中央環境審議会地球環境部会「国内制度小委員会」 第8回会合議事録

日時

平成13年7月2日(月)15:00~18:00

場所

東條インペリアルパレス 2F 千鳥の間

出席者

(委員長)安原正
(委員)青木 保之
浅野 直人
大塚 直
猿田 勝美
塩田 澄夫
西岡 秀三
宮本 一
甕 滋
浅岡 美恵
天野 明弘
小林 悦夫
佐和 隆光
寺門 良二
福川 伸次
村上 忠行
横山 裕道
(会長)森嶌 昭夫
(事務局)浜中地球環境審議官
小島大臣官房審議官
山田大臣官房審議官
炭谷地球環境局長
寺田地球環境局総務課長
竹内地球温暖化対策課長
石飛地球温暖化対策課調整官
角倉地球温暖化対策課課長補佐
後藤総合環境政策局調査官

議題

(1)中間取りまとめ(案)について
(2)その他

配布資料

資料1「国内制度小委員会」中間とりまとめ(案)
参考資料1-1目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ(案)
(第8回目標達成シナリオ小委員会資料)
参考資料1-2目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ(詳細版)(案)
(第8回目標達成シナリオ小委員会資料)
(委員のみの配付。環境省ホームページに同一の内容を掲載)
参考資料1-3目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ参考資料
(第8回目標達成シナリオ小委員会資料)
(委員のみの配付。環境省ホームページに同一の内容を掲載)
参考資料2気候変動に関する最近の国際交渉の状況について
参考資料3-1青木委員提出意見
参考資料3-2宮本委員提出意見
参考資料3-3寺門委員提出意見
参考資料3-4梶原委員提出意見
参考資料3-5塩田委員提出意見1
参考資料3-6塩田委員提出意見2
参考資料3-7浅岡委員提出意見
参考資料3-8天野委員提出意見
参考資料3-9経団連提出意見

議事

午後3時02分開会

○安原委員長 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会、国内制度小委員会の第8回会合を開催いたしたいと思います。
 大変ご多忙のところご出席をいただきまして、ありがとうございます。
 審議に入ります前に、環境省地球環境局の幹部に人事異動がございましたので、事務局から紹介をお願いしたいと思います。

○寺田課長 この7月1日をもちまして、環境省の所掌する事務のうち地球環境の保全など国際的に取り組む必要のある事項について、事務を総括整理するということで、環境省に新しく、次官級の審議官といたしまして地球環境審議官という職が設けられたところでございます。
 この7月から、地球環境審議官には、従前の地球環境局長でございました浜中が昇任しております。
 また、浜中の後任には、官房長でございました炭谷が新任されております。
 両名から簡単にご挨拶申し上げます。

○浜中審議官 ただいまご紹介をいただきました浜中でございます。
 過去6カ月間にわたりまして地球環境局長として先生方に大変ご指導をいただきまして、まことにありがとうございました。本日、辞令を大臣からいただきまして、地球環境審議官ということでございます。大臣を補佐いたしまして、地球環境問題に関する国際的ないろいろな折衝でございますとか情報収集、そういった面での重要な役割を与えられたものだと考えておりまして、まことに身の引き締まる思いでございます。
 今後とも、我が国が地球環境保全で国際的なリーダーシップを発揮して取り組んでいくことができますように、私の力の限りを尽くしまして全力で努力をする所存でございますので、どうか先生方におかれましても、これからも引き続きよろしくご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。
 よろしくお願いいたします。(拍手)

○炭谷局長 このたび浜中審議官の後任になりました炭谷でございます。
 本小委員会におきましては、本日を含めて8回にわたりまして会合をいただき、毎回活発なご議論をいただいているというふうに承知しております。本当にどうもありがとうございます。
 さて、詳細については後ほど申し上げることにしておりますが、先月26日から28日まで、オランダ・ハーグにおいて非公式閣僚会議が開催されました。今回の会合の場におきましては、我が国は2002年までの京都議定書の発効を目指して、京都議定書を関係国が締結することが可能となるよう、今月のCOP6の再開会合の成功に向けて全力を尽くすことに変わりはないこと、また、その際には、最大の温室効果ガス排出国である米国の参加が重要であり、米国に対し、京都議定書の発効に向けた交渉に建設的に参加するよう強く期待することなどを発言いたしたところでございます。
 委員の先生方におかれましては、京都議定書の6%の削減目標を確実に達成するための国内制度を構築し、京都議定書の2002年までの発効締結のため、総合的、戦略的な観点からのご審議、ご指導を引き続きよろしくお願いいたします。
 本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

○安原委員長 ご挨拶どうもありがとうございました。
 それでは、まず初めに、本日の資料の確認を事務局からお願いします。

○事務局(平尾) 資料の確認をさせていただきます。
 資料1「「国内制度小委員会」中間とりまとめ(案)」参考資料1-1といたしまして「目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ(案)」こちらは配付資料の右肩に付しております資料番号が異なっております。大変申しわけございませんでした。参考資料1-2「目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ(詳細版)(案)」参考資料1-3「目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ 参考資料」こちら2つは委員のみの配付となっております。こちらも資料番号がずれております。大変申しわけございません。参考資料2は「気候変動に関する最近の国際交渉の状況について」参考資料3-1から3-9は、各皆様のご意見でございまして、3-1は青木委員、3-2は宮本委員、3-3が寺門委員、3-4は梶原委員、3-5と3-6は塩田委員、3-7が浅岡委員、3-8は天野委員、3-9が経団連の意見となっております。
 資料に不足等ございましたら、事務局までお申し出ください。

○安原委員長 ありがとうございました。
 本日は前回申し上げましたとおり、本小委員会の中間とりまとめ(案)についてご審議をいただきたいと考えております。
 時間は約3時間ということでございまして、6時までの審議を予定いたしております。3時間ということで少し長うございますので、間に15分程度休憩をとりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 では、まず初めに、6月26日から28日までオランダのハーグで開催されました気候変動に関する非公式閣僚会議、ただいま炭谷局長から言及のあった会議でございますが、その概要につきまして、事務局から報告をお願いいたします。

○浜中審議官 それでは、私が先週、川口環境大臣に随行いたしましてハーグに参っておりましたので、参考資料-2に基づいてご報告申し上げたいと思います。
 まず、非公式閣僚会合でございます。
 先週26~28日の3日間、ハーグにおきましてプロンク議長の主催によって行われたものでございます。26日は先進国のみの非公式会合、そして27、28日は途上国の代表も含めましたハイレベルの非公式会合でございました。
全体の概要にございますように、今回の会合の目的は大きく2つございまして、どちらも7月のボン会合に向けての準備ということでございますが、1つはボン会合の運営方式、進め方、こういったことについて各国から議長としてアドバイスをもらうということでございます。
 2番目は、各国が準備をするために必要なことでございますが、実質的な交渉事項に関する意見交換を目的としていたということでございました。
 この実質的な交渉事項に関する意見交換につきましては、6月11日にプロンク議長が示しました議長統合テキストを踏まえまして、途上国支援関係の事項、それから京都メカニズム、吸収源、そして遵守委員会など新たに設置することを考えております組織の構成の問題などにつきまして、率直な意見交換が行われました。
 また、7月のボン会合の日程でございますけれども、これについて決定したわけでございます。
 具体的には、まず7月19日木曜日、午後開会をする。19日の夜と書いてございますが、実際は夕刻でございます。夕刻から22日いっぱいまでハイレベルセグメント、そして23日から27日までが、補助機関会合を含む事務レベル協議におきまして、閣僚級会合で政治的に決定をした事項について、組織体としての決定案文に直していく事務的な作業などを行うということでございます。
 また、その正式な開会に先立ちまして、16日から19日午前中までは非公式の各国間あるいは各交渉グループ間の意見交換、協議が行われるということでございます。
 我が国はこの会合におきまして、従来からも主張してきたことでございますけれども、以下の点を発言しております。
 第1点としまして、2002年までの議定書発効を目指して、関係国が締結できるような合意を得るため全力を尽くす。その際に、最大の排出国であるアメリカの参加が重要であるので、アメリカに対して、交渉に建設的に参加するよう強く求めるということでございます。
 2点目に、「共通だが差異のある責任」に基づいて、まずは先進国が削減努力を進めるということでございます。
 3点目は、COP6再開会合に向けまして、すべての国が柔軟で創造的になることが大事だということ。
 4点目といたしまして、国内対策が重要であるということで、我が国としては、京都議定書目標達成のための国内制度に総力で取り組んでいるということでございます。
 5点目は、先進国が率先して取り組むとともに、途上国においてもそれぞれの能力に応じて取り組むことが大事である。そういう観点から、それを支援するために、我が国は人材面、技術面、資金面などで引き続き協力を実施をしているということでございます。
 6番目に、これに関連いたしますが、途上国が既に実施している対策を評価しまして、そうした自発的な対策を国際的に途上国がアピールしていくことを奨励したい。これは4月にもそういったことを日本として奨励してまいりましたけれども、今回も改めて発言したわけでございます。
 7番目に、我が国としては途上国に対する協力を今後とも積極的に継続をする。
 こうした発言を川口大臣からさせていただきました。
 特に、2点目の、途上国の責任は先進国と共通の面もあるけれども、差異のあるものだという点と、4点目の、国内対策が大事で日本は一生懸命やっているという点については、プロンク議長から、全般的に積極的な発言であったけれども、2点目、4点目が特に重要な点であるというような発言がございました。
 それから、今後の予定につきましては、プロンク議長としてはボン会合までの間も各国、各グループ間で協議を続け、準備を行ってほしい、そういう要請がございました。
 全般的な評価でございますが、ボン会合をいよいよ2週間後に控えて、いろいろ意見交換をする重要な機会であったわけでございます。アメリカも含めて、すべての国が建設的に参加していくという意思が表明された、そういった点は積極的な面であったかと思います。
 ちなみに、アメリカの代表は、米国としての代替案の提案はボン会合には間に合わない、会合には建設的に参加をする、他の国が合意をすることをアメリカとしては妨げない、こういったような発言をしておりまして、各国に対して「京都議定書は致命的な欠陥がある」とか、そういうような否定的なトーンの発言は、今回は直接ございませんでした。そいう点では、そうネガティブな印象を与えなかったということでございます。
 しかし、(2)にございますように、他方で、今回の話し合いを通じまして、実質的な交渉事項については率直な意見交換がございましたが、かなり多くの論点が出され、そして、まだ各国間の意見の隔たりがかなりあるということも、またはっきりしてまいりました。プロンク議長も終了後の記者会見において、そのことを述べておられますけれども、したがって、これからボン会合の合意に向けては相当いろいろ難しい問題がありそうだということが、はっきりしてきたということでございます。
 特に大きくいろいろ発言がございましたのは、途上国問題で、特に途上国からいろいろと、不満といいますか、あるいはこれまでの協議、プロンク議長が中心になって進めてこられた協議そのものについても、かなり問題があると。そして交渉の際に何を基礎にして交渉するかという点について、途上国の多くは昨年11月のハーグ会合の中途段階で、まだ 2,500ほどの括弧がついた交渉テキストがございましたが、それが一番正統的な交渉の基礎になるべき文書である、こういうようなことを強く主張いたしまして、なかなか難しい状況が続いているというところでございます。
 こういう状況を反映して、途上国も含めて幾つかの国から、ボン会合でのすべての事項についての包括的な合意は、なかなか難しくなってきているのではないだろうか。それで、再開会合では、例えば途上国を支援する事項であるとか、あるいは京都議定書を批准するために最低限必要な事項などに限って、部分的であってもそういう点に限って合意をして、残された事項はその先、例えばCOP7、あるいはそれ以降において合意を図ることにしてはどうかという発言も見られるようになってきておりまして、今後、再開会合に向けて、もちろん、すべての点について合意が得られれば一番いいわけでありますし、我が国もそういったことを目指したいと思いますけれども、現実的に考えた場合に、具体的にどういう事項について、いかにして合意を目指すのかという点について、各国間、各交渉グループ間で検討が行われていくのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 2点目は、日米首脳会談でございます。
 先月30日土曜日、ワシントン郊外のキャンプデービッドにおきまして小泉総理とブッシュ大統領の首脳会談がございまして、幾つかございました話し合いの事項のうち、気候変動問題、京都議定書問題というのが取り上げられたわけでございます。
 実際の会談におけるやりとりが最初に出てございますけれども、小泉総理から、環境は最優先政策の1つであり、温暖化問題への対処についてアメリカと協力し、EUや世界と一緒に協力していけるようにしたい、その際、京都議定書の精神が重要であり、日米で協議する時間はまだある、日米で緊密に協力して取り組めば、より実効的なものができる、そのことによって世界が裨益するという趣旨のご発言があったということでございます。
 ブッシュ大統領はこれに対して、日本の指導的立場に留意した上で、削減という京都議定書の目標には敬意を有している、しかし目標達成の手段の如何が重要だというようなことを述べたということでございます。
 共同声明におきましては、この問題の深刻さについて共通の理解を表明した。小泉総理から、京都議定書の重要性が指摘され、大統領は、小泉総理の提案を歓迎したということでございますが、京都での日本のリーダーシップを念頭に共通の基盤あるいは共通の行動をとるための分野を探究するために、日米間でハイレベル協議を早急に開始する、こういうことでございます。
 なお、終了後の内外記者会見におきまして、小泉総理は、京都議定書の精神を実際に生かすためには米国の参加が重要である、あきらめずに川口大臣に粘り強く協議させるというようなことをおっしゃっていたということで、この記者会見につきましては、我が国でもテレビで放映されておりましたので、ごらんになった方もいらっしゃると思いますが、概要、以上のようなことでございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 ただいまの浜中地球環境審議官の説明に対しまして、何かご質問等がございましたらどうぞお願いいたします。

○横山委員 日米で協議する時間がまだあるということなんですが、それはいつぐらいまでを想定していると浜中審議官は伺っているんでしょうか。
 例えば、COP6の再開会合までだと、もう2週間しかないわけで、それまでにアメリカは代替案を示せないと言われているわけで、それでもまだ「時間がある」というのはどういうことなのかということが1点です。
 それから、日米政府間ハイレベル協議を早急に開始する。これもCOP6の再開会合前に集まって、それを目指してやるのか、それとも、これが終わった後のんびりと始めるということなのか、それはいかがでしょうか。

○浜中審議官 まず、日米間の協議につきましては首脳間で合意がされたばかりでございますので、いつ、どういう形で始めるかという点について、米国側とまだ具体的なすり合わせができている段階ではございませんが、我が国といたしましては、できるだけ早急に成果を上げたいというふうに考えておりまして、第1回目もボン会合の前に始めるということを強く希望しているわけでございます。これからすり合わせをすることになると思います。
 他方で、この協議を始めるからといって、我が国としては、ボン会合に向けて今、進めております多国間協議といいますか、国際間協議を遅らせるつもりはないということも明確にしてございまして、それはそれでボン会合に向けて、我が国として最善を尽くすという姿勢で臨むということでございます。

○佐和委員 日米首脳会談に関連して、1の(1)の3行目に「京都議定書の精神が重要」という言葉が出てまいりますね。そして、内外記者会見の中でも「京都議定書の精神を実際に生かすためには、米国の参加が重要である」と書かれておりますが、「京都議定書の精神」というのは、どのように総理はご理解なさっているんでしょうか。あるいはどういう意味を込めて、こういう言葉をお使いになっているんでしょうか。

