中央環境審議会地球環境部会「国内制度小委員会」第10回会合議事録

日時

平成13年10月31日(水)10:00~12:00

場所

東條インペリアルパレス 2F 千鳥の間

出席者

(委員長)安原 正
(委員)青木 保之
浅野 直
梶原 康二
猿田 勝美
塩田 澄夫
西岡 秀 三
松川 隆志
横山 裕道
  浅岡  美恵
  大塚 直
  小林 悦夫
  佐和 隆光
  桝本 晃 章
  福川 伸次
  村上 忠 行
  飯田 哲也(オブザーバー)
(事務局)炭谷地球環境局長
小島大臣官房審議官
竹内地球温暖化対策課課長
石飛地球温暖化対策課調整官
鈴木環境保全対策課長
角倉地球温暖化対策課課長補佐

議題

(1)国民生活における地球温暖化対策
(2)その他

配布資料

資料1国民生活における地球温暖化対策
参考資料110月23日の欧州委員会決定等について
参考資料2事業者の温室効果ガス排出量算定及び報告についての標準化ガイドライン
(「GHG」プロトコルの概要)
参考資料3「地球温暖化防止とライフスタイルに関する世論調査」の概要
参考資料4経団連自主行動計画第4回フォローアップ
参考資料5地球温暖化対策推進大綱フォローアップ

議事

午前10時00分開会

○安原委員長 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会「国内制度小委員会」第10回会合を開催いたしたいと思います。
 本日は皆様大変お忙しいところ、ご出席をいただきましてありがとうございました。
 それでは、まず初めに、資料の確認を事務局からお願いしたいと思います。

○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。資料の1、国民生活における地球温暖化対策。参考資料の1、10月23日の欧州委員会決定等について。参考資料2、事業者の温室効果ガス排出量算定及び報告についての標準化ガイドライン。参考資料の3、「地球温暖化防止とライフスタイルに関する世論調査」の概要。参考資料の4、経団連自主行動計画第4回フォローアップ。参考資料の5、地球温暖化対策推進大綱フォローアップ。
 以上でございます。資料に不足がありましたら、事務局までお申し出ください。
 なお、委員の先生方は、お手元に配付させていただきました出欠確認票を席上にお残しいただくか、近日中に事務局あてファックスいただきますようお願い申し上げます。
 以上でございます。

○安原委員長 本日は、国民生活における地球温暖化対策等につきましてご審議をいただく予定でございます。12時まで、約2時間の審議を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 では、まず、事務局より資料1、国民生活における地球温暖化対策についてのご説明をお願いいたします。

○竹内課長 それでは、資料1に沿いまして、国民生活における地球温暖化対策についてご説明を申し上げたいと思いますが、今週の月曜日からモロッコのマラケシュでCOP7が予定どおり開催されております。これまでの状況につきまして簡単にご報告したいと思います。
 まず初日でございますが、コンタクトグループの議長が選出されております。例えばメカニズムに関します議長につきましては、COP3の全体会議の議長を勤めましたエストラーダアルゼンチン大使、それにマレーシアの気象庁長官。それから、遵守のグループに関しましてはノルウェーの大使のドグラーさんといったような方々が選出されております。
 それから、各国のステートメントがございました。その中で日本は、ボン合意の完成が第一のプライオリティーだというようなことを述べました。それから、マッチ77アンド中国の代表としてイランがステートメントを出しましたが、ヨハネスブルグサミットまでに京都議定書が発効するように、明確な法的文書による合意文書作成のため、各国は実際的かつ柔軟な対応が必要だと。それから、ボン合意の文言などについてリオープンすることは厳に慎まなければならないというようなステートメントがございました。あと、オーストラリアは、今度11月10日に選挙がございますものですから、このCOP7での合意につきましては、その選挙によって選ばれた政権によって受け入れられる必要があるというようなステートメントがございました。
 大体これまでの主な状況は以上のようなことでございます。
 それでは、また資料1に戻りますが、国民生活における地球温暖化対策ということでございまして、これまでまず家庭部門における取り組み、どのようなことがあったかということでございますが、まず排出量でございます。99年度の排出量は、90年度比で15%、この民生(家庭)部門が増加しております。その要因といたしましては、世帯数の増加という点と、家電製品の大型化・多様化・多機能化等により世帯当たりのエネルギー消費原単位が増大しているということが挙げられます。
 次のページにかけまして、それぞれの消費量の推移がグラフで示されております。
 それで、3枚目でございますが、国民生活における地球温暖化対策は、国民1人1人の自主的取り組みによるところが大きいわけでございます。そこで、普及啓発、あるいは情報提供というのが対策の中心であったわけでございます。これまで地球温暖化対策推進大綱に基づきまして、国民のライフスタイルの見直しを推進するための取り組みというのが進められてまいりました。別紙となっていますが、お手元に色の冊子がございますが、一番下にあると思いますが、地球温暖化対策推進大綱の進捗状況及びその後の取組の重点というところで、これまでフォローアップしてきた内容につきまして別冊にまとめたものでございます。その中で、国民のライフスタイルの見直しを推進するための取り組みというのも、多くの項目が実施されているということでございます。
 しかしながら、次のところでございますが、最近も世論調査を行っていますが、世論調査の結果によりますと、国民の地球温暖化防止のための取り組みの意欲は高いわけでございますが、地球環境問題、地球温暖化問題に対する認識、知識といったものがそんなに高くない。それから、したがいまして、これまでの普及啓発等の取り組みが十分な効果を上げていないといったような点が指摘できると思います。
 その低い要因といたしましては、この分野においては単発的な対策が中心であって、継続的に普及啓発・情報提供をするための体制整備が十分いっていないのではないか。それから、製品の購入時、あるいは使用時など、国民が温暖化防止のための取り組みを講ずべき時点において必要な情報提供がされていないのではないかということが考えられると思います。
 下に、先般、ことしの7月に内閣府が行いまして、9月に発表されました地球温暖化防止とライフスタイルに関する世論調査の概要が載っております。恐縮でございますが、別途参考資料3を取り出しまして、その全体の概要を添付させていただきました。ちょっとこれにつきましても簡単に触れてみたいと思います。
 この世論調査のまず1ページ目のところでございますけれども、地球温暖化問題に関する関心といいますのは、前回、3年前の平成10年のときよりも関心は高まっております。 それから、次に右の方でございますが、地球温暖化問題の原因についての周知度ということで、原因について、石炭や石油などの消費により排出される二酸化炭素の量が急速に増加することによって生ずるというような原因については「よく知っている」という方が85%、「知らない」という方が14.2%という状況になっております。
 次に、排出量増加の周知度。我が国の二酸化炭素などの排出量が90年に比べ10%近く増加しているというのを知っているかということでございますが、「知っている」という方は半数以下でございます。
 4ページでございますが、排出量の民生部門と産業部門の比較に関する周知度ということでございまして、産業部門よりも家庭からの方が増加割合としては大きいということを知っているという方は3分の1程度ということでございます。
 それから、5ページを飛ばしまして6ページ、(6)番でございますが、京都議定書の周知度ということでございます。京都議定書の内容について知っているかということでございますが、内容について「知っている」という方は20%弱。「言葉だけは聞いたことがある」という方は約半数いらっしゃいます。これ、実際の調査の時期が6月の終わりから7月の初めということでございまして、COP6の再開会合のころでしたらもっと高くなっていたかなと思います。
 それから、7ページ、(7)番でございますが、個人の努力の効果の周知度ということで、1人1人が省エネなどを行うことによって、ある程度防止することができると言われていますが、省エネなどをみずから行うことが防止に貢献できるかどうかということでございますが、そういったことを知っているというのは8割ぐらいの方がいらっしゃいまして、その数はふえております。
 それから(8)番でございますが、個人の日常生活における取り組みについて、実際に取り組むかどうか。「取り組む」という方が大体8割、「取り組むことは難しい」という方が11.4%ということでございます。
 それから(9)番が、温暖化のために個人のライフスタイルをどきように変えるべきだと思うかということで、ごみの減量やリサイクルが7割、冷暖房を控えめにする、54%等々となっております。
 それから、地方公共団体としてどのような取り組みをしていくことが望ましいかということでございますが、森林保護や緑化対策から始まりまして、太陽光発電などでございます。
 それから(11)番では、国としてどのような取り組みをしていくことが望ましいか。これは同じような傾向でございまして、森林保護、緑化以下、太陽光発電などでございます。
 それから、次に、これは定期的にやっている設問でございますが、サマータイム制度について、このライフスタイルの関連で聞いております。これを知っているという方は、前回と比べてかなりふえてはいます。
 それから、13ページは飛ばしまして14ページでございますが、サマータイムが導入された場合の生活面で考えられることということで、どのようなことが考えられるか。「始業時間が涼しく冷房用のエネルギーが節約できる」、それから「夕方明るいので照明時間を短くできる」といったようなところが多うございます。
 それから、15ページはサマータイム制度に関する賛否でございます。賛成の方が50.9%、反対の方、28.8%。前回、平成10年11月のときには、賛成の方が初めて過半数いったわけでございますが、今回、過半数はございますが、前回よりは減っているということでございます。
 それから、賛成とする方々の理由ということでございますが、「エネルギーの節約になるから」という方が66.6%などといったところでございます。それから、反対の理由として、切りかえ日において時間合わせが面倒だったり混乱したりするからというのが一番大きな理由ということになっております。
 再び資料1に戻らせていただきます。
 このように、国民の方々の日常生活に取り組むという意欲といいますか、そういう面は高うございますが、一体どういうことを取り組んだらいいのかということがなかなかわからないといったところが実情ではないかと思われます。
 そこで、次のページでございますが、温暖化防止のための国民の取組のあり方ということでございます。家庭部門における温室効果ガスの排出の抑制のためには、財・サービスの「供給」「購入」「使用」といった各段階における取り組みが必要だろうと。産業部門におきましては財・サービスの「供給」を行う。それから「購入」「使用」の段階において、国民が温暖化に資する行動を選択するために必要な知識、あるいは情報の提供を行うことが必要だろうということで、下にイメージがございますが、財・サービスの供給の中にも、省エネ効果の高い製品の開発・供給、あるいは電力原単位の低減、それを推進するためのトップランナー基準の拡充等々がございます。そういった供給と、それを購入する際の、選択する際の行動になってくるわけでございますけれども、できるだけ省エネ効果の高い製品及び住宅を購入する、グリーン電力を購入するといったようなことが重要かなといいますか、購入側の取り組みになっていくわけでございまして、それを進めるための推進策として、省エネ型機器の情報提供とか、あるいは温暖化についての個々の家庭やレストランなどでの診断を行ってアドバイスをするというような仕組み、あるいはLCAの結果での情報提供を行うといったようなことが必要になってくるんではないかということでございます。
 あと、購入の後、実際にさまざまな機器を使って生活をしたり、あるいは省エネのための行動を起こすということが行動として必要になるわけでございますが、その推進策として、やはり具体的な活動の内容についての普及啓発でございますとか、あるいは診断、アドバイス、あるいは社会システムとしてのサマータイム、あるいは地域に根差した国民運動の展開といったようなことで、生活の中での機器の使用、あるいは省エネ型のライフスタイルといったものを実現していくということになろうかと思います。
 次でございますが、まず、その中でも家庭における照明、給湯、冷暖房の機器につきましては、さまざまな新しい機器が開発されておりまして、省エネ法のトップランナー基準の対象機器も多くなっておりますし、今後も拡充されていくわけでございますが、これらの機器の中には、あるいはこれ以外も含めてなんですが、一定年数の使用によりエネルギー消費額の削減分が設備投資額を上回るものもかなりございます。したがって、一般家庭への積極的な情報提供による導入の促進といったものが期待される。
 一方、太陽エネルギーを利用した機器、あるいは燃料電池といったものについては比較的高うございます。これには補助金などの優遇策が必要ではないだろうかと。それから、ライフスタイルに関わる対策であって、国民の努力に対する期待とは関係なく削減を見込むことができる。いわば社会的なインフラ制度としてのサマータイムといったものも有効ではないかということが、これまでにかねがね指摘されてきたわけでございます。
 下につきましては、それぞれ省エネルギー機器の導入につきまして、あるいは制度的な導入につきまして、それの追加的削減費用と追加的な削減量につきまして、シナリオ小委員会の中間取りまとめの中にあったものをここで引用しております。
 次のページが、それを図示したイメージでございます。
 そこで、今後行政などの取り組みとしてどのようにしていったらよいのであろうかということでございますが、行政、事業者、国民が連携する。継続的・効果的な普及啓発と適時適切な情報提供のための体制整備と、それから制度整備ということを図ることによって、国民の認識と意識を高める。それから、十分な知識と情報のもとに対策を行えるよう支援することが必要だろうということで、ここでは体制の整備と制度の整備という2つの面に分けて提案をさせていただいております。
 体制の方の1つ目は、地球温暖化防止活動推進センターの全国展開ということでございまして、全国センターは設置をされておりますが、都道府県センターにつきましては10月現在で9つの道と県だけでございまして、設置が進んでいないのが現状でございます。その原因、背景といたしましては、法律上の設置要件、指定要件というのは公益法人でございますが、そういったふさわしい公益法人が現実には少ないということが背景にございます。このため、指定要件、設置要件を制度上の要件を緩和をして、公益法人だけじゃなくてNPO法人も対象とすることができるようにしたらどうか。それから、都道府県だけでなく市町村もセンターを指定してほしい、指定できるような制度にしてほしいというようなご要望もございます。これらによりましてこのセンターの全国展開を図りまして、身近なところでの普及啓発、情報提供などの体制整備を行うことが1つは必要ではないだろうかということでございます。これまで、特に都道府県センターの方での取り組みの例としては、以下にありますようなことが行われてきているということでございます。
 それから、2つ目は、地方公共団体による地域での対策の強化ということで、先回も計画という面で実例などをご紹介いたしましたが、計画的手法を取り入れつつ、未利用エネルギーの利用促進、あるいは省エネ住宅の普及促進、あるいは自転車利用など、住民の取り組みを支援する施策を自治体みずからがしていく。その際、積極的に取り組む自治体の取り組みに対しまして国が支援する仕組み、資金的な支援も含めた支援策というものが重要だろうということが2つ目に挙げられているかと思います。
 それから、3つ目でございますが、この家庭部門とか、あるいはエネルギー部門の中でも、いわゆる乗用車、自家用乗用車といった分野での対策には、事業者、国民、行政の協力と連携が不可欠でありますが、そこで国、あるいは地方公共団体レベルで関係者の協議会といったようなものを設けて、国レベルでは具体的な行動のための企画をし、地方自治体レベルでは創意工夫を生かしたきめ細やかな実践活動・行動を展開するための機関という協議会的なものを設けたらどうだろうか。そこで国民運動的な展開をすべきことが必要じゃないだろうか。その際、都道府県センターなどを活用するということも考えられるということでございます。
 それから、制度整備という点でございます。1つ目に挙げていますのは温暖化診断制度--制度というかというと、必ずしも法律に基づいた義務的なものという意味の制度というわけではございませんで、仕組みというふうにとらえていただいてよろしいかと思いますが、一般住宅やレストランなどにつきまして、個々の断熱の状況、あるいは機器の状況などを診断して、対策をアドバイスするといったような事業を展開していくことが必要ではないか。その際、都道府県センターが診断をする専門家といったものを紹介する。これにつきましては、今、私どもの方でも、来年度の予算で実現しようということで研究をしているところでございます。
 それから、2番目に、ライフサイクルアセスメント制度というか、仕組みの普及ということで、さまざまな機器、製品でLCAが実施されているわけでございますが、これの結果につきまして十分な情報提供を行って、消費者が商品の選択をする際の大きな判断要素というふうになるということが望ましいわけでございまして、いかに確実、適切なLCAを行い、それを情報提供するかということが課題かと思われます。
 それから、3番目にサマータイムでございまして、これは従来から議論のある話でございます。先ほど世論調査の結果がございましたが、国民的な合意形成がいかに実現するかのポイントになるということでございます。
 それから、あと、関連の制度で省エネ法の拡充、トップランナー機器の拡充などについて、引き続き行っていく必要があろうというような点が、この国民生活の分野におきます、今後重点的に進めていくべきであろうと思われます体制整備、制度、仕組みのご提案でございます。
 以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告を踏まえていただきまして、家庭部門における温暖化対策、どういういろいろな知恵があるか、むしろどんどんこの場で意見を出していただきたいと思います。非常に温室効果ガスがふえ続けておるわけでございますが、効果的な対策がなかなかないということかと存じますので、皆さんの意見を積極的にお願いしたいと思います。
 発言のご希望の方は名札カードを立てていただきます。

