中央環境審議会地球環境部会「国内制度小委員会」第9回会合議事録

日時

平成13年10月19日(金)10:00~12:00

場所

東條インペリアルパレス 2F 千鳥の間

出席者

(会長)森嶌 昭夫
(委員長)安原 正
(委員)青木 保之
浅野 直人
大塚 直
茅 陽一
猿田 勝美
波多野 敬雄
松川 隆志
村上 忠行
 浅岡 美恵
 天野 明弘
 梶原 康二
 小林 悦夫
 佐和 隆光
 福川 伸次
 宮本 一
 横山 裕道
飯田 哲也(オブザーバー)
(事務局)炭谷地球環境局長
小島大臣官房審議官
竹本地球環境審議官補佐官
寺田地球環境局総務課長
竹内地球温暖化対策課長
鈴木環境保全対策課長
石飛地球温暖化対策課調整官
後藤総合環境政策局調査官
角倉地球温暖化対策課課長補佐

議題

(1)国の計画の基本的考え方について
(2)地方公共団体における地球温暖化対策
(3)その他

配布資料

資料1国の計画の基本的考え方について
資料2地方公共団体における地球温暖化対策
参考資料1中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会の専門委員会の設置について
参考資料2中央環境審議会地球環境部会英国気候変動調査結果について
参考資料3日米協議の結果概要
参考資料4ドイツ・英国における温室効果ガス排出削減について
参考資料5HFC等3ガスについての排出量見通しについて
(オゾン層保護対策産業協議会提出資料)

議事

午前10時00分開会

○安原委員長 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会「国内制度小委員会」の第9回会合を開催いたしたいと思います。
 本日は大変お忙しいところ皆さんご出席をいただきましてありがとうございました。
 まず最初に、本日の資料の確認を事務局からお願いいたします。

○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。資料1、国の計画の基本的考え方について。資料2、地方公共団体における地球温暖化対策。参考資料1、中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会の専門委員会の設置について。参考資料2、英国気候変動政策調査報告。イギリス調査の関係で参考資料を委員のみの配付とさせていただいております。参考資料3、気候変動に関する日米事務レベル協議の結果概要。参考資料4、ドイツ・英国における温室効果ガス排出削減について。参考資料5、HFC等3ガスについての排出量見通しについて。なお、経団連松本委員から意見をいただいておりますので、配付させていただいております。
 資料に不足等ありましたら事務局までお申し出ください。
 なお、委員の方は、お手元にお配りさせていただきました出欠確認票を席上にお残しいただくか、近日中に事務局あてファクスいただきますようお願い申し上げます。
 以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは、本日は議事次第にございますように国の計画の基本的な考え方等につきましてご審議をいただく予定にいたしております。時間は約2時間、12時までの審議を予定しておりますのでよろしくご協力をお願いいたします。
 ではまず初めに、報告事項をお願いしたいと思います。
 日米協議の結果概要につきまして事務局からお願いいたします。

○竹本補佐官 お手元の参考資料3をごらんいただきたいと思います。表題は「気候変動に関する日米事務レベル協議の結果概要」でございます。
 気候変動に関する日米協議といいますのは6月30日、小泉首相が米国を訪問し、ブッシュ大統領との間で気候変動に係る日米間でハイレベルで協議をする。それを受けまして、「○」で言うと2番目に書いてありますが、7月13日にワシントンにおきまして川口大臣出席のもと、第1回日米ハイレベル協議というものが持たれました。その中で3つの領域、すなわち途上国問題、それから科学技術、市場メカニズム、これら3つの分野について実務レベル、事務レベルで協議をしましょうということが確認をされました。それを受けて行ってきたものでございます。具体的には、9月末から10月4日にかけて順次各テーマごとに協議を行ったわけであります。
 その概要でありますが、途上国問題につきましては9月26日、日本時間でありますが、これはテレビ会議を行いまして、日本代表団は在京の米国大使館にて会議に参加をいたしました。この中で途上国の参加問題、地球温暖化関連の途上国支援などにつきまして意見交換を行いました。具体的には気候変動交渉であるとか、その他国際的なフォーラムにおきまして途上国参加の促進に向けて日米が緊密に協力をしていく。そして途上国支援について日米間で情報交換を進めることについて合意をしました。
 2点目が科学技術の点でありまして、9月29日、土曜日でありましたが、先方が東京に参りまして環境省の中で協議を行いました。気候変動に関する科学技術分野について意見交換。気候モデルの高度化、地球観測の推進、温室効果ガスの発生防止・緩和技術の研究
開発を含む特定の領域において重点的な協力の可能性を追求ということで合意をしました。
 3点目が10月4日、ワシントンにおきまして市場メカニズムに関する協議を行ってきたところでありますが、温室効果ガスの削減に伴う経済の負の影響を回避する上で市場メカニズムの役割に期待。市場メカニズムに対する制限を最小限にすることが重要。今後とも日米両国で市場メカニズムの活用を含む効率的・効果的な気候変動対策のあり方について情報交換を行っていこうということについて双方合意をしていたところでございます。
 以上3つの分科会、それぞれ事務レベルで協議を行い、今後も引き続きやっていこうということでございます。これらを双方でハイレベルといいますか、閣僚レベルにもそれぞれ報告をしているところと。
 以上が日米の気候変動に係る事務レベル協議の結果概要でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきましてご質問がございましたらどうぞお願いいたします。
 ないようでございますので、それでは次に英国視察の報告説明資料につきまして事務局よりご説明願います。

○小島審議官 お手元の参考資料2とそれから冊子でございますけれども、英国調査に係る参考資料というこの2つでございます。
 参考資料の方は事前にいろいろ集めたものでございまして、日本語に訳してあるものもありますが、日本語に訳していないものもございます。これが元の資料というふうにごらんいただければと思います。
 それから参考資料の方の報告書に沿ってご説明をさせていただきます。
 報告は1ページの調査概要、これがスケジュール、それから4ページからが調査の結果ということでございます。
 実はちょっと中紙が入っていないんですが、9ページの次が11ページになっておりますが、10ページは中表紙でございまして、特に何が書いてあるわけではなくて、これ以降はこの報告書の参考資料ということで11ページから英国の気候変動政策の概要を説明し、具体的な懇談の議事内容が19ページからというふうになっております。
 ここでは1ページから9ページまでを報告というふうに本体にしておりますので、そこまでご説明をさせていただきます。
 まず1ページでございますけれども、調査の目的、調査団メンバー、英国調査日程、調査方法、調査行程ということでございます。
 中央環境審議会の今後の検討に資するために委員あるいは臨時委員等による英国調査を行いました。
 実際の調査日は10月1日、2日ということで、2ページ、3ページにありますように朝9時から夜9時半、10時まで非常に濃密な調査を行っていただきました。
 調査結果の概要、4ページでございますけれども、「これまでの経緯」というところでございますが、イギリスでもCOP3の後に国内対策の検討を本格的に始めております。その基点というのが、参考資料の英文の方にありますが、ロード・マーシャルのレポート。このマーシャルレポートというのが非常に影響力を持っております。マーシャル卿は当時の英国産業連盟、日本の経団連に当たりますが、経団連の会長、ブリティッシュエアの方でございますけれども、その方が中心になって報告書をまとめる。その報告書の中で政策パッケージとしての税、排出量取引という経済的手法が有効だという内容になっております。それがこのイギリスの温暖化対策のベースとなっている。以降のイギリスの対策の努力はこのマーシャルレポートを制度化する、具体的な制度としていくというプロセスを歩んでおります。
 目標自身は京都議定書に基づくEU内での12.5%ということでございますけれども、国内自体は二酸化炭素については20%の削減というのが労働党の内閣の目標でございまして、それを目指して国内対策を進めているということでございます。
 4ページのパラグラフの3つ目でございますけれども、このマーシャルレポートに提案された気候変動税、それからその税を減税するということでの気候変動協定というのは政府側の強いリーダーシップあるいは内閣の強い政治力の中で経済界、団体との交渉をし、法律に基づく制度として2001年4月から既に導入をされております。
 マーシャルレポートにありました排出量取引制度はそれから少し遅れているわけですが、その企画立案は主として産業界のタスクフォースがその中身をつくっていく、そういうプロセスをとっております。制度の骨格がほぼでき上がって、パイロットプロジェクトとして来年から導入をされる。そのイギリスの排出量取引の制度は参考資料の方に英文と日本文が入っております。
 この税あるいは協定あるいは排出量取引の導入手法としては、非常に特徴的でございますが、産業界が中心となって政府、NGOも関与する形で形成されてきている。もちろん関係省庁も入っておりますけれども、そういう格好で共同作業で進んできているということであります。
 税と排出量取引は主に産業部門を対象とする制度でございます。この産業部門には製造業だけではないと思いますけれども、具体的には協定を結んでいるのは製造業、こういうことになると思いますが、少し日本と区分が違っているようでございます。それはともかくとして、運輸部門については同じように燃料税を継続的に引き上げて非常に高い税率になっております。「エスカレート制度」と書いてありますが、継続的に燃料税が引き上げられているということと、EUと自動車メーカーとの間で自動車から排出されるCO2 の削減に係る協定というものがあります。
 それから家庭部門はなかなかイギリスの特殊な事情ですけれども、Fuel Povertyと言っておりましたが、貧困のために生活に必要な燃料を購入できなくなる。それが極めて重要な政治的イシューとなるということで家庭への課税は行わない。逆に電力会社が家庭部門に対して支援をする、そういう政治的なアクションがとられているということでございます。
 それからエネルギー転換部門につきましては、再生可能エネルギー供給の義務づけ、あるいはその証書、RO制度でありますけれども、そういうことで温室効果ガスの削減を目指す。こういうEUとも共通した再生可能エネルギーの強力な導入を図っているということでございます。
 5ページでございますが、政策パッケージについての評価でございます。
 最初に環境省あるいは産業貿易省の評価が書いてありますが、これは英国の京都議定書の目標達成、それから二酸化炭素にかかわる国内目標、これは20%削減でありますが、さらには長期的な削減を進めていくための重要な政策手段である。産業界が柔軟な取り組みにより、かつ最小限のコストで温室効果ガスの削減を行うことを促進する制度だ。産業界側は、税・協定・排出量取引という政策手段の導入の意義・有効性を認めている。こういうように政府・産業界全般として政策パッケージが産業界の早期取り組みを促して長期的な産業界の競争力を引き上げていく手段だというふうに評価をしています。
 ただ問題がありまして、「しかし」からの段落でありますが、気候変動税と協定制度の組み合わせ、いわゆる気候変動税の中に協定制度とというものが規定されているわけでありますが、それは減税の制度というふうになっています。その対象が統合的汚染管理制度というイギリスの規制法の対象施設に限定をされているので、広く協定を結ぶことができない。もっと広い施設、広い産業、広い企業が協定が結べるようにすべきだというのが今の各業界の意見、この制度の問題点だということであります。
 一方、排出量取引制度はむしろ産業界自身が制度の構築に積極的にかかわってきておりまして、最終的には経団連等、あるいは業界等、ちょっと製紙業界は違うかもしれませんが、税から排出量取引の制度に移っていくべきだという意見が総論的な意見だったと思います。
 環境NGOは政策パッケージに一定の評価をしておりますけれども、やはり協定目標が十分に厳しいとは言えない、あるいは排出量取引制度が入り口がボランタリーなものですからそれを強制的なものにすべきだということを言っております。
 各業界の意見はこの表のとおりであります。
 もう一つ特徴的なものは6ページでございますが、長期的な対策ということで、環境汚染に係る王立委員会がございますが、ここではさらに長期のイギリスの取り組み、2050年まであるいは2100年までの長期的な取り組みということを提言しておりまして、イギリスは2050年までに二酸化炭素の排出量を60%、2100年までに80%削減するというような議論。それを達成するためのエネルギーシナリオを提言しております。
 7ページにまいります。気候変動協定の交渉、協定上の目標をどういうふうにつくっていったかという4つの業界のヒアリングをいたしました。
 製紙業界、自動車業界、化学工業業界、電子業界。製紙業界がオプション3、そのほかはオプション2ということでございます。
 オプション3は政府と業界の間で協定を結ぶ。第2段階は、業界と各企業の間で協定を結ぶ、こういうことであります。ですから企業ごとの情報が政府には上がらないという意味で企業内の秘密が保たれるわけであります。これに比べましてオプション2は、政府と業界が協定を結び、さらに政府と各企業が結ぶ。その場合の業界の役割は政府と各企業の橋渡し役ということであります。各企業のパフォーマンスは一般に公表している、オープンにしているという企業の性格の違いがあります。
 そういうようなことで、製紙業界と他の自動車業界、化学工業界、電子業界というのは企業の体質の違いというものもあるように思います。いずれも政府との協議を重ねて2010年の目標値を決めているところであります。製紙業界がちょっと特徴的ではありますけれども、いずれの業界も各企業からの出向者あるいは政府からの天下りというような人はいなくて、非常に独立性の高い業界団体活動をしている。そういう意味でこの業界に出された各企業の経営状況、今後の戦略などの情報が他の企業に流れるおそれはないというお話でもございました。
 それから9ページ、最後でございますが、共通の質問事項として質問がされましたが、アメリカの京都議定書離脱問題について、産業界の競争力への悪影響を懸念しているがどうかということでございます。
 真ん中の英国産業連盟の項のところも特徴的でございますが、イギリスの国際貿易の相手方60%はEUということでございます。既に英国はいろいろな温暖化対策を進めてきておりますけれども、そういう進めてきた現在においてこれまでのところ国際競争力での影響が出ているというデータはないということである。しかし、米国も大きな競争相手として重要であるから、米国が京都議定書を締結することを望んでいるということであります。
 政権レベルとは違って企業レベルではいろいろな動きがあるという指摘もございました。役所の方には、最終的には米国も京都議定書に参加せざるを得ないのではないかというような見方があります。
 あるいは排出量取引グループも、排出量取引グループにブリティッシュペトロリアムあるいはシェルなどの国際企業も参加している。それから英国に立地している米国ベースの企業も英国の取引制度に参加をする。これは日本のホンダ、トヨタ、日産もイギリスに工場があり、それは当然協定を結んでいるということでありますから、イギリスに立地している外国企業もイギリスの制度にこれから習熟をしていくということでございますから、そういう意味ではアメリカに限らずそういう制度に入っていくということだろうと思います。そういう意味で国際競争力云々という場合には具体的にどの業種がアメリカと競合しているのか、どの市場で競合しているのかという非常に具体的に、総論的に言ってもしようがないので、具体的にアメリカと競合している企業、アメリカと競合している市場、そういう個別的な分析をしていく、そういう分析のもとに競争力という議論をすべきだというのが英国の産業連盟の意見でもあるということでございました。
 先ほど申しましたが、詳しい議事概要は後ろの方に19ページ以降に載っておりますし、11ページからが参考資料のある意味では要約でございます。
 以上、調査報告でございます。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 事務局の方で短期間にこのように正確に調査報告書をまとめていただきまして、ありがとうございました。それをまた、ただいま小島審議官の方からポイントを突いて簡潔にご紹介をいただきました。ありがとうございました。
 それでは、この調査報告につきましてご質問等ございましたらどうぞお願いしたいと思います。