○浜中審議官 私が理解しております範囲内では、気候変動枠組み条約における取り組み、そこからスタートいたしまして、ベルリンマンデートに基づく京都議定書の交渉をしてきた。そして京都で議定書が採択をされたということで、何が条約からさらに一歩踏み出したのかを考えますと、やはり法的な拘束力を持つ具体的な数値目標、それから達成の期限、そういうものを有しているというようなことが大事な点なのではなかろうか。
 また、これは私どもの理解でありますけれども、プロンク議長もニューヨークで、4月に非公式閣僚会議を行いました後の記者会見で、そういった点に加えまして、途上国には先進国とは異なる責任といいますか、差異のある責任があるということと、それから、柔軟性措置に環境十全性というものが備わっていること、そういったような点を含めておっしゃっておられるわけですが、私どももそういった法的拘束力のある目標、達成期限と同時に、そういったものも重要な要素であろうかと考えてございますが、総理も恐らく、推測でございますが、そういったことを念頭に置かれておっしゃっているのではないかと思います。

○佐和委員 ということは、ここで「精神」という言葉を使っていらっしゃいますけれども、要するに京都議定書のエッセンスのようなもの、一番基本の枠組みみたいなものを意味しているわけですか。どうも「精神」という言葉は、余り適切ではないのではないかと私には思えました。

○浅岡委員 アメリカで報道された記事を見ますと、首相は現在のところ、アメリカの協力抜きでは、私は「批准の」としか読めないと思いますけれども、手続きを進めるつもり
はないとおっしゃっておられます。これはどういう意味だと理解したらいいんでしょうか。この「現在のところ」というのは、どういうことが変わればこれが変わると理解をすればよろしいんでしょうか。
 それから、先ほどのお話では、日米のハイレベル協議を始めるに当たって、ボン会合への取り組みは別途継続するということでありましたが、本日、福田官房長官は「日本がみずから議定書の修正を検討しても問題はない」という発言をしたようであります。これは、この日米の協議を行うということと、新聞等でチラチラ出ている、日本が議定書の中身、数値目標等も動かそうとしているのではないかと報道されていたり、そう読めということなのかなと思ってマスコミの記事を見ていますけれども、こうした問題とはどのような関係があると理解したらよろしいのでしょうか。

○浜中審議官 まず第1点の、米国における報道。これはワシントンポスト紙、それから英国のフィナンシャルタイムス紙、こういったところで似たような趣旨の報道があったようでございます。私どももインターネットを通じてその記事そのものも読ませていただいておりますが、総理が実際におっしゃったエッセンスは、ここに資料としてご紹介したようなものでございまして、私どもは基本的に、地球環境を保全する観点、あるいは地球温暖化を防止するという観点から、やはり実効性を上げるためには米国の参加が非常に重要だということで、米国を含めた合意が可能となるように最大限の努力を続けていきたい。そのための日米ハイレベル協議ということでございます。
 この協議については、先ほどもちょっと申し上げましたが、我が国としては、できるだけ早急に成果を上げたいということでありますし、他方で、この協議を行うことで、ボン会合に向けて行われております多国間協議を遅らせるつもりはないということも、私どもの姿勢として明確に示しているわけでございます。
 そういう意味からすれば、どうしてこういう記事になったのかは私ども承知しておりませんが、こういう報道は正しい理解ではないのではないかと考えております。
 それから、官房長官の記者会見についても、いろいろと記者との間で質疑のやりとりがあった最後の方で、ちょっとそういう部分のやりとりがあったということでございまして、その部分だけ取り上げて記事にされますと、何か非常にそういうことを、我が国が何か真っ先にそういうことを切り出すのではないかという印象をお持ちになるかとも思いますけれども、そうではなくて、先ほど来ご質問にもお答えしておりますように、総理は京都議定書の精神というものが重要だ、こういうことをおっしゃっているわけでございまして、問題は、米国がその点についての認識を共有するかどうかということだろうと考えております。その点についての認識を共有するのであれば、その先についてはいろいろと話し合いの余地はあるのではないかと考えております。
 これは、これまでも間接的ではございますが、欧州などからも似たような認識が表明されているということも承知しておりますけれども、我が国としても、そういうことでございまして、ですから、それはやはりアメリカの政権が京都議定書の精神を重視するかどうか、そこにかかっているのではないかと考えているわけでございます。
 そういった前提を抜きにして、日本から修正案を切り出す云々ということをおっしゃったのではないと私どもは理解をしております。

○福川委員 ご説明の趣旨は理解いたしましたが、アメリカの首脳の意思というのは、この首脳会談で変わったのか変わらないのか。
 私、NPOあるいは向こうの研究機関などから聞きますと、やはりブッシュ政権のこの問題に対する態度は、なかなか変わらないのではないか、少なくともあと二、三年は変わらないのではないか、こういう見方があります。いろいろ接触なさっていて、アメリカは代替案を出すと言っておられますが、例えば代替案はどういうことを考えているのか、あるいは今回、総理が説得をされて、ブッシュ大統領も「やはりこれは大事だ、協議しよう」こういうことなのか、言葉は悪いですが「ちょっと付き合っておこうか」と
いう感じだったのか、実際のところが多少おわかりでしたら教えていただきたいんですが。

○浜中審議官 ただいまお尋ねの点については、私ども多少は事前の調整にもかかわらせていただいたところから申しますと、そうクリアにはっきりと「わかった」ということではないと思いますけれども、ただ、全般的な印象として、従来からおっしゃっておられることが、この日米首脳会談の準備プロセスで変わってきたということは、ないのではないかと考えております。
 現在、国内対策、それから国際的な枠組みの問題について、いろいろと政策の検討を政権内でされている。まだまだこれは時間がかかりそうだというようなことで、先ほどもご紹介しましたように、ハーグ会合でアメリカの代表は、ボン会合までには間に合わないということを今回、初めて明確におっしゃったということでございます。
 いろいろなオプションがテーブルには並んでいる、こういうことのようでございまして、どうもいろいろな見方では、政権関係者の中でも意見が分かれているということも伝えられております。国内のコンセンサスの形成プロセスでもあるというような説明もなされているということでございまして、その中で1つのものに絞り込んでいくというのは、そう容易ではなさそうだという印象も持っているわけでございます。
 したがって、私どもとしましては、これからのハイレベル協議は実は非常に大変な試みであろうと理解をしておりますが、他方、現段階でアメリカを京都議定書の土俵に戻すという観点から見て、希望が全くなくなったわけでもないのではないかと受けとめておりまして、当面、多国間協議はおくらせずに進めますが、同時に、せっかく総理に道を開いていただいたわけでございますので、その場を活用して精一杯の努力をさせていただきたいと思っているわけでございます。

○浅岡委員 先ほどのご説明ですと、アメリカから伝えられているところは総理の発言ではないということなんですか。私は日本語の記者会見を見ることができなくて、この報道しか見ておりませんけれども、そういう発言はしなかったと理解すればよろしいんでしょうか。

○浜中審議官 少なくとも私が承知しております範囲内では、そういうことを直接におっしゃったとは考えておりません。むしろ、先ほども触れましたが、日本のテレビ、各チャンネルでも生中継されましたワシントンに戻られてからの内外記者会見で、地球温暖化問題についての質問があり、総理がそこで答えられた内容をお聞きしておりますと、非常にその点は明確であったのではないか、そういう誤解を生むようなご発言はなかったと理解しております。

○横山委員 繰り返しになるかもわかりませんけれども、アメリカが京都議定書に反対を表明して、その後のEUとか日本の首脳との会談でも全然合意できなかった、この問題に関しては。それから、COP6の再開会合も包括的合意はもうだめだろうというような状況の中で、私は、もう京都議定書はだめなのではないか、もう本当に死んでしまったのではないかという理解を持っているんですが、浜中さんは、まだ希望が全くなくなったわけではないという言い方を先ほどなさいました。
 それでは、希望があるなら例えばどういう形で、これも難しいかもわかりませんけれども、どういう格好で京都議定書が前進するのか。もうほとんど想定されることはないような気がするんですが、それでも希望が全くなくなったわけではないという根拠なり、「例えばこんなことが考えられる」というようなことがありましたら教えていただけますか。

○浜中審議官 お答えする前に、まず、ちょっと誤解があると思います。
 日米の間の協議で日本側のねらいは、京都議定書の精神が重要で、そういう精神に立って日米間で協力していけるようにしたい、こういうことなんです。ですから、私が「希望が全くないわけではない」と申し上げたのは、いわば京都議定書の土俵にアメリカをもう一回戻していく、そういう点で全く希望が失われたわけではないと理解している、そういうふうに申し上げたので、京都議定書そのものが死に絶えるかどうか、その点で希望が全くないわけではないと申し上げたつもりはございませんので、そこは区別していただきたいと思います。
 それでは今後どうするのか、こういうことでございますけれども、ボン会合においても随分いろいろな議論は出ましたけれども、皆さん、しかしながら、できるだけ物事を前に進めていく、前進させていくために何が一番いいのか、最善を尽くそうということで、その点は皆さん真剣に議論しているわけでありますから、立場の違いはまだまだ大きい面はありますけれども、皆さん合意に向けて極めて熱心であったということは、間違いなく言えると思います。
 したがって、私はそういう意味での今のご質問については、もちろん楽観できるような状況ではないと思いますけれども、他方で、もう何かボン会合ですべてが決まってしまう、そこで合意できなければすべて終わりだ、そういう見方でもないのではないかと考えておりまして、実際問題として、有力途上国の大臣なども今回、発言されていたわけでありますけれども、COP6でできるだけ多くの事項、特に京都議定書の批准に向けて大事な事項については、できるだけ合意を目指す。しかし、どうしてもできない部分があれば、それはCOP7でやるというようなことを言われたわけですが、それは全体のプロセスに若干の時間がかからざるを得ないかもしれないということをお考えになりながら、その上で、できる限り早い時期に達成していくためにはどうしたらいいのかということでの知恵だろうと考えているわけでありまして、国際社会は必ずもおっしゃったような見方をしているわけではないということを実感しております。
 それ以上に具体的なことを今、私が申し上げる段階ではございませんけれども、とりあえずハーグ会合で得た印象ということでお話ししたいと考えた次第でございます。

○安原委員長 次の天野委員で、このテーマについての議論を終わりたいと思います。

○天野委員 私は国際法の専門家でも何でもないんですけれども、米国は京都議定書に署名しているわけですね。署名している以上は、議定書の発効に努力をしている国の邪魔をすることはできないというのが国際法上の了解だと思うんですね。ですから、首脳会談の(2)にも書いてありますように、京都議定書の目標には敬意を表する。つまり、削減をするという目標はちゃんと署名しているわけですから、アメリカはそれを尊重するけれども、しかし、目標達成の手段はまだ合意されていないわけですね。それに対して米国が反対している。
 そういう意味で、きちっと国際条約の締約の手続を踏んでいるというのは、2番のところでさっき説明されていると思いますが、目標達成の手段に関する合意が米国とEUの間で、あるいは日米とEUの間で違うということは、はっきり指摘されているのではないかと思います。したがいまして、私は、COP6の再開会合が全面的な合意に至らなくても、しかし、それで議定書そのものが全体的になくなってしまうということはないと思いますので、そういう意味では、できる限り早い時期に米国が土俵に戻れるように、しかし、それまでは残りの国が批准をするなり、いろいろな形で議定書の枠組みを進めていく、こういうやり方が必要なのではないかと思います。米国を引き戻すというのは決して、再開会合で米国も一緒に批准をするようなところまでということでは必ずしもないと私は考えますが、その辺についてお考えをお聞かせいただけたらと思います。

○浜中審議官 非常に難しい問題だろうと思っております。
 私どもとしては、やはり米国が京都議定書そのものに戻っていただくのが一番いいわけですが、今までのご発言などからすると、それはなかなか難しいかもしれない。ただ、京都議定書の精神というものを生かす、そして京都議定書の土俵に戻ってもらうという可能性は、まだなくなっているわけではないということで、最善を尽くしていきたいということでございますけれども、それはどのような時間的枠組みで可能になるのかという問題が1つございまして、これは私どもとしては早急に結論を得たいと思っておりますが、相手のあることでございますから、どのような時期までにどのような成果を上げられるか、これはなかなか今の時点で見通すことはできないということでございます。
 他方、国際社会は、繰り返し申し上げておりますように、今度のボン会合を目指して今、それぞれできる限りの努力をしているわけでありますし、仮にそれが、その努力にもかかわらず全面合意ができなかったとしても、その次、COP7というようなところが目標になるのだろうと考えておりますので、そういった時間的な枠組みで努力が続けられていく、我が国もその中に入って努力をしていくということであろうと考えております。
 そういう中で、その次というものをどういう道を選んでいくべきか、こういう点については、我が国としてもよくよく考えた上で、誤りのない道を選んでいく必要があるだろうということであろうかと考えております。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、本題の審議に入りたいと思います。
 まず、6月28日の目標達成シナリオ小委員会の中間取りまとめ(案)につきましてご説明をいただきました後、引き続き本小委員会の中間とりまとめ(案)につきまして説明をいただくという順序で進めたいと思います。
 それでは事務局、よろしくお願いいたします。