○福川委員 ありがとうございました。世論調査の結果を見て、余りに知られていないのにちょっと衝撃を受けたんですが、特に年齢層の若い方が余り地球温暖化問題についての認識が低いというのが、私としても衝撃であって、教育が大事だというふうに思います。やはり実感を持つというのが非常に大事なので、私もぜひ環境省が音頭をとって、サマータイムなどはぜひ続けて推進をいただきたいというふうに思います。 それから、例えばドイツなんかへ行くと非常に徹底していますが、観光地などへ行っても、例えばコーヒーを飲む。それでちゃんとコップを返すと1マルクとか2マルクとか必ず返ってきますし、おかわりしたいというときには、そのコップを持っていけば安く出してくれるとか、そういうところが非常に徹底をしているので、大事なことが何かというようなことがすぐわかることが大切です。わかるような仕組みがあるということなので、ひとつそういうリサイクル的な形をもっと徹底してするということも必要です。私もスーパーなどへ行っても、依然として包装はかなり過剰と思われるようなものがあります。ドイツなんかですと、例えばソースを買ったりするのでもはかり売りというのがずっと行われて、みんな容器を持って買いに行くんですが、そういうことを日本の中でも徹底したらいいと思います。
 それから、スウェーデンとかドイツとか、ほかの国にもありますが、どういうことをやっているかということを事例をもっと多く紹介していただくというようなことも、ぜひできるだけお願いをしたいと思います。
 とりあえず以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。

○浅野委員 整理の仕方に工夫が要るということをまず最初に申し上げます。もちろん個々の項目について、いろいろと考えなければなりません。いろいろな事項を挙げていくことが必要であることは当然のことであります。しかし、ここでは「国民生活における地球温暖化対策」というタイトルが、まずはじめに、気になります。一体これは何を対象にしているのだろうか、「国民生活」と言った瞬間に非常にあいまいになってしまうわけです。。家庭部門なら家庭部門、国民生活なら国民生活、その言葉の使い方をきちんと整理をしないで、何もかも全部一緒に並べてしまうと、体系的な理解がしづらくなるというべきか、あるいはそこであげられている各施策が本当にばらばらになってしまうという印象をうけます。
 ですから、一体ここで何をターゲットにしているのかをもっとはっきりさせて整理をしなくてはいけない。ここで、我々は、もちろん個々のメニューを用意していくということは当然必要ですが、「制度」を考えると言っているわけです。そうすると、きょうのペーパーの中で、制度と言えるものは一体何だろうかと考えてみるならば、結局診断制度、LCA制度。しかし、本当に技術系の人に申しわけない言い方ですが、LCAは延々と議論が行われてきたけれども、これが、一体制度ということになるのかしらと思います。診断制度は確かに社会的・法的制度になじむけれども、LCA制度というのはそういう意味ではなじみにくいものでしょう。サマータイムなんかはまさに制度そのものですけれども、これは家庭生活というより、むしろまさに国民生活全般にわたることであるし、あとはここに書いてはないんですが、しっかり読めば、色紙つきの方のペーパーを見てもわかるように、ラベリングをいろいろなところでやろうとしている。そういうものはこの中に入れていかなきゃいけないというのは、何となく紙の裏から読めてきますけれども、「制度」として考えるという視点からいえば、こんな整理でいいのかしらと気になるんですね。
 それよりも、せっかく本日は赤い表紙の冊子を配られたのですから、この中にある施策の中で、これは事業者がやることであるとか、あるいはこれはどこがやることであるとか縦割り的に分断されてしまっていますが、事業者がやることでもそれが、どういうふうに家庭生活では、こちらの面からは位置づけられるんだとか、これはこうなんだとかいった形で、その辺の関連性をはっきりさせていくことが必要なんじゃないでしょうか。インベントリーをつくったり、それから政策の削減効果を上げたりするという議論をやるときは確かに施策を縦割り的に切ってしまって、この施策でこれだけ削減できるという分析も必要であることは理解できます。しかし、それをもとにして、目標を立て、目標を実現するためにどうするかというときには、縦割りの削減目標をそれぞれのセクターに押しつけるのではなくて、こっち側からもこれだけのことをやったらここの削減が十分効果があるという、関連性を明らかにしていくことが大事だと思われます。それなのに相変わらずインベントリー方式みたいな形になっているわけです。
 ここに、しようがない、しようがないと言われながらも「大綱」があって、そのなかでの取り組みの重点というのも言われているわけで、それぞれを見れば結構なことが書いてあるわけですから、その重点的取り組みとして挙がっていることを家庭生活の面から見ればどうなるのかということをまず分析し、それをどういう形で制度化し、実施を担保できるのだという議論をすべきなのではないだろうか。その整理が作業として非常に遅れているように思われる。
 例えば、制度というんだったら、資源有効利用の方はラベリングをきちんと法制度化しているわけです。だったらこっち側の方だってそういうことをちゃんと義務化するという議論くらいは幾らでもできるはずでしょうし、住宅にしたって、普及啓発を図るなどと言わないで、建築基準法を改正して、せめて新しく建てられる建物からは基準の中に入れていきたいというようなことを言ってもいいはずです。それでこそ初めて制度の議論になるのではないですか。啓発普及をやりましょういうことは、制度の議論にはならないとまでは言いませんが、「啓発普及」をどうやって制度的に推進していくのかという議論にしなければこの場の議論にならない。啓発普及をもっと強化しなきゃいけないということは、すでに前の小委員会で言われていることじゃないかなという気がいたします。今日は最初に少し厳し目な言い方をしてしまいましたが、それにしても、ここでこれだけしか制度についての論述がないというのは本当に寂しい限りであるわけです。
 なお、サマータイムについてはさんざん議論されておりますが、どうして賛成意見が減ったのかということについて、分析は難しいかもしれませんけれども、事務局はどういう理解をしておられるでしょうか。むしろサマータイム制度について認識が深まってくると反対がふえるということがあるのかもしれませんね。本当にこれをやらなきゃいけなくなるなら、これは大変だなと思うかもしれないですが、理解がだんだんなくなってきたから反対がふえてきているとはどうも思えない。この辺はどう分析するのか。
 これはここで言う家庭の何とかという議論とはもっと違う次元で、もう少し横断的に議論しなきゃいけないことかもしれませんし、この問題の議論は、東京を中心にものごとを考えている場合と、九州で考える場合では相当ずれがあるわけです。それから、労働者が現実に労働者の置かれている状況の中で考えることと、全然そうじゃない場所にいる人が発想する考え方とも違うわけでしょう。やはりその辺の溝をどう埋めていくのかという作業は、本来、サマータイム導入を推進しようと考える人が考えなきゃいけないことなんだと思うんですが、そういう議論をしないで、サマータイムの効用とか、それの温室効果削減効果についての数字を並べて、こうだと幾ら言ってみても、本当にこれを制度化していくための着地点にはつながっていかないんじゃないかと思うんです。その辺についても事務局はどう考えるか、少なくともコメントを聞かせていただきたいと思います。