○天野委員 英国のこの制度は我々新しく政策なんかを考えるときに非常に参考になる制度ですので、こういう詳細な調査をしていただいたことは非常によかったと思います。
 1点、ちょっと5ページに関連して質問というよりもコメントをしたいんですが、第3段落のところでIPPCに参加している企業だけがこういう対象になるということで広く協定ができないというご説明があったんですが、最初にもご説明がありましたように気候変動税と排出取引というのはもともと一体化したものとしてスタートしていて、ただ実施の時期が少しおくれて、排出取引の方が形がまだ見えにくいという状況にはあるんです。今の点に関して申しますと、協定に入るということはそれによって減税を受けられるというベネフィットがあるわけですが、多分排出取引の方も協定に参加できない企業も自主的に独立の参加主体として入ることができ、入った場合には同等とは言えませんけれども、似たような経済的な支援を受けられるということですから、両方合わせてみたら必ずしも広い産業が参加していないとは言えなくて、その辺は非常によく考えてつくられているんじゃないかというのが私の印象なんですが、いかがでしょうか。

○小島審議官 それぞれこの2つの経済的な手法は最初に申し上げましたが、ロード・マーシャルのレポートから出発をしております。非常にマーシャルレポートの効果は大きいということでありますが、協定に業界が非常に積極的であるというのは減税ですね。80%減税ということが非常なインセンティブになって業界が協定を結ぶ。もっと協定が結べる会社、施設、そういうものを広くしなければいけないんだ、いわゆる業界に参加している企業全部が協定に参加できないというそういう限界がある。ですから、もっと広げて協定に参加して80%減税というものを受けられるようにすべきだというのがもう一致した方向性です。
 その受けられないところ、そういう意味では協定の方は政府と交渉をして将来目標がどのくらいかという目標を決めていくわけですけれども、他方、排出量取引の方は協定に参加できない人たちも参加できる。これが逆オークション、リバースオークションですけれども、そういう形でグランドファザリングの一種ですけれども、過去3年の実績からどれだけ減らすか。減らすという約束をして、それを実行していくと政府から補助金が出る。ちょっとオークションの逆オークションというやり方をとっているわけですけれども、そういう意味で片や税金の減免、片や補助金、こういうことですからお金がどういうふうに最終的に配分されてくるのかというのをもう少し見なければいけませんけれども、制度としては経済的インセンティブを使いながら両制度が進んでいる、全体を見るとそういうことになっているだろうと思います。

○宮本委員 3点ほど質問をしたいと思うんですけれども、よく読んでいませんからわからんですけれども。まず第一は、イギリスはかなり今まで石炭を使っていたわけですね。それで天然ガスに変わることによって非常に効率よくコストも下がるわけですね。そういうことですから、今既にもう90年代で2001年にたしか12.5%ぐらいに下がっていると思うんですね。ということは、もともとぜい肉を持っていたと思うんです、この国は。だから日本に比べて非常に、言えば非効率的なエネルギー使用をしていた。だからどんどんやれる体質にあったと思うんですが、そのことと今回のこのような協定とか国内取引税というものと何か関係があるのか、その辺の分析というものをよくやっておく必要があるのと違うか。
 もうちょっと言うならば、GDP当たりのCO2 発生量がこれだけ20%下げても日本の現在とどのようなレベルになったのか。私もすぐ今見たものですからわかりませんけれども、この辺も調べながらやはり検討していっていただく必要があるんではないかなという気が第1点いたします。
 第2点でございますけれども、実はロード・マーシャルというのはもとはサー・マーシャルといいまして、その前は普通のマーシャルだったんですね。この人は何かというと、ご存じだと思うんですけれども、実はこの人はCGBという電力会社の社長をしていたわけです。そこから出てきた人でありまして、石炭ストのときに非常に功績を上げてサー・マーシャルになって、それで女王からロードをもらった人だと私は思っております。私も何回も会いましたけれども。そういう意味から考えますと、税金の中へ対象に電力が入っていないんですね。その辺が何かあるのかと。
 逆は、私はこういう言い方をするのは非常に語弊があるかもわかりませんけれども、特に燃料貧乏といって、家庭用には税をかけていないんですね。こういうように差をつけることが、本当に果たして将来にとってエネルギー効率及びCO2 削減効率としていいのかということは非常に私は疑問だと思うんです。というのは、実は第一次石油ショックのときにこういうことをやって失敗した国がいくらでもあるわけです。例えばイタリーであります。イタリーはその当時、家庭用の電気料金は値上げをしませんでした。それからアメリカがそうです。アメリカはまず最初に自分のところの油、オクラホマとかテキサスから出てくる油については値上げをしないで輸入の油だけ上げたんですね。オールドオイルという形をしてやったものですから、アメリカはあの大きな自動車を走り回して油をまき散らしていたわけです。それが結局アメリカの国際収支を悪くしてああいうような形になったと私は思っているんですが、アメリカ人もそう言うておりますが。
 そういうようにやはり差別をする、何か弱者だからというので差別をすることが、結果として最後には全部撤回していくんですけれども、そういうようなことが果たしていいのかなというようなことを考えてみると、私は今のイギリスのやったことが果たしてどういうようになるかということを、一つイギリスの産業界がどう評価しているのか私は非常に聞きたいなと、かように思うところであります。
 3番目でございますが、9ページのところにアメリカの京都議定書参画があるんですけれども、ここで言っている表の上のところに、米国の産業界は国際的な枠組みの中にかかわらざるを得なくなるだろうという見解と--これはいいですね。米国は省エネルギー投資を行う機会を失って長期的に国際競争力を失うと書いてあるんですが、これはどういうような考え方、メカニズムから来るのか、この辺ちょっと私は全く逆ではないかという気がするし、それがあるならアメリカは自分で企業としてコストが下がるなら必ずやるわけですから、私はこれは逆ではないかなという気がするんですけれども、この辺はなぜこういうような結論が出てきたのかちょっとお聞きしたい。
 3点であります。