○石飛調整官 まずは目標達成シナリオ小委員会の中間取りまとめ(案)につきまして、簡単にご紹介いたします。
 資料番号が間違ってございまして、正しくは参考資料1-1から1-3までになっております。このうち主要なものを参考資料1-1にまとめておりますので、これにつきまして、前回から変わったところを中心にご紹介したいと思います。
 参考資料1-1の1ページ、ここは前回と全く同様で、「はじめに」と、削減見通しに際しての条件設定を2ページ、3ページに示しているところでございます。
 4ページには、2010年の排出量予測(計画ケース)の結果を示しております。計画ケース1、2、これは原発の新規立地の数に応じて設定したもので、基準年を 100とした場合には 105または 108という予測になっております。
 5ページの後半から、削減ポテンシャルでございます。
 これも前回までご説明したものと同じでございますが、1点変わった点は、目標達成シナリオ小委員会でも、実は2つのケースを考えていたわけであります。
 5ページの最後の段落にありますように、例えばある省エネ対策をして電気を節約することによってCO2 がどのぐらい削減できたかを計算する際には、その電力がどういう発電所で発電されたものと考えるかによって、さまざまな設定ができるわけで、ここでは2つのケースを想定して考えたわけです。
 それが、6ページの一番上にありますけれども、[1]の全電源平均対応。すべての電源の発電電力量、つまり原子力、水力、火力、すべての発電量が同じ割合で削減されるという想定をした場合。[2]は火力平均対応で、すべて火力電源の発電電力量が同じ割合で削減されるという場合で、火力の中にも石油、石炭、そして天然ガスがありますので、これらが同じ割合で削減されたと想定したものでございます。
 これにつきましては、どちらが絶対的にすぐれている、どちらが間違いだとは言い切れない部分もございますので、以下ではこの2つの係数を使ったものを併記させていただいております。
 7ページは、まず火力平均排出係数を用いて算出した削減ポテンシャルであります。結論だけ申し上げますと、表5の下の段にありますように、計画ケース1、2で、それぞれ94から90、96から93という削減が見込まれることになっています。
 8ページの表7には、地球温暖化対策推進大綱の策定時に見積もりました部門別、物質別の削減見込み量を加味した排出量を記載して、また、それと比較することが可能なように、右の半分ではシナリオ小委員会で検討いたしました計画ケース、そして削減ポテンシャルを考慮した後の排出量を示しています。
 一番右下の欄、削減割合のところに、マイナス4からマイナス7という数字がございますが、これが基準年の排出量を 100とした場合に、すべての削減ポテンシャルを考慮すると 100からマイナス4 、マイナス7分引いた削減量まで落とせるという計算結果になったわけであります。
 9ページからは、全電源平均排出係数を用いて算定した場合でございます。
 削減ポテンシャルを加味した排出量は、表8にありますように96ないし92、98ないし95ということでございます。
 10ページには表10といたしまして、ケース2で全電源の排出係数を使った場合の削減割合は、同じく右下をごらんいただきますと、マイナス2からマイナス5という計算結果になっています。
 次に、11ページから経済性の評価を行っております。算定式につきましては11ページに掲載しておりますが、これにつきましては前回も委員からご指摘をいただきましたので、それを踏まえて訂正しております。
 総体として、11ページの本文の下から5行目ぐらいに、追加的な削減総量としては1億 5,100万トンCO2 という数値が、対策の積み上げの結果、出てきたものでございます。
 その内訳は、12ページ、13ページの表11、12に掲載しています。前回とほとんど変わっておりませんが、一部修正をしたり見直したものがございますので、少し表の中身は変わっております。
 それから13ページ、表12の下の方に、1つ別枠として「原子力発電利用率の向上」という欄を設けております。これは既に計画ケースで、現状よりも利用率を上げて84.2%にするという対策を織り込み済みで予測しておりますが、さらにそれに加えて90%まで上昇させるということにした場合には、この別枠にあるように 2,540万トンCO2 の追加削減量が見込めるということを、示しております。
 これにつきましては、前回の目標達成シナリオ小委員会でも、この掲載の仕方、また計算方法そのものにつきましていろいろご議論がございまして、最終的には委員長のご判断で検討するということになっていたものです。
 14ページには参考として、今お示ししました個々の対策技術でどのぐらい削減できるか、そして、それぞれがどの価格分類に入るかを示したものでして、それぞれの四角の面積が削減量に見合うようになっております。今は入っておりませんが、そのことも注釈として加えるように修正したいと考えております。
 15ページからは、全電源平均排出係数の場合を全く同じ形式の表で示しております。
 17ページも、同じく全電源での技術の累計ということで、面積で削減量を示したものでございます。
 18ページの図5でございます。これは横軸に排出ガスの削減量、そして縦軸に追加的削減費用ということで、これは炭素トン当たりでございますけれども、単位費用を縦軸にとったグラフでして、ここも全電源平均と火力平均のグラフを示しております。
 ごらんいただくとわかりますように、一番左の最も費用の安い、マイナスのコストのものから、順次高いものまで並べる方式で描いておりますけれども、火力平均の方がより寝た形で、右にシフトしているのに対しまして、点線の全電源の方は左側でありまして、立ち上がりが非常に早いという特徴があります。
 これは単位当たりの費用を書いておりますけれども、前回のシナリオ小委員会では、単位当たりではなくて累積の費用についても、図で示すべきであるというご指摘をいただきまして、私どもも現在、検討しているところです。
 18ページの図6でございますが、火力平均の排出係数を用いた場合で、 108という計画ケース2の予測量から、さらに追加的な削減がどこまでできるかを費用価格帯別に掘り下げていく形で、図にしたものでございます。結果は「まとめ」でも数字で示しておりますけれども、このような形で、 100%を超えるためには、1万ないし5万円の対策まで入れるとマイナスに転じる。さらに10万円以上の対策まですべて含めるとマイナス 4.4%ぐらいまで行くという算定結果になっております。
 あわせて、図6の注書きに、原発が13基建設されるとした場合、これは計画ケースの1に相当しますけれども、計画ケース1では 105%でありますので、単純な計算ではなかなかできませんが、棒グラフ全体としては、おおよそこの計画ケースで想定した 108と 105の差の3%分がさらに下方にずれる形になることが想定されますので、その場合には、より目標達成が期待できるということを示しております。
 19ページの図7は、同じく全電源平均排出係数での削減量でございます。
 19ページの後半からは、数量モデルによる経済性の評価の概要をお示ししております。
 これは前回もご紹介したとおりでございますので、ごく簡単に紹介いたしますと、(2)の[1]経済的措置(炭素税)についての計算結果でありまして、このモデル計算の前提として、エネルギー由来の二酸化炭素を90年比マイナス2%程度まで減少させることを一応目標に設定しまして、その条件下での計算をした結果、必要な炭素税額は炭素トン当たり1万 3,000円から3万5,000円という範囲になることがわかったわけでございます。
 20ページの表15に、6種類のモデルごとの炭素税額を示しております。
 それから20ページの下の方、経済的措置の導入が我が国の経済に与える影響ということで、炭素税を導入した場合にGDPの損失がどのぐらいになるか、基準のケースと比較した結果を載せておりまして、基準ケースと比較した場合、0.06%から0.72%のGDPの損失があることがわかったわけでございます。
 さらに、21ページの下の方から、今回の計算結果にさらに加えまして、これから新たに技術開発が望まれて、しかも価格の低下が見込まれるという対策技術も実はあるわけです。さらに、ライフスタイルや商業システムの変化による影響も考えられます。今回のモデルの中でも、WWFシナリオはそういうことを考慮に入れた計算結果になっておりまして、22ページの一番上の3行に結論だけ書いてありますが、90年比で10%減まで削減できるというポテンシャルの存在が示されたということでございます。
 22ページの(3)は、今、申し上げたことをまとめとして記載しておりますので省略いたしますが、最後の○のなお書きのところに、先ほどご説明いたしました個々の対策技術の積み上げによる経済性評価と、ただいまご説明いたしました数量モデルにつきまして、単純に比較することは困難であるということを書いております。前提条件としてガスの種類が違う、原発の新規立地の基数が違うとか、また、計算過程での条件設定が異なるといったことを書かせていただいております。
 さらに、前回のシナリオ小委員会では、そういう条件設定だけでなくて、そもそもこういった経済性評価の目的や評価対象が異なるということがあるので、そういった点も明確にして、単純な比較をすることはできないという根拠をもう少し丁寧に書くべきだというご指摘がありましたので、その点は加えようと思っております。
 23ページの「まとめ」でございますけれども、今回、削減ポテンシャルの精査、そして追加的な削減量、削減費用の評価を行ったわけであります。その結果、費用対効果のすぐれた対策技術がまだまだ多くあることがわかりましたので、そういったものにつきましては、今回は技術的な側面を中心に見たわけでありますが、制度的、社会的な課題をさらに検討して、そういう課題を克服して、優先的な取り組みを推進する必要がある。
 それから、今回、可能な限り技術を収集したわけでありますけれども、もちろんすべての技術を網羅したわけではありませんし、また、こういった技術に対して助成であるとか、また、逆に経済的な負担をかけた場合に効果がどのぐらいあるかということは、積み上げ方式では見込んでいないわけです。したがって、これから総コストが単純に出るというものではありませんが、今回の計算結果によると、こういう結果が出たということを示しているわけでございます。
 23ページの下から2行目あたりから、そういうことを書かせていただいておりますが、これは先ほどご紹介しました18ページの図6の追加的費用別の削減量、これを文章にしたものでございます。
 24ページは、マイナスの費用のものにつきましては 4.3%増というところまでしか行きませんけれども、炭素トン当たり1万円未満の対策を導入しますと 2.3%増、1万円から10万円までの対策費用導入で 2.2%減、さらに10万円以上の対策を導入しますと 4.4%まで削減されるという結果が得られたわけであります。
 ただし、このコストの見積もりでは、さまざまな偏りを生ずる要素が含まれている、不確実性があるということで、過大評価されているものもかなりあるということを書かせていただいておりますが、過大評価に限らず不確実性があるということで、これをそのまま今後の対策に、また制度化に直接結びつけるということではなくて、さまざまな考慮すべき要因があるということを付言させていただいております。
 次の段落は、経済分析モデルによる結果でございますので、省略いたします。
 下から2番目の段落では、今後の課題ということで、今回、可能な限りの経済性評価もやったわけですが、対策の評価、さらに経済性評価も、引き続きより精緻なものにしていく必要がある。さらに、今回2010年を見据えたシナリオを検討したけれども、2010年以降の、2020年、2030年という中長期的な視点に立ったシナリオ検討も必要であるということを検討課題として挙げております。また今後、目標達成シナリオ小委員会としても、さらにそういうシナリオの検討も深めていくけれども、政府としても、国内制度の構築に向けて全力で取り組むことを期待するという結びになっております。
 今、口頭で申し上げましたように、前回かなり修正意見をいただいた上で、最終的な修正は、西岡委員長にご一任ということでご了解いただきましたので、委員長のご判断、ご指示をいただいて、現在、修正の作業をしております。来る7月9日に予定されている地球環境部会に、中間取りまとめとして報告させていただきたいと考えております。
 以上で参考資料の説明を終わらせていただきます。

