中央環境審議会地球環境部会「国内制度小委員会」第11回会合議事録

日時

平成13年11月15日(木)10:00~12:00

場所

東條インペリアルパレス 2F 千鳥の間

出席者

(委員長)安原 正
(委員)青木 保之
天野 明弘
梶原 康二
猿田 勝美
塩田 澄夫
桝本 晃章
萬谷 興亞
村上 忠行
横山 裕道
  浅野 直人
  大塚 直
  小林 悦夫
  佐和 隆光
  福川 伸次
  松川 隆志
  宮本 一
  甕 滋
  飯田 哲也(オブザーバー)
(事務局)炭谷地球環境局長
小島大臣大臣官房審議官
山田大臣大臣官房審議官
竹本地球環境審議官補佐官
竹内地球温暖化対策課課長
石飛地球温暖化対策課調整官
鈴木環境保全対策課長
高橋温暖化国際対策推進室長
木村研究調査室長
角倉地球温暖化対策課課長補佐

議題

(1)COP7の結果等について
(2)京都議定書目標達成のための国内制度について
(3)その他

配布資料

資料1-1気候変動枠組条約第7回締約国会議(COP7)の概要と評価
資料1-2京都議定書発効に向けた国際的動き
(参考1)京都議定書の締結状況
(参考2)附属書・国の1990年の二酸化炭素排出割合
(参考3)途上国参加問題及び米国への働きかけについて
資料1-3京都議定書の締結に向けての今後の取組について(地球温暖化対策推進本部決定)
資料2-1京都議定書目標達成のための国内制度の基本的な考え方
資料2-2温室効果ガス排出量の把握・公表に関する仕組み(案)
資料2-3第三者による評価に関する仕組み(案)
資料2-4工場・事業場の温暖化対策の現状と施策のオプション
資料2-5吸収源対策合同検討委員会における検討状況について
参考資料1COP7合意の概要
参考資料2各国の温暖化対策の国内制度
参考資料3環境報告書に盛り込まれた温暖化関係の取組事例
参考資料4GHGプロトコル
参考資料5EUの環境管理監査制度(EMAS)
参考資料6地球温暖化防止のための技術

議事

午前10時01分開会

○安原委員長 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会「国内制度小委員会」第11回会合を開催したいと思います。
 委員の皆様には大変ご多忙のところご出席をいただきましてありがとうございました。 議事に入ります前に、まず萬谷委員が新しく委員になられましたのでご紹介申し上げます。

○萬谷委員 萬谷です。よろしくお願い申し上げます。

○安原委員長 まず初めに、本日の資料の確認を事務局からお願いいたします。

○事務局 申し上げます。資料1-1、COP7の概要と評価。資料1-2、京都議定書発効に向けた国際的動き。資料1-3、京都議定書の締結に向けての今後の取組について。資料2-1、京都議定書目標達成のための国内制度の基本的な考え方。資料2-2、温室効果ガス排出量の把握・公表に関する仕組み(案)。資料2-3、第三者による評価に関する仕組み(案)。資料2-4、工場・事業場の温暖化対策の現状と施策のオプション。資料2-5、吸収源対策合同検討委員会における検討状況について。
 以下参考資料でございまして、参考資料1、COP7合意の概要。参考資料2、各国の温暖化対策の国内制度。参考資料3、環境報告書に盛り込まれた温暖化関係の取組事例。参考資料4、温室効果ガスプロトコル。参考資料5、EUの環境管理監査制度。参考資料6、地球温暖化防止のための技術となっております。
 なお、委員の方はお手元にお配りさせていただきました出席確認票を席上にお残しいただくか、近日中に事務局あてにファクスをいただきますようよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。資料に不足がございましたら事務局に申し出ていただきたいと思います。
 本日は、議事次第にございますようにCOP7の結果報告と京都議定書目標達成のための国内制度につきましてご審議をいただく予定でございます。時間は約2時間、12時までの審議を予定しておりますのでよろしくご協力願います。
 では、まず事務局よりCOP7の結果に関係する資料につきましてご説明をいただきたいと思います。

○高橋室長 それでは、資料1-1と1-2に基づきましてCOP7の結果とそれに関連します国際的な動向につきましてご報告をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1-1をごらんいただきたいと思いますけれども、10月29日から11月10日までモロッコのマラケシュにおきましてCOP7が開催されたわけでございます。今回はモロッコの環境大臣の議長のもとに、前半事務レベルの交渉を行いまして、後半7日から9日、実際には10日の早朝までずれ込みましたけれども、閣僚レベルのセッションが行われました。
 今回は、7月のボンで開催されましたCOP6再開会合において京都議定書の中核的要素に関する基本的合意、いわゆるボン合意というものがなされたわけでございますけれども、それに基づきまして具体的な決定文書、法文書を採択するという作業が行われたわけでございます。今回合意がなされたということで、京都議定書の実施に関するルールが決まり、これによりまして先進国が今後京都議定書批准をする準備を進めるのに必要なルールが決まったということが言えるかと思います。
 具体的な合意内容につきましては、詳細は参考資料1「マラケシュ合意(概要)」というものをつけてございますので後ほどご参照いただきたいと思いますけれども、時間の関係でこの資料1-1に基づきまして簡単にポイントだけご紹介をしたいと思います。 COP7におきましては、先ほど申しましたように7月のCOP6再開会合での合意を踏まえて交渉が行われたわけでございますけれども、途上国支援の課題につきましてはCOP6再開会合で基本的に具体的な決定案まで合意がされておりましたので今回はそれをそのまま採択をしたということで、具体的には途上国支援のための3つの基金、これは途上国における気候変動対策、あるいはアダプテーション、適応対策に対する支援を行うための基金でございますけれども、そういうものが正式に合意をされたということでございます。
 それから吸収源につきましては、各国の森林管理等による吸収量の上限値というものがずっと交渉されてきているわけでございますけれども、今回我が国については所要の吸収量 3.7%を可能とする上限値が正式に確定をしたということでございますし、前回ボンの会合で問題になっておりましたロシアの吸収量をどうするかという問題につきましても33メガトンという形でロシアについても吸収量が合意されたということでございます。
それから、今回非常に大きな課題でございました京都メカニズムについてのルールでございますけれども、結果的には京都メカニズムの柔軟かつ幅広い利用が可能となるような制約の少ないルールが合意されたのではないかというふうに考えてございます。具体的にはいろいろ議論がございましたけれども、特に議論がなされましたのは、いわゆる京都メカニズムへの参加資格という問題がございました。一定の要件を満たした国でないと京都メカニズムを利用できないということが決められているわけでございますけれども、その中で特に遵守制度を受け入れるということを京都メカニズムの資格にするかどうか、あるいは吸収源についてのインベントリの内容、質についての審査をクリアするというようなことが参加資格として必要かどうか、そういうようなことが議論になりました。これにつきましては、将来京都メカニズムの参加というものが不安定にならないように、不確定になるような要因は含めないような形で合意をするということで私どもも交渉に臨みまして、そこについては問題ない形で決着をしました。具体的には、今回遵守制度についても決定案が合意されましたから、当然日本としてもそれは守っていくわけでございますけれども、遵守制度の受け入れそのものを参加資格とするということについては将来遵守制度についてまた議定書の改正等いろいろな変更が行われる可能性もございますので、そういうものまでも含めた形で参加資格とすることは適切でないということでそこは含めない形で合意がなされたということでございます。
 また、吸収源についてはまだインベントリの具体的な質についてのガイドラインができていない状況でございますけれども、吸収源についてはインベントリを提出するということで参加資格が得られるような形で決着をしたということでございます。
 それから、もう一つ大きな問題はいわゆるファンジビリティーという問題がございました。CDMとか共同実施によって得られたクレジットについて自由に取引ができるかどうかという問題がずっとございまして、一部の途上国にはCDMで得られたクレジットは先進国が自分の目標達成のみに使うべきであって、それを転売することは許されるべきではないというような議論もございますけれども、これについては京都メカニズム、市場メカニズムの活用という観点からはそういう制約がない方が望ましいわけでございますので、そういうスタンスで交渉に臨みましたけれども、結果的には京都メカニズムで得られたクレジットについては、その取引については制約のない形で合意ができたということでございます。一部バンキングにつきましてはCDMとJIから得られたクレジットについては割当量の 2.5%以内という形で上限がついたということはございました。
それからもう一つ遵守の問題がございまして、これはボンの会合で一番議論になったものでございますけれども、今回遵守の規定につきましては不遵守の場合の具体的な措置の内容につきましてはテキストが合意をされております。京都議定書の数値目標自体は当然法的拘束力があるわけでございますけれども、不遵守の場合の措置そのものに法的拘束力を持たせるべきかどうかということが議論になっていたわけでございますけれども、これはボン合意で合意されたとおり遵守規定そのものの法的拘束力の有無につきましては、将来京都議定書が発効した後開かれる最初の締約国会議でありますCOP/moP1の場で決定をするという形で先送りをするということが合意をされたということでございます。
 それから、京都議定書の運用ルールそのものとは直接関係ございませんけれども、今回少し議論がございましたのは途上国の参加問題でございますけれども、これにつきましてはこれまでずっと議論が先送りになってきておりまして、日本としてはアンブレラグループあるいはEUとも協調をしながら、今回のCOP7は当然京都メカニズムのルールの合意が目的でございますけれども、今後COP8以降、途上国参加問題についても議論を開始をする必要があるんではないかということで、今後の途上国参加問題についての議論の進め方について何らかの合意がなされないかということでいろいろと協議を試みたわけでございますけれども、この問題については途上国の反対が強くて結果的には協議は整わず、COP8以降に先送りになったということでございます。
 以上、ごく簡単でございますけれども、COP7における結果でございまして、冒頭に申しましたように今回の合意によって京都議定書の批准が促進をされることが期待されるわけでございます。
 もう一つの資料1-2に基づきまして、関連する国際的な動きにつきまして若干ご紹介をさせていただきたいと思います。
 京都議定書の発効の要件はここにございますように、55カ国以上の国が締結するということと、それから附属書I国の締結した国の排出量の合計が附属書I国全体の合計の排出量の55%以上ということでございます。
 ここにございますようにEUにつきましては既に10月下旬にEUとして来年の6月14日までに京都議定書を締結すべきであるという理事会決定案を既に提案をしてございまして、正式な批准の準備に入っているということでございます。
 また、カナダにつきましては7月のボン会合の際にステートメントがなされておりまして、カナダの場合も州政府との調整が当然必要になってきますけれども、そういうものを前提としながら政府としては来年2002年に批准をするという意思を表明をしております。ニュージーランドも既に批准の意思を表明していますし、ロシアについては今回のCOP7の最後のセッションで今回の合意はロシアを含めた各国の批准の道を開いたという前向きなステートメントも行っております。オーストラリアについては、若干従来よりアメリカ抜きの批准については消極的な発言が時々見られておりまして、今回の選挙の結果、保守党が勝ちましたのでその辺の考え方というものが引き続き残るんではないかということのようです。ただ、オーストラリアは今回のマラケシュの会議においては非常に積極的に交渉自体には参加をしておりました。
 あと資料1-2の最後でございますけれども、途上国参加問題、それからアメリカへの働きかけということでございますけれども、当然今回のマラケシュの合意を踏まえて京都議定書の発効に向けた動きが加速されるわけですが、残された問題としては途上国の参加の問題、それからアメリカが不参加であるという問題があるわけでございます。
 途上国参加問題につきまして、先ほど簡単に触れましたように今回何らかのきっかけをつくろうということで先進国側はいろいろと試みたわけですけれども、合意が得られなかったということで具体的な議論については先送りということでございますけれども、ここにございますように直接途上国問題ということで合意されたわけでございませんけれども、関連し得るものとしてIPCCの第三次報告書が先般出たわけでございますが、その内容を分析、検討するようなワークショップをSB16、来年6月に予定されています補助機関会合の前に開くということが決められました。このワークショップの中で地球規模の温暖化対策の必要性というものが検討される可能性がございますので、その中で途上国の問題についても議論が行われるということが期待をされるんではないかというふうに考えております。
 また、アメリカにつきましては、委員の先生方ご案内のとおり、アメリカが参加した形で実効性ある温暖化対策を実施するということが非常に重要でございますので、我が国としても精力的に働きかけを行ってきたわけでございますけれども、7月には首脳会談を踏まえた日米ハイレベル協議ということで川口大臣と先方の閣僚級との協議が開始されておりますし、それを受けた事務レベルの協議ということで途上国問題とか科学技術、調査研究の問題でありますとか、あるいは市場メカニズムの活用というような観点での事務レベルの協議も行われておりますし、今般COP7の直前に川口大臣がマラケシュに行く途中で再度訪米をいたして先方との今後の協力の進め方等について意見交換を行っております。残念ながら、現時点でアメリカは引き続き京都議定書については反対という立場でございますけれども、マラケシュ合意以降も引き続き精力的にアメリカに対しての働きかけ、あるいは意見交換というものを続けていきたいというふうに考えてございます。
 一応以上で、簡単でございますけれども、報告とさせていただきたいと思います。