○小島審議官 まず第1点ですが、イギリスが現在の段階でEUの中の目標、京都議定書の目標を達成している数少ない国である。その手段が石炭から天然ガスへの移行である。これはイギリスの環境省も経済産業省もそういうふうに言っている。つまりdash for gas
ということで、天然ガスへのシフトを思い切ってやってきたということがまず第一です。
 それから、ヒアリングをした4つの業界はそういう意味では既にもう天然ガスの転換を終わっていて、これからの10年は天然ガスへの転換ではない対策を講じて目標を達成していく。そういう意味ではこの4業種について、ガスへの転換はもうほぼ2000年の時点で終了したということをおっしゃっておられます。
 ですから、これまでの目標達成がdash for gasということで天然ガスへの転換で行われてきたのは事実であるということと、これからの10年の目標をどういう手法でやっていくかという2つの問題に分けて考えていかなければいけない。これからも天然ガスの転換で目標がどんどん達成していくという状況にすべての業界があるかどうかということは、一つずつ点検をしていく必要があるだろうと思います。そういう意味で、それぞれの業界が設定した目標が今後非常に厳しいというふうに言っている根拠は多分あるんだろうと思います。そういう意味では、天然ガスへの転換で容易に達成できるという状況にはないということです。
 それからGDP当たりの議論はそれぞれの国、日本もそうですが、GDPの中身がエネルギー多消費あるいはCO2 多消費産業で構成されているかどうかというGDPの中身の問題もあるので、GDP当たりと言っても主に例えば金融商品であるとかというのは余り温暖化とCO2 と関係ありませんからそういうGDPの中身の問題を精査していかないと、温暖化対策とGDPの、あるいは各業種ごとにどういう影響があるかということが出ないだろうと思います。ですからトータルだけでは多分分析はできないかなという気はしています。
 それから2点目ですが、ご存じのことだと思いますが、電力の点については別途再生エネルギーの導入の義務づけというのがあって、こちらの方はかなり強力に義務的に導入が進められているということ。再生可能エネルギーの強制的なというか、義務的な導入のプロセスにおいても、そのサーティフィケートを売買する。そういう意味ではある種排出量取引の類似の手法が採用されている。ここでも経済的な手法がイギリスのそれぞれの特徴だと思います。
 それから一般の家庭に課税しないというのは、イギリスの政治的な状況だというふうに言われます。そういう意味では、日本における農業をどうするかというようなことと似ているのかなという印象を持ちましたが、これは政治問題であるというのが答えで、それ以上の議論はしておりません。
 それから最後の点でございますが、これは向こうのおっしゃった見解でございますので、これは法律なり制度でとにかく原単位の厳しい目標を達成していくそのための技術開発、あるいはそのための投資をイギリスはどんどんしなければいけない。そういう意味でイギリスは省エネ投資を行って目標を達成していく。そういうことが半ば入り口はボランタリーですけれども、協定を結んだ後は強制的になりますからそういう省エネ投資がイギリスは進む。しかし、アメリカではそういうインセンティブがないので省エネ投資を行うという強制的なインセンティブと申しますかそういうものがなくて機会を失していくのではないか、そういう見解である。これは面接をした方がおっしゃった見解です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 第2点目の電力の再生エネルギーによる発電を促進するという点につきましては、資料25ページの真ん中あたりに目標値というのがございますが、2000年時点で電力供給の 2.8%を2010年までに10%に上昇させる、こういうことを義務的にする制度を導入しておるということでございます。ご参考までに。
 それからほかに。

○福川委員 あるいは後ろの方に出ているかもしれないのでそうであれば恐縮ですが、所在を教えていただけばいいんですが、1つは4ページの真ん中よりちょっと下ぐらいに「これらの政策の導入手法として特徴的なことは」という段落がございまして、この中で、関係省庁、産業界、NGO、それから関係省庁間の密接な協力、共同関係が存在していることであるというお話がございまして、どういうようなやり方をしているかもうちょっと具体的なことを聞かせていただきたい。どんなふうなことにうまく産業界、環境NGO等々が動いているか、あるいは排出量取引グループの設置等がありますが、ちょっと具体的なやり方を教えていただきたいというのが第1であります。
 それから2点目が6ページの長期的な対策で、2050年までに60%、2100年まで80%削減、こういうことがあるわけですが、これで4つのエネルギー政策のシナリオと87の提言があるということですが、これは相当具体的にどういうふうにこういうことができるかということであります。実は私、きのうまでアメリカのエネルギー環境関係の人たちとの会議があって行っていましたが、非常にアメリカは長期の技術開発には非常に関心があって、2050年など目標にいろいろなことをやりたいということを非常に強く言っておりまして、そんな関係もあって何かうまくヨーロッパとアメリカとそういうことで連動できることがあるかないかということもあるのでそこら辺をちょっと教えていただきたいということであります。
 それから3点目が、12ページに各セクターごとの目標の1990年度比というのがあって、産業、運輸、家庭等々の目標が出ているわけですが、これが何か恐らくきっと根拠があってこういう目標をつくったんだと思いますが、それぞれ割り振りをいろいろ考えていて家庭用も少し減らしてはいるわけですが、運輸はかなり伸ばしているということですが、これはどういう背景でこういう数字ができたか、ちょっとその3点教えていただきたいんですが。

○小島審議官 まず1点目でございますけれども、特徴的なのが排出量取引グループというグループなんですけれども、我々もこのグループが一体どういうものかというのが非常に関心を持って聞きました。イギリスの方も非常にインフォーマルな--インフォーマルと言うと変なんですが、非常に特徴的な今までに例のないグループだ、こういうふうに言っております。

○福川委員 何ページですか。

○小島審議官 17ページに書いておきました。注1の排出量取引グループですけれども、これはマーシャルレポートの中の税が先にできてきまして、排出量取引というものをこれから具体的にするというときにその中身をつくっていったグループであります。これは英国産業連盟と政府と産業による企業環境諮問委員会、この2つにより設置された団体、グループであります。これはCBI、それから企業代表、業界代表、環境のコンサルタントというグループでありますが、同時にSteering Committeeのほかに多くのリエゾングループがあって、そのリエゾンの先にNGO、協定締結事業者、金融機関、法律家、そういうグループとの間のリエゾンができている。役所の方もその排出量取引グループとのかかわりを強く持っている。そういう意味では、これまでに例のない組織でありますというお話をしていただきました。
 例えば経団連の中にそういう委員会を設けてそこに役所がオブザーバーで出たり、NGOも入ってそういう議論をするところでしょうかというようなことも言ってみたんですが、結局イギリスにおいても例のない組織形態であるということでおっしゃっていただいたことをそのまま書いたのが注1でございます。そういう事柄です。特徴的にはそういうことだと思います。
 それから6ページの長期的な対策については、まだ十分分析ができておりません。これは向こうへ行ってこういう環境汚染に係る王立委員会というのもかなり影響力があって、こういうレポートがあるということで、政策パッケージの方の議論を審議しておりましたが、そういう長期を考えているという議論でこれを載せました。この分析はもう少しお時間をいただきたいと思います。
 それから3点目でございますが、12ページの、これはイギリスの気候変動プログラムに書かれているものでございますが、それぞれ積み上げの表がまた別途ありますので、その積み上げの表をもう少し日本語に訳すなり向こうにも聞いてみるという作業をしてみたいと思います。同じようにこういう対策でどれだけという表も別途ありますので、それを整理したいと思います。

○茅委員 簡単な質問なんですが、12ページの今のセクターではなくてその上の目標というのは今までの話と大分違うんではないかという気がして見ていて、これは何なのかということを伺いたかったんですが。
 というのは、これをごらんいただくとわかるように、これは目標という現状でしょうが、それから2010年、2020年と出ているんですが、2010年値は現在と同じで、2020年値は現在より増えているんですね。それでいて長期の方は50年たつと60%減らすという話になっているので、何か考え方がよくわからない。もし4ページから6ページにある記述とこの表というか絵というか、これの間は整合性があるのかないのかというのがちょっとわからないわけです。例えば2010年の目標にしても、前の方には20%削減と書いてあるんですが、これは20%どう見てもないわけですし、これは2000年と同じではないか。ですから何かちょっとその辺、話の内容と12ページの表とは関係のないものなのか同じなのかちょっとその辺ご説明いただけるとありがたいんですが。

○小島審議官 まず第1点ですが、これは気候変動プログラムにあったもので、6ページの環境汚染に係る王立委員会のこの提言自体は政策に反映されているわけではないと、こう思います。今政策に反映されているのは、1つは6ガスで12.5%減らす、京都議定書ですね。もう一つは労働党のブレア政権における目標である6ガスではなくて二酸化炭素については20%を減らす。そういう2つの目標が政権の目標であって、それに従っていろいろなプログラムを考えているというのがまず第一です。
 それから、このセクターごとのものは6ガス全体のものなんですけれども、若干気候変動プログラムに書いてあるところともう一個別の表が二酸化炭素で十九・何%になったんですが、そこら辺の整合がどういうふうになっているかというのはちょっと調べる必要があると思っています。6ガスの問題というか、20%削減は二酸化炭素について20%削減だというふうに言っていました。

○安原委員長 ほかにご質問はございますか。

○天野委員 12ページの上に、日本語では「目標」と書いてあるんですが、これはプロジェクションじゃないんですか。

○小島審議官 今2001年なものですから、そういう意味では実績ではないということを言いたかったというだけですね。

○天野委員 ですからターゲットではなくて、例えば表紙が大きい方のグリーンの資料の79ページにグラフが2つ書いてあって、1つはプロジェクションでこれは2010年から上がっていくんですね。もう一つのグレーの方は政策措置をみんなやったときの効果が出たときで、ぐっと下がるわけですね。だから「目標」という訳文がおかしいんじゃないかという気がするんです。

○小島審議官 直しておきます。「目標」というのは「見込み」というふうに。

○浅岡委員 質問ということではありませんが、私もこの調査に参加させていただきまして大変いい勉強をさせていただいたと思います。短い時間に無理無理詰め込んでおりますが、それだけ多方面、非常に多くの観点からの一つの問題について集中的にいろいろなお
話を聞けたということで、総合的理解が深まった機会であったと思います。
 その中で特に英国の場合、産業界の取り組みとして個々の企業としては、あるいは業界団体としてはかなりばらつきがあるように感じられるところもありましたけれども、経団連に相当するような団体、あるいはそれらがさらにほかのセクターとご一緒になって動いている排出量取引グループのようなところなど、包括的なところになるほど方向性はかなりはっきりしていて非常に実効性のある制度を一現状に合わせつつ工夫をしているということが感じられました。非常に大きなスケールで政策が企画され、実行されていっている。その方向性も非常にはっきりしているということが感じられましたこと。
 それから日本の主要な企業はイギリスに何らかの出先を持っていると思われますが、日本の企業もこういう経験を現地でされていくんだろうなと。既にこの数年されてきたんだろうなということも感じられまして、日本にどういうものをこれからつくって
いったらいいのかという点では、両面から大変参考になるのではないかと思ったことです。
 先ほど宮本委員からのお話などでありました点は、きょう私どもがそうした議論もよく聞かれるところから「京都議定書の批准を急げ」という簡単なパンフレットをつくりまして、私どもの考え方とか我々から提起できる資料の見方というものをつくってみましたので、きょうは細かく申し上げることはいたしませんけれども、また参考にしていただきたいと思います。ここではGDPとの関係では為替レートをそのまま使っておりまして、購買力平価での日本の成績の良さは民生・運輸部門によるもので、比較を本来私どもは提起したいところ、すべきだと考えていますけれども、もし購買力平価を用いてやれば、より日本とヨーロッパ、ほかの国々との差がトータルとしても少なく小さくなってまいります。先ほど小島審議官がおっしゃられましたように、やはりトータルGDPでどうだこうだという議論は、その時期ではないのではないかということをあえて最後に1点申したいと思います。
 それから電力についても、自然エネルギーを拡大するための義務的制度を導入する中で、全世帯の電力にやはり5%ぐらいは上乗せになるだろうということを見込みつつ導入している。そういう意味では、全世帯に影響を及ぼす仕組みも入っていると感じました。