○竹内課長 引き続きまして資料1、国内制度小委員会の中間とりまとめ(案)でございます。
 先回の小委員会の場、あるいはそれ以降、たくさんの先生方からコメントあるいはご示唆をいただきました。大体そういった内容を入れ込んだつもりでございます。
 それでは、まず目次でございますが、目次は変わっておりません。本日は、とりわけ第3章を中心にご説明したいと思います。
 2ページ、3ページにかけての「はじめに」は、これまでの経過ということで、前回とほとんど変わっておりません。
 4ページから第1章「地球温暖化に関する基本的認識」ということで、主にIPCCの評価、それから条約の考え方、6ページに参りますと「京都議定書の採択とその発効に向けた国際社会の努力」ということで、最近のCOP6あるいは米国の議定書不支持の問題まで含めて、これまでの経過が書かれております。
 9ページにつきましては「地球温暖化防止のための国内対策の必要性」として、98年度の排出量が基準年度に比べてプラス5%、また、99年度の排出量は、今月10日ごろには確定いたしますが、98年度が5%増加ということで、さらに削減しなくてはいけないといった点、それから、2010年までの対策で終わるのではなくて、第2約束期間、第3約束期間へと継続的に削減していくといったことで、21世紀の 100年間を見通して長期的な取り組みに対応できるよう、温室効果ガスの排出削減を促す仕組みが見込まれた社会、「脱温暖化社会」の構築が課題になっているということで、本報告書の取りまとめの必要性が書かれております。
 10ページから、第2章「現行施策の評価と課題」でございますが、おおむね前回ご説明申し上げましたとおりでございまして、この評価の点に関するご意見についても、おおむね反映させているつもりでございます。
 まず、13ページは「大綱に基づく施策の部門別の進捗状況と評価」ということで、温室効果ガスの排出の見通しについて、基準年、それからBaU、計画ケース、大綱目標といった比較がなされております。
 14ページからは「エネルギー起源のCO2 の排出削減策」ということで、まずエネルギー転換部門について記述されております。
 15ページの下のところで、ご意見のあった点でありますけれども、エネルギー転換部門の排出原単位を下げ、排出削減を行うための方策として、計画ケースの設定において取り上げている原子力発電の導入のほか、石炭から天然ガス等への燃料転換、新エネルギーの導入があるということで「石炭については安定供給性に優れており、また石油やLNG(液化天然ガス)よりも相対的に安価なことながら、政府の石油代替エネルギー政策の柱として積極的な導入が図られ、その一方で天然ガス普及のためのインフラ整備等、天然ガス等への燃料転換を促進する方策がとられてこなかったことにより、電気事業者などからの石炭燃焼に伴う二酸化炭素排出量は増加してきた。また、最近の電力自由化の流れの中で、CO2 排出量の多い、相対的に安価な石炭の利用が一層増加することが懸念される」といったような、ご意見を踏まえた内容にしております。
 次に、(イ)の「産業部門」でございます。ここも幾つかご意見をいただきました。主に経団連自主行動計画の内容評価についてでありますが、とりわけ18ページでございましょうか。「経団連自主行動計画については、企業の自主的取組を促進するものとして積極的に評価することができる。しかし、自主行動計画は、「自らの業を最もよく知る事業者自身が自主的に実行計画を策定し、実施するのが最も効果的である」との考え方に基づいているが、このことが実際に的を得たものであるかどうかについては、審議会によるフォローアップは行われているものの、原資料にまでさかのぼった第三者による客観的な検証はなされていない」というような評価にさせていただいております。
 19ページは「民生部門」、20ページは「運輸部門」でございます。
 21ページからは「非エネルギー起源CO2 ・メタン・一酸化二窒素の排出削減策」でございまして、ここら辺は、ほとんど変わっておりません。
 24ページからの「HFC等3ガスの排出削減策」、この辺も変わっておりません。
 26ページからは「京都議定書の目標達成のための課題」でございまして、(1)は「温室効果ガスの技術的削減ポテンシャル」。先ほど目標達成シナリオ小委員会のところでも出てまいりましたが、27ページ、28ページに削減ポテンシャルを考慮した後の2010年の排出量が書かれておりまして、一番右の欄には、90年の排出量からの削減量の割合が書かれております。
 29ページは追加的削減可能量ということで、目標達成シナリオ小委員会のまとめにもございましたが、30、31ページにあります個々の対策技術の経済的評価を踏まえて、炭素単位当たりの追加的削減コストのランクごとに、それがどのぐらいの量になるか示されております。上の図は全電源排出係数を使用したもの、下の図は火力平均排出係数を使用したものでございます。ここら辺も変わりはございません。
 32ページから、第3章「今後の地球温暖化対策の在り方について」でございます。
 まず、1といたしまして「京都議定書目標達成のための制度の全体像」の(1)「脱温暖化社会へ向けての国民的コンセンサス」でございます。
 あらゆる局面において排出されるということでございますから、国内制度に関しましても国民、事業者、地方公共団体など広く各主体の理解を得つつ、その参加と協力を求めていかなければならない。
 その際の基本は、どの分野においてどの程度の排出量に抑制するかについて、各主体の理解を得ることである。それから、現在、大綱に基づいて温室効果ガス削減がされております。本小委員会でも、大綱を前提として検討を進めております。しかし、京都議定書締結の国会承認を求めるに当たりましては、日本の6%削減目標達成に関する各分野での排出目標量をどのような手続において定めていくかについても審議されることになろうということと、第1約束期間だけでなく、第2約束期間、第3約束期間へと継続していく中で、各部門の排出目標量の姿によって社会経済構造の変化を見通すことにもなる。
 今の点につきましては、例えば、日本の温室効果ガスの割合は、欧米と比較して産業部門の割合が高いが、これは製造業における省エネルギーの普及と併せて考えると、温室効果ガスの観点からは、日本は製造業の比重が高い国であることが示唆される。アメリカにおきましては、運輸部門の割合が高い。これはアメリカの生活や輸送が自動車を中心にして成り立っていることを示しているのではないかということで、日本は将来どのような社会を目指していくのか、こういった点についての長期的な国民的コンセンサスが必要になろうということでございます。
 33ページの(2)は「京都議定書目標達成のための制度」でございます。
 京都議定書の目標達成のための手段については、費用対効果を踏まえつつ、自主的取組、税・排出量取引などの経済的手法、規制的手法、環境投資など、有効と考えられるあらゆる政策手法を有機的に組み合わせるポリシーミックスによって対策を進めていくことが必要である。
 そこで、このポリシーミックスの検討に当たりましては、確実性の高い政策だけでは目標に達しないことを踏まえて、この目標の確実な達成を図るためどのような制度が必要であるかという観点から、現行制度の見直し、あるいは追加的制度の導入ということを検討する必要があろう。
 この中間取りまとめでは、国内での排出削減のための制度として、まず、国と地方公共団体の排出削減計画、それから各主体による排出量の自主管理のための制度、それから部門横断的な排出削減のための制度、個別の排出削減に係る主な制度、海外での排出削減や取引を行う京都メカニズムの国内制度、それから全体のフォローアップ、対策強化の在り方という流れでまとめられているということでございまして、それを図式化いたしますと、34ページのように全体像を見ることができるということでございます。
 ご意見も踏まえて、前回の全体像と若干変わっております。
 35ページからは、2「地球温暖化対策の計画的推進」でございます。
 温暖化対策の計画的推進のためには、国、地方公共団体、事業者、国民がそれぞれどのような立場、どのような役割分担で推進することにより削減目標を達成するかについて、対策メニュー、実施主体、対策の目標量など内容を明確にしつつ、わかりやすく説明する責任を果たすために、排出量の削減の計画を定めることが必要であろうということでございます。
 まず、国の計画につきましては、我が国における対策を計画的に進めるため、計画の概要、趣旨、計画期間など、あるいは部門別の目標対策などを規定する、そういった計画を策定することが必要であろう。現在、大綱があるわけでありますが、京都議定書締結という国会承認を得る際には、国の計画は対策の根本となるべき計画でありますので、計画策定の根拠と手続を法律で定めることが望ましいのではないかということでございます。
 地方公共団体の計画につきましてでありますが、自然的、社会的条件に応じた地球温暖化対策を計画的に推進するため、地方公共団体の計画を策定することが適当であろう。その中には、例えば排出量の目標、エネルギー、交通、廃棄物減量など、地域における温暖化対策に視する取組の目標、対策等を規定することも必要であろう。そこで、同じように議定書締結に当たっての国会承認を求めるに当たりましては、地方自治体の自主性を尊重しつつ、その根拠と手続についても法律で定めることが望ましいのではないかということでございます。
 次に、「国内の対策に係る制度的措置」として、まず「各主体の排出量の自主管理のための制度」でございます。
 アといたしましては「事業活動に伴う温室効果ガス排出量の公表・届出制度」であります。
 事業者は製品の製造から使用、廃棄に至るまでさまざまな事業活動を行っており、その活動の一つ一つが温室効果ガスの排出源となっている。個々の事業者がこうした多様な排出源ごとに技術的経済的に最も効果的な対策を講じていくためには、まず自らの温室効果ガスの排出量を把握することが前提となろう。また、正確できめ細かい排出量把握を行うためには、工場単位、あるいはオフィス・百貨店などの事業場単位で把握することが望ましい。このための類似した既存の手法として、化学物質については特定科学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律、いわゆるPRTR法でございますが--によって、工場・事業場で使用している化学物質の環境中への放出についてその量を把握し、情報公開を義務づける仕組みがございます。温暖化対策は日本にとっても世界にとっても、このような化学物質対策と同様に極めて重要な課題でありますから、温室効果ガスにつきましても同様の仕組みによりその排出量を把握し、公表する制度を導入することが適当ではないだろうかということでございます。
 なお、こうした排出量把握のための技術的能力、経済的能力を考慮して、制度の適用は一定の要件を満たす事業者に限定することとし、中小事業者については排出量算定のためのガイドラインを策定・公表するなどにより、自主的な排出量把握の取組を支援することが適当であろうということであります。
 イにつきましては、これまで余り議論がなかったわけですが、前回以降、委員の方からご示唆をいただいた点が見出しに入っておりまして、家庭でどういう把握をしていくかということであります。「家庭における電気、ガス、水道の利用に伴う温室効果ガス排出量の通知制度(公共料金の請求時)」として、家庭に対しては、自ら排出量管理を行うための支援措置が必要であろう。このための方法として環境家計簿などの活動、これまでもやっておりますが、そういった活動の奨励を行うとともに、電気やガス、水道などの使用に伴う温室効果ガス排出量について、これらの公共料金の請求時に併せて消費者に通知する仕組みを導入し、各家庭が自らの温室効果ガス排出量を把握できるようにする仕組みを整えることが考えられるのではないかということであります。
 「また、」以下は、経済的な観点からエネルギー対策、温暖化対策をすると経済的便益があるという場合が多うございますので、身近で信頼性が高い第三者の専門家による温暖化対策診断を実施して、経済便益を生じる対策の実施を促進していく手法があろうということで、これは前回あったものでございます。
 以上2点が各主体の排出量の自主管理のための仕組みということで、2つ掲げられております。
 次に、(2)は「産業、民生、運輸等の部門横断的な排出削減のための制度」でございます。
 こういった部門を幅広く対象として、その排出量を効率的かつ効果的に削減することが必要であるという前提のもとで、前章、「評価」のところでありましたように、大綱の目標を達成するためには、さらに一層の削減対策が必要となっております。そこで、追加的な削減ポテンシャルにつきましては、表4の、全体的な対策技術別の追加的削減量と追加的削減費用に掲げられておりました各分野の対策のうち、仮に追加的削減費用が5万円、炭素トン当たりでございますが、5万円以下の対策工事であるとすると、CO2 換算で約 7,200万トンから 9,900万トンの削減が見込まれるとされておりますので、これを現実の削減とつなげていくために、各分野の対策を横断的に推進して、この削減ポテンシャルを実際の削減へとつなげていくための制度的措置を講ずることが必要であろう。
 こうした横断的な措置として、協定制度又は実行計画制度、国内排出量取引制度、温室効果ガス税/課徴金といった政策の組み合わせが考えられるということでございます。
 37ページの図22は、その組み合わせがいろいろ考えられるということでございます。
 38ページの表5は、表4にあったもののうち炭素トン当たり5万円未満の対策による削減量を全部列記したものでございます。これをできるだけ実現する、実際の削減へと結びつけるための横断的な制度が以下に述べられているわけでございます。
 最初は「協定制度又は実行計画制度」でございまして、まず協定制度でございますが、事業者の自主性を尊重しつつ、排出削減の確実性を高めるための手法としては、事業者の自主的取組がある。日本では経団連の自主行動計画が代表的なものとしてあるが、この自主行動計画は、ヨーロッパで進展を見せている産業界の自主的取組とは異なるものであることが明らかになっている。ヨーロッパにおいては、産業団体の自主的な宣言の形をとっていても、実際は政策当局(多くは環境省)との協議を経て定められており、また、英国では、これを産業界と政府との協定として位置づけた上で、排出量取引や環境税にリンクさせるという政策をとっております。我が国におきましても、京都議定書の目標を達成するため、自主的取組をどのように位置づけるかについての制度設計に当たって、事業者、これは業界団体等を含むわけでありますが--が国又は地方公共団体との間で自主的取組の目標レベル及び排出削減のための措置等に関する協定を結び、当該協定に基づき、対策を推進する手法を制度として確立することも一つの方法であろう。その場合、協定の信頼性、透明性、実効性を確保する観点から、協定に基づく対策の進捗状況等について公表・報告を行うことなどが考えられる。
 この場合、協定制度に事業者が参加しやすいよう、協定制度に参加する事業者については税制上の措置あるいは金融上の措置、あるいはほかの優遇措置をインセンティブとして付与し、目標を達成できなかった場合には、これらの優遇措置を取り消すことも考えられる。
 それから、この協定の目標の達成手段としては、以上のようなものだけでなく、後で出てきますような国内排出量取引制度、あるいはクリーン開発メカニズム等を活用することも考えられる。
 なお、小委員会における論議の中では、自主的取組の中心である経団連自主行動計画は仕組みとして十分有効であり、長期的視点に立ち、当分の間は経団連自主行動計画を中心とした取組を進め、行政としては、むしろこれを支援する仕組みを検討することが適当との意見もあった。また、協定制度は従来の自主的取組のメリットである自主性、柔軟性等を損なうものであって、協定制度が欧州諸国で広く用いられ、また米国で1990年代半ばから採用され始めているとしても、我が国との状況の違いも十分に考慮する必要があることから、その導入に当たっては慎重に検討することが必要との意見もあったということを掲げております。
 次に、実行計画制度でありますが、現在あります地球温暖化対策推進法におきましては、政府・都道府県・市町村の事業・事業について策定・公表が義務づけられております排出削減のための計画について、これを事業者に温室効果ガスの排出抑制に係る数値目標や、温室効果ガスの排出削減等のための措置に関する計画(実行計画)の作成・公表を義務づけることを有力な手段の一つであろうということであります。
 この場合には、事業者が自主性を発揮しつつ、計画に定めた事項の履行確保のための仕組みとしては、事業者が計画を作成するに当たって考慮すべき事項や準拠すべき基準を示して、事業者の計画がこれに違背している場合に、助言・勧告等を行う仕組みが考えられる。また、事業者が一定程度の削減を行う場合には、金融上、税制上の優遇措置を講じることも考えられる。このような仕組みを実行計画制度に盛り込むことも一つの方法であるということで、ここにおきましても、その目標の達成手段としては、今の金融税制上のみならず国内排出量取引制度、クリーン開発メカニズム等を活用することも考えられるとしております。
 次に、イの「国内排出量取引制度」でございますが、前半は前回と同じでございまして、経済効率を確保しつつ、排出削減の確実性を高めるための手法としての排出量取引であります。40ページまで参りまして、最後のなお書きまでは、ほとんど前回と同じでございます。
 最後に、なお書きといたしまして、小委員会における議論の中では、我が国は英国と異なり、余剰分が国内市場に放出されるほどの余裕がないため、国内の排出量取引制度は、経済統制あるいは生産規制につながるおそれがある。したがいまして、その導入に当たっては慎重に検討することが必要との意見もあったということが述べられております。
 3つ目に、ウ「温室効果ガス税/課徴金」でございます。
 これも前回と同じでありますが、市場原理が機能することによって排出削減費用が最小化されるなどのメリットもあるということと、北欧諸国などで導入されておりますが、その効果といったものが例示的に挙げられております。まず、スウェーデンでは、地域冷暖房用のエネルギー源が化石燃料からバイオマス燃料に代替が進むなど、環境税が導入されなかった場合と比べてCO2 換算で 1,500万トンの削減効果があった。ノルウェーでは、暖房や運輸部門を中心に、91から93年で3から4%の削減効果があった。また、フィンランドでは、90年に導入された環境税が仮に導入されなかった場合に想定される98年時点でのCO2 排出量と実際の排出量を比較しますと、 400万トンの効果があったというようなことが追加的に書かれております。
 あと、目標達成シナリオ小委員会での数量モデルの結果は、先ほども報告があったとおりでございます。
 41ページの上の方は目標達成シナリオ小委員会にあったもの、そのものでございますが、真ん中あたり、また前述のように、温室効果ガス税/課徴金制度は、協定/実行計画制度、国内排出量取引制度等との組み合わせにより、温室効果ガスの排出削減の実行を高めることも考えられる。
 この場合、協定制度/実行計画及び国内排出量取引制度の対象者については、これらの制度による排出削減措置と温室効果ガス税/課徴金による排出削減措置との二つの制度の適用による一種の二重規制となることを避けるため、温室効果ガス税/課徴金の適用に当たって何らかの優遇措置を講ずることが考えられる。
 今後は、課税対象--CO2 か温室効果ガスかエネルギーか、上流か下流か、あるいは税率--インセンティブ効果の重視か財源効果の重視か、使途といたしまして一般財源か環境対策か、還付--逆進性の緩和をすべきか国際競争力の維持のために還付すべきか等々の内容について具体的な仕組みの検討を進めていくことが望まれる。その際には経済への影響にも十分留意すべきといった点でございます。
 また、小委員会における議論の中では、温室効果ガス税/課徴金は、エネルギー関係の特定財源等の国の歳出入構造の抜本的な見直しの中で議論すべきだとのご意見もございました。
 次に、「個別の排出削減に係る主な制度的手法」ということで、ここでは特にエネルギー転換部門の対策、運輸部門の対策、民生部門における対策、二酸化炭素以外の温室効果ガスに係る排出削減対策、都市・地域基盤整備の5つについて述べております。
 まず、「電力等の排出原単位改善の手法」でございます。
 エネルギー転換部門は二次エネルギーの供給を通じて他の部門に密接に関係しており、特に電力の排出原単位を下げることは、民生部門・産業部門からの排出削減への波及効果が大きい。電力の排出原単位を下げるためには、供給サイドの対策として原子力発電の導入・稼働率の向上、石炭から天然ガス等への燃料転換、発電効率の向上、新エネルギーの導入といったものと需要サイドの対策(分散型エネルギーの活用)など2つがあり、その両方からの対策が必要であろうということ。
 前にありました一覧表に掲げられた対策のうち、供給サイドの対策が実施されると、二酸化炭素換算で約 2,900万トンから 3,600万トンの削減が見込まれます。また、需要サイドの対策が実施されると、さらに炭素換算で 600万トンから 2,000万トンの削減が見込まれる。
 表6、7にあります削減ポテンシャルを足し上げますと今のような数字になりますが、このうち原子力発電につきましては、目標達成シナリオ小委員会の中間取りまとめにおきましては、2000年までに7基(電調審答申)と13基(平成13年度電力供給計画)の2つのケースを設定しております。また、稼働率の向上につきましては、既に計画ケースの設定において見込んでいるとともに、追加的削減対策にも別掲しております。ただし、稼働率の向上につきましては、安全性の確保、社会的な重要性--これ受容性でございます--等の観点から、慎重に検討することが必要である。
 その他の供給サイドの対策の中で原単位の改善に寄与するのは石炭から天然ガス等への燃料転換や新エネルギーの導入でありますが、石炭から天然ガス等への燃料転換に関しては、天然ガス普及のためのインフラ整備を進めるとともに、電力自由化の流れの中でCO2 排出量の多い相対的に安価な石炭の利用が一層増加することが懸念されるため、環境コストの内部化を図る措置、例えば環境税などでございますが--を講ずることが考えられる。
 新エネルギー、自然エネルギーの導入に関しましては、義務的な制度を実施していく手法もあるということで、義務的な制度としては、例えば、送配電を行う電気事業者による新エネルギーからの電力の買い取り義務、あるいは販売電力量の一定比率を新エネルギーによる発電電力とする、またはクレジットを確保することを電力小売事業者に義務づける、いわゆる「クウォータ制+グリーン証書取引」などが挙げられる。小委員会における議論の中では、このような義務的な制度の導入に当たっては、エネルギー市場における競争中立性、追加的費用の高騰抑制、負担と受益の整合性確保等に留意しつつ、我が国の実情に即した制度となるよう慎重に検討すべきとの意見もございました。
 一方、需要サイドの対策として、分散型エネルギーの利用を促進するための制度としては、一定規模以上の業務施設に対する分散型エネルギー設備の設置義務づけ、政府の率先実行、公共による熱導管等の整備、地域開発計画におけるこれらの積極的な位置づけ等が有効であろうということであります。
 国内制度の構築に当たりましては、表7、表8--失礼しました。表6、表7ですね--の対策が実行に移され、これらの表に掲げられた削減ポテンシャルが実際の排出削減へと結びつくよう、供給サイド及び需要サイドにおける前述の各種制度的手法を盛り込むことが考えられるといったところが、電力などの排出原単位の改善の手法であります。
 次に、「交通体系のグリーン化の手法」であります。
 運輸部門は、実績値で見て温室効果ガスの排出量の伸びが最も高い部門であり、交通体系をグリーン化することによって排出削減を実現することは、非常に重要である。交通体系のグリーン化に含まれる対策の中には、ITSの活用など地球温暖化対策のみを目的としていない対策があることから、追加的削減費用にかかわらず、表4に掲げられた対策のうち交通体系のグリーン化に係る対策のすべてを実施したとすると、二酸化炭素換算で約 1,700万トンの削減が見込まれるということで、ここでは表8として、表4から切り取ってきております。
 運輸部門の対策としては、まず排出原単位の小さい交通機関の選択、輸送の効率化、自動車などの単体排出量削減などが柱となる。いろいろな対策手法がございますが、定量的に把握できる上に大きな効果があると見られるものを中心に対策を講じていく必要がある。量的な削減効果が特に大きいものとして、低燃費車・低公害車・次世代低公害車などの開発普及、都市部における自動車から鉄道網を中心とした公共交通機関への需要転換、それから渋滞解消のためのボトルネック対策などが挙げられる。
 まず、低燃費車などの開発のための制度としては、自動車燃費のトップランナー基準の前倒し実施あるいは強化が必要であろう。それから、大量に普及させるための手法としては、取得・保有段階での自動車関連税制のグリーン化、政府・自治体の率先導入、自動車販売者あるいは大規模自動車ユーザーに対する一定割合以上の販売・導入の義務づけなどがある。
 次に、自動車交通が輻輳する大都市圏における旅客輸送の自動車から鉄道系機関へのシフトについては、例えば、3大都市圏で自動車を利用した通勤・通学者の1割が鉄道系の機関を利用する場合には、CO2 換算で年間約 600万トンが削減されるという試算もございます。このため、公共輸送機関の共通運賃制度、乗り継ぎ利便向上、バリアフリーの観点に基づくターミナル整備などを進めていくことが必要であろう。このほかモーダルシフト、自転車の活用なども重要であろう。
 次に、「さらに、」のところでございますが、定量的な削減を把握するに至っていませんけれども、都市地域での自動車の渋滞による温室効果ガスの排出増に対応するため、立体交差などの交差点改良、共同輸配送等による貨物輸送の輸送効率の改善、ITSの推進などに一層取り組んでいく必要があろう。
 また、環境教育の関連といたしまして、アイドリングストップやタイヤ空気圧のチェックなどのエコドライブも、広く普及すれば相当の削減効果があるということで、環境教育の一環として、きめ細かなエコドライブの取組を行うことも必要であろう。
 なお、交通分野での地球温暖化対策といいますのは、自動車環境対策と共通する部分も多いため、こうした共通する対策メニュー、政策手法については、地球温暖化対策と自動車環境対策との両方の観点から一体的に進めることが効果的であろうということでございます。
 次に、「ライフスタイルの脱温暖化の手法」でございます。
 同じように、表4にあった対策のうちライフスタイルの脱温暖化に対する対策を切り取ってみますと、表9のようになりますが、これが全部実現されますと 2,900万トンから 3,600万トンの削減が見込まれるということでございます。
 対策といたしましては、省エネルギー型の民生用機器や住宅・建築物の普及は、これらの機器等を通じてのライフタイルを環境にやさしいものへと変えていくことにつながります。そのための手法といたしまして、トップランナー基準を拡充・強化する規制的手法、あるいは住宅・建築物の断熱化等に係ります制度的手法、あるいは民生用機器や住宅の温室効果ガスLCAの結果の第三者検証あるいはその結果の情報開示、それから省エネ型の機器や住宅の購入に対する助成や融資制度の拡充等がございます。
 なお、さっきも出てまいりましたけれども、温暖化対策には経済的な便益があるものがありますから、そういった意味で、第三者の専門家による温暖化対策の診断といったものを各家庭、順繰り順繰りにやっていくことも、ライフスタイルの転換という意味からも効果があるのではなかろうか。
 また、朝の冷房用や夕方の照明用等のエネルギーの節約とともに、導入それ自身がライフスタイルの変革につながるサマータイムの導入も、有効な手法として挙げられるということでございます。
 次に、エは、CO2 以外の温室効果ガスの規制的手法でございます。
 CO2 以外の温室効果ガスにつきましては、対策を実施すべき対象とか対策の内容が特定化、明確化されているものが多いわけでございまして、こうした分野につきましては対策技術の開発を進めつつ、対策が確実に実施されるよう、規制的手法を中心として個別に制度を導入することが有効である。この分野では、同じように表4から持ってきたものを切り取ってみますと、CO2 換算で 3,000万トンから 3,100万トンの削減が見込まれるということであります。全部やった場合には、でございますが。
 46ページでは、各ガスごとにその内容を記しております。
 まず、非エネルギー起源CO2 、メタン、一酸化二窒素でございますが、これらにつきましては、廃棄物焼却炉に係る一酸化二窒素の排出基準の設定とか、家畜排泄物発酵処理施設に係るメタン、一酸化二窒素排出基準の設定、最終処分場の覆土の義務づけ、窒素肥料の使用方法に係る基準の設定、非エネルギー起源の二酸化炭素の排出削減に資する混合セメントやエコセメントの利用促進(公共事業等での積極的利用)、メタンの排出削減に資する家畜飼料構成の改善のための助成・普及啓発措置といったようなものが考えられます。また、廃棄物・下水処理などにおける対策は他の環境問題の改善に資することに加え、1つの対策が複数のガスの排出抑制につながるということで、重要な分野だということでございます。
 HFCなどの3ガスにつきましては、これはもともと自然界に存在しない、人工的に合成された化学物質でありまして、それ自身が温室効果をもたらしております。したがって、できるだけHFCなどを使用せず、代替手段があるものについては速やかに温室効果のないものに代替させていく仕組みを導入することが望ましい。また、やむを得ず使用する場合にも、発生源が特定されており、対策も明らかになっているものが多いため、規制的手法を中心に環境中への排出を防止するための措置を講ずることが必要であろう。
 実際に家電リサイクル法が施行済みでありまして、この6月にはフロン回収破壊法も成立いたしましたし、規制の枠組みが整えられ始めています。この両法律でカバーされないものについては、さらに規制あるいは助成などの必要な措置を順次講じていくことが適当であろう。
 それから、「脱温暖化社会の構築に向けた都市・地域基盤整備のための手法」でございます。
 これまでの交通体系のグリーン化などの手法を効率的に推進するには、都市・地域基盤の整備が重要な要素を持つわけであります。例えば廃熱を利用するための公共熱導管の整備だとか公共交通の整備、あるいは都市緑地の整備、屋上・壁面の緑化などは、温室効果ガスの排出削減に寄与するだけでなく、エネルギーコストの削減や快適な環境の創出につながるということで、重要な社会資本の1つと位置づけられる。
 この関係の対策を抜き出してみますと、表11のようになっております。
 こういった都市地域の基盤整備で脱温暖化社会の構築をする際に、例えば都市で発生する廃熱を活用するための熱導管、あるいは新交通システムの整備など民間企業による設置が難しいものについては、公共主導で整備していくことが求められる。このために、特に市町村において特定地域の脱温暖化構造改革に必要な計画を策定し、必要な財源を確保することが考えられる。
 カといたしまして「吸収源(シンク)」であります。
 国際的なルールがいずれ決まるわけでございまして、今そのルールづくりにつきましては国際交渉が進められておりますけれども、国内制度といたしまして、48ページでございますが、我が国における吸収量の算定のための統計・情報制度の整備・構築などが考えられます。どのような分野で整備が必要かということにつきましては国際交渉が進められているため、その活用に係る具体的な制度設計といいますのは、国際交渉の結果に基づいて引き続き検討することが必要であろう。それから、自然環境保全法などに基づいて、温暖化対策の観点からも森林などの保護・整備を図っていくことが適当であろうということでございます。
 (4)として、これまでの各分野の対策につきまして、今後の検討課題でありますが、(2)から(3)の各種制度案の組み合わせによるポリシー・ミックスの導入により、表4に掲げられた対策のうち実際にどの程度の追加的削減費用の策定まで導入されるかにつきましては、各制度の具体的な内容・政策の強度により左右される部分が大きいと言えるわけであります。これら対策につきまして相当程度実施できれば、京都議定書の目標を達成できるわけでありますが、各制度の具体的な在り方・内容についてさらに検討を進めて、議定書の目標達成のために必要な削減量が確保されることとなるよう、引き続き審議を進める必要があろうということでございます。
 49、50ページの表12、表13は、追加的制度別対策・削減量一覧で、左の欄には個々の技術対策、そして真ん中に、その削減ポテンシャルと追加的削減費用がございまして、その右は、それをグループ分けしてみるとどのようなことになるんだろうかということでございます。例えば、排出削減のための横断的な措置ということで、協定制度、国内排出量取引制度、環境税/課徴金ということですと、これくらいの範囲がカバーされるのかなということ。一番右の個別の方に行きますと、それぞれ個別の制度的手法がこれまで述べられてきたわけでありますが、それが大体どの分野をカバーするかということになりますと、例えば、真ん中より下の電力等の排出原単位改善の手法というのは、こういったところをカバーすることができるのではないかということでございます。
 表12は全電源、表13は火力平均の原単位を使ったものでございます。
 次に、51ページは「京都メカニズム活用のための制度的措置」でございます。
 これは前回もご説明申し上げたとおりでございまして、京都メカニズム活用のために整備しておくべき国内制度として、52ページではレジストリー(登録簿)、53ページでは国際排出量取引と国内制度との連携、共同実施の事業審査、55ページではCDMの事業認定といった仕組みを国内で整備しておくことが必要になるということでございます。
 56ページの「フォローアップ及び対策強化について」は、全体の計画から始まって一連の計画を策定し、対策を実施し、チェックし、さらにフォローアップをして強化するという一連の流れでございます。
 (1)は「計画の進捗状況のフォローアップ」であります。
 毎年のインベントリにより我が国全体及び部門別の排出量の推移をフォローアップするということとあわせて、全国及び地域において社会経済の活動量など多様な情報を収集して、各排出分野における計画に基づく対策の具体的な進捗状況を適正にフォローアップする仕組みが必要であろう。
 排出量の状況及び推移について適正なフォローアップを行うためには、工場・事業場等からの排出量の把握及び情報公開を進めるなど、各発生源からの排出量の把握をできるだけ速やかに行うことができる制度が必要。また、家庭・中小事業者については統計の活用、あるいは地方公共団体自身が家庭・中小事業者の排出状況を把握する仕組み、例えば、先ほど来出ています温暖化対策診断の一環としてそれを行うといったことを進めることにより、これらの部門における排出量関連データの収集体制を整備することが適当であろう。
 計画の進捗状況のフォローアップを行うためには、各発生源からの温室効果ガスの排出に関連する施策を明らかにして、その施策の進捗状況の把握を速やかに行うことができる制度が必要となる。とりわけ民生(家庭・業務)部門、運輸部門等については、排出量と計画に基づく対策の進捗状況に係るデータの収集が現時点では不十分でありまして、データ収集システムや統計制度といったものの整備が必要となろう。
 それから、計画の進捗状況のフォローアップの制度設計に当たりましては、国や地方公共団体が適正な役割分担に基づき多様な情報を収集するとともに、国のフォローアップ結果については地方にフィードバックする一方、地方公共団体のフォローアップ結果についても国が報告を受けることにより、両者の情報交換を行い、フォローアップを効率的に行う仕組みが必要であろう。
 そこで、国のフォローアップとしては、インベントリや自治体から収集したデータを集計してデータ等を用いてフォローアップを行い、その結果は国の対策の強化をすべきかどうかの判断に用いる。
 地方公共団体のフォローアップとしては、事業者からは事業者の実行計画の仕組みを活用して収集するとともに、家庭や業務、運輸については自ら把握した排出量や計画に基づく対策の進捗状況に係るデータを用いてフォローアップ。そのフォローアップの結果は、自らの対策の強化を行うべきか、あるいは事業者に対する指導・勧告を行うべきかの判断材料とする。
 (2)は「フォローアップ結果を踏まえた対策強化」でございます。
 今のフォローアップ結果を踏まえた対策強化を基盤メカニズムとして機能させるためには、各発生源からの温室効果ガスの排出量の状況・推移と施策の進捗状況との関連を公正かつ透明性をもって評価する仕組みを構築することが必要。その上で、国や地方公共団体がどの対策の進捗状況が不十分なのかを検討し、計画の見直し、計画に基づく対策の強化などを行う仕組みを整備することが適当であろうということでございます。
 最後に58ページ、「おわりに」でございます。
 本報告書につきましては、広く国民から意見を求め、その結果についても今後の審議の参考にする。政府においてはこの中間取りまとめを踏まえて、目標を達成するための国内制度の構築に向けて全力で取り組むをことを期待するなどということが書かれております。
 以上でございます。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 大分長いこと説明が続きましたので、ここで15分ほど休憩をとりたいと思います。
 5時に審議再開ということでお願いします。
午後4時47分休憩
午後5時01分再開