○安原委員長 高橋室長、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対しましてご質問等がございましたらどうぞご発言願います。
 では、横山委員。

○横山委員 私も個人的には最終合意に達して大変よかったなと思っております。それで2001年11月10日というのは非常に記念すべき日になるんではないかと思います。しかし、今回とかボン会議なんかでの吸収量の扱いとか京都メカニズムを見ていると、本当に喜んでいいのかなというような感じがいたします。
 例えば森林吸収も 3.7%確保したということでこの文言なんかを見ても非常に喜んでいる様子がうかがえます。しかし、これまで森林吸収についてはやはりそんなに認めるべきではないんではないか。具体的に例えば 0.5%とかという数字が出ていて、当時の通産省が 3.7%という主張をしていたのに対して私の記憶では、環境省はそんなことが認められるはずがないんだと言っていたと思うんです。それが今 3.7%ということになって喜んでいるということ。
 それから、これによってロシアも大幅上積みされたと。それはロシアのホットエアーがもっともっと出てくると。ですから安く排出量をいろいろな国が買えるようになるんじゃないかという懸念もあると思います。
それから、京都メカニズムについても制限が何もない。何もないということではありませんけれども、柔軟かつ幅広い利用が可能になったということで、例えば大綱にも出てくる 1.8%削減に利用するということについても例えばもっともっとそれを増やしていこうとかそういうことになる懸念があるんではないかというような気がします。それで日本がこれだけ主張をして通ったというようなことで、今後途上国の参加を求めていくに当たっても大変なマイナス要因になるんではないかというふうに思います。京都メカニズムについては議定書でも補完的なものとするということがあるわけですけれども、その辺を今後どうやって担保していくのか、その辺のところを聞かせていただきたいと思います。

○安原委員長 それでは、局長からお願いいたします。

○炭谷局長 ただいまのご質問の件ですけれども、京都メカニズムについてはむしろ市場メカニズムを使ったいわば効率的に地球温暖化対策を行うという一つの手法として大変有益なものであろうというふうに私どもはまず認識しております。そのためにも使いやすい、自由度の高いものにしていかなければいけないということを基本にして今回の交渉に臨み、それが達成されたんじゃないかなというふうに思います。また、今後アメリカの参加を求めていく場合に当たっても、このことがきいてくるんではないのかなというふうに考えているわけでございます。
 ただ、京都メカニズムは運用ルールでも明確にされておりますように補足的なものでございます。ですから、原則として国内対策を主力にして達成するという主目的を私どもはやはり掲げていかなければいけないと思っております。これは後ほどきょうのメインの議題でございます国内対策で私ども目標を達成していくということを基本にして進めるというふうな基本方針は持っているわけでございます。
 それから、シンクの問題についていろいろと議論があるのはご案内のとおりでございます。ただ、これは一つの国際的なルールとして決まり、また実際に森林がCO2 を固定化するということも科学的な一つの事実でございます。これを十分活用する。また、放っておいても今度決まりました 3.7%が達成できるものではございません。これは林野庁初め関係省の連携のもとに適切な森林管理をやって初めて達成できるものでございますので、これを達成すると。いわば上限でございます。これを十分活用できるよう森林管理に努力をしていくということになろうかと思っております。

○安原委員長 それでは、ほかにご発言はございませんか。
 浅野委員、どうぞ。

○浅野委員 参考資料1の4ページの遵守のところで、唯一ペナルティーらしい合意ができているわけですが、第17条に基づく排出枠の移転停止という今回の合意ですね。これは二様にとれるんですね。ちょっと原文を読んでいないので不勉強で申しわけないんですが、移転資格がなくなるという、つまり「回復」と書いてあるわけですから当然なくなると考えて一時的に凍結されるということなのか、それとも移転の効果が法的には停止期間中は生じないということであって、例えば民間が勝手に買ってくるというようなことについてそれ自体の効力まで否定するという趣旨ではない。しかし、国としての移転はその分についてはカウントが止まってしまうという趣旨なのか。そもそも全面的にこれは停止期間中はだめという趣旨なのかどっちなんでしょうか。この停止という4ページの4の(3)の不遵守の結果というところの意味をもう少し詳細に説明いただけますでしょうか。

○安原委員長 高橋室長からご説明いただけますか。

○高橋室長 条文上はどういう書き方になっているかといいますと、京都議定書の第17条に基づくトランスファー、移転の資格をサスペンドするということになっておりますので、基本的に移転そのものが不遵守、当然目標達成していないわけですからそれ以上その国の枠は売れなくなるという理解であると思います。

○安原委員長 浅野委員、よろしゅうございますか。

○浅野委員 まあいいです。後でまた。

○安原委員長 福川委員、どうぞ。

○福川委員 大変苦労されて合意にこぎつけられたご努力には敬意を表したいと思っております。
 一、二ちょっとお伺いをしたいんですが、資料1-3というところで本部決定、今後の取り組みについてという資料が配られておりまして、その中で温暖化対策大綱を見直すという表現がございますが、これは・との関連のいろいろな準備作業とあわせてどういうスケジュールというか段取りでお進めになるお考えか教えていただきたいというのが1つであります。
 それから2つ目は、先ほどご報告のあった3つの基金が設立合意されたということですが、この基金の運用というのがどういうことになるのか、どのくらい資金ができてどういう運用になっていくのか、それでこれが果たして開発途上国の国際ルールにできるだけ参加していくという方向に持っていくということでしょうが、どういう形で発展途上国がこれに合意をしていくということに運用がなっていくのか基金の運用の問題を教えていただきたいというのが2番目であります。
 それから3番目がアメリカですが、今までこういう努力をされたというお話があって、これは大変ご尽力されたことは多といたしているところでございますが、これからアメリカに対してどういうふうに引っ張り込んでいくのか。もちろん今の2010年前後までの目標の間でそれが実現できることが一番望ましいわけですが、今後対米折衝というのはどういうご方針でやっていかれるのか、その3点を教えていただきたいと思います。

○安原委員長 第1点の資料1-3の方は次の説明のときに一括して説明させていただくことにいたします。
 それから、3つの基金の運用と米国への働きかけの問題につきまして、事務局からお願いいたします。

○高橋室長 3つの基金でございますけれども、運用につきましては基本的に新たな組織をつくるということではなくて、GEF、地球環境ファシリティが実際の運用を行うと。それに対してCOP、条約の締約国会議がいろいろと注文をつけていくという形で運用がされるというふうに理解をしてございます。
 途上国参加問題との関連につきましては、もちろん直接そういうことがここで扱われるわけでございませんけれども、当然途上国の自主的な取り組みというものをこういう基金を通じて支援することによって将来途上国の参加という議論が円滑に進むような雰囲気をつくっていくということ。ですから途上国の自主性といいますか、ホスト国の積極的なイニシアチブというものがこの基金の運用において確保されるということが非常に重要ではないかと。先進国がただ援助を押しつけるということではなくて、途上国自身が持続可能な開発政策というものと気候変動政策というものを十分インテグレートしていくことによって途上国の自主性、主体性というものを発揮していくことが非常に重要ではないかという議論がずっとこの途上国の支援という観点ではなされていたというふうに理解しております。
 それから、アメリカ政府内で閣僚レベルの政策レビューというのがずっと行われてきているわけですが、ご案内のとおり特に9月11日のテロ事件以来それが実質上進まなくなっているということもございまして、現時点でアメリカが具体的にどういう政策を温暖化対策を打ち出していくのかというところがなかなか見えてこないということもございまして、今後どういう戦略でアメリカと協議をしていくのがいいのかという明確なストーリーというのが描きにくいということがございますけれども、まずは私どもとしては日米ハイレベル協議を開始し、その後、事務レベル協議ということでお互いの関心のある事項、具体的には先ほど申しましたように科学技術でありますとか市場メカニズムの活用とか、それから途上国の支援や途上国の参加問題、こういうお互いの共通事項についていろいろと情報交換をしていこう、協力を進めていこうということは合意ができておりますので、そういう共通関心事項についてのいろいろな対応を進めながら少し息の長い協議というものを続けていかなければいけないんじゃないかというふうに考えております。

○安原委員長 どうぞ、福川委員。

○福川委員 ただいまの点ですけれども、これはむしろ参考までにちょっと申し上げておきたいと思うのは、発展途上国も実はいろいろたくさんあるわけですけれども、やはり一番日本として経済的にも交流の度合いが強いのは中国ということでありましょうし、インドもこれからの温暖化問題にずっと重要になります。これはもちろんこういったマルチの資金運用と同時に、日本も環境ODAなどを使っているわけですが、一つの焦点を例えば中国とかインドとかある程度戦略的に、大体そうすればあとそういう国が合意すれば発展途上国もついてきそうだというところにぜひ戦略的に基金の運用にも働きかけ、場合の運用でもしていくということで、やはり焦点はある程度絞って発展途上国の世論形成ができるような外交努力を展開をしていただきたいというのが一つのお願いであります。
 それから、2番目のアメリカの点でございますが、なかなかきっかけがつかみにくいということがあるように思いますが、これはもちろん政府ベースでも働きかけるでしょうが、いろいろな形で民間の技術開発協力のような形の仕組みもあったり動きもあります。それを活用するとか、あるいは今度WTOで交渉、ニューラウンドが始まるように合意がされたわけですが、その中にももちろん環境と貿易のルールの問題が取り上げられるわけでありましょうから、例えばそういうところには多分アメリカも入ってくるんでしょうから、そういうところのきっかけをつかむとかいろいろな全体の動きを幅広く目配りをしていただいて、つかまえられるチャンスをぜひつかまえてアメリカを引っ張り込んでいくんだというようなことでやっていただければと思います。これは私の希望でございます。

○安原委員長 ご意見ありがとうございました。それでは審議官、どうぞ。

○山田審議官 大変ありがとうございます。2点ほど。
 途上国に関しましては、ご指摘のように非常に数も 130と多いわけですので、少し場合分けをしてアプローチしていこうかと思っております。これはこれからの課題でございますが、例えば中国は既にEUよりも大きく、インドが大体日本と同じぐらいの排出量でございますので、そこにすぐいければいいんですが、なかなかそういっておりませんので、まずOECD加盟国で義務を負っていない韓国とメキシコが一つアプローチの対象になろうということで、メキシコはご承知のようにNAFTAのメンバーでして、カナダは議定書とNAFTA双方のメンバーでもございますので、その影響力を利用できれば、一番アプローチがしやすいかと。メキシコ自身も今度フォックス政権になりまして、少し見通しがわかりませんけれども、少なくとも前政権は非常に前向きであったと。ただ、韓国につきましては公式には第3約束期間からの加入と言っておりまして、現在経済成長率が七、八%のところCO2 が16%ぐらいの伸びということでして、サチレートするのが2020年と言っておりますので、理解を得ていくことが非常に難しいんですが、一つのアプローチ候補。それから日本とシンガポールの間ではご承知のようなアレンジメントができましたのでASEANの中の優等生のシンガポールあたりが一つの候補かなと。こういうことで何か取っかかりをつくって、それからご指摘のあったような大もとのところにアプローチしていくのかなと、こんなふうに思っております。
 それから、米国につきましてはとりあえず現在パラレルな形でいろいろな努力をアメリカもすると言っておりますので、実効性を担保するようにというようなことは非常に考えていかなくてはいけないと思っております。
 それから、メカニズムの件に関して、非常に多くの多国籍企業を展開しておりますので、そういった形で何かコンシステントな制度をつくっていくということが足がかりになるのではないかと、このように思っております。