○安原委員長 じゃ、今、浅野委員のご発言に対しましてコメントがあれば。

○竹内課長 サマータイムにつきましては、従来から国民的合意が大前提になるということで、さまざまな世論調査を含めて普及啓発、あるいは意向の調査をしてきているわけでありますが、それを続けていくということが今のところの政府としての役割だと思います。一方で、こういった審議会の場で、これはぜひ推進、早期に導入すべきだということであれば、それをぜひ答申といいますか、そういった中に書き込んでいただけるということも必要ではないかと思います。

○青木委員 いろいろレベルが違うことで2つ3つあるんですが、1つは、住宅の省エネルギー基準の問題でございますけれども、これが2カ所ぐらいで省エネ基準の強化ということが書いてございます。私も省エネ基準をしっかりしたものにしていくということについて全く賛成でございますけれども、現在の住宅の省エネルギー基準というのはかなりレベルが高くなっていて、欧米先進国並みの基準になっているにもかかわらず、まだなかなか普及していないというのが現状のようでございます。やはりそういう現状を考えますと、まず普及促進を図っていって、かなりのレベルまで普及してきた段階で、さらに次のレベルに達していくというような、ただいたずらに強化をしていけばいいということでなくて、現実に対応した推進策を図っていく必要があるのではないかというのが1点でございます。
 それから、もう一つ、2番目は、これは今、この資料を拝見していて感じたんですが、2の図があります。この右の方に国民運動の展開というのが推進施策の中に入っておりますけれども、ほかのものとちょっと種類が違うのではないか。これは言うなれば、もう少しすべてのいろいろな制度を入れていったり、あるいは税制の問題等も入ってくるかもしれませんけれども、そういった問題をスムーズに理解させていくためには、国民運動の展開がやはり必要だと思うので、これはまだもう一つ下のさらに基本的な部分に入ってくるものではないかというような感じが1ついたしております。
 それから、ご提案の中で、いろいろの広報のことについて、さらにしっかりした広報をやっていかなきゃならないということでございますが、全く賛成でございます。官民協力し合って、縦横、縦の行政のライン、あるいはいろいろな団体にもお願いして情報を流していくという必要が、私の経験からいってもあるんだろうと思います。1人1人に正確な情報を与えるというのは非常に難しい事柄だと思います。このためには、やはりまず1つは環境省みずから、役所の広報というのは今までなかなか難しいと思うんですけれども、必要があれば新聞広告でも車内吊りでもチラシでも駅張りでも、1年を通じて毎月新聞広告を出すとか、かなり思い切った広報体制をとられていく必要があるのではないかというような気がいたします。それから公共団体も、二、三日前に東京都の広報で自動車の自粛のことなどもいろいろ書いておられます。公共団体の広報紙というのは非常に浸透力が高いので、こういうこともどんどんやっていっていただきたいんですが、あらゆる媒体を活用していただきたい。
 それで、この協議会につきましては私も賛成でございまして、これらの国のレベルであれば、やはり全国的な団体、これは地方公共団体は行政のレベルでいくでしょうから、それは必要ないと思いますけれども、全国的ないろいろな経済団体以外でも、生活関係の団体でございますとか、労働関係の団体であろうとか、いろいろな団体があろうと思いますけれども、いろいろな団体を含めた方々との協議会をつくられて国から情報提供し、また各団体からいろいろ意見を言っていただくということが非常に大事なことだろうと思います。新聞を見て、各団体がいろいろな情報を入手するというのと、やはり直接その衝にあるところから最新の情報を提供してもらうというのは情報の意味が違ってまいりまして、浸透力も格段に違ってくるというふうに考えております。したがって、これもただ1回やるというのではなくて、定期的に協議会を開かれて、お互いに情報の交換をしていくということが必要ではないかと思います。これは地方でも全く同じことだろうと思います。地方でそういう協議会を開かれた場合、要請があれば、これはなかなか大変なご苦労があると思いますけれども、国からも行かれて、国からも直接いろいろな情報を提供していただくというような努力も必要ではないかというふうに思います。
 いろいろな広報も、特にこういう生活に関することは、国がこういう生活をしろと言うような広報というのはかえって反発を招くと思いますので、日本でも外国でも正確な事実の情報を流していただく。いろいろ国民とともに、どういうふうにやれば生活スタイルを変えていくことができるのかということを一緒に考えていくというようなスタイルで広報をやっていかれる必要があるだろうと思います。これは全く今までの政府広報と違う、新しい広報をしていくんだというような気持ちで、かなり総力を挙げてやっていただく必要があるのではないかというような気がする次第でございます。
 それからもう一つ、サマータイムの話でございます。私もサマータイム、必要があれば導入すればいいと思うんですけれども、四十七、八年でしたっけ。第1次オイルショックのときにサマータイムを、これは年間を通じてだと思うんですが、入れようという話がたしかありまして、私もその衝にあたりましたけれども、結局失敗したんです。このときは、やはり日本は南北、東西に非常に広い国でありますので、各地域でかなり意識が違うようですね。意識が違って、なかなか全国的な賛成が得られなかったということがあったような記憶がございます。今、4月から10月という話になっていますので通年ではないんですけれども、この辺も10月までやれるのかどうかとか、いろいろな問題があるんじゃないかと思います。そういったような地域的な調整がきちんとつくなら、やっていただいたらいいのではないかというふうに感じている次第でございます。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。

○横山委員 きのうファックスで送られてきた資料を見ていて一番おもしろいなと思ったのは、家庭で以下の取り組みを行うと、我が国の排出量全体の 2.8%削減できる。それがなぜかきょうの資料には入っていないので、ちょっと言いにくいんですけれども、やはりわかりやすく、こういうことがあるとこの程度減るぞというのを項目を挙げてやるというのが原点ではないかと思います。ただ、その中で「家族が同じ部屋で過ごし、暖房と照明の利用を2割減らす」というのが 3.7%で全体の3分の1になっているわけですね。しかし今、これだけ個人が重視されているときに、家族が同じ部屋で過ごすというようなタイトルでいいのかなという、一番の目玉が家族が同じ部屋で過ごすということはちょっと違うんじゃないかなという気がします。ただし「暖房と照明の利用を2割減らす」というようなところは生かして、これを何かもう少し変えてやって、こういう身近なものでもこんなに取り組めるんだ、こんなに排出量を削減できるんだというのはぜひやっていただきたいなと思います。
それから、2番目はサマータイムの議論なんですが、私も個人的にはいろいろな理解が得られれば導入していいと思うんですけれども、やはりいろいろなところで議論すると、こんな制度は日本に合わないというのが強いと思います。それで、国民会議か何かがやって運動していましたが、その後を見ると、政府も何かそんなにサマータイムを強く押しているような印象も受けないし、今後理解を得ていくとき非常に難しいんじゃないかなというふうに思います。
 それと、国民にこういうことが有効ですよと言っている中で、サマータイムぐらい賛否両論があって絶対に嫌だというもの、ほかは余りないと思うんですよね。温暖化診断制度なんかでも、いいじゃないかと。例えばアイドリングストップとか、そういうものでもみんなある程度は理解してくれると思うんですが、このサマータイムについてはそういうわけにいかない。そうすると、今後一丸となって温暖化対策を進めていくということを考えたら、もうサマータイムは、この辺でこれはだめだと見切りをつけて、もうサマータイムに注ぐ精力を別のことに向けた方が私はいいんではないかなというふうに思います。水を差すようで申しわけないんですが、やはり取捨選択すべきところはすべきで、この辺で、もうしようがないということも必要ではないかと思います。
 それから3番目に、これは質問なんですが、温暖化診断制度、来年度の予算で実施を図っていくということですけれども、予算が満額通った場合、これは無料になるんですか。それから、この専門家が地球温暖化の防止を診断するということは、そういう専門家はかなりいて、制度がすぐにでも動き出せるような体制づくりというのが可能なのか。それは質問でお願いします。