○安原委員長 コメントありがとうございました。

○宮本委員 私は前から言っているんですけれども、GDP当たりというのは一番簡単な話なんですけれども、本当は産業別に、例えば鉄鋼の粗鋼生産量1トン当たり×CO2 いくら、電力のKWh当たりいくら、自動車の1台当たりいくら、こういうのを比較しても圧倒的に差があるんですよね。その辺を総合すると結局こうなるので、何も為替レートだけが云々ということではないと思うんですが、その辺の議論を本当は、今さら申し上げても仕方ないので、そういうことも踏まえてやはり国情の違いを考えながら検討し、それに合った施策を打っていかないと、うまくいっている国があるからといって、それをやるのは、ややそこは軽率ではないかということを僕は申し上げているだけでありますから、これ以上申し上げませんけれども、そういうことでございます。

○安原委員長 ご意見として承っておきます。
 それではこの問題、もう時間があれなんですが、簡潔にお願いします。

○飯田(哲)委員 私も同行したので簡単にコメントというか補足をしたいんですが、できるだけ手短にしたいと思います。
 まず第一は、やはり京都議定書というか、京都会議以降イギリスに限らずいろいろな国で制度設計はどんどん進んでいるということで、まさに国内制度小委員会かなりもう本当に具体的に踏み込んだ制度設計に、今からだともう本当に遅きに失しているところもあるんですが、ぜひその方向に踏み込んでほしいというのが一つのメッセージだろうと思います。
 もう一つは、今回イギリスだけに絞ったんですが、もうちょっと欧州委員会とほかの国を見るべきだろう。それは今の宮本さんのご意見もありますし、イギリスの制度は現地のNGOも言っていますが、かなり複雑になってしまったというところもあって、逆に欧州委員会とのハーモライゼーションに困っているところもあるわけで、もうちょっとシンプルでかつ日本的にフィジブルなものを踏み込んでいくという意味では、特に欧州委員会ベースの話も見ていった方がいいだろう。
 そういう意味で、先ほど話のあったNGOとの共同の話は、イギリスはたかだかリエゾンにすぎないですが、欧州委員会でことし6月に定めたECCP・European Climate Change Programme というのはまさに産業界と欧州委員会とNGOが同じ場に座って実現、フィジブルなプログラムはどんなものがあるのかということを具体的に議論しながら詰めていく。そういうもうちょっと対等な立場で社会的合意を優先した形でやっていくプロセスというのも、イギリスではなくてもっと欧州大陸の方にいろいろモデルがあるので、そういうのも見た方がいい。
 それからリニューアブル、自然エネルギーに関してはイギリス国内の人は非常にこの制度を前向きに言っているんです。奇妙に前向きに言っていますが、基本的にイギリスは自然エネルギー普及制度に関しては過去10年間失敗をしてきている。今回の制度も実は今回余り踏み込んだ議論はできませんでしたけれども、新しい電力市場、ニータという市場とのコンフリクトが今起きていて、これが10%がうまくいくのかどうかというのが物すごい今大きな問題となってきています。むしろ参考資料の4の方にありますが、ドイツ、デンマークも同じようなグリーン証書を導入しようとして法律は決めていますが、もう2005年まで導入しないということを先週決めました。むしろ同一型のいわゆる固定価格制度、これがヨーロッパの風力発電の95%を占めているので、制度としてはそちらの方が確実だという評価がむしろ欧州大陸では中心なので、イギリスの評価だけで自然エネルギーのこの制度を評価すべきではないということを一言申し上げたいと思います。
 以上です。

○安原委員長 今後、外国の制度を参考にしながら具体的な日本に合った制度設計についてこの場で検討を進めていきたいと思います。
 それではこの程度にいたしまして、本日の本来の議題でございます国の計画の基本的な考え方、議題1と地方公共団体における地球温暖化対策、議題2、これは一括してご審議いただきたいと思います。
 事務局より資料1、2、それから参考資料4を一括してご説明願います。

○竹内課長 それでは資料に沿いましてご説明申し上げたいと思います。
 中間取りまとめにおきまして、国の計画を初め幾つかの国内制度についてご提案がございました。この小委員会におきまして、順次それらにつきましてご審議をいただくということにしております。まず、本日はその中での国の計画及び地方公共団体の計画取り組みということにしたいと思っております。
 まず資料1でございますが、国の計画の基本的考え方についてというところでございます。
 まず、京都議定書は大きな特色がございます。最初の義務のところは議定書に書いてあるところでございますが、2番目にございますように義務を負うのが将来の期間。つまり第1約束期間、2008年から2012年まで、将来の期間に義務を負う。そこで京都議定書締結の国会承認を求める2002年の時点で将来の期間における温室効果ガス6%削減を確実に達成できることが担保されていることが必要だということであります。一方、義務の達成手段、国内でどういう措置を講ずるかということにつきましては各国の裁量にゆだねられております。
 そこで計画的な取り組みが必要だろうということでございまして、まず京都議定書の義務を達成できることを明確に示す、具体的な道筋を明らかにすることが必要だろうと。それから、議定書の目標達成のための具体的手法は各国にゆだねられているわけでございますが、計画の中でガス別・部門別の必要な削減量の内訳、あるいは個々の対策についての我が国全体としての導入目標量、あるいはそれによる削減見込み量、それからそれを推進するための、あるいは促進するための国あるいは自治体の施策の工程表といったものを盛り込んで議定書の目標達成に向けて国内対策の全容を定めることが必要ではないだろうかと。
 それから、義務を負うのは将来の期間ということでありまして、その間社会状況などの変化にも対応し、目標達成を確実なものとするためには計画の進捗状況及び効果につきまして定期的に評価、検証を行って、十分でない場合には対策の見直しを行うための仕組み
を設けるということで手続的な担保を行うことが必要ではないかということでございます。
 続きまして、そういった国の計画の目的でございますが、議定書の目標を達成するために構ずべき各主体の対策及び対策を促進する国などの施策の全体像を明らかにして、達成に向けた費用対効果の高い対策を計画的、円滑に実施していくことを目的とすべきであろうと。あわせまして、議定書の第1約束期間後も見通した長期的な温暖化対策、技術開発でありますとかあるいは都市の構造改革的な分野でございますとか、そういった長期的な時間のかかる対策についてもその方向性を示す必要があるのではないかということでございます。
 そこでその計画の内容でありますが、幾つかございますが、まずガス別・部門別の必要な削減量の内訳。
 2番目に事業者、この事業者には注にございますように国・地方公共団体自身も事業者でございますが、それと国民といった大きく2種類の排出主体別の対策メニューと我が国全体での対策の導入目標量、それからそれに伴う排出削減見込み量といったことが2番目に必要ではないかということでございます。ここのメニューごとの対策といいますのは、個別の企業でありますとかあるいは業界団体ごとの対策を記載する、定めるものではないということで、例えば例にございますように高効率何とか装置といったものが2010年までに全国でこのぐらい普及することを目指そうとか、それを目指すことによって全国でこのくらいの量が削減が見込めるんではないかといったいわば定量的なものを定めていくことが必要ではないだろうか。
 それから3番目に、こういった事業者や国民という大きな分類があるわけですが--による対策の導入促進のための国や地方公共団体の施策、それからこういった施策の導入時期などを可能な限り明らかにした工程表。最近はやりの概念でございますが、工程表。
 それから最後に、計画の検証あるいは見直しの方法について定めることが必要であろうといったことで下にポンチ絵がございますが、計画進捗のイメージということで2002年に道筋を定めてそれを目標達成の期間までに見直し、あるいは改定していくことによって目標達成にソフトランディングしていくという姿を国の計画の中で定める必要があるんではないかということでございます。
 それから次のページでございますが、計画の検証・見直しと。先ほども出てまいりましたが、確実な達成に向けてはこの間のいろいろな事情の変化もあるわけでございますので、進捗状況を毎年定量的に評価して必要に応じて対策導入量、国などの施策などを見直すと。例えばでありますが、2005年、これは議定書の中の第3条第2項におきまして、2005年までに議定書に基づく約束の達成に当たって明らかな進捗を実現していなければならないという規定があるわけでありますが、その2005年。それから2007年、これは第1約束期間の開始の前の年でありますが、2007年までの実績について総点検、検証を行いまして目標達成を確実にするために必要かつ十分な対策施策を拡充強化するための計画の改定といったような検証・見直しの仕組みが必要ではないだろうかということでございます。
 下のイメージのところは中間取りまとめの中でもふわっとございましたが、PLAN、DO、CHECK 、ACTIONといった手続といいますかサイクルをとっていくというイメージでございます。
 これが国内対策の基本となります国の計画ということにつきましての基本的な考え方のご提案でございます。
 それから資料2でございますが、一方、地方公共団体における地球温暖化対策ということでございます。
 資料として幾つかの実例が挙がっておりますが、まず地方公共団体の役割といたしまして大きく2種類あるでしょうということでまず左側の方ですが、地域に密接した対策の必要性ということで、事業活動から市民の生活に至るまであらゆる社会経済活動に二酸化炭素などの排出が起因しているということでございますものですから、市民生活にかかわる身近なものを含めてきめ細かく実施することが必要だろうと。
 それからもう一つの右側でございますが、地球温暖化問題の認識不足とありますけれども、人類の生存基盤にかかわる重要な問題であるというわけでありますが、なかなか実感しにくい問題であると。したがいまして、市民一人一人の自覚と認識が重要であろうという両方の必要性から地方公共団体の役割というのは大きいということでございます。
 それから2つ目の「○」のところにございますように、環境保全の分野で培われたノウハウや人材、経験といったものの蓄積を生かして多様な対策を展開していくことが期待されるということでございます。
 そこで国と地方公共団体の関係でありますが、地方公共団体は国の計画が先ほども出てまいりましたが、国の計画に掲げられた地方公共団体の施策のメニューなどを勘案して地域の自然環境あるいは社会経済状況に応じた具体的な施策を展開していく。
 それから地方公共団体の防止の取り組みに当たりましては、広範にわたる施策というのがあるわけでありますから関連する多くの部局の協力のもとに推進する必要がある。したがって、こういったことを体系的、総合的に進めるための計画的手法が重要ではないだろうかということでございます。
 2ページは今申し上げましたようなことにつきましてのイメージでございまして、国の果たすべき役割というのはもちろん議定書の目標達成でございますが、それの全体像としての国の計画がある、地域からの行動として地方公共団体の計画があるということでございます。
 そこで3ページ以降でございますが、地方公共団体の施策・対策には現行大きく整理しますと2種類のものがございまして、まず・のところで地域に密着した施策、対策の推進ということで都道府県中心でございますが、既に多くの地方公共団体が地球温暖化対策地域推進計画、名称は都道府県によって若干違うところはございますが、こういったものを策定いたしまして地域における温暖化対策を計画的に進めております。ことしの4月現在、32の都道府県で策定されているわけであります。まだ市町村レベルでは具体的な数字は把握しておりませんが。
 その中では大きく分類してみますと例えば産業の部門で未利用エネルギーの利用促進でありますとか環境管理の促進といったところが中心でありまして、中小企業などに対する融資制度などがある。それから民生(業務)に対しても同じように融資や助成制度などによる省エネの推進、エコビジネスの育成。民生(家庭)におきましては、省エネ住宅の普及促進のための融資だとかいったところがございます。運輸部門につきましても、環境定期券の発行などについての対策がございます。
 これらにつきましては次の4ページから8ページまででございますが、ざっと4ページからいきますと、エネルギー転換部門で供給対策の中では例えば新エネルギー施設を共同設置する仕組みづくりの検討でございますとか、あるいは省エネルギー・新エネルギー促進条例の制定でありますとか、そういった取り組みがされております。需要対策としては、デマントサイドマネジメントの推進ということも書かれております。
 産業部門におきましては、先ほども出てまいりました融資の制度でございますとか生産効率化ということで環境管理の促進。
 それから民生の事業所におきまして、5ページでございますが、建築物の省エネの促進等々ございます。
 ちょっと省略いたしますが、あと8ページまでこの関連のものがございます。
 それから3ページに戻っていただきまして、もう一つは地方公共団体の事業における対策の推進ということで、地球温暖化対策推進法に基づきまして地方公共団体はその事務及び事業に関しまして温室効果ガスの排出抑制等のための措置に関する実行計画を策定するということにされておりまして、現在都道府県レベルでは40の都道府県、市町村レベルでは 412の市町村で策定されております。
 これは大きく事務に関する対策と事業に関する対策がございまして、事務に関する対策は庁舎内での省エネルギー行動だとか一般廃棄物の減量化などが中心でございます。一方、事業に関する対策におきましては、例えば公営バスにCNG車を導入するとか、市営地下鉄の省エネ型の車両の運行などがございます。これにつきましても、9ページから10ページにかけて事務事業に分けて具体的な取り組み実施事例が記載されております。
 このように特に事業の方でありますが、地方公共団体自身によるエネルギー関係、あるいは交通関係、あるいは廃棄物関係といったところにおける温暖化対策ということが今後とも大きく期待されるんではないかということで、こういった点を計画的に進めていくための計画というものが地方公共団体の計画として大きな役割を果たすんではないかということでございます。
 それから参考資料4でございますが、これは先回、部会のときに削減が進んでいるドイツ、イギリスにおいて一体その削減が進んでいる内容というのはどういう要因であんなに削減しているのかということについての分析、解析がないかということでございました。これはこの夏前に出ましたドイツの環境省がドイツとイギリスの研究機関に依頼をして作成したレポートの概要でございます。枠のところにございますように、ドイツ・英国におきまして90年以降排出量が減少しているわけですが、その理由としてほかの先進国と異なる特殊な事情によるという指摘がございます。したがって、議定書における両国の削減目標というのは特段の排出削減政策を実施しないBaU、なりゆきケースにおきましても達成されるという意見もあるわけであります。
 特殊な事情といいますのは、すなわちドイツにおきましては旧東ドイツが効率の悪い設備を使用していたことや、経済が低迷状況にあったというドイツ統合に伴う効果。それからイギリスにおきましては、先ほどもございましたが、石炭から天然ガスへの燃料転換が起こったこと。つまりこれはエネルギー市場の自由化などによることでございまして、自由化効果。
 ところが、3つ目にございますが、これまで達成された温室効果ガスの排出削減は、統合効果、自由化効果による部分よりもむしろ両国で導入されたさまざまな排出削減政策による効果の部分の方が大きいというふうに分析されております。
 1ページの下の方では現状の目標と、上の21とか12.5は6ガスの目標、それから25、20はCO2 の独自の目標でございます。それから実績値がございます。
そこで2ページ以降、ではそれぞれどういう要因がどのくらい占めているかということでございますが、2ページの上の方のグラフはドイツの、政策及び統合がなかったとした場合がBaUなんですけれども、それぞれどういう要因で現状のマイナス18.2まで来ているかということの概要でございまして、下の方を見ますと旧東ドイツの統合効果がこのくらいあると。上の方でCO2 以外の政策効果とそれからCO2 の政策効果。
 同じように下の図ではイギリスにおける同様のことでございまして、下の方にエネルギ
ー市場の自由化効果というのが大体半分ぐらい、それから残りのがそれぞれの政策効果。
 それをさらに詳しく見ますと3ページで、まずドイツでございますが、ドイツにおける削減は政策効果による部分が53%、統合効果による部分が47%ということで、政策効果による部分の方が大きい。
 どういう内容かということでございますが、政策効果が全部で53%あるわけですが、そのうち大きなのからいきますと先ほどもご指摘ありましたような再生可能エネルギー電力買い取り法による効果というのが 1,000万トンとちょっとある。それからあと住宅に対する断熱規制とか旧東ドイツ地域における住宅の改修支援でございますとか、下の方にいきますとエコロジカル税制改革ということ、これは99年から入ったやつでございますが、それによって 700万トン。それから非CO2 、CO2 以外の削減策では埋立場におきますメタン排出削減等々といったことで53%。残りの47%が統合効果だという分析評価がされております。
最後のページでございますが、同じように英国におきます要因の中身でありますが、これにおきましても政策効果が53.4%、エネルギー市場の自由化による効果が46.6%ということで政策効果の中身では燃料物品税の増税、それから省エネの改善事例プログラムといったものの実施、それから先ほどもありましたような非エネルギーのところではメタンの排出削減といったようなところが大きな効果としてあらわれているということで、調査に出てまいりました今後の施策も当然まだここには効果は出ておらないわけですが、これまでの効果としてこういった政策効果があるということのようでございます。
以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは今の説明を踏まえていただきまして、ご意見、ご質問がございましたら発言を願います。