○安原委員長 ありがとうございました。それでは大塚委員、お願いします。

○大塚委員 質問ですが、先ほど浅野委員が聞かれたところに関して別の観点からちょっとお伺いしたいのですけれども、4ページの(3)の第17条に基づく排出枠の移転の停止という不遵守の結果の点でございます。
 今回どういう議論がなされたかということについて必ずしもよくわかっておりませんので基本的なことかもしれませんで恐縮ですが、遵守制度の設定につきましては京都議定書の改正が必要だと読めるような条文が既に入っていたと思うんですけれども、その点については今回どういうご議論があったのでしょうか。
 そして、2ページの(2)のところで先ほどご説明いただきましたように遵守制度の受け入れが京都メカニズムの利用についての条件ではないということにはなったわけですけれども、遵守制度を受け入れたり受け入れなかったりするということが各国で可能だというようなご趣旨なんでしょうか。ちょっとこの辺を教えていただきたいんですけれども。○安原委員長 審議官、どうぞ。

○山田審議官 後者の点は各国で受け入れ可能ということで、俗にダブルバレルアプローチと言っておりまして、コンセクエンスに対してリーガルバインディングになりたいという国はそっちに手を挙げるし、そうでなくてポリティカルバインディングでいきたいという国はそっちに手を挙げると。これはそういう両方の制度がなり立ち得るような仕組みを最後につくったということでございます。
 それから改正につきましては、リーガルバインディングにするためには京都議定書第18条の第2文の方でこれは京都議定書改正が必要だと明記してございますので、リーガルバインディングコンセクエンスにするためには条約改正が必要です。
 それでさきに述べたような2つの制度の併存のために、議定書を改正しないでCOP決定でポリティカルバインディングを残すということを最後に合意したと、こういうことでございます。

○安原委員長 ありがとうございました。それではまだいろいろご発言があろうかと思いますが、時間の制約もございますので、次の議題に移りたいと思います。
 次は、COP7の結果を受けました今後の国内制度についてでございます。
 資料1-3、資料2につきまして事務局からご説明を願います。

○竹内課長 まず、資料1-3でございます。
 COP7の合意を受けまして、早速政府の方では今週月曜日、12日でございますが、地球温暖化対策推進本部を開催いたしました。そこで京都議定書の締結に向けての今後の取り組みについて決定がなされました。
 まずその内容でございますが、今回の合意を受けて我が国として京都議定書の2002年締結に向けた準備を本格的に開始することとし、以下の作業を精力的に進めるということで、まず京都議定書の目標を達成するため現行の地球温暖化対策推進大綱を見直す。それから2番目に、次期通常国会に向けて京都議定書締結の承認、それから京都議定書の締結に必要な国内制度の整備・構築、これらのための準備を本格化するということでございます。・の大綱の見直しのスケジュールでございますが、通常国会におきます議定書締結の国会承認、それから国内制度の審議に十分間に合うようなタイミングでこの大綱を見直し、新しいものを本部で策定していくというようなことをスケジュール的には考えております。
 2番目に、京都議定書の目標達成には国民一人一人のライフスタイルの変革あるいは技術革新を通じた経済社会活動の変革が不可欠だということで、政府、国民各層が一丸となって取り組む必要があり、国民一人一人の理解と行動が求められる。それからまた、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、経済界の創意工夫を生かし、我が国の経済活性化にもつながる環境と経済の両立に資するような国内制度の整備・構築を目指す。
 それから3番目に、すべての国が温室効果ガスの削減に努めることが必須である。すべての国が一つのルールのもとで行動することを目標に、米国の建設的な対応を引き続き求める。それから、途上国を含めた国際的ルールが構築されるよう最大限の努力を傾けていくという内容が決定されたわけでございます。