○安原委員長 じゃ、今の質問にお答えいただけますか。

○竹内課長 温暖化診断の事業でございますが、今まさに予算の要求をしているところでございまして、無料になるか有料になるか、それも予算次第ということでございます。基本的には、できるだけ家庭や、あるいは諸業の事業者の負担にならないような形で実施できればなと思っております。
 そこで実際の専門家でございますが、エネルギー管理士や、あるいは建築士など、関連する資格を持った方々のうちで、特に現職でないという方々が環境カウンセラーとか、あるいは温暖化推進員とかに現状委嘱されています。そういったご専門の資格を持っていらっしゃる方々、大体全国で 1,000人から 1,500人ぐらいいらっしゃると可能性として見ております。ですから、そういった専門の資格を持っていらっしゃる方で、いわば現職でどこかにお勤めじゃない方を中心に、その診断の専門家として個々のセンターなどのあっせんによって診断をしていただこうかというふうに考えております。

○安原委員長 ありがとうございました。

○村上委員 COP7のことで1つ質問をいたします。某紙に、けさの朝刊ですが、政府のCOP7対処方針というのが出ております。これが本当なのかどうか、ちょっと教えていただきたいというふうに思います。
 それから、先ほど福川委員が、家庭での取り組みの場合に、やはり供給側の供給のあり方を変える必要があるということを言われました。やはりこれは重要なポイントだろうと思うんですね。やはり供給サイドの方も、いろいろな過剰包装とかいろいろな容器、まだまだありますし、いろいろな問題が供給側はあるわけですね。そちら側とやはりタイアップしなければ、国民に選択の幅がなければ、国民は省エネ型の生活をしようと思ってもできない部分があるわけですね。だから、例えばトレーのついていない食品を買おうと思っても、売っていなければ仕方がないでしょう。そういうことをやはり供給側の方も合わせないと、幾らいいと思っても国民がやりようがないものがある。そこはぜひきちんとしていただかなければいけないだろう。
 それから、私はそういう絡みで言うと、家庭における温暖化防止、非常にごみという問題は重要だと思っております。このごみというのがなぜ抜けているのか。ごみの減量というのは、今、ごみを埋め立てて燃やすと再利用率は低いですね。リサイクル率が低い。そういうことからいくと、いかにごみを減らすか。これは供給側の先ほどの問題とも絡みますけれども、相当なウエートをかける必要がある。また、埋め立てればメタンを発生する可能性があるわけですから、メタンの発生による大変な温暖化効果があるわけですから、そこはきちんと、なぜ抜けているのか。
 それから、やはり国民側の取り組み--国民という呼び方がいいのかどうか、昨日別の部会で大議論がありましたけれども、ここもやはり、例えば2番のところですね。国民運動の展開というのは、これは行政がやるんじゃないでしょう。国民のいろいろな民間団体とか、市民運動、NGO、NPO、こういうものがそれぞれがやる。そこをやはり行政として支援するべきものは支援していこうというスタイルだろうと思うんですね。だから、国民運動を国が旗を立ててやるというのは、せっかく今NGO、NPO、相当出てきておりますし、私ども労働組合運動としても一生懸命それなりにやっているわけです。スタイルの見直しなんていうのはそんなに簡単にできるはずがない。継続して、あきらめないでやるしかないんです。そこをやはりきちんと、位置づけというのはお上思想で書かれると、受ける方としては、これは何だと。国民生活改善運動でも国がやるのかと、こう思いますから、そこを誤解のないように書いてもらいたいというのと、優遇税制というのは、私は優遇っていいのかねと思う。やはりそういうことは必要だから支援しようと。例えば、NPOに対する寄附等に対する税控除という問題は、これは支援税制だと思う。優遇税制というのは、やはり上からの発想なんですね。そのNPOがそういう活動をすれば、それだけいろいろなものが、いろいろな面で国の執務が減るわけですし、その分ぐらいは国の財政に、私は今のNPOは最大限役に立っていると思うんですよ。そういうことが全然理解されていないというのは大変不満ですね。
 だから、そういうところで言えば、今後の取り組みの課題のところでも、事業者があれば、やはり市民団体とかNGO、NPOというのは同列に扱うわけです。事業者だって国民ですから、何で行政、事業者、国民と飛んじゃうんだろうと。事業者を扱うなら、やはりそういうことを一生懸命やっている、環境問題に取り組んでいる団体も同列にやはり扱うべきではないか。それがなぜ抜けているのか。
 それから、体制整備の問題ですが、地球温暖化防止センターで一緒にやるというのは反対じゃありません。しかし、他省庁も似たことをいっぱいおやりになっているんです。いろいろなところでいろいろなことをやるのは私はいいと思うんですが、昨年この温暖化センターで初めていろいろなNGOが一堂に会して、他省庁の団体も会して1回フォーラムをやりました。そういうところをやはりちゃんと、ある意味でほかの省とやっていることも、環境省が考えているから環境省だけのことじゃ困るんでありまして、せっかくやっていることはやはり役に立つように、どう動かしていくかということをトータルで考えてもらわないと、建前のばらばらじゃ、せっかく国民の税金を使っているものがあるわけですから、そこはきちんとしていただかなきゃいけないということです。
 それから、サマータイムの問題、この中で実際サマータイムを国内で経験したのは私だけかもしれませんが、北海道は一時やっていたんですね、昭和40年代ぐらい。北海道では相当よかったです。あそこは夏は短いですし冬は長いですから、夏の時代にはサマータイムでいろいろ戸外で活動しようと、相当効果がありました。しかし南の方へ行きますと、どうもそういうことはないんですね。私は北海道から南の方まで生活していましたからわかります。あれも連合としても推進の方針を決めておりますけれども、結構反対が根強い。その反対が根強い理由というのは、本当に効果があるのというのと、もう一つは、やはり我が国の風土にそぐうんですか。そぐわないんじゃないんですかというのが、非常に我々の中でも根強い反対がある理由です。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 幾つかのご指摘をいただきましたが、その中のごみ対策について、事務局の方からご発言願えますか。

○竹内課長 家庭などからのごみの排出の減量と、それから処理する際の場面とが日常あると思います。もちろん減量、マテリアルリサイクルということが第一義でございますが、焼却する際に、例えばごみ発電を行う、ごみ発電を通常行う。これもかなり2010年までの目標として意欲的な目標、導入量の目標もありますし、あるいは生ごみを活用して、いわばバイオマスということで活用して熱エネルギー、電気という方法もあるわけでございまして、減量とともにそういったごみ資源の活用と、温暖化対策への活用という両面があると思われます。

○村上委員 1つ忘れていました。体制整備のところで、先ほども言いましたが、NGO、NPOですね。やはりきちんと支援していくというのが大変重要な体制整備だと思いますので、ひとつよろしくお願いしたい。

○安原委員長 ありがとうございました。

○大塚委員 先ほど浅野委員が言われたこととかなり発想は近いんですけれども、ですから、多少話がもとに戻ってしまいますが、この制度整備で挙がっているもので、余り制度になっていないということは私も非常に感じました。前から申し上げていることですけれども、温暖化というのは、防止については社会全体で対応していかなければいけないということを考えると、家庭部門については、これは非常に弱いという感じはすべての人に持たれるのではないかという気がいたします。
 1つは情報的手法ということなんですが、このライフサイクルアセスメントの普及というのがそれに当たるんでしょうけれども、これ、先ほど浅野委員も言われたように、ラベリングをすることを義務づけていくということが必要なのではないかというふうに思います。LCA自体について、議論が非常に諸説に分かれていて、なかなかまとまらないということは確かにあって、非常にご苦労を感じておられるのではないかと思いますけれども、これは何とかまとめていただいて、その情報を提供しないと消費者が温暖化防止に寄与するように行動するという情報自体がないという、非常に困ったことになりますので、これを何か示してラベリングをしていくということが重要だろうと思います。もちろん消費者の行動は環境教育とも関係しますので、これはかなり長期的な視野で取り組まなければいけない問題ですけれども、そういう問題ももちろんございます。
 その情報的手法というのは、しかし非常に時間がかかるということもありまして、もう一つは、もう少しお金とかに絡むような対策をとらざるを得ないと思いますけれども、温暖化診断制度の方になるわけですが、これは診断をするといっても、診断をしてもしなくてもいいとか、診断しても何のメリットも得られないというような状況では、多分絵にかいたもちになってしまうのではないかという危惧が非常に感じられるわけでして、こういう対策をとった場合には、補助金などが考えられますが、ある種のインセンティブを与えるというようなことをしないといけないということは非常に痛切に感じています。
 大体以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。