○安原委員長 審議を再開いたします。
 既にご案内しておりますとおり、当小委員会としましては国内制度に関する中間とりまとめを行いまして、これを7月9日の地球環境部会に報告することになっております。その関係で、当小委員会としては、この中間とりまとめにつきましては今日が最後の機会になります。しかも残された時間、予定の時間で申しますと、あと1時間そこそこしか残っておりません。これまでいただきましたご意見につきましては、できるだけ取り入れたつもりでございますので、今日またご意見をいただくわけでございますが、できるだけポイントを突いて簡潔にお願いしたいと思います。できれば1人3分ぐらいで、できるだけ多くの方に発言していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に浅野委員、お願いします。あと発言希望の方は名札を立てていただければと思います。

○浅野委員 いつも文句ばかり言っていますが、次は私、自分のところに返ってくることになりますので、来週は皆さんお手柔らかにお願いいたします。(笑)
 大分いろいろと工夫をされたり改善の努力をされたと思うので、これから細かい点、あるいは専門的にご指摘があろうかと思うんですが、まず、全体の枠組みについて。
 34ページの絵が前回と変わっており、これはこれまでの議論が反映されているので大いに結構だということがいえます。しかし、にもかかわらず、まだ下の方に書かれている「制度的手法」が抽象度の高い内容であることに比べると、上の方の「自主管理のための」というところの施策は細かいなという印象があり、その辺のバランスの問題は依然として残っているように思われます。しかし中間とりまとめは、あくまでも最終のものではないので、これからさらにご意見をいただいて直していくことですし、プロセスとしては、これでもしようがないかなと思いながらも、ちょっとバランスがどうかなと感じるわけですね。
 そして、「個別の」と書いてある点も、誤解を与えてしまう可能性があります。「部門横断別」と表現されている部分に対して「個別の」と言っているので、どうも、はじめての人が読むと「個別の」という表現を「個々の発生源の」と理解してしまう可能性があるのですが、書かれていることの内容はそうではないので、意図がわかるように表現を修正する必要があります。「部門別」と書いていいなら部門別にした方がいいような気がするんですが、細かい点ではどっちに入った方が良いか検討すべき部分がまだ少し残っているようでもあり、検討をする必要があるという気がします。
 次に35ページは「計画的推進」という項目があって、そこに国の計画及び地方公共団体の計画をつくると記述されております。そして最後の56ページに、フォローアップという項目が出てきます。
 このフォローアップは、国の計画と地方公共団体の計画を前提にして行われるフォローアップと読めるわけで、多分そういうつもりで書いておられるのでしょうが、しかし、この国の計画と地方公共団体の計画による施策の具体的な担い手は、国や地方公共団体ばかりではなく、さまざまな主体が担い手になります。そして、そのさまざまな担い手としては、具体的に書かれている施策からいえば、協定当事者である業界団体であったり、あるいは大規模な全国ネットの企業であったりすることがあるはずです。
 そういう担い手がいろいろ実施したことを、全体としてフォローアップをすることが、国なり地方公共団体のフォローアップといわれる事項であろうと思われるのですが、その辺のところのかかわりが非常に曖昧なんです。
 誤解を与えるおそれがあると思うことは、ここではデータをとって、そのデータの中身によって個々の事業者に指導・勧告を行うということだけが出てくるものですから、データを報告したら、それがまた全部規制的に自分のところにはね返って利用されるのではないかという憶測を生じさせる。そうすると、せっかくデータをちゃんととってという現実が生きてこないし、そもそも一番最初の、34ページの温室効果排出ガスの公表・届出制度が、自主的な管理のための制度であると言っておきながら、最後のフォローアップの記述とつないで読めば「結局、本音は」と誤解されてしまうおそれがあります。
 こんなことはPRTRのときに既に経験済みのことで、さんざん苦労してようやくPRTRをスタートさせた経験が全く理解されていない書きぶりととられてしまうおそれがあります。事務局は、そんな意図はないとして、書いているつもりなんでしょうか、詳しく議論を聴いていない人が読むと、何かそんな意図が陰にあるのではないかと誤解されてしまうおそれがあります。
 つまり、全体のストーリーを考えて読むとこの取りまとめは頭とお尻と真ん中が、まだつながりが悪いという気がするんですね。言わんとすることは、審議会委員はよく理解しているのですが、これを読まれる方々が要らざる誤解をしないように、再度、文章の整理の努力をしていただきたい、というコメントを、まず申し上げておきます。