○小島審議官 資料2-1についてご説明をいたします。お手元のカラーコピーの資料でございます。
 温暖化対策推進本部の決定ということも受けまして、どういうふうな段取りで国内制度をつくっていくか、こういうことの一つの考え方でございます。
 既に温暖化対策推進本部の決定で、タイミングとしては次期通常国会に向けて批准の準備を始める、こういうことでございます。国会のルールとして、予算関連法案は来年2月、予算費関連は来年3月ということでございますから、スケジュール的には2月ないし3月を念頭に置いて作業を進める。推進本部の決定にありますように、1つは京都議定書締結の承認。これは今回まとまりました法的文書議定書、これを日本語に訳し、法制局とも協議をし、それを外務委員会に提出、ご審議をいただく、こういうことになります。そのタイミングは、同時に京都議定書の締結に必要な国内制度の整備・構築、これは国内制度でございますから、環境委員会を初めとした関連の委員会にご審議をいただくことになると思いますが、この両者がそろった段階で与党の審議、それから閣議決定を経て国会に提出をすると。そういう来年の2月、3月にかけての作業ということになります。
 当然、大綱はその前ということでございますから、念頭に置いておりますのは1月中、2月にずれ込む可能性はありますが、閣議決定を経て国会に法案ないし議定書を提出する前にはこの作業を終えておく必要があるというふうに考えております。
 そういうことでこの表に戻りますけれども、2002年の通常国会に議定書及びその国内制度のご審議を国会にしていただく、こういうことを考えるわけですが、この京都議定書というのは通常の条約のご審議というものとは随分異なったものでございますので、それに対応した整理をしていかなければいけないと考えております。それは京都議定書の義務の期間というのは議定書が発効したらすぐ義務が生じるわけではない。その義務は2008年から2012年の第1約束期間に義務が発生をする、こういうことであります。この義務期間に日本が基準年に比べて6%削減を達成するということになります。したがいまして、2002年の国会でのご審議というのは、その6年後から始まる2008年から2012年の間の5年間について日本が京都議定書の義務を達成できるかどうかというご審議になるわけであります。
 その2008年までの間に6年間あります。この6年間の準備期間あるいは助走期間というものをどういうふうに使っていって2008年に到達し、この5年間の義務を果たす仕組みをつくっていくかということが課題となるわけであります。それで京都議定書を見て、それから国際的なスケジュールがどうなるかということがまず大前提にあるというふうに考えてみました。
 この6年間の前半と後半を分けておりますが、その節目は2005年であるというふうに考えてみました。その理由は、まず国内的には、京都議定書の第3条の2項にありますが、2005年までに約束の達成に当たり明らかな進捗の実現を見なければならないということになっております。ここで国内体制のレビューがあるということであります。それから、国際的には京都議定書同じく第3条の9項でありますけれども、先進国の第2約束期間の約束に関する国際交渉を第1約束期間の終了7年前までに開始をする。この7年前が2005年末ということになります。それまでには第2約束期間の交渉を開始をするということになっております。国内的な進捗、あるいは国際的な次の期間の交渉というのが2005年というのが一つの節目になっているということでございます。したがいまして、この6年という助走期間あるいは準備期間、第1ステップ2002年から2004年、それから第2ステップ2005年から2007年、こういうふうに2つに分けて2008年の義務期間、第1約束期間を準備をする、こういう考えでどうだろうか。
 例えばこういうことは別に日本だけではないだろうと思うのは、EUの今の排出量取引のやり方もそうですが、イギリスは来年から排出量取引やるようですけれども、EUの排出量取引制度というものを2005年からEU全体で行う。2008年の第1約束期間に排出量取引制度を確立をする。そういうふうに分けていることも、ここら辺をにらんでのことではないだろうかと思います。まず、全体をそういうふうにとらえてこの準備の6年間というものをどう使うかということが大切だというふうに思っています。
 次のページでございますけれども、「国内施策の検討に当たっての基本的な考え方」というチャートでございますが、まずグローバルな視点から申し上げますと、地球温暖化防止への挑戦は21世紀最大の課題の一つであるという基本認識であります。
 まず第1には、京都議定書がまとまる、これを発効させるということでございますので、その京都議定書の確実な実行というものを確保しなければならない。これが出発点であります。ただ、この京都議定書だけでグローバルな地球温暖化がとまるものではありません、防止が図れるものではない。第1約束期間だけでなく2013年以降も取り組むということが必要になります。そういう意味で、長期的な視野で対応することが必要であります。それから、京都議定書を発効をさせようというグループの努力だけで温暖化が止まるわけではなくて、アメリカや開発途上国を含むすべての国が温室効果ガスの削減に努めなければ温暖化は止まらないということでありますから、世界的規模での対応が必要である。そういう時間的な概念あるいは地理的な概念を念頭に置きますと、これは正面から温暖化対策というものを日本として受けとめて、地球温暖化対策の時代に対応できる社会経済の構造改革を図る、そういう日本にしていく必要があるということでございます。これはライフスタイルの変革でありますし、そういう長期的あるいは世界的な規模で対策は必須であるということから考えますと、温暖化対策の世界市場が成立をしていくということを前提に考えておく必要があるだろう。
 日本でございますけれども、今日本は安定をしているということではなくて、非常な変革の時期にあります。その変革というのをマイナスにとらえないでプラスにとらえていく、そういう変革の中に温暖化対策への挑戦ということを織り込んでいく必要があるだろう。その温暖化対応の社会経済構造の改革というものを世界に先駆けて実現をすることができれば、一つは日本国の国民というのが簡素で質の高いライフスタイルを確立をすることができる。と同時に、それが新しいビジネスチャンスとして世界への優位性の確保ということにつながっていく可能性がある。この2つを目指したいということで、具体的には京都議定書に定められた目標達成のための国内制度をまずつくることが必要でありますが、同時に第2約束期間以降を視野に入れた長期的な対応が必要になるということであります。
 3枚目に移りますけれども、このような長期的な対応も視野に入れた制度づくりというものをどういう考え方で進めていくかということでございますけれども、その基盤をまずつくっていく必要があると思います。それはもう民間では既にやられておりますが、プラン・ドゥ・チェック・アクションというマネジメントのシステムということを有効に機能させていく必要があるということであります。
 まずプランの段階でありますけれども、温室効果ガス削減のための国・地方公共団体の計画の策定ということであります。現在、大綱の見直しを行っておりますが、現時点においては大綱がプランというものに該当するということであります。これを今見直しをしている。そのプランの点の基本的考え方でありますが、これは実効性の高い取り組みをしていかなければならない。実際に温室効果ガスを削減をする。逆に言うと温室効果ガスを出しているのは事業者であり国民であるということでございますから、その各主体が創意工夫を生かして温室効果ガスの効果が確実に見込める費用対効果の高い取り組みを進めるということが重要であります。国や自治体はそういう取り組みを予算、税、法律あるいは市場メカニズムの活用の仕組みづくり、こういうような施策で応援を促していくということが必要であります。
 その計画を立てたらそれを着実に実行をするということでありますが、ここまでは今まで国も非常に得意分野ではありますが、問題はその後のチェック、それからアクションということで、マネジメントシステムを回していくことを確実に行うことであります。チェックの段階の基本的な考え方、正確性、透明性、客観性の確保ということであります。各主体が正確で科学的、客観的な情報の把握のもとにそれぞれが温暖化防止のためにできることに最大限取り組むということが重要です。それが各主体、透明性あるいは横を見て斜めを見て負担が公平かということではなくて前向きな形でお互いに励行し合うということが重要であります。そういうことがみんな一生懸命やっているということの社会の信頼性の確保につながっていくと思います。
 そういういわゆる情報が開示をされる、あるいは適切に評価をされるということが検証のベースになります。そういう意味で温室効果ガスの排出量の把握、あるいは国等の施策、各主体の取り組みの実施状況の評価ということが正確性、透明性、客観性を確保しながら行われるということが重要であります。
 その結果をもって政策を見直していくというプロセスに入りますが、対策の柔軟な見直しという基本的な考え方を実行していく必要があります。とかく国の場合に批判されるのは、5カ年計画あるいはそういう計画をつくると5年間何が何でもやるということになりがちでありますが、3年、3年の見直しの中で効果があるものはさらに強化し、効果がないものはそれを取りやめる勇気が必要だと思います。そういうような柔軟な政策の見直しということを実行していくことが見直しの基本だというふうに考えます。そういう国等の施策の改善・見直し、あるいは各主体の取り組みの改善・見直しということも通じまして新しいステップに移る。こういうサイクルが効果的に動いていけば柔軟で効果的な対応ができるのではないかというふうに考えます。
 それで4枚目の「今後の国内対策の導入ステップ」ということでございます。これまで審議会の中間取りまとめ等でいろいろなご議論をいただき、ご提言をいただいております。それをどういうふうに実行、実現していくか、あるいはどういうタイミングでそれを考えていくかということでございます。基本的には最初に申し上げました2008年から2012年の間、京都議定書の第1約束期間の日本の目標というものを達成する、これが重要なことでございますので、それを達成し得る仕組みというものを第1ステップ、第2ステップという時間を賢く使いながら実現していくことが必要だろうと思っております。
 まず、事業者の取り組みであります。これは事業場内における取り組み、運輸・民生の事業者も含むということで、トラックが日本全国を走っているということも一応事業場内における取り組みというふうに観念を考えて整理をしております。
 第1ステップ、2002年から2004年におきましては、現在の経団連自主行動計画を充実していただくということでどうか。これは産業とエネルギー部門につきまして、今横ばいということで非常にご努力をいただいております。高く評価をいたします。ただ、まだ政府との関係では大綱の目標であります数値と経団連自主行動計画の産業の目標というところに若干のお話し合いの余地が残っているということでございますので、引き続き産業部門にも努力をしていただかなければいけないということでありますが、民生部門、運輸部門、これも経団連に加入されている団体であります。日本百貨店協会と名指しをして、いやこれを一生懸命やれというわけではないんですが、イメージを出すために例えばということでありますが、そういう団体も入っております。運輸部門の団体も入っておられます。こういう民生・運輸部門の対策の強化ということを経団連の自主行動計画の中でお願いをしなければならないと思います。それから、経団連以外の中小企業の取り組みをどうするか。排出量は多くないとしても数が非常に多い、あるいは能力的に非常に苦しいというようなところにもそれに応じた対応をしていただかなければならない、こういう課題があります。
 その経団連の自主行動計画あるいは自主的な取り組みをしていただく上で、これが社会の信頼性を得ていくために透明性の確保、排出量把握・公表の仕組み、それから事業者の自主的取り組みの第三者の評価の仕組み、経団連のペーパーでもお考えいただいているようでありますが、この2つは不可欠ではないだろうかというふうに考えております。
 そこで、中環審の中間取りまとめでご提案いただいております政府との協定、実行計画制度の議論につきましては、第1ステップにおけるこのような取り組みの強化、それからそれが議定書にありますように2005年までの約束達成に当たり明らかな進捗が実現されているという議定書の第3条2項がありますが、そういう考えに従っての見直しということを踏まえて必要があるかどうか、どうしたらいいかという検討をしてはどうかということでございます。
 それから次の段でございますが、協働による民生・運輸の取り組みであります。民生・運輸の取り組みはなかなか難しい部分があります。主にこれまで国民の取り組みで言われておりましたのは、この表の例えば国民の取り組みの中の「製品等の利用」という欄を設けてありますが、物を使うという段階で小まめに消すとか、あるいはアイドリングストップという格好で動いていないときにはアイドリングを止めるとか、そういう使用段階のことが注目を集めておりました。これも必要ではありますけれども、供給側と需要側がうまくかみ合って減らしていくということも大きな柱ではないだろうか。例えば省エネルギーの製品を出していただく、建物も断熱の建物をつくっていただく、あるいはそういう技術を開発し供給をしていただく、あるいは電力原単位を下げるということについて国民の側でも今グリーン電力制度というのがありますが、それももっと一生懸命やるというような供給側と需要側のパートナーシップといいますか協働といいますか、そういうことを進めることによって大きく削減できる余地がある。この部分はかなり数字として見込めることになるのではないかというふうに思っております。
 もちろん運輸部門の場合はそうですが、国・自治体のインフラ整備ということも重要ですし、あるいは供給側の努力を促進するための技術開発ということも必要であります。国・自治体自身事業者の側面もありますので、そのような取り組みが必要であると思います。この点についてはいろいろな対策があります。これを第1ステップ、第2ステップにおいてどういうふうに振り分けていくかということについては、事細かな検討をする必要があると思います。吸収源についても先ほど説明をいたしましたが、何もしなくて 3.7ということになるわけではありません。人為による管理という事柄が一つの要件としてありますし、ほうっておけば山が荒れてしまうという現実もあります。この吸収源対応というのは日本の国土を守るという観点からも努力が必要な事柄であります。これをどういうふうにやっていくかということも今検討が必要だと思います。
次に、税と排出量取引であります。税につきましては前回も申し上げたと思いますが、来年度の通常国会における批准の必須の要件であるとは考えていないということでございます。そういうことでもう少し時間的な、しかしこの税というものは非常に効果があるということを考えておりますので、状況に応じながら検討を進めていく。今、中環審において別途検討をいただいておりますので、そういう検討の状況あるいは社会の状況、国民の理解の程度、税制全体の動きというものを見ながら検討をさらに続けていきたいと思っております。
 排出量取引につきまして、EUの流れもそうでありますが、まずその排出量取引というものはどういうふうなものか、どういうふうにやると機能するのかというトレーニングをしております。やはり排出量取引につきまして、まずトレーニングが必要ではないかと思って第1ステップにおきまして自主的な排出量取引というものをやはりやっていただく必要があるのではないか。そういう意味では、来年の通常国会においてキャップ・アンド・トレード方式の排出量取引の導入ということが必要であるとは考えていません。自主的な取引制度をまずトレーニングをするということが第1ステップとして必要なことではないだろうかと思います。しかし、第2ステップにおける2005年から2007年ということになりますと、EUにおける全体の制度が発足をいたします。さらに、2008年から2010年には、この義務期間における国際的な取引制度というものが動いてまいります。それと整合した国内制度というものはどういうものか、日本がどういう対応をとるかにかかわりなく排出量取引の国際市場はできていくということでございますので、その国際的な動向におくれをとることなく、あるいはむしろ日本が国際的なルールというものを引っ張っていけるような事柄にならないかな、なってほしいというふうに排出量取引の分野で考えているわけであります。
 それから京都メカニズムの活用につきましてはCDMレジストリ、これは2000年からのものが必要でございます。まずこれが必要であります。しかし、この活用をするためには日本一人で京都メカニズムが動くわけではなくて、相手国が必要になります。そういう相手国との協力関係を強化していくことが、京都メカニズムの日本にとっての活用の条件になっていきます。主にロシア、中国、そういうところが相手方として目されているところであります。そういうところとの協力強化、あるいは共同プロジェクト等の国際的な推進ということを第1ステップ、第2ステップというところを考えながら進めていく必要があると思います。
 第1ステップ、第2ステップという準備期間、助走期間の対策がうまくいけば2008年からの義務期間にスムーズに移行できるわけでありますが、これがうまくいかない、直前にやはり第1約束期間に入る前の見直しが必要であります。これがうまくいかないということであれば、やはり義務、目標を達成するために京都議定書の日本の目標を達成するための規制的な措置を含めて必要な措置を導入強化せざるを得ない状況になるということでございます。したがいまして、この第1ステップ、第2ステップという6年間の準備期間、助走期間における対応というものがこの最後の第1約束期間に入る前の見直し、2008年からの政策形成ということに大きな影響を及ぼしてくるということになります。
 時間という概念をどういうふうにうまく賢く活用して2008年から2012年までの日本の目標を達成するかというところに知恵の出しようがあるのではないかと考えてこういうペーパーをつくりました。これは一つは月曜日に整理をされました温暖化対策推進本部の決定に整合した一つの考え方ではないかというふうに思って提示をさせていただきました。
 以上です。