○桝本委員 私、いろいろな試みを多様にやってみる必要があるという意味で、若干体系的に整理は必ずしも十分ではないように思いますが、いろいろな試みをしてみる必要があるというふうに思うだけに、きょうの報告は、大きい方向はぜひこの線でやった方がいいというふうに私は思います。
 これは、実は私もちょっとまだ新参者で不勉強な部分がございますが、これまでの報告書や何かを拝見いたしますと、都市整備に関してのいわば国内対策というものがあります。実は、国民生活そのものは何か抽象的にあるわけではなくて、住宅、道路、町、社会、そういう全体の中で国民は生活しているわけです。ですから、実は国民生活に省エネ、あるいは地球温暖化を考えて生活しろ。でも、出た道路はもうコンクリートばかりで、都市はコンクリートと鉄の塊。それでエアコンを使うなと、こういうことは全く無理なわけで、私は、国民生活の部分と生活の場面である町、まちづくりというものが本来並行して対策が行われるべきものだというふうに思います。
 考え方としては、我々のこれまでやってきた一種のエネルギーの大量生産、大量消費の一種の悪循環が最も象徴的に出ているのが都市です。よく言われるとおり、東京を中心にした八王子近辺までヒートアイランド現象ということがよく言われるわけで、これは全くそのとおりです。私の表現で言えば、これは一種のエネルギーの消費の悪循環でございます。隣が窓を閉め切ってエアコンを使う。熱い空気が外へ出てくる。隣のうちもまた窓を閉めてエアコンを使わないとしのげない。こういうようなことが起こっているわけで、国民生活だけを直すのではなくて、生活の場自体をより自然順応型というか、省エネ型というか、そういうものに変えていくということを同時に必要とすると思います。
 そういう意味では、これまでのこの場でのご検討ほかを拝見すると、それは都市整備ということで切り離されていますが、実はそれは全く表裏一体の問題ではないだろうか。例えば大江戸線がそうですが、非常に深いところに地下鉄を通して電動のエスカレーターをつける。これに乗るなというわけにはいかないわけです。これは電気が必要。こういうようなことで、最も象徴的なのはコンクリート、鉄、強制排気・循環のビル、事務所、こうしたものが日本中の各地域であります。私は基本的に考え方として、さっきどなたかがおっしゃったとおり、北、南、それぞれの風土、自然に合った都市づくりというのは、もっと検討されていいだろうと。しかし、これは恐らくここで言う国民生活というところには範疇に入らないんだと思う。しかし、こういう生活の場はそうした場にしかございません。ぜひ風土を生かした町の新しい形成、それは今流に言うと、小泉総理や石原さんが言っているような循環型の都市づくり、自然順応型の都市づくりということで、私は平仄が合うと思います。これを恐らく環境省だけにお願いするのは大変難しいので、ぜひ自治体、あるいは経済産業省、国土交通省、ご一緒に、よりエネルギー利用効率の高い、あるいはこの報告書にあるとおりCO2 寡排出型の都市をつくる。それがこの国民生活の運動と同時に行われる必要が非常にあるというふうに思います。そういう意味で、ぜひエネルギーの悪循環の仕組みを変えていく。これは具体的に言えば、緑化とか、どぶをつくるとか、暗渠にみんなしてしまいました小さい小川を生かすとか、屋上緑化をする。既にこれまでご検討の中にあります。そうしたものを形としてやっていくことが、私は国民生活における温暖化対策のベースをつくる点で非常に重要だというふうに存じます。
 それから、第2点ですが、これはちょっと私、電力会社の者なものですから、そういう立場で相当割り引いてお聞きいただいていいわけですけれども、このご提案の3枚目のところに、家庭における温暖化防止に資する追加的対策と導入。これ、ちょっと我々電力会社の努力が足りないのかなと思って反省をいたしましたが、実は省エネ機器の導入の中にぜひ加えていただきたいものがあります。それは、最近この6月に私ども東京電力が--これはPRでは決してございません。デンソーと5年ぐらいかけて開発したCO2 の給湯器があります。この成績係数は3ぐらい、3以上でございます。これは、いわばフロンを使わないでCO2 を冷媒とする新しいヒートポンプの給湯器です。この給湯器は、言うまでもございません。トップランナーでのエアコンは、今成績係数5ぐらいでございますから、1の電気で5のエネルギーが発生されます。CO2 給湯器の場合には、1のエネルギーで3のエネルギーが発生されます。1の電気を出すときに、私ども全体の電力の効率は大体40%ぐらいですから、半分と逆に多目に見たとしても、実は 1.5倍ぐらいの効果が1つの電気の投入によって得られるというものが開発されております。ぜひここに加えていただきたいというふうに存じます。これは既に行われたシナリオ小委員会の報告でも、確かきちんと評価をしていただいております。まだ値段が高いのが問題だというご指摘をいただいておりまして、それは全くそのとおりでございますが、その点もよろしくお願いいたします。

○安原委員長 ありがとうございました。

○塩田委員 二、三点、質問と意見を申し上げたいと思います。
 質問は、1ページ目のこれまでの取り組みの評価のところで、温暖化ガスの排出量の増加の原因として世帯数の増加と家電製品の大型化・多機能化と書いてありますが、この2つの原因、世帯数の増加というのは、これはコントロールのしようがないのではないかと思いますし、家電製品の大型化の方は、これはよくわかりませんが、この2つの項目の増加に対する寄与度というのがどのぐらいあるのか。それで、今までその他の対策をいろいろ実施してきたものの効果が多分あって、相殺して現在の結果になっていると思いますけれども、そういう分析が、やはり国民全体に対してPRをするときに必要なんではないか。そういう観点から質問をさせていただきたいです。それが1点です。
 それから2つ目は、これからの温暖化ガスの削減策として具体的な施策の追加的費用、あるいは追加的削減量というのが3枚目に表が出ております。今、ほかの委員からもごみが重要だとか、ラベリングの手法が重要だとか、いろいろご指摘がありました。そういう意味で、ここは代表的なものとしてお考えになったんだと思いますが、追加削減費用と追加的削減量、一番右に導入のために考えられる政策的手法、こういうことが書いてありますが、これをもう少し、どうしてこういう結論になるのかということを説明をしていただいて、そういう項目について、本当にこのとおりどうやったら実現できるかという道筋をもう少し具体化して、それで今までどうであったか、これからどうなるのかというようなことをもう少し具体的にやってみる。具体的にしてみる。それをだれが実際に実施できるかということにつきましては、私は供給サイドであろうと購入サイドであろうと、使用する段階であろうと、どの段階でもそれに沿った努力というのは大事にしていくべきだというふうに思うわけです。
 それから、第3点目に、どちらかというとこれは私の意見ですけれども、具体的な目標に対して具体的な施策をこれから実施していくことが重要だということは、たくさんの委員の方がおっしゃっていたわけです。それで、もう一つそこで抜けているのは、その具体的な施策がどれだけの効果が出てくるかというのは、個別の項目が全体の中に埋もれてしまうわけですから、その個別の項目について、その実績をどうやって検証していくのかということですね。どうやって検証していくのかということを、やはりこれから考えていくべきではないかと思うんですけれども、この3つの点について、特に実績の検証というものをどういうふうにやっていくということを考えておられるのか。事務局にアイデアがおありでしたら伺いたい。この3点を意見と質問をさせていただきたいと思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。事務局。

○石飛調整官 まず、家庭部門での増加要因としては、1ページに書いております世帯数の増加と、家電製品の大型化・多機能化等による消費原単位の増大。これは具体的に申しますと、1990年から98年までの変化を分析したものが、目標達成シナリオ小委員会の中間取りまとめにも掲載されておりまして、これを見ますと、増加分のうち世帯数の増加が、大ざっぱに言いまして約6割程度の寄与があると思われます。また、エネルギー消費原単位の増加が残りの4割であろうと思います。この中には、大型化や多機能化による増加分もありますし、逆に省エネルギー機器の導入が増大していることによるマイナス分もありますが、それを相殺したものとして約4割の増加になっているとして考えられます。
 一方、家庭部門での減少要因として、供給する電力の原単位が下がっていることが挙げられますが今申し上げたのは、増加要因だけを切り出した場合の要因として、世帯数6割、エネルギー消費原単位4割ということでございます。

○竹内課長 それから、個々の政策手法、政策措置を具体的にということでございますが、本日のご提案もいただきながら、個々の対策、それを進める措置まで、またいろいろ1対1の関係が見つけだせるようにしていきたいと思います。
 それから、対策や施策の項目別の実績の検証の方法でございますが、これはほかの分野もあわせまして、後ほどのこの小委員会の場でご検討していただきたいと思います。

○梶原委員 いつも何か同じようなことばかり申し上げているような気がするんですが、ここでの議論というのは、もともと大綱以降の実績を踏まえて、もはや意識啓発だとか自主努力だというだけでは限界があるんだという基本認識があったんではないかと、実は僕は思っているんですけれども。浅野先生もおっしゃっておられましたけれども、何も仕組みが出てこないんですね。
 それで、1ページ目でせっかくいい分析をされているのに、あと、残念ながら情報提供が不足だというところにずっと流れていってしまって、推進センターをつくろう、自治体頑張れ、国も頑張りますというのが基本的なシナリオになっているように見えるんです。確かに情報提供は大変大事ですし、よりきめ細かなわかりやすいものをたくさんやらなくちゃいけないと思いますけれども、確かに、現段階で行政もいろいろな情報提供をしております。企業の皆さんもいろいろな形でされています。商店もやっています。広く相当な知識はあるわけですね。それにもかかわらず行動に移せないということが何なのかということなので、それを誘導するような仕組みをまさにつくらなくちゃいけないというのが、この小委員会だと思って、私は毎回期待して出席をさせていただいているわけなんです。
 努力が見えるような、行動につながるようなものはどんなものなのか。しかし、拝見する限りでは、今ご提案いただいたものは大綱の段階のものと変わっていないんじゃないかなというのが率直な感想です。全く例えばなんですが、さっき浅野先生もおっしゃいましたが、ラベリングがあるなら、ラベリングが大事ですと言うのではなくて、ラベリングをどうやった形で義務づけができるのかどうか。そこまで踏み込んだ検討が必要ですし、また、省エネ法のことも書いてございますけれども、現在のトップランナー方式がこの機能の仕方で十分なのかどうか。もしかしたらまだまだ護送船団なのかなという気もしないでもありません。それは誤解があったら申しわけないんですが、検証も必要だろうと思うんです。さらに電力料金なんかを、今は大体階段方式ですけれども、かなり大くくりだと思うんです。これがもう少し小刻みだと、努力が報われまして「ああ、より単価の低い段階のところに努力できたな」という喜びが出てくるわけです。急カーブにしちゃうという乱暴な論ももちろんあろうかと思います。それも料金だけでやるんじゃなくて、環境税という方式もありますし。例えばということで幾つか申し上げましたけれども、こういった効果的な仕組みを検討しなくちゃいけないだろう。
 もうここから先は私からの懇願なんですが、ぜひこういった効果のある仕組みを1つでもいいですから打ち出していただきたいんです。それを柱に自治体は精いっぱい頑張ろうと思います。ただ今までどおり情報提供をやりましょうというのは、残念ですがご勘弁願いたい。それはもう十分やっております。これからも頑張ります。
 ちなみに、最後に1つだけ申し上げますが、これ、法律をつくっちゃったのでしようがないんでしょうけれども、地球温暖化防止活動推進センターがなぜできていないのか。これは、よくアンケートをいただいているようですが、こういう理由でできていないんでしょうか。必要ないからじゃないんでしょうか。4ページにセンターを活用した取り組みの例というのが書いてございますが、これをやるためにわざわざ第三セクターをつくる気は私どもはありません。これは私ども、従来からやっておりますし、例えば東京都の場合は環境学習センターというところを柱に、NPOの皆様とも連携をとりながらやっております。センターをつくるということそのものを目的にしてほしくないんです。
 ぜひ実効性のあるものを1つでもいいですからご提案をちょうだいしたいと思います。