○浅野委員 きょうは基本的な考え方ということで資料が出されていますので、あくまでも考え方の方向を示すということであり、細かいことはこれから議論していかなければいけないという前提できょうのペーパーが出ているものと理解いたします。
 ここに書かれているように、具体的に道筋を明らかにする必要がある、対策の全容をきちっと定めておいてそれの進行状況についてきちっとしたスケジュールを考えて、さらに評価・検証を行う。そのための手続における担保が必要である、この考え方は基本的にこれまでずっとこの小委員会でも議論してきたことに沿った整理が行われていると思うわけです。
 したがってこの方法で進めていいと私は考えます。この中でかなり重要なポイントになると思われる点は、1つは部門別にどの程度の削減をしなければいけないのかという必要削減量を明らかにしていくという作業。これはなかなか大変なことだと思いますけれども、確かにこれをやらないでただ単に施策をばらっと並べて何とかなるでしょうというようなやり方ではもうどうにもならないことははっきりしておりますから、この部分の作業はかなり重要な作業ではないかと思います。その場合に、とりわけ民生、運輸部門はこれまでともすれば非常に扱いにくいというわけでして、増加もやむなしといった扱いになっていたわけですが、そうとばかりも言っておれないということを改めて確認しなければいけないと思われます。
 さらに確かにこれまで努力で、予想以上に削減の効果を上げてきた分野があるわけですが--CO2 以外ですね。そういうところに、安易にここまでできたんだからもっとやれというような言い方をすることがいいかどうかは確かに議論の余地があるわけでありますから、これまで努力をした分野と努力してこなかった分野をしっかり区別をしなければいけないと思います。
 それから対策メニューということで書かれている部分ですが、言葉の使い方を相当今後の作業の中で厳密にというんでしょうか、はっきりしておかないと話が混乱していくおそれがあるなという気がします。例えばここで対策メニューを事業者・国民別に並べるということが書いてあります。それに引き続いて、次には施策という言葉が出てきます。この場合に、対策メニューと言われているときの対策の中身として、どのようなことをイメージしているのか、それを具体化していくための施策としては何をイメージしているのか。この辺がともすると混乱していく可能性があるし、対策メニューと言われているもののなかにはやたらと細かい技術的なものが並んでいるかと思うと、一方ではごく抽象的なものが同列に並んでしまっていて、メリハリがないというのか、どう体系化されているのかがよくわからないのが従来の大綱だったわけです。これはやはり思い切って抽象的な、スローガン的なものと具体的な技術の裏付けのあるものに区別をしておかないと、ただ平面的にずらっと並べてもしようがないんじゃないか。当然ですが、それがはっきりしないとそれを受ける施策という部分のメリハリもはっきりしてこないという気がします。在来型の、ただ思いつくものを並べているという、失礼な言い方ですが、そういう印象にならないようにこの作業は丁寧にしなければいけない。対策メニューというときにも何をイメージするのか、あるいは甲類対策メニュー、乙類対策メニューというような頭の中で一応整理しておいて、そういう違いがあるならきっちり意識して整理をしなければいけないんではないかと思います。
 私は、温暖化対策についても、地方公共団体の役割の重要性を強く感じておりますが、資料2の参考資料に出てきている記述を拝見しますと、「施策」と「具体的対策」という言葉が出てくるわけですけれども、この「施策」と「具体的対策」をどう使い分けをしているのか。ここで使われている「施策」「具体的対策」という言葉の位置づけと、今度は国の方で計画を考えるときに「施策」と「具体的対策」の位置づけが混乱をしているのではないかとも思われるわけです。それを混乱させないようにしなければいけないと思います。ですから、先ほど甲類、乙類というような言い方をしてみたわけです。これまでもう一方の小委員会の作業は、どちらかといえば、具体的な技術の裏づけを持ったものを並べて考える。それでその削減可能性を見て評価するというやり方をしてきているわけですから、この成果を生かさぬ手はないわけで、これを生かすべきですけれども、しかしこれもずらっと並べるだけではだめだということも一方で言われているわけですね。そうすると、対策メニューというものをどこかでセレクトするのか、全部並べるのかということも考えなければいけませんし、それをもうちょっと上位概念としてくくるような概念としての対策メニューのようなものをうまく組み入れていけないのかということも問題になると思います。今後の作業の中ではともかく言葉をこう使うんだということを決めたらその使い方をきちっと守るというやり方をしていって、話が途中でごちゃごちゃ混乱しないように整理をする。しっかりした体系的な整理をする必要があると考えます。
 また、施策というときに、施策の内容とそれを実現する政策手法の、二通りがあるのですが、これもともすればごちゃごちゃに議論される傾向があったわけです。その点もはっきり意識をして、どういうことをやるのかということと、それをどう政策的に実現する手法を用いていくのかということときちっと識別しておかないと混乱が起こると思います。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは一括して最初にご意見を伺いたいと思います。
 それでは、まず佐和委員、茅委員、飯田委員、梶原委員、福川委員、横山委員、天野委員、そういう順番でお願いしたいと思います。それでは、まず佐和委員。