○竹内課長 引き続きまして、今ご提案させていただきました導入ステップの中で2点補足をしたいと思います。
 1つは、温室効果ガス排出量の把握・公表に関する仕組みでございます。資料2-2でございます。
 京都議定書の締結に伴いまして、温室効果ガス排出量をみずから把握する仕組みを導入したらどうかということでございます。それぞれ事業者・家庭部門ございます。まず、事業者におきます温室効果ガス排出量の把握・公表の仕組みでございますが、事業者自らが排出量を適切に把握・管理するとともに、情報を広く国民に提供し説明することによって国民とのコミュニケーションを深め、事業者の自主的な取り組みを促すという目的。
 それからさらに、温室効果ガスの個別排出源情報を把握して国の計画などの点検・評価、見直しにつなげていくという2つの目的があるんではないだろうかということでございます。
 これに関係いたします現状でございますが、現在、環境報告書といったものを作成し公表している企業が増えております。ただし、環境報告書の記載情報は各企業によって算定方法がばらばらであったり、相互に比較が困難なこともございます。それから、数でも大企業の中でも報告書を公表していない企業が多い。それから仕組みとして、事業者が排出量を把握・公表する仕組みというものが現状ではありません。
 そこで概要でございますが、まず国が6ガスの算定方法についての指針といったものを定めたらどうかと。次に一定規模以上の事業者、これには先ほどもございましたように民生・運輸関係も事業者として含むわけでございますが--は毎年自ら排出量を把握し公表する。国にも報告する。これは単位といたしまして事業者単位、あるいは企業単位といった単位での把握、公表・報告ということになろうかと思います。さらに、製造した製品の使用に伴って、世の中、社会、家庭などでどのくらい削減されるかといったことも含めて製品の使用段階での取り組み状況も把握したらどうかといったような概要でございます。これが事業者。
 それから裏でございますが、家庭における電力、ガスなどの使用に伴う温室効果ガス排出量の通知制度というものも設けたらどうかということでございますが、国民が自らの排出量を把握する仕組みということをつくることによって家庭などにおける取り組みを促進する、支援する。
 現状では、国、自治体などが家庭向けの環境家計簿を作成・普及しているところがございます。そこで、家庭における温室効果ガスの排出量の算定は進んでいるところは進んでいるわけですが、そんなにこれが普及しているわけでもない。
 では、どのような制度といいますか仕組みがあったらいいだろうかということでございますが、電気でございますとかガス、あるいは熱の使用に伴う温室効果ガスの排出量についてこれらの公共料金などの通知に合わせて消費者にこの排出量というものも通知をするということによって各家庭で自らの排出量が把握しやすいんではないか、それに伴って削減のための取り組みがしやすいんではないかということでございます。
 それから下のところでございますけれども、これらの仕組みとか各種の統計などによる排出量の情報を総合的に分析・評価して施策の改善にフィードバックするという仕組みもこういった情報の把握によって得られるというふうなことを考えたいと思います。
 これに関連いたしまして参考資料3と4でございます。
 参考資料3では、先ほども触れましたが、現在環境報告書というものをつくっていらっしゃる企業が多うございますが、それのうち温暖化の関係について触れているのがここで 155ございます。それらの中で内容を若干見ていきますと、例えば1ページ目にありますように製造部門での対策だけではなくて物流とかオフィスとかあるいは製品そのものの対策についてもかなりのところが触れています。あるいは数量目標の設定については3ページにございますが、そういった現状をこの参考資料3で補足的につけさせていただきました。
 それから参考資料4では、前回概要をご報告申し上げましたが、先般10月の終わりにWBCSDと世界資源研究所が共同で策定した温室効果ガスの事業者による排出量の算定、それからそれの報告あるいは公表といったものについての温室効果ガスGHGプロトコルというものが発表になりました。それを全訳をさせていただきました。排出量の把握、あるいは把握をして公表するのはどのくらいの範囲までやったらいいだろうかというようないろいろな分析、提案がなされております。
 それからもう1点でございますが、資料2-3でございます。
 第1ステップで実施したらどうかという提案のもう一つでございますが、第三者による評価の仕組みということでございます。議定書の締結に伴いまして、各主体が自主的に取り組む無温暖化対策につきまして第三者による評価を受けることができる仕組みというものを構築したらどうか。これも事業者と家庭とそれぞれあるだろうということでございます。
 まず、事業者におきます自主的取り組みの第三者評価の仕組みということで、目的でございますが、国は各主体の取り組みの進捗状況を定期的にフォローアップし、実効性の高い施策を打ち出すということが必要であるわけでありますが、事業者の取り組みの進捗状況につきましては直接国が評価するというよりまず民間レベルの第三者機関できめ細かいフォローアップをなされることが望ましいんではないだろうか。民間でできることは民間で行うと。
 それから、温暖化対策に積極的に取り組む事業者を公的に推奨し、社会から高く評価されるような環境というものも自主的取り組みを推奨するためには必要ではないだろうか。それから事業者の取り組みの透明性、あるいは実効性を確保し、自主的取り組みについての社会の信頼を高めるということも目的としてあるんではないだろうか。
 現状でございますが、先般桝本委員からもご報告がございましたように経団連では排出量実績や削減目標の登録機関を自ら設定し第三者認証を受けることを検討されているということでございます。それから個別企業におきましても、環境報告書の監査法人による第三者検証といったものを受けているところも増えてきております。
 そこで仕組みの概要でございますが、現行の地球温暖化対策推進法の第9条におきましては、事業者が温室効果ガスの排出量を把握し、排出抑制のための目標や具体的措置を定めた計画を策定・公表するという努力義務が規定されておりますが、それの次のステップといいますか延長線として当該計画について第三者機関の評価を受けることができるという仕組みを設けたらどうかということでございまして、その際第三者機関というのは一定要件を満たすということで国が指定をする。それから、評価を受けた事業者には専用のロゴマークを付与するなど支援措置を講じたらどうかということでございます。
 それの仕組みのイメージが裏のページでございまして、これは恐縮でございますが、参考資料5にEUのEMASの概要というのが入っておりますが、基本的には参加するかしないかは事業者任意という仕組みのEMASがあるわけでございますが、EMASの仕組みというものを用いたらどうだろうかということで対象は大きな企業、事業場でも小さな中小の事業場でもだれでも参加できるようにしたらどうかということでございます。
 それから・番のところでございますが、今度は家庭、あるいはレストランや美容院とかいった小さな事業場での第三者といいますか評価の仕組みでございますが、国民のレベル、家庭のレベルなどでは温暖化対策に関する意欲はありますが知識が乏しいということでございまして、相当程度専門家が助言する仕組みといったものが必要ではないかということでございます。
 現状では企業の事業場、大きなオフィスビルでございますとか病院でございますとか、そういったところにつきましては徐々にでございますが、ESCO事業による診断などが普及しつつございます。
 そこで一般家庭の住宅だとかあるいはレストランや美容院などなどの小規模の事業場につきましても専門家が地球温暖化防止に資する対策の導入可能性などを診断し対策をアドバイスするといったことを法律に基づきますセンターが専門家の斡旋などをして実施したらどうかという家庭などの分野におきます評価の仕組みでございます。
 以上、2点補足させていただきました。
 なお、資料2-4は、さらに現状と提案を一表でまとめたものでございます。
 工場・事業場の温暖化対策の現状と施策オプションということでございますが、一番上のところは工場・事業場単位での広い意味での温暖化対策に対する規制的な手法がとられておりますのが省エネ法でございます第一種工場、中長期計画の策定義務づけ、あるいは主務大臣の届け出、さらに合理化計画の提示、それの公表、命令といったところまでいく仕組みが一方であります。
 それから2番目の枠のところ、事業者単位というところがもう一つございますが、先ほどちょっと触れました温暖化対策推進法に基づきます温室効果ガスの排出抑制のための計画策定の努力義務というのがございます。
 そこで灰色にしてあるところでございますが、先ほどご提案させていただきました2点、透明性・信頼性確保のための第1ステップの提案としての排出量の把握・公表の仕組み、それから自主取り組みの第三者評価の仕組みということで、とりわけ第三者評価の仕組みは先ほど申し上げましたように現行の温暖化対策推進法に基づきます努力義務の延長線上として任意で温室効果ガスの排出抑制のための計画策定、その第三者評価ということに結びつけていったらどうだろうかということでございます。
 それから、下の段のところは第2ステップのオプションとしての政府との協定、実行計画制度ということでございます。
 資料の説明は以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 新しい国内制度につきましての骨組み的なものをただいまご説明いただきました。ただいまの説明に対しましてご質問あるいはご意見がございましたらお願いしたいと思います。
 それでは桝本委員、佐和委員、小林委員、大塚委員の順でお願いいたします。

○桝本委員 大変詳細丁寧なご説明をいただきました。ご説明全体を通じてのまず非常に強い印象」でございますが、審議官が先ほど一番最後のところでおっしゃられた、「最後は規制をするという言葉があったというふうに存じます。この温暖化問題は、今2010年の第1約束期間に向け取り組んでおりますが、第2約束期間、第3もございます。いずれ規制をするというように考えていくことは、残念ながら私は、日本の社会が大変窮屈でかつ規制・統制へ持っていかれるというように先ほどのお話からうかがえます。むしろお考えいただきたいのは、主体的かつ自主的に取り組める条件を整備するということでございまして、規制というのはある意味で最後の最後にしていただきたい。あえて一番最初に全体の印象を申し上げさせていただきました。
 それから、お話の中にCO2 等の温暖化ガスの排出の把握というお考え、そして、計画的にこの把握をウオッチしていくという考えがあります。これは、私はマクロでやられている間は非常に必要かつ重要なことだと思いますが、本日のご報告の案には「主体」という言葉がございます。この「主体」という言葉が入った途端に、現在環境省の事務方のご本位ではなく、むしろこの案は善意かつ純粋なお考えでできていると思いますが、実はこれは個別に主体ごとに把握したい、計画をとりたい、というようなお考えが原案をおつくりになった方々の善意、純粋さに全く反して一種の犯人探しにつながる恐れすらあるというふうに存じます。したがって、このCO2 というもので個別主体ごとに現状を把握する、計画をとるという考えには私共は反対でございます。
 特にCO2 は計測が大変難しい。家屋を例えばテントで覆って1年間、2年間ずっと計測でもしない限りCO2 を実測することはほとんど難しいものでございます。では、どうやって計測するか。エネルギーの消費量と変換の係数効率で推計するというのが実際でございます。そうやって考えますと、実は既に長い間以前から、通産省(現経済省)でエネルギー統計というものができておりまして、そこにマクロあるいは業界別、時には地域別のエネルギー統計がございます。私はこのエネルギー統計と実績としての変換係数で十分ではないかというふうに存じます。さらには、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」通称省エネ法がございまして、ここでは既に工場の規模にもよりますが、エネルギー消費量の大きさに応じて定期的に報告並びに将来計画を提出するように、いわば義務づけられております。さらに、この中では1年間に1%の効率改善が目標とされ、その目標が達成できない場合には逐一工場ごとにそれを報告するという制度もございます。したがって、この計画的な把握あるいは現状の把握は私に言わせれば二重行政になってしまうというふうに考えますので、現行のエネルギー統計を活用すること、あるいは現行のエネルギーの把握を活用することを省庁の枠を超えて工夫をしていただきたいと存じます。
 それから地方公共団体の役割に触れてございますが、これはぜひ地方公共団体のご自身、そしてまちづくり、都市づくりというところに実効を上げていただきたい。実は、私ども昭和40年代に大気汚染も中心としたSOX 、NOX の規制というものを受けております。SOX 、NOX はローカルな問題でございます。一方、このCO2 等温暖化問題は「地球」という言葉が被さっているとおり、地球全体の問題でございます。仮にもエネルギーを使う側をそのままにして、生産あるいはエネルギーの供給に制約を加えるというような意味でのチェックということが行われれば、私はこれは残念ながらやはり統制の道につながりかねないという恐れを持ちます。ちなみに、東京のこの電気は、原子力等を別にいたしましても、千葉、茨城というところで電気が起こされ、東京で使われる、こういう実態でございまして、千葉、茨城で数字を把握し、それを規制、統制することはエネルギーの利用そのものを川上で統制することにつながりかねません。
 自主計画の充実、これはおっしゃるとおりで私ども産業界も引き続き努力し、さらに努める必要があると思います。ただ、後半のご説明にも詳細にございましたように第三者評価につきましては、私どもは既に検討を始めております。この第三者評価の検討をお待ちいただきたい。国が何らかの形で機関を指定してやるというようなお考えも確かにあるとは思いますが、もう少し私どもの自主的な取り組みをウオッチしていただいてはいいんではないかというふうに存じます。
 それから民生・運輸でございますが、ここにございますとおり経団連の主要業種の中にもこの関係の業種が入って努力を始めました。お願いは、例えば運輸を考えると一番わかりやすいわけですが、都市環境とか交通体系とかそういうことにこの民生・運輸部門のCO2 排出、その後ろにあるエネルギー消費は関わっており、ここが十分に行われていないと私らは思います。ぜひ、国土交通省、環境省、経済産業省、自治省(現総務省)、自治体、文部科学省等一緒にいわばエネルギーを使う都市環境、生活環境、交通体系全体を省エネ型に持っていくという取り組みを始めていただきたい。10年、20年、あるいは30年かかるかもわかりませんが、基本的に我々の生活の場、都市交通体系をそうしたものに持っていくということが重要でありまして、すぐにそこに動いている諸活動を規制、統制してCO2 の排出量を制限しようというお考えは私はいかがなものかと存じます。
 税につきましては、必須ではないとおっしゃっていただきました。これは諸外国の事例もありますので検討が進められることと思います。排出量取引については、トレーニングをする、これはキャップ・アンド・トレードで考えていないというご説明でしたが、多様なアイデアが恐らくあると存じます。アメリカ等での研究、ヨーロッパ等での試行的な試み、こういうようなものを大いに工夫して検討していただきたい。私どもは前回もお話をさせていただきましたが、キャップ・アンド・トレードについては反対でございます。
 それから京都メカニズムでございますが、これだけの時間スパンで第2約束期間も見ての計画でありましたが、これはなかなか難しいことでございますが、最も有効と思われるCDM、JIの中での原子力の有効性について再度巻き返しを図るというような取り組みをお願い申し上げたいというふうに存じます。ちなみに、モロッコではサウジアラビアが原子力と名こそ挙げないまでもアンサウンド、アンセイフなソースについて温暖化対策から排除したいという思いを主張されたというふうに聞いております。これはとりもなおさず、原子力がCO2 排出対策として非常に有効だということを裏返して傍証しているようなものでございます。EUの一部の国、サウジアラビアの主張、こうしたものがあるだけに、私は次を考えて2005年以降第2約束期間の交渉に当たってはCDM、JIにおける原子力の有効性について再度リフレインフロムから、巻き返しをぜひお願い申し上げたいというふうに存じます。