○安原委員長 ありがとうございました。

○小林委員 それでは私の方から、今まで県としてやってきた中で感じたことです。
 まず先ほどお配りいただいた、いわゆる家庭で行うメニューといっぱい書いてあるんですが、うちの県もこれ、いろいろやっています。私どもの県、実はこういうことをやりながら、単に温暖化対策のためにこれをやるという目的というか、そういう打ち出しをやっているわけではなくて、実は兵庫県、ご存じのとおり子供の虐待問題だとか、それから家庭崩壊の問題だとか、いろいろな問題を起こしております。そういう中で、実は子供ということをターゲットに置いて地球温暖化対策だとか、それから家庭内のコミュニケーションをとるというようなことで、実は温暖化対策を進めていく中で、例えばちょっと例示でお話がありましたが、同じ部屋で家族が休憩をする。そのことによって温暖化対策を進めるといいながら、そこで親と子供のコミュニケーションをとっていくんだとか、そういうふうな意味で、子供というターゲットのもとに家庭崩壊とか子供虐待とか、そういうものとあわせた温暖化対策という形で進めるということで今やっております。
 ただ、そういう中で私どもが言っていますのは、物すごい多くのメニューをつくって、どうも行政屋というのは、メニューをつくるとそれを全部やってもらいたいという意識が強いんですが、そうじゃなくて、そのメニューの中の何ぼかを私の家庭はやるんだということでいいんじゃないか。だから、一つ一つのメニューで、全体のうちの1割でも5%でもやってくれればいいんだと、そういう軽い気持ちで多くのメニューを書いていく必要があるんじゃないかなと私たちは思っております。ただ、そのメニューも具体的に書く必要がある。ここはこうするんだということを細かく具体的に書かないと、単なる普及啓発という言葉で終わらすのはよくないなと思っています。
 もう一つは、今、梶原委員からお話がありましたように、それをするための手段が必要だ。具体的に手段が要る。税制でも必要ですし、例えばこれは供給側の問題になるんですが、例えば待機電力をカットしましょうと言いながら、実際に主電源がない電気機器がいっぱいございます。ひどいのは、主電源を切ったと思っていてスイッチを切っているんですが、主電源が切れていない。こういう機械が大変多くございます。これはコンセントを抜きなさいと言いながら、コンセントはたんすの後ろにありますよということでできない。こういうのについては、必ず主電源をつけるというような制度がきちんとないといけないと思いますし、それからデポジット制度についても、やはり思い切った制度が要るのではないか。
 最近、私、いろいろな団体の方が環境のことで勉強に行きたいということで、よくヨーロッパに引っ張っていかれるんです。行って気がつくことなんですが、ヨーロッパの方々は環境に対する意識が高い、日本人は意識が低いと、そこが問題だと言われるんですが、行っていろいろ聞いていて思うことは何かというと、物すごい細かな制度がつくられていて、その制度に私たちは従っているだけで、私たち個人が意識が高いわけではないと言う方が多いんですよね。そういう意味から見ていると、やはり細かい制度をきちんとつくっていく必要があるんではないかな。どうも日本は普及啓発、普及啓発と言いながら、それに対する細かい手段が明示されていないということが問題ではないかなと思います。現実に私ども、県の自主行動計画をつくってやっていますが、いわゆる機器を改良するとか、制度としてこうしなさいと決めたことについては守っていただいていますが、職員の自主行動に任せる部分はほとんどやれていません。ですから、県の職員でさえそうですから、国民の皆さんがやれるわけはないと。だから、やはりそこはきちんとした制度が要るんではないかなと思っています。
 それから、この診断制度なんですが、国民に対して出ていって診断するというんですが、相当の国民がおられるわけで、本当にそれができるのかな。現実に兵庫県の場合、現在温暖化推進員が 140名程度おられます。ことしこれを6倍にふやそうとしておりますが、それでもなかなか動きません。理由は何かというと、そういう場がないとか、いろいろなことを言われまして、なかなか推進員が実際には行動できていないという部分がございます。これは逆に推進員に意識がないというのもあるんですが、そこに対する情報提供とか、そういうことをもっともっとやっていく必要がある。
そういう中で、今ちょうどお話があった温暖化センターの問題です。これは公益法人の指定ということで、公益法人がないからだめなので、NPOをふやすというお話はあるんですが、私はセンターができない最大の理由は何かというと、今、梶原委員が言われたように、センターをつくる必要性があるかどうかという問題と、それからもう一つは、センターに指定されることによって何のメリットがあるのかというのが、実は何もないんですよね。ほかの法律に基づくセンターの指定というのはよくあるんですが、指定されることによって特権的な権利を持つとか、そういうことがあるわけです。この温暖化センターについては全くそういうのがない。ですから、大分温暖化センターに指定されることによって、業界からの給付についての免税措置がとられるとか、そのセンターの認定を受けた公益法人は地方税が免除されるとか、そういうふうな何かメリットがないとだめだし、また、そこに対する一定の支援、補助制度がないと、センターに指定されて金を使うだけで、それに対して何のメリットもないというのでは、センターにしていただく必要がないというのが本音だと思います。ですから、その辺の何か優遇措置、センターに対する優遇措置というのをつくっていかなければ、このセンターというのは動かないんではないかなと思います。
それから、もう一点は、温暖化法の中で地方自治体の役割というのは、実ははっきり決まっていないわけですね。地方自治体はこういうことをするんだということを、もっともっと具体的に普及啓発にしろ、国民に対するものにしろ、それに対してまた供給側の業界に対してこういうことができるよということを具体的に法制度の中で書いていただかないと、やはり動かないのではないかなという感じがしますし、それから、もう一つ、これは一番の問題点なんですが、現在の排出量、排出ガス量の計算の算定方式からいきますと、こういう行動をやったものが効果としてどこへ出てくるのか見えないんですね。ですから、こういう行動をしたことの効果が実際の温室効果ガスの排出量にどう出てくるのかという効果チェックのシステムをもう少し明示しないと自分がやったことが見えてこないというのは、やはり問題なのかなと思っております。

○安原委員長 ありがとうございました。

○飯田(哲)委員 皆さん、もうさんざんおっしゃられたのであれなんですが、環境NGOの立場として申し上げたいのは、まず環境省に我々は非常に期待をしているわけです。というのは、とりわけ経済産業省、あるいは国土交通省といった、いわゆる利権官庁というのは、もうがちがちに縛られていますので、せめて環境省ぐらいは国際的に見ても恥ずかしくない、まともな政策というものを、まずは最初のドラフトとしては出していただきたいという期待はあるんです。しかし、やはりこういう資料を見ると、前回の資料もそうでしたが、もう今までさんざん出たんですが、もう本当に大きな失望を感じてしまう。
 細かいことは繰り返しになるので申し上げませんけれども、第1に、やはり上から下の目線だけになっているということですね。国民運動という言葉にそれが象徴されると思いますが、それともっと大事なのはイリュージョンというか、幻想のようなものが前提にあるんじゃないか。例えばライフスタイルを直すというのではなくて、ライフスタイルをむしろ多様化するという現実を前提にしなきゃいけないんじゃないか。その象徴として、例えば今配られた表で、テレビ番組を選び、1日1時間減らすというのがあるんですが、これは例えば統計をとってみると、NHKの放送研究所の調査で、今、国民1人当たり、平日3時間30分、日曜日は4時間、むしろふえてきているわけですね。そういうデータが現にあるわけです。それが単にふえているだけじゃなくて、テレビの台数が今2台、3台となっています。この前私、大学の学生に聞いたら、一家に1台のところは一家もなくて、2台が少数、3台、4台というところがふえている。単に時間がふえているだけじゃなくて別々に見ているということもある。一方でインターネットもふえていて、画面に向かっている時間は非常に今長くなっているんですね。じゃ、それを前提に、むしろテレビは減らすんじゃなく、むしろいわゆる液晶テレビといった、そういうものの普及をどういうふうにしたらいいのかというふうなアプローチをしないとだめなのではないか。
 あるいはほかにも、シャワーを1日1分減らすというようなライフスタイルの変化が起きるということを考えることそのものがイリュージョンだ。それよりも、むしろ、例えばシャワーには節水ヘッドというのがあるわけですし、あるいは今、手元でぱっととめられるボタンなんかもあるわけです。そういう装置をいかにしたら普及できるのかという、総量でマクロな消費行動をどういうふうに変えられるのかという、そういうアプローチをきちんとしていかないと、まず無理だろうということがあります。
 あとは、細かいことはもう今まで皆さんおっしゃったので言いませんが、前回も言いましたけれども、前回も同じような資料がいっぱい出てきて、皆さん、いろいろ酷評されたわけです。結局毎回同じように事務局も非常に苦労されていて、一生懸命資料をつくられて、でもなかなか直ってこない。前回も例示しましたけれども、ヨーロッパでことしの6月にまとまった European Climate Change Programmeというのは、NGOと事業者と行政とでワーキンググループのようなものをつくって、具体的に合意できる政策を、いろいろなメニューを出していっているわけです。むしろここをこういうセレモニーのような形で、事務局がドラフトを出してはたたかれ、ドラフトを出してはたたかれるという場ではなくて、実質、これのさらにワーキングをつくってもいいのかもしれませんが、本当にNGO、事業者、行政。行政も地方自治体の方もいらっしゃるわけですから、もっといろいろなメニューで本当に機能する政策というものをこれからつくり上げていく、そういうここの場のあり方そのものを少し見直した方がいいんではないかというふうに思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。

○浅岡委員 随分いろいろなご意見が出されているところ、若干追加的なことを申し上げたいと思います。
 先ほどの意識調査ですけれども、京都議定書について中身を知っている人が少ないというのはショックだ、衝撃だという報道もありますし、皆様の中にもそういう意見もありますが、私は、こんな条約や法律の中身を国民がみんなよく知っていることはあり得ないと思います。私ども法律家でも、ちょっと域外の問題になると、法律ができたねということはあっても、おおむねこんなことなのかなぐらいの理解のことはいっぱいあるわけです。大事なことは、京都議定書ができたということはわかってもらう。それは温室効果ガスの排出を減らさなきゃいけないんだということはわかってもらう。その中身やメカニズムの制度設計はの詳細は全く不要だ。20%も知っているとすれば、それは驚異的なことだと私は思います。
 それで、今、何が問題なのかといいますと、私は、政府はこの議定書をどうするのかまだわからないということが、あわせて国民に伝わっていることが国民の理解をあいまいにしていることです。啓発でという方針は、できたらやってくださいねというものです。意識調査でも、できたらやろうという程度にとどまっているのは、国も努力しましょうというようなことでいいじゃないかとみえているためです。そんなところがまだあるので、国民に対して、あるいは事業者に対してもしっかりした削減のメッセージが出せていない。議定書を批准するという意思表示がないわけですから、てにをは1つが議論になるぐらいという状況で、事業者がちゃんと取り組もうという意欲も出てきにくい根底もそこにあると思います。それは政治というか、事業者や国民も含めた日本の国の合意形成のあり方にかかわる問題です。一番大事なのは、やはりそこである。そういう意味でCOP6、COP7での合意に政府の方も本当に前向きに対処するという基本姿勢を持ってもらいたいとつくづく思います。