○佐和委員 まず資料1でございますが、第1ページの上の四角の中に「6%削減を確実に達成できることが担保されていることが必要」というふうに書いていますが、10年先のことを考えますといろいろな不確実性が山のようにありまして、第一日本経済がどうなるかということすらがだれにもよくわからないわけですから、確実に達成できることが担保されるなんていうことは、そんなことが果たして可能かどうかというふうに、どういう意味でお書きになったのかということを教えていただきたい。
 それから、さっき対策メニュー云々というお話がございましたけれども、結局対策メニューというのは、実は特に事業者などは、つまりこれを一々各業種別について国が対策メニューを提示するとか、あるいは国民にはこういう体制がありますよということを細かく示唆なり指示する必要があるのかどうか。これは単に啓蒙ないし啓発のために、こんなことが皆さんできるんですよということを示すということがねらいなのかどうかということです。
 と同時に問題は、計画の内容のところですが、その次の3つ目の「○」にある対策導入促進のための施策。結局、施策ということはやはり重要だと思うんです、国がやるべきこととしては。しかし、その施策の内容なんですけれども、大まかに言えば、よく言われるように誘導的措置あるいは経済的措置というのと規制的措置というのがあり得るわけですけれども、そのときにやはりどっちに重きを置くかというようなことがやはり重要な論点になってくると思います。それが2つ目。
 3つ目が、その次のページで計画の検証・見直しで進捗状況を云々しそして十分な対策・施策を拡充・強化すると。これを見ると、何か2005年及び2007年に総点検を行ったらその結果は進捗状況が不十分であることは当然みたいなことが前提になっていますね。しかし、ひょっとすると経済成長率がマイナス成長がずっと続いて、実はもう今の旧ソ連、東ヨーロッパ諸国のように意図せざる削減というのが達成されているかもしれないわけですね。そういうときには拡充・強化ではなくてむしろ緩和ということもあり得るわけですから、何かこの辺の書き方も多少工夫が要るんじゃないかと思います。
 以上です。

○安原委員長 どうもありがとうございました。

○茅委員 3つありまして、1つは今回のこういった国の制度の整備という話なんですけれども、やはりこの問題というのは政府全体で決めた6%削減の原案に沿わないとまずいんだろうと思うんですね。ご承知のようにエネルギー起源のものについて安定化、そしてそれ以外のものについて6%をカバーするということになっているんですが、ただ正直言いますとその内容については十分な議論がされているとは私も思えないし、問題点があることは皆さんご承知のとおりだと思います。たまたま今度のマラケシでかなり森林の吸収問題、排出量取引の問題については決着がつくと思いますが、そのものが終わった段階でむしろまずは現在の政府の対策案そのものがこの形で進めていいのかどうかということを国の温暖化対策推進本部で決めるということをしないとおかしいのではないか。
 きょうもたまたまオゾン層保護対策産業協議会からの意見書等が出ておりますが、こういうのを見てもいずれにしてもこういうことについて、中環審というより国としての姿勢をそこではっきり決めてからやらないとここだけで決めたのではおかしなことになるのではないかということで、やはり最初の6%削減の構成について政府全体として検討すべきではないかというのが第1点です。
 第2点は佐和委員の言われたことと全く同じなんですが、今から2010年というのは9年あるわけです。正確に言うと2008年からということになりますが、真ん中をとって2010年としても9年あるわけですが、9年の間に本当に何が起こるかわからないということを考えますと、こういうものの対応についてはかなりフレキシビリティーを残してやらないと後になって大変困ることになるのではないかということで、ぜひフレキシビリティーのあるやり方を今後とも考えていただきたい。これは要望です。
 3番目は、これは非常に難しい問題なんですけれども、この中に国民への対応ということが書いてあるわけです。この温暖化対策の中で一番難しいのはここなので、現実にどう
いう政策を打てば国民が反応するかというのがどうもなかなかうまく出てこないんです。
 運輸の例を挙げると一番いいんですけれども、運輸の省エネルギーというので一応国土交通省で案はできているんですが、私の言い方で言うと、要するに明るいところだけで物を探しているといういわゆるgroping in the dark という英語のことわざそのままで、実際には都市の対策がほとんどになっているわけですが、運輸のエネルギー需要が伸びているのは、郡部での乗用車需要が伸びているからなんですね。それに対しては、しかし一人一人の消費者が対象だということで全く対策が考えつかないということでやっていないんですが、これでは肝心の問題になっているところに手をつけないでよくわかるところだけ手をつけているということになりかねない。やはりこれはまずいだろうと思います。
 そういった意味では、何か国民のビヘイビアに対して、国民というか消費者のビヘイビアに対して影響を与えるような施策を考え出さなければいけないと思うんですが、これをもう少し政府全体としても何か考えるシステムをつくれないか。ここには資料1の中に国民に対する対応と簡単に書いてあるんですが、私も具体的にどうしたらいいのかというのは簡単に思いつかないわけです。したがって、国民の理解を得る意味でも単に中環審の中の一部会という形でやるんじゃなくて、もう少し広い意味でその点を突っつくことを考えたらいかがかというのが3番目でございます。
 以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 その次、飯田委員。

○飯田(哲)委員 私も3点ありまして、1点目はもう今まで浅野さん、茅さん、佐和さんがおっしゃったことですけれども、全体的に非常に計画経済的な側面にぱっと見えてしまうんですが、やはり施策のところでとりわけポリシーミックスというのを具体的にデザインしていくのかどうかということをもうちょっと具体的に見えるように踏み込んで書いていった方がいいんではないかというのが資料1に対するコメントです。
 それから資料2ですけれども、地方公共団体のとりわけ計画という側面がすごく強調されているんですが、過去10年間振り返ってみてもリオプラスファイブ、国連特別総会に向けてはアジェンダ21を各自治体でやって、それから今環境基本計画が進んでいて、ここでは地球温暖化対策推進計画があって、経済産業省関係では新エネビジョンがあり、省エネビジョンがありということで、地方公共団体は計画倒れ--倒れてはいないかもしれませんが、計画ばかりいっぱいあって、中身を見ると多分球は同じような球が違うところの計画に形を変えて出ていっているようなものがあって、本当に計画というアプローチでいいのかというか、むしろこれがきちんと進んでいく仕組みの方に話を進めていかないと、またその計画は立てたものの計画ばかり形を変えていろんな形で出ていくと。仕組みともう一つは本当の、「密着」と書いていますが、そうではなくてもっと実質的に地域レベルで社会的合意をつくり上げていく。この2つに焦点を充てる。
 仕組みというのをざっと考えて3つあると思うんです。1つは具体的に機能する政策を地域レベルでつくる。これが一つ。北海道では条例つくっていますが、これは精神条例で余り役に立たないのでもうちょっと本当に機能するメカニズムを政策としてつくる。もう一つは組織、そういうのが動くように組織を変えていかないといけない。3つ目は財源。財源のことはここ一切触れていないわけですが、自治体は何かやろうとしても財源がほとんどないわけです。その財源がもっと自主財源がとれる、あるいは多分スウェーデンがやっているようにナショナルなファンドを大きくつくって促進するように充てるとか、政策と組織と財源という3点セットを次のステップとして進めていかないと、計画ばかりつくっていっても10年後にまた何か計画をつくるような話になってしまうんじゃないか。
 それから最後の参考資料4は非常にいい資料だと思うんですが、これを日本についてできないのかなと。つまり、かつて地球温暖化防止行動計画で2000年に安定化という目標があったわけですが、結局7%増えてしまった。だから減った要因ではなくて増えてしまった要因というのをきちんと今の段階で見ておいて、それを今後10年の施策に生かしていくという意味で、日本についても検証を起こしていったらいいんではないかというふうに思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは次、梶原委員お願いします。

○梶原委員 今までの会議の中でこれまでの現状を見て、従来型の普及啓発あるいは自助努力といったようなことではもう間に合わないんだというのが共通の認識になっているのかなと私は思っています。
 今回自治体を取り上げていただいて大変ありがたいんですが、資料1で拝見する中に「国・地方公共団体」という表現が大変多く出てまいりまして、ではどういう関係で認識なさっているのかなと思うんですが、資料2の1ページ目の一番下に国と地方公共団体の関係というのがございます。2つ「○」がございますが、今拝見しておりまして、上の方は国がメニューを示すからおやりなさいと、要約すればそう書いてあります。下の方は、体系的、計画的におやりなさいと。ということで、いささか私どもの考えているのと認識が違うのかなという気がいたします。
 資料の中で自治体のいろいろな施策をたくさんまとめていただいたんですが、これは国の方からなかなかお話ししにくいと思いますけれども、私の方から申し上げますれば、やはり自治体の計画というのは大きく分けますと広く普及啓発を図るんだということでいろいろメニューはここにも書いてございます。またもう一つは、事業者としての自治体がみずからの財源を投入してできる限りの対策をとっていく。これは率先行動というふうに呼んでおりますけれども、こういったものが大きな柱でございまして、その他中小企業関係ですとか非常にきめ細かなものはメニューはございますけれども、実際問題としてモデル的事業ですとかパイロット的事業が多少多うございまして、実効性が本当にあったのかという面では、私ども東京都でもこれまでの対策は全く不十分であると総括しております。そういった意味で、これから自治体が本当に実効性のある施策をどんどんやっていくためには、国と地方公共団体との役割というのはやはり地方公共団体が本当にそういう施策をとっていくようなバックアップができるような大きな仕組み、支援をしてもらうということだと僕は考えています。
 一例を申しますと例えば自然エネルギーの導入ですが、これは立地の面からもいろいろな面からも、自治体が主体的にどんどん取り組んでいくべきものだと思います。ただ、この先どんどん増えていったときに、現状では自家消費しない限りは売電をしなくてはいけない。さすれば、今電力会社さんがもうこれ以上買えないよというような動きになってきておりますので、こういった大きな仕組みを一体どうするのか、そういったところでご支援をいただかなければ、従来どおり自治体は計画をつくり、多彩なものをやっていますという宣伝にとどまってしまうというふうに思います。ぜひこの点について国と地方公共団体との関係、この記述ではちょっと私は感覚的に合わないと申し上げたいと思います。