○安原委員長 ありがとうございました。広範な問題につきまして具体的に意見をいただきました。
 時間の制約がございますので、一通り全部皆さんに意見を伺った後、コメントがあれば事務局からやっていただくことにいたしたいと思います。
 それでは佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 まず、統計のことについてお伺いいたしたいわけですけれども、申すまでもなくGDP統計というのは家計調査を初めとするサンプリング調査に基づいて推計されているわけですね。と同時に、確定値が出る前に速報値が出るというようなことで、今は内閣府の国民経済計算部でかなり周到な、かなり多くの人がその統計作成に携わっている。ただし、しばしばその速報値が大きく誤るとかアメリカから批判されるというようなこともあることももちろん申し添えておかなければなりません。しかし、CO2 の排出量のマクロの排出量に関しては、99年度の数字が出たのはごく最近です。環境省の中に果たしてこういった統計を担当する係なり部署というのは果たしてあるのかどうか。多分ないんじゃないかというふうに思うんです。そういう意味で、この統計の作成を担当する部署というのが非常に脆弱であるということが一つ問題だと思うんです。それと、やはり一定程度のサンプリングをやってかなり早い時期に速報値を出すぐらいのことはやっていただいた方が、企業にせよ、あるいは個々人にせよ、自分の行動に対してそれを反映させるという意味で大変有意味ではないかというふうに思います。
 加えて、日本の場合年度で発表しておりますが、いつだったか別の機会に環境省の方に質問したことがあるんですが、実際問題、各省庁のつくる統計に基づいていわば三次統計として実はCO2 の排出量というのは算出されているわけですね。そうしますと、そのときにいろいろ私が尋ねると、年度データと年データをごちゃごちゃにして使っている、使わざるを得ないと。物によっては年度しかデータがないというのが現状なので、その辺を改善の余地をご検討いただきたい。それが1つ。
 それからもう一つは、さっき桝本さんがおっしゃったことですけれども、自主的取り組みを促すような措置を講じるべきである。確かに私も規制的措置にはもともとそういうものを極力導入すべきではないという立場でありまして、なぜならば日本は自由主義経済の国だからと単純な理由であります。
 しかし、自主的な取り組みを促すというのはではどうやって促せばいいのかというと、結局のところ経済的な措置を講じるしかないんです。つまり環境倫理とおっしゃりますけれども、経団連なんかは大変環境倫理に富むんですね。大企業の集合体であるということで、ほうっておいてくれ、自分らでやるからということになるんでしょうけれども、産業全体で見たときには少なくとも30%ぐらいの物の生産というのは中小事業者によってなされているわけです。そういうところにまでちゃんと効果的に自主的取り組みを促すというようなこと、自主的取り組みというのはこれが何かやはりインセンティブがあって初めてそういうことが促されるわけです。したがって、社会の仕組みの中にそういったインセンティブを仕掛けるということがどうしても必要になってくる。つまり環境倫理に任せておけばいいというものではないということを私の意見として申し上げておきます。
 それからカラープリントの一番最後のページのところ、これは細かい点ですけれども、ちょっとおかしいんじゃないかなと思うのは、一番右端のブルーの一番下に「国際排出量取引・共同実施・CDMの開始」と書いていますね。しかし、共同実施とかCDMというのは当然実際に工事を初めて運開するまでに何年かの歳月を要するわけですから、これをもっと早く開始していないと間に合わないんじゃないかというふうに思います。ですから多少これは書き直していただいた方がいいんじゃないかなと思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは小林委員、どうぞ。

○小林委員 私の方からは、都道府県の立場というのも少し踏まえてお話をさせていただきたいんですが、いわゆる経団連自主行動計画の充実ということでやっていただくことについては問題はないんですが、今佐和委員からお話がありましたように経団連に入っていない事業者についてどうするのかというのがほとんど今のところ放置されているわけですが、そこの部分の増加分、または削減努力のない部分を経団連参画事業者で被るという方針なのかどうか、そこをきちっと押さえる必要があるんではないか。そうでないとしたら、やはり事業者すべてに対して何らかの自主行動を進めるべきインセンティブが必要ではないかと思います。
 と同時に、それが達成できなかった場合、つまり2005年なら2005年に達成できなかった場合どうするのかという問題で、そういう意味では第2ステップのところにございます必要に応じ政府との協定、導入、検討とあります。これについては必要に応じではなくて、達成できなかった場合は政府との協定、実行計画制度を導入するということを明記していただきたい。そうしないと同じことの繰り返しが行われるんではないかという心配がございます。
 それから、2点目が家庭等のいわゆる民生・運輸等の取り組みの部分でございますが、普及啓発のみでは絶対に難しい。これは今までの経緯から十分把握できていることでございます。そういう意味では例示に書いてある部分を単なる例示ではなくて、ある一定の実効性を持ってやっていく。優遇税制、または環境税の制度化とか、それからここにございます建築物に対する屋上緑化とか断熱強化等々を義務づけるとか、こういう制度を相当数入れていかなければこれは下がらないと思います。現実に家庭の方々が何をすれば温暖化対策が進み、何をしなければ進まないかということを十分ご理解いただいていない部分があると思います。この辺についてはきちっとした制度化が必要ではないかと思います。
 それから3点目、これは都道府県に関する部分ですが、この絵の中で自治体における計画策定というのがあるんですが、温暖化計画を策定するに当たって地方自治体が何を目標とするのか。先ほどお話がありましたようにNOX とかSOX のように地域汚染の場合はある一定の目標値が定められるんですが、CO2 等温室効果ガスについて何を目標として地方自治体が計画策定するのか、ここが実はよくわかっておりませんし、また計画を策定したとしてもその大部分を持つ事業者の部分が経団連等の自主行動計画でいくんだということになった場合、ここの部分に地方自治体が関与できないとなったら、計画は策定するが、それを実行し遵守させるべき道具を持たないということになってしまいます。ですからここの部分をどうするのかということを整理しなければいけないんではないか。過去のことを申し上げますと、NOX 法で都府県が計画を策定しておりますが、その計画を実行するための道具を都府県は持っていないわけですね。持っていないまま実際の計画が達成できなかったということで都府県が謝るという事態になったわけでございますが、ここの部分、現実は道具を持たない計画というのは計画として意味がないということもございます。
 そういう意味で今回の法律改正含めて都道府県の役割というのを明示していただいて、ここの部分は責任持つよ、ここの部分は責任持たない、これは国の責任である事業者である経団連を含めたところの責務だという責任の分担を明確にしていただきたい。そうしないと、都道府県としては今後ともこの問題について対応が大変難しくなってくるんではないか。そういう意味で都道府県の明確化。例えばこれは一つの大胆な言い方かもわかりませんが、温室効果ガスの目標は国一本でするんだということであればそれでつくっていただいて、それの手段として規制とか誘導とかいう手段の部分を都道府県が担うという方法もあると思います。その辺少し明確化をしていただかないと、今のままでは国と都道府県の役割分担が不明確なまま動いているという感じがいたします。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは、あわせて梶原さんから地方の立場でご意見をいただきたいと思います。

○梶原委員 今小林委員からもお話がございましたので、多少ダブったものがありましたら申しわけございません。
 最初に当然のことのようですが、念のため申し上げておきますが、地球温暖化は将来世代にわたってこの地球をどうやって伝えていくかという大変重要な私たちが取り組むべき課題ですので、地域に責任を持つ自治体として当然の仕事として従来から取り組んでおりますし、これからも全力を挙げて取り組むつもりでございます。その点で環境省さんが大変期待をしてくださっているのは大変ありがたいんですが、また今回のペーパーの色刷りのところの最後のページですが、国・地方公共団体の計画の策定。恐らく今回は地域についての計画を自治体につくれというようなことをお考えになっているのではないかと推察をいたしまして、念のため申し上げます。
 2つございます。1つは、自治体の計画というのは自治体が大変地域で大きな事業者であることに基づいて、自身がどれだけエネルギー使用等を削減したりして温室効果ガス対策に取り組めるかという自主行動の問題です。これは当然のことながら取り組むべきですし、現在も推進法で努力義務が策定されておりますのでこれからも頑張ってまいりたいと思います。
 もう一つは、今申し上げた地域に対する計画ですが、事業者の皆さん、それから住民の皆さん、全体で地域としてどうやっていくのか、この計画もまたつくること自身は私も従来から重要だと思っておりますが、何回か前にも申し上げましたけれども、今小林委員もおっしゃったように何のツールもないまま何%削減という計画をつくってもこれは無意味でございます。したがって、どういうツールが与えられるのか、あるいは自主的につくられるのかということが肝心なので、その意味で残念ながら今に至るまでそういったお話がないというふうに私は思わざるを得ません。カラー刷りのペーパーの中で具体的に最後のページに真ん中のところにたくさんの効果的でありそうな施策がございますが、これはこの場では全然議論されませんし、自治体にこの辺をやってくれというお話もございませんでした。
 以前、私がご紹介したのでこれもダブるようになって申しわけないんですが、東京都では条例をつくりまして来年度から二種の省エネ工場以上の事業者の皆様に温室効果ガス削減に向けた自主的な計画をおつくりいただいて公表していただくという仕組みをつくりました。こういったようなものを例えばですが、国の方でもっとやったらどうかとかそういうお話を承りたいと思ってずっと私は期待していたわけです。ちなみにこの計画の中では、国と地方公共団体は入っておりません。それは国と地方公共団体は事業者の皆さんに今の仕組みでお願いするのと同等以上の努力を当然すべきだということを考えて推進法の中での努力の義務づけに期待して除外したものです。したがいまして、こういった計画ができていなければ当然のことながら条例の対象の除外したことはおかしくなってしまいますので、私ども東京都の中では都の中での地方公共団体でまだおつくりになっていないという方は相談したいと思いますし、国や国の出先機関も含めてつくっていないところについてはご相談をしたいというふうに考えております。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 3点ほど申し上げたいと思います。
 資料2-1ですけれども、特に最後のページで今後の国内政策の導入ステップについてきれいにまとまっていて大変わかりやすく、敬意を表したいと思います。
 ただ、先ほどからいろいろな方がご意見をおっしゃっていらっしゃいますように、民生・運輸の部分がちょっと弱い。特に2007年までは弱いということになってしまうのかなという感じがします。結局これは温暖化対策税の話になってしまうわけですけれども、やはり経済的措置を入れないと民生・運輸の部分はうまく減っていかないのではないかということが言えると思いますので、特にこの点は指摘させていただきたいと思います。
 2005年に見直しをしてということがこのステップの基本的な思想になっているような感じがいたしますけれども、温暖化対策というのはそんなにすぐにできるものではないということがございますので、できるだけ早目に少しずつ対策をとっていくということが必要でして、特に経済的措置、別に税だけでなくて排出量取引でも当然いいわけですが、早目の対策をとった方が2008年直前になって大慌てをするということにならないで済むのではないか。そういうことになるとやはりかなり強い規制的な措置をとらないととても守れないというようなことになるとお手上げ状態になるかと思いますので、少しずつでいいですから早目の措置が必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
 それから具体的な施策についてですけれども、ですから第2点ということになりますが、排出量取引について先ほどご説明がありましたように自主的な排出量取引を2005年まで実施していくということが考えられていて賛成ですけれども、先ほどのご説明にもありましたが、例えばイギリスが自主的なものですけれども、排出量取引を早くから設計したというのは、世界の中で排出量取引市場のルールを自分がつくるという、またEUの中で大きな位置を占めようという政策的な意図があるわけで、我が国もいつまでも受動的な対応をしているのではなくて、我が国に合った制度を自主的なものでいいですから早くつくった方がいいのではないかというふうに思います。これはもちろん原単位目標で全然構わないので、そういう制度をつくってなれていくということが必要ではないかというふうに思います。
 それから最後にもう1点ですけれども、第三者評価とか公表とかの仕組みで、資料2-2の最後の「3.仕組みの概要」の3つ目の「○」にございますが、製造した製品の使用に伴う排出量も含めて製品の使用段階での取り組み状況を把握するというのは余り今までにない斬新な考えだと思いまして、私も賛成です。
 一般国民に対するCO2 削減についての普及啓発というのは非常に重要なわけですけれども、通知の制度というのがありますけれども、なかなかこれだけでうまくいかないのではないかという感じもいたしますので製品の使用に伴う排出量について企業の方で把握をして公表していただくということはかなり重要な政策になるのではないかというふうに思います。
 第三者による評価の仕組みですけれども、資料2-3とかにも出ていましたが、先ほどご説明がありましたようにEMASの制度というのは私はかなり使えるのではないかというふうに思っています。入るときは任意ですけれども、中に入ったらかなりしっかり報告までしていただくというものですが、こういう制度は非常に我が国でも参考になるのではないかというふうに思っております。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは横山委員。