 重ねて申しますが、何よりも政府、国としてすべきことは方向性を明確に示すことである。そして、具体的方策については皆様がおっしゃられましたように、縦割りや、国や地方ばらばらではなくて、いかに議論をする体制がつくれるのか。地域においてはまさにそうだと思うんですね。温暖化センターが議論されているのも、1つはそういう場として活用できるかということです。そこも足がかりになると思えばこそ、私どもも幾らかかかわっているわけです。梶原委員がおっしゃられましたように、センターが大事なのではなくて、そうした共同の場として機能することがあり得るのであれば必要だと、それに尽きると思うのです。
 そういう観点から言えば、イギリスでローカル・アジェンダを各市町村でつくろうというのは、共同の場をつくれということでもあると思いますけれども、それがブレア首相から、政府の方針として出されている。そのため、自治体の環境局だけでやれることにとどまるのではなく、その自治体の基本方針の中に位置づけられる、ローカル・アジェンダが位置づけられるわけです。だからこそ桝本委員がおっしゃいましたように地域都市づくりという枠組に組み入れられた議論ができると、こういうことだと思います。そうできるように、自治体が機能するように国としての役割を果たすこと、それこそが国の仕事だと私はつくづく思います。
 それから、この意識調査でも民生・家庭部門がふえていること、増えていることを知っていますかという調査がありますが、日本の排出の内訳から言いますと、産業部門は他の先進国よりもはるかに排出割合が多くて、運輸や民生部門からは小さいことはかねて言われていることでありまして、日本のGDP当たりのエネルギー消費量が少ないというのも、そこが大きく影響していて、産業部門が特に成績がよいからというわけじゃない。とも、かねて申し上げていることです。その上に日本は人口密度が高くて、1人当たりのエネルギー消費量を民生の家庭部門の国民1人当たりのエネルギー消費について見ると、日本は信じられないぐらい好成績なんです。それはなぜかというと、家も小さいし、温暖で余り暖房費もかからない。お湯はよく使って、おふろが好きだというのは少しあるかもしれませんけれども、でも、やはり家が小さいしというのはすごく大きな要因だと思います。運輸部門も、佐和先生がよくおっしゃるように本当に満員電車にぎゅう詰めで、 300%乗せて走っている。通勤電車でですよ。それが随分貢献しているじゃないか。それでいいのかという議論はやはりあると思うんです。
 民生の家庭部門で言えば、私は中上先生がおっしゃるのは当然で、日本の住宅環境はもっとよくなった方がいい。1人当たり床面積は少しずつは改善していると思いますが、そのことによって基本ベースがふえることを前提としながら、床面積が広くなってもエネルギー消費は小さくなる方策、団らんの場も個人の生活に確保できていくにはどうしたらよいかそんな議論を国民とともにやっていけるような場が、国でも地方でも欲しいと思います。
具体的な政策、施策については、皆様が言われたように、1人1人が自然と実行することになる仕組みを既にとっている国はたくさんあるわけで、またそのような仕組みもあるわけです。なぜ日本でそれが実施されていないのは、またもとに戻って、できる程度でやりましょうねという一線を乗り越えられていないからです。こういう場もその克服ためにあるのだと思いますけれども、それなしに幾らこういう議論をしても具体的な施策はなかなか生まれてこないのではないかという気持ちがいたします。

○安原委員長 ありがとうございました。
それでは西岡委員、その後佐和委員で一応一通り意見を伺ったことになるかと思います。

○西岡委員 もう皆さん、大概のアイデアというか考え方は出ていると思うんですが、私は、このレポートの書き方といいましょうか、この部分につきましては、少し個人の選択というところを十分押さえて論を展開するようなやり方がいいんではないかなと思っております。
1つは、個人がやれるはずだけれどもさぼっているところがある。もう一つは、やろうとしてもやれないところがある。これはシステムバンガリとの関係がありますし、今、いろいろな話が出ました。まず、システムバンダリの話で、どういうバリアーがあるかということをもっとはっきりさせて、それをこの施策に結びつける形にとっていくというような調査が要るんじゃないかと思うんですね。
 もうこれも幾つか例が出ましたけれども、私も今度新しいオフィスに入ったんです。そこの電気というのは、段階的ではあるけれども一斉に部屋が明るくなってしまって、私は仕事をするところはほんの隅っこでちょっとやるだけなんですけれども、全部それをつけないと仕事ができないようになっちゃっている。これはどこが悪いのかと考えてみると、やはりその建てるときに、そういう意識を選択する人が持っていなかったというところがあると思うんですね。それは今のところは多分施工する業者の方にあるのであって、これは我々消費者側がもちろん強く言えばいいんですけれども、使う人とつくる人とが違う場合できないという問題もありますし、その場合にどこにバリアーがあるのかといったことを、もう少し分析の中できちんとやって、そして効果的に手を打つ。あるいはそれを取り除くための制度をつくるといった形のレポートが要るんではないかな、分析が要るんじゃないかなと思っております。
もう一つの方は、自分でできるけれどもなかなかやれないなというところにつきましては、これは先ほどの話がございましたけれども、自分で全体としてこれぐらい減らすという感じで、何で減らそうかは、それは自由に任せればいいんじゃないかなと思っておりますけれども、だけれども非常に大切なのは、浅岡さんの話にもありましたけれども、余り細かいメカニズムがどうなっているじゃなくて、やはりこれから6%減らしていかなきゃいかんのだよと、本当に6%どころじゃなくて、これから先に向かって減らすんだということだけは少なくとも頭に入れておいていただきたい。それをもう少しいろいろな意味での教育として強調する必要があるんではないかなと思います。
先ほど横山委員の方から、この表についてきょう配られなかったということで、今配られましたけれども、私も昨日見ていて、この 3.7%は非常におかしいなと思って、私の方でもそういう分析をして、先ほど石飛さんからもお話がございましたけれども、1人で住んでいるのと8人で住んでいるのと、エネルギーで大体2倍から 2.5倍ぐらいしかかからないということなんですね。ですから、これ、物すごく実は本質的なんです。余り細かいいろいろな手を打つよりも、本当は核家族にならないで--ならないでと言っちゃ、飯田さんのあれとは違うんでしょうけれども、やはりその中に家族のいいところを見つけるような雰囲気があってもいいんじゃないかと思うんですね。それはその人の選択ですから、大きな目標を設定することと、それからこういうオプションもあって、これが非常に効きますよということの明示は、この表なんかは非常にうまくできているんじゃないかと思うので、やればいいんじゃないかなと思っております。
 ですから、もう一度、要するに2つあって、バリアーがあるようなものについては制度的にきちんとやっていっていただきたいし、あるいは個人の意思でできるようなことに対しては大きな目標と十分な情報の提供が要るんではないかなという、非常に一般的な話なんですけれども。

○安原委員長 ありがとうございました。

○佐和委員 ちょっと超越的なコメントを申し上げたいんですが、アンケート結果を見ますと、先ほど福川さんがご指摘なさったように、20代、30代の環境保全意識のレベルが非常に低い。これは何を意味するのかというと、実は、今から十数年前の1987年から90年にかけての4年間、バブル経済期というのがございましたね。今の30代の人は、あのころには20代、そして今20代の人はあのころ10代ですね。つまり、こういう人たちがバブル経済の悪い影響を最も強く受けたわけです。
 マテリアリズムに対するポストマテリアリズム、物質主義に対する脱物質主義という価値優先順位の差というのがあって、欧米諸国での一般的な傾向としては、若年層ほどポストマテリアリズム的な傾きが強い。つまり、モノやカネよりももっと大切なことがあるという意識は、若者が共有する理想主義なのです。ところが、だんだん年をとると現実主義的になってきて、40代、50代になると、やはりカネが大切だと考える人がふえてくる。そういう傾向がかなり一般的に認められるのです。もうひとつは、1豊かになればなるほど、ポストマテリアリズム的な、つまり脱物質主義的な傾きが強くなるという一般的な傾向が認められます。
 ところが日本では、豊かになればなるほどポストマテリアリズム的な傾きが強くなるという傾向がバブル経済期に逆転したのです。バブル経済期までは、モノやカネよりももっと大切なものがあると考える人が徐々にふえていたのですが、バブル経済期に拝金主義の洗礼を受けて、やはりモノやカネが大切だと考える人が全体でもふえた。なかんずく10代、20代の若者の間で、拝金主義が横行するようになったのです。今ご紹介申し上げたことは、統計数理研究所の調査に基づいているのですが、日本に限ってのことなのですが、バブル経済期に若者の拝金主義的な傾きが強まった、すなわちモノやカネが一番大切だと考える人の割合がふえたのです。その結果、20代、30代という若い層の人々が環境問題に対して無関心の傾向が強いのです。そのことがこの調査結果に顕著にあらわれています。これは事実として認めざるを得ないし、90年代のことを「失われた10年」とよく言いますが、私は、一番大きな遺失物は人的資本の劣化だと思っています。特に20代、30代以下の知的レベルがとみに低下したというのが、日本における環境保全意識の高揚を妨げているのではないでしょうかこの点が、ヨーロッパと日本との根本的な違いなのです。
 ポール・ケネディという、「大国の興亡」という著作で有名な歴史家がいますが、別の本の中で彼は、北欧3国、デンマーク、オランダという北西ヨーロッパ諸国は、環境保全に熱心である。これら5つの国に共通して言えるのは何なのか。一つは十分豊かであること。もう一つは教育水準が高いことである。これら5カ国の一人当たりGDPは、ドルに直しますと3万ドル前後です。確かに豊かですよね。教育水準はどうかというと、大学進学率は30%台後半で、確かに教育水準も高い。翻って日本のことについて考えてみると、一人当たりGDPは4万ドルを突破している。大学進学率はとうとう50%を超えた。にもかかわらず、環境保全について、この調査結果が示すように、特に若年層の関心が薄い。なぜなんでしょうか。私は、その答えは明らかだと思います。本当は豊かではない。本当は教育水準が高くはないということなのですよ。一人当たりGDPは大きいかもしれないけれども、本当は豊かでない。大学進学率は高くても、大学生はほとんど勉強らしい勉強をしない。したがって、環境問題には無関心で、カネ以外のことに関心を持とうとしない。実に嘆かわしい状況ですが、そのことを前提とした上でどういう対策を講じるべきかを考えざるを得ません。やはり規制や税しかないなのかなと、いささか悲観的な結論に至らざるを得ません。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 猿田委員、それでは簡潔に願えますか。もう余り時間がないものですから。