○佐和委員 まず、技術の方というんですか、そちらの方で、私が前回、数式についてご注意申し上げたことが全然直っていないんですね。
 西岡さんは、あのとき何かノーテンションの主義の問題だとおっしゃったんですけれども、私は主義の問題を云々しているのではなくて、数学的な意味で、あるいは数式上の誤りを言っているわけです。ですから今、端的に、どこをどう直すか言いますね。
 まず四角の中の、「Cs 」の「s 」をとる。それから下に関しましては、「Cinv 」の下に「S」をつける。それから「CO&M 」の下に「S」をつける。「α」にSをつける。そして、その肩に乗っているnにSをつける。すべてSはa,bですね。ですから「n=耐用年数」のところは、「nS=耐用年数」とするわけですね。それから「P=エネルギー軽減費用」ではなくて、「エネルギー費用軽減」ですよね。そして、これは「炭素トン当たりのエネルギー費用軽減」と書き直して、「Pb -Pa /R」は消す。つまり、Pb もPa もどこにも定義されていないわけですよね。
 ここについては以上です。
 それからもう一点、新たにつけ加えられたなお書きがありますね。22ページから23ページですか、さっきお読みになったところです。ここも何を言っているのかよくわからないんですね。
 要するに、前者は6ガスすべてを対象にしているというのは事実ですけれども、6ガスはすべて明記されているわけですね。したがって、その中でCO2 だけを取り出して同じような計算といいますか、評価をすることは可能ですよね。そういう意味では、前者は6ガスを対象にしていて後者はしていないから比較できないんだという言い方はおかしい。むしろ後者の方は、いわば最適化モデルがほとんどでして、要するに、言ってみればすべての人が完全情報で、全知全能だという前提のもとで最適化をやった結果なんですね。
 したがって「対策技術の評価云々」というところは、要するに何万円までならば実行するだろうという前提で考えて、いろいろケース分けしてみましたということですから、その時点で……。ですから、コンパラブルではある。つまり、どこまでということと、後者が最適化モデルであるということを強調しておかれたらいいと思う。
 次は、この小委員会の中間とりまとめの方で2点あるんですが、まず簡単な方から言いますと、37ページをごらんいただきたいんですが、「温室効果ガス税」という言葉は余り馴染みのない言葉ですよね。突然こんなところにあらわれて、これはフロンなんかにも税金かけるのかなというふうに受け取られますよね。その後、数ページ後の説明のところを見ると、炭素税のことしか書いていないんですよね。ですから、何でこんな言葉をお使い
になったのかということですね。やはり馴染まない言葉は使わない方がいいと思います。
 それから、8ページに戻りまして、最後のパラグラフで「しかしながら、」云々と書いていますが、ここはさっきの審議官のご説明にも関与するわけですが、「議定書に反対する米国」これはさっき天野先生がおっしゃったように、反対するというのではなくて、離脱する、支持しないということなんですね。「反対する」と言ったら「潰せ」ということですね。別に潰せとは言っていないわけですから、「反対する」という表現は変える必要があると思います。
 それから、「議定書への復帰を求めるEU」と言っていますが、EUというのは依然として復帰を求めているんですかね。もはや復帰を求めることはあきらめて、今、一生懸命復帰を求めているのは日本ではないんですか。ですから、この表現はかなり修正を必要とするということ。
 一言つけ加えれば、さっき私が「京都議定書の精神」ということについて局長にお伺いしましたが、結局、アメリカが容認しないのは議定書の精神なんですよ。ですから、精神を認めないというわけですから、調整は非常に難しいということで、一言お伺いしたいわけですが、日本が批准せずに議定書が発効しなかった場合、こういった報告書は一体どういうことになるんですか。つまり、ここで議論していることは、ずっと議定書が命脈を保つ限りは意味を持つんでしょうけれども。そういうことです。

○小島審議官 8ページでございますけれども、そういう意味では「アメリカは議定書を支持しない」というのが正確ですね。「反対」ということになると、再開会合でもいわゆるブロックするということになりますが、それはブロックしないとアメリカは明言しておりますから、「支持しない」ということだと思います。
 それから、EUは、アメリカが復帰しない場合にはアメリカ抜きでも批准すると言っておりますが、だからといって、アメリカに復帰を求めないとは言っておりませんので、引き続きアメリカに復帰を求めるが、復帰しない場合にもEUは批准をする、こういうのが正確だろうと思います。

○佐和委員 もうちょっと詳しく書かれた方がいいと思います。詳しくといいますか、誤解のないように。

○小島審議官 非公式会合では、そういう言い方をしているわけですね。
 それから、先ほど浜中の方から説明いたしましたけれども、現時点で日米首脳会談の概要で言っておりますのは、先ほどの共同声明の内容のところで、日本の立場は「総理より京都議定書の重要性を指摘」したと書いておりまして、よく読んでいただければと思いますが、これは、日本は京都議定書を重要視しているということと、再開会合、それからCOP7まで行くかもしれませんが、国際合意を目指して積極的に努力をするということが、まず一つの基本ですね。
 もう一つは、アメリカがなかなか戻ってこないということで、アメリカと協力しながらEUや世界と一緒に協力していけるようにしたい。その際は京都議定書の精神という、いわゆるプロンクさんの言ったような、まず、どこまでアメリカが許容できるのかというところについては、その「精神」というところでまずアメリカが許容できるんですかという議論を、その際はそこからやらなければ、アメリカとEUの橋渡しの道具としては十分ではない。
 この議論は、そういう意味ではまだやっているわけではないので、日米が政府間ハイレベルの協議を早急に再開する、これはCOP再開会合の前にセットする、こういう手順でありますから、その前に、何といいますか、その先いろいろなことがあり得るということではありますけれども、その先の予断を持ってはいない。
 それから、京都議定書が発効しない場合はどうなるのか、こういう議論については、現在の日本政府の立場は2002年発効に向けて最大限努力をしますし、そのための国際合意の、まず批准をすべきものがまだできていないわけですし、再開非公式会合では、先進国間の議論以上に途上国と先進国の間の問題が全然埋まっていない。その批准可能なものをとにかくつくり上げるのが先決。多国間交渉ではですね。そこに全力を尽くしていく。そういう流れの中で、どのタイミングでどういう決断をするかという問題が出てくるでしょうけれども、今、予断を持って語るよりも、まず批准可能なものをつくり上げることに全力を尽くす。
 それから、日本は京都議定書の重要性をアメリカにも言いましたし、国内的にも国会にも言っているということは、変わっていないということですね。よろしいでしょうか。

○佐和委員 その批准可能なものというのは、だれにとってですか。

○小島審議官 それはEUにとってもそうですし、日本にとってもそうです。一部の国は今のままでも批准している。それは三十何カ国ありますけれども、EUにとっても日本にとっても今のままでは批准できない。批准可能なものになっていないという認識です。これは条約事務局もそういう認識をしております。

○佐和委員 「つくる」という言葉を使うと非常に語弊があると思うんですよね。つまり、議定書を変えるのかということではなくて、プロンク提案のようなものをつくるということですね。

○小島審議官 いいえ。
 すみません、もう一度申し上げますけれども、日本としては京都議定書の重要性を指摘。今の京都議定書のベースで国際交渉し、国際合意を得ていくプロセスは、プロセスとしてある。そして、アメリカと協力しながらEUとの橋渡しをしていく際には、京都議定書の精神が重要だという言い方をしている。

○浅岡委員 アメリカと協力しながら、EUに橋渡しをするのですか。

○小島審議官 アメリカと協力しながら、EUや世界と一緒に協力していけるようにしたい。その際には、ということです。

○浅岡委員 アメリカと協力するというのは、どう協力するんですか。

○安原委員長 この議論はもう既に浜中地球環境審議官との間でございましたので、この案文に即してご議論を願いたいと思います。
 今の8ページについてご指摘のあったところは、小島審議官の説明を踏まえて修文させていただくことにいたします。
 それから、温室効果ガスの表現はいかがですか、竹内課長。

○竹内課長 温室効果ガス税というのは、まだ存在しないわけでございますが、この段階であらかじめCO2 --炭素税だけだと限定するのはよくないのではないかという発想からだけでございます。

○佐和委員 ですから範囲を広げた。

○竹内課長 はい。

○安原委員長 そういう趣旨で、ご理解ください。
 西岡委員、今の点につきましてはここでは聞きおいていただいて、いずれ目標達成シナリオ小委員会の中間報告のまとめがございますので、そこでいろいろ配慮していただくということで、よろしくお願いします。

○大塚委員 大きい点が1つと細かい点4点、簡単に申し上げたいと思います。
 1つは、37ページの図22と34ページの図21でございますが、私としては、34ページの図21の真ん中にある「部門横断的な排出削減のための制度」ここをもっと強調していただいてもいいのではないかという感じがします。
 それとの関係で、図22が少しわかりにくいということを申し上げたいと思うんですが、まず、温室効果ガス税の名前がどうかという問題もともかくとして、ここに助成を入れると、その下の優遇措置との関係がよくわからなくなる感じがしまして、ここは課徴金だけでいいのではないか。あるいは助成についてお書きになるなら別の図をもう一つ作らないと、いろいろなものがごちゃごちゃに入っている--と言っては恐縮ですけれども、そんな感じがしなくもないわけです。
 もう一つ、図22の真ん中に点線で囲って「協定と排出量取引の適用者には一定の優遇措置」とありまして、協定と排出量取引、それぞれ別々にお考えになっていると思うんですが、他方、そのすぐ下では協定参加者について、その協定の目標達成手段として国内排出量取引制度を使うということで、これは協定参加者についての排出量取引制度の参加の話なんですね。他方、真ん中の話は、協定不参加者が排出量取引制度に入っていただくための優遇措置の話で、両者の関係について私もよく読んだらそういうことだということがわかったんですが、ちょっと見てすぐわかるとは必ずしも思えないので、そこはもう少し図を工夫していただけたらと思います。
 ですから、申し上げたいことは要するに、34ページの「部門横断的な排出削減の制度」というのが大きく2つあることを強調していただきたいということと、図22は、もう少しわかりやすくしていただきたいということです。
 それから、細かい点に移りますが、36ページのイ、家庭についても通知制度を入れるのは大変いいことだと思いますので、賛成です。
 それから40ページ、イの最後のなお書きの4行です。確かにこういう懸念はなくはないんですけれども、普通考えている排出量取引制度というのは、ある意味でかなりいい加減な制度でして、アメリカなどで考えられているのは、例えば1年間の最後3カ月ぐらいに猶予期間をとって、その3カ月の間にほかから排出量を調達してくればいい。だから、1年終えてから後で埋め合わせればいいと。1年間の間に景気がよくなってどんどん物が売れていってしまって、あるいはつくらなくてはいけなくなった場合に、排出量が足りなくなって生産ができないとか、そういうことではなくて、1年間とにかくやってみて、足りなかったら最後の3カ月の間に埋め合わせをすればいいという、ある程度だらしない制度が基本的には想定されています。
 そういう制度であれば、別に、生産規制ということにはならないのではないか。特にリザーブをつくるとか、あるいは一定限度の国際排出量取引制度との連携を図るとかいうこともすれば、必ずしも経済統制、生産規制というほどの大きな議論にはならないのではないかという感じがいたしますので、そういう意見もあったということをつけ加えていただければ幸いです。
 それから、41ページの上から3段落目に「この場合、」とございまして、その3行目に「一種の二重規制」という言葉があるんですけれども、協定制度は少なくとも任意でやるという建前になっていますし、実行計画についても、いわゆる規制ではありませんので、税と2つかけても二重規制とは言わないと思います。ですから、ここはもう少し表現を緩めるか、あるいは「協定参加へのインセンティブを高めるため」とか、そういう理由づけをしていただいた方がよろしいのではないかと考えます。
 細かい点の4つ目は、目標達成シナリオ小委員会のご検討とも関係するんですけれども、例えば、30ページの表4で「1万円~5万円」のところにあるカーエアコンのHFC冷媒の回収処理技術、これは今回フロンの回収破壊法が成立したので、多分、否でも応でもやらざるを得なくなっているのではないかと思うんです。つまり、価格が幾らであろうとやらなくてはいけないことになってしまったはずなんですけれども、法律でもう決まってしまったものについて、ほかのものと同じように並べて書いているのは、少しどうかなという感じがいたします。
 確かに「費用がこのぐらいかかる」ということは明示される必要があるかもしれませんので、難しいところかもしれませんが、あるいは注として「これは法律で決まっているから、どうしてもやらなくてはいけないことです」みたいなことをお書きになるのも一つの案かなと思いますけれども、とにかくちょっと、ほかのものと変わらないような書き方がしてあるのは、法律家としては少し気になるところでございます。

○安原委員長 ご指摘の点は、よく検討させていただきます。

○天野委員 個別の点を1つと全般的な点を1つ申し上げたいと思います。
 まず39ページですが、これは私、文書でもお出ししたコメントなんですけれども、国内排出量取引制度というのは事業者に排出枠を設定する制度ではないんですね。
 ですから、39ページの終わりの1行に「その排出枠内に排出を抑えるために」という表現がありますけれども、例えば、オークションで自分の排出している量に等しいものを買ってきなさいということであれば、その排出量そのものは事業者が自分で決めるわけですね。ですから、設定するのは総枠の排出総量だけであって、個別の事業者に排出枠を設定するのではないということを何度言っても理解していただけないですね。
 これはグランドファーザリングで排出枠を無償で与えますという、その無償枠がこれだけですよというだけであって、生産量とか排出量をそこに決めなさいということでは一切ないんですね。ですから、そういう誤解がある表現は変えてほしいと書いたつもりなんですけれども、ここが変わっていないので、それはお願いいたします。
 もう一つ、これは中間とりまとめでありますので、恐らく最終とりまとめというのがまた先で出てくるだろうと思います。そのあたりを睨んでの意見と聞いていただければいいと思うんですが、まず、今日の資料1の中に「脱温暖化社会」という非常に長期的な展望があります。そして国民的なコンセンサスを得る必要があるということですが、しかし、この中間とりまとめの全体的な議論というのは、議定書を批准できるような国内制度をつくる。したがいまして、2010年前後がターゲットになっているわけですね。この2つがどういうふうに結びつくかというのは、この中間とりまとめでは全然わからないわけです。
 例えば、32ページにも同じような議論がありまして、ここでも「国民的コンセンサスが必要」だと。国民的なコンセンサスを得るような長期の脱温暖化社会というのは、どういう姿をしているのかということが余り見えないわけですね。あるいは、そういうものを明らかにするのが我々の役目であるということも、余りはっきりしていない。他方、34ページでは個別排出削減ということで、交通体系であるとかライフスタイルであるとか、こういういろいろな議論が出てくるんですけれども、これは個別の手法をずっと拾い上げて、その費用の小さいものから順番にとっていって、議定書が批准できるところまで行けばそれで止めるというふうな考え方ですから、10年ごろにそういうことをやれば、それで終わりみたいな議論になってしまって、30年先の社会をどうするかということに、なかなかつながらないわけですね。
 ですから、私はそういう点でこの文章が少し二重構造になったところがあるように思いまして、例えば、目標達成シナリオ小委員会の方の参考資料1-1でも、24ページに「2010年以降を展望したシナリオ検討が必要」ということが1行入っているだけで、それが橋渡しの役になるとはとても思えないわけです。特に、先ほどの34ページの図がございますけれども、電力、交通体系、ライフスタイルあるいは脱温暖化社会の構築に向けた都市・地域基盤、こういうものは、それぞれの省庁で今後いろいろな政策がとられるわけですけれども、新しい政策がとられるときに、それが脱温暖化社会に向けてどういうふうにかかわっているのかということがないと、ここに挙がっているものを順番に採用していって、批准できればそれで終わりというふうなことでは決してないと思うわけですね。
 そういう意味で、私は、特にこの個別の排出削減に係る主な制度的手法の中で、例えばエネルギー政策、あるいは交通政策、道路建設計画、国土開発政策、こういった政策が、例えば「地球温暖化影響評価」ですか、そういうものを常に受けているような形で策定されないと、長期的な脱温暖化社会というのはできないように思いますので、その関連を、できれば中間とりまとめ以降の最終とりまとめの段階でぜひ考えていただきたいと思います。
 実は環境省が、これはインターネットで見つけたんですが、この6月に温室効果ガス排出削減シナリオ策定調査報告書を発表されているんですね。これは2030年あたりを目指して4つぐらいのシナリオを書かれて、それが地球温暖化にどういうかかわりを持つかということを非常にわかりやすく書かれた報告書なんですが、こういった議論をこの小委員会、あるいは地球環境部会ですか、その最終とりまとめにぜひ入れていただきたいと思います。
 この報告書、できましたら各委員に1部ずついただけないでしょうか、厚かましいお願いですけれども。
 そういうこともあわせまして、ぜひそういう議論をここへ取り込んでいただきたいと思います。