○横山委員 民生の家庭のことで最初にちょっとお話ししたいと思います。
 家庭での取り組みが10項目が環境省さんが前に示されたと思うんですけれども、それによって 2.8%削減できると。これを温暖化対策診断と結びつけることはできないんでしょうか。例えばこれですと住宅だけで住宅の省エネとかというわけですけれども、あそこの10項目についてなかなか一般の人は知らない部分があるわけで、この温暖化対策診断に伴ってこれだけ節約ができるんだというようなことを結びつけると効果が上がるんではないかと。例えば車についてもどれだけCO2 を出しているんだとかそういうことでアイドリングストップの問題とかもあるわけで、ぜひ温暖化対策診断と例の10項目をリンクさせるような制度を考えていただきたいなというふうに思います。
 それから電気とガスと熱ということですが、熱はそんな通知制度というのは具体的に実効性あるんでしょうか。例えば水道なんかは直接はCO2 出さないにしろ間接的に出しているわけで、それなんかがむしろいいような気がします。
 それからロゴマークというものがどれだけ有効かというのはわからないんですけれども、事業者に対してロゴマーク付与ということを言うなら、それだけお考えになるなら一般家庭についても温暖化対策診断を受けたところにはロゴマークとかというようなことまで考えてもいいんではないかと思います。
 それから最後に、桝本さんのお話に対していろいろ言いたいことがあるんですが、1つだけちょっと私の考えを話したいと思います。
 原子力についてCDM、JIについてぜひ巻き返しを図ってほしいということですけれども、私は浜岡原発のことなんかを考えてもやはり今国内の電力会社は国内での安全性対策とか放射性廃棄物対策をやることが必要であって、それを外国に出ていって原子力を輸出して向こうで事故を起こすとかというような可能性もあるわけで、まずぜひ国内対策を充実させてほしいと。そういう意味で、もう再度原子力で巻き返してほしいというようなことはぜひ言わないでいただきたいなと思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは天野委員。

○天野委員 色刷りの最後のページあたりを中心に幾つか意見を述べたいと思います。
 まず、自主取り組みが2004年、2005年で境があるわけですね。しかし、2004年までの間にこういう取り組みをずっと強化されるというインセンティブがどこにあるのかということが私にはよくわからないわけで、そうなりますと自主協定、自主取り組みですからインセンティブが十分でなければ当然結果というのは実効が上がるかどうかわからない。しかし、実効が上がったかどうかをどこが判定するかという問題もあるわけですね。自主取り組みだからやっている主体が判断すればそれでいいと言えば、不十分であるという別の認識が入ってこないおそれがあると思いますので、自主取り組みをやるのは結構ですけれども、どこでその成果を判定するのか。
 もしそれが不十分だとわかったときに、その段階になって手を打っていたんでは私は遅いと思うんですね。2005年というのは成果が明らかになっているということを求められているわけですから、その時点になって不十分でしたということは言えないわけなんですね。ですからそういうふうなことを考えますと、2005年にこういう見直しをするというんではなくて、不十分であったときには次のステップとしてどういうことがそこから始まるのかということを最初に2002年にはっきりさせた上でこれを始めるという手法が私は要ると思うんですね。
 外国の取り組みなんかを見ていましてもそういう例がたくさんあって、何段階かにステップを置いて徐々に厳しい施策が入ってきますよということを現在わかった上で取り組みを始めるというやり方をしているところが多いんですね。ですからこの2005年になって見直したり、あるいは第1約束期間に入る前になって見直しをするというのは、私はやめた方がいいと思うんですね。見直しが必要な段階では既にわかっているわけですから、そういう不十分であったときにその時点でどういう施策をとるのかということを今計画しておくということが必要であって、しかもこれは長期にわたる話で10年ぐらいに及ぶわけなんですけれども、それについて非常に不確実な政策を立てるということは問題をややこしくするわけで、政策当局というのは政策の決め方に関する不確実性をなくすことが大事だと思うんですね。ですから第1約束期間に入る前の見直しを2007年のようなところでするのではなくて、例えば2005年あるいは2006年あたりで不十分なことがわかれば、その時点でこういう次のステップをとりますということを今決めておく必要があると私は思います。 例えばこれはほかの国の例なんですけれども、税を導入する前に何かの自主的な取り組みを始めましょう。しかし、その取り組みが何年になって十分進んでいないということがわかったら、こうこうこういう仕組みで現在決めた税率で現在決めた対象に対して税をかけますよという法律をつくっている国があるんですね。これはやはり2005年とか2007年、2008年ということを見越して現在の制度をつくるというやり方だと思いますので、私はこういう非常に長期にわたって、しかも影響が大きく出るような施策こそ今そういう決定をしなければいかんというふうに思います。何も今すぐやるというわけではなくて、将来のある時点で必要が起こればそれをやることを今決めておくというやり方が必要だろうと思います。
 これは自主取り組みだけではありませんで、例えば温暖化対策税というのがありますが、批准に対しては必要条件ではないということは批准の際に導入するという意味ではないと私は理解していますけれども、しかし例えば2005年あたりで導入をしますということを今決めるということまでは排除しないと理解しております。
 それから2点は真ん中の、先ほど梶原委員がおっしゃったたくさんの施策が並んでいるところですが、私は前にも言いましたけれども、これは全部やりたいことを書いてあるんです。どうやってやるかということは何も書いていない。直接規制をするのか、あるいは税、課徴金をするのか、助成措置を講じるのか、あるいは取引税のようなものを使うのか、あるいは全く自主取り組みでやるのか。そういった手法が何も明記されていませんので自治体でこういうことをやろうとしてもできないということになりますので、こういうふうな取り組みができるような例えば法的な裏づけをどうするか。
 ちょっと最初の話に戻りますけれども、例えば環境税というのをかけるときにどこでそういうことを決めるか。環境保全のために税という手段を使ってもよろしいという法的な裏づけがちゃんとできているかどうか、それがちょっと心配なんですね。ですからそういう法的な裏づけをちゃんとする。先ほど申しました例ですと、ちゃんと二酸化炭素法という法律をつくって環境保全のために税制を導入しますということをやっている国があるわけですから、そういう点の裏づけをきちっととる。
 それから、これは私も何年も前から環境指標をつくろうとして失敗ばかりしてきているわけですね。今回はそういう失敗を許されない時点だと思いますけれども、どうしてできないか。先ほど佐和委員がおっしゃったように、環境省の中身が非常に脆弱である。これはやはり法律がないんですね。環境保全の目的のために統計を集めますという法的な根拠がないために手が出せない。ほかの省庁でいっぱい持っているデータは別の目的で集められたデータですから、環境保全の目的には使えない。
 ですからそういう法的な裏づけをちゃんとつけた上でないとできませんけれども、今回は例えば排出量の把握でもそうですが、マクロの把握も大変難しい。それだけではなくて、排出量というのは取引が始まるわけですからミクロのデータが要るわけです。ミクロのデータがはっきりしていないと取引というのはできないわけで、そういう点に関してもちゃんと根拠法というのが必要ではないか。私は法律家ではありませんからよくわかりません。その辺はそういうふうに考えていただきたいと思うわけです。
 それから3番目の点としまして排出量取引ですけれども、ある程度の間トレーニングで自主的にやるというのは私もいいことだと思いますが、ただ自主的というのがいろいろな意味があると思うんです。つまり枠組みをつくるのは国の仕事で、全くそこまでも全部民間でやっているという例ももちろんありますけれども、そうではなくて枠組みは国がつくるけれども、そこに入ってくるかどうかを決めるのは自主的ですよという意味の自主取り組みもあるわけですね。それから、実際に制度の中で取引をどこがやるか。政府が割り当てに相当する排出をちゃんと持っていることを義務づけるという主体が出てくるかどうかという意味の自由さというのもあるわけですからその辺を少し正確に説明をされて、どういうタイプの排出量取引をいつの時点までやって、そこから先へいくときにはどういうふうなところへ転換するんですというふうな一種の設計ですか、そういうことをはっきりしていただきたいというふうに思います。3段階ぐらいに分けて自主的な取引、それから国内の制度、それから京都メカニズムの国際制度というふうな議論はちょっと荒っぽ過ぎると思うんですね。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 引き続き浅野委員、どうぞ。

○浅野委員 時間がありません。一言だけです。
 自主的にやるというのは大事なことですが、その効果をきちっと把握しない限り結局どうにもならないということは今までの例で十分にわかっているわけですね。今回のこのペーパーの中で特に大事だと思うのは、かねて指摘していました排出量の把握についてのシステムをしっかりつくらなければいけないということが非常に大事で、この点は佐和先生もおっしゃいましたし、天野先生もおっしゃったわけですね。この場合に現在のシステムはマクロのものはとれるけれども、ミクロのものがとれない。そんなものは今まで各省庁がデータを持っているじゃないかとおっしゃるわけですけれども、それは全然機能していないところに問題があるわけですから、二重行政がだめであることはわかり切っているわけですね。どうやってその情報をきちっとどこかで整理して迅速に使えるシステムをつくるか。それができるならそれでもういいわけです。だからそれを検討しようと言っているわけですから、反対と言われるのはどうもおかしいなという気がしますね。
 それからもう一つ大事なことは、確かに悉皆的に情報をとるというのは情報を集めて自らこうだということを把握することによる自主的な取り組みのフィードバックという機能があるんですけれども、政策を立てるということから言うと必ずしもそれでコストが余りにもかかるんだったら原単位が正確に把握できるということにまず力を入れて、そこできちっと迅速に原単位を把握してこうだという相当精度の高い推計をするという作業を国がやるというのも一つの選択肢だと思う。佐和先生は多分そういうことをおっしゃったんだと思いますが、両方の意味があるので何もたわみをかけてというような議論でなくてもできる部分もあるし、しかしやはりアウトサイダーみたいなところをどうするかという話があるわけですから、それはちゃんと自分で把握をする努力をしていただく。PRTRは化学物資でできたわけですから、どうしてこっちでできないのか私にはさっぱり理解できないんですけれども、法律をつくる考えというのはおまえ考えというのは天野先生から宿題ですから、それはまた考えさせていただきます。

○安原委員長 予定の時間を少々過ぎておりますので、15分ほど延長したいと思います。その範囲内でこの審議を終えたいと思いますので、簡潔に願います。
 では、宮本委員、あと青木委員、飯田委員の順番でお願いします。

