとリーマンショックの問題とか、昔だとカリフォルニアの停電の問題とか、いろいろあるのかもしれませんが、その点についてお伺いしたいというのが1点でございます。
 それから、もう一点ですけれども、マケイン・リーバーマン法案に関してですが、これはやっぱりAPAということになると思いますが、ほかの法案に比べて取引市場の参加に制限を設けていますけれども、こういう市場規制の度合いが前の法案よりより強くなっていると思いますが、市場規制を強化するということはETSの削減効果にプラスになると考えられているのかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。社会的費用とか行政費用とかということを考えたときに、市場規制を強化することは望ましいというふうに考えられているのかどうかについてお伺いしたいということです。
 以上でございます。
 ということで、たくさん質問がございまして恐縮ですが、よろしくお願いします。

○米国環境保護庁(トンコノジー氏) 大丈夫ですよ。そうしたら、どこから始めましょうか。
 バブルチャートの3ページでしたっけ、4……。ごめんなさい、これについてはあまり話せないのですが、8ページの図ですね。
 まず、このグラフを見ていただきたいのですが、閾値のところが5%ぐらいと15%になっていますね。これは貿易集約度が15%、エネルギー集約度が5%になっています。これによってほとんどの業界というものが捕捉できるのです、バブルチャートで。ほとんどのセクター、業界というのがこの中に入ってきます。41が何なのかちょっとわからないのですが、幾つかの業界、セクターで意図的に例えばエネルギーの集約度、それから貿易の集約度に含まれない業界というものがあると考えています。41番がそのうちの1つになると思うんですが、これがちょっと具体的に何なのかはわからないのですが、恐らく制度がうまく稼働するために少しユニークな特性があるような業界については意図的に外したということだと思います。ですので、主にこのエネルギー集約度が高い、若しくは貿易集約度が高いようなところというのがすべて入るような形でこの基準値、閾値というのを設定しています。
 ただ、ここで具体的にこの閾値から外れてもカバーされるところもあります。こちらのほうで国際的なリンケージを許すかどうか、ほかの国との間の話し合いになると思いますけれども、絶対的な数量ということではリンクはできないと思います。絶対的な量でのリンク、そしてまたモニタリングあるいは報告・検証が同じようなレベルで行われるかどうかということが問題になります。
 EUはもちろん典型的な例だと思いますし、今、徹底的な議論を行うことによって、なるべく早くこの連携ができるような形にしたいと思っています。このAPAというのがこれからどのような方向をとるのかわからないのですけれども、なるべくほかの市場とのリンクという連結するものを行いたいと思います。
 それから、戦略的なリザーブということに関してなのですけれども、価格の変動性若しくは価格の削減率ということを考えて我々は戦略的なリザーブを行っています。ビッキーさんの方だったと思うんですが、この話についてやりましたね。コスト抑制のためのメカニズムというのがこの国際的なオフセットの中に内蔵されているという話があったと思うんですけれども、この戦略的なリザーブに関しても、このようなアメリカン・パワー・アクトの中でその価格の幅というものを設定して、市場における価格のボラティリティー、変動性というものをなるべく抑えるということを指向しています。もちろん、これが正しいかどうかというのはここではお答えできないのですけれども、これが現実だということです。まさにこの価格幅というのはそのために設定されているということです。恐らくこれに関して幾つか異なる懸念とか質問というのが出てきていることも事実なのですけれども、例えばウォール・ストリートの経済的な混迷ということが過去数年間に起きてきたわけですけれども、こういったものが与える影響ですとか、またそこから起因する、社会全般、世論からの懐疑主義といったものもまだ依然として残っています。
 ですので、新しい市場というのがこれからウォール・ストリートの方でも作られていくことになると思うんですが、恐らくこの投資銀行に携わるような人たちには、非常に政治的に議論が高まっているものとして注視をしているようです。恐らく、このような市場参加に対する制約が高いといったような、そういったような疑念、懸念があるというのが背景にあるというふうに思うんです。APAというのは、アメリカン・クリーン・エネルギー法案などに比べて非常に参加が厳しくなってきますけれども、それはそのような例だということがあると思います。
 それから、マコウスキー議員の決議案に関しての質問もありましたけれども、先週、議会の方では通過しなかったわけですけれども、アラスカの下院議員のリサ・マコウスキーという人が提出したのでこのような名前になっているのですが、先週これは実際に否決されてしまったということで、これに関しては行政府の方も非常に反対したというような経緯がありました。
 EPAの方で科学的な根拠に基づいてたくさんのデータを出してきたわけなのですけれども、これに反するような形での内容がこの法案の方には記載されていたということです。なので、大気浄化法にも非常に反するような内容になっていましたし、これからアメリカにおいてその大気の浄化若しくは自然保護という観点からも現在の状況に逆行するようなものでしたので、なぜこれが否決されてしまったのか明確なところはわからないんですけれども、私たちとしては非常にうれしく思っています。
 さらに、大気浄化法は、これからコミノロジーの科学ですとか、新たなデータが出てくることによって、よりよい施策ということが求められるといいなと考えています。

○大塚委員長代理 どうもありがとうございました。

○明日香委員 すみません。41番、ちょっとわかったんですけれども、プライマリー・スメルティングとリファイニング・オブ・カッパー、だから銅の精錬と鋳練みたいなものだと思います。

○大塚委員長代理 そうですか。どうもありがとうございます。
 では、若干時間が超過してしまいました。
 最後に、事務局から連絡事項等ございましたらお願いします。

○戸田市場メカニズム室長 ありがとうございました。お忙しい中、貴重なご意見をいただきまして感謝申し上げます。
 次回の日程ですが、6月25日を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。個別論点の議論に入っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○大塚委員長代理 では、以上で本日の議事を終了したいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。

午後4時04分 閉会

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