○猿田委員 ありがとうございます。
 今、いろいろ各委員の先生方のお話を伺っていて、非常に難しさというものもつくづく感じてはいるんですが、先ほどアンケート調査の後の結果も、参考資料の3ですか。これで見ましても、例えば40ページにあるように民生部門の排出量が産業部門より多いこと、特に家庭からの排出が多いことを知っていますかというのは30%しかないわけですね。余り認識されていないということもあるわけですけれども、そういう中で、現実には99年度の結果を見ればCO2 だけで9%プラスになっている。全体でも 6.8%ということで、今までのいろいろな、今日後から席上配付された資料で見ますと、家庭での取り組みで 2.8%削減できる。これと、この前の吸収源の 3.7を足すと、6%はもうクリアしちゃうわけですけれども、問題はそうではなくて、ここで99年度でいきましても、CO2 で9%ふえているという問題がこのほかにあるわけですね。やはりそういうことを、このアンケート調査で30%しか理解--これがすべてではないと思いますけれども、アンケートの調査の対象者がまたかわれば、今度数値も変わってくるかもしれませんけれども、この辺の認識をどうよく理解していただくのか。いろいろな制度ができても、制度化されても、それが周知されなければ何もならないわけで、産業界とか運輸部門ですか。そういうようなところは比較的業界を通して周知徹底というようなところもあると思いますけれども、特に民生の中の家庭関係になりますと、これは行政でどれだけの周知徹底が図られるのか。当然地方自治体の役割というのはそこで重くなってくると思うんですけれどもね。いろいろ制度化、体制化という資料もありますけれども、そういうことはきちんと一応対応策がとれないと、せっかくのいろいろな対策、組織等も単なる空論で終わってしまうんじゃないかなという気がするわけです。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 それぞれ意見を述べていただきまして、大変参考になる意見ばかりだったと思います。情報の提供は当然のこととして、消費者の立場でいろいろな選択を行う場合、いい選択ができるような供給サイドからの製品なりサービスの供給が重要だ。家庭部門だけではなしに、他の部門との連携による対応というのが非常に重要だというお話もございました。そういうことで、確かにこの原案ではまだまだ制度の面での案が非常に不十分かと思います。きょうの意見を最大限取り入れさせていただいて、国内対策、特に民生部門の対策に生かしていければと考えております。
 何か局長の方から、コメントはございますか。

○炭谷局長 まず、今回私どもが提出いたしました資料で、確かにたくさんの方からご指摘いただきましたように、制度的な手当て、新しい制度の手当てというものが欠けているというのはご指摘のとおりだと思います。きょうたくさんのご意見をいただきましたので、こういうものを土台といたしまして本当に効果が、単に私自身も教育啓発というきれいごとでは済まないだろうと思っております。この場合にどのような制度が適当か。特に多様化している国民の生活を前提にしなければいけない。先ほど核家族化というふうに、現時点でも我が国では進んでいると言われまして、核家族化時代じゃなくて単身世帯が、多分あと5年、10年後ぐらいには日本の家族が単身世帯が一番大きい世帯類型になるというふうに推定されていますけれども、さらに進むだろうというふうに思っております。
 それから、もう一つは地方自治体の役割が非常に重要だということで、そこに位置づけなければいけないというのが私どもも問題意識として持っております。これもどのようにやっていくか、また地方自治体の方々とご相談をしながらやらなければいけない。そこで、私自身、ふと思っているのは、全く個人的なものでございますけれども、地方自治体、特に市町村レベルで、特に日本でこういうエネルギーの削減を大変にうまくやっている市町村というのはどこなのかと、そういうふうな調べも非常に必要ではないか。それから、諸外国でうまくいっている制度、事例があるというご指摘をいただきましたので、内外のそういうものを調べてみるというものも必要だろうと思っております。
 私自身、実は一番個人的に大変関心を持っておりますのは、一部のNGOとか市町村が試みておりますエコマネー、地域貨幣制度というものが一部出ているようでございまして、ああいうものもどの程度効果があるのか、実情に触れてみたいなというふうに、これは全く内部で議論はしておりませんけれども、問題意識として私が温めているものでございます。
 それから、先ほど村上委員のご質問がございまして、一部の新聞報道でCOP7の話が出て、あれはどうなのかというご質問もございましたので、お答えを。きょうの多分朝刊の一面トップに出ていた、東京新聞でございますか、あれだろうと思うんですけれども、あれはあくまでこれからCOP7に臨むに当たっての政府の方針はこうだというふうなことを報道していたものでございまして、まさにこれからの外交の場でどのように展開されるかということでございますので、あれが正しい、誤っているということは少し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしろ、政府の基本的な方針は、7月のボン合意で決められました政治的な合意をしっかりと文書化をする。そして2002年の発効を目指すために、今回のマラケシュで最終合意を目指すということに全力を尽くすということを基本にして交渉に臨んでおります。論点といたしまして、東京新聞の1面に出ておりましたように、ロシア問題と遵守の法的性格論、2つが論点としてあるというのがそのとおりだろうと思います。
 あと、細かい点でたくさんいろいろといただきました。特に国民運動という言葉、上から下の発想であるということを指摘されますと、そうだなというふうに思いまして、私ども自身の意識に、もう少し行政側の意識改革も必要だなというふうに反省しながら聞いておりました。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、残された時間もわずかになりましたが、参考資料につきまして事務局から説明をいただきまして、あと、経団連の自主行動計画のフォローアップのご説明を桝本委員にやっていただきたいと思っております。それでは、簡潔にお願いいたします。

○竹内課長 参考資料で2種類お配りさせていただいております。
 1つは参考資料1で、これは10月23日の欧州委員会で決定された事項、3項目ございまして、1つは議定書の約束の共同履行に関する欧州共同体を代表する欧州理事会決定ということで、EU諸国は来年6月14日までに京都議定書を締結すべきであるという提案を23日に正式決定いたしました。
 それから2番目は「欧州気候変動プログラム」の第1段階の実施に関するコミュニケーションペーパーということでございまして、今後の2年間のうち欧州委員会が講ずるべき4つの分野についての内容が決定されております。
 それから、次のページの3番でございますが、EU内温室効果ガス排出量取引に関する欧州委員会指令案ということでございまして、欧州内の排出量取引制度について詳細な制度を定めた指令案を提示いたしました。実施期間としては、第1段階2005年から2007年末まで、第2段階として2008年から2012年等々という内容でございます。若干詳しい概要が別添1、2、3でつけられております。
 それから、参考資料2といたしまして、これはWBCSDと米国のシンクタンクである世界資源研究所とが共同して先週発表いたしました、事業者の温室効果ガス排出量算定及び報告に関する標準化ガイドライン、いわゆるGHGプロトコルというものの概要でございます。これにつきましては、次回以降のご検討の場でさらに詳細にご報告させていただきたいと思います。
 以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 では、今の説明、ご質問はございますか。
 それでは、桝本委員、経団連の自主行動計画のフォローアップをお願いいたします。

○桝本委員 これはお願いして配らせていただきました。10月19日でしたでしょうか、金曜日午後にこの件の記者発表をさせていただいております。
 内容につきましては、ご覧いただきますとおわかりいただけますので詳細のご説明は省略をいたしますが、冒頭にありますとおり、参加業種が2つばかり増えました。このフォローアップは第4回目になります。残念ながら今回のまとめは、今年度に比べ若干微増をしておりますが、大きいトレンドをご覧いただきますとおり、ほぼ1990年度以降に比べて横ばってきているということをご覧いただけると存じます。ただ、これもご推察のとおり、産業活動の好悪を非常に反映しておりまして、2000年の数字はこういう数字ですが、2001年、今年については、恐らく低くなるかというふうに考えております。
それから、これはいろいろご批判も私どもも十分鑑みながらでございますが、一応こうしたフォローアップをやっているということ。産業界からのCO2 の排出は微増、微減はあるけれども横ばっていること。それから、さらに呼びかけをいたしまして、業種が下に増えていること。それから、ちょっと厚目の方の資料の2ページをご覧いただきたいんですが、これは一番最初にガス業界さんが入っているわけですけれども、2ページの一番下でございます。オフィス・自家物流からの排出ということで、いわばビジネスとして使うのではなくて、自分自身、企業自身の中でどのぐらいの排出をし、それがどういう推移をたどっているかということも、実は今年から各業界にお願いをして数字をとるように始めました。残念ながら、まだ全ての業界がこの数字を入れていられるということではありませんけれども、願わくば私どもも若干の前向きな試みというふうにご評価をいただければというふうに存じます。
前にもお話を申し上げましたが、いろいろご指摘いただく中で、不透明である、あるいは情報の公開が十分ではない、こういうご意見が多々ございますので、私どもとしても、民間の第三者機関的なものをつくる。そしてそこで一層透明に、そして情報をより多く公開を申し上げるということの検討を今しております。まだどういう形でまとまるかはご報告できるまでに至っておりませんが、このフォローアップと同様にご関心を賜ればと存じます。
以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
ただいまのご説明に対してご質問はございますか。

○大塚委員 大変努力しておられるということはよくわかりますが、最後におっしゃっていただいた第三者機関による監査なんでしょうか。ちょっとよくわからないんですが--というのは非常に重要な点だと思うんです。もう少し詳しく、どういう人に監査をさせるかということをお考えかということについて、もし教えていただければ大変ありがたいと思います。

○桝本委員 これはまだ十分ご説明申し上げる段階まで詰まっておりません。ご推察のとおり、各業界、各企業、さまざまな状況がございまして、ある意味でこうした先行的なアイデアがすっとまとまるというような状況ではないのが正直なところでございますから、近くそれが大塚先生とか皆様にもちゃんとご説明ができるといいと、私自身も実は期待しながらおります。そんな状況でございます。

○安原委員長 よろしゅうございますか。

○浅岡委員 私も詳細をまだ拝見できておりませんけれども、きょうの議論なんかに比べると、ペーパー、百貨店協会などが物すごく多く、6割も伸びているんですよね。家庭部門がふえている、ふえていると言われていますね。やはりこういうことなども現在のいろいろな施策の反映なのではないかと、きょうの議論に共通すると思います。

○桝本委員 これにつきましては、私どもは各業界に一つ一つ、いわばおまえのところは多いからこうしろ、ああしろということを言うつもりはございませんで、それぞれのところが自分のところの状況を正確につかむというのが第1でございます。第2は、お互いにそれを見合いながら努力をしていく。ご案内のとおり、京都議定書の附属の国の中にも、マイナスのところもあれば出っ張っているところもございます。要はみんなでお互いに努力しながらやっていこうということを確認するのが当然大前提でございますが、一番大事だということでございまして、今、先生のご指摘は、当業界が最も感じているところだと思います。

○安原委員長 それでは、この辺で本日の審議を終えたいと思います。
 大変熱心に討議をいただきましてありがとうございました。まだ後で思い返していただきましてご意見等がございましたら、事務局の方に文書ででも出していただければと思います。
 次回のこの小委員会の、会合は11月15日木曜日、10時から12時、この会場で開催の予定でございます。
 大変本日はありがとうございました。閉会といたします。

午前11時57分閉会