○宮本委員 私は、今回のステップ論に非常に賛成であります。非常に現実的な動きであって、規制的なものを最初からぼんとかけるということは、非常に今の日本には向かないというように思いますので。特にやはり自主行動計画、自主的取り組みというものを尊重していただいたということについて非常にいいと思います。
 その理由は2つありまして、1つは先ほどから2005年というのは遅いとか早いとかいう話がありますけれども、佐和さんが時々おっしゃっていますけれども、これからの日本経済はどうなのかということについて、今までのように右肩上がりで行けると思われているのは、私は非常に日本人のおごりではないかというように最近思っています。といいますのは、私は仕事をしておりまして最近の工場を見ますと、ほとんど中国、東南アジアに出ているんですね。そうすると日本が空洞化する可能性は非常に高いと思うんです。だからGDPがそんなに上がらないということになる可能性がすごく高いです。それから都心部から相当出てまいります。そういうような事態になっているときに、私はまだ先行きわからないときに何でもかんでも決めてしまうということが本当にいいのかどうかというのはこれはすごい疑問でありますから、その辺も踏まえて今度の大綱見直しのときには十分その辺のことを考えていただきたいというのが1つであります。
 それからもう一つ、先ほどからこれができなかったら規制せよということは、私は企業家にとってはすごい大きな警告を発しているんですね。2つの意味がありますけれども、1つは企業家というのは、そうか将来は必ず規制が来るんだな、今の実績にプラスでいくら下げろというのが来るんだな、それなら今からやるのはやめておこうかというのが普通の企業家の考え方だと思います。だからそれよりも、今これだけ自主行動計画でやっているんだからそれを見てくれということを言っているわけですから、僕はその結果をフォローしていくというのは非常に重要であって、最近のフォローアップにおいても対象業種が43から48に増えてまいりましたし、しかも今後のモニタリングをやるということも検討しようということであるわけですし、さらに最近の動きで日本商工会議所もこういうようなエネルギー、CO2 の削減に対して協力しようではないか、自主的取り組みをしようではないかという動きも出てきているわけですから、そういうときに始めからもう規制よというような話をすると、いやそれだったらちょっと待とうかということにもなりかねない。
 だけど逆に言えば、なぜこれができるかといいますと、やはり一つはエネルギーコスト、そういうものを削減したいという気持ちも一方にあるんですね。今まで取り組んできたのは、何もCO2 を減らそうと思って企業が行動したというインセンティブよりも、やはりコストを下げるためにエネルギーを減らす。そのための投資というのも私は非常にあったと思うんですよ。だからそういうことからどんどん下がっているのが大きな要因であるのに加えて、プラスアルファ、やはりCO2削減という社会的使命感というのも出てきたというように考えるわけですから、そういう意味で自主的取り組みというものを尊重していただきたい、こういうふうに思います。
 それからもう一つ、科学技術の振興でありますが、実は科学技術というのは非常に重要だというふうに言っているんですけれども、今度科学技術基本計画ができまして、24兆円入れようということになったわけですね。これの大きな分野の一つに環境も入っているわけです。しかも、総合科学技術会議というのがスタートしているわけですから、こういうものと環境省が連携をとって大きな分野に入っていただいて、それが日本の国の一つの柱になって、科学技術移転の柱にしていただきたいなと思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 では、青木委員。

○青木委員 時間もございませんので、簡単に3点だけ申し上げます。
 1つは、いろいろ建築物、屋上緑化等の義務づけ等ございますけれども、これも今までのご議論と同じように実効性の高い取り組みということであれば、現実をしっかり把握した上でやるべきものはやっていくというような形にしていただきたいというふうに思います。
 それから2番目でございますが、インフラの整備。これは特に道路等だんだん流通をよくする方向に進んでいると思いますけれども、またインフラもCO2 対策でなくて一般社会資本の整備という格好で行われているわけでございますが、CO2 のことも大重要でございますからそういう視点を置いて流通結節点をうまく結んでいくというような整備、そういう方向をさらに推進していただきたい。
 それからこの中では路面電車、バス、自転車道路の整備というのがございますが、これもメニューとして非常に結構だと思いますけれども、やはり需要をきちんと予測し、それから自動車がどれだけ転換するかということも十分考えてそれも評価していっていただかないと、せっかくバス路線を整備しても空のバスが走って自動車が渋滞しているということにもなりかねませんので、そういう視点も十分しっかりしていただきたいと思います。 それから3番目、CO2 対策将来まで進むわけでございますけれども、都市計画をいかにするかというのは非常に難しい問題だと思いますが、基本的にはやはりできるだけ都市をコンパクトにしていく。緑地、水面を増大していくというような方向に進んでいくべきだろうと思います。そういうような観点からすれば、現在もそういう議論されておりますし、行政もそういう方向を推進していると存じますけれども、例えば大規模な民間再開発等でもそういうようなものに資するものにいろいろ誘導助成をしていくというような施策も講じていただきたいというふうに考えております。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは最後の発言を飯田委員、お願いします。

○飯田(哲)委員 手短に3点だけ申し上げます。
 PDCAのサイクルのところで、プランが大綱だと、それを見直すというふうにおっしゃったんですが、この大綱は前回のような大綱であればかなり背中がぞっとするものがあって、各省庁の審議会の報告をそのままホチキスで束ねたような大綱ではなくて、やはり実質的にきちんと政治的なコントロールのきいた大綱を本来は審議してほしいと思いますが、なかなかそれは難しいかもしれません。大綱がある意味省庁間の合意形成の場だとすれば、このPDCAに致命的に欠けているのは合意形成というキーワードなんですね。最後のところに例えば協働による民生・運輸の取り組みとあるんですが、協働でも何でもなくておぞましい大綱がそのまま国民に押しつけられるような構図になっていますので、これは前回も前々回も申し上げましたけれども、やはり実際のステークホルダーがやはり合意形成をしていく場というものを今回の最後の答申にも、それから国内の地球温暖化防止法の改正なのか新法なのかちょっとわかりませんが、来年の通常法案の中にもぜひ盛り込んでほしい。実際のアクターが合意していけば省庁間の縦割りの合意なんかは吹っ飛んで実質的に機能すると思いますので、それが僕は環境省の武器になると思いますから、ぜひこれは欧州のECCPに倣って入れていただきたい。
 それから先ほど自主的の2段階のシステムについてはもう多くの方がおっしゃられたので2点だけ追加したいと思うんですけれども、やはり自主的から入るというのは非常にいいと思うんですが、インセンティブがない。これも先ほどおっしゃられたとおりです。非常に重要なのは政治的な日程をきちんと明示するということがすごく大事で、2005年までやってできなかったらとかいうんではなくて、2005年あたりには一定の法的枠組みにシフトしますよということを相当明示しておいて、それがある意味自主的取り組みのインセンティブになる。例えば初期配分において有利になるとか、そういったことを今から準備してもわずか3年ですから、これはもうそういう政治日程を明確化するということが重要でないか。
 それから先ほど地方自治体のことに関しても梶原さんも天野さんもおっしゃったわけですが、これは非常に重要で、自主的取り組みというものと同時にもう一つトライアルとかキャンペーンのようなものが必要ではないか。これは欧州では再生可能エネルギーが非常に大きな役割を占めていますが、その中にCTO、キャンペーン・フォー・テイキング・オフというプロジェクトをフィフスフレームワークという欧州構造改善基金を2兆円ぐらい使って初期の立ち上げをやっておりますが、その一つの目玉が自然エネルギー 100%のコミュニティを 100個つくりましょうというプロジェクトをやっているわけです。これはキーワードだけ聞くと夢のような話ですが、中身は何かというと、自治体が独自のエネルギー、環境温暖化政策を持つということを促す仕組みで、欧州のホカン制限に沿ったものですが、そういう視点から見ていくとこれも先ほど天野さんがおっしゃいましたけれども、地方が独自の施策をやっていく上でむしろ国がいろいろな意味で障害になっている部分がないのかということの検証も必要ではないか。国と地方の関係もそうですし、国の縦割りといったものが地方の独自の施策を障害しているという意味でキャンペーンのような取り組みが必要であると同時に、地方がより自主的に取り組める形で国自身施策を見直すということが必要ではないかというふうに思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。これで一通り意見をいただきましたが、まだまだいろいろなご意見があると思いますので、ご意見がおありの方は事務局に文書で追加的に出していただければと思います。
 きょうは大変貴重ないろいろな意見をいただきましたので、今後の作業にできるだけ反映するように努力してまいりたいということでございます。
 何か小島審議官、一括して一言ございますか。

○小島審議官 いろいろご意見をいただきました。また、検討させていただきます。
 ただちょっと規制という最後に言ったという話で少し補足をさせていただきたいんですが、どういうイメージがあるかということですが、例えば協働による民生・運輸のインセンティブをどういうふうに与えていくか。例えば建物の断熱、複層ガラスを強化するときに、前から議論がありますが、建築基準法でいくのかほかの法律でいくのかありますが、それをもう義務づけるということについてもいろいろな議論があります。ヨーロッパではもうほとんど 100%ペアガラスが普及していますけれども、これを義務づけということになれば複層、ペアガラスは日本でも確実に行き渡る。そのための工場の投資もしていただかなければいけない。これが建物をつくるときに、マンションのときに転嫁できれば日本の新しいものは何年かたてばほとんど複層ガラスに変わっていく。これも一つの規制的な措置なんですね。あるいは今議論されていますが、買い取り義務づけによる自然エネルギーによる電力供給の普及、これも規制的な措置だと思いますし、省エネ法強化による、これから強化していく、これも規制的な措置。
 規制が全部反対ということではなくて、もう既にそういうものもプログラムに乗っている。どういう規制がプラスになり、どういう規制は余りよくないかという議論をしていきませんと、もう既にそういう規制的なものも入っておりますし、それも議論の俎上に上っていますし、そういう中身を見ながら一つ一つ議論していかないといけないんではないかというふうに思っています。ですから規制という議論も中身による。現実にそうなっておられます。経済界もすべてが反対だと言っているわけではない、一部そういうものは受け入れて議論を既に始めておられますから、そういう全部という一般論ではない議論をしていく必要があると思います。
 それから、排出量取引の議論も本当に前もってキャップ・アンド・トレードが反対ということではなくて、いろいろやってみて本当にキャップ・アンド・トレードがうまくいかないのかいくのか、そういうようなトライアルが必要ではないか。そういう意味であらかじめがちっと制度を決めてこれだということではなくて、やはり自主的な排出量取引の中でいろいろなトライをしながら本当にどういうものが一番いいかというのを納得をしながら進めていく必要があると思います。
 それから東京都の方の条例で、そういう意味では第1ステップ、第2ステップという議論がありますが、第2ステップ的なものを既に条例で入る、あるいは第1ステップで提案しているものが条例に定められている。そういうことが本当にうまく機能していくということになればそれがまた社会における、あるいは各企業における認識が変わっていくことにもなるでしょうし、そういうことも十分加味をしながら検討していく必要があると、非常に先進的な条例だというふうに思っています。
 これからが勝負でございますのでいろいろご意見をいただいて、とにかく温室効果ガスが減るということであれば何でもやっていかないと積み上がっていきませんので、いろいろなご提案をいただいて取り入れていきたいというふうに考えております。

○安原委員長 それでは吸収源対策の合同検討委員会が立ち上がったことについてと、それから残された参考資料につきまして何か言及ございますか。事務局、お願いします。

○木村室長 まず、吸収源対策合同検討委員会でございますが、資料2-5でございます。時間もございませんので、簡単に説明をさせていただきます。
 9月21日に開催されました第3回地球環境部会において、吸収源対策について別途具体的な検討を行うべきであるというご指摘がございまして、これを受けまして環境省と林野庁が合同で吸収源対策合同検討委員会を設置いたしました。
 委員長には、この国内制度小委員会の委員も務めていただいております甕農林水産技術会議会長にお願いしております。
 第1回目の検討会を10月26日に開催いたしました。今後あと2回、都合3回の検討会を開催しまして、12月6日の国内制度小委員会に最終的な報告をさせていただく予定でございます。
 1回目の会議では、2ページ目以降にあります検討を行いました。まずは吸収源に関する国際合意の概要ということ、それから3ページ目からですが、吸収源に関連する主な国内施策の概要ということでございます。森林・林業につきましては、森林の吸収力アップをするためには森林の健全性を維持して本来森林に期待できる成長量の発揮を図るということが必要だということ、それから4ページ目にございますが、森林・林業基本計画、これを着実に推進していくことが所要の吸収量を確保する上で重要であるということなどが議論されました。
 それから森林以外についても都市緑化、農地についても検討を行いました。
 いずれにしろ、最終的な報告は次回の国内制度小委員会で行いたいと思います。
 以上でございます。

○竹内課長 それから参考資料6でございますが、これはシナリオ小委員会で約 100の技術が取りまとめられたわけでございますが、それの一部でございますけれども、いわば普及版的なものを用意させていただいておりますということでございまして、例えば一番最後のページでは先回桝本委員からお話のございましたようなCO2 冷媒を用いたヒートポンプなどが入っているということでございます。
 以上でございます。

○安原委員長 予定の時間を大分オーバーして申しわけありませんでした。長時間にわたって大変熱心なご討議をいただきましてありがとうございます。
 次回は12月6日、14時から17時ということで、この会場で開催の予定でございます。
 本日はどうもありがとうございました。閉会といたします。

午後0時20分閉会