○安原委員長 ありがとうございました。
 その次、福川委員。

○福川委員 皆さんいろいろお話になられました。私も佐和委員、茅委員等のおっしゃった全体の考え方、全体の経済との関係というのは私も同様に思っておりますので、その点はぜひご配慮をいただきたいと思います。
 それから資料1の施策ですが、やはり施策をただ並べるというんではなくてやはり施策の有効性というのをきちんと説得性があるということが非常に大事だと思うので、ただ施策をというんではなくて施策についての有効性というものをここで十分入れるということが必要なように思います。
 それから資料2の地方公共団体で今梶原さんからもいろいろお話がございましたが、確かにこれだけ並べられてみると一体これで県によって、あるいは地方公共団体によっていろいろなことの違いが随分あって、やっている県もやっていない県もあって、やればもっとできそうだという気がするんですが、やはりこれはもう少しそれぞれの施策の評価、政策評価というか評価をしてみてどういうものが有効であるかという、やはり有効なものに集中的にやっていって、地方公共団体も目に見える努力をしているということを地方の人たちに見えるようにした方がいいように思うので、これがどのくらい効果が上がっているのか。今東京都では十分でないというご意見がございましたが、もう少し何か評価を定量的にやってみてそして地方公共団体の人たちにもこんなに地方自治体はやっているんだというようなところがわかるような、目に見えるように何かできないものかなという気がいたします。
 それから私は、ここにも電子情報化ということが書いてありますが、電子政府、地方公共団体の電子化というのは一つ非常に重要な施策だろうと思っておりまして、ここでは庁内のLANとか書いてあって、多くの自治体で電子の情報化をしていると書いてありますが、実際はまだほとんど余り大きな効果が出ていないようにも思いますし、それからもう少し公共事業の発注等々についての電子化というので公共事業をもっと効率化するということも十分あり得るだろうと思うので、電子政府、電子情報化というのはもうちょっと分析してみる必要があるというふうに感じております。
 それから参考資料でドイツ、イギリスのことをお調べいただいて大変ありがとうございました。私はこの団体を知らなかったんですが、後で結構ですが、ISIとかDIWとかイギリスのSPRU、これはどんな研究機関なのかちょっと教えていただければありがたいと思います。
 それからドイツについて、ここでは統合効果が書いてありますが、ドイツでも石炭から天然ガスへの転換ということが行われて、過去10年ぐらいで見るとかなり進んでいるわけであって、これらは一体どんなふうになっているのか、また後でわかれば教えていただきたいと思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 その次、横山委員。

○横山委員 資料2で、地球温暖化対策においては市民一人一人の自覚と認識が重要だという記述があります。私もそれはそのとおりだと思います。例えば国と企業が真剣になって温暖化対策に取り組むんだということが本当に市民の間に理解が広まればこの自覚と認識もかなり深まっていくんではないかと思います。
 その一方で最近気になったのが、国のアンケートで京都議定書のことをどの程度知っているかというのについては、中身についてまで知っているという方はかなり少ないという内容でした。私は、もう京都議定書ぐらいは何も説明をつけなくても一般の人はわかっているのかなというような思いでいましたが、あのアンケートでやはり相当まだまだ理解がされていないということがわかったと思います。我々はこの審議会にも出ていろいろな資料が山のように届けられてこれを読むだけでも大変なわけですが、一般市民に戻ってみると、例えば今の温暖化というものが現代文明に対する問いかけでもあるんだとか、そういったパンフレットとか映像とか、それはほとんどないと思うんですね。その辺のところを抜きにしていろいろな対策を進めようとしても、市民の間で理解がほとんどないということだと何か机上の空論をしているようになるんではないかというふうに思います。
 例えば本当に地球温暖化問題の深刻さをわかりやすく説明したもの、いろいろ出ていることは知っていますけれども、それがもうほとんどの市民に回るようなこととか、あるいは陳腐なことかわかりませんけれども、いろいろな勉強会なんかで国の方に講師を派遣してくれと言われればほとんど費用も国が持つとかあるいは地方公共団体が持って講師を派遣するとかそういったことまで、あるいはNGOと連携してNGOにそういう役割をやってもらうとか、そういうことをやらないときょう説明していただいたものもほとんどが余り効果をなさないんではないかと思います。
 例えば今までの情報公開なり地球温暖化問題の深刻さとかあるいは対策について、国なり自治体がどんな努力をして何であんなに市民のレベルまで伝わらないのか。その辺の分析も難しいかわかりませんけれども、ぜひやった上でこういう今後どうするかということには国民への知識の普及とかそういう観点も取り上げていただきたいなと思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは天野委員。

○天野委員 4点ほど申し上げたいと思います。
 まず第1は、資料1の計画の目的と計画の内容のところなんですが、まず目的の方では、施策の全体像を明らかにする。特に費用対効果の高い対策を計画して実施すると書いてあるんですが、計画の内容のどこにそれが出てくるのかをいろいろ探しましたが、多分上から3つ目の施策というところかなと思うんです。それぞれもう少し計画の目的がはっきりするような書き方をすべきだと思います。少なくとも費用対効果の高い対策というのは先ほどの英国の例ですと、気候変動税と国内の排出取引と実施協定とこの3つは必ず入ると思うわけですが、それを施策としてどういうふうに位置づけるかということがこの内容のところに、私は当然入るんじゃないかと思うんです。
 4番目、5番目には工程表と検証・見直しの方法というのがありますから、例えば税、取引、協定というのが2005年にはどうなっているのか、2007年にはどういう姿になっているのかということをやはり書くべきではないかと思います。これだけ見ておりますと、この計画の目的がどうやって達成できるのか内容がそれを反映していないというふうに思います。
 先ほどからいろいろ問題になっておりますけれども、対策メニューというのはメニューであって、何を食べるかというのは、高いか安いか、おいしいかおいしくないか、見た目がいいか悪いか、このお店はいいか、そういうことで決まるわけで、幾らメニューがあっても食べなければしようがないわけですね。これはまた後で申し上げますが、施策というのは手段なんです。目的があって選択の手段があってというのは外国でははっきりペアで考えるわけですが、日本の計画のつくり方では手段がないんですね。手段がなければ幾ら目標を挙げても達成できないわけですから、先ほど私が挙げました税とか取引とか協定というのは手段なんです。ですから手段が何かということはやはりちゃんと明記をする。
 政策と対策というのは手段ではないんですね。対策というのは後ろを見たらわかりますけれども、自治体の対策の一つに例えば省エネ機器の普及促進というのがある。普及促進というのは目的なんですね。普及促進をするためにどういう措置をとるかというと、例えば地域の冷暖房事業をするとある。事業をするというのはこれも目的であって、どうやって事業をするのかということを書いていないわけですね。ですから大目的があって中目的があって小目的があって細目的がありますけれども、手段は一向に出てこないというつくり方になっておりますから、私は必ずこの手段というのを入れていただきたいというわけです。
 これは国、地方問わず政策、対策を掲げる以上はそれを実際に行うための手段は何か。それをいつもペアにして書いていただくことが必要です。逆に、例えば気候変動税というのは手段ですけれども、その手段の目的として何が対応しているのか。これは税収を上げることではないんですね。ですからそういう手段があれば逆に目的は何かということ。目的があれば手段は何かということ、これを必ずペアにして議論する計画のつくり方をぜひお願いしたいと思います。これが1つ。
 それから第2点は、長期的な温暖化対策についても第1約束期間を超えた後ですけれども、普通こういう長期的な議論をするときにはよく技術革新というかテクノロジカルブレークスルーというふうなことがよく話題になりまして、そのための各種の研究開発をやるということが出てきますが、私はこういう地球温暖化のような問題の場合にはもちろんそれも重要ですから欠かせませんけれども、社会システムをどういうふうに変えるかというソサエタルブレークスルー、そういうものがないと大変実効性に乏しい長期計画になるんじゃないかと思います。
 例えば先ほどは税というのを挙げましたが、これは気候変動税という一つの手段として考えますけれども、むしろソサエタルなブレークスルーというのはエコロジカルな税制改革というか、国の税制自体をどういうふうに持続可能な社会に適合させるか、これはもちろん中環審だけで議論できるわけではありませんが、国全体としてそういう長期のソサエタルなブレークスルーをどうやってつくるかそういうことも、もちろん我々が内容を決めるわけではありませんけれども、それが重要であるということは当審議会から提言できるではないかというふうに思います。これが2つ目。
 それから3つ目は資料2の方ですが、先ほど申しました3ページ目の(3)というのがありまして、地域に密着した地方自治体で進める各種の政策ということが書いてあります。先ほども申しましたように、手段が本当に入っているかというのをずっと探してみますとあることはありまして、融資です。低利融資とか優遇措置、それから助成措置、これは手段ですね。それから環境教育とか啓発、これも措置だと思いますが、経済的手段と呼ばれるものは一切ないわけです。先ほど申しました気候変動税にしても排出取引にしてもこれは経済的手法で、今まで日本では余り活用されていなかったけれども、こういう非常に重大な目的を達成するためにそれが必要だということであれば、当然地方自治体にもそれが必要になってくると思うんですね。今までそういう経験が余りありませんし、自治体としてどういうやり方ができるのか、これは国との協調なしにはなかなか難しい問題があると思いますので、その辺は国と地方自治体がお互いにどういうふうに調整をしながら、地方自治体の施策の中に経済手法を導入していくか、これはもう私はぜひ入れていただきたいと思うんです。
 気候変動税というのは気候変動を対象にした経済措置ですけれども、地方でやる場合には例えば普通の環境政策、廃棄物を減らす。廃棄物を減らすためにいろいろな経済的な手法が使えるわけですが、それを使って廃棄物を減らせばそれが間接的に温暖化、温室効果ガスの排出削減につながる。こういうのがたくさんありますから、特に地方の場合には気候変動に直接関係しなくてもさまざまな環境政策の中で経済手段を使うことで副次的に温室効果ガスの削減ができるというものを国としてもいろいろ考えて地方自治体の方からもいろいろな提案を受けて、それをどこに取り込んでいくかというのが私は必要じゃないかというふうに考えております。
 それから4つ目はちょっと細かい議論になるかもしれませんが、企業は最近環境報告書というのを非常に熱心につくっているわけです。先ほどのPLAN、DO、CHECK 、ACTION、これも環境報告書なんかのアイデアを使っているわけですが、同じようなことはやはり国とか地方自治体が事業者としてそういうことを行う必要があると思いますが、今回は環境報告書そのものではなくて、例えば温暖化対策だけを取り上げたような環境報告書みたいなものを国の各省庁あるいは地方自治体がそれをつくって公表して皆さんに点検していただくというふうなことを考えてもいいんじゃないかなと思います。
 特にその中で、例えばグリーン電力というのを今電力会社がいろいろ普及に努力されていますけれども、なかなか進展しない。しかし、例えば国が電力使用量の一定割合をグリーン電力で調達しますというふうにすれば、デンマークなんかやっていますけれども、そういうふうにすれば非常に推進力になるような気がするんですね。そういうことを含めてこの報告書の中に書いて、目標を掲げてどれだけ達成したかというのを書いていただくというふうなことがあれば、事業者ばかりにやれやれと言うんではなくて率先的にやっていて、しかもそれが具体的な形で国民の目に見えるというふうにすれば、先ほどの京都議定書がいかに大事かというのもご理解いただけるんじゃないかというふうに思いまして、以上4点をお願いいたします。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは、次に猿田委員とあと浅岡委員。