○安原委員長 第1点目につきましては、検討させていただきます。
 あとは最終まとめの段階へのご注文ということで、そのときの作業に生かしていきたいと思います。

○宮本委員 前回からいろいろ、意見を出させていただきまして、それについては、注記とはいえどもいろいろ書いていただいたということについては敬意を表したいと思います。併論、併記してもらいたいというのが事実なんですけれども、それはいいとして、今日は2点申し上げたいと思います。細かい話が1つと重要な問題が1つ。
 まず第1点、小さい話から申し上げます。
 42ページでありますが、原子力の新設台数、13基、7基という話がございますが、それ以外に稼働率の向上ということも入れていただいたので結構なんですけれども、1段落目の最後に「ただし、原子力発電所の稼働率の向上については、安全性の確保、社会的な受容性等の観点から慎重に検討することが必要である」とあり、これはかなり問題がある表現だと思います。
 安全性の確保となると、稼働率を上げるということは無理無理してやるのかということになるんですが、今までどうやって稼働率が上がってきたかという原因をよく分析していただきたいと思うんです。
 まずは、点検の時間を短縮しているわけです。どういうことかというと、今まででしたらシリーズにやっていたことをパラにやることによって時間が短くなるとか、機械を導入することによって、例えばボルトを開けるのにボルトテンショナーというようなものを入れて、今まで3日ぐらいかかっていたことを3時間ぐらいでやるとか、そういうような、要するに工程の管理によってやっているというのが相当多いんですね。今まで大体 120日かかった工程を40日で今やっているわけです。ですから物すごく短縮するわけですね。
 もう一つは、原子力の事故。過去わからなかった事故がいっぱい出てきたわけですから、それを1つずつ潰していくわけですね。そうすると、稼働中に止まるということがなくなってきた。要するに、そういうことは点検のときに一緒にやってしまおうということになって、事故率が下がってきたというのが非常に多いんです。
 そういうことから、「安全性の確保を慎重にしろ」と言ったら、何か物すごく悪いことをしているように思えるわけでして、それではやはり原子力というものは、皆さん安全性を確保していないと思うので、この辺については表現を改めていただきたい。
 「受容性」というのは、確かにあるかもわかりません。

○佐和委員 「社会的な重要性」というのは、どういうことですか。

○宮本委員 それは今、言っているように「やはり怖いのではないか」と思われるんでしょうね。

○佐和委員 「社会的な重要性」ですよ。

○宮本委員 いや、「受容性」とおっしゃっているんでしょう。

○石飛調整官 すみません、字が間違っておりまして。

○佐和委員 「受容性」ですか。

○宮本委員 社会がそれを容認するかということでしょう。

○佐和委員 「社会的な受容性」という言葉は変ですよね。

○宮本委員 もう一つは、こんなことを言って悪いんですけれども、13基から7基というのは6基減っているんですね。それだけで3%減っていると言っているわけですね、ここで。そうすると、稼働率を80%から85%に上げることによっていくら上がるかといったら、6%上がるんですね。80分の85ですから。ということは、今50基あるわけですから、6ポイント上がるということは3基増えているわけです。だから、今6基減ったと言っているけれども、その稼働率を上げることによって、今現在もう85%をキープしている会社はいっぱいあるわけです。うちの会社も大体85%まで来ているわけですね。そういうことで考えると、何も原子力の発電所をつくらなくても、今の安全性を十分確保した上で半分戻るということですね。
 もっと言えば、90%まで稼働率をあげるわけですから、90%といったら6基落ちた分を全部取り戻しているんですよ、これ。そういうようなことを認識した上で書いてほしい。
 余り電力の話ばかりしたくないので、次に行きます。
 次の問題は、ちょっと大塚さんなどと議論になるところなんですが、実は協定の問題と排出量取引の問題。国内排出量取引ですよ、国際ということではなくて。それと自主的取組との関連で申し上げたいと思うんですけれども。実は、この協定というのは事業者と自治体と、または政府とがお互いに協定するんだという話になっておりますが、全体を合わせて、7%がいいかどうかわかりませんけれども、産業部門全体として7%下げなければいかんのに、下がっていないじゃないかということになるわけですね。そうすると、どうするかといったら、このようになるんですかね。結局は、やはり何だかんだ言って、何を尺度にするのかよくわかりませんが、費用対効果だったら費用対効果の費用を出せとみんな言うでしょうね。そうすると、自分のところはどうしたって、やはりちょっとキープしたいということになりますと、やはりここでエゴが出てくるだろうと思うんですね。
 そうすると、もしそれで決めたといたしましょう。その決めた次の、今度は排出量取引になるわけですね。もし排出量取引が、今言っているように、業界の中でやらないで他から出てくるなんていう話は別ですけれども、やるとすれば、協定してほとんど全部公平にやったにもかかわらず、片一方は物すごく排出枠に対してこれだけ排出量が増えてプラスになってきた、片一方は非常に足りなくなってきたら、もともとの協定がおかしかったのではないか、不公平ではないかという議論が必ず出ます。これは相当大変なことですよ、こんなことは。
 だから、多分そんなことは私はできないと思うんですよ。ということになれば、私が言いたいことは、自主的取組というものを今、やり出してきた。これが十分だとは私は言いません。これから経団連でやっていくんですけれども、その自主的取組の中で私がこれから進めていただきたいことは、実は今までは、どちらかというとCO2 削減というよりはエネルギー効率の向上ということで、経済的に引き合うことを優先的にやってきたと思うんです、本当は。しかし、最近はどんなことが出てきたかというと、環境会計が出てきました。ISO14000が出てきました。こういうことで、かなり中身を分析できるようになって、自分のところでもっとやれるのではないかということがわかってきたことが1つ、、企業としてこういうものに取り組んでいることが、社会的企業イメージを上げるんですね。それは儲かるわけですから、そういうようなインセンティブが働いてくるわけです。にもかかわらず今の段階でビチッと決めるということは、私は自主性を阻害するのではないかということを言っているわけです。
 それでは、「担保がないじゃないか」ということになると思うので、私は、これから産業界がやるべきことは、1つは、まず対象業種を拡大することが必要だと思うんですね。もう一つは、前から言われているデータの公表、どこまで公表したらいいかをもっと詰めるべきだと。さらに要因分析をもっとやる、そしてフォローアップの方式についても第三者を入れるような方法を考えるということを、経団連としてはこれから勉強会を開こうと言っているわけですから、このことも、やはり私は考えていただいてもいいのではないかと思います。
 ということになると、私は、やっていく中で時間的余裕も出てくるのではないか。そして、お互いみんなが納得するような一つのレベルに入ってきたときに初めて「協定」ということもあり得るだろうし、そのときに、国内排出量取引というのも公平な立場であり得るのではないかと思います。

○安原委員長 貴重な意見をありがとうございました。

○福川委員 二、三申し上げてみたいと思います。
 これは先ほどからご議論の出ている京都議定書の精神なんですけれども、ここでいろいろ、6%というのを前提にして論理構成ができているわけですが、問題は、本当に総理の言う京都議定書の精神という中に6%が入っているのか、いないのかということであります。これはプロンク議長も5項目という中では、数値の絶対値には余りこだわらないがごとき発言をしている。もし今度、高級政府レベルでやって6%が崩れたときに、この全体が確かにおかしくなる。佐和委員もちょっとそういう面をご指摘されましたけれども。
 ですから私は、この対策を考えるときに、6%というのが前提だとすると、もしそれが崩れた場合にはこの出したものが非常におかしくなるし、今でも総理の発言等々から見ると、そこが違うかもしれない、変わるかもしれない、こういう不安を感ずるわけです。
 ですから私としては、いろいろ対策を考えるときに、6%という前提だと全部引っ繰り返ってしまう位なら、6%というのは入れずに対策のメニューを考えることが、最善の方法ではないかという気がします。もし6%を前提にするというなら、総理以下、関係省庁の合意をとらないと、これは答申としては不確実なもの、不安定な要因を持ったものになってしまうということが1つです。
 2点目は、構造的な変化という問題がほとんどここには出てこないわけでありまして、今、製造業は非常な勢いで海外移転が行われています。ですから、技術的な問題だけではなくて、構造が変わって非常に二酸化炭素の発生量が変化するあたりをどう評価するかという点がないと、この答申をしたときには、そこはどうだという指摘を受ける可能性がある。私は、むしろ日本の製造業、ものつくりが崩れていて、経済の成長力が劣ってきているという点は非常に問題だと思います。少なくともその辺の問題として、前から申し上げているように、IT化というような形の変化の面もある。ですから、やはりこの構造問題について何らかの形で触れておかないと、ちょっと片手落ちと言われはしないだろうかというのが2点目です。
 3点目は、ここでいろいろ技術的な評価が加えられております。そして表の中で削減量とかいろいろ数値が出ていますけれども、これは、計算すればこういうことかもしれませんが、極めて不確実な内容があるわけで、これで果たしてみんなが納得するかどうかということです。
 それから、対策の技術のメニューでも、この前、合同委員会で電機工業会のヒアリングのときに、電圧の昇圧という指摘をされました。そのときは、電機工業会は 230ボルトにしようということだった。そうすると追加費用が1兆 2,000億円と言ったか、1兆何千億円。これはとても大きくてどうだろうかという議論はありますが、私もあの報告を聞いた後、関係者にあたって調べてみますと、 200ボルトにするのであれば、現実問題として費用が余りかからないでできる。230ボルトにすると原子力発電所1基分の節約になるということでした。 200ボルトですと、そこまでは行かないが、しかし、かなりの省エネ効果がある。これは電気抵抗がなくなるということから来るわけですが、したがって、そういうあたりについてヒアリングまでしたわけですから、こういうことの評価をされたのかどうか外にもまだいろいろ対策メニューがあるかもしれないという感じがいたします。
 ですから、ここの数値が非常に不安定ではあるし、また、ほかにも対策メニューがあるかもしれない。そこを突かれたときにどうするかというのが3点目の私の感じであります。
 もう一つ、ここは一応その対策メニューが両論併記的な感じにはなっているわけでありまして、これを今後さらに詰めていかないといけないんだと思いますが、これをどういうふうに評価をしていくかということであります。
 税をかけるとか、負担をかけるということになると、受益と負担の因果関係がどうかということが相当明確にないといけないわけですが、この程度の論理で果たして税務当局なりが通るかなという感じがいたしますので、より明確な因果関係の説明をしないといかがかな、そんな感じです。

○寺門委員 まず、大きな大綱の評価のところでありますが、これは13ページに結論として「必ずしも十分な施策が講じられているとは言えない状況にある」と書くわけですけれども、この小委員会がこういうふうに書くことが、どのような重みがあるのかということなんですけれども、多分、今週中にも森嶌先生が座長の地球温暖化の関係審議会ですか、そういうものが開かれる予定と聞いておりますけれども、そこで大綱のフォローアップがされていくと思います。そういうプロセスとこの評価のプロセスというのは、ここで書くということは、その前にもう書くということですから、相当重みがあると思いますけれども、私は、この大綱の施策の中で何が施策としてまだとられていないか、そしてまた、とられたものについて、大綱で言ったこととどのような差異があるのか、そういうことが十分、私は、まだこれは評価されていないと思っております。
 産業界の問題には、今、自主行動計画という問題と、それからいわゆる機器の性能に関する問題と、この2つの取り組みが産業界にはあるわけでして、後者の方は個々に大綱の中で決められたものが、私は順調に、しかもそれは加速度的に進められていると評価しておりますし、それを需要者というものから考えたときにどうかという評価というのは、これはもう少し時間をかけてやらなければいけないと思いますが、少なくともこの機器の性能等については、相当のスピードでなされている。だからして、この中の施策で何がされていないのか、そういうことを十分に個々に点検しないと、これは相当思い切った書き方でありますから、この書き方が成り立つのかどうかと思います。
 そして、全般を通して見ますと、どうしても事業者の方にすべてのウエートがあるわけです。例えば、57ページの図25で「Plan」のところに「国の計画」「地方公共団体の計画」とあります。先ほどもご議論がありましたけれども、こういうプランの中で各所に出てまいりますけれども、原子力の問題1つとってもそうでありますし、あるいはエネルギーのインフラ問題についてもそうでありますし、都市のインフラといいましょうか、いろいろなインフラがあるわけであります。提案されている、例えば廃熱の利用とかそういうものも含めたインフラとか、そういうものがあるわけですが、そういうものが国のいわゆる施策として、この計画の中には当然入っておると私どもは理解します。そういうものが、「Do」のところに来ますと全く出てこないわけです。
 だから、例えば原子力の問題をとっても、大綱の時点では16から20と書いた、それが実際には7から13になったということについて、どのように国として判断していくのか。それでよしとするのか、そうでないのかということは、これはかなり議論をしていかなければいけない問題だと思いますし、国の施策の中にも、ほかにもいろいろな関係が、私、全部チェックしていませんから、あるんだろうと思いますが、そういうものが具体的にどういうふうに、実行されていないからこの大綱というものはだめなんだというふうに評価していかないといけないように思うわけです。
 ところが、これをスッと読みますと、常に事業者とか、あるいは機器を使う人たち、そういう人たちのところだけに物事が全部集約されて、「Do」のところには来る。そして国は全く「私は関係ない」と。要するに、縛るだけ縛るぞということだけしか見えてこない。そういうPDCAのサイクルというのはいかがなものかなと感じていまして、「Do」の中には、やはり国としての施策というものは何なのかと。もちろん、その中にはいろいろなご意見があります。そして「Action」のところにどういうものが入ってくるかということになってくるわけでありまして、そこには、個々に申し上げたら意見が対立しているので、随分事務局もご苦労なさって、少しずつはまぶしていただいておりますけれども、まだそれはお互い理解は、オオノ先生は規制ではないとおっしゃるかもしれないけれども、それでは、例えば6%マイナスと国家間で決めたといったときに、これは明らかに規制だし、そこから足りない部分は変わってこないといけないということが柔軟性措置ということであるわけで、これはあくまでも規制だと。そして、国内もそういうことでやりますかというところになると、これはいろいろ意見があって、いや、自由に買えるんだからいいではないかということで、それは規制ではないという理解もあるし、だけれども「買わなければいかん」と決めたときから、もう既に規制なんだと受け取るわけで、この理解の仕方は随分幅が広いと思います。
 とにかく、この中には、やはり国というものがもっと、他にやらせるんだよという立場だけでない、そういうものに組み立てないと、これはなかなかちょっと厳しいのではないかと思いますし、森嶌会長も大変ご苦労なさるのではないか、この案が出ていけば。そういうことをもう少し膨らませるべきだと思います。
 細かいことは私は意見を出しておりますので、まだ書いていただいていないところもありますけれども、それはまた別途追加することにして、今日はその大きな論点だけ申し上げたいと思います。