○猿田委員 2つ伺いたいんですが、資料1の2ページというのか、計画の内容と先ほどもお話がございましたけれども、ここでガス別・部門別の必要な削減量の内訳、あるいは下から2つ目の「○」で国・地方公共団体の施策の導入時期を可能な限り明らかにした工程表というようなことがあるわけですけれども、確かに地方自治体は地域に密着しているということで重要な役割を果たしているということは明白なわけです。そこで昨年の6ガス全部対象の温室効果ガスでいきますと、結果的には 6.8%プラス。だけどCO2 だけで9%プラスになる。11年度の結果を見るとそうだということで、どちらかというとCO2 を除いたガスは減少傾向にあるということが一つ言えるんだろうと思うんですけれども、地方で6ガス全部を対象にしたそれなりの工程表というようなものをつくらなければいかんのか。
 これはまた地域によってかなり特性がありますよね。地域特性によって、水田地帯が多いところであればメタンという問題も、前回も資料でお示しいただきましたけれども、畜産とかそういうところ。今狂牛病で問題になっていますけれども、畜産関係でのメタンの問題とかいろいろあるわけですけれども、その辺の地域的な特性を生かしたガス別・部門別といいましょうか、そういうものをどのようにしていくのか。これはそれなりのご指導
をいただかんとなかなかわかりにくいんじゃないかなと思うのが1つです、地方の場合。
 それからもう一つ、この前6%- 3.7= 2.3という数値が示されて吸収源の問題も示されたわけですけれども、これまた地域的にかなり差があるわけで、大都会ではなかなかそういう吸収源というのは少ないわけですけれども、地方によってはかなりの森林地帯を抱えているというところがあるわけですが、その辺の問題をどうする。そうすると、マイナス6%というのが都道府県をベースにしてもいいわけですが、少なくとも 3,000幾らの地方自治体全部実行計画をつくらなければいかんということになっていますから、それが全部マイナス6%というのを目標にしなければいかん。吸収源とかほかの問題も、ガスの問題等考えるとその地域に合った、やはり中心になるのはCO2 をベースにした削減計画、CO2 が中心になってくるのかなと思うんですけれども、そういうようなほかの5物質についてとCO2 の関係についてもまたご指導いただく必要があるんではなかろうか。
 ただ、CO2 などの問題で私ちょっと経験した経緯があるんですが、ある地方のAという地域にあった工場、Bという地域にあった工場を閉鎖してC地域に持ってきて効率化を図ったと。これは自家発などつくるのでアセスの対象などになっている案件もあるんですけれども、その場合にNOX とかSOX については非悪化原則で排出量を増やさないようにしてくださいと言えばある程度可能なわけですね。ただ、CO2 だけは現状維持でやってくださいと言ってもこれは非常に難しい。ですからほかの汚染物質については非悪化原則を適用して削減図ることは可能ですが、CO2 は増えていく。そうすると最初のA地域、B地域はCO2 は減るわけですね、今まで稼働していたのが閉鎖しますから。しかし、Cの地域ではその分増えてしまう。そうすると今までの計画がなかなか難しくなってくるというのが現実にもあり得るわけであって、そういう場合にどのように対応していくのか。これは国全体として見れば削減の方向にあるわけですけれども、地域的にローカルで見るとプラスの要因も出てきてしまうというような。これは現実の話そういうような対応も必要になってくるわけで、そういうことを含めてやはり全部が6ガスやらなければいかんということでもないと思うんですが、主たるものはやはりCO2 にあると思いますけれども、その辺の問題とそれから吸収源対応との関係でどの程度までそういうものを地方でも数値化できるのか。これが出てきませんとかなり難しい問題もあるということ。
 それから最近、民生部門でエネルギー消費が伸びているのはデータに示されておりますけれども、人口増に比べて世帯増の影響の方が大きいというのがあるわけです。ですからそういうものとの関係もこれから地方自治体の中ではどのような対応をしていくのか、そういう問題も一つあるんではないか。
 きょうお示しいただいた資料2の後ろの方に、先ほどもお話がございましたけれども実行計画、それからいろいろな施策が推進計画等で示されておりますけれども、なかなかこれを数値化するの難しい面があるわけです。何トンこれで減りますというのはなかなか難しいところがあるわけで、しかし政策としてできるものは可能な限り実行していかなければいかんと思いますけれども、それに対するどちらかと言うと技術的な問題が多いと思いますけれども、経済的手段については地方で直接取り入れるのは、融資制度はできるにしても税制上の問題はなかなか難しいわけですからその辺は国の方から積極的な方向をお示しいただかんと、地方はなかなかやれないだろうと思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは予定の時間が参っておりますので、浅岡委員の発言できょうの発言をいただくのは終わりにしたいと思います。

○浅岡委員 先ほど梶原委員が都道府県、国と地方公共団体の関係についての資料2の記述は大変違和感を感じるとおっしゃっておられましたが、私はそれは本当にそう思われると思います。これを克服することは根本的な大きな問題だと思います。それ以上に、国民からの違和感はもっと大きいのではないかと思います。その上で、「国民のさらなる努力」ということも言われているわけですね。最初の議論の中でヨーロッパ、イギリス、EU等との日本とどのようにどこが違ってどうなのかという議論がありまして、本当に国によっていろいろ根本条件さまざまなものがあるので、右の制度を左に持ってこれることじゃないということは、本当にそのとおりだと思います。随分いろいろな基礎条件が違います。
 だから再生可能エネルギーについても飯田さんがおっしゃったようなことは日本の中では重要だと思いますが、一番違うのは、国民やあるいは自治体やあるいは個々の企業が政策決定にどうかかわっているのかとか、それを推進することにどのようにかかわっているのとか、そこなんだろうと思うんです。それが欠けているところで、幾らこういう計画をつくっても、地方でも同じことを本当に私どもはやっているんですけれども、ちっとも変わらないだろうと思います。そこに踏み込むことが今回絶対必要なんだろうということです。それは先ほど飯田さんがおっしゃったような、EUはこうしているんですよというところまで一足飛びにいくことはないにしても、そういうことが大事だということがここに組み入れられないといけないし、そこが天野先生おっしゃられた政策実現手段の大きな要因であるということを本当に位置づけてもらいたいと。
 よくpeoples involvement というような言い方をいたしますが、地方自治体でやろうとすると本当にそれ抜きには考えられないんですけれども、国のレベルの政策決定でも一緒だと思います。私は企業との関係でも一緒だろうと思うんですね。福川委員が、イギリスでどういう発想、どういう仕組みで排出量取引グループみたいなものが機能しているのか不思議に思われるという部分を、不思議な話に終わらせるのではなくて、日本にも実際のものにすると。そのためにはさまざまな社会的諸制度を変えないとできない問題であるので、ここではできないと言ってしまっているとこの問題はやはり本当には解決しないのではないかと。こういうのは国民の話やNGOの役割だよなんて言って済ませるようなことをされてももうそれは全く非現実的ということだけはご理解いただいて、今回の計画の中に必ずそれを非常に重要なウエートとして、国のレベルでも地域のレベルでも中央政策においても私は入れてもらいたい。
 その関係でもう1点だけ申しますと、先般ちょっとあるところで森嶌先生のお話があった場所で、環境白書の中に国や企業、地方自治体、国民との関係とかいう関係図が入っているのを見せていただいて説明していただいたのですが、これが我々の考えるもの、あるいはあるべき姿と乖離をしている。この問題は環境基本計画が変わってから、それに沿ってしか動けないと言っているとやはりだめなので、こうした新しい問題に対する取り組みの中から実際に動かしていくことが計画の目的であり、手段である、両面であること、人々の参加、インボルブメントを実行できる仕組みをすべての対策に組み入れていくことを頭に置いていただきたいと思います。

○安原委員長 ありがとうございました。
 たくさんの委員の方から多様な、大変貴重なご意見をいただきました。特に計画的な取り組みの有効性をいかに確保していくかということが重要なポイントになろうかと思います。きょういただきましたご意見を体しましてそれを参考にさせていただきましてこの委員会での国内制度の構築の議論に反映させていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 とりあえず今たくさんご意見をいただきましたが、一々お答えしていただく時間はないんですが、事務局の方から何か一言ございますか。

○炭谷局長 ただいまいただいた意見はほとんどもっともなご意見でございまして、すべてこれからのこの委員会の中で入れられること、また重視していかなければいけない事項ばかりだろうというふうに感じました。細かい点、時間ももう過ぎておりますので省略させていただきます。
 特にいろいろな方から出ました、これから9年後とか10年後をねらうわけですから弾力性、また経済の変化へ対応できるように留意していかなければいけないというものも当然ですし、一方やはり京都議定書を確実に担保するため、現時点において、いいかげんなものであってはいけない、ある程度の確実性のある要素も要求されるという両にらみという形になるんではないのかなというふうに思っております。
 また、茅委員からおっしゃられました政府全体との整合性ということも並行して行われていかなければいけない問題だろうと思います。
 それから、今回のこの検討に当たっては国民、またそれの近いところにある地方自治体の役割というものも重要でございますので、きょう特に詳しく説明させていただいたわけでございます。この部分についてどのように地方自治体がこれから関与していただけるかということについて検討を深めていかなければいけないというふうに思っております。
 また、特に天野委員からおっしゃられました手段をしっかりと整えなくてはいけないと、目的と手段の関係というものも私ども十分に整理してこれからまとめていきたいというふうに思っております。
 非常に抽象的なお答えになって恐縮でございますが、時間の関係で。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それではあと1つございます税の専門小委員会と吸収源対策合同検討会が設置されましたので、事務局よりご説明を簡単に願います。

○竹内課長 2点ございます。1つは参考資料1にございますように、この地球環境部会ともう一つは総合政策部会の両合同部会を設けまして、そのもとに地球温暖化対策税制専門委員会というのが設置されまして、先般第1回目の会合が行われました。
 参考資料1の2枚目にはそのメンバーの方々のリストが載っております。ここにつきましては安原小委員長初め何人かの先生方も参加されておりまして、そこの議論の経過につきまして適宜この小委員会にも報告をさせていただくということになります。
 それからもう1点は資料がございませんが、先般の部会のときに森林の吸収源についての具体的な検討を進めるべきではないかということが部会の武内先生、それから福川先生などからございました。そこで、私どもと林野庁で共同いたしまして合同の検討会を設置することにしておりまして、現在その準備を進めておるところでございます。今月の終わりぐらい、26日には会合が開けるようにしたいと思います。またその成果につきましてもご報告申し上げたいと思います。
 以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それではまだご意見がある方もいらっしゃるかと思いますが、もしご意見がございましたら事務局の方に文書でお寄せいただければと思います。
 次回でございますが、10月31日10時から12時、この会場にて開催を予定いたしております。
 議題につきましては、排出削減を進めるための制度的措置等についてでございます。
 熱心な討議をいただきまして、本日はどうもありがとうございました。これをもちまして閉会といたします。

午後0時12分閉会