○塩田委員 私も意見はペーパーを2つ出させていただいていまして、それをかなり組み込んでいただいていることはありがたく思っています。
 ただ、私の今の意見を二、三点、具体的に内容に即して申し上げたいと思います。
 43ページをごらんいただいて、関連の参考資料は3-5と6ですけれども、43ページに交通体系のグリーン化の手法による削減ポテンシャルという表があります。これは目標達成シナリオ委員会でも検討された削減ポテンシャルの一覧表なんですが、この本文の上から3行目に「ITSの活用等、地球温暖化対策のみを目的としていない対策があることから、追加的削減費用にかかわらず表4に掲げられた対策のうち、交通体系のグリーン化に係る対策の全てを実施したとすると、約 1,700万t-CO2 の削減が見込まれる」とあります。これがここの部分の結論だと思います。その後の対策のメニューの部分には私の意見も取り入れていただいていますが、この部分について、今まで総合的にこのリストで十分かどうかというような検討が、この委員会ではほとんど行われていなかったと思います。
 私は、この表をもう一遍この段階で見ますと、やはり全体の中で余りウエートが大きくないようなものもかなり多いし、それから、定量的に効果がはっきりわかるものも少ないしというような問題点があると思います。この点については、58ページの結論のちょうど真ん中辺に、「今回の作業は一つの目安であって、さらに定量的な検討を進めていく必要がある」ということを入れていただいていますから、そういうものとして理解するんですが、この表に大きなウエートを置くと、問題が多いのではないかという気がいたします。
 今まで、特にその点について私が思いますのは、この表に載っていない、定量化されていない政策に、大事なものがまだかなりあるのではないかということです。これはやはり関係者の意思にかかわっているものもあるわけですね。ですからこの中で、ただ提案だけすればいいかどうかというふうな問題はあるんですけれども、少なくとも言えることは、この表が余り総合的ではないということです。
 それから、特に注目すべきことは、「地球温暖化対策のみを目的としていない対策」の中に非常にウエートが大きいものがあるということです。この部分は運輸部門に関して深刻に検討していかないと、全体の中のごく一部の、極端なことを言えば1割か2割か3割ぐらいしかカバーしていないような削減対策だということになりかねないのではないかということを申し上げておきたいわけです。
 もう一つ、44ページの「ライフスタイルの脱温暖化の手法」というタイトルの5行上に、地球温暖化対策は自動車環境対策とも共通する部分が多いから、対策メニュー、政策手法については一体的に推進することが効果的だとあります。こういうご指摘がたくさんあったと思います。私は、この「効果的な場合もある」という表現、先ほどご説明のときにはここに言及はなかったんですが、「場合もある」という点について注意を喚起したいと思います。
 というのは、自動車環境対策、今までのNOx 対策等は、やはり健康被害にかかわるものであって、かつ地域的な問題であるのに対して、地球温暖化対策というのは全世界的な問題である上に、そのガス自体は有害ではないということだと思いますから、その政策手法、対策メニューにおいて、共通な場合は逆に少ないのではないか。ただし、私が「効果的な場合もある」ということを申し上げたのは、やはり交通関係で温暖化対策をきちんとフォローしていくためには、自排局というものがせっかくあるわけですから、そこで二酸化炭素の排出のリアルタイムの観測をすべきだと私は思います。そういう意味で、対策の進め方に共通な部分もあるということですけれども、一般論として、これ一緒にやっていくことは無理なのではないかということを申し上げたいと思います。
 温暖化ガスの削減のための今の具体的な手法として、協定とか排出権取引とか税/課徴金、その他、規制、こういう手法は、現在 7,000万台を超える自動車に対する対策のウエートがかなり大きいこの分野で、具体的にどんなふうにこれが適用されるかと、私は余りイメージが浮かばないわけです。そういう具体的な議論がされていないわけですから、温暖化対策と自動車環境対策を兼ねて実施するということも、もちろんあり得ると思いますが、一般論としては難しいのではないかということを指摘しておきたいと思います。
 最後に、この作業を始めるときに、作業前の前提条件として、2010年を目標にして二酸化炭素の、あるいは温暖化ガスの具体的な削減策をまとめるというのが了解された作業であったのではないかと思いますが、都市の改造とかそういう項目によっては、2010年よりももっと、、20年、30年先を見て今、対策を講じるべきものであると思います。こいう長期の対策をこういう対策一覧表の中に入れてやっていきますと、またそのコストの算定の仕方にも関連してくると思いますけれども、作業の焦点がぼけてしまうのではないかと思います。やはり今は2010年ということに絞ってボトムアップの作業は、具体的に定量化ができる政策をこういう表にきちんとまとめて、そしてその対策に要するコストの算定をして、コストの低いものから採用していくというアプローチしかないのではないかと思いますので、その点も併せて申し上げたいと思います。
 以上です。

○甕委員 私は、吸収源の問題、森林につきまして若干申し上げてきたんですが、その点が、少しではありますが、このとりまとめ案の中に取り上げられたことは結構だと思います。この委員会としては余り議論はしてこなかったわけでありますから、現段階ではこの程度の表現でやむを得ないと思います。
 ただ、その書かれております場所が、いかにも座りが悪い。これですと、排出削減の手法の一つのような場所になりますので、これは問題とすると丸きり違う話でありますから、しかるべく項目を立てるなり、別のところで触れていただくのが適当ではなかろうかと思います。
 私がこの問題を申し上げる真意は、この吸収源の数字が大きければ大きいほど、非常に大きな意味を持ってくるわけですが、この吸収源の数字の 3.7%、これ自体がどうもいろいろな論議の単なる前提のように取り扱われているのではないかと危惧するわけであります。これは大変難しい排出抑制と同じく、かなり努力をして達成していかなければならない、むしろ課題である、そういうことではないか。しかも、かなりこれは難しい課題ではなかろうかと思います。
 その意味で、森林整備というのがまさに国民的な関心のもとに、これをさらに一層進めていかなければならないといったことが強調されなければならないと思います。
 吸収源としては人工林が大きな役割を果たしていくわけでありますが、最近は、新植はもちろん補植、間伐といった手入れが行われなくなっております。森林は、一頃に比べますと荒廃に向かっていると言ってもいいわけですね。これからも山村の過疎化といったような問題で、これはますます難しくなる。言うなれば、林業自身が不採算部門でありますから、そういうふうに打ち捨てられつつある、こういう現状があります。
 そういう中で、森林が非常に大事である、いろいろな意味で整備していこう、こういうかけ声ばかりは大きいわけでありますけれども、現実とのギャップは広がるばかりというふうに考えなければならない。そこで、森林を吸収源としても活性化していくためには、小手先ではなく構造的な対策も必要だというような意味で、これは委員の皆様にも実情をご披露しておきたいと思うわけであります。
 もう一つだけ感想をつけ加えますと、吸収源としての機能の把握方法については、科学的にさらに検討をする必要があるのではないかと思います。その機能が国際的に統一して理解されれば、これが一つのスタンダードになり、これが場合によって政治的な駆け引きでありますとか妥協の道具、こういうようなことではなくて、国際的な合意の中にきちんとセットされていくべきであろう、こういうふうに思います。

○安原委員長 もう予定の時刻を少々過ぎておりますが、延長させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 あとは簡潔にお願いします。

○浅岡委員 まず、6%という削減目標をこの報告書の前提とすべきではないという福川委員の発言がありました。それに関しましては、今、首相サイドからも京都議定書の数値目標を変えるのだというふうなことを言われているとは私は思いませんし、むしろ6%削減目標をとらないような議論をここでするのであれば、それこそ首相の承諾を求めなければならない。私は逆だと思います。
 それから、「脱温暖化」という言葉について先ほど天野委員からお話もありましたが、括弧に書かれている言葉との関係がわかりにくい。誤解されるかもしれない。これは9ページの記述でありますが、「脱温暖化社会」と言いますと、やはりもう温暖化の心配のなくなった、大気濃度も安全なレベルで安定化したような状況をもたらすための社会的仕組みが組み込まれていると考えられてしまうと思います。脱温暖化に向かっていくためにこうした仕組みを組み込んでいくというふうなことが、今、問題なのではないか。やはりちょっと言葉として誤解をされやすいのではないかと思います。
 それから、原子力の点につきまして、先ほど目標達成シナリオ小委員会のご報告の要約で、13ページでありますけれども、目標達成シナリオ検討委員会でいろいろ意見が出て、この記述も--これは変えられた記述なのか、変えようとしているのか存じませんが、注のところの議論になったと。ここには「利用率が90%になるとして算定している」という記述があります。90%にしますと原子力13基と実質同じことになるんですよというのが宮本委員の説明でありましたけれども、この目標達成シナリオ小委員会での議論をもっと紹介してもらった方がいいと思いますし、先ほどの宮本委員の説明ですと、別に安全性の問題なく稼働率を上げているんだということをおっしゃられましたが、今90%になっているわけではないと思います。まだ80%をちょっと超えたというようなところで動いているという、それで何とか事故なくやっていると言うべきなのか、時に事故が起こると言うべきなのか、ではないかと思いますので、先ほどの宮本委員のおっしゃったことに対しては、私は前提が違うのではないかと思います。
 それから、先ほどの塩田委員の発言にも絡むのですが、交通におきましては地域的な問題である、特に健康被害等の問題が起こっているのはそうだという問題で、地球環境問題への対策とは違うのだというご指摘がありましたけれども、交通対策というのは、まさに地域での対策をどうするかということでありますし、NOx 対策は、少なくともその場所の交通量は減らさないと解決の道はないわけですし、そうした交通量をいかに減らしていくかということで交通体系を考えていくことと、温暖化対策をとるための交通対策を考えていくこととは十分整合していく。地域の交通問題と環境問題を考える都道府県、市町村の取り組みというのは、まさにそこで、同じことで頭を悩ませているのが現実でありますので、ちょっとご説明は当たらないのではないだろうか。
 そして、2010年までの目標でありますが、国におきましても、より長期的ないろいろな計画を立てていくということは当然必要なことでありますし、そこに組み込んでいこうとしている部分において、ここで2010年ごろまでに見込めるものを組み入れていくということは、今後、我々が何をしていかなければいけないのかという方向性を整理していく、また漏らさないでやっていくために不可欠であろうと思います。
 そうした視点から見ましたときに、表4に掲げられています削減のいろいろな技術リストは、私は、これから一番可能性があると思うのは、省エネ法の対象機器になっている自動車、家電製品等についてです。これらの技術の省エネ水準をより高めていくことの可能性は十分にあり、既にその目標は達成されているというようなものはたくさんあるわけです。まだこれから10年先のことでありますし、それは大変大きなポテンシャルがある。その分が全く組み入れられていない、既存の対策を前提としたリストになっているというのも、見落としてはいけない点ではないかと思います。

○猿田委員 56、57ページですね、いわゆるフォローアップのところですが、先ほど塩田委員から自動車排出ガスの問題が出ました。今回、自動車NOx 法が改正されたわけですが、旧自動車NOx 法といいましょうか、あの中でも、関係事業者等に対して関係省庁からガイドラインなどが出されておりましたけれども、そのフォローアップが十分に行われなかったということで、所期の目的がなかなか達成できなかったという例もあるわけでして、フォローアップというのは非常に重要ではないか。
 今日のこの中間とりまとめの第3章で、制度的措置が幾つか、いろいろと述べられておるわけですけれども、この内容、どれがどのように制度化されていくかはこれからの問題ですけれども、それがどのような成果を上げているのか、やはりフォローアップというのは非常に重要であろうと思うわけですね。
 56ページの真ん中辺に「計画の進捗状況のフォローアップの制度設計に当たっては」とございますけれども、この辺で、どれぐらいの頻度でフォローアップを行うのか。自動車NOx の場合、途中で中間評価を行った例はあるんですけれども、5年目にして云々ということや、その後はまた何もしなかったということもあるわけですが、今回の約束期間の当初の2008年の時点で行うというのでは、もう遅くなってしまうわけですから、57ページにありますようにチェック、それからアクションと移るわけですが、計画としては、このアクションがまた重要な役割を果たすことになるのではないかと思うわけでして、そのためには今度チェックシステムというものをどのようにしていくのか。
 この制度設計というのは非常に重要な役割を果たすことになるだろうと思うわけでして、その辺で時期的な問題、端的に言えば、毎年やるのか隔年に行っていくのか、いろいろな方法があるわけですけれども、この制度的措置との関連の中でどのように行うのか、その辺をある程度明確にして行っていきませんと、せっかくの計画そのもの、実際に行っている内容が、成果が上がっているのかどうか評価もできなくなってしまうわけで、その辺について、制度設計に当たっては十分配慮いただきたいということでございます。

○天野委員 2点だけ申し上げておきたいと思います。
 まず、排出量取引ですが、これは総量規制という意味では直接規制の要素があります。しかし、個々の事業者の排出量を規制するものではないという点は、はっきり申し上げておきます。両方混同されないようにしていただきたいと思います。
 もう一つは、確かにボトムアップの議論をするときには、そんなに先まで見越してやることはできませんので、2010年ぐらいをターゲットにするのが適当だろうと私も思いますが、しかし、この中間とりまとめでは余り詳しく書いてありませんけれども、部門横断的な政策ですね、こういうものをやるときには、2010年というようなことでは施策としては余りうまく策定できなくて、例えば30年ぐらいを見た上で、2010年までどうするかという政策をつくる必要があるわけで、そういう意味で私は、長期的な視点をバックにして、この中間とりまとめをもう少し詳しく決めていただきたいということを申し上げたので、そういう意味では、意見の違いは余りないのではないかと思います。

○塩田委員 今いろいろご指摘がありました点で、フォローアップに関しまして私が先ほど申し上げたことは、適当な場合もあるでしょうが、すべて適当だとは言わないということを申し上げただけですから、意見は食い違っていないと思います。
 それから、排出権取引に関しては私は特別にコメントしていませんけれども、運輸部門については、ご承知のように定量的なアプローチがほとんどされていないから、どの分野でどういう効果を期待するかという議論が余り行われていないので、その具体化をするためにどういう施策が要るかということは、これからの問題だろうという感じがするものですから、排出権取引も、大口ユーザーなどがうまく利用できるのかどうかというのは、これからの問題だと思います。

○安原委員長 多くの委員から、いろいろな観点からの貴重なご意見をいただきました。
 とりあえず、今の段階で何か事務局からコメントがありますか。なければ結構ですが、よろしいですか。
 それでは、今の意見を伺って、よく検討させていただくことにしたいと思います。
 それでは、先ほども申しましたように、7月9日に地球環境部会に報告することになっておりますので、この中間とりまとめにつきましては私の方にご一任いただきまして、今日の議論をよく検討させていただいて最終調整させていただく。その際には、関係の委員の方に個別にご相談させていただくことにしたいと思います。そのようなやり方でまとめをすることについて、ご了承いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
     (異議なし)

○安原委員長 ありがとうございます。
 それでは、そのようにさせていただきます。
 また、この国内制度小委員会、それから目標達成シナリオ小委員会の両方の中間とりまとめの案につきまして、広く一般の方々のご意見をいただくために、パブリックコメントを実施する予定になっておりますので、併せて申し上げておきます。
 今後の審議の進め方につきましては、また事務局と相談の上、具体的には追ってご連絡申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、長時間にわたって熱心なご討議をいただきまして、ありがとうございました。これで今日の会合を終えたいと思います。
 どうもご苦労さまでございました。

午後6時17分 閉会

ページ先頭へ